1 data2/統計/効果サイズ 9/10/2007 (3)効果サイズ ポイント 1. 効果サイズは、複数の介入研究の成果を比較するための標準化された物差しである。 2. 効果サイズは、介入群と対照群の分布の重なりや決定係数(分散の説明)として解 釈される。 3. 効果サイズは、効果に関する因果関係を証明するものではない。 効果サイズは、介入群と非介入群の平均値の差を標準化したものである。複数の介入研 究を比較するとき、分布が異なる研究間の平均値を比較しても、異なるものを比較して いるので正確な比較にならない。例えば、図?a の分布の平均値の差は、2群の分布の 重なりが少なく、見た目にも有意な差(効果がある)であるようにみえる。しかし、図 9b は、2群の平均値の差は a の図と同じであるが、分布が広がっているため介入の効 果による平均値の差とはいいにくい(標本のばらつきの範囲内)。そこで、差を標準偏 差で割り、標準化された分布にして比較する。 図9a 図9b http://www.cem.dur.ac.uk/ebeuk/research/effectsize/howcalc.htm 効果サイズの計算方法 効果サイズ(d)= 対照群の平均 - 介入群の平均 対照群の標準偏差 2 data2/統計/効果サイズ 9/10/2007 効果サイズは標準正規分布と同じで、平均が0、標準偏差が1の標準正規分布である。 ここでは、効果サイズの 95%信頼区間の計算方法は省略するが、効果サイズの信頼区 間は、標本数よりも介入の効果を強調した値である。 効果サイズの前提は、2群は正規分布しており、標準偏差も等しいことである。これら の前提を満たせない場合は、効果サイズは適切でない。 効果サイズの解釈の仕方は、分布の重なり、相関係数、決定係数で表されている。効 果サイズが 0.8 以上は大きいと分類され、図?a のように分布があまり重ならないし、 対照群の約8割は介入群の平均値以下である。しかし、相関係数は 0.37 と低く、決定 係数は 0.14 である。つまり、大きな効果サイズ(0.8)でも、x(独立変数)はy(従 属変数)の分散の 14%しか説明できない。 効果サイズが小さい場合は、xはyを殆ど説明できないことになる。しかし、測定方 法が確立していない場合などや、小さな効果でも社会的に重要な価値がある場合がある。 表 16:Cohen の基準による効果サイズの効果の分類、分布の重なり、相関係数、決定係 数との関係 効果サ 効果 分布が重な 対照群が介入群の r r2 イズの サイズ らない割合 平均値より低い値 分類 d を持つ人の割合 小 0.2 47.4% 58% 0.10 0.01 中 0.5 33.0% 69% 0.24 0.06 大 0.8 14.7% 79% 0.37 0.14 表 17:効果サイズと研究例 効果サ イズの 分類 研究例 (Coe のホームページより引用) 非行少年・少女の更正プログラムの成果、職場での禁煙プログラム、少人数 教育と大きいクラスサイズによる総合成績の測定 小 行動療法とプラセボ対照群とのさまざまなアウトカム、慢性疾患患者の患者 教育によるコンプライアンスと健康、英才教育のプログラムで、認知、想像 中 力、情動的なアウトカム 心理療法のさまざまなアウトカム、瞑想とリラクゼーションの血圧に及ぼす 大 効果、教室における肯定的な強化方法 Coe が警告しているように、効果サイズの比較や、総合した効果サイズの計算には注意 が必要である。効果の方向が異なること(効果の有無)、アウトカムの操作上の定義、異 なる治療法や異なる集団からの測定などを検討する必要性がある。 参考文献: Coe R. What is an ‘Effect Size’? A brief introduction http://www2.uta.edu/sswmindel/S6347/Effect%20Sizes/Effectsize.doc
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