参考資料4 その他 SDGs に関する国内外の動向・取組事例 1.注目すべき国際的な動き ●企業ネットワーク ・Paragon Partnerships:ユニリーバ、コカ・コーラ、ペプシコの3事業者が、コンサルティング企業、NGO、 アカデミア等と SDGs 達成に向けて連携しようと、2016 年5月に立ち上げたマルチステークホルダー・イニ シアティブ。SDGs 達成に向け、企業等が単独で解決策を開発するよりも、各社の能力を結集したほうが実 現できるものが大きいとの判断を背景に、各企業から CSR 部門ではなくマーケティング部門が参画しており、 各界に加えて政府からの参加も呼びかけ、組織拡大を図っている。ステアリング・コミッティー(a steering committee)が四半期ごとに SDGs の 3 つのテーマを扱い、データ集計・問題へのアプローチ方法を議論・開 発。 http://www.paragonpartnerships.com/ ・The Business and Sustainable Development Commission (BSDC):世界の企業、労働界、金融機関、市民社 会リーダーが参画するマルチステークホルダー・イニシアティブ。SDGs 達成に向け、収益性をもった新た なビジネスモデルの構築や業界を超えた横断的パートナーシップの形成等を目的とし、2016 年1月のダボ ス会議においてユニリーバのポール・ポールマン CEO ら世界のビジネスリーダーらが立ち上げた。コミッシ ョナーは、ユニリーバやエリクソンの CEO、国連機関のトップ等。2017 年1月には、SDGs 達成のために必 要なセクターレベルでの転換やビジネスや金融の新たな在り方等に関するレポートを発表する予定。 http://businesscommission.org/ ・Champions 12.3:SDGsターゲット12.3「2030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの 食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」の達 成を加速するために、2015年6月のNo More Food to Waste会議を契機に、英国とオランダ政府が発足を呼 び掛け、テスコのCEOデイビッド・ルイス氏が立ち上げ、2016年1月のダボス会議において結成された、食 品、小売業、政府、研究機関、農業団体、市民社会などによるマルチステークホルダー・イニシアティブ。 食品廃棄物や損失の削減に向けて、啓発活動や成功事例の共有、実現する技術への投資促進等を行う。 https://champions123.org/ ・Project Everyone: 英国の映画監督、Richard Curtis 氏が、2030 アジェンダが公表された 2015 年9月 25 日からの7日間で地球上の 70 億人に SDGs を共有することを目指して行ったキャンペーン。新聞、テレビ、 ラジオ、ウェブサイトや SNS、映画等各種メディアを通じて、SDGs を短いメッセージで分かりやすく伝え、 目標達成には個々の行動が必要だと呼びかけた。 ユニリーバや YouTube、 グーグル等の企業や著名な政治家、 国連機関、NGO が支援した。 http://www.project-everyone.org/ ・Business for 2030:米国国際ビジネス協議会(USCIB)によるイニシアティブ。各目標の取組状況や SDGs を 1 実施している企業事例をゴールごとに紹介。 http://www.businessfor2030.org/ ゴールごとの事例 http://www.businessfor2030.org/business-SDGs/ ・Consumer Goods Forum (CGF):世界の食品メーカーや流通、消費財企業約 400 社が参加するが集まる団体。 2016 年に、食品の製造・販売過程で生じる食品廃棄物 2025 年までに半減する目標を掲げた。日本からは、 イオン、伊藤園、カゴメ等が参加 http://www.theconsumergoodsforum.com/ また、2011 年 11 月に、CGF 加盟の日本企業 29 社が「日本 GCF」を設立し、「サステナビリティプロジェク ト」、 「震災対策共有化プロジェクト」、 「消費者コミュニケーションプロジェクト」の 3 プロジェクトを実施。 http://www.kirinholdings.co.jp/news/2011/1122_01.html ・インパクト 2030:2014 年 12 月に発足した、ビジネスが主導する国連、民間、市民社会の国際協力のための パートナーシップ。SDGs 達成のために世界各地で従業員によるボランティア活動を推進することを目的と する。主なメンバーは、ファイザー、グーグル、シェブロン、IBM、PwC 等。 http://www.impact2030.com/ ・世界の大手広告 6 グループによるイニシアティブ:電通、Havas、IPG、Omnicom、Publicis、WPP が連携し、 SDGs をサポートする広告キャンペーン「Common Ground」等を展開予定。 http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0627-008973.html http://www.dentsu.co.jp/csr/commonground.html ・International Council of Chemical Associations(ICCA:国際化学工業協会協議会):各国協会間の調整 等を目的として、1989 年 6 月設立。4 つの重要課題別グループ(Communications、Responsible Care、Energy & Climate Change、Chemical Policy & Health)があり、レスポンシブルケアや安全な化学物質管理の推進、 政府・ビジネス間パートナーシップ、規制関連業務、ステークホルダー支援、アドボカシー活動等を行う。 SDGs に関する国際交渉に積極的に関与・発言し、SDGs につながるレスポンシブルケア世界憲章やグローバ ルプロダクト戦略等の管理イニシアティブを通じた環境衛生の促進や、感染症治療・農作物の害虫駆除・水 質汚染を防ぐ消毒薬等の化学技術/製品を通じた社会福祉向上に取り組むとともに、世界の化学産業がどの ように SDGs 達成に向けた貢献をしているか 100 以上の事例をビデオで紹介している。 https://www.icca-chem.org/sustainable-development/ ●国連機関 ・Technology Facilitation Mechanism (TFM):SDGs を支援するために設置することが 2030 アジェンダで規 定されている(パラ 70)ものであり、3つのもので構成される。 (1) UN inter-agency task team on STI (Science Technology Innovation) for SDGs (IATT): STI に関係 する国連機関を調整することを目的に設置された国連機関間 STI タスクチーム。市民社会、民間企業、科学 2 者コミュニティなどから、国連事務総長が任命した 10-Member Group と協働する。 *10-Member Group:10人委員会。任期は2年で、共同議長がDr. William Colgrazier (AAAS) とDr. Heide Hackman (ICSU)、メンバーはDr. Romain Murenzi (TWAS、ルワンダ)、 Prof. Nebojsa Nakicenovic (IIASA オーストラリア)、Prof. Xiaolan Fu (UK)、オランダ、サウジアラビア、ナイジェリア、フィリピン、 ブラジル。(2)や(3)の準備を行ったり、SDGsの実施状況の監督を担うとされている(2030アジェンダの パラ82)High Level Political Forum(HLPF)へのインプット等を行うことが期待されている。 (2) オンラインプラットフォーム:STI プログラムの情報や、STI プログラムの優良事例等の情報へのアクセ スを促進することを目的に設置。 (3) Multi-stakeholder Forum on science, technology and innovation for the Sustainable Development Goals (STI Forum):年1回、国連経済社会理事会議長が様々なステークホルダーを招集し、SDGs への STI の貢献 について2日間議論する。議論の結果は HLPF に報告される。第1回は STI Forum が今年6月6-7日に開か れ、7月 11-20 日の HLPF で報告された。2人の co-chairs は経済社会理事会議長が任命。第1回は Vaughan Turekian(米国国務長官科学技術顧問)と Macharia Kamau(ケニア国連代表)が務めた。 ・SDSN(Sustainable Development Solution Network):研究機関、企業、市民団体等の様々な関係者が、協 働を通じ世界の環境・社会・経済問題解決に向けた方策を模索・グローバルレベルでの共有を目的とする。 ベルテルスマン財団と共同で、2030 年までの SDGs 達成に向け、各国の進捗をまとめた報告書「SDG INDEX & DASHBOARDS」を発表。 http://unsdsn.org/ ・SDG Index and Dashboards - Global Report (Bertelsmann Stiftung and Sustainable Development Solutions Network (SDSN), 2016 年 7 月):入手可能な 149 カ国のデータを収集し、2016 年時点での SDGs 達成状況ラン キングと各国の SDGs の達成状況を評価・分析したもの。全体ランキングで日本は 18 位だが、ゴール 5「ジ ェンダー平等」等複数ゴールで、達成に程遠いとの評価も出ている。 日本は、3 側面全体では OECD 加盟 34 か国中 13 位。SDG12(生産・消費)で最上位に位置し、SDG4(教育)や SDG15(陸上資源)でも相対的 に上位に位置するなど、全体としては平均以上だが、12 の指標で下位 1/3 に入り、14 の指標で上位 1/3 に入っている。 http://www.bertelsmann-stiftung.de/fileadmin/files/BSt/Publikationen/GrauePublikationen/SDG_Ind ex_Dashboard_full.pdf ・Business Call to Action (BCtA): 国連開発計画(UNDP) ・オランダ外務省・スウェーデン国際開発協力庁 (Sida) ・米国国際開発庁(USAID)等 6 つの開発機関・政府が主導。長期的視点で商業目的と開発目的を同 時達成できるビジネスモデルを促進する取組であり、企業がそのようなビジネスモデルと企業のコア技術を 適用しながら、SDGs 達成を促進することが目的。持続可能な開発に関する企業事例を紹介。 http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/partnerships_initiatives/privatesector/privatesect or5.html http://www.businesscalltoaction.org/ 3 ・持続可能な消費と生産に関する 10 年枠組みプログラム(10YFP) :SDGs のターゲット 12.1 では、10YFP を実 施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じることとなっており、10YFP は主要な実施メカニズムの 1 つとなっている。6つあるプログラムのうち、日本国環境省が「持続可能なライフスタイルと教育(SLE) 」 プログラムについて、 スウェーデン環境省及び WWF と共同で主導。また、 日本国環境省は 2014 年度から 10YFP に拠出を行っている。 http://www.unep.org/10yfp/tabid/133135/Default.aspx ・Save Food Initiative:FAO(国連食糧農業機関)が主導し、SDGs のターゲット 12.3 にも掲げられている 食料ロス(損失)・廃棄削減のためのイニシアティブであり、地球規模での普及啓発・関係者間のネットワ ーク促進等を実施。 http://www.save-food.org/ http://www.fao.org/3/a-i4068o.pdf ●都市間ネットワーク ・Urban SDG Knowledge Platform:都市レベルでの SDGs の実践を目指し、2016 年 10 月に、アジア・太平洋 域の都市間で議論するプラットフォーム”Urban SDG Knowledge Platform”を仮設置し、数か月内に正式に 設置する予定。UN-ESCAP が中心となり立ち上げ、CityNet、ソウル首都圏政府が支援する見込み。参加都市 の取組を SDGs と関連付ける整理も行う計画もあるという。 http://www.urbansdgplatform.org/seoulforum/ ・United Cities and Local Governments (UCLG):地方自治の強化や地方分権の推進・地方自治体の能力向上 を図る、世界最大の国際的な地方自治体の連合組織であり、日本からは浜松市と静岡市が参加している。持 続可能な開発目標と地方自治体との関係性を示したガイドブック“What Local Governments Need To Know” を作成した。 https://www.uclg.org/en https://www.uclg.org/sites/default/files/the_SDGs_what_localgov_need_to_know_0.pdf ●NGO ・Together 2030:2030 アジェンダを推進する市民社会の国際イニシアティブ。2016 年 4 月 1 日現在、327 組 織が参加(73%が途上国ベース、27%が先進国ベース)。ワールド・ビジョン等がコア団体。 http://www.together2030.org/en/ ●アカデミア等 ・ドイツ持続可能な開発審議会(RNE):首相府の下に 2001 年に設置され、国家持続可能な開発戦略(NSDN)改 定への貢献、特定課題に関する提言、持続可能性に関する市民意識向上・市民対話への貢献等の役割を担う。 企業 CEO、労組連合、環境 NGO、前開発省政務次官、前州大臣、大学教授等、経済・社会・環境の 3 分野や ジェンダー等を考慮して選定された 15 人の委員及び事務局長以下 12 人の事務局スタッフで構成。現在、持 続可能な開発に関する既存の国家戦略の内容が、SDGs と整合性がとれたものになっているかを検討すると 4 共に、SDGs に沿ったものに改定中。新戦略は 2016 年中に採択され、SDGs 実施の中心的枠組みとなる予定。 https://www.nachhaltigkeitsrat.de/en/ ・ Sustainable Development Goals for Sweden: Insights on Setting a National Agenda (Stockholm Environment Institute):スウェーデン国内で SDGs を達成するための課題/示唆等を提示。 https://www.sei-international.org/mediamanager/documents/Publications/SEI-WP-2015-10-SDGSweden. pdf ・Sustainable Development Goals in the Netherlands - BUILDING BLOCKS FOR ENVIRONMENTAL POLICY FOR 2030 (PBL Netherlands Environmental Assessment Agency):SDGs とオランダの環境政策との関係等を分 析。 http://www.pbl.nl/sites/default/files/cms/publicaties/pbl-2016-sustainable-development-in-the-N etherlands_1966.pdf ・Sustainia100 (Sustainia):世界中の画期的なサステナビリティの解決策をまとめている。2016 年は、SDGs の達成につながる活用可能な 100 の事例を紹介。 http://www.sustainia.me/solutions/ ●その他、主体間で連携する動き ・「Sustainable Development Goals Business Navigator」:PwC が 2016 年に開発した、自社のビジネスの SDGs へのインパクトを分析するツール。英国の大企業を中心に数多くの企業が利用している。この経済モデルの中 には既存の統計データが組み込まれているが、自社の国別、産業別売上高を入力することにより、自社のビジ ネスがどこの国でどの SDG に対して大きなインパクトを持つのかについて概観をつかんでもらう狙いがある。 ・ 「Navigating the SDGs: a business guide to engaging with the UN Global Goals」:PwC が 2016 年 7 月 に発行した、民間企業に SDGs に関する理解を深めてもらうことを狙いにしたビジネスガイドブック。ゴール ごとに、①世界規模でどのような問題が起こっているのか、②ビジネスを進めるにあたってどんな問題につな がるのか、③他のゴールとの関連性、④ターゲットの一つに着目した際の達成までの距離感、⑤問題克服のた めのケーススタディをまとめている。現在は英語版のみだが、PwC Japan が英訳作業中。 2 日本国内の SDGs にも関連する注目すべき動き ●日本政府 ・持続可能な開発目標(SDGs)推進本部:2016 年5月 20 日に、総理を本部長、全閣僚を構成員とする SDGs 推進本部を閣議決定で設置。同日の第1回会合において、安倍総理より「SDGs 実施指針」策定を指示。背 景としては、SDGs が採択された国連サミットにおいて、安倍総理が SDGs の実施に最大限取り組む旨を表明 したこと、今後、国内実施と国際協力の両面で率先して取り組むには、関係省庁が連携し、政府一体で取り 組む体制が不可欠であること、G7伊勢志摩サミットでも SDGs が議論され、議長国として SDGs に率先して 取り組む姿勢を示すことが重要であること等がある。 5 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/SDGs/ ●NGO ・SDGs 市民社会ネットワーク: 2030 アジェンダの日本における実施及び SDGs の達成に向け、市民社会ネッ トワークを構築、政府(省庁・国会議員)との対話窓口として機能するネットワーク。日本の NGO・NPO の 幅広い連携・協力を促進する役割を担い、企業、その他の公共団体等の他セクターとの連携も推進。 http://www.ugokuugokasu.jp/pdf/160422_newsrelease_SDGs-civilsociety.pdf ●アカデミア ・環境研究総合推進費 S-11「持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究」プロジェクト:SDGs を 日本で達成していくための「SDGs 達成に向けた日本への処方箋」を発表(2016 年1月)。 http://www.post2015.jp/ 「SDGs 達成に向けた日本への処方箋」 http://www.post2015.jp/wp-content/uploads/2016/01/prescriptions-for-the-SDGs-implementation.pdf ・環境研究総合推進費 S-16「アジア地域における持続可能な消費・生産パターン定着のための政策デザイン と評価」プロジェクト:アジアにおける持続可能な消費・生産(SCP)パターンへの転換と 2030 年までの定着 に係る課題として、消費と生産の関連性の強化、多様なステークホルダーの活動による実現の方策、効率性 追求に加えて環境制約を満たせるレベルにエネルギー・資源利用量をためるためのニーズの在り方を検討し、 同時に充足性向上への転換を促す政策、SDGs から見た SCP のガバナンスをテーマとし、我が国及びアジア 各国の SCP パターンへの転換政策に寄与する学際的研究(2016-20 年度) 。 http://www.env.go.jp/policy/kenkyu/suishin/kadai/new_project/h28/pdf/S-16.pdf ●その他、主体間で連携する動き ・UNV 持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する UNV 民間企業人材派遣プログラム: SDGs 達成のために、民間企 業が果たす役割への期待が高まっていることを鑑み、日本の企業より社員を国連ボランティアとして国連機 関のフィールドオフィスに派遣することとした。 http://unv.or.jp/news/info/1899/ ・SDGs Holistic Innovation Platform (SHIP): Japan Innovation Network(JIN)と国連開発計画(UNDP) が日本発のビジネスで SDGs 達成を目指して設立したイノベーション・プラットフォーム。 http://ji-network.org/0725pressrelease/ 6
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