大豆加工品の生産による飢餓救済

大豆加工品の生産による飢餓救済
東アフリカではたびたび起こる干ばつで、人々の生活は常に
プロジェクトについて
ため、
農家の収入を増やすことができます。
実際、
農家は、
トウモロ
脅威にさらされています。
最近では2010年から2011年に干ばつが
コシを育てるよりも大豆を育てる方が50%も収入があがります。
と
あり、多くの地域で例年の10%以下の降水量だったため、井戸は
くに、大豆生産地域で大豆を加工することで、大豆加工食品の
干上がり、家畜は衰弱し、生活必需品の価格は手が届かなくなる
消費量を増加させることが期待されます。
ほど高騰しました。数百万人の人々が食料不足の影響を受け、
栄養不足の人々の割合が更に高くなりました。
この結果、
ケニアを
本プロジェクトでは、
ブンゴマ、キスム、
ミゴリの三カ所に小規模
始め、
干ばつにおそわれた多くの人々が近隣諸国に避難を開始し
大豆加工工場を設置し、機材供与と、日本人専門家による技術
ました。
移転が行われました。
農家で生産された大豆はこの小規模工場で
加工されます。大豆加工食品はケニアの人々が日常的に食する
緊急を要する人道的な救済はもとより、人々の毎日の食物として
食品ではなかったため、特に農村地方では大豆加工食品の普及
栄養価の高い食料を導入するような永続性のある解決策が
から始めました。NGOと連携し、大豆加工食品を干ばつの影響を
必要とされていました。同時に、経済成長を促進するために、
受けた地域の孤児院や学校、
病院などの関連施設に配布しました。
その食品の生産、加工、流通そして販売までを自国内で行える
国の能力を育成する必要もありました。
日本政府の資金援助を受けて、ケニアの工業省と国連工業開発
機関(UNIDO)は、
日本人の専門家の技術を活用し、
ケニアに大豆の
加工食品を導入し、避難民を始めとした飢餓に苦しむ人々に
すぐに食料が提供できるよう、
プロジェクトを立案し実施しました。
大豆はタンパク質や脂質など人間の体に欠かせない栄養素を
多く含んだ栄養価の高い食品です。
そのため、通常の食事に補完
することで健康を改善することもできます。大豆は、他のタンパク
源よりも土地や水、燃料の必要使用量が5分の1以下のため環境
に優しく生産することが出来、
また収穫や加工も短期間でできる
援助資金供与国
日本は、2011年の東アフリカの干ばつによる食料危機に対し、
即座に国際機関に対して2.46億ドル、NGOに1千万ドルを供与
するなど、積極的な援助を行いました。
本プロジェクトは日本政府の資金援助を受け、
日本人の専門家の
技術を活用して、実施されています。
日本の政府開発援助大綱の基本方針であり、
またアフリカ開発
会議(TICAD)でも強調されている
「自立と共生」の促進に則って、
プロジェクトが企画され実施されました。
開発の主役は現地の人々であることを念頭に、
プロジェクトでは
現地の機関と密に連携しながら現地の人々の積極的な参加を
促しました。
プロジェクトの活動を通じて、
ケニアの関係者や受益者と日本人
専門家および日本の技術との強いパートナーシップが築き
上げられました。
プロジェクトの目標とした成果を超え、
本プロジェクトは、
ケニアと
日本の人々をつなぐ大きな架け橋となりました。
援助機関
国連工業開発機関(UNIDO)は、持続可能な産業開発による
貧困の削減を目指しています。
すべての国が活気あふれる生産セクターを育て、国際貿易への
関与を高め、それぞれの環境を保護できる機会を得ることが
我々の願いです。
UNIDOでは貧困削減を農村開発と関連付けています。世界の
貧困層の多くは農村に住み、その生計を農業に依存している
からです。
農業、林業、漁業などの生産性を上げるだけでなく、現地での
加工業や商品に付加価値をつけることなど、農村セクターの
包括的な開発は、経済的、社会的、環境的に必要なことであると
されています。
このプロジェクトでUNIDOは、日本の援助資金による、日本の
シニアボランティアを活用した、
マラウイ、
タンザニア、
ジンバブエ
などで実施されたSEPIA(Senior Expert Programme in Africa)
プログラムでの経験を活かしています。
UNIDOはメンバー国の一つである日本から支援を受け、
日本人
専門家による技術移転にかかる数々の援助を実施することが
できることを誇りに思います。
パートナー
ケニア工業省は、
国際的な競争力を持つ持続可能な産業セクター
の育成を援助する役目を担っています。例えば、産業セクターの
成長を促す環境を整備する事業などを行なっています。ケニア
工業省の指導と支援を得、
このプロジェクトを実現させることが
出来ました。
ケニア工業省傘下のケニア工業調査開発研究所-KIRDIは産業に
工業省傘下のケニア工業団地公社(KE)は、全国的に工業団地を
関連した技術に関する調査や開発を行う国立の研究所です。
設立し、融資やビジネス開発支援を通して、中小企業の育成と
本プロジェクトでは、KIRDIが三つの小規模加工工場を設置する
開発を促進しています。
敷地と建物を提供し、訓練を受けたKIRDIスタッフが日々の大豆
加工食品生産作業の管理を行っています。
受益者
本プロジェクトの直接的な受益者は、ケニアの干ばつの被害を
受けた飢えに苦しむ人々です。
また本プロジェクトでは、三地点の
小規模大豆加工工場へ大豆を供給することで、ケニア西部の
多くの小規模農家が収入を得る機会を創出しました。
近い将来、現地で大豆の生産・加工システムが確立され、
これが
モデルとなり、他の地域でも大豆加工食品が普及していくことが
期待されます。
将来的には、
地元で生産された大豆が加工され消費されることに
より、人々の健康の増進、
また関連ビジネスや雇用機会の創出、
大豆の生産量が増えることによる農家の収入の増加等につながる
ことも期待されています。
概要
目標:
社会的に弱い人々の栄養状態改善、生産活動を通じて
の雇用の創出
ミレニアム開発目標: 1. 極度の貧困と飢餓の撲滅
開発課題分野: 生産活動を通した貧困削減
援助資金供与国: 日本
パートナー:
ケニア工業省
ケニア工業調査開発研究所
ケニア工業団地公社
予算: USD 1,000,000
プロジェクトに関するお問い合わせ: [email protected] または [email protected]
国連工業開発機関(UNIDO)に関するお問い合わせ: [email protected]