株式学習ゲームにおける 「見 方・考え方」そして「思考力・判断力・表現力」 ―新 学 習 指 導 要 領 (公 民 的 分 野 )を読 み解 き、その趣 旨 を株 式 学 習 ゲームに取 り入 れる― 横浜市立潮田中学校 力丸 剛 1.はじめに いよいよ平 成 24 年 度 より、中 学 校 でも新 学 習 指 導 要 領 が完 全 実 施 されることになる。 あと1年 余 りである。現 1年 生 は、3年 生 になった時 点 で、新 教 育 課 程 での学 習 を始 めな ければならない。そのためには、地 理 ・歴 史 ・公 民 分 野 の学 習 内 容 ・学 習 指 導 の展 開 を 対 応 可 能 なものに改 めていくという事 前 の取 り組 みが、すでに迫 られている。 ところで、今 回 の改 訂 の目 玉 は、「 脱 ゆとり教 育 」などと言 われ、世 間 一 般 では授 業 時 間 数 、学 習 内 容 の増 加 などが話 題 となっている。これを受 けるようにランドセルメーカ ーでは、 A4 サイズのファイルと厚 い教 科 書 がたくさん入 る。 を売 りにして差 別 化 を図 ろ うとし ている 会 社 も ある 。が、 しかし である。 授 業 時 間 数 や 学 習 内 容 を 増 や せ ば、 文 部 科 学 省 が 掲 げる教 育 の理 念 である 「 生 きる力 」 が本 当 に身 に付 く!? ということに 関 し ては、誰 もが聊 か疑 問 を持 っているのではないだろうか。 振 り返 れば、平 成 19 年 度 の中 央 教 育 審 議 会 教 育 課 程 部 会 「教 育 課 程 におけるこれ までの審 議 のまとめ」(平 成 19 年 11 月 7 日 付 け)のパンフレットは、 「生きる力」 「理 念 」は変 わりません。指 導 要 領 が変 わります。 という書 き出 しから始 まる。そこでは「生 きる力 」とは、 ○基 礎 ・基 本 を確 実 に身 につけ、いかに社 会 が変 化 しようと自 ら学 び、自 ら考 え、主 体 的 に判 断 し行 動 し、よりよく問 題 を解 決 する資 質 や能 力 ○自 らを律 しつつ、他 人 とも協 調 し、他 人 を思 いやる心 や感 動 する心 の豊 かな人 間 性 ○たくましく生 きるための健 康 や体 力 など・・・(*1) と明 記 されている。筆 者 も、人 間 性 (力 )・体 力 (健 康 )・学 力 が相 互 に関 連 し、高 め合 い ながら世 の中 でたくましく生 きる総 合 的 な力 (深 さ・強 さ・広 がり)が獲 得 されていくと考 え ている。但 し、本 論 文 において、人 間 性 (力 )・体 力 (健 康 )についても論 述 することは、テ ーマの範 囲 を越 えると考 える。故 に、教 育 の理 念 である「生 きる力 」という原 点 に立 ち帰 りつつも、特 に学 力 に的 を絞 り、かつ学 習 指 導 要 領 との関 わりについて考 察 する。 1 そこで、「生 きる力 」を育 む学 力 を ①基 礎 ・基 本 を確 実 に身 につける。(基 礎 ・基 本 の習 得 ) ②いかに社 会 が変 化 し ようと自 ら学 び、自 ら考 え、主 体 的 に判 断 し行 動 し、よりよく問 題 を解 決 する資 質 や能 力 を育 成 する。(活 用 ・探 求 ⇒思 考 ・判 断 ・表 現 ) と捉 え、「互 いに補 完 しあいながら相 乗 効 果 を高 めるためには、どのような学 習 内 容 、学 習 指 導 の展 開 が求 められているのか。」について、新 学 習 指 導 要 領 (公 民 的 分 野 )を読 み解 き、その趣 旨 を取 り入 れるというサブテーマにそってまとめていく。 さて、①については、諸 テストの結 果 などから、学 力 低 下 が大 きく取 り上 げられ、その 中 でも 特 に 基 礎 ・ 基 本 的 な 知 識 ・ 理 解 に 関 す る学 力 不 足 が注 目 され 、百 マス 計 算 を は じめとする反 復 学 習 に関 心 が集 ったのはご承 知 のとおりである。ところが、その過 程 にお いて、いつの間 にか 生 きる力 を支 える「確 かな学 力 」 という捉 えが、基 礎 的 ・基 本 的 な知 識 ・技 能 の習 得 そして定 着 ということに置 き換 えられてしまったという懸 念 はないだろうか。 そこで、もう一 度 「生 きる力 」に立 ち返 りその 趣 旨 を 生 か す た め に は 、 この激 動 の時 代 (特 に、サブプライムローンに端 を発 したリーマンショック後 のここ数 年 は、まさに激 動 の時 代 である)にこそ、基 礎 的 ・基 本 的 知 識 ・技 能 の確 実 な習 得 ということと相 まって、いかに 社 会 が変 化 しようと自 ら学 び、自 ら考 え、主 体 的 に判 断 し行 動 し、よりよく問 題 を解 決 す る資 質 や能 力 を育 てる学 習 の重 要 性 が、増 してきているのである。 2.新 学 習 指 導 要 領 が求 めている学 力 と株 式 学 習 ゲーム さて、ここからは、前 述 の記 述 を踏 まえつつ、株 式 学 習 ゲームをツールとした学 習 にお ける「生 きる力 」、特 に「いかに社 会 が変 化 しようと自 ら学 び、自 ら考 え、主 体 的 に判 断 し 行 動 し、よりよく問 題 を解 決 する資 質 や能 力 」を養 うことを目 指 す学 習 について、論 述 し ていく。 まず、「株 式 学 習 ゲーム」を通 して身 につけさせたい資 質 、能 力 とは・・ ・どのようなもの なのだろうか。それを、筆 者 は、 動 く株 式 を、動 かない(ぶれない)眼 で捉 えることができる資 質 、能 力 ↓ 投 資 においてカギを握 る有 用 な情 報 を収 集 ・選 択 し、見 方 ・考 え方 (基 本 的 経 済 概 念 から 形 成 される概 念 的 枠 組 み)を基 に分 析 ・予 測 し、結 論 に至 る過 程 をも 含 めて 思 考 ・判 断 ・表 現 する力 であると考 えている。さて、この「見 方 ・考 え方 」、「思 考 ・判 断 ・表 現 」は新 学 習 指 導 要 領 2 においても資 質 、 能 力 について考 える際 の大 変 重 要 なキーワードになっている。そこで、 次 に、新 学 習 指 導 要 領 で、「見 方 ・考 え方 」、「思 考 ・判 断 ・表 現 」をどのようにとらえてい るのかを 明 らかにし、そ の趣 旨 を 「 株 式 学 習 ゲ ーム 」では、 どのように生 かしていくか につ いて考 察 する。 Ⅰ.「見 方 ・考 え方 」 筆 者 は、新 学 習 指 導 要 領 の中 で、特 に次 の記 述 が端 的 に今 回 の公 民 の改 訂 の趣 旨 を映 し出 していると考 えている。 新 学 習 指 導 要 領 の公 民 的 分 野 3 内 容 の取 扱 い ※ イ 生 徒 が内 容 の基 本 的 な意 味 を理 解 できるように配 慮 し、日 常 生 活 と関 連 づけ ながら具 体 的 事 例 を通 して政 治 や経 済 などについての見 方 や考 え方 の基 礎 が養 え るようにすること。その際 、制 度 や仕 組 の意 義 や働 きについて理 解 を深 めさせるように すること。 整 理 すれば 基 本 的 な意 味 を理 解 できるように配 慮 する。 日 常 生 活 と関 連 付 け具 体 的 事 例 を示 す。 政 治 や経 済 の見 方 ・考 え方 を養 う。 制 度 や仕 組 みの意 義 や働 きについて理 解 を深 めさせる。 となり、まさに、新 学 習 指 導 要 領 の公 民 的 分 野 における学 習 指 導 の展 開 の要 点 が示 さ れて いる と 言 え よう 。 さ らに 続 く 解 説 では 、『 今 日 、グ ロ ー バル 化 、 情 報 の 進 展 を はじ めと して社 会 は大 きく変 化 しており、今 後 、国 民 が生 活 上 の様 々な新 しい問 題 に直 面 してい くことが予 想 される中 で、国 民 生 活 の諸 問 題 は国 民 経 済 の動 向 や政 治 の運 営 の在 り方 に関 連 して生 じるものが多 い。従 って、国 民 が変 化 する社 会 の様 々な問 題 に主 体 的 に 対 応 していくためには、現 在 の政 治 や経 済 についての見 方 ・考 え方 の基 礎 をしっかりと 養 ってお くこ とが 一 層 重 要 となるの である 。そ のため、 具 体 的 事 例 を 通 して 政 治 や 経 済 などについての見 方 や考 え方 の基 礎 が養 えるようにすることに重 点 を置 いた学 習 指 導 の 展 開 が求 められているのである。』※と記 述 されている。 さて、ここで取 り上 げている「見 方 ・考 え方 」とは、根 本 的 な概 念 を基 に形 成 される概 念 的 枠 組 みのことであり、個 々人 によって決 してぶれることのない確 かな「見 方 ・考 え方 」 (あなたの考 えでも、時 代 の見 方 でもない!)のことである。そのことを例 えば、新 学 習 指 導 要 領 で は 、 経 済 の 学 習 に つ い て 、『 一 般 に 、 人 間 の 要 求 は 多 様 で 無 限 に 近 い も ので 3 あるのに対 し、財 やサ ービスを生 み出 すため の資 源 は有 限 で あり、 生 み 出 され る財 やサ ービスもまた有 限 である。そこで、所 得 、時 間 、土 地 、情 報 などの限 られた条 件 の下 にお いて、その価 格 を考 慮 しつつ選 択 が行 われるという経 済 活 動 がなされるのである。』※ま た、『あるものをより多 く生 産 ・消 費 するときには、他 のものを少 なく生 産 ・消 費 しなければ ならないことがあることに気 付 かせることが必 要 である。』※などということを取 り上 げ、経 済 を考 える際 の根 本 的 概 念 である希 少 性 から、様 々な制 約 の中 で資 源 を最 大 限 有 効 に活 用 するという「経 済 的 な選 択 」という概 念 的 枠 組 みを導 き出 すことを示 唆 していたり、 基 本 的 経 済 概 念 で あ るトレ ード‐ オフか ら 様 々な 経 済 的 事 象 を 捉 え るこ との 大 切 さに 気 付 かせたりすることを説 いており、最 終 的 には、「 経 済 的 な 見 方 ・ 考 え 方 」を身 に付 け させることを求 めているのである。 Ⅱ.思 考 ・判 断 ・表 現 次 に 、 筆 者 は 、 評 価 の 観 点 の 見 直 し に つ い て も 、 注 目 す べ き で ある と 考 えて い る 。 従 来 は、「関 心 ・意 欲 ・態 度 」「思 考 ・判 断 」「技 能 ・表 現 」「知 識 ・理 解 」の 4 観 点 であったも の が 、 教 育 基 本 法 の 改 正 の 趣 旨 を 踏 ま え「 関 心 ・ 意 欲 ・ 態 度 」 「 思 考 ・ 判 断 ・ 表 現 」 「 技 能 」「知 識 ・理 解 」の 4 観 点 に変 更 されることになる。このことについて「児 童 生 徒 の学 習 評 価 の在 り方 について(報 告 )」(文 部 科 学 省 )においては 『思 考 ・判 断 ・表 現 として、従 来 の思 考 ・判 断 に表 現 を加 えた趣 旨 は、この観 点 にかか る学 習 評 価 を言 語 活 動 を中 心 とした表 現 にかかわる活 動 や児 童 生 徒 の作 品 と一 体 的 に行 うことを明 確 にするものである。このため、この観 点 を評 価 するに当 たっては、単 に文 章 、表 、図 に整 理 して記 録 するという表 面 的 な現 象 を評 価 するものではなく、例 えば、自 ら取 り組 む課 題 を多 面 的 に考 察 しているか、観 察 ・実 験 等 の分 析 や解 釈 を通 じ規 則 性 を見 出 しているかなど、 基 礎 的 ・基 本 的 な知 識 ・技 能 を活 用 しつつも 、各 教 科 の内 容 等 に即 して思 考 ・判 断 したことを、記 録 、要 約 、説 明 、論 述 、討 論 といった言 語 活 動 等 を 通 じて評 価 するものであることに留 意 する必 要 がある。』(*2)として、次 のような視 点 から 評 価 していくことを求 めている。 収 集 した資 料 から合 理 的 基 準 を設 定 し、有 用 な資 料 を選 択 しているか。 資 料 から事 実 を正 確 にとらえ、また公 正 な判 断 をする際 の材 料 としているか。 資 料 ・データが、どのように思 考 ・判 断 を行 う際 の根 拠 となっているか。 資 料 の分 析 、比 較 検 討 (共 通 点 ・差 異 点 )などを通 して、どのような問 題 や課 題 が 明 らかになったか。さらに、どのような予 測 ができるか。 4 それを基 に解 決 のためにどのような話 し合 いがもたれ、どのように話 し合 いが発 展 し たのか。その上 で、第 三 者 に学 習 で得 た結 論 だけでなく、その結 果 を導 き出 した過 程 をより分 かりやすく効 果 的 に示 すことができているか。※ 要 約 すれば、 思 考 ・判 断 ・表 現 という評 価 では、その過 程 から発 表 までを取 り込 みトー タルに、思 考 ・判 断 した内 容 を表 現 する力 が備 わっているか ということが問 われているの である。そして、この言 語 活 動 の充 実 から育 まれる「思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 力 」を身 に付 けることこそ が、 新 学 習 指 導 要 領 で 強 く 求 め ら れている 資 質 や 能 力 を 獲 得 する こ とにつ ながっていくのである。 さて 、 このよ うに「 見 方 ・ 考 え 方 」「 思 考 ・ 判 断 ・ 表 現 」を捉 え るなら 、 株 式 学 習 ゲー ムにおいて 、「 動 く株 式 を、 動 かな い( ぶれない) 眼 で捉 えることが できる資 質 や能 力 (⇒経 済 的 な見 方 ・考 え方 )」、「投 資 においてカギを握 る有 用 な情 報 を収 集 ・選 択 し、 見 方 ・考 え方 (基 礎 ・基 本 として身 に付 けた基 本 的 経 済 概 念 から形 成 される概 念 的 枠 組 み)を基 に分 析 し、結 論 に至 る過 程 も含 めて思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 する力 (⇒ 思 考 ・判 断 ・表 現 )を養 う学 習 」そのものが、まさに 新 学 習 指 導 要 領 を読 み解 きその趣 旨 を取 り入 れる学 習 となり、さらに、 株 式 学 習 ゲームの有 用 性 を遺 憾 なく発 揮 させる学 習 となるのである。 3.株 式 学 習 ゲームでは、どのような学 習 内 容 、学 習 指 導 の展 開 が求 められ ているのだろうか。 さ て 、 い よ い よ 株 式 学 習 ゲ ーム に お い て 、 新 学 習 指 導 要 領 の 趣 旨 を 取 り 入 れ た 学 習 内 容 、学 習 指 導 の展 開 、さらに評 価 、すなわち実 践 がどのようになされるかを具 体 的 にイ メージしてみたい。 *株 式 自 体 や株 価 の動 きを、基 本 的 な知 識 や概 念 を活 用 し捉 えさせる。 (株 式 自 体 の見 方 ・ 考 え方 を確 立 する。⇒ なぜ株 式 ・ 株 式 会 社 の 仕 組 みが 生 まれ たのか、この仕 組 みがいかに画 期 的 な発 明 であったのか、どうして現 在 でも継 承 さ れ、どのような役 割 を果 たしているかを理 解 させる。⇒さらに株 価 が、様 々な要 因 に よ って動 くことを、理 解 させる。) *様 々な資 料 ・ データから有 用 な情 報 を選 択 し、例 えば共 通 点 や差 異 点 に注 目 し て分 析 をすることによって、金 融 や経 済 における法 則 や規 則 性 を発 見 させる。 *現 代 社 会 ・経 済 の特 徴 (株 価 では、特 にグローバル化 など)に注 目 させるととも 5 に、社 会 ・経 済 の現 在 ・過 去 について分 析 し・未 来 を予 測 させる。 *ニュースや新 聞 記 事 といった生 き生 きした事 実 を、タイムリーに取 り上 げ、見 方 ・ 考 え方 と併 せて、 多 面 的 ( 状 況 ・ 要 因 など)、 多 角 的 ( 様 々な立 場 から の 見 方 )な視 野 を養 わせる。 (ここでは、新 しい出 来 事 から新 しい考 え方 や、制 度 ・仕 組 みができることがあると いうことにも注 目 させる。) *基 礎 的 ・基 本 的 な知 識 ・技 能 を活 用 しつつ、内 容 等 に即 して思 考 ・判 断 したこと を、記 録 、要 約 、説 明 、論 述 、討 論 といった言 語 活 動 等 で表 現 させる。そのた め、知 識 ・技 能 を活 用 する、論 述 、発 表 や討 論 、レポートの作 成 といった新 しい 学 習 指 導 要 領 において充 実 が求 められている学 習 活 動 を積 極 的 に取 り入 れ、 学 習 指 導 の目 標 に照 らして実 現 状 況 を評 価 する。※ 従 来 から、株 式 学 習 ゲームでは、【私 たちの応 援 したい会 社 】のワークブックで、株 式 を 発 行 し て いる 大 元 で ある 会 社 を 捉 え、その 業 績 や 新 製 品 の 開 発 、 外 国 為 替 と 輸 出 ・ 輸 入 、 社 会 的 貢 献 ( C S R ) ・ メ セ ナ な ど に 注 目 し 、 自 分 た ちで 応 援 し た い 会 社 を 選 定 し 分 析 ( その 方 法 につ い ては、 後 述 する。) する 。☞ それを 基 に 思 考 し たアイディア を 会 社 に伝 えよう!という学 習 のスタイルを提 案 し、視 点 や根 拠 を明 確 にすることで、株 式 学 習 ゲームにおける学 習 をさらに深 める取 り組 みを提 示 してきたが、今 後 は *まず、株式を発行している会社を分析(テーマに分け、整理する)し、それ を基に自分の考えをまとめ判断すること * 株 価 に 関 す る い ろ い ろ な 情 報 を 自 分 な り に 分 類 ・ 整 理 し 、さ ら に 株 価 が 上 昇 し て い る 株 式 、下 落 し て い る 株 式 と い う よ う な 点 に も 注 目 し 、そ れ ぞ れ に 共 通する法則や、規則性を見出そうとすること *会社にと どまること なく日本や 、世界の( グローバル な)金融・経済の様子 な ど を 、多 面 的( い ろ い ろ な 条 件 ・要 因 )・ 多 角 的( 立 場 を 変 え て )に 見 て 、 考え判断すること なぜ株式を売買したのか。 その根拠を明確にし、思考のプロ セスをも含めレポートや、プレゼンテーションで表現すること と い う こ と に 重 点 を 置 い た 学 習 を 進 め る 。 さ ら に 株 価 か ら 見 えて く る 会 社 ・ 経 済 ・ 社 会 の 動 きの根 本 を明 らかにすべく探 求 していく過 程 において、浮 かび上 がった課 題 や問 題 の 解 決 策 を 考 えていくため に、ゲーム から得 られ た有 用 な情 報 ・ データと 概 念 的 枠 組 み で 6 ある「見 方 ・ 考 え方 」を併 せて活 用 し、分 析 を試 み(その際 、どのような基 本 的 経 済 概 念 を活 用 するのかを自 分 で選 択 できることが重 要 !☞ 本 論 文 P2の①と②の学 力 が互 いに 補 完 しあいながら相 乗 効 果 を高 める具 体 例 ) 、会 社 ・ 経 済 ・社 会 に対 して株 式 ( 株 価 の 動 き)が与 える影 響 や意 義 についても論 述 、討 論 などを通 して表 現 する活 動 (レポートや プレゼンテーションなど)を取 りいれる。そうすることによって、株 式 を取 り巻 く金 融 ・経 済 を 考 える際 の本 質 に迫 っていく学 習 へとつなげていくことが可 能 となる。 具体的実践例 株 式 の中 に隠 されている秘 宝 を探 そう! インディー・ ジョーンズは好 きですか。秘 宝 を手 に入 れたくはありませんか。今 回 のゲー ムは、いわば宝 探 しです。しかし、それはキラキラ輝 く黄 金 の宝 ではありません。知 恵 の 宝 で す 。 世 界 の 金 融 や 経 済 は 今 や グ ロー バ ル 化 の 中 で 、 激 動 の 時 代 を 迎 えて い ます 。 このような時 に、もし、金 融 や経 済 の仕 組 みや働 きをぶれることなく見 つめられるレンズが あったら!そう願 わない人 はいないはずです。このゲームは、君 たちに、金 融 や経 済 を見 るためのぶれないレンズという秘 宝 を授 けてくれることでしょう。 Ⅰツール・・・・株 式 学 習 ゲーム Ⅱ与 えられた時 間 ・・・・・・6∼8時 間 1∼2時 間 目 .「興 味 ある会 社 の株 式 を購 入 しよう」 会 社 を応 援 しよう 3∼4時 間 目 .「株 式 を売 ったり買 ったりするその時 に、見 えてくる」 なぜ、売 買 するのか ↑ (夏 休 みの)宿 題 として株 式 学 習 ゲームに取 り組 み、レポートを提 出 する。 ↓ 5∼6・8時 間 目 . 「気 付 いたこと、分 かったこと、発 見 したこと。それが魔 法 のレンズ!」 さらに、レポートに基 づくプレゼンテーション⇒株 式 学 習 ゲームの感 想 文 応 募 Ⅲ授 業 展 開 例 1∼2時 間 目 「興味ある会社の株式を購入しよう」 HOW TO GAME⇒ゲームのマニュアル ①パソコンに 株 式 学 習 ゲーム と入 力 →検 索 を押 す 7 ②学 習 教 材 ―トップぺ―ジをクリック(出 てきた一 番 上 ) ③トップページの右 下 のリンク集 、「日 経 ネット」をクリック⇒「日 経 マネーアンドマーケット」 のウインドーを開 け、その後 パソコン右 上 (−)で小 さくしておく。 ④さて、始 める前 に関 係 するコードをきちんと記 入 し、整 理 する。(いつでも使 えるよう に!)絶 対 に 半 角 で数 字 を入 れること 学 校 コード [ ] 学 校 パスワード [ ] チームコード [ ] チームパスワード [ ] ⑤ログインをクリック ⑥上 の 4 つのコードを順 番 通 り入 れて、画 面 下 の 送 信 をクリック ⑦インターネット利 用 チームメニューの下 の売 買 データ入 力 をクリック ⑧パソコン下 のバーにある「日 本 経 済 新 聞 マネ・・・」のウインドーを開 け、自 分 が 興 味 の あ る 買 い た い 会 社 のコード、売 買 単 位 、現 在 の株 価 を、株 価 検 索 や業 種 から探 す。 ⑨会 社 (銘 柄 )のコード [ 売買単位[ ] ] 現 在 の株 価 [ 円] 【会 社 のコードのすぐ下 に100株 単 位 、1000株 単 位 など、売 買 単 位 が書 いてある。⇒よく見 る!!基 本 的 にその 整 数 倍 (123株 とか、3456株 とかは、おかしい可 能 性 大 !)が購 入 可 能 】 ⑩「日 本 経 済 新 聞 マネ―・・・」のウインドーを小 さくすると ⑪売 買 データ入 力 が再 登 場 買 に印 をつける→銘 柄 コード、株 数 を入 力 する。 *たとえば、買 いたい株 式 がローソンの場 合 銘 柄 コード[2651]、売 買 単 位 は、100 株 、買 いたい株 数 は[100×整 数 倍 ]である。 入 力 したら⇒現 在 の株 価 から、買 ったお金 を計 算 する。 計 算 の方 法 ( )円 (現 在 の株 価 )×【100×( )倍 (売 買 数 )】=( )円 *実 際 には、今 日 の最 後 の株 価 (終 値 )で、計 算 されることを知 っておく。 ⑫最 後 に画 面 下 確 認 を押 す→売 買 データ入 力 確 認 画 面 →送 信 ⑬時 間 、資 金 に余 裕 のあるものは、残 金 (1000 万 円 −今 買 った株 式 の代 金 )でさらに株 を購 入 すること。(トヨタ、ソニー、ホンダ、キヤノン、任 天 堂 など) 【 】( )円 (現 在 の株 価 )×【( )(売 買 数 )】=( )円 【 】( )円 (現 在 の株 価 )×【( )(売 買 数 )】=( )円 8 売 買 の 単 位 数 を間 違 わないように情 報 を見 る!! *いよいよ、会 社 の株 主 になって、秘 宝 探 しがスタートだ!! 3∼4時 間 目 「株 式 を売ったり、買 ったりするその時に、見 えてくる。」 なぜ売 るのか、買 うのか ゲームを活 用 して根 拠 を明 らかにしよう ①パソコンに 株 式 学 習 ゲーム と入 力 →検 索 を押 す ②株 式 学 習 ゲームのトップぺ―ジをクリック(出 てきたサイトの一 番 上 ) ③トップページの右 下 のリンク集 、「日 経 ネット」をクリック⇒「日 経 マネーアンドマーケット」 のウインドーを開 け、その後 パソコン右 上 (−)で小 さくしておく。 ④ログインをクリック ⑤学 校 コード、学 校 パスワード、チームコード、チームパスワードの 4 つのコードを順 番 通 り 入 れて、画 面 下 の 送 信 をクリック ⑥インターネット利 用 チームメニューの下 の取 引 結 果 一 覧 をクリック ⑦前 回 、買 った株 の銘 柄 コードと株 数 を控 える。(後 で必 要 ) 例 会 社 ( ローソン )コード[2651 ] 株 数 < 1000 > 会社 ( )銘 柄 コード[ ]株 数 < > 会社 ( )銘 柄 コード[ ]株 数 < > 会社 ( )銘 柄 コード[ ]株 数 < > ⑧取 引 結 果 を見 て、前 回 購 入 した株 式 のうち 、売 るか、さらに買 い 増 すか、新 し い株 式 を 購 入 す る かなどの 判 断 を す る 際 の根 拠 とな る資 料 を 収 集 しその 中 から 有 用 な 情 報 を 選 択 し、それを基 にゲームを行 う。 * なぜ売 るのか、買 うのか 自 分 の考 えをまとめる際 のポイント ポイント1 株 式 を発 行 している会 社 の情 報 を、次 の項 目 に分 類 ・整 理 し考 えよう。 ・会 社 のお金 のことから ⇒利 益 は? これからの見 通 しは(今 期 の予 想 ・来 年 は)? ・会 社 の製 品 ・サービスのことから ⇒他 社 と比 べてどのように優 れているのか(差 別 化 )を比 較 検 討 すること。コンビニなら店 舗 の 品 揃 えなども。新 製 品 の開 発 は? ・ 会 社 を取 り巻 く、日 本 やグローバルな経 済 ・ 社 会 のことから ⇒ 為 替 相 場 は、円 高 ・ 円 安 ?そ れ に伴 い 応 援 した い 会 社 は、 輸 出 ・ 輸 入 中 9 心 ? 原 料 ・ 材 料 は 海 外 調 達 ? ア メリ カや E U 、 中 国 の経 済 は? ・社 会 的 責 任 のことから ⇒私 たちのくらしの中 でどのような責 任 を果 たし、貢 献 してい るのか。 このように、株 式 を発 行 している会 社 を 分 析 ( 4つの要 素 に分 け内 容 を整 理 する) し、そ れを基 に応 援 したい会 社 について自 分 の考 えをまとめること。 ポイン ト 2 株 価 に 関 する いろ い ろな 情 報 を 自 分 なりに 分 類 ・ 整 理 し 、「 株 価 が 上 昇 し て い る企 業 と、下 落 している企 業 」などというように差 異 点 や共 通 点 に注 目 し、その動 きの理 由 を明 らかにしようとし、さらに、それぞれに共 通 する 法 則 や、規 則 性 を見 いだそうとする こと。 その際 、短 期 的 (前 回 と比 較 )、長 期 的 (夏 休 み前 と後 、または 1 カ月 後 )という時 間 的 視 点 を加 えるとより見 つけやすい。 ポイント 3 い ろいろな 状 況 ( 日 本 に とどまるこ と なく、グ ロー バルな金 融 ・ 経 済 の 様 子 など) を、 多 面 的 (様 々な条 件 や要 因 など)・多 角 的 (立 場 を変 えるなど) に見 て、考 えること。 *自 分 の考 えを整 理 するため図 や表 、関 係 図 を書 いておくこと。 ⑨自 分 が判 断 した結 果 、売 る・買 うことにした株 式 について、会 社 のコード・売 買 単 位 ・ 現 在 の株 価 を、控 えたメモや株 価 検 索 ・業 種 から探 す。 売 る会 社 買 う会 社 (銘 柄 )のコード[ 売買単位[ 現 在 の株 価 [ 株数< ] (銘 柄 )のコード[ ] 円] > ] 売買単位[ ] 現 在 の株 価 [ 円 株数< > ⑩インターネット利 用 チームメニューの下 の売 買 データ入 力 をクリック 売 に印 をつける→銘 柄 コード、株 数 入 力 で売 る。 買 に印 をつける→銘 柄 コード、株 数 入 力 で買 う。 総 額 が資 産 合 計 を超 えないことを確 認 。 ⑪最 後 に画 面 下 確 認 を押 す→確 認 画 面 →送 信 →ログインのページに戻 る *株 式 に関 する情 報 を、分 けて整 理 し、それらをいろいろ角 度 ・方 面 から見 て みよう。 10 宝 は、株 式 の中 に隠 されています。あせらず、ゆっくりあたためておきましょう。その間 に自 分 が気 付 いたこと、わかったこと、発 見 したことをメモにして、レポートの準 備 をしておきま しょう。 新 聞 記 事 や テレ ビ の ニ ュ ー ス( 特 に 株 式 を 購 入 し た 会 社 関 係 の 情 報 ) が 大 き な ヒ ン ト に なるはずです。 5∼6・8時 間 目 (夏 休 み後 、または、1 ヶ月 後 ぐらい) 株 式 学 習 ゲームをツールとして、新 学 習 指 導 要 領 の趣 旨 を取 り入 れた授 業 のまとめ 「気 付 いたこと、分 かったこと、発 見 したこと?それが魔 法 のレンズ!」 気 付 き=これなぁ∼に、どうして? 分 かる=こういうことか。なるほど! 発 見 する=そんな決 まりや法 則 が隠 されていたんだ! 生 徒 のレポートでは、 気 付 き、分 かり、発 見 する 過 程 を通 して、次 のような「経 済 的 な見 方 ・考 え方 」が取 り上 げられていることが重 要 である。 *株 価 (価 格 )上 昇 ・下 落 の大 きな要 因 として会 社 の業 績 ・予 想 に気 付 く⇒ミクロの視 点 *他 社 との比 較 を通 して、差 別 化 などの企 業 努 力 に気 付 く⇒独 占 的 競 争 *株 価 上 昇 ・下 落 の大 きな要 因 として、グローバル化 などの現 代 社 会 ・経 済 の特 徴 に気 付 き、 株 価 を通 して、 世 界 と日 本 を多 面 ・ 多 角 的 に 捉 え 考 察 する⇒ マクロの視 点 ( 加 えて金 融 ・財 政 政 策 なども) * 外 国 為 替 と 企 業 業 績 の 関 係 に 気 付 き 、 株 価 の 大 きな 動 きを つか む ⇒ 国 際 経 済 の 視 点 *企 業 の情 報 公 開 の重 要 性 に気 付 く⇒情 報 の非 対 称 性 、インサイダーの排 除 *金 融 の特 徴 を掴 みハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンについて理 解 する。 ⇒直 接 金 融 (投 資 )とは、自 己 意 思 決 定 に従 って、リスクを引 き受 けること。−ハイリスク・ ハイリターン ⇒間 接 金 融 とは、金 融 機 関 が審 査 を通 して、リスクを引 き受 けること。−ローリスク・ローリ ターン アンダーラインのような「 見 方 ・ 考 え方 」( 魔 法 のレンズ)が、株 式 学 習 ゲームをツールとし て生 徒 から引 き出 せるような授 業 (経 済 用 語 を教 える必 要 は全 くない。生 徒 が概 念 や概 念 的 枠 組 み を 身 に 付 け 、その「 見 方 ・ 考 え 方 」 か ら 捉 え て い るかが 重 要 なので ある 。 ) の 11 構 造 化 が で き れ ば 、 金 融 や 経 済 の 学 習 を 新 学 習 指 導 要 領 に 即 し た も のに グ レ ー ド ア ッ プすることが可 能 となる。そのためには今 回 の改 訂 の趣 旨 を踏 まえ、 「株 式 学 習 ゲームにおいて、生 徒 が自 己 意 思 決 定 を行 う際 、どのよ うな経 済 的 概 念 を活 用 して、見 て、考 えようとするのか。」 最 終 的 に、「株 式 学 習 ゲームで、何 を学 ばせるのか。」 ということを教 師 自 身 が、一 層 明 確 にしておく必 要 がある。その上 で、討 論 や論 述 、レポ ー ト や プ レ ゼ ン な ど の 内 容 を 思 考 ・判 断 ・表 現 と い う 観 点 で 評 価 し て い く こ と で 、 新 学 習 指 導 要 領 の趣 旨 を取 り入 れた学 習 内 容 、学 習 指 導 の展 開 、さらに評 価 となるので ある。 4.おわりに 株 式 学 習 ゲ ーム の 教 材 説 明 会 で 、 担 当 者 の 方 が「 株 式 ( 学 習 ゲ ー ム ) を 学 ぶ の で は なく、株 式 学 習 ゲームで金 融 ・経 済 を学 ぶのです。」と解 説 されていたのが、印 象 に残 っ ている。その言 葉 を借 りるなら、本 論 文 が目 指 す株 式 学 習 ゲームに対 するアプローチは、 「株 式 学 習 ゲームで動 く株 式 を動 かない眼 で見 つめる学 習 」とでも改 めていうことができ よう。すなわち、この激 動 の時 代 だからこそ、様 々な問 題 ・課 題 に対 して、主 体 的 に判 断 し 対 応 で き る ぶ れ な い 眼 を 持 っ た 生 徒 を 育 成 す る こ と が 重 要 な の で ある 。 そ し て 、 結 果 として今 起 きている生 き生 きした事 実 である世 界 の金 融 ・経 済 の事 象 でさえ、本 学 習 か ら 得 ら れ た 概 念 的 枠 組 み と し て の「 見 方 ・ 考 え方 」 を 活 用 し 、 そ の ぶ れ る こ と の な い 視 点 から、本 質 へと迫 っていくことが可 能 となる。 さらに、重 要 なことは、第 三 者 に学 習 で得 た結 論 だけでなくその結 果 を導 き出 した過 程 をもより分 かりやすく効 果 的 に示 すことができる学 力 としての「思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 力 」を 身 に 付 け さ せる こ と で ある 。 なぜ な らそ のこ と が 、 今 後 一 層 グ ロ ーバ ル 化 が 進 む 未 来 において 世 界 に通 用 する日 本 人 を育 てることにつながっていくのであるから。そして、 この論 文 で取 り上 げたような学 習 内 容 ・学 習 指 導 の展 開 を進 めていくならば、必 ずや株 式 学 習 ゲームは、その一 翼 を担 うことができると確 信 している。 最 後 に 、 投 資 を 考 える 際 の 良 書 と い わ れる『 ウ ォー ル 街 の ラ ンダム ・ ウ ォー カー 』 と い う 本 の 著 者 バ ー ト ン・ マ ル キ ー ルの 言 葉 を 取 り 上 げ た い 。 彼 は 、「 成 功 す る 投 資 家 と い う も のは、非 常 にバランスのとれた人 格 の持 ち主 で、自 然 な好 奇 心 と知 的 興 味 を駆 使 し・・・・ 」と述 べている。新 学 習 指 導 要 領 において、金 融 ・ 経 済 教 育 の 充 実 が図 ら れよう としている今 こそ、アイデンティティ確 立 に動 き出 した中 学 生 に対 する投 資 に関 わる教 育 12 は、マ ルキ ールの言 葉 の意 味 を し っかりかみし め、人 間 と しての 成 長 に深 くかか わりなが ら慎 重 に実 践 されなければならないことを明 記 しておく。 執筆にあたり (*1)平 成 19 年 度 の中 央 教 育 審 議 会 教 育 課 程 部 会 「教 育 課 程 におけるこれまでの 審 議 のまとめ」(平 成 19 年 11 月 7 日 付 け)のパンフレット (*2)「児 童 生 徒 の学 習 評 価 の在 り方 について(報 告 )」(文 部 科 学 省 ) 本 文 中 の※の部 分 は、すべて中 学 校 新 学 習 指 導 要 領 (平 成 20 年 3 月 告 示 文部科学省) からの引 用 である。 13
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