日本における管理木材リスクアセスメント FSC-CW-RA-017-JP V1-0 (日本語参考訳) FSC-STD-40-005-V2-1 附属書 2 に基づく認証取得者による管理木材評価にて用いられる バージョン: 承認日: 国内承認: 国際承認 国内連絡窓口: メールアドレス: 最終(FSC 本部承認済み) 2014 年 8 月 4 日 FSC ジャパン理事会 FSC 本部: 指針・規格課(PSU) FSC ジャパン 汐見崇史 [email protected] まとめ 本リスクアセスメントは日本において 5 つの管理木材カテゴリーに対して実施された。対象の森林は天然林、人工林を含むすべての森林である。 本リスクアセスメントにおいては日本を 47 都道府県もしくはより細かい地域のレベルに分けて評価を実施した。 管理木材カテゴリー リスク評価結果 1 違法に伐採された木材 低リスク 2 伝統的及び市民権が侵害された地域からの木材 リスク未特定 (北海道地域) 低リスク (その他の地域) 3 森林施業により高い保護価値(HCVs)が脅かされている森林からの木材 リスク未特定 (奄美群島以南の南西諸島) 低リスク (その他の地域) 4 植林地または森林以外の用途に転換されつつある森林からの木材 低リスク 5 遺伝子組み換え樹木が植えられている森林からの木材 低リスク 1 No. 項 目 指標 1. 違 法に 伐採 された 森林管理に関する下記の指標がすべて存在 木材 する場合、産地における違法伐採のリスクは低 根拠となる書類 判断の理由 評価結果 低リスク いと見なされる。 1.1 地域における伐採関連法施行の証明 「森林法」(1951 年法律第 249 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO249.html 「自然公園法」(1957 年法律第 161 号、改正 2013) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO161.html 検察統計 2010>被疑事件の受理及び処理状況>罪名別 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001078043 森林の伐採に関しては、すべて森林法により規制されている。 低リスク 森林法は日本共通の法規で、森林所有者及び立木を買い受けた者は、市町村長に対し伐採を始め る 90 日~30 日前までに、伐採面積、伐採方法、伐採樹種、伐採齢、伐採後の造林計画を記した 伐採届けを提出しなければならない。伐採届は、市町村長により森林法を適合しているかの調査 が行われる。適合しなければ、一切の伐採は許可されない。伐採届にある内容の伐採が行われな かった場合、市町村長は必要に応じて調査を行い、変更命令及び施業勧告を行う。また、伐採後 において伐採木材を流通させるには、その木材が「法律等に基づいて合法的に伐採されている木 材であるか」を示す証明書等を要する。自然公園特別地域内の伐採については、環境大臣又は都 道府県知事に許可を得なければならない。 日本国内の森林法違反の事例は比較的わずかで、2010 年の検察統計によれば、2010 年で年間 40 件程度である。日本国内の伐採届数が約 20,000 件(FSC ジャパン調べ)であることから、 その比率は 0.2%程度で有り、違法伐採はほとんど存在しないといって良い。 1.2 ライセンスや伐採許可の認許のための強固 伐採許可のシステム・伐採の合法性 伐採及び伐採後の造林の届出制度等により伐採の合法性を示すことが可能な法規制が機能してい で効果的なシステムを含む伐採や木材購入 「伐採及び伐採後の造林の届出制度」 る。普通林においては、事前に「伐採及び伐採後の造林の届出」が必須(認定を受けた森林経営 の合法性を示す証拠が存在する。 「保安林における立木伐採等許可制度」 計画に基づく伐採については事後の届出義務)。保安林においては、事前の伐採許可及び許可を =森林法に基づく伐採届出義務・許可制度(普通林の伐採は森林法第10条の8、 受けて伐採した後には伐採終了の届出が必須(人工林の間伐・択伐については事前の届出義務)。 低リスク 森林経営計画に基づく伐採は第15条。保安林の伐採は森林法第34条、第34条 の2、第34条の3が適用。) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO249.html 本制度により発行される、「伐採及び伐採後の造林の計画の適合通知書」「保安林内立木伐採許 可決定通知書」等で、国内木材の伐採に係る合法性は完全に証拠立てられる。 木材購入の合法性 「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」(2006 グリーン購入法に基づいて、国の公共調達の対象とする木材・木材製品について、合法性や持続 年法律第 100 号) 可能性が証明された物品の購入を優先する措置を 2006 年 4 月から導入。地方公共団体につい http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO100.html 民間の合法性確認の動向 ては努力義務、民間調達については一般的責務となっているが、調達の合法性確認に影響を及ぼ しており、サプライチェーンの各段階で違法伐採木材の排除が配慮されている。 製紙業界(日本製紙連合会) 違法伐採木材について http://www.jpa.gr.jp/env/proc/illegal-logging/index.html 木材市場(全日本木材市場連盟) 上記の状況から、国産材において伐採や木材購入の合法性を示す証拠は十分に確認できると言え る。 自主行動規範 http://www.zennichiren.com/ihoubassai.htm 住宅産業 住友林業 http://sfc.jp/information/mokuzai/ 積水ハウス http://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/2011/theme/bio01.html 三菱地所ホーム http://www.mec.co.jp/j/csr/environment/green/pdf/guideline.pdf 2 1.3 その伐採原産地において違法伐採が行われ ている証拠や報告が、ほとんどあるいは全 グローバルウイットネス www.globalwitness.org グローバルウィットネスの情報によれば、日本国内において、違法伐採が日常的かつ組織的に行 低リスク われているとの報告はない。 く存在しない。 検察統計 2010>被疑事件の受理及び処理状況>罪名別 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001078043 日本国内の森林法違反の事例は比較的わずかで、2010 年の検察統計によれば、2010 年で年間 40 件程度である。日本国内の伐採届数が約 20,000 件(FSC ジャパン調べ)であることから、 その比率は 0.2%程度で有り、違法伐採はほとんど存在しないといって良い。 1.4 伐採許可の認許・発行、伐採や木材取引に 関わる他の法施行に関した腐敗の認識がほ 腐敗認識指数におけるリスク評価。 www.transparency.org 腐敗認識指数におけるリスク評価は日本は「7.8」であり、FSC が指定する腐敗認識指数「5.0」 低リスク 以上の条件を満たしている。 とんどない。 また、新聞報道などで確認したところ、官吏による汚職事件について、伐採許可・輸入許可等に 関する官吏による汚職の事実は確認できなかった。 3 No 項 目 指標 根拠となる書類 判断の理由 . 2. 評価結果 合意形成/意見等 伝統的及び市民権 下記の指標がすべて存在する場合、原産地 が侵害された地域 は、伝統的な権利、市民権、共同体の権利 からの木材 が侵害されているリスクは低いと見なされる。 低リスク 2. 当該国からの木材輸出が国連安全保障委員 1 会によって禁止されていない。 2. その国または地域が紛争木材の供給源とし アメリカ合衆国国際開発庁(USAID) 我が国は、USAID により紛争木材の供給源として指定されていない。国内に、 低リスク 2 て指定されていない。(USAID Type1 紛 紛争木材: Dimensions of the Problem in Asia and Africa Volume I Synthesis Report 現在、内戦・軍事紛争などの紛争はなく、国内木材がその資金供給源になって 争木材) 2. 評価する地域の森林における児童労働また 3 は ILO 基本原則と権利の侵害が起こってい るという証拠が存在しない。 グローバルウイットネス 日本は国連安全保障理事会による輸出禁止国には該当しない。 低リスク www.globalwitness.org www.usaid.gov ILO 基本原則 結社の自由及び団体交渉権 87 号(結社の自由及び団結権の保護に関する条約) いる事実は無かった。 ILO 労働基本原則の侵害に関して(未批准の 105 号及び 111 号は除く)、日 低リスク 本の森林地域で侵害が起こっているという証拠について、ILO オンライン基準 データベースで確認したところ、確認できなかった。 98 号(団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約) 強制労働の禁止 特に、児童労働については、労働基準法において、「土地の耕作若しくは開墾 29 号(強制労働に関する条約) 又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(同法別表 105 号(強制労働の廃止に関する条約) 未批准 1)」における、児童就労は禁じられている。 児童労働の実効的な廃止 138 号(就業の最低年齢に関する条約) また、ILO 第 105 号「強制労働廃止条約」は、国家公務員法及び地方公務員法 182 号(最悪の形態の児童労働の禁止及び廃絶のための即時行動に関する条約) において、公務員のストライキを含む争議権が禁止されており、この法令違反 雇用及び職業における差別の排除 に伴う懲役刑による刑務所での労役が強制労働に当たるとして、未批准となっ 100 号(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約) ている。しかし、国家公務員及び地方公務員が対象となる林業の現場である公 111 号(雇用及び職業についての差別待遇に関する条約) 未批准 有林では多くが民間事業者の請負がほとんどであり、これらの民間事業者は労 ILO オンライン基準データベースNORMLEX http://www.ilo.org/dyn/normlex/en/f?p=1000:1:1413304977521392::NO 働基準法が定める争議権が確保されており、実質的に公有林の林業施業に関わ る労働者について強制労働の可能性はほとんどない。また、111 号「差別待遇 (雇用及び職業)条約」は、未批准となっている。しかし、労働基準法では性 「労働基準法」(1947 年法律第 49 号、改正 2008 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html 別、国籍、信条又は社会的身分について差別的取り扱いをしてはならないこと になっており、さらに性別については「雇用の分野における男女の均等な機会 及び待遇の確保等に関する法律」、障碍者については「障害者の雇用の促進等 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」 に関する法律」を法制し、より詳細に雇用差別撤廃措置がとられている。日経 (1974 年法律 113 号、改正 2012 年) テレコンで全国紙(主要5紙)及び地方紙(48 紙)・専門紙(5紙)の新聞検 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO113.html 索で 2010 年1月1日~2012 年 12 月 31 日までの報道を確認した結果、国内 の森林施業に関して未批准の労働基本原則に抵触する事案についての報告・報 「障害者の雇用の促進等に関する法律」(1960 年法律第 123 号、改正 2013 年) 道は確認できなかった。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO123.html 以上の状況を総合し、ILO 基本原則の侵害が起こっている事実は現段階では日 本国内の森林域において確認できないが、ILO 基本原則未批准の状況について 日経テレコン新聞検索結果 は引き続き注視をしておく。 (林業・公務員・労働法違反) (林業・差別) 4 2. 評価地域における使用権、文化的権利また 4 は伝統的・文化的アイデンティティを含む 伝統的権利に関係する重大な紛争を解決す るための一般に認められた公平な手段が存 在する。 憲法(1946 年) http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j01.html 民法(1896 年法律第 89 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html 不動産登記法(1899 年法律第 24 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO123.html 民事裁判手続き 国民の権利については現行の所有権の範囲において、憲法、民法及び不動産登 北海道地域にお 記法他各種法規により権利は保護されている。これらの権利に係る紛争解決手 ける評価 段に関しては、憲法(32 条)で保障された裁判を受ける権利に基づき、各種司 リスク未特定 法手続きが準備されている。また、紛争解決へのアクセスを高めるため、裁判 による民事調停手続きがある。 それ以外の地域 また、法務大臣認証された各種機関による裁判外紛争解決手続(ADR)も準備 低リスク されている。 http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/index.html 民事調停手続き http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_10/index.html 裁判外紛争解決手続き http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/index.html 一方、日本国内には使用権や伝統的権利の主体の一つとして、アイヌ民族が先 住民族として確認される。北海道地域のアイヌ民族の権利の範囲は、国内では 北海道地域に限定される。 FSC ジャパンが行ったヒアリングやコンサルテーションの結果から、アイヌ民 族が先住する北海道地域については、アイヌ民族の土地や資源に関する所有権 アイヌ問題の現状 FSC ジャパン調査資料1.参照 及び使用権や伝統的な権利について様々な意見や考え方のあることが明らかに なり、それらに関する紛争解決のための公平な手段が存在するか否かを一律に 判断することは難しい状況である。したがって、北海道地域以北の地域では「リ スク不明」と判断した。 5 2. 評価地域の森林において、先住民や種族民 5 に関する ILO 規約第 169 号の侵害が起こっ アイヌ問題の現状 FSC ジャパン調査資料1.参照 ているという証拠が存在しない。 二風谷ダム裁判 札幌高等裁判所判決 FSC ジャパンが北海道森林管理局、北海道庁及び ILO 駐日事務所、北海道木材 北海道地域にお 産業協同組合連合会に確認したところ、現段階においてアイヌ民族について、 ける評価 ILO169 に抵触する明確な権利侵害が森林域の林業において起こっているとい リスク未特定 う事実は確認できなかった。 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/5596/ それ以外の地域 一方、アイヌ協会、およびアイヌ関係者に確認したところ、直接林業で起こっ アイヌ民族共有財産裁判 札幌高裁判決 http://www.dogyousei.gr.jp/ainu/kousaihanketu.doc 低リスク たものではないが、過去においては二風谷ダム、現段階では平取ダムや紋別産 廃処分場の問題などアイヌ民族の土地所有・使用権の侵害が懸念される事案が 確認できた。 そもそも、アイヌ問題に関しては、1869 年の「北海道開拓」が開始されて以 自由権規約第 40 条(b)に基づく日本国第 5 回報告に関する自由権規約委員会の最終見解(2008 来、北海道以北の地域について無主地として国有地化がされたことを皮切りに、 年 10 月 30 日) アイヌ民族の潜在的な土地や資源に対する権利に対する配慮のない形で土地の http://www2.ohchr.org/english/bodies/hrc/docs/co/CCPR-C-JPN-CO.5.doc 所有権が設定されていった歴史を持つ。 パラグラフ 32 以上の状況から、北海道以北の森林においての土地や資源に関する所有権及び 人種差別撤廃条約第 9 条、及び人種差別撤廃委員会手続規則第 65 条に基づく人種差別撤廃委員会か 使用権の伝統的権利の侵害されていないことの証拠が存在しないとまでは言え らの情報提供要請(2012 年 3 月 9 日) なかった。したがって、北海道地域以北の地域では「リスク不明」と判断した。 http://www.mofa.go.jp/policy/human/pdfs/req_info_120309.pdf 国内におけるその他の地域については、国連自由権規約委員会及び人種差別撤 廃委員会による沖縄県の人々の先住民族としての認識、また米軍基地内の所有 2012 年 3 月 9 日付け人種差別撤廃委員会からの情報提供要請に対する日本国回答 地へのアクセスなどの懸念はあるものの、日本国政府は沖縄県居住者及び出身 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/pdfs/req_info_120731_jp.pdf 者を人種差別撤廃条約の対象とみなさないという見解を発表しており、また沖 「琉球弧の先住民族会」渡名喜守太氏の先住民族としての琉球民族に対する見解 縄県の人々自身も先住民族として認識は低い。沖縄県としても、その将来ビジ http://nisiyamatookinawa.web.fc2.com/back/okinawa_1101_88.htm ョンには先住民族についての言及はない。 上記の状況から FSC ジャパンとしては沖縄県の状況を本指標の対象としない 沖縄県の将来ビジョン こととした。 http://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/keikaku/jissikeikaku-zennki.html ただし、次回のナショナルリスクアセスメント更新時には改めて、沖縄県にお ける先住民族に関する状況に変化がないかを確認することとする。 国内におけるその他の地域については、現段階では、ILO169 号にかかる先住 民の問題が森林地域の林業において発生しているとはみなせない。 6 No. 項 目 指標 根拠となる書類 判断の理由 評価結果 3. 森林施業により高 下記の場合、原産地は、高い保護価値(HCVs) 南西諸島 い 保 護 価 値 に対する脅威に関するリスクが低いと見なされ (奄美群島以南の南西諸島) (HCVs)が脅かさ る。 リスク未特定 れている森林から a)指標 3.1 が満たされている、または の木材 b)指標 3.2 は 指標 3.1 に反することにより 上記以外の地域 原産地に引き起こされる脅威を除去する。 (ま 低リスク たは大いに緩和する。) 3.1 森 林 管 理 活 動 が 、 eco-region, sub-eco-region, local といった各地理的レ ベルにおいて、生態学的地域区分上重要な高 い保護価値(HCVs)を脅かしていない。 自然公園法(1956 年法律第 161 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO161.html 自然環境保全法(1972 年法律第 85 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO085.html 一般的概論 我が国の森林は、すでに江戸時代から明治、大正、昭和期にかけて、社会発展に 伴う人口増加による都市化圧力・燃料需要増加により荒廃していった。特に、太平 (奄美群島以南の南西諸島) リスク未特定 洋戦争前においては戦争遂行の資源を得るため、戦後においては復興の資源を得る 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(1918 年法律第 32 号、改正 2011 年) ため、天然林の伐採を伴う大規模な森林伐採が行われたことで森林荒廃が進んだ。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO088.html 南西諸島 このような森林荒廃に対する歯止めは、江戸時代においては留山と呼ばれる禁伐 上記以外の地域 低リスク 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(1992 年法律第 75 号、 制度が敷かれ、奥山の貴重な森林資源は保存もしくは択伐という保続的な措置が取 改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04HO075.html 文化財保護法(1950 年法律第 214 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO214.html 景観法(2004 年法律第 110 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO110.html 環境影響評価法(1997 年法律第 81 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO081.html られていた。この奥山を守る方針は、太平洋戦争後も引き継がれ、多くは国有林と して守られてきた。 このような保全志向の中、戦後の物不足が極度に達し、日本政府は、荒廃地の森 林機能の復元からその後増大した木材需要に対応していくため、森林伐採跡地に針 葉樹中心の人工林に置き換える「拡大造林政策」や「木材増産計画」を実施した。 これにより、人工林は増大し、奥山の自然林にまで伐採の手が伸び、我が国の貴重 な森林の荒廃が再び進むことが懸念された。しかし、その心配も一時期に過ぎず、 増大する木材需要に対して安価な外国産の木材輸入がこの森林荒廃を阻止し、奥山 の自然林が守られた。加えて、非木質材料が大量生産されたことから、人工林資源 森林法(1951 年法律第 249 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO249.html 改正森林法に基づく森林計画の見直し http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/saisei/pdf/siryou2.pdf は建材としての利用が縮小し、日本林業は競争力を失うとともに、拡大造林で面積 を増やした人工林まで放置され、必要な間伐などの手入れが行われない森林が増加 した。 そして何よりも外材との競争に負けたと同時期、家庭用燃料が薪炭から化石燃料 森林・林業基本計画 へと置き換わり、二次林資源は燃料材としても利用されず、放置された。その結果、 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/plan/pdf/kihonkeikakuhontai.pdf 人工林や二次林まで利用が伸びず、人工林はその健全性が失われるとともに、奥山 全国森林計画 の自然林は自動的に守られて現在に至っている。 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/pdf/110726-01.pdf 国有林野の管理経営に関する基本計画 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keiki/pdf/081216-03.pdf 人工林の管理不足は、その後の林業施策の実施で回復の兆しを見せ、そして広葉 樹林をはじめとする森林全体の公益的価値の見直しが始まった。森林があってこそ 山村振興ができ、国土保全や生態的価値の保全が機能する考えが広く我が国全体に Key Biodiversity Area:KBA(コンサベーションインターナショナルジャパン) 広がっていった。 http://kba.conservation.or.jp/ WWF グローバル 200 http://www.wwf.or.jp/activities/lib/g200.html 特定植物群落(自然環境保全法) 以上の歴史的な背景の中、我が国における保護価値の高い森林(例:KBA、グロ ーバル 200、特定植物群落)の多くは、現段階においては、戦後の森林荒廃を免れ たものが多いといえる。これらの森林は、既に自然公園法や自然環境保全法、鳥獣 保護法、国有林の保護林制度、文化財保護法などで保全され、さらに種の保存法(希 http://www.biodic.go.jp/kiso/12/12_toku.html 少野生動植物種生息地等の保護、生息地保護区)、森林法(森林計画制度、伐採・ 奄美群島・沖縄本島に関する HCVs に係る紛争について 造林届出制度、林地開発許可制度等)、景観法(景観重要樹木)、県自然環境保全 FSC ジャパン調査資料2.参照 地域などの法律や自治体の条例により、それらが有する文化性、生物多様性、国土 7 保全、景観等の側面から、保全・保護施策が講じられている。また、大規模な開発 については環境影響評価が義務付けられ、開発の差し止め、縮小あるいは軽減措置 が積極的に取られるようになり、全体として我が国に存する保護価値の高い森林に 対して保全された状態にあるといってよい。 上記のような状況を鑑みて、また、奄美群島以南の南西諸島以外の地域において、HCVs の保全に関わる具体的な紛争はあまり起こっていないことから、現段階にお いて、全体的には日本の林業が HCVs に与える脅威は少ないものと考えられる。 奄美群島以南の南西諸島 南西諸島の森林においては、各種の調査結果や各種団体による保全性の高い自然性を有する場所であるとの主張(KBA、グローバル 200)から判断すると、希少種が 非常に集中しており、自然性の高い樹林が存在していることが確認され、HCVs 有する森林と判断できる。一方で、奄美本島の幾つかのチップ事業者については生態系 や希少種に一定の配慮をした施業がなされてはいるものの、当該地域の生態系存続や希少種保護の観点からの、その施業方法の有効性については若干の疑念が残る。ま た、FSC ジャパンの調査の結果、奄美群島以南の南西諸島において林業に係る幾つかの紛争(やんばる:林道敷設に対する沖縄県を相手取った住民訴訟、希少種を脅か す林業施業に対する森林組合長を相手取った訴訟。奄美群島;加計呂麻島、奄美本島住用町でのチップ工場建設の動きと住民反対運動)が確認され、やんばるでは現段 階でも全面的な問題解決に至っていない。故に当該エリアで林業による脅威が排除されているとは蓋然的に断言は出来ないとないことから、奄美群島以南の南西諸島に ついて「リスク不明」とする。 3.2 強力な保護システム(効果的な保護地区や規 制)がしかるべく存在し、エコリージョンに おける高い保護価値(HCVs)の存続を保証し ている。 自然公園法(1956 年法律第 161 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO161.html 自然環境保全法(1972 年法律第 85 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO085.html 指標 3.1 において、「リスク不明」である当該地域について自然公園法など面的 な保護状況は十分なものではなく、当該地域における紛争の状況から「HCVs の存続」 (奄美群島以南の南西諸島) の保証が十分とは言えない。ことから「リスク不明」とする。 リスク未特定 但し、当該地域においては、国立公園化→世界遺産化が進められており、この進 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(1918 年法律第 32 号、改正 2011 年) 展とシステム運用の動向次第でリスク評価を見直すものとする。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14HO088.html 南西諸島 上記以外の地域 低リスク 森林法(1951 年法律第 249 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO249.html 国有林野の管理経営に関する法律(1951 年法律第 246 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO246.html 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(1992 年法律第 75 号、 改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04HO075.html 文化財保護法(1950 年法律第 214 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO214.html 景観法(2004 年法律第 110 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO110.html 環境影響評価法(1997 年法律第 81 号、改正 2011 年) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO081.html Key Biodiversity Area:KBA(コンサベーションインターナショナルジャパン) http://kba.conservation.or.jp/ WWF グローバル 200 http://www.wwf.or.jp/activities/lib/g200.html 特定植物群落(自然環境保全法) http://www.biodic.go.jp/kiso/12/12_toku.html http://www.biodic.go.jp/reports2/parts/5th/5_vgt_toku/5_vgt_toku_04.pdf 奄美群島・沖縄本島に関する保全システムについて FSC ジャパン調査資料2.参照 8 No. 項 4. 植林地または森林以外の用途に転 下記の指標が存在する場合、原産地は、植 換されつつある森林からの木材 林地または森林でない用途への自然林の 目 指標 根拠となる書類 判断の理由 評価結果 低リスク 転換に関するリスクが低いと見なされる。 〔Note:植林地から他の土地用途への変化 は、転換とは見なさない。〕 4.1 評価する生態学的地域区分において、天然 林や、サバンナのような他の樹木性生態系 第 4 回及び第 5 回自然環境保全基礎調査植生調査 FSC ジャパン調査資料3.参照 の純減少がなく、且つ(年間 0.5%を越え る)重大な喪失率ではない。 第 5 回自然環境保全基礎調査植生調査(1994~1999 年)によれば、自然度 8.9.(自然林、 低リスク 二次林(自然林に近いもの))の植生について、第 4 回基礎調査(1989 年~1993 年)から の面積変化は 704km2 であり、第 4 回基礎調査時の自然度 8.9.の森林面積 86,094km2 から 国際連合食糧農業機関(FAO) みて、0.82%の減少であった。 Global Forest Resource Assessment この減少量を、第 4 回~第 5 回調査のみなし調査間隔の 5 年間で除し、概ねの年間減少量に http://www.fao.org/docrep/013/al539E/al539E.pdf 換算した場合、減少率は年 0.16%となる。 これらを各地域別に見ても大きな変化は確認できなかった。 故に、FSC が定める、長期間の減少量(純減少)はほぼ無いといえ(長期で 5%以内)及び重 大な損失量(年 0.5%以内)とは認められないため、本指標に係るリスクは低いといえる。 根拠値としては、10 年以上前のデータであるが、 この減少率を倍するような、大規模な自然林開発、伐採などの事案は、過去 10 年間において 新聞報道などで確認されていないことから、現段階でも概数としては、本減少率を使用しても 良いものと考えられる。 なお、環境省では、現在第 6 回第 7 回植生調査が行われており、調査結果が公表され次第、 本データの更新を行うものとする。 参考:FAO の日本の森林データによれば、日本の自然林(Primary forest; 81 年生以上の天 然林)は徐々に増加している。(2005~2010 年) No. 項 目 指標 5. 遺伝子組み換え樹木が植えられて 以下の指標のいずれかに合致する場合、遺 いる森林からの木材 伝子組み換え木材に関するリスクは低い 根拠となる書類 判断の理由 評価結果 低リスク と考えられる a)遺伝子組み換え樹木の商業利用が行わ 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関 遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(2003 年 6 月) 低リスク れていない する法律(2003 年法律第 97 号、改正 2007 年) によると、その遺伝子組換え生物の商業利用禁止は直接謳われていないが、使用には主務大臣 b)遺伝子組み換え樹木の商業利用に許可 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO097.html による承認(第 4 条)、拡散防止措置の確認(第 12 条)が必要である。 が必要であり、商業利用の許可が存在しな い 農林水産省 農林水産省資料によれば、遺伝子組換え樹木の商業的利用のための、承認・確認は行われてい c)遺伝子組み換え樹木の商業的に使うこ カルタヘナ法に基づき承認・確認された遺伝子組換え生物のリスト ない(2012 年)。隔離ほ場による試験レベルでは承認事例がある。 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/c_list/index.html 上記から、本指標に関して我が国の状況は、「b)遺伝子組み換え樹木の商業利用に許可が必要 とが禁止されている であり、商業利用の許可が存在しない」に相当し、リクスは低いといえる。 9
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