第5号 - 北見赤十字病院

北見赤十字病院
Vo.5
2009/06/23 発行
第5回がんサロン開催
6 月 17 日(水)14 時から第 5 回がんサロンを開催しました。
参加人数は 21 名。ほとんどが患者さんご本人で、他院通院中の方も数名参加されていました。
今回は、がんサロンを開設して初めて、ミニ勉強会を開催しました。
これは、がんサロンに参加して、患者さんご家族の方と話をすることで、共感したり勇気づ
けられたりする事も良いが、がんに対する知識もつけていきたいという参加者の意見から始
まりました。第 1 回目のミニ勉強会は、心療内科部長 大森先生に講師を依頼し、
「緩和ケア
チームの活動と現状」について 30 分講演しました。講演では、緩和ケアや麻薬に対する患者
さんのイメージと実際の違いや、現在行われている、緩和ケアチームの活動や緩和ケア外来
について話しをされ、参加者も真剣に聞き入っていました。参加者からは、
「大変勉強になっ
た」
「緩和ケアの話しは、今まで思っていたターミナル的なものではないことが分かり、参考
になりました。」
「勉強会をかさねていって、賢いがん患者になりたい」
「今後も勉強会を開催
してください」などの感想が寄せられていました。
今後も 3 ヶ月に 1 回をめどにミニ勉強会を開催していきたいと思っていますので是非ご参加
下さい。
ミニ勉強会後は、通常のサロンを行い、部位毎でグループ分けを行い、3グループで話を
していただきました。
次回は 7 月 15 日(水)14 時から 16 時まで。 場所は東館5階ボランティア室となります。
皆さま是非ご参加下さい。
『病気からの贈り物』
RIKAKO(乳がん)
病気は私に数々の副産物を与えた。そのひとつが子供を諦めなければならないということ
だった。
乳がんを告知される半年前、私は子宮筋腫の摘出手術を受けていた。医師からは「筋腫も
かなり大きいし、いくつもあるのでこのままでは子供ができない」と言われていたのだ。5
年前に見つけた乳房のしこりが大きくなってきていたのが気になってはいたが、「良性」と
言われていたので、子宮筋腫の手術を優先した。
半年後、乳房のしこりを摘出。良性のはずだったのに、病理の結果は悪性――乳がんだっ
た。乳がんの治療を始めれば子供が産めなくなる…。
「このまま治療せずに子供を作ろうか…」という思いも過ったが、自分の命をかけてまで
産む勇気は私にはなかった。子供を産むために踏み切った筋腫の手術。無駄な手術をしたと
いう思いを拭い去ることはできなかった。
治療を始めて一年が過ぎても子供のことは吹っ切れずにいた。「治療をやめてしまおうか
…」。そんなことばかり考えていた。外に出掛ければ自然に幼い子供に目が行く。羨望の眼
差しで家族連れを見てしまう…。自分にはもう叶えることのできない現実を突きつけられて、
目を塞ぎたくなる場面も多かった。
子供が産めなくなってしまった私はもはや“女”ではない。この先、結婚も、もしかした
ら恋愛もできないかもしれない。女にとって子供が産めないということは、こんなにも様々
な意味を持つことなのか…。私はそんな自分を、日々、卑下し続けた。こんな思いをしてま
で生きていく意味があるのだろうか…とまで考えた。
病気が私にくれたもの――それは悪いことばかりではなかった。病気になって改めて気付
いたこともたくさんあった。今まで当たり前のように観てきた風景が美しく目に映ったり、
四季の移り変わりを敏感に感じたり、小さなことで感動するようになった。中でも一番心に
届いたのは、周りの人達の優しさだった。
いつも思う。「私はまだまだ幸せだ」と。もっともっと重い病に苦しんでいる人達がたく
さんいる。私だけが特別ではない。
「生きている」ということは奇跡的なこと。何気ない日常を送れることは当たり前のこと
ではないのだ。
病気にならなかったら「今、生かされている」という感謝の気持ちも、きっと生まれなか
っただろう。