バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し

バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し




信用リスク
オペレーショナルリスク
マーケットリスク
カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測
デロイト トーマツ グループ
有限責任監査法人トーマツ
浅井 太郎
2015年6月11日
目次
1.概要
2
2.標準的手法の見直し及び資本フロア
5
3.影響及び課題
15
4.最後に
24
本資料の意見に関する部分は講演者の私見であり、当法人の公式見解ではありません。
本資料は信頼できると判断した資料・データ等により作成いたしましたが、その正確性及び完全性について保証するものではありません。参考
にいたしました資料やそこに記載されていた数値等につきましては、その合理性や妥当性についてのレビューは一切行っておりません。本資
料中に記載された意見や予測は作成時点のものであり、今後新たな情報等が得られた場合には予告なく変更される可能性があります。
1.概要
2 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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自己資本比率の算出には内部モデルを用いることが許容されています
銀行等の健全性の基準となる自己資本比率については、金融庁の承認を前提として、内部管理に用い
ているモデル等を利用して算出することが許容されています。
自己資本比率の算出手法
自己資本比率
=
各資本区分の基礎項目 − 調整項目
信用リスクアセット+オペレーショナルリスク相当額 × 12.5+マーケットリスク相当額 × 12.5
当局が掛け目等を設定
信用リスクアセット
デリバティブ取引の
与信相当額
オペレーショナルリスク相当額
マーケットリスク相当額
標準的手法(SA)
カレントエクスポージャー方式(CEM)
標準方式(SM)
基礎的手法(BIA)
粗利益配分手法(TSA)
標準的方式(SMM)
内部モデル等を使用
基礎的内部格付手法(FIRB)
先進的内部格付手法(AIRB)
期待エクスポージャー方式(IMM)
先進的計測手法(AMA)
内部モデル方式(IMA)
※斜体は金融庁の承認が必要な手法
3 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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バーゼル銀行監督委員会は全ての「標準的手法」を見直す予定としています
バーゼル銀行監督委員会は、昨年1年間を通じて、モデルを用いない手法である「標準的手法」に関する
見直し案を提示しています。
自己資本比率の算出手法
自己資本比率
=
各資本区分の基礎項目 − 調整項目
信用リスクアセット+オペレーショナルリスク相当額 × 12.5+マーケットリスク相当額 × 12.5
当局が掛け目等を設定
信用リスクアセット
デリバティブ取引の
与信相当額
オペレーショナルリスク相当額
マーケットリスク相当額
標準的手法(SA)
カレントエクスポージャー方式(CEM)
見直し
標準方式(SM)
基礎的手法(BIA)
粗利益配分手法(TSA)
標準的方式(SMM)
内部モデル等を使用
基礎的内部格付手法(FIRB)
先進的内部格付手法(AIRB)
期待エクスポージャー方式(IMM)
先進的計測手法(AMA)
内部モデル方式(IMA)
※斜体は金融庁の承認が必要な手法
4 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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2.標準的手法の見直し及び資本フロア
5 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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バーゼル銀行監督委員会から、信用リスクの標準的手法の見直し等に
関する市中協議案が公表されました
信用リスク標準的手法の見直し及び資本フロアに関する市中協議案の公表
 2014年12月22日バーゼル銀行監督委員会から、以下のテキストが公表されました。
 市中協議文書「信用リスクに係る標準的手法の見直し」(原題:Revisions to the standardised approach for
credit risk - consultative document)
 市中協議文書「資本フロア:標準的手法に基づく枠組みのデザイン」(原題:Capital floors: the design of a
framework based on standardised approaches - consultative document)
 前者の市中協議案においては、信用リスクの標準的手法について、内部格付手法のフロアとして用いることを意識し、
以下の事項を達成すべく現在の枠組みを見直した案が示されています。
① 外部格付への依存の低減
② 粒度(granularity)及びリスク感応度の向上
③ リスクウェイト水準の更新
④ 類似のエクスポージャーの定義や取扱いに関する内部格付手法との比較可能性の向上
⑤ 基準の適用に関する明確化
 後者の市中協議案においては、内部モデルを使用する際に標準的手法を用いたフロアを設定することが提案されて
いますが、具体的な適用方法、フロアの水準等については示されていません。
 今後、2014年12月末基準のQISを実施し、2015年中に最終化する方針が示されています。
6 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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市中協議案ではフロアの水準及び適用方法は示されていません
フロアの適用
信用リスク
フロアの手法
AIRB
オペリスク
FIRB
SA
AMA
信用リスク:FIRB/SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
TSA/BIA
信用リスク:FIRB/SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
移行後経過年数
初年度
2年目以降
フロアの水準
90%
80%
市中協議案
フロアの手法(適用方法)
新SA(未定※)
フロアの水準
市中協議の対象外(今後検討)
※全体/リスクカテゴリー別/アセットクラス別 にて検討の方針
7 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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信用リスクの標準的手法はコンセプトを変える内容となっています
信用リスク標準的手法の変更点の概要
ソブリン/PSE
銀行
証券会社
事業法人
特定貸付債権
中小企業
住宅ローン
商業用不動産担保ローン
株式
オフバランスのCCF
アンコミット枠
コミット枠
NIF/RUF
信用リスク削減手法
現行
市中協議案の対象外
OP:ソブリンの外部格付に応じたRW(20%~150%):本
邦
OP:外部格付に応じたRW(20%~150%)
健全性基準がある場合:銀行に準じた取扱い
それ以外:事業法人扱い
外部格付に応じたRW(20%~150%)/
一律100%
―
与信残高1億円以下先:75%
フル保全:35%
未保全あり:75%(個人・中小企業向け)
不動産取得等事業向け:一律100%
その他:区分ごとのRW
一律RW100%
0%
1年以下:20%
1年超:50%
50%
ヘアカット等一部見直し
8 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
市中協議案
CET1比率/
不良資産比率に応じたRW(30%~300%)
同様
売上高/
財務レバレッジに応じたRW(60%~300%)
開発型(150%)、それ以外(120%)のフロア
要件充足先:75%
それ以外:100%
LTV/DSCに応じたRW(25%~100%)
OP:無担保債権として取扱い
OP:LTVに応じたRW(75%~120%)
上場300%、非上場400%
10%
75%
75%
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バーゼル銀行監督委員会からオペレーショナルリスクの標準的手法の見直し
等に関する市中協議案が公表されています
オペレーショナルリスク標準的手法の見直しに関する市中協議案の公表
 2014年10月6日バーゼル銀行監督委員会から以下のテキストが公表されました。
 市中協議文書「オペレーショナル・リスクに係る標準的手法の見直し」(原題:Review of the Principles
for the Sound Management of Operational Risk)
 この市中協議案では、オペレーショナルリスクの2つの標準的手法(基礎的手法、粗利益配分手法)を一本化
し、その計算要素(代理指標と掛け目)を見直した案が提案されています。
① 代理指標:ネットの粗利益に代えてグロスの収益・費用を参照
② 掛け目:業務区分ごとの掛け目(基礎的手法では一律)に代えて代理指標の規模に
応じた掛け目
 現在の粗利益配分手法において求められている当局の承認は、標準的手法として一本化されることで不要と
なります。
 今後実施するQISを通じて、掛け目が見直される可能性にも触れられています。
9 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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オペリスクの標準的手法はコンセプトを維持しつつも枠組みとしては大幅な変
更となっています
オペレーショナルリスク標準的手法の変更点の概要
代理指標
現行(粗利益)
新指標
資金運用収益-資金調達費用
(資金運用収益-資金調達費用)の絶対値
Interest
資金利益
Services
役務取引等利益
役務取引等収益-役務取引等費用
役務取引等収益+役務取引等費用
その他業務利益
その他業務収益
その他業務収益+その他業務費用
-
ネット損益の絶対値
トレーディング勘定のネット損益
ネット損益の絶対値
受取配当金
-
Financial
銀行勘定
トレーディング勘定
Other
その他
掛け目
粗
利
益
配
分
手
法
(
T
S
A
)
手法(業務区分)
掛け目
基礎的手法(BIA)
15%
新指標の水準
掛け目
リテール・バンキング
12%
~€100m
10%
コマーシャル・バンキング
15%
€100m~€1bn
13%
決済業務
18%
リテール・ブローカレッジ
12%
€1bn~€3bn
17%
トレーディング及びセールス
18%
€3bn~€30bn
22%
コーポレート・ファイナンス
18%
€30bn~
30%
代理業務
15%
資産運用
12%
10 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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バーゼル銀行監督委員会からマーケットリスクの標準的手法の見直し等に関
する市中協議案が公表されています
マーケットリスク標準的手法の見直しに関する市中協議案の公表
 2014年12月19日バーゼル銀行監督委員会から以下のテキストが公表されました。
 市中協議文書「トレーディング勘定の抜本的見直し:検討中の論点について」 (原題:Fundamental
review of the trading book: Outstanding issues)
 この市中協議文書では、2013月10月に公表された第2次市中協議文書に対して限定的な見直しを行ったも
のであり、以下の分野で提案内容の修正を行っています。
1. 現行の信用リスクの内部取引の扱いを補完するための、銀行勘定とトレーディング勘定の間の株式リス
ク及び金利リスクの内部取引(IRTs)の扱いの明確化
2. リスクファクターの感応度に基づく商品価値の変化を入力値とする標準的方式の見直し
3. 内部モデル方式におけるより簡素な流動性ホライズンの採用
 特に標準的手法の見直しでは、銀行の内部モデルが不適切とみなされる状況における代替的な方法として、
あるいは、内部モデルに基づく資本賦課に対するアドオンやフロアとして利用することが可能な枠組みとして
提案されています。
11 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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マーケットリスクの標準的手法は抜本的な見直し案が示されています
マーケットリスク標準的手法の変更点の概要
持ち高に掛け目を適用
株式リスク
コモディティリスク
外国為替リスク
オプション性なし
マチュリティ法
/デュレーション法
一律8%
3%
8%
感応度等を算出し当局掛け目を適用
オプション性なし
金利リスク
一般市場リスク
オプション性あり
個別リスク
簡便法/デルタプラス法
/シナリオ法
オプション性あり
線形リスク
デルタリスク
一般金利リスク(GIRR)
証券化取引以外
信用スプレッド
証券化取引(CTP以外)
リスク(CSR)
証券化取引(CTP)
株式リスク
コモディティリスク
外国為替リスク
証券化以外:0%~12%
証券化:信用リスクの枠組み
8% / 2%
ベガリスク
●
●
●
●
●
●
●
デフォルトリスク
非線形リスク
(Curvature risk)
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
※●毎に市場リスク相当額を算出
12 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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デリバティブ取引の与信相当額の算出方法である「カレントエクスポージャー方
式」の後継として、「SA-CCR」が導入される予定です
デリバティブ取引の与信相当額の算出に関する標準的手法の見直し
 2014年3月31日バーゼル銀行監督委員会から以下のテキストが公表されました。
 「カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測に係る標準的手法」(原題:The standardised
approach for measuring counterparty credit risk exposures )
 デリバティブ取引の与信相当額の現行の算出方法であるカレントエクスポージャー方式及び標準方式に代わ
り、「SA-CCR」が導入されることになります。
 SA-CCRにおける与信相当額は、マージンアグリーメント(変動証拠金の授受)の有無によって、その計算方
法を区別しています。また、アドオンの計算が現行のカレントエクスポージャー方式に比べて非常に複雑と
なっています。
 SA-CCRは、2017年1月からの適用が予定されています。
 なお、別途公表された信用リスクの標準的手法の見直しにおける市中協議案において、期待エクスポー
ジャーを採用している金融機関であっても、信用リスクアセットを標準的手法で算出する場合(すなわち「フロ
ア」の算出)には、SA-CCRを用いることの義務付けが示されています。
13 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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SA-CCRでは、PFEの算出において、大幅な見直しが図られています
デリバティブ取引の与信相当額に係る標準的手法に関する変更点の概要
(カレントエクスポージャー方式)
PFE  グロスのAddOn  0.4  グロスのAddOn  NGR  0.6
ポジションの状況によらず、
40%は残余
NGR 
実際のポジションによらず、
評価損益のみでAdd-onを
相殺
ネットのAddOn
グロスのAddOn
資産クラスのアドオン
PFE  multiplier  AddOn
超過担保の状況により0.05
~1を乗じる
aggregate
各資産クラス内でポジショ
ンに応じてAdd-onをネッ
ティング
金利
為替
商品
クレジット
株式
14 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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3. 影響及び課題
15 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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フロアの水準次第により、内部モデルを採用している金融機関には大きな影響
を与える可能性があります
ただし、後述するAIRB行への適用方法を除き、標準的手法をフロアに適用するという考え方には現行と変わりがなく、標準的手法の
水準が引下げとならない限り、高度な手法(例えばSAからFIRB)への移行のインセンティブは維持されると考えられます。ただし、そ
の影響幅はフロアの水準で決まることとなります。
フロアの適用方法の変更
フロアの手法
信用リスク
AIRB
オペリスク
FIRB
SA
AMA
信用リスク:FIRB/SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
TSA/BIA
信用リスク:FIRB/SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
信用リスク:SA
オペリスク:TSA/BIA
or
バーゼルⅠ
移行後経過年数
初年度
2年目以降
フロアの水準
90%
80%
採用手法
信用リスク
水準
SA
N/A
(75%~100%?)
FIRB
AIRB
オペレーショナルリスク
AMA
マーケットリスク
IMA
16 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
フロアの手法
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フロアの適用方法の変更により、AIRB採用に関する
規制資本上のメリットが減殺されることとなります
本邦ではこれまでAIRB採用時のフロアとしてFIRBを用いることが許容されていました。国際的な合意の見直しによりフロアとして
SAのみを用いることとした場合、規制資本上のメリットが減殺される可能性があります。
フロアの適用方法の見直しの影響
所要自己資本
所要自己資本
市中協議案
(フロア水準を80%とした場合)
現在
80
SA
100
80
68
▲15
FIRB
85
▲15
AIRB
70
SA
100
▲15
FIRB
85
▲5
AIRB
80
所要自己資本が以下の場合
SA
100
17 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
FIRB
85
AIRB
70
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内部モデル精緻化のインセンティブが失われる可能性があります
内部格付手法における精緻化のインセンティブ
RW

内部格付手法の所要自己資本 𝐾𝐼𝑅𝐵 の算出式は、上に
凸であり、以下の関係が成り立つ
𝑃𝐷𝑎 + 𝑃𝐷𝑏
𝐾𝐼𝑅𝐵 𝑃𝐷𝑎 + 𝐾𝐼𝑅𝐵 𝑃𝐷𝑏
𝐾𝐼𝑅𝐵
≥
2
2

すなわち、格付を細分化(精緻化)することで、ポートフォ
リオ全体の所要自己資本率/RWは低下
107%
85%
→格付精緻化のインセンティブ
20%
0.05%
0.8%
1.55%
PD
PD
RW
0.05%
20%
0.80%
85%
1.55%
107%

資本フロアの導入によって、所要自己資本に下限、精緻
化によるインセンティブに限界が生じる可能性
 アセットクラス:コーポレート
(大規模規制金融機関以外)
 LGD:45%
 M:2.5年
18 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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内部モデル精緻化のインセンティブが失われる可能性があります
内部モデル方式(マーケットリスク)における精緻化のインセンティブ
バックテスティングの超過 9回→掛け目3.85倍

内部モデル方式を採用した場合、過去250日分のバック
テスティングでの超過回数に応じて、3~4倍の掛け目が
適用

すなわち、バックテスティングでの超過を抑えつつ、モデ
ルを精緻化することで、所要自己資本を極小化すること
が可能
→モデル精緻化のインセンティブ
バックテスティングの超過 3回→掛け目3.00倍
超過回数
~4回
5回
6回
7回
8回
9回
10回以上
掛目
3.00
3.40
3.50
3.65
3.75
3.85
4.00
19 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し

資本フロアの導入によって、所要自己資本に下限、精緻
化によるインセンティブに限界が生じる可能性
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フロアの適用方法によって、影響は異なることとなります
資本フロアの適用方法については、まだ明確にはされていないものの、その適用方法によって影響が異なることとなり、対応方針
も異なることが想定されます。
フロアの適用方法と影響
全体
リスクカテゴリー単位
アセットクラス単位
計算単位
総所要自己資本
リスクカテゴリー別(信用・オペ・マー
ケット)
信用:アセットクラス単位
マーケット:デスク単位/カテゴリー単
位
抵触可能性※

低い

中程度

高い
フロアに抵触した
際の影響等

内部モデルを適用する範囲を広
げても所要自己資本には変化が
無い

各リスクの内部モデル自体の精
緻化の効果が得られない

標準的手法で採用されていない
リスクドライバーが有効な場合で
も、当該リスクドライバーによる
所要自己資本上の影響が無い
想定される金融機
関の行動

自己資本比率上用いる内部モ
デルの範囲を限定的とする

内部モデルの精緻化に向けたリ
ソースを減少

(実際のリスクに関わらず)標準
的手法に合わせた内部モデルを
構築
※フロアの水準が同一水準(たとえば80%)である場合のフロアへ抵触する可能性
20 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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内部モデルの要件の見直しが検討されていることにも留意が必要です
内部モデルの要件の見直し
リスクカテゴリー
主な見直しの対象
スケジュール等
信用リスク





2015年半ばに
市中協議
オペレーショナル
リスク
N/A
マーケットリスク




LDPへのLGD推計値適用の制限
リボルビングエクスポージャーのマチュリティの見直し
信用リスク削減手法の見直し
保守的補正の取扱い
デフォルトの定義
検討中
モデル、信頼区間の変更(VaR→ES)
リスクの計測単位、モデルの承認単位をデスク別に
相関関係の取扱い
流動性ホライズンの取扱い
21 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
市中協議済
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(ご参考)
2015~16年でソブリンの取扱いを検討することが示されています
BCBSプレスリリース(2015年1月23日)より
G20へのFSB議長レター(2015年2月11日)より
 2015~16年のバーゼル銀行監督委員会の作業
計画は、以下の4つのテーマを中心に構成
 アンタルヤサミットまでに、バーゼル銀行監督委
員会は以下を実施
方針の策定
• 相互作用、一貫性及び全体的なカリブレー
ション
• ソブリンリスク
• ストレステスト
 2016年に最終化するため、リスクアセットを算
出するための「標準的手法」に関する市中協
議及びQIS
 バーゼルⅢへ適用する内部モデルの過度な
ばらつきへの対応手段の公表
簡素さ、比較可能性及びリスク感応度の適切
なバランスの確保
バーゼルの枠組みの実施状況のモニタリング
監督の実効性の向上
22 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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SA-CCRについては、マージン規制への対応と同時に検討を進めるのが望ま
しいと考えられます
SA-CCRとマージン規制
項目
マージン規制
SA-CCR
対象
非清算集中店頭デリバティブ取引
デリバティブ取引(含む上場デリバ)
スケジュール
2016年9月~
2017年1月~
相対ネッティング契約
(対象取引の場合)必須
資本賦課が軽減
ネッティングセット管理
必須
必須
変動証拠金
段階的に導入
エクスポージャーを相殺
当初証拠金
段階的に導入
内部モデル可能
超過担保の状況により、PFEが減少(乗数が
低下)
23 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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4. 最後に
24 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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フロアをめぐる詳細な枠組みは未決定であり、影響は不透明です
フロアに関する未決定事項
 フロアの適用方法
 全体/リスクカテゴリー別/アセットクラス別
 フロアの水準
 フロアを算出する標準的手法の詳細
 信用リスク(枠組み、ソブリンの取扱い)
 オペレーショナルリスク
 マーケットリスク
 経過措置等
25 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
※斜体は市中協議等未済
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SAの見直し、フロアの導入以外にも、多くの規制の見直しが
予定されています
主要な国際的な金融規制強化のスケジュール
テーマ
2013
2014
2015
Basel3
(バーゼル委)
自己資本比率
2016
2017
2018
資本保全バッファー
ファンド
証券化
CCB
信用SA
SA-CCR
オペSA
フロア
CCP見直し
IRRBB
ソブリン
第3の柱
第3の柱
IRB見直し
NSFR
(開示)
(準備期間)
RRP
大口与信
レバレッジ
データ集計
TLAC
G-SIIs
G-SIBsバッファー
D-SIBs
SIFIs
実施日未定
FRTB
LCR
(バーゼル委)
自己資本比率以外
2019
Data Gap
Phase1
店頭デリバティブ市場
改革
シャドーバンキング
Phase2
Phase3(I-A)
マージン規制
PFMI
清算集中
Retention
(証券化)
レポヘアカット
ファンド
大口与信
Now!
26 バーゼルII再来:BCBSによる標準的手法の見直し
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化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています。デロイトの約
210,000名を超える人材は、“standard of excellence”となることを目指しています。
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