第8回「ハンガリー旅の思い出」2011年コンテスト作品

第8回「ハンガリー旅の思い出」2011年コンテスト作品
鷹尾 彰久さんの作品
「感動の旅」
2011年3月31日正午、私は1人の日本人との縁でパリ行の機上の人になりました。
今回の目的地はハンガリー。首都ブタペストより車で2時間程行ったソルノク市。
2004年に能楽と音楽による創作能「博多山笠」をアクロス福岡シンフォニーホールに於いて公演し、こ
の能をハンガリーでの公演実現へ向けての第一歩として訪問する為に。
さて、パリでの乗り継ぎもスムーズに、無事ブタペストに到着。荷物の受け取りを待っていると、やがて
ターンテーブルに荷物は…、出て来ない。何と人生初のロストバゲージでした。
いやはや、いきなりの少々手荒い歓迎を受けてしまいました。バゲージクレームカウンターで調べても
らったところ、私の荷物は乗り継ぎ地のパリにありました。
今着いた 荷物はパリに 置き去りに
果たして、荷物は公演までに到着するのでしょうか?荷物の中には公演で使用する着物や装束が
入っているのに…。これから荷物が届くまでは気が休まらない日々が続くのでした。
宿へ着いたのは日本を出発して約18時間、午前0時過ぎでしたが、宿の方よりハンガリー産ビールと
名物パーリンカを飲ませて頂き、長旅の疲れが少し解消(荷物は気になりますが(笑))
翌日はソルノク市長を表敬訪問すると、市庁舎の中庭に、日本より送られた小さなソメイヨシノの木を
発見!!
実は、ソルノク市は山形県遊佐(ゆざ)町と姉妹都市になっており交流があるそうです(ビックリ!)
ソルノク市市庁舎
日本より送られたソメイヨシノの樹
またこの日は、能楽についてあまり馴染みの少ないハンガリーの方にも親しみを持ってもらえる様に2
日はワークショップ、3日は大学でのリハーサルを行い時が過ぎていく…。
ソルノク市の市場
さて、今回の旅では毎日ハンガリー料理を頂いたのですが、どれを食べても美味しく、一度も日本食を
食べたいと思いませんでした。こんな事は海外では初めての経験でした。
グヤーシュ
ソルノク市レストラン バイノックにて
ソルノク市ティサホテル内
レストランにて ランチ(1)
ティサホテル内 レストランにて ランチ(2)
また、ワークショップの合間をぬって、ブタペスト市内の数々の世界遺産を見学する事ができました。ソ
ルノク市と比べればすごく大都会!!!
ソルノク市内の飲泉場
ソルノク市内の飲泉場
その反面、何度となく繰り返された戦争での建物の銃弾の跡など、負の遺産も見た事で少々複雑な気
持ちに。
銃弾のあと
銃弾のあと
いよいよ4月4日、ソルノク大学エントランスホール特設ステージに於いてモーツァルトの音楽コンサー
トの最後にモーツァルトの曲に合わせて、装束をつけて舞うという初めての公演があり(荷物は4月2日
に無事到着しました!)私は曲の合間に謡(うたい)を入れる担当。舞うのは私の兄、囃子は一緒に同
行している白坂氏、緊張しましたが、何とか無事に終えることができ、約500名のお客様にもたくさんの
拍手を頂き大成功を収める事が出来ました。
ソルノク大学エントランスホール
ソルノク大学コンサートのポスター
感動の 拍手に囲まれ 嬉し泣き
翌日は高校にワークショップ、6日にはソルノク市に別れを告げ、ブタペストに移動し、劇場の音楽監
督のイシュトバーン氏と面会し、創作能の可能性を話し合い、演劇学校の生徒さん達にワークショップを
行い、夜には何と国営放送にテレビ出演させて頂く光栄な出来事もあり、ハンガリーでの最後の晩さん
で夜は更けていく。
国営放送局のスタジオの看板
いよいよハンガリーともお別れの日、空港でのロストバゲージというちょっと辛い体験もありましたが、
ハンガリーが誇る世界三大貴腐ワインの甘~いトカイワインと、ヘレンドの陶磁器をお土産に買って
帰ったのは言うまでもない事です。
今回初めてハンガリーを訪れてみて、先祖であるマジャール人はアジアを起源としており、日本人と
相通じる所があると思う。ハンガリーの人々の優しさにたくさんふれる事のできた素晴らしい旅でした。
最後に大変御世話になった1人の日本人、ソルノク市交響楽団で音楽監督をされている井﨑 正浩氏
をはじめ楽団員の方々、同行取材されたRKB毎日放送のスタッフの方々に感謝申し上げます。
また会える 再会の日を 待ちわびて
作品一覧へ戻る
2012年1月