機関誌"MORDENT"第1号 - プレクトラム結社 さざなみ工業

機関誌
MORDENT
漣音
我々は
プレクトラム音楽を愛し
プレクトラム音楽に従事し
【特集】
公演Vol.2
若気の伊太利に寄せて
プレクトラム音楽に殉じる者
の集いです
不定期刊 第1号 2015.07.01 発行
プレクトラム結社さざなみ工業は、少人数アンサンブルを
主体としつつ、各アンサンブルが集まって合奏を行う、
というスタイルで2013年に結成されました。
様々な形態のプレクトラム音楽を楽しみながら、
その魅力をお客様に伝えていくことを目標としています。
公演Vol.2
【PLECTRUM/OBSESSION】
演奏会としての一貫性を重視し、
公演ごとにコンセプトを定めています。
マイナーな曲から、王道と言える有名曲まで幅広く取り扱い、
当社ならではのコンサートプログラムを構成しております。
全体合奏の練習は2回の合宿と
前日・当日リハーサルに絞っており、
高い集中力で効率的に楽曲作りを進めています。
さざなみ工業の由来
【プレクトラム】ギターなどの撥弦楽器を演奏するための道具。爪。
【結社】共通の目的の為に組織される継続的な団体
打寄せる小波、これを引連れてくる風を思い【さざなみ】を冠し、
かつて職域の親睦として賑わった斯界の歴史を踏まえ【工業】を付した。
名が体を表し、「プレクトラム結社さざなみ工業」が
演奏者にも聴衆にも愉快で、自由な広がりを持った場所となることを
祈念している。
HP:sazanamiplectrum.web.fc2.com/index.html
twitter: @plectrum-c
mail: [email protected]
PROGRAM
第1部
〜Giudici抄〜
序曲「薔薇の祭典」/石村隆行 編曲
ヴェルディ風挽歌/石村隆行 編曲
チェスの試合
3楽章の組曲/中野二郎 編曲
全てE.Giudici作品
第2部
弦楽四重奏曲第1番/S.Barber
アトム・ハーツ・クラブ・デュオ/吉松隆
他未定
第3部
序曲「ソレントの女」/L.Frantauzzi
夜曲/S.Copertini
交響曲「ジェノバへ捧ぐ」/U.Bottachiari
2015.9.26 (Sat)
メニコンANNEX HITOMIホール
開場 17:00 開演 17:30 (予定)
入場料:500円 (全席自由)
後援:一般社団法人日本マンドリン連盟
プレクトラム結社がお届けする
渾身のイタリアマンドリン作品集
ご来場をお待ちしております
【特集】
公演Vol.2
若気の伊太利に寄せて
【序文】
「マンドリン・オリジナル」と称される一群の作品は本邦のマン
ドリン関係の演奏会で重要な役割を占めてきましが、その輪
郭を明らかにすることは容易ではありません。
狭義には19世紀後半から第二次世界大戦終結までの
マンドリン勃興期にイタリアを中心とする作曲家により書かれ
た一群の作品を指します。
一方、上記に加えPoliあるいは中野二郎氏、松本譲氏、石
村隆行氏らにより編曲された管弦楽や室内楽の作品でマン
ドリン音楽固有のレパートリーとして演奏されているものを含
むこともあるようです。
不思議なことに、マンドリンの為に書かれた曲としておそら
く一般的に一番有名なVivaldiのマンドリン協奏曲や、邦人
作曲家によるマンドリン合奏曲はこの中には含まれません。
「マンドリン・オリジナル」とは何なのでしょうか。
19世紀中頃にVinacciaによりナポリ型として現在のような
姿となったマンドリンは、イタリアの国威発揚の意味もあり第2
次大戦終結まで隆盛を極めました。比留間賢八により日本
にもたらされたのは明治時代のことですが、萩原朔太郎を初
めとする当時の文化人に好まれたと言います。戦後、日本各
地の大学や職域においてマンドリン合奏団が立ち上げられ、
国内での流行は70年代にピークを迎えます。
おそらく、「マンドリン・オリジナル」とはこのような過程で、
比較的容易に西洋的な音楽趣味を満たすことが出来、か
つマンドリン固有のレパートリーとなりうるものを求めるうち
に醸成された、一つの憧憬なのではないでしょうか。
今日、「マンドリン・オリジナル」をめぐる態度は様々です。
マンドリン音楽に対してこれからどのように接していけば良
くべきか、戸惑いを反映しているようです。
本演奏会ではまず、独特な作風で知られるE.Giudiciの
作品の中でも演奏されることの少ないものをとりあげまし
た。後半では「マンドリン・オリジナル」として愛奏されてき
た小品S.Copertiniの「夜曲」、マンドリンオーケストラの代
表的大曲U.Bottachiariの「ジェノバに捧ぐ」に挑戦します。
かつて私たちの先人が魅了された甘美でソノーラスな曲
調、あるいはマンドリン固有の表現を追求しようとした作
曲者、編曲者の思いに迫ることを目指します。
マンドリンの紹介に「イタリア生まれの楽器です」というフ
レーズは欠かすことはできません。 しかし、現在私たちが
演奏しているマンドリン音楽は編成・内容からいって独自
の道を辿ってきており、かつて「マンドリン・オリジナル」を
代表する作曲家達が描いていたマンドリン演奏の姿から
は随分離れているかも知れません。
とはいえ、表現というものが、表すものではなく、現れる
ようにすることであるかぎり、作品のもつ魅力を誠実に追
及することから始めるのが肝要です。憧れも伝統も越えて
多様な「マンドリン・オリジナル」への向き合い方がマンドリ
ン音楽を豊かにする可能性を信ずる、というのはいささか
大げさではありますが、当社としても第2回目の公演のこ
と、「若気の伊太利」ということで温かく見守っていただけ
ればこれ幸いに存じます。
インタビューシリーズ
~Homo Plectrum~
第1回 松浦圭介(プレクトラム結社総統)
-自己紹介をお願いします
松浦(以下M) 九州大学でマンドリンクラブに入り、指揮者
をやっていました。社会人になってからはゲームセンターと
マンドリンのどちらを選ぶか迷いましたが、大阪の木下正紀
先生と出会い本格的に打ち込むようになりました。
好きな作曲家はワイルドアームズの音楽を担当したなるけみ
ちこさんやサガフロンティア2やFF13の浜渦正志さんです。
ほかにも黒猫ダンジョンとか・・・(中略)。マンドリンだとラニ
エリのコンチェルトが好きです。そのうち当社の公演でもやり
たいと思っています。
-なぜプレクトラム結社を結成したのですか?
M 大学のクラブを引退後いろいろな社会人団体で弾かせ
て頂きました。アンサンブルステージを担当させて頂いたり、
遠方会員ながらコンマスをしていたことや、賛助として声を
かけていただくことも多かったです。忙しく活動する中で、練
習回数は少なくても、目的の共有ができるメンバーで集中力
の高い練習を行えば演奏の質はあげられるのではないかと
いう思いと、アンサンブル形式への興味からこの団体を立ち
上げました。なるべく遠方の方にも負担にならないよう、全体
の合奏は2回の合宿と前日リハーサルにしぼっています。普
段は各アンサンブルが独立して練習していますが、合宿の
時はそれぞれの経験や個性を尊重しながらもひきずりすぎ
ることなく、ニュートラルな気持ちで音楽づくりに取り組めるよ
うに心掛けています。
波止場
社員の声・お客様の声を届けます
【私のマンドリン遍歴】
マンドリンを知って八年、指揮を振るようになって六年。鳥
取県西部の漁港、境港市の服屋の倅として生を受け、大
学入学を期に土佐へ。そこで、何の気なしに入ったマンド
リンクラブは、飽きっぽい僕に長く続けられるものを与えて
くれた。チェロを弾くようになって、三回生には指揮も始め
た。指導者の先生は僕を面白がってくれ、僕もまんざらで
もなかった。先輩はいい人で面白い人ばかりだったし、後
輩もいい奴で面白い奴ばかりだった。成功もしたし失敗も
した。大体、三勝七敗くらいか。目出度く五年で大学を奇
跡的に出所した僕は、マンドリン音楽を続けようと思った。
マンドリンをやってる人々が魅力的であったからである。
まずは人間ありき。
去年に引き続き、プレクトラム結社なる団体で指揮を振
らしてもらえることになった。名前は不気味だが、気持ちは
いい。血気盛んで優しき社員が音楽を創っている。今回
は僕が2曲、もう一人の指揮者がメインの1曲を振るプログ
ラムとなった。観客の心に洒落た共鳴を引き起こすような
結社サウンドお届けしたい。
もう一寸書く。高校時代は吉田拓郎を必死に歌い、高校
三年のセンター直前の模試をサボってNHKのど自慢の予
選に出て見事合格、本選出場を果たし鐘二つを頂戴した
僕である。クラシックのマンドリン音楽について何思う。よ
うやく最近、マンドリンのピッキング、トレモロの音が快感に
なった。サウンドが好きになったのである。僕の先生は、
管弦楽、合唱と色々あるが、俺はマンドリンの音が好きだ
からな、と云った。シンプルだが深いなと思った。音楽とい
う観念と音は同じようでまったく違う理解の範疇である。耳
で聞き感じる音。先生はチュナーでやる調弦に対し、音は
見るものじゃなく聞くものだとたしなめた。マンドリンの音は
よく聞くと、音程の音とそれに付随したピックと弦がこすれ
るために起こる摩擦音が鳴っている。先生は武井守成の
作品はピックの摩擦音が心地よく聞こえるんだ、と云った。
バイオリンも弓と弦の摩擦音、フルートは息のかすれる音
が聞こえる。
「愛する人の欠点を愛することのできない者は、真に愛
しているとは言えない」 ゲーテ
総統近影 結成記念公演より
-アンサンブルへのこだわりはどこから?
M 大学のクラブを引退した直後に所属していました福岡
の団体でアンサンブルの企画が上がり、ヴェルキの無言
歌をやったのがきっかけです。このとき自分の指揮者とし
ての経験が生かされましたし、独奏に取り組むようになっ
て、合奏でも曲作りを意識しながら弾くのが大切と気づき
ました。奏者の役割と指揮者の役割両方が楽しめる、互
いのコンタクトが密で奏者の音楽性が直接生きてくるのが
アンサンブルの魅力です。
-今後の目標を聞かせてください
M こういう仕組みで続けられたらと思いますが、続けるこ
と自体にこだわりをありません。最近子供が生まれました
ので、子供にも見せられるように頑張っていきたいです。
あるかわかりませんが、来年は日本をテーマに演奏会を
組みたいとおもっています。
-本日はありがとうございました。
【結社記念演奏会アンケートより】
①演奏会プログラムに関して
・全体はよかったが、ステージごとの演奏時間がちょっと長
かった。はっきり3ステージに分けてもよかったと感じました。
・二重奏だったり、合奏だったりとバラエティ富んでいて良
かったです。
・普段小編成の演奏を聴く機会があまりないので面白かった。
・アンサンブルのメンバーがかたよっていたような…。とても
上手な皆様が集まられているので、色んな方の演奏をもっと
聞きたかったです!
・とてもレベルの高い演奏でした。ただ全体の構成として見
た時、どれも気合の入った曲なのでもう少し軽めの曲もあった
ほうがよいのではと思いました。
・(紺碧の舞曲)紺碧の舞曲はよく知っています!まさかアマ
チュアで演奏する人がいるとはオドロキでした!カネンガイ
ザーのようでした!!
・(五度)マンドリンアンサンブルに良く合う。次回の演奏会でも
このような古典的な曲を取り上げてほしい。
・(熱情)ヴェルキのイメージが変わりました。
・(日本スケッチ)大阪の市場の様子がイメージできる、活気の
ある演奏で良かったです。
-様々編成でのアンサンブルの面白さをお伝えできた一方、
演奏時間やプログラムの構成にはまだ改善の余地があります。
これからも結社らしい意欲的な演目に取り組みながら、お客様
に楽しんでいける構成を考えていきましょう。
②演奏会に関して
・HPにメールさせていただきましたが回答をもらえず残念で
した。
-大変申し訳ございません。HPのシステムエラーにつき改善を
いたしました。またのご連絡をお待ちしております。ご指摘あり
がとうございます。
・チケットの前売りをして欲しい。
-前売り券はHPのお問い合わせフォームの他、ムジークゾリス
デンでもお取扱い頂いております。ご検討のほどよろしくお願
い致します。
・チケット・ロゴ・パンフ・Web等とても良いクオリティーの演出
ができていたので、ステージ・社員もこのトーンに乗っかれると
すばらしいブランドになると思う。
-ありがとうございます。演奏クオリティとブランドイメージの相
互の向上を目指していっそうデザイン研究に励んで参ります。
そんな、若気の伊太利…。
梅雨入りに A.S記
結社の風景
結社演奏会の一大名物となっ
た等身大ムニエルパネル。か
の巨匠の姿をカメラへ納める
人、また巨匠との夢の競演を
果たす人で会場を賑わせて
います。次回公演でも出現す
る予定です。ぜひご来場の上、
記念撮影をどうぞ。
【編集後記】
夏も盛りに近づいて参りました。結社もいよいよ臨戦態勢です。
世の中に結社のことをもっと知っていただきたい、団員同士の
親睦を深めたいという思いで企画・創刊いたしました。
面白くて、ためになる機関誌をめざして企画を盛り上げていき
ますので今後ともよろしくお願いいたします。
編集:広報部プレクトラム推進室