金属材料 金属材料の分類 鉄類の分類 鉄鋼材料の特徴

建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
教科書 pp.107-132
pp.176-180
Tohoku
University
金属材料の分類
炭素量 : 展性: 硬度 : 融点
金属材料
錬鉄(鉄)
鉄類
鋳鉄(銑鉄)
少
大
小
高
多
小
大
低
合金鋼:炭素以外にNi・Cr・Mo・Mn等を加え
機械的性質や耐食性を向上
非鉄金属:銅やアルミ、錫、鉛、亜鉛などの鉄(Fe)以外の
金属とその合金
建築材料 #1
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #2
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
鉄類の分類
錬鉄(鉄)
鋳鉄(銑鉄)
鉄鋼材料の特徴
小
大
2. 他の材料(木・コンクリート)と比較して強く(強度が高い)、
硬い(剛性・ヤング係数が大きい)
3. 最終的な破断までに
低
4. 溶接・圧延・曲げ加工など様々な成形ができる
種類
炭素量[%]
引張強さ[MPa]
伸び[%]
用途
極軟鋼
0.15未満
320~360
30~40
薄鉄板・リベット等
軟鋼
0.15~0.28
380~420
21~36
建築用棒鋼・型鋼等
半軟鋼
0.28~0.40
440~550
22~32
建築用材・軌道等
硬鋼
0.40~0.50
580~700
14~26
軸類・歯車・工具等
最硬鋼
0.50~0.60
650~1000
11~20
スプリング・鋼線等
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
教科書 p.108
1. 豊富な原材料があり、大量生産のプロセスが確立されて
経済的に良質な材料を入手し易い
炭素量 : 展性 : 硬度 : 融点
少
大
小
高
多
Tohoku
University
建築材料 #3
5. 熱に弱く、一定以上の温度になると強さ、硬さがともに急
激に低下する
6.
7. スクラップを原料とするリサイクルが確立している
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #4
1
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
製鉄
Tohoku
University
鉄鋼製造プロセス
教科書 p.126
図 3.3.18
法(主に鉄骨などの主要架構)
圧 延
主な製品
レール
鋼矢板
製 銑
鉄鉱石(酸化鉄)およびコークス・石灰石を溶鉱炉で溶解
酸素を除去して(還元して)銑鉄を得る
形鋼
連続鋳造設備
鉄鉱石
ペレット
条鋼圧延機
製 鋼
焼結鉱 コークス
線材
石灰石
線材圧延機
直送
転炉で不純物(硫黄・珪素・燐)の除去と炭素量の調整を行い、
鋳型に注がれて鋳造され半製品になる
厚材
圧延
ビレット
銑鉄
棒鋼
厚板圧延機
転炉
ホット・コイル
参考URL http://www.nssmc.com/company/tour/vr_tour.html/
(熱延薄板)
ブルーム
熱間ストリップ圧延機
法(主に小型型鋼や異型鉄筋)
コールド・コイル
(冷延薄板)
スラブ
電気炉
冷間ストリップ圧延機
スクラップをアーク放電によって溶解、副原料(合金鉄など)を
添加して成分調整を行って製造
溶接鋼管製造設備
高炉
参考URL http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/2307
建築材料 #5
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
造塊
分塊圧延機
密度
[g/cm3]
炭素鋼
融点
[˚C]
比熱
[J/kg ˚C]
1500
510
教科書 p.116
熱伝導率
[W/m ˚C]
熱膨張係数
[×10-6/˚C]
11.7
コンクリー
ト
約2.3
-
1050
1.4~1.5
7~13
木材
(杉)
0.3~0.4
-
1260
0.12
3~6 ※繊維方向
35~60 ※繊維と直交
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #7
鍛接鋼管
継目無鋼管
加熱炉
継目無鋼管設備
鋳鋼製品
建築材料 #6
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
炭素鋼の物理的性質
めっき用鋼板
溶接鋼管
均熱炉
Tohoku
University
他の材料との比較
材 種
密 度
弾性係数
圧縮強度
引張強度
曲げ強度
[t/m3]
[GPa]
[MPa]
[MPa]
[MPa]
せん断強
度[MPa]
針葉樹
(スギ)
0.3~0.4
7~8
25~42
50~75
30~75
4~9
広葉樹
(カシ)
0.7~1.0
16~18
70~80
220~250 120~140
コンク
リート
2.3
20~56
18~36
1.8~3.6
鋼鉄
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
3~6
16~18
5.4~10.8
220~360 220~360 127~208
建築材料 #8
2
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
炭素鋼の機械的性質
教科書 p.118
Tohoku
University
鋼材・製品
JIS G 3505
軟鋼線材
JIS H 8610
電気亜鉛めっき
P:比例限界
E:弾性限界
Y:
B:
Z:破断
ひずみ硬化域
降伏棚
JIS G 3136
建築構造用圧延鋼材
(SN材)
(塑性域)
弾性域
図 3.3.10
JIS G 3112
鉄筋コンクリート用棒鋼
建築材料 #9
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
JIS G 3352
デッキプレート
建築材料 #10
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
JIS規格
教科書 p.110~111
鉄筋コンクリート用棒鋼(鉄筋) JIS G 3112
鉄筋コンクリート用再生棒鋼 JIS G 3117
種類
熱間圧延
丸鋼
熱間圧延
異形棒鋼
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
種類の記号
または
耐力[MPa]
Tohoku
University
JIS規格
降伏点または
耐力[MPa]
引張強さ[MPa]
伸び[%]
235以上
410~510
21以上
275以上
490~610
19以上
SM400A
245以上
400~510
18以上
SM400B
235以上
400~510
22以上
SM490A
315以上
490~610
21以上
SM520B
355以上
520~640
19以上
SN400A
235以上
400~510
21以上
SN490B
325~445
490~610
21以上
種類の記号
[MPa]
伸び[%]
SR235
235以上
380~520
20 / 22以上
SR295
295以上
440~600
18 / 19以上
SD295A
295以上
440~600
16 / 17以上
SD295B
295~390
440以上
16 / 17以上
SD345
345~440
490以上
18 / 19以上
SD390
390~510
560以上
16 / 17以上
SD490
490~625
620以上
12 / 13以上
建築材料 #11
一般構造用圧延鋼材 (SS材)JIS G 3101
溶接構造用圧延鋼材 (SM材)JIS G 3106
建築構造用圧延鋼材 (SN材)JIS G 3136
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
教科書 p.112~113
建築材料 #12
3
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
鉄鋼材料の熱的性質
教科書 p.123
建築材料 #13
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
鉄鋼材料の熱的性質
教科書 p.123
建築材料 #14
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
疲労破壊
教科書 p.121
加重形式 :片持梁回転曲げ
試験機
:”Rapid”シェンク
繰返し速度:6,000rpm
降伏応力以下の応力で
多数回の繰り返しを受けた
材料の脆性的な破断
Tohoku
University
鉄の腐食
酸化反応(⇔還元反応)
空気
工学的にはN=2×106
で破壊しない応力
応力集中や材質の
不均質で著しく低下
教科書 p.124
Fe2+
カソード
アノード
2e-
図 3.3.13
錆:Fe2++2OH- →Fe(OH)2
4Fe(OH)2+2O2 →4FeOOH+2H2O
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
水
O2+2H2O+4e→4OH-
建築材料 #15
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
※ FeOOH・・・
Fe2O3・H2O
2
(水和酸化鉄)
建築材料 #16
4
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
腐食電池
Tohoku
University
防食方法
・適切な選択:
耐食性の金属の使用、均質な材料
イオン化傾向
K, Na, Mg, Al, Zn, Cr, Fe, Ni, Sn, (H), Cu, Ag, Pt, Au
大(卑側)
小(貴側)
Zn
H2↑
・環境処理:
水分や酸素、塩素等の有害成分を除去
Cu
2H+
・表面の保護被覆:
塗料や耐食性の大きい金属で被膜を作る水分や酸素を
遮断するが、不完全な場合は腐食を促進する場合がある
2eZn2+
・適切な設計・用途:異種金属や非金属と接触させない
凹凸等を設けず、過度なひずみを生じさせない
ボルタ電池
H2SO4(電解質)
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #17
建築材料 #18
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
防食方法
Tohoku
University
めっき
・適切な選択:
耐食性の金属の使用、均質な材料
亜鉛めっき:トタン
(
・適切な設計・用途:
貴金属
と接触させない
凹凸等を設けず、過度なひずみを生じさせない
ピンホール
・環境処理:
水分や酸素、塩素等の有害成分を除去
金めっき
(
・表面の保護被覆:
塗料や耐食性の大きい金属で被膜を作る。
を遮断するが、不完全では腐食を促進する場合がある
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
卑金属
型被膜)
建築材料 #19
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
腐食電池
貴金属
型被膜)
赤錆
卑金属
建築材料 #20
5
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
金属材料の分類
合金鋼
炭素量 : 展性: 硬度 : 融点
炭素鋼
錬鉄(鉄)
少
大
小
高
鋳鉄(銑鉄)
構造用合金鋼:
JIS G 4053等
より
鋼鉄(鋼)
鉄類
Tohoku
University
多
小
大
低
合金鋼:炭素以外にNi・Cr・Mo・Mn等を加え
機械的性質や耐食性を向上
以外に5%以下のNi、Cr、Mn等の金属を加える
組成
Mo
C
引張強さ
[MPa]
降伏点
[MPa]
伸び
[%]
特徴
-
0.13~
0.48
780~
980以上
635~
835以上
12~18
以上
引張強さは大きいが
伸びが小さく脆い
0.5~
1.0
-
0.12~
0.40
740~
930以上
590~
785以上
12~22
以上
強さ・硬さにすぐれる
用途が広い
0.4~
3.5
0.30~
1.20
0.12~
0.50
830~
1080以上
685~
930以上
12~20
以上
衝撃力に強い
切削が容易
-
0.9~
1.5
0.30~
0.45
0.13~
0.48
830~
1030以上
685~
885以上
12~18
以上
溶接性がよい
薄鋼板としても十分な強度
-
-
-
0.15~
0.28
370~
550
240~
350
25
一般的な鋼材・鉄筋など
Ni
Cr
Cr 鋼
-
0.9~
1.2
Ni-Cr 鋼
1.0~
3.5
Ni-Cr-Mo 鋼
0.4~
4.5
Cr-Mo 鋼
炭素鋼 (軟鋼)
非鉄金属:銅やアルミ、錫、鉛、亜鉛などの鉄(Fe)以外の
金属とその合金
その他、ピアノ線(PC鋼線に使用)等
構造物の長大化・高層化、部材の縮小や軽量化に寄与
建築材料 #21
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
合金鋼
建築材料 #22
Tohoku
University
ステンレス鋼
東京カテドラル聖マリア大聖堂
ステンレス鋼(JIS G 4321等)
• 設計者:丹下健三
• 竣工年:1964年・2007年に大規模改修
• 所在地:東京都
・耐食性を向上させるためにクロムを10%
以上含有させた合金鋼
・クロムが酸素と結合して表面に
を作るために錆びにくい
・
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
にすぐれ主に意匠材料や
水廻りなどに使用される
建築材料 #23
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #24
6
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
ステンレス鋼
Tohoku
University
アルミニウム合金
・ アルミナ(Al2O3)を電解して製造される。展性・延性に富み加
工性が高い
参考URL:http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/2275
・ 鉄鋼と比較して
・ 100℃程度から軟化をはじめ、600℃程度で溶融する
・ 表面が酸化することで不動態被膜を形成し、耐久性を得る。
しかし、塩分、酸、アルカリに弱く、接触面などで腐食し易い。
通常部材では積極的に陽極酸化被膜を施す(アルマイト)
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #25
建築材料 #26
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
アルミニウム合金
Tohoku
University
アルミニウムの機械的性質
・ アルミナ(Al2O3)を電解して製造される。展性・延性に富み加
工性が高い
参考URL:http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/2275
材料の
種類
・ 鉄鋼と比較して
炭素鋼
(S45C)
345
銅
(C1020-O)
鋼板
(SS400)
・ 100℃程度から軟化をはじめ、600℃程度で溶融する
・ 表面が酸化することで不動態被膜を形成し、耐久性を得る。
しかし、塩分、酸、アルカリに弱く、接触面などで腐食し易い。
通常部材では積極的に陽極酸化被膜を施す(アルマイト)
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #27
引張強さ
耐力
(N/mm2) (N/mm2)
伸び
(%)
比重
570
20
7.71
233
83
55.5
8.96
400
245
17
7.85
純チタン
(TP340)
340
215
23
7.51
ステンレス鋼
(SUS304)
520
206
40
7.93
アルミニウム
(A5052-H34)
260
215
10
2.68
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
教科書 p.118
図 3.3.10
P:比例限界
E:弾性限界
Y:降伏点
B:引張強さ
Z:破断
(b) アルミニウムの
応力-ひずみ線図
建築材料 #28
7
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
アルミニウム
Tohoku
University
アルミニウムのリサイクル
http://1.bp.blogspot.com/_EnJC-O_ry1Q/Sot9w7NIM7I/AAAAAAAAAJU/orTZgcrEAQc/s1600-h/090808_07.jpg
モジュールに則ったアルミ材として、高さ・幅は
自由に組み上げる
住宅の構造の大部分をアルミで組み上げること
で、将来的なリサイクル性に配慮
素材製造
容器製造
ボトリング
キャップ・ダンボールなど
全輸送
スチール⽸
アルミ⽸
ガラスびん
PETボトル
0%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
飲料容器ライフサイクルエネルギー消費の内訳
http://4.bp.blogspot.com/_EnJCO_ry1Q/Sot9wnRwSYI/AAAAAAAAAJM/L2WaqvHr4e4/s1600-h/090808_08.jpg
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
10%
出典:LCAのすべて,(社)未踏科学技術協会・エコマテリアル研究会,工業調査会,p.11,(1995)
建築材料 #29
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
Tohoku
University
非鉄金属
建築材料 #30
Tohoku
University
チタン
ミレニアムパーク野外音楽堂
銅(Cu):展性に富み、加工し易い。屋根板材、樋など
• 設計者:フランク・O・ゲーリー
• 竣工年:2005年
• 所在地:アメリカ, シカゴ
アルミニウム(Al):軽くて強く、加工し易い。サッシなど
亜鉛(Zn):強さ・延性・耐食性大。めっきに使用 → トタン板
すず(Sn):展性が大で耐食。めっきに使用 → ブリキ板
鉛(Pb):軟質で展性・延性大。密度が大きく遮蔽材料に
はんだ:すずと鉛の合金。融点が約180℃と非常に低い
ニッケル(Ni):耐食性があり、めっきや合金として使用
チタン(Ti):耐食性が非常に高い。屋根材や海洋構造物など
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #31
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #32
8
建築材料 #6, 7
22, 29. May 2013
Tohoku
University
Tohoku
University
銅・銅合金
チタン
• 鉄鋼よりも柔らかく(ヤング係数で60%程度)、
融点も1000℃程度で加工し易い
• 鉄鋼よりも耐久性に優れる。乾燥空気中では腐食しないが、
高湿度下では徐々に腐食して緑色の塩基性酸化銅被膜を
生じる
• 色調が美しく、意匠性が高い
> 銅と亜鉛の合金 →
> 銅と錫の合金 →
建築材料 #33
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
建築材料 #34
Tohoku
University
コールテン鋼(耐候性鋼板)
菅野美術館
• 設計者:阿部仁史
• 竣工年:2006年
• 所在地:宮城県塩釜市
22, 29. May, 2013|#6, 7 Metal
適量のCu、Cr、Niなどの合金元素を含有し、大気中での適度な
乾湿の繰り返しにより表面に
が鋼材表面を保護しさびの進展が時間の
経過とともに次第に抑制される
日本鉄鋼連盟ウェブサイトより
http://www.jisf.or.jp/business/tech/bridge/high/taiko.html
建築材料 #35
9