IT社会の著作権ガイド

IT社会の著作権ガイド
1.著作権とは
2.著作権で守られている権利とは
3.最も重要な「複製権」と「公衆送信権」
4.著作物が自由に使える場合
5.書籍・インターネットからの引用時の注意事項
6.引用事例
参考文献
作成: 2006.12.26 夢一灯
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1.著作権とは
「本、インターネットなどで
インターネットなどで表現
などで表現されているもの
表現されているもの」
されているもの」は全て著作権法で
著作権法で保護されており
保護されており法律
されており法律を
法律を守るため、
るため、
本・インターネット等
インターネット等に記載された
記載された情報
された情報の
情報のテキスト利用
テキスト利用に
利用に関しては十分
しては十分な
十分な注意が
注意が必要です
必要です。
です。
著作権で保護されている著作物は、著作権法の第二条によると次のように定義されており、著作
権法で保護されています。
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は 音楽の範囲に属する
ものをいう。」
難解な定義ですが、簡単に言うと「
「本、インターネットなどで
インターネットなどで表現
などで表現されているもの
表現されているもの」
されているもの」は全て著作権で
著作権で
保護されています
保護されています。
されています。ホームページに
ホームページに表現されているもの
表現されているもの(
されているもの(文章、
文章、音楽、
音楽、画像 等)も全て著作物であ
著作物であ
り、勝手に
勝手にコピーして
コピーして利用
して利用すると
利用すると、
すると、複製権を
複製権を侵害したことになります
侵害したことになります。
したことになります。
なお、保護されている内容は創意工夫された内容(内容の出来悪さは別)であり、事実をそのまま
表現したものは著作権の保護の対象にはなりません。
自然の法則、公理、定理、発見、ルールやデータ自体は事実なので、著作権保護の対象ではなく
無断で利用が可能です。但し、「事実」であっても、それを創作的に表現していると著作物になり、
無断では利用できないので注意が必要です。
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2.著作権で守られている権利とは
著作権で守られている権利には大きく、人格的利益(精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための「著作者人格
権」と、財産的利益(経済的に「損をしない」こと)を保護する「著作権(財産権)」の二つがあります。
・著作者人格権 -著作者の
著作者の人格的利益を
人格的利益を保護する
保護する権利
する権利
・著作権財産権 -著作物の
著作物の利用を
利用を許諾したり
許諾したり禁止
したり禁止する
禁止する権利
する権利
著作権というと一般的に著作権財産権のように考えられがちですが、著作者の人格的利益を保護する著作者人格権
もあるので注意が必要です。
2.1 著作者人格権
以下の3つがあります
(1) 公表権
著作物を公表するかしないかを決定できる権利
(2) 氏名表示権
著作者名を表示するかしないか、表示する場合にどのように表示するかを決定できる権利
(3) 同一性保持権
著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で改変されない権利
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2.2 著作権財産権
(1) 複製権
著作物を複製する権利のことで,著作権の最大の目的です。
(2) 公衆送信権
著作物を公衆に対して送信する権利です。
(3) 上演権,演奏権,口述権,展示権
著作物を公衆に対して上演したり,演奏したり,口述したり,展示したりする権利です。
(4) 上映権,頒布権
著作物を上映,展示したり,その複製物を頒布する権利です。
(5) 貸与権
映画を除くすべての著作物について,それを貸与する権利です。
(6) 翻訳権,翻案権
著作物に対して,「翻訳する」,「編曲する」,「変形する」, 「脚色する」,「映画化する」などの権利です。
(7) 二次的著作物に対する権利
翻訳,翻案などが行われた後の著作物。この著作物に対する権利は,翻訳,翻案を行った者
だけでなく,元の著作物に対する著作権を有する者も保有します。
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3.最も重要な「複製権」と「公衆送信権」
著作権法は、著作物に、いろいろな種類の権利を定めていますが、特に重要な権利は、「複製権」と「公衆送信
権」です。
「複製権」
複製権」は、手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、
どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする)ことに関する権利で、すべての著作物を
対象とする最も基本的な権利です。
「公衆送信権」
公衆送信権」は、「著作物を公衆に対して送信する権利」で、他人の著作物を無線・有線を問わず勝手に送信
してはいけません。さらに、「公衆送信権」には「送信可能化権」も含まれおり、他人の著作物を公開用のサーバ
に保存し、他の人が見れる状態に置くことも著作権で禁じられています。
他人の著作物を無断でコピーし、インターネット上に公開すると、作成者(著作権者)の「複製権」及び、「公衆送
信権」の二つを侵害したことになります。
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4.著作物が自由に使える場合
著作権法では
著作権法では、
では、著作物利用を
著作物利用を制限する
制限する以外
する以外に
以外に、他人の
他人の著作物を
著作物を自由に
自由に利用できる
利用できる場合
できる場合を
場合を、著作
権法(
権法(第30条
30条~第47条
47条の3)で定めています。
めています。
これは、著作物を利用しようとするたびごとに,著作権者の許諾(必要であれば使用料支払)が必要であるとする
と、著作物等の公正で円滑な利用が妨げられるからです。以下に代表的な例を示します。
(1) 私的使用のための
私的使用のための複製
のための複製(
複製(第30条
30条)
著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用
すること(「私的使用」という。)を目的とするときは、その使用する者が複製することができます。
(2) 引 用(第32条
32条)
公表された著作物は、引用して利用することができます。但し、引用する場合は、公正な慣行に合致するもので
あり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければなりません。
また、国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成している広
報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、禁止する旨の表示がない場合、説明の材料と
して転載することができます。
(注1)自然の法則、公理、定理、発見、ルールは「事実」であるので利用可能。但し、表現を工夫している場合は
著作物なので利用時は注意する。→表現を創作性のない一般的な表現に直して利用する。もしくは、著作権の
引用の範囲で利用する。
(注2) 国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、公表して
いる各種資料は、禁止する旨の表示が無いかぎり転載することができる。
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5.書籍・インターネットからの引用時の注意事項
他人の
他人の著作物を
著作物を自分の
自分の著作物の
著作物の中に取り込み引用を
引用を行う場合,
場合,以下の
以下の事項を
事項を必ず守ること。
ること。
(1) 主従関係
自分の著作が主であって、引用される著作が従であること。主と従は、量的にも自分の著作
が大半を占める以外に、質的にも自分の著作が主であることが必要です。
(2) 必然性があり
必然性があり最小限度
があり最小限度
引用が自分の著作に不可欠であり、かつ必要最小限度の引用であること。
(3) 明瞭区分性
かぎ括弧をつけるなど,「自分の著作物」と「引用部分」とを明確に区別すること。
(4) 出所、
出所、著作者名の
著作者名の明記
引用する著作物の書名、著作者名等を明記し、出所が明確に分かること。文章だけでなく、
各種データ、図表、画像等についても出典・出所を明示すること。
記述例) ”著者名『書名』、発行所名、発行年、引用ページ”を記述する。
ホームページは、”ホームページ名(制作者)、URL”を記述する。
(5) 引用部分の
引用部分の同一性保持権
引用する場合に、原文、原画そのままで引用すること。なお、文章を引用する場合に、途中を
省略する場合は”(中略)”などと明記すること。
(注)著作権とは関係ないが、テキストの最後に引用・参考文献を一括して表記し関連文献を明確にする。
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6.引用事例
自分の
自分の作成部分が
作成部分が主、引用部分が
引用部分が従であること、
であること、多量の
多量の引用は
引用は不可!!
不可!!
引用部分は自分の文章とは区別して分かるように表示し脚注などをつけて出典を明示する。
引用例1
引用例1:文書引用(
文書引用(書籍例)
書籍例)
本
文
引用部分
「ウェブ進化論」(梅田望夫著)が最近人気で、どこの書店にも並んでいます。あるメルマガで紹介されていたので、
読んでみましたが、これまで知らなかったインターネットの動きがよく分る良書です。インターネットに少しでも関心
のある人は読んでみて下さい。
特に、グーグルは単なる検索エンジンの会社でなく、インターネットを利用して「知の世界の秩序」の再編を目論
んでいる会社であり、マイクロソフトとは全く違う方向に動いている会社だと分ります。
また、この本の中に、面白い記述がありましたので以下紹介します。
引
用
『 日本もそろそろインターネットの「開放性」を否定するのではなく前提とし、「巨大な混沌」における「善」の部分、
「清」の部分、可能性を直視する時期にきているのではないか 』
(梅田望夫著『ウェブ進化論』、筑摩書房出版、2006年02月P××)
かぎ括弧をつけるなど,自分
の文章と明確に区別する
出典を明記する
”著者名『書名』、発行所名、発行年、引用ページ”を記述
引用部分は原文そのままで引用すること。なお、文章を引用する場合に、
途中を省略する場合は”(中略)”などと明記すること。
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引用例2
引用例2: 文章引用(
文章引用(インターネット例
インターネット例)
本
文
引用部分
脳を活発に働かせ、脳の老化を防ぐドリルやゲームソフトがヒットし、ゲームソフト「脳を鍛える大人のDSトレー
ニング」(任天堂)も2作で500万本を売り上げる大ヒットとなっていますが、この「脳を鍛える」で有名な、川島隆
太・東北大教授の対談が紹介されています。
『前頭前野を活性化させる3原則、
(1) 読み書き計算
(2) コミュニケーション
引
用
~黙読より音読。計算は単純なものを速く解く
~直接対面して会話する。電話は効果薄、遊びは3人以上が効果大
(3) 指を使って創造する~料理、楽器演奏、工作など目的が必要』
( ”脳を鍛える:川島隆太・東北大教授に聞く”(IT:MSN毎日インタラクティブ)
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/coverstory/news/20060526org00m300027000c.html)
インターネットの出典記述
また、脳にはリズムがあり、夜型だと言い張る人でも、午前中に一番よく働くようにセットされており、午前中に
脳を働かせる時間帯を作ることが効率的。それに脳を働かせるには食事が大事だそうです。
本
文
う~ん、これを読むと、私の場合は、インターネット、パソコンをやっている時間が多くコミュニケーションが少な
いため、頭を活性化できていないということになります。それに、私の場合は、夜型だし、これも改善しないとい
けませんね。
インターネット・パソコンをやる時間が多いと、自分の考えに固まりがちで、精神的にも良くないような気がしま
す。様々な人とのコミュニケーションは、自分の考えとは違った意見、時には自分に対する反論を聞くことがで
き、多くの刺激を受けます。また、親しい人と実際に会ってコミュニケーションすると、気分が良くなりますね。
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参考文献
1.『著作権テキスト』 文化庁
著作権~新たな文化のパスワード~(文化庁)
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/frame.asp%7B0fl=list&id=1000002923&clc=1000000081%7B9.html
2.著作権法(CRIC(著作権情報センター))
http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html
3.『著作権法入門(平成17年度版)』 文化庁 著作権情報センター (2005/09)
4.『引用・転載の実務と著作権法』 北村 行夫,雪丸 真吾 著 中央経済社 (2005/02)
5.『事例でわかるインターネットの法律問題 』 小林 英明 著 中央経済社 (2001/03)
6.『学術論文のための著作権Q&A―著作権法に則った「論文作法」』
宮田 昇 著 東海大学出版会(2005/08)
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