Pigmented storiform neurofibromaにおげる腫瘍細胞 dermal

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日皮会誌:95
(11),
1165-1172,
1985
(昭60)
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Pigmented storiform neurofibromaにおげる腫瘍細胞
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dermal melanocyte の光頭的・電顕的観察
れます。Adobe® Reader®で閲覧するようにしてください。
修 神 保 孝 一*
及 川
要 旨
主訴:左前腕伸側部の一部青色調を帯びた赤褐色腫
11歳女児に発生したpigmented storiform
瘤.
neurofibromaの1例を報告した.臨床像,組織像とも
既往歴及び家族歴:特記すべき事なし.
にdermatofibrosarcoma
現病歴:2歳頃,左前腕伸側部中央に直径3cm大の
protuberansに類似するも,
組織内に多数のdermal
melanocyte,
及び大小種々の
不整楕円形の正常皮膚色を呈しだ陥凹変化”に気付
神経束が認められた.電顕的に腫瘍細胞は,大きな切
く.某整形外科にで皮下脂肪の萎縮性病変”を疑わ
れ込みを示す核と,非常に細長い細胞突起を有する双
れたが特に検査,治療を受げず放置した.以後,皮疹
極性の細胞であった.
自体の増大傾向はなかったが,同部位に紫色,赤褐色
Dermal
melanocyte
は,電顕下
にてDOPA陽性であり,又細胞分裂像も示した.本腫
の色素沈着を認める様になった.6歳時,某大学病院
瘍の発生病理として,末梢神経組織に存在する
皮膚科にて,陥凹部位の皮膚生検を受けcellular
perineura! cell あるいはendoneural
nevusを疑われたが特に治療も受けず様子をみた.9
cell に由来し,同
時に神経櫛由来のmelanocyteの増殖を伴った事が考
歳時頃より同部位に米粒大の硬い小結節が数個,多中
えられる.
心的に出現し,再び大学病院にて生検を受けたが,悪
性変化を認めないため経過観察とされた.以後,変化
はじめに
は緩慢ながら,多中心性に発生した小結節は次第に増
Pigmented
大,融合し腫瘤状となり,色素沈着も増してきたため,
storiform
neurofibroma (PSNF)は,
Bednar"により初めて提唱された疾患で,その報告は
当科受診となった.全経過を通じ出血,潰瘍形成の既
極めて少ない.
往はない.
Miyamotoらによると本邦では文献上
過去2例の報告を認めるのみである2).本症の臨床像
入院時一般所見:成長及び胸部の理学的所見は正
及び組織像はdermatofibrosarcoma protuberans
常.全身の表在リンパ節腫脹はない.臨床検査成績に
(DFSP)と多くの類似点を有し,腫瘍巣内にmelanin
ても特に異常は認められない.
を含む事を特徴とする.その起源として,神経組織由
皮膚所見:腫瘤は左前腕仲側部中央に位置し,約9×
来が考えられている.我々は,今回,11歳女児に発生
5×2cmに及ぶ.その境界は,鮮明であり,中央には数
したPSNFの1例を経験したので,その組織像及び電
顕所見を報告するとともにPSNFとDFSPとの関連
性及び発生病理につき考察を試みた.
症 例
患者:11歳,女児
及川皮膚科医院
*札幌医科大学皮膚科講座
Osamu
Oikawa,
Kowichi Jimbow
: Pigmented
stor-
iform neurofibroma occurring in a girl: electron
microscopic characterization of proliferating
cellsand dermal melanocytes.
昭和59年11月29日受付,昭和60年6月14日掲戴決定
別刷請求先:(〒001)札幌市北区北40条西4丁目 麻
生メディカルビル3F 及川皮膚科医院
図1 左前腕神側部の一部青色調を帯びた赤褐色腫瘤
blue
及川 修 神保 孝一
1166
図2 光顕組織像
a.真皮全層から皮下脂肪組織にかけて紡錘形の腫瘍細胞が密に増殖している.こ
れら腫瘍細胞巣内には黒褐色の穎粒を有する色素細胞が散在する(↑矢印).×40.
b.腫瘍細胞は束をなして錯走し,
storiform patternを形成する.×150.
c. Masson-Zimmermann染色にて黒染するタラニソ穎粒.×450
個の結節状隆起を認め,表面は凹凸不整形を呈する.
標本作成法は著者らの前報告に準じた3).パラフィソ
表面皮膚は紫紅色部,褐色部,正常皮膚色部とが混在
包埋組織の一部は脱パラ後,トリプシン処理をし,s-
する.又,一部皮膚緊張のため光沢,毛細血管拡張を
100蛋白に対する単クローソ抗体を用い,PAP法下に
認める(図1).腫瘤は,軽度圧痛を有し,弾性硬(ゴ
て腫瘍細胞内でのs-100蛋白の存在を検索した.腫瘍は
ム粘土様)であり,表面皮膚とは癒着するも下床とは
大きいため,部位により多少相違が認められるものの,
可動性である.レ線検索にて腫瘤下部の前腕骨になん
基本的には以下に記す所見を示した.
ら変化を認めなかった.
組織学的所見:表皮は,基底層にhyperpigmenta-
摘出腫瘤の肉眼的所見:腫瘤辺縁の正常皮膚
tionを認める他は,特に著明な変化を示さない,腫瘍
(0.5∼1. 0cm)を含めて全摘出術を施行した.腫瘤は,
塊は,主に真皮網状層から皮下脂肪組織にかけて位置
表面に被膜を有せず,又,その下床は境界明瞭で筋膜
する.真皮上層の健常結合織との境界は比較的明瞭で
下への浸潤を示さず,筋膜上で容易に摘出できた.腫
ある昿下方は深く脂肪組織にまで不規則に浸潤し,
瘤割面は灰白色,充実性を呈し,場所により縞状の褐
葉間組織は腫瘍細胞によりおきかえられている.
色調部位を認める.摘出した腫瘍塊を8つの部分に分
結合戦性被膜形成は認められない(図2-a).腫瘍細
け,各々光顕,電顕及び凍結標本を作成,観察に供し
胞は,紡錘形のヘマトキシリソに淡染する核と好酸性
た.電顕標本の1部は,DOPA反応を施行した.電頭
に富む細胞質を有し,個々の細胞境界は不明瞭である.
Pigmented
storiform neurofibroma
図3 血管を中心に紐状細胞突起を有する腫瘍細胞が放射状に配列.光顕でのstoriform
る.
1167
patternを思わせ
V:血管,N:神経,↑:紐状細胞突起×3,200
図4 大型の不規則な切れ込みを示す核を有する腫瘍細胞.腫瘍細胞は相互に複雑に結合する.細胞間には,
豊富な無構造物質を認める.細胞小器管の発達は良い.
N:核,n:核小体,G:ゴルジー装置,C:セントリオール,a:×15,000,b:×8,000
1168
及川 修 神保 孝一
図5 Nuclear
pocket様構造物を有する腫瘍細胞.平行に多数の紐状細胞突起が走る.他の突起と必らずど
こかで連結する.
N:核,n:核小体,N' : nuclear pocket様構造物,P:細胞突起,↑:細胞突起の接合部位×12,000
図6 細い神経束を囲む腫瘍細胞.a:低倍像,N:神経束 ×800. b:紐状細胞突起及び腫瘍細胞で
囲まれる神経束
T:腫瘍細胞,P:紐状細胞突起,A: axon, C : collagen 丘ber,G:ゴルジー装置,↑:接着部位×7,400
Pigmented
storiform neurofibroma
図7 腫瘍細胞間に存在するメラノサイト.
a:豊富な無構造物質に囲まれるが,腫瘍細胞とメラノサイトは直接結合しない.MC:メラノサイト,T:
腫瘍細胞,MD: y ラノサイトの突起.
b:細胞質内には,各種成熟段階にあるmelanosomeが存在する.メラノサイト辺縁には,
basal lamina
様無構造物質が集積する.M:成熟メラノソーム,PM:未熟melanosome,
*:豊富な無構造物質,↑:basal
lamina様構造×18,000
c:電顕DOPA反応にて,ゴルジー装置の一部は陽性反応を示す.G:DOPA反応陽性ゴルジー装置,M:
melanosome
d:腫瘍巣内メラノサイトの分裂像,核膜は消失しクロモソームに分離している.CH:クロモソーム,M:
melanosome.×6,000
1169
及川 修 神保 孝一
1170
これら細胞は,一般に密に集合し,種々の太さの束を
膜に付着する.
なして錯走,渦巻状配列を呈し,いわゆるstoriform
電顕的に大小種々の神経東が多数認められた.太い
patternを呈する(図2-b).場所により細胞成分が少
神経東では,
axon, Schwann細胞,
endoneural
cell細
なく,問質に富む部分も認められた.しかし,核の異
胞及びコラーゲソ線維より成るendoneuriumを,細い
形性は著明ではなく巨細胞も認められなかった.特徴
神経束では,数個のaxonの周囲を非常に細長い細胞
的な事は,腫瘍細胞内,結合織内に散在性,一部集族
がとり囲む.これら神経束をとり囲む細胞は,周囲の
性に褐色の色素を有する紡錘形の細胞を認めた事であ
腹瘍細胞とは区別しがたく,また紐状に伸びた細胞質
る(図2-a).褐色色素は,
の一部は,周囲腫瘍細胞の突起と複雑に連絡し合って
にて黒色に染り,
Masson-Zimmermann染色
melaninである事が確認された(図2
いる(図6
-a,b).
-c). Gitter染色では,腫瘍細胞の配列に一致して微細
光顕にて褐色の色素を有した細胞は,電顕下にて多
な細線維が交錯,網目状構造を呈して,HE所見と同様
数のmelanosomeを有し,
にstoriform
事が確認された.
pattern を呈した.
Elastica-Van-Gieson
染色にて僅かにところどころ赤染する細いコラーゲソ
線組東を認めるが,
Dermal
melanocyte
melanocyte
である
は,散在性に存
在し周囲腫瘍細胞とも特に連絡を有さない(図7-a).
elastica陽性線維は認めない.脂肪
染色,鉄染色はいずれも陰性である.間質は,
dermal
PAS染
細胞周囲には,
basal laminaの他に豊富な無構造物質
を認める(図7-b).核は切れ込みを有し,比較的大き
色陰性, alcian blue 染色, colloid鉄染色にて陽性を示
な核小体を有する(図7-a).細胞質には,各種成熟段
し,豊富な酵性ムコ多糖類の存在が考えられた.
階のmelanosomeか多数,
S-100蛋白に対する単クローソ抗体を用いた免疫組
(autophagosome)を形成しない.リボソーム,ミトコ
織化学法(PAP法)では,
ソドリアの発達は悪いが場所によりゴルジー装置,小
Schwann細胞は陽性に染ま
singleで存在しcomplex
るも,腫瘍細胞はそれより淡染し,陽性とは断定しえ
胞体の発達はよく,一部のものはDOPA反応にて陽性
なかった.
を示した(図7-c).その他,細胞質には豊富な
電顕所見:腫瘍細胞は,複雑に相互に連絡し合い,
microfilamentを認めた.これらdermal
同時に全体として血管を中心とした放射状配列を呈
と腫瘍細胞との間には,電顕的に形態的な類似性は認
し,光顕で観察したstoriform
めがたく,また移行像も存在しない.
pattern に一致した細胞
melanocyte
Dermal
配列を示した(図3).個々の腫瘍細胞は,長軸方向に
melanocyteの分裂像の電顕的に観察する事が出来た
細長い紐状の細胞突起を有し,細胞全体として非常に
(図7-d).核の限界膜は消失し,核クロマチンはクロ
細長い紡錘形を示す(図4).突起の長さは,しばしば
モソームに分離し,細胞質内には多数のmelanosome
中心細胞質の数倍に達し,必らず他の細胞突起もしく
は細胞質の一部と相互に結合し,
intermediate
が存在した.また細胞膜周囲には,
June・
basal laminaが存
在し,分裂状態にないdermal
melanocyte
とほぼ同様
tion様接着構造を示す(図5).腫瘍細胞の核は細胞質
の超微構造的所見を示した.
に比較して大きく,強い不規則な切れ込みを有する(図
考 察
4-a).所々,
自験例は,局所破壊性,進行性の臨床像及び異型性
nuclear
pocket様構造物も認められた
(図5).一般に核辺縁には,ヘテロクロマチンが帯状
の乏しい線維芽細胞様細胞の増殖より成る組織像を呈
に縁どり比較的よく発達した1個の核小体が認められ
し, DFSPの臨床像,組織像と極めて類似した4)5)更
た(図4
に自験例は,臨床的に腫瘍表面が青色を呈し,又,組
-a,5).核周囲の細胞質は狭いが,長く伸び
た細胞質の一部には,種々の細胞内小器官が存在する.
織学的に多数のdermal
コルジー装置,小胞体の発達は比較的よく(図4-b).
自験例の様に臨床像,組織像においてDFSPと類似
小胞体の一部は嚢腫状に拡張し,その中に中等度電子
もしくは一致し,かつ組織内にmelaninを含む症例
密度の無構造物質を入れる.その他ポリソーム, ミト
は, Bednar",
コンドリア,中心小体,
られるが,その数は極めて少ない.
官を認める.しかし,
coated vesicle など種々の小器
microfilamentの発達は悪い,細
melanocyteを含んだ.
DanieF'
Hashimoto"らの報告例に認め
Bednar"は,著明な
storiform pattern を示すDFSP様腫瘍を集め,数例に
胞間には,豊富な細線維と中等度電子密度の無構造物
dermal
melanocyte
の存在を認めPSNFと呼称した.
質が存在するが,成熟コラーゲン線維は,ほとんど認
彼は,
められない.豊富な無構造物質は,一部において細胞
生病理について,1)腫瘍細胞はSchwann細胞に似る
DFSPの独立性を認めない立場から,本症の発
Pigmented
事,2)組織内にmelaninを認める事,
nevusもstoriform
storiform neurofibroma
3) cellular blue
patternを呈する事かあるなどよ
り,本症を神経由来の腫瘍であると考えた.
DanieP'も
この事より,
1171
Bednar"の言う光顕レベルでの形態学的
類似性により腫瘍細胞をSchwann細胞由来とする説
には否定的であった.しかし,
にfibrous
mel anocy te-nevus細胞系腫瘍の中間的な性質を有す
cellular process,
るtransitional formを呈した腫瘍と考えた.
materialなどを認め,神経由来を示唆する所見も考
Schwann細胞とmelanocyte-nevus細胞系は,発生学
え,これら所見は,末梢神経組織のうちSchwann細胞
的に同じneural
ではなく,線維芽細胞様構造を有するperineural
crest 起源の細胞である9).このneur-
long
spacing
Hashimoto"は,電顕的
同様の症例を報告し,本症をSchwann細胞系と
collagen,
腫瘍細胞のlong
interrupted basal-lamina-like-
al crestの細胞が腫瘍化した場合,腫瘍細胞が
あるいはendoneural
Schwann細胞とmelanocyte-mevus細胞系の両者の
一般に個々の神経束は,外周を扁平な数層のper-
性格を有する場合がありうる事は容易に想像されう
ineural cellに囲まれるendoneuriumというスペース
る.
を形成し,その中にSchwann細胞,
Melanotic schwannoma'"',
neurofibroma川,
melanocytic
neuronevus'"などの名称で報告され
axon, endoneural
cell,collagen fiber を入れる.このperineural
ている腫瘍はこの範時に層するものと考えられる.
中枢神経系のpia-arachinoid
Bednar",
り,運動,知覚神経の末端まで被い,末梢神経組織を
Danier'らは,この延長上にPSNFを位置づ
cell
cell の所見に類似すると考えた.
cell は
materからの延長であ
けて考えているわけで,臨床像,組織像ともにDFSP
体液から分離する機能を有すると考えられている.神
のそれと一致もしくは類似するが,光顕レベルでの腫
経が分岐し細くなるに従いperineural
瘍細胞のSchwann細胞との類似性及び組織内の
少する.このperineural
melaninの存在より,神経系由来の腫瘍と考えている
Schwann細胞と異った意味で末梢神経の支持組織で
わけである.
ある.つまり,形態学的には,線維芽細胞様構造を呈
DFSPの発生病理については,現在,0zzello12)の組
し,起源についてはneural
cellの層は減
cell 及びendoneural
cell は,
crest 由来である事が示唆
織培養の研究により“線維性組織球腫"の一型とする
されている.
考え方が一般的である.0zzell012)は,腫瘍性組織球は
自験例の電顕所見は,Hashimoto7)8)の報告と同様に
培養を経過するに従い,線組芽細胞に転化する事を確
幾つかの特徴を有していた.これらは,1)非常に細長
めた.彼らは,線維芽細胞あるいは組織球の特徴を有
い細胞突起を有する腫瘍細胞が一部junction構造を
する腫瘍性病変は,膠原線維,銀線維の量及び配列状
もちながら複雑に連絡し合い,かつ,2)種々の成熟段
態,また泡沫細胞,血管,血鉄素の有無により種々の
階のme]anosomeを含むdermal
多様性を示すも本質的には組織球の増殖より形成され
込みながら増殖している事,3)これらの腫瘍細胞と
るものと考え,“線雄性組織球腫"の名のもとに一括し
dermal melanocyte
た13)そして,
を認めず,移行細胞も存在しない事,4)腫瘍細胞は典
dermatofibroma,
DFSP,
fibrosarcoma
melanocyteを巻き
との間には,何ら形態学的類似性
もこの線維性組織球腫に属し,これら3疾患は一つの
型的なSchwann細胞,組織球あるいは線維芽細胞と
疾患スベクトルムを形成すると考えた.更に発展させ
も一致しない事,5)腫瘍組織内に大小種々の神経束を
て北村ら14)は,その線維芽細胞様細胞の由来について
認めaxon,
骨膜性,筋膜性,腱鞘性または神経鞘性の線維芽細胞
は,周囲の腫瘍細胞とは区別しがたく,かつ周囲腫瘍
あるいは未分化のcorio丘broblastあるいは
細胞と密に連結している事である.これらの所見より
faculative fibroblastとも言うべき細胞が異所性ある
PSNFは,発生学的にneural
いは迷芽性に真皮内に存在し,それから腫瘍が発生し
cellあるいはendoneural
たと考えた.
化する過程において腫瘍性に増殖したものであり,そ
Hashimot07)は,
dermal melanocyteを混じた
DFSPを電顕的に観察した.その組織像は,
Bednar"の
PSNFとー致し,電顕的には,腫瘍細胞は,
Schwann
Schwannを入れる神経束をとり囲む細胞
の過程で同時に同じneural
crest 由来のperineural
cellが神経支持組織へと分
crest由来のmelanocyte
の増殖をも誘発して発生したものと推測された.
PSNFにおける腫瘍細胞の酵素組織化学,免疫組織
細胞との類似性を認めず,また腫瘍内に存在するder-
化学法を用いた研究及び報告はない.自験例では,S-
mal
100蛋白に対する単クローン抗体を用い染色を試みた
melanocyteと腫瘍細胞との間には,形態的な類
似性及び両者の移行細胞は認めなかったとしている.
が,腫瘍巣内のSchwann細胞は陽性であったが,腫瘍
及川 修 神保 孝一
1172
細胞は陰性であった.
S-100蛋白は,
neurilemmoma,
granular
胞系細胞の要素が少なく,むしろ線維芽細胞様細胞成
neurofibroma,
cell
分の要素が多い事を示唆するかも知れない.
myoblastomaなどの
PSNFに
軟部組織腫瘍に存在し,免疫組織化学法にて陽性に染
おける増殖細胞の起源に関しては,今後更に種々の酵
まる事が知られている16)自験例の腫瘍細胞がS-100
素組織化学あるいはexplant
分化過程をみた手技を用いた研究が望まれる.
蛋白に陰性であった事は,本腫瘍の起源としてper・
ineural
cell,
endoneural
cell
本研究の一部は,厚生省特定疾患神経・皮膚症候群調査研
を必らずしも否定するも
究斑(久木田斑)の補助を受けた.
のではない.これは,上述の腫瘍に比してSchwann細
文
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