パッケージが変わる ブランドオーナーと印刷会社が 顧客の変化に応える

パッ ケージが変わ る
ブランドオーナーと印刷会社が
顧客の変化に応える
A White Paper by:
Richard Romano
Sponsored by:
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
要約
ここ数年において、小売環境における消費者行動に変化が見受けられる。それはデジタル印刷の始
動と、ブランドが顧客とコミュニケーションするチャネルの激増と同時に起こっている。消費者のブランド
との関係、それには当然パッケージが含まれる、が変化しており、ブランドオーナーは受け入れざるを
得ない。これが印刷会社に何をもたらすのか、またどうすればうまく活用できるのか?
イントロダクション
業界の印刷会社とベンダーの会話の中でよく聞かれるコメントは、“ジョブが短くなっている”というもの
であり、多くの場合”印刷がよりパーソナライズされている”という話と同様に使われる。これはパッケー
ジの印刷とコンバージョンにおいても現実である。しかしながら、“ジョブが短くなっている”、“印刷がよ
りカスタム化し、パーソナライズされている”と言うだけでは核心をついていない。これらは一般的な傾
向であるが、消費者がどのように変化しようとしているかを理解する鍵と考えるべきであろう。他のあらゆ
る印刷物よりも、パッケージは消費者の行動と密接に関わっており、消費者の行動と態度が変化すれ
ば、パッケージも変わらねばならず、そしてパッケージに関わる全ての人と印刷会社もこれらの変化に
対応せねばならない。P&G 社は FMOT(“First Moment Of Truth”)といった要素を引き合いに出す。
それは店舗の棚にあるパッケージが、最初に顧客を惹きつける時だ。何が消費者をして特定のパッケ
ージを取り上げ、買い物カゴに入れさせるのか?関係はここで終わらない。
さらに SMOT(“Second Moment Of Truth”)がある。これは顧客がパッケージを家に持ち帰った時のこ
とである。 それはよい方向の場合もある。
Apple 商品を考えると、iPhone のパッケージが誇らしいほどに細部に渡って注意が施されていること、
あるいは食品のパッケージに栄養価が明示されていることでもよい。あるいは悪い方向もある。
家電から歯磨きのようなものを考えていいただきたい。突き通せないブリスターパックで、いくら頑張っ
ても破れないか、指を切ってしまうか、それとも両方か、である*1。パッケージにおいて明らかになりつつ
あるトレンドは、他のセグメントの印刷物と同様に、デジタルの方向性、すくなくともデジタルとアナログ
のハイブリッドの方向性に向かっているということだ。パッケージ印刷市場においては、標準的なデジタ
ル印刷の推進力である、小ロット、カスタム化、パーソナル化は、マイクロ・セグメンテーション(ターゲッ
トのセグメントの極小化)、SKU(Stock Keeping Unit=在庫単位)の激増、市場導入の迅速化要求、プ
ロトタイプ、パーソナライズ化と組み合わされる。この白書においては、このようなトレンドを消費者の視
点から見つめることによって、どのように消費者が変化しているのか、どのような役割を印刷会社とコン
バーターが果たすべきかを考察する。
*1 消費者レポート誌はかつて”Oyster Awards オイスターアワード” あるいは最も開けにくいパッケージ、と呼ばれる賞
(http://www.packworld.com/package-type/thermoformed-packaging/bad-packaging-consumer-reports-2007-oyster-awards)、
を催していた。Amazon や他の努力によってパッケージはよりユーザーが使いやすくなり、消費者レポート誌がオイスターを止めて
しまったのは喜ばしいことである。バンドエイドの売上はこれにあわせて減少したに違いない。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 1
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
推進力の分析
それでは少し詳しくデジタルを推し進める要素の特長を見よう。
ジョブが短くなっている
パッケージにおいては、“ジョブが短くなっている”や“小ロット印刷の増加”はいくつかの要因に起因す
る*2 。まずは SKU の激増である。ひとつの SKU で大量のパッケージを印刷する代わりに、異なるバリ
エーションのパッケージデザインが、それぞれの SKU で生産されるようになった。最もよい例は歯磨き
粉であろう。スーパーや薬局の歯磨き粉のコーナーをみれば、かつてはブランドあたりひとつの SKU
で一種類しかなかったことによってパッケージは大ロットであったが、今では 1 ダースではきかない
SKU がある。エキストラホワイトニング、タルタルコントロール、知覚過敏用、知覚過敏用エキストラホワ
イトニング、知覚過敏用エキストラホワイトニング+タルタルコントロール、強度知覚過敏用エキストラホ
ワイトニング+強力タルタルコントロール、ミント片入り、等々数え上げたらキリがない。それぞれの SKU
がそれぞれの小ロットのパッケージを必要とする。ロット数に影響を与えている他の要因は、最も効率の
よい FMOT を探すための実験的なパッケージデザインや新製品が挙げられる。ブランドオーナーが新
製品を小さいテストマーケットに導入するにあたって、大量のパッケージを印刷して倉庫に置いてしま
えば、それは商品が成功しなければ、廃棄になってしまう。会社は必要なものだけを印刷できる。
カスタマイズ/パーソナライズ
これらの言葉は業界でも必ずしも統一された定義を持っていないので、少し明確にしたい。少なくともこ
の白書上においては下記に統一したい。
カスタマイズ:全体的な基調は統一されているがロット間において、何らかの内容が異なる印刷物
パーソナライズ:全ての内容が 1 枚ずつ何らかが異なり、パーソナライズ化された印刷物
パッケージは地域によってカスタマイズされる、例えば、ビールのケースは、その州や郡向けにカスタマ
イズされ、地域のスポーツチームのロゴを入れる、あるいはそれらが売られる店の種類にもよってカスタ
マイズされる。(下記参照)本来のパーソナライズはパッケージとは相容れないように思えるが、この白
書の後半で実例を見てみよう*3。ところで”Point Of Purchase”と”Point Of Sales”(POP/POS)ディスプレ
イは”パッケージ”の範疇と考えられている。これらのディスプレイはパッケージホルダーの延長であるこ
とが多いからである。
*2 通常ここでは、”小ロット”の定義を行うはずだ。印刷会社10社に聞いたら10通りの答えが返ってくるであろう。ある種の商業
印刷会社には、1000 以下が小ロットだし、ある種の出版印刷会社には 100 万部以下は全て小ロットかもしれない。もう一つの疑問
は、可変で印刷され、それぞれ画像が異なるものをどう数えるか、である。これは 10,000 部なのか、10,000 種類が 1 枚ずつなの
か?
*3 有名な”Share a Coke”コカ・コーラキャンペーンは本来のパーソナライズではないが、10 代とその上の世代の最も一般的な名
前 250 種類で構成された。(http://www.coca-colacompany.com/coca-cola-unbottled/is-yourname-on-a-coke-bottle-find-outhere)
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 2
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
顧客の動向の変化
20 世紀後半から始まったマーケティングの前提は、消費者は個人であって、彼らの購買は個々の特性
を反映したものである、と言う所にあった。しかし常に起こってくる疑問は、消費者向け商品はコストを下
げるために大量生産するので、それは不可能ではないか、ということである*4。
多くの消費者向け資材は、かなりの場合もはや大量生産の必要は無い。デジタル印刷技術は、いまや
個々の服、インテリア、そして車まで作ることができるようになった。我々はこの本来のパーソナリゼーシ
ョンのまだ初期段階に留まっているが、この活動が加速しないとする理由はどこにもない。パッケージ
の話から少し遠ざかったように思えるが、消費者商品は、当然、パッケージを伴うのだ。我々の生活が
よりオンデマンドになるにつけ、我々が関わるコンテンツが、我々に関連付けられることを要求するであ
ろう。そしてパーソナライズされたコンテンツよりも関連付けられたものとは?それこそが、First Moment
Of Truth”=我々の注意を引きつけるワントゥワンのアピールであろう。
誰も時間の余裕が無い
我々はすべて個人であって、すべて個別のスケジュールをもっていて、もし何か我々すべてに共通の
ものがあるとすると、それは時間に余裕がない、ということであろう。 個人のアポイントやイベントであっ
たとしても、ますます電子カレンダーからの招待によってアレンジされるようになってきている。鶏が先か
卵が先かのようで恐縮だが、時間を節約する技術が先か、時間を節約するニーズが先か? 恐らく両
方とも少しずつ正しい。画像でのコミュニケーションの進化を見ると、郵便手紙から FedEx、そして
email、テキストによりメッセージへと変化しているが、我々は即座にコミュニケーションする必要があっ
たのか、あるいは新しい技術が我々に即時のコミュニケーションを可能にしたことによって、それが望ま
れるようになったのか?繰り返すが、恐らく両方とも少しずつ正しい。 良かれ悪しかれ、我々は時間に
縛られた生活を送っている。 我々にはもうくどくどしている時間はないのだ。我々はインスタントな満
足、あるいは即時性が必要なのだ。これが社会に与える影響は科学者に任せるとして、それは実存し、
ブランドオーナーはそれに応えざるをえず、それによって、サプライヤーもベンダーも応えなければな
らない。
*4 ヘンリーフォードの影はモデル T カーについてこのように述べている”誰もが好きな色に車を塗ることができる。黒である限り
ね。”(訳者注:フォードは量産のため、車体は全て黒一色であった。)
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 3
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
人口構成の推移
人口構成の推移は、消費者とブランドとの関わりに影響を及
ぼしており、よってブランドオーナーは消費者向け商品のパッ
ケージに反映させねばならない。 特に、世界的に単独家庭
が増加、場合によっては激増している。西側ではスゥエーデ
ンは単独家庭の比率が 47.1%と最も高い。 米国では 27.4%
であるが、1970 年*5 の 17%から確実に上昇傾向にある。 これ
が消費財にどんな影響を与えるかというと、シングルサーブ、
シングルユースの増加と“ファミリー向け”パッケージの減少、
家庭用品の小型化:小さい家やアパートの居住者向け:そし
て“シングル”なライフスタイルの商品に重きを置くこととなる。
結婚以前の若い世代の独身者がこの数字を押し上げている
と考えがちであるが、離婚、死別した単一家庭、さらにはシニ
アの単一家庭が増加しており、これらをターゲットにした商品
の需要が増加している。成人教育と自己学習関連の商品も
成長している。これはベビーブームの世代が 60 代、70 代に
なったことにもよっている。
電子取引(E コマース)とパッケージの役割
e コマースが成長しているのには誰も驚かないが、もし e コマースについて驚くことがあるとしたら、少な
くともアメリカにおいては、それは小売全体の 10%以下である、ということであろう。国勢調査局によれ
ば、2014 年の第 4 四半期において e コマースは前小売業の 6.7%であり、それは“四半期を年間ベー
スの成長率に置き換えると 6.06%、長期平均の年間成長率は 16.82%”である*6。もしブリック&モルタ
ル=歴史と伝統のある小売業で物を買うならば、オンラインでの購買と比較して選択肢が限定されるの
をご存知であろう。価格もオンラインの方が安い:小売業によっては“Amazon のショールーム”になって
いると不平をもらす:フラットスクリーンの TV や家電品を店舗で見定め、より安いオンラインで注文する
-時にはその場でスマホから注文されてしまう*7。
*5 Lisa Manaparta 氏 “独り暮らし:アメリカのより多くの住民が、未だかつてなく単独家庭を形成している。”International Business
Times 誌 2013 年 8 月 29 日
*6 参照 http://ycharts.com/indicators/ecommerce_sales_as_percent_retail_sales
*7 現在では、ブランドが、この”ショールーミング”と呼ばれる動きに対応し、フラッグシップとなるショールームを自ら構え商品を実
感できるように、例として靴や服なら試着できるようにし、かつ注文はスマートフォンもしくは店舗備え付けのターミナルで受け付け
ることができる。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 4
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
e コマースの成長はパッケージに二つの影響を及ぼす。まずは消費者が棚から商品を取る FMOT=
“First Moment Of Truth”が存在しないのでオンラインで販売される商品には眼を惹くパッケージデザイ
ンは不必要と考えることであるが、ブランドオーナーはそうは考えない。
なぜならば、
a)
同じ商品が通常実存の店舗で販売されるため、異なるパッケージを準備するのはコストがかかる。
b)
商品が郵便で *8 届き、それを開封する SMOT=Second Moment Of Truth は存在している。
もし iPhone を Apple から購入すると、Apple ストアで買っても Apple.com で買っても同じパッケージで
来る。e コマースは、デジタル小ロットのパッケージに新しい市場を開く。e コマースは小規模の“ブティ
ック”型のビジネスの成長を容易にし、あらゆる商品のメーカーが頭を抱えている問題:物流を解決して
くれる。これらの会社は直接消費者に販売することができ、小売業への販売に悩まされることはない。こ
れらの小規模ビジネスは、大量のパッケージを必要としない-数百、多くとも数千もあれば十分であ
る。多くはこれをラベルで対応していたが、低コストで小ロットのダンボールやその他包材の印刷が可
能となれば、大メーカーが製造している商品と同等のパッケージを手に入れることが出来る。
消費者行動の変化によるパッケージのトレンド
変化する消費者の行動により変化するパッケージを観察してきたが、さらに深く考察したい。
カスタマイズとパーソナライズ改訂
前段でカスタマイズとパーソナライズについて述べた。我々はこれらのプロセスは、人の名前を印刷す
ることや、パッケージを特定エリア向けに、あるいはなんらかのバージョンを分けることと考えた。しかし
幾つかの会社が、その商品が、売られる場所によってパッケージをカスタマイズするアプローチを行っ
ている。Sugru*9 は型に流し込めるシリコン状の商品で、固まると、ゴム状になる物質である。これは接着
剤として、小さな修理や、家庭用あるいはオフィス用で利用されている。このように無数の使用方法があ
る商品は、それらが販売される店舗に向けに適合させることが出来る。電器店で売るには、パッケージ
は Sugru が電源ケーブルやコネクターの修理に利用できることを描写し、スポーツ用品店で販売する
にはパッケージはランニングシューズを描写し、家庭用品店ではパッケージは家庭用品の修理に使わ
れるように描かれている。まったく同じ商品が、特定のタイプの消費者をターゲットに、あるいは関連付
けられている。“生産ロットが減少している”内容を思い起こせば、これは大ロットが多数の小ロットに分
割されている、SKU の激増といった内容と同じ例となっているといえよう。
*8 UPS でもドローンでも、あらゆる e コマースと配送が対象である。
*9 参照 https://sugru.com
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 5
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
パーソナライズが活きる場所、活きない場所
“Share a Coke”のボトルキャンペーンは大いに成功し、他のブランドも類似したことを行った。
Sugru の自家製ゴムは、その商品が販売される店舗向けにカス
タマイズされたパッケージで販売されている。電器店ではパッケ
ージは、iPhone または iPhone のケーブルを修理するイメージが
イラストされている(左)スポーツ用品店で売る際には、アスレチ
ッ ク商品の修理を(中央)家庭用品店では小型の家庭用品の
修理の イメージがパッケージに描かれている。
1934 年以来 General Mills グループの Wheaties 社の朝食シリアルの箱は、有名なスポーツ選手で彩
られ、“Wheaties box”*10 はアメリカを代表するものとなった。 General Mills 社は、消費者が e コマース
のサイトに自分で写真をアップロードして、Wheaties box に印刷できるようにした。それによって最も売
れないカウチポテトの箱ですら、Bruce Jenner, Mary Lou Retton, そして Michael Jordan で彩られるの
だ。
ポテトといえば、英国において Walkers ブランドのチップ*11 が、
2000 人の応募者が自分の名前とユニークなメッセージを印刷
した袋のチップのキャンペーンを行った。申込者の内 12 名は
結婚のプロポーズ用にパーソナライズした*12。
これらのパーソナライズされたアイテムの画像のほとんどが、あ
るいはすべてが Facebook、Instagram や Pinterest にアップされ
たと思われる。これらはソーシャルメディアの力となったのだ。こ
れらのパーソナライズのポイントは、ブランドへのロイヤリティ構
築に役立ち、消費者の心に刺さるものとなることである。そして
これらの One To One パッケージはデジタル印刷でしかできない。もちろん全ての商品がこのようなパ
ーソナライズが有効なわけでなく、大多数の商品に対して実施されるとは思わない。コカ・コーラ、
Wheaties や Walkers といったライフスタイル商品はこのようなパーソナライズを利用する。*13
*10 閑話休題:Wheaties box の最初のスポーツ選手は野球のルーゲーリックであった
*11 ポテトチップのこと
*12 参照 http://www.pepsicotogo.com/Story/Walkers-says-I-Love-You-with-personalized-bags12192013.aspx
*13 しかし私は間違っているかもしれない。これらの商品のメーカーは、パーソナライズを用いて所有者の歯ブラシや他のトイレタ
リーや薬品を、その他の商品から、あるいはルームメートのそれと区別できるようにするかもしれない。ひとつのクリエイティブなア
イデアで市場が立ち上がるのだ。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 6
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
変化を受け入れる
ブランドオーナーとそれに連なるサプライチェーン各社にはこれらの消費者のトレンドを制御すること
はできない。彼らができるのは、それに対応して、デザインと生産つまりプロセスをそれに適合させ、最
も大きい利益を得ることである。デジタル印刷は、印刷会社が小ロット、カスタマイズ、パーソナライズそ
してジャスト・イン・パッケージを実現することで、ブランドオーナーが利益を出すための最適の方法とな
った。
印刷会社とコンバーターはどう協業するか?
そして ESKO のようなベンダーはどうサポートするか?
これらの人口構成の変化とそれに基づくパッケージへの影響を理解することは重要ではあるが、実際
上意味するところを理解しなければならない。どのようにして、印刷会社/コンバーターがこの情報を
身にまとい、ブランドオーナーのパートナーとなって彼らの目的達成をサポートし、製造を最適化する
か?
パッケージにおける数多い印刷会社のビジネス機会と、その市場への参入を包括的に見るのはこの白
書の範疇を超えている。しかしながら Esko のようなベンダーが、価値ある情報源として、製造の基本と
各印刷業界の詳細情報を共に提供できるのは間違いがない。
そして、ブランドオーナーとのパートナーシップを育んで成長させるツールがある。Esko は、印刷会社
をデザイナーとブランドオーナーとをリンクさせ、パッケージ全体の生産工程を最適化するための多く
のツールを提供している。パッケージは印刷工程というよりも製造工程により近く、より多くの“移動バー
ツ”がありそれらを調和せねばならないものなのだ。
パッケージ管理
効果的なパッケージ管理、パッケージのプロジェクト管理は、重要なことこの上ない。他の大きな、複雑
なプロジェクトと同様、パッケージの悪魔はその詳細さにこそある。パッケージのプロジェクトを生産準
備からライフサイクルまで管理するのは極めて重要で、そのためのソリューション、例えば Esko の
WebCenter はそれら無数の詳細を一つの容易にアクセスできる場所で集中管理できる。 WebCenter
はクラウド型のプラットフォームで、プリプロダクションのスペック、デザイン承認、印刷、コンバージョン、
フィニッシングに至るまでを管理できる。 それはアセットマネージャー(技術要項、アートワーク、画
像、ロゴ、イメージ、ブランドカラー、その他の要素をライブラリーに登録)、オンラインエディター(パッケ
ージコンテンツの修正を可能とする)、それに完了したプロジェクトのアーカイブシステムである。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 7
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
ワークフローオートメーション
今日の印刷プロダクションワークフローはますます自動の度合いを高めており、“タッチポイント”、すな
わち人間が作用し、介在する部分を減少させようとしている。 自動化は生産性の向上が目的で、ジョ
ブの出し入れを迅速に、そしてエラーを最小限に押さえることだ。デザインからファイルを得て、プリプ
レスを完了し、品質を守りながら効率よく印刷機に渡すか?
パッケージの製造には独特のニーズがあり、その結果としてそれらパッケージ製造のあらゆる段階に
対応したワークフローの自動化システムが必要なのだ。それには Esko Automation Engine のようなワ
ークフローオートメーションが必要となる。それはスケーラブルで、他のビジネスと容易に統合可能でな
ければならない。
ビジネスシステムとプリプレスの統合
これは印刷ビジネスの規模によっても異なるが、会社の全ての部門をひとつに、あるいは複数のサブシ
ステムに統合するのが大きな方向性となっている:MIS、プリプレス/RIP、在庫/サプライ管理、予
測、その他のシステムである。パッケージ管理システムである WebCenter とワークフローの自動化シス
テムである Automation Engine は、他社を含めた全ての部門が自動化できるように、事前にサードパー
ティーのサーバーで統合されていたりもする。
設計と生産
そして特にパッケージ設計にとって忘れてはならないのが、構造設計ソフトウェア、例えば ArtiosCAD
である。それらのアプリケーションは、設計、開発、プロトタイプ、そして製造を最適化する。ArtiosCAD
は二次元でも三次元でも、構築、展開が可能で、一般的な素材、ライブラリーの素材、アセットマネー
ジメントから設計を起こすことができる。
現代の印刷会社は、人口構成の推移がパッケージにいかなる影響を与えるかを知り、単なる印刷業者
ではなくブランドオーナーとパートナーとなり協業関係を築き、そして情報のリソースとしてのソフトウェ
アを知ることにより、印刷業界の高度で動的な分野において重要な役割を果たすことができる。そして
将来へ眼を向けておくことが重要である。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 8
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
パッケージの近未来
それはどこにでもある。最近外に出かければ、より多くの人間がモバイルフォンに釘付けになっている
のを見かけるであろう。それらの“スクリーン人間”は 10 代か 20 代と思いがちだが、彼らはどの人口構
成にも属さない。スマートフォンは人々が世界と関わる手段となったのだ。ブランドも同じである。現代
の運輸市場への最大の参入者、Uber は実は運輸業者ではなく、スマートフォンのアプリケーションの
提供者であるのは、偶然ではない。(利用規約をご覧いただければ、直ちにご理解いただけよう)それ
によって同社は各地の行政とトラブルになっているが、年寄りがタクシーを拾う、あるいは交通機関*14
を利用するにあたって、モバイルを身にまとって人間であるならば、スマホアプリで Uber カーを呼ぶこ
と以外は考えない。Airbnb のような会社は同じことをホスピタリティの世界で行っている。
これに対しパッケージは何をせねばならないのか?人々がモバイルフォンの広告と不可分なまでに依
存を強めている中で、商品とブランドもスマートフォンでなんらかのインターラクティブな行為が出来ると
期待するであろう。既に実例がある;QR コードや AR のような技術は、”印刷をインターラクティブに”す
る方法として(現時点では前者は後者より強い)よりクリエイティブに組み込まれていくように思える。
新しいサプライチェーン
これらは何を我々にもたらすのか?

テクノロジーの変化による消費者動向の変化、例えばオンザゴーなライフスタイル、より厳しくなる
時間の制約、個々の人間として見られたがる等々

消費者人口の推移、例えば単一生計家庭の増加、特にシニア世代が増加している。

パッケージの目的の変化、単に商品を運ぶ箱から、宣伝、マーケティング、ブランドマネージメント
の重要な一端に

環境持続性のあるサプライチェーンへの要求

SKU,さらにサブ SKU、あるいは同じ商品のバリエーション(歯磨きの例)の激増

パッケージをカスタマイズし、ターゲットを絞る能力、地域性から販売される店舗のタイプまで色々
な方法で

個々のパッケージをパーソナライズする能力(コカ・コーラ、Wheatie や Walkers)

パッケージに、インターラクティブ性や電子的な特性を持たせたスマートパッケージの登場
これらは本質的に異なった事柄の集まりに思える。しかし共通の性質たるこれらは全てデジタル印刷で
加速されるのだ。
*14 スマートフォンで旅行の計画を立てることができる、あるいは次の電車やバスがいつつくのかを知ることができる。多くの交通
機関がスマートフォン向けのアプリによって、電車やバスの運行を監視できるようになっている。
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 9
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
結論
WhatTheyThink の Patrick Henry が“パッケージ工場が成長する”*15 というブログを書き、いくつかの大
手パッケージ印刷会社とコンバーターを紹介している。しかし、この白書で書いているように、消費者の
行動の変化を捉えた、ユニークなデジタルのニッチ市場において、小規模な印刷会社にも大いに機会
がある。パッケージ業界は伝統的に他社が新しく参入するのは難しい。幾つかの大きな障壁が存在す
る。機械への投資というだけではなく、規制関係の包括的理解であったり、パッケージ生産を自社の製
造工程の一部とみなす消費者商品の会社とブランドオーナーであったりする。しかし伝統的なパッケー
ジ印刷会社/コンバーターはデジタルについての知識をあまり持ち合わせておらず、この白書で紹介し
たようなパッケージの新しいトレンドに対して、デジタル技術を活用する術がないため、デジタルの知識
を持つものに扉は開かれている。それがラベルの印刷なのか、それとも他の小ロット印刷なのかはとも
かく、ブランドオーナーは単なるパッケージ印刷会社を求めているのではない。ブランドマネージメント
のパートナーを求めている。先進の印刷会社がこれらのニーズに応え、さらに Uber や Airbnb がモバ
イルを利用したように異なった技術でサポートされるのであれば、恐らくそれこそがブランドオーナーが
求めているものであろう。
*15 参考 http://whattheythink.com/articles/73008-packaging-plants-are-rise/
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi
p. 10
パッケージが変わる:ブランドオーナーと印刷会社が顧客の変化に応える Esko 協賛|What They Think.com
A White Paper by:
Richard Romano
Sponsored by:
翻訳ならびにお問い合わせ
一般社団法人 PODi
東京都千代田区神田神保町 1-23
代表理事 亀井雅彦
http://www.podi.jp
[email protected]
2015|Prepared for Esko|What They Think.com 翻訳 社団法人 PODi