「頭医者のつぶやき」最近の記事の目次

「頭医者のつぶやき」最近の記事の目次
2011/08/19
片頭痛は医療機関で治らないのか
2011/08/19
片頭痛治療への新たな試み
さまよえる群発頭痛患者さん
2011/08/20
実は、私も片頭痛持ちでした
2011/08/22
イミグラン錠・副作用なしに偏頭痛を治しちゃえ
セロトニン生活で、片頭痛体質改善を!
「片頭痛克服」有料サイトを検証する
2011/08/23
2011/08/23
011/08/24
2011/08/25
皆さんは、それでも、頭痛の時に脳外科に受診されますか
あなたも片頭痛を治すチャレンジをしてみませんか?
「片頭痛を治す」をお勧めするまでの経緯
日本の片頭痛医療
2011/08/26
2011/09/11
2011/09/12
片頭痛発作時の記録について
こんなことでよいのでしょうか
2011/09/12
2011/09/16
片頭痛を治す・・私からの提言 2011/09/27
やはり、小橋雄太さんの言われる通りでした
2011/09/28
日本頭痛学会と製薬会社
片頭痛と生活習慣
片頭痛と睡眠
2011/09/29
2011/09/29
2011/09/30
片頭痛と食事
片頭痛と「体の歪み」
片頭痛とストレス
2011/09/30
2011/09/30
頭痛コンサルタントはビジネスとなりうるのか
片頭痛と遺伝
2011/09/27
2011/10/03
2011/10/03
片頭痛改善のための10カ条
2011/10/04
頭痛が、繰り返される場合、皆さん、はどうされますか
-1-
2011/10/05
2011/10/05
耳鳴の治療に「トリプタン製剤」?
2011/10/06
片頭痛の誘発因子
2011/10/06
片頭痛治療の将来への夢
「セロトニン生活のすすめ」再度です
怒り心頭に達しました
2011/10/06
2011/10/07
清水俊彦先生の「頭痛女子のコンカツ」を読んで
片頭痛のセルフケア
2011/10/08
2011/10/08
2011/10/09
特定健診保健指導と片頭痛治療
2011/10/10
改めて、片頭痛は”片頭痛症候群”か?
私の片頭痛を検証する
2011/10/10
患者さん自身が「医療機関」に検査項目を指定すべきか? 2011/10/11
本日は、びっくり仰天しました
訂正とお詫びとお願い
2011/10/12
2011/10/12
片頭痛を治すための「定期受診」のお勧め
2011/10/13
当「ブログ」にアクセスして頂き、感謝致しております
2011/10/14
なぜ、片頭痛はうまくコントロールされないのか 2011/10/15
片頭痛研究の別の視点
2011/10/17
片頭痛は”疾病利得”???
2011/10/18
こんなことがあるのでしょうか???
りんごうさぎより 2011/10/18
皆さんは、ご存じかも知れませんが・・2011/10/19
片頭痛を改善させる”頭痛体操”
2011/10/19
私の言っていることが、既にありました
頭痛薬と腎障害、発癌性
2011/10/21
2011/10/21
私も”セデスG”のお世話になっていました
医師の考え、患者の思惑
一つの提言
2011/10/22
2011/10/22
2011/10/23
これでよいのか
2011/10/24
再度、片頭痛は「完治」できるか??? 2011/10/25
片頭痛と歯科
2011/10/25
-2-
片頭痛とカイロプラクテイック
片頭痛とヨガ
2011/10/25
2011/10/25
また、著作権をズタズタにしてしまいました
片頭痛と気象・・・天気痛・気象病
2011/10/26
2011/10/27
2011/10/27
片頭痛と自律神経
あなたの主治医は大丈夫ですか・・「片頭痛を治す」ために・・
2011/10/28
片頭痛とボツリヌス毒素
片頭痛と外科的手術
2011/10/28
2011/10/29
セロトニンと自律神経
2011/10/30
第 18 回 関西頭痛懇話会報告
疫学調査のすすめ
2011/10/31
高齢発症の片頭痛
2011/10/31
2011/10/30
本日で終わりです。・・全国慢性頭痛友の会長への反論の記事は・・
片頭痛の慢性化・・セロトニンの関与???
片頭痛と足病変
2011/11/04
2011/11/06
片頭痛の分類・・・あくまでも私見です
2011/11/06
片頭痛の原因を見つけるために 2011/11/07
脳過敏症候群の原因は、鎮痛薬だけが原因なのか??? 2011/11/09
第 39 回 日本頭痛学会総会の案内が来ました
2011/11/10
すべての原点は、解剖学的所見によるべきです
2011/11/11
いつもアクセスして頂き、感謝致しております
2011/11/13
片頭痛と胸鎖乳突筋
2011/11/13
全国慢性頭痛友の会会長とのメールの全容
-3-
2011/11/01
片頭痛は医療機関で治らないのか
2011/08/19
最近、ネット上のブログで興味あるサイトを見つけました。それは
「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」
「私が片頭痛を治した方法~片頭痛、のち快晴!」
「片頭痛に悩む女性にお勧めです」
この3サイトで共通する点は、片頭痛は医療機関では治らない、自分で治すものである」
ということです。確かに、医療機関では、頭痛発作時の対応の仕方を覚えてもらい、発作
回数が多い場合は予防薬を投与するのが中心となっています。
初診時に、必ず、発作時の状況を記録するようにお願いするのですが、大半の方は、頭
痛が起こった日しか記録されず、どのような状況で起きているのか記載されません。発作
時の状況を客観的に把握できない方が殆どのようです。このため、最近出版された清水俊
彦先生の「頭痛女子のトリセツ」という本を5冊購入し、記載方法を理解してもらうよう
に、1冊ずつお貸しするのですが、それでも理解して頂けない方が大半を占めます。上記
ブログの小橋雄太さんのように、客観的に状況の判断できる人ばかりであれば診療もスム
ースにいくはずなのですが、こればかりは本人の「意志」が無ければ仕方ないこととあき
らめています。
さらに、当医院では、片頭痛はセロトニン不足が関与していることを想定し、いかにし
て「セロトニン神経を活性化させる」かを日常生活に取り入れ生活習慣の見直しをしても
らうように指導しています。
しかし、このような生活習慣の見直しも本人がする気がなければ、土台無理な話です。
-4-
先程述べた発作時の状況の記録は、片頭痛の原因を探る意味で欠かすことの出来ない作
業といくら説明しても、理解されず、MRIでも撮影すれば、分かると思って、そのよう
な医療機関へ変わってしまう方が多いのが実情のようです。
片頭痛の原因が、ストレスなのか、体の歪みによるものか、歯のかみ合わせの悪さによ
るものか、性格的なものなのか、環境の影響なのか、もともと体質的なものなのか、考え
ればきりがありません。
いずれにしても、他の病気のように、ガイドラインに従った治療法がない片頭痛の場合、
患者さん自身の「片頭痛を治す」という意志がない限り、片頭痛を起こらなくさせるとい
うことは、無理なのです。ここに片頭痛治療の難しさがあり、ブログでも明らかのように、
トリプタン・ノンレスポンダーでもない限り無理なのかもしれません。
片頭痛治療への新たな試み
2011/08/19
当院では、片頭痛患者さんの再受診率の低さがどこにあるのか、検討を重ねた結果、D
VD一枚に、片頭痛治療全般をまとめ、初診時にお渡ししています。
このDVDの内容は、以下の3部に分かれています。
1.「慢性頭痛のすべて」
2.「片頭痛を治す」
3.YOU TUBE から
この、DVDで、片頭痛そのものをまず理解して頂くために、「慢性頭痛のすべて」を収
録してあります。片頭痛という病気全般について詳しくまず知って頂くことが極めて大切
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であると考えたからです。これに付随して、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛、片頭痛との関連
から掲載しています。片頭痛の中には、群発頭痛に近い立ち上がりを示す方もおられるた
め、群発頭痛も無駄かもしれませんが、載せました。
次に、患者さんにしてもらう事項として、「自分の片頭痛」を自分自身で理解して頂くた
めに、「片頭痛を治す」の箇所に、「自分で治した体験談」を掲載し、この中のブログを一
部引用し、頭痛発作時の状況の記録の仕方を覚えて頂きます。これは、患者さんそれぞれ
「片頭痛の原因」が異なることを認識して頂くものです。
この発作時の記録は、頭痛発作が全く消失するまで、継続して記録して頂きます。かな
り根気のいる作業ですが、片頭痛を無くすには欠かせない作業であると認識する必要があ
ります。
次に知って頂くことは、頭痛発作時の対応の仕方を覚えて頂くことです。薬を使わない
対処法、市販の鎮痛薬を使う場合の注意点、さらにトリプタン製剤を使う場合の服用のタ
イミングを覚えて頂くために、「慢性頭痛のすべて」のフォルダーの中の片頭痛の各論の中
に、詳しく掲載してあります。
このようにしておいて、治療開始当初から、原因がまだ解明できていない段階から、片
頭痛が「セロトニン不足」によるものとの考え方に従って、いかにして「セロトニン神経
を活性化するか」について述べ、これを日常生活習慣に組み込んでいくかの「プログラム」
を提示してあります。運動、ストレッチ、呼吸法等々、簡単に実行可能なものばかりです。
参考資料として、自分で治された方の体験談も掲載しました。
また、YOU TUBE から、アメリカの片頭痛の治療状況に関して、カイロプラクテック手
法、歯科矯正、ヨガ療法、ボトックス治療、マッサージ手技等々、さまざまな分野につい
て掲載してあります。
発作時の状況の記録が積み重ねられて来た段階で、何か見えてきた時点で、メールで知
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らせて頂いて、その都度対処法に関するコメントをし、実行可能なものは、一つずつ行っ
てもらいます。
最終的に、片頭痛の原因が、ストレスなのか、体の歪みなのか、歯のかみ合わせの悪さ
なのか、環境による影響なのか、本人の性格的な問題なのか、それに見合った対処法を行
ってもらいます。
この場合、整体とか歯科受診が必要な場合もありますが、その他は殆ど自分自身で対処
可能なようにマニュアルを用意しています。
以上のような、盛りだくさんなDVDです。書籍 100 冊分は十分入っています。ただ、
すべてPDFファイルで作成していますので、閲覧にはパソコンが必要です。
このDVDを作成した理由は、片頭痛を治すためには、医師だけがいくら頑張っても何
も解決せず、患者さん自身の「治そうという意志」がない限り不可能であるとの観点から
です。
さまよえる群発頭痛患者さん 2011/08/20
最近、たて続けの2人の群発頭痛患者さんを診ました。
1人は 29 歳の女性の方で、初発が高校2年生で、毎年春先に約2カ月間、連日の激しい
頭痛に見舞われ、その都度、総合病院の脳神経外科を受診されていましたが、片頭痛の診
断で鎮痛薬の処方をされるものの全く効かず、ひたすら群発期が終わるまで我慢されてい
ました。
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今回はお産をされた後、10 日後から毎年出現する頭痛が出現し、翌日に来院され、群発
頭痛と診断し、予防薬としてワソラン、頓挫薬としてクリアミンを処方しました。その後、
某婦人科で乳汁分泌抑制を目的として、群発頭痛との診断にも関わらず、カバサールが投
与されました。ただでさえ、クリアミンを服用すれば吐き気が出現することが当然予測さ
れるにも関わらず、その上カバサールが追加されたため嘔吐までするようになり、食餌が
とれず、頭痛も治まらず、6日後に再診され、クリアミンをイミグランの点鼻薬に変更し、
一時効いたようにも思えたのですが、翌日家族の希望により、某総合病院脳神経外科に入
院の依頼を行いました。ところが、担当医は片頭痛の診断でマクサルトの投与を行ってい
たようですが、やはり頭痛は治まらず途中で退院したようでした。退院時の報告書には「片
頭痛、筋収縮性頭痛、大後頭神経痛の疑い」で、頭痛は治まらなかったため「カウンセリ
ング」をしたとの連絡を受け、唖然とした次第です。
もう1例は 38 歳の男性で、4日前から毎日右側に激痛が2時間前後起きるため来院さ
れ、以前AVMの手術を受けていたため、AVMとの関連性を否定するため、某総合病院
脳神経外科に紹介したところ、MRIでは異常なく、「心因性の頭痛」と診断され帰されま
した。
ところが、紹介した翌日この激しい頭痛を何とかして欲しいと再診され、問診をし直し
ますと、1日2回頭痛が出現し、毎回右側で、朝と午後7時前後に,前触れの後4,5分で
激しい頭痛が出現し、2時間ばかり、のたうちまわる程の痛みであるとのことでした。今
回が、初めてとのことでしたので、ワソランと発作時にイミグランの点鼻薬を使用して、
以後2カ月ばかり、これを続行し、何とか群発期が過ぎたようでした。
これら、2例を診て、反省させられることは、脳神経外科医というのは、CTもしくは
MRIで異常がなければ、それ以上は、丹念に頭痛に関しての詳細な問診はしないものだ
ということが、よく分かりました。
最初の方は、恐らく当医院と今回入院した某総合病院脳神経外科には、二度と受診され
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ることはないでしょうが、現在、脳神経外科のある病院は1つしかなく、来年の群発期は
どうされるのかと考えると、かえすがえすも残念でなりません。
実は、私も片頭痛持ちでした
2011/08/22
私も、20 代後半から、片頭痛に悩まされていました。呉共済病院での5年間の臨床研修
を終えた時点で、以後 10 年間共済組合等連合会に奉職するという契約をすれば、1カ月
間の海外研修と称して、1カ月間自由に海外旅行ができる制度(現在なお存在するかどう
かは知りませんが、当時の国家公務員等共済組合連合会にはありました)がありました。
私も、この制度を利用して、世界一周の旅行を計画して、その海外旅行に行きました。発
症は、最初の訪問国のギリシャのアテネでした。羽田空港から、24 時間のフライトを終え
て、お昼の食事に出た食前酒の赤ワインを飲んで食事を終えた1時間後に、今まで経験し
たことのない激しい頭痛に襲われ、その後の見物どころの騒ぎではありませんでした。翌
日以降も、昼の食事の度の食前酒の赤ワインを飲む度に頭痛に襲われ、以後は食前酒は飲
まないようにしました。
海外旅行が終わってからは、重症患者を受け持たされて、3日3晩徹夜をすることが、
日常茶飯時の病院でしたが、これが終わって一息ついて酒を飲む度に、激しい頭痛に見舞
われていました。当時は糖尿病に関する一般的な知識が乏しかったためもあり、糖尿病性
昏睡で入院する患者さんが多く、受け持ちになると、患者さんが覚醒するまでは、一睡も
できないことがザラでした。頭痛発作中に、患者さんが急変したりすると、パニック状態
になる程、まさに地獄の苦しみも味わいました。
最近では、平成 19 年5月に肺炎で、白浜はまゆう病院に入院した時は、突然の入院で
もあり、4人部屋に入ったのですが、4人部屋というのは、軽症の患者さんが入る所です
ので、狭い部屋に4人の患者さんと、付き添いの人、見舞客が多く出入りされ、酸素濃度
が低下していたことに敏感に反応し、激しい頭痛に見舞われ、そのまま意識を失い、気が
ついた時には、個室に移されていた経験があります。
また、子供の頃は、海水浴に行った際に小舟に乗った時とか海釣りに行って舟に乗ると
よく船酔いをしていた記憶があります。
-9-
また、学生時代は、当時家が島根県の松江市にあり、大学は広島市であったため、休暇
中に、夜行バスで広島から松江まで帰っていましたが、バスに乗るのに、最後部座席に乗
ると必ずといっていい位に酔ってしまい、おまけに頭痛も出現し、着くまでの5時間が地
獄のようであったのが想い出されます。
以前、Windows が発売された頃、大阪の日本橋に中古のパソコンを買いに、特急のくろ
しお号に乗って往復を度々していましたが、空腹で乗車すると必ず酔ってしまい、帰宅し
てから頭痛を頻繁に起こしていました。空腹と電車の揺れ(とにかく特急くろしお号は揺
れます)が、関係していました。
私の場合、睡眠不足が一番関係があったようで、以後、自分の片頭痛がどのような状況
で起こるかを全て把握し、それらに対処して、現在全く片頭痛は起こらなくなりました。
今回、ネットで「片頭痛は医療機関では治せない、自分で治すものである」というブロ
グを偶然見つけました。これを、きっかけに、ネット上で「自分で片頭痛を治した」とい
う体験談を集めまくりました。その結果、有料のサイトは5カ所、ブログは3サイト見つ
けました。
その、片頭痛を治す方法は、私がこれまでしてきたことと、患者さんに指導してきたこ
とと全く変わりはありませんでした。うまくいかない理由は、本人が治す意志がなかった
ということでした。自分で、片頭痛を起こらなくするという意志さえあれば、無くせると
いうことです。
どうすれば、片頭痛を起こらなくするかは、簡単なことです。それは、自分で起こらな
くする手段を自分で行えば済むことです。
片頭痛医療における医師の役割は、極めて限られたものです。頭痛発作時の対処法、さ
らに発作回数を少なくさせること、変容性片頭痛の治療、位でしょうか。
片頭痛を根本的になくす方法をいくら指導したとしても、患者さん自身が「治してしま
う」という強固な意志がない限り不可能です。実行するのは患者さん自身だからです。
この点糖尿病の治療と相通じるものがあります。いくら薬を使っても、食餌療法、運動
療法抜きには、治療はうまくいきません。
前回も述べましたが、頭痛発作時の状況を客観的に分析して記録するしか、片頭痛をな
くす手段はありません。患者さんの意識には、このような面倒くさいことをしなくてもM
RIを撮影すれば原因が分かると思っておられるのが実態です。
- 10 -
患者さんに 24 時間べったり医師がそばに付いておれば話は別でしょうが、このような
ことは到底不可能であることは理解して頂けると思います。
発作時の状況は、患者さん自身しかわからないことを認識する、これが「片頭痛治療」
のスタートであり、いつまでもここから抜け出していないため、いつまでも治療が進まな
いのです。
薬を服用しておれば治るというような病気ではないことを肝に銘じておく必要がありま
す。
ですから、上記のように、ネット上に「片頭痛は医療機関では治らない」とのブログが
出てきても、何ら不思議でないような気がします。
イミグラン錠・副作用なしに偏頭痛を治しちゃえ
2011/08/23
これは、小橋雄太さんのブログのタイトルです。小橋雄太さんは、10 年来、閃輝暗点と
いう前兆を伴う片頭痛に悩まされ、おまけにトリプタン製剤が全く効かない「トリプタン
・ノンレスポンダー」であったたそうです。このため自分で「片頭痛を治す」ために、い
ろいろ試みられた手順をブログに記載されたものです。私は、たまたまネット上で何気な
く見つけて、一気に読んでしまいました。それ程、すばらしいブログでした。
その方法の要点は、頭痛発作時に、その発生前日と当日の状況を詳細に記録を重ね、こ
れを積み重ねる事によって、共通の発生要因を探ることによって、原因と思われるものに
対してひとつずつ対処していくというものです。その結果、小橋さんの場合、体の歪みに
原因があることに気づいて、最初は整体師のお世話になって、治したとのことです。
この間、頭痛外来にも受診されたそうですが、何も解決しなかったようです。
このブログを見て、思ったことは、現在の日本頭痛学会認定の「頭痛専門医」全員に見
てもらいたいと思ったことです。頭痛専門医は、「片頭痛はもともと、片頭痛を起こしやす
い体質的なもの」という考えをされる方が殆どのようです。ですから、トリプタン製剤を
使う治療が中心となっており、わずか予防的対策を日常生活に取り入れる程度で、根本的
に片頭痛そのものを無くしてしまうということは念頭にはありません。現に、「頭痛治療ガ
イドライン」には、このような方針は全く記載されておらず、実際診療を行っている「頭
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痛専門医」には根本的に治すことなど全く頭にはありません。
ところが、アメリカの片頭痛治療は、内科医だけではなく、カイロプラクター、ヨガ療
法士、歯科医によるテンプレート療法、外科的治療、ボツリヌス療法と、いろいろな治療
方法が行われております。しかし、日本では、片頭痛治療は「頭痛専門医」が行っており、
その殆どは薬物療法が主体であり、整体などは民間療法と考え、全く軽視されているのが
実情です。ですので、トリプタン製剤が効かないと、お手上げといってもよいのではない
でしょうか。ちょっと言い過ぎかもしれませんが・・
話をもとに戻します。小橋さんが実行された、頭痛発作時の状況を、事細かに記録する
ということです。この点は、私も片頭痛患者さんを最初に診せて頂いた際に、発作時の状
況を記録して頂くようにお願いしています。その際に、私は、北里大学の坂井文彦・五十
嵐久佳先生らが考案された「頭痛ダイアリー」を利用させて頂いていますが、頭痛発作時
に「思い当たることがあれば」適用欄にメモしてもらうようにお願いするのですが、大半
の方は、頭痛の起きた日と程度は記載されるのですが、肝心の「思い当たること」の記載
はありません。いつも、私は、再来時に、この点をお聞きするのですが、決まって返って
くる「返答」は何がきっかけになったとか、原因はよく分からないということです。
片頭痛発作は、何か引き金になるものが無い限り起きないと、くどいばかりに説明する
のですが、理解されません。あたかも、突如に、起きて来るという返事しか得られません。
このため、片頭痛の「誘因」として現在考えられている項目を列記してお渡ししたり、
最近では、清水俊彦先生の「頭痛女子のトリセツ」という書籍をお渡しして、どのように
片頭痛発作が起きてくるのかを理解してもらうべく努力はしてきましたが、いずれも失敗
しているのが現状です。
なぜ、このような返答しか返ってこないのかを考えてみますと、片頭痛の発作の原因が
日常生活習慣そのものの中にあり、このために分からないと言われるのかもしれません。
今後は、日常生活の改善すべき点を示しながら、現在の生活習慣と対比させなから、そ
の相違点を認識してもらいながら、改善してもらいつつ、発作自体を軽減しながら、再度
発作時の状況を分析し、記録してもらう予定です。
私自身の場合、片頭痛を初めて経験したのが、外国旅行という、日常生活とは全くかけ
離れた状況で起こったため、起きた原因を推定しやすかったのかもしれません。
初めての外国旅行といいますのは、経験したことのある方は納得できると思いますが、
1カ月前くらいから、飛行機は大丈夫か、墜落しないだろうか、そして外国語がうまく理
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解できるだろうかと、あれこれ考えて、遊ぶ楽しさよりも心配の方が大きく、不安な夜を
送り、このため眠れないこともしばしばでした。そして羽田空港から最初の訪問国のアテ
ネまで 24 時間のフライトの間、狭い座席で過ごし、離陸・着陸の急激な気圧の変化、そ
して着陸した時の安堵感、さらに昼食時の赤ワインと、これだけの条件が揃えば、片頭痛
が起きても何ら不思議でない状況であったと思います。
また、2年前に、片頭痛で当医院を受診された方に、以後どの程度「薬物乱用頭痛」を
起こしているかどうかのアンケート調査をしたことがあります。回答して頂いた方の半数
では、初診時に、発作時の状況を検討するようにとの指示を守っておられた方は、以後発
作もなく、医療機関を受診されておられませんでした。
現在、通院中の方で、未だに、片頭痛の発作時の状況を客観的に把握できていない方は、
長年、他院に通院されておられた方々で、頭痛発作が起きるとパニック状態になるためか、
冷静に状況の分析把握ができないような方ばかりです。
このため、現在では、初診時の患者さんには、治療当初にまず、小橋雄太さんのブログ
「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」をまずご覧頂いて、片頭痛の原因の
見つけ方を参考にしてもらい、その記録方法を覚えて頂くようにしております。
私が使っているような「頭痛ダイアリー」は適当ではなく、「専用のノート」に記録すべ
きだろうと思います。小橋さんは、ノートが真っ黒になるまで詳細に記録されたようです。
まさに執念というほか無かったのではないでしょうか?小橋さんが述懐されておられるよ
うに、なまじトリプタン製剤が効いていたらここまではしなかったと・・
小橋さんと同じように、自分で片頭痛を治した体験談を綴ったブログは以下の2つで
「私が片頭痛を治した方法~片頭痛、のち快晴!」(女性の方のブログです)
「片頭痛に悩む女性にお勧めです」
こちらも、参考にして下さい。
改めて、小橋雄太さんに、お礼を申し上げると同時に、今後、患者さんに「イミグラン
錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」を見て頂くようにお願いする予定です。
今後、小橋さんのブログが片頭痛治療の進展に貢献することを期待します。
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セロトニン生活で、片頭痛体質改善を! 2011/08/23
1.セロトニン神経は、どんなはたらきをするのでしょうか?
セロトニン神経は、脳の中心にある「脳幹」の、さらに中央に位置する「縫線核」とい
う部分にあります。そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、
あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経です。セロトニン神経
は、目覚めと共に活発化する交感神経に影響し、覚醒後のアクティブな行動を可能にする
ために、カラダを適度なスタンバイ状態にするはたらきをします。
心の面では、クールな覚醒、つまり平常心を保つはたらきをします。セロトニン以外に
も心の状態を演出する神経には、快感や陶酔感を増幅する「ドーパミン神経」と、様々な
ストレスによって覚醒反応を引き起こす「ノルアドレナリン神経」があります。セロトニ
ン神経は、この2つの神経に対して抑制作用を及ぼし、興奮と不安のバランスを図り、心
の状態を中庸に保つはたらきをします。
2.セロトニン神経が弱まるとどんなことが起きるのでしょうか?
セロトニン神経が弱まると、中枢神経系のバランスが崩れ、様々な症状を引き起こしま
す。覚醒状態をうまくコントロールできなくなるため目覚めが優れず、その後もなかなか
調子が出ません。また、うつ状態やパニック発作、摂食障害(過食や拒食を繰り返す)な
ど、俗に“現代病”と呼ばれている症状の多くが当てはまります。また、ストレスが加わ
った時に過激な行動が抑えられなくなる「キレる」という状態も、セロトニン神経が弱ま
った時に起こる症状と重なります。
かつて、セロトニン神経を破壊されたラットを、マウスと共に飼育するという動物実験
が行われました。すると、ラットはマウスを殺して食べてしまうという、通常みられない
行動を引き起こしました。しかし、ラットの脳にセロトニンを補給するとこの症状は消失
したといいます。動物実験をそのままヒトに当てはめて考えることは妥当ではないかもし
れませんが、セロトニンが極端に欠乏した状態の1つの例証といえます。
また、脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています、偏頭痛、
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不眠症、睡眠障害、冷え性、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な
病気が誘発されていると考えられています。
女性は男性の 52%しか脳内セロトニンがなく、さらに生理前や更年期による女性ホルモ
ンの変化により脳内セロトニンが少なくなると考えられています。その事から、偏頭痛、
冷え性、産後うつ、更年期障害、月経前症候群、などは女性に多いと考えられています。
3.セロトニン神経はどうして衰えてしまうのでしょうか?
セロトニン神経には、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化され
るという特性があります。毎日の生活の中で、こうしたリズム運動を自然に繰り返してい
れば、セロトニン神経は正常レベルに保たれます。したがって、こうした運動を極端に抑
えた生活を継続することは、セロトニン神経の減弱を招きます。例えば以下のような生活
習慣には要注意です。
・あまり外出をしない
・移動にクルマを頻用し、歩くことが少ない
・コンピュータ操作などで1日数時間にわたって同じ姿勢をとり続ける
・夜ふかし、朝寝坊の昼夜逆転生活
また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経の活性には
太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、とくに連日、息をつ
めてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神経が減弱しやすくなるのです。
4.セロトニン神経を鍛えるにはどうしたらいいのでしょう?
まずは、セロトニン神経の活性を妨げる生活習慣を改善することが第一です。朝起きて
太陽の光を浴び、適度な運動とバランスのよい食事を摂るなど、規則正しい生活を心がけ
ましょう。その上で、意識的な呼吸法やリズム運動を実践すると効果的です。ただし疲れ
過ぎたり、栄養の摂取をサプリメントなどに頼り過ぎると、かえってセロトニンの過剰摂
取を招くことも。また、こうした規則的な生活を継続させることが重要です。
5.セロトニンを増やすための5つのポイント
- 15 -
(1.)早寝早起きの規則的な生活を心がける
セロトニンは、太陽の出ている日中に分泌されやすく、睡眠中は日が沈んでからは分泌
が少なくなります。これは後述のメラトニンの働きと関係していますが、人間が本来持っ
ている生活リズムは『日中に活動し夜は寝る』と言うもので、この原則を守ることがセロ
トニン神経の活性化に効果的だといわれています。
(2.)太陽の光を浴びる
セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があります。
セロトニンは脳の覚醒を促し、メラトニンは睡眠に作用します。
メラトニンが分泌している間はセロトニンの分泌は少なく、逆にセロトニンが多く分泌
されている間はメラトニンの分泌は少なくなります。
太陽の光(のような非常に強い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニ
ンの分泌がストップし、代わりに脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されるのです。
昼夜逆転の生活をしていたり、日中部屋の中にばかりいると、セロトニンとメラトニン
の分泌のバランスが崩れ、不眠症になったり、うつ病になりやすくなったりしてしまうの
です。
毎朝日光を浴びる行為は、セロトニンを鍛えるだけで無く、生活リズムを整えることに
もつながります。
(3.)リズミカルな運動をする
スクワットや階段の昇り降りなど、一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニ
ン神経が活性化されるとされています。
先日国民栄誉賞を受賞された、女優の森光子さんも 70 歳から体力維持の目的でスクワッ
トを始めて、これまでずっと継続して来たそうです。
89 歳でも舞台に立ち続ける彼女の元気の源も、このリズミカルな運動にあるといえるで
しょう。
- 16 -
同様に活発な活動をされている黒柳哲子さんもスクワットを毎日しているのも知られて
います。
スクワットに限らず、
『ウォーキング』や『深呼吸/腹式呼吸』
、最近人気の『フラダンス』
など、リズムの良い運動を継続して続けていくことが、セロトニン神経の活性化に役立つ
とされています。
また、こういった運動を 5 分以上行うとさらに効果的であると言われています。
(4.)食事をする際に、よく噛む
食事の際は必ず物を噛みますね。
このものを噛む動作(咀嚼:そしゃく) も、一定のリズムを伴った運動であるといえま
す。
上述のリズミカルな運動と同じく、セロトニンの活性化に役立ちます。
「運動はちょっと苦手・・・。」と、考えられている方でも、食事は必ず取るでしょうか
ら、食事の際によく噛んで食べることを心がけてみてはいかがでしょうか。
『ものをよく噛む』と言うことは、栄養の効果的な摂取や、消化を助けることにもつな
がりますし、あごの筋肉の維持など、セロトニンの活性化以外にも様々なメリットがあり
ますし、どなたでも簡単に試せる方法です。
(5.)トリプトファンを含む食品を食べる
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う
物質です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込
む必要があります。
セロトニンの材料
=
『トリプトファン』 +『 ビタミン B6』ガソリンが無ければ車が
走らないように、材料がなければ人間の体はセロトニンを作ることができません。
体内でセロトニンを生成するには、必要な材料が幾つかあります。
- 17 -
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う物
質です。
トリプトファンとは必須アミノ酸の一種です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込む
必要があります。
= 『トリプトファン』 +『 ビタミン B6』
セロトニンの材料
ガソリンが無ければ車が走らないように、材料がなければ人間の体はセロトニンを作る
ことができません。
体内でセロトニンを生成するには、必要な材料が幾つかあります。
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う
物質です。
トリプトファンとは必須アミノ酸の一種です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込
む必要があります。
また、セロトニンを体内で作り出すには、トリプトファンのほかにもう一つ『ビタミン B6』
が必要です。
トリプトファンとビタミン B6 が『ほう線核』で合成されることで、セロトニンが生成
されるのです。
トリプトファン
⇒必須アミノ酸の一種。食物から摂取する必要がある。
ビタミン B6 ⇒たんぱく質やアミノ酸の合成や分解を補助する働きを持つ。
セロトニンの原料となるトリプトファンとビタミン B6 を体内にバランスよく摂取する
ために、これらの栄養素を豊富に含んだ食材を摂ることを心がけましょう。
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トリプトファンを含む食品の一覧
セロトニンの材料となるトリプトファンは食事を通じて私たちの体に補給されています。
チーズなどの乳製品、納豆や肉類などのお馴染みの食品にもトリプトファンは含まれて
います。
トリプトファンを配合しているサプリメントや栄養補助食品も広く販売されています。
普段の食生活で以下のような食品を意識して食べて、セロトニンの生成を促進させまし
ょう。
バナナ 10mg/100g
豆乳 53mg/100g
牛乳 42mg/100g
ヨーグルト 47mg/100g
プロセスチーズ 291mg/100g
ひまわりの種 310mg/100g
アーモンド 201mg/100g
肉類 150 ~ 250mg/100g
赤身魚 200 ~ 250mg/100g
糸引納豆 242mg/100g
すじこ 331mg/100g
たらこ 291mg/100g
白米 89mg/100g
そば 192mg/100g
Wiki:トリプトファンより引用
ビタミン B6 を含む食材
赤身の魚(マグロ・カツオなど)
肉類(豚肉・鶏肉・牛肉など)
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レバー(豚・鶏・牛)
豆類(大豆・小豆など)
果物(バナナ・プルーンなど)
尚、ビタミン B6 は腸内の細菌によっても一部体内で作られるため、一般的には不足しに
くい栄養素であると言われています。
ただし、もう一方のトリプトファンは、体内にはもともと存在しないアミノ酸です。
セロトニンを鍛えて健康な生活を送るには、上記のような食物を摂るように心がけ、普段
の食生活から意識して変えていくことががとても重要であると言えるでしょう。
片頭痛という病気は、脳血管が何らかの誘因で拡張しやすい体質からくるものです。こ
の「頭痛体質」は「セロトニン不足」が関与していると想定されています。
この「セロトニン不足」に対してどう対処するのか、これまで東邦大学の有田秀穂教授
らの知見をもとに「セロトニンを増やす、活性化させる」方法が提唱され、上記のような
ことに注意するようにこれまで言われてきました。
最近、頭痛コンサルタントの山崎有為さんが、この「セロトニンを活性化する」方法を、
日常生活にどのように組み込むかを具体的に示しています。
インターネットで、「山崎有為」 をキイワードにして検索すると、「頭痛体験レポート」
を閲覧できます。以後は有料となっていて、5,000 円で「頭痛解体新書
第一幕」が入手
できます。この頭痛解体新書に、具体的な方法が記載されています。
これらを、日常生活習慣に組み入れることによって、頭痛体質を改善させ、片頭痛を治
そうというものです。
片頭痛を治そうと考えておられる方には、参考になります。是非とも、チャレンジして
みて下さい。
「片頭痛克服」有料サイトを検証する
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011/08/24
現在、インターネット上で有料の「片頭痛克服マニュアル」は5つあります。
頭痛解体新書
片頭痛
山崎有為
大革命
坂戸孝志
驚異の偏頭痛克服法
山本幸一
片頭痛改善マニュアル
N.H.R 頭痛解消法
岡田俊樹
内田信友
まず、「頭痛解体新書
山崎有為 」ですが、前回も紹介致しましたように、片頭痛体質
がセロトニン不足に関与していることを想定して、セロトニン神経をいかにして活性化さ
せるかという観点から、この具体的にどのように日常生活習慣に取り入れるかを説いてい
ます。記述は、医師が書いたのではないかと思う程、豊富な知識に驚かされます。
呼吸法に関しても、ヨガや禅で行う方法も考慮されています。
ただ、食事面では、マグネシウムに関する記述がないのが一寸残念です。
次の、「片頭痛
大革命
坂戸孝志」ですが、たった 10 分間で片頭痛を治すというのが
本当かどうか、疑問に思える点もありますが、この方法で多くの人が治っておることには、
驚かされます。
次の、「驚異の偏頭痛克服法
山本幸一」ですが、これは、甚だ疑問な点が多いといった
感想です。それは、朝食を抜くという点です。現在、片頭痛の発作の誘因として「低血糖」
が挙げられています。このように朝食を食べなくて、片頭痛の発作が出た人がいないかど
うか疑われるところです。最初の山崎有為の考え方とは正反対なのが納得出来ない点です。
次の、「片頭痛改善マニュアル 岡田俊樹」ですが、このマニュアルはストレスに原因と
なる片頭痛の場合は、これが適当のように思います。
最後の、「N.H.R 頭痛解消法
内田信友 」は、歯のかみ合わせに問題があって、頸椎に
異常を来している場合には良いマニュアルと思われます。
以上のように、片頭痛の原因に合わせて、それぞれのマニュアルを選ぶ必要性を感じま
した。
- 21 -
皆さんは、それでも、頭痛の時に脳外科に受診されますか 2011/08/25
私は、医師になってから、頭痛を訴えて来られる患者さんを、診察して来て、40 年前後な
ります。頭痛で、脳神経外科に私が依頼する方は、100 人診察しても、わずか 1 人くらい
です。このような状況であるにも関わらず、依然として、一般の頭痛患者さんは脳外科を
受診されます。自分で、脳外科的手術を希望されて受診されるのでしょうか?
頭痛を訴えて医療機関を受診される方の殆どは「慢性頭痛」の方です。医師自身が「脳
外科」の診察を必要と考えるのは殆ど限られた患者さんです。
患者さん自身が、脳外科に受診すべきと考えるべき場合は、これまで経験したことのな
い頭痛が突然出現し、意識が無くなるとか、嘔吐を起こすような「クモ膜下出血」を疑わ
せる方しかありません。
このような場合は、当然、脳神経外科のある総合病院に救急で受診しなくてはなりませ
ん。
しかし、最近、頭が痛くなったという患者さんは脳神経外科には受診すべきではありま
せん。
その理由を、ここに述べます。
まず、その1人は、本日来院された方です。26 歳の介護職をされておられる方です。2
年前から頭重感を訴えておられ、頭をスッキリさせるために市販の鎮痛薬を毎日、服用さ
れておられました。ところが、ここ1年前から朝起床時から頭痛が出現するようになり、
朝から鎮痛薬をいつもの倍量を服用されるようになったそうです。このため、半年前に、
某総合病院の脳神経外科を受診され、頭部CT検査を行い、心配ないから、鎮痛薬を飲ん
で様子をみておいてよいと言われたそうです。しかし、鎮痛薬をいくら服用しても、頭痛
は軽減されず、最近では、かえって頭痛がひどくなるため、当医院を受診されました。こ
れは、明らかに「薬物乱用頭痛」を来した方です。
次の方は、昨日来られた患者さんで、 12 歳の男の子ですが、小学校3年生から頭痛を
訴え、当時、某総合病院の脳神経外科の院長に診てもらい、こころの病ということで様子
をみるように言われ、その後も頭痛がひどく再度、同施設に受診したにも関わらず、心の
- 22 -
病との再度診断され、各種の精神科を受診されたようですが、精神科の先生には、何も問
題はないと言われて、困り果てて、先日、当医院を受診されました。問診の段階で、お父
さんが、激しい片頭痛の持ち主で、三番目のお子さんも、別の総合病院の小児科で片頭痛
の診断を受けて治療中のことでした。ということは、問診を詳しく聞いていないというこ
とになります。
以前の、ブログの「さまよえる群発頭痛患者さん」でも述べましたが、この時も同様で
す。
また、このブログではないのですが、ホームページ上で「問診の重要性」について述べ
させて戴きました。結果は、ここで述べるまでもありません。
このように、みて来ますと、頭痛患者さんの診断は、問診がすべてです。
私が以前、40 年前に勤務していた病院では、初診患者は、研修医が問診を行った上で、
診察に回すシステムでした。頭痛診療の問診には、カルテ1ページ位を埋め尽くす程の情
報を書き記さないと、認められず、この記載だけで、頭の病気かどうかがわかるようにな
っていました。この当時は、CTもMRIもない時代です。
現在は、CTもしくはMRIを先に検査して、何も異常がなければ、適当なこと、(本当
に、患者さんには悪いのですが、適当なこと)を言って、患者さん本人の「頭痛の本質」
は説明していないのが実情です。
これが、現実の当地域の「頭痛診療」の実態です。
つい先日、プロ野球の巨人軍コーチの木村拓哉が「くも膜下出血」になったときのよう
な場合は、脳外科に搬送するでしょうが、それ以外は、適当とは思われません。
これでも、頭が痛い時に脳神経外科に受診されますか?
脳神経外科医は手術手技を研鑽することに専念しているのが殆どで、片頭痛の診断・治
療(特に根治的治療)に関心のある先生は極めてまれであることを、一般の患者さんはご
存じではありません。
このような現実があるのですから、片頭痛の患者さんは、適当に鎮痛薬(トリプタン製
剤も含め)を処方されるのが関の山です。
- 23 -
現在は、片頭痛を根本的になくしてしまうことを考えて、日夜研鑽に励んでいる医療機
関のあることを考えるべきではないでしょうか。
皆さんは、どのように考えておられるのでしょうか?
あなたも片頭痛を治すチャレンジをしてみませんか? 2011/08/26
これまで、何回かにわたって述べて参りました。
あなたも、片頭痛を治すチャレンジをしてみませんか?
医療機関で薬をもらうだけでは、治すことはできません。
一定のプログラムに従って、あなた自身が行うことによって治すのです。
あなたさえ、片頭痛を治す「意志」があれば、必ず治せます。
焦らずに、じっくり片頭痛を治すための行動を起こしましょう。
そのために、まずインターネットのブログ「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治し
ちゃえ」をご覧下さい。ここに、自分で治した「小橋雄太」さんの体験談が書かれていま
す。ここで、どのようにして治していったかを理解して下さい。その要点は、頭痛発作が
起きた状況を丹念に記録することを積み重ねることです。
次に、以前もご紹介致しましたが、「山崎有為」さんをキーワードにして検索し「頭痛コ
ンサルタント山崎有為公式サイト」 にアクセスして「無料レポート」を入手して下さい。
そして 5,000 円を出して「頭痛解体新書」を入手して下さい。
私は、決して「山崎有為」さんの回し者ではありません。この方の頭痛体験レポート、
さらに「頭痛解体新書」とパートナーメールを熟読し、納得したからです。片頭痛が 5,000
円で治ってしまうことを考えれば、現在の医療費と比較すれば問題になりません。
これらを入手後、まず「頭痛体験レポート」を読んで、さらに「頭痛解体新書」に読み
進めて下さい。そしてパートナーメール、メルマガを毎日送られてきますので、目を通し
ていって下さい。「頭痛解体新書」で生活習慣をどのように改善していくのかを、頭に入れ
- 24 -
てもらって、山崎有為さんの考え方の概略を把握して頂きます。
これで、準備がすべて整いました。あとは、あなたが治す気になるかどうかです。
あなたさえ、治す意志さえ持てば、必ず治ります。ただ、医師や周囲の人には、助言は
もらえるかもしれませんが、誰も治してはくれません。治すのはあなた自身です。
この方法は、敵を知り、己を知って、対策を立て、生活習慣を改めるだけです。
余り、詳細に、方法を述べますと、山崎有為さんの著作権に触れますので控えます。
ただ、考え方の原則は、一般的な片頭痛の知識の概略をまず把握致します。ついで、自
分の片頭痛がどのようなものかを、よく知ってもらいます。このためには、小橋雄太さん
のブログにあるように、頭痛発作時の発生状況を、発作の度に、丹念に記録します。こう
して、共通の頭痛発生原因を探り、それらしいものが見つかる度に対策を立て、除去可能
なものから取り除いていきます。
そして、頭痛が治るまでの、一時的な応急対策として、発作時に備えます。それには、
薬を使わずに対処するか、市販の鎮痛薬で凌ぐことが可能か、もしダメであれば、医療機
関でトリプタン製剤が必要となるかを、あらかじめ対策を立てておきます。発作時が、う
まく乗り切れませんと、根治的対策は不可能です。長続きしませんので・・
このようにして、いよいよ「山崎有為」さんの考案された、10 のステップを踏んだ、生
活習慣の改善方法を、日常生活習慣に組み込んで頂きます。これは、いかにしてセロトニ
ン神経を活性化させるか、という観点からの考え方です。
山崎有為さんの方式のよいところは、メールサービスがあることで、途中で疑問に思え
たり、暗礁の乗り上げたときに援助(サポート)が受けられることです。片頭痛の方は、
周囲の人の理解があればよいのですが、大半の方は孤独で、独りで戦っている場合が多い
ことを思えば、心強い限りです。
また、山崎さんは自称「頭痛コンサルタント」と言っていますが、私には「医師」のよ
うに思えてなりません。それ程、知識は豊富で、以前紹介した「片頭痛克服マニュアル」
の他3者と比較して、医学的に疑問を感じる部分が殆どないように思います。
22 日間のメールサービスがありますが、この期間中に毎日メールで励まされ、生活習慣
の改善がここで何とか可能となるのではないでしょうか?
私も、現在、自分の医院に通院中の方々に説明の上、納得された方に、治験中です。こ
- 25 -
れを、行っていくための参考資料、例えば「慢性頭痛のすべて」「セロトニン全般の知識」
「アメリカの片頭痛医療・・カイロプラクテック手法、ヨガ療法、マッサージ法、歯科的
テンプレート療法」等々を満載したDVDを作成し、無料で提供することによって、お手
伝いをするとともに、再来時に、診察と同時に、治すためのサポートを行っています。
これまでも述べて参りましたが、片頭痛発作時の状況の把握を客観的に行え、それを記
録される方は、まず治すことは可能と予測しています。
問題なのは、発作時の状況を把握できない場合です。恐らく、日常の生活習慣そのもの
の中に、その原因がある場合で、こういった場合、「山崎有為」さんの 10 ステップを行う
なかで見つけていくしか方法はないのではないかと思っています。
問題は、患者さんのモチベーシヨンをいかに継続してもらえるかどうかに懸かっている
ように思います。
あなたも、一度はチャレンジしてみましょう。
一生、片頭痛とお付き合いするよりは、ずっと明るい未来があると思います。
「片頭痛を治す」をお勧めするまでの経緯
2011/09/11
それは、まさに偶然でした。先日も述べましたように、たまたまネット上に、小橋雄太さ
んのブログを見つけた時から始まりました。
そのブログとは、「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」というブログでし
た。この方は 10 年来、閃輝暗点という前兆を持った片頭痛に苦しみ、おまけにトリプタ
ン製剤が全く効かないタイプの「トリプタン・ノンレスポンダー」でした。頭痛外来にも
通院されたそうですが、一向によくならず、自分で片頭痛という病気を、徹底的にネット
で調べて、いろいろと検討され、行き着いた結論が、片頭痛の発作の原因が何かを突き止
めるということでした。このため、頭痛発作の度に、発作が起きた状況を詳細に記録して、
共通した要因を探り出すというものでした。その結果、小橋さんは「体の歪み」のその原
因があることに気がつかれたそうです。ただ、どのような過程で「体の歪み」にあると考
えた理由が示されていないのが残念でなりませんが、いずれにしても小橋さんは「体の歪
み」を治すために、初めは整体師さんに診てもらい、以後は自分で「体の歪み」をなくす
- 26 -
工夫を日常生活に取り入れて実行することによって、片頭痛が起こらなくなったというこ
とです。
これを読んで、本当なのか疑問を持ち、改めて、また別にこのようなサイトがないかど
うか探しまくりました。そうしますと、あと2サイトありました。それが
「私が片頭痛を治した方法~片頭痛、のち快晴!」
「片頭痛に悩む女性にお勧めです」
この2つは、小橋さんのブログのようには、詳しく述べられていませんでしたが、やはり
「体の歪み」「歯の矯正」を行うことによって、起こらなくなったそうです。
私も、昭和 45 年に医師になってこの方、片頭痛に興味をもっていましたが、これまで
読んだ医学書には、片頭痛の原因が「体の歪み」とか「歯のかみ合わせ」が原因となると
いう記載を見たことはありませんでした。また頭痛を診るための「バイブル的」な存在の
日本神経学会が作成した「頭痛治療ガイドライン」さらに日本頭痛学会が作成した「慢性
頭痛診療ガイドライン」「国際頭痛分類」には、このような片頭痛の原因として、「体の歪
み」とか「歯のかみ合わせ」等々の記載は全くありません。
そして、この3サイトに共通する点は、「片頭痛は医療機関では治らない」ということで
した。確かに、上記の2つのガイドラインともに、「片頭痛を治す」という項目はありませ
ん。一般的には、片頭痛は、片頭痛を起こしやすい体質があり、このため何らかのきっか
けで「脳が興奮しやすい」ために頭痛が起こり、将来「遺伝子治療」が行われるようにな
らない限り根治することは不可能で、自然の経過にまかすしかないというのが一般的な考
えでした。ただ、日常生活上の「予防的対策」の注意点が述べられているに過ぎません。
ということは、3サイトが指摘する通りです。
そこで、ネット上で、「片頭痛を治す」をキイワードにして検索しまくりました。
特に、整体、カイロプラクテイック、歯科矯正、ヨガ等々得られる限り情報収集いたし
ました。特に注目した点は、YOU TUBE で得たもので、アメリカで行われている治療方法
は極めて興味がありました。特に、カイロプタクターの手技、マッサージ法、さらに歯科
矯正(テンプレート療法) 、ヨガ療法、ボツリヌス療法等々さまざまな手法が紹介されて
います。日本では、片頭痛治療は「薬物療法」 が主体で、とくにトリプタン製剤を中心と
するものが殆どで、いささか奇異な感じがします。
そして、次に行ったことは「片頭痛克服マニュアル」の有料サイトに注目しました。
このようなサイトは5つありました。以下にお示し致します。
- 27 -
「頭痛コンサルタント山崎有為公式サイト 頭痛体質改善でお悩みのあなたへ」
「片頭痛改善マニュアル
「驚異の偏頭痛克服法
「片頭痛
大革命
岡田俊樹」
山本幸一」
坂戸孝志」
「N.H.R 頭痛解消法
内田信友」
以上、5つのマニュアル全てを購入し、検証致しました。
この中で、最も共感できたものは、山崎有為さんのものでした。岡田俊樹さんのものも
「山崎有為」さんのものに近いものと思われます。
「N.H.R 頭痛解消法
内田信友」は「歯のかみ合わせ」が悪いと「頸椎の前彎が消失し、
いわゆるストレートネック」になり、これが頭痛の原因で、これを是正するためにストレ
ッチ、体操、さらに、テンプレート療法に言及しており、かなり説得力があるものでした。
内田先生のは、緊張型頭痛の頭痛には、使えそうです。
以上5サイトそれぞれ、必ず「片頭痛が治る」という謳い文句です。
片頭痛の原因が、各人それぞれであるため、一律には行かないようにも思えますが・・
まず、小橋雄太さんは、発作の都度、頭痛発作時の状況を子細に記録を重ねることによ
って共通する要因を見つけ出すということを提唱されています。
私も、片頭痛の患者さんには、小橋さんの提唱されるように、頭痛発作時に状況を子細
に思い起こして記録して頂くようにお願いしています。
(当医院では「片頭痛治療のしおり」
を作成し、片頭痛全般の説明を行い、特に誘因として考えられているものには、どのよう
なものがあるのかを詳細に説明しています。このしおりを印刷したものを各患者さんにお
渡ししています)。このように記録をお願いしているのですが、患者さんによって、何が原
因となって発作が誘発されているかが皆目見当のつかない方がいらっします。
以前、当医院に開院後来院して頂いた患者さんが以後、薬物乱用頭痛をどの程度起こさ
れているのかを、アンケート調査をしたことがあります。その結果では、初診時に私が指
導したように、発作時の記録を丹念に行い、それに対処された方々は、片頭痛発作が起き
なくなっていました。このような患者さんばかりであれば、よいのですが、先程述べたよ
うに、発作時の状況を冷静に把握できず、発作の原因が分からない方がおられます。何回
お願いしても、記録できない方が継続して来院されているのが実情です。これまで、どう
して発作時の状況の記録が出来ないのか、考えに考えた末至った結論は、発作の原因が日
- 28 -
常生活習慣そのものの中にあるため気がつかないことに最近読んだもので、納得させられ
ました。それが、山崎有為さんの「頭痛解体新書」でした。
山崎さんの言うように、日常の生活習慣を見直す中で、何が原因となっているのかが、
恐らく理解されてくるものと確信した次第です。
私は、山崎さんの提唱されるプログラムに従って、自分の生活習慣を見直して、ライフ
スタイルを変えていけば、必ず、片頭痛は治ると考えております。
こうして見ますと、片頭痛治療における医師の役割とは、頭痛発作にいかに対応するか
ということと、発作回数が多い場合、いかにして回数を減らすかというだけではないでし
ょうか。片頭痛は、医師が治すのではなく、患者さん自身が治すものであるということで
す。ここに、片頭痛を治す、難しさがあると考えます。
この考え方に異論を持たれる方は、意見をお願い致します。
以前、北里大学の坂井文彦教授が「片頭痛医療はコミュニケーシヨン医療」とくしくも
表現されましたが、現実はこのような世界ではないようです。
頭痛専門医は、トリプタン製剤を患者さんにせっせと処方し、「片頭痛は治らない」から
時期がくるまで我慢しなさいというだけでは、製薬会社を儲けさすだけで、日本頭痛学会
もこのあたりを見直す時期に来ているように思えてなりません。
日本の片頭痛医療
2011/09/12
日本では、15 才以上の成人では約 840 万人が、片頭痛を持っていると推定されています。
しかし、この中で頭痛発作時に救急病院を受診しながらも、継続して医療機関を受診され
ない方も含めて、ほとんどの方は、医療機関では治療されておられないようです。
ここ 10 年間は、トリプタン製剤が販売されるようになってからは、大半がトリプタン
製剤を中心とした治療が、医療機関では行われてきました。
名古屋の寺本純先生に、「トリプタン御用医学者」と言われる程、トリプタン一辺倒にな
ってしまいつつある頭痛専門医も多数おられることも事実です。
日本頭痛学会とトリプタン系製剤のメーカーとの結びつきを勘ぐらせる一面もあります。
このように、日本の医療機関での、片頭痛治療は、薬物治療が主体で、日本頭痛学会での
- 29 -
演題には、カイロプラクテック手法に関連した演題は殆ど皆無に等しいのが現状です。
ところが、アメリカでは、薬物療法以外に、カイロプラクターが、片頭痛治療に大々的
に参画しています。
そして、ネット上では、「片頭痛は医療機関では治らない」というブログが散発的ではあ
りますが、目につくようになって来ました。これと歩調を合わすかのように、整骨院、カ
イロプラクターの「片頭痛治療」のコマーシャルが、目につきます。特に「片頭痛を治す」
というキイワードでネット検索を行いますと、検索されるものの大半は、整骨院・カイロ
の宣伝です。悲しいことに、「医療機関が、このようにして片頭痛を根治させる」というも
のは、歯科の先生の内田信友先生のものしかありません。内田先生の主張は、歯のかみ合
わせが悪いと、頸椎の前彎が消失して、片頭痛を起こしてくるというものです。
このような現状を見て思うことは、日本頭痛学会が、以前北里大学の坂井文彦教授がさ
れたようなアンケート調査を行って、どのような手段で片頭痛に対処し、その結果がどう
であったかを、調査を行えば、片頭痛の病因の一端が掴めるのではないかと思います。
ネット上での「片頭痛を治した」という体験談、さらに有料の「片頭痛克服マニュアル」
を提供されている方々の主張にもある意味で、真実がある訳ですので、このあたりの検討
が必要な時期にきているように思えてなりません。
その後、有料のマニュアルを2つ見つけました。これで、マニュアル7つに、体験談は
4つになりました。やはり、以前のブログで述べましたように、片頭痛発作時の状況を把
握・分析を積み重ね、これらの共通項を探り出すことが基本であることが判明しました。
このように考えてみますと、国際頭痛分類第2版で、片頭痛と分類されているものは、
「片
頭痛症候群」であって、この中には、体の歪みによるもの、歯のかみ合わせの悪さによる
もの、食事摂取に問題があるもの、生活習慣そのものに原因があるもの、ストレスが関与
しているもの、そして最後に「生まれつきの片頭痛体質」が関与しているもの、等々が含
まれることになるということではないでしょうか?
そして、これらに対して、それぞれ対処して、根治させるという治療方針です。
いつまでも、従来通りに、「片頭痛症候群」に対して、トリプタン製剤一辺倒の治療では
ブログの主催者に、「片頭痛は医療機関では治らない」と言われ続けることになりかねませ
ん。私は、頭痛専門医ではありませんが、神経内科医の立場がら、残念でなりません。
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片頭痛発作時の記録について
2011/09/12
これまで再三、繰り返し述べて来たことですが、片頭痛の発作は、必ず、何か引き金(誘
因、トリガー)があって起きてくるもので、何も引き金なしに「突如」起きてくるもので
はありません。
片頭痛のトリガー(誘因)は片頭痛の患者さん個々で異なっています。そして、さらに
やっかいなことに、その同一の患者さんでも、その日の「体調」「天気」「季節」等々によ
って異なることです。
最近、東京女子医大の清水俊彦先生が「頭痛女子のトリセツ」という書籍を出版されて
おられますが、片頭痛発作と誘因の関係がわかりやすく書かれています。
これまで、当医院では、一般的に、誘因(トリガー)となりうるものをすべて記載した
ものを、お渡しして、発作時に何が関与していたかを見つけ出すようにお願いしています。
具体的に、どこで、どのような状況で起きたのか、例えば、その日の体調はどうであっ
たか(食事はちゃんと摂取していたか、睡眠は十分であったか、あるいはいつもより寝過
ぎていなかったか、生理中ではなかったか)また、天気がどうであったか、さらに、どの
ような場面で頭痛が起こり始めたか、等々、気がついたことを記録してもらうことです。
従って、このような誘因を見つけ出せるのは、患者さん本人しか出来ないことです。
最近、来院された方で、ご主人が「片頭痛」なのですが、いつも奥さん同伴で来られ、
本人に何を質問しても、何一つお答えにならず、奥さんだけが、ペラペラお話になり、こ
の中で、休日のあと起きているように思われたため、睡眠の取り方についてお聞きして、
初めて「寝過ぎ」が誘因と判明しました。そのため、休日も、平日と同じように起床する
ように指導し、一端は、落ち着いたかのようにも思われたのですが、最近、再度、激しい
頭痛が4,5日続くため来院されたのですが、本人に何を尋ねても一切お答えになりませ
ん。今回は奥さん自身も気がついた点がなかったようです。
ただ、痛い、痛いと言って来院されるのでは、何も解決しません。
このような例をみて理解して頂けると思いますが、夫婦で、1日のうち半分は生活を共
にしていても、発作の誘因は、本人以外には、全く分からないということです。
発作時の記録方法ですが、私は、これまで、北里大学の坂井文彦・五十嵐久佳先生らが
考案された「頭痛ダイアリー」を利用しておりますが、このダイアリーの摘要欄の空欄が
- 31 -
せまいためか、ほとんどの方は記載されません。ただ頭痛の起きた日と、その程度くらい
しか記入されません。このため、小橋雄太さんのように、専用のノートを作って、発作状
況を詳細に記録するのが一番よいように思います。
このように記録を重ねるだけで、自分自身で、発作の誘因が探り出せる方々が多いので
すが、このような方々は、自分で対処されて、発作を起こらなくされています。
問題は、いくらこのように発作時の記録をお願いしても、発作の引き金が何かを見いだ
すことができない方がおられます。これらの方々は、次の2つが原因として考えられます。
一つは、発作の誘因が、日常生活そのものの中にあるために気がつかない場合と、もう
ひとつは、自分の「片頭痛発作」のパターンがよく理解されていない場合です。
まず、日常生活習慣そのものに問題があるため、記録できない方は、当医院作成の「片
頭痛克服プログラム」に従って、日常生活を点検して、問題点を是正していけば、発作の
トリガーも見えてくるようになります。
次の「片頭痛発作のパターン」がよく分かっていない場合に、発作の誘因の分からない
方は、一般的な「片頭痛発作」に関する知識がなお不足しているため、自分の発作パター
ンが、よく理解できていないものと思われます。このような方のために、「慢性頭痛のすべ
て」というCDを作成しています。これをご覧になられれば、短時間で「片頭痛」そのも
のを理解してもらえると考えます。これまで「片頭痛克服マニュアル」を作成された7人
の方々は、普通の医師以上、頭痛専門医なみの知識を持っておられることに驚かされます。
ということは、片頭痛を克服するには、片頭痛の一般的な知識が必要とされることの「証
明」だろうと思います。
最も、患者さんにして欲しくないことは、片頭痛の原因が、CTで分からなければ、M
RIであれば、原因が分かるのではないかと考えて、MRIを撮影してもらうことです。
MRIを撮影したからといって、片頭痛の原因は絶対にわかりません。
いずれにしても、患者さん本人が、片頭痛発作時の状況の把握・分析の積み重ねを行う
ことが、片頭痛克服するための、最低必要条件だろうと考えます。
敵を知り(一般的な片頭痛の知識)、己を知る(自分の片頭痛を知る)ことが、片頭痛克
服のスタートと考えて下さい。
患者さん以外の人間には、誰も分からないことで、本人の原因探索の意志がない限り、
分からないということです。ここに片頭痛治療の難しさがあります。こんな面倒なことを
する位なら、痛み止めを飲んで我慢しようといったことが、根本的治療にまで至らない理
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由であることを認識することが大切です。
こんなことでよいのでしょうか
2011/09/16
本日、20 年来、高血圧症・糖尿病で通院されている建設会社の社長さんが、定期的の受診
で来院されました。本人が診察室に入って来られて、真っ先に、「今日は、追突されて、先
程まで、近くの整形外科を受診された」ということでした。どうされたのかと確かめます
と、受診前に追突されて、整形外科に受診したが、3時間待たされて、頸椎のレントゲン
検査をして、「骨には異常がないから、湿布と薬を出しておきます」と言われ、その後、当
医院を受診された訳です。そこで、お聞きしますと、本日は仕事は止めるように言われな
かったかと問いただしますと、そのようなことは一切言われなかったということでした。
私は、唖然として、歩いて受診した「追突事故に遭遇した」患者に「レントゲン検査」が
必要かどうか、さらに「追突事故を受けた患者」への指示に疑問を持ち、社長に、改めて、
お聞きしました。私の所に来院された時点でも、頸部の痛みを酷く訴えておられ、動くと
吐き気を催すとのことでした。そこで、どのような指示を受けたかと改めて、お聞きしま
した。そうしますと、安静の指示はなく、本日処方した薬と湿布を貼って、軽快しなけれ
ば、1週間後に受診するように、言われたということでした。
そこで、社長さんに、追突事故にあった場合に、頸椎には異常がなかったとしても(仮
に頸椎に異常があれば、まず歩いて受診できることはあり得ない)頸椎を取り巻く頸部の
筋肉にダメージが及んでいることを、模式図を示しながら説明し、このような事故の後に
頑固な頭痛を後遺症として残してしまうことを説明しました。このような後遺症を残さな
いためには、少なくとも、自覚症状が消えるまでは「安静」にすべきと私は、指示しまし
た。そう指示した途端に、その社長の言うことに、全く唖然とした次第です。
そのような指示をすれば、結局、良くならないため、1週間後には受診せざるを得なく
なり、その医院は儲けるだけのことではないかと、お話しました。
「そんなことを指示するから、先生の所は患者が少ないんだ。あの先生の所を受診すれ
ば、最低3時間は待たされるのだ。ここのように、すぐに診てもらえる所とは違うんだ」
と毒づいて帰られました。
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ただ、ただ、私は、あんぐり口を開けて、見送るしかありませんでした。
本日の、お粗末な結末でした。
後で、考えることですが、このような整形外科医がいるために、私が「メシを食える」
のかも知れないと反省し、持ちつ持たれつの世界なのでしょうか?
皆さんは、どう思われますか?
片頭痛を治す・・私からの提言 2011/09/27
片頭痛は、生まれつき片頭痛を起こしやすい体質(遺伝的に受け継がれます)のある方
が、不規則な生活やストレス等によって自律神経系が乱れたり、歯のかみ合わせの悪さと
か姿勢の悪さ等によって頸椎の彎曲に変化を起こし、「体の歪み」が原因となったり、様々
な後天的な要因をもとにして、引き起こされて来ます。
そして、片頭痛発作は、何らかのきっかけ(誘因・トリガー)によって生じて来、何も
なしに突然おこることはありません。このことは、前回述べました。
片頭痛を治すために、することは簡単です。それは
1.片頭痛についてよく知ること
2.自分の片頭痛をよく知ること。
自分の片頭痛の原因、誘因が何かを知ること
3.たちまち、発作時の対処法を覚える
4.1日 15 分間の体操を行うこと
5.日常の生活習慣を見直す。
「セロトニン生活」を実行する。
しかし、問題は、他力本願ではダメなのです。全て自分で行っていく必要があります。
私は、一言で「片頭痛」といっても、いろいろなレベル(段階)があるように思います。
大まかに分けるなら、3段階があるのではないでしょうか?
まず、第1段階は、頭痛の発作の度に、その誘因(引き金)が分かる段階です。
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この段階であれば、誘因に対する対策を立てて、極力誘因を除去すれば、発作は防げます。
第2段階は、発作時にいくら注意を払っても、誘因がつかめない段階です。このような方
は、日常生活そのものの中に誘因があって、分からない場合です。自分の生活習慣が「セ
ロトニン生活」とどのように異なっているかを検証する必要があります。
不規則な生活、食生活が、日常的になってしまっているからです。
第3段階は、片頭痛に薬物乱用性頭痛が加わったり、変容性片頭痛となってしまった段階
です。このような場合は「頭痛専門医」の手に委ねるしかありませんが、頭痛のプロでも
軽快しない方も多いのが実情です。
以上のように考えますと、繰り返される頭痛の場合は、まず「片頭痛」かどうかを診断
してもらい、早期に「第1段階」で治してしまうことが、極めて重要です。
市販の鎮痛薬を飲みながら、自己判断することは、極めて危険です。
問題の、第2,3段階にまで、不幸にも至ってしまった場合は、徹底的に現在の「ライ
フスタイル」を見直して、「セロトニン生活」を目指す必要があります。これ以外には、方
法は無いと言っても過言ではありません。そうしない限り、発作の都度、市販の鎮痛薬や
トリプタン製剤が、一生手放せなくなってしまいます。
私は、片頭痛は「生活習慣病」と同じように考えております。
生活習慣病は、現在「特定健診」で予防できるようになっていますが、大半の方々は、
「健
診」だけは受けますが、メタボと診断されても、殆どの方は「生活指導」までは受けられ
ません。厚生労働省の方針通りに、「生活指導」まで受け、これを実行する限り「生活習慣
病」にまではならないわけで、ひいては、脳卒中・心臓病・腎臓病はこの世から、無くな
ってしまい、内科系の開業医の患者さんは、半減してしまうことになります。
しかし、このような「生活指導」を受けられず、高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風にま
でなってしまう方々がおられるお陰で、内科系開業医が「飯が食える」のではないでしょ
うか。
これに例えるならば、片頭痛の第1段階は、
「メタボ」と特定健診で診断された段階です。
そして第2段階の方は、高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風にまでなった段階です。
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さらに第3段階の方は、脳卒中・心臓病・腎臓病にまでなってしまった状態と考えて頂け
れば、理解しやすいのではないでしょうか?
「ライフスタイル」を見直して、食生活を改善しましょうと、口では簡単に言えますが、
実行するのは、患者さん自身です。高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風の場合も、生活習慣
を徹底的に見直せば、薬も要らなくなるはずですが、現実はそうではありません。これら
の方々は、薬さえ飲んでおれば、治ると思っておられるようです。
最近、ネット上のブログで「片頭痛は、医療機関では治らない」と非難されていますが、
私は、そうとは考えておりません。片頭痛を無くすためには、このように「ライフスタイ
ル」を見直して、食生活を改善しましょうと、いくらお話ししても、当の本人が、薬に頼
っておれば、あたかも「治る」と錯覚を起こされているのではないでしょうか?
どんな病気の患者さんでも、全て医師まかせで、治してもらえるものと期待されておら
れるようです。しかし、片頭痛も生活習慣病も医師まかせでは、ダメなんです。
10 年前に、トリプタン製剤が発売された当時は、テレビや新聞等のマスコミで、「片頭
痛の特効薬」と大々的に宣伝されました。当時は、片頭痛患者さんは「これで片頭痛は治
る」と思われた方が、いかに多かったかが思い出されます。しかし、現実には、確かに「市
販の鎮痛薬」よりは「鎮痛効果」のある薬ではあるが、これで「片頭痛が根治する」わけ
ではないということが、次第に患者さんに浸透し、その結果、殆どの片頭痛患者さんは、
医療機関には受診されなくなりました。このような高価な「お薬」は、トリプタン製剤し
か効かない方々にしか人気はないようです。
私が、ここで申し上げたいことは、片頭痛が起こり始めた段階(先程の「第1段階」
)で、
なるべく早く、医療機関を受診され、どのようにして「片頭痛を治す」かについて指導を
受け、これに従って、生活習慣を見直すことによって、片頭痛を起こらなくすべきと考え
ます。手遅れにならないうちに、手を打つべきと考えます。
ただ、このような「指導」もせずに、ただ鎮痛薬かトリプタン製剤を処方するような「医
療機関」は敬遠すべきだろうと思います。
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いかがでしょうか?
やはり、小橋雄太さんの言われる通りでした
2011/09/27
先日、全国慢性頭痛友の会の会長さんに8年ぶりに、当医院のブログ「頭医者のつぶや
き」(立ち上げて以来、全く頭痛とは関係ない人に「馬鹿なコメント」しかもらえず、肝心
の頭痛で悩まれている方々の参加が全くなかったために)を紹介させて頂く意味で、メー
ルをさせて頂きました。会長さんも長年片頭痛に悩まれ、このために、友の会を結成され、
活動されておられます。(このブログにこのようなことを明かすことは、プライバシイの侵
害とは存じておりますが、友の会の会員には、言わば公然の秘密のように思われているよ
うですので・・明かしました)
会長さんは、その主催される会の運営上、日本で有名な頭痛専門医と懇意にされ、恐ら
くは、会長自身の主治医も、有名な頭痛専門医であろうかと想像されます。
メールを差し上げて、分かったことでしたが、現在なお「片頭痛の現役でした」。
会長さんは、
「慢性頭痛に関する知識」は一般の医師とは比べものにならない位 豊富で、
「頭痛専門医」と遜色ないものと想像されます。この会長さんがなお、片頭痛を克服され
ていないという事実が、何を意味するのか、迷いに迷った末、会長には断りもなしに、敢
えて、このブログに掲載させて頂きました。ゴメンなさい。お詫び致します。
この会長の「片頭痛が治っていない」事実を知って、先日の小橋雄太さんのブログ「イ
ミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」のテーマである「片頭痛は医療機関では
治らない」ということが「真実」であることを残念ながら認めざるを得ないと思いました。
会長さんとのメールのやりとりの全てを、このブログに掲載すれば、なぜ、治らないの
かという事実が、一目瞭然に(明確に)なると考えますが、これこそ「プライバシイの侵
害」になりますので、今回は控えさせて頂きます。
いずれ会長の片頭痛が無くなった時期に、会長さんの了解を得て、ここに掲載させて頂
く予定です。ただ、知って頂きたいことは、会長さん自身が、頭では、よくないと分かっ
ておられながら全会員のことを考えられて、現在もなお先頭に立って会を運営されておら
れることです。会長さんの日常生活は、想像を絶するような多忙さで、1日に何時間睡眠
- 37 -
がとれているのか、分からない程です。それ程、超多忙のようです。
この会長さんの「生活習慣」の一端を垣間見ただけで、なぜ「治らないのか」が、私に
は、よく理解できました。
本来であれば、会長さん自ら「片頭痛を治して」会員の規範とならなくてはいけない存
在であるべきところ、全会員のことを配慮される余り、自ら自分の片頭痛と引き換えに、
こうすればよいと分かっておられながら実行出来ないというジレンマがあるように見受け
られます。
この点を、友の会員の方々はご存じでなく、会長さんの身を考えてあげることが必要で
あろうかと考え、ここに掲載させて頂きました。会長さんの片頭痛を治すには、もっと会
の運営の「お手伝い」をされる方々が多く出てこられるのを待つしかないようです。
これまでの会長さんとの「メール」のやりとりの全文を掲載し、友の会の会員の皆さん
がご覧頂ければ、どのような生活習慣で片頭痛が起きて来るのかが、容易に理解され、こ
れに対してどうしなくてはいけないかが、分かってもらえるものと思います。「片頭痛は生
まれつきのもので、治らないものである」という考え方が間違いであることが理解される
と思います。
しかし、会長さんの片頭痛が治ってしまうまでは、掲載は待ちましょう。
友の会の「会報」で、どのように色々な情報を掲載されるよりは、ずっと参考になると
思われます。「どうして、片頭痛が治らないか」を、知ることは極めて大切です。
片頭痛の治療は、トリプタン製剤が出現する以前から、基本的な考え方として、規則正
しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするように
と、指導されて参りました。これはエルゴタミン製剤の時代からずっとです。
(このように至極当然のような生活様式でありながら、片頭痛の方は、このような一般
常識である「生活様式」からかなり程遠い方が多いように見受けられます。)
しかし、当時は、このような生活様式のあり方が「セロトニン不足」と関連づけた考え
ではなく、あくまでも、経験的に考えられていたように思います。
ところが、トリプタン製剤が出現後は、このような基本的な生活指導をせずに、薬だけ
を服用すればよいといった風潮が優勢となり、これが「片頭痛は治らない」という考えや
批判につながっているように思えます。
日本頭痛学会・日本神経学会の作成した「片頭痛診療ガイドライン」には、このような
生活指導に関しては、全く触れられておりません。なぜ、なのでしょうか?
- 38 -
最近では、エビデンス医療を重要視する余り、このような「基本的な生活習慣」による
「片頭痛治療効果」のエビデンスがないために軽視されているのか、または当然のことと
して触れていないのでしょうか?(言うまでもないこととして)。
恐らくは、厳重な「セロトニン生活」を徹底して行っていけば、いつの日かは、片頭痛
は起こらなくなるものと考えられてきている時代でありながら・・・
ただ、誰も、生きている以上「聖人君子」のように「セロトニン生活」の全てを行うこ
とが可能であるとは限らず、この点は、妥協しながら、片頭痛と「お付き合い」しなくて
は、いけない場合も当然あります。このような場合が多いことは否定しません。
このよう状況であるからこそ、頭痛外来も、トリプタン製剤メーカーも、
「お互いが潤う」
ことによって、丸く収まっているのかも知れません。しかし、片頭痛患者さんにとっては、
たまったものではありません。
あくまでも、理想的な形の「生活様式(ライフスタイル)」にすれば、発作は「必ず、起
きなくなる」といった、夢を「医師たる者は示すべき」ではないでしょうか。
それとも、片頭痛患者さんがいなくなれば、頭痛外来は干上がり、トリプタン系製剤メ
ーカーの収益が激減してしまうため、以上のような点を無視されているのでしょうか?
*
以前、当医院のホームページにも、引用させて頂きましたが、今でも印象深い記事ですの
で、再度、ここに掲載させて頂きます。
それは、医学ジャーナリストの「植田美津江」さんが、自分のホームページに、平成 17
年 5 月 17 日に掲載されたものです。
*
―安易なガイドラインこそが危ない―
*
5 月 2 日付日経新聞に「頭痛の悩み
専門医が診断」のタイトルで、「慢性頭痛」を正確
に診断・治療する専門医を日本頭痛学会が認定するという内容が発表された。
「慢性頭痛」とは、脳梗塞とか脳血栓のように、深刻な病気ではないのに頭が痛い症
状のことで、3 種類に大別されるらしい。ずきずきした激しい痛みを生じる「片頭痛」、肩
- 39 -
や首筋のコリを伴う「緊張型頭痛」、決まった時期に起こる「群発型頭痛」で、最も多いの
が「片頭痛」と「緊張型頭痛」の混合型だといわれる。実際、日本人の 4 割が慢性頭痛で
悩んでいるそうだが、緊張型頭痛などはパソコン世代にとっては日常の悩みの種だろう。
1998 年には「全国慢性頭痛友の会」が発足し、現在 700 名の全国会員で構成されている。
サイトには、慢性頭痛に悩む方の日記や経験があちこちにあり、その苦悩や、ときにはユ
ーモラスな闘いぶりを知ることができる。
頭痛に限らず、万人に効く薬はないことから、結局は色々な鎮痛剤を試すことになり、
医学は進歩しているといっても慢性頭痛の原因はおろか治療法さえ確立されていないのが
現状である。古来から存在するのに治療法がないという点では風邪と同じということだ。
さて、記事の内容は「頭痛の専門医を頭痛医として認定する」、「慢性頭痛の診療ガイド
ラインを作成する」ことにより、患者の悩み解消につながるといったもの。科別ではなく、
症状別のガイドラインは珍しいことから、多少は「患者中心」のように見えるが、根本的
な考え方は間違っているように思える。
慢性頭痛の解消法は、「自分にあった適切な鎮痛剤を見つけ」
、「ストレスや疲労などを避
け」、「リラクゼーションを試み」、「頭痛と上手に付き合う」ことに尽きるようだ。さらに
それ以前に、重篤な脳血管疾患との鑑別を早期に行うことが絶対不可欠である。とすれば、
慢性頭痛の対処に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医の役割であるはず、診断して
もこれといった治療法がないなら(恐らくは確固とした治療法は生まれない)、ガイドライ
ンを作っても慢性頭痛の解消にはつながらない。慢性頭痛に悩む人は、「診断」後の慢性頭
痛からの開放こそを切に期待しつつ、鎮痛剤に依存する精神的ストレスから逃れたいので
ある。
厚労省は何かというと「学会」を持ち上げ、「ガイドライン」を作ることで安全なところ
に身を置くことと引き換えに、疾患の多様性と他の治療の可能性をつぶしてしまう。
こ
こからも、今の医療に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医(かかりつけ医やホーム
ドクター)であるはずなのに、医学教育改革をせずにガイドラインばかり作ってお茶を濁
- 40 -
しているのだ。
医学が進歩したというより、診断学のみが進歩し患者の苦しみや訴えは置き去りにされ
ている。仮に、リラクゼーション効果を期待できる「東洋医学」「インド医学」など西洋医
学以外の医療とのダイナミックな融合を図ることで、慢性頭痛に代表されるストレスが深
く関与した現代病はかなり解決できるように思う。
しかし現実は、いずれの取り組みからも逃げ、重い腰をあげようとはしない。これではせ
っかくの症状別ガイドラインも、結局は自己満足の産物で終わってしまうに違いない。
*
*
ここまでが、記事の内容です。以下は、私の考え方です。
*
*
私が申し上げたいことは、果たして「片頭痛は生まれつきの体質」があって治らないも
のか、という疑問です。そのような体質があっても、一生、片頭痛を発症しない人もいま
す。例えば、片頭痛のある母親から、生まれた一卵性双生児の子供でも、必ずしも、2人
とも、片頭痛を発症するとは限らないという臨床的事実があります。これは、何を意味し
ているのでしょうか?
その後の後天的な要素、環境因子等々が関係している証拠ではな
いでしょうか?
一卵双生児の「片頭痛を発症」していない方に、もう片方の片頭痛を発症している人の
「片頭痛の誘発因子」を多数負荷すれば、恐らく、頭痛は誘発されるでしょう。
ただ、このような「実験」は人道上、許されることではないため、されていないだけの
話です。
また、ネット上で、片頭痛を治された方々の体験談をどのように説明するのでしょうか
(これらの体験談を書かれておられる方の、片頭痛は「自己診断」でなく、全ての方々は
「頭痛専門医」の「頭痛外来」を受診されて、片頭痛と診断されています)
- 41 -
これらの方々は、自分で片頭痛を治したと、その体験を綴っています。
私は、全ての片頭痛とは言いませんが、片頭痛体質をもっている方が、後天的な要因、
生活習慣の乱れ、(食生活、姿勢の悪さ)・ストレス・歯のかみ合わせの悪さ、体の歪み等
々の原因から引き起こされてくるものがあると考えます。本質的に「体質」そのものによ
る頻度は、どの程度かは、明らかではありませんが・・。
少なくとも「国際頭痛分類第2版」の基準に従って「片頭痛」と診断されているものは、
「片頭痛症候群」であって、その原因は様々だろうと思われます。
これらに対して、原因を追及することなく、一律に「トリプタン製剤」だけでは
何時までも治らず、挙げ句の果てが、「先天的な体質」によるものとされてしまうのがオチ
ではないでしょうか?
少なくとも、片頭痛の原因として想定されている可能性を考慮して、日常の生活習慣の
確認を含めて、原因の精査を行い、見つからない場合は、頭痛発作の引き金を丹念に調べ、
これを手がかりに、原因を追求していくべきと考えます。
このような点は、これまで「片頭痛と診断された」方々が、現在、どのようになってい
るのかを、アンケート調査でも行ってみれば、明確になると考えますが、「日本頭痛学会」
のお偉い方々には、興味がないのか、いつまでも実態調査をされようとはされません。
このような点を解明しない限り、いつまでも小橋雄太さんに、馬鹿にされ続けることだ
ろうと思います。
私には、片頭痛で悩んでおられながら、治せない方は、自ら「治す道筋」を閉ざしてし
まっているとしか思えません。自分で治すものである、という意識に欠けています。
どんな病気も、医師が治すのだからと言って、他人まかせではダメなのです。
このような意味で、片頭痛は糖尿病をはじめとする生活習慣病と同じであると主張した
いのです。2型糖尿病は、ご承知のように、食生活の乱れ・運動不足・ストレス等の生活
習慣の中から、糖尿病の素質のある方が発症してきます。ですから、糖尿病の治療には、
これらの発症要因、特に食生活を最低限、改めない限り、糖尿病の治療は考えられず、食
生活の改善は、
「患者さん自身」がしなくてはなりません。知識として知っているだけでは、
ダメで、実行しなくては、糖尿病の改善は得られません。いかに知識だけ豊富であっても、
- 42 -
実際に自分で行わない限り、何も解決しません。片頭痛も全く同じなのです。
このような点で、片頭痛は生活習慣病と全く同じであると言っている所以です。
片頭痛という病気は、自分自らが克服していく病気である、と認識さえすれば、必ず、
起こらなくなってきます。決して、諦めないで下さい。
このように意識改革をしない限り、片頭痛は撲滅できません。
このような点を踏まえない限り、いつまでも「片頭痛は治らず」、「頭痛外来」と「トリ
プタン製剤のメーカー」を儲けさすだけのことです。
1日も早く、「全国慢性頭痛友の会」が、「同病あい哀れむ会 」から、「片頭痛を克服す
る会」へと、変貌されることを、切に望むものです。
参考までに、片頭痛と製薬メーカーとの関係については、名古屋の寺本純先生の「こう
して治す 片頭痛
薬物乱用頭痛といわれたら
講談社」 をご覧になられれば、明解にに
説明されています。
寺本先生は、この書籍の中で、トリプタン製剤が発売された頃は、日本全国各地に「頭
痛外来」が多数創設されたが、これが、次第に閉鎖されて行っていることに付いて触れて
います。これと相反するように「頭痛専門医」は、片頭痛治療には、トリプタン製剤を使
用するよう、いろいろ勧めています。例えば、片頭痛を「適切に」治療しないと、脳梗塞
になるとか、慢性片頭痛に移行するとか、様々な形で、「頭痛外来」へ誘導しようと試みら
れています。・・等々、興味深いことが書かれています。
一度、読んでみる価値があるように思います。
「全国慢性頭痛友の会」の片頭痛の方々が一日でも早く、片頭痛を克服されるためには、
まず、会長さんの片頭痛を無くしてもらわなくては、その「秘策」はいつまでも、公開で
きません。このためにも、友の会員へお願い致します。会長さんの、体を休ませてあげる
べく、「友の会」の運営を少しでも、手伝ってあげて下さい。
そうすれば、会長さんの片頭痛は自然に無くなってしまいます。
- 43 -
現在、余りにも忙しすぎます。
以上のような、経過です。
「片頭痛を治す」難しさの一端でも、知って貰えればと・・
日本頭痛学会と製薬会社
2011/09/28
皆さんはご存じでしょうか?
日本頭痛学会と製薬会社の結びつきについてです。日本頭痛学会ほど、製薬メーカーと
の関係が目立つ学会は珍しいのではないでしょうか。
過去3年間で、日本頭痛学会で、名を連ねた製薬メーカーを一覧してみますと、以下の
ようになっています。
*
第 36 回 日本頭痛学会総会 2008 年 11 月
東京ファッシヨンタウンホール
*
ランチョンセミナー
1
The Science of Headache : A Message to Clinician
Hans-Christoph Diener
エーザイ株式会社
ランチョウウセミナー
2
これからの片頭痛治療~発作タイプに応じたテーラーメイド治療を考える
鳥取大学医学部
竹島 多賀夫
グラクソ・スミスクライン株式会社
- 44 -
イブニングセミナー
Medication Overuse Headache : Where are we now ?
Zaza Katsarava
ファイザー株式会社
スポンサードレクチャー
片頭痛は、なぜ慢性化するのか?ーその機序と対応
間中病院
間中 信也
アストラゼネカ株式会社
*
第 37 回
日本頭痛学会総会
2009 年 11 月
宇都宮東武ホテルグランデ
*
Headache Clinical Seminar Speakers Program
エーザイ株式会社
イブニングセミナー
CHRONIC DAILY HEADACHE : SPECIAL EMPHASIS ON CHRONIC MIGRAINE
David W.Dodick
エーザイ株式会社
ランチョンセミナー
1
片頭痛の痛みのサイエンスと新たな治療ー CGRP をめぐる新たな動き
慶応義塾大学医学部
鈴木 則宏
ファイザー株式会社
ランチョンセミナー
2
片頭痛マネージメント~女性特有の病態と治療
- 45 -
神奈川歯科大学
五十嵐 久佳
グラクソ・スミスクライン株式会社
ランチョウンセミナー
3
頭痛患者に対する系統的アプローチ
東京女子医科大学
清水 俊彦
アストラゼネカ株式会社
市民公開講座
「頭痛と脳卒中」
グラクソ・スミスクライン株式会社
田辺三菱製薬株式会社
大塚製薬株式会社
*
第 38 回
日本頭痛学会総会
2010 年 11 月
東京ドームホテル
*
ランチョンセミナー
国際頭痛分類
1
第2版の理解のために
国際頭痛分類の過去・現在未来~迷宮からの脱出~
間中病院
間中 信也
エーザイ株式会社
ランチョンセミナー
頭痛診療
2
上津原甲一
アストラゼネカ株式会社
ランチョンセミナー
3
三叉神経痛の診断と治療
キッセイ薬品工業株式会社
- 46 -
ランチョンセミナー
4
Recent advances in Neuroendovascular Techniques
Kevin M.Cockroft
田辺三菱製薬株式会社
ランチョンセミナー
5
低髄液圧頭痛の診断と治療
喜多村 孝幸
MSD株式会社
ランチョンセミナー
6
日本発の抗血小板療法のエビデンスと忍容性に関する工夫
西山 和利
大塚製薬株式会社
イブニングセミナー
1
トリプタン使用の実際
座長
中島健二
グラクソ・スミスクライン株式会社
イブニングセミナー
座長
2
坂井 文彦
ファイザー株式会社
イブニングセミナー
3
頭痛からみたクモ膜下出血
持田製薬株式会社
市民公開講座
頭痛をもっと知ろう
グラクソ・スミスクライン株式会社
- 47 -
*
この3年間だけを通覧しても、トリプタン製剤メーカーが、いかに多く、協賛しているか
が理解されることと思います。
このような状態ですので、現在では、片頭痛急性期の治療薬は、トリプタン製剤が殆ど
を占めるようになり、エルゴタミン製剤が極度に減少しています。
この実態は、名古屋の寺本純先生の「片頭痛を治す 薬物乱用頭痛といわれたら
講談社」
に詳しく述べられています。
一度、製薬メーカーと片頭痛の関係を知るためには、一度、読まれることをお勧め致し
ます。
片頭痛と生活習慣
2011/09/29
片頭痛の治療は、トリプタン製剤が出現する以前から、基本的な考え方として、規則正し
い生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするようにと、
生活指導がなされて参りました。これはエルゴタミン製剤の時代からずっとです。
(このように至極、当然のような生活様式でありながら、片頭痛の方は、このような一
般常識である「生活様式」からかなりかけ離れている方が多いように見受けられます。)
しかし、当時は、このような生活様式のあり方が「セロトニン不足」と関連づけた考え
ではなく、あくまでも、経験的に考えられていました。
日本頭痛学会・日本神経学会の作成した「片頭痛診療ガイドライン」には、このような
生活指導に関しては、全く触れられておりません。
平成 20 年、第 36 回日本頭痛学会において、東邦大学生理学教室の有田秀穂教授によっ
て「血中セロトニンは脳内セロトニンの変動を反映するか?」という招待講演が行われて
以来「セロトニン神経をいかにして活性化するか」について検討が重ねられ、巷では「セ
ロトニン生活」といった「言葉」まで作られ、また、医療関係者でない一般人から、この
方式で、「片頭痛を克服した」と主張されるまでに至っています。
- 48 -
従来行われて来た、生活指導の「規則的生活・十分な睡眠・バランスのよい食事摂取・
リラックス」が、「セロトニン生活」で行えることが、医学的に証明されたと言えます。
「セロトニン生活」を、日常生活に具体的に取り入れる方法を示したのは、山崎有為で、
自ら、この方式を実践して「片頭痛を克服」したと「頭痛解体新書」の中で述べています。
山崎とは別に、禅、太極拳、ヨガの方式も、これと同様の考え方と思われます。
ところが、トリプタン製剤が出現後は、このような基本的な生活指導をせずに、薬だけ
を服用すればよいといった風潮が優勢となり、これが「片頭痛は治らない」という考えや
批判につながり、現在でもなお、片頭痛は不治の病とされています。
最近では、エビデンス医療を重要視する余り、このような「基本的な生活習慣」による
「片頭痛治療効果」のエビデンスがないために軽視されているのか、または当然のことと
して触れていないのでしょうか?(言うまでもないこととして)。
恐らくは、厳重な「セロトニン生活」を徹底して行っていけば、いつの日かは、片頭痛
は起こらなくなるものと期待され、これを試みる方が多くなったようですが・・
ただ、誰も、生きている以上「聖人君子」のように「セロトニン生活」の全てを行うこ
とが可能であるとは限らず、この点は、妥協しながら、片頭痛と「お付き合い」しなくて
は、いけない場合も当然あります。このような場合が多いことは否定しません。
このよう状況であるからこそ、頭痛外来も、トリプタン製剤メーカーも、
「お互いが潤う」
ことによって、丸く収まっているのかも知れません。しかし、片頭痛患者さんにとっては、
たまったものではありません。
あくまでも、理想的な形の「生活様式(ライフスタイル)」にすれば、発作は「必ず、起
きなくなる」といった、夢を「医師たる者は示すべき」ではないでしょうか。
それとも、片頭痛患者さんがいなくなれば、頭痛外来は干上がり、トリプタン系製剤メ
ーカーの収益が激減してしまうため、以上のような点を無視されているのでしょうか?
*
以前、当医院のホームページにも、引用させて頂きましたが、今でも印象深い記事ですの
で、再度、ここに掲載させて頂きます。
それは、医学ジャーナリストの「植田美津江」さんが、自分のホームページに、平成 17
年 5 月 17 日に掲載されたものです。
- 49 -
*
―安易なガイドラインこそが危ない―
*
5 月 2 日付日経新聞に「頭痛の悩み
専門医が診断」のタイトルで、「慢性頭痛」を正確
に診断・治療する専門医を日本頭痛学会が認定するという内容が発表された。
「慢性頭痛」とは、脳梗塞とか脳血栓のように、深刻な病気ではないのに頭が痛い症
状のことで、3 種類に大別されるらしい。ずきずきした激しい痛みを生じる「片頭痛」、肩
や首筋のコリを伴う「緊張型頭痛」、決まった時期に起こる「群発型頭痛」で、最も多いの
が「片頭痛」と「緊張型頭痛」の混合型だといわれる。実際、日本人の 4 割が慢性頭痛で
悩んでいるそうだが、緊張型頭痛などはパソコン世代にとっては日常の悩みの種だろう。
1998 年には「全国慢性頭痛友の会」が発足し、現在 700 名の全国会員で構成されている。
サイトには、慢性頭痛に悩む方の日記や経験があちこちにあり、その苦悩や、ときにはユ
ーモラスな闘いぶりを知ることができる。
頭痛に限らず、万人に効く薬はないことから、結局は色々な鎮痛剤を試すことになり、
医学は進歩しているといっても慢性頭痛の原因はおろか治療法さえ確立されていないのが
現状である。古来から存在するのに治療法がないという点では風邪と同じということだ。
さて、記事の内容は「頭痛の専門医を頭痛医として認定する」、「慢性頭痛の診療ガイド
ラインを作成する」ことにより、患者の悩み解消につながるといったもの。科別ではなく、
症状別のガイドラインは珍しいことから、多少は「患者中心」のように見えるが、根本的
な考え方は間違っているように思える。
慢性頭痛の解消法は、「自分にあった適切な鎮痛剤を見つけ」
、「ストレスや疲労などを避
け」、「リラクゼーションを試み」、「頭痛と上手に付き合う」ことに尽きるようだ。さらに
それ以前に、重篤な脳血管疾患との鑑別を早期に行うことが絶対不可欠である。とすれば、
慢性頭痛の対処に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医の役割であるはず、診断して
もこれといった治療法がないなら(恐らくは確固とした治療法は生まれない)、ガイドライ
- 50 -
ンを作っても慢性頭痛の解消にはつながらない。慢性頭痛に悩む人は、「診断」後の慢性頭
痛からの開放こそを切に期待しつつ、鎮痛剤に依存する精神的ストレスから逃れたいので
ある。
厚労省は何かというと「学会」を持ち上げ、「ガイドライン」を作ることで安全なところ
に身を置くことと引き換えに、疾患の多様性と他の治療の可能性をつぶしてしまう。
こ
こからも、今の医療に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医(かかりつけ医やホーム
ドクター)であるはずなのに、医学教育改革をせずにガイドラインばかり作ってお茶を濁
しているのだ。
医学が進歩したというより、診断学のみが進歩し患者の苦しみや訴えは置き去りにされ
ている。仮に、リラクゼーション効果を期待できる「東洋医学」「インド医学」など西洋医
学以外の医療とのダイナミックな融合を図ることで、慢性頭痛に代表されるストレスが深
く関与した現代病はかなり解決できるように思う。
しかし現実は、いずれの取り組みからも逃げ、重い腰をあげようとはしない。これではせ
っかくの症状別ガイドラインも、結局は自己満足の産物で終わってしまうに違いない。
*
*
ここまでが、記事の内容です。以下は、私の考え方です。
*
*
私が申し上げたいことは、果たして「片頭痛は生まれつきの体質」があって治らないも
のか、という疑問です。そのような体質があっても、一生、片頭痛を発症しない人もいま
す。例えば、片頭痛のある母親から、生まれた一卵性双生児の子供でも、必ずしも、2人
とも、片頭痛を発症するとは限らないという臨床的事実があります。これは、何を意味し
ているのでしょうか?
その後の後天的な要素、環境因子等々が関係している証拠ではな
- 51 -
いでしょうか?
一卵双生児の「片頭痛を発症」していない方に、もう片方の片頭痛を発症している人の
「片頭痛の誘発因子」を多数負荷すれば、恐らく、頭痛は誘発されるでしょう。
ただ、このような「実験」は人道上、許されることではないため、されていないだけの
話です。
また、ネット上で、片頭痛を治された方々の体験談をどのように説明するのでしょうか
(これらの体験談を書かれておられる方の、片頭痛は「自己診断」でなく、全ての方々は
「頭痛専門医」の「頭痛外来」を受診されて、片頭痛と診断されています)
これらの方々は、自分で片頭痛を治したと、その体験を綴っています。
私は、全ての片頭痛とは言いませんが、片頭痛体質をもっている方が、後天的な要因、
生活習慣の乱れ、(食生活、姿勢の悪さ)・ストレス・歯のかみ合わせの悪さ、体の歪み等
々の原因から引き起こされてくるものがあると考えます。本質的に「体質」そのものによ
る頻度は、どの程度かは、明らかではありませんが・・。
少なくとも「国際頭痛分類第2版」の基準に従って「片頭痛」と診断されているものは、
「片頭痛症候群」であって、その原因は様々だろうと思われます。
これらに対して、原因を追及することなく、一律に「トリプタン製剤」だけでは
何時までも治らず、挙げ句の果てが、「先天的な体質」によるものとされてしまうのがオチ
ではないでしょうか?
少なくとも、片頭痛の原因として想定されている可能性を考慮して、日常の生活習慣の
確認を含めて、原因の精査を行い、見つからない場合は、頭痛発作の引き金を丹念に調べ、
これを手がかりに、原因を追求していくべきと考えます。
このような点は、これまで「片頭痛と診断された」方々が、現在、どのようになってい
るのかを、アンケート調査でも行ってみれば、明確になると考えますが、「日本頭痛学会」
のお偉い方々には、興味がないのか、いつまでも実態調査をされようとはされません。
このような点を解明しない限り、いつまでも小橋雄太さんに、馬鹿にされ続けることだ
ろうと思います。
- 52 -
私には、片頭痛で悩んでおられながら、治せない方は、自ら「治す道筋」を閉ざしてし
まっているとしか思えません。自分で治すものである、という意識に欠けています。
どんな病気も、医師が治すのだからと言って、他人まかせではダメなのです。
このような意味で、片頭痛は糖尿病をはじめとする生活習慣病と同じであると主張した
いのです。2型糖尿病は、ご承知のように、食生活の乱れ・運動不足・ストレス等の生活
習慣の中から、糖尿病の素質のある方が発症してきます。ですから、糖尿病の治療には、
これらの発症要因、特に食生活を最低限、改めない限り、糖尿病の治療はうまくいきませ
ん、食生活の改善は、「患者さん自身」がしなくてはなりません。知識として知っているだ
けでは、ダメで、実行しなくては、糖尿病の改善は得られません。いかに知識だけ豊富で
あっても、実際に自分で行わない限り、何も解決しません。片頭痛も全く同じなのです。
このような点で、片頭痛は生活習慣病と全く同じであると言っている所以です。
片頭痛という病気は、自分自らが克服していく病気である、と認識さえすれば、必ず、
起こらなくなってきます。決して、諦めないで下さい。
このように意識改革をしない限り、片頭痛は撲滅できません。
このような点を踏まえない限り、いつまでも「片頭痛は治らず」、「頭痛外来」と「トリ
プタン製剤のメーカー」を儲けさすだけのことです。
理想的な形の「生活様式(ライフスタイル)」にすれば、発作は「必ず、起きなくなる」
といった、指導を行うことによって、発症初期の方は、1年もすれば、軽快するのではな
いでしょうか。そして、慢性片頭痛へ移行される方も減少するのではないかと期待されま
す。
片頭痛と睡眠
2011/09/29
不眠(睡眠障害)と慢性頭痛は互いに影響しあうことで、それぞれの疾患を悪化させていま
す。すなわち睡眠障害は頭痛を悪化させ、頭痛は睡眠障害を悪化させます。また、頭痛の程
- 53 -
度が重いほど(特に頭痛発作の頻度が重要)、睡眠障害を持つ確率が高く、逆の場合も同様
です。睡眠障害をコントロールできないと、頭痛のコントロールも難しいため、双方の症状
を同時に治療することが必要です。
頭痛専門外来で片頭痛と診断された 1,283 名の患者(平均 37.4 歳)を対象に、頭痛と睡眠
に関する調査が行われたことがあります。その結果、半数以上の片頭痛患者は、睡眠の導入
と維持が困難なことを経験し、その多くが慢性的な睡眠不足でした。50%の片頭痛患者で
は睡眠障害が引き金になって頭痛発作が起こり、71%の片頭痛患者が頭痛のために夜間に
目が覚めたそうです。発作が頻発する慢性の片頭痛患者では、発作が少ない片頭痛患者より
も睡眠時間が短く、睡眠のトラブルを多く有していました。また、睡眠が短時間(平均6時
間)の患者は頭痛頻度が高く、痛みの程度も重症でした。
*
片頭痛患者の約半数の方で、夜間の睡眠中に頭痛発作が起こったり、逆に頭痛が軽くな
ることを経験しています。睡眠不足や眠りすぎなど睡眠パターンが変化すると、片頭痛が
起こりやすくなります。片頭痛のために目覚めた場合には、レム睡眠からの目覚めが多い
ようです。また、眠りすぎた時に起こる片頭痛は、深い睡眠が増えることと関係がありま
す。
睡眠中に起こる片頭痛は休日に起きることが多いため、
「週末頭痛」とも呼ばれています。
これは、平日よりも長い時間眠ることのほかに、精神的にストレスから解放されることや、
飲酒も関係しています。過剰な睡眠やリラックス、アルコールが脳の血管を広げて、片頭
痛が起こるのです。
このような片頭痛の予防や治療には、睡眠の習慣を整えることが大切です。なるべく平
日と休日の睡眠時間を、同じくらいの時間にします。それが難しければ、平日には積極的
に仮眠をとって、睡眠時間を少しでも確保しましょう。
*
片頭痛患者さんの中には、特定の状況下で発作が起こりやすいことを認識している人も多
- 54 -
く見受けられます。そのような誘発因子を除去することは、片頭痛の予防につながること
から、発作が起こる直前の状態を聴取することは有用です。最近の調査によると、片頭痛
の誘発因子としては、
「睡眠不足」71.1 %、
「頸・肩の凝り」67.1 %、
「旅行・外出」65.3 %、
「過労」52.9 %、「目の疲れ」44.5 %、「緊張」43.6 %、「睡眠過多」27.6 %などが挙げられ
ました。また、チョコレートや赤ワインなどの特定の食品により頭痛が誘発されたとする
人は極めて少数でした。
このように、「睡眠不足」が最も多い誘因であることが、理解されると思います。
*
睡眠の機能は,体内の恒常性機能の維持や記憶の定着などが主な目的とされます。頭痛
との関連でいえば,特に深睡眠(デルタ波睡眠)や REM 睡眠が不十分だと,セロトニン
が十分補充されなくなり,片頭痛が慢性化する一つの要因になります。脳内セロトニン濃
度自体は睡眠を剥奪してもすぐには変化しませんが,代謝物である 5-HIAA が神経終末内
に増えてきて,代謝の亢進が確認されるようになります。したがって慢性の睡眠不足はセ
ロトニン代謝を促進し,長期になるとセロトニン枯渇につながる可能性があるのです。ま
た、夜間のホルモン濃度変化などから,慢性片頭痛では視床下部不全を示唆する状態にな
っているとの報告があります。すなわち慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰活動
の状態になっており,睡眠障害が重要な背景であるかもしれないそうです。
睡眠は多すぎても少なすぎても頭痛を悪化させます。睡眠中のセロトニンや他の神経伝達
物質の増減が頭痛の発現や悪化に関与するようです。片頭痛の人が週末に寝すぎて頭痛が
悪化することはよく知られています。他方,睡眠により頭痛が良くなり,睡眠が頭痛治療
になるという人もいます。一部の頭痛患者さんは昼寝で頭痛が楽になる(特に思春期)と
いいますが,多くの成人患者さんでは昼寝は頭痛の引き金になるとされます。また昼寝を
何度もすると夜の良好な睡眠が失われ,早朝頭痛につながるとされます。頭痛患者さんは
午後 3 時過ぎの昼寝を制限し,夜間の睡眠に影響を及ぼさないようにするのが良いようで
す。”寝たり起きたりの時間を一定にする”睡眠統制と呼ばれる方法は,頭痛治療にも重要
な役割を果たします。
頭痛は睡眠障害の症状としても起こりますが,反対に,慢性頭痛患者には睡眠障害の頻
度が増えてきます。頭痛との関係でもっとも重要な REM 睡眠は一晩に 4 - 6 回起こり,
夢と関係の深い睡眠であると言われています。片頭痛の発症は REM 睡眠の回数と直接的
- 55 -
な関係があるとされ,群発頭痛の場合はこの関係はより顕著です。夜間の片頭痛は REM
睡眠中あるいは終了後,または私たちが翌朝すっきりと覚醒してリフレッシュしたと感じ
るのに必要な 3 - 4 度深睡眠(デルタ波睡眠)の時に起きるとされます。
*
睡眠行動を改善するための簡単な方法を実行するだけで、変容性片頭痛(反復発作性片頭痛
患者に発症し、数か月ないし数年かけてその頻度がほぼ毎日にまで進行し、治療が特に困難)
を持つ女性の頭痛の頻度と強度が有意に減少することが、米国ノースカロライナ大学
(UNC)神経学科の研究者らにより発表されました。
背景:変容性片頭痛は最も一般的な形態の慢性日常性頭痛で、患者が頭痛外来を受診する最
も一般的な原因となっています。過去の研究から、変容性片頭痛女性のほぼ全例において、体
力の回復をもたらさない睡眠と貧弱な睡眠習慣が認められています。しかし、ベッドのなか
でテレビ鑑賞や読書をしないこと、就寝の 4 時間前までに夕食をすませるなどの睡眠行動
変容(BSM)が変容性片頭痛患者に有益な影響をもたらすか否かを調べた研究はありません
でした。
対象と方法: UNC 病院の頭痛外来で変容性片頭痛の治療を受けている女性 46 例を対象と
し、うち 23 例を BSM の指導を受ける群にランダム化割り付けしました。 BSM 指導の内容
は、(1)毎晩同じ時間に就寝する、(2)8 時間の睡眠時間を確保する、(3)ベッドのなかでテレ
ビ鑑賞、読書、音楽鑑賞をしない、(4)眠りに落ちるまでの時間を短縮するために視覚化テク
ニックを使用する、(5)就寝の 4 時間以上前に夕食をすませる、(6)就寝前 2 時間は飲料の摂
取を制限する、(7)昼寝をしない、でした。
対照群の 23 例は、(1)夕食時間を一定にする、(2)1 日 2 回 2 分間、肘の上部にあるつぼを指
圧する、(3)3 日間連続して飲料の摂取量を記録する、(4)毎朝 5 分間緩やかな身体活動を行
う、(5)朝食に 1 食分の蛋白質を摂取する、などの偽の指示を受けました。被験女性全例が、標
準化された日記に頭痛の状態を記録し、行動介入に加えて通常の頭痛治療を受けました。フ
ォローアップ受診が 2 回行われ、 1 回目は行動介入の開始から 6 週間後でした。
結果:2 回目の受診では、 BSM 群は頭痛の頻度が 29 %、強度が 40 %減少していました(と
もに統計学的に有意)。また、ほぼ毎日起きていた変容性片頭痛が、反復発作性片頭痛に回復
する確率が高く認められました。一方、対照群では全く改善が見られず、変容性片頭痛から反
- 56 -
復発作性片頭痛に回復した者はいませんでした。 2 回目の受診後、対照群に BSM 群と同じ
指示が与えられました。 3 回目と 4 回目(最後)の受診までに、新しい指示を受けた女性の
43.6 %が変容性片頭痛から反復発作性片頭痛に回復しました。
結論:睡眠習慣の有益な変化は、頭痛の頻度と重症度の軽減、変容性片頭痛から反復発作性
片頭痛への回復と関連していることがわかりました。このことから、 BSM は標準的な医療
と組み合わせて使用すると、変容性片頭痛の軽減に有効なようです。
*
頭痛と睡眠の関連性は以前から知られていますが、変容性片頭痛(偏頭痛) 患者におけ
る特異な睡眠障害については、あまり知られていません。本試験では、変容性片頭痛
(偏頭痛)
の女性患者 147 例を対象に、睡眠に関する聞き取り調査を行い、変容性片頭痛(偏頭痛)
の患者における非回復性睡眠(眠っても疲労が回復しない睡眠)の有病率と多様性が調べ
られました。主観的な眠りの質については、起床時の状態が「爽快感」であるか「疲労感」
であるかで評価されました。
その結果、変容性片頭痛(偏頭痛) の患者では起床時に「爽快感」があったと報告し
た例はなく、患者の 83.7 %は起床時に「疲労感」を感じていました。このように変容性片頭
痛(偏頭痛) の患者においては、非回復性睡眠を有する割合が非常に高く、睡眠に対する不
満を訴える患者の割合も同様に高いことが示されました。
*
10 歳代は身体の成長に加え,学業やクラブ活動,友人関係など多忙なうえに多くのストレ
スのかかる時期です。睡眠不足も相まって,慢性頭痛に悩まされている若者は少なくあり
ません。今回,ノルウェー・オスロ大学の研究グループにより,13 ~ 18 歳の中高生約 6,000
人を対象に行った調査結果が発表されました。それによると,10 歳代では不健康な生活習
慣と慢性頭痛が関連しており,過体重,運動不足,喫煙の 3 要素すべてを満たした群では,
すべての要素がない群と比べて慢性頭痛リスクが 3.4 倍でした。
方法・対象:Nord-Trøndelag Health Study(Helseundesøkelsen I Nord-Trøndelag;HUNT)の
一部として実施されました。同調査では,1995 年 8 月~ 97 年 6 月にヌール・トロンデラ
ーグ県在住の中高生 5,847 人を対象に,肺活量や身長,体重などとともに,頭痛聞き取り
調査や学校外での運動頻度,喫煙に関連したアンケートを実施。慢性頭痛は聞き取りを行
- 57 -
った看護師によって片頭痛,緊張型頭痛,分類不能頭痛の 3 つに分けられました。各情報
が集積できた 5,588 人(男子 2,680 人,女子 2,908 人)を対象に,「学校外での運動頻度が
週 2 回以下」「喫煙があり」「過体重もしくは肥満」がすべて当てはまる場合を生活習慣不
良群,2 つ当てはまる場合を生活習慣やや不良群,1 つ当てはまる場合を生活習慣中等度群,
すべて当てはまらない場合を生活習慣良好群とし,慢性頭痛との関連を分析しました。
結果:5,588 人のうち過体重は 891 人(男子 421 人,女子 470 人),低運動頻度は 1,717 人
(同 700 人,1,017 人)
,喫煙 1,069 人(同 440 人,629 人)で,慢性頭痛を訴えているのは 1,601
人(同 554 人,1,047 人)。頭痛のタイプでは緊張型頭痛が 950 人で最多でした。
慢性頭
痛の発症率は,良好群の 24.5 %に対して不良群では 54.7 %で,3.4 倍のリスク上昇が認め
られました(オッズ比 3.4,95 % CI 2.2 ~ 5.2,P < 0.0001)。中等度群のオッズ比は 1.3(95
% CI 1.1 ~ 1.4),やや不良群は 1.8(同 1.5 ~ 2.1)となっています。
一方,生活習慣項
目別の慢性頭痛リスクを見ますと,過体重はオッズ比 1.4(95 % CI 1.2 ~ 1.6,P < 0.0001),
低運動頻度は 1.2(同 1.1 ~ 1.4,P = 0.002),喫煙は 1.5(同 1.3 ~ 1.7,P < 0.0001)。過
体重と喫煙は性差が認められなかったものの,低運動頻度は女子で有意差が消失していま
した。また,過体重と片頭痛および緊張型頭痛,低運動頻度と緊張型頭痛,喫煙とすべて
の分類の頭痛で有意な相関が認められました。
結論:生活習慣が頭痛に関連することを,若年者でも示すことができました。さらに今回
の結果は,ライフスタイルを改善することで頭痛が予防できることを強く示しています。
*
小児およびティーンエイジャーの頻発性の頭痛(慢性頭痛)と睡眠障害にも、成人同様
に密接な関わりがあるようです。慢性連日性(日常性)頭痛をもつ子供・少年の 3 分の 2
が、睡眠障害(特に入眠の遅れ)を経験していることが米カリフォルニア州で開催された幼
少年睡眠障害会議で報告されました。6 ~ 17 歳の子供・少年を100人ずつ、2つのグル
ープに分けて比較した結果、慢性連日性(日常性)頭痛(1 カ月に 15 日以上頭痛があり、そ
れが 3 カ月以上続く場合と定義)の患児 100 人では、約 3 分の 2 の患児に睡眠障害がありま
した。睡眠障害としては、いわゆる不眠症にみられるような、入眠遅延や夜間・早朝に何度
も覚醒するタイプが多かったそうです。一方、反復発作性頭痛(発生頻度は慢性より少なく、
時折起こるだけ)の患児 100 人における睡眠障害は約 5 分の 1 の患児にみられ、明らかに慢
性連日性(日常性)頭痛の患児よりも少数でした。米国では小児の10~20%に反復発
- 58 -
作性頭痛が見られ、慢性連日性(日常性)頭痛は女児の4%、男児の2%に発症するそうで
す。慢性連日性(日常性)頭痛の多くは、先行する反復発作性頭痛を繰り返すうちに慢性化
しているため、反復発作性頭痛を有する患者の睡眠障害に対応することで、治療困難な慢性
連日性(日常性)頭痛への移行を避けることができるかもしれません。
参考:一般的には慢性連日性(日常性)頭痛は主に「変容型片頭痛」と「慢性緊張型頭痛」
です。小児の慢性連日性(日常性)頭痛では 90 %以上が変容型片頭痛といわれています。
一方、小児の反復発作性頭痛では「片頭痛」が 50 %、「反復発作性緊張型頭痛」が10%
強です。このことから、片頭痛の方が緊張型頭痛よりも慢性連日性(日常性)頭痛へ移行
しやすいようです。
さらに慢性連日性頭痛(このうち小児では 90 %以上が変容型 片頭痛 )をもつ子供の多く
が、睡眠障害、特に入眠の遅れを経験していることから、正しい睡眠習慣の確立は必須であ
ると言えます。
*
以上、片頭痛と睡眠の関係を、ざっとみてきましたが、片頭痛治療・予防のために、
如何に、正しい睡眠習慣が大切か理解して頂けたかと思います。
*
睡眠習慣の改善は片頭痛改善につながります。
*
1.眠る時間と起きる時間を一定に
2.自分に合った睡眠時間を取る(ふつう成人で6~8時間)
3.週末に夜更かし、寝坊をしない。
4.よく寝られなかったとしても、翌朝寝坊したり、うたた寝をしない。
5.寝付きにくければカフェイン摂取量をチェックする。
6.アルコールの飲みすぎも睡眠を妨げます。
7.定期的な運動は安眠を誘います。ただし夜遅く運動をしないこと。
- 59 -
片頭痛と食事
2011/09/30
田中脳神経外科クリニックの田中滋也院長は 2010 年 5 月 11 日「薬学の時間」で、以下の
ように述べておられます。
食物と片頭痛の関連について検討した海外の報告は多く、食文化の相違や、食生活の様
式も片頭痛の発生に影響すると言われています。片頭痛を誘発する可能性がある有名な食
物として、チョコレート、チーズ、柑橘類などが挙げられており、それらに含まれる血管
作動性のアミンが頭痛の発生に関与する可能性が指摘されています。
今回私は、H 17年2月から H 18年 1 月までの1年間に当院を初めて受診し、国際頭
痛分類によって片頭痛と診断した約250例の患者さんについて、受診直前の頭痛と食物
の関係について調べてみました。その結果について簡単にお話しいたしますが、頭痛出現
前24時間以内に、約25%の患者さんが、ラーメンや中華料理、チョコレート、柑橘類、
ナッツ類、チーズ、ビール、チョコレートを、1か月以上という間隔をあけて、つまり久
しぶりに摂取して、片頭痛が起こっていたということがわかりました。また、約10%の
患者さんは、これらの食物を二種類以上摂取して頭痛が起こっていました。
これらの患者さんの、頭痛が出現した時間について検討すると、睡眠中から朝起床時の
間に頭痛が起こった割合が明らかに多いことが分かりました。また、それらの食物の摂取
から頭痛出現までの時間も検討してみましたが、約3/4の症例が3時間から12時間後ま
での間に頭痛が出現していました。
それぞれの食物の摂取から頭痛出現までの時間については、長いものから述べますと、
チーズやチョコレートは約12時間、ビールは約10時間、ナッツ類は約8時間、ラーメ
ン・中華料理や柑橘類は約7時間、赤ワインは6時間という結果になりました。チーズや
チョコレートを食べてから頭痛が出現するまでの時間は、ラーメン・中華料理または柑橘
類による場合に比較して有意に長かったことがわかりました。
食物の片頭痛への関与を検討する方法として、アンケート調査、誘発食物を除去した食
事による検討、あるいは食物に対するチャレンジテストなどが行われてきました。しかし
食物と関連して頭痛が起こることを自覚している症例を母集団としている報告もあり、被
- 60 -
験者が頭痛の出現を予測することが指摘されています。またチャレンジテストではプラセ
ボ効果により頭痛が出現する可能性があり、テスト中のストレスも結果に影響すると言わ
れています。今回の検討は、初診患者さんに対して、受診直前の頭痛発作と食物について
検討いたしましたが、誘発する食物について患者さんの知識や先入観がない状態での検討
であり、プラセボ効果を考慮する必要がないことが利点であったと思われます。
これまでに、食物の摂取から頭痛出現までの時間に関して、最長で27時間との報告が
ありますが、その他の多くの報告は、食物摂取後24時間以内に出現した場合を食物によ
り誘発された頭痛としています。今回の検討でも、頭痛が出現する前、24時間以内の食
物を検討しましたが、その食物を前回摂取した時から今回の摂取までの間隔が 1 ヶ月以上
であった症例が約25%と高率であり、誘発した食物の内容は、ラーメンや中華料理、チ
ョコレート、柑橘類の順に患者さんの数が多く、次いでチーズ、ナッツ類、ビール、赤ワ
インという結果でした。
片頭痛が出現する時間に関しては、ストレスを感じることが多い正午過ぎにピークがあ
るとの報告がありますが、今回の検討では、食物と関連する頭痛は睡眠中から朝、起床時
に高率に出現していたことも特徴的な事実と思われます。海外にも同じような報告があり、
この出現時間の偏りを考慮すると、食物と睡眠という複数の誘因により片頭痛が誘発され
ている可能性があると思われます。
赤ワイン、チーズ、ナッツ類などに含まれるチラミンは、交感神経の終末からノルエピ
ネフリンを放出させることにより血管収縮を起こします。そして、その後に反動として出
現する血管の拡張により、片頭痛が誘発されると考えられています。赤ワインに関しては
チラミンのみでなく、ヒスタミンやフラボノイドも関与することが示唆されています。ま
た、チョコレートのチラミン含有量は意外に多くはなく、むしろ特徴的に含まれるβ-フェ
ネチルアミンが関与しており、また柑橘類ではオクトパミンが頭痛を誘発すると言われて
います。
一方、グルタミン酸による頭痛の誘発には、いくつかの機序が考えられています。実験
的には、グルタミン酸には血管への直接的な収縮作用のみでなく、片頭痛と関連すること
が示されている三叉神経脊髄路核への刺激作用があることが示されていますし、更に大脳
皮質において、特に片頭痛の前兆に関連すると考えられる cortical spreading depression の発
生、進展、そして維持に重要な役割を担うことも示されています。
- 61 -
また、臨床的にも、片頭痛の患者さんでは頭痛発作中の血漿中グルタミン酸濃度が上昇
すること、前兆のある片頭痛の患者さんでは血小板中のグルタミン酸濃度が高いことが報
告されており、片頭痛発作や cortical spreading depression の発生にグルタミン酸が関与する
ことが示唆されています。
今回の検討では、ラーメン・中華料理を摂取した後に片頭痛が起こった症例が最も多か
ったのですが、それらの食べ物に含まれているグルタミン酸が、頭痛の発生に関与した可
能性が高いと考えられます。
グルタミン酸により引き起こされる頭痛として中華料理症候群が知られており、頭痛以
外に全身の脱力、動悸、胸部から後頭部の知覚異常などの症状を伴いますが、この場合、
グルタミン酸の摂取から症状発現までの時間は15分から60分と短いと言われています。
一方、グルタミン酸により誘発される片頭痛では、グルタミン酸の摂取から頭痛出現ま
での時間が中華料理症候群に比較して長いことが報告されており、今回の検討でも摂取か
ら約8時間後であったことから、中華料理症候群の頭痛と、グルタミン酸により誘発され
る片頭痛は、異なる機序により引き起こされるのかもしれません。
また約10%の症例において、複数の食物の摂取後に頭痛が出現していましたが、チラ
ミンがグルタミン酸による血管収縮作用を増強することを示した報告があり、食物の相乗
作用により頭痛が誘発された可能性も示唆されました。
食物の摂取から片頭痛出現までの時間については24時間以内、特に12時間以内が多
いと言われています。ある報告では、チョコレート摂取から頭痛出現までの時間は平均2
2時間であったのに対して、赤ワインでは平均3時間であり、それぞれの成分の吸収速度
の違いにより頭痛出現までの時間が異なると述べています。今回の検討で、チーズまたは
チョコレートの摂取から頭痛出現までの時間は、ラーメン・中華料理または柑橘類の場合
に比べて有意に長いという結果でした。それぞれの食物に含まれる成分により、頭痛誘発
までの時間が異なることが示唆されます。
冒頭で述べましたように、食物の他にも様々な片頭痛の誘因があり、それらの相乗的な
作用により片頭痛が誘発されると考えられますが、今回の検討は、予備的な調査であるに
しても、特定の食物が片頭痛の誘因になる可能性を示しており、今後本邦においても前方
視的検討が行われることが期待されます。
- 62 -
*
米紙『ニューヨーク・タイムズ』では、原因不明の偏頭痛は、食物アレルギーによるもの
かもしれないとの見解を紹介しています。
これによると、まだ研究途上ではあるものの、食物アレルギーと偏頭痛には、何らかの
関連を持つ可能性があるとか。偏頭痛の緩和のために食物アレルゲンを断った読者の事例
を引用し、「従来考えられていたよりも、食事と偏頭痛には関連があるのかもしれない」と
指摘しています。そこでこの記事では、突然原因不明の偏頭痛が起こったら、食物アレル
ギーの検査を受けることを勧めています。もしかしたら、この検査によって偏頭痛の原因
が判明するかもしれません。
*
食生活も偏頭痛に大きな影響を与えるものであり、栄養バランスのとれた食生活は、目
指すべきゴールです。
まずは、食の内容を考える前に、食事の時間帯を見直してみましょう。
1番避けたいのは食事を抜くことです。血糖値が下がった空腹状態は、偏頭痛が起きやす
い状態です。休日に朝食を抜いて ブランチで済ませることもよくありません。また、最近
の若い女性に多いダイエットも引き金になる可能性があります。 これも、運動をしっかり
するダイエットならいいのですが、なかには、断食したり、1つの食品ばかりを食べたり、
いっさ いの炭水化物をとらないなど、極端なダイエットに走る人もいるようです。
特に頭痛もちにとって、炭水化物を抜くのはもっともよくない方法です。糖の一種であ
るグルコースが減って、頭痛を誘発してしまいます。
また、長期間にわたるダイエットで貧血になると頭痛の回数が増えます。摂取した方が
いいとされる栄養素にはビタミン B2 が あります。ビタミン B2 は、医学調査によって偏
頭痛の予防効果があるとわかっている栄養素です。このビタミン B2 を多く含む食品には、
玄米、胚芽米、大豆、納豆、うなぎ、豚肉、レバー、卵、牛乳、チーズ、ごまなどがあり
ます。特に、玄米や発芽米は、最近注目の食材です。 スーパーなどで、簡単に手に入るの
で、毎日のご飯に混ぜたりして気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、ほうれん草などの緑黄色野菜にもビタミン B2 が含まれています。緑黄色野菜は貧
血の予防にも効果的ですから、積極的に食事に取り入れましょう。
- 63 -
*
ここでは「ゲルソン食事療法」を紹介しておきます。
マックス・ゲルソンは 1881 年、ドイツに生まれた医学博士。自分の不治の病であった偏
頭痛をなんとか治したいと試みた結果、塩、脂肪、漬物や燻製食品などを避けるなどの食
事制限をし、新鮮な果物や野菜を食べれば、偏頭痛がコントロールできるのを発見しまし
た。その後、肺結核、心臓病から腎臓病、そしてガンに至るまでの多くの病気の治療に成
功。シュバイツァー博士の夫人の結核を、彼の食事療法で治したことからシュバイツァー
博士は、1959 年にゲルソンが死去した際には「彼は医学の歴史上,最も傑出した天才の1人
であった」と述べています。
彼の食事を用いた30年にわたる療法の要約が彼の著書「ガン食事療法全書」
(今村光一訳、
原題
A Cancer Therapy)で述べられています。
ゲルソンの食事療法は果物と葉菜、そして野菜から作った新鮮なジュース、大量の生の果
物と野菜、蒸し煮の野菜、砂糖煮の果物、とろ火で煮た果物、じゃがいも、オート・ミー
ル、そして塩抜きのライ・ブレッドから成っています。
全て新鮮なものを用い,
塩分は全く使わないことです。6~12週間すると、コッテージ
・チーズ、スキムミルクから作ったヨーグルト、そしてバターミルク(発酵ミルク;バタ
ー用脂肪分を除いたミルク)のような動物性蛋白質を加えます。原則として塩分を可能な
限り取り除かなければなりません。そして可能なレベルまで、体をカリウムでいっぱいに
しなければなりません。この食事は普通の食事よりも消化しやすいため、どの食事もすぐ
に消化されてしまいます。ですから、何度でも、いくらでも食べることが必要です。患者
を、可能な限り食べて、飲むように励ますことが大事です。
ゲルソン療法で禁じられているのはタバコ、塩、スパイス、お茶、コーヒー、ココア、チ
ョコレート、アルコール、精製された砂糖と小麦粉、キャンディー、アイスクリーム、ケ
ーキ、ナッツ、マッシュルーム、大豆と大豆製品、ピクルス、きゅうり、パイナップル、
- 64 -
全てのベリー類(ただしアカスグリは除く)、水(胃のスペースを野菜や果物のジュースの
ために使うため)、アボガド、缶詰や保存食品、硫黄で漂白したえんどう豆、豆類、冷凍食
品、燻製もしくは塩漬けの野菜、乾燥もしくは粉末にした食べ物、缶ジュース(びんジュ
ースも含む)、そして全ての油と脂肪です。髪の毛の染料も使ってはいけません。
この食事療法を行うのは簡単に見えますが、この療法を始めると多くの人は、ある程度の
吐き気、頭痛、うつ病、腹部のガスの発生を生じ、時には吐いたりします。その時はペパ
ーミントティー(煮立った2カップの湯に乾燥したペパーミントの葉大さじ1杯を入れて
5分煮立て、好みで赤砂糖とレモンを一切れ入れる)を浄化の飲み物として飲むと、嫌な
臭いが無くなり、食事を摂ることができるようになります。
また、患者は不愉快な現象ですが、突然起きる「好転反応」を覚悟しなくてはなりません
が、この反応は数日以上続くことはありません。これは健康に必要なもので、毒素を排出
しているのです。ゲルソンは、この現象なくして病気が治ることはないと信じています。
この「好転反応」によって患者が打撃を受けないためには、コーヒー浣腸を用いて体を解
毒させなければなりません。この点で、ゲルソン療法を、他の療法と併用するのは危険だ
と言われています。予期せずして、危険なほど激しい「好転反応」を引き起こすかもしれ
ません。
ベータ・ビショップは彼女の著書“ガンに勝って(My Triumph Over Cancer)”の中で、鼠
頸部にまで広がり6~8ヶ月と言われていた melanoma を、完璧にゲルソン療法に従うこと
によって、克服した様を述べています。彼女の場合、ガンに打ち勝つまでに18ヶ月かか
りました。
ゲルソンはカリウムとヨー素を取り入れるために、ルゴール液を用いました。「多量のカリ
ウムと少量のナトリウムという状況が、損傷を受けた細胞を正常な細胞の形状に局部的に
もどす」とその著書の中で書いています。カリウムの欠乏はガン、白血病、糖尿病、緑内
障、慢性関節炎、急性ならびに慢性喘息の患者にみられます。
ゲルソンは他にナイアシン50mgを、毎日 6 回飲むことを勧めています。ビタミン B 1
- 65 -
2については彼は結論を出していません。しかし、ほかのビタミンの投与は、ビタミンが
時々腫瘍を逆戻りさせることがあるため反対しています。ガン患者の中の正常な組織に対
しては、ビタミンは正常な人の組織と同じように害を及ぼすことがありません。ビタミン
は、普通の状態ではとても健康的なのですが、ガンがある人々にとってはマイナスの働き
をするのかもしれません。ゲルソン研究所は、ゲルソン療法による成功率を50%から8
0%としています。
*
Foods for Headache Relief - Healthy Living Tips at WomansDay.com には、頭痛を和らげる
食べ物が 9 種類紹介されていました。
1:ベイクドポテト
二日酔いで頭痛がする場合、アルコールの利尿作用によって脱水症状が起こり、また必要
な電解質が失われてしまうため頭痛が起こるそうです。栄養士によると、カリウムが豊富
な食品を食べるのは頭痛解消によいとのことで、カリウムを 721mg と豊富に含んでいる皮
付きのベイクドポテトは頭痛解消に持ってこいの食品と言えそうです。
2:スイカ
頭痛の主な原因は脱水症状なので、スイカのように水分豊富な食品を食べてみるのもいい
かもれしれません。野菜や果物に含まれている水分には必須ミネラルが含まれているため、
頭痛の予防にはよいそうです。スイカをそのまま食べる以外にも、氷とヨーグルト、ハチ
ミツ、すりおろしショウガを加えたスムージーにして摂取するのもいいかもしれません。
ショウガには頭痛による吐き気を抑える効果もあるので、一挙両得が期待できます。
3:コーヒー
アルコールは血管を拡張する作用があるため、頭痛を引き起こすことがあります。コーヒ
ーに含まれるカフェインは逆に血管を収縮させるため、二日酔いなどによる頭痛を抑える
- 66 -
のに効果があるということです。しかし、効果があるからと言って飲み過ぎると、カフェ
インの利尿効果のために脱水症状を助長し、かえって頭痛が強まるかもしれないため、適
量を飲むのが大切です。結論として、二日酔いには 1 杯のコーヒーはよい薬となりますが、
日がな 1 日コーヒーを飲み続けるのは逆効果のようです。
4:全粒粉のトースト
炭水化物ダイエットを試しているような人は、脳のエネルギーとなるグリコーゲンが不足
しがちになり、それによって脱水症状を引き起こし、結果として頭痛に悩まされることも
多いとか。この場合、全粒粉のトーストなどでグリコーゲンを補給し、栄養バランスを取
るよう心がけるとよいそうです。
5:アーモンド
偏頭痛に悩まされる人は、マグネシウム豊富な食品を含む食事を心がけることで改善でき
る可能性があるとのこと。血管をゆるめる作用のあるマグネシウムを豊富に含むアーモン
ドを取り入れてもいいかもしれません。
6:サルサソース
意外ではありますが、頭痛の種類によっては、スパイシーな食品が頭痛の回復に比較的す
ぐに効いてくるようです。副鼻腔炎が原因となっている頭痛の場合、スパイシーな食事は
炎症を抑える効果があるということで、頭痛を軽減させ、鼻の通りをよくするかもしれま
せん。
7:ヨーグルト
頭がガンガンする場合、体がカルシウムを欲している可能性があるようです。脳が効率的
に機能するにはカルシウムが不可欠らしいので、ヨーグルトのようにカルシウムが豊富な
食品を食べると効果があるかもしれません。
- 67 -
8:ごま
いろいろなおかずにパラパラふりかけて食べることのできるゴマは、粒が小さいながら栄
養満点。ビタミン E が豊富で、血液の循環をよくし、またマグネシウムも多く含むため、
頭痛の改善にいい要素がたくさんあります。
9:ほうれん草のサラダ
ほうれん草は血圧を下げ、二日酔いを防ぎ、また頭痛の予防にも効果があるとのこと。サ
ラダを作る時、レタスの代わりにほうれん草を使うのもいいかもしれません。フルーツの
入ったサラダが苦手ではない人は、ほうれん草とスイカ、それから干しあんずを皿に盛り、
アーモンドを散らして、ラズベリー・ビネガーをかけたサラダを作ると頭痛によい食材が 1
度に摂取できます。
*
片頭痛患者とマグネシウム
片頭痛患者の3~5割はマグネシウムが不足していて、頭痛時の脳内マグネシウム濃度を
測定すると通常の濃度より19%低いことが報告されました。これにより片頭痛とマグネ
シウムが関係していることが知られるようになったのです。
マグネシウムとは、カルシウムや鉄と同様に人間にとって必要不可欠なミネラルの一種で
す。
マグネシウムはカルシウムと深く関係しており、血管や筋肉・神経など様々な細胞の緊張
と弛緩のバランスを保つ働きがあります。
マグネシウムが不足すると、筋肉が痙攣しやすくなり、めまい、ストレスがたまる、疲れ
やすい、足がつるといった症状が起こります。
- 68 -
また血管も痙攣しやすくなり、痛みに敏感になるため、頭痛の原因になるとも言われてい
ます。
マグネシウムが片頭痛に有効なのは、血小板が凝集するのを防いだり、血管の収縮を抑え
たりといった効果があるからです。
現在、病院でも片頭痛に有効な治療法として、マグネシウムは使用されていますし、また
様々な臨床治験が発表されてきています。
厚生労働省では、現在健康な生活を送るためにマグネシウムを 1 日に 300mg 程度摂取す
るように呼びかけていますが、国民全体を見回してもなかなかその基準値に達していない
のが現状です。
この背景には、戦後の日本人の食生活が肉中心の半欧米化に変化したこと(野菜・海産
物の摂取不足)、さらに白米、白砂糖、精製塩などの精製食品をとりがちになったことなど
があります。
さらに片頭痛誘発要素(ストレス、妊娠、生理、飲酒など)はマグネシウムを涸渇させて
しまいます。
マグネシウムはもちろん食事からでも摂れますが、現状ではほとんどの人が必要量の摂取
ができていない状態なのです。
またマグネシウムは過剰摂取しても、腎機能が正常であれば体外に排泄されます。
*
最近の研究により偏頭痛を改善させる食事についても分かってきています。マグネシウ
ムを摂取することで偏頭痛を改善させることが出来ます。マグネシウムはいりごま・いん
げん豆・アーモンド・ひじき・えび・油揚げ等に多く含まれます。ですので、これらの食
- 69 -
品を取り入れた食事を心がけることで偏頭痛の改善を期待できます。ただ、マグネシウム
はカルシウムと一緒に摂取しませんと十分に働きません。ですので、同時にカルシウムも
十分に摂取する必要があります。
また、基本的なことですが、食事内容も重要ですが、一日三食規則正しく食事を取ること
も重要です。偏頭痛は疲労やストレス、不規則な生活の中では悪化します。ですので、ま
ずは生活リズムを整えることが何よりも重要な予防になります
*
片頭痛を予防または改善するには、次の5つを守る生活と食事がすすめられています。
1)セロトニン
セロトニンは、セロトニンの前駆物質であるトリプトファン
を含む牛乳からとります。
2)交感神経系
自律神経の安定には、歩行運動(40分/回を、週5回以上)
3)ミトコンドリア
ミトコンドリア機能はビタミンB群を果物と緑黄色野菜からとります。
4)マグネシウム
マグネシウムは野菜や豆類(大豆製品や納豆など)に多く含まれます。1日400 mg
のマグネシウムを補充すれば3~4週間後に片頭痛の頻度がへります。特にヒジキと
黒豆が有効です。
- 70 -
5)ラジカル・スカベンジャー(活性酸素の毒性を解毒する物)
ビタミンC・A・Eを果物と緑黄色野菜からとります。
また、緑茶やコーヒーも頭痛に有効です。これは含有成分のカフェインが、血管を緊張さ
せて片頭痛を軽減させます。
頭痛体質を治すには、栄養のバランスをよくし、野菜・豆類を積極的にとることが大切で
す。
以上のように、片頭痛を治療・予防していく上で、食生活も大切な点であることが、理
解して頂けたかと思います。
これ以外のもっと詳しくは、当ブログの「セロトニン生活」と当医院ホームページの文
献情報の「片頭痛と食事「片頭痛と食品」をご覧下さい。
片頭痛と「体の歪み」 2011/09/30
片頭痛を治す「最初の段階」でお願いすることは、発作時の状況を記録してもらうこと
にしていますが、この時「思い当たる原因」が分からないと言われる方が多いようです。
こういった場合、なかなか治療が進展しないことは事実です。
このような、発作時の引き金(トリガー)の分からない方々が全てとは言いませんが
多くの方が、「体の歪み」に起因する方がおられます。このため、初診時には、必ず、頸椎
レントゲン検査を行った上で、頸椎の湾曲の状態を確認します。これによって、ストレー
トネックの状態が見られないかどうかを診ております。
このストレートネックが、内田信友先生は「歯のかみ合わせ」に問題があって起こって
くると提唱されていますが、これ以外には「姿勢」の問題で起きてくる可能性もあります。
日常生活を送る場面で、猫背になっていないかどうか、仕事で、パソコン作業が長時間に
- 71 -
及んでいないか、「前屈みの姿勢」を長時間とっていないかどうかを問診します。
問題は、このような「体の歪み」が何故、片頭痛発症と関連があるのかは、定かではあ
りません。ネットで、カイロプタクター・整体師の説明を見るのですが、西洋医学の立場
からは、納得できるようなものはありません。
ただ、この理論的な詳細は、YOU TUBE でアメリカのカイロプラクターの考えが多く出
ております。理論的根拠を求められる方は、こちらをご覧下さい。
日本では、整体やカイロプラクテイックで「片頭痛が治った」との経験が多数、ネット
上で掲載されております。片頭痛を克服された方々も、この「体の歪み」を自分で矯正さ
れてたと、その体験談を綴っています。
少なくとも、ネットで「片頭痛を治す」をキイワードにして検索しますと、整体もしく
はカイロの宣伝が検索件数の半数以上 出てきます。これだけ、出るということは、これら
の施術で「片頭痛を治されている」ということと考えるしかないのではないでしょうか。
私は、このような方々に敢えて「整体・カイロ」をお勧めはしておりませんが、内田信
友先生の提唱される「自分で頭痛を治す 体操」を勧めています。
さらに、松岡カイロプラクテイックの松岡勝彦の「体のユガミの簡単チェックと矯正法」
をお示し致しております。参考までに、一部を掲載しておきます。
*
「体のユガミの簡単チェックと矯正法」
松岡勝彦
1 . こんな姿勢や動作が体のユガミを作っている。
*
あなたの日常生活を振り返ってみてください。こんな姿勢や体の使い方をしていませんか?
*
★ あなたのこんな姿勢や体の使い方が、骨盤のユガミを作ってしまう。
*
- 72 -
◎ イスに座るとつい脚を組んでしまう
◎ ヒールの高いクツを長時間履いている
◎ 立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている
◎ 横座りをする
◎ 立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い
◎ いつもどちらかを下にして横向きに寝ている
◎ または、うつ伏せになって寝ている
◎ 長時間座りっぱなしの仕事
◎ イスやソファーに浅く座ってしまう
◎ バックなどはいつも同じ方の肩にかける
◎ 重たいモノを持つ仕事をしている
◎ 赤ちゃんをダッコしていることが多いなど
*
いかがですか、思い当たることはありませんか?
*
このような体の使い方をしていると、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤のユガ
ミ
から脊椎( 背骨) のユガミが生じてきます。
頭痛、肩こり、首のコリ、背中やそうして、胸の痛み、腰痛、股関節の痛み、膝の痛み、
足のむくみ、冷え症、生理痛などを引き起こしてしまうのです。
*
2 . では、体( 背骨) が歪む( ユガム) とはどういうことでしょうか? なぜ、歪む
のでしょうか?
*
操体法を作られた橋本先生は、「人間は動く建物だ」と言われます。
動物はもともと四つんばいで家の形になるように設計されています。屋根の棟が脊椎で、
骨盤と肩胛骨が前後でそれを支え、四肢が柱です。これが基本の構造です。
ところが人間は、手と脳を発達させるために立ち上がってしまったので、四つ足で歩く動
物
にはおこらない、脊柱の歪みが非常におこりやすくなりました。
- 73 -
頭の重さを短い椎骨を積み上げた柱で支えなければならない上、誰もが右ききだったり
左ききだったり、重心に偏りがあったり、仕事の都合で偏った運動を続けたりするからで
す。
脊柱にはすべての内臓とつながる神経がありますから、脊柱の歪みは内臓にすぐ影響
します。また脊柱以外でも、局所の連続的な疲労が歪みの原因になることもあります。
しかし、ほとんどの人が自分自身の体のユガミに気が付いていないのが現実です。
体の怠さや、一部分の痛みやシビレ、不快感などを感じても、体のユガミを意識する人は
いません。
そして、その痛みやシビレ、不快感を感じている処だけ何とかしようと、対処療法に
走っているのです。
*
1 . 体( 背骨) のユガミは、仙腸関節のズレから
*
不自然な姿勢や体の使い方で、上半身の重みを支える仙腸関節にズレが生じます。
仙腸関節のズレは、骨盤のユガミを作り、骨盤を傾かせます。その結果、その上に
乗っている、背骨( 脊柱) をねじってしまいます。
これは一例ですが、骨盤のユガミの方向や上半身の体の使い方によって様々な方向に脊柱
( 背骨) はねじれていきます。
その結果、脊柱( 背骨) の中を通っている脊髄神経がネジレ、さらに各椎骨の間から出
て
いる神経が圧迫を受け、内臓をはじめとして全身に様々な症状を引き起こすと考えられ
ています。
( 脊柱を通る神経の働きには2 つあります。ひとつは体の色々な情報を脳に伝えること
「知覚神経」、もうひとつは脳からの命令を筋肉や器官などに伝えること「運動神経」
です。さらに、この脊髄にはすべての内臓の働きを支配する自律神経の大部分が
含まれていますから、体内の呼吸、消化、吸収、循環、排泄、分泌、生殖など生命の
基本的な機能に関係しているのです。)
また、背骨のネジレによって背骨を支える筋肉のアンバランスを引き起こし、様々な部位
での緊張や関節のひずみを作ってしまいます。これが、コリや痛みの正体です。
- 74 -
このユガミを放置したまま生活していくと、ユガミは段々深くなっていきます。
「操体」理論では、これを四つの段階に分けています。
1 ) まず形態的・運動的にユガミが発生する。本人は気づかない場合が多い。
2 ) 感覚異常が生じる。痛い、凝った、うまく動かない、不快感があるなどの愁訴がで
る。
普段は潜在していて、何かの拍子にでてくる不快感もある。
3 ) そのまま以上の状態が続くと、内部の機能に異常が出てくる。体の感じが悪いこと
と、
ある部分の働きが悪くなることがこの段階で結びついてくる。
西洋医学で言えば、精密検査をすれば機能が低下していることが分かるが、それは
ひとつの傾向でまだ病気ではないとされ、治療手段はたいていの場合、ない。
4 ) それが進むと器質破壊となる。例えば食欲がなくなったり、胃がもたれたり、下痢
をしやすくなったりしていたのが、潰瘍として定着する。
西洋医学ではやっとこの段階になって病名が決まり、病名が決まることではじめて治療法
も決まるといった感じですね。
橋本先生の言葉をかりれば、「胃に創( きず) が付いたことが原因で、からだがだるかっ
たり、尿の出が悪くなったり、下痢になったりしているように考えがちです。しかし、事
実はまったく逆であり、からだがだるいというように歪みがあるから、それが蓄積・進行
して、ついには胃に創がついたのです。」( 農山漁村文化協会「万病を治せる妙療法」) と
いうことです。
こう考えてみると、これまで胃薬を飲んでも、一時的に症状がとれることがあっても良く
なる
わけはないし、潰瘍を切り取ってみても「体のユガミ」がある限り、また別の潰瘍が出来
たり、
別の症状が出て来ることは目に見えています。
しかし逆に、もし「体のユガミ」を正していくことができれば、病気が進んだのと同じ経
過をた
って治療が進んでいくのです。
*
- 75 -
2 . 「操体」はこの「体のユガミ」を正していく療法です。
*
私たち人間は、最新の科学技術を駆使したコンピューターやロボットでもまねのできない、
素晴らしい内部感覚というものを本来もっているのです。
自分の体の状態を知るうえで、とても大切なこの感覚を、人間の原始感覚と言っても
よいでしょう。
操体療法では、この自分の感覚で、体のどこに、どんな歪みがあるのかを知ることが、
痛みや・コリをとる出発点になっています。
つまり、自分の原始感覚にたずねながら、体を動かして診て、痛みやコリの発生する
動きや方向を知り、自分で自分を癒す方法です。
これは、動かして診る→気持の良い方に動く→緊張させてから弛緩させる、という自然に
逆らわない三つの動きで体のバランスを回復することが基本になっています。
例えば、左右の肩をゆっくりと上下して、どちらの肩を上げるのが気持ち
いいのかを自分の感覚で判断します。(動かして診る)
次に気持ちの良い方が分かったら、気持ちの良い方の肩を上げる動きをします。
( 気持ちの良い方に動く)
反対の手で、上げようとする肩を押さえ、軽く抵抗します。しばらく( 2 ~ 3 秒) そ
の状態を保ってから、ストンと全身の力を抜きます。(緊張させてから弛緩させる)
この動作を2 ~ 3 回繰り返します。
では、もう一度左右の肩を上げ下げしてみてください。どうですか、先ほど上げにくかっ
た
方の肩が、上がりやすくなっているでしょう。
少し練習をすれば、はじめての人でも簡単に安心してできるこの操体療法で、体のユガミ
を
とって、バランスを整えれば、様々な症状を改善することができます。
*
3 . では実際にあなたの体のユガミをチェックしてみましょう。
*
a . 片足立ちです。
- 76 -
まずは、目を開けたままで片足立ちをします。その状態でゆっくりと目を閉じてみましょ
う。
同様に反対の足で片足立ちをしてください。
どちらの足がグラグラしますか? グラグラする方の骨盤がズレています。両方ともグラ
グラする人は両方の骨盤がズレていますよ。
b . 指先を合わせる方法です。
両目を閉じて、両手を横に広げます。人さし指を伸ばし、手首を内側に向けます。
両手を伸ばしたままで、ゆっくりと人さし指の先を合わせるように動かしていきます。
左右の人さし指の先がピッタリと合いましたか?
前後にずれていたり、上下にずれていたりと様々ではないでしょうか。ずれが大きいほど、
骨盤のユガミが大きいのです。
*
6 . 今の体の状態が分かったところで、骨盤のユガミを整える簡単な体操をしましょう。
*
この体操を操体といいます。操体のコツは、気持ちの良い方に動いて、しばらくその状態
を
楽しみ、ポンと力を抜くことです。体と気持ちをリラックスさせ、ゆっくりと行ってくだ
さい。
※ できれば、腹式呼吸で鼻から吸って、口からゆっくりと息を吐きながら行ってください。
① 左右の足の重さ比べ
楽に上を向いて寝た姿勢で、足を伸ばしたまま1 0 ~ 2 0 c m ほど床から足を上げ
てみます。
左右交互にゆっくりと、右足と左足の重さを比べてください。
※ お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいの、ゆっくりした動きで比べてください。
体の中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてくださいね。
左右の重さの違いが分かりましたか?
重さは変わらないけど、片方は気持ち良く上がり、反対の足は何だか違和感がある
という場合も当てはまります。
- 77 -
※ どちらを上げても違和感はないし、重さも変わらないと感じた場合には、この操法は
行いません。
重さの違いや、違和感や痛みのある・なしが分かれば、操法( 体操) に入ります。
まず軽く息をすって、吐きながら重く感じた方( 違和感や痛みのある方) の足を床に
軽く押しつけるように力を入れます。
同時に軽く感じた方の足( 楽な方) は1 0 ~ 2 0 c m ほど上にあげてください。
無理をせず、必ず気持ちの良い範囲で上げてください。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。2 ~ 3 秒ほど保った後、息を吐くの
と
同時に脱力します。上げていた足をストンと落としてください。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右を比べてみます。
だいたい同じ感じになればO K 。
( 重かったのが、軽くなったと感じる場合もあります。)
② 左右の踵の伸ばし比べ
楽に上を向いて寝た姿勢で、左右のかかとを突き出すような感じで、交互にゆっくり伸ば
し
ます。腰から下を伸ばすような感じです。
お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいの、ゆっくりした動きで比べてください。
体の中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてくださいね。
気持ちよく伸びる方が分かりましたか?
※ 痛いけど気持ちが良いは、N G ( ノーグッド) ですよ。気持ち良くスーッと動く方
を
探してくださいね。
どちらも同じような感じで伸ばせるし、痛みも違和感もない場合にはこの操法は
行いません。
気持ちよくのびる方が分かれば、操法( 体操) に入ります。
まず軽く息をすって、吐きながら気持ちよく伸びる方の足を気持ちよく伸ばします。
※ 腰から下を伸ばすような気持ちで、踵を気持ちよく伸ばしてください。反対の腰は
心持ち上にあげるような感じです。
- 78 -
上半身も自由に動かして全身が気持ちの良い状態を作ることができればベストです。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。しばらく( 2 ~ 3 秒ほど) 力を
入れたままにした後、息を吐くのと同時にストンと脱力します。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右を比べてみる。
だいたい同じ感じになればO K です。
③ 両膝の左右への倒し比べ
楽に上を向いて寝ます。腰幅くらいに足を開いて、気持ちの良い角度で両膝を立てて
ください。
この状態から、ゆっくり左右に両膝を倒してください。上半身はそのままにして、下半身
を
倒れるところまで倒してみます。
※ お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいのゆっくりした動きで比べてください。体
の
中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてください。
どちらか倒れにくい方があれば、それ以上無理をしないでください。
気持ちよく倒せる方が分かりましたか?
※ 痛いけど気持ちが良いは、N G ( ノーグッド) ですよ。気持ち良くスーッと動く方
を
探してくださいね。
どちらも同じような感じで倒せるし、どちらにも痛みや違和感がない場合にはこの操法は
行いません。
気持ちよく倒せる方が分かれば、操法( 体操) に入ります。
まず軽く息をすって、吐きながら、ゆっくりと両膝を気持ちの良い方に、倒していきます。
※ できる人は、腰をひねる感じで、膝を気持ちの良いところまで倒します。必ず上半身も
含めて全身が気持ちの良い動きをします。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。しばらく( 2 ~ 3 秒ほど) 力を
入れたままにした後、息を吐くのと同時に腰の力をポンと抜いて脱力します。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右へ倒し比べてみます。
だいたい同じ感じになればO K です。
- 79 -
*
★ 一度に整えてしまうことは無理です。
*
それと、「まだ肩の痛みや腰の痛みが残っているよ」って、言われる皆さんに説明します。
骨盤のユガミを整えたということは、土台になる部分を整えたことになります。しかし、
それ
までの長期間にわたる間違った体の使い方や習慣で、様々な部位に緊張を残しています。
土台である骨盤を整えたとはいえ、すぐに各部の緊張が取れるわけではありません。気に
なる部分の痛みや不快感を改善したい場合は、各部位に対応した体操( 操法) をする必
要があります。
その場合には、こちらを参照してください。
http://www.soutaido.jp/soutai-top.htm
とはいえ、骨盤を整えることによって、今までの足の長さ違いが改善されますから、
当然歩き方も姿勢も変わってきます。姿勢が良くなり、疲れにくくなります。
繰り返し行うことで、体のバランスが整ってきますので、様々な症状が改善されてきます。
*
以上、体の歪みと片頭痛の関しての、考え方です。
*
*
日本では、「整体・カイロプラクテック」は日本頭痛学会の評価では、推奨グレードCと
され、殆ど評価の対象となっていません。
また、頭痛専門医による、片頭痛の一般解説書をみても、片頭痛とストレートネックに
関する記載は大和田潔のものがあるだけですが、片頭痛とは全く関係はないと述べていま
す。これ以外には、何ら記載はありません。
しかし、アメリカでは、カイロプラクターが大々的に幅をきかせているようです。この
間の事情は、是非とも、YOU TUBE で確認されることを、お勧めします。
YOU TUBE で「 migraine relief 」と検索されれば、多数検索されます。
*
- 80 -
このように見てみますと、
「発作のトリガー」のよく分からない方々が、いかに多いかは、
臨床に携わる私も実感しております。このあたりに、何か鍵が隠されているように思えて
なりません。何もなしに、突如おきるものではありませんから・・(ただ、てんかんと関連
のあるものは別ですが・・)
皆さんも、このような観点から、自分の「体の歪み」をチェックしてみて下さい。
よく、分からなければ、医療機関で「頸椎レントゲン検査」を受けてみて下さい。
しかし、医師の中には、ストレートネックが何を意味するのか、ストレートネックの所
見すら診れない医師もいますので注意は必要です。
姿勢は、日常生活習慣のごく無意識の状態であり、ここに関心を向ける方は、殆どなく、
これと関係して片頭痛発作が起きる場合は、トリガーとして認識されていないのかもしれ
ません。この点からも、片頭痛は日常生活習慣の中で起きていると言えるでしょう。
片頭痛とストレス
2011/09/30
ストレスが、片頭痛の誘発因子の方は、かなり多いようです。一般的には、ストレスか
ら一気に解放されるて起こるようです。これは、感情だけでなく神経も含めた体全体が急
激にリラックス状態になるので血管も急激に拡張して片頭痛を誘発するのです。
これを、防ぐために、 過度なストレスを感じないように普段の生活を送れば、そのギャ
ップでストレスが解放されたときに過剰な反応をしないので、そういう生活を心掛けるよ
うに工夫をします。そのために、以下のような方法が考えられています。
*
*
ストレスへの耐性を高めるセロトニン神経
*
現代社会ではストレスは避けて通れません。しかし、その過剰な蓄積は、胃潰瘍、高血
圧など身体への影響だけではなく、鬱など心への影響が心配されます。
これにどう対応すればよいのでしょうか。ストレス回避が不可能だとすれば選択肢は 2
- 81 -
つしかありません。ストレスを解消するか、ストレス耐性を持つことです
。
ストレスに強い心と体を作るために非常に重要な神経があります。脳内のセロトニン神
経です。セロトニン研究の第一人者である東邦大学医学部の有田秀穂教授は、この神経が
ストレス耐性を高めるカギを握っていることを解明しました。
*
セロトニン神経の強化でストレス耐性は高まる
*
「150 億もあると言われている脳の神経細胞の中で、セロトニン神経はわずか数万個し
かありません。にもかかわらず、脳全体に情報を発信しているという点で非常に珍しい神
経なのです」と有田教授は述べています。
*
この神経の持つ働きは 5 つあります。
第 1 に「睡眠から覚醒へのシフトを行う」。睡眠時はほとんど活動しないが、覚醒とともに
活発に働き始めます。働きが不十分だと、目が覚めても頭がすっきりしない状態になりま
す。
第 2 は「心の不安や緊張を取る」。通常、覚醒時は、脳波はベータ波が優位になるが、セ
ロトニン神経が活発に働くとアルファー 2 という特別な脳波が出現します。癒やしやリラ
ックスの働きをする脳波で、有田教授が「クールな覚醒」と呼ぶものです。緊張や不安が
取れ混乱も静まるので、ネガティブ思考が減少し、元気になります。
第 3 は「自律神経を適度なレベルに保つ」。覚醒時には交感神経が、睡眠時には副交感神
経が優位になりますが、それらが低レベルであれば上げ、過活動なら下げ、適度なレベル
に保ちます。
第 4 は「痛みの制御」。痛みに対して過剰反応しないように調整する働きを持ちます。こ
れが正常に働かないと「線維筋痛症」を発症。痛みを生み出す外的要因はほとんどないに
もかかわらず体の各部に激しい痛みを感じ苦しむ病気ですが、セロトニン神経の働きを活
性化する治療薬で改善します。
第 5 は「正しい姿勢を保つ」。朝起きてセロトニン神経が動き出すと全身の抗重力筋が活
- 82 -
性化し、姿勢がシャンとし、瞼もパッチリで引き締まった顔の表情になります。
*
「このように、セロトニン神経は、過剰ストレスで生じる様々な症状、例えば、不眠、不
安、心の緊張、ネガティブシンキング、自律神経のバランス破壊、疲れた表情や姿勢など
と、実に深く関わっていることが分かると思います。つまり、この神経を活発に働かせる
ことが、ストレス耐性の高い心と体を作ることになるのです」(有田教授)
*
太陽の光を浴びて、3 つのリズム運動をする
*
それでは、セロトニン神経はどうすれば活性化できるのでしょうか。意外に簡単で、日
常生活の中で 2 つのことを実践すればよいのです。
1 つは、朝、しっかりと太陽の光を浴びます。重要なのは明るさ。蛍光灯の灯りはどん
なに明るく見えても照度は低く、太陽の明るさには及びません。できれば 30 分以上、外で
日の光を浴びましよう。
2 つ目は「基本的なリズム運動」をします。人間の様々な運動の中でリズムを伴うもの
とは 3 つあります。歩行、咀嚼、呼吸、です。
*
歩行については、ウォーキング、ジョギング、スクワットなどを 5 分から 10 分実践しま
す。朝、起きて、日の光を浴びながらウォーキングをするということは、まさに一石二鳥。
忙しい人は、通勤時間の中で歩く時間を多く作ればいいのです。
*
咀嚼については、朝、しっかりと朝食を取ること。野菜ジュースやヨーグルトだけで済
ます人が増加していますが、咀嚼という観点から見ると不十分と言わざるを得ません。
*
呼吸については、リズム正しい呼吸を繰り返すのがポイントです。それを様式化したの
が座禅です。お経を唱えるのもお勧めですが、日常生活では難しいので、リズム正しい呼
吸を意識しながらウォーキングするとよいでしょう。
- 83 -
*
良質の睡眠にも不可欠なセロトニン
*
逆説的だが、ストレス耐性を高めるセロトニン神経は、ストレスに弱いのです。一日中
ストレスにさらされ続けるますと、その働きは弱まります。夜になると、情緒不安定にな
ったりキレやすくなったり、表情も疲れるのは、このためです。だからこそ、なおさら朝
の活性化が重要になります。
*
また、疲れた心身を蘇らせるために重要なのは、夜の睡眠ですが、実はこれにもセロト
ニンが深く関わっています。脳内物質であるセロトニンは、夜になるとメラトニンという
物質に変化します。睡眠を誘い深い眠りをもたらす自前の睡眠薬です。
*
昼間にセロトニンが不十分ですと、メラトニンが不足して夜よく寝れません。夜型の生
活を続けますと、良質の睡眠が得られないのはこのためです。なお、メラトニンは夜暗く
ならないと十分に放出されませんので、夜にコンビニのような明るい場所で働くと寝つき
が悪くなります。
*
朝起きて、日の光を浴びて歩き、朝食を取り、夜はできるだけ暗くする。ストレス耐性
を高めるこの基本は、実は昔の日本人の生活だったことを思うと、現代社会で健康的に生
活することの難しさを痛感します。
*
*
最近、すばらしい論文を見つけましたので、参考までに引用させて頂きます。
*
+
ストレス社会におけるセロトニン的生活の勧め」
*
運動連鎖アプローチ研究所
セロトニン道場第一期生
山本尚司
- 84 -
*
Ⅰ.はじめに
*
セロトニン的生活とは、まさに規則正しく自然の摂理に則って生活をするということが
大前提となります。この太古から太陽が昇ると同時に活動を始め、陽が落ちると就寝する
という基本が現代生活において崩れていることは明らかです。当たり前の生活習慣の意義
を改めて学術的に再認識することで、意図的に自然に近い生活にコントロールしていく作
業をしていく必要があるのです。ではそのより自然の摂理にそった生活とは何か?そして
便利になったであろう現代が、敢えて直面しているストレス社会とは何なのか?
人は生活する上で必ずストレス反応が生体内で起きています。ストレス反応の起きない人
間はいないわけですが、その中でストレスに対して生体がどのような準備状態にあるかが
大切となってきます。原点回帰ともいうべきリトリートが流行っていますが、セロトニン
的生活が目指すところは、積極的に社会に対して向き合いトライしていく活動性であろう
と考えます。
今回、現代社会におけるライフスタイルを、あらゆる角度から見直し生体内に何が起こっ
ているかを明らかにすることで、日々のセルフマネージメントをしていくための知識とい
うテクニックを身につけ、そして実際に運動療法などの実践方法について述べていきたい。
*
Ⅱ.ストレスとは何か?
*
ⅰ.ストレスの歴史
*
キャノンは物理工学の考えである物体に外から力を加えると、それによりお互いに力を及
ぼし、歪み(ストレイン)が生じるという考えを生物にも用いました。つまり、生体がス
トレス刺激に応じて、それぞれ個別に反応をすることにより、生体の内部環境が一定に保
たれるということです。この反応の中心は交感神経一副腎髄質系の活性化としています。
例えば、恐怖を感じると、ドキドキしたり、目をかっと見開いたり、空腹を感じなくなっ
たりする反応です。これらの反応は闘争や逃走に有利な反応で、緊急反応と呼ばれたりし
ています。
これに対して、セリエはストレス刺激の種類に関わらず非特異的に全身性に起こる反応
- 85 -
をストレスとしました。そして、このストレス反応の中心は下垂体前葉(ACTH)− 副腎
皮質ホルモン系(HPA 系)とし、この反応が環境変化に対する生体の防衛反応として、短
期的には適応するように働いているとしました。これをセリエは「汎適応症候群」とよび、
刺激が加わったときに生体が示す反応を「ストレス」とし、この反応を生じさせる刺激を
「ストレッサー」と名付けました。
セリエは、ストレス刺激の種類に関わらず起こる非特異的反応をストレスとしました。
ストレス反応としての非特異的反応を定量的に証明することは困難です。しかしながら、
ストレスの多さと動脈硬化が生じる指標が比例するなど、ストレスに共通する何らかのメ
カニズムがあるのではと近年考えられるようになっています。また、日常生活においてス
トレスという言葉が多用されるのは、この語のもつ情感に訴える強さが端的で便利である
と、日本人だけでなく、世界中の人々が感じているからではないかとされています。
職場での人間関係やテクノストレスなど肉体的ではない精神的なストレスが慢性化し
たものになると、胃潰瘍、糖尿病、心臓病などが発症するとがわかっています。つまり、
これらはストレスが身体に与える影響であり、
「胸腺・リンパ腺の委縮による免疫力の低下」
「副腎皮質の肥大」「胃潰瘍」をセリエのストレス三兆候としてまとめられています。
*
ⅱ.ストレスと自律神経
*
交感神経が高まると白血球の一つである顆粒球が以上に増えてしまう。顆粒球の特徴は酸
化力を持つ活性酸素であり、顆粒球が寿命を迎えて壊れると大量の活性酸素を放出する。
活性酸素で血液が酸化すると血液が流れにくくなり、さらなる低体温を招くという悪循環
に陥る。では副交感神経が常に優位であればいいかというと、そうとばかりは言えない。
何故なら副交感神経が過緊張となると血行は一時的には良くなるものの、それが長く続く
と逆に血行は悪くなってしまう。つまり緩慢な生活スタイルそのものも活動性を低下させ
るだけでなく自律神経そのものの働きも阻害するのである。
適度な緊張と弛緩の繰り返し、つまり自律神経のバランスがあってこその恒常性なので
す。
*
ⅲ.ストレスと体温
*
- 86 -
身体的なストレス反応として、まず免疫力の低下が起きてきます。過剰なストレスにより
自律神経のバランスが崩れると、免疫システムの精微なバランスにも影響を与えます。
現代人は低体温化しているとも言われており、運動不足による筋力低下、エアコンの普
及、過剰なストレスで自律神経のバランスが崩れていることが指摘されています。低体温
とは平熱が 36.0 ℃以下のことをいいます。いつ測るかによって体温は違いますが、起床時
から3~5時間経過しても 36.0 ℃以下であれば低体温と考えてよいようです。
ストレスに晒されると人は交感神経を興奮させ血管が収縮して血行が滞り体温が下がる一
因となる。体温は一度上がると免疫力は5~6倍になり、逆に一度下がると30%低下す
るといわれています。
*
Ⅳ.精神障害の定義
*
ストレスが関与している症候として、心身症があげられる。心身症とは身体疾患の中で、
その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害がみとめら
れる病態をいう。ただし神経症やうつ病など他の精神障害にともなう身体症状は除外する
(日本心身医学会
1991 年)。心身症は、過敏性大腸炎、胃潰瘍、狭心症、月経不順、高
血圧、気管支喘息などの要素を有していることがあるとされている。いわゆる心の問題の
関与が大きく精神の緊張やストレスが背景にあり、心因により症状の増悪に影響するとさ
れている。
神経症はといえば、統合失調症や躁鬱病よりも軽症であり、病因が器質的なものによらな
い精神疾患のことを指している。軽度のパニック障害や強迫神経症がこれにあたり総称し
て神経症とされていたようですが、現代ではその曖昧さにより徐々に定義として使われな
くなくなってきたとのことです。
*
Ⅴ.何故現代はうつ病が多いのか?
*
精神疾患といえば重度であれば統合失調症や躁鬱病、中等度であれば神経症やパニック
障害、適応障害などがある。精神疾患の原因の分類として心因性、外因性、内因性に分け
られ、うつ病は脳の器質的要因と定義されている内因性に分類されている。しかしながら、
うつ病は内因性に分類されてはいるが、明確には原因は心と脳の両面からおこるとされて
- 87 -
いる。躁鬱病は重度の分類に入っていますが、うつ病は生活に支障を来さない軽症なもの
から、自殺企図などの重症例などが存在する。
DSM-IV の診断基準は、2 つの主要症状が基本となる。それは「抑うつ気分」と「興味
・喜びの喪失」である。精神症状と共に身体的な症状を生じる。身体的な症状は、診断に
先立って訴えられることもある。
(精神症状)
ボーっとすることが多くなり、口数が少なくなる。学校・会社・部活動では、休みがちに
なったり、不登校になる。脳が萎縮することで集中力がなくなり、運動神経や記憶力が低
下し、勉強ができなくなったり、人の話を聞かなくなる。「抑うつ気分」とは、気分の落ち
込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどである。
「興味・喜びの喪失」
とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態である。
この 2 つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされてい
る。これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と類似した症状として、「自分には何の価値
もないと感じる無価値感」、「自殺念慮・希死念慮」、「パニック障害」などがある。
(身体的症状)
*
頭が割れるような頭痛。不眠症などの睡眠障害。消化器系の疾患で急性胃炎、慢性胃炎、
胃潰瘍。摂食障害に伴い、食欲不振と体重の減少あるいは過食による体重増加。全身の様
々な部位の痛み(腰痛、頭痛など)訴えとしては「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、
いらいらしてじっとしていられない」もしくは「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも
眠たく寝てばかりいて、体を動かせない」というものである。
(その他)
自己中心的な行動が増えることで、対人関係が悪化し、さらに病気を悪化させるという悪
循環が起きやすい。
*
うつ病には実際には躁とうつを繰り返す双極性との鑑別が大切とされている。また、再
発のない単極性、繰り返しうつ病を発症する反復性などの分類もあり、その病態を注意し
て観察する必要がある。いわゆる双極性でないうつ病のみのことを大うつ病性障害として
おり、これを一般的にうつ病と呼んでいる。
現代社会において、このうつ病症状と合致する臨床所見が多いものと思われます。つま
- 88 -
り、既に社会問題化しているという時点で、社会の構造やライフスタイルそのものが脳に
何らかの問題を生じさせていることが推察されるのである。
*
Ⅵ.ストレスとプレッシャーの克服
*
セロトニン道場で最もベースとなる基本原理は「ストレスには勝てない」という考え方
です。スポーツ場面においてプレッシャーに強い、プレッシャーに押しつぶされた、など
の表現がよく使われます。ただ大舞台で強さを発揮できる選手はいるもので、オリンピッ
クのメダリストなどはその典型です。このプレッシャーに強いという表現からも、ストレ
スに強い人、弱い人という表現もまかり通ってきます。
プレッシャーとストレスは何が違うのでしょうか。プレッシャーとは精神的重圧と辞書に
はあります。また失敗が許されない場面という状況設定がされています。ストレスにもい
ろいろな種類がありますが、その中でも勝負事がかかった場面においてはプレッシャーが
使われるものと思われます。プレッシャーの場合は強い弱いと表現されており、過去の失
敗などの経験が生きることなど紹介されています。つまり気持の持ちようなどで克服する
といった感じです。スポーツ選手などの談話や紹介されるドキュメントでは往々にして、
ストレスは心の問題として紹介されるため、ストレスの対処方法もカウンセリングなどの
心の持ちようを強調されます。そしてストレスに強い人とは心の強い人、強心臓の持ち主
といったイメージが強化されています。
プレッシャーは強靭な精神力にて克服できるという風潮そのものが、ストレス社会と割
れる現代において我々を苦しめている可能性があるわけです。強靭な精神力の実態がわか
らないで、なんとなく言葉として使っているからです。重度なストレスによってうつ病な
どに罹患している人たちに対して、いわゆる一般健康者は「気持の問題だ」と片付けてし
まう風潮があります。自身の問題として捉えられない、他人の気持ちはわからない、その
境遇になってみないとわからない、というのはある意味仕方がないことでもあり、健常者
の発想そのものが具体的な心理的なストレスの対処方法や解明を遅らせていたのかもしれ
ません。
*
Ⅶ..「身体的ストレス」と「精神的ストレス」の刺激と反応
*
- 89 -
ストレスには「身体的ストレス」と「精神的ストレス」の二種類があります。また、この
ストレスは原因となる刺激と結果としておこる反応に分けられます。ホメオスタシスを直
接乱す刺激は身体的なストレス刺激であり、プレッシャーなどの生体がホメオスタシスを
乱すと判断した刺激は精神的ストレス刺激に入ります。このあたりの分類分けは明確では
ないようですが、ここでは刺激と反応を分けて話を進めていきます。
身体的ストレス刺激は暑さや寒さ、疼痛などの感覚器が直接感じる刺激になります。精神
的ストレス刺激は、悲しみや辛さなどの境遇に関するものになります。身体的ストレスに
対する反応については、自律神経失調などのメカニズムが明らかにされています。身体的
なストレス刺激は、環境を変えることで容易に改善が可能ですが、精神的なストレス刺激
においては取り除くことは困難です。もちろん精神的なストレス環境を変えればいいので
すが、社会生活そのものがストレスとなっている現代において全てを放り出して南国に行
くというような発想は夢物語でしかありません。実際に、そのような環境の変化ができた
としても、新たなストレスを生む可能性があります。沖縄やオーストラリアに移住しても、
一年あまりで帰ってきてしまうといったことからも必ずしも癒しスポットと呼ばれる環境
への移住がストレスの改善にはつながらないのです。
病気や怪我で肉体的なダメージにより、ストレスを抱えている人たちがいることは事実で
すが、現代はどちらかというと肉体的なストレスよりも、精神的なストレスが社会問題と
なっています。もちろん、身体的および精神的なストレス反応は双方向性であり、どのよ
うなストレス刺激によっても心身の反応の出方は個人差があると思いますが、心だけ身体
だけという反応の出方はしないでしょう。
鬱病やパニック症候群、自殺の問題などはその典型であり、もはや気持の問題とか考え方
の問題などというような自己責任的な考え方では対処できない社会問題となっています。
*
Ⅷ.現代社会と脳ストレス
*
ⅰ.ドーパミン的価値観とセロトニン的価値観
*
ドーパミン的価値観とは右肩上がりの高度成長期に代表される、頑張った分だけ結果と
報酬が得られるというシステムのなかで生まれる考え方といえます。始まりは、明治維新
に遡りますが、西洋文明、西洋思想が日本に入ってくることで、個人主義、能力主義がよ
- 90 -
り鮮明に色濃く反映された社会となりました。努力したことがそのまま結果となって報酬
につながらないという意味においては、戦後も同じような状況といえます。アメリカンド
リームはまさにドーパミン的価値観に基づいており、成功の証としてお金が全面にでてい
ます。このドーパミン神経は、快楽や報酬があると働く特徴がある。よって努力と成功が
セットであることが条件となっている。
しかしながら、高度成長期が終わり成熟した世の中となった現在、このドーパミン的価
値観が通用しなくなってきています。勉強をしていい大学を出ていい会社に入れば将来が
保障される時代は終わり、将来に対する明確な目標が見出しにくくなったのです。誰もが、
豊かになり中流意識が根付いて、余暇と娯楽を楽しみ世の中になって本当の意味でのハン
グリーが失われていることも背景にあります。豊かさとはお金や見た目の派手やかさでは
ないことに気づいてきた時代ともいえます。有名人がボランティアをやることで、本当の
意味においての喜びと充実感を味わっています。もちろんある程度の生活の豊かさは前提
ですが、人のためになることを損得勘定抜きでやるということが自らの心の満足感になる
のです。損か得かという時代から、共感することの喜びこそが人として元来持っている価
値観なのです。前頭前野は意欲や集中力そして共感を司っており、セロトニン神経の活性
化と深く関わっているのです。
日本は江戸時代に侍魂や武士道など独特の言いまわしで、日本人としての価値観を表し
てきました。これは人の為、他人のためという考え方が根底にあり、そのことが人間を幸
せにすることを知っているのです。日本人の根底には、この日本人的価値観が根付いてお
り、そのことが欧米式の成果主義、合理主義が日本社会に最終的には適さない理由なので
す。幕末の志士が日本人に共感をもって受け止められているのは、その本来持っている日
本人が日本人である所以となっている価値観、DNA のレベルで響いてくるからでしょう。
国際大会においてキャッチコピーが侍ブルー、侍スピリッツ、撫子ジャパンなどが無意識
のうちに標榜されるのは、日本人としてのルーツがそうさせるのだといえます。この自分
を捨ててチームや仲間のためにという考え方こそが、セロトニン的価値観であり日本人に
は最も必要なそして現代に求められている価値観なのです。
*
ⅱ.生活習慣病と脳ストレス
*
現代は、昼夜逆転の生活や、24時間営業の店など便利になった反面、心身ともに休ま
- 91 -
る暇がなくなっています。つまり、ゆっくりと休まる暇がなく膨大な情報を処理しながら、
次から次へと刺激を求めていく生活になっています。ロハスやリトリート、癒しが流行っ
て、原点回帰を求めるのは生体がバランスをとるための自然な営みであると思われます。
また、核家族化してパソコンや携帯電話の普及などで、ますます人と人とのコミュニケー
ション能力が損なわれる状況となっています。周りの環境もコンクリートで固められ、田
舎であっても野山で遊ぶという姿は消えつつあります。むしろ都会のほうがスポーツをす
る環境などが整えられ、運動をしているぐらいです。いずれにせよ、運動不足による運動
神経の低下は深刻な問題であり、その運動不足が心身の廃用を招き、身体のみならず情動
のコントロールを障害する結果となっています。
疲労の蓄積も免疫力を低下させる要因となり、徹夜などの睡眠不足が繰り返されると好中
球の可動レベルが低下してしまうという説もあります。また運動不足もストレスを増大さ
せる要因として挙げられます。動かないということは筋肉の収縮弛緩の機会が減少するこ
とであり、リンパ管の働きが低下することで循環が停滞してしまいます。リンパ管にはリ
ンパ球やマクロファージ、樹状細胞が内在しており流れが滞ると外からのウイルスなどが
侵入してきたときに速やかに対処できなくなります。また鼻呼吸の習慣化も免疫力低下を
予防する効果があります。鼻腔には線毛と粘膜に覆われたフィルターがあり、多くの細菌
やウイルスがこのフィルターにて排除されます。このように、ストレスとは心理的要因の
みならず身体的な背景も関係しており、同じ環境の同じストレス場面に遭遇しても身体の
抵抗性に差がでることが考えられます。
*
Ⅸ.ストレス反応に対する対処・治療方法
*
精神的ストレス反応については、長らく「気持や心の問題」として捉えられていたため、
具体的な対処方法が明確にならなりませんでした。もちろん何もせずに手をこまねいてい
たわけではなく、薬物療法やカウンセリングなどの治療方法にて対処してきたという歴史
があります。既存の方法も昔と比べ格段に進歩しており、病態に応じた治療方法が確立さ
れつつあるものと思われます。ただし、この社会現象と化した現状に追いついていないの
も事実であり、根本的に原因や対処方法を見直していく必要に迫られています。受動的な
方法からより能動的な方法は無いものか?その能動的な治療方法の先駆的な理論と実践方
法が、セロトニン神経の活性化であるといえます。
- 92 -
まず精神的ストレスを考えるときに大切なことは、精神的ストレスの反応とは何なのかを
はっきりさせることです。精神的ストレスの反応の正体は「脳が神経伝達物質を通じて感
じるストレス」しており、総称して「脳ストレス」と定義しています。脳にとって神経伝
達物質の阻害が起こることにより正常に機能しなくなるということです。脳がストレスを
感じるということは、必ずストレスを伝達する物質があり、それを抑制する機能もあると
いうことを前提として展開していきます。
繰り返しますが、うつ病は気持の問題ではなくて、脳のそれも神経伝達物質の問題である
ということです。本来、うつ病は内因性精神障害に分類されており、脳の器質的な問題と
されてきましが、その具体的な神経伝達物質および脳の局在が有田先生により解明された
ということです。
そして、治療の方針として「ストレスに対抗するのではなく、ストレスを受け流す体質を
つくる」機能により脳ストレスをコントロールするのです。
*
Ⅹ.気持や心が強くなるメカニズム
*
今まではストレスに勝つという発想で、気持で克服するという何の根拠もない漠然とした
ものでした。ストレスは無くすことはできないということを前提にすることで、スタンス
は変わってきます。ストレスが身体に入ってくることは避けようのない事実であり、過度
のストレスに対して、身体は必ず反応するわけです。あのイチローでさえも胃潰瘍になっ
たぐらいですから、身体は確実にストレスに反応するのです。
強靭な精神というと滝に打たれてなどの精神修行が思い浮かびますが、これだけやったの
だからというだけでは自信にならないことを私自身の経験からも感じます。大切なのは何
を積み重ねたかということであり、問題を克服するために論点を明確化し、実証性のある
具体的な対処方法を積み上げていくということなのです。滝を打たれることが大切なので
はなくて、滝を打たれることで何が得られるかが大切なのです。実感としては精神的なも
のであったとしても、その中身は身体の中で何かが変化しているという実証性が不可欠な
のです。このメカニズムのキーワードがセロトニン神経の活性なのです。
*
ⅩⅠ.セロトニン神経の活性化の方法。
*
- 93 -
ⅰ.セロトニン神経の活性化の方法としては以下の3つの柱があります。
① リズム運動:リズム運動は意識的な呼吸法やウィーキング、スクワット、咀嚼、自転車、
などがあげられます。
② 日光浴:日光浴は朝日を浴びるなど、太陽の出入りに合わせた規則正しい生活がベース
となります。
③ グルーミング:グルーミングとは動物でいえば毛づくろいのことであり、人間であれば
スキンシップがこれにあたります。広義にとらえると、人とのコミュニケーション、家族
の団らんや、地域社会のコニュニティーなどにつながってきます。
*
ⅱ.セロトニン神経の活性化の効果
*
① 意識の覚醒
② 情動の安定
③ 疼痛抑制
④ 姿勢筋・抗重力筋・運動ニューロンの促通効果
⑤ 自律神経調節
*
ⅲ.脳内での変化
*
① 血中セロトニン値:セロトニン神経が活性化すると、脳内および血中のセロトニンが増
えます。
② セロトニンは就寝時には分泌されないという特徴があります。つまり目覚めているとき
にセロトニン神経は活性化しているのです。これは運動時、安静時に関わらず常に活性化
しています。就寝時においてはレム睡眠では全く活動がみられず、ノンレム睡眠時に僅か
に見られる程度です。
③ 脳波:呼吸法においては5分後にはα波がみられ、15分でプラトーになるデータが示
されている。このα波は睡眠時やリラックス時のα波とは種を異にし、あくまで呼吸法に
て出てくるα波である。つまり座禅などで出てくるα波は眠くなったり活動性が下がるわ
けではなく、むしろ活動性が上がり元気になる。
④ セロトニン神経の変化:セロトニン神経活性のトレーニングを継続することで神経その
- 94 -
ものの変化がみられる。セロトニン神経にはオートレセプターによるネガティブフィード
バック機構を有しているが、トレーニングを継続することで、そのオートレセプターが減
少してくる。
*
ⅳ.活性化させるためのポイントとコツ。
*
セロトニン神経の活性化のポイントとしては以下が挙げられます。
① 複雑なリズムでなく単純なリズム運動が効果的
② 呼吸法で代表的な方法は座禅があるが、基本は入息出息に集中することである。つまり
漫然と呼吸をしても効果はなく、集中することが不可欠なのです。特に効果的なのは腹式
呼吸であり、呼気時に腹筋を締めるように意識すると良い。
③ リズム運動時に例えばお経を唱えるなど、運動時に声を出すことで集中力を高めること
ができます。お経などを唱えるという行為は、物語のようにストーリーがあり感情移入す
るわけでもなく、ただ機械的に声を出し続けていることになる。できるだけ考えないで唱
えることで、より集中力が増す。
④ ウォーキング:音楽を聴きながらウォーキングやジョギングをしている光景をよく目に
するが、音楽は歌詞などの意味が含まれるものよりも、リズム性のある音のほうが効果的
である。また身体をモニタリングしたり、何かしら集中できる状況を作り出すことが大切
である。
⑤ ヨガ:ヨガなどのボディーワークは呼吸と運動との連動性が強調されるエクササイズで
ある。ポーズと呼吸を協調させることでセロトニン神経が活性化される。
⑥ セロトニン神経の活性化は血中濃度を測定することで判断できる。研究結果によると各
種リズム運動5分後にはセロトニンが分泌され15分にてプラトーになる。つまり最低5
分以上のリズム運動を続けることが必要である。
① セロトニン神経の活性化の継続時間は一度であれば30分~二時間で効果が消失してし
ます。目安として毎日30分、三か月継続することでセロトニン神経そのものが変化しい
わゆるセロトニン神経を強化することができる。
*
ⅩⅠ.自らの体験
*
- 95 -
ヨガなどのエクササイズを呼吸にともない実践していくと、気持ちも体も落ち着いてきま
す。トレーニングが進んでくると普段の生活の中でも呼吸と動作が渾然一体化してきて、
いわゆる心身ともにコリが無くなってきます。
丹田呼吸を実践することで、まずは身体のバランスが整うことでコリが解消し、それにと
もない情動面においてもプラス効果が感じられます。
アロマテラピーなどの香りの効果もリフレッシュ・集中力・やる気の増進などを実感し
ており、セロトニン神経の関与がうかがえます。
全ての講座において、呼吸、グルーミング、リズム性がキーワードとなっており、手段
は違えども根本的な原理は共通項が見出せます。特に呼吸の効果は絶大であり、いかに横
隔膜呼吸が大切であるかがわかります。意識的な腹筋を使って呼気をベースとした呼吸、
ただ其れだけなのです。この簡単な方法にすばらしい脳ストレスを消すコンセプトが入っ
ているとは誰も気づかないでいます。
また、この忙しい現代生活のなかで、私の場合は問題に対してどのような思考をもつか?
というカウンセリング的な気持の持ちようも効果的でした。
慢性的な不安感を抱えている場合は、プレッシャーへの対処の仕方がわからなくなってい
るのかもしれません。漠然とした不安感や課題に対して積極的になれない自分が見え隠れ
します。追い込まれないとできないというジレンマがストレスになります。
その場合は、自分が抱えているプレッシャーを明確にすると楽になります。何に対して
不安なのか?をしっかりと対峙して見つめなおすことで、見えてくるものがあります。意
外にも、その原因を見つめていない自分に気がつきます。真正面から対峙するというスタ
ンスも時には必要かもしれません。
・自分がその仕事に対して、何故強いプレッシャーを抱えるのか。
・どこからこの不安感がでてきているのか。
・自分はどこでこの不安感を身につけたのか。
責任感の強さがプレッシャーに変わっている場合があります。どうやら自分の場合は完
璧にできない、すぐにそのゴールが見えてこないという課題に対しては逃避する思考パタ
ーンがあるようです。
・そういう場合は、自分が何故強い責任感を身につけたのかを考えてみます。
原理原則から知りたいという欲求があるのと、自分で納得しなければ記憶しようとしない
思考パターンが根本原因だと思われます。それは、原理原則を知りうる喜びが先に待って
- 96 -
いると思うことで前向きになれそうです。
*
ⅩⅡ.まとめ
*
セロトニン欠乏脳の温床ともいえる社会のなかで、いかにセロトニン的生活を啓蒙してい
く必要性が高まっています。このセロトニンが欠乏してしまう要因の一つにストレスがあ
ります。現代は便利にどんどんなってくることで、より快適な生活ができるはずだとそう
信じて高度成長をがむしゃらに働いてきたはずなのに、ストレスは一向に減らないという
矛盾した現象がみられます。
現代の心の問題は、生活習慣病としての側面が多分にあり、規則正しい生活と運動そのも
のが改善されなければ根本的な解決に至らないのです。その大切な柱である運動指導は、
身体運動の専門家であるインストラクターやリハビリ従事者などが適任なのです。
また実際に心の問題やストレスを感じている人たちにとっても、可逆的な初期の段階で予
防し対処しておくことが大切です。ちょっとした生活の中で実践できることでセロトニン
神経を活性化できる方法はたくさんあります。大切なことは、その効果のある行為を意識
するかどうかなのです。セロトニン的生活を身につけ、物質的な豊かさではない真の幸せ
はココロのあり様にかかってきます。そのココロの背景には脳があり、セロトニン神経が
鍵を握っているのです。
*
*
*
以上の論文からも、お分かり頂けるように、片頭痛改善のためには、「セロトニン生活」
が如何に大切かが理解して頂けたかと思います。
頭痛コンサルタントはビジネスとなりうるのか 2011/10/03
私は、「片頭痛は、生まれつきの体質が存在しても、何らかの方法で、片頭痛を閉じこめて
しまう方法」があるのではないかと、色々模索して参りました。
- 97 -
そこに、「小橋雄太」さんの「イミグラン錠・副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」という
ブログに出くわしました。
この小橋さんの「片頭痛の克服法」に共感して、私は、まず、片頭痛を克服する際には
「小橋流」をまず知るべきと、患者さんにお勧めして参りました。
ところが、先日、私の「尊敬する方」から以下のような苦情のメールを頂きました。
以下、その文章を、そのまま記載します。
*
「私は、小橋さんと言う人のブログを信用しておりません。だいたい「イミグラン、副
作用なしで治しちゃえ」とは一体どういうことなのか、副作用を出現させないで治すとい
うことかと思いましたら、イミグランを使わないで、ということのようです。
そして、最後にビジネスに結び付くような書き方は、先日も申し上げましたように、信用
出来ないのです。頭痛学会と製薬会社の結びつきをおっしゃいますが、小橋さんという人
も、頭痛をビジネスチャンスと捉えている企業と連携している気がしてなりません。それ
を誘導するのが「イミグラン…」ということではないでしょうか。」
*
私としては、「片頭痛克服のためには、発作時の状況を詳細に記録する、その記録方法を
認識してもらう」ために、お勧め致しました。その方法論は、私が共感したからです。
このため、唖然とするやら、落胆してしまいました。
小橋雄太さんのブログが「片頭痛克服法」を提示すべきのが目的であるはずのが、「ある
商品」を紹介すれば、小遣い稼ぎになるという「感覚」でされているように見受けられま
す。この点が、反発を買っている所なのでしょう。この点、小橋さんも、現在、「小遣い稼
ぎ」だけでブログを継続されておられるのか、反省すべき時期にきているのではないでし
ょうか。私は、初めて「ブログ」をみせてもらった際の、驚きはありませんでした。それ
ほど、強烈なものでした。この感覚で、ブログを継続され、「小遣い稼ぎ」といった印象は
慎まれたほうが賢明かと思いますが・・如何でしょうか?
私の、尊敬する人の反感を買わないためにも・・大変、憤慨されておられるようで・・
*
確かに、「片頭痛克服マニュアル」をネット上で提示されている方々は、このような方式
- 98 -
は取られておられないようです。あくまでも「そのマニュアルに従って」行って改善され
た方々の経験談を掲載することによって、「宣伝効果」を狙っているようです。
*
問題は、どの「片頭痛克服マニュアル」を作成されておられる方々は、必ず「メール相
談」を設置されておられます。
この「意味合い」が、私には、全く「理解」できない点です。
すでに、「マニュアル」を購入された方々への「メール相談」もないのではないのではな
いでしょうに。・・それとも
「自分の方式のまずさ」を弁解するための窓口なのでしょうか?
これらの「片頭痛克服マニュアル」を作成された方々は、全て「医師」ではありません。
このような方々が、「マニュアル販売後」延々と「メール相談」をされる気持ちは「どこ
に、理由があるのでしょうか?
今回の「テーマ」の最初の苦情を申された方の言葉をそのまま「お借り」すれば「ビジ
ネス」のためなのでしょうか?
それとも、「医師が治せなかった片頭痛を自分が治した」という優越感に浸って、このよ
うな「メール相談」を受付られておられるのでしょうか。
自分で「治せる」との確信を持っておられるのでしょうか。
片頭痛という「病態」はまさに、多彩な側面を持っていることを認識すべきではないで
しょうか。たった個人の経験だけを「押し売り」する世界ではないと考えます。
私の医療者の立場から、このような「単純な世界」ではないということを申し上げたい
のです。
同様に苦しまれ、そのような組織を作られて、日夜、模索をされておられる方々のこと
も考慮すべきだろうと考えます。
本当に、「片頭痛を克服された方々」が自分と同じように、克服してほしいと思われるこ
とは、理解できますが、これを「ビジネス」とする考えには、「本当に片頭痛でお悩み」の
方には、人の弱みにつけ込む「商法」としか思われません。
- 99 -
もっと、フランクに相談できる場面が必要なのではないでしょうか?
私の、ブログにも「メール相談」の箇所は設けています。ところが、開設以来、相談者
は、5名しかありませんでした。
色々な事情で医療機関に受診できない方々のために設置した「窓口」であるはずで、決
して「自院への患者誘導」の目的とは考えていなかったはずでありながら・・
*
私が申し上げたいことは、片頭痛でお悩みの方は、自分の枠に閉じ困っていることなく、
虚心坦懐に、相談することが、「片頭痛克服」のための「第一歩」となるような気がしてな
りません。私は、いつでも、ご相談に応じるつもりです。
私は「頭痛専門医」ではありません。しかし「一介の神経内科医」独自の考えで、過去 40
年間、頭痛患者さんと向き合って診療して参りました。患者さんを治せないという「苦し
み」は「頭痛専門医」の比ではないと自負しております。おざなりな考えはしていない積
もりです。
私の目的は、「片頭痛撲滅」しかありません。
片頭痛と遺伝 2011/10/03
先日、ある患者会の代表に、当医院のブログの中の「片頭痛を治す プログラム」を閲覧し
て頂き、感想を求めました。
その結果、私の「方式」には納得できない、特に「片頭痛は遺伝性疾患」であり、「第三
者が介入」できないと一蹴され、このような方式は考えられないとのお叱りを受けました。
私は、この感想に、ある疑問を持ちました。
それは、確かに「片頭痛は遺伝性疾患」であることを否定しません。厳然たる事実です。
しかし、遺伝性疾患でありながら、ネット上で、「片頭痛を克服」されている体験談が、こ
れに対して、存在している事実です。
- 100 -
そこで、果たして、片頭痛の方々が、全て「遺伝的な要因」で発症されておられるのか、
と言う事実を まず明確にすることが、現段階で急務と考え、ここに提示致します。
このために、これまでの「片頭痛と遺伝」に関する見解をお示し致します。
その後、片頭痛発症原因としての「遺伝の関与」の比率を提示したいと思います。
ここが、明確になれば、今後、どのようにすべきかが、明らかになると考え、従来から、
殆ど取り上げられていないことを、浮き彫りにすることが目的です。
*
まず、「片頭痛と遺伝」の関連については、かなり専門的な知識が要求されます。
私が、いろいろ文献的に検索した結果、日本頭痛学会の見解が、基本でしょうが、素人
には、とても難解ですので、最も簡明に解説されておられる、樋口脳神経クリニックの樋
口先生の「ホームページ」から、引用させて頂きます。
*
片頭痛は遺伝するか?
*
片頭痛を起こしやすい体質(素因)について重要なことは、片頭痛を起こす人と起こさない
人の脳には違いがあり、前者を migraineous brain(片頭痛脳)と表現することもあります。す
なわち片頭痛は遺伝子の関与が示唆される神経生物学的な疾患です。
片頭痛は家系内発症例が多く、親兄弟や親族の間で形質を比較する連鎖解析により、いく
つかの連鎖領域が報告されています。「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」は共に家族
集積性が認められ、それらの発症には遺伝因子の関与が大きいようです。双子研究による一
卵性双生児と二卵性双生児の疾患一致率は、 「前兆のある片頭痛」ではそれぞれ 34% と
12%、「前兆のない片頭痛」ではそれぞれ 28% と 18%となっています。前兆の有無によらず一
卵性双生児の方が二卵性より一致率が高いことは、発症における遺伝因子が存在することの
証拠となります。
片頭痛発作のトリガーになる要因としては、遺伝的因子(素因)と環境因子(誘因)がありま
す。片頭痛は複数の環境因子と遺伝因子が重なって発症するようです。遺伝子は、環境的トリ
ガー、すなわち外的因子(天候の変化、運動、飲酒、光・音・臭い刺激など)や内的因子(ホルモン
・睡眠習慣・心理的な変化など)に対する感受性に関与しています。分離解析の結果から、片頭
- 101 -
痛は複数の遺伝子の構成が関与して発症することが示唆されています。メンデル遺伝性疾患
(単一遺伝子疾患:いわゆる遺伝病)の原因遺伝子に対し、多因子疾患の発症に関与する複数
の遺伝子を疾患感受性遺伝子といいます。ちなみに高血圧や糖尿病などの生活習慣病も多因
子疾患と考えられています。患者対照関連解析によって患者集団内で正常対照集団内より頻
度の高いアリル(対立遺伝子)を見つけることができます。このアリルが存在する遺伝子が疾
患感受性遺伝子であり、その同定により、疾患発症の機序や他の発症因子との関係の解明が
期待されます。片頭痛の疾患感受性遺伝子の同定に向けて多くの研究がなされていますが、
現時点ではコンセンサスの得られた疾患感受性遺伝子は発見されていません。また、一つの
疾患感受性遺伝子の同定は疾患機序解明の端緒にすぎません。
*
*
*
問題は、このような「遺伝」に関与するものが、現実にどの位、存在するのかを知るこ
とが大切です。このような観点から、実際のデータをお示し致します。
*
+
まず、最初に、1997 年に発表された、北里大学医学部の坂井文彦教授の「全国調査報告
書」によれば、遺伝の頻度は、片頭痛患者全体の 40.4 % という成績が示されています。
*
これ以外、に色々検索致しましたが、現時点では、名古屋の寺本純先生のデータしか見
つけることが出来ませんでしたので、この成績を、お示し致します。
*
その調査結果では、3,138 例を対象に調査を行い、両親のうち母親のみに類似の頭痛が
存在すると回答した患者は、1,362 例(43.4 %)と最も多かった。父親のみと回答したのは
357 例(11.4 %)であった。その他両親ともに頭痛が存在すると回答した患者が 116 例
(3.7 %)存在したところから、個別に合計すると、母親では 1,478 例(47.1 % )が、父
親では 473 例(15.1 %)であった。両親のいずれにも頭痛が存在しないと回答した患者
1,303 例のうち、子供に頭痛があると回答したのは 230 例(7.3 %)であった。
一等親で頭痛が確認されなかった患者 1,073 例のうち、二等親である祖父母に頭痛が存
- 102 -
在したのは 94 例(3.0 %)、同様に二等親である同胞に頭痛があると回答したのは 153 例
(4.9 % )であった。
患者本人から家族の頭痛について問診したので、家族の頭痛が確実に片頭痛であったか
どうかまで調査することはできなかったが、以上の結果から二等親以内に頭痛が存在する
ことが確認されたのは合計 2,312 例(73.7 %)であった。
なお、家族に頭痛はないと回答した 794 例(25.3 %)についてみると、そのなかで男性
は 263 例(33.5 %)で、かなり高頻度であった。
*
一卵性双生児についての調査では、Ziegler は、41 組の一卵性双生児のうち、11 組の少
なくとも片方と 2 組の両者に激しい頭痛が存在し、二卵性双生児では、65 組のうち、16
組の少なくとも片方と 2 組の両者に激しい頭痛が存在したと報告しています。さらに
Lucas は、1,300 組の双生児のうちから片頭痛を拾い上げて調査を行い、一卵性双生児では
26 % が両者に片頭痛が出現するのに対して、二卵性双生児ではその比率が 13 % であっ
たと報告しています。
これらの調査の中で、調査時点での未発症例が将来的に発症する可能性は否定できませ
んが、遺伝的には同質であるはずの一卵性双生児でも両者に出現する頻度が意外にも低い
ことは、遺伝的素因以外の何らかの外的要因が片頭痛の発現にかなりの割合で影響してい
る可能性が示されたと言えます。
寺本の成績では、5組の一卵性双生児と1組の二卵性双生児の少なくとも1人が片頭痛
で、一卵性双生児では両者とも片頭痛であったのが3例、二卵性双生児では0例であった
と報告しています。
*
*
この遺伝的素因に関して、東京女子医科大学の清水俊彦先生が「頭痛女子のトリセツ」
の中で、以下のような興味深い記述をされています。ここに引用させて頂きます。
*
もともと母親が頭痛持ちだったのですが、本人は今まで全く頭痛というものを経験した
ことがなかったある女性。
嫁いだ先では、旦那さんを含めて、おじいちゃん、おばあちゃん・・家族みんなひどい
頭痛持ちの家系でした。ところが頭痛の経験のなかった彼女が、嫁いだ途端にひどい頭痛
- 103 -
に悩まされるようになり、私のところへ来たのです。
話を聞いてみると、嫁姑の争いもなく生活環境的にはストレスも全くなく、特に問題は
ありませんでした。もしかして「片頭痛は伝染する病気なの?」といった疑問も湧いてき
ます。
が、じつはそうではありません。さらに話を聞いてみると、この嫁いだ先の食生活に問
題があることがわかりました。ほぼ毎日、洋食の連続。彼女は、もともと母親と同じ片頭
痛を起こすかもしれない体質を持っていました。そこへ、血管拡張物質を多く含んだ毎日
の食事が刺激となり、ついに脳の血管が耐えきれず、片頭痛を発症してしまったというわ
けです。
*
*
以上、現段階では、坂井、寺本両先生の成績しか見つけることができませんでしたが、
寺本先生の示されるように、片頭痛の方の 25 % の方々が、「遺伝」とは関係なく、片頭痛
を発症していることが明らかになりました。
従って、片頭痛診療にあたって、家族歴を詳細に問診することによって、「遺伝」の有無
を聴取し、仮に「家族歴」がない場合は、原因究明を怠ってはならないと考えます。
また、たとえ、「遺伝」があったとしても、片頭痛の発症原因を探る努力を怠ってはいけ
ないことを清水先生が示唆されております。
このような手順を踏むことにより、少しでも「セロトニン生活」に近づけるよう努力は
惜しんではならないと考えます。
*
*
「片頭痛と遺伝」に関して、最近いろいろ論文が出て参りました。参考までに掲載します。
*
*
片頭痛に関連する遺伝的多型
Variants associated with migraine
Nature Genetics, 2011 年 06 月 13 日
普通型片頭痛に対する感受性に関連する遺伝的多型が同定された。この成果を報告する
- 104 -
論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載されました。
片頭痛は、高頻度に見られる異質性の高い神経疾患で、神経科外来患者の最大 20 %が罹患
しており、男性より女性の患者数が多い。
今回、M Schuerks らは、地域住民を対象とした研究における片頭痛を訴える 5122 人の女
性と片頭痛を訴えていない 1 万 8103 人の女性を対象として、普通型片頭痛のゲノムワイド
関連解析を行ったことを報告している。その結果、片頭痛に対する感受性に関連する 3 つ
のゲノム領域が同定され、そのうちの 2 つは、非片頭痛性頭痛と比べて、片頭痛に特異的
だった。そして男性と女性の両方を対象とした再現解析では、3 つのうちの 1 つのゲノム
領域が、女性との関連がより強いことがわかった。ここでの候補遺伝子の 1 つである TRPM8
は、ニューロンで発現し、痛みのセンサーがコードされている。もう 1 つの候補遺伝子で
ある LRP1 は、細胞外環境と神経伝達物質経路の感知に関与している。
*
*
片頭痛の原因遺伝子発見
東大などの研究チーム
*
頭がズキンズキンと痛む片頭痛の原因遺伝子のひとつを発見したと、東京大の関常司講
師(腎臓病学)やベルギー・ガストフイスベルグ大などの研究チームが23日付の米科学
アカデミー紀要(電子版)に発表した。病気の詳しい原因解明や、この遺伝子を標的にし
た治療薬の開発が期待される。
*
研究チームによると、片頭痛は国内に約1千万人の患者がいるとされる。月に1~2回、
多い人では週に1~2回痛みが起こり、治まると何の症状も残らない。発症の詳しい仕組
みは解明されていないが、神経細胞の過剰な興奮が原因とみられている。
関さんらは、腎臓などの細胞膜で働き、全身の水素イオン濃度の調節に関係する「NB
Ce1」という遺伝子に異常がある人の中に、片頭痛の患者がいることに注目。
培養細胞を使った実験などから、この遺伝子が脳内でも重要な役割を果たしていること
- 105 -
を突き止めた。遺伝子に異常があると神経細胞の興奮を制御する水素イオン濃度の調節が
できなくなり、片頭痛につながるという。
*
*
遺伝子変異が片頭痛発症に影響
*
特定の遺伝子の変異が、片頭痛発症のリスクを著しく増大させることを示す新たな研究
が発表された。繰り返し起こる激しい頭痛である片頭痛の原因の解明と新たな治療法の開
発に光が投じられる可能性が出てきた。
慢性的な片頭痛に悩む人は世界で 3 億人を超え、女性の約 6 人に 1 人、男性の約 12 人に 1
人がこの症状を抱えているという。ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニック
によれば、激しい頭痛に加え、吐き気や、光や音に対して過敏になるなどの症状をを併発
することも多い。
今回、片頭痛に関連する遺伝的異常をすべて洗い出すことを目的として、国際研究チー
ムがフィンランド、ドイツ、オランダに住む 2700 人を超える片頭痛患者のゲノム(遺伝情
報)と、片頭痛の症状の無い 1 万人を超える人のゲノムの比較を行った。その結果、片頭
痛患者の 25 %から隣接する遺伝子の活動を抑えるとみられる遺伝子の変異が見つかった。
この遺伝子は、神経伝達物質であるグルタミン酸に影響を与える EAAT2 と呼ばれるタン
パク質を制御することが確認されている。
神経伝達物質とは、脳細胞の間で信号を伝える化学物質である。EAAT2 タンパク質は通
常、機能を終えたグルタミン酸を除去する役割を担っている。グルタミン酸は哺乳類の脳
の中に最も多く存在する神経伝達物質である。
研究チームはさらにアイスランド、デンマーク、オランダ、ドイツに住む約 3200 人の片
頭痛患者とおよそ 4 万人の健康と思われる人とを比較して、この遺伝子の変異が片頭痛と
関係していることを確認した。研究チームによれば、過去の調査では特殊な型の極端に激
しい片頭痛を引き起こす変異が発見されたことはあるが、遺伝子の変異と一般的な片頭痛
- 106 -
の症状との関連が明らかにされたのは今回が初めてだという。
過去の研究では、EAAT2 の制御に伴う問題をてんかんや精神分裂病、さまざまな気分障
害や不安障害などの脳障害と関連付けていた。
今回の研究結果は、グルタミン酸が脳内に蓄積されることが片頭痛の原因であり、グル
タミン酸の蓄積を防ぐことで片頭痛の発症を抑えることができる可能性があることを示し
ている。
研究の共著者でイギリスのウエルカム・トラスト・サンガー研究所の国際頭痛遺伝子コ
ンソーシアム会長のアアルノ・パロティエ氏は、「グルタミン酸を阻害する薬は現在でも存
在し、その一部はてんかん性発作の治療やアルツハイマー病などの神経変性障害の治療に
使われている」と語る。「しかし、それらが片頭痛対策になるかどうかは別の問題であり、
その答えも見つけたい」。
ヨーロッパ人の間ではこの遺伝子の変異は片頭痛を持たない人の 19 パーセントにも発見
されているので、片頭痛発症につながる要因の 1 つにすぎないとも考えられる。「今後も研
究を続けて、片頭痛発症につながる遺伝子を他にも特定できるかどうか、そしてそれらの
遺伝子はグルタミン酸を巡る一連の化学反応の一部なのか、それとも片頭痛を引き起こす
経路が他にも存在するのか、解明したい」とパロティエ氏は語る。
この片頭痛と遺伝子変異の関連についての研究は、『Nature Genetics』誌が Web サイト上
で 2010 年 8 月 29 日に発表した。
*
*
頭痛:片頭痛のゲノムワイド関連解析で明らかになった 8q22.1 上の一般的な感受性多型
*
片頭痛はよくみられる発作性の神経疾患であり、通常、再発性の激しい頭痛発作と自律神
経機能障害が認められる。希少性の単一遺伝子によるサブタイプを除けば、片頭痛につい
ての遺伝子マーカーもしくは分子マーカーはこれまで確認されていなかった。今回、ヨー
- 107 -
ロッパの 3 箇所の頭痛外来から集められた片頭痛患者 2,731 例、および一致集団の対照例
10,747 例についてゲノムワイド関連解析を行い、8q22.1 染色体上に、片頭痛との関連が認
められる rs1835740 のマイナー対立遺伝子を同定した( P =5.38 × 10 −9 、オッズ比=1.23、
95% CI 1.150−1.324)。さらに、症例 3,202 例、対照例 40,062 例に対してメタ解析を行い、
この関連の再現性を確かめた(全体の P =1.69 × 10 −11 、オッズ比=1.18、95% CI
1.127−1.244)。rs1835740 は、 MTDH 〔 AEG-1 (星状細胞増加遺伝子 1)ともいう〕と、
PGCP (血漿グルタミン酸カルボキシペプチダーゼをコードしている)の間に存在する。
リンパ芽球細胞株において eQTL 解析を行ったところ、 MTDH の転写産物量が rs1835740
と強い関連を示すことが判明した( P =3.96 × 10 −5 、このとき並べ替え検定によるゲノ
ムワイドな有意性の閾値は 7.7 × 10 −5 )。今回の結果は、rs1835740 が片頭痛の遺伝的リ
スク因子であることを初めて示すものである。
*
*
偏頭痛の原因遺伝子の 1 つを特定、米科学誌
2010 年 08 月 31 日 12:42
発信地:パリ/フランス
片頭痛の原因遺伝子の 1 つを特定したと、国際研究チームが 29 日付の米科学誌ネイチャー
・ジェネティクス(電子版)に発表した。片頭痛の抑制や新薬開発などにつながることが
期待される。
これまでの研究では、片頭痛の中でもまれな種類のものの原因遺伝子が特定されていた
だけだったが、今回は一般的な片頭痛の原因遺伝子を初めて特定した。
世界の 40 の医療機関によるチームが、5 万人を対象に、重い片頭痛に罹患した人と片頭
痛のない人の遺伝子を比較したところ、ある遺伝子変異体が片頭痛の発生リスクを 20 %上
昇させることが分かった。
原因遺伝子とみられるのは、第 8 染色体の遺伝子 PGCP と MTDH/AEG-1 の間にある
rs1835740 と呼ばれる遺伝子変異体で、rs1835740 によって神経伝達物質グルタミンの調節
が妨げられ、グルタミンが脳細胞間に蓄積するために片頭痛が起こると考えられる。確証
- 108 -
を得るためにはさらに研究が必要だが、これが正しければ、グルタミンの蓄積を抑制する
医薬品の開発ができる。
また参加したオランダ・ライデン大学医療センター(Leiden University Medical Centre)
の Gisela Terwindt 氏は、今回の研究では頭痛専門クリニックの患者を主に対象としたため、
ひどい片頭痛にあまりならない人たちも含めた、さらに広い調査が必要だしている。
世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、疾病負担を表わす「障害を抱えて
生きる年数(YLDs、Years Lived with Disability)」の上位 20 位内に片頭痛を数えているほ
か、米国では、片頭痛治療にかかるコストは糖尿病治療と同程度かかると見られている。
*
*
もう少し分かりやすいように、別の記事を掲載します。
*
+
片頭痛を起こしやすい体質の多くは遺伝することがわかってきており、代々受け継がれ
た因子を持ってお生まれになった方が多いです。
父親、母親の片頭痛ともに子供に遺伝するといわれていますが、お母さんの影響が強い
というのが研究者の定説になっています。
また、80%の片頭痛患者は他の頭痛のタイプ頭痛の患者よりも多くの家族との因果関
係が確認できています。
*
*
ただし、遺伝形式は一定ではなく、いくつものよう因果関係するものといわれています。
つまり、遺伝するといってもいくつもの要素があるよ、っていうことです。
そして、遺伝したとしても本当に遺伝的因子を持っている人が頻繁に頭が痛くなるかど
- 109 -
うかという問題は、ちょっと別でして、食べ物や光や音による誘発要因が関わっているの
で、必ずしも子供に頭痛が起こるというものではありません。
昨年、こんな記事がでました。
世界の 40 の医療機関によるチームが、5 万人を対象に、重い片頭痛に罹患した人と片頭
痛のない人の遺伝子を比較したところ、ある遺伝子変異体が片頭痛の発生リスクを 20 %上
昇させることが分かった。
原因遺伝子とみられるのは、第 8 染色体の遺伝子 PGCP と MTDH/AEG-1 の間にある
rs1835740 と呼ばれる遺伝子変異体で、rs1835740 によって神経伝達物質グルタミンの調節
が妨げられ、グルタミンが脳細胞間に蓄積するために片頭痛が起こると考えられる。確証
を得るためにはさらに研究が必要だが、これが正しければ、グルタミンの蓄積を抑制する
医薬品の開発ができる。
*
*
片頭痛と子供への遺伝
その2
双子の場合
片頭痛の遺伝について書いて、つけたしです。
随分前の仕事の時のことを思い出しました。
ある女性の片頭痛持ちの患者さんから
『私は双子なんですが、姉には頭痛がなく私だけにあるんです。
双子なのに、片方にでるってどういうことですか?』
と。。
片頭痛は親から子供への遺伝形式が数々発表されていますし、遺伝的要素があるというの
が定説です。
双子・・・・・・。あんまり考えた事がなかったので、正直ビックリしてしまいましたが。。
- 110 -
私の経験から。
遺伝子が同じ一卵性双生児ですので、
遺伝的要素のみであれば二人共に片頭痛が出るもしくはでない
ということになるでしょう。
しかし、片方の兄弟しか出ないということであれば、
片頭痛(偏頭痛)は遺伝的要因のみで出現する事は無い、
という事になるでしょう。
ただ、経験論で申し訳ないですが、一卵性双生児の方でも兄弟姉妹両方に出現する例も経
験があります。
双子さんでも一卵性と二卵性とでは違いますので。念のため。
片頭痛の遺伝が疑われている疾患と遺伝的特徴
片頭痛の遺伝、双子だった場合について述べてきましたが、
割合をみてみると片頭痛患者さんの50%以上に家族歴が認められているようです。
母親からの遺伝的要因が高いとされていますが、両親共に頭痛持ちであった場合は、さら
に高確率で片頭痛持ちの子供が出来る確率が高くなります。
ほか、祖父母や親戚血縁関係も・・・という統計があります。
家族性片麻痺性片頭痛という特殊な片頭痛患者さんに、細胞興奮に関するカルシウムチ
ャンネル遺伝子が発見されました。
つまり、遺伝性が明らかといわれています。
- 111 -
現在も頭痛が起こる遺伝子の研究は積極的にされており、もし、特定され、解決方法が
見出せるかもしれませんね。
*
なお、「片頭痛と遺伝」に関しては、詳しく「日本頭痛学会」の「慢性頭痛診療ガイドラ
イン」の最後の部分に記載されています。ご覧下さい。
片頭痛改善のための10カ条
2011/10/04
*
1.睡眠時間の確保が 頭痛克服の第一歩です。
2.規則正しい生活を行いましょう
3。入浴方法を考えましょうーゆっくり暖まって血行改善をー但し、発作中は禁忌です。
4.こりをほぐす呼吸法ー深呼吸のすすめ
5.こりをほぐすストレッチをしましょう
6.ウオーキングーできるだけ歩くように意識して
7.首、肩のマッサージ、ツボ押しをしましょう
8.リラックスする方法を考えましょうー例えば、アロマテラピイとか
9.目のケアをしましょう
10. 食生活の改善
*
*
以上の点を、日常生活の中に、組み込むことが最も大切です。
少なくとも、最小限、1と2は必須項目で、あとは、できればということですが、完璧
を期するためのものです。
これに従って、ライフスタイルを変えることで、まさしく完璧に行えば、まもなく、片
頭痛は改善できるのですが、いっぺんに変更することは不可能です。
自分の生活様式と照らし合わせながら、反省し、どこに問題点があるのかを点検しなが
- 112 -
ら、是正していく必要があります。
改善目標に近づくに従って、発作回数は、着実に減少していきます、そして最終地点に
立てた時点で、片頭痛の発作を「封じ込める」 ことが可能ということです。
しかし、「頭痛体質」そのものは、生まれつきの「遺伝されたものです」
この点は、忘れないでおいて下さい。
また、昔の「生活習慣」に逆戻りすれば、再度、頭痛発作に見舞われます。
片頭痛をお持ちのあなたは、このような宿命を背負っておられることを自覚しなくては
なりません。頭痛体質という「生まれつき」の病因は、現段階では、なくすことは出来ま
せん。あくまでも、「封じ込めてしまう」という考え方です。
生活習慣病の代表とされる「糖尿病治療」と考え方は、全く同じです。
「遺伝子治療」が可能となれば別ですが、現段階では、万人に行える治療ではありませ
ん。このため、現在、考えられている方法で、片頭痛を「封じ込める」ことを考えるのが
得策と考えます。治療費は全くかかりません。自分ですれば、済むことです。
自分自身の「生活様式」をもう一度、振り返ってみて、以上の「10カ条」にあてはま
るかどうか、再検討してみて下さい。何かが見えてくると思います。
「片頭痛は遺伝」と諦めてしまうことが、何の解決にもならないということを自覚すべ
きと考えます。
これが、片頭痛の病態解明の実情(現状)に合わせた、治療のあり方と考えますが、皆
さんは、如何、お考えでしょうか。
頭痛が、繰り返される場合、皆さん、はどうされますか 2011/10/05
このような、慢性頭痛にお悩みの場合、どうされていますか?
*
皆さんは、パソコンを持っておられる方は、何か、ないかと検索されると思います。
頭痛のサイトは、多数検索されます。
*
- 113 -
検索されるサイトの半数以上は、整体もしくはカイロプラクテイックです。その次に多
いのは、「歯の矯正」のサイトです。
中には、慢性頭痛の中でも、多く見られる「片頭痛」の場合は、「頭痛外来」の受診を勧
めるものも、多数見られます。これらのサイトの殆どは、「トリプタン製剤」があるから、
この薬剤を服用すれば、劇的に軽快するという「説明の仕方」と、さらに過激にサイトで
は「トリプタン製剤」で治療しないと、あげくの果ては、脳梗塞になってしまうとか、「脳
過敏症候群」に陥ってしまうというような宣伝が、まかり通る反面、逆に、「片頭痛は医療
機関では治らない」というブログまで散見されるに至っています。
このような状況にあるため、「自分独り、頭痛で苦しみ、悩まれておられる方々」が、ど
こに頼ってよいのか判断に苦しまれることは、想像を絶するものと思います。
私も、和歌山県田辺市の芳養という片田舎で、23 年前に「神経内科」を標榜して開業し
た時点では、当時、この田辺市内には脳神経外科という診療科はありませんでしたため、
多くの頭痛患者さんが受診されました。この当時、最も困惑する患者さんは、群発頭痛の
患者さんが、酒を飲んでも、発作がでないようにしてくれという希望でした。その次は、
「片
頭痛を一生起こらなくするようにして欲しい」というもので、特に、結婚を控えているた
め、結婚までに「片頭痛を治して欲しい」というものでした。当時から「これまでの生活
習慣を改めながら、発作の誘因を突き止め、これをもとにして解決策を考えて行きましょ
う」と説明させて頂いても、このようなまどろっこしい方法には、誰も興味を示されず、
「一
発で治して欲しい」と希望される方々ばかりでした。
その後、10 年前に、トリプタン製剤が発売された当時は、「片頭痛の特効薬」と宣伝さ
れたためか、片頭痛患者さんが医院に押し寄せられるように来院され、中には、トリプタ
ン製剤使用禁忌の患者さんが、どういう訳か、来院されたことに困惑しました。コントロ
ールされていない高血圧、末梢循環障害、狭心症、脳梗塞の既往のある方々、等々、トリ
プタン製剤の限界をどうするのかといった患者さんが、多数来院されました。
しかし、トリプタン製剤も、これまで服用していた「市販の鎮痛薬」よりは、効果があ
るが、薬の値段が高すぎるし、片頭痛が根治するのではないということから、医療機関を
敬遠され、現在では、トリプタン製剤しか効かない方々しか、通院されません。
その後、画像診断が、CTからMRIと移行した途端に、片頭痛患者さんは、MRI保
- 114 -
有医療機関へ流れて行き、当医院には、全く来られなくなりました。
その理由は、当医院の方針として、片頭痛発作の誘因(原因)を自分自身で確認しても
らうようお願いしていました。患者さんにとっては、このような「煩雑な作業」を経るこ
となく、MRIで検査をしてもらえば、「片頭痛の原因」が確認されると思っておられたよ
うです。しかし、このようなMRI保有医療機関で検査してもらっても、何も原因が分か
るはずもなく、ただ単に、「鎮痛薬」の処方をされるだけで、放置される始末でした。
当然、患者さんは、何も原因がないと、言われたため、「鎮痛薬」を服用を続行します。
このため、さらに、頭痛が治まらないため、再度「MRI保有医療機関」を受診されるの
ですが、またMRIを検査され、「心配ない」と言われ、また「鎮痛薬」を処方されるとい
う結果になっているのが、現状です。患者さんは、どうしても、頭痛が治らないどころか
「ますます増強してくるため」初めて、藁でもつかむ思いで、当医院を受診されるという
構図です。ところが、このような患者さんに「薬物乱用頭痛」とお話しても、信用されず、
大阪・神戸の「頭痛専門医」に受診され、その結果、改めて、当医院で治療が開始される
というのが、現状で、現在の患者さんの、98 % は、「MRI保有医療機関を受診された方
々」の後始末ばかりです。
最初に診せてもらえば、このようにならなかったのにと、ボヤキの意味を込めて、2年
前に、この「頭医者のつぶやき」というブログを開いた次第です。
このような経緯があるため、当医院の方針は、「開院当初から、基本的な考え方」には変
わりなく、ブレてはいないと考えております。
特に、片頭痛・緊張型頭痛に関しては、その方針には、殆ど変わりなく行っているつも
りです。
*
もっと、初診時に、的確な方針を示すだけの時間的な余裕がないものかと、
「つぶやいて」
いるといったところでしょうか。
*
それにしても、片頭痛の方には、お話しすることが多すぎて、せっかく受診された方に
は、毎日、その日診せて頂いた方の「診療」の反省文を書く度に、申し訳なく思っており
おます。
- 115 -
耳鳴の治療に「トリプタン製剤」? 2011/10/05
先月の末から今月にかけて、お年寄りの方々が、診察室に入るなり、「先生、トリプタン製
剤を出して下さい」と言われるのです。それも、これまで「片頭痛の診断」をしていない 75 ~
90 歳までの方々がです。だいたい、このように言って来られる方が毎日2,3名は、おら
れます。よく、お話をお聞きしますと、長年、「耳鳴やめまい(ふらつき)」に悩まされ、
全く改善されない方々です。以前にあった頭痛は、どのように考えても「片頭痛とは診断
できない、酷い肩こりによる緊張型頭痛」としか思えないものでした。
なぜ、同じようなことを言ってくる方々が多いため、さらにお聞きしますと、「9月 28
日のNHKの”ためしてガッテン”で放送されていたと言われるのです。(私は、残念なが
ら見ておりませんでした)
耳鳴に「トリプタン製剤」を使うことは、まずありえないし、そこで気がついたことは、
清水俊彦先生の提唱される「脳過敏症候群」でした。しかし、仮に、「脳過敏症候群」とし
てもトリプタン製剤は使うことはないと思い、どのように放送されたのか、点検しました。
やはり、誤解されておられたようで、「抗てんかん薬・抗うつ薬」でした。
少なくとも、仮に「片頭痛」であったとしても、このような高齢の方には、一般的には
「トリプタン製剤は使わない」とご説明申し上げ、ひきとってもらっています。
このように同じよう訴えて来院される方々が、後を絶たず、いささかうんざりしていま
す。こうしてみますと、いかに多くの方々が「耳鳴・ふらつき」に悩んでおられるのか、
改めて思い知らされました。
*
今後、このように誤解されて受診されないよう、誤解を解く意味で、9月 28 日の放送分
を転載させて頂きます。
放送の威力と患者さんの誤解が、いかに大きいかを実感されました。
*
NHKのためしてカッテンから抜粋させて頂きます。
*
不眠・めまい・耳鳴り
不快症状を解消せよ!
- 116 -
2011 年 09 月 28 日放送
*
原因不明の不快症状
*
不眠に悩むAさん、めまいに悩むBさん、耳鳴りに悩むCさんは内科、耳鼻咽喉科、精神
科、婦人科などさまざまな診療科を受診してきましたが、原因不明で症状が改善されるこ
とはありませんでした。
しかし、ある同じ薬で治療したところ、なんと3人とも症状が大幅に改善。
笑顔が戻りました。
一方で、症状がよくなるのと引き換えに頭痛に襲われるようにもなりました。
一体どういうことなのでしょうか?
実は、この頭痛こそが3人の原因を探るための大きなヒントだったのです。
*
過去の片頭痛が原因だった!
*
実は、3人とも過去に、20~30年に及ぶ長い間、頭痛に悩まされていました。
しかもそれは単なる頭痛ではなく「片頭痛」でした。
片頭痛は神経伝達物質のセロトニンが不足すると起きやすくなります。
セロトニンが不足すると脳の血管が広がることで、辺りに痛み物質が発生、神経を刺激し
激痛が起こると考えられています。
しかし、実は3人にとって片頭痛はすでによくなっていたため、不快症状の原因だとは考
えておらず、気がつかなかったのです。
では、片頭痛の経験があると一体どうして問題なのでしょうか?
*
元凶は「脳の過敏状態」!
*
患者Dさんは、光に対して非常に敏感で外出時はサングラスが手放せません。
また皮膚に問題がないにもかかわらず顔や頭の皮膚がピリピリするナゾの症状にも襲われ
ます。
実はこれらは典型的な片頭痛の症状。
- 117 -
患者Dさんは重度の片頭痛患者だったのです。
片頭痛患者に特殊な光を当て脳波を調べてみると、健康な人では大きい波と小さい波が交
互にあるはずなのに、大きな波ばかり。
これは、脳が異常に興奮している「脳の過敏状態」。
この「脳の過敏状態」こそ、原因不明の不快症状の元凶だったのです。
*
「脳の過敏状態」を抑えるには?
*
不眠、めまい、耳鳴りに悩む3人の治療に使われたのは、
「抗てんかん薬」と「抗うつ薬」。
脳の興奮を抑えることで「脳の過敏状態」を改善したのです。
また、そもそも脳の過敏状態にならないためには片頭痛をしっかり治療しておくこと。
片頭痛の治療薬「トリプタン」は、痛み物質の発生を抑え、「脳の過敏状態」を防ぐことが
できます。
一方、市販の消炎鎮痛薬は痛みを感じにくくする効果はありますが、痛み物質の発生その
ものを抑えるわけではないので注意が必要です。
原因不明の症状に苦しんでいる人は、まずは症状の専門科を受診し、それでも原因不明で
症状も改善しないときは、片頭痛経験があれば頭痛専門医を受診することをお勧めします。
*
生理痛と思っていたら大間違い!
*
女子大の学生9人に生理のときの痛みについて聞くと、4人が生理痛の症状として頭痛を
訴えました。
そこで頭痛専門医の診察を受けると、頭痛の正体は生理痛ではなく、なんと片頭痛という
結果でした。
生理のときには女性ホルモンのエストロゲンが体内から減少しますが、このとき脳にも影
響を与え神経伝達物質のセロトニンが減ってしまいます。
そのため、片頭痛が起こっていたのです。
生理時の頭痛の6~7割は、生理痛ではなく片頭痛という報告もあります。
長い間放っておくと「脳の過敏状態」になる可能性があります。
迷わず頭痛専門医の診断を受けることが重要です。
- 118 -
*
「脳の過敏状態」って何?どうしたらよいの?
*
「片頭痛」を長期間放置することで、「脳の興奮状態」が残ってしまい、さまざまな症状を
引き起こす状態のことです。症状は、主に不眠、めまい、耳鳴り(頭鳴)などです。片頭
痛の症状自体は、年をとると軽くなることが多いため、片頭痛由来の「脳の過敏状態」が
原因だとは気がつきにくいため注意が必要です。
*
※原因不明の不眠、めまい、耳鳴りの全ての原因が「脳の過敏状態」というわけではあり
ません。
*
今回の不眠、めまい、耳鳴りに悩む人の治療に使われたのは、「抗てんかん薬」と「抗うつ
薬」です。
脳の興奮を抑えることで「脳の過敏状態」を改善しました。どちらも片頭痛の予防薬とし
て使用されています。使用には医師の処方が必要です。原因不明の症状に苦しんでいる人
は、まずは不眠、めまい、耳鳴りそれぞれの症状の専門科を受診し、それでも原因不明で
症状も改善しないときは、過去に片頭痛経験があれば「頭痛専門医」を受診することをお
勧めします。
ただ、今回番組で紹介した考え方は、去年発表されたばかりのため、まだ全ての頭痛専門
医の標準的な治療となっているわけではありません。
「頭痛専門医」について、詳しくは「日本頭痛学会」のホームページで確認できます。
*
そうならないためには、どうしたらよいの?
*
「片頭痛」をしっかり治療しておくことが大事です。片頭痛の治療薬「トリプタン」は、
痛み物質の発生を抑え、「脳の過敏状態」を防ぐことができます。
一方、市販の消炎鎮痛薬は痛みを感じにくくする効果はありますが、痛み物質の発生その
ものを抑えるわけではないので注意が必要です。
片頭痛は、寝込むほど痛み、吐き気がある痛み、動くと悪化する痛み、ズキズキする拍動
性の痛みが多いのが特徴です。
- 119 -
女性は生理時の頭痛の6~7割が片頭痛という報告もあります。
ひどい頭痛がある場合は、「頭痛専門医」を受診することをお勧めします。
片頭痛の誘発因子
2011/10/06
片頭痛の原因
*
片頭痛の原因は多岐にわたりますが、それらは行動によるもの、環境によるもの、食物
によるもの、化学作用によるもの、ホルモンによるものにそれぞれ分類されます。これら
は、医学的には「誘発因子」として知られています。
*
例えば「The MedlinePlus Medical Encyclopedia」では、以下の項目を片頭痛の原因として挙
げています。
*
片頭痛の原因として考えられるもの:
*
アレルギー反応
明るい光、騒音、ある種の香水の匂い
身体的あるいは精神的なストレス
睡眠パターンの変化
喫煙あるいは副流煙の吸入
食事を抜くこと
酒類の摂取
月経周期の変動、経口避妊薬の服用、更年期移行中のホルモン変動
緊張性頭痛
チラミンを含む食品:赤ワイン、熟成チーズ、チョコレート、漬け物類、発酵食品、
薫製魚、トリの肝臓、イチジク、豆の一部など
グルタミン酸ナトリウム(MSG)を含む食品:肉類、発酵食品など。原材料名では
- 120 -
うまみ調味料(近年では「アミノ酸等」と表示されています。有名なものとしては
味の素があります)、発酵調味料、タンパク加水分解物など
硝酸塩を含む食品:ハム、ベーコン、ホットドッグ、サラミなど
その他の食品:ナッツ類、ピーナッツバター、アボカド、バナナ、シトラス、ニンニ
ク、乳製品、コーヒー
— The MedlinePlus Medical Encyclopedia
*
片頭痛は明白な「原因」なしに起きることもあります。
本日、来院された 50 歳男性の患者さんは、片頭痛の家族歴が全くなく、頸椎レントゲ
ン検査では、ストレートネックを呈し、直立位で、頸椎が前傾していました。発作の原因
として思い当たるものはなく、ただ趣味の「ラジコンの組み立て」を4,5時間にわたっ
て長時間「うつむき姿勢」で行ったり、横になって、右側臥位で2,3時間ビデオ鑑賞を
行って、枕を高くして就寝すると、翌朝、必ず、頭痛発作が起きると述懐されていました。
この方は、「姿勢」に関連して、発作が起きており、本人は、トリガーを自覚されておら
れませんでした。このように「姿勢」に関連したものは、自分では、トリガーを自覚でき
ません。
(今後、体操による姿勢の矯正、日常生活上、前屈みの姿勢を長時間保持しないことに注
意し、場合によっては「整体」を考慮の上、経過観察の予定です)
*
誘発因子の考え方は、さまざまな環境要素への接触が個々の頭痛発作を引き起こすこと
を裏付けています。片頭痛患者さんは長い間、頭痛とさまざまな疑わしい誘因の関連性を
見つけたり、頭痛の発生を記録する「頭痛日記」をつけたりして自分の頭痛の誘因を特定
するよう指導されてきました。また、誘因となる食物を避けるための種々の相関関係を探
るため、食事制限をするようにも指導されてきました。ここで注意すべきことは、誘発因
子の中には実際は量が関係するものがあるということです。例えば、ダークチョコレート
(小さなブロック)は片頭痛を引き起こさないでしょうが、ダークチョコレート(厚板半
分)なら、敏感な患者さんであればほぼ確実に引き起こすことになります。さらに、2 つ
以上の誘発因子に同時に接触することで、1 つだけに接触するよりも片頭痛の発症率が高
くなります。例えば暑く湿度が高い日に、ストレス過多と睡眠不足の状態で、誘発因子と
してよく知られた飲食物を摂取すれば、敏感な患者さんでしたら恐らく片頭痛を発症する
- 121 -
でしょうが、ほとんど環境的ストレスを抱えずにしっかり眠った後の涼しい日に、誘発因
子の飲食物を 1 つくらい摂っても、患者さんは片頭痛を発症せずに終わってしまいます。
片頭痛を回避するのは手間がかかることとも言えますが、正確な頭痛日記をつけ続け、自
分にふさわしい方法でライフスタイルを変化させていくことで、患者の生活の質は少なか
らず良くなるとも言えます。天気や感情などのいくつかの誘因は事実上不可避ですが、回
避可能な誘因をコントロールすることで、不可避な誘因による片頭痛への影響を少なくで
きるはずです。
*
食物
*
「自分の片頭痛の誘因となる食物を特定して避けるようにしたら、片頭痛の発症回数が
減った」と言われるいる患者さんはたくさんいます。しかし、さらに研究が必要とされま
す。
*
グルテン
*
回避することで片頭痛の発症回数が減ったり片頭痛自体が治ったりすると証明された食
物が、グルテンです。セリアック病やその他のグルテン過敏系の病気にかかっている患者
さんは、グルテンアレルギーの症状として片頭痛を発症するともされています。ある研究
結果によりますと、片頭痛患者さんは一般の人よりもセリアック病患者である割合が 10 倍
も高く、そうした患者さんはグルテンが含まれない食事を続けることで片頭痛が減少ある
いは治癒したという報告があります。最近症状が悪化したり、治療への抵抗性があったり
する慢性頭痛の患者 10 人を調べたところ、10 人全員がグルテンに対して過敏症状を示し
たとする研究結果もあります。MRI スキャンによって、各患者さんは中枢神経系にグルテ
ンアレルギーによる炎症があることも分かりました。それらの患者さんのうち、グルテン
を含まない食事療法を続けた 9 人中 7 人が、以後完全に頭痛を発症しなくなったといいま
す。
*
アスパルテーム
*
- 122 -
アスパルテームは人工甘味料として知られる物質です。このアスパルテームが片頭痛を
引き起こすと信じている人もいますし、症例の証拠もありますが、この件に関しては医学
的には証明されていません。
*
グルタミン酸ナトリウム
*
これは頻繁に誘発因子として報告されています。プラセボ対照試験で、頭痛を含む反対
の症状が出る頻度は、プラシーボ(偽薬)を投与した時よりも空腹時に 2.5 グラムの MSG
を投与した時の方が高いことが判明しました。しかし他の対照試験では、食事と一緒に 3.5
グラムの MSG を投与しても何の反応もなかったとされています。
*
チラミン
*
アメリカ頭痛財団はチラミンの理論に基づいた誘因物質の具体的なリストを出していま
すが、ある 2003 年の批評記事は「チラミンが片頭痛に何らかの影響を与えるという科学的
証拠は一切ない」と結論づけています。 しかし、東京都健康安全研究センター(東京都立
衛生研究所)の研究年報第 55 号(2004 年)では関与が指摘されています。
*
その他
*
2005 年のある文献レビューで、現在ある食物の誘発因子に関する情報のほとんどが、患
者の主観評価によるものであることが分かりました。食物の誘発因子がまさに片頭痛の発
症を引き起こすか促進するようだと考える人もいましたが、ほとんどの人はそれが片頭痛
を引き起こすとは証明されていないだろうと考えています。そのレビューの筆者は、アル
コール類の摂取やカフェインの服用中止、食事を抜くことが最も重要な食物の誘発因子で
あることや、脱水症の方がより注目に値すること?、そして赤ワインへの過敏性を持つ患者
さんもいることを発見しました。よく知られた疑わしい誘因であるチョコレート、チーズ、
ヒスタミン、チラミン、硝酸塩といったものが片頭痛と関係あるという証拠は全くと言っ
ていいほどありません。しかし、筆者は「一般的な食事療法(制限)が片頭痛治療に効果
的であるとは証明されていませんが、確実に片頭痛の原因だとされてきた食物を避けるの
- 123 -
は、個人にとっては有益なこと」とも言っています。
*
天候
*
いくつかの研究により、片頭痛の中には天候の変化によって引き起こされるものもある
ことが分かっています。ある研究では、被験者の 62 パーセントが「天候が原因である」と
考えていましたが、実際には被験者の 51 パーセントだけが天候に敏感であったという結果
が出ています。天候の変化があった間に片頭痛が発生した被験者は、実際に記録された気
象データとは違う天候の変化を選んでいます。最も片頭痛を引き起こしやすいのは、順に
以下の通りです。
*
1.温度と湿度の関係(高湿度+高温・低温の状態が最大の原因になる)
2.著しい天候の変化
3.気圧の変化
*
暖かなチヌック風が片頭痛に与える影響を検証した別の研究では、チヌック風が吹く直
前や吹いている間に、多くの患者さんが片頭痛の発症回数が増えたと報告しています。片
頭痛の発症を報告した患者の数が多かったのは、チヌック風の暴風日でした。この原因は、
大気中の陽イオン量が増加したことだと考えられています。
*
その他
*
ある研究により、インドの片頭痛患者さんの中には風呂の中で髪を洗うことが誘因とな
る人もいることが分かりました。その誘因による影響は、洗った髪がその後どのように乾
かされるかにも関係するのだといいます。
*
強い香水も潜在的な誘因として考えられており、前兆の影響として匂いにより敏感にな
ったと言われる患者さんもいます。
- 124 -
片頭痛治療の将来への夢
2011/10/06
以下のようなことを書きますと、先日、叱責された方に再度、お叱りを受ける覚悟で片頭
痛治療への将来の夢を、記述致します。言い方のまずさもあったようで・・改めて。
以前の記事にも、掲載致しましたが、片頭痛は、何かしら「糖尿病」と似通っている点
があるように、私には思えてなりません。
先日の記事「片頭痛と遺伝」のところで、樋口先生の引用記事にもありましたように、
片頭痛と糖尿病は、遺伝形式と発症様式に共通点がありそうです。
片頭痛も、糖尿病と同様に、1型と2型があるのではないでしょうか?
1型とは、小児期に発症し、これが大人まで継続するタイプです。2型とは、15 歳以降
に発症したものが考えられます。
2型は、糖尿病と同様に、食生活の乱れ、不規則な生活、姿勢の悪さ、ストレス等々原
因で、片頭痛体質を持った人に発症するということです。
今後、治療面では、頭痛の原因となるものを確定することによって、極力、取り除ける
ものは取り除き、これと平行して、セロトニン生活」に近づける生活習慣にすることです
(これは、糖尿病治療における「食事・運動療法」に相当します)。
そして、将来的に、血中セロトニンと脳内セロトニン量を反映する「何らかの指標」
がみつかるようになれば、誰ものコンセンサスが得られるのではないでしょうか?
(糖尿病における「ヘモグロビンA1Cのように・・)
セロトニンの枯渇状態を、臨床的に「検査データ」として示すことが出来れば、誰の眼
にも明らかになるのではないでしょうか?
以上のような検査方法が確立されれば、糖尿病がうまくコントロールされるように、片
頭痛もうまく「コントロール」されてくるのではないでしょうか?
(ここで、「片頭痛克服とか治す」といった表現をしますと、誤解を生み、先日、お叱り
を受けた方にまた、怒られるでしょうから・・)
あくまでも、片頭痛発作を「封じ込める」ことによって、コントロールしていくという
- 125 -
ことです。当然、生活習慣が乱れてくれば、発作は再度、出現して来ます。
頭痛体質そのものは、依然として、存在するのですから・・
「セロトニン生活のすすめ」再度です 2011/10/06
ネットに掲載されていました。パクリです。参考までに。
クレームがつき次第、削除します。悪しからず・・
*
「セロトニン生活のすすめ」
有田秀穂著
青春出版社
、2006 年
*
Ⅰ
毎日の生活にセロトニンは十分ですか
*
1 日光不足症状-太陽光は体と心の元気の源-
*
(1) 元気が出ない
(2) 寝つきが悪く、朝の目覚めがスッキリしない。
(3) なんとなく憂鬱な気分のまま、毎日を送っている。
(4) 仕事や勉強に集中できず、疲れやすい。
(5) ストレス解消と称して、衝動買いをしてしまう。
(6) いらいらするとお腹はすいているわけではないのに食べてしまう。
(7) ささいなことで落ち込んで、くよくよしてしまう。
*
2 お日様と脳内神経の不思議な関係
*
「冬季うつ病」、「季節性感情障害」はセロトニン神経の不活性による。セロトニン神経は
太陽光で活性化する。この光は太陽光と同じ照度が必要である。
- 126 -
*
3 セロトニン不足タイプ
*
(1) お日さま不足タイプ-心と体の覚醒不足-
*
脳内セロトニンは他の脳内ホルモンと違い、光や単純な運動で増やすことが出来る。
網膜に入った刺激はセロトニン神経に影響を与える。2,500 ルクス前後の光が必要(日没時)
*
(2) セロトニンの原料不足タイプ
*
トリプトファンはセロトニンの原料で、大豆製品(納豆、豆腐)や牛乳に多く含まれる。
また、トリプトファンを合成するためにビタミン B6(玄米、小麦胚芽、いわし、さんま)
が必要であり、トリプトファンを脳内に取り込むために炭水化物が必要になる。ただし、
肉類はセロトニンの吸収を妨げる。
*
(3) 運動不足タイプーセロトニン神経を弱らせるー
*
セロトニン神経の活性化は「単純な連続運動」が必要-「咀嚼」「歩行」「呼吸」など
*
Ⅱ
セロトニン神経の働き
*
セロトニン神経は脳内神経(ドーパミンやノルアドレナリン)の活動を支える神経
*
-指揮者-
(1) 大脳皮質を覚醒させ、意識レベルを調節する。-すっきり爽快、集中力-
(2) 自律神経を調節する。
(3) 筋肉へ働きかける。
*
-抗重力筋を活性化、背筋を伸ばしまっすぐな姿勢、生き生きした症状を作るー
*
- 127 -
(4) リズム運動(ガム咀嚼 30 分)でセロトニンが増加
(5) 痛みの感覚を抑制する。-不足すると、体の痛みを感じるようになる
(6) 心のバランスを保つ-悲しみや喜びの感情のバランス
*
Ⅲ
心身の不調の鍵を握るセロトニン神経
*
セロトニンは、ドーパミン(快)ノルアドレナリン(不快)の機能を抑制し、平常心を保
つ。
-脳内ホルモンの変調による症状を改善する機能を持っているー
(1) セロトニン不足はうつ、摂食障害、パニック障害、偏頭痛を起こす。治療には SSRI
を服用
(2) ドーパミンは、食欲、性欲、快の衝動を起す。-過剰の場合は各種依存症-ギャン
ブル、アルコール、買い物依存症、食欲のコントロール不能な摂食障害
(3) ノルアドレナリンが強い場合は「パニック障害」「不安症」を起す。
(4) 自律神経のバランス調整
交感神経が活動すると血管の収縮が強くなり「冷え性」になる。
*
Ⅳ
セロトニンを鍛える 3 つのキーワード
*
(1) 日光を浴びる
(2) リズム運動をする-咀嚼、腹式呼吸-効果を実感できるまでに 3 ヶ月
(3) 腹筋を使った運動をする
*
これらの運動を始めると 5 分程度でセロトニン神経が活性化する(今まで 1 秒間 3 回出て
いたインパルスが 6 回になる)。これを 20 ~ 30 分続けるとセロトニン神経の活動が高まる
(やりすぎは疲れる。禁物)
*
Ⅴ
セロトニン効果
*
- 128 -
1 若々しく美人になる
抗重力筋が適度に緊張し、姿勢が良くなり、まぶたやほほが引き締まる。
2 夜はグッスリ、朝はすっきり
「睡眠時無呼吸症候群」はセロトニン不足による筋緊張が弱まり、気道の確保が出来ない
ことが原因
3 仕事が出来る
セロトニン神経は自律神経に働き、目覚めているときの活動を高める。朝、目覚めると活
動を始める。
4 冷え性とお別れ
冷え性は交感神経が過度に興奮している状態、副交感神経とのバランスを取るために、セ
ロトニンを増やすと良い。
5 生理痛やつらい痛みが楽になる。
セロトニンの「鎮痛効果」による
6 憂鬱な偏頭痛が和らぐ
セロトニンの「鎮痛効果」。偏頭痛は収縮した脳の血管が過度に弛緩するときの痛みで、
「ズ
キ」
「ズキ」と脈打つ痛みが特徴。血液中のセロトニンは血管を収縮させる効果があるので、
血管の過度の拡張を抑える。セロトニンに変化する前のトリプトファンも偏頭痛の治療に
効果がある。
7 イライラ、ドキドキに動じなくなる
ストレスを感じたとき、ノルアドレナリン神経(脳内危機管理センター)が活動し、イラ
イラやドキドキを感じたとき、このノルアドレナリンの過度の活動をセロトニンが抑える。
8 ストレス食いをしなくなる
セロトニンは食欲や性欲を抑える。摂食障害には SSRI が使われている
9 ほしがらない心になる
食事、買い物、飲酒などの快楽を求めるドーパミンの過剰な活動をセロトニンが抑える。
10 すっきり快調
セロトニンが減少すると、腸の蠕動運動が減少し、便秘気味になる。セロトニンの
補給が必要。
- 129 -
*
【注意】セロトニンは薬では増えない
*
SSRI(選択性セロトニン再取り込み阻止剤)はセロトニンの量そのものを増やすのでは
なく、次の神経に伝達すべきセロトニンをセロトニン神経自身が再取り込みをしてしまう
ために、次の神経に伝えられず、有効に働くセロトニンが減少するのを防ぐ(再取り込み
を阻止する)ためのものである。
セロトニンを増やすためには、セロトニン神経を直接刺激することであり、「セロトニン
・トレーニング」が役立つ。
*
【セロトニン・トレーニング】
*
STEP 1 日光浴
*
(1) 2,500 ルックス以上の光が必要。「すっきり効果」
(2) セロトニン神経は 5 分で活性化する。日光浴の限度は 20 分から 30 分、
それ以上になるとセロトニン自己抑制機能が働く。「気持ちいい」と感じているかぎ
り日光浴を続けてもかまわない。
(3) 日光浴は朝がいい。
一日の活動開始の時間のリセット。朝は 2,500 ルックス以上の照度があ
り、セロトニン活性に望ましい。
*
STEP 2 一石二鳥の朝ごはん
*
(1) セロトニンの原料を取ること。咀嚼(リズム運動)がセロトニン神経を
活性化する。
(ガムをかむ実験では、5 分噛むとセロトニン神経が活性化する)
(2) セロトニンは食事から作られる
セロトニンの原料(トリプトファン)は体内で合成されない。
セロトニンの原料
- 130 -
(ア) トリプトファンは→大豆製品(味噌、豆腐、納豆)、牛乳、チーズ
(イ) ビタミン B6
サンマ、イワシ、サバ、カツオ、マグロ、小麦胚芽、玄米、大豆、しょうが、ニンニク、
唐辛子、肉類(ただし、過剰な摂取はセロトニンの合成を妨げる。)
(ウ) 炭水化物→トリプトファンが脳内に取り込まれるのを促進する。
(3) 一日一食でも「スローフード」にしよう
ゆっくり時間を掛けて、噛むことがセロトニン神経の活性化になる。
*
STEP 3
リズムに乗って、体を動かす。
*
(1) セロトニン神経のためのリズム運動の原則
*
① リズム運動の種類は何でもいい-毎日続けること-
ウォーキング、自転車、ダンス、フラダンス、日本舞踊、盆踊り、阿波踊り、太鼓たたき、
カラオケを歌うことなど
② 時間は 5 分から 30 分以内
セロトニンが活性化するのは 30 分がピーク、「すっきり爽快感」が目安
③ 簡単に出来るもの-慣れているものがベスト-
階段の上り下り、ウォーキング、縄跳びなどなれているもの、新しい運動はストレスが掛
かるので、セロトニン神経の活性化にはならない。例えば、エアロビックなど
④ 軽く負荷を掛け、疲れない程度の運動がよい。
ウォーキング、自転車漕ぎを少し早めになど、少しずつ負荷を掛ける。
⑤ ながら運動ではだめ
「テレビを見ながら」、「考え事をしながら」などはセロトニンの増加はない。ただし「音
楽を聴きながら」はよい。念仏を唱える、50 音を無心に唱えることも役立つ。
⑥ とりあえず 3 ヶ月は継続する
セロトニンが増えたと実感するのには 3 ヶ月掛かる。セロトニン神経は訓練によって神
経線維を伸ばし、セロトニンを多く神経に伝えていくが、同時に自分自身にも線維を延ば
し、「自己受容対」を作って、セロトニンの増加を抑制する(自己抑制作用)が働く。
トレーニングの開始ごろは自己受容対が多く、セロトニン効果が持続していくと自己受
- 131 -
容対が減少してセロトニンの増加が得られる。
⑦ カラオケを歌う
⑧ 笑い。泣き
笑いの研究(筑波大学村上和雄教授)では、笑うとセロトニンが増えるという実験結果
がある。また、笑いはセロトニンを活性化する呼吸法を行っている。
*
STEP 4 呼吸を意識する
*
(1) 腹筋を使った意識的な呼吸(腹式呼吸)は先ず、息を吐くことから始まる
(2) 呼吸していることに意識を集中する
(3) 時間は 5 分から 30 分程度
(4) 息を吐くことに重点を置く
(5) 呼吸回数を無理に決めない
*
*
片頭痛を治療されておられる方は、是非「有田秀穂」教授の著作を、お読みになられる
ことをお薦め致します。以下のように、多くの一般書が出版されています。
*
脳内セロトニン活性法
2011.10
だいわ文庫
2011.6
心も脳も元気になるストレス整理術
脳ストレスが消える生き方
ドーパミン的価値観からセロトニン的価値観
脳ストレスに強くなる!セロトニン睡眠法
心が強くなるあきらめない脳のつくり方
まんがセロトニン健康法
うつ・ストレスに負けない自分を作ろう
ストレスに強い脳を作る6つの習慣
仏教と脳科学
ポジテイブで粘り強くなれる技術
1日5分のセロトニン・セラピイ
うつ病治療・セロトニンから呼吸法・座禅。瞑想・解脱まで
脳からストレスを消す技術
セロトニンと涙が人生を変える
セロトニン・ウオーキングで、スッキリ&キレイ
心のストレスが消える処方箋
幸せ脳内物質セロトニンを増やすための実践10カ条
家族で読みたいストレスすっきり
脳活習慣今すぐできる
- 132 -
認知症介護はセロトニンで楽になる
歩けば脳が活性化する
お遍路さんは何故歩くのか?
セロトニン脳
呼吸、日光、タッピングタッチの驚くべき効果
健康法
ストレスに強い脳
弱い脳
そのカギはセロトニンが握っていた
ウオーキングセラピイ
セロトニン活性法
脳のちから禅のこころ
坐禅とセロトニンの科学
朝5分間脳内セロトニントレーニング
うつ・キレるを治すトレーニング
脳内セロトニン神経強化実践10カ条
ここ一番に強くなるセロトニン呼吸法
セロトニン生活のすすめ
スポーツからスピーチまで
朝5分の幸運習慣
セロトニン「脳」活性法」簡単にできる
セロトニン生活のすすめ
セロトニン欠乏脳
お日さまセラピイ
キレる脳・鬱の脳を鍛え直す
セロトニン脳トレーニング
ココロに効く!キレイになれる!
呼吸を変えれば「うつ」はよくなる!研究医が教える禅的呼吸法
*
以下、多数あります。ご紹介まで・・・」
怒り心頭に達しました 2011/10/07
本年9月 12 日の、当ブログに「こんなことでよいでしょうか」という記事を掲載致しまし
た。」
この続編です。
私が、これから記載する点に、私自身の考えに問題があるかどうか、広く「コメント」
を求めます。今後は、事態の有り様によっては、訴訟問題に発展する事項があるため、皆
さんのコメントを求めます。これを基に、今後の考えの参考にしたいと考えます。
本日、例の9月 12 日に追突事故に遭われた社長が、本日、お見えになられました。
開口第一声、「血圧の薬」が「適正」ではないかということを「整形外科」の医師に言わ
- 133 -
れて、本日は、受診日ではないが、受診されたということでした。
そこで、会社社長にお聞き致しました。「受傷直後、受診された時点で、血圧を測定され
ましたかと」。ところが、受傷した直後、受診された時点では、血圧の測定もなく、「神経
学的検査」もなしに、いきなり「頸椎レントゲン検査」をされ、異常がないから、「湿布」
と「薬」を出されたということです。その整形外科の診察が終わって、直後に、当医院を
受診されました。受診された際に「整形外科でどのように指示」されたか、確かめました。
その返答は「湿布と薬を出すから、1週間しても、状態が改善しなければ、再受診する」
ように指示されたそうです。ここまでの顛末は、以前に記載しましたので、止めます。こ
のため、安静をすることなく、毎日の「吐き気」と「頸部痛」を我慢しながら、日常の「社
長業務」を何とかされていたそうです。
最近では、この吐き気と頸部痛に加えて「頭痛」まで加わってきたため、社員の「仕事
上の相談」まで「煩わしく」感じるまでに至ってきたそうです。
そのため、「整形外科」で相談し、初めて、当医院で「高血圧・糖尿病」で通院中と知っ
て、血圧測定をされたようです。この時の測定値が 200 / 110 mmHg を示しているから、
血圧のコントロールのまずさにあると、当医院を受診する用に指示され、「整形外科」受診
された後、そのまま当医院を受診されました。私が、追突事故を起こされるまでの、血圧
は 140 / 90 mmHg 前後で比較的安定しておりました。
よく、社長にお聞きしますと、追突事故後も、仕事は「色々症状」はあるものの「整形
外科」の医師のいう通り、「安静」を守ることなく、湿布を貼って、投薬された「吐き気止
め」を服用され続けておられましたが、一向に改善されないため、「整形外科」の医師に言
われるがまま、「血圧の薬」が適当でないと言われ、当医院に受診されたとのことでした。
私は、このような状況に対して「受傷後、安静もなく、日常業務をこなされ、全く、受傷
直後の症状である、吐き気・頸部痛に加えて頭痛まで起きてくれば」血圧が上昇しても、
何ら不思議ではないように申し上げました。。
ところが、社長が言われることは、
「追突事故の後、このように血圧が上昇したのだから、
血圧の治療は、生命保険会社で、処理して欲しい」とのことでした。
私は、再度、口をあんぐり開けて、唖然とした次第です。
私も、長年、当地で診療しています関係で、追突事故直後に当医院を受診される方はお
られます。このような場合は、例え歩いて受診されても、「神経学的検査」を詳細に行った
- 134 -
上で、必要な場合以外は「頸椎レントゲン検査」までは、敢えて行っておりません。受傷
直後の「症状」を確認した上で、最小限「今後3日間は、安静が必要」との診断書をした
ためて、お渡しし、3日後に状態を確認した上で、職場復帰させることが、いつも行って
いることです。どうして、このようなことするかと、いいますと、このような「追突事故」
に会われた方々は、まず「整形外科」を受診されます。そうしますと、型どおり「頸椎レ
ントゲン検査」をされ、何も心配は無い(当然です、頸椎レントゲン検査で異常があれば、
歩いては受診されません、ここに問題があることが、撮影する医者自身は分かっているの
でしょうか)と言って、安静の指示もすることなく、「湿布・薬」で逃げてしまい、あげく
の果ては、「生命保険」が許される限度まで、患者さんを通院させるという算段です。
そして、このように「生命保険」の期限切れの「追突事故」後の「頭痛患者」が当医院
に受診され、その「おこぼれ」を頂いているといった状況です。
今回の社長が、「追突事故直後」に、私に罵った「だから、成和脳神経内科医院は儲から
ない」という言葉が、本日、まさに、実感として感じられた次第です。
これとは、全く別のことですが、「片頭痛撲滅」を考えて、日夜、色々、書物を読みあさ
る日常に空しさを感じた、本日の「出来事」でした。
何も、片頭痛患者を撲滅してしまえば、自分の「食い扶持」をなくしてしまうことにな
ることは、重々、承知しています。
ただ、私としては、「追突事故」に会われた方々の、受傷直後の2,3日の安静が、いか
に大切なものかを知って頂きたく、ここに改めて掲載致しました。
本日、経験したことは、少なくとも「整形外科医」の患者集めの「手段」としか思えず、
頭にきて、皆さんの、ご意見を求める次第です。
コメントをお願い申し上げます。
これまで、桜井さんが、一時、しきりに「コメント」されましたが、きちんとした見解
を求めます。私の、方針は間違っているのでしょうか?
患者さんは、医師の「儲けるため」の人材に過ぎないのでしょうか。
- 135 -
清水俊彦先生の「頭痛女子のコンカツ」を読んで
2011/10/08
本年 8 月 25 日に「マガジンハウス」から出版された、東京女子医科大学
頭痛外来の清
水俊彦先生の「頭痛女子のコンカツ」を、本日、診療の合間に読破しました。
読んでみて、がっかりしたというのが、最初の実感でした。
この著書の前の「頭痛女子のトリセツ」は素晴らしい著書でした。このため、当医院に
も、この著書を、10 冊ばかり購入して、患者指導のために、現在、利用させて頂いており
ます。
ところが、本日「コンカツ」の別冊を、読み終わって、いろいろなことが、頭に交錯し
ました。それは、2点に集約されます。
第1点は、「市販の鎮痛薬を飲み続けることで」「脳過敏症候群」にまで進展するものか
どうかという点です。ただ、これだけで、このような「症候群」に進展するのか?
これは、「市販の鎮痛薬」を服用されるにしても、「日常の生活習慣がどうであったか」
ということが記載されておりません。ここが一番の問題点です。
第2点は、清水先生の頭痛外来の、1日平均受診患者数は、200 名前後と記載されてい
ました。このような患者数を、どのように、こなしておられるのか、ということです。
私も、以前、広島県呉市の、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院に勤務していた時
代は「一般内科医」として「外来診療」に携わっておりました。当時、外来患者の 100 名
前後を診療して参りました。当時を振り返りますと、1名あたりの診察時間は、3分前後
にしかなりませんでした。当時から「3分診療」と批判されていたことを記憶しています。
そのため、別枠で、別の日の午後から、「頭痛外来」を設けて診察していました。
それでも、1日に、200 名を診察するということは、信じられません。せいぜい、50 名
前後でなければ、「患者さんが納得される診療を行う」には、到底、不可能のような数字と
しか思えません。当時は、何もない、「手ぶら」の状態でしたから・・
- 136 -
私の臨床医としての師匠は、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院の内科部長であっ
た「岡田啓成」です。この師匠の「指導医」は、当時、腎不全の診療に全精力を費やされ
ておられた先生で、このような患者さんにとっては「カリスマ」的な存在であったと記憶
しております。この「岡田啓成」の診察日は、いつも「外来患者数」は 200 名は下らなか
ったように記憶しております。このような状況でしたので、午前9時開始の外来診療は、
いつも、昼食抜きの午後4時前後に終わっていました。
このようなことを、思い出しても、清水先生が、どのようにして、200 名前後の患者を
診療されておられるのか、という疑問です。まさに、信じられない数字です。
これを、真に受ければ、診察時間は、何時間になるのでしょうか?
到底、「頭痛診療」に携わる人間には信じられない患者数です。
それとも、「カリスマ的医学」でもされて、おられるのでしょうか。
マスコミ、特に「テレビ番組」への出演、全国各地への講演、さらに「各種の出版物」
とこれらを総合して、いわば「頭痛診療」での「カリスマ」的な立場を作っておられるの
でしょうか。
私は、昔の師匠である「岡田啓成」と清水先生の生き方だダブッテ見えてなりません。
当時の師匠も、日本全国で、講演をしまくっていました。
慢性腎不全の行き着く先は、尿毒症→人工透析でした。当時は、腎不全になって、仮に、
人工透析をしても、せいぜい1カ月しか、延命効果のなかった時代でした。
でも、腎不全の患者さんは、呉共済病院の内科をこぞって受診されていました。
これが、患者さんへの「カリスマ性」を植え付ける医療そのもののような気がしてなり
ません。片頭痛は「遺伝的」なもので「決して治癒」しないという前提で・・
片頭痛を放置すれば、このように「脳過敏症候群」を起こして、脳梗塞までに至るとい
った、脅しで、片頭痛の方々の注目を集めようとされるのは、如何なものかと思った次第
です。
私が、申し上げたいことは、結局、これらの「カリスマ性」を持たれた先生方の、言わ
れることは、現在、誰でも、言っていることです。決して、特別なことは言っていないは
- 137 -
ずです。もう少し、片頭痛発症の原点を振り返る必要があるのではないかと、言いたかっ
たのです。
少なくとも、頭痛の患者さんが、現在、診て貰っておられる「主治医」を信用されるか
どうかの、ただ1点に係っているように思えてなりません。
片頭痛のセルフケア 2011/10/08
これまで、述べて参りましたことの繰り返しです。くどいようですが・・
もう一度、おさらいをしておきます。
*
人間の睡眠サイクルは3時間といわれています。最初の3時間ぐっすり眠ることができ
れば、あとはオマケだともいいます。 偏頭痛持ちではない人でも、日曜日に10時間も寝
れば頭が痛くなることがあるでしょう。
大切なのは、自分に合った睡眠サイクル・時間を知ることです。
そして、最も大切な点は、起床時間と就寝時間を一定にすることです。
*
また、長時間の昼寝が頭痛をまねくこともあるので、長い昼寝も要注意です。昼寝は30
分以内にしておくのが丁度いいのです。 偏頭痛持ちの人や、睡眠時間によって頭痛が起こ
るという人は、少しの心がけで頭痛が予防されることもあるのです。
*
食生活も偏頭痛に大きな影響を与えるものであり、栄養バランスのとれた食生活は、目
指すべきゴールです。
まずは、食の内容を考える前に、食事の時間帯を見直してみましょう。
1番避けたいのは食事を抜くことです。血糖値が下がった空腹状態は、偏頭痛が起きや
すい状態です。休日に朝食を抜いて ブランチで済ませることもよくありません。また、
最近の若い女性に多いダイエットも引き金になる可能性があります。 これも、運動をしっ
かりするダイエットならいいのですが、なかには、断食したり、1つの食品ばかりを食べ
- 138 -
たり、いっさ いの炭水化物をとらないなど、極端なダイエットに走る人もいるようです。
特に頭痛もちにとって、炭水化物を抜くのはもっともよくない方法です。糖の一種であ
るグルコースが減って、頭痛を誘発してしまいます。
また、長期間にわたるダイエットで貧血になると頭痛の回数が増えます。摂取した方が
いいとされる栄養素にはビタミン B2 マグネシウムが あります。ビタミン B2 は、医学調
査によって偏頭痛の予防効果があるとわかっている栄養素です。このビタミン B2 を多く
含む食品には、 玄米、胚芽米、大豆、納豆、うなぎ、豚肉、レバー、卵、牛乳、チーズ、
ごまなどがあります。特に、玄米や発芽米は、最近注目の食材です。 スーパーなどで、簡
単に手に入るので、毎日のご飯に混ぜたりして気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、ほうれん草などの緑黄色野菜にもビタミン B2 が含まれています。緑黄色野菜は貧
血の予防にも効果的ですから、積極的に食事に取り入れましょう。
このように、睡眠時間や食事の時間、食べものを気をつけることは大事なのですが、寝す
ぎたらどうしようと思ったり、 絶対何を食べなければいけないと思ったりしていてはよく
ありません。寝ることに幸せを感じたり、食べることを楽しんだり することが大切です。
さらに、、脱水症状を避けるため水分補給を心がけること(特に起床時)も大切です。
*
長時間同じ姿勢は頭痛の引き金となります。毎日毎日、パソコンのディスプレイとにら
めっこ、という人は、 緊張型頭痛になる割合がぐんと上がります。一般的に女性にやや多
く見られる緊張型頭痛ですが、長時間パソコン作業をしていれば、男性の発症率も高くな
ります。気づかないうちに何時間も同じ姿勢で座ってしまうことがあると思いますが、 40
~ 50 分ごとに席を立って心身をリフレッシュすることが大切です。
窓から遠くの景色を見たり、3 分程度歩いたりするだけで効果があります。座った状態
でも、頭を回したり、 肩を上げ下げしたりして筋肉をほぐすだけでもずいぶん変わるもの
です。
ふだんパソコンを使う環境も大切で、ディスプレイやキーボードの位置、机や椅子の高
さ、照明の明るさは十分かなど、 こまめに点検してみましょう。からだに合わない環境は
眼精疲労をまねく原因にもなります。
普段の姿勢も重要です。姿勢が悪いと、いろいろな部位に不調があらわれてきます。気
づいていないだけで、からだの癖は いろいろとあるものです。習慣になった姿勢が、肩や
- 139 -
首のこり、腰痛、そして頭痛の原因になっていることもあります。 時には、自分の姿勢を
全身、鏡でチェックしてみてもいいでしょう。
歩き方も健康を大きく左右します。自分に合った歩きやすい靴で、きちんと姿勢よく歩
いていれば、からだのゆがみを 矯正してくれます。これらは頭痛のためだけでなく、健康
や美容にもいいことなので、実践すべきです。
*
頭痛がきた時に運動するのはいけませんが、普段なんでもない時に軽い有酸素運動でリ
フレッシュすることは非常に大切です。 ダイエットにも効果があり、健康にもいいと実践
する人が増えているウォーキングは、偏頭痛の人にもおすすめの運動です。 加えて「スッ
スッハー」と、腹式呼吸をしながら歩くことで、偏頭痛と関係が深いセロトニン神経をき
たえることができると 考えられています。緊張型頭痛の人にも、有酸素運動でからだをほ
ぐすのは有効です。
また、ジムなどで首の筋肉を重点的にきたえていけば、しだいに肩から首にかけてのこ
りが解消されるでしょう。
*
*
このように、頭痛を軽減するために自分でできる対処方法はたくさんあります。なんとな
くいいと思うものを実践しながら自分に合ったものを見つけていきましょう。
*
*
ストレスは頭痛の最大の天敵と言えるでしょう。
ですから、このストレスと上手く付き合っていくことが頭痛の予防・軽減につながって
いくわけです。 ストレスの発散方法は人それぞれで、これをやれば一発でストレス解消、
などという万能薬はありません。 スポーツをしたり、友人と騒いだり、自分の好きなこと
をするのが一番です。 また、患者さん自身がなおしたい、と思うことはとても重要です。
しかし、必要以上に気負って、何事にも神経質になってしまっては決して頭痛はよくな
りません。 頭痛を軽減するためにはリラックスがポイントです。
絶対になおさなければいけないなどと気負わず、時にはアバウトになることも必要なので
す。
*
- 140 -
セルフケアでなにより大事なことは、自分の頭痛の誘発因子を知り、上手に付き合う、
または回避して いくことです。ストレスが誘発因子だとわかったなら、仕事を分散させて、
ためこまない、マイペースで 仕事のできる環境を作るなどの工夫をしてみましょう。
また、偏頭痛の患者さんは、ひと仕事終えてホッとすることが頭痛の引き金になること
もあるので要注意です。 だからといって、1年中緊張しっぱなしではいられません。やは
り、何事もためこまず適当に、という姿勢が大切です。
*
頭痛持ちの人は、日頃から完璧主義者や神経質になりすぎていないかどうか、振り返っ
てみてください。 どうかあまり自分を追いつめないで、なんとかなるさという気持ちを持
ってみてください。その心がけひとつで人生は楽しくなります。
*
香りで気分がリラックスするという人は、アロマテラピーがおすすめです。 たとえば、
安眠効果があるといわれるラベンダーの香りは、頭痛にも効果的といわれています。 最近
は、さまざまなアロマオイルが市販されているので、好きな香りを探してみてください。
枕に数滴たらしたり、アロマポットで焚いてみたり、使い方も工夫してみましょう。 緊張
型頭痛の人は、お風呂にたらしてゆっくりとつかるのもいいでしょう。 偏頭痛の人でも、
香りが好きな人はどんどん試して下さい。しかし、においが苦手な人は、かえって発作を
誘発することになるので控えましょう。
また、つぼ押しやマッサージをしてみるのもよいでしょう。つぼ押しは、首や肩のこり
をほぐしたり、肉体的ストレスを 解消したりできます。イライラを解消するとされるつぼ
もあるので、気休めにしかならないかもしれませんが、試して みるとよいでしょう。
マ
ッサージは、最近いろんな種類のマッサージサロンがあるので自分に合ったものを見つけ
るのも よいですが、やはり自分でやるのが経済的ですし、いつでも、どこでもできるので
よいでしょう。その際には、ほぐしたい 場所を一点集中でマッサージするのではなく、全
体的に広い範囲をマッサージすることを心がけましょう。
*
全然ストレスを感じないという人はほとんどいないと思います。ですが、このように、
工夫次第でストレスは簡単に解消できるものなので、自分がいいと思うものは実践してい
きましょう。
*
- 141 -
*
また生活習慣の中で、強い光・大きい音の刺激を受ける場合もあると思います(=車の
クラクション・まぶし過ぎるほどの日差し)。これらの刺激が原因で、偏頭痛を発症する場
合も多いと言われています。そのような場合(外出時)、赤茶系のサングラスをかけること
が、偏頭痛予防効果に繋がります。大きな音に関しては(雑音をさえぎる)、耳栓をするの
も効果的だと思います。
*
そしてもう1つ…偏頭痛には、季節も大きく関係していることをご存知でしたでしょうか。
偏頭痛が一番発症しやすい時期…その時期は春~夏にかけてなのです。春~夏=太陽が照
りつける・気温が上昇するとともに、新陳代謝も活発になります。つまり、血管が拡張す
る機会も増えてくるわけです。暑さ対策=偏頭痛対策ともいえるのです。
春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛持ちがいちばん苦手とす
る季節であることを認識することも大切です。
*
*
片頭痛を引き起こす誘因を生活から取り除くようにしましょう
*
片頭痛の治療の第一歩は片頭痛を引き起こす誘因をできるだけ生活から取り除くことで
す。片頭痛の誘因は人それぞれによって異なりますから、まず自分の頭痛発作がどのよう
な原因で誘発されやすいかを把握することが大切です。誘因をつきとめてそれを改善・排
除することで発作の頻度や程度をかなり軽減することができます。片頭痛の誘因には、過
度のストレス、不規則な生活習慣、気候の変化や刺激の強い環境、アルコールや特定の食
べ物、などがあります。
*
過度のストレス
*
片頭痛を引き起こす誘因として最も大きなものが心身のストレスです。片頭痛は過度の
ストレスがかかって誘発される以外に、ストレスから解放されて心身の緊張状態が和らい
だときにも引き起こされることもわかっています。仕事はあまり無理をして頑張りすぎな
いように注意して、適度な気分転換やリラクゼーションを日常生活に取り入れることが大
- 142 -
切です。
*
.不規則な生活習慣
*
生活習慣で最も片頭痛に影響を及ぼしやすいのが睡眠で、睡眠が不足したり、逆に眠り
すぎても片頭痛が引き起こされます。特に、平日の働きすぎの反動で休日に眠りすぎると
片頭痛が起きやすいことが知られていますから、なるべく適度な睡眠を心掛けるようにし
なければなりません。また、少食や不規則な食事による過度の空腹が片頭痛を引き起こす
ことがあるほか、運動不足または運動のしすぎも誘因となることがあります。ときに入浴
によって血管の拡張を招くために片頭痛が引き起こされることもあるので注意が必要です。
*
.気候の変化や刺激の強い環境
*
暑さや寒さ、あるいは気圧の変化が片頭痛の誘因となることがわかっています。気候の移
り変わりの時期には体調に配慮するようにして、片頭痛の兆しに注意する必要があります。
また、強い光や騒音、強い臭いなどの物理的刺激に加え、人込みや換気の悪い部屋などが
片頭痛を引き起こすことがありますから、なるべくそのような刺激や環境を避けるように
します。
*
.アルコール飲料や特定の食べ物
*
特定の食べ物が片頭痛を引き起こすことが知られていますが、個人差があるため自分の片
頭痛がどのような食べ物によって起こりやすいかを把握しておくことが大切です。特に、
アルコール飲料は血管拡張作用に加えて、アルコール飲料に含まれるヒスタミンが片頭痛
を引き起こしやすいため、注意する必要があります。また、片頭痛を誘発しやすい物質に
グルタミン酸ナトリウムがありますが、これは人工調味料としてインスタント食品やスナ
ック菓子に添加されていますからなるべく避けた方がよいでしょう。その他に、チーズや
チョコレートなどの食べ物が誘因となることが知られています。
*
- 143 -
*
生活習慣を見直す
*
慢性頭痛の痛みを薬で軽減できたら、次は生活習慣の見直しをしましょう。
*
頭痛は不規則な生活リズムや食生活、ストレスが原因となって発生している可能性があり
ます。ここでは、これらの原因について詳しく説明をしていきます。
*
不規則な生活
*
どうして、不規則な生活をしていると頭痛が起こるのか?
*
それは、不規則な生活をしていることで、脳にストレスが溜まり、
結果、自律神経の機能を低下させるからです。
*
脳の自律神経がうまく機能しなくなると、血管の拡張から偏頭痛が起きたり、肩こりなど
の筋肉の緊張から緊張型頭痛が起きるようになります。
*
このように、脳の自律神経の機能を回復させるためにも、不規則な生活を改善する必要が
あるのです。好ましい規則正しい生活とは・・・
*
• 毎日充分な睡眠を取る
• 食事は 1 日 3 食きちんと取る
• 喫煙は控える
• 暴飲暴食をしないようにする
*
ちなみに、必要以上に睡眠時間を取ることは好ましくありません。
寝過ぎると頭の血管が広がってしまい頭痛が起こりやすくなります。
*
休日だからといって何時間も寝てしまうと生活のリズムも崩してしまうため、適度な睡眠
- 144 -
時間を心がけてください。もりろん、徹夜などをするのも避けた方が良いです。
*
生活のリズムを確立して、健康的な生活を送ることが重要です。
*
食生活
*
食べ物の中には頭痛を誘発すると言われている食品があります。
例えば、チーズ、赤ワイン、チョコレートなどです。
*
日本人は食べ物によって頭痛を引き起こす可能性は低いと言われていますが、もし、毎日、
チーズやチョコレートなどをたくさん食べているなど、身に覚えがある方は一度控えて様
子を見てみましょう。
*
ちなみに、アルコール類や柑橘系のジュースなどが原因となっている方も稀にいます。こ
ちらも少し気をつけてみてください。(もちろん、アルコールは二日酔いの原因になります
ので、飲みすぎには要注意です)
*
精神的なストレス
*
精神的なストレスも頭痛の大きな原因の 1 つに挙げられます。
*
心配事や不安、悩みを抱えることで、自律神経がうまく機能しなくなり、血管の拡張や筋
肉の緊張など頭痛を引き起こす原因に繋がるのです。
*
精神的なストレスは、それぞれの環境や個々の性格に左右されることが多いため、簡単に
は解消することが難しいかもしれません。
*
しかし、そのなかでもストレスの原因を改善したり、自分なりの解消法を探すなど、スト
レスを軽減させる方法を見つけてください。
*
- 145 -
私たちの生活の中には、頭痛が発生する原因がたくさん潜んでいます。
*
頭痛が起こるたびに薬を飲むことも良いですが、根本的な痛みの原因を解決しなければ、
ずっと薬を飲み続けることになってしまいます。
*
薬の飲みすぎが頭痛の新たな原因になる可能性もあります。
そうならないためにも、まずは生活習慣を一度見直して、少しでも改善に取り組んでみて
ください。
*
*
以下、参考までに、片頭痛をうまくコントロールされている方の方法をお示し致します。
*
*
片頭痛をお持ちの方、生活習慣を変えてみよう!
*
*
片頭痛と戦うこと憂鬱だった26年以上、もう5年以上も発症してない
私が実行したこと。していること。
*
【やるべき要素=プラス】
*
納豆を毎日食べる。
ウオーキングをする。
毎日同じ時間の睡眠時間を確保。
できれば、同じ時間に起きて寝るを習慣に!
水分を適当にとる。
お腹が空いたらビスケットや飴をなめる。
日光のまぶしさを避けるためにサングラスをかける。
日光のまぶしさを避けるために帽子をかぶる。
肩こりを感じたら即座に肩を回したり血行をよくする。
- 146 -
それでも辛い時は血行をよくするバンテリンなどを塗る。
呼吸が浅くなっているのに気がついたら深呼吸する。
何事も楽天的に考える。
毎日、大声で笑うこと。(ストレス解消)
*
【避けるべき要素=マイナス】
*
チョコレートは全く食べない。
チーズはほどほどに。
赤ワインも飲む時は少量で止める。
*
あと、オリーブオイルもいけないって聞いたことあるけど、
私は影響ないので、普通にパスタとか食べています。
*
締め付ける洋服・下着はきない。
まぶしい光はみない。
朝、起きて直ぐにテレビは見ない。
目を駆使しない。
*
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今、思い出したのはこんだけ。
まだまだ、あるはず。
今となっては自然と生活に取り入れていることが
あるので、無意識なことも、他人からみたら
「あれ?変わっていることやっているね?」って
いうものがあるかもしれない。
また、気がついたら追記します!
片頭痛と関係することは何でも、とことん、
- 147 -
どんどんプラス要素を増やし、どんどんマイナス要素を避けよう!
片頭痛で悩んでないで、実行あるのみ!
早く始めれば、それだけ早く片頭痛から解放されると信じて!!
*
*
話は変わりますが、有名人で片頭痛持ちの方が多いことは、皆さん、ご存じだろうと思
います。その中で、作家の方々が多いことを・・
*
例えば、樋口一葉、芥川龍之介、石川啄木、直木三十五、木下杢太郎、夏目漱石、五木
寛之等々・・挙げればキリがないと思われます。
夏目漱石の「吾輩は猫である」を読めば、主の生活ぶりが、伺われます。また、五木寛
之は、自分の片頭痛が「睡眠不足」が関係していると述べておられます。
作家の方々は、原稿の締め切りに間に合わすべく、睡眠時間を減らしたり、長時間の渡
って、机に向かって、前屈みの姿勢で、ペンを走らせる、空気の入れ換えが十分でない部
屋で・・といったことが、想像されます。
このように、片頭痛は「生活習慣」との関わりが極めて大きいことを示していると考え
ます。
特定健診保健指導と片頭痛治療
2011/10/09
平成 20 年 4 月から、特定健康診査・特定保健指導が開始されました。
*
この健診で「メタボリック・シンドローム」と評価された場合、保健指導を行うにあた
- 148 -
って、本人の「生活習慣病に関する」意識の程度によって、以下の5段階に分類されてい
ます。
*
無関心期・・・病識なし
行動変化を考えない
関心期・・・・必要を感じる
準備期・・・・本人なりの行動変化
実行期・・・・適切な行動をはじめる
維持期・・・・適切な行動が6カ月以上継続
*
行動変容のステージモデルとして、それぞれの段階で行うべきことが、これまで示され、
これに従って、現在、保健指導が行われています。
*
無関心期
気づきを促す
関心がない理由・抵抗する要因を整理する
*
関心期
行動変容による利益や価値を明確にしていく
*
準備期
行動目標・計画の設定支援
行動変容の評価
- 149 -
*
実行期
行動の継続支援
モニタリングとサポート
自立に向けた計画づくり
*
継続期
セルフモニタリング
セルフケア
状況の変化など逸脱要因への対応
結果の評価
*
*
このような考えで厚生労働省が「特定健診」の制度を作ったにも関わらず、健診は受け
るが、「保健指導」まで受ける方は少なく、「生活習慣病」になってしまっている方が後を
絶たないのが実情です。
*
*
私は、これに準じて、片頭痛治療に応用して、行くべきと考えます。
*
殆どの片頭痛の方々は、「片頭痛は生まれつきの遺伝性疾患」であって、「適正にコント
ルールさえすれば、発作が起こらなくなる」といった考え方に批判的かつ懐疑的かつ否定
的で、「一般的な片頭痛に関する知識は、極めて豊富である」にも関わらず、その場、その
場の発作を鎮めてくれる「トリプタン製剤」があるのだから、何も治す必要はないし、「治
る」わけがないと思っておられます。この段階が「無関心期」です。
*
次は、周囲の片頭痛の方が、発作が起きなくなった方をご覧になられて、
「起こらなくなる人もある」ということに気がついた段階が「関心期」に相当します。
- 150 -
*
そこで、どうすれば良いのかと考え始めた段階が、「準備期」に相当します。
*
そして、これを実行する段階が、「行動期」です。
*
さらに、
「発作が起こらなくなった生活習慣」の維持と継続する段階が、
「継続期」です。
*
*
頭痛を改善するには理由を明確にして、行動を続ける習慣を身につける必要があります。
人は動機がなければ行動を起こしません。
オーストリアの精神科医、心理学者であったビクターフランクルの名言に、もしあなたが
十分に大きななぜをもっていれば、どのようにというプロセスはどんなに難しいものであ
っても耐える事ができる、ビクターフランクルは著書、夜と霧の中で、極限
状態における精神状態がもたらす影響について精神科医の観点から書いています。
もしあなたが頭痛を早く克服したいのであれば多く明確に克服したい理由を書き出し、
またそれが達成できたら得られるもの、達成できなければ失うものを明確に書き出してみ
ましょう。いったん、ここでストップして、なりたい自分になるため是非理由を紙に書き
出してみましょう。
*
そして、「片頭痛を治す」ことに興味を示されたなら、ネットで「片頭痛を治す」をキイ
ワードにして検索され、片っ端しに、確認されることをお勧め致します。
*現在の「頭痛専門医」というのは、「科学者」です。学問的に実証されたものしか、患
者さんには言わないのが原則です。このため、「片頭痛を治す」など論外と、まず否定され
ることは間違いありません。これが、「頭痛専門医」の有り様ですから・・
*
生まれつき、先祖から受け継いだ「頭痛体質」を根本的に「治す」ことは不可能です。
これは、どうにもなりません。これは「頭痛専門医」が主張される通りです。
しかし、「片頭痛を封じ込める」方法は、どこかにあるはずです。これを模索して行こう
ということです。
- 151 -
改めて、片頭痛は”片頭痛症候群”か? 2011/10/10
現在、片頭痛の診断は「国際頭痛分類 第2版」に基づいて行われています。ということは、
問診と神経学的検査法を駆使して行われているということです。(画像検査で何もないこと
が前提ではありますが・・)
*
私は、現在、片頭痛患者さんを診ていて感じることです。それは、以前、私が、医師に
なった昭和 45 年から、脳卒中医療に携わって参りましたが、この当時に何かしら、共通
した部分を感じるからです。私は、昭和 45 年から、平成 1 年までは、急性期脳卒中医療
に全精力をつぎ込んで参りました。
私が、医師になりたての頃の昭和 45 年当時は、脳卒中の診断は、「文部省研究班の診断
基準」に従って行われていました。(当時は、現在のようには画像診断は何もなく、行うこ
とはできませんでした)
この基準は、問診と神経学的所見に基づいたもので、片頭痛の診断と全く同じ手法で
行われていました。
この診断基準は、理学的診断を困難にするいくつかの因子が存在しており、当時すで
に成書に記された種々の診断学的知識を駆使しても、厳密な鑑別診断率は 70 % 前後とさ
れていました。
このため、当時、日本では、秋田県立脳血管研究センター、美原記念病院、阪和病院
脳卒中診療部の3カ所だけが、脳血管撮影を導入して診断しておりました。
私も、研修医の当時から、将来の脳卒中専門医を志して、内科医でありながら、広島
市民病院 脳神経外科の三宅新太郎先生に脳血管撮影の手ほどきを受け、脳血管撮影の手技
を身につけました。
しかし、当時の「神経学」の教科書には「脳梗塞急性期には脳血管撮影は行ってはな
らない」と記載されておりました。このため、脳梗塞患者への脳血管撮影は、発症後1カ
月たってから、細々と脳神経外科領域で行われていたに過ぎませんでした。
しかし、私は、この禁忌とされていた時代から、上記3病院の先生方の方式を見習っ
て、勇猛果敢に、発症当初から、脳血管撮影を行って参りました。そして、昭和 50 年にな
- 152 -
って、日本に初めて、CTが導入され、これと同時に、秋田県立脳血管研究センターに研
修に行かせてもらい、CTの読影と脳梗塞診療全般について、教えを乞いました。
そして、秋田から呉に帰ると同時に、内科医長の岡田啓成を説得し、呉共済病院にも
ホールボデイ・タイプのCTを導入してもらいました。
この時点から、脳卒中患者が救急搬送された場合、直ちに頭部CTの撮影を行い、何
も所見がなければ、引き続き脳血管撮影を行うという検査方式を確立しました。
このような検査方式で診断する限り、「文部省研究班の診断基準」で脳梗塞と診断され
るものの中には、小出血、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍が多く混在していました。
脳血管撮影上、閉塞所見が見られた場合は、発症後1週間目に、脳血管撮影を再度行
い、閉塞所見の再開通の有無を、必ず確認しておりました。また、その間に、健側3本の
血管撮影を追加して、側副血行の状態を検索しておりました。
これらの方式により、脳血管撮影の閉塞所見の有無により、脳梗塞を分類し、閉塞所
見が無ければ、翌日から、リハビリテーシヨンを開始し、早期離床に努めてまいりました。
さらに、閉塞所見が見られるものは、「脳血栓症か脳塞栓かを」厳密に鑑別を行い、「血行
再開療法」の適応の有無を判断していました。脳塞栓の場合は、そのまま放置していても、
自然に開通してしまうからです。
脳血栓症の場合、当時、販売されていた「ウロキナーゼ」を使っても、殆ど効き目は
ありませんでした。
脳塞栓の場合「再開通の時期」によって、急激に悪化する症例と劇的に回復するもの
の2通りがあることに着目しました。そしてこの境界が、発症3,4時間目にあることが
判明致しました。
また、両側の内頸動脈、椎骨動脈を行った脳梗塞例は、必ず、ウイリス輪の発達が先
天的に悪いということも判明し、発症前に、ウイリス輪の発達の善し悪しを検索すれば、
将来、脳梗塞へ移行するかどうかも、予測可能となりました。
このような所見をもとに、この後の 10 年後には、rt-PA (アルテプラーゼ)が開発さ
れ、血行再開療法が現実のものになっていったのです。
以上の成績は、第 34 回共済学会総会の宿題報告で「脳梗塞の臨床」として発表させて
頂きました。1986 年 10 月のことでした。
- 153 -
この詳細は、当院のホームページの「文献情報」に掲載しております。
*
以上のことで、私が申し上げたかったことは、脳梗塞の診断は、従来の問診と神経学
的検査法を基にした「文部省研究班」の診断基準では、確診には至らず、さらに、脳血管
撮影とCT検査の2つを追加することによって、脳梗塞の細かな分類と病態まで解明する
ことが可能となり、治療方針が、自ずと明らかになったことです。
*
従って、片頭痛の診断も、「国際頭痛分類 第2版」の問診と神経学的検査法をもとに
した診断基準で診断する限りは、種々の原因で「片頭痛」と同様の症状を来すものが、混
在しかねないということです。
「国際頭痛分類 第2版」の片頭痛の診断基準は「トリプタン製剤」の適応を決めるた
めの基準であるとさえ、寺本純先生は指摘されてます。
*
現実に、ネット上では、「医療機関で治らなかった片頭痛」が、自分自身で治したとい
う「体験談」が散見されるようになりました。
さらに、有料の「片頭痛克服マニュアル」が多く販売され、これらを利用された方々
の「喜びの体験談」が多数、掲載されています。これらが、どこまで信用に値するかは定
かではありません。
この中で、歯科医の内田信友先生の「歯のかみ合わせの悪さ」を矯正すれば、片頭痛
が改善されるというものは説得力があるように思われます。
また、「体の歪み」を矯正して、片頭痛を改善させた「体験談」も多く掲載され、ネッ
トでは、多くの「整体院」「カイロプタクター」が宣伝しています。日本頭痛学会では、推
奨ランクはCとして、殆ど問題にされていませんが、アメリカでは、カイロプラクターが、
大々的に治療されているのが YOU TUBE から伺い知ることができます。
また、日本では、保険診療で認可されていない「ボツリヌス毒素」による治療が、日
本ではごく限られた施設でしかされていませんが、これもアメリカでは広く行われており
ます。
さらに、ヨガ、太極拳などで治療される方もおられ、これらは「セロトニン活性化」
を目的とした方法であろうかと思います。この「セロトニン活性化」の方法をダイレクト
に取り入れた「山崎有為」の方式まで出現してきています。
- 154 -
*
脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています、不眠症、睡
眠障害、冷え性、偏頭痛、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な病
気が誘発されていると考えられています。
Diksic らによれば、健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能力が高い。ま
たセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合
成が男性の 4 倍減少する。(Diksic M. et al.,94: 5308-5313, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1997)
そして、季節的に、春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛の方
々が一番苦手とする季節であるという事実です。
*
このように概観してみますと、片頭痛には、各種の原因が関与していることは、間違い
ない事実です。
*
以上のような理由から、片頭痛の診断には、問診および神経学的検査法だけで行う「国
際頭痛分類 第2版」だけで行われている現状が、何となく納得できません。
*
今後、血中セロトニン値と脳内セロトニン値が臨床的に簡単に測定可能となれば、もっ
と新たな展開が期待できるのではないでしょうか?
*
以上のような観点から、少なくとも「歯のかみ合わせの悪さ、体の歪みの有無」を検討
する意味合いで、頸椎レントゲン検査を行うしかないのでしょうか。
私の片頭痛を検証する
2011/10/10
以前、私の「片頭痛」に関する記事は掲載致しました。
この点に関して、色々な角度から、検証したいと思います。
*
まず、「遺伝」というか「家族歴」についてです。
- 155 -
*
私の、両親には、全く、頭痛を訴えることはありませんでした。
私の父親は、山梨県山梨市の「ぶどう農家」の長男でした。ところが「医師」になりた
いとの夢が諦めきれず、京都大学に入学し、以後、山梨の家の跡継ぎは、次男である「政
彦さん」に譲り、独自の生活をしたようです。結局、
「医師」にはなれず、教師の道に進み、
大阪の堺市に居を構え、以後の生活が始まりました。私の記憶では、大阪での生活は記憶
にはありません。母親も、山形の出身としか聞いておりませんでした。
その後、父親の勤務の関係で、大阪から四国の高知県、さらに島根県の松江市に転居し
た関係で、私の親族といえる方には、顔を合わすことは全くありませんでした。このよう
な状況ですので、母親の関係する一族とも全く面識はありませんでした。
ところが、一昨年、母親が死亡し、私の家の「お墓」は山梨県の山梨市にある関係で、
本年3周忌を行いました。それが終わってから、父親の次男の「政彦」さんも既に亡くな
られており、政彦さんの娘さんと雑談をする中で、極めて激しい頭痛を繰り返されておら
れることを、本人の口から知らされ、「医師」として、「片頭痛」かどうかあれこれ、お聞
きして、「これは紛れもなく、片頭痛」と考えた次第です。
このように、両親には、頭痛がないと、
「遺伝性なし」と短絡的に判断されます。それに、
わたしのような、極めて特殊な家族関係にある場合、二親等の頭痛の状況など知る由もあ
りません。
このような、私のような状況を踏まえた上で、家族歴の有無を確認する上で、問題は山
積しているようです。どこまで患者さん「家族には頭痛はない」ということが、信用でき
るものかどうか・・
*
私の「片頭痛」を発症するまで・・
*
片頭痛は、ある人の言をお借りすれば、幼少期から発症すると申され、一生治らないも
の、と確信されておられる方々が如何に多いかということを実感しております。
私も、
「片頭痛体質」を受け継いでいることは、過去のことを振り返り、実感しています。
*
それは、片頭痛になる人間は幼少時から、ある特徴があることを、東京女子医科大学の
清水俊彦先生が指摘されておられます。私も、その通りでした。
- 156 -
*
私が、小学生の頃、父は、松江市から日本海側の海水浴場に、夏休みには連れて行って
くれました。海水浴場にいくと、小舟に乗せてくれて、遠洋まで、海を見せてくれたので
すが、必ず、船酔いして、楽しむどころの騒ぎではありませんでした。
その後、広島大学の医学部に入学し、夏休みとか冬休みには、実家の松江市にある家に
帰っていましたが、当時の「国鉄」の料金を考えますと、私鉄の「夜行バス」が料金が安
いことを知り、これを利用したことがありました。ところが、運転席に近い所に座席が確
保できた時は何も問題はありませんでしたが、時に、最後部座席しか、明いていなかった
場合は、最悪で、車酔いで、到着するまでの5時間は「地獄の時間」でした。途中で、下
車したくても、真夜中の中国山脈の中に取り残されるかと思えば、我慢するしかありませ
んでした。
*
呉共済病院に勤務して
*
私が、広島大学医学部を卒業する年度は、昭和 43 年でした。この当時は、「インターン
制度廃止運動の最終年度」の最後の仕上げの時期にさしかかっていました。この運動を継
続する関係から、なぜだか私がその先頭に担ぎ出されていました。決して、思想的な背景
があった訳ではありません。純粋な感覚で、指導してきたように思います。
最終的に、インターン廃止が決定された後、医学部卒業後の「臨床研修」をどのように
するかという問題が残されていました。当時、「青医連 広島支部の委員長」として「医局
講座制打破」をスローガンに掲げ、「入局拒否」を唄って行動を持続しました。この間、自
殺者を3名を生み出したことを反省し、私も、考えを改めると同時に、当時、既に、結婚
までして一児のある身でしたので、すべて投げ出す覚悟で、国家公務員共済組合等連合会
呉共済病院の内科に、入り込みました。
*
当時の呉共済病院は、院長が笠潤一郎、内科医長が岡田啓成で、内科医員 20 名で、500
床の総合病院で、内科は 200 床でした。まさに、野戦病院と形容されるような病院でした。
当時の内科は、人工透析を全国に先駆けて行っておりました。まだ、最初の時代でした
ので、血液透析はキール型でしたので、除水効果が悪く、肺水腫を併発している場合は、
腹膜透析を併用して行っていました。このようにしても延命効果は1カ月前後でした。ま
- 157 -
た現在のように内シャントでなく、外シャントでしたので、血栓でよく閉塞し、このため、
夜間に「シャント掃除」に呼び出されていました。
当時の呉地区は、人口 20 万人で、当院以外に、総合病院の国立呉病院があり、交代で、
救急の当番をしていました。この時代は、肝硬変の昏睡もしくは食道静脈瘤破裂による吐
血、糖尿病性昏睡、脳卒中などの意識障害、心筋梗塞の救急が大半を占めておりました。
このため、入ったと同時に、静脈切開、気管切開、ゼングスターケン・チューブの挿入
等々の手技を叩き込まれました。だいたい、毎日、救急車で5,6名は救急搬送されてき
ました。研修1年目は、この救急患者を、上の先生方と一緒に診せられ、入院後は「受持
医」として、20名前後診ておりました。
また、内科医長の診察が隔日にあり、この日は「予診係」をさせられました。
さらに、重症の患者さんが多いため、殆ど毎日、誰かが亡くなられ、死後は病理解剖を
義務づけられていて、解剖の度に、その所見を記載する「シュライバー」をさせられまし
た。このような状況でしたので、受持患者 20 名のうち、4,5人は重症患者で、24 時間、
気が抜けない患者さんばかりでした。そして、受持患者の状態報告を、必ず内科医長に報
告しなくてはなりませんでした。さらに受持患者の「臨終の宣告」は、必ず「内科医長」
が行うことになっていましたので、例え夜中であっても連絡するようになっていました。
このような「報告が遅いと」罵声を浴びせられることは日常茶飯事のことで、「患者は死
なないもの」といった考えで、報告が遅い、遅いと怒鳴られ、患者さんが亡くなられよう
っものなら「人殺し」と罵られる毎日でした。何も、東も西も分からない「研修時代」で
すので、これが、どれだけのストレスになっていたか計り知れないものがありました。
このような毎日でしたから、殆ど、昼も夜もない状態で、まともに家に帰ることは、殆
どありませんでした。睡眠も1日に、3,4時間寝れればいいところで、毎日の「規則正
しい生活」とは全く無縁の世界でした。これが、毎日で、日曜日などは全くないに等しい
状態でした。ですから、病院の他の職種の方々が、毎朝、「おはようございます」と挨拶さ
れても、自分にとっては「朝という感覚がなく」朝の挨拶どころでなかったため、職員か
らは、「変人」と思われていたようでした。
このような生活の連続であるため、上の先生方は、30 歳になると「判で押した」ように
自分の故郷に帰って、お父さんの医院の手伝いをされていました。
*
海外旅行での出来事
- 158 -
*
このような5年間の研修医時代が終わった時点で、今後、さらに呉共済病院に 10 年間
奉職するという契約をすれば、1カ月間、「海外研修」と称して「海外旅行」ができる制度
が当時の「国家公務員等共済組合連合会」にありました。
私は、勤務当初から、5年の研修期間が終われば、
「神経学」を専門に診療するつもりで、
それまでに、「脳血管撮影の手技」を身につけるまで準備していたために、迷わすに、この
契約を結びました。そして、世界一周の海外旅行を計画しました。
皆さんも初めての「海外旅行」をされた方は経験されていると思います。昭和 50 年の
時代です。旅行の1カ月前から、飛行機が墜落しないかとか、外国語が喋れないのに大丈
夫だろうかとか、行く先々の治安は大丈夫だろうかと、際限もなく、あれこれ考えて眠れ
ないことも度々でした。
このようにして「海外旅行」に出発しました。最初の訪問国はギリシャのアテネでした。
羽田空港から 25 時間のフライトでした。機中は、狭い座席に座り、この間歩くことは、
トイレ以外にはなく、寝ようにも、殆ど眠ってはいなかったように思います。
アテネに到着したのは、現地時間の 10 時頃でした。昼まで観光をして、昼食の時に、
昼間から食前酒にワインが出てきたため、珍しそうに口にしました。昼食後、さらに観光
が始まったのですが、バスに乗って間もなく、今まで経験したことのない激しい頭痛に見
舞われました。このため、その後は観光どころの騒ぎでなく、おとなしくバスの中にいる
しかありませんでした。その日の夜頃には、何とか治まりましたが・・
翌日も、昼食時のワインを飲むと再度、激しい頭痛に見舞われました。
これで、ワインがよくないと思い、次の日からは、ワインを飲まないようにして、以後
旅行中は、頭痛は起きませんでした。
これが、私の最初の片頭痛発作でした。
*
その後の片頭痛発作
*
旅行から帰ってきても、例えば、糖尿病性昏睡の患者さんを受け持って、3日3晩徹夜
をして、やっと患者さんが覚醒して、その晩、「祝杯」をあげると激痛に襲われます。(睡
眠が十分であれば、いくら酒を飲んでも大丈夫なのですが・・)
最近では、睡眠時間には注意しているためか、殆ど起きなくなってはいるのですが、時
- 159 -
々、土曜日の午後から大阪での「講演会」に出席するため、診療終了後、特急くろしお号
で行くのですが、この帰りの時間が遅くなって、空腹のまま、帰りの電車に乗車すると、
帰宅後、必ず、発作に見舞われます。どうも、空腹と、電車の揺れがよくないようです。
特急「くろしお号」の揺れのひどさは、有名です。
*
*
以上が私の片頭痛の概略です。
私の場合、発症前の約5年間の全く不規則な生活に加え、睡眠不足、食事もまともに摂
取していない状態をもとに発症の準備状態が作られたように思います。
そして、発症直前には、25 時間の狭い座席に閉じこめられ、気圧の変化、これまでの「地
獄のような生活」から解放されるという安堵感、そして現地に無事着いたという安心感に
追い打ちをかけるように「ワインを飲んだ」ことが直接の引き金になったようです。
これだけの「誘因」が加われば、発作が起きても、決して不思議ではないと思います。
*
私自身の場合は、このように振り返ってみて、発症前の5年間の生活がなければ、恐ら
く、片頭痛は発症しなかったのではないかと思えてなりません。
実際の患者さんを診察する場合は、頭痛が何かということばかりに気を取られ、発症前
の「生活状態」までには、注目していないのが実情ではないでしょうか。
このような意味で、再度、私の片頭痛を掲載しました。
患者さん自身が「医療機関」に検査項目を指定すべきか? 2011/10/11
先日、私の「ブログ」の「耳鳴にトリプタン製剤?」の記事をご覧になられた方から、
以下のようなコメントを頂きました。
*
*
私も先日、(数年前から)耳鳴りがするので脳神経外科の病院へ行ってきました。
(耳鳴りと言っても耳の所で鳴っている訳ではなく頭の中が鳴っている感じ)
- 160 -
もちろん、「ためしてガッテン」で言っていたので、治るのかな?と、一縷の望みをかけて
行った訳です。
そしたら、あなたはドコモ悪くありません!
と言われて、そのまま帰ってきました。
(ためしてガッテンで言っていた薬の名前を忘れてしまっていたので何も言いませんでし
た)
病院ではMRIやCTにレントゲンなどの検査をしました。
そして、あなたは片頭痛ではありません。
(以前は片頭痛だったと思われる頭痛は何回か有ります。頭痛で医者に行ったことがない
ので何とも言えませんが)
という事で、薬は何ももらわずに帰って来ました。
しかし、耳鳴りはずっとしている訳ですよね。
「ためしてガッテン」で言われていたことは、脳波を測って分かったと言っていたので、
脳波を計測できる所など紹介してもらった方が良いのかな?
などと思いますがどうなんでしょう。
あなたは、年だから耳鳴に「トリプタン製剤」を使うことは有りません!じゃ納得出来な
いでしょう。
(あなたは死ぬまで耳鳴りと一緒に暮らしなさいという事ですからね)
今までに年寄りにトリプタンを使っても効果がないという事が証明されているなら納得す
るかも知れませんが。
納得するより「あきらめる」と言う事ですね。
ちなみに私は61歳です。
トリプタンを処方してくれる医者を捜そうかとも思っていますが。
*
*
これに対して、以下のような返答を致しました。
*
〇〇
様
*
どちらに、お住まいなのでしょうか。居住地がどこか分からないため、お聞きした次第
- 161 -
です。
それは、ともかく、ネットで「頭痛専門医」を検索してみて下さい。
専門医の一覧表が掲載されております。
この中の、一番近い所の「頭痛専門医の医療機関」を受診して下さい。
受診時には、必ず、以前に悩まれておられた「頭痛」の詳細をよく思い出され、必ず、
その要点をメモされて、受診されることが一番大切です。そして、受診された時は、必ず、
東京女子医大の清水俊彦先生の提唱される「脳過敏症候群」を考えて(心配して)受診し
た旨を伝えて下さい。「頭痛専門医」で昨年、学会に出席されておられる先生であれば、昨
年、清水先生が学会で発表されておられますので、ご存じのはずです。
仮に、「脳過敏症候群」であったとしても、いきなり「トリプタン製剤」を使うことはあ
りません。まず、「抗てんかん薬」か「抗うつ薬」が処方されます。これを最低3カ月間、
服用するように指示されるはずです。これで有効であれば、耳鳴は改善してきます。
しかし、この服用期間中に、以前あった「片頭痛の発作」が再現してくる可能性がある
ということです。もし、片頭痛が再発した場合は、年齢が 61 歳ということですので、頭
痛の程度と現在、罹っておられる他の病気のことも考えて、「トリプタン製剤」を使うかど
うか、決めてくれます
治療がうまくいけば、「耳鳴(頭鳴)」は消えてしまいます。あきらめないで、受診して
みて下さい。
*
一度、近くの「頭痛専門医」を受診してみてもらうことをお勧め致します。
*
成和脳神経内科医院
田草川 良彦
E-mail [email protected]
以上のようにコメント致しました。その後、何の返答もありませんでした。
*
*
また、最近、田辺市の市役所にお勤めの「ケアマネージャー」さんが「私の診ている患
者」さんのことで、相談にお見えになりました。この時は、患者さんが立て込んでいた関
- 162 -
係で、しばらく待合室で、待って頂きました。この待合室には、
「頭痛に関する小冊子」を 30
冊前後、お待ち頂いている間に閲覧できるようにしております。
そのケアマネージャーさんが、順番がきて、診察室に入られて、開口第一声に申された
ことは、「先生の所は頭痛を診てくれるのですか?
先日は、長年、頭痛に苦しめられてい
るいため、貯金をためて初めて、”脳ドック”の検査を7万円払って受けました。しかし、
何の異常はないということでした。どうすれば、いいのでしょうか」と真剣な面持ちで相
談されました。そのため、事務的な用件を済ませた上で、ケアマネージャーさんの「頭痛」
について色々お聞きし、「緊張型頭痛」と考え、「頸椎のレントゲン検査」をさせて頂きま
した。その結果、予測通りに、ストレートネックが確認されました。一通り説明を申し上
げ、日常生活上の注意点と「ある体操」をお勧め致しました。この方は、当医院に頻繁に、
患者さんの用件で来られるため、来院される度に、頭痛の状態を確認さして頂いています
が、現在は、頭痛も殆どなくなり、あの脳ドックに支払った7万円が惜しかったと述懐さ
れます。
*
*
最初の方も、同じですが、自分の症状だけで、「医療機関に検査項目」を自分で決め込ま
れて、「医療機関」もしくは「脳ドック」にその解決方法を求められます。
*
いつの時代から、このようになってしまったのでしょうか?
恐らく、患者さんにとっては、頭痛・耳鳴に関しては、「医療機関」を信用されてはおら
れないようです。このため、自ら情報を仕入れて、「このような検査」をと自分で判断され
て、それに見合う検査を受けるために「医療機関」を受診されるようになっているようで
す。まさに、悲しむべき時代になったようです。
本日は、びっくり仰天しました
2011/10/12
本日、診察開始直前に、皆さんがよくご存じの「東京女子医科大学 脳神経外科」の清水
俊彦先生から、直接電話をお受け致しました。その内容は、先程の記事に掲載させて頂い
- 163 -
た通りです。私も、電話をお受けした時点でどのように対応すべきか、苦慮して、前記の
ように対応させて頂いた次第です。先生の苦情は「薬剤誘発性頭痛」という病名はない、
現在は「薬剤乱用頭痛」ということでした。指摘されれば、当然のことです。
悲しいことに、私は、一昔前の人間で、いわば、このように厳格に「病名」の区別をし
ておりませんでした。40 年前の感覚で、「薬剤誘発性頭痛」といった表現をして掲載して
いたことを、改めてお詫び申し上げます。改めて、今後は、昔の記事で「薬剤誘発性頭痛」
と記載されている箇所は「薬剤乱用頭痛」と読み替えて下さい。改めて、お願い申し上げ
ます。
それよりも、清水先生から電話をお受けした時点で、私の「ブログ」の内容に抗議され
るのかと、一瞬、身構えた次第です。
ただ、清水先生のような、お忙しくされておられる先生が、私のような拙い「ブログ」
をご覧になられたのかという疑問です。私のような、和歌山県田辺市のような「頭痛専門
医」のいない地域での「ブログ」をなぜ、ご覧になられたかということです。
私は、9月中旬に、「全国慢性頭痛友の会」の会長さんに、私の「ブログ」を閲覧して頂
くようメールさせて頂きました。その感想は「このような考えは、日本頭痛学会を冒涜す
るようなもの」であり、「学問的ではない」「片頭痛は、もともと、生まれつきのものであ
り、医療者が介入できない」と一蹴され、全く取り合って頂けませんでした。しかし、私
としては、少なくとも、「全国慢性頭痛友の会」の会員の皆さんに、私の「ブログ」を閲覧
して頂く目的で、これまで「生活習慣」の重要性に関する記述に絞って掲載させて頂いた
次第です。
*
結局、私の役割は、
「頭痛に悩まれる方」と「一般方の片頭痛克服体験者」との「橋渡し」
をする役目と自認しております。
ご批判は、数知れないとは覚悟しております。
*
ただ、清水先生が閲覧されておられることを知り、今後は、もっと「格調高い」ブログ
にしたいと考えます。
- 164 -
訂正とお詫びとお願い
2011/10/12
本日、東京女子医科大学 脳神経外科の清水 俊彦先生から、指摘されました。
当ブログおよびホームページ上で、「薬物誘発性頭痛」と記載しておりました箇所は、今
後「薬物乱用頭痛」と読み替えて下さいますよう、お願い申し上げます。
以前「薬物誘発性頭痛」と表現されていたものは、現在「薬物乱用頭痛」に統一されて
おります。
*
なにせ、一時代前の人間ですので、ついうっかり、昔の癖で、「薬物誘発性頭痛」と記載
した箇所が、多く存在しています。
現在、すべての箇所を訂正するには、大変な作業となります。
このため、今後は、古い記事をお読みになられる際は、「薬物誘発性頭痛」の箇所は「薬
物乱用頭痛」と読み替えて頂きますよう、お願い申し上げます。
片頭痛を治すための「定期受診」のお勧め 2011/10/13
片頭痛で医療機関を定期的に受診される方は、これまでの各施設の統計をみますと (こ
の詳細を明らかにしても、冗長な文章になりますので、敢えて掲載しません)全片頭痛患
者さんの 2.7 % とされています。これらの患者さんは、
「市販の鎮痛薬が効かないために」
医療機関で「トリプタン製剤」を処方してもらうための患者数と想定されます。
問題は、この中で半数近くの方々は、医療機関を受診されることなく「市販の鎮痛薬」
で耐えておられるようです。しかし、この鎮痛薬を月に、7~10回以上服用をされます
と、以後、いろいろと問題を起こす危険性があります。それは「薬物乱用頭痛」を併発し
てくる危険性です。
それと、このような回数まで服用されなくても、頭痛発作の度に、「市販の鎮痛薬」で一
時抑えをされておられると、将来、「脳過敏症候群」 にまで進展しかねないと、東京女子
医科大学の清水 俊彦先生は警告を発しておられます。
*
- 165 -
このような弊害を考慮して、頻繁に起こる頭痛は、必ず、一度は医療機関を受診され、
頭痛は、どのタイプなのかを、的確に診断してもらうことをお勧め致します。
ただ、注意して頂きたいことは、CTもしくはMRIの検査をして、「何も心配ありませ
ん」、という医療機関に出くわされたら、「どうして頭痛がおきるのか」ということを執拗
なまでにお聞きすることが一番大切です。これを明確にされない「医療機関」は即座に、
諦めて下さい。このような所では、頭痛は治りません。もっと、よい所を探して下さい。
現在、日本頭痛学会が認定する「頭痛専門医」 が近くにあります。そこを、再度、受診
されるようにお勧め致します。
*
本日のテーマは、
「片頭痛を治す」ための「医療機関」への受診のあり方を提言致します。
大半の「片頭痛の患者さん」が一度は、医療機関を受診されても、殆どは、何故か、以
後継続して受診されません。この方々の考え方の大半は「片頭痛は生まれつきの体質」に
よるもので、一生治らないと諦めてしまわれ、以後、受診されておられないのが実情では
ないでしょうか?
以後継続して受診される方は、「トリプタン製剤」の魅力に引き入れら
れた方々のように思います。
*
このような状況を踏まえて、私は、片頭痛で初診された方々には「確かに、遺伝的な要
素はあるとしても、決して、諦めてはならない」自分で解決できる方法を、くどいまでに
説明申し上げております。
*
このため、片頭痛を改善もしくは克服するために、定期受診を必ずお勧めしています。
発作回数が少ない方でも、最低3カ月毎に、定期的に受診すべきであると申し上げてお
ります。発作の回数が多い方は、1,2週間後には受診が必要ですが・・
*
この3カ月毎の「定期的受診」で確認している項目があります。それは、以下の点です。
*
1.規則正しい生活が行われ、睡眠時間が確保されているか、食事面が大丈夫かというこ
とです。これを抜きにしては、何も今後の治療はあり得ないからです。
2.発作時の対応がうまく行っているかの確認をします。
うまく、いっていなければ、別の薬剤を、改めて考慮します。
- 166 -
3.発作時の記録をもとに、「頭痛の引き金」が何かを、お互いが確認しあうことです。
なかには、天気のためとか生理に関連している方もおられます。
また、全く、何が関係しているか、分からない方もおられます。
このような方々は、それぞれ、次の対策を立てていきます。
原因が分かった方々は、お互い、どのように解決すべきか、話し合えば解決の道筋は
どこかに、あるはずです。
4.そして、生まれつき「セロトニン合成が本来悪い」方々は、根気よく「セロトニン生
活」を、推し進めていく姿勢を崩さないことです。これを点検していきます。
*
以上のような点検項目は、ある意味では、患者さんまかせでは、解決できない点があり
ます。医療者と患者さんが、一緒に向き合って、解決すべきことです。
*
片頭痛は治らないといった偏見が、治らなくしています。この点を認識することが一番
と考えます。
いくらでも、片頭痛を克服というか、片頭痛を起こらなくする「術」を身につけられた
方々がおられることを忘れないで下さい。
自分の「殻」に閉じ困ってしまうことが、何の解決にもならないことを・・
当「ブログ」にアクセスして頂き、感謝致しております 2011/10/14
私の「ブログ」を立ち上げてから、本日まで、15,506 件ありました。立ち上げた当初は、
日に 40 件前後でした。
ところが、本年 10 月に入り、急激にアクセス数が増加しました。これは、ある人のお
陰だろうと推察致しております。
それに加え、つい先日は、東京女子医科大学の清水 俊彦先生にまで閲覧して頂いていた
ことを知り、驚愕した次第です。
昨日は、5,000 件を超えました。
私は、
「ブログ」でも再三申し上げて参りましたように、
「頭痛専門医」ではありません。
- 167 -
一介の神経内科医です。それも、
「神経内科専門医」としての「医院広告」を出す度に、
「精
神疾患」の患者さんが、押し寄せるかの如く来院されるため、2年前から「神経内科医」
の専門医は返上致しました。「専門医という称号」は何も意味もなさないと判断したためで
す。
これだけは、当和歌山県紀南地区の実情があることを、察して下さい。
このため、現在は、何もない、一般開業医です。
ただ、私が医師になった当初から、「神経学」を志しておりました関係から、一般医師以
上に「頭痛患者」さんへの関わりは多かったと思います。
実際、呉共済病院時代から、内科医長の計らいで「頭痛外来」を週1回、午後から許可
されて、一般診察とは別枠で、診せて頂いておりました。以来、40 年経過致しました。
平成 2 年から、現在の和歌山県田辺市の芳養松原という、田辺市の「みなべ町」に接し
た片田舎で診療して以来、「脳卒中急性期医療」を捨て、「頭痛診療」一筋に生きて参りま
した。自分なりに、入手可能な情報を仕入れて行ってきたつもりです。
田辺市内の片頭痛患者は、9割は診察してきたと自負しております。
しかし、日常診療に追われ、さらに、開業医という、自分しかいない状況のため、学会
発表など、とても手が回りませんでした。それほど、裕福な医院ではありませんもので・
これまでの「ブログ」に掲載して参りましたのは、全て、色々な文献検索さらに「ネッ
ト上」の情報を総合して、総説的にまとめたものです。従って、私自身の経験に基づいて、
総論のような形で、記載したものです。すべてが「パクリ」と批判されるばかりです。
特に、ここでお断りしておきたいことがあります。
それは、兵庫県西宮市の「樋口脳神経クリニック」の樋口先生の「ホームページ」の記
事から参考にさせてもらったものがあることを明確にしておきます。
特に「片頭痛と睡眠」 に関する記事は、樋口先生のホームページから転載しております。
本来であれば、医学論文であれば、引用文献として明確にしなくてはなりません。
私は、このブログを立ち上げる前に「当医院のホームページ」を立ち上げました。これ
は、従来、あるような頭痛に関する知識を一般の方々に「簡潔」に伝えることを目的とし
たものではなく、もう少し「掘り下げた」形で「頭痛に悩まれる方々」への「情報提供」
を目的として、長文のページを作成しました。要するに、私の「ホームページ」に入れば、
- 168 -
自分の得たい情報を「短時間」で全て得られるように意図して作成しました。
今回のブ
ログも、文字ばかりの「何の素っ気」もないものです。
しかし、私には、「簡潔」「明瞭」ということに抵抗を感じて、このような、本来あるま
じき形態をとった「ブログ」にしております。
同じようなことを、角度を変えて、表現を変えて、極力、誤解のないように作成したつ
もりです。
私のホームページおよびブログには、著作権に触れることを多数掲載しております。ホ
ームページを作成した時は、「問題があれば即刻削除する旨」お断り致しました。しかし、
どなたも、異議を唱えられた方がおられないため掲載を続行しています。
今回は、樋口先生の記事が、私には、心配致しております。
ただ、記事を掲載する前に、樋口先生の所へお電話差し上げたのですが、受付で「門前
払い」を喰らい直接先生とは了解はとれませんでした。樋口先生のホームページ上でも「問
い合わせ」窓口は設けられていませんでした。このため、この「ブログ」上で明らかにし
ました。著作権に触れるようであれば、即刻削除致します。
このような意味で「片頭痛と生活習慣」に関する一連の記事は、総説的に、色々な記事
のかき集めと考えて下さい。いずれも、従来から言われてきたものです。これを「理解し
やすい」ものとしてまとめたものです。
最後に、これまでの記事は、あくまでもある臨床医の「つぶやき」にすぎません。今後
の、若い「頭痛専門医」にこのような「考え方」があることを知って頂きたかったまでで
す。と言いますのは、「片頭痛医療はどこか行き詰まっている」ように私には思えてなりま
せん。このような視点があるということを考え、今後の「臨床研究」のヒントとして考え
られたらと「つぶやいた」までです。
今回は、多数の方々に閲覧して頂き、お礼を申し上げます。
あと、ひとつお願いですが、私のブログは、商売目的でもありません。茶化すようなコ
メントは極力控えて頂きますように、切にお願いする次第です。
- 169 -
これまで私のブログにコメントされる方々は、私のブログが「アダルトページ」と誤解
されている方が多く見受けられます。最近でも2件ありました。
私には、憤りしかありません。
私の「ブログ」は真剣に、頭痛に苦しまれる方々のためのものです。このような方々に
不快な思いをさせないで下さい。
なぜ、片頭痛はうまくコントロールされないのか 2011/10/15
昨日、当「ブログ」のアクセス数が、5,000 件を超えました。これまで、1日 40 件前後
であったのに、何故と考えました。これは 9 月中旬に「全国慢性頭痛友の会 の会長」に
私の「ブログ」を閲覧して頂くように、お願い致しました。会長には、私の考え方はおか
しいと、こき下ろされましたが、それでも「友の会」の会員に紹介して頂いたと思って、
昨夜、会長に、お礼のメールを致しました。しかし、会長は「決してそのようなことはし
ていないと・・」と言われ、考え方は、以前と全く、変わりはありませんでした。
*
このため、もう一度、何故「片頭痛がうまくコントロール」されないのか、再確認させ
て頂きます。
*
片頭痛がうまくコントロールされない理由です。繰り返しにはなりますが・・
*
まず、第一点は、このように生活習慣を改めればよいと「頭では理解している」にも関わ
らず、これを現実に、実行されない場合です。これを実行されない方々を、よく診ますと、
「片頭痛は生まれつきの病気である」という先入観念です。実行してみて、改善されなけ
れば、何ら解決の糸口さえ見いだせないと考えます。まず、問題点を改善してみることで
す。その後は、次の解決策が、見えてくるはずです。
しかし、仕事の関係で、どうしても改善が不可能な方もいます。これが、現在の問題と
している課題です。
- 170 -
*
第2点は、頭痛発作の「引き金」になるものが、全く分からない方々です。
このような方々は、日常生活習慣そのものの中に、トリガーが存在します。
その原因としては、歯のかみ合わせに問題がないかどうか、さらに「姿勢」に問題がな
いかどうか、特に「パソコン作業・前屈みの姿勢を強制されていないかどうか」単純な点
検で、ある疑いは生まれてくるはずです。とくに、「姿勢」の問題は、本人が「無意識にし
ていることで」全く自覚されませんので、極めてやっかいなものです。
これを簡単に「スクリーニング」するために、「頸椎レントゲン検査」を行えば、推測で
きるはずです。いくら薬を飲んでも、改善されない方は、首のX線撮影はされていますか。
ここが、一番のポイントです。頭痛の原因は、脳内病変だけではなく、首にも原因がある
ことを念頭におく必要があります。
*
第3点は、自分の片頭痛が、どのような発症様式を示しているかどうか、ということで
す。お母さん、もしくは、お父さんに「頭痛」があるのか、さらに「おばあちゃん、おじ
いちゃん」に頭痛がなかったかどうか」調べることです。もし、どなたかに頭痛があり、
「発
症時期」が、幼少時期から起きておれば、まず間違いなく、「遺伝的」なものです。これら
の方々は、生まれつき「セロトニン神経」の働きが悪い方と思われます。このような方は、
恐らく「コントロール」はなかなか、困難と予測されます。しかし、「セロトニン生活」を
徹底させて、どこまで改善が望めるか、行ってみるしかないと考えます。
これに対して、幼少時には無かったが、成人期になって発症された方は「セロトニン欠
乏」を起こすような「生活環境」に置かれていなかったか、どうかの検討が必要です。
このような方は、必ず、原因さえつかめれば、改善するはずです。治らない訳はありま
せん。自分が診て貰っている主治医は、このような点検をされておられるでしょうか。
*
このように、単純な作業で、「臨床的」に推測が可能ではないでしょうか。
*
症状が改善されないからといって、薬の種類を、あれこれ変更してもらっても何も解決
されないことを認識する必要があります。
あなたの主治医は、あなたの「生活習慣・ライフスタイル」を的確に把握されておられ
ますか?ここを、抜きには、いくら薬を変更されようとも、何も解決しません。
- 171 -
*
片頭痛という「症状」だけで、「薬の服用」という「方程式」はないということが理解し
て頂けたかと存じます。
*
このようにして、「片頭痛を治す」手順を模索すべきと考えます。
*
確かに、生まれつき「セロトニン神経」のできの悪い方は、いらっしゃいます。しかし、
すべての「片頭痛の方」が、このような「先天性」のものとは限りません。最後まで、チ
ャレンジして、治らなければ、それなりの対処法を見つければ済むことではないでしょう
か?
*
このように考えますと、血中セロトニンおよび脳内セロトニン値の測定が臨床的に可能
となれば、このような煩雑な思考過程は必要なくなるのではないでしょうか?
今後の臨床研究に期待するところです。
片頭痛研究の別の視点 2011/10/17
繰り返しで申し訳ありませんが、このブログの記事の追加が急激に増加したきっかけは、
小橋雄太さんのブログの「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛をなおしちゃえ」
がきっかけでした。私も、これを見るまでに、従来と同様に、
「片頭痛は生まれつきのもの」
で、治らないものと確信しておりました。このため「片頭痛は医療機関では治らない」と
いう主張は衝撃的なことでした。本当にこのような事実があるのかと・・
これを契機に、ネット上で、「片頭痛を治す」をキイワードにして、ネット検索が始まり
ました。自分で治されたという体験談はこれ以外に3つ見つけました。
さらに、有料の「片頭痛克服・改善プログラム」が存在することも知りました。このよ
うなサイトは、私自身7つみつけました。これら7つ全てを購入してそれぞれを、私の知
識の範囲内で検証してみました。(この後、もう一つありましたが、どうせ同じようなもの
と考えて、購入はしておりませんが・・)
- 172 -
これらのマニュアルには、必ず、これを使って片頭痛を改善された方々の体験談が掲載
されています。ただ、医師が出すような、「治療成績」は残念ながら記載されてはおりませ
ん。何人の片頭痛患者さんにマニュアルを使ってもらって、このうちの何人が改善された
かという「成績」があれば、もっと説得力があるはずですが、ここが欠落しています。
このような点はあるのですが、百歩譲って、もし、これらのコマーシャルに示される通
りに「片頭痛が治せる」ものであれば、これまでの「片頭痛治療」は何だったのかという
疑問が当然浮上して来ます。
*
そこで、1997 年に、北里大学の坂井文彦教授がされたような「全国調査」を以下のよう
な方式で、行うことができれば、「片頭痛の実態」が明確になるのではないでしょうか。
*
それは、現在多くの「頭痛専門医」が日本全国におられます。日本頭痛学会が音頭とと
って、全国の「頭痛専門医」にアンケート調査を依頼することです。
具体的には、
「頭痛専門医」のいる医療機関で、これまで「片頭痛と診断された患者さん」
で、通院が中断(ドロップアウト)した患者さんの予後調査を行うことです。
どこの医療機関も、現在IT化しているはずです。ドロップアウトした患者さんは、簡
単に抽出できるはずです。これらの中断された患者さんに、アンケート調査なり、電話で
直接、その後の状態を確認する方法です。電話による聞き取り調査は、時間がかかり過ぎ
るため、患者個人に、アンケート調査表を郵送して調査する方法がよいかも知れませんが、
回答率が低下する可能性が大きく、どのような方法にするかが問題となります。
アンケート調査内容は、現在、頭痛はどうなっているのか?
頭痛が起きなくなってお
れば、どのような方法で改善させたのか?(質問の意味が十分に理解されるように、具体
的に、整体・カイロプラクテック手法・ヨガ・太極拳・歯科の矯正・生活習慣の改善等々
です)*
このような調査を、日本頭痛学会が中心となって、全国津々浦々まで、しらみつぶしに
調べることによって、片頭痛は治るのか治らないのかが、明確になるのではないでしょう
か?
*
確か2年前だったと思いますが「関西頭痛懇話会」で「薬剤乱用頭痛」の実態調査を計
画されたことがありましたが、結局中止になってしまいましたが、その当時先走って、私
- 173 -
独自に、この調査を行いました。当医院開院した平成2年から調査日までに受診された患
者さんのうち「国際頭痛分類第1版および第2版」の診断基準で「片頭痛」と診断した患
者さん全てにアンケート用紙を郵送することによって予後調査を行いました。片頭痛の方
は、若い方が多く、転勤のため、アンケート用紙が多数返送され、実際に回答を頂けたも
のは、半数前後でした。回答を頂いた方々の中には、かなり多数の方が、発作がなくなっ
ていました。この実態を数字で、お示しするのが一番ですが、止めます。
といいますのは、私は「頭痛専門医」ではありません。従って、「頭痛専門医」でもない
人間が出した成績など、馬鹿にされるだけでしょうから・・
診断が違うのではないかと言われれば、それまでのことです。
*
以上のように、通院を中止(ドロップアウト)された方々の予後調査を行うことによっ
て、果たして、どの程度の方々が、片頭痛がなくなっているのかが明確になり、さらにど
のような手段で改善されたかを知ることが最も大切です。
このような全国調査を、1日も早く、実現させてほしいものです。
先程、述べたような「片頭痛克服マニュアル」を作成された方々が、コマーシャル目的
で、ありもしない体験談を掲載されているのかが、明確になるはずです。*
もし、仮に、整体・カイロで頭痛が改善された方なら、「体の歪み」が、歯科のテンプレ
ート療法で改善された方なら、
「歯のかみ合わせ」が、ヨガとか太極拳や「生活習慣の是正」
で改善された方なら、「セロトニン不足」が、原因として考えられると思います。
このよ
うな結果が、もし出たとすれば、「国際頭痛分類第2版」で「片頭痛」と診断されたものは
「片頭痛症候群」と考えなくてはならないことになります。
もしそうなった場合は、片頭痛の発生機序に関する研究も曖昧なものとなってしまいか
ねません。
*
こうしてみますと、いまだ「片頭痛」は「盲人たちが、象を触って、ああでもない、こ
うでもない」と論評しているに等しいと思われます。
*
一刻も早く、このような調査が行われることを期待しております。
- 174 -
片頭痛は”疾病利得”??? 2011/10/18
このようなタイトルを載せると、片頭痛の方々から”半殺し”の目に会うことは必定です。
片頭痛の方々は、周囲の誰にも頭痛の苦しみを理解して貰えず、自分独りで悩み、何とか
したいと思っておられる方が殆どであろうかと思います。
私も、勤務医時代は片頭痛で苦しめられ、昼夜を問わず、何が原因で起きるかが分から
なかった頃は、発作中に病棟の受持患者さんの急変とかシャント掃除で呼び出された際の
苦痛の凄まじさや外来診察日に発作があった場合は最悪で、患者さんの訴えを聞けるよう
な状態でなくても、痛みを我慢して、診察をせざるを得ませんでした。この間、何度、医
師を止めようかと思ったことでしょうか。
その後、睡眠不足が関係し、生活のリズムが乱れると、起きてくることに、薄々気がつ
いても、受持患者さんの状態如何では、どうにもならないことも多々ありました。
ですから、片頭痛の方々の苦しみは理解しているつもりです。
*
最近ネットで知った方で、長年片頭痛で苦しまれ、頭痛で悩まれる方々の会を作られ、10
年以上活動を続けておられる方のことです。この方は、片頭痛に関する知識は「頭痛専門
医」と遜色ない程で、自分の発作の引き金が何かをよくご存じで、セロトニン不足を招く
生活様式がよくないと、よく理解されておられます。ただ、自分のライフスタイルが、良
くないと思っていても、改善が無理のように見受けられました。
自分と同様に苦しまれる方々よりも先に改善されることに罪悪感を持たれるのでしょう
か?はたまた、長年お付き合いされた方々と、改善してしまうことで、決別されることを
寂しく思われるためなのでしょうか?私には全くわかりません。
*
よく言われることですが、頭痛改善のためには、頭痛を無くしてしまった場合の利点と、
これまで通り頭痛が持続した場合の利点、を比較するべきとされています。
どちらが、得なのかを理解しないと、改善できないと考えます。
頭痛は、生活のリズムの限界を超えた場合(無理な生活をして)の「危険信号」として
起きるとされています。無理をしてでも、仕事をこなして、その限界を超えた際に頭痛が
出現し、例えば3日間頭痛に苦しめられるとします。しかし、発作が起きても、トリプタ
- 175 -
ン製剤が良く効く方であれば、2時間前後で頭痛は無くなってしまえば、この2時間だけ
の「時間的ロス」 さえ眼をつむれば、こちらの方が「仕事の効率」が上がると考える限り、
面倒くさい「生活リズム(ライフスタイル)」の改善などは決してされません。
*
そして、東京女子医科大学の清水俊彦先生の著書の「頭痛女子のトリセツ」「頭痛女子のコ
ンカツ」に書かれてありますように「片頭痛の方は、頭脳明晰で頭の良い人」というエリ
ート集団なのです。このエリート集団が、頭痛を無くしてしまって「単なる凡人」
になってしまうことが耐えられないのでしょうか?
頭痛が、生活リズムの限界を超えた場合の、ある意味で「危険信号」として出現して来
るという考えは、私の生活を振り返り、十分納得できると考えております。
*
私は、勤務医時代は、毎日・毎日血管撮影に明け暮れ、1日5,6件の件数を私独りで
行っておりました。(1日5人として、連続撮影で行うため、単純に計算して、毎週 900
回の照射を受け、これが 10 年間です。)このため昭和 60 年過ぎてからは、週末には得も
言われない「全身倦怠感」に襲われ、何もする気がなくなる程でした。初めて、現在問題
とされている「放射能障害」に気がつき、ここを「危険信号」 と判断し、脳卒中専門病院
への転職を考え、その後「富永記念病院」での「脳梗塞急性期の血行再開療法」に夢を託
しました(ここであれば、勤務医が交代で検査をするであろうから、件数は当然減ると考
えた次第です)。ところが、当時の富永記念病院では、近くにナンバがあるせいか、救急車
で日に5,6回は搬入されるものの、大半は「急性アルコール中毒」か「過呼吸症候群」
の患者さんばかりで、1年8カ月いた間に診た「急性期脳梗塞」の患者はたったの1名で
した。この時に思ったことは、今後、このまま脳卒中診療を続行する限りは、
「放射能障害」
で命を落としますよという「神の思し召し」と考え、泣く泣く急性期脳卒中医療は断念致
しました。
この後、田辺で診療を始めて、当直がなくなってからは、殆ど「片頭痛発作」に襲われ
ることはなく、極く限られた状況でしか 起こらなくなりました。
*
私の場合は、自分から「生活習慣」を積極的に改めた訳ではありませんが、片頭痛が起
きなくなった背景には、このような「生活習慣」の”変化”が存在しています。
私の場合は、生活習慣改善のための取捨選択は、無かったわけですが・・・
- 176 -
そして、それと引き換えに、「凡人」になってしまいました。
*
以上のように、片頭痛は”疾病利得”なのかとの疑問を持った次第であります。
頭痛を治した方が得なのか、このままの状態がベストなのか・・
ただ、医師の独善的な考えで、片頭痛を無くしてしまうことが、片頭痛患者さんにとっ
ては、必ずしも得策ではないように思える次第で、タイトルのような表現になってしまい
ました。お怒りの方もおられますでしょうが、私の”偏見”として看過して下さい。
こんなことがあるのでしょうか???
2011/10/18
昨日、こんなブログを見つけました。
こんなことが、あるのでしょうか?
信じられません・・皆さん、どう思われますか?
*
*
偏頭痛になる理由とは。。。 2011-03-30 14:05:58
こんにちは。
りんごうさぎです
偏頭痛。
。。
突然頭の側面が
- 177 -
りんごうさぎより
激しく痛みだすことです。
辛いですよね。
頭をアイスピックでつつかれて
いるような刺す痛み。
からだとこころはつながっています。
なので、
偏頭痛が起こるということは、
なんらかの身体からの叫びです。
偏頭痛とは
その人の「存在のあり方」
と直接関係する病気です。
つまり、偏頭痛は
自分に対して、
- 178 -
自分が望むあり方を
許していない人に
起こりやすいのです。
たとえば、自分は芸術家に
なりたかったが、両親が反対した
ので別の職業についたという人
がいたとします。
そうすると、この人は
自分が望む方向を選択するまで
偏頭痛に悩まされます。
さらに偏頭痛の人は
「私にはできない」と考えることが
多く、自分のものではない人生
- 179 -
を生きてしまいがちです。
また、性生活がうまくいって
いない場合もあります。
性的器官は私たちの想像力
を象徴する部位ですが
その部位をうまく動かすことが
できない。
つまり。。
自分の想像力と
コンタクトすることが
できないのです。
私は昔
重度の偏頭痛もちでした。
- 180 -
今思うと、
その時の私も
自分の望む生き方をしては
いなかったと思います。
とても我慢することが
多かったので、
人に左右された生き方でした。
むしろそのほうが楽だと
思っていたのです。
だってそのほうが
自分に責任を持たなくていいので。。
でも、自分が望む生き方 を
するようになってから
- 181 -
ピタッと偏頭痛が治りました。
もし、あなたが偏頭痛に悩んでいる
のでしたら、ぜひ次の質問を
自分にしてみてください。
*もし、どんなことでも可能だとしたら
私はどんな人間になりたいですか?
それがわかったら
本来の自分を目指して
行動してみてください。
そして人に依存するのを
断ち切ってください。
特に女性に多いのは
男性依存症。
- 182 -
彼氏依存症。
相手からもっと愛される
ために自分を犠牲に
するのを控えてみてください。
相手からもっと愛される
ために自分を犠牲に
するのは、
本当の愛ではなく
恐れからきているものです。
ぜひ自分自身の目標をもって
動いてみてくださいね♪
そうすると偏頭痛は消えます。
- 183 -
なぜかというと
こころとからだはつながって
いるからです。
あなたの彼は疲れると
偏頭痛で悩んでませんか?
もしそうだったら。。。
いつもありがとうね~
無理しなくていいからね~って
彼のあたまをなでなでして
あげてください(・ω・)/
ソファでひざまくらしながらでも
横で寝ているときでもいいです。
私の彼は頭痛薬必需品!
- 184 -
なくらいお薬を多用して
いたのですが、これで
まったく薬を飲まなくなりました。
また、彼女であるあなたは
大丈夫ですか?
女性に偏頭痛は多いです(泣
無理しないでくださいね。
自分殺しちゃだめですよ。
自分の身体の声を
感じれるようになると
パートナーの身体からの
声もわかるようになります。
そう。これは
- 185 -
癒し系おうちづくりに
絶対必要な力なんです(^人^)
*
*
くだらないと言えば、「りんごうさぎ」さんに失礼ですが・・
参考までに・・・
*
りんごうさぎさんのブログから転載致しました。
皆さんは、ご存じかも知れませんが・・2011/10/19
皆さんは、YOU TUBE で片頭痛に関する情報を求めたことは、おありでしょうか?
もし、これまで、ご覧になられておられない方に、是非ともご覧下さい。
YOU TUBE の画面を表示されて、「migraine」のキイワードで検索してみて下さい。
そうしますと、驚く程、多数のページが検索されて来ます。
私は、この中での推薦したいページを、以下にお示し致します。
皆さんは、「頭脳明晰な方々」で
英語に堪能な方々だろうと推察致します。
もし、英語が不得意の方は、身近に、英語に堪能な方がおられると思います。
この方に、翻訳をお願いして下さい。
*
私の推薦するページは以下のようなものです。是非、ご覧下さい。
*
Andrew Blumenfeld on Migraine Pathophysiology
A Cure for the Migraine Headache
Dr.David Branch on Migraine Surgery
- 186 -
Grand Rounds Chronic Migraine
How to Overcome Migraine Headache
Guided Relaxation Self-Massage for Migraine
Migraine Prevention
Migraine Relief
Migraine Relief 2
Yoga for Migraine
Baba Ramdev for Migraine
Dr.Khiabani discusses Botox for Migraine
*
これらをご覧頂ければ、日本の「片頭痛医療」がどのようなものかが理解して頂けるも
のと考えます。
*
皆さんの中には「全国慢性頭痛友の会」の会員の方が、私の「ブログ」を閲覧されてお
られる方々も多いように思います。「全国慢性頭痛友の会」のホームページを、私自身が閲
覧させて頂いた感想ですが、このホームページの「頭痛の質問コーナー」があります。こ
れを閲覧致しますと、多くの方々が、現在の頭痛に関して、深刻に悩まれて、相談されて
おられます。これに対する回答は、全て「薬」「薬」「薬」です。私には、全く、理解出来
ない世界です。片頭痛が、「薬」で治るものなのでしょうか?
薬が、そんなに万能なのでしょうか?
信じられません。
「薬」だけで、果たして、片頭痛を治癒させる方向にもっていけるものでしょうか?
*
「片頭痛と本当に向き合う」気持ちを持たれておられる方は、是非とも、YOU TUBE を
ご覧になられることをお勧め致します。
少なくとも、以下のページは、ご覧になられるべきと考えます。
*
Andrew Blumenfeld on Migraine Pathophysiology
A Cure for the Migraine Headache
Guided Relaxation Self-Massage for Migraine
Dr.Khiabani discusses Botox for Migraine
- 187 -
Yoga for Migraine
*
これらをご覧になられれば、「日本の片頭痛医療」が何たるかが理解されると考えます。
薬一辺倒の「片頭痛医療のあり方」に私は、疑問を投げかけている次第です。
*
このような状況ですので、「本当に、自分の片頭痛と向き合う」ためには、もっと視野
を広げて、全世界での「片頭痛治療」に目を向けるべきではないでしょうか?
*
このような観点から、一度は、YOU TUBE の世界も、覗くのも、一つの手段ではないで
しょうか?
片頭痛を改善させる”頭痛体操” 2011/10/19
片頭痛の場合も緊張型頭痛の場合も、頸椎レントゲン検査を行ってみますと、かなりの頻
度で、ストレート・ネックを始めとして様々な頸椎の湾曲異常がみられます。
これらの変化は、両頭痛に共通して言えることですが、内田信友先生は「歯のかみ合わ
せの悪さ」に原因があると指摘されますが、これ以外にも「姿勢」に関連して、長時間の
パソコン作業や前屈みの姿勢を持続されることによって起きてきます。そして「片頭痛の
遺伝的な体質」をもっている人は「片頭痛」を、ない人では「緊張型頭痛」を起こしてき
ます。
このような、頸椎異常を認める方々に対して、後頸部から肩にかけての筋緊張状態に注
目してカイロプラクターが施術を行っております。
片頭痛の方でも、頭の片側でなく、両側とくに後頭部に痛みを訴えたり、なかには拍動
性でなく、緊張型頭痛のような締め付けられるような重苦しい痛みを訴えられる場合があ
るのは、このような状態が関連していると考えられます。
このような両方の慢性頭痛に対して「頭痛体操」が勧められています。
*
- 188 -
*
国際頭痛センター長
新百合ケ丘ステーションクリニックの坂井文彦先生は以下のよう
に述べられています。
*
脳には周囲の環境や体内の変化に対応して、体を一定のコンディションに保つ機能があ
ります。筋肉の緊張が続くと疲労物質や痛み物質の信号が脳に送られます。脳では筋肉の
痛みとして凝った痛み、張った痛み、つった痛みなどと色々に感じます。筋肉からの情報
は神経を介して脳に伝えられますが、神経の通る経路には中継点がいくつかあります。痛
み信号が中継される場合、中継がスムースに行われるよう、脳の痛み中枢から痛み調節物
質が送られます。セロトニン、エンケファリンなどが痛みの中継を調整します。痛み調節
がうまくいかないと、環境の変化からくるストレス刺激がつらい痛みに感じられたり、痛
みが持続したりします。
*
片頭痛は三叉神経の興奮により脳の血管を拡張させ痛みを起こしますが、三叉神経は生じ
た痛みを脳に伝達する働きもあります。脳幹の三叉神経核は片頭痛の痛みの発生と調節に
重要な役割を果たしています。痛みを抑制する神経も中脳から脳幹の三叉神経核に線維を
送り、痛みを調節しています。痛み調節系が上手く働かないと片頭痛は慢性化してしまい
ます。本来、時々起こるのが片頭痛の特徴であったのに、痛み調節系が働かないと、毎日
でも片頭痛や関連した頭痛が起こります。痛み調節系は脳の痛みの番人ともいわれます。
*
片頭痛が慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎますと、脳の痛みの調節系は働く必要がなく
なり、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを
飲むことになり、悪循環になります。
*
頭痛体操は、首の後ろの片頭痛圧痛点をストレッチし、その刺激で脳の痛み調節系を活
性化するのが目的です。首の後ろからは頸髄神経が脳に向かい、脳幹で片頭痛の三叉神経
系の回路とつながっています。
*
頭痛体操の方法
- 189 -
*
「軽く両足を開いて立ちます。両腕を前方に伸ばし、手の掌は下にむけて、肘を半分曲げ
て下さい。正面を向いたまま、頭は動かさず、両肩を水平に大きく回します。頸椎(けい
つい)を軸として肩を回転させ、頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をストレ
ッチします。
顔はまっすぐ前を向いて、肩を回します。首が軸になります。力は抜いて、でも肩は大
きく回して下さい。首がコマの芯なり、そのまわりを肩が回っている感じです。片頭痛の
圧痛点がストレッチされるのを感じながら、続けて下さい。
*
体操は2分して頂きます。朝夕一回づつ、それぞれ2分間程度の体操で首の硬さがほぐ
れます。ただ、片頭痛の発作中は、絶対に行わないで下さい。
*
体操で圧痛点がストレッチされ、そこから痛み調節系に良い信号が送られるのです。脳
の痛み調節系が活性化されると、痛みへの敏感さが随分少なくなります。
*
この体操は、緊張型頭痛、片頭痛に限らず、頭痛が起きる時に共通して起こるからだの
異変に対して行う体操です。
実は、頭痛が起きる時、共通して首の上の方にシコリができることが多いのです。
このシコリを緩和することを目的とした体操です。
*
この体操の実際は、以下のサイトでご覧下さい。
*
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/support/voice.html
*
以下のサイトで、 内田信友先生の「自分で頭痛を治す
エクササイズ」がご覧になれます。
*
http://www.d-nu.com/mv/01.html
*
これ以外にも、YOU TUBE で「頭痛体操」で検索されれば、いろいろな体操のビデオが
- 190 -
閲覧できます。
*
このような、頭痛体操を毎日、欠かさずに行うことによって、頭痛の頻度が減少してい
くことが期待されます。
私の言っていることが、既にありました 2011/10/21
先日、間中先生の「頭痛大学」を見てましたら、既に、同じことが載っていました。
それは北見クリニックの北見公一先生のものでした。
私の考えが決して突飛なものでないことが、よく分かりました。
当たり前のこと、当然のことを述べていただけでした。
それにしても、「頭痛大学」はとてつもなく、でかすぎます。スミマセン。
以下、無断で、転記致します。
*
*
北見公一先生のストレッチ・リラクセーションプログラム
*
1.毎日の生活リズムを作りましょう
*
起床、就寝の時間は規則正しくし、
できれば 6:00 ~ 7:00 までに起床、
10:00 ~ 11:00 ぐらいまでには布団に入りましょう。
*
2.朝食は軽めとし、
*
排便は出来るだけ午前中に済ませておくのがよいでしょう.
昼食は 1 日のうちで一番多くとってよい食事です。
- 191 -
栄養をたっぷりとって下さい。
夕食は遅くても 8:00 までには済ませます。
8:00 以降は物を食べないようにするのが睡眠のためにも良いでしょう。
ただし空腹ではむしろ安眠が障害されますから、
寝る前に暖めたミルクとかハープティーなどをのむとよいでしょう。
*
3.一日の日課として晴れている日は 3000 歩を目標に散歩して下さい。
*
これは通常成人の歩き方でやや速く歩く感じで、 20 分から 30 分で達成されます。
ただし歩数にこだわらず、周囲の景色を楽しみながら歩くのが長続きするこつです。
この散歩によって全身の緊張感がほぐれ、気分がすがすがしくなります。
また脳への血行も良くなり、一日の仕事を能率良くこなすことが出来ます。
*
4.下記のストレッチ体操を毎日行ってみて下さい。
*
張っている部分の筋肉をすこし引き延ばす感じで、
決して痛くなるまでやる必要はありません。
*
*
ただ、北見先生のプログラムは、「セロトニン生活」との関連については、定かではあり
ません。
*
やはり、常識的な、一般的な「生活様式」を提唱されておられます。
*
ただ、片頭痛の方々の生活習慣が、如何に、これらとかけ離れているのかが想像されま
す。とくに、天才・偉人・奇人の「片頭痛持ち」の方々が、生活習慣を改めることによっ
て、もし仮に「片頭痛を治してしまっていた」場合、偉大な業績は残せなかったのかもし
れません。。
- 192 -
頭痛薬と腎障害、発癌性 2011/10/21
2001 年4月 19 日、フェナセチン含有医薬品(セデスGやサリドンなど)の濫用対策とし
て厚生労働省は、これらの薬剤の供給を停止するとの措置を発表しました。
これらの薬剤を長期連用することによって、重篤な腎障害、腎盂・膀胱腫瘍等の長期・
大量使用したことにより腎・泌尿器系障害の症例が見らること、最近 10 年間で 1.4 倍に使
用量が増加していること、頭痛、月経痛、歯痛等の鎮痛には、長期使用での副作用の危険
が低い代替薬剤として、アスピリン、アセトアミノフェンがあることなどを理由にあげて
います。
フェナセチンは体内(肝臓)で代謝されてアセトアミノフェンになり、鎮痛解熱効果を発
揮する薬剤です。単剤としてはほとんど用いられず、もっぱら、他の鎮痛剤と合わせた形
で使用されています。
アメリカではフェナセチンとアスピリン(+カフェイン)の合剤、ヨーロッパや日本で
はピリン剤とフェナセチン(+カフェイン)の合剤が主に使用されていました。セデスや
サリドンは後者です。
これらを長期間使用した人の中から腎障害の患者が多数出たことと、両方の合剤に共通
してフェナセチンが使用されていたことから、フェナセチン原因説が登場したものです。
しかし、実はフェナセチンよりもセデスGなどに含有されているイソプロピルアンチピリ
ン(ピリン系薬剤)や、厚生省が安全としているアスピリンを含めて、アセトアミノフェ
ン以外の非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)の方がはるかに害が大きく、問題は深刻です。
グッドマン・ギルマンという欧米の薬理の教科書 1970 年版には、すでにこと点が次のよ
うに指摘されています(ただし最近の版には問題指摘が明瞭ではありません)。
「共通する薬剤はフェナセチンですが、これらの鎮痛剤にはアスピリンやピリンなどの
強力な抗炎症剤が含有されている点も共通しています。メカニズムは明らかではありませ
んがアスピリンで腎臓の細胞が剥がれて尿にたくさん出てきます。アセトアミノフェンや
フェナセチンにはその作用は少ないのです。」
腎臓で血液から尿をつくり出す細い血管は、局所のプロスタグランディンという血管を
広げる物質の作用で広げられています。そこに、アスピリンやピリンなど非ステロイド抗
炎症剤が使われると、プロスタグランディンの合成を抑えて腎臓の血管は収縮させるため
- 193 -
に、腎障害を起こしてしまうのです。
セデスGなどの主成分はイソプロピルアンチピリンというピリン剤です。そして、このピ
リン剤(ピラゾロン剤)にも発ガン性が報告されています。フェナセチンとピラゾロン剤
(フェナゾン)を比較した動物実験では同程度に癌(尿路系、肝臓など)がみとめられて
います。
おなじく、ピリン系の解熱剤スルピリン(商品名メチロンという注射剤で有名)でも動
物で発ガン性が認められています。
一旦許可された後で、発ガン性の「データ隠し」が発覚して市場から追放されたスキシ
ブゾン(ダニロン)もピリン剤です。
さらには非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)のゾメピラクや、スプロフェンなども発がん
性が指摘されています。
インドメタシンなどでは発ガンのデータはあまり目立ちませんが、抗炎症作用が強いた
めに、腎障害や消化管障害(潰瘍、出血、壊死など)、あるいは、血液障害(再生不良性貧
血など)で死亡してしまうために、動物が発ガンする前に死亡してしまい、発がんが目立
たなくなってしまうと考えられます。
しかも、アスピリンやボルタレン、ポンタール、ロキソニンなど非ステロイド抗炎症剤は、
腎障害や消化管障害、血液障害などは、臨床使用量のほとんど同じ量か少し増やしただけ
でも急激に生じます。もちろん、急に生じない人は長期連用すると、フェナセチン含有鎮
痛剤よりもずっと早く、腎障害を生じてきますし、発がんの危険もありえます。
発熱時の痛み止め、解熱剤として使用すると「脳症」も問題になります。
実際に、臨床的にも、発ガン以外の毒性の方が問題であり、全体としてみた場合の毒性
は、死亡も含めて、発ガン以外の毒性の方がずっと大きいでしょう。
ヒトでは実際、非ステロイド抗炎症剤を使用してどれくらい死亡するのでしょうか。イ
ギリスの調査から、処方箋の数などを換算してみると、日本では年間 6000 人以上が胃・十
二指腸潰瘍で出血し、そのうち 600 人は死亡していると推定できます。
医療過誤事件の直接死因が、非ステロイド抗炎症剤による腎不全と推定される人が多数
いますので、実際には 1000 人を越えているのではないかと考えられます。それに、インフ
ルエンザなどの時の脳症として、小児だけでも毎年 100 人~ 200 人いるわけですから、今
回公表された数人の尿路系腫瘍を「はるかに」「はるかに」しのぐ、大規模なものです。
一方、フェナセチンは体内(肝臓)でアセトアミノフェンという比較的抗炎症作用が弱い
- 194 -
鎮痛剤に変化して効果を発揮します。むしろ、フェナセチンは腎臓にはアスピリン、ピリ
ンなど抗炎症剤よりもずっと腎臓には優しい薬です。
先に記したように、非ステロイド抗炎症剤は腎障害を起こすよりも先に胃・十二指腸潰
瘍を起こす人の方が多いために、そちらの副作用の方が有名だけであって、軽い腎障害の
ある人では、フェナセチンよりもはるかに短期間で腎障害を起こすのです。
アセトアミノフェンは、フェナセチンの余分な代謝物がない分さらに毒性は少なく、胃
にも腎臓にも優しい薬なのです。
セデスGなど頭痛薬が市場からなくなるのを機会に、本当は中止する方がよいのですが、
どうしても、中止できない人は、アセトアミノフェンに切り換えることをお勧めします。
間違っても、ボルタレンやポンタール、アスピリン、ピリン系など、非ステロイド抗炎
症剤を長期に連用しないようにして欲しいものです。
最近、ロキソニンが市販薬となりましたが、セデスGほどの切れ味がないため、連用さ
れることはないと思われますが、注意が必要です。
いずれにしても、頭痛薬の安易な使用は慎むべきです。
私も”セデスG”のお世話になっていました 2011/10/22
セデス G(以下セデス)は病院で処方される鎮痛薬でした。懐かしい薬です
市販のセデスとはすこし成分が異なります。
セデス G:(1g 中)には、 イソプロピルアンチピリン 150mg アリルイソプロピルアセチ
ル尿素 60mg フェナセチン 250mg 無水カフェイン 50mg が含まれていました。
セデスはピリン系の鎮痛薬で、ほかの鎮痛薬とはいささか働きが違います。
セデスには、カフェインとアプロナール(プロピルアリルアセチル尿素)という鎮静薬
も入っています。
この組合せが独特の効果を顕わします。
片頭痛のモヤモヤがスカッと晴れるのです。
セデスは月数回服む分には、とても切れ味のよい薬ですが、それがアダになり、
- 195 -
やがて頻回のむようになってきます。
するとだんだん有効時間が短縮し、効きが悪くなってきます。
「ほかの消炎鎮痛薬はまったく効かない」というのがセデス中毒の特徴でした。
セデスと縁を切るのは、とてもつらいのですが、
1~2週間すると「雲間から日がさすように」頭痛が楽になってきます。
今まで効かなかった消炎鎮痛薬が効くようになってきます。
なお、セデス G およびその類似薬は腎毒性のために 2001 年に製造中止となりました。
*
その経緯は、前回も述べましたが、もう一度
*
頭痛、歯痛などに使う解熱鎮痛剤フェナセチンを10年以上飲み続け、慢性腎不全や膀
胱癌になる例が相次いでいるとして厚生労働省は 2001 年4月 19 日、製薬企業 25 社に、こ
の薬の製造販売をやめるよう指導しました。この 8 年で 21 人の副作用報告があり、うち 1
人が死亡したといいます。厚労省は副作用を防ぐには供給をやめ、ほかの鎮痛剤に切り替
えるしかないと判断しまた。
フェナセチンは明治時代からある解熱鎮痛剤で、医師の処方が必要でした。年間 800 万
~ 900 万人が服用していたとみられます。セデス G(塩野義製薬)、サリドン(日本ロシュ)
が代表的な薬剤です。2 品目でフェナセチン製剤の 9 割を占めまていました。一方、市販
築の新セデス、セデス・ハイ、サリドン A などは、フェナセチンが入っておらず、2001
年の措置とは関係ありません。
厚労省の依頼で 21 例を分析した上田志朗・千葉大教授(内科)によりますと、慢性腎不
全になったのは平均 13 年間服用した人でした。また膀胱や腎うに腫瘍ができた人は平均 17
年飲んでいたといいます。
長期間服用による腎障害は以前から分かっており、24 年前から厚生省は医師らに注意を
呼びかけていました。一方で、頭痛予防などとして毎日飲み続ける患者が多いといいます。
上田教授は「飲まないと不安になるなど、心因性の習慣的なもの」とみています。
- 196 -
1982 年からは医師の処方なしには買えないよう変更しまたが、この 10 年で販売量が 1.4
倍に増加しました。
2000 年 11 月からの 5 カ月間に副作用報告が 5 件続いたのを受け、厚労省は製薬企業に
製造販売の中止を求めることにしました。同省は「アセトアミノフエン、アスピリンなど
ほかの鎮痛剤があり、治療上は問題ない」としています。
*
このようにして、セデスGは、2001 年以来、製造・販売が中止されました。
今は代わりに「SG 顆粒」という商品が販売されております。
フェナセチンの代わりに、アセトアミノフェンが入っています。
しかし、セデスを愛して止まない方々が沢山いらっしゃいましたが、「SG 顆粒なんてや
っぱり効かない!!やっぱ、セデス G じゃなくっちゃ!!」という方が多数おられま
す。「あのお薬は本当によく効きましたね。強い頭痛も、15分もしないうちに
スーっと
消えていくあの感覚。」これがセデスファンの実感です。
*
私も、頭痛に際して服用しておりました。服用して 10 分もしないうちに、スーっと痛
みが引いていくのが自覚されました。この効き目は、「麻薬」に匹敵するのではないでしょ
うか?
以前、学生時代、テニスの夏期合宿で、暑さのため、水を飲みすぎて、「胃痙攣」を起こ
して七転八倒したことがあります。このとき、初めて「麻薬」を注射され、痛みが「雲が
晴れていく」ような感覚で消えていきました。これとと、全く同じ感じでした。
この、激しい頭痛が、セデスGを服用することによって、スーっと痛みが引いていく感
覚を一度経験しますと、セデスGの虜になることは間違いありません。
セデスGが販売中止になって 10 年も経過したにも関わらず、セデスG復活を望んでお
られる方々が、如何に多いかは納得できます。
私も、セデスGが販売中止になった時、自分自身のこともありましたが、頭痛患者さん
の鎮痛薬に何を今後使えばよいか、と呆然としました。各種の NSAID's はありますが、セ
デスGに匹敵するものはないのですから・・・
販売中止になった背景は、あるとしても、服用する側と、処方する側が、
「きちんと対応」
- 197 -
すれば、よかったのではないかと考えます。
服用する側は、連用すれば「セデス中毒」になり効き目がなくなること、そして腎障害
・発癌性があることを認識しておればよいのではないでしょうか?
服用する側の立場からすれば、激痛を我慢するよりは、将来、癌になろうとも、服用は、
私は止めなかったと思います。自業自得と諦めます。これが宿命だと・・
逆に、セデスGが販売されていた時代は、一般内科医は、患者さんが「頭痛」を訴えた
場合、その頭痛のタイプとは関係なく、一律にセデスGが処方されていたという事実です。
3分診療の中で、時間のかかる「頭痛の問診」など殆どの医師は行っていませんでした。
このような医師への指導方法は、どこかにあるはずです。
*
それにしても、厚生労働省は、「害になるものは問答無用で中止する」といった考えには
納得がいきません。将来、殆どの薬が、使用中止になってしまうのではないでしょうか?
薬剤は、本来毒物であるという認識に基づいて使用すべきです。
そして、セデスGを、「麻薬並の」扱いとすれば、よかったのではないでしょうか。
トリプタン製剤が、1錠 1,000 円として、セデスG 1g が 50 円としても、医療経済面
でも節約ができるのではないでしょうか。
私は飲み比べたことはありませんが、トリプタン製剤とセデスGは、どちらが切れ味が
よかったのでしょうか?
医師の考え、患者の思惑
2011/10/22
先日、近くの先生から、45 歳の女性の方を紹介して頂きました。
この方は、前日から頭痛と吐き気、嘔吐のため近くの紹介頂いた先生の所を受診され、先
生は、恐らく「クモ膜下出血」を疑われ、南和歌山医療センター脳神経外科へ紹介された
ものと思われます。脳神経外科では、頭部CTを検査され、異常なしとして、「疲れもしく
は精神的なストレスによるものと言われ」紹介医へ帰されたのですが、依然として頭痛と
吐き気が持続するため、今度は、当医院へ紹介されました。私自身も、「クモ膜下出血のマ
イナーリーク」を疑い、場合によっては「腰椎穿刺」を行わなくてはいけないと考えて、
- 198 -
頭痛が起きた日時を明確にするため、いろいろお尋ね致しました。ところが、起きた日時
が極めて曖昧で、ただ「痛い・痛い」と申されるばかりで、要領を得ず、挙げ句の果ては、
過呼吸状態・不穏状態となり、以後診察どころの騒ぎではありませんでした。
付き添いで一緒に来られた娘さんの言われるには、「昨日南和歌山医療センターの脳神経
外科で、精神的なストレスによるものと言われ、今日は改めて、先生の所へ紹介されたの
は、精神病を疑われて紹介されたものと本人は考えて、受診を嫌っていた」とのことでし
た。
この時点で、当医院が「神経内科」を標榜しているために、「精神科」と思い込まれた、
と気がついた次第です。
仕方なく、娘さんには、「なお頭痛が持続すれば、クモ膜下出血は、現在も否定できない
ため、再度、脳神経外科を受診させるように」とお話して、お引き取り願いました。
*
以上のように、私は、「クモ膜下出血」を疑って診察を進めていたはずが、患者さんには
「自分が精神病扱い」をされたと勘違いされて、いろいろ問診されたと考えたようです。
現在もなお、この紀南地区では、「神経内科」を「精神科」と思っておられる方々が多い
ことを、改めて痛感した次第です。
*
私が、田辺で「神経内科」を標榜して診療を始めた頃、紀南総合病院の精神科の先生が
「神経内科」を標榜して診療されておられました。このためかどうかは分かりませんが、
開院当初の患者さんの大半は「精神疾患」の患者さんばかりでした。
その後、一般内科の先生が「内科・神経内科・心療内科」を標榜されて開業されました
が、この先生は、いつの間にか、医院を休診され、そのため、ここを受診された方々が、
多く当医院へ移ってこられ、その大半は「神経症」の方々ばかりでした。ある時、患者さ
んに、「神経内科」という紛らわしい名称にするなと、こっぴどく叱られ、以後、「〇〇神
経内科医院」から「〇〇”脳”神経内科医院」に名称変更を致しました。
にも関わらず、現在でもなお、上記のように「精神科」と思っておられるようです。
皆さんは、「脳神経外科」 に「心の悩み」のために受診されるのでしょうか?
こうしてみますと、ダイレクトに「〇〇頭痛クリニック」のような表現にするしかない
のでしょうか?・・・もう疲れました。
- 199 -
2011/10/23
一つの提言
日本頭痛学会が中心となって、片頭痛と関わりあいのある以下のような学会に呼びかけて、
「片頭痛の実像・・片頭痛は治るのか」というタイトルのもとにシンポジウムを行ってみ
れば、面白いと思いますが、如何でしょうか?
参加を呼びかける学会および連盟は以下の通りです。
*
一般社団法人
JSCC
全日本カイロプラクテイック学会
日本カイロプラクテック徒手医学会
日本姿勢科学学会
日本カイロプラクテック師協会
日本整体師連盟
日本理学整体学会
日本整体師養成学院
日本整体カイロプラクテック師協会
公益社団法人
日本鍼灸師会
公益社団法人
日本鍼灸マッサージ師会
日本鍼灸師協会
公益社団法人
日本柔道整復師会
日本歯科医学会
日本矯正歯科学会
日本ヨーガ学会
社団法人
日本ヨーガ療法学会
日本薬物脳波学会
日本ペインクリニック学会
日本臨床精神薬理学会
日本薬理学会
日本生理学会・・セロトニンとの関連で・・
- 200 -
*
各学会の会員の方々で、片頭痛関連の「お仕事」をされておられる方も多いのではない
でしょうか?
このような方々の考え方を拝聴するだけでも、大いに参考になると思いま
すが・・
全く、学術的でないと批判されるかもしれませんが、各団体には「学会」という名称が
少なくとも付けられております。
片頭痛全般に渡って、総説的に、俯瞰できる「頭痛学者」の出現が待たれます。
このような「シンポジウム」を行う「日本頭痛学会総会」の会長が出て来られることを
期待致します。
これでよいのか
2011/10/24
以前の記事にも掲載致しましたが、私が「脳卒中医療」の真っ直中に邁進している最中に、
1976 年 7 月 1 日に「神経学
全6巻」が出版されました。
当時、私は、既に、急性期脳卒中には、年齢を問わず、「脳血管撮影」という方法を「卒
中医療」に組み入れて行っていました。(当時はCTスキャンのない時代でした)
*
この「神経学」には、以下のように記述されていました。
*
絶対的に脳血管撮影を行ってならない例はないといえるが、検査の結果得られる所見が
治療上役立つか否かを考慮して行うべきであり、単にルーチーンの検査と考えるべきでは
なく、とくに老年者にこの注意が必要である。
重篤な脳出血、脳梗塞、高度の脳の動脈硬化症を有する例、血管攣縮例には適応はない。
重篤例、昏睡例または神経症状の進行例では検査により悪い影響を与えることは確実であ
り、もし必要があっても経過をみて行う。
年齢に関するかぎり絶対的なものはないが、50 ~ 60 才以上の場合は、脳血管撮影に副
作用が伴いやすく、老年者の場合は行うべきではない。
*
- 201 -
と、以上のように記載されていました。私の「脳梗塞の臨床」をご覧頂ければ明確にな
りますが、脳梗塞の患者さんは、大半 70 才以降です。このような方々に、私は、ことご
とく「脳血管撮影」を行って参りました。90 才以上の方に行って「社会保険」からクレー
ムをつけられたこともありました。予後を推定する意味で私は行いました。
閉塞した側の血管に造影剤を注入して、どのような問題が起きるのでしょうか。ただ、少
なくとも「血管造影」を行う際には、「静脈注射」を行うと同様に、一気に「血管穿刺」を
行わないと、成功しません。脳血管造影を危険視される先生方は「一発穿刺」の出来ない
先生ばかりです。私も、以前はこのような「反対を唱える」先生に、実際「血管撮影」を
させてみました。どの先生も、一発穿刺の出来ない先生ばかりでした。このような先生が
なされば、必ず、弊害は生じてきます。
そうであっても、してはならないということにはならないと思います。
自分で、手際よくスパッと、血管穿刺できるようになってから批判すべきでしょう。
*
そして、その2年後の 1978 年に、「臨床科学 THE JOURNAL OF CLINICAL SCIENCE
VOL.14 NO.2」に阪和病院脳卒中診療部の入野忠芳先生の「脳血管閉塞の再開通現象」が
掲載され、私は、これに感銘し、全てを託しました。
*
後戻りしますが、1976 年に出版された「神経学 第6巻」でありますが、その執筆者は
以下の通りです。
*
京都大学教授
亀山正邦
信州大学教授
塚越広
九州大学教授
黒岩義五郎
群馬大学教授
平井俊策
東京女子医科大学教授
渡辺晴雄
東京都老人総合研究所
朝長正徳
東京大学講師
高須俊明
その他
*
以上のように、「脳梗塞の診療」に関しては、「脳血管撮影」抜きに論じられており、そ
- 202 -
の「概念」そのものが極めて曖昧模糊としたものでした。
もし仮に、私が、大学の教室に入局していた場合は、このようなことは、全く、教授に
反対され、不可能だったでしょう。
ただ、私の属した「呉共済病院の内科医長の岡田啓成」という人物は、本来「アポ(脳
卒中患者さんのことです)嫌い」で有名でした。脳卒中患者の早期退院が可能となる、と
いう「殺し文句」で説得し、私の方式を認めさせ、従来、1年以上の入院期間を、平均3
カ月前後まで短縮しました。ただ、積極的な「血行再開療法」は現実のものとはなりませ
んでしたが・・
*
しかし、その後、多くの施設が、このような考えに賛同され、脳血管造影をされる施設
が増加し、これとともに、学会発表も、これに関するものが増加しました。
*
私にとって、一番報われたと思ったことは、保守的であった京都大学の亀山正邦先生の
教室の西村直卓先生に、1987 年に出版された「老年神経学ー新しい問題」南江堂に、私の
論文「脳梗塞と再開通現象」を引用して頂き「血行再開療法」の適応は、発症3~4時間
以内であろう、と記載して頂いたことです。
*
その後、rt-PA (アルテプラーゼ)の開発に繋がり、今日の「脳梗塞医療」の考え方の
礎になったと思っています。ただ、このような考えの後、10 年経過してです。
*
*
私が、申し上げたいことは、「大学の教室の中で、教授に言われるがまま研究する」こと
の是非です。「学位」を取るため、「頭痛専門医」の資格をとるため、いろいろ、あろうか
と思います。ただ、このために、「学問」そのものを歪めてはならないということです。
*
私たちが、「脳卒中医療」を目指した「同士」は「誰も、旧来の大学には、しがみつく人
間はいなかったはずです。このような新たな視点を持った人間しかできないことがあるは
ずです。
*
頭痛診療を目指す人間の中に、「侍」が出てくることを期待する次第です。
- 203 -
論文は、ありとあらゆるものを読破することは、極めて大切で、これ抜きには語れませ
ん。しかし、ここで終われば、先達と「同様」の道しか残されていないと思います。
論評は、誰でもできます。これを、どう「片頭痛診療」に生かしていくか、ここが問題
です。いかに、突飛な発想であっても、追求することが大切ではないでしょうか?
この「突飛な発想」を基準として、ありとあらゆる論文を読めば自ずと道が開けるので
はないでしょうか?
自分の考え方もなしに、いくら論文を読んでも、無駄なことです。
再度、片頭痛は「完治」できるか??? 2011/10/25
今回は、片頭痛を改善された方の体験談と、片頭痛の完治方法としての「鍼灸師の考え
方」、歯のかみ合わせとの関連、手術療法、等を取り上げてみます。
*
症例
*
私は19歳くらいの頃から約5年間にわたり片頭痛に苦しんだ事がある。
親友と「富士山に登ろう!」とか「ダイビングしよう!」と楽しい約束をしていても
突然頭半分が心臓の鼓動と共にズキンズキンと痛くなり、キャンセルせざるおえない。
自分の生活の質も落ちるし、約束をドタキャンセルすると言う事は友情信頼関係にもヒビ
が入る。
片頭痛の発作が起こったら、代表的頭痛薬バファリンを飲んでも効かない事が多く、
当時は「頭痛」程度では病院に行っても真剣に診察してくれることもなかったが、
「片頭痛」と診断した医師から偏頭痛治療薬「クリアミンA」という血管収縮剤をもらっ
た事があります。
片頭痛治療薬にはエルゴタミン製剤とトリプタン製剤に大きく2つ分類され
私はエルゴタミン製剤の「クリアミンA」を処方されたわけです。
この薬、気になって調べて見ると酒石酸エルゴタミン製剤という片頭痛の原因、脳内血管
を膨張させ
- 204 -
周囲の神経などを刺激し炎症を起こすセロトニンという物質に作用し血管を収縮させる。
常用すると頭痛中毒を起こし大変な事になるらしい
実際、副作用(クラクラしたり倦怠感)に襲われたので服用はやめました。
そこで自分で編頭痛のメカニズムを考え独断自己治療をはじめました。
まず片頭痛発生に至る経緯を分析し考えてみました。
片頭痛は頭の血管がダラ~ンと伸びて付近の脳内神経を刺激し炎症を起こして頭痛が起き
るメカニズム。
薬以外で血管を収縮させる方法を考えて実行してみました。
①タバコを吸って血管を収縮させる・・・喫煙では更に偏頭痛が酷くなった。
②コーヒーや緑茶(カフェイン)を大量に常飲する。
③血管を拡張させるような辛い食べ物を控える
④クルマを運転する時はサングラスを掛ける。
荒療治
⑤熱い風呂につかり血管を広げて頭から冷水をかぶり血管を収縮させる方法!・・悪くな
さそう
⑥徹夜仕事明けではダラダラ寝るのは止め、日中は寝るのを我慢しプールで泳ぐようにし
ました。
完治までコレ!といった原因は特定出来ませんでしたが、神経質な性格から大雑把な人間
への変化、
水泳や地元・千葉九十九里浜での心底「楽しい!」と思えるサーフィンとの出会いが片頭
痛との決別だった気がしてなりません。
現在私は禁煙し、悪いとされる辛いものは好んで食べ、激しいサーフィンやダイビングも
やりますが
年に1回くらい冷房で身体を冷やすと「片頭痛」が起きる事があるものの、ほぼ完治した
と思います。
*
以上、また別の体験談がありましたので、参考までに掲載しました。
*
*
- 205 -
以下の3つは、鍼灸師のホームページからの抜粋です。
*
片頭痛は治らない!?
*
一生の病気と言われているが…
*
逆子矯正で来院された妊婦さんを問診していた時のことです。
〇〇「頭痛があるんですね。」
妊婦「片頭痛持ちなんですよ。これは治らないものですから…」
この妊婦さん、「長年の片頭痛だからつき合っていくしかない」と考えて治すことを諦めて
いる口調でした。
〇〇「片頭痛は治りますよ」
妊婦
「・・・」
ほんんど無反応の妊婦さんでした。私の言葉が信じられない様子でした。詳しくは聞けま
せんでしたが、これまで病院で見てもらってきたのでしょう。何をやっても治らないのだ
から、鍼灸でも治るはずがないと私の言葉を疑ったのだと思います。
ネットで検索してみても「一生の病気で、現代医学でも完全に治すことはできません」な
どと書いてあるサイトがをみかけます。
それを承知で、私が「治りますよ」と発したのは経験的に片頭痛が簡単に治ってしまうか
らです。どんなに頑固な片頭痛でも鍼灸で完治する例は後を絶ちません。鍼灸の得意分野
はたくさんありますが、片頭痛には特に有効だと思われる症状です。
*
なぜ、病院で治らないものが鍼灸で簡単に治るのか…
*
- 206 -
その理由は簡単です。全身を診るからです。
一般的に片頭痛の原因は「血管の拡張」と言われ、そこにスポットを当てて治療(痛みの
緩和)をしようとしています。一方、鍼灸では全身の循環システムに着目して治療します。
「全身の循環システムは、東洋医学の言葉で「経絡(けいらく)」と言います。鉄道の路線
はつながっていて、どこかで事故が起こると他の路線にまで影響が及ぶことがあります。
実際の人体は路線とは比べものにならないほど複雑です。経絡を知っているとその複雑な
路線を理解することができます(古代の中国人はとんでもない発見をしたものです)。
経絡に着目すると、片頭痛と各部位の関連が見えてきます。頭痛を治すポイントが頭にあ
るとは限りません。頚や背中のコリが原因にだったり、胃腸の不調が原因であったり…。
さらにいえば、頚は背中のコリは腕と関係していたり、胃腸が足と関係していたりします
ので、頭痛を治すポイントは全身に秘められています。
最終的に頚のコリの左右差がなくなっていくと片頭痛も出現しなくなります。根本治療に
はなりませんが、片頭痛が出現している真っ最中でも頚の筋肉を手で上手にほぐせば消え
てしまいます。「血管の拡張が…」なんて考える必要はありません。確かに局所的には血管
の拡張が起こっているのでしょうが、それは結果であって原因ではありません。
*
常識が変わる日
*
「片頭痛は治らないもの」という常識はいつか変わるでしょう。いいえ、変えていく必要
があると思います。病院の常識が医学の常識にならないよう、私たち鍼灸師は結果を積み
重ねなければなりません。
その一方で、鍼灸の有効性を一人でも多くの方に伝えることも大事な仕事だと考えていま
す。鍼灸を試さず完治を諦めている人がいるならば鍼灸院の有効性を伝えなければなりま
せん。
*
*
- 207 -
頭部の異常は側頭筋で治す。
ある鍼灸師のページから
*
片頭痛の代表的な随伴症状に、閃輝暗点(眼がチカチカする)というモノがあります。医
学的にはしっかりと説明されていませんが、一部の医者は、眼に行く神経が頭部の筋肉に
よって締め付けられ、刺激された結果起こる症状である事に気がついているようです。し
かし、医学的には頭部(だけではないですが)の筋肉を確実にゆるめる術を持たぬため、
解決出来ないままになっています。
最近では、「頭痛外来」というモノが流行ってきましたが、実体は単なる投薬治療でしかあ
りません。要は他の病院と同様に、「一時的に神経の働きをマヒさせる治療」なのです。よ
って、原因となる筋肉の硬化(コリ)を解除しないため、一生治る事もありません。治っ
た、と感じても実際はすぐに再発するのがオチです。何よりも、生物の生存に必要な「痛
みを感じる機能」をマヒさせて、病体を余計に働かせるようにしているわけですから、病
院の治療に依存してしまうほど、その他の危険が起こる可能性が高まります(
「廃人」にな
る可能性もある)。最近では、薬でないと思われているサプリメントでさえ、多量に飲めば
薬物性肝障害を起こす事がわかっていますから、100%人工合成物である薬の服用がよ
り深刻なダメージを肝臓に与えるであろう事は明らかです。薬は、飲んでいる時の副作用
ばかりに意識が集まりがちですが、本当にに恐ろしいのは、体内(肝臓)に毒が溜まる事
による副作用です。一説には、飲んだ薬が完全に体内から排出されるまでには30年かか
るとも言われています。とにかく、出来るだけ薬は飲まない方が良いです。
現代人は過剰なストレスにより、日常的に歯を食いしばるような場面が多いです。実際、
酷いひとは就寝中の歯ぎしりで歯が削れてしまったり、そこまで行かなくても顎関節症に
なったりします。人は「咬む」時、主に4つの筋肉(咬筋、側頭筋、内・外側翼突筋)を
使うとされています。しかし、メインで使われ、最も不可がかかっている筋肉は咬筋と側
頭筋です。咬筋と側頭筋の主な働きは「下顎を挙上し、口を閉じる事」ですが、つまりは
歯を食いしばる、歯ぎしりする時に最も強く作用する筋肉なのです。仕事にものすごく集
中した後などを思い出してみればわかるかと思いますが、エラのあたり(咬筋)と、耳の
上あたりの筋肉(側頭筋)が異常に硬くなって、痛みや重い感じが出ているはずです。
- 208 -
咬筋の支配神経は咬筋神経、側頭筋の支配神経は深側頭神経ですが、片頭痛や閃輝暗点(眼
のチカチカ)、眼精疲労を引き起こす主な神経は、三叉神経です。それでは、以上の2つの
筋肉は関係ないじゃないか、と思われるかもしれませんが、実は、三叉神経は咬筋と側頭
筋の間をぬうように走行しているのです。特に、三叉神経の1つ(第一枝)である眼神経
は、側頭部から始まり、そのまま真横を前方に進んで、眼に入ります。よって、眼の異常
は側頭筋によって引き起こされている場合がほとんどであり、実際ここに鍼を打つと、治
ります(側頭筋に異常があった場合)。また同様に、三叉神経の残りの2本(第二枝上顎神
経、第三枝下顎神経)も側頭筋の間を抜けて顔の前方に分布しますので、側頭筋を鍼でゆ
るめてやると、顎関節症や顔の違和感(知覚異常)、耳鳴りなども治りやすくなります。実
際は他の筋肉も狙って治療しますが(ツボで言えば「翳風」)、メインは側頭筋です。医者
は眼に異常があれば眼しか診ませんし(眼科に行けば当然ですが)、顎、耳に異常があれば
その部位しか診ません。それでは、結局は根治しないのです。現状では、西洋医学は「分
業制」になっているため、一つの有機体である人間を「本治」させる事は困難なのです。
以前(2010年2月頃)、福岡から原因不明の片頭痛と閃輝暗点、音過敏で治療に来てい
た小学生がいましたが、側頭筋を主としてゆるめる治療を施した結果、5回ほどで完治し
ました。それまでは症状があまりにも酷く、不登校になっており、九州で評判の病院や鍼
灸院、整骨院に通ったり、整体やカイロにも行ったそうですが、全く治らなくて悲嘆に暮
れていたそうです。私が治療してからは、春から無事中学校に入学・通学して、現在再発
もしていないようです。
片頭痛も含め、頭痛や目の異常、耳の異常は治らないと医者に洗脳され、そう信じ込み、
悲観している患者さんがとても多いですが、何らかの症状が出ているならば必ず何らかの
原因があるのであり、それを解明・治療出来たならば、治る可能性はあります。ちなみに、
顎関節症も治らないと思われていますが、4つの「咬む筋肉」を鍼でゆるめれば、ほとん
どの場合は完治します。
*
*
★偏頭痛の治療について? ★ また、別のページです。
- 209 -
> 名前 = Y.Y
> 性別 = 女性
> age =30 to 39
> メッセージ =
永年、偏頭痛に悩まされています。> 夏などまったく無い時もあるのですが、多い時など
は月4.5回発生します。
> 先日、岡山の大学教授のホームページで、偏頭痛の鍼による治療事例が> でており、完
治した人が沢山いることを知りました。
> 近所の鍼に通うようになり、一応偏頭痛と言うことで鍼をしてもらっているのですが、
その岡山の教授が言っていたところにして欲しいと言えません。
(素人なのに失礼でキよね)
>つぼというのは、他のところでも効くのでしょうか?> 私は何回くらい通院すればいいの
でしょうか?>(完治した例は13回位でした)
今の所、首周りもすっきりしていて頭痛もおきてません。
(まだ4回目です)教えて下さい。
*
Y.Y
様へ
要するに現在、その偏頭痛が治まっていれば結果オーライですよ。ツボというのは何百と
あるのですが、偏頭痛といっても現れるツボは個人差(体質や既往症などなどで)があり
ますので、必ずしもその岡大の先生のツボが全てではないんです。
勿論、治療回数も個人差があります。
(正直に言うと完治までに13回というのは長すぎます。わたくしの治療院でも偏頭痛は
ほとんどの方は6回以内で治っています。)どうしても気になられるのなら、正直に、鍼灸
師さんに「ホームページの偏頭痛の治療例にこの辺のツボが書いてあったのですが、私は
ここをハリしなくて良いのですか?」と聞いて下さい。きっと、親切に教えてくれると思
います。(多分.
.)
別に少しも失礼な質問ではないですよ。
患者さんが心に疑問やわだかまりを持ってるのに、それを心の中に隠したままでいられる
事の方が今後の治療に差し支えますから。
鍼灸医学は一般の方にはほとんど治療のノウハウは知られていないのですから、疑問点は
- 210 -
ドンドンと質問されるのが一番良い患者さんです。
そしてその質問に、出来るだけ丁寧に答えるのが、鍼灸師として、治療成果の次ぎに大事
な仕事です。
これが、おそらく私を含め日本中の鍼灸師のメジャーな考えだと思います。
わき上がった疑問点はどしどし質問して下さい。
*
*
慢性頭痛の根本原因は「下アゴのずれ」にある
また、別の考え方です。
まだ鎮痛剤を飲み続けますか?
*
実は頭痛の根本原因は、『下アゴのズレ』にあるのです。
現代人は運動不足やストレスによる歯ぎしりなどのために、奥歯が十分に伸びていません。
奥歯が一定の高さに達していないと、噛み込みが深くなり、顎が左右・前後にズレてしま
います。噛みこみが深くなると、頬にある筋肉がたるみます。
このたるんだ頬の筋肉を元に戻すように、脳は「筋肉を引き締めろ!」と命令を出し続け
ます。しかしその命令は、自律神経の交感神経という種類の神経の命令なのです。交感神
経が常時興奮した状態にあると、身体全体の毛細血管はいつも縮んだ状態になっています。
これが休日など、リラックスしたときに、交感神経の興奮は下がり、反対の作用をする副
交感神経が優位になります。そして頭の中の血管が一気に拡張することで頭痛が起きます。
また交感神経の興奮は全身の筋肉を縮めますから、頭を締め付けることになるので、筋緊
張性の頭痛が起こるのです。
つまり『下アゴのズレ』が、ほとんどのタイプの慢性頭痛の根本原因だったのです。
もう頭痛薬を持ち歩く生活は、終わりにしましょう!
あなたが知らない慢性頭痛の治し方。
バイオプレート治療は、バイオプレートという特殊なマウスピースを就寝時に歯に装着す
ることで、下アゴのズレを補正する治療です。寝るときや食事中に、バイオプレートを装
着すると、次第に下アゴのズレが補正され、これまで筋肉に出されていた「縮め!」とい
う命令が解除され、深かった噛み込みが緩和されます。
- 211 -
交感神経の常時興奮という根本原因を除去することによって、自律神経の働きが正常に戻
り、血管の縮みが緩和されていくので、短期間で症状が大きく改善・解消するのが特徴で
す。
片頭痛で鎮痛剤を常用していたAさんも、睡眠時にバイオプレートを装着することにしま
した。先日、久しぶりに来院されたAさんはこんなことを話してくれました。
「自己流の治療法で取り返しのつかないことになるところでした。バイオプレートのおか
げで片頭痛がなくなり、夜中に目が覚めることもなくなりました。夜ぐっすり眠れるせい
か、仕事にも集中できるようになりました。」
まだまだ多くの人が頭痛薬や鎮痛剤で乗り切ろうとしています。バイオプレート治療によ
って、頭痛の原因を根本から除去すればAさんのように、痛みのない日常生活を送ること
ができるのです。
「下アゴのズレ」が治れば、腰痛・不眠症・肩こり・アレルギー
などの慢性疾患も同時に治る可能性があります。
『下アゴのズレ』が原因で起こる病気は、片頭痛だけではありません。
顎関節症・不眠症・肩こり・アレルギーなど、生活習慣病、慢性疾患の原因 のほとんどは、
実は『下アゴのズレ』なのです。このことは、大学の医学部や歯学部、製薬メーカなどの
研究によっても確認されています。
バイオプレートで『下アゴのズレ』を治すことにより、下記のような慢性疾患や生活習慣
病を予防でき、治すことが可能になります。
*
これとは、別に、内田信友先生のホームページもご覧下さい。
*
*
美容整形で片頭痛が治る
9割近くが痛み減、3割は完治
米発表
*
美容整形の、治療的利用
*
ひたいのシワを取るといった、外科的な整形手術をすることで、片頭痛(偏頭痛)がなく
なる可能性があることが、最近の研究で解明されたそうだ。
*
- 212 -
実験では、ひたい、こめかみ、鼻、首の後ろの神経ポイントと筋肉の関連を断った 69 人の
片頭痛患者について、術後 5 年間、追跡した。
5 年後、88%は、片頭痛の頻度やひどさが軽減しており、60%近くが、手術後の方が、明ら
かによくなり、29%に至っては、頭痛を完全に起こさなくなったという。
*
この研究結果は、「Plastic and Reconstructive Surgery」2 月発行分に掲載されている。
*
「術後、5 年間追跡を行い、多くの人に効果があったことが判明しました。これは大変目
覚ましいことです。」
*
痛みと頭痛のケアを担う、ロングアイランドジューイッシュ病院の、ロバート・デュアル
テ医学博士はいう。
*
研究には参加しなかったデュアルテ博士は、片頭痛にはこれといった解決法がなかったた
め、今回の方法は、患者にとっては、最後の希望の光というところもあったのではないか
と考えているそうだ。
また
「手術という方法は、通常、片頭痛に対しては用いられることはあまりありません。」
と解説するのは、ミネソタ州ロチェスターのマヨクリニックで助教授の、F・マイケル・
カトラー医学博士だ。
*
手術のヒントは痛みからの’顔歪(ゆが)め’
*
頭痛は、顔や頭に、痛みを伝える作用をする、大きな三叉神経の先にある末梢神経が、筋
肉組織によってこすられたり、骨や血管に押しつけられることで、刺激されて起こる。片
頭痛の症状としては、強烈な頭痛、光に敏感になる、吐き気、寒気などがある。
- 213 -
研究者のひとり、ケースウェスタンリザーブ大学美容整形主任教授である、バーマン・ギ
ューロン医学博士が、この手術方法を発見したのは、患者が、眉をあげることで、片頭痛
の痛みが消えたと知ったことだったそう。
ひたいに片頭痛が起こると、多くの人が、顔を激しくしかめるのだが、目の付近にある皺
眉筋(しゅうびきん)を移動させることで、頭痛が和らぐためだったのだ。
彼は、いうなれば、手根管症候群(しゅこんかん しょうこうぐん)(* 1)の頭痛版だと考
えたのではないか、と説明するのは、ダラスの、テキサスサウスウエスタン医療センター
で助教授の美容外科医、ジェフリー・ジャニスだ。彼は、ギュ-ロン博士とともに、手術を
執刀した人物だ。
(* 1) 手の神経が圧迫を受け、痛みやしびれなどの運動障害を起こすもの
*
たかが美容整形、しかし慎重に
*
ただ、美容整形とはいえ、やはり手術となると、何をしても効果がなかった後の選択にし
た方がよいのではないかと、専門家は慎重だ。
「この方法で対処をするのは、コントロールしずらい、深刻な片頭痛を持っている患者で
す。あらゆる神経学者にあって、さまざまな薬を飲んでも、効果がなく、副作用に悩まさ
れるだけだったんです。私の患者のほとんども、メンソールの貼りものや、電気刺激、貼
りなど、いろいろとやってきています。」
とジャニスは語る。
そして、最後に、彼は次のように語った。
「手術で治るということは確かにあるが、誰にでも 100%成功するわけではありません。
- 214 -
理由はまだ未解明ですが、成功しない場合もあります。」
*
*
偏頭痛は完治可能なのか?
また別のページからです。総説的ページです。
*
偏頭痛は、その発症機序の詳細がまだ分かっておらず、そのため万人に共通する根治療法
と呼べるものは存在しません。ですので、非常に難しい病気である、ということが言えま
す。症状はひとそれぞれですが、中には日常生活に大きな支障をきたすほど強い頭痛を訴
える人がいます。そうした方にとっては、偏頭痛が完治できないのか、完治できないまで
も、なんとか症状を軽減させることはできないのか?という問題は非常に深刻なものです。
まず第一に偏頭痛はまだその発症原因が詳細には分かっていません。ですので、完治させ
ることができるのか?という問いに対しての一般的な回答は「必ずしもできません」とい
うのが正しいと思います。
巷には「偏頭痛は完治させることができます!」というような広告を見かけますが、あれ
は「完治させることが出来るかもしれない可能性のひとつ」に過ぎません。もちろん、効
果を認める場合もあるでしょうが、万人に共通して治せるものではないということを認識
しておくべきです。
偏頭痛はひとそれぞれ症状の程度、悪化する要因、バックグラウンドなどが異なります。
ですから、治療も各個人に合った治療方針を取らなければなりません。画一的な治療で治
る、というものではないのです。
ですから、偏頭痛を完治させたい、と思うのでしたら、まずは頭痛専門外来を受診し、医
師にしっかりと自分の症状について相談することです。いきなり民間療法のような治療法
に活路を見出そうとする人がいますが、そうした行為は効率的とは言えません。頭痛で悩
んでいるのなら、まずは頭痛の専門家の診察を受けるのが最も合理的であり、完治への近
道です。
*
- 215 -
*
以上のように、片頭痛の完治に関しては、異論の多いところです。
ただ、片頭痛改善の体験談は、ネットで見つけるたびに、ここに集めてみることも一つ
の方法かと思われます。
小橋雄太さんの「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」もありますので、
こちらは、直接ご覧下さい。膨大なページですから。
今回は、鍼灸と片頭痛に関して、多くページを割きました。参考までに・・
片頭痛と歯科
2011/10/25
片頭痛と歯科治療の関係について考えてみましよう。
ホームページから抜粋してみました。
*
噛み合わせと片頭痛治療
園田 哲也による解説です。
*
読売新聞の発表によると日本には、原因不明の片頭痛で悩まされている人が約 3000 万人も
いるそうです。
私は、歯科医として長年、患者さんの治療に携わっていますが片頭痛の多くは、噛み合わ
せの不調和からきていると考えています。
当医院は、噛み合わせの治療を、専門に行っていますが、治療された約 90 %の患者さんが、
噛み合わせが良くなると、片頭痛が治っています。
歯と頭痛の関係<私の意見>噛み合わせの不具合が、片頭痛などを引き起こす事はあまり知
られてないようです。
私達は、歯科・耳鼻科・胃腸科と別々の認識を持って通院しています。
しかし、人間の体は本来 1 つであり、神経や血管を介して器官同士が繋がっていることが
あります。
その様な場合、痛みは別の場所からきていることがあります。
身近な例では、虫歯でも目や耳まで痛むこともあります。鏡で自分の顔を見てみてくださ
- 216 -
い。口や顎関節などの咀嚼器官は、顔と頭の約半分を占めていることがわかります。
片頭痛の一因が、噛み合わせからきても不思議ではありません。
片頭痛などの不定愁訴の原因当院での治療結果では原因は下記の2つが多いようです。
●奥歯に僅かな高さのズレ
●奥歯の形が、顎の関節と調和がとれていない
※いずれも自分では感知しにくいです。
噛み合わせの不具合は足と股関節の関係で考えてみると分かりやすいです。
顎の関節と股関節は、左右対称にあり同時に働きます。
例えば、左右高さの違う靴(左 5cm,右 6cm)を履き歩いたら、神経痛や腰痛を引き起こ
すことは想像できます。
前述のように口の中は繊細で特殊な所です。
噛み合わせの僅かなズレは、体からすれば高さの違う靴で 1 日中歩くようなものです。そ
のため、片頭痛などが起きると考えられます
歯の根の表面に付いている歯根膜と脳神経(三叉神経)は直結しているため、噛み合わせ
に狂いがあると脳が混乱し、片頭痛などの不定愁訴を引き起こします。
*
*
NHK あさイチ噛み合わせ治して偏頭痛が治る
*
あさイチでは、噛み合わせを治すと偏頭痛が治ることを紹介。
噛み合わせが原因で起こる頭痛は「咬合関連性頭痛」と呼ばれ、
偏頭痛の他に緊張型頭痛や群発性頭痛などもある。
*
ある女性の例
*
NHK あさイチでは偏頭痛に悩むある女性の例が紹介。
その女性は偏頭痛で悩むことがあり、
自分のスナップ写真を見て右目が小さくなっている顔のゆがみに気づいた。
それからは偏頭痛がひどくなり、
心療内科まで行ったが治らず無気力に・・・。
- 217 -
悩んでいたとき、友人から
「歯科頭痛外来」を紹介され
「噛み合わせ」を改善すると偏頭痛が治った。
*
偏頭痛の原因
*
この女性が歯科頭痛外来で指摘された、
偏頭痛の原因は、「噛み合わせの悪さ」と「片噛みのくせ」。
①噛み合わせが悪い
噛み合わせたときに、奥から 2 ~ 3 番目の歯に一番力が入る状態が理想。
しかし、
奥歯が先に噛み合うとその衝撃で筋肉や筋膜が緊張して偏頭痛につながる。
②片噛みのくせがある
片側ばかりで噛んでいると左右の筋肉に偏りが生まれ、
顔のゆがみや偏頭痛につながる。
例えば片方の目が小さくなったり、ほうれい線が深くなったする。
*
治療例とその効果
*
その女性が偏頭痛を治すために受けた治療は、
噛み合わせを改善するために「カバーをつけて」上下の歯の隙間をなくすことと、
両側で咀嚼する習慣をつけること。
治療後は偏頭痛が減っていき寝込むこともなくなり、
顔のゆがみも解消されてあごのラインがスッキリとしました。
- 218 -
*
NHK あさイチでは、
顔のゆがみを解消する「べろ回し体操」を紹介。
教えてくれたのは東京歯科大学客員准教授の「中村昭二歯科医師」。
*
「べろ回し体操」が顔のゆがみ解消に役立つ理由
*
舌を動かすと舌以外の筋肉も同時に動かすので、
顔やあごの周りの筋肉の血行を促進して凝りをほぐし、
顔のゆがみの原因の一つになっている筋肉の偏りを整えることに役立つ。
顔のゆがみは「噛み合わせ」の改善で解消するが、
すぐ整うのではなく時間がかかる。
このとき顔の筋肉などに偏りがあると、
整った骨格が乱れ、また顔のゆがみが出たり、整うのが遅くなる。
したがって「べろ回し体操」は、
ゆがみが解消されて整った骨格を維持することや、
ゆがみの改善、予防に役立つ。
*
べろ回し体操のやり方
*
口を閉じて、舌を歯と唇の間を一周させるように運動。
これを左回りに 20 回、右回りに 20 回を 1 セットとして、
1 日に 3 セット行う。
この体操は顔の筋肉のコリをほぐしてゆがみを解消すること以外にも、
次のような効果が期待できる。
- 219 -
①ほうれい線・二重あごの解消
舌を動かすと、口とあごのまわりの筋肉の血行が促進されるので、
ほうれい線が薄くなり二重あごが解消される効果が。
②唾液の分泌が盛んになる
中村先生によると、「べろ回し体操」は朝起きたときがいい。
だ液の量を増やして細菌やウイルスの増殖を抑え、免疫力を高め、
口臭や歯周病の予防にも役立つ。
*
噛み合せ(咬合)の治療で、
長年の原因不明の頭痛が治る方が多い。
特に 2 年に 1 回開催される世界的に権威のある国際頭痛学会(IHS)において
1.ロンドンでは、「頭痛と不正咬合」について
2.ニューヨークでは、「頭痛と顎関節症」について
3.ローマでは、「頭痛と噛み癖と下顎偏位」との関連について
4.ストックホルムでは、「咬合関連性頭痛の存在」
について発表。
歯科界で最初に咬合関連性頭痛に関する文部省科学研究費を取得
*
- 220 -
頭痛と咬合
*
咬合が多くの一次性頭痛の原因または関連であるなら、
現在、医科での咬合関連性頭痛の診断は難しい。
*
それゆえに、咬合関連が主体であったとしても医科領域では原因不明と扱われ、
一次性頭痛として多くの頭痛薬(対処療法)が用いられているのが現状。
とは言え、現在の世界の歯科医学は、咬合と全身に関連する研究が遅れている。
*
*
頭が痛い
内田信友による
歯のかみあわせを治すことで、頭痛を根本的に解消する方法! N.H.R 頭痛解消法
*
歯の噛み合わせが原因かもしれません
*
頭の痛みの多くが、歯の噛み合わせが根本の原因になっているってご存知ですか?
多くの方が慢性の頭痛で悩んでみえます。偏頭痛や目の奥の痛みなんかが多いようです
が、そういった頭の痛みは体の、頸椎(首)・脊椎(背骨)の歪みが原因になってたりする
んです。
ところで、頸椎の歪みや脊椎の歪みの根本原因が歯の噛み合わせだっていうのは、最近
では当たり前に言われるようになってきましたね。
そこで歯の噛み合わせを治療することによって、頭痛の悩みを解消しようというのが
「N.H.R 頭痛解消法」なんです。
*
なぜ頭が痛くなるのか
- 221 -
*
頭痛というのは歯科と脳神経外科が大きく関与しているようです。脳神経外科の学会では、
頚椎(首)が歪めぱ頭痛がおきると報告があります。又歯科では歯の噛み合わせを変えるこ
とによって頚椎(首)の歪みが改善されるとの報告があります。
歯の噛み合わせを理由とする頭痛には二つの原因があります。一つは歯の噛み合わせが
悪い人(頭痛もちの人)は頭が前傾して猫背になっている人が多く、頭が前に倒れると頭を
支えている首の筋肉も緊張、頭の筋肉も緊張します。これによる頭痛が一般に筋緊張性頭
痛と呼ばれているものです。もう一つは頭の前傾により頚椎(首)が歪みます。頚椎の中に
は脳底動脈に繋がる椎骨動脈が通っています。首の骨(頚椎)がねじれると脳への血液循環
が悪くなって、脳内血管がケイレンすることにより偏頭痛が起きます。
*
噛み合わせが悪いと起こる症状
*
歯の噛み合わせが悪いと他にもいろんな症状が出てきます。
*
・脳の血液循環が悪くなり、根気がないとか、すぐに疲労感に襲われる。
・目がかすんだり、めまいがする。
・バランスが崩れて頭を正しく支えられなくなるので、姿勢が悪くなり、肩こりや腰痛、
むち打ち症などといった症状を引き起こす。
・耳鳴りや、さらに、いびきや睡眠時無呼吸症候群の傾向がも強くなる。いつも寝不足の
状態が続く。
*
何もかもが歯の噛み合わせが原因ではありませんが、身に覚えがありませんか?
*
お試しテンプレートが貴方を頭痛から救うかもしれません
*
頭の位置は口を閉じた状態、つまり上の歯と下の歯がかみ合った位置で決まります。たと
えば右の奥歯が磨り減っていたり、抜けていたりすると、頭は右へ右へと傾いていきます。
- 222 -
また、左右両方の奥歯が低くなっていると、頭はどんどん前に倒れていきます。いわゆる
猫背になってしまいます。テンプレート療法とは、歯並びではなく、奥歯の高さを調整し、
頭の位置を正す矯正治療です。テンプレートという、マウスピースのような形をした器具
を装着することによって、物理的に頭をもち上げるという役割を果たします。
正しい頭の位置が決まることによって、姿勢が改善されあなたの頭痛も解消されるかも
しれません。
頭痛のない生活、もうすぐかもかもしれませんね。
*
*
港デンタルクリニック
▼
歯 科 頭 痛 外 来
*
世界初「歯科頭痛外来」開設のお知らせ
*
噛み合せ(咬合)の治療により、長年原因不明とされてきた頭痛から開放される方が多く
みられます。そこで、港デンタルクリニックでは,頭痛で悩む多くの患者さんのために世
界に先駆けて歯科で最初の歯科頭痛外来(咬合関連性頭痛外来)を,2008 年 11 月より開
設することになりました.
*
われわれは頭痛を含めた咬合関連症状を調査・検証するため1985年から臨床研究を始
め,これまでに多くの国内・外の学会,NHK などのテレビ番組,ラジオ,新聞,学術雑誌
等でその研究成果を公表してきました.
(http://www.nr-minato.jp)
特に 2 年に 1 回開催される世界的に権威のある国際頭痛学会(IHS)において
1.ロンドンでは,「頭痛と不正咬合」について
2.ニューヨークでは,「頭痛と顎関節症」について,
3.ローマでは,「頭痛と噛み癖と下顎偏位」との関連について
4.ストックホルムでは、「咬合関連性頭痛の存在」について発表してきました。
歯科界で最初に咬合関連性頭痛に関する研究報告(文部省科学研究費取得)を致しました.
- 223 -
*
A:頭痛と咬合
*
咬合が多くの一次性頭痛の原因または関連であるとするならば、現在、医科での咬合関
連性頭痛の診断は難しいと言えます。それゆえに、咬合関連が主体であったとしても医科
領域では原因不明と扱われ、一次性頭痛として多くの頭痛薬(対処療法)が用いられてい
るのが現状でしょう。とは言え、現在の世界の歯科医学は、咬合と全身に関連する研究が
遅れております。その一番の原因は、歯科は本来、医科の一分科であるにもかかわらず医
科と歯科に分かれたことにあると考えている
したがって,本研究所では咬合関連性頭痛に悩む多くの患者のために.今後,医科やその
他の医療分野の適切な診断・協力のもとで統合治療・共同研究がなされ,早く学問体系が
確立されることが大切であると考えています.そして,近き将来,咬合関連性頭痛治療が
歯科医療保険適用になることを強く切望しています.
*
B:新しい咬合治療法の開発
*
本研究所では新しい咬合機能概念として“オクルーザルパワーゾーン治療法など多くの診
断・治療法を開発し,非常に高い咬合関連性頭痛の改善率を維持しています.さらに,こ
のパワーゾーンの異常が,筋症状として頭痛,顎関節異常,聴力低下,頸椎への荷重負担,
スポーツ運動能力の低下と関連性、左右側(足)の重心バランスや速度・速長などと関連が
あることを国内・外で報告しています.
※オクルーザルパワーゾーン;かみ合わせの重心ゾーンのことで、それは上顎第二小臼歯
から第一大臼歯の前方部(乳臼歯では上顎第二乳臼歯部)に存在し、その咬合機能接触異
常は、顔面頭蓋頸部のみならず、全身に影響を及ぼすことを学問的に世界で始めて検証し
ました。
*
C:対象とする頭痛
*
咬合関連による片頭痛・緊張型頭痛
*
- 224 -
D:治療対象条件(下記条件を満たす方に限らせて頂きます)
*
◎相談時に治療前提:歯科的所見として、不正咬合,病的咬合異常、およびそれらに起因
する顔面頭蓋頸部の筋圧痛などがあり,さらに下記条件をほぼ満たした一次性頭痛が咬合
治療対象者となります.
1.医科からの「頭痛診断書」を持参(医科との連携治療が必要)
2.医科での精密検査で問題がない
3.長期に及ぶ頭痛を有する
4.頭痛薬を長期服用または常備
5.何とか治したいと歯科治療に期待され来院された方
※頭痛薬以外に、何か薬を服用されている場合には必ず病名および薬名を申し出てくださ
い。
*
E:治療費について(保険外診療,税別)
*
1.相談料
:
2.基本検査・
5千円
( 約30分 )
: 4万8千円
問診,口腔内・顔面・全身写真,咬合模型採得,病的咬合診査,咬合紙透過像診査,
レントゲン診査(全歯列,顎関節,頭頸部),バイオ・バイトゲージ診査,
頭蓋頸部等筋圧痛・可動域診査,血圧検査, 咬聴計検査(気導・骨導)等
3. 診断料
: 5千円
4. 治療費
:
相談または診断時に説明
1)申し込み・ご相談は受付まで.;諸都合により,相談予約,治療時間・期間,診療待ち
時間, 次回再診日等が 長くなることがありますので御了承下さい.)
2)顎関節症(顎の痛み,開口障害,関節雑音)の診査・処置(スプリント治療等)はほ
とんどが 保険対象(月 1 回 まで、咬合調整は除く)になります.プロスポーツ選手運動
能力アップ・交通事故等による鞭打ち症の咬合治療 は,保険対象外(別料金)になります
のでご了承下さい.
3) 治療内容および治療費においては、よく理解・納得してから治療を受けて下さい。
*
- 225 -
(医)エヌアール日本生体咬合研究所・所長
中村昭二
(歯学博士)
日本頭痛学会専門医、日本矯正歯科学会指導医、日本顎関節学会指導医、
日本全身咬合学会指導医、日本顎頭蓋機能学会指導医、日本顎咬合学会指導医
*
*
「片頭痛」特効薬は存在しない。上西 雅一のページ
長年、片頭痛に悩まされているあなたは、市販、もしくは医師から処方された鎮痛剤を常
に服用していることでしょう。
しかし、年々薬を飲む頻度が増し、片頭痛が起きやすくなってはいませんか?これは、薬
を長期にわたって常用すると体が薬に慣れてしまって効きにくくなり、「薬の効果が切れる
⇒薬を飲む」という悪循環に陥り、
「薬剤乱用頭痛」といわれる症状が起きているためです。
市販の鎮痛剤で片頭痛の痛みを一時的に除くことはできますが、服用を繰り返すと、薬効
がなくなるのです。なぜなら、薬は「片頭痛」を一時的に対症するものであって、片頭痛
の原因を取り除くものではないからです。
では、片頭痛は一生治らないのでしょうか?いいえ、方法はあります。それは片頭痛の原
因を取り除けばいいのです。
*
片頭痛の根本原因は「下アゴのズレ」にある
まだ鎮痛剤を飲み続けますか?
*
実は片頭痛の根本原因の1つは、『下アゴのズレ』にあるのです。
現代人は運動不足やストレスによる歯ぎしりなどのために、奥歯が十 分に伸びていません。
奥歯が一定の高さに達していないと、噛み込みが深くなり、顎が左右・前後にズレてしま
います。噛みこみが深くなると、頬にある筋肉が たるみます。このたるんだ頬の筋肉を元
に戻すように、脳は「筋肉を引き締めろ!」と命令を出し続けます。しかしその命令は、
- 226 -
自律神経の交感神経という種類 の神経の命令なのです。
交感神経が常時興奮した状態にあると、カラダ全体の毛細血管はいつも縮んだ状態になっ
ています。これが休日など、リラックスしたときに、交感神経の興奮は下がり、反対の作
用をする副交感神経が優位になります。そして血管が一気に拡張することで片頭痛が起き
ます。
つまり『下アゴのズレ』が片頭痛の根本原因だったのです。
*
頭痛薬で片頭痛が悪化するって本当?
あなたが知らない片頭痛の治し方
*
バイオプレート治療は、バイオプレートというプレート(樹脂製、入れ歯状のもの)を、
主に就寝時に装着するだけの治療法です。血管を縮ませていた「下アゴのズレ」を元に戻
すことで、症状を改善させます。.
交感神経の常時興奮という根本原因を除去することによって、自律神経の働きが正常に戻
り、血管の縮みが緩和されていくので、短期間で症状が大きく改善・解消するのが特徴で
す。
*
片頭痛で鎮痛剤を常用していた M 江さんも、睡眠時にバイオプレートを装着することにし
ました。2 カ月目には、周期的に襲ってきた片頭痛がなかなかやってこないので、不思議
に思うほどでした。
先日、久しぶりに来院された M 江さんは、こんなことを話してくれました。
「クスリを飲まずに仕事に行けるなんて夢のようです。鎮痛剤の中 には常習化するものも
あると聞いて、怖くなりました。バイオプレートのおかげで片頭痛がなくなり、毎日が楽
しくって!そのせいかどうか分からないのです が、最近、皆から”ピリピリしたところが
なくなった””明るくなった”と、良く言われるようになりました。今までは頭痛が始まる
のが怖くて、知らず知らず に仕事も遊びもセーブしていたんだなって気がつきました。」
- 227 -
その笑顔は幸せいっぱいに輝いていました。
*
*
これまでの片頭痛を治された方々の体験談をみてみますと、偶然、歯科治療をされて、
改善された方々が殆どのようです。
2011/10/25
片頭痛とカイロプラクテイック
今回は、片頭痛とカイロプラクテイックについてです。
*
*
関西カイロが考える片頭痛の根本原因
*
関西カイロプラクティックが考える片頭痛の原因はひとつです。アトラス(第 1 頚椎)
の歪みにより、脳幹が圧迫されるためです。
脳幹が圧迫されると、自律神経やホルモンバランスがくずれ、脳から各組織にいく神経
エネルギーの流れが阻害されます。血管調節機能が低下し、片頭痛を起こします。特に自
律神経は血管の収縮をコントロールしているので重要です。また過度のアトラス(第 1 頚
椎)のねじれはアトラスの両端にある小さな穴を通っている椎骨動脈を圧迫し、頭痛・め
まいや吐き気を起こす原因にもなります。
当院ではキネシオロジー検査法を使用し、歪みの原因を探ります。
西洋医学では血管の拡張による炎症が原因とされますが、必ずその前に、血管の収縮によ
る血流障害があります。主に血流障害は、自律神経バランスのくずれによって起こるもの
と椎骨動脈の圧迫によるものとがあります。
- 228 -
*
上部頚椎は人間と神との偉大なるスイッチである」
BJ パーマー
*
では、なぜアトラス(第 1 頚椎)はゆがむのでしょうか?ほとんどの方は出産時の首への
ストレスや、事故・転倒などによって歪みが起こります。
では一度矯正したアトラスが歪んでしまうのはなぜでしょうか?一つは身体のくせや脳の
くせがあるために、歪みが徐々に戻ってしまうのです。もうひとつは大きなストレスがか
かることにより、歪みが戻ります。アトラス(第 1 頚椎)は、脳と身体を結ぶ神経エネル
ギーのブレーカーとしての役割があります。ストレス(構造的ストレス・精神的ストレス
・化学的ストレス)が許容範囲を超えてしまうと、脳や身体を守るためにブレーカーを「Off」
にするのです。
*
どのくらいで歪みが戻るのかについては施術計画をごらんください。
*
脳からのサインに気付いていますか?
脳は身体を守るためにサインを出しているのです。
アトラス(第 1 頚椎)を正しい位置に矯正し、ブレーカーを「On」にするだけではなく、
ストレスをいかに無くしていくかが重要になります。
アトラス(第 1 頚椎)の歪みの原因はさまざまで、それによって起こる症状もさまざまで
個性があります。頭痛が起こる人、腰痛が起こる人、胃の病気になる人、腎臓の病気にな
る人、うつ病になる人、など人それぞれなのです。
*
アトラス(第 1 頚椎)をゆがませない健康管理 5 か条
*
水分を十分に取りましょう。体の老廃物を出すためには 1 日約 2 リットルの水が必要です。
食べ物から約 500ml の水分を取れるので、約 1500 mlの水を飲む必要があります。ただ
- 229 -
し、カフェインやアルコールを含んだ飲料には利尿作用があるため、水分補給にならない
ばかりか、マイナスになります。できるだけ控えるようにしましょう。
*
嗜好品(しこうひん:白砂糖を含む食べ物・飲み物、カフェインやアルコールを含む飲料、
たばこなど)はできるだけ控えるようにしましょう。
*
牛乳はカルシウムの補給にならないばかりか、人間にとってストレスになります。できる
だけ控えましょう。
*
正しい呼吸をこころがけましょう。呼吸は健康にとって重要な要素です。呼吸には口呼吸
(胸式呼吸)と鼻呼吸(腹式呼吸)がありますが特に鼻呼吸(腹式呼吸)が重要になりま
す。口呼吸(胸式呼吸)は、体にとってはストレスです。
腹式呼吸は、このような効果があります。
①横隔膜を動かすことにより体液の循環を助けます。
②深い呼吸をすることで副交感神経優位になり免疫力がアップします。
③脊柱の運動になるだけでなく、脳脊髄液の循環を助けます。
④適度な腹筋運動になります。
⑤消化管の動きを助けるので、便秘の解消になります。
*
適度な運動をおこないましょう。ウォーキングや体操はおすすめです。激しいスポーツや
ジョギングは精神的ストレス解消にはなりますが、肉体的にはストレスです。
*
*
頭痛・片頭痛
黄田のページ
*
• 症候性頭痛・・・・原因がはっきりしている頭痛。(くも膜下出血、脳腫瘍:全体の1%弱)
• 機能性頭痛・・・・CT・MRI 等ではっきりと以上が認められない頭痛。(ほとんどの頭痛は機
能性頭痛です)
まず、頭痛・片頭痛は、この2種類に分けられます。
手足にしびれがある・吐き気がする・ハンマーで殴られたようなひどい頭痛・意識障害・麻痺
- 230 -
・視覚聴覚の異常などの合併した症状がある又は 50 代以上の方はまずは専門機関への受診
をお勧めします。
しかし、上であげたような場合以外であれば、カイロプラクティックがお役に立てると思
います。
機能性頭痛はさらに、血管性と非血管性に分けられますがその違いははっきりしていませ
ん。
頭痛を抱えている方の特徴としては・・・
*
• 長時間の PC 作業
• ストレス過多
• 体がガチガチ
• 猫背
• 噛み合わせが悪い
• 下を向く作業が多い
• 運動不足
• 肩こり、腰痛持ち
• 普段の姿勢が悪い
といった不調を持ち合わせている傾向があります。
長時間の PC 作業や事務仕事は 1 日手元や画面を見つめている必要があり背骨のカーブが
変わることがあります。レントゲンを撮るとストレートネックや首がまっすぐと言われま
す。
*
ストレートネックが、頭痛・片頭痛の原因なの?
*
ストレートネックが何故背骨には良くないのか? 1
それは頭を支えられなくなるからです。
頭は体重の 7 %前後あります。60 キロの方で 4 ~ 5 キロです。この重さはボーリングの球
- 231 -
の重さに匹敵します。
結構重いですよ。
*
背骨のカーブがしっかり S 字状で頭を骨盤で支えられるならば問題はありません。
しかし長時間下を向く事で首の配列がずれて頭を保持できない状態になります。首の配列
がずれることで背骨の首の部分に走っている血管を圧迫したり神経を圧迫する原因となり
ます。
*
整形外科等では首の牽引や薬の処方がされますが、首の配列の異常という原因を解決しな
い限り改善されないことが多いです。カイロプラクティックは手を用いて背骨の配列を正
常に導いていきます。
配列が元通りになり背骨が S 字カーブになれば自然と頭痛は減っていきます。
解消されるまでに個人差はありますが改善される方がおおいです。
*
*
頭痛(緊張性頭痛・片頭痛(偏頭痛))とカイロプラクティック
*
頭痛(筋緊張性頭痛・片頭痛(偏頭痛)・その他)は、カイロプラクティックによる整体が最
も効果を発揮することが多数証明されてきた分野のひとつです。
頭痛の原因は、多種多様にわたります。
*
原発性(一次性)のものと、続発性(二次性)のもので分けるのが通常です。
*
このうち、二次性のものとは、何か他の病態などがあって、それが原因として頭痛が起き
ているものです。特に重大な原因がある場合には、注意が必要なものとなります。二次性
のものは、頭痛を訴える方の全体からすれば、比較的少数派に属します。
*
大多数に属するのは、原発性のもの、主要なものは、①筋緊張型頭痛 ②偏頭痛(片頭痛)
- 232 -
③群発性頭痛 です。いわゆる、
「頭痛がする」というときの頭痛のほとんどはこちらです。
特に①②がその大部分(あわせて 9 割以上)を占め、それに関しては、カイロプラクティッ
クによる整体での管理が、非常に効果的であるようです。
欧米では、カイロプラクティックによる整体とこれら原発性の頭痛との関係については、
十分科学的な二重盲目的、無作為的、または両者を混合した研究報告が、カイロプラクテ
ィック側からのもに加え、医療方面や国立の衛生局側からのデータも複数提示されていま
す。研究によると、薬剤と同程度の症状低減率を示しています。
この①緊張型頭痛 と ②偏頭痛(片頭痛) に関しては、カイロプラクティックによる整体施
術の適応は、マッサージやトリガーポイント治療、または薬物であるアミノトリプチンな
どよりも卓越しているといえるでしょう(副作用がなく、医薬品と変わらない成績というこ
とですので)。
頭痛の特に大部分(9 割近く)占めるものは、①の筋緊張性頭痛で、頭と、首の一番上をつ
なぐ深部の筋肉の緊張に伴って、首の骨の上部と頭蓋骨の隙間から頭の表面へと走る神経
が刺激され、頭の横やてっぺんに向けて痛みを誘発するものです。
次に多い②の偏頭痛(片頭痛)は、頭の血管が拡張した際に、血管周囲の神経が刺激されて
出るものと考えられています。
偏頭痛(片頭痛)の原因とされる、頭の中の血管の拡張率は自律神経の支配下にありますの
で、自律神経のバランスが整うような方向になるなら効果が期待できるので、姿勢正常化
とそれに伴う体の内外のバランス回復は意味があるのでしょう。カイロプラクティックと
自律神経バランスの関係について、多くの研究が支持しています。
③群発性頭痛 については、②偏頭痛(片頭痛)に近い原因で起こっているものですが、痛み
はずっと強く、しつこく、一定期間続きます。
*
頭痛のいずれに関しても、やはり、首と頭周辺の激しい緊張や血流量の異常、血行不良な
どの代謝不良などが関連している可能性や、全身のそれらが引き起こすストレスなどによ
る体の中の科学的なアンバランス(血行不良などの代謝不良はホルモンバランスなど科学的
- 233 -
な代謝に影響します)の結果や、自律神経系の異常の影響は多きものだと思われます。
そして結局、これらの頭痛はおそらく、神経痛の一種です。神経のないところに痛みは起
きないわけですから。①筋緊張型頭痛では後頭神経・三叉神経が、②偏頭痛(片頭痛)では、
頭の中の血管周囲を取り巻く神経が、刺激を受けて頭痛という痛みの症状を出しているわ
けです。①~③のどの頭痛にしても、当然、神経が痛みを感じている原因は何かというこ
とを突き詰めていく必要があるので、痛みを改善してそれで終わりということではありま
せん。
①②に関しては、だいたい、7 割強の頭痛が、カイロプラクティックによる整体によって
改善されていると報告されています。この高い効果の数字は、他の代替医療・民間療法と
は大きな差があります。
カイロプラクティックによる整体は、体が緊張しないでよい状態に回復させることが第一
義ですので、特に医薬品のような化学物質の伝達のコントロールが出来るわけではありま
せん。それにもかかわらず、カイロプラクティックが同程度の結果を出せるというのは、
体全体に働きかけることで、頭痛の痛みの原因となっている神経への刺激を減らすことが
出来ているのだということです。
先に、続発性(二次性)頭痛があると述べましたが、頭痛に関しては頭痛自体が別の病状の
結果に過ぎない場合もあり、医療機関を受診すべき時もありますので、全てが上記の原因
と簡単に考えていいわけではありませんが、以下のような場合、
・既に医療機関で受診したことがあるが、特に異常がない。
・多くは肩こりなど背中の凝りと一緒に頭痛が起こる。
・いつも、揉んでもらうと楽になって取れる。
こうした場合は、頭痛のかなり大多数を占めますが、カイロプラクティックによる整体が
特に効果を発揮します。そしてカイロプラクティックによる整体の結果は、一時的な鎮静
でない、根本的な原因から取り除くものなのです。
- 234 -
頭痛のある方は定期的に頭痛に悩まされていることが多いですが、他の方法と比較して姿
勢の改善とは、頭痛が起きにくい体になるという決定的な違いがあるのです。
頭痛に悩まされている方には、カイロプラクティックによる管理をされることをお勧めし
たいと思います。
また当然ですが、もし状態が、カイロプラクティックによる整体が適応範囲では無い場合
には、その旨をきちんと説明させていただきます。
*
*
偏頭痛とカイロプラクティック
片頭痛治療情報館から
*
偏頭痛=側頭部が非常に強い痛みに襲われる症状⇒この偏頭痛の原因は、「頭部の神経・血
管・筋肉」であると定義付けられています。それ故一般診療所では、頭の痛みを抑制する
鎮痛剤が処方されています。また最近の薬物として「偏頭痛患者の約70%に効き目があ
る」とされる、トリプタン製剤が服用されるようになってきています。
確かに、これらの薬物は「その場の痛みを抑える」という部分において、非常に有効だと
思います。しかし、次にまた偏頭痛が発症すれば、また薬を飲まざるを得ないのです…脳
で頭痛を一瞬麻痺させる…こうした状態が何年も続けば、身体に良くないと感じるのは当
然のことだと思います。
このように慢性的な症状を発症する偏頭痛を、根本から改善する手段はあるのでしょうか。
そこで、一考する価値がある療法をご紹介したいと思います。みなさんは、「カイロプラク
ティック」という言葉を耳にしたことがおありでしょうか。
カイロプラクティック=西洋医学の主流である薬物で病状を抑えるのではなく、身体全体
の歪みを矯正することで神経の働きを良くし、自分自身の体内に隠されている薬=自然治
癒力という薬に根差した施術を行っています。
偏頭痛に対するカイロプラクティックの施術方法として…まず「頭蓋骨の歪みが、偏頭痛
- 235 -
の全ての根本である」と考えています。例えば右側の側頭部が痛ければ、右側の目が下が
っていたり、逆に右側の口元(口角)が上がっていたりします(外観診断)。カイロプラク
ティックでは、頭蓋骨に対症療法をする訳ではありません。カイロプラクティックは、上
部頸椎(頭部を支える骨)の歪みを矯正することから始めます。何故なら、上部頸椎の歪
みを治せば神経の繋がりも良くなり、顔の表情に繋がっている三叉神経の働きも良くなり
ます=結果的に、表情の目元・口元の歪みも治るからです(偏頭痛も改善)。そして、上部
頸椎の歪みを矯正した後の状態を維持管理することで、偏頭痛は自力で克服することがで
きるのです…もちろん、薬物療法は無縁です。
カイロプラクティックは、アメリカで飛躍的進歩を遂げてきた療法です。そしてアメリカ
国民の間では、広範囲にわたって普及しています。しかし日本においては、あまり知られ
ていない現況にあります。偏頭痛に苦しんでおられる方にとって、「病院内科だけが、偏頭
痛に対する治療を行っている」わけではないということを、しっかり把握していただけれ
ばと思います。カイロプラクティックは一般診療所とアプローチの仕方が違っていても、
偏頭痛を治したいという想いは同じです。是非一度、カイロプラクティックの素晴らしい
施術を体感してください。
*
*
■ 偏頭痛(片頭痛)の治療につながる頭蓋骨矯正
福田正一のページ
頭の片側のあたりが痛むことが多いのが側頭部 痛みの症状の偏頭痛(片頭痛)ですが、頭痛
には両側や左右交互の痛みや後頭部が痛むケースもあって様々です。
「頭のこめかみにかけて脈打つようにずきずき痛い」、「がんがん」と強い痛みの頭痛めま
い吐き気などで、ひどいときには日常生活が妨げられるほどのつらい偏頭痛もあります。
心臓の鼓動に合わせた「ズキン、ズキン」と強い痛みが続いたり、吐き気やおう吐を伴う
ことはありませんでしょうか ?
偏頭痛の悪影響で仕事のミスが多く発生して能率が下がると感じておられる方は、早く対
処された方がいいでしょう。
- 236 -
思春期から発症することが多く、成人の約 1 割近くが偏頭痛に罹患していると言われてお
り、特に女性に多く発症して男性の約 4 倍とも言われています。
*
■ その場しのぎの頭痛薬の対症療法では根本的な解決に至らない
*
「側頭部が痛くなる頭痛の原因は、神経や血管や筋肉にある」と定義して、その片頭痛の
対処法として基本的には痛みを抑える鎮痛剤を飲んでいるのが西洋医学的観点からいうと
一般的な考え方なのです。
片頭痛の70パーセントに有効な薬であると言われてトリプタン製剤が使われるようにな
り、「頭痛に良く効く頭痛薬」ということで服用されているのですが、根本的な解決に至っ
ているのではないのです。
脳で頭の痛みを感じるのをなくしているだけで、その場しのぎで誤魔化しているのにしか
過ぎませんし体には良くないのが事実です。
*
■ 偏頭痛 原因に陥りやすいタイプ
*
◆ 顔のゆがみチェック
*
顔のゆがみがあって、特に目の高さが違って唇の傾きがあるケースは頭の片側に緊張を
伴っていますから、片頭痛の原因になりやすいタイプだと言えるのです。
片方の目が下がっていて同側の口角が上がって唇の傾きがある場合、つまり片方の頬が上
下に縮んで縦方向に圧縮されたような顔のゆがみがある場合は、もっと顕著に偏頭痛が現
れることでしょう。
「頭蓋骨のゆがみが偏頭痛の全ての原因である」とは、申し上げているわけではありませ
んが、肩こりや首こりから発症する片頭痛もあります。
- 237 -
特に、いかり肩の人は肩の筋肉の緊張が強く、肩の筋肉の緊張や首筋のこりから側頭部を
引っ張って片頭痛を発症しやすいといえますし、肩幅の左右差があるケースは片側の側頭
部にも緊張が起きやすく強度の偏頭痛と肩こり頭痛に苦しみやすいタイプだと申し上げる
こともできます。
気温の高い夏場に頭部にうっ血が起きて、夏バテ 症状 頭痛に悩みやすいのもいかり肩の
特徴です。
*
■ 自らの力で治癒に導く自然療法による頭蓋骨のゆがみ改善
*
手で直接に力を加えて頭蓋骨を矯正するのは対症療法ですから、背術者の学んだ知識や技
術を患者さんの整体に押し付けているだけで、真の偏頭痛の救済には至らないことでしょ
う。
上部頸椎カイロプラクティックの臨床経験上では、ほとんどの頭痛は 15 種 23 個の頭蓋骨
のゆがみが関係しており、頭蓋骨ゆがみ改善により偏頭痛も楽になられる患者さんがよく
見受けられるのです
上部頸椎への矯正は、我々の体には体調不良症状や病気から回復する力や機能が既に備わ
っているということが前提であり、その自然治癒力整体作用が十全に働いて辛い体の悩み
も自分自身の力で改善するための施術になります。
症状や病状に基づいて治療方針が定まるというものではなく、上部頸椎への矯正後の状態
を維持管理することにより、体調不良が整って行く過程に辛い偏頭痛も自力で克服して行
くかたちになります。
辛い偏頭痛は、自然治癒力で頭蓋骨のゆがみを正せば改善します。
*
*
- 238 -
頭痛に対するカイロプラクティック・頭蓋骨矯正の有効性
高津のページ
*
実際、頭痛が主訴でご来院されるほとんどの人は、頚椎2・3番間の関節、後頭骨と頚
椎1番間の関節、頭蓋骨の縫合のいずれかに関節の可動性制限があり、この部位の可動性
が改善すると頭痛も収まっています。縫合が硬く何年も頭痛が出ているような人は時間が
かかりますが、ほとんどの人は頚椎2・3番の可動制限が原因と思われ、数回の施術で頭
痛は解消しています。
頭痛を起こす組織は、頭の筋肉・血管・末梢神経・脳硬膜などです。構造の歪みから、
それらの組織にストレスがかかり痛みを発している、あるいは痛みを発しやすい状態にな
っていると考えられます。
頚椎や頭蓋骨の歪みが血管を圧迫している場合ズキンズキンと血管性の痛み(片頭痛・
群発頭痛)が出ますし、歪みにより筋肉や脳硬膜が張れば緊張性頭痛のようなジワーとし
た痛み、頭部の神経を圧迫すればビリッとかビーンといった頭部神経痛がでます。また、
血管を圧迫した場合、頭蓋内の圧が変化することで脳脊髄液の液圧低下を起こし低髄液圧
性頭痛を発現する可能性も考えられます。労作性頭痛のように何らかの特定の動作をした
ときのみ起こる頭痛などは、その特定の動作時に血管や神経などが圧迫されるためではな
いかと考えられます。頭痛に伴う随伴症状も、歪みによってどの脳神経が刺激されている
かによって色々な症状がでます。
これらの慢性頭痛は、頚椎・頭蓋の構造の歪みを矯正し、関節の機能を回復させること
で解消される可能性が高いと思います。
慢性頭痛以外の慢性副鼻腔炎による頭痛に関しても頭蓋骨の歪みを矯正することで改善
する可能性があります。
*
*
頭痛・偏頭痛とカイロプラクティック
bones+beyond (ボーンズ・アンド・ビヨンド)
*
頭痛を治すには?
- 239 -
*
鎮痛剤を飲めば頭痛は治まります、しかしそれは一時的なものでしかなく、薬は慣れると
効かなくなっていき、どんどん強い薬を欲するようになり、肝臓に負担をかけるので決し
てお勧めできるものではありません。原因を正して頭痛を改善する方が、体の負担にもな
らず、薬を永遠に買い続ける無駄遣いも防げます。
70%以上の頭痛の原因は主に首のゆがみが原因と言われていますが、頚椎の歪みから来
る頭痛を鎮痛剤が治すことなどありえません。それは痛みを一時的に鎮めているだけです。
カイロプラクティックで、つらい頭痛とサヨナラしましょう。
*
このような頭痛にお悩みの方はぜひご相談下さい!
*
頚椎に起因する頭痛
緊張から来る頭痛
外傷性頭痛
薬剤性の頭痛
偏頭痛
群発頭痛
*
カイロプラクティックは、頭痛を根本から改善する自然で大変効果的な方法です。
*
*
*
*
bones+beyond (ボーンズ・アンド・ビヨンド)の Dr.Kieu(キュウ)は、米国医師免許及び産
業障害診断士など各種免許を併せ持ち、ヘルニア・側湾症・スポーツカイロプラクティッ
ク・特殊レントゲン診断など知識は多岐に渡ります。臨床経験 10 年以上、150,000 人以上
のクライアントをカイロプラクティック先進国アメリカで治療し、プロアスリートを自己
ベストへと導いてきました。カイロプラクティックの最前線のノウハウと経験で安心・確
実なケアを提供しておりますので、是非一度ご相談ください。*
- 240 -
*
*
以上が、カイロプラクターの考え方です。
しかし、日本頭痛学会の見解では、このカイロプラクテイックは推奨グレードCとされ、
重要視されていません。
片頭痛とヨガ
片頭痛とヨガ
2011/10/25
ニューヨークでのヨガ生活から
*
頭痛に効くヨガ
*
ちょっと前に『shanti』のLisaさんが頭痛で悩んでいらっしゃる事を記事に書かれてい
て、もしよければ頭痛に聞くヨガをご紹介しますと言っておきながら、そのままになって
ました。
ごめんなさいね、Lisaさん!
頭痛には、肩や首の筋肉の凝りからくるものもあれば、原因があまりよく分かっていない
偏頭痛の場合もあります。
日ごろからヨガを行う事で、これらの頭痛がなくなったり、
頻度や痛みの度合いが軽くなったという話しは、生徒さんや友達から聞いたり、ヨガ関係
の記事でみかけたりします。 どちらのタイプも、とにかくリラックスする事が大切です。
以前にも紹介したヴィパリタ・カラニですが、このポーズやサポーティッド・チャイルド
・ポーズ(毛布やクッションなどを積み重ねて、体を前に倒したときに胴体をその上に乗
せて、全体重をゆだねられるぐらいの高さそして、頭が心臓より上にくるようにします。
この場合は膝は開いて、その間にも毛布を。
またはイスを使って、正座、開脚、また
は胡坐をかいてイスの前に座り、腕を椅子の上で交差させ、その上にひたいを乗せても気
持良いですよ)を15分~20分、やってみましょう。
アサナも大変効果的です。
- 241 -
そして先日紹介したシャヴァ・
ここでお勧めなのが、アイ・ピロー!
これは頭痛のあるなしに関わらず、ヨガをされて
いる方には、是非是非、試していただきたいです。
というのも、光というのは体を活性
化する交感神経をより刺激してしまう為、とにかく体をリラックスさせ休ませるには、光
を遮断するのが大変効果的なのです。
そして、科学的な理由ではなくて、額に手を乗せ
てもらうと、何故か人間は安心するのだそう。
アイ・ピローは目だけでなく、額にもか
かるように乗せると、本当にこんなシンプルな行為なのに、リラックス度が100倍くら
い増すような感じです。
アイ・ピローはヴィパリタ・カラニやシャヴァアサナなど、上向きのリストラティヴ・ポ
ーズの際に使うと、とっても効果的です。
あと、頭痛にはプラナヤマ(呼吸法)が効果的といわれています。
特にナディ・スディ
(右手の親指で右の鼻腔を、そして同薬指と小指で左の鼻腔を交互に押さえながらの呼吸
法です。
まずは両方の鼻腔で息を吸い、右を抑えて左から息をはき、同じく左から息を
吸って左鼻腔を押さえ、右の鼻腔を開けて息をはき、そして右の鼻腔から息を吸って、右
鼻腔を押さえ左から息をはく、というのを3分~5分ほど繰り返します。
この右手です
が、グーをつくって、親指、薬指、小指を開き、ヴィシュヌ・ムドラーの形を取ります。
左手は膝の上でOKサインを上向きにした、チン・ムドラーで。)は、体と脳の右側と左
側のバランスを整え、神経を鎮め、リラックスさせる働きがあると言われています。
*
*
片頭痛とヨガ
30 代後半の主婦から・・
*
数年前から「ヨガ」が流行ってますね。
実は私も 4 年ほど前に、運動不足と肩こりを解消したくて、ホットヨガに通っていたこと
があります。
ホットヨガとは、高温多湿のサウナのような状態の室内で行うヨガのことです。
室内が温かいので、普通の時よりも体が柔軟になりやすく、大量の汗をかくので、終わっ
- 242 -
た後は体がとてもスッキリ。
なのですが。
ホットヨガのレッスンが終わってシャワーを浴びるくらいになると、かなりの頻度で猛烈
な頭痛が…。
今になればわかりますが、高温に保たれた室内にいたことで一気に血流が良くなり、片頭
痛になっていたんですね。
ネットで検索してみると、同じような経験をされた方が結構いらっしゃるようです。
ということで、片頭痛を自覚されている人はホットヨガは避けた方が無難なようですね。
でも、終わった直後は本当にスッキリするんですよ。
それに、ゆったりとしたヨガの動きや呼吸は、精神的にとてもリラックスできます。
なので、頭痛が起きる可能性があることを何となく自覚しながらも、半年ほどは通ってい
ました。
結局は忙しくて時間が取れなくなったことと、頭痛が起きてしまうことから通わなくなっ
てしまいましたが。
なお、緊張型頭痛の人なら解消に効果ありではないかと思います。ガチガチに凝った肩も
すっきりとほぐれますよ。
また、ホットではない普通のヨガそのものですが、こちらについては片頭痛の解消が見込
めるという研究結果があるようです。
数十人の片頭痛患者グループが 1 週間に 5 日、1 日 1 時間のヨガを 3 か月継続したところ、
多くの患者が片頭痛の痛みが小さくなったり、頻度が減ったそうです。
- 243 -
これは、ヨガに自律神経を整える働きがあり、それが片頭痛の緩和に効果をもたらしてい
るようです。
ということで、私も時間が取れればヨガを再開したいんです。できればちゃんと教えても
らえるところで。
ただ時間が~。貧乏暇なしっす。
*
*
頭痛とヨガ
久保尚之から
*
ヨガセラピー(ヨガ療法)では中枢神経系に働きかけ調節しますので、頭痛の原因を取り
除くことができます。
頭痛の原因はさまざまですが、大きく分けると機能性の頭痛と器質性のものに分けられ
ます。脳腫瘍など重大な疾患が原因の場合もありますので、急性のものや痛みの激しいも
のは医師の診察を受けるべきでしょう。
頭痛で最も多いのは緊張性のもので、頭、首の筋肉が絶えず収縮しているため起こりま
す。神経の繊細な人はわずかな生活環境などの変化でもこの頭痛を引き起こします。心の
姿勢やストレスなども緊張性の頭痛の原因となります。
また片頭痛も多い症状です。片頭痛の原因はやや複雑で、脳への血流、免疫系の異常、
特に甲状腺の異常や、食物アレルギー、疲労、不安感などが複雑に絡み合っている状態と
いえます。
ヨガのアサナは体の働きを整え、プラーナヤーマはエネルギーの流れを整え、瞑想は心
をリラックスさせますので、慢性的な頭痛の悪循環を断ち切ると考えられます。
脳への血流の改善、神経系のリラックス、甲状腺機能を鍛えることなどにより、徐々に
改善すると思われます。
また眼精疲労が原因の頭痛、副鼻腔炎や二日酔いが原因の頭痛にも効果があります。
特に肩立ちのポーズ、前屈のポーズが有効でしょう。ゆったりとしたヨガの完全呼吸、
瞑想も役立ちます。
- 244 -
食事は玄米に黒ゴマをかけて主食として、よくかんで食べるのがお勧めです。味噌汁に
わかめ、セリ、ナズナ、ニラ、油揚げ、ネギ、たまねぎを入れるといいです。またゴボウ、
レンコンなどのきんぴらや根菜類の煮しめなどもいいです。
頭痛がひどいときは梅干しの梅肉をこめかみに貼ると痛みを和らげます。同時に完全呼
吸をゆっくりと行うと効果があります。
*
*
ヨガで偏頭痛治療
Kate のおいしい生活から
*
記憶にある限り高校生の頃にはすでに悩まされていた偏頭痛とはながーい(笑)つき合い
で、平均して週の半分くらいは頭が痛くて薬を飲む生活が続いていました。
一応治す為の努力はしたんですよ。
「歯並びの悪さが頭痛のもと」と聞いて歯列矯正も
したし、骨格が影響しているのかもと思い、何度か整体に通ったことも(合わなくてすぐ
に止めました)。
最近では偏頭痛外来に通ったりもしたけど、どれも効果はあまり出ませ
ん。
ここのところずっとブームが続いているヨガですが、別に頭痛治療の為ではなく、なんと
なく漠然とした興味があって、たまたま近所にオープンしたホットヨガの教室に参加した
ら、すごく気持がいいの♪
呼吸を意識しながらゆったりとポーズをとっていくと、体の
いろんなところが気持よく伸ばされ、かつ筋肉も鍛えられていくのがわかります。
激し
い動きはないけど、高温多湿の空間で行うので、1 時間のクラスの後は汗びっしょりです。
すっかり気に入ってしまい、昨年末から何度かクラスに参加。
できれば週に 2-3 回や
りたいなーと思うようになったのです。
でも、いくら家から近い場所だとしても、着替えやシャワー等で結構時間を取られる。
それにレッスン代もバカにならないので、最近はこの DVD を買って、家で時間のある時
にマイペースで続けています。
*
*
- 245 -
ヨガって頭痛にも良いかも!?
片頭痛ブログから
*
この1ヶ月、朝にヨガをしています。(10 分くらいですが)
本当は毎朝、実践したいけど実際は1~2日おきのペースでしょうか。
始めたきっかけは、気分が落ち込み気味だったので
ヨガでもやってみたら落ち着くかも、、、と気軽な気持ちで。
ヨガをしていると心が落ち着く、物事に前向きになれる等よく言われていますよね。
もちろん最初は半信半疑でした。
でもやってみると、体が伸びるので気分もすっきりするし、
次第にポーズをとることだけに集中することができるようになり
その時間は無心になれる気がします。←このことが自分には大切なことなのかも
その後、何事にも前向きにハッピーな気分になれるかというと
それはまだまだなんですが、、、
。(そうなれるといいけど!)
ヨガを始めてから、あんなにひどい肩こりがまったくありません!
したがって頭痛もまだおこってません!
もしかしたらヨガの効果かもって思っています。
(肩こりを防ぐようなポーズも 2 種類入っているので)
朝、起きてコップ 1 杯の水分を摂って少し時間をおいてからヨガをしています。
(必ず朝食を摂る前に)
音楽、テレビはつけずに静かな部屋で、カーテンを開けてできるだけ
朝日が入るようにして行っています。
*
*
科学的にわかった!ヨガの健康パワー!
とあるブログから・・
片頭痛、眼精疲労、ぜんそくなど多くの病気が改善
- 246 -
*
ヨガは健康的なイメージが強い。
仕事帰りにヨガスタジオで汗を流すサラリーマンも珍しくはないが、ヨガにどんな効果が
あるか理解している人は少ないだろう。
実は最近、ヨガの健康パワーが続々と科学的に解明されているのだ。
世界的にヨガ研究が盛んになったのは、1998年に米国で補完代替医療センターが設立
されたことがきっかけです。
これにより、代替医療のひとつであるヨガが科学的に研究されるようになって、本場のイ
ンドをも巻き込んで、研究が発展していったのです。
その過程で解明されたヨガの健康パワーは、幅広い。
その一端を紹介すると、まずは片頭痛だ。
72人の片頭痛患者を、ヨガをやるグループと、そうでないグループに分けて、3カ月間
追跡調査。
ヨガグループは1週間に5日、1日1時間のヨガをやった。
その結果、ヨガグループは痛みが小さくなり、片頭痛の頻度が少なくなったという。
次は、眼精疲労だ。コンピューター使用者290人を、ヨガグループと、ヨガの代わりに
レクリエーションをやるグループに分けた。
- 247 -
ヨガグループは1週間に5日、1日1時間ヨガをやった。
2カ月後に2つのグループを比較した結果、ヨガグループは有意に眼精疲労の度合いが減
っていた。
ほかにも過敏性腸症候群やぜんそく、ストレスや不安、うつなどの精神疾患に対する効果
が証明されています。
いずれの研究も、ヨガをやるグループとそうではないグループに分けて、その効果の差を
統計的にきちんと調べているので、科学的に精度が高い。
ヨガが、これほど多くの病気に効果を発揮するのはなぜなのか?
理由は2つ。
ひとつは自律神経が鍛えられること。
ヨガの動きは緊張と弛緩(しかん)を繰り返すので自律神経への働きかけが強い。
それで乱れた自律神経が調節され、片頭痛や過敏性腸症候群など自律神経系疾患に効くの
です。
もうひとつは、考え方が前向きになる点。
たとえば、手元の100円を“100円しかない”と思うか、
“100円もある”と思うか。
ヨガを続けると、後者に変わってくる。それで持病のとらえ方が変わり、精神疾患が改善
する。
- 248 -
これだけの効果を得るには、どうやってヨガをやればいいのか?
ここに紹介した研究は最低2~3カ月の期間で行っていますから、それが基本でしょうか。
薬ではないので、一朝一夕の効果は期待できません。
ホットヨガと常温のヨガについては、温かい方がより血液循環がよくなって代謝能力が改
善されるほか、免疫力の改善も期待できます。
どちらかというと、ホットヨガがより効果的。
ひとつ試して見る手ですね。
*
*
ヨガは偏頭痛に効く!
エナジーバデイーブログから・・
*
今日は雨ですね。10年ほど前から雨が降る前日は必ず頭痛がしました。いわゆる偏頭痛
ってやつです。
生まれつきの人もいるようですが私は大人になってからでした。
ところがヨガをやりはじめて体の変化を感じたのがこの偏頭痛とのおわかれっ!おかげで
今は雨ふりが予測できなくなりました。
偏頭痛は現代病のひとつといわれ栄養の偏りや運動不足などで活性酸素が増えることで起
こるようです。
- 249 -
その点、ヨガは適度の運動量に腹式呼吸ですからバッチリなんです。
イメージとしては吐く息で体の毒素を出すようにお腹からねじりだすように呼吸すると良
いでしょうね。
もし偏頭痛でお悩みの方は是非意識しながらレッスンしてみてください!ヨガってほんと
にすごいですね。
*
*
片頭痛
yoga とあたしから・・
*
今日は、病院へ
実は、何を隠そう
中学生の頃から
そして祖母から受け継がれた
血統証付きの頭痛持ちのあたし・・・
ヨガと出会ってからは
軽い頭痛はあったものの
この片頭痛の激しい痛みとは全く無縁でした
しかし
今回のインド滞在中
なぜか
- 250 -
帰国が近づくにつれ
右側の後頭部に心臓があるのではと思うほどの
あのバクバク動く感じの
激しいズキズキする痛みに襲われるようになりました
こうなると
鎮痛剤も効きません
右目に光が走り
たまに右目半分が見えにくくなるなど
何年降りかの片頭痛特有の症状でした
なんか
とても重い症状のように書いていますが
頭痛持ちの方なら
ご理解頂けると思うのですが
日に何回かこの痛みをやり過ごせば
普通に過ごせるし
目のチカチカは頭痛の前触れで
- 251 -
またかという感じで
きっと日本に戻れば治るんだろうな~とか
インドの食べ物は身体を冷やすものが多いから
きっと身体が冷えて頭痛がするんだろうな~
なんて思うようにしていました
でも
やっぱり
日本に戻ってもこの痛みは治まらず
お世話になっている近所の脳外科へ行ってみたのでした
診断は
やはり片頭痛です
ヘッドスタンドの練習で
どこか痛めてしまったのかと不安になったあたしに
丁寧に先生はお話をしてくださいました
『恐らく心配しているような外的要因ではないですよ
内的な
- 252 -
しかも一つのことが要因ではなく
色んなことがことが重なって
自律神経のバランスが崩れたのが原因だと思います』
はじめての長期海外生活
久しぶりの団体生活
インドの気候
海外滞在の為に飲んでいた婦人科系の薬
そして
心配ごと・・・
全てが重なってホルモンバランスが崩れ
セレトニンという物質が代謝されて
頭蓋骨内外の血管が拡張されて
頭痛が起こったのではということでした
『頭痛持ちの人は、内的な要因が多いので
自分で頭痛日記をつけるといいですよ
そうすることによって
- 253 -
何が原因か自分で把握できるし
頭痛とも上手に付き合っていけますよ』
最後にこんなアドバイスもいただきました
あれ!?
これっって何かと似ている
そうです
インドで浄化したはずの
サムスカーラ
自分の考え方や行動のくせ
これとじっくり向き合うことによって自分を浄化させていく
まさに
あたしの片頭痛も
サムスカーラなんですね
インドで過去の記憶と向き合ったつもりでも
一番悩んでいた
- 254 -
ここ最近の心配ごとからは、実は今でも逃げていたんです
心と身体は正直です
この頭痛の痛みは心の痛みだったんですね
ウスウス感じながら
頭痛の痛みと一緒に何とかやり過ごす訳には
やはりいかないんですよね
本当に奥が深い
ちょっとインドでヨガをやっただけでは
そうそう
浄化される訳もなく
日本に戻ってからも
しっかりと日記をつけて
ヨガを精進して行くんだなと改めて感じたのでありました
*
*
ヨガとダンスと私
maachi から i
*
- 255 -
朝からめっちゃ頭が痛かった!!
目からきてる頭痛。
原因はコンタクトしたまま寝てしまったからだろうな。きっと 自業自得
でも今日はヨガとダンスレッスンの日なので、バファリン飲んで応急処置
薬には頼りた
くないけど
今日はコンタクトなしの裸眼でヨガをしました。
私の視力は両目ともに 0.03 ~ 0.05
コンタクトやメガネがないと外の世界を歩けないと思
います・・・
そんな視力で先生の動きもボヤ~っとしか見えず、声だけが頼りみたいな感じでレッスン
を受けました。
ただ意外な発見
周りがあまり見えないぶん、自分にものすごく集中できる
今日はここが硬いな。とか痛いな。とか伸びないな。とか。
体の声をじっくり聞けた感じ。
周りが見えないから自分にどっぷり浸かれた感じ。
今日は寒い福岡地方でしたが、汗かいちゃうほど集中できてすっごく気持ちよかった
今度からコンタクトはずしてヨガやろっかな
- 256 -
私はヨガを始めて約8年になります。
ハマったきっかけは長年悩まされてきた偏頭痛が
治ったから
仕事のストレスが一番の原因だったと思うけど、月に1~2回突然やってくる偏頭痛は恐
怖でした
目の前にピカ~っと閃光が走って、頭痛と共に嘔吐するくらいひどかったの
ヨガを始めて、徐々に頻度が減ってきて今ではもう偏頭痛になることはナ~イ
おさらば
~
体と心って繋がっているんだな~って初めて実感できたものかも
生涯続けていくと思います
それから最近始めたダンス
レッスンの合い間に
かな~りストレス発散になります
お友達とおもしろ半分に踊ってたKARAの振り付け(笑)
がマジに教えてくれて
宴会芸(笑)ならやれるくらい上達したかも 絶対やらないけど(笑)
KARAみたいにセクシーには踊れないんだけど~
*
*
このように、ヨガは、いい人にはいいようです。
- 257 -
先生
また、著作権をズタズタにしてしまいました 2011/10/26
ここ1週間の記事は、殆どネットから仕入れた記事の「パクリ」そのものでした。
ここに、改めて、お詫び申し上げます。
しかし、この「パクリ」には理由があります。
甚だ身勝手な「言い訳」に過ぎませんが、それなりの「理由」がありました。
ここで、「お借り致しました記事」に関して、著作権違反との申し入れがありましたら、
即刻削除致します。この場合は、以下のアドレスへ、伝えて下さいますよう願いします。
*
E-mail
[email protected]
*
まで、お願い致します。
*
ここまでして、他人の褌をお借りしてまでも、「パクッタ」ことには理由があります。
*
それは、「片頭痛が治らない」のかという「命題」でした。
*「日本頭痛学会」、並びに「全国慢性頭痛友の会の会長」への問いかけにする目的で、
敢えて掲載させて頂いた次第です。
今回、借用させて頂いた「記事」に関しては、この点を考慮して頂いた上で、判断して
頂くよう、切にお願いする次第です。
*
片頭痛とカイロプラステイック
片頭痛と鍼灸
片頭痛と歯科的治療
片頭痛とヨガ治療
片頭痛と外科的治療
*
これらの治療法に関して、私見を挟むことなく、「ありのままの考え方」を提示したかっ
- 258 -
たのです。
これらを掲載されておられる方々は、それなりの「確信」のもとに掲載されておられる
はずです。このために、現在、このような考えで、各方面で、「片頭痛治療」に尽力されて
おられるということを明らかにしたかったまでのことです。
このため、私の見解は無しに、ネットで「掲載されている」形そのまま転載する必要が
ありました。
これらを、どのように評価されるかは、自由です。
*
「本当に、片頭痛は生まれつきのもので、治らないものか」という「命題」に対する「記
事」と考えて下さい。
*
私は、「頭痛専門医」ではありません。にも関わらず、最近「メール相談」を設けること
によって、東京都心部の片頭痛の方々から多数、相談が寄せられます。
確かに、1日に 300 人前後の「片頭痛患者さん」に対応されておられる超人的な「頭痛
専門医」もおられることをお聞き致します。このような「カリスマ医学」は現実には無理
であることを認識すべき段階に突入しております。
メール相談の方々は、このような「あり方」に不満を持っておられ、私のような所まで
相談を寄せられています。
このような実態を考えますと、「日本頭痛学会」の認定された「頭痛専門医」は何かとい
う疑問しかありません。
このような実態を明確にするには、一度、「全国慢性頭痛友の会」のホームページの「頭
痛相談コーナー」を覗いてみられることをお勧め致します。この回答者は「頭痛専門医」
であるとお聞き致しました。質問を寄せられる方々は、自分の頭痛に真剣に向き合われ深
刻な悩みを相談されておられます。ところが、その回答は、全て「薬」「薬」「薬」 です。
これが、「頭痛専門医」の一般的な考えなのでしょう。こんなことを、誰が信用するとい
うのでしょうか?
もう、片頭痛の方々は、「薬なしで」何とか解決したいと思っていると
いう現実が理解できていないようです。
*
こういった意味で、この度の1週間の記事は「パクリのパクリ」に終始しました。
医療関係者のあるまじき行為とは、重々認識しておりますが、現在、「日本頭痛学会」
- 259 -
が無視されておられる方々の「苦渋に満ちた」訴えを代弁した記事と考えて頂ければ幸い
です。
片頭痛と気象・・・天気痛・気象病 2011/10/27
片頭痛の方の中には、発作の誘因として、気象が関係している人がおられます。
特に 雨の日の前日(天気が崩れる前)や雨の日に、片頭痛の発作を起こしてきます。
雨の日はもちろんのこと、台風やフェーン現象等々のように低気圧が関係している場合が
あり、中には、気象予報士よりも、的確に天気を予測される方もおられます。、
*
テルモでは以前より、気象の変化が健康に与える影響を予測し、病気の予防や悪化の予
防に役立ててもらうための健康情報「テルモ健康天気予報」ウェブサイト、テレビ、ラジ
オ等のメディアを通して広く世の中に提供して来ました。2004 年から、新たに天気と片頭
痛の関係についての予報を加えました
片頭痛の誘因は気象、ストレス、寝不足、食品、まぶしい光など様ざまな報告がされて
います。
テルモは気象会社 いであ株式会社と共同で、神奈川歯科大学附属横浜クリニック
五十
嵐久佳教授監修の下、片頭痛患者さんの片頭痛発症記録と、気象条件との関係を分析し、
この結果、気温が上昇傾向にあった後、湿度が高い条件で、痛みを訴える人数が多くなる
傾向にあることが分かりました。
気象誘因で発症する方の場合の対処法としては、急激な気温変化を避ける、日差しをサン
グラスで防ぐなどが効果的です。
「健康天気予報」により、日常生活に役立ててもらうため、
サービスを開始しました。
*
この季節の変わり目などの温度変化や低気圧などの気象条件が誘因となっている方々は、
生まれつき「脳の興奮性が高く」このような環境の変化に過敏に反応して発作を起こして
来ると考えられて参りました。このような自然現象の気象が関係する場合は、どうするこ
ともできないため、不治の病と思い、諦めてしまう原因となっていました。
- 260 -
*
ところが「片頭痛に悩む女性へお勧めですよ!」のブログからの引用です。
*
私、下の歯の奥歯が1本、変なふうに生えてきていたんです。
みんな上に向かって生えているけど、1本だけ横向きに。
永久歯の生え変わりのときにそうなってしまっていて、それをそのまま放置していたんだ
けど、歯磨きしにくいし、虫歯になったらやっかいだろうなぁと思い、23歳の頃に抜い
たんです。
そしたら・・・
『これが原因だったの??』っていうくらい、片頭痛は起こらなくなりまし
た。
雨が降ると思い出す、梅雨時期の片頭痛。。。
天気が悪くなると頭が痛くなる
もちろん、片頭痛をきちっと治してしまえば原因となるものがあっても、何にも怖くない
けどね!
*
以上のように記述され、以後天気の変化にも関係なく、頭痛はなくなったようです*
*
*
一方、私たちの身体は、日々、天気の影響を受けています。特に、関節リウマチ、片頭
痛、腰痛といった慢性の痛みをもつ患者さんでは、雨の日や寒い日に、痛みがひどくなる
ようです。
このような身体と天気の関係に対する概念は古く、古代ギリシャ時代までさかのぼります。
ドイツでは、1952 年からハンブルグ気象台で、気象が健康状態に与える影響の予報が行わ
れていたそうです。日本でも、1962 年に設立された「日本生気象学会」で、身体と健康の
研究が進められ、近年では、「健康天気予報」といった気象の変化を事前に知り、予防を行
うためのサービスも登場しています(前述)。
- 261 -
痛みに影響する気象の変化の一つは、気圧の低下だといわれています。外部の気圧が低
下すると、関節が膨張し、痛みが生じるようです。また、気温の低下も痛みを引き起こす
といわれています。これは、気温が低下することで血液の流れが悪くなり、交感神経が刺
激されることで痛みが生じると考えられています。しかし、全ての痛みの悪化が天気のせ
いだというわけではありません。いつも感じる天候による痛みとは違った、症状の変化を
感じた場合には、何かの原因疾患が隠れている可能性もあるため、医師に相談しましょう。
*
*
また最近、天気痛とか気象病という概念があります。
*
天気痛…気象の急変をもたらす前線の通過などによって起こる体の痛み。リウマチ、外
傷、神経疾患(片頭痛、頸椎症等々)の痛みなど。
気象病…天候や時間~日単位での気温や気圧・湿度などの気象条件の変化が、痛みに限
らず症状の変化の引き金になる疾患
*
直接原因は自律神経のパニックと血行の悪化とむくみ
*
交感神経と副交感神経からなる自律神経のうち、痛みと関連が強いのは 「体のテンショ
ンを上げる」交感神経の方です。天候が変わる程度の 範囲の変化では、気圧は低いと、ま
た温度は下がると、そして湿度は高いと、交感神経の作用で 痛みを感じやすくなることが
証明されました。しかし寒いけれど湿度も低い冬は、リウマチの 症状はむしろ軽くなる方
も多いことから、特に痛みに関しては、温度に較べて気圧と湿度の影響力 が大きいようで
す。
交感神経の作用で痛みが増すのは、筋肉や関節周辺では血管を収縮させ、血行が悪くな
り、 疲労物質がたまることが主因です。一方脳の血流は逆に増やすため、血管の拍動が主
原因の片頭痛も 起きやすくなります。さらに、痛いという感覚自体が交感神経を刺激して、
悪循環になります。
気圧が下がると副交感神経が優勢になりローテンションになります。天気が悪いとやる
気が起きずボーっとしてしまうのはこの作用が関係しています。
- 262 -
また副交感神経優位になると筋肉が緩み、関節の圧力が下がります。
最近、気圧が低下すると、ヒスタミンという物質が増えることがわかりました。ヒスタ
ミンは、外部からの刺激に反応して増え、アレルギーや関節の炎症を起こします。他に血
管を拡張させる作用や血管から水分などが周囲の組織にしみ出させる作用により、血圧を
急低下させたりします。トレーニング中や筋肉痛で筋肉がパンパンに張り、痛いのもこの
ヒスタミンの作用です。またヒスタミンは、神経伝達物質としては交感神経を刺激します。
気圧の低下で基本的に副交感神経が優勢になりローテンションでけだるいところに、ヒス
タミンの作用で交感神経への逆の指令も来るため、自律神経の統合が取れない状態となる
上に、ヒスタミンと交感神経のダブルの作用で血行が悪くなり、痛みに対処できなくなり
ます。 このようにして天気痛は現れます。むくみも血行が低下し疲労物質がたまる原因に
なります。また体液のカルシウムイオンが薄まることで、 筋肉や神経が過敏になって痛み
が出やすくなります。さらに汗が引きにくいことで、不快感もさることながら、 体温調節
しにくくなり、自律神経のバランスの乱れに拍車を かけます。
雨降りの前後の気圧のアップダウンと湿度の上昇による自律神経失調状態+むくみ+血行
の悪化が、 関節痛、神経痛、古傷の痛みを引き起すようです。
*
痛み対策
*
天気痛の対策には、筋肉を適度に使い疲労物質になっているヒスタミンを筋肉から押し
出すために、血行をよくする事が大切です。血行をよくするには自転車やウォーキングな
どの全身をほどよく使い、血液循環を促す有酸素運動がお勧めです。
夏は自律神経が正常に体温調節をするためには水分を出し入れすることが重要 なので、
上手にとって、ちゃんと出すことです。生の野菜や果物は、適度に水分を補給でき、 自律
神経を整えるビタミン C と、利尿作用のあるカリウムに富み、体の熱を放散させる効果が
あります。 とくに夏が旬のきゅうりやすいかなどのうり系統と、トマトや茄子などのなす
系統がおすすめです。 それから、自律神経や痛覚の神経をなだめ、骨や関節を強くするカ
ルシウムをとるよう心がけましょう。 牛乳だとお腹の調子が悪くなる・水分の摂りすぎが
心配、という方は、チーズやヨーグルト、 小魚など、手を変え品を変えるようにするとよ
いでしょう。
- 263 -
*
ストレッチも効果的
*
ストレッチなら自宅でも手軽にできます。
種目は痛みを感じる関節周りの筋肉をストレッチできるものを選んでください。筋肉を伸
ばす事でポンプ作用などが発生して、血行が改善されます。重要なのは痛みが感じない程
度で止めておくこと。その位置で 30 秒程止めましょう。種目数は一つの関節周りに対して
2~3種目行うと効果的です。
*
入浴と睡眠も効果的
*
夏ばてや冷え症と原因が似ていることもあり、対策もかなり共通します。
お風呂は強い味方です。汗をかく上にすっきり流して余分な水分を出し、さらに血行もよ
くなります のでむくみに大変効果的です。湿気と冷えは悪化の要因ですので、お風呂あが
りはしっかり拭いて、血行を妨げない ゆったりした服装を。冬は保温性第一ですが、夏の
場合は、体に熱がこもるのもよくありません。 続いて出てくる汗が引きやすいよう、通気
性と吸湿性がよいものを。全身の血行を上げるためには、普段より少しだけ心拍数を上げ
た状態を長くキープして体温を上げれば良いので、入浴も効果的です。この場合は、20 分
~ 30 分かけて十分に汗をかいてください。
また、自律神経のバランスをとるために睡眠を十分に取り、疲れを溜めない事も重要です。
*
*
自律神経を鍛えて気象病を予防しましょう!
*
自律神経には気持ちを高ぶらせる{交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の
2つがあり、この2つの神経がうまくバランスをとることで、私たちの体は正常に働いて
います。自律神経は言葉の通り”自律”した神経で、自分の意志ではコントロールするこ
とができません。(心臓や汗など)しかし、1つだけコントロールできるものがあります。
それは”呼吸”です。腹式呼吸で吸う(交感神経に作用)と吐く(副交感神経の作用)の
バランスを整えることによって乱れてしまった自律神経を元に戻すことができるのです。
- 264 -
*
腹式呼吸で自律神経のバランスを整えましょう!
*
腹式呼吸の利点
*
・息を吐くことに集中することで副交感神経が優性になり頭痛の緩和につながる
・腹式呼吸は、肺が大きく膨らみ酸素を多く取り込むため、血行がよくなる
*
腹式呼吸のやり方
*
椅子にゆったりと腰かけ、両手をおへそから指1本分下で重ね合わせ軽く目をつぶる
お腹を引っ込ませながらゆっくりと鼻から息を吐く
息を吐ききったら、自然と息を吸う(お腹を膨らませながら)
一度息を止めてから再度ゆっくりと息を吐く
以上を 10 回繰り返します
寝る前に行うと安眠効果もあります。
体調の悪い時には無理をしないで下さい
*
*
以上のように考えますと、気象が引き金となる片頭痛の方は、生まれつきの先天的な「脳
の興奮性・過敏さ」によるものと考えるよりは、「片頭痛体質」のある人が、ストレスや不
規則な生活習慣によって「自律神経の乱れ」を起こして、生じてくるものとも考えられな
くもありません。こういった意味合いで、改善の可能性が残されているのではないでしょ
うか?
片頭痛と自律神経 2011/10/27
血管は、自律神経の働きによって支配されています。自律神経のコントロールが出来てい
- 265 -
ないと片頭痛を起こしやすくなります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経と副交感神経は正反対の働
きをします。
交感神経の働きは、血管を収縮させ、心拍数がを増加させ、血圧を上昇させます。
副交感神経の働きは、血管を拡張させ、心拍数を減少させ、血圧を低下させます。
一般にストレスを受けると交感神経が優位になり、身体は緊張状態になります。片頭痛
ではこの自律神経のバランスが崩れていることが多く見られます。
仕事のノルマ、プレッシャー、人間関係、通勤、不規則な食生活、睡眠不足など
精神的・身体的ストレスにより、交感神経ばかりはたらく生活が片頭痛の原因なのです。
片頭痛の明確な治療法はありませんが、交感神経をおさえて、副交感神経(休息・回復・
リラックス)を働かせることが大切です。
とはいえ、副交感神経を働かせたいと思っても、意識してできるものではありません。
でも、マッサージをされて眠たくなった経験、ありますよね?
体が緩んだからなのですが、眠たくなるのは副交感神経が活性化した証拠です。
自律神経は自分の意識では動かせませんが、体を緩めることはできます。
普段の生活で体を緩めるよう心がけるのも、片頭痛の大切な対処法の1つです。
また、自律神経と背骨は深い関係にあります。背骨の調節を行い機能を正常にすること
によって、自律神経のバランスが整い、片頭痛の改善が期待できます。特に首の上部(上
部頚椎)が重要で、上部頚椎に問題が見られることが多いようです。
*
『頭痛・片頭痛はあくまでも結果であり、それ自体が問題なのではありません。大事なの
は、その背景にある生活習慣や環境、または自己暗示的なものや社会心理的要素などが問
題点となって症状を作り出している』ということです。
*
『
ストレスからだろう・・・
』
*
この言葉は非常に大事です。
心が体に与える影響がどれだけ大きいことか、
、、、
*
- 266 -
多くの人は、頭痛・片頭痛を感じると「消したい」「治したい」と思います。ところが病院
では原因はわからない。もらった薬も特に効かない。そうなるとますます不安になります。
こうしたストレスが生理的な緊張を呼び、その緊張が自律神経を乱して慢性症状に拍車
をかける一つの原因だということがわかってきました。まさに悪循環です。
悪い生活習慣・ストレス等、様々なきっかけで自律率神経が乱れます。→
交感神経が優位に立ち体に緊張を起こします。頭痛・片頭痛発症します。→
強いストレスに陥る。→さらに症状が強くなる。→意識・無意識に限らず症状が習慣化
される。→
頭痛・片頭痛は更に続く・・・
上記の例では主に自律神経の影響を表していますが、もちろんそこから2次的、3次的
な頭痛・片頭痛対策の原因も考えられるわけです。
*
例えば体の酸素欠乏です。
*
酸素欠乏とは、筋肉や血管などが異常収縮してしまい、体に必要な酸素が十分に送られ
なくなる状態のことです。これにより各神経系の衰弱化がはじまり、頭痛・片頭痛などの
不快な症状を感じるようになります。
あなたは頭痛・片頭痛以外に首筋が辛かったり、肩がこったり、腰が痛かったり、とにか
く疲労がたまりやすい体をしていないでしょうか?
コリというものに、それほど自覚症状がない人も、誰かに肩や背中などを触ってもらって
みてください。「よく凝ってるわぁ」などと言われることでしょう。
頭痛・片頭痛を訴える方には、こうした2次的、3次的な症状を引き起こしているのが特
徴でもあり、その多くは自律神経の乱れや酸素欠乏、そして精神的ストレスによるものが
強い影響を与えていると考えられるのです。
そこで、これらの悪循環にストップをかけていくことがポイントになるのですが、今まで
薬だけでは、なぜあなたの症状は改善してくれなかったのか?
それはやはり、薬だけではカバーできない部分、つまりストレスへの対処やそこから発生
する、あらゆる体の緊張など、改善・対策すべきポイントを誰も教えてくれなかったから
ではないでしょうか。
*
- 267 -
そこで、慢性的な頭痛・片頭痛でお悩みの方に朗報です。
*
「病院に行っても相手にされない!原因がわからない!」
「なかなか効果の出る薬や治療に巡り会えない!」
「このままずっと薬漬けで生活していくのはイヤだ!!」
等々・・・
*
そうお悩みの方にとって症状克服の重要ポイントとなる、自律神経の乱れ、筋肉の緊張、
そして心身のコントロールといった改善のポイントをまとめた対策法がありますので、見
ていくことにしましょう。
*
頭痛・片頭痛を感じている方には様々な緊張が、体中至る所に存在します。その緊張は、
不自然な歪みや血行不良を起こします。
こうした機能低下の引き金となっている重要な筋肉があります。
それが胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉です。ちょうど頭の付け根(耳の後ろあたり)から、首
筋(くびすじ)、鎖骨にかけて首の両側に付いています。
*
■慢性頭痛の元をしっかり絶つ!
*
この筋肉の緊張は頭痛やめまい、耳鳴り、難聴などの引き金になる原因筋と考えられ、お
おかた自律神経を司る筋肉とみる治療家もいるほどです。
頭痛・片頭痛に悩む方の多くは、この筋肉の影響によって、首のいたるところに突っ張り
やコリ・鈍痛を感じるのが特徴でもあります。
(一度、首や肩を色々と押してみてください。
痛みやコリを感じる部分があるはずです)
そういったことから、この胸鎖乳突筋の緊張を和らげることが、頭痛・片頭痛のひとつの
改善ポイントになってくるのです。
*
しかし、胸鎖乳突筋は重要な筋肉だけに非常に凝りやすく、日常生活でのストレス、肉体
- 268 -
疲労、不摂生など、様々な環境からすぐに影響を受けてバランスを崩してしまいます。
ですから、マッサージや骨格矯正などで一時的に緊張を緩和することが出来ても、その緩
和した状態を維持させることは至難の業でした。
*
*
以上、自律神経がバランスよく働くには、規則的生活と睡眠、さらにストレスをなくす
ことが極めて大切です。
あなたの主治医は大丈夫ですか・・「片頭痛を治す」ために・・
2011/10/28
あなたが、
初めて受診されたり、現在診て頂いている先生は、「片頭痛を治す」工夫をさ
れておられるのでしょうか?
その点検項目を提示致します。
*
まず、あなたの生活習慣を主治医は、きちんと把握されていますか?
規則正しい生活、睡眠時間、食生活面の点検は十分になされていますか?
「現在の精神的・肉体的ストレス」のチェックはされていますか?
ストレスを少なくするアドバイスはありましたか?
家族歴の点検は十分ですか。あなたの両親、さらに、その御両親の両親まで・・
職業および仕事の具体的な内容は、把握はされていますか?
パソコン操作、前屈みの姿勢を長時間とっていないかどうか・・
歯のかみ合わせに関する質問はありましたか?
頸椎レントゲン検査はしてもらいましたか?
トリプタン製剤に関する説明は十分にしてもらっていますか?
服用のタイミングの指導はありましたか?
これまで何種類試されましたか?
セロトニンについての説明はありましたか?・・
「セロトニン生活」の適否?
- 269 -
あなたの発作の誘因探しの方法の説明はありましたか?
その記録方法についての説明はありましたか?
一般的な片頭痛に関する「説明書」は渡されましたか?
「頭痛体操」「ストレッチ」「呼吸法」に関する説明はありましたか?
*
以上、思いつくまま列記致しました。
*
これらのことを指導されることなく、「鎮痛薬」もしくは「トリプタン製剤」を処方さ
れただけであれば、まず、将来の「薬漬け」の生活は目に見えており、まず、「片頭痛は治
す」方向にもっていくことは、到底不可能です。「片頭痛を治す」目的で、医療機関を受診
された場合は、次は、別の「医療機関」を考えるべきです。
一時的に「痛み」から解放されることしか望まれない方は、何も申し上げません。適
当に・・・
*
これまで、片頭痛を克服された方々は、「片頭痛」という病気を、とことん自分で調べ上
げ、さらに「自分の片頭痛」との違いを見つけた方が、治されています。
片頭痛という病気は、なお現在でも「化け物」のような病気です。各人それぞれ「片頭
痛」を起こしている「原因」はそれぞれだろうと思います。これを、覆い隠して、
「薬」
「薬」
「薬」で終始される「医師」がいることを認識しなくてはなりません。
*
そういう私も、これまで「片頭痛は、生まれつきの体質」によるもので「治らない」し、
「年をとって、脳の血管が動脈硬化を起こして、拡張しなくなれば」頭痛発作も起こらな
くなるものという認識しかありませんでした。ですから、この時代は、「片頭痛治療のしお
り、初版、改訂版」を作成して、これらを全て印刷して、お渡ししておりましたが、どの
ように発作を回避するかということに終始し、
「治す」という考えは全くありませんでした。
ところが、小橋雄太さんのブログを拝見して以来、見方が変わりました。
この見地から、自分の「片頭痛に関する知識」を再構築しました。それが、ここ最近の
ブログの「記事」です。極めて、批判の多いこととは認識しております。
しかし、これまで「不治の病」とされていた「片頭痛」が、たった一人でも「治された
という事実」は無視することはできませんでした。
- 270 -
このような経緯があり、以上のような点検項目を、私なりに作成致しました。
*
私は、以前、北里大学の教授の時代の坂井文彦先生が「片頭痛医療」は「患者さんとの
コミュニケーシヨン医療」であるという考えを、改めて認識致しました。この考え方なく
しては、「片頭痛をなくす」ことには繋がらないと思います。
*
患者指導は、医師優位ではなく、同一の立場から、片頭痛患者さんと向き合わなくては
いけないことを思い知らされております。
*
このため、私自身が患者さんに知って頂きたい「片頭痛に関する一般的な知識」さらに、
今後「片頭痛を改善するための方法」をすべて記載した「知識」を満載した「DVD」を
初診時にお渡ししております。これを「紙の印刷物」にすれば、2,000 ページにも及ぶ膨
大なものです。患者さん自身の興味にあわせて、読んでもらえればという考えで作成して
います。このような方式をとらない限り、初診患者さんには、到底納得して頂けないと考
えております。これは、わたしのような「頭痛専門医」でもない「カリスマ性」のない医
師のなせる業なのかもしれません。簡単に説明するにしても、5分前後では、説明しきれ
ない内容です。5分間という時間内は、片頭痛という診断を下すまでの、最小限度の時間
と私は考えております。
少なくとも、1日 300 人前後を診察されるという、超人的な「頭痛専門医」もおられる
とお聞きします。単純に計算しても、1人「5分未満」という計算で, 24 時間の診療時間
になります。本当に、このような診療で「患者さんは納得」されるのでしょうか?
*
以上、皆さんが、現在、診て頂いている先生に、このまま「任せておいてよいかどうか」
それも「片頭痛を治す」ために適当かどうかを、反省を促す意味で、述べさせて頂きまし
た。
片頭痛とボツリヌス毒素 2011/10/28
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片頭痛とボツリヌス毒素といえば、真っ先に思い出されるのは、寺本純先生です。
まず、寺本神経内科クリニックのホームページ、からから抜粋しました。
*
各種頭痛に対するボツリヌス毒素(BOTOX)治療について
*
片頭痛に対して薬物治療の効果が乏しくなってしまったり、効果があったとしても薬物の
使用量が過剰になってしまった場合を、慢性片頭痛と呼びます(今までは慢性連日性頭痛と
呼ばれていました)。
この慢性片頭痛や、ほぼ毎日 1 ~ 2 時間続く片側の激しい痛みが現れる群発頭痛、さらに
は肩や頸の筋肉の極度のコリから来る慢性緊張型頭痛の患者さんに対する治療として、ア
メリカやヨーロッパなどで A 型ボツリヌス毒素を額や頭皮などに注射する方法がおこなわ
れるようになり、専門医の間では普及しつつあります。
日本の健康保険では、両側性眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸の 3 疾患の限定
使用となっていますので、頭痛に対しては使用することが出来ません。
外国では斜視に使われており、日本では保険外治療として美容外科のシワとりにも使われ
ていることは一般の人たちにもよく知られています。
さらに、ワキガや多汗症が皮膚への注射で改善すること、脳卒中で麻痺した手足に注射し
て筋肉の固さを和らげること、歯ぎしりに対して咬筋に注射して改善をもたらすことが知
られ、すでに一部の専門医の間では使用されはじめています。
また最近は鼻粘膜に注射することによって花粉症を改善できることも分かってきています。
将来は世界的にもかなり普及する治療法として考えられています。
保険適応疾患やシワとり、歯ぎしりには、ボツリヌス毒素の筋弛緩作用を利用しています
が、頭痛に対する効果としては別で、この注射によって痛みに関係する化学物質である"P
物質"の分泌を抑制するための効果であると考えられています。
したがって筋肉に対して注射をすると、平均的には 1 週間ほどで効果が現れ、3 ~ 4 ヵ月
後に毒素が完全に吸収されるまでの間、効果が続きます。
*
その詳細は寺本神経内科クリニックのホームページをご覧下さい。
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*
*
日本頭痛学会の「ボツリヌス治療」に対する見解です。
*
*
ボツリヌス毒素の注射は顔面痙攣などの治療に用いられている薬剤です.片頭痛に対して
も試用されており,有効との報告も多いのですが,まだエビデンスは確立していません.
また日本では保険適用がありません.ボツリヌス毒素が片頭痛治療に標準的に用いられる
か否かは今後の課題です.
*
*
ボトックスというくすりがあります。ボツリヌス菌の毒素をお薬として応用したもので
す。
毒を薬にと驚かれるかも知れませんが、昔は人を殺す毒薬を扱う仕事と病気を治すお薬を
作る人は同じ『薬師(くすし)』という職業の人がおこなっていました。『薬(くすり)人を殺
さず薬師(くすし)人を殺す』という言葉もあるとおり、薬はその用い方で毒にも薬にもな
ります。
ボツリヌス菌は食中毒の原因菌の一つとして有名です。強力な毒素で多くの方が命を落と
しています。
このボツリヌス毒素は筋肉の弛緩作用があることから近年様々な病気治療の薬剤として使
われています。
たとえば頚性斜頚、眼筋痙攣などの筋肉の異常な緊張に使われています。
本来の治療目的とは異なりますが顔のしわ取り目的でコラーゲン注射やヒアルロン酸注射
と同じようにボツリヌス毒素製剤も使われているのをごぞんじでしょうか?
しわのある部位にボトックスを注射すると筋肉が弛緩してしわができにくくなるのです。
ところが、美容目的の治療でボツリヌス毒素製剤を使った患者様で片頭痛が改善したこと
から、このボツリヌス毒素製剤を頭痛治療に応用している先生もいるのです。
ボツリヌス毒素製剤の片頭痛への効果は約80%と非常に高いものです。
残念ながらまだ健康保険の適用はないため自費での治療を行っているのが現状です。
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さらに最近は三叉神経痛、CRPS、筋・筋膜痛症候群などの疼痛性疾患にもこの製剤の効果
が確かめられています。
なぜ痛みの軽減に有効なのかはまだはっきりとわかっていません。
神経筋接合部での作用で筋弛緩作用がでることはわかっています。
筋肉の緊張による痛みならこの筋弛緩作用で理解できます。ところが筋肉が弛緩するまで
にはある程度の時間がかかるのです。
ボツリヌス毒素を片頭痛に使用した場合、ごく短時間に効果が発現します。
筋肉の弛緩だけでは説明が付きません。
ボツリヌス毒素を用いたボランティアに対する実験でこの毒素は疼痛閾値には変化を来さ
ないことがわかっています。
交感神経の神経節前ニューロンではアセチルコリン、神経節後ニューロンではアドレナリ
ンが神経伝達物質です。副交感神経は節前、節後ともにアセチルコリンが神経伝達物質で
す。
ボツリヌス毒素はこのアセチルコリンの放出を抑制することで痛みの軽減を起こすのかも
しれません。
まだ臨床に応用されてから日が浅く、どのような病気にどの程度有効なのかは
これからの研究により解明されるものと思いますが
ボツリヌス毒素は副作用が少なく、使い方さえマスターすれば安全な治療法といえます。
*
平沼整形外科クリニックのページから
*
*
ボトックス療法
*
■ボツリヌス毒素による治療
*
頭痛にボツリヌス毒を使う事は、最近アメリカやヨーロッパなどで急速に普及してきた新
しい治療法です。毒素と聞いて驚かれる方も多いと思いますが、ボツリヌス毒素は美容整
形のシワ取りにも使われている極めて安全性の高い薬です。頭皮に数箇所ボツリヌス毒素
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を注射することで、頑固な片頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛などに非常に優れた効果を
示します。
しかし現状では保険適応外である事などいくつかの制約があるため、通常の治療が上手く
いかなかった場合の最終的な治療として行う事が望ましいと考えています。
頭痛の治療方法は経口薬、生活習慣の改善、理学療法などですが、中にはこのような治療
を行っても頭痛がなかなか改善しないとか、多量の薬が必要でいろいろな副作用が出てし
まっている場合などがあります。このような方にボツリヌス毒素の治療は適していると思
われます。つまりボツリヌス毒素による治療は唯一の治療法ではなく、その他にもさまざ
まな治療の選択枝があると言う事をご理解頂いた上で、それでも治療が困難な場合に行う
事が望ましいと思います。
*
■治療方法の実際
*
頭部・顔面に少量ずつ数カ所に分けて皮下へ注射します。所要時間は数分ですみます。一
度注射をすると、平均的には 1 週間ほどで効果が現れ、3 ~ 4 ヶ月後に毒素が完全に吸収
されるまでの間、効果が続きます。痛みの程度が大幅に減弱したり、強い痛みが消失し、
内服薬の量が少なくなるなど総じて 8 割程度の方に何らかの改善が期待できます。
一方、ボツリヌス毒素による治療の問題点としては高価である事、保険がきかない事など
が挙げられます。また治療の前にあらかじめ効くか効かないかを判別する事もできません。
*
■ Botox の安全性
*
ボトックスは、1989年にアメリカで最初に医薬品として承認され、以来、眼瞼痙攣・
片側顔面痙攣・痙性斜頸をはじめとする主に筋肉の緊張を伴う病気に対して広く用いられ
ています。世界では、アメリカやイギリスを含め 75 ヵ国以上で承認されており、これまで
に世界で数百万人の方がこの薬の投与を受けています。
日本においてこの薬は、1997 年 4 月に眼瞼痙攣の治療薬として発売され、2000 年 1 月に片
側顔面痙攣、2001 年 6 月に痙性斜頸に対する使用が追加承認され、4 万人以上の方がこの
薬の投与を受けています。
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*
■ Botox の成分
*
この薬は、ボツリヌス菌がつくり出すA型ボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成
分とするお薬です。ボツリヌス菌を注射するわけではありませんので、ボツリヌス菌に感
染するといった危険性はありません。様々な研究の結果、このタンパク質のごく少量を緊
張している筋肉に直接注射すると、その筋肉がゆるみ、緊張や痙攣がおさまることがわか
り、医薬品として利用されるようになりました。
*
■ Botox の効果
*
この薬の効果は、2、3 日~ 2 週間で現れ、通常 3 ~ 4 ヶ月持続します。その後、時間が経
つにつれて徐々に効果が消失し神経の動きが回復してくるため、注射前の状態が再び現れ
てきます。この場合、ボトックスを再投与することによって同様の効果が現れます。
この薬は、タンパク質が主成分であるため、治療を続けていくうちに、体内にごく稀に抗
体がつくられ、効果が減弱する可能性があります。
*
■副作用について
*
この薬を使用した患者さま 2932 人中、14.19 %(416 人)に副作用が報告されました。そ
の主なものは、お薬の効きすぎによりまぶたが閉まりにくくなる、物が飲み込みにくくな
る、などです。これらの副作用のほとんどは、薬の作用が予想以上に強くあらわれた結果
と考えられるもので、薬の効果が弱まるとともに回復しています。
*
■保険外治療について
*
現在の日本の健康保険では両側性眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸の 3 疾患に
対してしかボツリヌス毒素の使用が認められていません。このような理由から、頭痛に対
してボツリヌス毒素を用いる場合には(自費診療・自由診療)として行わなければなりま
せん。ちなみに美容外科のシワとりにも使われていますが、これも日本では保険外治療と
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なっています。
*
■薬剤
*
使用する薬剤は、アメリカ合衆国で販売されているものを輸入する必要があります。もち
ろん必要な手続きは当院で行いますが、輸入に関する患者さんの同意書が必要となります。
なお国内販売のボトックスと輸入したボトックスは成分や内容量はまったく同一です。ま
た最近多く出回っている中国製等のコピー製品は当院では、一切使用しておりません。
*
■自由診療の留意点
*
前述のとおり頭痛に対するボトックス治療は自由診療です。健康保険法上は、保険診療と
自由診療を同時に実施することは混合診療として禁じられており、それをすると当院が懲
罰を受けることになります。従って同時に一般的な保険診療を行うことはお断りしており
ます。
*
にし脳神経外科のページから・・
*
*
A型ボツリヌス毒素注射が奏効しやすい片頭痛のタイプとは
*
片頭痛患者に対する A 型ボツリヌス毒素(BTX)注射が明らかに奏効するタイプとそう
でないものがあるようだ。米ダートマス医科大学の Jefferey S. Dover 氏らが,来院者に対
する予備的検討の結果を 2 月 15 日発行の Arch Dermatol(2010; 146: 159-163)に報告した。
それによると,BTX 治療で明白な効果が認められるのは,頭がつぶれそうなタイプ
(crushing),万力で締め上げられるようなタイプ(vicelike),あるいは眼球が飛び出しそ
うなタイプ(eye-popping:ocular)の片頭痛だという。
*
片頭痛への有効性に期待も,至適治療は模索段階
*
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米国で片頭痛を患う人の数は 2,800 万人にのぼるほか,全世界では 2 〜 15 %が罹患して
いると言われる。
2000 年に Binder らが,顔面上部のしわ取りを目的に BTX 治療を受けた人の片頭痛が軽
くなることを発見し,カルテベースのオープンラベルによる後ろ向き検討を実施したが,
プラセボに対する優位性は証明できなかった(Otolaryingol Head Neck Surg 2000; 123:
669-676)。
Dover 氏らは用いられていた BTX の用量が 25 〜 300 単位とまちまちであったこと,注
射部位,片頭痛予防薬の服用の有無などの違いから解釈が困難であったと述べている。そ
の後,2006 年には Jakubowski らが実施した前向き試験から,BTX 治療に反応があった片
頭痛患者ではノンレスポンダーの人に比べ,神経マーカーの変化だけでなく,効果の見ら
れる症状のタイプにも明らかな特徴があることが示された(Pain 2006; 125: 286-295)。
同試験では,BTX の総投与量や注射方法・部位に統一性が見られたことから,Dover 氏
らは,大学病院,開業医らと協力し,再現性を検討することにした。
*
効果に明らかな差,奏効例では発作期間が約 1 週間から 1 日以下に
*
参加施設で美容目的による顔面上部の BTX 注射を受ける予定のある,片頭痛が確認され
た 18 例が解析対象となった。片頭痛に関する問診は,検討に参加した皮膚科医らがあらか
じめトレーニングしたうえで実施した。患者の年齢は 50.9 歳(中央値 26 〜 80 歳),片頭
痛の罹患期間は 28.9 年(中央値 2 〜 72 年)であった。
10 例が「頭がつぶれそうな」,「万力で締め上げられるような」,あるいは「眼球が飛び
出しそう,など眼球周囲の症状がある」片頭痛のタイプで,9 例が「頭が割れそう」
(explode or
split),「頭蓋内部の圧力が高まる感じ」(the pressure is building up),前者と後者の両方を
合併する人もいた。
注射後 3 か月時点で,18 例中 13 例で片頭痛による痛みの減少が見られた。このレスポ
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ンダー群には,「頭がつぶれそう」
,「万力で締め上げられる」,「眼球周囲の症状がある」10
例全員が含まれており,ノンレスポンダーの 6 例すべてに「頭が割れそう」
,「頭蓋内圧の
高まる感じ」の症状が含まれていた。前者では後者に比べ頭痛の症状が有意に軽減してい
た(P = 0.003)。
また,レスポンダー群の 1 か月における片頭痛の頻度の変化は,治療前の平均 6.8 日か
ら治療後には 0.7 日と有意に減少(P = 0.002),ノンレスポンダー群では 14.1 日から 13.7
日(いずれも平均値,P = 0.30)であった。
片頭痛のタイプ別の頻度では「頭がつぶれそう」などの 10 例で 7.1 日から 0.6 日(P =
0.005)に,「頭が割れそう」などの 9 例で 11.4 日から 9.4 日(P = 0.07)となっていた。
Dover 氏らは,Jakubowski らの検討結果が同試験でも追認されたとし,頭蓋内部あるい
は眼球周囲に関する症状の強い片頭痛患者で,BTX による治療効果が高く,美容目的の注
射方法で片頭痛予防の効果が得られるのではないかと結論付けた。
現在,片頭痛治療における BTX 治療の至適投与法は確立していないが,Dover 氏らはこ
れらの結果に基づき,詳細な検討が行われるべきとコメント。片頭痛の予防投与に用いら
れる薬剤と違い,BTX は副作用も少ないうえ,美容上のベネフィットも得られると述べて
いる。
*
以上は、MT pro からの抜粋です。
*
*
BTX-A の片頭痛に対する治療作用及びそのメカニズム
*
片頭痛(Migraine)の発病は「三叉神経脈管系(Trigeminal vascular system)」の有痛物質
例えば、Substance P (SP)、Calcitonin gene-related peptide (CGRP)などの放出と関係がある。
当該神経ペプチドの放出増により血管透過率の増加、血漿浸出などの神経原性炎症を生じ
させると同時に、SP と CGRP は痛みの調節と伝導(痛みのシグナル)にも関与する。
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*
1.1 BTX-A は片頭痛ラットの頸静脈血液、脳幹と三叉神経節の CGRP と SP の含量を低減
*
我々はニトログリセリン(Nitroglycerin)の前頭側頭ゾーン皮下注射或いは電気刺激によ
ってラットの片頭痛モデルを作製する。症状が発生した 2 時間後、それぞれ前頭側頭ゾー
ン皮下に生理食塩水或いは 5、10 U/kg の BTX-A を注射する。毎日 1 回、6 日間連続して
注射する。結果:BTX-A の局部注射は片頭痛ラットの症状を緩和でき、片頭痛によるラッ
トの頸静脈血液、脳幹と三叉神経節に含まれる CGRP と SP の含量を低減できる。BTX-A
が「三叉神経脈管系」の CGRP、SP の放出と無菌炎症の反応を抑えることにより、片頭痛
の症状を軽減することができると示された[20, 21]。
*
2.2 ツボに BTX-A を注射することにより片頭痛を治療する臨床研究
*
甘粛省人民病院で診療を受ける片頭痛患者(国際頭痛学会(HIS)頭痛・顔痛分類委員
会 2004 片頭痛の診断基準に従って診断確定)を選定し、open-label study を利用してそれぞ
れ BTX-A(25 U)を固定箇所[22]群(30 名)と針灸ツボ群(30 名)に 1 回注射した。注
射前後の痛み発作の強さについては視覚連続尺度(Visual Analogue Scale、VAS)を採用し、
注射後 4 ヶ月間フォローアップした。結果によって、2 群の患者は BTX-A を注射後、片頭
痛の発作頻度、強さ及び継続時間は皆治療前より軽減したが、針灸ツボ注射の治療効果は
固定箇所注射[22]より効果が高かったことが示された。但し、この効果のメカニズムが不
明で、更に研究する必要がある。
*
*
以上、ボツリヌス毒素は、私は使ったことはありませんが、寺本先生はかなり積極的に
使用されておられるようですが、私の知りたかったのは、ボツリヌス毒素が、なぜ片頭痛
に有効なのかということです。寺本先生の著書にも、この点が十分に触れられてはいない
ようです。ただ、このような事実は、片頭痛の病態の解明の一助となるものと考えて、現
段階での考え方を、お示し致しました。
皆さんは、十分ご存じだとは思いますが、敢えて掲載致しました。
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片頭痛と外科的手術 2011/10/29
片頭痛と外科的手術についてのページを集めてみました。
*
年金者の戯言帖
2010 年 1 月 17 日 (日) から抜粋します。
*
偏頭痛が一回の成形手術で治ることがある
*
以下はNYタイムズからの引用である、米国では多くの人が偏頭痛で悩まされているとい
う。そして鎮痛剤を服用しているか、耐えている。しかし美顔成形外科医が額、こめかみ
或いは後頭部の成形手術をすることで、偏頭痛から開放されることがあることを研究で突
き止めた。しかしその方法に対しては当然異論もあり、慎重に対応することも必要になる
のは当然である。ただ従来の薬物治療と違うのはただ一回の手術で全快することがあるこ
とである。しかし成形外科医の誰でも直ぐできるということではなくて、それ相当の訓練
をしないとできないという。
偏頭痛に悩む約 3000 万人の米国人の多くが、結局モルモットのような気分でいる―慢性患
者―少なくて 15 日間多くなれば 1 カ月以上続く―しばしば救済を求めて薬物循環になる。
また彼等は精神的不活発と腹痛のような副作用を主張する。医師が偏頭痛を引起こすこと
を正確に指摘していないので、治療は当て推量を伴う、そして彼等はどの薬物がどの患者
を最もよく助けるかを知らない。「それはコントロール追求で薬物療法から薬物療法まで行
くメリーゴーランドであるかもしれない」と患者教育に携わる NPO 国立頭痛財団役員会副
理事長ロジャー K キャディ博士は言う。
高い成功率で押し売りする外科「療法」に関するニュースが先月世界中を駆け巡ったのは
驚きではない。 成形再生外科誌で発表された二重盲式研究は、三つの「トリガーサイト」
の一つで手術を受けた患者の 80 %以上が偽手術を受けたグループの 55 %以上と比べて頭
痛回数をかなり減少させたのがわかった。真外科を受けた患者の半数以上は偽グループの
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約 4 %と比べて頭痛の「完全除去」を報告した。
額成形手術は、成形外科医がしかめ面を治すために通常実行する美容手順である。しかし 10
年前、何人かの患者は偏頭痛が手術後に改良したと報告した後、研究の成形外科医でトッ
プ記事著者バーマングユロン博士は、偏頭痛引金ポイントを示す外科解決策を捜し求め始
めた―彼は頭痛がどこに始まり、定着するかを定義する―額部、こめかみと後頭部で。
頭痛専門医は神経科医か内科医の傾向があるので、グユロン博士の仕事はいつも真剣に受
け止められるというわけではなかった。「神経科医が成形美顔術をする新方法を私に言うな
ら、私はそれに関して非常に疑い深かったであろう」とクリーブランド大学病院のケース
メディカルセンターの成形外科部長グユロン博士は言う。「しかし正直なところ私には偏見
のない心があったのであろう」
先月報道は、ただ一つの手術が一撃で偏頭痛を軽減して、時間を戻すことができたという
事実を重視した。そして偏頭痛専門家の好奇心をそそらせたのは、偏頭痛の外科が薬物へ
の実行可能な代案を提供するかもしれない可能性である。「非常に大きい部分集合は無頭痛
となり、1 年間無頭痛のままでいた― それは空想的結果である」とブロンクスのモンテフ
ィオーリ頭痛センターディレクターリチャード B リプトン博士は言う。
偏頭痛分野で特に考えていることは、成功が「アタックの 50 %減少」と定義されていると
キャディ博士が言う。毎月存在する 10 エピソードが 5 になることは、歓迎できる変化であ
ると言い足したが「それではまだ多くの偏頭痛がある」
外科の背後にある理論は、敏感な神経分枝が筋肉により絞られて刺激されるときいくつか
の偏頭痛が引き起こされるので、それらの筋肉を非活性化することが長引いていた救済を
持って来ることができたのであろうということである。偏頭痛のためのボトックスの適応
外使用で、それら同じ筋肉は―ボトックス注射で無力化されると―約 3 カ月何人かの患者
で緩和された頭痛を持つ。グユロン博士は、全額部成形手術がより持続的でおそらく永久
的な痛みの緩和をもたらすかもしれないと推論した。ボトックスに積極的に対応した研究
関係者だけに外科を提供した。
- 282 -
(キャディ博士は、慢性頭痛に関する治療としてボトックス研究がまだ装甲艦でないと警
告した。ボトックスメーカーアレルガンは慢性偏頭痛に関する治療として FDA のボトック
ス承認を追求している)リプトン博士とキャディ博士を含む多くの頭痛専門医は、この偏
頭痛外科がほとんどの苦痛者に適切であるということではないと強調する。「この手順に適
切な人々は―それらはかなりの大部分ではなく氷山の一角である」と研究著者の一人で、
クリーブランドクリニック頭痛センターで働いている神経科医ジェニファー S クリーグラ
ー博士は言う。
現在のところ、適当な候補者は頻繁な偏頭痛に耐えていて、頭痛を沈静化する多くの有効
性確認済方法に失敗した人であると数人の医師は言う。結論は炎症ポイントを特定できな
いならということであるとリプトン博士は説明した、そして「ボトックスに反応しないな
ら、この治療に効き目があるかどうかはわからない」
医師の中には更なる研究でより多くの患者グループによる効力確認をする前に、外科が不
適切患者に提供されるかもしれないことを恐れている。「これが広く効果的であると確信す
るまで私達を飛び越えてそれほどよく選択されなかった患者にまで広範囲に外科をし始め
て欲しいとは思わない」とミネソタ州ロチェスターのメイヨクリニック神経学部頭痛部門
チーフ F マイケルカトレア博士は言う。「いつでも薬物療法を止めることができるが外科
を逆にすることができない」
外科の言葉が広まったので、手術を提供する全国的にわずかな成形外科医への紹介嘆願を
予期しているが「たぶん少し大きい研究といくつかをより長く追跡するまで私は非常に用
心する」とカトレア博士は言う。
今までのところ、グユロン博士は約 150 人の医師を訓練した、そしてほとんど広告を出し
ていないが他の成形外科医は自身の偏頭痛手術に洗練している。2 年前に、叔母はグユロ
ン博士の偏頭痛外科に関してオハイオ州メイフィールドハイツからシャノンバーンに話し
た。バーン氏は、既に「考えることができるあらゆる薬物療法」で十年間を費やしたと言
う。それでも苦痛はない日より多くの日、頭を痛みつけた。「何を試しても構わないと思っ
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ていた」と彼女は言う。18 カ月前に行ったグユロン博士の外科は幸運なできごとであった。
彼女が20歳で脳卒中をおこして大学を中退するまで続いていた偏頭痛は過ぎ去った。「父
は金の心配をしないように私に言った」と現在の 22 歳のバーン氏はポケットから数千を支
払って言った。
美顔効果のための古典的額成形は偏頭痛苦痛者の外科とは有意差がある。後者はしかめ面
筋肉をより徹底的に除去して、脂肪組織と共に神経の詰め込みを必要とすると偏頭痛手術
を実行するメイン州バンゴールの成形形成外科医デヴィッド A ブランチ博士は言う。
時々偏頭痛外科は額に全くかかわらないことがある。患者の引金サイトに従うのでそれは
異なっている: 額、こめかみまたは後頭部。グユロン博士がこめかみを手術するなら、ま
ゆが若返れると彼は言う。彼は、唯一加えられた役得を全く持っていないのは後頭部外科
であると言う。
手術後 1 年間苦痛がなくなった偏頭痛苦痛者が残りの人生で無頭痛のままでおれるかどう
かは不明瞭である。「私の目標は頭痛ゼロではない」とグユロン博士と共に訓練したここ 5
年間で約 100 回手術を実行したダラスの形成外科医ジェフリー E ジャニス博士は言う。
「私
は全てでの達成ではなく、いくつかでそれを達成できることである」完全な除去は「1 年
間フォローアップ後がかなり強い要求」となるとカトレア博士は言う。
投稿者 matugaoka 時刻 04 時 22 分 日記・コラム・つぶやき |から抜粋
*
*
顔面手術によって片頭痛が長期的に軽減(2011.2.17 掲載)
*
片頭痛を「不活性化(deactivate)」させる顔面手術によって、一部の患者の症状を長期的
に軽減できることが、新しい研究で示された。
患者 69 人を 5 年間追跡した結果、88 %に症状の改善がみられ、59 %は症状が大幅に軽減、29
%では片頭痛の消失が認められた。この研究は、医学誌「Plastic and Reconstructive Surgery
- 284 -
(形成・再建手術)」2 月号に掲載された。
この手術では、まずボトックス(ボツリヌス毒素)注射を用いて痛みの原因となっている
誘発部位を特定。神経にかかる圧力を軽減するため前頭(額)周辺の筋肉を切除する手術
のほか、こめかみおよび後頭部の誘発部位を対象とする手術がある。米ケースウエスタン
リザーブ Case Western Reserve 大学(オハイオ州)医学部の Bahman Guyuron 博士によると、
この手術の費用は約 4,000 ドル(約 33 万円)で、患者の約半数は保険を利用して支払って
いるという。
手術の効果がみられなかった少数の患者(12 %)については、片頭痛の症状が続く一方で、
顔面の固定化が残る可能性もあるが、「この固定化(immobilization)は顔にしわを寄せる
筋肉だけに生じるもので、害はなく、むしろ外見を若く明るく見せる効果がある」と Guyuron
氏は説明している。
Guyuron 氏は、薬剤の効かない片頭痛の治療に興味をもち、2009 年に実施した研究では、
「偽(sham)手術」を施行する対照群と、3 カ所の誘発部位のうちいずれかの手術を施行
する群とを比較した。その結果、片頭痛の完全な消失を報告したのは治療群では 57 %、偽
手術群では 4 %であった。米国形成外科学会(ASPS)によると、このような手術に伴うリ
スクとして瘢痕(はんこん)化、出血、感染症、血液凝固、顔面神経の損傷、麻痺、痒み
などがあるという。今回の 5 年間の研究で認められた副作用としては、皮膚の麻痺(2 人)、
過敏または感覚低下(4 人)、軽度の頸部脱力または硬直(3 人)のほか、20 人が痒みを報
告している。
米国では 3,600 万人という極めて多数の患者が片頭痛に苦しみ、日常生活に支障を来すこ
とも多いが、米サザンカリフォルニア頭痛センターの Jack Schim 博士は「顔面手術は最後
の手段と考えるべきものだ」と指摘している。同氏は、自身の患者にボトックス治療も利
用しており、患者の 70 ~ 75 %には頭痛の十分な改善または完全な消失が認められている
という。米国食品医薬品局(FDA)は、昨年(2010 年)10 月に慢性片頭痛の治療としてボ
トックスを承認している。(HealthDay News 2 月 11 日)
*
- 285 -
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=649722
*
*
形成手術が片頭痛を減らす 傑作(0)
*
(雑誌):Plastic and Reconstructive Surgery
2 月号
(著者):Dr.Bahman Guyuron
(所属):Case Western Reserve(オハイオ州)大学医学部
*
片頭痛患者 69 人にボトックス注射を用いて痛みの原因となっている誘発部位を特定。
神経にかかる圧力を軽減するため前頭(額)周辺の筋肉を切除する手術のほか、こめかみ
および後頭部の誘発部位を対象とする手術を施行する。
5 年間経過を追跡した結果、88 %に症状の改善がみられ、59 %は症状が大幅に軽減、29 %
では片頭痛の消失が認められた。
米サザンカリフォルニア頭痛センターの Jack Schim 博士は「顔面手術は最後の手段と考え
るべきものだ」と指摘している。同氏は、自身の患者にボトックス治療も利用しており、
患者の 70 ~ 75 %には頭痛の十分な改善または完全な消失が認められているという。米国
食品医薬品局(FDA)は、昨年(2010 年)10 月に慢性片頭痛の治療としてボトックスを承
認している。
眼瞼下垂患者さんに形成外科で、きれいに手術してあげると頭痛が減ったというデータを
以前見せていただいたことがあって、基本的には同じ考え方ではないかと思います。
ボトックスだけでも片頭痛がかいぜんするというデータもありますので、かなりバイアス
がかかっているデータだとは思いますが、これは最終手段としてはありかなと思います。
*
*
顔面手術によって片頭痛が長期的に軽減
*
- 286 -
米国では 3,600 万人という極めて多数の患者さんが片頭痛に苦しんでいます。
今回、片頭痛を「不活性化(deactivate)」させる顔面手術によって、一部の患者の症状を
長期的に軽減できることが、新しい研究で示されました(Plastic and Reconstructive Surgery,
2 月号)。
この手術では、まずボトックス(ボツリヌス毒素)注射を用いて痛みの原因となっている
誘発部位を特定。神経にかかる圧力を軽減するため前頭(額)周辺の筋肉を切除する手術
のほか、こめかみおよび後頭部の誘発部位を対象とする手術があります。この手術の費用
は約 4,000 ドル(約 33 万円)で、患者の約半数は保険を利用して支払っているといいます。
片頭痛患者さん 69 人を 5 年間追跡した結果、88 %に症状の改善がみられ、59 %は症状が
大幅に軽減、29 %では片頭痛の消失が認められました。
手術は最後の手段として位置付けられていますが、顔面手術を受けることによるデメリッ
トも考えなければなりません。
*
頭痛の治療研究センター
から抜粋
*
*
偏頭痛の原因を美容外科で取り除く?
*
女性の方で中高年になってから急激に偏頭痛がひどくなってきたという方、いらっしゃい
ませんか?
そういった方はもしかしたら、顔の皮膚のたるみが原因の可能性もありますよ。
人間だれでも、年齢を重ねると、肌がたるんできてしまいます。
特に、目の上の瞼の皮膚は、顔の皮膚の中でも最も皮膚の厚さが薄いらしく、加齢ととも
にくぼんできている人は多いのではないでしょうか。
- 287 -
瞼が皮膚のたるみで下がってくることが原因となって、片頭痛が起こっているそうです。
美容的要素も多いので、こういった場合瞼のたるんだ皮膚を切除した場合、手術費用は保
険適応外ですが、それでも、手術を受けた方は片頭痛がなくなったと喜んでいらっしゃる
方が多いそうです。
やはり片頭痛の原因になっていたということでしょう。
長年悩んできていた頭の痛みから解放されると同時に、美容的にも美しくなった女性は、
とても生き生きとしています。
ただし、保険適応外ということで、手術費用は 30 万円前後かかるようなので、一生分の頭
痛薬を購入するつもりで挑む必要があります。
また、瞼の皮膚の切除は、切りすぎると、目が不自然になりますし、ひどい場合は、目を
閉じることができないほどになるのだとか。
(おそらくは料金が安いからと闇の美容整形を行ったのでしょう。)
脅かすつもりはありませんが、顔はやはり人目に触れる大切な部分ですので、信頼できる
所をしっかり調べて、瞼のたるみが本当に原因となっているのかどうかを医師とも十分に
相談して行うべきだと思われます。
*
偏頭痛の原因は分かりますか?
から抜粋
*
*
眼瞼下垂と自律神経障害
*
眼瞼下垂(瞼のたるみ)を引き金に様々な加齢症状が連鎖的に出現する病態が見えてきま
した。眼瞼のしわやたるみの治療は単なる外見上の問題であるとみなされてきました。し
わやたるみを見た目のだけでなく、健康を著しく損なう可能性がある事が最近解明されつ
つあります。
眼瞼下垂手術をすると、自律神経障害の改善、肩・首のコリ、片頭痛、頭痛 80 %、うつ症
状 64 %、前頭部のしわ、眼周囲血流障害、眼のくぼみ、冷え性 35 %、便秘、ドライアイ、
不眠症 30 %を関連するという医学会の報告もあります。
- 288 -
実際我々も手術を行ってみて、ある一定の割合で上記症状の改善を確認しております。そ
して今のところ、手術前に改善の程度を予測するのは難しいと考えております。ただし個
人差もあり、すべてが軽快するというわけではないことをご理解下さい。
今まであらゆる眼形成手術をしてきましたが、下垂手術は最も難しい手術だと考えます。
患者様の満足度を第一に目指していますが、最近になって「手術してよかった」「内服の量
が減った」という声が大多数を占めるようになったという印象を受けています。
なお、医学的根拠のない下垂手術(美容目的の場合)は自費となります。
*
河辺眼科のページから
*
*
眼瞼下垂と片頭痛
*
眼瞼下垂というキーワードをインターネットで調べると、頭痛の治療として眼瞼下垂が大
きく取り上げられ、詳しく説明されています。また、NHK をはじめさまざまなメディアで
も眼瞼下垂について最新治療として大きく取り上げられています。しかし、眼瞼下垂の手
術=頭痛の治療
ではありません。また、最新の治療でもありません。眼瞼下垂の治療で
結果として多くの方の頭痛が改善しているのは事実です。しかし、3 割程度の方には改善
はないとされています。頭痛の原因はさまざまで、非常に重度の頭痛や命に関わる頭痛も
あります。安易に頭痛だから眼瞼下垂の治療を受けようと考えるのは誤りであり、それを
安易におこなう医師もばかげています。眼瞼下垂の治療はあくまで視野障害などが認めら
れているもので、頭痛の治療として認められてはいません。偏頭痛でお悩みの方はまず、
頭痛外来、脳神経外科などを受診し、頭痛の原因を調べることが大切です。偏頭痛や肩こ
りなどすべてが眼瞼下垂の治療で Happy になれることはないんです。また、手術に対し過
度に期待をしないことです。眼瞼下垂の基本的な考え方は”十分な視野の確保”と”美容
的な美しさ”これに尽きるのです。とは言え、眼瞼下垂の手術で多くの方の偏頭痛と肩こ
りの改善は証明されています。今後はこういったメカニズムを含めさまざまな解明がされ
ていくと思いますが、現時点ではあくまで可能性が高いという程度なのです。
*
- 289 -
眼瞼下垂のページから
*
*
以上です。
セロトニンと自律神経 2011/10/30
もう一度、おさらいです。繰り返しになりますが・・
*
セロトニンは、脳内神経伝達物質で、「ドーパミン」「ノルアドレナリン」と並んで、体
内で重要な役割をしている三大神経伝達物質の一つで、「セロトニン神経」で合成され神経
伝達に利用されます。
「セロトニン神経」は、「ドーパミン神経」と「ノルアドレナリン神経」の両方をコント
ロールし、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを取っています。目覚めている
ときの心と体の状態を調整している神経なのです。一般的には、セロトニン=副交感神経
(内臓神経、リラックス神経)、ノルアドレナリン=交感神経(戦闘神経、緊張)。の図式
です。
「生存」に関係しているドーパミン神経は、人間が生きていく上で必要不可欠な本能行動
に関係し、「不安やストレス反応」に関係しているノルアドレナリン神経は、不安やストレ
スをどのように処理していくかを判断しています。
「幸福感」に関係しているセロトニン神経が、この 2 つの神経の働きをうまくコントロー
ル出来ていれば、まさに幸福感に満ち溢れた人生といえるでしょう。
しかし何らかの原因で、セロトニンの合成される量が減少してしまい、セロトニン神経
の働きが不十分になってしまうと、自律神経のバランスが乱れたり、不安やストレスに対
- 290 -
して反応できなくなってしまい、心と体の状態は下降線をたどることになるのです。
*
○セロトニン神経の働き
*
◆ 心と体を睡眠から覚醒させる。
◆ 心の不安や緊張を取る。
◆ 自律神経を適度なレベルに保つ。副交感神経の活性化。
◆ 痛みの感覚を制御する。
◆ 正しい姿勢を保つ。
*
このようにセロトニン神経は、ストレスで生じる様々な症状、不眠・不安・心の緊張・マ
イナス思考・自律神経のバランスの乱れ・疲れた表情や姿勢などにも深く係わっています。
不安や緊張・マイナス思考は、あなたの性格やあなたのせいではなく、セロトニン神経の
働きが弱くなっていただけなのです。
セロトニン神経を活性化する方法は、神経伝達物質セロトニンを増やすことです。脳内の
セロトニンが増えると、それだけ脳の中での情報のやり取りがしやすくなり、セロトニン
神経が活性化します。
*
*
セロトニンとは自律神経のバランスを整え、心とカラダを元気にしてくれる脳の神経伝達
物質です。
セロトニン神経を活性化させると、脳内でセロトニンが作られます。
この神経は「太陽の光り」と「リズム運動」で活性化されます。
*
私は現代のストレス社会、セロトニン活性はとても大切なことだと感じています。
セロトニンが活性化すると心もカラダも元気に、そして質の良い睡眠がとれるからです!
セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝過程で、脳の中にある「縫線核」
で生成されます。また、代謝を経て、メラトニンという睡眠リズムに関係する物質にもな
- 291 -
り質のよい睡眠をとるためには必要不可欠です。
人間の感情は大きく2つに分けるとプラスとマイナスに分ける事ができます。例えばプ
ラスの感情、気持よかったり、うれしかったりする感情だけが強すぎると、それがなけれ
ば生きていけない「中毒」になるおそれがあれます。ギャンブル依存症やアルコール依存
症というやつです。反対にストレスでイライラしてマイナスの感情に引きずられれば、う
つ状態になる恐れがあります。そこでそれらの感情を偏りなく心をうまく安定させること
ができるのがセロトニンの役割です。
簡単にいうと平常心のある状態。平常心というものは、感情に左右されることなく普段
のように落ち着いた気持で、物事に柔軟に対応できる状態です。腹の奥底に「覚悟」があ
り、心がぶれないといった状態ですかね。
セロトニンが十分分泌されていると、脳が活性化してスッキリの状態が持続するため、前
向きな気分になれて気持ちも落ち着いて過ごせます。またわ~ぁ雪がキレイ~!とか今日
も元気に子供達が学校に行った!と秋の空気に変わったなぁ~と情緒が豊かになり些細な
事に満足感や充実感を感じやすくなります。逆にセロトニンが不足すると感情にブレーキ
がかかりにくくなるため、ストレスを強く感じたり、うつになりやすくなります。
現代は心の時代。心の病には、少なからず脳内の神経伝達物質が関係していますが、な
かでもセロトニンは、うつ、パニック障害、自殺、切れやすい子供、引きこもりなどに深
く関わっています。ある調査でうつ病で自殺した人の脳を調べてみたらセロトニンの濃度
が、一般の人よりも低かったことが分かりました。これらの病気の治療薬として、脳内の
セロトニン量を増やすクスリも繁用されるようになってきました。
このような心の病は現代の生活習慣病であるといえるのではないでしょうか?高血圧や
糖尿病などで知られている生活習慣病とは、読んで字のごとく毎日繰り返す生活習慣が原
因となり症状として現れることをいいます。
テレビゲームやインターネットが普及し、外でカラダを動かさない、人とのふれあいの
- 292 -
ない環境、またファミリーレストランやコンビニが24時間営業になり昼夜逆転の生活が
できるようになりました。このような生活がセロトニン神経を弱らせる原因になっていま
す。私が子供のときは親から外で遊んでくるようにせかされ、公園にある遊具を駆使して
遊びパターンを考えていたものです。。
現代の親は学力や運動能力の発達には熱心ですが、心の発達についてはあまり関心をも
っていないように思います。セロトニン神経が弱ると、ちょっとしたことで興奮し、それ
を制御できなくなります。また朝の寝起きが悪くなり、姿勢が悪く、すぐにしゃがみこん
でしまいます。そして痛みに弱く、頭やお腹などにちょっとしたlことで痛みを感じてし
まいます。 切れる子供や引きこもりの子供にあてはまる行動だと思いませんか?
セロトニン神経が活性化させ、良く寝て、心強く充実した毎日を過ごしましょう!
*
*
心理ストレスから病気
*
ストレスで悩むことや身体、心の病気になるとは生理学ではどういうことなのか確認し
ておきます。
心の病気になる仕組み、心の病気に身体症状がある理由を生理学的な側面を理解してお
くと、治療や予防に役にたちます。
*
ストレス反応
*
動物が危機におかれた時、それに対処する戦術に2つの選択肢があります。交感神経優
位の防御反応(攻撃または逃走をとるか)と副交感神経優位の行動制御をとるかです。個
体や種のちがい、状況的脈絡により生存率を高めるほうが選択されています。人が種々の
行動をとるのも、自分にとって、最もよいと判断した行動を選択しています。ですが、そ
れが、根本的な問題解決になるわけではありません。
(A)防御反応=ストレッサーと闘う姿勢をみせる反応。交感神経優位です。威嚇ー怒り・
闘争、または逃走の行動にそった反応です。この時、情動性自律反応(心拍増加、血圧上昇、
- 293 -
骨格筋血流の増大、消化器運動および血流の減少、瞳孔散大、呼吸促進、血糖上昇など)が
出現します。視床下部、脳下垂体、青斑核が亢進します。
(B)受動的ストレス反応(行動抑制反応)=襲撃者にみつからないように、じっと動かず危
険が去るのを待ちます。すくみ行動、フリージング。副交感神経優位ですが、ストレスを
感じていますので、身体内部では、ストレス反応が起きています。ACTH(脳下垂体)-副腎
皮質系の亢進などが起きます。
*
ストレス内分泌反応(HPA 軸)
*
ストレスを受けますと、主に2つの反応が起きます。視床下部→脳下垂体→副腎の反応
の系列を「HPA 軸、HPA 系」といいます。
(a)視床下部(CRH)→脳下垂体(ACTH)→副腎皮質ホルモン(コルチゾール)→免疫抑制
ストレスが加わりますと、その刺激は大脳辺縁系から視床下部に及び、視床下部からCR
H(コルチコロトピン放出ホルモン)が分泌され、それが脳下垂体からACTH(副腎皮
質刺激ホルモン)を分泌させます。すると、副腎皮質から、コルチゾールが分泌されます。
短期的には、ストレスに対処する反応ですが、繰り返されると、免疫力を低下させ、種々
の病気への抵抗力が落ちます。コルチゾールは、血糖値を上昇させ、細胞面疫や液性面疫
を抑制します。 ナチュラルキラー(NK)細胞の活動を抑制しますので、がんを悪化させた
り、起こしたりします。
(b)交感神経の興奮→種々の臓器に作用、副腎髄質からカテコールアミン
カテコールアミンは、血管収縮、心拍数増加、血圧上昇、血小板の凝集能増加、胃の粘膜
血流の低下、肝臓からブドウ糖を血中に放出などの反応を起こします。繰り返される種々
の病気を起こします。
*
ストレスと自律神経(交感神経、副交感神経)
*
多くの内臓が自律神経の支配を受けています。心臓や血管や胃の筋肉を支配し、それらに
収縮や弛緩をひきおこします。また自律神経は内分泌腺をも支配して、ホルモンの分泌を
ひきおこします。
交感神経は標的器官に作用して「攻撃や逃避」に必要な作用を助けます。 心拍が増加、血
- 294 -
圧の上昇、呼吸の促進、ブドウ糖の供給などを起こします。
副交感神経は、「安静と回復」の条件を整えます。消化管への血流、消化酵素の分泌、心拍
の低下、気道の縮小などです。
心理的ストレスから、交感神経が興奮することが繰り返されますと、上記の種々の臓器の
興奮、ホルモンの分泌が過剰になり、免疫を抑制し、身体の各種の部分の障害が起きます。
心の病気の場合、交感神経が興奮することが多いので、身体症状が伴うことが多いのです。
ストレスを受け続けると、免疫を抑制しますので、がんになりやすい。がんになった人
が、心理的に絶望すると、それが心理的ストレスとなり、免疫を抑制して、がんが進行し
て、早く重態になります。がんとなった時、心理的なケアが重要なのはこのためです。呼
吸法をとりいれたマインドフルネス心理療法の心得は、このような場合にも効果を発揮す
るでしょう。
*
痛み・抑うつ
*
痛みは、種々の病気に伴いますが、ストレス、がん、セロトニン神経、抑うつとも関係
が深いのです。がん患者に痛みがあれば、抑うつになることがあります。長い間、頭痛で
悩まされて、痛みどめの薬物療法を受けても治らない、はきけまでともなう「片頭痛」が
ありますが、片頭痛は、腹式呼吸法や、抗うつ薬で治ることがあります。セロトニン神経
が弱って痛みやはきけを抑制しなくなったためです。
うつ病に頭痛、胸通などの痛みの症状を伴うことがあります。痛み、交感神経、セロト
ニン神経、抑うつに、次のような関係が明らかになっています。
痛みがあると、交感神経が興奮
深部組織や内臓器官に病変がありますと、病変部位の近隣の脊髄分節が支配する屈筋が
持続的に収縮します。このとき同時に交感神経の活動が高まって、情動性自律反応が起き
ます。この反応は意志と無関係に起こる反射活動です。
痛みがあると、交感神経が興奮して、副腎髄質ホルモンが分泌されて、免疫能が低下しま
す。
慢性の痛みがあると、睡眠障害、抑うつ
痛みが慢性化しますと、睡眠障害、痛みに対する耐性の低下、精神的抑うつ状態などが
起きます。セロトニンが減ったためと説明されています。がん患者でも痛みがコントロー
- 295 -
ルされないと、抑うつ症状が起きます。
二つの痛みの伝導路があります
末梢からの痛みの伝導路には2つあります。鋭い痛みを早く伝える回路と、広範な重い
慢性的な痛みを伝える回路です。
セロトニン神経が痛み抑制
縫線核に細胞体を持つニューロン(セロトニンが神経伝達物質)が脊髄後角でシナプス
接続して、痛みを抑制します。片頭痛の患者に、セロトニン神経に作用する抗うつ薬を投
与しますと、軽快します。
うつ病の患者に頭痛、胸通などの痛みの症状がある場合がありますが、うつ病の軽快に
よって消失することも知られています。うつ病の人に呼吸法や瞑想(心の観察)をしても
らいますと、やがて、頭痛なども軽快します。心理療法では、痛みの治療をしなくても、
うつのカウンセリングをして、うつが治れば、頭痛、胸痛も消失することがあります。薬
で治らなかった片頭痛が呼吸法で治ることがあります。セロトニン神経を活性化するため
です。
*
*
以上、セロトニンが自律神経機能といかに関係が深いかが理解して頂けたかと思います。
片頭痛の発症要因として重要な鍵を握っていると思われます。
第 18 回 関西頭痛懇話会報告 2011/10/30
昨日、第 18 回 関西頭痛懇話会が、大阪のホテル阪急インターナシヨナルで開催されまし
た。開催されるまで、私は、東京女子医科大学の清水 俊彦先生が講演されるとばかり思っ
ておりました。開催前のアナウンスでは、講演の題名が明らかにされておりませんでした。
しかし、恐らくは「脳過敏症候群」についての講演であろうと予測して、あらかじめ、こ
の「脳過敏症候群」の発生機序に関して、質問内容と私の考え方を原稿用紙2枚にまとめ
て準備して出席しました。
ところが、会場に入ってから、気がつきました。「しみず としひこ」先生には間違いな
- 296 -
かったのですが、同じ「しみず としひこ」先生でも、慶應義塾大学医学部 神経内科 講師
の「清水 利彦」先生でした。全く、がっかりしたやら残念でした。
このような事情があったのですが、演題は「難治性片頭痛の臨床と病態」でした。
結局、従来の「変容性片頭痛」を表現を変えて、「難治性片頭痛」として、国際頭痛分類第
2版に照らし合わせて、その診断基準に関する説明をくどくどと述べられました。
*
結局、難治性片頭痛とは、慢性片頭痛(変容性片頭痛)と薬剤乱用頭痛を含めたものと
すると、考えられたようです。
そして、この「難治性片頭痛の症例」を多数まとめた成績を提示されるのかと、期待し
ましたが、1例だけの症例呈示に終わり、その病歴たるや、片頭痛が、いろいろ薬剤を使
用したけれども、うまくいかないといったものでした。片頭痛そのものが発症した背景と
か、どういった要因で、難治性の経過を辿ったのかという病歴が全く欠落していました。
その後、外国文献を参考に、仮説に基づいた実験を示されましたが、あくまでも推論で
しかないように思えてなりませんでした。
そして、いかに治療が困難であるかということを述べられたに過ぎません。このような
ことは、従来から指摘され、臨床医が一番、頭を悩めていることであるはずです。
どのような、臨床的事実があって、難治性の経過をとるようになったのか、ここが一番
知りたいことではないかと考えます。
最後の締めくくりとして、片頭痛でありながら、医療機関を受診されない方が多いとい
った、ことを述べられました。このようなことが、今回の演題とどのような関係があるの
か理解に苦しみました。
そして、フロアから、賞賛の声しか聞かれず、何とも後味の悪い講演でした。
*
このような研究方法をしている限り、「難治性片頭痛」克服は、まだまだ程遠い印象を持
ちました。
*
私が考えることは、「難治性片頭痛」の患者さんの、臨床経過を一例一例つぶさに検討す
ることによって、その共通項を見いだせば、「仮説に基づいた」実験を行うよりは、ずっと
有意義のように考えます。
具体的には、片頭痛の「発症年齢」と発症前の「生活習慣」がどのようであったのか、
- 297 -
さらに、片頭痛発症後、どのような引き金で「片頭痛発作」が起き、これに対して、どの
ような対処をしてきたか、使用薬剤との関連を検討し、
「セロトニン不足」を招くような「生
活習慣」がなかったかどうか、さらに、セロトニン不足を招く「生活習慣の是正」に努め
たかどうか、といったきめ細やかな「臨床的事項」の分析なくしては、「難治性片頭痛」の
病態解明は不可能と思われます。
*
最初に述べましたように、「清水 俊彦」先生の講演のために用意したもので、質問を余
程しようかと思いましたが、フロアの方々が全員、賞賛の言葉しかかけられないため、私
がこのような発言をして、懇話会をぶち壊しにしては、今後のこともあり、じっと我慢し
て、このブログの記事にさせて頂きました。
疫学調査のすすめ 2011/10/31
昨日の、関西頭痛懇話会で、特別講演をされた「慶応義塾大学医学部 神経内科 講師の清
水 利彦」先生のなされておられる研究方法をみますと、日本全国の「頭痛専門医」が、そ
れぞれ独自の考えで、外国文献を頼りにして、これを基盤として、ある仮説を立てて、各
自が「実験」を行っておられるとしか思えません。
このようなことを、日本全国の、頭痛を専門に研究される教室には、「一攫千金」の思い
でされ、今回の懇話会でも、主席者からは、賞賛の言葉しかありません。
振り返れば、頭痛研究は、トリプタン製剤の開発が、ある転機とはなりましたが、未だ
に、「片頭痛の本質」を解明するまでには至っておりません。現実に、トリプタン製剤が開
発され、その服用方法のタイミングを厳格に守っても、いろいろ製剤を変更しても、トリ
プタン製剤の無効な患者さんは、実際に存在します。
これまでの「片頭痛の発生機序」を説明するものは、全て「仮説」に基づいたものです。
仮説、仮説では、何も解決はしないはずです。
もっと、大局的に、「片頭痛の本態」を見つめ直す段階に入っていると考えます。
例えば、従来から、片頭痛は、都市部とこれ以外の地域の発症率に差があることが言わ
れてきました。私も、これは、実感しています。私は、和歌山県田辺市で診療しておりま
- 298 -
す。以前から、近畿地区は、片頭痛は少ないとされておりました。東京都心部には、人口
密度の差はあるとしても、清水先生、大和田先生、坂井先生、五十嵐先生、平井先生、等
々有数の先生方々が診療され、すごい患者数とお聞きしております。この地域差は何なの
でしょうか?
ょうか?
ただ単に「有名である」ということで、患者さんを集めておられるのでし
わたしには、決してそうとは、考えられない点が多くあります。
これを、私の考えで申し上げると、また「憶測で」ものを言うなと批判を浴びることは
目に見えております。このようなことを踏まえて、「片頭痛の実態」調査を、行えば簡単に
判明することではないでしょうか。
*
日本頭痛学会が認定された「頭痛専門医」が、日本全国に現在, 700 名以上いらっしゃい
ます。これらの先生方に、各年度毎に、片頭痛と診断された患者さんの実数を調査するこ
とです。このことによって、日本全国各地の「片頭痛患者」の実数が明確になるはずです。
これが明確になれば、片頭痛患者の発症率の「地域差」が明確になります。
そして、年度毎に、片頭痛患者の実数が増加しているかどうかも・・
決して、患者への「啓蒙」だけで、増加したと考えることには問題があります。
患者さんの受診動機は、過去と現在は変わっていないはずです。
*
以前の記事にもしましたが、この中でドロップアウトされた方々の、現在の状況を確認
することです。「治ってしまって」通院しなくなったのかどうかということです。
治された方々が、どのような方法で治されたかということも調査項目に入れる必要があ
ります。
*
たったこれだけの調査で、「日本の片頭痛の実態」は明確になるはずです。
*
得てして、これまで受診された「片頭痛患者さん」が受診しなくなったのは、自分が治
したという考えは決して持たないことです。医師の「おごり」でしかありません。
*
私は、昨日の清水先生のされている「実験」は全く無駄と思っております。
「頭痛専門医」
の興味を引くことは、確かに認めますが、このようなことは大局的にみて、自己満足にし
か過ぎないことを認識すべきと思います。
- 299 -
片頭痛研究を行うためには、基本的な点を考え直す必要があると考えます。
*
以上のような観点から、最短距離で、研究が進むことを切に望む次第です。
高齢発症の片頭痛 2011/10/31
症例
〇藤〇代 64 歳
女性
40 歳頃から、頭痛が出現(20 ~ 30 歳代は全く頭痛を自覚することはありませんでした。)
1~3カ月に1回くらいの頻度で起こり、1回の発作は2~3日間は持続し、寝込む程
ではないが、出来れば横になっていたい状態で、嘔吐はしないが吐き気があり、光、匂い、
音の過敏症状があり、頭痛発作当日は、拍動性に痛みを、いつも右側に感じていました。
本人の言われるには、寒さと眼の疲れがよくないということでした。
頭痛が出現する前には、異様に肩こりを酷く感じるそうです。
仕事は、看護師で、以前は、某総合病院に勤務しており、勤務時代は脳神経外科にも配
置され、そこで先生に診てもらい「片頭痛」と診断されました。これまでは頭痛の際には
イブ、セデス、ポンタール、ボルタレンを使用し、ボルタレンが一番効いていたようです。
家族歴
祖母が、若い頃から寝込む程の激しい頭痛があり、晩年は死ぬまで、毎日のよう
に頭痛があって、毎日鎮痛薬を服用されていたそうです。
今回、受診したきっかけは、64 歳にもなっても、なお頭痛が起きるため、祖母のように
毎日、頭痛が起きるようになるのではないか、出来れば起きなくなればと、考え来院され
ました。
これまで、職業柄、姿勢には注意しておられたようです。歯のかみ合わせが悪くいつも
片方の歯で噛んでおられたということでした。
神経学的所見では、何も問題はありませんでした。
頭部CTでも異常はありませんでした。
頸椎レントゲン所見では、ストレートネックを呈し、軸は前に倒れていました。
*
- 300 -
発作時の対応として、ボルタレンが効いているため、発作初期に服用してもらうことと
しました。歯のかみ合わせの悪さに注目し、内田信友先生の提唱されるエクササイズ(当
ブログにも掲載しております)を毎日 15 分間ずつ行ってもらい、テンプレートを装着し
てもらい、経過を観察しました。
*
半年後には、頭痛の頻度は明らかに減少し、その後半年経過した時点では、頭痛は消失
しました。
*
この例は、家族歴はありますが、発症年齢が 40 歳と極めて遅いのが特徴でした。
片頭痛の発症年齢は、大半が 30 歳以下という報告が多く、寺本先生の報告では、41 歳
以上の発症は .3.2 % しかなかったと述べています。
この方の場合、歯のかみ合わせの悪さに注目し、内田信友先生の提唱される「エクササ
イズ」「テンプレート療法」を行うことによって、頭痛回数の減少を認め、1年しか経過を
見ていませんが、明らかに発作回数自体は減少しています。
しかし、年齢が 65 歳になっており、自然経過で、発作回数の減少したのかもしれませ
ん。
いずれにしても、40 歳以降発症の片頭痛は、後天的な要因から発症したものではないか
と考えて対策をたてる必要性を感じました。
本日で終わりです。・・全国慢性頭痛友の会長への反論の記事は・
・ 2011/11/01
土曜日の講演会の「思い込み違い」のため、本日の診療は、全くテンシヨンが上がりませ
んでした。それだけ、清水俊彦先生との「論戦」にかける意気込みがあったのだろうと思
います。40 年ぶりに、昔の「43 青医連委員長」並の論法で、質問するはずが、・・・
本日は、月末ですので、開業医は「今月診療分」のレセプトを作成しなくてはなりませ
ん。私の所は、医療事務員はいますが、3人の子供さんがおられ、時間外の仕事は「禁忌」
です。従って、私が、月末のレセプト作成を行っております。先ほど、全てが完了しまし
- 301 -
た。本日で、10 月も終わりです。ブログの更新もこれまで頻回に致しました。
これには、理由がありました。
それは、9 月中旬に「全国慢性頭痛友の会の会長」にたまたま、ご機嫌伺いのメールを
差し上げたことに始まります。この詳細を記載しますと、いろいろ問題がありますので、
記載できませんが、会長さんの申されることは、「片頭痛は生まれつきのもの」であり治ら
ないという考え方でした。それに対して、私自身反論致しました。ところが、途中から「考
え方が違う」という理由から、メールの中断の申し入れがあり、10 月初旬で、このメール
のやりとりは終了しました。
ただ、私自身、片頭痛診療をこれまで、40 年近く行ってきた臨床医として、何か腑に落
ちないものを感じておりました。私は、「頭痛専門医」 ではありません。しかし、「頭痛」
を訴えて来院される患者さんは、私には「大切な患者さん」です。これに、誠心誠意お答
えするのが、私の義務と認識しております。当紀南地区には、脳神経外科はありますが、
極めて「おざなりな対応」しかされていない現実があります。
私は、会長が言われる「片頭痛は治らない」という言い方が、全く納得できませんでし
た。このため、考えられることを、全て「ブログの記事」にして解析を試みました。
本当に「治らないものかどうか」これは、私のブログをご覧になられ、私の主張を実行
され、これを検証すべきと考えます。本当に、治らないかどうかは、実践しかありません。
「片頭痛を治す」ことは、簡単なことです。ただ、「ある薬を飲めば治る」というもので
はありません。治すには、方法があります。簡単なことです。
治せない方々は、自分で分かっておられながら、実行されない人ばかりです。
*
最近では、本年 1 月 22 日に埼玉精神神経センターで「第2回埼玉頭痛教室」 が開催
されました。そこで、埼玉国際頭痛センター長の坂井文彦先生が述べられております。
その要旨は以下の通りです。
*
片頭痛を自分で治す
*
■生活のリズムとライフスタイルの工夫
・自分で治した人は工夫している
・誘因に気づき、対処する
- 302 -
週末頭痛、月経関連頭痛への工夫
・ストレス・不安対策(レラクセーシヨン)
■頭痛体操は頭痛の慢性化を予防
・ストレス解消体操もとりいれる
・首を動かさない、負担をかけない体操
*
以上のことを提唱され、片頭痛は「自分で治せる」と断言されております。
*
*
私は、これ以上のことは、申し上げることはありません。私のような人間が言うことで
はありません。
これまで、冗長と批判される位、くどくど、述べて参りました。これらの記事を熟読玩
味され、この是非を問うてみてください。必ず、片頭痛は、治ると、私は確信しています。
諦めてはいけません。あきらめた時点で、治るものも治らないことを考えてください。
*
先程も申し上げましたが、これで「全国慢性頭痛友の会の会長」への記事は、本日で終
了致します。
今後は、「日本頭痛学会」への「挑戦」の記事に移って行きます。
難解な語句が出てくるかもしれませんが、極力、理解しやすい表現に努めて参ります。
次回は、先日土曜日の講演会のテーマである「慢性片頭痛」です。ただ、極めて「問題
の多い部分」です。先日の「清水利彦先生」のテーマでもあり、私が期待した「清水俊彦
先生」が問題にされておられる「脳過敏症候群」に関することです。
少し、次回の更新には時間がかかると思います、この点はご容赦下さいますようお願い
申し上げます。
片頭痛の慢性化・・セロトニンの関与???
2011/11/04
慢性の頭痛である片頭痛は繰り返し頭痛発作が起こる反復性の片頭痛として始まり
- 303 -
約 30 %寛解し、また、約 30 %の患者さんは高齢になっても反復性の片頭痛のままであり、
約 40 %の患者さんは慢性化するとされています。(日本頭痛学会誌 2010vol.37
シンポジ
ュウム 3-5:竹島多賀夫)
慢性化のリスク要因には医療介入できない因子として、女性、社会的経済的階層(低い教
育歴と低収入)、婚姻状態(未婚)、頸部または頭部外傷の既往などがあり、介入可能な因
子には、肥満、いびき、睡眠時無呼吸、生活上のストレス、カフェイン摂取、急性期頭痛
薬の過剰使用が知られています。片頭痛発作時には神経原性炎症により三叉神経血管系の
過敏性と中枢感作がおこりますが、この炎症と感作の慢性化が片頭痛の慢性化の中心的な
メカニズムと考えられています。
*
片頭痛の体質を有する人は、光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性
が増大し、これがある限度を超えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、
脳内視覚野である後頭葉、聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報
告されています。最近、片頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠
い た 状 態 が 長 期 間 放 置 さ れ て 発 症 す る 経 年 的 な 症 状 を 「 脳 過 敏 症 候 群 ( Cephalic
Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が提言されています。
*
慢性連日性頭痛の治療には、適切な頭痛診断と病態把握に立脚した合理的な戦略が必要で、
リスク要因のうち、回避可能なものは避け、薬物乱用があれば中止し、適切な予防療法薬
を投与することが原則であるとされています。慢性化した片頭痛はしばしば難治性となり
ますので、あらかじめ反復性の片頭痛治療において急性期治療薬の使用を適正化し、発作
頻度が高い場合は適切に予防薬を使用し、慢性化を予防することが重要であると言われて
参りました。
さらに、慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくな
り、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲
むことになり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようにな
ったと思われる。片頭痛の慢性化は、最近増加しており、脳の痛み調節系を活性化するこ
とが治療の第一歩です 。
*
- 304 -
北見は慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候群が
多く合併することを見出しました。また片頭痛に限らず,頭痛が慢性化する場合に中枢性
痛覚過敏(central sensitization, CS)という現象が関係していることが知られています。
これは末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多く中枢に伝わると,次第に痛みの閾値が
低下し,わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが出現することを言います。CS になるとわ
ずかな圧迫や熱・冷感を痛みとして感じるようになります。
*
姿勢の悪さや歯のかみ合わせの悪さ等により、首や肩の筋肉からの侵害刺激情報が出つ
づけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄路核,さらに三叉神経主知覚核のニューロ
ンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢性の痛みへとつながるとされます。筋緊張
の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(すなわちセロトニンの枯渇など)が末梢の機
構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織内へのアセチルコリンの放出を増加させた
りすると考えられます。そして当初の出来事が治まったあとも CS が継続し,結果的に緊
張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序はむしろ片頭痛の慢性化によく当てはまり
ます。すなわち中枢神経系の可塑的変化というものが,睡眠障害によりもたらさるもので
あり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張がもたらされ,CS を来すと考えられるのです。
*
慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰活動の状態になっており,睡眠障害が重要
な背景であるかもしれない言われています。慢性片頭痛患者はさまざまなタイプの睡眠障
害を有するとされ,薬物離脱により頭痛とともに睡眠障害も寛解したという報告もありま
す。この睡眠障害と片頭痛の慢性化との関係については,REM 睡眠の内容変化が関与して
いる可能性があるのです。
正常な REM 睡眠期には脊髄以下の運動系が機能しなくなり,眼球運動以外は完全な筋
弛緩の状態になりますが,この正常な筋弛緩が得られなくなることによって,睡眠中に身
体運動が起こることがあります。周期性四肢運動障害や,夢が行動化したかのような複雑
な運動が生じる REM 睡眠行動障害という睡眠障害がありますが,REM 睡眠時に周期的に
手足が動く現象は小児にはよく見られる現象であり,成人でもストレスで歯ぎしりが起こ
ることは知られています。つまり何らかのストレスにより,REM 睡眠期に本来筋弛緩が得
られるはずの傍脊柱筋に筋緊張が残存するようになることは十分考えられるのです。
*
- 305 -
以上のことと,多くの患者さんは片頭痛が慢性化するときに強い情動ストレスを伴う自
己不全感(例えばまた強い頭痛が起こって倒れるのではないか,生活できなくなるのでは
ないか,という恐怖感など)を体験していることより,可能性としてドパミン系が過剰に
活動するために,悪夢のような情動反応を夜間に何度も起こし REM 睡眠期に筋弛緩が得
られなくなり,傍脊柱筋の慢性緊張が起こっているのではないかと推測されます。
慢性片頭痛の患者はほとんどが元気を回復するような睡眠をとっていないとこれまで報告
され,この元気回復が出来ない睡眠障害が慢性片頭痛の発生頻度と病態に関与していると
考えられています。すなわち慢性片頭痛の女性 147 人に,朝起きたときリフレッシュして
いるか,疲れているか,をたずねたところ,83.7 %の女性が疲れていると答えたそうです。
また彼女らに健康的な睡眠指導を行うと 48.6 %の慢性片頭痛患者が反復発作性の片頭痛に
戻ったと報告しています。
*
北見によれば、片頭痛に限らず慢性頭痛の患者さんには,睡眠改善が必要と述べていま
す。慢性片頭痛の場合は,悪夢の原因であるドパミン系の過剰活動を抑える目的で D2 拮
抗薬を就寝前,傍脊柱筋の筋緊張を抑える薬を就寝前,それと片頭痛予防薬を投与し,大
半の患者さんで頭痛の頻度減少が得られました。
睡眠改善のために推奨される方法としては,起床時間を規則正しくする,床の中に長く
居すぎない,シフト勤務者以外は午後 3 時以降の昼寝を避ける,夕方のタバコやカフェイ
ン,アルコールの摂取は避ける,日中早い時間に規則的な運動を心がける,就寝前に心身
のリラックスのための工夫をする,眠れなくても時計は見ない,寝る前に空腹であればス
ナックやぬるめのホットミルクなどは可,などがあります。寝る前のリラックス法として
は,呼吸調整,自律訓練法,漸進的筋弛緩法,アロマテラピーその他,自分にあった方法
で良いようです。
*
*
以上概観してみましたが、片頭痛の慢性化には、睡眠障害、ストレス、うつ状態、姿勢
に関与する筋肉等々さまざまなものが関与しており、ここでもセロトニンの関与が示唆さ
れます。
本来「セロトニン不足」がある上に、さらに不規則な生活やストレスなどが加わり「セ
ロトニンの枯渇」した状態が慢性化に関与しているような気がしてなりません。
- 306 -
このような意味で、片頭痛が慢性化した方々の、日常生活習慣の状況を、つぶさに明確
にして頂きたいものです。ここにポイントがあるように思われます。
今後、脳過敏症候群に至った方々の、治療成績が、どのような結果になるか、極めて興
味深い点です。今後、期待しております。
片頭痛と足病変
以下は、
2011/11/06
笠原 巌のホームページから抜粋してみました。
*
『片頭痛の根本原因は足と首の異常にあった』
片頭痛で悩んでいる人は 840 万人いると報告されています。
しかし問題なのは片頭痛の原因を間違えている、本当の原因を発見していない、そのため
治療法も間違って薬の選び方や組み合わせ方ばかりに気を取られ、根本治療に至っていな
いということです。
*
薬を中心とした対処療法を何十年も続け、結果的になかなか治癒に結びつかないでいるの
が現状なのです。ですから、もう一つの新しい考え方「セカンド医学」(重力とのバランス)
を中心に考え、薬は補助的に使うべきなのです。
*
セカンド医学の考え
*
その「セカンド医学」の考えとは、『足裏の異常により首が変形し、その変形した骨が周り
の神経を刺激することが、頭痛、肩こりの根本原因になっている』というものです。確か
にこれがすべてではありませんが、どんなに低くそして少なく見積もったとしても 70 %は
これが関係しているのです。
あとの残りの 30 %は先天的な要因と後天的な要因と環境学的要因とがあります。この内訳
- 307 -
は、先天的原因(遺伝気質)10 %、後天的要因(病変気質)10 %、環境学的要因(環境気
質)10 %です。(環境学的要因の中には日常生活における姿勢のほかに心の問題、仕事や人
間関係のストレスも含まれる。) しかし、このそれぞれ残りの 30 %が同時に起きたり、ま
た重なり合う事は殆どないので一般的には 10 %と考えるのが妥当です。
*
片頭痛の 90 %は足が原因 結論として、片頭痛の 90 %は足と首の異常が関係しているの
です。したがって治療法も「足裏から首のバランスを整え、重力との調和を図り、自然治
癒力を発揮させる。」という事が根本治療となるのです。
このような説をとなえるとすぐ眉唾(まゆつば)者とか、攻撃的になったり、また落とし
入れようとする人が必ず出てきますが、その前に開く耳を持っていただきたいのです。人
間の体も地球の構造に合わせて造られているのです。この自然界の法則に沿った考え(過労
性構造体医学の理論)、これをセカンド医学として構築しています。自然界の法則に従った
考え方はどんなに優秀な医師であろうと科学者であっても、くつがえすことはできないと
思うからです。そして何より多くの人を助けることができるからです。
*
常識という洗脳からの脱出
*
頭痛を治すには、まず今まで知りえた常識という洗脳からの脱出を図ることが必要です。
なぜなら、頭痛の根本原因を正しく診断することができていない為、正しい治療法に結び
ついていないからです。その結果、不適切な治療でこじらせたり、薬づけや薬の飲み比べ
になっていて、なかなか治らないのが現状だからです。確かに薬は病原菌に対しては万能
です。しかし、関節の変形からくる痛みや不調には万能ではないのです。この先入観から
の脱出が必要です。
ここでは今までとは全く異なる「足と首」からの診断法と治療法を紹介していきます。患
者さんの真実にそった内容なので、医師を含めた多くの人達にセカンド医学「過労性構造
体医学」が大いに役立つと思います。
*
頭痛の実態
- 308 -
*
慢性頭痛を持っている人はおよそ 3,000 万人いると報告されています。この中で一番多い
のが「緊張形頭痛」、2 番目が「片頭痛」、3 番目が「群発頭痛」です。頭痛は数字で表すよ
うな基準やまた人と比べることができません。本人の訴えにより判断していくわけですが、
心配で病院に行くような症状を訴える人の殆どは片頭痛といわれるものです。緊張形頭痛
は症状が軽かったり、なんとなく原因が思い当たり緊急性も感じないので病院へ行く人は
少ないのです。また群発頭痛は突然起こり、症状もひどく恐怖感に悩む人も多く、殆どの
人が病院へ行くのですが数が少なく 1 万人に 1 人位とされています。
*
初めて明かされる片頭痛のセカンド医学
*
片頭痛を訴える人の足を調べると約 90 %に足裏の異常があります。その異常とは外反母趾、
指上げ足(浮足)、扁平足などでいずれも重心が踵に片寄り過ぎています。このような足は、
足裏の免震機能が著しく低下し、歩行時に「過剰な衝撃波やねじれ波」が発生して首へ繰
り返されることになるのです。つまり、足裏の異常は重心が踵へ片寄るため、2 つの有害
なストレスを発生させてしまうということなのです。
その 2 つとは、
●重心が踵への片寄ると、(1)足裏のクッション作用が衰え、歩行時に「過剰な衝撃波」が
首へ繰り返され、頚椎のつぶれ、圧迫、微細な疲労骨折を起こす。
●重心が踵への片寄ると、(2)左右異なる歩き方をするため体が揺れ易く、上部に伝わる時
「過剰なねじれ波」となって首を歪ませバランスを悪くする。
首の歪みとは、土台となる足裏や背骨に対し首が前に落ちていたり、逆に後に反っていた
り、また左側や右側へ片寄っていたり、頚椎の生理的湾曲が少なく真っ直ぐ過ぎるため上
下のバランスが悪いなどといった頚椎の特徴や姿勢を言うのです。つまり、首の(前・後)×
(左・右)×(上下)の構造的な歪み(ズレ)を指すのです。
*
片頭痛の根本原因のまとめ
- 309 -
*
片頭痛の原因をまとめると、次の通りです。
● 足裏の異常つまり外反母趾や指上げ足(浮指)、扁平足などがあると重心が踵に片寄り足
裏が不安定になる。
●足裏が不安定になると、それを補うため頚に歪み(ズレ)が起こる。
● その歪んだ首に、歩行時に発生する「過剰な衝撃波やねじれ波」が繰り返されるため、
首が変形する。『首の変形とは、歪み(ズレ)と微細な疲労骨折(圧迫)のことです。』
変形した首は回りの筋肉を緊張させたり、三叉神経や自律神経を刺激し誤作動を起こさせ
るのです。筋肉が緊張して固くなったり神経が誤作動を起こすと血管も圧迫され、血液が
流れにくくなり、脳への酸素や血液が不足します。酸素や血液が不足すると、これを回復
させる為に血管が拡張され、このとき心臓の脈拍にあわせたズキン、ズキン、あるいはガ
ンガンというような痛みが生じ、これを感じる人が半数近くいるのです。
*
片頭痛の症状とは
*
片頭痛は首の変形が原因ですから症状も当然、首か凝る、首がだるい、首の動きが悪い、
手がしびれる、肩こり、めまいなどの違和感が以前からあります。そして、首を動かした
時、また次の動作に移った時、力仕事や日常生活などのわずかな動きでもズキン、ズキン、
ガンガンしてきます。ズキン、ズキン、ガンガンはなくても吐き気がしたり、時に吐いて
しまったり、あるいは光や音にも敏感になりイライラしたりします。
治療法が間違っていると多くの場合、三叉神経の異常や自律神経失調症を伴い日常生活に
支障をきたすようになってきます。
片頭痛は片側ばかりでなく両側に起こったりもします。またズキン、ズキン、ガンガンと
いったはっきりとした症状を訴える人は半数近くになります。疲労で首に負担が加わった
り、歪んだ時に強く出て、逆に首の安静度が上廻っている時は頭痛は殆どなく普通の生活
が送れるという特徴があります。
*
- 310 -
頭痛には悪い足による悪い歩き方が隠れている
*
このように悪い足となる外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足など足裏の異常があると、足
裏が不安定になり、重心が踵の方へ移動して歩き方も悪くなってしまうのです。そして、
悪い歩き方は時間経過に伴い、首に過剰な衝撃波やねじれ波という有害なストレスを歪み
の多い首へ繰り返し伝えてしまうため、何倍もの負担を加え続けることになるのです。次
第に変形(歪みや微細な疲労骨折)を起こして頭痛を発症させてしまうのです。
ですから足裏のバランスを整えて、重力の上に効率よく立ち、そして正しい歩行をするこ
とが重要なのです。
*
人間にも免震構造設計が必要
*
今まで頭痛に対し、人間の土台となる足裏から原因を追究するという考え方がなかった為、
解明できなかったのです。人間も建築物も力学的には同じ構造体なのです。異なる点は『歩
く』という動作が加わるだけなのです。 人間の体も足裏のバランスを整えることが「基礎
工事」であり、それがしっかりしてこそ免震、あるいは耐震構造設計が万全になるのです。
もしこの基礎工事に欠陥があると、家やビルなどの建築物は耐震構造設計ミスということ
で逮捕されますが、人間は逮捕されない変わりに頭痛や肩こり、めまい、自律神経失調症、
腰痛、ひざ痛などを起こして一生苦しむことになるのです。
*
頭痛、肩こりに対する治療の 3 原則
*
頭痛、肩凝りの治療と予防には『治療の三原則』。この法則に従うことです。
1. 足裏から全身及び首の構造学的バランスを整えて、自然治癒力を発揮させる。
2. 足裏に免震処置をした上で全身の血行促進を図り、自然治癒力を発揮させる。
3. 首に繰り返される負担度より安静度が上回る補強(コルセット)をして、自然治癒力を
発揮させる。
- 311 -
これが自然界の法則なのです。治療は対処的な事を出発点とするのではなく、原因を追求
することを出発点とすることが重要です。治療法も自然界の法則に従うことは、結果的に
根本療法となり治癒への最短距離となるのです。
*
具体的な対処法
*
A. 足裏と首筋の付け根を低周波で刺激、ほぐします。足裏を刺激する目的は、外反母趾、
指上げ足、扁平足などの悪い歩き方により足底筋群が疲労して固くなっているため、これ
をほぐします。もう一つは足裏への刺激により足底反射(原始反射)つまり踏ん張る力をつ
けるためです。
B. 次に専用マッサージ器(足裏天国)で足裏から首のマッサージを行い、血行促進と共に疲
労を回復させ、次に行う整体が効果的かつ安全に行われるよう全身の筋肉をほぐします。
C. 足裏から全身のバランスを整える「足裏バランス整体」を行う。具体的に説明すると、
足のリスフラン関節亜脱臼の整復、骨盤の歪みや猫背の調整、頚椎への安全整体です。
D. 整体の後にはその効果を持続させる為、足裏のバランスをテーピングで整えておきます。
(足裏バランステーピング法)テーピングを外した後やテーピングができない場合はテー
ピングの代わりとなる 3 本指タイプの専用テーピング靴下を履きます。
足裏のバランスを整えると、重力の上に効率よく立つことができるため自然と正しい歩行
が促され全身のバランスが整うのです。また、靴の中には人工筋肉素材の免震インソール
を入れるか専用の免震シューズを履き、足裏へ基礎工事となる免震構造設計を施します。
E. 症状がひどい場合は首の専用コルセットを使用します。これは、頭の重さと地面からの
突き上げが歩く度に首で激突を繰り返さないよう補強、つっかえ棒の役割をさせ、首の安
静度を高めて自然治癒力を発揮させるものです。
*
- 312 -
*
以上、極力、原文のまま、掲載しました。
結局、足の異常が頸椎に問題を起こして、歩行の度に、三叉神経末梢を刺激して、これ
が、脳過敏に影響を及ぼすという考えは、確かに納得できるかもしれません。
ただ、片頭痛の原因の殆どが、これで占められるということは言い過ぎではないでしょ
うか?
ごく一部の片頭痛の方の原因となりうるかもしれません。
*
*
このような理由から、足ツボ(つぼ)マッサージが、片頭痛に効果的とされています。
詳しくは、片頭痛・足もみ」で検索されれば、その詳細が説明されています。
*
ここでは、片頭痛の原因としての可能性として「足病変」を提示するのが目的ですので
・・・・
片頭痛の分類・・・あくまでも私見です 2011/11/06
これまでの、いろいろな報告から、以下のような「片頭痛の分類」を試みました。
あくまでも、仮説に基づいたものです。
*
1.先天的なもの
*
これは、生まれつき「セロトニン神経」の機能が悪いものです。
*
2.頸椎X線所見上で、異常所見のないもの
*
(1)生活習慣上に問題があるもの
*
不規則な生活習慣、睡眠時間のとり方に問題がある場合です。
- 313 -
*
(2)ストレスが関与している場合
*
肉体的・精神的ストレスを含めたものです。
*
※
これらは、「セロトニン不足」が関与しているものです。
*
3.頸椎X線所見上で、異常所見があるもの
*
(1)体の歪みに由来するもの・・姿勢等に関連したものです。
*
(2)歯のかみ合わせが悪いことに由来するもの。
*
(3)足に問題がある場合・・外反母趾、浮き足、扁平足等です。
*
(4)「セロトニンの枯渇」に由来するものです。
*
セロトニン不足を来す生活習慣が、慢性的に存在する場合です。
*
*
これまで、「片頭痛と頸椎の所見の関係」については、殆ど関係ないと考えられ、大和田
潔先生は、その著書の中で、全く関係ないと断言されておられますが・・・
私は、頸椎の所見の有無を、一番に問題に考えております。
*
以前の記事でも述べましたが、これに、血中および脳内「セロトニン」の定量測定が可
能となれば、片頭痛の原因の「診断」がさらに、容易になると考えます。
現段階では、「ボツリヌス毒素」を試験的に、注射して、その反応性を確認して、「セロ
トニン不足」との関係をみる方法が、近道のように思えますが・・
これは、あくまでも推測の域をでません。
*
- 314 -
*
このような考え方は、現在「頭痛専門医」の方々は、全く否定的で、これを、現在の主
治医に求めることは、到底不可能です。
ですから、現段階では、頸椎レントゲン検査を少なくともしてもらって、頸椎の湾曲の
状態を調べてもらうしかないと考えます。
これを基に、自分の「片頭痛」について、ひとつずつ自分で「検証」するしか、「片頭痛
を治す」手段はないと考えております。
片頭痛の原因を見つけるために 2011/11/07
前回は、片頭痛の原因に関する分類を行いました。
この原因を見つけてくれるのは、現在は、あなたの「主治医」には到底不可能と考えま
す。と言いますのは、医療機関に初めて受診する場合の注意点として、「あなたの頭痛の状
態を、正確に伝える」という項目が、必ずネット上、記されております。
これを基に、医療機関に受診された時点で、いろいろ問診されます。あらかじめ、診察
前に、「問診表」に記入を求められる施設も多いかと存じます。
これらの、問診にしても、問診表にしても、短時間で「片頭痛の診断」にまで持って行
こうとする意図で行われているに過ぎません。
ということは、「あなたの片頭痛の原因が何か」ということには、直結していません。
結局、診察医は「国際頭痛分類 第2版」の基準に適合するかを確認して、「片頭痛」の診
断を行っているに過ぎません。このような、診断過程で、たった5分前後で、行えるのか、
という疑問をいつも、私は、持っております。
頭痛専門医の中には、1日 300 人前後診察されておられる方が、おられるようです。単
純に計算しても、24 時間フルに診察しても、1人当たりの診察時間は、5分以下という計
算になります。このような診察時間内で、どのような「診療」がなされているのでしょう
か?
ここが、私にとっての最大の疑問点です。
私も、これまで過去 40 年間、片頭痛患者さんを診せて頂きました。私の経験では、5
分以下の「診察時間」では、到底十分な説明は不可能と認識しております。
- 315 -
片頭痛の原因追及までには至らないという理由を、今回は述べさせて頂きます。
*
それは、片頭痛を起こして来た背景に関する「問診」項目が欠落している点です。
片頭痛の診断に関する「問診」あるいは「問診表」で、ある意味では、診断可能でしょ
う。これは否定しません。しかし、あなたの「片頭痛の原因」を探ることにはなっていま
せん。そういう私自身も、このような点までは、次の患者さんの「待ち時間」を考慮して
省いてしまうことが日常茶飯事のことでした。ときに、時間的な余裕のある場合に、お聞
きすることもありますが、決まって、患者さん自身は、お答え下さいません。
このような状況にありますので、「初診時」には確認できない項目で、ここに「片頭痛の
原因」を探る方法論に、ある意味で「難しさ」を感じております。
*
私が、片頭痛の原因を探るための方法として考えていることは以下の点です。
*
それは、18 歳以降に、片頭痛を発症された方に関しての「確認事項」です。
片頭痛を発症する前の、数年間の間に「ライフスタイル」が変わっていなかったか、と
いうことです。このような生活様式の「変化」を初診時に「お聞きしても」即座にお答え
される方は、ほとんどいらっいません。しかし、ここを「省いてしまえば」あなたの「片
頭痛の原因」を探る糸口は途絶えてしまいます。
もともと生まれつきのものであるという「先入観念」に捕らわれる限り、原因の探索の
道は閉ざされてしまいます。
*
以上のような、「診療場面」を考慮して、皆さんにお願いしたいことがあります。
*
それは、あなたの片頭痛が発症する前の、数年以内に、「ライフスタイル(生活様式)」
に変化はなかったかを、思い出して、もしあれば、どのようなことがあり、それが現在で
も続いているかどうかということです。
これが、明らかになれば、原因探索の道が開けると考えます。
これは、私自身の「片頭痛改善」を考えた上で、お勧め致します。
- 316 -
脳過敏症候群の原因は、鎮痛薬だけが原因なのか??? 2011/11/09
片頭痛の治療に関して、東京女子医科大学の清水俊彦先生は以下のように述べておられま
す。
「小児期から、特有の過敏性を示す小児片頭痛の患者に対して、必要以上の過敏性を脳
にあたえないよう、生活指導や片頭痛予防薬もしくは頓挫薬を含めた服薬指導を適切に行
うことが何よりも重要です。しかしながら、片頭痛との適切な診断を受けるに至るまでに、
すでに数年~十数年もの年月を経ているような際には、痛みの水面下ですでに慢性化して
いると想定される脳感作の結果生じた脳過敏を、バルプロ酸ナトリウムやトピラマートな
ど片頭痛予防効果の確認されている抗てんかん薬を数カ月、服用し、取り払うことにより、
その頻度や程度を減少させ、トリプタン製剤の効果を最大限かつ確実なものとすることが、
将来の薬物乱用頭痛や脳過敏症候群への進展を阻止する最良の治療選択であるといえます。
しかしこのような治療方針をとりつつ治療しても、なおも元来の片頭痛発作の頻度や程度
に改善が得られず、またトリプタン製剤の十分な効果が得られないような、難治性の症例
に遭遇することもしばしばあり、このような際には、脳感作が築かれた状態以外に、増悪
因子が関与していることを考えなくてはならず、この場合、副鼻腔炎、甲状腺疾患、帯状
疱疹ウイルスの再活性化、早朝高血圧の存在を考慮すべき」と述べておられます。
また、獨協医科大学の渡邊由佳先生は、片頭痛の慢性化には心理的要因の関与が考えら
れており、気質性格調査における損害回避はセロトニンと相関があるとされ、片頭痛患者
は特徴的な気質性格があることが示唆され、損害回避は、慢性片頭痛や薬剤乱用頭痛でよ
り高くなる特徴がみられ、慢性化のリスクになると述べています。
このような慢性化・難治症例となる原因が、果たして、不適切な、トリプタン製剤以外
の「鎮痛薬」での対応だけに、あるのか甚だ疑問に思われます。
これらの慢性化に関与すると思われるのは、頸椎X線所見に異常を認める症例に多く出
現してくるのではないかと推測されます。
これら頸椎X線所見で異常をきたす原因としては、現段階では、「体の歪み」「歯のかみ
合わせの悪さ」「足病変」 「セロトニン枯渇状態」 が推定されます。
これらを、是正しない限り、絶えず「三叉神経末梢」が刺激され続け、これが「脳過敏」
を助長させているものと思われます。
- 317 -
ところが、これまで「頭痛専門医」の間では、この頸椎X線所見の異常は殆ど問題にさ
れておりませんでした。秋葉原駅クリニックの大和田潔先生の考えを引用します。
「重たい人間の頭を支えるため、首の骨は生理的なカーブ(湾曲と呼ぶ)を持っています。
ところがこの大切なカーブが無くなってしまい、まっすぐな首の骨の上に重たい頭が乗っ
かっている人がいます。このような状態をストレートネックといいます。ストレートネッ
クやなで肩は頭痛の原因といわれますが、私は、あまり頭痛とは関係ないと考えています。
私がお会いした方々は、もっぱら変容性片頭痛の治療をすることで、痛みから解放され
たり、体操で改善した方々が殆どだったからです。もし、なで肩やストレートネックとい
った骨格的な問題が本質であるなら、骨格に手を入れる手術をしない限りよくならないは
ずです。」
以上が、「頭痛専門医」の共通した考えのようで、片頭痛と「ストレートネック」の関係
を論ずる先生は、ほとんどおられません。
ただ、カイロプラクターは、最も重要視され、ここに大きな見解の差があります。
私の経験では、片頭痛の方々に「ストレートネック」を示す頻度がかなり多いという印
象をもっておりますが、問題は、これが何の原因で起きているかの断定の難しさがあるよ
うに感じています。
今後、慢性化・難治症例の中に、どの程度の頻度で「ストレートネック」が存在し、こ
れをどのように考えるかがポイントだろうと考えます。
第 39 回 日本頭痛学会総会の案内が来ました 2011/11/10
本年度は、第 39 回 日本頭痛学会で、埼玉の大宮ソニックシテイで、平成 23 年 11 月 25 日
から 26 日まで開催されます。そのプログラム・抄録集が送付されました。
*
その「会長講演」として、埼玉医科大学の荒木信夫教授が「片頭痛と自律神経」を発表
されます。その予稿集をみて、極めてがっかりしました。それは、「片頭痛発作時に伴う自
律神経異常」に関して、述べられているに過ぎないからです。
片頭痛発作時に、諸々の「自律神経異常」が出現することは、「頭痛専門医」でなくても
- 318 -
「一般臨床医」が痛いほど思い知らされている所見で、今更、このようなことを明らかに
することではないと考えます。このような病態は、何の意味があるのでしょうか?
*
このようなことではなく、これまで「片頭痛が生まれつきのもので」その発作の誘因と
して「気象」が関係していることは、一部の患者さんには否定できません。これを「気象
病」と捕らえて「自律神経の機能異常」と考えている方々もいます。決して、生まれつき
の「現象」ではないということです。
さらに、セロトニンの枯渇状態も、「自律神経異常」と関係があると指摘されています。
そして、頸部・後頭部の筋肉に負担を及ぼす病態が持続することによる「自律神経系に
及ぼす」影響も多々、報告されています。
*
このような点を、何ら踏まえることなく、発作時の「自律神経異常」を論ずること自体
何か、何を考えているのかと、不思議な感覚を持った次第です。
もっと、片頭痛の病態は、複雑怪奇なものであるはずです。このような単純な「見解」
で「臨床研究」が行われている限り、何時になっても、「片頭痛解明」には程遠い世界のよ
うに思えてなりません。
もっと、「片頭痛と自律神経」の関係を、「会長講演」とする以上、もっと、片頭痛の病
態そのものを総括的に論ずるべきと考えた次第です。
*
今回の学会でも、ネット社会で「頭痛専門医」による「頭痛外来」に対する批判に対す
る反論は、抄録集を点検する限り、何もありませんでした。
「頭痛専門医」の方々は、「国際頭痛分類 第2版」の「片頭痛の診断基準」を死守する
ことによって、「片頭痛は治らない」という姿勢を守るというのでしょうか?
もっとラジカルに、片頭痛の本質に迫る「頭痛研究者」が出現することを期待します。
日本頭痛学会の「枠」に嵌った考えで、物をみてる限りは何の解決方法はないと思いま
す。
*
これまで、片頭痛の患者さんが、7割の方々は「医療機関には受診されない」と報告さ
れています。このような受診されない方々に、「医療機関に受診を促す」ように啓蒙されま
す。私の診療する和歌山県田辺市では、このような「片頭痛患者さん」が医療機関を、例
- 319 -
え仮に受診されても、大半は悲惨な思いをされておられる事実も認識しなくてはなりませ
ん。基幹病院の脳神経外科の対応に疑問を感じています。このような状況にある「頭痛専
門医不在」の地域に対する「日本頭痛学会」の対応に期待するところです。
すべての原点は、解剖学的所見によるべきです 2011/11/11
まず、北里大学時代の坂井文彦教授は、第 49 回 日本神経学会総会(2008 年)の会長講演
で「患者さんから学んだ片頭学」で、以下のように述べておられます。
*
.片頭痛の痛みは通常,脳幹の三叉神経尾側核で痛み調節系によりコントロールされるが,
ここでの調節系が作動せず.痛み抑制神経が逆に痛みを賦活する現象が生ずる.三叉神経
尾側核が痛みに過敏な状態となり,この刺激が trigeminocervicalconvergence を介して逆行
性に伝わり後頭部に筋硬結,圧痛部位をつくると考えられる。
*
そこで、問題となる、脳幹の三叉神経尾側核の解剖学的所見です。
*
これに関しては、樋口脳神経クリニックの樋口先生は以下のように記述されています。
*
「三叉神経脊髄路核尾側亜核」とは三叉神経脊髄路核の最下部にあり、上位頚髄と連続的に移
行します。この亜核は、頭部(三叉神経支配)および上位頚部(Cl-C2 頚神経支配)における侵
害受容器性求心性線維(痛覚と温冷覚)の中継核として機能することで、頭痛と密接に関わる
重要な中継核です。
三叉神経脊髄路核は脳幹部の橋から下行し延髄を経て上位頚髄(C1-C2)に至ります。三叉
神経脊髄路核の下部である尾側亜核(subnucleus caudalis)と頚髄背側の灰白質(後角)には形
態学的・組織学的に差異はなく、連続的に移行しています。さらに尾側亜核と頚髄後角は生理
学的にも類似しており、解剖学的にも機能的にも相互にオーバーラップしながら密接に関わ
- 320 -
って、脳幹から脊髄に至る連続した柱状の灰白質(灰白柱)を形成します。一方、上位頚神経
(Cl-C2)の求心性線維終末も脊髄レベルだけでなく上方の脳幹部にも広がっていることか
ら、「三叉神経脊髄路核尾側亜核」は頚髄後角が延髄に伸びたものとも解釈できます。このよ
うに「三叉神経脊髄路核尾側亜核」内には三叉神経からの求心性線維と上位頚神経からの求
心性線維の終末が存在し、さらには中間神経(外耳道と耳の後方部の感覚:広義の顔面神経)、
舌咽神経(舌の後 1/3・咽頭部・鼓室の感覚)、迷走神経(外耳道の下部と後部・耳介後部の耳と
乳様突起の間の部分の感覚)の各求心性終末も存在します。
*
また、以前も記事に致しましたが、北海道の北見公一先生は以下のように述べています。
*
慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候群が多く合
併することを見出しました。また片頭痛に限らず,頭痛が慢性化する場合に中枢性痛覚過
敏(central sensitization, CS)という現象が関係していることが知られています。これは
末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多く中枢に伝わると,次第に痛みの閾値が低下し,
わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが出現することを言います。CS になるとわずかな圧
迫や熱・冷感を痛みとして感じるようになります。
*
首や肩の筋肉からの侵害刺激情報が出つづけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄
路核,さらに三叉神経主知覚核のニューロンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢
性の痛みへとつながるとされます。筋緊張の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(す
なわちセロトニンの枯渇など)が末梢の機構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織
内へのアセチルコリンの放出を増加させたりすると考えられます。そして当初の出来事が
治まったあとも CS が継続し,結果的に緊張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序
はむしろ片頭痛の慢性化によく当てはまります。すなわち中枢神経系の可塑的変化という
ものが,睡眠障害によりもたらさるものであり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張がもたら
され,CS を来すと考えられるのです。
*
*
このように考察を加えていきますと、決して、「片頭痛の引き金」になるものは、生まれ
つきの「脳の過敏性」からくる、光・臭い・音が誘因となって、後頭葉・側頭葉が刺激さ
- 321 -
れて起きてくることは、当然あり得ることです。しかし、これだけではないことを認識し
なくてはなりません。
*
先程述べましたように、解剖学的に、三叉神経の尾側核は、頸髄の神経回路とも連絡し
ています。この点から、頸椎X線所見で異常を認める方々が、頸部筋肉群に影響を及ぼし
て、三叉神経尾側核に繋がって、絶えず刺激を送っていることは明確です。
*
このように、考えますと、「体の歪み」「歯のかみ合わせの悪さ」「足の問題」「セロトニ
ン枯渇状態」の先天的要素以外の関与は否定できないと考えます。
*
以上、解剖学的所見という「原点」に立ち返り、再検討すべきと考えます。
*
再度、樋口脳神経クリニックの樋口先生は、以下のように述べておられます。
これは、いろいろな意味で示唆的ですので、引用させて頂きます。
*
長期経過した片頭痛における脳過敏症候群
*
片頭痛の病態生理は三叉神経血管説で説明されていますが、近年の研究により、その本体
は脳過敏(興奮性)であることが示唆されています。すなわち片頭痛の体質を有する人は、
光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性が増大し、これがある限度を超
えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、脳内視覚野である後頭葉、聴覚
中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報告されています。最近、片頭痛
患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠いた状態が長期間放置されて発
症する経年的な症状を「脳過敏症候群(Cephalic Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が
提言されています。その主な症状は、生活に支障を来たすようなめまい、不眠、不安感、
連日の頭重感です。片頭痛の既往を持つ患者さんがこのような症状を訴える場合は、過去
において片頭痛に適切な対処を欠いた結果である可能性があります。
[出展:清水・平田:慢性頭痛の新しい概念:脳過敏症候群:2010 年日本頭痛学会総会抄
録集より一部改変]
*
- 322 -
上記に対する反論記事の要約(匿名だが信頼できる医師・医学者と拝察します)
脳過敏性症候群についての疑問
片頭痛の治療に限界を感じているのは一般の頭痛専門医はみな同じだと思います。 現在の
トリプタンだけでは患者さんの満足度は上がりません。それに代わる治療も現在は存在し
ない訳です。そのひとつの方法論として挙げておられるのでしょが、学会での話は納得で
きるものではなく、説得力がありませんでした。脳の過敏性を示すとされる根拠が極めて
希薄であります。 片頭痛の人の一部は幼い時から腹痛や嘔吐,めまいなどがあり(小児周
期性症候群),大人になってもめまいが多かったり車酔いしやすかったりすることは言われ
ていますが,それを言い換えただけで全く新しい考えではありません.対照コントロール
との比較を行って初めて言うべきだと個人的には思います.発表した先生は脳波の振幅を
みて鋭いから過敏性があると研究会で言ってましたが,疑問です.光過敏にしてもそれが
脳過敏を表しめまいなどが多いという報告はあるのでしょうか?
データがそろっていな
いので,提唱(medical hypothesis:仮説の提案)ぐらいにしておけばいいとは思うのですが,
メディアで流れると多くの誤解を生むと思います。
(院長コメント:現時点では微妙な問題です。仮に一部には該当するケースが存在しても、
一連の片頭痛の経過を「脳過敏症候群」という新しい病名に組み入れる発想には同意でき
ません。片頭痛患者の脳に過敏性[疼痛の受け入れやすさ]が存在することは周知の事実の
ようですが、「○○症候群」という命名は性急に過ぎたと思います。ただし今後、脳波など
のデータによっては、コンセンサスを得られる可能性のある魅力的なトピックスでもあり
ます)
*
皆さんは、どのように考えられますか?
いつもアクセスして頂き、感謝致しております 2011/11/13
本日は、息抜きです。
先月の 10 月 12 日には、アクセス数は、当ブログに何故か、5,000 件に上りましたが、
- 323 -
以後、再度徐々に減少し、最近では、毎日平均、200 名前後の方々にアクセスして頂いて
おります。
ただ、どのような方々にアクセスして頂いているのかが、よく分かりません。
少なくとも、医師の方がアクセスされておられれば、私のような「主張」は決して容認
できない記事ばかりです。取るに足らないと思って、何もコメントを頂けないのでしょう
か。個人的には、メールは頂くのですが、これでは、私の「ブログ」の趣旨に反するもの
です。誰もが、私の記事に反論されるような「ある意味では挑発的な表現」はありました。
この点は多々、反省しております。当ブログを立ち上げた際は「頭痛コミュニテイサイト」
と銘打って、一般臨床医と「頭痛でお悩みの方々」と「頭痛専門医」との3者の議論の場
と考えて立ち上げました。
しかし、毎日、200 人前後の方々にアクセスして頂く割には、議論を求められる方が殆
どいらしゃいません。私は、「頭痛でお悩みの方」が私のブログをご覧になられて何も感想
がないということはないと考えております。
虚心坦懐に、自分の「疑問」をコメントとして、投稿して頂きたくお願いする次第です。
*
このような作業を抜きにして、「片頭痛克服」の道はあり得ないと考えております。
このようなことを省略されると、とんでもない結末を迎えるのではないかと危惧するた
めに、提言させて頂く次第です。
*
ネット上で、片頭痛が分かっていると自負される医師の記述をみますと、大半はお粗末
なものばかりです。全て、上からの目線で処理されています。このような記事で納得され
ておられるのでしょうか?
神懸かりの「病気」では決してありません。
このような医師は「片頭痛の本態」が全く理解できていない「輩」です。
*
とにかく、自分で「疑問」「不安」に思われている点は、突き詰めて、「質問を繰り返し
て」解決されることが、片頭痛克服のための近道ではないでしょうか?
当面の「痛みの軽減」だけが全てではありません。
片頭痛の発作そのものを、無くしてしまうことが、「医療の本質」ではないでしょうか?
*
本日は、堅苦しい議論ぬきの、息抜きの記事とさせて頂きました。
- 324 -
*
来週は、もっと面白いというか、身近な記事を掲載の予定です。
片頭痛と胸鎖乳突筋
2011/11/13
今回は、
「頭痛専門医」の間で、全く無視されている「ストレートネック」についてですが、
前回と同様、私は、重要視しております。とくに、後天的な要因が示唆される、片頭痛の
方は、これを認識しませんと、後ほど痛い目に遭わされかねません。
*
ストレートネックの方で、片頭痛のある方は、単なる偶然の所見とは考えられません。
ストレートネックを呈しておられる方は、常に頭の重さは周囲の椎間板や筋肉や神経に過
剰なストレスを与え続けていますので、 そういった期間が長期間続いてくると、頸椎に歪
みがあるので、胸鎖乳突筋や肩甲挙筋に影響します。
*
この点を整体師やカイロプラクターが「注目」している点です。
*
このため、ある整体師のコメントを、提示致します。
*
整体をしていて気付いたのは、偏頭痛持ちの人の共通点として、胸鎖乳突筋とうなじの筋
肉の左右のバランスが悪いということです。そして、これらの筋肉の凝りが酷い方に偏頭
痛が発生するようです。
そこで、これらの筋肉をほぐせば、偏頭痛を防止できるのではないかと思います。
胸鎖乳突筋のほぐし方のコツ
胸鎖乳突筋は、耳の後から首の前へと斜めに繋がっている筋肉です。この筋肉の裏には
リンパ腺が走っていて、下方向に流れています。胸鎖乳突筋をほぐすことでこのリンパの
- 325 -
流れが良くなるので頭がすっきりします。
具体的には、この筋肉を指で軽くつまんで下方向へ引っ張る感じでマッサージします。
5 分ほどで良いと思います。
うなじの筋肉のほぐし方のコツ
首の骨の側面が縦方向に凝っていると思います。また、頭と首の境目が特に凝っている
と思います。
首の骨の側面は、指で押圧すればそのうち楽になると思いますが、頭と首の境目は痛い
ので、余計に悪くなるような気がします。
もしできるなら、他の人に首を斜めに軽く引っ張ってもらうと良いでしょう。引っ張っ
てもらうコツは、ゆっくりと筋肉を伸ばすようにして、勢いは絶対につけないようにして
ください。
頭痛の治療は日本橋整体院が最も得意とする症状の一つです。
ひとくちに頭痛と言ってもさまざまな頭痛があります。
後頭部の頭痛、こめかみの頭痛、目の周りの頭痛、偏頭痛(片頭痛)、頭全体の頭痛・・・。
後頭部の頭痛に対しては頚椎1番、2番の調整が必要です。
アゴの後ろにも頚椎1番の圧痛が出ることが多いので
アゴの圧痛も処理します。頚椎2番は首の後ろだけではなく、
首の横や前にも圧痛が出ます。これも PRT で処理します
必要であれば頭蓋骨の調整もします。
- 326 -
肩こりから頭痛になる場合も多く、その場合は首と頭を乗せている
土台の肩の歪みを正すのが先決です。土台の歪みが消えれば
その上に立っている建物(首と頭)もしっかりとしてきます。
具体的には胸と腕の筋肉の緊張を弛めます。
こめかみの頭痛、目の周りの頭痛は耳の後ろから鎖骨にかけて首を
ななめに横切る筋肉(胸鎖乳突筋)が関与していることが多く
目の奥に痛みや熱感、重さ、目がかすむ、などの症状を訴える方が多いようです。
目の奥の痛みはお問い合わせも多く日本橋整体院が最も得意とする症状の一つです。
これは胸鎖乳突筋のトリガーポイントによるものと
頚椎が関与しているもの、両者が混在しているものとがあります。
胸鎖乳突筋のトリガー・ポイントを不活性化させ頚椎2番の調整をすればすぐに解消しま
す。
実際、一回でこんなに楽になるとは思わなかった・・・
とおっしゃる方も大勢いらっしゃいます。
*
以上です。
*
- 327 -
さらに、足つぼ・整体「ゆめとわ」の記事を掲載させて頂きます。
*
両方の奥歯でよく噛むことの大切さ
*
私が子供の頃は硬い食べ物が多かったせいか、朝・晩の食事時は母親が、給食の時間は
小学校の先生が、必ず「よく噛んで食べなさい」
「一口30回は噛みなさい」などと言って、
噛むことを面倒だと思う子供たちをさとしていたものです。
しかし、この30年くらいで私たちの食生活は大きく変化し、食べ物は柔らかさを競う
ような傾向になり、グルメ嗜好から大人も子供も柔らかい食べ物を好むようになりました。
そして時間の節約と噛む労力の節約という目的で、“飲む朝食”のような栄養飲料まで登場
しています。
*
噛む筋肉の変調がもたらす体への主な影響(整体的な観点から)
①噛むことや顎関節の調子がおかしくなる
②体がねじれる、偏頭痛をもたらす
③体に力が入らなくなる、体が重く感じる
④顔の歪み、頬のたるみや、目の調子の変調など
*
「顎関節症」「痛くて噛めない」「口を開くと痛い」「顎が歪んでいる」「噛み合わせが悪
い」などなど、顎関節に関係するトラブルを抱えた人がしばしばやって来られます。
歯や歯茎などに問題がないのにこうしたトラブルを訴える人の多くは顔(頭蓋骨)が歪
んでいるからですが、それは体の歪みが顔にまで及んでいる場合がほとんどです。そして、
このような方々のほとんどが、どちらか一方の、あるいは両方の噛む筋肉がゆるんでいま
す。
整体師として仕事をしていてつくづく思うことは、“噛む筋肉からお腹の筋肉までは本当
に大切だ”ということです。このラインがしっかりしていないと全身がしっかりしてきま
せん。
誰もが重い荷物などを持ち上げたりするような、強い力を使うときには必ず歯を食いし
ばります。歯を食いしばるという行為は、噛む筋肉を収縮させる、ということです。まず
噛む筋肉に力をいれておいて、それから腕や腰や足の筋肉に力を入れるようになっていま
- 328 -
す。これが私たち人間をはじめとする脊椎動物の筋肉システムです。
*
噛む筋肉を専門的には“そしゃく筋”といいます。そしゃく筋には外側から触れること
のできる咬筋と側頭筋があります。
目の下の出っ張った頬骨から下顎にかけての筋肉が咬筋です。
こめかみのすぐ後ろから耳たぶの上、そして頭部の側面にある筋肉が側頭筋です。
整体的な観点で申し上げれば、このそしゃく筋がしっかりしていないと全身の筋肉がゆ
るんでしまいます。ここで云う筋肉が“ゆるむ”ということは“柔らかい”ということと
は違います。ヨーガやストレッチなどの運動において筋肉がゆるむということは善いこと
として受け取られますが、ここで云う“ゆるむ”という意味は、筋肉が“うまく働いてい
ない”、“ハリを保てていない”といった悪い意味です。
血液やリンパの循環で考えると、動脈は主に心臓の力によって巡りますが、静脈やリン
パは筋肉の働きによって巡ります。ですから、筋肉がゆるんでしまうと静脈やリンパが循
環不良を起こすということになります。静脈の循環が悪ければ、当然動脈の循環も悪くな
りなりますので、むくみや冷えといった不調を招くことにつながります。
*
①噛むことや顎関節の調子がおかしくなる
“硬いものを噛むと顎が痛くなる”というのは、咬筋や側頭筋などそしゃく筋の筋力が
弱く、強く噛むことができないため、硬いものを噛んだりするとき他の筋肉や顎関節に余
計な負担がかかるからだと考えられます。
現実に、一週間ほどガムを噛むことによってそしゃく筋を鍛えてもらったところ、すっ
かり症状が消えてしまった方がいました。
“口を開くと痛む”、“口を大きく開けることができない”というのは、顎関節にズレが
あるなど問題があるからです。顎関節は下顎と耳のある側頭骨との関節ですが、そしゃく
筋が直接的に影響を及ぼすこととしては、左側あるいは右側の一方でばかり噛んでいる“
片噛み癖”によるものがあります。単純な例では、よく噛んでいる方に下顎が引き寄せら
れます。するとそれだけで顎関節はズレを起こした状態になりますので、噛み合わせもお
かしくなったり、開口時に違和感や痛みをもたらすことになります。
- 329 -
ただし、実際に顎関節に症状をもった人を見ますと、そしゃく筋が直接関与しているケ
ースよりも、体が捻れていたり、頭蓋骨が歪んだりしている影響が顎関節に及んで症状を
もたらしている場合が多いので、施術では全身の歪みを修正していくことになります。
それでも、全身の歪みの出発点が“片噛み”などそしゃく筋の変調である場合もかなり
あります。
*
②体がねじれる、片頭痛をもたらす
体がねじれだす原因はいくつも候補がありますが、顔の中では目の使い癖と片噛みの癖
がねじれの出発点になりやすい要素です。片噛みの癖では、よく噛んでいる方に体の捻れ
が始まります。例えば右側の歯ばかりで噛んでいると、肋骨の上部が右の方にねじれます。
すると体はそれを修正するようにバストのあたりが左側にねじれます。するとその下が右
の方に、へそあたりを境にして骨盤は左側に‥‥、と複数のねじれが生じます。ですから
片噛みの癖は直さなければなりません。
また、そしゃく筋は側頭骨と鎖骨や胸骨を結ぶ胸鎖乳突筋と連動しますので、噛むこと
が少なく、そしゃく筋がゆるむと胸鎖乳突筋もゆるみます。すると鎖骨や胸骨が下がって
しまいます。そして、その下がってしまった胸に連動するように顔の骨も下がってしまう
場合があります。額の骨も下がるのですが、すると後頭部の骨(後頭骨)は反対に上がり
ますので、骨盤の仙骨部から始まる背中の筋肉(脊柱起立筋群)は張ってしまい額やこめ
かみの筋膜を引っ張ります。それが偏頭痛や頭痛を起こす原因の一つになります。
*
③体に力が入らなくなる、体が重く感じる
強い力を出すときには歯を食いしばる必要があることから、そしゃく筋は全身の筋肉の
司令塔のような役割をしていることになります。噛むことがおろそかになると、そしゃく
筋はゆるんでしまいますので、全身の筋肉もゆるみ気味になります。ここで云う筋肉が“
ゆるむ”というのは、うまく収縮することができない状態だということですから、たとえ
トレーニングなどで筋肉を鍛えていたとしてもその筋力を十分に発揮することができる状
態ではないということです。これは、口をポカンと開けた状態で力を出そうとするのと、
奥歯をカシッと噛みしめて力を出そうとするのと、どちらが力を十分発揮できるか、その
- 330 -
違いだと思っていただければよいと思います。
このようにそしゃく筋がゆるんでいると、持てる力を十分に発揮することができなくな
ります。すると、体を支え、動かす筋肉も十分に働けなくなるので、“体が重たくて‥‥”
という状態になってしまいます。
*
④顔の歪み、頬のたるみや、目の調子の変調など
“頬がたるむ”という状態は、顔の皮膚や筋肉(表情筋)がたるんだ状態になっている
ということもありますが、頬骨そのものも下がった状態になっています。
上記②のなかで顔の骨が下がる理屈はお話ししましたが、そしゃく筋がしっかりしてい
るかどうかは顔にハリを保つ要になると云っても過言ではないと思います。
片噛み癖がある場合、噛んでいる方の頬はシャープになり、噛んでいない方はボワンと
した感じになります。そんな観点でご自分の顔を鏡でご覧になってみてください。いかが
でしょうか?
顔が歪む原因もさまざまですが、そしゃく筋の変調は大きく影響を及ぼします。眼鏡
をかけている人は、鏡で自分の顔をみたときなど、眼鏡が水平でないことがあると思うか
もしれません。それは耳の高さが左右で違うからなのですが、側頭骨の高さが違うという
ことなのです。上記②でそしゃく筋と胸鎖乳突筋は連動していると申し上げましたが、胸
鎖乳突筋は側頭骨に付着している筋肉ですから、そしゃく筋の状態は側頭骨の高さに影響
するという理屈になります。また、咬筋にしても側頭筋にしてもそしゃく筋は側頭骨や頬
骨と下顎骨を結んでいますので、下顎が左右で違うということにもなります。噛み合わせ
にも影響します。
“骨がずれると血流やリンパの流れが悪くなる”というのが、ここでの根本的な考え方
です。顔がむくむというのは、顔の骨格がずれているからです。
話が飛躍しますが、膝から下がむくんでパンパンするというのは、膝関節がおかしいか
らです。痛みを感じるほどではなくとも微妙にずれているので、血流やリンパの流れが停
滞するのです。
ところで、目や耳や鼻といった感覚器官は非常に繊細ですから、血液の流れが少しでも
- 331 -
低下しますと違和感を感じるようになります。顔や頭の骨格がずれていると、これら感覚
器官の能力が落ちてしまいます。
*
●注意したい噛みしめる癖
よく噛まないで食べてしまう癖や片噛みの癖が良くないことは申し上げましたが、もう
一つ“噛みしめる癖”にも注意しなければなりません。自分では自覚していなくとも、何
気ない時に噛みしめる癖を持っている人はけっこうおります。私自身、肩こりの強いお客
さんの揉みほぐし続いて握力が落ちてくると、つい歯を噛みしめて握力が低下するのを防
ごうとしてしまいます。考え事に集中しているとき、ストレスに対抗しているとき、ある
いは台所仕事に集中しているときなど、噛みしめたりしていませんか?
噛みしめることの多い人は、そしゃく筋がこわばっています。咬筋がこわばっていると
口を開くとき違和感や痛みを感じるかもしれません。側頭筋がこわばってしまうと、それ
だけでこめかみは緊張しますので、偏頭痛をおこしたり、頭部を締めつけられるような感
じになったりします。
噛みしめる癖のある人は、咬筋や側頭筋をマッサージしてほぐしてあげてください。
*
ゆめとわでの対応
ゆるんでいたり、こわばっていたりするそしゃく筋を調整することは簡単にできます。
しかし、それは“一度調整すれば済む”というものではありません。日々の食事で両方の
奥歯でしっかりよく噛むことが何より大切です。
そしゃく筋は私たちの体の中で“根本をなす筋肉”であると私は考えています。
昔、ある人の講演で、「病弱でひ弱な時に、玄米の先生が『一口1000回噛んで食べな
さい』というのでそのようにしていると体の内側から力が湧いてきて‥‥」というような
話を聞いたことがあります。その方はそれ以来玄米菜食の道に進み、その世界では有名な
先生になられたようですが、玄米が善いかどうかは別にして、噛むという行為に、私たち
に内在している秘められたエネルギーを引き出す力があるのだと私は思っています。
実際、来られる人たちの顔を触り、そしゃく筋を触ると、ほとんどの人がゆるんでいま
す。これを改善するだけで“大きく変わるのに”と思うことしばしばです。皆さんには顔
や体が歪んでいる状況を説明し、そしてそれをもたらす原因を説明しています。そしてそ
- 332 -
の中で「よく噛んでください」「食事で噛めないなら、ガムでトレーニングしてください」
と申し上げております。
本当によく噛むことは大切なのです。それが実感です。
*
*
このような関連から「食事に際して、よく噛むことの大切さ」が認識されたかと思いま
す。このことは「セロトニン生活」の箇所でも、その重要性が、指摘されています。
*
*
また、胸鎖乳突筋と片頭痛に関しては、現在ネット上、カリスマと称される「片頭痛 大
革命」で有名な「坂戸孝志」の「いわゆるマッサージ方法」の有効性を、ある意味では支
持するものではないかと思いますが、ただ、これが全てではないことを認識すべきです。
ただ、このような方法で改善されておられるようですが・・・
*
*
このようにして、みてきますと、片頭痛を治す方法として、どのような観点から考える
べきでしょうか?
*
現在、「頭痛専門医」は、「何らかの誘発要因」が加わって、「頭の中では”このような現
象が起きています」と説明され、そのために「トリプタン製剤」を使いましょうというこ
とです。これは、あくまでも、発作時の「頭蓋内の変化」にしかすぎません。
*
この「頭蓋内の変化」を引き起こす「何らかの誘発要因」は、光・臭い・音などの「こ
れまで言われて来た、生まれつきの先天的要因」とは限りません。後天的な要因も当然あ
り、この「後天的な要因」を取り除くことにより、これまで生まれつきの先天的要因とさ
れていたものさえも無くなっている人が存在します。
*
このような、事実を無視できない段階にあります。
*
今後とも、いろいろ述べて行きたいと思いますが、明日からは、来年度に向けての作業
- 333 -
頭医者のつぶやき
片頭痛治療
第2部
目次
補足事項
5
片頭痛のセルフケア
5
食生活の見直し
13
片頭痛治療における「水分摂取」の意義
17
セロトニン関連
セロトニンとは?
19
有田秀穂
19
片頭痛とセロトニン
32
片頭痛とストレス
43
実は、私も片頭痛持ちでした
46
病院はカルト宗教の神殿か
53
病院はカルト宗教の神殿か・・はじめに
53
病院はカルト宗教の神殿か・・(2)遺伝
56
病院はカルト宗教の神殿か・・(3)「勉強しなさい」
58
病院はカルト宗教の神殿か・・(4)検査方法
63
-1-
病院はカルト宗教の神殿か・・(5)緊張型頭痛は治るのか 64
病院はカルト宗教の神殿か・・(6)診療ガイドライン 67
病院はカルト宗教の神殿か・・(7)医師
片頭痛の慢性化
69
72
片頭痛の慢性化
72
片頭痛の慢性化についての文献的考察
74
薬物乱用頭痛を防ぐために
90
片頭痛の一般的事項
97
不思議の国のアリス症候群
97
女性と頭痛
112
片頭痛は”片頭痛症候群”か?
118
アロデイニア(異痛症)
121
片頭痛と脳梗塞・・文献的考察
125
片頭痛の病態・・・皮質拡延性抑制に関して
129
-2-
片頭痛治療の考え方
136
片頭痛は本当に治らないのか???
136
「研究者」の考えと「ど素人」の発想の相違
139
片頭痛は”疾病利得”???
142
特定健診保健指導と片頭痛治療
144
片頭痛は、その初期のうちに”芽”を摘む
147
「脳過敏症候群」関連
149
「脳過敏症候群」をめぐる諸問題
149
片頭痛と脳波検査
166
頚性神経筋症候群
171
ストレートネックとの関連を示唆する論説
209
トリプタン製剤関連
214
片頭痛治療はトリプタン製剤がすべてか?
214
最近の「トリプタン製剤メーカー」のMRの動き
217
-3-
現在、開発中の新薬・・・CGRP
220
いよいよ、イミグラン錠の後発品が・・
224
片頭痛薬 - 治らないズッキン、ズキンは薬の禁断症状 228
ストレートネック改善のために
首のこりや片頭痛もすっきり
231
「猫背」の治し方
昨日のテレビから
231
240
患者啓蒙活動のついて
243
日本頭痛協会の設立について
243
日本頭痛協会の設立趣旨(発足のご挨拶)
245
患者啓発活動のあり方・・一般医師の立場から
248
全国慢性頭痛友の会への疑問
251
全国慢性頭痛友の会の活動
252
頭痛診療全般
254
現在の頭痛診療
254
私の頭痛医療との出会い
259
-4-
片頭痛治療
補足事項
片頭痛のセルフケア
人間の睡眠サイクルは3時間といわれています。最初の3時間ぐっすり眠ることができれ
ば、あとはオマケだともいいます。 片頭痛持ちではない人でも、日曜日に10時間も寝れ
ば頭が痛くなることがあるでしょう。
大切なのは、自分に合った睡眠サイクル・時間を知ることです。
そして、最も大切な点は、起床時間と就寝時間を一定にすることです。
また、長時間の昼寝が頭痛を招くこともありますので、長い昼寝も要注意です。昼寝は
30分以内にしておくのが丁度いいのです。 片頭痛持ちの人や、睡眠時間によって頭痛が
起こるという人は、少しの心がけで頭痛が予防されることもあるのです。
以上のようで、睡眠習慣の改善は片頭痛改善につながります。
1.眠る時間と起きる時間を一定にする
2.自分に合った睡眠時間を取る(ふつう成人で6~8時間)
3.週末に夜更かし、寝坊をしない。
4.よく寝られなかったとしても、翌朝寝坊したり、うたた寝をしない。
5.寝付きにくければカフェイン摂取量をチェックする。
6.アルコールの飲みすぎも睡眠を妨げます。
7.定期的な運動は安眠を誘います。ただし夜遅く運動をしないこと。
長時間同じ姿勢は頭痛の引き金となります。毎日毎日、パソコンのディスプレイとにら
めっこ、という人は、 緊張型頭痛・片頭痛になる割合がぐんと上がります。一般的に女性
にやや多く見られる緊張型頭痛・片頭痛ですが、長時間パソコン作業をしていれば、男性
の発症率も高くなります。気づかないうちに何時間も同じ姿勢で座ってしまうことがある
-5-
と思いますが、 40 ~ 50 分ごとに席を立って心身をリフレッシュすることが大切です。
窓から遠くの景色を見たり、3 分程度歩いたりするだけで効果があります。座った状態
でも、頭を回したり、 肩を上げ下げしたりして筋肉をほぐすだけでもずいぶん変わるもの
です。
ふだんパソコンを使う環境も大切で、ディスプレイやキーボードの位置、机や椅子の高
さ、照明の明るさは十分かなど、 こまめに点検してみましょう。からだに合わない環境は
眼精疲労をまねく原因にもなります。
普段の姿勢も重要です。姿勢が悪いと、いろいろな部位に不調があらわれてきます。気
づいていないだけで、からだの癖は いろいろとあるものです。習慣になった姿勢が、肩や
首のこり、腰痛、そして頭痛の原因になっていることもあります。 時には、自分の姿勢を
全身、鏡でチェックしてみてもいいでしょう。
歩き方も健康を大きく左右します。自分に合った歩きやすい靴で、きちんと姿勢よく歩
いていれば、からだの歪みを矯正してくれます。これらは頭痛のためだけでなく、健康や
美容にもいいことなので、実践すべきです。
頭痛がきた時に運動するのはいけませんが、普段なんでもない時に軽い有酸素運動でリ
フレッシュすることは非常に大切です。 ダイエットにも効果があり、健康にもいいと実践
する人が増えているウォーキングは、片頭痛の人にもおすすめの運動です。 加えて「スッ
スッハー」と、腹式呼吸をしながら歩くことで、片頭痛頭痛と関係が深い”セロトニン神
経を鍛える”ことができると 考えられています。緊張型頭痛の人にも、有酸素運動で体を
ほぐすのは有効です。
また、ジムなどで首の筋肉を重点的に鍛えていけば、次第に肩から首にかけてのこりが
解消されるでしょう。とくにスワンネックを示される方には極めて重要です。
このように、頭痛を軽減するために自分でできる対処方法はたくさんあります。なんと
なくいいと思うものを実践しながら自分に合ったものを見つけていきましょう。
ストレスは頭痛の最大の天敵と言えるでしょう。
ですから、このストレスと上手く付き合っていくことが頭痛の予防・軽減につながって
-6-
いくわけです。 ストレスの発散方法は人それぞれで、これをやれば一発でストレス解消、
などという万能薬はありません。 スポーツをしたり、友人と騒いだり、自分の好きなこと
をするのが一番です。 また、患者さん自身が治したい、と思うことはとても重要です。
しかし、必要以上に気負って、何事にも神経質になってしまっては決して頭痛はよくな
りません。 頭痛を軽減するためにはリラックスがポイントです。
絶対に治さなければいけないなどと気負わず、時にはアバウトになることも必要なのです。
セルフケアでなにより大事なことは、自分の頭痛の誘発因子を知り、上手に付き合う、
または回避して いくことです。ストレスが誘発因子だとわかったなら、仕事を分散させて、
ためこまない、マイペースで 仕事のできる環境を作るなどの工夫をしてみましょう。
また、片頭痛の患者さんは、ひと仕事終えてホッとすることが頭痛の引き金になること
もあるので要注意です。 だからといって、1年中緊張しっぱなしではいられません。やは
り、何事もためこまず適当に、という姿勢が大切です。
頭痛持ちの人は、日頃から完璧主義者や神経質になりすぎていないかどうか、振り返っ
てみてください。 どうかあまり自分を追いつめないで、なんとかなるさという気持ちを持
ってみてください。その心がけひとつで人生は楽しくなります。
香りで気分がリラックスするという人は、アロマテラピーがお勧めです。 たとえば、安
眠効果があるといわれるラベンダーの香りは、頭痛にも効果的といわれています。 最近は、
さまざまなアロマオイルが市販されているので、好きな香りを探してみてください。 枕に
数滴たらしたり、アロマポットで焚いてみたり、使い方も工夫してみましょう。 緊張型頭
痛の人は、お風呂にたらしてゆっくりとつかるのもいいでしょう。 片頭痛の人でも、香り
が好きな人はどんどん試して下さい。しかし、においが苦手な人は、かえって発作を誘発
することになるので控えましょう。
また、つぼ押しやマッサージをしてみるのもよいでしょう。つぼ押しは、首や肩のこり
をほぐしたり、肉体的ストレスを解消したりできます。イライラを解消するとされるつぼ
もあるので、気休めにしかならないかもしれませんが、試して みるとよいでしょう。マッ
サージは、最近いろんな種類のマッサージサロンがあるので自分に合ったものを見つける
のもよいですが、やはり自分でやるのが経済的ですし、いつでも、どこでもできるのでよ
いでしょう。その際には、ほぐしたい 場所を一点集中でマッサージするのではなく、全体
-7-
的に広い範囲をマッサージすることを心がけましょう。
全然ストレスを感じないという人はほとんどいないと思います。ですが、このように、
工夫次第でストレスは簡単に解消できるものなので、自分がいいと思うものは実践してい
きましょう。
また生活習慣の中で、強い光・大きい音の刺激を受ける場合もあると思います(=車の
クラクション・まぶし過ぎるほどの日差し)。これらの刺激が原因で、片頭痛を誘発する場
合も多いと言われています。そのような場合(外出時)、赤茶系のサングラスをかけること
が、片頭痛予防効果に繋がります。大きな音に関しては(雑音をさえぎる)、耳栓をするの
も効果的だと思います。
そしてもう1つ…片頭痛には、季節も大きく関係していることをご存知でしたでしょう
か。片頭痛が一番発症しやすい時期…その時期は春~夏にかけてなのです。春~夏=太陽
が照りつける・気温が上昇するとともに、新陳代謝も活発になります。つまり、血管が拡
張する機会も増えてくるわけです。暑さ対策=片頭痛対策ともいえるのです。
春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛持ちがいちばん苦手とす
る季節であることを認識することも大切です。
片頭痛を引き起こす誘因を生活から取り除くようにしましょう
片頭痛の治療の第一歩は片頭痛を引き起こす誘因をできるだけ生活から取り除くことで
す。片頭痛の誘因は人それぞれによって異なりますから、まず自分の頭痛発作がどのよう
な原因で誘発されやすいかを把握することが大切です。誘因をつきとめてそれを改善・排
除することで発作の頻度や程度をかなり軽減することができます。片頭痛の誘因には、過
度のストレス、不規則な生活習慣、気候の変化や刺激の強い環境、アルコールや特定の食
べ物、などがあります。
過度のストレス
-8-
片頭痛を引き起こす誘因として最も大きなものが心身のストレスです。片頭痛は過度の
ストレスがかかって誘発される以外に、ストレスから解放されて心身の緊張状態が和らい
だときにも引き起こされることもわかっています。仕事はあまり無理をして頑張りすぎな
いように注意して、適度な気分転換やリラクゼーションを日常生活に取り入れることが大
切です。
.不規則な生活習慣
生活習慣で最も片頭痛に影響を及ぼしやすいのが睡眠で、睡眠が不足したり、逆に眠り
すぎても片頭痛が引き起こされます。特に、平日の働きすぎの反動で休日に眠りすぎると
片頭痛が起きやすいことが知られていますから、なるべく適度な睡眠を心掛けるようにし
なければなりません。また、少食や不規則な食事による過度の空腹が片頭痛を引き起こす
ことがあるほか、運動不足または運動のしすぎも誘因となることがあります。ときに入浴
によって血管の拡張を招くために片頭痛が引き起こされることもあるので注意が必要です。
.気候の変化や刺激の強い環境
暑さや寒さ、あるいは気圧の変化が片頭痛の誘因となることがわかっています。気候の
移り変わりの時期には体調に配慮するようにして、片頭痛の兆しに注意する必要がありま
す。また、強い光や騒音、強い臭いなどの物理的刺激に加え、人込みや換気の悪い部屋な
どが片頭痛を引き起こすことがありますから、なるべくそのような刺激や環境を避けるよ
うにします。
.アルコール飲料や特定の食べ物
特定の食べ物が片頭痛を引き起こすことが知られていますが、個人差があるため自分の
片頭痛がどのような食べ物によって起こりやすいかを把握しておくことが大切です。特に、
アルコール飲料は血管拡張作用に加えて、アルコール飲料に含まれるヒスタミンが片頭痛
を引き起こしやすいため、注意する必要があります。また、片頭痛を誘発しやすい物質に
-9-
グルタミン酸ナトリウムがありますが、これは人工調味料としてインスタント食品やスナ
ック菓子に添加されていますからなるべく避けた方がよいでしょう。その他に、チーズや
チョコレートなどの食べ物が誘因となることが知られています。
生活習慣を見直す
慢性頭痛の痛みを薬で軽減できたら、次は生活習慣の見直しをしましょう。
頭痛は不規則な生活リズムや食生活、ストレスが原因となって発生している可能性があ
ります。ここでは、これらの原因について詳しく説明をしていきます。
不規則な生活
どうして、不規則な生活をしていると頭痛が起こるのでしょうか?
それは、不規則な生活をしていることで、脳にストレスが溜まり、結果、自律神経の機
能を低下させるからです。
脳の自律神経がうまく機能しなくなると、血管の拡張から片頭痛が起きたり、肩こりな
どの筋肉の緊張から片頭痛・緊張型頭痛が起きるようになります。
このように、脳の自律神経の機能を回復させるためにも、不規則な生活を改善する必要
があるのです。好ましい規則正しい生活とは・・・
• 毎日充分な睡眠を取る
• 食事は 1 日 3 食きちんと取る
• 喫煙は控える
• 暴飲暴食をしないようにする
- 10 -
ちなみに、必要以上に睡眠時間を取ることは好ましくありません。
寝過ぎると頭の血管が広がってしまい頭痛が起こりやすくなります。
休日だからといって何時間も寝てしまうと生活のリズムも崩してしまうため、適度な睡
眠時間を心がけてください。もちろん、徹夜などをするのも避けた方が良いです。
生活のリズムを確立して、健康的な生活を送ることが重要です。
食生活
食べ物の中には頭痛を誘発すると言われている食品があります。
例えば、チーズ、赤ワイン、チョコレートなどです。
日本人は食べ物によって頭痛を引き起こす可能性は低いと言われていますが、もし、毎日、
チーズやチョコレートなどをたくさん食べているなど、身に覚えがある方は一度控えて様
子を見てみましょう。
ちなみに、アルコール類や柑橘系のジュースなどが原因となっている方も稀にいます。
こちらも少し気をつけてみてください。(もちろん、アルコールは二日酔いの原因になりま
すので、飲みすぎには要注意です)
精神的なストレス
精神的なストレスも頭痛の大きな原因の 1 つに挙げられます。
心配事や不安、悩みを抱えることで、自律神経がうまく機能しなくなり、血管の拡張や
筋肉の緊張など頭痛を引き起こす原因に繋がるのです。
精神的なストレスは、それぞれの環境や個々の性格に左右されることが多いため、簡単
には解消することが難しいかもしれません。
しかし、そのなかでもストレスの原因を改善したり、自分なりの解消法を探すなど、ス
- 11 -
トレスを軽減させる方法を見つけてください。
私たちの生活の中には、頭痛が発生する原因がたくさん潜んでいます。
頭痛が起こるたびに薬を飲むことも良いですが、根本的な痛みの原因を解決しなければ、
ずっと薬を飲み続けることになってしまいます。
薬の飲みすぎが頭痛の新たな原因になる可能性もあります。
そうならないためにも、まずは生活習慣を一度見直して、少しでも改善に取り組んでみて
ください。
話は変わりますが、有名人で片頭痛持ちの方が多いことは、皆さん、ご存じだろうと思
います。その中で、作家の方々が多いことを・・
例えば、樋口一葉、芥川龍之介、石川啄木、直木三十五、木下杢太郎、夏目漱石、五木
寛之等々・・挙げればキリがないと思われます。
夏目漱石の「吾輩は猫である」を読めば、主の生活ぶりが、伺われます。また、五木寛
之は、自分の片頭痛が「睡眠不足」が関係していると述べておられます。
作家の方々は、原稿の締め切りに間に合わすべく、睡眠時間を減らしたり、長時間の渡
って、机に向かって、前屈みの姿勢で、ペンを走らせる、空気の入れ換えが十分でない部
屋で・・といったことが、想像されます。
このように、片頭痛は「生活習慣」との関わりが極めて大きいことを示していると考え
ます。
- 12 -
食生活の見直し
食事を抜くのはNG
空腹が頭痛を招く
栄養バランスのとれた食生活は、目指すべきゴールです。まずは、食の内容を考える前
に、食事の時間帯を見直してみましょう。
一番避けたいのは食事を抜くことです。血糖値の下がった空腹状態は、片頭痛が起きや
すい状態です。イスラム教徒やユダヤ教徒が断食をすると片頭痛が起こり、食事をはじめ
るとよくなることからも明らかです。
最近、朝食抜きの子供が増えて問題になっていますが、勉強の能率ばかりでなく頭痛に
も影響します。たとえば、午前中に体育がある日などはとくに、朝食抜きではお昼までお
なかがもちません。そこで空腹から頭痛を起こし、保健室に行くというパターンを繰り返
すのです。
休日に朝食を抜いてブランチですませる人が増えていますが、これも血糖値を下げます
ので、朝、頭痛を起こす引き金になっている可能性があります。
極端なダイエットは頭痛を誘発する
最近の若い女性で、ダイエットをしたことがない人を探すのは至難のわざです。きちん
と3食とって運動もするというダイエットならいいのですが、なかには、断食したり、食
事といっても食べるのは1つの食品ばかりだったり、いっさい炭水化物はとらないなど、
極端なダイエットに走る人もいます。とくに、頭痛持ちにとって、炭水化物を抜くのは最
もよくない方法です。糖の一種であるグルコースが減って、頭痛を誘発してしまいます。
また、長期間にわたるダイエットで貧血になると頭痛の回数が増えます。
ダイエットの方法を間違えて、脂肪の代わりに頭痛がくっついてきた、なんてことにな
らないように気をつけて下さい。
積極的に摂取したいビタミンB2
- 13 -
医学調査によって片頭痛の予防効果ありと分かっているビタミンB2
ビタミンB2は 、医学調査によって片頭痛の予防効果があると分かっている栄養素です。
片頭痛はミトコンドリアという細胞内呼吸をつかさどる細胞内器官の機能異常が関与し
ている可能性があり、ビタミンB2はそこに作用して予防効果を発揮するとも考えられて
います。
玄米や大豆のほか、緑黄色野菜もおすすめ
じつは、片頭痛の予防効果があると言われているのは、1日に 400 mg のビタミンB2
を摂った場合です。ところが、食事で摂れるビタミンB2は 1 ~ 2 mg 程度です。そこで、
なるべく意識的にビタミンB2がたくさん含まれる食品をとってみて下さい。
多く含まれる食品には、玄米、胚芽米、大豆、納豆、うなぎ、豚肉、レバー、卵、牛乳、
チーズ、ごまなどがあります。
とくに、玄米や発芽米は、最近注目の食材です。スーパーなどで簡単に手にはいるので、
毎日のご飯に混ぜたりして気軽に取り入れてみてはいかがでしょう。
また、ほうれん草などの緑黄色野菜にもビタミンB2が含まれています。
緑黄色野菜は貧血の予防にも効果的ですから、積極的に食事に取り入れましょう。とい
うのも、片頭痛持ちに貧血がありますと、頭痛が増えると見られているからです。
なによりこれらの食品は、片頭痛に限らず体によいものです。
大豆製品や緑黄色野菜などは抗酸化作用も期待できるようです。
マグネシウム不足は頭痛になりやすい
細胞膜を安定させる効果
大豆食品に多く含まれる
マグネシウムには細胞膜を安定化させる働きがあります。そしてビタミンB2同様、医
学調査で、片頭痛の予防効果があると発表されています。
マグネシウムを摂取しますと、痛みの刺激に対して強くなります。また、細胞膜が安定
- 14 -
することにより、片頭痛が起こりにくくなると考えられています。
マグネシウムが多く含まれる食品群はいろいろありますが、なかでもオススメなのは、
含有量の多い大豆製品です。豆腐や納豆など、近年のダイエット特集でもおなじみの食品
です。また、大豆イソフラボンはコレステロール低下作用があり、女性にはうれしいこと
ばかりです。
1,2カ月では効果は現れないかも知れませんが、健康のためにも日々積極的に摂るよ
うに心がけて下さい。そのうち片頭痛も起こりにくくなってくるでしょう。
●マグネシウムを多く含む食品
玄米によるご飯100g 48mg
白米によるご飯10g 4mg
米、麦こうじ味噌100g 80mg
豆こうじ味噌100g 130mg
アーモンド30g 87mg
カシューナッツ30g 72mg
国産大豆30g 66mg
落花生30g 60mg
干しひじき10g 54mg
納豆1パック100g 100mg
かき70g 50mg
ほうれん草70g 50mg
木綿豆腐1丁300g 100mg
いんげん豆30g 45mg
かつお100g 40mg
あおのり3g 40mg
あずき30g 36mg
とうもろこし1本120g 35mg
枝豆50g 35mg
- 15 -
バナナ100g 34mg
●マグネシウム含有食品の決定版
”ひじき”と”黒豆”が決定版です。
3食バランスよく食べれば十分補える栄養素
最近はサプリメントも様々な種類があり、服用されている方も多いと思います。
アメリカでは、マグネシウム、ビタミンB2、フィーバーフュー(頭痛に効果があるハ
ーブ)の3種類を同時に摂取できるサプリメントが発売されていて、取り寄せて飲む人も
います。
けれども、いくら効果があるからと言って、あまりサプリメントだけに頼ることも問題
です。とくにマグネシウムは、3食しっかり食べていれば、食事だけで十分に補える栄養
素なのです。大事なことは、バランスよく、さまざまな食品を摂取することです。
そして、あの食品はいい、これは食べちゃダメと決めつけるのではなく、食事すること
自体をもっと楽しむことが大切です。
貧血は頭痛の回数を多くする
片頭痛持ちは貧血になると頭痛が増える
片頭痛には、マグネシウム、ビタミンB2といわれていますが、じつは鉄分もとても重
要な栄養素です。片頭痛持ちの人は、貧血になると頭痛が増えるからです。
一般的に成人女性は 15 ~ 20 mg の鉄分が必要と言われています。女性が気を付けたい
のは鉄欠乏性貧血です。月経、妊娠、授乳により鉄分が失われますので、男性よりも摂取
所要量が多くなっているのです。
たんぱく質、ビタミンC、葉酸、ビタミンB12を
- 16 -
貧血の人は、たんぱく質、ビタミンC、葉酸、ビタミンB12を含む食品を積極的に摂
取してください。これらの食品からは、鉄分そのものだけでなく、鉄分の吸収を促す成分
や、ヘモグロビンを作るのに必要な栄養素を補うことができるのです。
めまいや立ちくらみだけが貧血の症状ではありません。
頭痛の回数が増えた人は一度、貧血の検査を受けてみるのもいいでしょう。
神奈川歯科大学の五十嵐久佳先生が「アスピリンカフェのレシピ」という本を出されて
います。
また、ネットで、「片頭痛
レシピ」をキイワードで検索されれば、多くのレシピが出
てきますので、参考にして下さい。
片頭痛治療における「水分摂取」の意義
読売新聞社のサイト「ヨミウリ・オンライン」内の「大手小町」に設置された「発言小
町」という掲示板のなかで頭痛に悩む小町さんたちが、自分なりの頭痛対策や効果のあっ
た方法、また疑問や悩みを紹介されています。
ここで紹介されている「頭痛対策や効果のあった方法」をひとつずつ、これまで私の主
張している「セロトニン生活」と「ストレートネックの改善」と照らし合わせて、合致す
るものと、理解しかねるものを抽出してみました。その大半は合致しているものと思われ
ますが、以下の3点が納得しかねるものでした。それは
1.水分補給
2.マグネシウム不足の改善
3.各種の漢方薬の使用
でした。2のマグネシウム不足の改善に関しては、これまでも片頭痛患者にはマグネシウ
ムの不足が指摘されており、「トリプトファン」は、脳内でビタミンB6、ナイアシン、マ
- 17 -
グネシウムとでセロトニンを合成されることを考えれば、セロトニンに関連したものです。
漢方薬に関しては、その大半が作用機序が明確でなく、検討対象から除外しました。
最初の「水分補給」に関しては、この掲示板において、その有効性を指摘される方々が
多いようで、これとは別にネット上でも多数紹介されています。
しかし、片頭痛のガイドラインでは、片頭痛治療における「水分補給」のエビデンスの
記載は全く存在しません。そこで、なぜ有効なのか考察を試みました。
イスラム教にラマダンという断食の習慣がありますが、この時期に頭痛が増えることが
知られています。こうした点から、飢餓や脱水が頭痛に関連することは以前から指摘され
ていました。
ある研究者は、片頭痛患者 18 名に対して、水分補給として追加で 1 日 1.5L の水分補給
を 12 週間継続摂取させたところ、片頭痛の回数が減少したことから、適度な水分補給によ
る片頭痛予防効果が期待されると報告されています。
脳の脱水状態は、片頭痛の引き金となっている脳幹に存在する「片頭痛発生器」の機能
低下を引き起こすため、頭痛が起きやすくなると推定されていますが、現段階では、脱水
が頭痛を起こす確実な理由は分かっていないようです。
しかし、理由はともかく、多めに水分をとることで、片頭痛の改善を実感されている方
は少なくないと思われます。
鹿児島の田村正年先生は、片頭痛予防薬の「多剤併用療法」を提唱されておられますが、
これを行う場合、”水分摂取を十分に行っていないと如何なる薬も無効”と述べている程で
す。そこで、田村先生に、この点に関して直接お伺い致しました。
田村先生の考え方は以下のようでした。
片頭痛の中枢性感作は視床下部及び、上部脳幹ではないのかと考えられます。
自律神経障害の状態が片頭痛の症状その物だと考えています。別の切り口で考えれば更年
期障害=片頭痛とも考えている所です。
サックス頭痛大全にも頭痛が出る前に体が浮腫み、頭痛が始まると水のような尿が多量に
出たなどの記載、漢方薬にある片頭痛の治療薬には利水剤という水のコントロールにかか
わる生薬が沢山入っております。
片頭痛の小児に朝頭痛が多いのは低血糖と脱水による影響があるのではないか、また、ハ
ウス栽培で仕事をする慢性片頭痛の患者さんなどをみると水分不足と頭痛は切っても切れ
ない関係なのではないのかと思っています。
- 18 -
学校生活には水分を十分に取れる環境にはありません。
私の娘も水分が十分取れているときは頭痛が少なく、脱水気味では頭痛頻度が多くなりま
す。
自律神経機能検査での心電図 R-R 間隔変動率をみても基線がぶれる症例が沢山ありまし
た。この事は私個人は脱水によるものと捉えています。
かなり経験則が多いのですが、以上のような理由からです。
このように、述べておられます。
水分補給の具体的な方法は各人各様のようで、1日の飲水量は平均して 1.5 ~2リット
ル前後のようです。
セロトニン関連
セロトニン道場代表 有田秀穂氏へのインタビュー
セロトニンとは?
はじめに
このインタビューは、日本におけるセロトニン研究の第一人者である東邦大学医学部統合
生理学教授有田秀穂氏に寄せられた質問に対して、有田秀穂氏に、2011 年 6 月 30 日現在
の研究結果を踏まえて答えていただいたものです。
セロトニンとは何でしょうか?
セロトニンと薬の関係
質問者:健康系テレビ番組などで「セロトニン」という言葉をよく聞きますが、セロトニ
ンとは何でしょうか?
私にもわかりやすく教えていただけますでしょうか?
- 19 -
有田:まず、セロトニンという言葉を日本国内において、マスコミを通じて一般の方に発
信したのは、おそらく私の本です。2003 年に NHK 出版から出版された「セロトニン欠乏
脳-キレる脳・鬱の脳をきたえ直す」という本です。
一方で、セロトニンという言葉が、医学の世界に登場したのは、およそ 60 年前です。それ
から医学の世界では、セロトニンに関する研究が進んできたということです。最初にセロ
トニンの研究で知られたのは、脳の血管を収縮させる作用です。いわゆる偏頭痛との関係
ですが、それは今日でも知られています。
もう一つわかってきたこととしては、セロトニンは血管のなかで作用するだけでなく、実
は体全体にあるということでした。なかでも一番多く存在する場所は消化管のなかです。
それで消化管のなかのセロトニンを、日本の研究者は精力的に研究しました。
質問者:セロトニンは消化管のなかにもあるんですか?
有田:そうです。その結果、何がわかったかといいますと、消化管のなかにあるセロトニ
ンは、消化管のぜん動運動を増やす物質であるということでした。ですから、消化管のセ
ロトニンが増えすぎると下痢になるし、しっかりと分泌されないと便秘になんですね。
その他の部位で注目されているのが、脳内のセロトニンです。脳内のセロトニンが研究さ
れ始めたのが 1970 年代くらいからなので、既に 40 年くらいの歴史があります。日本の研
究者のなかで初めて脳内のセロトニンを研究し始めたのはおそらく、私だと思います。
今日までに脳内のセロトニンについて研究変遷はあるものの、セロトニンと脳の関係で一
番注目される現象は、薬の発見です。これは「SSRI」と呼ばれている薬で、以下の頭文字
を取ったものです。
S
S
Selective
Serotonin
選択的
セロトニン
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R
Reuptake
I
Inhibitors
再取り込み
阻害薬
SSRI は、1980 年代に開発され、欧米では 1000 万人が使うくらい非常によく使われる薬
になりました。何のために使われる薬かといいますと、「うつ病」の治療薬なんですね。で
すから、ここでうつ病という病気とセロトニンの関係が明らかになりました。うつ病の背
景に「セロトニン欠乏脳」があり、それを治す薬が開発されたのです。
SSRI は、日本の医療現場でも 1990 年から 2000 年くらいに使われるようになりました。
現在では、脳内のセロトニンとうつ病という心の病気が密接に関係することについて、誰
も疑う人はいないでしょう。精神科の先生も一般の方々も、「うつ病になったら SSRI を使
用する」という事実に関しては、誰も否定する人はいないと思います。
私の研究では、うつ病との関係で、脳内のセロトニン神経に対して、SSRI とは全く異な
るアプローチをしている、ということになります。私の研究をまとめたものとして、中外
医学社の「脳内物質のシステム神経生理学」という医療従事者に向けた専門書と、それを
ベースにした「セロトニン欠乏脳」という一般書があります。
脳内のセロトニンの働き
質問者:脳内のセロトニンの働きとは何でしょうか?
有田:脳内の働きについては、5つくらいの機能が、すでに基本的な機能としてわかって
います。
その1:大脳に働きかけて覚醒の状態を調整する。
その2:心の領域に働きかけて、意欲、心のバランスに関係する。(うつ病に関係)
その3:痛みの調節をする。(偏頭痛に関係)
その4:自律神経への働きに関係する。緊張への働きで血圧や代謝を上げる。
その5:姿勢筋に緊張を与える。
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薬に頼らずに脳内のセロトニンを活性化させる方法
有田:特に私が強調していることは、「薬と関係ない形で、セロトニンを活性化させる要因
が重要である」ということです。
質問者:といいますと?
有田:セロトニンを活性化させる要因として、以下の3つが上げられます。
その1:太陽の光
その2:リズム運動
その3:グルーミング
セロトニン神経、ドーパミン神経、ノルアドレナリン神経との関係
質問者:脳内のセロトニンの役割はわかりましたが、他の脳内物質と、どのように関わっ
ているのでしょうか?
有田:最初にお伝えしておきたいことは、脳内物質は、実は 100 種類以上あるということ
です。そのなかでも主要なものは 10 種類ほどに絞られますが、脳内のいろいろなところに
影響を与えるという点では、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリ
ンなどがよく知られています。
質問者:ドーパミンとセロトニンは、どのような関係があるのですか?
有田:ドーパミンは、体の動きを調整する神経の機能と、心の領域として「舞い上がるよ
うな心地よさ」を感じる「快の情動回路」といわれる神経の機能とがあります。セロトニ
ンと深く関わりがあるのは、後者の機能です。このドーパミン神経を活性化させるのは「報
酬」です。人間社会において、私たちが「試験で良い点数を取る」「試合で勝つ」「高い給
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料を取る」などの目標を持つと、ドーパミン神経は興奮し、私たちに一種の「渇望したス
トレス状態」を作り出します。この状態ではドーパミン神経が活性化しているので、私た
ちはちょっとしたストレスでも努力するようになるのです。そして目標が達成されると「舞
い上がるような心地よさ」を感じることができます。ですからドーパミン神経は、意欲の
神経なのです。
質問者:ドーパミン神経っていい神経なんですね。逆に達成されなかったらどうなるので
すか?
有田:達成されないことで一番問題になるのは、ドーパミン神経が暴走し始めることです。
実際に、世の中は上手くいかないことが多いわけですが、上手くいかないことが続くと「何
が何でも達成するぞ!」と異常行動を起こし始めるのです。いわゆる依存症で、周囲に迷
惑をかけてしまう。これはドーパミン神経の悪い面です。
質問者:では、このドーパミン神経をコントロールする神経は存在するのでしょうか?
有田:一つだけ抑制がかけられるのは、セロトニン神経であることがわかっています。
質問者:といいますと?
有田:ドーパミン神経には興奮した際、良い面と悪い面があるわけですが、このドーパミ
ン神経にコントロールをかけることができる神経回路がセロトニン神経である、というこ
とです。
質問者:ほかに主要な脳内神経としてノルアドレナリン神経がありますが、この神経はど
のような神経なのでしょうか?
有田:これはストレスに関係する神経になります。不快なストレッサーが、外部から人間
の内部に加わった場合、最初に反応するのがノルアドレナリン神経です。わかりやすく言
えば、脳内の危機管理センターです。危機を察知すると、体の面では即座に血圧を上げた
- 23 -
り、心の面では不安を感じさせたりするわけです。
ノルアドレナリン神経も重要な神経ですが、暴走するとどうなるかといいますと、大し
たことではないにもかかわらず、「大変だよ!」と興奮してしまうのです。いわゆる「パニ
ック障害」ですね。
質問者:このノルアドレナリン神経をコントロールする神経はあるのですか?
有田:ドーパミン神経をコントロールするのと同じく、セロトニン神経がコントロールす
ることができます。ですから、ドーパミン神経の「快」で舞い上がることと、ノルアドレ
ナリン神経の「不快」で落ち込むこととの両方を抑えるという点で、セロトニン神経を活
性化させることは重要だと言えます。
セロトニン神経を弱らせる原因と鍛える要因
質問者:セロトニン神経が、ほかの神経のコントロールをしていることはよくわかりまし
た。 そうなるとセロトニン神経が弱ってしまうことが怖くなりますが、弱らせてしまう原
因は何でしょうか?
有田:直接弱らせる原因は、2つあります。ストレスが長時間におよぶことと疲労です。
通常、セロトニン神経は、朝起きると活性化し、夕方になると弱るというリズムを持って
いますが、セロトニン神経には、日常生活において活性化させるための条件がありますか
ら、この条件を満たしていれば、それほど弱らないですみます。
朝、起き始めてからセロトニン神経は活性化するわけですが、それには3つ要因がありま
す。
その1:太陽の光
網膜から入る太陽の光が、朝起きて活動を始めたセロトニン神経の活動を活性化させてく
れます。(基本 30 分以内、夏は多少短く、冬は多少長くても可)
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その2:リズムの運動
ウォーキング、呼吸、咀嚼をしっかり行うとセロトニン神経の活性化につながりますし、
朝のウォーキングや室内でのラジオ体操はオススメです。他の行為はセロトニン道場のセ
ロトニン健康・実技コースで行っている技法を参照してください。
その3:グルーミングという「人とのふれあい」(後ほど詳細あり)
質問者:先ほどのリズム運動の呼吸は、普段の呼吸とは違うのですか?
有田:そうです。普段、私たちが生きるために行っている呼吸とは違います。セロトニン
活性のためには、横隔膜による「吸う呼吸」ではなく、腹筋を収縮させながら意識して「吐
き出す呼吸」を積極的に行うことが大切なのです。息を吐くことを積極的に行うためには、
歌を歌ったり、笑ったりすることや、座禅、ヨガ、太極拳の呼吸法が有効です。
セロトニン神経を活性化させるリズム運動
呼吸法のポイント
質問者:この呼吸法において、具体的にはどの程度、続ければいいのでしょうか?
有田:5 分以上 30 分以内で、疲れないことがポイントです。疲れず、翌日に再び同じこと
ができるくらいの運動量にすることです。
リズム運動を行う上での注意点
質問者:リズム運動は、フィットネスクラブで運動したり、家でテレビを観ながら運動し
たり、簡単にできてしまうような気がするのですが・・・。
有田:重要なポイントは、リズム運動を行う際に、意識を集中することなのです。気が散
った状態でリズム運動を行ったとしても、セロトニン活性の効果は見込めません。特に、
テレビを観ながら運動するというのは、気が散っている状態になります。外でのウォーキ
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ングにも言えることですが、おしゃべりをしながらのリズム運動や、視覚、聴覚、嗅覚に
とって刺激の多い街中でのリズム運動は、意識が集中できる環境ではありません。これは、
セロトニン活性という点では全く効果がありません。
セロトニン活性のために、意識を集中してリズム運動を行うことのできる場所としては、
自然があふれる大きめの公園や、あまり人に会わない早朝の公園などが、オススメです。
グルーミングとは何ですか?
いつ行うのでしょうか?
質問者:グルーミングの具体的方法は?
有田:太陽の光とリズム運動は、「これから仕事」という環境の方には有効な技法なのです
が、グルーミングは、仕事を終えた後の「オフの時のセロトニン活性」という意味で、太
陽の光とリズム運動とは少し異なります。グルーミングは、「猿の毛づくろい」としてよく
知られていますが、その理由は動物行動学においては、はっきりしています。動物行動学
では、グルーミングは「ノミ取りの行為だけではなく、群れ社会のなかで発生するストレ
スに対して、緩和を試みている行為」として認識されつつあります。
それを人間社会にたとえると「人と人とが近い距離でふれあうこと」が原則になります。
具体的には、「仕事後の赤ちょうちん」「おしゃべりをしながらの井戸端会議」「家族で食事
をする」、またそれに近い行為で「お風呂屋さんで一緒にお風呂に入る」というのもありま
す。これらの行為の結果として、何になるかというと「疲れが取れてストレス緩和になる」
のです。
恒常的なセロトニン活性化には時間がかかる
質問者:セロトニンを増やす点において、いろいろな方法があることがわかりました。実
際にどのくらいの期間実践すれば、セロトニンが増えたと体感できるものなのでしょうか?
有田:セロトニン活性の行為をした後に、心理テストや採血をして測ったとしても、短く
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て 30 分、長くても 2 時間程度しかセロトニン活性は続きません。ところが、毎日セロトニ
ン活性の行為を継続すると、セロトニンの分泌量は徐々に増えていきます。具体的なイメ
ージとして、初めは「3」であったのが、やがて「5」や「7」まで増えて維持できるように
なります。それには 3 ヶ月ほどの継続が必要となります。ですから、継続しないと意味が
ありません。
セロトニンが生成されるための重要な要素
質問者:セロトニンは自然に生まれてくるものなのでしょうか?
何か気をつける点はあ
りますか?
有田:セロトニンは脳のなかで作られますが、材料は必須アミノ酸である「トリプトファ
ン」です。これは体内にはない材料で、外部から取り込まなくてはなりません。トリプト
ファンが多く含まれる食材は、豆腐、納豆、味噌、しょうゆなどの大豆食品です。ヨーロ
ッパの食べ物では、チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品です。ゴマ、ピーナツ、卵、
バナナにも含まれます。そしてよく議論されるのは肉です。肉にもトリプトファンが多く
含まれていますが、トリプトファンは血液で運ばれて、脳のなかに入る必要があります。
脳に入るときに関門があり、動物性タンパク質があると入りにくい、という問題がありま
す。
質問者:トリプトファンを多く含む食品を、いつとればいいのでしょうか?
有田:朝がいいですね。それから夜、夕食でトリプトファンを含む食品をとってから、グ
ルーミングを行うのが理想です。というのも、夜のグルーミングで作られるセロトニンと
いうのは、「癒し」や「ストレス解消」のためではありますが、それ以上に重要な意味があ
るからです。それは、睡眠のホルモンである「メラトニン」が、セロトニンを材料にして
作られるからなのです。よく眠るために牛乳を飲む方もいらっしゃいます。
メラトニンがセロトニンから合成される重要な条件は、「太陽の光がない」ことです。つ
まり、日が沈んでからメラトニンが合成される、というのが生理学的な特徴になります。
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夜にトリプトファンを含む食品をとり、その後にリズム運動やグルーミングを行うのは、
メラトニンを作り出すという視点から考えると重要ですね。
セロトニンとサプリメントの関係
質問者:食品から必須アミノ酸をとることで、セロトニンが作られることはわかりました。
私などは、ついつい手軽な方法でセロトニンを増やしたいと考えてしまいますが、セロト
ニンのサプリメントなどは大丈夫なのでしょうか?
有田:まず、今までお話しした流れから、セロトニンをサプリメントでとってもダメだと
いうことがわかると思います。セロトニンを直接、食材や血液に注射しても全く意味があ
りません。では、セロトニンの材料であるトリプトファンを、サプリメントでとることが
できるかというと、それは可能です。セロトニン前駆体の「トリプタミン」です。間違っ
てトリプトファンを大量にとったとすると、脳のなかにそれが到達して、セロトニンが大
量に作られる可能性はあります。ただし、先ほどから話しているように、セロトニン合成
のためには、トリプトファンをとると同時に、太陽の光やリズム運動、グルーミングなど
の行為を行う必要があるので、サプリメントでトリプトファンをとるだけでは、尿や大便
から対外に排出される可能性が高いのです。もし、セロトニンが大量に作られてしまうと
副作用がでます。具体的には、痙攣(けいれん)、幻覚を見る、高熱が出るなど、困った状
態になる場合があります。トリプトファンを多く含む食材を食べたとしても、トリプトフ
ァンを大量にとりすぎるということはありませんので、安心ください。
セロトニン症候群について
質問者:セロトニン症候群とは何でしょうか?
有田:セロトニン症候群が注目されるようになったのは、SSRI といううつ病の治療薬が処
方されるようになってからです。セロトニン症候群は、SSRI を服用した時、まれに重たい
副作用として生じます。SSRI という薬は、脳内のセロトニンを増やす薬ですから、脳内の
セロトニンが増えた場合の副作用として「セロトニン症候群」の名前が出てくるのです。
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その症状としては、痙攣(けいれん)、幻覚を見る、高熱が出るなどです。
一方、太陽の光やリズム運動などで脳内のセロトニンを増やす場合は、脳内のセロトニ
ンが増えすぎて、そのような症状が生じるということは、絶対にありません。食材からト
リプトファンをとり、太陽の光に浴びたり、リズム運動やグルーミングを行ったりする場
合は、副作用はないのです。
不眠とセロトニン、メラトニンの関係
質問者:不眠の原因も、セロトニンの不足にあったりするのでしょうか?
有田:不眠は、うつ病の症状の一つで、不眠から昼夜逆転の生活になったりしますから、
気をつけなければならない症状です。私たちはメラトニンという睡眠ホルモンを持ってい
ますから、先ほどお話したような、メラトニンが生理学的によく出る生活スタイルに変え
ることで、ある程度不眠に対処できるといえます。
質問者:メラトニンって、大切なホルモンですね。
有田:ここで気をつけなければならないのは、現代の生活です。お茶やコーヒーなどのカ
フェインを含む飲料や電磁波を出す機器は、メラトニンを破壊してしまいます。なかでも
顔の近くで電磁波を発する携帯電話や液晶画面のパソコンは、夜になったら使用を避けた
方が賢明です。冷蔵庫やテレビが寝床の近くにあるご家庭は多いと思いますが、それらの
機器のすぐ近くで寝なければ大丈夫です。不眠で悩んでいる方の寝室に、そのような電磁
波を発するような機器がある場合は、それらの機器を遠ざけるべきです。
質問者:不眠が続くと、やはり体によくないのでしょうか?
有田:体が壊れる可能性があります。まず生態のリズムがくずれます。メラトニンによっ
て睡眠をとり、夜のうちに脳と体を休めるのが大切なのです。また、メラトニンは、「活性
酸素」という悪玉物質を夜の間に除去する役割ももっています。活性酸素を除去すること
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は、老化を防止すること、成人病を予防することにつながるのです。
昼夜逆転の仕事をしている人は、活性酸素を除去できない可能性がありますので、活性
酸素が蓄積していると考えられます。
講演会で伝えたいこと
質問者:有田先生は、1 年に 100 回近く全国で講演をされているようですが・・・。
有田:医学系での講演としては、医師会、痛みに関係する学会、認知症に関わる団体、ア
ンチエイジング、整形外科領域の関係で行うことが多いすね。一方で、メンタルヘルスと
して、学校や企業にお伺いする機会も増えています。
質問者:講演で最も伝えたいことは何でしょうか?
有田:病気を患った時はお医者さんに頼るべきなのですが、「検査を受けても何も異常がな
い方」で「元気が出ない、心の面でやる気がでない方」が増えているように思います。そ
のような場合の対処として、いきなり薬を処方することは間違っていると誰もが感じるこ
とでしょう。そのような時は、少しでも生活を工夫して、健康を増進することを考えなく
てはなりませんが、そのようなことを教える医者がいるのかというと、ほとんどいないと
思うのです。医学部の教育のなかでも、「健康な人をより健康に」や「病気まで至っていな
い人を健康にする」という考えがないんですね。そこが問題なのです。
質問者:確かにそうですね。薬の飲み方だけでなく、日常生活の指導も必要ですね。
有田:病気に至らないための方法を指導する健康医が必要だと思うのです。しかし現在は、
健康の専門医なんてどこにもいない。私は、生理学を専門に研究をしていますが、生理学
を通して健康な人間のメカニズム、特に脳のメカニズムをよく知り、セロトニンならセロ
トニンを弱らせない、ないしはセロトニンを鍛えるという指導が必要だと思うのです。そ
の視点が、私に最も求められているものではないかと思っています。
- 30 -
健康な人がセロトニン神経を鍛えると
質問者:最後の質問です。今までの質問は、どちらかというと健康ではない方に向けての
内容でしたが、健康な方がセロトニン神経を鍛えると、どのようになるのでしょうか?
有田:脳内のセロトニン活性ができている人は、まず見た目が若々しくて元気ですね。そ
して何よりも「人の気持ちがよく理解できる」ことです。ビジネスの上でも、社会生活を
する上で重要な、いわゆる「共感脳」が鍛えられているといえます。もう一歩進んだ表現
をすると「直感が優れた方」と言えばいいでしょうか。
質問者:ありがとうございました。
エビデンスについて
上記のインタビューをお読みいただき、セロトニン活性に関するエビデンスにご興味の
ある方は、以下の論文をご参照ください。
日本語論文
リズム運動がセロトニン神経系を活性化させる
日本医事新報社
No.4453
(2009 年 8 月 29 日)
基礎医学から
セロトニンの生理作用
金原出版株式会社
小児科
第 50 巻
第 13 号(平成 21 年 12 月 1 日発行)
特集:セロトニンの働きを考える
英語論文
血液のセロトニン測定で脳内のセロトニン変動を推定できるという論文
Nakatani Y., Sato-Suzuki I, Tsujino N, Nakasato A, Seki Y, Fumoto M, Arita H.
- 31 -
Augmented brain 5-HT crosses the blood-brain barrier
through the 5-HT transporter in rat
European Journal of Neuroscience 2008; 27: 2466-2472.
坐禅の呼吸法がセロトニン神経を活性化させるという論文
Yu X., Fumoto M., Nakatani Y., Sekiyama T., Kikuchi H., Seki Y.,
Sato-Suzuki I., Arita H.
Activation of the anterior prefrontal cortex and serotonergic system
is associated with improvements in mood and EEG changes induced
by Zen meditation practice in novices
International Journal of Psychophysiology 2011; 80: 103-111
歩行のリズム運動がセロトニン神経を活性化させるという論文
Fumoto M., Oshima T., Kamiya K., Kikuchi H., Seki Y., Nakatani Y., Yu X.,
Sekiyama T., Sato-Suzuki I., Arita H.
Ventral prefrontal cortex and serotonergic system activation
during pedaling exercise induces negative mood improvement
and increased alpha band in EEG
Behavioural Brain Research 2010; 213: 1-9.
咀嚼のリズム運動がセロトニン神経を活性化させるという論文
Mohri Y., Fumoto M., Sato-Suzuki I., Umino M., Arita H.
Prolonged rhythmic gum chewing suppresses niciceptive response
via serotonergic descending inhibitory pathway in human
Pain 2005; 118: 35-42.
片頭痛とセロトニン
- 32 -
セロトニンはヒトを含む動植物に一般的に含まれる化学物質で、トリプトファンから産生
されます。
[1]人体中には約 10 ミリグラムのセロトニンが存在しており、そのうちの 90%は小腸の粘
膜にあるクロム親和細胞(EC 細胞とも呼ばれる)内にあります。
[2]クロム親和細胞はセロトニンを合成する能力を持っており、ここで合成されたセロトニ
ンは腸などの筋肉に作用し、消化管の運動に大きく関係しています。
ここで合成されたセロトニンの一部(総量の約 8%)は血小板に取り込まれ、血中で必要
に応じて用いられます。[2]
残りの 2%のセロトニンは中枢神経系(今後脳内セロトニンと記載)にあり、これらが
人間の精神・神経活動に大きく影響しています。
日常生活から、うつ病や神経症などの精神疾患(無論全てではない)に至るまで脳内セ
ロトニンの影響が注目されるようになり、近年では、セロトニン系に作用する薬物を用い
ることによって、これらの疾病を治療することができるようになりました。
主な薬物に SSRI や SNRI があり、両者共シナプスから放出されたセロトニンの再吸収を
阻害する事により、症状を改善します。
脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています。不眠症、睡眠
障害、冷え性、片頭痛、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な病気
が誘発されていると考えられています。
Diksic らによれば、健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能力が高く。
またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン
合成が男性の 4 倍減少します。(Diksic M. et al.,94: 5308-5313, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
1997)このような理由から片頭痛は男性に比べ女性に罹病率の高い病気です。
この報告から類推すると、一般的にセロトニンはトリプトファンから産生されるため、
トリプトファンを摂取すれば増えると考えられます。
ただし特定の条件下ではトリプトファンを摂取しても脳内セロトニンはそれほど増えない
場合があります。トリプトファンが脳内に入るには血液脳関門を通過する必要があります
が、しかし BCAA(分岐鎖アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン)とトリプトファ
- 33 -
ンは共通の輸送体を使って脳内に入るため、BCAA が多い環境では脳への取り込みが阻害
され、脳内セロトニンがあまり増えないことがあります。
このセロトニンに関する臨床的研究は東邦大学生理学教室の有田秀穂先生がなされ、頭
痛学会でも招待講演をされておられ、(有田秀穂:血中セロトニンは脳内セロトニンの変動
を反映するか?。日本頭痛学会誌、35 巻2号、46、2008)「セロトニン生活」を提唱され
ておられます。
片頭痛と「セロトニン」に関しては、セロトニンが不足している理由として、生まれつ
きのものなのか、セロトニン不足を来す生活習慣に由来した後天的なものか、異論の多い
所です。これに関しての考え方として
「片頭痛を発症する人は、どうもセロトニン神経の調子が悪い」というものです。
神経終末でセロトニンを放出する神経をセロトニン神経とかセロトニン作動性神経とか
表現しますが、ここではセロトニン神経と呼びます。
①セロトニン関連遺伝子がある?
残念ながら現在同定されていません。
うつ病などでも薬物に早期から反応が良好で軽症の方と、薬物の反応が不良で増量して
もなかなかよくならない方はなんらかの遺伝的素因が想定されています。
② 1991 年に片頭痛治療薬スマトリプタン(GSK のイミグラン)が発売されその薬理学的
作用の研究が進みました。
現在、コンセンサスが得られている機序は 3 つです。
a)トリプタンはセロトニンの 5-HT1B 受容体を刺激し、血管の平滑筋を強力に収縮させる。
b)トリプタンはセロトニンの 5-HT1D 受容体を刺激し、三叉神経終末で神経伝達物質 CGRP
(カルシトニン遺伝子関連蛋白)の放出を抑制し疼痛の波及を抑制する。
c)トリプタンはセロトニンの 5-HT1D/1F 受容体を刺激し、三叉神経脊髄路核での疼痛閾値
を上げる。ゲートコントロールとして作用する。
要するに、セロトニンの調子があまりよくないということです。
- 34 -
基本的に、片頭痛発作の時はセロトニンと呼ばれる脳内物質が減少あるいは機能が低下
することが知られています。片頭痛発作の時に、セロトニン様作用をもつトリプタンがよ
く効くのは、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップするからなのです。
別項でも述べましたが、片頭痛の発作のメカニズムを探る上で重要な手がかりとして挙
げられるのが、女性の性周期との関連です。月経周期と片頭痛の関連は 1970 年代に報告さ
れ、特に性ホルモンとして知られるエストロゲンの血中濃度の変化と深く関係しているこ
とが示唆されました(Somerville, 1971)。エストロゲンはセロトニン合成を促進し、セロト
ニンは血管収縮を引き起こすことから、排卵や月経に伴うエストロゲン血中濃度の急激な
低下がセロトニン濃度の低下、ひいては脳血管の拡張を引き起こすという仮説が提唱され
ました。また、卵巣切除ラットを用いた実験では、エストロゲンを補充してやることでセ
ロトニン放出を増加、あるいは血管径を収縮させることが出来ることが示され(Pardutz et
al., 2002; Mehrotra et al., 2007)、性ホルモンであるエストロゲンがセロトニンを介し脳血管
径に影響を与え、月経周期に同期した片頭痛発作を誘発している可能性が示唆されました。
セロトニン神経の起始核である縫線核にはエストロゲンの受容体が豊富であり、性周期に
伴う気分の変動についても、エストロゲン濃度の変動が影響していることが考えられます。
これらの点は神奈川歯科大学付属横浜クリニックの五十嵐久佳先生の論文を参照して下
さい。(五十嵐久佳:女性の頭痛。(月経時の片頭痛の診断・治療、妊娠・授乳中の頭痛治
療) 頭痛診療ハンドブック、237-247,2009。五十嵐久佳:診断と治療:90:877-882、 2002)
片頭痛治療上、セロトニンの重要性を考える点について、十日町ようこクリニックの深
瀬洋子先生は以下のように述べておられます。
9月下旬にNHKためしてガッテンで「不眠・めまい・耳鳴りは過去の片頭痛が原因だ
った。」という内容の番組を放送していました。
その中で、片頭痛は脳内のセロトニンが減少すると起こりやすくなるとはっきりと説明し
ていました。
セロトニンが減ると脳の血管が拡張して痛み物質が発生するために頭痛が起こる。
片頭痛の治療薬トリプタンは痛み物質を抑えて脳の過敏状態を防ぐことができる。
抗うつ薬も脳の過敏状態を抑える薬なので、めまいや耳鳴りに使われると説明していまし
- 35 -
た。
頭痛専門医でない私は、そこまっでわかっているなら、どうして減っているセロトニン
を増やそうとしないのかな?と不思議に思いました。
セロトニンの合成経路を考えて、必要な材料をたっぷりと補充してやれば、ちゃんと合成
するはずです。
— トリプトファン(アミノ酸)、ビタミンC、カルシウム、ビタミンB群、鉄、マグネシ
ウム。
これこそが片頭痛の根本的な治療ではないでしょうか?
当院にいらしている片頭痛の患者さんは月に4~5回以上片頭痛がおこり、トリプタンを
飲んでも2~3日は寝込むのだそうです。
そしていつ片頭痛が起こるのか心配でとおっしゃっていました。
いつ起こるかわからない片頭痛におびえながら暮らすなんて、つまらないと思いませんか?
この患者さんは血液検査から鉄、ビタミンB群が不足が明らかで、セロトニン合成の材
料が不足していました。
サプリメントを飲んで頂き、今は片頭痛は月1回しかおこらず、症状もぐっと軽くなり
寝込むことはなくなったと喜んでおられます。
将来のめまいや耳鳴りの予防にもなっていることでしょう。
症状を根本から解決し、将来の病気を予防することこそ、自分が受けたい医療です。
患者さんだって、きっとそう思うはずです。
このように、「セロトニン不足」が生まれつきのものであれ、後天的のものであれ、果た
して「セロトニン」を増やすことが可能なのでしょうか?
この点に関しては、有田秀穂先生は、「セロトニン生活」を提唱され、「具体的には朝起
きたら日の光を浴びる、そして、日課として散歩を行なう、セロトニンを増やす食事をす
る、なによりストレスを少なく、楽しく過ごす、これが特に重要です。」と述べておられま
す。また、ネット上では、山崎有為は「頭痛体質の改善は、セロトニンを増やす工夫です
る」と頭痛解体新書で述べています。これによって片頭痛を根治させるというのです。
この点に関しての方法は、以前記事に致しました。
- 36 -
しかし、以上のようなセロトニンに関しては、日本頭痛学会作成の「慢性頭痛の診療ガ
イドライン」には全く記載はなく、ただ、最近、「片頭痛発作の時はセロトニンと呼ばれる
脳内物質が減少あるいは機能が低下することが知られており、片頭痛発作の時に、セロト
ニン様作用をもつトリプタンがよく効くのは、機能低下状態に陥っているセロトニンをバ
ックアップするためです」と慶応義塾大学の鈴木則宏先生が述べておられるの過ぎず、結
局「トリプタン製剤」で治療しましょうということのようです。
ここで、自分で「セロトニン神経を鍛え、セロトニンを増やすために行う」際の注意点
として、トリプトファンを過剰摂取すると命の危険もあります(トリプトファン事件)。ト
リプトファンは普通の食品には少量しか入っていないため危険が及ぶ事はありませんが、
トリプトファンそのものをサプリメントとして摂取するのには注意が必要です。
以上のように、セロトニンは、片頭痛の発生機序と重要な関わりがあると考えられ、ト
リプタン製剤の作用機序を考える際だけでなく、もっと片頭痛の根幹に関与しているもの
と考えられ、片頭痛治療を行う場面での「大きな柱」になっていると考えております。こ
のため、いかにして「セロトニン神経を鍛え、セロトニンを如何にして増やすか、セロト
ニン神経を減弱させない工夫」を行うかを指導すべきと思っております。
これは、睡眠
・食事の取り方・ストレス対策とも関わってきます。
こういった意味合いにおいても、「セロトニン」に関する知識は「片頭痛治療」上極めて
重要だろうと考え、「セロトニンを如何にして増やすか」という観点抜きには不可能と思わ
れます。
ここで「トリプトファン事件」をご存じでない方々のために、蛇足ですが掲載しておきま
す。これは、最近、多くの「健康食品」が出回っており、これらを服用する際に大事な点
があるためです。
トリプトファン事件
- 37 -
トリプトファン事件とは、米国において 1988 年末から 1989 年 6 月にかけて、昭和電工が
製造した必須アミノ酸である「L-トリプトファン」を含む健康食品を摂取したアメリカ人
に血中の好酸球が異常に増加して筋肉痛や発疹を伴う症例(EMS)が大規模に発生した事件
である。FDA のサイトによると、被害は 1,500 件以上、死者 38 名と記録されている。[1]
経緯
当初、ドイツ企業によってトリプトファン製品に不純物が検出され、昭和電工に不純物
の性質について問い合わせがなされた。これに対して昭和電工はトリプトファンを産生す
る遺伝子組み換え大腸菌の、遺伝子をさらに変更するという、製造工程の変更により不純
物が発生しなくなる措置を執る事により、問題の解決を図った。
しかしこの対応によって新たな不純物が副産物として含まれる事となり、昭和電工はこ
の不純物の存在を認識しつつ、製品を出荷した。不純物を含む製品の出荷時期は、事件を
発生させた製品ロットと一致していた。このため疫学的因果関係が立証される事となった。
以上の経過は米国の訴訟において確認された経過である。訴訟件数は全体で 2000 件を超え、
賠償請求額は 2000 億円に達したものとみられている。[2]
ちなみに問題となる不純物による EMS 発生の機序は解明されてはいない。しかし食の
安全性のためには濾過などにより純度を高める事が必要である事を示しているという意見
がなされる、理由としてあげられる場合もある。また、この事件によりアメリカ合衆国に
おいてはトリプトファン製品の販売は禁止される事となった。
FDA の見解
2001 年 2 月、FDA はトリプトファンの市販に関する規制を緩和し次のように表明してい
る。[3]
「現時点で利用可能な科学的証拠に基づくならば、L-トリプトファンのサプリメントを
摂取した人々に発生した大規模健康被害(EMS)が、L-トリプトファンの内容物に由来する
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のか、不純物に由来するのか、あるいは互いに関係するこれら2つの組み合わせに由来す
るのか、それとも未知の外的要因に由来するのかについて、我々は確信を持って特定する
ことができない。」
新しい仮説
2005 年にトリプトファンの大規模健康被害(EMS)に関して推定にもとづく[4]新たな仮
説が提案された。[5] それによると、トリプトファンの大量摂取によりトリプトファンの
代謝物のうちのいくつかがヒスタミン代謝分解反応を阻害(することでヒスタミンを増加さ
せた)。さらに視床下部-下垂体-副腎系(英)に不調をもつ人たちがトリプトファンやヒスタ
ミンに対する高い感受性をあらわし、これらにより好酸球増多症候群および筋肉痛(英)に
つながったとするものである。なお論文著者のひとりは執筆当時 FDA の CFSAN 所属とし
ている。
参考
FDA (Page Last Updated: 10/14/2010). “Significant Dates in U.S. Food and Drug Law History
”. U.S. Food and Drug Administration. 13 May, 2012 閲覧。
FDA (2001 年 2 月 1 日). “Information Paper on L-tryptophan and 5-hydroxy-L-tryptophan”.
FU. S. Food and Drug Administration, Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of
Nutritional Products, Labeling, and Dietary Supplements. 2012 年 2 月 8 日閲覧。
Smith MJ, Garrett RH (2005). “A heretofore undisclosed crux of eosinophilia-myalgia
syndrome: compromised histamine degradation” . Inflamm. Res. 54 ( 11) : 435–450.
doi:10.1007/s00011-005-1380-7.
PMID
16307217.
http://www.springerlink.com/content/73672781646vhv87/.
脚注
1.^ FDA & Last updated at Oct 2010 1989 年.
2.^ 『国際取引法 貿易・契約・国際事業の法律実務』唐澤宏明、同文館出版。 ISBN
- 39 -
4-495-46282-2
3.^ FDA 2001-02-01.
4.^ 論文内に推定手法が記載されている。
5.^ Smith MJ, Garrett RH 2005, pp. 435–450.
意外な結論であったトリプトファン事件の真相が示す健康食品の問題点
2010 年 1 月 6 日
トリプトファンは生体内では睡眠と日内リズムに関連のあるセロトニ
ン、メラトニンに代謝される重要なアミノ酸である。トリプトファンはこの生体内での働
きが注目され、1980 年代の終りに米国を中心に睡眠導入のための健康食品として爆発的に
売れた。しかし、間もなく好酸球の急激な増加と非常に強い筋肉痛を伴う患者が多数発生
した。その症状には好酸球増加筋肉痛症候群(EMS)の疾患名が付けられ、FDA はトリプ
トファンの健康食品としての販売を停止させ、全製品の回収を指示した。やがて、その原
因は昭和電工の製造したトリプトファンに含まれていた不純物であるとの結論が出された。
1992 年に小生が事務局長を担当し名古屋で開催された国際トリプトファン研究会でのメイ
ンテーマの一つが EMS であった。FDA の関係者も多数参加し、開催されたシンポジウム
においてその原因を不純物によるという結論をだした。しかし、その真相は別なところに
あった。
先月のこの欄でも少し触れさせていただいたが、トリプトファンによる EMS 騒動につ
いて多くの方がトリプトファンの製造過程に副生した不純物によると信じておられる。昨
年末に開催された日本トリプトファン研究会の席上でたまたま小生がこの話をする機会が
あったが、参加者の多くがやはり不純物によると誤解をしておられ、改めてことの真相が
知られていないことに驚かされた。実はこのように述べている小生も 3 年前に発行された
内藤裕史氏の著書「健康食品中毒百科」(丸善発行)に出会うまで知らなかった。内藤氏の
報告は非常に綿密な文献調査に裏付けられていて多くの研究者がこの真相を不純物による
と確信した過程も明らかにされている。
簡単に結論に至るまでの経過を纏めると、EMSの発生後間もなくその症状がスペイン
- 40 -
で 1981 年に発生した化学物質による中毒とよく似ていたことから、トリプトファン中に不
純物の存在を疑い FDA は回収を命じた。そして、疫学調査と若干の動物実験を基に昭和電
工の製造したトリプトファンに含まれる微量の不純物が原因であるとの結論を出した。し
かし、突き止められた不純物による動物実験は昭和電工のトリプトファンを飲んだ場合の
8000 倍でやっと症状がでること、昭和電工の製品でないトリプトファンでも大量投与によ
って同じ症状が報告されていること、昭和電工の製品が出る以前にもトリプトファンの投
与によって EMS 様症状が出ていること、ある種の神経系医薬品とトリプトファンとの併
用で EMS 様症状が誘導されること、不純物が原因として報告された疫学調査の方法論に
かなり致命的な誤りがあること、さらにはトリプトファンが全く関与しないで発症する
EMS が存在すること等などから昭和電工の不純物によるという説はほぼ完全に否定されて
いる。この経過の詳細は内藤氏の著書に理路整然と記載されている。
ところで、このトリプトファン事件の真相は健康食品の抱えている問題点を見事に具現
している。まず、これは医薬品においても共通することであるが、効果が出る化学物質は、
その摂取量を超えると体質、個体差、環境などにより副作用がでるということである。ト
リプトファンは1g以上の摂取によって確実に多くの人々に心地よい眠りを誘う。ドイツ、
カナダなどでは一般人や精神疾患患者も含めて、医師の処方箋の基に睡眠導入剤として現
在も使用されている。すなわち、食品ではあるがその目的とした効果が医薬品並みに確か
に得られる。少なくとも小生は自分自身で時差ぼけのときに試した経験から素晴らしい健
康食品であると確信している。そして、必須アミノ酸ということを考えれば少々の摂取は
安全性と言う観点から心配ないと考えるのは一般的心理としておかしくない。しかし、現
実には大量投与により事件は発生してしまった。
ここには、食品だから安全だという意識に対する危険性に関して強い警告が内在してい
る。最近、種々ビタミンのみならず CoQ10、αリポ酸などかつて医薬品であった物が食品
の範疇で販売されるようになった。多くのビタミンは栄養機能食品として法的にその摂取
上限量が規定されているが、CCoQ10 やαリポ酸などは完全な食品の範疇に置かれている
ため摂取上限に関する法的な規制も無く全く野放しの状態である。(CoQ10 については、
食品安全委員会で摂取上限値を議論した)そのためダイエット効果等を狙って医薬品とし
ての上限量を超えた摂取が行われ、αリポ酸などでは耐糖能異常など発生の報告が幾つも
- 41 -
出始めている。食品=安全という思考の中で健康食品が扱われると、トリプトファンのよ
うな大事に至らなくても過剰摂取による障害は必ず多発する。毒性学の言葉を借りるまで
もなく、どんな物質も毒物になるかならないかはその量に依存するからである。
次にトリプトファン事件の被害者救済のための責任の取り方の問題である。事件発生当
初から、トリプトファンに含まれていた不純物であると公的に出された結論に対して患者
集団は損害賠償を昭和電工に求めた。しかし、その原因は不純物ではなく単に多量摂取に
有ったと推測されるに至った。この時点で不純物に起因するとしたら責任は取らなくても
良いことになるから、昭和電工は米国の健康食品事件史上最高といわれる賠償金は支払わ
なくても済むような気がする。しかし、実際には昭和電工は賠償金支払いで患者と和解し
ている。その責任は不純物混入による過失に対してではなく、いわゆる製造物責任法(PL
法)によっている。ここに健康食品を製造販売する立場の大きな責任問題を見ることがで
きる。それは、使用者が多量に摂取したということであっても事件を起こしてしまったら
その責任は間違いなく製造者に来るということである。そして、トリプトファンが医師の
処方箋の基で使用されているケースにおいては発症しなかったという事実は、例え健康食
品であっても過剰摂取を防ぐためには一般市民に対して的確なアドバイスのできる人が必
要であることを示している。
最後にもう一つ、昭和電工のトリプトファンに不純物が含まれることになったのは、枯
草菌の遺伝子組み換えを行ったことと精製過程が不十分であったためと結論付けられてい
た。そこで、遺伝子組み換え食品による世界で最初の死亡事故が発生した事件としても注
目を浴びた。そのため遺伝子組み換えという技術の導入により発生するかもしれない問題
の新たな危険性の一つとして指摘された。さらに遺伝子操作によりそのような危険性が予
測されていなかっただけに、遺伝子操作が引き起こす不気味な現象としてのイメージ作り
に大きな役割を果たした。現に遺伝子組み換え食品に対しての反対運動を行っている人達
の反対理由となる重要な事件として長く取り扱われている。
以上のようにトリプトファン事件の真相が不純物ではなく、使用方法の誤りに起因して
いたことが明らかになってきた過程を振り返ると、健康食品の世界にもその表示、販売方
法、使用方法に関するアドバイスなどに対してしっかりした法的根拠を与えることの重要
- 42 -
性が浮き彫りになっている。消費者庁では現在「健康食品の表示に関する検討会」が開催
され新しい方向が模索されている。この検討会が皮切りとなって健康食品の法的な存在意
義が確立され、健康食品による健康障害が発生しない社会ができることを望んでいる。
(鈴鹿医療科学大学保健衛生学部医療栄養学科教授 長村洋一)
片頭痛とストレス
ストレスが、片頭痛の誘発因子の方は、かなり多いようです。一般的には、ストレスか
ら一気に解放されるて起こるようです。これは、感情だけでなく神経も含めた体全体が急
激にリラックス状態になるので血管も急激に拡張して片頭痛を誘発するのです。
これを、防ぐために、 過度なストレスを感じないように普段の生活を送れば、そのギャ
ップでストレスが解放されたときに過剰な反応をしないので、そういう生活を心掛けるよ
うに工夫をします。そのために、以下のような方法が考えられています。
ストレスへの耐性を高めるセロトニン神経
現代社会ではストレスは避けて通れません。しかし、その過剰な蓄積は、胃潰瘍、高血
圧など身体への影響だけではなく、鬱など心への影響が心配されます。
これにどう対応すればよいのでしょうか。ストレス回避が不可能だとすれば選択肢は 2
つしかありません。ストレスを解消するか、ストレス耐性を持つことです。
ストレスに強い心と体を作るために非常に重要な神経があります。脳内のセロトニン神
経です。この神経がストレス耐性を高めるカギを握っています。
セロトニン神経の強化でストレス耐性は高まる
150 億もあると言われている脳の神経細胞の中で、セロトニン神経はわずか数万個しか
- 43 -
ありません。にもかかわらず、脳全体に情報を発信しているという点で非常に珍しい神経
なのです。
この神経の持つ働きは 5 つあります。
第 1 に「睡眠から覚醒へのシフトを行う」。睡眠時はほとんど活動しないが、覚醒とともに
活発に働き始めます。働きが不十分だと、目が覚めても頭がすっきりしない状態になりま
す。
第 2 は「心の不安や緊張を取る」。通常、覚醒時は、脳波はベータ波が優位になるが、セ
ロトニン神経が活発に働くとアルファー 2 という特別な脳波が出現します。癒やしやリラ
ックスの働きをする脳波で、「クールな覚醒」と呼ぶものです。緊張や不安が取れ混乱も静
まるので、ネガティブ思考が減少し、元気になります。
第 3 は「自律神経を適度なレベルに保つ」。覚醒時には交感神経が、睡眠時には副交感神
経が優位になりますが、それらが低レベルであれば上げ、過活動なら下げ、適度なレベル
に保ちます。
第 4 は「痛みの制御」。痛みに対して過剰反応しないように調整する働きを持ちます。こ
れが正常に働かないと、一寸した刺激に容易に反応し、痛みを感じやすくなり、片頭痛が
起こりやすくなって来ます。
第 5 は「正しい姿勢を保つ」。朝起きてセロトニン神経が動き出すと全身の抗重力筋が活
性化し、姿勢がシャンとし、瞼もパッチリで引き締まった顔の表情になります。
「このように、セロトニン神経は、過剰ストレスで生じる様々な症状、例えば、不眠、不
安、心の緊張、ネガティブシンキング、自律神経のバランス破壊、疲れた表情や姿勢など
と、実に深く関わっていることが分かると思います。つまり、この神経を活発に働かせる
ことが、ストレス耐性の高い心と体を作ることになるのです」
太陽の光を浴びて、3 つのリズム運動をする
それでは、セロトニン神経はどうすれば活性化できるのでしょうか。意外に簡単で、日
常生活の中で 2 つのことを実践すればよいのです。
- 44 -
1 つは、朝、しっかりと太陽の光を浴びます。重要なのは明るさ。蛍光灯の灯りはどん
なに明るく見えても照度は低く、太陽の明るさには及びません。できれば 30 分以上、外で
日の光を浴びましよう。
2 つ目は「基本的なリズム運動」をします。人間の様々な運動の中でリズムを伴うもの
とは 3 つあります。歩行、咀嚼、呼吸、です。
歩行については、ウォーキング、ジョギング、スクワットなどを 5 分から 10 分実践しま
す。朝、起きて、日の光を浴びながらウォーキングをするということは、まさに一石二鳥。
忙しい人は、通勤時間の中で歩く時間を多く作ればいいのです。
咀嚼については、朝、しっかりと朝食を取ること。野菜ジュースやヨーグルトだけで済
ます人が増加していますが、咀嚼という観点から見ると不十分と言わざるを得ません。
呼吸については、リズム正しい呼吸を繰り返すのがポイントです。それを様式化したの
が座禅です。お経を唱えるのもお勧めですが、日常生活では難しいので、リズム正しい呼
吸を意識しながらウォーキングするとよいでしょう。
良質の睡眠にも不可欠なセロトニン
逆説的ですが、ストレス耐性を高めるセロトニン神経は、ストレスに弱いのです。一日
中ストレスにさらされ続けるますと、その働きは弱まります。夜になると、情緒不安定に
なったりキレやすくなったり、表情も疲れるのは、このためです。だからこそ、なおさら
朝の活性化が重要になります。
また、疲れた心身を蘇らせるために重要なのは、夜の睡眠ですが、実はこれにもセロト
ニンが深く関わっています。脳内物質であるセロトニンは、夜になるとメラトニンという
物質に変化します。睡眠を誘い深い眠りをもたらす自前の睡眠薬です。
昼間にセロトニンが不十分ですと、メラトニンが不足して夜よく寝れません。夜型の生
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活を続けますと、良質の睡眠が得られないのはこのためです。なお、メラトニンは夜暗く
ならないと十分に放出されませんので、夜にコンビニのような明るい場所で働くと寝つき
が悪くなります。
朝起きて、日の光を浴びて歩き、朝食を取り、夜はできるだけ暗くする。ストレス耐性
を高めるこの基本は、実は昔の日本人の生活だったことを思うと、現代社会で健康的に生
活することの難しさを痛感します。
実は、私も片頭痛持ちでした
私も、20 代後半から、片頭痛に悩まされていました。呉共済病院での5年間の臨床研修
を終えた時点で、以後 10 年間共済組合等連合会に奉職するという契約をすれば、1カ月
間の海外研修と称して、1カ月間自由に海外旅行ができる制度(現在なお存在するかどう
かは知りませんが、当時の国家公務員等共済組合連合会にはありました)がありました。
私も、この制度を利用して、世界一周の旅行を計画して、その海外旅行に行きました。発
症は、最初の訪問国のギリシャのアテネでした。羽田空港から、25 時間のフライトを終え
て、お昼の食事に出た食前酒の赤ワインを飲んで食事を終えた1時間後に、今まで経験し
たことのない激しい頭痛に襲われ、その後の見物どころの騒ぎではありませんでした。翌
日以降も、昼の食事の食前酒の赤ワインを飲むと頭痛に襲われ、以後は食前酒は飲まない
ようにしました。
海外旅行が終わってからは、重症患者を受け持たされて、3日3晩徹夜をすることが、
日常茶飯時の病院でしたが、これが終わって一息ついて酒を飲む度に、激しい頭痛に見舞
われていました。当時は糖尿病に関する一般的な知識が乏しかったためもあり、糖尿病性
昏睡で入院する患者さんが多く、受け持ちになると、患者さんが覚醒するまでは、一睡も
できないことがザラでした。頭痛発作中に、患者さんが急変したりすると、パニック状態
になる程、まさに地獄の苦しみも味わいました。
最近では、平成 19 年 5 月に肺炎で、白浜はまゆう病院に入院した時は、突然の入院で
もあり、4人部屋に入ったのですが、4人部屋というのは、軽症の患者さんが入る所です
ので、狭い部屋に4人の患者さんと、付き添いの人、見舞客が多く出入りされ、酸素濃度
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が低下していたことに敏感に反応し、激しい頭痛に見舞われ、そのまま意識を失い、気が
ついた時には、個室に移されていた経験があります。
また、子供の頃は、海水浴に行った際に小舟に乗った時とか海釣りに行って舟に乗ると
よく船酔いをして遊ぶどころの騒ぎではなかった記憶があります。
また、学生時代は、当時家が島根県の松江市にあり、大学は広島市であったため、休暇
中に、夜行バスで広島から松江まで帰っていましたが、バスに乗るのに、最後部座席に乗
ると必ずといっていい位に酔ってしまい、おまけに頭痛も出現し、着くまでの5時間が地
獄のようであったのが想い出されます。
以前、Windows が発売された頃、大阪の日本橋に中古のパソコンを買いに、特急のくろ
しお号に乗って往復を度々していましたが、空腹で乗車すると必ず酔ってしまい、帰宅し
てから頭痛を頻繁に起こしていました。空腹と電車の揺れ(とにかく特急のくろしお号は
揺れます)が、関係していました。
私の場合、睡眠不足が一番関係があったようで、以後、自分の片頭痛がどのような状況
で起こるかを全て把握し、それらに対処して、現在全く片頭痛は起こらなくなりました。
脳動脈硬化症を起こしたことが、起こらなくなった理由かもしれませんが・・・
私の片頭痛を検証する
私の片頭痛に関して、色々な角度から、検証したいと思います。
まず、「遺伝」というか「家族歴」についてです。
私の両親は、全く、頭痛を訴えることはありませんでした。
私の父親は、山梨県山梨市の「ぶどう農家」の長男でした。ところが「医師」になりた
いとの夢が諦めきれず、京都大学に入学し、以後、山梨の家の跡継ぎは、次男である弟に
譲り、独自の生活をしたようです。結局、「医師」にはなれず、教師の道に進み、大阪の堺
市に居を構え、以後の生活が始まりました。私の記憶では、大阪での生活は記憶にはあり
ません。母親も、山形の出身としか聞いておりませんでした。
その後、父親の勤務の関係で、大阪から四国の高知県、さらに島根県の松江市に転居し
- 47 -
た関係で、私の親族と言える方には、顔を合わすことは全くありませんでした。このよう
な状況ですので、母親の一族とも全く面識はありませんでした。
ところが、一昨年、母親が死亡し、私の家の「お墓」は山梨県の山梨市にある関係で、
本年3周忌を行いました。それが終わってから、父親の弟さんも既に亡くなられており、
父の弟の娘さんと雑談をする中で、極めて激しい頭痛を繰り返されておられることを、本
人の口から知らされ、「医師」として、「片頭痛」かどうかあれこれ、お聞きして、「これは
紛れもなく、片頭痛」と考えた次第です。
このように、両親には、頭痛がないと、
「遺伝性なし」と短絡的に判断されます。それに、
私のような、極めて特殊な家族関係にある場合、二親等の頭痛の状況など知る由もありま
せんでした。
このような、私のような状況を踏まえた上で、家族歴の有無を確認する上で、問題は山
積しているようです。どこまで患者さん「家族には頭痛はない」ということが、信用でき
るものかどうか・・甚だ疑問だと思われます。
私の「片頭痛」を発症するまで・・
片頭痛は、ある人の言をお借りすれば、幼少期から発症すると申され、「一生治らないも
の」、と確信されておられる方々が如何に多いかということを実感しております。
私も、
「片頭痛体質」を受け継いでいることは、過去のことを振り返り、実感しています。
私が、小学生の頃、父は、松江市から日本海側の海水浴場に、夏休みには連れて行って
くれました。海水浴場にいくと、小舟に乗せてくれて、遠くまで漕いで、海を見せてくれ
たのですが、必ず、船酔いして、楽しむどころの騒ぎではありませんでした。
その後、広島大学の医学部に入学し、夏休みとか冬休みには、実家の松江市にある家に
帰っていましたが、当時の「国鉄」の料金を考えますと、私鉄の「夜行バス」が料金が安
いことを知り、これを利用しておりました。ところが、運転席に近い所に座席が確保でき
た時は何も問題はありませんでしたが、時に、最後部座席しか、空いていなかった場合は、
最悪で、車酔いで、到着するまでの5時間は「地獄の時間」でした。途中で、下車したく
ても、真夜中の中国山脈の中に取り残されるかと思えば、我慢するしかありませんでした。
- 48 -
呉共済病院に勤務して
私が、広島大学医学部を卒業する年度は、昭和 43 年でした。この当時は、「インターン
制度廃止運動の最終年度」の最後の仕上げの時期にさしかかっていました。
最終的に、インターン廃止が決定された後、医学部卒業後の「臨床研修」をどのように
するかという問題が残されていました。このため、国家公務員共済組合等連合会 呉共済病
院の内科に、勤務させて頂きました。
当時の呉共済病院は、院長が笠潤一郎、内科医長が岡田啓成先生で、内科医員 20 名で、
500 床の総合病院で、内科は 200 床でした。まさに、野戦病院と形容されるような病院で
した。
当時の内科は、人工透析を全国に先駆けて行っておりました。まだ、最初の時代でした
ので、血液透析機はキール型でしたので、除水効果が悪く、肺水腫を併発している場合は、
腹膜透析を(夜間に夜を徹して)併用して行っていました。このようにしても延命効果は
1カ月前後でした。また現在のように内シャントでなく、外シャントでしたので、血栓で
よく閉塞し、このため、夜間に「シャント掃除」に呼び出されていました。
当時の〇地区は、人口 20 万人で、当院以外に、総合病院の国立呉病院があり、交代で、
救急の当番をしていました。この時代は、肝硬変の昏睡もしくは食道静脈瘤破裂による吐
血、糖尿病性昏睡、脳卒中などの意識障害、心筋梗塞の救急が大半を占めておりました。
このため、入ったと同時に、静脈切開、気管切開、ゼングスターケン・チューブの挿入
等々の手技を叩き込まれました。だいたい、毎日、救急車で5,6名は救急搬送されてき
ました。研修1年目は、この救急患者を、上の先生方と一緒に診せられ、入院後は「受持
医」として、20名前後診ておりました。
また、内科医長の診察が隔日にあり、この日は「予診係」をさせられました。
さらに、重症の患者さんが多いため、殆ど毎日、誰かが亡くなられ、死後は病理解剖を
義務づけられていて、解剖の度に、その所見を記載する「シュライバー」をさせられまし
た。このような状況でしたので、受持患者 20 名のうち、4,5人は重症患者で、24 時間、
気が抜けない患者さんばかりでした。そして、受持患者の状態報告を、必ず内科医長にし
なくてはなりませんでした。さらに受持患者の「臨終の宣告」は、必ず「内科医長」
が行うことになっていましたので、例え夜中であっても連絡するようになっていました。
- 49 -
このような「報告が遅いと」罵声を浴びせられることは日常茶飯事のことで、「患者は死
なないもの」といった考えで、「報告が遅い、遅い」と怒鳴られ、患者さんが亡くなられよ
うものなら「人殺し」と罵られる毎日でした。何も、西も東も分からない「研修時代」で
すので、これが、どれだけのストレスになっていたか計り知れないものがありました。
このような毎日でしたから、殆ど、昼も夜もない状態で、まともに家に帰ることは、殆
どありませんでした。睡眠も1日に、3,4時間寝れればいいところで、毎日の「規則正
しい生活」とは全く無縁の世界でした。これが、毎日で、日曜日などは全くないに等しい
状態でした。ですから、病院の他の職種の方々が、毎朝、「おはようございます」と挨拶さ
れても、自分にとっては「朝という感覚がなく」朝の挨拶どころでなかったため、他の職
員からは、「変人」と思われていたようでした。
このような生活の連続であるため、上の先生方は、30 歳になると「判で押した」ように
自分の故郷に帰って、お父さんの医院の手伝いをされていました。
海外旅行での出来事
このような5年間の研修医時代が終わった時点で、今後、さらに呉共済病院に 10 年間
奉職するという契約をすれば、1カ月間、「海外研修」と称して「海外旅行」ができる制度
が当時の「国家公務員等共済組合連合会」にありました。
私は、勤務当初から、5年の研修期間が終われば、
「神経学」を専門に診療するつもりで、
それまでに、「脳血管撮影の手技」を身につけるまで準備していたために、迷わすに、この
契約を結びました。そして、世界一周の海外旅行を計画しました。
皆さんも初めての「海外旅行」をされた方は経験されていると思います。昭和 50 年の時
代です。旅行の1カ月前から、飛行機が墜落しないかとか、外国語が喋れないのに大丈夫
だろうかとか、行く先々の治安は大丈夫だろうかと、際限もなく、あれこれ考えて眠れな
いことも度々でした。
このようにして「海外旅行」に出発しました。最初の訪問国はギリシャのアテネでした。
羽田空港から 25 時間のフライトでした。機中は、狭い座席に座り、この間歩くことは、ト
イレ以外にはなく、寝ようにも、殆ど眠ってはいなかったように思います。
アテネに到着したのは、現地時間の午前 10 時頃でした。昼まで観光をして、昼食の時に、
昼間から食前酒にワインが出てきたため、珍しそうに口にしました。昼食後、さらに観光
- 50 -
が始まったのですが、バスに乗って間もなく、今まで経験したことのない激しい頭痛に見
舞われました。このため、その後は観光どころの騒ぎでなく、おとなしくバスの中にいる
しかありませんでした。その日の夜頃には、何とか治まりましたが・・
翌日も、昼食時のワインを飲むと再度、激しい頭痛に見舞われました。
これで、ワインがよくないと思い、次の日からは、ワインを飲まないようにして、以後
旅行中は、頭痛は起きませんでした。
これが、私の最初の片頭痛発作でした。
その後の片頭痛発作
旅行から帰ってきても、例えば、糖尿病性昏睡の患者さんを受け持って、3日3晩徹夜
をして、やっと患者さんが覚醒して、その晩、「祝杯」をあげると激痛に襲われます。(睡
眠が十分であれば、いくら酒を飲んでも大丈夫なのですが・・)
野戦病院のような呉共済病院も昭和 63 年には見切りをつけて、大阪の富永記念病院に
「急
性期脳梗塞の血行再開療法」を夢見て転院したのですが、ここでの夢も破れ、現在に至り,
ある程度は生活習慣も規則的となり、頭痛発作の頻度は激減しました。
最近では、睡眠時間には注意しているためか、殆ど起きなくなってはいるのですが、時
々、土曜日の午後から大阪での「講演会」に出席するため、診療終了後、特急くろしお号
で帰るのですが、この帰りの時間が遅くなって、空腹のまま、帰りの電車に乗車すると、
帰宅後、必ず、頭痛発作に見舞われます。どうも、空腹と、電車の揺れがよくないようで
す。
特急「くろしお号」の揺れのひどさは、有名です。
以上が私の片頭痛の概略です。
私の場合、発症前の約5年間の全く不規則な生活に加え、睡眠不足、食事もまともに摂
取していない状態をもとに発症の準備状態が作られたように思います。
そして、発症直前には、25 時間の狭い座席に閉じこめられ、気圧の変化、これまでの「地
獄のような生活」から解放されるという安堵感、そして現地に無事着いたという安心感に
追い打ちをかけるように「ワインを飲んだ」ことが直接の引き金になったようです。
これだけの「誘因」が加われば、発作が起きても、決して不思議ではないと思います。
- 51 -
私自身の場合は、このように振り返ってみて、発症前の5年間の生活がなければ、恐ら
く、片頭痛は発症しなかったのではないかと思えてなりません。
セロトニン不足を助長させる「生活様式」そのものが引き金となって発症したものと考
えております。
実際の患者さんを診察する場合は、頭痛が何かということばかりに気を取られ、発症前
の「生活状態」までには、注目していないのが実情ではないでしょうか。
片頭痛の原因を見つけるために
片頭痛の原因を見つけてくれるのは、現在は、あなたの「主治医」には到底不可能と考
えます。と言いますのは、医療機関に初めて受診する場合の注意点として、「あなたの頭痛
の状態を、正確に伝える」という項目が、必ずネット上、記されております。
これを基に、医療機関に受診された時点で、いろいろ問診されます。あらかじめ、診察
前に、「問診表」に記入を求められる施設も多いかと存じます。
これらの、問診にしても、問診表にしても、短時間で「片頭痛の診断」にまで持って行
こうとする意図で行われているに過ぎません。
ということは、「あなたの片頭痛の原因が何か」ということには、直結していません。
結局、診察医は「国際頭痛分類 第2版」の基準に適合するかを確認して、「片頭痛」の診
断を行っているに過ぎません。
片頭痛の原因追及までには至らないという理由を、述べさせて頂きます。
それは、片頭痛を起こして来た背景に関する「問診」項目が欠落している点です。
片頭痛の診断に関する「問診」あるいは「問診表」で、ある意味では、診断可能でしょ
う。これは否定しません。しかし、あなたの「片頭痛の原因」を探ることにはなっていま
せん。そういう私自身も、このような点までは、次の患者さんの「待ち時間」を考慮して
省いてしまうことが日常茶飯事のことでした。ときに、時間的な余裕のある場合に、お聞
きすることもありますが、決まって、患者さん自身は、お答え下さいません。
このような状況にありますので、「初診時」には確認できない項目で、ここに「片頭痛の
- 52 -
原因」を探る方法論に、ある意味で「難しさ」を感じております。
私が、片頭痛の原因を探るための方法として考えていることは以下の点です。
それは、18 歳以降に、片頭痛を発症された方に関しての「確認事項」です。
片頭痛を発症する前の、数年間の間に「ライフスタイル」が変わっていなかったか、と
いうことです。このような生活様式の「変化」を初診時に「お聞きしても」即座にお答え
される方は、ほとんどいらっしやいません。しかし、ここを「省いてしまえば」あなたの
「片頭痛の原因」を探る糸口は途絶えてしまいます。
もともと生まれつきのものであるという「先入観念」に捕らわれる限り、原因の探索の
道は閉ざされてしまいます。
それは、あなたの片頭痛が発症する前の、数年以内に、「ライフスタイル(生活様式)」
に変化はなかったかを、思い出して、もしあれば、どのようなことがあり、それが現在で
も続いているかどうかということです。
これが、明らかになれば、原因探索の道が開けると考えます。
このような方法も後天的な要因で発症する片頭痛の原因探索には有用のように考えてお
ります。
病院はカルト宗教の神殿か
病院はカルト宗教の神殿か・・はじめに
これは、小橋雄太さんのブログ「イミグラン錠・副作用なしで、片頭痛を治しちゃえ」
の中の「片頭痛と病院」の項目の一つの記事です。
小橋さんのブログを初めて閲覧して、1年が経過しました。このブログに出会うまでは、
片頭痛は一生治らないものであると思っていました。
医師が、頭痛の勉強をする場合の基本的なものがあります。それは、一番大切なものは、
- 53 -
国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類 第2版」です。これを基に、患者さんの「頭痛診
断」及び「鑑別診断」を行いませんと、医師の間では、相手にされません。
次のバイブル的な存在は、日本頭痛学会が作成した「慢性頭痛の診療ガイドライン」で
す。これに従って診療を行いませんと、「異端児扱い」をされます。この中には、治療に際
してのお勧め度が銘記されております。そのお勧め度は、A、B、Cの三段階で示されて
います。そして、頭痛学会が認定した「頭痛専門医」の先生方が中心になって「頭痛外来」
を行い、これらの先生方が中心に、一般の方々へ「頭痛の啓蒙書」が多数出版され、頭痛
の知識の啓蒙に努めて来られました。
これらの基本的な考えは、日本頭痛学会の作成した「慢性頭痛の診療ガイドライン」に
準拠しています。このガイドラインに、毎年行われる、学会発表され、認可された知見が
追加され、これらに従って、頭痛に携わる医師は診療を行うとされて来ました。
ところが、小橋さんは、一般の片頭痛患者の視点から、タイトルにあるように「病院は
カルト宗教の神殿か」との印象を病院に対してお持ちのようです。一般患者さんがこのよ
うな「視点」で「医師」をご覧になられておられるのかと初めて知り、唖然とすると同時
に、今後患者さんを診せて頂く際の参考にしたいと考えました。頭痛専門書を読む以上に
勉強になりました。まさにインパクトある記事でした。
これは、頭痛を診る方々は、是非とも、一度は閲覧すべきです。
http://ameblo.jp/henzutsunaosu/theme-10022048379.html
でご覧頂けます。
私は、この記事を閲覧させて貰って一開業医として感じたことを・・
まず、頭痛専門医の方々の共通した考えとして、片頭痛は生まれつきの遺伝的疾患であ
り、将来遺伝子治療が開発されない限り治らないとの考え方です。
私も、これらの日本頭痛学会の考えから、片頭痛は治らないと思い込んでいました。
ところが、これまで片頭痛が治らないまでも、小橋さんのように「発作をコントロール」
して「頭痛が起きなくなっている」人はいくらでもいらっしゃいました。
これに関連したことですが、頭痛専門医は「カイロプラクター・整体師・鍼灸師」の施
術は民間療法として蔑まれ、ガイドライン上も「推奨ランクC」と全く問題にしていませ
ん。また、小橋さんが問題とされる「体の歪み」に関連して「ストレートネック」との関
- 54 -
係を私は想定しましたが、頭痛専門医の間では、「頭痛とストレートネック」は過去に関係
ないと否定された考え方であり、全く論外とされ、問題にされません。
このように、ちょっとした考え方の相違を、日本頭痛学会の認定される「頭痛専門医」
は、頭から否定され議論の余地は全くないと考えていることが、よく理解されました。
これまでの「教義」は絶対のものであり、議論の余地はなく、絶対服従のような態度が
ありありと伺えます。このように、「カイロプラクター・整体師・鍼灸師」の方々の意見を
全く受け入れない、謂わば「宗教団体」のような組織にしか私のような一般開業医には思
えません。その教義とは、簡略化すれば以下のようになるのではないでしょうか?
教義(例えば、片頭痛に関するものです)
あなたの頭痛は「頭痛持ちの頭痛」です。
原因は、生まれつき、脳がちょっとしたことで興奮しやすい「脳過敏」にあります。
このため、頭の良い、聡明な方が多く、一般人とは違います
その症状は、神秘的で不思議なものです。普通の人間とは、デキが違う特別な存在です。
生まれつきのものですから、治ることはありませんが、いずれ年をとれば起こらなくなり
ます。(まさに、神懸かり的な発想としか言えません)
頭痛と首とは全く関係なく、ストレートネック・「体の歪み」などは論外です。
頭痛発作時には、トリプタン製剤をタイミングよく服用しましょう
このように、毎回発作時にトリプタン製剤で対処しませんと、後々、頑固な頭鳴、耳鳴り、
めまいを引き起こし、極めてやっかいな状態に至ります。
しかし、このようにしておれば、いずれは治まってきます。
このような「教義」をお持ちの「頭痛専門医」が主導となり学会を支配されます。
そして、このような「教義」に従順に従う「いろいろな団体」が存在します。
これら団体は、自ら手を汚して、この「教義」を検証することなく、「エビデンス」を振
りかざして、あたかも科学者であるかのごとく、従順に従っており、極めて「排他的組織」
と言わざるを得ません。
- 55 -
このように考えれば、「宗教団体」と何ら異なるところはないのではないでしょうか?
これから、しばらくは、この点に関連した記事を掲載します。
病院はカルト宗教の神殿か・・(2)遺伝
これは、小橋雄太さんのブログ「イミグラン錠・副作用なしで、片頭痛を治しちゃえ」
の中の「片頭痛と病院」の項目の一つの記事です。
小橋さんのブログを初めて閲覧して、1年が経過したました。このブログに出会うまで
は、片頭痛は一生治らないものであると思っていました。これは、どういった理由による
ものなのか、いろいろ考えてみました。
医師が、頭痛の勉強をする場合の基本的なものがあります。それは、一番大切なものは、
国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類 第2版」です。これを基に、患者さんの「頭痛診
断」を行いませんと、医師の間では、相手にされません。
次のバイブル的なものは、日本頭痛学会が作成した「慢性頭痛の診療ガイドライン」で
す。これに従って診療を行いませんと、「異端児扱い」をされます。この中には、治療に際
してのお勧め度が銘記されております。そのお勧め度は、A、B、Cの三段階で示されて
います。そして、頭痛学会が認定した「頭痛専門医」の先生方が中心になって「頭痛外来」
を行い、これらの先生方が中心に、一般の方々へ「頭痛の啓蒙書」が多数出版され、頭痛
の知識の啓蒙に努めて来られました。
これらの基本的な考えは、日本頭痛学会の作成した「慢性頭痛の診療ガイドライン」に
準拠しています。この考え方は、毎年行われる、学会が認めた考えに従うとされています。
私は、これらの書籍を基に、片頭痛は治らないと思いこんでいました。
私は、頭痛専門医ではありません。神経内科を専門とする一介の開業医です。小橋さんは、
一般の片頭痛患者の視点から、タイトルにあるように「病院はカルト宗教の神殿か」との
印象を病院に対してお持ちのようです。一般患者さんがこのような「視点」で「医師」を
ご覧になられておられるのかを初めて知り、今後患者さんを診せて頂く際の参考にしたい
と考えました。頭痛専門書を読む以上に勉強になりました。
これは、頭痛を診る方々は、是非とも、ご覧頂きたく思います。
- 56 -
http://ameblo.jp/henzutsunaosu/theme-10022048379.html
でご覧頂けます。
私は、この記事を閲覧させて貰って一開業医として感じたことを・・
まず、頭痛専門医の方々の共通した考えとして、片頭痛は生まれつきの遺伝的疾患であ
り、将来遺伝子治療が開発されない限り治らないとの考え方です。
しかし、これまで片頭痛が治らないまでも、小橋さんのように「発作をコントロール」
して「頭痛が起きなくなっている」人はいくらでもいらっしゃいます。
これに関連したことですが、頭痛専門医は「カイロプラクター・整体師・鍼灸師」の施
術は民間療法として蔑まれ、ガイドライン上も「推奨ランクC」と全く問題にしていませ
ん。また、小橋さんが問題とされる「体の歪み」に関連して「ストレートネック」との関
連を私は想定しましたが、頭痛専門医の間では、「頭痛とストレートネック」は過去に関係
ないと否定された考え方であり、全く論外とされ、問題にされません。
小橋さんが「体の歪み」を是正することによって「片頭痛をコントロール」されている
事実や東京脳神経センターの松井孝嘉先生が、このような立場から治療され、片頭痛を完
治させた事実は全く無視されておられるようです。
また、頭痛専門医は、くすりによる治療に関しては、、「一般の鎮痛薬で片頭痛の痛みを
抑えていると、一部の脳の活性が高まり、そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生
じ、血管の異常拡張がさらに脳の活性をもたらし、それが再び血管の異常拡張へとつなが
り、つまり、悪循環が終わらなくなり、それによって常に片頭痛がある状態になり、血管
の拡張が繰り返されると、血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすく
なる」ことによって、「易興奮性が増大する」というものです。このため、これを防ぐため
には、頭痛発作の都度「トリプタン製剤を使いましょうと言われます。
そして、このようにされませんと「脳過敏症候群」を起こして、後々「頑固な頭鳴・耳
鳴り・不眠」などのやっかいなことを引き起こしてくると申されます。
しかし、この「脳過敏症候群」に関しては、一度は「頭痛学会」は否定したような見解
を出したにも拘わらず、どなたかの抗議により、引っ込めてしまいました。きわめて曖昧
な形のまま・・この点に関しては、最近の記事で4,5回掲載しました。
そして、頭痛専門医の対応の仕方は、我関せずか、何も申されないようです。
さらに問題は、皆さんを悩まされる片頭痛や緊張型頭痛を「頭痛持ちの頭痛」と表現さ
- 57 -
れ、その原因を明確にされず、極めて曖昧なものとしています。まさに神がかった、考え
としか言えないと思われます。皆さんは、理解できますでしょうか?
しかし、頭痛専門医が蔑まれる「カイロプラクター・整体師・鍼灸師」は、自分の手で
触れて「体の歪みや筋肉緊張異常」を確認して施術されます。ここには「実体」が存在し
ます。
このどちらに真実があるのでしょうか?
どちらが科学的なのでしょうか?
これらを総合的に見ても、これまでの”風習”に従った(これまで先達の築いてきた論
説を疑うことなく”金科玉条”のごとく崇め奉った「教義」に則って「ガイドライン」を
作成し、これに従わない者は「専門医」とは認めないといったところなのでしょうか?
こういった集団は、どのように形容すべきなのでしょうか?
小橋さんであれば、どのような形容をされるか、興味あるところです。
もう少し簡略化します。
教義
1.慢性頭痛は「頭痛持ちの頭痛」である。
2.片頭痛は生まれつきの遺伝的疾患で治らない。
3.頭痛と「体の歪み」、ストレートネックは全く関係がない。
4.カイロプラクター・整体師・鍼灸師・歯科医の治療は勧められない。
5、トリプタン製剤が第一選択薬で、発作の都度使うべきである。
6,そうしないと「脳過敏症候群」に至ります。
病院はカルト宗教の神殿か・・(3)「勉強しなさい」
先日、ある「頭痛専門医から以下のように忠告されました。
「 頭痛のことを語りたいのであればきちんとお勉強になり専門医の資格に挑戦されること
をお勧めいたします」
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私は、昭和 43 年に広島大学医学部を卒業しました。当時、インターン廃止運動の終結す
る段階にあり、諸先輩から運動の引き継ぎを行い、さらにインターン廃止後は、引き続き 43
青医連広島支部委員長として活動しました。(これまでブログに掲載していた通りです。)
学生時代から神経学に興味があり、将来どうすべきか諸先輩に相談した所、当時は神経
内科の講座はなかったため、神経学全般を身につけるには、それぞれ得意とする施設を回
って勉強するしかないと言われました。例えば、脳卒中学であれば、秋田県立脳血管研究
センターか美原記念病院か阪和病院脳卒中診療部しかないとされていました。
このため、とりあえず、大学の医局には入局することなく、国家公務員等共済組合連合
会
呉共済病院の内科に勤務しました。勤務してからは、「脳卒中学と頭痛」にしか興味の
対象は存在しませんでした。
当初は、脳血管撮影の手技の取得に全精力をつぎ込み研鑽に努めました。
研修2年目から外来に出されましたが、日常の外来診療に飽き足らず、外来に出しても
らった2年後に、日常の外来診療とは別に、週1回だけ午後から「頭痛外来」をさせても
らっておりました。(この箇所は「私と頭痛診療」をご覧下さい)
当時の頭痛診療の指針は、内科系雑誌に掲載された「頭痛の論文」だけで、昭和 53 年に
発足した「頭痛懇話会」の先生方の情報だけが頼りでした。研修5年が終了し、昭和 50 年
には、秋田県立脳血管研究センターへ研修に行って、脳卒中学の基本をたたき込まれまし
た。当センターの診療部門は、神経内科、脳神経外科、神経放射線科の3つの柱があり、
脳神経外科医は徹底的に手術手技向上に研鑽を積み、私自身は神経内科で、神経学検査法
の手技を徹底的に教え込まれました。そして、各科は厳重に区分けされていました。
※(ですから、脳神経外科医は、本来手術手技向上をめざすべき人間で「頭痛診療」を
行う現代が全く信じられない思いです)頭痛診療とは何なんでしょうか?
手術の必要な患者さんは、本来の「脳神経外科医」に任せばすむことではないでしょう
か?
当時の私は、脳梗塞急性期の診療と頭痛診療は平行して行っておりました。
ただ、昭和 63 年に「急性期脳梗塞の血行再開療法」を夢見て、大坂の富永記念病院に場
所を移したのですが、この病院が大国町にあり、ミナミに近接していたためか、救急車で
搬入される方々は大半は「急性アルコール中毒か過呼吸症候群」ばかりで、1年8カ月い
た中で、急性期脳梗塞患者を診せてもらったのは、たったの1名だけで、平成2年限りで、
急性期脳梗塞医療は断念し、それ以降は「頭痛診療」ただ一筋に診察して来ました。
- 59 -
頭痛懇話会から頭痛研究会へと変わり、その後平成 9 年に頭痛学会になったと同時に、
日本頭痛学会に入会し、学会員になり、学会誌には、隅から隅まで目を通しており、学会
の動向には、注目しておりました。現在でも継続して行っております。
呉共済病院勤務時代は、文献の依頼は、虎ノ門病院の中央図書室に依頼したり、製薬会
社のプロパーに依頼すれば、文献は簡単に入手できました。それよりも、基本的な「頭痛
学」の書物は洋書、和書を問わず入手可能な限り購入して読破したつもりです。
(このため書籍購入費用は 1,000 万円は下らないと自負しております。)
私には、出身教室はありません。このため「日本神経学会の認定する」専門医の認定医
の試験を受ける際には、秋田脳血管研究センターの当時のセンター長の沓沢尚之先生の推
薦で受験資格を得て合格させて戴きました。しかし、問題の日本頭痛学会の認定医試験は
「出身大学医局」がないという理由で受験資格が得られず、現在に至っております。
ということは、全てが独学であるということを意味しております。
このような私ですが、現在の「日本頭痛学会」の理事長の坂井文彦先生の「患者から学
ぶ頭痛学」を基本に「患者さんの訴え」に耳を傾け、全精力を費やして診療して参りまし
た。ここには、何ら偽りはないはずです。ですから、私の「頭痛の教師」は「頭痛患者さ
ん」そのもので、悩む度に、調べ尽くすのが私のやり方でした。
インターネットの発達した時代ですので、私の診療する和歌山県の片田舎ではあります
が、文献検索は、以前よりも簡単に行えるようになっています。ですから、文献検索の面で
も、現在の頭痛専門医と比べても、遜色はないと自負しております。
ただ、残念ながら頭痛専門医の資格がないことは認めざるを得ません。
ただ、日本神経学会の認定医試験を受けた際に思ったことは、入局して、教授の研究を
手伝いさえすれば、教室の教授の推薦は直ぐに得られ、さらに歴代に渡って集積された「認
定医試験の模範回答集」が先輩から渡されて、それさえしておれば、出題傾向は簡単に分
かり、卒業2,3年で簡単に合格できるシステムになっています。私の場合は、このよう
な先輩はどなたもおられず、出題傾向など全く予測は不可能でした。さらに 40 歳を過ぎ
てからの受験ですので、記憶力の低下は想像を絶するもので、1回目は見事、不合格でし
た。2回目は、1回目の試験問題が、当時出版されていた「新内科学体系 全 60 巻」の年
間追補版の中の「神経学」の箇所にあることが判明し、2回目の受験では、ここに「山を
張って」見事合格できました。一緒に、医学部教授の方々(知っている先生方)も受験さ
- 60 -
れておられましたが、不合格になっていました。このように、私は、出身大学はありませ
んでしたが、秋田県立脳血管研究センターの当時のセンター長の沓沢尚之先生の推薦で、
極めて簡単に、受験資格を得ました。
確かに、頭痛専門医の方々には、外国留学という経歴の先生もいらっしゃいますが、大
半の方々は、大学を出たての「若い先生方」で臨床経験もさほどあるとは思われない方々
が、教室があるというそれだけで、合格される人も多いようです。
このような方々も「全く、同じ頭痛専門医」なのです。
このような事情があるためか、日本頭痛学会の「所謂、重鎮とされる先生」の訳も分か
らない「理論」が出されても、何ら疑うこともなく、「鵜呑みにされる」のだろうと考えま
す。そして、仮に「疑問を持ったとしても」
「疑義を挟むことが、所属する教授及び教室員」
に迷惑が及ぶことを恐れ、口を噤んでしまうのが実情だろうと考えます。
これが、専門医のあり方と思われます。(ここに”洗脳”の素地が存在する訳です)
頭痛専門医以外の、一般開業医は、いくら「疑問」を持っても、黙ってみておれ、とで
も言われるのでしょうか?
そして、今回のように冒頭で述べたような「 頭痛のことを語りたいのであればきちんと
お勉強になり専門医の資格に挑戦されることをお勧めいたします」ということになるので
はないでしょうか?
今後、何を、どのように「お勉強をすればよいのでしょうか」
勉強して、すべて、日本頭痛学会が提示する”学説”を信じろ、ということなのでしょ
うか?
ここにも、「日本頭痛学会」が”あたかも「宗教団体」である”かのごとくなってしまう
素地があるのではないでしょうか?
病院はカルト宗教の神殿か・・(4)検査方法
これは、小橋雄太さんのブログ「イミグラン錠・副作用なしで、片頭痛を治しちゃえ」の
中の「片頭痛と病院」の項目の一つの記事です。
これに関連して・・
- 61 -
片頭痛は、症状が多様であること,確実な診断マーカーが無いため,あくまで症候学的
な臨床診断に頼らざるを得ないこと,また,完全な動物モデルが無いことなどにより,片頭
痛は科学的な解明が困難な疾患のひとつとされて来ました。
このため、症候論をもとに、片頭痛が分類され、この分類は「国際頭痛分類
第2
版」に明記されております。この分類は、寺本純先生によれば「あくまでも、トリプ
タン製剤の適応」を決めるためのものと言われます。
そして、一般に「片頭痛」と称されるものは、これらを一括したものです。
そして、検査方法としては、CT・MRIによる画像診断により「脳の中には何もない」」
ということが、条件になっています。
画像診断のなかった時代には、脳波検査がルチーン検査として行われていました。
これは、片頭痛は「てんかん」との関連があるのではないかという基本的な考えがあり
ました。しかし、画像診断が行われるようになってからは、このルチーン検査からはずれ、
最近では「脳過敏症候群」の診断を行う際の必須検査となりつつあるようです。
一方、片頭痛は、症状が多様であることことは誰もが認識された病気です。いわば、
盲人が象を手でさわって、その実態をああでもない、こうでもないと論じて参りまし
た。そして、医師とくに頭痛専門医は、問診を行った上で、その症候論を基にして、
現段階では「国際頭痛分類」にあるような診断基準が作成され、これが普遍的に使わ
れています。ということは、あくまでも、患者さんに手を触れることなく、このよう
に診断を行っている訳です。
ところが、カイロプラクター・整体師・鍼灸師は、患者さんの訴えを詳細に聴取す
る(これは医師が行っているものと全く同じです)と同時に、患者さんの体型・姿勢
を視診した上で、骨格筋の歪みを触診により確認して、「片頭痛の病態」 がどのよう
なものかを確認し、この観点から首及び骨盤に注目しております。
こうした観点とは別に、医師である北見公一先生は、慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱
筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候群(Myofascial pain syndrome, MPS)が多く合
併することを指摘されておられます。
さらに、東京脳神経センターの松井孝嘉先生は、これまで 30 年間にわたって、「頭痛と
首」に注目して研究をされて来られました。
- 62 -
このように、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々が指摘される「体の歪み」
は、単純に考えれば「首にも関連」しており、これを裏付けるものは、頸椎レントゲ
ン検査で診られる「ストレートネック」です。
*
これまでも、頭痛研究者も、緊張型頭痛での首の異常は、鳥取大学の高橋教授や寺
本純、作田学先生らが古くから指摘されていた点ですが、いつの間にか、余り問題に
されなくなりました。
この点の研究は、獨協医科大学の平田幸一先生がされておられますが、積極的に関
連があるようには申されません。
しかし、頭痛患者に頸椎レントゲン検査を行えば、高頻度に「ストレートネック」
が確認されます。この所見は、緊張型頭痛には 80 %以上に、さらに片頭痛では、これ以
上の 93 %という極めて高率に確認されます。これらは、4月 11 日にこのブログで公開し
ました。
この報告の時点では、片頭痛の症例は、120 例でしたが、現段階では 152 例までになり、
やはりストレートネックの確認例の出現頻度は 93 %と全く変わりはありません。
これまで、頭痛患者への「頸椎レントゲン検査」を勧める先生は、散発的には存在して
いましたが、いつの間にか「ルチーン検査」となることなく、顧みられなくなっているの
が実情のようです。最近の教科書には、頭痛検査として「頸椎レントゲン検査」は殆ど記
載されておりません。
これは、日本頭痛学会が、慢性頭痛は「頭痛持ちの頭痛」と規定してしまったことに符
号するように思われます。
現在の頭痛専門医は、頭痛とストレートネックは、全くエビデンスなしと否定されます。
しかし、この実態はどのようなものなのでしょうか?
現在の頭痛専門医は、大半は総合病院に籍を置いておられ、「頸椎レントゲン検査」は放
射線科か整形外科がされる施設が殆どで、ましてや一般の個人でされる頭痛専門医には、
エビデンスもない検査を行うはずはありません。
ここに、「頭痛とストレートネック」はエビデンスなしとされる根源があり、いつの間に
- 63 -
か、これが「神話」となってしまったようです。
私は、個人の開業医ですので、すべての検査は自分自身でしなくてはなりません。
私は、成和脳神経内科医院開院以来、頸椎レントゲン検査は全て、私自身で行って参り
ました。撮影方法は、正面・側面・前屈位・後屈位・斜位(2方向)の6方向撮影を原則
としております。この撮影時の注意点としては、頭痛患者の場合は、通常の中間位での頸
椎前湾の消失と、前屈位での前弯の不十分さ、後弯の所見を確認する点が大切です。
そして、現実に、頚部の筋肉群の触診を行い、圧痛点を確認することです。
この点を確認しませんと、頭痛とストレートネックの因果関係は語れないものと思って
おります。こういった観点から、見れば、頭痛患者さんで見られるストレートネックが意
味あるものかどうかは一目瞭然であるはずです。
ところが、頭痛専門医は、ストレートネックは若い方々に日常茶飯事に見られる所見で
あり、頭痛との因果関係はないと申されます。恐らく、自分自身で撮影もされず、頚部の
筋肉群の触診をされておられない「手抜き診療」をされておられるのではないでしょうか?
皆さんも、頭痛で診察を受けた場合、この点に注意する必要があります。
trigemino-cervical complex の考え方から,理論的に何らかの関係があることは,本物!の頭
痛専門医であれば常識のはずです。。
ところが、頭痛とストレートネックは、全くエビデンスなしと、頭から否定されます。
これが、科学者のとるべき態度なのでしょうか?
自分が診療している患者さんで実際に検証すべきで、検証もなしに、先達の”説”を信
じ込むといったことは、科学者としてあるまじき態度で、このような人間が「大きな顔を
して頭痛研究」をしていますと、世間ではまかり通っている世界です。
ここに、問答無用の、いわば「教義」として信じている”信者”としか思えない点です。
病院はカルト宗教の神殿か・・(5)緊張型頭痛は簡単に治るのか
第5弾目です。
これまでの頭痛研究の殆どは片頭痛に関するもので、緊張型頭痛についての研究は少な
- 64 -
いようです。これも「頭痛持ちの頭痛」と表現されます。
そして、頭痛専門医の殆どの方々は、「筋弛緩薬、抗不安薬、血管拡張薬」などの薬物療
法を中心として、頭痛体操により治療されて来ました。
これまで頭痛専門医の方々の「緊張型頭痛」に関する一般啓蒙書が多数出版されており
ますが、その代表的なものとして、永関慶重先生と大和田潔先生の書籍が印象的です。
その記述として、大和田先生は緊張型頭痛とストレートネックは全く関係なしと断言さ
れ、永関先生は「姿勢」が関与するとは言われますが「ストレートネック」に関しては言
及されていません。大和田先生は「トリトリ体操」で、永関先生も「ある体操」で簡単に
治ってしまい、その証拠に「二度と受診することはない」と述べ、簡単に治ってしまうと
申されます。果たして、本当にそうなのでしょうか?
私の考えでは、このような方々はCT・MRIの画像検査を受け、重大な疾患がないこ
と、そして「肩こり」に関係したものと説明を受け安心され、肩こりが原因であればと考
えて、自分で適当に”市販の鎮痛薬”ですまされておられ、このような理由から2度と受
診されておられないのではないでしょうか?
私の診療する和歌山県田辺市は「梅の産地」でもあり、受診される頭痛患者さんは、梅
の生産・製造に関わる方々が多く、従来から指摘されますように、近畿地区は全国と比較
して「片頭痛患者」は少ないとされ、大半の方々は緊張型頭痛の患者さんです。
私は、これまで作田学、寺本純先生が指摘されておられた「ストレートネック」に注目
して、緊張型頭痛の方々は全員とは言いませんが、大半は「頸椎レントゲン検査」を行う
ようにしておりました。このため、頸椎レントゲン検査上、ストレートネックの有無によ
って緊張型頭痛を2つに分類し、ストレートネックがない場合は「精神的な問題」が関与
しているのではないかと考えておりました。(ただ、中にはストレートネックを呈しながら
精神的な要素が関与している方もおられるようで注意が必要のようですが・・)
このような考え方で、鎮痛薬は「絶対に使わない方針」で、仮に「薬剤」を患者さんが
希望される場合は、「筋弛緩薬、抗不安薬、血管拡張薬」を使用し、頭痛体操を勧めており
ました。このような対処の仕方をしている限りは、大和田、永関先生の申されるように2
度と受診される方々はありませんでした。当然、簡単に治るものと短絡的に考えていまし
た。
ところが、ある日、テレビ放送で「肩こりにレーザー照射」が極めて有効で、患者さんに
- 65 -
喜ばれていると知りました。
この情報を基に、平成 15 年に東京医研の「スーパーライザー」(低出力レーザー)を導
入しました。
これを導入することによって、緊張型頭痛の頭痛が、如何に「治りにくいものであるか」
を思い知らされました。当初は、頭痛を訴えて受診して頂いた上で、CT検査の高額な検
査代を払わせて、筋弛緩薬、抗不安薬、血管拡張薬を処方し、頭痛体操を提案するだけで
は、「まさに盗人のように思えて、その日のうちに頭痛を早くとってあげる目的で、あくま
でも、せっかく受診して頂いたサービス」の積もりで「東京医研のスーパーライザーを導
入しました」はずでした。
ところが、緊張型頭痛の方々のそれ以降の受診状況が一変してしまいました。どういう
ことかと言いますと、これまで2度と受診されなかった方々が、「頭痛が軽快するまで」延
々と受診されるようになりました。平均的には、4,5回の照射で頭痛が消失します。長
い人では1カ月以上通院されます。こうして見ますと、如何に「緊張型頭痛」が治りにく
いものであるのかを思い知らされました。しかし、再発が多いことも事実でした。この点
を見直すことにより、「ストレートネックが存在する限りは、頭痛は延々と再発する」と考
えざるを得ませんでした。ここから、ストレートネックを如何にして改善させるかの模索
が開始された訳です。
現在では、
「ストレートネックを改善させる方法」は、日常生活を送る上での注意と、
「背
骨伸ばしのストレッチ」「仙腸関節のストレッチ」を毎日実行することで、ストレートネッ
クは改善されることが確認されました。
それ以降は、緊張型頭痛を再発される方々は極端に減少しています。
再発される方々は、これまでのストレッチ・頭痛体操を怠った方々ばかりでした。
さらに、本年になって、東京脳神経センターの松井孝嘉先生が「頚性神経筋症候群」を
提唱されて、先生独自の治療法で、緊張型頭痛を完治されておられることを知りました。
松井先生の方法は、私の方法とは比較にならない位に徹底した「理学療法」でした。
こういう意味で、ストレートネックを改善させることによって緊張型頭痛は完治すると
思っております。しかし、精神的要素が関与した緊張型頭痛は一筋縄ではいかない点は認
めております。こういった点からも、緊張型頭痛治療開始時に「ストレートネックの有無」
の確認は必要不可欠と思っております。
- 66 -
少なくとも、緊張型頭痛はストレートネックが関与しているものが多く、ストレートネ
ックと頚部筋肉群の異常緊張を緩和させることによって改善されるということです。
全ての緊張型頭痛を「頭痛持ちの頭痛」といった”神話”が本当かどうか考えていると
ころです。恐らく、仮にあったとしても、1割前後と考えられます。
仮に、緊張型頭痛の原因が「肩こり」によるものと考えたとしても、肩こりを改善させ
る手段を持ち合わせていない「頭痛外来」では治療手段がないわけで、せいぜい「頭痛体
操」の指示程度といったところでしょうか?
こういった意味で「緊張型頭痛は、頭痛持ちの頭痛」と表現されているのでしょうか?
少なくとも、緊張型頭痛は簡単に治るといった”幻想”は是正すべきです。
病院はカルト宗教の神殿か・・(6)診療ガイドライン
現在の頭痛診断は 2004 年に 15 年ぶりに改訂された国際頭痛分類第 2 版(ICHD-II)に準
拠して行われていますが、頭痛診療および研究の進歩は、1988 年に国際頭痛学会から提唱
された慢性頭痛の診断基準によるものが大きく、診断基準の登場により慢性頭痛の診断が
標準化し、多くのエビデンスが蓄積されました。臨床の場においてはトリプタン製剤を始
めとした有用な薬剤が多数報告されるようになり、慢性頭痛の治療の選択肢が広がりまし
た。このため、治療に対するガイドライン作成の必要性が出現し、各国で診療ガイドライ
ン(Clinical Practice Guideline:CPG)が作成されました。
日本では 2002 年に日本神経学会の小委員会より「慢性頭痛治療ガイドライン 2002」が公
表されました。 http://www.neurology-jp.org/guidelinem/zutuu_index.html。対象となった頭痛
は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、薬物乱用頭痛で、疾患別に担当をわけ、各担当委員に
よって PubMed、医学中央雑誌から文献が検索、収集され、エビデンスの要約が行われま
し。ガイドラインには各種治療法(治療薬)に対する米国保健政策研究局(AHCPR)の基
準を用いたエビデンスレベル(Ia,Ib,Ic,IIa,IIb,III,IV,V)と、米国頭痛コンソーシアムとの整合
性を配慮し、また日本での健康保険適応の有無を考慮した勧告の強さ(お勧め度 A,B,C)
が明記されています。
- 67 -
「慢性頭痛の診療ガイドライン」は 2005 年に厚生労働科学研究班により発表されました。
こちらを参照して下さい。http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/top.htm
(厚生労働科学研究費補助金 こころの健康科学研究事業 慢性頭痛の診療ガイドライン作
成に関する研究班 主任研究者 北里大学医学部神経内科学坂井文彦教授が中心となっれ平
成 14 年度から 16 年度にわたって、エビデンス(EBM)を集積したものです。)
このガイドラインは、一次性頭痛(慢性頭痛)の診療レベルの向上、標準化を目的とし、
専門医のみでなく、プライマリーケア医への普及のために作成されました。対象となる頭
痛は日本神経学会より公表された「慢性頭痛治療ガイドライン 2002」と同様で、片頭痛、
緊張型頭痛、群発頭痛、その他の一次性頭痛、薬物乱用頭痛である。大項目は I.頭痛一般 II.
片頭痛 III.緊張型頭痛 IV.群発頭痛 V.その他の一次性頭痛 VI.薬物乱用頭痛 VII.小児の頭
痛 VIII.遺伝子に分かれ、小項目は専門医、一般臨床医、患者の会からの情報を参考に作成
されたクリニカルクエスチョン(CQ)で構成されています。CQ に対する推奨文は、PubMed,
Cochrane Library, 医学中央雑誌その他を利用し、エビデンスに基づき記載され、推奨グレ
ード(お勧め度 A,B,C)が明記されました。国内で得られたエビデンスも取り入れられて
おり、治療法にとどまらず、産業医・校医の頭痛対処、病態生理、遺伝、漢方薬の項目が
設けられているのが海外の CPG と異なる点です。治療薬は本邦で健康保険適応が承認され
ている薬剤とエビデンスの質が高い薬剤について記載された。健康保険適応外である薬剤
に関しては、その旨を明記されたうえで、海外の報告が記載されています。また、健康保
険適応ではあっても海外で報告されている急性期治療薬および予防薬の投与量は日本で処
方可能な用量より多いため、注意が必要です(薬剤用量に関する日本のエビデンスは少な
い)。さらにそれぞれの小項目(CQ)の主要参考文献のアブストラクトフォームが作成さ
れており、推奨の裏づけとなった文献の要約を日本頭痛学会の web 上で閲覧が可能である
ことは海外のガイドラインにはみられない特記すべき点です。
このガイドラインが公表された直後に、医療ジャーナリストの植田美津恵さんは、以下
のようなコメントをホームページに公表されています。
(http://www.mitsue-ueda.com/ittou_guideline.html)
これらのガイドラインは、すべてエビデンスに基づいて作成されており、これが、頭痛
専門医の「論拠」となっています。このため、このガイドラインに記載されていない点は、
- 68 -
絶対に容認されないことになっています。
このため、「頭痛とストレートネック」は全くエビデンスなしとされています。
謂わば、頭痛専門医の「教義」ともいうべきものに相当します。
病院はカルト宗教の神殿か・・(7)医師
この章での「最も問題」とすべき、医師の問題です。これからの記事は多くの問題点が
含まれております。これからは、私の「独断と偏見」であります。誤解されないように・
私の「ひがみ」と考えて、ご覧下さい。
この点を抜きには「病院はカルト宗教の神殿か」の論説が成り立たないからです。
現在、頭痛を診る医師は、頭痛専門医を問わず一般開業医を含めて、昨日「記事」にし
ました、国際頭痛学会が作成した「国際頭痛分類 第2版」日本神経学会の作成した「慢性
頭痛治療ガイドライン」、さらに日本頭痛学会作成の「慢性頭痛の治療ガイドライン」に従
って診療が行われています。このことによって、診療内容の標準化が図られています。
そして、頭痛発作時の「頓挫療法」の主役は「トリプタン製剤」になりました。
さらに、頭痛診療そのものは、頭痛専門医が行う「頭痛外来」が格上のものとして、一
般の医療機関さらに開業医とは差別化が図られております。
このため、頭痛専門医が行う「頭痛外来」には、頭痛患者で溢れかえっているようです。
このように多くの患者さんを集められておられる方々は、大半は、自ら一般の方々向けに
「頭痛啓蒙書」を出版されておられるのが共通項のようで、中にはテレビなどで大々的に
宣伝され、さらに患者さんをかき集めておられ、1日に 300 人も診察される方もおられる
ようです。
このような状況をみますと、私は、以前、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院で勤
務していた時代の、私の師匠である内科医長(後の病院長です)の「岡田啓成先生」が思
い出されます。この師匠は、腎疾患とくに慢性腎不全の治療では全国的に有名で、日本で
最初に人工透析を手がけられた先生で、当時の人口透析の平均余命は1カ月前後であった
にも関わらず、広島県下から慢性腎不全の患者さんがごぞって受診され、外来に溢れかえ
り、1日に平均 200 人前後診察しておられました。この師匠も何か「カリスマ性」を持っ
- 69 -
た先生で、(腎不全という、当時人工透析をしても余命1カ月程度しかなかったにも関わら
ず、患者が集まってくる点で、カリスマ性を感じていました)、この師匠も日本全国を講演
しまくっており、このような際はよく代診をさせられておりました。このような代診の時
に、患者さんに、「今日は、岡田先生ではないの、オホホホ・・」と言われ、薬だけで帰ら
れる方々が多数おられました。結局、このような方々は、「岡田”信者”」なのだと、自分
に言い聞かせて慰めておりました・・また、師匠からは、患者さんに「カリスマ性」を植
え付ける方法論も教え込まれました。このような方法論は共通しており、これをブログに
記載すれば、迷惑がかかる先生もいらっしゃると考えますので控えます。袋だたきに合う
ことは必定です。まだ死にたくありませんから・・
当時の師匠の外来患者数は、200 人前後で、朝8時半から開始して、昼食抜きで午後4
時半前後までかかっていました。これに対して、頭痛診療の場合は、これが、実に 300 人
というのです。まさに、信じられない数字です。単純に計算しても、24 時間フルに診察し
ても、1人5分以下の診察時間にしかならない計算です。この中に新患患者がどの程度お
られるかは分かりませんが、5分前後で頭痛患者を診察されることは、まさに超人的であ
り・神懸かり的としか言いようがないと思われます。再来患者さんにしても、このような
時間内で”処理”できるものでしょうか?
全く信じられない数字です。
こうしてみる限り、あたかも「教祖様」にお会いするだけで治ってしまうと慕う信者さ
んである「頭痛患者」という構図しか想像できません。
この点に関しては「清水俊彦先生のコンカツを読んで」の記事に多くの方々からコメン
ト頂き、この状況が如実に語られております。
「片頭痛が不治の病である」という幻想を植え付けたための”業”なのでしょうか?
ここにカリスマ性を生み出す根源があるように思います。
このような状況は、頭痛専門医が行う「頭痛外来」に共通したものと思われます。
このようなことを言うのは、「凡人の証」で、一開業医のひがみと思って下さい。
昨年、日本頭痛学会で、東京女子医科大学の清水俊彦先生が「脳過敏症候群」に関して
発表され、それまでに書籍も出版され、テレビでも再三放映され、一躍脚光を浴び、多く
の一般の方々が「頑固な頭鳴・耳鳴り・不眠」を訴えて、トリプタン製剤を求めて医療機
関を受診され、社会問題にまでなりました。
そして、8 月 14 日、このような状況に対して、日本頭痛学会が異例の見解をホームペー
- 70 -
ジに掲載されましたが、いずれかの団体の抗議により、知らぬ間に削除されました。
この点に関しては、これまでブログでも明らかにしました。
問題は、この「脳過敏症候群」に対する、頭痛専門医の対応の仕方です。ある先生方は、
偉い先生の提唱される理論だからと、何も疑うことなく、鵜呑みにされます。そして、最
も悪いことは、「抗てんかん薬」を使えば改善する人もいるため、この理論が正しいと申さ
れます。こんなことは、当たり前のことです。脳の興奮性が「抗てんかん薬」で抑えられ
ただけのことであり、これで、このような理論が正しいとは言えないはずです。以前から
(このような脳過敏症候群が提唱される前から)まだ、画像診断のなかった時代に、脳波
検査がルチーン検査として行われていた時代に、脳波上、高電位速波が全誘導に見られ、
光刺激によりこれがさらに増強する場合、てんかんとの異動が論じられ、このような片頭
痛には「抗てんかん薬」を使い良好な経過を辿る症例はいくらでもおられたはずで、私と
同じ年代の先生方は、改めて提唱するようなものではなく、珍しいとは考えていません。
しかし、たとえ私のように疑問視される「頭痛専門医」の方々がおられても、決して正
面をきって反対ないし反論はされません。これが専門医の姿です。
学会自体も、慶応系と国立系に2分され、お互いが議論を戦わせるのであればまだしも、
お互いが利害に反する点では、無視されます。議論もなにもありません。慶応系が優位の
ためなのでしょうか?
それとも「ガイドライン」を作成された先生方が”数段”偉いた
めなのでしょうか?
また、寺本純先生に、「トリプタン御用学者」とも揶揄される方々も存在します。
こうした状況を勘案する限り、「頭痛の本質論の論議」は、日本神経学会に戻して、行え
ばもっと実りのある議論になるのかもしれません。
「脳過敏症候群」については、これまでくどいばかりに申し上げました。ここで改めて、
申し上げれば、ケンカを売るようなものですので、止めておきます。
こうした「脳過敏症候群のような頭痛の本質論に迫る理論」に対する徹底的な議論を避
けてしまう理由はどこにあるのでしょうか?
こう考えれば、根源は「ガイドライン」に
示されるエビデンス至上主義にあるものと思われ、何か「宗教の教義」のような錯覚を覚
える次第です。ストレートネックは全くエビデンスなしで、議論の余地なしと・・・
このような「教義」に基づいて「脳過敏症候群」という理論が生まれたのではないでし
ょうか?
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このため、小橋雄太さんの「病院はカルト宗教の神殿か」というタイトルをみて、ま
さにその通りと考え、これまで7回に渡って連載しました。
ご批判は覚悟の上です。せめて袋だたきにはしないで下さい。
あくまでも「独断と偏見」でしかありません。そのように感じております。
片頭痛の慢性化
片頭痛の慢性化
「たかが頭痛」と軽くみて市販薬で対処していたり、不適切な治療を受けていると、片頭
痛が慢性化してくると言われています。
反復性の片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢
性化して増悪するとされています。
片頭痛の慢性化には、脳の器質的な変化が関連すると考えられています。
脳内の痛み調節システムが異常を来し、痛み刺激に感作された状態を引き起こしてくる
とされています。このため、頭痛が慢性化した患者では、通常では痛みと感じない刺激す
ら痛みとして認識するようになり、光や音、臭いなどの刺激にも反応するようになります。
特に注意すべきことは、発作時に服用する急性期治療薬の使い過ぎによる片頭痛の慢性
化で、このような頭痛は薬物乱用頭痛と呼ばれています。片頭痛の慢性化した患者の約半
数は 薬物乱用頭痛が原因となっていると言われています。薬物乱用頭痛の原因として最も
多いのは、市販の鎮痛薬の乱用と言われていますが、医師が日常的に頭痛患者に処方する
鎮痛薬やトリプタン製剤、エルゴタミン製剤でも薬物乱用頭痛の原因となります。
急性期治療薬の使用に関して、「月に 10 回未満であれば薬物乱用頭痛のリスクには全く
なりませんが、それ以上、特に月の半分以上服薬している場合は、薬物乱用頭痛を生じる
リスクが高くなってきます。
また、加齢に伴って、片頭痛は慢性化して来ます。これは慢性片頭痛と呼ばれ、「薬物乱
用がなく、片頭痛が月に 15 日以上の頻度で3カ月以上続くものと規定されています。
慢性化した片頭痛の中には、症状が緊張型頭痛様に変化することもあり、変容生片頭痛
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とも呼ばれます。加齢とともに、肩凝りやめまい、不眠などの緊張型頭痛様の症状が片頭
痛に加わり、片頭痛そのものの症状が変化して来ます。
中高年期の患者では変容生片頭痛患者が少なくなく、このような患者さんが自覚する愁
訴は頭痛以外のものが多くなってくるので、片頭痛が基盤にあることを見落として、更年
期障害や緊張型頭痛と間違われることもあります。
一昔前までは片頭痛は若年女性に多く、閉経とともに治癒すると考えられていました。
しかし、これからは、片頭痛は進行して慢性化する疾患と認識を改め、早期に診断して、
適切な治療で慢性化を阻止する必要があります。
これまで述べて来ましたように、急性期治療薬の服薬日数が、「月に 10 回以上になる場
合は、薬物乱用頭痛に陥る可能性があり、これを防ぐために予防療法を組み合わせること
が勧められています。
これまでガイドラインでは、「有害事象が少ない薬剤を低容量から開始し、十分な臨床効
果が得られるまでゆっくり増量し、2~3カ月程度の期間をかけて効果を判定するとされ
ています。以前にも予防薬について述べましたが、これらの予防薬を1種類ずつ投与して
いくのか、あるいは当初から数種類併用して投与すべきかについてコンセンサスが得られ
ていないことが最大の問題となっています。
予防薬として使われる薬剤は各種ありますが、これらがすべての患者さんに効くというわ
けではありません。予防治療の有効率は決して高いものではありません。
ほとんどの薬剤が、有効率は 30 ~ 40 %、すなわち 10 人中3~4人しか効きません。し
かし、個人差が激しいので、薬によって有効率は異なります。効かなかった場合には、他
の薬に変えてまた、2~3カ月様子をみる、という気長な対応が必要です。
また、効果を確認できるまでの期間も短くないのです。
予防治療に使われるどの薬剤も、効果を発揮するまでには4週間くらいはかかります。
はじめの2週間くらいはまったく効かないのが普通です。3~4週めになっていくらか
頭痛の回数が減っていると感じたら、効果があったと考えてよいでしょう。なかには、2
カ月めになってやっと効果がはっきりしてくることもあります。
こういった理由から、多くの患者さんは、予防薬の効果が現れるまでの期間が長く、極
めて緩やかな効き方しかしません。
確かに、数年間にわたって、1種類ずつ処方されておられる場合もあるようですが、こ
のような方式は、あくまでも偉い先生方がされた場合のことで、じっと我慢して服用され
- 73 -
ておられる方々は少ないのではないでしょうか?
このように考えますと、予防薬の効果が得られるまでに、急性期治療薬の服薬日数が、
「月
に 10 回以下に抑えることが可能かどうかということです。実際には、このように単純には
いかない場合が多々遭遇されます。
このように考えるなら、片頭痛そのものを見直す必要に迫られてくると考えます。
これまでも度々述べておりますように、セロトニン、ストレートネックの2つの視点
抜きには片頭痛治療は考えられないと思っています。
セロトニンの慢性不足により、痛みに対する感受性が高まり、ちょっとした刺激に反
応しやすくなり、さらにストレートネックを形成し、以下のような機序で慢性化していく
ことはこれまで述べた通りです。
「ストレートネック」→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓
↓
↓
脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓
↓
↓
中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓
↓
↓
脳の過敏性、頭痛の慢性化
↓
自律神経失調症状 →
交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
従来から、このような視点が欠如していたために、片頭痛の慢性化そのものが説明でき
ない部分が存在していたように思えてなりません。
こういった観点から、慢性片頭痛、薬物乱用頭痛を治療して行かない限り、従来の考え
方ではドロップアウトしてしまうものと考えます。
片頭痛の慢性化についての文献的考察
- 74 -
慢性の頭痛である片頭痛は繰り返し頭痛発作が起こる反復性の片頭痛として始まり
約 30 %寛解し、また、約 30 %の患者さんは高齢になっても反復性の片頭痛のままであり、
約 40 %の患者さんは慢性化するとされています。(日本頭痛学会誌 2010vol.37
シンポジ
ュウム 3-5:竹島多賀夫)
慢性化のリスク要因には医療介入できない因子として、女性、社会的経済的階層(低い
教育歴と低収入)、婚姻状態(未婚)、頸部または頭部外傷の既往などがあり、介入可能な
因子には、肥満、いびき、睡眠時無呼吸、生活上のストレス、カフェイン摂取、急性期頭
痛薬の過剰使用が知られています。片頭痛発作時には神経原性炎症により三叉神経血管系
の過敏性と中枢感作がおこりますが、この炎症と感作の慢性化が片頭痛の慢性化の中心的
なメカニズムと考えられています。
片頭痛の体質を有する人は、光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性
が増大し、これがある限度を超えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、
脳内視覚野である後頭葉、聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報
告されています。最近、片頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠
い た 状 態 が 長 期 間 放 置 さ れ て 発 症 す る 経 年 的 な 症 状 を 「 脳 過 敏 症 候 群 ( Cephalic
Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が提言されています。
慢性連日性頭痛の治療には、適切な頭痛診断と病態把握に立脚した合理的な戦略が必要
で、リスク要因のうち、回避可能なものは避け、薬物乱用があれば中止し、適切な予防療
法薬を投与することが原則であるとされています。慢性化した片頭痛はしばしば難治性と
なりますので、あらかじめ反復性の片頭痛治療において急性期治療薬の使用を適正化し、
発作頻度が高い場合は適切に予防薬を使用し、慢性化を予防することが重要であると言わ
れています。
さらに、慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。片頭痛の慢性化と緊張型頭痛の慢性化はいずれも不安が関係している
ようです。痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくなり、脳の
痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲むことに
なり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようになったと思
われます。片頭痛の慢性化は、最近増加しており、脳の痛み調節系を活性化することが治
- 75 -
療の第一歩です 。
片頭痛の慢性化についての文献的考察
片頭痛の慢性化について、日本の文献を模索致しました。
これまで、集められた文献の中で、4つをご紹介させて頂きます。
最初に、温知会間中病院の間中信也先生が脳神経外科速報 22 巻3号 2012 に掲載された
ものをご紹介します。
最も、オーソドックスな考え方は、富永病院の竹島多賀夫先生のものだろうと思います。
これは、2010 年に、臨床神経学
50巻に掲載されたものです。
そして、最もセンセーシヨナルなものは、第 38 回に日本頭痛学会で、東京女子医科大学
の清水俊彦先生が発表されたものです。
さらに、北見公一先生の「慢性片頭痛発症と睡眠障害」についてのものです。
これらを総合して、片頭痛の慢性化について考えてみたいと思います。
まず最初に、片頭痛の慢性化について、温知会間中病院の間中信也先生が脳神経外科速
報 22 巻3号 2012 で以下のように述べておられます。以下、抜粋です。
プロローグ
今から 30 年以上も前、連日の頭痛で苦しむ中年女性が来院しました。鎮痛薬を飲んでも
頭痛がとれない、全く効かないと言います。「頭痛は疼痛の一種であるから鎮痛薬が効かな
いわけがない」そう考えた私は、エルゴタミン製剤をはじめ、鎮痛薬を片っ端から処方し
ました。しかしどれとしても効く薬剤はなく、頭痛は悪化するばかり、すっかり途方に暮
れてしまいました・・・この頭痛は今にして思えば、薬剤乱用による変容性片頭痛であっ
- 76 -
たのでしょう。
今回は、この「底なし沼の片頭痛=慢性片頭痛」について、お話しします。これに関連
した頭痛には、慢性連日性頭痛、変容性片頭痛、薬物乱用頭痛があります。
慢性連日性頭痛とは
頭痛外来の頭痛のタネ「慢性連日性頭痛」は Silberstein が 1994 年に提唱した頭痛で、
ほぼ連日、3カ月を超えて頭痛が出現し、人口の4%を占め国民の重大な健康障害のひと
つとみなされています。ただ、この頭痛のタイプは 2004 年の国際頭痛分類 第2版には採
用されていません。慢性連日性頭痛の第Ⅰ型「変容性片頭痛」とは、当初の発作性片頭痛
が経過中に頻度が増加し、頭痛日数が多くなった状態です。それと同時に片頭痛の特徴が薄
れて緊張型頭痛との境界があいまいとなります。昔。「混合性頭痛」という頭痛のタイプがあ
りましたが、この名称にピッタリの頭痛です。変容の要因のひとつに鎮痛薬や片頭痛治療薬(ト
リプタン、エルゴタミン)の乱用があります。変容性片頭痛は薬物乱用の有無にこだわりませ
んが、国際頭痛分類 第2版では変容性片頭痛を慢性片頭痛あるいは薬物乱用頭痛に分け
る方針をとっています。すなわち、慢性片頭痛=変容性片頭痛-薬物乱用頭痛
というこ
とです。
ニワトリが先かタマゴが先か
ここで疑問が湧いてきます。慢性連日性頭痛の患者さんはつらい頭痛が毎日のように続
くので、当然ながら消炎鎮痛薬を毎日のように服用します。薬を飲みすぎるから頭痛がす
るのではなく、頭痛がするから薬を飲むのではないか・・・。タマゴ=薬物乱用頭痛、ニ
ワトリ=慢性頭痛としますと、ニワトリが先かタマゴが先かという議論がしばしば戦わさ
れることになってしまいます。
※この点、何かが「欠落」しているように思われてなりません。(私の考えです)
薬物乱用頭痛は 1980 年代から常識となった
すでに、1934 年にエルゴタミンの乱用頭痛は報告されておりましたが、1950 年代ころ
- 77 -
から鎮痛薬でも乱用頭痛の誘因になることが報告されるようになりました。スイスの腕時
計職人は、細かい作業をしますので頭痛が絶えません。そこでサンドイッチに鎮痛薬を塗
って食べる習慣が生まれました。ところがかえって頭痛が増えたというエピソードが紹介
されています。
その後も鎮痛薬の持続的使用による頭痛悪化例が次々と報告され、1980 年代には鎮痛薬
乱用頭痛が世界的に認知されるようになりました。Mathew らは 1982 年に片頭痛が鎮痛薬
の乱用などにより慢性連日化することを発表し、「変容性片頭痛」と命名しました。これが
Silberstein の慢性連日性頭痛、国際頭痛分類 第2版の慢性片頭痛へと継承されています。
慢性片頭痛は鎮痛薬が登場する前からあった
世界初の鎮痛薬・アスピリンの登場は 1899 年ですから、20 世紀以前には薬物乱用によ
る変容性片頭痛はなかったはずです。ところが、慢性片頭痛としか考えようのない頭痛が
17 世紀に既に記載されています。その記載者は、ウイリス動脈輪で有名な Thomas Willis
です。ウイリスの言うには「私はある非常に高貴な婦人の往診に行かされました。彼女は 20
年以上も頭痛に悩まされ、最初は間欠的でしたが、連続性のものになっていった・・・12
歳を過ぎるころから頭痛に取り付かれるようになり・・・発作の間、光も、会話も、雑音
も、どのような運動も耐えがたく、部屋を暗くしてベッドの上に座り、誰ともしゃべらず、
眠りもせず、食べ物も摂らないでいました。最初のころは間をおいて現れ・・次第に回数
が増し、最近では頭痛のないときが珍しくなった」
この記述を読むと「ニワトリが先」説に軍配を上げたくなります。
片頭痛は慢性化する疾患である
片頭痛はふつう 40 歳を過ぎますと軽快に向かいます。成人片頭痛患者さんを 12 年間
追跡した Lyngberg らの報告では、完全・部分寛解:42 %、不変:38 %でした。一方、20
%は変容性片頭痛つまり片頭痛が慢性化しました。片頭痛の慢性化に関与するいくつかの
危険因子が同定されています。その危険因子として、ただちに修正が不可能とされるもの
に、片頭痛であること、遺伝、女性、年齢、社会的階層(教育レベル・収入)、頭部外傷が
挙げられ、修正可能のものとして、発作頻度、薬物乱用・カフェイン、肥満、ストレスの
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多い生活、精神的な共存症・うつ、いびきー睡眠時無呼吸症候群と睡眠障害が指摘されて
います。そのなかでも重視されるのが「薬物乱用」です。複合鎮痛薬やトリプタンは3カ
月以上にわたり月に 10 日以上服用すると片頭痛が慢性化する可能性があります。
慢性片頭痛と薬物乱用頭痛の診断定義
慢性片頭痛の診断は、薬物乱用頭痛の有無の確認から始めます。国際頭痛分類 第2版で
は、薬物乱用のある連日性の片頭痛を診たときには、1.前兆のない片頭痛、2.慢性片
頭痛の疑い、3.薬物乱用頭痛の疑いの3つの診断をつけて、乱用薬物を2カ月間中止し、
頭痛が同じように続けば慢性片頭痛、軽快すればそれまでの頭痛は薬物乱用頭痛であった
と診断します。慢性片頭痛患者さんは急性期治療薬を乱用と言えないまでも頻回に服用し
ている患者さんに多いのです。慢性片頭痛と薬物乱用頭痛の境界はあいまいです。オリジ
ナルの指針はあまりにも原理主義的すぎて実用に耐えなかったことから。2006 年に
慢性片頭痛と薬物乱用頭痛の改訂基準が示されました。かいつまんで言うと、慢性片頭痛
は片頭痛の特徴を内在する慢性連日性頭痛(ただし、薬物乱用頭痛ではない)、薬物乱用頭
痛は急性期治療薬の乱用がある高頻度頭痛と言えます。
慢性片頭痛の予防と治療
まず、薬物乱用頭痛の原因となった急性期治療薬を中止します。中枢神経の感作を回避
するために片頭痛発作の早期治療を行います。急性期治療薬の乱用を防ぐために予防治療
を行います。矯正可能な慢性化の原因(肥満、精神的な共存症、睡眠時無呼吸症候群と睡
眠障害など)を除去します。薬物乱用頭痛は再発しやすいので、患者教育(薬物乱用の害、
適宜早期服薬・予防療法の必要性など)がきわめて大切です。
エピローグ(まとめにかえて)
片頭痛は進行性疾患です。片頭痛慢性化(変容)には脳の感作が関与します。薬物乱用
は慢性化(変容)の最大のリスクです。頭痛発作の高頻度化は脳の感作を招きます。慢性
片頭痛の脳には機能的・器質的変化が起こり難治となります。患者教育が片頭痛を泥沼化
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させないためのポイントになります。日頃から服薬指導(急性期治療薬の使用は月 10 日
を超えないよう、その範囲内では早期服薬をするなど)を怠らないようにすることが大切
です。高頻度の片頭痛には予防薬を併用します。
文献
1)Silberstein SD,et al: Classification of daily and near-daily headaches: proposed revision to the
IHS criteria. Headache 34:1-7,1994
2)国際頭痛学会・頭痛分類委員会:国際頭痛分類 第2版
新訂増補日本語版、医学書院、
東京、2007
3)Boes CJ,et al: Chronic migraine and medication-overuse headache through the ages .
Cephalalgia 25: 378-390,2005
4)Mathew NT, et al : Transformation of episodeic migraine into daily headache : analysis of
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5)Lyngberg AC , et al : Prognosis of migraine and tension-type headache : A population-based
follow-up study. Neurolpgy 65: 580-585,2005
6)Lipton RB et al : Ten lessons on the epodemiology of migraine. Headache 47: Suppl
1:s2-9,2007
7)竹島多賀夫、他:慢性片頭痛と薬物乱用頭痛の付録診断基準の追加について。日本頭
痛学会誌 34:192-193,2007
8)日本頭痛学会編:慢性頭痛の診療ガイドライン。医学書院、東京, 2006
9)Bigal ME, Lipton RB: Clinical course in migraine: conceptualzing migraine transformation .
Neurology 71 : 848-855,2008
片頭痛はなぜ慢性化するのか?
慢性片頭痛と薬物乱用頭痛の臨床とメカニズム
富永病院
竹島
神経内科・頭痛センター
多賀夫
先生の論文からの抜粋です。
はじめに
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現在の片頭痛(migraine)の概念は,片側性,拍動性,閃輝暗点という古典的なイメージ
から,かなりかけ離れたものとなってきており,前兆(閃輝暗点)のない片頭痛,両側性
の片頭痛,非拍動性の片頭痛があることは周知のごとくです.
さらに,片頭痛は episodic な疾患,すなわち,時々,挿間性ないし発作性に症状が出現す
るものという概念も相対化してきており,2004 年の国際頭痛分類第 2 版1)では慢性片頭
痛(chronic migraine,CM)が疾患単位として公式に採択されました.反復性の片頭痛は,
脳の機能的な異常であって,発作間欠期にはなんら異常をみとめないとされていましたが,
近年の研究成果から,片頭痛は脳に不可逆的な変化をもたらす進行性の疾患であるとの主
張がなされるようになってきました.片頭痛の慢性化には未解決の問題が多く残されてお
り,実際の臨床と診断基準,そのメカニズムについて概観致しました。
片頭痛の慢性化の臨床
2004 年の国際頭痛分類第 2 版(ICHD-II)1)には CM の診断基準が記載されました.
急性期治療薬を過剰に使用している例は急性期治療薬を中止し,薬物乱用頭痛(medication
overuseheadache, MOH)を除外した後に CM の診断を確定することとされました.これに
は多くの異論が出され,2006 年には,付録診断基準2)が提案されました.CM の頭痛日
数が月に 15 日以上である点は,これまでと同様ですが,片頭痛日数が 15 日から 8 日に減
ったこと,さらにトリプタンなどの片頭痛特異的治療薬が奏功した頭痛は,片頭痛とカウ
ントしてよいとした点が主要な変更点です.MOH に関しては,乱用により頭痛が増悪し
ていれば診断できることとして,中止による改善の確認は必須ではないとしました.CM
と MOH の自験例を示します.
【症例 1】78 歳,女性
主訴:頭痛
病歴:30 歳代,年に数回,頭痛で臥床.悪心と音過敏あり.50 歳代,締め付けるような
頭痛が時々出現.その後頭痛,頭重が連日性となり約 20 年間続いている.後頭部や首が
痛み,肩こりも自覚.前兆なし.動作により頭痛が増悪することがある.悪心,嘔吐はな
い.光過敏は無いが,音過敏と臭過敏がある.これまでは頭痛薬を使用せず我慢していた.
某年 6 月に疲れた翌日に,かなり強い頭痛があった.かかりつけ医より紹介受診.
- 81 -
現在の頭痛の特徴は,1)50 代後半より緊張型頭痛様の連日性の頭痛が 20 年来続いている.
2)最近頭痛が増悪しているが薬物乱用や過剰使用はない.3)頭痛の性状は非拍動性で締
め付ける感じが主体だが,時にひどくなりガンガンする.4)頭痛は動作により増悪し,音
過敏と臭過敏がある.
血圧 152/88mmHg.身体所見,神経所見は異常なし.血液検査,脳 MRI は正常範囲.頭痛
診断は,既往の頭痛は,# 1.1 前兆のない片頭痛,および# 2.2 反復性緊張型頭痛であり,
現在の頭痛は# 2.3 慢性緊張型頭痛が妥当であるが,
# A1.5.1 慢性片頭痛(CM)の可能性も考慮を要す.
治療経過:頭痛ダイアリーの記載を求め,アミトリプチリン 10mg とオルメサルタン 10mg
を開始.頭痛ダイアリーでは連日性の軽度から中等度の頭痛があり,生活上の支障もみと
められた.心血管系の問題がないことを確認してエレトリプタンを処方したところ,約 30
分で頭痛が消失.その後トリプタンを月に 4 ~ 5 回使用していたが,まったく頭痛の無い
日が増え,6 カ月後には連日性の頭痛はほぼ完全に消失した.その後,月に数回の軽度の
頭痛を自覚する程度で良好に経過している.
反復性の片頭痛は,加齢や薬物乱用により慢性化することがあり,緊張型頭痛様の頭痛に
変容することが多い.古くは片頭痛に緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)が加わった連合性頭痛
とされていたが,近年は片頭痛と緊張型頭痛の合併とするか,緊張型頭痛様に変化した変
容片頭痛(transformed migraine)3)と診断されていた.ICHD-II では薬物乱用によって慢
性化した頭痛は MOH として括り,薬物乱用がないにもかかわらず片頭痛が慢性化したも
のを CM と定義している.2006 年に出された,慢性片頭痛の付録基準2)では,トリプタ
ンなど片頭痛の特異的治療薬が有効であれば片頭痛日数としてカウントすることは前述の
とおりである.
本例は片頭痛の既往があり,連日性の頭痛に対し緊張型頭痛,片頭痛の両方にエビデンス
があるアミトリプチリンと,片頭痛予防効果が期待できる降圧薬(オルメサルタン)を投
与し,さらに生活に支障を生じる頭痛発作にはエレトリプタンを試みることにより,数カ
月の治療で 20 年来の頭痛が消失した.付録診断基準をもちいれば,CM と診断できる症例
である.
【症例 2】57 歳,女性
主訴:頭痛の増強
- 82 -
病歴:20 歳より肩こりあり.30 歳台後半から時々,頭部全体の拍動性の頭痛を経験.動
作による悪化,生活の支障あり.悪心あり,嘔吐なし.音過敏,光過敏なし.臭過敏あり.OTC
頭痛薬内服で改善していた.服薬回数が徐々にふえて,約 3 年前からほぼ毎日頭痛薬を 1
~ 2 回服用している.頭重感が主体の頭痛が連日続いており,寝込んでしまうような重度
の頭痛が月に 3 日程度ある.
神経所見は異常なし.
頭痛診断:1)# 1.1 前兆のない片頭痛,2)# 8.2.8 薬物乱用頭痛の疑い(OTC 頭痛薬,
複合薬物),3)# 2.4.3 慢性
緊張型頭痛の疑い.
治療経過:薬物乱用頭痛について説明し,OTC 頭痛薬使用中止を指示するとともに,ロメ
リジンを開始した.重度頭痛の救済薬としてトリプタンを処方した.8 週後には頭痛はほ
ぼ消失し,重度の発作はおこっていない.16 週後,「嘘のように頭痛がなくなりました」
とのこと.時に頭痛発作があり,トリプタンが奏功している.
本例は前兆のない片頭痛から進展した MOH で,OTC の複合鎮痛薬の乱用があったが,薬
物の中止により頭痛が消失したことより,# 8.2.5 複合薬物乱用頭痛の診断が確定した.
比較的容易に乱用薬物からの離脱が可能であった症例である.
本例は,付録診断基準をもちいれば初診の時点で MOH の診断が可能である.
診断基準の諸問題
MOH が疑われた 216 例の検討では,2 カ月間投薬を中止したところ,45 % は改善し,48
% は変化がなく,7 % は頭痛が増悪したと報告されています4).MOH における乱用薬
物中止の有用性を示すデータですが,同時に薬物の過剰使用がある慢性頭痛の約半数が薬
物中止では頭痛が改善しなかった点にも注意を向ける必要があります.
CM と MOH の診断に関する未解決の問題として,1)頭痛頻度の増加と薬物乱用の始まり
の時期の特定が困難な症例が多数存在,2)乱用薬物の中止ができない症例が少なくないた
め,診断の確定が困難,3)乱用薬物を中止しても頭痛が軽減しない症例が約半数あり,CM
の結果として,無効な薬物を過剰使用している状態と薬物乱用により,脳が感作され,疾
患が進行しすでに不可逆的な脳の変化がおこっている可能性の峻別が困難,4)乱用薬物の
中止と同時に予防治療を開始したばあいに,予防薬の効果とするか,乱用薬物の中止の効
- 83 -
果とするかが不明確になる,などの事項が挙げられます5).
Silberstein らの慢性連日性頭痛(chronic daily headache,CDH)の概念はこれらの問題を回
避した疾患概念であるといえます.CDH は疾患単位というより,状態像と理解するとわか
りやすいと思われます.国際頭痛学会の付録診断基準は,ICHDII の本則より,CDH に近
づいた概念であるといえます.すでに,ICHD-II の改訂作業が始まっており,CM,MOH
は付録診断基準が本則となる見通しです.
慢性化のメカニズムとリスクファクター
片頭痛発作時には三叉神経血管系の神経原性炎症と中枢の感作現象がおこっていますが,
片頭痛の慢性化とは,急性発作時におこっている炎症と感作現象が慢性化したものである
と考えられようになってきました.神経原性炎症は三叉神経血管系の過敏性をもたらしま
す.神経細胞が反復性に活性化し,三叉神経尾側核の侵害受容神経に生物学的・機能的な
変化を惹起し,神経の発射域値が低下し,受容野が拡大すると考えられています.
神経感作現象は臨床的には皮膚アロディニアの出現と相関しており,反復性片頭痛よりも
CM や MOH で出現頻度が高いのです.
脳の過敏性のメカニズムとして,末梢および中枢の受容体,伝達物質,イオンチャンネル
の発現の変化や,シナプス結合の再構築をともなう回路の修飾,疼痛制御系抑制などの関
与が推定されています5).脳 MRI 画像の研究では,片頭痛患者は大脳白質病変の頻度が
高く,白質病変の程度は片頭痛発作の頻度と相関するとの報告があります.また,中脳水
道周囲灰白質(PAG)における鉄沈着の増強と機能障害が示されており,CM では中脳黒
質や赤核の異常も示されています6).さらに,FDG-PET の検討から,MOH 患者の眼窩
前頭皮質の異常が注目されています7).生化学には,血小板のセロトニン,一酸化窒素の
変化や,髄液中サブスタンス P,神経成長因子の変化といった疼痛制御系の抑制を示唆す
る報告があります8).慢性化の危険因子は,加齢と急性期頭痛治療薬の過剰使用が古くか
ら知られています.最近の研究で明らかにされてきた危険因子として,頭痛発生頻度,性
別(女性,約 2 倍),肥満,社会的階層(教育レベル・収入),ライフイベントによるスト
レス・うつ,いびき・睡眠障害,頭頸部外傷などが挙げられます5)9)10).これらの
疫学的危険因子と慢性化メカニズムの仮説を明快に関連づけることは困難と言わざるを得
ませんが,一部は炎症や感作の増強,遷延に関連するものと推定されています.
- 84 -
結語
トリプタンの出現により,反復性の片頭痛は比較的容易にマネージメントができるように
なりましたが,MOH を含め片頭痛の慢性化が頭痛患者の QOL を悪化させる重要な要因と
して注目されています.これに関連して新しい診断基準や疾患概念が提唱されていますが,
片頭痛の慢性化は臨床的にきわめて重要であり,新たな知見と,次なる未解決問題がつぎ
つぎと出現するホットな領域であるということができます.今後の研究の進展を期待した
いと考えます.
文献
1)国際頭痛分類第 2 版日本語版. 日本頭痛学会誌 2004;31:13-188.
2)Olesen J, Bousser MG, Diener HC, et al. New appendixcriteria open for a broader concept of
chronic migraine.
Cephalalgia 2006;26:742-746.
3)Silberstein SD, Lipton RB, Solomon S, et al. Classification
of daily and near-daily
headaches:proposed revisions to
the IHS criteria. Headache 1994;34:1-7.
4)Zeeberg P, Olesen J, Jensen R. Probable medicationoveruse
headache:the effect of a
2-month drug-free period.
Neurology 2006;66:1894-1898.
5)竹島多賀夫. 薬物乱用頭痛,慢性連日性頭痛(慢性片頭痛,変容片頭痛,慢性緊張型頭
痛). 鈴木則宏, 編. 頭痛診療ハン
ドブック. 東京: 中外医学社; 2009. p. 200-224.
6)Welch KM, Nagesh V, Aurora SK, et al. Periaqueductal
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of illness? Headache 2001;41:629-637.
7)May A. New insights into headache:an update on functional and structural imaging findings.
Nat Rev Neurol
2009;5:199-209.
- 85 -
8)竹島多賀夫, 佐久間研司, 中島健二. 薬物乱用頭痛. 柳澤信夫, 篠原幸人, 岩田誠ら, 編.
AnnualReview 神経 2008. 東
京: 中外医学社; 2008. p. 50-65.
9)Bigal ME, Lipton RB. Obesity is a risk factor for transformed
migraine but not chronic
tension-type headache.
Neurology 2006;67:252-257.
10)竹島多賀夫.【片頭痛の予防療法】メタボリックシンドローム治療による片頭痛の予防.
BRAIN and NERVE:神経研究の進歩 2009;61:1143-1153.
慢性片頭痛と薬物乱用頭痛(MOH)のマネジメント
第 38 回日本頭痛学会総会のイブニングセミナーで東京女子医科大学
脳神経外科の清水
俊彦先生が上記のようなタイトルで講演されておられます。
以下はその要旨です。
頭痛医療において、注目されている問題の一つとして片頭痛の慢性化が挙げられます。
片頭痛の慢性化の原因の一つとして問題視されているのが薬物乱用頭痛(MOH)で、M
OHは国際頭痛分類では急性期における薬物乱用の結果発症した二次的頭痛に分類されて
います。
片頭痛の病態生理は三叉神経血管説で説明されていますが、ごく近年の研究によって、
その本態は脳過敏(興奮性)であることが示されております。すなわち、片頭痛の患者に、
”光・音・においなどの外的刺激が与えられること”により脳の特定部位の興奮性が増大
し、これがある限度を超えた場合に頭痛として表現されるという説です。これらの刺激に
応じて、視覚野である後頭葉、聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米で
も報告されています。
そこで、清水先生は、最近、新しい概念として、片頭痛などの慢性頭痛を持つ患者にお
いて、長期間適切な対処を欠いた状態に放置していたことで発症する経年的な症状を「脳
過敏症候群(Cephalic Hypersensitivity
Syndrome)」と提言しました。脳過敏症候群とは、
「主な症状は、日常生活および社会生活に支障を来すような片側または両側の頭鳴、不眠、
- 86 -
不安の増強、高次脳機能の一時的障害、連日の頭重感である。脳は所見は、全般的過敏性
を示唆している。過去に片頭痛などの慢性頭痛の既往がある、もしくは二親等以内に片頭
痛などの慢性頭痛を有するものがいる。また、その他の疾患によらない」です。
脳過敏への対応は、発症初期で発作の回数が少なければ、その都度トリプタン製剤で対
処することも可能です。しかしながら、発症後長期経過している場合は、単なる痛みの対
処だけを続けることにより、水面下で生じた脳の興奮症状が増し、めまい、頭鳴などの症
状を呈する場合があります。
脳過敏を呈する患者には、興奮性を減弱させる治療が必要であると同時に、このように
陥らないよう、トリプタン製剤を適切なタイミングで服用させ、その都度、脳の興奮性を
鎮める治療が必須となります。
また、一方、鎮痛薬の長期乱用などに伴い興奮性が非常に高まった薬物乱用頭痛の症例
では、急性期治療に加えて、抗てんかん薬、抗うつ薬、カルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬
などの予防薬の治療が必要になります。
片頭痛の既往を持つ患者さんがめまいや耳鳴り(頭鳴)を訴えるケースでは、単なる「め
まい」や「耳鳴り」と受け取るのではなく、過去の片頭痛に対して適切な対処を欠いた結
果生じた症状であると疑う姿勢が大切です。なお、発作頻度が多いあるいは頭鳴を伴うケ
ースでは、興奮性の高まりを視覚的に確認するために脳波検査を積極的に行うことを推奨
すると同時に、本講演で提唱する「脳過敏症候群」はMOHが経年的に進行し、増悪した
状態であると考えています。
片頭痛発作時に「トリプタン製剤」を使う意義は、単に「頭痛をとってやる」ことでは
なく、脳の興奮性を取り除くことが本来の目的であり、中途半端な対応を行うことによっ
て、脳にこの興奮性がこびりついて、後々、脳の興奮性が残ってしまい「脳過敏症候群」
を引き起こさないようにすることにあると強調されておられます。
*以前も掲載しましたが・・再度
このように、片頭痛の慢性化は、片頭痛発作時に「トリプタン製剤」を適切に使わない
ためと主張されておられます。
私は、「”光・音・においなどの外的刺激が与えられること”により脳の特定部位の興奮
性が増大し、これがある限度を超えた場合に頭痛として表現されるという」考えに対して、
”光・音・においなどの外的刺激”だけでなく、ストレートネックそのものが
- 87 -
「trigemino-cervical complex」の関与から、直接三叉神経核に刺激を絶えず送り続けること
によって、脳の興奮性を増強させ、ひいては「片頭痛の慢性化」に繋がるものと考えてお
ります。
北海道の北見公一先生は自らのホームページ「脳外科医と考える
頭痛 AtoZ 」のなか
で、「慢性片頭痛の発症における睡眠障害の関与」の箇所で、以下のように記述されていま
す。以下、この部分を掲載させて頂きます。
北見先生は慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候
群(Myofascial pain syndrome, MPS)が多く合併することを見出しました。また片頭痛に
限らず,頭痛が慢性化する場合に中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)という現象
が関係していることが知られています。これは末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多
く中枢に伝わると,次第に痛みの閾値が低下し,わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが
出現することを言います。CS になるとわずかな圧迫や熱・冷感を痛みとして感じるように
なります。
※中枢性痛覚過敏(central sensitization)の概念は「片頭痛の発生機序」の箇所を参照
緊張型頭痛が慢性化する場合の CS の発生については Bendsten により以下の説明がなさ
れています。すなわち,頭蓋外の筋肉・筋膜から出る侵害刺激は多くの緊張型頭痛に見ら
れる現象ですが,頭痛は筋緊張とは直接結びつかず,首や肩の筋肉からの侵害刺激情報が
出つづけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄路核,さらに三叉神経主知覚核のニュ
ーロンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢性の痛みへとつながるとされます。筋
緊張の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(すなわちセロトニンの枯渇など)が末梢
の機構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織内へのアセチルコリンの放出を増加さ
せたりすると考えられます。そして当初の出来事が治まったあとも CS が継続し,結果的
に緊張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序はむしろ片頭痛の慢性化によく当ては
まります。すなわち中枢神経系の可塑的変化というものが,睡眠障害によりもたらさるも
のであり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張(MPS)がもたらされ,CS を来すと考えられる
のです。
- 88 -
Peresa らは夜間のホルモン濃度変化などから,慢性片頭痛では視床下部不全を示唆する
状態になっていると報告しました。すなわち慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰
活動の状態になっており,睡眠障害が重要な背景であるかもしれないと結論しています。
慢性片頭痛患者はさまざまなタイプの睡眠障害を有するとされ,薬物離脱により頭痛と
ともに睡眠障害も寛解したという報告もあります。この睡眠障害と片頭痛の慢性化との関
係については,REM 睡眠の内容変化が関与している可能性があるのです。
正常な REM 睡眠期には脊髄以下の運動系が機能しなくなり,眼球運動以外は完全な筋弛
緩の状態になりますが,この正常な筋弛緩が得られなくなることによって,睡眠中に身体
運動が起こることがあります。周期性四肢運動障害や,夢が行動化したかのような複雑な
運動が生じる REM 睡眠行動障害という睡眠障害がありますが,REM 睡眠時に周期的に手
足が動く現象は小児にはよく見られる現象であり,成人でもストレスで歯ぎしりが起こる
ことは知られています。つまり何らかのストレスにより,REM 睡眠期に本来筋弛緩が得ら
れるはずの傍脊柱筋に筋緊張が残存するようになることは十分考えられるのです。
以上のことと,多くの患者さんは片頭痛が慢性化するときに強い情動ストレスを伴う自
己不全感(例えばまた強い頭痛が起こって倒れるのではないか,生活できなくなるのでは
ないか,という恐怖感など)を体験していることより,可能性としてドパミン系が過剰に
活動するために,悪夢のような情動反応を夜間に何度も起こし REM 睡眠期に筋弛緩が得
られなくなり,傍脊柱筋の慢性緊張が起こっているのではないかと推測されます。
Calhoun らは,慢性片頭痛の患者はほとんどが元気を回復するような睡眠をとっていな
いと報告し,この元気回復が出来ない睡眠障害が慢性片頭痛の発生頻度と病態に関与して
いると考えています。すなわち慢性片頭痛の女性 147 人に,朝起きたときリフレッシュし
ているか,疲れているか,をたずねたところ,83.7 %の女性が疲れていると答えたそうで
す。また彼女らに健康的な睡眠指導を行うと 48.6 %の慢性片頭痛患者が反復発作性の片頭
痛に戻ったと報告しています。
参考文献
Bendtsen L: Central sensitization in tension-type headache - possible pathophysiological
mechanisms. Cephalalgia 20: 486-508, 2000.
Peresa MFP et al. Hypothalamic involvement in chronic migraine. J Neurol Neurosurg Psychiatry
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71: 747-751, 2001.
Calhoun AH, Ford S, Finkel AG, Kahn KA, Mann JD: The prevalence and spectrum of sleep
problems in women with transformed migraine. Headache 46: 604-610, 2006.
北見公一:器質的疾患と慢性痛との関係-筋筋膜痛症候群を中心に- 日本臨床 59:1768
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宮本智之:レム睡眠行動障害-神経変性疾患の潜因性病態? 睡眠障害の基礎と臨床 UP
DATE
医学のあゆみ 215(3):185-190, 2005.
以上です。
薬物乱用頭痛を防ぐために
薬物乱用頭痛は、鎮痛薬の飲み過ぎによっ
て脳での痛みのコントロールがうまくできな
くなり、頭痛が引き起こされるもので、片頭
痛・緊張型頭痛の患者さんに多く見られま
す。
片頭痛の患者さんの中には、毎日のように
頭が痛いけれども、仕事に行かなければなら
ない、家事をしなければならないので鎮痛薬
を飲む、少しするとまた痛くなるのでまた飲
む、ということを繰り返して、毎日、または
1日に何度も鎮痛薬を飲み続ける方がいま
す。さらに鎮痛薬を飲まないでいると、また
頭が痛くなって仕事ができなくなるのではないかという不安で、次々と飲んでしまう場合
もあります。
こういう場合、鎮痛薬を飲むことによって、結果的にさらに頭痛が引き起こされること
があり、これを薬物乱用頭痛と呼んでいます。
- 90 -
痛みという感覚はある程度脳の中でコントロールできるものです。
例えばラグビーの選手が試合中に相手とぶつかって怪我をしても、試合中は痛みを感じ
ず平気で最後まで試合を続け、あとで検査したら骨折していたのが判明し、急に痛くなっ
た、などということがよくありますが、こういう場合は、脳の中の痛みを抑制するセンタ
ーが痛みを押さえ込んでいます。
体の中からはさまざまな刺激が脳に伝わっていますが、その刺激がある一定値を超える
と、脳は「痛み」として認識します。しかし無害な刺激であればセンター はその痛みを抑
制します。頭痛の場合も同じことです。
ところが鎮痛薬を絶えず飲んでいますと、伝わってくる痛みを鎮痛薬が取ってくれるの
で、脳の痛み抑制センターが仕事をしなくなり、ちょっとした痛みでも、痛い、と感じる
ようになります。するとまたすぐに鎮痛薬を飲む、センターはますます仕事をしなくなる、
また痛みを感じる、また薬を飲む、という悪循環に陥ります。
さらに鎮痛薬にはカフェインが含まれているものが多くあります。カフェインには血管
収縮作用がありますので、血管が拡張して痛みが出る片頭痛には効果があり、軽い片頭痛
ならば治ります。
ところが鎮痛薬にはかなり大量のカフェインが入っていますので、急激に血管が収縮す
る代わりに効き目が切れたときには急激に拡張し、その反動でまた痛くなります。痛くな
れば薬を飲む、一瞬は良くなっても、また反動で痛くなる、また飲む、と、これも悪循環
です。これが鎮痛薬の乱用による頭痛のメカニズムです。鎮痛薬はただ痛みを取るだけで
はなく、脳のさまざまなところに作用しています。時々飲むのはかまいませんが、月に 10
回以上飲むようであれば、大元の片頭痛の正しい治療を受けるべきだと考えます。
来院される患者さんに話を聞きますと、月に 10 回程度鎮痛薬を飲む方はかなりの数に
上ります。薬局に行って鎮痛薬をまとめて買い、毎日5,6回飲むなどという極端な方も
いました。
私はこういう場合、まず初めに鎮痛薬を飲むのを全て止めて戴きます。そうしないと、
脳の痛みのセンターが活動するようにならないからです。
鎮痛薬を飲むのをやめますと、服用期間の長さにも依りますが、短期間の連用であれば、
だいたい2,3日で痛みがなくなる方もおられますが、ほとんどの方は1年以上も連用さ
れておられ、このような人は、1カ月前後要することも多くあります。
鎮痛薬をやめてしばらくすると、痛みの抑制センターが仕事を始め、大したことのない
- 91 -
痛みは抑制されるようになります。それから初めて、片頭痛そのものの治療に取りかかり
ます。薬物乱用頭痛になってしまっている場合には、鎮痛薬を飲むのを止めることが、ま
ず第一の治療です。
これが、従来の薬物乱用頭痛の考え方です。
最近、ある頭痛専門医は、以下のような考え方を提唱されます。
「小児期から、特有の過敏性を示す小児片頭痛の患者に対して、必要以上の過敏性を脳に
与えないよう、生活指導や片頭痛予防薬もしくは頓挫薬を含めた服薬指導を適切に行うこ
とが何よりも重要です。しかしながら、片頭痛との適切な診断を受けるに至るまでに、す
でに数年~十数年もの年月を経ているような際には、痛みの水面下ですでに慢性化してい
ると想定される脳感作の結果生じた脳過敏を、バルプロ酸ナトリウムやトピラマートなど
片頭痛予防効果の確認されている抗てんかん薬を数カ月、服用し、取り払うことにより、
その頻度や程度を減少させ、トリプタン製剤の効果を最大限かつ確実なものとすることが、
将来の薬物乱用頭痛への進展を阻止する最良の治療選択であるといえます。
頭痛発作時には、毎回、市販の鎮痛薬を使うことなく、トリプタン製剤を服用すること
によって、発作時の脳の興奮性を鎮静化させておくことが必要と述べています。
以上を要約すれば、片頭痛発作時に、適切な対処をしないと、薬物乱用頭痛へ移行して
いくというものです。適切な対処でないやり方とは、発作時に市販の鎮痛薬を使うとか、
じっと痛みを我慢して堪え忍ぶことを指しています。
そして、適切な対処方法としては、発作の都度毎回、トリプタン製剤を使用することに
よって、その都度、脳の興奮性を抑えることを意味しております。しかし、月に 10 回以上
の服用回数が必要の場合は、治療開始までの”水面下の脳の興奮性が存在している”こと
が予想され、この場合は、抗てんかん薬を最低3カ月ばかり服用することによって、脳の
興奮性を取り払って”白紙に戻して”本来の頭痛回数にまで減少させて、その都度、トリ
プタンン製剤を服用して対処するというものです。
また、獨協医科大学の渡邊由佳先生は、片頭痛の慢性化には心理的要因の関与が考えら
れており、気質性格調査における損害回避はセロトニンと相関があるとされ、片頭痛患者
は特徴的な気質性格があることが示唆され、損害回避は、慢性片頭痛や薬剤乱用頭痛でよ
り高くなる特徴がみられ、慢性化のリスクになると述べています。
- 92 -
実際、薬物乱用頭痛を来す人は、本来、性格的にしつこい(粘着気質)があり性格的な
偏りを示しており、問題が多いことを指摘される先生もおられます。
また、薬物乱用頭痛の場合、うつ状態やパニック障害を合併することも多いようです。
現在、日本頭痛学会が作成している「慢性頭痛の診療ガイドライン」での薬物乱用頭痛
の治療方針として以下のように示されています。
1.原因薬物の中止
2.薬物中止後に起こる頭痛への対応
3.予防薬の投与
1.については漸減中止と即時中止の2つの方法があり、即時中止のほうが良好な成績
を得たという報告が多いのですが、どちらが最適な方法かを示す明確なエビデンスは存在
しません。
2.は、ナプロキセン、トリプタン製剤、プロクロルペラジンを使用した報告がありま
すが、どの薬剤が患者さんに我慢を強いるかを追求する必要性が伺えます。
しかし、東京女子医科大学の清水先生はトリプタン製剤にすべきとされます。
3.に関しては、カルシウム拮抗薬や抗うつ薬をはじめとするさまざまな予防薬の有効
性を示したエビデンスが報告されていますが、確立した予防法はなく、まだまだ臨床的検
討を要する段階です。
現実に薬剤乱用頭痛の患者さんを診ていますと、原因薬剤が「市販の鎮痛薬」であれば
それ程、問題はないようですが、「片頭痛の特効薬」と説明を受けて服用されておられた方
々が「原因薬剤がこれまで服用していたトリプタン製剤」と言われた場合、即時中止の宣
告を受けますと「謂わば、死の宣告を受けた」に等しい対応を示される方もおられ、簡単
には中止できないようです。
また、予防薬にしても、この薬剤であれば「確実に効く」というものもなく、ましてや
効果発現まで1~2カ月を要し、効かなければ、再度別の薬剤を使って経過をみるように
なりかねません。このように”頭痛地獄”からの脱却は簡単なものではありません。
- 93 -
こういった場面においても、痛切に感じることは、やはり「セロトニン」と「ストレー
トネック」の関与です。
このセロトニンとストレートネックの関係は、以前述べました。
慢性のセロトニン不足により、ストレートネックを引き起こし、これらが「片頭痛の慢
性化」「薬剤乱用頭痛」を生じているのではないかと推測されます。
薬剤乱用頭痛の場合、うつ状態やパニック障害を合併することが多く、このため「表面
的に」性格に問題があると短絡的に考えられている現実を憂うばかりです。
これまで、薬剤乱用頭痛の方が、”性格に問題がある”と見放され「精神科・心療内科」
に委ねられ、にも関わらず軽快されていない事実を直視すべきです。
実際、私は、薬剤乱用頭痛の場合も、可能な限り「セロトニン生活を徹底させ」「ストレ
ートネックの改善」させることを並行して行っていけば、薄皮を剥ぐように「その効果」
がみられ、トリプタン製剤の服用回数も減少し、予防薬の効き目も得られてくるものと考
えております。
しかし、片頭痛は一生の病気で治らないものと考えている以上、このような「セロトニ
ン生活」「ストレートネックの改善」などはエビデンスなしとされることでしょう。
参考までに、現在「薬剤乱用頭痛」に関する頭痛専門医の考え方を提示しておきます。
薬物乱用頭痛に関しては、以下のような説明がネット上では明らかにされています。
これらの総説をもとに、私自身が解説すれば、いろいろ問題がありますので、以下のネッ
トで公開されているものを参照して下さい。二番煎じになりかねませんので・・・
1.アストラゼネカ
東京女子大学脳神経センタ-頭痛外来講師
清水 俊彦 先生
薬物乱用頭痛の診断と治療
http://med.astrazeneca.co.jp/zomig/zom_drInterview/
- 94 -
2.グラクソスミスクライン
第 53 回 日本頭痛学会総会
共催セミナー 1-3
慢性片頭痛と薬物乱用(MOH)のマネジメント
脳の過敏性から診る片頭痛
清水俊彦
http://zutsu.jp/medical/conference/
3.エーザイ
動画「40 代前半 女性 薬物乱用頭痛」の挿入スライド【PDF:1,419KB】
薬物乱用頭痛への治療アプローチ【PDF:4,189KB】
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/support/movie.html
ドクターズ・ボイス
No.003
薬物乱用頭痛の治療戦略
医療法人寿会
富永病院
神経内科・頭痛センター
センター長
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/support/voice.html
薬物乱用頭痛患者への対応
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/guidance/treatment05.html
4.薬物乱用頭痛
日本頭痛学会編
http://www.jhsnet.org/ippan_zutu_kaisetu_05.html
5.薬物乱用頭痛 Medication Overuse headache; MOH
- 95 -
竹島多賀夫先生
頭痛大学
http://homepage2.nifty.com/uoh/zutsuu/230moh.htm
6.第8章
薬物乱用頭痛
慢性頭痛の診療ガイドライン
http://www.jhsnet.org/information/guideline/8.htm
以上のように、片頭痛治療上、極めて大切な点は、片頭痛の慢性化の一つとしての「薬
物乱用頭痛」をいかにして防ぐかで、自分で「片頭痛」かなと思った段階で、医療機関を
受診され、その対策を自分で立てておく必要があります。
その考え方の要点は、セロトニン不足により、痛みを感じやすくなり、さらに姿勢保持
が困難となってストレートネックを引き起こしてきます。
このため、以下のような機序が推測されます。
ストレートネック→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓
↓
↓
脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓
↓
↓
中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓
↓
↓
脳の過敏性、興奮性の増大、慢性化
↓
自律神経失調症状 →
交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
このため、片頭痛が慢性化してきて、薬物乱用頭痛を来しやすくなってきます。
- 96 -
また、うつ状態、パニック障害、めまい等の様々な自律神経症状を起こしてきます。
このような観点から、「セロトニン生活を徹底して行い、セロトニン神経を減弱させない
生活習慣を励行した上で、ストレートネックの改善に努めていきます。
これが、薬物乱用頭痛を治療する上での基本的な考え方で、これなくしては改善は望め
ないと思われます。
片頭痛の一般的事項
不思議の国のアリス症候群
慢性頭痛の代表である片頭痛と緊張型頭痛は一次性頭痛と言われ、”脳の中には何も病気
がなく、頭の痛みだけが病気である、という頭痛””頭痛そのものが脳の病気”といった表
現をされ、まさに人を煙に巻くような極めて曖昧な表現をされ、素人には何のことか理解
されておりません。結局「頭蓋内だけにその原因」を求めており、片頭痛は「神秘な、不
思議な病気」とされています。
この神秘な症状の典型的なものが「不思議の国のアリス症候群」です。
まず、「アリス症候群」についてご存じかも知れませんが、まず・・
Wikipedia ウィキペディアには、以下のように述べられています。
不思議の国のアリス症候群 (Alice in Wonderland syndrome, AIWS) とは、知覚された外
界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられることを主症状とし、
様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群である。 この症候群の名前は、ルイス
・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さ
くなったりするエピソードに因んで、1955 年にイギリスの精神科医トッド(英語: John
Todd)により名付けられた。
- 97 -
典型的な症状は、眼に障害がなく外界が通常と同じように見えていると考えられるにも
かかわらず、一方では主観的にそれらが通常よりも極めて小さな、または大きなものにな
ったように感じられたり、ずっと遠く、あるいは近くにあるように感じられたりする。 例
えば、子供が自分の母親が自分より小さくなったように感じたり、蚊が数十 cm もあるよ
うに見えたりする。自分の体は逆にそれぞれ大きく、または小さくなったように思うこと
もある。 外界が小さく感じられるものを小視症(英語版)、大きく感じられるものを大視
症(英語版)、ひずんで感じられるものを変視症(英語版) と呼ぶ場合もあるが、これら
の呼称は眼底疾患など視覚そのもの障害による症状においても用いられている。
この症状にはさまざまなバリエーションがある。対象や位置が限定されており、例えば、
人の顔以外を見たときにのみこの現象が現れたり、視野の右半分だけが 2 倍の大きさにな
ったように感じたり、テレビに全身が映った人物の顔と体の比率が歪み、何頭身であるか
を認識できなくなったりする。大きさだけでなく色覚についても異常が起こることもあり、
例えば自分の母親が緑色に見えたりする。またこの現象は視覚だけでなく触覚や身体イメ
ージによっても起こり、自分の片方の耳だけが何倍にも大きくなったように感じられるこ
ともある。さらに、空間の感覚だけでなく時間の感覚に関して類似した現象が起こること
もあり、時間の進み方が速くなったり遅くなったりしたように感じる人もいる。空中を浮
遊するような感覚も特徴とし、現実感の喪失や離人症状も現れることがある。現象は数分
で終わることが多いが、何日も継続する場合もある。
この症状は、ヘルペスの一種のエプスタイン・バール (EB) ウイルスの初期感染で引き起
こされた中枢神経系の炎症での報告が多い。 EB ウイルスは、日本では子供のころにほと
んどの人が感染するもので、おそらくこのために、子供のころ一過性のこの症状を体験し
た人は比較的多い。 大人になっても不思議の国のアリス症候群を定常的にもつ人の多くは
片頭痛をもっている。 また、他のウイルスによる脳炎、てんかん、統合失調症の患者から
も報告されることがある。さらにある種の向精神薬によってもこの症状が現れることがあ
る。またまれにうつ病の前触れとなったという報告もある。ルイス・キャロルは片頭痛に
悩んでいたことが知られており、彼自身がこの症状をはじめとする作品内のエピソードを
体験していたかもしれないとする推測がある。
- 98 -
このような症状がどのようにして起こるのかはまったく不明である。 症候群自体の認識が
薄いこともあり、報告は多くない。 EB ウイルスに罹患した患者において、限定された画
像法でのみ短期間で一過性の大脳皮質の広範囲の変異が認められたという報告があるが、
限局した病巣を認めるような報告はなく、脳の広い範囲が関わっているものと示唆される。
それでは、現実の「体験談」を記述します。
「不思議の国のアリス症候群」の体験と克服方法
僕は小学校 3 年生から中学校 3 年生くらいまでの間大小, 遠近, 空間の感覚が歪み、意識が
幻覚状態に陥ってしまうという不可思議な症状に悩まされたことがあった。
一般的に、
「不思議の国のアリス症候群」と呼ばれる症状らしくネットで症例を見たところ、
僕が悩まされていた感覚と全く同じ症例だった。
~不思議の国のアリス症候群 (Alice in wonderland syndrome)~
不思議の国のアリス症候群とは、知覚されたものの大きさや自分の体の大きさが通常とは
異なって感じられる主観的なイメージの変容した状態のことを指す。大小・遠近・空間・
時間の感覚が歪み、一種の夢幻状態に陥る。
この症候群の名前は、ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリ
スが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで名付けられた。ルイス・キャ
ロルは偏頭痛に悩んでいたことが知られており、彼自身がこの症状をはじめとする小説内
のエピソードを体験していたかもしれないとする推測もある。
「極細と極太が交互にやってくる感覚」,「遠近感覚がぼやけてものの大きさが曖昧になる感
覚」
「有限な大きさのブロックの集合体」, 「白黒」, 「自分を包み込む空間の筒」, 「針とタイヤ」, など
- 99 -
の感覚
キャロル(Carroll L)の童話「不思議の国のアリス」に因んで、トッド(Todd J)が命名した
症候群である。
これが病気なのかどうかは不明だし、自分がそれと診断されたわけではないが
この「極細と極太が交互にやってくる感覚」というのをはじめとして、まさにこれ。
子供の頃に、この症状で本当にひどく苦しんだため、下記にその記録を記しておく。
1.きっかけは高熱を伴う風邪
小学校 3 年生の時に、ひどい風邪を引いて 38 度くらいの高熱が出た。
薬を飲んで家でウーンウーンとうなされていたのである。
苦しい熱の中で、とても深い眠りにつき、そこである悪夢を見た。
その悪夢の内容に、その後何年も苦しめられることになった。
悪夢の内容は、こういったものだった。
気づくと僕は、ある枯れた野原にたっていた。
その野原には、木の柵が所々に設けられていて
樫の木のような大きい木もまた、所々に生えていた。
野原はとても狭いように見えて、僕は向こうの方を見渡そうとすると
野原は実は丸い球体の上に広がっていて、その球体は僕が今立っている場所であり
僕は地面の目線と、中空から自分の立っている「惑星?」のようなものを
遠望するふたつの目線をもっていた。
- 100 -
野原には動物たちが踊りながら飛び回っている。
なかでも人間の大きさほどもある、直立二足歩行するウサギがいてまるでバックスバーニ
ーのように飛び回っているがこのウサギや羊たちも、ディズニーランドで見かける動物た
ちのような愛嬌のあるものではなかった。
突然、野原の地平線の向こうから、巨大な巨大な人影がヌーッと伸び上がってきて、野原
の動物たちを包み込むように見下ろした。
僕は、その巨大な影を見上げ、細い体のどこに力を入れて立てば良いかわからないほどに
恐怖した。
同時に、自分の立っている、野原の広がる球体地面を遠巻きに眺めていて、巨大な人影は
覆い被さるように球体をのぞいているという奇妙な状況にあった。恐怖に直面しながら、
遠巻きに自分がそれを認知しているのだ。
まるでスターチャイルドと化したボーマン船長のような視点で球体を眺めている僕だが、
なにかもっと大きな存在に包まれるようにのぞきこまれているような圧迫感を感じた。
そして、何か巨大な影のようなものに、僕はのみこまれた。
押しつぶされるという感覚ではなく、巨大な影の浮遊体に僕という小さな存在が針のよう
に突き刺さりながら周囲を取り囲まれていくような感覚。
圧倒的な閉塞感と、無限の広がりの中に放り出されたような感覚が同時に重なっていった
結果、半狂乱の状態で悪夢から覚めた。
2.日常生活で、遠近感が狂ってくる
熱は引いて、風邪の具合も治ったのだが悪夢のせいか、1 週間ほどは距離感や遠近感が鈍
くなった。そして何より、僕自身の大きさを認識することが極端に鈍くなった。
- 101 -
意識だけが何か巨大なものであるにもかかわらず、肉体は等身大なので
自分で体を動かしているという感覚が鈍くなった。
アリスが魔法の小瓶の薬を飲んで、体が小さくなったのと同じ感覚だ。
目を開けて、寝転がっていると、何か巨大なブラックホールのようなものが自分に押し寄
せてくるも、自分は相変わらず針のような存在でとりこまれることで、針の存在と無限の
存在を同時に味わうことになりまるで、個にして全のような、心あらずの状況になった。
その後、1 年に 2,3 度は野原と動物の悪夢にうなされるようになった。
まったく同じ夢で、まったく同じ恐怖だった。
症例にある通り、極細と極太が交互にやってくる感覚まさにこれである。
他の症例には、針とタイヤとあるが、僕は針と巨大なゴムまりであったり
針と無限のブラックホールであったりした。
悪夢は定期的に同じ内容でやってくるので僕はそういった悪夢にあうのが恐ろしくて眠る
のが怖くなったりした。
3.静寂と騒音が同時にやってくる
小学校高学年になった頃、遠近感覚がおかしくなるだけでなく静寂と騒音の感覚がおかし
くなってきた。
遠近感覚が麻痺し始めてくると、だんだん耳で聞こえてくる
外の物音などが、聞こえなくなり、しーんとした静寂になる。
空気の耳栓でふたをされた感覚である。
- 102 -
そして奇妙なことに、同時に外部の物音は聞こえてくるのである。
悪夢において、野原に立っている自分と、それを見下ろす自分というように
視点が二重になったのと同じで、聴覚においても、生活音が聞こえていながら
まったくの無音状態になっているという状況になった。
そして、無音状態というのではなく、全く逆でおそろしく大きな声であらんかぎりの罵声
が聞こえてくる。当然、僕にだけそれが聞こえるのだ。
ウワアーンという巨大な音がして、それが罵声であるのはわかるのだが
単語が聞きとれない。何か大きな声で怒鳴り散らしているその声は
自分の声であるようで、空気が発している静寂音のようにも聞こえる。
まさに大きな音で耳に栓をされ、脳に響いてくる感覚。
目で見る感覚と耳で聞く感覚が、2 重にも 4 重にもなっているのでまさに悪夢としか言い
ようがない。
僕は、覚醒したまま何時間もぼーっとしていた。
4.自分で考え出した克服法
思春期になるに従って、夢以外のものの恐怖をあじわうようになる。
中学に入ると、仲良く遊んでいた友達がヤンキーになったり
暴走族の先輩とかが出てきたり、暴力教師がでてきたり
黒人が学校を荒らし回ったり、外人にかつあげされたり
日常的に、怖いことに遭遇するようになる。
自分の力ではどうしようもない怖いことが
悪夢以外にも日常生活にあらわれはじめるのがこの時期だった。
- 103 -
そういうものにからまれないように自分もおのずと、したたかになってきたりする。
それでも、悪夢になったらどうしようという恐怖があったのだが
日常生活の怖いことを目にしたり、時に触れたりすることで
思春期特有の、ささいな暴力とか小さな悪意とかが芽吹いてきた。
そうこうするうちに、悪夢におびえて眠れないよりは
あの悪夢の動物たちを皆殺しにしたらどうだろうかと思い始めた。
悪夢を見そうだなという時期になると
たいてい大小の感覚が麻痺してくることがわかるようになってきた。
その時期をみはからって、夢の中であの野原にやってきたら躊躇することなく、あの動物
たちを皆殺しにしてやろうという気持ちで寝るようにした。
そうすると、そういった悪夢はでてこなくなった。
自分の意識を、悪意とか殺意とかそういった小さい感情に
縛り付けておくことで、気持ちが浮遊しなくなったのだろうか。
原因はよくわからないが、高校生になってからは野原と動物の悪夢を見なくなったし、小
中学生の時ほど遠近感覚や、聴覚がおかしくなることも減ってきた。
5.大人になった今でもたまに再発するけど
今でも大きさの感覚が鈍くなることは多少ある。
一人で家でボーっとしているときに、たまに大小感覚が鈍くなったり
静寂と騒音の区別がつかなくなったりすることもたまにある。
- 104 -
だけど、克服方法をしってしまったせいか、暇つぶしに自分の意志で
わざと大小感覚を鈍った状態に浸れるようになってしまった。
今でも兆候はあるのだけれど「あーあれがきた」みたいな感覚で
ぼーっとやりすごすことができるようになった。
以上が、僕の体験した「不思議の国のアリス症候群」である。
これがなんなのかはわからないが、子供の頃にとても苦しめられたので
今も困っている人のために、症状確認や対処法などで役に立てれば幸いである。
清澤のコメントを以下に記述します。
不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome)大きく見えたり小さ
く見えたりものが異様に大きく見えたりまた異様に小さく見えたりするという発作を主な
症状とするのが”不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome)です。
症例
ある時にはまるでガリバーになったように家具や調度などが小さく見え、またある時には
巨人の国に迷い込んだように目の前にあるものが何倍にも巨大化して見えるのです。
「そうね、寝て起きたときからそれは始まるの。たとえば目が醒めてたまたま長椅子が目
にはいったとするでしょ。瞬いて次の瞬間には長椅子が馬鹿馬鹿しいほど大きくなってい
るのよ。実際怖いわよ。でもちっちゃい頃は怖いというより、なにがなんだかわからず、
ただ戸惑ってるばかりだったわ」
ーーーーーーーーーーーー
アリス症候群
症例の提示
瞬きとともに一瞬のうちに景色が変わる。
19 歳の少女、ケイティ・オブライエン(Katie O'Brien)はそんな不思議な世界に住んでい
- 105 -
るかのようです。
ある時にはまるでガリバーになったように家具や調度などが小さく見え、またある時には
巨人の国に迷い込んだように目の前にあるものが何倍にも巨大化して見えるのです。
「そうね、寝て起きたときからそれは始まるの。たとえば目が醒めてたまたま長椅子が目
にはいったとするでしょ。瞬いて次の瞬間には長椅子が馬鹿馬鹿しいほど大きくなってい
るのよ。実際怖いわよ。でもちっちゃい頃は怖いというより、なにがなんだかわからず、
ただ戸惑ってるばかりだったわ」
こう語るケィティの病症は、
「不思議の国のアリス症候群―― Alice in wonderland syndrome」
という希有なもの。視界にはいるものが自分の意志とは関わらず拡大、縮小あるいは回転
をともなって見える一種の錯視で、症名はもちろんルイス・キャロルのおとぎ話「不思議
の国のアリス」からとられたものです。
「不思議の国のアリス症候群―― Alice in wonderland syndrome」は遺伝性のものといわれ、
実際にケィティの母、デニース・オブライエンもこうした経験をもち、ケイティの妹、モ
ーリーも同じような錯視を体感していました。micropsia(小視症)や macropsia(大視症)
に似た症状は三十分ほど続くと収まり、あとは普通に見えるようになるそうです。
「
『不思議の国のアリス』のなかで主人公のアリスが、自分の足が巨大化し、つま先が見え
ないほど遠くにいってしまった様子を、「こんどはこの世で一番おっきな望遠鏡みたいに、
ぐんぐんのびてる!
足さん、さよなら!(「不思議の国のアリス」山形浩生訳)」と言っ
ているのは、まさしくこの症例の患者が自分自身にもつイメージの典型です」。
こう語るのはメイヨクリニックのデビッド・ドティック医師。偏頭痛とその周辺症状の専
門家のドティック医師は、こうした知覚の異常、身体イメージの歪みが、偏頭痛が起きる
前にあらわれることに注目しています。
「知覚の異常にはさまざまな種類がある。視界でいえば対象物が限定され、それが小さな
細片の集合体ととらえられることもあれば、ものすごく遠く見えたり、逆に間近に見える
こともある。身体イメージとしては、とつぜん自分の耳が 6 インチもの大きさになったよ
うに感じると表現した患者がいた。また、空間、時間感覚が歪むと感じる患者もいる」
ケイティも妹のモーリーと空間や知覚を共有する感じ、また時間が奇妙に引き延ばされた
- 106 -
り、圧縮されたりする感じについて述べています。
おとぎ話のエピソードとの一致から、ルイス・キャロル(本名チャールズ・ドジソン :
オックスフォード大の数学教授)自身がこうした症状に悩んでいたとの推測があります。
「日記は残してないから断定はできないが、彼が偏頭痛に悩んでいたことはまちがいない
だろう」と語るドティック医師。
症状そのものは、シアトルの神経科医、シーナ・オーロラ医師が「不思議の国のアリス症
候群」の患者の脳をスキャン。視界からはいった対象物のサイズ、形、質感などのイメー
ジを決定づける脳の一部で、血液の流量が異状に増していることが認められましたが、そ
のメカニズムについてはまだ解明されてはいません。
不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome、AIWS はレービス キャロル
Lewis Carroll の小説から名付けられたものです。これはトッド症候群 Todd's syndrome とも
呼ばれます。これでは、状況が分からなくなるような視覚受容に関連した神経学的な障害
です。 この疾患に患者は小視症、巨視症、そしてそのほかの知覚経路を通じて感ずる大き
さというものが分からなくなる症状を示します。
一過性の状態ですが、その多くは片頭痛や脳腫瘍などを伴い、場合によっては向精神薬の
使用に伴って起こるものもあります。エプスタインバールウイルス感染の初期症状でみら
れることもあります。不思議の国のアリス症候群は小児には多いという報告もあり、多く
は 13 歳ごろになるまでに消失するとされています。不思議の国のアリス症候群は入眠の初
期にも経験されます。
症状
眼の所見は全く正常。不思議の国のアリス症候群は眼球の不調とは正反対な脳における視
覚受容の問題です。不思議の国のアリス症候群の主要な兆候は、ミグレイン(片頭痛:脳
血管のれ縮に伴う一過性脳虚血都その解放後の神経症状の総称)であってミグレイン症状
自体によって引き起こされていることもあります。不思議の国のアリス症候群はその患者
の視覚の感覚、触覚、聴覚ないし患者の自己の身体イメージにも影響を与えます。
- 107 -
もっともよく見られる症状で、もっとも患者を悩ませる症状は身体のイメージに変化が起
こることです。患者は自分の体の全体ないし一部分の大きさや形が変化したかのように感
じます。
眼球自体は正常ですが、患者は見る物の大きさや形が間違った大きさであるかのように感
じます。それは人物とか、自動車とか、建物とかが一様に大きく或いは小さく感じられた
り、その対象との距離が正しい距離ではなく感じられたりするというわけでです。たとえ
ば、建物の回廊が非常に長く感じられたり、広場がとてもせまく感じられたりします。
さらに、ある人々は高い熱を発した時にもっと強くて明らかな、そこには存在しない物の
幻覚を見ることがあります。
診断
不思議の国のアリス症候群は特定の生理学的な変化というよりは感覚受容の問題ですか
ら、他の身体疾患が除外されてミグレインがあればつけられる診断名です。
治療
他の症状を訴えるミグレイン(片頭痛)に対する治療法で良いです。抗痙攣薬、抗鬱薬、
ベータブロッカー、カルシウムチャネルブロッカーを使用して、ミグレインを誘発する食
物は制限します。
疫学
この発生が、年齢、性、人種に関連するという報告は見つかりません。不思議の国のアリ
ス症候群は片頭痛を持つ人々や小児では比較的ありふれたものであると考えられています。
文献
^ Longmore, Murray; Ian Wilkinson, Tom Turmezei, Chee Kay Cheung (2007). Oxford
Handbook of Clinical Medicine. Oxford. pp. 686. ISBN 0-19-856837-1.
清澤のコメント:
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医科歯科大学准教授の大野先生が中枢性の変視症についての講演の依頼を受けたというこ
とで、神経眼科医としての私に質問を寄せられました。私も高次視覚中枢の障害で変視症
がです中枢性のものがある程度の知識は持っていたのですが、この不思議の国のアリス症
候群は珍しくもないものの様ですね。
神経眼科医をしていてもこのような不思議の国のアリス症候群の訴えを本気で訴えてきた
患者さんは多くはないのです。しかしあるネットの掲示板を見ますとかなり多くの方々が
小児のころに発熱などを機会に経験しているようです。また、その中には幻覚を成人した
後まで体験している人々もいる様です。
「先端科学ミステリー」から・・
日本テレビの「先端科学ミステリー」で不思議の国のアリス症候群について放送されまし
た。
1955年イギリスの精神科医トッドは奇妙な現象が見えてしまう人のことを「不思議の
国のアリス症候群」と名づけました。「不思議の国のアリス」は1865年、ルイス・キャ
ロルが発表した児童文学です。
アンさん(60歳)が始めて自分の異常に気づいたのは6歳の時でした。周りの人にはわ
からない不可思議な感覚を自分だけが感じていました。アンさんは首だけが高く上がった
り、体が小さくなる感覚に襲われます。
目を通って入ってきた光景は、まず脳の後頭葉に送られます。そこから側頭葉に伝わり物
の形や色を認識します。同時に頭頂葉へも伝わり大きさや距離を把握します。不思議の国
のアリス症候群の人は頭頂葉に異変が起きている可能性があります。アンは片頭痛による
血流の異常が頭頂葉におよび、正常な大きさと距離感を認識できなくなることで奇妙な世
界が出現してしまうのです。
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ドイツの精神科医のクラウス・ポドル博士はルイス・キャロルも不思議の国のアリス症候
群におかされていたのではないかとの仮説をたてています。ルイス・キャロルは1832
年イギリス北西部の農村で牧師の息子として生まれました。幼い頃から数学が得意だった
ルイスはオックスフォード大学で数学教師として働きました。一生独身をつらぬき、本が
売れてからも大学の寮で生活していました。ルイスは21歳から65歳まで日記を書いて
います。ポドル博士はルイスの日記から彼が片頭痛持ちであることを発見。「頭痛を伴う動
く要塞を見た」との記載があります。この動く要塞とは閃輝暗点のこと。閃輝暗点は目の
前に稲妻のような暗点ができる視覚障害。
樋口一葉もまた不思議の国のアリス症候群だったのではないかと考えられているようです。
太田熱海病院神経内科,脳神経センター長の山根清美先生は以下のような発表をされてい
ます。
「見逃されている脳底型片頭痛について」,
「多彩な症状(めまい,全健忘,アリス症候群など)を呈する片頭痛」
この「見逃されている」という表現から分かるように,山根先生は,脳底型片頭痛は決し
てまれな片頭痛ではない,ということを強調されていました。自験例として 23 年間に 110
例の脳底型片頭痛を経験し,その特徴ある症状や,発症機序などにつきまとめられていま
した。もともとは 1961 年に Bickersteff が脳底動脈片頭痛(Basilar artery migraine)として,
脳底動脈系の多彩な症状を示す症例を詳細に検討して報告したのが初出ということでした。
その後 1988 年の国際頭痛学会の頭痛分類では脳底片頭痛(Basilar migraine)と呼称され,
2004 年の頭痛分類第 2 版では脳底型片頭痛(Basilar type migraine)とされました。そして
第 2 版の分類には詳細な診断についてのコメントが付記されています。
山根先生がこの疾患に興味をもたれたのは,初期の頃経験された 48 歳の看護師の症例で,
片側視野全体の閃輝暗点,あるいは半盲のように人物の左半分が見えなくなり,その後そ
の部分がきらきらとゆらいで見え出し,その後に頭痛・めまいなどの症状を発症したが,
後ほど 4 日間の経過中の記憶がない,一過性全健忘の状態になっていたことが分かったそ
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うです。患者さんの書いた絵を提示され,確かに経過も十分に印象的でした。山根先生の 110
例の検討では,神経内科の全新患の 0.7 %,片頭痛患者の 25 %が脳底型片頭痛であり,42
:68 で女性に多く,家族歴は 48 例で認められたとのことです。症状でもっとも多かった
のが回転性めまいで 88 %に見られ,ついで運動失調(ふらつき)76 %,耳鳴 26 %などが
見られたようです。報告では小児片頭痛の 30 %が脳底型片頭痛であるとするものや,全片
頭痛の 30 %程度が脳底型とする報告もあるとのことでした。
これだけ多いはずの脳底型片頭痛が,なぜ稀にしか診断されていないかというと,まず脳
底型片頭痛という疾患概念が浸透していないこと,片頭痛の患者さんは頭痛に注意が向い
ているため,めまい・耳鳴・ふらつきなどの症状はこちらから聞かないとあまり訴えない,
脳血管障害などと誤診されやすい,片頭痛の他のタイプとの移行例もあるため特徴を把握
しづらい,精神症状が半数で見られるため精神科疾患と間違われやすい,などの点を指摘
されていました。
また失神や一過性全健忘の合併も多く,脳底型の場合は脳波異常も多くみられるため,て
んかんとの異同が問いただされているそうです。一過性全健忘を伴うケースで印象的な症
例を報告されていました。62 歳男性で 3 回の一過性全健忘と片頭痛発作があり,その健忘
の間に車を運転し,遠く離れた福井まで行って,ひどい片頭痛で地元の病院に入院して初
めて全健忘がわかったという驚くべき経過があったことを話されていました。山根先生の
経験では一過性全健忘の原因の 34 %が脳底型片頭痛によるものであったとのことです。報
告でも片頭痛によるものは大体 14 %から 34 %の合併頻度とのことでした。また脳底型片
頭痛と椎骨脳底動脈血流不全も非常に似通っており,自験 110 例中 2 例が小脳・脳幹梗塞
を起こしたそうです。
また脳底型の特徴ある症状として「不思議の国のアリス症候群(Alice in wonderland
syndrome AIWS)」があり,これは①身体像の奇妙な変形,②視覚的に物体の大きさや距離
が変化する,③空中浮揚の錯覚的感覚,④時間的感覚の錯覚的変化,などで定義されると
のことです。この AIWS は 13 例 11 %に見られ,27 歳の女性例では車の運転中に対向車が
遠く小さく見え,危うくぶつかりそうになったというケースを話されていました。
治療としては予防が大切で,塩酸ロメリジンやバルプロ酸,その他一般的に片頭痛の予防
薬として使用される薬を用いるとのことです。発作の頓座薬としてはトリプタン系薬剤は
万一の脳幹梗塞などのリスクを考え禁忌とされているようですが,山根先生は私見として,
症状が軽い,めまいやふらつきなどの軽症の症例はトリプタンを使用してもよいのではな
- 111 -
いかという印象をもっていると話されました。通常の治療薬は NSAID sや脳梗塞に準じ
た治療薬などになるようです。実際に脳底型の発作期に脳血管撮影などで血管を見ると血
管攣縮を起こしているケース(Frequin STFM et.al. Headache 31:75-81 1991)があるそうで
す。このように聞いていくと,確かにきちんと脳底型片頭痛と診断することが予後にも関
係し,治療の選択の面でも非常に重要であるという印象をもちました。
.以上のように、
「不思議の国のアリス症候群」は、特殊な片頭痛(家族性片麻痺性片頭痛、
脳底型片頭痛)とくに「脳底型片頭痛」のような遺伝的な要因によるものに起きてくるこ
とが理解して戴けたかと思います。
女性と頭痛
頭痛、特に片頭痛を訴えるのは女性が多いといわれています。
何故女性には頭痛が多いのでしょうか?
女性には生理、妊娠、出産、更年期等、頭痛と絡む身体の変化がたくさんあります。
女性と片頭痛(頭痛)とのかかわりのメカニズムを理解して、悩むだけでなく頭痛と上手
につきあっていく方法を学ぶことが大切です。
ちなみに「偏頭痛」と「片頭痛」は同じで、医学用語としては「片頭痛」が正しい漢字に
なります。
片頭痛と女性ホルモンとの関係
片頭痛と女性ホルモンには深い関係があります。
生理の前や生理中に頭痛が起こることってありますね?
生理のときの頭痛には片頭痛が多いのです。
片頭痛に悩む若い女性はだいたい 5 人に 1 人の割合だとされていますが、その中の半数以
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上は生理と関係した片頭痛だと言われています。
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、月
経周期でその分泌量は大きく変わります。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って脳内物質のセロトニンも急激
に減ります。
その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられます。
このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭
の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなのです。
月経周期に関係する片頭痛は、エストロゲンの変動の少ない妊娠中や閉経後には治まっ
てくる人も多くなります。
片頭痛を発症し始める年齢は生理が始まる 11 から 13 歳ごろが多いのも理解されると思い
ます。
自分の基礎体温を測ることで、エストロゲンの変動もわかるので片頭痛に対する対策も
とれるのではないかと思います。
生理の時の片頭痛に効く治療法
生理の時に起こる片頭痛には市販の鎮痛剤が効きにくいこともあります。
片頭痛はエストロゲンが急激に減少することによって起こりやすいのですが、エストロゲ
ンの増減に関係なく起こる人もいます。
片頭痛が起こる程度や頻度は人それぞれですし、毎回同じパターンで発症するとは限りま
せん。
しかし共通して言われるのが、生理の初日前後の片頭痛は特に重症であることが多く、そ
の時は市販の鎮痛剤が効きにくいということです。
- 113 -
片頭痛を生理痛の 1 つだと思い込んで、鎮痛剤を飲んで我慢したり、仕方が無いと諦めた
りする人も多いですが、片頭痛には片頭痛用の薬がありますので、きっちり服用すれば我
慢する必要はなくなります。
片頭痛にはトリプタン製剤がよく効きます。
トリプタン製剤は病院で処方してもらえますので、我慢しないで受診してお薬をもらいま
しょう。
生理不順と片頭痛の関係
生理不順が原因で片頭痛が酷くなることがあります。
現代女性は仕事などでストレスを抱えがちです。
ストレスを抱えることで女性ホルモンのバランスが乱れそのせいで生理不順になる人も多
いようです。
生理不順になると女性ホルモンに大きく影響される片頭痛の発症のタイミングもわかり辛
くなってきます。
いつ片頭痛に襲われるかわからないという不安から、飲む鎮痛剤の量が増えていき、結果
として薬物乱用頭痛を引き起こすこともあります。
頭痛薬は一ヶ月に 10 日以上は使わないように注意して、生理不順になったら早めに病院を
受診しましょう。
また女性ホルモンに関係なく、抱えているストレスそのものが片頭痛を引き起こす場合も
あります。
ある程度のストレスは誰でも抱えているものですが、片頭痛持ちの人は片頭痛の起こりや
すい時期にストレスが重ならないように無理をしないようにしましょう。
過労や睡眠不足、低血糖(空腹)、人混みに入ることや、大きな音や強い光を避けて、でき
るだけ規則正しく生活をすることが片頭痛の予防に繋がります。
妊娠と片頭痛
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妊娠、出産、更年期と女性の身体が変化するタイミングで片頭痛が起こることも少なく
有りません。
それぞれのライフステージで片頭痛と上手く付き合っていくいはどうすればいいのでし
ょうか?
片頭痛が起こるメカニズムに女性ホルモンの分泌が大きく関わっている話は前述しました。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の急減がセロトニンの急減を招き片頭痛が発症します。
妊娠中はエストロゲンの変動が少なくなるので片頭痛が起こりにくくなるのです。
妊娠中期と後期の 6 ヶ月は、女性ホルモンの分泌量が高めで安定しています。
その為一般的には片頭痛は起こりにくくなるのですが、時には発症する場合も有ります。
その場合はすぐに医師に相談しましょう。
妊娠中はなるべく薬の服用は避けるのが原則です。。
その為にもストレスをためない生活、十分な睡眠を心がけましょう。
もし片頭痛が起こってしまったら、まずはこめかみ部分を冷やします。
そして早めに横になり、光や音の影響を受けない静かで暗い場所で休むようにしましょう。
薬を服用しなくてもこれだけで症状が軽くなることも多いものです。
もしそれでも治まらずに我慢できない場合は、自分で判断して薬を服用せずに医師に相談
しましょう。
妊娠中に服用しても比較的安全な薬を処方してもらえます。
出産と片頭痛
妊娠によって軽減する片頭痛ですが、出産後に再発することがよくあります。
出産後は女性ホルモンが急激に減少するため、片頭痛が起こりやすくなるのです。
また育児ストレスや睡眠不足などで片頭痛が誘発されやすくなる場合もあります。
授乳中に片頭痛の薬を服用した場合は、薬の成分が乳汁に分泌されることがありますので、
もともと片頭痛のある人は、頭痛が発症した場合の対処法や、薬を服用する場合の注意点
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などをあらかじめ医師に相談しておくことが大切です。
出産前は片頭痛で受診していた人も、出産後は子育てに追われなかなか時間がとれずに
受診できないまま片頭痛が再発し辛い思いをしている人は多いようです。
そうなるとストレスでますます片頭痛が悪化したりで悪循環となってきます。
もともと片頭痛持ちの人は結婚や妊娠を考えた時点で、病院を受診し、片頭痛とうまくつ
きあっていく方法(治療法)を医師と相談し、自分にあった薬をみつける、または薬に頼
らないで対処法などをみつけておくのがベストです。
更年期と片頭痛
更年期に入るとそれまでとは頭痛の起こり方が変わってきます。
更年期になると女性ホルモンの分泌が低下します。
その為、心身ともに不安定になり片頭痛が起こりやすくなります。
またほてりやのぼせ、不眠、イライラ感、肩こりなどのいろいろな体調不良に見舞われ、
そのストレスによって片頭痛が誘発されることもあります。
更年期には片頭痛だけではなく、肩こりやストレスからくる緊張型頭痛も起こりやすくな
ります。
この緊張型頭痛が片頭痛とあわさると、最悪なことに毎日のように常に頭痛に悩まされる
ような状態になることもあります。
更年期を過ぎて、閉経すると女性ホルモンは低い状態で安定してきます。
その結果片頭痛は起こりにくくなるのですが、頭痛の種類が片頭痛から緊張型頭痛に移る
場合や、うつ病などにかかり頭痛を伴う場合もあるので、注意が必要です。
3、40 代から更年期にかけての女性(特に専業主婦の場合)は健康診断を受ける機会が少
ないので、頭痛に他の病気が(糖尿病、高血圧、頚椎症など)隠れていることもあります。
少しの体の不調も「どうせ更年期だから」と諦めて一人で我慢したりしないで、少しでも
不調を感じたら早めに病院へ行きましょう。
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以上のような考え方は、従来の見解です。これが一般的のようです。
ということは、片頭痛の原因は不明であり、以上のような点が、これまで経験的に知ら
れているための一般的な考え方のようです。
私は、以下のように考えます。
現代の人たちが抱えている原因のはっきりしない痛みや自覚症状は、セロトニンが欠乏
して起こっていることが、最近では通説になっていると言われています。
セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあらわれ、視覚、聴覚、
嗅覚、味覚、触覚などの五感が過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、
さまざまな自覚症状を訴えるようになります。
(原因不明の慢性痛や匂いに以上に敏感な女性なども、その一つです。)
セロトニン欠乏という本質を捉えていないと、治療も対症療法になってしまい、脳の神経
伝達物質(セロトニン)の低下として治療されないまま、放置された人達がドクターショ
ッピングへの道を辿るのです。
この本質を捉えられている医師は、「片頭痛」=「セロトニン欠乏症」と言い切っていま
す。
これ以外にも、これまで述べて参りましたように、片頭痛を発症する人は「頭痛体質」
がある、ーどうもセロトニン神経の働きが悪い・・
さらに、脳内セロトニンの不足が原因の色々な病気(不眠症、睡眠障害、冷え性、片頭
痛、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群)を引き起こしており、
健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能力が高く、トリプトファンが欠
乏すると、女性では脳内セロトニン合成が男性の 4 倍減少するとされ、また片頭痛発作時
は脳内のセロトニンが減少すると起こりやすくなることが指摘され、片頭痛とセロトニン
の関与は紛れもない事実のようです。
このセロトニン不足のため、姿勢のも影響を及ぼし、ストレートネックを呈する方が多
く見られます。この点はこれまで記載した通りです。
このため、片頭痛を少しでも改善させるためには、セロトニン生活を励行し、ストレー
トネックの改善を心掛けることが極めて重要と思っております。
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片頭痛は”片頭痛症候群”か?
現在、片頭痛の診断は「国際頭痛分類 第2版」に基づいて行われています。ということ
は、問診と神経学的検査法を駆使して行われているということです。(画像検査で何もない
ことが前提ではありますが・・)
私は、現在、片頭痛患者さんを診ていて感じることです。それは、以前、私が、医師に
なった昭和 43 年から、脳卒中医療に携わって参りましたが、この当時と何かしら、共通し
た部分を感じるからです。私は、昭和 43 年から、平成 1 年までは、急性期脳卒中医療に
全精力をつぎ込んで参りました。
私が、医師になりたての頃の昭和 43 年当時は、脳卒中の診断は、「文部省研究班の診断
基準」に従って行われていました。(当時は、現在のようには画像診断は何もなく、行うこ
とはできませんでした)
この基準は、問診と神経学的所見に基づいたもので、片頭痛の診断と全く同じ手法で行わ
れていました。
この診断基準には、理学的診断を困難にするいくつかの因子が存在しており、当時すでに
成書に記された種々の診断学的知識を駆使しても、厳密な鑑別診断率は 70 % 前後とされ
ていました。
このため、当時、日本では、秋田県立脳血管研究センター、美原記念病院、阪和病院脳卒
中診療部の3カ所が中心になって、脳血管撮影を導入して診断しておりました。
私も、研修医の当時から、将来の脳卒中専門医を志して、内科医でありながら、広島市民
病院 脳神経外科の三宅新太郎先生に脳血管撮影の手ほどきを受け、脳血管撮影の手技を身
につけました。
しかし、当時の「神経学」の教科書には「脳梗塞急性期には脳血管撮影は行ってはならな
い」と記載されておりました。このため、脳梗塞患者への脳血管撮影は、発症後1カ月た
ってから、細々と脳神経外科領域で行われていたに過ぎませんでした。
しかし、私は、この禁忌とされていた時代から、上記3病院の先生方の方式を見習って、
勇猛果敢に、発症当初から、脳血管撮影を行って参りました。そして、昭和 50 年になって、
日本に初めて、CTが導入され、これと同時に、秋田県立脳血管研究センターに研修に行
- 118 -
かせてもらい、CTの読影と脳梗塞診療全般について、教えを乞いました。
そして、秋田から呉に帰ると同時に、内科医長の岡田啓成先生を説得し、呉共済病院にも
ホールボデイ・タイプのCTを導入してもらいました。
この時点から、脳卒中患者が救急搬送された場合、直ちに頭部CTの撮影を行い、何も所
見がなければ、引き続き脳血管撮影を行うという検査方式を確立しました。
このような検査方式で診断する限り、「文部省研究班の診断基準」で脳梗塞と診断される
ものの中には、小出血、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍が多く混在していました。
脳血管撮影上、閉塞所見が見られた場合は、発症後1週間目に、脳血管撮影を再度行
い、閉塞所見の再開通の有無を、必ず確認しておりました。また、その間に、健側3本の
血管撮影を追加して、側副血行の状態を検索しておりました。
これらの方式により、脳血管撮影の閉塞所見の有無により、脳梗塞を分類し、閉塞所見
が無ければ、翌日から、リハビリテーシヨンを開始し、早期離床に努めてまいりました。
さらに、閉塞所見が見られるものは、「脳血栓症か脳塞栓かを」厳密に鑑別を行い、「血行
再開療法」の適応の有無を判断していました。脳塞栓の場合は、そのまま放置していても、
自然に開通してしまうからです。
脳血栓症の場合、当時、販売されていた「ウロキナーゼ」を使っても、殆ど効き目はあ
りませんでした。
脳塞栓の場合「再開通の時期」によって、急激に悪化する症例と劇的に回復するものの
2通りがあることに着目しました。そしてこの境界が、発症3,4時間目にあることが判
明致しました。
また、両側の内頸動脈、椎骨動脈を行った脳梗塞例は、必ず、ウイリス輪の発達が先天的
に悪いということも判明し、発症前に、ウイリス輪の発達の善し悪しを検索すれば、将来、
脳梗塞へ移行するかどうかも、予測可能となりました。
このような所見をもとに、その後の 10 年後には、rt-PA (アルテプラーゼ)が開発され、
血行再開療法が現実のものになっていったのです。
以上の成績は、第 34 回共済学会総会の宿題報告で「脳梗塞の臨床」として発表させて
頂きました。1986 年 10 月のことでした。
- 119 -
以上のことで、私が申し上げたかったことは、脳梗塞の診断は、従来の問診と神経学的検
査法を基にした「文部省研究班」の診断基準では、確診には至らず、さらに、脳血管撮影
とCT検査の2つを追加することによって、脳梗塞の細かな分類と病態まで解明すること
が可能となり、治療方針が、自ずと明らかになったことです。
従って、片頭痛の診断も、「国際頭痛分類 第2版」の問診と神経学的検査法をもとにし
た診断基準で診断する限りは、種々の原因で「片頭痛」と同様の症状を来すものが、混在
しかねないということです。
「国際頭痛分類 第2版」の片頭痛の診断基準は「トリプタン製剤」の適応を決めるため
の基準であるとさえ極論される先生もおられるほどです。
現実に、ネット上では、「医療機関で治らなかった片頭痛」が、自分自身で治したとい
う「体験談」が散見されるようになりました。
さらに、有料の「片頭痛克服マニュアル」が多く販売され、これらを利用された方々の「喜
びの体験談」が多数、掲載されています。これらが、どこまで信用に値するかは定かでは
ありませんが・・・。
この中で「歯のかみ合わせの悪さ」を矯正すれば、片頭痛が改善されるというマニュアル
は説得力があるように思われました。
また、「体の歪み」を矯正して、片頭痛を改善させた「体験談」も多く掲載され、ネット
では、多くの「整体院」「カイロプタクター」が宣伝しています。現在、推奨ランクはCと
して、殆ど問題にされていませんが、アメリカでは、カイロプラクターが、大々的に治療
されているのが YOU TUBE から伺い知ることができます。
また、日本では、保険診療で認可されていない「ボツリヌス毒素」による治療が、日本
ではごく限られた施設でしかされていませんが、これもアメリカでは広く行われておりま
す。
さらに、ヨガ、太極拳などで治療される方もおられ、これらは「セロトニン活性化」を目
的とした方法であろうかと思います。この「セロトニン活性化」の方法をダイレクトに取
り入れた方式まで出現してきています。
また、 脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています、不眠症、
- 120 -
睡眠障害、冷え性、片頭痛、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な
病気が誘発されていると考えられています。
Diksic らによれば、健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能力が高く、ま
たセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン合
成が男性の 4 倍減少する。
そして、季節的に、春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛の方
々が一番苦手とする季節であるという事実です。
このように概観してみますと、片頭痛には、各種の原因が関与していることは、間違い
ない事実です。
以上のような理由から、片頭痛の診断には、問診および神経学的検査法だけで行う「国
際頭痛分類 第2版」だけで行われている現状が、何となく納得できません。
今後、血中セロトニン値と脳内セロトニン値が臨床的に簡単に測定可能となれば、もっ
と新たな展開が期待できるのではないでしょうか?
以上のような観点から、少なくとも「歯のかみ合わせの悪さ、体の歪みの有無」を検討
する意味合いで、頸椎レントゲン検査を行うしかないのでしょうか。
さらに、てんかん源性の片頭痛の診断を行うには、脳波検査が必須の検査項目であるこ
とは言うまでもありません。
こうして考えてみますと、脳内セロトニンの測定が、現段階では臨床的に”簡便に”行
えないことを考慮すれば、脳波検査と頸椎レントゲン検査、および画像検査しかありませ
ん。この3つを組み合わせて行うことによって、片頭痛の病因・病態の探索に努め、改善
の可能性のある片頭痛を見落とさないことが重要と考えます。
アロデイニア(異痛症)
- 121 -
片頭痛によって脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異
痛症)が、トリプタン治療効果との関連で注目されています。
片頭痛患者が示す症状の中には、顔に風が当たると痛い、メガネやイヤリングが不快、
髪を結んでいるのがつらい、くしやブラシが痛くて使えないといったものがありますが、
これらは頭部アロディニアと呼ばれています。さらに脳が過敏になると、頭部だけではな
く、手足のしびれや腕時計、ベルトが不快になることもあり、これらは頭蓋外アロディニ
アに分類されます。
アロディニアは、患者自身が訴えることは少ないため、丁寧な問診での聞き取りが必要
です。
頭部アロディニア
顔に風が当たると痛い
髪の毛がピリピリする
髪の毛を結んでいるのが辛い
ブラシやくしが痛くて使えない
眼鏡、イヤリングが不快
痛い側が枕に当たると寝ていられない
頭蓋外アロディニア
手足のしびれ感
ピリピリ感
腕時計が不快
ベルトがきつい
布団や毛布が体に触れると不快
- 122 -
片頭痛は、血管の拡張と炎症が脳幹部の三叉神経に伝わることで起こる頭痛といわれて
います。
顔の知覚を脳に伝える三叉神経が片頭痛によって刺激されると、顔や頭皮など頭部の末
梢が過敏に知覚して頭部アロディニアが起こります。この末梢感作を通過して、片頭痛の
情報が視床(中枢神経)に到達すると、感覚神経の痛覚需要の領域が拡大し、頭痛側と反
対側の上肢を中心とした違和感が生じてきます。これが頭蓋外アロディニアです。
図 1:アロディニア発生のしくみ 1)
片頭痛患者の約7割に認められるというアロディニアですが、アロディニアが形成され
ると、トリプタン製剤は効きにくくなると言われています。
Burstein による報告 1)では、アロディニアの有無でトリプタン服薬2時間後の頭痛消失
率を比べたところ、アロディニアがない患者では 93 %と極めて高い頭痛消失率が認められ
ました。一方で、アロディニアのある患者の頭痛消失率は 15 %であり、顕著な差が認めら
れました。
片頭痛発症 20 分以内にはアロディニアの出現はないとされているため、アロディニア発
現前の早期の段階でトリプタン製剤を服用することが勧められます。アロディニアがある
- 123 -
患者においては、服薬タイミングの指導の徹底が重要です。
図 2:服薬2時間後の頭痛消失率 1)
片頭痛にトリプタンを処方していただきましたが、思うように効きません。なぜですか?
トリプタンは片頭痛の特効薬的存在で、片頭痛がきれいに治ると信じられてきました。
ところが片頭痛が始まってから 2 時間以上たって飲むと、あまり効かないことがあります。
トリプタンは片頭痛の発生機序に作用する訳ですから、「効かないほうがおかしい」はずで
す。
時間が経つと効果が現れにくくなる説明として「アロディニア」という概念が提唱され
ました。片頭痛が極期に達すると脳が痛みに過敏となり、せっかく血管の痛みがとれても、
脳の痛みの過敏が残ってしまうのです。脳が痛みに敏感となる現象をアロディニアといい
ます。アロディニアになると、髪をとかしたり、眼鏡をかけたりするのもつらくなります。
顔の表面がピリピリしたり、手がしびれるといった症状が現れることもあります。トリプ
タンは、アロディニアの出る前、すなわち片頭痛が始まって 1 時間以内に服用するのが良
好な効果を得るポイントです。
アロディニア(異痛症)とトリプタン服用
アロディニアは片頭痛の病態が進行する過程において神経細胞の興奮性が順次増幅され
る結果出現する皮膚の異常感覚です。主に中等症の方に多いとされ、欧米の報告では片頭
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痛の約 79%に伴う報告があり、日本での出現率は約 50-60%で若干低いを推定されています。
アロディニア症状は発作ごく初期の頭痛側の前額部アロディニアと頭痛発作が進行した
際、頭痛発作と反対側の上肢を中心とした上肢(頭蓋外アロディニア)に分けられます。
片頭痛のごく初期は三叉神経節の刺激・興奮により三叉神経第 1 枝領域の顔面、眼窩周
辺もしくは頭皮の異常感覚として出現します。三叉神経節から視床までの神経細胞の感作
形成は視床での興奮性亢進を引き起こし頭痛と反対側の上肢・体幹の異常感覚として表現
されます。どうもここの過程で脳幹部の嘔吐中枢が刺激され、また視床の感作により光・
音や匂いなどの過敏状態が出現すると考えられています。
トリプタン製剤を内服すると血管収縮、炎症物質の放出抑制で興奮した神経細胞も約 1
時間で正常状態に回復し頭痛も鎮火します。しかし視床に火がついてしまうとトリプタン
を内服しても頭痛発作は不完全にしか治まらず、再発・過剰内服をおこし上肢アロディニ
アが数時間または数日持続してしまうことになります。
トリプタン発売当初は頭痛発現時の内服がよいとされましたたが、いかに早くアロディ
ニアを感じてトリプタンを早く内服することが重要であることがよく理解できるでしょう。
米国での報告では、アロディニアは片頭痛罹患年数が 5 年以上経過してから出現しやす
くなり、加齢とともに軽快、1 ヶ月あたりの発作回数が 4-5 回以上に増えると頻度が増加
します。
片頭痛と脳梗塞・・文献的考察
「前兆を伴う片頭痛は、脳梗塞を発症するリスクが 2 倍になる」という報告があります。
片頭痛の発作時に「前兆が起こっている間は局所的に脳の血流低下が起こって」います。
この血流低下を頻回に繰り返すとのちのち脳の萎縮や無症候性の脳梗塞が見つかるように
なります。
しかし、一般的に片頭痛の患者さんの好発年齢は若く、高齢になるにつれて頭痛の発作も
少なくなります。動脈硬化が加わってくる高齢者と違い、仮に短時間の脳血流低下があっ
ても急性発症の脳梗塞に至る心配は要らないと思われがちです。
- 125 -
ところが、
「前兆を伴う片頭痛は、脳梗塞を発症するリスクが 2 倍になる」というのです。
片頭痛に伴う脳梗塞は,国際頭痛分類第二版では 1.5.4 Migrainous infarction(片頭痛性脳梗
塞)と記載されています。診断基準は以下のとおりです。
診断基準:
A. 1.2「前兆のある片頭痛」を持つ患者に起こる頭痛発作で,1 つもしくは複数の前
兆が 60 分を超えて続くことを除けば,今までの頭痛発作と同様である
B. 神経画像検査により責任領域に虚血性梗塞病巣が描出される
C. その他の疾患によらない
つまり,前兆のある典型的片頭痛の発作中(誤解のないように!)に発生する脳梗塞のこ
とです.その頻度は稀で,臨床的特徴についても十分に分かっていません.まとまった報
告 と し て は , 10 例 未 満 の 少 数 例 の ケ ー ス シ リ ー ズ が あ る 程 度 で あ る ( Cephalalgia
23:389-394,2003).ここでは,多数例での検討が,北欧とドイツより報告されていますので,2
つの論文を紹介します.
まず北欧の論文(Eur J Neurol 誌).対象は 7 つの頭痛クリニックにおける国際頭痛分類
第二版の診断基準を満たす片頭痛性脳梗塞患者 33 名.これらの症例における危険因子,片
頭痛に対する治療状況,脳梗塞の局在・症状と予後を検討しました.33 例中 20 名が女性
(61%)で,発症年齢は 39 歳(19 ~ 76 歳).古典的な脳梗塞の危険因子(高血圧,高脂
血症,糖尿病)を認めることは,スカンジナビア人の若年脳梗塞患者と比較して稀でした.
急性期において 12 例(36 %)がエルゴタミン製剤もしくはトリプタンを使用していた.
脳梗塞の局在は後方循環系に多く(27 例;82%),小脳梗塞も 7 例(21 %)で認められま
した.脳幹梗塞を来した 2 例を除き予後は良好で,完全回復ないし若干の後遺症を残すの
みでした.卵円孔開存(PFO)の頻度は 40%で,若年脳梗塞患者と比較して有意差はあり
ませんでした
つぎにドイツの論文(Neurology 誌).11 年のあいだに大学病院に入院した 8137 例の
うち片頭痛性脳梗塞は 17 例(0.2%)でした.うち 13 例が女性で(76%),発症年齢は 45
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歳.多くの患者が持続時間の長い前兆をみとめ,その内訳は視覚性前兆 82.3%,感覚障害
41.2%,失語 5.9%でした.脳梗塞の局在は後方循環系に多く(12 例;70.6%), 残り 5 例
は(29.4%)が中大脳動脈領域の脳梗塞でした.11 例(64.7%)が小病変を呈し,多発病変
は 7 例(41.2%)で認めましたが,複数の血管支配領域に及ぶ病変を認めた症例はありま
せんでした.また PFO を 11 例(64.7%)で認めました.
いずれの報告も,若年女性に多く,脳梗塞の局在は後方循環系に多く(既報も同様).発
症機序については,なお今後の検討が必要でした.片頭痛性脳梗塞と遷延した前兆の鑑別
は難しく,さらに頭部 CT では評価困難な場合がある後方循環系の脳梗塞が多いため,片
頭痛患者が遷延する前兆を主訴に外来を受診した場合は,頭部 MRI を確認したほうがよさ
そうです.
2003 年、オランダのライデン大学で行われた研究で片頭痛のタイプによっては脳に病変
が出現する事が確認されました。内容は片頭痛が発作性疾患ではなく、慢性発作性の進行
性疾患で予防や治療を行わないで放置すると脳梗塞などの病気になりやすいと言う結論で
す。
片頭痛を放置すると脳梗塞が増加
片頭痛のなかでも発作が月に 1 ~ 2 回以上と頻繁に起こり、しかも閃輝暗点などの前兆
を認める人は頭痛の無い人と比べ、後頭部に脳梗塞の出現する頻度が約 16 倍高かったとい
うことです。更に片頭痛を有する女性は深部白質病変を呈する頻度も 2 倍高く、その頻度
は発作回数が多いほど上昇しています。最もリスクが高かったのは 1 か月に 1 回以上の発
作を起こす人で、3倍上昇していました。
女性に限定すると前兆の有無を問わず片頭痛患者は深部白質病変が増加しており、虚血
性脳血管障害になリやすい従来の心血管系の危険因子(高血圧や高脂血症など)による影
響を受けませんでした。発作性頭痛のある人の 3 %が年間 180 日以上にわたり頭痛を訴え
る慢性頭痛や物忘れに進行することも明らかにされ、片頭痛自体が慢性頭痛に至る危険因
子と考えられ、新たな治療法で対処すべきと考えられます。片頭痛の脳病変が臨床的に有
- 127 -
意に相関するのであれば、危険因子の調整、予防的治療、急性期治療薬の選択など、疾患
の進行を予防するための新しい治療計画が必要となります。
片頭痛と脳卒中や心臓病との関係を調べた 2009 年までの文献 25 件を集計して総合評価
を行なったところ、閃輝暗点などの前兆を伴う片頭痛では脳梗塞のリスクが2倍高かった
が、前兆を伴わない片頭痛ではリスク上昇はありませんでした。論文は British Medical
Journal 2009 年 10 月 31 日号に掲載されました。
片頭痛全体と脳梗塞との関係を調べた論文は9件あり、片頭痛がない場合と比べてリス
クは 1.73 倍高かった。対象者の属性別に見ると、女性(2.08 倍)、45 歳未満(2.65 倍)、経
口避妊薬の使用者(7.02 倍)、喫煙者(9.03 倍)でリスクが高かった。ただし、属性別にリ
スクを調べた論文はどの項目も4件以下と少なかった。一方、片頭痛による脳出血のリス
ク上昇はなかった。
片頭痛を前兆の有無に分けて調べた論文は8件ありました。前兆がある場合には脳梗塞
のリスクは片頭痛がない場合と比べて 2.16 倍高かったが、前兆がない場合にはリスク上昇
はありませんでした(1.23 倍、誤差範囲)。
心筋梗塞(論文8件、1.12 倍)と循環器疾患死亡(5件、1.03 倍)のリスク上昇はあり
ませんでした。
2004 年までの論文をまとめた先行研究が 2005 年の同誌に報告されています。この研究
では、前兆のある片頭痛でも、前兆のない片頭痛でも、脳梗塞のリスクは共に約2倍高か
った。ところが、その後に出版された論文を加えた今回の検討では、前兆のない片頭痛で
は脳梗塞のリスクは高くなりませんでした。
研究に対する論評は、片頭痛がない場合と比べて、前兆のある片頭痛の脳梗塞の相対的
な発生率が2倍高いといっても、片頭痛がある人での脳梗塞の発生率の絶対値は低いので、
パニックになる必要はないと述べています。その上で、前兆のある片頭痛の患者に対して
は、脳梗塞を始めとする循環器疾患のリスク(高血圧、高脂血症、糖尿病等)を密接にフ
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ォローし積極的に治療する必要があると指摘しています。
⇒女性、45 歳未満、経口避妊薬の使用者、喫煙者でリスクが高いという属性別の検討を行
なっている論文は4件以下と少なく、その大半は脳梗塞患者と比較群で過去の喫煙歴等を
調べた後向きの研究(症例対照研究)なので、これらの要因の意義が確立したと考えるべ
きではなく、さらに多数の研究での検証が必要と思われます。
こういった成績を踏まえて、実地診療で注意すべき点は、以下のようです。
頭痛治療をしておりますと、女性の患者さんの中には低容量ピル(低容量女性ホルモン)
を内服されている患者さんがいらっしゃいます。
内服の理由は子宮のご病気を持たれているから、生理が不定期のため、生理痛が強いから、
月経前症候群が辛いから、美容のため?・・・・・・・・となどさまざまです。
ただ、産婦人科医を受診されたときに、『頭痛が楽になる』と言われたなど安易に処方され
ることもあります。
産婦人科医も頭痛についてはさほど重要視していないため?簡単にピルを処方されます。
私たちからすれば要注意でして、前兆のある片頭痛の場合には脳梗塞になる率が 7 倍以上
に上昇します。
さらに喫煙が加わると 30 倍以上になると言われ、頭痛専門医も積極的に産婦人科医に情報
提供をしなければなりません。
ここで注目すべき点は、間中信也先生は、第 31 回脳神経外科コングレス総会において、
これら片頭痛に伴う脳梗塞は「トリプタン製剤で治療を行えばなりにくい」と述べておら
れることです。
ここでも、トリプタン製剤の服用を勧められております。
片頭痛の病態・・・皮質拡延性抑制に関して
- 129 -
ストレスなどの”誘引(トリガー)”により血中のカテコールアミン 1)や遊離脂肪酸 2)
が増加します。その結果血小板が活性化されます.
活性化された血小板よりセロトニン 3)が放出され
ます。そのための血管収縮により大脳皮質の血流低
下がおこり、前兆症状が発現しますが、前兆症状を
引き起こさないこともあります。
このように血流低下領域が前兆期に後頭葉で始
まり、約 2-3mm/分の速さで徐々に前方に拡大し、
後頭葉・頭頂葉境界にまで到達します.この血流の
変化を拡延性血液過少症と呼びます.頭痛発作はすでに血流低下期に始まっており、拡延
性血液過少症は血管の支配領域とは無関係に起こることから、脳血管の変化でなく神経細
胞の活動性変化によるものと考えられています。このような血流低下を引き起こす神経細
胞の活動性変化を「皮質拡延性抑制」と呼んでいます。
皮質拡延性抑制が、軟膜動脈周囲の三叉神経線経や軸索 4)を刺激し、カルシトニン遺伝
子 5)関連ペプチド、サブスタンス P6)などの血管作動性の神経ペプチドが放出されます。
このために血管拡張が起こり、同時に血管透過性変化により血漿蛋白の漏出、血管周辺の
肥満細胞 7)が各種化学伝達物質を放出します。その結果、神経原性炎症が引き起こされ
ます。これにより三叉神経の軸索内で順行性と逆行性の伝導が誘発されます.逆行性の伝
導により、刺激を受けた部位より末梢に変化が伝わり、血管拡張や神経原性炎症はより広
い範囲で誘発されます。その一方、順行性伝導により末梢よりの痛覚は、三叉神経節から
脳幹内の三叉神経核を経由し、中枢にもたらされ、疼痛として知覚されます。
片頭痛発作に随伴する悪心・嘔吐などの自律神経症状は、脳幹内で三叉神経核より各種の
神経核へ刺激が伝達されることにより生じます。
(脚注)
1) カテコールアミンとは、チロシンというタンパク質を構成するアミノ酸から誘導され
た物質です。多くの神経伝達物質(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の基
本骨格になっています。
2) 遊離脂肪酸とは、エネルギーとして使うために血中に溶け出した脂肪のことです。
3) セロトニン (serotonin, 5-hydroxytryptamine, 5-HT) はヒトを含む動植物が体内に一般
- 130 -
的に持っている化学物質で神経伝達物質のひとつです。
4) 軸索とは、細胞体から延びている突起状の構造で、他の神経細胞などに情報を伝えま
す。
5) カルシトニン遺伝子関連ペプチドとは、中枢神経、心臓や血管など末梢の一次知覚神
経の終末および遠位端に存在しているアミノ酸 37 個からなるペプチド(アミノ酸がつなが
ってできた物質)です。血管拡張、心拍数減少および心筋収縮力増大を起こしたりします。
6) サブスタンス P とは、タキキニン(知覚神経 C 線維の末端に存在する伝達物質)の
一種で痛覚の伝達物質です。三叉神経節、内頚神経節に含まれ、血管に広く存在し、硬膜
の血管にも分布しています。
7) 肥満細胞の中にはヒスタミンをはじめとした各種化学伝達物質があります、アレルギ
ー反応等で、内容物であるヒスタミンなどの物質を放出します。肥満細胞から放出された
ヒスタミンやロイコトリエン C4 などは気管支平滑筋収縮作用、血管透過性亢進作用、粘
液分泌作用などを有し、アレルギーにおける即時型反応を引き起こします。
皮質拡延性抑制(cortical spreading depression)とは、
cortical spreading depression とは、1944 年 Leao によってウサギの大脳での実験で報告さ
れた現象で脳の局所で神経細胞やグリア細胞が脱分極して興奮し、その 10-30 分後に電気
的活動が抑制された状態で、これが、2-3 mm/分の速さで周囲に広がっていく現象です。
このような cortical spreading depression、日本語では「皮質拡延性抑制」と呼ばれます。
片頭痛では、左右どちらかの大脳半球皮質の後頭極(後頭葉の最後端)から 3 ~ 5 mm/分
の速度で脳血流が低下した領域が前方に広がり、spreading oligemia
といわれる現象があ
ります。
spreading oligemia は、皮質拡延性抑制のことなんでしょうか。
CSD(皮質拡延性抑制)と MMP-9
Spreading depression( SD) は 脳 波 上 の 現 象 で 、 神 経 細 胞 や グ リ ア 細 胞 の 脱 分 極 が 、
2-3mm/min のゆっくりした速度で周囲に進行し、それに引き続いて血管径や血流、エネル
ギー代謝活動の多彩な変化を伴いながら、自発的な神経活動が抑制された状態が持続する
- 131 -
ことです。
SD は大脳皮質・海馬・小脳・網膜などで検討されていますが、大脳皮質を用いた実験
系がよく用いられるため cortical SD(CSD)と称されることが多いのです。
MMP-9 は生体内の蛋白分解酵素で、血液脳関門の破壊・脱髄・サイトカイン産生・神経
炎症・アミロイド蛋白沈着・腫瘍の浸潤転移血管新生などに関与することが報告されてい
ます。
動物モデルで CSD は 24 時間をピークに少なくとも 48 時間は持続する MMP-9 の増加を
引き起こし血液脳関門の透過性を亢進させる報告がされ、MMP-9 は片頭痛の病態解明に注
目されています。
片頭痛発作時における脳血流変化は皮質拡延性抑制( cortical spreading depression )を中
心に論じられています.前兆のある片頭痛発作では後頭葉の脳血流低下は一応に認められ
ますが,前兆のない片頭痛発作に関しては意見が分かれます
片頭痛発作時における脳血流変化は元来,皮質拡延性抑制( cortical spreading depression
)を中心に論じられてきました.その実証として脳血流測定に SPECT,Trans-cranial doppler
( TCD ),functional MRI を用いて測定を行っています.いずれも非侵襲的な検査です.
片頭痛発作時の脳血流を測定しようとする試みの科学的根拠となる測定所見を明らかに
するために文献的検索を行いました.
いずれもヒトを用いた研究であり, SPECT や Trans-cranial doppler( TCD )や functional
MRI など非侵襲的な検査ですが, 症例数が不十分であること,不完全な 解像力,もっと
重要なことは撮影のタイミングに問題が残ることです.大規模な研究が必要です.
1) De Benedittis G, Ferrari Da Passano C, Granata G, Lorenzetti A.: CBF
changes
during headache-free periods and spontaneous/induced attacks in
migraine with and without aura: a TCD and SPECT comparison study.
Neurosurg Sci. 1999 Jun;43(2):141-6; discussion 146-7.
2) Mirza M, Tutus A, Erdogan F, Kula M, Tomar A, Silov G, Koseoglu E.:
Interictal SPECT with Tc-99m HMPAO studies in migraine patients. Acta Neurol
- 132 -
Belg. 1998 Jun;98(2):190-4.
3) Cao Y, Welch KM, Aurora S, Vikingstad EM.: Functional MRI-BOLD of visually
triggered headache in patients with migraine. Arch Neurol. 1999 May;56(5):
548-54.
4) Parsons AA.: Cortical spreading depression: its role in migraine pathogenesis
and possible therapeutic intervention strategies. Curr Pain Headache Rep.
2004 Oct;8(5):410-6.
5) Cutrer FM, Sorensen AG, Weisskoff RM, Ostergaard L, Sanchez del Rio M,
Lee EJ, Rosen BR, Moskowitz MA.: Perfusion-weighted imaging defects during
spontaneous migrainous aura. Ann Neurol. 1998 Jan;43(1):25-31.
6) Sanchez del Rio M, Bakker D, Wu O, Agosti R, Mitsikostas DD, Ostergaard L,
Wells WA, Rosen BR, Sorensen G, Moskowitz MA, Cutrer FM.: Perfusion weighted
imaging during migraine: spontaneous visual aura and headache. Cephalalgia.
1999 Oct;19(8):701-7.
片頭痛において“スプ レッディングデプレッション(spreading depression :拡延性抑制、
以下 SD)”という現象の後に、神経組織の炎症反応にかかわるミクログリアが活性化され
ていることを、理研の片岡氏らのグループが PET で確認したことが報告されました(
『The
Journal of Nuclear Medicine』2009 年 11 月号)。
SD が伝わるとき、脳の血管が収縮と拡張を繰り返します。このとき、血漿蛋白質など
が血管から漏れ出して神経組織が炎症時と同じような免疫応答を起こし、その反応が感覚
中枢に伝達されて痛みを覚えます。これが、現在考えられている片頭痛の病態です。つま
り何らかの引き金でSDが起こり、その結果、頭部の血管に慢性炎症が起こるということ
です。
片頭痛の前兆として、目の前にチカチカとまたたく光が見え、それが広がっていく“閃
輝暗点(せんきあんてん)” という症状が知られています。光が広がっていく速度を、脳
の視覚野において神経興奮が伝播する速度に換算すると、SD の伝播速度と一致します。
また、片側だけ 頭が痛むことも、SD が反対側の大脳半球には伝わらないことと合致しま
す。
- 133 -
神経組織での免疫応答を主に担っているのは、グリア細胞の一種のミクログリアです。
そこで、活性化したミクログリアにだけ結合する PK11195 という分子に炭素 11(11C)を
付けた分子プローブ(11C-PK11195)を作製し、実験されました。左半球の大脳皮質に SD
を起こして分子プローブの分布を画像化しました。
左側の大脳皮質の一部に分子プローブの集積が見られています。これは SD によってミ
クログリアの活性化、つまり脳の免疫応答が起きていることを示すものと考えられていま
す。
閃輝暗点の本態は
国際頭痛分類第2版の日本頭痛学会訳(2007)では、「閃輝暗点」と訳しています。閃輝
暗点は片頭痛の前兆として訴えられる特徴的な症状です。視野の中心あたりに小さな光っ
て見えにくい部分が現れ、徐々に波紋状に拡がります。半円状に辺線がジグザグ模様に輝
いて拡大します(陽性徴候)が、そのあとを追うように見えにくい部分(陰性徴候)が続
きます。通常、20~30分かけて片側の視野の辺縁まで拡大して視野の外に消えます。
その後に、視野の対側に拍動性の頭痛が始まるのが典型例です。
閃輝(輝く部分)暗点(見えにくい部分)が連続して拡大する現象は脳皮質に起こる
cortical spreading depression(皮質拡延性抑制)が原因と考えられています。大脳皮質の一
部の神経細胞に始まる興奮と抑制が、周囲に伝播する現象が実験動物のみでなく片頭痛患
者の前兆期にMRIなどで画像化されています。
片頭痛患者で前兆のあるものは約3割です。これらの患者は、前兆のない片頭痛発作も
体験します。片頭痛は前兆を起こす神経系と頭痛を起こす血管系との連結した病態による
と考えられています。前兆のない片頭痛を経験する人が多いのですが、前兆のみを経験す
る人もいます。若年期には前兆と頭痛のあった人が、加齢とともに頭痛が減少し、前兆の
みとなることも少なくありません。閃輝暗点のような前兆は片頭痛の部分症状であり、他
の疾患が原因となる可能性はありません。しかし高齢者で今まで片頭痛を経験したことの
ない人が、初めて前兆らしき症状を訴えた場合には脳疾患を鑑別するためにMRI、脳波、
脳血管SPECT検査を行う必要があり、神経内科に紹介する必要があります。
片頭痛の予防薬は、前兆と頭痛のいずれか、あるいは両者を予防することになります。
- 134 -
前兆を予防する薬剤のメカニズムは皮質拡延性抑制を減少させると考えられます。本邦で
は塩酸ロメリジン(商品名
テラナス ®、ミグシス ®)が片頭痛予防薬として保険適用が
承認されています。前兆のみの片頭痛、すなわち閃輝暗点のみの治療も塩酸ロメリジン(5
㎎)を1日2~4錠(朝夕に分服)が第一選択です。3カ月継続し、発作が減少すれば漸
減中止します。片頭痛の前兆である閃輝暗点は予後良好な疾患と考えられています。
片頭痛には、「前兆のある」タイプと「前兆のない」タイプがあり、いずれのタイプにお
いても、大脳の後頭葉皮質におこる神経の興奮現象(大脳皮質性拡延)がその原因とされ
ており、片頭痛発作のスタート現象として注目され、現在、片頭痛の予防薬の開発目標は、
この皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。
片頭痛の新薬を目指す動きに関しては、片頭痛の原因をめぐってはいくつもの仮説があ
りますが,最近の研究から 2 つの説が有力視されています。1 つは大脳皮質のニューロン
(神経細胞)の活動の異常に焦点を当てた「皮質犯人説」。ニューロンの過剰な興奮とこれ
に続く抑制状態が波のように皮質を伝わる。この現象を「皮質拡延性抑制」と呼びますが,
この波が皮質を横切るように移動するのにともなって,ニューロンを制御するイオンや神
経伝達物質に乱れが生じるという考え方です。片頭痛の前兆として表れる幻視は,波が皮
質の視覚領域を通過する際に起こると説明できます。
もう 1 つは脳幹のニューロンの活性異常や不調を原因とみる「脳幹犯人説」です。患者
の脳スキャンの結果,脳幹の中でも特に,青斑核,縫線核,中心灰白質の 3 つの場所のニ
ューロンが,片頭痛の発作時と発作後に活性化されることが分かりました。これらのニュ
ーロンの活動が皮質(場合によっては皮質下)での拡延性抑制が引き起こすと考えられま
す。
いずれの説でも,発作に「拡延性抑制」がかかわっていること,その結果として三叉神
経系が刺激されて痛みを感じることは共通しているため,この 2 つをターゲットにした治
療薬や予防薬の開発に焦点が当てられています。特に注目されるのは,三叉神経が放出す
る痛みの伝達物質「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」や神経伝達物質を標的にした新薬
です。現在,片頭痛の薬として広く使われているのは高血圧やうつ病,てんかんの治療薬
ですが,片頭痛を引き起こすメカニズムがわかってきたことで,より効果が高く,副作用
の少ない薬が誕生するはずです。
- 135 -
片頭痛治療の考え方
片頭痛は本当に治らないのか???
片頭痛が遺伝性疾患であるという考えは古くからありました。症状が多様であること、
確実な診断マーカーが無いため、あくまで症候学的な臨床診断に頼らざるを得ないこと、
また、完全な動物モデルが無いことなどにより、片頭痛は科学的な解明が困難な疾患のひ
とつとされてきました。
しかしながら、近年の神経科学、分子生物学の進展により詳細な片頭痛の病態解析が可
能となってきており、遺伝子レベルでの解析も進んでいます。
片頭痛における遺伝的関与の形式は,家族性片麻痺性片頭痛など特殊な片頭痛では単一
遺伝子の異常によるものが明らかにされていますが,大部分の片頭痛では多因子遺伝であ
ろうと推測されています.即ち,遺伝的に規定された片頭痛発症閾値がそれぞれの患者に
あり,環境要因が加わって発症すると理解されます。
ところで、多因子遺伝病の概念とは、以下のように説明されています。
多因子遺伝病の概念
1) 正常では,保護的遺伝子と有害遺伝子のバランスが保たれており疾病が発症しない.
2) 優性遺伝疾患では単一の有害遺伝子により疾患が発症する。
3)多因子遺伝疾患では 3 種類以上の遺伝子において異常があれば発症するが,ひとつの
遺伝子異常では発症しない.二つの遺伝子異常があるときには軽症であるか,あるいは無
症状である.環境要因がこの表現型を修飾するものと考えられます。
片頭痛発症における疾患感受性遺伝子の存在はほぼ確実であり,多くの関連解析による
報告がなされています.候補遺伝子アプローチの報告が多く,セロトニン,ドパミン,ア
ポトーシス,サイトカインなどに関連した遺伝子上に存在する多型で解析されています。
一方で, 家系解析や双生児研究などの結果、一般の片頭痛は多遺伝子的疾患,すなわ
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ち高血圧や糖尿病などの疾患と同様に,複数の遺伝因子と複数の環境因子が関与している
病態であることが示されました。
頭痛発作のトリガーになる要因としては、遺伝的因子(素因)と環境因子(誘因)がありま
す。頭痛は複数の環境因子と遺伝因子が重なって発症するようです。遺伝子は、環境的トリガ
ー、すなわち外的因子(天候の変化、運動、飲酒、光・音・臭い刺激など)や内的因子(ホルモン・
睡眠習慣・心理的な変化など)に対する感受性に関与しています。分離解析の結果から、頭痛
は複数の遺伝子の構成が関与して発症することが示唆されています。
以上のような点を踏まえて、以下のように推論されるのではないでしょうか。
生まれつきセロトニン神経の働きの悪さに加え、睡眠・食事の乱れやストレスなどの「セ
ロトニン不足」を助長させる生活習慣を基盤として、小児期からストレートネックや「体
の歪み」が形成される過程において、片頭痛の基礎が作られてきます。首の後ろの大きな
筋肉には「僧帽筋」「頭板状筋」「頭半棘筋」という3つがあり、「頭半棘筋」は、その一番
内側、深部にある筋肉です。ストレートネックがありますと、「頭半棘筋」が硬くなる、つ
まり凝り固まります。この筋肉を大後頭神経が貫いていて、その部分が、首の凝りによっ
て圧迫されることで、大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。このため、
ストレートネックが存在する限り、この刺激が、絶えず三叉神経核に送られ続け、中枢の
感受性が変化し、”中枢感作症候群”となって、「脳の興奮性」が形成されていく結果にな
ると考えられます。
このようにして、「脳の興奮性」が築かれていくものと推測されます。
以後、遺伝的因子(素因)をもとに、ストレートネックを持続させる生活習慣のために、
そのまま片頭痛に進展していくものと思われます。片頭痛の発作が出現した時点では、月
に1回程度の軽い発作で、市販の鎮痛薬で十分に対応できていたのが、次第に鎮痛薬が効
かなくなり、なおかつ発作の頻度が増えて来ます。この点は 30 歳以降の方々が、全てを物
語っております。このような状況に至っても、本来の「脳の興奮性」の原因である「スト
レートネック」が改善されませんと、諸々の自律神経失調症状を伴う状況に至ってしまう
- 137 -
と推測されます。
このような発症の仕方をするものが多くの場合予測されるために、初回の片頭痛発作が
出現した時点で、「片頭痛の疑い」ありとして、その後の5回目までの発作が繰り返される
段階(片頭痛と診断確する段階)までに、「セロトニン生活」を徹底させ、ストレートネッ
クを是正させてしまって、片頭痛の芽を摘み取る配慮が必要とされます。30 歳を超えてし
まうとストレートネックの是正そのものが困難となって来るからです。
ところが、これまで、片頭痛とてんかんに関する考え方として.片頭痛に悩まされた天才
的人物は少なくなく,天才にてんかんは稀でないことは何度も指摘してきました.しかし,
天才にこれらの病気が多いということだけで,どのような因果関係があるかについては論
じられていませんでした。古川哲雄先生は、まず片頭痛,てんかんについて両者は密接な
関係にあって,片頭痛は本質的にてんかんの一種であることが強調されています.そして,
天才のインスピレーション,宗教創始者にみられる天啓,さらには天才的人物の性格,行
動などはこれらの病気の一部分症状であり,共通して基礎にあるのは脳の興奮性の亢進で
あることを説明しています。
このように、従来「てんかんも片頭痛」も「神聖病」と言われてきましたように、
「科学」
では解明できない(聖域として)「脳の興奮性の亢進」が強調されて参りました。
この点から、片頭痛の患者さんは、天才と同一であり、片頭痛でない凡人とは”一線を
画すべき”存在として、崇められて来ました。
それは、片頭痛という病気自体は、先天的な、生まれつきの病気であると断定する考え
であると思われます。
確かに、このような片頭痛患者さんの存在は、全てを否定する積もりは毛頭ありません。
しかし、このような患者さんの頻度は 10 %前後と推定しております。
私には、「遺伝的に決められた方々」はいくら「環境因子」を是正しようとも改善できな
い方々」と解釈しています。
このような頻度として 10 %前後の患者さんの存在があるからといって、「全ての片頭痛
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患者さんが治らない」という発想には繋がらないと考えます。
この先天的な原因が存在する「治療困難な症例」と、治癒可能な患者さんとの鑑別をど
のように行うべきかを判断するのが医師の責務と考えております。
「研究者」の考えと「ど素人」の発想の相違
私が医師になった年は昭和 43 年で、学生時代から神経学に興味を持ち、特に脳卒中医療
に関心があり、将来脳卒中専門医を夢見ておりました。研修医時代から脳血管撮影の重要
性を認識し、当時は広島市民病院脳神経外科へ、内科医でありながら、呉から広島市まで
「脳血管撮影の手技を取得するため週1回指導を受けに通っておりました。
その後、昭和 50 年に南江堂から神経学の教科書というべき書籍が出版され、当時の神経
学の重鎮とされる沖中重雄・安芸基雄・黑岩義五郎・豊倉康夫・中村晴臣先生らが執筆さ
れておられました。この教科書には「脳梗塞急性期には脳血管撮影は行ってはならない」
と記載されていました。
この時代には、脳梗塞に対する治療法として,内科的にはウロキナーゼを中心とした線
溶系薬剤による線溶療法,外科的にはバイパス形成術(発症1カ月以降に)などの閉塞部
位での血流を再開させることを目的とした,いわば「血行再開療法」が試みられ.その適
応や有効性に関して一定の結論が得られていませんでした。
当時の私は研修医の時代でしたが、素人の単純な発想から「閉塞した血管が再開通した
場合その後の経過がどのようになるのか考えて、再開通現象を伴う脳梗塞例についての臨
床例に強い関心を抱き、すなわち,血流再開を伴う脳梗塞例の臨床像を知ることが閉塞性
脳血管障害に対する各種の血行再開療法を論ずる際の1つの疾患モデルと考えておりまし
た。
単純な表現をすれば、血管が閉塞することによって血流が途絶えて生じた病態が、血流
を再開することによって、臨床症状が改善されるかどうか、ということです。
この点は、当時阪和病院脳卒中診療部の入野忠芳先生の「脳梗塞の再開通現象」という
論文に感銘を受たことで、これを自分自身で確認する考えでおりました。
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そして、昭和50年には秋田県立脳血管研究センターの沓沢敬之先生のお世話になり、神
経放射線科の上村和夫先生の指導を仰ぎました。当時は、日本で初めてX線CTが当セン
ターで稼働したばかりで、頭蓋内病変を直接目にした感動はいまだに忘れることができま
せん。余談ですが、それまでは、頭蓋内のルチーン検査としては脳波検査しかなく、脳波
所見の解析には熟練を要し、CT所見を見て隔世の感を受けたことが鮮明に思い起こされ
ます。
このため、日夜、脳血管撮影の手技の研鑽に努め、毎日CAG針(金属針)を砥石で研
ぐことを日常業務とし、必ず「一発穿刺」を心がけておりました。(まさに職人気質そのも
のでした)
このようにして、昭和48年から積極的に脳血管撮影を脳梗塞急性期(発症当日から)か
ら行い、1週間後には「再開通の有無」を確認するために追跡脳血管撮影を行っておりま
した。
当時、再開通例は、その開通の時期にもよりますが非開通例に比べ予後が悪く、これに
対して発症後早期に再開通をする症例は極めて予後がよく、謂わば「一過性脳虚血発作」
の病態を呈しておりました。その後CT導入後は、CT上低吸収域の出現時期が発症4時
間以降であることが確認され、昭和60年当時、血行再開療法の適応は発症3時間以内と結
論しました。しかし、血栓溶解剤の優れたものがなかったため苦労した経験があります。
その後、2005年には、rPAアルテプラーゼが開発され、脳梗塞急性期の治療方針が確立
されました。発症3時間以内に治療しないと改善されないということです。
以上のように、素人の単純な「閉塞血管が開通した場合、どのような経過を辿るか」と
いった極めて”ド素人”的な発想から生まれたもので、丹念に臨床例を集積して行った結果
でした。
片頭痛治療に関しての、私の”ド素人”の発想です。それは、現在、民間療法として余
り重要視されていない「カイロプラクター・整体師・鍼灸師」の施術により片頭痛の一部
の方々が軽減されている方がいらっしゃる事実、さらにボツリヌス毒素による治療法がな
ぜ有効な方々がおられるのか、また歯科的なテンプレート療法が有効な方々、さらにネッ
ト上で販売されている「片頭痛改善マニュアル」の考え方を検討し、さらに片頭痛克服体
験談を詳細に検討した結果、これらに共通する点として「体の歪み」にあることを推測致
しました。この体の歪みを、臨床的に、簡単に調べる方法として「頸椎レントゲン検査に
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おけるストレートネック」でした。このように考えて、私の医院での成績を過去 20 年間に
遡って検討すると同時に、私のような”ド素人”が気がついた発想であるため、頭痛研究
者の方々に「頭痛とストレートネック」に関する考え方についてお伺い申し上げました。
これらの結果は昨年4月 11 日にブログ上公開させて頂きました。(現在、削除されてい
ますが・・)
そして、ストレートネックを改善させることによって、片頭痛の発作頻度及び頭痛の程
度の改善が得られるかどうかの”治験”を行っている最中です。
この方式は、現在の片頭痛治療方針と基本的には全く同じですが、根本的に異なる点は、
治療開始時に”適応”を厳密に判断した上で、”適応”と思われたら、セロトニンとストレ
ートネックの2つの点から徹底的に治療を進めていくという考え方です。
(このように記載しますと、すべての片頭痛が治るのかと、必ず反論されます。あくまで
も、効くかどうかをあらかじめ厳密に評価する必要があります。)
これまで「頭痛とストレートネック」に関しては、かなり前に鳥取大学の高橋教授が緊
張型頭痛で考察されておられ、私が頭痛医療を始めた頃、作田学・寺本純先生が「緊張型
頭痛と頸椎」に関して述べておられ、私は当初から緊張型頭痛とストレートネックが関係
ありと信じきって、レーザー治療器(東京医研のスーパーライザー)を導入し、その効果
を確認して来ました。ところが最近では寺本純先生自身、頭痛と頸椎には余り関心を持た
れず「ジストニア」という観点から見直されているようです。
また、片頭痛の方で、緊張型頭痛と区別のつきにくい方もおられ、これらの方々は共通
してストレートネックを呈しておられます。
そして、東京脳神経センターの松井孝嘉先生が 30 年来頭痛と首に関して研究され、「頚性
神経筋症候群」という病態を提唱され、松井先生自身、片頭痛の一部の方々を先生の方式
で完治されたと直接、お聞きし、勇気づけられております。
(しかし、ネット上で、松井孝嘉先生を悪く言われる集団が存在することを最近知りま
した。これらの方々の言い分を見るにつけ、「頚性神経筋症候群」それも長期間持続したス
トレートネックがそんなに簡単には改善できるはずはないと思っております。)
いずれにしても、私の発想は当初”ド素人”の考えでしたが後でわかったことですが、
松井先生自身がとっくの昔にされておられた訳です。しかし、どなたも、それ以降追試を
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されておられないようです。
あとは”治験”の症例を集積するしかないようです。
頭痛研究には、これまでのお偉い重鎮の先生方がいらっしゃいます。
このような方々は、私の考えなど到底容認されるはずはないと思っております。
これまで私の脳卒中医療と同様に、結論が出るまでには最低 10 年は必要とされるでし
ょう?
しかし、私の残された寿命はどのくらいか定かではありません。
これが残念といえば残念です。
このような意味において、「一匹狼」の侘びしさを感じる今日この頃です。
片頭痛は”疾病利得”???
このようなタイトルを載せると、片頭痛の方々から”半殺し”の目に会うことは必定で
す。片頭痛の方々は、周囲の誰にも頭痛の苦しみを理解して貰えず、自分独りで悩み、何
とかしたいと思っておられる方が殆どであろうかと思います。
私も、勤務医時代は片頭痛で苦しめられ、昼夜を問わず、何が原因で起きるかが分から
なかった頃は、発作中に病棟の受持患者さんの急変とかシャント掃除で呼び出された際の
苦痛の凄まじさや外来診察日に発作があった場合は最悪で、患者さんの訴えを聞けるよう
な状態でなくても、痛みを我慢して、診察をせざるを得ませんでした。この間、何度、医
師を止めようかと思ったことでしょうか。当時は、トリプタン製剤はなく、セデスGが唯
一の鎮痛薬で、なんとか1日3回前後服用しながら耐えておりました。
その後、睡眠不足が関係し、生活のリズムが乱れると、起きてくることに、薄々気がつ
いても、当直や受持患者さんの状態如何では、どうにもならないことも多々ありました。
ですから、片頭痛の方々の苦しみは理解しているつもりです。
最近メールで相談された方で、長年片頭痛で苦しまれ、片頭痛に関する知識は極めて豊
富で、自分の発作の引き金が何かをよくご存じで、セロトニン不足を招く生活様式がよく
ないと、よく理解されておられました。ただ、自分のライフスタイルが、良くないと思っ
ていても、改善が無理のように見受けられました。(本人の生き方として・・)
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よく言われることですが、頭痛改善のためには、頭痛を無くしてしまった場合の利点と、
これまで通り頭痛が持続した場合の利点、を比較するべきとされています。
どちらが、得なのかを理解しないと、改善できないと言われております。
頭痛は、生活のリズムの限界を超えた場合(無理な生活をして)の「危険信号」として
起きるとされています。無理をしてでも、仕事をこなして、その限界を超えた際に頭痛が
出現し、例えば3日間頭痛に苦しめられるとします。しかし、発作が起きても、トリプタ
ン製剤が良く効く方であれば、2時間前後で頭痛は無くなってしまえば、この2時間だけ
の「時間的ロス」 さえ眼をつむれば、こちらの方が「仕事の効率」が上がると考える限り、
面倒くさい「生活リズム(ライフスタイル)」の改善などは決してされません。
また「片頭痛の方は、頭脳明晰で頭の良い人」というエリート集団なのです。このエリ
ート集団が、頭痛を無くしてしまって「単なる凡人」になってしまうことが耐えられない
のでしょうか?
頭痛が、生活リズムの限界を超えた場合の、ある意味で「危険信号」として出現して来
るという考えは、私の生活を振り返り、十分納得できると考えております。
私は、勤務医時代は、重症患者さんによっては日常の生活のリズムを維持することは到
底不可能で、週1回の当直があり、その上、毎日・毎日血管撮影に明け暮れ、1日5,6
件の件数を私独りで行っておりました。(1日5人として、連続撮影で行うため、単純に計
算して、毎週 900 回の照射を受け、これが 10 年間です。)このため昭和 60 年過ぎてから
は、週末には得も言われない「全身倦怠感」に襲われ、何もする気がなくなる程でした。
初めて、現在問題とされている「放射能障害」に気がつき、ここを「危険信号」 と判断し、
脳卒中専門病院への転職を考え、その後「富永記念病院」での「脳梗塞急性期の血行再開
療法」に夢を託しました(ここであれば、勤務医が交代で検査をするであろうから、件数
は当然減ると考えた次第です)。ところがこの考えは甘く、逆に、当時の富永記念病院では、
近くにナンバがあるせいか、救急車で日に5,6回は搬入されるものの、大半は「急性ア
ルコール中毒」か「過呼吸症候群」の患者さんばかりで、1年8カ月いた間に診た「急性
期脳梗塞」の患者はたったの1名でした。この時に思ったことは負け惜しみではないので
すが、今後、このまま脳卒中診療を続行する限りは、「放射能障害」で命を落としますよと
いう「神の思し召し」と考え、泣く泣く急性期脳卒中医療は断念致しました。
この後、田辺で診療を始めて、当直がなくなってからは、殆ど「片頭痛発作」に襲われ
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ることはなく、極く限られた状況でしか 起こらなくなりました。
私の場合は、自分から「生活習慣」を積極的に改めた訳ではありませんが、片頭痛が起
きなくなった背景には、このような「生活習慣」の”変化”が存在しています。
私の場合は、生活習慣改善のための取捨選択は、無かったわけですが・・・
そして、それと引き換えに、「凡人」になってしまいました。
以上のように、片頭痛は”疾病利得”なのかとの疑問を持った次第であります。
頭痛を治した方が得なのか、このままの状態がベストなのか・・
ただ、医師の独善的な考えで、片頭痛を無くしてしまうことが、片頭痛患者さんにとっ
ては、必ずしも得策ではないように思える場面が存在することもあり、タイトルのような
表現になってしまいました。お怒りの方もおられますでしょうが、私の”偏見”として看
過して下さい。
ただ、勤務の大半が夜勤ばかりの方々もおられ、一概にはこのようなことは言ってはな
らないと考えており、治そうと思っても無理な方々もおられることは事実です。
特定健診保健指導と片頭痛治療
平成 20 年 4 月から、特定健康診査・特定保健指導が開始されました。
この健診で「メタボリック・シンドローム」と評価された場合、保健指導を行うにあた
って、本人の「生活習慣病に関する」意識の程度によって、以下の5段階に分類されてい
ます。
無関心期・・・病識なし
行動変化を考えない
関心期・・・・必要を感じる
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準備期・・・・本人なりの行動変化
実行期・・・・適切な行動をはじめる
維持期・・・・適切な行動が6カ月以上継続
行動変容のステージモデルとして、それぞれの段階で行うべきことが、これまで示され、
これに従って、現在、保健指導が行われています。
無関心期
気づきを促す
関心がない理由・抵抗する要因を整理する
関心期
行動変容による利益や価値を明確にしていく
準備期
行動目標・計画の設定支援
行動変容の評価
実行期
行動の継続支援
モニタリングとサポート
自立に向けた計画づくり
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継続期
セルフモニタリング
セルフケア
状況の変化など逸脱要因への対応
結果の評価
このような考えで厚生労働省が「特定健診」の制度を作ったにも関わらず、健診は受け
るが、「保健指導」まで受ける方は少なく、「生活習慣病」になってしまっている方が後を
絶たないのが実情です。
私は、これに準じて、片頭痛治療に応用して、行くべきと考えます。
殆どの片頭痛の方々は、「片頭痛は生まれつきの遺伝性疾患」であって、「適正にコント
ルールさえすれば、発作が起こらなくなる」といった考え方に批判的かつ懐疑的かつ否定
的で、「一般的な片頭痛に関する知識は、極めて豊富である」にも関わらず、その場、その
場の発作を鎮めてくれる「トリプタン製剤」があるのだから、何も治す必要はないし、「治
る」わけがないと思っておられます。この段階が「無関心期」です。
次は、周囲の片頭痛の方が、発作が起きなくなった方をご覧になられて、
「起こらなくなる人もある」ということに気がついた段階が「関心期」に相当します。
そこで、どうすれば良いのかと考え始めた段階が、「準備期」に相当します。
そして、これを実行する段階が、「行動期」です。
さらに、
「発作が起こらなくなった生活習慣」の維持と継続する段階が、
「継続期」です。
- 146 -
頭痛を改善するには理由を明確にして、行動を続ける習慣を身につける必要があります。
人は動機がなければ行動を起こしません。
オーストリアの精神科医、心理学者であったビーターフランケルの名言に、もしあなた
が十分に大きななぜをもっていれば、どのようにというプロセスはどんなに難しいもので
あっても耐える事ができる、ビーターフランケルは著書、「夜と霧」の中で、極限状態にお
ける精神状態がもたらす影響について精神科医の観点から書いています。
もしあなたが頭痛を早く克服したいのであれば多く明確に克服したい理由を書き出し、
またそれが達成できたら得られるもの、達成できなければ失うものを明確に書き出してみ
ましょう。いったん、ここでストップして、なりたい自分になるため是非理由を紙に書き
出してみましょう。
そして、「片頭痛を治す」ことに興味を示されたなら、ネットで「片頭痛を治す」をキイ
ワードにして検索され、片っ端しに、確認されることをお勧め致します。
生まれつき、先祖から受け継いだ「頭痛体質」を根本的に「治す」ことは不可能です。
これは、どうにもなりません。
しかし、「片頭痛を封じ込める」方法は、どこかにあるはずです。これを模索して行こう
ということです。
片頭痛の中には単一遺伝子による遺伝形式のものやてんかん源性のような特殊な型のも
のは、上記のような考え方では、治療は殆ど困難な面が存在しています。
しかし、大半の片頭痛は多因子遺伝形式をとり、これに環境因子が加わって発症すると
考えられております。一種の生活習慣病のような発症をしてくるからです。
このような観点から、「片頭痛を封じ込める」方法を模索すべきと考えます。
片頭痛は、その初期のうちに”芽”を摘む
片頭痛は、頭痛発作が5回以上繰り返されて初めて診断されます。
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以前「片頭痛
いろいろなレベル」で申し上げた通りに、まず”第一段階”で”芽を摘
んでしまうことです。最初の発作時に、人によっては救急車で医療機関を受診されます。
頭部CT検査で異常がない場合は、ほぼ間違いなく、「片頭痛の疑い」があります。また、
片頭痛でお悩みの方の子供さんが、激しい頭痛を起こされれば、まず「片頭痛の疑い」が
あります。この段階で、医療機関を受診させ、頭部画像検査と頸椎レントゲン検査を必ず
受けることです。
この最初の発作時の対応が、極めて重要です。この時点で、詳細な問診を行うことで、
家族歴・発作の引き金(トリガー)が明確になります。このような対応をされない医療機
関はまずダメです。別の医療機関を受診すべきです。
頸椎レントゲン検査で、
「ストレートネック」があれば、その原因を自分で探ることです。
姿勢に問題がないか、体の歪みを来す習慣はないか、歯のかみ合わせはどうか、足に外
反母趾・扁平足はないか検討する必要があります。
さらに、頭痛が起こる前の数年間を振り返って、「生活習慣」に何か変化が無かったかど
うか、自分で思い出してみることが極めて重要です。
「セロトニン生活」と照らし合わせて、
これから逸脱した生活を送っていないかどうか検証する必要があります。
このようにされて、以後頭痛発作の度に、頭痛が落ち着いてから、最初に診てもらった
医療機関を再度受診して、発作が起きた状況を説明して下さい。このようにされ、片頭痛
の最終診断が下される5回目の発作まで、これを繰り返して下さい。
このような手順を踏まれれば、5回目の発作時点の「片頭痛の診断が確定」した段階で、
自ずと治療方針が明確になり、どのようにすべきかを教えてもらえるはずです。
ここで注意すべきことがあります。受診の度にCTなどの画像検査を行い、発作時の状
況を詳しく確認されない医療機関は、以後通院しても「治してはくれません」別の医療機
関に変えて下さい。普通、画像検査をしなくても、神経学的検査法(診察)で、頭に何か
あるかどうかは診断できます。このような診察もなしに画像検査をしたがる医師は”プロ
”ではありません。お金がいくらあっても、ドブに捨てるようなものです。無駄です。
この段階で、どのように対処すべきかの対策を立てることが極めて重要です。
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脳過敏症候群関連
「脳過敏症候群」をめぐる諸問題
2012 年 東京女子医科大学の清水俊彦先生は、
「脳過敏症候群」いついて、日本臨床 第 70
巻・第1号での中で、以下のように述べております。
近年、片頭痛の体質を有する患者は、小児期より脳の過敏性が高いことが論じられてい
る。特に片頭痛発作時は、視覚野である後頭葉内側に始まった興奮波が大脳の前頭葉に向
かい波及していくが、後頭葉での興奮症状は閃輝暗転と呼ばれる視覚前兆として出現する。
毎回出現するこのような興奮症状を的確に抑制し、片頭痛発作を鎮静化するのがトリプ
タン製剤の概略的な作用である・・
脳過敏症候群における基本病態として・・・
片頭痛の痛みは、三叉神経核を介する興奮性の情報が視床を介して、最終的に前頭前野
の大脳皮質で痛みとして感じとられるとされている。この興奮性の情報を抑制して、片頭
痛発作を頓挫させるトリプタン製剤による適切な対処を欠いたり、また片頭痛の痛みを我
慢したり、見過ごしていたりしたことに起因し、水面下で脳の過敏性が増大した結果とし
て、視床が感作され、易興奮性が増大することが、重症片頭痛の際に随伴する頭部顔面の
アロデイニア症状である。この易興奮性も経年性に減弱し、大脳皮質まで到達しなくなる
と痛みとしては認識されなくなる。また脳の大血管周囲に存在する三叉神経の末梢が片頭
痛の際に周囲に出現する神経炎症タンパクに反応して、脳血管壁の拡張浮腫をきたし、そ
れが三叉神経末梢を刺激することにより、片頭痛の情報が三叉神経核に伝えられる三叉神
経血管説が片頭痛の基本病態とされているが、この血管拡張も経年性の動脈硬化とともに
徐々に減少していくものと推察される。一側の視床は対側の小脳半球と視床小脳路で情報
交換をしており、この感作を受けた易興奮性の情報は大脳皮質まで到達せずに、この視床
小脳路を介して小脳半球に伝播され、これが脳過敏症候群の主要症状であるめまいとして
表現されているものと推定される。また頑固な頭鳴症状は側頭葉に位置する聴覚路の感作
を受けた状態か、もしくは大脳辺縁系の抑制系の減弱したにより生じている可能性をを想
定している。また、圧倒的に更年期以降の女性患者が多いことから、女性ホルモンの変動
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や衰退も、病態の一因をなしているものと推測される。
そして、これらの病態に対して、抗てんかん薬や抗うつ薬を使用すべきと述べておりま
す。
この「脳過敏症候群」という考え方には、諸々の意見が存在しました。
まず、下畑享良先生(新潟大学脳研究所神経内科)は以下のように述べています。。
「脳過敏症候群」のインパクト
11 月 25 - 26 日の 2 日間,第 39 回日本頭痛学会@さいたま市に参加した.私も頭痛専門
医の資格をいただいており,それに恥じないよう頭痛の勉強しているつもりでいたのだが,
今回の学会では今後,さらに勉強する必要性を感じた.というのは「脳過敏症候群(Cephalic
hypersensitivity syndrome;CHS)」という疾患概念の登場で,頭痛診療は大きく変わる可能
性があるためだ.CHS は NHK「ためしてガッテン」で取り上げられ,気にはなっていた
のだがよく理解できず,今回,東京女子医大脳外科清水俊彦先生のご講演を拝聴し,おお
よそのことは理解できた.必ずしも疾患概念が完成したわけではないようだが,極めて多
数の片頭痛患者さんの診療経験から気が付かれた疾患概念であり,おそらくこのような病
態は存在するのだろう.頭痛診療に取り組むドクターは理解しておいたほうが良さそうで
あり,以下,エッセンスをまとめてみる.
診断基準(案)を示す.
下記の項目のうち少なくとも 1 項目を満たす
・過去に片頭痛などの慢性頭痛の既往がある
・2 親等以内に片頭痛などの慢性頭痛を持つ者がいる
上記を満たす者のうち下記の A-C の項目を満たす
(なお脳過敏症候群の治療中に過去の頭痛が現れることがある)
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A. 日常生活および社会生活に支障を来す程度の下記の症状を 3 項目以上満たす
一側または両側性の頭鳴
不眠
不安の増強
高次脳機能の一時的障害
頭重感
B. 脳波所見に全般性過敏性を示唆する異常が見られる
C. その他の疾患によらない
まず「脳過敏」についてであるが,片頭痛などの慢性頭痛に対し適切な治療を欠くとその
ような状態に変わっていくのだそうである.CHS 患者のピークは 50 ~ 60 歳だが,これは
若いころから片頭痛があったものの,トリプタンはまだなく,きちんと治療されなかった
という世代に一致する.月 10 回以上のトリプタン内服をする例,前兆を伴う片頭痛例も「脳
過敏」状態にあると考えられるそうだ(前兆を伴う片頭痛の方が,伴わない片頭痛より脳
が過敏な状態にあると考える).音,光過敏や臭い過敏を合併すると脳の過敏性は高い(と
くに,臭い過敏は重要で,より広範な脳の過敏性を示している).
「脳過敏」の症状は,診断基準にあるように,一側または両側性の頭鳴(頭の中ががん
がんする),不眠,不安の増強,高次脳機能の一時的障害,頭重感が挙げられる.そのほか,
気性が激しくなり,顔貌も厳しくなる(とくに光過敏が強い例).長く治療せず放置された
例ではめまいが生じる.めまいの機序は不明だが,視床小脳路への興奮伝達の関与が推測
されている.
脳波は,脳の過敏性の有無を確認するのに有用だそうだ.「脳過敏」を示唆する所見は,
通常,われわれが確認する spike や slow wave ではなく,waning や waxing の消失(*注)
や光刺激における driving の有無(6-8 Hz で出現しやすい.後頭葉に出やすい)を確認する.
*注;健常者の脳波は,後頭部・波の振幅や位相に左右差は少なく,1 ~数秒の周期で振
幅が増加したり減少したりを繰り返している(waxing and waning).この漸増漸減がない場
合などは何らかの脳の異常が示唆される.
- 151 -
「脳過敏」の治療は,バルプロ酸,トピラマート,クロナゼパム,アミトリプチンが経験
的に有効.長期経過した前兆のある片頭痛の治療もトリプタンを使用しても効かないこと
が多く,まず「脳過敏」を治す必要がある.上記薬剤で脳過敏の改善を目指し,前兆を伴
わない片頭痛に戻す(半年間前兆が出なくなったら脳興奮性消失と考えて良い).この段階
にできたら初めてトリプタンによる治療を行う.
片頭痛患者の子供も,「脳過敏」であることが多いそうだ.症状としては,夜泣き,癇の
虫,夜驚症,低血圧,乗り物酔い,落ち着きのなさ,寝言,歯ぎしり,悪い寝相がみられ,
脳波の過敏性も確認できる.これらの子供では片頭痛の出現を早期に発見し,早期治療す
ることが大切だそうだ.具体的には,脳過敏性の改善を行ったのち(バルプロ酸,お腹の
症状が強いときシプロヘプタジン;ペリアクチン),トリプタンを使用する(例;マクサル
ト 0.5T +ナウゼリン;8 歳以上であればトリプタンも使用可能とのこと).
「脳過敏症候群」患者はかなり多数存在する可能性があり,インパクトが大きい.今後,
この疾患概念がどのように発展していくのか,エビデンスがどのように確立されていくか
注目する必要があるだろう.
2011 年 09 月 28 日NHKのためしてカッテンで放送された内容から抜粋させて頂きま
す。
不眠・めまい・耳鳴り
不快症状を解消せよ!
原因不明の不快症状
不眠に悩むAさん、めまいに悩むBさん、耳鳴りに悩むCさんは内科、耳鼻咽喉科、精神
科、婦人科などさまざまな診療科を受診してきましたが、原因不明で症状が改善されるこ
とはありませんでした。
しかし、ある同じ薬で治療したところ、なんと3人とも症状が大幅に改善。
- 152 -
笑顔が戻りました。
一方で、症状がよくなるのと引き換えに頭痛に襲われるようにもなりました。
一体どういうことなのでしょうか?
実は、この頭痛こそが3人の原因を探るための大きなヒントだったのです。
過去の片頭痛が原因だった!
実は、3人とも過去に、20~30年に及ぶ長い間、頭痛に悩まされていました。
しかもそれは単なる頭痛ではなく「片頭痛」でした。
片頭痛は神経伝達物質のセロトニンが不足すると起きやすくなります。
セロトニンが不足すると脳の血管が広がることで、辺りに痛み物質が発生、神経を刺激し
激痛が起こると考えられています。
しかし、実は3人にとって片頭痛はすでによくなっていたため、不快症状の原因だとは考
えておらず、気がつかなかったのです。
では、片頭痛の経験があると一体どうして問題なのでしょうか?
元凶は「脳の過敏状態」!
患者Dさんは、光に対して非常に敏感で外出時はサングラスが手放せません。
また皮膚に問題がないにもかかわらず顔や頭の皮膚がピリピリするナゾの症状にも襲われ
ます。
実はこれらは典型的な片頭痛の症状。
患者Dさんは重度の片頭痛患者だったのです。
片頭痛患者に特殊な光を当て脳波を調べてみると、健康な人では大きい波と小さい波が交
互にあるはずなのに、大きな波ばかり。
これは、脳が異常に興奮している「脳の過敏状態」。
この「脳の過敏状態」こそ、原因不明の不快症状の元凶だったのです。
「脳の過敏状態」を抑えるには?
- 153 -
不眠、めまい、耳鳴りに悩む3人の治療に使われたのは、
「抗てんかん薬」と「抗うつ薬」。
脳の興奮を抑えることで「脳の過敏状態」を改善したのです。
また、そもそも脳の過敏状態にならないためには片頭痛をしっかり治療しておくこと。
片頭痛の治療薬「トリプタン」は、痛み物質の発生を抑え、「脳の過敏状態」を防ぐことが
できます。
一方、市販の消炎鎮痛薬は痛みを感じにくくする効果はありますが、痛み物質の発生その
ものを抑えるわけではないので注意が必要です。
原因不明の症状に苦しんでいる人は、まずは症状の専門科を受診し、それでも原因不明で
症状も改善しないときは、片頭痛経験があれば頭痛専門医を受診することをお勧めします。
生理痛と思っていたら大間違い!
女子大の学生9人に生理のときの痛みについて聞くと、4人が生理痛の症状として頭痛を
訴えました。
そこで頭痛専門医の診察を受けると、頭痛の正体は生理痛ではなく、なんと片頭痛という
結果でした。
生理のときには女性ホルモンのエストロゲンが体内から減少しますが、このとき脳にも影
響を与え神経伝達物質のセロトニンが減ってしまいます。
そのため、片頭痛が起こっていたのです。
生理時の頭痛の6~7割は、生理痛ではなく片頭痛という報告もあります。
長い間放っておくと「脳の過敏状態」になる可能性があります。
迷わず頭痛専門医の診断を受けることが重要です。
「脳の過敏状態」って何?どうしたらよいの?
「片頭痛」を長期間放置することで、「脳の興奮状態」が残ってしまい、さまざまな症状を
引き起こす状態のことです。症状は、主に不眠、めまい、耳鳴り(頭鳴)などです。片頭
痛の症状自体は、年をとると軽くなることが多いため、片頭痛由来の「脳の過敏状態」が
原因だとは気がつきにくいため注意が必要です。
- 154 -
※原因不明の不眠、めまい、耳鳴りの全ての原因が「脳の過敏状態」というわけではあり
ません。
今回の不眠、めまい、耳鳴りに悩む人の治療に使われたのは、「抗てんかん薬」と「抗うつ
薬」です。
脳の興奮を抑えることで「脳の過敏状態」を改善しました。どちらも片頭痛の予防薬とし
て使用されています。使用には医師の処方が必要です。原因不明の症状に苦しんでいる人
は、まずは不眠、めまい、耳鳴りそれぞれの症状の専門科を受診し、それでも原因不明で
症状も改善しないときは、過去に片頭痛経験があれば「頭痛専門医」を受診することをお
勧めします。
ただ、今回番組で紹介した考え方は、去年発表されたばかりのため、まだ全ての頭痛専門
医の標準的な治療となっているわけではありません。
「頭痛専門医」について、詳しくは「日本頭痛学会」のホームページで確認できます。
そうならないためには、どうしたらよいの?
「片頭痛」をしっかり治療しておくことが大事です。片頭痛の治療薬「トリプタン」は、
痛み物質の発生を抑え、「脳の過敏状態」を防ぐことができます。
一方、市販の消炎鎮痛薬は痛みを感じにくくする効果はありますが、痛み物質の発生その
ものを抑えるわけではないので注意が必要です。
片頭痛は、寝込むほど痛み、吐き気がある痛み、動くと悪化する痛み、ズキズキする拍動
性の痛みが多いのが特徴です。
女性は生理時の頭痛の6~7割が片頭痛という報告もあります。
ひどい頭痛がある場合は、「頭痛専門医」を受診することをお勧めします。
この放送以来、不眠・めまい・耳鳴りで悩まれる高齢者の方々が「トリプタン製剤」を
求めて医療機関に殺到され、社会問題にまでなりました。
これに対して批判的な見方としては、ある頭痛専門医からの意見です。
- 155 -
脳過敏性症候群についての疑問
片頭痛の治療に限界を感じているのは一般の頭痛専門医はみな同じだと思います。 現在
のトリプタンだけでは患者さんの満足度は上がりません。それに代わる治療も現在は存在
しない訳です。そのひとつの方法論として挙げておられるのでしょが、学会での話は納得
できるものではなく、説得力がありませんでした。脳の過敏性を示すとされる根拠が極め
て希薄であります。 片頭痛の人の一部は幼い時から腹痛や嘔吐,めまいなどがあり(小児
周期性症候群),大人になってもめまいが多かったり車酔いしやすかったりすることは言わ
れていますが,それを言い換えただけで全く新しい考えではありません.対照コントロー
ルとの比較を行って初めて言うべきだと個人的には思います.発表した先生は脳波の振幅
をみて鋭いから過敏性があると研究会で言ってましたが,疑問です.光過敏にしてもそれ
が脳過敏を表しめまいなどが多いという報告はあるのでしょうか?
データがそろってい
ないので,提唱(medical hypothesis:仮説の提案)ぐらいにしておけばいいとは思うのです
が,メディアで流れると多くの誤解を生むと思います。
また、当ブログへ以下のようなコメントを kiteinvestor さんから戴きました。
「学会が認定した頭痛専門医ではなくても,講演などで清水俊彦医師の脳波の異常を聞く
と,???と,はたしてこの先生は脳波をわかっているのか?といったことはちゃんと神
経内科を勉強した医師なら容易に気づいていました.
要は,先生のみならず,(少なくとも私の周りにいる)多くの神経内科の医師は,この先
生の理論に納得ができないことは十分認識していました.ただ,日本人の悪い面というか,
表だって非難・反論しなかったがゆえに,一般の人に誤解を与えたということなのでしょ
う.
片頭痛と首の問題についてですが,trigemino-cervical complex の考え方から,理論的に何
らかの関係があることは,本物!の頭痛専門医であれば常識です.しかし,いかに人間で
科学的に証明するか!?」
そして、平成 24 年 8 月 14 日、日本頭痛学会はホームページ上で、理事長の坂井文彦
- 156 -
名で、その見解を発表しました。
「脳過敏症候群について」 の日本頭痛学会理事会の見解
その要旨は以下のようなものでした。
清水俊彦医師が、「耳鳴り・頭鳴りは脳過敏症候群によることが多く、脳波をとれば診断
がつき、抗けいれん薬を飲めば治る。片頭痛などの慢性頭痛を適切な処置なしに放置した
ことによって発症するとこれまで、NHK・他の民報のテレビで再三放送されたことによ
って、一般の視聴者の誤解を招いたとしています。
そして、日本頭痛学会の見解として、”「脳過敏症候群」なる説を信じている日本頭痛学
会の専門医はほとんどいません。「現時点では科学的根拠のない、個人的な考え」とみなさ
れています。清水医師が強調する脳波の所見は正常人に日常的に見られる脳波である、と
多くの研究者が考えています。また、過去に片頭痛のあった人が頑固な耳鳴りを起こしや
すい、という説にも根拠がありません。”
以上のような見解が発表されました。
ところが 9 月 1 日には「
『脳過敏症候群』に関する日本頭痛学会コメント」が、日本頭
痛学会のホームページから削除されていました。第一段階では清水俊彦先生の実名が消さ
れたものになり、第二段階として見解そのものが削除になりました。同時に、リンクが張
られていた「News and topics」のページからもタイトルが消えておりました。
このような日本頭痛学会の見解に対する意見は様々なようです。
昨年 12 月に全国慢性頭痛友の会主催で、清水俊彦先生が回答者になった「頭痛相談会」
が東京銀座で行われました。この相談会の多くの質問は「脳過敏症候群」に関するもので、
軒並みに「抗てんかん薬の服用について」でした。この質問に対する清水先生の回答に「疑
問」を多くもつ人間として、果たしてこのまま放置しておいてよいかどうかという点でし
た。全国慢性頭痛友の会の会長には、この点を指摘させて頂いたところですが、会長自身
は、清水俊彦先生の理論がすべてで、日本頭痛学会に抗議されるとの返事を戴いたところ
- 157 -
です。
しかし、個人的にこのような理論を容認されることは自由だろうと考えますが、会員数
が 40 ~ 50 人程度の組織であれば、それ程問題はないと思いますが、650 人もの会員数に
のぼる組織を考えるなら公的な組織と同様に考えなければいけないと思います。そうなれ
ば、「脳過敏症候群」という理論が日本頭痛学会でどのような評価をされているのかを”公
平な立場から”会長自身が会員の方々に伝えるのが本来の在り方と考えます。このような
考え方は、友の会の組織自体を”私物化”していると解釈されても仕方ないと思われます。
「効くかどうかも分からない抗てんかん薬を延々と服用させられている方々」のことを少
しでも配慮されておられるのかと疑いたくなり、この点をどのように思われているのかと
考え、以上の点を指摘させて頂いた次第です。あくまでも、個人的に「信じるかどうかは」
勝手なのですが・・・
kiteinvestor さ ん も 指 摘 さ れ て お ら れ ま す よ う に 、 片 頭 痛 と 首 の 問 題 に つ い て ,
trigemino-cervical complex の考え方から,理論的に何らかの関係があることは,頭痛と真剣
に向き合って診療している人間には当然の考え方です。
このような考えから、「脳過敏症候群」を見直すことの方が、もっと”説得力”があるよ
うに考えております。
要するに、清水先生の論理は、「一般の鎮痛薬で片頭痛の痛みを抑えていると、一部の脳
の活性が高まり、そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさ
らに脳の活性をもたらし、それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終
わらなくなり、それによって常に片頭痛がある状態になり、血管の拡張が繰り返されると、
血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなる」ことによって、「易興
奮性が増大する」というものです。
結局、頭痛発作時に「トリプタン製剤を使っていないと、脳の興奮性が増大してくると
いう、「トリプタン製薬メーカーが聞けば”泣いて喜ぶ”ような」考え方です。
これに対して、私は、、この「易興奮性が増大する」原因は「ストレートネックにある」
と考えております。
片頭痛とストレートネックに関しては、これまで「trigemino-cervical complex の考え方か
ら,理論的に何らかの関係がある」ことは、頭痛診療を行う人間には”頭の中では”推測
- 158 -
されていました。
しかし、これを人間で”科学的に証明する”手段を持ち合わせておりませんでした。
話が一寸横道にそれますが、片頭痛を代表とする慢性頭痛は「一次性頭痛」と定義され
「脳の中にはその原因がないもの」とされ、しかしその原因は不明との考えが根底にあり
ました。このような理由から、頭痛とストレートネックの関係は全く”エビデンス”なし
とされ、当然のこととして、片頭痛と首との関連については「論外」と頭から否定されて
参りました。
ストレートネックが存在すれば、以下のように推測されます。首の後ろの大きな筋肉に
は「僧帽筋」
「頭板状筋」
「頭半棘筋」という3つがあり、 「頭半棘筋」は、その一番内側、
深部にある筋肉です。ストレートネックがありますと、 「頭半棘筋」が硬くなる、つまり
凝り固まります。この筋肉を大後頭神経が貫いていて、その部分が、首の凝りによって圧
迫されることで、大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。このため、ス
トレートネックが存在する限り、この刺激が、絶えず三叉神経核に送られ続け、中枢の感
受性が変化し、”中枢感作症候群”となって、「脳の興奮性」を高める結果になると考えら
れます。
この状態が持続するということは、「水面下で脳の過敏性が増大した結果として、視床が
感作され、易興奮性が増大すること」を意味しています。決して、不適切な対応の仕方に
よるとは考えられません。
片頭痛の方は生まれつき「セロトニン神経」の働きが悪い「頭痛体質」を持っており、
このために「脳が興奮しやすく」なっています。このような体質をもとに、ストレートネ
ックが長期間持続することによって、首のこりが慢性的となって、絶えず大後頭神経を圧
迫して刺激し、これが三叉神経核に送られ続け、この「脳の興奮性」を増強させていると
考えるべきです。
ストレートネック→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓
↓
↓
↓
脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓
- 159 -
↓
中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓
↓
↓
脳の過敏性、頭痛の慢性化
↓
自律神経失調症状 →
交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
ストレートネックをはじめとする「体の歪み」がどの程度の期間持続するかによって、
発症当初は、頭痛発作だけで、それも頻度が少なかった片頭痛患者さんが、その後、発作
の頻度が増え(30 歳以降に増えてくることと符合します)さらに、ストレートネックが放
置されたままになりますと、様々な「自律神経失調症状」を伴うようになり、発作が「天
気で誘発」されたり、めまいを伴うようになったりし、さらに不眠、パニック障害、うつ
状態を伴うようになり、ただひたすらに「慢性化」の道筋を辿っていく宿命にあると考え
られます。
このような方々に「脳の興奮性」を抑制させる目的で「抗てんかん薬」を使われようと、
一時抑えには効果はあると思われますが、根本的な「ストレートネック」がある限り、何
時までも「抗てんかん薬」からは解放されないと考えられます。
これまで、「抗てんかん薬」で症状を抑えることが可能となった方々が、全く「断薬」で
きた方々がどの程度おられるか、興味のあるところです。
これまで「脳の過敏性」は生まれつきのものであるとの考えが一般的でした。しかし、こ
れまで述べて参りましたように、ストレートネックの存在により、大後頭神経が刺激され、
これが常時存在するために、絶えず三叉神経核が刺激される結果として「脳の過敏性・興
奮性」が高まり、かつ増強されていることが容易に推測されます。
しかし、これまで「頭痛専門医」は「頭痛とストレートネック」は全くエビデンスなし
と否定されて来られたがための「脳過敏症候群」といった発想に繋がっていったものと想
像されます。
さらに、脳波所見に関してですが、私自身、清水先生の発表ならびに講演会での「清水先
- 160 -
生の提示される脳波所見」を現実に見ておりません。ただ推定出来ることは「脳過敏症候
群」の論文での「脳波所見」から推測するしかありません。しかし、論文にする以上、「誰
の目から納得させる脳波所見に関する記載方法」が必要です。
脳波所見の記載方法は極めて信じられない位、稚拙と思われます。
具体的には、脳過敏を示す脳波所見の基準が示されていないことです。周波数がどの位で、
振幅がどの程度か、ということです。これ無しで論ずるということは主観で判断している
との批判を受けても仕方ないことと思われます。
私も、画像診断のなかった時代に生きてきた者として、脳波検査が当時は全てでした。こ
のような人間にとっては、「脳過敏症候群」の論文での「脳波所見」は全く理解できないも
のでした。極めて、曖昧模糊としたもので、主観的なものでしかないというのが実感です。
脳過敏症候群????
先日、経験した患者さんです。66 歳の男性の方です。
約4年前から、空き缶を叩くような感じの頭鳴がし、特に夜間にあり、また入浴後に増
強する。このため、夜もよく眠れない、状態が持続しておりました。。
今回は、不眠、耳鳴、ふらつき(めまい感)肩こりを訴えて来院されました。
今回の受診の理由はテレビで、清水俊彦先生の「耳鳴にトリプタン製剤」が効くという放
送を見て、自分も脳過敏症候群ではないかと思いこんで、受診されました。
32 歳の時にムチウチをして、以後肩こりがあり、時に軽い頭痛が出没していたというこ
とでした。頭痛に関する問診では、少なくとも「片頭痛」ではないようで、親戚・家族に
は片頭痛の方はおられないようでした。
このため、松井孝嘉先生考案の「問診表」で確認しましたところ、
1.首が痛い、首が張る
2.ふらっとする。めまいがする。
3.夜、寝付きが悪い、目覚めることが多い
- 161 -
4.汗がでやすい
5.目が疲れやすい。または痛い
6.頭がのぼせる。手足が冷たい、しびれる
の6項目に印をつけられました。
そこで、頚部の筋肉群の圧痛点を確認しますと、5カ所に圧痛点が確認されました。
このため、頭部CT検査を行い、異常がないことを確認致しました。
瞳孔の検査では、両側ともに対光反射が殆ど見られませんでした。
頸椎レントゲン検査では、中間位でストレートネックを呈しており、前屈位でも、前屈
が不十分でした。
脳波検査では、高振幅の速波が全誘導にみられ、光刺激で著明な光駆動が確認されまし
た。
以上の所見から、松井孝嘉先生の提唱される「頚性神経筋症候群」と診断致しました。
ところが、本人はテレビで放送していた「耳鳴、不眠、ふらつき(めまい)」は脳過敏症
候群そのものだと言い張って、東京まで行って確認してもらうと言って帰られました。
清水俊彦先生が「ためしてガッテン」で脳過敏症候群を放送されてからは、多くの方々
が、自分で、耳鳴、ふらつきを訴えて、自ら「脳過敏症候群」と考えて来院されます。私
は、このような方々にすべて、これまで片頭痛の既往もしくは家族に片頭痛がなかったか
を確認の上、もしなければ、今回のように松井孝嘉考案の「問診表」に記入して頂き、5
個以上印をされた方々は、全員、頸椎レントゲン検査、頭部CT、脳波検査を行うように
しております。このようにストレートネックの呈し、脳波異常を認められる方々は、約 10
名ばかり確認しており、今後とも症例を増やしていくことにより、脳過敏症候群は、「頚性
神経筋症候群」そのものであることを証明したく考えております。
このように診てますと、清水先生の提唱される「脳過敏症候群」というのは「頚性神経
筋症候群」ではないかと思えてなりません。これまで確認した 10 名の方では、頭痛は、片
頭痛ではなく緊張型頭痛ばかりの方々でした。
皆さんの医院にも、まだこのような脳過敏症候群と思いこんで来院され「トリプタン製
剤」の処方を要求される患者さんは、後を絶たないと思われます。
今後、このような患者さんが来られた場合は、必ず、頸椎レントゲン検査をされ、スト
レートネックを確認し、さらに頭部CT検査で異常なきことを確認し、脳波検査で高振幅
- 162 -
速波と光駆動が著明に見られることを、患者さん自身に示すことによって、納得してもら
うしかないように思われます。あくまでも「頚性神経筋症候群」と言って、脳過敏症候群
ではないと説明し、説得に努めるべきと考えます。そうしないことには、いつまで経って
もこのような患者さんへの対応を迫られることになりかねません。
今回の患者さんは、東京まで行って清水先生の所まで行かれるそうですが・・・
みなさんは、どのようにお考えでしょうか?
一介の開業医ふぜいのいうことより、「テレビ出演をされる先生」が信用あるというので
しょうか?
嘆かわしい時代になったものです。
私は、脳過敏症候群と同様の状態は、片頭痛がなくても「頚性神経筋症候群」すなわち
ストレートネックをそのまま処置せずに放置すれば、引き起こされてくるものと考えてお
ります。
目々澤 肇先生は、ホームページで、以下のようなコメントを出されました。
「脳過敏症候群」に関する頭痛学会コメントについて
女子医大頭痛外来の清水俊彦先生が提唱している「脳過敏症候群」についての頭痛学会
理事長坂井文彦先生のコメントが頭痛学会ホームページで 8 月 14 日付けで公開されまし
た。
「脳過敏症候群」に関しては、清水先生が国内・国際学会で積極的な研究発表を行い、
実際抗てんかん薬であったバルプロ酸(商品名デパケン、セレニカ)やトピラマート(商
品名トピナ)の片頭痛に対する治療効果から「ありうる説だ」という理解が広まりつつあ
りました。昨年はバルプロ酸の片頭痛に対する厚生労働省の適応認可がおり、表立って片
頭痛の患者さんへの投薬が出来るようになっておりましたが、そうした折、NHK「ためし
てガッテン」で片頭痛を卒業したはずの人たちに起こる耳嗚・めまいへの治療効果に就き
センセーショナルな紹介がなされました。自分もちゃんとビデオに撮ってあるのですがデ
パケンのパッケージが画面に映り、一気に世間への認知度が広まりました。実は、それ以
- 163 -
前もデパケン R を片頭痛の患者さんへ「頭痛発作を予防する薬」として処方していたので
すが、心ない調剤薬局によっては「あなた、てんかん持ちだったの?」などという薬の渡
し方をされたこともあり、患者さんが服用することを躊躇する場面も多く、治療効果も上
がっておりませんでした。この番組以降、患者さんの服用率が上がり、かつ治療成績も向
上するという、患者さんにとっても投薬する自分にとってもハッピーという状況になりま
した。
ただし、こうした事態はあまり(頭痛専門医にとっても)歓迎されたものではない面も
あったようで、坂井先生の「学会ホームページ上のコメント」がなされたものと受け止め
ました。こうした「予防薬治療」はもとより成功率はさほど高くなく、自分も頭痛学会で
「予防薬の決め手がない(=数多くの選択肢から選ばざるを得ない)」ことを発表し、何人
もの先生のご賛同を得ています。その中でより正解率の高いバルプロ酸の効果を背景にし
た「脳過敏症候群」説が闇に葬られるような事がないように祈るばかりです。
「脳過敏症候群」に関する頭痛学会コメント後日譚
前回こちらで記載した「
『脳過敏症候群』に関する頭痛学会コメント」が、日本頭痛学会
の HP から削除されていました。第一段階では清水俊彦先生の実名が消されたものになり、
第二段階として削除になったようです。同時に、リンクが張られていた「News and topics」
のページからもタイトルが消え、しかし「何でそうなったか」については触れられていな
いままです。証拠に第一段階の状態のスクリーンショットを残しておくことにします。も
し、この掲載に不具合がある場合はこちらのブログに直接コメントしてください。本件に
ついてはそれなりに公の HP で個人名まで出しての攻撃であっただけに釈然としないもの
があり、11 月の学会総会でどのような動きになるのか注目したいところです。
ブログの外では、ある親しい脳神経外科の先生からは「(患者さんに脳過敏症候群につ
いて聞かれても)現段階ではそのような病気があるとは思えない、僕は知らない、と繰り
返し話します。大学の看板しょって外来している以上好い加減なことはできません」とい
うご意見もいただきました。これも正論であり、他の疾患で同様なことがあれば僕も同様
の反応をします。
目々澤醫院では脳過敏症候群ではないかとおとずれた患者さんに対して、
「(デパケンの)
- 164 -
この使い方は健康保険で認められてはいない、でも効いた人たちが居るという報告は聞い
たし、読んでいる。だから、検査そのものが重要ではなくて耳嗚や治りがたいめまいの患
者さんへのひとつの治療選択肢だ」とご説明しています。もちろん、過去もしくは現在に
片頭痛の既往があれば片頭痛の病名で投薬しています。実際に 4 割ぐらいは効果があり(中
止すると悪化する)ます。これらの症状の方々はどんなちょっとしたことであっても希望
の光が見つかればそれをたぐって来院されるわけで、一概に「ダメだよ」とは言えません。
ちゃんとリスクを説明し、どの程度の効果が出るかはやってみないとわからないことも説
明した上で理解していただければ投薬するし、それが効果があればお役に立てたことにな
ります。
「ためしてガッテン」のように天下の NHK が放送する番組ではあまり極端な作り方を
して欲しくないと思います。昨日も海外でダイビングインストラクターをしている方から
「過換気症候群で紙袋呼吸はダメになったんですか?」というご質問をいただきました。
よく見れば必ずしもそういうわけでもないのですが、タイトルはどうしても「あおる」感
じになってしまい、タイトルは何らかの形で他のメディアにも出て残ってしまうわけです。
これも番組の作り方がマズイからで、こうした面にきちんとした監修が入るようにできな
いものかと痛切に感じます。
※このようにコメントされておられます。視点が全く異なるようです。
このように、何も疑うことなく、このような理論に同調されるのが「頭痛専門医」なの
かもしれません。また、極めて好意的な見解を示されておられます。
参考文献
清水俊彦、平田幸一、間中信也、他:脳過敏症候群:日本臨床:2004,70(1) 146-150
下畑享良
http://www31.ocn.ne.jp/~solhns/gattenn.htm
NHKのためしてカッテン
田草川
良彦
目 々 澤 肇
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110928.html
頭医者のつぶやき
http://headache.blog.ocn.ne.jp/
ホ ー ム ペ ー ジ
http://dr-memezawa.cocolog-nifty.com/dr_memezawa/2012/09/post-518b.html
- 165 -
片頭痛と脳波検査
私が、医師になった当時は、CTとかMRIのような画像検査のない時代で、頭痛の検
査としてルチーンに行われていたのが脳波検査です。当時の脳波検査は鳥かごのようなシ
ールドルームで行われ、夏の間は汗をかいて基線の動揺が激しくなるため、患者さんの部
屋にはクーラーを入れるのですが、記録室にこのクーラーの熱気がもろに入り込み、汗だ
くで脳波記録を行っていたことが、思い出されます。
当時から、高電位速波が全誘導にみられ、waning や waxing がほとんど無く、光刺激に
おける driving(6-8 Hz で出現しやすい.後頭葉に出やすい)を著明に認める場合(これを
脳の過敏性と表現しているようですが)これがてんかんに関連したものか、当時は議論さ
れたことが記憶に残っております。このような所見は 50 歳前後の頭痛患者さんに多かっ
たように記憶していますが、これらがすべて片頭痛の方かどうか定かではありません。
いずれにしても、当時からCT導入後も、片頭痛とてんかんとの関連(当時は話題にな
っていた関係で・・)脳波検査は必ず行われておりました。
頭痛と脳波所見に関しては、呉共済病院時代の 18 年間に、数千例は記録したように思い
ます。ただ、当時は、頭痛とストレートネックの関連性は全く頭になく、「脳過敏」を示唆
するとされる脳波所見とストレートネックの関連性は全く考えてはおりませんでした。
今回は、片頭痛とてんかんとの関係についての諸先生方の見解を述べます。
「てんかん性頭痛」の特徴は
●突然起こる頭痛発作で反復する
●脳波上てんかん波がみられる
●抗けいれん剤が有効である
●頭痛発作に誘因がなし
●頭痛の持続は数分~数時間
●悪心・嘔吐を伴う
●発作後の睡眠または嗜眠がある
- 166 -
●部位は頭全体またば両側前頭部痛
●片頭痛の家族歴なし
たとえば片頭痛では 20-30%程度でてんかん波を疑わせる所見が出るというのは有名な話
です。
また「脳過敏症候群」でも脳波では鋭波が多く出るともいわれています。
片頭痛は頭蓋骨内面の血管の機能異常によって拍動性頭痛をきたす疾患です。
頭痛に伴って吐き気、嘔吐、筋力低下をきたすことがあります。さらに、まれですが、
前兆として、目の前がぼんやりしたり、チカチカするものがみえたりといった視覚異常が
伴うことがあります。このため、視覚発作で始まるてんかん発作と間違われるおそれがあ
ります。
片頭痛とてんかんの発生機序はまったく異なっていますから、きちんと区別する必要が
あります。実際には、正確な症状をうかがうことができれば、たいていは、鑑別可能です。
繰り返しになりますが、いかに症状をありのままに話していただけるかが、ここでも鍵に
なるのです。
てんかんと片頭痛の鑑別が一番、問題となるのは、じつは、片頭痛の患者さんで脳波を
とったときです。
頭が痛いというので、とりあえず、脳波が記録されることは少なくありません。
そして、そこで、脳波に「てんかん放電」がみつかると、話がややこしくなります。片
頭痛は幼児期でも数%、思春期に達すると 10%を超える頻度の高い疾患です。一方、何度
も申し上げていますが、小児ではローランド棘波などの「機能性てんかん放電」が非てん
かん児にも数%でみられます。このため、頭痛を訴えるお子さんの脳波に「てんかん放電」
がみつかることは、めずらしくありません。安易に脳波をとることが誤診につながってし
まうのです。実際、米国神経学会・小児神経学会の偏頭痛にかんする小委員会は、脳波は
- 167 -
片頭痛の病因確定や他の頭痛との鑑別に有用ではないので、片頭痛診療におけるルーチン
検査として推奨はできない、と勧告しています。また、繰り返される頭痛の検査の一環と
して脳波を行い「突発波」が見いだされても、将来発作を起こす可能性は無視できるほど
低く、したがって、さらにてんかんに関連する検査を行ったり、将来起こるかもしれない
発作を予防する治療を行ったりする必要はない、とこの小委員会報告は付言しています。
しかし、ときとして、片頭痛とてんかんの鑑別が困難なこともあります。
一番問題となるのは後頭葉から始まるてんかん性部分発作です。
後頭葉は視覚機能に関連していて、ここにてんかん性異常放電が発生すると、変なもの
がみえたり、目がかすんだり、みえなくなったりといった、視覚発作がみられます。そし
て、視覚発作の後、もしくは、視覚発作とほぼ同時に、しばしば、吐き気、嘔吐、頭痛と
いった片頭痛と見紛うような症状がみられます。一方、片頭痛では、視覚発作に似た視覚
症状を主体とする前兆がみられることがあります。視覚発作と片頭痛は症状がよく似てい
るのです。
さっきと話がちがって、ややこしいのですが、この場合にだけは、脳波が活躍してくれ
ます。後頭葉てんかんの場合、後頭葉に限局したてんかん放電がみられることが多いから
です(ただし、視覚誘発発作で後頭葉を起始とするてんかん発作がみられることもありま
すので、光刺激によって誘発される全般性棘徐波(光突発反応)が見られる場合も要注意
です)。ただし、それとともに、眼球偏位、意識消失、自動症といった、てんかん発作にし
かみられないはずの症状がみられていないかどうかも重要な鑑別点になります。そうした
症状は、片頭痛にはほとんどみられないからです。やはり、症状をきちんと確認すること
が鑑別には大切なのです。
片頭痛とてんかんの関係
片頭痛とてんかんは、多くの点で関連しあっているようです。例えば、片頭痛の前兆が麻
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痺を引き起こすこともあるし、逆にてんかんの発作後に頭痛が発症するという報告もあり
ます。
そもそもてんかんとは、脳細胞のネットワークに起きる異常な神経活動により、てんかん
の発作を来す疾患あるいは症状を言います。脳細胞の異常活動や異常状況で起こる発作で
したら、片頭痛もかなり近いところにあります。すべてとは言いませんが、かなりの片頭
痛は脳や神経の異常によって発症していると考えられています。
てんかん発作は、基本的に麻痺です。またすべてではありませんが、意識が喪失したり、
意識が飛んだりします。これは、本人の意識が停止してしまい、しばらくして意識が回復
すると停止していた間のことをまったく覚えていないため、時間が飛んだように感じる現
象です。逆に、てんかんの患者を外部から観ていると、麻痺が起こると凍り付いたように
止まってしまい、そのままの姿勢を維持するように見えます。
これは、脳神経が極度の興奮状態に陥るために発症すると考えられていますが、それほど
の緊張が頭痛を引き起こさないわけはなく、よっててんかんは頭痛を呼ぶわけです。これ
は原理的にはストレスと同じで、つまり緊張が続いてその後解除されると、その反動でひ
どい頭痛がやってくるわけです。てんかんの発作も脳のストレスと言えるわけですから、
それが治まった途端に脳の負荷が解放され、それがそのまま神経系に流れ込むわけで、多
少の頭痛が起こらないわけはありません。
片頭痛の出現率は、家族内のてんかんの出現率に関係がある。家族にてんかん患者がいる
場合は有病率が 2 倍になり、自身がてんかん患者である場合はさらに有病率が高い。
てんかんと頭痛
てんかん患者の約 50%に頭痛が認められる。複雑部分発作は時に発作後の血管性頭痛をも
たらすし、頭痛が大発作の前触れであることも少なくない。頭痛そのものが発作であると
することには議論の余地があり、発作代理現象であるとの見方もある。てんかん患者の頭
痛のほとんどは、片頭痛の性質をもたないが、良性後頭葉てんかんや良性ローランドてん
かんのように、片頭痛を伴うてんかん症候群の存在も知られている。片頭痛発作がてんか
ん発作の引き金になりうるとの考えもあるが、片頭痛の極期に大発作へ発展することは希
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であり、例外的なことである。なお、片頭痛患者の中にてんかん発作と等価の頭痛を有す
るものがあることは確かであるが、「片頭痛てんかん」が明確な疾患単位として存在するか
どうかは、てんかんと片頭痛の間の一般的関連性や遺伝的関連性も含め、いまだ未解決な
問題である。片頭痛の中でも、一過性の意識消失を頭痛発作の間欠期にも呈する脳底動脈
型片頭痛は、逆にてんかんと誤診されることが多い。脳波で異常を認める例は少ないが、
複雑部分発作と同様、抗てんかん薬のカルバマゼピンが有効であるという事実が診断を困
難にする。時にけいれん活動性をきたすこともある。片頭痛の報告には自動症の記載もあ
り、発現が緩徐で頭痛や倦怠感を伴うことを除けば、てんかんのそれと変わるところはな
い。また、精神運動発作を示唆するような、不安・焦燥、複雑な幻視・幻聴、既視感、無
時間感覚、離人感もしくは強制追憶を伴う「夢様状態」を呈したりもする。
これまで、成和脳神経内科医院開院以降は、脳波検査はてんかんの診断の目的でしか行
わなくなっておりましたが、東京女子医科大学の清水俊彦先生が「脳過敏症候群」を提唱
されて以来、再度「脳波検査」が脚光を浴びるようになったため、「昔取った杵柄」で脳波
判読の技量が、改めて試されるようになった訳です。数千例の脳波判読を行った経験から、
改めて、「脳過敏」の脳波所見を1例ずつ確認していきます。
このような作業を積み重ねない限り、誰からもコンセンサスは得られないと考えます。
恐らく、頭痛専門医が、頸椎レントゲン検査をされないと同時に脳波検査もされないこ
とを見通して、このような「脳過敏症候群」という病態を提唱されたに過ぎないと考えま
す。しかし、私は、徹底的に、確認していく方針です。
そうすることによって、これまで述べて参りました「仮説」の意味合いを証明したいと
考えております。
今後は、「脳過敏症候群」か「頸性神経筋症候群」との異同についてのデータ集めに利用
することになってしまいました。
ただ、弱小の医院ですので、脳波検査を行う場合、約1時間は診療がストップしてしま
うのが「頭痛のタネ」です。
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頚性神経筋症候群
1978 年 東京脳神経センターの松井孝嘉先生は、首こりからさまざまな自律神経失調症
状が引き起こされることを発見し、これを「頚性神経筋症候群」と名付け、その後、長年
にわたり治療法の研究を続け、試行錯誤を繰り返しつつ、2005 年に「頚性神経筋症候群」
の治療法を確立されました。
それでは、まず最初に、松井孝嘉先生の提唱される「頚性神経筋症候群」とはどのような
ものかをまず、お示し致します。松井先生のホームページを参考に作成しました。
頚性神経筋症候群とは
首こり病
★頚性神経筋症候群―副交感神経の圧迫―
★頚性神経筋症候群の診断基準-医療現場の問診表―
★首の筋肉に負担をかけていると、頚性神経筋症候群になります。
★うつむき族
―急増している子どもたちの「ゲーム首」―
★首はLサイズのスイカを支えている
頚性神経筋症候群―副交感神経の圧迫―
副交感神経の圧迫が病気を招く
首の筋肉の異常によって副交感神経が圧迫され、この病気が起こると考えられています。
首には大切な自律神経が密集しています。自律神経は私たちの意識しないところで、身
体を健康に保ってくれています。体温や血圧の調整、呼吸、消化、代謝などをコントロー
ルし、生命を維持していくためにはなくてはならない役目を果たしています。首になんら
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かの異常が起きれば、自律
神経のバランスに、きわめ
て重大な悪影響がおよびま
す。
自律神経には「交感神経」
と「副交感神経」の二つが
あります。交感神経は緊張
しているときや危険を感じ
たとき、興奮しているとき
などに働く神経で、心拍数
や血圧を上げ、呼吸数を増
やし、血管を収縮し、瞳孔
を開き、胃腸の働きは抑制
されます。副交感神経はリ
ラックスしているときや、
寝ているときなどに働く神
経で、心拍数や血圧を下げ、呼吸数を減らし、血管を拡張、瞳孔を閉じ、胃腸の働きは活
発になります。
二つの神経は、まるでアクセルとブレーキのよ
うに相反する働きをするのです。私たちの健康を
支えているのは、この交感神経と副交感神経がバ
ランスよく働いてくれているからです。
しかし、どちらかひとつの調子が悪いと、文字
どおり身体のバランスが崩されます。
一般的には、首に異常が起きると交感神経が過
度に興奮すると考えられています。未だはっきりとその因果関係が証明されていませんが、
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多くの臨床経験から、副交感神経が失調し、結果、交感神経が優位になるのだと考えてい
ます。
交感神経が副交感神経よりも強くなることが頚性神経筋症候群の原因なのです。
自律神経が分布している首の筋肉のコリを解消するとつらい症状から解放されます。
首の筋肉に負担をかけていると、頚性神経筋症候群になります。
パソコンはいまやどんな仕事をするにしても、欠かすことのできないツールとなりまし
たし、ビジネスシーン以外でも、インタ
ーネットを楽しむ人は、この数年で男女
問わず急激に増加しました。
しかし、長時間・長期間にわたって、
同じ姿勢でパソコンを使い続けている
と、首の筋肉への負担が蓄積されていき
ます。実際、頚性神経筋症候群の患者さ
んには、プログラマーやシステムエンジ
ニアなど、IT関係の職業の方が、かな
り多く見受けられます。長い人は、1 日
に 15 ~ 16 時間もパソコンに向かってい
るといいます。ついつい何時間もパソコ
ンの前に座ってしまうという主婦の方な
どもいます。
「テクノ不安症」というシンドローム
も、いま注目を集めています。パソコン
の苦手な人、おもに中高年の男性が、扱
い慣れないながらも無理をして仕事でパソコンを使っているうちに、精神的ストレスで体
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調を崩すというのです。その症状は、頭痛、動悸、息切れ、めまい、肩こり――。
これは頚性神経筋症候群の症状とまさに合致しています。「テクノ不安症」は精神的なス
トレスが原因とされていますが、本当は、慣れない姿勢でパソコンを使い続けた結果、首
の筋肉に負担をかけてしまったことが原因なのではないでしょうか?
「夕方になると体調が悪くなる」という声も、たくさんの患者さんから聞きます。これ
は、「長時間、つねに同じ姿勢で作業をしている人」の大きな特徴です。一日が終わりに近
づくころ、その日の疲れが身体にあらわれるのです。ひどい肩こりや疲労感から始まり、
脈が速くなったり、気が遠くなったり、なかには「吐きそうになる」という患者さんもお
られ、症状はさまざ
まです。
頚性神経筋症候群
は、「パソコン病」と
言ってもいい病気で
す。その意味では、
この病気はある種の
「現代病」です。
パソコンを使うな
らノートパソコンで
はなく、デスクトップパソコンを使うようにしてください。ノートパソコンはモニターが
低い位置にありますから、デスクトップパソコンに比べて、より、うつむいた状態になり
ます。あの姿勢で何時間も仕事やインターネットをすれば、首に大きな負担をかけること
は火を見るより明らかです。デスクトップパソコンならいいというわけでは決してありま
せんが、せめて、ノートパソコンは控えてください。
もう一点は、10 ~ 15 分に一度 30 秒程度でいいですから、必ず首を休めることです。
- 174 -
うつむき族
―急増している子どもたちの「ゲーム首」―
「長時間、つねに同じ姿勢で作業をしている」という意味では、テレビゲームも同様です。
「パソコン病」と同じくらい、テレビゲームは首に大きな負担をかけています。
テレビゲームがなかった昔の子どもたちは、空き地や公園や川べりで、のびのびと遊ん
でいました。首の筋肉を鍛えることが出来るチャンスが多かったため、その発育もよかっ
たのです。
いまの子どもたちは家の中で、ゲームで遊んでいることが多いのではないでしょうか?
ゲームをしているお子さんの姿をよく観察してみると、首をすくめるように緊張させ、夢
中になって画面とにらめっこしているでしょう。首にとってこれほど悪い姿勢はありませ
ん。首の筋肉に負担をかけるうえに、その発育まで悪くなってしまい、病的な状態になっ
てしまうのです。
いま流行している携帯型ゲーム機は、さらに問題です。巷ではメーカーの生産が追いつ
かないほどの人気だそうですが、あれはどうしてもうつむく姿勢になるため、余計に首へ
の負担がかかります。うつむいたとき、首の後ろの筋肉は、頭部を支えるために収縮・緊
張します。
うつむいた姿勢は、まっすぐな状態よりも、通常の三倍、首に負担がかかると覚えてお
いてください。
ちなみに、これは携帯電話にも同じことが言えます。駅のホームなどを見渡していると、
携帯メールを打っていたり、携帯でゲームをしたりしている人のあまりの多さに驚きを感
じることがあります。ある程度の時間でやめておいたほうが賢明です。
ゲームの話に戻りますが、ひと時、「ゲーム脳」という言葉が話題になりました。テレビ
ゲームのやりすぎは脳の前頭前野の機能を低下させ、結果、
「無気力」
、
「すぐにキレる」
、
「記
憶力の欠如」などの症状を生み、しいては凶悪な少年犯罪や「引きこもり」にもつながる
- 175 -
という説です。
しかし、それらの症状は、本当に「前頭前野の機能が低下」したために起こったことな
のでしょうか。
じつは、「無気力」
、「すぐにキレる」
、「記憶力の欠如」といった症状は、実際に頚性神経
筋症候群の患者さんがよく訴える典型的な例なのです。他にも、「注意力散漫」、「集中力が
ない」といった症状も特徴です。さらに重症になると、学校に行けなくなり、部屋に引き
こもりがちになり、もの覚えが悪くなります。その様子をたとえて、「まるで認知症になっ
てしまったみたい」とおっしゃるご家族の方もいました。
そうしたゲーム好きの若い患者さんを診察していると、ほぼ間違いなく、首に異常が見
られます。これまでの臨床経験から考えると、やはり原因は「脳」ではなく、「首」にある
のではないかと考えられます。
私は、「ゲーム脳」ではなく、「ゲーム首」という言葉を提唱していきたいと思います。
首はLサイズのスイカを支えている
いまの子どもや若い人たちは、首の筋肉が弱くなりました。
文部科学省の「体力・運動能力調査報告書」(平成 17 年度)によれば、11 歳の「基礎的
運動能力」(50 メートル走と、ソフトボール投げ)を 20 年前と比較すると、50 メートル走
は約 0.2 秒、ソフトボール投げにいたっては約 4 メートルも低下しています。「体格」(身
長と体重)は、年々上昇しているにもかかわらず、です。
つまり、見た目の体格こそ良くなったものの、その実、筋力は低下しているのです。も
ちろん、それは首の筋肉にも言えます。若い人の首を診察していて、その発育の悪さに驚
- 176 -
くことがしばしばあります。人間の頭部は、およそ 6 キログラムの重さがあります。6 キ
ログラムと言ってもなかなかピ
ンとこないかもしれませんが、
「Lサイズのスイカと同じくら
いの重さ」と言えばイメージが
湧くでしょうか。普段の生活で
は意識もしないと思いますが、
私たちの首は、つねに、「Lサイ
ズのスイカ」を支えているので
す。当然、筋肉が未発達な首で
は、支えきることはできません。
そこに、幼少時からのテレビ
ゲームや、いわゆる「お受験」
のために塾通いなど、首を酷使
する状況が加わるわけです。い
まの子どもや若い人たちの首は、
まさにパンク寸前です。
先ほどから述べているように、
頚性神経筋症候群は、決して大人だけの病気ではありません。若い患者さんも、ずいぶん
私の病院の門を叩いています。この病気は、年齢はまったく関係ないのです。
「首の筋肉のコリ」などというと、大人がかかる病気だと思われがちですから、ここで
念を押しておきたいと思います。
だからといって、首の筋肉が弱いのは若者だけにかぎりません。とくに女性です。女性
の首の筋肉が弱いため、男性よりもこの病気にかかる確率が高くなります。実際、患者さ
んのの首を診ていると長くて細い首、いわゆる「キリン首」といわれる首の持ち主が非常
に多いことに気づきます。まるでファッションモデルのような細い長い首は、たしかにス
- 177 -
マートで見た目はよいかもしれません。しかし、その代償に、病気の温床にもなりうるの
です。
思えば昔の日本人は、短くて太い首、いわゆる「猪首」の人が多か
ったような気がします。見た目はともかくとして、猪首のほうが頭部
をしっかりと支えることができ、重心を安定するため、首の健康には
よいのです。「キリンよりもイノシシ」と覚えておいてください。
同時に「なで肩」の人も注意が必要です。なで肩は、「僧帽筋を中心
とした頚筋の発育不良」の証拠と考えてください。
僧帽筋は、首の筋肉のなかでも、もっとも重要なもののひとつです。
これを中心とした筋群の発育が悪いと、頭や腕を支えきれず、人より
も首に異常を起こしやすいのです。なで肩も女性に多く診られます。
頭の重さは男女それほど差がないのに、首の筋肉の発育は圧倒的に男性が優位です。し
かも、肩の筋肉も発達していて、首を横からレントゲンで撮ってみると、7つある頚椎の
5番か6番までしか肩に隠れて見えない人が多いのに対し、女性では頚椎はもちろん、胸
椎の2番、3番まで見える人が多いのです。首、肩の筋肉の発達は、男女差が著しく、発
達の悪い筋肉で同じ重さの頭を支えていると、トラブルがおきやすいのは自明の理です。「
血の道」など、昔から女性特有の病気のようにいわれてきた自律神経失調症が、必ずし
もホルモンが原因とはいえなくなってきました。
CNMS
-診断の目安
治療に使われている実際の問診表を掲載いたしました。
あなたは、この中でいくつ該当しますか?
1 頭が痛い、頭が重い。
□はい
2 頸(くび)が痛い、頚が張る。
□いいえ
□はい
□いいえ
- 178 -
3 肩がこる。
□はい
4 風邪をひきやすい。
□いいえ
□はい
□いいえ
5 ふらっとする。メマイがある。
□はい
□いいえ
6 歩いていたり、立っている時なんとなく不安定。
7 吐き気がある。
□はい
□はい □いいえ
8 夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い。
9 血圧が不安定である。
□はい
□はい
□いいえ
□いいえ
10 暖かいところに長い時間おれない。体温調節異常 □はい
11 汗が出やすい。
□いいえ
□はい
□いいえ
□いいえ
12 静かにしているのに心臓がどきどきする。
□はい
13 目が見えにくい。像がぼやける。
□いいえ
14 目が疲れやすい。または痛い。
□はい
□はい
□いいえ
15 まぶしい。または目を開けていられない。
16 目が乾燥する。または涙が出すぎる。
□いいえ
□はい
□はい
□いいえ
□いいえ
17 つばが出やすい。または、つばがでない。
□はい
□いいえ
18 微熱が出る。(37 ℃台、時に 38 ℃台も)
□はい
□いいえ
19 下痢をしやすい。(腹痛など胃腸症状)
20 すぐ横になりたくなる。
□はい
21 疲れやすい。(全身倦怠)
□はい
□いいえ
□はい
□いいえ
22 何もする気が起きない。意欲がない。
□はい
23 天気の悪い日か、その前日、調子が悪い。
24 気分が落ち込む。気が滅入りそうだ。
□いいえ
□はい
□はい
□はい
27 イライラして焦燥感がある。
□いいえ
□いいえ
25 集中力が低下して、1 つのことに集中できない。
26 わけもなく不安だ。
□いいえ
□はい
□いいえ
□いいえ
□はい
□いいえ
28 根気がなく、仕事や勉強を続けられない。
□はい
□いいえ
29 頭がのぼせる。手足が冷たい。しびれる。
□はい
□いいえ
30 胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる。 □はい
- 179 -
□いいえ
原因不明の不調の原因はストレスではなく、「首こり」でした
パソコンを長時間集中して使用している方や、携帯電話でメール、一日中ゲームをして
いる方の中には、頭痛やめまい、吐き気、絶えず疲労感を感じている方もいるでしょう。
家庭の中で、誰も気付いてくれない慢性的な苦しみや痛みで日々悩む主婦の方も多いと思
われます。このような、原因不明の体調不良は「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といわれ、
その多くは自律神経失調の症状です。一般的にはストレスが原因とされていますが、本当
の原因は「首こり」です。首の筋肉の異常は、頸椎の中心にある副交感神経の異常を招き
ます。副交感神経は、内臓や血管、呼吸器などをコントロールする、もっとも重要な神経
のひとつです。そのため、「首こり」が体の不調をもたらしてしまうのです。「うつむき姿
勢」になってしまう機会が多い現代人の生活習慣病ともいるのが、まさにこの「首こり病」
なのです。
緊張型頭痛、片頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ、パニック障害、ムチウチ、更年期
障害、慢性疲労症候群、ドライアイ、多汗症、不眠症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、
機能性食道嚥下障害、血圧不安定症、VDT症候群、ドライマウス
不定愁訴を根本から治す治療法は、「首こり」だけです
- 180 -
不定愁訴は、耳鼻科、眼科、消化器内科などさまざまな診療科目の症状が出るのが特徴。
各専門医の元を訪れても、病院の検査では、異常が見つからない。結局は痛み止めなど、“
その場しのぎ”の治療をされているのが現状です。薬をやめればすぐに再発する、症状は
一向に改善されません。なぜならば、副交感神経の異常をもたらす「首こり」の治療が行
われていないからです。首こりが原因と診断されないまま的外れな治療を続けると、症状
はさらに悪化し、最終的にはうつ状態になってしまいます。 これは、首こりが原因で起こ
るうつで、精神うつと区別するために、「頚筋性うつ」と呼ばれています。今や頚筋性うつ
は、全うつの90%を超えています。心身ともにダメになる前に、まずは首こり病の可能
性を疑ってみてください。
「頸性神経筋症候群(首こり病)」の代表的なもの
頭痛
(緊張型頭痛と一部の片頭痛)
仕事中や疲れがたまってきたときなどに、頭痛がして不快な思いをしている人も多いと
思います。日本人で頭痛に悩んでいる人は、3000 万人と言われています。4人に1人以上
は何らかの頭痛を持っているということですから、これは大変な数字です。
頭痛にも種類がありますが、その7割が緊張型頭痛、約3割が片頭痛です。
- 181 -
つまり、2000 万人以上は、緊張型頭痛に苦しめられているということになります。これ
ほど広く症状がみとめられている緊張型頭痛ですが、なかなか治らず、しかも「原因がわ
からない」と言われ、内科や精神科、脳神経外科などで処方された薬をただのみ続けてい
るだけの人や、あちこちの病院を転々とする人は珍しくありません。
中には、頻繁に起こる頭痛で気が滅入り、うつ症状に陥ってしまう人もいます。首が曲
がらないほど頭が痛くなる人もいます。整形外科などで診察を受けても「異常なし」と診
断されるのに、です。
このように緊張型頭痛は、放っておくと心身にさらなる悪影響を及ぼしかねないやっか
いな症状です。ほかの診療科ではなすすべがないとされてきましたが、その原因は首こり
- 182 -
にあります。後頭部から首にかけての筋肉がこって固まってしまうことで、そこを通って
いる大後頭神経が圧迫され、痛みのほか、さまざまな自律神経症状が現れてきてしまうの
です。
片頭痛の方も、緊張型頭痛と同様の起こり方をします。とくに頸椎レントゲン検査でス
トレートネックを示される方です。同じように首こりが原因になっていますので、ここを
解決しない限り、片頭痛はよくなりません。
めまい
めまいは、内耳機能の異常で起こるとされていることが多いので、患者さんは耳鼻科で
診断を受けることがよくあります。しかし、そこではメニエール病(または症候群)など
と診断され、結局、薬を処方されたり、点滴治療を受けたりするだけで終わってしまうこ
とが大半です。中には、「ストレスのせい」「内耳機能の低下かもしれない」「低血圧と関係
があるかもしれない」などと、非常にあいまいな診断でお茶を濁されてしまうことも少な
くありません。
しかし、めまいの多くは、首こりの治療によって完治する
ことが明らかになっています。
中には本当にメニエール病
などが原因でめまいを感じている人もいますが、実は患者さ
んのうちでもごくわずかです。仕事が続けられないような深
刻なめまいは、少なくとも「メニエール病」のような病気で
はありません。これは、医師が「メニエール病」と診断さえ
すれば、患者さんが、納得し、あきらめてくれるのではない
かとの願望に基づいた診断にすぎません。決して、信用して
はならない点です。
歩いたり立っているときになんとなく不安定で、雲の上を歩いているようなフワフワ感
がある、天井がグルグルと回っているように感じる、横になっているときに、地中に引き
ずり込まれるように感じるなどの症状がある場合、頸性めまいの可能性があります。
これまで医療機関で「メニエール症候群」と診断され、一向に改善されない方は(本当
にメニエール病であれば、”発作時”には異常な眼振が出現しているはずです。これまで私
- 183 -
が、他の医療機関で”メニエール症候群”と言われた方々は、誰一人として眼振が確認さ
れた方はおりません。現実に”メニエール症候群”という病気そのものは存在せず、この
ような診断をする医師は、まず信用できません。そのつもりで対処すべきです)、自分のめ
まいが首こりから来る頸性めまいかどうかを判別するには、先程掲載しました「問診表」
が非常に役に立ちます。めまい以外の症状がたくさん出ていれば、頸性めまいと言えます。
自律神経失調症
現在、日本の外来患者の4分の3は不定愁訴で来院すると言わ
れており、その原因として名前の挙がることが多いのが、この「自
律神経失調症」です。
しかし、そのように診断をした病院のほとんどは、「なぜ自律
神経が失調するのか」「完治する方法は何か」について、満足な
回答を持っていないのではないでしょうか。
自律神経失調症によって起こるさまざまな身体の異常は、頭痛、耳鳴り、口の渇き、喉
の圧迫感、動悸、めまい、立ちくらみ、息苦しさ、手足の冷え・しびれ、多汗、皮膚のか
ゆみ・乾燥、頻尿、関節の痛み、倦怠感、微熱、不安感などなど、挙げればきりがありま
せん。
こうした身体の調子を司っているのが自律神経なので、それがおかしいというところま
では対症療法の発想でも行き着くわけですが、異常のある部位ごとに治療するわけにもい
かず、医師も内心、途方に暮れてしまうわけです。
しかし、このように「自律神経の異常でさまざまな不調が発生する」というパターンは、
まさに首こりがもたらす最も典型的な例です。病院の治療では、やはり多くは内服薬を処
方されるだけで終わってしまうことが多いと思いますが、首こりを和らげる治療を続ける
と、徐々に身体の不調は薄れていき、やがて完治します。
パニック障害
急に怒濤のような不安感に包まれて、我を失いそうになるパニック障害。その原因は、
- 184 -
急に起こるめまいや動悸、呼吸困難にあるとされています。そのような症状が強く起こる
と、立っていられないくらい頭がくらくらしたり、恐怖心や不安感でいっぱいになってし
まうのです。品対の異常が心にまで影響を及ぼし、「パ
ニック」を引き起こしてしまう訳です。頻発すると、
「次
はいつこの発作に襲われるのだろう」という不安感が日
常を支配し始め、いつも気分がすぐれず、おびえたり恐
れたりしているような気持ちになってしまい、やがてう
つ状態にも陥ってしまいます。
このようなパニック障害とは、元をたどれば、自律神
経の異常から来る急激な体調不良(発作)に由来することがほとんどです。そして、その
自律神経の異常が首こりから起こっているケースは、多々あります。
首の筋肉のこりを徐々にほぐしていくと、次第に発作的な身体の異常は起こらなくなっ
ていきます。精神的にも落ち着いていき、やがてパニック障害と決別することができるの
です。
新型うつ(頸性うつ)
処方された薬を飲んでいるのに治らない。最近、そんな新しいうつ症状に悩む人が増え
ています。
これは、従来のうつ病とはまったく発症のメカニズムが異なる別の病気である「新型う
つ」だからにほかなりません。これまでの治療方法が通用しないうつが、近年、増えてき
ているのです。
その原因がどこにあるかといえば、実は首こりです。新型うつは、頸性神経筋症候群の
一環として起こるうつ、つまり「頸性うつ」なのです。
首こりが重なると、疲労感やふらつき、頭痛などのさまざまな体調不良(不定愁訴)が
現れます。不定愁訴が続くと、何をしても気分が晴れることがなく、どんどん気が滅入っ
てしまいます。やがて「こんなつらい毎日なら死んだほうがまし」と考え、自殺という悲
しい選択をしてしまう人がたくさんいます。「自分はこの世にいないほうがいい」と自己否
- 185 -
定をするというよりも、「こんなつらいなら死んだほうがまし」と、不定愁訴による体調不
良やそれに起因する精神的な落ち込みから逃れたいという思いで自殺を選ぶことが多いの
が、頸性うつの特徴です。
内科、精神科や心療内科、脳
神経外科などあちこち回って八
方手を尽くしてもダメだった、
という状態で来院するうつの人
が、首こりを治療することで完
治しています。そういう方は、
首こりがひどく、中には石のよ
うにパンパンにこり固まってい
る人も多いのです。
しかし、みなさん治療するに
従い、表情が明るくなり、不定
愁訴も消え、完治するころには、
笑顔も多くなり、お腹の底から
笑えるようになり「早く仕事に
戻りたい」とか「あれもしたい、
これもしたい」と大変意欲的に
なります。
もちろん、うつの中には、純
粋に精神的な原因で発症するものもありますが、これは全体の1割にも上りません。9割
以上のうつ病は、頸性うつです。頸性うつは、首こりを治療すれば、完全にサヨナラする
ことができます。
頸椎ねんざ
頸椎ねんざとは、交通事故やスポーツの怪我などで、首の筋
肉や靱帯、頸椎などをねんざすることです。追突による「ムチウチ」も、この頸椎ねんざ
- 186 -
の一種です。
頸椎ねんざは、首の痛みや動きの制限のほか、めまい、吐き気、頭痛や肩こりなど、さ
まざまな不定愁訴を引き起こします。いろいろな検査を受けても「異常なし」とされるの
にこうした症状がなくならない、といったことはよくあります。
しかし、これも首の筋肉が原因で起こっているケースがほとんどで、頸性神経筋症候群
の治療をすれば、まず完治します。
頸椎ねんざでは、牽引する治療(首を引っ張る治療)を整形外科では行っていますが、
これは、異常を発している首の筋肉に新しい外傷を加えることになりますので、絶対にし
てはならない治療法です。いまだに、このような治療をされる医療機関が存在しますので
注意が必要です。病気を長引かせ、かえって悪化させてしまいます。また、首にカラーを
装着するのも、首の筋肉のためには逆に害になり、治療が長引くというのは、世界中で常
識とされてきています。
頸椎ねんざを起こした後、不定愁訴が長引くようでしたら、頸性神経筋症候群をまず疑
うのが原則になっています。
更年期障害(難治性・若年性・男性)
動悸、のぼせ、耳鳴り、眠れない、イライラする・・
中高年の女性に多いとされるさまざまな身体の異常と
それに伴う情緒不安定は、「更年期障害」と言われていま
す。ホルモンバランスの崩れによって起こるとされ、女
性ホルモンを補う治療方法が一般的に行われております。
また、本来閉経期前後の女性に多いはずの更年期障害
が、若い年代に起こる若年性更年期障害、男性にも似た
ような症状が出る男性更年期障害があると言っているド
クターもいます。
以上のように、40 歳代、50 歳代以降の女性に不定愁訴
があると、ほとんどが更年期障害と診断されるようです。血液検査を行って、女性ホルモ
ンの1つである卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が著しく減少していることが確認
- 187 -
された場合は、薬でエストロゲンを補うホルモン補充療法が有効とされています。この年
代の女性で、エストロゲンが減少しているのは当たり前ともいえます。
ところがホルモン補充療法を行っても症状が改善されない人も少なくないのです。私の
知人のベテランの産婦人科医師の経験では、更年期障害と診断された方でも、ホルモン補
充療法で治せるのは4割程度だと言っています。残り6割の人の不調は別の原因で生じて
いるそうです。つまり、首の筋肉の異常を疑ってみる必要があるのです。
もし、婦人科で更年期障害の治療を受けても症状がよくならないときは、首のこりがな
いかをチェックし、異常があれば首の治療を行うべきです。
首の筋肉の異常を治療すると、不定愁訴は霧散して、更年期障害といわれていた症状は
ホルモンの治療なしで完治します。
ドライアイ
ドライアイは、眼科では「パソコンの使いすぎで目が疲れているせいですね」などと診
断され、目薬を渡されて「少しパソコンを控えるように」などとアドバイスをもらって帰
されることがほとんどだと思います。
しかし、このような診断とアドバイスに従ってドライアイが完治した人はいないと思い
ます。もし、「目の疲れ」が原因なら、パソコンの使用を控えれば、症状が大きく改善する
はずです。自宅ではほとんどパソコンを使わない人なら、週末、テレビを見るのを控えれ
ば、目の疲れも多少回復してドライアイも少しは改善しそうなものです。
しかし、しつこいドライアイに悩まされている人は、一説によれば 800 万人とも言われ
るほどで、とにかく増える一方です。つまり、眼科ではドライアイの根本的な治療は、で
きないのが現状です。
このことからも、ドライアイが「画面の見過ぎ」のようなシンプルな原因で起こる症状
ではないことは、明らかです。
では、どうしてドライアイが生じるのでしょうか。
その理由は、ドライアイの人の瞳にペンライトの光を当ててみると分かります。
人間の瞳孔は、対光反射といって、まぶしいところでは小さくなり、暗いところでは大
きくなる性質があります。これは、人間の意思とは関係なく起こる現象です。
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ドライアイの人の瞳は、この対光反射が非常に鈍いのです。光を当てても、瞳孔が本来
よりも少ししか閉じないのが普通で、症状がひどい人の中には、まったく瞳孔が反応しな
い人もいます。まるで、死人の瞳のように光に無反応なのです。
ドライアイは目が乾いて不快感が続く、涙が少ないことが原因ですが、これは、首の筋
肉がこって硬くなることで自律神経が圧迫され、副交感神経の働きが悪くなるのです。涙
腺に働いて涙を出すのは副交感神経です。これが失調して涙が出なくなるのです。
首の筋肉のこりをほぐし、自律神経を圧迫から解放してやれば、自然と身体はバランスを
取り戻し、ドライアイも解消されます。
多汗症
身体を動かしているわけでもないのに汗が多い症状が、多汗症です。
重症の場合は、一晩に3回も4回も下着を替えないといけないほどの大量の汗をかく人
もいます。発汗は交感神経優位、副交感神経劣位で起きてきます。首の筋肉の異常で起こ
る自律神経失調は、常にこの型です。
こうした人は、頸性神経筋症候群の治療で症状がぴたりと止まります。
VDT症候群・・前屈みの作業
目の疲れや肩こり、ドライアイ、めまい、吐き気などの身体の不調と、倦怠感などの精
神の不調は、「パソコン作業のしすぎ」に原因を求められ「VDT症候群」と見なされるこ
ともあります。「パソコンなどのVDT機器を使うことで生じるストレス」ということで、
その原因を「テクノストレス」と呼ぶこともありますが、これもまた原因についての十分
な説明とは言えません。
パソコンを使っているせいで身体に不調を感じていることは確かなのですが、その原因
は、目から入ってくるデイスプレイの光などにあるのではありません。また、「不慣れなパ
ソコンを使うストレスで・・」などとストレスの原因が説明される場合もありますが、こ
れも残念ながら、原因の説明としては不十分です。
パソコン作業で問題なのは、作業中の姿勢が原因で首に負担がかかりすぎ、首こりが起
- 189 -
こることです。それによって自律神経が不調に陥っているので、心身にさまざまな不調が
現れてくるのです。
仕事などでパソコンを使う時間が長くなると、不
定愁訴が現れるため、因果関係を誤解しがちですが、
その根本は首こりです。首こりを治療すれば、不定
愁訴はなくなりますし、首こりに注意して、予防し
ながらパソコンを使うようにすれば、いくら長時間
の作業をしても、VDT症候群は現れません。
VDT症候群には、キーボードやマウスの使いすぎで起こる手首の痛みなども含める場
合もありますが、大半の方が不快で深刻に思っているのは不定愁訴です。そして、それは、
治療することが可能なのです。
「あなたはVDT症候群です」と診断されたとしても、現代社会で仕事や生活を続ける
限り、パソコン作業から離れて生きていくことはできません。不的確な診断に惑わされず、
まず首こりを疑ってみてください。
ここでは、パソコン作業に関してしか述べていませんが、パソコンを使わない作業で、
あなた自身が、毎日「前屈みの姿勢」で作業される点も全く同じことが起きてきます。
決して、自分は関係ないと考えずに、自分の仕事・生活習慣を振り返ってみて下さい。
他人事ではないはずです。首こりからさまざまな危険な状態に至らぬように毎日の注意
が必要とされると言えます。
- 190 -
片頭痛は頚性神経筋症候群なのか?
「頚性神経筋症候群」とは、ストレートネックが長年月にわたって持続した病態を意味し
ています。
この治療を行うにあたって、患者さんの訴える症状が、首疲労からきているものかどうか
を見極めるための「問診表」を作成し、30 個の質問項目のうち、チェックされた個数によ
って、治療の是非がまず検討されるべきとされています。
片頭痛の場合、これまでの実地臨床から想定して、恐らく以下のようになるものと思わ
れ、特に「慢性片頭痛」に至った場合は、以下のようになると思われます。
問診表
1.頭が痛い、重い
〇
2.首が痛い、首が張る
〇
3.肩がこる
〇
4.風邪をひきやすい、いつも風邪気味
5.ふらっとする。めまいがする。
〇
6.歩いたり、立っているとき、なんとなく不安定
〇
7.吐き気がする
〇
8.夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い
〇
9.血圧が不安定である。
10.暖かいところに長時間いられない
〇
11.汗が出やすい
12.静かにしているのに心臓がどきどきする
13.目が見えにくい。像がぼやける
〇
14.目が疲れやすい。または痛い
〇
15.まぶしい。または目を開けていられない
16.目が乾燥する。または涙が出すぎる
- 191 -
〇
17.口内が乾く、つばが出ない。または、つばが多い
18.微熱が出る(37度台、原因不明)
19.胃腸症状(下痢、便秘、嘔気、食思不振、腹痛)
20.すぐに横になりたい
21.疲れやすい
22.何もする気が起きない。意欲がない
23.天気の悪い日か、その前日に調子が悪い
◯
24.気分が落ち込む。気が滅入る。
◯
25.集中力が低下して、ひとつのことに集中できない
◯
26.わけもなく不安だ
◯
27.イライラして焦燥感がある
28.根気がなく。仕事や勉強を続けられない
29.頭がのぼせる。手足が冷たい、しびれる
30.胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる
恐らく、15 項目には〇がつくものと思われます。
そして、頚部の触診により、後頚部の筋肉に、圧痛点が多数認められるのが特徴です。
この”後頚部の筋肉に圧痛点が見られること”に関して、国際頭痛センター長
新百合
ケ丘ステーションクリニックの坂井文彦先生も指摘されておられます。
結局、
「頚性神経筋症候群」の病態での頭痛の表現型は遺伝的素因の有無により決定され、
素因があれば片頭痛を、素因がなければ緊張型頭痛を発症するものと思われます。
また、頭痛患者にストレートネックを認めた場合には、頸椎レントゲン撮影を行う際の
注意点として、中間位での前弯の消失に加えて、前屈位での前弯の不十分、を問題にすべ
きです。そして、松井先生考案の「問診表」の 30 項目のうち5個以上の症状があり、頚部
筋肉群に圧痛点を認めた場合に、臨床的に意味のある「ストレートネック」とすべきと思
われます。この点、エビデンスなしと短絡的に考えないことが重要です。
また、東京女子医科大学の岩田誠先生は以下のように指摘されております。
- 192 -
『片頭痛との関係においては、上記のような「頸性神経筋症候群」という病態が片頭痛患
者に生じますと、片頭痛発作の頻度の増加や程度の悪化、トリプタンの効果減弱につなが
ります。従って、明らかに片頭痛患者であると思われる方で、「頸性神経筋症候群」がある
場合には、片頭痛への治療と同時に、「頸性神経筋症候群」に対する積極的な治療を行うよ
うにすべきです。これにより発作頻度の減少、発作時の症状の軽減、トリプタンの効果の
改善が認められる患者が少なくありません。』
この点、片頭痛が「頚性神経筋症候群」そのものなのか、片頭痛に「頚性神経筋症候群」
が合併したものか、見解の分かれるところです。
しかし、松井先生によれば、頚部の筋肉疲労が原因となる片頭痛は確かに存在し、この
ような片頭痛に対して、
「頚性神経筋症候群」の治療法で、片頭痛を完治させたと報告され、
今後さらに症例が集積されてくると思われます。
現時点では、「頚性神経筋症候群」という病態が、医療関係者や一般の方々に余り知られ
ていないようです。片頭痛の方々には殆ど認知されていないため、、まず「頭痛外来」に受
診されるために、治療成績数が少ないものと思われます。
当医院でも、平成 15 年から、低出力レーザー照射(東京医研)で片頭痛患者さんに応用
して参りましたが、松井先生の方式のように「徹底した治療」とまでは行かず、患者さん
任せの照射しかできていないため、中途半端な治療となり、完治例は経験できていません。
今後は、松井方式に従って、”徹底して照射を行う”ようにすべきと考えています。
片頭痛の病態・・ストレートネックとの関連から
片頭痛と「めまい」
片頭痛もちの方は、実に様々な「めまい」を起こします。それには、頭痛発作の前兆と
して生じる「めまい」、頭痛発作の最中に生じる「めまい」、それから頭痛発作のない間欠
期に生じる「めまい」、そして片頭痛もちの方に合併する内耳の病気や脳梗塞による「めま
- 193 -
い」が分けられます。
前兆としてグルグル回る回転性の「めまい」、耳鳴り、呂律が回らない、物が二つにだ
ぶって見える、両眼の視力障害、歩行不安定などを生じる片頭痛発作は、脳底型片頭痛と
呼ばれ、若い女性に多く見られます。時には、意識混濁を伴うようなこともあります。
片頭痛患者では、片頭痛発作のない一般人に比べて、脳梗塞を起こす確率が高いことが
知られています。その頻度は、片頭痛のない人の数倍程度です。片頭痛もちの方に生じる
脳梗塞は、主として小脳や下部脳幹に生じ、小さい梗塞が多いと言われています。これら
の場所に生じる脳梗塞では、発症時にグルグル「めまい」や、グラグラ「めまい」を、し
ばしば生じます。
片頭痛とは全く関係なく、「めまい」と頭痛が生じることもあります。それは、欧米人
に比べて日本人に多い、椎骨動脈解離です。動脈の壁の内側が破壊されたため、それによ
って出来た動脈壁の裂け目の中に、内側から血液が流れ込み、動脈壁の裂け目をどんどん
大きくしてしまうのが、動脈解離という現象です。頚椎の作る骨のトンネルを通って頭蓋
内に達する椎骨動脈の解離は、日本人では珍しくないのですが、欧米人では滅多に見られ
ません。椎骨動脈解離は、後頭部の強い痛みと回転性「めまい」で始まることが多く、頸
部外傷によるむち打ち損傷や、頸部の不自然な姿勢などが、その誘発因子となることが知
られています。
これに対し、前兆を伴わないで頭痛だけが起きる片頭痛発作では、グルグル回る「めま
い」は普通見られませんが、眩しくて、目が開いていられなくなるようなギラギラ「めま
い」が起こることが稀ではありませんし、フワーッと気が遠くなるような「めまい」や、
グラグラして不安定になるような「めまい」を生じることもあります。
片頭痛もちの方では、ギラギラ「めまい」が、頭痛のない時でも起こることがあります。
外界が異常に眩しく感じられたり、縞模様や格子縞の模様を見るとグラグラッとする「め
まい」を覚えたりすることがあるのです。このようなことを避けるため、普段からいつも
サングラスをかけていないと生活できないという方も居られます。
片頭痛もちの方には、子供の頃から車酔いや船酔いに苦しんだ方が多いことが知られてい
ます。小学校の頃、遠足などでバス旅行をすると、きまって車酔いにかかってしまった、
というような方が、思春期をすぎると片頭痛発作を生じるようになることが少なくありま
せん。また、片頭痛もちの方は、しばしば、良性発作性頭位性めまいのような内耳性の「め
- 194 -
まい」を併発します。このような病態は、片頭痛の共存症と呼ばれていますが、どのよう
な機序で関連しているのかは判っていませんでした。
ところが、これらの「めまい」に対して、東京脳神経センターの松井孝嘉先生は「頚性
神経筋症候群」のひとつの「病態(頸性めまい)」として考えています。
天井がぐるぐる回るとか、いつも雲の上を歩いているようにふわふわしているとか、船
に乗っていりように体が揺れている感じがいつもある、どこかへ引きずり込まれるような
感じがするとか、めまい、ふらつきの患者さんの訴えはいろいろです。
また耳鼻咽喉科で「良性発作性頭位めまい症」「メニエール症候群」も「頚性めまい」の
ひとつと考えておられるようです。
また、これとは別に、首の筋肉がこっていると交感神経が優位となり、瞳孔が開きっぱ
なしになり、「まぶしくて、目が開けていられない」このため「家の中にいてもカーテンを
しめている」とか「テレビがまぶしくて見られない」「ものが見えにくい、像がぼやける」
「目がつかれやすい、目の奥が痛い」といった症状が出てきます。
ところが、これまで東京女子医大の清水俊彦先生は、診察室にわざと照明を付けたシャ
ウカステンに対する態度から”眩しそうにする”態度を「脳過敏の証」とされていますが、
これは、頭から「ストレートネック」との関係を否定した考えとしか言えません。
このように、「頚性神経筋症候群」のひとつの「病態(頚性めまい)」と考えられます。
片頭痛と肩こり
肩こりは日本人特有です。欧米人は肩こりを neck pain としてとらえているようです。
肩こりは片頭痛の重要な随伴症状です。
首の痛み(肩こり)は片頭痛の全過程で随伴する(間中信也先生による)
前駆期に
61
%
頭痛期に
92
%
頭痛消失期に
41
%
- 195 -
このように、片頭痛の全経過中に、肩こりは出現してきます。
「頭が痛くなる前に、そう言えば肩がこってくる」
「片頭痛と肩こりがワンセットになっている気がする」
こういう人は多いのではないでしょうか。
実は、片頭痛と肩こりは深くつながりがあります。
片頭痛と肩こりの原因は、体の筋肉の収縮にあります。
長時間、同じ姿勢でずっと作業をしていたり、パソコンの画面を眺めていたりすると、血
行が悪くなり、背中から肩にかけての筋肉が収縮してしまいます。
この収縮が、脳にも影響を及ぼし、片頭痛の原因になることがあるのです。
片頭痛と肩こりは、痛みを緩和するツボを押すことで、ラクになることがあります。
また、一時的な片頭痛と肩こりなら、首や腰、背中、肩などをマッサージすることで、血
行がよくなり、結果的に改善していくという場合があります。
片頭痛と肩こりを起こさないためには、あまり長い時間、不自然な姿勢をとり続けないと
いうことにあります。
長時間のデスクワークを余儀なくされている人でも、せめて30分に一度など、意識的に
姿勢をくずして伸びをしたり、立ち上がったり、体をラクにする休憩を取り入れてみまし
ょう。
体に対するストレスが解消されることによって、片頭痛と肩こりが改善されることがほと
んどなのです。
尾側亜核で三叉神経と頚神経が収束する
ストレートネックのために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、そ
の刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで、三叉・頚神経複合
体を形成していて、つながっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経にも伝わります。
ある片頭痛患者さんの体験談
・片頭痛が起こる前は
- 196 -
・こりが首と肩の接点の辺り(C3)から
・首の後ろ側を伝わって
・頭に這い上がってくる感じがします
・そして、頭と首の接点のくぼんだ所(天柱、C2)にものすごい圧迫感を感じます
・その後、こめかみがズキン、ガンガン
吐き気もして、寝込んでしまいます。
・この頭痛経過は、三叉・頚神経複合体(cTNC)が賦活される様子を如実に表しています。
この、片頭痛に見られる「肩こり」もストレートネックに関連したものです。
ところが東京女子医大の清水俊彦先生は,肩こりは三叉神経核の興奮性が引き金になる
下行性のアロディニアではないかと述べています。
このような視点は、従来の頭痛専門医の考え方を如実に示した考えであり、「頭痛とスト
レートネックは関係なし」ということを明確に示している見解です。
最近の誘発因子調査によりますと、片頭痛の誘発因子としては、
「睡眠不足」71.1 %、
「頸
・肩の凝り」67.1 %、
「旅行・外出」65.3 %、
「過労」52.9 %、
「目の疲れ」44.5 %、
「緊張」43.6
%、「睡眠過多」27.6 %などが挙げられました。また、チョコレートや赤ワインなどの特定
- 197 -
の食品により頭痛が誘発されたとする人は極めて少数でした。
このように、誘発因子として 「頸・肩の凝り」が挙げられています。
片頭痛とうつ病
これまで、片頭痛の共存症として,うつ病,躁病,パニック障害,不安障害などの精神
科・心療内科領域の疾患が挙げられておりました。。
精神科・心療内科医は、片頭痛とうつ病の合併を考える場合、以下の点を挙げています。
(1) 頭痛を持っていた人が、たまたまうつ病などの精神疾患にかかった場合
(2) 頭痛に悩んでいるために、二次的な症状として抑うつや不安状態に陥った場合
(3)
うつ病やパニック障害などの精神疾患の身体的な症状として頭痛が認められる場合
(4) セロトニンを中心とした共通の生物学的な要因を背景として、頭痛とうつ病が共存し
ている場合
治療上、うつ病が見落とされる可能性が高く、問題となるケースが多いのが(1)や(3)の
パターンです。
(1)のパターンでは、頭痛が続いて気分がなんとなく落ち込みがちでも、「頭痛だから仕方
ない」と片付けられたり、また(3)のパターンでは、頭痛が続いていても市販の頭痛薬で抑
えようとします。しかし、うつ病の身体症状として頭痛が起こっている場合は、頭痛薬で
よくなることはほとんどなく、うつ病自体の治療をしなければ頭痛は改善しません。実際、
頭痛は不眠や食欲低下、倦怠感と同様にうつ病で高頻度にみられる身体症状の1つです。
「朝の頭痛はうつのサイン!」
イギリス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペインの5カ国で、朝起きたときの頭痛
の有無や頻度について、専門家による電話聞き取り調査が行われました。
その結果、調査対象となった約1万9千人のうち 7.6 %が朝の頭痛に悩んでいました(1
- 198 -
3人に1人の割合)。また、朝に頭痛がある人のうち 30 %(4 人に1人)は、うつ状態
でした。
もし、あなたが今、朝起きたときの頭痛に悩んでいるようであれば、一度医療機関を受
診してみましょう。
[Prevalence and Risk Factors of Morning Headaches in the General Population] Archives of
Internal Medicine Vol. 164 No. 1, January 12, 2004
では、なぜうつ病などのこころの病気によって頭痛が発症するのでしょうか?
その理由の1つとして、人は精神的に不安定になると、通常よりも痛みに対して敏感に
なるということが挙げられます。そのため、これまでなら痛いと感じていなかったことに
対しても、痛みを感じるようになるのです。また、うつ病によって頭痛が起こる以外に、
頭痛が先行してうつを引き起こす場合でも、同様に痛みへの過敏反応は生じます。具体的
に説明すると、頭痛が続き、不快な状態が続いていると、それがストレスとなり精神的に
不安定になります。そのために、通常よりも痛みを強く感じ、ますます頭痛がひどくなり
ます。さらに、頭痛をはじめとして痛みという感覚は種々の不安を起こしやすく、頭痛を
訴える患者さんには、自分の病気は脳出血、脳梗塞、脳腫瘍ではないかという不安があり、
その不安が頭痛を悪化させることが多いと言われています。
頭痛を主症状としていても、頭痛が引き金となりうつ病を併発し、これによって頭痛が悪
化している場合や、うつ病の症状そのものとして頭痛が発症しているような場合は、抗う
つ薬などによるうつ病の治療が必要になります。そのため、単なる頭痛とすませずに、頭
痛に悩んでいる場合は、少しでも早く医師に相談することが大切です。
また、片頭痛や緊張型頭痛で薬を飲んでいるのに一向に症状が改善されない場合も、背
景に抑うつ状態を伴っている可能性もあるため、一度、専門医を受診することをお勧めし
ます。
<頭痛の背景に抑うつ状態が隠れていたサラリーマン A 氏の例>
A 氏は35歳の会社員。これまで大きな病気をすることはありませんでした。性格的に
は几帳面でまじめであり、仕事に対する責任感も強い方でした。仕事で新しいプロジェク
- 199 -
トが始まり、チームリーダーとなった A 氏は、これまで以上に仕事に打ち込みました。お
昼を食べ損ねることや残業が度重なり、多少からだに負担はかかっていたものの、チーム
リーダーという立場から弱音をはくわけにもいかず、がんばり続けました。
その頃から朝、目が覚めると頭が重くなったり、締め付けられるような頭痛に見舞われ
るようになりました。A 氏は疲れがたまっているのだろうと思い、市販の鎮痛薬を飲んで
痛みをやり過ごしていましたが、頭痛はだんだんひどくなり、仕事に集中できないことも
増えてきました。また、頭の重みのために、からだを思うように動かせず、会社に行くの
がつらく感じるようになっていきました。
このような状態が数週間も続き、このままではチームに迷惑をかけると思い、近くの病院
を受診したところ、手足のしびれ感や吐き気なども見られないため、ストレスによる緊張
型頭痛の疑いと診断されました。鎮痛薬を処方され、2ヶ月間服用しましたが、症状はあ
まり改善されませんでした。
A 氏の表情はだんだん暗くなり口数も少なくなってきたことから、ただの頭痛ではないと
思った担当の医師が精神面の検査を実施したところ、抑うつ傾向が認められました。その
ため、抗うつ薬による「うつ状態」の治療が開始され、1 週間くらいたった頃、朝、目覚
めたときの頭の重さがとれたとのことです。
セロトニンとの関連から
片頭痛は、うつ病の症状としてもよく現れます。
うつ病の症状はさまざまで、食欲不振、不眠、気分の落ち込み、疲労感などがあります
が、これらと同じくらい片頭痛という症状でも現れます。
うつ病に伴う片頭痛の原因としては、脳内神経伝達物質セロトニンが減少することによ
って引き起こされると考えられています。
うつ病に伴う片頭痛は、通常の片頭痛と比較して特徴があります。
通常、片頭痛は突然発生し吐き気などを伴いますが、うつ病に伴う片頭痛は、朝起きた
- 200 -
時からすでに頭痛が起きており、それが持続するという点が特徴的です。
うつ病に伴う片頭痛の場合、うつ病の治療を行うことが片頭痛の治療にもつながります。
なお、片頭痛によりさらに気分が落ち込むようだと、さらに片頭痛がひどくなるといっ
た悪循環に陥りますので、早期のうつ病治療が重要になります。
現在、治療中で、経過が思わしくない場合
以上のように、精神科・心療内科医は考えて、片頭痛に合併する「うつ病」を治療され
て来られました。ところが、このようにして、抗うつ薬を長年服用するにも関わらず、一
向に「片頭痛もうつ病」も軽快されない方々が多く見受けられます。
このような方々の中に、東京脳神経センターの松井孝嘉先生は、「頚性神経筋症候群」の
病態として「頚性新型うつ」が存在することを明らかにし、これらは「頚部の筋肉疲労」
をとる治療法で、片頭痛もうつ病も完治すると述べています。
もし、皆さんの中で、片頭痛にうつ病を合併されておられる方で、精神科・心療内科で
抗うつ薬の投与を長年受けているにも関わらず、一向に良くならない方は、一度は、この
「頚性新型うつ」の可能性を疑ってみて下さい。
これを疑う方法は極めて簡単にできます。以下の問診表の中で何項目、あなたは該当す
るでしょうか?
まず、試してみて下さい。
問診表(松井孝嘉による)
以下の項目について、あれば番号の箇所に丸印をつけて下さい。
1.頭が痛い、重い
2.首が痛い、首が張る
3.肩がこる
4.風邪をひきやすい、いつも風邪気味
5.ふらっとする。めまいがする。
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6.歩いたり、立っているとき、なんとなく不安定
7.吐き気がする
8.夜、寝つきが悪い。目覚めることが多い
9.血圧が不安定である。
10.暖かいところに長時間いられない
11.汗が出やすい
12.静かにしているのに心臓がどきどきする
13.目が見えにくい。像がぼやける
14.目が疲れやすい。または痛い
15.まぶしい。または目を開けていられない
16.目が乾燥する。または涙が出すぎる
17.口内が乾く、つばが出ない。または、つばが多い
18.微熱が出る(37度台、原因不明)
19.胃腸症状(下痢、便秘、嘔気、食思不振、腹痛)
20.すぐに横になりたい
21.疲れやすい
22.何もする気が起きない。意欲がない
23.天気の悪い日か、その前日に調子が悪い
24.気分が落ち込む。気が滅入る。
25.集中力が低下して、ひとつのことに集中できない
26.わけもなく不安だ
27.イライラして焦燥感がある
28.根気がなく。仕事や勉強を続けられない
29.頭がのぼせる。手足が冷たい、しびれる
30.胸部が痛い。胸部圧迫感がある。胸がしびれる
この、質問項目のうち5項目以上、あてはまるものがあれば、まず「頚性新型うつ」が
疑われます。この場合は、頸椎レントゲン検査を受け、「ストレートネック」の有無を確認
してもらって下さい。もし、ストレートネックがあれば、現在の主治医である「頭痛専門
医」に相談して下さい。しかし、必ずしも、このような考えをされる先生とは限りません。
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このような場合は、自分で治すしかありません。
この場合、東京在住の方は、東京脳神経センターを、四国に在住の方は香川県の松井病
院を受診して下さい。このような治療をされる医療機関はごく限られております。
地域的に無理であれば、自分で「ストレートネック」を治すしかありません。
片頭痛の慢性化・・セロトニン・ストレートネックの関与???
慢性の頭痛である片頭痛は繰り返し頭痛発作が起こる反復性の片頭痛として始まり
約 30 %寛解し、また、約 30 %の患者さんは高齢になっても反復性の片頭痛のままであり、
約 40 %の患者さんは慢性化するとされています。(日本頭痛学会誌 2010vol.37
シンポジ
ュウム 3-5:竹島多賀夫)
慢性化のリスク要因には医療介入できない因子として、女性、社会的経済的階層(低い教
育歴と低収入)、婚姻状態(未婚)、頸部または頭部外傷の既往などがあり、介入可能な因
子には、肥満、いびき、睡眠時無呼吸、生活上のストレス、カフェイン摂取、急性期頭痛
薬の過剰使用が知られています。片頭痛発作時には神経原性炎症により三叉神経血管系の
過敏性と中枢感作がおこりますが、この炎症と感作の慢性化が片頭痛の慢性化の中心的な
メカニズムと考えられていました。
片頭痛の体質を有する人は、光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性
が増大し、これがある限度を超えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、
脳内視覚野である後頭葉、聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報
告されています。最近、片頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠
い た 状 態 が 長 期 間 放 置 さ れ て 発 症 す る 経 年 的 な 症 状 を 「 脳 過 敏 症 候 群 ( Cephalic
Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が提言されています。
慢性連日性頭痛の治療には、適切な頭痛診断と病態把握に立脚した合理的な戦略が必要
で、リスク要因のうち、回避可能なものは避け、薬物乱用があれば中止し、適切な予防療
法薬を投与することが原則であるとされています。慢性化した片頭痛はしばしば難治性と
なりますので、あらかじめ反復性の片頭痛治療において急性期治療薬の使用を適正化し、
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発作頻度が高い場合は適切に予防薬を使用し、慢性化を予防することが重要であると言わ
れて参りました。
さらに、慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくな
り、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲
むことになり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようにな
ったと思われます。片頭痛の慢性化は、最近増加しており、脳の痛み調節系を活性化する
ことが治療の第一歩です 。
以上概観してみましたが、片頭痛の慢性化には、睡眠障害、ストレス、うつ状態、姿勢
に関与する筋肉等々さまざまなものが関与しており、ここでも「ストレートネック、セロ
トニン」の関与が示唆されます。
本来「セロトニン不足」がある上に、さらに不規則な生活やストレスなどが加わり「セ
ロトニンの枯渇」した状態が慢性化に関与しているようです。
このような意味で、片頭痛が慢性化した方々の、日常生活習慣の状況を、つぶさに明確
にして頂きたいものです。ここにポイントがあるように思われます。
今後、脳過敏症候群に至った方々の、治療成績が、どのような結果になるか、極めて興
味深い点です。今後、期待されます。
片頭痛と自律神経
血管は、自律神経の働きによって支配されています。自律神経のコントロールが出来て
いないと片頭痛を起こしやすくなります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経と副交感神経は正反対の働
きをします。
交感神経の働きは、血管を収縮させ、心拍数がを増加させ、血圧を上昇させます。
副交感神経の働きは、血管を拡張させ、心拍数を減少させ、血圧を低下させます。
一般にストレスを受けると交感神経が優位になり、身体は緊張状態になります。片頭痛
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ではこの自律神経のバランスが崩れていることが多く見られます。
また、自律神経と背骨は深い関係にあります。背骨の調節を行い機能を正常にすること
によって、自律神経のバランスが整い、片頭痛の改善が期待できます。特に首の上部(上
部頚椎)が重要で、上部頚椎に問題が見られることが多いようです。
ストレートネックが存在しますと、体中至る所に様々な緊張が不自然な歪みや血行不良
を起こします。こうした機能低下の引き金となっている重要な筋肉があります。
それが胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉です。ちょうど頭の付け根(耳の後ろあたり)から、
首筋(くびすじ)、鎖骨にかけて首の両側に付いています。
この筋肉の緊張は頭痛やめまい、耳鳴り、難聴などの引き金になる原因筋と考えられ、
おおかた自律神経を司る筋肉とみる専門家もいるほどです。
頭痛・片頭痛に悩む方の多くは、この筋肉の影響によって、首のいたるところに突っ張
りやコリ・鈍痛を感じるのが特徴でもあります。(一度、首や肩を色々と押してみてくださ
い。痛みやコリを感じる部分があるはずです)
そういったことから、この胸鎖乳突筋の緊張を和らげることが、頭痛・片頭痛のひとつ
の改善ポイントになってくるのです。
この考えで、坂戸孝志は「片頭痛 大革命」の方式を提唱しています。
胸鎖乳突筋は重要な筋肉だけに非常に凝りやすく、日常生活でのストレス、肉体疲労、
不摂生など、様々な環境からすぐに影響を受けてバランスを崩してしまいます。
1978 年、東京脳神経センターの松井孝嘉先生が、首こりからさまざまな自律神経失調症
状が引き起こされる病態を「頚性神経筋症候群」と名付けました。その後、長年の治療法
の研究により、試行錯誤を繰り返しつつ、2005 年に、「頚性神経筋症候群」の治療法が確
立されました。
要するに、ストレートネックが長期間、放置されて引き起こされるのが「頚性神経筋症
候群」という病態です。
この病態を示す疾患として、以下のようなものがあります。
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緊張型頭痛、片頭痛、めまい、自律神経失調症、うつ、パニック障害、ムチウチ、更年
期障害、慢性疲労症候群、ドライアイ、多汗症、不眠症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、
機能性食道嚥下障害、血圧不安定症、VDT症候群、ドライマウスを引き起こしてきます。
ストレートネックによる「首こり」によって引き起こされる代表的症状は「頭痛」
「めまい」
「自律神経失調症」の3つです。
自律神経失調症によって起こるさまざまな身体の異常は、頭痛、耳鳴り、口の渇き、喉
の圧迫感、動悸、めまい、立ちくらみ、息苦しさ、手足の冷え・しびれ、多汗、皮膚のか
ゆみ・乾燥、頻尿、関節の痛み、倦怠感、微熱、不安感、なんとなく目が見えづらい、目
が乾く、手足が冷える、天気が悪くなりはじめると体調が悪くなる、などなど、挙げれば
きりがありません。
片頭痛と気象・・・天気痛・気象病
片頭痛の方の中には、発作の誘因として、気象が関係している人がおられます。
特に 雨の日の前日(天気が崩れる前)や雨の日に、片頭痛の発作を起こしてきます。
雨の日はもちろんのこと、台風やフェーン現象等々のように低気圧が関係している場合が
あり、中には、気象予報士よりも、的確に天気を予測される方もおられます。、
テルモでは以前より、気象の変化が健康に与える影響を予測し、病気の予防や悪化の予
防に役立ててもらうための健康情報「テルモ健康天気予報」ウェブサイト、テレビ、ラジ
オ等のメディアを通して広く世の中に提供して来ました。2004 年から、新たに天気と片頭
痛の関係についての予報を加えました
テルモは気象会社 いであ株式会社と共同で、神奈川歯科大学附属横浜クリニック
五十
嵐久佳教授監修の下、片頭痛患者さんの片頭痛発症記録と、気象条件との関係を分析し、
この結果、気温が上昇傾向にあった後、湿度が高い条件で、痛みを訴える人数が多くなる
傾向にあることが分かりました。
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気象誘因で発症する方の場合の対処法としては、急激な気温変化を避ける、日差しをサン
グラスで防ぐなどが効果的です。
「健康天気予報」により、日常生活に役立ててもらうため、
サービスを開始しました。
この季節の変わり目などの温度変化や低気圧などの気象条件が誘因となっている方々は、
生まれつき「脳の興奮性が高く」このような環境の変化に過敏に反応して発作を起こして
来ると考えられて参りました。このような自然現象の気象が関係する場合は、どうするこ
ともできないため、不治の病と思い、諦めてしまう原因となっていました。
ところが「片頭痛に悩む女性へお勧めですよ!」のブログからの引用です。
私、下の歯の奥歯が1本、変なふうに生えてきていたんです。
みんな上に向かって生えているけど、1本だけ横向きに。
永久歯の生え変わりのときにそうなってしまっていて、それをそのまま放置していたん
だけど、歯磨きしにくいし、虫歯になったらやっかいだろうなぁと思い、23 歳の頃に抜い
たんです。
そしたら・・・
『これが原因だったの??』っていうくらい、片頭痛は起こらなくなりまし
た。
雨が降ると思い出す、梅雨時期の片頭痛。。。
天気が悪くなると頭が痛くなる
もちろん、片頭痛をきちっと治してしまえば原因となるものがあっても、何にも怖くない
けどね!
以上のように記述され、以後天気の変化にも関係なく、頭痛はなくなったようです。
一方、私たちの身体は、日々、天気の影響を受けています。特に、関節リウマチ、片頭
痛、腰痛といった慢性の痛みをもつ患者さんでは、雨の日や寒い日に、痛みがひどくなる
ようです。
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このような身体と天気の関係に対する概念は古く、古代ギリシャ時代までさかのぼりま
す。ドイツでは、1952 年からハンブルグ気象台で、気象が健康状態に与える影響の予報が
行われていたそうです。日本でも、1962 年に設立された「日本生気象学会」で、身体と健
康の研究が進められ、近年では、「健康天気予報」といった気象の変化を事前に知り、予防
を行うためのサービスも登場しています(前述)。
痛みに影響する気象の変化の一つは、気圧の低下だといわれています。外部の気圧が低
下すると、関節が膨張し、痛みが生じるようです。また、気温の低下も痛みを引き起こす
といわれています。これは、気温が低下することで血液の流れが悪くなり、交感神経が刺
激されることで痛みが生じると考えられています。しかし、全ての痛みの悪化が天気のせ
いだというわけではありません。いつも感じる天候による痛みとは違った、症状の変化を
感じた場合には、何かの原因疾患が隠れている可能性もあるため、医師に相談しましょう。
また最近、天気痛とか気象病という概念があります。
天気痛…気象の急変をもたらす前線の通過などによって起こる体の痛み。リウマチ、外
傷、神経疾患(片頭痛、頸椎症等々)の痛みなど。
気象病…天候や時間~日単位での気温や気圧・湿度などの気象条件の変化が、痛みに限
らず症状の変化の引き金になる疾患
直接原因は自律神経のパニックと血行の悪化とむくみ
交感神経と副交感神経からなる自律神経のうち、痛みと関連が強いのは 「体のテンショ
ンを上げる」交感神経の方です。天候が変わる程度の 範囲の変化では、気圧は低いと、ま
た温度は下がると、そして湿度は高いと、交感神経の作用で 痛みを感じやすくなることが
証明されました。しかし寒いけれど湿度も低い冬は、リウマチの 症状はむしろ軽くなる方
も多いことから、特に痛みに関しては、温度に較べて気圧と湿度の影響力 が大きいようで
す。
交感神経の作用で痛みが増すのは、筋肉や関節周辺では血管を収縮させ、血行が悪くな
り、 疲労物質がたまることが主因です。一方脳の血流は逆に増やすため、血管の拍動が主
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原因の片頭痛も 起きやすくなります。さらに、痛いという感覚自体が交感神経を刺激して、
悪循環になります。
気圧が下がると副交感神経が優勢になりローテンションになります。天気が悪いとやる
気が起きずボーっとしてしまうのはこの作用が関係しています。
また副交感神経優位になると筋肉が緩み、関節の圧力が下がります。
最近、気圧が低下すると、ヒスタミンという物質が増えることがわかりました。ヒスタ
ミンは、外部からの刺激に反応して増え、アレルギーや関節の炎症を起こします。他に血
管を拡張させる作用や血管から水分などが周囲の組織にしみ出させる作用により、血圧を
急低下させたりします。トレーニング中や筋肉痛で筋肉がパンパンに張り、痛いのもこの
ヒスタミンの作用です。またヒスタミンは、神経伝達物質としては交感神経を刺激します。
気圧の低下で基本的に副交感神経が優勢になりローテンションでけだるいところに、ヒス
タミンの作用で交感神経への逆の指令も来るため、自律神経の統合が取れない状態となる
上に、ヒスタミンと交感神経のダブルの作用で血行が悪くなり、痛みに対処できなくなり
ます。 このようにして天気痛は現れます。むくみも血行が低下し疲労物質がたまる原因に
なります。また体液のカルシウムイオンが薄まることで、 筋肉や神経が過敏になって痛み
が出やすくなります。さらに汗が引きにくいことで、不快感もさることながら、 体温調節
しにくくなり、自律神経のバランスの乱れに拍車をかけます。
雨降りの前後の気圧のアップダウンと湿度の上昇による自律神経失調状態+むくみ+血行
の悪化が、 関節痛、神経痛、古傷の痛みを引き起すようです。
この点に関しても、東京脳神経センターの松井孝嘉先生は「頸性神経筋症候群」の立場
からの「自律神経異常」の病態から考え、首こりを改善させることによって軽快すると述
べておられます。
ストレートネックとの関連を示唆する論説
これまで、頭痛専門医の論説で、ストレートネックの表現は全くありませんが、ストレ
ートネックを示唆する論説を2つ提示します。
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慢性頭痛の慢性化に関連して・・北見公一先生の論文から
北海道の北見公一先生は自らのホームページ「脳外科医と考える
頭痛 AtoZ 」のなか
で、「慢性片頭痛の発症における睡眠障害の関与」の箇所で、以下のように記述されていま
す。以下、この部分を掲載させて頂きます。
筆者は慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候群
(Myofascial pain syndrome, MPS)が多く合併することを見出しました。また片頭痛に限
らず,頭痛が慢性化する場合に中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)という現象が
関係していることが知られています。これは末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多く
中枢に伝わると,次第に痛みの閾値が低下し,わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが出
現することを言います。CS になるとわずかな圧迫や熱・冷感を痛みとして感じるようにな
ります。
※中枢性痛覚過敏(central sensitization)の概念は「片頭痛の発生機序」の箇所を参照
緊張型頭痛が慢性化する場合の CS の発生については Bendsten により以下の説明がなさ
れています。すなわち,頭蓋外の筋肉・筋膜から出る侵害刺激は多くの緊張型頭痛に見ら
れる現象ですが,頭痛は筋緊張とは直接結びつかず,首や肩の筋肉からの侵害刺激情報が
出つづけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄路核,さらに三叉神経主知覚核のニュ
ーロンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢性の痛みへとつながるとされます。筋
緊張の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(すなわちセロトニンの枯渇など)が末梢
の機構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織内へのアセチルコリンの放出を増加さ
せたりすると考えられます。そして当初の出来事が治まったあとも CS が継続し,結果的
に緊張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序はむしろ片頭痛の慢性化によく当ては
まります。すなわち中枢神経系の可塑的変化というものが,睡眠障害によりもたらさるも
のであり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張(MPS)がもたらされ,CS を来すと考えられる
のです。
Peresa らは夜間のホルモン濃度変化などから,慢性片頭痛では視床下部不全を示唆する
状態になっていると報告しました。すなわち慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰
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活動の状態になっており,睡眠障害が重要な背景であるかもしれないと結論しています。
慢性片頭痛患者はさまざまなタイプの睡眠障害を有するとされ,薬物離脱により頭痛と
ともに睡眠障害も寛解したという報告もあります。この睡眠障害と片頭痛の慢性化との関
係については,REM 睡眠の内容変化が関与している可能性があるのです。
正常な REM 睡眠期には脊髄以下の運動系が機能しなくなり,眼球運動以外は完全な筋弛
緩の状態になりますが,この正常な筋弛緩が得られなくなることによって,睡眠中に身体
運動が起こることがあります。周期性四肢運動障害や,夢が行動化したかのような複雑な
運動が生じる REM 睡眠行動障害という睡眠障害がありますが,REM 睡眠時に周期的に手
足が動く現象は小児にはよく見られる現象であり,成人でもストレスで歯ぎしりが起こる
ことは知られています。つまり何らかのストレスにより,REM 睡眠期に本来筋弛緩が得ら
れるはずの傍脊柱筋に筋緊張が残存するようになることは十分考えられるのです。
以上のことと,多くの患者さんは片頭痛が慢性化するときに強い情動ストレスを伴う自
己不全感(例えばまた強い頭痛が起こって倒れるのではないか,生活できなくなるのでは
ないか,という恐怖感など)を体験していることより,可能性としてドパミン系が過剰に
活動するために,悪夢のような情動反応を夜間に何度も起こし REM 睡眠期に筋弛緩が得
られなくなり,傍脊柱筋の慢性緊張が起こっているのではないかと推測されます。
Calhoun らは,慢性片頭痛の患者はほとんどが元気を回復するような睡眠をとっていな
いと報告し,この元気回復が出来ない睡眠障害が慢性片頭痛の発生頻度と病態に関与して
いると考えています。すなわち慢性片頭痛の女性 147 人に,朝起きたときリフレッシュし
ているか,疲れているか,をたずねたところ,83.7 %の女性が疲れていると答えたそうで
す。また彼女らに健康的な睡眠指導を行うと 48.6 %の慢性片頭痛患者が反復発作性の片頭
痛に戻ったと報告しています。
参考文献
Bendtsen L: Central sensitization in tension-type headache - possible pathophysiological
mechanisms. Cephalalgia 20: 486-508, 2000.
Peresa MFP et al. Hypothalamic involvement in chronic migraine. J Neurol Neurosurg
Psychiatry 71: 747-751, 2001.
Calhoun AH, Ford S, Finkel AG, Kahn KA, Mann JD: The prevalence and spectrum of
- 211 -
sleep problems in women with transformed migraine. Headache 46: 604-610, 2006.
北見公一:器質的疾患と慢性痛との関係-筋筋膜痛症候群を中心に- 日本臨床 59:1768
- 1772,2001.
宮本智之:レム睡眠行動障害-神経変性疾患の潜因性病態? 睡眠障害の基礎と臨床 UP
DATE
医学のあゆみ 215(3):185-190, 2005.
以上のように、北見公一先生は述べておられます。
これらの記述そのものは、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の提唱される「頚性神経
筋症候群」の病態と一致しております。
従来、「頭痛とストレートネック」に関して、全くエビデンスなしとする考えが根底にあ
ったがための北見先生の記述であろうかと思われます。
今後、このような観点から、再検討が必要と思われます。
頭痛体操と片頭痛の慢性化・・坂井文彦先生による
国際頭痛センター長
新百合ケ丘ステーションクリニックの坂井文彦先生は「頭痛体操
の有用性」の中で、以下のように述べられています。
脳には周囲の環境や体内の変化に対応して、体を一定のコンディションに保つ機能があ
ります。筋肉の緊張が続くと疲労物質や痛み物質の信号が脳に送られます。脳では筋肉の
痛みとして凝った痛み、張った痛み、つった痛みなどと色々に感じます。筋肉からの情報
は神経を介して脳に伝えられますが、神経の通る経路には中継点がいくつかあります。痛
み信号が中継される場合、中継がスムースに行われるよう、脳の痛み中枢から痛み調節物
質が送られます。セロトニン、エンケファリンなどが痛みの中継を調整します。痛み調節
がうまくいかないと、環境の変化からくるストレス刺激がつらい痛みに感じられたり、痛
みが持続したりします。
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片頭痛は三叉神経の興奮により脳の血管を拡張させ痛みを起こしますが、三叉神経は生
じた痛みを脳に伝達する働きもあります。脳幹の三叉神経核は片頭痛の痛みの発生と調節
に重要な役割を果たしています。痛みを抑制する神経も中脳から脳幹の三叉神経核に線維
を送り、痛みを調節しています。痛み調節系が上手く働かないと片頭痛は慢性化してしま
います。本来、時々起こるのが片頭痛の特徴であったのに、痛み調節系が働かないと、毎
日でも片頭痛や関連した頭痛が起こります。痛み調節系は脳の痛みの番人ともいわれます。
片頭痛が慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎますと、脳の痛みの調節系は働く必要がなく
なり、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを
飲むことになり、悪循環になります。
頭痛体操は、首の後ろの片頭痛圧痛点をストレッチし、その刺激で脳の痛み調節系を活
性化するのが目的です。首の後ろからは頸髄神経が脳に向かい、脳幹で片頭痛の三叉神経
系の回路とつながっています。
頭痛体操の方法
「軽く両足を開いて立ちます。両腕を前方に伸ばし、手の掌は下にむけて、肘を半分曲げ
て下さい。正面を向いたまま、頭は動かさず、両肩を水平に大きく回します。頸椎(けい
つい)を軸として肩を回転させ、頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をストレ
ッチします。
顔はまっすぐ前を向いて、肩を回します。首が軸になります。力は抜いて、でも肩は大
きく回して下さい。首がコマの芯なり、そのまわりを肩が回っている感じです。片頭痛の
圧痛点がストレッチされるのを感じながら、続けて下さい。
体操は2分して頂きます。朝夕一回づつ、それぞれ2分間程度の体操で首の硬さがほぐ
れます。ただ、片頭痛の発作中は、絶対に行わないで下さい。
体操で圧痛点がストレッチされ、そこから痛み調節系に良い信号が送られるのです。脳
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の痛み調節系が活性化されると、痛みへの敏感さが随分少なくなります。
この体操は、緊張型頭痛、片頭痛に限らず、頭痛が起きる時に共通して起こるからだの
異変に対して行う体操です。
実は、頭痛が起きる時、共通して首の上の方にシコリができることが多いのです。
このシコリを緩和することを目的とした体操です。
以上のように述べておられます。
しかし、このような考え方には「頭痛とストレートネック」に関する表現はありません
が、ストレートネックとの関連から、頭痛体操・片頭痛の慢性化を考えるべきと思いま
す。
参考文献
北見公一
坂井文彦
ホームページ
http://zutsu-atoz.net/gtdj804c/
頭痛体操の有用性
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/support/voice.html
トリプタン製剤関連
片頭痛治療はトリプタン製剤がすべてか?
片頭痛は、”何らかの引き金”により、最初に脳の一部に小さな興奮が起こり、徐々に周
囲に拡大します(閃煇暗点など)。そのままでは脳に障害が起こります。そこで、脳周囲の
血管が拡張し血流が増加します。脳に酸素と栄養を供給している血管が、脳への架け橋の
グリア細胞を介し脳を守ると考えられます。脳の血管拡張は強い痛みを起こしますが、脳
の障害を必死に守り、また危険信号を発しているとも考えられます。
片頭痛の治療は痛みを止めるだけではありません。脳を守るメカニズムを考えた治療が
- 214 -
必要です。
このような考え方で、片頭痛の治療を進めていくべきと現在は考えられています。
従来、片頭痛の薬物療法とくに、急性期の頓挫療法の考え方としては、片頭痛の発作時
における薬物療法の進め方には、段階的治療と層別化治療の 2 つのやり方があります。段
階的治療とは、発作時にまず鎮痛薬を使用し、無効の場合にトリプタン製剤またはエルゴ
タミン製剤を用いる治療法です。一方、層別化治療とは、片頭痛の重症度に応じて階層別
に治療薬を選択し、軽度~中等度の片頭痛の場合には鎮痛薬を使い、中等度~重症の片頭
痛の場合には最初からトリプタン製剤またはエルゴタミン製剤を用いる治療法です。近年
では後者の層別化治療が中心に行われています。
ところが、 片頭痛の治療に関して、東京女子医科大学の清水俊彦先生は以下のように述
べておられます。
「小児期から、特有の過敏性を示す小児片頭痛の患者に対して、必要以上の過敏性を脳
にあたえないよう、生活指導や片頭痛予防薬もしくは頓挫薬を含めた服薬指導を適切に行
うことが何よりも重要です。しかしながら、片頭痛との適切な診断を受けるに至るまでに、
すでに数年~十数年もの年月を経ているような際には、痛みの水面下ですでに慢性化して
いると想定される脳感作の結果生じた脳過敏を、バルプロ酸ナトリウムやトピラマートな
ど片頭痛予防効果の確認されている抗てんかん薬を数カ月、服用し、取り払うことにより、
その頻度や程度を減少させ、トリプタン製剤の効果を最大限かつ確実なものとすることが、
将来の薬物乱用頭痛や脳過敏症候群への進展を阻止する最良の治療選択であるといえます。
しかしこのような治療方針をとりつつ治療しても、なおも元来の片頭痛発作の頻度や程度
に改善が得られず、またトリプタン製剤の十分な効果が得られないような、難治性の症例
に遭遇することもしばしばあり、このような際には、脳感作が築かれた状態以外に、増悪
因子が関与していることを考えなくてはならず、この場合、副鼻腔炎、甲状腺疾患、帯状
疱疹ウイルスの再活性化、早朝高血圧の存在を考慮すべき」と述べておられます。
もう少し、具体的な表現をすれば、秋葉原駅の大和田潔先生の考えは、以下のようです。
片頭痛の場合、一般の鎮痛薬で痛みを抑えていると、一部の脳の活性が高まり、そこに
つながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさらに脳の活性をもたらし、
- 215 -
それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終わらなくなるのです。それ
によって常に片頭痛がある状態になります。また、血管の拡張が繰り返されると、血管自
体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなります。
このように申され、極めて軽い片頭痛発作でも「トリプタン製剤」を使用すべきと公言
しています。それも、毎回、頭痛発作の都度服用を勧めております。
要するところ、片頭痛の発作時に、市販の鎮痛薬もしくは一般的に病院で処方される鎮
痛薬で対処していると、脳の興奮がいつまでも治まらず、後々、薬物乱用頭痛や脳過敏症
候群へ進展していくという考え方です。
本当に、これが全てなのでしょうか?
最近の片頭痛発生機序に関する考え方は、以下のように考えられているようです。
• 片頭痛は、日常生活に支障をきたすほどの一側頭部の激しい拍動性の痛みを主徴とする、
悪心・嘔吐、光過敏・音過敏などを伴う疾患ですが、その原因は十分に解明されていると
はいえません。現在までに、分かっているいくつかのメカニズムをお示しします。
• 片頭痛は、これまで長い間、脳を取りまく血管の病気、つまり「血管性頭痛」であると
考えられてきました。しかし、片頭痛前兆の研究や”片頭痛特効薬トリプタンの作用メカ
ニズム”などから、現在では血管の疾患ではなく、大脳の深い部分にある間脳あるいは脳
幹と呼ばれる器官の付近に「片頭痛発生器」があると考えられるようになってきています。
つまり片頭痛は「中枢神経疾患」であると考えられています。
• 片頭痛には、「前兆のある」タイプと「前兆のない」タイプがあります。いずれのタイプ
においても、大脳の後頭葉皮質におこる神経の興奮現象(大脳皮質性拡延)がその原因と
されており、片頭痛発作のスタート現象として注目されています。現在、片頭痛の予防薬
の開発目標は、この皮質拡延性抑制をいかに抑える薬を見つけるかが鍵になっています。
• さらに、片頭痛発作の時はセロトニンと呼ばれる脳内物質が減少あるいは機能が低下す
ることが知られています。片頭痛発作の時に、”セロトニン様作用をもつトリプタン”がよ
く効くのは、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップするからなのです。
- 216 -
このように、全て、「トリプタン製剤が中心とした考え方」が支配的です。
このように、片頭痛は、「トリプタン製剤」を服用していさえすれば、根本的に片頭痛が
治ってしまうものなのでしょうか?
このような状況は、脳梗塞治療での血栓溶解剤である「ウロキナーゼ」の宣伝方法と、
何かしら類似したものを感じさせられます。
当時は、脳梗塞であれば、発症時期とは関係なく何時でも使えば、閉塞した血管はこの
ように開通します、といってご丁寧に写真付で宣伝されていました。
最近の「トリプタン製剤メーカー」のMRの動き
2000 年に日本で「トリプタン製剤」が販売されるようになって以来、10 年以上が経過し、
今後、所謂ゾロ製品と称される「後発品」が出現してくるような時期になってきています
が、その中のイミグランの後発品が、未だ販売されていないようです。
これまで「トリプタン製剤」のメーカーである「グラクソ・スミス・クライン社」「アス
トラゼネカ」「エーザイ」「ファイザー」の各社は、これまで、挙って当医院のような弱小
の医院にも訪問されておられましたが、最近では、全くといって来らなくなりました。
私は、以前の記事でも申し上げましたが、片頭痛診療の場面でなく、他の診療場面で同
様の経験をしましたのが思い出され、改めて記載致します。
私は、医師になった昭和 45 年以来「脳梗塞急性期医療」にすべてを捧げ診療しておりま
した。当時、脳血栓溶解剤として「ウロキナーゼ」が販売されていました。
その「宣伝」として「ウロキナーゼ使用前」「ウロキナーゼ使用後」の脳血管撮影の写真
が示されていました。どういうことかと言いますと、「ウロキナーゼ使用前」の写真として
「閉塞血管が認められるもの」を、そして「ウロキナーゼ使用後」の写真として「再開通
した写真」を提示し、「ウロキナーゼを使えば、このように、閉塞した脳血管が開通します
- 217 -
よ」といった宣伝文句で、”訳の分からない「一般内科医」”に宣伝していました。
私は、脳梗塞の方で、脳血管の閉塞した方が、今後どのようになるのか考えて、必ず1
週間後に「脳血管撮影」で閉塞部位がどのようになっているか、確認しておりました。
ただ、発症した時点で、詳しく問診して、臨床経過上「脳血栓症か脳塞栓症」かの鑑別
を厳重に行い、脳塞栓であれば、そのまま自然の経過にまかせ、脳血栓症と判断すれば「ウ
ロキナーゼ」を”保険適用の範囲内で”使用しておりました。
これらの結果を、ある学会で、「ウロキナーゼ使用群」と「ウロキナーゼ非使用群」に分
けて、その「再開通率」を比較した成績を報告しました。その結果は「ウロキナーゼ使用
群」の再開通率は0%と述べ、その宣伝方法を糾弾したことがあります。
その発表の翌日には、製薬メーカーからの抗議が、病院長と内科医長にあり、即刻、私
は院長室に呼びつけられ、発表の趣旨を訂正するように命令されました。
結局、私は、自分の主張を押し通して、変更はしませんでしたが・・
と言いますのは、脳塞栓の場合は、そのまま放置していても「再開通」し、脳血栓症で
は、いくら血栓溶解剤のウロキナーゼを使っても絶対に「再開通」はしません。
ということは、ウロキナーゼ使用前の写真として「脳塞栓の再開通前の写真」を、ウロ
キナーゼ使用後の写真として「脳塞栓の再開通後の写真」を提示し、まさに詐欺まがいの
宣伝をしておりました。このメーカーははどなたもご存じだろうと思います。
このように「製薬メーカー」の「ウロキナーゼ閉塞した脳血管を再開通させる」という
幻想を、無知の内科医及び脳神経外科医に植え付けるための「宣伝」をしきりに行ってお
りました。
このような考え方は、現在、脳梗塞発症3時間以内に、ある血栓溶解剤を使用しない限
り、本来の目的は達成出来ないのですが、一般医療機関が、この点を理解できず、せっか
くの薬剤も「無用の長物」と化している現実があります。
このような状況は、片頭痛医療でも同じ様な発想をされる頭痛専門医が存在します。2000
年に「トリプタン製剤」が販売された時点では、新聞・マスコミで「片頭痛の特効薬」と
して大々的に宣伝されました。しかし、「トリプタン製剤」といえども「片頭痛を服用して
おれば」
「片頭痛を根本的に治癒させる薬剤ではありません。あくまでも、頭痛発作時の「頭
痛」そのものを「軽減」させるだけの薬剤にすぎません。
- 218 -
いわば、市販の鎮痛薬よりは、もっと効果のある「薬剤」にしかすぎません。
ところが、このような「本来のトリプタン製剤の薬効」を覆い隠して、以下のような主
張をされる「頭痛専門医」が存在することを忘れてはなりません。
ある頭痛専門医は、片頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠い
た 状 態 が 長 期 間 放 置 さ れ る と 発 症 す る 経 年 的 な 症 状 を 「 脳 過 敏 症 候 群 ( Cephalic
Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が提言されています。
また、別の専門医は、「一般の鎮痛薬で片頭痛の痛みを抑えていると、一部の脳の活性が
高まり、そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさらに脳の
活性をもたらし、それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終わらなく
なり、それによって常に片頭痛がある状態になり、血管の拡張が繰り返されると、血管自
体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなる。」
このような、見解を述べ、片頭痛発作時には、必ず「トリプタン製剤」を使用すべきと
説かれております。
以前にも述べましたが、ストレートネックが存在すれば、次のようなことが考えられま
す。首の後ろの大きな筋肉には「僧帽筋」
「頭板状筋」
「頭半棘筋」という3つがあり、 「頭
半棘筋」は、その一番内側、深部にある筋肉です。ストレートネックがあれば、
「頭半棘筋」
が硬くなる、つまり凝り固まります。この筋肉を大後頭神経が貫いていて、その部分が、
首の凝りによって圧迫されることで、大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経核に伝わ
ります。このため、ストレートネックが存在する限り、この刺激が、絶えず三叉神経核に
送られ続け、中枢の感受性が変化し、”中枢感作症候群”となって、「脳の興奮性」を常時
引き起こしてくるものと考えられます。
ストレートネック→首や肩の筋肉からの侵害刺激情報
↓
↓
↓
↓
↓
↓
脊髄を介して三叉神経脊髄路核
↓
中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)
↓
- 219 -
↓
脳の過敏性、興奮性の増大
↓
自律神経失調症状 →
交感神経機能低下→頚性神経筋症候群
(慢性頭痛)
以上のようにして、「脳の興奮性」が持続し、「脳過敏」を引き起こすと推測されます。
先程の頭痛専門医の言われるように「トリプタン製剤」を服用しておれば、全てが解決
するのでしょうか?
このような考え方の根本は「頭痛とストレートネック」に関する考えが欠如しているた
めの考えとしか思えません。
ストレートネックが、存在する限り、「脳の過敏」を引き起こす要因が持続している訳で
す。この点を無視して、「トリプタン製剤」で対処しなかったという「論理」は成り立たな
いと考えます。
私のような「論理」を展開する当医院のような所には「トリプタン製剤メーカー」のM
Rの方々は、もう「儲からない医院」としての「烙印」を押されたのでしょう。
もう、どこのメーカーのMRも訪問されなくなりました。
このような現実を、片頭痛でお悩みの方々は、知っておくべきと考えます。
現在、開発中の新薬・・・CGRP
現在、片頭痛研究は片頭痛の新しい治療に向けられています。片頭痛は、人を消耗させ
ることもあるありふれた頭痛ですが、数十年にわたって科学者を悩ませてきました。
研究者の最大の焦点の一つに CGRP と呼ばれる脳内化学物質があります。これは痛みの
伝達に関与していると考えられていますが、認知や気分など他の脳機能には関与しません。
- 220 -
脳内でその受容体を阻害することによって CGRP の作用を阻止するようなさまざまな実験
的薬剤が研究者によって試みられています。片頭痛を引き起こす前に血中や脳内でこの化
学物質を不活化する人工抗体の研究に取り組んでいる人たちもいます。
片頭痛が始まった場合、新しい薬で痛みに対処する必要性は高いと専門家は言います。
といいますのは、現在の薬剤(トリプタン製剤)は患者のわずかに 50 ~ 60 %だけしか効
果が見られず、心疾患のある患者や脳梗塞の既往のある患者では使うことができないから
です。しかも、それらは根本的な治療薬ではない(片頭痛を根治させる薬剤ではない)た
め多くの場合頭痛は 24 時間以内に再発する傾向があります。
予防的薬剤という別の手段があります。これらは、頻度がより高いか、もしくは消耗性
となるような片頭痛に苦しんでいる少数の人たちに用いられる傾向にあります。
「痛みを取り除き、痛みを遠のかせるだけでなく”即効性のある”片頭痛薬を患者は求
めています」とニューヨークにある Montefiore Headache Center の Richard Lipton 所長は
言います。
痛みの回路:片頭痛進展のより明確な全体像が分かってきました
1. 三叉神経尾側核システム(trigeminal nucleus caudalis [TNC] system)と呼ばれる脳の深
部にある神経集団が過活動になると片頭痛が始まるようです。これが、顔面の知覚情報を
伝達する三叉神経を活性化します。
2. 三叉神経の活性化によって血管の拡張が起こります。これによって刺激物の放出が促進
され、血管近傍の神経を刺激し痛みを生じます。
頭痛疾患は世界中で最も多い症状の一つです。世界保健機関(WHO)によると、世界的
に成人の 10 人に 1 人以上に片頭痛がみられ、それによって活動能力が奪われることもあり
ます。国際的な研究では、昨年一年間に成人の 50 ~ 75 %が頭痛を訴え、世界人口の 4 %
で毎月半分以上の日数に頭痛があると、WHO は言います。
いわゆる“普通の”頭痛といったものは存在せず、正しくは 300 タイプ以上のものがあ
ると Phoenix にある Mayo Clinic 分院の神経学教授で American Migraine Foundation の会
長である David Dodick 氏は言います。片頭痛の患者は通常、激しい痛み、光に対する過
敏、ふらつき、さらに時には嘔気や、前兆と呼ばれる視覚や知覚の症候が見られます。片
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頭痛以外の主要なタイプの頭痛には 2 つあって、筋緊張あるいは薬剤誘発が原因となって
生ずる頭痛です。
イブプロフェンなどの非ステロイド系鎮痛薬は片頭痛患者の一部には有効です。しかし
1990 年代に市場に出たトリプタンと呼ばれる種類の片頭痛薬は、現在まで多くの患者にと
って最良の、もしくは唯一の治療選択となっています。それでもなお患者の約半数はそれ
らに反応が得られず、また他の健康上の理由から内服できない状況にあります。
カ ル シ ト ニ ン 遺 伝 子 関 連 ペ プ チ ド 神 経 伝 達 物 質 ( calcitonin gene-related peptide
neurotransmitter)の略号である CGRP はかなり以前より片頭痛に関与していると考えられ
てきましたが、そのほとんどの期間、その理由が誤って捉えられていました。その混乱の
一部は片頭痛そのものの間違った理解によるものでした。
なぜ片頭痛が起こるのかは依然明らかではありませんが、専門家によると、最近は片頭
痛を血管の異常ではなく、脳の異常として理解するようになっていると言います。約 12 年
前までは、片頭痛が脳の血管の収縮によって発症すると信じられていました。続いて代償
するための血管の拡張がズキズキする痛みをもたらす、との考えが展開されていました。
現在、片頭痛では脳の正常な痛覚回路が“ハイジャック”されているようだと Dodick
医師は言います。片頭痛においては、有害となるものに関連するメッセージを神経終末か
ら脳に送る脳の正常な痛みの感覚系がうまく作動していないということです。
どのようにして片頭痛が引き起こされるのかについては専門家間で意見は一致していま
せんが、その痛みの伝達には、顔面の知覚情報を伝達する重要な経路である三叉神経と、
この神経と多数の他の神経との連絡、および脳が関与しているようです。
片頭痛の素因と関連している可能性のある特定の遺伝子も研究者らによって分離されて
いると Dodick は言います。
血管収縮を促進し炎症を抑制するトリプタンは三叉神経において CGRP の放出を阻害し
ます。CGRP は血管の拡張過程を促進する一方、片頭痛が起こっているとき脳内で神経を
活性化するその役割が鍵となっているようです。
1980 年代半ば、University of California San Francisco の神経内科医で頭痛専門医だった
Peter Goadsby らは CGRP が片頭痛で放出され、トリプタンが CGRP の活性を抑制するこ
とを発見しました。
様々な研究者や製薬会社が、この化学物質 CGRP が痛覚ネットワークを活性化するのを
防ぐために CGRP 受容体に結合する薬品を開発しようとしてきました。体内で作用を開始
- 222 -
するためにこの分子が結合する場所となる CGRP 受容体が複雑であることから、科学者ら
が CGRP の影響をどのように遮断すべきかを見つけだすのに 15 年を要し、さらに経口で
投与できる化合物を開発するのにさらに時間を要したと Goadsby は言います。
片頭痛に対して開発中の新薬のうち最先端のものとなっている CGRP 遮断薬、あるいは
拮抗薬を市場にもたらすのは厳しい状況にあります。いくつかの試験研究中の化合物は肝
臓に対して毒性があることが明らかとなっており、そのような課題があることで、脳に影
響を及ぼす疾病に対して薬剤を開発することの困難さが浮き彫りになりました。
CGRP 拮抗薬はトリプタンと同じように作用するわけではないようですが、こういった
拮抗薬が心血管合併症を引き起こさないとみられる点で有利であると、Philadelphia にある
Thomas Jefferson University’s Headache Center のセンター長で神経内科教授である
Stephen Silberstein 氏は言います。
「ある種のリスクを別の種類のリスクと交換する感じです」数社の臨床試験で治験責任
医師を務めた Silberstein は言います。
メルク・アンド・カンパニー社は有望な CGRP 受容体拮抗薬を開発中ですが、後期臨床
試験で一部の患者に肝酵素異常がみられることがわかりました。昨年 7 月、同社は、すべ
ての試験データを検討したあと、telcagepant という化合物の開発を中断していることを発
表しました。ドイツの Boehringer Ingelheim GmbH 社も CGRP 拮抗薬に取り組んでいまし
たが開発を中止しました。これについてスポークスマンはコメントを拒否しています。
Bristol-Myers Squibb 社は CGRP 拮抗薬の早期段階の治験をおこなっており、他の数社も
試験中であるか、あるいは類似の化合物の開発を始めている可能性があります。
研究者や製薬会社はさらに、注射によって、CGRP が脳内の受容体に到達する前に血中
や脳内で CGRP を捕捉し、あるいは受容体を遮断することによって効果を発揮する人工抗
体の開発を手掛けているところです。
これらの抗体を基礎とする生物学的アプローチの研究は、拮抗薬の治験に比べてまだ早
期の段階にありますが、抗体は最終的には定期的に CGRP の作用を阻害できることからこ
れによって片頭痛が全く起こらなくなる可能性があります。
「CGRP のストーリーは、片頭痛の急性期治療の開発の話です」と Goadsby は言います。
「しかし、抗体のストーリーは、もし連続的に CGRP を遮断できるとしたら予防的治療手
段を得ることにつながるという一歩進んだ考えを試すことなのです」
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CGRP はカルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで中枢神経、心臓、血管など末梢の一
次知覚神経終末に存在するアミノ酸 37 個からなるペプチドです。
文中にあるように、片頭痛では三叉神経末端が刺激され、そこから CGRP が分泌され片頭
痛が起こるとされています。
CGRP 受容体拮抗薬はトリプタンに続く次世代の片頭痛急性期治療薬として期待が大きい
のですが、実用化にはもう少し時間がかかりそうです。
以上のように、全世界では、1990 年代に市場に出たトリプタンと呼ばれる種類の片頭痛
薬の有効性・禁忌疾患の問題で限界があることから、さらなる新薬の開発が試みられてい
るにも関わらず、日本では、「片頭痛治療上トリプタン製剤が全て」のような考えが支配的
で、これらの方々は「トリプタン製剤」の限界を感じておられないのでしょうか?
この点、まさに奇異としか言いようがないように思われてなりません。
いよいよ、イミグラン錠の後発品が・・
これとは別に、はじめに・・
約 10 日前に、ある通販の宣伝で、ノート・パソコンの売り出しがありました。
某メーカーの Windows 7 で、ハードデイスク 320 GB ,メモリー 2 GB のもので、値段
は 38,400 円でした。
これまで、私は NEC 社のパソコンしか使っておりません。以前も、HP社のノート・
パソコンが6年前に6万円で購入できた際に購入した経験があります。
私とパソコンのお付き合いは、私が 41 歳の時でした。当時、まだ国家公務員等共済組合
連合会
呉共済病院に勤務していた時代でした。その頃、脳梗塞の臨床研究にひたすら邁
進しておりましたが、症例数 500 例を超えており、学会発表の度に、電卓を叩いて統計処
理を行っていました。当時の下の医者(ウンテン)からパソコンで処理すればと馬鹿にさ
れていました。このため、41 歳の年齢で、今から 27 年前に意を決してパソコンを購入し
ました。当時は、現在のように Windows の世界でなくDOSの時代でした。データベース、
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表計算ソフト、ワープロソフトは、それぞれ単体で、全く関連性はなく、現在のように連
結できませんでした。それでも、データベースのソフトである DATA BOX を駆使できそ
うに思えて、DOSのパソコンを「清水の舞台」から飛び降りるような感覚で、パソコン
本体、デイスプレイ、プリンターの3つを含めて購入しました。何と総額 100 万円前後も
しました。
この後、Windows が発売されてからは、ノートパソコンの魅力に取り付かれてからは、
田辺に来てからは、中古のパソコンを求めて、大阪の日本橋まで赴いて、10 万円前後もす
るものを購入していました。新品を購入すれば 40 万円前後していました。
ところが、今回、Windows 8 が発売されたこととも関係するのでしょうが、Windows 7
のノート・パソコンが 38,400 円という破格の値段で購入できるというメールをもらい、つ
い購入し、昨日、やっと入手できました。
そして、昨晩と本日の診療の合間をみながら「パソコン」を自分用に作り上げ、試運転
を行う意味で、この記事を書いております。
当初は、100 万円もし、途中中古のパソコンながら 10 万円もしたものが、今回、新品な
がら 4 万円以下で、それもスペックも申し分のないもので、本日の「試運転」では申し分
のないものでした。どうして、このように値段が下がったのかと信じられない思いです。
前置きが長くなってしまいました。
2000 年に日本で初めて、トリプタン製剤である「イミグラン」が発売されてから、やっ
と「後発品」が 12 月 14 日に販売されることになりました。
これまで、トリプタン製剤は、確かに従来のエルゴタミン製剤よりは、使いやすく、効
果もあるのですが、最大の欠点は、その値段が高いことでした。それまでの、セデスG、
カフェルゴットであれば1錠 50 円前後でしたが、 トリプタン製剤になってからは1錠は
1,000 円前後になってしまい、確かに効く人には効くのですが、値段の点で敬遠されていた
ことは無視できないと考えます。
特に、私の診療する和歌山県田辺市という地域は、裕福な方々は極めて少数です。この
ため、確かに「効く薬」ですが、毎回服用することが出来ない方々が多かったようです。
実際、トリプタン製剤を服用したくても、経済的理由で服用されない方が多かったよう
- 225 -
です。
今回、後発品が発売されるにしても、700 円前後にはなることでしょう。
このようになったとして、今後、片頭痛の方々がどのような対応をされるかが注目され
るところです。しかし、この「イミグラン錠」の後発品の効き目が、果たしてどのような
ものなのかを確認する必要があります。
まず、2回分だけで「試して」頂いて、その効果の程を確認するような計画をしていま
す。
以前、セデスGの後発品が販売された際に、自分自身の「頭痛」にどれだけ有効か確認
したことがあります。先発品では、服用して 10 分後には「雲が晴れる」かのように痛みが
引いていっていたことが未だに私の脳裏には残っています。しかし、後発品は、このよう
な効き目は全くなく効かなかったというのが感想でした。
ですので、今回の「イミグラン錠」の後発品の効き目が試されるところです。
ただ、効けば効いたで、それ以降の問題は山積しています。
この点を述べることは、今は早すぎるため控えます。
まず、後発品の効き目を確認してからにすることにします。
最近経験したこと・・「イミグランの後発品」に関連して
先日、当医院で長年看護師として一緒に仕事をしている 40 歳の方です。
20 年来、肩こりがひどく時に、緊張型頭痛と診断するしかない頭痛を訴えておられ、当
時の頸椎レントゲン検査ではストレートネックを当時から呈しておりました。
この方の 12 歳の娘さんも頭痛を訴えるため診せていただきましたが、この娘さんは問診
から明らかに片頭痛と診断できる頭痛でした。
看護師さんのお母さんは、若い頃から片頭痛を持っておられるようでした。
つい先日、一緒に勤務の最中に、左目がおかしいと訴えはじめ、当初何を訴えているの
か理解できなかったのですが、様子をみている内に、まさしく閃輝暗点そのもので、これ
が治まると(時間にして 30 分前後)左側に拍動性の頭痛が出現して来ました。本人曰く、
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これまで経験したことのない激しい頭痛とのことでした。このため、イミグラン錠の後発
品を服用して頂きました。これで2時間後に頭痛はきれいに消失しました。
こうしてみますと、今回の頭痛発作は、間違いなく「片頭痛」と診断してよさそうでし
た。改めて、頸椎レントゲン検査を行ってみたところ、ストレートネックは 20 年前と同様
にみられ、前方への傾斜の程度も増強していました。
20 年来、肩こりがあり、時に緊張型頭痛のような頭痛が出現していた状態から、40 歳に
なって初めて、典型的な閃輝暗点という前兆を伴う片頭痛を発症された興味深い症例を身
近に経験させて頂きました。以前からストレートネックは確認されており、片頭痛の発症
と何らかの因果関係があるのか極めて興味深いところです。
今後、ストレートネックを改善させることによって、片頭痛の起こる頻度がどのように
なっていくのかを経過観察の予定です。
今回、イミグランの後発品を直接試してみました。今回は確かに、効いたような印象を
持ちました。
しかし、このような「イミグランの後発品」の効き目を確認する方法としては、従来か
ら片頭痛の発作時にイミグラン錠を服用されておられる方に対して試すことが大事であろ
うかと考えております。この場合、服用のタイミングを同一にするようにして頂く必要が
あります。ただ、同一の患者さんでも、毎回同じ程度の発作とは限らず、片頭痛の誘因が
いくつか重なった場合は当然効き目が悪いことが予測され、こうした場合の効果判定は困
難であろうかと思われます。
現在、このような観点から「イミグランの後発品」の効果判定を行っている最中です。
以前のもブログに記載したことがありますが、2001 年に発売禁止となったセデスGです。
これを愛用されておられた方々も多かったと思います。私も、セデスGのお世話になって
おりました。この効き方は麻薬なみの効果があったのではないでしょうか?
私が学生時代、庭球部の夏の合宿で、暑さのため水を飲みすぎて急性胃炎(いわゆる胃
痙攣です)を起こし、七転八倒したことがあります。この時は、先輩の医院に連れて行か
れ、オピアトという麻薬を注射して頂きました。この効き目は、うった直後から、痛みが
消えていくのが実感できました。あたかも「雲が少しずつ消えて青空がみえる」ようにな
っていく感覚でした。セデスGも全く麻薬と同じような感覚で「雲がすーっと消えてなく
なる」ような感覚で痛みがきえていき、スカッとした爽快感がありました。
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このため、2001 年に発売中止になった時に、鎮痛薬として何を使うかと、呆然としたこ
とがあります。その位、よく効いていました。
ところが、このセデスGの後発品がありましたが、この後発品は先発品と「成分は同一」
といいながら全く効きませんでした。このような経験を踏まえて、「イミグランの後発品」
の効果判定はどうしても必要と思われます。しかし、「イミグランの後発品」を販売される
メーカーも 10 社以上あるようで、これらを全て試すことは個人的には不可能です。
このような情報を提供される方々がおられれば、無駄なことをせずにすむのですが・・
イミグラン錠の後発品について
昨年の 12 月 14 日から、イミグラン錠の後発品が 13 社から発売されるようになりました。
この 13 社のうち、2 社から”試供品”として〇名分提供されました。
これまで、発作時にイミグラン錠を使っておられる方々の希望者に、2錠ずつ提供して、
その効果を、従来と同じ服用のタイミングで服用してもらい確認していただきました。そ
の結果、某メーカーの後発品は、9割方、先発品とほぼ同等の効果がありました。
1割の効かなかった数名の方々に対して、効かなかった理由を確かめました。
これらの方々は、いずれも発作の誘因が複数重なっており、いつもより激しい頭痛発作
のためであったことが明らかになりました。
こうしてみますと、先発品とほぼ同等の効果が得られるようです。
この結果を踏まえて、先発品と後発品の両方を当面は用意することにして、いずれか
の時期には、後発品にすべて変更の予定です。
片頭痛薬 - 治らないズッキン、ズキンは薬の禁断症状
「クスリは飲んではいけない!」(船瀬俊介著
徳間書店」より転載。
●1000万人が偏頭痛持ちという “市場”
- 228 -
薬物乱用頭痛---に衝撃を受けた “愛用者”も多いはず。
頭痛薬が頭痛を生み、それがつらいからまた頭痛薬を飲む…という、底無し地獄へのスパ
イラル。
まさに頭痛薬とは、“悪魔の鎮痛剤” と呼ぶしかない。
その典型が偏頭痛薬だろう。
片頭痛とはいったいなにか?それはズッキン、ズキンと頭が痛む。
頭痛のなかでもとりわけ激しい。
吐き気がするほど痛む、という。
日本では8%の人が片頭痛持ちといわれている。
概算で約1000万人が片頭痛持ちということになる。
製薬メーカーにすれば気の遠くなるほど嬉しい市場だ。
それでいて「医学界でも原因は分からない」とは呆れる(あきれる)。
だから頭痛薬は痛みの原因を治すものではない。痛みの伝達神経をブロック(妨害)して
感じなくさせるだけ。しくみはモルヒネ(麻薬)と同じ。
さて片頭痛の「定義」が、下記の項目になる。
□発作性である(だらだらと長く続かない)
□動くと頭に響く
□痛みがかなり強い
□ズキズキ痛む
□片側だけ痛む
□吐き気がする
□光や音に過敏になる
□前兆がある(キラキラに光ったものが見えたりする)
該当する項目が多いほど片頭痛という診断が下される。そしてつぎに困ったっことに医
師は、従来の頭痛薬より強烈な片頭痛薬をあなたに処方する。
特効薬なので痛みは治ってくる。しかし、“即効性” イコール “有害性”。
この薬の原則を想起してほしい。
- 229 -
マスコミ報道ですらこう注意を喚起している。
「長く続けると新たな頭痛の原因になることも」
「特効薬T乱用控えて」(
「東京新聞 )
●片頭痛犯人は、この特効薬だった
現在、病院での片頭痛治療は、軽度から中度なら消炎鎮痛剤が使われている。
中度以上では特効薬系薬剤が “奨励”されている。
勧めているのは毎年、刊行される治療「ガイドライン集」。
製薬メーカー、医学界・厚労省によって作成されるが、実質はメーカーが作っているよう
なもの。
名を連ねた教授らには、億単位の多額 “寄付金がメーカーから支払われる。
担当役人には、天下りなど “特典”が準備されている。
さて、問題の片頭痛薬。頭痛発作が激しいときでも「効果が得られる」という。
よって、発作の不安から患者を開放する。 “特効薬”として医師は処方している。
ところが…「この薬を使うことで。痛みがすぐに治るために、飲み過ぎにつながりやすく
『薬物乱用頭痛』の問題が出てくる。」と「東京新聞」(前出)は警鐘を鳴らす。
とりわけ「薬を月に10日以上服用する人に起こりやすい」という。
つまり常用者を苦しめている耐え難い頭痛の原因は、片頭痛特効薬だった…という落ちで
ある。
●発作はドラッグ中毒の禁断症状
“愛用者”
は「まさか…」とキツネにつままれた思いだろう。
おそらく処方する医師は、 “特効薬” が慢性頭痛の原因となる---という重大副作用につ
いて
一言も教えてくれなかったはず。
そうでなければ、常用するバカはいない。
「抗ガン剤がガン悪化、再発の原因になる」という真実を、ガン専門医がぜったいに患者
に
教えないのと同じだ。
片頭痛の正体が薬物乱用頭痛だから、薬物 “特効薬”をやめるのが先決。
そのとき起こる激しい頭痛は、まさにドラッグ中毒の禁断症状そのもの。耐えるしかない。
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呆れたことに政府は、これら頭痛を抑えるための “予防療法” まで準備している。
それもまた薬物療法。
「頭痛日記」をつけさせ、発作が「起こりそう」と思ったときに、予防薬を飲むことを勧
める医師もいる。
そこにカルシウム拮抗薬「ロメリジン」が待ちかまえてる。
頭痛は無くなるのではなく、発作回数が減る程度。
そのかわり今度は「ロメリジン」による副作用が現れてくる…というエンドレスの悲喜劇
…。
以上…、ちょっと耳を疑いますね。
薬には主作用と副作用,、そして依存性がありますので、ご注意を!
ストレートネック改善のために
首のこりや片頭痛もすっきり
「猫背」の治し方
竹井仁
知らず知らずのうちに前屈みに背中を丸めてあごを出し、浅い呼吸でデスクワークをし
ていませんか?
猫背だという自覚はあっても、「どうすれば治るの?」と困っている人は
多いはず。筋膜博士・竹井仁さんに最も効果的な猫背リセット法を教えもらいました。 首
のこりや片頭痛、二重あごや首のたるみも猫背を治せばすっきり?
猫背と日常習慣、気
になる不調の関係も明らかになります。
首から腰にかけて通っている背骨。首の頸椎は前カーブ、胸の胸椎(きょうつい)は後
ろカーブ、腰の腰椎(ようつい)は前カーブ、というふうに、緩やかにS字曲線を描いて
います。しかし、現代人の大部分は胸椎の後ろカーブがきつい猫背の状態にあります。こ
の猫背を正して「美しい姿勢」を作る方法を今回はお話ししましょう。
■猫背は「楽な姿勢」だが「いい姿勢」ではない
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そもそも人間は、丸まろうとする力が強い生き物です。赤ちゃんはくるんと背骨を丸め
て生まれてきますし、年を取るにしたがって、背中はだんだん丸くなる。この「丸まろう」
とする力に抗うのが筋肉の力なのですが、現代人は筋肉が本来の仕事をしていない。これ
が猫背を生み出す原因となります。
あなたが猫背かどうかは、気を抜いているときの立ち方で一目瞭然。横から見て、頭は
体の軸の真上にのらず前に出て、あごは上がるのが猫背。特にイスに座るデスクワークに
よってさらに悪化します。なぜかというと、猫背の方が楽だから。詳しく説明しましょう。
理学療法では、体重を支える、体と床が接している部分をぐるりと囲んだエリア──こ
れを「支持基底面」と呼びます。イスに座った姿勢のときの支持基底面は、お尻がイスに
接する面と、両足が床に接する面をぐるりと取り囲んだ範囲内となる。このとき、最小限
の負荷で安定する、最も楽な姿勢は「体の“重心”が支持基底面の中心にあるとき」です。
では、座ったときの“重心”ってどこにあるのでしょうか。ちょうど胸椎の9番あたりな
んです。胸椎9番とは、女性ならばブラジャーの背骨側のベルトから指2~3本分下がっ
たあたり。
ここが重心になるので、きれいに背すじを伸ばすと、重心が後ろ寄りになります。する
と、姿勢を安定させるためには腹筋を使わないといけない。ところが、ここで背中を前に
丸めると、重心が前に移動する、つまり支持基底面の中心に近づくんです。「背中が丸まっ
ている方が、座るときには楽だ」ということになる。人は楽をしたい生き物ですから、自
然に猫背になるのは当然というわけです。
ただ、ここで誤解してはいけないのは「楽な姿勢」と「いい姿勢」はまるっきり違う、
ということ。猫背の姿勢をとっているときは、背骨のたわみと骨周囲の靱帯ぐらいしか動
員されていません。筋肉は、ただその上に漫然とのっかっているだけ。筋肉が本来やるべ
き伸びたり縮んだりといった動きを繰り返すことができず、調子がおかしくなってしまう
のです。
【普段の座り姿勢を確認しよう】
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なにげない座り姿勢をチェック。頭が前に出て、あごが上がり、背中が後ろに丸くなる
のが「猫背」。腰も曲がってしまい、骨盤の後ろ側の骨、仙骨(せんこつ)や尾てい骨を座
面につける「仙骨座り」になることも。
■首こり、片頭痛、耳鳴りなど不調の原因にも
猫背姿勢でパソコン画面を見ようとすると、あごを突き出しますね。すると首の後ろ側
が縮まる一方になります。首の後ろには様々な自律神経が通っていますから、圧迫を受け
て片頭痛や耳鳴り、かすみ目などの不快な症状が起きます。また、肩が前に出る「巻きこ
み肩」の姿勢になり、呼吸が浅くなり、気持ちも滅入ります。本来、肩まわりには腕を前
後、上下、斜めに、と自在に動かすのを支える大胸筋や小胸筋がいろいろな方向に走って
いますが、これらの筋肉が固まると猫背がさらに強化される。“猫背になるための筋トレ”
をしているような皮肉な状態です(笑)。もちろん、胸を張るのがつらくなるからバストも
下がる。下の図のように、手を上げて体の左右でひじを肩と同じ高さに上げようとしても、
ひじが上がらない。固まった大胸筋や小胸筋が邪魔するからです。
猫背の人は、ブラジャーのベルトを下げたがるという特徴も。前屈みになると背中にベ
ルトが食いこむ感じがするので、つい下げるんですね。実際、女性スタッフに「左右1 cm
ずつ上げてください」と検証してもらうと、気持ち良く胸が張れるようになった、と驚か
れますよ。
あごを引くと二重あごになってしまう、首のシワやたるみが気になるという人も、猫背が
原因かもしれません。猫背特有のあごを突き出す姿勢は、首の後ろを縮める代わりに、前
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側を異常に引き伸ばすからです。ゴムと同じで、伸ばされっぱなしでは皮膚も戻る力を失
い、たるんでしまいます。
特に、腰まで丸まった、若い人に多い「仙骨座り」も、猫背を悪化させます。イスに座
るときに背骨が丸まっていると、連動して腰も丸まり、骨盤の後ろ側の仙骨や尾てい骨で
支える座り方になってしまう。本来は、骨盤の下部、座ったときにお尻の下にある、ぐり
ぐりとした「坐骨結節」を座面につけて体を支えるのが美しい座り方なのですが、背すじ
を支える腹筋がないと長続きしません。
■こまめに根気強く修正、猫背は治る
姿勢を改善しようと矯正ベルトなどを背中につける人がいますが、こういったものは短
時間のトレーニング用。長時間つけるのには向きません。猫背によって胸の大胸筋や小胸
筋がガチガチになっているのに、ベルトで無理に胸を反らせると、体は腰を反らせること
によって胸を広げようとする。結局、腰が痛くなるだけです。体はひと続きにつながって
いるから、一部分だけの矯正は故障のもと。それよりも、日々の動作の中でこまめに筋肉
を動かせば、確実に体は学習し、筋肉の質も変わっていく。急がば回れ、なのです。
私自身、仕事に集中するとどうしても猫背になってしまいます。でも「まずいな」と思う
としばらく修正姿勢をとる。つらくなったら元に戻る、ということを日々やっています。
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こうやって、猫背→修正→疲れた→猫背→修正→疲れたと繰り返すことが、筋肉に伸び縮
みの刺激を繰り返し与えることになる。ずーっといい姿勢をとる必要はないんです。1時
間に1回は自分で「あ、姿勢」と気づいて修正しつつ、1日に1回、体に筋肉の使い方を
再学習させましょう。
猫背をリセットするために、「縮んで硬くなった筋肉をストレッチ、伸びて衰えた筋肉を
鍛える」という2段構えでお教えしましょう。
猫背で凝っている部分は、おおまかに2カ所あります。首の後ろにある「後頭下筋群」
「頸
椎の脊柱起立筋」と、胸の「大胸筋」、大胸筋の下にある「小胸筋」。ここは、伸ばしてス
トレッチします。
反対に、伸びて力を失っているのが、背中の「胸椎を支える脊柱起立筋」
、首の前側の「舌
骨上・下筋群」。こちらはしっかりエクササ
イズして、筋力を取り戻さないといけませ
ん。
【縮んだ胸側を伸ばす】
猫背姿勢によって圧迫された胸側にある
筋肉と首の後ろをストレッチ。
まずは、大胸筋をうーんと伸ばす「バンザイ体操」。肩甲骨の一番
下が中心になるように、丸めたバスタオルを敷くと、丸まりがち
な胸椎を効果的にストレッチできます。腰が反らないよう、両脚
を上げて壁につけて行うのがコツです。あごが上がらないように
注意してください。
「猫伸び体操」も、丸まった胸椎と大胸筋・小胸筋、首の後ろの筋肉群を伸ばす効果的
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な動きです。四つばいになったときの手とひざの距離を広くとりすぎると、伸びをしたと
きに腰椎だけ反ってしまい、効果が半減してしまうので注意。最初の姿勢で手とひざの距
離を近づけ、横から見て「逆台形」になるようにすると、胸椎をストレッチする効果がぐ
っと高まります。
どちらの体操も、1回に伸ばす時間は、最低でも 30 秒はとりましょう。長い、と思うかも
しれませんが、硬直した筋肉を伸ばすには、そのくらい時間が必要なんです。
ゆっくりと 30 秒伸ばし、10 秒ほど休んでからもう1セット。合計3セットやってみる
と、その意味が実感できるはずです。最初はぎしぎしと突っ張るだけのように感じても、
2セット目には「あれ、ほぐれたかな」、3セット目には「ずいぶん伸びるようになった」
と、どんどん伸び代が広がっていくのを感じ取れるでしょう。
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■ほぐしている裏で背中が鍛えられる
さらに、伸びた背中側を鍛える「腕引き体操」で仕上げを。
鍛える、といっても、この体操は、固まった背中や肩、腕まわりがストレッチできる気
持ちいい体操なんです。「あぁ、ほぐれる~」という気持ちになりながら、実は肩から背中
にかけてある「僧帽筋の下側」や背中から脇腹にかけて走っている「広背筋」が鍛えられ
ている、というおトクな体操でもあります。
…………………………………………………………………………
【伸びた背中側を鍛える】
猫背姿勢によって伸びてなまけている、背中の筋肉と、首の前の筋肉をトレーニングす
る。
最初に肩甲骨を伸ばす意識で、水泳の「蹴伸び」のように背中を伸ばす。あごを引くと首
の後ろも伸びます。10 秒伸びたら、首は真っすぐにし、ひじを引いて 10
秒。このとき大胸筋がストレッチされています。次に、ひじの位置は
そのままに、手のひらを前に向ける。このとき、小胸筋がストレッチ
されていますね。自然にひじが下がってしまう人は大胸筋が硬い証拠
です。ひじが下がらないように意識すると、背中の筋肉がぐーんと刺
激されます。
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胸を広げるって気持ちいいな、いつもより呼吸も深くなってきた、と感じられたら、心
の凝りもほぐれてきますよ。
竹井仁(たけい・ひとし)
首都大学東京 健康福祉学部理学療法学科准教授。1966 年、愛媛県生まれ。筑波大学大
学院修士課程(リハビリテーション)修了。2002 年、医学博士(解剖学)
学位取得。理学療法士。医学的知識に基づいた筋力トレーニング、リハビ
リテーションを研究する。著書に『不調リセット』
(ヴィレッジブックス)
などがある。
(ライター
柳本操、構成/日経ヘルス
宇野麻由子)
凝りやすい、疲れやすい猫背座りはボールやクッションを置いて改善
夏の休暇を終え、オフィスに復帰したとたんに肩が凝る、疲れると感じている人はいな
いだろうか?
オフィスワークのときの椅子への座り姿勢が悪いために、肩こりや首の凝りなどで体調
が悪くなったり、足がむくんだり、さらには太りやすくなる人がいる。実は、こんな不調
の多くは、骨盤を後傾させる座り方に原因があるとわかってきた。
まずは、下の写真の「いい座り方」と「悪い座り方」のどちらに近いかを、確認してほ
しい。これは、整形外科医でスポーツドクターの中村格子医師がまとめたもの。
右がいい座り方だ。このとき、骨盤は“立つ”状態で、首、肩、背筋のラインが縦に1
直線になる。ところが、左の悪い座り方のときには、骨盤は“後傾”といって後ろに傾い
た状態になる。椅子には背もたれがあるので、後傾状態でも背中は背もたれで支えられる。
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一見すると、楽そうだが、お腹はつぶれ、お尻は圧迫され、肩に対して首と頭が前側に突
き出た格好になる。「骨盤が後傾した座り方は、楽なようで、実は楽でなく、肩や首が凝り
やすい姿勢」だと中村医師は説明する。
しかも、太りやすい座り方でもある。日経ヘルス編集部では、代謝を測定する装置で「い
い座り方」と「悪い座り方」のときそれぞれで安静時代謝を測定したことがある。すると、
前者では 1 日当たりに直して 1800kcal /日、後者は 1390kcal /日だった。代謝に差が出た
理由は姿勢を維持する抗重力筋の働きの有無にある。いい座り方の時には、腹筋や脊柱起
立筋などの抗重力筋が体を縦に支えるが、悪い姿勢のときには、これらの筋肉群はほとん
ど働かなくなってしまう。
■女性の猫背座りは椅子が合っていないのが一因、ボールなどで骨盤を支えると改善
この悪い座り方は、猫背の一種であると考えられている。特に、女性では、立っている
ときは猫背ではなくても、座っているときにこの“猫背座り”が現れる人が多い。その理
由の一つとして、椅子を研究する人々が挙げるのが、多くの女性が体格に合わない椅子に
座っていること。
本来、オフィス用の椅子は、背もたれの下部が骨盤の上部を支えて「いい座り方」を促
すように設計されているが、ここに大きく関わるのが座面の奥行き。男性にはぴったりの
椅子でも、女性には奥行きが長すぎることがあり、そのために背もたれの下部が骨盤に当
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たらないことも。すると、自然と背中の上側を背もたれにもたれさせる“猫背座り”にな
ってしまう。
では、肩こりや太るもととまでされるこの“猫背
座り”の対策は?
今、注目されているのがオフィ
スで椅子の背もたれと骨盤の間に、柔らかいボール
やクッションをはさむ方法(右の写真)。ボールや
クッションが骨盤の後ろ側を支えることで、骨盤は
“後傾”状態から、“立つ”状態に変わり、自然と
「いい座り方」を維持できる。
同じ働きを狙った専用のクッションや、スタンド状のグッズなどもあるが、ボールやク
ッションでも効果は上々で、今、オフィスの女性の間では密かな流行となっている。
夏休み空けのオフィスで、
「疲れやすい」と感じた人で、猫背座りを自覚しているならば、
ボールやクッションを椅子の背と骨盤の間に挟む改善法をぜひ試してみてほしい。
藤井省吾(ふじい・しょうご)
日経ヘルス編集長。東京大学大学院(農学系)を修了。1991 年に医師
向けの専門雑誌『日経メディカル』の記者として取材をスタート、98 年
からの『日経ヘルス』記者生活でも、医学と科学をベースに取材・編集
を担当。08 年から現職。
昨日のテレビから
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昨日、朝日テレビの昼の番組で、腰痛で悩まれる方々にとって「神の手」と称される柔道
整復師の酒井慎太郎先生が紹介されていました。
これまで、酒井慎太郎先生は、書籍の上でしか知りませんでした。
なぜ私が、酒井慎太郎先生の名前を覚えていたかということです。
それは、私が、片頭痛とストレートネックの関連に注目していた時に、調べた書籍に先
生の名前があり、この書籍を読んだことがあったからです。
同時に、東京脳神経センターの松井孝嘉先生の書籍も多数読ませて頂きました。
このお二方は、ストレートネックに関する考え方が殆ど同じように思えてなりませんで
した。あたかも、酒井先生が松井先生の門下生かとも錯覚を起こすほどでした。
それほど、このお二人は、ストレートネックに対する考え方は共通していました。
お互い、別の立場から、ストレートネックに関して研究されて来られたはずなのに、こ
れほど似ているものとは思えませんでした。
この内容を記載すれば、また「著作権」を持ち出されて文句をいわれることと想像しま
すので控えます。これほど共通していることは、真実であるからだろうと考えます。
ストレートネックを治されたい方々は、このお二人の著書をお読みになれば理解される
と思います。
少なくとも、狭い考え方でいる限り、発想そのものも限られてくるように思えてなりま
せん。
美容と健康のため・・「正しい姿勢」を
頭痛の一般啓蒙書はこれまで多数出版されていますが、これらの殆どは 2000 年にトリプ
タン製剤が販売されてから出版され、その内容はトリプタン製剤に関するもので、頭痛と
姿勢に関する記述としては、緊張型頭痛の場合や「慢性頭痛のセルフケア」の項目でわず
かに散見されるに過ぎません。
ところが、昨年の第 40 回日本頭痛学会総会・市民公開講座で国立スポーツ科学センター
の中村格子先生が「美姿勢で頭痛を解消」という講演をされ、学会においても「姿勢」の
問題に関心が払われるようになりました。聴講された方々もおありかと思います。
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私も、「体の歪み」との関連から頭痛と「姿勢」に注目して参りました。
この関係から、「正しい姿勢」とは何か、さらに「正しい姿勢」にするにはどのようにす
べきか文献的に模索を行って参りましたが、医学書ではなく「一般啓蒙書」にその多くが
記載されておりました。ここで、これらを引用すれば著作権の問題でクレームがつくこと
が当然予測されるため控えさせて頂きます。
しかし、これらの一般啓蒙書の著者名だけの記載は許されてしかるべきと考えます。
特に、慢性頭痛でお悩みの方々には是非ともご覧頂きたい書籍です。
私自身が納得出来た書籍の著者名は3人の方々です。それは、有田秀穂、松井孝嘉、酒
井慎太郎の先生方の書籍です。松井・酒井の両先生は昨日ご紹介させて頂きました。
有田秀穂先生は私が紹介するまでもなく皆さんご存じだろうと思います。
有田先生は東邦大学生理学教室の教授で、セロトニン研究の第一人者です。
正しい姿勢にするための具体的な方法を、これらの3名の先生方が、脳神経外科医・整
形外科医(柔道整復師の立場を含めて)・生理学者の立場から独自に述べておられます。
昨日も記載しましたが、松井・酒井先生はストレートネックに関する考え方は、殆ど同
じような考え方をされておられることに驚かされます。
一方、有田先生は、セロトニンとの関連から「正しい姿勢」について述べておられます。
これらの3名の先生方は共通して、正しい姿勢になることで、美しくなってなおかつ若
返ることを指摘されておられます。
現在、頭痛と「正しい姿勢」は無関係とされる医師が殆どであることは認めざるをえま
せんが、私自身は「何らかの因果関係」があるものとこれまでの記事でも述べて参りまし
た。美容と若返り効果があるとすれば、「正しい姿勢」にしてみることも無駄ではなく、そ
の付属として頭痛の軽減に効果があれば、これ以上のことはないのではないでしょうか。
私は、従来の医師とは全く考え方が異なっており、必ず、頭痛の改善に絶大な効果がある
と確信しております。
昨日のテレビでも放映されておりましたが、酒井先生のところを受診しようにも予約は
7年先になるようです。しかし、1回の施術により、姿勢が正しく矯正されても、日常生
活を送る上での注意を怠れば再度逆戻りをしてしまいます。こういった点を考慮すれば自
分で治すのが得策のようです。酒井先生の著書には、この方法が明快に記述されておられ
ます。また、松井先生の所も予約で溢れているようです。
これまでも述べてきましたように、片頭痛とセロトニンは深い関わりがあるようです。
- 242 -
セロトニン生活の「具体的な行い方」が有田先生の著書には記載されております。
いずれにしても、美容と健康、若返りのために「正しい姿勢」を心掛けてみられてはい
かがでしょうか?
この3名の先生方の著書は多数出版されており、ネットで検索されれば出てきます。
適当に選択され、ご覧になられることをお勧め致します。
とくに、片頭痛でお悩みの方々は、必読の書籍と考えております。
これら以外の頭痛啓蒙書では全くといっていいくらい記載されていません。
片頭痛で、自分の頭痛が思うように改善できない場合は、参考にすべきと考えます。
患者の啓蒙活動について
日本頭痛協会の設立について
2012 年 4 月 20 日間中信也を代表とする一般社団法人日本頭痛協会(以後「頭痛協会」と
称する)が設立されました。これまで日本には医師を対象とする社団日本頭痛学会と患者を
母体とする全国慢性頭痛友の会がありますが、頭痛の社会啓発を目的とする組織がありま
せんでした。頭痛に関する知識の普及啓発、頭痛患者およびその家族の療育指導、頭痛に
関する調査研究等を行うことによって、頭痛患者の福祉の増進、および頭痛関係者のコミ
ュニケーションを促進することを目的として設立されたようです。このなかの「頭痛関係
者」とは、患者家族、医師、看護師、薬剤師、学校医、養護教員、産業医など、あまねく
頭痛に関与するものを包括するということです。
この目的を達成するために、頭痛に関する正しい知識の普及啓発を目的とした講演会・
勉強会、市民講座等の啓発活動、頭痛患者および関係者に対する療育指導および支援、そ
の他目的達成のために必要な事業を行うということです。
これららの事業を行う場合、ある程度の資金が必要とされるはずです。これらの資金は
どこから調達するのでしょうか?
穿った考え方をすれば、日本頭痛学会にも製薬メーカーのスポンサーが毎年ついている
(以前にも記事にしました)ように、製薬メーカーをスポンサーにされるのでしょうか?
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いずれ、頭痛協会が主催される「講演会・勉強会、市民講座」の協賛団体を見れば明ら
かになることでしょう。今後、注目する必要があります。
これら3団体の”大義名分”は聞こえがよいのですが、その本質は何なのでしょうか?
3団体とも、考え方の共通するところは、片頭痛には「トリプタン製剤」というよい薬
があるにも拘わらず、この恩恵に浴していない方々が未だに多数存在するということです。
果たして、これが事実なのでしょうか?
私には極めて疑問に思えてなりません。
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛を慢性頭痛と称し、一次性頭痛すなわち、「頭痛もちの頭
痛」と頭痛協会も従来とまったく同じ表現をされます。このように3団体とも共通して「頭
痛の原因がどこにあるのか」明確にされず、「頭痛持ちの頭痛」と患者さんを愚弄するよう
な表現しかされず、頭痛患者さんは「頭痛そのものをどのように理解している」のか、こ
れら3団体の方々は考えたことがおありなのでしょうか?
この点を明確にすることなく、いつまで曖昧にされるのでしょうか?
片頭痛患者さんが一人でも「トリプタン製剤」の恩恵に浴するようにということは、ト
リプタン製薬メーカーの論理であって、確かに「片頭痛にはよく効く方が多い」という事
実は認めますが、「トリプタン製剤」が「片頭痛治療の全て」なのでしょうか?
この点は、当ブログでクドイばかりに述べて参りました。
慢性頭痛の原因がどこにあるのか、どなたも興味はないのでしょうか?
ここが、理解できず、不思議でならないところです。私が思っていることは、当然患者
さん自身が感じているところではないでしょうか?
このために、頭痛で悩まれる方々が医療機関を敬遠される理由で、単に「知識の欠如」
だけとは考えられません。この点を厳粛に反省すべきと考えております。
このような考えは、うぬぼれ以外何者でもないと思っています。
以前、脳卒中診療を行っていた際に、「脳梗塞の血行再開療法の適否」が論じられていま
した。当時「脳梗塞の急性期には脳血管撮影は禁忌」とされていました。にも拘わらず極
少数の施設では、こういった時代から勇猛果敢に行われていました。そして、「このような
時代の少数派の考えを問う意味で」第8回日本脳卒中学会で「脳梗塞の共同研究」として
「発症 24 時間以内の虚血性脳血管障害」の症例が全国的に集計されたことがありました。
1年間で 1,000 例が集められ、この中で発症当日脳血管撮影が行われたものが 810 例あり
これらが、詳細に分析されました(文献)
このように、学会が率先して、これまで禁忌とされていたことの調査を行っていました。
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このような点を考えれば、現在の日本頭痛学会は何をしているのかと歯がゆいばかりで
す。頭痛研究には各分野の重鎮が多すぎるということなのだろうと考えます。総括的に、
片頭痛を俯瞰できる人間がいないということだろうと思われます。
「何が、頭痛研究の本質なのか」が理解されていないのでしょうか?。
このような点が何時までも、解決されないままであり、このような状況において「患者
啓蒙」とよく言えることかと批判されても仕方ないことと考えます。
さらに付け加えさせて戴くなら、頭痛協会設立にあたってのホームページで、全国慢性
頭痛友の会会長のメッセージ「日本頭痛協会設立のよろこび」として、会長自身が、「一頭
痛患者として、また、頭痛患者会を代表する者として、頭痛による身体的苦痛、社会的苦
痛に多く接してきました」と述べておられます。会長自身が未だに頭痛そのものを克服で
きていない点は何を意味しているのでしょうか?
るのでしょうか?
このようなことで「患者啓蒙」が言え
まさに”奇怪至極”としか言いようがありません。
こうした点から、3団体とも、「いかにしてトリプタン製剤を宣伝するか」、ここに本質
があるように思われて仕方ありません。
以上のように、現段階で何をすべきか、この点を明確にすべきと思われます。
いずれ、頭痛協会の活動の実態を確認すれば、これらは自ずと判明すると考えられ、今
後の動向には細心の注意を払って見守っていく所存です。
日本頭痛協会の設立趣旨(発足のご挨拶)
■頭痛協会設立の背景
本邦の頭痛患者は 4000 万人と推定され、国民の健康を脅かす重要な疾患の一つとされて
います。なかでも片頭痛の有病率は 840 万人にのぼり、世界保健機構(WHO)によれば、健
康寿命を短縮する疾患の 19 位(女性では 12 位)に位置付けられております。全国疫学調査
によれば片頭痛患者の 74%は日常生活に何らかの支障をきたしていますが、受診をしても、
疾患の説明・治療の内容が不満足と感じている患者が多く、残念ながら本邦の頭痛診療の
レベルはまだ十分に国民のニーズを満たしておりません。また頭痛専門医は 736 名(2011
年現在)と郡市区医師会数 890 に満たず、専門医ゼロの医師会も少なくなく、患者の受け入
- 245 -
れ態勢や相談窓口は整備されているとは言い難い状況にあります。
■頭痛協会設立の動機
日本には医師を対象とする社団日本頭痛学会と患者を母体とする全国慢性頭痛友の会が
ありますが、頭痛の社会啓発を目的とする組織がありませんでした。頭痛患者さんの未受
診者は多く、学校では学業の妨げとなる頭痛は「気のせい」と軽くみられ、実業界でも作
業能率の低下・休業により経済的損失を生じております。市民の間でも鎮痛薬の過剰使用
による薬物乱用頭痛が後を絶ちません。このような不幸な事態を打開すべく日本頭痛協会
を設置するに至りました。
■頭痛協会の目的
本協会は、頭痛に関する知識の普及啓発、頭痛患者およびその家族の療育指導、頭痛に
関する調査研究等を行うことによって、頭痛患者の福祉の増進、および頭痛関係者のコミ
ュニケーションを促進することを目的としております。頭痛関係者とは、患者家族、医師、
看護師、薬剤師、学校医、養護教員、産業医など、あまねく頭痛に関与するものを包括し
ます。
■頭痛協会の事業
本協会は、前条の目的を達成するために、頭痛に関する正しい知識の普及啓発を目的と
した講演会・勉強会、市民講座等の啓発活動、頭痛患者および関係者に対する療育指導お
よび支援、その他目的達成のために必要な事業を行います。
■おわりに
「たかが頭痛」と軽視されがちな「頭痛持ち」の QOL 向上のための診療態勢の整備し、
「頭痛に悩まない、苦しまない」時代を創成するために、頭痛協会に対するご理解とご支
援のほどをお願いする次第です。
- 246 -
日本頭痛学会理事長のメッセージ
日本頭痛協会の活動に期待する
日本頭痛学会理事長
坂井文彦
日本頭痛「学会」は、医師を中心として、これまで頭痛医学の研究、診療、教育の推進
に努力をしてきました。脳の科学として頭痛の研究を進め、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭
痛など慢性頭痛のメカニズムが明らかにされてきました。頭痛の診断や治療の技術も向上
しています。診断と治療のガイドライン作成、頭痛専門医の育成なども日本頭痛学会の会
員が努力してきました。
しかし、未だに慢性頭痛の悩みが、「頭痛ごときで」としか扱われず、社会一般のみなら
ず、医学者のなかでも「頭痛持ちの頭痛」が十分に認識されていません。わらにもすがり
たい気持ちで、テレビのバラエティー番組に振り回されているのも現状です。
日本頭痛「協会」は、頭痛の医療に関心のあるすべての方々に参加頂く組織です。慢性
頭痛(頭痛持ちの頭痛)が病気の一つであることを社会に認識して頂きたいと思います。
有効な治療法があること、頭痛の悩みが科学的に解消されつつあることを社会全体にアッ
ピールすることがミッションです。
医学専門家も少しずつ「頭痛の医学の奥の深さ」に気づき初めました。慢性頭痛の悩み
の大きさについての理解も社会に広がりつつあります。まだ十分ではありませんが、「され
ど頭痛」の認識が広まってきました。「頭痛もちの頭痛病」を何とかしたいと思っておられ
る方々と日本頭痛協会とが手をたずさえることにより、これから日本の頭痛医療がもっと
良くなっていくことを期待しています。
全国慢性頭痛友の会会長のメッセージ「日本頭痛協会」設立のよろこび
全国慢性頭痛友の会
秋山扶佐子
- 247 -
この度、「日本頭痛協会」が設立されましたことは、私たち頭痛患者にとりまして大きな
喜びです。最近になって頭痛への認識はある程度深まりましたものの、依然として頭痛は
軽く見られ、社会からは治療の必要な疾患と認識されにくい現状です。
また、当事者で
ある頭痛患者も、「たかが頭痛くらいで病院へ行ってよいのだろうか」と思いがちです。頭
痛で病院へ行くなんて大袈裟ではないかと躊躇しているうちに、頭痛をこじらせてしまう
ことも少なくありません。 このような社会の目、頭痛患者本人の意識を修正しなければ、
現状はなかなか変わりません。私は、一頭痛患者として、また、頭痛患者会を代表する者
として、頭痛による身体的苦痛、社会的苦痛に多く接してきました。決して「気のせい」
などではない深刻さを、ぜひ社会に伝え、患者本人も自覚しなければならないと思うので
す。
「日本頭痛協会」が設立され、啓発活動が進められれば、頭痛を取り巻く環境は更
に変わってくることと思います。過去の10年間を振り返ってみますと、新薬の承認によ
り、それまでの頭痛医療が大きく飛躍し、多くの頭痛患者がその恩恵に与れるようになり
ました。
一方、自分の頭痛が受診を必要とするものかどうか分からなくて、現代の頭痛
医療の恩恵に与れないで居る患者も、中には存在します。そして、頭痛医療が進歩しても、
職場、学校、更には家庭でも、頭痛患者に対する見方は一昔前のままというところもあり
ます。
このような現実を変えて行くには正しい認識の普及が必要です。「日本頭痛協会」
の設立は私たち患者にとり、まことに喜ばしく、私もその一員として啓発活動に関わらせ
て頂ければ幸いなことと思います。
(2012-07-10 掲載)
•「一般社団法人日本頭痛協会(以後「頭痛協会」と称する)」が 2012 年 4 月 20 日付け発
足いたしました。
• 代表理事
間中信也
• 事務局所在地
〒 338-8577
さいたま市中央区本町東六丁目11番1号埼玉精神神経セ
ンター
患者啓発活動のあり方・・一般医師の立場から
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先日、頭痛協会について述べさせて頂きました。
協会設立の背景として、間中信也会長が指摘されておられますように、頭痛専門医は 736
名(2011 年現在)と郡市区医師会数 890 に満たず、専門医ゼロの医師会も少なくなく、患者
の受け入れ態勢や相談窓口は整備されているとは言い難い状況にあります。私の診療する
和歌山県には、和歌山市に1名おられるだけで、田辺市はもとより他の郡・市には頭痛専
門医はどなたもいらっしゃいません。
そして、協会の目的として、頭痛に関する知識の普及啓発、頭痛患者およびその家族の
療育指導、頭痛に関する調査研究等を行うことによって、頭痛患者の福祉の増進、および
頭痛関係者のコミュニケーションを促進することを挙げておられます。頭痛関係者とは、
患者家族、医師、看護師、薬剤師、学校医、養護教員、産業医など、あまねく頭痛に関与
するものを包括するとされています。
この目的を達成するために、頭痛に関する正しい知識の普及啓発を目的とした講演会・
勉強会、市民講座等の啓発活動、頭痛患者および関係者に対する療育指導および支援、そ
の他目的達成のために必要な事業を行うとされています。
以上のように、頭痛専門医不在の田辺市医師会に属する一般開業医の立場からお願いを
申し上げたく存じます。
せっかく、協会のホームページを立ち上げた訳ですので、このホームページを有効に活
用して頂きたくお願い申し上げます。
現在、ほとんどの方々はパソコンないし携帯をお持ちで、情報収集にはインターネット
を活用されていることを念頭において検討して頂きたくお願いする次第です。
まず、”頭痛に関係するものが利用する”ということですので、基本的に最小限必要とさ
れますのは、日本頭痛学会・日本神経学会が作成されている「頭痛ガイドライン」と国際
頭痛学会が作成されている「国際頭痛分類 第2版」の3つを掲載すべきと考えます。
といいますのは、当紀南地区では、基幹病院の脳神経外科ですら、頭痛の診断基準が極
めて曖昧で、このような3つのものが存在することすらご存じでない先生もいます。
このような基本的な点を整備しない限り「啓蒙活動」そのものが意味をなさないと考え
ます。これら3つのものを掲載するにあたって「版権」の問題が存在することとは思いま
すが、このあたりは間中先生の”力”をもって、解決して欲しい点です。
これらさえ揃っていさえすれば、どなたでも興味のある方々が閲覧でき、「頭痛解説」の
項目で不明の点をその都度参照できるものと思います。
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それと今後の予定として、頭痛に関する正しい知識の普及啓発を目的とした講演会・勉
強会、市民講座等の啓発活動を行われるそうですが、これまでも「日本頭痛学会」も市民
講座を開催され、「全国慢性頭痛友の会」も講師を招いて「講演会・勉強会・頭痛相談」を
定期的にされておられます。問題はこれらの講演会や市民講座の内容が参加者以外には知
らされないことです。ところが「全国慢性頭痛友の会」は、これら「講演会・勉強会・頭
痛相談」の内容がすべて、文章にして編集され、会長自身が機関誌として配布されておら
れます。これらの作業が会長個人の手で、友の会開設以来続けられており、この点はすば
らしいと何時も敬服しております。ただ、これらせっかくの機関誌も「友の会の会員」だ
けにしか見られない点が極めて残念でなりません。私の考えでは、せっかくの「慢性頭痛
友の会」のホームページを開設されておられるのですから、ここに掲載されれば、一般の
方々にも閲覧して頂けるのではないでしょうか?そうなれば、より多くの方々に「啓発活
動」が可能となるはずです。せっかく苦労されて作成されたものが、会員しか閲覧できな
いことはもったいないと思われます。PDFファイルにして誰でもダウンロードできるよ
うにされれば、製本・配布の手間が省けるものと考えます。過去の記事だけは、会員だけ
にしか閲覧・ダウンロードできないようにすれば会員数は把握できるはずです。
今後、頭痛協会にお願いしたいことは、今後「講演会・勉強会、市民講座」等の啓発活
動を行われた場合、「全国慢性頭痛友の会」のようにこれらの講演内容をすべて記事として
掲載することです。友の会の会長自身がされておられる訳ですので不可能なことではない
と思われます。そうすれば、このような「講演会・勉強会、市民講座」に仕事や時間・地
域医的に参加のできない方々にも閲覧して頂けるのではないでしょうか?
これまで「個人情報保護」とか「著作権」とか諸々の制約が存在するということで、せ
っかくのものが「その場限り」のものとして消失してしまっていることが残念でなりませ
ん。そうすれば、頭痛協会の目的もさらに短期間で達成できるのではないでしょうか?
今後、私のような、頭痛医療に関して、「半端物・異端児的な存在の一般開業医」を作らな
いためにも、お願い申し上げます。まだまだ、私の住む紀南地区のような「頭痛専門医」
不在の地域は多く存在することを忘れずにいて欲しく、この点をどのような方法で、「頭痛
に関する正しい知識の普及」に努めるか考えて頂きたいと思います。
- 250 -
全国慢性頭痛友の会への疑問
この会の趣旨
目的
◎頭痛で悩む全国の仲間と交流し、情報等を交換しあう。
◎頭痛が「体の病気」であることを医療機関や職場、地域社会等に訴え、正しい理解と
認識を求めていく。
◎地域の医療機関に頭痛外来を開設してもらい、適切な医療が受けられるように働きか
けていく。
◎慢性頭痛の原因の解明、治療法の確立に向けて行政に働きかけていく。
会の事業
◎会報の発行
◎専門医による医療講演会の開催
◎交流会、学習会などの開催
ところが「全国慢性頭痛友の会」は、これら「講演会・勉強会・頭痛相談」の内容がすべ
て、文章にして編集され、会長自身が機関誌として配布されておられます。これらの作業
が会長個人の手で、友の会開設以来続けられており、この点はすばらしいと何時も敬服し
ております。ただ、これらせっかくの機関誌も「友の会の会員」だけにしか見られない点
が極めて残念でなりません。私の考えでは、せっかくの「慢性頭痛友の会」のホームペー
ジを開設されておられるのですから、ここに掲載されれば、一般の方々にも閲覧して頂け
るのではないでしょうか?そうなれば、より多くの方々に「啓発活動」が可能となるはず
です。せっかく苦労されて作成されたものが、会員しか閲覧できないことはもったいない
と思われます。PDFファイルにして誰でもダウンロードできるようにされれば、製本・
配布の手間が省けるものと考えます。このような作業を独自でされておられるようです。
何か方法論が間違っているのではないでしょうか。
- 251 -
このように、なぜクローズドの形で、一般の方々に、得られた「情報」を発信されない
のでしょうか?
それとも演者になられた先生方が「世間に公表できないこと」を会員の方々にお話にな
っておられるのでしょうか?
頭痛知識を広めるという本来の趣旨からは、全く相反するものと思われます。
なぜ、クローズドのものにされておられるのでしょうか?
会員以外の「頭痛でお悩みの方々」には知られては都合の悪いことでもあるのでしょう
か?
このように考えれば、「頭痛知識の啓蒙」をモットーとする本来の活動とはかけ離れてい
るとしか思われません。この点が、「深淵の謎」です。
団体の主張を、世間一般に広めようとするのが本来の目的であるとすれば、根本的に手
法そのものが間違っていると考えざるを得ません。
このような点を考える限り、「団体そのもののの存在の意義」が、何か「別の目的」でも
あるのでしょうか?
疑問だらけの団体としか考えられません。
全国慢性頭痛友の会の活動
頭痛患者さんの団体として、1998 年 2 月に「全国慢性頭痛友の会」が発足し、現在会員
数 650 ~ 700 名前後いらっしゃるようです。
その発足当時の詳細な経緯は、清水俊彦先生の著書「頭痛外来へようこそ」
(保険同人社)
の 139 頁に、「全国慢性頭痛友の会」の会長の秋山扶佐子さん自身が述べておられます。
この会の趣旨として、以下のように唱われています。
目的
◎頭痛で悩む全国の仲間と交流し、情報等を交換しあう。
◎頭痛が「体の病気」であることを医療機関や職場、地域社会等に訴え、正しい理解と
認識を求めていく。
- 252 -
◎地域の医療機関に頭痛外来を開設してもらい、適切な医療が受けられるように働きか
けていく。
◎慢性頭痛の原因の解明、治療法の確立に向けて行政に働きかけていく。
会の事業
◎会報の発行
◎専門医による医療講演会の開催
◎交流会、学習会などの開催
上記が、会の趣旨のようですが、これとは別に、清水俊彦先生の著書「頭痛外来へよう
こそ」(保険同人社)の中で、会長自身の言葉で明確にされておられる点が、会が発足する
段階で、海外で使われていた「トリプタン製剤」を厚生労働省に認可させることが目的に
なっていたことです。そして、清水先生との出会いが詳細の語られております。
こういったことから、これまで私自身がこれまで疑問に思っていたことが、全て氷解し
たように考えます。(患者会の本質がどこにあるのか、ということです)
この点を、具体的に書けば、会長自身から、当然抗議されることは目に見えており、控
えさせて頂きます。(私の「独断と偏見」として胸に納めておきます)
これとは別に、さらに疑問となる点があります。これは、以前にも記事にしました。
また、改めて記載させて頂きます。それは、年4回、季刊の会報の発行です。
「講演会・勉強会・頭痛相談」の内容がすべて、「会報」として発行されて来ました。
これら、これまで発行されて来られた「会報」を全てデータベース化されれば、と考え
ると極めて、無駄なことを積み重ねられたとしか言いようがありません。
これら「講演会・勉強会・頭痛相談」の内容を逐一文字にするという作業自体大変なこと
です。これらの作業が会長自身の手で、友の会開設以来続けられており、この点はすばら
しいと何時も敬服しております。ただ、これらせっかくの会報も「友の会の会員」だけに
しか見られない点が極めて残念でなりません。私の考えでは、せっかくの「慢性頭痛友の
会」のホームページを開設されておられるのですから、ここに掲載されれば、一般の方々
にも自由に閲覧して頂けるのではないでしょうか?そうなれば、より多くの方々に「啓発
活動」が可能となるはずです。どのように「頭痛患者が悩み苦しんでいるのか」世間一般
の方々に、一目瞭然となるのではないでしょうか?
- 253 -
せっかく苦労されて作成されたもの
が、会員しか閲覧できないことはもったいないと思われます。PDFファイルにして誰で
もダウンロードできるようにされれば、製本・配布の手間が省けるものと考えます。この
ような作業も独自でされておられるようです。大変な、想像を絶する作業と思われます。
何か方法論が間違っているのではないでしょうか。
このように、なぜクローズドの形でないといけないのでしょうか。一般の方々に、得ら
れた「情報」をなぜ発信されないのでしょうか?
それとも演者になられた先生方が「世間に公表できないこと」を会員の方々にお話にな
っておられるのでしょうか?
日本頭痛学会及び頭痛専門医も、「啓蒙活動」を唱っているはずです。なぜ、著作権に拘
るのでしょうか。この点が理解に苦しみます。
頭痛知識を広めるという本来の趣旨からは、全く相反するものと思われます。
なぜ、クローズドのものにされておられるのでしょうか?
会員以外の「頭痛でお悩みの方々」には知られては都合の悪いことでもあるのでしょう
か?
このように考えれば、「頭痛知識の啓蒙」をモットーとする本来の活動とはかけ離れてい
るとしか思われません。この点が、「深淵の謎」です。
団体の主張を、世間一般に広めようとするのが本来の目的であるとすれば、根本的に手
法そのものが間違っていると考えざるを得ません。
このような点を考える限り、「団体そのもののの存在の意義」が、何か「別の目的」でも
あるのでしょうか?
疑問だらけの団体としか考えられません。
頭痛診療全般
現在の頭痛診療
最近、「頭痛外来」という、全国各地の医療機関で開設されております。
これは、頭痛に悩む人がいかに多いかを示すものです。同時に、従来の診療科では、なか
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なか診断がつかず、治療もいい方向に向かわないことから、頭痛の専門診療のニーズが高
まっている証拠でもあるのでしょう。
ところが、そうした「頭痛外来」が頭痛に悩む人の期待に十分応えられているかという
と、そうでもないようです。
頭痛を訴えて、医療機関に受診しますと、初診の際に、CT検査を受けるというのが、
通常のパターンです。脳に重大な疾患がないか、まず、そこをチェックするわけです。
次は、医師の問診に進みます。どんな痛みか、いつから痛むかなどを聞き、頭痛の種類
を判別、片頭痛と診断されれば、その治療薬を、緊張型頭痛と判断されれば、その治療薬
を処方して、「お大事に」・・・これで終わりです。
頭痛以外のいろいろの症状が出ていても、何の関係もないと考えているのか、聞こうと
しないところが大半です。鎮痛薬を飲めば治まる頭痛もありますから、いったん痛みから
解放されます。しかし、それでは解決にはなりません。片頭痛にせよ、緊張型頭痛にせよ、
頭痛そのものを完治させる薬は、まだありません。痛みという症状をとりあえず抑える「対
症療法」しか、とりようがないのです。
医療機関は現在、どこでも、こんな感じでしょう。頭痛のときに従来から受診していた
内科はもちろん、「頭痛外来」と銘打った”専門”診療科でも、大差はありません。
はっきりいえば、一時しのぎの治療というところがほとんどです。
薬で痛みを止めるだけでは、患者さんは、一生、薬と付き合うことになります。
それだけでも気が滅入ることですが、もっと危険な事態を招きかねません。
痛みとは、そもそも、体が、異常を外に知らせるために発するものです。
もし、人間に痛みというものが無ければ、発病にはなかなか気づかず、気がついたとき
には、もう手遅れということばかりになってしまうでしょう。
痛みは、大事なサインであり、警報なのです。痛みの根本原因を突き止められず、元々
の疾患の治療もせず、痛みだけを和らげる頭痛診療は、警報の電源だけ切って、それでよ
し、とするものです。警報が知らせる深刻な事態は、そのまま放っておくのですから、ま
すます悪化してしまう危険性は大きいに決まっています。
たとえば、火災が起きたときの火災警報が、痛みに当たります。火災警報だけを止めて
どうするのかということです。頭痛の大半を占める筋肉が原因の緊張型頭痛では、筋肉が
もうこれ以上、無理できないというので頭痛という警報を出しているのです。この警報だ
- 255 -
けを止めると、筋肉にはさらに無理な力が加わって、治すことがますます困難になります。
近年は、ペインクリニックという、痛みをとることを専門にした診療科もあります。ま
た、一般の病院ではブロック注射がよく行われています。
適切な治療をすれば治るはずの病気に、ブロック注射を施すと、それ以上無理が出来ず
働けなくなった筋肉に痛みがなくなるために、さらに無理をかけて、筋肉の状態はより重
症となり、治しにくくなります。
(緊張型頭痛は中には、筋肉が原因でない精神的な要因が関与しているものが存在する
ことは事実ですが・・しかし、その数はそう多いものではありません)
それでは、片頭痛の場合は、何のための危険信号なのでしょうか?
片頭痛は、何らかの引き金により、最初に脳の一部に小さな興奮が起こり、徐々に周囲に
拡大します(閃煇暗点など)。そのままでは脳に障害が起こります。そこで、脳周囲の血管
が拡張し血流が増加します。脳に酸素と栄養を供給している血管が、脳への架け橋のグリ
ア細胞を介し脳を守ると考えられます。脳の血管拡張は強い痛みを起こしますが、脳の障
害を必死に守り、また危険信号を発しているとも考えられます。
片頭痛の治療は痛みを止めるだけではありません。脳を守るメカニズムを考えた治療が
必要です。(このように申されて、トリプタン製剤で治療しなさい、と主張されます)
さらに、片頭痛の場合、一般の鎮痛薬で痛みを抑えていると、一部の脳の活性が高まり、
そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさらに脳の活性をも
たらし、それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終わらなくなるので
す。それによって常に片頭痛がある状態になります。また、血管の拡張が繰り返されると、
血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなります。
一部の先生方はこういった見解を述べられは、極めて軽い片頭痛発作でも「トリプタン
製剤」を使用すべきと勧めておられます。
しかし、このような見解は、”何らかの引き金”によって、頭蓋内で起きた現象を抑える
目的で、痛み止めの代わりにトリプタン製剤が使われただけに過ぎません。
その作用機序そのものは、”鎮痛薬と大差はなく、もっと効果のある薬剤”でしかなく、
結局は”対症療法”に過ぎません。何か、基本的に欠如した部分が存在しています。
このように、多くの頭痛診療が、痛みを一時的にとることしかできないのは、その原因
がよく理解されていないからです。医療機関がこのようなことに気がつけば、頭痛医療は、
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飛躍的に実効性のある診療が行えるずです。けれど、残念なことに、多くの頭痛の専門家
はそのことに気づかず、旧態依然の診察と鎮痛薬・トリプタン製剤の処方を繰り返すだけ
です。
それでは、どのように頭痛研究者は考えているのでしょうか?
一次性頭痛とは、脳の中には何も病気がなく、頭の痛みだけが病気である、という頭痛
です。二次性頭痛とは、脳の中にくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などの病気があり、その
症状の1つとして頭が痛む場合、または風邪やお酒の飲み過ぎ、薬の乱用など、頭痛が起
きる原因が何か別にある場合の頭痛のことを言います。
それでは、一次性頭痛では、”脳の中には何も病気がなく、頭の痛みだけが病気である、
という頭痛”とした場合、その原因はどこにあるのでしょうか?
一次性頭痛は慢性の頭痛といっていいでしょう。
二次性頭痛は、何かに病気にかかったことで起こる頭痛ですから、発病するまでは頭痛
という症状は出ませんし、その病気が治れば、頭痛も去っていきます。ところが、背景と
なる疾患のない一次性頭痛は、いわば頭痛が病気本体で、頭痛の直接の原因と取り除かな
いかぎり、ずっと頭痛に悩まされることになります。
一次性頭痛の主なものには、「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つがあります。
緊張型頭痛が 70 ~ 80 % で、片頭痛は 30 % 前後とされ、群発頭痛は極めて稀で、結局 99
% 以上が、「緊張型頭痛」と「片頭痛」で占められています。
ところで、片頭痛と緊張型頭痛は、明確に区別できるものではありません。その境界に、
どちらの特徴を持っていて、どちらとも区別できない頭痛があります。
私は、平成 24 年 9 月に、頭痛と「体の歪み(ストレートネック)」に関する調査を、当
医院開設以来平成 24 年8月までの過去 20 年間の成績をまとめたことがあります。この結
果、緊張型頭痛では 85 % に、片頭痛では 94 % の高頻度でストレートネックが見られた
と報告しました。
この成績を出すと同時に、頭痛研究者の一部の先生方に、頭痛とストレートネックに関
するアンケート調査を行いました。ところが、大半の先生方は、頭痛とストレートネック
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に関してはエビデンスがなく、無関係との考えで、片頭痛に関しては”論外”というアン
ケート集計が得られました。ということは、両頭痛とも、原因不明という考え方が一般的
でした。
片頭痛は、「神秘な、不思議な病気(頭痛)」との認識しかありませんでした。
そして、首の筋肉に疲労が貯まってしまうパターンとして
1.長時間、うつむき姿勢をとる習慣がある人
1.ムチウチなど、過去に首や頭部を痛めた経験のある人
に出現し、その結果として、頸椎X線検査上、ストレートネックを示して来ます。
緊張型頭痛では、デスクワーク、特にパソコンを使って仕事をすることにより、うつむ
き姿勢を長時間とると、首の後ろ側の頭半棘筋が緊張し、その筋肉を貫くように走ってい
る「大後頭神経」が圧迫され頭痛が起こり、緊張型頭痛は明らかに首疲労からもたらされ
る病気で、首疲労を治療することによって、痛みがきれいに消えてしまいます。
これまで緊張型頭痛は「仕事の精神的ストレスが原因」とされ、痛むたびに鎮痛薬でご
まかすしか手がありませんでした。きっと、このタイプの頭痛は我慢するしかないとあき
らめていた人もかなりの数にのぼるのではないでしょうか。それが、首の筋肉疲労が原因
であることがわかり、はじめて根本的に治す道が開けてきました。
ところが、明らかに片頭痛と明らかに片頭痛と考えられる予兆や前兆を持っていて、片
頭痛に有効なイミグランなどのトリプタン製剤を飲んだら、頭痛がぴたりと止まることか
ら、典型的な片頭痛と他院で診断された患者さんに対して、頸筋の異常を治療したら、片
頭痛が起きなくなったものが、片頭痛の一部に存在します。こうなると、片頭痛と緊張型
頭痛という分類自体が怪しくなってきます。
このあたりについては、まだ研究段階であり、今後の研究を待つしかありませんが、こ
れまでの医学理論では説明できないことが起こりつつあることは確かです。
頭半棘筋にこりが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わりま
す。
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大後頭神経は、緊張型頭痛(頸性頭痛)のところで説明したように、頭痛をもたらす神
経です。大後頭神経と三叉神経は脳のなかで繋がっていますので、大後頭神経の刺激は、
三叉神経にも伝わります。
大後頭神経と三叉神経が同時に痛くなる現象は、よく知られています。いわゆる「大後
頭神経三叉神経症候群」です。これが、片頭痛を誘発・増悪・慢性化に関連していると推
測されます。
このような観点から、片頭痛の治療の可能性について考えるべきと考えますが、どなた
もこのような見方をなさらず、一次性頭痛は”脳の中には何も病気がない”と規定しなが
ら、依然として「頭蓋内の病態」にしか関心がないようで、一般の素人の目から見ても、
明らかに矛盾しているにも関わらず、どなたも気づかれる人はいないようです。
ここが、私にとっては、最大の疑問点です。
私の頭痛医療との出会い
私は、昭和 43 年に大学を卒業後、昭和 45 年から国家公務員等共済組合連合会 呉共済病
院・内科に勤務しました。卒業後何もわからない、その当時は、内科医長の診察日には予
診係といって、初診患者さんの病歴をカルテに記入する役目がありました。当時の内科医
長の指導は極めて厳しく、アナムネーゼ(病歴)の記載の仕方が悪いと、何回も取り直し
を課せられた記憶があります。特に、頭痛患者さんの場合は、少なくともカルテ1ページ
を埋め尽くす位に記載しないと幾度も取り直しをさせられました。
このため医学雑誌に掲載されている「頭痛問診表」をことごとく点検し、自分なりの「頭
痛問診表」を作成した記憶があります。
翌年から、若年ながら外来診察を許可され、再診患者を診る合間に、新患の頭痛患者の
診察を行うのですが、予診係の時のように余裕をもって病歴の聴取が困難でした。
当時は、現在のようにCTとかMRIなどの画像診断の無かった時代でした。
頭痛には、一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛とは、脳の中には何も病気がなく、頭の痛みだけが病気である、という頭痛
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です。二次性頭痛とは、脳の中にくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などの病気があり、その
症状の1つとして頭が痛む場合、または風邪やお酒の飲み過ぎ、薬の乱用など、頭痛が起
きる原因が何か別にある場合の頭痛のことを言います。
頭痛診断ではまず初めに、一次性頭痛と二次性頭痛をきっちりと分けて診断する必要が
あります。もし脳の中に何か病気がある場合の二次性頭痛を見逃すと、患者さんの命に関
わることも少なくありません。
このため、とにかく詳細な病歴聴取に引き続いて「神経学的検査法」を行った上で「二
次性頭痛」の除外を行う必要がありました。
当時は、悪名高き”3分診療”がまかり通っていた時代です。1日に 100 名前後診察す
る中での「頭痛患者」の診察には、「二次性頭痛」の除外を行うのが精一杯の実情でした。
参考までに、当時の頭痛検査として行われていたものは、脳波検査、頭部超音波検査、
髄液検査、脳血管撮影程度で、現在では考えられない状況でした。
このような状況をいかに打開するか考えた末、週1回、午後から「頭痛外来」を許可し
て頂きました。当時の「頭痛外来」には片頭痛と薬物乱用頭痛の方々が大半を占めており
ました。なぜ、薬物乱用頭痛が多かったのかは、上記のような”3分診療”が行われてい
た結果です。どのようなことかと言いますと、他の内科の先生方は、自分の診察患者の中
に頭痛を訴える方々がおられても、面倒臭いため、詳細な問診もなく、安易に”セデスG
”が処方されていました。現在は製造中止になり、処方されなくなりましたが、当時の鎮
痛薬としては極めてよく効きました。私は学生時代テニスの夏合宿で「水を飲みすぎて」
「胃痙攣」を起こして、七転八倒した経験があります。このとき先輩の先生にオピアトと
いう麻薬の注射をされた経験があります。この効き目は、注射した途端に、あたかも「雲
が晴れていく」ような感覚で痛みが消えていきました。”セデスG”もこの麻薬にも匹敵す
るほど「雲が晴れていく」ようにスッとした爽快感とともに痛みが消えていました。
このため、処方する医師も、処方される患者さんも、安易に服用し、いつの間にか「薬
物乱用頭痛」に移行していくケースが日常茶飯事にありました。
また、片頭痛治療薬としては、現在のようなトリプタン製剤の無かった時代でした。あ
った薬は、先程の”セデスG”と特殊な薬剤としては酒石酸エルゴタミンのカフェルゴッ
ト、クリアミンに、予防薬としてのミグリステン程度でした。
酒石酸エルゴタミンのカフェルゴットは効く人は効くのですが、とくに前兆のある片頭
痛の方に、前兆の出現と同時に、吐き気止めとカフェルゴットを同時に服用してもらうこ
- 260 -
とで劇的に効果を示される方がおられた反面、多くの方々は「前兆のない片頭痛」でこう
いった場合、服用のタイミングがうまくつかめず、副作用である吐き気、嘔吐しか出ず、
鎮痛効果のない方々が多かったように思います。
このような状況でしたので、もっぱら「誘因の除去」と「日常生活指導」に終始せざる
を得ませんでした。ですのでセデスGは貴重な薬剤でした。
頭痛診療での、詳細な病歴聴取の重要性と片頭痛患者さんへの治療上、誘因の除去と「日
常生活指導」の大切さを教えられたのは、この呉共済病院の 18 年間の経験からで、これ
抜きには、現在の私は考えられないと思っております。
現在、頭痛専門医の中には、1日に 200 ~ 300 人の患者さんを診察される先生がいらっ
しゃるようです。概算すれば、1人5分弱の診察時間にしかならない計算です。どのよう
な”カリスマ”医学をなさっておられるのでしょうか?信じられない数字です。
片頭痛は治らない病気・先天的な病気であると教え込む”魑魅冥猟の世界”のなせる業
なのではないでしょうか?
- 261 -
ブログ炎上の顛末記
平成 24 年 12 月 25 日、午後1時に、最後のひとつの記事「いよいよ、イミグラン錠の後
発品が発売」を残して全ての記事を抹消し、事実上「頭医者のつぶやき」を閉鎖しました。
その直接のきっかけとなったのが、平成 24 年 12 月 13 日(木)の一通の匿名のメールに
始まりました。当初は、これがワナであったとは全く気がつかず、これを読んだのが墓穴
を掘る羽目になってしまいました。このメールでの”全国慢性頭痛友の会が「宗教団体」
という箇所がありました。ここに「ワナ」が仕掛けられていたとは全く気がつかなかった
ことが後になって初めて気がついたが、後の祭りでした。
ブログ閉鎖にあたって、記憶が薄れない内に、その経過を最後に書き残すことにします。
2012/12/13 (木) 20:03
これが、まず最初のメールでした。
アスペルガー、光過敏性てんかん、前兆のある片頭痛持ちの者です。
とりあえず、ブログをばーっと拝読しましたが、先生は若干粘着質なところがありますね。
まあ頭痛持ちってキレるととことんらしいので。笑
冗談は置いておいて、自分も一時期、頭痛友の会に入ってましたが、ありゃあ宗教と教祖の関
係性ですね。
学生時代は宗教学を専攻してましたから、よく分かります。
また、久しぶりに会に顔を出すと消えてる幹部もいましたし、結構会長さんとは仲良かったか
ら教えてもらいましたが、あの人は合わなくなって出て行ったのよとか言ってました。
元々アスペルガーなんで、群れるの嫌いだったし、もう宗教だなって思ったら早く離れようと
-1-
決め、ソッコー辞めました。
今どーなってるかは全く分からないですね。
相変わらず講演会の企画とかやってるのかなぁ?
だからまあ言っちゃうと、清水先生にも診てもらってたんですよね。笑
そもそも女子医大に頭痛外来あるなんて知らなくて、神経内科のほうかかっちゃって、女医さ
んにちょー上から目線で、あなたのは体質だから治りません ‼ て言い切られて、ふざけんなよ
って思ってた時にテレビ出てたのが清水先生でした。
インタビューで、必ず治します ‼ って言ってたんで、ココ行くしかないって思って、予約いら
ない方のクリニック行きました。
日本ででら有名だってのは後から知りました。笑
まあ当時は若かったし、先生にもナース紹介してよーとか言えるぐらいの関係だったんで、も
う自分に合う薬分かればわざわざ東京まで行かなくても、地元の病院でもらえばいいやぐらい
で、てんかんってのもちゃんと受け止めなかったし、アスペルガーもまだ診断されてなかった
んで、バイバーイで半年ぐらいで通院やめたんですよね。
ちゃんと捨て台詞ありましたよ、薬飲まなきゃ倒れて救急車だからな ‼ って。
でも当時は、清水先生の初診で、動静脈ろうって診断もあったんですが、結局紹介先の女子医
大の脳外科教授が、君みたいな若い奴が動静脈ろうなんてあり得ない(添付資料も見ないで)
と言い切り、面倒だったのか、何故か、そうだ、てんかんなら専門医がいるからそっちに診て
もらいなさいと女子医大のてんかん外来に回されました。
ここで問題発生です。
-2-
未だに議論されてるので、ご存知かも知れませんが、所謂ポケモンショックは正式なてんかん
に入るのか入らないのか。
何回かの検査の後に、そのてんかん専門医が出した結論は、あなたはてんかんではありません、
でした。
故に清水先生を卒業する時も、甘い考えでいられたんです。
当然、地元病院に行きだすと、なんでこんな処方されてるの?と、薬は減らされていきました。
結局、頭痛予防のための抗てんかん薬3種類が全て出なくなり何ヶ月かで脱力発作と硬直間代
発作起こして、女子医大から独立して埼玉に個人クリニックを開業してたてんかん専門医のと
ころに行き、事情を話しましたが、てんかんじゃないの一点張り。
じゃあなんで倒れたか聞いたら沈黙&当惑。
とりあえず地元病院でデパケンだけ出してもらえたんですが、丁度その頃かなぁ、会社で上司
が不正して内部告発しちゃったんですよ。
結局その上司が社内のコンプラ委員長だったから、本当に怒りが抑えられなかったし、その仕
事は上司二人と新人の自分しかやってなかったから、対応を聞いたんですね。
数字には強いらしくて、お金の取りすぎだったんですが、似たような金額で処理したのが3件
くらいあって、記憶してたんです。
その時に、穏便にって言われて、意味が分からなくて、上司が処理するのを待ってたら2,3ヶ
月経っても何もしない。
で、意味が分かったんです。
-3-
隠すから黙ってろってことだと。
そこら辺、アスペルガー分かってれば良かったんですが、まだ診断されてなくて、法に背く行
為をただただ許せなくて。
内部告発は匿名ですが、その仕事してんのが上司二人と自分だけなんだから、言わずもがなで
すよ。笑
翌日からは無視や仕事の取り上げが始まって、個室に呼び出されて上司二人によくもやりやが
ったなてめぇ、辞めさせてやるから覚悟しとけよってのが毎日です。
さすがに不眠になって、うちは田舎なんで心療内科って1コしかなくて、そこ行ったんですよ
ね。
たまたまデパケン飲んでたり、倒れたりってのがあったから、念のため脳波測ってもらってっ
て言われて、個人の小児科医院を紹介されたんです。
まあ1時間ぐらいかけて脳波測れるのがたまたま小児科しかなくて。
結局、脳波の長い紙切れ見ながら言われたのは、アナタてんかんですよ、でした。
それでこりゃマズイってなって、デパケン増えたんですよね。
まあ何故かその小児科のじーちゃん先生はてんかんは2,3年で治って服薬もいらなくなるって
考えだったみたいなんで、やっぱり徐々に減薬されましたが。
その間に上司の嫌がらせで配置転換喰らって違う課に行ったんですよ。
そしたら組合とかが良くしてくれて、よくこっちの課に来たな!歓迎するよ ‼ って感じで。
-4-
ただ、そこで初めておかしいのかな?って思ったのが、前の課より人数多いから、当然お昼と
かも皆で食べるんですけど、会話に入れないんです。
仕事も、とにかく残業させたくないから帰れって言われるけど、人に任せられない。
おまけに違う課の面倒事も引き受けちゃう。
上司に、それはお前の仕事じゃねえ ‼ って言われないと分からないんです。
で、友達が最初に自分はアスペルガーかもしれないんだって言ってて、理解したいから本買っ
て読んだらまるで自分なんですよ。
なんか怖くなっちゃって、病院探して行ったんですよね。
先生も最初は、最近そーゆー本読んで来る人多いけど、殆ど違うからって言ってたんですけど、
知能検査受けたら見事に山と谷ができちゃって、ホンモノと証明されちゃったんです。
もちろん、面談もしましたし、通知表の類も持って行って見てもらっての判断です。
会社に診断書出したら、知的と勘違いされて、お前なんかにできる仕事ねーんだよ ‼ って言わ
れました。
今考えたら笑えますよ、それまで真っ当に仕事こなしてたんだから。
まあ、前の不正上司は転勤して新しい上司が来たんですが、そいつが蛇みたいな奴で、馬鹿に
は分からないだろみたいに遠回しに遠回しに言うんですよね。
でも辞めさせたいんだなとか、馬鹿にされてるのって分かるじゃないですか。
-5-
で、もう毎日それを個室でやってくるから、合併してたADHD症状が爆発しちゃって、椅子にジ
ッと座ってられないし、電話かけてきたお客さんにブチ切れそうになっちゃって。
その頃はマイスリー飲んで寝てたんですが、健忘起こしてて、朝起きると友達からメール来て
るんですよ、どうしたの?って。
履歴見たら、何人かに助けてくれってメール送ってて、こりゃ限界だと思って辞めました。
その後、アスペルガーって分かってから小児科のじーちゃん先生が面倒くさがって、総合病院
のほうの小児科に行けって言い出したんですよ。
後輩らしいんですけど、発達相談とかもやってるから、知識まだそっちのがあるからって。
アスペルガー診てもらってたの東京だったし、まあたまに専門医に診てもらえれば、あとは地
元でもいいかと思って。
そしたらその小児科医、明らかにアスペルガーなんですよ。笑
私の話、聞いて聞いて ‼ みたいな。笑
3時に診察で帰って来れたの6時でしたから。
まあ面白いし、3年かな、お世話になりましたかね。
ところがやっぱり減薬なんですよね。
とりあえず、1日にデパケン200は飲まないと発達障害のほうの行為心迫が起こることは分かっ
てたんで、400から200に。
暫くしたら、夜に車に乗れなくなりました。
-6-
街灯、ネオン、看板、ヘッドランプにブレーキランプで頭痛と吐き気が起きるんです。
事情話してまた400に戻して暫くしたら良くなったんですが、今度は流れ星が見える。
結局、小児科の脳神経の先生にも回されたけど原因不明。
脳神経の先生も、小児科医も実害ないんだからと放置。
久しぶりにてんかん専門医のとこにも行ってみたけど、やっぱり分からない。
苦し紛れにセルシン出されました。
これがまた合わなくて、セルシン飲むと翌日が怠くて怠くて起きられない。
でまあ、また仕方ないから清水先生に相談したんですよ。
いつの間にか初診は予約制になってたし、3年音沙汰ない患者さんは初診枠で取り直してくだ
さいって書いてあったんで、ダメ元です。
したらふつーに、診てあげるから来週おいでって言われて、2日後には診察。
3年振りに脳波測ったんですけど、直後から右首痛かったけど、あんまり気にしてなくて、や
っぱり光過敏性てんかんと前兆のある片頭痛でした。
翌日から右半身がめっちゃ痛くて痛くて、ロキソニン飲んでも効かなくて、3日後の外来で右
半身が痛いって言ったら、脳波のストロボで発作起きたんだよって言われて即点滴。
点滴のおかげでその日は良くなったんですけど翌日からまた右半身に激痛。
-7-
結局トータル5日間、痛かったです。
診察の時に流れ星の話したら、お前倒れてたぞ、それって言われて、やっと自覚できました。
清水先生の処方を一からやり直したらすぐ流れ星消えちゃって、危なかった…と思いましたね。
まあただ結構、処方が難しいらしくて、とある抗てんかん薬にすごい反応して、アシドーシス
起こしたんですよね。
最初は誰もがアロディニアだって思ってたんですけど、マジメに横になってらんないぐらい身
体中痛いし、もう布団の上に丸まって耐えるしかなくて。
その時はやっぱり、色んな可能性考えて、MPSもFTSも疑ったし、北見先生のHPも見てたし。
そのうち心臓?まで痛くなって30分続いて、いつも行ってた地元病院の夜間救急には拒否られ
るし、仕方ないからもう1ヶ所の総合病院行って、内科医しかいなかったんですけど、血液検
査しようにも項目が絞れないって言われて全項目やって、心電図は異常ないから、血液検査の
結果出るまで寝て待っててって言われてゴロゴロしてたら、急に目の前が一瞬真っ暗になるん
ですよ。
切れかかった電気みたいに。
それ言ったら、虚血ナントカかもしれないんだけど、分かる医者が今日はいないから明日来て
って。
血液検査もクリアして、帰宅したけど、怖かったですよ、もう目が覚めないかもとか思って。
でも何ともなかったから、とりあえず清水先生の外来日まで大人しくしといて、総合病院には
行かなかったです。
-8-
清水先生もさすがに循環器科に回すからって言って、トリガーポイントとか全く確認せずに、
循環器科の先生は問診だけでMPSと。
で、痛み止め出されました。
1週間でまた貰いに行かなくちゃいけないみたいだったんですけど、どうにもその先生が苦手
なタイプで、清水先生に薬出してくれませんか?ってお願いしたらいいよって。
清水先生は原因はコレだよって言って、MPSじゃないよって言い出したんですね。
それがトピナでした。
トピナは副作用で痛みが出る人にはかなり強く出るから、今日から半錠にするよって。
はぁ?って思いましたよ。
半錠で何が変わるのって。
おまけに痛み止めも毎日飲むものじゃないからって減らされちゃって。
寝る前にその半錠になったトピナと他の寝る前の薬飲んで翌朝、どっこも痛くないんですよ ‼
マジかよーって感じでした。
名医って言われる所以が分かりましたね。
結局そうやって、他でスルーされたり、間違った処方されたり、誤診されたのを正してくれる
んですよ。
しかも長くて5分とかですよ。
-9-
診察や物言いに不満なら他所に行けばいいし、宗教みたいになってるのもおかしいとは思いま
すが、清水先生以上なんかいないんですよ、どこにも。
多分、清水先生で不満ならどこ行っても不満ぶちまけると思いますよ。
モンスター増えてますから。
特に前の会社は電話番だったから、理不尽なこと言うモンスターたくさんいたし、それはどの
業界も変わらないでしょう。
1日300人診るってことは、それだけモンスター率も高いってことですよ。
ちなみに自分も清水先生を過去3回キレさせてますから。
でも見捨てないんですよ、清水先生。
アスペルガーも気にすんなって言ってるし、俺がお前に社会常識教えて、ちゃんと病気も治し
て、1年で社会復帰させてやるって言ってくれるんですから。
そんなん聞いたら、アスペルガー診てる主治医の、アスペルガーは生きてるだけで大変なんだ
から今のままでいいんだよ。なんて、社会じゃ通用しないし、言い訳だし甘えですよ。
Twitterやって、色んな分野の著名人のbot見ても、とにかく変化を恐れるなって言ってるし。
アスペルガーだからコレできないとか、アレできないとか、とにかく日々何事もなく変化しな
いようにと特にパワハラされてからは暮らしてきました。
でもそれは間違いでした。
- 10 -
清水先生はそーやって、人生に疲れて立ち止まってる人間の背中を多少強引ではありますが、
押してくれる人間味溢れた人ですよ。
自分はそれで救われました。
体にとっても心にとっても名医だし、恩人です。
だから全国から患者さんが来るんです。
清水先生だって、もう限界だって言ってますよ。
当たり前ですよ、人間なんだから。
もっとそういう、人間的なとこ認めてあげてください。
清水先生だって完璧じゃないんですから。
どうせ研究するなら、発達障害者とてんかんの関係とか、発達障害者と脳波の関係とかやりま
せん?
発達障害から見たら頭痛なんてメジャーですけどね。
まあ発達障害こそ工夫次第でどーにでもなるんだから、甘えんなって考えですけど。
ちなみにMPSって最初に言われた時はネットで調べまくって、清水先生にあなたが脳波検査や
ったのがキッカケですよ。それで筋肉が損傷したんだ!っって言ってやりましたよ。笑
だって一生痛いままだと思ったんで。
この、癌末期の疼痛レベルなんか分かーねーだろ ‼ ってホントに腹立ったんで。
- 11 -
ネットはよく使いますからね。
中には清水先生になんやかんや言ったら逆ギレされた、なんて書き込みもありますよ。
でもキレませんでしたよ。
超冷静&客観的でした。
そうじゃなきゃアシドーシスは気付かない。
まあ3回もキレさせてる人間から言えば、虫の居所が悪かっただけであって、キレたからって
見捨てるわけじゃないってことです。
自分は医者と患者って、分かりやすく言えば霊感のあるないに似てると思います。
大体の医者は健常者か健康な人間=霊感がないから、障害者や病気の人=霊感がある人が、お
化けが見えて怖いって言っても同じ気持ちにはなれないし、同じものは見えないし、同じ感じ
方はしないし、同じ状態にも状況にもなれないって。
まあ稀に発達障害者でありながら発達障害専門医だったり、頭痛持ちでありながら頭痛専門医
だったり、癌でありながら医者であったりしたら霊感あるのかもしれませんがね。
だから、医者と患者が同化できるなんてそもそも無理なんですよ。
説明して3割分かってもらえたら良いほうじゃないですか?
野球と同じ、10回投げて3回ヒットで良かったねぐらいの気持ちじゃなきゃ、やってられませ
んよ。
- 12 -
それが最近は10割目指す打者が多いだけであって、だからクレームだのモンスターになるんで
すよ。
求めすぎ。
まして一生のお付き合いである障害者からしたら、医者の言葉なんか100%正しいなんてあり
得ないと分かり切ってますよ。
その時々で自分に合った言葉を選ぶのも患者の仕事です。
医者=患者でも、あなた=わたしでもないんですから。
分かり合えるなんて、まさか思ってませんよね?
思っていらしたら、思い上がりも甚だしいですよ。
2012/12/14 (金) 12:17
ちなみに先生が書かれてた、頭痛は利得?みたいなの、一部の人にはあると思いますよ。
自分もアスペルガーとADHDがコントロールできなかった時は人や数字に色が見えてましたか
ら。
サヴァンて、人や音や数字に色が見えるんですよ。
ただし、これはそれだけ日常生活に支障をきたしてる場合が多く、本人からしたら、じゃあサ
ヴァンとして、言わば見世物のようにして生活するのか、そんな能力よりも埋没したいと、メ
ジャーに近いような生活に変えるべく工夫するかに分かれます。
- 13 -
いくら頭痛持ちが頭良いとは言え、メンサほどではないでしょう。
メンサは一時期、問題集のような出版物を出していて、それを解くのが楽しみでしたね。
発達障害者でも勘違い人間はいますよ。
俺はアスペルガーだから天才だ、言語性IQなんて115だぜ ‼ とか。
お前、メンサにも入れないよってツッコミたくなりますが。笑
メンサだって発達障害者の割合高いとは言え、もうあそこまでいけばサヴァンでしょう。
まあ人間何かしら特技はあるので、健常者だろうが障害者だろうが、突出した何かというのは
あるはずなんですけどね。
見つけられなかったり、気付かないだけで。
だから頭痛外来行ってもなかなか美人さんにはお目にかかれないし、おばちゃんばっかだし、
むしろナースのが可愛いですよ。笑
頭良いってのも捉え方であって、一概には言えないでしょう。
だからモンスターはいるわけで。
友の会の会長だって、己のことが分かった上で未だに頭痛に悩まされてるなら頭悪い人になっ
ちゃうし。
線引きは難しいですよ。
- 14 -
例えば清水先生は著書を読んで勉強してくださいとよく言います。
じゃあもっと勉強しようと、ネットの情報や図書館で頭痛について書かれた本を片っ端から読
んで知識にします。
次の外来で、清水先生、こんなにたくさん分かりました ‼ とやると、多分怒るでしょうね。
余計なもん読んで間違った知識つけるな ‼ ってなると思います。
人間誰しもテリトリーがありますから。笑
そりゃ医者だって一般人だって変わりません。
他所でワケ分からん治療とも言えない治療された患者さんが困りきって来られたら、先生だっ
て憤りを感じますよね?
あえてそういうような行為に突き進む患者さんは止めるか怒るかするでしょう?
それと同じです。
北見先生だって、若き日に頭痛患者に怒鳴り散らしたことは著書に書いてますし、何回も何回
も来ては治らない治らないなんでどうしてって言われたら、ブチ切れるのも仕方ないとこあり
ますよ。
聖人じゃありませんから。
まあ患者としては、痛い苦しい辛い死にたいってなっちゃうんで、医者を責めるしかないわけ
です。
だから、健康で健常者の医者ってスゲー腹立つんですよね。
- 15 -
わかんないくせにって。
それが諦めに変わるから、病院に行かなくなるんですよ。
あるいは怒りが収まらず、医者を包丁で刺すとかね。
自分も一時期、うつで通院してたクリニックの医者にリタリン漬けにされて、幻聴で切れって
言われてリスカとかしてましたけど、ある日ザックリやった時に我にかえって自分が怖くなり
実家に助けてくれって電話しました。
千葉から東京まで来てくれて、帰省してからは引きこもり。
リタリンも抜けてくると、暴れちゃうんですよね、薬よこせって。
マジであれは覚醒剤ですから。
そのうちにあのクソ医者、絶対殺してやるって思いましたよ。
その殺意消えるのに1,2年はかかりました。
まあ色んな病院行って色んな医者を見て、更に哲学的に考えると、愚かな医者には哀れな最期
しか待ってないので、わざわざ手を汚さなくていいんだなって。
だから死は平等なんですよ。
ジョブズだって、生の発明したもので死ほど優れたものはないって言ってますし。
それにどんな人間にも、良いとこはあるし悪いとこもあるんですよ、絶対。
- 16 -
自分が見たクソ医者だって、家に帰れば良き夫であり、良き父なのかもしれない。
絶対に一面だけ見て判断したらだめなんですよ。
大統領戦とか、選挙になるとネガティブキャンペーンばかりやるでしょ?
その前に5分でいいから、ポジティブキャンペーンやるべきなんですよ。
とにかく良いとこ探す。
今後、先生のブログにもポジティブキャンペーンが反映されるよう、願います。
長文、失礼しました。
2012/12/14 (金) 7:53
お断り
メール読ませて頂きました。
このようなメールでのご批判、大変参考になりました。
つきましては、このまま埋もれさせてしまうにはもったいないと考え、先日の「イミグラン
錠の後発品・・」の箇所のコメント欄に掲載させて頂きます。
今後のブログを掲載する際の「反省」とさせて頂きます。
悪しからず、ご了承下さい。
「頭医者のつぶやき」の管理者より
掲載については匿名かつ片頭痛持ちとだけお書き下さい。2012/12/14 10.19
- 17 -
さすがに自分も友の会会長に目を付けられると怖いので…。
ちなみに昨日はこんなことがありました。
たまたま昼に起きてなんとなく食べる気もなかったため、そのまま夜になり、父にあと 30
分程で回転寿司に行くよと言われましたが、その前に母が弟と出掛けていて合流だったら
しく、その弟というのが、薬局にしろレンタル DVD と書店にしろリサイクルショップに
しろ、とにかく長居をするクセがありまして、案の定 1 時間経ってもまだだと言う。
でもうブチっと来て、自分は行かないわ、やってられん ‼ で部屋に篭りました。
父が出掛けた後で、さあ先生に言われた頭痛友の会はどんなんなってるだろうとパソコン
でアクセスしました。
一通り見て、なんかあんま進展ないなぁと思い、その後は自身の光過敏性てんかんについ
て調べ始めました。
友の会の掲示板とか見てたんで、あのギッシリつまった文字列がダメだったみたいですね。
光過敏性てんかんのページには辿り着けましたが、その頃には視野を光の玉みたいなのが
ビュンビュン飛び交って、さすがにマズイかと思い、パソコンをやめました。
この時点でも朝から何も食べておらず、また文字列で頭痛要因=脳の興奮となる要素が 2
つ重なり、清水先生には頭痛要因は 2,3 コ重なったら絶対頭痛になると言われていたので、
とりあえず布団にもぐりました。
ところが頭痛は来ないものの、なんだかすごく嫌な感じがする。
気持ち悪いわけではないのに、気分が悪い。
- 18 -
そのうちに 1 分目を開けているためには 30 秒ぐらい目を閉じてないといられなくなってき
た。
その間は頭の中は自傷か他傷か OD かしか選択肢がなく、とにかく抑えろ耐えろと言い聞
かせ、我慢してました。
清水先生をキレさせたのはとある SNS に MPS みたいな状態を毎日書いてたからであり、
読んだ人間が不快になるのが分からないのか ‼ 症状を書きたいなら俺にメールしろ ‼ と、
キレながらもアドレス教えてくれました。
またその後は受け取り方の違いで症状は逐一報告するもんなんだと思い込み、時間も回数
も関係なく送ってたらまたキレました。
学会中だったらしいんですよね。
ここまでくると何故怒られてるか分からない。
当然こちらとしては、症状が出たからメールしただけなのにと思って、めちゃくちゃ凹み
ました。
その後、診断はされてないけど過去に知能検査であり得ない程の山と谷を作り出した、人
生の先輩というかアスペルガーの先輩に相談しました。
簡単なことだよ、と。
メールは一日一回、朝 8 時前はしない、夜 10 時以降はしない。
相手の立場(年齢、性別、職業、生活時間帯など)を考えること。
- 19 -
以上でした。
ここまで具体的に書かれると、いかに自分が非常識と言われても仕方ないことをしていた
か身にしみて理解できました。
学会中にメール送ってた時は、先生も堪忍袋の緒が切れたようで、お前は常識がない ‼ だ
から友達もできない ‼ いい加減しろ ‼ だったんで、大号泣かつ、死んで詫びるしかないと
さえ思いました。
見捨てられたと、また勘違いしてたんですよね。
まあそのアスペルガーの先輩の助言もあり、翌朝 8 時に、おっしゃる意味が分かりました。
昨日、アスペルガーの先輩に教えてもらいました。と書いた上で、もう怒られてもいいや
って気持ちで、死んでお詫びしたかったけど、親に話したら、あなたが死んで清水先生傷
つくんじゃないかな?大切な先生の家庭壊していいのかな?って言われて、なんで自分み
たいな害虫以下が死んで傷ついたり家庭壊れるのか意味が分からなかった。って正直に書
きました。
そしたら診察中なのに、私は患者を見捨てたことはないよ。害虫なんてとんでもない、大
切な人間だよ。診察中だから、ごめん。て返信来ました。
全くキレてないし、引きずってもなかったです。
だから次の外来で、俺がお前に社会常識教えてやるって言ったんです。
話は戻って、気持ち悪くないけど気分悪い、目が開けてられない、光の玉みたいなのがビ
ュンビュン飛び交うけど、何の薬飲むべきですか?ってメールしたら、すみません、講演
中。って返信来ました。
- 20 -
返事はいらないし、講演中のメールが非常識なのは怒られたから分かってるけど、書かな
いといつ爆発するか分からないから書くだけ書かせてくださいと断ってから、行為心迫の
衝動が強すぎて、自傷か他傷か OD しそう。これはアスペルガーの問題であって、先生の
分野の問題ではないことも分かってる。でも今の自分には誰かに書いて伝えるしか手段が
ない。講演中失礼しました。って送りました。
5 分ぐらいかな、誰かからメール来たんで見たら清水先生からでした。
大丈夫、気に入らないもんはぶち壊せ。ただし人間以外。今、懇親会です。で、絵文字入
り。
一気に力抜けて、そうだ一服しようかと思えました。
庭でタバコ吸ってたら満点の星。
昨日は流星群だったんですね。
まあご飯はもう後回しでとにかくリラックスなら入浴だなと、お風呂入って、ボーっとし
てたら完全に鎮火しました。
お風呂上がって、清水先生に改めて、先生のメール見て、タバコ吸って入浴したら、落ち
着きました。本当に申し訳ありませんでした。って謝罪メールして、ご飯食べて、布団で
ゴロゴロしてたら、興奮がさめた後に来る猛烈な眠気が来たんで、寝る前の薬飲んで寝ま
した。
また救われちゃいました、清水先生に。
実際に過去、部屋の入り口ドアのガラスを全て金属バットで叩き割り、記憶に全くないん
ですけど、親曰くその後何事もなかったかのように普通に寝たって言ってたんで、相変わ
らず自分の部屋の入り口ドアは枠しかありません。
- 21 -
ペーパーナイフで壁にガンガン穴あけたりもしたらしいんですが、これまた記憶になく、
親に、ねぇこのアト何?って聞いたぐらいだし。
真面目に、自分でも自分が何やらかすか分からないって怖いですよ。
昨日のことで、自分がいかに危険人物か認識したので、ほんっとに脳を興奮させるのは自
殺行為に近いし、他殺行為にもなりえると痛感しました。
まあ、こんな話もありましたぐらいに聞いていただけたらと思います。
昨日は突然、失礼しました。
申し訳ないのですが
2012/12/14 10.27
清水先生にかかっていて、かつアスペルガーありとなると、先生に特定されて、また余計
なことしやがってとキレられそうなので、アスペルガーに関する記述はオール削除願いま
す。
特に職場でのことや診断された経緯、他にもアスペルガーだからこう言われたことが理解
できなかったなど書いてあることに関しては、絶対に載せないでください。
清水先生の患者でアスペルガーは自分一人しかいません。
匿名性をお守りください。
よろしくお願いします。
- 22 -
最初のメールに対する掲載記事
片頭痛持ちの者です。
とりあえず、ブログをばーっと拝読しましたが、先生は若干粘着質なところがありますね。
まあ頭痛持ちってキレるととことんらしいので。笑
冗談は置いておいて、自分も一時期、頭痛友の会に入ってましたが、ありゃあ宗教と教祖の関
係性ですね。
学生時代は宗教学を専攻してましたから、よく分かります。
また、久しぶりに会に顔を出すと消えてる幹部もいましたし、結構会長さんとは仲良かったか
ら教えてもらいましたが、あの人は合わなくなって出て行ったのよとか言ってました。
元々〇なんで、群れるの嫌いだったし、もう宗教だなって思ったら早く離れようと決め、ソッ
コー辞めました。
今どーなってるかは全く分からないですね。
相変わらず講演会の企画とかやってるのかなぁ?
だからまあ言っちゃうと、清〇先生にも診てもらってたんですよね。笑
そもそも女子医大に頭痛外来あるなんて知らなくて、神経内科のほうかかっちゃって、女医
さんにちょー上から目線で、あなたのは体質だから治りません ‼ て言い切られて、ふざけんな
よって思ってた時にテレビ出てたのが清〇先生でした。
- 23 -
インタビューで、必ず治します ‼ って言ってたんで、ココ行くしかないって思って、予約いら
ない方のクリニック行きました。
日本ででら有名だってのは後から知りました。笑
ブログ拝読しました。
何故、あそこをチョイスされてしまったのか理解に苦しみます。
あれがネガティブキャンペーンであり、粘着質と言われる所以だと承知で up されたのでし
ょうか?
自分は清水先生がいかに人間的で、1 日に 300 人診ることに限界を感じている悩める一人
の医者かということをお知らせしたかっただけなのに…。
非常に残念でなりません。
もうメールとして田草川先生に書いてしまい、かつ田草川先生が選択なさって部分 up した
ことです。
友の会や清水先生から何か言われても、自分は責任取れないし、またこの暴挙に出た田草
川先生が責任を負うべきです。
失礼します。
On 2012/12/19, at 11:14, 田草川 良彦 <[email protected]> wrote:
- 24 -
先日の記事に関して、御不満のようですので、削除しました。
しかし、私はこれまでもブログで指摘してりますように「全国慢性頭痛友の会」の活動
に疑問を持っております。その詳細は、本年 9 月 18 日の記事「全国慢性頭痛友の会の活
動」に関しての「深淵な謎?」をご覧下さい。
さらに、清水俊彦先生の考え方に対しては、「頭痛女子のコンカツを読んで」の部分
に寄せられているコメントをご覧下さい。
また、「脳過敏症候群に関する疑問」をご覧下さい。
私は、これまで「
「全国慢性頭痛友の会の会長」の秋山扶佐子さんとは長年のお付き合い
があり、これまで何故自分自身の片頭痛が「うまくコントロールできないのか」について
議論を戦わせて参りました。結局、知識だけ如何に豊富であったとしても、「自分で治す工
夫をしないことには何も解決しない」と指摘しておりました。
このような考え方そのものは、あなたが指摘されたように「全国慢性頭痛友の会」はあ
たかも「カルト宗教そのもの」としか私には思えません。
結局、「全国慢性頭痛友の会」の会員全員は、清水俊彦、平田幸一、間中信也、坂井文彦
らの慶応系の考え方一色に染め上げられ、
「片頭痛は遺伝的疾患であり、治らない」と考え、
発作時には「トリプタン製剤を飲みましょうと「啓蒙活動」と称して、いまだに「トリプ
タン製剤」製薬メーカーの片棒を担いでいる存在です。その最たるものは、清水俊彦が、
片頭痛発作の都度トリプタン製剤を服用して対処していないと、脳の過敏状態が収まらず、
将来「脳過敏症候群」を引き起こすとか、脳梗塞になると言って脅しをかけています。こ
の考え方に対して、本年 8 月 14 日に、日本頭痛学会は、そのホームページ上で、異例の
コメントを発表しました。(この点も当時記事にしておりますので、ご覧下さい。これに対
して、「全国慢性頭痛友の会の会長」の秋山扶佐子さんが直接抗議され、結局、このコメン
トは抹消されました。
このような抗議は、会長としてはあるまじき行動としか言いようがありません。
このような友の会のあり方は本質的に清水俊彦、平田幸一、間中信也、坂井文彦らの慶
応系の医師集団に患者を紹介する団体でしかありません。あなた自身もそのようなワナに
はまったとしか思われません。
少なくともこのようにしてかき集めた患者さんを1日に 300 人も診察するという暴挙を
- 25 -
行っている訳です。まさに「頭痛患者を冒涜しているとしか思えません。
患者さんは、これらの医師集団の「実験材料」なのでしょうか?
このような状態で片頭痛患者がまともに診れるのでしょうか?
どれだけの患者さんが、泣いているのかあなたはご存じないのです。
人の弱みにつけ込んだ「診療方針」は糾弾されるべきです。
私のブログは、この点を繰り返し・繰り返し指摘して参りました。
こういったやり方が、「粘着質」と誤解されたようです。
2012/12/19 (水) 12:28
とりあえず、清水先生、平田先生、間中先生、坂井先生に対する恨み節はしかと拝聴しました。
しかしなぜ慶応系?
清水先生しか知りませんが、清水先生は日医出身、女子医大大学院卒のはずですが?
それを言うなら、田草川先生がどこ出身か知りませんが、東大と慈恵は地獄行きですね。
何でも上から目線かつ、調べもしない、添付資料読みもしない、知識は一昔前でついていけてな
い、誤診に誤処方、あげくは他にタライ回すか二度と来るな ‼ とブチ切れて終わり。
田草川先生のお言葉借りますが、これで泣かない患者さんいます?
この 2 病院こそ根底から腐ってますが。
慶応系を目の敵にするなら、他系も調べてくださいね。
- 26 -
ちなみにワナにはハマってません。
自己選択です。
それがたまたま清水先生だったからお気に召さないんですか?
清水先生は一昨日の外来で、君は最終的には服薬はゼロになる。と言いました。
逆にこっちのほうが、行為心迫起こすからやめてって言ったぐらいです。
でも先生は大丈夫だと、時間をかけて少しずつ少しずつ減らすし、まだ 30 なんだから君の脳は元
に戻る力は十分ある。だそうですよ?
これでもまだ清水先生を薬漬けにする医者のように言われますか?
だって実際に過敏性が高いんだから、文句言えませんよ。
一昨日だって頭痛外来終わって、薬局で 4,50 分かかるからって言われたんで、カフェへ。
脳波の研究してるおじーちゃんからメールが来てて、抑制をかけるのは前頭葉であり、情動を司る
のは扁桃体とありました。
それからカフェで注文したドリンク飲むのも忘れて、 wiki で扁桃体を調べました。
その時はノートに書かなかったので、あまりたくさんは覚えてませんが、いくつかの HP も回り、そ
こに書かれている情動とは恐怖である、とありました。
これには疑問です。
自分の場合は破壊ですから、その際には恐怖によって破壊しようとなるわけではない。
- 27 -
しかし wiki にはたったの一文でしたが、扁桃体と自閉症の関係について研究が始まっている、と
ありました。
1 つ、田草川先生に言っておきたいのは、自分は自分が考え、またこうではないかと推測して専門
家に意見を聞き、間違っていたら勉強し直すし、合っていればそのまま勉強し続け、どんな形であ
れ、世間に公表しますよ。
それは自分が 40 までには論文にしたい神秘主義についてもだし、神様がまだ生きる時間を与え
てくださるなら、脳の興奮性や過敏性がどう発達障害と結び付くか、また発達障害者にはなぜてん
かん持ちが多いのか、では頭痛も多いのか、これらを研究予定です。
更に新型出生前診断で、 21,18,13 トリソミー以外にも、遺伝子に問題がある胎児、これには恐ら
く発達障害も入るでしょう、が今でなくとも将来は遺伝子の謎が解き明かされ、我々発達障害者は
生まれてくる権利すら奪われかねない状況に置かれていることをご存知ですか?
そういったものにも正面から NO‼ と唱えることを、当たり前ですがある分野の医者はやらなきゃい
けないし、患者会だってやらなきゃいけないし、当事者 … この場合は障害が軽度で話すことや書
くことができる我々のような発達障害者、体が麻痺していても意思表示はできる障害者など、が、
見せしめにされたっていいですよ、間違った選択はすべきではないと言わなければ、活動しなけれ
ばならない。
だからですね、いつまでも頭痛に関わってる場合じゃないんですよ。
そんなね、治るもんも治らないだの一生もんだの言ってるのなんか相手にしてらんないんですよ。
田草川先生だってね、いい加減、そんなもん言いたいなら言わせておけばいいじゃないですか。
いちいちいちいち、あいつのあの発言が … とか、こいつのあの論文が … なんてやってたら身が
持たないし、性格悪くなるだけだし、余計頭痛くなるだけですよ。
- 28 -
もうそういう他人気にするのやめたらどうですか?
自分は悪いけど、 Facebook で自分なんかよりずっと年上で、かつ筋の通らないこと言ってる大
人を 3 人、正論で打ち破ってます。
大抵ね、急に仕事が入ったなんて言って二度と来ないんですよ。
所謂、尻尾巻いて逃げたんですよ。
田草川先生のブログやらメール見てると、ナニ?、清水先生に平田先生に間中先生に坂井先生
の慶応系?に対する恨みと憎しみしかない。
自分はそんな狭い心しか持たない田草川先生に診てもらうのなんか、絶対に嫌ですけどね。
良いとこ探ししろって言っても、大人は頭が凝り固まってできないんですか?
小学生のロングホームルームで、皆で机をくっ付けて、皆の良いとこを言いましょうとかやらなかっ
たでしょ?
だからそんな大人になっちゃうんだろうなぁ。
それとも医者になると、性格悪くなるんですか?
それぐらい田草川先生の言動は支離滅裂で、破綻してますよ。
もっとまともだと思ったからメールもしたわけですが、今回の怒り爆発メールでよーく分かりました。
田草川先生は会長と形こそ違え、変わらない。
- 29 -
自分の考えをブログでぶちまけて、あと掃除もしないで、患者を混乱させたり、自分の意見に沿う
ように引っ張っていくだけ。
カルトと何が違うの?
じゃあ清水先生みたいに 1 日 300 人以上を月曜日から日曜日まで、誤診なく、薬も必ず最後は
なくすようにこなしてみなさいよ。
できもしないことを言うんじゃない。
負け犬の遠吠えにしか聞こえませんよ。
2012/12/19 (水) 13:18
そのカフェから薬局で薬をもらい、たまたまですよ、置いてあった本をたかだか10分ぐらい見
てたら閃輝暗点、強烈な吐き気。
とっくに6時過ぎてましたが仕方なくまた頭痛外来戻って、どうすべきか受付の人に聞きまし
た。
困ってましたよ、そりゃあ。
外来終わってるし、清水先生だって取材やら何やらあったらしい。
とりあえず聞くだけ聞くから時間かかるけど待っててくださいと。
最近はメールとかケータイの文字が右肩下がりに見えるし、パソコンも見れない、本も読めな
い、何にでも酔う。
- 30 -
パソコンと本は背景が白で文字が黒だからダメなんだそうです。
結局、取材してたのかは分かりませんが、酸素と点滴しますとのことで、フラフラながらも帰
れました。
帰る途中に誰かからメール来て、父親が、まだかー?とかだと思って無視。
あと電車1本てとこでメール見たら、清水先生でした。
40分近くも放置して非常に申し訳なかった ‼
しかも、チカチカ治った?って心配メール。
その後も、熱い風呂はやめてシャワーで、とか、帰宅したらもう寝るって送ったら、糖分とっ
て、とか、頭痛外来の前に行った発達障害クリニックでの医師からの注意点を伝えてお休みな
さいしたら、お休み、とか。
極めて人間的ですけどね。
発達障害クリニックの主治医だって、清水先生凄いよね、またかかれて良かったねって言って
るし、昨日は清水先生の前にお世話になった地元総合病院の元主治医と小児科卒業記念撮影し
て、私なんかよりずっと専門的だし、良かったよ、私もそのうちここ辞めちゃうからって言っ
てたし。
まあ、ちょっとさっきのね、メールは言いすぎましたね。
ただ、清水先生ってね、頭痛患者にとっては最後の砦なんですよ。
前にも書きましたが、清水先生だって月曜日から日曜日まで1日300人以上を診るのは限界だし、
- 31 -
もう少し長生きさせてほしいとさえ言ってます。
でも先生がセーブしちゃったら、新患さんはどこへ行けばいいんですか?
発達障害クリニックだって、最初こそどんどん新患受け入れますが、まあ1年で新患停止しま
すよ。
そういうのは嫌というほど見てきた。
患者からしたら、清水先生、もっと休んでくださいよって思うぐらいですよ。
昼食すら取れない、ある日服薬の相談メールしようとしたら、診察終わったの10時近くですよ。
怒りをぶつけたり、ぶちまける前に、そういうとこ、きちんと知ってください。
田草川先生だって、患者を救いたいという気持ちがあるのなら、悪い人間、医者じゃないはず
です。
団体や協会や学会はね、真っ当な正義感のある人間を潰しますよ。
清水先生だって、今危ないんです。
よく言うじゃないですか、不良って一人ならそんな悪いことしないけど、集まると一般人に喧
嘩売ったり、暴れたりするって。
悪いものって相互作用でより悪くなるんですよ。
友の会や学会は、真っ黒だと思うし、白いものが怖いから、黒く染めようとする。
田草川先生だけじゃない、分かる人は分かってます。
- 32 -
2012/12/19 (水) 15:43
治験という名の治療を日本で受けられる時点で、どんな病気あるいは障害のある患者も実験材
料ですけど?
ネズミやサルで治験薬を試して良くなったから人間も良くなるだろうと?
あなた、医者やる前にレナードの朝でも観たらいかがですか?
どんな薬だろうと、メンタル系のカウンセリングだろうと、人体実験なしに成果なんか語れる
わけないじゃないですか?
ネズミやサルに効いたから、使いません?て言われて使えます?
まず治験という名の人体実験して、ヤバい副作用だの、死亡例だの出してから、納得させるで
しょ。
最後の砦まで追い込まれてる人間にはね、実験もクソも関係ないんですよ。
むしろ実験台になって良くなるなら、後々のためでしょうが。
悪くなりゃ、やめてくれって言えばいいんだから。
そんぐらい賭けてるって知ってください。
人に対して悪いとこしか見ないで、好き勝手ブログにぶちまける。
- 33 -
そーゆー人間を何というか教えましょうか?
ご都合主義ですよ。
見たいとこ、見えるとこしか見ない。
もっときちんと学ばないと、DQN呼ばわりされますよ。
自分でこちらに送ったメールを冷静になって読み返しなさい。
仮にも医者が一般人に送る内容ではありません。
そんなに批判したいなら名前を挙げた先生のところで働かせてもらって、それでも批判したい
ならすればいい。
何も知らないくせに文句だけは一丁前、中学生か!
田草川先生のメールやらブログ見てると、世間にも出てない何も知らない子供が、大人に屁理
屈言って、だだこねてるようにしか見えませんよ。
付き合うことすらバカバカしい。
ただし、逃げないでくださいよ。
いくらバカバカしくても時間の無駄でも、正すべきは正しますから。
2012/12/19 (水) 16:32
- 34 -
目々澤先生の迷惑になってますので、ああいった自身の恨みからの投稿はやめてください。
だから粘着質って言ってるのに理解できないんですね。
まああのコメント読んで、慶応系に対してどうしてそこまで陰湿にネチネチ言うのかよーく分
かりました。
あなたね、自分がされて嫌だったことや悔しかったこと、恨みや憎しみをブログにぶちまけて
るだけです。
で、恐らくあなたみたいな人は一生変われない人です。
必ず何かに対してイチャモンつけて、どっかにぶちまけて、一人でせいせいしてるタイプです。
しかもそれが、された方からしたらいかに迷惑で、面倒で、嫌で、腹が立つことか理解できな
いでしょ。
あなた、患者を助けたいなんて言ってますけど、違いますよ。
いかに自分の恨み辛み晴らしたいかしかない。
医者やめたほうがいい。
人間もやり直したほうがいい。
目々澤先生、呆れて回答のような返事しなかったでしょ。
あれが大人の対応であり、あなたを見抜いてます。
分かります、相手にされてないですよ?
- 35 -
あのね、前のメールでも言ったけど、まず小学生の良いとこ探し、あれもできてない上に、さ
れて嫌だったことや辛かったことや悔しかったことや悲しかったことは他人にはしない、これ
もできてない。
本当に申し訳ないですけど、どんな教育されて育ったんですか?
他人を思い遣る気持ちのカケラもない。
それは生き方のせいですよ。
今からでも遅くないから、生き直してください。
あのね、こんなに自分勝手で謙虚さもなく、俺が正しいみたいな人、人間としても医者として
も初めてで、驚いてるし呆れてます。
下手すりゃ単なる荒らしですよ。
真面目に申し訳ないですけど、どーしようもねぇなって感じです。
2012/12/19 (水) 20:18
メール全て拝見致しました。
私の素性はブログで全て明確にしておりますので、ここで改めて述べることは「ありま
せん」。よく調べることを切に要望致します。
今朝、メールの一部を掲載した部分を削除しました。
ところが、最後のメールで考えが変わりました。
これまでのメールを順番通りに整理して、後日「全文」をブログに掲載することにしま
- 36 -
した。自分の言っていることを厳正に反省すべきです。
これは、今後、改めることはありません。そのつもりで・・。
私が、誰であるかを確認してからメールすべきでした。
このようなメールはすべきではありませでした。仮に行うとすれば、ブログ上の「コメ
ント」欄にすべきでした。
もう後戻りはできないと覚悟して下さい。後は、どうなろうと私は関知しません。
私も、ここのブログで掲載している記事は、あなたの申されるような「子供じみた主張」
をしているとは毛頭考えておりません。
自分の主張には「責任」を持つべきです。私は、自分の主張には責任を持って対処して
おり、決して気まぐれで記載した覚えは全くありません。
今回は、本日までじっと我慢しておりました。既に限界を超えました。
私には、何も怖いものは何もなく、これまで通りに「活動」するまでです。
少なくとも、あなたのお陰で「全国慢性頭痛友の会」の会員は救われると考えます。
どちらの考え方が「正当性」があるかどうか「ブログ」で公開して判断するしかないと
考えます。
あなたの考え方が正しいかどうかは、これまでの 25 万人の読者の方々の判断に委ねたく
考えます。
他人に意見する際には、熟慮すべきであると考えます。
後日の記事を「ご期待」下さい。ただ、苦情は一切受け付けないことに決意しています。
2012/12/19 (水) 20:32
そういうことするから、言われたって仕方ないこと言われるんだよ。
あんたがそのつもりなら、あんたのメールも全文、名前が出たところに行くからな。
こっちこそ単なる一般人だ。
- 37 -
医者なんかのうのうと続けられるなんて思うなよ。
新聞にもメディアにも公開する。
FacebookにもTwitterにもupする。
25万で済むかな?
しかも25万はトータルだ。
1日単位で考え直せ。
そして何故そう言われたか考えろ。
やりたきゃやりな。
気が済まないんだろ。
その代わりこっちだって、泣いて土下座してもお前みたいなクズ医者は絶対に許さない。
2012/12/19 (水) 21:19
ブログがupされた時点で告訴する。
併せて、名前が挙がった医師と学会と友の会にも、送られてきたメールはそのまま送る。
更に、新聞とメディアとFacebookとTwitterにもメールを載せる。
- 38 -
以上。
これがこちらの最後通告だ。
あんたが誤診した患者、まだ治らないらしいね。
訴訟の用意も着々と進んでるってさ。
あんた随分な有名人らしいね。
悪い意味で。
医者の肩書きなくなったあんたに、誰が耳を貸すかな?
いや、この誤診患者が亡くなって訴訟起きたら犯罪者か。
派手なニュースになるよー。
刑務所で生涯を閉じるのも計算済みかな?
本当に失うものないか、確認してからやりなね。
バーイ。
2012/12/20 (木) 1:06
ろくに検査もせずに歩いて来た、くも膜下の患者さんをストレートネックと誤診。
- 39 -
数日のうちにくも膜下出血を起こして、未だに寝たきり。
患者さんはかなり危険な状態で、家族が訴訟の準備中。
広大の過激派。
娘さんがいて、医療事務やってる。
CTぐらいは撮るけど、MRIなんか殆ど撮らない。
××××のため、誰からも相手にされてない。
へー、これで何も怖いものがないと?
随分と訴訟にビビってるらしいじゃないですか?
そうそう、あなたが相手にしてる人間、確かに一般人だけど、幸か不幸か障害者ですからね。
訴訟になったら、裁くのは司法と社会ですからねぇ。
誤診医者と障害者、社会がどっちの味方をするか、分かりそうなもんですけどねぇ。
まあメールで名指しされた中に無視も通り越して怒り心頭の方がおられて、データを全て保存
されてるので、OCNに言えばブログも削除間違いなしだそうですよ。
名誉毀損、売名行為だそうです。
こっちもねぇ、なかなかにブチ切れるとトコトンやっちゃうタイプなんで、ちゃんと考えてか
ら行動されたほうが賢明ですよ?
- 40 -
集めようと思えば他にも情報なんて簡単に集まるし。
過激派ねぇ…今は時代が違うんですわ。
現代のやり方見たかったらいつでもどうぞ。
その代わり、こちらも始まったものは止められませんし、止めるつもりもありませんから、そ
のつもりで。
別に自分は暇潰しになりますから、お付き合いしますけど、どうしますか?
まあ患者さん危ないらしいし、あまり時間はないでしょうがねぇ。
ギリギリまで遊んでみますか、クソ餓鬼と?
2012/12/20 (木) 11:57
21世紀の狐狸庵山人だ。
早く何かしらリアクション起こしたまえ。
皆待っておるぞ。
2012/12/20 (木) 22:42
残念な知らせを持ってきた。
- 41 -
田草川くん、キミと遊ぶのに飽きてしまった。
よって、OCNに通報しておいた故、確認取れ次第、ブログもHPも強制削除となるであろう。
罪状は名誉毀損、著作権侵害、売名行為、恐喝だ。
経緯も全て報告してある。
誰からも相手にされず、ブログにも書けず、訴訟間近。
人生、終わったな…。
哀れな最後だが、因果応報だ。
ではさらばだ。
ネット上の著作権とは?
先日、12 月 21 日の午後、診察中の最中、自分の所在も明らかにすることなく、一方的
に、「頭痛のアンケート」を取らせてくれと中年の女性の声で依頼を受けました。
初めは、私がブログで「頭痛とストレートネック」に関して質問されました。
その質問の内容は、このような「頭痛とストレートネック」に関してブログで公開して
いることに関してでした。公開するにあたって、日本頭痛学会の理事長の坂井文彦先生の
了解を得て公開しているかということでした。これに対して、私は、日本頭痛学会が「頭
痛とストレートネック」を容認しないから公開したと返答致しました。
これに対して、このような「頭痛とストレートネック」を容認する「頭痛専門医」がい
るかどうか質問されました。これに対して、寺本純、作田学先生が、これまでいたが現在
では、殆ど問題にしていないのが現状であるとお答え致しました。
- 42 -
これに対して、このような考えの医師がいるのかと問われました。
そこで、私は、東京脳神経センターの松井孝嘉先生がおられると返答致しました。
ところが、これに対して、私がブログ上で「頭痛とストレートネック」を公開するにあ
たって、松井先生に了解を求めたがどうかを問いただされました。
私は、これに対して、公開する前に「文献検索」を行い、「ストレートネック」をキイワ
ードにして検索を行ったが、この検索の「網」に掛からなかったため、そのまま公開した
旨返答し、その後、松井先生がこのような点を研究され、第 38 回の日本頭痛学会で発表さ
れていることを知り、これまで、この点はブログでも明確にしてきたことを説明しました。
ところが、このような「ブログ上」での公開は、著作権違反になると執拗に責められま
した。
この時間は、約 30 分前後あり、この間は患者さんの診察中でもあり、私の方から電話を
切ることを要請して、やっと電話が終わった始末でした。
この電話を終えて、診察をすべて終わったあと、考えました。
なぜ、このような「頭痛のアンケート」調査を依頼されたかということでした。
なぜ、和歌山県田辺市の片田舎の「頭痛専門医」でもない私の医院に電話をしてきたか
という疑問でした。
私が、自分のブログ上で「頭痛とストレートネック」の成績を公開することが、「誰の著
作権を侵害」したのかということでした。
*
この電話を受ける前に、そういえば訳のわからない「狐狸庵山人」という人からメール
を頂いておりました。最初は鄭重なメールでしたが、次第に、何故か激髙され、訳の分か
らない文面となり、以下のような文面になってしまいました。
2012/12/22 (土) 23:32
キミはわざわざ自滅の道を選んだのだね。
それこそ統合失調症の末期症状だが、キミの頭では理解できなかったようだ。
- 43 -
ちなみに人のことを公のブログで統合失調症と言うことは差別につながるわけだが、それも分
からなかったのかな?
まあこれでキミがOCNから消えることは確定したわけだな。
では、弁護士を正式に立てようではないか。
人のメールをブログに勝手にupするのは名誉毀損なのだよ。
キミのことは誰も顔を知らないと言っていたよ。
学会に行っても随分とコソコソしているらしいね?
どこかから名指しした慶応系とやらを睨め回しているのだろうね。
そして気が小さく、度胸もないから何も言えずにおめおめと帰ってきてしまうのだろう。
キミの顔は法廷で見ようではないか。
もちろん、名指しされた医師も傍聴席に招待しよう。
では、法廷で会う日まで。
そうそう、キミはとんでもない単細胞らしいな。
ブログによれば、頭痛に関するアンケートという電話があった、6ヶ月前に誤診に対する電話
があった、メールが1万件以上来てパソコンがパンクした、とあるが、まさか僕が一人でやっ
たと言うのかい?
- 44 -
そんなに暇ではないのだよ。
OCNにも全てのデータを保存したものを添付して、再度通報しておこう。
キミは自身のブログでそれらが許可を得てないことを自ら独白している。
誤診についても認めてしまった。
誤診された患者さんやそのご家族もこの動かぬ証拠をもって、訴訟となるであろう。
キミは墓穴を掘ってしまったのだ。
意味が分かるかな?
ふむ、これではもしかすると誤診訴訟のほうで先に顔を拝めるかもしれないな。
それもまた良かろう。
キミがOCNから消えた暁には、皆で祝杯をあげるとしようではないか。
きっと皆がこんなに美味い酒は味わったことがないと大喜びするだろう。
決着は近いぞ。
悪はいつだって滅びるものさ。
愛を込めて。
21世紀の狐狸庵山人より
- 45 -
この方の言い分は、私が、クモ膜下出血の患者を誤診したということでした。
その実情は、患者さんが「肩こり」を訴えて来院され、私が「ストレートネック」と診
断して、その数日後「クモ膜下出血」を来して廃人のようになっているということです。
この件に関しては、約6カ月前に、医院に直接、同じようなことを電話で、私ではなく
「受付の事務員」に申されたようで、患者さんの名前は明らかにされませんでした。
この当時、メールに訳の分からないメールが、メール・ソフトを開くたびに、1万件以
上のメールが「滝のごとく」入ってきてパソコンがパンクしたことが思い出されます。
現在、以前のこともあり「狐狸庵山人」という投稿者からの依頼を「OCN」に確認を
とっているところです。誰がしたかは、いずれ分かるはずです。
私が、負けることになればOCNから姿を消すことになります。
このような経緯をみてみますと、ブログで主張する内容というのは、「狐狸庵山人」のよ
うに、「あたかも、統合失調症」のように「全く、支離滅裂な内容」にすべきということな
のでしょうか?
このような記事にすれば「全く、著作権には抵触」することはないでしょう。
少なくとも、私は医師です。このため医学論文を書く際には、一字一句、従来の「考え
方」に背くことなく記載し、
「従来の考え方」とは異なる考え方を示すには、それなりの「デ
ータ」を提示することが要求されます。
このような観点から、従来の考え方を「ブログ」上掲載したまでです。
これを「著作権違反」とされるのでしょうか。
全く、私には、理解できません。分かる人は、コメント欄でお教えください。
- 46 -
田草川クン、田草川クン
2012/12/25 7.46
OCN に怒られてしまったのかい?
ブログの大半がなくなってしまったじゃないか。
おかげで大変、読みやすくなってしまった。
僕はある人からの依頼で、キミのブログを常に監視下においていたからね。
なぁ、田草川くん。
しかしだ、残念なことに、キミが削除したあるいは強制削除された記事なんだが、誰でも
簡単にキーワードさえ入力すれば検索できてしまうことを恐らく知らないのだろうな。
前々から 1 度 up された記事は OCN にはきちんとデータが残っていると思っていたが、案
の定だったよ。
だからわざわざ僕や名指しされた医師、学会、患者会なんかがデータを保存しなくても、
全く問題ないんだ。
簡単にいくつかのキーワードで検索しただけで、削除記事の題名、up された日時、その記
事の一部分が出てきてしまうんだよ。
そうそう、どうしてキミがキミの言うような統合失調症の支離滅裂な言動をしてしまうか
分析してみたから聞いてくれたまえ。
キミは気付いてないようだが、学会に対する憧れが非常に強い。
- 47 -
言い換えれば、キミは名指しした医師に対して愛情にも近い憧れがある。
だからキミは夢見ていた、俺だっていつかはココで発表し、認められ、喝采を浴びるのだ。
そして憧れ続けた医師たちの仲間入りをするのだ、と。
だが現実は違った。
誰からも相手にされず、認められず、叩かれた。
そしてキミの中で、憧れが嫉妬になり、嫉妬が増悪へと変わった。
まさに i dreamed a dream だね。
そして on my own かな?
ブログにも書いていたじゃないか。
一言言ってやろうと学会に行ったが…と。
言えるわけがないよ、憧れの片想い相手なんだから。
そして和歌山に帰れば現実が待っている。
どうやらキミは理想と現実のギャップが大き過ぎた上に、擦り合わせるという修正能力が
なかったらしい。
それで方向性を失った、自身でも舵取りのできないようなブログを書き殴ってしまったよ
うだ。
- 48 -
暴走する難破船よろしくね。
簡単に分かりやすく言うならば、好きな女の子に必ず意地悪してしまう小学生男子、だよ。
今の時代なら、園児のほうが賢いよ、田草川くん。
どうかな、これが僕の分析結果だよ。
以上の分析結果と、ブログが殆ど消えたことをある人に報告したら、大笑いしていたよ。
また、近々その人も大元を断ち切るべく行動を起こすそうだから、年内には綺麗サッパリ
片付いてしまうと思うよ。
敬称なしの名指し、あれはやはり相当マズかったみたいだ。
皆、激怒しているそうだよ。
だから言ったじゃないか、始まったら止められないし、止めるつもりもないって。
田草川くん、もうキミのデタラメ発言を公に載せられるところはなくなるよ。
どこかのプロバイダーで迷惑行為をし、強制削除をされた場合、ブラックリストに個人情
報が載り、どこのプロバイダーとも契約できなくなるんだよ。
よしんば、契約できたとしても、僕は常にネットを監視し続けるから、同じようなことを
書いたらすぐに分かるよ。
過去にも迷惑行為で OCN にて強制削除されてる、と通報すれば、どこだって面倒は嫌だ
からね、今までよりもスピーディーに強制削除になるよ。
- 49 -
まあね、事実上の勝利宣言だよ。
あとはいつ消えるかだが、ギリギリまで頑張ってもいいし、勇気ある撤退もよかろう。
どう足掻こうが、年内には我々の完全勝利だよ。
変な形になったが、キミの憧れた頭痛学会や名指しした医師たちには、僕の勇姿が認めら
れ、良くやってくれたと感謝されることになるだろう。
キミはたった一人の単なる一般人に負けることになってしまうわけだ。
どうだい、相手が悪かっただろう?
僕はてっきりキミはもう少し骨のあるやつだと思っていたし、脳についての研究も始める
ところだったから、キミの脳がいかにして構成され、どこの働きが活発で、どこの働きが
弱いのか、そこまできちんと医学的に証明してあげようと思っていたんだよ。
それをする前に消えてしまうんでは、寂しいなぁ。
仕方ないんだがね、自業自得だし。
キミがそうやって得意でもないパソコンをえっちらおっちら操作して、○を多用して伏字
にしたり、ある頭痛専門医は…と書き直してる間に僕がやっていたことを教えてあげよう。
(あんな伏字じゃ誰でも分かるが)
一からの年賀状作りだ!
素晴らしいものができあがったんだ。
カッコ良いぞ~。
- 50 -
見せられないのが残念でならないよ。
そういう訳で、監視していても別に他に支障が出たりもしないんだ。
言うなれば、それくらいの影響力しかないんだ。
あぁ、もしかしてキミにはこのセンスが分からなかったのかもしれないが、狐狸庵山人と
は文豪・遠藤周作氏のペンネームだよ。
狐狸庵閑話なんか面白いから読むといいよ。
では、これで二度と関わることもあるまい。
でもまた性懲りもなく、でっち上げを書いてたら即刻、通報してあげるからね。
さらばだ。
21 世紀の狐狸庵山人より愛を込めて
(追記)
訂正文を 12 月 26 日に掲載したが、この時点では、医師名を清水俊彦だけにし、その翌
日諸先生方に訂正したが、訂正する前にブログを見たものと思われる。
読者の皆さんにお断り
2012/12/26
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先日、12 月 13 日、メールをある方から頂きました。
これまで、その方との応対をしていた関係で、ブログの更新が途絶えておりましたこと
をお詫び申し上げます。
結局、この方が申されることの結論は、このブログを閉じさせることが最終的な目的の
ように受け止めました。
確かに、私のブログは「著作権」を度外視というか無視した内容でした。
この点は、これまで再三に渡ってお断りし、もし問題が存在する方がおられた場合は、
即刻削除させて頂く旨、このブログで明確にしておりました。
今回は、このような当事者ではなく、第三者からの苦情でした。
それも、私の使用しているプロバイダーのOCNに通告することによって、私のブログ
を強制削除させるということでした。
この他、諸々のことを申されます。ここで、この点を論議しても問題があるため、控え
させて頂きます。
確かに、この方が指摘される通りです。著作権を全く度外視して記事を掲載して参りま
した。
自分の主張を行う場合、自分のデータを提示して、この結果からどのようなことが推論
されるかを、過去の考え方を対比させて論ずることは「医師」として当然踏むべき手順で
す。このような手順を踏まない限り、荒唐無稽な考え方として、誰も耳を傾けることはな
いはずです。
このような観点から、これまでの「偉い先生方」の考え方を提示致しました。
ところが、このような方法論が「ある方々」には「非難」していると受け止められたよ
うです。このような考え方に対して、いくら抗弁しても納得されないものと判断致しまし
た。
このため、このような「非難」は厳粛に受け止め、これまでの記事の内容を虚心坦懐に
反省して、「確かに、著作権に触れる記事が多々ある」ことを反省致しました。
これまで、「ある方」の指摘されますように、日本頭痛学会、頭痛協会、全国慢性頭痛友
の会、さらに諸先生方には実名・具体的な名称をブログ上で掲載したことを深くお詫び申
し上げます。
*
この点を反省した上で、昨日午後1時の時点で、これまでの記事は、最後の記事を除い
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て、すべて削除させて頂きました。
これまで、不快な思いをおかけ致しました方々に、深くお詫び申し上げます。
*
あとは、OCNが、当ブログの閉鎖を指示されるかどうかの裁定を待っているところで
す。
*
これまでも、再三申し上げておりますように、私の「ブログ」はの趣旨は、頭痛診療の
偉い先生方と、民間療法を行っておられる方々と、頭痛で現実に苦しまれる患者さんの方
々との橋渡しを、私のような「神経内科医である一介の開業医」がしようとするために立
ち上げたものです。
決して、私は、「売名行為」で行ってきた積もりは毛頭ありません。このような目的で行
おうとすれば、「一般の患者さん向けの書籍」をバンバン出版すればすむことです。
何か、深い溝が存在しているとしか思えません。
*
本年度も押し詰まって参りました。最後の最後になって、このような結果になってしま
ったことに対して、読者の皆さんに深くお詫び申し上げます。
*
OCNの裁定が近々下りると思います。この裁定を待ってこのブログを閉鎖するか決め
させて頂きます。。
いずれ、裁定が下り次第、これまでの記事を「無難な表現」に改めて、再度、掲載させ
て頂きます。それまでの期間はご容赦下さいますようお願い申し上げます。
これに対して以下のように、狐狸庵山人からメールが来た。
田草川くん、またかね?
2012/12/26 (水) 23:33
そろそろ、好い加減にしたまえよ。
呆れてしまうよ、まったく。
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反省して謝罪をする人間の態度じゃないね。
キミが名指しした医師は4人いたじゃないか。
なぜ1人にしか正式に謝らないんだい?
キミが名指しした4人の中に、今日のブログに書いた医師ではなく、大激怒されてる方がいる
から、書くなら4人の正式な肩書きと名前を書きたまえよ。
あと、OCNの裁定は裁定、他の名誉毀損、著作権侵害、売名行為、恐喝、医療過誤などなど数
えきれない罪は、法廷で裁かれるんだから勘違いしないでくれよ?
しかもだ、キミは一般の患者さん向けの書籍をバンバン出すことが売名行為だと言いたいよう
だが、これはブログに出した名前の医師への当て付けだよ。
また訴訟か、反省しないなぁ。
これもまた名誉毀損だから、OCNに通報するよ。
そもそも、基本的に書物は依頼があって初めて書くという行為に繋がるわけだから、依頼がな
きゃ書かないんだよ。
キミのブログに出した名前の医師がどれだけ忙しい中、プライベートな時間を割いてまで依頼
にこたえてるか、分かってないなあ、キミも。
(僕だって将来は論文を書くんだから、モノを書くということがいかに大変かぐらい考えられ
るよ)
そんなに出版が羨ましいなら、同じ出版社にキミの研究成果とやらを送ればいいんだよ。
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誰からも相手にされないから。
それでも出したいなら自費出版したまえよ、老後の蓄えかなんかで。
誰も買わないから。
路頭に迷いたいならやりなさいよ。
僕は知ったこっちゃないけどね。
無難な表現なんかできないと思うしなぁ。
だって、だから削除せざるを得なかったんだろ?
もっと論理的に、整理整頓して考えて、書く前におさらいするといいよ。
なんでそんなに破綻してしまうんだろうね?
しかも自滅だ。
僕も脳の働きについて勉強を始めたところだが、言語と理性に問題があるなら前頭前野が弱い
のかなぁ?
すぐキレるということは、図らずもキミが自身で言った統合失調症がピタリとくるね。
前頭葉、辺縁系、基底核、A10経路のD2受容体を持つドーパミン神経、A9経路のD2受容体を持
つドーパミン神経、これらのいずれかに問題があるか、ドーパミン過多かなぁ。
GABA細胞も抑制されまくってるみたいだし、まあドーパミン過多ならパーキンソンの心配はな
いかな。
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ただ、そんなに常にキレていたら、脳の血管がもたないよ。
キミが患者になってしまうし、もし患者の立場ならキミの医院にはまず行かないだろう?
なぁ、このめげない性格と粘り強い根性を何か他のものに活かせなかったのかい?
まあね、もう本当に手遅れなんだよ。
遂に、まともな医師たちがOCNに通報したそうだよ。
誰も彼もが名立たる医師たちだよ。
確かに一般人の声では警告や削除で終わりかも知れないが、この医師たちはきちんと名乗った
そうだから、OCNもすぐに通報してきたのが何者か確認が取れるし、取れ次第 the end だよ。
最後にキミにキミの脳のどこがいけないのか伝えられて良かったよ。
いいかい、書く前に考えるんだ。
don't think. feel.
↑これは医者が最もやってはいけない行為だよ。
指摘した脳の働きもきちんと診てもらいなさいね。
じゃあ年越しと強制削除のカウントダウンだ。
僕は年内に片付くほうに清き1票を入れよう。
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マジで好い加減にしてくれな。
脳の研究で忙しくて、1日24時間じゃ足りないぐらいなんだから。
他のまともな医師たちもキミと違って大変忙しいんだから、そこをよく踏まえてくれよ?
ここまで僕がやったから、後片付けは申し出てくれたんだから。
赤ちゃんじゃないんだから、あまり手を焼かせないでくれ。
医師たちは強制削除を要求しているからね!
データもOCNに残ってるし、今度違うプロバイダーで見かけたらまた通報→強制削除だからね。
そうそう、キミは自慢げに何度も何度も文献やら資料を取り寄せたり検索しては隅から隅まで
熟読して知識量は負けないと言っていたが、そこがそもそも間違ってるよ。
何かを読んだら理解できるわけじゃないんだ。
キミは読んだかもしれないが、読んだだけで理解できてないんだよ。
こんなことも分からないとは…恐れいるよ。
ぶったまげるね!
じゃあもう本当に最後だからね。
キミに伝えなきゃいけないことはもうないから、相手にしないよ。
また言わなければならなくなったら、キミの前に立ちはだかろうじゃないか。
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では、さらばだ。
21世紀の狐狸庵山人より愛を込めて
このメールを受けてから、12 月 25 日午後1時の時点で、記事1つを残して、全てを削
除しました。
これらの経緯からみる限り
どのような方々がされたのかは読者の方々はおおよその見
当はつくものと思われます。
これが、日本の頭痛診療を主導される先生方のあり方であることを肝に銘ずるべきです。
誠に情けないことです。
こうしたことから、敢えて、巻末に掲載致しました。
今回のOCNの「ホームページのサービスとブログ人の廃止」は
と関係があるのでしょうか???
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これらの一連のもの