On-Demand Fall 2010

ON-DEMAND
CEPHEID
REPORT
内容
Cover Story:
シアトルの2つの主要な病院がクロストリジ
ウム ディフィシルの迅速結果を採択
Inside:
南アフリカのLancet LaboratoriesがCE
IVDマーク取得の迅速なPCRアッセイ導入
によりTB検査プロセスを刷新(USAでは入
手不可能)
Online:
www.cepheidondemand.com
Harborview Medical Center, Seattle, Washington
シアトルの2つの主要な病院がクロストリジウム
ディフィシルの迅速結果を採択
Ellen Jo Baron,
Ph.D.
あり、University of Washington Medical
心臓病、リスクの高い妊娠や新生児の集中
Schoolやこの地域における関連の医療専
治療、腫瘍学、整形外科、および臓器移植
Director, Medical Affairs, Cepheid
門学校の教育を行なっています。
において専門性の高い医療を提供していま
Associate Director, Clinical Microbiology Lab, and Interim Director,
Virology Lab, SUMC
Professor, Dept. of Pathology,
Stanford Medical School
HMCの専門には脳神経外科、眼科治療、
す。本センターの患者紹介エリアもワシン
血管医学、リハビリテーション医学、睡眠
トン州を超えてワイオミング州、アラスカ
医学、および脊椎治療があります。施設は
州、モンタナ州、アイダホ州へと広がって
ワシントン州同様、アラスカ州、モンタナ
います。
姉妹病院として提携を結ぶシアトルの
州、アイダホ州からの患者にサービスを提
Harborview Medical Center (HMC) と
供し、成人および小児を対象にした地域の
University of Washington Medical
主要なレベル 1 外傷・熱傷センターとして
Center(UWMC)は類似点や相違点はあ
機能しています。HMCは、地域社会にお
りますが、Xpert® C. difficile アッセイの
いてサービスが行き届かない貧困層の人々
採用によって患者の治療が改善される点は
の治療を実施するという長年の伝統があ
一致した見解です。両施設とも米国の第一
り、非常に優れた包括的 HIV/ エイズ治療
線のアカデミックなメディカルセンターで
プログラムも含まれています。UWMC は
defining molecular diagnostics
次ページに続く
Spring 2010
ON-DEMAND
CEPHEID
エクゼクティブエディター
David Persing, M.D.,
Ph.D.
編集長
Jared Tipton
筆頭著者
Ellen Jo Baron, Ph.D.
シアトルの2つの主要な病院が
UWMC 検査室では、両施設の患者に対し、
1ページからの続き
基礎的な血清学的アッセイ、特殊な抗菌薬
4.3 マイル離れたこれら 2 つの病院に
感受性試験、また検査室内で開発された核
ある臨床微生物検査室は、University of
酸配列決定法を用いて、病原体と薬剤耐性
Washington Department of Laboratory
因子の同定を含むさらに難解な分子診断
Medicineによって管理されています。両
アッセイの殆どを行ないます。
執筆協力者
方の検査室は入院患者、外来患者、および
University of Washingtonの 専 門 家 が
Fred Tenover, Ph.D
リファレンスラボラトリー事業のための広
従事する世界的に有名な Fred Hutchinson
クリエイティブマネージャー
範な診断テストを実施してい
Cancer Research Center
ます。両検査室の近接性を活
には、地元および世界中か
かすため、特定のマイコバク
ら 患 者 が や っ て き ま す。
テリア検査は勿論、淋菌およ
UWMC 検 査 室 は Seattle
びクラミジアトラコマチスの
Cancer Care Allianceを 介
ための核酸増幅アッセイの
してこれらの患者をサポート
すべてを、HMC 微生物検査
します。実際に UWMC 検査
室で実施することを合意し
室は、組織検体(いくつかの
ました。マイコバクテリア、
例ではパラフィンブロック内
Gregory Birgfeld
グラッフィックデザイン
Bijal Patel
REPORT
肺炎球菌、および淋菌の分離
株は市販の分子アッセイを
用いて同定されます。一方、
Laboratory Director
Dr. Ferric Fang
の検体からでも可能)から直
接細菌、真菌、マイコバクテ
リアを検出し同定する独自に
編集者より
LaboratoryはXpert® MTB/RIFアッセイ
David Persing,
M.D., Ph.D.
Chief Medical and
Technology Officer,
Cepheid
を選択しました。入院患者および市中の
両 方 でクロストリジウムディフィシ ル 感
染 症 の 懸 念 が 増 加して い るシアト ル で
は、
Harborview Medical Centerが2つあ
るいは3つのテストで構成されたアルゴ
リズムから
“ 1 つ のテストで 完 了 ”
という
本稿では、世界の反対側に位置し、根本的
Xpert® C. difficileの検査方針に変更しま
に異なる背景で検査を実施しているにも
し た 。我 々 は こ れ ら 2 つ の 施 設 が 新
かかわらず、GeneXpert ® アッセイを追
し い テ スト を 実 施 し た 際 に 経 験 し た
加することにより、その機能性を強化した
課題や驚異に焦点をあてています。
2つの検査室に焦点を当てています。そ
れぞれの検査室が選択した検査の種類が
内容は、
明記のない限り Cepheid が
2010 年に著作権を得ています。すべ
ての寄稿が著作権を所有しています。本
誌の内容は、
編集者からの書面による許
可なしに、
いかなる形式においても複製
することはできません。商品名、
市販製
品、
組織の言及は、Cepheid の保証を
意味するものではありません。
彼らの患者の特殊なニーズを物語ってい
ます。南アフリカでは非常に高い多剤耐性
結核の罹患率と、
しばしばHIVとの重複感
染という状況もあり
(http://whqlibdoc.
who.int/publications/2010/
9 7 8 9 2 4 1 5 9 9 1 9 1 _ e n g . p d fで世
界 保 健 機 関 の 報 告 書を参 照 )、L a n c e t
2
Cepheid On-Demand Report
クロストリジウムディフィシルの迅速結果を採択
開発した分子アッセイを用いて、全国的に
委託事業を行なっています (http://depts.
washington.edu/mol-micdx/を参照 )。ウ
イルス検査として依頼を受けた検体はほと
んどがウイルス部門の別の検査室に送られ
ます。
Harborview Clinical Laboratory で は
幸いにも、マネージャーの Jean Houkと
University of Washington で Laboratory
Medicine and Microbiologyの 教 授 で あ
りダイレクターである Dr. Ferric Fangの
リーダーシップの下で、約 17 人の臨床検
査研究者、8 人の技師、そしてハーフタイ
ムの研究室助手がもっぱら微生物部門に従
Xpert® C. difficileアッセイ実施チーム
(左から右へ:Veronica Crisologo, Tom Smith, Dave
Nowowiejski, Ann Larson, Cheryl McMillan, Jean Houk and Carolyn Wallis)
。
事しています。彼らは、毎日約 350 検体
と、検体は最初に酵素免疫測定法を原理と
EIA はバッチ処理として毎日 2 回実施
を受け取ります。Dr. Fangは発症機序と
した側方流動式のキット(Quik Chek C
し、PCR が不要であった検体でのターン
宿主免疫応答に関する著名な業績があるだ
Diff EIA; GDH- Q, Wampole/TechLab,
アラウンドタイム(TAT)は最長 18 時間
けではなく、1992 年以来、学術的な臨
Blackburg, VA)を用いてグルタミン酸デ
でした。PCR が必要とされた場合(PCR
床微生物検査室を指揮してきており、その
ヒドロゲナーゼ抗原(GDH)の有無がテ
が実施されなかった日曜日を除く)には、
間、クロストリジウムディフィシル感染
ストされました。この抗原は毒素産生およ
約 25 時間以内に結果が得られました。週
症(CDI)に長年関心を持っていました。
び毒素非産生の両方のクロストリジウム
末に受託した検体では TAT が 49 時間ま
1994 年にさかのぼりますが、Dr. Fang
ディフィシル株の表面に検出され、クロス
で延長することがあり、クロストリジウム
と彼の同僚は、細胞毒素試験だけが CDI 診
トリジウムディフィシルを含むすべての糞
ディフィシルだけの検査のために技師が費
断のために最も高感度な方法であったとい
便中で検出可能であると考えられました。
やした時間は 1 日 4 〜 5 時間でした。1 日
う New England Journal of Medicine の
しかし、GDH の存在は特異的ではないた
あたり 1 患者の 1 検体のみが検査され、ク
1 つの報告の主張に異議を唱え、その記事
め、陽性検体には他の検査が必要でした。
ロストリジウムディフィシル陽性患者から
HMC では、GDH-Q 陽性の検体について、
の検体は 10 日間再検査されなかったとは
よび Madingerは、その症例自体の定義に
側方流動式の Tox A/B Quik Chek (AB-Q;
いえ、しかし、最初の頃は陰性結果がでた
細胞毒が陽性であることを含んでいたこと
Wampole/ TechLab) を用いてトキシン A
患者の再検査に対する方針もありませんで
を指摘しました。その 2 年後に、彼はク
およびトキシン B が検査されました。しか
した。
ロストリジウムディフィシル診断に関して
し、毒素試験は最終確認検査として充分な
多大な影響力をもつ国内の二人の臨床医、
感度ではありません。従って、GDH で陽
Dale Gerdingと Lance Petersonと と も
性だが毒素試験は陰性の糞便検体では、ク
に、Annals of Internal Medicineに 他 の
ロストリジウムディフィシルのトキシン B
論文を共同で執筆しました;Fang らは培
遺伝子 (tcdB) に特異的な塩基配列を検出
養法と毒素産生性試験が CDI 診断に最も高
するために、検査室で開発された direct
感度な方法であり、さらにこのような分離
PCR 法を用いた追加試験を実施しました。
培養は、有用な疫学的なスタディになり得
阻害物質の可能性を確認するために PCR
に対する反論を発表しました 4。Fang お
ることを強調しています 3。
アッセイに特別な増幅コントロールを取り
2010 年 3 月 以 前 に HMC ラ ボ は 3 ス
入れました。研究スタディの最終確認試
テップアルゴリズムを用いてクロストリジ
験として、GDH 陰性検体の一部で独自の
ウムディフィシル検査用に提出された糞
PCR アッセイを行い、また、さらに 1.9%
便検体を検査しており、ちょうどこの年
が培養と毒素産生性試験により確認され、
に発表された論文に利点および経費見積
真の陽性であると確認されました。全体の
もりが要約されていました 5。簡潔に言う
陽性率は約 10% でした。
3
See RAPID C DIFF RESULTS on page 7
Spring 2010
南アフリカのLancet Laboratoriesが迅速な
CE IVDマーク取得製品(アメリカ合衆国では入手できません)
Ellen Jo Baron, Ph.D.
Director, Medical Affairs,
Cepheid
Associate Director, Clinical
Microbiology Lab, and Interim
Director, Virology Lab, SUMC
Professor, Dept. of Pathology,
Stanford Medical School
Lancet Laboratoriesは南アフリカ最大の民間検査機関グ
ループの一つです。4 カ国(南アフリカ、ボツワナ、スワジ
ランド、ジンバブエ)にある施設で、2 つの主要なリファレ
ンス検査室、さらにいくつかの大規模な施設、様々な場所の
100 以上の小規模検査室や検体集積所(検体の採取所)が
あり、毎日 15,000 人以上の患者からの検体を処理していま
す。Lancet Laboratoriesは、化学、毒物学、血液学、細胞
遺伝学的、病理組織、そして微生物、ウイルス、寄生虫、マ
図1. 南アフリカ、
リッチモンドにあるLancet Laboratoryのリファレンス検査
施設
イコバクテリアの検査の他に、診断および労働衛生検査を行
い、完全なサービスを提供しています。リッチモンドの主要
で、さらにその建物の他の部分に対して陰圧になっています
検査室(図 1)はヨハネスブルグ近郊のダーバンへの主要高
(図 3)。P3 領域では、作業者は手袋、作業着および保護用
速道路途中にあり、多くの小規模検査室や検体集積所のため
の足カバーを着用します(図 4)。診療所で診療を受けた患
にマイコバクテリアのリファレンス検査室として機能してい
者や民間病院で採取された検体は、主要施設へ輸送されるた
ます。そこでは 3 人の臨床検査技師、6 人の検査技術員、3
め Lancet の検体集積所に配送されます。大体の場合、米国
人の実験助手、7 人の学生技術員そして 5 人の事務職員が TB
と同様に 1 患者から 2 検体あるいは 3 検体が提出されていま
Laboratory の専属として勤務しています。他にも多くの人
した。
が微生物学のリファレンス検査室に従事しています。南アフ
Xpert 導入前は、従来の方法で検体を処理していました。
リカの医療技術トレーニングは、米国と類似しているように
検体濃縮、塗抹標本を作製し、まずオーラミン蛍光染色で調
思われます。すなわち、Biomedical Technologyの大学カリ
べ、その後チールネ
キュラムを終了し国家卒業資格を取得後、現場でのインター
ルソン抗酸染色で再
シップトレーニングに続いて、Health Professions Council
染色して確認しまし
of South Africa(南アフリカ健康専門職評議会)からライセ
た。当施設では、塗
ンスを得るための前提条件として認定委員会の試験に合格し
抹標本の結果は通常
なければなりません。 24 〜 48 時間以内に
検査室マネージャーである Sharmila Naidooは、新し
得ることができまし
いアッセイを導入し、検査室の刷新を最近成功させました
た。培養菌は液体培
(図 2)。Dr. Henry Booker(Lancet Head of Microbiology)
地 中 で BD BACTEC
は TB Laboratoryを担当する病理医です。 TB Laboratory
MGIT 960 装
は毎日結核検査として 600 〜 1200 検体を受け付けていま
(BD Diagnostic
す。Lancet は従業員の安全性に真剣に取り組んでいます。
Systems, Franklin
TB Laboratoryのスタッフは、最先端の P3 施設内にある生
Lakes, NJ) に よ り
物学的安全キャビネットで仕事をしています。この施設は立
インキュベートしま
ち入りが制限され、前室が備えられ、室内は完全に殺菌可能
した。培養陽性の場
4
置
図2. TB Laboratoryマネージャー、Sharmila
Naidoo
Cepheid On-Demand Report
PCRアッセイ導入によりTB検査プロセスを刷新
図3. 立ち入りが制限されているTB Laboratory
図4. 検体処理領域における作業中のスタッフ
合は、その検体が Lancet Molecular Biology Laboratoryに
作業用キャビネットのすぐ隣にあり、検査室のセットアップ
送られ、TAT が 24 時間の GenProbe AccuProbeシステム
は理想的です(図 5)。受け取った検体数および曜日に応じ
(GenProbe, San Diego, CA)、あるいは Hain GenoType
て、一日にほぼ 2 〜 8 回バッチ処理されています(図 6)。
MTBテ ス ト(Hain Lifescience, Nehren, Germany) に よ
現在、使用したカートリッジはオートクレーブ処理後、焼却
り同定されました。培養陰性の結果の場合は 6 週間で報告さ
用のバイオハザード廃棄物に出されます。編集者注:カート
れましたが、抗酸菌が検出された場合には必ず次の試験が開
リッジ内の生物はおそらくすべて生存不可能です。この事項
始されました。感受性試験は MGIT 内で実施され、TAT は
に関する研究は進行中です。
14 〜 21 日でした。
Xpert® MTB/RIFの最初の比較検討は、従来法の MGIT お
よび AccuProbe と共に 1140 検体で実施しました。21 日
以内に、Xpert での陽性結果が 686 検体検出され、そのう
ちの 9%がリファンピン耐性でした。これらの数字は米国の
検査室に従事している人達にとって驚異的です。塗抹標本が
陽性および陰性の両方の検体において、培養法と Xpert の結
果との相関性は 99%でした。Ms. Naidoo と Dr. Booker は
Xpert と従来法の結果間における高い相関性に驚きました。
Xpert® MTB/RIF テストでは陽性だったが、培養法では陰性
であった検体という症例もいくつかありました。さらなる調
査の結果、これらの検体は、以前陽性であった、あるいは後
に培養陽性となった症例に由来していました。彼らはまた、
脳脊髄液(CSF)と胸膜液を含む呼吸器由来ではない分泌物
検体も試しましたが、Xpert の結果は、従来の培養法ほど信
図5. GeneXpert®専用のBSCで実験中の技師、Donovan Miller。すぐ右側の
作業台上にGeneXpertが設置されている。
頼性がありませんでした。現在、臨床検査技師と技術員を含
む 6 人が Xpert アッセイを実施しています。GeneXpert® は
次ページに続く
5
Spring 2010
南アフリカのLancet Laboratoriesは迅速なPCR
アッセイの実施により結核検査プロセスを刷新
5ページからの続き
必須である)やその他の作業にその時間を利用できます。全
スタッフは、Xpert の使い易さと Xpert が実現した非常に短
陽性検体での TAT は平均数週間から平均 48 時間へと大幅
い TAT に驚嘆し、感激しました。彼らにとって最大の難題は、
に短縮されました。各患者から複数の検体が今もなお提出さ
アッセイ価格が高いこと、そして、特に、南アフリカ政府結核
れていますが、最初の検体のみを Xpert® MTB/RIFを用いて
菌検査プロトコールにより必須検査とされているイソニアジ
検査しています。Xpert アッセイの使用により時間的余裕がで
ド感受性試験のために、続けて培養法を実施する必要がある
き、スタッフは従来の培養法(当然この方法がいまだに実施
という事実でした。しかし、それらの結果が非常に迅速に報
告されることや、現在の委託数が毎月約
1000 検体まで増加していることが信じ
難いほどだと医師は述べていました。検
査室はまた、GeneXpert でさらに多く
の検体を処理するために、その標準プロ
トコールを変更しました。
Lancet の 全 ス タ ッ フ は 彼 ら の 新 し
い検査に非常に喜んでおり、Lancet 機
関 の 他 部 門 で は、Xpert® C. difficile ,
Xpert® EV(CSF のエンテロウイルス)
および BCR-ABL/ABL(CE IVDマーク
取得製品、米国では入手不可能)を既
に使用しています。追加のアプリケー
ション、特に結核菌のイソニアジドと
第 2 選択薬の耐性試験、そしておそら
く結核以外のマイコバクテリアの同定用
アプリケーションが入手可能となれば、
図6. Xpert® MTB/RIF上で作動中の典型的なバッチ処理を紹介するSharmila Naidoo。
図7. TB Laboratoryのスタッフ
(左から右へ:Akira Maharaj, Leonie Jacobs, Alisha Siripal, Juanita
Brown, Avril van der Berg, Natasha Dyzell, Ester Havenga, Collen Mohamme, Howard
Hashe, Donovan Miller, Kashmeel Maharaj, Maureen Mkhwanazi, Melissa Dawson, Chantal
Deonarain, Sharmila Naidoo)
6
Lancet Laboratoryのスタッフは意欲的
にトライすることでしょう。
Cepheid On-Demand Report
C.diff の迅速結果
3ページからの続き
ために充分な PCR を実施する人材の確保
果が上がることは、医療の使命を考える
は不可能でした。従って、TAT が 45 分で
と、定量化は難しいですが重要なもう一つ
7 ヶ月間にわたり技師たちは 194 の再
手作業時間が最小限の Xpert® C. difficile
検査依頼を受けましたが、そのうちわず
アッセイに関して、その性能および使い易
重篤な疾患があり GDH および毒素免疫測
か 6 検体 (3%) だけが陽性で、これらすべ
さが彼らのニーズに合うかどうかを調べる
定法で繰り返し陰性結果がでた患者につい
ては 1 回目の検体の後、4 日以上たって提
ために検証されました。ワークフロー、性
て記述しました。患者の症候の真の病因を
出されました。この複雑で時間のかかる
能、および経費の徹底的な検証後、全ての
医師に納得させ、適切な治療を開始するた
アルゴリズムは、文献に詳細記載したよ
クロストリジウムディフィシルの検査は
めには、PCR および培養・毒素産生性試
うに、全検体で我々の PCR を直接実施し
Xpert に変更するという決断がなされまし
験(数日後に出る)の陽性結果が必要でし
た場合(感度 97.1%)と比較してわずか
83.3% の感度でした 5。
た。Xpert® C difficile アッセ イは、FDA
の要因になります。例えば、Larson らは、
た。
のクリアランスのデータを蓄積するため
HMC ラ ボ チ ー ム は、GX 16 module,
HMC に お け る ア ル ゴ リ ズ ム 結 果 は、
に、ゴールドスタンダードと比較した唯一
4-color instrumentを用いてルーチン検査
南カリフォルニアの Kaiser-Permanente
の検査キットで、培養・毒素産生性試験に
用に Xpert® C. difficile の院内検証を実施
Laboratoriesで 独 自 の ア ル ゴ リ ズ ム 研
対して優れた感度と特異度(添付文書を参
中です。彼らは凍結 (-75℃ ) あるいは採取
究 を 行 っ た Novak-Weekleyら が 同 年
照)が証明され、入手可能な検査の中で感
直後の検体など少なくとも 50 検体(最低
に 発 表 し た 結 果6に 非 常 に 類 似 し て い
度と信頼性が最も高いと専門家が認めてい
16 陽性検体を含む)を検査する予定です。
ま し た。Novak-Weekleyの 研 究 で は、
TechLab GDH-60 microwell EIA の
後
ます 1。 Xpert の結果と以前に得た結果との不一致
管理者や部門の指導者を説得するため
性 は、 彼 ら の in-house PCR ア ッ セ イ お
に Premier Toxin A&B microwell EIA
に、当検査室ではまず Xpert® C. difficile
(Meridian Bioscience, Inc., Cincinnati,
アッセイの人件費には影響がないことを示
いることで解決されるでしょう。彼らのプ
OH)、最終的に細胞変性効果の中和のた
しました。独自の PCR アッセイを 1 週間
ロトコールには、アルコールショック(芽
めにインジケーター細胞株としてベロ細胞
に 6 日間行なうには専任のハーフタイム研
胞選択のため)処理および未処理で予備還
(Diagnostic Hybrids, Athens, OH) と
究員 1 人と技師3人だけでなく、各週末の
元した寒天培地への糞便接種および PCR
TechLab (Blacksburg, VA) の 抗 毒 素
シフトには追加で技師 1 人が必要でした。
アッセイを用いた表現型の適切な分離株か
を用いて培養細胞毒素中和法による非毒素
Xpert アッセイの実施によって、技師の作
らのトキシン B 遺伝子の検査が含まれてい
糞便検体の試験を実施というアルゴリズム
業時間を毎日 4 時間、劇的に短縮でき、
ます。彼らの検体処理では、独自の PCR
で 83.1% の感度が得られました。Xpert®
よび / あるいは培養・毒素産生性試験を用
ハーフタイムの研究員を緊急案件に割り当
に使用する分子検査準備用の安全キャビ
C. difficile (Cepheid, Sunnyvale, CA) の
てることが可能となりました。検査室以外
ネットおよび酵素免疫測定法を実施するた
みを行なった結果、最も厳密なアッセイで
の節約も同様に可能となりました。いく
めにドラフトを使用する必要があります。
あるゴールドスタンダードの培養と毒素産
つかの文献は、1 日の病院における CDI 発
生性試験(濃縮ブロスを含む)と比較して
症に関連する経費は 3,791 ドルと 6,959
94.4%の感度を示しました 1。
ドルの間であると推定されるので、患者
Dr. Fang と彼の研究員たちは彼らの in-
への早期治療とこれによる入院期間の短
house PCR を 用 い て、 あ ら か じ め PCR
縮、さらには CDI 予防が全体として費用
検査をすることで、より速く信頼性の高い
対効果をもたらします 2,7。Dr. Fang のグ
結果(真陽性のわずか 2.5%を見逃し)を
ループは、CDI に起因する経費が 1 日あた
実証できました。彼らはまた、陽性検体あ
り 1,300 〜 2,000 ドルであるとしても、
たり 363 ドル、検体あたり 40.57 ドルと
EIA によって陰性と判断された症例に対し
推定される経費(人件費、消耗品、および
て、PCR 検査結果をベースにした診断を
諸経費を含む)と TAT に関して、彼らの
1日短縮できれば、病院は年間 200,000
戦略によって最小化できる見込みを示しま
ドル以上節約できることを指摘しました。
した。これに対し、彼らの 3 ステップアル
医師や感染対策担当者のためには、他の論
ゴリズムにおける実質的な経費は検体あた
拠も必要でした。陽性患者のより迅速で正
り 40.68 ドル、陽性検体あたり 425 ドル
確な報告が院内クロストリジウムディフィ
で、CDI 真陽性の患者の約 14%が見逃さ
シル感染を阻止できるということがキーポ
れたままです。しかし、診療を向上させる
イントになりました。個々の患者の治療成
7
次ページに続く
Spring 2010
A Quarterly Publication
Highlights from Previous Issues:
Good medicine is good economically, too
1327 Chesapeake Terrace
Sunnyvale, CA 94089
toll-free: 1.888.336.2743
Volume 3, Issue 1, Winter 2010
Outbreak! The New Clostridium difficile
Volume 2, Issue 2, Summer 2009
Volume 3, Issue 2
C.diff の迅速結果
7ページから続く
検査者は実験着、手袋、保護眼鏡を着用します。すべての技師
は、Xpert アッセイの使用説明を受けます。Xpert アッセイの利
点は、誰もが短時間の訓練を一度受ければ使用できる使い易さで、
患者の実際の検査にかかる手作業時間を大幅に節約できます。ス
タッフは、このアッセイを採用する際に技術的な困難は皆無で、
非常に簡単に操作できることに驚きました。本アッセイが採用さ
れた後、HMC では毎日 4 回のバッチ処理を計画しています。カー
トリッジは廃棄用のバイオハザード容器に回収されます。編集者
注:一部の州では、このアッセイのいくつかの成分のためにカー
トリッジを化学系廃棄物として廃棄する必要があります。すべて
の生物学的検体に関する一般的な注意事項を守ってください。不
明な場合は、適切な処分条件を地元の関係当局にご確認ください。
クロストリジウムディフィシルは、ジョージア州アトランタで
2010 年 3 月 20 日に催行された第 5 回 Decennial International
Conference on Healthcare-Associated Infections で Dr.
Becky Miller (Duke University, Durham, NC)が講演で述べたよ
うに、過去 2 年間でいくつかの施設では最も蔓延している医療関
連感染症としてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を上
回ったことから、”New Superbug; 新しい超強力な細菌 " と呼
ばれました。本稿に記載したシアトルの 2 病院では、糞便中のク
ロストリジウムディフィシルをより迅速で最も正確に検出できる
入手可能な技術を用いてルーチン作業を改善することで、この災
難をより良く制御するための第一歩を踏み出しました。本ラボが
彼ら自身のクロストリジウムディフィシルの検査アルゴリズムを
見直し、TAT の側面や結果の信頼性を改善する in-house PCR を
数年前に開発した時、臨床医の同僚達は感謝の意を表明しました。
Harborview Medical Center のラボでの指導者たちは、さらに
全体の TAT 改善がなされたことを認識すれば、感染症の臨床医お
よび感染対策担当者からさらに多くの熱狂的な支持があるだろう
と予想しています。
.
REFERENCES
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