野口宇宙飛行士搭乗スペースシャトルミッション STS

「翔べ!きぼうの未来圏へ」
野口宇宙飛行士搭乗スペースシャトルミッション
STS-114 プレスキット
2005 年
2005 年
2005 年
2005 年
7月
6月
5月
4月
6日
17 日
20 日
15 日
Rev.B
Rev.A2
Rev.A1
(全面改訂版)
宇宙航空研究開発機構
STS-114
JAXA ロゴマーク
STS-114 ミッションの JAXA ロゴマークは、ロゴマークには珍しい、印象的な五
角形のアウトラインになっています。これは、日本で 5 人目にスペースシャトルに
搭乗する宇宙飛行士である野口宇宙飛行士を象徴しています。また、アウトライン
の 5 色は、ISS 計画を協力して推進している、アメリカ、ロシア、カナダ、ヨーロ
ッパ、そして日本の 5 極も表したものです。
スペースシャトル「コロンビア号」事故後、初めての飛行再開ミッションとなる
STS-114。この重要なミッションへかける意気込みを、「Return to Flight」の文
字と、国際宇宙ステーションから軌跡を描いて帰還するスペースシャトルの図で、
表現しています。
大きく配置された船外活動服姿の宇宙飛行士は、ミッション・スペシャリストと
して船外活動を担当する野口宇宙飛行士の役割を表しています。宇宙飛行士が右手
を振っているデザインは、国民の皆様の応援に感謝する気持ちと、親しみの持てる
宇宙をイメージしたものです。
キャッチフレーズ 「翔べ!きぼうの未来圏へ」
野口聡一宇宙飛行士が STS-114 ミッションを通じて伝えたいメッセージは、「翔
べ!きぼうの未来圏へ」です。キャッチフレーズの中の「未来圏」という言葉は、
宮沢賢治の「春と修羅」第 4 集からの引用です。
このキャッチフレーズは、野口宇宙飛行士の初めてのフライトに向けての意気込
みを表しています。STS-114 ミッションは、国際宇宙ステーションの建設再開に重
要な役割を果たし、日本が命運をかける「きぼう」日本実験棟の打上げへと繋がっ
ています。そして、将来的に私たちの未来の暮らしの向上に役立つとともに、人類
が、まだ見ぬ未知の空間「未来圏」へ踏み出す第一歩となる、という思いが込めら
れています。
STS-114 プレスキット 改訂履歴
訂符
Rev.A
日 付
2005.04.18
改訂ページ
表紙、改訂履歴、
付録 3
Rev.A1
2005.05.20
P1-3, 2.7-15,
5-13
Rev.A2
2005.06.17
Rev.B
2005.07.6
-必要最低限の改訂を実施。
P1-3, 1-8 打ち上げ延期を反映
P2.4-2 誤った情報の訂正
P1-11, 6.1-1, 6.1-2 日本人宇宙飛行士の誕生
日を削除
P5-19 最新のスケジュールを反映
−2 章に写真、図表を追加
表紙, ii, 1-3, 1-4,
−FRR の結果を反映し 7/13 の打上げに変更
1-6, 2.1-1, 2.1-3,
−NASA の Press Kit 改訂版(Rev.2)の情報を反
2.2-1, 2.2-2,
映
2.2-4, 2.3-2, 2.3-4,
2.4-2, 2.4-4, 2.4-6, −飛行 9 日目に RCC プラグ修理技術のデモ試験
を追加
2.4-9, 2.4-10,
−EVA 作業予定の変更を反映
2.4-13, 2.5-1,
2.6-2, 2.7-1, 2.7-2, −ET の交換に関する情報を追加
−6/8 に開催された飛行再開タスクグループの
2.7-3, 2.7-10,
審査状況をもとに CAIB の飛行再開勧告の対
2.8-1, 3.3-1, 3.3-7,
応状況を反映
3.3-8, 4.1-4,
−4.4.5 項として ISS の軌道上での姿勢を新たに
4.1-27, 4.2-3,
追加
4.2-4, 4.4-16,
−9S の帰還を反映
4.4-17, 5-5, 5-10,
−付録 2 Overview Timeline を更新
6.2-3, 6.3-1,
6.3-16, 6.4-1, 付録 −付録 3 タイムライン略語集を 6/30 版のタイムラ
インで改訂
2-2, 付録 2-3, 付
録 2-4, 付録 2-5,
−付録 4 として、シャトルの外部燃料タンク(ET)
付録 3, 付録 4, 裏
の説明図を新たに追加
表紙
1-3, 1-8, 1-11,
2.4-2, 2.4-3, 5-19,
6.1-1, 6.1-2
改訂内容
-タイムラインの大幅改訂に伴い、付録 3 のタイ
ムライン略語表を全面修正
-必要最低限の改訂を実施。
P1-3 にのみ打上げ延期を反映
P2.7-15 干菓子(ひがし)を削除
P5-13 誤記訂正
目
次
本プレスキットの見方について ······························································
冒頭 野口宇宙飛行士からのメッセージ ··················································
はじめに ····························································································
ページ
iii
iv
v
1. STS-114 ミッションの概要と野口宇宙飛行士について ··························
1.1 STS-114 ミッション概要······························································
1.2 STS-114 クルー(搭乗員) ·····························································
1.3 野口宇宙飛行士の任務 ·································································
1.4 野口宇宙飛行士の訓練 ·································································
1- 1
1- 1
1-10
1-13
1-14
2. ミッションの流れ···········································································
2.1 打上げ ······················································································
2.1.1 打上げまでの主要イベント ·····················································
2.1.2 打上げシーケンス··································································
2.2 シャトルの損傷の有無の確認 ························································
2.3 ISS とのランデブー/ドッキング ··················································
2.4 船外活動(EVA) ···········································································
2.4.1 第 1 回 EVA(シャトルの熱防護システム修理試験等) ················
2.4.2 第 2 回 EVA(CMG の交換) ··················································
2.4.3 第 3 回 EVA(ESP-2 の取り付け等)········································
2.5 シャトル−ISS 間での物資の輸送 ··················································
2.6 軌道離脱・着陸 ··········································································
2.7 毎日の作業スケジュール ······························································
2.8 緊急時の対処 ·············································································
2.1- 1
2.1- 1
2.1- 1
2.1- 2
2.2- 1
2.3- 1
2.4- 1
2.4- 2
2.4- 5
2.4- 10
2.5- 1
2.6- 1
2.7- 1
2.8- 1
3. ミッションに関する設備・機器類の解説 ············································
3.1 センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)··············································
3.2 TPS 修理試験用サンプルボックス ·················································
3.3 TPS 修理用機材 ·········································································
3.3.1 EWA(Emittance Wash Applicator) ··········································
3.3.2 タイル補修材充填装置(CIPAA)(参考)········································
3.3.3 RCC のクラック修理機材 ·······················································
3.3.4 穴の開いた RCC の修理機材 ···················································
3.4 コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG) ···································
3.5 船外保管プラットフォーム 2(ESP-2) ··············································
3.6 多目的補給モジュール(MPLM)······················································
3.7 米国の ISS での材料曝露実験装置(MISSE)······································
3.1- 1
3.1- 1
3.2- 1
3.3- 1
3.3- 1
3.3- 3
3.3- 5
3.3- 6
3.4- 1
3.5- 1
3.6- 1
3.7- 1
4. ミッションに関する知識情報 ···························································
4.1 船外活動(EVA)について································································
4.1.1 船外活動(EVA)とは ································································
4.1.2 宇宙服および関連システムの概要 ·············································
4.1.3 米国の宇宙服(EMU) ·······························································
4.1.4 エアロック············································································
4.1.5 EVA 工具、EVA 支援機器 ·······················································
4.1.6 EVA の運用(プリブリーズについて) ··········································
4.1- 1
4.1- 1
4.1- 1
4.1- 3
4.1- 4
4.1-13
4.1-16
4.1-24
-i-
Rev.B
ページ
4.2 スペースシャトル概要 ·································································· 4.2- 1
4.2.1 スペースシャトルの概要 ························································· 4.2- 1
4.2.2 コロンビア号事故後に行われたシャトルの主な改良 ····················· 4.2- 3
4.3 ケネディ宇宙センターの射場システム概要 ······································· 4.3- 1
4.4 国際宇宙ステーション(ISS)について ··············································· 4.4- 1
4.4.1 ISS 計画 ··············································································· 4.4- 1
4.4.2 ISS の現在までの組み立て状況················································· 4.4- 6
4.4.3 LF-1 フライト以降の ISS ························································ 4.4-11
4.4.4 シャトル/ISS の将来計画 ························································· 4.4-15
4.4.5 ISS の軌道上での姿勢····························································· 4.4-16
4.5 「きぼう」日本実験棟について ······················································ 4.5- 1
4.5.1 「きぼう」日本実験棟について ················································ 4.5- 1
4.5.2 「きぼう」開発の経緯 ···························································· 4.5- 3
4.6 野口宇宙飛行士が搭乗するスペースシャトル/ISS を見てみよう ··········· 4.6- 1
5. コロンビア号事故からシャトルの飛行再開へ向けて ·····························
5.1 STS-114 飛行再開ミッションの意義 ·············································
5.2 コロンビア号事故からの経緯(事故概要、原因、NASA の対応) ······
5.3 飛行再開へ向けた日本人宇宙飛行士の活動 ·····································
5.3.1 若田宇宙飛行士·····································································
5.3.2 野口宇宙飛行士 ···································································
5.4 JAXA における安全確認作業について ············································
5- 1
5- 1
5- 2
5-20
5-20
5-21
5-22
6. データ ··························································································
6.1 JAXA 宇宙飛行士 ······································································
6.2 ISS における EVA 履歴·······························································
6.3 スペースシャトルの打上げ実績(STS-1∼STS-107 まで) ····················
6.4 ISS 長期滞在クルー····································································
6.1- 1
6.1- 1
6.2- 1
6.3- 1
6.4- 1
付録
1 スペースシャトル関連略語集··························································
2 シャトルの軌道上作業タイムラインの読み方·····································
3 STS-114 軌道上作業タイムライン略語表 ··········································
4 シャトルの外部燃料タンク(ET)の説明図···········································
付録 1- 1
付録 2- 1
付録 3- 1
付録 4- 1
本プレスキットは、以下の JAXA のホームページ上でも PDF 形式のファイルでご
覧になれます。また、新しい情報の変更を反映した差し替えページも用意します。
http://sts-114.jaxa.jp/mission/presskit.html
- ii -
Rev.B
本プレスキットの見方について
1.章構成
本プレスキットの章構成は、以下の通りです。
1 章:STS-114 ミッションを簡潔に把握できるように全体概要をまとめています。ま
た、野口宇宙飛行士の任務、訓練等についても示します。
2 章:シャトルの打ち上げ前から着陸までの流れに沿って、STS-114 ミッションの作
業等について示します。
3 章:STS-114 ミッションに関わる設備、機器類について示します。
4 章:STS-114 ミッション固有の情報ではありませんが、スペースシャトルや国際宇
宙ステーションのミッションを理解するうえでの情報を示します。
5 章:コロンビア号事故とその後の飛行再開に向けての取り組みをまとめています。
6 章:各種データ類をまとめています。
2.ページ番号
ページ番号は各項毎の通し番号で示しています。
例.3.3 項の 4 枚目にあたるページは「3.3-4」とします。
3.略語
略語のある用語については、原則として各章ではじめて表されるときに、正式名称、
および(英語:略語)と示します。以後、その章においては略語を使用します。
例.国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)
また、図表内では略語を使用します。
各略語については、付録1で説明しておりますのでご参照ください。
略語の後ろにカタカナ名を書いているものは、英語での発音を参考として示してい
ます。
例.CAIB(ケイブ)、NOAX(ノーアックス)、MISSE(ミシー)
4.図、表の番号
図、表は各項毎の通し番号で示します。
例.3.2 項で 3 番目に表示する図は「図 3.2-3」とします。
5.参考情報、補足情報
参考情報、補足情報は、
「コラム」として二重線で囲み表示しています。
- iii -
冒頭
野口宇宙飛行士からのメッセージ
こんにちは。宇宙飛行士の野口聡一です。
このたび、スペースシャトル「STS-114」ミッションに参加して国際宇宙ステーションに
向かうことになりました。このプレスキットを通じて皆さんにミッションの内容をご紹介
できることを、とてもうれしく思います。
STS-114 ミッションは、一昨年のコロンビア事故以来初めてのスペースシャトルの飛行
再開ミッションとなります。コロンビア号事故では、七名の宇宙飛行士の尊い命が奪われ
ました。それから二年、NASA では全員一丸となって事故の再発防止、組織改革に取り組
んできました。地道な努力がようやく実を結び、飛行再開にこぎつけることができました。
このミッションでは、三回の船外活動(宇宙遊泳)が予定されております。私は船外活
動担当として、国際宇宙ステーションの組立・補修等の船外活動に参加します。また国際
宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士のための物資の輸送や、新しく開発されたス
ペースシャトルの機体点検システムの試験運用も予定されています。
コロンビア号事故からスペースシャトル飛行再開まで、再生への道は決して平坦ではあ
りませんでした。この二年間を振り返ってみると、私がこうして訓練を続けていること自
体が奇跡のような気がします。失われたものは戻らないけれど、それでも明日のためにで
きることはないのか、問い続けた日々でした。自分だけの力でここまで来たのではなく、
大勢の人達に支えられ惜しみない応援をいただいたおかげで宇宙への挑戦を続けられるの
だということを忘れずにいたいと思っています。やりがいのある任務に集中し、ミッショ
ンを成功させて、皆さんと喜びを分かち合いたいと思います。
皆様ご承知の通り、先日 JAXA が世界に誇る H-IIA ロケットの打ち上げ再開が無事成功
しました。一年間に渡る関係者の努力に敬意を表すると同時に、この間の皆様からのご支
援に感謝いたします。H-IIA ロケットの成功に続きスペースシャトルの飛行再開を成功さ
せることで、宇宙開発に対する皆さんのご期待に応えたいと願っています。
- iv -
はじめに
2003 年 2 月 1 日(米国および日本時間)、帰還中であったコロンビア号がテキ
サス州の上空で空中分解事故を起こしました。野口宇宙飛行士が搭乗する
STS-114(Space Transportation System: STS)はその約 1 ヶ月後に飛行を行う
予定でしたが、事故原因を究明し、事故の再発防止策が立てられるまではシャ
トルは全機飛行を停止することになりました。
米国は、事故後直ちにコロンビア号事故調査委員会(Columbia Accident
Investigation Board: CAIB(ケイブ))を発足させ、徹底した調査を行いました。
調査の結果、事故原因はコロンビア号の打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落
した断熱材の塊が、左翼前縁の強化炭素複合材(RCC)パネルに穴を開け、大気圏
再突入時の高熱で翼の内部が破壊されたためと結論づけられました。
CAIB は 2003 年 8 月に最終報告書を発行し、飛行再開に向けた 15 件の勧告
を NASA に対して行いました。NASA は CAIB の勧告を受けて、シャトルの改
良や整備作業の見直し、NASA 内部の組織改革などを行いました。この間、設
計の変更と試験が難航したため何度か打ち上げの延期を繰り返しましたが、よ
うやく飛行再開に近づきました。
STS-114 は、国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)への利
用補給のみを行うミッションから、シャトルの飛行再開と ISS の定常運用再開
の礎となるミッションに大きく変化し、今や日本と米国だけではなく全世界が
固唾をのんで注目すべきミッションとなりました。
人類の宇宙開発にとって重要なマイルストーンとなるこのシャトルの飛行再
開の意味を汲み取り、コロンビア号事故で亡くなった 7 名の宇宙飛行士の遺志
を継ぐ STS-114 クルーを応援して頂きたいと思います。
-v-
STS-114 プレスキット 1章
1 STS-114ミッションとは
1.1 STS-114 ミッション概要
(1)全体概要
STS-114ミッションは、スペースシャトル「ディスカバリー号」による国際宇宙
ステーション(International Space Station: ISS)への物資輸送のための12日間の飛
行であり、ISS組立のフライト名ではLF-1(Logistics Flight: LF)フライトと呼ばれ
ています。2003年1月16日(米国時間)のSTS-107(コロンビア号)以来のシャトルの
打ち上げとなり、シャトルの飛行再開となります。
主なミッションの内容は、以下の通りです(優先度順に並べています)
。
① 翼前縁の強化炭素複合材(Reinforced Carbon-Carbon: RCC)全ての軌道上点検
外部燃料タンク分離後に様々な方法(カメラによる撮影、新たに開発したセンサ
付き検査用延長ブームによる点検など)で、オービタの全てのRCCパネルに損傷
がないかを点検します。また翼前縁内部に新たに設置されたワイヤレスの衝突セ
ンサ(計176個)のデータを地上へ送信します。
② シャトルの全ての耐熱タイルの軌道上での点検
ISSから望遠レンズを付けたデジタルカメラでシャトルの腹部タイルを高解像度
に撮影し、地上で写真を解析して損傷の状況を確認します。
③ ISS への飲料水の運搬
④ 軌道上でのシャトルの熱防護システムの修理試験
船外活動を行って、損傷した RCC と耐熱タイルの修理方法をテストします。
⑤ シャトルの船室から ISS への重要な物資の搬入
⑥ 姿勢制御装置コントロール・モーメント・ジャイロの交換修理
ISSの姿勢制御を行うコントロール・モーメント・ジャイロ(Control Moment
Gyros: CMG)4基の内、完全に故障した1基(CMG-1)を船外活動で交換します。
⑦ 多目的補給モジュール(MPLM)の ISS への結合と、物資の運搬
シャトルの飛行停止中に運べなかった大型の予備品や交換部品、食料品、衣服な
どの大量の物資を ISS へ輸送します。また ISS から不要品を回収します。
⑧ 船外保管プラットフォーム 2 の取り付け
宇宙空間に直接曝されている曝露機器の予備品を保管するためのパレット状の装
置が船外保管プラットフォーム2(External Stowage Platform-2: ESP-2)です。野
口宇宙飛行士が行う船外活動でESP-2をISSのエアロック(愛称「クエスト」)に取
り付けます。
1-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
STS-114の打上げ・飛行計画の概要は次ページの表の通りです。打上げ時には地上
に設置したカメラや、シャトルに搭載したカメラで破片の落下・衝突がなかったかど
うか確認する必要があるため、現地時間の日中に打上げは行われます。さらにISSとの
軌道条件も考慮されるため、打上げ可能な範囲は非常に限定的なものになります。
STS-114ミッションに関する情報及び、飛行中の情報(飛行中は毎日更新)に
つきましては、以下のJAXAのホームページで見ることができます。
http://sts-114.jaxa.jp/
1-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
表 1.1-1
STS-114ミッションの打上げ・飛行計画の概要
2005年7月1日現在
項
目
STSミッション番号
ISS組立てフライト名
オービタ名称
計
画
STS-114 (通算114回目のシャトルフライト)
LF-1
シャトルによる17回目、ロシアのロケットを含めると
21回目のISS組立てフライト
ディスカバリー号(ディスカバリー号としては31回目の飛行)
2005年7月13日 15時51分 (米国東部夏時間)
打上げ予定日
2005年7月14日 04時51分 (日本時間)
打上げウインドウは5分間
打上げ可能期間
7月13日∼7月31日の間。その次は9月9日以降。
(注:1日延期となる度に打上げ時刻は約23分早まります)
打上げ場所
フロリダ州NASAケネディ宇宙センター(KSC)39B発射台
飛行期間
11日19時間10分
アイリーン・コリンズ
コマンダー
ジェームス・ケリー
パイロット
野口 聡一
MS1 (EV1)
スティーブン・ロビンソン
MS2 (EV2)
アンドリュー・トーマス
MS3
MS4
ウェンディー・ローレンス
MS5
チャールズ・カマーダ
搭乗員
軌道高度
軌道傾斜角
帰還予定日
帰還予定場所
主要搭載品
投入高度
:約226km
ランデブー高度:約351km
51.6度
2005年7月25日 11時01分 (米国東部夏時間)
2005年7月26日 00時01分 (日本時間)
主帰還地 :フロリダ州ケネディ宇宙センター
代替帰還地:①カリフォルニア州 エドワーズ空軍基地内
NASAドライデン飛行研究センター(DFRC)
②ニューメキシコ州 ホワイトサンズ宇宙基地
多目的補給モジュール(MPLM)
船外保管プラットフォーム2(ESP-2)
貨物室
交換用のコントロ-ル・モーメント・ジャイロ(CMG) 1基
TPS修理試験用サンプルボックス
ミッドデッキ
ISSへの補給品
公式な打上げ日は、打上げの約2週間前(6月30日)に実施される飛行準備審査会
(Fright Readiness Review: FRR)で決定され、発表されます。
LF-1(Logistics Flight-1)、MS(Mission Specialist)、EV(Extra Vehicular)、
MPLM(Multi-purpose Logistics Module)、TPS(Thermal Protection System)
1-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
表 1.1-2
STS-114主要ミッションスケジュール
飛行日
主な実施ミッション
1日目 打上げ/軌道投入、分離後の外部燃料タンク(ET)の撮影、ランデブー用軌道制
御、翼前縁衝突センサデータの地上への送信
(打ち上げ6時間後には就寝)
2日目 ロボットアームとセンサ付き検査用延長ブーム(OBSS)を使用したRCCの損傷
点検[RTF]、Kuバンドアンテナ展開、撮影したET画像の地上への送信[RTF]、
シャトルのロボットアームを使用した機体上面タイルの損傷点検[RTF]、貨物
室内の点検、宇宙服やドッキング機構等の点検、ランデブー用軌道制御
3日目 ランデブー用軌道制御、ランデブー・ピッチ・マニューバを実施してISSからタ
イルの状態を撮影[RTF]、ISSとのドッキング、ISSへの入室、ISSとシャトル
ミッドデッキ間の物資の移送
4日目 多目的補給モジュール(MPLM)のISSへの取り付け・起動、ISSとシャトルミッ
ドデッキ間で物資の移送、米国広報イベント(音声のみ:野口宇宙飛行士参加)
、
船外活動(EVA)の準備、ロボットアームとOBSSを使用したシャトルの外観点検
(2回目)[RTF]、プリブリーズの開始
5日目 第1回船外活動 (熱防護システムの修理試験[RTF]、その他)、MPLMからISSへ
の物資の搬入
6日目 MPLM−ISS間の物資の移送、船外活動の準備、米国の広報イベント(野口宇宙
飛行士参加) 、プリブリーズの開始
7日目 第2回船外活動(コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の交換修理)、
MPLM−ISS間の物資の移送
8日目 船外活動の準備、軌道上共同記者会見、写真撮影、クルー全員での昼食会、3
∼4時間の休息、プリブリーズの開始
9日目 第3回船外活動 (ESP-2取り付け、MISSE (米国のISSでの材料曝露実験装置)の
交換作業など)、ESP-2のISSへの移動・取り付け、ISSとMPLM間の物資移送、
RCCのプラグ修理技術の船内デモ試験[RTF]
10日目 MPLM内の片づけ、船外活動後の船内の片づけ、MPLMの停止/シャトルへの
回収、ISSとシャトル間の物資移送、JAXA広報イベント(野口MS参加)
11日目 ISSクルーとのお別れ、ISSからの最終退室、アンドッキング、クルーの休息(約
3∼4時間)
12日目 船内の後片づけ、軌道離脱準備、全員そろっての広報イベント、Kuバンドアン
テナ収納
13日目 軌道離脱、着陸
(STS-114 Summary Timeline 2005/06/30版及び、NASA STS-114 press kitより)
注:スケジュールは、今後も変更される可能性がありますので御注意下さい。
[RTF](Return To Flight)は、コロンビア号事故調査委員会(CAIB)の勧告を受け、
新たに追加された作業です。毎日の作業の詳細は、2.7項に詳しく示しています。
1-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
(2)STS-114フライト前後の国際宇宙ステーションの形状
プログレス補給船
サービスモジュール
「ズヴェズダ」
P6トラス
P1トラス
SSRMS
「カナダアーム2」
米国実験棟「デスティニー」
PMA-2
S1トラス
S0トラス
エアロック「クエスト」
図 1.1-1
UHFアンテナ
STS-114フライト前(STS-113フライト終了後:2002年12月)のISS
外部TVカメラ
注:ここに示した図は入手
可能な最新の図を使用し
ていますが、微細な部分に
ついては実際と異なると
ころもあります。
ESP-2
図 1.1-2
STS-114フライト後のISS (Lockheed Martin社HPより)
1-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
TPS修理試験用サンプル
ボックス
MPLM
(多目的補給モジュール)
ESP-2 (船外保管パレット)
シャトルロボットアーム
CMG(Control Moment Gyro)
OBSS
(センサ付き検査用延長ブーム)
図 1.1-3
ODS
(ドッキングシステム
・シャトルエアロック)
STS-114の貨物室の状態(NASA STS-114 Press kitより)
1-6
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
(3)STS-114ミッションの特徴
以下にSTS-114ミッションの特徴を簡単に整理します。また、コロンビア号事故前
後でSTS-114ミッションがどのように変更されたかを表1.1-3に示します。
① コロンビア号事故後のシャトル再開フライト
2003年2月1日(米国及び日本時間)に起きたコロンビア号事故により、シャト
ルの飛行は停止されていましたが、様々な改良を施したうえで飛行を再開しま
す。打上げから帰還まで、日米のみならず、世界中が非常に注目するフライト
となりました。
② 日本人として 2 人目の ISS 組立てフライトへの参加
日本人宇宙飛行士としては2000年10月のSTS-92に搭乗した若田宇宙飛行士に
次いで2人目のISS組立てフライトへの参加となります。STS-92ミッションの段
階ではまだISSには人が常駐していなかったため、ISS内での作業は一部しかあ
りませんでしたが、今回はISSでの作業が主体になります。
③ 野口宇宙飛行士が 3 回の船外活動を実施
ISSとドッキングしている間に、野口宇宙飛行士は3回の船外活動(EVA)を実施
します。船外活動を行う日本人宇宙飛行士としては1997年11月にシャトル
(STS-87)で船外活動を行った土井宇宙飛行士に次いで2人目となりますが、ISS
での船外活動は、野口宇宙飛行士が初めてです。
④ コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の修理
2002年6月のSTS-111(UF-2)フライト時に故障したCMGの1基(CMG-1)を船外
活動で交換修理します。これは野口宇宙飛行士が活躍する作業です。また、2005
年3月に電力供給装置が故障して使えなくなったCMG-2も、船外の電力配線の
切り替えを行って使えるようにします。
⑤ 船外保管プラットフォーム 2 の取り付け
ISSの船外に予備品を搭載した船外保管プラットフォーム2(ESP-2)を設置し、
機器の故障時に備えられるようにします。
⑥ 女性コマンダー
ただ1人の女性コマンダーであるアイリーン・コリンズ宇宙飛行士が搭乗するた
め、STS-114はコロンビア号事故前から米国でも注目されていたミッションです。
1-7
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
表1.1-3
打上げ日
ミッション名
コロンビア号事故前後におけるSTS-114ミッションの主な変化
コロンビア号事故前
コロンビア号事故後
2003年3月1日
2005年7月13日
ULF-1
LF-1
搭乗員
シャトルクルー4名+
(打上げ時)第7次滞在クルー3名
(帰還時) 第6次滞在クルー3名
搭載品
-MPLM内に実験ラックを計3台
搭載
-その他、小型の実験装置も搭載
(事故後は搭載せず)
-ロボットアームは搭載せず
(搭載重量を増やすために外し
ていた)
シャトルシステ
ム
ミッションの
主要目的
-ISS長期滞在クルーの交代
-ISSへの物資の輸送
-実験装置の運搬、交換
船 外 活 動 (EVA) EVA#1:ESP-2の設置、MISSE
の交換
の内容
EVA#2:CMGの交換
EVA#3:外部TVカメラの設置、
浮動電位測定装置の設置など
その他
訪問時のISS滞在 3名(第6次長期滞在クルー)
クルー
TPS(熱防護システム)
MISSE(米国のISSでの材料曝露実験装置)
OBSS(センサ付き検査用延長ブーム)
SRB(固体ロケットブースタ)
1-8
当初のシャトルクルー4名は変更
無し
アンドリュー・トーマス
ウェンディー・ローレンス
チャールズ・カマーダの3名を
追加
-MPLM内の実験ラックは1台に
削減
-TPS修理試験用サンプルボック
スを追加で搭載
-ロボットアームを搭載
-OBSSを新規開発して搭載
-ETの断熱材の施工を大幅に改良
-翼前縁に衝突検知センサを新規
に設置
-ETとSRBにカメラを搭載 等
-シャトルの安全な飛行再開能力
の確認
-ISSへの物資の輸送(さらに役割
を増大)
-TPSの軌道上点検・修理試験
EVA#1:TPSの修理試験、GPS
アンテナの交換など
EVA#2:CMGの交換
EVA#3:ESP-2の設置、MISSE
の交換など
-ISS ド ッ キ ン グ 前 に ラ ン デ ブ
ー・ピッチ・マニューバを新た
に実施し、ISSからシャトルの
TPS検査を実施
事故以来、2名に削減中
(第11次長期滞在クルー)
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
コラム1-1
ISSの組立フェーズで使われる各フライトの名称
ISSフライトには様々な目的を持ったフライトがあり、スペースシャトル以外に
ロシアのロケットを利用するフライトもあります。また、シャトルのフライトでも
組立を行うフライト以外に、実験を行うフライトや補給を行うフライトがあるほ
か、これらが組合わさったフライトもあります。以下の表にISSフライトで使われ
るフライト名称の意味を記します。
表 1.1-4 各ISSフライトで使われる名称の意味
A
R
J
E
P
S
UF
ULF
LF
アメリカの組立フライト
ロシアの組立フライト
日本の組立フライト
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の組立フライト
プログレス補給船による補給フライト
ソユーズ宇宙船の交代フライト
利用フライト(Utilization Flightの略)
利用補給フライト(Utilization and Logistics Flightの略)
補給フライト(Logistics Flightの略)
1A/Rや1J/A、2J/Aという「/」がついたものは、A/Rならアメリカとロシアのフラ
イト、J/Aなら日本とアメリカのフライトという意味になります。つまり日本の「き
ぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームが打ち上げられる2J/Aフライトは、
日本とアメリカの飛行の2回目という意味です。
例えば3Aフライトは、アメリカの3番目の組立フライトという意味です。ところ
が、このような番号の付け方は、ISS計画の初期段階に設定されたものであり、そ
の後の見直しにより、どんどん変わってしまいました。3Aフライトの場合は、その
前に2A.1、2A.2a、2A.2bという追加の飛行が入り、実際にはアメリカによる6番目の
組立フライトになってしまいました。
これらの番号が、修正されないのは、開発や運用設計に携わっている技術者達が
混乱しないように、順番が変わってもどのようなミッションのことかすぐに識別で
きるようにするためです。当初STS-114はULF-1と呼ばれていましたが、コロンビア
号事故の影響で実験装置の運搬がほとんど出来なくなり、LF-1と改称されました。
そして、LF-1の後に新たにULF-1.1が追加されました。ULF-1は混乱を避けるために
欠番となりました。
1-9
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
1.2
STS-114クルー(搭乗員)
クルーの経歴
コマンダー(Commander)
アイリーン・コリンズ (Eileen Collins)
1956年11月19日ニューヨーク州生まれ。米空軍大佐。一男一女の母。
1979∼1990年まで米空軍パイロットとして活躍、30種類の飛行機を
乗りこなし、飛行時間の合計は5,000時間以上。
T-38ジェット練習機、C-141大型ジェット輸送機などの各パイロット
及びインストラクターを経験。1990年に空軍テストパイロット学校
を卒業。1990年1月に宇宙飛行士として選抜されました。
1991年7月に宇宙飛行士に認定され、ミールと初のランデブーを行っ
たSTS-63(1995年2月)で女性初のパイロットとして飛行。シャトル
とミールの6度目のドッキングミッションとなったSTS-84(1997年5
月)で2回目のパイロット、チャンドラX線天体望遠鏡を放出した
STS-93(1999年7月)で女性初のコマンダーとして飛行。宇宙滞在時
間は合計537時間。STS-114は4回目のフライトです。
コラム1-2
女性パイロット
現在、女性コマンダーはコリンズ宇宙飛行士1人ですが、パイロット経験者は、コリン
ズ宇宙飛行士以外に、スーザン・キルレイン(旧姓スーザン・スティル)宇宙飛行士と、
パメラ・アン・メルロイ宇宙飛行士の2人がいます。
キルレイン宇宙飛行士は、パイロットとして2番目に飛行した女性で、パイロットとし
てSTS-83,STS-94で2回飛行し、現在はNASA本社に所属して宇宙飛行士業務から外れてい
ます。メルロイ宇宙飛行士は、STS-92, STS-112でパイロットとして2回飛行しています。
STS-93ミッションの直後には、全員女性の宇宙飛行士でシャトルを飛行させる案も出
ましたが、逆に男女差別になりかねないことから却下された経緯があります。
パイロット(Pilot)
ジェームス・ケリー (James Kelly)
1964年5月14日 アイオワ州生まれ。
航空宇宙工学修士、米空軍中佐、1996年4月にNASA宇宙飛行士とし
て選抜され、2年後にパイロット宇宙飛行士として認定されました。
第1次と第2次滞在クルーの交代を行ったSTS-102(5A.1、2001年3月)
でパイロットとして飛行。STS-114は2回目のフライトです。
ロボットアームの操作も担当します。
1-10
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
ミッション・スペシャリスト(MS1)
野口 聡一 (のぐち そういち) JAXA宇宙飛行士。
1965年、神奈川県横浜市生まれ。1989年3月東京大学工学部航空学
科卒業。1991年3月同大学院工学系研究科航空学専攻修士課程修了。
1991年4月石川島播磨重工業(株)に入社、航空宇宙事業本部技術開発
事業部研究開発空力グループに所属の後、国際宇宙ステーションの
組立・運用に参加するミッションスペシャリスト(MS)候補者として
1996年6月、宇宙開発事業団入社。1996年8月より米国航空宇宙局
(NASA)ジョンソン宇宙センター等にて実施されたMS基礎訓練コー
スに参加し、1998年4月にMSの資格を取得しました。1998年7月か
ら8月にかけてロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターにて体
験調査を行い、同年8月から引き続きNASA MS技量維持向上訓練を
継続するとともに、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟
開発支援業務に従事。2001年4月にSTS-114のクルーに任命され、
STS-114の訓練を開始しました。STS-114が初飛行であり、EVAを
担当します。
ミッション・スペシャリスト(MS2)
スティーブン・ロビンソン (Stephen Robinson)
1955年10月26日 カリフォルニア州生まれ。
機械工学博士。1994年12月にNASA宇宙飛行士として選抜され、1
年後に宇宙飛行士として認定されました。日本初の宇宙ロボットア
ーム(MFD)の飛行実証試験を実施したSTS-85(1997年8月)でミッシ
ョンスペシャリスト、向井千秋宇宙飛行士の2度目の宇宙飛行となっ
たSTS-95(1998年10∼11月)でペイロード・コマンダーとして飛行。
宇宙滞在時間は合計497時間。ISS第4次滞在クルーのバックアップ
クルーでもありました。STS-114は3回目のフライトで、EVAを担当
します。
1-11
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
以下の3名は、コロンビア号事故の影響でSTS-114ミッションの内容が変更になったため、
2003年11月7日にSTS-114クルーとして追加指名されました。
ミッション・スペシャリスト(MS3)
アンドリュー・トーマス (Andrew S. W. Thomas)
1951年12月18日 オーストラリアのアデレード生まれ。
機械工学博士。1992年3月にNASA宇宙飛行士として選抜され、1993
年8月に宇宙飛行士として認定されました。STS-77(1996年5月)でペ
イロードコマンダー(ミッションスペシャリスト)として初飛行、ミー
ルとドッキングしたSTS-89(1998年1月)でミールに運ばれて、ミー
ルに130日間滞在した後、STS-91で帰還しました。8回目のISS組立
ミッションであったSTS-102(5A.1、2001年3月)では1回のEVAを実
施。宇宙滞在記録161日間を有しています。STS-114は4回目のフラ
イトです。EVA時の船内での指揮を担当します。
ミッション・スペシャリスト(MS4)
ウェンディー・ローレンス (Wendy B. Lawrence)
1959年7月2日 フロリダ州生まれ。
米海軍大佐。米海軍のヘリコプター・パイロットとして活躍。
1992年3月にNASA宇宙飛行士として選抜され、1993年8月に宇宙飛
行士として認定されました。STS-67(1995年3月:ASTRO-2ミッシ
ョン)でミッションスペシャリストとして初飛行。1996年9月からは
ミールでの滞在クルーとしての訓練を受けていましたが、1997年7
月に予備クルーと交代し、実現はしませんでした。ミールとドッキ
ングしたSTS-86(1997年9月)、STS-91(1998年6月)と2回のミールミ
ッションを経験。STS-114は4回目のフライトです。ISSのロボット
アームの操作、補給物資の運搬管理を担当。
ミッション・スペシャリスト(MS5)
チャールズ・カマーダ (Charles J. Camarda)
1952年5月8日 ニューヨーク生まれ。航空宇宙工学博士。
大学卒業後にNASAラングレー研究センターに入所。シャトルの翼
前縁をヒートパイプで冷却する実現可能性の研究や高温風洞を使用
しての空力加熱研究に携わったほか、各種宇宙往還機の熱構造シス
テムの研究開発に従事。1996年に宇宙飛行士として選抜され、その2
年後に宇宙飛行士として認定されました。第8次長期滞在クルーの予
備クルーとしての訓練経験も有しています。STS-114は初フライト
になります。シャトルのロボットアームの操作を担当。
1-12
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
1.3
野口宇宙飛行士の任務
野口宇宙飛行士は、この飛行では主に以下の作業を担当します。
① 船外活動の主担当
3回の船外活動(Extra Vehicular Activity: EVA)の主担当(EV1)として活躍します
(EVA関連機器の点検準備作業を含む)。船外活動は飛行5, 7, 9日目に行われます。
詳細は2.4項を参照下さい。
② 打上げ時のパイロットの補佐
搭乗運用技術者(Mission Specialist 1:MS1)として打上げ時には飛行デッキ後部座
席に座り、パイロットを補佐します。なお、帰還時には、ミッドデッキの左舷側座
席に座ります。
③ 撮影器材の準備・撮影担当
シャトルオービタのPhoto/TV主担当として、打上げ時はシャトルの外部燃料タンク
分離時の撮影、その後はシャトル船内でのビデオカメラの準備、撮影等を行います。
④ 物資の運搬
国際宇宙ステーション(ISS)−シャトル間、ISS−多目的補給モジュール (Multi
–purpose Logistics Module: MPLM)間での物資や宇宙服、補給品などを運搬します
(運搬作業は全員で実施します)。
⑤ 軌道投入直後の作業
軌道投入後は、貨物室のドアの開放、シャトルのミッドデッキのレイアウト変更、
ビデオカメラ等のセットアップ作業を行います。
⑥ デオービット(軌道離脱)の準備作業
軌道離脱に備えて、様々な準備作業を行います。
⑦ ISSの共通結合機構の操作
MPLMと「ユニティ」
(結合モジュール1(Node 1))を結合するために使われる共通
結合機構 (Common Berthing Mechanism: CBM)の操作を行います。
⑧ 通信系担当
シャトルの通信系(システム)を担当します。
1-13
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
1.4
野口宇宙飛行士の訓練
野口宇宙飛行士は、1996年8月からNASAが実施したシャトルMS基礎訓練コー
スに参加し、1998年4月にシャトルMSとして認定されました。以下に宇宙飛行
士訓練の流れを示します。
ASCAN: Astronaut Candidate 宇宙飛行士候補者
図1.4-1
シャトル搭乗宇宙飛行士訓練の流れ
2001年4月にSTS-114への搭乗割当が行われて以来、以下のようなSTS-114ミッショ
ン固有の訓練が行われています。
① 船外活動(EVA)の訓練
宇宙服を着用して無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory:NBL)
と呼ばれる巨大なプール(長さ61.5m、幅31.0m、深さ12.1m)に潜り、シャトル
の貨物室及びISSの各要素を模擬した水中モックアップ(実物大模型)を用いて作
業手順に従って訓練を行ったり、バーチャル技術を使用した訓練(バーチャル
リアリティー訓練設備)等を行いました。コロンビア号事故後には、STS-114
で予定していた3回のうちの2回の船外活動内容が大きく見直しされたため、訓
練もやり直しになり、合計で60回もの訓練を行いました。
② 打上げ/軌道上運用/再突入/着陸シミュレーション
シャトルのコクピットを模擬したシミュレータに複数名の宇宙飛行士と共に搭
乗し、シャトルの打上げから帰還までの各運用を手順書のシーケンスに従って
実施し、操作手順や不具合手順等を習得する訓練です。
③ Photo/TV訓練
写真撮影や撮影機材の取り扱いに関する訓練です。外部燃料タンク(ET)分離直
1-14
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
後の外観撮影を行います。
④ 統合シミュレーション(Joint Integrated Simulation: JIS)
ミッション管制センターのフライトコントローラを交えての運用訓練です。コ
ロンビア号事故以降、ミッション・マネージメント・チーム(MMT)の能力を強
化するためにMMTを交えた訓練が強化されました。
⑤ ISSシステムに係わる訓練
ISSの各システムや機器についての訓練です。
⑥ T-38ジェット機による飛行訓練
定期的にジェット機で飛行することにより状況判断力とコミュニケーション能
力を磨きます。
⑦ シャトル脱出訓練
滑空中や、不時着時の数通りあるシャトルオービタからの脱出方法を訓練設備
を使用して実地で訓練します。
⑧ 地球観測訓練
カメラの操作方法に慣れたり、どのような地点を観測すべきかを学んだりする
訓練です。
⑨ クルー使用機器インタフェース試験
実際に使われる飛行品を飛行前に直接確認し、問題点がないか確認します。
⑩ 最終カウントダウン・デモンストレーション試験(TCDT)
打上げの約3週間前にケネディ宇宙センターで実施する訓練で、打ち上げ当日と
全く同様にシャトルへの搭乗から打ち上げ直前までの流れをリハーサルします。
このリハーサルでは、打上げ直前でトラブルが発生したという設定で、シャト
ルからの緊急脱出訓練も行うものであり、クルー全員が実際に射点でシャトル
へ搭乗します。
TCDT(Terminal Countdown Demonstration Test)
図1.4-2
NBLでEVA訓練を行う野口宇宙飛行士(2004年3月)
1-15
(NASA HPより)
Rev.B
STS-114 プレスキット 1章
図1.4-3
バーチャルリアリティー設備を使用してEVA訓練を行う野口宇宙飛行士
(2004年1月 NASA HPより)
1-16
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
2 ミッションの流れ
STS-114(Space Transportation System:STS)ミッションでは、スペースシャト
ル打ち上げ後に、国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)とラン
デブー・ドッキングを行い、約 8 日間ドッキングした状態で 3 回の船外活動や物資
の搬入・搬出などを行います。その後、ISS から分離して地球に帰還します。
④軌道投入
⑤軌道上運用 /ISS とのドッキング
③外部燃料タンク分離
(約 8 分 50 秒後)
②固体ロケット
ブースター(SRB)
燃焼修了、分離
⑥ISS からの分離
⑦大気圏再突入
(マッハ約 25)
SRB主パラシュート
開傘、降下
(約 2 分後)
SRBの回収
整備、修復
①打上げ
SRB海上着水
(約8分後)(射点より約260km東南)
⑧滑空帰還
射点へ移動
着陸用滑走路
射点
オービタ整備施設
シャトル組立棟
図 2-1
⑨着陸
シャトルミッションの概要
2.1 打上げ
2.1.1
打上げまでの主要イベント
スペースシャトルは、ケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center: KSC)で整
備・点検・荷物の搭載が行われ、打ち上げられます。通常は打上げの約5週間前に
シャトル組立棟から打上げ台のある射点へ移動します(STS-114は、米国東部夏時間
4月6日に射点への移動を終えました)。打上げの2∼3週間前には最終カウントダウ
ン・デモンストレーション試験(TCDT)と呼ばれる打上げに関する最終リハーサル
が行われます。これは打上げ当日と全く同様にシャトルへの搭乗から打ち上げ直前
までの流れをリハーサルし、打ち上げ直前でトラブルが発生したという設定でシャ
トルからの緊急脱出訓練を実施するもので、クルー全員が実際にシャトルへ搭乗し
て行います。
打上げの約2週間前には、飛行準備審査会(Flight Readiness Review: FRR)が
KSCで開催され、公式な打上げ日が決定されます。
2.1-1
STS-114 プレスキット 2章
打上げの約4日前には、クルーはヒューストンからKSCへT-38ジェット練習機を操縦
して移動します。その後、打上げまでの間、一部の限られた者以外との接触が無いよう
に隔離されます。
打上げの72時間前から、打上げカウントダウンが開始されます。そしてミッション・
マネージメント・チーム(Mission Management Team: MMT)会議で打上げの確認が行
われます。打上げまで約24時間を切った時点で、燃料充填開始の最終判断を行うマネー
ジャの会議が行われ、Goサインが出されれば、打上げおよそ8時間前から外部燃料タン
クへの燃料充填が開始されます。
なお、打上げの約20時間前には、射点の回転式整備構造物が開き、シャトルを見るこ
とができるようになります。
通常、打上げの約8時間前から、スペースシャトルの外部燃料タンクへの燃料と酸化
剤の充填が開始されます。打上げの約3時間前にはクルーがシャトルへ搭乗します。
2.1.2
打上げシーケンス
スペースシャトルのメインエンジンは、発射6.6秒前に点火されます。そして推力が
正常であることが確認されると、2本の固体ロケットブースタ(Solid Rocket Booster:
SRB)が点火されて上昇を始めます。シャトルが発射台を通過すると同時に、シャトル
の飛行管制は、それまでの打上管制を行っていたKSCからジョンソン宇宙センター
(Johnson Space Center:JSC)に引き渡されます。
SRBは約2分間燃焼し、高度約46kmで切り離されます。以後スペースシャトルは3基
のメインエンジンの推力で上昇を続けます。約8分30秒後に、メインエンジンを停止し、
約8分50秒後に外部燃料タンクが切り離されます。切り離されたタンクはそのまま洋上
へ落下します。オービタはさらに軌道制御用(Orbiter Maneuvering System: OMS)エン
ジンを1回噴射して、約40分後に地球周回軌道に入ります。
図2.1-1にシャトル上昇時の概念図を、また表2.1-1にシャトル打上げ時のタイムシー
ケンス(通常時)の例を示します。
コラム 2-1
SRBの洋上回収
洋上に落下したSRBは2隻の回収船によって回収され、整備されて別の打上げで使わ
れます。落下予想海域に向かったSRB回収船が天候の影響で予定の海域へ到達できなか
った場合や、安全にSRBを回収できない程の波高がある場合は、KSCの天候に問題が無
くても、打上げは延期されることがあります。
2.1-2
STS-114 プレスキット 2章
軌道制御用(OMS)エンジン噴射、
地球周回軌道投入
(打上げ後約 42∼45 分、
高度約 226km)
メインエンジン停止
(打上げ後約 8 分 30 秒、高度約 150km)
メインエンジン出力抑制(約 7 分 40 秒後) 外部燃料タンク分離
ロール・トゥ・ヘッドアップ実施(約 6 分後)
(打上げ後約 8 分 50 秒
高度約 150km)
固体ロケットブースタ分離
(打上げ後約 2 分、高度約 46km)
固体ロケットブースタ(SRB)燃焼停止
上昇
打上げ、発射台タワー通過
注:高度は STS-114 の例を示します(概略値)。正
確な高度は打上げ前に御確認下さい。
エンジン点火
図 2.1-1
シャトル上昇時の概念図
コラム 2-2
シャトル上昇時の機体のロール回転
シャトルは、打上げ直後に回転して背面を下にして飛行します。これには 2 つの理由があ
ります。
第 1 の理由は、緊急時にシャトルのコマンダーとパイロットがすぐに地上を見ることがで
きるようにシャトルを外部燃料タンクの下側にすることです。
第 2 の理由は、発射台の構造によるものです。ミッションに必要な軌道に乗るためには、
シャトルはおよそ東の方向へ機首を向けて飛行する必要があります。ところがシャトルは、
南の方に背を向けてしか発射台に載せることができません。もともと発射台はシャトル専用
に作られた訳ではないため、東へ機首を向けてかつ、シャトルを下側にして飛行させるには、
打上げ直後に回転するしかないのです。
2.1-3
STS-114 プレスキット 2章
表 2.1-1
打上げまでの時間
L-H:M:S
L-69:50:00
(打上げ 3 日前)
(打上げ 2 日前)
シャトル打上げ時の代表的なタイムシーケンス(1/2)
主要イベント
T-43 時間。カウントダウン開始
(打上げ 1 日前)
T-27 時間ホールド(4 時間のホールド)
T-19 時間ホールド(4 時間のホールド)
T-11時間ホールド(ISSフライトでは 13 時間)
L- 11:50:00
L- 9:40:00
T-6 時間ホールド(2 時間のホールド)終了。カウントダウン再開
外部燃料タンクに推進剤充填開始(約 3 時間の作業)
L- 6:50:00
T-3 時間ホ−ルド開始 (3 時間のホールド)
↓
T-3 時間ホールド終了、カウントダウン再開
クルーが発射台へ出発
クル−がオービタに搭乗開始 (T-2 時間 25 分)
KSC の打上げ管制センター、JSC のミッション管制センターとの
交信チェック
クルーの搭乗に使ったサイドハッチを閉鎖
船内の漏洩チェック
T-20 分ホールド開始(10 分間のホールド)
↓
T-20 分ホールド終了、最終カウントダウン開始
T- 9 分ホールド開始(40 分間のホールド)
↓ (この間に KSC の打上げ管制センター内の各担当者が打上げの
L- 3:50:00
L- 3:45:00
L- 3:15:00
L- 2:25:00 頃
L- 2:10:00
L- 1:55:00
L- 1:10:00
L- 1:00:00
L- 0:49:00
L- 0:09:00
可否を判断)
L- 0:07:30
L- 0:05:00
L- 0:03:30 頃
L- 0:02:55
L- 0:00:50
L- 0:00:31
L- 0:00:09.70
L- 0:00:06.60
L- 0:00:00
T- 9 分ホールド終了、カウントダウン再開
(地上の打上げシーケンサーが自動シーケンスを開始)
オービタのサイドハッチと発射台つないでいた
クルー・アクセスアームの移動
補助動力装置(APU)起動
シャトル・メインエンジン(SSME)のノズルの可動確認
液体酸素タンク加圧開始、外部燃料タンク頂部の酸素ガス・ベントアーム(“Beanie
Cap”)の移動
オービタの電源を地上電源から内部電源へ切り替え
地上の打上げシーケンサーからオービタのコンピュータへ
自動シーケンス開始コマンドを送信
SSME 点火準備
SSME のノズル下部の余分な水素ガスを燃焼開始
SSME 点火
(120msec 間隔で第 1、第 2、第 3 エンジンを点火)
固体ロケットブースタ(SRB)点火、打上げ
注) L-:打上げまでの時間、T-:NASAのカウントダウン表示
注:この表は2005/4/5のCBS Newsの報道を基に、STS-114用に修正を追加しています。
ホールド:事前に設定されているカウントダウンの停止のことであり、この間に
不具合等の発生で予定よりも遅れていた作業スケジュールを吸収す
る役目等を持っています。(表中の「下線」部)
2.1-4
STS-114 プレスキット 2章
表 2.1-1
打上げからの時間
L+ H:M:S
L+ 0:00:00
L+ 0:00:07
L+ 0:00:10
L+約 0:00:20-30
L+約 0:01:00
L+約 0:02:00
L+約 0:07:40
L+約 0:08:30
L+約 0:08:50
L+約 0:38:00
L+約 1:30:00
L+約 1:38:00
シャトル打上げ時の代表的なタイムシーケンス(2/2)
主要イベント
固体ロケットブースタ(SRB)点火、打上げ
発射台通過
ロール操作開始、同時に機首方向を斜めにするピッチプロファイル開始
メインエンジンの出力を 104%から 67%に抑制(最大動圧への対処)
メインエンジンの出力を 104%に復帰
SRB 分離(燃焼圧の低下を検知し、自動実行する)
(分離時の高度約 46km、時速約 4,828km)
加速度を 3G 以下に保つため、メインエンジンの出力を徐々に抑制
メインエンジン停止
外部燃料タンク分離(自動シーケンスで実行)
軌道制御用(OMS)エンジン噴射
(噴射が終了すると、地球周回軌道への投入が終了する)
貨物室ドアの開放
Ku バンドアンテナ展開(ここから映像が送れるようになる)
注)L+:打上げ後の経過時間
この表は一例であり各フライトによりイベント時間は多少異なります。
2.1-5
STS-114 プレスキット 2章
2.2
シャトルの損傷の有無の確認
STS-114 ミッションでは、コロンビア号事故調査委員会(CAIB:ケイブ)の勧告(5 章
を参照のこと)を受けて、シャトルの打ち上げ・上昇時に、落下した破片に衝突してオ
ービタに損傷が生じていないかを、以下のような方法で検査することになりました。
(1)打ち上げ時のカメラ等による撮影
・射点周辺に合計 103 台設置された短距離、中距離、長距離用追尾カメラ(ハイス
ピードデジタルカメラ、高精細度 TV カメラ(HDTV)、70mm, 35mm, 16mm カメ
ラなど)で撮影
・地上や艦船からのレーダ 3 箇所から不審な落下物がなかったかどうかを確認
・WB-57 高々度観測機 2 機でシャトルを追尾して、赤外線と HDTV カメラ計 4 台で
撮影(STS-114 と STS-121 の 2 回と夜間打上げ時のみ:帰還時も撮影予定)
・機体に搭載した合計 4 台のカメラ(外部燃料タンク(ET)搭載カメラ 1 台、固体ロ
ケットブースタ(SRB)搭載カメラ計 2 台、オービタに搭載した ET 撮影用カメラ 1
台)で撮影した画像を点検
また、クルーがデジタルビデオカメラと、デジタルカメラ 2 台を使って ET 分離の
様子を直接撮影
図 2.2-1 艦船に搭載された X バンドレーダ
図 2.2-3
図 2.2-2 WB-57 高々度観測機と機首のカメラ
(NASA HP より)
光学観測機器(NASA HP より)
2.2-1
STS-114 プレスキット 2章
表 2.2-1 光学観測機器の設置場所と台数
設置場所
39B 射点
射点周囲
近距離追跡サイト(3 ヵ所)
中距離追跡サイト(6 ヵ所)
長距離追跡サイト(11 ヵ所)
WB-57 航空機(2 機)
Operational TV(OTV)
広報用
16mm
35mm
30
2
-
5
6
7
11
-
計
* HSDV: High Speed Digital Video
観測機器方式
70mm HSDV HDTV
1
2
-
2
107 台
3
6
5
2
3
-
赤外線
NTSC
2
-
1
4
9
6
(2)搭載センサの利用
・翼前縁に新たに設置したワイヤレス衝突センサで、上昇中の衝突の有無を確認
翼前縁の強化炭素複合材(RCC)パネル(各翼に 22 枚)の後ろに加速度センサ(各翼
に 66 個)と温度センサ(各翼に 22 個)を新たに設置し、打上げ時に破片の衝突が起き
なかったか把握できるようにします。
図 2.2-4
加速度センサ(左)
、RCC パネル後ろの翼の中にセンサを設置する様子(右)
(NASA HP より)
図 2.2-5
翼前縁の 22 個の RCC パネル位置
(CAIB 報告書より)
2.2-2
図 2.2-6
翼前縁の RCC パネル
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 2章
(3)破片の最大の発生原因となる外部燃料タンク(ET)の状態撮影
・オービタの腹部に搭載した ET アンビリカルカメラによる撮影
(DCS 760 デジタルカメラ 1 台を追加装備)
・各 SRB に搭載したカメラによる撮影(SRB の回収後に確認)
・ET 上に設置したビデオカメラで上昇時のオービタの映像を生中継
・クルーの手持ちのビデオカメラ、デジタルカメラによる撮影
ET カメラ(生中継用)
ET アンビリカルカメラ
SRB カメラ(回収)
クルーの手持ちカメラ
図 2.2-7 STS-114 で ET を撮影する各カメラの場所
(NASA シャトル RTF インプリメンテーションプランより引用)
STS-115 以降で搭載予定
STS-115 以降で搭載予定
STS-114 で搭載
図 2.2-8
SRB カメラの強化案 (STS-115 以降)
2.2-3
(NASA STS-114 Press kit)
STS-114 プレスキット 2章
(4)軌道上での点検
・センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)を使用した飛行 2 日目の検査(飛行 4 日目に
は、飛行 1∼3 日目の点検結果を基に必要な箇所を特定した検査が行われます)
(OBSS に関しては 3.1 項を参照下さい)
・シャトルのロボットアームの TV カメラを使用した飛行 2 日目の検査
・飛行 3 日目、ISS とのドッキング直前に ISS クルーが手持ちの望遠カメラでシャ
トルの熱防護システムを撮影(2.3 項を参照下さい)
・偵察衛星を利用した撮影(非公開)
表 2.2-2 OBSS の基本仕様
図 2.2-9
項目
全長
重量
仕様
約 15m (50 フィート)
約 362Kg (約 800 ポンド)
関節
セ TV カメ
ン ラ
サ レーザ
センサ
検査時間
無し
ITVC(Integrated TV Camera)
LDRI(Laser Dynamic Range Imager)
LCS(Laser Camera System)
翼前縁の RCC 及びノーズキャップの
検査に約 7 時間(移動速度 4m/分)
OBSS の構造
(5)OBSS が使用できないなどの緊急時にはクルーが船外活動で点検を実施
(このために EVA 用のデジタルカメラも新たに開発されました)
・シャトルのロボットアームや ISS のロボットアーム「カナダアーム 2」の先端に乗
って点検
・OBSS の先端に乗るか、SAFER を使用して飛行しながら点検(RMS では届かな
い箇所)
初のシャトル飛行再開フライトとなる STS-114 ではこのような対応となりますが、
今後の飛行でも順次改良が続けられます。
例えば、翼前縁の衝突センサの電力供給能力を増強したり、ISS にレーザセンサを搭
載したりすることにより、将来的には OBSS のセンサを使った時間のかかる検査は廃
止する方向で検討されています。
また、ET の改修結果が良好であり、打上げ時に使われる地上レーダの能力も実証さ
れれば、STS-121 フライト以降(飛行再開 3 機目から)は夜間打上げを再開すること
も考えられています。
2.2-4
STS-114 プレスキット 2章
2.3
ISS とのランデブー/ドッキング
ISSとのランデブー制御は打上げ直後から開始され、打上げ後の2日間で少しずつ
軌道を調整して、ISSに接近します。
ISSとのランデブー/ドッキングは、飛行3日目に実施されます。ドッキングの約
2時間半前、ISSの後方約15kmの位置に達したところで最終接近フェーズを開始す
るスラスタ噴射を行います。ドッキングの約1時間前、ISSの下方約800mの地点に
達したところで、コマンダーが手動操縦に切り替えます。ISSの下方約180mまで接
近した所で、コロンビア号事故後に新たな運用が追加されました。ISS滞在クルー
が手持ちのデジタルカメラと400mm/800mmの望遠レンズでズヴェズダの窓から
シャトルの熱防護システムに損傷がないか確認の撮影を行うため、ISSの下方約
180mの地点でシャトルを360度回転させる操作が行われます(以下の図を参照)。
そしてISSの周りをゆっくりと1/4周回させて、ISSの前方約120mの地点にシャト
ルを移動させます。ここから時速0.16km(秒速4.5cm)というゆっくりした速度で、
オービタ・ドッキング・システム(Orbiter Docking System: ODS)内に設置されたカ
メラで位置決めを調整し、小型のレーザ測距装置を使ってISSまでの距離を測りな
がらISSとの距離を徐々に詰めていきます。ISSとの距離が9mとなった地点でシャ
トルはISSとの相対速度が同じになるように接近を停止して、最終確認と位置決め
を行います。
最後に、スラスタを軽く噴射して秒速3cmの速度で米国実験棟デスティニーに取
り付けられた与圧結合アダプター2(Pressurized Mating Adapter: PMA-2)のドッ
キング機構(図2.3-4参照)にゆっくり結合させます。ODSの伸展リングを引き込み(図
2.3-5参照)、シャトル−ISS間の機械的な結合が完了すると、ODSは停止されます。
ODSとPMA-2ではエア漏れがないか気密チェックが行われ、問題なければ、ハッ
チが開かれて、ISSへの入室が行われます。
(400 フィート)
約 120m
ISS
ISS の飛行方向
ランデブー・ピッチ・マニューバ
約 180m
(600 フィート)
コロンビア号事故調査委員会(CAIB)の勧
告を受けて ISS から約 180m の距離でシ
ャトルを 360 度回転させ、タイルや翼前縁
の損傷を ISS のカメラで撮影し、点検する
こととなりました。これは今後全ての ISS
フライトに適用されることになりました。
地球
図 2.3-1
ISS への接近イメージ
2.3-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
コラム 2-3
ランデブーの原理
下図で、ターゲット(目標)は ISS、チェイサ(追跡する側)はそれを追いかけて軌道変更を行う
スペースシャトルとします。
両者が同一の軌道である場合には、両宇宙機は常に一定の距離を保ったまま飛行します。この
とき、ターゲットに追いつくために、チェイサが飛行速度を上げると、両者は一時的には近づき
ますが、飛行速度を増加したため、チェイサの軌道半径が大きくなりターゲットから遠ざかって
しまいます。
すなわち、ターゲットから見るとチェイサが上方向にずれてゆくように見えます。従って、タ
ーゲットにチェイサが接近するようにするためには、逆に速度を落として軌道半径を小さくして
軌道周期を短くすることが必要です。この場合、チェイサは一旦、ターゲットから遠ざかります
が、軌道周期が短いために次第にターゲットに接近することになります。その後、再度、速度を
増加してターゲットと同じ軌道に戻ります。これが、ランデブーの基本原理であり、スペースシ
ャトルは打上げから 3 日目までは、このような軌道制御を行って徐々に ISS の軌道に近づきます。
2.3-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
図 2.3-2 ズヴェズダの窓から 400mm 望遠レンズで撮影するクルー (NASA HP より)
(シャトル撮影時にはこれと同じような事を 2 名のクルーで行います)
コラム 2-4
ランデブー・ピッチ・マニューバ時の撮影能力
シャトルのピッチ軸を 360 度回転させて、機首を上げながら ISS からシャトルの腹部タ
イルが見えるようにする、この姿勢変更操作は約 9 分間かけて行われます。そのうち、タ
イルや RCC パネルが ISS クルーから良好に撮影できるのはわずか約 93 秒間と想定されてい
ます。
解像度は、800mm の望遠レンズ付きのデジタルカメラで約 1.3cm、ISS の外部 TV カメラ
では約 50cm になる計算です。
ISS 滞在クルーは 400mm 望遠レンズと 800mm 望遠レンズ付きの Kodak DCS 760 デジタル
カメラを使用して 2 人で分担してズヴェズダの窓から撮影を行います。400mm のレンズで
は損傷許容度が 3 インチ(約 7.6cm)のエリア(オービタの腹部全体)を広範囲に撮影(次ペ
ージの図を参照)し、800mm のレンズでは、損傷許容度が 1 インチ(約 2.5cm)のエリアであ
る、衝突に対してよりクリティカルな可動部周辺(脚を格納するドアや、空力制御用の動
翼であるエレボン(図 4.2-2 参照)等)を拡大撮影します。
2.3-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
図 2.3-3 ISS から撮影するシャトルのイメージ
(NASA HP 及び、NASA STS-114 Press kit より)
上:ISS から撮影したシャトルの耐熱タイル
(この写真よりも高解像度の写真を撮影します)
下:400mm、800mm レンズ使用時の撮影範囲
(400mm レンズの場合は、撮影範囲を重ねながら、9 枚撮影すれば全体をカバーできること
が分かります)
2.3-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
コラム 2-5
ドッキング時のISS内の電力低下
ISSの太陽電池パドルは、シャトルのスラスタ噴射によるパドルへの汚染物質の
付着と噴射ガスがぶつかって太陽電池パドルがたわむのを防ぐため、シャトルが
接近する前にパドル角度が変更され、回転機構もロックされます。このため、こ
の間は太陽追尾が行えなくなり、ISSの発生電力は低下します。それに備えて、ISS
内の不要な機器は停止されます。
←S0 トラス
(参考)
PMA-2 の
ドッキング機構
図 2.3-4
シャトルと ISS のドッキング直前の状態(UF-2 フライト(2002 年 6 月))
(NASA HP より)
PMA-2 の
ドッキング機構
ODS 伸展リング
図 2.3-5 ODS のドッキング機構と ISS の PMA-2 が接触したところ
(この後、ODS 伸展リングを引き込む) (NASA HP より)
2.3-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
2.4
船外活動(EVA)
STS-114 ミッションでは、シャトルのエアロック(注:当初は ISS のエアロック「ク
エスト」を使用する予定でしたが、2005 年 2 月に変更されました。詳細はコラム 4-1
を参照下さい。)を使用して計 3 回の船外活動(Extra Vehicular Activity :EVA)が行われ
ます。野口宇宙飛行士は Extra Vehicular 1 (EV 1) クルー、スティーブン・ロビンソ
ンが EV2 クルーとして作業を行います。3 回の船外活動は 1 日おきで実施されます。
コラム 2-6
EVAクルーの識別方法
作業中の EVA クルー(EV1, EV2)は、宇宙服のひざと背中の生命維持装置上部のライ
ン(図 4.1-27 参照)で見分けがつけます。今回、EV1 の野口宇宙飛行士は赤いストライ
プが付いた宇宙服を使用します。EV2 は真っ白の宇宙服を使用します。
コラム 2-7
米露のEVA作業時間の違い
<米国の EVA 作業時間の定義>
EVA 作業時間は、宇宙服への電力供給がシャトルあるいは ISS 側から宇宙服の内蔵
バッテリによる電力供給に切り替えられた時点から開始され、戻ってきた後、エアロ
ックの再加圧を開始するまでの時間となります。
<ロシアの EVA 作業時間の定義>
ロシアのオーラン宇宙服を使用する EVA の場合は、EVA 作業時間はエアロックのハ
ッチを開けた時点から開始され、戻ってきた後、ハッチを閉じるまでの時間となりま
す。
2.4-1
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
2.4.1 第 1 回 EVA (EVA#1)
(1) TPS(熱防護システム)の修理試験
シャトルの熱防護システム(耐熱タイルと RCC)の修理技術に関する 1 時間程度の
簡単な試験を行います。貨物室内に設置された TPS 修理試験用サンプルボックス(3.2
項を参照)内の、損傷したタイルと、クラック・くぼみが生じた RCC のサンプルを使っ
て補修試験を行います。
野口宇宙飛行士は、EWA(Emmittance Wash Applicator)と呼ばれる小型の充填装置
を使って灰色の補修剤をタイルの損傷部に塗る試験を行います。一方、ロビンソン宇宙
飛行士は、クラックの生じた RCC に NOAX(ノーアックス)と呼ばれる補修剤を塗り
硬化させる試験を行います。なお、この作業は DTO(Detailed Test Object)-848 シャ
トル耐熱システム修理デモンストレーション試験としての位置づけで実施されます。
(各修理技術については、3.3.1 項、3.3.3 項を参照下さい。
)
(2)船外保管プラットフォーム 2(External Stowage Platform-2: ESP-2)の取り付け準備
第 3 回船外活動で ISS の「クエスト」エアロック外壁に取り付ける ESP-2 に関する
準備作業を行います。ESP-2 の詳細は 3.5 項を参照下さい。
シャトル貨物室内の ESP-2 に取り付けられている ESP-2 のエアロック取り付け機構
(ESP Attachment Device:ESPAD)のアクティブ側(把持機構を有する側)を ESP-2 本
体から取り外し、クエストのトラニオンピン(図 2.4-10 参照)へ(以下の図の EUTAS
機構で)取り付けます。
図 2.4-1
ESPAD の ESP-2 との結合側(注:上下は反対の状態)
(NASA HP より)
また、主系、冗長系の ESP 電力ケーブル 2 本をシャトルの工具箱から持ち出して、
主系ヒータケーブル(長さ約 7m)をユニティと ESP-2 を設置するクエスト・エアロック
の外壁に仮敷設し、冗長系ヒータケーブル(長さ約 15m)を S0 トラスとクエスト間に仮
敷設します。なお、この際、ケーブルを S0 トラス内に通すため、野口宇宙飛行士は S0
トラス内に潜り込む形になります。
2.4-2
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
これらは、第 3 回船外活動で、ESP-2 を取り付けた後にケーブルのコネクタを結合
し、作業が完了することになります。
(3) GPS アンテナ#2 の交換
ISS の軌道・姿勢情報の取得には GPS 受信機が使われていますが、2004 年末に、S0
トラスに 4 基設置されている GPS アンテナのうちの 1 基が完全に故障し、もう 1 基も
トラブルを抱えています。軌道情報の取得は 1 基でも可能ですが、姿勢情報を取得する
には 3 基が必要なことから船外活動で交換することになりました。 本作業は野口宇宙
飛行士が 1 人で担当します。
図 2.4-2
GPS アンテナの S0 トラス上の設置場所(上)、GPS アンテナ(下)
(NASA STS-114 Press kit より)
2.4-3
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
(4)CMG-2 の復旧作業、CMG-1 の修理作業の準備
2005 年 3 月 16 日(米国及び日本時間)にコントロール・モーメント・ジャイロ(Control
Moment Gyro: CMG)-2 に電力を供給するブレーカー(遠隔電力制御モジュール:
RPCM)が故障し、動作可能な CMG は 4 基のうち 2 基のみとなってしまいました。こ
のため、Z1 トラスの電力パッチパネルの簡単な電力配線の切り替え作業(約 5 分程度)
を行い、CMG-2 を再び使えるようにします。なお、故障した RPCM の交換は、将来の
EVA で改めて行われる予定です。
断熱カバー
で覆われた
CMG
図 2.4-3
Z1 トラスの電力パッチパネルの場所(NASA STS-114 Press kit より)
(この図の位置関係を確認するには図 2.4-6 を参照下さい)
また、第 2 回船外活動で CMG-1 の交換修理を行うのに備えて、簡単な準備作業を行
っておきます。第 2 回船外活動で使用する工具を作業場所近くに集めると共に、ユニテ
ィの左舷側上部にある外部照明とその支柱は、ISS のロボットアーム「カナダアーム 2」
と干渉する可能性があるため、1 箇所のボルトを外して倒しておきます。
図 2.4-4 第 1 回 EVA ルート図
2.4-4
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
2.4.2 第 2 回 EVA(EVA#2)
第 2 回 EVA では、故障した CMG-1 の交換修理を行います。この作業はコロ
ンビア号事故前から予定されていたものであり、UF-2 フライト(2002 年 6 月)時
に故障した CMG-1(詳細は 3.4 項参照)を交換します。この作業中、野口宇宙飛行
士は ISS のロボットアームである「カナダアーム 2」に足を固定した状態で作業
します。
交換用の新しい CMG(重量約 282kg)は、シャトルの貨物室後方に設置された
軽量タイプのキャリア(Lightweight MPESS Carrier: LMC)に載せて打ち上げ
られます。また、軌道上で交換した古い CMG もこの LMC に載せて地上に持ち
帰ります。
コラム 2-7
LMC(Lightweight MPESS Carrier: LMC)
LMC は、シャトルで実験装置の運搬などに使われていた多目的機器支持構造
(Multi-purpose Logistics Carrier: MPESS)下部の骨組み構造を省くなどして、
より軽量化した輸送用の架台で、UF-1 フライト(2001 年 12 月)で初めて使用しま
した。今回は 2 回目のフライトになります。
図 2.4-5
LMC
コラム 2-8
EVAの手順開発
(コロンビア号事故前の状況で)打上げまで 1 年を切った段階で追加された CMG
の交換手順の開発のため、2002 年 7 月に若田宇宙飛行士と NASA の宇宙飛行士の
2 名が EVA 訓練用のプールに潜って計 3 回の手順開発のための試験を行ったとい
う経緯もありました。フライトを割り当てられていないクルーはこのような形
で、ミッション間近のクルーを支援したりします。
2.4-5
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
(1)故障した CMG-1 の交換
①故障した CMG の取り外し
Z1 トラスに設置された CMG-1(図 2.4-6 参照)に接近できるよう、CMG を覆って
いる断熱カバーを取り外した後、CMG-1 の電気コネクタ 4 個を外します。次に
CMG-1 を固定しているボルト 6 本を緩め、4 本の調整シムボルト(図 2.4-7 参照)を
取り外します。そしてボルト 6 本を完全に外すことにより、Z1 トラスから CMG-1
を取り外します。取り外した CMG は、カナダアーム 2 に乗った野口宇宙飛行士が
CMG-1 を把持したままシャトルの貨物室まで移動します。そして、貨物室に設置
された LMC のハンドレールに EVA 工具を使って仮置きします。
②LMC 上の新しい CMG の取り外し
新しい CMG を LMC 上の固定装置から①と同様の手順で取り外し、LMC に仮
置きします。
③故障した CMG の LMC への固定
仮置きしていた古い CMG を LMC の固定装置へ固定します。
④新しい CMG の取り付け
カナダアーム 2 に乗った野口宇宙飛行士が新しい CMG を把持したまま、Z1 ト
ラスまで運び、取り外し時とは反対の作業手順で Z1 トラスに設置します。最後に
CMG の断熱カバーを取り付けます。
⑤ユニティの外部照明の状態復元
第 1 回船外活動時に、本船外活動に備えて倒していたユニティの外部照明とその支
柱を元の状態に戻します。(本作業は第 3 回船外活動の中で実施される予定ですが、
時間に余裕があればここで実施されます。)
2.4-6
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
下の図の視線方向
P6 トラス
「ユニティ」
(Node1)
図 2.4-6(1/2) ISS の CMG 設置場所
(Lockheed Martin 社の HP より)
Z1 トラス
図 2.4-6(2/2)
ISS の CMG 設置場所 (NASA STS-114 Press kit より)
2.4-7
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
外された状態
の断熱カバー
(参考)
図 2.4-7
CMG の調整シムボルト 2 本の位置(反対側にもう 2 本あります)
(NASA HP より)
2.4-8
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
図 2.4-8 第 2 回 EVA ルート図
2.4-9
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
2.4.3 第 3 回 EVA(EVA#3)
第 3 回 EVA で行う作業は以下の通りです。
(1) P1 トラスへの外部 TV カメラの設置作業
ESP-2 から外部 TV カメラの取付支柱 1 本を取り外し、その支柱の先端に、エアロッ
クから持ち出した TV カメラ・ライト・雲台を取り付けます。その状態で P1 トラスの
左舷下側の設置場所であるカメラポート 9 番(CP9)まで運び、そこに支柱を設置すると
共に電力・通信ケーブルを接続します。
図 2.4-9
P1 トラスの外部 TV カメラの設置場所(CP9)
(NASA STS-114 Press kit より)
(2)ESP-2 の取り付け
ESP-2 は、船内クルーがカナダアーム 2 を操作してシャトルの貨物室から持ち上げ
て、クエストの外壁に取り付けます。この時、カナダアーム 2 の操作クルーがカメラ映
像では十分な視野が得られないため、2 人の EVA クルーが目で見ながら、音声で誘導
指示を行います。その後、EVA クルーが第 1 回 EVA でクエストに設置した ESPAD に
ESP-2 を固定する作業を行います。
ESP-2 設置後は、主系と冗長系の 2 本の ESP 電力ケーブルのコネクタの結合作業が
行われます。
2.4-10
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
(3)米国の ISS での材料曝露実験装置 (Materials ISS Experiment: MISSE)の交換
MISSE(ミシー)は、7A.1(2001 年 8 月)の EVA で 2 個(#1, #2:図 2.4-10 参照)がクエ
ストの外部に設置されていましたが、今回、これらが回収されます。また、新たに
STS-114 で運ばれた新しい 1 個(#5)が P6 トラスの頂部に設置されます。今回の新しい
MISSE #5 は、太陽電池セルの評価や、アマチュア無線通信に使われます。
MISSE #5 の設置は、野口宇宙飛行士が 1 人で担当する予定です。MISSE について
は、3.7 項を参照下さい。
ESP-2 の ESPAD 設置場
所となるトラニオンピン
(この白い断熱カバーを
取り外して設置する)
デスティニー
クエスト
MISSE #2
MISSE #1
図 2.4-10 「クエスト」外部の MISSE#1,#2 の設置場所 (NASA HP より)
2.4-11
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
MISSE #5
図 2.4-11 P6 トラス頂部の MISSE #5 の設置場所
(NASA STS-114 Press kit の図に補足説明を追加)
(4)ESP-2 の軌道上取り外し可能型グラプル・フィクスチャ(Flight Releasable Grapple
Fixture: FRGF)の取り外し
ESP-2 に取り付けられている FRGF(ロボットアームで把持する部分)は、以後の
フライトで ESP-2 の下側に設置されている機器の 1 つである FHRC(Flex Hose Rotary
Coupler)を取り外す作業時、及び ESP-2 上で EVA クルーが移動する際に邪魔になるた
め、取り外す必要があります。取り外した FRGF は、シャトルで回収します。
図 2.4-12 ESP-2 の FRGF
2.4-12
(NASA HP より)
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
図 2.4-13 第 3 回 EVA ルート図
2.4-13
Rev.A2
STS-114 プレスキット 2章
2.5
シャトル−ISS 間の物資の輸送
スペースシャトルで行う ISS ミッションでは、毎回大量
の補給品が運搬されています。その中でも今回のように多
目 的 補 給 モ ジ ュ ー ル (Multi-Purpose Logistics Module:
MPLM)を使用するフライトでは規模の大きな物資の輸送
を行います。
MPLM 内とシャトルの船室内に搭載して STS-114 で
運ばれる代表的な補給品は以下の通りです。
・飲料水(シャトルの燃料電池で生成した水を容器に詰
めて ISS に搬入します)
・酸素、窒素(シャトルから ISS の高圧ガスタンクへ補
給します)
・第 11 次 ISS 長期滞在クルー用の食料品
・第 11 次 ISS 長期滞在クルー用の服、タオル、ナプ 図 2.5-1 ディスカバリー号
の貨物室に搭載された
キン等
MPLM
・搭乗員の健康管理システム機器
・ISS に搬入する実験ラック 1 台(MPLM で運搬)
・船外活動(EVA)用の機器(宇宙服、EVA 工具など)
・修理用の交換機器
・緊急時にシャトルクルー7 人が ISS に緊急避難をして救難用シャトルを待つ間、耐
えられるだけの最低限の生活物資(食料や、衣服、衛生用具などの消耗品)
・その他
補給品を搬入した後は、ISS からの不要品を持ち帰ります。STS-114 での主な回収品
目は以下の通りです。
・実験を終えて回収される実験装置、実験試料
・回収して地上で整備後、再利用される予定の装置(ロシアの自動ドッキングシステ
ム関連の機器など)
・ISS 内に溜まっていた不要品やゴミ(食品容器、使用済みの服、故障等により交換
した機器、寿命に達した装置、梱包材など)
コラム 2-9
MPLMを搭載するミッションでの荷物の量
今回と同様にMPLMを搭載した2002年6月のUF-2ミッションでは、シャトルからISSへ
約4,070kgの荷物を搬入し、逆にISSからシャトルには約2,700kgの不要品を積み込んで
帰還しました。これだけ大量の物資を数日間で移動させるため、この期間中、シャト
ルとISS内は荷物であふれかえります。荷物は1つ1つどこからどこへ移動したか記録を
取りながら、紛失しないように作業が行われるため、一見地味に思える作業ですが、
この荷物の運搬作業は非常に大変な作業になります。
2.5-1
STS-114 プレスキット 2章
2.6
軌道離脱・着陸
地球への帰還は、まずシャトル(オービタ)の貨物室のドアを閉じることから始
まります。次に姿勢を変え、オービタ後部を進行方向へ向けます。この姿勢で軌
道制御用(OMS)エンジンを作動させて軌道離脱噴射することにより、オービタは
減速され、地球周回軌道から大気圏突入のための楕円軌道に突入します。
軌道離脱噴射が終了すると、オービタは再び機首を進行方向に向け、ハワイ上
空近辺で大気圏突入に備えます。この時、オービタは仰角(水平面に対する機軸
の傾きの角度)が40度になるように機首を引きおこします。これは、大気抵抗に
より十分減速できるようにすると同時に、オービタが加熱され過ぎないようにす
るためです。この時の高度は約120km、速度は秒速7.6kmです。
高度が約53km、速度が秒速4kmまで減速してきた時、ここまで仰角40度を保
って降下してきたオービタは、これより後次第に仰角を減少させます。高度23km、
速度が秒速0.76kmに達した時には、仰角は約10度にまで下がっています。
以後、普通のグライダーと同様に大気中を滑空しながら着陸地点に接近してい
きます。こうして、大気圏に突入してから約40分後、スペースシャトルの地球へ
の帰還は終了します。なお、着陸時のタイヤ接地速度は約350km/hです。
シャトルは、1990年代の初めまでは、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地
内にあるNASAドライデン飛行研究センター(Dryden Flight Research Center:
DFRC)に着陸することが多かったのですが、最近ではKSCへの着陸が普通にな
っています。これは、KSC以外に着陸すると、着陸後のKSCまでの輸送(ボーイ
ング747に搭載し空輸)費用がかかるためであり、現在では、1日延期してでも可
能な限りKSCへ着陸させています。
2.6-1
STS-114 プレスキット 2章
① 着陸 60 分前。軌道離脱噴射。この時の高度は、ミッション高度と
同様(STS-114 では、約 350km)、時速約 26,500km(マッハ(M)26)。
②着陸 32 分前。大気圏突入。高度 120km。M24.5。
③着陸 25 分前。空力加熱最大地点突入。高度 74km。M24。
④着陸20分前。シャトル最大加熱(高温の場所では約1,649度Cに
達する)。
⑤着陸 12 分前。高度 55km。時速 13,317km。
コロンビア号事故の通信途絶
着陸約 16 分前、高度約 60km、
時速約 20,000km(M18)。
⑥着陸 5.5 分前。最終エネルギー制御。
高度 25,338m。時速 2,735km。
⑦着陸 86 秒前。マイクロ波による着陸
誘導開始。 高度 4,074m。時速約 682km。
⑧着陸32秒前。機首引き起こし開始。
高度 526m。時速 576km。
⑨着陸17秒前。機首引き起こし終了。
高度 41m。時速 496km。
⑩着陸14秒前。車輪出し。
高度 27m。時速 430km。
注:緊急脱出を行う時は高度
約 12,200m 以下で準備を開
⑪着陸。 時速346km。
始し、約 4,750m 以下でパラ
シュート脱出する。
図2.6-1
軌道離脱制御から着陸までのイベント
コラム 2-10
再突入時のブラックアウト
上記、②∼④の間では、以前はブラックアウト(大気圏再突入時に、空力加熱により高
温になってオービタ周囲の大気が電離し、これにより形成されたプラズマでオービタが包
まれて電波がさえぎられ、10 数分間通信が途絶える現象。なお、空力加熱とは、物体表面
に生じる高速空気の速度エネルギーが熱エネルギーに変換されることによって物体が温め
られる現象のことをいう。
)が生じていましたが、現在ではシャトルの上部に取り付けた S
バンドアンテナと静止データ中継衛星を中継した通信により、ブラックアウトの影響をほ
とんど受けなくなっています。しかし、今回のような軌道傾斜角が高いミッションの場合
には一部発生します。
2.6-2
STS-114 プレスキット 2章
表 2.6-1 オービタ帰還時の代表的なタイムシーケンス
帰還/着陸までの時間
主要イベント
R- H:M:S
R- 05:30:00
軌道離脱準備開始
R- 03:40:00
貨物室のドアを閉じる
R- 02:00:00
R- 01:45:00
R- 01:20:00
打上げ/帰還用スーツを着用
コマンダー/パイロットは席に戻る
地上から軌道離脱開始を指示
軌道離脱のための姿勢制御開始
ミッション・スペシャリスト/ペイロード・スペシャリストは
自分の席へ着く
R- 01:00:00
軌道離脱噴射(デオービット・バーン)
噴射終了後、大気圏突入に備えて、オービタを姿勢制御
R- 00:32:00
大気圏突入開始(高度約122km) マッハ約25
R- 00:17:00
第1回ロール反転(減速のための高速でのエネルギー制御)
R- 00:07:00
最終エネルギー制御(Terminal Area Energy Management)
マッハ約2.5
R- 00:02:00
自動着陸誘導開始
R- 00:00:00
着陸(手動操縦で着陸)
注)R−:着陸までの時間
この表は一例であり各フライトによりイベント時間は多少異なります。
・代替着陸地
天候その他の理由により、KSCに着陸できない場合は、代替着陸地としてカリフォル
ニア州のドライデン飛行研究センター、あるいはニューメキシコ州のホワイトサンズ試
験施設が指定されています。
・緊急着陸地
緊急着陸地としては、ニューメキシコ州のホワイトサンズ試験施設、スペインのモロ
ン空軍基地、ガンビアのバンジュル基地、セネガルのダカール空港、グアムのアンダー
セン空軍基地、その他多数があります。
2.6-3
STS-114 プレスキット 2章
2.7 毎日の作業スケジュール
次ページ以降に、2 章のまとめとして、STS-114 の作業スケジュールを 1 日(飛行日)
単位で示します。
なお、このスケジュールは、2005 年 6 月下旬現在の情報であり、今後も変更される
可能性があります。
注:飛行日(Flight Day:FD)の定義は、クルーが起床した時点から 1 日が始まるた
め、打上げからの飛行経過時間(Mission Elapsed Time :MET)と、飛行日では
この 1 日目の扱いにより、日が変わっていくことに御注意下さい。
2.7-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
2005 年 6 月 30 日現在
FD1(飛行1日目)の作業内容
飛行日 1(Flight Day1: FD1)ミッション概要
打上げ/軌道投入、分離後の外部燃料タンク(ET)の撮影、翼前縁の衝突検知センサデータ
の地上への送信、ランデブー用軌道制御
(1)打上げ
STS-114 ディスカバリー号は、フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)の 39B 発射台より打
ち上げられます。公式な打上げ日は 2 週間前に決定されます。
(2)軌道投入
打上げから約 2 分で固体ロケットブースタを分離し、約 8 分 30 秒後にメインエンジンを停
止します。約 8 分 50 秒後に外部燃料タンク(ET)を分離し、打上げから約 40 分後に軌道制御用
(OMS)エンジンを噴射し、オービタは軌道に投入されます。
打上げの間、ET に設置した TV カメラからの生映像が流される予定です。また翼の先端に新
たに設置した衝突検知センサのデータが取得され、軌道投入後にデータが地上に送信され、解
析される予定です。
(3)軌道投入後作業
打上げ約 45 分後より、軌道投入後作業を行い、船室内の打上げ用コンフィギュレーションか
ら軌道上運用状態への変更や与圧スーツから普段着への着替えなどが行われます。
(4)翼前縁の衝突検知センサデータの地上への送信
野口宇宙飛行士は、複数のラップトップコンピュータを船内に設置してネットワークを確立
させます。そして翼前縁の衝突検知センサのデータを地上へ送信できるようにします。
(5)ランデブー用軌道制御
ISS とのランデブーのため、小型の RCS スラスタを使用して軌道制御を行います。以後 FD3
のドッキングに向けて数回の軌道制御を行います。
(6)就寝 初日は打上げの約 6 時間後に就寝します。
ハイライト/トピックス
ET 分離時には、クルーが手持ちのデジタルビデオカメラ(野口宇宙飛行士担当)とデジタル
カメラを使って ET 分離後の ET の撮影(上の写真を参照)を行います。この撮影はこれまでも行
ってはいましたが、今回は撮影を約 2 分早めて高解像度の画像を取得します。また映像は、断
熱材の脱落がなかったか確認するためにも非常に重要なデータであるため、軌道投入後地上へ
送信され解析されます(これまでは地上への送信は行われていませんでした)。
2.7-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD2(飛行2日目)の作業内容
FD2 ミッション概要
ロボットアームとセンサ付き検査用延長ブーム(OBSS)を使用した RCC の損傷点検、Ku
バンドアンテナ展開、シャトルのロボットアームを使用した機体上面タイルの損傷点検、
貨物室内の点検、宇宙服やドッキング機構等の点検、ランデブー用軌道制御
(1)延長ブームを使用した熱防護システム(TPS)の損傷点検
コロンビア号事故後新たに開発されたセンサ付き検査用延長ブーム(OBSS)を使用してシ
ャトルの RCC パネルの損傷の状況を検査します。OBSS には、TV カメラとレーザセンサが取
り付けられており、RCC パネルに損傷がないか念入りな点検が行われます(詳細は 3.1 項を参
照下さい)。これは、打上げ後の早い時期に確認することにより、以後の対処の時間を確保する
ためです。
OBSS
シャトルの
ロボットアーム
OBSS を使った翼前縁 RCC パネルの損傷点検イメージ (NASA HP より)
(2)Ku バンドアンテナ展開
Ku バンドアンテナを展開・起動します。これにより、テレビ映像や大容量のデータを地上に
送信することができるようになります。
(3) シャトルのロボットアームを使用した機体上面タイルの損傷点検
ロボットアームの先端に取り付けられた TV カメラで、船室上部のタイルの損傷点検を行い
ます。
(4)貨物室内の点検、宇宙服やドッキング機構等の点検
ISS とのドッキング前に、ドッキングで使用する装置類の準備や、船外活動で使用する宇宙
服・シャトル貨物室内の状態の点検を行います。
(5)ランデブー用軌道制御
ISS とのランデブーのため、4 回の軌道制御を行います。
ハイライト/トピックス
コロンビア号事故前の ISS ミッションでは飛行 2 日目は、貨物室内の点検が主体の比較的楽
な作業日でしたが、コロンビア号事故後の OBSS の検査という大変な作業が行われることにな
りました。そのため、クルーの負荷も飛行 1 日目から 3 日目まで従来以上に増大しています。
2.7-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD3(飛行3日目)の作業内容
FD3 ミッション概要
ランデブー用軌道制御、ランデブー・ピッチ・マニューバを実施して ISS からタイルの
状態を撮影、ISS とのドッキング、ISS への入室、ISS とシャトルミッドデッキ間の物資の
移送
(1)ISS とのランデブー(詳細は 2.3 項を参照)
シャトルは、ISS の後方ななめ下から接近し、ISS の真下に到達したところでシャトルを 1/4
周回させて ISS の前へ出、ISS の進行方向からシャトルが接近する形をとります。
ISS の下方約 180m の地点でシャトルを 360 度回転させるランデブー・ピッチ・マニュー
バを行い、この間にシャトルのタイルに損傷がないかどうか ISS クルー2 名が望遠レンズを取
り付けたデジタルカメラで撮影する手順がコロンビア号事故後に追加されました。
写真左:STS-114 と同様な荷物を運んだ 7A.1(2001 年 8 月:ドッキング前に ISS から撮影)
写真右:ISS で使われている Kodak DCS 760 デジタルカメラと 800mm 望遠レンズ(400mm レ
ンズ+テレコンバータ) (いずれも NASA HP より)
(2)ISS(PMA-2)とのドッキング
コリンズ船長の手動操縦により、ISS の PMA-2 とシャトルのドッキングシステム(ODS)にそ
れぞれ取り付けられたロシア製のドッキング機構(Androgynous Peripheral Docking System:
APDS)を結合させます。ODS の中央部にはカメラが取り付けられておりこの映像を見ながらシ
ャトルを ISS に接近させます。
写真左:PMA-2 のドッキング用ターゲット (いずれも NASA HP より)
写真右:ドッキング後に ODS の伸展リングを引き込む状況(上半分が PMA-2)
ハイライト/トピックス
ISS には、2005 年 4 月中旬から第 11 次長期滞在クルーであるセルゲイ・クリカレフ(ロシア)
とジョン・フィリップス(NASA)が滞在を開始し、彼らがシャトルクルーを出迎えます。シャト
ルと ISS とのドッキングは 2002 年 11 月 25 日(米国時間)以来となります。
2.7-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD4(飛行4日目)の作業内容
FD4 ミッション概要
多目的補給モジュール(MPLM)の ISS への取り付け・起動、ISS とシャトルミッドデッ
キ間での物資の移送、米国広報イベント(音声のみ)、船外活動(EVA)の準備、ロボットアー
ムと OBSS を使用したシャトルの外観点検(2 回目)、プリブリーズの開始
(1)多目的補給モジュール(MPLM)の ISS への取付け
シャトルの貨物室に搭載されている MPLM を ISS のロボットアーム「カナダアーム 2」で
把持し、ISS の「ユニティ」モジュールの下側の共通結合機構に結合させます。
(2) 共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)運用
CBMはロシア以外のISS与圧エレメント間を結合するために共通的に使用される結合機構で、
「きぼう」日本実験棟でも使われます。CBMには、モーター駆動で結合を行うアクティブ側と
受動的なパッシブ側があり、気密を保持するために巨大なOリング・シールが取り付けられてい
ます。この両者を軌道上で結合することによって、与圧状態を保ったまま、宇宙飛行士がISS
の各モジュール間を移動することができるようになります。
MPLM側にはパッシブ側の共通結合機構が使われており、ユニティ側に取り付けられたアク
ティブ側CBMの機構で結合されます。CBMを結合させるには、各モジュールをCBMの把持ラ
ッチ部で把持できる距離(10数cm)まで、カナダアーム2で精密に接近させる必要があります。
把持ラッチ作業が終了すると、16本のモーター駆動の結合ボルトを締めて構造的に結合します。
キャプチャーラッチ
(把持ラッチ)
結合ボルト
構造リング
アライメント・ガイド
CBMコントローラー
アライメント・ガイド
(位置決め機構)
ACBM
(アクティブ側の CBM)
PCBM
(パッシブ側の CBM)
5
共通結合機構(CBM)
(3)MPLM起動・入室
MPLM の結合が終われば、MPLM を起動し、ハッチを開けて内部にクルーが入室します。
(4) ロボットアームと OBSS を使用したシャトルの外観点検(2 回目)
FD2 で点検が完了しなかった箇所、あるいは再点検が必要な箇所を引き続き点検します。
(5) プリブリーズの開始
船外活動(EVA)開始前には、減圧症を防ぐために酸素を呼吸して体内の窒素抜きを行うプリ
ブリーズと呼ばれる準備運用が行われます(詳細は 4.1.6 項を参照下さい)。今回はシャトルの
エアロックを使うため、EVA の前夜にシャトル内を約 0.7 気圧まで下げて一晩過ごします、シ
ャトルクルーは全員シャトル内に戻り、ISS との間のハッチもいったん閉鎖されます。EVA を
開始した後、ISS との間のハッチが再び開けられます。同様の運用は第 2 回、第 3 回 EVA の前
夜にも行われます。(コラム 2-14 に関連情報を示しましたので、そちらも参考にして下さい。
)
ハイライト/トピックス
CBM の操作は、デスティニー内から野口宇宙飛行士とロビンソン宇宙飛行士がラップトップ
コンピュータを使って行います。
2.7-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD5(飛行5日目)の作業内容
FD5 ミッション概要
1 回目の船外活動(軌道上での TPS 修理試験)
MPLM から ISS への物資の搬入
(1)1 回目の船外活動(EVA#1)
(作業の説明は、2.4.1 項と 3.2, 3.3 項を参照下さい)
シャトルの貨物室内に設置された TPS 修理試験用のサンプル(損傷した耐熱タイルと、ひび
の入った RCC)を使って、修理技術の簡単な試験が行われます。
また、ESP-2 の取り付け作業の前半部分と、GPS アンテナの交換作業、CMG-2 の復旧作業
などが行われます。
EWA を使用したタイルの損傷修理試験
(NASA HP より)
(2) MPLM から ISS への物資の搬入
ISS クルーと手の空いているシャトルクルーは、引き続き MPLM からの物資の搬入を行いま
す。
MPLM 内を確認する STS-114
クルー(2005 年 3 月 18 日)
(NASA KSC HP より)
ハイライト/トピックス
TPS の修理試験内容に関する決断は、2005 年 2 月中旬までずれ込みました。これは 2 年も
かけて開発を進めていた有望と思われていたタイルの修復技術の開発途中で、微小な気泡が混
入するというトラブルの解決の目処が立たなかったことによります。一方、当初は予定してい
なかった RCC の修理技術試験の方は順調に開発が進んだため、STS-114 でも簡単な試験を行
うことになりました。
2.7-6
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD6(飛行6日目)の作業内容
FD6 ミッション概要
多目的補給モジュール(MPLM)と ISS 間での物資の移送、船外活動準備、米国の広報イベ
ント(野口宇宙飛行士参加) 、プリブリーズの開始
(1) 多目的補給モジュール(MPLM)と ISS 間での物資の移送
MPLM で運んだ物資を ISS 内の空いている場所に移動します。同時に予め準備しておいた回
収品を MPLM 内に回収します。これらの作業はすべてリストと照らし合わせながら、誤って
必要な物を地球に持ち帰ったりしないように行われます。MPLM へ物資を回収する際は、シャ
トルの重心位置に影響するため、どこに重量物を設置すべきかを考えながら行われます。
ISS 内に搬入した物資で、ISS のユニティやザーリャ内は荷物であふれます。これらはシャ
トル帰還後も ISS 滞在クルーが整理作業を行って必要な場所への収納が行われます。
(2) 船外活動準備
FD7 の第 2 回船外活動に備えて、船外活動の準備を行います。船外活動はかなりの重労働で
あるため、同一クルーが連続して行うことは計画上除外されており、1 日おきに行うことにな
ります。
エアロック内で EVA の準備を行うクルー (NASA HP より)
(3) プリブリーズの開始
寝る前には再び、シャトルと ISS 間のハッチが閉められ、船外活動を行うクルーはプリ
ブリーズを行います。
(FD4 の(5)で記述したのと同じ事を繰り返します)
ハイライト/トピックス
2.7-7
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD7(飛行7日目)の作業内容
FD7 ミッション概要
2 回目の船外活動
多目的補給モジュール(MPLM)と ISS 間の物資の移送
(1)2 回目の船外活動(EVA#2)
・CMG の交換修理
2002 年 6 月の UF-2 フライト時に、ISS に 4 基設置されている CMG のうちの 1 基(CMG-1)
が故障しました。2 基が故障している現状でも姿勢制御は実施できていますが、LF-1 の 2 つ後
の 12A フライト以降は、ISS の形状が大きく変化し、姿勢の変動が大きくなるため、冗長能力
を回復するためにも早期の修理が必要とされています。
作業の詳細については、2.4.2 項を参照下さい。また、CMG については、3.4 項を参照下さ
い。
打ち上げ用の固定装置に取り付けられる交換用の CMG(2005 年 3 月)
(NASA HP より)
ハイライト/トピックス
この CMG が取り付けられた Z1 トラスは、2000 年 10 月の STS-92(3A)で若田宇宙飛行士が
シャトルのロボットアームを操作して ISS に取り付けたものです。
2.7-8
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD8(飛行8日目)の作業内容
FD8 ミッション概要
シャトルクルーの休息、軌道上共同記者会見、写真撮影、クルー全員での昼食会、
EVA#3 の準備、プリブリーズの開始
(1) 軌道上共同記者会見、写真撮影
米国の報道機関が実施する広報イベントにク
ルー全員が参加します。計 34 分間のこの広報イ
ベントでは、日本枠として 9 分間が確保されて
います。
また、ISS 内でのクルー全員による記念撮影
も行われます。(これらはシャトル飛行時の恒例
のイベントです。)
ISS 内での記念撮影 (NASA HP より)
(2) プリブリーズの開始
寝る前には再び、シャトルと ISS 間のハッチが閉められ、船外活動を行うクルーはプリ
ブリーズを行います。
(FD4 の(5)で記述したのと同じ事を繰り返します)
ハイライト/トピックス
この日はクルーには約 4 時間の休みが与えられており、広報イベントと併せて比較的リラッ
クスした 1 日となります。
2.7-9
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD9(飛行9日目)の作業内容
FD9 ミッション概要
3 回目の船外活動、ESP-2 の取り付け、RCC のプラグ修理技術の船内デモ試験
ISS と多目的補給モジュール(MPLM)間、ISS とシャトル・ミッドデッキ間の物資の移送
(1)3 回目の船外活動(EVA#3)
・P1 トラスへの外部 TV カメラの設置
・ESP-2 の ISS への取り付け
・米国の材料曝露実験装置 MISSE-1, 2 の回収と、MISSE-5 の設置
(作業の詳細は、2.4.3 項を参照下さい)
(2)ESP-2 の取り付け
トラスなどの ISS の曝露部分で使用される機器の予備品を保管するためのプラットフォーム
である ESP-2 をシャトル貨物室からカナダアーム 2 で持ち上げて ISS エアロックの外壁に取
り付けます。この取り付け時には、野口宇宙飛行士とロビンソン宇宙飛行士の 2 名が目視で接
近状況を確認しながら、船内にいるカナダアーム 2 の操作クルーに距離と位置の誤差に関する
指示を音声通話で伝えながら取り付けます。
「カナダアーム 2」(SSRMS)
MBS/MT
ESP-2
(図作成:Lockheed Martin 社)
(3) RCC のプラグ修理技術の船内デモ試験
RCC パネルの修理方法の 1 つであるプラグ修理技術(3.3.4 項参照)を船内で試験する予定で
す。
ハイライト/トピックス
ESP-2 の取り付け時には、カナダアーム 2 を操作する船内のクルーに音声通話で、距離と方
向を細かく指示しますが、このような協調作業は今回が初めてとなります。このような作業は
「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォーム取り付け時にも行われるため、貴重な経験
データが得られると思われます。
このような作業は、船外活動クルーとロボットアーム操作クルーの連携が重要であり、事前
に十分な訓練を積んでいるからできるのです。
2.7-10
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD10(飛行10日目)の作業内容
FD10 ミッション概要
MPLM 内の片づけ、船外活動後の船内の片づけ、MPLM の停止/シャトルへの回収、
ISS とシャトル・ミッドデッキ間の物資の移送、JAXA の広報イベント
(1) 多目的補給モジュール(MPLM)の停止/シャトルへの回収
地球に持ち帰るゴミや装置などを収納した MPLM は、停止されてハッチを閉じた後、カナ
ダアーム 2 を使って把持されます。CBM の結合解除が完了すれば、シャトルの貨物室に回収
されて、固定されます。
ISS の「ユニティ」モジュールに結合した状態の MPLM
(NASA 提供)
(2)CBM 運用
MPLM 取り付け時と同様に、デスティニー内にいるロビンソン宇宙飛行士が CBM を操作し
て、ユニティと MPLM を結合していた CBM の把持を解除します。
(3)JAXA の広報イベント
JAXA の広報イベントとして日本の VIP コールが予定されています。軌道上からの参加者は
野口宇宙飛行士とコマンダーのコリンズ宇宙飛行士の 2 名です。
STS-92 で行われた NASDA 広報イベント(VIP コール) (JAXA HP より)
ハイライト/トピックス
飛行 3 日目からこの日まで、シャトルのロボットアームで把持していたセンサ付き検査用延
長ブーム(OBSS)がこの日に貨物室に収納されます。しかし、シャトルのロボットアームで直接
降ろすと構造物にぶつかってしまいますので、ISS のロボットアームに引き渡して、ISS のロ
ボットアームが OBSS をシャトルの貨物室の収納部に戻します。
2.7-11
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD11(飛行11日目)の作業内容
FD11 ミッション概要
ISS からの退室、アンドッキング、クルーの休息
(1)ISS からの退室
デスティニー内でお別れの挨拶を行い、ISS とシャトル間のハッチを閉めます。
(2)ISS とのドッキング解除(アンドッキング)
シャトルからのコマンドで結合機構を解除すると、シャトルはまずバネの力で ISS からゆっ
くりと離れていきます。そして約 60cm 離れた所で、スラスタを軽く噴射して ISS の進行方向
へ 450 フィート(約 137m)離れたところまでシャトルを離脱させます。その地点から ISS の上
に回り込み、ビデオカメラやスチルカメラで可能な範囲で LF-1 フライト終了後の ISS の外観
を記録撮影します。この後、シャトルは ISS から徐々に離れていきます。
9A フライト終了後にシャトルから撮影された ISS
(NASA HP より)
(3) クルーの休息
ハイライト/トピックス
この次に ISS を訪問するのは、STS-114 の当初の飛行目的を達成するために追加された
STS-121(ULF-1.1)で、STS-114 と同様に、物資の補給とシャトルの飛行試験が中心のミッショ
ンになります。また、STS-121 では、ISS 長期滞在クルー1 名を運ぶ予定であり、以後、ISS
は再び 3 名の常駐体制に戻る予定です。
2.7-12
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD12(飛行12日目)の作業内容
FD12 ミッション概要
船内の後片づけ、軌道離脱準備、全員そろっての広報イベント、Ku バンドアンテナ収納
(1)船内の後片づけ
帰還に備えて、不用な機器を所定の場所に収納するなど、船内を地球帰還用の設定に変更し
ます。また、シャトルの全スラスタの動作テストや、エレボン・方向舵などの動翼の点検が行
われます。
(2)全員そろっての広報イベント
この時期にクルー全員が揃って広報イベントを行うのは初めてのことです。ISS ドッキング
中は多忙で広報イベントを行う余裕が従来ほどは無いという理由もありますが、おそらく帰還
前に(機体に損傷が無く、無事帰還できそうである報告を兼ねて)コロンビア号事故に関する
コメントを行うと思われます。
(3)Ku バンドアンテナ収納
就寝前に Ku バンドアンテナを収納します。軌道上からの画像の送信は、この時点で無くな
ります。
ハイライト/トピックス
2.7-13
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
FD13(飛行13日目)の作業内容
FD13 ミッション概要
軌道離脱準備、軌道離脱、着陸
(1)軌道離脱準備
帰還に備えて、各クルーは塩の錠剤と飲み物(ジュースやスープ等)を摂取します。これは、軌
道上での体液シフトによる脱水効果を避けるためであり、着陸後の貧血防止に役立ちます。な
お、必要な摂取量は、体格の違い等によって変わるため、各クルー毎に指示されます。
その後クルーは、打上げ/着陸時用の与圧服を着用します。軌道離脱の約 2 時間半前には貨物
室のドアも閉じられます。
(2)軌道離脱
シャトルの姿勢を飛行方向に対して 180 度反転させた状態で、軌道制御用(OMS)エンジンを
噴射して減速することにより、軌道から離脱して大気圏への降下を開始します。再突入前には
姿勢を元に戻して、仰角を上げて大気圏に突入を開始します。
(3)着陸
天候等に支障がなければ、ケネディ宇宙センター(KSC)へ帰還します。
(NASA HP より)
ハイライト/トピックス
着陸の翌日にはヒューストンに戻り、エリントン基地の格納庫内で帰還セレモニーを行いま
す。このイベントは一般市民や NASA 職員、報道関係者も参加するフレンドリーなものです。
2.7-14
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
コラム 2-11
日本にちなんだ宇宙食
これまでの飛行では、向井さんの和食コンテスト(STS-65)、土井さんの日の丸弁当
(STS-87)、若田さんの草加せんべい(STS-92)等が披露されています。またカレーライス
(日本で市販されているレトルト品)は、日本人が飛行しないミッションでも宇宙食メ
ニューとして選ばれることがあります。
今回、野口宇宙飛行士は、番組公募企画のインド風カレーとちまき。日本のチョコレ
ート菓子、ラーメン(日清食品が開発した SpaceRam:しょうゆ、みそ、とんこつ、カレ
ー味の中から 3 種類を選びます)等を持って行く予定です。
コラム 2-12
ウェイク・アップコール
ウェイク・アップコールは、NASA の有人飛行で長年続けられているものであり、起床
時に地上から音楽を流すものです。ミッション期間中は毎日、各クルーにちなんで用意
された様々な音楽で目覚めます(実際には曲が流れる前に起床していますが、気分を一
新する意味もあり、各クルーは楽しんでいます)。
曲は、家族や地上の支援要員が各クルーにちなんでリクエストしたものや、クルー自
身の要望の中から選ばれています。
日本人宇宙飛行士関連としては、若田宇宙飛行士(STS-92)の「栄冠は君に輝く(全国
高等学校野球大会の歌)」、毛利宇宙飛行士(STS-99)の飛行時にゴダイゴの「THE GALAXY
EXPRESS 999(銀河鉄道 999)
」、向井宇宙飛行士(STS-95)の「若き血(慶応義塾大学応援
歌)
」、土井宇宙飛行士(STS-87)の「ウルトラマン」などが使われました。
どの曲が何日目に流れるかは、直前まで分かりませんので、野口宇宙飛行士にちなん
だ曲も、聞いてからのお楽しみとなります。
コラム 2-13
EVA前後に行われるISSへの入退室
EVA の前後には、シャトルクルーは以下のように行動します。
①EVA を行う前日の夜にシャトルクルーは全員シャトルに戻り、ハッチを閉めます。そ
してシャトル船内を約 0.7 気圧に減圧します(EVA クルーのプリブリーズのため)。
②EVA が開始されるとシャトル内を 1 気圧に戻して、ISS との間のハッチを開けて、手の
空いているシャトルクルーは ISS 内に戻り、荷物の運搬作業や ISS のロボットアーム
の操作を行います。
③EVA 終了前に、再び ISS との間のハッチを閉じてシャトルに戻ります(シャトルエア
ロックの減圧に備えるため)。
④EVA クルーが船外から戻り、シャトルエアロックを 1 気圧に加圧すると、再び ISS と
の間のハッチを開けて ISS 内に戻ります。
これを第 1 回 EVA から第 3 回 EVA まで 3 回繰り返します。
この様な運用を行う理由は、シャトルのエアロックは、ISS との間のドッキングポー
トへの通路も兼ねているため、この期間は行き来が出来なくなるためです。万が一、大
きなトラブルが発生するとシャトルは ISS から緊急離脱しますので、クルーが ISS 内に
取り残されないように全員シャトルに戻っている必要があります。ISS のエアロックが
使える場合はこのような制約は生じないため、今回は少し例外的な運用となります。
2.7-15
Rev.B
STS-114 プレスキット 2章
2.8
緊急時の対処
打上げから帰還時までの緊急脱出時の対処としては、以下のようなものがありま
す。
(1) 射点上でSRBの点火前に緊急事態が発生した場
合には、アクセスアームがオービタのハッチに
再接続され、クルーはスライドワイヤーでつら
れた緊急脱出用バスケットにより整備支援塔か
ら脱出することになっています。
図 2.8-1 緊急脱出用バスケット
(2) 打上げ後にメインエンジン等に不具合が発生し、飛行継続が不可能な場合は、
KSCに戻る(Return To Launch Site: RTLS)、大西洋横断後にスペインまた
はアフリカの西海岸に着陸(Trans Atlantic Landing: TAL)、地球をほぼ一周
して着陸する(Abort Once Around: AOA)等のケースが想定されています。
(3) 飛行中に火災、または空気汚染等が発生した場合は、打上げ/帰還時に着用
する与圧服を着用し、消火器で消火したうえで、有害ガスを除去するなどし
て緊急事態がおさまるのを待つことになります。他に重要な装置の故障が確
認された場合は、地球への早期帰還が検討されます。
(4) 耐熱タイルやRCCパネルに安全に帰還できないと考えられるサイズの破損
が発見された場合は、軽微なものであれば、船外活動を行って軌道上での修
理を試みます。修理不能な大きな損傷が見つかった場合は、救難用のシャト
ルが迎えに来るまでの間、ISSに退避することになります。
(5)シャトルの熱防護システムの損傷や飛行制御系に異常が見つかった場合は、滑
空帰還時の破片の落下による一般の人々へのリスクを減らすために、周辺人
口の少ない、ニューメキシコ州のホワイトサンズ宇宙基地の滑走路へ着陸を
行うことになります。
(コロンビア号事故後に方針が変更されました)
(6) 大気圏内での滑空中に緊急事態が発生し
た場合には、ミッドデッキのハッチよりポ
ールを伸展させ、クルーはオービタの主翼
に衝突しないようポールにガイドされな
がら脱出しパラシュートで降下します。脱
出時の高度、速度は、高度約9,150m以下、
時速約555km以下となっています。
図 2.8-2 緊急脱出用ポール
(7) 胴体着陸など緊急着陸時に問題が発生した場合は、クルーはミッドデッキの
左舷クルーハッチから脱出することになっています。ここが開かない場合、
フライトデッキの天井ハッチからロープを使用して脱出します。
注:シャトルが洋上へ着水したり、KSC周辺に不時着したりした場合に備えて、
1960年代から空軍とNASAは、ヘリコプターや航空機などを動員して、年に
1回緊急事態に備えた救難・捜索訓練を実施しています。
2.8-1
STS-114 プレスキット 3章
3 ミッションに関する設備・機器類の解説
3.1 センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)
コロンビア号事故では、左側の主脚ドアのタイル付近に断熱材の破片が衝突した可能
性が飛行中に議論されていましたが、この時のコロンビア号のフライトではロボットア
ームを使う予定がなかったため、重量的な問題により機体から外されており、容易に検
査する手段はありませんでした。もし他のフライトのようにロボットアームを搭載して
いて検査を行えていれば、すぐに破損箇所に気が付いたことでしょう。このため、以後
のシャトルには全てロボットアームの搭載を義務づけることになりました。
しかし、シャトルのロボットアームだけでは、届く範囲が一部に限られるため右側の
翼の下や機体後方までの検査はできません。このために、新たにOBSS(Orbiter Boom
Sensor System: OBSS)が開発され、搭載される事になりました。OBSSはシャトルの
ロボットアームをベースに開発されましたが、関節はないため曲げることは出来ません。
シャトルのロボットアームで把持した状態で検査範囲を広げるために使われます。
OBSSの先端には、TVカメラと2基のレーザセンサが設置されており、これらでRCC
パネルの亀裂や穴の破損箇所を詳細に点検します。取得したデータは地上へ送られて解
析(解析には約48時間が必要で、さらにその24時間後にミッション・マネージメント・
チーム(MMT)に報告される予定です)されますが、修理が必要になる場合に備えて早
めの点検が要求されます。このため、飛行2日目に最初の検査が行われます。
OBSS
図3.1-1 貨物室に固定された状態のOBSS
(注:手前側にはシャトルのロボットアームが搭載される)
図3.1-2 OBSS先端に設置されるTVカメラ(ITVC)と2つのレーザセンサ(LDRI, LCS)
(図はいずれも NASAシャトルRTFインプリメンテーションプランより引用)
3.1-1
STS-114 プレスキット 3章
図3.1-3
ディスカバリー号の右舷に取り付けられるOBSS (手前はロボットアーム)
(2005年1月24日) (NASA HPより)
飛行2日目に行われるOBSSによる両翼とノーズキャップ部のRCCスキャンは、約7時間
かけて行われます。スキャンは最大で毎分約4mの速度になります。
なお、飛行4日目にもOBSSを使用した検査が行われますが、この時は、国際宇宙ステ
ーション(ISS)の構造が邪魔になり、シャトルのロボットアームが直接OBSSを把持する
ことが出来ないため、ISSのロボットアームでOBSSを把持し、それからシャトルのロ
ボットアームへOBSSを引き渡す操作が必要となります。
図3.1-4
OBSSで使われる2つのレーザセンサ (NASA STS-114 Press kit)
コラム3-1
OBSSの将来の役割
きぼう「日本実験棟」の打ち上げ時等には、OBSSは貨物室への搭載時に構造的な干
渉を起こすため、将来のシャトルには搭載できなくなります。このため、センサを外
したうえで ISSに保管することが検討されています。
代わりにISSにレーザセンサを新たに設置したり、翼前縁の衝突センサシステムを強
化して損傷箇所の有無を確実に検査するなどして、OBSSの役割を徐々に置き換えてい
く予定です。検査に長時間を必要とするうえ、万能ではないOBSSはシャトルの飛行再
開初期こそ主要な検査装置ですが、将来は船外活動時の修理用の足場という別の役割
を担うものになっていくことになると考えられています。
3.1-2
STS-114 プレスキット 3章
3.2 TPS修理試験用サンプルボックス
TPS修理試験用サンプルボックスは、第1回船外活動で実施する予定のタイルとRCC
の補修試験で使うサンプル(損傷したタイルと、亀裂やくぼみが生じたRCC)を取り
付けた箱であり、コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の運搬にも使われる
LMC(Lightweight MPESS Carrier)上に搭載されます。作業時には、このボックスの
ふたを開いて修理試験を行います。
CMG
(参考)
TPS修理試験用
サンプルボックス
LMC
サンプルボックスのふた(開放状態)
図3.2-1
TPS修理試験用サンプルボックス(2005年3月18日 NASA HPより)
RCCサンプル
タイルサンプル
図3.2-2
TPS修理試験用サンプルボックス
(NASA HPより)
3.2-1
STS-114 プレスキット 3章
TPSの修理試験は、当初想定していた規模よりも小さくなりました(約6時間の船外
活動から1時間程度の作業へ縮小)が、その代わり、船外活動時にOBSSを使って、こ
のサンプルTPSの損傷状況をどの程度検知できるかの試験にも使われることになりま
した。
3.2-2
STS-114 プレスキット 3章
3.3 TPS修理用機材
3.3.1
EWA(Emittance Wash Applicator)
EWA (Emittance Wash Applicator)は、小規模なタイルの損傷に対応する補修ツール
(タイル表面の比較的浅い損傷を補修)です。このEWAは黒色タイルが損傷して損傷
面が白くなった箇所の表面に灰色の補修剤を塗って、耐熱特性(熱放射特性)を改善す
るものです。野口宇宙飛行士が、第1回目の船外活動時にこの器具を使って、3.2項で紹
介したTPS修理試験用サンプルボックス内に設置された破損したタイルの補修試験を
行う予定です。
EWAは、炭化珪素(SiC)の粉と、室温硬化接着剤(RTV)を混ぜたものを補修剤として
使います。EWAは、補修剤を塗るのではなく(表面をさらに損傷させてしまうため)、ス
タンプのように表面に柔らかく押して当てる感じで補修剤をタイル表面に拡げていき
ます。
図3.3-1
EWAの概観イメージ
Nomex®の生地
(NASA STS-114 Press kit)
補修剤が出てくる穴(4箇所)
メラニン
フォーム
←補修作業のイメージ
補修剤で表面が
覆われた状態
補修剤が
出てきた状態
図3.3-2
EWAの使用イメージ
3.3-1
(NASA STS-114 Press kit)
Rev.B
STS-114 プレスキット 3章
表3.3-1(1/2)にタイル修理技術の種類と特徴を示します。
図3.3-3
野口宇宙飛行士がEWAで補修する予定のタイル (NASA HPより)
(2つの丸の範囲:最低1つを実施できれば良い)
コラム3-2
Emittance Wash Applicatorの意味
シャトルの黒色の耐熱タイルは、表面のみが黒色であり、内部は白色をしています。
白色のタイル部分は断熱の役割を有しており、黒色部分は熱放射のためのコーティン
グ材です。このため、表面が損傷するとタイルの白色部分が剥き出しになります。こ
の黒色コーティングの役割をEWAの補修剤で補います。Emittance Wash Applicatorを
直訳すると、
「熱放射特性を改善するための塗料を塗布する装置」という意味になりま
す。
浅いタイルの損傷であれば、表面の熱放射特性をこのEWAを使って回復させることに
より、再突入時の高温に十分耐えられるようになります。
3.3-2
STS-114 プレスキット 3章
3.3.2 タイル補修剤充填装置(CIPAA)(参考)
CIPAA (Cure In Place Ablator Applicator: CIPAA:シッパ)は、大きく損傷したタ
イルのくぼみを補修剤で充填して埋めるための装置であり、船外活動クルーが宇宙服背
中の生命維持装置の後ろに取り付けて使用するタイプの装置です。
シリカを主体とした褐色の補修剤を窒素ガスで加圧しながらコーキングガン(充填装
置)からこのペースト状補修剤を押し出して塗りつけます。この補修剤はシャトル再突
入時の高熱に耐えられるアブレータ(溶融材)です。
2005年1月までは、この装置を使用してタイルの補修試験を行う予定でしたが、技術
的な困難さに直面し、STS-114での試験は中止されました。しかし、万が一の事も考え
て、
(使用予定はありませんが、
)この装置はSTS-114で持って行くことになっています。
なお、STS-121では、CIPAAを使うEVA試験が行われる予定です。
図3.3-4
地上でのタイル補修のデモンストレーション (NASA HPより)
図3.3-5
CIPAAの構成 (RTF TG HPより)
3.3-3
STS-114 プレスキット 3章
コラム3-3
タイル補修材の開発
シャトルのタイル補修剤は、1980年代にシリコンベースの素材で既に開発されて
いましたが、当時は吹き付けする補修材を制御できずに膨張してしまう問題があり、
再突入時に気流を乱す原因になることと、当時のNASAには船外活動の経験が少なく、
周辺のタイルに修理する以上の損傷を与えてしまうのではないかということで実用
にはならなかった経緯があります。
現在は、以前のような泡状のものではなく、ペースト状の扱いやすいものとなり
ましたが、2004年夏と冬の試験時に微細な気泡が発生する問題が見つかる等、開発
や試験、手順の開発には苦労しました。当初は、タイル修理よりもRCCの修理の方が
難易度が高いと考えられていましたが、結局、上記トラブルの影響で逆転し、2005
年2月の時点ではRCC修理の方が技術的成熟度は高くなったと考えられています。
コラム3-4
軌道上でのタイルの補修作業
もし、軌道上での検査で修復が必要なタイルが見つかった場合は、船外活動クル
ーの足場の確保が最大の問題となります。確実な足場が確保できなければ、修復作
業中に正常なタイルを損傷させてしまい、状況をより悪化させてしまうことになり
ます。
このために、シャトルのロボットアームもISSのロボットアームも届かない場所が
損傷した場合には、シャトルのロボットアームでISSを把持した状態で、ISSとの結
合を解除し、シャトルのロボットアームの操作でシャトルの姿勢を反転させ、ISS
のロボットアームの先端に乗った船外活動クルーが作業できるようにすることが検
討されています。
3.3-4
STS-114 プレスキット 3章
3.3.3
RCCのクラック修理機材
RCCのクラック(亀裂)修理には、NOAX(ノーアックス)(Non-Oxide Adhesive
Experimental)と呼ばれる補修剤を使用した修理法が開発されました。損傷したサンプ
ル用RCCのクラック面に充填ガンからペースト状のNOAXを押し出し、気泡をつぶす
とともに、表面が滑らかになるようにするために、ヘラ(Scraper)でNOAXを表面に薄
く拡げていきます。
なお、図3.3-6の図はSTS-121用に開発されている窒素ガスで補修剤を押し出す方式
の充填ガンです。STS-114では地上でもよく使われている、手動で押し出す方式のシン
プルな充填ガンを使用します。
表3.3-1(2/2)にRCC修理技術の種類と特徴を示します。
図3.3-6
図3.3-7
NOAX充填ガン (注:STS-121フライトから採用)
(NASA HPより)
NOAXの仕上げ用ヘラ
3.3-5
(NASA STS-114 Press kit)
STS-114 プレスキット 3章
3.3.4
穴の開いたRCCの修理機材
RCCパネルに穴が開いた場合は、現時点では以下の図に示すプラグ修理技術で対応
します。この方法は、直径6インチ(約15cm)までの穴に使えます。炭素繊維強化炭化珪
素(Carbon-silicon carbide: C-SiC)製のカバープレートとプラグ部となる取り付け機構で
構成されます。カバープレートとプラグ部は、修理するRCCパネルの曲率に近いカバープ
レートを選んで、軌道上で組み立てる方式です。このため、カバープレートは20枚以上用
意されます。
穴の開いたRCCパネル内にこのプラグを差し込んで、EVA用の電動工具であるピス
トル・グリップ・ツールで中央のネジを回転させると、下の図のプラグ部分のTバーが
カバープレートの方向へ動き、RCCパネルの内側から挟み込むことにより、プラグ修
理機材を固定します。
カバープレート周辺に隙間が生じると危険なため、その場合はNOAXで隙間をシール
します。
STS-114では、船外活動での試験は行わずに、船内で試験を行います。
図3.3-8
プラグ修理用機材
3.3-6
(NASA HPより)
STS-114 プレスキット 3章
表3.3-1(1/2)
TPSの
種類
TPS 修理機材と軌道上での開発試験計画
修理の種類
修理対象となる破損
使用工具
Emittance wash
(タイル損傷面の
熱放射特性の補
修)[3.3.1項参照]
浅いくぼみ、コーティ
ングの喪失
(アブレータ修理前の
損傷表面の下塗り材
としても使える)
Emittance Wash Applicator
(EWA) + 炭化珪素(シリコン
カーバイド)材とRTV-511補
修剤(STA-54のA材の主成分)
タイル補修剤充填装置
(CIPAA) + A材とB材からな
るSTA-54アブレータ補修剤
タイル
修理
アブレータ修理
[3.3.2項参照]
深いくぼみ、
タイルの喪失
あらゆるタイル損傷
をカバー
シャトル搭載量
3基
オーバーレイ、および支援用
工具
STS-114
での試験
STS-121
での試験
EVAによる
試験を予定
予定無し
EVAによる
試験を予定
2基
STS-114:
1セット
支援用工具/ハードウェア
オーバーレイ
(Overlay)修理
イメージ写真
予定無し
(搭載のみ)
STS-121:
1セットお
よび予備品
12インチ(約
30cm)×25イン
チ(約63cm)のも
の1個
予定無し
(搭載のみ)
予定無し
STA-54(Shuttle Tile Ablator, 54lbs/ft3)、CIPAA(Cure In Place Ablator Applicator)
コラム3-5
Overlay修理
当初は最も有望視されていたアブレータ修理に代わるタイル修理方法として2005年になってから急浮上した技術です。損傷したタイルを耐熱性のシー
トで覆い、周囲のタイルに直接ネジで固定します。開発期間が短く十分な検証を終えていない点が問題ですが、地上試験では有効性が確認されており、
修理作業もSTA-54を使うより簡単で確実に仕上げられます。STS-114では試験は予定していませんが、念のため搭載はされます。
3.3-7
Rev.B
STS-114 プレスキット 3章
表3.3-1(2/2)
TPSの
種類
修理の種類
修理対象となる破損
TPS 修理機材と軌道上での開発試験計画
使用工具
イメージ写真
NOAX 3124Dクラック
補修材を充填したクラ
コーティングの喪失、 ック修理装置(Crack
クラック
Repair Gun)
くぼみ、クラック、
(亀裂)修理
(可能性として)小さ
[3.3.3項参照] な穴
支援用工具
RCC
修理
プラグ修理
[3.3.4項参照]
プラグカバープレート
と取り付け機構(軌道上
で組み立て);現在のと
ころNOAX 3124Dをシ
RCC に 空 い た 大 き な ール材として使用予定
穴
支援用工具
(プラグ挿入工具、
RCCドリル:右図参照)
シャトル搭載量
STS-114
での試験
STS-114: 手動式 3基
ガス加圧式 Gun
STS-121: ガス加圧式
3基
STS-121
での試験
EVAによる
試験を予定
EVAによる
試験を予定
工具2セット、
運搬用バッグ1個
STS-114:プラグカバー
プレート13個、取り付
け機構4個、船内デモの
ため組み立てられたプ
ラグ1個
STS-121: プラグカバ
ープレート19個、取り
付け機構4個
船内試験の
みを予定
EVAによる
試験を予定
2セット
NOAX(Non-Oxide Adhesive Experimental)
写真/情報:NASA STS-114 Press kitより
3.3-8
Rev.B
STS-114 プレスキット 3章
3.4 コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)
コントロール・モーメント・ジャイロ(Control Moment Gyros: CMG)は、回転する
円盤(フライホイール)の力を利用して、大型の宇宙機の姿勢を制御する姿勢制御装
置です。CMGは人工衛星の姿勢制御に使用されているリアクション・ホイールより
も大きな角運動量、トルクを発生することができます。この力の大きさは、フライ
ホイールの角運動量とジンバルの回転速度の積で決まり、リアクション・ホイール
に比べると、数十倍のトルクが得られます。
CMGは国際宇宙ステーション(ISS)以外としては、アメリカのスカイラブと、ロ
シアのミール宇宙ステーションの姿勢制御用として使用されていました。
ISSのCMGは、Z(Zenith)1トラスに4基設置されています(1基の重量、約282kg)。
CMGを使うことにより、推進剤を使用する小型のスラスタをほとんど使うことなく
ISSの姿勢制御や姿勢変更を行うことができます。このCMGは若田宇宙飛行士が搭
乗した3Aフライト(2000年10月)で、Z1トラスに取り付けられてISSに運ばれ、5Aフ
ライトから使用が開始されました。
CMGは、大型の円盤状のはずみ車(フライホイール)を一定速度で回転(6600rpm)
させて、大きな角運動量を持たせておき、そのフライホイールを別のモータで駆動
するジンバルで傾けることにより、おもちゃの地球ゴマで体験できるようにジャイ
ロ効果による大きな回転力を発生することができます。このようにして、ISSの姿
勢を維持したまま、姿勢に対する外乱を吸収することができます。また、ホイール
のスピン軸を変更することにより、ISSの姿勢を変更することもできます。
ISSの姿勢をCMGで安定させるためには、最低でも2個のCMGが稼働し、必要な
角運動量を発生している必要があります。このため、CMGが故障した場合にも軌道
上で交換できるように設計されています。
なお、図3.4-2に打上げ前のZ1トラスを、図3.4-3にZ1トラスに取り付けられた4基
のCMGを示します。
内部ジンバル
フライホイール
(水平状態)
保護カバー
図 3.4-1 コントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の内部構造
3.4-1
STS-114 プレスキット 3章
Zenith方向
(天頂方向)
断熱カバーで覆
われたCMG
図3.4-2 打上げ前のZ1トラス (STS-92(3Aフライト))(NASA HPより)
(断熱カバーを取り付けた最終コンフィギュレーション)
Zenith方向
(天頂方向)
CMG-2
CMG-3
CMG-4
CMG-1
(故障し
たCMG)
図3.4-3 Z1トラスに取り付けられた4基のCMG (NASA HPより)
(断熱カバーを取り付ける前の状態)
3.4-2
STS-114 プレスキット 3章
コラム3-6
CMGの故障状況
UF-2ミッション中であった2002年6月8日(米国時間)にCMG-1の電流値に瞬間的な増減
が見られるようになり、温度も上昇していることがデータから確認されました。その後
間もなく、CMG-1で2個使われているベアリングの片方が、潤滑が不十分となったために
摩擦を生じて、機械的に故障しました。当時ユニティ内にいたクルーは、うなるような
大きな音と振動を感じたと報告しました。このため、故障したCMGはすぐに電源を止め
られて停止されました。
このトラブル以降、ISSの姿勢は3∼2基のCMGで制御されています。原理的にはISSは
最低2基のCMGが動いていれば姿勢制御は可能ですが、この場合は推進剤をより消費する
ことになります。また、今回のLF-1の2つ後の12Aフライト以降は、ISSに太陽電池パド
ルが増設され、一時的にISSは左右非対称な形状となるため、姿勢の安定が一番難しい
段階となります。このため、STS-114でCMGの状態を元に戻す必要があります。
なお、故障原因の特定、及び予備品の改修を行うため、故障したCMGはSTS-114で地上
へ持ち帰ることになっています。
(CMGは8.5年の設計寿命と予想されていました。)
2005年3月16日(米国時間)には、CMG-2へ電力供給を行うサーキットブレーカーが故障
しました。2004年4月にも全く同じトラブルが発生し、2004年6月に船外活動を行ってサ
ーキットブレーカーを交換し、CMG-2を使用可能な状態に戻しました。この部品を交換
すれば復旧しますが、交換修理はSTS-114ミッション後に改良した予備品を使って行わ
れる予定です。STS-114のEVAでは、電力系統のパッチパネルの配線をつなぎ替える簡単
な作業で暫定的に復旧させることになりました。
CMG-1の交換修理の方法は、2.4.2項の「第2回EVA」を参照下さい。
CMG-2の復旧修理の方法は、2.4.1項の「第1回EVA」を参照下さい。
3.4-3
STS-114 プレスキット 3章
3.5 船外保管プラットフォーム 2 (ESP-2)
ISSでは重要な装置が故障しても基幹部を交換すれば修理出来るように設計され
ており、これを軌道上交換機器(Orbital Replacement Unit: ORU)と呼んでいます。
現在はこのORUの保管場所としてデスティニーの左舷後方に船外保管プラットフ
ォーム1(External Stowage Platform: ESP-1)が取り付けられています。ESP-1は
5A.1 フ ラ イ ト で 運 ば れ 、 ポ ン プ 及 び 流 量 調 整 装 置 (Pump and Flow Control
Subassembly: PFCS)と直流切替ユニット(Direct Current Switching Unit: DCSU)
の2個のORUを保管していますが、ISSのトラスが長くなり、曝露機器の数が増え
るに連れて、故障時にもすぐに交換できるよう、重要な機器は軌道上に保管してお
く必要性が増しています。
今回のESP-2は、ESP-1よりも大型で本格的な曝露ORU機器の保管場所であり、
エアロック「クエスト」の前方に取り付けられます。ESP-2はパレットの上面と下
面に計8個のORUが保管できる設計となっています。なお、ESP-2は、日本が開発
している、きぼうの船外実験プラットフォーム(曝露部)の半分くらいの大きさで
す。
ESP-1
図3.5-1
ESP-1と保管されているORU (NASA HPより)
3.5-1
STS-114 プレスキット 3章
エアロックへの取付け機構(ESP Attachment Device: ESPAD)は、ESP-2をクエスト
に固定する機構であり、ESP-2から取り外し可能なアクティブ側とESP-2に固定された
ままのパッシブ側で構成されています。船外活動時にESPADのアクティブ側を一旦、
取り外して、クエスト外壁のトラニオンピンに固定します。その後、カナダアーム2で
把持したESP-2のパッシブ側をクエストに固定したアクティブ側に結合することで、
ESP-2はISSに固定されます。
MBSU(ORU)
VSSA支柱
ISS エアロックへの
取付機構(ESPAD)
FRGF(ロボットアームの
把持部)
UTA(ORU)
FHRC(ORU)
ORU固定機構
(FRAM)
注:このU字の構造部は打上げ時用で
あり、シャトルに固定したままです。
(ESP-2を上側から見た状態)
(ESP-2 を下側から見た状態)
図 3.5-2 シャトル搭載時のESP-2と搭載されている機器
(NASA提供)
クエストに取り付けられ
たアクティブ側のESPAD
(EVA#1終了後の状態)
[パッシブ側との結合機構を
有する]
図 3.5-3 アクティブ側ESPAD(NASA STS-114 Press kitより)
3.5-2
STS-114 プレスキット 3章
ESP-2に搭載されて打ち上げられる曝露ORUは以下の通りです。
・フレックス・ホース・ロータリー・カプラー(Flex Hose Rotary Coupler: FHRC)は、
Starboard (S) 1、及びPort (P) 1トラスに設置されている放熱用ラジエータ回転機構
(Thermal Radiator Rotary Joint: TRRJ)の構成部品となるORUの1つで、回転するラ
ジエータパネルにアンモニア流体を供給する機構です。
・ユーティリティ・トランスファー・アセンブリ(Utility Transfer Assembly: UTA)は、
S3 及び P3 トラスで使われる ORUで、トラス間で回転する太陽電池パドル回転機構
(Solar Array Rotary Joint: SARJ)に設置され、S1-S3トラス間及びP1-P3トラス間に
電力、通信、流体を供給する機構です。
・メインバス切替ユニット(Main Bus Switching Unit: MBSU)は、ISSの基幹電力系統
(メインバス)の切り替え(P6, P4, S6, S4トラスの太陽電池モジュールに設置された各
直流スイッチングユニット(DCSU)からの4本の基幹電力系統を相互接続で切り替え)
を可能にするための装置です。MBSUは、S0トラス上に既に4基設置されていますが、
使用されるのは、2つ目の太陽電池モジュールが到着する12Aフライトからになりま
す。
・ビデオ支柱支持アセンブリ(Video Stanchion Support Assembly: VSSA)支柱 4本
支柱の1本は、STS-114の第3回目の船外活動でP1トラスのTVカメラ取り付け時に使
用されます。残りも今後のフライトでトラスへの外部TVカメラや、浮動電位測定装
置の取り付けに使われる予定です。
3.5-3
STS-114 プレスキット 3章
3.6 多目的補給モジュール(MPLM)
多目的補給モジュール(Multi-purpose Logistics Module: MPLM)は、与圧補給品を国
際宇宙ステーション(ISS)へ運ぶ輸送モジュールでありイタリアによって3基が開発さ
れました。3基にはそれぞれ「レオナルド」、「ラファエロ」、「ドナテロ」という愛称が
付けられています。STS-114で飛行するのは、2号機の「ラファエロ」で、3回目の飛行
となります。
MPLMは、シャトルの貨物室に乗せて打ち上げられ、ISSのロボットアーム「カナダ
アーム2」でISSのユニティ下側の共通結合機構(Common Berthing Mechanism: CBM)
に結合して、中からクルーがラックや補給品をISS内に搬入します。その後、ISSから
回収するものや不要品をMPLMに詰め込んだ後、CBM機構を外して再びシャトルの貨
物室に積み込み、地球へ帰還します。
今回の飛行でMPLM内には、シャトルが修復不可能な状態になり、シャトルクルー
がISSに緊急避難して救難シャトルが来るまでのしばらくの間、生活できるように緊急
用の食料、医薬品、衣服、消耗品などが大量に搭載されます。また、ISS滞在クルー用
の食料品・補給品、実験ラック1台、船外活動用の装置などが搭載されます。
図3.6-1 MPLM(1号機のレオナルド) (NASA HPより)
コラム3-7
MPLM
MPLMはイタリアが開発しましたが、所有権は米国にあります。これは、米国の実験
時間の一部をイタリアに与える代わりにMPLMの開発をイタリアが担当したためです。
MPLMの全長は6.6m、外部直径は4.5m、内容積76.4m3(ラック搭載時の内部容積は
31.1m3)、構造重量は約4,077kg、荷物を運搬する際の最大搭載重量は、約9,072kgです。
MPLMのCBMハッチ開口部は他の与圧モジュールと同様で、縦横1.3m×1.3mあります。
これに対して、ドッキング中のシャトルからISSに物資を搬入する際は、与圧結合アダ
プター2(Pressurized Mating Adapter-2: PMA-2)のハッチを通るため直径約60cm以上
のものは持ち込めません。
3.6-1
STS-114 プレスキット 3章
図3.6-2 MPLM内部での作業状況 (5A.1フライト(2001年3月))(NASA HPより)
「ユニティ」(結合モジュール1)
MPLM
図 3.6-3 ISSにMPLMを取り付けた状態 (Lockheed Martin社のHPより)
3.6-2
STS-114 プレスキット 3章
図 3.6-4 MPLM内に搭載して運ばれる実験ラックHRF-2 (NASA HPより)
このHRF-2(Human Research Facility-2)実験ラックには、冷蔵・遠心分離装置、直
線加速式体重測定装置、ワークステーションコンピュータ、肺機能測定装置が搭載され
ており、米国実験棟「デスティニー」内へ設置されます。
放射線測定装置、超音波診断装置、肺機能測定装置、ワークステーションコンピュー
タ等を搭載したHRF-1ラックは、2001年5月に既にデスティニーに運ばれています。
3.6-3
STS-114 プレスキット 3章
3.7 米国のISSでの材料曝露実験装置
MISSE(Materials ISS Experiment:ミシー)は、スーツケース形状の容器(Passive
Experiment Container: PEC)内に設置されており、設置後、ふたを開いて材料試料の
曝露を開始します。それにより、様々なサンプル素材(塗料などのコーティング材、潤
滑材、太陽電池、光学部品、大型のアンテナやソーラーセイルに使うための膜材料など)
をISSの船外に設置でき、材料を劣化させる紫外線や原子状酸素に曝して、宇宙空間で
の使用に適した丈夫な材料を探すためのものです。
当初、MISSE #3,#4を設置する予定でしたが、コロンビア号事故の影響でシャトルの
打ち上げが遅れたため、#5を先に設置することになりました。MISSE #3,#4は、STS-114
の次のフライトであるSTS-121で設置される予定です。
詳細は以下のNASAラングレー研究センターの以下のホームページを参照下さい。
http://misse1.larc.nasa.gov/
図3.7-1 MISSE #2を設置する7A.1のEVAクルー
(NASA HPより)
3.7-1
STS-114 プレスキット 4章
4 ミッションに関する知識情報
4.1 船外活動(EVA)について
4.1.1
船外活動(EVA)とは
宇宙飛行士が宇宙船の外で行う各種作業のことを、船外活動(EVA)と呼びます。
世界で初めてのEVAは、1965年3月18日(米国時間)に旧ソ連のヴオスホート2号で
レオノフ宇宙飛行士によって行われました。
一方、米国初のEVAは1965年6月3日(米国時間)、ジェミニ4号のエドワード・ホ
ワイト宇宙飛行士によって行われました。
宇宙飛行士がエアロック(宇宙空間への出入り口として使う気圧調整用の部屋)
を通って宇宙船の外に出て作業する場合には、真空や高温、低温といった宇宙空
間の過酷な環境から宇宙飛行士を守るために、船外活動用の宇宙服を着用しなけ
れ ば な り ま せ ん 。 こ の 宇 宙 服 の こ と を NASA で は 船 外 活 動 ユ ニ ッ ト
(Extravehicular Mobility Unit: EMU)と呼んでいます。この宇宙服には小型の生
命維持装置が取り付けられており、宇宙で作業を行うために様々な機能が備わっ
ています。
この船外活動ユニットは、体温を保持したり、有害な紫外線、宇宙線や微小な
宇宙塵から体を守り、宇宙飛行士が安心して船外で作業を行うことが出来ます。
(1)ISS建設におけるEVAの必要性
国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)の組立てには1,260時間
(約200回)以上の船外活動(Extra-vehicular Activity:EVA)が必要となります。シャト
ルで運んで単純にロボットアーム等を使用して結合させただけではISSは使えません。
現在のロボットアームの能力には作業スピードや精密さの点で限界があり、細かい作
業は人間が行わざるを得ない状況です。打上げ時に固定していた打上げ固定具の解除、
電力・通信・流体配管の接続、壊れやすい小型の機器や実験装置の取り付け、故障し
た装置の交換、機器等の設置場所の移動など様々なEVA作業が必要になります。
(2)エアロック、宇宙服の選択
ISSにはエアロックが2つあります。1つは、米国が開発したジョイント・エアロック
「クエスト」で、もう1つはロシアの「ピアース」です(エアロックに関しては4.1.4項
(4.1-13ページ)を参照下さい)。基本的には、米国側部分の作業を行う場合には、米国の
船外活動用宇宙服(Extra-vehicular Mobility Unit:EMU)を使い、ロシア側の作業を
行う場合にはロシアのオーラン-M(Orlan-M)宇宙服を使用します。シャトルがISSにド
ッキングしている間であれば、シャトルのエアロックも使用することが出来ます。
4.1-1
STS-114 プレスキット 4章
(3)シャトルでのEVAとISSでのEVAの違い
NASAはISSの建設開始までにシャトルで41回のEVAを行っています。シャトル単独
でのEVAとISSでのEVAの大きな違いは以下の通りです。
・シャトルのEVAの場合、誤ってEVAクルーが投げ出されてしまっても、シャトルが
救出しに行くことが出来ますが、ISSの場合はシャトルのドッキング解除に時間がか
かったり、シャトル不在時にも単独でEVAを行うことがあり、シャトルに依存するこ
とは出来ません。このため、セルフレスキュー用の装置として、ISS建設用にEVA時
のセルフレスキュー推進装置(Simplified Aid For EVA Rescue:SAFER)が開発され
ました。(詳細は、4.1.5項(2)⑤(4.1-21ページ)を参照下さい)ISSで米国のEMUを使う
場合にはSAFERの装着が義務づけられています。
・シャトルのEVAではシャトルの貨物室の内側や、その近くで作業を行いましたが、
ISSでの作業の場合は構造物から遠く離れた場所で作業を行うことがあり、このため、
温度低下が激しくなり、シャトル用の宇宙服では冷えすぎることが分かりました。
このため、冷却水の循環を緩やかにしたり、指先にヒーターを装着したりする改良
が行われました。その他にもヘルメットに取り付けるTVカメラ・照明の改良、バッ
テリの改良、二酸化炭素吸収キャニスターを再利用可能なタイプにするなどの改良
が行われています。このような宇宙服の改良や、ISSでのEVA作業方法の検証、新し
いEVA工具の検証はシャトルでのEVA時に開発試験として行われていました。
STS-87(1997年11月)で土井宇宙飛行士が行ったEVA開発飛行試験もその一環でし
た。
・ISS組立てでは、EVA回数が多いため、EVA準備作業の1つであるプリブリーズ(体内
の窒素抜き)時間を減らす必要がありました。このため、ISS用として新たにエクササ
イズ・プリブリーズという手法が開発され、プリブリーズ時間を大幅に削減しました。
(詳細は4.1.6項を参照下さい)。
(4)EVA時の注意点
EVA時には、宇宙飛行士が誤って宇宙船から離されないように、安全、かつ確実に
船外活動を行うことが要求されています。これは、移動する際に2本のテザーを使用し
て、1本は必ずどこかに固定しておき、誤って手や足の固定を外してしまっても宇宙船
から離されないようにするためです。テザーの使用は、高所作業で使われている命綱
と同様の役割となります。
また、アンテナや実験装置等の繊細な機器を足で蹴って壊したりしないように注意
しなければなりません。さらに、鋭利な箇所で宇宙服を破かないよう注意する必要も
あります。このため、触ったり、近づいてはいけない場所が決められています。EVA
訓練時には、そのような場所にも注意して訓練が行われています。
4.1-2
STS-114 プレスキット 4章
4.1.2
宇宙服及び関連システム概要
EVA を実施するためのシステムは、次の 3 つの要素から構成されます。
①船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit:EMU)
②エアロック
③EVA工具、EVA支援機器
これらはさらに幾つかの要素から構成されます。
EVA を実施するためのシステム
船外活動ユニット(EMU)
エアロック
ハッチ
生命維持システム(LSS)
主生命維持システム(PLSS)
水酸化リチウムカートリッジ
制御パネル
EMU 支援設備
エアロック
アンビリカル
バッテリ
表示制御モジュール
(DCM)
二次酸素パック(SOP)
その他
宇宙服アセンブリ
上部胴体/腕部
下部胴体
ヘルメット
集尿具
グローブ
ドリンクバッグ
心電計キット
通信用ヘッドセット
EMU ライト
冷却下着
TV カメラ
図 4.1-1
EVA を実施するためのシステム全体の構成概要
4.1-3
EVA 工具
EVA 支援機器
STS-114 プレスキット 4章
4.1.3
米国の宇宙服(EMU)
米国の宇宙服である船外活動ユニット(EMU)は宇宙飛行士を宇宙環境から保
護するとともに宇宙飛行士の生命を維持して、船外活動を行うための装置です。
EMUは大きく2つの部分から構成されます。EMUの重さは約120Kgです。
① 宇宙服アセンブリ
② 生命維持システム
EMUは計画上、約7時間のEVAが可能です。ただし、酸素の消費量には個人差
があるため、実際にはもう少し長時間の作業が行われることがあります。
EMUは、米国のハミルトン・サンドストランド(Hamilton Sundstrand)社が製
造しています。
図 4.1-2 EMUの構造
(出典:National Space Transportation System Reference.
Volume 1 Systems and Facilities)
4.1-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
(1)宇宙服アセンブリ
宇宙服アセンブリのサイズは、胴体、腕、脚、グローブと各パーツ毎にとりそ
ろえられているので、その組合せにより使う人のサイズにほぼ合うようになって
います。
宇宙服は、温度の維持や圧力の確保、微小隕石からの保護等のいろいろな役目
を持つ14層(冷却下着(図4.1-8参照)の3層を含む)の生地で構成されています。
2 層:冷却下着表層
(ナイロン/スパンディックス)
1 層:冷却下着(ナイロンの織物)
14 層:耐熱、微小隕石保護カバー
(最外層:ゴアテックスとノーメックス。裏地は
ケブラー)
3 層:冷却下着
冷却水チューブ
7∼13 層:耐熱、微小隕石保護層
(多層断熱材(計 7 層):アルミ蒸着マイラー)
4 層:気密維持層
(ポリウレタンでコートされたナイロン)
図 4.1-3
5 層:気密維持層を
拘束する層(ダクロン)
6 層:耐熱、微小隕石保護層
(裂け目防止加工されたネオプレーン
でコートされたナイロン)
宇宙服を構成する 14 層(素材には商標名を使用)
①
上部胴体/腕部
宇宙服の上半身にあたる上部胴体の胴の部分は硬いグラスファイバー製でで
きており、この上から全体を保護服で覆うことにより厳しい外部環境から体を
守るようになっています。この胴の部分に両腕、背中の主生命維持システム、
胸の部分の表示制御モジュールが取り付けられており、着用時にはヘルメット、
下半身、グローブを取り付けて使用します。
図4.1-4 上部胴体の胴の部分
(ハミルトン・サンドストランド社HPより)
4.1-5
STS-114 プレスキット 4章
②
下部胴体
宇宙服の下半分で、この下部胴体の最上部の腰部リングが、宇宙服の上下を装
着するときの接合部となります。
図4.1-5 下部胴体
(ハミルトン・サンドストランド社HPより)
③
グローブ
グローブは、手を保護するとともに指先を動かして、ある程度の細かい作業が
できるように作られています。指先は力を感じやすいようにシリコンゴムででき
ています。
なお、STS-82(1997年2月)から使用されるようになった新しい宇宙服は、ISS
用に改良されたものであり、低温環境にも耐えられるように指先にヒーターがつ
けられています。
図4.1-6 改良型のグローブ
(ハミルトン・サンドストランド社HPより)
4.1-6
STS-114 プレスキット 4章
④
ヘルメット
ヘルメットはEVAクルーの頭部を熱環境や衝撃等から保護します。内側には与
圧を確保するための耐圧性の透明なプラスチック容器があり、その上に後頭部の
カバーや太陽からの強烈な日ざしを緩和するために金でコーティングしたバイ
ザーや可動式の3枚(正面と両横)の日除けが装備されています。
作業用の照明として使われるEMUライトは、このヘルメットの上に取り付け
られます。
金でコーティング
したバイザー
(収納状態)
可動式の日除け
(収納状態)
図4.1-7
宇宙服のヘルメットと土井宇宙飛行士 (NASA HP より)
通信用ヘッドセット(Comm Cap)
マイクロフォン、イヤフォン、電子回路などを組み込んだ柔らかい布製の帽子
で頭にかぶって使用します。マイクロフォンとイヤフォンは、2個ずつあり、同
時に故障しないよう別系統となっています。この帽子はNASAでは、スヌーピー
キャップと通称されています。
⑤
⑥
冷却下着
冷却下着は宇宙服を着用する前に着る柔軟性のあるスーツで、スーツ、冷却水
パイプ、酸素還流パイプから構成されます。
この冷却下着は、作業中に暑くなりすぎないように素肌に着用します。細いパ
イプの中を流れる冷却水で上昇した体温を冷やします。また、心電計や放射線被
曝量を管理するための線量計を収めるポケットも取り付けられています。
図4.1-8に冷却下着を示します。
4.1-7
STS-114 プレスキット 4章
図4.1-8
冷却下着(STS-87 の土井宇宙飛行士とウインストン・スコット宇宙飛行士)
(NASA HP より)
⑦
集尿具
EVA作業中はトイレに行けないため、使い捨ての大人用サイズの紙おむつ
(Maximum Absorption Garment:MAG)を冷却服の下に着用します。
心電計キット(Biomed kit)
EVA中のクルーの心電図データは地上でモニターされていますが、そのために
使われる電極、コード、信号調整器その他の小物から構成されます。
⑧
飲料水バッグ(Drink Bag)
約621ccの飲料水を入れるバッグであり、宇宙服胴体内側のヘルメットのネッ
クリングのすぐ下側に取り付けます。
⑨
⑩
フードスティック
包装ごと食べられる棒状に加工したフルーツで、布製の袋に入れて飲料水バッ
クにマジックテープでとりつけます。ただし、現在では宇宙飛行士からの要望が
ないため準備はされていません。基本的に、EVA前に食事をとることがすすめら
れています。
EMUライト
ヘルメットにとりつけて使用するライトで、4灯のランプを個別に点灯できま
す。照射角度の調整も可能であり、使われているニッケル水素電池は軌道上(船内)
で充電や交換が可能です。
⑪
4.1-8
STS-114 プレスキット 4章
TVカメラ
宇宙服のヘルメットの上にとりつけてEVAクルーの視野と同じような光景を
見られるようにしたTVカメラで、映像は無線でシャトルやISS、地上に中継され
ます。初期段階のシャトルのEVAで試行的に使われた後、使われなくなっていま
したが、ISS組立開始後に改良されたタイプが再び使われるようになりました。
TVカメラとしては、3.5mmのワイドレンズ、6mmレンズ、12mmのクローズア
ップレンズの3種類があり切り替えて使用します。
⑫
トラブル発生時には、船内のクルーや地上の専門家がこのカメラからの映像を
見ることにより、状況を素早く把握することができます。またEVAクルーが見て
いるのと同じ映像を見ながら直接作業指示が出せるため、予定外の作業の追加や
作業状況の確認が行えるなど、運用性は大きく改善されました。
EMU ライト
TV
カメラ
(3 台)
図4.1-9
EMUライトとTVカメラ (NASA HPより)
4.1-9
STS-114 プレスキット 4章
(2)生命維持システム(Life Support System:LSS)
LSSは、宇宙服の内部気圧と温度をコントロールし、呼吸用の酸素や電力を供
給する他、通信機能を提供するシステムであり、宇宙服の背中に取り付けられて
います。万一故障などで酸素が供給できなくなった場合に備えて、バックアップ
用の二次酸素タンクも装備してあります。
宇宙服内は、約0.3気圧(4.3psia)の純酸素で満たされており、その環境をLSS
が維持します。生命維持システムは主に以下の機器から構成されています。
・主生命維持システム(Primary Life Support System:PLSS)
・水酸化リチウム(LiOH)カートリッジ、または、再生利用が可能なISS用の
METOXと呼ばれるキャニスター
・バッテリ
・表示制御モジュール(Display and Control Module:DCM)
・二次酸素パック(Secondary Oxygen Pack:SOP)
① 主生命維持システム(PLSS)
PLSSは、シャトルの宇宙服を、他の機器や装置などから独立して使用できる
ようにするものであり、内部気圧と温度を制御するほか、酸素や電力を供給しま
す。宇宙服内の空気は、PLSS内の水酸化リチウムカートリッジで余分な水分、
二酸化炭素、その他の有害物質等を取り除いて再循環されています。また、外部
との音声通信や心電図データ、酸素消費量等を知らせるための通信装置や、宇宙
服にトラブルが発生した時の警告警報機能があります。
アンテナ
通信装置
警告警報システム
水酸化リチウム
カートリッジ
サブリメータ
(冷却器)
循 環 フ ァ ン
/ポンプ/モータ
バッテリ
冷却水タンク
主酸素タンク
酸素レギュレータ
図 4.1-10
PLSS の構成
(写真は、ハミルトン・サンドストランド社HPより)
4.1-10
STS-114 プレスキット 4章
② 水酸化リチウム(LiOH)カートリッジ
水酸化リチウムカートリッジは、水酸化リチウム、活性炭、微粒子フィルター
の3層からなり、呼吸用酸素の浄化のために次の機能を果たします。
・水酸化リチウム層での二酸化炭素の吸着
・活性炭層での微量成分(有害ガス)の吸着
・微粒子フィルターでの固体の微粒子や水酸化リチウムの塵の拡散防止
LiOHカートリッジは使い捨てのため、使用後は船内で交換されます。また、
現在はISSでのEVAに備えて開発された再利用式のMETOXキャニスターも使わ
れています。EMUではどちらでも使用可能でキャニスターの再生はクエストエ
アロック内の再生装置で高温の空気で加熱することで再利用されます。
図4.1-11 METOX キャニスター
(ハミルトン・サンドストランド社HPより)
③ バッテリ
宇宙服のバッテリには、銀亜鉛電池(26.6 AH:重量4.3kg)を使用しており、EMU
の全ての電気機器の電源となります。通常のEVA作業(6∼8時間程度)を行うには
問題のない容量です。PLSSの背中に装着して使用し、使用後は、軌道上で交換
され、充電されます。また宇宙服を着た状態のまま、エアロックの電力・流体供
給用ケーブルを経由して一時的に充電することもできます。
図4.1-12
EMU バッテリ(ハミルトン・サンドストランド社 HP より)
4.1-11
STS-114 プレスキット 4章
④ 表示制御モジュール(Display and Control Module:DCM)
表示制御モジュールは、宇宙服の胸部に装着されており、宇宙服の状態表示と
各機器の調節を行うためのものです。通信機器、温度調節、換気、電力系統、宇
宙服内の気圧等の制御が可能なほか、警告警報システムも装備しています。
またエアロック内にいる間は、宇宙服で消費する酸素、電力はできるだけ節約
するため、電力・流体供給用ケーブル経由で電力等が供給されます。
図 4.1-13 表示制御モジュール(DCM)の外観
(出典:EVA SUITS AND LIFE SUPRORT SYSTEMS G.LUTZ 1/10/91)
⑤ 二次酸素パック(Secondary Oxygen Pack:SOP)
SOPはPLSSが故障したり、PLSSの酸素が枯渇するといった緊急時に、自動的
に切替わり、最低30分間、生命維持装置のバックアップとして酸素を供給します。
SOPはPLSSの下部に装着されます。緊急用の装備であるため、SOPは地上でし
か再充填はできません。
酸素タンク
レギュレータ
図 4.1-14
二次酸素パック(SOP) (ハミルトン・サンドストランド社 HP)
4.1-12
STS-114 プレスキット 4章
4.1.4
エアロック
エアロックは、EVAの際に宇宙船から出入りするための設備です。エアロック
を使うことにより、宇宙服を着たクルーは船室全体の気圧を下げることなく宇宙
船に出入りすることができます。EVA開始前の宇宙服の装着や各種準備作業、
EVA終了後の宇宙服の消耗品再充填などもエアロックで行われます。
(1)シャトルのエアロック
シャトルのエアロックは、以前はミッドデッキ内に設置されていましたが、オ
ービタの改修時に順次旧型のエアロックは取り外され、現在では、カーゴベイに
設置されたISSとのドッキングシステム(Orbiter Docking System:ODS)をエア
ロックとして使用しています。
シャトル・
エアロック
(ODS)
図4.1-15
シャトルエアロック(ODS)の設置位置
(NASA HPより)
ISS とのドッキング機構
エアロックハッチ
オービタ船内との
接続部
図 4.1-16
シャトルのエアロック
4.1-13
機首方向
STS-114 プレスキット 4章
(2)ISSのエアロック
ISSには、米国製の「クエスト」と、ロシア製のDC-1「ピアース」の2つのエア
ロックがあります。クエストでは米露どちらの宇宙服を使用したEVAでもできるよ
うな設計になっていますが、ピアースではロシアのオーラン宇宙服を使用したEVA
にしか使用できません。(ただし、クエスト内の機器の設置が完全には済んでいな
いためロシアの宇宙服はまだ使えません)
米国のエアロックは、減圧時に大半の空気を船内にポンプで回収しますが、ピア
ースのエアロックは、空気を船外に排気して真空にします。なお、シャトルのエア
ロックもピアース同様、空気は船外に排出しています。
工具収納箱(2 個)
エアロック
ハッチ
エアロック
「クエスト」
高圧ガスタンク
「ユニティ」
「ザーリャ」
図4.1-17
米国のエアロック「クエスト」(ISS の下方から見た写真) (NASA HP より)
図4.1-18
クエストの内部
4.1-14
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 4章
ピアース
(DC-1)
図4.1-19
ロシアのエアロック「ピアース」(NASA HP より)
4.1-15
STS-114 プレスキット 4章
4.1.5
EVA 工具、EVA 支援機器
船外活動(EVA)を行う際には、クルーの安全な船外での移動を支援する機器や、
厚いグローブをはめて作業するための特殊な工具類が使われます。ここではその
代表的な機器を示します。なお、EVA工具は現在も新たな工具の開発や改良が行
われており、その種類は増えています。
(1)移動支援機器、足場等の固定機器
① セイフティ・テザー
セイフティ・テザーは、クルーをスライドワイヤに繋ぎ止めておくための伸縮
式のワイヤ・ケーブルであり、腰の固定具に取りつけて使用します。使用の際に
はリールケースに腰の固定具を取りつけ、反対側のEVAフックをスライドワイヤ
側に取り付けます。
セレクタ(選択)レバーをアンロック位置にするとケーブルは自動的に巻き取ら
れてゆるみが除かれます。ロック位置にするとケーブルの巻き取りはされなくな
ります。ロック/アンロックのどちらの位置でもケーブルを引くとケーブルを引
き出すことができます。
STS-114からは、シャトル下面のタイル点検もカバーできるように、従来の
55ft(16.5m)から延長した85ft(25.5m)のセイフティ・テザーが新たに開発されま
した。テザーの交換回数も少なくなるため、検査用だけでなく通常のEVA作業用
としても、一部実際に使われる予定です。
BRT
テザー
ハンドレール
ミニワークステーション
セーフティ・テザー
図4.1-20
宇宙服に装備された各種 EVA 工具
4.1-16
EVA カメラ
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 4章
② スライドワイヤ
スライドワイヤはオービタの貨物室の両外側やISSの外壁に取りつけられてい
るワイヤであり、EVA中の宇宙飛行士が誤って宇宙船から離れていかないよう安
全を確保するために使われます。各ワイヤには2つのスライダーがついており、
ここにセイフティ・テザーの端のフックを取りつけます。スライドワイヤとセイ
フティ・テザーを組み合わせて使うことにより、クルーは広い範囲で行動するこ
とができます。
スライドワイヤ
図4.1-21
シャトルのスライドワイヤ
(NASA HP より)
③ ハンドレール
クルーが移動する時につかむ手すりのことで、シャトルでは、貨物室の両側や
前方と後方の隔壁に取り付けられています。
また、ISSでも、多数のハンドレールが取り付けられており、新しいEVA工具
と併用することで、身体の固定や、小型の機器の固定等にも使われます。
④ テザー
EVA作業時に機器を一時的に繋ぎ止めておくためのベルト状のロープで、手首
テザーはEVA機器を使用中や移動中に失わないために利用し、腰部テザーはEVA
中のクルーを宇宙船に繋ぎ止めておく(セイフティ・テザーに繋ぐ)ために使用し
たり、他のクルーを繋ぎあわせておくために使います。 手首テザーや腰部テザ
ー以外にも、様々な長さや機能を持つテザーが準備されています。なお、テザー
フックは取り外すためには2アクションが必要な設計となっています。
レバー
図4.1-22
腰部テザー (JAXA 撮影)
4.1-17
誤作動防止のため、
ここを握った後に、
下のレバーを握らな
いとフックは開かな
い設計になってい
る 。( 単 純 に 物 が 当
たっただけでは開か
ない仕組み)
STS-114 プレスキット 4章
⑤ 関節付きポータブル・フット・レストレイント
(Articulating Portable Foot Restraint:APFR)
APFRは、可動式の関節部を持った船外活動用の足場であり、APFRに足を固
定した宇宙飛行士自らが、ヨー方向、ロール方向の2軸の角度を調整レバーで変
更することができます。これにより、作業時の無理な姿勢を減らして、作業がし
やすくなります。また、これとは別に、関節のないPFR (Portable Foot Restraint)
というものもあります。
ロール軸制御
レバー
かかと固定部
ブーツ・
プレート
ヨー関節
(背面に隠れている)
ヨー軸制御
レバー
ロール関節
負荷調整用リミッター
ピッチ関節
固定ノブ
ピッチ関節
APFR 取付部(WIF)
図4.1-23 APFR(Articulating PFR)
(出典:EVA checklist STS-88(JSC-48024-88))
図4.1-24
SSRMSの先端に取り付けたAPFRで足場を固定したクルー
(NASA HPより)
4.1-18
STS-114 プレスキット 4章
⑥ 宇宙飛行士身体固定用テザー(BRT:Body Restraint Tether)
BRTは、EVAの際に宇宙服側にBRTの一端をとりつけ、他端をハンドレールに
固定することにより、両手を自由に作業に使えるようにするための工具であり、
ISSの組立に備えて開発された新しい機器です。
また、クルーの両手を自由にした状態で機器をBRTで把持したまま移動する用
途にも使用できます。なお、BRTの中央部は柔軟に曲げられるフレキシブル構造
になっています。
BRTの評価試験は、土井宇宙飛行士がEVAを実施したSTS-87(1997年11月)等
で実施されました。
把持部
(エンド
エフェクタ)
ロックボタン
フレキシブル部
フレキシブル部の
堅さを調整す
る締め付け部
宇宙服への取付部
(出典:EVA checklist STS-87(JSC-48024-87))
図4.1-25
BRT(Body Restraint Tether) (JAXA 撮影)
4.1-19
STS-114 プレスキット 4章
(2)宇宙服の装備品及び、EVA工具
① ミニ・ワークステーション(Mini-Workstation:MWS)
ミニ・ワークステーションは、宇宙服の胸に取り付けて使用し、EVA工具を固
定したり、作業場所で伸縮式のテザーによって自分の身体やEVA工具を繋ぎ止め
たりするのに使用されます。
② EVAカフ・チェックリスト
EVA作業の手順や宇宙服の不具合対応などを記したチェックリスト(簡単な手
順書)であり、宇宙服の袖口(カフ)にはめて作業します。
③ 手首ミラー
宇宙服の手首に伸縮性のベルトでとりつけ、胸に装着している表示制御モジュ
ールの表示等をこのミラーに反射させて読みとるために使用します。(ヘルメット
装着時に自分の胸部は見えないからです。)
④ ピストル型パワー・ツール(Pistol Grip Tool:PGT)
PGTは、バッテリ駆動式の電動工具であり、ネジ/ボルトの締め付け、緩め作
業に使用できます。PGTは、作業で使うためのトルクや回転数を何通りも設定で
きるようになっています。地上の民生品と比べるとコンパクトでかつ、正確なト
ルク調整が出来る特徴があります。
PGTは、STS-82(1997年2月:ハッブル宇宙望遠鏡の2回目の修理ミッション)
から使われるようになりました。また、土井宇宙飛行士がSTS-87で使用した後、
STS-88(1998年12月)以降のISS組立ミッションでは主たる作業用工具として活
躍しています。
図4.1-26 PGT(Pistol Grip Tool)
出典:http://www.swales.com/products/power_tools/pistol_grip.html
4.1-20
STS-114 プレスキット 4章
⑤ EVA時のセルフレスキュー用推進装置
(Simplified Aid For EVA Rescue:SAFER)
SAFER は、EVA 中の宇宙飛行士が誤って宇宙空間に放り出されたりした場合
に、自ら飛行して宇宙船に帰還できるようにするための小型の推進装置で、宇宙
服の背中の生命維持装置下部に取り付けられています。
SAFER は、初期のシャトル飛行段階に使用された有人飛行ユニット(Manned
Maneuvering Unit:MMU)の小型版であり、機能は MMU とほぼ同等ですが、
推進剤タンクの容量を減らしたり、一部の機器を省略する等により小型化されま
した。しかし一番の違いは使用目的であり、MMU が EVA 中の自由飛行を目的
としたのに対し、SAFER はセルフレスキュー用であり ISS 組立時の米国の EVA
では宇宙服に必ず装着する事になっています。このため、SAFER は非常時以外
は使用されません。
表 4.1-1
SAFER と MMU のサイズの比較
縦
横
奥行
重量
推進能力(∆V)
SAFER
35 cm
66 cm
25 cm
38 kg
3m/秒
MMU
127 cm
84 cm
68 cm
152 kg
20m/秒
シャトルで EVA を行う場合は、飛ばされた EVA クルーをシャトルで追跡して
救助することができますが、シャトルが ISS とドッキングしていたり、シャトル
がいないときに ISS 上で EVA を実施しているような場合には救助することが出来
なくなります。このような場合に備えて、ISS で米国製宇宙服を用いて EVA を行
うクルーは、SAFER を必ず装着することになっています。
SAFER は、窒素ガスを使う小型のジェットエンジン(24 基装備)を 13 分間噴射
することができ、元の場所に帰還したり、EVA クルーの姿勢を安定状態に戻すこ
とができます。
SAFER はクルーが一人で着脱でき、右下の部分にある収納部から取り出した
ハンドコントローラを宇宙服の胸の表示制御モジュール部に装着することにより、
片手で 6 自由度の制御を行うことができます。
なお、今回の STS-114 では、新しく改良した SAFER を運びます。改良箇所は、
EVA クルーが SAFER を使用してシャトルのタイルの損傷をカメラで撮影できる
ようにする(OBSS 等のトラブルで他に対処法が見つからない場合の予備的な手
段です)ためにハンドコントローラの固定方法を改良しました。これにより、両
手が空くようになるためカメラの撮影を行うことが出来るようになります。
SAFER は STS-64(1994 年 9 月)で初めて試験飛行を行い、EVA 中の自由飛行
テストに成功しました。その後、STS-76(1996 年 3 月)、STS-86(1997 年 9 月)
4.1-21
STS-114 プレスキット 4章
で機能確認試験が行われた後、ISS の第 1 回組立フライトである STS-88(1998
年 12 月)から実用装備されるようになりました。
図4.1-27
SAFER を装備した EVA クルー(8A フライト) (NASA HP より)
図4.1-28
SAFER を確認する野口宇宙飛行士
4.1-22
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 4章
⑥ その他の EVA 工具
これまでに示したのは、ほんの一部のEVA工具であり、その他各種工具が用意され
ています。
・EVAクレーン(Orbital Transfer Device: OTD):STS-87で土井宇宙飛行士が試験を行
った手動式のEVAクレーン
・EVAクルー及び機器移動補助(Crew and Equipment Translation Aid: CETA)カー
ト:ISSのトラス上を移動するための手動で移動する台車
・小型作業プラットフォーム(Portable Work Platform: PWP)
:作業用の足場と固定台
・その他、EVA工具箱、35mmフィルム式カメラ(ニコンF5)、ハンマー、ハサミ、ラチ
ェットレンチ、トラッシュ・バッグ、Dハンドル、トルク・マルチプライヤー 等
・EVA用デジタルカメラ
なお、STS-114では、2005年3月にISSに運ばれたEVA用のデジタルカメラ(Kodak
DCS 760の改造型:カメラ本体はNikon F5)が使用されます。これまで船内では同タ
イプのデジタルカメラを使用していましたが、オービタやISSの損傷状況等を写真で
地上にすぐに送れるようにするためにEVA用のカメラもデジタル化されました。こ
れに伴い、気密ハウジングに収納した船外用のフラッシュも新たに開発されました。
4.1-23
STS-114 プレスキット 4章
4.1.6
EVA の運用(プリブリーズについて)
EVAは単に宇宙服を装着して船外に出て仕事をして戻ってくるといった簡単
なものではなく、船外に出る際には、何時間もかけて周到な準備をする必要があ
ります。作業が終わって船内で通常の状態に戻るためにも、定められた手順を経
なければなりません。 ここでは、その中でもプリブリーズと呼ばれる減圧症の
予防手順を紹介します。
プリブリーズ(Prebreathe)
宇宙服を着用した状態で精密な作業をするには、できるだけ宇宙服内の圧力を
下げて、真空の宇宙空間に対して宇宙服内が風船のように膨れ上がるのを防止す
る必要があります。特に指を曲げられるようにしないと物をつかむことができな
くなります。そこで、現在のNASAの宇宙服は約1/3気圧(4.3psi)の圧力で作業を
行うよう設計されています。(ロシアの宇宙服は約0.4気圧(5.7psi)と若干高いため
プリブリーズ時間は短くなりますが、作業性は劣ります。) しかし、宇宙服の圧
力が低いと、船内圧力から宇宙服着用時の圧力へ低下させる時に減圧症を引き起
こす可能性が発生します。
私たちが通常呼吸する大気の中には窒素(大気成分の約78%が窒素で、酸素は
約21%)が含まれていますが、圧力を急激に低下させると、この体内にとけ込ん
でいた窒素が血液中に微少な泡となって生じ、細い血管を詰まらせるベンズと呼
ばれる減圧症の一症状を引き起こします。
プリブリーズは、この減圧症を防ぐために実施される手順であり、EVAの実施
までに体内にとけ込んだ窒素成分を、酸素を呼吸しながら体外へ追い出すもので
す。
①シャトルのプリブリーズ手順(図4.1-31に概略を図示しています)
現在シャトルで使用されている手順は、以下のようなものです。
・マスクを装着して100%の酸素を約60分呼吸した後、シャトルの船内気圧を1
気圧(14.7psi)から約0.7気圧(10.2psi)に下げ、12時間以上(すなわち1晩以上)
その状態に保ちます。(シャトルの船室内)
・宇宙服内の窒素を追い出し、100%の酸素を40∼75分間呼吸した後、宇宙服
を約1/3気圧(4.3psi)に減圧し、エアロックを減圧し、ハッチを開けてEVA作
業を開始します。(シャトルのエアロック内)
②ISSのプリブリーズ
最近の研究の結果、運動をしながらプリブリーズを行うと、体内に溶け込ん
だ窒素の排出が早まることが判りました。このため、酸素マスクを装着して純
酸素を呼吸するプリブリーズ中にエクササイズ(自転車こぎ)を行う新しい「エ
クササイズ・プリブリーズ」を採用することにより、2 時間 20 分でプリブリー
ズを終了させることができるようになりました。すなわち、EVA 準備開始から
4 時間半で船外へ出ることが可能となり、シャトルの EVA 時の 18 時間以上と
4.1-24
STS-114 プレスキット 4章
比べて大幅に準備作業を短縮させています。この方法は、2001 年 7 月の 7A フ
ライトでテストされた後、2002 年 4 月の 8A フライトから実用化されています。
エクササイズ・プリブリーズの手順は以下のようなものです。(図 4.1-31 に
概略を図示しています)
・酸素マスクを着用し、1 気圧(14.7psi)の状態で自転車こぎを実施、各 10 分間
(上半身は筋力トレーニングを行う)
・エアロック内を約 0.7 気圧(10.2psi)に減圧
20 分間
(エクササイズ・プリブリーズ開始からここまでで 80 分)
・宇宙服(EMU)の装着
・EMU を装着した状態で 60 分間のプリブリーズ(約 1/3 気圧(4.3psi)で 100%
酸素を呼吸)を行う。その後、エアロック内を減圧し、ハッチを開けて船外へ
出る。
図 4.1-29 エクササイズ・プリブリーズに使われるサイクルエルゴメータ(デスティニー内)
(NASA HP より)
図 4.1-30
エアロック内でマスクを付けてプリブリーズ中のクルー
4.1-25
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 4章
コラム 4-1
STS-114 でシャトルのエアロックを使用する理由
2005 年 1 月末までは、STS-114 の船外活動は、最近のシャトルによる ISS 組立ミ
ッションと同様に ISS の「クエスト」エアロックを使用して、エクササイズ・プリ
ブリーズを行う予定でした。
しかし、クエスト内の熱交換器内がさびている事が判明し、2005 年 3 月中旬に熱
交換器は交換されました。交換作業は成功したのですが、交換前の 2 月の段階では
交換作業が 100%成功する保証はなかったため、宇宙飛行士の訓練や準備作業のスケ
ジュールを考えれば確実に使えるシャトル・エアロックを使うのが妥当と決定され
ました。
熱交換器内のさびは、2004 年 6 月に ISS 内の米国製宇宙服の冷却用チューブに水
が循環できないトラブルが発生し、その原因を探っていく過程で判明したものです。
なお、シャトルによる ISS の組立フライトでクエストを使い始めたのは、2002 年
4 月の 8A フライト(STS-110)の船外活動からで、それ以前はシャトルのエアロック
が使われていました。
STS-114 の船外活動では、緊急時にすぐにエアロックに戻れるようにするための
避難用のエアロックとしては、ISS のエアロックも使えます。また船外作業中には、
工具の持ち出しや、一時保管などのために、ISS エアロック内に入る事もあります。
4.1-26
STS-114 プレスキット 4章
シャトルのプリブリーズ手順 (合計約 16∼27 時間) STS-114 ではこちらを採用(船外に出るまで約 17 時間が必要です)
宇宙服内を 4.3psi へ減圧▼
▼シャトル内を 14.7psi→10.2psi へ減圧
マスクを装着しての
プリブリーズ(1 時間)
宇宙服の着用
(約 1 時間)
10.2psi に減圧した船内で 12 時間
から 24 時間過ごす(一晩過ごす)
宇宙服内の
パージ(12 分)
EVA 開始▼
宇宙服内でのプリ
ブリーズ(45 or 75 分)
エアロック減圧
(30 分)
10.2psi に減圧した時間が
12 時間の場合は 75 分
24 時間の場合は 45 分
ISS でのプリブリーズ手順
(合計約 4 時間 30 分)
(エクササイズ・プリブリーズ時)
エアロック内を 14.7psi→10.2psi へ減圧▼
マスクを装着しての
マスクを装着しての
プリブリーズ(45
分以上)
エクササイズ(各 10 分)
(
)
(
)
EVA 開始▼
宇宙服内を 4.3psi へ減圧▼
宇宙服の着用
(約 1 時間)
宇宙服内の
パージ(12 分)
計 80 分間マスクを装着
して酸素を呼吸する
宇宙服内での
プリブリーズ(1 時間)
エアロック減圧
(30 分)
psi(pounds per square inch)
14.7psi (約 1 気圧)
10.2psi (約 0.7 気圧)
4.3psi (約 0.3 気圧)
図 4.1-31 シャトルと ISS でのプリブリーズ時間の比較
4.1-27
STS-114 プレスキット 4章
4.2 スペースシャトル概要
4.2.1
スペースシャトルの概要
スペースシャトルの初号機であるコロンビア号は24年前の1981年4月12日に、2人
の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられ、3日間の飛行を行いました。
その11年後には、日本人として初めて毛利宇宙飛行士がエンデバー号で飛行しま
した。
1981年の初飛行以来、21年間で113回打ち上げられてきたスペースシャトルは、
毎年少しずつ改良が行われて、信頼性・安全性の向上、打上げ・運用費用の削減、
機能向上のための改善が図られ、また3年に1回または8回の飛行毎にオーバーホール
も実施され、老朽化によるトラブルが生じないように点検・改修が行われていまし
た。しかし不幸なことにこの間2回の事故でチャレンジャー号(STS51-L:1986年1
月)、コロンビア号(STS-107:2003年2月)を失いました。
2回の事故によりシャトルの設計上の問題点も、100%安全な乗り物ではないこと
も明らかになりましたが、国際宇宙ステーション(ISS)の組立てを完了させて役割を
終えるまでは、この2回の事故で失われた尊い犠牲を無駄にすることなく、シャトル
は飛び続けるでしょう。悲しいことではありますが、シャトルは事故を繰り返すた
びに事故前よりも格段に安全性を向上させて飛行再開を果たします。
スペースシャトルの全体図を図4.2-1に示します。また、主要諸元を表 4.2-1に示
します。
スペースシャトル・システム
全
翼
長
幅
56.1m
23.8m
ET と SRB の
取付部(片側 2 ヶ所)
外部燃料タンク(ET)
長
直
さ
径
47.0m
8.4m
外部燃料タンク(ET)
固体ロケットブースタ(SRB)
長
直
推
さ
径
力
固体ロケットブースタ
(SRB)
45.5m
3.7m
1,495 トン/(1 本)
オービタ
長
さ
37.2m
翼
幅
23.8m
着陸時の高さ 17.3m
ペイロードベイ長さ 18.3m
主エンジン推力
534 トン/(3 基合計)
図4.2-1
スペースシャトルの全体図
4.2-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
オービタには、与圧された操縦席と居住部、荷物を搭載する貨物室、人工衛星等
の 放 出 ・ 回 収 や ISS の 組 立 等 に 使 わ れ る ロ ボ ッ ト ア ー ム (Remote Manipulator
System: RMS)、打上げ時の軌道投入・軌道離脱噴射に使われる軌道制御用(Orbital
Maneuvering System: OMS)エンジン、姿勢制御や小さな軌道制御を行うための
RCS(Reaction Control System)スラスタ(小型のロケットエンジン)、打上げ時のみ使
用されるメインエンジン(Space Shuttle Main Engine: SSME) 等が装備されていま
す。
ラダー/スピードブレーキ
ペイロードベイ・ドア
RCC パネル
SSME
OMSエンジン
ペイロードベイ
展開式ラジエター・パネル
後方RCS
OMS/RCSポッド
T-0アンビリカルパネル
ボディフラップ
サイド・ハッチ
エレボン
前方RCS
RMS
ペイロードベイ・ドア・ラッチ部(代表例)
ラジエター展開ラッチ部(代表例)
図4.2-2
オービタの全体図
4.2-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
4.2.2
コロンビア号事故後に行われたシャトルの主な改良
コロンビア号事故調査委員会(CAIB)が発行した事故報告書の勧告や、NASA 独自の
見直しにより、スペースシャトルには様々な改良が加えられました。
ディスカバリー号は、飛行を停止していた期間中に CAIB 勧告を受けて約 40 項目の
改造を施されました。
ま た デ ィ ス カ バ リ ー 号 は 、 2002 年 9 月 か ら 開 始 し た OMM(Orbiter Major
Modification:オービタの大規模改修)期間中にも、100 項目以上の改造を実施し、グ
ラスコックピット(モノクロの CRT からカラー液晶ディスプレイへの変更)への換装等
を行っています。
またシャトル以外にも、射点の追尾用カメラの増強や射場設備の改修、運用手順の
改良など様々な改良が実施されています。
(1)固体ロケットブースタ(SRB)の改良
・SRB カメラの装備
各 SRB と外部燃料タンク(ET)との上部結合部に新たにカメラを追加し、ET の断
熱材の状況をモニタできるようにしました。
・ボルトキャッチャーの再設計
ET と SRB の結合部のボルトキャッチャー(分離した爆発ボルトの受け部)と呼
ばれる部分の強度不足が判明したため、新設計のものに変更を行いました。
・SRB 分離用小型ロケットモータの点火装置の改良
(2)外部燃料タンク(ET)の改良
・断熱材の脱落防止のための改良
ET の改良のうち最も大がかりなものはバイポッドランプ部の再設計であり、コロ
ンビア号事故の原因になったバイポッド部からの大きな断熱材の落下が再発しない
ように、この部分への断熱材の設置を止め、ヒータで氷や霜の付着を防ぐ設計に変更
しました。また、その他の箇所でも大きな断熱材の塊が落下しないように設計や断熱
材の吹き付け手順の変更などが行われました。
さらに、2005 年 4 月中旬に行われた ET(ET-120)への推進剤充填試験時の氷の付
着状況の解析結果を受けて、液体酸素供給配管の最上部のベローズ(蛇腹)にヒータを
追加することになり、次の STS-121 用に準備されていた ET(ET-121)と交換すること
になりました。
・ET カメラの装備
ET の上部に TV カメラを追加装備し、打上げ時の断熱材の剥がれが無いか、リア
ルタイムでモニタします。
4.2-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
液体酸素供給配管の
ベローズ部へのヒー
タ追加箇所
図 4.2-3
改良された ET (ET-121) (2005 年 3 月 5 日 ロッキードマーチン社 HP)
(3)シャトルオービタの改良
・ET の分離後の様子を撮影する新しいデジタルカメラの装備
オービタと ET の下部結合部には、従来から ET 分離時に撮影を行うカメラが装備
されていましたが、着陸後にフィルムを回収して確認する方式でした。このカメラを
デジタルカメラに変更し、飛行中に撮影した画像を地上へ送信出来るようにしました。
・センサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System : OBSS)の装備
軌道上でオービタ下部のタイルや強化炭素複合材(RCC)パネルの損傷を検査する
ため、ロボットアームで把持される延長ブームが新たに開発されました。このブーム
の先端には TV カメラと 2 基のレーザセンサが装備されています。
・翼前縁への衝突検知センサの設置
翼前縁の RCC パネルの背面に加速度センサと温度センサを追加装備し、高速で物
体が衝突した場合に、どの辺に衝突したかを把握できるようにして、軌道上での検査
箇所を絞り込むことが出来るようにしました。
・翼前縁 RCC パネル背後の翼桁の耐熱性の強化
翼前縁の RCC パネル背後の翼桁に耐熱材を追加し、小さな損傷を受けた程度では
翼の内部まで熱が侵入しないようにして翼の構造を守る比較的簡単な改善を行いま
した。
・前方 RCS 区画キャリアパネルの取り付け方法の強化
前方 RCS(Reaction Control System)区画の周辺で使われているキャリアパネルの
取り付け方法に弱点が見つかり、打ち上げ時に脱落して窓へ衝突するリスクが判明し
たため、取り付け方法を強化しました。
・着陸脚ドアの空隙部への改善
着陸脚ドアで使われている耐熱シールにデブリが衝突するとクリティカルである
ため、設計変更が行われていますが、すぐに対処可能な改良として空隙を埋める耐熱
材の設置が行われました。
・オービタの窓の強化
オービタの窓のうち、一番外側の両側面の 2 枚は、過去の飛行履歴から衝突に対す
る安全率が低いことが分かったため、より厚さのある窓への変更が行われました。
4.2-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
表 4.2-1 スペースシャトルの主要諸元
ET
オービタ
47.0m
8.4m
45.5m
3.7m
シャトル全体
56.1m
23.8m(翼幅)
23.9m(ET+オービタ垂直尾翼上部)
高さ
17.3m(着陸時)
−
−
−
全重量
約750t (推進剤含む) 全重量 約 589t/1 基 打上げ時全重量 約 2,038t
重量
オービタ重量
(搭載貨物を含む)
(推進剤含む)
720t
(SSME 3 基含む、ペイロードは含まず) 推進剤重量
推進剤重量 496t/1 基 注:ミッションにより約 2,020∼
構造重量
26.5t
コロンビア
82.2t
2,050t と異なる。
87t/1 基
(注:1998 年 6 月から使われるよ 構造重量
ディスカバリー 78.7t
う に な っ た SLWT に よ り 約
アトランティス 78.4t
3,400kg 軽量化された。旧タイプ
エンデバー
78.8t
の構造重量は 29.9t あった。)
(2000.2 月現在)
−
1,495 トン(海面上)/1 基 SSME 3 基
534 トン
推力
SSME 1 基あたり (推力 104%時)
SRB 2 基
2,990 トン
178 トン(海面上)
打上げ時合計 約 3,524 トン
221 トン(真空中)
−
−
−
その他 カーゴベイ
長さ 約 18.3m
直径 約 4.6m
ET (External Tank)、SSME (Space Shuttle Main Engine)、SLWT (Super Light Weight Tank)、SRB (Solid Rocket Booster)
全長
直径
37.2m
23.8m(翼幅)
SRB
4.2-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 4章
4.3 ケネディ宇宙センターの射場システム概要
ケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center : KSC)は、シャトルの打上げ・着陸
が行われる他にもシャトルの機体整備作業などが行われます。
シャトル・オービタの着陸から次の打上げまでの準備期間は約3∼4ケ月程度です。
オービタ整備棟(Orbiter Processing Facility:OPF)で耐熱タイルのチェック及び損傷
箇所の交換、メインエンジンの交換・整備、搭載物の取り外しと次回飛行する搭載物
等の搭載、各システムの点検・修理等の様々な作業が行われます。
整備の終わったオービタは、この後、シャトル組立棟(Vehicle Assembly Building:
VAB)に運ばれ、固体ロケットブースタ(Solid Rocket Booster:SRB)、外部燃料タン
ク(External Tank:ET)、及びオービタとの結合作業が行われます。その後、シャト
ルは射点に運ばれ、搭載物の積み込み、及び最終整備・点検を受けた後、打ち上げら
れます。
シャトル着陸施設(SLF)
シャトル組立棟(VAB)
KSC ビジター・コンプレックス
(民間施設)
射点 39A
オービタ整備施設(OPF)
O&C ビルディング
打上管制センター(LCC)
宇宙ステーション
整備施設(SSPF)
ケープカナベラル空軍基地(CCAS)
図4.3-1
ケネディ宇宙センター(KSC)施設配置図 (NASA HPより)
4.3-1
射点 39B
STS-114 プレスキット 4章
表 4.3-1にシャトルに関連するKSCの主要施設の概要を示します。
分類
機体整備
/組立
打上げ
表 4.3-1 ケネディ宇宙センター(KSC)主要施設の概要
主要設備
設備の機能
備考
OPFはシャトル用
オービタ整備施設(OPF) オービタの整備・点検
に建設。
水平状態でのペイロードの搭載
(図4.3-2参照)
シャトル組立棟(VAB)
オービタ、外部燃料タンク、
固体ロケットブースタの結合
VAB,LCC,LC-39
(図4.3-3, 図4.3-4参照)
39番射点(LC-39)
垂直状態でのペイロードの搭載。 はアポロ計画時に
最 終 整 備 、 打 上 げ ( 図4.3-5, 図 使用したものを改
修して使用。
4.3-6参照)
打 上 げ 管 制 セ ン タ ー 射場作業管制
(LCC)
打上げ管制
着陸
シャトル着陸施設(SLF) シャトルの着陸
注:LCC: Launch Control Center
LC-39: Launch Complex-39
図4.3-2
オービタ整備施設(OPF)に格納されるシャトル・オービタ (NASA HPより)
図4.3-3
シャトル組立棟(VAB) (NASA HP より)
4.3-2
STS-114 プレスキット 4章
図4.3-4 VAB 内で組み立てられるシャトル
(左写真:オービタの吊り上げ、右写真:SRB/ETへのオービタの取り付け)
(NASA HPより)
移動式発射プラットフォーム
(MLP)
クローラー・トランスポーター
図4.3-5
クローラー・トランスポーターによる射点への移動
4.3-3
(NASA HP より)
STS-114 プレスキット 4章
固定型整備構造物
(FSS)
回転式整備構造物
(RSS)
クローラー・トランスポーター
(移動を終え帰還中)
移動式発射プラットフォーム
(MLP)
図4.3-6(1/2)
39 番射点の概観 (NASA HP より)
図 4.3-6(2/2) 39 番射点の概観 ((1/2)の反対側より写した写真) (NASA HP より)
(射点での緊急時には、緊急脱出用スライドバスケットでここまで脱出し、
そばの待避壕内に待機している装甲車でさらに遠くへ逃げる。)
4.3-4
STS-114 プレスキット 4章
4.4 国際宇宙ステーション(International Space Station:ISS)について
4.4.1
ISS 計画
(1)国際宇宙ステーション計画の経緯
国際宇宙ステーション計画は、米国、ロシア、日本、カナダ、欧州(ベルギー、
デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、
イギリス、スイスおよびスウェーデンの11ヶ国)の計15ヶ国が共同で開発を行う
もので、米国航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル等を用いて平均高度約
400kmの地球周回軌道上に恒久的かつ多目的な有人施設を段階的に構築し、科学
研究を行う実験室の機能を持たせるものです。
1984年1月、米国のレーガン大統領(当時)は年頭の一般教書で「10年以内に国
際協力により宇宙ステーションの建設を行う」ことを発表し、同年6月のロンド
ンサミットにて、日本、欧州、カナダに宇宙ステーション計画への参加を招請し
ました。翌1985年の4月から6月にかけて、各国は同計画の予備設計段階への参加
を決定し、1985年から1986年の2年間に渡って予備設計作業を実施しました。こ
の宇宙ステーションは、レーガン大統領によって、1988年7月にフリーダムと命
名されたため、米国では宇宙ステーション・フリーダム計画と呼ばれていました。
1988年9月には宇宙ステーションの開発、運用及び利用の枠組みとして、米国、
日本、欧州諸国、カナダにより政府間協定(Inter-Governmental Agreement: IGA)
が署名され、翌年の6月、IGAは日本の国会で承認されました。これを受けて、宇
宙開発事業団(当時)は、
「きぼう」日本実験棟の開発に取り組みました。
コラム 4-2
ブラジルの参加
上記15ヶ国以外にブラジルも参加していますが、ブラジルはアメリカとの2国間
協定による参加であり、多国間協定での参加ではありません。
(2)国際宇宙ステーション計画の見直し
計画開始以降も、米国の財政事情等により幾度もの見直しを経験しましたが、
クリントン政権発足後の1993年2月には米国の政策変更により大幅な再設計が論
議され、それまでの計画が縮小されると同時に、同年には計画にロシアが参加す
ることが決まり、計画の名称も「国際宇宙ステーション計画(International Space
Station Program:ISSP)」に変更されました。表4.4.1-1にISSの主要諸元を示し
ます。
その後も毎年のように打上げ開始が、延期されていましたが、1998年11月によ
うやく最初の構成要素FGB「ザーリャ」が打ち上げられました。そして2000年11
4.4-1
STS-114 プレスキット 4章
月からは3名の長期滞在クルーが常駐を開始し、約3∼6ヶ月交代で作業を続けて
います。
ISSの組立が開始されてからもロシアの財政難の影響や、米国の計画費用の大
幅超過の影響を受けて、米国居住棟と緊急帰還船の開発が中止されるなど、計画
の見直しが続きました。この見直しにより、ISSの滞在クルーが3人以上では緊急
帰還させる手段が無くなるため、常駐人数を増やすことはしないことになりまし
た。国際間で数年間に渡りこの辺の調整が行われていましたが、コロンビア号事
故の発生や、米国の新宇宙政策の提唱により、情勢はさらに変動しました(5.4.4
項を参照下さい)。ISS計画としては、既に完成しているモジュールを早期に打ち
上げて組み立てることに全力を注ぐことにしています。
表 4.4.1-1
国際宇宙ステーションの主要諸元
項 目
全長
高さ
重量
電力
与圧部全容積
与圧部
実験棟数
曝露搭載物
取り付け場所
常時滞在
搭乗員数
軌道
輸送手段
通信手段
諸
元
等
約 108.5m(幅:トラスの軸方向)×約 88.4m(進行方向)
約 44m
約 453.6 トン
ロシア分を除く総発電電力 75kw(平均)
実験ユーザーの要求電力(日米欧加) 平均 30kw 以上
約 1218m3
5 実験棟
内訳:米国 2(米国実験棟「デスティニー」、セントリフュージ)、
日本 1(「きぼう」船内実験室)、
欧州 1(コロンバス)、
ロシア 1 (注:ズヴェズダは除く)
トラス上 4 箇所、「きぼう」船外実験プラットフォーム 10 箇所、
欧州コロンバスモジュールの外部
3 名(シャトル飛行中止期間中は 2 名)
平均運用高度約 400km 円軌道
軌道傾斜角 51.6 度
スペースシャトル(米国)、
ソユーズロケット、プロトンロケット(ロシア)
補給飛行用として H-IIA(日本)、アリアン 5(欧州)も使用予定。
米国の追跡・データ中継衛星(TDRS)システム、及びロシアの地上局
を主に使用。
その他、将来は日本(DRTS)、欧州のデータ中継衛星システムを使
用予定。
注:全長、重量、容積等のデータは、組立完成時のデータであり、2001 年 7 月に NASA
が発行した ISS Fact Book より引用したものです。
4.4-2
STS-114 プレスキット 4章
表 4.4.1-2 国際宇宙ステーション組立スケジュール
(過去の実績+2005 年の飛行予定まで)
打上げ日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1998.11.20
12.04
1999.05.27
2000.05.19
07.12
09.08
10.11
10.31
11.30
2001.02.07
03.08
04.19
13
14
15
16
17
18
19
20
.07.12
08.10
09.15
12.05
2002.04.08
06.05
10.07
11.23
21
22
23
2005.05
2005.07
2005.12
(調整中)
打上げ要素
フライト番号
1A/R
2A
2A.1
2A.2a
1R
2A.2b
3A
2R
4A
5A
5A.1
6A
基本機能モジュール(FGB) 愛称「ザーリャ(日の出)」
ノード 1「ユニティ(統一)」+与圧結合アダプタ(PMA)1,2
補給艤装フライト
修理保全フライト
サービス棟(SM) 「ズヴェズダ(星)」
補給艤装フライト
Z1 トラス、PMA-3
(若田 MS 搭乗)
ソユーズ TM (第 1 次滞在クルー)
(ここより搭乗員 3 名が常時滞在)
P6 トラス(太陽電池パネル、ラジエータ)
米国実験棟(U.S.LAB) 「デスティニー(運命)」
補給艤装フライト(多目的補給モジュール(MPLM)「レオナルド」) クルー交代(第 2 次)
カナダ製 ISS ロボットアーム(SSRMS)「カナダアーム 2」、MPLM「ラファエロ」、
UHF アンテナ
7A
エアロック、高圧ガスタンク 4 基
7A.1
補給艤装フライト
MPLM 「レオナルド」
クルー交代(第 3 次)
4R
ドッキング室 1(DC-1)「ピアース」
UF-1
利用フライト 1 MPLM(補給品)
クルー交代(第 4 次)
8A
S0(中央)トラス、モービル・トランスポーター(MT)
UF-2
モービル・ベース・システム(MBS)、MPLM(実験ラック)
クルー交代(第 5 次)
9A
S1(右舷)トラス、CETA(EVA クルー・機器移動補助)カート 1
11A
P1(左舷)トラス、CETA カート 2
クルー交代(第 6 次)
コロンビア号事故(2003 年 2 月 1 日)による打ち上げ延期期間
LF1
補給フライト、MPLM、ESP-2、CMG
(野口 MS 搭乗)
UFL1.1
利用補給フライト <コロンビア号事故を受けて追加>
12A
P3/P4 トラス(太陽電池パネル)
(注)表中のフライト番号の意味は以下の通りです。
A:アメリカのフライト、R:ロシアのフライト、J:日本関連のフライト、E:ESA関連のフライト、
UF:利用フライト、ULF:利用補給フライト、LF:補給フライト
上記表には、プログレス補給船、ソユーズ宇宙船(2Rは除く)のフライトは含めていません。
4.4-3
STS-114 プレスキット 4章
図 4.4.1-1 国際宇宙ステーションの全体構成図(1999 年当時の検討案)
太陽電池パドル 米国居住モジュール
放熱用ラジエータ
(注:開発中止)
科学電力モジュール <ロシア>
「カナダアーム 2」
(注:規模縮小)
ロボットアーム(SSRMS)
セントリフュージ
(生命科学実験施設)
プログレス補給船
<ロシア>
「ズヴェズダ」
(サービスモジュール)
<ロシア>
「きぼう」船外実験プラットフォーム
「きぼう」船内実験室
トラス
緊急帰還用小型シャトル
飛行方向
ノード 2
推進モジュール
地球方向
(注:計画から削除)
(注:開発中止)
「デスティニー」
(米国実験モジュール)
「コロンバス」欧州実験モジュール
図 4.4.1-1 国際宇宙ステーションの全体構成図(1999 年当時の検討案) 図:Lockheed Martin 社 HP より
4.4-4
STS-114 プレスキット 4章
プログレス補給船
「ズヴェズダ」サービスモジュール
「ピアース」(DC-1)
「ザーリャ」(FGB)
ソユーズ宇宙船
「ユニティ」(Node 1)
「クエスト」エアロック
米国実験棟「デスティニー」
図 4.4.1-2 ISS の与圧モジュール
(2001 年 12 月の STS-108/UF-1 フライトで撮影) (NASA HP より)
4.4-5
STS-114 プレスキット 4章
4.4.2
ISS の現在までの組立て状況
これまでの国際宇宙ステーション(ISS)組立フライトの状況(代表例)を以下に写真付
きで示します。(写真は全て NASA HP より、図は Lockheed Martin 社 HP より引用)
(1)2A(STS-88:1998 年 12 月)
2Aフライトでは、1A/Rフライトとしてロシアのプロトンロケットで打ち上げられ
た「ザーリャ」モジュールとシャトルがドッキングして、シャトルで運んだ「ユニテ
ィ」モジュールをザーリャに結合させました。この飛行では、組立のために、計3回
のEVAが行われました。
ザーリャ
ユニティ
図4.4.2-1
2A フライト終了後の ISS
(2)1R「ズヴェズダ」サービス・モジュール
2000年7月にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアのプロトンロケット
で打ち上げられたズヴェズダ・モジュールはザーリャ・モジュールと軌道上で無人状
態のまま自動的にドッキングしました。ズヴェズダの全長は約13.1m、重量は約19.0t
であり、ミール宇宙ステーションの中核モジュールとほぼ同じ設計のモジュールです。
ズヴェズダには、睡眠用の個室2部屋、トイレ、調理設備、食事用のテーブル等が
装備されており、宇宙飛行士の居住施設として使われています。
ズヴェズダ
プログレス補給船
図4.4.2-2
2A.2b フライト時の ISS
4.4-6
STS-114 プレスキット 4章
(3)3A(STS-92:2000年10月)
3A フライトでは、若田宇宙飛行士がシャトルのロボットアームを操作して ISS に
Z1 トラスと与圧結合アダプタ (Pressurized Mating Adapter: PMA) 3 を設置しまし
た。
Z1 トラス
PMA-3
図4.4.2-3
3A フライト後の ISS
(4)2R(2000 年 11 月 2 日ドッキング)
2R フライトでは、3 人の宇宙飛行士が搭乗したソユーズ TM 宇宙船を打ち上げ、ISS
にドッキングして有人滞在を開始しました。これ以降 ISS には常時 3 人(注:コロンビ
ア号事故後は 2 人)の宇宙飛行士が滞在しています。
(5)4A(STS-97:2000 年 11 月)
4A フライトでは、P6 トラスを ISS に運んで米国製の大型の太陽電池パドルを展開
しました。
P6 トラスと
太陽電池パドル
図4.4.2-4
4A フライト後の ISS
4.4-7
STS-114 プレスキット 4章
(6)5A(STS-98:2001 年 2 月)
5A フライトでは、米国の実験棟「デスティニー」を ISS に設置しました。これによ
り、米国側の通信、電力、環境制御、熱制御など様々な機能が確立しました。この後の
5A.1 フライトでもデスティニー内に装備するラック類が運ばれて取り付けられました。
5A.1 フライト以降、ISS での本格的な実験運用も行われるようになりました。
デスティニー
図4.4.2-5
5A フライト後の ISS
(7)6A(STS-100:2001 年 4 月)
6A フライトでは、ISS のロボットアーム(Space Station Remote Manipulator
System: SSRMS)「カナダアーム 2」が設置され、ISS の建設能力が増強されました。
カナダアーム 2
図4.4.2-6
6A フライト後の ISS
4.4-8
STS-114 プレスキット 4章
(8)7A(STS-104:2001 年 7 月)
7A フライトでは、エアロック「クエスト」が設置され、シャトルがドッキングして
いない期間中でも ISS 単独で船外活動が行えるようになりました。またクエスト外壁
に高圧ガスタンクを設置したことにより、シャトルから ISS に酸素と窒素を補給でき
るようになりました。
クエスト
高圧ガスタンク
図4.4.2-7
7A フライト後の ISS
(9)8A(STS-110:2002 年 4 月)
8A フライトでは、S0 トラスが「デスティニー」の上部に設置され、ISS のトラス構
造を組み立てる基礎ができました。
S0 トラス
MBS(Mobile
Remote Servicer
Base System)
(UF-2 で設置)
図4.4.2-8
UF-2 フライト後の ISS
4.4-9
STS-114 プレスキット 4章
(10)9A(STS-112:2002 年 10 月)
9A フライトでは、S0 トラスの右舷に S1 トラスが設置されました。
S1 トラス
図4.4.2-9
9A フライト後の ISS
(11)11A(STS-113:2002 年 11 月)
11A フライトでは、S0 トラスの左舷に S1 トラスと同じ形状をした P1 トラスが設置
されました。
P1 トラス
図4.4.2-10
11A フライト後の ISS
4.4-10
STS-114 プレスキット 4章
4.4.3
LF-1 フライト以降の ISS
LF-1(STS-114)フライト後から、国際宇宙ステーション(ISS)の形状は大きく変わって
いきます。
以下に 2005 年以降に予定されている ISS 組立フライトの概要を紹介します。
(1)12A(STS-115)フライト
LF-1 フライトの 2 つ後の 12A フライトでは、P3/P4 トラスが運ばれて、P1 トラス
に設置されます。P4 トラスには太陽電池パドルが装備されているため、ISS の発生電
力は大きく増大します。
P3/P4 トラス
図4.4.3-1
12A フライト終了時の ISS
4.4-11
STS-114 プレスキット 4章
(2)12A.1(STS-116)フライト
12A.1 フライトでは、P6 トラスを P4 トラスに移設するために必要となる小さな P5
トラスが運ばれて設置されます。また、P6 トラスの左舷側太陽電池パドルが収納され
ます。このフライトでは、それまで使われていた P6 トラスの初期能動熱制御系に代わ
って外部能動熱制御システムが起動され、本格的な排熱機能が確立します。
P6 トラスの太陽電池の片側を収納
P5 トラス
外部能動熱制御システムの
ラジエータの起動
図4.4.3-2
12A.1 フライト終了時の ISS
4.4-12
STS-114 プレスキット 4章
(3)13A(STS-117)フライト
13A フライトでは、12A と同じ様に S3/S4 トラスが運ばれ、S1 トラスに結合されま
す。また、P6 トラスの移設に備えて、P6 トラスの右舷側太陽電池パドルも収納されま
す。
P6 トラスの太陽電池の完全収納
S3/S4 トラス
図4.4.3-3
13A フライト終了時の ISS
4.4-13
STS-114 プレスキット 4章
(4)13A.1(STS-118)フライト、15A(STS-119)フライト
13A.1 フライトでは、15A フライトで運ばれる予定の S6 トラスの取付に備えて S5
トラスが S4 トラスに設置されます。
15A フライトでは、これまで長い間 Z1 トラス上で使われていた P6 トラスを本来の
使用場所である ISS の左舷側である P5 トラスの先に移設されます(本作業は、2002 年
末に 13A.1 フライトから 15A フライトに変更されました。従って、以下の図は古い情
報のままです)。また、最後の太陽電池パドルを備えた S6 トラスが 15A フライトで設
置されます。
図4.4.3-4
P6 トラスを SSRMS で把持したままトラス上を MT/MBS が移動する状況
Z1 トラスから移設された
P6 トラス
(15A フライトで実施)
S5 トラス
(13A.1 フライトで設置)
S6 トラス
(15A フライト)
図4.4.3-5
15A フライト終了時の ISS
4.4-14
STS-114 プレスキット 4章
4.4.4 シャトル/ISS の将来計画
2003 年 2 月のコロンビア号事故から 1 年後の 2004 年 1 月中旬にブッシュ大統領は、
月、火星の有人探査を視野に入れた新宇宙政策を発表しました。
この新宇宙政策によれば、ISS を 2010 年頃までに完成させ、その後スペースシャト
ルをできるだけ早く引退させることにしています。
2008年までには新しい有人探査機(Crew Exploration Vehicle: CEV)の開発試験を
行い、2014年までに有人飛行を行う予定です。スペースシャトルが引退した後は、ISS
とのクルーの往復にはこのCEVが使われることになります。CEVは、地球軌道への飛
行だけでなく、月や、将来的には火星へも宇宙飛行士を運ぶことができるような設計に
なる予定です。
そして早くて 2015 年、遅くとも 2020 年までに、月への有人ミッションを行う予定
です。そのためにも 2008 年までに一連の無人月探査を行い、将来の有人探査の準備を
行う予定にしています。
NASA はこの目標に沿って、ISS での研究目的も変更し、これまでの基礎的な科学研
究重視の姿勢から、長期の宇宙飛行に必要となる医学・生物学の研究に焦点を絞ること
にしました。
図 4.4.4-1 新宇宙政策を反映した今後の NASA 予算の予測図
(NASA HP より)
4.4-15
STS-114 プレスキット 4章
4.4.5
ISS の軌道上での姿勢
ISS の姿勢は、大きく分けて LVLH(エルブイ・エルエ
イチ)姿勢と Inertial(慣性)姿勢が使われています。
(1) LVLH(Local Vertical/Local Horizontal)姿勢
LVLH 姿勢とは、地表面に対して一定方向の飛行
姿勢をとることで、XVV(X-axis in the Velocity
図 4.4.5-1 ISS の座標系
Vector)と YVV(Y-axis in the Velocity Vector)の 2
種類の姿勢があります。
XVV は、進行方向に X 軸を向け、地球中
心方向に Z 軸を向けて飛行する姿勢です。
YVV は、進行方向に Y 軸を向け、地球中
心方向に Z 軸を向けて飛行する姿勢です。
この両者の姿勢は、ISS の+Z 側に取り付け
られた地球観測用の窓を常に地球に向けるこ
とができ、地球観測に好都合であること、ほぼ
すべての面に太陽光が当たるため、ISS の温度制
図 4.4.5-2 XVV 姿勢
御が比較的容易なことなどの特徴があります。
XVV と YVV は、効率よく太陽電池パドルに太陽光が当たるように ISS の軌道面と太陽
方向との角度によって切り替えます。
(2) Inertial(慣性)姿勢
Inertial 姿勢とは、慣性空間で一定の飛
行姿勢をとることで、ISS では XPOP
(X-axis
Perpendicular Orbit Plane)と呼ばれる姿
勢をとることがあります。
XPOP 姿勢とは、X 軸を軌道面に対して垂
直で太陽とは反対方向に向けて飛行する姿
勢です。
この姿勢は、LVLH 姿勢に比べて、
図 4.4.5-3 XPOP 姿勢
•
姿勢制御が容易
•
ISS から見た太陽の方向が常に同じ方向になるため、太陽電池パドルの指向制御を行わ
なくても発電できる
などのメリットがあります。しかし逆に、
•
常に ISS の-X 側に太陽光が当たるため、その部分が高温になりすぎ、逆に+X 側は冷え
すぎる
4.4-16
STS-114 プレスキット 4章
•
アンテナが構造物で遮蔽されて通信範囲が狭くなる
•
+Z 側に取り付けられた地球観測用の窓から地球を見ようとしても 1/4 周回分しか地球は
見えない
などのデメリットもあります。
4.4-17
STS-114 プレスキット 4章
4.5 「きぼう」日本実験棟について
4.5.1 「きぼう」日本実験棟について
「きぼう」は船内実験室、船外実験プラットフォーム、船内保管室、船外パレット及び
ロボットアームから構成されます。これらは軌道上でISSのロボットアームを用いて組み
立てられ、船内実験室はISS本体に結合されます。従って、「きぼう」の内部で作業する
搭乗員はISS本体と同様に宇宙服を着用することなく船内実験室と船内保管室を行き来
することができます。また、船内実験室には船外実験プラットフォームの実験を支援す
るロボットアームと、船外実験プラットフォームの実験試料等を出し入れするエアロッ
クが取り付けられています。
「きぼう」の概要を図 4.5-1に示します。
「きぼう」の主要緒元を表 4.5-1に、
(1)船内実験室
船内実験室は与圧環境下で搭乗員が活動できるように空気成分、湿度、空気循環
制御を行うと共に「きぼう」全体の熱制御、電力供給、通信などの管理・制御を行
うためのサブシステム機器を内部に配置しています。左右壁面には実験を行うため
10個の実験ラック、搭乗員が操作するロボットアーム操作卓を配置しています。ま
た、船外実験プラットフォームが取り付けられる側の後端には窓が2つ設けられてい
ます。
(2)船外実験プラットフォーム
船外実験プラットフォームは曝露環境下での実験をする部分で、箱型の構造本体
に装置交換機構を通じて実験用のペイロードを最大10個まで取り付けられます。構
体の内部には電力供給、通信制御、排熱用の機器を装備しています。
また、船外実験プラットフォーム上の機器を移動する主要作業はロボットアーム
を用いて実施するために、ロボットアーム操作を考慮した機器の配置及びインタフ
ェースが設定されています。
(3)船内保管室
船内保管室は「きぼう」運用に必要なシステム機器や補給品を搭載し、
「きぼう」
構成要素の中で最初に打ち上げられるモジュールです。シャトルで打ち上げられた
後、米国のノード2に仮置きされ、船内実験室の到着を待ちます。
船内実験室到着後に、ノード2から船内実験室の上に移動され、軌道上の保管庫と
して使われる予定です。
(4)船外パレット
船外パレットは、船外実験プラットフォームの実験装置の輸送に用いられます。
軌道上では、船外実験プラットフォームの先端に取り付けられます。
4.5-1
STS-114 プレスキット 4章
(5) ロボットアーム
ロボットアームは親アームとその先端に取り付けられる子アーム(精密作業用ロボ
ットアーム)から構成されます。親アームは全長約10mでその先端はISSのロボット
アームと共通の先端把持部を持ち、通常は船外実験プラットフォーム用ペイロード
の取り付けや交換に使用されます。子アームは実験用試料の交換、構造物組立実験
の支援、船外実験プラットフォームのサブシステムの保全交換などの細かい動作や
器用さを要求する作業に使用されます。
図 4.5-1
「きぼう」の概要 (JAXA HP)
表 4.5-1
船内実験室
形
式
直径(m)
長さ(m)
空虚重量(t)
搭載ラック数
または
ペイロード数
電 力
通信制御
環境制御
搭乗員数
寿 命
「きぼう」の主要諸元
船外実験
補給部
プラット
船内保管室
船外
フォーム
パレット
円筒型
円筒型
フレーム型
箱型
4.4 (外径)
4.2 (内径)
11.2
4.4 (外径)
4.2 (内径)
4.2
幅4.9
高さ1.8
3.6
幅5.0
高さ4.0
5.6
ロボットアーム
親子方式
6自由度アーム
(親アーム長さ)9.9
(子アーム長さ)1.7
1.6
親アーム取扱い重量
最大7t
子アーム 最大300kg
15.9
4.2
1.1
4.0
実験室用
ペイロード
ペイロード
ラック総数23
ラック 8
3個
10個
(実験ラック10ラ
ックを含む)
最大25kw、120V直流
32ビット計算機システム、高速データ伝送(Max 95Mbps)
ISS本体からの空気の供給を受けて、空気環境および温度制御を行う
通常2名、時間制限付きで最大4名
10年以上
4.5-2
STS-114 プレスキット 4章
4.5.2 「きぼう」開発の経緯
日本は、ISS計画には、独自に開発した「きぼう」日本実験棟で参加しています。以
下は開発の経緯です。
①1985年から2年間実施した予備設計で、基本構成、基本的な機能性能要求が設定され、
本格的開発の準備を整えました。
②1990年1月から実施された基本設計は、1992年7月の基本設計審査で完了し、基本仕
様を確認しました。これと並行し実施された開発基礎試験では、環境制御系や通信制
御系等の要素技術の確立や、耐宇宙環境用の部品の開発を行いました。
③1992年3月から着手した詳細設計は、1998年2月に詳細設計審査その2を実施して、最
終仕様を確定し、維持設計に着手しました。
④エンジニアリングモデル(Engineering Model:EM)を使用して、1998年9月まで全体
システム試験が実施されました。
⑤実際に飛行するプロトフライトモデル(Prototype Flight Model:PFM)は、2000年5
月に船内保管室が輸送されたのを手始めとして、各部が各社の工場から筑波宇宙セン
ターへ輸送され、2001年9月に最後の船内実験室が運ばれました。
⑥2001年秋から2002年5月にかけて筑波宇宙センターに全て揃った構成品をつないで
の全体システム試験が行われました。
⑦2003年5月には、船内実験室がNASAケネディ宇宙センターへ運ばれて、2004年3月
までISSの他のモジュールとの組み合わせ試験が行われました。
⑧その後、機能維持試験等を行いながら保管され、スペースシャトルでの打上げを待ち
ます。
85
86
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
予備設計
開発基礎試験
エンジニアリングモデル(EM)の製作/試験
フライトモデル(PFM)の製作/試験
▲米国へ輸送
米国での
試験
保管
運用
▲最初の「きぼう」
構成要素の打上げ
(予定)
図 4.5-2
きぼうの開発スケジュール(概要)
4.5-3
STS-114 プレスキット 4章
4.6 野口宇宙飛行士が搭乗する
スペースシャトル/ISS を見てみよう
国際宇宙ステーションは、宇宙を飛行する最も明るい人工物として見えています(0
∼-1 等星程度:高度が高く条件が良ければ明るくなります)。シャトルが組み立ての
ためにドッキングする時には、明るい宇宙機であるシャトルと ISS とが合わさって、
さらに明るく見えるため、都市周辺のような明るい場所でも軌道の条件次第で見るこ
とは可能です。
このような機会を通して、宇宙をより身近なものとして感じてもらうために、JAXA
ではホームページ等を通じて可視情報の提供を行っています。
以下のアドレスに、スペースシャトル及び ISS の探し方、可視時間に関する情報、
一般の方々から送られてきた ISS の写真等を掲載しています。
http://kibo.tksc.jaxa.jp/
以下に JAXA が提供している可視情報のサンプルを示します。
図 4.6-1
星図の中に示された ISS の飛行軌跡(例)
4.6-1
STS-114 プレスキット 5章
5
コロンビア号事故からシャトルの飛行再開へ向けて
5.1 STS-114 飛行再開ミッションの意義
STS-114(Space Transportation System: STS)はコロンビア号事故以来、初めてのシ
ャトル飛行再開ミッションとなります。
以後のページで詳しく示すように、コロンビア号事故調査委員会(Columbia Accident
Investigation Board: CAIB(ケイブ))は事故報告書の中で飛行再開に関わる 15 件の勧告
を行いました。STS-114 は、この勧告を全て満たした上での飛行となります。すなわち
シャトル改良後の検証フライトという位置付けです。勧告に従い、コロンビア号事故の
直接の原因となった外部燃料タンクは大幅な設計変更が加えられ、断熱材の脱落防止の
ための様々な改良が行われました。打ち上げ時には、地上からのカメラ、レーダ、そし
て機体に搭載したカメラで上昇中の機体の外観を撮影し、機体に損傷が無いかどうか点
検を行います。ミッション中には宇宙飛行士がロボットアームを使用してシャトルの機
体点検を行います。また野口宇宙飛行士が担当する船外活動(宇宙遊泳)では、シャト
ルの耐熱システムを補修する試験も実施される予定です。
シャトル飛行再開の可否は、独立評価組織である飛行再開タスクグループが行います。
打ち上げ 1 ヶ月前に、CAIB の飛行勧告に対する NASA の対応状況を判断して飛行が
可能かどうかを NASA 長官に対し報告することになっています
約 2 年半の間、シャトルによる物資補給を受けられなかったため、国際宇宙ステーシ
ョン(International Space Station: ISS)はロシアのプログレス補給船を使っての補給
を受けるのみでした。そのため、ISS ではコロンビア号事故前まで、3 名の宇宙飛行士
が長期滞在していましたが、シャトルの飛行停止に伴い 2 名体制に切り替えての運用を
余儀なくされてきました。STS-114 では ISS への物資補給を実施するとともに、ISS
内の機器の補修作業も予定されています。シャトル飛行再開以後は、ISS は 3 名の長期
滞在体制に復帰できる見込みとなっています。
シャトルが飛行停止していた間に米国の新しい宇宙政策が発表され、米国の有人宇宙
飛行は新しく開発する宇宙往還機で月や火星の有人探査を行う方針となりました。しか
し、シャトルが安全に飛行を再開させ、ISS の組み立てを終えない限りは、月・火星探
査も将来の夢に過ぎません。一歩一歩確実に技術を蓄積させ、安全に太陽系内の有人探
査を進めていくためには、シャトルの飛行再開は避けては通れない道です。
STS-114 は後続のシャトルフライトのために、ISS の定常運用のために、そして将来
の有人宇宙飛行のために道を切り開かねばならない、かってないほど重要な飛行なので
す。
5-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
5.2 コロンビア号事故からの経緯(事故概要、原因、NASA の対応)
(1)コロンビア号事故の概要
2003年2月1日(米国及び日本時間)、スペースハブモジュールを使用した科学実験を行
ったSTS-107(コロンビア号)は、7名のクルーを乗せてケネディ宇宙センター(KSC)へ向
けて帰還中でした。ハワイ上空付近で大気圏に突入し、スピードと高度を落としながら
テキサス州上空を通過中であった米国中部標準時間2月1日07時59分32秒(日本時間2月
1日22時59分32秒、GMT 13時59分32秒)に高度約62km(約20万1,000フィート)、速度マ
ッハ18.3の状況で地上との間の音声交信が途絶え、その後レーダによる追跡も途絶えま
した。この直後、飛行中のシャトルが空中分解し、残骸がテキサス州の中央部から東部
にかけて落下したことが報告されました(NASAのフライトコントローラも地元TV局の
緊急生中継で空中分解を確認)。着陸まであと16分という地点での事故でした。
NASAは、同08時18分に緊急事態を宣言し、チャレンジャー号事故の後に作られてい
た緊急時行動計画(Contingency Action Plan)を発動しました。
図5.2-1
STS-107クルー (NASA HPより)
(左から、デイビッド・ブラウン、船長のリック・ハズバンド、
ローレル・クラーク、カルパナ・チャウラ、マイケル・アンダーソン、
パイロットのウィリアム・マッコール、イスラエル人のイラン・ラモーン)
5-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
(2)コロンビア号事故調査委員会の発足と事故原因の究明
NASA のオキーフ長官は発動された緊急時行動計画の一環としてコロンビア号事故
調査委員会(CAIB)の長としてハロルド・ゲーマン Jr.退役海軍大将を任命しました。
事故発生から数時間もしないうちにブッシュ大統領は、テキサス州東部を連邦災害地
域に指定し、米連邦緊急事態管理局(FEMA)と環境保護局(EPA)のチームを緊急派
遣しました。さらに地元の警察官や郡警察、州兵、ボランティア、地元住民が捜索や警
備に加わりました。過去に例を見ない広大なデブリの散乱状況に直面して、NASA と
FEMA は、林野部(Forest Service:または森林局)の消防隊員を主要探索チームとす
ることにしました。
陸上からの捜索・回収以外にも空からの捜索や水中での捜索も行われるなど、大がか
りな回収作業が 2 ヶ月以上に渡って続けられました。集められた残骸は全て KSC に送
られて、どこの部品であるかの識別が行われ、事故原因の究明に役立てられました。
コラム 5-1
回収されたコロンビア号の残骸の量
2003 年 5 月 6 日に最後のトラックが KSC に到着し、合計で 83,743 個の破片が運ば
れました(その後も見つかり次第回収はされており、約 9 万個が回収された模様で
す)。見つかった残骸の重量は、38.46 トンとなり、帰還時のコロンビア号の乾燥重
量 101.01 トンの約 38%に達しました。(残りは燃え尽きたか、回収できないほどの細
かさになって四散したと想定されています。)
図 5.2-2
KSC の格納庫内に集められたコロンビア号の残骸の一部
(2003 年 5 月 15 日) (NASA HP より)
5-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
これらの回収によって、事故に関する貴重な情報が得られました。1 つは、コロンビ
ア号の各部の温度や圧力、姿勢の変動などのデータを記録した磁気テープ式のデータレ
コーダがほぼ無傷で回収されたことであり、もう 1 つは、強化炭素複合材(Reinforced
Carbon Carbon: RCC)パネルの残骸の大半が見つかったことです。RCC の破片の回収
地点から、西で見つかったものほど最初に損傷を受けて剥離したものであるため、この
点から左舷の翼の RCC パネルに破損があったことが分かりました。
コロンビア号の打ち上げ 81 秒後に、外部燃料タンク(External Tank: ET)の断熱材の
塊がシャトルの左翼に衝突し、粉々になっていたことが打ち上げ翌日には通常の映像確
認作業を通じて把握されていましたが、NASA は断熱材のような比重の軽い物体が翼に
大きな損傷を与えるとは考えていませんでした(さらに飛行中は、衝突箇所は脆弱な
RCC パネルではなく、タイルに衝突したと想定されていました)
。このため、CAIB は、
実際に断熱材の破片を実物の RCC パネルに衝突させる試験を行うこととし、
その結果、
実際に大きな穴が空くことを証明しました。
また、回収された左翼の RCC パネルの破片を詳細に解析した結果、RCC パネル 8, 9
番付近が最も高温に曝された痕跡が残っていました。衝突試験や破片の解析結果、コン
ピュータによるシミュレーションなどの様々な解析の結果、CAIB は左翼の RCC パネ
ル 8 番の下部に穴が生じていた可能性が最も高いと結論づけました。
CAIB は、公聴会を何度も開き、専門家からの意見を集めて、事故原因を究明すると
共に、再発を防止するための勧告を作成し、事故発生から 7 ヶ月後となる 2003 年 8 月
26 日(米国及び日本時間)に 248 ページの最終報告書(第 1 分冊)を発行しました。この中
には計 29 件の勧告(飛行再開までに対応が必要な勧告 15 件を含む)が含まれていま
した。
2003 年 10 月 29 日には残りの第 2∼第 6 分冊(第 1 分冊を作成する際に利用した技
術文書や記録、データ集)を公開し、これをもって CAIB は解散しました。
5-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
飛行再開までに対応が必要な 15 件のCAIB勧告(要旨)
(下線を引いた 3 つの勧告は 2005 年 6 月 27 日の時点で処置が完了していないもの)
① R3.2-1
外部燃料タンク(ET)の熱防護システムを改良すること
② R3.3-1
非破壊検査技術を取り入れた RCC の地上検査を実行すること
③ R3.3-2
オービタを強化し、RCC, 耐熱タイルの耐衝撃性を向上させること
④ R3.4-1
シャトル打ち上げ時の地上からの撮影能力を強化すること
⑤ R3.4-2
ET 分離時の高解像度画像を地上へ送信する機能を提供すること
⑥ R3.4-3
搭載カメラでシャトル上昇中に翼周辺の撮影能力を有すること
⑦ R4.2-1
ET 分離時の分離ボルト対策を実行すること
⑧ R4.2-3
最終工程作業は 2 人以上で実行すること
⑨ R4.2-5
異物混入の定義を統一すること
⑩ R6.2-1
実情に見合ったシャトル飛行スケジュールを採用し、維持すること
⑪ R6.3-1
ミッション・マネージメント・チーム(MMT)は非常事態訓練を受けること
⑫ R6.3-2
軌道上のシャトルを撮影するため国家画像地理局との協定を改訂すること
⑬ R6.4-1
RCC, 耐熱タイルの軌道上での検査、修理方法を開発すること
⑭ R9.1-1
独立した技術・工学権限保持者の設置, 安全部門の独立, シャトルプログラ
ム組織の再編を行うと共に、状況を議会に毎年報告すること
⑮ R10.3-1
トラブル時の対処用に最終工程写真をデジタル化しておくこと
CAIB の 15 件の飛行再開(Return to Flight: RTF)勧告に対して、NASA は RTF 実施
計画書(NASA’s Implementation Plan for Space Shuttle Return to Flight and
Beyond)を作成して対応((3)項を参照のこと)しました。
NASA の RTF 実施計画書が、CAIB 報告書の勧告を正しく理解して対応しているか
確認するために、2003 年 7 月に NASA とは独立した評価組織である飛行再開タスクグ
ループが編成されました。このタスクグループは、元宇宙飛行士のトーマス・スタフォ
ード(ジェミニとアポロで 4 回の飛行を経験)とリチャード・カビー(シャトルで 4 回の飛
行を経験)が共同で議長を務めており、スタフォード-カビー・タスクグループとも呼ば
れ て いま す。 評 価結 果は 宇 宙飛 行リ ー ダシ ップ 委 員会 (Space Flight Leadership
Council:SFLC)に報告され、シャトル飛行再開の 1 ヶ月前に NASA 長官に最終報告書
を提出する予定です。
従って、シャトルの飛行再開が可能かどうかを決めるのは、NASA 自身ではなく、こ
のタスクグループの判断によることになります。
5-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
図 5.2-3 左翼に断熱材が衝突した瞬間の写真
(CAIB 報告書より)
図 5.2-4
断熱材が剥落したバイポッ
ド・ランプと衝突した左翼前縁の RCC
パネル(赤丸で囲った部分) (CAIB 報告
書より)
図 5.2-5
コンピュータで再現した断熱材が衝突する軌跡(CAIB 報告書より)
5-6
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
図 5.2-6
地上で再現した RCC パネル 6 番への断熱材の衝突試験 (衝突の瞬間)
(CAIB 報告書より)
図 5.2-7
地上での断熱材の衝突試験の結果、大きな穴が空いた RCC パネル 8 番
(CAIB 報告書より)
コラム 5-2
破片の衝突速度と生じた穴の推定値
CAIB 報告書によれば、落下した断熱材は、大きさ 48.3×29.2×14cm、重量 758g(1.67
ポンド)、翼に衝突した時の速度は時速 887km であったと推測されています。
また、その後の NASA の見解によれば、コロンビア号の左翼の RCC パネル 8 には 6∼16
インチ(約 15.2∼40.6cm)の穴が空いていたと推定されています。
5-7
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
(3)NASA の対応
CAIB 報告書の公開を受け、NASA は CAIB 勧告にいかに対応していくかを整理した
RTF 実施計画書を作成し、進捗状況に合わせて絶えず更新しています。以下に図 1.2-8
を基にして NASA の対応概要を紹介します。
①断熱材落下防止
②打上時の状態監視
③軌道上熱防護システム点検
④判断
⑤修理実施
修理不要
⑥ISSへの緊急避難
搭乗員帰還
図 5.2-8 NASA の対策の流れ
①外部燃料タンク(ET)からの断熱材の落下防止【CAIB 勧告 R3.2-1 に対応】
コロンビア号事故の原因は、ET のバイポッド部から断熱材が落下したことでしたが、
調べてみると STS-107 だけではなく、STS-7, STS-32, STS-50, STS-52, STS-62,
STS-112 と過去 6 回の飛行でも、打ち上げ時にバイポッド・ランプの断熱材が落下し
ていました。
コラム 5-3
バイポッド・ランプ
オービタと外部燃料タンク(ET)との結合は,前方1箇所、後方2箇所で固定されていま
す。前方の1箇所は、バイポッドという2本のV字状の円柱で固定されていますが、その
ETとの取り付け側は、氷が付着しないように断熱材で覆われていました。この断熱材は、
空気の流れを整流するためにくさび形をしていたため、バイポッド・ランプ(傾斜部)
と呼ばれていました(図5.2-10参照)。
事故後残っていた打ち上げ前の ET のバイポッド・ランプの断熱材を切開して点検し
たところ、多数の気泡や異物の混入、断熱材の吹き付け施工時の層間の剥離といった欠
5-8
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
陥が見つかりました。このため、ET への断熱材の吹き付け施工手順の改良が行われま
した。バイポッド・ランプのように落下すると大きな破片が生じる箇所の断熱材につい
ては念入りに設計変更を行い、削除または縮小することになりました。
バイポッド取り付け部については、断熱材で覆うことを止めて、代わりにヒータで保
温することにより、氷や霜の塊が付着するのを防ぐことにしました。これらの努力によ
り、改良型の ET では、0.03 ポンド(約 14 グラム)以上の破片は落下しないと保証でき
るようになりました。
図5.2-9
コロンビア号が飛行する2つ前のシャトルフライト(STS-112) でも
同じバイポッド・ランプの断熱材が剥落していました(CAIB 報告書より)
バイポッド(bipod)
バイポッド・ランプ
図5.2-10 バイポッド取り付け部の断熱材の設計変更
(左:事故前、右:事故後改良された設計)
(Lockheed Martin社HPより)
5-9
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
液体酸素供給ライン・ベローズ部へ
バイポッド部
の氷の付着防止(ヒータの追加等)
インタータンク・
フランジ(タンク間
結合部)
液体酸素 PAL(整流)ランプ
図5.2-11 断熱材の剥落防止のためのETの設計変更箇所
(NASA STS-114 Press kitより)
厳密に品質管理され、改良された吹き付け手順で施工された断熱材の中でも、容積が
大きいPALランプ部分には新しく導入された非破壊検査(テラヘルツ波を使った検査、
後方散乱X線検査)が、STS-114とSTS-121用のETで実施され、欠陥がないことが確認
されました。
さらに、2005年4月中旬に行われたSTS-114用のET(ET-120)への推進剤充填試験時の
氷の付着状況の解析結果を受けて、液体酸素供給ラインの最上部のベローズ(蛇腹)部に
ヒータを追加することになり、次のSTS-121用に準備されていたET(ET-121)と交換す
ることになりました。
5-10
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
②打上げ時の状態監視【CAIB勧告R3.4-1, R3.4-2, R3.4-3に対応】
・機体撮影の強化
打ち上げ翌日に行われている打ち上げ映像の詳細点検時に、ETからの断熱材が落下
して左翼に衝突したことが確認されていました。しかし、整備不良でピントがぼけてい
たうえ、他のカメラは角度の問題で肝心な部分の映像が確認できなかったため、断熱材
の衝突という問題の重要性を飛行中に明らかにする事は出来ませんでした。このため、
既存のカメラの再整備(高精細度テレビカメラ(HDTV)やハイスピードカメラへの交換
を含む)を行い、能力を強化すると共に、設置場所の見直しや、多数の新しい追尾用カ
メラの設置が行われました。
図5.2-12 追尾用カメラ(上:長距離用、下:移動可能タイプ) (NASA HPより)
5-11
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
またシャトル自身もETやオービタに装備したカメラで撮影を行うほか、2機の航空機
からの撮影や、新たに設置した地上レーダによる落下物の監視(SRB回収船の1隻には
このためのレーダを追加装備しました)など、動員可能な機材をすべて集め、打ち上げ
から軌道投入までのシャトルの状況を撮影することになりました。なお、これらのカメ
ラでの撮影を有効にするため、飛行再開後最初の2回のシャトルの打ち上げは昼間に行
うことになりました。
図5.2-13
3基の各レーダが撮影可能なシャトルの姿勢状態
5-12
(NASA HPより)
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
・翼前縁衝突検知センサの装備
翼前縁の各RCCパネルの裏側には加速度センサと温度センサが新たに追加され、打
ち上げ時や軌道上での飛行時に翼前縁へデブリが衝突した際の検知能力を確認します。
これにより、軌道上でセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System:
OBSS)による点検が必要なエリアを将来は絞り込めるようになると考えられています。
各翼から収集されたデー
タは、船室へ送られ、ク
ルーがラップトップコン
ピュータを使って地上へ
送信する
⑤ラップトップコンピュ
ータのワイヤレス受信機
で、④からのデータを収
集し、地上へ送信する
④PC 側のリレーユニット
が、③のセンサ側のリレー
ユニットからのデータを
ケーブル経由で収集する
③センサ側のリレーユニットが
②のセンサユニットで処理され
たデータを無線で収集する
②上昇中及び、軌道上で加速度と温度
センサからのデータを計 44 個のセン
サユニットが収集・記録・処理する
①各翼の加速度センサ 66
個、温度センサ 22 個でデ
ータを取得
図5.2-14 翼前縁の衝突検知センサの設置状況
5-13
(NASA STS-114 Press kit)
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
③軌道上での熱防護システムの点検【CAIB勧告R6.4-1の一部に対応】
・センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)の搭載
STS-107では、ロボットアームを搭載していなかったため、船内から左翼の衝突箇所
を点検することが出来ませんでした。このため、飛行再開後のシャトルには全てロボッ
トアームが搭載されることになりました。しかし、従来のロボットアームだけでは下面
のタイルや右翼の付け根など確認できない箇所が多いため、新たにセンサ付き検査用延
長ブームを開発して搭載することになりました。この延長ブームをシャトルのロボット
アームで把持することにより、大半の箇所を軌道上で点検することが出来るようになり
ました。この延長ブームには、TVカメラと、小さな損傷まで精密に検知するための2
台のレーザセンサが装備されています。この延長ブームによる点検は、飛行2日目と4
日目に実施されます。また、飛行3日目にはシャトルのロボットアームのカメラを使っ
て、船室上部のタイルの状況を点検する予定です。
コラム 5-4
コロンビア号がロボットアームを搭載していなかった理由
これまでロボットアームを使用しないシャトルミッションでは、ロボットアームは基
本的に外して飛行していました。外して打ち上げることにより、約387kgの重量を減ら
せたので、その分、実験装置等の搭載に余裕が出るためです。
図5.2-15 OBSSを使用した軌道上での熱防護システムの損傷検査のイメージ
(MDRobotics社 HPより)
(注:STS-114 では、実際にはタイルではなく RCC パネルを点検します)
5-14
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
・ISSからのシャトルの熱防護システムの撮影
飛行3日目のISSとのドッキング前には、ISS滞在クルーが望遠レンズを付けた手持ち
のデジタルカメラを使ってシャトルの耐熱システムの撮影を行います。このため、今後
の飛行では、シャトルはISSから約180m下方で360度回転してタイル面が撮影できるよ
うにする新たな運用が追加されました。
④判断(NASA文化の改善を含む)
【CAIB勧告R6.3-1に対応】
いくらシャトルを改良したり、データを入手したりしても、それを判断すべきマネー
ジャが放置してしまえば、コロンビア号事故と同様な事故を引き起こしてしまう事にな
ります。このため、シャトル飛行中に様々な決断を行うミッション・マネージメント・
チーム(MMT)会議の実施方針を変更すると共に、飛行再開まで何度も繰り返しシミュ
レーションを行う事で、問題を見逃さない能力と問題解決能力の向上を図ることとなり
ました。これまでは、
「
(誰も特に)問題はないですね?」と確認していただけでしたが、
事故後は「何か問題はありますか?」と各出席者に確認することにしています。また、
NASAの文化自体を改善するために、外部のコンサルタントに各センターの状況を調査
してもらい、改善を行うアプローチも実施しています。
シャトルを整備する現場では、これまでは潜在的な問題を提起すると、たいしたこと
でもないのにスケジュール遅れの原因になると上司からにらまれる気まずい雰囲気が
ありましたが、事故後は問題を提起することは良い事であると奨励する風潮に変更させ
ました。
図5.2-16
2004年11月にヒューストンのミッション管制センター内に設置された
新しいMMTコマンドセンター (NASA HPより)
5-15
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
⑤修理の実施【CAIB勧告R6.4-1の一部に対応】
もし、耐熱タイルや翼前縁のRCCパネルといった熱防護システムに損傷が生じてい
た場合は、新たに開発した補修材で損傷部を修理する事になります。この作業を行うに
は船外活動が必要となります。しかし、一度も宇宙で試した事のない修理をいきなり行
うのは危険性が高いので、STS-114とその次のSTS-121では、船外活動時に熱防護シス
テムの補修試験を行い、実用化する上で問題がないか調べる事にしています。
また、船外作業クルーの足場を確保しないと周辺のタイルをよけいに損傷させてしま
う事になるため、難しい作業となります。このための各種検討が続けられています。
熱防護システムの修理に関しては技術的難易度が高いため、いろいろな修理技術の開
発が現在も続けられています。STS-114では各種修理機材を搭載すると共に、簡単な試
験を船内と船外で行う予定です。
タイル修理、RCC修理共に、まだ開発試験段階であり、問題点も残っています。こ
のため、飛行試験で採用された方法とは別に、より現実的で簡単な修理技術の開発が現
在も並行して進められています。詳細は3.3項を参照下さい。
図5.2-17
RCCパネルの修理技術のイメージ
5-16
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
⑥ISSへの緊急避難(救難用シャトルの準備)
【CAIB勧告には無いがNASA独自で対応】
最初の2回の飛行再開ミッション(STS-114, STS-121)で、シャトルに修理できないよ
うな深刻な損傷が見つかった場合は、クルーをISSに緊急避難(NASAはこのことをsafe
heavenあるいはCSCS(Contingency Shuttle Crew Support)と呼んでいます)させた上
で、前のシャトルの打ち上げから45∼58日以内に救難用のシャトルを打ち上げてクル
ーを救出するミッションを行う予定です。損傷したシャトルは、必要な消耗品や機器を
ISSに運び込んだ上で、ISSから分離され、無人のまま再突入させて、南太平洋の無人
区域に安全に投棄する事になります。
コラム 5-5
救難用シャトルを打ち上げるまでに要する日数
救難用シャトルの準備要求としては、STS-114の場合で45日以内(実際には緊急事
態発生を宣告してから35日以内に地球へ帰還させる事を目標)。
STS-114の次のフライトである、STS-121の場合で58日以内に打ち上げを行うとされ
ています。
このため、STS-114で打ち上げられるディスカバリー号だけでなく、アトランティス
号(救難用シャトルSTS-300)の打ち上げ準備も並行して進められています。
また、STS-114では、このISSへの緊急避難も考慮して、シャトルクルー7名がISSに
避難してISS滞在クルー2名に合流する事を想定した、追加の食料、酸素、飲料水、衣
類等の消耗品を運ぶ事になっています。
なお、
「⑤修理の実施」と、
「⑥ISSへの緊急避難」は、リスクを伴うため、あくまで
も最後の緊急避難的な対応であり、NASAは「①外部燃料タンク(ET)からの断熱材の落
下防止」に力を入れてきました。STS-114のコマンダーのアイリーン・コリンズや他の
宇宙飛行士を含む大勢のNASA関係者は、STS-114はこれまでに飛行したシャトルの中
では最も安全なシャトルになるというのが、一致する見解です。
5-17
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
(4)コロンビア号事故から飛行再開までの動き
コロンビア号事故発生から約2年の間にシャトル、ISSを取り巻く状況は大きく変わ
りました。この間の飛行再開に向けての動きを以下の表に示します。
表5.2-1
コロンビア号事故から飛行再開までの主な動き(1/2)
年月日
主な動き(実績)
(米国時間)
2003年2月1日 コロンビア号事故発生、CAIB発足。
5月3日 第6次ISS長期滞在クルーの帰還により、ISS滞在クルーの人数は3名
から2名に減少。
(ISS滞在クルーの交代はシャトルからソユーズ宇宙船に変更)
7月25日 NASAが、独立評価組織であるスタフォード・カビー飛行再開タス
クグループのメンバを指名。
8月26日 CAIBが最終報告書を発行。CAIBは10月末に解散。
9月 8日 NASAがRTF実施計画書の初版を発行。
10月3日 飛行再開時期を2004年9月に延期。STS-121(ULF-1.1)ミッションの
追加を発表。
11月7日 STS-114の追加クルー3名を発表。
2004年1月14日 ブッシュ大統領が新宇宙政策を発表。これを受けてスペースシャト
ルは2010年のISS組立完了後に退役することになった。
1月20日 飛行再開タスクグループが第1回中間報告書を発行。
2月19日 飛行再開時期を2005年3月6日以降に延期。救難用シャトルSTS-300
のコンセプトをNASAが発表。
10月29日 連続したハリケーンによるKSC施設への被害の影響を考慮し、飛行
再開時期を2005年5月12日以降とすることを発表。
12月13日 NASAのオキーフ長官が辞任を表明。
(2005年4月13日に、ジョンズホプキンズ大学応用物理研究所のマ
イケル・グリフィン博士が新長官に任命されました)
2005年1月5日 改良された外部燃料タンク(ET)をKSCに搬入。
2月18日 打ち上げを5月15日以降とすることを発表(打ち上げ時の日照条件を
調整)。STS-114でのTPS軌道上修理オプションの見直しを発表。
3月29日 ディスカバリー号をオービタ整備施設(OPF)からシャトル組立棟
(VAB)へ移動。
4月7日 STS-114をVABから射点39Bへ移動。
5-18
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
表5.2-1
コロンビア号事故から飛行再開までの主な動き(2/2)
年月日
主な動き(実績/予定)
(米国時間)
4月14日 ET-120への推進剤の充填試験。(2年間も打ち上げが行われなかった
ため、今回特別に実施。改良後のETへの氷の付着状況などを確認。)
4月14日 第11次長期滞在クルーをソユーズ10Sで打上げ。
4月20日 打上げを5/15から5/22まで1週間延期することを決定。
4月29日 NASAがSTS-114の打上げウインドウを7/13∼7/31へ延期すること
を発表。(ETの改良がさらに必要なことと、4/14の試験でトラブルが
発生したことを受けて、ET/SRBを交換することになった。)
5月4日∼6日 STS-114最終カウントダウン・デモンストレーション試験(TCDT)
5月20日 ET-120への2回目の推進剤の充填試験
5月26日 ディスカバリー号を射点からVABに戻してETを交換(ET-120から
∼6月7日 ET-121へ交換)。
6月6日∼8日 飛行再開タスクグループが公聴会を開催し、飛行再開に関するCAIB
勧告15件のうち、残っていた8件の処置状況を確認。このうち5件は
処置が完了していることが確認された。残りは3件のみとなった。
6月15日 ディスカバリー号をVABから射点への2回目の移動。
6月27日∼28日 飛行再開タスクグループが最終会議を開催し、残されている勧告の
(予定) 処置状況を確認する予定。
6月29日∼30日 STS-114飛行準備審査会(FRR)
(予定) (この審査会で打上げ日を最終的に決定)
6月末∼7月初め 飛行再開タスクグループが最終報告書を発行予定。
(未定) (NASA長官に最終報告書を提出し、飛行再開が可能かどうかを判断)
7月9日 シャトルクルーがJSCからKSCへ移動予定 (打上げ4日前)
(予定)
7月13日 STS-114打上げ予定
以降
(2005/ 6/ 16 現在)
5-19
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
5.3 飛行再開へ向けた日本人宇宙飛行士の活動
STS-114 によるシャトルの飛行再開には、野口宇宙飛行士のみならず、若田宇宙飛
行士も NASA の宇宙飛行士室の代表として各種試験や会議に参加し、飛行再開活動を
支援しています。
5.3.1
若田宇宙飛行士
(1)センサ付き検査用延長ブーム(OBSS)による、シャトルの熱防護システムの点検作業
の開発試験に、NASA 宇宙飛行士室の代表として若田宇宙飛行士が参加しました。
(2)若田宇宙飛行士はこの他にも、タイルの補修試験手順の開発にも参加しました。
図 5.3-1
KC-135 無重量試験機内でタイル補修試験に参加する若田宇宙飛行士
(2003 年 8 月:NASA HP より)
5-20
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
5.3.2
野口宇宙飛行士
(1) KC-135 無重量試験機を使用したタイル修復試験開発へ参加しました。
(2) 無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory:NBL)やバーチャルラボラト
リ、空気ベアリング施設等でのタイルや RCC の検査・修理試験へ参加しました。
(3) スペースシャトル関連施設への視察訪問
飛行再開に向けての安全対策の最前線をクルー自身の目で確認するとともに、現
場でがんばっている技術者・作業員の士気を高めてもらう目的で、外部燃料タンク
(ET)を製造しているミシシッピー州のミシュー工場や、ケネディ宇宙センターへの
訪問を実施しました。
(4) コロンビア号の破片捜索への参加
図 5.3-2 KC-135 内でタイル修復試験に参加する野口宇宙飛行士 (NASA HP より)
上記内容については、JAXA ホームページの野口宇宙飛行士の訓練レポートの中で
紹介していますのでご覧下さい。
http://sts-114.jaxa.jp/noguchi/report/index.html
5-21
Rev.B
STS-114 プレスキット 5章
5.4 JAXA における安全確認作業について
これまで日本人宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗する際には、旧宇宙開発事業団
が NASA の実施する安全に関する主要な審査会に出席、またはデータを入手すること
により、安全確認を実施してきました。
宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency: JAXA)は、コロンビ
ア号事故を踏まえ、従来の日本人宇宙飛行士のシャトル搭乗時の安全確認に加えて、
NASA が実施する事故対策を踏まえた野口宇宙飛行士のシャトル搭乗の安全確認を行
うために、2003 年 8 月に JAXA 内外の専門家によるチーム「JAXA 安全検討チーム」
を設置して安全確認に必要な事項の調査検討を実施することとしました。
飛行再開前までには、報告書を作成して、宇宙開発委員会で説明を行う予定になって
います。
5-22
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
6 データ
6.1 JAXA宇宙飛行士の紹介
宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA) は 、 ス ペ ー ス シ ャ ト ル や 国 際 宇 宙 ス テ ー シ ョ ン
(International Space Station: ISS)等での有人による各種の宇宙環境利用に対応する
ため、日本人宇宙飛行士として、1985年に毛利 衛、向井 千秋、土井 隆雄の3名を、
1992年に若田 光一、1996年に野口 聡一を採用しました。さらに、1999年に古川 聡、
星出 彰彦、山崎 直子の3名を採用しました。現時点で、JAXAには計8人の宇宙飛行士
がおり、宇宙基幹システム本部 有人宇宙技術部に所属しています。
毛利 衛 (もうり まもる)
1948年、北海道余市郡余市町生まれ。
1985年11月、宇宙開発事業団へ入社。
1992年9月にSTS-47「スペースラブ-J」(「ふわっと '92」)でPSとして搭
乗。2000年2月にSTS-99(SRTM)にMSとして搭乗。
2001年7月より、日本科学未来館館長に就任。
向井 千秋 (むかい ちあき)
1952年、群馬県館林市生まれ。
1985年11月、宇宙開発事業団へ入社。
1994年7月、第2次国際微小重力実験室(IML-2)(STS-65)でPSとして搭
乗。1998年10月、STS-95でPSとして2回目の飛行をした。
2000年8月からSTS-107科学ミッション(2003年1月打上げ)の副ミッ
ションサイエンティスト(地上要員)の業務に参加した。
2004年9月から国際宇宙大学(ISU)の客員教授に就任。
土井 隆雄 (どい たかお)
1954年、東京都南多摩郡生まれ
1985年11月、宇宙開発事業団へ入社。
1997年11月のSTS-87でMSとして搭乗し、日本人宇宙飛行士としては
初めての船外活動を行った。
現在は、NASAの宇宙飛行士室で各種業務を実施中。
若田 光一 (わかた こういち)
1963年、埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。
1992年6月、宇宙開発事業団へ入社。
1996年1月にSTS-72にMSとして搭乗してシャトルのロボットアーム
を 操 作 し て 日 本 の 衛 星 SFU の 回 収 等 を 行 っ た 。 2000 年 10 月 の
STS-92(3Aフライト)で2回目の飛行を行った。
現在は、NASAの宇宙飛行士室で各種業務を実施中。
MS(Mission Specialist:搭乗運用技術者)
PS(Payload Specialist:搭乗科学技術者)
6.1-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
野口 聡一 (のぐち そういち)
1965年、神奈川県横浜市生まれ。
1996年6月、宇宙開発事業団へ入社。
LF-1ミッションに備えて、NASAで訓練中。
詳細は、1.2項「STS-114クルー」を参照して下さい。
古川 聡 (ふるかわ さとし)
1964年、神奈川県横浜市生まれ。
1999年2月に、宇宙開発事業団(NASDA)よりISSに搭乗する日本人宇
宙飛行士の候補者として選定される。1999年4月から日本人宇宙ステ
ーション宇宙飛行士の基礎訓練に参加、同訓練修了後、2001年1月に
宇宙飛行士として認定された。2003年7月∼2004年5月にかけて、ソ
ユーズ宇宙船のフライトエンジニア資格を取得した後、2004年6月よ
り1年半かけて米国でMS訓練を受講中。
星出 彰彦 (ほしで あきひこ)
1968年、東京都世田谷区生まれ。
1999年2月に、宇宙開発事業団よりISSに搭乗する日本人宇宙飛行士
の候補者として選定される。1999年4月から日本人宇宙ステーション
宇宙飛行士の基礎訓練に参加、2001年1月に宇宙飛行士として認定さ
れた。2003年7月∼2004年5月にかけて、ソユーズ宇宙船のフライト
エンジニア資格を取得した後、2004年6月より1年半かけて米国でMS
訓練を受講中。
山崎 直子 (やまざき なおこ) (旧姓 角野)
1970年、千葉県松戸市生まれ。
1999年2月に、宇宙開発事業団よりISSに搭乗する日本人宇宙飛行士
の候補者として選定される。1999年4月から日本人宇宙ステーション
宇宙飛行士の基礎訓練に参加、2001年9月に宇宙飛行士として認定さ
れた。2003年7月∼2004年5月にかけて、ソユーズ宇宙船のフライト
エンジニア資格を取得した後、2004年6月より1年半かけて米国でMS
訓練を受講中。
各宇宙飛行士の経歴の詳細については、以下のホームページで御確認下さい。
http://iss.sfo.jaxa.jp/astro/profile.html
6.1-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
6.2 ISSにおけるEVA履歴
表 6.2-1 に国際宇宙ステーション(ISS)組立て・保全に関する船外活動(EVA)の全履
歴を示します。米露以外の国籍では、これまでにカナダ人とフランス人が各1人実施し
ています。
表 6.2-1 ISS組立てに関するEVA履歴(1/3)
ミッション
EVAクルー
年月日
作業時間
1998.12.07
7H21m
2
1998.12.09
7H02m
ジェリー・ロス
ジム・ニューマン
同上
3
1998.12.12
6H59m
同上
1999.05.29
∼05.30
2000.05.21
∼05.22
7H55m
2000.09.10
∼09.11
2000.10.15
6H14m
1
STS-88
(2A)
4
STS-96
(2A.1)
5
STS-101
(2A.2a)
6
STS-106
(2A.2b)
7
STS-92
(3A)
6H44m
6H28m
タミー・ジャーニガン*
ダン・バリー
ジェームス・ヴォス
ジェフリー・ウイリアムズ
エドワード・ルー
ユーリー・マレンチエンコ
リロイ・チャオ
2000.10.16
7H07m
9
2000.10.17
6H37m
10
2000.10.18
6H56m
11 STS-97
2000.12.03
7H34m
12
2000.12.05
6H37m
ピーター・ワイゾフ
マイケル・ロペズ−アレグリア
リロイ・チャオ
ウイリアム・マッカーサー
ピーター・ワイゾフ
マイケル・ロペズ−アレグリア
ジョー・タナー
カルロス・ノリエガ
同上
13
2000.12.07
5H10m
同上
14 STS-98
2001.02.10
7H34m
15
2001.02.12
6H50m
トム・ジョーンズ
ボブ・カービーム
同上
16
2001.02.14
5H25m
同上
8H56m
18
2001.03.10
∼03.11
2001.03.12
6H21m
19 STS-100
2001.04.22
7H10m
20
2001.04.24
7H40m
21 ISS 2-1
2001.06.08
19m
(4A)
17 STS-102
(5A.1)
(6A)
備考
STS
シャトル通算42回目のEVA。
初の ISS 組立 EVA:ザーリャとユ
ニティの結合作業。
STS
EVAクレーンの設置。
STS
EVAクレーンの組立。
STS
ズヴェズダとザーリャ間の配線接
続など。
Z1ト ラ ス とPMA-2の 艤 装 作 業 な
ど。
STS
ウイリアム・マッカーサー
8
(5A)
エアロック
ジェームス・ヴォス
スーザン・ヘルムズ*
アンディ・トーマス
ポール・リチャーズ
クリス・ハドフィールド
スコット・パラジンスキー
同上
ユーリ・ウサチエフ
ジェームス・ヴォス
STS
P6トラスの結合、艤装作業など。
STS
デスティニーの艤装作業など。
STS
デスティニーの艤装、ESP-1の設置
など。
8H56mは、最長のEVA記録。
STS
SSRMSの展開、UHFアンテナの設
置など。
クリス・ハドフィールドは、カナダ
人初のEVAを実施。
ズヴェズダの一部を減圧しての船
内EVA。Orlan宇宙服使用。
SM
注:エアロック欄のSTSはシャトルのエアロックを使用。SMはズヴェズダの前方球形区画をエアロ
ックとして使用。
*印は女性宇宙飛行士、時刻は米国時間
6.2-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
表 6.2-1
ミッション
ISS組立てに関するEVA履歴(2/3)
EVAクルー
年月日
作業時間
(7A)
2001.07.14
∼07.15
5H59m
6H29m
同上
4H02m
同上
25 STS-105
2001.07.17
∼07.18
2001.07.20
∼07.21
2001.08.16
6H16m
26
2001.08.18
27 ISS 3-1
2001.10.08
22 STS-104
23
24
(7A.1)
エアロック
備考
STS
クエストの取り付け、艤装作業な
ど。
クエスト
クエストを初使用。
STS
5H29m
ダニエル・バリー
パトリック・フォレスター
同上
初期アンモニア充填装置(EAS)の
設置、米国の材料曝露実験装置
(MISSE)の設置など。
4H58m
ウラディミール・ジェジューロフ
DC-1
「ピアース」(DC-1)初使用。DC-1
の艤装。
DC-1
NASDA の 材 料 曝 露 実 験 装 置
(MPAC&SEED)を設置。DC-1の艤
装。
DC-1の艤装。
マイケル・ガーンハ−ト
ジェイムズ・ライリー
ミハイル・チューリン
28 ISS 3-2
2001.10.15
5H58m
ウラディミール・ジェジューロフ
ミハイル・チューリン
29 ISS 3-3
2001.11.12
5H04m
30
2001.12.03
2H46m
ウラディミール・ジェジューロフ
DC-1
ミハイル・チューリン
ISS 3-4
ウラディミール・ジェジューロフ
DC-1
5P分離時に残していった異物(O
リング)を除去(予定外のEVA)。
STS
P6トラスのBGA(ベータ・ジンバ
ル・アセンブリ)への断熱カバーの
設置。
ロシアのEVAクレーンの移設。ア
マチュア無線(ARISS)アンテナの
設置。
ズヴェズダのスラスタガスの汚染
防止機器の設置。
8AのEVAに備えた作業。クエスト
の機能確認。
ミハイル・チューリン
31 STS-108
(UF-1)
2001.12.10
4H11m
リンダ・ゴドウイン
ダニエル・タニ
32 ISS 4-1
2002.01.14
6H03m
ユーリー・オヌフリエンコ
カール・ウオルツ
DC-1
33 ISS 4-2
2002.01.25
5H59m
DC-1
34 ISS 4-3
2002.02.20
5H47m
ユーリー・オヌフリエンコ
ダニエル・バーシュ
カール・ウオルツ
ダニエル・バーシュ
35 STS-110
2002.04.11
7H48m
スティーブン・スミス
レックス・ワルハイム
クエスト
36
2002.04.13
7H30m
ジェリー・ロス
37
2002.04.14
6H27m
リー・モーリン
スティーブン・スミス
レックス・ワルハイム
S0 トラスの取り付け、モビル・ト
ランスポーター(MT)の艤装作業
など。
ジェリー・ロスは、通算 9 回の EVA
で、合計 58H18m の EVA 作業時
間を記録(米国記録)。
38
2002.04.16
6H37m
ジェリー・ロス
2002.06.09
7H14m
クエスト
モビル・ベース・システム(MBS)の
取り付け。
SSRMS「カナダアーム2」の手首
ロール関節の交換修理。
フィリップ・ペリンはフランス人
DC-1
ズヴェズダのデブリ防御パネルの
設置。
*印は女性宇宙飛行士
DC-1
NASDA の 材 料 曝 露 実 験 装 置
MPAC&SEED の パ ネ ル 1 枚 を 回
収。
(8A)
クエスト
リー・モーリン
39
STS-111
(UF-2)
フランクリン・チャンーディアズ
フィリップ・ペリン
40
2002.06.11
5H00m
同上
41
2002.06.13
7H17m
同上
42 ISS 5-1
2002.08.16
4H25m
43
2002.08.26
5H21m
ワレリー・コルズン
ペギー・ウイットソン*
ISS 5-2
ワレリー・コルズン
セルゲイ・トレシエフ
注:エアロック欄のSTSはシャトルのエアロックを使用。クエストは、米国製のジョイント・エアロック
「クエスト」を使用。DC-1は、ロシアの「ピアース」を使用(Orlan宇宙服を使用)。
6.2-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
表 6.2-1
ミッション
ISS組立てに関するEVA履歴(3/3)
EVAクルー
年月日
作業時間
44 STS-112
2002.10.10
7H01m
45
2002.10.12
6H04m
46
2002.10.14
6H36m
47 STS-113
2002.11.26
6H45m
48
2002.11.28
6H10m
同上
49
2002.11.30
7H00m
同上
50 ISS 6-1
2003.01.15
6H51m
(9A)
(11A)
デビッド・ウオルフ
ピアース・セラーズ
同上
エアロック
備考
クエスト
S1トラスの艤装、外部TVカメラの
設置、アンモニア配管の機能改修
器具(SPD)の設置など。
クエスト
P1トラスの艤装、SPDの設置、
UHFアンテナの展開など。
クエスト
P1トラスの艤装、ラジエータの展
開など。(医学上の問題により、
EVAクルーがブダーリンからペテ
ィに交代された。)
コロンビア号事故の影響でISS滞
在クルーが2名になる前に修理作
業等を実施
宇宙服の冷却トラブルにより途中
で作業を中止した。JAXAのMPAC
& SEEDパネルを1枚回収。
宇宙服の酸素供給のトラブラルで
作業しないまますぐに帰還した。
同上
マイケル・ロペズーアレグリア
ジョン・ヘリントン
ケネス・バウアーソックス
ドナルド・ペティ
51 ISS 6-2
2003.04.08
6H26m
52 ISS 8-1
2004.02.26
3H55m
同上
アレクサンダー・カレリ
クエスト
DC-1
マイケル・フォール
53 ISS 9-1
2004.06.24
0H14m
ゲナディ・パダルカ
DC-1
マイケル・フィンク
同上
DC-1
54 ISS 9-2
2004.06.30
5H40m
55 ISS 9-3
2004.08.03
4H30m
同上
DC-1
56 ISS 9-4
2004.09.03
5H21m
同上
DC-1
57 ISS 10-1
2005.01.26
5H28m
58 ISS 10-2
2005.03.28
4H30m
59 STS-114
2005.07.
60
2005.07.
同上
61
2005.07.
同上
(LF-1)
62 STS-121
(ULF-1.1)
63
64
65 ISS 11-1
DC-1
リロイ・チャオ
サリザーン・シャリポフ
同上
DC-1
野口
STS
聡一
スティーブン・ロビンソン
2005.09
(予定)
ピアース・セラーズ
マイケル・フォッサム
同上
2005.10
(予定)
セルゲイ・クリカレフ
故障したS0トラスのRPCMを交
換し、CMG-2への電力供給を復活
させた。(6/24のEVAの再実施)
ESAの欧州補給機(ATV)とのドッ
キングに備えてズヴェズダ後部へ
各種機器を設置した。
ザーリャのポンプパネルの交換、
ATVアンテナの設置など。
ズヴェズダへのドイツの小型ロボ
ット実験装置の設置など。
ESAのATVとのドッキングに備え
たアンテナの設置(3回目の作業)。
軌道上でのシャトルの熱防護シス
テムの修理試験、故障したCMGの
交 換 修 理 、 ESP-2 の 取 り 付 け 、
MISSEの交換など。
クエスト
軌道上でのシャトルの熱防護シス
テムの修理試験(2回目)、ESP-2へ
の装置の設置など。
DC-1
JAXAのMPAC & SEEDパネルの
最後の1枚を回収予定。
同上
ジョン・フィリップス
注:エアロック欄のSTSはシャトルのエアロックを使用。クエストは、米国製のジョイント・エアロック
「クエスト」を使用。DC-1は、ロシアの「ピアース」を使用(Orlan宇宙服を使用)。
52∼58回目のEVAは、ISS滞在クルーが2名のみであったため、EVA中はISS内は無人状態であった。
なお、以下のJAXAホームページでもISSでのEVA情報を提供しています。
http://iss.sfo.jaxa.jp/iss/assemble/doc04.html
6.2-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
6.3 スペースシャトルの打上げ実績(STS-1∼STS-107まで)
打上げ
年 月 日
着
陸
年 月 日
STS-1
(1)
STS-2
(2)
STS-3
(3)
STS-4
(4)
STS-5
(5)
1981. 4.12
1981. 4 .14
1981.11.12
1981.11.14
1982. 3.22
1982. 3.30
1982. 6.27
1982. 7. 4
1982.11.11
1982.11.16
STS-6
(6)
1983. 4. 4
1983. 4. 9
STS-7
(7)
1983. 6.18
1983. 6.24
STS-8
(8)
1983. 8.30
1983. 9. 5
STS-9
(9)
1983.11.28
1983.12. 8
STS41-B
(10)
1984. 2. 3
1984. 2.11
STS41-C
(11)
1984. 4. 6
1984. 4.13
STS41-D
(12)
1984. 8.30
1984. 9. 5
ミッション
(号数)
宇宙飛行士
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
ジョン・ヤング(C)
ロバート・クリッペン(P)
ジョー・エングル(C)
リチャード・トルーリー(P)
ジャック・ラウスマ(C)
ゴードン・フラートン(P)
トーマス・マッティングリー(C)
ヘンリー・.ハーツフィールド(P)
バンス・ブランド(C)
ロバート・オーバーマイヤ(P)
ジョセフ・アレン (MS)
ウィリアム・レノア (MS)
ポール・ワイツ(C)
カロル・ボブコ(P)
ドナルド・ピーターソン(MS)
ストーリー・マスグレイブ(MS)
ロバート・クリッペン(C)
フレデリック・ホーク(P)
ジョン・フエビアン(MS)
サリー・ライド * (MS)
ノーマン・サガード(MS)
リチャード・トルーリー(C)
ダニエル・ブランデンスタイン(P)
デール・ガードナー (MS)
ギオン・ブルフォード(MS)
ウイリアム・ソーントン(MS)
ジョン・ヤング(C)
ブルースター・ショウ Jr.(P)
オーエン・ギャリオット(MS)
ロバート・パーカー(MS)
バイロン・リヒテンベルク(PS)
ウルフ・メルボルト(PS ESA)
コロンビア
02/06:21
コロンビア
02/06:13
コロンビア
08/00:05
コロンビア
07/01:10
コロンビア
05/02:14
チャレンジャー
05/00:23
チャレンジャー
06/02:24
チャレンジャー
06/01:07
コロンビア
10/07:47
バンス・ブランド(C)
ロバート・ギブソン(P)
ブルース・マッカンドレス(MS)
ロナルド・マクネア(MS)
ロバート・スチュワート(MS)
ロバート・クリッペン(C)
フランシス・スコビー(P)
ジョージ・ネルソン(MS)
ジェームズ・ファン・ホフテン(MS)
テリー・ハート (MS)
ヘンリー・ハーツフィールド(C)
マイケル・コーツ(P)
ジュディス・レズニク* (MS)
スティーブン・ホーレイ(MS)
リチャード・ミュレイン(MS)
チャールズ・ウォーカー(PS)
チャレンジャー
07/23:17
チャレンジャー
06/23:40
ディスカバリー
06/00:56
2005年6月8日現在
(1/16)
備
考
シャトル初飛行。
(試験飛行)
ロボットアームのテスト等
(試験飛行)
(試験飛行)
初の軍事ミッション。
(試験飛行)
初の実用飛行。
人工衛星SBS-3とアニクC-3
を打上げ。
チャレンジャー号初飛行。
TDRS-A(追跡データ中継衛
星)。
シャトル初のEVA。
米国初の女性宇宙飛行士
(サリー・ライド)。
アニクC-2/パラパB-1衛星を打
上げ。 SPAS衛星を放出 /
回収。
初の夜間打上げ/夜間着
陸。
人工雪実験(朝日新聞社後
援)。
初のスペースラブミッション。
SEPAC(日本のオーロラ実験)
を実施。
初のペイロードスペシャリスト。メル
ボルトは、初の欧州宇宙飛行
士。
ヤングは宇宙飛行回数最多
記録(6回)。
ウエスター6/パラパB-2衛星を打
上げ。
命綱無しでの宇宙遊泳に
初成功。
KSCに初着陸。
初の軌道上衛星修理
(SMM衛星)。
LDEF(長期曝露衛星)の放
出 (1990 年 1 月 打 上 げ の
STS-32で回収)。
ディスカバリー初飛行。
OSAT-1太陽電池パドル展
開実験。
3衛星を放出。
初の民間ペイロードスペシャリスト
(ウオーカー)。
(注:日時は米国時間)
6.3-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
打上げ
年 月 日
着
陸
年 月 日
STS41-G
1984.10.5
1984.10.13
(13)
STS51-A
1984.11.8
1984.11.16
(14)
宇宙飛行士
ロバート・クリッペン(C)
オービタ名
チャレンジャー
飛行時間
(日/時:分)
08/05:23
(2/16)
考
備
ERBS(地球熱放射測定衛
ジョン・マクブライトード(P)
星)放出。
キャサリン・サリバン*(MS)
SIR-B(合成開口レーダー)
サリー・ライド*(MS)
米国女性初の宇宙遊泳(サリ
ディビッド・リーツマ(MS)
バン)。
マーク・ガルノー(PS カナダ)
マーク・ガルノーは、カナダ初の宇宙
ポール・スカリーパワー(PS オーストラリア)
飛行士。
フレデリック・ホーク(C)
ディスカバリー
07/23:45
2衛星を放出した後、別の衛
デビッド・ウォーカー(P)
星(パラパB-2 / ウエスターVI)を
アンナ・フィッシャー*(MS)
回収し、地球へ持ち帰った。
デール・ガードナー(MS)
(初の衛星回収。)
ジョセフ・アレン (MS)
STS51-C
1985.1.24
1985.1.27
(15)
トーマス・マッティングリー(C)
ディスカバリー
03/01:33
軍事ミッション。
ローレン・シュライバー(P)
オニヅカ氏は日系3世。
エリソン・オニヅカ(MS)
ペイトンはDoDのPS。
ジェームズ・バクリ(MS)
ゲーリー・ペイトン(PS)
STS51-D
1985.4.12
1985.4.19
(16)
カロル・ボブコ(C)
ディスカバリー
06/23:56
放出された2機の衛星のう
ドナルド・ウィリアムズ(P)
ち、シンコムIV-3は静止軌道投
マーガレット・セドン*(MS)
入に失敗。
ジェフリー・ホフマン(MS)
ガーン上院議員搭乗。
デイビット・グリッグス(MS)
チャールズ・ウォーカー(PS)
ジェーク・ガーン(PS)
STS51-B
1985.4.29
1985.5.6
(17)
ロバート・オーバーマイヤ(C)
チャレンジャー
07/00:08
スペースラブ3号。
ディスカバリー
07/01:38
衛星3個を打上げ。
フレデリック・グレゴリー(P)
ドン・レズリー・リンド(MS)
ノーマン・サガード(MS)
ウイリアム・ソーントン(MS)
L.バンデンベルグ(PS オランダ)
ティラー・ワン(PS)
STS51-G
1985.6.17
1985.6.24
(18)
ダニエル・ブランデンスタイン(C)
ジョン・クレイトン(P)
SPAS衛星を放出/回収。
スチーブン・ナゲル(MS)
サウジアラビアのサルタン王子とフラン
ジョン・ファビアン(MS)
ス人のボードリーがPSとして
シャノン・ルーシッド*(MS)
搭乗。
パトリック・ボードリー(PS フランス)
サルタン・サルマン・アルサウド(PS サウジ)
STS51-F
(19)
1985.7.29
1985.8.6
ゴードン・フラートン(C)
チャレンジャー
07/22:45
スペースラブ2号。
ロイ・ブリッジス(P)
アンソニー・イングランド(MS)
カール・ヘナイズ(MS)
ストーリー・マスグレイブ(MS)
ローレン・アクトン(PS)
ジョン・デイビット・バルトー(PS)
6.3-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS51-I
打上げ
年 月 日
1985.8.27
着
陸
年 月 日
1985.9.3
(20)
宇宙飛行士
ジョー・エングル(C)
オービタ名
ディスカバリー
飛行時間
(日/時:分)
07/02:18
(3/16)
考
備
衛星3個を打上げ。
リチャード・コーベイ(P)
シンコムIV-3衛星の軌道上修
ジェイムズ・ホフテン(MS)
理。
ジョン・ラウンジ(MS)
ウィリアム・フィッシャー (MS)
STS51-J
1985.10.3
1985.10.7
(21)
カロル・ボブコ(C)
アトランティス
04/01:44
アトランティス初飛行。
ロナルド・グレイブ(P)
第2回軍事ミッション。
ロバート・スチュワート(MS)
2機の軍事通信衛星
デイビッド・ヒルマーズ(MS)
DSCSIIIを軌道投入。
ウィリアム・ペイルス (PS)
STS61-A
1985.10.30
1985.11.6
(22)
ヘンリー・ハーツフィールド(C)
チャレンジャー
07/00:44
スペースラブD-1
スチーブン・ナゲル(P)
(ドイツ主導のスペースラブ利用
ボニー・ダンバー*(MS)
微小重力実験)。
ジェームズ・バクリ(MS)
西ドイツ人PS 2名、
ギオン・ブルフォード(MS)
オランダ人 PS 1名。
E.メッサーシュミット(PS ドイツ)
レイン・ファーラー(PS ドイツ)
ウーボ・オッケルズ (PS オランダ)
STS61-B
1985.11.27
1985.12.3
(23)
ブルースター・ショウ,Jr.(C)
アトランティス
06/21:05
衛星3個を放出。
ブライアン・オコナー(P)
船外活動による大型トラスの
シャーウッド・スプリング(MS)
組立実験。
メリー・クリーブ* (MS)
メキシコ人 PS 1名。
ジェリー・ロス(MS)
ロドルフォーネリ・ベラ(PS メキシコ)
チャールズ・ウォーカー (PS)
STS61-C
1986.1.12
1986.1.18
(24)
ロバート・ギブソン(C)
コロンビア
06/02:04
チャールズ・ボールデン(P)
サトコムK-1衛星を放出。
ネルソン下院議員搭乗。
フランクリン・チャン・ディアス(MS)
スティーブン・ホーレイ(MS)
ジョージ・ネルソン(MS)
ロバート・センカー(PS)
ビル・ネルソン (PS)
STS51-L
1986.1.28
−
(25)
フランシス・スコビー(C)
チャレンジャー
00/00:01
打上げ後73秒で爆発。
マイケル・スミス(P)
搭乗員7名死亡。
ジュディス・レズニク*(MS)
チャレンジャー号10回目の飛行。
ロナルド・マクネア(MS)
マコーリフは、教師として初めて
エリソン・オニヅカ(MS)
搭乗(オブザーバー)。
グレゴリー・ジャービス(PS)
クリスタ・マコーリフ* (教師)
STS-26
(26)
1988.9.29
1988.10.3
フレデリック・ホーク(C)
ディスカバリー
04/01:00
2年8ヶ月ぶりの飛行再開。
リチャード・カビー(P)
この間、シャトルは400箇所以上
ジョン・ラウンジ(MS)
を改修。
ジョージ・ネルソン(MS)
データ中継衛星TDRS-C放
デービッド・ヒルマーズ (MS)
出。
6.3-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-27
打上げ
年 月 日
1988.12.2
着
陸
年 月 日
1988.12.6
(27)
宇宙飛行士
ロバート・ギブソン(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
(4/16)
考
備
アトランティス
04/09:06
第3回軍事ミッション。
ディスカバリー
04/23:39
データ中継衛星TDRS-D放
ガイ・ガードナー(P)
リチャード・ミュレイン(MS)
ジェリー・ロス(MS)
ウイリアム・シェパード (MS)
STS-29
1989.3.13
1989.3.18
(28)
マイケル・コーツ(C)
ジョン・ブラハ(P)
出。
ジェームズ・バジアン (MS)
宇宙ステーション用ヒートパイプ・ラジ
ジェームズ・バクリ(MS)
エータ実験。
ロバート・スプリンガー(MS)
STS-30
1989.5.4
1989.5.8
(29)
デビッド・ウォーカー(C)
アトランティス
04/00:58
金星探査機「マゼラン」放出。
コロンビア
05/01:00
第4回軍事ミッション。
アトランティス
04/23:41
木星探査機「ガリレオ」放出。
ディスカバリー
05/00:07
第5回軍事ミッション。
コロンビア
10/21:01
LDEFの回収
ロナルド・グレイブ(P)
ノーマン・サガード (MS)
メリー・クリーブ* (MS)
マーク・リー(MS)
STS-28
1989.8.8
1989.8.13
(30)
ブルースター・ショウ,Jr.(C)
リチャード・リチャーズ(P)
ディビッド・リーツマ(MS)
ジェイムズ・アダムソン(MS)
マーク・ブラウン(MS)
STS-34
1989.10.18
1989.10.23
(31)
ドナルド・ウィリアムズ(C)
マイケル・マッカリー(P)
フランクリン・チャン・ディアス(MS)
シャノン・ルーシッド*(MS)
エレン・ベーカー*(MS)
STS-33
1989.11.22
1989.11.27
(32)
フレデリック・グレゴリー(C)
ジョン・ブラハ(P)
ストーリー・マスグレイブ(MS)
マンレイ・カーター(MS)
キャサリン・ソーントン*(MS)
STS-32
1990.1.9
1990.1.19
(33)
ダニエル・ブランデンスタイン(C)
ジェームズ・ウェザービー(P)
(1984年4月打上げの
ボニー・ダンバー*(MS)
STS-41Cで放出したもの)。
マーシャ・アイビンズ*(MS)
ディビッド・ロウ(MS)
STS-36
1990.2.28
1990.3.4
(34)
ジョン・クレイトン(C)
アトランティス
04/10:18
第6回軍事ミッション。
ジョン・キャスパー(P)
AFP-731(偵察及び電子情
リチャード・ミュレイン(MS)
報収集衛星)放出。
デービッド・ヒルマーズ(MS)
ピエール・ソーイト(MS)
STS-31
1990.4.24
1990.4.29
(35)
ローレン・シュライパー(C)
ディスカバリー
05/01:16
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)放
チャールズ・ボールデン(P)
出(重量11t)。
スティーブン・ホーレイ(MS)
過去最高の軌道高度534km
ブルース・マッカンドレス(MS)
を記録。
キャサリン・サリバン*(MS)
STS-41
(36)
1990.10.6
1990.10.10
リチャード・リチャーズ(C)
ロバート・カバナ(P)
ディスカバリー
04/02:10
太陽極軌道探査機「ユリシーズ」
放出。
ブルース・メルニック(MS)
ウイリアム・シェパード(MS)
トーマス・エイカーズ(MS)
6.3-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-38
打上げ
年 月 日
着
陸
年 月 日
1990.11.15
1990.11.20
(37)
宇宙飛行士
リチャード・カビー(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
アトランティス
04/21:54
コロンビア
08/23:05
(5/16)
考
備
第7回軍事ミッション。
フランク・カルバートソン(P)
チャールズ・ジェマー(MS)
カール・ミード(MS)
R.スプリンガー(MS)
STS-35
1990.12.2
1990.12.11
(38)
バンス・ブランド(C)
ASTRO-1:天文観測ミッション。
ガイ・ガードナー(P)
紫外線及びX線望遠鏡で天
ジェフリー・ホフマン(MS)
体を観測
ジョン・ラウンジ(MS)
ロバート・パーカー(MS)
サミュエル・デュランス(PS)
ロナウド・パライズ(PS)
STS-37
1991.4.5
1991.4.11
(39)
STS-39
1991.4.28
1991.5.6
(40)
スチーブン・ナゲル(C)
アトランティス
05/23:33
GRO(コンプトン・ガンマ線天体観
ケネス・キャメロン(P)
測衛星)放出。
リンダ・ゴドウィン*(MS)
船外活動(EVA)で宇宙ステーショ
ジェリー・ロス(MS)
ン用のCETAカートの試験を実
ジェローム・アプト(MS)
施。
マイケル・コーツ(C)
ディスカバリー
08/07:22
軍事ミッション。
ブレイン・ハモンド(P)
IBSS(SDI用赤外線背景特
グレゴリー・ハーバー(MS)
徴探査装置)等を搭載。
ドナルド・マクモナグル(MS)
ギオン・ブルフォード(MS)
チャールズ・レーシービーチ(MS)
リチャード・ヒーブ(MS)
STS-40
1991.6.5
1991.6.14
(41)
ブライアン・オコナー(C)
コロンビア
09/02:14
SLS-1(スペースラブによる生命
シドニー・グチェレス(P)
科学ミッション):宇宙酔い、人
マーガレット・セドン*(PC)
体の微小重力環境への適応
ジェームズ・バジアン(MS)
実験等のため生物試料とし
タマラ・ジャーニガン*(MS)
てネズミ29匹、クラゲ2,478尾を
ドリュー・ガフニイ(PS)
搭載。
ミリー・フルフォード*(PS)
STS-43
1991.8.2
1991.8.11
(42)
ジョン・ブラハ(C)
アトランティス
08/21:21
マイケル・ベーカー(P)
データ中継衛星TDRS-E放
出。
シャノン・ルーシッド*(MS)
ディビッド・ロウ(MS)
ジェイムズ・アダムソン(MS)
STS-48
1991.9.12
1991.9.18
(43)
ジョン・クレイトン(C)
ディスカバリー
05/08:28
ケネス・ライトラー(P)
UARS(高層大気研究
衛星)放出。
チャールズ・ジェマー(MS)
ジェームズ・バクリ(MS)
マーク・ブラウン(MS)
STS-44
(44)
1991.11.24
1991.12.1
フレデリック・グレゴリー(C)
アトランティス
06/22:51
軍事ミッション。
テレンス・ヘンリクス(P)
DSP(ミサイル早期警戒衛星)放
ジェームス・ヴォス(MS)
出。
ストーリー・マスグレイブ(MS)
7回目の夜間打ち上げ。
マリオ・ランコ(MS)
トーマス・ヘネン(PS)
6.3-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-42
打上げ
年 月 日
1992.1.22
着
陸
年 月 日
1992.1.30
(45)
宇宙飛行士
ロナルド・グレイブ(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
ディスカバリー
08/01:15
備
(6/16)
考
IML-1(第一次国際微小重力
ステファン・オズワルド(P)
実験室):スペースラブによる材
ノーマン・サガード (MS)
料、生命科学関係ミッション。日
デービッド・ヒルマーズ(MS)
本は宇宙放射線モニタリング装
ウイリアム・リディ(MS)
置、有機結晶成長装置を提供
ロバータ・ボンダー*(PS カナダ)
して参加。
ウルフ・メルボルト(PS)
STS-45
1992.3.24
1992.4.2
(46)
チャールズ・ボールデン(C)
アトランティス
08/22:09
ATLAS-1:太陽エネルギーが地球
ブライアン・ダフィー(P)
大気に与える影響を観測。
キャサリン・サリバン*(PC)
日本のSEPAC(人工オーロラ・宇
ディビッド・リーツマ(MS)
宙プラズマの研究)実験を実
マイケル・フォール(MS)
施。
ダーク・フリモート(PS ベルギー)
バイロン・リヒテンバーグ(PS)
STS-49
1992.5.7
1992.5.16
(47)
ダニエル・ブランデンスタイン(C)
エンデバー
08/21:18
インテルサット6F-3衛星の回収、修
ピエール・ソーイト(MS)
理、軌道再投入を実施。(史
キャサリン・ソーントン*(MS)
上初の3人同時のEVAにより
リチャード・ヒーブ(MS)
手づかみで衛星回収)
トーマス・エイカーズ(MS)
宇宙ステーション建設のための技
ブルース・メルニック(MS)
STS-50
1992.6.25
1992.7.9
(48)
エンデバー初飛行。
ケビン・チルトン(P)
リチャード・リチャーズ(C)
術試験用EVA実施。
コロンビア
13/19:31
USML-1(米国微小重力実験
ケネス・バウアーソックス(P)
室):
ボニー・ダンバー*(PC)
材料実験、流体物理、燃焼実
エレン・ベーカー*(MS)
験、バイオ等31の実験を実施。
カール・ミード(MS)
ローレンス・デルカス(PS)
ユージン・トリン(PS)
STS-46
1992.7.31
1992.8.8
(49)
ローレン・シュライバー(C)
アトランティス
07/23:15
TSS-1:NASA/イタリア宇宙機関
アンドリュー・アレン(P)
共同開発。20kmの伝導性テザ
ジェフリー・ホフマン(PC)
ーの先につけた衛星を展開す
フランクリン・チャン・ディアス(MS)
る予定だったが、失敗し、回
クロード・ニコリエ(MS ESA)
収。
マーシャ・アイビンズ*(MS)
EURECA(欧州回収型無人フリ
フランコ・マレーバ(PS イタリア)
ーフライヤ)を放出。(実験終了後
STS-57で回収)。
ニコリエはESAの飛行士。
STS-47
1992.9.12
1992.9.20
(50)
ロバート・ギブソン(C)
(51)
1992.10.22
1992.11.1
07/22:30
FMPT(ふわっと’92):スペースラ
カーティス・ブラウン(P)
ブによる材料、生命科学関係
マーク・リー(MS)
の43テーマの実験を実施(うち
ジェローム・アプト(MS)
日本34テーマ)
N.ジャン・デービス*(MS)
初の日本人、黒人女性、
メイ・ジェミソン*(MS)
夫婦での搭乗(リー、ディビス)。
毛利
STS-52
エンデバー
衛(PS NASDA)
ジェームズ・ウェザービー(C)
コロンビア
09/20:56
USMP-1(米国微小重力実
マイケル・ベーカー(P)
験)。
チャールズ・レーシービーチ(MS)
LAGEOS-2(レーザー測地衛星、
ウイリアム・シェパード(MS)
NASA/イタリア宇宙機関)を放
タマラ・ジャーニガン*(MS)
出。
スティーブン・マクリーン(PS カナダ)
6.3-6
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-53
打上げ
年 月 日
1992.12.2
着
陸
年 月 日
1992.12.9
(52)
宇宙飛行士
デビッド・ウォーカー(C)
オービタ名
ディスカバリー
飛行時間
(日/時:分)
07/07:19
ロバート・カバナ(P)
(7/16)
考
備
第10回軍事ミッション(専用とし
ては最後)。
ギオン・ブルフォード(MS)
ジェームス・ヴォス(MS)
マイケル・R・クリフォード(MS)
STS-54
1993.1.13
1993.1.19
(53)
ジョン・キャスパー(C)
エンデバー
05/23:38
データ中継衛星TDRS-F放
ドナルド・マクモナグル(P)
出。
マリオ・ランコ(MS)
宇宙ステーション建設に備えた船
グレゴリー・ハーバー(MS)
外活動試験実施。
スーザン・ヘルムズ*(MS)
STS-56
1993.4.8
1993.4.17
(54)
ケネス・キャメロン(C)
ディスカバリー
09/06:08
ATLAS-2。
ステファン・オズワルド(P)
太陽観測衛星スパルタン
マイク・フォール(MS)
201-01。
ケネス・コックレル(MS)
エレン・オチョア*(MS)
STS-55
1993.4.26
1993.5.6
(55)
スチーブン・ナゲル(C)
コロンビア
09/23:40
テレンス・ヘンリックス(P)
スペースラブD-2:生命科学、材
料実験、ロボット工学、地球観
ジェリー・ロス(PC)
測等の88件の実験を実施。
チャールズ・プリコート(MS)
ウォーターとシェルゲルはDARA(ド
バーナード・ハリス(MS)
イツ宇宙機関)選抜の宇宙飛
ウルリッヒ・ウォーター(PS ドイツ)
行士。
ハンス・シェルゲル(PS ドイツ)
STS-57
1993.6.21
1993.7.1
(56)
ロナルド・グレイブ(C)
エンデバー
09/23:45
EURECA-1の回収。
SPACEHAB(商業宇宙実験
ブライアン・ダフィー(P)
ディビッド・ロウ(PC)
室)初号機。
ナンシー・シャーロック*(MS)
HST修理ミッションの事前訓練
ピーター・ワイゾフ(MS)
としてのEVAを実施。
ジャニス・ヴォス*(MS)
STS-51
1993.9.12
1993.9.22
(57)
STS-58
1993.10.18
1993.11.1
(58)
フランク・カルバートソン(C)
ディスカバリー
09/20:11
ACTS(次世代通信技術衛
ウイリアム・リディ(P)
星)放出。
ジェームス・ニューマン(MS)
ORFEUS-SPAS衛星実験。
ダニエル・バーシュ(MS)
HST修理ミッションの準備段階
カール・ウォルツ(MS)
としてのEVAを実施。
ジョン・ブラハ(C)
コロンビア
14/00:13
SLS-2。
リック・シーアフォス(P)
過去最長の14日間の飛行を
マーガレット・セドン*(PC)
記録。
ウイリアム・マッカーサー(MS)
デビッド・ウルフ(MS)
シャノン・ルーシッド*(MS)
マーチン・フェットマン(PS)
STS-61
(59)
1993.12.2
1993.12.13
リチャード・カビー(C)
エンデバー
ケネス・バウアーソックス (P)
10/19:59
HSTの修理ミッション#1。
一回のシャトル・ミッションとしては
ストーリー・マスグレイブ(PC)
最多の5回のEVAを実施。ソ
キャサリン・ソーントン*(MS)
ーントンは女性として最多の延
クロード・ニコリエ(MS ESA)
べ3回のEVAを実施。
ジェフリー・ホフマン(MS)
トーマス・エイカーズ(MS)
6.3-7
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-60
打上げ
年 月 日
1994.2.3
着
陸
年 月 日
1994.2.11
(60)
宇宙飛行士
チャールズ・ボールデン(C)
オービタ名
ディスカバリー
飛行時間
(日/時:分)
08/07:09
備
(8/16)
考
SPACEHAB-2。
ケネス・ライトラー,Jr.(P)
WSF(航跡を利用した超々高
N.ジャン・デービス*(MS)
真空実験装置)は放出失敗。
ロナルド・セガ(MS)
クリカレフは、シャトル初のロシア人宇宙
フランクリン・チャン・ディアス(MS)
飛行士。
セルゲイ・クリカレフ(MS ロシア)
STS-62
1994.3.4
1994.3.18
(61)
ジョン・キャスパー(C)
コロンビア
13/23:16
USMP-2。
エンデバー
11/05:49
SRL-1(シャトル搭載型合成開口レ
アンドリュー・アレン(P)
ピエール・ソーイト(MS)
チャールズ・ジェマー(MS)
マーシャ・アイビンズ*(MS)
STS-59
1994.4.9
1994.4.20
(62)
シドニー・グチェレス(C)
ケビン・チルトン (P)
ーダ)。
リンダ・ゴドウィン*(PC)
ジェローム・アプト(MS)
マイケル・R・クリフォード(MS)
トーマス・ジョーンズ(MS)
STS-65
1994.7.8
1994.7.23
(63)
ロバート・カバナ(C)
コロンビア
14/17:55
IML-2。
ジェームス・ハルセル(P)
向井PSが日本人女性として
リチャード・ヒーブ(PC)
初めて飛行。
カール・ウォルツ(MS)
リロイ・チャオ(MS)
ドナルド・トーマス(MS)
向井
STS-64
1994.9.9
1994.9.20
(64)
千秋*(PS NASDA)
リチャード・リチャーズ(C)
ディスカバリー
10/22:50
LITE-1(ライダ:能動型光学地
ブレイン・ハーモンド,Jr.(P)
球観測装置)。
ジェリー・リネンジャー(MS)
スパルタン201-2。
スーザン・ヘルムズ*(MS)
SAFERの試験(10年ぶりの
カール・ミード(MS)
命綱無しの船外活動飛行)
マーク・リー(MS)
STS-68
1994.9.30
1994.10.11
(65)
マイケル・ベーカー(C)
エンデバー
11/05:46
テレンス・ウイルカット(P)
SRL-2(シャトル搭載型合成開口レ
ーダ)。
トーマス・ディビッド・ジョーンズ(PC)
ダニエル・バーシュ(MS)
ピーター・ワイゾフ(MS)
スチーブン・スミス(MS)
STS-66
1994.11.3
1994.11.14
(66)
ドナルド・マクモナグル(C)
アトランティス
10/22:35
ATLAS-3。
CRISTA-SPAS(大気観測用
カーティス・ブラウン(P)
エレン・オチョア*(PC)
低温赤外線分光器・望遠鏡)。
ジョセフ・タナー(MS)
クレルボイはESAの宇宙飛行士。
ジーンフランコイス・クレルボイ(MS ESA)
スコット・パラジンスキー(MS)
STS-63
(67)
1995.2.3
1995.2.11
ジェイムズ・ウェザビー(C)
ディスカバリー
08/06:28
SPACEHAB-3。
アイリーン・コリンズ*(P)
スパルタン204。
バーナード・ハリス(MS)
アイリーン・コリンズは、初の女性パイ
マイケル・フォール(MS)
ロット。
ジャニス・ヴォス*(MS)
2月6日 ミールとランデブーし、
ウラジミール・チトフ(MS ロシア)
11mまで接近。
宇宙服の低温環境試験。
6.3-8
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-67
打上げ
年 月 日
1995.3.2
着
陸
年 月 日
1995.3.18
(68)
宇宙飛行士
ステファン・オズワルド(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
(9/16)
考
備
エンデバー
16/15:09
ASTRO-2。
アトランティス
09/19:23
ミールと初めてドッキング。
ウィリアム・グレゴリー(P)
タマラ・ジャーニガン*(PC)
ジョン・グランスフェルド(MS)
ウエンディー・ローレンス*(MS)
サミュエル・デュランス(PS)
ロナルド・パライズ(PS)
STS-71
1995.6.27
1995.7.7
(69)
ロバート・ギブソン(C)
チャールズ・プリコート(P)
ミールと6月29日にドッキングし、
エレン・ベーカー*(MS)
7月4日に分離。
グレゴリー・ハーバー(MS)
米ロ共同科学研究実施。
ボニー・ダンバー*(MS)
ロシア人2名、アメリカ人1名の
<打ち上げのみ>
ミール滞在クルーを乗せて帰還。
アナトリー・ソロビヨフ(ロシア)
ソロビヨフとブダーリンはソユーズ宇
ニコライ・ブダーリン(ロシア)
宙船で帰還。
<帰還のみ>
ウラジョール・デジューロフ(ロシア)
ゲナディ・ストレカロフ(ロシア)
ノーマン・サガード(NASA)
STS-70
1995.7.13
1995.7.22
(70)
テレンス・ヘンリックス(C)
ディスカバリー
08/22:20
ケビン・クレーゲル(P)
データ中継衛星TDRS-G放
出。
ドナルド・トーマス(MS)
ナンシー・カリー*(MS)
メアリー・エレン・ウエーバー *(MS)
STS-69
1995.9.7
1995.9.18
(71)
デビッド・ウォーカー(C)
エンデバー
10/20:29
WSF-2。
ネケス・コックレル(P)
スパルタン201-03。
ジェームス・ヴォス(PC)
IEH-1(国際超紫外線観測装
ジェームス・ニューマン(MS)
置)。
マイケル・ガーンハート(MS)
EVA開発飛行試験
(EDFT-2)を実施。
STS-73
1995.10.20
1995.11.5
(72)
ケネス・バウアーソックス(C)
コロンビア
15/21:52
USML-2
(米国のスペースラブ実験)
ケント・ロミンガー(P)
キャサリン・ソーントン*(PC)
キャサリーン・コールマン*(MS)
マイケル・ロペズ-アレグリア(MS)
フレッド・レスリー(PS)
アルバート・サコー(PS)
STS-74
1995.11.12
1995.11.20
(73)
ケネス・キャメロン(C)
アトランティス
08/04:31
S/MM-2(シャトル/ミールドッキングミ
ジェームス・ハルセル,Jr.(P)
ッション#2)。
クリス・ハドフィールド(MS カナダ)
ミールへドッキング・モジュールと太
ジェリー・ロス(MS)
陽電池パドルを輸送。
ウイリアム・マッカーサー(MS)
ハドフィールドは、カナダの宇宙飛
行士。
STS-72
(74)
1996.1.11
1996.1.20
ブライアン・ダフィー(C)
エンデバー
08/22:01
日本のSFU(宇宙実験・観測
ブレント・ジェット(P)
フリーフライヤー)を回収。
リロイ・チャオ(MS)
OAST-FLYER(SPARTAN
ダニエル・バリー(MS)
衛星を用いたNASAのフリーフ
ウィンストン・スコット(MS)
ライヤ)の放出、回収。
若田
光一(MS NASDA)
2回のEVA(EDFT-3)試験を
実施。
6.3-9
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-75
打上げ
年 月 日
1996.2.22
着
陸
年 月 日
1996.3.9
(75)
宇宙飛行士
アンドリュー・アレン(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
コロンビア
15/17:40
備
(10/16)
考
TSS-1R(テザー衛星システム)実
スコット・ホロウイッツ(P)
験、テザーが切れたためミッション
フランクリン・チャン・ディアス(PC)
達成できず。
マウリッツィオ・ケリ(MS ESA)
USMP-3(米国微小重力実
ジェフリー・ホフマン(MS)
験)。
クロード・ニコリエ(MS ESA)
ケリとニコリエはESA、ギドーニは
ウンベルト・ギドーニ(PS イタリア)
ASI(イタリア宇宙機関)の宇宙
飛行士。
STS-76
1996.3.22
1996.3.31
(76)
ケビン・チルトン(C)
アトランティス
09/05:16
S/MM-3(ミールに3/24ドッキン
リック・シーアフォス(P)
グ、3/28分離)。
ロナルド・セガ(MS)
シャノン・ルーシッドはそのままミール
マイケル・R・クリフォード(MS)
に滞在し、STS-79で帰還。
リンダ・ゴドウィン*(MS)
EVA(EDFT-4)試験をミール外
打上げのみ
部で実施。
シャノン・ルーシッド*(MS)
STS-77
1996.5.19
1996.5.29
(77)
ジョン・キャスパー(C)
エンデバー
10/00:40
SPACEHAB-4。
カーティス・ブラウン(P)
スパルタン-207/IAE(膨張式アンテ
アンドリュー・トーマス (MS)
ナ展開実験)。
ダニエル・バーシュ(MS)
マリオ・ランコ(MS)
マーク・ガルノーはカナダの宇宙飛
マーク・ガルノー(MS カナダ)
STS-78
1996.6.20
1996.7.7
(78)
テレンス・ヘンリックス(C)
行士。
コロンビア
16/21:49
LMS(生命科学・微小重力宇
ケビン・クレーゲル(P)
宙実験室:スペースラブ)。
スーザン・ヘルムズ*(MS)
飛行時間の記録を更新。
リック・リネハン(MS)
チャールズ・ブレディ(MS)
ファビエはフランス、サースクはカナダの
ジーン・ジャックス・ファビエ(PS フランス)
宇宙飛行士。
ロバート・サースク(PS カナダ)
STS-79
1996.9.16
1996.9.26
(79)
ウイリアム・リディ(C)
アトランティス
10/03:19
S/MM-4(ミールに9/18ドッキン
テレンス・ウイルカット(P)
グ、9/23分離)。
トム・エイカーズ(MS)
ブラハはルシッドに代わってミール
ジェローム・アプト(MS)
に滞在し、STS-81で帰還。
カール・ウォルツ(MS)
ルシッドは、女性及び、米国の
<打上げのみ>
宇宙滞在最長記録(188日)
ジョン・ブラハ(MS)
を達成。
<帰還のみ>
NASDAのRRMD搭載。
シャノン・ルーシッド*
STS-80
(80)
1996.11.19
1996.12.7
17/15:53
ORFEUS-SPAS-2(遠・極紫
ケント・ロミンガー(P)
(スペースシャト
外線宇宙観測)。
タマラ・ジャーニガン*(MS)
ル最長飛行 WSF-3。
トーマス・デビッド・ジョーンズ(MS)
記録)
ケネス・コックレル(C)
コロンビア
ストーリー・マスグレイブ(MS)
エアロック・ハッチの不具合により
EVAを中止(シャトル史上初)。
マスグレイブは、宇宙飛行最高
齢(61歳)、また、ジョン・ヤング
と並んで宇宙飛行回数最多
を記録(6回)。
6.3-10
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-81
打上げ
年 月 日
1997.1.12
着
陸
年 月 日
1997.1.22
(81)
宇宙飛行士
マイケル・ベーカー(C)
オービタ名
アトランティス
飛行時間
(日/時:分)
10/04:56
ブレント・ジェット(P)
備
(11/16)
考
S/MM-5(ミールに1/14ドッキン
グ、1/19分離)。
ジョン・グランスフェルド(MS)
マーシャ・アイビンズ*(MS)
リネンジャーはミールに滞在し、
ピーター・ワイゾフ(MS)
STS-84で帰還。
<打上げのみ>
ジェリー・リネンジャー(MS)
<帰還のみ>
ジョン・ブラハ
STS-82
1997.2.11
1997.2.21
(82)
ケネス・バウアーソックス(C)
ディスカバリー 09/23:38
ハッブル宇宙望遠鏡の2回目の
スコット・ホロウイッツ(P)
サービス・ミッション。
マーク・リー(MS)
5回のEVAを実施。
スティーブン・ホーレイ(MS)
グレゴリー・ハーバー(MS)
スチーブン・スミス(MS)
ジョセフ・タナー(MS)
STS-83
1997.4.4
1997.4.8
(83)
ジェームス・ハルセル,Jr.(C)
コロンビア
03/23:13
燃料電池の不具合により、
スーザン・スティル*(P)
予定より12日早く帰還。
ジャニス・ヴォス*(PC)
MSL-1(第1次微小重力科学
マイケル・ガーンハート(MS)
実験室)実験を一部実施。
ドナルド・トーマス(MS)
NASDAの実験は25テーマ中6
ロジャー・クラウチ(PS)
テーマのみ実施。
グレゴリーリンテリス(PS)
STS-84
1997.5.15
1997.5.24
(84)
チャールズ・プリコート(C)
アトランティス
09/05:20
アイリーン・コリンズ*(P)
S/MM-6(ミールに5/16ドッキン
グ、5/21分離)。
カルロス・ノリエガ(MS)
エドワード・ルー(MS)
NASDAの宇宙放射線環境
ジーンフランコイス・クレルボイ(MS ESA)
計測(RRMD)及び、蛋白質
エレーナ・コンダコーワ*(MSロシア)
結晶実験を実施。
<打上げのみ>
マイケル・フォール(MS)
<帰還のみ>
ジェリー・リネンジャー(MS)
STS-94
1997.7.1
1997.7.17
(85)
ジェームス・ハルセル(C)
コロンビア
15/16:46
MSL-1R(第1次微小重力科
スーザン・スティル*(P)
学実験室)実験を実施。
ジャニス・ヴォス*(PC)
(STS-83の再フライト)
マイケル・ガーンハート(MS)
ドナルド・トーマス (MS)
ロジャー・クラウチ(PS)
グレゴリーリンテリス(PS)
STS-85
(86)
1997.8.7
1997.8.19
ディスカバリー 11/20:28
カーティス・ブラウン(C)
NASDAのマニピュレータ飛行実
ケント・ロミンガー(P)
証試験(MFD)を実施。
N.ジャン・デービス*(MS)
CRISTA-SPAS-2。
ロバート・カービーム(MS)
スティーブン・ロビンソン(MS)
ツゥリグベイソンはカナダの宇宙飛
ビオニ・ツゥリグベイソン(PS カナダ)
行士。
6.3-11
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-86
打上げ
年 月 日
1997.9.25
着
陸
年 月 日
1997.10.6
(87)
宇宙飛行士
ジェームズ・ウェザービー(C)
オービタ名
アトランティス
飛行時間
(日/時:分)
10/19:21
マイケル・ブルームフィールド(P)
(12/16)
考
備
S/MM-7(ミールに9/27ドッキン
グ、10/3分離)。
ウラジミール・チトフ(MS ロシア)
スコット・パラジンスキー(MS)
ウォルフはミールにそのまま滞在
ジーン・ループ・クレテイエン(MS)
し、STS-89で帰還。
ウエンディー・ローレンス*(MS)
<打上げのみ>
ロシア人宇宙飛行士チトフがシャトル
デビッド・ウルフ(MS)
搭乗の外国人として初めて
<帰還のみ>
EVA(EDFT-6)を実施。
マイケル・フォール(MS)
STS-87
1997.11.19
1997.12.5
(88)
ケビン・クレーゲル(C)
コロンビア
15/16:34
USMP-4。
スティーブン・リンゼイ(P)
スパルタン201-04。
カルパナ・チャウラ*(MS)
土井MSが日本人初の船外
ウィンストン・スコット(MS)
活動(EVA)(EDFT-5)を実
土井
隆雄(MS NASDA)
施。
レオニト・カデニューク(PSウクライナ)
カデニュークはウクライナの宇宙飛行
士。
STS-89
1998.1.22
1998.1.31
(89)
テレンス・ウイルカット(C)
エンデバー
8/19:48
ジョー・エドワートズ Jr. (P)
S/MM-8(ミールに1/24ドッキン
グ、1/29分離)。
ジエイムズ・ライリー(MS)
マイケル・アンダーソン(MS)
ボニー・ダンバー*(MS)
サリザーン・シャリポブ(MS ロシア)
<打上げのみ>
アンドリュー・トーマス(MS)
<帰還のみ>
デビッド・ウルフ(MS)
STS-90
1998.4.17
1998.5.3
(90)
リック・シーアフォス(C)
コロンビア
15/21:50
最後のスペースラブ・ミッション
(ニューロラブ)。
スコット・アルトマン(P)
リック・リネハン(MS)
ディブ・ウィリアムズ(MS カナダ)
NASDAのVFEU(がまあん
ケイ・ハイア* (MS)
こうによる宇宙酔い実験)
ジェィ・バッキー(PS)
搭載。
ジム・パウェルツィク(PS)
STS-91
1998.6.2
1998.6.12
(91)
チャールズ・プリコート (C)
ディスカバリー 9/19:54
S/MM-9(シャトルとミールの最後
ドミニク・L・P・ゴーリィ(P)
のドッキング・ミッション)。
ウエンディー・ローレンス* (MS)
AMS-1。
フランクリン・チャン・ディアス(MS)
ジャネット・カヴァンディ* (MS)
NASDAのRRMD搭載。
ウラジミール・リューミン(MS ロシア)
<帰還のみ>
アンドリュー・トーマス(MS)
STS-95
(92)
1998.10.29
1998.11.7
ディスカバリー 8/21:44
カーティス・ブラウン(C)
スティーブン・リンゼイ(P)
SPACEHAB-SM。
スパルタン201-05。
スティーブン・ロビンソン(MS)
HOST。IEH-3。
スコット・パラジンスキー(MS)
ジョン・グレン上院議員は史上
ペドロ・デューク(MS ESA)
最高齢の宇宙飛行士(77
向井
千秋*(PS NASDA)
ジョン・グレン (PS)
歳)。
向井宇宙飛行士2回目の飛
行
6.3-12
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
STS-88
打上げ
年 月 日
1998.12. 4
着
陸
年 月 日
1998.12.15
(93)
宇宙飛行士
ロバート・カバナ (C)
オービタ名
エンデバー
飛行時間
(日/時:分)
11/19:18
フレデリック・スターコフ (P)
(13/16)
考
備
シャトルによる初の国際宇宙ステ
ーションの建設(2A)フライト。
ナンシー・カリー* (MS)
ジェリー・ロス (MS)
ユニティ(ノード1)を打上げ。
ジェームス・ニューマン (MS)
セルゲイ・クリカレフ (MS ロシア)
STS-96
1999. 5.27
1999. 6. 6
(94)
ディスカバリー 9/19:13
ケント・ロミンガー(C)
国際宇宙ステーションの補給飛行
(2A.1)。
リック・ハズバンド(P)
タマラ・ジャーニガン*(MS)
エレン・オチョア*(MS)
ダニエル・バリー(MS)
ジュリー・ペイエット(MS カナダ)
バレリー・トカレフ(MS ロシア)
STS-93
1999.7.23
1999. 7.27
(95)
アイリーン・コリンズ*(C)
コロンビア
4/23:
AXAF(チャンドラーX線望遠鏡)
ジェフリー・アッシュビー(P)
を放出。
スティーブン・ホーレイ(MS)
アイリーン・コリンズは、女性初の船
キャサリン・コールマン*(MS)
長。
ミシェル・トニーニ(MS フランス)
STS-103 1999.12.19
1999.12.27
(96)
ディスカバリー 7/23:10
カーティス・ブラウン(C)
スコット・キリー(P)
ハッブル宇宙望遠鏡の3回目の
サービスミッション
スティーブン・スミス(MS)
マイケル・フォール(MS)
ジョン・グランスフェルド(MS)
クロード・ニコリエ(MS ESA)
ジーンフランコイス・クレルボイ(MS ESA)
STS-99
2000. 2.11
2000.2.22
(97)
ケビン・クレーゲル(C)
エンデバー
11/05:39
SRTM
ドミニク・L・P・ゴーリィ(P)
EarthKAM
ゲルハルト・ティエレ(MS ドイツ)
毛利宇宙飛行士2回目の飛
ジャネット・カヴァンディ* (MS)
行。
ジャニス・ヴォス* (MS)
毛利
STS-101 2000. 5.19
2000. 5.29
(98)
衛(MS NASDA)
ジェームス・ハルセル(C)
アトランティス
9/20:10
国際宇宙ステーションの補給飛行
(2A.2a)。
スコット・ホロウイッツ(P)
メアリー・エレン・ウエーバー*(MS)
ジェフリー・ウイリアムズ(MS)
シャトル操縦席の表示機器類を
ジェームス・ヴォス(MS)
カラー液晶に変え新型化した。
スーザン・ヘルムズ*(MS)
ユーリ・ウサチェフ(MS ロシア)
STS-106 2000. 9. 8
(99)
2000. 9.20
テレンス・ウイルカット(C)
アトランティス
11/19:11
国際宇宙ステーションの補給飛行
(2A.2b)。
スコット・アルトマン(P)
ダニエル・バーバンク(MS)
エドワード・ルー(MS)
リチャード・マストラキオ(MS)
ユーリー・マレンチェンコ(MS ロシア)
ボリス・モロコフ(MS ロシア)
6.3-13
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
打上げ
年 月 日
STS-92
2000.10.11
着
陸
年 月 日
2000.10.24
(100)
宇宙飛行士
ブライアン・ダフィー(C)
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
ディスカバリー 12/21:43
備
(14/16)
考
国際宇宙ステーションの建設(3A)
パメラ・アン・メルロイ(P)
フライト。
リロイ・チャオ (MS)
Z1トラス、PMA-3を打上げ。
ウイリアム・マッカーサ(MS)
ピーター・ワイゾフ(MS)
若田宇宙飛行士2回目の飛
マイケル・ロペズ-アレグリア(MS)
行。
若田
STS-97
2000.11.30
2000.12.11
(101)
光一(MS NASDA)
ブレント・ジェット(C)
エンデバー
10/19:58
国際宇宙ステーションの建設(4A)
マイケル・ブルームフィールド(P)
フライト。
ジョセフ・タナー(MS)
P6トラスを打ち上げ。
マーク・ガルノー(MS カナダ)
カルロス・ノリエガ(MS)
STS-98
2001.02.07
2001.02.20
(102)
ケネス・コックレル(C)
アトランティス
12/21:21
国際宇宙ステーションの建設(5A)
マーク・ポランスキー(P)
フライト。
ロバート・カービーム(MS)
米国実験棟「デスティニー」を打
マーシャ・アイビンス*(MS)
ち上げ。
トーマス・ジョーンズ(MS)
STS-102 2001.03.08
2001.03.21
(103)
ジェームス・ウエザビー(C)
ディスカバリー 12/19:49
国際宇宙ステーションの建設
ジェームス・ケリー(P)
(5A.1)フライト。
アンドリュー・トーマス(MS)
第1次長期滞在クルーと第2次
ポール・リチャーズ(MS)
長期滞在クルーが交代
<打上げのみ>
ユーリー・ウサチェフ(ロシア)
ジェームス・ヴォス
スーザン・ヘルムズ*
<帰還のみ>
ウイリアム・シェパード
ユーリー・ギドゼンコ(ロシア)
セルゲイ・クリカレフ(ロシア)
STS-100 2001.04.19
2001.05.01
(104)
ケント・ロミンガー(C)
エンデバー
11/21:30
国際宇宙ステーションの建設(6A)
ジェフリー・アッシュビー(P)
フライト。
クリス・ハドフィールド(MS カナダ)
SSRMS「カナダアーム2」を打ち
スコット・パラジンスキー(MS)
上げ。
ジョン・フィィリップス(MS)
ウンベルト・ギドーニ(MS ESA)
ユーリ・ロンチャコフ(MS ロシア)
STS-104 2001.07.12
(105)
2001.07.24
スティーブン・リンゼイ(C)
アトランティス
12/18:36
国際宇宙ステーションの建設(7A)
チャールズ・ホーバー(P)
フライト。
ジャネット・カバンディ*(MS)
エアロック「クエスト」を打ち上げ。
マイケル・ガーンハート(MS)
ジェイムズ・ライリー(MS)
6.3-14
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
打上げ
年 月 日
STS-105 2001.08.10
着
陸
年 月 日
2001.08.22
(106)
宇宙飛行士
オービタ名
飛行時間
(日/時:分)
ディスカバリー 11/21:13
スコット・ホロウィッツ(C)
備
(15/16)
考
国際宇宙ステーションの建設
フレドリック・スターコウ(P)
(7A.1)フライト。
パトリック・フォレスター(MS)
第2次長期滞在クルーと第3
ダニエル・バリー(MS)
次長期滞在クルーが交代
<打上げのみ>
フランク・カルバートソン
ウラディミール・ジェジューロフ(ロシア)
ミハイル・チューリン(ロシア)
<帰還のみ>
ユーリー・ウサチェフ(ロシア)
ジェームス・ヴォス
スーザン・ヘルムズ*
STS-108 2001.12.05
2001.12.17
(107)
ドミニク・ゴーリー(C)
エンデバー
11/19:36
国際宇宙ステーションの利用
マーク・ケリー(P)
(UF-1)フライト。
リンダ・ゴドウィン(MS)
第3次長期滞在クルーと第4次
ダニエル・タニ(MS)
長期滞在クルーが交代
<打上げのみ>
ユリー・オヌフリエンコ(ロシア)
カール・ウオルツ
ダニエル・バーシュ
<帰還のみ>
フランク・カルバートソン
ウラディミール・ジェジューロフ(ロシア)
ミハイル・チューリン(ロシア)
STS-109 2002.03.01
2002.03.12
(108)
スコット・アルトマン(C)
コロンビア
10/22:09
ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッシ
デュアン・キャレイ(P)
ョン3B
ジョン・ガンスフィールド(MS)
(4回目のサービスミッション)
ナンシー・カリー*(MS)
リチャード・リネハン(MS)
ジェイムス・ニューマン(MS)
マイケル・マシミノ(MS)
STS-110 2002.04.08
2002.04.19
(109)
マイケル・ブルームフィールド(C)
アトランティス
10/19:43
国際宇宙ステーションの建設(8A)
スティーブン・フリック(P)
フライト。
レックス・ワルハイム(MS)
S0トラスを取り付け。
エレン・オチョア*(MS)
リー・モーリン(MS)
ジェリー・ロス(MS)
スティーブン・スミス(MS)
STS-111
(110)
2002.06.05
2002.06.19
ケネス・コックレル(C)
エンデバー
13/20:35
国際宇宙ステーションの建設・利
ポール・ロックハート(P)
用(UF2)フライト。
フランクリン・チャン-ディアズ(MS)
MBSを取り付け。
フィリップ・ペリン(MS フランス)
第4次長期滞在クルーと第5次
<打上げのみ>
長期滞在クルーが交代
ワレリー・コルズン(ロシア)
ペギー・ウイットソン*
セルゲイ・トレシェフ(ロシア)
<帰還のみ>
ユリー・オヌフリエンコ(ロシア)
カール・ウオルツ
ダニエル・バーシュ
6.3-15
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
ミッション
(号数)
打上げ
年 月 日
STS-112 2002.10.07
着
陸
年 月 日
2002.10.18
(111)
宇宙飛行士
ジェフリー・アッシュビー(C)
オービタ名
アトランティス
飛行時間
(日/時:分)
10/19:58
(16/16)
考
備
国際宇宙ステーションの建設(9A)
パメラ・アン・メルロイ*(P)
フライト。
デビッド・ウォルフ(MS)
S1トラスを取り付け。
ピアース・セラーズ(MS)
サンドラ・マグナス*(MS)
フィョドー・ヤーチキン(MS ロシア)
STS-113 2002.11.23
2002.12.07
(112)
ジェームズ・ウエザービー(C)
エンデバー
13/18:47
国際宇宙ステーションの建設
ポール・ロックハート(P)
(11A)フライト。
マイケル・ロペズ-アレグリア(MS)
P1トラスを取り付け。
ジョン・ヘリントン(MS)
第5次長期滞在クルーと第6次
<打上げのみ>
長期滞在クルーが交代
ケネス・バウアーソックス
ニコライ・ブダーリン(ロシア)
ドナルド・ペティ
<帰還のみ>
ワレリー・コルズン(ロシア)
ペギー・ウイットソン*
セルゲイ・トレシェフ(ロシア)
STS-107 2003.01.16
2003.02.01
リック・ハズバンド(C)
(113)
帰還中に
ウイリアム・マッコール(P)
空中分解
マイケル・アンダーソン(PC)
着陸16分前、高度約60kmで
カルパナ・チャウラ*(MS)
空中分解し、7人全員死亡。
コロンンビア
15/22:20
(予定)
SPACEHAB-DRM(ダブル
研究モジュール)。
ディビッド・ブラウン(MS)
ローレル・クラーク*(MS)
イラン・ラモーン(PS イスラエル)
STS-114 2005.07.
(114)
予定
2005.
アイリーン・コリンズ*(C)
ディスカバリー
コロンビア号事故の影響で打上
ジェームス・ケリー(P)
げを2年以上延期。飛行再開
野口聡一(MS JAXA)
フライト。国際宇宙ステーションの補
スティーブン・ロビンソン(MS)
給(LF1)フライト。
アンドュリュー・トーマス(MS)
ESP-2を取り付け。
ウェンディー・ローレンス*(MS)
チャールズ・カマダー(MS)
STS-121 2005.09.
スティーブン・リンゼイ(C)
(115)
マーク・ケリー(P)
予定
野口宇宙飛行士の初飛行。
アトランティス
2回目の飛行再開フライト。
(ULF-1.1)
ピアース・ラセーズ(MS)
マイケル・フォッサム(MS)
リサ・ノワーク*(MS)
ステファニー・ウイルソン*(MS)
<打上げのみ>
トーマス・ライター (ESA)
STS-115 予定
ブレント・ジェット(C)
(116)
クリストファー・ファーガソン(P)
(12A)フライト。
ジョセフ・ターナー(MS)
P3/P4トラスを取付け。
アトランティス
国際宇宙ステーションの建設
ダニエル・バーバンク(MS)
スティーブン・マクリーン(MS CSA)
ハイデマリー・ステファニシン・パイパー*(MS)
注)名前の後ろの*マークは、女性を示す。
C: Commander(コマンダー)、P: Pilot(パイロット)、PC: Payload Commander、
MS: Mission Specialist、PS: Payload Specialist
出典: NASA Kennedy Space Center Space Shuttle Status Report、Space Shuttle
Press Kit、Reporter’s Space Flight Note Pad (Boeing社作成) Feb,2000、
http://www-pao.ksc.nasa.gov/kscpao/chron/chrontoc.htm 等
6.3-16
Rev.B
STS-114 プレスキット 6章
6.4 ISS長期滞在クルー
長期滞在クルー
打ち上げ日(米国時間)
宇宙滞在日数
帰還日(米国時間)
1
2
3
第1次長期滞在クルー
(以下は、左記番号で省略)
ウイリアム・シェパード(NASA)
ユーリー・ギドゼンコ(ロシア)
セルゲイ・クリカレフ(ロシア)
ユーリー・ウサチェフ(ロシア)
ジェームス・ヴォス(NASA)
スーザン・ヘルムズ(NASA:女性)
フランク・カルバートソン(NASA)
ウラディミール・ジェジューロフ
(ロシア)
ミハイル・チューリン(ロシア)
4
ユーリ・オヌフリエンコ(ロシア)
カール・ウォルツ(NASA)
ダニエル・バーシュ(NASA)
5
ワレリー・コルズン(ロシア)
ペギー・ウィットソン
(NASA:女性)
セルゲイ・トレシェフ(ロシア)
ケネス・バウアーソックス(NASA)
ドナルド・ペティ(NASA)
ニコライ・ブダーリン(ロシア)
6
7
ユーリ・マレンチェンコ(ロシア)
エドワード・ルー(NASA)
8
マイケル・フォール(NASA)
アレクサンダー・カレリ(ロシア)
9
ゲナディ・パダルカ(ロシア)
マイケル・フィンク(NASA)
10
リロイ・チャオ(NASA)
サリザン・シャリポフ(ロシア)
11
セルゲイ・クリカレフ(ロシア)
ジョン・フィリップス(NASA)
トーマス・ライター(ESA)(注)
(STS-121で打上げ、STS-116で帰
還予定)
2000.10.31
ソユーズTM-31(2R)
2005年5月末現在
EVA回数
その他
(合計時間)
140日23時間
実施せず
167日 6時間
1回
(19分)
128日20時間
4回
(18時間
40分)
195日19時間
3回
(14時間
48分)
184日22時間
2回
(18時間
40分)
161日 1時間
2回
(9時間
46分)
184日21時間
実施せず
194日18時間
1回
(3時間
55分)
187日21時間
4回
(15時間
45分)
192日19時間
2回
2001.03.21
STS-102(5A.1)
2001.03.08
STS-102(5A.1)
2001.08.22
STS-105(7A.1)
2001.08.10
STS-105(7A.1)
2001.12.17
STS-108(UF-1)
2001.12.05
STS-108(UF-1)
2002.06.19
STS-111(UF-2)
2002.06.05
STS-111(UF-2)
2002.12.07
STS-113(11A)
2002.11.23
STS-113(11A)
2003.05.03
ソユーズTMA-1(5S)
2003.04.25
ソユーズTMA-2(6S)
2003.10.27
ソユーズTMA-2(6S)
2003.10.18
ソユーズTMA-3(7S)
2004.04.29
ソユーズTMA-3(7S)
2004.04.18
ソユーズTMA-4(8S)
2004.10.19
ソユーズTMA-4(8S)
2004.10.13
ソユーズTMA-5(9S)
2005.04.24
ソユーズTMA-5(9S)
2005.04.14
ソユーズTMA-6(10S)
2005.10. (予定)
ソユーズTMA-6(10S)
2回
(予定)
コロンビ
ア号事故
の影響に
よりクル
ーを2名
に削減
注:途中
で ESA宇
宙飛行士
1名を追
加し、ISS
を3名体
制に戻す
予定。
各長期滞在クルーの先頭のクルーがISSコマンダー(指揮官)です。
6.4-1
Rev.B
STS-114 プレスキット 付録 1
付録 1.スペースシャトル関連略語集
ACBM
Active Common Berthing Mechanism
ACCESS Assembly Concept for Construction of
Erectable Space Structures
ACTS
Advanced Communications Technology Satellite
ADVASC Advanced Astroculture
AFD
Aft Flight Deck
AMS-1
Alpha Magnetic Spectrometer-1
AOA
Abort Once Around
APDS
Androgynous Peripheral Docking System
APFR
Articulating Portable Foot Restraint
APM
Attached Pressurized Module
APU
Auxiliary Power Unit
ARC
Ames Research Center
ARISS
Amateur Radio on the ISS
ARS
Air Revitalization System
ASCAN Astronaut Candidate
ASEM
Assembly of Station by EVA Method Exercise
ASI
Agenia Spatiale Italiano
ATLAS
Atmospheric Laboratory for Applications and Science
ATO
Abort To Orbit
ATV
Automated Transfer Vehicle
AXAF
Advanced X-Ray Astrophysics Facility
アクティブ側の CBM
トラス構造物の組立実験
(STS-51)
発展型植物生長装置
後方フライト・デッキ
(STS-91)
一周回後飛行中断
(ロシアの)ドッキング機構
関節付きポータブル・フット・レストレイント
(ESA の COF の旧名)
補助動力装置
NASA エイムズ研究センター
ISS でのアマチュア無線
空気再生システム
アスキャン(宇宙飛行士候補生)
(STS-49)
イタリア宇宙事業団
アトラス・ミッション
軌道投入中断
欧州補給機
チャンドラーX 線観測衛星
BBND
BCDU
BGA
BRT
Bonner Ball Neutron Detector
Battery Charge/Discharge Unit
Beta Gimbal Assembly
Body Restraint Tether
中性子モニタ装置
バッテリ充放電ユニット
ベータ・ジンバル・アセンブリ
宇宙飛行士身体固定用テザー
CAIB
CAM
CAPCOM
CBM
CCAS
CCD
CCTV
CDR
CDR
CDRA
CDT
CEIT
CEO
Columbia Accident Investigation Board
Centrifuge Accommodations Module
Capsule Communicator
Common Berthing Mechanism
Cape Canaveral Air Station
Charge Coupled Device
Closed Circuit Television
Critical Design Review
Commander
Carbon Dioxide Removal Assembly
Central Daylight Time
Crew Equipment Interface Test
Crew Earth Observations
コロンビア号事故調査委員会
(ISS)セントリフュージ施設
キャプコム
(ISS の)共通結合機構
ケープカナベラル空軍基地
電荷結合素子
閉回路テレビ
詳細設計審査
コマンダー
ISS の二酸化炭素除去装置(シードラ)
米国中部夏時間
クルー使用機器インタフェース試験
クルーによる地球観測
付録 1-1
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
CETA
CEV
CFRP
CG
CHeCS
CIPA
Crew and Equipment Translation Aid
Crew Exploration Vehicle
Carbon Fiber Reinforced Plastic
Computer Graphics
Crew Health Care System
Cure In Place Ablator
(ISS)EVA クルー機器移動補助(カート)
(シャトルに替わる)新しい有人探査機
炭素繊維強化プラスチック
コンピュータグラフィックス
搭乗員健康管理システム
(タイル補修材)硬化アブレータ
CIPAA
CIL
CMD
CMG
CNES
COAS
C/O
COF
CP
CP
CPU
Cure In Place Ablator Applicator
Critical Item List
Command
Control Moment Gyro
Centre Natinal d'Etudes Spatiales
Crewman Optical Alignment Sight
Check Out
Columbus Orbital Facility
Cold plate
Camera Port
Central Processing Unit
タイル補修材充填装置
重要品目リスト
コマンド
コントロール・モーメント・ジャイロ
(仏)国立宇宙研究センター
搭乗員光学アライメント・サイト
チェックアウト
コロンバス実験棟(ESA)
(水冷の)冷却板
カメラポート
中央処理装置
CRISTA-SPAS
CRL
CRM
CRV
CSA
CSCS
CSR
CST
CTV
CVDA
C/W
CWC
CWS
Cryogenic Infrared Spectrometers and Telescopes
for the Atmosphere - Shuttle Pallet Satellite (STS-66,85)
Communications Research Laboratory
通信総合研究所 (現:情報通信研究機構(NICT))
Crack Repair Material
クラック修理剤
Crew Return Vehicle
(ISS)搭乗員帰還機
Canadian Space Agency
カナダ宇宙庁
Contingency Shuttle Crew Support
緊急時のシャトルクルー支援
Customer Support Room
カスタマー・サポート・ルーム(JSC MCC 内)
Central Standard Time
米国中部標準時
Crew Transport Vehicle
宇宙飛行士輸送用車両(KSC)
Commercial Vapor Diffusion Apparatus
商用蒸気拡散装置
Caution and Warning
警告・警報
Contingency Water Container
水を入れる容器
Caution and Warning System
警告・警報システム
DAP
Digital Auto Pilot
デジタル・オート・パイロット
Deutschen Agentur fur Raumfahrtangelegenheiten GmbH
ドイツ宇宙機関
DARA
(注:DARA(ドイツ宇宙機関)は、97 年末に DLR(ドイツ航空宇宙センター)へ統合されました)
DAT
Digital Audio Tape
デジタル・オーディオ・テープ
DC-1
Docking Compartment-1
ロシアのドッキング区画「ピアース」
DCM
Display and Control Module
(EMU)表示制御モジュール
DCSU
Direct Current Switching Unit
直流切替ユニット
DDCU
DC-DC Converter Unit
直流変圧器
DFRC
Dryden Flight Research Center
ドライデン飛行研究センター
DLR
German Aerospace Reserch Establishment
ドイツ航空宇宙センター
(Deutsche Forschungstalt fur Luft-und R)
付録 1-2
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
DoD
DSO
DSP
DTO
Department of Defense
Detailed Supplementary Objectives
Defense Support Program
Detailed Test Objectives
アメリカ国防総省
健康管理技術開発及び教育目的のミッション
早期警戒衛星(STS-44)
開発試験ミッション
EarthKAM Earth Knowledge Acquired by Middle school students アースカム
EAS
EASE
EATCS
ECG
ECLSS
EDFE
EDFT
EDO
EDT
EDW
EE
EEATCS
EECOM
EF
EGSE
ELM-ES
ELM-PS
EM
EMG
EMU
EPA
EPO
EPS
ERBS
ESA
ESC
ESP
ESPAD
EST
ET
ETR
ETSD
Early Ammonia Servicer
Experimental Assembly of Structures in EVA
External Active Thermal Control System
Electrocardiogram
Environmental Control and Life Support System
EVA Development Flight Experiment
EVA Development Flight Test
Extended Duration Orbiter
Eastern Daylight Time
Edwards Air Force Base
End Effector
Early External Active Thermal Control System
Electrical, Environmental, Consumables Engineer
Exposed Facility
Electrical Ground Support Equipment
Experiment Logistics Module-Exposed Section
Experiment Logistics Module-Pressurized Section
Engineering Model
Electromyography
Extravehicular Mobility Unit
Environmental Protection Agency
Educational Payload Operations
Electrical Power System
Earth Radiation Budget Satellite
European Space Agency
Electric Still Camera
External Stowage Platform
ESP Attachment Device
Eastern Standard Time
External Tank
EXPRESS Transportation Rack
EVA Tool Stowage Device
初期アンモニア充填装置
トラス構造物の組立実験
外部能動熱制御システム
心電図
環境制御・生命維持システム
EVA 開発飛行実験(STS-37)
EVA 開発飛行試験
飛行期間延長オービター
米国東部夏時間
エドワーズ空軍基地
エンド・エフェクター
初期外部能動的熱制御システム
電気、環境及び消耗品システム・エンジニア
「きぼう」船外実験プラットフォーム
地上支援機器
「きぼう」船外パレット
「きぼう」船内保管室
エンジニアリング・モデル
筋電図
船外活動ユニット(宇宙服)
(アメリカ)環境保護局
教育目的のペイロード運用
電力系
地球熱収支観測衛星(STS-41B)
欧州宇宙機関
電子スチルカメラ(デジカメ)
(ISS)船外保管プラットフォーム
ESP 取り付け装置
米国東部標準時
外部燃料タンク
EXPRESS 輸送ラック
船外活動用工具箱
EUTAS Enhanced Universal Trunnion Attachment
System
ETVCG
EURECA
EUTAS
EUV
EV
EVA
External Television Camera Group
European Retrieval Carrier
Enhanced Universal Truss Attachment System
Extreme Ultraviolet
Extra Vehicular
Extravehicular Activity
強化型トラニオン結合システム
外部 TV カメラグループ
ユーレカ衛星 (STS-46)
強化型トラス結合システム
極超紫外線
船外(クルー)
船外活動
付録 1-3
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
EVARM Extravehicular Activity Radiation Monitors
EWA
Emmittance Wash Applicator
EXPRESS Expedite the Processing of Experiments
EVA 放射線モニタ装置
タイルの補修装置
EXPRESS ラック
to the Space Station
FAO
FCS
FD
FD
FDO
FES
FEMA
FGB
FHRC
FKA
FM
Flight Activity Officer
Flight Control System
Flight Day
Flight Director
Flight Dynamics Officer
Flash Evaporator System
Federal Emergency Management Agency
Functional Cargo Block
Flex Hose Rotary Coupler
(Federation Space Agency のロシア語略称)
Frequency Modulation
飛行活動オフィサー
飛行制御システム
飛行日
フライト・ディレクター
フライト・ダイナミクス・オフィサー
フラッシュ・エバポレータ・システム
米連邦緊急事態管理局
基本機能モジュール「ザーリャ」
(TRRJ の)フレックス・ホース・ロータリー・カプラー
ロシア連邦宇宙局
周波数変調
FMEA
FMPT
Failure Mode and Effects Analysis
First Material Processing Test
故障モードと影響解析
第一次材料実験
FOD
FOR
Foreign Object Debris
Flight Operations Review
異物混入
飛行運用審査会
FPMU
FPP
FRAM
FRD
FRGF
FRR
FSA
FSE
FSS
FTA
Floating Potential Measurement Unit
Floating Potential Probe
Flight Releasable Attach Mechanism
Flight Requirements Document
Flight Releasable grapple Fixture
Flight Readiness Review
Federation Space Agency
Flight Support Equipment
Fixed Service Structure
Fault Tree Analysis
浮動電位測定装置
浮動電位プローブ
軌道上で取り外し可能な取付機構
飛行要求書
飛行準備審査会
ロシア連邦宇宙局
打上げ支援装置
固定型サービス構造物
故障の木解析
GAS
GDO
GF
GIRA
GLO
GMT
GN2
GNC
GN&C
GPC
GPS
GRO
Get-Away Special
Guidance Officer
Grapple Fixture
Galley Iodine Removal Assembly
Shuttle Glow Experiments
Greenwich Mean Time
gaseous nitrogen
Guidance Navigation and Control
Guidance Navigation and Control
General Purpose Computer
Global Positioning System
Gamma Ray Observatory
ゲッタウエイ・スペシャル
ガイダンス・オフィサー
グラプル・フィクスチャ
ギャレィ内の飲料水からのヨウ素除去装置
シャトル発光現象観察実験
グリニッジ標準時(世界標準時)
窒素ガス
誘導、航法及び制御
誘導、航法及び制御
(シャトルの)汎用計算機
全地球的位置決めシステム
ガンマ線観測衛星(STS-37)
軌道上で取り外し可能なグラプル・フィクスチャ
付録 1-4
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
GSE
GSFC
Ground Support Equipment
Goddard Space Flight Center
地上支援機器
ゴダード宇宙飛行センター
HC
HDTV
HEDS
HH
HMD
HOST
Hand Controller
High Definition Television
ハンド・コントローラ
高精細度テレビジョン
有人宇宙開発と宇宙探検
ヒッチハイカ
ヘルメット装備型ディスプレイ
ハッブル宇宙望遠鏡軌道上システム試験機器
Human Exploration and Development of Space Enterprise
HP
HPGT
HQ
HRF
HRM
HST
HTD
HTV
HUT
Hitchhiker
Helmet Mounted Display
Hubble Space Telescope
Orbital Systems Test Platform
Homepage
High Pressure Gas Tank
Headquarters
Human Research Facility
High Rate Multiplexer
Hubble Space Telescope
HEDS Technology Demonstration
H-II Transfer Vehicle
Hard Upper Torso
宇宙ステーション補給機
(EMU)上部胴体
IBSS
ICBC-3D
ICC
IEH
IELK
IFM
IGA
IML-2
IMU
INCO
INS
IRU
ISPR
ISS
ISSP
ITVC
IVA
IVHM
Infrared Background Signature Survey
IMAX Cargo Bay Camera 3 Dimension
Integrated Cargo Carrier
International Extreme Ultraviolet Hitchhiker
Individual Equipment Liner Kit
In-Flight Maintenance
Inter-Governmental Agreement
International Microgravity Laboratory
Inertial Measurement Unit
Instrumentation and Communication Officer
Inertial Navigation System
Inertial Reference Unit
International Standard Payload Rack
International Space Station
International Space Station Program
Integrated TV Camera
Intra-Vehicular Activity
Integrated Vehicle Health Monitoring
(STS-39)
IMAX3 次元カーゴベイ・カメラ
曝露カーゴ・キャリア
国際極超紫外線観測装置
ソユーズ宇宙船の(座席)シートライナー
軌道上修理
政府間協定
第 2 次国際微小重力実験室
慣性計測装置
計装及び通信システム・エンジニア
慣性誘導システム
慣性ジャイロ
国際標準ペイロードラック
国際宇宙ステーション
国際宇宙ステーション・プログラム
OBSS 先端の TV カメラ
船内活動
シャトルの統合モニタリング
JAL
JAXA
JEM
JEMRMS
Joint Air Lock
Japan Aerospace Exploration Agency
Japanese Experiment Module
JEM Remote Manipulator System
「クエスト」ジョイント・エアロック
宇宙航空研究開発機構
「きぼう」日本実験棟
「きぼう」ロボットアーム
ホームページ
高圧ガスタンク
本社
(ISS)人体研究ラック
高速マルチプレクサ
ハッブル宇宙望遠鏡
有人宇宙開発と宇宙探検のための技術実証試験
付録 1-5
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
JIS
JPL
JSC
JST
Joint Integrated Simulation
Jet Propulsion Laboratory
Johnson Space Center
Japanese Standard Time
ジョイント統合シミュレーション
ジェット推進研究所
ジョンソン宇宙センター
日本標準時
KSC
KYA
Kennedy Space Center
Keel Yoke Assembly
ケネディ宇宙センター
(ICC)キール・ヨーク・アセンブリ
LAGEOS-2 Laser Geodynamic Satellite
LC-39
LCC
LCS
LCVG
LDEF
LDR
Launch Complex-39
Launch Control Center
Laser Camera System
Liquid Cooling and Ventilation Garment
Long Duration Exposure Facility
Logistics Double Module
レーザー測地衛星(STS-52)
39 番射点
打上げ管制センター(KSC)
OBSS 先端のレーザセンサ
(宇宙服の)冷却下着
長期曝露施設(STS41-C)
スペースハブ補給用ダブルモジュール
LDRI
LED
LES
LF
LH2
LIF
LiOH
LITE-1
LMC
LMS
LO2
LSLE
LSS
LTA
Laser Dynamic Range Imager
Light Emitting Diode
Launch and Entry Suit
Logistics Flight
Liquid Hydrogen
Large Isothermal Furnace
Lithium Hydroxide
Lidar In-Space Technology Experiment-1
Light Weight MPESS Carrier
Life and Microgravity Spacelab
Liquid Oxygen
Life Sciences Laboratory Equipment
Life Support System
Lower Torso Assembly
OBSS 先端のレーザセンサ
発光ダイオード
(シャトル)打上げ/帰還用スーツ
補給フライト
液体水素
大型均熱炉
水酸化リチウム
(STS-64)
軽量 MPESS キャリア
生命及び微小重力スペースラブ(STS-78)
液体酸素
生命科学研究機器
(EMU)生命維持システム
(EMU)下部胴体
MAG
MBM
MBS
MBSU
MCC
MDF
MDM
MECO
MEDS
MELFI
Maximum Absorption Garment
Manual Berthing Mechanism
Mobile Remote Servicer(MRS) Base System
Main Bus Switching Unit
Mission Control Center
Manipulator Development Facility
Multiplexers/Demultiplexers
Main Engine Cutoff
Multifunction Electronic Display System
Minus Eighty degrees Celsius Laboratory
Freezer for ISS
Mission Elapsed Time
(EMU 用)紙おむつ
手動結合機構
モービル・ベース・システム
メインバス切替ユニット
ミッション・コントロール・センター(JSC)
ロボットアーム開発施設
マルチプレクサー/デマルチプレクサー
メイン・エンジン停止
多機能電子表示システム
ISS 実験用冷凍・冷蔵庫
MET
ミッション経過時間
付録 1-6
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
METOX
MFD
MGBX
MISSE
MLE
MLGD
MLI
MLP
MMACS
Metal Oxide
Manipulator Flight Demonstration
Microgravity Globebox
Materials for ISS Experiments
Middeck Locker Equivalent
Main Landing Gear Door
Multi-Layer Insulator
Mobile Launcher Platform
Maintenance, Mechanical, Arm, and Crew System
MMH
MM/OD
MMT
MMU
MOU
Monomethyl Hydrazine
Micro-Meteoroid and Orbital Debris
Mission Management Team
Manned Maneuvering Unit
Memorandum of Understanding
(CO2 除去用)酸化金属(キャニスター)
マニピュレーター飛行実証試験
微小重力グローブボックス
米国の ISS での材料曝露実験装置
ミッドデッキ・ロッカー等量
主着陸脚ドア
多層断熱材
移動式発射プラットフォーム
メインテナンス、機構系、アーム及び
クルーシステム・エンジニア
モノメチル・ヒドラジン
微小隕石及び軌道上デブリ
ミッション・マネジメント・チーム
有人飛行ユニット
了解覚書
MPAC&SEED
Micro-Particles Capturer and
Space Environment Exposure Device
Multi-purpose Experiment Support Structure
Multi-purpose Equipment Support Structure
Multi-purpose Logistics Module
Manipulator Positioning Mechanism
Magnetic Resonance Imaging
Mission Specialist
Microwave Scan Beam Landing System
Medical Science Division
Marshall Space Flight Center
Microgravity Sciences Glovebox
Microgravity Science Laboratory-1
Mobile Transporter
Mini-Workstation
微小粒子捕獲実験装置及び
材料暴露実験装置(JAXA)
多目的実験支持構造
多目的機器支持構造
(ISS)多目的補給モジュール
アーム保持機構
核磁気共鳴画像
ミッション・スペシャリスト(搭乗運用技術者)
マイクロ波スキャンビーム着陸システム
医療科学部門
マーシャル宇宙飛行センター
微小重力科学グローブボックス
第1次微小重力実験室
(ISS)移動運搬装置
(EVA 工具)ミニ・ワークステーション
アメリカ航空宇宙局
NASA 通信ネットワーク
宇宙開発事業団
(JSC)無重量環境訓練施設
非破壊検査
NASA エンジニアリング・安全センター
米国立衛生研究所
米国立衛生研究所の細胞培養モジュール
NIMA
National Aeronautics and Space Administration
NASA Communications Network
National Space Development Agency of Japan
Neutral Buoyancy Laboratory
Non-Destructive Evaluation
NASA Engineering and Safety Center
National Institutes of Health
National Institutes of Health
Cell Culture Module(CCM)
National Imagery and Mapping Agency
NiMH
NM
Nickel Metal Hydride
nautical miles
ニッケル水素(電池)
海里
MPESS
または
MPLM
MPM
MRI
MS
MSBLS
MSD
MSFC
MSG
MSL-1
MT
MWS
NASA
NASCOM
NASDA
NBL
NDE
NESC
NIH
NIH-C
国家画像地理局
付録 1-7
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
NOAX
NOR
non-oxide adhesive experimental
Northrup Lakebed Landing Site
RCC のクラック修理剤
ノースロップ塩湖着陸場(WSSH 内)
OAST-Flyer Office of Aeronautics and Space Technology
O&C
O&CB
OBSS
OCA
Operations and Checkout
Operations and Checkout Building
Orbiter Boom Sensor System
Orbiter Communications Adapter
ODS
OFK
OMDP
Orbiter Docking System
Official Flight Kit
Orbiter Maintenance Down Period
OAST フライヤー
運用及びチェックアウト(KSC)
運用及びチェックアウト・ビル(KSC)
センサ付き検査用延長ブーム
オービタ通信アダプター
(高速コンピュータモデム)
オービタ・ドッキング・システム
公式飛行記念品
オービタの改修期間
OMM
OMS
OPF
OPP
Orbiter Major Modification
Orbiter Maneuvering System
Orbiter Processing Facility
Orbiter Patch Panel
オービタの大規模改修
軌道制御用(エンジン)(or 軌道変換システム)
オービタ整備施設(あるいは、オービタ整備棟)
オービタ・パッチ・パネル
ORFEUS-SPAS
ORU
OSAT
OSVS
OTD
Orbiting, Retrievable Far and
Extreme Ultraviolet Spectrometer-SPAS
Orbital Replacement Unit
Office of Aeronautics and Space Technology
Orbiter Space Vision System
ORU Transfer Device
(STS-51, 80)
軌道上交換ユニット
オービタ・スペース・ビジョン・システム
EVA クレーン
PABF
Precision Air Bearing Facility
精密エアベアリング設備
PAD
PFR Attachment Device
PFR 取り付け装置
PAL
Protuberance Airload
(ET)突起部の空力負荷軽減(整流ランプ)
PAO
Public Affair Office
広報(広報イベント)
PAO
Public Affair Officer
広報担当オフィサー
PC
Payload Commander
ペイロード・コマンダー
PCBM
Passive CBM
パッシブ側となる CBM
PCG
Protein Crystal Growth
タンパク質結晶成長実験装置
PCG-EGN Protein Crystal Growth Enhanced Gaseous Nitrogen
PCG-STES Protein Crystal Growth - Single Locker
Thermal Enclosure System
PCU
Plasma Contactor Units
プラズマ生成ユニット
PDGF
Power and Data Grapple Fixture
電力・通信インタフェース付きグラプル・フィクスチャ
PDI
Payload Data Interrogator
ペイロード・データ・インテロゲータ
PDR
Preliminary Design Review
基本設計審査
PDRS
Payload Deployment and Retrieval System
ペイロード放出、回収システム
PDSU
Power Distributing and Switching Unit
電力分配及び切替ユニット
PEC
Passive Experiment Container
(MISSE の)収納容器
PFCS
Pump and Flow Control Subassembly
ポンプ及び流体調整装置
付録 1-8
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
PFM
PFR
PGF
PGSC
PGT
PI
P/L
PLSS
PLT
PM
PM
PMA
POCC
POIC
PPK
PRLA
PS
psi
psia
PWP
Proto-Flight Model
Portable Foot Restraint
Plant Growth Facility
Payload General Support Computer
Pistol Grip Tool
Principal Investigator
Payload
Primary Life Support System
Pilot
Phase Modulation
Pressurized Module
Pressurized Mating Adapter
Payload Operations Control Center
Payload Operations Integration Center
Personal Preference Kits
Payload Retention Latch Actuators
Payload Specialist
pounds per square inch
pounds per square inch absolute
Portable Work Platform
プロト・フライト・モデル
ポータブル・フット・レストレイント
植物栽培装置
ペイロード用汎用コンピューター
ピストル型パワー・ツール(EVA 用電動工具)
代表研究者
ペイロード
(EMU)主生命維持システム
パイロット
位相変調
「きぼう」船内与圧室
与圧結合アダプター
ペイロード運用管制センター
ペイロード運用統合センター
個人優先飛行記念品
ペイロード保持固定アクチュエータ
ペイロード・スペシャリスト(搭乗科学技術者)
1 平方インチあたりの圧力(単位)
1 平方インチあたりの絶対圧力(単位)
小型作業プラットフォーム
QD
Quick Disconnect
急速着脱継手
RBEV
RCC
RCRS
RCS
REM
RF
RIC
RHC
RMCD
RME
RMS
RPCM
RPM
RSA
Robotics Birds Eye View
Reinforced Carbon Carbon
Regenerable Carbon Dioxide Removable System
Reaction Control System
Release/Engage Mechanism
Radio Frequency
Recorder Interface Controller
Rotational Hand Controller
Radiation Monitoring Container Device
Risk Mitigation Experiments
Remote Manipulator System
Remote Power Controller Module
Rendezvous Pitch Maneuver
Russian Space Agency
RSAD
RSB
RSP
RSR
RSS
RMS Situational Awareness Display
Rudder Speed Break
Resupply Stowage Platforms
Resupply Stowage Racks
Rotating Service Structure
ロボットアーム用バードアイビュー
強化炭素複合材
再生式二酸化炭素除去システム
姿勢制御システム
開放/保持機構(Spartan)
電波
レコーダ・インターフェース制御装置
回転用ハンドコントローラー
宇宙放射線モニタリング装置
リスク軽減実験
リモート・マニピュレ−タ・システム
遠隔電力制御モジュール
ランデブー・ピッチ・マニューバ
ロシア航空宇宙局
(2004 年に FKA に組織変更しました)
RMS 位置認識用ディスプレイ
ラダー/スピードブレーキ
補給品保管プラットフォーム
補給品保管ラック
回転式整備構造物
付録 1-9
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
RTAS
RTF
RTFTG
RTLS
Rocketdyne Truss Attachment System
Return to Flight
Return to Flight Task Group
Return to Launch Site
ロケットダイン社のトラス結合機構
(シャトルの)飛行再開
(スタフォード・カビー)飛行再開タスクグループ
射場への帰還
SAA
SAFER
SAIL
SAMS
SAR
SAREX-II
SARJ
SASA
SCU
SDI
SEPAC
SES
SES-D
SEU
SFLC
SFU
SGANT
SGTRC
SIGI
SIMPLEX
South Atlantic Anomaly
Simplified Aid For EVA Rescue
Shuttle Avionics Integration Laboratory
Space Acceleration Measurement System
Synthetic Aperture Radar
Shuttle Amateur Radio Experiment-II
Solar Alpha Rotary Joint
S-band Antenna Structural Assembly
Service and Cooling Umbilical
Strategic Defense Initiative
Space Experiment Particle Accelerator
Shuttle Engineering Simulator
Shuttle Engineering Simulator-Dome
Single Event Upset
Space Flight Leadership Council
Space Flyer Unit
Space-to-Ground Antenna
Space to Ground Transmit/Receive Controller
Space Integrated GPS/Inertial Navigation System
Shuttle Ionospheric Modification
with Pulsed Local Exhaust
Spaceborne Imaging Radar
南大西洋異常地域
EVA 時のセルフレスキュー推進装置
シャトル・アビオニクス統合施設
宇宙加速度計測システム
合成開口レーダー
シャトル・アマチュア無線実験
太陽電池パドル回転機構
S バンド・アンテナ構造部
エアロックの電力・流体供給用ケーブル
戦略防衛構想
シャトル技術シミュレータ
シャトル技術シミュレータ(ドームタイプ)
シングル・イベント・アップセット
宇宙飛行リーダシップ委員会
宇宙実験観測フリーフライヤー
Kuバンドアンテナ
Ku バンド送受信器
宇宙用統合 GPS/INS
シャトルの OMS 噴射
による電離層の調査
SIR
シャトル搭載レーダー(SAR)
SLAMMD Space Linear Acceleration Mass Measurement Device 直線加速型宇宙質量測定装置
SLF
Shuttle Landing Facility
シャトル着陸施設
SL-J
Spacelab-J
スペースラブ J
SLP
SpaceLab Pallet
スペースラブ・パレット
SLS
Spacelab Life Sciences
スペースラブ・ライフサイエンス(STS-40)
SLWT
Super Light Weight Tank
超軽量外部燃料タンク
SM
Single Module
スペースハブ・シングルモジュール
SM
Service Module
(ISS)サービス・モジュール
SM
Shuttle Mission
シャトルミッション(通算飛行番号)
S/MM
Shuttle/Mir Mission
シャトル・ミール・ミッション
SMM
Solar Maximum Mission
太陽極大期観測ミッション衛星
SMS
Shuttle Mission Simulator
シャトル・ミッション・シミュレータ
SMS-FB Shuttle Mission Simulator - Fixed Base
可動式シャトル・ミッション・シミュレータ
SMS-MB Shuttle Mission Simulator - Motion Base
固定式シャトル・ミッション・シミュレータ
SMS
Science Mission Specialist
サイエンス・ミッション・スペシャリスト
SOHO
Solar and Heliospheric Observatory
SOHO 衛星
SOP
Secondary Oxygen Pack
二次酸素パック
付録 1-10
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
SPACEHAB-SM
SPACEHAB-Single Module
SPARTAN
SPAS
Shuttle Pallet Satellite
SPD
Spool Positioning Device
SPDM
Special Purpose Dexterous Manipulator
SPP
Science Power Platform
SRB
Solid Rocket Booster
SRMS
Shuttle Remote Manipulator System
SRTM
Shuttle Radar Topography Mission
SRL
Space Radar Laboratory
SSA
Space Suite Assembly
SSBUV/A Shuttle Solar Backscatter Ultraviolet/A
SSC
Space to Space Comm
SSCC
Space Station Control Center
SSFP
Space Station Freedom Program
SSIPC
Space Station Integration and Promotion Center
SSME
Space Shuttle Main Engine
SSP
Standard Switch Panel
SSRMS Space Station Remote Manipulator System
SSV
Sequential Still Video
STDN
Space Flight Tracking and Data Network
STA-54
Shuttle Tile Ablator, 54lbs/ft3
STS
Space Transportation System
SVS
Space Vision System
TACAN
TAEM
TAGS
TAL
TAS-1
TBD
TCDT
TCP/IP
TDPU
TDRS
TEAMS
TEPC
THC
TKSC
TM
TMG
TPS
TRRJ
Tactical Air Navigation
Terminal Area Energy Management
Text and Graphics System
Trans-Atlantic Abort Landing
Technology Application and Science-1
To Be Determined
Terminal Count down Demonstration Test
Transmission Control Protocol/Internet Protocol
Telemetry Data Processing Unit
Tracking and Data Relay Satellite
Technology Experiments
Advancing Mission in Space
Tissue Equivalent Proportional Counter
Translational Hand Controller
Tsukuba Space Center
Torque Multiplier
Thermal Micrometeoroid Garment
Thermal Protection System
Thermal Radiator Rotary Joint
スペースハブ・シングルモジュール
太陽物理観測衛星スパルタン
シャトル・パレット衛星
(QD の機能改修用の器具)
(ISS)特殊用途用双腕型マニピュレータ
(ISS)科学・電力プラットフォーム
固体ロケットブースタ
シャトルのロボットアーム
シャトル・レーダー・トポグラフィーミッション
(STS-59、68)
宇宙服アセンブリ
宇宙ステーション管制センタ
宇宙ステーション・フリーダム・プログラム
宇宙ステーション総合推進センター(TKSC)
スペースシャトル・メイン・エンジン
標準スイッチパネル
ISS のロボットアーム「カナダアーム 2」
静止画ビデオ映像
宇宙飛行用追跡及びデータ・ネットワーク
シャトルのタイルの補修剤
宇宙輸送システム(スペース・シャトル)
スペース・ビジョン・システム
戦術航法装置
最終エネルギー制御
テキスト及びグラフィックス・システム
大西洋横断飛行中断着陸
(STS-85)
未定
最終カウントダウン・デモンストレーション試験
テレメトリデータ処理ユニット
追跡・データ中継衛星
(STS-77)
並進用ハンドコントローラー
筑波宇宙センター
トルク・マルチプライヤー
(EMU)保護服
熱防護システム
放熱ラジエータ回転機構
付録 1-11
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 1
TSS-1
TVC
Tethered Satellite System-1
Thrust Vector Control
テザー衛星(STS-46、75)
推力方向制御
UARS
UCD
UDM
UF
UHF
ULF
USML
USMP
UTA
Upper Atmosphere Research Satellite
Urine Collection Device
Universal Docking Module
Utilization Flight
Ultra High Frequency
Utilization and Logistics Flight
United States Microgravity Laboratory
United States Microgravity Payload
Utility Transfer Assembly
上層大気観測衛星
採尿具
(ISS)汎用ドッキング・モジュール
(ISS の)利用フライト
極超短波
(ISS)利用補給フライト
米国微小重力実験研究室(STS-53、73)
米国微小重力実験ペイロード
ユーティリティ・トランスファ・アセンブリ
VAB
VFEU
VIP
VR
VRCS
VSSA
Vehicle Assembly Building
Vestibular Function Experiment Unit
Very Important Person
Virtual Reality
Vernier Reaction Control System
Video Stanchion Support Assembly
シャトル組立棟
海水型前庭機能実験装置(STS-90、95)
重要人物
仮想現実
バーニア・スラスター
外部カメラ取り付け支柱
WCS
WIF
WLE
WORF
WSB
WSF
WSSH
WSTF
Waste Collection System
Worksite Interface
Wing Leading Edge
Window Observational Research Facility
Water Spray Boiler
Wake Shield Facility
White Sands Space Harbor
White Sands Test Facility
廃棄物収集システム
(EVA 工具の取り付け部の 1 つ)
(オービタの)翼前縁
窓を使用した観測研究用設備
ウオーター・スプレー・ボイラ(水蒸発器)
(STS-60、69、80)
ホワイトサンズ宇宙基地
ホワイトサンズ試験施設
X-SAR
X-band Synthetic Aperture Radar
X バンド合成開口レーダー
ZOE
Zone of Exclusion
(通信の)不可視域
付録 1-12
Rev.A
STS-114 プレスキット 付録 2
付録 2.シャトルの軌道上作業タイムラインの読み方
各宇宙飛行士の軌道上での作業は、NASA が作成するタイムラインによって事前に
決められています。このタイムラインは、打上げ後も毎日、翌日分が変更され、軌道
上クルーや運用者に配布されています。このタイムラインを含むパッケージは、
Execute Package と呼ばれています。
NASA JSC の PAO(広報室)では、報道関係者に対してもこの Execute Package を
配布しています。ここでは、代表的なサマリタイムラインの簡単な読み方を示します。
付録 2-3 ページ以降には、STS-114 の Overview Timeline を示します。これはサマリ
タイムラインよりも粗いもので、1 日単位(サマリタイムラインは 12 時間単位)で簡
単に作業内容を示しています。
なお、このタイムラインには、ミッションの関係者以外は使わないような略語や、
ワープロ・スペースの都合で省略されたイレギュラーな用語もあるため、この内容を理
解するのは非常に難解です。
イレギュラーで、関係者でも少々悩む例を以下に示します。
MDDK XFER: Middeck Transfer(ミッドデッキからの機器の運搬)
E LK PREP: Equipment Lock Preparation(エアロック「クエスト」の装備ロックの準備)
C/L DPRS:
Crew Lock Depressurization(エアロック「クエスト」のクルーロックの減圧)
PTV21 S/U:
Photo /TV 21 Set Up (フォト TV 運用 21 の準備)
略語の紹介(代表例)
SLEEP:睡眠
POST SLEEP:起床後に行う作業(朝食、洗顔を含む)
PRE SLEEP:就寝前の作業
MEAL:昼食
EXERCISE:運動
TRANSFER:物資の運搬
PAO EVENT:広報イベント
ISS RNDZ:ISS とのランデブー
OFF DUTY:休息時間
EMU P/B:宇宙服を着用してのプリブリーズ
C/O:点検
付録 2-1
STS-114 プレスキット 付録 2
MET(ミッション経過時間)
打上げを 0/00(日/時間)とする
FD(Flight Day)
打上げ日を「FD1」とし、クルーの
起床毎に 1 日を加えていく
(注:初日は早く寝るため MET と
は時間がずれていきます)
野口宇宙飛行士の予定
シャトルクルーの作業
ISS 長期滞在クルーの作業
軌道上の昼/夜を示す
データ中継衛星の通信可能帯
TDRS (E:East、W:West、Z:ZOE)
Ku バンドの通信可能帯
(ビデオ通信可)
S バンドの通信可能帯
(音声通信可)
付録 2-2
Rev.B
STS-114 プレスキット 付録 2
STS-114 Overview Timeline (NASA STS-114 Press kit より)
付録 2-3
Rev.B
STS-114 プレスキット 付録 2
付録 2-4
Rev.B
STS-114 プレスキット 付録 2
付録 2-5
Rev.B
STS-114 プレスキット 付録 3
付録
3
STS−114軌道上作業タイムライン略語表
本資料は、STS-114 Flight Plan(2005 年 6 月 30 日版)の代表的な略語、及
び野口宇宙飛行士が実施する作業に関する略語について、まとめたものです。
<注意>
本資料は、JAXA 独自に調査、整理した資料であるため、不明な部分
も残っています。これらの部分は今後、継続調査を行う予定です。
付録 3-1
Rev.B
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
STS-114 プレスキット 付録3
タイムライン上の略語
名称
10.2 DEPRESS
10.2 psi(pound square inch) depress
14.7 REPR
14.7 psi repress
実施する作業
船内を10.2psi(約2/3気圧)まで減圧する
船内を14.7psi(約1気圧)まで与圧する
A/L CONFIG
A/L PREP
APCU ACT
APPOACH W/RPM
ASCENT
ASPRN
ATTHO
Airlock configuration
Airlock preparation
APCU(Assembly Power Converter Unit) activation
Approach with RPM(rendezvous pitch maneuver)
Ascent
Aspirin
Attitude hand over
エアロックの状態設定
エアロックの準備
APCU(シャトルからISSへの電力供給用コンバータ)の起動
ISSへの接近(ランデブー・ピッチ・マニューバを含む)
上昇
アスピリン錠の摂取
姿勢権限の移行(シャトル←→CMG←→ロシアモジュール)
BSA-T
BSA(Battery Stowage Assembly) recharge terminate
バッテリ保管装置(BSA)を使用してのバッテリの充電作業の終了
CAMERA INSTALL CP9
C/L CMR INSTL
CLNUP/INGR
CABIN STOW
CBM 1ST STG
CBM 2ND
STG/ABOLTS
CDR
CDRA ACT
CMG GETAHEADS
CREW CONF
CREW PHOTO
CRWLK PREP
CRYO 02 SNSR CK
CMC
CWC
CWC INIT
CWC TERM
Camera Install CP9(Camera Port 9)
Center line camera install
cleanup/ingress
Cabin stow
CBM (Common Berthing Mechanism) first stage
CBM (Common Berthing Mechanism) second
stage/ABOLT(Acquire Bolt commnad)
Commander
CDRA(Carbon Dioxide Removal Assembly) activation
CMG(Control Moment Gyro) Get aheads
Crew news conference
Crew photography
Crew Lock Preparation
Cryo 02 sensor check
P1トラスのカメラポート9(CP9)への外部TVカメラの取り付け
シャトルのODS(ISSとのドッキングシステム)の窓へのカメラの取り付け
EVA作業の片づけ/船内への入室
帰還前に行う船室内の収納、片づけ
共通結合機構(CBM)の結合の第一段階
CWC(Contengency Water Container)
CWC initiation
CWC termination
水を貯蔵・運搬する容器(バッグ)
CWCへの注水の開始
CWCへの注水の終了
D/O BRIEF
DAILY PLN RVW
DAY/NIGHT
DEORBIT PREP
DEPRS
Deorbit briefing
Daily Planning Review
Day/Night
Deorbit preparation
De-pressurization
軌道離脱前の手順確認
毎日行われる計画のレビュー
昼/夜
軌道離脱の準備
減圧
共通結合機構(CBM)の結合の第二段階/ボルト締め開始コマンド
コマンダー(船長)
米国製の二酸化炭素除去装置(CDRA)の起動
CMG(コントロールモーメントジャイロ)に関する事前作業
軌道上共同記者会見
クルー全員での記念撮影
「クエスト」エアロックのクルーロックの準備作業
液体酸素タンクのセンサのチェック
Rev.B
付録3-2
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
タイムライン上の略語
DOCK FILM
Docking film
DOCK RING EXT
Docking Ring Extension
DPC
Daily Planning Conference
EGRS/SETUP
PAYLOAD BAY
EMU C/O
ENTRY VIDEO S/U
ERGO S/U
ERG STOW
ESPAD INSTL
ESPAD REMOVAL
ESP2 INSTALL
ESP2 UNBRTH
ESP2 UNGRPL
ET VID D/L
EVA CAMR
EVA CLEANUP
EVA H/W STOW
EVA PREP
EVA PROC REVW
EVA PURGE P/B
EVA REVW
EVA SETUP
EVA SSRM SUPPORT
EVA TOOL CONFG
EVA TOOL
CLNUP/STOW
EVA2 CMG R&R
EVENT PAO
EXERCISE
EXERCISE TVIS
EXERCISE RED
EWA MAT MIX
FAREWELL
名称
STS-114 プレスキット 付録3
実施する作業
ドッキングの撮影
ODS(シャトルのドッキングシステム)ドッキングリングの伸展
毎日行われる地上との計画調整会議
Egress/set up
Payload bay
EMU(Extravehicular Mobility Unit) check out
Entry video set up
Ergometer set up
Ergometer stow
ESPAD(ESP Attachment Device) install
ESPAD(ESP Attachment Device) removal
ESP (External Stowage Platform) 2 install
ESP 2 unberth
ESP 2 ungrapple
ET Video Down Link
EVA(Extravehicular Activity) camera
EVA Clean up
EVA hardware stow
EVA preparation
EVA procedure review
EVA purge pre-breath
EVA review
EVA set up
EVA SSRMS(Space Station Remote Manipulator System)
support
EVA tool configuration
船外へ出て、作業の準備
ペイロードベイ(貨物室)内でのEVA作業準備
EMU(宇宙服)の点検
再突入に備えたビデオの準備
エルゴメーター(自転車こぎ機)の準備
エルゴメーター(自転車こぎ機)の収納
クエストへのESPAD(ESP2取り付け装置)の取り付け
(ESP-2からの)ESPAD(ESP2取り付け装置)の取り外し
ESP(船外保管プラットフォーム)2 本体の取り付け
ESP2の貨物室からの取り出し
ESP2からロボットアームの把持を外す
ET分離時に撮影したビデオの地上への送信
船外活動用(EVA)カメラの準備
EVAの片づけ
EVA用ハードウェアの収納
EVA準備
EVA手順の確認
EMU(宇宙服)を着用してのパージ(酸素を流して窒素を追い出す)、プレブリース(事前呼吸)
EVA手順の確認
EVA準備
EVA tool Clean up/stow
EVA工具の片づけ/収納
EVA2 CMG(Control Moment Gyroscope) removal &
Event PAO(Public Affair Office)
Exercise
Exercise TVIS(Treadmill Vibration Isolation System)
Exercise RED(Resistive Exercise Device)
EWA(Emittance Wash Applicator) Material Mixture
EVA2でのGMC(コントロール・モーメント・ジャイロ)交換
広報イベント
運動
TVIS(トレッドミル)を使った運動
RED(筋力トレーニング器具)を使った運動
EWA(タイル補修装置)の準備
Farewell
シャトルクルーとISS長期滞在クルーの別れの挨拶
SSRM(ISSのロボットアーム)によるEVA支援
EVA工具の確認
Rev.B
付録3-3
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
STS-114 プレスキット 付録3
タイムライン上の略語
FCS C/O
FD
FILTER CLEANING
FLYAROUND
FRGF RMVL
名称
FCS(Flight Control System) check out
Flight Day
Filter cleaning
Fly around
FRGF(Flight Releasable Grapple Fixture) Removal
GIRA INSTALL
GIRA STOW
GMT
GIRA(Galley Iodine Removal Assembly) install
GIRA(飲料水からのヨウ素(殺菌用に使用)除去装置)の取付
GIRA(Galley Iodine Removal Assembly) stow
GIRA(飲料水からのヨウ素(殺菌用に使用)除去装置)の収納
Greenwich Mean Time
グリニッジ標準時(世界標準時)
GPS(Global Positioning System) Antenna R&R(Removal and
GPSアンテナの交換修理
Replacement)
グループBの機器の停止 (グループBとは電力消費レベルの制限を規定したものであり、グ
Group B power down
ループBよりもグループCの方が制限は厳しい)
GPS ANT R&R
GRP B PWRDN
実施する作業
飛行制御システムの点検
飛行日
フィルターの掃除
ISSから分離した後、ISSの周りを回りながらカメラでISSの外観撮影を行う運用
(ESP-2からの)軌道上取り外しが可能なグラップルフィクスチャ(FRGF)の取り外し
HAND SHAKE
HATCH OPEN
HH VIDEO D/L
H2O CWC SETUP
Hand shake
Hatch open
Hand held video down link
H2O CWC(Contengency Water Container) set up
ISS長期滞在クルーとシャトルクルーの握手
ISSとシャトル間のハッチの開放
ハンディカメラによるビデオ画像のダウンリンク
CWC(水を貯蔵するバッグ)の準備
INGRS
INGRS POST
ISS ATT
ISS EGRS
ISS EXTERNAL
ISS INGRS
ISS RNDZ
Ingress
Ingress post
ISS(International Space Station) Attitude
ISS egress
ISS externatl survey
ISS Ingress
ISS rendezvous
船外から船内へ入る、または、シャトルからISSへの入室
シャトルからISSへの再入室
ISS(国際宇宙ステーション)の姿勢
ISSからの退室
(クルーが寝ている間に地上からのカメラ操作で行う)ISSの外観検査
ISSへの入室
ISSとのランデブー
JAXA PAO
JOINT MEAL
JAXA PAO(Public Affair Office)
Joint meal
JAXAの広報イベント
シャトルクルーとISS長期滞在クルーとの共同での食事
KSC LNDG
KU BD DPLY
KU CLR D/L
KU STOW
KSC Landing
Ku-band antenna deploy
Ku-bqand antenna Clearance Down link
Ku-band antenna stow
ケネディ宇宙センター(KSC)への着陸
シャトルのKuバンドアンテナ展開
シャトルのKuバンドアンテナとOBSS間のクリアランスを確認するための映像を地上へ送信
シャトルのKuバンドアンテナ収納
LAB GRAPPLE
LAB(Laboratory module) Grapple
ISSのロボットアームで米国実験棟デスティニーを把持し、そこをロボットアームの運用場所
とする(デスティニーへの移動)
Rev.B
付録3-4
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
タイムライン上の略語
名称
LAB UNGRAPPLE
LAB(Laboratory module) Ungrapple
LEAK CHECK
LIMP
LIOH XCHG
L-1 COMM CHK
Leak check
limp
LiOH(Lithium Hydroxide)Exchange
L-1 day communication check
MBS GRAPPLE
MBS(Mobile Base System) Grapple
MBS UNGRAPPLE
MBS(Mobile Base System) Ungrapple
MEAL
MET
MDDK PREP
MDDK XFER
実施する作業
ISSのロボットアームのデスティニーの把持を解除(デスティニーからISSのロボットアームを
別の場所へ移動)
空気漏れの点検
ロボットアームをLIMPモード(力の加わらないぐにゃぐにゃした状態)にする
水酸化リチウム(LiOH:ライオと発音)キャニスターの交換
着陸1日前の通信チェック
Meal
MET(Mission Elapsed Time)
Middeck preparation
Middeck transfer
MISSE (Materials International Space Station Experiment) 5
MISSE 5 INSTALL
install
MISSE 1,2 RTRVL
MISSE 1&2 Retrieval
MNVR OBSS GRPL
Maneuver OBSS(Orbiter Boom Sensor System) grapple hand
H/O
over
Maneuver to ACBM(Active Common Berthing Mechanism)
MNVR TO ACBM INSPT
inspection
MNVR-ZLV
Maneuver z-axis in local vertical
MPLM BERTH
MPLM(Multi-Purpose Logistics Module) berthing
MPLM DEACT
MPLM De-activation
MPLM INGR
MPLM ingress
MPLM INSTL
MPLM install
MPLM INSTL GRPL
MPLM install grapple
MPLM UNGRPL
MPLM ungrapple
MPLM UNISTL
MPLM uninstall
MS
MS(Mission Specialist)
Node 1 Nadir CBCS(Centerline Berthing Camera System)
Removal
N2XFER
N2 Transfer
NC1, NC2, NC3, NC4
Phasing maneuver 1, 2, 3, 4
NH
Nominal Height/adjustment maneuver
NODE 1 CBM DEMATE Node1 CBM(Common Berthing Mechanism) demate
N1 NDR CBCS RMV
STS-114 プレスキット 付録3
ISSのロボットアームでMBSを把持し、そこをロボットアームの運用場所とする(MBSへの移
動)
ISSのロボットアームのMBSの把持を解除(MBSからISSのロボットアームを別の場所へ移
動)
食事
ミッション経過時間
ミッドデッキの準備
ミッドデッキの物資の輸送
MISSE(材料曝露実験装置)5の取り付け
MISSE(材料曝露実験装置)1, 2の回収
ロボットアーム間でOBSSを受け渡すための移動
OBSSのカメラを使用してのACBM(共通結合機構のアクティブ側)の点検
シャトルを地球方向に背面を向けさせる姿勢への変更
MPLM(多目的補給モジュール)のシャトル貨物室への固定
MPLM(多目的補給モジュール)システムの停止
MPLM(多目的補給モジュール)への入室
MPLM(多目的補給モジュール)のISSへの取り付け
MPLM取り付けのためのロボットアームによる把持
MPLMからロボットアームを取り外す
MPLMをISSから取り外す
ミッション・スペシャリスト
「ユニティ」(ノード1)の下側のCBCS(結合用センターラインカメラ)の取り外し
ISSへの窒素ガスの補給
ISSとのランデブーのための軌道制御(位相の制御)
ISSとのランデブーのための軌道制御(高度の調整制御)
「ユニティ」(ノード1) のCBM結合解除
Rev.B
付録3-5
STS-114 プレスキット 付録3
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
タイムライン上の略語
名称
実施する作業
OBSS BERTH
OBSS GRPL
OBSS H/O FROM
SSRMS
OBSS MNVR TO
HANDOFF
OBSS SURVEY
OBSS UNBERTH
OBSS UNGRPL
ODS VEST LK CK
OFF DUTY
OMS BURN
ORB ATT
ORBIT
OBSS(Orbiter Boom Sensor System) berth
OBBS grapple
OBSS(センサ付き検査用延長ブーム)をシャトルの貨物室に戻して固定
OBSSをロボットアームで把持する
OBBS hand over from SSRMS
SSRMSからシャトルロボットアームへのOBBSの受け渡し
OBBS maneuver to handoff
OBSS受け渡しのための移動
OBBS survey
OBSS unberth
OBBS ungrapple
ODS(Orbiter Docking System) vestibule leak check
Off duty
OMS(Orbital Maneuvering System) burn
Orbitter Attitude
Orbit
OBSSを使ったRCCの検査
OBSSの貨物室からの取り出し(固定解除)
ロボットアームによるOBSS把持の解除
ISS分離前のODS(シャトルのドッキング装置)結合部の空気漏れの点検
休暇
OMS(軌道制御システム)エンジン噴射
スペースシャトルの姿勢
軌道周回数
P/B TERM
P/B INIT
PRE EVA XFER
P/TV01 SETUP
P/TV02 S/U
P/TV03 OPS
P/TV03 S/U
P/TV04 EGRS OPS
P/TV04 S/U
P/TV04 OPS
P/TV05 S/U
P/TV06 S/U SSRMS
P/TV08 OPS
P/TV08 S/U
PAO
PAO A/G
PAO EVENT
PAO S/U
PFC
Prebreath terminate
Prebreath initiate
Pre EVA transfer
Photo/TV01 set up
Photo/TV02 set up
Photo/TV02 operations
Photo/TV03 set up
Photo/TV04 egress operations
Photo/TV04 set up
Photo/TV04 operations
Photo/TV05 set up
Photo/TV06 set up SSRMS
Photo/TV08 operations
Photo/TV08 set up
PAO(Public Affair Office) event
PAO air to ground
PAO event
PAO set up
PFC(Private Family Conference)
PGSC(Payload and General Support Computer) setup (Flight
Deck)
プリブリーズ終了
プリブリーズ開始
EVA前に実施するEVA機器の運搬作業
写真/TV撮影 01 準備
写真/TV撮影 02 準備
写真/TV撮影 02
写真/TV撮影 03 準備
写真/TV撮影 04 ISSからの退室の撮影
写真/TV撮影 04 準備
写真/TV撮影 04
写真/TV撮影 05 準備
写真/TV撮影 06 SSRMS(カナダアーム2)運用に関する撮影準備
写真/TV撮影 08
写真/TV撮影 08 準備
広報イベント
音声のみでの広報イベント
広報イベント
広報イベント準備
家族とのプライベートな交信(プライベートな内容のため非公開)
PGSC S/U (FLT DK)
PGSC(ラップトップコンピュータ)の準備 (フライトデッキ)
Rev.B
付録3-6
STS-114 プレスキット 付録3
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
タイムライン上の略語
名称
PGSC(Payload and General Support Computer) setup (Mid
Deck)
PGT(Pistle Grip Tool) check out
Pilot
PMC(Private Medical Conference) Air to Ground
Post EVA EMU(Extravehicular Mobility Unit) transfer
ピストル・グリップ・ツール(EVA用の電動工具)の点検
パイロット
航空宇宙医師との交信(プライベートな内容のため非公開)
EVA終了後の宇宙服のISSへの移送
Post EVA transfer/reconfiguration
EVA終了後の機器の移送/設定変更
Post EVA entrance preparation
Post EVA with? H2O
Post insertion
Post sleep
Post sleep - GIRA(Galley Iodine Removal Assembly)
Pre sleep
Pre sleep - GIRA(Galley Iodine Removal Assembly)
Preparation
Prepartion work
EVA終了後の入室準備
EVA後作業 宇宙服への水の充填
軌道投入後作業
起床後作業(洗面、朝食、作業確認等)
起床後のGIRA(飲料水からのヨウ素(殺菌用に使用)除去装置)関連作業
睡眠前作業(夕食、地上との交信、自由時間等)
睡眠前GIRA関連作業
準備
準備作業
Primary cable routing
(ESP-2用の)主系ケーブルの敷設
PRLA(Payload Retension Latch Actuators)
Photo/TV02 operations
Photo/TV06 set up MPLM
PRLA(シャトル貨物室への固定機構アクチュエータ)の操作
写真/TV撮影 02
写真/TV撮影 06 準備 MPLM関係の撮影用
RCC PLUG DEMO
RCS BURN
REBA H/W
RMSS/U
RMV C/L CMR
RNDZ
RPRS
RS GND
RCC(Reinforced Carbon Carbon) Plug Repair Demonstration
RCS(Reaction Control System) burn
REBA(Rechargeable EVA Battery Assembly) Hardware
RMS set up
Removal Centerline Camera
Rendezvous
Repress
Russian ground station
RCC(強化炭素複合材)プラグ修理技術の船内デモ試験
RCS(小型のスラスタ)噴射
REBA(充電式EVAバッテリ)から電力を供給する装置の点検
ロボットアームの準備
シャトルのODSの窓に取り付けていたセンターラインカメラの取り外し
ランデブー
エアロック内の再圧
ロシア地上局
SAFER C/O
SEC CBL ROUT
SECONDARY CABLE
ROUT
SFTY BRIEF
SAFER(Simplified Aid For EVA Rescue) check out
Secondary cable routing
SAFER(EVA時のセルフレスキュー用推進装置)の点検
(ESP-2用の)冗長系ケーブルの敷設
Secondary cable routing
(ESP-2用の)冗長系ケーブルの敷設
Safety briefing
ISS入室時の安全説明
PGSC S/U (MDDK)
PGT C/O
PLT
PMC A/G
POST EVA EMU XFER
POST EVA
XFER/RCNFG
POST EVA ENT PREP
POST EVA W/H2O
POST INSERTION
POST SLEEP
POST SLEEP - GIRA
PRE SLEEP
PRE SLEEP - GIRA
PREP
PREP WORK
PRIMARY CABLE
ROUTNG
PRLA
PTV02 OPS
PTV06 S/U MPLM
実施する作業
PGSC(ラップトップコンピュータ)の準備 (ミッドデッキ)
Rev.B
付録3-7
STS-114軌道上作業タイムライン略語表
STS-114 プレスキット 付録3
タイムライン上の略語
名称
SLEEP
Sleep
SRMS SRVY
SRMS(Shuttle Remote Manipulator System) Survey
SSRMS(Space Station Remote Manipulator System)
SSRMS CMG EVA S/U
CMG(Control Moment Gyro) EVA Set up
SSRMS ESPAD
SSRMS ESPAD(ESP Attachment Device) install
SSRMS(Space Station Remote Manipulator System) ESP2
SSRMS ESP2 INSTALL
install
SSRMS ESP2 GRPL
SSRMS ESP2 grapple
SSV DEACT
SSV(S-band Sequential Still Video) deactivation
SSV SU
SSV Set up
カナダアーム2によるESP2把持
SSV(Sバンドを使用するコマ送り画像)停止
SSVの準備・起動
TDRS E
TDRS W
TI
TIG
TRANSFER
TDRS(Tracking and Data Relay Satellite) East
TDRS(Tracking and Data Relay Satellite) West
Terminal phase initiation
Time of ignition
Transfer
TPS(Thermal Protection System) DTO(Detailed Test
Objective)
追跡・データ中継衛星 East(アメリカの東側をカバー)
追跡・データ中継衛星 West(アメリカの西側をカバー)
(ランデブーの)最終フェーズ開始(のための軌道制御)
軌道変更の噴射を実施する時間
ISSとシャトルとの間での物資の移送作業
UNBRTH
UNDOCK
UNGPL
Unbearthing
Undocking
Ungrapple
分離
ドッキング解除
RMSによる把持の解除
VELO
VEST DEPRESS
VEST EPRESS
VESTIBULE CONFIG
VTR PB
VELO ergometer
Vestibule depressurization
Vestibule pressurization
Vestibule configuration
VTR(Video Tape Recorder) Playback
ロシアの自転車エルゴメーターを使った運動
MPLMとユニティとの間のCBMの空間(ベスチビュール部)を真空にする
MPLMとユニティとの間のCBMの空間(ベスチビュール部)の加圧
MPLMとユニティとの間のCBMの空間(ベスチビュール部)の状態設定
ビデオのプレイバック
WSB DTO/ELEV PK
WSP(Water Spray Boiler) DTO(Detailed Test Object)/ELEV
WSBの検証試験
XFER
XFER OPS
XFER REVIEW
XFER TAGUP
Transfer
Transfer operations
Transfer review
Transfer Tagup
ISSとシャトルとの間での物資の移送作業
ISSとシャトルとの間での物資の移送作業
移送作業の確認
移送作業の打ち合わせ
TPS DTO
実施する作業
睡眠
シャトルのロボットアームを使用した船室上部の耐熱タイルの点検作業
SSRMS「カナダアーム2」によるCMG(コントロールモーメントジャイロ)に関する船外活動
(EVA)の準備
SSRMS「カナダアーム2」によるESPAD(ESPのエアロックへの取付機構)の取り付け
SSRMS「カナダアーム2」によるESP2取り付け
EVAによるTPS修理の開発試験
Rev.B
付録3-8
STS-114プレスキット付録4
付録4
シャトルの外部燃料タンク(ET)の説明図
(本資料は全てNASA等から一般公開されている図・写真を基に作成しています)
付録4-1
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
External Tank(ET)の構造結合部
ET/オービタ後方結合部
(2箇所)
ET/オービタ前方結合部
ET/SRB後方結合部
(2箇所に各3個の結合機構)
ET/SRB前方結合部
(2箇所)
ET/地上からの配管
結合プレート
図1 ETの結合機構 (図:Lockheed Martin社HPより)
付録4-2
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
液体酸素供給配管
(オービタとの後方結合部)
液体水素供給配管
(オービタとの後方結合部)
液体酸素供給ラインのベローズ部 (3箇所:図8を参照)
バイポッド・ストラット
(オービタとの前方結合部)
バイポッドランプ
(STS-114から廃止)
後方SRB固定部
オービタへの液体酸素供給配管
(LO2 Feedline)
液体水素(LH2)タンク
液体酸素加圧配管、
ケーブルトレイ
LH2 PAL ランプ
液体水素タンクの加圧配管
(手前の細い配管)
液体酸素タンク
Ice/Frostランプ
(計12個)
液体水素タンク・インタータンク・
前方SRB固定部
フランジ
(液体水素タンクとインタータンク
間の接合部)
インタータンク
液体酸素 PAL ランプ
液体酸素(LO2)タンク
酸素ベントバルブ
(射点のみで使用)
PAL(Protuberance Airload)ランプ:突起
部による気流の乱れを整流する成形部
図2 ETの構造 (NASA公開資料より)
付録4-3
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
STS-114用に使われることになったET-121
(ロッキードマーチン社)
注:白っぽい部分は断熱材の
施行をやり直した部分である。
この断熱材は、時間が経つと
酸化して褐色に変色する。
図3 STS-114で使われるET-121の写真 (写真:Lockheed Martin社HPより)
付録4-4
Rev.B
液体酸素の供給ルート
(地上→オービタ→ET:図5を参照)
STS-114プレスキット付録4
液体水素の供給ルート
(地上→オービタ→液体水素タンクへ)
オービタへの液体酸素供給配管
(LO2 Feedline)
液体水素枯渇センサ 4個
液体水素タンクの圧力逃がし弁(リリーフバルブ)
(液体水素タンク加圧用のディフューザ(拡散装置)が仕様を満たし
ていなかったのが原因とわかり、従来型の製品と交換された)
液体水素(LH2)タンク
赤丸の部分の装置は、4/14に行われたタンキング
試験で問題とされた箇所
インタータンク
(タンク間構造部)
液体酸素(LO2)タンク
長さ46.87m(153.8フィート)
直径 8.4m(27.6フィート)
構造重量 現在のSLWT(超軽量タンク)は 26.50t
古いLWT(軽量タンク)は 29.90t
TPSの重量 2,185kg
図4 ETの断面図 (図:Lockheed Martin社HPより)
付録4-5
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
液体酸素供給配管
ET撮影用カメラ(参考)
2箇所のETドア
(ET分離後にモータ駆動で閉じる)
ETとの結合部拡大(ET側は図9を参照)
(NASA STS-114 Press kitより)
液体水素
液体酸素
TSM (Tail Service Mast)
[地上設備]
地上からT-0アンビリカル
ケーブルをオービタに接
続した状態
T-0アンビリカルパネル
太い矢印は地上からETへの推進剤の
供給ルートを示す(図4を参照のこと)。
推進剤供給用の17インチ(直径
43cm)配管
図5 地上からETへの推進剤の供給ルート
付録4-6
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
LO2タンク加圧ライン
LH2タンク加圧ライン
(打上げ直前にヘリウムで加圧し、メイン
エンジン点火後は水素ガスで加圧)
LOXフィードライン・
支持ブラケット
(打上げ直前にヘリウムで加圧し、メイン
エンジン点火後は酸素ガスで加圧)
ケーブルトレイ
(電気配線を収納)
インタータンク
LH2タンク
断熱フォーム(断面)
作業用の足場
LH2タンクの
PALランプ
PALランプ(切開した部分)
図6 ETのPALランプ部 (写真:Lockheed Martin社HPより)
付録4-7
インタータンク・フランジ
(結合部の断熱材を切開した状態)
飛行再開フライト以降はここの結合ボルトを
180度逆に結合し、断熱材を落ちにくくした
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
コロンビア号事故前の設計
コロンビア号事故後に見直された設計
(バイポッド・ランプあり)
(バイポッド・ランプ無し)
ヒータプレート
断熱材の施工前
完成状態
図7 ETのバイポッド結合部の改造状況 (図、写真:NASA HPより)
付録4-8
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
右を拡大した写真
LOXフィードライン
支持構造(ブラケット)
追加した
ヒータ
LOXフィードライン
長さ 21.3m
直径 43.2cm
LOXフィードライン・ベローズ
(RTFインプリメンテーションプランより)
LOXフィードライン・ベローズ(蛇腹構造)はこの3箇所。(他に2箇所のベローズ構造が、インタ
ータンクの内部にもある(図8(2/2参照))が、ETの内部であるため、落下による影響はない)
ヒータは、一番上のベローズにのみ追加されている。
注:青色の太い矢印は氷が付着した部分を指している
図8(1/2) ETのLOXフィードライン・ベローズ (図:RTF TG HPより)
付録4-9
Rev.B
後方ベローズ
STS-114プレスキット付録4
前方ベローズ
インタータンク内部の2個
のベローズ
中央ベローズ
ET上部
ET下部
LOXフィードライン・ベローズはこの3箇所。(他に2箇所のベローズ構造が、インタータンクの内部
にもあるが、ETの内部であるため、落下による影響はない)
ヒータは、一番上の前方ベローズにのみ追加される。Drip lipへの改造状況は図9を参照のこと。
注:白い部分は付着した氷と思われる
図8(2/2) ETのLOXフィードライン・ベローズ (図:RTFインプリメンテーションより)
付録4-10
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
Drip lipは、推進剤を充填した時に
ETの表面温度が下がり、空気中
の湿気が結露して水滴となり、さら
にそれが氷になる前に、水が下に
たれ落ちるようにすることで氷の
形成を防ぐものである。
drip lip
ベローズ
左:従来の設計、
右:改良後のET-120タンク
Drip lipの断面構造
(RTFインプリメンテーション
プランより)
[参考]オービタとの結合部
(結合機構、推進剤の配管、電力通信コネクタ)
図9 ETのLO2供給ラインの最下層ベローズ部の改良されたdrip lip (写真:NASA KSC HPより)
付録4-11
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
ET水素ベントライン&アクセスアーム
(排気された水素ガスの回収、バルブ駆動用のヘリウム・
窒素ガス等の供給用: T-0秒、SRB点火時に引き込む)
排気された酸素ガスの排出口
ET酸素ガスベントアーム
(排気された酸素ガスを吸引:キャップの部
分はBeanie Capと呼ばれる:打上げ2分30
秒前に引き込む)
T-0アンビリカル (右舷にもある)
TSM (Tail Service Mast)
(T-0アンビルカル経由でオービタ/ETに液体酸素、液体水素、ヘリウム
、窒素ガス、電力・通信を供給:T-0秒でアンビリカルを分離)
[参考] オービタ・アクセスアーム
(クルーの搭乗用: 打上げ7分前に引き込む)
図10 射点:とETとの配管インタフェース (写真:NASA KSC HPより)
付録4-12
Rev.B
STS-114プレスキット付録4
KSC
の夜
軌道投入高度
における夜
KSCの午後
打上げ時刻
④
KSCの
昼間
EST(米国東部
時間)
③
②
10分間
KSCの朝
KSCの夜明け前
②太陽ベータ角が
60度を超えると、
シャトルドッキング
時の軌道上の熱環
境が厳しくなるため、
打ち上げはできない
(従来からあった制
約)。
打上げ日 GMT(月/日/年)
①この斜線の線の太さ
のある幅で示された部
分が、ISSとのランデ
ブー/ドッキングが可能
な10分間の短いウイン
ドウであり、飛行再開
に関する他の制約が無
くても、もともとこの時
間帯にしか打ち上げは
出来ない。
打ち上げが遅れるた
びに、打ち上げ時刻が
毎日少しずつ早まる理
由もここにある。
③シャトルの飛行再開ミッション(最初の2回)では、地
上のカメラによる撮影が必須であるため、昼間しか打
ち上げられない。
④さらにクルーがET分離後の撮影を行うには、分離
時も日照状態で無ければならないため、この中央の
白い枠の範囲を横切る①の斜線の部分しか打ち上げ
られなくなる。
(これが従来と比べて厳しくなった範囲である)
なお、STS-300救難シャトルの打ち上げではこの範
囲外の期間でも打ち上げを行う予定。
10月から3月中旬までの間、打ち上げ可能な日が
ほんの数日しか無いのは、冬季は日照時間が短
い上に、太陽ベータ角による制約が、KSCの昼間
の時間帯と重なるためである。
注:この図は2004年~2005年3月までの間のロンチウインドウであるが、
太陽ベータ角や昼夜の時間差の変動は年単位で繰り返すため、模
式的に考える分には2005年も同様である。(ただし軌道高度により
変化するので、あくまでも参考。)
図11(参考) シャトル飛行再開ミッション(最初の2回)における打ち上げウインドウの説明図
付録4-13
Rev.B
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