八十二銀行が求める人材

学校からの要望
子供達に進路指導を行っているが、私達学校職員は何分にも民間企業や産業社
会についての知識や経験が少なく、子供たちの心に迫る指導がなかなかできな
い。
職場体験学習を控えた本校の子供達のために貴協会が企画している出前授業の
企業人講師派遣をお願いしたい。
講 師;㈱八十二銀行 執行役員人事部長 堀籠 義雄
講 師;㈱八十二銀行 執行役員人事部長 堀籠 義雄
内 容;
内 容;「八十二銀行の求める人材」
はじめに
1.八十二銀行の生い立ちと概況
2.八十二銀行の求めている人材
3.学生の時にやって欲しいこと
質疑応答
先生からのお礼状
生徒の感想文
日 時;平成
日 時;平成 16 年 5 月 31 日 14.30∼
14.30∼15.20
会 場;大町市立第
会 場;大町市立第 1 中学校体育館
対 象;
対 象;2 学年約 120 名
依頼元;山下邦彦校長先生、中村一郎先生
依頼元;山下邦彦校長先生、中村一郎先生(
;山下邦彦校長先生、中村一郎先生(2 学年主任)
はじめに
皆さんこんにちは。
ご紹介いただきました八十二銀行の堀籠義雄と申します。非常に難しい字を書
きます。
八十二銀行を知らない人がいっぱいいたらどうしようかと思ったのですが、大
方のかたは知っていただいているようですね。若い皆さんの前で話をするチャ
ンスはそうたくさんありませんので今日は楽しみにしてきました。できるだけ
わかりやすい話をしたいと思っております。
ところで私の第一印象についてどういうイメージを持ちましたか。
「色が黒くて、ちょっと怖そうだ」とこんなイメージ持った方もいると思
います。人間ですから、はじめて人に会うと第一印象を持ちます。受ける側と
すれば第一印象は社会に出るとものすごく大事なのですね。お互いの信頼関係
を築く第一歩が第一印象なのかもしれません。社会に出ると商売をしたり、仕
事をしたりするけれど、第一印象でちょっと怖そうだ、そばによるのやめてお
こうという印象を持った場合、それ以上近づかないでそこで後退してしまうと
本当はいろいろなチャンスがあったものを逃しているかもしれないです。です
から第一印象をよくする努力をするとともに、第一印象で判断しきらないよう
にすることも大事と思います。
1.八十二銀行の生い立ちと概況
銀行のことは皆さんも少し知っていると思いますし、銀行のお店の中に入った
ことのある人もいると思います。
八十二銀行はこの地元にも大町支店があります。安曇野地区には何店舗もある
のですが、大町支店はこの安曇野地区を統括する統括店舗です。
八十二銀行がどうやって出来たかということについて、少しだけ紹介させても
らいます。
明治時代にたくさんの銀行があったのですが、もう少ししっかりした銀行を作
ろうよということで、全国に国立銀行というものを作ったのですね。第一国立
銀行から第百五十三国立銀行まで出来たのです。長野県にも国立銀行が全部で
5つできました。長野県にあったのは、第十四銀行、第十九銀行、第二十四銀
行、第六十三銀行、第百十七銀行の5つでした。こういった銀行が経済・社会
行、第六十三銀行、第百十七銀行の5つでした。こういった銀行が経済
・社会
情勢の変化でどんどん吸収合併され、昭和のはじめ頃には第六十三銀行と第十
九銀行が残っていました。そして昭和6年8月 1 日に、その第十九銀行と第六
十三銀行が合併し、19と63を足し算して八十二銀行という名前の銀行
ができたわけです。ですから70数年の歴史があります。
現在、行員は3100名です。その他パートさんが1400人位います。
八十二 DC カード、八十二リースなどの関連会社を入れると5000人強の従
業員がいます。
今、全国に700を越える銀行・金融機関があります。
今、全国に700を越える銀行
・金融機関があります。
八十二銀行のようないわゆる地方銀行は120ぐらいあります。預金の量から
いうと八十二銀行は120行のうちの8番目から9番目くらいの大きさの銀行
です。店の数は海外を含めて約150店舗あります。
仕事の内容は、まず預金ですね、お客さんからお金を預かります。それから融
資といって、皆さんのご両親が家を作ったり、皆さんが高校・大学に行くため
資といって、皆さんのご両親が家を作ったり、皆さんが高校
・大学に行くため
の資金が必要なとき銀行からローンを借りたりしますよね、そういうローンと
か融資の仕事があります。
また遠くにいる人にお金を送金したり、お取引先の企業
の企業の経営
の経営のお手伝い、コ
また遠くにいる人にお金を送金したり、お取引先
の企業
の経営
のお手伝い、コ
ンサルタントの仕事があります。
2.八十二銀行の求めている人材
私達はお客様相手のサービス産業です。物を作って売っている所とは違う、ま
さにサービス産業の一つです。
そこで一番大事なことは信頼、信用です。
相手に信用、信頼されない限り商売できません。信頼ということが大事です。
信頼はサービス業の原点だと思っています。
そこで信頼って何だろう、あるいはどういうところから信頼関係ができるのか
というと、冒頭に第一印象の話をしましたが、まず見た目というのが大事なの
ですよ。
皆さんは仲間同士良く知り合った仲ですから、見た目を気にする人も、しない
人もいると思いますけれど、銀行の仕事は初対面のお客さんがたくさんいます
から見た目は大事です。
ある人気タレントがしている髪型はファンにとっては素敵なのでしょうが、ビ
ある人気タレントがしている髪型はファンにとっては素敵なのでしょうが、ビ
ジネスの場ではふさわしくない場合があります。必ずしも流行を追うことが見
た目の好印象につながるとは限らないということもあります。特に銀行やサー
ビス業についている人は、自分で満足することも大事ですけれど、相手がどう
いう受けとめをするかということも意識した生活態度を速い段階からしておく
必要があると思います。
それからもう一つは言葉遣いです。
サービス業として仕事をしてお金をもらう立場にある人の言葉遣いは、相手が
受け入れてくれる一定のラインというのがあります。
大学を卒業して銀行に入ってくる新人の言葉遣いは、受け入れられるレベルか
というと残念ながらそうではありません。従って銀行に入る前に相当特訓しま
す。入ってからも、職場でも、研修所に集めて缶詰で特訓します。
皆さんも、ある一定ラインが出来ていないと、社会に入って苦労してしまうの
ですね。どうしても長年慣れ親しんだ言葉遣いは直りにくいのです。今からか
しこまって敬語ばかりを使えといっているのではなくて、少しずつ意識して言
葉遣いを勉強していくことが良と思います。
電話応対一つをとっても、銀行はお客様から毎日電話がかかってきます。
例えば八十二銀行の大町支店の堀籠が電話を取った時には、基本として「八十
例えば八十二銀行の大町支店の堀籠が電話を取った時には、基本として
「八十
二銀行大町支店堀籠でございます」と電話に出ますね。電話の内容に責任を持
つために名前も名乗って電話を受けるのです。ただ「もしもし」と言ってでる
つために名前も名乗って電話を受けるのです。ただ
「もしもし」と言ってでる
だけではお客さんが怒って切ってしまうのです。そういうことが当たり前に出
来るようになってくるのに相当に時間がかかっています。
電話応対のイロハから教育しているのですね。本来必要のないことを社会人に
なってからやっているようなレベルです。このようなことを意識して少しづつ
自分で変えていくと自然に身につくのですね。
言葉も信頼の大事な要素であるということです。
それからこれは当たり前ですが、うそをついてはいけないですね。うそつき
はだめです。約束を守らないのも駄目ですね。時間を守らないのも駄
目です。いつまでに仕上る、いつまでに提出する、いつまでに契約を結ぶ、何
時に会う等々約束事の守れる習慣を当たり前につけていくことが大事です。
こういうことを学生時代にさぼっていると社会に出ても出てしまうのですね。
早いうちから直したほうが良いです。
八十二銀行はどういうタイプの人間を求めているかといいますと、これは金融
機関共通して言えるかも知れませんが、はっきり言ってタイプはありません。
こういうタイプでないと困るというものは全くないということです。
いろいろなタイプの人があっていいのですね。
大学もいろいろ、学部もいろいろです。銀行というと経済とか経営を学んだ人
というイメージがありますけれど、経済学部も商学部もありますけれど教育学
部、工学部、理学部、農学部の学生も入ってきます。
銀行の仕事は、営業もあればいろいろな企画をしたり、商品を作ったり、シス
テムを開発したり、外で営業したり、相談に乗ったり、いろんな人が必要なの
です。
いろいろな人がいないと偏ってしまいますので、意識していろいろ
な人を採るようにしています。ただ、ベースがさっき言ったようなところ
が出来ていないと困りますよということです。
皆さんも、今、一生懸命に勉強して、成績さえ良ければいいということでは駄
目なのですよ。成績は良い方がいいのでしょうけれど、それだけでは駄目だと
いうことです。入社試験の時も、成績というのは参考程度で決め手に
は全くならないのです。大事なのは生活のプロセスでどういう取組み
をしてきたのか、どういう努力をしてきたのか、またそれをどう持
続させてきたのか、その辺が決めてなのですね。成績はその結果である
かもしれないが、取組むこと、努力をすること、一生懸命課題をもってやり遂
げることは勉強だけではないはずです。学校生活の中で勉学もあるし、いろい
ろな課外活動もあります。どういう所に対して取組み、どういう体験をどうや
ってどの程度積んできたかというのを企業は良く見たいのですね。
そういうことが継続的に出来ている人というのは、社会に出ても、企業に入っ
ても頑張れると判断します。何をやっても飽きっぽくてすぐ駄目になってしま
うという人は、今から直さなくてはなりません。直しようはあるのです。
学業的な秀才よりもいろいろな経験を積んだ中での知恵と行動力のある人が一
般社会の中では共通して求められていると思います。何故かというと、いろい
ろなことを受身でなくて自分から進んで体験してみるということがその人を変
えていくとみられるからです。いろいろなことに問題意識を持ち、行動してい
る人は、その人の幅を広げていくことができるし、ただ漫然と過ごしている人
より成長できるのですね。
銀行に入る時に採用面接をします。私は人事部長を3年やっています。その前
に採用、教育などの担当を7年やっていましたので、通算10年人事関係の仕
事をやっていますが、採用する時のチェックリスト、チェックポイントを持っ
ています。
その裏を明かしますと、まず表情とか態度を真先に見ますね。そわそわし
ているとか、落ち着かないとか、話をしていても視線を合わせないとか、こう
いったところを見ています。非常に大事です。
体験を積極的、意欲的に積んできた人というのは、態度が非常に落ち着きがあ
るのですね。常になんとなく受身で、なんとなく持続性がなく、そういう体験
も積み方が少ない人というのは、面接時も落ち着きがない、どうしても自分が
背伸びをしてしまうのですね。背伸びするというのは、ある場面にいくと自分
以上に良く見せようとするのですね。そうするとどうしても態度が落ち着かな
いのです。したがってそういう人は面接の時に少し突っ込んだ質問をすると、
しどろもどろになってしまうのですね。ところが一つのことでもしっかり打ち
込んで、自分の行動に、あるいは体験・経験にある程度自信を持っている人は、
込んで、自分の行動に、あるいは体験
・経験にある程度自信を持っている人は、
落ち着いていますよ。目線もしっかり合う、その辺を見ています。
それから表現力を見ているのですよ。面接してやりとりしますよね、そうい
う中での表現力、表現力というのは、流暢にしゃべりなさいよ、そう言う人が
いいよということを言っているのではないのです。本当に自分の言いたい所が
しっかり伝わってくるかどうかが大事なのですね。それから話す内容に統一性
があるかどうかということですね。背伸びしてうわべで物事をかっこつけて言
おうとすると話があっちにいったりこっちにいったりになってしまうのです。
あと一つ、理解力・判断力も見ています。
3.学生の時にやって欲しいこと
次に皆さんに早くからやっておいて欲しいことを話しますと、今、話してきた
ことと表裏一体になりますが、まず何か本当に興味をもってやり遂げてみると
いうことが大事です。みんな中途半端だとなかなか強くなれないです。これは
自分の体験上もそう思います。
クラブ活動でもそうですし、勉強でいえば 1 科目でも、本当に真剣
に取組むこと、やり通すことが非常に大事だと思います。
一つやり遂げて達成感を味わうと他のことも一生懸命やることにもなります。
いつでも物事を受身でいると自分が広がっていかなくなってしまう、いやいや
やっている世界というのは自分を成長させないのですね。
また皆さんに意識してやっていってもらいたいのは授業中でも、いろいろな話
し合いの場でも、意識して自分から発言する訓練をしていくことが大事な
のです。
そういう日々のちょっとした積み重ねがその人を変えていくのですね。だから
私は口下手だとか、人と話するのが苦手だとかいう人がいるけれども、苦手と
思っているうちは変わりません。訓練をしてやっていくと苦手が苦手ではなく
なってくると思います。銀行では3分間スピーチをやってもらっています。そ
んなことをやりながらいろいろ考える訓練、話す訓練をしています
理解力・判断力に関してですが、授業でもなんでも覚えるということはすごく
理解力・判断力に関してですが、授業でもなんでも覚えるということはすごく
大事ですよね、覚えなければ授業についていけないかもしれない、でも、ただ
覚えるというのはどうしても退屈なのですね。そんなときに背景とか理由を
考えながら授業を受けると非常に面白くなります。これは社会科でも理科で
も何でもそうです。そういう頭の訓練が社会に入って役に立ちます。今から新
聞を見ても、何を見てもどうしてかなと考えるくせを少し付けていただきたい
と思います。
こんなことを頭に入れて、心当たりのところがあれば一部でもいいから意識し
て直していったらいいと思います。
質疑応答
(質問)今まで仕事をしていて一番大変だったことは何ですか。
(回答)大変だったことはたくさんありますが、最近でいうと、最近、八十二
(回答)大変だったことはたくさんあります
が、最近でいうと、最近、八十二
銀行は人事制度を大きく変えました。今までは歳を取ると給料もだんだん
上がっていく、そして歳とともに係長になったり、課長になったり、部長にな
ったりというのがなんとなく約束されていました。こういう制度を廃止して、
やったものにはやっただけ報いる、やらないものはそれだけの処遇しかしませ
んよという成果主義に変えたのです。今までの世界に慣れているので、ものす
ごく抵抗がありましたからそれをやり遂げるのに苦労しました。
(質問)堀籠さんはどういうお仕事をなさっているのですか。
(回答)八十二銀行の人事部という仕事は、新しい人を採用することから、行
(回答)八十二銀
行の人事部という仕事は、新しい人を採用することから、行
員の人事評価、よくやったとか評価する仕事ですね、それから人事異動といっ
て、今度はこの仕事をやってくださいというような仕事ですね、こういう人に
関するすべての仕事をやっています。
先生からの礼状(抜粋)
「中村一郎・2学年主任」
先生からの礼状(抜粋)
「中村一郎・2学年主任」
5月31日には本校にて「経協
5月31日には本校にて「経協・出前授業」を開催していただき、誠にありが
「経協・出前授業」を開催していただき、誠にありが
とうございました。
お蔭様で大変有意義な時間となりました。ここに厚くお礼申し上げます。
私たち学校職員は、子ども達に進路指導を行っていますが、何分にも民間企
業や産業社会についての知識や経験が少なく、子ども達の心に迫る
指導はなかなかできません。
職場体験学習を控えた本校の子ども達が、貴協会が企画されています出前授業
を通して、企業の最先端でご活躍されている八十二銀行執行役員人事部長堀籠
義雄様から直接お話しをお聞きすることができましたことは、子ども達にと
って大変意義があり、また、子ども達自身の日頃の生活や学習への取
組みを見直す機会となりました。
感謝申し上げます。
授業後、子ども達が書きました感想文を同封いたしました。上手な文章ではあ
りませんが、子ども達の本心が書かれています。お読みいただければありがた
く思います。
生徒の感想文
堀籠さんの話はすごく納得できることをいっぱい言っていました。
堀籠さんは「信頼」とか
「信頼」とか「信用」とかいう言葉を繰り返し使っていました。僕
堀籠さんは
「信頼」とか
「信用」とかいう言葉を繰り返し使っていました。僕
は信頼する人はいるけど、信頼されているのかなあと思った。
あと堀籠さんが最後らへんで「成績はあまり関係ない、どういうふうに取組ん
あと堀籠さんが最後らへんで
「成績はあまり関係ない、どういうふうに取組ん
できたのかと、どういう努力をしてきたかで決まる」と言っていた。
僕は今後の学校生活をしっかりとやっていきたいと思った。今日聞い
たことをしっかりと意識して頑張っていきたい
たことをしっかりと意識して頑張っていきたいと思った。