協調機械システム論 システムとは 自律分散システム

協調機械システム論
(12.10.18,本郷)
講義の概要
協調機械システム論
東京大学大学院工学系研究科
精密工学専攻
淺間 一
http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/asamalab/
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イントロ(自律分散・協調・通信)
ロボティクスと協調制御
通信技術と協調動作
自律分散と協調センシング
協調問題解決
環境との協調技術
人間との協調技術
関連分野
創発システム
移動知
Copyright (c) Hajime Asama, Univ. of Tokyo. All rights reserved 2012
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システムとは
自律分散システム
• システムの反対語は?
要素
• 複数の要素から構成される
サブシステム,個,ユニット,モジュール, ,
エージェント,細胞(セル),等
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システムを構成する個々の要素に自律性を持
たせ、システムの 機能の実現は要素の相互作
用を通じて達成するようなシステム
(日立製作所)
•自律分散システムの反対は?
集中システム
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自律分散システムの自己組織化モデル
自律分散システム
•自律と自立
Emergent Macro Structure
(Macro Function)
– 意思決定,能動的動作決定
•集中と分散
– 負荷分散・機能分散・空間分散
Self-organization of
decentralized autonomous systems
•自己組織,協調,競争,エージェント,創発
Local Interaction
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創発システムのモデル
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自律分散化の背景
• 保全作業に代表される高度な作業のロボット化
Emergent Macro Structure
(Macro Function)
• 現在の知能ロボット技術
成熟していない要素技術
システムの巨大化・複雑化
開発の困難さ,適用環境の制約,信頼性の低下
Self-organization of
decentralized autonomous systems
Boundary condition
Constraints
• ロボットシステムへの要求
状況に応じた行動能力
動的作業要求,環境の変化,未知環境,故障時対応
作業の高速処理・効率・生産性
多機能性・耐故障性・信頼性・柔軟性・拡張性・作業効率・適応性
Local Interaction
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原子力プラント
背景
原子力プラントを取り巻く現状
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原子力発電の需要
長寿命化・ライフサイクルの考慮
メンテナンスの重要性
原子力プラントにおけるメンテナンスの実情
ロボットのニーズ
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原子力プラント・メンテナンスのための情報収集→個別的かつ局所的
依然として存在するロボットのニーズ(プラントの現場,防災*)
細かいトラブル,有事の際の手段,現場の状況把握
コストダウン・信頼性の向上(メンテナンスの見直し)
*消防庁,防衛庁,自治体消防局
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集中型から自律分散型へ
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ツムギアリにみる自律分散系
(生息地:中国南部,フィリピン,インドシナ半島,マレーシア,インド)
従来のロボット工学のアプローチ
新しいロボット工学のアプローチ
必要なすべての機能を1台のロボッ
トに搭載
必要な機能を多数のロボットに分散
化し,状況に応じて協調させる
ロボット個体の知能化/高機能化
ロボット群としての知能化
システム全体の多機能化
知能:集中型アーキテクチャ
知能:分散型アーキテクチャ
典型的手本:人間
典型的手本:社会性昆虫(蟻)
問題点:システムの複雑化・巨大化
特長:小型化・開発容易
信頼性の低下
非効率的
耐故障性
並列処理による効率化
自己組織
大型対象物操作,並列動作,役割分担(引っ張る,紡ぐ,戦う,子育て,etc.)
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みつめむれつくり
自律分散型ロボットシステムの特徴
利点
●多機能性
●頑健性・信頼性
●柔軟性・適合性
●保全性・拡張性
●効率・生産性
●適用性
欠点
●最適性
●整合性
●同期
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自律分散型ロボットによる
プラントメンテナンス
群知能
分散行動計画
協調制御
小型ロボット
相互認識
環境情報管理
点検情報統合化
協調問題解決
指令伝達
相互衝突回避
作業計画
自律走行
作業分担計画
行動計画
複合通信(電波,光,音など)
中継局
人間とロボット群の
協調的点検
ネットワーク
ヒューマンインタフェース
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RoboCup~ロボットによるサッカー競技
中型実機リーグ
全ての機能をロボットに搭載
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RoboCup-Japan Open 00-01
RoboCup-Japan Open 2000
RoboCup-Japan Open 2001
RoboFesta 2001
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Uttori vs Muratec
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EIGEN 2005
マルチロボット環境でのロボットの自律性
人間
環境
他のロボット
情報/エネルギ入力(外界センサ,内界センサ,通信メディア)
目的理解
自己の状態認識
環境理解 他のロボットの行動理解
自己の行動決定
自己の自律性の行動規範
システムの自律性の行動規範
情報/エネルギ出力(アクチュエータ,通信メディア)
人間
研究関連図
自律分散型ロボットシステムの課題
背景にある
学問分野
生物学
ロボット工学外の
技術領域
従来のロボット工学
自己組織化
計算機科学
自己組織化ロボット
センシング
モジュール化ロボット
生理学
並列処理
哲学
ニューラル
ネットワーク
論理学
心理学
センサフュージョン
分散センシング
人工知能
複数のエージェントの協調的行動をいかに実現するか
群ロボット
通信ネットワーク
動的に変化する状況をいかに管理するか
•システム制御の立場
マルチエージェント
ロボットシステム
自律分散システム
システム全体の機能をいかに複数のエージェントに分散させるか
•システム管理の立場
他のロボット
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•システム設計の立場
環境
分散プラニング
分散人工知能
(分散協調問題解決)
プラニング
(作業計画)
(経路計画)
制御
分散制御
人間工学
ヒューマン
インタフェース
協調制御
テレプレゼンス
共有自律
人工現実感
遠隔操作
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研究の分類
研究の分類
Top-down approach/Bottom-up approach
Top-down approach
高度なことをやらせるのに,複数のエージェントに処理を分散化させる
分析的研究/総合的研究
Homogeneous/Heterogeneous(負荷分散/機能分散)
Bottom-up approach
Communication有/Communication無
Availableなエージェントを寄せ集め,それを協調させて,さらに高度な動作を行
わせる
役割分担
分析的研究
個にどういう機構を内在させ,個の間でどいう相互作用があると,どういうことが
できるのか
予め定義/動的に決定/無
AgentのPerformance
総合的研究
Primitive/High Level(Intelligent)
何かを行わせようとしたときに,個にどういう機能を持たせたらよいか.
個の間にどのような関係が必要か
Agent同士の関係
疎/密
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複数台自律ロボットの効果
(油田,1992)
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協調*とは
*広辞苑第五版,岩波書店
• 利害の対立する者同士がおだやかに相互間の問題を解
決しようとすること
マイナスの効果
→ 消極的協調
●ロボット間の衝突
●他のロボットの存在による環境の変化
●遠慮的行動
●環境の保全
プラスの効果
→ 積極的協調
●ロボットの複数化によるシステム全体の能力の向上
●センサ,環境認識機能の共通化
●環境の整備
●物理的な共同作業
●物理的な協調による共同作業の実現
●環境を知り整備するための協調
• 性格や意見の異なった者同士が互いにゆずりあって調
和をはかること
• [生]生体を構成する緒部分が相互に調整を保った活動
をすること.
• お互いに邪魔しない協調
• お互いに助け合う協調
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個別行動
協力行動
ロボットの行動形態
個別行動
複数のロボットがそれぞれ別々の目的を持ち,
並列的に行動する形態
↓
邪魔しない協調が必要
協力行動
複数のロボットが共通の目的を持ち,
協力しあって行動する形態
↓
助け合う協調が必要
(役割分担)
協力を依頼するロボットと依頼を受け支援するロボット
コーディネータと協調者
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