オフチップスタブを用いたLSIにおける電源ノイズ低減

2004 年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会
C-12-1
オフチップスタブを用いた LSI における電源ノイズ低減
Power Supply Noise Reduction on LSIs using Off-chip Stubs
大池 祐輔
Yusuke Oike
浅田 邦博
Kunihiro Asada
東京大学大規模集積システム設計教育研究センター
VLSI Design and Education Center, University of Tokyo (VDEC)
GHz
stub for 1.80
vddn
1 はじめに
LSI の高速化・集積化によって電源ノイズが大きくな
るとともに、低電圧化によってノイズマージンの低下を
招き、電源ノイズが LSI 回路の誤動作の原因となって信
頼性を低下させている。特にトランジスタのスイッチン
グとパッケージなどの寄生インダクタンスが原因となる
di/dt ノイズが深刻な問題となってくる。
λ/4 長のスタブは理想的には入力インピーダンスがゼ
ロとなり、スタブを LSI の電源線に接続することでその
周波数成分の電源ノイズを抑えることが可能であり、デ
カップリング容量よりも有効になり得ることをこれまで
理論的に示した [1][2]。本発表では、スタブの効果を実
験的に検証したので [3]、報告する。
vctrl
sel
vddio
vddn
stu
b fo
r1
.15
GH
z
vdd
prbs
clk/32
図 1. 測定系とスタブ.
power splitter
3 測定結果
内部回路のスイッチングによって起こる di/dt とワイ
ヤの寄生インダクタンス Lwire によって、vddn には電源
ノイズが発生する。この電源ノイズの大きさを、スタブ
を接続する場合としない場合で比較した結果を図 3 に示
す。(a) は電源ノイズの動作周波数成分を示し、(b) は動
作周波数以外の成分を含めたノイズの大きさを示す。
4 まとめ
λ/4 スタブがバンドパスフィルタとして働き、電源ノ
イズ低減が可能であることを実験的に示した。
参考文献
[1] T. Nakura et al., “Preliminary Experiments for Power Supply Noise
Reduction using Stubs,” IEEE Asia-Pasific Conference on ASIC (APASIC), to be published, Aug. 2004.
[2] 名倉 徹, 他, “スタブを用いた電源安定化手法,” 電子情報通信学会
デザインガイア, p.217-222, 2003 年 11 月
lead
Lwire
Z0=50Ω
vddn
Z0=50Ω
50[Ω]
nothing
50[Ω]
stubs
spectrum
analyzer
for 1.15GHz, 6.52cm
for 1.8GHz, 4.17cm
lead
sel
vdd_internal
prbs
lead
vdd_io
lead
vctrl
Z0=50Ω
Z0=50Ω
clk/32
Z0=50Ω
trig.
50[Ω]
test chip
oscillo
scope
図 2. 測定系とスタブの等価回路.
0.3
(a)
0.2
stub freq.
2 測定系
測 定 系 の 写 真 を 図 1 に 示 す。内 部 回 路 は 7 段 の
PRBS(Pseudo Random Bit Stream) 生成回路の各 DFF 出
力にインバータ列が連なっている構造となっている。内
部には VCO を内蔵し、動作周波数を容易に変化させる
ことができる。DC 電圧供給では、Cu ボード上に “島” を
形成し、チップ容量で安定化している。高速信号はパッ
ケージピンに直接 50Ω の伝送線路を当て、高速測定を
可能にしている。内部用電源として、vdd の安定な島を
用意し、ワイヤで繋がれた vddn の島とチップの電源ピ
ンが接続されている。vddn の島には 6.52cm/4.17cm の
1.15GHz/1.80GHz 用のスタブが接続されており、また、
50Ω の伝送線路によって、電源変動が測定可能である。
等価回路を図 2 に示す。
vdd
stub freq.
東京大学工学系研究科
Faculty of Engineering, University of Tokyo
池田 誠
Makoto Ikeda
Standard Deviation of the Power Supply [V] Noise Amp. of the Operating Freq. Comp.(V)
名倉 徹
Toru Nakura
w/o Stubs
with Stubs
0.175
90%
0.110
0.1
84%
0.017
0.018
0.0
0.3
(b)
w/o Stubs
with Stubs
0.2
0.156
0.178
15%
48%
0.133
0.1
0.093
(i)
0.0
0.8
1.0
(ii)
1.2
(iii)
1.4
1.6
(iv)
1.8
(v)
2.0
2.2
2.4
Operating Frequency [GHz]
図 3. 電源ノイズの動作周波数依存性. (a) ノイズの動作
周波数成分. (b) トータルの電源ノイズの大きさ.
[3] T. Nakura et al., “Theoretical Study of Stubs for Power Line Noise
Reduction,” IEEE Custom Integrated Circuit Conf. (CICC), 31-4,
pp.715-718, Sept. 2003.
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