Aldo Colombini DVD イミテーションズ

Aldo Colombini DVD
イミテーションズ
Written by Yosuke Kobayashi
「イミテーションズ」を買い上げいただきありがとうございます。
この冊子は、コロンビニ DVD を活用するためのアイデアの冊子です。ある
意味で、ゲームの攻略本のようなものともいえると思います。マジックの
世界にこの考え方を持ち込むのは非常に特異なことでしょう。
オリジナリティというものを重要視する人たちが多い中、ベースになって
いるトリックを明示したうえで、それに対しての僕の別法を解説していく
ことを明示しているわけですから。
ただ、これだけ多様な情報があふれる世の中になって、単なる情報に価値
を感じてくれる人は、少なくなってきているか、価値そのものが下がって
きていると思います。
そんな時代には、そういった情報をふるいにかけることに価値が出てきま
す。
「たべログ」などはまさにそうで、多数ある飲食店の中から、よさそう
なお店を探すために利用するわけです。つまりは飲食店の攻略本のような
ものです。
僕の表メルマガの方で、情報のふるいはかけているつもりです。ここでは
さらに一歩進めて、さらにその情報を上手く活用していく方法を紹介する
ことが目的になるわけです。
実際にお客さんの前で演じてみて気がついた事柄、または僕よりも優秀な
方にマジックを演じ、その時に頂いたアドバイスなどを共有してもらう、
というものになります。
もし、ベースになっている商品を買っていないのでしたら、そこからお願
いします。元々のものを持っていないと、ここで語られる事柄が非常に中
途半端な情報に見えるかもしれません。
でも、オリジナルを知っている人がこれを読んでいただき、注意して演技
をしてもらえば、効力を発揮してくれるはずです。
本物ではないので「イミテーション」と名づけましたが、使い方さえきち
んとしていれば、本物同様に輝いてくれるはずです。
コロンビニ DVD の特徴
まずコロンビニ DVD の特徴ですが、とにかく数が出ているということです。
初期のころの DVD はクオリティも非常に高く、どれもがいい感じのもので
したが、最近のものはまさに玉石混合です。
チャプターわけもされていないので、見るのも面倒な時があるのですが、
だからと言って手を出さないのは、非常にもったいないです。
その理由はいくつかあります。
1:他の人が見ていない
これくらいたくさん出ると、大抵の人が途中であきらめます。
そうなった場合、地道に継続してみていった人だけがその恩恵をもらえ
ることになるわけです。
価格に関してそれほどでもないのですから、出たものはコンプリートし
ていく位の気持ちで行きましょう。
2:パッケージや画像のクオリティ
もともと家庭用のカメラなどで取っていますし、ライトもなければマイ
クもありません。最近では1ネタトリックの DVD でも結構手の込んだも
のにしてきていますので、見劣りはしてしまいます。ただ、価格と価値
を冷静に判断していただければお分かりと思いますが、決してコストパ
フォーマンスの悪い DVD ではないはずです。
見た目のチープさに騙されないで、内容をしっかりと見てほしいです。
3:ハズレの率
かつてマジックの DVD と言えば、1本に10作品程度載っていて、その
うちの1つが使えれば十分、という感じでした。
これは DVD1本(僕らの時代は VHS ですが)が5000円程度した時代
です。もし、今当たりの頻度が同様ならパフォーマンス的には約倍にな
っているということになります。これがいいのか悪いのかは、何とも言
えない所だと思いますが、宝くじも買わなければ当たらないので、はず
れを怖がらず、あたりを見つけようとして購入してみてください。
もちろん、金銭的な余裕のある方ならいいのですが、そうも言っていられ
ない所もありますので、今回のイミテーションズでは、3枚の DVD に絞っ
てご紹介したいと思います。
その3枚とは
「BAROQUE COMPOSITIONS DVD」
「STUNNING CARD MAGIC DVD」
「TWO MAGICIANS AND A DECK OF CARDS DVD」
です。
それぞれに特徴的な DVD ですので、その特徴から確認します。
まず1つ目のバロックですが、これはコロンビニの初期の作品をまとめた
ものです。彼の書籍になっているものから、抜粋しての DVD なのですが、
ここに載っている作品はどれも評価の高いものです。
演者の負担は少なく、効果は高い。そんな作品がそろっていますので、ネ
タ数を増やしたい方はお勧めの DVD です。
2つ目のスタニングカードマジックは数理が中心のある意味でセルフワー
ク的なカードマジックの作品集。ちなみに「スタニング」とは「人をブッ
倒す」位の意味です。そのくらいインパクトのあるマジックだと言いたい
のでしょうが、セルフワーク特有な匂いのある作品が多いと思いますので、
扱いは十分に注意しましょう。
3つ目のツーマジシャンズですが、これはキャメロン・フランシスとの共
作です。2人のマジシャンのセッションを見ているようで面白いものです。
そして、この2人の思考方法・思考方向が似ているので、見ていてさした
る違和感もありません。
一言でいえば「簡単に上手くやる」ことに長けた2人のマジシャンによる
カードトリック作品集と言ったところでしょう。
他にも多数の DVD がありますが、今回はこの3枚を十分に活用してもらえ
るアイデア集(攻略本)だと思ってください。
3枚買ったって4000円ちょっと、以前の1枚分にも満たない金額です。
これだけの中で1~2作品あたりがあれば、個人的には十分なのですが、
もっとおいしく活かす方法はありますので、それをお伝えしていきたいと
思います。
大切なのは「使えるものを見ぬく」目と、「捨てる勇気」でしょう。
何でもかんでも演じようと思わないで、場に合う物、自分に合う物、手順
に組み込めそうなもの、いろいろなファクターがあるでしょうが、とにか
く取捨選択をすることです。これだけ情報があふれているからこそ、その
情報の選択が効果を発揮してきます。
ですので、このイミテーションズでもすべての作品を取り扱うつもりは最
初からありません。おいしいものに関してはしっかりと、それ以外のもの
に関しては、取り入れられそうな部分のみを解説していくスタイルになり
ます。ご理解の上お読みください。
まずはバロックから行きましょう。この DVD はコロンビニの DVD の中でも
使えるトリックがそろっているものだと思います。
バロックコンポジション
10作品中、まずはそのまま使えるのは1作品目の「ビバーチェ」という
作品。ちょっとしたテクニックさえできれば、かなり豪華な現象が起こり
ます。
カード初心者の方は、常にデックにこのセットをしておくといいでしょう。
コロンビニは絵札を表向きスプレッドで取り出していますが、もちろんプ
ロダクションしてもいいでしょう。
しておくべきセットが最小限ですので、プロダクションにも問題はないと
思います。
もしプロダクションをしたのでしたら、セットがこれ以上ないことを印象
付けるために、デックをシャッフルをしたほうがいいでしょう。この時に、
無駄にザロー・シャッフルなどを行う人がいますが、ザロー・シャッフル
を感じ取られないほどうまい人は少ないです。
個人的には、お亡くなりになってしまったハーブ・ザロー本人か、201
2年の箱根にゲストできたデレック・デルガウディオ位でしょう。ですの
で、おすすめはヒンズーシャッフルです。
デックを表向きで持って、ボトム側のカードでのみシャッフルを行うとト
ップを崩すこともありません。この方法は非常に説得力のある方法ですの
で、トップ側にセットがあり、それを崩すことなくシャッフルしてセット
臭さを持たせたくない場合には、活用してみてください。
自分では、セットを隠すために行っているフォールス・シャッフルが、実
はセットしてあることを教えていることになる皮肉な結果になることが
往々にしてあります。
特に、中級者くらいの方(笑)。
テクニックができることと、うまく使えることとの差は、想像以上に広い
ものです。ほとんどの人がその差を甘く見ていますが、わかっている人ほ
どその差が重要であることを知っています。
だから、頭のいいプロは、簡単なテクニックを使うんです。そして見事に
みんなをだましてくれます。そういった考え方でテクニックに接しましょ
う。
DVD 中で、コロンビニ自身がかなり手間取ってアディションをしています。
正直、撮り直せばいいのに・・・、なのですがまあ反面教師としてお考え
ください。
以前にリリースされているものですと、カードの表をあらためないでパケ
ットのトップに置きます。この辺はリズムの問題になりますので、お好き
な方法でいいと思います。これもまた、秘密があることを教えてしまうモ
ーションになりかねません。
つまり、この部分が手間取るようでしたら、1枚ごとのあらためは排除し
たほうが効果を高めるということです。カードをあらためたいのは演者側
のエゴであることがほとんどです。しなくてもいいことは、しない方がボ
ロが出ません。この辺も中級者の方、ご注意を。
演技後には、合計8枚のカードがありますので、いろいろとつなげられる
とは思います。メジャーなものだとリセットとかインターレスト・バニッ
シュ、ゆうきさんのイロジカル・チェンジ辺りとか。
ただしこの辺も過ぎたるは・・・です。
相手の表情を見て、十分なようだったら追撃は行わない方がいいです。
オープニングで行うトリックのように思われますが、セットアップが非常
に簡単なので、エンディングに行ってもいいでしょう。その場合手順途中
に相手に混ぜてもらう部分を作っておくと面白いでしょう。
カードを集めるのは、マックス3枚をカルすれば終わるわけです。大した
負担でもありません。このカルに関しても、1度に行う必要もないわけで
す、何回かに分ければ、相手の記憶にもとどまりません。
速度を早くすることで誤魔化す、という手はよく知られているものですが、
というかマジックはそうだと思っている、ある意味での情報弱者の方も多
いですが、意図的に遅くして時差式でセットすることも効果的です。
この DVD からはこのトリックだけでも十分に元が取れると思いますが、も
う1つお勧めしたいのは、最後に演じている「カプリーシオ」です。
コロンビニの他の DVD でもこの作品を演じています。題名は「Have a nice
day」というトリックですが、この中ではニコちゃんのきらきらシールを使
っています。
はっきり言っておきます、これはキラキラのシールを使って演じると、シ
ョーストッパーになるくらい強烈なトリックになります!
僕自身、常に演じるレパートリーにしていた時期があります。ホッピング
などでしたら、正直これだけで十分というくらいにリアクションがもらえ
ます。
そして、複数のハンドリングを考えてもあります。それはまた別の機会に
発表させてもらいますので、まずは DVD 通りの手順で行ってみてください。
できればサインペンで行った時と、シールを貼った時のリアクションの差
を感じてみてください。シールも大きめのきらきらしたものがベストです。
迫力が違います。
現在このシールは手に入りにくいものですが(以前は銀座伊東屋や東急ハ
ンズで手に入りましたが、ある時から買えなくなりました)、頑張って手に
入れた分のリアクションは確実にもらえます。
改案の点としては、1デックを丸々使う必要がないので、パケットで演じ
た方がいいでしょう、という点です。
サインしてもらうと中途半端なデックが出来上がります。それらを使って
演じると効率がいいでしょう、ということです。お客さんにも最初から、
完全なデックではないことを伝え、さらにこれを使います、と言ってシー
ルを見せると、みんなそっちを見入ってしまい、カードどころではありま
せん(笑)。
また、小さな封筒などに入れて持ち歩き、その封筒にもニコちゃんシール
を貼っておくと取り出した時からアイキャッチできます。僕の場合には、
表にはお客さんのサイン、裏には僕からのサインとしてシールを貼ります、
と言っています。
ニコちゃんのシールでなくても、ケーキのシールなどを貼ってもいいかも
しれません。とにかく、このトリックをサインペンで書いた絵にすること
は非常にもったいないことです。
恐らくそこにコロンビニも気づいたのでしょう。シールを使って大正解で
す。正直今まで演じてきた中でトップクラスにウケるパケットなので、信
じてください。
機会がありましたら、いつか僕の手順をご紹介したいと思います。複数の
ハンドリングがありますが、現象的には変わりません。まずはコロンビニ
の方法をお試しください。
また、シールに関して興味のある方はメールなどでご質問ください。ネッ
トで調べれば見つかるとは思いますが、ご質問いただければ対応させてい
ただきます。小さなものは簡単に手に入りますが、ポーカーサイズのカー
ドに迫力ある状態で貼れるニコちゃんのきらきらシールはちょっと手に入
りにくいと思います。
その他作品
3つ目の作品である、サラマンドですが、2枚で行う「サーチアンドデス
トロイ」のような作品です。この作品はアロン・フィッシャーの DVD にな
っていますが、原案はパスを多用するものでした。それをほぼセルフワー
クなレベルまで持っていった素晴らしい作品です。サンドイッチで当てる、
しかもお客さんに手伝ってもらうというものでは非常にいい作品です。
このサラマンドは、2枚でそれを行おうという感じです。しかもほとんど
テクニックらしいテクニックも使いません。2枚のカードを当てたい場合、
この作品は効果的です。
モデラートはスペリングのトリックですが、相手のカードが何なのか分か
っている時には使える流れです。つまりフォースではなく相手が選ぶ際、
戻す際にピークして、よく混ぜさせます。そして何気なくボトムにカット
して持ってきたら、同じようにするのです。カードの名前を知りえない状
況になっているのなら、この流れだけでも十分に不思議な手順になります
ので、ピークやグリンプスと組み合わせてみてください。
他のトリックも面白いのですが、どのタイミングで行うのか?手順のどこ
に組み込めばいいのか?そのあたりが想像できないんですね。
いつのタイミングでセットすればいいのか、なかなか浮かばないものがお
いです。ホッピングのように繰り返し演じるのではなく、ショー形式なら
いくらでも組めるものはあるでしょう。
(スピリトーゾなどは、レギュラーだけで行えて、その後はコンプリート
のデックになるので、非常に便利だと思いますが、どのタイミングでパケ
ットを作っておくのかが少々疑問になるトリックではあります)
そういったことからも、あなたの演じる状況下においては使えるものがも
っとあるかもしれませんが、僕からの意見としては、この DVD で絶対に見
逃してはいけないトリックは2つ「ビバーチェ」と「カプリーシオ」です。
アイデアとしては「サラマンド」と「モデラート」は見ておきましょう。
その他は状況次第です。ただどれもが及第点の作品であると思いますので、
何か新しい演技をしなければ!という時には見直すと刺激になるものだと
思います。
スタニングカードマジック
こちらも10作品 DVD に入っています。まずはお勧めの作品は「AD LIBITUM」
です。数理を上手く使っているのですが、コロンビニが無駄に雑にしてい
る感じがあります。
1つには、混ぜる際に自由に行ったように見せるために、何度も行ってい
ますが、ある意味で無駄な作業です。相手の疑念を抱かせてしまう部分だ
と思いますので、ここは切ってしまった方がいいでしょう。
お勧めの方法ですが、1~9までのカードを出して、最初の状態にシャッ
フルします。こうした時に、3のカードがどこに来るのか理解しておくと
いいでしょう。このカードをフォース?することで、3つのパケットに分
ける意味を作ってしまいます。
もう1つの無駄は、選んでもらったカードのコントロール法です。コロン
ビニはオーバーハンドシャッフルで巧妙に行っていますが、基本的にテク
ニックをできるだけ排除したほうがいいと思います。そこで次のような手
抜きの方法をお勧めします。
これはダローなどが好んで使う方法です。
相手に選んでもらって覚えている間に、残りのデックをスプレッドしてい
きますが、この時に押し出すカードを数えていきます。今回なら8枚をス
プレッドして右手に持ち、その段階で左手をお客さんの方へ伸ばして「で
は返してください」と言います。これで相手のカードは自動的にトップか
ら9枚目に来ることになります。
この時にここでスプレッドを止めるのではなく、さらにスプレッドして行
って、自由な位置にカードを戻したかのような印象を作ります。カードを
戻してもらうと気を抜いてしまうのですが、そこで終わらずにスプレッド
をしていくことで、より巧妙になります。
上記2点を考慮すると、次のような手順にすることができます。
9枚を取り出し示したのちシャッフルをするのですが、残りのデックを観
客に渡して混ぜてもらいます。こうすることで、こちらのセットアップか
ら目をそらすことができます。
共にテーブルにカードを置き、観客に適当な所で分けてもらい、その境目
のカードを取り上げて表を覚えてもらいます。この時に残りのデックを取
り上げて、9枚目に戻す準備をします。9枚目に戻してもらい、さらにス
プレッドして混ぜてしまったかのようにします。ここでフォールスカット
を1回行ってもいいでしょう。
「過ぎたるは及ばざるが如し」ですので、過剰に行わないように注意して
ください。
デックをテーブルに置いて、
「自由にカットして1枚を決めてもらったので、
私も1枚決めます」と言って9枚のパケットの方を1カットします。この
時に3の場所が分かっていれば、密かにそこへブレイクを作りトップに3
を持ってくることができるはずです。
僕が行う方法としては、最初の9枚を出す際にトップに1、ボトムに9が
来るようにします。シャッフルしてセットをします。こうすると上から3
枚目が3になります。ですので、
「カットをします」と言って、左手の親指
でトップ2枚を押し出して何気なくそのカードをボトムにまわします。
こうすると、何気なくカットしたように見えますが、ターゲットのカード
がトップに来ていますので、これを示して3つの山に分けます。後は演技
の通りです。
もしかすると、残りのパケットをデックのトップに戻したことに突っ込ま
れるのでは?と思う人もいるかもしれません。経験上それはありません。
ここで大切なのは、3つのうちから1つを選んでそれをどう使うのか説明
していない、という点です。お客さんの頭の中では、自分の選択にどのよ
うな意味があるのか、必死に考えているはずです。
そんな状況下で、同時に省いた2つのパケットの行方を考えることはまず
できません。ぜひ堂々と行ってください。このように、余分なカードやパ
ケットを加えることで、特定のカードを狙った位置にコントロールする方
法は、ダンハーランのアイデアのようですが、非常に賢い方法だと思いま
すので、是非ご研究ください。
演技順は前後しますが、最初に解説されている「DOUBLE CHAMELEON」もお
面白いと思います。この DVD 中で、唯一と思えるようなテクニックを連続
して使うものです。とはいえ、エルムズレ・カウント程度ですので、ハー
ドルは低いでしょう。
フォースは自由でいいのでいいと思います。カットディーパーフォースは
多少行う状況を選びますし、お客さんのコントロールが必要ですので乱用
しない方がいいと思います。
このパケットの構成は簡単ですので、複数セット作っておいてもいいでし
ょう。トミーワンダーではありませんが、ラウンドタイプの現場の際にマ
ジシャンと一緒についてくる輩がいることがあります。別にかまわないの
ですが、先にオチを言われると困ってしまいますので、その際には複数の
セットを順番に使うと完全にノックアウトです(笑)。
ただ、体力と精神力が必要ですので、あくまでマジックバックの中に複数
セット入れておき、予備としておきましょう。
パケットのトリックは何かと重宝するものです。それもレギュラーカード
のみで構成できるものなら、痛んでもすぐに作ることができますので、非
常に長く楽しめます。
フォースが必要なものになりますが、相手の言いそうなカードで準備して
おくと、面白いと思います。また、デックの方への準備が皆無で、最後に
レギュラーデックに戻るのも魅力だと思います。
ただし、現象としては結構あっという間に終わってしまうので、何かの合
間に入れる感じのものになると思います。その際には、どのような現象と
して見せるのかを注意しましょう。
単に変化現象として見せるのか、またはコメディタイプの予言などとして
見せるのか、手順構成上他のトリックとの被ることの無いように考えて演
じましょう。
その他作品
その他の作品に関しては、数理トリックがメインなので少々冗長であるこ
とは否めません。その中でも確認していただきたいトリックが2つ1つは
「INSTANT SEDAPS」です。いつの間にか順番が入れ替わるというものです
が、これは恐らく繰り返し演じた方が面白いとは思います。
それ以上に、ハーマンカウントをシンプルに活用している数少ないトリッ
クだと思いますので、もしハーマンカウントの練習をしたいのでしたら、
このトリックをお勧めします。
あまり使うことのないテクニックかもしれませんが、身につけておくべき
ものの1つだと思います。
もう1つ「NEVER SAY DIE」で行われるカードのコントロールです。これは
フェローシャッフルを使うものですが、パーフェクトである必要はありま
せん。特定の箇所がきちんとできればいいのですが、一気にカードを深い
位置にコントロールする時に効果を発揮します。
例えばトップから5枚目にターゲットのカードがあるとしましょう。デッ
クを2つに分けてフェローをすれば10枚目あたりに一気にコントロール
できるわけです。これはインフェローとアウトフェローを変えることで1
枚単位でコントロール可能です。この場合は9枚目か10枚目になります。
トップから5枚目で、インフェローを行うと10枚目、アウトフェローだ
と9枚目のはずです。ご確認ください。つまりもともといる位置の2倍量
を動かせます。実はこれは非常に面白い原理だと思っているのですが、あ
まり活用されていません。
もう少し発展させると、オーバーハンドのランとフェローの組み合わせで
かなり深い位置へのコントロールが可能になるわけです。これはさらりと
やられてしまうとマニアでも追いきれないテクニックになるでしょうから、
計算に強い方などはトレーニングを積むといいかもしれません。
また、フェローシャッフルですが、最近のデックはカットの関係で裏向き
の状態では難しいです。その場合には表向きの状態で行うようにしましょ
う。
DVD 中で、コロンビニは余分カードを堂々と移動させていますが、これも
表向きで行えば下に来るので、いろいろとできます。つまり余分なカード
の上に小指を入れておき、大きなブレイクを保ったままで混ぜてしまい、
シャッフル後にダブルカットなどをした方がいいでしょう。
この DVD でのおススメは「AD LIBITUM」です。恐らくコロンビニの映像を
見ただけだとスルーしてしまう可能性がありますが、実際にはかなり使え
るものだと思います。ぜひ演じてみてください。
また、手続きが長いものが多いので(数理トリックが多いのでしょうがな
いのですが)、これらは演じる場所を選びます。場を読んで演じてください。
ツーマジシャンズ
アンド
ア
デックオブカーズ
最初の作品である「Yet」は、基本的にシカゴオープナーのセットからどう
にかなりますので、覚えておくと損はないと思います。ただし、1か所確
実に直さなければいけない部分があります。
赤裏カードをテーブルに置いたパケットに重ねてからのカウントです。
ハーマン⇒エルムズレと連続になるのですが、グリップを変えるのはいた
だけません。これはできればピンチグリップでのカウントに変えた方がい
いでしょう。方法は簡単です。
ハーマンカウントではなく、オメガカウントに変えてしまえば問題ありま
せん。簡単に説明しておきます。パケット全体を右手のピンチグリップに
持ちます。1枚目は普通に左手に取ります、2枚目を取る際に1枚目を右
手のパケットのボトムに戻します。つまり戻しつつトップの1枚を取るの
で、左手には1枚しか残らない状態です。後は普通に1枚ずつ左手に取っ
ていきましょう。
こうすると、赤裏カードが上から3枚目に来るので、ちょうどエルムズレ・
カウントで見えなくなります。位置的にもちょうど良い所に来ますので、
こちらをお勧めします。
赤裏カードの処理ですが、コロンビニは適当に、的な感じに言っています。
いくつも方法は考えられますが「ジョーカーは必要ありません」などと言
いながら一緒にしまったり、ケースをポケットにしまう際に一緒に持って
行ってしまえばいいでしょう。
こういった時に、パームを使ったりと難しい技法はお勧めしません。堂々
とデックを持ったままポケットに手を入れて、他の何か(ペンなど)を取
ってきつつカードを処理するくらいが一番いいです。
少々凝った手順ですが「Tunnel Fusion」がもう1つはお勧めです。レギュ
ラーカードのみでサインの移動現象を達成しています。カードを返すタイ
ミングが多いので、いろいろと大変な所があるとは思いますが、使用する
カードを最大限活用している所がいいです。
(個人的な感想になってしまい
ました(笑))
サインが移動して1枚に集まるものとしては、アニバーサリー・ワルツが
有名ですが、原案などは結構シビアなカードのセットがあります。むやみ
にシャッフルできなかったり、一部のカードを抜いておかなければ危険だ
ったり。今までもレギュラーでの手順はありますが、現象の重ね方として
はキャメロン・フランシスの手順が優れていると思います。
その他作品
2つ目のシンプリー・アメイジングですが、カードを消してしまう方法と
しては使えるものです。実際には存在するのに、紛れさせてしまうという
巧妙な方法です。パケットに分ける、カードの向きが異なることでのアリ
バイ工作を行う、という状況では威力を発揮します。
4つ目の S.P.C.A.ですが、このままだと冗長でしょう。ストレートに当て
てしまっても十分に不思議だと思います。実はこのトリックに関しては、
ジョン・ケアリーの「24Seven」に同じ原理のものが載っています。そし
てそちらの方が巧妙ですし、パワフルです。
これに関しては DVD 中でジョン・ケアリーの事に、キャメロン・フランシ
ス自身が触れています。僕が演じる手順はジョン・ケアリーのものをベー
スにしているので、そちらで変更点を述べたいと思います。
このトリックから学んでおくことは、パケットの枚数は何枚でもいいとい
うこと。この枚数をコントロールできればロケーションができるわけです。
その場合には各パケットの枚数がばらばらであると思ってもらった方がい
いかもしれません。
5つ目のナンバードですが、カードのコントロールが面白いかもしれませ
ん。動きとしては非常にきれいなカードのコントロール法です。デックを
垂直に立てるので、自分が立って演じる場で、お客さんが遠くまでいるよ
うなサロンマジックのような場で使うと効果的な方法だと思います。
最後のトリックであるインプロバブル VS インポッシブルですが、カードの
位相を上手く使っています。同じ動きの繰り返しになりますが、最初の3
つのパケットの部分だけでも、十分にインパクトがあります。
面白いのは、カットディーパーフォースで、観客が自由なポイントで選ん
だ、という印象の大きなハンドリングにしている点です。ここはすぐに真
似をしてもいい所でしょう。
同じようなカード位相を使ったトリックにジョン・バノンのものがありま
す。作品名は忘れてしまいましたが(すみません・・)、DVD 中でキャメロ
ン・フランシスもその点に触れています。
ジョン・バノンの方法を取るなら、観客が3枚のカードの位置を決めたら、
そのカードをパケットのトップに置きます。そこでダブル・リフトをしま
す。これはセットしたカードのフェイスになるわけです。次にパケット全
体をひっくり返し、エルムズレ・カウントをすると裏向きが1枚だけ見え、
3枚は表向きで同じ数字に見えます。ラインナップムーブでこの裏向きの
カードを抜き出して、表向きに返しつつパケットの一番上に重ねます。こ
うすると、観客の選んだカードとパケット全体が一致しているように見え
ますが、実際には巧妙に隠して示すことになります。
ただしこの場合には表向きのパケットの一番下にひっくり返っているカー
ドがあることになります。今回の手順なら、デック全体を表向きにして置
いておき、予言が当たったことを示したらデックに重ねていきます。すべ
てを重ねたら裏向きに戻し、トップカードを表向きにして、たまたま A が
あったように見せます(これもセットしたカードです)。トップに表向きの
まま重ねて、おまじないをかけたらスプレッドするとそのカードのみが表
向きで現れるという現象にできます。
さらに凝ったことをするなら、最初のセットを A,A,A,X(適当なカード),A
にします。これで、上記手順のデックを裏向きに戻すところまで行います。
裏向きにしたら、テーブルで1回スリップカットします。
つまり、ランダムな所から出てきたカードであることを強調するのです。
マジシャン相手なら、このくらいまでやっても問題ないでしょう。一般の
方相手なら、キャメロンの原案、またはトップカードを表向きにして、そ
のシンクロ現象という部分で問題ないと思います。
その他のトリックに関しての情報が多くなりましたが、この2人のマジシ
ャンの特徴は、改案派のマジシャンであるために、手順全体がコンパクト
になる、ということです。
新しくトリックを作りたい時や、何か刺激を受けたい時にはお勧めのマジ
シャンたちです。作品全体だけではなく、テクニックのみなどでも十分に
刺激が受けられるマジシャンですので、定期的に確認するのがイイでしょ
う。
最後に
3枚のDVDに関しての攻略本ですが、絞って解説ですので、この程度の
分量になりました。一般のお客さんを相手に、重すぎるパンチは撃ち込ま
ず、何度も演じられるという視点からのチョイスです。
何かの参考になれば幸いです。また、ここに書いた事柄が、トリックを改
案する際に注意すべき点だとも思います。むやみやたらにエフェクトを重
ねるのでもなく、無理しない程度に少しずつ変えていくことで、最終的に
は自分の思い入れの詰まったトリックになっていくと思います。その原案
にできるようなトリックはコロンビニDVDに溢れていますので、ぜひお
いしいお店を探すかのような気持ちで購入して、楽しんでください。
では、どこかで、上記で説明したトリックを見かけることを楽しみにして
います。
レストランマジック研究所
小林洋介
著作権について
「Aldo Colombini DVD イミテーションズ」 PDF 版(以下、本教材と表記)
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販売者名義;レストランマジック研究所 小林洋介
販売責任者;小林洋介
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