ユーザー事例 マツダが「SKYACTIV TECHNOLOGY」 における次世代エンジン技術の開発を加速 SKYACTIV TECHNOLOGY のエンジン技術 によって、マツダはダウンサイジングやリ ーンバーンによらず、燃費の良いディーゼ ル エンジンとガソリン エンジンを商品化 できました。 ディーゼル用の SKYACTIV-D は、 ディーゼル エンジンでは世界一の低 圧縮比をもち、燃費が 20% 向上された一 方で、窒素酸化物を浄化する高価な後処 理なしで、欧州の Euro6 や国内ポスト新 長期排気ガス規制をクリアしています。 ま た、SKYACTIV-G は、量産車用ガソリン エ ンジンとしては世界で初めて圧縮比 14.0:1 を実現し、 トルクと燃費が 15% 向上されて います。 マツダの SKYACTIV-D エンジン。 課題 世界中の厳格な排気ガス規制を満たしながら、 SKYACTIV エンジンの効率性を最適化すること ソリューション Simulink と Model-Based Calibration Toolbox を活用して、最適なキャリブレーション設定、ECU 組込みモデル、および HIL シミュレーションのため にエンジン モデルの生成と開発を加速 結果 • • • エンジンのキャリブレーション作業を最小化 モデルの複雑性を半減 モデルの精度の向上 マツダでは MATLAB®、Simulink®、および Model-Based Calibration Toolbox™ を活用 して、 エンジン コントローラーの設計、 検証、 およびキャリブレーションを行いました。 マツダのアシスタント マネージャーであ る原田真悟氏は次のように述べています。 「SKYACTIV エンジンは、 トルクと燃費を 向上する最新のハードウェア技術を採用 しています。Model-Based Calibration Toolbox を使用したおかげで、 これらの最新技術を 利用でき、手作業によるスプレッドシートを 使ったキャリブレーション方式を使用した 場合よりも、燃費を上げ、かつ排気エミッシ ョンを抑えることができました。」 もつエンジニアでも困難な作業です。 この ため、確信を持って最適な設定を見つける ことができませんでした。」 マツダでは SKYACTIV-D の圧縮比を下げて、 ススや NOx の発生を抑えたいと考えてい ました。 この課題や、設計上のその他の目 標を達成するために、エンジニアは ECU に組み込み可能な最大シリンダー圧力と 排気ガス温度の統計モデルを必要としてい ました。 これらのモデルの初期バージョン は、それぞれパラメーターが ともに40個程 度あり、ECUで実行するには複雑すぎまし た。そのためマツダでは精度を犠牲にせず に、モデルの複雑さを抑える方法を必要と していました。 ソリューション マツダは Simulink と Model‑Based Calibration Toolbox を活用して、SKYACTIV-D エンジ ンのためのテストプランの定義、統計モデ ルの開発、および最適なキャリブレーショ ンの生成を行いました。 また、同製品を使 用して、SKYACTIV-G 用の統計モデルの開 発と、エンジン制御ロジックの Hardwarein-the-Loop (HIL) シミュレーションを行い ました。 マツダは Model-Based Calibration Toolbox を使用して、実験計画法に基づいて SKYACTIV-D 用の最適なテスト プランを 課題 設計しました。 このテストプランには、エン ジンの性能と排気の応答の特性を示す マツダではエンジンの複雑化に伴い、 従来 テスト ポイントのみが含まれていたため、 の開発手法では最適なキャリブレーション 設定を見つけるのが困難になっていました。 実験時間は最短に抑えられました。 原田氏は次のように述べています。 「スプレ また、テスト セルで実験を行った後、 ッドシートとテスト セルを使用した試行錯 Model-Based Calibration Toolbox を使用 誤の方式では、 ラボでの作業に非常に時間 して測定データがインポートされ、エンジ がかかり、納期に間に合わせるのが困難 ン応答の統計モデルが作成されました。 でした。その上、5 次元以上の探索空間で その後、Model-Based Calibration Toolbox 最適なソリューションを見つけることは、 の Calibration Generation (CAGE) ツールと キャリブレーションにおいて長年の経験を 「Model-Based Calibration Toolbox のおかげで、SKYACTIV-D エンジンの最適なキャリブレーション設定を特定でき ただけでなく、エンジニアが必要とする作業量を大幅に削減できました。生成されたモデルによって、制御ロジックの開発を加速し、 価値のある見識を得ることができたため、新しいアイデアを簡単に試すことができました。」—マツダ株式会社、原田 真悟 社内で開発した MATLAB ベースの最適化 インターフェイスを活用して、エンジン モデ ルから最適なキャリブレーションが生成さ れました。 シミュレーション、最適化、および組込みモ デルの評価のための現実的な運転領域を 定義するために、Model-Based Calibration Toolbox を使用して境界モデルが作成され ました。 また、Model-Based Calibration Toolbox を活用して、量産用 SKYACTIV-D ECU に 使用された最大シリンダー圧力のモデル などの、組み込み可能なモデルを生成しま した。 この ECU のために、燃料の総噴射質量を 複数の操作点変数の関数として生成しま した。 このモデルを、Model-Based Calibration Toolbox で生成した排気温度のモデルとと もに使用して、燃料質量モデルの信頼性と パフォーマンスを向上しました。 結果 産業 • 自動車 エンジンのキャリブレーション作業を最小化。 原田氏は次のように述べています。 「開発 適用分野 期間中に新型エンジンを適合する際、以 • 数学モデリング 前の方法であれば、全てデータを取り直 • アルゴリズムの開発 す必要がありました。 しかし、Model-Based • システム設計とシミュレーション Calibration Toolbox を利用することで、従来 • 組込みシステム データを再利用して現象の確認をすること • 制御システム で、テストデータを取り直す作業を最小限 使用製品 に抑えることができました。」 モデルの複雑性を半減。原田氏は次のよ うに述べています。 「初期の最大シリンダ ー圧力の組込みモデルには38 のパラメ ーターがありました。 しかし、Model-Based Calibration Toolbox を利用することでこの 数を 20 に減らすことができ、結果として CPU の負荷を減らすことができました。同 様に排気ガス温度のモデルでも、ModelBased Calibration Toolboxを使用すること で、精度は同じレベルに保ちながら、パラ メーターを 40 個程度から20 個 に減らせま した。」 • MATLAB® • Simulink® • Model-Based Calibration Toolbox™ マツダの SKYACTIV TECHNOLOGY の詳細 については、次のサイトをご覧ください。 http://www.mazda.co.jp/philosophy/skyactiv/ SKYACTIV-D エンジンは、 もっとも厳格な ヨーロッパと国内の排気ガス基準を満たし、 モデルの精度の向上。原田氏は次のよう Mazda CX-5 といった量産車に搭載されて に述べています。 「Model-Based Calibration います。 Toolbox で作成した境界モデルを作成す SKYACTIV-G エンジンを担当したエンジ ることで、smoke のモデルの精度を向上 ニアは、Model-Based Calibration Toolbox し、RMSE (二乗平均平方根誤差) を 80% 削 を使用して統計的なエンジンの燃料消費 減できました。」 モデルを開発しました。次にこのモデルを Simulink にエクスポートして、エンジン 制御ロジックの開発、デバッグ、および HIL シミュレーションに使用しました。 また、 このモデルはオートマチックトランスミッ ションの燃料消費シミュレーションにも 再利用され、モデル開発作業のさらなる 削減につながっています。 www.mathworks.co.jp © 2012 The MathWorks, Inc. MATLAB and Simulink are registered trademarks of The MathWorks, Inc. See www.mathworks.com/trademarks for a list of additional trademarks.Other product or brand names may be trademarks or registered trademarks of their respective holders. 91987v00 3/12
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