NYKレポート 2016

BUSINESS TO SOCIETY
Society’s Choice in Transportation
NYK LINE
日本郵船株式会社
NYKレポート 2016
Financial, Social and Environmental Performance
2016
Business Structure
基本理念
サービス
わたくしたちは、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企
コンテナ船
業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の生
主な貨物
活を支えます。
食料品/日用品/電化製品
NYKグループ・バリュー「3I s」
ターミナル
「日本郵船グループ企業理念」を実現していく際の心構え。
主な貨物
コンテナ/建設機械/
鉄道車両/完成車
誠意
(Integrity)
うそいつわりのない心・私利私欲のない心。
まごころ。お客様をはじめ、相手を尊重
トラック
して、相手の立場を徹底的に考え抜く気
持ち。思いやり。
創意
主な貨物
食料品/日用品/電化製品
熱意
(Innovation)
(Intensity)
これまでだれも考え付かなかった考え。
新しい思い付き。現状に満足せず、より
良いものにするための『原動力』、つまり
『変革』や『挑戦』。
一途にそれに打ち込んでいる気持ち。
熱心な気持ち。困難なものに対して、継続
して達成するまでやり遂げる熱い思い。
主な事業リスク
n
ボラタイルな運賃市況
n
船腹供給圧力の増加
n
輸送需要の減少
n
為替・金利・燃料油価格などの著しい変動
n
事故に伴う信頼失墜、環境汚染、船舶喪失
n
環境規制の強化
n
船員不足、流動性
貨物航空機
主な貨物
半導体/精密機器/
自動車関連部品
ドライバルカー
主な貨物
鉄鉱石/石炭/
木材・チップ/穀物
タンカー・LNG 船
主な貨物
原油/ケミカル・石油製品/
LNG / LPG
競争優位性
130年を超える実績
海洋事業
130年を超える私たちの歴史は挑戦と創造の連続でした。この歴史の
主なサービス
中で培われた日本郵船の DNA を受け継ぎ、新しい事業領域へも積極
ドリルシップ/ FPSO / FSO /
シャトルタンカー
果敢に挑み続けています。
知見、技術力
従来の海運業を超えた総合物流企業グループとして、グループ全体の
「きらり技術力」を結集し、差別化を図ることで、お客さまへさらなる付
自動車専用船
主な貨物
加価値を提供しています。
乗用車/トラック/
建設機械
多様な人材
さまざまな地域、幅広い事業分野において社員一人ひとりが持つ能力
を最大限に発揮し、互いに協力しながら地球規模のビジネスを展開し
ています。
安全・環境対応
私たちの使命は、安全・確実な「モノ運び」を通じ社会のインフラとし
ての責務を果たすことです。当社独自の厳しい安全基準の遵守を徹
底するだけでなく、先進的な環境対応も推進しています。
客船
サービス内容
世界最高レベルの船旅
CONTENTS
目指す企業像
日本郵船株式会社
02
NYKレポート 2016
BUSINESS TO SOCIETY
04 ADAPTATION―未踏の領域に挑み確立する優位性
Financial, Social and Environmental Performance
08 INNOVATION―自らの手でつくり育てる差別化の芽
12 CREDIBILITY―信頼を軸にしたビジネスモデル
16
SPECIAL MEETING
日本郵船グループが目指すもの
NYK LINE
02
将来見通しに関する注意事項
この NYKレポート 2016には、
リスク・不確実性を内包
した将来見通しが記載されており、実際の結果とは異な
る可能性があります。これらの見通しは、現時点での情
報に基づいており、過度に依拠できないことをご承知お
きください。なお、日本郵船では、将来に関する見通し
の記載について、現時点以降の出来事や環境、予期せ
ぬ事象の発生を反映し、更新して公表する義務を負う
ものではありません。
当社グループでは、
「きらり技術力」と称して、半歩でも
良いから先を行くための差別化の芽が各現場から次々
に湧き出てくるような組織を生み、育てていこうとする活
動を展開しています。その事例を1 冊にまとめたのが
「NYK SPARK BOOK」です。本レポートと合わせてぜ
ひご覧ください。
16
30
成長への航路
24
28
30
35
38
40
42
43
44
56
59
60
日本郵船グループの経営戦略
財務・非財務サマリー
社長メッセージ
CFO から皆さまへ
経営成績の解説と分析
取締役および常勤監査役ならびに経営委員一覧
社外役員
会長メッセージ
コーポレートガバナンス
セグメント別パフォーマンス
事業環境データ
事業別成長戦略
60 一般貨物輸送事業
66 エネルギー輸送事業/海洋事業
63 航空運送事業
70 自動車輸送事業
64 ドライバルク輸送事業
72 客船事業
73 外部評価/別冊「NYK SPARK BOOK」のご案内
74 2015年度 CSR 活動の総括と次年度の目標
76 環境マネジメントプログラムの進 状況及び達成度
78 環境
84 連結財務諸表
89 主要連結子会社
90 環境データ
91 環境会計
92 人事データ
94 企業データ
01
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
目指す企業像
BUSINESS TO SOCIETY
Society’s Choice in Transportation
私たちは社名こそ船会社ですが、世界の経済活動と人々の暮らしを
「モノ運び」で支える、社会インフラ
ADAPTATION
企業です。時代のニーズに合わせながら、その時々に最適なサービス形態を選択・構築してきました。
社会から、そしてお客さまからも選ばれ続けるために何をすべきか。常に自らに問いかけ、挑み、試行錯
INNOVATION
誤を重ねてきた歴史でもあります。これからも、安全・確実を第一に、
「モノ運び」における革新を日々
CREDIBILITY
積み重ね、社会とともに成長を続けていきます。
02
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
NYK LINE
ADAPTATION
INNOVATION
CREDIBILITY
未踏の領域に挑み確立する優位性
自らの手でつくり育てる差別化の芽
信頼を軸にしたビジネスモデル
P.04
P.08
P.12
03
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
ADAPTATION
未踏の領域に挑み確立する優位性
私たちは、創業以来の伝統である創意工夫を凝らしながら、世界の海運・物流業界の中で少しでも優位性
のあるポジションを確保しようと研鑽を重ねてきました。さまざまな環境の変化に合わせて、その時々に最
適なサービス形態を選択・構築してきたのです。近年で言えば、海洋事業や LNG 燃料船、自動車物流な
ど、従来の海運業の枠組みにとらわれない新たな優位性の確立を追求しています。
60年前
31隻
定期船事業から出発した当社グループは、戦後、資本が潤沢とは
1956年9月末現在
言えない状況下で、鉄鉱石、石炭、チップ、自動車、LNG などの
専用船事業へ果敢に挑戦
現在
782隻
2016年3月末現在
04
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
1
変化
業態変革 × 日本郵船
アメーバのように形を変えながら
最適な事業形態を追求
総
1935年度
50周年
1985年度
100周年
2015年度
130周年
経常利益
0.99億円
133億円
600億円
株主資本
1.36億円
1,790億円
7,683億円
運航隻数
88隻
290隻
782隻
従業員数
1,989人
3,875人
34,276人
* 各データは決算期に基づく。50周年=1935年9月期(単体)、100周年=1986年3月
期(連結)
(従業員数は単体)、130周年=2016年3月期(連結)
合物流企業グループとして、広範な事業
ポートフォリオがどのように構築されてき
たのか。130年を超える歴史を通して、当社は自
らの業態をも変革させながら、次なる優位性を
求めて果敢に挑戦を繰り返してきました。
例えば、定期船事業から出発した当社グルー
プが、戦後、資本が潤沢とは言えない状況下で、
コンテナ船
鉄鉱石、石炭、チップ、自動車、LNG などの専用
コンテナ船は差別化の水先案内人
船事業へと果敢に挑戦した事例。今からおよそ
当社グループのコンテナ船は、世界中で運
60年前、折しも日本経済は高度成長時代に突
ます。このネットワークこそ、他の船種を展
入した頃で、重工業を中心とした産業の変化に
伴い、当社は石油や鉄鉱石、さまざまな分野の
原料輸入、製品輸出に従事する大型専用船を
建造し、日本の高度成長に貢献しました。
その後、1985年のプラザ合意に伴う急激な
円高とグローバル化の荒波に直面し、海運業界
全体が構造転換を迫られましたが、当社グルー
プは海運業中心の事業形態から、海・陸・空す
べてを網羅する総合物流企業グループへ転換し
ていくという基本構想を打ち出し、日本貨物航
自動車船
航しており、事業拠点も世界各地に存在し
開する際に極めて重要な役割を担ってい
ます。今、世界各地で資源・自動車・エネ
ルギーを輸送していますが、定期船事業が
LNG 船
築き上げたネットワークがなければ、こうし
たビジネスへの参入は叶わなかったと言っ
ても過言ではありません。さらに、当社の
コンテナ船部門は、他部門に先駆けて、
既 存の考えを捨てて変 革に取り組み、
コンテナ1本単位で運用の最適化を図る
EAGLE プロジェクトや、最適経済運航
IBIS プロジェクトを成功裏に進めています。
こうした創造性の高いプロジェクトは他部
門へも応用され、当社全体のコスト競争力
を高めています。
空㈱の連結子会社化、郵船ロジスティクス㈱の
設立、自動車物流事業の展開、海洋事業への
進出と、優位性の確立に邁進してきました。
1986年からの30年間で、当社グループは売
なに難しい事業環境であっても、臆することなく
上高で約3倍、総資産で約3倍と大きく拡大しま
パラダイムシフトを成し遂げた情熱や社風を今
した。先人たちが切り拓いた専用船事業と、近
に受け継ぎ、創意工夫をあらゆる面で凝らしな
年の事例である物流事業は、いずれも現在の当
がら、私たち自身の手で次なる優位性を切り拓
社グループの収益を安定的に支えています。どん
いていきます。
05
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
FPSO
2
日本郵船グループが展開する海洋事業
油田開発 × 日本郵船
海洋地球研究船「みらい」
(日本)
ドリルシップ
(ブラジル沖)
1997年より
2009年 6月 Etesco Drilling Services 社
当社グループの㈱グローバルオーシャンディベロッ
プメントが運航を受託
地球深部探査船「ちきゅう」
(日本)
従来の海運業の枠組みを超えた
新規参入
長
(米国)
に共同出資
2011年 12月 Etesco Takatsugu J 竣工
2012年 4月 Petrobras 社(ブラジル)向け用
船サービス開始(最長20年)
2000年代
初めてのプロジェクト立ち上げから関与
年にわたり石油や LNGといった資源エ
ネルギー事業に携わる中で、当社グルー
プは船舶運航や危険物荷役、船舶管理などに
おいて、安全かつ専門性の高い技術を蓄積して
きました。これらの技術を、より高度な資源エネ
ルギー事業に活かすことができれば、高い参入
障壁を築きつつ、安定的に収益を獲得できます。
また、原油や天然ガスの採掘は、これまでそのほ
シャトルタンカー
(ブラジル沖)
FPSO(ブラジル沖)
と定
2011年 8月 Repsol YPF 社(スペイン)
期用船契約締結(5年)
2013年 1月 Repsol Sinopec Brasil 社(ブ
2013年 6月 FPSO Cidade de Paraty が
2014年
2014年
とんどが陸上および浅い海底で行われていまし
たが、今後は非在来型石油・ガスの開発ととも
に海底油田・ガス田での採掘が一層拡大してい
くと思われます。さらに、海洋事業への進出は、
2015年
2015年
バリューチェーンの上・中流で事業展開するお客
さまとのリレーションをより強固にするものであ
り、他の事業部門とのシナジー効果も期待でき
ます。
こうした点を踏まえ、当社では、2008年10月
ラジル)と定 期用船 契 約 締 結
(10年)
8月 J. Lauritzen A/S 社(デンマー
ク)
からシャトルタンカー3隻購入
9月 ガス事業会社 BG GROUP PLC
(英国)
子会社のBrazil Shipping
(ブラジル)
とシャトル
1 Limited 社
タンカー2隻の定期用船契約締結
(最長20年)
1月 欧州の大手石油会社とシャトル
タンカー 1 隻の定期用船契約
(最長11年)
6月 Brazil Shipping 1 Limited 社と
シャトルタンカー1隻の定期用船
契約締結(最長20年)
2016年(予定) FPSO Turritella がメキシコ湾
Stones 油田で稼働開始予定。
FPSOとしては世界最深
(ノルウェー)
2013年 12月 Total E&P Norge 社
とFSO の建造および定期用船
契約締結
(最長12年)
リルシップ、2010年には原油を陸上に届けるシャ
トルタンカー事業に相次いで参入、さらに2011
手掛ける体制を、他社に先駆けて確立しました。
FPSO(メキシコ湾)
FSO(北海)
した。2009年には海底油田開発に従事するド
備)事業にも参画。オフショアビジネスを幅広く
がブラジル沖で原油生産開始
2011年 10月 Ente Nazionale Idrocarburi 社
(イタリア)
と2隻の定期用船契約
締結
(10年)
2011年 12月 ExxonMobil 社(米国)の子会
社と定期用船契約締結(10年)
として初めての上・中流分野への参入を果たしま
FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設
ブラジル沖で原油生産開始
2016年(予定) FPSO Cidade de Saquarema
シャトルタンカー
(北海)
に海洋事業グループを設立し、日本の海運会社
年には、海 底 油田の石 油を生 産・貯 蔵する
ブラジル沖で原油生産開始
2013年 7月 Petrobras 社(ブラジル)向け
FPSO2隻を新たに共同受注
2016年 2月 FPSO Cidade de Marica が
KNOT(ノルウェー)
2010年 12月 旧 Knutsen Offshore Tankers
社へ50% 出資、社名をKnutsen
(KNOT)
NYK Offshore Tankers
社に変更
2013年 4月 関 連 会 社 KNOT Offshore
ニューヨーク
Partners 社を設立、
証券取引所へ新規上場
06
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
上流で得られた新たな知見が
次の事業展開の礎に
着実な成果が新規事業の礎となる
海洋事業の展開はノルウェーだけにとどまりません。ブラジルにおいて掘削に
貢献するドリルシップや、海上生産に寄与するFPSO など、実績は着実に積み
2
013年12月、当社のシャトルタンカー事業
を担うKnutsen NYK Offshore Tankers
重ねられています。世界のエネルギーサプライチェーンに独自の強みを活かし
て貢献しながら無限の可能性への挑戦を続けています。
(KNOT)
社が、ノルウェー領北海にある「Martin
Linge 油田」において、FSO(浮体式海洋石油・
る当社は、探査・掘削などはパートナー企業に協
ガス貯蔵積出設備)
の建造および最長12年にわ
力してもらい、自らは船舶の運航に従事するなど
たる用船契約をTotal E&P Norge 社と締結し
協働体制を構築し、実績を積み上げてきました。
ました。本プロジェクトでは、KNOT 社が保有す
しかし、将来を見据え、当社単独で事業を推進
るシャトルタンカーをFSO に改造し、産出したオ
し、独り立ちに向けて準備を進めることは喫緊の
イルの貯蔵とシャトルタンカーへの積み出しを行
課題であり、本プロジェクトにおいてEPC 段階か
います。
ら中心的な役割を担える機会は実に貴重でし
本プロジェクトでは、FSO が一般的に担う原
た。当社の実力に鑑みると大変難度の高いプロ
油の貯蔵および積出機能に加え、原油と水分の
ジェクトでしたが、果敢に挑んだことで、今まで知
分離機能を有しており、北海の厳しい気象海象
りえなかった貴重な経験と知見が次々と蓄積さ
条件の中で高い稼働率を維持するという高度な
れています。
技術が求められます。また、当社グループにとっ
本プロジェクトは、2016年中の完成に向け、
てさらに画期的なことは、最新鋭 FSO の EPC
設計、資材調達の段階を終え、現在は建設段
(設計・調達・建設)
を自社のリソースで手掛けて
階へと進んでいます。ここで得られる知見や経験
いるという点です。
は、今後、当社独自の事業展開に活かされるとと
海洋事業への参入および事業拡大には、実績
もに、この難しい EPC を担った人材は、次の新
に基づく信頼が重要視されるため、後発組であ
しいビジネスを牽引します。
海洋事業「早見表」
海洋事業グループ設立
2008年
ドリルシップ
1隻
FPSO
4隻
FSO
1隻
シャトルタンカー
32隻
EPC 派遣社員数
4名
FPSO 陸上管理オフィス
2名
ブラジル沖で原油を生産するFPSO
07
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
INNOVATION
自らの手でつくり育てる差別化の芽
当社は、技術力に秀でた日本の造船所と協力しながら、高い品質と競争力を誇る船舶を建造してきました。
しかし昨今、船舶そのもののコモディティ化が進行し、船というハードだけで差別化を図ることが難しい時
代に入りつつあります。過去の経験則だけに頼るのではなく、データに基づく客観的な分析を柔軟かつ積
極的に取り入れ、運航プロセス、人材力といったソフトウエアの観点からも高品質で競争力のあるサービ
スを実現していきます。
2015年度の燃料消費効率
14.3% 向上
(対2010年度比)
早くから、あらゆるデータを見える化し、運航プロセス
をも徹底的に見直して、省エネの推進に取り組んで
きました。
NYK LINE
08
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
3
省エネ × 日本郵船
技術革新により、
超大型船に匹敵する
業界最高水準の省エネ運航を実現
1
4,000TEU 型コンテナ船シリーズの1番船
あらゆる運航データを船陸間でリアルタイムに共有するコンテナ船「NYK BLUE JAY」
となる「NYK BLUE JAY」が竣工し、アジ
ア・欧州航路に投入しました。
本船は、船主とジャパン マリンユナイテッド㈱
による計画当初から、当社が用船者として技術的
なアドバイスを行ってきました。他社の14,000
TEU 型と比較して、船幅を抑える一方で船尾の
サンクンデッキを深く確保し、機関室スペースを
抑えることで積載効率を高めた船型を採用して
NYK BLUE JAY 概要
全長
364メートル
全幅
50.6メートル
型深
29.5メートル
下回り、規制緩和後の
15.79メートル
新パナマ運河に対応
夏期満載喫水
初めて幅51メートルを
139,335トン
載貨重量トン
十分な縦強度により
14,000TEU 型
船型
主機
14,000TEU 型船として
バラストレス航海可能
Dual Ratingシステム
います。また主機には、世界初となるDual Rating
システムを装備
(特許出願中)
。高速運航と低速
運航の2つの出力レンジを備え、速力に応じた最
適な燃料消費と大幅な CO2排出量削減を実現
しました。
当社が運航する既存の13,000TEU 型コンテ
ナ船と本船を比べてみると、1日当たり運航コスト
(高速運航時)は19% 削減、貨物単位当たり
世界初
トンマイル当たりの燃料消費・CO2排出量
積載指数 *
トンマイル当たり
燃料消費量指数 *
13,000TEU 型船
100
100
本船(高速運航時)
108
83
本船(低速運航時)
108
78
20,000TEU 型船
154
76
船型
* 13,000TEU 型船を100とした場合の指数
CO2排出量は高速運航時で17%、低速運航時
で22% 削減できます。一般的に大型船になるほ
ど貨物当たりの燃料消費量も CO2 排出量も
少なくなりますが、他 船 社で竣 工が相 次ぐ
さらに、このほど5隻の追加投入も決定しまし
20,000TEU 型船のような超大型船でなくとも、
た。これら全船に最新のモニタリングシステム
技術革新によって貨物単位当たりの燃料消費
「SIMS」を搭載し、あらゆるデータと新技術を組
量削減のメリットを享受できるのです。
み合わせ、最適運航を推進します。
サンクンデッキ
船尾が一段下がった甲板
バラストレス
曲げ応力を緩和するための海
水(バラスト水)搭載を不要と
したこと
本船は10隻の定期用船契約のシリーズ1番
船であり、2016年中に4隻、2017年中に4隻、
残る2隻も2018年6月までに順次竣工する予定
データ共有については別冊
「NYK SPARK BOOK」をご
覧ください。
です。
09
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
4
日本初の LNG 燃料船となる「魁」には LNG
燃料時代の「先駆け」となる多くの日本の技術
LNG 燃料 × 日本郵船
が収められていますが、中でも本船に搭載されて
いる「デュアル・フューエル・エンジン」では、従来
の A 重油とLNG の双方を燃料として使用可能
革新的な技術で次世代燃料を
他社に「先駆け」実用化
現
であり、LNG を使用する場合、重油使用時と比
較して SOx 排出量を約100%、NOx 排出量を
約80%、CO2排出量を約20%削減することが
在、世界ではさまざまな環境規制の強化
「魁」を通じて得られ
可能となっています。また、
が議論されており、海運においても、新た
た知見は、大型の LNG 燃料船の建造と運航に
な環境規制と無縁ではいられません。船舶から
タグボート
大型船の岸壁や桟橋への離
着岸の補助を行う小型船。
曳船とも呼ばれる
も活かされることが期待されます。
、窒素酸化物
排出される硫黄酸化物(SOx)
、二酸化炭素
(CO2)
の排出規制は年々
(NOx)
強化されており、特に SOx の排出規制値は、
2015年に北海・バルト海・北米領海域にて従来の
1.0%から0.1%へ基準が引き上げられたほか、一般
海域でも、2020年もしくは2025年に現行基準の
3.5% から0.5% へ基準が引き上げられる見込み
です。このような新たな環境規制へ対応するべく、
当社グループでは重油に代わる次世代燃料とし
(液化天然ガス)
に着目し、LNG 燃料船
てLNG
の実用化に向けた取り組みを進めてきました。そ
の第一の成果として2015年8月に誕生したの
さきがけ
「魁」です。
が、LNG 燃料タグボート
LNG 燃料タグボート「魁」
LNG 燃料船の普及状況
(隻数)
160
120
80
40
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
■ 就航船 ■ 発注残 合計
出典:DNV-GL、日本海洋科学㈱集計資料を基に日本郵船にて作成
(2016年1月現在)
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2015年8月 日本初の LNG 燃料船「魁」竣工
2016年秋 世界初の LNG 燃料自動車専用船竣工予定
2016年末 世界初の LNG 燃料供給船の竣工とLNG 燃料販売事業の開始予定
10
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
ノルウェー
北海
バルト海
英国
■ 欧州での硫黄酸化物(SOx)排出規制海域
LNG 燃料自動車専用船完成イメージ
日本での「魁」に続き、欧州では、当社とス
ともに、世界初の LNG 燃料供給船の建造を進
ウェーデンの Wallenius Lines 社との合弁会社
めています。LNG 燃料供給船は2016年末に竣
(UECC)
であるUnited European Car Carriers
工予定で、ベルギーの Zeebrugge 港を拠点
社が2隻の LNG 燃料自動車専用船を発注してお
に、船舶への LNG 供給を行います。供給先は、
「魁」
り、2016年秋に竣工する予定です。本船も
UECC 社の LNG 燃料自動車専用船をはじめ、
と同様に、重油とLNG の双方を燃料として使用
主に北海 ・バルト海域を航行するLNG 燃料船
可能な「デュアル・フューエル・エンジン」を採用し
をターゲットとしていきます。
ており、就航先として予定されている北海・バルト
LNG 燃料の普及には供給インフラの整備が
海域では主にLNG が燃料として使用される見込
大きな課題ですが、陸上の供給施設に比べて多
みです。LNGを燃料として使用することにより、同
様な顧客や海域へのアクセスが可能な LNG 燃
海域での厳しい SOx 排出規制値を十分に満た
料供給船は、LNG 燃料の普及には不可欠な
すことが可能となります。
インフラと考えられています。当社は LNG 燃料
さらに、当社は LNG 燃料船の建造と運航だ
船の実用化を通じて船舶での環境負荷低減に
けでなく、欧州での LNG 燃料販売事業にも参
取り組むとともに、供給サイドからも、LNG 燃料
画するべく、仏 ENGIE 社および三菱商事㈱と
の普及・発展に貢献していきます。
従来の重油と比較した LNG
燃料の環境メリット
LNG 燃料供給船によるLNG 供給イメージ
LNG 燃料供給船完成イメージ
11
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
SOx
100% 削減
NOx
最大80% 削減
CO2
20∼25% 削減
PM
100% 削減
それぞれの詳細については別
冊「NYK SPARK BOOK」を
ご覧ください。
CREDIBILITY
信頼を軸にしたビジネスモデル
あらゆる貨物を安全・確実に輸送することが当社の使命です。輸送に重大な支障が出る事態となれば、
世界の経済活動や環境に甚大な影響を及ぼす可能性があります。私たちは、安全・確実な「モノ運び」の
ために、地道な確認作業を行い、輸送に関するノウハウを積み上げることで、多くのお客さまからの信頼を
いただいてきました。お客さまからの信頼があるからこそ、新たなプロジェクトに挑戦する機会に恵まれ、そ
れが当社の品質向上や人材育成といった好循環につながっています。これからも、お客さまのご要望に精
一杯お応えすること、誠実に対応することを、私たちは大切にしていきたいと考えています。
日本郵船の船員全体に占める、
フィリピン商船大学出身者の割合
フィリピン商船大学
2007年開校
NYK LINE
2015年
3.4%
2011年
(23,000名に対して)
0.5%
(22,000名に対して)
人材なくして安全なし。
安全なくして成長なし。
安全を支える船員を自ら育成しています。
= 100人
NYK LINE
12
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
5
日本郵船における商船大学の歴史
1875年 「三菱商船学校」設立
学生 × 日本郵船
1882年 「三菱商船学校」から「東京商船学校」へ改称
2005年 フィリピンで商船大学設立に向けたプロジェクト開始
自ら育成した船員が当社グループの
安全運航を実践
世
2006年
2007年
界の船舶数が今後も増え続ける見通し
2011年
の中、外航船社にとって優秀な船員確
2013年
フィリピン商船大学「NYK-TDG Maritime Academy
(NTMA)」入学試験実施
NTMA 開校
NTMA 第一期生卒業
NTMA が日本初の海外船員教育機関に認定
NTMA の施設拡充
保は喫緊の課題となっています。当社グループ
は、学生の教育段階から関与し、陸上・船上で
の徹底した訓練、自主学習ツールの完備など船
員の養成に力を入れています。自らの手で育成
することは多大な費用と時間がかかりますが、当
社に対し高いロイヤルティーを持った船員の確
保や、企業文化の浸透というメリットがあり、定
着率の向上が期待できます。
外航海運業界で続く船員不足
船舶数
年率約2% 増
訓練を重ねる学生
2010年 2% 不足(13,000人)
船員数
NYK-TDG Maritime Academy
2015年 5% 不足
2020年 1% 不足
* 船舶数は毎年2% 程度上昇していく一方、船員数は毎年1万人以
上不足する見通し
ムを導入し、自主学習できる環境を整えました。
ほかにも、フィリピンの地元銀行の協力を得て、
2007 年 に設 立したフィリピン商 船 大 学
経済的な制約がある学生に対するサポート体制
で
NYK-TDG Maritime Academy(NTMA)
を充実させ、優秀な学生の継続的な採用に努め
は、2011年の第一期生卒業を皮切りに、これま
ていることもポイントです。
でに600名以上の船員を輩出しました。NTMA
2020年頃には、船長や機関長、陸上での船
では、高水準の船員教育を担保するため、カリ
舶管理・営業支援、ハイリスク船での幹部職員
キュラムに日本郵船が求める高水準なスタンダー
として活躍する第一期生の登場が期待されます。
ドを反映させるとともに、一部の講義については、
長期雇用を前提に、継続的に育成していくこと
当社海技者が担当しています。さらに、理数系の
で、当社グループとしてどんな貨物でも安全・確
基礎学力の強化のため、日本式の独自プログラ
実に輸送できる力を維持・向上させていきます。
13
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
6
インド自動車物流 × 日本郵船
お客さまの要望にコミットしながら
事業を拡大するのが日本郵船流
目
覚ましい経済成長の下、自動車市場も急
速に発展するインドで、自動車物流事業
ピパバブ港の完成車ターミナルに初入港した自動車専用船「DAEDALUS LEADER」
を一元的に担っているのが、当社現地法人の
NYK Auto Logistics(India)Pvt. LTD.(以
です。インドに進出しているほぼす
下、NALI 社)
NYK Auto Logistics(India)社のビジネスモデル
提供サービス
べてのメーカーの自動車物流を手掛けています。
事業規模はここ数年間で急速に拡大。本店か
らの出向者数は3名ながら、自動車物流グルー
プの積極的な支援の下、現地スタッフとともに、
お客さまの要望に一つひとつコミットしながら、
徐々に事業を拡大してきました。
開始しました。これまでは複数の業者が組み合
わさって完成車を輸送していましたが、輸送中の
緊急対応や仕向地変更などが生じると、業社間
ムンバイ、ピパバブ、ムンドラ、チェンナイ、
エンノール、コルカタ
陸上輸送
インド全域
ムンバイ、ピパバブ、ムンドラ、チェンナイ、プネ
通関
ターミナル内輸送
ピパバブ
OEM、
在庫管理
(ピパバブ港)
に NALI 社が運営するターミナル
ての輸送を一貫して請け負う新しいサービスも
海上輸送
PDI などの
付加価値サービス
2015年にはインド北西部のグジャラート州
を開業。自動車メーカーの工場から港まで、すべ
提供地域
サナンド、チェンナイ、タレガオン、プネ
RORO
ターミナル運営、
ストックヤード管理
ピパバブ、チェンナイ、エンノール
PDI:Pre Delivery Inspection
完成車の納品前検査・補修・部品補給サービス
ROROターミナル:Roll-on Roll-off ターミナル
自動車、
トレーラー、フォークリフトなどの車両がそのまま自動車船内に出入りして荷役を
行う専用ターミナル
の連携が難しくなり、手遅れになることがありま
デリー、ノイダ
した。これをインドで唯一、NALI 社が一貫して
すべて引き受けています。
サナンド
ムンドラ
ピパバブ
ムンバイ
タレガオン
プネ
バンガロール
エンノール
チェンナイ
本社
支店
ピパバブ港の NALI 社自営完成車ターミナル
14
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
選ばれる理由は一貫サービスだけではありま
せん。取扱台数、従業員数が増え続けているに
もかかわらず、業界標準を大きく上回る「日本郵
船の品質」を提供し続けており、お客さまから高
い評価をいただいています。インド全土で事業を
展開するお客さまからの信頼の厚さは、NALI 社
スタッフが築き上げた成果であり、同業他社の追
随を許さないものと自負しています。
NALI 社の事業規模
(千台)
(人)
1,500
2,500
1,200
2,000
900
1,500
600
1,000
300
500
11
0
12
13
14
15
16
(予想)
■ 取扱台数(左軸) 0
(年度)
従業員数(右軸)
グループ総力を挙げて品質を作り込む
ピパバブ港は、開業までの準備期間に4年の歳月を要しました。北インドに生
産拠点を持つ自動車メーカー各社に足繁く通い、事業計画、ご要望を丹念に
聞き取ることから始め、入念な立地・環境調査を実施した後、当社グループの
自動車物流のプロの力を全世界から集め、港湾施設の設計、施工管理、エン
(更新中)
達成を記念して、お客さまとNALI 社スタッフ
180日間無事故
全員で撮影
ジニアリング、IT システム、労務体制などすべてゼロから作り上げました。
また、現地で採用したスタッフはいずれも完成車の荷役は初めてだったため、
インド全土から教育係や業務立ち上げのサポート要員を次々と派遣し、長い
時間をかけてプロフェッショナルに
鍛え上げました。
「現地スタッフを
育成できる現地スタッフ」の層が
現場を大切にするマインドセット
厚い NALI 社だからこそ可能でし
た。地に足の着いた実践的な準
昨
年、南インドで大洪水が発生した時のこ
とです。地域によっては家屋が全壊する
備によって、開業以来フル稼働な
がら、事故ゼロ、アクシデントゼロ
の記録を更新し続けています。
ような深刻な状況で、全スタッフに自宅待機を指
示しました。ところが、通信インフラが途絶えた
ため電話もE メールも通じず、その指示が行き届
スタッフが協力しながら荷役作業を安全第一に
きませんでした。その時、NALI 社の担当スタッフ
行うことで、事故も必然的に減っていきます。こう
は自らの判断でお客さまの工場構内にとどまり、
した日本的なマインドセットは NALI 社のキーバ
出荷前の新車約300台を安全な場所に移動し
リューの一つでもあり、NALI 社スタッフ一人ひと
ました。これには、お客さまから「感謝を超えて、
りとの対話を尽くし、理解、賛同してもらったうえ
感動した」
と高く評価していただきました。
で、徹底して実践します。現場を大切にするとい
NALI 社の競争力の源泉は、まさにこうした
う日本的なサービスを提供する当社をお客さま
「日本的なマインドセット」にあります。お客さま
が評価してくださる限り、その姿勢をしっかり継
から預かった貨物を丁寧に扱うことはもちろん、
承していきます。
15
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
Special Meeting
日本郵船グループが目指すもの
各々の分野での専門家としての深い知識と見識を持つ社外取締役のお二人にお集まりいただき、
内藤社長と日本郵船グループの将来について議論していただきました。
Society’s Choice in Transportation
岡本 行夫
内藤 忠顕
翁 百合
世界の海運業界の中で優位性のある
SESSION 1
日本郵船グループはどんな企業像を目指すのか
ポジションを確保してきました。
しかし、今日の海運業を取り巻く環
境の変化は、さらにそのスピードを増し
ており、現在のポジションに安住するこ
内藤 海運や物流は世界経済の大動
て以降、1件も重大事故を起こしていま
となく、次なる優位性を私たち自身の手
脈であり、社会インフラそのものです。
せん。当社グループが運航する船舶の
で作り出していくことが必要不可欠で
事業として社会性が求められる以上、
1 隻当たりの運航遅延時間/年は、
す。高い輸送技術と環境適応能力を
経営の健全性、透明性はもちろん、お
1997年度は運航船舶402隻に対して
大いに活かしながら、当社グループを従
客さまをはじめとするステークホルダー
19時間でしたが、2014年度では840
来の「海運業」や「運輸業」の枠には収
からの信頼が得られなければ企業の存
隻に対して14時間まで減少しています。
まらない最先端の輸送サービスを追求
在そのものが難しくなります。当社グ
運航隻数が2倍以上に拡大したにもか
していく開かれた企業集団へと進化さ
ループが担うべきミッションは企業理念
かわらず、遅延時間は確実に改善して
せたいと考えています。これが、私が描
に掲げている通り、海・陸・空にわたる
おり、当社の輸送技術が年々進歩して
く当社グループの将来像であり、新たな
グローバルな総合物流企業として、安
いることがおわかりいただけると思いま
差別化戦略です。そして、次なる優位
全確実な「モノ運び」を通じ、人々の生
す。環境適応能力という面では、今か
性を作り出すうえで、当社ならではの伝
活を支えることです。
ら約30年前のプラザ合意をきっかけに
統である、パラダイムシフトを成し遂げ
これまでの長い歴史の中で、当社グ
急激な円高が進み、海運業は激しいコ
る情熱や自由闊達な社内風土といった
ループは高度な輸送技術と環境適応
スト競争とグローバル化の波に直面し
要素が大変重要になると考えています。
能力という2つの強みを活かして成長し
てきましたが、その荒波の中でも、当社
また、世界中のお客さまからパートナー
てきたと言えます。輸送技術の面では、
グループは柔軟かつ機敏に海外の組織
として認知されることも重要な要素であ
当社は1997年にタンカー Diamond
を発展させ、新たなビジネスへの挑戦と
り、お客さまとの強い絆が付加価値の
Grace の原油流出事故を引き起こし
創意工夫による差別化を進めることで、
増大につながると考えています。
16
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
社員一人ひとりに個性があって、屈託もなく、
常に前向きです。
岡本 行夫
当社独立社外取締役(非常勤、独立役員)
㈱岡本アソシエイツ 代表取締役
三菱マテリアル㈱ 社外取締役
㈱エヌ・ティ・ティ・データ 社外取締役
最先端の輸送サービスを追求していく開かれた
企業集団へと進化させたいと考えています。
内藤 忠顕
代表取締役社長・社長経営委員
海・陸・空における安全確実な輸送に
付加価値をつけていく方向性は適切だと思います。
翁 百合
当社独立社外取締役(非常勤、独立役員)
㈱日本総合研究所 副理事長
㈱セブン銀行 社外取締役
㈱ブリヂストン 社外取締役
(独法)
日本貿易保険 監事(非常勤)
17
変化しようとしています。当社でもいろ
いろなビッグデータを活用して取り組ん
でいますが、さらに安全確実に付加価
値をプラスした物流やソリューションの
提案が必要になってくると思います。ま
た、世界経済を見ると、米国が利上げ
を実行し、
リーマンショックから続いた
岡本 当社の将来像への道のりを考える
ています。それはまさに内藤社長がおっ
金融緩和の流れが転換しつつあります。
うえで難しいのは、日本国内より世界の
しゃった自由闊達な社風です。社員一
同時に、世界経済の成長の牽引役だっ
動きの方がずっとダイナミックなために、
人ひとりに個性があって、屈託もなく、
た新興国の経済成長に陰りが見え始
そのスピードと展開の多様性についてい
常に前向きです。外部環境の変化に対
め、世界経済を取り巻く不確実性は一
かなければならない点です。日本は豊か
して自分を変えることをリアクトと言いま
層高まっていると言えます。ボラティリ
で素晴らしい社会ですが、世界はどん
すが、当社はむしろ自らを変えることに
ティが高い海運業を主戦場とする当社
どん変わっていて、すでに国際競争に取
よって外部環境も変えていくというプロ
グループにとって、経営の舵取りがます
り残されているセクターも少なくありま
アクティブな人材も多い。海という広大
ます難しくなってきていると思います。
せん。世界の変化は一層激しさを増し
な舞台を相手に成長してきたフロンティ
長期的に見てもさまざまな不確実性
ているような気がします。人口の爆発的
ア精神が当社の社風に無形の影響を
があります。例えば、国連気候変動枠組
増加、物流の様相変化、テクノロジーの
与えているのではないでしょうか。世界
条約第21回締約国会議(COP21)で
進化などの相乗作用や、地政学的な安
の動きがますます複雑になっても、それ
は、化石燃料の問題をはじめ世界全体
全保障の深刻化などの負の作用があり
を乗り越え、次の時代へ進むことができ
で温暖化対策に取り組んでいくことを
ます。グローバリゼーションが各地で進
る土台が当社にはあります。
定めたパリ協定が採択されましたが、こ
む一方、進み過ぎたことによる反動も見
翁 海・陸・空における安全確実な輸送
の採択により今後エネルギー分野に影
え始めており、その結果、世界の分極化
に付加価値をつけていく方向性は適切
響を及ぼすことが考えられます。外部環
現象が起き、国際情勢が今まで以上に
だと思います。岡本さんもおっしゃる通
境の変化だけでなく、
「規制」による影
不安定になっています。こうしたうねりは
り、物流業がグローバル化し、さらに
響についてもしっかりと見通しておくこ
当社の事業に影響してくると思います。
ICT(情報通信技術)化によって大きく
とが重要です。■
船舶の寿命はおよそ20年です。つま
り、20年先を的確に見通す必要があり
ます。お客さまがいる以上、当社は自ら
物流のイニシエーターになることが難し
SESSION 2
将来像へ向けてどうリードするか
いですし、そのお客さまも日本だけでな
く世界中に存在します。これらを踏まえ
ると、世界がどの方向に向かおうとして
内藤 昨今の海運業は、船舶そのもの
激しさを増していますが、当社グループ
いるのか、今までよりも格段に注意して、
のコモディティ化が進み、需給ギャップ
が先に述べた将来像へ向かうために忘
状況を把握しなければならない緊張感
拡大によって市況変動の振れ幅が以前
れてはならない3つの施策があります。
が必要になります。
よりも大きくなっています。また、情報通
まず1点目は、安全、安定、信頼の
しかし、当社には大きな強みが備わっ
信技術の高度化も加わり競争はさらに
サービスによる「堅実」な事業運営です。
18
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
船舶のコモディティ化が進む中でも、海
に陳腐化してしまう時代において、二歩
しないかというとそうではなく、今は身を
運業の根幹を支える輸送品質を徹底
も三歩も進んだ価値を目指そうとする
縮めるという選択をしましたが、将来ま
的に改善・向上することが差別化の源
のではなく、半歩先の革新でいいと思っ
た環境が変われば、再参入することも
泉となり、ひいては市況に過度に左右さ
ています。つまり、重要なことは、自分た
十分に考えられます。逆に、現在拡大と
れない安定した事業基盤を作り収益や
ちの日々の業務を常日頃から愚直に見
いう意味で業態転換を図っているのが
キャッシュ・フローの増大にもつながると
つめ直し、状況を冷静に理解すること
海洋事業や自動車物流事業です。
考えています。その輸送品質を支えてい
で、そこから見えてきた「気づき」を創意
堅実さを根幹に据えながら、常識に
るのはグループ社員一人ひとりであり、
工夫によって差別化につなげていくとい
とらわれず、積極果敢に「挑戦」し「変
高度な輸送技術と知見を備えた人材を
うことです。グループ全体で半歩先の差
化」し「成長」していくというサイクルを
一人でも多く育成することが大切です。
別化が絶えず生み出される、そんな土
機敏に回すことができる組織にしたいと
しかし、サービスがいくら高品質でも、
壌を醸成したいと考えています。
常々考えています。
お客さまに対して安定的に提供できな
3点目は業態転換です。これは、ア
翁 おっしゃったことはいずれも非常に
ければ信頼にはつながりません。現在、
メーバのように環境変化に機敏に適応
重要です。特に業態転換は、ダーウィン
中期経営計画で運賃安定型事業の積
しながら、最適な業態を選択していくこ
の進化論ではないですが、変わらなけ
み上げに鋭意取り組んでいますが、
これ
とを意味します。私たちが従事する輸送
れば企業としての発展もありません。客
は安定的な収益基盤を当社にもたらす
サービスは多岐にわたるため、一般的
船事業や航路撤退以外に考えておら
と同時に、サービスの安定提供の実現
にイメージされる「選択と集中」は難し
れる業態転換はありますか。
にもつながる戦略と言えます。
いですが、環境変化に合わせて、各事
内藤 2000年から2010年は中国が
2点目は革新性、イノベーションです。
業のサイズや経営資源の振り分け方を
でした。すべての資源が中国に向かって
ただし、私は産業にパラダイムシフトを
調整していく考えです。例えば、客船事
動き、そして中国からモノが出ていくと
起こすような大きな革新だけを目指して
業におけるCrystal Cruise 社の株式
いう時代であり、海運にとってはドライ
いるわけではありません。IT 化によって
売却や、定期船事業における伝統ある
バルクの時代だったとも言えます。しか
世界のボーダーレス化が進み、せっかく
豪州航路からの撤退はその一例です。
しその中国の経済成長は今や鈍化し、
新しい価値を生み出してもあっという間
しかし、いずれの例も、もう二度と参入
さらに人口がピークアウトしたため、人
19
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
伸びそうか、注意深く観察しながら、経
営資源を適切に投じていきます。
岡本 再生可能エネルギーについて、5
∼6年前までは太陽熱、太陽光、バイ
オ、風力とさまざまに取り沙汰されてい
ましたが、内藤社長がおっしゃる通り、
現在では世界のベース電源に成り替わ
口によるプラス効果も期待できない時
翁 投資家の企業に対するESG への注
るほどの期待が持てるとは言い難いと
代になりました。今日に至っては、
ドラ
目が高まってきていますが、先ほど触れ
思います。しかしながら、化石燃料にも
イバルカーの供給の伸びが需要の伸び
た温暖化対策と実業の両立という点は
制約がありますので、再生可能エネル
を大きく凌駕した結果、市況の低迷が
どうお考えですか。
ギーという選択肢をすべて捨て去るの
長期化しており、当社はライトアセット
内藤 海・陸・空という地球規模での事
は早計です。ほかにも、例えば水素エネ
化を進めて市況の変動に晒されやすい
業を展開している当社グループが、環境
ルギー社会も想定しておく必要がある
スポット船の削減に取り組んでいます。
に真 に対応することは当然のことであ
のではないでしょうか。もし水素ガスの
一方、次に伸びる分野を考えると、やは
り、実業を通じて、温暖化対策に貢献し
海上輸送を担うことになれば、これまで
りエネルギービジネスでしょう。向こう
ていきたいと考えています。エネルギービ
とは全く異なる船型の運搬船を作らな
10年で大きく伸びると言われており、今
ジネスでいうと、石油や石炭より排出す
ければいけませんし、専用の水素ガス
後の投資計画でも投資総額の7割以
るCO2の割合が少ない天然ガスは、今
ターミナルや陸上輸送するための専用
上を、LNG バリューチェーンや海洋事
後数十年にわたってエネルギーの柱の
のローリーも水素ガスステーションも
業に投じる予定です。エネルギー輸送
一つになると思います。一方、再生可能
必要となります。水素ガス社会になれ
関連のほかには、自動車物流事業も安
エネルギーが世界のベース電源になるか
ば、日本の構造全体が変わるかもしれ
定的に収益が見込める分野として投資
というと、それには時間がかかると思いま
ないのです。20年先を見通す必要のあ
を重点的に配分したいと考えています。
す。しばらくは化石燃料との組み合わせ
る当社グループは、こうした社会の需要
これが次なるアメーバの形です。
が続くと思われ、これも業態転換と同じ
構造や技術展望も、他のどの企業より
翁 ではそのエネルギービジネスにおけ
ことが言えますが、徐々に化石燃料の割
も鋭敏に見通していかなくてはなりま
るリスクにはどう対応しますか。
合が減り、再生可能エネルギーの割合
せん。■
内藤 信頼できるパートナーシップがポ
が増えていく中で、
どのエネルギー源が
イントです。エネルギービジネスに関す
る当社の知見はまだまだ十分とは言えま
せん。しかし、幅広く事業を展開してい
SESSION 3
るおかげで知り合いは世界中にたくさん
社内をどう変えていくか
います。また、日本郵船の130年を超え
る歴史で培った知名度も大きな武器で
す。この武器を活かして、取り引きしたい
内藤 物事の方向性を定め、何か決断
に収まると思っています。全員が同じよ
と思える経験や実力を持ったパートナー
をしなければならない時、私は異論を
うな意見、正しいと思える意見を横一
を見つけることが、
リスク抑制につながる
率直に言う人がいる方が、全員同じ意
列に述べることは、一見とてもいいよう
と考えています。
見の時よりも、結論は総じて良いところ
に思えますが、思考が止まってしまい結
20
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
果的に間違ってしまう可能性があるの
らってはいかがでしょうか。
ざっくばらんに「きらり技術力」関連の
です。ですから、暴論でもかまわないの
内藤 それはぜひ取り入れたいポイント
話をしてもらうという仕掛けです。これ
で、異論を言えるような雰囲気を社内
です。先日、
「きらり技術力」になぞらえ
は私が提案したアイデアではなく、社員
に醸成したいと考えています。
た「きらりサロン」という特設部屋が本
からの発案です。このような場を通じて、
岡本 親しい友人で日本を代表する企
店内にできました。これは、社員に自由
さまざまな意見が社内から出てくること
業の社長から、なかなか熟睡できない
に集まってもらい、部門の壁を越えて
を期待しています。■
と聞くことがありました。悪い話がほとん
ど上がってこないことがその理由で、悪
い話が上がってきて初めて安心して寝
ることができたそうです。いい話しか報
SESSION 4
日本郵船が革新を続けていくために
告がない風潮をおかしいと感じていた
のだと思います。内藤社長は夜、よくお
休みになっていますか。
内藤 イノベーションを生み出すと言って
翁 おっしゃるように自分たちがある程
内藤 いえ、眠れる時と眠れない時の差
も、当社の力だけでは限界があるので、
度主導権を取る形で取り組んでいくこ
が大きいです。しかしおっしゃる通り、悪
第三者の力も必要になります。グループ
とは大切です。ただ、金融業界でフィン
い話がタイムリーに上がってくるという
会社に協力を仰いでもいいし、グループ
テックという言葉が急速に広まりました
のは重要なポイントです。先日ある若手
外であってもかまいません。事実、自動
が、技術革新のスピードというのはとて
社員から「自分は与えられた仕事を完
車物流事業では、グループ会社の㈱
も速く、次から次へと新しいアイデアが
璧にこなすのが仕事だと思っていた」
と
MTI、㈱ NYK Business Systems に
出てきています。新しい動きに対して常
聞いて、口では自由闊達と言いながら、
加え、グループ外から㈱構造計画研究
にアンテナを張ると同時に、これだとい
実は気づかないうちに近視眼的な仕事
所や㈱ウェザーニューズとも連携し、次
うアイデアについては一緒に進めていく、
のやり方に陥り、業務の柔軟性や組織
世代ソリューションの共同開発を進め
すなわちオープンイノベーションも重要
の活力といったものが失われつつある
ています。他にも新たなパートナーとの
だと思います。
のではないかと危惧しています。
プロジェクトが出てきていますが、私た
オープンイノベーションは、第三者と
翁 私は、当社は非常に風通しの良い
ちがリーダーシップを持って取り組むこ
の協働が目的ではなく、何かを生み出
会社だと思っていますが、何か仕組みづ
とが重要だと考えています。
すことが目的であり、技術や知見はその
くりが必要になってきているのではない
何かを生み出すために必要なツールに
でしょうか。
「きらり技術力」
というテー
マ設定によって、現場での創意工夫の
浸透や、提案力の底上げなどさまざま
な芽が出つつあると思いますが、一層
仕掛けていかないと、異論はもちろん日
本郵船の未来につながる提言もなかな
か出てこないのではないでしょうか。ど
うすればもっと出てくるのか、もっと出し
たいと思えるか、
トップダウンではなく、
それこそ現場の人たちに考えてみても
21
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
過ぎません。すでにさまざまなイノベー
ポールに新規事業会社を設立し、若手
内藤 はい、社長2年目は対外的な情
ションの芽があると思います。あとは技
社員を派遣しています。シンガポール政
報発信にさらに注力していきます。
(情報通信技
術力やビッグデータ、ICT
府がアジアにシリコンバレーを作るべく、
社会インフラを担う企業というのは、
術)
などをそれらの芽にどう組み合わせ
シンガポール大学の側にインキュベー
安全確実な輸送サービスを適正な価
ていくか、より効率的で付加価値の高
ションを推進する特別地区を新設した
格で提供すべきだと思います。しかし、
いサービスができるか考えていくことが
のですが、新会社はそのエリア内に開
これまでの当社の収益力は、必ずしも
重要ではないでしょうか。
設することになりました。何か新しいイ
十分に高いとは言い切れませんので、
岡本 先日、休暇を兼ねて米国を訪れ
ノベーションが生まれてほしいと期待し
資産効率も含めた収益力の強化に取
た際、海軍最大の造船所の近くを海上
ています。
り組んでいかなくてはならないと認識し
から偶然通りかかったのですが、三角
また、2016年2月にはジャパン マリン
ています。当社の事業ポートフォリオは
形の建物を重ねた異様な船舶を見か
ユナイテッド㈱と14,000TEU 型コンテ
海運業という枠に収まり切らなくなって
けました。それが完成形で、世界最強
ナ船に関するビッグデータ活用の共同
いますので、その優位性や今後の在り
の護衛艦になるそうです。船というのは、
研究に合意しました。当社グループの
方を投資家の皆さまにご理解いただけ
実は最もイノベーションが進んでいる輸
ビッグデータを活用した燃節活動はか
るよう、丁寧に説明していく所存です。
送手段の一つです。そういう意味でも、
なり進んでいると自負していますが、将
岡本 若手社員へレクチャーする機会を
情報収集にもう少し人材を投入しても
来的には共同研究パートナーをもっと
通じて、彼らが持つ可能性はとても大き
いいのではないでしょうか。
増やしていき、研究の質を高めることで、
いと感じます。若手社員の成長の芽を
内藤 オープンイノベーションや情報収
運航の効率性や船舶の安全性をさら
摘み取ることのないよう、当社の成長を
集における一つの試みとして、シンガ
に高めていきたいと考えています。■
牽引する存在として、できる限り自由な
裁量を与えて、その可能性を伸ばして
あげてほしいと思います。
内藤 その通りだと思います。さまざまな
SESSION 5
社外取締役からの提言
決断を日々積み重ねていく中で、自分で
はそれと気付かないうちに判断の軸が
ずれてしまう可能性があります。自由
翁 内藤社長には当社の将来像やこれ
変化の速さに驚きました。ただ、私は、
闊達と言いながら、社内の論理だけで
から取り組んでいきたいことについて、
当社の役員懇談会の際、当社のガバ
取り組んでいると、思考が徐々に内向き
もっと多くの場で発信してほしいと思っ
ナンス強化について何度か問題提起し
になってしまうからです。お二人には
ています。当社がどう変わろうとしている
てきましたが、本来は政府が決める前
「それはおかしい」
「これは世間の常識か
のか、何に挑戦しようとしているのかが
に自主的に取り組まなければならな
ら外れている」など、鋭いご指摘をぜひ
理解されれば、内藤社長のお考えにもっ
かったことです。社外取締役の声はもち
これからも続けていただきたいと思って
と多くの人が共感してくれるはずです。
ろんですが、投資家をはじめとするス
います。■
また、これは日本企業全体に言える
テークホルダーの声ももっと取り入れ
ことですが、コーポレートガバナンス・
て、自己変革につなげてもらいたいと思
コードに各社とも真剣に対応していて
います。
22
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
成長への航路
STRATEGIC FOCUS
Society’s Choice in Transportation
社会から選ばれるためには、多様な輸送サービスを安定的に提供できる経営基盤が不可欠です。
数多くの海運・物流会社の中から当社グループを選んでいただけるように競争力に磨きをかけつつ、
市況変動が激しい中、いかに収益力を安定的に維持・強化していくか。あらゆる輸送やその周辺
事業をこなす力を常に持ち、ネットワークを張り巡らせながら、大きな差別化へつなげていきます。
NYK LINE
23
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
日本郵船グループの経営戦略
新しいことはいつも日本郵船から
先人たちのフロンティアスピリットを継承、そして新しい未来へ挑戦
当社は2015年10月に創業130年の節目を迎えました。その間、常に時代に先駆け、多くの挑戦と
創造を繰り返し、今日まで歩んできました。とりわけ30年前の100周年を機に、日本郵船グループと
して初めての中長期経営ビジョン「NYK21」
を策定し、事業の多角化とグローバル化を推進しながら、
従来の海運業を超えた総合物流企業を目指してきました。
現在は中期経営計画「More Than Shipping 2018∼ Stage 2 きらり技術力∼」の下、先人たち
から脈々と受け継がれてきた困難に立ち向かっていくフロンティアスピリットで、他社との差別化戦略
をより強く意識し、新しい未来を切り拓いています。どんな困難に直面しても決して臆することなく前進
を続ける創業来の NYKスピリットをこれからも体現していきます。
中面で30年間の
経営戦略の歩み
を説明しています。
24
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
1985—2015
30年間の経営戦略
経営ビジョン
環境・技術への
挑戦
環境負荷軽減への取り組み
MORE THAN SHIPPING
独自技術の研究開発
総合物流ブランドの歩み
2014
2016
人材育成・
安全運航・
社会貢献への
挑戦
総合物流事業への
挑戦
MORE THAN SHIPPING 2018
業界最高水準の燃費効率を誇る14,000TEU 型
コンテナ船「NYK BLUE JAY」竣工
きらり技術力
2012
2011
「IBIS プロジェクト」始動
「SYMPHONY プロジェクト」スタート
2010
海運業+α
完成車物流チェーンで次世代ソリューションを提供
郵船ロジスティクス㈱誕生
郵船航空サービス㈱とNYKロジスティクスを統合
2015
「氷川丸」重要文化財指定
(保存船舶初)
空気潤滑システムを搭載した船舶竣工
摩擦抵抗を減らして CO2排出量を削減
2008
NYK Seamanship
Calendar スタート
乗組員の姿勢と意識を改革
世界で活躍する
人材の育成
ニアミス3000活動
2015
「郵船みらいプロジェクト」スタート
2008
環境特命プロジェクト
「NYK Cool Earth Project」発足
事故を未然に防ぐ活動を船主や
船舶管理会社へ展開
「女性活躍推進プロジェクト=プロジェクトW」
スタート
2010
・邦船社で初めてシャトルタンカー事業
へ進出
・FPSO 事業参画
ブラジル沖の浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵
積出設備事業
㈱ NYK 輸送技術研究所設立
1990
2007
1998
NAV9000
独自の安全運航推進活動をスタート
1989
NYK-Fil Shipmanagement 設立
フィリピンで船員の教育、育成、配乗を行うマン
ニング会社を設立
ドリルシップ事業への参画決定
1991
1986
コンテナターミナルの海外展開
NYK21
当社初の中期経営ビジョンにより
総合物流事業を本格展開
1986
物流センターの展開
1985
2008
社内に海洋事業グループ設立
1985
㈱日本海洋科学設立
Centennial Express
Company 設立
Global NYK Week スタート
海外拠点で働くナショナルスタッフを育成
2009
世界に広がるネットワーク
「スケール戦略」
と
「シナジー戦略」による
経営強化
「地球環境委員会」設置
2002
英国、ベルギー、中国、タイなどで展開
当社と㈱ JIT の物流事業ブランドを統合
2000
1997
2013
フィリピンで商船大学を設立、船員育成を強化
NYK ロジスティクス設立
NYK21 新世紀宣言
2014
NYK-TDG Maritime Academy 開校
NYK21
真のグローバル企業への挑戦
世界初となる用船も含めた認証を取得
機関長誕生
完成車専用ターミナル建設
2004
NYK21 FORWARD 120
ISO14001認証取得
LNG 船で初となるフィリピン人船長・
LNG プロジェクト」への参画決定
バリューチェーンの上流事業へ参画
2003
2002
若い世代に海運の魅力を訴求
「ウィートストーン
2001
㈱ MTI 設立
独自の研究開発を強化
2012
豪州、中国、東南アジアなどで拠点
を設立
2004
「NYK スーパーエコシップ2030」発表
2006
完成車の陸上輸送開始
力強い成長戦略の加速と企業基盤の強化
コンセプトシップ
トラブルの種をわかりやすく表現
2003
NEW HORIZON 2007
2009
2008
LNG バリューチェーンの中流事業へ参画
日本貨物航空㈱(NCA)
を
連結子会社化
2005
・最新の省エネ技術を搭載した自動車専用船
「ARIES LEADER」竣工
安全運航の徹底
2014
「キャメロンLNG プロジェクト」への参画決定
2005
成長し続ける「モノ運び」のグローバル企業へ
・
「運航ビッグデータ活用特命プロジェクト」開始
・日本初、CAコンテナによる日本産青果物輸出
2015
NEW HORIZON
NEW HORIZON 2010
2014
「Power+ プロジェクト」
スタート
海洋事業/
LNGプロジェクト
への参入
2010
日本初、LNG 燃料タグボート
「魁」竣工
2016
エネルギー・
バリューチェーン
への挑戦
2014
MORE THAN SHIPPING 2013
究極の最適経済運航を目指して
社会貢献
自動車物流事業の誕生と強化
1983
米国で邦船社初となる鉄道
会社を設立
㈱ JIT 創業
当社が実質的に経営方針を管理
するフォワーダーの設立
2016年3月31日現在
財務・非財務サマリー
1985—2015
数字で見る30年間の飛躍
NEW HORIZON 2007
外国人株主比率
従業員数
3月31日に終了した各連結会計年度
NEW HORIZON 2010
2007年3月期
2008年3月期
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
¥2,164,279
1,840,784
218,553
104,941
107,534
65,037
271,948
80,487
¥2,584,626
2,128,849
253,698
202,079
198,480
114,139
501,330
92,400
¥2,429,972
2,054,595
230,463
144,914
140,814
56,151
417,555
100,124
¥1,697,342
1,520,932
194,504
(18,094)
(30,445)
(17,447)
237,969
98,019
¥1,929,169
1,622,045
184,777
122,346
114,165
78,535
278,570
100,198
¥1,807,819
1,661,112
170,831
(24,124)
(33,238)
(72,820)
309,288
100,857
2,135,441
890,754
657,088
2,286,013
1,022,197
637,962
2,071,270
1,077,956
544,121
2,207,163
1,081,870
661,232
2,126,812
981,972
684,627
2,122,234
1,067,125
579,342
86,229
(178,043)
97,363
199,525
(292,510)
146,829
150,474
(170,253)
29,571
62,105
(43,706)
137,396
174,585
(162,781)
(100,161)
29,837
(139,402)
72,159
¥ 52.99
534.90
18.00
34.0%
¥ 92.93
519.51
24.00
25.8%
¥ 45.73
443.16
15.00
32.8%
¥ 46.27
403.46
11.00
23.8%
¥ (42.92)
341.54
4.00
10.6%
3.2%
4.7%
1.36
30.8%
17.6%
5.2%
7.8%
1.60
27.9%
9.5%
2.6%
5.9%
1.98
26.3%
業績:
売上高
売上原価
販売費及び一般管理費
1985年度
3,875人
営業利益(損失)
2015年度
2015年度
経常利益(損失)
37.2%
34,276人
親会社株主に帰属する当期純利益(損失)
設備投資
約9倍
減価償却費
年度末財政状態:
総資産
進む株主の
国際化
関係会社数
(連結子会社および持分法適用会社)
有利子負債
自己資本
キャッシュ・フロー:
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
1985年度
1985年度
36社
2.8%
2015年度
726社
財務活動によるキャッシュ・フロー
1株当たり情報:
当期純利益(損失)
純資産
年間配当金
約20倍
配当性向
¥ (12.71)
389.46
4.00
̶
̶
経営指標:
売上高
自己資本当期純利益率(ROE)
総資産当期純利益率(ROA)
投下資本利益率(ROIC)
デット・エクイティ・レシオ
(倍)
自己資本比率 (2.9)%
(0.8)%
(0.4)%
1.64
30.0%
11.7%
3.6%
4.6%
1.43
32.2%
(11.5)%
(3.4)%
(0.6)%
1.84
27.3%
(非財務情報)
:
ESGデータ
従業員数
(人)
(当社および連結子会社)
29,872
15,922
5,069
当社運航船 CO2排出量(千トン)*2
2015年度
2兆2,723億円
当社運航船燃料消費量(千トン)*2
創意工夫を凝らし、
海・陸・空の総合物流企業として大きく飛躍
創業100周年の節目にあたる1985年度より、当社は海・陸・空にわ
たる総合物流事業の本格展開を開始しました。1985年からの30
31,369
16,969
5,444
29,834
16,739
5,373
31,660
13,991
4,491
28,361
14,525
4,662
28,498
14,749
4,734
*1. 2013年3月期の数値は会計基準等の改正に伴う会計方針の変更による 及適用後の数値です。
*2. NYKレポート2014までは燃料購買量により算出していましたが、NYKレポート2015より、各年の日本郵船単体運航船で使用した燃料の量より、IMO ガイドラインの係数に基づき
再度算出しています。
年間は、プラザ合意に端を発する円高とともにコスト競争が激化し
たほか、
トレードの多様化やグローバル化が進行。海運業そのもの
約 3倍
売上高
親会社株主に帰属する当期純損益
の構造変革に迫られた30年でもありました。海運業はどの産業より
(億円)
(億円)
も早くグローバル化の波に晒された産業の一つですが、その中で当
30,000
1,500
社は創意工夫を凝らしながら、必死に差別化の道を模索し、世界
1,000
の海運の中で少しでも優位性のあるポジションを確保しようと、日
夜研鑽を重ねてきました。
20,000
500
0
10,000
1985年度
–500
8,372億円
0 07
25
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(3月期)
–1,000 07
08
28
NYK REPORT 2016
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
09
10
11
12
13
14
15
16
(3月期)
財務・非財務サマリー
1985—2015
数字で見る30年間の飛躍
NEW HORIZON 2007
MORE THAN SHIPPING 2013
MORE THAN SHIPPING 2018
単位:百万円
外国人株主比率
従業員数
NEW HORIZON 2010
2007年3月期
3月31日に終了した各連結会計年度
2008年3月期
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
2013年3月期 *1
2014年3月期
2015年3月期
2016年3月期
セグメント別売上高
業績:
売上高
売上原価
販売費及び一般管理費
1985年度
3,875人
営業利益(損失)
2015年度
2015年度
経常利益(損失)
37.2%
34,276人
親会社株主に帰属する当期純利益(損失)
設備投資
約9倍
減価償却費
進む株主の
国際化
関係会社数
(連結子会社および持分法適用会社)
¥2,429,972
2,054,595
230,463
144,914
140,814
56,151
417,555
100,124
¥1,697,342
1,520,932
194,504
(18,094)
(30,445)
(17,447)
237,969
98,019
¥1,929,169
1,622,045
184,777
122,346
114,165
78,535
278,570
100,198
¥1,807,819
1,661,112
170,831
(24,124)
(33,238)
(72,820)
309,288
100,857
¥1,897,101
1,704,591
175,075
17,434
17,736
18,896
302,326
97,522
¥2,237,239
1,991,043
201,200
44,995
58,424
33,049
248,230
105,956
¥2,401,820
2,127,207
208,419
66,192
84,010
47,591
199,343
101,045
¥2,272,315
2,009,547
213,802
48,964
60,058
18,238
115,791
103,347
2,135,441
890,754
657,088
2,286,013
1,022,197
637,962
2,071,270
1,077,956
544,121
2,207,163
1,081,870
661,232
2,126,812
981,972
684,627
2,122,234
1,067,125
579,342
2,430,138
1,292,191
650,490
2,551,236
1,241,963
720,270
2,569,828
1,098,357
810,311
2,244,772
940,576
773,678
その他事業
有利子負債
1985年度
2.8%
2015年度
726社
自己資本
1,470
定期船事業
不動産業
7,063
97
911
物流事業
86,229
(178,043)
97,363
財務活動によるキャッシュ・フロー
199,525
(292,510)
146,829
150,474
(170,253)
29,571
62,105
(43,706)
137,396
174,585
(162,781)
(100,161)
29,837
(139,402)
72,159
93,951
(135,566)
177,966
136,522
6,409
(95,485)
142,857
(46,895)
(160,260)
136,448
26,755
(199,007)
単位:円
経常損益前期比増減分析
(2015年3月期 vs 2016年3月期)
1株当たり情報:
¥ 52.99
534.90
18.00
34.0%
純資産
年間配当金
配当性向
¥ 92.93
519.51
24.00
25.8%
¥ 45.73
443.16
15.00
32.8%
¥ (12.71)
389.46
4.00
¥ 46.27
403.46
11.00
23.8%
̶
¥ (42.92)
341.54
4.00
̶
¥ 11.14
383.50
4.00
35.9%
¥ 19.48
424.67
5.00
25.7%
¥ 10.75
456.21
6.00
55.8%
¥ 28.06
477.79
7.00
24.9%
10.6%
3.2%
4.7%
1.36
30.8%
総資産当期純利益率(ROA)
投下資本利益率(ROIC)
デット・エクイティ・レシオ
(倍)
自己資本比率 17.6%
5.2%
7.8%
1.60
27.9%
9.5%
2.6%
5.9%
1.98
26.3%
(2.9)%
(0.8)%
(0.4)%
1.64
30.0%
11.7%
3.6%
4.6%
1.43
32.2%
(11.5)%
(3.4)%
(0.6)%
1.84
27.3%
3.1%
0.8%
1.1%
1.99
26.8%
4.8%
1.3%
2.3%
1.72
28.2%
2.3%
0.8%
2.6%
1.22
34.5%
6.2%
1.9%
3.1%
1.36
31.5%
29,872
15,922
5,069
当社運航船 CO2排出量(千トン)*2
当社運航船燃料消費量(千トン)*2
31,369
16,969
5,444
29,834
16,739
5,373
31,660
13,991
4,491
28,361
14,525
4,662
28,498
14,749
4,734
28,865
16,007
4,722
32,342
15,705
4,629
合計
*1. 2013年3月期の数値は会計基準等の改正に伴う会計方針の変更による 及適用後の数値です。
*2. NYKレポート2014までは燃料購買量により算出していましたが、NYKレポート2015より、各年の日本郵船単体運航船で使用した燃料の量より、IMO ガイドラインの係数に基づき
その他
事業
売上高
親会社株主に帰属する当期純損益
自己資本/自己資本比率/ ROE
(億円)
も早くグローバル化の波に晒された産業の一つですが、その中で当
30,000
1,500
8,000
60
1,000
6,000
45
500
4,000
30
0
2,000
15
–500
0
0
社は創意工夫を凝らしながら、必死に差別化の道を模索し、世界
の海運の中で少しでも優位性のあるポジションを確保しようと、日
0 07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(3月期)
–1,000 07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
(3月期)
–2,000 07
–3
–101
15
8
65
107
118
10
(単純合計) –15
213
131
–81
548
600
465
–134
38
32
33
1
物流
不動産
その他
(%)
08
■ 自己資本(左軸) 25
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
28
NYK REPORT 2016
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
09
10
11
12
自己資本比率(右軸) 13
14
15
16
–15
(3月末)
ROE(右軸)
29
NYK REPORT 2016
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
増減
6
20,000
4,237億円
2016
98
10,000
1985年度
2015
–7
連結経常損益
(億円)
(億円)
2014
–73
航空運送
不定期専用船事業
再度算出しています。
年間は、プラザ合意に端を発する円高とともにコスト競争が激化し
夜研鑽を重ねてきました。
–239
セグメント別経常損益
一般貨物
輸送事業
(億円)
$258.62/ MT 安
コンテナ船、
ドライバルカーで市況悪化
–39
定期船
の構造変革に迫られた30年でもありました。海運業はどの産業より
11.59円の円安
97
その他
34,276
15,563
4,619
33,520
15,575
4,644
(億円)
–186
(3月期)
従業員数
(人)
(当社および連結子会社)
たほか、
トレードの多様化やグローバル化が進行。海運業そのもの
336
為替差損益
(非財務情報)
:
ESGデータ
創意工夫を凝らし、
海・陸・空の総合物流企業として大きく飛躍
創業100周年の節目にあたる1985年度より、当社は海・陸・空にわ
たる総合物流事業の本格展開を開始しました。1985年からの30
127
燃料油安
コスト削減
自己資本当期純利益率(ROE)
2015年度
円安
海運市況変動 –574
経営指標:
売上高
4,965
不定期専用船事業
9,022
当期純利益(損失)
約20倍
約 5倍
12,939
その他の事業
キャッシュ・フロー:
営業活動によるキャッシュ・フロー
2兆2,723億円
一般貨物輸送事業
1,567
航空運送事業
投資活動によるキャッシュ・フロー
36社
¥2,584,626
2,128,849
253,698
202,079
198,480
114,139
501,330
92,400
年度末財政状態:
総資産
1985年度
¥2,164,279
1,840,784
218,553
104,941
107,534
65,037
271,948
80,487
(億円)
NYK REPORT 2016
13
15
0
–15
584
840
600
–239
より高い競争力を備えた
日本郵船グループを
お見せする
内藤 忠顕
代表取締役社長・社長経営委員
社長メッセージ
「サステナブルな成長」のための
ライバル
サービスを提供する会社として広く認知されるよう、
差別化を強く意識
たちの半歩でも良いから先を行けるよう、これからも地道な
努力を積み重ねていきます。
2015年度の業績は、上半期と下半期で全く違う様相を
呈しました。上半期は、3年連続となる増収増益を達成す
中期経営計画の進
る勢いでしたが、下半期は「Perfect Storm」さながらの
急速な事業環境の悪化に見舞われ、思うような結果を残
せませんでした。一度崩れた海運市況は2016 年度に
2016年度は、2014年度より開始した5カ年の中期経営
入っても好転せず、視界良好とは言えない状況が続いて
計画の中間年度となります。2018年度に経常利益1,600
います。
億円を達成する過程の中で、2015年度は経常利益900
現代の海運業においては、船舶のコモディティ化が進み、
億円の目標に対し、残念ながら600 億円という結果に
船舶というハードでの差別化は年々難しくなっています。鉄
とどまりました。これは先述した急速な事業環境の悪化が
鉱石や石炭を輸送するドライバル
最大の原因なのですが、引き続き、
カーの市況を示すバルチック海運
いかなる事業環境でもキャッシュ・
指数を見てみますと、需給ギャップ
フローを安定的に創出できる事業
に指数が連動するこれまでの構図
基盤の構築に取り組み、中期経
が崩れ、需給ギャップが改善した
お客さまから選ばれ続けるために、
営計画で掲げた目標を達成してい
にもかかわらず、指数は一向に上
輸送サービスにおける「差別化」を
きます。
がらないという現象が起きていま
追求し提供していきたいと考えています。
す。世界的に資金の流動性が高
運賃安定型事業の積み上げ
い状況下、資本市場から流入す
2015年度の運賃安定型事業に
る投機的資金によって船舶という
おける経常利益は約1,100億円で
輸送インフラが、まるで金融商品
した。原油価格急落により、海底
のように扱われるようになっています。
油田・ガス田のプロジェクトの多くが延期となった影響を受
従来の常識が通用しなくなっている環境下で事業の継
け、2016年度には利益の大きな伸びは期待できませんが、
続性、すなわち「サステナブルな成長」を改めて強く意識す
年度中に FPSO2隻とLNG 船2隻が新たに稼働するので、
るようになりました。先行きが不透明な時代だからこそ、地
2017年度から利益が再び上昇カーブを描くと見ています。
に足を着けてお客さまの期待に応え、お客さまから選ばれ
また、2015年度はドライバルクで多くの中長期契約を獲得
続けるために、輸送サービスにおける「差別化」を追求し提
でき、運賃安定型事業の積み上げはドライバルクの分野で
供していきたいと考えています。
も着実に進んでいます。
輸送ニーズが多様化する中で安全確実な「モノ運び」を
遂行するには、我々の持つ「ノウハウ」や「技術力」の効果
市況性の高い事業における構造改革
的な活用が となります。我々の事業が世界経済を支える
船舶の供給は昨今の海運市況低迷によって絞られてきて
大動脈であることに誇りを持ちつつ、差別化された輸送
いるものの、依然として高止まりしており、市場からの資金
31
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
流入などを踏まえると、需給がひっ迫し海運市況が急騰す
界の人口増加に伴うエネルギー輸送の重要性や将来性に
るという状況には当面ならないと考えています。したがって、
は疑いの余地はなく、成長戦略をしっかりと立案して、必要
市況上昇時の恩恵よりも下落した時に傷を最小限にとど
なアクションを実行していきます
(詳しくは P.66∼69参照)
。
めることを優先し、事業リスクに応じた船舶の保有形態の
エネルギー事業と同様に、市場が伸びていくと予想される
ポートフォリオを常に考慮していきます。
のが自動車輸送事業です。当社は、世界最大級の自動車
2015年度は、特にドライバルク事業に焦点を当てて、解
船の船隊規模と航路ネットワークを有する自動車船事業
撤や減損などを含めた構造改革に着手しました。貨物輸
に加え、自動車物流事業でも、世界トップクラスのポジ
送と船舶調達における契約期間のミスマッチ解消を急ぐ方
ションを築いています。
針に変わりはありません。外部環境が悪い時こそ、体質改
当社の自動車物流事業では、事業基盤の拡充だけでは
善を図るチャンスと捉え、安全・省エネ運航を念頭に置い
なく、ソフトウェアなど IT を活かした革新的な開発を進め
た運航技術の向上などオペレーターとしての力量を上げる
ています。2014年7月からアジアにおける自動車物流事業
ことに注力し、体質改善へ取り組んでいく過渡期だと認識
を中心に研究開発を進めてきましたが、2016年3月に当社
しています。
グループ会社の㈱ MTI、㈱ NYK
また、航空貨物需要の低迷で
Business Systems、ならびに㈱
苦戦が続いた日本貨物航空㈱は
ウェザーニューズ、㈱構造計画研究
2年連続で黒字化を果たすことが
できました。最新鋭機を使って稼
働率を向上させ、お客さまのご要
望に添った柔軟な配便ができるよ
うになったのが黒字定着の要因で
所と共同で、Symphony Creative
ITを駆使した
付加価値の創出を交えながら、
世界に類のないサービスの
Solutions Pte. Ltd.をシンガポール
に立ち上げ、その取り組みをさらに
加速させました。IoT など急速に
提供を目指していきます。
進みつつある技術革新の流れを捉
す。かつては縦割りの組織だった
え、高度化していく物流現場の
ものが、今では組織間の壁もほぼ
ニーズに対応できる今までにない
取り払われ、組織横断的な取り組
ソリューションをお客さまに提供し
みが良い結果につながりました。航空貨物需要はリーマン
ていきます。海上輸送を担う自動車船事業と陸上輸送を
ショック前の7割程度と依然低調ですが、今後も黒字を
担う自動車物流事業が一体となり、IT を駆使した付加価
続けていくために、これまでの取り組みをさらに進化させ
値の創出を交えながら、世界に類のないサービスの提供を
ていくと同時に、新たなパートナー戦略も模索していく考え
目指していきます。
です。
定期船事業でのさらなる成長
ビジネスチャンスが狙える事業は積極果敢に
定期船は近年過当競争が繰り返された結果、今では勝者
世界人口の急激な増加は今しばらく続くことから、今後25
なき叩き合いのビジネスと化しています。当社グループはこ
年間で世界のエネルギー需要は1.4倍に増えると言われて
の競争に真正面から立ち向かうのではなく、定期船にター
います。昨今の原油価格低迷を受けて、多くの油田・ガス
ミナルと物流を加えた3つのビジネスを一体と捉え、相互の
田開発に遅れが生じていますが、中長期的な視点では、世
連携・補完により事業規模を拡大させつつ、市況変動に強
32
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
社会的責務をチャンスに
い事業モデルを構築し、定期船事業全体として安定的な
収益を生み出すことを基本戦略としています。
今後、データ分析に基づくマーケティング力の強化を推
安全・確実な「モノ運び」を通じて、社会の発展に寄与する
し進め、サービスの見直しや航路改編を機動的にできる体
ことが我々の責務であり、海・陸・空を舞台に事業を展開す
制を整えるとともに、業務ソフトの入れ替えによってさらな
る当社グループにとって環境問題は他人事ではありません。
る業務の効率化を目指していきます。また、ライトアセット化
2015年12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会
という既定路線を踏襲し、船隊規模をむやみに拡大するこ
でパリ協定が採択されたほか、船舶の排出ガ
議
(COP21)
となく、競争力を高めていく考えです。
スに対する国際的な規制が段階的に強化されていくなど、
世界的な環境対策の動きが加速しています。その方向性
を十分に見極めつつ、対応を進めることが重要だと認識し
「きらり技術力」による
ており、環境ビジョンの下、グローバルな環境マネジメント
新たな取り組み
体制を一層強化していきます。
当社グループでは、燃料節減活動の深化を推進して
中期経営計画のテーマでもある「きらり技術力」の推進活
いるほか、他の化石燃料より温室効果ガスの排出量が
動も2年目に入りました。この活動に懸ける私の想いは、自
少ない天然ガスに着目し、他社に先駆けて LNG 燃料船の
己変革を促していかないと時代の変化に乗り遅れ、気づい
実用化を成功させ、さらには LNG 燃料を海上で供給する
た時には手遅れになっているかもしれないという危機感の
ビジネスに参画するなどさまざまな取り組みを進めています。
醸成です。
LNG 燃料が一般に普及するには解決せねばならない課題
と称するプロジェクトマネージャー
1年目は「きらり道場」
がありますが、多くの企業が関心を寄せており、今後加速
養成講座の開講に始まり、
「きらり技術力育成ファンド」を
度的に普及していく可能性もあり、新しいマーケットの創出
活用して新会社を設立するなど、企業文化の変革に手応
につながるものと期待しています。
えを感じました。熱い議論を交わす「きらり道場」は、東京
今は社会から必要とされる企業でなければ、存続してい
だけでなく、シンガポールにも伝播し、ナショナルスタッフが
くのが難しい時代です。昨今、社会からの評価として ESG
高い志を持って新たな企業文化を創り上げようとしている
(環境、社会、ガバナンス)
に対する取り組みに関心が高まっ
ことを頼もしく思います。
ています。当社グループが最重要課題の一つとして捉えて
また、生産性や想像力を向上させる新たな試みとして、
いる「安全確保」
「環境保全」は、ESG の取り組みそのもの
働き方を見直すための「OLIVE project」を本店で始めま
です。こうした側面から社会的責務に真 に向き合うこと
した。小さな活動ではありますが、
「差別化」を念頭に置い
は、結果として自らの競争優位性を高めることであり、
「サ
た社員の意識改革に寄与するものであり、こうした動きが
ステナブルな成長」の実現に欠かせない要素の一つだと
出てきたことを心強く感じています。2016年度もこのよう
思っています。
に創意工夫にあふれた取り組みを増やしていきたいと考え
ています。
33
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
経営の透明性をさらに強化
ことで、現在は従来の半分にまで減少しました。営業上の
必要性を勘案する必要はありますが、引き続き減らしてい
く方針に変わりはありません。
今般、相次いでガバナンス強化策を実行する予定です。ま
ず、取締役の数については、社内取締役を11名から9名へ
最後に
減らし、その一方で社外取締役を2名から3名へ増員した
いと考えています。取締役の合計が12名、うち3名が社外
取締役なので、社外取締役比率は25%となります。
社長就任から1年が経過しましたが、多くの方々に助けても
次に、役員報酬制度を見直し、業績連動型株式報酬制
らい、さまざまな場面で手応えを感じることができました。
度を導入したいと考えています。外的要因に業績が大きく
今後はインドを含めたアジア圏へ積極的に出向いて、お客
依存する当社の事業形態に業績連動型株式報酬はそぐわ
さまやビジネスパートナーのキーマンに会い、さらなるビジ
ないとの見方もありますが、当社グループが目指しているの
ネスチャンスを模索していく予定です。
は、安定収益の積み上げによる「サステナブルな成長」であ
当社グループの事業ポートフォリオは多種多様の事業に
り、株主の皆さまと利害を共有し、
より構成され、一つの事業が悪く
中長期的な企業価値向上を追求
ても、別の事業で補って、キャッ
することで、私たち経営陣が株主
シュ・フローを安定的に生み出すこ
の皆さまとの関係をより確かなも
のにしたいとの思いからです。上記
いずれのガバナンス強 化 策も、
2016年6月の定時株主総会の議
案として株主の皆さまに諮り、信任
体質の改善は進んでおり、
より高い競争力を備えた
当社グループの姿を
お見せできるはずです。
とができるものです。こうした強み
をさらに伸ばしていくために、市況
性の高い事業におけるライトアセッ
ト化と運賃安定型事業の積み上
げを同時並行で推し進め、体質を
と承認を得たいと考えます。
強化していく考えです。足元におい
ROE に関しては、2018年度に
ては当社グループの事業にとって
12%とする目標を中期経営計画で
厳しいビジネス環境にありますが、
掲げているものの、足元の ROE2.3%とはまだ大きな乖離
これらの努力により体質の改善は進んでおり、より高い競
があります。昨今の事業環境を受けて、新造船への投資は
争力を備えた当社グループの姿をお見せできるはずです。
控えていくものの、新たな成長の柱となりうる自動車物流や
今後も、ステークホルダーの皆さまとの対話を図りなが
IoT 戦略など、投資案件は豊富にあります。一方で、ボラティ
ら、企業価値を向上させていきたいと心より思っています。
リティが依然として高い事業でのリスクを考慮すると、一定
2016年6月
の内部留保がなくては、成長投資はもちろん、事業継続に
も支障をきたす恐れがあります。従って、本来投資に振り向
代表取締役社長・社長経営委員
けるべき資金を自社株買いなどに活用するというよりも、一
定以上の内部留保を確保しつつ、資本効率を強く意識しな
がら、投資を決定していくことが重要だと考えています。
また、政策保有株式については、近年段階的に減らした
34
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
CFO から皆さまへ
髙橋 栄一
取締役・常務経営委員
経営企画本部長
(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、
新たに取締役への選任をお諮りする予定です。
業績について
財務基盤とキャッシュ・フローについて
2015年度は、上期は順調に推移したものの、下期は急速な
財務基盤は中期経営計画で掲げた目標を上回るペースで改
市況悪化と円高進行に見舞われました。この結果、通期では
善しています。この1年で、有利子負債は債権の回収強化や資
減収減益を余儀なくされ、経常利益は前年度比239億円減
金の有効活用が大きく寄与し1,577億円減の9,405億円へ、
の600億円にとどまりました。
DER は0.14ポイント減の1.22倍へそれぞれ改善、また自己資
しかし、事業ポートフォリオの組み替えに着手し、客船事業
本比率も3.0ポイント増えて連結決算開始以来の最高水準と
で米国の Crystal Cruise 社を売却、また採算性の悪いドラ
なる34.5%まで向上しました。
イバルカーについては所有船の売却や用船の返船を進めたほ
2015年度のキャッシュ・フローについては、営業キャッシュ・
か減損処理を実施するなど、経営の安定性を高める手立てを
フローは前年度より微増の1,428億円となり着実に実力を付
しっかり講ずることができた1年でした。
けていると評価しています。投資キャッシュ・フローは一部投
市況の低迷は今後もしばらく続くと捉えており、2016年度
資案件の先送りが大きく影響し、期初見込みの▲1,200億円
はさらに厳しい1年になることを覚悟しています。運賃安定型
を大きく下回る▲468億円となりました。
事業からの安定的な利益に加えてドライバルク事業での構造
2016年度は投資キャッシュ・フローが▲2,000億円に膨ら
改革による収支改善効果は期待できるものの、コンテナ船や
むため、フリー・キャッシュ・フローがマイナスになるものの、中
タンカー市況の軟化、自動車輸送台数の減少に円高の影響
期経営計画を開始した2014年度からの累計では依然として
も相まって経常利益は前年度より減少し350億円程度にとど
プラスを確保する見込みです。投資には潤沢な手元資金を活
まると予想しています。
用する考えであり、有利子負債を増やさぬように努力します。
引き続き、運賃安定型事業を積み上げ、非安定型事業へ
投資案件当たりの規模が大きい海運業においては、機動的
の耐性を身に付けることで、安定した収益基盤を構築していく
な資金調達ができるよう、財務体質を強化しつつ格付けに配
方針を徹底していく考えです。
慮する必要があります。運賃安定型事業を主として優良な案
35
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
件には積極的に戦略的な投資を行う前提で、各セグメントが
を振り向け企業価値をさらに高めることで、株主の皆さまのご
営業キャッシュ・フローを伸ばし、積み上げた利益で自己資
期待に応えたいと考えています。将来の ROE 向上、ひいては
本を増強し、有利子負債を抑制していく方針に変更はありま
株主価値の向上へとつなげるべく、本業で得られるキャッシュ
せん。
を積極的に投資に振り向けていくことに対して引き続きご理解
をいただきたいと思っています。
資本戦略について
業績の如何を問わず、
「安定配当」
と
「配当性向25%」を株主
還元の基本とする一方で、優良な投資案件には適切に資金
運航規模・投資計画(隻数)
コンテナ船
自動車船
ドライバルカー
ケープ *2
ポストパナマックス・パナマックス *3
4
ハンディ*(含むボックスシェイプ型)
チップ船
リキッド
タンカー
(油槽船)
LNG 船(含む共有船他社持分)
その他船舶(在来船、冷凍船など)
合計
① MTS2018*1
策定時
2014年度末
2015年度末
実績
②2018年度末 *5
計画
99
119
104
123
99
119
85
125
−14
126
97
164
48
123
113
172
48
108
105
164
47
100
85
165
45
−26
77
67
79
876
68
69
51
871
68
68
43
821
70
100+ α
60
835+ α
27
28
28
実績
増減
① vs ②
6
−12
1
−3
−7
33+ α
−19
−41+ α
主な持分法適用会社の運航船
シャトルタンカー
(KNOT)
34
7
■ ライトアセット化 ■ 重点投資 *1. MTS:More Than Shipping *2. 12万重量トン以上 *3. 6万重量トン以上12万重量トン未満 *4. 6万重量トン未満
*5. 2014年3月31日中期経営計画発表時公表
36
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
利益・財務計画(億円)
2014年度実績
2015年度実績
中期経営計画初年度
2016年度予想
前年度比
2018年度計画 *
(2016年4月28日公表) 前年度比
2年目
3年目
(最終年度)
5年目
売上高
営業損益
経常損益
親会社株主に帰属する
当期純損益
24,018
661
840
22,723
489
600
▲1,295
475
182
営業キャッシュ・フロー
投資キャッシュ・フロー
1,364
267
1,428
64
1,000
▲428
2,200
▲468
▲736
▲2,000
▲1,532
▲1,300
10,983
8,103
25,698
1.36倍
31.5%
9,405
7,736
22,447
1.22倍
34.5%
▲1,577
10,000
7,800
–
1.28倍
34%
595
64
–
10,000
10,000
26,500
1.0倍
38%
6.2%
25%
2.3%
56%
有利子負債
自己資本
総資産
DER
自己資本比率
ROE
配当性向
為替レート
(1米ドル)
燃料油価格(1トン)
¥109.19
$557.28
▲923
▲239
21,800
275
350
▲250
25,000
1,200
1,600
▲293
150
▲32
1,200
▲172
▲366
▲3,250
▲214
2.0%
45%
¥120.78 ¥11.59円安
$298.66 $258.62安
¥110.00
$200.00
12%
25%
¥10.78円高
$98.66安
¥100.00
$640.00
* 2014年3月31日中期経営計画発表時公表
着実に向上するキャッシュ・フロー創出力
安定配当の継続
(億円)
(円)
(億円)
2,000
12
1,200
1,000
8
800
0
4
400
–1,000
0
0
–2,000
11
12
■ 営業キャッシュ・フロー 13
14
15
11
(年度)
フリー・キャッシュ・フロー
12
■ 1株当たり配当金(左軸) 37
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
13
経常損益(右軸)
14
15
– 400
(年度)
経営成績の解説と分析
3月31日に終了した各連結会計年度
傭船料が史上最低水準まで悪化するなど、非常に厳しい事業
環境となりました。当社グループはコンテナ船の航路再編やド
ライバルカーを中心とした不採算船の処分・返船等一層の収
支改善の努力を継続し、運賃安定型事業からの利益の積上
げに努めました。非海運事業では、航空運送事業及び物流
事業が堅調に推移しました。
(5.4%
これらの結果、売上高は前年度比1,295億円の減少
減)
となりました。売上原価は同1,176億円減少
(5.5% 減)
し、
(26.0% 減)
となりました。経常
営業利益は同172億円の減少
業績概況
(28.5% 減)
しました。親会社株
利益も前年度比239億円減少
主に帰属する当期純利益は、北米の Crystal Cruise 社の売却
2015年度は、米国では雇用や住宅投資の回復が見られるな
等に伴う特別利益もありましたが、
ドライバルカーの減損処理
ど景気は底堅く推移し、ユーロ圏でも引き続き緩やかな景気
(61.7%
等による特別損失を計上し、前年度比293億円の減少
拡大の兆しが見られました。一方、中国では景気の減速が顕
減)
となり、各段階損益において前年度比減益となりました。
在化し、需要の低迷により各経済指標が悪化するなど不安定
財政状態に関する分析
な経済環境でした。また、原油をはじめとした資源価格の下
落や過剰設備問題を背景にした素材・製品価格の下落は、そ
の他新興国の経済成長にも悪影響を及ぼしました。日本では
総資産は前年度末に比べ3,250億円減少し、2兆2,447億円
上期は円安の恩恵を受けましたが、第3四半期以降の円高の
となりました。
進行等により、本格的な景気回復には至りませんでした。
負債合計額は、有利子負債の返済を進めた結果、前年度
海運業においては、コンテナ船部門での新造大型船の相次
末に比べ2,884億円減少し1兆4,005億円となりました。純
ぐ竣工・投入が供給過剰の状態に拍車をかけ、加えて欧州航
資産の部では、利益剰余金が33億円増加し、株主資本とそ
路を主とした貨物需要の落ち込みにより需給ギャップが拡大
の他の包括利益累計額の合計である自己資本が7,736億円
し、運賃市況は極度に落ち込みました。リキッド部門は好調に
となり、これに非支配株主持分705億円を加えた純資産の合
推移した一方、
ドライバルク部門においては原材料価格の下
計は、8,442億円となりました。これらにより、有利子負債自
落や鋼材需要の縮小等、中国経済の減速を背景にスポット
は1.22倍となりました。
己資本比率(DER)
連結業績(億円)
2015年度(実績)
2014年度
(実績)
売上高
1Q
2Q
3Q
通期
4Q
前年度比
2016年度
(予想)
前年度比
24,018
5,887
6,095
5,683
5,056
22,723
▲1,295
21,800
▲923
営業損益
661
174
211
85
17
489
▲172
275
▲214
経常損益
840
215
212
133
40
600
▲239
350
▲250
親会社株主に
帰属する当期純損益
475
430
117
▲319
▲45
182
▲293
150
▲32
為替レート
(/ $)
¥109.19
¥120.97
¥122.56
¥121.23
¥118.37
¥120.78
11.59円安
¥110.00
10.78円高
燃料油価格(/ MT)
$557.28
$357.71
$349.69
$276.00
$211.22
$298.66
$258.62安
$200.00
$98.66安
38
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
資産の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主要な設備である船舶投資については、営
業活動によって個々の船舶が将来収受する運賃もしくは貸船
キャッシュ・フローの状況
料収入の通貨や期間に合わせた長期の借入のほか、社債発
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前
行により調達した資金や内部留保した資金も投入しています。
当期純利益 637 億円、現金支出を伴わない減価償却費
このほか物流・ターミナル施設等設備投資についても同様に
1,033億円、利息の支払額▲172億円等により1,428億円と
将来のキャッシュ・フローに合わせた安定的な資金等を投入
なりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産
しています。
等の取得と同時に売却やオフバランス化も進めたことで▲468
次に運転資金については、主に期間が1年以内の短期借
億円にとどまりました。また、財務活動によるキャッシュ・フロー
入並びにコマーシャル・ペーパーの発行により調達することと
は、長期借入金の返済等により▲1,602億円となりました。以
していますが、一部長期の借入によっても調達しています。
上に現金及び現金同等物に係る換算差額等を加味した現金
2016 年 3月31日現在の長期借入金の残高は6,900 億円
及び現金同等物の当期末残高は、期首残高比736億円減の
で、通貨は円のみならず米ドル、ユーロ等の外貨建借入金を
2,536億円となりました。
含んでおり、金利は変動及び固定です。また、資本市場から
調達した社債の残高は、2016年3月31日現在1,454億円と
資金需要及び設備投資
なっています。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グルー
当社グループは、資金の流動性確保に努めており、2016年
プの定期船事業や不定期専用船事業運営に関する海運業
3月31日現在、1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に
費用です。この中には貨物費・燃料費・港費等の運航費、船
加え、シンジケーション方式等による金融機関からの円建て
員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。
及び米ドル建てコミットメントライン
(借入枠)
を有しているほ
このほか物流事業やターミナル関連事業、航空運送事業等
か、キャッシュマネジメントシステム等を活用し、グループ内金
の運営に関する労務費等の役務原価、各事業についての人
融による資金効率向上にも取り組んでいます。
件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があり
なお、当社は国内2社、海外1社の格付機関から格付を取
ます。
得しています。2016年3月31日現在の負債格付は、日本格付
一方、設備資金需要としては船舶・航空機投資や物流設
:
「A +」
、格付投資情報センター
(R&I)
:
「A −」
、
研究所
(JCR)
備・ターミナル設備等への投資があります。当年度中に1,157
ムーディーズ・インベスターズ・サービス:
「Baa2」となってい
億円の設備投資を行っています。
ます。
財務政策
格付(2016年3月31日現在)
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金について
日本格付研究所(JCR)
は、財務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場
長期発行体格付
2014
A+
2015
A+
2016
A+
A−
a-1
A−
a-1
A−
a-1
Baa2
Baa2
Baa2
格付投資情報センター
(R&I)
リスクに晒されることなく安定的に確保するために、金融機関
発行体格付
からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行による調達
短期格付
Moody s
を行うこととしているほか、船舶・航空機に関してはリースや船
発行体格付
主からの中・長期用船も行うこととしています。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
取締役および常勤監査役ならびに経営委員一覧
(2016年6月20日現在、所有株式数は4月30日現在)
工藤 泰三
内藤 忠顕
田澤 直哉
代表取締役会長・会長経営委員
所有株式数 164,336株
代表取締役社長・社長経営委員
所有株式数 122,750株
1975年
1998年
2002年
2004年
2006年
2008年
2009年
2015年
1978年
2004年
2005年
2007年
2008年
2009年
2013年
2015年
当社入社
セミライナーグループ長
経営委員
常務取締役経営委員
代表取締役・専務経営委員
代表取締役・副社長経営委員
代表取締役社長・社長経営委員
代表取締役会長・会長経営委員
(現任)
長澤 仁志
代表取締役・専務経営委員
不定期専用船戦略会議議長
エネルギー輸送本部長
所有株式数 107,091株
1980年
2004年
2007年
2009年
2011年
2013年
当社入社
LNG グループ長
経営委員
常務経営委員
取締役・常務経営委員
代表取締役・専務経営委員
(現任)
当社入社
石油グループ長
経営委員
常務経営委員
取締役・常務経営委員
代表取締役・専務経営委員
代表取締役・副社長経営委員
代表取締役社長・社長経営委員
(現任)
力石 晃一
代表取締役・副社長経営委員
技術本部長(上級環境管理責任者:ECEM、
技術戦略会議議長)
所有株式数 129,192株
1978年
2002年
2005年
2007年
2009年
2010年
2015年
当社入社
人事グループ長
経営委員
常務経営委員
取締役・常務経営委員
代表取締役・専務経営委員
代表取締役・副社長経営委員
(現任)
左光 真啓
代表取締役・専務経営委員
自動車輸送本部長
所有株式数 86,214株
取締役・専務経営委員
ドライバルク輸送本部長
所有株式数 64,730株
1980年
2003年
2009年
2012年
2013年
1980年
2003年
2009年
2013年
2015年
当社入社
石油製品・LPG グループ長
経営委員
取締役・常務経営委員
代表取締役・専務経営委員
(現任)
40
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
当社入社
バルク・エネルギー・アトランティックグループ長
経営委員
取締役・常務経営委員
取締役・専務経営委員
(現任)
丸山 英聡
吉田 芳之
取締役・専務経営委員
グループ IT 政策会議議長
チーフインフォメーションオフィサー:CIO
一般貨物輸送本部長
所有株式数 54,256株
1981年
2008年
2013年
2016年
当社入社
経営委員定航マネジメントグループ長
取締役・常務経営委員
取締役・専務経営委員
(現任)
髙橋 栄一
取締役・常務経営委員
総務本部長
チーフコンプライアンスオフィサー:CCO
所有株式数 70,575株
取締役・常務経営委員
経営企画本部長
チーフファイナンシャルオフィサー:CFO
所有株式数 46,085株
1981年
2005年
2011年
2015年
1982年
2010年
2012年
2016年
当社入社
バルク・エネルギー輸送統轄グループ長
経営委員
取締役・常務経営委員
(現任)
当社入社
主計グループ長
経営委員
取締役・常務経営委員
(現任)
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、
新たに取締役への選任をお諮りする予定です。
取締役数の変化
2016年6月に開催される定時株主総会での選任を
経て、当社は経営体制の強化を図ります。
専務経営委員
赤峯 浩一
田中 康夫
社内取締役数
2005年
2015年
2016年
17名
11名
9名
2005年
2015年
2016年
0名
2名
3名
社外取締役数
常務経営委員
大鹿 仁史
小笠原 和夫
岡本 宏行
経営委員
中井 拓志
磯田 裕治
スヴェイン・スタイムラー
ジェレミー・ニクソン
小山 智之
土屋 恵嗣
原田 浩起
宮本 教子
木村 敏行
河野 晃
曽我 貴也
後藤 湖舟
野瀬 素之
近藤 耕司
浦上 宏一
山本 昌平
日暮 豊
常勤監査役
杉浦 哲
和 揚子
41
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
社外役員
(2016年6月20日現在、所有株式数は4月30日現在)
岡本 行夫
翁 百合
独立社外取締役
所有株式数
出席状況
独立社外取締役
85,938株
取締役会 14回中14回
所有株式数
出席状況
略歴
略歴
1968年
1991年
1991年
1996年
1998年
2001年
2003年
1984年
1992年
1994年
2000年
2001年
2006年
2008年
2014年
外務省入省
同省退官
株式会社岡本アソシエイツ 代表取締役(現職)
内閣総理大臣補佐官
同上退官
内閣官房参与
同上退官
内閣総理大臣補佐官
2004年 同上退官
2008年 当社社外取締役(非常勤、独立役員)
日本銀行入行
株式会社日本総合研究所入社
同社主任研究員
同社主席研究員
慶應義塾大学大学院 特別招聘教授
株式会社日本総合研究所 理事
当社社外取締役(非常勤、独立役員)
株式会社日本総合研究所 副理事長(現職)
三田 敏雄
片山 善博
独立社外監査役
独立社外取締役
所有株式数
出席状況
64,314株
取締役会 14回中14回
所有株式数
出席状況
0株
−
略歴
略歴
1974年
1998年
1999年
2007年
1969年
2003年
2005年
2006年
2007年
2010年
2015年
自治省入省
同省退官
鳥取県知事
同上退任
慶應義塾大学 教授(現職)
2010年 総務大臣
2011年 同上退任
2016年 当社社外取締役(非常勤、独立役員)
10,819株
取締役会 11回中10回
監査役会 10回中10回
中部電力株式会社入社
同社取締役 東京支社長
同社常務取締役 執行役員 販売本部長
同社代表取締役社長
同社代表取締役社長 社長執行役員
同社代表取締役 会長
当社社外監査役(非常勤、独立役員)
中部電力株式会社 相談役(現職)
片山 善博氏については、第129期定時株主総会において、新たに独立社外取締役への選任を
お諮りする予定です。
山口
社外役員候補者の推薦に関する独立性基準(抜粋)
秀
① 企業経営者としての豊富な経験や、世界情勢、社会・経済
独立社外監査役
所有株式数
出席状況
動向などに関する高い見識を持つ者から選任し、多様な視
0株
点から、適切な意思決定、透明性の確保と監視機能の強
−
化を図ります。
略歴
1974年
2006年
2008年
2013年
2013年
2016年
② 独立性確保に留意し、一般株主と利益相反の生じる恐れ
日本銀行入行
同行理事
同行副総裁
同行退行
日興リサーチセンター株式会社 理事長(現職)
当社社外監査役(非常勤、独立役員)
がない人物を選任しています。
取引関係・利害関係
社外取締役3名および社外監査役2名につきましては、当社と
の間に特別の利害関係はありません。
山口 廣秀氏については、第129期定時株主総会において、新たに独立社外監査役への選任を
お諮りする予定です。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
会長メッセージ
代表取締役会長・会長経営委員
堅実かつ透明性の高い
一方、社外監査役には意思決定プロセスに問題がない
日本郵船のガバナンス
か、厳しくチェックしていただいています。社外監査役には、
取締役会と監査役会の両方にご出席いただくうえ、目を通し
この1年、取締役会長として当社の取締役会に出席してきまし
ていただく情報量が極めて多く大変な労力をお掛けしますの
たが、社外取締役から数多くの詳しい説明要求が出され、一
で、常勤監査役が密に接して丁寧に説明する体制でサポー
方の社内取締役からは量と質の両面から説明を工夫する姿
トしています。
勢が見られるなど、互いが果たすべき役割を全うすることで当
社のガバナンスがうまく機能していることを改めて認識するこ
取締役会のガバナンスをさらに強化
とができました。
当社のように事業領域が広い企業では、社長一人ですべて
を把握することは不可能です。取締役会では、グループ全体
2016年の株主総会では、社内取締役を2名減らして社外取
の事業ポートフォリオを常に念頭に置き、全体最適の視点で
締役を1名増員する案を諮る予定です。各社内取締役の管
どの投資案件を優先させるべきか徹底的に議論します。結論
掌・担当部門の権限・責任を明確にする一方、社外取締役を
と呼べるほど、出席者全員が一
に至る過程では「チーム NYK」
増員することで、より強固なガバナンス体制を構築したいと考
丸となって議論を尽くすので、頼もしさを感じています。
えたためです。
社外取締役には、それぞれの専門分野から各投資案件を
また、社外取締役・監査役といった社外役員への報告業務
精査いただいています。例えば、新規の投資案件において、ブ
を改善してきたいと考えています。一定の報告はもちろん必要
ラジルなどのカントリーリスクも加味し、地域ポートフォリオを
ですが、在任期間が長くなれば当社への理解が進む分、詳細
分散させるべきとのご意見をいただきました。その後、議論を
な説明をする必要もなくなってくるので、各役員の在任期間に
重ねて、その案件を見送るケースもあるなど、社外取締役の持
応じて報告の濃淡を柔軟に調整していくべきと考えています。
つ視点は大変重要だと感じました。
新任の社外役員へは就任初期の段階で集中的に必要な情
報をご説明し、在任期間が長い社外役員との情報格差の縮
小に努めていきたいと考えています。
43
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
コーポレートガバナンス
当社の経営組織
株主総会
選任・解任
選任・解任
監査
取締役会
監査役会
選任・解任
社内監査役2名+独立社外監査役2名
社内取締役9名+独立社外取締役3名
(経営意思決定・業務執行監督)
報告
選任・解任・監督
会計監査人
報告
経営委員会
経営委員31名
(業務執行)
報告
本社各部門
内部監査
内部監査室
グループ各社
* 第129期定時株主総会での承認を経て、上記の体制へ移行予定
コーポレートガバナンスに対する取り組み
取締役会
コーポレートガバナンス強化の取り組み
2002年
経営委員制度を導入し、業務執行体制を強化
2005年
経営の効率化を図るため、定款上の取締役の員数を25名以
内から18名以内へ減員
2006年
経営の透明性を高めるため、アドバイザリー・ボードを設置
取締役の員数を18名以内から16名以内に減員
2008年
アドバイザリー・ボードを廃止し、社外取締役を選任
取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に即応でき
る体制を構築するため、取締役の任期を2年から1年に短縮
2010年
社外役員4名全員を、国内の金融商品取引所が定める独立役
員として届出
2016年
独立役員を4名から5名へ増員 *
取締役会は、法定事項の決議、重要な経営方針・戦略の策
定、業務執行の監督などを行っています。また、当社は経営委
員制度を導入し、取締役
(社外取締役および非業務執行取締
役を除く)
を含む31名で構成される経営委員会が、取締役会
の決議と監督の下に業務を執行しています。
取締役会の責務
効果的かつ効率的なコーポレートガバナンスの実現、ならび
* 第129期定時株主総会での承認を経て、上記の体制へ移行予定
に当社の持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に
コーポレートガバナンス・ガイドライン
http://www.nyk.com/ir/manage/gvn/gvn_report_01.pdf
ついて責任を負います。
機関設計
法令、定款および取締役会規則に規定する重要な業務執
行を決定し、取締役および経営委員の業務執行を監視、また
当社は監査役会設置会社を選択し、取締役会は独立性の
は監督します。
高い社外取締役3名を含む12名で構成されており、監査役会
中期経営計画が株主に対するコミットメントの一つであると
は独立性の高い社外監査役2名を含む4名で構成されていま
認識し、業績目標が未達に終わった場合、その原因および当
す。取締役会の決議と監督の下、経営委員が業務を執行して
社が取った対応の内容を十分に分析し、株主に説明するとと
います。
もに、その分析結果を次期以降の計画に反映させます。
* 第129期定時株主総会での承認を経て、上記の体制へ移行予定
会社法に対応する内部統制システムの整備に関する基本
以上の体制により、業務執行の権限と責任を明確にし、迅
方針を定め、内部統制およびリスク管理体制を整備します。
速かつ適切な意思決定を図り、経営の透明性や効率性の向上
内部統制システムの運用状況を審議する組織として社長を委
に努めています。
員長とする内部統制委員会を設置し、内部統制委員会を通
44
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
じてその運用状況を監督します。
と、管掌部門の課題を的確に把握し他の役職員と協力して問
社長およびこれに準ずる者の後継者計画の作成および実
題を解決する能力があること、人望があり、法令および企業倫
行を適切に監督します。
理の遵守を徹底する見識があることを重視します。当社は、経
営陣幹部および経営委員の選任についても、社内取締役候補
取締役会の規模・バランス・多様性に関する考え方
者の指名方針を準用します。
取締役会は、実質的な議論を活発に行い意思決定の質を確
当社は、監査役候補者の指名にあたり、企業経営における監
保したうえで、迅速な意思決定を継続して推進していく効率
査および監査役の機能の重要性を認識し、候補者の人格およ
的な規模として、当面は12名前後、うち独立性基準に基づく
び見識等を十分考慮のうえ、監査役として職務と責任を全うで
社外取締役3名前後を適当と考えます。取締役会は、当社グ
きる適任者を候補者として推薦します。
ループが行う海運・物流業を中核としてグローバルに展開する
また、当社は社外役員の独立性に関する判断基準を別途定
事業に精通した十分な数の社内取締役と、企業経営に資す
め、同基準を満たす社外取締役候補者および社外監査役候
る高い専門的知見を有し取締役会の監督機能の一層の充
補者を推薦します。
実を図りうる一定の数の独立社外取締役により構成します。
その構成については、多様性と専門性の確保、および構成員
独立役員
の知識・経験・能力のバランスに配慮します。社内取締役につ
当社は、各社外取締役および社外監査役について、当社の「社
いては、各事業の運営に強みを発揮できる人材と、全社的経
外役員候補者の推薦に関する独立性基準」および㈱東京証
営管理に適した人材のバランスにも留意します。取締役会は、
券取引所等の独立役員制度における独立性基準を満たし、過
各取締役の管掌・担当業務などを取締役会において決議し、
去および現在において当社の主要株主企業の出身・業務執行
その役割と責任を明らかにします。
者でなく、当社と特別の利害関係がない人物を選任しています。
当社は、
このような独立性の高い社外役員を選任することにより、
運営方法
経営の一層の透明性確保と監視機能の強化に努めています。
社外役員候補者の推薦に関する独立性基準
http://www.nyk.com/ir/manage/gvn/gvn_report_04.pdf
取締役会は、社外取締役による問題提起を含め、自由闊達で
建設的な議論および意見交換を尊ぶ気風の醸成に努めます。
監査役会
取締役会の運営方法などは取締役会規則に定めるほか、審
議の活性化を図るため、代表取締役会長、同社長その他の代
表取締役は月例取締役会の予定開催日程および予測可能な
監査役会は、その半数以上は独立社外監査役で構成し、独
審議事項を事前に決定します。これらの代表取締役は、取締
立社外監査役は監査に資する高い見識を持つ者から選任し
役会の会日の相当期間前に各取締役および各監査役に、資料
ています。監査役のうち1名以上は財務および会計に関する
および情報を提供します。取締役会は議案の審議のために必
適切な知見を有している者から選任しています。
要な時間を確保します。
常勤監査役の有する情報収集力の向上、および社外監査
役の有する独立性を融合して監査の実効性を高めます。
役員等選任指名方針
高品質な監査を可能ならしめる監査時間の確保、外部会
当社は、取締役候補者の指名にあたり、候補者の人格および
計監査人および内部監査部門、ならびに社外取締役との必
見識等を十分考慮のうえ、取締役として株主からの経営の委
要な情報の共有など、実効的な監査体制を確立します。
任に応え、その職務と責任を全うできる適任者を候補者として
外部会計監査人候補を適切に選定し評価するための基準
推薦します。社内取締役の候補者については、取締役会議案
を策定し、その独立性および専門性を判断します。
の審議に必要な広範な知識、経験および実績を備えているこ
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
監査役は、独立した客観的な立場で、取締役の職務の執
役員の報酬などの総額
区分
行の監査、会計監査人の選解任、または監査報酬に係る権
限を行使し、その責務を果たします。また、常勤監査役は、監
査の環境の整備および情報収集を積極的に行い、他の監査
人員数
取締役(うち社外取締役)
14人(2人) 630百万円(38百万円)
監査役(うち社外監査役)
6人(3人) 105百万円(27百万円)
合計(うち社外役員)
役および独立社外取締役との情報共有に努めます。
報酬などの額
20人(5人) 736百万円(66百万円)
*1. 取締役への支給額には、当事業年度に退任した取締役1名に対する支給額を含め
ています。
*2. 監査役への支給額には、当事業年度に退任した監査役2名に対する支給額を含め
役員に対するトレーニング
ています。
*3. 第125期以降当期まで5期にわたり、取締役賞与の支給はありません。
*4. 取締役の月例報酬は、株主総会の決議により決定した月例報酬総額の限度内にお
いて、職位に応じた報酬を支払っています。取締役賞与は、業績等を勘案して株主
総会に議案を上程するため不支給の年もあり、総会決議により決定した賞与額の
限度内において、職位に応じた賞与を支払うこととしています。業務執行取締役は
当社株式を取得する義務があり、月例報酬から職位に応じた一定額以上の金額を
役員持株会に拠出しました。
*5. 当社は2005年6月28日開催の第118期定時株主総会において、役員退職慰労金
制度の廃止に伴い、退任時に打切り支給を行うことをご承認いただきました。この
決議により、当事業年度に退任した取締役1名に対し、退職慰労金113百万円の打
切り支給を行いました。当該打切り支給額は上記支給額には含みません。
独立社外取締役および独立社外監査役を含む取締役および
監査役が就任する際、各自が会社の事業、財務および組織
等に関する必要な知識を修得し、取締役または監査役に求め
られる役割および法的責任を含む責務を十分に理解する機
会を設けます。当社は必要に応じ、これらを継続的に更新す
る機会を設けます。取締役会は、
トレーニング実施状況およ
業績連動型株式報酬制度の導入
び前述の方針を定期的に検証します。
当社は、取締役・経営委員
(社外取締役、国内非居住者の経
営委員などは除く。以下、取締役等)
を対象に、新たに中期経
役員などの報酬決定方針等
営計画・期初予算・前年実績における業務目標の達成度等
に応じて当社株式の交付を行う業績連動型の株式報酬制度
社内取締役および経営委員の報酬は、職責に基づく基本報
を、2016年6月開催の定時株主総会において株主の皆さまの
酬と、会社業績に連動する業績連動型報酬により構成され、
承認を得ることを条件として、導入する予定です。
報酬の一定割合は自社株報酬とします。賞与は年次インセン
本制度は、当社の持続的な成長に対する取締役等の貢献
ティブとして、業績などの経営状況を考慮し、株主総会に提案
意欲を高め、取締役等が株主の皆さまと利害を共有すること
します。業務執行に従事しない取締役、独立社外取締役およ
を目的としており、透明性・客観性が高い役員報酬制度である
び監査役の報酬は基本報酬のみです。すべての取締役、監査
と考えています。
役および経営委員について役員退職慰労金はありません。
詳細については以下 URLをご参照ください。
http://www.nyk.com/release/dbps_data/_material_/_
files/000/000/004/258/160225.pdf
* 2016年6月開催の第129期定時株主総会において提案が承認された場合に上記業
(後述
* 第129期定時株主総会の議案として、業績連動型株式報酬の導入を諮ります
をご覧ください)。
績連動型株式報酬制度が実施される予定です。
報酬決定手続き
政策保有株式の保有方針
取締役の報酬額および賞与額は、株主総会の決議による総
額の限度内で、社長が提案し、独立社外取締役と意見を交
換するなど、その関与を得て、取締役会において支給額を決
当社が政策保有株式を保有する場合は、当該株式ごとに管理担
定します。監査役の報酬額は、株主総会の決議による総額の
当部門を定めたうえで、当該株式の取得・保有の是非について、
限度内で、独立社外監査役を含む監査役の協議により支給
保有目的、意義および採算性の観点から定期的に検討・判断し
額を決定します。経営委員の報酬額および賞与額は、社長が
ます。当社はこれまで政策保有株式の削減に取り組んできており、
提案し、独立社外取締役と意見を交換するなど、その関与を
引き続き、その方針に沿い、毎年取締役会において、政策保有に
得て、取締役会において支給額を決定します。
ついてそれを保有する利害得失等を踏まえた中長期的な経済合
46
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
監査報酬の内容
理性を検証し、保有の目的および合理性について説明します。
なお、政策保有株式に係る議決権の行使については、投資先
監査公認会計士などに対する報酬の内容
企業の価値の毀損につながるものではないこと、および当社の企
前連結会計年度
業価値向上への貢献の有無とその程度を確認のうえ、議案への
監査証明
業務に
基づく報酬
(百万円)
区分
賛否を決定します。
監査の体制
当連結会計年度
非監査
業務に
基づく報酬
(百万円)
監査証明
業務に
基づく報酬
(百万円)
非監査
業務に
基づく報酬
(百万円)
提出会社
145
3
145
4
連結子会社
142
0
144
0
計
288
3
289
4
当社の内部監査室は取締役会で承認された「内部監査規
則」に基づいて、当社および国内グループ会社の内部監査を
実施しています。なお、海外グループ会社の内部監査は、内部
その他重要な報酬の内容
(米州、欧州、東アジア
監査室の方針と指導の下、海外4地域
前連結会計年度および当連結会計年度とも財務諸表監査
および南アジア)
の地域統轄会社に所属する内部監査人によ
および内部統制監査を受ける主要な海外連結子会社は主
り実施され、内部監査室および地域統轄会社の社長(海外
として、当社の監査公認会計士などと同一のネットワーク
(Deloitte Touche Tohmatsu Limited)
に属している会計
地域長)
へ報告が行われています。
事務所に対して報酬を支払っています。
社外監査役2名を含む監査役4名は、監査役会が定めた
監査計画に従い、取締役会その他重要な会議に出席するほ
か、取締役、内部監査室などからその職務執行などの状況を
監査公認会計士などの提出会社に対する
聴取し、重要な決裁書類などを閲覧するなど監査業務を遂行
非監査業務の内容
しています。監査役は会計監査人の独立性・体制・品質など
前連結会計年度および当連結会計年度とも当社が監査公認
を監視しつつ、会計監査人と有機的な連携を保ち、双方向情
会計士などに対して報酬を支払っている非監査業務の内容
報交換により相互補完し、各々の監査の質の向上と効率化に
は、合意された手続業務などです。
努めています。また、監査役は、毎月監査役会を開催し、監査
結果その他情報の共有を図るほか、定期的に内部監査室と
監査報酬の決定方針
打ち合わせを行うことに加え、会計監査人を交えた打ち合わ
当社は、適正かつ効率的な監査を実現するために必要な監査日
せを実施し、三者の連携強化に努めています。なお、監査役室
数および人員数などにつきまして、監査公認会計士などと十分
が監査役監査業務の遂行をサポート
(4名、うち専任者3名)
な協議を重ねたうえで、監査報酬を定めるように努めています。
しています。
当社の会計監査業務を執行した公認会計士は小野敏幸
氏、武井雄次氏、野田智也氏です。各氏はいずれも有限責任
監査法人トーマツに所属しており、継続監査年数は7年以内
です。
また、当社の監査業務に関わる補助者の構成は、公認会
計士16名、その他19名であり、一般に公正妥当と認められる
監査の基準に準拠して監査を行っています。
47
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
株主・投資家との対話
機関投資家の皆さまに対して
当社は、株主・投資家をはじめとするステークホルダーに、適
時適切に情報を開示するとともに、双方向のコミュニケー
ションを積み重ねることが、日本郵船の企業価値の公正な評
機関投資家に対しては、四半期ごとの社長・経営陣による決
価につながると考えています。また、2015年度はコーポレート
算説明会のほか、スモールミーティング、事業説明会などを開
ガバナンス・ガイドラインの策定を機に、 株主等との建設的
催しています。また、IR 担当による国内外の機関投資家への
な対話を促進するための方針 を明文化しました。
訪問、個別取材への対応などを実施しており、2015年度の
対話によりいただいた株主・投資家の貴重なご意見は、経
面談会社数は延べ約400社に上ります。2014年3月に発表
営陣に対し定期的かつ適時に報告するよう努め、経営の改善
した中期経営計画に基づき、運賃安定型事業の利益を積み
に役立てています。
上げ、市況変動リスクからの脱却に向けた当社戦略の理解を
得られるよう、引き続き丁寧な情報発信に努めました。
主なIR 活動
活動
詳細
個人投資家の皆さまに対して
・決算説明会開催
・欧米・アジアなどの海外
機関投資家向け ・個別面談対応
投資家への個別訪問対応
・スモールミーティング開催 ・事業説明会の実施
個人投資家向け
・株主総会招集通知
・有価証券報告書・
ウェブサイトでの
四半期報告書
公開
・統合レポート
(NYKレポート)
その他
個人投資家に対しては、全国各地での個人投資家説明会に
・個人投資家説明会に参加 ・株主向け「NYK plus」の
発行
参加し、プレゼンテーションと質疑応答を行いました
(2015年
・決算短信
・決算説明会資料
・質疑応答議事録
・動画配信
・適時開示資料
。半期に一度、主に個人株主向けに発行して
度実績:計7回)
「モノ運び」の現場に関する情
いる小冊子「NYK plus」には、
報など当社ビジネスへの理解を深める内容を盛り込んでいます。
・当社に対する市場での期待・評価の社内フィードバック
(証券アナリストによる講演会)
また、個人投資家の皆さま向けのサイトも用意しています。
詳細については以下 URLをご参照ください。
http://www.nyk.com/ir/investors/
株主の皆さまに対して
当社では、株主総会を最も重要な対話の機会の一つと位置
付けており、株主の意見を真 に受け止め、丁寧な説明と回
答に努めています。
個人株主向け小冊子「NYK plus」
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
内部統制システム
内部統制活動
内部監査室は、当社および約 140の国内グループ会社
各社を監査活動対象として事業監査を定期的に実施してい
会社法や金融商品取引法をはじめとする関連法規への対応
ます。
および内部統制の強化を図るため、社長を委員長とする内部
2015年度の主な監査活動
統制委員会を設置しています。この内部統制委員会では、内
1. グループ会社監査、年間19社
部統制は財務報告の信頼性、法令の遵守、業務の有効性・
2. 日本郵船㈱本社の各部門、支店を対象にした監査
効率性、資産の保全という企業の4つの目的を達成する手段
3. 支払承認の業務委託に関する、日本郵船㈱と国内グルー
であるという観点から、定期的に内部統制状況を確認し、そ
プ会社への支払統制監査
の結果を改善につなげています。また、会社法に対応する内
4. ITリスク管理態勢とIT セキュリティに関する、日本郵船㈱
部統制システム整備に関する基本方針を取締役会で再決議
と国内グループ会社への IT 監査
しました。引き続き、違法行為や不正を未然に防止し、また、
組織が適切かつ効率的に運営されるように、体制の強化およ
(海外監査)
び社内規程の整備を進めていきます。
海外に関しては、対象となる約220社の海外グループ会社へ
海外4地域の地域統轄会社の監査人が定期的に事業監査
財務報告に係る内部統制
を実施しています
(2015年度は72社で実施)。
監査指摘事項は、本社の担当役員などへ報告されて事業
財務報告に係る内部統制については、内部統制報告制度
(金
別に指導・監督される一方、海外地域長へ報告され、地域ご
融商品取引法の規定による)
の実施基準に準拠して、整備お
との内部統制機能の底上げを促進します。
よび運用を行っています。今後もこの内部統制体制を維持し、
内部監査室と海外監査人は、同じフィロソフィーやルール
定着を図っていくことで、財務報告の信頼性の確保に努めて
による監査、不正リスク評価プログラムの実施を通じて、日本
いきます。
郵船グループ全体の内部統制の向上に貢献しています
(各地
域の特色に沿った業務内容は次ページをご参照ください)。
内部監査活動
不正リスク評価
従業員からの無記名回答の集計により、影響額と発生頻度から想定されるリスクの蓋
然性を洗い出し、結果を報告された経営陣が、今後その不正が起きぬよう未然防止策
(8社)
で実施し、各社に
などを作成することを支援する取り組み。2015年度は、7拠点
て行動規範の修正、個々の業務の手続きの見直し、コンプライアンスオフィサーによる
不正防止の研修等が行われた
(国内監査)
経営の健全性や有効性・効率性を確認し、改善のための提言
と進 のフォローアップを行うのが、内部監査活動です。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
欧州地域
米州地域
事務所:英国ロンドン/対象会社:約50社
事務所:米国セコーカス/対象会社:約50社
国ごとに異なる業務の事情を考慮しながら、内部監査とコン
南北大陸に跨るさまざまな文化的・地域的多様性や事業の特
サルティングサービスを提供しています。2015年度は企業統
殊性への理解が大切です。現場の多様な規制動向も熟知し
治と法令遵守の2つを優先順位の高い課題として捉え、地域
て、各社経営陣との密接な連携の下、監査やアドバイスを提
統轄会社と各社経営陣が共同で取り組みました。テロやサイ
供しています。日本郵船グループの一員として、各社により付
バー攻撃のリスクに関しても、事業継続計画や災害復旧計画
加価値の高いリスクマネジメントなどのサービスを提供するた
の作成を支援しています。
め、必要な人材の確保にも力を入れています。
ACTION
PLAN
欧州地域統轄会社の監査チーム
米州地域統轄会社の監査チーム
日本郵船グループ内部統制
海外4地域のモニタリング活動
CHECK
DO
(AUDIT、MONITOR)
南アジア地域統轄会社の監査チーム
東アジア地域統轄会社の監査チーム
南アジア地域
東アジア地域
事務所:シンガポール/対象会社:約80社
事務所:中国・香港/対象会社:約40社
近年目覚ましく成長する南アジア地域において、実施する監査
汚職撲滅運動や一人っ子政策の緩和など事業に影響を与え
も、文化や地域、事業環境の特殊性に応じて非常に多岐にわ
る中国政府の政策変更への対応や、企業のレベルや実情に合
と称する機
たっています。2016年度からは「ホームドクター」
わせたきめ細かい監査と改善提案に取り組んでいます。
能が本格的に稼働し、
リスクをコントロールしながらより事業
また、合弁事業のパートナーに対して、日本郵船グループの
の価値を高めるためのコンサルティングサービスを開始します。
取り組みが企業価値向上に有効だと理解していただけるよう
努めています。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
コンプライアンスの強化
独占禁止法への対応
当社は従前から、社長による独占禁止法遵守徹底の表明、
社内各部門・国内および海外グループ会社における統制ネッ
当社グループは、2012年9月以降自動車等の貨物輸送に関
トワークの構築と運用、同法マニュアルなどの整備や各種研
して独占禁止法違反の疑いがあるとして、欧州その他海外当
修による社内の啓発と教育、同業他社との接触規制などの諸
局の調査の対象となっています。また、当社および一部の海
施策を実施してきましたが、結果としてこのような事態を招い
外現地法人は、米国およびその他の地域において損害賠償
たことを真 に受け止め、さらにグループ役員・従業員一人ひ
請求訴訟(集団訴訟)
を提起されています。
とりの意識を高め、独禁法遵守を再徹底するための体制構築
ステークホルダーの皆さまには、多大なご心配をおかけし
および活動を推進しています。
ておりますことを深くお詫び申し上げます。
再発防止に向けた取り組み
マネジメントレベル
現場レベル
事業案件レベル
個人レベル
独 禁 法 遵 法 活 動 徹 底 委員会を
国内外グループ会社を含む全事業
新規投資案件については、社内弁
社員一人ひとりから独占禁止法・
2013 年 4月に設 置。年 2 回の開
部門が主体的にリスクアセスメント
護士などの専門的な視点からも審
競争法遵守に関する誓約書を取
催により、各部署における取り組み
を行い、ガイドラインを策定してい
査を実施しています。
を各部門マネジメント間で共有し
ます。リスクアセスメント終了後、事
ています。2015 年 度も9月(123
業部門と法務部門がガイドライン
名出席)
と3月
(126名)
に開催しま
の見直しを実施しています。
得。2014 年度からは、国内外グ
ループ会社に拡大展開しています。
した。
2015年度 独禁法研修受講状況
研修 *
eラーニング(日本語、英語、中国語)
実施回数
受講者数
87回
1,999名
1回
11,799名
国内の独占禁止法や海外の競争法に関
する知識習得と遵法意識の向上、さらに
実務で実践することを目的に、独占禁止法
マニュアルを改訂し、日本語・英語に加え、
新たに中国語版を作成しました
* 2009年度以降延べ19,445名
研修活動
日本郵船グループ社員一人ひとりの独禁法コンプライアンス意識の徹底を図るため、国内外グループ会社を対象に、独禁法研修を実施して
います。2009年度より開始し、これまで延べ19,445名のグループ社員が参加しています。2015年度は合計87回開催、延べ1,999名が参加
しました
(国内:69回/1,382名、海外:18回/617名)。
上記研修に併せて、国内外グループ会社を含む全事業部門を対象に、eラーニング
(日本語・英語・中国語)
を導入し、2015年度は合計
11,799名(国内4,569名/海外7,230名)が受講しました。今後も継続的な研修活動を通じ遵法徹底に努めます。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
贈収賄禁止の徹底
国内、および海外各地域の事情に応じて設置しているヘル
プライン
(国内では「郵船しゃべり場」など)
の効果的な運用に
、
2014年1月に日本国不正競争防止法(外国公務員贈賄罪)
より、不正防止につながる情報を迅速に収集し、ただちに是
米国海外腐敗行為防止法、英国贈収賄防止法などに対応
正できる風通しの良い企業風土の醸成に努めています。
する贈収賄禁止に関する基本方針およびガイドラインを整備
郵船しゃべり場
とし、コンプライアンスに関わる相談・通報を幅広く
社外弁護士を含む6名を「聞き役」
受け付けています。利用対象は当社および国内グループ会社60社
し、当社グループ内に周知徹底を実施しました。
コンプライアンス活動
2015年度 コンプライアンス研修受講状況
集合研修 *
当社は、コンプライアンスを保持・促進するため、コンプライ
実施回数
受講者数
11回
538名
* 2002年度以降延べ357回、9,730名
アンス委員会を設置し、年2回開催しています。委員会では、
社長を委員長とする委員会メンバーがコンプライアンス施策
日本郵船グループのコンプライアンス体制図
について討議を行っています。
また、毎年9月を当社グループのコンプライアンス強化月間
コンプライアンス委員会
(委員長:社長)
と定め、総点検活動を実施しています。2015年度は、従来の
チーフコンプライアンス
オフィサー
「予防」に加え、
「早期発見」に重点を置き、社会のさまざまな
ステークホルダーの視点から守るべきルールを、社員一人ひ
郵船しゃべり場
社員5名
(男性3名、
女性2名)
社外弁護士1名
とりが理解し、自らの行動を見つめ直すとともに、周囲にも目
を向け、公私混同していないかチェックすることを呼びかけま
した。
匿名通報 WEB
窓口
強化月間中に実施したアンケート調査では、行動規準に関
するセルフチェックに加え、職場における違反の芽を早期に発
施策の見直しにつなげるとともに、社内イントラネットで公開
しています。
コンプライアンス強化に向けた主な取り組み
企業行動憲章の制定
1999年
行動規準の制定
2002年
チーフコンプライアンスオフィサーの設置
2005年
日本郵船グループ企業理念の制定
2006年
内部統制委員会の設置
2008年
独占禁止法タスク・フォースの設置
2013年
独禁法遵法活動徹底委員会の設置
2016年
新規事業立ち上げ時における外国公務員贈収賄防止対策の導入
日本郵船株式会社行動規準の改正(予定)
グループ長・室長・支店長
(エシックス・リーダー)
本社
社員など
グループ各社
社員など
*1. 重大な事案の場合
*2. 常勤監査役へ定期的かつ必要に応じ随時報告
見するため、無記名アンケートを実施しました。調査結果は、
1997年
法務・フェアトレード
推進グループ
52
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NYK REPORT 2016
監査役
(*2)
(*1)
リージョナルチーフ
コンプライアンス
オフィサー
(海外)
グループ各社
社員など
(海外)
CCOメッセージ
日本郵船グループにおける
「コンプライアンス」の基本的な
考え方を教えてください。
昨今、独占禁止法や贈収賄法など
において、法に抵触するかどうかの
判断が難しいケースが出てきていま
す。社員が意図せず法律に触れるこ
吉田 芳之
取締役・常務経営委員
チーフコンプライアンスオフィサー
(CCO)
とのないよう、道筋をしっかりとつけ
ておく必要があります。当社グループ
に支障をきたす場合もあります。ビジ
コンプライアンス意識を
におけるコンプライアンスの原点は、
ネスにはリスクがつきものです。その
一層浸透させていくための
その企業理念にあります。安全・確
リスクを恐れていたら、社員は何もで
ポイントを聞かせてください。
実な「モノ運び」を通じて、人々の生
きなくなってしまいます。どこまでな
活を支える。つまり、自分たちの仕
ら許容されるのかガイドラインを作
研修を世代ごとに積み重ねていくこ
事は社会のためにあるのだと強く意
ることで、社員が業務に集中できる
とです。また、2013年4月に設置した
識することです。ただ、そのためなら
環境を提供したいと考えています。
「独禁法遵法活動徹底委員会」は、
何をしてもいいという判断を絶対に
ほかに、人権や労働慣行も挙げ
今般、
「独禁法 等 遵法活動徹底
してはなりません。お客さまのため、
られます。当社グループは2006年
委員会」に名称を改めました。先述
会社のためと思った行動だったとし
に国連グローバル・コンパクトへの支
の通り、コンプライアンスリスクは独
ても、状況によっては誤解を招く恐
持を表明しており、人権、労働、環
禁法だけにとどまりません。名称をあ
れがあることを社員一人ひとりが認
境、腐敗防止の4つのポイントにつ
えて変えることで、改めて、あらゆる
識することが必要です。
いて、世界に点在するグループ会社
リスクに徹底的に対応していく姿勢
に対し HR(Human Resources)
を全社員に示したいと考えています。
グローバルに事業を
サーベイを実施しています。もう一つ
さらに、行動規準の見直しを行いま
展開している中で、近年、
は経済制裁です。実際、過去に経
す。見直した行動規準は、冊子にし
特に注意すべきコンプライアンス
済制裁によって資金決済が凍結さ
て配布するだけでなく、社員一人ひ
リスクは何でしょうか?
れ、当社船舶の入港が危ぶまれたと
とりがサインすることで、社員には自
いう事態が起きたことがありました。
分事として、日々の行動に反映してほ
独占禁止法に加えて、今対応しなく
このようなさまざまな課題に対応す
しいと考えています。これは本社のみ
てはならない問題が贈収賄をはじめ
るために、2015年から各地域に各
ならず、世界中で実施する予定です。
とする腐敗防止です。各国の特性に
国の法律や事情に精通したリーガル
合わせ、地域ごとのルールを制定し
カウンセルを配置し、情報収集を徹
ます。贈収賄の判断はとても難しく、
底するとともに、法律的な対策を速
完全に規制してしまうと、事業展開
やかに講ずる体制を構築しました。
53
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
リスクマネジメント
全社的リスク管理体制図
重要リスク
候補提出
次年度
リスクマップ
リスク管理
内部統制委員会
次年度
重要リスク候補一覧
全 社 重 要リスク選 定 会 議
各 本 部 重 要リスク選 定 会 議
中間フォローアップ
各本部にて
リスク管理
当年度
リスク管理評価
リスクマップ
経営への
影響
当社グループの事業や業績は、世界各地の経済や政治情勢、
環境規制、安全・保安体制などの社会的な要因、自然災害、
技術革新などにより、影響を受ける可能性があります。当社で
は、
リスク管理方針およびリスク管理規程に基づき、企業のリ
スクを全社的な視点で総合的に集計・統括し、
リスクに対して
頻度
適切な対応を行う体制を整備しています。
全社的リスク管理
情報セキュリティ対応
全社的にリスクを把握するため、定期的なリスクの洗い出しと
当社グループの成長戦略において、IT を用いた競争力向上が
評価を行い、年に1回開催される「重要リスク選定会議」にお
重要施策の一つとなっている中、全社的リスク管理のうち、情
いて経営者
(社外取締役を含む)
が、当年度の重要リスクの管
報セキュリティは重要リスクの一つとして、適切な管理を行う
理状況を確認し、次年度の重要リスクを選定しています。中
こととしています。当社グループの情報セキュリティについては、
間フォローアップでは、重要リスクの管理状況を中間レビュー
グループ IT 政策会議や IT 予算会議などで審議したうえで、情
しています。
報企画グループと法務・フェアトレード推進グループが共同事
また、全社から収集したリスクは、経営への影響と頻度で
務局となって、情報セキュリティ管理委員会を毎年3月に開催
分類したリスクマップを作成し、管理しています。なお、当社の
し、日本郵船㈱と日本郵船グループ企業の情報セキュリティ
経営に大きな影響を及ぼす可能性があるリスクとして、例えば
状況を審査、次年度のセキュリティ施策を決定しています。
船舶や航空機の重大事故といったオペレーションリスク、カン
情報セキュリティポリシーについては、情報企画グループと
トリーリスク、自然災害などの外的要因リスク、独占禁止法違
㈱ NYK Business Systems のグローバルインフラ企画部が
反などのコンプライアンスリスクなどを重要リスクに位置付け
策定・実施・管理し、また、外部専門家によるIT 監査により、
ています。
情報セキュリティの強化に努めています。
54
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
ITトラブルが発生した場合、その内容はもちろん、影響範囲
(お客さま・地域・部門)
や復旧時間の見積に応じて、現場から
上席へ迅速に報告が上がるほか、チーフインフォメーションオ
フィサーからも毎週開催される役員会で報告される運用体制
となっています。
電子情報のセキュリティ対策への取り組みも、重要な課題
となっています。当社グループにおいても、外部からの攻撃への
多層防御と内部からの情報漏洩防止のため、ネットワークセキュ
リティの強化、データの暗号化、スパイウェア対策、ユーザーな
らびに技術者のセキュリティ教育、情報漏洩監視などを実施し
ています。
危機対応
災害時などの対応
災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な
限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧で
きるように、グループ会社を含む主要な事業ごとに「事業継続
計画(BCP)」を策定しています。
2011年の東日本大震災を受け、内閣府が2013年8月に
発表した「事業継続ガイドライン」第3版、および内閣府中央
防災会議・首都直下地震対策検討ワーキンググループが
2013年12月に発表した「首都直下地震の被害想定と対策
(最終報告)」を踏まえ、BCP を見直しました。
在宅勤務におけるBCP の策定、より耐震性の高いデータ
センターへの移転、3日間連続使用可能な非常用発電機への
換装などの更新を行うとともに、より実践的な BCPとするべく
訓練を行っています。
さらに2015年9月には、クラウド化されたグローバル情報
共有 IT 基盤を導入して通信インフラを強化し、グループ会社
への展開も実施中です。
BCP:Business Continuity Plan
55
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
セグメント別パフォーマンス
3月31日に終了した各連結会計年度
一般貨物輸送事業
売上高
(億円)
15,000
定期船事業
航空運送事業
10,000
物流事業
5,000
0 06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
■ 定期船事業 ■ 航空運送事業 ■ 物流事業
* 2006年度の航空運送事業の数値はその他の事業に含まれています。
不定期専用船事業
売上高
(億円)
12,000
ドライバルク輸送事業
エネルギー輸送事業
8,000
海洋事業
自動車輸送事業
4,000
0 06
その他事業
07
08
09
10
11
12
13
14
15
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
売上高
(億円)
不動産業
4,000
その他の事業
3,000
2,000
1,000
0 06
■ 不動産業 ■ その他の事業
* その他の事業に客船事業を含んでいます。
56
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
(年度)
定期船事業
経常損益
コンテナ船部門では、北米航路は比較的堅調に推移しました
(億円)
800
が、欧州航路においては新造大型船の竣工・投入による供給
圧力が強く、域内景気の低迷等を背景とした欧州向け貨物需
400
要の落ち込みにより需給ギャップが拡大し、歴史的低水準の
0
非常に厳しい市況が続きました。その他の航路においても主
に欧州航路からの転配により生じた投入船型の大型化が、需
−400
給バランスを崩しました。サービス面では、当社の属するG6ア
−800 06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
ライアンスでは大きな航路改編はなく、需要に見合ったサー
(年度)
■ 定期船事業 ■ 航空運送事業 ■ 物流事業
* 2006年度の航空運送事業の数値はその他の事業に含まれています。
ビスの合理化を進めるなど、競争力の維持に努めました。また
アジア航路・南米東岸航路で効率を高めるために航路改編を
行い、一部不採算航路ではサービスを休止しました。
コスト面では、前年度に引き続き不経済船を返船するほか、
経常損益
船舶の改造による燃費向上や燃費効率の良い船舶の投入に
(億円)
より、船費や運航費の削減に注力しました。また、投入船の大
2,000
型化による輸送効率の改善やサービスの特性に合わせた配
1,500
船、無駄なコストを発生させない効率的な配船計画を立案し
1,000
実行するなどの最適経済運航を引き続き徹底し、市況変動リ
スクへの耐性向上に努めました。営業面では、国ごとに目標を
500
定めて積高の増加を目指す管理手法を一層強化することで消
0
−500 06
07
08
09
10
11
12
13
14
席率の向上を図るなど、採算性の改善に努めました。国内・海
15
(年度)
外コンテナターミナルの総取扱量は前年度比で増加し、定期
船事業全体では前年度比では増収でしたが、赤字を計上しま
した。
航空運送事業
経常損益
(億円)
150
航空運送事業は、輸送品質の向上や顧客ニーズへの迅速な
対応により貨物専用機固有の貨物の集荷に継続して取り組
75
みました。また、コードシェア便の運航により貨物便ネットワー
0
クの拡充にも努めました。燃料油価格の下落に伴う燃油サー
チャージの減少により減収となったものの、前年度からの北
−75
米西岸の港湾混雑に伴う航空貨物機への振替輸送の活況と
−150 06
07
08
09
10
11
12
13
14
コスト削減の継続により、増益となりました。
15
(年度)
■ 不動産業 ■ その他の事業
* その他の事業に客船事業を含んでいます。
57
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
物流事業
著しく低迷しました。このような状況下、当社グループは市況
の変動に左右されにくい契約の獲得に努めた一方で、余剰船
航空貨物事業は北米西岸の港湾混雑による緊急需要の終
の返船や売船、効率運航の徹底等のコスト削減に引き続き取
息に伴う反動もあり、取扱量は前年度に及びませんでしたが、
り組むとともに、貨物の組み合わせや配船の工夫によりバラス
海上貨物輸送は、販売の拡大により競争力が向上するととも
ト航海を減らすなど、収支の向上に努めました。
に、アジアを中心に取扱量を伸ばしました。ロジスティクス事
リキッド部門では、新造船の竣工が続き解撤は進みません
業は、業務改革によるコスト削減に取り組むとともにアジアを
でしたが、荷動きの多様化による輸送距離の伸長により、総
中心にサービスの拡充を図りました。内航輸送事業では主要
じて市況は前年度を上回りました。VLCC では中国の備蓄需
航路で新造船へのリプレースが完了し荷動きも好調でした。
要が上乗せされ、石油製品タンカーは東西荷動きの増加によ
これらの結果、物流事業全体としては前年度比増収増益とな
り前年度を上回りました。LPG 船は米国出し東アジア向け輸
りました。
送距離増により、LNG 船は安定的な収益を生む長期契約に
支えられそれぞれ順調に推移しました。海洋事業では新たに
不定期専用船事業
2隻目の FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)
がブラジル沖で稼働を開始し、
ドリルシップ、シャトルタンカー
自動車輸送部門では、北米やアジア地域等への堅調な輸送
も順調に稼働しました。以上の結果、不定期専用船事業全
需要に着実かつ効率的な配船で対応した結果、当社グルー
体では前年度比減収減益となりました。
プ全体の完成車海上輸送台数は前年度と比較して微増とな
不動産業、その他の事業
りました。また、前年度より順次就航している高い燃費効率の
大型船が、業績の向上に寄与しました。自動車物流では、サ
ウジアラビアやコロンビアでの完成車物流サービスの事業会
不動産業は、所有物件の若返りを図る目的から建替え、売却
社の共同設立を現地企業と合意したことに加えて、中国とイン
および新規物件の購入等を進め、売上高、経常利益ともにほ
ドにおいて拡大する需要に対応すべく新たな完成車物流施設
ぼ前年度並みとなりました。その他の事業は、原油安の影響
の稼働を開始し、多様な付加価値サービスを提供することで
で商事部門の船舶用燃料油の販売価格が大きく低下し、ま
顧客のニーズに沿った一層の事業拡大を着実に進めました。
た飛鳥クルーズでは台風の影響により一部のクルーズでキャン
ドライバルク部門では、世界の鉄鉱石・穀物の荷動きは増
セルが発生したことなどから前年度比減収減益となりました。
加しましたが、石炭の荷動きは減少しました。ドライバルカー
なお、第1四半期に Crystal Cruise 社を売却したことに伴い、
の解撤はケープサイズを中心に進んだものの新造船の竣工も
「客船事業」を「その他の事業」に含めて表示する方法に変更
続いた結果、船腹過剰の解消に至らず2016年2月には BDI
しています。
が史上最低水準まで下落するなど全船型・全水域で市況は
58
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
事業環境データ
(2016年3月31日現在)
定期船事業
ドライバルク輸送事業
定期船運賃推移 *1
ドライバルカー運賃推移
(1998年1月1日=1,000point)
(1985年1月4日=1,000point)
14,000
2,500
12,000
2,000
10,000
1,500
8,000
6,000
1,000
4,000
500
2,000
0 07
08
中国→欧州 09
10
11
中国→北米西岸 12
13
14
15
0 07
16
08
09
10
11
12
13
14
15
16
中国→北米東岸
史上最低レベルの運賃市況は底を打ち、スクラップの進展な
2015年度は貨物需要が通年で弱く、スポット運賃は低下しま
した。2016年度も市況の急回復は見込めません。
どによる需給引き締め効果もあり、緩やかな市況回復を見込み
see P.60
see P.64
ます。
エネルギー輸送事業
エネルギー輸送事業
タンカー運賃推移
LNG 取引量 *2
(World Scale)
(百万トン)
250
(%)
300
9
200
6
100
3
200
150
100
50
0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
0
06
07
08
■ LNG 取引量(左軸) 2015年度の市況は好調に推移しました。今後、堅調な荷動き
09
10
13
14
15
0
日本郵船キャパシティシェア
(右軸)
に LNG 需要は伸び悩んでいるものの、中長期的には需給とも
see P.66
込みます。
see P.67
に伸びる見込みです。
環境規制
自動車輸送事業
世界自動車荷動き台数(地域間荷動き)*
3
バラスト水管理条約
2017年(見込み)
バラスト水処理装置搭載
を義務付け
批准時期未定
安全かつ環境上適正な
船の解撤についての条
約。IMO*4にて採択済
(千台)
(%)
18,000
19
シップリサイクル条約
12,000
18
MARPOL 条約 Annex Ⅵ
2016年
NOx 3次規制
6,000
17
07
12
2015年度の LNG 取引量は前年比微増となりました。短期的
が見込まれるも、新造船の竣工量増加により市況の軟化を見
0
11
08
09
10
■ 世界自動車荷動き台数(左軸) 11
12
13
14
15
16
一般海域で使用する船
MARPOL 条約 Annex Ⅵ 2020年または
舶の燃 料の硫 黄 分は
2025年(見込み)
SOx 規制
0.5% を超えてはならない
0
日本郵船キャパシティシェア
(右軸)
2015 年度の荷動きはほぼ想定通り順調に推移しました。
2016年度は新興国や資源国を中心に需要が伸び悩む見込
指定海域では現行規制
値より80% 削減
*1. 出典:China (Export) Containerized Freight Index
*2. 出典:IHS-CERAレポートを参考に日本郵船で集計
*3. 出典:日本郵船調査グループ推計(左軸)
Hesnes Shipping AS The Car Carrier Market 2015(右軸)
*4. IMO:International Maritime Organization
see P.70
みです。
国際海事機関
59
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
一般貨物輸送事業
事業別成長戦略
北米航路の荷動きは比較的堅調だった一方で、欧州航路
は需要が弱く、減便などで対応したものの残念ながら需給
一般貨物輸送事業
ギャップは拡大しました。また、伝統のある豪州航路からの撤
退を決めましたが、これは慢性的な赤字構造が将来的にも変
わる見込みが薄いと判断したためです。
量よりも質の追求で、大競争を勝ち抜く
コンテナ船事業で世界第3位のフランス CMA-CGM がシン
の買収
ガポールのネプチューン・オリエント・ラインズ
(NOL)
と中国海運集
を決めたほか、中国遠洋運輸集団(COSCO)
団傘下の CSCL が経営統合し、新たに中国遠洋海洋集団と
して世界第4位へ踊り出るなど、合従連衡の動きが加速してい
取締役・専務経営委員
一般貨物輸送本部長
ます。
丸山 英聡
コモディティ化が進むビジネスにおいて、確かにスケールメ
管掌:定期船事業/ターミナル関連事業/物流事業
リットは効果的ですが、当社はいたずらに規模を追求すること
は考えていません。オーガニックグロース分の成長はしっかり
定期船事業
と取り込みますが、シェアではなく、機動性を追求し、収益力
2015年度の総括
当社が加盟するG6アライアンスは他のコンソーシアムと比
の向上を目指しています。
べて、機動性が高く、市況変動に柔軟に対応できるのが特徴
コスト削減への着実な取り組み
です。コンソーシアムのブランドでサービスを編成しており、昨
燃料油価格の下落やコスト削減活動により収益性の改善は
今のように先々が見通しにくい環境下では、このような機動性
順調に進んだものの、それを上回る市況下落の影響から減益
は大きな武器です。
を余儀なくされました。
コンテナ船需給ギャップ
(対前年比増減率)
基幹航路におけるメガキャリア/アライアンスシェア
(%)
(%)
欧州
20
北米
15
10
5
0
–5
–10
–15 08
09
10
コンテナ荷動き増加率 11
12
13
14
15
16
17
(予想) (予想)
2M CKYHE G6 O3 その他
船腹増加率
2M:
Maersk、MSC
CKYHE:COSCO、K-LINE、Yang Ming、Hanjin、Evergreen
G6:
APL、Hapag-Lloyd、OOCL、MOL、Hyundai、NYK
O3:
CMA-CGM、UASC、CSCL
* 当該グラフはモデル試算であり、日本郵船の統一的な公式見解ではありません
出典:Drewry Maritime Research、2016を参考に日本郵船で集計
60
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
最新鋭の14,000TEU 型コンテナ船の竣工
今後、フォワーディングでの取扱いをいかに増やしていくか
業界最高水準の省エネ性能と積載効率を併せ持つ14,000
が課題ですので、仕入れの競争力をさらに高め、目標である
TEU 型のコンテナ船15隻の投入を進めます。船型の選択に
100万 TEU へ近付けていく考えです。コンテナ船の運賃市況
ついては、14,000 ∼ 20,000TEU のレンジで検討を重ね、
が低迷している時は、フォワーダーは輸送スペースを安く仕入
14,000TEU 型が最適という結論に達しました。当面は欧州
れることができますので、コスト競争力を高めながらボリューム
航路で配船する予定ですが、将来的にはパナマ通峡も視野に
を積み上げていく絶好のタイミングです。こうしたコンテナ船
入れています。
事業におけるシナジーは当社グループにとって大きな強みと
なっていますので、焦らずにじっくりと取り組んでいきたいと思
2016年度の事業方針
います。
市況に左右されない事業構造の構築
ターミナル関連事業
2016年のコンテナ貨物荷動きは前年比2% 増の見通しであ
2015年度の総括と2016年度の事業方針
る一方、船腹供給は4% 増と予測されています。単年度ベース
での需給ギャップは2015年の7% から2016年は2% へと縮小
する見込みですが、相当な需要の伸び、または供給の削減が
ユーザー目線で投資を慎重に判断
ない限り、過去から積み上がった需給ギャップが解消するまで
定期船事業とのシナジー効果もあって、当社が運営するコン
には至らないでしょう。
テナターミナルの取扱量は年々増加し、2015年度は約800
こうした状況下、当社はコスト削減の徹底と最適な事業
万 TEUとなりました。今後も定期船事業とのシナジー効果を
ポートフォリオの追求を継続していきたいと考えています。中
追求していく方針に変わりはありません。
期経営計画では長期支配船(含む長期用船)、短期用船、
投資についても、ターミナルを使用するユーザーとしての視
フォワーディングの3つをうまく組み合わせ、グループ全体で年
点から需要を見極め、慎重に判断していく姿勢を崩さず、運
間500万 TEU のコンテナ貨物を取扱うことを目指しています。
賃安定型事業としての足固めを着実に進めていきます。これを
長期支配船と短期用船で400万 TEU、フォワーディングで
踏まえての投資戦略は次の3つに大別できます。
100万 TEUという計画値に対し、2015年度の実績は全体で
1. 船舶の大型化、コンソーシアムの巨大化により、さらに加速
するであろうハブ&スポークへの対応
(特にハブ港の重要性)
約500万 TEU は達成したものの、フォワーディング比率が若
2. 一大生産地域であることに加え、一大消費、物流圏でもあ
干低位となりました。
るアジア域内の重視(特にこれからさらなる伸びが期待さ
れる地域)
新アライアンスの設立
3. 市場としては成熟するものの、物流の大きな構造変革が見
当社はアジア・欧州を代表するコンテナ運航船社5社とともにアジア
– 欧州・地中海航路、アジア – 北米西岸・東岸航路、大西洋航路、
られる地域への対応。明白な例は、アジア生産拠点の西
アジア – 中東航路といった東西航路にて新たに「ザ・アライアンス」
進、パナマ運河拡張等による北米東西岸における事業の
を設立することで基本合意しました。合計で620隻以上の船隊を
ポートフォリオの見直しなど
運航しており、今後は世界シェアの約18%となる350万 TEU の船
腹量を誇る業界を代表するアライアンスとなります。新アライアンス
の最初の合意期間は5年、2017年4月頃からのサービス開始に向
け、各関係当局からの承認取得を含め、今後必要な諸手続きを行っ
ていきます。
61
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
一般貨物輸送事業
海上貨物・航空貨物の取扱高
(郵船ロジスティクスグループ合計、輸出ベース)
物流事業
(千 TEU)
2015年度の総括
(千トン)
1,000
400
750
300
500
200
250
100
取扱量増による増収増益
2014年末まではアジアでの船混みや北米西岸の荷役鈍化に
より、航空貨物の需要が大きかったものの、その後は、むしろ
低位に推移しました。逆に海上貨物は取扱量、収益性ともに
0
大きく拡大し、もう一つのロジスティクス部門も不採算案件の
14
(実績)
15
16
(実績)
(目標)
0
(年度)
■ 海上貨物(左軸) ■ 航空貨物(右軸)
出典:郵船ロジスティクス㈱中期経営計画の見直し
(2016年4月28日)
合理化等により安定利益を上げるようになり、2015年度は、
結果的にこの三大セグメントがすべて黒字となりました。郵船
世界の貨物フォワーダー取扱量比較
(2014年度)
ロジスティクス㈱が誕生して約5年が経ちますが、統合効果を
会社名
しっかりと結果につなげ、グローバル総合物流サービス企業と
DHL Supply Chain & Global
Forwarding
してのプレゼンスを着実に高めた1年だったと評価しています。
2016年度の事業方針
郵船ロジスティクス㈱における売上高の構成比は、事業軸で
2,935
2,272
Kuehne & Nagel
3,820
1,194
DB Schenker
1,983
1,112
日本通運
量的拡大から収益性を追求するステージへ
海上貨物(千 TEU) 航空貨物(千トン)
863
654
Panalpina
1,607
858
Sinotrans
2,733
482
Expeditors International of
Washington
1,013
823
SDV (Bollore Group)
835
550
見ると、コントラクト・ロジスティクスが4割、海上フォワーディン
CEVA Logistics
706
496
グと航空フォワーディングが各3割です。また地域軸では、日
DSV A/S
835
288
UPS Supply Chain Solutions
600
913
Hellman Worldwide Logistics
784
507
Geodis
655
271
本、東アジア、南アジア、北米、欧州の売上高はそれぞれ
1,000億円ずつと、うまくバランスが取れ、お客さまの多種多
様な物流ニーズに応えるグローバルロジスティクスサービスを
Agility
514
373
郵船ロジスティクス
570
310
提供できる力が備わりました。統合から5年が経過した今は規
UTI Worldwide
528
368
模拡大から収益性を追求していくステージへと移行していくタ
C.H.Robinson
450
115
Kerry Logistics
786
282
Damco
396
190
近鉄エクスプレス
396
478
イミングと考えています。
現在、IT システムの統合・進化に取り組んでいます。統合前
出典:ARMSTRONG ASSOCIATES, INC. データより日本郵船作成
に各社で使用していたシステムを一本化し、お客さま向けにカ
スタマイズした数多くのアプリケーションも見直し、共有でき
るところはプラットフォーム化するべくシステムの構築を進めて
います。1∼2年後から、これらの効果が次第に結果となって
表れてくるものと期待しています。
62
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
最新の航空運送の需要予測に鑑み、適正な機材数を再考し
た結果、B747-8F の導入計画を見直し、発注済6機のうち4
航空運送事業
機をキャンセルするなど構造改革を着実に進めました。
2016年度の事業方針
コスト削減と輸送量増加で
3期連続の黒字を目指す
日本を含めたアジア発の航空運送需要は今後も堅調に伸び
ていく見込みで、柔軟かつ機敏に需要を取り込んでいきたいと
考えています。需給の緩和から航空運賃は低迷するものの、
コスト削減と輸送量の増加でカバーし、3期連続の黒字とな
取締役・常務経営委員
経営企画本部長(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
貨物航空事業グループ 担当
る経常利益10億円を目指します。
髙橋 栄一
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、新たに取締役への選任をお諮り
する予定です。
航空運送事業
2015年度の総括
2期連続の黒字を達成
年度初めは2014年度中に始まった北米西岸の港湾混雑が
解消しなかったこともあり航空運送の需要は堅調に推移しま
したが、第2四半期に入り荷動きが想定以下のレベルに低迷
しました。
は輸送量、平
このような環境下、日本貨物航空㈱(NCA)
均運賃ともに前年度を下回り、売上高も前年度比80億円減
の911億円へ落ち込みました。しかし、燃料油価格の大幅な
下落と数年来継続して取り組んできたコスト削減活動やビジ
ネスモデルの変革の効果などにより、経常利益は前年度比9億
円増の15億円となり、2期連続での経常黒字を達成しました。
最新鋭機 B747-8F を中心とした効率的な輸送に引き続き
取り組み、当面は13機の運航体制を維持する考えです。また、
63
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
ドライバルク荷動き量・船腹量伸び率推移
(%)
20
ドライバルク輸送事業
15
10
5
0
11
12
13
14
15
(推計)
16
(予想)
ドライバルク荷動き伸び率 ドライバルカー船腹量伸び率
出典:Clarkson Dry Bulk Trade Outlook(February, 2016)
安に海運市況が過敏に反応しセンチメントが著しく冷やされ
取締役・専務経営委員
ドライバルク輸送本部長
た結果だと思います。
左光 真啓
そんな中、当部門の方針はぶれることなく、気象予測に基づ
く最適航路の選定、減速航海の徹底といったコスト削減に加
2015年度の総括
え、バラスト航海を減らすための営業や配船面での創意・工
夫など、あらゆる努力を積み重ねた結果、年間を通じて市況
需給ギャップでは説明のつかない市況の中、
平均を上回る採算を確保することができました。また、国内外
あらゆる努力を重ねた1年
の製鉄会社や資源メジャー、電力会社などお客さまとの中長
鉄鉱石、石炭、穀物という三大バルクの世界海上荷動きを見
期にわたる契約を確保し、中期経営計画で掲げる安定収益
てみると、石炭は減少したものの、鉄鉱石と穀物が増加した結
の積み上げも推し進めることができました。
果、2015年は三大バルク全体で前年比1.5% の伸びとなりま
した。一方、供給面を見てみると、一定量の解撤はあったもの
構造改革を断行
の、新造船の竣工が相次いだため、世界のドライバルカーの
市況変動に左右されにくいビジネスモデルの確立に向けて、前
船腹量は前年比2.5% 増となりました。供給圧力がさらに強
年度に続き、余剰船舶の売船や解撤、長期用船の返船など、
まった結果、残念ながら、
ドライバルカーの運賃市況を示すバ
ライトアセット化に取り組んでいます。加えて海運市況が長期
ルチック海運指数も史上最低水準を記録した1年となりまし
にわたって低迷していることより、2015年には保有するドライ
た。ただし、海運市況に最も大きな影響を与えているケープサ
バルカーの一部について約335億円の減損を特別損失に計
イズバルカーで申し上げますと、2015年は船腹供給が前年比
上しました。これにより、将来の収益性向上が見込まれます。
で0.4% 増にとどまった一方、主要貨物である鉄鉱石と原料
そのほか、当社では船腹の供給圧力を緩和するために、ケー
炭の海上荷動きもまた前年比0.4% 増の伸びを示しており需
プサイズを対象に船の運航を休止する係船を実施しています。
給ギャップは変わっていません。それにもかかわらず、年間平
世界の主要なオペレーターも同様の取り組みを行っているこ
均の市況は前年の13,700米ドルから、2015年は6,900米ド
とから、市況はこれから少しずつ回復に向かうものと期待して
ルへと半減しており、これは需給ギャップ推移からではとても
います。
説明がつきません。なぜ市況は低迷したのか。これは、中国の
経済成長が一時の勢いを失い、将来の景気動向に対する不
64
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
2016年度の見通しと事業方針
ソフト面での競争力を強化
市況予測の精度を向上させる取り組みを前年度から開始しま
需給ギャップを見極め、
したが、短期の市況予測では確実に成果を上げています。
海運市況に対する耐性を強化
さまざまなデータを収集・分析し、1週間または1ヵ月先の需給
2016年の中国の粗鋼生産は前年並みを予想していますが、
動向を予測し、太平洋、大西洋、インド洋など、
どの海域で市
その原料となる鉄鉱石を中国が国内産より高品質な海外産
況が上がるのか、下がるのかを見通し、配船の工夫により、
へシフトしているため、荷動きは前年より少し改善すると見て
全体の市況平均よりも高い採算性を上げています。新造船発
います。しかし、環境対策の面から石炭需要は前年より減少
注や長期契約の獲得に活かす中長期の市況予測は、実用化
すると見ており、
ドライバルク全体の荷動き拡大はそれほど期
までにクリアすべきハードルがまだまだありますが、引き続き試
待できません。
行錯誤を重ね、市況予測モデルを確立していく考えです。
一方、供給サイドは2016年も前年並みの新造船が竣工す
また、以前から取り組んでいるビッグデータを用いた減速運
る予定ですが、ケープサイズ、パナマックス、ハンディについて
航もうまくいっています。燃料油価格はひと頃に比べ相当下
は竣工量と同じくらいの解撤が見込まれています。加えて、ケー
がっており、減速運航による効果が少なくなっていますが、減
プサイズで先述の係船といった供給抑制の動きが加速してい
速運航は船腹供給を抑制する効果もあるため、需給バランス
るため、2016年は需給バランスが多少は改善するのではない
改善のためにも今後も続けていきます。さらに今注力している
かと期待しています。また、ドライバルカーの新造発注は、
のがビッグデータを用いたメンテナンスコストの最適化です。
2014年は全船型で合計780隻ありましたが、2015年は250
15年、20年という船舶の耐用年数の中で、メンテナンスのタ
隻と激減しました。ケープサイズに限れば、2014年に145隻
イミングを最適化することで、輸送品質を全く損なうことなく、
あった発注が、2015年には約20隻にとどまっており、中長期
コストを削減させる取り組みです。さらに、データの収集装置
的に需給バランスは確実に改善されています。当社グループも
を自社船だけでなく用船にも設置し、船主へフィードバックを
また需給ギャップ解消に向けて、新造船発注は中長期契約に
行うことで、船主も適切なタイミングでメンテナンスできるよう
紐づいた場合に限定したいと考えています。
になります。この取り組みはコスト削減だけでなく、
トラブル発
また、東南アジアで数多くの石炭火力発電計画が進められ
生前に予兆を捉えることで事故を未然に防ぎ、お客さまにより
ています。2020年に向けてこれらの発電所が稼働する見込
安全な輸送を提供することにもつながります。
みの中、原料輸送に関する商談にはしっかりと対応し、新規の
収入サイドである貨物と費用サイドである船舶の契約期間
中長期契約獲得につなげていきたいと考えています。
のミスマッチを解消できれば、
ドライバルク輸送事業は当社に
とって安定的なビジネスになると考えています。鉄鉱石や石炭、
穀物といった貨物は社会にとっては欠かせないものであり、新
興国における人口増加や経済成長に伴い、
ドライバルカーに
よる輸送需要は今後も確実に伸びていきます。市況に晒され
る船隊を適正な隻数まで縮小し、中長期契約を締結すること
で、当部門は収益安定型事業になっていけると確信していま
す。その実現には少し時間がかかると思いますが、決して悲観
することなく、市況をよく見極めながら、あらゆる面で創意と工
夫を追求し、競争力を高めていく考えです。
新石洋
65
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
2016年度の事業方針
エネルギー輸送事業/海洋事業
供給圧力による市況軟化の見通し
荷動き自体は引き続き増加傾向にありますが、新造船の竣工
が相次ぐことより、供給圧力が高まり市況は下がると見ていま
す。VLCC の竣工は60隻+αと前年度の3倍以上に増えるほ
か、経済制裁が解除されたイランから数十隻の VLCC が市場
に出回る見込みです。およそ620隻と言われるVLCC マーケッ
トにおいて、10% 以上も供給が増えることになり、前年度より
厳しい1年になると覚悟しています。
総合エネルギーへの対応
代表取締役・専務経営委員
不定期専用船戦略会議議長
エネルギー輸送本部長
国内の石油元売り業界で再編が相次ぐ中、お客さまが当社に
何を求めているのか、よく話を聞くよう部下には指示していま
長澤 仁志
す。お客さまが総合エネルギー会社へと移りゆく中、
トータル・
ソリューションをいかに図っていくか、当社にとっては大きな商
機です。
原油輸送
さまざまなエネルギーの輸送に関し、総合的な知見、ノウハ
2015年度の総括
ウと技術を併せ持った企業は、世界を見渡しても多くはありま
せん。当社は最近、今まで LNG を扱ったことのないお客さま
好調だったタンカー市況
から、LNG ターミナルの建設についてのアドバイスを求められ
タンカー市況は、想定を上回る結果となりました。西アフリカ
ました。今後は、総合エネルギーにまつわるプロジェクトが動
からアジアというような長距離の荷動きが増えたことで輸送
き始めたら、石油、石炭、LNG などあらゆる輸送に関する技
トンマイルが伸長し、中国の自動車台数増加や石油備蓄推進
術力を有機的につなぎ合わせ、お客さまのご期待に添うこと
などが追い風となり世界全体での石油需要も堅調でした。
のできる仕組みを構築していく考えです。
当社としては、お客さまと契約できた中・長期の案件が過去
数年と比べて多く、日本国内のみならず中国など海外のお客さ
タンカー荷動き量・船腹量伸び率推移
(%)
まとの契約数も伸ばすことができ、実りの多い1年だったと思い
8
ます。これまでは石油需要が先細っていくというシナリオに基
づき、船隊規模も縮小傾向にありましたが、代替需要を勘案し
4
新造船の発注も含めた議論をしていこうと考えています。
また、裁定取引が活発になったことで、プロダクトタンカー
0
による輸送需要も拡大しました。
–4
11
12
13
14
15
(予想)
16
(予想)
タンカー荷動き量伸び率 タンカー船腹量伸び率
より日本郵船作成
出典:Clarkson Oil & Tanker Trades Outlook(February, 2016)
66
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
また、国内のエネルギー需要が横 いで推移する中、国内
した。キャメロン LNG プロジェクト向けには、2014年度に締
の企業は海外に活路を見出すべく、さまざまなプロジェクトを
結した三井物産㈱との定期用船契約に続いて、2015年度は
開始しました。そうしたグローバルな動きにもしっかりと対応
三菱商事㈱と2隻の定期用船契約を締結しました。また、米
していくことも重要になってきています。
国テキサス州のフリーポートLNG プロジェクト向けに、中部
電力㈱から2隻の定期用船契約を獲得することができました。
タンカー船隊ランキング
ランキング
(2016年1月1日現在)
会社名
重量トン
(千 DWT)
隻数
137
145
昨今の原油価格下落の影響により、さまざまな LNG プロジェ
クトで遅れが生じていますが、これらはいずれも長期契約であ
1
2
Teekay Corporation
商船三井
18,275
14,045
3
NIOC
13,520
54
4
SCF Group
12,076
125
5
Euronav NV
11,788
48
6
日本郵船
11,635
86
7
Bahri
11,209
62
8
China Merchants Grp
11,153
41
足元を見据えた着実な事業展開
9
Fredriksen Group
10,912
55
中期経営計画では船隊規模を2018年度までに100隻+αま
10
Angelicoussis Group
10,680
41
11
Petronas
9,475
74
で拡大する方針を掲げましたが、多くのプロジェクトが遅延し
12
Dynacom Tankers Mngt
8,711
53
ていることもあり、最近の状況に鑑みれば、90隻前後になると
13
Ocean Tankers
7,788
87
14
China Shipping Group
7,480
70
思います。しかし、決して悲観することなく、締結した長期契約
15
COSCO Group
7,075
56
り、市況の影響を受けにくいものです。
2016年度の事業方針
を確実に履行しつつ、水面下で続けている新規の商談をしっ
かりと成果に結び付けていきたいと思います。将来的に LNG
出典:Clarkson データベースより日本郵船集計
の需要は増えていきますので、地に足を着けた営業活動を行っ
ていきます。
LNG 輸送
2016年10月に竣工するLNG 燃料供給船については、ま
2015年度の総括
ずは欧州域内での配船とする予定ですが、将来的には他の海
域での展開も見据えています。
長期契約のさらなる積み上げ
市況に左右されにくい収益構造を築くべく、シェールガス・オイ
ルに関する案件を中心に長期契約を積み上げた1年となりま
北米におけるシェールガス主要プロジェクト
Major projects in West Canada
FID* 済み
FID 延期 or 時期未定
* FID:Final Investment Decision
LNG Canada
Kitimat LNG
Pacific Northwest LNG
Douglas Channel LNG
Major projects in the U.S.
最終投資決定
Oregon LNG
Jordan Cove LNG
Marcellus
Cove Point LNG
Sabine Pass LNG
4.5mmtpa 2017年∼
19.75mmtpa 2016年∼
Eagle Ford
Corpus Christi
5.3mmtpa 2018年∼
Lake Charles LNG
Cameron LNG
12.0mmtpa 2017年∼
Freeport LNG
13.2mmtpa 2018年∼
67
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
Mexican Gulf
Coast
不定期専用船事業
FPSO やドリルシップの各事業においては、稼働率が高水
LPG 輸送
準で推移し、またシャトルタンカー事業においてロイヤルダッ
2015年度の総括
(英)
との長
チシェル社(英・蘭)
の子会社であるBG グループ
期契約を獲得するなど、目に見える形で結果が出ています。
お客さまとの関係をさらに強化
当社は、世界有数の LPG 事業会社であるアストモスエネル
知見、ノウハウと技術力の蓄積
ギー㈱とともに、長きにわたり、LPG 船隊の整備と輸送力の
当社の社員4名を、北海 Martin Linge プロジェクトへ派遣
強化に取り組んでいます。総じて好調であった市況の中、同社
に携わるようにしました。
し、FSO の設計・調達・建設(EPC)
の定期用船契約を締
と12隻目の VLGC(大型 LPG 外航船)
当社は海洋事業の現場に深く根ざすことで、これまで積み上
結しました。
げてきたさまざまな知見、ノウハウと技術力を活かし、こうした
EPC を経験した人材に、新たなフィールドで牽引役として活
2016年度の事業方針
躍してもらう考えです。FSO はもちろん、当社として初となる
FSRU(浮体式 LNG 貯蔵再ガス化設備)を受注するに足る
市況動向に合わせた船隊整備を推進
知見、ノウハウと技術力をすでに身に付けたと言っても過言で
2016年に入ってから船腹量の急増により市況が落ち込んで
はありません。
きているため、かつてのように1日当たり8∼9万米ドルといった
高い市況になることは考えにくいものの、シェールガスに由来
新たなビジネスへの参画も視野に
するLPG が市場に出回るため、あまり悲観はしていません。
新しい事業領域としてサブシー
(海中・海底設備)
事業への参
また、アストモスエネルギー㈱は2017年までに取扱量を現
画を考えています。当社には、FPSO やシャトルタンカーで培っ
在より2割増の年産1,200万トン超へ増やす計画ですので、同
た知見、ノウハウと技術力がありますので、相乗効果が見込まれ
社との関係を引き続き強化していく方針です。
ます。将来性が見込める事業であり、原油価格が低迷している
このタイミングこそが絶好の機会と考え、検討を重ねています。
2016年度の事業方針
海洋事業
2015年度の総括
足元を固めながら、事業の裾野を広げていく
サブシー事業など新規分野も含め、着実に実績を積み上げ、
外部環境に左右されない収益構造
海洋事業の裾野を広げていきます。原油価格がある程度落ち
世界中でオイル・ガス開発に軒並み遅れが生じるなど、原油
着いてくれば、油田開発も再び加速し始め、ドリルシップや
価格下落による影響が色濃く出ましたが、当社の事業は長期
FPSO の需要は再び高まると思いますし、シャトルタンカーの
契約が主体であるため、業績への影響は軽微でした。
輸送需要もさらに増えると考えています。
68
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
また、将来的には日本でメタンハイドレートの資源開発が
学ぶべきことが沢山ありますので、着実に知見、ノウハウを集
本格化する可能性がありますので、当社のビジネスチャンスに
積していくことに集中し、足元をしっかりと固めながら前に進ん
つなぐことができるか、検討を重ねていく考えです。市況性の
でいきます。
高いもの、かつ参入障壁が低いビジネスに参画するつもりは
また、パートナーシップの提携、M&A など、将来に向けたあ
ありません。世界的には、まだまだ当社が知らない分野もあり、
らゆる可能性を排除せず、さらなる一手も考えていきます。
海洋事業・LNG のバリューチェーン
フロー
当社の提供サービス
探査・探鉱
ドリルシップ
(ETESCO TAKATSUGU J)
ドリルシップ
(ちきゅう)
当社35% 出資。2012年4月から最長20年にわたり
ブラジル沖で大水深掘削サービスに従事
開発・採掘
生産設備
Wheatstone LNG Project
FSO
FPSO
浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備
浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
生産・貯蔵
域内輸送
(豪州)
米シェブロン社などが豪州で推進する
LNG プロジェクトに商社および電力会社と
共同参画、2016年末生産開始予定
シャトルタンカー
シャトルタンカーの運航を手掛ける世界シェア2位の Knutsen NYK Offshore Tankers (KNOT) 社に対し50% を出資
Cameron LNG Project(米国)
精製・液化・貯蔵
天然ガス液化事業に参画。2017年後半の LNG 生産開始を目指す
輸送
LNG 船
タンカー
お客さま
FSRU(浮体式 LNG 貯蔵再ガス化設備)
LNG 燃料船
■ 参入済み ■ 参入検討
69
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
「地産地消」
「適地量産」のトレンドが加速
完成車輸送を取り巻く産業構造はこの30年で大きく変わりま
自動車輸送事業
した。主な荷動きは、かつては先進国から先進国であり、その
後、先進国から新興国となったものが、今では新興国から先
進国・新興国へと変化しています。各自動車メーカーは為替
への柔軟性を持つべく、海外に工場を設け、消費地近くに生
産拠点を移す「地産地消」や、特定の地域で生産した車種を
グローバルに流通させる「適地量産」を進めています。このよ
うに当社を取り巻く環境は複雑多様化しており、柔軟な船隊
整備と航路設定が一層重要になってきています。
世界の主要船社自動車専用船隊ランキング
代表取締役・専務経営委員
自動車輸送本部長
ランキング
力石 晃一
2015年度の総括
需要の伸びを捉え輸送台数を拡大
2015年は、世界における自動車販売台数が前年比0.5%増
の8,780万台、完成車の海上荷動きは前年比2% 増の3,335
会社名
(2016年1月1日現在)
隻数
シェア
(%)
キャパシティ
(台数)
シェア
(%)
15.4
13.5
668,000
573,000
16.3
14.0
1
2
日本郵船
商船三井
112
98
3
川崎汽船
84
11.6
471,000
11.5
4
EUKOR
76
10.5
504,000
12.3
5
GRIM
58
8.0
247,000
6.0
6
GLOVIS
57
7.8
337,000
8.2
8.4
7
WWL
52
7.2
345,000
8
HAL
41
5.6
264,000
6.5
9
ECL
10
1.4
38,000
0.9
10
NEPTUN
9
1.2
32,000
0.8
10
UECC
9
1.2
37,000
0.9
12
NMCC
8
1.1
43,000
1.1
については、前年比5% 増の425万台と顕著な伸びを記録し
12
SALLAUM
8
1.1
35,000
0.9
ましたが、これは各自動車メーカーが為替リスクに強いグロー
12
トヨフジ海運
8
1.1
43,000
1.1
万台とともに堅調に推移しました。海上荷動きのうち日本出し
バル生産体制を構築する中、他地域に比べて生産余力のある
15
SCC
6
0.8
35,000
0.9
ー
その他
67
9.2
310,000
7.6
合計
日本での生産が増えた結果だと見ています。
703
3,982,000
出典:Hesnes Shipping As The Car Carrier Market 2015
備考:キャパシティ2,000台以上の自動車船のみを対象としています
当社の2015年度の海上輸送実績は前年度比5万台増の
370万台でしたが、増量分の多くが日本出しで、日本からの輸
出増加分をしっかり取り込むことができた1年だったと言えます。
日本郵船グループ 自動車海上輸送台数
自動車物流事業については、新興国を中心にターミナル、
(万台)
400
域内輸送や内陸輸送網を拡充し、18カ国、37拠点で事業を
展開するまでになりました。また、IoT を使ったソリューション
300
開発にも取り組んでおり、GPSとスマートフォンを使った車両
200
位置情報認識システム「G-CAP」の導入や IT を駆使した内
陸輸送におけるトレーラーの最適配車、完成車の個別ステー
100
タス管理などのサービスを充実させました。
0
06
07
70
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
慎重な船隊整備計画
現在、当社は6,000∼6,500台積みを中心に約120隻の自
動車船を運航していますが、大型船の7,000台積みポストパ
ナマックス型の船隊整備も着々と進めており、2015年度には
最新鋭2隻が竣工し、計8隻となりました。
船隊規模については、2018年度末あたりまで現在の規模
を維持していく考えです。リーマンショック前は自動車船の需
要が旺盛で、多くの新造発注を行いましたが、その後は一転
して供給過剰となったことで、老齢船を中心にスクラップなど
で船隊を縮小せざるを得ませんでした。当時の経験、および当
日本初のポストパナマックス型自動車専用船「ARIES LEADER」
社船隊の平均船齢が約9年と若いことを踏まえると船隊の柔
軟性を持っておくことが重要であり、船隊整備は慎重に進め
このように厳しい見通しの中、航路ネットワークと高い輸送
ていくつもりです。
品質を武器に、完成車、建機、重機のみならず、鉄道車両と
いった新しい貨物の輸送需要にも積極的に対応していくとと
基盤が安定してきた建機・重機輸送
もに、自動車物流事業においては42拠点にまで増やしさらに
2009年に建機・重機 RORO チームを立ち上げて以降、着実
事業を拡大していく予定です。
に実績を積み上げ、欧州、米国、日本・アジア出しを中心に、
また、世界初となるLNG を燃料とする自動車船2隻が年度
(自動車換算で約30万台)
を超える実
今では年間330万トン
内に竣工する予定です。お客さまをはじめとしたステークホル
績を残すまでになりました。
ダーの皆さまが持つ環境に対する意識は年々高まっており、
当社の定期的なサービスと世界中に張り巡らせたネットワー
環境対応も含めてお客さまのさまざまなご要望にお応えする
クを利用し、スケジュールや仕向地などの面でしっかりとお客
べく、新しい付加価値の創出に力を注いでいく考えです。
さまのご要望にお応えしつつ、自動車、建機・重機を積み合わ
せて輸送するなど、いろいろな工夫を行うことで全体の採算
性の向上へつなげています。
2016年度の事業方針
高い輸送品質を維持し、
新しい価値創出に注力
世界の自動車需要は新興国の経済発展、人口の増加に伴
い、今後とも堅調に推移する見通しですが、2016年度の当社
による海上の輸送台数は前年度より17万台減少し、353万
台程度にとどまる見込みです。中国市場や北米市場の需要は
引き続き堅調ですが、原油をはじめとした資源価格の下落に
伴って中近東や豪州における自動車需要が減少するなどのマ
イナス要因が大きいとの認識です。
71
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
その他事業
2016年度の事業方針
客船事業
クルーズ内容の抜本的見直しの効果に期待
不安定な海外情勢もあり、世界一周クルーズを思い切って取
り止める一方、国内ショートクルーズを充実させ、集客の向上
に努めます。また、集客状況をモニタリングしながら、販売施
策を柔軟にすることで、収益の上積みを目指します。
飛鳥クルーズは、2016年就航25周年の節目を迎え、一度
乗船されたお客さまに「飛鳥Ⅱにもう一度乗ってみたい」
と思っ
ていただけるような工夫や企画に一層尽力していく考えです。
毎年不動の人気を誇る「花火」
「祭り」に加え、
「大相撲」
「文
楽」などのテーマ性を持ったクルーズを増やし、また、多様な
取締役・常務経営委員
経営企画本部長(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
客船事業 管掌
価格帯の設定や、コースの選定、日程の長短などで工夫を凝
らしていきます。
髙橋 栄一
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、新たに取締役への選任をお諮り
する予定です。
2015年度の総括
マーケティングの工夫が奏功し、好調を維持
米国 Crystal Cruise 社の売却に伴い、当社の客船事業を飛
「客船事業」
として
鳥ブランドに集約したため、2015年度より
の業績開示を止め、
「その他事業」に算入しました。
昨今、海外勢による日本市場参入が相次ぐ中、外国船には
真似のできない「飛鳥Ⅱ」の商品力をより一層強化すること、
および販売方法の創意工夫によりお客さまから変わらぬ
ご支持をいただき、収益を確保しました。
72
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NYK REPORT 2016
外部評価
当社グループは、環境保全や法令遵守など、持続可能性に関する活動に積極的に取り組んでいます。
環境面
情報開示
NYKレポート2015
フランスの HAROPA 港湾当局より2015年「ESI アウォード」4年連続
で選定、邦船社の受賞歴は当社のみ
「第19回環境コミュニケーション大賞」で「優良賞」を受賞。2012年
度から4年連続で受賞
「クライメート・ディスクロージャー・リーダーシップ・インデックス
「第 18回日経アニュアルリポートアウォード」で「優秀賞」を受賞。
(CDLI)」に4年連続で選定
2013年度から3年連続で受賞
「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」に13年連続で選定
IR 部門
「2015年インターネットIR 表彰」で「優良賞」を受賞
「フィッツィー・フォー・グッド・インデックス」に13年連続で選定
東洋経済「CSR 企業ランキング」業種別第1位に9年連続で選定
技術面
SIMS(Ship Information Management System)
LNG 燃料タグボート「魁」が「第17回物流環境大賞」で「物流環境負
「第12回エコプロダクツ大賞」の国土交通大臣賞を受賞
荷軽減技術開発賞」を受賞
「平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発 ・ 製品
化部門)」を受賞
「平成26年度日本航海学会航海功績賞」を受賞
平成27年度「攻めの IT 経営銘柄」に選定
NYK TOPICS
別冊「NYK SPARK BOOK」のご案内
当社グループでは、新しい価値を生み出し、差別化へとつなげるべく、営業部門、コーポレート部門問わず、あらゆる現
場でさまざまな創意工夫にチャレンジしています。そうした取り組みの中で生まれた成果を1冊にまとめたのが「NYK
SPARK BOOK」です。当社グループがどのようなチャレンジに邁進しているのか、その一端をご紹介しています。本レ
ポートと合わせ、ぜひご覧ください。
73
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
2015年度 CSR 活動の総括と次年度の目標
日本郵船グループは、CSR 活動の継続的な改善を図るために、
「CSR タスクフォースメンバー・グループ会社 CSR 担当者連絡会」
の定期的な開催を通じて、各事業部門が年度ごとの目標を設定し、PDCA サイクルを回しながら取り組んでいます。本レポートで
は、2015年度の達成状況と2016年度の目標を、ISO26000の「7つの中核主題」に対応させ、まとめています。
ISO26000中核主題
取り組むテーマ
CSR マネジメントの
強化
組織統治
人権
2015年度の目標/実施項目
・ CSR タスクフォースメンバー
(社内)
との連携強化
・ CSR 活動プログラム取りまとめ
・グループ会社担当者連絡会実施
・ 統合レポート制作 企業価値向上プロセスを伝える
・ Web での発信力強化= Web CSR ページのコンテンツ充実
ステークホルダーとの
対話
・ 証券アナリスト協会評価ランキング海運セクターでの一位を維持
・ 個人投資家向け説明会の実施
・ 機関投資家向け施設見学会、事業説明会の実施
人権の尊重・差別の禁止
・ 人権研修の実施
・ 新入社員、及び CSR 研修の1コマとして実施
ダイバーシティの推進
・同小委での人権への取り組みを継続
・グローバルコンパクト推進委員会(人事 G 共管)
・ GCJN ジャパンネットワーク各分科会参加((ISO26000、人権 DD など)
・ NYKレポートや Web サイトによりダイバーシティーの発信力を強化
労働慣行
多様な働き方の支援
恒常的に残業の多い部署へのヒアリングを通して、社員とともに対策案を検討したり、WLB 推進委員会活動を通じ、実態分析、対応
検討などを行うと共に、社員に対しては早帰り日放送等を通して時間管理意識の向上を図る。
人材育成
・新規条約対応を含めたNMC のレビュー実施
・フィリピントレーニングセンターの増改築による研修施設の充実化により、質の高い船員の維持
コンプライアンスの徹底
コンプライアンス総点検月間活動、無記名アンケート等を実施し、結果をフィードバックするとともに、問題の解決をはかる。
公正な競争・取引の推進
NYK 本体各部門及び国内・海外グループからの独禁法遵守に関するアンケート実施、ヒアリング、リスク評価
情報の保護・管理
グループの横断的コミュニケーションツールを導入することにより、グループの連携を強め、お客様へのより良い提案を実現する。また
同時にグループ全体のセキュリティーレベルを底上げする。
お客さま満足の向上・
サービスの改善
CS 向上委員会による徹底した品質管理
安全推進
・ NAV9000監査結果の有効利用
・ドライバルク、PCC、コンテナ、エネルギー、NBP の各部署と連携して船舶管理会社評価を実施し、コスト管理も含めた総合的なパ
フォーマンスチェックを行い、効率的な安全運航を行う
安全対策の進化
内地自営3ターミナルにおいて、各作業会社に対しターミナル安全基準に遵守した作業の徹底
公正な事業慣行
消費者課題
グループ社員に向けた、社会貢献活動(ボランティア)
の継続啓発活動(NPO・NGO 等団体による活動紹介等)
輸送協力の継続実施(新規を含む)
社会貢献活動
コミュニティへの
参画および
・ 歴史博物館・氷川丸における地域貢献活動の継続、海事思想の普及
・ 企業研修、校外学習誘致・対応
・ 横浜市・近隣施設とのイベント開催・協力
・ 関係機関への協力
コミュニティの
発展
地域社会の発展への
寄与
・ 石炭専用船による地元対策への協力
・ 見学会等、地域対応(荷主と地域の相互理解深度化協力)
・ 2015年度<新規>郵船みらいプロジェクト
・ 全国の小中学校や商船系学校の学生に、海事思想の普及と外航船員の魅力を伝える
NBC: NYK ビジネスカレッジ HR:Human Resources NMC:NYK マリタイムカレッジ ISMS:Information Security Management System
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
2016年3月末の達成状況
評価
2016年度の目標
・ CSR タスクフォースメンバー
(社内)
・グループ会社担当者連絡会実施 全2回 38部署 37名参加・全4回 38社 46名参加
・ CSR タスクフォースメンバー
(社内)
との連携強化
・ CSR 活動プログラム取りまとめ
・グループ会社担当者連絡会実施
・ NYKレポート2015が各方面から評価されプレゼン機会増加
日経 ARR 優秀賞・環境コミュニケーション大賞 優良賞受賞
・ Web CSR ページのリニューアル実施
・ 統合レポート制作 企業価値向上プロセスを伝える
・ Web での発信力強化= Web CSR ページのコンテンツ充実
・ 証券アナリスト協会評価ランキング海運セクターでの1位維持
・ 個人投資家説明会:7回
・ 機関投資家向け施設見学会、事業説明会:国内3回
・ 証券アナリスト協会評価ランキング海運セクターでの一位を維持
・ 個人投資家向け説明会の実施
・ 機関投資家向け施設見学会、事業説明会の実施
研修を実施し、社員の意識啓発を行った
人権研修の実施
人権週間における情宣活動
グローバルコンパクト推進委員会の実施
・グローバルコンパクト推進委員会(人事 G 共管)活動継続
・ GCJN ジャパンネットワーク各分科会参加
・ CSR タスクフォースメンバー
(社内)
との連携強化
・ CSR 活動プログラム取りまとめ
・グループ会社担当者連絡会実施
OLIVE POPYE プロジェクトと連携し性別を問わず多様な人材が活躍できる
2016年4月よりダイバーシティー推進チームを発足し、さらなる推進及び強化を行う
環境の整備と職場風土の醸成を推進する
昨年7月から、働き方改革のために「OLIVE プロジェクト」を開始。早出早帰り勤務の推奨、週
2回の早帰り日の設定、深夜・休日出勤の見える化を図り、効率性や生産性の意識付けを図っ
ている。時間外削減の推進のため、多残業部署の実態把握や解決策の提示、警告を出すこと
により改善している
働き方改革を進め、労働時間の削減を図り、法令遵守のみならず、社員の健康
増進やワークライフバランスの向上を図る
・ 船員教育の改善:新規条約対応を含めた NMC
(NYK の船員教育制度)
のレ
ビューの実施
・ 適正な船員プール数の維持:NYKフリート規模に応じた船員需要・供給をモ
ニターし、適正な船員プール数を維持する
N-MEC 技術委員会を開催し、船員教育のレビューを実施。並びに事故トラブルへの対策と
して船員研修の見直しを実施した。また、フィリピントレーニングセンターの研修設備充実を
図った
・ CCO メッセージを発信の上、記名式の行動規準セルフチェックと、無記名式のアンケートを
実施。結果は社内掲示板で周知した
・ 4月と11月にコンプライアンス委員会を開催した
CCO メッセージを発信の上、アンケート等を実施
1年を通じて独禁法リスクアセスメントを実行した
NYK 本体各部門への独占禁止法遵守に関するアンケート、インタビュー、
リスク評価を継続実施し、国内・海外グループへも同活動を展開し、グループ全
体で独占禁止法遵守を徹底する
グループ会社への導入を進め、グループの連携を強める
グループの横断的コミュニケーションツールを導入することにより、グループの
連携を強め、お客様へのより良い提案を実現する。また同時にグループ全体の
セキュリティーレベルを底上げする
お客様アンケートを実施し、内容の確認、関係各所へ展開し改善できるところは対応。要望の
多かったテーマ性のあるクルーズのラインナップやキャンペーンを増やし、グランドスパの床を滑
りにくい素材へ張替、プロムナードデッキでのイベント中の禁煙実施等、あらゆる面で顧客満足
度の向上を目指した
CS 向上委員会による徹底した品質管理
ドライバルク、PCC、コンテナ、エネルギー、NBP の各部署と連携して NAV9000による本船お
よび船舶管理会社監査を実施、目標の300隻、30社の評価を行った。コスト管理も含めた総
合的なパフォーマンスチェックは今後も課題であるが、減速運転や気象海象予想サービス等を
最大限利用することで効率的な安全運航を推進した
・ 過去に発生した船上トラブル情報を再分析し、NAV9000監査結果と比較す
ることによりトラブルを未然に防ぐ安全推進活動を継続する
・ドライバルク、PCC、コンテナ、エネルギー、NBP の各部署と連携して船舶管
理会社評価を実施し、効率的な安全運航を継続する
・ 元請会社・作業会社と、月例の安全会議を開催
・自営ターミナルでは毎朝の作業前ミーティングで安全作業遵守への確認を実施
・ヒヤリハットの提出など作業時に察知した危険のレビューをボトムアップで実施
・ 発生事故の原因解析と安全基準更新の実施
・ 外地ターミナルや他業界の事故情報および安全対策情報の収集とそれらを
自営ターミナル間で共有化し、事故予防の参考とする
・ 元請会社や作業会社に対する安全基準を遵守した荷役作業の徹底
新規案件を含む東北ボランティアの継続、来客用コーヒーのフェアトレード化、フェアトレード
製品の販売会を実施
グループ社員向け啓発活動(NPO・NGO 等団体による活動紹介等)
新規や緊急の輸送の需要は無かったが、通常の輸送協力を遂行した
輸送協力の継続実施(新規を含む)
・ 新入社員研修、グループ会社関係者、顧客来館時に解説などの対応実施(随時)
・ 商船系教育学校の無料対応実施(随時)、インターンシップ受入
・ 横浜市主催の仏月間に参加(博物館6/13、7/11、氷川丸6/19)
・ 横浜市主催のスパークリングトワイライトへの協力7/18
・ 横浜市海底清掃、マラソン大会への協力
・ 近隣施設(横浜みなと博物館)
と共通チケット販売
・ 国交省海事局「海の日」記念特別展に参加(7/18∼8/9)
・ 関東運輸局「海の日」記念スタンプラリーに参加(7/18∼8/9)
・ 横浜市温暖化対策統括本部「九都県市クールシェア」に参加(7/1∼9/30)
ほか
国交省・神奈川県・横浜市・近隣施設との情報交換/情報提供/
イベント共催/協力関係機関への協力
船主協会イベントの一環として、地元住民を招き、各地で船内見学会を実施
各種見学会サポート、地域対応(継続)
外部の要請を受けて計画した全ての活動を一通り実行した
̶
CS:Customer Satisfaction
全国の小中学校や商船系学校の学生に、海事思想の普及と外航船員の魅力
を伝える
[自己評価の基準] 75
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
達成 ほぼ達成 一部達成
環境マネジメントプログラムの進
状況及び達成度
本プログラムは NYK グループの総括であり、詳細は船種・事業及び地域別に策定しています。
(期末レビュー)
2015年度環境マネジメントプログラム
ISO26000
中核主題
取り組むテーマ
ISO14001認証を利用した
環境活動の推進
内外の法律 ・ 規制の順守、
業界基準・自社基準の制定 ・
順守
運航船の事故削減
安全確保の継続・強化・共有
地球温暖化防止
(CO2排出量の削減)
環境
大気汚染防止(NOx 及び
SOx 排出量の削減)
2015年度の目標
実施項目
① 地域・事業に合った適切な活動の維持、及び顧客要望に応じた認証
① NYK グループマルチサイト環境認証の維持・拡大
の拡大
② NYK 本支店内の内部監査、グループ会社との打合せ、外部審査の
② NYK グループマルチサイト環境活動の強化
実施
③ EMS マニュアルの継続的改善
④ ISO14001:2015 新認証規格への準備
③ EMS マニュアルに沿った運用と継続的改善
④ 最終ドラフトをもとに勉強会を実施
① 船舶に関連する条約、法律、規制の把握、及び
順守徹底
② 非海運事業に関わる法律、条例の順守
③ 業界全体を通じての持続可能な社会のための国際
ルール作りへの貢献
の内容更新
① NAV9000 Audit(会社・本船)
(内部監査室)
② グループ会社質問状によるチェック
③ コンプライアンス総点検活動の実施
④ 国際ルール作りに積極的に関与
① 重大事故ゼロ
② 運航船遅延時間の短縮(目標10時間/年・隻)
③ 緊急事態への準備、及び対応
① -1 NAV9000監査(会社・本船)
の実施
① -2 ニアミス3000活動の促進(対象会社の拡大)
① -3 各種安全推進会議・安全セミナーの開催
① -4 安全・保安情報の発信
① -5 安全推進・保安キャンペーンの実施
② 遅延時間ミニマイズ活動の継続
③ -1 事故対応訓練及びレビューの実施
③ -2 メディア対応訓練及びレビューの実施
NYK グループ及び関係者間での共有
の実施
① 安全・環境対策推進委員会(SEMC)
② グループ環境経営連絡会の実施
③ NYK グループ環境マネジメントガイドラインの浸透
④ 郵船ビルにおける防災訓練の実施
① 環境経営指標の設定「2015年度までに2010年
度比較 燃料消費効率10% 向上」及び「2018年
① SPAS から環境経営指標算出用データを抽出し正確に把握
度までに2010 年 度 比 較 燃 料 消 費 効 率 15%
(NYKECOM)
の運用
② 環境負荷データ集計システム
向上」
② 連結グループ会社全体での CO2排出総量を把握
① 電子制御エンジンの採用率向上
② カリフォルニア減速プログラムへの協力
の世界標準化規格への対応
③ 陸上電源(AMP)
(コンテナ型)
の運用
④ AMP
⑤ SCR 実船実験へ協力
⑥ EU 及びカリフォルニアでの低硫黄燃料使用方針の徹底
NOx 及び SOx 排出量の削減
海洋汚染防止、省資源、
リサイ
① バラスト水処理装置の搭載推進
クル、および有害物質の排出
② 環境に優しい解撤の実施
量削減、生物多様性を保全す
③ NYKトータルビルジシステムの採用推進
る設備の採用または運用
① 搭載船の拡大
② シップリサイクルでの NYK スタンダード順守
③ 新造船への積極的採用
オフィスでの環境負荷削減
紙・水・電気の使用量を2014年度レベルに維持
紙・水・電気の使用量削減に努める
新技術の研究および開発によ
る環境保全への貢献
① 7月度までに製品の仕様を確定
① 対水船速計の精度向上
② 機関の重大トラブル防止、ならびに予防保全へ活用。本船上機器の
② 主機パフォーマンス及びコンディションをモニタリン
状態監視・遠隔監視の実現
の機能 ③ ブロア式:幅広い運航コンディションをカバーした運用指針の確立。ま
グできるアプリ
(LiVE for Shipmanager)
拡充
た船型の違いによる効果比較を行い船型最適化の有効性を確認
掃気バイパス式:プロペラ面内に流入する空気の流れ防止対策にも取
③ ブロア式と掃気式の空気潤滑法の効率向上
り組む
環境保全活動への意識高揚
① 環境研修等、環境に関する社員教育の強化
② 環境「eラーニング」の実施
③ 社員向け環境情宣活動の強化
① 研修、勉強会の実施
② 環境「eラーニング」コンテンツの作成、及び受講者数向上
③ 社内報などへの環境関連記事の掲載、環境保全キャンペーン実施
環境情報の開示
① HP で最新の環境情報を開示
② CO2排出量情報開示
① HP 掲載項目の見直し、更新
(BSR)
の CCWG への
② CO2 e-calculator のデータ更新、米国 NPO
参画、スコープ3のデータ検証
EMS:Environmental Management System、SEMC:Safety & Environmental Management Committee、SPAS:Ship Performance Analyzing System、SCR:Selective Catalytic Reduction、
76
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
2016年3月末の達成状況
評価
2016年度の目標
① 1サイト追加(YLK(Turkey))、4サイト減少(日本ノッズル、NYYT、欧州2事務所)
合計 54社、147サイト
② 監査による改善要求件数:内部監査 44件、外部審査 21件
③ マニュアル改訂回数:1回
④ 2∼3月に勉強会開催
① NYK グループマルチサイト環境認証の維持・拡大
② NYK グループマルチサイト環境活動の強化
③ EMS マニュアルの継続的改善
④ ISO14001:2015 新認証規格への準備
① NAV9000 本 船 用 Checklist(ver. 6.0.0)、 及 び 会 社 監 査 用 Checklist
(Ver.3.1.0)
を改訂
(6月、12月)
、社内向けコンプライ
② 新規設立会社向けに内部統制状況質問状を実施
アンス意識調査を実施(9月)
(国際海事機関、海洋環境保護委員会)
などへ参加
③ 業界団体幹事会、IMO MEPC
① 船舶に関連する条約、法律、規制の把握、及び順守徹底
② 非海運事業に関わる法律、条例の順守
③ 業界全体を通じての持続可能な社会のための国際ルール作りへの貢
献
① -1 監査実績300隻/30社、改善提案1,366件
① -2 対象35社、報告57,483件
① -3 Fleet 安全推進会議、Global SEMC Safety Meeting、社長・船機長懇談会開
催(7∼8月)
① -4 適宜実施(総計49通)
① -5 訪船実績512隻/941名
② 遅延時間19.1時間/隻、機関事故による遅延9.9時間/隻
③ -1 6回実施
③ -2 VLCC の衝突・火災を想定して実施(10/15)
① 重大事故ゼロ
② 運航船遅延時間10時間/年・隻
③ 緊急事態への準備、及び対応
① 船種ごとに適時実施(4∼7月)
② 実施(11月)
③ 環境アクションプラン回収率100%
④ 2回実施(9月、3月)
NYK グループ及び関係者間での共有
① 2015年度目標達成(2010年度比改善率14.3%)、対象隻数 617隻、
報告件数6,630件
② データ把握会社数 158事業所(海外)、52社/258事業所(国内)
① 環境経営指標の設定「2018年度までに2010年度比較 燃料消費効
率15% 向上」
② 連結グル - プ全体での CO2排出総量を把握
① 2015年度7隻に採用
(20mile)、ロングビーチ:97%
(40mile)
② 順守率 ロサンゼルス:99%
③ 2012年7月に発行された国際統一規格に対応した AMPコンテナを導入、運用開始
④ 陸上電源利用実施回数:157回、陸上電源対応設備搭載船:19隻
(EGR)実船実験:1隻、NOx / SOx 排出低減機器(LNG 燃料)採用:1隻
⑤ NOx
⑥ 低硫黄燃料未使用船なし
NOx 及び SOx 排出量の削減
① 2015年度 5隻に搭載
の解撤を実施
② 2015年度 MoA 締結ヤードで全船(2隻)
③ 2015年度 6隻に採用
① バラスト水処理装置の搭載推進
② 環境に優しい解撤の実施
③ NYKトータルビルジシステムの採用推進
2014年度比
紙:–2.19%、水: –1.86%、電気:+0.36%
紙・水・電気の使用量を2015年度比 –0.1%
① 実船データ解析を実施、より精度の高い対水船速計のプロトタイプ版開発を進めて
いく
② LiVE for Shipmanager に重大事故事前検知ロジック機能を追加、管理会社への
展開を開始
③ ブロア式については、実船試験データを解析することにより、効果的に運用するため
の指針を策定。掃気バイパス式については、省エネ効果向上策を検討。空気吹き出
し量の制御を行うシステムを考案
① 就航コンテナ船の省エネ運航改造工事実施
② スマートフリートオペレーションシステム構築
① 新入社員研修、CSR 研修を実施
② 環境「eラーニング」実施、受講者数昨年度比約1,500人増加
③ 環境関連記事掲載の継続、社内環境キャンペーンの実施(6∼10月)
① 環境研修等の実施
② 環境「eラーニング」の実施
③ 社員向け環境情宣活動の強化
① 1回更新(10月)
② CCWG へ参画、スコープ1,2,3のデータに関して第三者検証実施
① HP で最新の環境情報を開示
② CO2排出量情報開示
CCWG:Clean Cargo Working Group
77
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
環境
グループ環境経営の推進
日本郵船グループ 環境経営ビジョンと3つの戦略(2005年3月制定)
環境リスクを管理し、環境と経済のベストバランスを目指しながら、地球環境と持続可能な社会に貢献します。
戦略 1
温暖化ガス排出削減の実践 戦略 2
地球環境保全活動による社会貢献の推進 戦略 3
グループ環境経営の強化
日本郵船グループ 環境マネジメントシステムの適用範囲
① 鉄道やトラック等の内陸輸送、それに付随する倉庫保管を含む国際海運事業
② 客船事業
③ コンテナターミナル事業
④ 船舶管理事業
⑤ 海洋事業
⑥ 航空貨物事業
⑦ 海上および航空フォワーディング事業及びコントラクトロジスティクス事業
⑧ 日本郵船グルーブ会社におけるその他の事業
環境方針
① 企業活動が地球環境に与える影響を考慮し、必要な目的・目標を定め、これらを定期的に
見直し、継続的な改善を図ることにより、海洋・地球環境の保全に努めます。
② 安全・環境に関する法律・規制等の遵守はもとより、積極的な自主基準の制定・運用に努
めます。
③ 運航船隊の安全確保をはじめ、内陸・内水及び航空輸送を含む全ての輸送モード、並び
にターミナル、倉庫など海・陸・空に広がる輸送サービスの安全確保に努めます。
リサイクル等に取組み、特に温室効果ガス、オゾン層
④ 省資源、省エネルギー、廃棄物削減、
破壊物質、有害物質等の排出を抑制・防止します。
⑤ 船舶・航空機をはじめとする輸送機器、荷役機器、資材などの調達による環境負荷を出来
る限り小さくすることに努め、環境にやさしい技術等の採用を推進します。
⑥ 社内広報活動・環境セミナー等を通じて、社員一人ひとりの環境意識を高め、会社の環境
方針を浸透させます。
⑦ 社会との対話を密にし、積極的な環境情報開示、環境保全活動への助成 ・ 支援に努める
ことで、広く社会に貢献します。
グローバルな環境マネジメントシステム体制
代表取締役社長
2001年9月1日制定
2009年4月1日改訂
用船
船主が備品や乗組員を手配し、安全に航行できる能力を確保した状態で貸し出す船舶
当社グループ共通の環境方針の下、世界全4極と日本で約
ISO14001認証
国際標準化機構が発行した環境マネジメントシステムに関する国際規格の総称
150サイトおよび用船を含む約800隻の運航船を対象に
グリーン経営認証
認証機関である交通エコロジー・モビリティ財団が、グリーン経営推進マニュアルに基
づいて、エコドライブの実践、低公害車の導入など、一定のレベル以上の自主的な取り
組みを行っている輸送事業者を認証するもの
ISO14001環境認証を取得しています。この認証を取得する約
50社の総売上げは当社グループ全体の売上げの約80%を占
グリーン経営認証取得グループ会社
めており、他社には見られない独自のグローバルな体制を構築
日本コンテナ輸送㈱、郵船港運㈱、㈱ユニエツクス、旭運輸㈱、海洋興業㈱、横浜共立
倉庫㈱、郵船ロジテック㈱成田営業所、北洋海運㈱(2016年4月1日現在)
しています。また、グリーン経営認証を取得している国内グルー
プ会社もあります。
グローバルな環境活動推進体制とマルチサイトシステム *1
SEMC の委員会
船種別 SEMC:コンテナ船、自動車専用船、エネルギー船(タンカー)、ドライバルカー、客船、NYK バルク・プロジェクト
事業別環境対策委員会:港湾、物流
グループ環境経営連絡会 *3
国内主要グループ会社
47 社
燃費節減対策委員会
新造船搭載機器評価・推奨選定委員会
オフィス環境対策推進委員会
Management Committee
*2
安全・環境対策推進委員会(SEMC)
本社
北米地域
13 サイト
東アジア地域
4 サイト
欧州地域
*1. マルチサイトシステム
企業の各事業所を一括して認証を
取得する認証形態
*2. 安全・環境対策推進委員会
(SEMC)
Safety&Environmental
64 サイト
日本
38 サイト
(本社含む)
南アジア地域
17 サイト
中南米地域
8 サイト
社長を委員長とし、グループ全体の
環境活動の方針の策定やレビュー
を毎年実施。その下部組織として、
船種・事業、案件ごとの小委員会を
設置。また、世界 4 極に同対策推
進委員会を設置
*3. グループ環境経営連絡会
国内の主要グループ会社を対象に
した連絡会。2006年より開始し、
毎年開催。各社の環境への取り組
みについて情報共有を図り、取り組
みが評価された会社に対し報奨を
行っている
オセアニア地域
● ISO14001認証取得サイト ● 2015年度 ISO14001認証取得サイト
3 サイト
78
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
(2016年4月1日現在)
温室効果ガス削減
環境経営指標
減技術開発賞」を京浜ドック㈱、㈱ウィングマリタイムサービ
当社は2006年から船舶の単位輸送あたりの CO2排出量を把
スとともに受賞しました。さらに公益財団法人日本船舶海洋
握するために、IMO ガイドラインに準拠した環境経営指標を採
工学会が授賞する「シップ・オブ・ザ・イヤー2015」の技術特
用し、船舶の燃料消費効率の向上に取り組んでいます。2015
別賞を受賞しました。
年度は CO2排出原単位
(燃料消費効率)
を2010年比14.3%
CSI
NPO 団体 Clean Shipping Project が開発した指標で、20項目の環境に関する質問
向 上し、2011 年に策 定した中期 経 営 計 画「More Than
で構成されている
CCWG:Clean Cargo Working Group
Shipping 2013」で定めた目標「2015年度までに2010年度
世界の主要なコンテナ貨物の荷主と船社が参加し、海上輸送における環境パフォーマン
スを図る統一的な基準を策定している
比で燃料消費効率10% 向上」を達成しました。引き続き、中期
CDP
経営計画「More Than Shipping 2018」の中で定めた目標
機関投資家を代表して、企業に対して気候変動問題への対応取組の情報開示を要求
するNPO 団体
「2018年度までに2010年度比燃費効率15% 向上」を達成す
CDLI:Climate Disclosure Leadership Index
るべく、燃費節減活動などを通じて、さらなる最適運航に取り
組んでいきます。
環境経営指標
(IMO ガイドラインに準拠)
ビッグデータを活用した安全・省エネ運航
=
中期経営計画「More Than Shipping 2018 ∼ Stage 2 き
環境負荷
(海上輸送によるCO2排出量)
らり技術力」で、技術力による差別化を掲げています。当社で
事業付加価値
(海上輸送重量トン・キロメートル)
は航海中の本船の航海・機関情報などのビッグデータを活用
した安全・省エネ運航に取り組んでいます。ビッグデータ活用
IMO:International Maritime Organization
国際海事機関。海運・造船に関する技術的問題や法律的な問題について政府間の協
力の促進や条約の策定などを行っている国連の専門機関
の基盤となるのが船陸間でデータを共有するSIMSとなり、
2016年4月時点で150隻を超える本船に導入しています。こ
れらのデータを各船種ごとに取り組んでいる燃節活動「IBIS
環境データの開示と外部評価
TWOプロジェクト」においても、活用しています。
当社は、信頼性の高い環境負荷データの把握と積極的な開
各種データを表示してモニタリングするLiVE や船舶性能を
示に取り組んでいます。船舶で発生する環境負荷データをCSI
解析するVPAS などのツールを開発することにより、ビッグデー
および CCWG への参加を通じて開示しており、CCWG で開
タの有効的な活用をしています。その事例としては、就航コン
示された情報は、当社グループで開発した輸送中の CO2排出
テナ船を低速運航仕様に改良するためにバルバスバウの改造
量を算出するシステム
(NYK GROUP CO2 e-calculator)
や省エネ装置の取り付けなどの推進性能の改善を図ることで、
に用いられ、国内外多くのユーザーの CO2排出量算出に活用
CO2排出量の削減を実現しましたが、本船から得られる船速、
されています。
回転数、馬力、喫水、排水量などの実海域でのデータから性
また、気候変動問題への対応取組
能解析を行った結果、推定値を上回る23%もの CO2排出量
の情報開示を評価する CDP が実施
削減効果を確認することができ、一般財団法人日本海事協会
する日本企業500社を対象とした調
による鑑定を受けました。今後も、船種ごとのニーズに合わせ
査において、情報開示の先進企業として CDLI に4年連続で
た運航管理のインフラとして、本システムの技術改良およびデー
選定され、
「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」
タ解析技術の向上に努め、機関故障の低減・防止による修繕
および「フィッツィー・フォー・グッド・インデックス」には13年
費用の削減やロスタイムの減少、安全確実な貨物輸送の実現
連続で選定されています。
などに、その活用範囲を広げていきます。
また、LNG を燃料とするタグボート「魁」は、2016年5月に
一般社団法人日本物流団体連合会から、
「物流環境負荷軽
79
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NYK REPORT 2016
省エネ技術を導入した船舶
CO2削減を実現しています。機関室スペースを最小に抑え、積
2014年に新世代の自動車専用船「ARIES LEADER」が竣工
載スペースを最大限に増やした船型により、貨物単位あたりの
しました。パナマ運河拡幅に対応したポストパナマックス船型
輸送で CO2排出量の低減を実現しました。これらの数々の技
により最大積載台数を7000台まで増加させるとともに、空気
術の実用化は、
「NYK スーパーエコシップ2030」の実現へと
潤滑システムやハイブリッド過給機、ボイラーの水エマルジョン
着実につながっていきます。
燃料対応など省エネ技術を導入し、従来の船型に比べて完成
空気潤滑システム
船底に空気を送り込み、泡を発生させ、海水との摩擦抵抗を低減、CO2排出を削減す
(送風機)
方式」を、2012年には同じく世界
るシステム。2010年に世界初となる「ブロア
初の「主機掃気バイパス方式」を当社グループ運搬船に搭載
車1台あたりの輸送で30% の CO2の排出削減を実現してい
ます。
ハイブリット過給機
発電機を過給機に内蔵し、エンジンの排ガスを過給機の駆動だけでなく発電にも利用
可能とする装置 また、2016年2月には、最新技術を搭載した14,000TEU
型コンテナ船の第1船「NYK BLUE JAY」が竣工しました。こ
水エマルジョン燃料装置
水と重油を混合した燃料
(水エマルジョン燃料)
を船舶用補助ボイラーで燃焼させる装
置。燃焼効果を高めることで CO2排出削減するとともに、燃焼温度が下がることによっ
て NOx 排出も削減可能とする装置 のコンテナ船の主機には高速運航時、減速運航時のそれぞれ
に最適な出力レンジが選択できるデュアル・レーティングシステ
ム
(特許出願中)
を装備し、速力に応じた最適な燃料消費と
自動車専用船「ARIES LEADER」
コンテナ船「NYK BLUE JAY」
大気汚染防止
LNG 燃料船への転換
に代わる次世代燃料として、LNG 燃料船の実用化に向けた研
船舶に使用する燃料として従来は重油が使用されていますが、
究・技術開発を進めており、2015年8月には国内初となるLNG
液化天然ガス
(LNG)を燃料とした場合、CO2排出量を約
を燃料とするタグボート
「魁」が竣工しました。2016年度後半
30%、NOx 排出量を約80%、SOx は100% 削減可能と見込
には世界初となるLNG 燃料の自動車専用船2隻が竣工を予
まれます。船舶への環境規制が強化されていく中、当社は重油
定しています。この LNG 燃料船は燃料油の硫黄分濃度の上限
LNG 燃料自動車専用船完成イメージ
LNG 燃料タグボート「魁」
80
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NYK REPORT 2016
が0.1%と厳しく規制されている北海・バルト海域エリアへ投入
NOx 排出量の削減
を予定しており、さらにこれらの海域を運航するLNG 燃料船へ
燃料油を燃焼させると大気汚染の原因となるNOx が生成され
の供給および販売を行うために、LNG 燃料供給船の建造、
ます。IMO は、船舶から発生するNOx を低減させるための規
LNG 燃料販売事業への参画も予定しています。
制を発効しており、2011年以降建造の船舶は2次規制に対応
NOx
しています。当社は対策の一環として、NOx の発生を軽減でき
窒素酸化物。光化学スモッグや酸性雨などの原因の一つといわれている有害物質
る電子制御エンジンの搭載を推進しています。電子制御エン
SOx
硫黄酸化物。大気汚染や酸性雨などの原因の一つといわれている有害物質 ジンは、燃料噴射と排気弁の開閉を電子制御にて最適化する
ことで、NOx の発生を軽減できます。2015年度は7隻の電子
停泊中の陸上電力の利用
制御エンジン搭載船が就航しました。2016年1月1日以降の建
カリフォルニア州 大 気 資 源局(California Air Resource
造船はアメリカ、カナダの IMO 指定海域では、さらに厳しい3
Board)の規制により、カリフォルニア州諸港着岸中のコンテ
次規制への対応が必要なため、EGRシステムなどの新技術の
ナ船、客船、冷凍船を対象に船内発電機を停止して陸上から
研究も進めています。
の電力供給を受けることが求められています。当社では、規制
EGRシステム
排ガスの一部をエンジン給気に戻すことによりNOx 排出低減を図る技術
の搭
の対象港に寄港するコンテナ船に電力受電装置
(AMP)
載を実施したり、寄港するターミナルにAMP の設置を進め、寄
SOx 排出量の削減
港するコンテナ船が陸上から電力供給を受けられる取り組み
硫黄分を含む燃料油を燃焼させると大気汚染の原因となる
を進めています。今後は受電率を高めるために、コンテナ船の
SOx が発生します。IMO は、船舶から発生するSOxを低減さ
改造工事や配船計画の見直しなども行い、船舶から排出され
せる規制を発効しており、2012年に一般海域で使用する燃料
をさらに減少
る環境汚染物質
(CO2、NOx、SOx、PM など)
油の硫黄分濃度の上限値が4.5% から3.5% に引き下げられ、
させ、環境保全に引き続き貢献していきます。
2015年1月からは欧州、アメリカ、カナダの指定海域では、さら
AMP:Alternated Maritime Power
船の接岸中に船内の発電機を止めて、陸上電源から必要な電力の供給を受けることで、
大気汚染物質の排出量を削減できる装置
に厳しい規制となり硫黄分濃度の上限が1.0% から0.1% 引き
PM
下げられています。当社では、
これらの規制を遵守することはも
排気微粒子。呼吸器疾患など人の健康に影響を与える原因の一つといわれている有
害物質 とより、一般海域でもさらに上限の引き下げが行われる見込み
ですので、
これらの規制強化に対応して、就航船の搭載機器の
改造や建造仕様の変更など、必要な対策を検討するタスク
フォースを立ち上げて、安全運航と環境保全の両立に取り組ん
でいます。
SOx、NOx の排出量
(千トン)
350
300
陸から電源供給を受けるコンテナ船
250
コンテナ型 AMP
200
150
SOx 11
NOx
81
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NYK REPORT 2016
12
13
14
15(年度)
生物多様性の保全
生物多様性保全への取り組み
など、ハード面・ソフト面の両方から生物多様性保全への取り
当社は船の調達から処分までのライフサイクル全工程が生物
組みを行っています。また当社は2009年に「経団連生物多様
多様性に影響を与える可能性があることを認識し、事業活動と
「生物多様性民間参
性宣言」推進パートナーズ、2010年より
生物多様性の関係を示すマップを作成しています。これにより、
画パートナーシップ」に参加しています。これからも同宣言およ
船舶の調達・運航・解体の各段階での影響を把握しています。
び行動指針に沿った事業活動を行うことで、生物多様性保全
環境配慮技術の開発、船舶への搭載、および事故による環境
に努めていきます。
破壊を防ぐ独自の安全運航管理システム「NAV9000」の導入
日本郵船グループと生物多様性の関係性マップ
企業と生物多様性イニシアティブ
(JBIB)
開発の
大気への化学物質
排出
CO2、NOx、SOx など
「企業と生物多様性の関係性マップ」
を参考に作図
は日本郵船グループの取り組み
INPUT OUTPUT
●
●
エネルギー資源・
自然資源利用
環境経営指標
(燃料消費効率向上)
低硫黄燃料の使用
LNG 燃料の使用
潮流の有効利用
船を
運航する
海、燃料油、潤滑油など
●
●
●
●
●
●
水域への化学物質・
汚染物質排出
日本郵船
グループ
スーパーエコシップ
(コンセプト船)
電子制御
エンジン搭載
LNG 燃料対応
エンジン
デュアルレーティング
1
システム *(主機)
EGR システム
●
●
●
●
停泊中の陸上電源の使用
水エマルジョン燃料装置
船底空気潤滑システム
船型改造
(バルバスバウ・プロペラ)
船体付加物(MT-FAST*2 など)
船体・プロペラ清掃
船底防汚塗料
ビッグデータの活用
(SPAS*3、SIMS*4、SIMS2、
LiVE*5、VPAS*6)
燃節プロジェクト
(IBS、IBIS TWO)
NAV9000(安全運航)
●
造る
●
船を
調達する
スズ、
バラスト水など
●
リサイクル
売る
エネルギー資源利用
水域への化学物質排出
土壌への化学物質排出
●
大気への化学物質排出
大気への化学物質排出
土壌への化学物質排出
水域への化学物質排出
*1. デュアルレーティングシステム
●
●
船を
処分する
●
●
●
●
●
●
●
●
Capt s DOSCA*7
NYK e-missions
バラスト水の適正管理
バラスト水処理装置 *8
ビルジシステム
環境・安全対策適合ヤード
での解体
有害物質インベントリーリスト
*6. VPAS:Vessel Performance Analysis System
高速運航時と減速運航時のそれぞれに最適な2つの出力レンジを任意で選択できるシステム
船舶から送られる各種データを基に性能を解析するソフト
*2. MT-FAST
プロペラ前方に複数の翼を取り付けることで、プロペラの回転から生まれる旋回流
による損失エネルギーを回収する省エネ装置
*3. SPAS:Ship Performance Analyzing System
*4. SIMS:Ship Information Management System
*5. LiVE:Latest Information for Vessel Efficiency
(ポータ
SIMS で収集したビッグデータを可視化し、最適運航の為の判断を助けるシステム
*7. Capt s DOSCA
最新の気象・海象予測情報を船舶へ配信するシステム
*8. バラスト水処理装置
バラスト水(船舶がバランスを保つため保持する海水であり、通常荷揚港で船底の
タンクに注水し、荷積港で排出される)
とともに運ばれた海洋生物を処理し、生態
系を乱すことのないようにするシステム
ルサイト)
2015年度海洋汚染事故
海難による漏洩
1件
機器など故障による漏洩
3件
作業手順ミスによる漏洩
1件
上記5件は、
適切に報告・処理されています。
82
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
バラスト水処理装置
シップリサイクル
海洋環境に影響を及ぼす水生生物の越境移動を防止するた
船舶が解体される際の、労働災害や環境汚染を最小限にする
めに、IMO において、2004年にバラスト水管理条約が採択さ
ために、IMO において2009年にシップリサイクル条約が採択
れました。現在、その発効に向けた各国の批准が進んでいます
され、発効に向けた批准が進んでいます。当社グループでは、
が、当社では、バラスト水管理条約の発効に先駆けて、2010
当該条約で定められた、船上に存在する有害物質の量・設置
年から国土交通省の型式承認を受けたバラスト水処理システ
場所などを記載したインベントリーリストを作成し、本船への
ムを搭載しており、2016年3月末現在、就航船24隻、新造船
配備を進めています。
「安定的な解撤スペースの確保」
と
「環境
40隻、計64隻への搭載が完了しています。条約の批准状況に
に優しい解撤実施」を基本に、IMO ガイドラインなどを考慮し
注視しながら今後も保有・管理する船舶への搭載を進めてい
た当社独自の解撤方針を定め、環境だけではなく労働安全に
きます。
も配慮した解撤ヤードを選定して、解撤を行っています。また、
また、当社グループ会社の日本油化工業㈱が片山化学工業
当社独自の解撤売船契約書を用い、引き渡し後はその契約に
研究所と共同開発し2014年10月に型式承認を国土交通省
基づいた、安全・環境への対応状況を適時現場視察し、確認
から取得したバラスト水処理装置「SKY-SYSTEM®」の試験搭
しています。
載を当社が運航する自動車専用船で実施予定です。
「SKY-
SYSTEM®」は、バラスト水をバラストタンクに漲水する際に薬
剤を自動注入することによって、バラスト水中の水生生物を殺
菌・死滅する装置です。この装置はドック入りせずとも本船に搭
載することができることや、容易なメンテナンス性を備え、さらに
省電力であることが特徴です。これからもグループ会社と一丸
になってさらなる生物多様性保全に努めていきます。
SKY-SYSTEM®
83
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NYK REPORT 2016
連結貸借対照表
日本郵船株式会社および連結子会社
(2015年および2016年3月31日現在)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2015年3月31日)
当連結会計年度
(2016年3月31日)
資産の部
流動資産
現金及び預金
260,900
237,219
受取手形及び営業未収入金
287,518
222,831
有価証券
73,400
24,000
たな卸資産
48,717
27,495
繰延及び前払費用
70,510
57,554
繰延税金資産
7,083
3,326
96,589
82,596
貸倒引当金
△ 2,222
△ 2,284
流動資産合計
842,496
652,740
その他
固定資産
有形固定資産
船舶(純額)
937,245
802,324
建物及び構築物(純額)
79,650
76,963
航空機(純額)
21,621
23,576
機械装置及び運搬具(純額)
37,337
34,967
器具及び備品(純額)
6,446
7,217
土地
67,162
72,511
建設仮勘定
34,113
43,952
その他(純額)
有形固定資産合計
6,883
6,430
1,190,460
1,067,943
無形固定資産
借地権
4,625
4,102
ソフトウエア
15,585
15,138
のれん
23,955
21,205
その他
4,621
2,123
48,787
42,569
348,665
358,090
長期貸付金
30,196
29,678
退職給付に係る資産
50,238
39,403
6,104
6,777
無形固定資産合計
投資その他の資産
投資有価証券
繰延税金資産
その他
54,848
50,032
貸倒引当金
△ 2,462
△ 2,812
投資その他の資産合計
487,589
481,168
1,726,837
1,591,681
493
350
2,569,828
2,244,772
固定資産合計
繰延資産
資産合計
84
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
(単位:百万円)
当連結会計年度
(2016年3月31日)
前連結会計年度
(2015年3月31日)
負債の部
流動負債
支払手形及び営業未払金
217,470
178,065
短期借入金
99,566
92,374
未払法人税等
20,628
8,963
繰延税金負債
3,017
5,522
78,102
40,653
9,983
9,906
369
353
7,175
̶
前受金
賞与引当金
役員賞与引当金
独禁法関連引当金
契約損失引当金
2,649
8,678
97,894
76,826
536,858
421,343
社債
195,445
145,445
長期借入金
788,832
690,005
繰延税金負債
46,749
38,684
退職給付に係る負債
19,480
18,708
役員退職慰労引当金
1,786
1,717
20,959
21,295
その他
流動負債合計
固定負債
特別修繕引当金
契約損失引当金
8,678
̶
70,115
63,301
固定負債合計
1,152,047
979,158
負債合計
1,688,905
1,400,502
資本金
144,319
144,319
資本剰余金
155,616
155,691
利益剰余金
467,092
470,483
自己株式
△ 2,070
△ 2,098
株主資本合計
764,957
768,396
54,665
34,147
△ 41,857
△ 35,411
27,196
7,527
5,348
△ 981
45,353
5,281
その他
純資産の部
株主資本
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
退職給付に係る調整累計額
その他の包括利益累計額合計
非支配株主持分
純資産合計
負債純資産合計
70,611
70,591
880,923
844,269
2,569,828
2,244,772
(単位:円)
1株当たり純資産
477.79
85
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
456.21
連結損益計算書及び連結包括利益計算書
日本郵船株式会社および連結子会社
(2015年および2016年3月31日に終了した連結会計年度)
(連結損益計算書)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2014年4月1日
至 2015年3月31日)
売上高
売上原価
売上総利益
販売費及び一般管理費
営業利益
営業外収益
受取利息
受取配当金
持分法による投資利益
為替差益
その他
営業外収益合計
営業外費用
支払利息
為替差損
その他
営業外費用合計
経常利益
特別利益
固定資産売却益
関係会社株式売却益
その他
特別利益合計
特別損失
固定資産売却損
減損損失
契約損失引当金繰入額
その他
特別損失合計
税金等調整前当期純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
2,401,820
2,127,207
274,612
208,419
66,192
2,272,315
2,009,547
262,767
213,802
48,964
3,249
5,099
12,657
11,955
7,366
40,328
3,411
5,611
22,068
17,755
4,755
22,510
84,010
16,924
6,652
3,725
27,303
60,058
12,165
36,647
2,762
51,575
13,368
28,747
2,495
44,611
503
6,262
11,328
31,335
49,429
86,156
35,538
△ 1,661
33,876
52,280
4,689
47,591
2,526
35,431
̶
7,305
38,397
̶
普通株1株当たり情報
1株当たり当期純利益
潜在株式調整後1株当たり当期純利益
配当金
̶
2,963
40,922
63,748
29,106
8,176
37,283
26,464
8,226
18,238
(単位:円)
10.75
10.75
6.00
28.06
28.05
7.00
(連結包括利益計算書)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2014年4月1日
至 2015年3月31日)
当期純利益
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
退職給付に係る調整額
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
包括利益
内訳
親会社株主に係る包括利益
非支配株主に係る包括利益
52,280
26,464
25,692
△ 20,474
29,042
9,459
5,950
56,069
108,350
△ 22,461
△ 6,453
98,697
9,652
△ 20,700
△ 14,074
86
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
当連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
5,425
229
△ 43,734
△ 17,269
3,431
連結株主資本等変動計算書
日本郵船株式会社および連結子会社
(2015年および2016年3月31日に終了した連結会計年度)
前連結会計年度(自 2014年4月1日 至 2015年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
資本金
当期首残高
資本剰余金
利益剰余金
144,319 155,617 428,173
会計方針の変更
による累積的影響額
△70
会計方針の変更を
反映した当期首残高
144,319 155,617 428,102
その他の包括利益累計額
その他
有価証券
評価差額金
株主資本合計
自己株式
△2,034
726,076
繰延ヘッジ
損益
29,169 △22,638
為替換算
調整勘定
退職給付に係る
調整累計額
△8,289
△4,046
その他の
包括利益
累計額合計
△5,805
△70
△2,034
726,005
非支配
株主持分
293
29,169 △22,638
△8,289
△4,046
△5,805
純資産合計
53,628 773,899
223
53,922 774,122
当期変動額
剰余金の配当
△8,480
親会社株主に帰属
する当期純利益
47,591
自己株式の取得
△38
自己株式の処分
△0
連結範囲の変動
1
△110
合併による増加
その他
△8,480
△8,480
47,591
47,591
△38
△38
1
1
△110
△110
15
15
15
△25
△25
△25
株主資本以外の
項目の当期変動額
(純額)
当期変動額合計
当期末残高
25,495 △19,218
35,486
9,395
51,158
16,689
38,989
△36
38,952
25,495 △19,218
35,486
9,395
51,158
16,689 106,800
144,319 155,616 467,092
△2,070
764,957
54,665 △41,857
27,196
5,348
45,353
70,611 880,923
̶
△0
67,848
当連結会計年度(自 2015年4月1日 至 2016年3月31日 )
(単位:百万円)
株主資本
資本金
当期首残高
資本剰余金
利益剰余金
144,319 155,616 467,092
その他の包括利益累計額
その他
有価証券
評価差額金
株主資本合計
自己株式
△2,070
764,957
繰延ヘッジ
損益
54,665 △41,857
為替換算
調整勘定
27,196
退職給付に係る
調整累計額
5,348
その他の
包括利益
累計額合計
45,353
非支配
株主持分
純資産合計
70,611 880,923
当期変動額
△15,263
剰余金の配当
親会社株主に帰属
する当期純利益
18,238
自己株式の取得
△0
自己株式の処分
非支配株主との
取引に係る親会社
の持分変動
連結範囲の変動
持分法の適用範囲
の変動
18,238
18,238
△30
△30
2
1
1
75
75
22
22
22
255
255
255
172
△33
その他
△15,263
△30
75
連結子会社の
決算期変更に伴う
増減
△15,263
0
172
172
△33
△33
株主資本以外の
項目の当期変動額
(純額)
当期変動額合計
当期末残高
3,391
△27
144,319 155,691 470,483
△2,098
̶
74
△20,517
6,445 △19,669
△6,329
△40,071
3,438 △20,517
6,445 △19,669
△6,329
△40,071
△20 △36,653
△981
5,281
70,591 844,269
768,396
34,147 △35,411
87
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
7,527
△20 △40,091
連結キャッシュ・フロー計算書
日本郵船株式会社および連結子会社
(2015年および2016年3月31日に終了した連結会計年度)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2014年4月1日
至 2015年3月31日)
当連結会計年度
(自 2015年4月1日
至 2016年3月31日)
86,156
101,045
6,262
11,328
△ 11,113
△ 35,244
7,241
△ 12,657
△ 8,348
17,755
△ 11,159
△ 12,905
22,492
△ 15,344
38,782
184,290
14,240
△ 17,880
△ 24,782
△ 19,419
136,448
63,748
103,347
35,431
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益
減価償却費
減損損失
契約損失引当金繰入額
有形及び無形固定資産除売却損益(△は益)
有価証券及び投資有価証券売却損益(△は益)
有価証券及び投資有価証券評価損益
持分法による投資損益(△は益)
受取利息及び受取配当金
支払利息
為替差損益(△は益)
売上債権の増減額(△は増加)
たな卸資産の増減額
仕入債務の増減額(△は減少)
その他
小計
利息及び配当金の受取額
利息の支払額
独禁法関連の支払額
法人税等の支払額又は還付額(△は支払)
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
有形及び無形固定資産の取得による支出
有形及び無形固定資産の売却による収入
投資有価証券の取得による支出
投資有価証券の売却及び償還による収入
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入
貸付けによる支出
貸付金の回収による収入
その他
投資活動によるキャッシュ・フロー
△ 189,981
185,298
△ 23,409
51,703
△ 70
△ 1,634
̶
△ 18,415
74,144
△ 38,767
8,605
̶
̶
9,437
△ 25,557
△ 2,016
27,082
△ 167,473
△ 40,000
△ 114,208
△ 50,000
28,754
130
△ 30
1
1
△ 8,480
△ 2,268
△ 3,761
△ 15,263
△ 3,760
△ 3,867
△ 160,260
△ 10,351
△ 74,650
12,869
△ 22,933
349,723
338
114
327,243
993
̶
32
253,618
327,243
NYK REPORT 2016
△ 115,913
△ 4,068
△ 199,007
88
16,924
6,373
58,107
18,774
△ 34,410
△ 5,194
192,573
17,600
△ 17,205
△ 2,898
△ 47,212
142,857
26,755
̶
△ 38
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
173
△ 22,068
△ 9,023
40,570
585
△ 46,895
25,797
△ 2,532
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の純増減額(△は減少)
長期借入れによる収入
長期借入金の返済による支出
社債の償還による支出
非支配株主からの払込みによる収入
自己株式の取得による支出
自己株式の売却による収入
配当金の支払額
非支配株主への配当金の支払額
その他
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額
(△は減少)
現金及び現金同等物の期首残高
連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額
非連結子会社との合併に伴う現金及び現金同等物の増加額
連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の期首残高増減額
現金及び現金同等物の期末残高
̶
△ 10,633
△ 28,976
̶
主要連結子会社
(2016年3月31日現在)
(百万円)
議決権の所有割合(%)
会社名
国内
定期船事業
資本金
㈱ユニエツクス
83.60
¥934
㈱ジェネック
55.14
242
日本コンテナ・ターミナル㈱
51.00
250
旭運輸㈱
95.00
100
郵船港運㈱
81.00
100
日本コンテナ輸送㈱
51.00
250
海洋興業㈱
100.00
90
アジアパシフィックマリン㈱
100.00
35
航空運送事業
日本貨物航空㈱
100.00
¥10,000
物流事業
郵船ロジスティクス㈱
59.73
¥4,301
100.00
465
近海郵船㈱
カメリアライン㈱
不定期専用船事業
51.00
400
100.00
¥2,100
八馬汽船㈱
74.86
500
旭海運㈱
69.67
495
NYK バルク・プロジェクト貨物輸送㈱
不動産業
郵船不動産㈱
100.00
¥450
その他の事業
郵船クルーズ㈱
100.00
¥2,000
㈱ NYK BUSINESS SYSTEMS
100.00
99
三洋商事㈱
45.23
100
郵船商事㈱
79.25
1,246
100.00
30
㈱ボルテック
(百万)
議決権の所有割合(%)
会社名
国外
定期船事業
物流事業
NYK TERMINALS (NORTH AMERICA) INC.
100.00
US$0.001
YUSEN TERMINALS LLC
100.00
US$2
NYK LINE (NORTH AMERICA) INC.
100.00
US$4
ACX PEARL CORPORATION
100.00
¥0.1
YUSEN LOGISTICS (AMERICAS) INC.
100.00
US$70
YUSEN LOGISTICS (CHINA) CO., LTD.
100.00
CHY158
YUSEN LOGISTICS (UK) LTD.
100.00
£44
YUSEN LOGISTICS (HONG KONG) LTD.
100.00
HK$55
84.48
B70
YUSEN LOGISTICS (THAILAND) CO., LTD.
不定期専用船事業
資本金
NYK BULKSHIP (ASIA) PTE. LTD.
100.00
US$7
NYK ENERGY TRANSPORT (ATLANTIC) LTD.
100.00
US$51
NYK BULKSHIP (ATLANTIC) N.V.
100.00
US$485
ADAGIO MARITIMA S.A.
100.00
¥0.1
使用通貨: B タイ・バーツ CHY 中国元 HK$ 香港ドル US$ 米ドル £ 英ポンド
89
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
環境データ
運航船舶
オフィス INPUT は使用実績のある資源・エネルギーなどを掲載
日本郵船
日本郵船本店
INPUT
C 重油
A 重油
軽油
OUTPUT
2013
2014
2015
4,567
0.5
62
4,557
0
87
4,403
0
216
CO2
NOx
SOx
INPUT
2013
2014
2015
15,705
324
248
15,575
339
224
15,563
337
211
(単位:千トン)
(千トン)
18,000
600
12,000
400
6,000
0
15(年度)
14
0
■ CO2 ■ NOx
(右軸) ■ SOx
(右軸)
国内外グループ会社
INPUT
2013
C 重油
A 重油
軽油
2015
835
9
24
735
0
51
CO2
NOx
SOx
2013
2014
2015
3,149
69
53
2,707
63
41
2,453
57
35
(単位:千トン)
(単位:千トン)
(千トン)
80
3,000
60
2,000
40
1,000
20
13
15(年度)
14
0
INPUT
21,389
21,781
燃料
2,620
2,669
2,447
(単位:kリットル)
CO2
17
1,307
17
紙
28
1,352
2013
2014
2015
16,600
18,375
16,981
(単位:トン)
(トン)
20,000
1,276
2015
25
4
126
23
4
119
26
4
119
(単位:トン)
(トン)
(トン)
2,000
40
(単位:トン)
1,500
30
17
1,000
20
17
(単位:千㎥)
26
26
(単位:トン)
500
10
13
0
15(年度)
14
0
■ CO2 ■ 一般廃棄物(右軸)
(右軸)
■ 産業廃棄物
OUTPUT
2014
2015
電気
59,954 58,395 60,026
(単位:千 kWh)
A 重油
17,926 17,382 19,323
5,138 5,172 4,598
70
60
43
865
720
758
(単位:kリットル)
69
64
58
792
590
704
蒸気
177
130
冷水
148
198
水
299
268
紙
508
532
2013
171
(単位:トン)
228
(単位:千 MJ)
231
(単位:千㎥)
892
(単位:トン)
15,000
2014
2015
CO2排出量 98,116 96,191 100,474
992
一般廃棄物 1,124
産業廃棄物 1,623 1,472
489
216
リサイクル
1,010
1,519
326
(単位:トン)
(トン)
(トン)
120,000
1,800
80,000
1,200
40,000
600
(単位:千㎥)
0
13
15(年度)
14
0
■ CO2 ■ 一般廃棄物(右軸)
(右軸)
■ 産業廃棄物
* 国内グループ会社は2015年度予測値を
使用しています。
* CO2排出量は電力消費量から計算し、
2015 年 度 の CO2 排 出 量 の 算 出には
代 替 値 の 係 数 0.579 kg-CO2/kWh
(2014年度実績)
を使用しています。
* 対象は連結子会社です。
* 2012 年 8 月よりデ ー タ 収 集 項 目 に
リサイクルを追加しました。
10,000
海外グループ会社
5,000
0
一般廃棄物
産業廃棄物
リサイクル
19
(単位:千㎥)
水
液化石油
ガス
(LPG)
都市ガス
OUTPUT
20,801
(単位:千 kWh)
都市ガス
軽油
灯油
ガソリン
国内自営ターミナル
電力
16
18
(単位:kリットル)
2013
に基づき再度算出しました。
2015
20
2014
国内グループ会社
NYK Report 2014までは燃料購買量より算出していましたが、NYK Report 2015より、各年
の日本郵船単体およびグループ会社運航船で使用した燃料の量より、IMO ガイドラインの係数
2014
ガソリン
2013
CO2排出量 1,516 1,478 1,423
INPUT
■ CO2 ■ NOx
(右軸) ■ SOx
(右軸)
2013
2,266
(単位:千 kWh)
(千トン)
4,000
0
2,254
18
2015
日本郵船本店では、電力消費量は微増となりましたが、省エネ活動の継続によって総 CO2排
出量は減少しています。
* 日本郵船本店は2015年度実績値を使用しています。
* CO2排出量は電力消費量から計算し、2015年度の CO2排出量の算出には東京電力㈱の係
数 0.505 kg-CO2/kWh
(2014年度実績)
を使用しています。
* 廃棄物量の再利用率は81%となっています。
* 2012年8月よりデータ収集項目にリサイクルを追加しました。
OUTPUT
2014
963
11
18
2,345
蒸気
200
13
2014
電気
(単位:千トン)
(千トン)
OUTPUT
2013
13
14
15(年度)
OUTPUT
INPUT
2013
2015
電力
65,502 67,245 63,679
(単位:千 kWh)
ガソリン
軽油
23,201 15,085 18,365
24,489 21,035 20,090
(単位:kリットル)
2015年度の CO2排出量は、昨年度より減少しています。その理由としては、2015年10月に
横浜ターミナルが大黒埠頭から南本牧埠頭への移転に伴い、エネルギー消費量の集計対象
外となったためです。なお、電力からの CO2排出量は、それぞれのターミナルが契約している
電力供給業者の排出係数より、また燃料からの CO2排出量は温対法の係数より算出してい
ます。
2014
LPG
572
468
548
(単位:トン)
都市ガス
9,273 15,351 11,536
(単位:千㎥)
2013
CO2
排出量
2014
2015
168,410 153,619 146,667
(単位:トン)
(トン)
200,000
150,000
100,000
50,000
0
13
14
15(年度)
* 海外グループ会社は2015年度予測値を使用しています。
* CO2排出量は電力消費量から計算し、CO2排出量の算出には係数 Greenhouse Gas
を使用しています。
Protocol(GHG Protocol)
* 対象は連結子会社です。
90
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
環境会計
環境保全に要した費用を正しく把握し、その結果の見直しを繰り返し行うことによって、事業活動における適切な環境保全活動を目
指すことが当社の環境会計における基本的な考え方です。
2015年度の総括
LNG 燃料タグボートの竣工、ハイブリッド型トランスファークレーンの導入、空気潤滑装置の搭載船などの地球環境保全活動に取
り組み、コンテナ船の最適な低速運航仕様の研究なども行い、環境保全コストは前年度より増加しました。
環境保全コスト/効果の年度比較
(単位:百万円)
2015年度
2014年度
環境保全コスト
安全推進活動による事故率削減
効果
環境保全コスト
効果
197
–241
283
–680
地球温暖化や大気汚染の防止、海洋環境の保全、省資源、環境技術の採用
3,480
10,114
4,622
3,362
合計
3,677
9,873
4,905
2,682
と比較した場合の効果は3,739百万円
* 安全推進活動による事故率削減効果は、前年度比の値を算出。1996年度(当社の基準年)
当社独自の分類
(単位:百万円)
環境方針
1. 継続的な改善
2. コンプライアンス
3. 安全の確保
4. 地球温暖化・
大気汚染の防止、
海洋環境の保全、省資源
5. 環境技術の採用
6. 環境教育
7. 社会活動
目的
項目
環境保全コスト
環境マネジメントシステム維持
構築、運用、ISO 認証(含む人件費)
環境損傷回復
海洋汚染などの修復
事故、
トラブルの削減
地球温暖化や大気汚染の防止
海洋汚染防止
資源の節約
NAV9000などの安全推進活動(含む人件費)
助燃剤の使用、船舶の燃費節減活動、プロペラの研磨など
VLCC カーゴタンク底板耐食鋼採用など
グリーン購入 *
電子制御エンジンや空気潤滑装置の搭載、
地球温暖化や大気汚染の防止
ハイブリッド型トランスファークレーンの購入など
オゾン層破壊防止
船舶空調機・冷凍機など
海洋汚染防止
当社独自のビルジシステム、バラスト水処理装置など
スマートフリートオペレーション、舶用大型ディーゼル機関の
研究開発費用
EGR 装置によるCO2及び NOx 削減技術の実証など
環境意識の高揚と環境方針の浸透 環境 e-ラーニング、環境保全キャンペーンなど
情報開示、社会貢献など
NYKレポート作成費用、環境関連団体への協賛など
合計
93
0
190
702
0
0
2,660
0
638
613
1
8
4,905
* FSC 認証紙を採用しているが、価格差が大きくないのでゼロで計上
環境省ガイドラインによる分類
(単位:百万円)
環境保全コスト
分類
投資
費用
(1)事業エリア内コスト
①公害防止コスト
②地球環境保全コスト
③資源循環コスト
(2)上・下流コスト
(3)管理活動コスト
①環境マネジメントシステム整備、運用
②環境情報開示、環境広告
③環境教育
④環境改善対策
(4)研究開発コスト
環境負荷低減
658
2,672
0
0
0
670
0
0
0
0
0
0
283
5
1
0
0
613
0
0
3,330
2
0
1,575
(5)社会活動コスト
社会貢献活動
(6)環境損傷対応コスト
合計
91
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
集計方法
(船舶の
1. 期間は2015年4月1日から2016年3月31日
燃費節減活動の集計期間は2015 年 1月1日から
2015年12月31日まで)
2. 範囲は本社(国内本支店)、国内自営ターミナル、運
航船舶および付随する業務が中心(ISO14001認
証にかかる審査費用はマルチサイト方式のため、
米州、欧州、南アジア、東アジア地域のグループ会社
を含む)
3. 環境省「環境会計ガイドライン2005年版」を参照
4. 投資額は、当期に取得した減価償却対象の環境関
連設備を集計
5. 費用額は、環境保全を目的とした設備の維持管理
費、人件費を含み、減価償却費は含まない
6. コストの集計においては、法規則などを遵守するため
のコストは計上せず、自主的な環境保全活動のみを
計上
7. 効果は、その影響が定量的に把握できるものを計上
人事データ
(日本郵船)
(2016年3月末現在)
社員の状況
社員数(長期)
採用人数 * 新卒、中途を含む
男
陸上
751名
(海技者 * 以外)
合計
女
267名
1,018名
( 海技者 )
陸上
255名
5名
260名
海上
296名
9名
305名
合計
1,302名
281名
1,583名
* 海技免状保有者(海技免状取得のための海技大学校在籍者を含む)
社員数(有期)
男
合計
女
女
33名
8名
41名
陸上
48名
37名
85名
海上
24名
1名
25名
海上
6名
0名
6名
合計
57名
9名
66名
合計
54名
37名
91名
女
男
役職者数 * 海上、出向者を除く * 2008年度より社外取締役(男1、女1)を含む
2013年度
30歳以下離職者数
男
男
女
陸上
1名
2名
海上
3名
0名
平均勤続年数 * 海上には陸上(海技者)を含む
男
女
陸上
15.1年
19.6年
海上
13.4年
8.9年
合計
男
陸上
2014年度
女
男
2015年度
女
取締役・経営委員
29名
2名
31名
2名
31名
グループ長
35名
2名
34名
3名
33名
3名
チーム長以上
126名
21名
131名
25名
123名
25名
参考:本社組織の人数
494名
192名
512名
195名
505名
197名
2013年度
2014年度
2015年度
2名
労働災害
労働災害発生件数 * 通勤災害を除く
休業日数 * 休業1日以上
2013年度
2014年度
2015年度
陸上
0件
0件
4件
海上
0件
0件
3件
死亡者数
2013年度
2014年度
2015年度
陸上
0日
0日
182日
陸上
0名
0名
0名
海上
0日
0日
60日
海上
0名
0名
0名
社員支援体制
有給休暇平均取得日数
産前産後休暇取得者数
* 海上、出向者を除く/夏季休暇を含む
2013年度
2014年度
12.4日
2015年度
14.3日
2014年度
11名
2015年度
10名
9名
2015年度
100%
介護休業制度利用者数
2013年度
2014年度
2015年度
男
女
男
女
男
女
0名
1名
0名
0名
1名
0名
2014年度
2015年度
男
女
男
女
男
女
0名
23名
0名
21名
0名
22名
2013年度
2014年度
2015年度
2.11%
2.60%
2.50%
教育
平均研修参加日数
平均教育・研修費用
2012年度
2013年度
2014年度
陸上
4.82日
5.02日
6.82日
海上 *
40.5日
29.8日
34.4日
* 2014年度より海上職の通信教育対象期間を除外して算出
2013年度
2014年度
2015年度
陸上
142,888円 148,943円 181,410円
海上
492,387円 533,133円 614,410円
●海外留学・研修制度
(例)・ MBA 留学(期間2年間、2年に1名派遣)
・中国語留学(期間1年間、1年に1名派遣)
・ 短期海外語学研修
(期間4週間、2015年度は1名参加)
92
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
2014年度
2015年度
女
男
女
男
女
3名
28名
0名
23名
6名
18名
* 義務教育までの子供を持つ母親/休業中を除く
障がい者雇用率
* 退職者を除く延べ利用者数
2013年度
男
ワーキングマザー
* 退職者を除く延べ利用者数
100%
2013年度
* 退職者を除く延べ利用者数
育児短時間勤務制度利用者数
2014年度
100%
2013年度
14.1日
女性の育児休業取得率
2013年度
育児休業制度利用者数
* 退職者を除く延べ利用者数
NYK REPORT 2016
2013年度
2014年度
2015年度
39名
46名
51名
人事データ
(グループ会社/日本郵船含む)
国内外の連結会社を対象に、HR サーベイ
(人事労務・人材育成に関する調査)
に基づく社員数を掲載
(2015年度決算月末現在)
グループ会社社員の状況(日本郵船含む)
連結会社社員数(長期雇用社員、有期雇用社員6カ月以上)
男
女
合計
陸上 *1
21,532名
11,536名
33,068名
海上 *2
1,141名
67名
1,208名
22,673名
11,603名
34,276名
合計
*1. 陸上勤務中の海技者、グループ会社からの出向者を含む
*2. 外国人船員を除く
連結会社社員数内訳(地域別)
地域
日本
欧州
南アジア
北米
東アジア
オセアニア
合計
中南米
会社数
65社
25社
37社
10社
20社
4社
7社
168社
社員数
8,024名
5,423名
12,213名
2,760名
3,876名
385名
1,415名
34,276名
外国人船員数
管理支配船(232隻)
単純傭船(550隻)
グループ会社社員数
社員数(陸上職)/有期雇用社員6カ月未満の契約
社員数
9,071名
478名
12,100名
55,447名
採用人数
陸上・海上
男
女
合計
4,234名
1,951名
6,185名
女性数
全体数
比率
女性比率
役員
マネージャー以上
社員数
83名
980名
8%
844名
3,917名
22%
11,603名 34,277名
34%
93
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
企業データ
(2016年3月31日現在)
創立
株主名簿管理人および特別口座管理機関
1885年9月29日
三菱 UFJ 信託銀行株式会社
東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
資本金
〈同連絡先〉
144,319,833,730円
三菱 UFJ 信託銀行株式会社 証券代行部
従業員数
フリーダイヤル:0120-232-711
〒137-8081 東京都江東区東砂七丁目10番11号
連結 :34,276名(当社および連結子会社)
単体 *:1,583名(陸上1,018名、陸勤船員260名、海上305名)
公告方法
* 単体従業員数には、国内外の他社への出向者が含まれています
電子公告により行い、次の当社ウェブサイトに掲載します。
本店
ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告ができない
URL:http://www.nyk.com/koukoku/
〒100-0005 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
場合は、東京都において発行する日本経済新聞に掲載する方法に
電話:03-3284-5151
(代表)
より行います。
URL:http://www.nyk.com
米国預託証券(ADR)
株式の状況
シンボル:NPNYY
発行可能株式総数
上場金融商品取引所
CUSIP:654633304
取引所:OTC
(店頭市場)
比率(ADR:普通株)
:1:2
ADR 名義書換代理人
The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street, New York, NY 10286, U.S.A.
東京、名古屋の各市場第一部
フリーダイヤル:
2,983,550,000株
発行済株式の総数
1,695,911,449株(自己株式4,639,539株を除く)
(米国国内)
888-BNY-ADRS(888-269-2377)
(海外から)1-201-680-6825
URL:http://www.adrbnymellon.com
株価および売買高の推移
株価
(円)
400
300
200
100
0
売買高
(1,000株)
600,000
450,000
300,000
150,000
0
04
05
06
07
08
09
10
11
12
01
02
03
2014
04
05
06
07
2015
94
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
08
09
10
11
12
01
02
2016
03
株主構成
大株主(上位10名)
事業法人
証券会社
7.6%
自己株式
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
0.3%
2016 年 3 月
102,463
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
個人・その他
22.4%
所有株式数
(千株)
株主名
2.3%
金融機関
30.2%
外国人
37.2%
98,235
三菱重工業株式会社
41,038
明治安田生命保険相互会社
34,473
東京海上日動火災保険株式会社
28,945
STATE STREET BANK WEST CLIENT-TREATY 505234
23,293
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口7)
22,987
THE BANK OF NEW YORK MELLON SA/NV 10
22,188
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口6)
18,400
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5)
18,397
所有者別分布状況
(%)
2010/3
0.1
38.7
35.2
19.1
5.1
41.4
29.5
20.6
5.1
0.3
41.8
25.0
25.1
5.4
0.3
35.1
27.8
28.7
5.9
0.3
34.3
34.8
22.6
5.9
0.3
30.6
39.6
19.9
7.5
0.3
30.2
37.2
22.4
7.6
1.8
2011/3
0.2
3.2
2012/3
2.4
2013/3
2.4
2014/3
2.2
2015/3
2.2
2016/3
2.3
■ 証券会社 ■ 自己株式 ■ 金融機関 ■ 外国人 ■ 個人・その他 ■ 事業法人
本レポートについて
編集方針
報告の範囲
対象期間
「NYKレポート 2016」では、業績および営業概況、今後の戦略などの財務情
報に加え、CSR 活動などの非財務情報を総合的に報告した「統合レポート」
2015 年 4月∼ 2016 年 3月(ただし、一部 2016 年 4月以降の情報を含みます)
として編集しています。企業として利益を求めるだけでなく、環境(E)、社会
対象範囲
ガバナンス(G)などの社会的課題にも広く取り組み、持続可能な社会の
(S)、
日本郵船㈱を中心とした国内外グループ会社の活動。活動分野ごとに
実現に貢献していく日本郵船グループについて、多くのステークホルダーの皆
主要な対象会社が異なる場合は、対象範囲を記載しました。
さまにご理解いただければ幸いです。また、ウェブサイトでは、より網羅的かつ
発行時期
詳細に情報を掲載しています。併せてご活用ください。
2016 年 6月(前回:2015 年 6月 次回予定:2017 年 6月)
編集にあたっては、国際統合報告評議会(IIRC)が 2013 年 12月に発表し
た「国際統合報告フレームワーク ver 1.0」などを参考にしました。
ウェブサイト
対象読者
お客さまや株主・投資家の皆さま、お取引先、グループ社員、さらに地域社会や
企業活動全般
NPO・NGO の方々、学生、評価機関、研究者、企業の CSRご担当者など、当
コーポレートホームページ
社グループと関わりのあるすべての方々を読者として想定しています。
http://www.nyk.com
財務情報
非財務情報
ウェブサイト:IR情報
ウェブサイト:CSR活動
http://www.nyk.com/ir/
http://www.nyk.com/csr/
(PDF〈フルレポート版〉)
NYKレポート
ESG情報の開示に関する参照ガイドライン
環境省「環境報告ガイドライン ̶2012 年版」
GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第 4 版」
NYK SPARK BOOK(PDF)
ISO26000
(GRI ガイドラインと国連グローバル・コンパクト、および ISO26000 の対照表は
ウェブサイトに掲載しています)
発行物
(本冊子〈ダイジェスト版〉)
NYKレポート
CSR 活動 >CSRレポート □ 各種ガイドライン対照表
NYK SPARK BOOK(別冊)
IR ファクトブック
95
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
〒100-0005
東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
(代表)
電話:03-3284-5151
URL:http://www.nyk.com
日本郵船株式会社
NYKレポート 2016
Printed in Japan