トヨタ自動車株式会社の企業分析

2009 年 9 月 24 日
トヨタ自動車株式会社の企業分析
国際コミュニケーション学科 3 年
2075072 松下かほり
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トヨタ自動車株式会社の企業分析
【目次】
1、はじめに
2、企業概要
3、財務分析
4、経営戦略分析
5、今後の展望
6、参考文献
1、はじめに
トヨタ自動車株式会社は、いまや全世界で知らない者はいない企業へ成長を遂げ、自動車生産・販売
の事業を主軸としている。しかし、リーマンブラザーズや GM 破綻の影響を受け、平成 21 年 3 月期に
連結業績予想が 3500 億円の赤字であることを発表したのは記憶に新しい。トヨタはこれが創業以来の
初赤字であった。それ以降、不景気の渦中で、業績向上に全力を注ぐ。
本レポートでは、トヨタ自動車株式会社の企業概要、財務分析、経営戦略の分析を行い、今後の展望
を考察する。
2、企業概要
基本理念
1, 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信
頼される企業市民をめざす
2, 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展
に貢献する
3, クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊か
な社会づくりに取り組む
4, 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力
あふれる商品・サービスを提供する
5, 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風
土をつくる
6, グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7, 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現
する
http://www2.toyota.co.jp/jp/vision/philosophy/index.html より引用
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トヨタ基本理念
1992 年トヨタ地球環境憲章
2010 グローバルビジョン
会社方針・分野別の理念方針
トヨタ行動方針
トヨタ・ウェイ
グローバルマスタープラン
1992 年トヨタ環境取り組み
プラン(1996 年改訂)
2002 年 2010 グローバルビジョン
※トヨタ HP 参照、引用(一部割愛)
日常業務
トヨタは「企業を取り巻く環境が大きく変化している時こそ、確固とした理念を持って進むべき道を見
極めていくことが重要」という立場から 1992 年に基本理念を改訂した。そして、その基本理念を軸に、
組織全体の在り方を構築する。また 2000 年に入り、近い将来において「再生社会、循環型社会の到来」
「新興市場(中国・インド)におけるモータリゼーションの進展」を予測したトヨタは、かつて以上に
環境保全の重要性を認知するとともに、自動車の魅力を世界に拡大するチャンスととらえた。環境と成
長の両立を重要視した中長期経営方針である「2010 年グローバルビジョン」を 2002 年に公表した。
1967 年 ダイハツ工業(株)と業務提携発表
沿革
1974 年トヨタ財団 設立
1924 年 「無停止杼換式豊田自動織機(G 型)」完成
1975 年 住宅事業に参入
1929 年
自動織機の特許を英国の会社に譲渡
1982 年 トヨタ自動車工業(株)
、トヨタ自動車
1930 年
小型ガソリンエンジンの研究を開始
1933 年
(株)豊田自動織機製作所に自動車部設置
販売(株)合併、新社名「トヨタ自動車(株)
」
1984 年 米国でのトヨタ・GM 合弁会社生産開始
1936 年 トヨダ AA 型乗用車 発表
1988 年 米国 TMM 生産開始
1937 年 トヨタ自動車工業(株)設立
1989 年 米国 LEXUS 店設立
1938 年 挙母工場(現本社工場)操業開始
1992 年 英国 TMUK 生産開始
1950 年 経営危機(労働争議・人員整理)
1997 年 プリウス発表
トヨタ自動車販売(株)設立
1955 年 トヨペット・クラウン、トヨペット・
マスター、クラウン・デラックス発表
1957 年 国産乗用車 対米輸出第 1 号(クラウン)
米国トヨタ自動車販売(株) 設立
1966 年 カローラ発表
日野自動車工業(株)と業務提携発表
1999 年 国内生産累計 1 億台達成
2000 年 中国 四川トヨタ自動車(有)生産開始
2001 年 フランス TMMF 生産開始
2002 年 F1 参戦
中国 天津トヨタ自動車(有)生産開始
2004 年 トヨタ・パートナーロボット発表
2005 年 LEXUS 全国で開業
2008 年 プリウス販売累計 100 万台達成
※トヨタ HP より引用(一部割愛)
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基本理念を改訂したその 5 年後にハイブリッドカーであるプリウスを発表しており、
「2010 年グロー
バルビジョン」を公表したその年に、中国での生産を開始している。2005 年に中国での市場シェアは 4%
にすぎなかったものが、昨年は 9.8%まで拡大している。結果として、環境保全をテーマとしたプリウ
スが現状で柱となり、中国進出は今のところプラスとなっている。確実な中長期経営計画が功を奏した
と言える。
3、財務分析
平成 17 年度から平成 20 年度まで、売上高と総資産が年々増加するのに対し、営業利益や当期純利益も
それに比例し増加している。これは、利益率が安定していたことを表している。ところが、リーマンシ
ョック、GM 破綻と経済的なショックがあった 20 年度から 21 年度に営業利益が赤字に転落しており、
多大な影響を被ったことがうかがえる。要因としては、市場が縮小し販売台数が減少したことが最も大
きく、一般管理費の増加や為替変動の影響も考えられる。続いて ROA・ROE の 5 年間の推移を分析す
る。
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過去 5 年間の ROA と ROE
ROA・ROE はともに平成 20 年度から平成 21 年度にかけて下降しており、ここでも世界的経済不況
の影響を見ることができる。平成 20 年度までは、緩やかな右肩上がりのグラフであり、これは資産や
資本の利用効率が良く、非常に高いレベルで安定していたことを示している。
4、経営戦略分析
創業以来常に黒字経営を続けていたトヨタが、初めて赤字を記録した。このことには世界的な経済危
機の影響が色濃く表わされている。現在のトヨタの現状を外部環境の角度から分析し、さらに外部と内
部の双方に焦点を当て、一歩踏み込んだ分析を試みる。それぞれの分析には、PEST 分析と SWOT 分
析を用いる。また、トヨタのセグメントは自動車、金融、不動産といくつか存在するが、今回は主要セ
グメントである自動車に関してのみ分析を行う。
政治(Politics)
欧州連合・・・有害物質阻止やリサイクルに力を入れた法が施行される。内容は、各企業で廃棄自動
車を解体するのに十分な施設を整備することである。
その他の国・・現地調達率の規定、自動車事業の制限、管理価格または為替管理を行っている。
経済(Economy)
金融危機・・・サブプライム、リーマンショック、GM 破綻といった経済ショックが世界を震撼させ
る。自動車市場も大幅に縮小し、競争が激化している。
中国・・・・世界の金融危機の影響を受けてはいるものの国内の生産性や GDP の額は急激に増加し
ており、トヨタの市場シェアも増加している。
社会(Society)
環境・・・エコへの関心が高まる中、自動車へは 2009 年 4 月からエコカー減税システムが導入され
た。
高齢化・・8 末からは、当初は基準に達していないことが理由で対象から外されていた福祉車両もエ
コカー減税の対象となった。
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技術(Technology)
HV・EV・・・環境に配慮した新技術が自動車業界で導入されている。ガソリン離れが加速化する
傾向にある。
経済面での出来事は確かに痛手である。PEST 分析より、見逃せないキーワードは「環境」と「中国」
である。これだけの大不況の中でも、必ずビジネスソースは存在する。市場が縮小する中で、「環境」
と「中国」を意識した経営対策が必要である。まさに、トヨタが掲げる中長期経営戦略「2010 年グロ
ーバルビジョン」は的を射た確かな戦略であると言える。続いて、以下の SWOT 分析で、トヨタの外
部・内部環境の双方から現状分析を試みる。
プラス要因
内部環境
マイナス要因
・ブランド力
・法律遵守のためのコスト増大
・PHV 技術
・高品質
外部環境
・環境問題への関心
・全世界での他社との価格競争
・安価良質の重要増
・中国の自動車市場
トヨタの強みはなんと言っても、そのブランド力にある。さらに、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)
は、購入時の高価格を相殺するほどのランニングコストに定評があり、アプローチ次第では戦力になる
ことは間違いない。弱みとしては、各国で定められた環境に対する法を遵守するためのコストが増加す
ることが予想される。機会は、やはり中国の急成長であろう。しかし、中国をビジネスチャンスと捉え
るのは同業他社も同じであるため、確固とした戦略で臨む必要がある。そういった面からも、価格競争
は一番の脅威である。
5、今後の展望
初の赤字となったトヨタがすべきことは、まず純利益を回復することである。現在好調中の HV プリ
ウスの継続した市場投入と、ランニングコストが売りの PHV のアプローチも重要である。2008 年度ま
での経営指標から、数ある企業の中でもトップクラスのコストパフォーマンス能力があることは立証済
みであるので、将来を見据え、安全性を考慮した慎重な経営が不可欠である。
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6、参考文献
・http://www.chinapress.jp/economy/15319/
2008/10/08
「日系自動車メーカーの中国市場シェア、34%に」CHINAPRESS より
・http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0727&f=business_0727_078.shtml
2009/07/27
米紙フォーチューン「消費者が中国の経済成長をけん引」Searchina より
・http://sankei.jp.msn.com/world/china/090716/chn0907162211007-n1.htm
2009/7/16 中国GDP、日本抜き「世界2位の経済大国」へ
内需主導で産経ニュースより
・http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200909150088a.nwc
2009・09・15「福祉車両もエコカー減税」
・望月実/花房幸範
・佐々木秀一
「決算書速読術」
「財務諸表入門」
トヨタや日産が拡販戦略
阪急コミュニケーションズ
日本経済新聞出版社
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1989 年
FUJI sankei より
2008 年