麻 倉 怜 士 のデジモノにかける情 熱 S P E C I A L Y S P- 510 0 I N T E R V I E W I N T E R V I E W 【 広 報 】 【マーケティング】 【音質担当】 【開発マネジャー】 安井信二 加藤剛士 田中一伯 竹下健一朗 AV機器事業部 企画・広報室 AV機器事業部 商品開発部 AV機器事業部 商品開発部 & 【ナビゲーター】 麻倉怜士氏 デジタルメディア評論家 津田塾大学講師 フロントサラウンドの雄、ヤマハが生み出したシリーズ最高峰の音。 ワンボディでリアルサラウンドを実現するコンセプト。 2004年の『 YSP-1 』登場は、 まさにサラウンドシステムという概念を揺るがす「事件」だった。 そして2009年、市場をリードし続けてきたヤマハが満を持して『 YSP-5100 』 を発表。 シリーズ最高峰と言うべきその音質はどのように生まれたのか? その開発の背景に迫った。 1 2 3 フロントサラウンドの原点を見つめた 最高峰のリファレンスモデルが登場 ウーファーキャビネットを大容量化 正統派のアプローチで音質を極める ブルーレイのロスレスサラウンドを 圧倒的な迫力とクオリティで再現 先進の技術と使い勝手を凝縮した 7.1chワンボディサラウンド YSP-5100 サラウンドとオーディオ両面から徹底的な音質追求が図られるとともに、使い勝手を向上 させた「YSP」 シリーズフラッグシップモデル。奥行き9cmのスリムな筐体に、 「 YSP」史 上最大容量となる密閉型ウーファーキャビネットを搭載。上質で厚みのある低音再生を 実現するだけでなく、新たに高性能ツィーターを採用することで、ステレオ再生時では歪 みの少ない自然なサウンドが味わえる。 また、Blu-rayに採用されるHDオーディオ規格に も完 全 対 応しており、7 . 1 c hサラウンドがワンボディで存 分に楽しめるのも魅力。視 聴 ジャンルに合わせた最適な音場が手軽に得られる 「シネマDSP」では、11種類ものサウ ンドモードが用意されるなど、サラウンド環境 をより身近にしてくれる工夫が盛りだくさん だ。別売オプションを用意すれば、手持ちの「iPod」がワイヤレスリモコンになるなど利便 性にも優れている。 この記事は、株式会社ソニー・マガジンズが発行する 『デジモノステーション Vol.95(2009年12月25日発売)』 に掲載された 『麻倉怜 士のデジモノにかける情熱 Vol.93』 の記事をもとに再構成したものです。 文/大谷隆之 撮影/八木澤芳彦 麻倉 新生『YSP-5100』を先ほど試聴させてもらいましたが、いい音ですね。 安 井 よかったです。 「 Y S P 」シリーズとしては新しいラインのフラッグシップモデルであり、言って みればフロントサラウンドというものを根 本から見つめ直した集 大 成 的な最 上 位 機 種なので。 どう 聴いていただけるかちょっとドキドキしてたんですが。頑張った甲斐がありました(笑)。 麻 倉 安 井さんは、対 外 的には商 品 広 報のご担当だけど、今 回の『 Y S P - 5 1 0 0 』にはかなり深く 関わってますよね。 安 井 そうですね。 これまでA VアンプなどD S P 関 連 機 器は多く手 掛けてきましたが 、 「 Y S P 」の音 作りに加わったのは今 回が 最 初です。麻 倉 先 生のご意 見も真 摯にフィードバックさせていただい て・・・。 麻 倉 安 井さんは新 製 品が 出るたびに、私のようなウルサイ評 論 家と渡りあわなきゃいけない辛 い仕 事をされてるわけですが( 笑 )。真 面目な話 、 『 5 1 0 0 』は既 存ラインより完 全にワンランク上の 音に仕 上がったという印 象を受けました。まずフロントサラウンドの課 題である低 域が 豊かになっ たし、それに伴って中高域にも余裕が出てきた。音場感もより自然に楽しめますよね。 麻倉怜士氏 デジタルメディア評論家 津田塾大学講師 1950年生まれ。専門分野のオーディオ・ヴ ィジュアルを始めとして、広くデジタル技術全 般に造詣が深い。 レギュラー誌、テレビ出演 なども多数こなす。 安 井 はい。ボトムをしっかりさせることで全 体のクオリティを上げるというのは、今 回 大きな狙い だったと思います。 麻 倉 ヤマハは0 4 年 以 降 、音のビームを壁に反 射させる独自のデジタル・サウンド・プロジェクタ ー「 Y S P 」シリーズを展 開してきました 。いまや 市 場を引っ張る存 在 ですが 、その 中 で 今 回 の 『 5 1 0 0 』はどういう位 置づけなんですか? これはマーケティングご担当の加 藤さんに聞きましょう か。 加 藤 最 大のテーマは、フロントサラウンドの利 便 性を保ちつつ、いかに「 感 動 」の領 域に踏み込 めるかだったと思います。ご存じの通り 「 Y S P 」の特 色は、薄 型テレビの下に収まるコンパクトなワ ンボディで、 リアルなサラウンド音 場が 楽しめることにある。この基 本 哲 学は決して変わることはあ りません。ただ、薄 型テレビ自体がここまで多 様 化してきた現 在 、お客さまが求める便 利さにも幅が 出てきていると思うんですね。 麻 倉 たしかに最 近の薄 型テレビは、画 質をとことん追 求した高 機 能タイプと、設 置 性やスタイル を重視した極薄タイプとに二極分化してきてますよね。 加 藤 そうなんです。薄くスタイリッシュなテレビにぴったり合うフロントサラウンドが 欲しいという お 客さまに は 、当 然しっかりと応えてい かなくては いけない 。例えば 1 1 月に 一 足 早く発 売した 『 Y S P - 4 1 0 0 』では、デザインのスリムさと音 質 、機 能 面をいかにうまくバランスさせるかが 最 大の 開 発テーマでした。でもその一 方で「ボリュームは多 少 大きくなっても、 とにかく最 高のサウンドでハ イビジョンを楽しみたい」 というお客さまも確実に存在するんですしね。 【広報】 安井信二 ヤマハ株式会社 AV機器事業部 営業部 営業企画グループ主事 1974年入社。1986年の『DSP-1』以来、 D S P 関 連 製 品の商 品 企 画と音 質 対 策に 携わる。営業では、SPユニットなど新規開発 カ テゴリー の 市 場 導 入 を 担 当 。 『 YSP-5100 』では音質対策とメディア対 応が主務 。 麻 倉 テレビって、薄くなればなるほど音がプアになる宿 命だから。そういうハイエンド志 向のユー ザーほど、実は音に対する不満を募らせているとも言えますしね。 加 藤 仰る通りです。たしかに割 合だけで見ると少 数 派かもしれませんが、オーディオメーカーのヤ マハとしては、そのお客さまを無 視することは決してありえません。そこにチャレンジしようということ で、今回新規のラインを立ち上げました。 【マーケティング】 加藤剛士 ヤマハエレクトロニクス マーケティング株式会社 企画・広報室 プロダクトマネジャー YSP-5100 1 2003年入社。 「YSP」 シリーズの企画から 販促・宣伝活動までマーケティング活動全 般をディレクションし、 シリーズの市場認知を 確 立 。2 0 0 8 年 に は 新 ブ ラ ン ド 「POLYPHONY」の立ち上げにも参画した。 麻 倉 とにかく音 質が最 優 先のリファレンスモデルというポジションですね。機 能 面では先 行 販 売 された『YSP-4100』 と基本的には変わらないわけでしょう。 加 藤 はい 。どちらもブルーレイ時 代 の 高 品 位フォーマット「 H Dオーディオ」に 初 めて対 応し、 7.1chサラウンド再生も可能になっています。HDMI入力端子もそれぞれ4系統で同じですね。 麻 倉 つまり価 格の差は、純 粋に音 質 対 策の違いだと考えればいい。ユーザーにとっては非 常に 分かりやすいですね。では開 発 指 揮の竹 下さん。 『 Y S P - 5 1 0 0 』では具 体 的にどこにコストと手 間 をかけたんですか? 竹 下 従 来モデルとの大きな違いは、左 右のウーファーを思いきって大 容 量 化したことですね。先 ほども話に出たように、 しっかりと質 感のある低 域を再 現するには、ある程 度のスピーカー容 量が 必 要になります。今までもフロント設 置という枠の中で最 大 限 努力してきましたが 、デザインとの兼 ね合いで削られがちだったバックキャビネット容量を今回は真っ先に確保しました。 麻 倉 うん。音の量 感がたっぷりして、その効 果がしっかり出てましたよね。信 号 処 理や電 気 系 統 で音 質 改 善の努 力をしても、スピーカー容 量の違いはどうしようもない。 どのくらい増やしたんです か? 竹 下 たとえば『 Y S P - 4 1 0 0 』 と比べて6 0%以 上 大きい。歴 代「 Y S P 」シリーズの中でもちろん最 大です。ユニットに使うマグネットやコンデンサなどの部 材もできる限り高 品 質なものを選び直しま した。 麻 倉 『 4 1 0 0 』 『5100』 とも実 際の音 質チューニングを担当されたのは田 中さんですね。基 本 的な 音作りの部分で、何か特別意識されたことなどはありました? 田 中 色 付けがなく、聴 感 上フラットに響くサウンドという意 味では、目指している音は普 通のス ピーカーと変わらないと思います。ただ「 Y S P 」は多 数のビームスピーカーを精 密にコントロールし て音 場を作っていますので、通 常の音 作りに加えて気を遣う部 分はいろいろ出てくるんですね。信 号処理の作り込みもより複雑ですし、低域と中高域をいかに自然に分離させるかも重要です。 麻 倉 「 Y S P 」の場 合 、原 理 的には低 域が 前 方のウーファーから聞こえて。それ以 外の中 高 域は、 壁の反射を介してそれぞれの方向から届くことになると。 田 中 はい。それをある周 波 数で切り分けるわけですが 、実 際にはデジタル的に0 / 1ではっきり分 離できるものではない。もともとビームは低 域になるほど真っ直ぐ飛ばすのが 難しくなりますので、 本来後方から聞こえるべき成分でも、低めの音になるとどうしても前方に混じりがちなんです。 【開発マネジャー】 竹下健一朗 ヤマハ株式会社 AV機器事業部 商品開発部 TV周辺機器グループ マネジャー 1 9 8 3 年 入 社 。初 代 機『 Y S P - 1 』以 降 、 「 Y S P 」シリーズ 全 機 種 で 開 発 指 揮 。 「POLYPHONY」開発のまとめ役でもある。 『 YSP-4100/5100 』では、先進的機能 を音とスタイルの両面から調和させることに 尽力した。 TECHNOLOGY POINT 1 大容量ウーファーと 高性能ツィーターを新搭載 密閉型のウーファーキャビネットを大容量化。低音域 の迫力が強化され、かつ中低域でも充分な音圧が 得られることで豊かな低音再生を実現。 さらに、高音 域専用の2.5cmバランスドームツィーターを搭載し、 自然な音場感とともに音の広がりが楽しめる。定評 の高いサラウンド再生の進化と、 オーディオとしての 音質向上。まさにシリーズ最高峰と言える仕上がりと なっている。 麻 倉 あの手この手を使って、それを自然に分けてやるわけですね。今 回 5 . 1 c hから7 . 1 c hへと進 化してるので、調整作業もより大変だったんじゃないですか? 田 中 そうですね( 笑 )。 しかも7 . 1 c hサラウンドの場 合 、実はビームが 7 本 分 出ているわけではな くて……。2chについては、前方と後方のビームを混ぜることで仮想的に作りだしているんです。 麻倉 ああ、そうなんだ。2chはいわゆるファントムスピーカーなんですね。 田 中 はい。本当は7本のビームでできればいいんですが 、1つの室 内で7 本のビームを壁に反 射 させて、あるポイントに音を集めるのは幾 何 学 的に不 可 能なんでね。ですから左 右フロントとリア のちょうど真ん中くらいに1チャンネルずつ定位するように仮想的な音源を創成しています。 麻 倉 作り込みが 大 変ですね( 笑 )。だけど音 場のつながり感という点では、その2つもプラスに働 いている気がしますよ。 竹 下 そう感じていただけたのなら、非 常にうれしいです。7 . 1 c hの信 号 処 理自体は、弊 社は長 年 A Vアンプでノウハウを蓄 積してきました。 『 Y S P - 5 1 0 0 』開 発にもその強みは生かせていると思 う。ただビーム方 式による7 . 1 c hの聞かせ方 ─ ─ 5つのビームと2つの仮 想 音 源 、フロントのウーフ ァーをどう使えば豊かな音場が創成できるかは、非常に大きな課題でした。 麻倉 具体的にはどういう工夫を? 【音質担当】 田中一伯 ヤマハ株式会社 AV機器事業部 商品開発部 TV周辺機器グループ 技術補 1988年入社。入社以来スピーカー部門で 開発を担当。 『 YSP-1 』以降、 「 YSP 」 シリ ーズの開発を主務とする。フロントサラウン ド・システムの総合的な音質検証を行ない、 サウンド面から品質向上を目指している。 TECHNOLOGY POINT 2 HDオーディオ規格に対応する 7.1chサラウンド 田 中 例えばセンタービームは、フォーカスポイントをあえて視 聴 位 置の気 持ち後ろ側に置いてい ます。そうすると台 詞などセンターチャンネルから来る音がワイドに聴こえて、全 体のつながり感も 良くなるんです。基 本は各チャンネルの音にバラ付きが出ないように注 意しつつ、チャンネルごとに ビームの特性をきめ細かく調整しています。 加藤 あと、前に麻倉先生からも「YSPはテレビの下に置く商品なので、台詞が下から聞こえない ことが 重 要 」とアドバイスを頂きましたので。今 回は、センターのビームが 少し高さ方 向に広がるよ う調整もしています。 2 Blu-rayに採用されるHDオーディオ規格に対応。音 のビームを壁面反射させ、 ワンボディで7.1chサラウ ンド再生を実現する。大容量ウーファーと高性能ツィ ーター、40個のビームスピーカーから奏でられるその 音は、5.1chでは味わえない圧倒的な臨場感とスケ ール感を誇る。 麻 倉 うん。ワンボディの「 Y S P 」でその課 題にチャレンジしたのは、 とても意 義 深いと思いますよ。 最 近はブルーレイディスクが 普 及し、7 . 1 c h / H Dオーディオ音 声のコンテンツが 簡 単に手に入る ようになりました。でも普 通のユーザーには、それを気 軽に体 験する術がなかったでしょう。 「 A Vア ンプを買うつもりはないけど、新しい7 . 1 c hの世 界 観は感じてみたい」 という潜 在ニーズは少なくな いはず。そう考えると 「 2 0 万 円 弱のワンボディできちっとした音が出るフロントサラウンド」 という商 品コンセプトは、実はすごくわかりやすいものだなと。 TECHNOLOGY POINT 3 視聴ジャンルや環境に合わせて 最適な音場創出 加藤 はい。今回あえてラインナップを拡大した意図も、まさにそこにあります。 安 井 A V アンプとサラウンドスピーカーでシステムを組むと、設 置 性の問 題に加えて、ケーブル などもろもろプラスの出費もかさみますからね。 トータルの予 算で見るとコストパフォーマンスとして は 満 足して い ただける の で は な い かと考 えて い ます 。ちょっと気 が 早 い ですけれど( 笑 )、 『 Y S P - 5 1 0 0 』が 市 場で評 価していただければ 、将 来 的にはもう少し上のクラスにチャレンジして いきたいという気 持ちもありますね。 視聴ジャンルに最適な音場空間が得られる「シネマ DSP」では、音の遅延対策が施されたゲームモード など全11種類のモードを用意。部屋に合わせた音を 導き出す「インテリビーム」など設定の簡便さも◎。 加藤 最大のテーマは、 フロントサラウンドの利便性を 保ちつつ、いかに「感動」の領域に踏み込めるかだった。 安井 ボトムをしっかりさせることで全体のクオリティを 上げるというのが、 『 YSP-5100』の大きな狙い。 竹下 せっかく音質を最重視するんだから、オーディオの ヤマハとして2chもしっかり楽しめる製品にしようと。 田中 今回初めてHDオーディオの音作りをしてみて ブルーレイの真価をサウンド面から実感できた。 麻倉 「ワンボディでリアルサラウンド」 という基本哲学は そのままに、音質という原点に回帰する姿勢が立派だ。 麻 倉 サラウンドだけじゃなくて、2 c hのステレオモードも非 常にグレードアップしましたね。これも 感心した点です。 竹 下 せっかく音 質を最 重 視し、スピーカー容 量も大 幅に増やすんだから、オーディオのヤマハと して2 c hの音もしっかり楽しめる製 品にしようと。そこでステレオの再 生用として、単 品スピーカー にも使われているツィーターを「YSP」 としては初搭載しています。 TECHNOLOGY POINT 4 独自ワイヤレス技術で iPodがリモコンになる 麻 倉 たしかにヤマハファンは、映 画ソフトだけでなく、日常 C Dもよく聴く音 楽 好きが 多い気がし ます。これも『 Y S P - 5 1 0 0 』 らしい個 性の出し方ですね。ちなみに従 来のステレオモードの際は、ビ ームスピーカーの一 部を使っていたんですか? 田 中 はい。ウーファーに加えて、左 右 2 個ずつのビームスピーカーをツィーターとして使用してい ました。ただ、それだと音 圧 的に限 界がある。かといってツィーターの個 数を増やすと干 渉の問 題が 出てくるんです。 麻 倉 先ほど試 聴した印 象では、ステレオについてもやっぱりウーファーキャビネットを大きくした 効 果が出てる気がしますね。特 別 重 低 音を鳴らさなくても、もともとの低 域がしっかりしてるから中 高 域の歪みが少なく、透 明 感もぐんと映えてくる。ヴォーカルものの自然な臨 場 感などもなかなかで した。 無 線 の 送 受 信ができる独自ワイヤレス伝 送 技 術 「AirWired」 を採用。別売の「iPod」用ワイヤレスト ランスミッター『 YIT-W10 』 を使用すれば、 「 iPod 」 再生や『 YSP-5100 』の電源ON/OFF、音量調整 も手元で行なえる。 VIEW POINT フロントサラウンド市場を創った ワン&オンリーな技術と矜持 竹 下 音 質は、 どこまでいっても最 終 的にはアコースティックですから。そこは、バックキャビティの 偉大さです(笑)。 麻 倉 C Dの音はもちろん、H Dオーディオ音 源も非 常によかった。音 像 感がクッキリとしてきて、 場の空気感もリアルに再現され、サウンドと映像のマッチングもよりしっくり来た感じがします。 竹 下 今 回 初めてH Dオーディオの音 作りをしてみて、それは深く感じました。D V Dの場 合は圧 縮 音 源なので、 どうしても音が 濁るというか粗くなる部 分があったのに対して、つながりが 滑らかにな り音 場 感が 出るようになったなと。ブルーレイの真 価をサウンド面から実 感できたのはいい経 験で したね。 加 藤 もう1 つ 新しい 試 みとしては 、テレビメーカーさんと開 発 段 階 から密 に 情 報 交 換をして、 H D M Iによるリンク機 能も強 化しています。例えば 、東 芝「 R E G Z A 」 ( 9 0 0 0 番 )であれば「おまか せサラウンド」 といって、E P Gのジャンル情 報を「 Y S P 」が 受けてシネマD S Pが自動 連 動する新 機 能を盛り込みました。 これも使ってみると非常に便 利なんですよ。 麻 倉 H D M I リンクは通 常メーカーの囲い込み戦 略だけど、そこはテレビを作ってないヤマハなら ではの強みがありますね。1 1 年の完 全デジタル化に向けて、今 後 薄 型テレビの需 要はさらに増し ていくはず。ハイビジョンに見 合う音 文 化を底 上げする意 味でも、 さらなる音 質 向 上を期 待してい ます。 3 麻倉怜士氏 ホームシアターの大原則は、映像と音声 のマッチング。 いかに高精細なハイビジョ ンコンテンツも、サウンドがプアだと魅力 は半減する。テレビのスリム化が急激に 進む今、 フラストレーションを抱えている 視 聴 者 層 も 増 加し て い る は ず だ 。 『YSP-5100』はそんな現状に対するヤ マハからの回答だ。 「ワンボディでリアル サラウンド」 という基 本 哲 学はそのまま に、音質という原点に回帰する姿勢は立 派。今やフロントサラウンドの分野ではワ ン&オンリーの存在だが、個人的にはラ イバルの参入・奮起による市場全体の 活性化も望みたい。
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