Untitled - 順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科

順天堂大学耳鼻咽喉科同門会 平成 24 年 6 月 16 日
目
次
1. 巻 頭 言 ····································· 池田 勝久 ··············
1
2. 巻頭のご挨拶 ································· 市川銀一郎 ··············
3
3. 同門会幹事長ご挨拶 ··························· 杉田 麟也 ··············
4
4. 医局だより ··································· 松本 文彦 ··············
8
5. 臨
(1)
(2)
(3)
床
手術・検査統計 ··························· 本間
外来便り ································· 倉野
専門外来紹介
めまい外来 ···························· 畠
頭頸部外来 ···························· 横山
鼻副鼻腔外来 ·························· 村田
顔面神経外来 ·························· 城所
いびき外来 ···························· 廣津
難聴・補聴器外来 ······················ 笠井
中耳外来 ······························ 古川
音声外来 ······························ 楠
アレルギー外来 ························ 三輪
博友 ·············· 10
香 ·············· 11
将晃 ·············· 12
純吉 ·············· 12
潤子 ·············· 13
淑信 ·············· 13
幹夫 ·············· 14
美里 ·············· 14
正幸 ·············· 14
威志 ·············· 15
正人 ·············· 15
6. 研 究
(1) 耳科領域 ································· 神谷 和作 ·············· 16
(2) 鼻科領域 ································· 廣津 幹夫 ·············· 17
(3) 頭頸部領域 ······························· 藤巻 充寿 ·············· 17
横山 純吉 ·············· 18
7. 学位論文要旨
(1) Gene transfer targeting mouse vestibule using adenovirus and
adeno-assciated virus vectors(マウスの前庭を標的とした遺伝子導入)
········································· 岡田 弘子 ·············· 21
(2) 鼻茸線維芽細胞からのサイトカイン分泌の網羅的解析と
IL-17A への応答性 ························· 本間 博友 ·············· 21
8. 学会見聞録
(1) 第 44 回日本甲状腺外科学会学術集会 ········ 大峡
(2) 第 61 回日本アレルギー学会秋季学術大会 ···· 小野
(3) 第 63 回日本気管食道科学総会・学術講演会 ·· 横山
(4) 第 70 回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会
········································· 畠
(5) 第 21 回日耳科学会総会・学術講演会 ········ 古川
慎一 ·············· 23
倫嗣 ·············· 24
純吉 ·············· 24
将晃 ·············· 24
正幸 ·············· 25
(6) 第 50 回日本鼻科学会総会・学術講演会 ······ 齊藤 達矢 ··············
(7) 第 11 回日台耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会
········································· 本間 博友 ··············
(8) WAC 2011 第 22 回世界アレルギー学会議
········································· 廣津 幹夫 ··············
(9) 第 22 回日本頭頸部外科学会総会・学術講演会
········································· 大峡 慎一 ··············
(10) 第 30 回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 ·· 小野 倫嗣 ··············
(11) 35th MidWinter Meeting(ARO) ············ 村田 潤子 ··············
(12) 第 24 回日本咽頭科学会総会・学術講演会 ···· 大峡 慎一 ··············
(13) 第 35 回日本嚥下医学会総会ならびに学術講演会
········································· 横山 純吉 ··············
(14) 第 85 回日本薬理学会年会「革新的難聴治療の夜明け」
········································· 神谷 和作 ··············
(15) 第 14 回日韓耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会 ···· 藤巻 充寿 ··············
(16) 第 113 回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
········································· 楠
威志 ··············
(17) 第 35 回日本顔面神経研究会 ················ 城所 淑信 ··············
(18) 15th Asian Research Symposium in Rhinology (ARSR)
········································· 廣津 幹夫 ··············
(19) 第 9 回国際真珠腫および耳科手術学会 ······· 岡田 弘子 ··············
(20) 第 36 回日本頭頸部癌学会 ·················· 松本 文彦 ··············
(21) 第 9 回唾液腺疾患コース(エルランゲン大学) ··· 三輪 正人 ··············
(22) 31st International Symposium on Infection and
Allergy of the Nose(ISIAN) ················· 塩沢 晃人 ··············
(23) 第 7 回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
········································· 横山 純吉 ··············
香 ··············
(24) 第 25 回睡眠呼吸障害研究会 ················ 倉野
(25) 第 42 回日本耳鼻咽喉科感染症研究会/
第 36 回日本医用エアロゾル研究会 ·········· 小島 雅貴 ··············
(26) アメリカ耳鼻咽喉科学会 ··················· 三輪 正人 ················
(27) 第 25 回日本口腔・咽頭科学会総会・学術講演会
········································· 吉井 良太 ··············
(28) 第 51 回日本鼻科学会総会ならびに学術講演会
········································· 村田 潤子 ··············
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9. 同門会式次第・同門会賞
平成 24 年度同門会式次第 ··········································· 39
同門会賞(基礎部門) ······················· 藤巻 充寿 ·············· 39
〃
······················· 川野 健二 ·············· 40
10. 平成 24 年度医学教育等関係業務功労者表彰式 ··· 天田 陽子 ·············· 41
11. 関連病院の紹介
(1) 順天堂浦安病院 ··························· 芳川
洋、春山
琢男 ···· 42
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
順天堂静岡病院 ··························· 伊藤
伸 ··············
順天堂練馬病院 ··························· 齊藤 達矢 ··············
順天堂東京江東高齢者医療センター ········· 畠
将晃 ··············
江東病院 ································· 松岡 理奈 ··············
越谷市立病院 ····························· 奈良林 修、矢内
彩 ····
隆澤 ··············
多摩南部地域病院(東京都保険医療公社) ····· 金
浅間総合病院 ····························· 安齋
崇 ··············
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12. 新入医局員の紹介
中村
西村
13. 教室行事
(1) 平成 24 年度新入局員歓迎会 ················ 城所
(2) 2012 年 納涼会 ·························· 吉井
(3) 医局コンペ(池田杯) ······················· 廣津
(4) 平成 24 年 解剖実習 ······················ 小野
14. 寄
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)
稿
近況 ····································· 宮崎
気になること、気に入らぬこと ············· 松本
ビールのおつまみ ························· 浅井
近況報告 ································· 川島
「那須からの書簡」若き諸君へ・・ ·········· 中川
趣味は何かと聞かれたら ··················· 三島
進化し続けるガラパゴス ··················· 吉田
父が旅立った日、そして母のおいなりさん ··· 中澤
練馬病院就任時の思い出 ··················· 畠
真浩 ·············· 52
将彦 ·············· 52
淑信 ·············
良太 ·············
幹夫 ·············
倫嗣 ··············
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雅之 ·············· 57
和彦 ·············· 58
俊治 ·············· 59
理 ·············· 60
雅文 ·············· 61
丈和 ·············· 64
悌友 ·············· 65
詠子 ·············· 66
将晃 ·············· 70
15. 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会特集
(1) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会を振り返って ···· 池田 勝久 ··············
(2) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会を担当して
~医局が一丸になった日~ ················· 楠
威志 ··············
(3) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会が終わって ······ 杉田 麟也 ··············
(4) 学会ならびに日常雑感 ····················· 藤巻
豊 ··············
(5) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会および学術集会に参加して
········································· 山川 卓也 ··············
(6) 感想 - 会場、懇親会について ············· 桜井
淳 ··············
(7) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会 同門会受付 ···· 横井 尚子 ··············
(8) ランチョンセミナー3 ······················ 横山 純吉 ··············
(9) ディベート 2 アブミ骨手術 ················ 古川 正幸 ··············
(10) シンポジウム講演「夢の次世代治療」 ······· 神谷 和作 ··············
(11) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会 第一会場
········································· 笠井 美里 ··············
(12) 耳鼻臨床学会 1 日目第 2 会場 ············· 吉井 良太 ··············
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(13) 耳鼻臨床学会 2 日目第 2 会場 ············· 藤巻 充寿 ··············
(14) 耳鼻臨床学会 第 3 会場 ··················· 岡田 弘子 ··············
(15) パネルディスカッション「Q&A:専門医を目指して」
········································· 沖崎 貴子 ··············
(16) ポスター受付 ····························· 小野 倫嗣 ··············
(17) ハンズオンセミナー ······················· 廣津 幹夫 ··············
(18) 会員懇親会 ······························· 松本 文彦 ··············
(19) 早朝皇居一周ラン ························· 塩沢 晃人 ··············
(20) カリカチュアについて ····················· 矢内
彩 ··············
(21) 優秀ポスター賞 ··························· 大峡 慎一 ··············
(22) 第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会について ········ 白石みさき ··············
(23) 学会本部 ································· 小菅 亜希 ··············
(24) 寄付一覧 ························································
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16. 第 31 回気道分泌研究会 ······················· 三輪 正人 ·············· 97
17. 研究会・病診連携会 ·················································· 99
18. 教室ならびに関連施設業績、競争的資金獲得
教室業績 英文 ···················································· 102
教室業績 邦文 ···················································· 104
文部科学省科学研究費など ·········································· 106
編集後記 ································································ 108
1.巻 頭 言
同門会会長
池
田
勝
久
今年も同門会誌を発刊する時期となり慶ばしい限りです。同門の先生方のご支援の下、第 74 回
耳鼻咽喉科臨床学会を担当させて頂き、無事に成功裡に終えることができました。耳鼻臨床学会に
ついての詳細は今回の同門会誌に特集として掲載しておりますので、是非にご一読頂けると幸甚で
す。また 4 月 7 日に東武ホテルレバントにて第 31 回気道分泌研究会を担当、開催いたしました。
さて、今年度は 1 名のフレッシュマンと 1 名のシニア医師の新教室員を迎えることができまし
た。来年も研究・臨床・教育の三本柱で教室員諸君の活躍を期待しております。
小生は耳鼻臨床学会を控えて、趣味であるスポーツイベントの参加を多少控え気味にしており
ましたが、学会終了の 7 月 8 日(日)には第 18 回 8 時間耐久レース in 所沢の参加を皮切りに、8 月
は連続 4 週間に渡り 5 つのレースに出場し、すべて完泳・完走することができました。8 月 5 日(日)
の第 19 回奥武蔵ウルトラマラソンは高低差 800m の奥武蔵の山々の 78km コースの過酷なレー
スでした。山野の木陰が多いのですが、30℃を超える猛暑の中を 11 時間 30 分程度で完走できまし
た。このレースでエネルギー補給しながらの長時間の運動に耐えうることの実績をつけることがで
き、かなりの自信となりました。8 月 11 日(土)は友人が運営している Open Water Swimming(海
泳ぎ)の大会で神奈川の三浦海岸での 3km のレースを完泳しました。競泳者と同時に救護班の
supervisor として当院の看護師 2 名を引率しました。8 月 19 日(日)は初めてトライアスロン大会
に挑戦しました。非常勤講師を務める川野健二先生に会場の沼津まで車で連れて行ってもらい、二
人で完走・完泳しました(写真)
。スイム 750m、バイク 20km、ラン 5km とショートのレースで
したが、好天の下、競技スポーツの新しい境地を見出すことができました。8 月 26 日(日)は札幌
で開催された北海道マラソンです。8 月でも涼しい北海道を想像するかと思いますが、30℃近い
気温でしかも直射日光の当たる下でのレースとなり苦戦しました。制限時間の設定は 5 時間でし
たが、何とか 10 分前にゴールに辿り着くことができました。夏季の最後のレースは 9 月 1 日(土)
の与論島の海泳ぎの大会です。私は 5km レースに出場し、完泳し、年齢別で 3 位入賞できまし
た(写真)。今年は 3 月にヨロンマラソンにも行きましたので、2 回目の訪島でした。大規模な台
風が過ぎ去った後で、穏やかな海でのレースとなり、益々ヨロンの魅力に取りつかれました。
平成 25 年も教室員一同が団結して、同門諸先生からの患者さんのご紹介を通して外来診療・
手術に邁進し、さらに基礎並びに臨床研究の業績を積み重ねたいと考えております。更なるご指
導・ご鞭撻を何卒、宜しくお願い申し上げます。
-1-
沼津のトライアスロン
与論島の海泳ぎ
-2-
2.巻頭のご挨拶
同門会名誉会長
最近身障者の天畠大輔さんの著書「声に出せない
市
川
あ・か・さ・た・な」(生活書院
銀一郎
東京
2012)
を読んだ。著者は 1981 年に生まれ、14 歳の時に四肢マヒ、言語障害、視覚障害などの重複障害
が生じた。その後文字通り筆舌に尽くしがたい苦労と努力、そしてまわりの人々の暖かい助力に
より同志社大学を卒業。本年 4 月に日本学術振興会特別研究生になるまでの約 30 年にわたる生
き様を 7 年間かけて書きおろした。
「頑張る」とはこのようなことなのだと心底感銘した。五体満足な我々が大輔さんのような気力
を持てればと思うが不可能だ。
去る 7 月、東京ドームホテルにて池田勝久教授主催のもとに耳鼻咽喉科臨床学会が成功裏に開
催された。特別講演の立花
隆氏はかって脳死の問題に取り組み、専門家も舌を巻くような内容
の一連の著書をものしている。その最初の成書に私の聴性脳幹反応(ABR)反応波形の原図を引用
し、脳死判定の一手段としての ABR を見事に解説していたのを思い出した。
ロンドンオリンピックでは過去最高のメダルを獲得した。期間中寝不足になることもしばしば
あったが爽やかな祭典であった。
昭和 39 年、東京オリンピックの際には、当時の順天堂大学体育学部長(東京オリンピック実行
委員長?)の東
俊郎先生のご依頼により千駄ヶ谷の国立競技場地下に設置された臨時の医務室
の受付(問診係も兼ねる)に 2 週間勤務した。その時、各種競技のメダリストなどに描いてもらった
サイン色紙が 20 枚ほどある。今は色あせた色紙であるが良い思い出である。狭い我が家に数カ
国の選手を招き、亡き母に手伝ってもらってステーキ?をご馳走し感謝されたことを思い出した。
最近老人性難聴により語音明瞭度が低下してきている。学会や空港、駅などでは音が反響して
聞き取り辛い。補聴器を使用せざるを得なくなった。今まで聞こえに異常を認めなかった時は、
読み聞きしたエセ知識をもって学生に講義をし、難聴者に得々とムンテラしてきた自分に憤りを
感ずるこの頃である。多分いかなる病状も同様であろう。私は腰痛を持病とするが常々腰痛の経
験がない整形外科医をあまり信用していない。かって耳鼻科学会の重鎮、亡き熊澤先生(関西医大
名誉教授)に
「病気は自分が経験しないと分からないものだよ」と言われたことを思い出している。
-3-
3.同門会幹事長ご挨拶
杉
田
麟
也
早いもので 47 歳のときに縁があって千葉市の稲毛海岸駅前で開業して 20 年が経過した。思い
返すと長いようでもあり、昨日のことの様でもある。居ぬきで買った耳鼻咽喉科診療所であった。
開院初日から 90 人の受診があり、しばらくは診療終了時刻 10:30PM が続いた。治す治療を心
がけてきたため、患者さんからはいろんな医者に罹り治らないときは杉田耳鼻咽喉科で診てもら
えば良くなるとの評判をもらい現在も評価が続いている。感染症、めまいで評判になった。感染
症治療は持論道理に AMPC を投与しただけであったが良く治った。周辺の先生たちはセフェム
系一辺倒処方の時代であり、しかも鼻汁が出ると患者が訴えると鼻しか診察せず、頭頚部全体を
診察する医師はほとんどいなかった。
途中大変な時期もあったが優秀な税理士、近所の工場経営者、従業員たちのお陰で乗り越えて
きた。人を雇い、働いてもらうことの大変さ、従業員を大切にすることを勉強した 20 年でもあ
った。
10 月 6 日京橋のレストラン
シェ
イノで開院 20 周年記念パーティーを 90 人の人たちを招
いて開催した。その席には中国大連大学附属中山医院の副院長兼事務長
授兼
王さんと皮膚科主任教
外来診療部長の許雪誅先生も出席してくれた。25 年にわたる中山医院との交流である。第
2 次世界大戦前に満州鉄道が創立、100 年以上経過、敷地は大連市内1等地に 3 万坪、1,700 床
の大病院である。彼らは訪日の際に順天堂医院 14F の特別病棟を見学した。中山医院にも高級ホ
テルなみの 20 室を有する VIP 病棟がある。そこの管理、運営に順天堂の方法を役立たせたいた
めの見学である。訪日の数日前に小川理事長に面会の申し込みをしたところ思いもよらずにお会
いいただけることに成った。秘書室の人たちも予想外のことにびっくりであった。見学は新井医
学部長の先導で病棟、アトピーセンター、センチュリータワーの医学部教室などを見学し小川理
事長と 30 分ほどお話していただいた。小川先生は誠意を持って訪問者たちとお話してくださっ
た。中国の許先生は予想もしなかった小川理事長との再会、面談が叶い筑波大学留学中(10 数年
前)に受賞した小川賞の裏面に再度理事長のサインをいただき大感激であった。
人を傷つける言動をしても本人は何も感じない人がいるようだ。現在中国全土で広がっている
魚釣島に関連しての日本人、日本企業に対するテロもその一つであろう。騒いでいる人たちは
1980 年前後生まれ、1 人子政策の甘やかされて育った地方農村の出身者で都会に出てきたものの
仕事に就けない不満分子で、共産党に指示されての行動であろう。その人の育った環境や国民性
(帰化して日本国籍を有していて日本人のような名前になっていても)があるかもしれない。私は
1 年ほど前まで人種差別など考えたことがなかった。小学校卒業(1957 年)まで新潟県の片田舎
で生活していた。そこには貧しい家族が居て日本人ではないため一段見下げられ子供たちのから
かいの対象になっていた。しかし、その家族の父親は汲み取りの仕事をまじめにして生活をして
いた。私はあるとき仲間の連中とその人に対し人種差別を意味する言葉で囃し立てた。それを偶
-4-
然聞いた父はわたしをこっぴどく叱り一生懸命働いて生活をしている人たちに差別するような事
を言うものでないことを諭し聞かした。
私は、日本の敗戦で中国から引き揚げてきた。日本が戦争に負ける前でも母方の祖父母は頼っ
てくる山形県人はもちろん中国人にも同じように親身に対処していた。そのため、敗戦となって
も日本に戻るまで中国人からひどい仕打ちを受けなかったと母から伝えきいている。無事に日本
に戻ることが出来たことの恩返しもあって 25 年前から中国の大連大学附属中山医院へ 1 年 2-3
回訪問し通訳付きでの外来診療や講演会など日中交流につとめている。最近は先方の教授から手
術指導の要請もあり、順天堂大学耳鼻咽喉科池田教授、横山准教授、古川准教授、後輩の国際医
療福祉大学
中川教授などをお連れして手術をしてもらっている。交通費、宿泊費は私が全額負
担、先生方には申し訳ないがボランティアをお願いしている。大連との取り決めで訪中、訪日の
費用は自分で持つことにしてある。そうしておかないと中国側は同時に 6-10 人で訪問してくる
可能性があるためである。
日中間に政治的問題が生じても大連では反日デモは無く、危険なことに出会ったことが無い。
大連に出ている日本企業の人たちが日ごろから中国人に親切にしていること、大連の人たちが日
本企業に多数就職していること、日本への留学者が多く日本の状況が理解されているためではな
いか。以前にも中国で日本に対するデモや日本人に対する暴行があった。このとき訪中の最中に
身の危険が生じないかを相談すると、北欧および旭川医科大学へ留学経験がある腎臓内科医は“先
生が喧嘩を売られたら僕が代わりに戦うから大丈夫、安心して来て下さい”と電話で伝えてきた。
お互いに信頼関係が成り立っているから、このたびも私たち兄弟の診療所の開院 20 周年パーテ
ィーに王事務長、許皮膚科教授兼外来診療部長(筑波大、10 年間留学、小川賞受賞)ら 5 名がか
けつけてくれたと考えている。
一昨年ある製薬会社の依頼で某区の耳鼻科医会で講演をした。座長が区医師会誌にそのときの
感想文を書き私に送ってきた。内容は私が話した感染症治療のことにはほとんど触れず、話の途
中でスライド数枚を挿入し話をした大連訪問のことに引っ掛け、昔の日本と自分の出身の国のこ
とを考えていて気がついたら私の話は終わっていたと書かれていた。講演会の座長の質問も人を
馬鹿にしているような内容の無いものであった。30 歳代のころ、はじめて講演会に出かける際に
河村教授から“開業医は玉石混合だから気をつけなさい”といわれたが、某区の講演会の座長は
玉ではなかったのだ。いままでの数多くの講演会でお会いした座長は勉強をしてきた人であり、
一目をおける存在であった。10 月 25 日の講演会は座長から上咽頭炎についても話をして欲しい
と要望があった。よく勉強をしている人だと思ったが、30 年間ほど大学で研修し 6 年前に当地に
戻られたという。このような玉の人が座長をするのが礼儀であろう。今までの経験では人を虚仮
にする失礼な発言をしたのは前述の人だけである。知り合いの先生を介して原稿の真意を聞くも
本人は何も失礼なことは無いといっているとの返事であった。昔から氏より育ちが大切と言われ
ているが苗字は途中から日本人のように変えたが、座長をした人は根本の国民性が異なるので何
も感じないのかもしれない。
私は、某区の講演会に出席するために診療を通常よりも 2 時間はやく切り上げている。診療所
を早く閉めても製薬会社からお金をもらえるのだから良いよねー
との声が聞こえてきそうだ。
確かに講演料をいただくが 1 円も私の懐に入っていないのである。講演会のお金は年末までプー
ルしておき、順天堂大耳鼻咽喉科、SPIO、いろいろな学会、日本赤十字などへ寄付している。
-5-
もう 20 年近くになる。総額数千万円になる。日本赤十字社からも常陸宮様御臨席のもと表彰
状の授与をされている。寄付する金額は年間講演料よりも多い。講演会に行かないほうが診療所
の収入としても、私個人としても肉体的、精神的さらには税金面でも楽である。ボランティアと
考えて講演会を引き受けている。
私は全ての異国出身者に偏見を持っているわけではない。若いころお世話になっためまいグル
ープの青木先生(李
汝倍先生)には学問および人間として必要なことを指導していただきいま
でも尊敬している。同期入局の黄田先生(黄先生)もいろいろ教えられることが多かった。私は、
決して人種差別論者ではない。差別論者なら中国の大連での診療や技術指導に順天堂の先生方を
お連れしたりしない。
あなたは肩書きがないからといわれたことがある。肩書きが大好きで名詞の裏表一杯にこれ見
よがしに書いている人にあったことがある。忙しくて大変だろうなとは思ったがこの人の本職は
なんだろう。私はこのような人を信用しない。前述の座長のように調子が良く、いざという場合
には言を左右に逃げて責任を取ろうとしない人が多いからである。
私は順天堂浦安時代から肩書きで仕事をしてきたことが無かった。千葉県耳鼻咽喉科医会の常
任理事も学術委員会に順天堂出身者が 3 人(芳川先生、中川先生、私)も所属する必要もないの
で 3 人の中で一番振る手の私が後進に道を譲った。またある一部のボスの考えで進む議事ならば
参加する意味も無いので私から理事を辞退した。
65 歳は年寄りなので引退?
人からお前は年寄りで使い物にならないと言われたのは人生で
はじめてである。なかなか他人には言うことが出来ない言葉である。事実私はまだ 1 度も人生の
先輩に“あなたは年寄りで引退したほうが良いです”と言ったことがない。河村正三先生のよう
に退職したら、以後一切の公職から身を引く人もおいでになるがこのような人は極めてまれで尊
敬に値する人である。相手に対して大変失礼な言葉だと思うが現在の常識ではそんなことは無い
のであろうか。相手を引きずり降ろすためならなんでもありか?今朝の TV でおもちゃ博物館の
北原さん(63 歳)が“60、70 歳はがきのうち”と発言されていた。年齢ではなく人生に立ち向
かう向上心がなくなったときに年寄りになったと感じ、他人にも言われるのではないか。手前味
噌ながら、診療や研究に対する姿勢も 40 代,50 代の人に負けない。千葉県第 1 号となる 3D
acuitomo CT の新規導入(2,000 万円近くの投資)、めまい検査
重心動揺計の新規交換など開業
20 周年を機会にグレードアップしている。
何年か前に慢性上咽頭炎の診断法と治療法を悩んだあげく思いついた。急性上咽頭炎の診断を
できても慢性上咽頭炎はきわめて難しい。咳が続いていると喉頭アレルギー、耳痛で外耳炎、中
耳炎所見もないのに軽い中耳炎などいい加減な診断が多く患者さんがかわいそうである。正しい
診断が出来なくても料金は同じとは矛盾している。私も順天堂在籍中 21 年間 1 度も上咽頭炎の
話を聞いたことが無い。幸い、杉田耳鼻咽喉科へアルバイトで来てくれている大学院生の先生方
は素直に私の診断法、治療法を受け入れてくれるので一人、二人と慢性上咽頭炎の診断、治療が
出来る人が増えてきている。経験が豊富な先生方は人の話を聞こうとせず前述のような診断を平
気でいい、患者は納得がゆかなくて再度私の診察を希望して戻ってくる。堀口先生の診断法は上
咽頭炎の概念を持たない医師は思いつかない。医師は自分の知識、技術に満足していてはいけな
い。たえずこれでいいのか、なにか新しいことは無いのか自問自答し少しでも向上しようとする
姿勢が必要であろう。
-6-
また、病院協会が発行している ENTONI(主幹
本庄巌先生、市川銀一郎先生)の H24 年 7
月号の企画編集(耳鼻咽喉科における効果的な耐性菌対策)を一任され人選に悩んだが無事出版
にこぎつけた。この雑誌の企画編集者は大学教授たちであり薄学の私には荷が重かったが、市川
先生の“君しかいない、君には出来る”の一言に勇気付けられて引き受けた。人にだけ仕事を押
し付けるのも気が引けたので自分も内容の一部を分担して執筆した。
時同じく本文 4 百字詰め原稿用紙 30 枚、図表 15 枚の“耳鼻咽喉科感染症の治療戦略”を感染
症から依頼され
毎朝 4 時に起き、腰に毛布、頭からタオルケットをかぶり(若いころからの勉
強スタイル)で執筆し、巻頭論文で掲載された。血圧が上昇しめまいが起こることもあった。
順天堂の耳鼻科の教室は昔のような暖かさがなくなり、ギスギスし、金まみれのように感じる
が私だけであろうか。私が新人のころ、2 年間は無給。生活は親の仕送りが当然であった。国際
学会の費用は自分で稼ぎ出して出かけた。したがってただ同行するだけの人は稀であった。現在
は偏差値が高くなり、私など勉強嫌いの人間とは比較にならないくらい優れた人たちが教室に集
まっているのだろう。研修医手当にアルバイト料で若いときからリッチ。いくらいくら稼がせる
からということが入局の条件になっているとか。国際学会も教室の補助がある。若いときのハン
グリー精神は将来頑張るバネになるのではないか。私の 1 ヶ月の小遣いは 3 万円、1 日 1,000 円
亭主が浦安を辞めるまで続いた。本は父親には内緒で母に買ってもらっていた。たまに患者さん
からデパート券を頂くとそれで牛肉を買ったりしてわずかな贅沢をたのしんでいたものであった。
昔の教室は先輩が後輩を指導してくれたものである。慢性中耳炎手術や気管支直達鏡下気管異
物手術には市川先生は多忙にもかかわらず私に自信が付くまで何回も介助について教えてくださ
った。河村先生も喉頭全摘出術の際の食道粘膜の縫合法を細かく教えてくださった。見て覚える
ことも大切であるがポイントは手を出させて糸を締める強さなど指導することも必要と思う。ま
たまた手前味噌で恐縮ではあるが、浦安時代に副鼻腔炎手術、慢性中耳炎手術は本人の習熟度に
応じて、手術をする範囲をきめ、1 人の患者に 2 人の若手医師に執刀してもらった。時間はかか
るし、私の胃は痛くなるが浦安に来てくれた後輩たちから御茶ノ水の 3 倍の手術が出来ると喜ば
れた。昨今は手術をさせてもらえない、見て覚えろとの風潮が強く、順天堂にいても勉強になら
ないので将来はどのようにしたらよいか悩んでいる人も多いと聞く。伸び盛りの後輩たちの芽を
つむようなことはあってはならない様に思うが手術成績を考えると私が言っている事は甘いので
あろうか?中国のある病院の眼科では、上の人は日本で教えてもらった手術法を若い人に教えな
いという話をきいたが理由はなんだと思いますか?
さらに開業医の私の耳に聴こえてくる話は耳を覆いたくなるような、えー本当?といいたくな
る内容が多い。あえてここでは私が聞き及んだ内容は書きません。うわさの一部は本当であった
ものもある(大学の上層部が伝えてきた)。昔から、火の無いところ煙はたたないと申しますが、
どんなもんでしょう。
言ってはいけないことを色々と書きました。このようなことをぼやくことは年寄りになった証
拠でしょうか?
-7-
4.医局だより
松
本
文
彦
平成 24 年 4 月より医局長の任を賜りました。今年度の新入局者は 2 名で、中村真浩(なかむら
まさひろ)先生と西村将彦先生です。それぞれ新入局員紹介の項で自己紹介していただきます。な
んといっても今年の 1 番のできごとは第 74 回耳鼻臨床学会を主催したことです。池田教授を学
会長とし、事務長を楠先生がおつとめになりました。池田教授の素晴らしいアイデアと OB の先
生方の御援助もあり無事かつ盛大に開催することができました。この場をおかりして、あらため
て OB 諸先輩方のご協力に感謝いたします。また今学会の運営にあたり、当医局秘書の協力もみ
なさんにお伝えしなくてはならないと思います。通常の業務の枠を超え夜遅くまで準備に尽力し
てくれていました。至らぬ点もあったかとは思いますが、彼女たちの力なしには無事に開催でき
なかったかと思っております。医局員の先生も通常の臨床の業務を無事にこなしながら、学会業
務を行ってくれました。
臨床では 13 の専門外来も安定して稼働し、専門性の高い外来診療が行えています。そこから
外科的治療が必要な患者には入院加療を行い昨年度の手術件数は 1,014 件となっています。
これからも先生がたのご指導をいただきながら円滑な医局運営が行えればと思っております。
-8-
2012 年
12 月 1 日現在
本郷
浦安
静岡
練馬
江東高齢者
越谷
教授
池田
先任准教授
楠
准教授
三輪
講師
神谷
助教
倉野
助手
佐々木
大学院
小野
教授
芳川
准教授
横井
助教
飯塚
春山
助手
田崎
永屋
准教授
伊藤(伸)
助教
笠井
岡田
助手
小松
中村
助教
齊藤
助教
伊藤
講師
畠
横山
古川
村田
大峡
西村
本間
一針
塩澤
小島
笠木
廣津
奈良林
矢内
浅間
松本
細川
安齋
多摩南部
金
江東
関
松岡
留学
林
井下
-9-
藤巻
城所
吉井
沖崎
5.臨
床
(1)手術・検査統計
本
間
手術内容別件数
1,014 件
(2011 年 4 月~2012 年 3 月)
鼻科手術
頭頸部手術
153
甲状腺切除術・全摘術
53
(両側)
81
耳下腺切除術・全摘術
22
(片側)
72
顎下腺切除術・全摘術
3
鼻中隔矯正術
93
咽喉頭食摘出術
1
粘膜下下鼻甲介粘膜切除術
51
中・下咽頭腫瘍切除術
24
後鼻神経切断術
27
喉頭腫瘍切除術
31
内視鏡下副鼻腔手術
眼窩底骨折整復術
4
広範囲頭蓋底腫瘍切除術
5
鼻副鼻腔腫瘍摘出術
3
上顎部分切除・全摘術
4
下垂体摘出術
5
口腔・口腔底腫瘍摘出術
7
その他
9
舌部分切除・全摘術
17
頸部郭清術
72
リンパ節生検術
21
合
計
345
耳科手術
正中・側頸嚢胞摘出術
53
鼓膜形成
6
21
再建術
141
喉頭形成術
6
Atresiaplasty
2
気管切開術
21
耳廔孔摘出術
4
頸部・口腔底膿瘍切開術
内耳窓閉鎖術
4
その他
鼓室内チューブ留置術
4
鼓室形成術
3
35
合
計
352
アブミ骨手術
21
人工内耳手術
2
Baha
1
口蓋扁桃摘出術
外側側頭骨切除
1
アデノイド切除術
5
その他
6
喉頭微細手術
8
239
合
計
78
総
計
1,014
合
計
咽喉頭手術
-10-
65
博
友
(2)外来便り
外来医長
倉
野
香
平成 24 年 5 月より外来医長をさせていただいております倉野(加瀬)香です。まだまだ未熟者
ではありますが、毎日必死で診療と外来業務にあたらせていただいております。関連病院、同門
の先生方には日頃より患者様のご紹介をいただき、誠にありがとうございます。毎度のことでは
ありますが、簡単に当院外来の紹介をさせていただきます。先生方にご紹介いただく際、平日と
第 2 土曜日以外の土曜日は初診、一般再診を受け付けておりますので、医療連携室に
FAX(0120-03-3946)または電話 03-5802-3946 または E メール([email protected])にてご
一報いただければスムーズに患者様に受診していただけます。まず一般初診または再診外来にて
診察させていただいた後に、必要な検査を行った上で専門外来(頭頚部、嚥下、甲状腺、鼻副鼻腔、
鼻アレルギー、いびき、顔面神経、中耳、難聴、めまい、鼻レーザー、音声、補聴器)へ予約いた
しております。また年に 2 度病診連携の会を行っており、ご紹介いただいた一部の患者様の経過
を報告させていただいておりますので、お時間がありましたらお立ち寄りください。詳しくは当
科のホームページをご覧ください。また、夜間、休日の救急の患者様に関しては、事前に救急外
来(03-5802-1200)にご連絡いただけると幸いです。
今後も外来一同よりよい診療を目指して精いっぱい努力していく所存です。今後とも御指導、
御鞭撻をよろしくお願いいたします。
-11-
(3)専門外来紹介
めまい外来
畠
将
晃
毎週金曜日午後、めまい外来を開設しています。
一般外来で ENG、重心動揺一通りの神経耳科検査を施行の上、初診には特に時間をかけて問
診を行うようにしています。
難治性めまい、眼振初見の解釈に苦しむ症例はカンファレンスを施行します。
若手医師の、めまい診療に対する問題意識を高めることを、目標としていますが、診療に忙殺
され、教育的な診療が達成されているとは言えない状況で、試行錯誤中ですが、症例発表にせよ
統計にせよ、平衡学会に毎年何らかの形でフィードバックしたいとは思っています。
頭頸部外来
横
山
純
吉
頭頸部外来は主に頭頸部悪性腫瘍の診断、治療、経過観察を松本、大峡、藤巻、横山の 4 人で
担当している。月曜日の午後に主に甲状腺癌と嚥下障害疾患、火曜日の午後に頭頸部癌を診療し
ています。同門の先生方、関連病院の先生方よりご紹介とご協力をいただきありがとうございま
す。高齢化社会、団塊の世代の方が高齢化をむかえ頭頸部癌症例も増加しています。特に舌癌と
中咽頭癌は増加しています。また、最近は合併症のある症例や認知症のある症例が多く、癌セン
ター等では扱わない症例が多くなっています。最近は、好ましいことではありますが、治療法の
選択枝が増え、最適の治療法を選択することが困難な場合もあります。欧米では中咽頭癌の増加
と下咽頭癌の減少が指摘され、中咽頭癌が下咽頭癌より多くなっていることが報告されています
が、当科ではまだ明らかな逆転傾向はありません。しかし、中咽頭癌の増加傾向がみられます。
今後 10 年以内に逆転するものと予測されます。当科の治療方針は患者や家族のお話を良く聞い
て、患者の希望にあった治療法を選択し、納得していただける治療と機能温存療法を心がけてい
ます。従って外来の診療も時間がかかり、大変な混雑振りです。特に最近は癌の専門病院や大学
病院よりの紹介が多くなり、数だけでなく“質”でも非常に濃い症例が増加しています。予約が
取りにくい状況ではありますが、連絡して頂ければ最も都合の良い時に予約を入れます。
頭頸部癌専門医制度も始まり、指導医が誕生し、当院も頭頸部癌治療認定施設になりました。
甲状腺外科専門医制度も始まり、甲状腺外科治療の認定施設にもなっています。今後ますます発
展が期待される当グループですが、多くの先生方の参加と協力をいただき共に発展できればと思
います。
-12-
鼻副鼻腔外来
村
田
潤
子
現在鼻副鼻腔外来は池田教授を中心に 2 名で、水曜日午後 2 時から 4 時の枠で主に初診の患者
様を、火曜日午後 2 時から 4 時の枠で再診の患者様の診察を中心に担当しております。火曜日に
ついては副鼻腔 1 が池田教授の診察枠で副鼻腔 2 が村田の診察枠となっています。内視鏡手術の
適応となる患者様の診療が中心で、アスピリン喘息合併副鼻腔炎を含む難治性好酸球性副鼻腔炎
に対する内視鏡下汎副鼻腔根本術と重症アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術の手術症例が
多いことが特徴です。鼻中隔矯正術に関しても単に彎曲の改善のみではなく、症例によっては鼻
中隔のスリム化によって嗅覚の改善を図るなど、症例ごとに術前に適切な術式を十分に検討する
ように努めています。浸潤型副鼻腔真菌症や眼症状を伴う副鼻腔嚢胞など緊急性を要する疾患に
も、もちろん対応しています。アスピリン喘息合併慢性副鼻腔炎に対しては、手術後に引き続き
呼吸器内科に兼科して頂き、経口で 4 日間程度の日程でアスピリン減感作を施行しています。ア
スピリン減感作療法は手術を希望されない患者様にも単独で受けて頂くことは可能ですが、入院
は必要です。
同門の先生方からの患者様のご紹介をお待ちしております。今後とも相変わらぬご指導のほど
よろしくお願い申し上げます。
顔面神経外来
城
所
淑
信
顔面神経外来は、毎週水曜の午後に行っています。ENoG 検査のための枠でもあるため、多く
の場合、当院あるいは他病院の先生よりステロイドなどの内服処方をしていただいた上で、発症
1~2 週間の間で予約をしていただき診察しています。
外来では ENoG をその日に行い、その結果から予後判定を行い、治療方針を決めております。
治療としては内服、外用薬の処方と、麻痺の程度に応じてリハビリテーション科へ紹介し、顔面
マッサージを行っていただいております。また、発症 2 週間以内で ENoG にて予後不良予測の場
合は顔面神経減荷術も積極的に検討しております。
患者様の中には、他病院で加療を受けられた後、発症 2 ヶ月から 1 年後に受診される方もいらっ
しゃいます。そのような方にはできるだけ訴えを良く聞き、病態の説明を十分に行い、不安を少
しでも軽減できるよう努めております。また残存麻痺のある患者様には必要に応じて、形成外科
や慢性期リハビリテーションの受けることのできる病院への紹介も行っております。
また、顔面神経研究会にも参加し、新しい知識や検査手技も積極的に取り入れるよう努力して
おります。
今後も多方面の先生方にご協力をいただきながら、患者さんの症状と不安が取り除けるよう診
療に取り組んでいきたいと考えております。今後ともご指導、ご協力のほどよろしくお願い致し
ます。
-13-
いびき外来
廣
津
幹
夫
現在、いびき外来は月曜日午後・水曜日午後・金曜日午前で診察させていただいています。再
診の患者様は 1 か月に 220 人程で、大半は経鼻的持続気道陽圧療法(CPAP)の更新や、1 か月間
の CPAP 使用率や CPAP 装着時の平均 AHI の評価などを行っております。初診の患者様は 1 か
月に 24 人程で、眠気 score/ファイバーによる上気道(鼻腔、咽喉頭)精査/鼻腔通気度検査/アレ
ルギー検査/頸部レントゲン/副鼻腔 CT/パルスオキシメーター/終夜睡眠ポリソムノグラフィー
(PSG)で総合的に評価し、軽症~中等度症例には、側臥位の推奨やマウススプリント作製(歯科
口腔外科へ依頼)や下鼻甲介粘膜に対するレーザー治療を、中等度~重症例には CPAP を導入や
鼻科手術・咽喉頭手術などを行っております。当科の PSG 検査は、土日にも検査が可能であり、
平日仕事で検査困難な方にも対応出来るというのが特徴です。最近では、4 歳時以上の小児症例
にも積極的に PSG で評価させて頂いております。今後ともご指導の程、宜しくお願いいたします。
難聴・補聴器外来
笠
井
美
里
木曜日の午前中に笠井が担当しております。進行性感音難聴や小児難聴、耳鳴り等、内耳障害・
後迷路性難聴を主に診察しています。進行性感音難聴(遺伝性難聴含め)に対して人工内耳を施
行し患者様にも喜んでいただけるよい結果をだしております。遺伝性難聴に対する遺伝子検索が
保険診療として認可され、ご希望の患者様には自己負担で検査を行っております。今後とも研鑽
をつむ所存でございますので関連病院、同門会の先生方におかれましては宜しくお願い致します。
中耳外来
古
川
正
幸
中耳外来は水曜日午前、木曜日全日、金曜日午前、土曜日午前に診察を行っております。中耳
外来の医師は古川正幸、本間博友の 2 名です。患者さんは耳手術を必要とされる患者さんが大多
数です。難聴外来、顔面神経外来と綿密に連携し人工内耳手術及び顔面神経関連手術も行ってお
ります。入院は鼓膜形成術であれば 2 泊 3 日、鼓室形成術は 4 泊 5 日、アブミ骨手術も 4 泊 5 日
の入院であり、都内では随一の短期滞在入院となっております。2011 年の手術件数は 231 例で
あり、内訳は鼓室形成術 141 例、鼓膜形成術 53 例、アブミ骨手術 21 例、外リンパ瘻に対する内
耳窓閉鎖術 4 例、人工内耳手術 2 例、先天性外耳道閉鎖症に対する atresiaplasty 2 例、Baha 1 例、
外耳癌に対する外側側頭骨切除術 1 例、その他 6 例でした。脳外科と共同の頭蓋底手術等困難例
も多数症例があります。関連病院、同門会の先生方には積極的に患者様の紹介をお願いいたします。
-14-
音声外来
楠
威
志
現在、毎週木曜日 PM 2 時より音声治療を開始しました。この発声訓練方法は腹式呼吸に重点
を置いております。音声学では、過緊張性音声障害、声帯結節の治療方法は、音声訓練が第一選
択とされています。本訓練法でも、これら症例のほとんどにおいて、過緊張性音声障害の改善、
声帯結節の消失を認めています。さらに、手術が第一選択とされる、声帯ポリープ、ポリープ様
声帯(米川分類 I および II 度)に対して本音声訓練法を試みたところ、病変部の消失および縮小す
る症例もみられ好成績をおさめています。さらに、プロトンポンプインヒビター無反応の喉頭肉
芽腫に対して本音声治療を施行し、約 6 割の病変消失、縮小を認めております。訓練法にて腹式
呼吸を会得することにより、音声改善のほか、夜間、熟睡できるようになったと言われる患者さ
んが結構おられます。腹式呼吸は、高ぶる気持ちや不安感を抑える脳内物質セロトニンの分泌を
促すことが報告されています。また腹式呼吸は、胸式呼吸より CO2 を多く排出することから、
声楽家のほか、空手、カンフーなどの格闘技の訓練にも取り入れられております。皆さんの中で、
不眠気味の方は、仰臥位で下腹部に軽く手を置き、ゆっくりお腹を膨らませて鼻から空気を吸い、
ゆっくり口から息を吐きながら自然とお腹をへこますことを 5-6 回すると、心身共にリラック
スし、眠気を催すでしょう。一度、お試しください。
アレルギー外来
三
輪
正
人
本年度は通常のアレルギー外来(三輪、塩澤担当)とあわせて、過去に順天堂医院を受診し花粉
症として治療した方々を対象として、ダイレクトメールを郵送し、時限的な花粉症外来を週 4 枠、
小野、廣津、大学院生と共におこないました。
本外来では、薬物や手術による治療だけではなく、JRQLQ による QOL の、アレルギー日記に
よる症状の評価を通じて、また独自に開発した種々の生理学的手法によりアレルギー性鼻炎の病態
の解析を進めております。鼻呼気凝集液の採取によるバイオマーカーの検索や初期(季節前)療法
の有効性を基礎的に実証することにより、各個人にあわせたテーラーメイド治療、アレルギーマー
チと呼ばれる一生涯を通じて悩まされるアレルギー疾患の早期介入を、この外来で培ったエビデン
スにより実現させたいと考えております。
アトピー性疾患の唯一の根治療法といわれる免疫(減感作)療法の中で最も高い有効性が確立さ
れている皮下免疫療法もおこなっております。
順天堂大学は本邦におけるアレルギー研究の拠点であります。From Clinic to Bench –and Back
に則り、この外来が少しでもお役にたてればと考えておりますので、引き続きご指導のほどよろし
くお願い申し上げます。
他に、耳下腺、甲状腺などの良性腫瘍も受け持っており、また、唾石の内視鏡治療である
sialendoscopy も開始しておりますので、ご紹介いただければ幸いです。
-15-
6.研
究
(1)耳科領域
内耳遺伝子治療・幹細胞治療開発研究グループ
神
谷
和
作
当グループでは難聴の治療を目的とした内耳遺伝子治療・細胞治療法の開発研究を行っており
ます。近年、神経、心筋、網膜等の再生医療研究の研究成果が特に日本から多く発表され、毎週
のように新聞等で報道されるようになりました。内耳の分野でも 2010 年に胚性幹(ES)細胞およ
び人工多能性幹(iPS)細胞からの内耳有毛細胞への分化誘導法が発表され、2012 年 9 月には ES
細胞からの有毛細胞、ラセン神経節細胞の効率的な分化誘導およびスナネズミ難聴モデルへ移植
と張力改善効果が Nature 誌や新聞等で発表され話題となっております。当グループでは特に遺
伝性難聴で最も高頻度に検出される難聴原因遺伝子である GJB2、コネキシン 26 遺伝子の研究を
中心に難聴の発症や進行の分子メカニズムの解明をコネキシン 26 遺伝子の遺伝子改変モデルマ
ウスによって進めております。さらにこれに対応した新規治療法の開発を同マウスモデルによっ
て検討しております。同分野は我が国で開発された iPS 細胞に代表されるような近年の再生医療
への関心度の高さや我々のこれまでの実績が評価され、本年度も多くの競争的研究費を獲得でき
た分野であり、レベルの高い成果が期待されています。
内耳幹細胞治療分野
これまでマウス骨髄由来間葉系幹細胞をマウス内耳への経半規管還流法によって移植を行って
きました。この経半規管還流法ではマウス半規管に小孔を開け、微小チューブにて内耳外リンパ
腔内で細胞液を還流することにより手術による一時的な聴力低下を最小限に抑えつつ細胞を蝸牛
組織中に侵入させることに成功しています。さらに遺伝子工学的手法を用い、細胞侵入効率を高
める検討により安全かつ効率的な治療法確立のための分子機構の解明を進めております。さらに
京都大学山中伸弥研究室で樹立された iPS 細胞株の供与を受け、内耳前駆細胞に分化誘導した各
種移植用細胞を樹立しました。また、成体内耳からも多能性を示す間質系細胞を樹立し成体内耳
幹細胞として新たな移植用細胞を樹立しました。樹立した幹細胞を内耳の標的部位に到達させる
ことは困難であるため、標的部位への誘導(幹細胞ホーミング)法も検討し、有意な効果が得られ
ております。
今後はこれらの有効性を確認し、聴力改善効果、特にコネキシン 26 関連難聴への効果を確認
していく予定です。
-16-
内耳遺伝子治療分野
これまでの研究では、特にアデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した遺伝子治療法を用いて蝸牛や
前庭に率よく遺伝子を導入する方法が開発され、これによる聴力回復や平衡機能改善が期待でき
ます。この方法により当研究室にて解析してきた Connexin26 コンディショナル KO マウスおよ
び Connexin26 R75W 優性阻害変異トランスジェニックマウスの変異細胞を正常細胞に置換し、
これまで前例のない遺伝性難聴モデル動物の聴力改善に挑戦しています。本年は新たにレンチウ
イルスにコネキシン 26 遺伝子を挿入したウイルスベクターも完成し、これらを用いて感染効率
の高い AAV に加え染色体に遺伝子を挿入できるため感染後の永続的な遺伝子発現が期待できる
レンチウイルスによる遺伝子導入も将来的な遺伝子治療ツールとして検討を行っていく予定です。
(2)鼻科領域
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と真菌の関与に関する検討について
廣
津
幹
夫
好酸球性副鼻腔炎の病態関与している因子として、Alternaria などの真菌のⅠ型アレルギーや、
非 IgE 依存型のアレルギー反応があり、喘息との関与が示唆されておりますが、好酸球性副鼻腔
炎の病態における真菌の役割はいまだに不明な状態であり、様々な研究がなされています。現在、
喘息を伴う慢性副鼻腔炎の鼻茸組織から PCR にて Candida 属などの内在性真菌を有意に検出し
ており、三輪正人先生・神谷和作先生・細菌学の菊地賢先生などの御指導のもと、術中に採取さ
れた鼻茸を分離培養し、検出した真菌の抽出物にて刺激した際のサイトカインの変化を網羅的に
定量することを試みることで、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎における真菌の関与を検討しています。
(3)頭頸部領域
藤
巻
充
寿
横山、松本、伊藤、大峡、藤巻、小島の 6 名を中心に、日々の臨床・研究に励んでおります。
現在までに多数の英文論文が Publish されています。
基礎研究としてはこれまで、松本、伊藤により Niban 遺伝子の甲状腺腫瘍や頭頸部腫瘍におけ
る発現・臨床的意義の検討が行われました。松本により頭頸部癌における、放射線化学療法・分
子標的治療の併用の検討が行われました。また、大峡により頭頸部癌における GLUT-1 発現の
意義、またマーカーとしてその発現濃度と頸部リンパ節転移、および予後との関係についての検
討が行われました。
Human Papilloma Virus (HPV)の頭頸部癌への関与は近年の頭頸部癌におけるトピックスで
あり、HPV 陽性頭頸部扁平上皮癌は陰性症例と比べ、放射線感受性に優れ、また予後においても
-17-
明らかな差を有することが知られています。藤巻が HPV の検索を随時行うとともに、その発癌
要因、病死組織学的検討、臨床的因子の検討を行っております。
近年、近赤外光イメージングが多分野で注目されています。横山、大峡、藤巻を中心に頭頸部
領域における有用性を基礎実験、臨床応用ともに精力的に検討を行っております。
腫瘍病理学教室のご指導の下、小島は悪性胸膜中皮腫の腫瘍マーカー、治療における分子標的
として近年実用化された遺伝子 ERC/mesothelin を ERC/mesothelin 非発現癌細胞に強制発現さ
せ、癌細胞内での細胞死、浸潤などに関する細胞内物質の網羅的解析を行っています。また頭頸
部悪性腫瘍における ERC/mesothelin の発現の有無を解析し、臨床現場へ応用可能かどうかの検
討を行っています。
現在、臨床研究に対しても積極的に取り組み、多数の臨床研究が進行中です。頭頸部癌治療に
おいてリンパ節転移は予後を左右する重要な因子であり、センチネルリンパ節理論に基づいた効
果的な治療法の検討を行い、日々の日常臨床に取り入れています。近年、疾病予防が非常に重要
視され、全世界的に多数の研究が行われています。我々は栄養、嚥下の分野にも積極的に介入し、
頭頸部癌患者の QOL の向上、合併症の予防を図るべく、日々検討を行っております。
横
山
純
吉
頭頸部グループの基礎・臨床研究の研究テーマを列挙します。
1. 頭頸部腫瘍の診断、治療効果判定、再発診断における DNA 合成の分子イメージングの有用
性に関する研究
“DNA 合成イメージング:新しい PET 薬剤による腫瘍・心疾患の臨床研究”の適応拡大
共同研究:国立国際医療センター、東京都健康長寿医療センター
2. インドシアニングリーン蛍光法と放射線同位元素法を用いた口腔咽喉頭癌センチネルリンパ
節生検術の実行可能性の検討
平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発
3. N0 口腔癌における選択的頸部郭清術とセンチネルリンパ節
ナビゲーション手術の無作為化比較試験
平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
多施設研究
センチネルリンパ節理論による頭頸部癌微小転移の解明と個別的治療法の開発
4. 口腔癌における動注化学療法によるセンチネルリンパ節への薬剤の移行性と Lymphatic
chemotherapy の有効性の解明
平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
5. 唾液腺粘表皮癌における融合遺伝子型の網羅的検索による新たな予後予測因子の探索
病理学教室との共同研究
-18-
6. 拡散強調背景信号抑制画像を用いた頭頸部癌放射線化学療法の効果判定
放射線科との共同研究
7. 粘表皮癌の各組織形態に基づいたキメラ融合遺伝子検出と新たな分子治療標的の同定
病理学教室との共同研究
8. センチネルリンパ節理論による頭頸部癌の低侵襲放射線化学療法の開発に関する研究
平成 23 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
9. 切除不能頭頸部再発癌に対する Transcatheter arterial chemoembolization (TACE)の低侵
襲緩和療法の有効性に関する研究
平成 23 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
10. EAP(エイコサペンエン酸)製剤による頭頸部癌への導入化学療法施行時の免疫栄養療法の検討
11. 経口腔的中咽頭悪性腫瘍切除後の術後咽頭機能の推移に関する研究
12. 経口腔的下咽頭悪性腫瘍切除後の術後構音、嚥下機能に関する研究
13. C one-beam CTの頭頸部癌の動注化学療法時の有用性に関する研究
14. 頭頸部癌の頭蓋底浸潤例に対する血管内治療と内視鏡的切除術の有用性に関する研究
内視鏡振興財団助成金による研究
15. 頭頸部癌にICG(インドシアニングリーン)投与後の経時的推移に関する研究
16. ICG(インドシアニングリーン)をガイドにした頭頸部癌切除術の有効性に関する研究
17. バセドウ病に対する最適な外科的治療法の開発
甲状腺内科との共同研究
18. 頭頸部癌の化学放射線療法に伴う嚥下障害に対する頭部挙上訓練(Shakers 法)の有用性に関
する研究
放射線治療部、看護部、歯科との共同研究
19. 頭頸部癌の現状と著しい QOL 低下に関与する痒み対策に関する研究
環境医学研究所助成金による痒みの研究
-19-
20. インドシアニングリーン蛍光法と放射線同位元素法を用いた甲状腺癌センチネルリンパ節
生検術の実行可能性の検討
平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
21. 原発性副甲状腺機能亢進症に対する最適な術前検査・診断法の開発
甲状腺内科との共同研究
22. 頭頸部癌術後瘻孔に対する陰圧閉鎖療法を用いた創傷治癒促進と瘻孔閉鎖に関する研究
平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金がん臨床研究事業
-20-
7.学位論文要旨
(1)Gene transfer targeting mouse vestibule using adenovirus and
adeno-assciated virus vectors
(マウスの前庭を標的とした遺伝子導入)
岡
田
弘
子
加齢や先天性疾患を含めた平衡機能障害を来たす病態において前庭の有毛細胞の損失がみられ
る。また、先天性高度難聴児は幼少児期に末梢平衡機能にも障害を伴う頻度が極めて高いことが
知られている。この研究では、前庭を標的とした遺伝子治療を目標として、複数のベクターおよ
び注入経路における前庭への遺伝子導入効率とその侵襲について検討した。2 週齢の野生型マウ
スに、正円窓と半規管を経由して、アデノウイルスベクター(AdV)とアデノ随伴ウイルスベクター
(AAV)を微細ガラス管を用いてマウス内耳に注入した。手術侵襲を評価するため、聴性脳幹反応
(ABR)とバランステストを術前後に行った。術後 2 週間で免疫染色を用いて導入遺伝子の発現を
観察した結果、いずれの群においても膨大部および卵形嚢において、有毛細胞および支持細胞へ
の GFP の発現が認められた。膨大部および線維細胞においては半規管経由の AAV 投与が、また
卵形嚢有毛細胞においては正円窓経由の AAV 投与が最も効率よく遺伝子導入された。半規管経
由でのベクター投与では遺伝子発現は外リンパ腔に限局すると報告されているが、今回の結果で
は内リンパ腔内にも発現を認め、前庭感覚上皮への遺伝子導入が可能であった。また、注入後の
聴覚・平衡機能検査にて異常は認められず、半規管経由での AAV 投与は前庭を標的とした遺伝
子導入において安全で有用かつ効率的な方法であると考えられた。近年、前庭有毛細胞の再生を
目的に遺伝子導入が検討されているが、そのほとんどが AdV 使用によるものである。AAV は AdV
よりも長期発現が可能とされており、今回検討した半規管経由で AAV を注入する方法を取り入
れることで遺伝子発現がより効率的かつ長期的に得られることが期待され、平衡機能を標的とし
た有効な治療につながることが期待される。
(2)鼻茸線維芽細胞からのサイトカイン分泌の網羅的解析と
IL-17A への応答性
本
間
博
友
【はじめに】Th17 細胞から分泌される IL-17A は、多種の組織中の構成細胞に対し強い影響を及
ぼす重要なサイトカインの一つであり、下気道のリモデリングや炎症に関係したサイトカインや
好中球の遊走・活性化に関係するケモカインを誘導し、炎症の増悪に関与しているといわれてい
るが、上気道におけるその働きは未だ解明されていない。近年、副鼻腔粘膜、鼻茸に多数の好酸
球浸潤を伴う、難治性かつ再発性のいわゆる好酸球性副鼻腔炎が注目されている。好酸球動員の
-21-
機序には Th2 細胞の関与が指摘されているが IgE の上昇は必ずしも伴わず、Th2 型反応とは異
なる病態が推察されている。我々は Th17 細胞に注目し in vivo における鼻茸への好酸球の動員お
よび組織のリモデリングと IL-17A の関係についてこれまでに報告した(Int Arch Allergy
Immunol. 151:8-16, 2010)。また好酸球動員を増強するケモカインとして eotaxin に注目し、好
酸球性副鼻腔炎の鼻茸中では非好酸球性副鼻腔炎と比較し組織中の好酸球内の eotaxin の発現が
亢進しており、鼻茸中および副鼻腔貯留液中の eotaxin の濃度が高値であることを報告した
(Laryngoscope. 119:1053-1059, 2009)。このような好酸球性副鼻腔炎や他の副鼻腔炎の病態を
分子レベルで評価・分類するためには免疫エフェクター細胞とサイトカイン標的細胞との相互作
用機序に焦点を当てた in vitro での評価系が有効と考えられる。今回我々は鼻茸を構成する代表
的な細胞の一つである線維芽細胞のエフェクター細胞としてのはたらきと IL-17A の標的細胞と
しての応答性について検討した。
【目的】鼻茸を構成する線維芽細胞を IL-17A で刺激したときに放出されるサイトカインを定量的
に測定し、その臨床像と比較することで IL-17A と慢性副鼻腔炎の病態との関連を明らかにする
ことを目的とした。
【方法】慢性副鼻腔炎患者から採取した鼻茸と下垂体手術の際に採取した正常の蝶形洞粘膜から線
維芽細胞を純化培養した。鼻茸の上皮下に浸潤している好酸球数を計測し、慢性副鼻腔炎を好酸
球群、非好酸球群に分類し、蝶形洞粘膜の線維芽細胞を正常対照とした。鼻茸線維芽細胞におけ
る IL-17A receptor の発現を Real-time PCR で測定し、好酸球群、非好酸球群、正常対照間での
発現の比較を行った。無刺激の状態で線維芽細胞から分泌されるサイトカインと IL-17-A で刺激
した際に放出されるサイトカイン 27 種類を BioPlex サスペンションアレイで網羅的に測定し、
IL-17A 刺激の有無で分泌されるサイトカインにどのような変化が起きるかを好酸球群、非好酸
球群、正常対照、それぞれにおいて比較検討した。
【結果】IL-17A receptor の発現量は好酸球群、非好酸球群、正常群で有意差は認めなかった。IL-6,
IL-8, MCP-1, VEGF は IL-17A の刺激がない状態でも鼻茸線維芽細胞から高度に分泌されていた。
18 種類のサイトカインは IL-17A 刺激で分泌が有意に亢進した。なかでも IL-9, G-CSF は著明な
増加をみとめた。線維芽細胞の増殖に関係する bFGF は IL-17A 刺激で分泌が抑制されていた。
【考察】鼻茸線維芽細胞では IL-6 分泌が亢進しており、IL-17A 刺激によりその分泌量はさらに
増加する。IL-6 により Th2 細胞への分化が促進され好酸球性炎症を増強する可能性が示され、
さらに IL-6 により Th17 細胞への分化も促進され IL-17A を介した炎症の悪循環が引き起こされ
る可能性が示唆された。また IL-9 には好酸球の IL-5 レセプターを増加させる作用があり、IL-5
による好酸球の活性化を増強する。
さらに IL-9 で上皮細胞を刺激することで RANTES や eotaxin
の分泌が亢進することも報告されている。今回の報告で IL-17A 刺激で線維芽細胞からの IL-9
分泌が亢進することが示され、IL-9 分泌亢進は好酸球炎症をさらに増強する一つの因子である可
能性が示唆された。
-22-
8.学会見聞録
(1)第 44 回日本甲状腺外科学会学術集会
大
峡
慎
一
今回初めて甲状腺外科学会に参加させていただきました。鳥取県米子市にて開催され、当教室
からは横山先生と大峡の二名が参加し、「病理診断が困難であった甲状腺原発 T cell Lymphoma
の 1 例」、
「甲状腺乳頭癌気管浸潤例に対する治療の 1 例」をそれぞれ発表しました。この学会は
外科の先生が多く参加されており、普段参加している学会とは若干違った雰囲気でもあり、学ぶ
ものも多くありました。この学会で非常に興味深かったこととしては、甲状腺癌乳頭癌リンパ節
再発に対する Radioguided Surgery の有用性で 201Tl を用いて低侵襲にかつ確実に腫瘍に到達し
摘出するというものでした。縦隔リンパ節再発症例を時々経験しますが、再手術でありオリエン
テーションが付きづらく、また大血管損傷の危険性などもあり非常に困難な手術となります。そ
うした時にこのような Navigation Surgery が有用かと思われました。学会後は鳥取大学の先生に
キャンパスまで案内していただき、とてもきれいな夕日を鑑賞することもできました。
今後もぜひ本学会には参加し勉強させていただきたいのと、甲状腺外科専門医も取得できれば
と考えております。
鳥取大学医学部キャンパス横
-23-
中海を望む
(2)第 61 回日本アレルギー学会秋季学術大会
小
野
倫
嗣
平成 23 年 11 月 10 日~12 日にかけて品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催されたアレ
ルギー学会秋季学術大会に参加しました。発表者は私一人で「好酸球性副鼻腔炎におけるマクロ
ファージと MUC5AC および Cu/Zn-SOD との関連についての検討」について発表しました。色々
な分野のアレルギーの臨床、基礎の発表が多く、耳鼻科領域以外では、呼吸器科、皮膚科、小児
科の先生も多く参加され、喘息やアトピーなどの発表が中心でした。耳鼻科以外の内科、皮膚科、
小児科の先生の発表は、私にとって非常に新しいことばかりで新鮮でした。また耳鼻科領域での
上気道にも関連してくるため、今後の私の研究について大変勉強になりました。
今回の発表を良い機会として、今後の研究に役立てていきたいと思いました。
(3)第 63 回日本気管食道科学総会・学術講演会
横
山
純
吉
本学会は耳鼻咽喉科だけでなく、呼吸器内科、呼吸器外科や消化器外科や神経内科、リハ科等
を含めた学際的な広範囲の疾患を取り扱う学会である。11 月 10 日、11 日に藤田保険大学耳鼻咽
喉科の内籐教授の主催で名古屋市で開催された。本学会は多数のシンポやワークショップが企画
され大変有意義な学会であった。他科の医師の意見を聴いたり討論する機会があり大変勉強にな
りました。専門医制度となり毎年試験がありますので、是非専門医になりこの境界領域を勉強さ
れ、この領域の専門家として活動されることを希望します。
横山は、切除不能頭頸部進行癌に対して通常化学放射線療法が施行されるが、化学療法無効症
例に動注療法を施行している。特に Seldginger 法で挿入できない症例に対して実施した症例を、
“頭頸部進行がんに橈骨動脈経由の超選択的動注法の有用性の検討”としてまとめて報告した。
同門会の先生方もぜひ本学会に参加されると勉強になることも多いかと思います。
平成 24 年は慶応大学の耳鼻咽喉科の小川教授が日航ホテルで 11 月 8 日、9 日に開催されます。
よろしくお願いします。
(4)第 70 回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会
畠
将
晃
2011 年 11 月 16~18 日、千葉県幕張での、第 70 回めまい平衡学会に参加しました。私は、
「解
離性眼球運動を来した顔面神経麻痺症例」の演題名で発表を致しました。会場には、OB の正木
義男先生が顔を出していらっしゃいました。私のつたないポスター発表を、温かく見守って下さ
いました。正木先生も上半規管裂隙症候群の側頭骨解剖について、ポスター発表をされていま
した。
-24-
医局からは松岡里奈先生が、めまい外来を一緒に担当した縁で、見学しにいらしていました。
めまい診療をきちんと行うことの必要性を痛感してくれたようで、私としては、
「よしよし」とい
うところです。
どちらかというと、医局内ではアウトローな感じの当学会ですが、参加してみると明日からの
めまい診療が苦痛ではなくなります。
(多分)見学だけでも良いので、誰か一緒に来年の学会に行
きましょう。
(5)第 21 回日耳科学会総会・学術講演会
古
川
正
幸
第 21 回日本耳科学会総会学術講演会は 2011 年 11 月 24 日~26 日東北大学小林俊光教授を会
長に沖縄コンベンションセンターにて行われました。2011 年 10 月に仙台国際センターで行われ
る予定でしたが 3.11 の地震と福島の原発の影響にて変更されました。特別講演の外国人にとって
は福島県と宮城県は隣接しており、福島と仙台は非常に近接して見えるのは致し方のないことだ
と思います。私にとって沖縄は 2 回目の訪問でしたが、学会としては初めてであり、思い切って
沖縄で耳科学会を主催された小林会長の英断に拍手を送りたいと思いました。
当科からは私が当科における「CO2 laser-assisted stapedotomy の術後成績の検討」を、笠井
美里先生が「反復する髄膜炎を発症した内耳奇形成人症例」を、岡田弘子先生が「Malleus bar
の 1 症例」を発表されました。この学会は otologist であれば必ず出席する学会であり、私もこの
学会を通していろいろな手技をビデオで見聞きして勉強してきました。特にモーニングセミナー
とインストラクションコースは秀逸であり、今年の耳科学会のインストラクションコースは「CO2
laser-assisted stapedotomy」で私も担当します。全てのこれからを担う otologist が出席してほ
しい企画です。
(6)第 50 回日本鼻科学会総会・学術講演会
齊
藤
達
矢
平成 23 年 12 月 1 日~3 日にかけて岡山コンベンションセンターで第 50 回日本鼻科学会総会・
学術講演会が開催され、池田教授・村田先生・三輪先生・倉野先生・本間先生・小野先生・廣津
先生・塩澤先生・小島先生、齊藤の 10 人が参加しました。その中でも鼻科学基礎問題研究会で
本間先生が「鼻茸線維芽細胞からのサイトカイン分泌の網羅的解析と IL-17A への応答性」とい
う演題で発表され、質疑応答にも的確に答えており、すばらしい思いました。自分も研究してい
た内容でしたので大変興味深く拝聴できました。また、臨床の発表も数多くあり、日常診療に役
立つ内容で有意義な学会でした。
-25-
(7)第 11 回日台耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会に参加して
本
間
博
友
平成 23 年 12 月 8 日、9 日に神戸で開催された第 11 回日本台湾耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会
に参加しました。今回は池田教授と私の 2 人が学会に参加しました。池田教授はシンポジストと
して発表し、私は「Clinical application of a card-type odor identification test to olfactory
assessment in Parkinson’s disease」という演題名でポスター発表を行ってきました。ポスター
の前で質疑応答を行う形式で、いくつか質問を受けることとなりましたが、つたない英語でなん
とか答えることができました。日本台湾耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会への参加は今回がはじめて
でしたが、幅広い分野の演題があるなか、鼻科と耳科に関する session を中心にきいてきました。
臨床に関する発表であったため、英語はなかなか聞き取れませんでしたが内容は把握することが
でき大変勉強になりました。
(8)WAC 2011 第 22 回世界アレルギー学会議
廣
津
幹
夫
第 12 回の世界アレルギー会議が 2011 年 12 月 4~8 日にメキシコのカンクンで開催されまし
た。岡山での鼻科学会を終えた翌日の出発で慌ただしかったうえに、途中ワシントン D.C で乗り
換えを含め 16 時間の長旅でしたが、医局からは池田教授、小野先生と私の 3 名が参加しました。
池田教授は、
“Multiple Analysis of Cytokine and Chemokine release of the Cultured fibroblast
of nasal polyps:The effct of IL-17A について公演され、小野先生と私はポスター発表でした。
小野先生は、ポスターシンポジウムに選ばれ、苦戦を強いられながらも、質疑応答になんとか対
応されていました。今回の学会は耳鼻咽喉科領域だけではなかったため、見分を少し広めること
が出来たのではないかと思います。
中日 1 日は、マヤ文明の遺跡の、世界遺産であるチチエン・イッツアを見たり、セノーテの泉
で泳いだりとお約束の観光を楽しみました。他、美しいカリブ海で泳いだり、おいしいメキシコ
料理を楽しむこともでき、いろいろな意味で充実した学会となりました。
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(9)第 22 回日本頭頸部外科学会総会・学術講演会
大
峡
慎
一
毎年参加しているこの学会ですが、本年は福島で雪の降る寒い中で行われました。当科からは
横山先生が「中咽頭癌側壁型症例における低侵襲な経口腔的切除法の有用性の検討」、松本先生が
「当科における外耳道癌症例の検討」、伊藤先生が「バセドウ病手術症例の検討」そして大峡は「当
科における声門閉鎖術の検討」をそれぞれ発表しました。
本学会は様々な手術手技について幅広く勉強することができ、最も好きな学会のうちの一つで
す。今後導入されると思われる Trans Oral Robotic Surgery(TORS)についての講演も興味深く
拝聴しました。当時は研修医だった中村先生(現在静岡病院)も参加し、夜はみんなでおいしいお
酒を味わい、普段のあわただしい日常から離れ楽しい一時を味わうことができました。
(10)第 30 回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
小
野
倫
嗣
平成 24 年 2 月 16 日~18 日にかけて滋賀で開催された日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会に
参加しました。私は「好酸球性副鼻腔炎における好酸球・マクロファージと Cu/Zn-SOD との関
連についての検討」について発表しました。当科からの他の発表者は、三輪先生が「感染刺激に
よる鼻粘膜上皮バリア機能の変化のメカニズム」を発表され、広津先生が「鼻茸を伴う慢性副鼻
腔炎の感染因子における PCR 解析の検討」を発表され、塩沢先生が「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
の分類と臨床像の検討」について発表されていました。免疫アレルギー学会は鼻科領域中心に基
礎の発表が多く、今後の私の研究について大変勉強になりました。
この時期の滋賀は大変寒く、琵琶湖周辺には雪が積もっていました。学会の合い間に清水寺の
参拝や、彦根城の観光にいったり、近江牛を食べたりと学会ならではの楽しみもありました。
今回の発表を良い機会として、今後の研究に役立てていきたいと思いました。
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(11)35th MidWinter Meeting(ARO)に参加して
村
田
潤
子
35th MidWinter Meeting of ARO は、2012 年 2 月 25 日から 2 月 29 日までカリフォルニア州
のサンディエゴで開催され、順天堂大学耳鼻咽喉科からは池田教授、飯塚先生、大学院生の城所
先生、村田が参加しました。池田教授と長い間共同研究をされて来た美野輪先生も参加され、た
びたび夕食などをご一緒して頂き、私どもの研究へも貴重なアドバイスをして下さいました。飯
塚先生は Gjb2 コンディショナルノックアウトマウスの難聴に対する遺伝子治療の可能性につい
てポスター発表をしました。村田は最近同定された F-box protein である Fbxo45 について発生
段階をおっての発現パターンを調べ、有毛細胞へのシナプス形成におけるその役割についてポス
ター発表で示唆しました。
サンディエゴは映画「トップガン」の舞台になった町です。ミッドウェイ航空母艦博物館を擁
する美しい港が印象的でした。
今回 ARO に参加させて頂いたことで内耳研究についての最新の知見に接することができまし
た。池田教授、同門の先輩の先生方、また学会中病院で診療に携わってくださった先生方、秘書
の方々など、今回の参加をサポートしてくださった皆様にこの場をお借りして心より御礼を申し
上げます。
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(12)第 24 回日本咽頭科学会総会・学術講演会に参加して
大
峡
慎
一
本年の喉頭科学会は石川県金沢市で開催され、池田教授は座長として、私はポスターで「当科
にて声門閉鎖を行った 2 症例の検討」を発表しました。金沢は自分の生まれ故郷なので、この学
会へ参加するのは非常に楽しみにしておりました。
初日の夜は懇親会に参加し、様々な大学の先生と話をすることができ、なかでも声門閉鎖術で
は日本での第一人者である鹿野先生とも直接お話しする機会があり、非常に有意義な時を過ごす
ことができました。また学会 2 日目の午後の空いた時間を利用し、金沢の祖父母に 5 年ぶりに会
うこともでき、その元気な姿は逆に自分に元気とモチベーションを与えてくれたような気がしま
した。
(13)第 35 回日本嚥下医学会総会ならびに学術講演会
横
山
純
吉
本学会は寒い 2 月に高知大学の兵頭教授の主催で高知市にて開催された。高知市は 2 月にもか
かわらず暖かい日差しでした。昨年度より本学会の理事長はリハビリテーション科の藤島先生が
なさっており、耳鼻咽喉科だけでなく、神経内科、リハ科や医師以外の歯科や ST 等を含めた学
際的な学会に生まれ変わろうとしている。学会場では頭頸部癌学会の前理事長の岸本先生や現理
事長の加藤先生と今後の本学会の方向性を話す機会が有った事は有意義であった。また、次回は
東京医科歯科大学の岸本教授が本学会を主催する予定になっていますので、同門会の先生方もぜ
ひ参加されると勉強になるかと思います。よろしくお願いします。現在、厚生労働省や日耳鼻も
嚥下障害に対して在宅医療等を推進しており、今後必要になることも多いかと思います。私は本
学会の評議員として研究会の頃より継続して活動しています。何か嚥下の問題で困ることがあれ
ばお気軽に連絡下さい。
(14)第 85 回日本薬理学会年会「革新的難聴治療の夜明け」
神
谷
和
作
第 85 回日本薬理学会が 2012 年 3 月に京都国際会議場で開催され、
「革新的難聴治療の夜明け」
というタイトルのシンポジウム講演で発表させていただきましたのでご報告いたします。本シン
ポジウムは公募シンポジウムとして新潟大学医学部基礎応用器官生理学教室の日比野浩教授を中
心に企画され、当講座池田教授と共に座長として採択され、開催へと至りました。同企画は昨年
3 月に予定されていた第 84 回のパシフィコ横浜大会にも採択されていたのですが、東日本大震災
の影響により中止で誌上発表となってしまったため、本年度改めて採択され二年越しの企画がよ
うやく本発表へと結びついた次第であります。日比野先生のご尽力に深く感謝いたします。本講
演の演者は京大耳鼻科の中川隆之先生、慶応大耳鼻科の神崎昌先生、スタンフォード大学の大島
一男先生と私の 4 名でした。内耳の知識があまりない薬理学会の先生方になるべくわかりやすく
-29-
内耳科学の面白さを伝えようとの日比野先生の意向で、事前のメールや前日の打ち合わせ等によ
る 4 演者の講演の方向性の確認を入念に行いました。講演ではまず京大中川先生が内耳に関する
イントロをわかりやすく説明し、難聴への薬理学的アプローチの最近の知見を述べていただきま
した。この丁寧な導入のおかげで後の三名の発表がやりやすくなったことと思います。二番手と
して慶応の神崎先生がご自身の内耳遺伝子治療研究について、臨床応用にむけての現実的側面に
関するコメントを交えてご発表くださいました。三番手は私で幹細胞を使った難聴治療法の開発
について、特に骨髄間葉系幹細胞を使った遺伝性難聴の治療法開発の研究についてご報告させて
いただきました。最後に薬理学会の先生方には最もホットな話題であったと思われる、ES 細胞、
iPS 細胞による内耳有毛細胞の分化誘導の研究についてスタンフォード大の大島先生が御講演く
ださいました。大島先生は 2010 年に上記内容を Cell 誌に報告し、当時新聞等でも大きな話題と
なっておりました。ES/iPS 細胞による有毛細胞作製に関する新しい展開をお話し下さり、将来
的な難聴への幹細胞治療に向けて大きな期待が持てる夢のあるお話で講演を締めくくっていただ
きました。
これらの著名な先生方とご一緒に講演でき、レベルの高い日本薬理学会という場で内耳科学の
面白さをアピールできたことを大変光栄に思います。
(15)第 14 回日韓耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会
藤
巻
充
寿
平成 24 年 4 月 12 日から 14 日に行われた、
14th Japan Korea Joint meeting of Otorhinolaryngology
Head and Neck Surgery に参加してまいりました。今回は池田教授、楠准教授、神谷先生、私の
4 名での参加となりました。本学会への参加は 2 度目でしたが、相変わらず不安を抱えての参加
となりました。着いてみると予感は的中し、自分の英語力の低さを痛感し、また韓国の先生方の
非常に流暢な英語には驚きました。学会中は晴天に恵まれ、満開の桜は素晴らしかったです。今
後もいつ国際学会へ参加する機会に恵まれるかわかりませんが、来る日に備え、英語力の向上を
図りたいと思います。
(16) 第 113 回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
楠
威
志
今年の日耳鼻総会は、5 月 10 日~12 日に新潟市でありました。その前のゴールデンウィーク
後半は、真夏日を思わせる日が続きましたが、本開催期間中は、晩秋を思わすような肌寒い気温
となりました。その期間中、関東では竜巻、雹、落雷、ゲリラ豪雨など大荒れの天気となってお
りました。
さて、本学会の内容ですが、シンポジウムでは「災害時における耳鼻咽喉科の役割」、パネルデ
スカッションでは「今後の専門医研修制度のあり方-良質な専門医育成を目指して-」と両群と
も現在のかかえる問題に即したテーマにしていました。小生の個人的にためになった臨床セミナ
ーでは、
「発声のメカニズムと障害への対応」でした。本セミナーでは、早期喉頭癌の診断の注意
-30-
点のほか、批裂軟骨脱臼を前方脱臼と後方脱臼に分類し、それぞれの診断と治療を分かりやすく
解説されていました。
今年より日本耳鼻咽喉科学会が一般社団法人へ移行により代議員制となりました。これに伴い、
例年行われる 2 日目の PM 1 時からの総会がなくなりました。そのため、会員懇親会の開始が早
まりした。このことは、会員の先生方にとって、会期 3 日間という長丁場の本学会のことを考え
れば、体も楽になり、また懇親会終了後、帰宅することもできるようになり良かったのではない
でしょうか。
(17) 第 35 回日本顔面神経研究会
城
所
淑
信
第 35 回日本顔面神経研究会が 2012 年 5 月 31 日、6 月 1 日に福島県猪苗代にて開催され、順
天堂からは池田教授と城所が参加しましたので報告させて頂きます。
私にとっては震災後はじめての福島でしたので現地の状況を色々考えながら向かったのですが、
会場の猪苗代の土地はのどかな田園風景が一面に広がる自然豊かな場所で、震災の影響をあまり
感じさせず、現地の方々は元気に働いておられました。
この場所は海から遠く離れており、実際に他の場所よりも震災の影響は少なかったようです。
地元の方は安全なので多くの方に観光に来て欲しいとおっしゃっていました。
顔面神経研究会は小規模ながらも活気に溢れ、耳鼻咽喉科医師以外にもリハビリテーション科
や形成外科からも多くの医師が参加しておりました。今回私は「当科における ENoG 検査(正中
法)を用いた末梢性顔面神経麻痺の症例検討」を発表させて頂きました。発表後の質疑応答で正中
法の考案された大阪医科大学の萩森先生からコメントも頂くことができました。正中法について
の報告症例は今までは少なかったですが、今回の研究会では 4 題発表があり、同方法が着実に広
がっていると感じました。
普段論文でしか名前を存じ上げなかった先生方とも直接お話しする機会に恵まれ、充実した研
究会でありました。また、顔面神経麻痺の慢性期リハビリテーションで高名な帝京大学教授の栢
森先生ともお話でき、慢性期リハビリが必要な患者様がいらしたら、ぜひご紹介くださいとのお
言葉も頂きました。
今回学んだことや諸先生方とのつながりを今後の顔面神経外来にも活かしていきたいと思います。
(18) 15th Asian Research Symposium in Rhinology(ARSR)
廣
津
幹
夫
平成 24 年 5 月 24~26 日にかけて、第 15 回 ARSR がシンガポールのオーチャードホテルで開
催され、参加してきました。池田教授が、“Relevance of clinical manifestations to eosinophil
accumulation and mucosal remodeling in chronic rhinosinusitis with nasal polyps”を口演さ
れ、三輪先生、小野先生、私の 3 人はポスター発表でした。やはりアジア諸国の先生方の発表が
中心でしたが、3~4 割程度しか理解出来ず、自分自身の英語の理解力の乏しさには毎度ながら嫌
-31-
気がさします。(嫌気がさして英語をもう少し勉強しようと毎回思うのですが、日本に帰ってくる
とその反省をすぐに忘れてしまいます、、、)
また現在は大学院生のためか基礎的な部門に耳を傾
けてしまうことが多いので、次回は臨床部門に注目して ARAR に参加してみたいと思いました。
空き時間には東京よりも都会的で魅力あふれるシンガポールの街を、三輪先生、小野先生と散
策し堪能しました。夜には、教授夫妻とナイトサファリに出かけたり、ソフトバンクの CM で有
名になったマリーナベイサンズホテルの最上階で、シンガポールの夜景や晩餐を楽しんだりと学
会のアフターライフも十分エンジョイしました。
(19) 第 9 回国際真珠腫および耳科手術学会
岡
田
弘
子
平成 24 年 6 月 3 日から 6 月 7 日まで長崎で開催された、The 9th International Conference on
Cholesteatoma and Ear Surgery に参加しました。順天堂からは、古川正幸先生が“Japanese
results of CO2 laser-assisted stapedotomy with Teflon piston”という演題で口演を、私岡田が
“Ossicular reconstruction with the Teflon piston in cases of inadequate incus and absent
stapes”という演題でポスター発表を行いました。4 年に 1 度の国際学会が日本であるというラッ
キーに遭遇できたのですが、実はそもそも真珠腫学会が存在するということを直前まで知りませ
んでした。会場では、6 会場に分かれてシンポジウム・パネルディスカッション・口演などが開
催され、活発な議論が交わされました。画像や動画が多用され、英語の苦手な私でもかなり理解
することができました。カダバーダイセクション(ライブ)が 2 日間に渡って行われましたが、イ
マドキは 3D で上映されるようで、会場の全員が黒の偏向サングラスをかけて異様な光景のなか
異様な盛り上がりでした。また、これまた幸運にもこの学会主催の側頭骨実習にも参加させてい
ただくことができたのですが、1 日で解説から実習まで終えるプログラムだったのですがポイン
トを絞って簡潔に教えてもらえたためとてもわかりやすく、少し自信もつくような実習でした。
もちろん全て英語で、日本人の先生につい日本語で質問しても英語で返事が返ってくるといった
状況でしたが、専門用語は普段も使うものですし、講師の先生方も大きなアクションをつけて大
事なところだけわかりやすく説明してくださり、一歩前進できたように思います。これから耳の
手術をしようという方にはぜひぜひおすすめのコースです。ちなみに次回の真珠腫学会は 2016
年にスコットランドのエジンバラで開催されるそうです…!
-32-
(20) 第 36 回日本頭頸部癌学会
松
本
文
彦
平成 24 年 6 月 7, 8 日に島根県民会館(主管は鳥取大学でした)で第 36 回日本頭頸部癌学会が開
催されました。当医局からは横山先生、伊藤先生、大峡先生、藤巻先生、小島先生、安齋先生、
松本の計 7 人が演題発表を池田教授が座長をつとめられました。伊藤先生は直前に体調を壊され
ていたので参加できるのか心配していましたが、元気に参加されて学会を満喫されていたようで
安心しました。学会の中心的話題は現在当科で横山先生が中心になって取り組んでいる動注療法
やセンチネルリンパ節生検術といった低侵襲治療、またここ数年の頭頸部癌の話題である HPV
関連でした。学会を見分した感じたことは低侵襲治療もだいぶ広まってきており、新しい知見や
テクニックを踏まえた次のステージにむかっているように感じました。学会の夜は久々に腫瘍グ
ループで集まることができ楽しくお酒も飲めました。今後も知識を update しながら頑張らなく
てはと思った学会でした。
(21) 第 9 回唾液腺疾患コース(エルランゲン大学)
9th International Course of Salivary Gland Diseases in Erlangen
三
輪
正
人
6 月 13 日から 15 日まで、ドイツのエルランゲン大学でおこなわれた 9th International Course
of Salivary Gland Diseases に、日本からはたった一人でしたが、参加させていただきました。
ありとあらゆる唾液腺疾患の手術セミナーでした。目玉は sialendoscopy といわれる内視鏡下の唾
石摘出術で、ライヘを利用した実習もあり、充実した 3 日間を過ごさせていただきました。
(写真 1)実習をおわったところ、解剖学教室の建物の中で
-33-
エルランゲン大学は、田舎の風情が
ただよう場所にありますが、敬愛する
鼻内視鏡手術の黄川田先生や、政治学
者の姜 尚中先生の留学先であったこ
と、出席直前に知りました。耳鼻咽喉
科の建物の玄関ホールには、歴代教授
の顔写真が飾ってあります。右下がキ
ーゼルバッハ教授、下段中は、デンケ
ル教授です(写真 2)。
フランクフルトからの鉄道の旅でし
たが、高速鉄道に乗りかえるにはニュ
ルンベルグに立ち寄る必要があります。
(写真 2)エルランゲン大学歴代教授の写真
ルネサンス時代の画家デューラー、
アドルフヒットラーなどで有名ですが、エルランゲンに隣接しながら全く異質なこの都会で、
ニュルンベルクソーセージをつまみながら、コース後のひとときを過ごすことができました。
唾石の内視鏡手術を今後順天堂医院でもおこないたいと考えておりますので、症例をご紹介い
ただければと思っております。よろしくお願いいたします。
(22) 31st International Symposium on Infection and
Allergy of the Nose(ISIAN)
塩
2012 年度の ERS&ISIAN はフランスの toulouse
で 6 月 17 日~21 日にわたり開催され、池田教授、齊
藤先生とわたくし塩沢が参加して参りました。
池 田 教 授 は “ Subclassification
rhinosinusitis
with
nasal
polyp
of
chronic
based
on
eosinophilic and neutrophilic infiltration”の口演を
なされ、齋藤先生と私はそれぞれ臨床と基礎のポスタ
ー発表をして参りました。
toulouse はフランスで国内線に更に乗り継ぎが必
要であり、日本からのアクセスは決してよくありませ
んが、日本の他大学からも多くの演者、参加者がいら
しており、内容も多岐にわたり大変盛況であった印象
と持ちました。
我々は 18 日より現地に滞在しておりましたが、初日
の夕食を取り始めたころ、丁度偶然店内に OB の川野
先生がいらっしゃり、一緒に食事をして近況や学会の
お話など伺うことができました。
-34-
沢
晃
人
国際学会は academic な医学の知識、また見聞を広める上で非常に貴重な機会です。
今後も是非精力的に参加させて頂きたいと考えております。
(23) 第 7 回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
横
山
純
吉
本学会は頭頸部癌学会、お茶の水研究会、東京都地方部会と学会の続く 6 月 21 日、22 日に岡
山大学の西崎教授の主催で岡山市にて開催された。私は都合がつかないため 6 月 21 日の発表の
みの日帰りとなった。会場は岡山駅と連続した非常に交通の便の良いところでした。私が岡山駅
に到着し、会場へ走っていると後方より私を呼びとめる声に気づきました。振り返ると杉田麟也
先生でした。杉田先生の案内で会場に無事到着し、発表することができました。15 歳女性に発生
した耳下腺腺房細胞癌の 1 例を報告しました。腫瘍は非常に大きい進行癌であり、顔面神経麻痺
の可能性もあり将来性のある女児であり、問題点の多い症例であった。顔面神経の一部を合併切
除し、即時再建施行したが、術後経過は良好で顔面神経の麻痺も軽度で整容面も良好で元気に学
校生活を楽しんでいるようで安心している。私は本学会の評議員で編集員となったため参加する
ことになったが、小児特有の取り扱い等もあり、勉強にはなっています。同門会の先生方もぜひ
本学会に参加されることを期待しています。よろしくお願いします。
(24) 第 25 回睡眠呼吸障害研究会耳鼻咽喉科部会に参加して
倉
野
香
6 月 29 日にパシフィコ横浜にて池田教授の当番世話人で、第 25 回睡眠呼吸障害研究会耳鼻咽
喉科学会が開催され、参加いたしました。今回のテーマは「OSAS 診療のヒアリ・ハット」とい
うことで、顎顔面手術、小児、鼻科手術におけるヒアリ・ハットの演題、その他小児症例と洞不
全症候群を呈した症例の報告が発表されました。本研究会の耳鼻咽喉科部会ということでしたの
で、耳鼻科、口腔外科、循環器内科など様々な科からの報告があり、とても勉強になりました。
基調講演では OSAS 診療のリスクマネージメント、医事問題について具体的な事例をあげてのご
講演でした。私が今回特に勉強になりましたことは、小児の OSAS のヒアリ・ハットに関して、
確かダウン症の患者さんでしたが、外来待合室で SAS がおこり、心停止になったという報告でし
た。今まで同様の患者を診察させていただいておりますが、外来待合中に患者さんが待ちきれず
眠ってしまうことは十分考えられますが、まさかそれによる心停止が起こり得るということを想
像したことはあまりありませんでした。その演題では、重症 SAS、基礎疾患、合併症のある患児、
高度肥満など、ハイリスク児に対する対応に十分注意してくださいとの結論でした。私の経験不
足による驚きであったかもしれませんが、今後外来ナースにも注意を呼びかける必要があると考
えました。学会ではやはり自分では経験できない様々な事例に遭遇でき、とても勉強になるとつ
くづく感じました。
-35-
(25) 第 42 回日本耳鼻咽喉科感染症研究会/
第 36 回日本医用エアロゾル研究会
小
島
雅
貴
2012 年 9 月 7、8 日にかけて海峡メッセ下関山口県国際総合センターで第 42 回日本耳鼻咽喉
科感染症研究会および第 36 回日本医用エアロゾル研究会が行われました。
順天堂大学からの参加者は OB の先生方を含め、池田教授、市川名誉教授、杉田(麟)先生、楠
先任准教授、成井先生、廣津先生、小島の計 7 名が参加いたしました。
池田教授は「鼻汁・副鼻腔貯留液より検出された肺炎球菌とインフルエンザ菌に対するニュー
キノロン系薬の感受性」の発表とランチョンセミナー「病態から考える感染症の新しい考え方~
酸化ストレスと炎症制御を中心に~」の司会をされました。市川名誉教授は特別講演「救急・災
害医療における重症感染症の治療 ‐最近のエビデンスと我々の工夫」の司会をされました。楠先
任准教授は「咽後膿瘍および脊椎炎に伴う四肢麻痺症例」を、成井先生は「耳科手術における術
後感染予防の抗生剤使用についての検討」を、廣津先生は「鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎と真菌の
関与に関する検討」を、小島は「進行頭頸部癌に対する超選択的動注療法における合併症として
の肺炎のリスクおよびその予防」を発表いたしました。
9 月に入ったにも関わらず 30℃を越える酷暑の中、全国から多数の先生方が参加され、活発な
討論が行われました。耳鼻咽喉科領域感染症の治療、抗菌薬選択について、大変勉強になりました。
(26) アメリカ耳鼻咽喉科学会
American Academy of Otolaryngology and Head and Neck Surgery
三
輪
正
人
世界最大の耳鼻咽喉科学のイベントといわれるアメリカ耳鼻咽喉科学会が 9 月 9 日から 13 日
までワシントン DC でおこなわれました。
DDW(digestive disease week、消化器病週間)と同じく、同時期同じ都市で鼻科学会、顔面
形成外科学会、耳鼻咽喉科アレルギー学会などが開催されていました。
長らく本会の Instruction Courses(有料。結構いい値段ですが)を担当されている柳原尚明先
生のお言葉を引用すれば、この学会は「academic position にいる方から開業されている方まで
どんなキャリアの方にも為になる学会」です。ちなみに日本人では、兵庫医大の阪上 雅史先生も
コースを担当しておられました。
9.11 のテロの時にはデンバーでの会のまっただ中でした。多くの日本人を含む学会に参加され
ている方々が、帰るのに苦労されていたことをいまだに思い出します。
私は幸運にも車を借りていたので、ルート 70 をひたすらドライブし、当時の住んでいたメリ
ーランド州ロックビルに帰りました。途中、カンザスシティ、インディアナポリス、セントルイ
ス、ピッツバーグなどに寄り(子連れだったため 5 泊しましたが)、それなりに有意義な旅では
ありました。
次回はバンクーバーで開催されます。
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学会の合間にワシントンモニュメントを撮ってみました。これは、1776 年の独立戦争時に、ア
メリカ大陸軍を率いてイギリス軍との戦いを勝利へと導いた合衆国初代大統領、ジョージ・ワシ
ントンの名誉ある功績を称えて建造された 記念碑の一つです(ウイキペディアより)。見た目無
機質でどうにも好きになれなかったのですが、9.11 以後入れなくなり、いまだに行ってません。
スミソニアン美術館群のどこかで、宇宙人がここに舞い降りてくる映画が見られますが、まさに
ぴったりです。
(27) 第 25 回日本口腔・咽頭科学会総会・学術講演会
吉
井
良
太
平成 24 年 9 月 13 日、14 日の 2 日間、熊本県立劇場において第 25 回日本口腔・咽頭科学会が
開催されました。当教室からは、横山先生「耳下腺癌に対し乳様突起鉗除法による顔面神経同定
と温存に関する有効性についての検討」、松岡先生「外来での口内法により唾石摘出術を施行した
4 症例」、藤巻先生「HPV 関連中咽頭癌に特異的な病理組織所見の抽出」、吉井「中咽頭後壁より
発生した脂肪肉腫の 1 症例」の計 4 演題の発表がありました。学会参加人数に対し会場の規模が
大きく、座席の空きが目立ちました。私の発表の際は会の終盤だったこともあり、5-6 人ほどの
聴取しかいなかったことは残念でした。しかし、個人的には全国規模の学会での発表は初めてで
したのでよい経験になったと思います。
熊本は想像以上に都会で、2012 年 4 月に政令指定都市に指定されたそうです。夜は名物の馬
刺しを肴に、焼酎やビールを嗜みました。また、
「ゆるキャラグランプリ」で 2011 年のご当地キャ
ラ No.1 に選ばれた「くまモン」が街のそこらじゅうにアピールされており、地域の活性化につ
ながっている様相が伺えました。学会にもゲストとして登場し、会場を沸かせてくれました。
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(28) 第 51 回日本鼻科学会総会ならびに学術講演会
村
田
潤
子
第 51 回日本鼻科学会総会.学術講演会は千葉大学の主催で平成 24 年 9 月 27 日(木)から同 29
日(土)まで幕張メッセを会場として開催されました。順天堂大学からは池田教授が「内視鏡手術
の最先端」というアップデートセミナーで司会をされ、楠先任准教授はシンポジウム「好酸球性
副鼻腔炎の基礎研究」においてご自身の研究成果を発表しました。沖崎先生は最近経験した小児
の逆性歯牙症例を発表しました。小野先生、広津先生、塩沢先生も大学院での充実した基礎研究
の成果を発表してくれました。
全体として教育的な内容のセミナーやシンポジウムが多く、会場にいるだけで大変勉強になり
ました。幕張メッセは順天堂大学からも比較的アクセスの良い場所にも関わらず自分は殆ど出か
けたことはなかったのですが、会場までの道のりも会場内も広々としていて、多くの先生方が発
表や情報収集に気持ちよく集中することができたのではないかと思いました。
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9.同門会式次第・同門会賞
平成 24 年度同門会式次第
(平成 24 年 6 月 16 日)
(敬称略)
懇親会
1. 開会の辞(松本文彦)
1. 乾杯(黄田正隆先生)
2. 会長挨拶(池田勝久)
2. 新入医局員紹介(松本文彦)
3. 庶務報告(松本文彦)
スピーチ:西村将彦(にしむらまさひこ)
4. 役員人事(松本文彦)
中村真浩(なかむらまさひろ)
5. 会計報告(松本文彦)
3. 近況報告
6. 監査報告(加藤榮一先生)
4. 閉会の辞(芳川洋先生)
7. 来年度予算(松本文彦)
8. 幹事長挨拶(杉田麟也先生)
9. 同門会奨学賞報告授与(池田勝久)
10. 受賞講演(川野健二(代理:楠)、藤巻充寿)
11. 記念写真撮影
同門会賞(基礎部門)を受賞して
藤
巻
充
寿
Oncocytic mucoepidermoid carcinoma of the parotid gland with CRTC1-MAML2 fusion
transcript: report of a case with review of literature
(Human Pathology (2011) 42, 2052–2055)
この度はこのような光栄な賞をいただき誠にありがとうございます。
今回受賞させていただいた論文は平成 23 年に経験した非常に希少であり、診断に苦慮した耳
下腺癌の一例に対し、分子生物学的手法を用い診断に至った結果を報告したものです。唾液腺癌
は非常に多くの組織型を示し、中でも粘表皮癌はしばしば遭遇する組織型です。しかし、今回我々
が経験した症例は大部分を膨大細胞で構成され、ごくわずかに粘液細胞を認めたことより粘表皮
癌を疑い遺伝子変異を検出した結果、粘表皮癌膨大細胞亜型の診断に至りました。世界的にも報
告は稀であり貴重な経験となりました。病理学を学ぶ機会を与えてくださった池田教授をはじめ、
ご指導いただいた人体病病態学教室の福村先生、斎藤先生に改めて感謝申し上げます。
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同門会賞(基礎部門)を受賞して
川
野
健
二
この度は、順天堂大学医学部の同門会賞という栄えある賞を賜り、ひとえにご指導頂きました
池田教授をはじめ、楠先生、他先生方のご支援のおかげと心から感謝の思いでいっぱいです。
最近は iPS 細胞の研究で京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞され、国内でも医学研究に注
目が集まっています。現在本学で研究に励んでおられる先生方も、次は我こそはと活気づいてい
ることと存じます。
私は、大学の医局を出て約 2 年になりますが、在籍中は、研究を勧められながらも、日々の臨
床業務や手術手技の向上に躍起になり、研究に真剣に取り組まなかったことを反省しております。
大学病院に勤務していることによる研究に対する時間や環境の恩恵を理解せずに過ごしたことを
今になってつくづくもったいなかったと感じております。また、技術の向上は、自分の意識次第
でいつまでも得ることができることが分かった今、あの頃にそれ程焦ることもなく研究に没頭し
てもよかったのではと純粋に思います。そしてそんな頃の自分に親切に指導して下さった先生方
に大変申し訳かったといまさらながらに感じております。
余談ではありますが、山中教授の趣味はマラソンであるという報道が流れています。また、マ
ラソンが脳の活性に非常に良いことも。池田教授のご趣味は言わずと知れたマラソンであり、か
く言う私も最近走ることにはまっています。在学中には池田教授と沖縄マラソンに一緒に参加し
たこともありましたが、走っていて楽しいと感じたのはつい最近のことでした。地味に暇を見つ
けてランニングして、走れば走るほどスピードが速くなるわけでもなく、これは楽しいことなの
かといろいろ疑問に思いつつも一人で走っていくうちに、それがあまり苦痛ではなくなり、それ
でも疑問を持ちつつ続けていると、ほんの少しずつスピードがあがっている。気付くと、とても
長い距離を走っていて、人からは何がそんなに楽しいのか聞かれてまた疑問に落ちる。そんなル
ープがはまっているということなのでしょう。研究もそのようなものかもしれないと漠然と想像
してしまいます。ただそれは研究を勧められない状況だからこそ思えることなのかもしれません。
ところで先日、教授に何か一つでも勝ちたいと思い、トライアスロンにお誘いし参加致しまし
た。結果についてはあまり語りたくありません。なにより教授の体力とストイックさを思い知ら
され卒業してまたひとつ教えて頂いた気分になりました。確実に言えることは以前よりも気力、
体力ともにまた一段とパワーアップしているということでしょう。私はあきらめが悪いので、来
年もう一度チャレンジする予定ではありますが、生半可な気持ちでは返り討ちにあってしまいそ
うなので、万全を期して挑みたいと考えている今日この頃です。
最後になりましたが、医局が大変な時期に快く送り出し励まして頂いた池田教授、論文作成に
尽力していただいた楠先生、ご指導賜りました諸先生方に、ここで改めまして感謝の念をお伝え
致しますと共に深く御礼申し上げます。
今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
-40-
10. 平成 24 年度医学教育等関係業務功労者表彰式
天 田 陽 子
今回このような賞を頂くことが出来ましたのも、昭和 39 年に勤務を始めてから、多くの先生方に
支えて頂いたおかげと感謝致しております。
今後ともご指導の程宜しくお願い致します。
-41-
11.関連病院の紹介
(1)順天堂浦安病院
芳
川
洋
・
春
山
琢
男
常勤医は芳川洋教授、横井尚子准教授、田崎京子先生、飯塚崇先生、吉井良太先生、沖崎貴子
先生、春山の 7 人で、横井尚子先生が外来医長、飯塚崇先生が医局長を、春山が病棟医長をやっ
ております。医局員の減少により浦安病院も常勤医が減となりました。しかし当直回数は増えて
おり、私も年々当直回数が増え、体にはこたえますが医局員みんなでがんばってやっております。
また毎週月曜の午前には原亜希子先生に外来を手伝っていただいております。
浦安病院では近隣の開業医の先生方から毎日多数の患者さんの紹介をいただいております。病
棟は現在 2 グループにわかれており、春山 G と飯塚 G があります。主に手術患者さんと急性感
染症の患者さんで、ベッドが満床の状態です。手術日は、月曜、水曜、木曜日で、月曜、水曜は
全日 1 列、木曜日は午後 1 列です。昨年度は麻酔科医不足により外科系は、ほとんどの科におい
て手術枠が減らされ、当科も昨年は 8 月から 12 月まで木曜日の午後の全麻手術枠がなくなりま
した。(現在は復活しています。)昨年度の手術件数は手術枠が減ったため大幅な減少が予想され
ておりましたが、実際のところはふえており 962 件でした(手術室のみ)
。2007 年は 452 件、2008
年は 763 件、2009 年は 795 件、2010 年は 901 件ですので年々増えております。来年度は 1000
件の大台を越えると思います。
今年度は、長年浦安病院を盛り上げてくれた永屋恵子先生が 9 月から産休に入りました。永屋先
生はいままで私が一緒に働いた女医さんのなかで一番といっていいくらいハイパーな先生でした。
手術が全般に大好きで得意で、
出産 1 か月前でも一日中手術をしてそのまま当直をやっていました。
現在は産休中ですが、また復帰することを願っております。また 10 月末で、順天堂の耳鼻咽喉・
頭頚科を長年支えてくれた八尾亨先生が退職されました。八尾先生は、ここ 10 年間で順天堂の耳
鼻咽喉・頭頚科の医局員を一番増やした先生だと思います。八尾先生にあこがれて、また八尾先生
に教わった若い先生がたくさんいると思います。さらなる飛躍のため、東京女子医大の東医療セン
ターに移られました。働く場所は違いますが、同じ同門としてご活躍を祈っています。
医局員の減少により浦安病院も永屋先生の代わりの先生はいないため、人数減となりました。
しかし浦安病院の当直回数は増えております。
私も年々当直回数が増えており、医局員の増員が、
急務と考えます。
やはり大学病院ですので、若い先生や研修医の教育を常に考えて仕事をしております。しかし
浦安病院は手術件数が多いです。手術枠は週 2.5 列ですので、とにかく短時間での手術が必要で
あります。しかし浦安病院の役目は若い先生の教育や実践の場であります。若い先生にどこまで
手術をやらせるか、これが一番の悩みであり、常に麻酔科医の顔色をうかがいつつ考えておこな
っています。
今後も地域医療を担う病院として邁進する所存ですので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願
いいたします。
-42-
手術内容別件数
962 件
2011 年 4 月~2012 年 3 月
鼻手術
頭頸部手術
内視鏡下副鼻手術
171
甲状腺切除・全摘
12
鼻中隔矯正術
105
顎下腺切除・全摘
5
粘膜下下鼻甲介骨切除術
187
中咽頭腫瘍摘出術(経口腔)
5
頚部郭清術
7
1
8
鼻副鼻腔腫瘍摘出術<副鼻腔>
眼窩底骨折整復術
10
副咽頭間隙腫瘍摘出術(経頸部によるもの)
後鼻神経切断術
62
気管切開
小計
543
耳手術
11
リンパ節摘出術
7
正中頚のう胞
3
縦隔膿瘍切開排膿術
1
1
鼓膜形成術
53
気管孔閉鎖術
鼓室形成術
51
耳下腺腫瘍摘出術
乳突削開術
36
上顎部分切除術
1
17
外耳道異物除去(複雑)
4
舌腫瘍
3
外耳道腫瘍摘出術
1
口腔腫瘍
1
アブミ骨手術
1
深頸部膿瘍切開排膿術
3
舌下腺摘出
3
43
鼓膜(排液、換気)チューブ留置術
9
先天性耳瘻孔摘出術
小計
小計
81
198
咽頭手術
喉頭手術
27
顕微鏡下喉頭手術
口蓋扁桃摘出術
76
アデノイド切除術
36
1
咽後膿瘍切開術
小計
小計
112
28
総計
-43-
962
(2)順天堂静岡病院
伊
藤
伸
現在、静岡病院は私を含め、笠井先生、岡田先生、小松先生、中村先生の 5 人体制で診療を行
っています。
私事ですが、赴任早々の 4 月に体調を崩し、人生初の入院、更には手術を経験し、約 1 か月を
棒に振ってしまいました。その間、医局の先生方には大変ご迷惑をお掛けしましたが、入院中は
患者さんの気持ちを身を持って感じることができ、今思えば貴重な体験となり、その後の診療に
も変化があったと感じています。本院に入院中は、池田教授を筆頭に多くの先生方に病室までお
見舞いに来ていただき感謝しております。現在は、静岡病院の同僚の医師たちにも助けられ、ほ
ぼ 100%に近い状態で診療を行い 4 月、5 月の休養分を取り返すべく奮迅しております。話が脱
線しましたが、静岡病院は伊豆地方の中核病院として大学では経験できなかった様々な疾患、多
様化する患者さんのニーズに対応していかなくてはなりません。そのためには医師一人一人では
なく 5 人の総合力が問われる施設だと常々感じております。そのためには医局の先生方と共に勉
強し切磋琢磨していきたいと考えており週 1 回の抄読会、
カンファレンスにも力を入れています。
加えて、未来の医局員の確保のため研修医教育にも力を注ぎたいと考えておりますが、静岡病院
の研修医自体が減少しているためか、当科をラウンドして頂ける機会が少なく、手術室での麻酔
科ラウンド中などの 1 年目の研修医の先生方にはこちらから積極的にアピールしていきたいと考
えています。最後に、いつも当院を支えて下さっている近隣の深本先生、三島先生、正木先生、
飯田先生をはじめとする諸先輩方の日頃の厚情に感謝申し上げます。
同門の先生方、今後とも静岡病院をよろしくお願いいたします。
鼻科手術
内視鏡下副鼻腔手術
鼻中隔矯正術
粘膜下下甲介粘膜切除術
後鼻神経切断術
鼻副鼻腔腫瘍摘出術
その他
(160 件)
53 件
46 件
41 件
13 件
3件
4件
耳科手術
鼓膜形成術
鼓室形成術
耳瘻孔摘出術
外耳道形成術
外耳・中耳腫瘍摘出術
あぶみ骨手術
チュービング
その他
(53 件)
17 件
13 件
7件
2件
2件
2件
8件
2件
頭頸部手術
耳下腺腫瘍
甲状腺腫瘍
顎下腺腫瘍
咽喉頭食道全摘
喉頭全摘術
中・下咽頭腫瘍切除術
口腔・口腔底腫瘍摘出術
舌部分切除・全摘術
頚部郭清術
リンパ節生検術
再建術
その他
(88 件)
17 件
26 件
2件
1件
2件
3件
3件
2件
16 件
6件
4件
7件
咽喉頭手術
口蓋扁桃摘出術
アデノイド切除術
顕微鏡下喉頭微細手術
その他
(72 件)
32 件
13 件
23 件
4件
総
-44-
計
373 件
(3)順天堂練馬病院
齊
藤
達
矢
現在、練馬病院は伊藤麻美先生と齊藤の 2 人体制で診療を行っております。平成 24 年 4 月か
ら前任の八尾亨先生にかわり齊藤が担当させていただいております。
2 人体制ですので、外来・病棟・手術と毎日大忙しですが、1 人の患者様を外来で自分が診断
を下し、手術・病棟処置をし、そしてまた外来で術後経過を診れるという環境にあります。時に
は厳しい局面もありますが、患者様との信頼関係を築き、良い雰囲気で診療をさせていただいて
おります。
また、本院より楠威志先生、松本文彦先生、廣津幹夫先生に来ていただき手術の御指導、外来
診療など御世話になっております。この場を借りて御礼申し上げます。
今後も医療技術の向上に努め、地域の患者様のお役に立つよう頑張りたいと考えておりますの
で、今後とも皆様の御指導、御鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
汎副鼻腔根本術
73
外耳道異物除去術
1
鼻中隔矯正術
24
顕微鏡下喉頭手術
12
粘膜下下鼻甲介骨切除術
6
耳下腺腫瘍摘出術
9
後鼻神経切除術
3
顎下腺腫瘍摘出術
2
正中頸のう胞摘出術
2
鼻粘膜焼灼術
12
鼻腔腫瘍摘出術
1
側頸のう胞摘出術
4
口蓋扁桃摘出術
39
頸部脂肪腫摘出術
1
アデノイド切除術
5
頸部リンパ節生検術
咽頭腫瘍摘出術
2
口唇粘液のう胞摘出術
1
鼓膜形成術
9
舌腫瘍摘出術
1
鼓室形成術
4
咽後膿瘍切開排膿術
2
気管切開術
2
鼓室内チューブ留置(全麻下)
先天性耳ろう孔摘出術
20
5
-45-
12
汎副鼻腔根本術
鼻中隔矯正術
粘膜下下鼻甲介骨切除術
後鼻神経切除術
鼻粘膜焼灼術
鼻腔腫瘍摘出術
口蓋扁桃摘出術
アデノイド切除術
咽頭腫瘍摘出術
鼓膜形成術
鼓室形成術
鼓室内チューブ留置(全麻下)
先天性耳ろう孔摘出術
外耳道異物除去術
顕微鏡下喉頭手術
耳下腺腫瘍摘出術
顎下腺腫瘍摘出術
正中頸のう胞摘出術
側頸のう胞摘出術
頸部脂肪腫摘出術
頸部リンパ節生検術
口唇粘液のう胞摘出術
舌腫瘍摘出術
咽後膿瘍切開排膿術
気管切開術
-46-
(4)順天堂東京江東高齢者医療センター
畠
将
晃
順天堂東京高齢者医療センターは、平成 24 年 7 月、開院 10 周年を迎えました。6 月 1 日には
華やかに 10 周年記念パーティーが行われました。
10 年経過すると、いろんな意味で、システム的に古くなってしまう部分が出てしまっており、
今年の 1 月には、院内のオーダリングシステムの変更が行われました。一人体制ですので、練馬
の電子カルテになれてしまっていた私には、この更新は大歓迎でありまして、手書きの書類や、
指示票の記載がかなり減り、仕事の作業効率がアップしました。
当科に関して言えば、今まで切れ味の悪かった開院以来からあったマイクロデブリッターシス
テムを、一新しました。ESS の症例も増やしていきたいと考えています。紹介患者さんは、なぜ
かめまい症例に偏っています。
(科長が科長だけにしょうがない部分もありますが)もう少し、鼻
科手術を中心として手術を増やしていきたいところです。一人体制ですが、手術もそれなりに頑
張っておりますので、近隣の先生方のご紹介をお待ちしております。
手術統計
平成 23 年 4 月~1 年間
内視鏡下副鼻腔手術 ··························· 14 例
鼻中隔弯曲矯正術 ································ 8 例
両側口蓋扁桃摘出術 ··························· 10 例
鼻茸切除 ············································ 6 例
気管切開術 ········································· 1 例
先天性耳瘻孔摘出術 ····························· 1 例
顕微鏡下喉頭手術 ································ 6 例
頬部のう胞摘出術 ································ 3 例
-47-
(5)江東病院
松
岡
理
奈
前任の関眞規子先生に代わりまして、2012 年 4 月より塩沢先生、5 月より私が当院を担当する
こととなりました。平成 22 年に江東病院全館の改築が行われましたが、平成 24 年 6 月には手術
室の改築が行われました。それに伴い耳鼻咽喉科も新体制として池田教授、古川先生、松本先生
執刀による手術を行っております。
江東病院の常勤は私一人ですが、毎日非常勤の先生方に来ていただいている他、緊急時の本院
との連絡は確実のものであり安心して診療を行えます。また、手術に来ていただいている教授、
古川先生、松本先生にも気軽にコンサルトが行える環境であり、実際に先生方の手術の助手に入っ
たり実際に手術を行えたりと、まだまだ勉強や経験が必要な私には願ったり叶ったりです。
前任の関眞規子先生は城東江東地区の核となる江東病院の睡眠時無呼吸センター長として隣の
ブースで力を注いでいらっしゃいます。関先生目当てに来院される患者も少なくなく患者に申し
訳ない気持ちも時にはありますが、頑張ってまいりたいと思います。
今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
耳鼻咽喉科手術統計(H24.4~H24.9)
鼻科手術
内視鏡下副鼻腔手術
後鼻神経切断術
14 件
2件
耳科手術
鼓膜形成術
1件
鼓室形成術
6件
アブミ骨手術
1件
頭頸部手術
耳下腺部分切除術
6件
甲状腺亜全摘術
1件
口腔腫瘍摘出術
1件
咽喉頭
口蓋扁桃摘出術
5件
喉頭微細手術
1件
-48-
(6)越谷市立病院
奈良林
矢 内
修
彩
また今年も茶崖耳会の原稿を書く時期が来ました。先日東武スカイツリー線越谷駅の駅前ロー
タリー工事が完成し、駅前には 29 階建ての高層マンションが建てられました。少しずつ越谷市
も新しく変わりつつあります。そんな中、振り返ってみますと越谷市立病院に赴任から計 5 年が
経とうとしています。以前と比べて僅かではありますが、レベルアップしてきました。幾つか例
を挙げますと、①手術機器の充実による効率化・リスクマネージメント
看護師・研修医の教育・指導および DVD 保存
stapedotomy や partial laryngectomy の実施
NBI)
②顕微鏡下扁摘による
③CO2 レーザーをレンタルしての laser
④外来の電子スコープの充実(うち 1 台は最新型
⑤総合診療医師との連携によるめまいの救急対応(以前は耳鼻科が first call であったが、
入院後小脳梗塞・出血と判明することもしばしば)、などがあります。
トピックとしましては、この原稿が仕上がる頃までには病棟の再編成が行われ、当科は長年連れ
添ってきた眼科・泌尿器科・皮膚科といった「マイナー科」合同病棟から離れ、来春からは気道繋
がりということで「呼吸器内科」と同じ病棟となります。今までは呼吸器内科からの気管切開の依
頼は時々でしたが、増えることが予想されます。他には入院カルテはすでに電子化されていました
が、ついに外来カルテも紙カルテから電子カルテになります。検査データは全てサーバに保存され、
専用のタッチペンを用いた紙カルテと同様の使い心地の電子カルテが導入される予定です。そして
平均待ち時間が 3~4 時間だった当科にとっては朗報な「外来受診予約システム」が導入される予
定です。これで怒って診察室に入ってくる患者さんは減るのではないかと期待しています。
ちなみに越谷駅前マンションに興味のある方はこちらまで。
http://www.secom-shl.co.jp/glorio/koshigaya/concept03.html
(4)喉頭:14 件
(1)耳:41 件
喉頭微細手術
9件
喉頭蓋嚢胞切除術
5件
鼓室形成術
16 件
鼓膜形成術
9件
鼓膜チューブ留置術
4件
先天性耳瘻孔摘出術
6件
顔面神経管開放術
1件
頸部腫瘍摘出術
2件
レーザーアブミ骨手術
5件
甲状腺腫瘍手術
2件
耳下腺浅葉切除術
5件
顎下腺摘出術
5件
(5)頸部:35 件
(2)鼻:71 件
内視鏡下副鼻腔手術
内視鏡下鼻腔腫瘍摘出術
70 件
11 件
気管切開術
1件
深頚部膿瘍排膿術
1件
リンパ節摘出術
9件
(3)咽頭:33 件
口蓋扁桃摘出術
33 件
―
(アデノイド切除術を含む)
-49-
以上合計
194 件
―
(7)多摩南部地域病院(東京都保険医療公社)
金
隆
澤
平成 5 年 4 月に当院開設され、平成 16 年 1 月から赴任し、年明けには過去最長の 9 年目を迎
えようとしています。現状としては平成 22 年春から、外来・手術非常勤を医局から派遣してい
ただき、実質 1 人体制で診療にあたっています。私的な近況としましては、2 年前からゴルフを
始め、左(利き)から右に転換して丁度 1 年が経過しました。きっと一人で左右の XXIO セット
を車に積んでいるのは私だけ?でしょうか。今は後輩 OB である峯川先生や高柳先生を師匠と仰
ぎ 100 を切って早くコンペに参加することを目標に練習しております。また業務の方も引き続き
東京都多摩地区(主に八王子市、町田市、日野市、多摩市、稲城市)の地域医療に貢献したく存
じますので何卒宜しくお願い申し上げます。
<平成 24 年度多摩南部地域病院手術実績>
内視鏡下副鼻腔手術 ···························· 15 件
下鼻甲介切除術 ··································· 6 件
鼻レーザー ········································ 12 件
耳下腺摘出術 ······································ 6 件
顎下腺摘出術 ······································ 2 件
甲状腺摘出術 ······································ 8 件
頸部腫瘍摘出術 ··································· 5 件
口蓋扁桃摘出術 ·································· 47 件
アデノイド切除術 ······························· 36 件
喉頭マイクロ手術 ································ 8 件
気管切開術 ········································· 6 件
UPPP ··············································· 4 件
耳ろう孔摘出術 ··································· 3 件
鼓膜チューブ挿入術 ····························· 8 件
(PSG 検査入院後 CPAP 導入 30 件)
-50-
(8)浅間総合病院
安
齋
崇
私が浅間総合病院へ赴任してから半年が経ちました。細川先生のご指導をいただきながら患者
を診る姿勢から病態の把握まで日々勉強させられる毎日です。
全国でもトップクラスの長寿を誇る佐久ですが、高齢化に伴い脳卒中患者や嚥下性肺炎の患者
数も多く、耳鼻科医、内科担当医、歯科医、理学療法士、栄養士がチームとなり一人一人の患者
に対し嚥下機能の評価及びその対策を包括的に行っております。今年はクリニカルパスを作成し、
さらなるチーム医療の促進と質の向上を図っております。
また地域柄、スギ花粉症だけではなく、イネ、ブタクサアレルギーに悩まされる患者が多く今
年度はコブレーターを導入し、外来手術を導入する予定です。
やはり地方の医師不足は深刻で、浅間総合病院も例外ではありません。内科医も含め、どの科
も決して充実したマンパワーのない中でお互いに協力し合っている現場です。私も耳鼻科医とし
てだけではなく1人の医師として整形外科、泌尿器科を含め外科全般の診察や時に検死に出向く
事もあります。医師として研鑽を積めるいい機会として精進させていただいております。今後と
もご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
鼻手術
耳手術
内視鏡下副鼻腔手術
26
鼓膜形成術
鼻中隔矯正術
18
鼓室内チューブ留置術
粘膜下下甲介骨切除術
12
翼突管神経切除術(経鼻的)
1
鼻茸切除術
5
上顎洞後鼻孔ポリープ切除術
1
鼻副鼻腔悪性腫瘍手術
1
7
20
頭頸部手術
咽喉頭手術
気管切開術
1
口唇腫瘍摘出術
1
耳下腺浅葉切除術
2
両側口蓋扁桃摘出術
42
耳下腺悪性腫瘍手術
1
アデノイド切除術
30
顎下腺摘出術
1
喉頭鏡下手術
15
唾石摘出術
5
2
頸嚢摘出術
2
リンパ節摘出術
5
咽後膿瘍切開術
扁桃周囲膿瘍切開術
軟口蓋形成術
13
2
深頸部膿瘍切開術
-51-
13
12.新入医局員の紹介
平成 24 年度より順天堂医院耳鼻咽喉・頭頸科に入局させて頂きました、
中村真浩と申します。
出身地は千葉県大網白里町という田舎町で、祖父の代まで農業を営み、父
は会社員という、医療とは関わりのなかった家で育ちました。
医師を志したのは幼少期、アトピー性皮膚炎に悩む妹を側で見ていて、い
つか自分がアトピーを治療できる医師になりたいと考えたのがきっかけでし
た。そんな幼稚な考えから医学部を目指し、皮膚科医志望として病院実習・
病院見学してきました。しかし、いろいろな先生方との出会いや臨床現場で
の経験を経ていくうちに、アレルギー疾患だけでなく、あらゆる機能障害を
外科的・内科的にアプローチできる耳鼻咽喉科学への興味を持ち、深く悩ん
だ末に耳鼻科医になる事を決めました。順天堂医院耳鼻咽喉・頭頸科にて初
期研修させていただいた期間では、医局の温かい雰囲気と教育熱心な先生方
の魅力に惹かれ、今回入局させていただいけた事を大変幸せに感じています。
まだまだ未熟者ではありますが、先輩方の教育の下に少しでも早く成長し、
耳鼻咽喉科領域で悩む方々の為に尽力していきたいと存じております。
何卒よろしくお願い申し上げます。
中村
真浩
この度、順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学教室に入局した西村将彦と申します。
私は平成 12 年に大阪医科大学卒業後、直ちに京都府立医科大学耳鼻咽喉科
学教室に入局し、同大学附属病院および関連病院にて臨床研修・研鑽に努め
ました。
元々研究に興味があったため、平成 17 年に大阪大学大学院医学系研究科に
進学致しました。在院中、高知大学に派遣されメニエール病(内リンパ水腫)
の基礎研究に従事致しました。
大学院終了後は東大阪市立総合病院、北野病院、伊国 Gruppo Otologico 等
にて手術手技の習得・研究開発に努めました。
平成 24 年 5 月 11 日新潟市で開催された第 113 回日本耳鼻咽喉科学会総
会・学術講演会の懇親会会場で楠威志先任准教授と劇的な再会を果たし、池
田勝久主任教授に引き合わせて頂きました。入局を勧めて頂いたため、その
場で即、入局を決めさせて頂きました。大阪大学で指導を受けたことのある
村田潤子准教授がおられたのも入局に幸いしました。
今までは関西を中心に西日本で活動して参りましたが、今回思いがけず東
日本に活動の場を広げることになりました。
幕末の我が国における近代西洋医学の歴史を描いた、司馬遼太郎の「胡蝶
の夢」(新潮文庫 全 4 巻)を読んでいたこともあり、以前より順天堂には興
味を持っておりました。
今後は歴史ある順天堂の一員として高いリサーチマインドを持ち、臨床・
研究に従事していきたいと考えております。同門会の諸先生方におかれまし
ては今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。
西村
将彦
-52-
13.教室行事
(1)平成 24 年度新入局員歓迎会
城
所
淑
信
平成 24 年度新入局員歓迎会が 4 月 24 日に汐留のレストラン sorasio にて開催されました。
本年度は新入局員として、中村真浩先生が入局されました。中村先生はフレッシュなやる気に
あふれ、新鮮な風を医局にもたらしてくれました。
中村先生が新たに仲間になってくれたおかげで、医局の雰囲気も新たに盛り上がりのある歓迎
会となりました。また病棟、外来、手術室からも多数の看護師さん、コメディカルの方々に参加
いただき、耳鼻咽喉頭頸科が医療チームとして活気にあふれた雰囲気であることを中村先生も感
じていただけたのではないでしょうか。
また、6 月からは西村将彦先生が新入局されました。西村先生は耳鼻咽喉科の様々な勤務経験
があり、経験、知識ともに豊富な先生です。
来年もまた、新しい仲間とともに活気ある歓迎会が開けるよう、新入局員の勧誘に邁進してい
きたいと思います。歓迎会の折には同門の先生方もぜひご参加ください。
-53-
(2)2012 年
納涼会
吉
井
良
太
本年度の納涼会は 7 月 24 日、日比谷公園内の野外レストラン HIBIYASAROH (旧日比谷茶廊)
にて行われました。今回は第 74 回日本耳鼻咽喉科臨床学会の打ち上げも兼ねて開催されました。
当日は気温も高く、野外で飲む冷えたビールは最高に美味でした。しかし、個人的には、チキン
を頬張っている際にゴキブリが腕に着地し、驚愕のあまり皿からチキンを飛ばしてしまうという残
念なハプニングに見舞われました。会には OB の先生方、外来、病棟、手術室のコメディカルスタ
ッフも大勢ご参加いただき、一層の懇親を深めることができました。また、同日に研修医向けの入
局説明会があり、入局を考えている先生たちも参加してくれました。当教室の良い雰囲気が伝わっ
たのではないかと思います。会の終盤では耳鼻臨の際に手元に残った図書カードを賞品に、池田教
授とのじゃんけん大会が催され、会は最高潮の盛り上がりをみせ、お開きとなりました。
-54-
(3)医局コンペ(池田杯)
廣
津
幹
夫
第 11 回となる秋のコンペは、2011 年 11 月 27 日に千葉東カントリークラブで総勢 15 名にて
開催されました。肌寒さはありましたが、晴天に恵まれゴルフ日和でした。今回は、OB から浅
井先生・桜井先生・藤巻先生ご夫妻・峯川先生が、また医局からは飯塚先生が初参加してくださ
りました。優勝は、グロス 92
HD 22
ネット 70 で畠先生が優勝されました。声もかけられな
いほど集中されていたそうで、途中ゾーンに入っていたとのこと。久々に医局から優勝者が出て
よかったとの一言です。池田教授は、前回優勝され HD が少なくなった影響もあり、ブービーメー
カーでした。ちなみに私は、グロス 115 といまいちな成績で、9 位に甘んじてしまいました。
第 12 回の春のコンペも、同場所で 4 月 1 日に総勢 16 名で開催されました。この日も快晴の中
で行うことができ、OB からは浅井先生・桜井先生・そして久々に岡添先生が参加してください
ました。優勝は、グロス 96
HD 22
ネット 74 で岡添先生が優勝されました。私と MR 2 名が
岡添先生と同組でまわらせていただいたのですが、岡添先生以外の 3 名はあっちこっちにボール
を飛ばしまくりで、組に恵まれなかった?なかで優勝されたので、安堵したのを今でも覚えてい
ます。私は、冬の峯川先生との特訓の成果を出すことができず、グロス 110 とまた撃沈しました。
HD がまだ 28 頂ける状態なので、次こそは優勝を狙ってコツコツ練習していきたいと思います!
まだ池田杯に参加されたことがない現医局の先生方や OB の先生方の参加を心よりお待ちして
おります。
-55-
(4)平成 24 年
解剖実習
小
野
倫
嗣
平成 24 年 8 月 4 日~5 日にかけて、解剖学の酒井先生、工藤先生の御好意により、当院で毎
年恒例の解剖実習を開催しました。
解剖実習をより深く理解し、みのりのあるものにするために、
鼻領域は村田先生に、耳領域は古川先生に、頭頸部領域は横山先生に講義していただきました。
また、この日のために、顕微鏡、内視鏡、モニター類は各メーカーよりレンタルしました。器具
類は当科で保管していたものを使用しました。
本院の先生以外にも、関連病院の先生方にも参加していただき、盛況な会になりました。
実際に手術だけでは得られない事も、解剖実習をすることにより、より深い知識が得られ、新
しい事にも触れられるよい機会なので、今後も若手の先生方には積極的に参加していただければ
と思います。
-56-
14.寄
(1)近
稿
況
宮
崎
雅
之
同門会の先生方御無沙汰しておりますが、皆様方はいかがお過ごしでしょうか。
私は相変わらずでして、週の半分 3.5 日は仕事をして残りの半分はのんびりとやりたい事をや
る日々を送っております。特に、ここ何年かはいろいろ迷惑をかけた妻への罪滅ぼしとして、二
人での海外・国内の旅行に励んでおります。ネットを駆使して安価で内容の充実したプランを探
すことは、老年を迎えた頭の体操にもなりますので、ちょっとのめり込んでしまっている感じで
す。いつまで行動できるかは分かりませんが、そのためにゴルフやポールウォーキングで下半身
を鍛えております。もっとも、少しやり過ぎたのか膝を痛め現在はしばしお休み中です(本当のと
ころは加齢による変形性膝関節症が正解のようだが)。まあ何事も年齢を考えてほどほどがよろし
いようですね。
ところで、年齢というと来年の干支は巳、私にとっては 6 回目の干支年の 1 年になります。早
いもので齢 72 歳を数えることになります。昔から自分は 75 歳までは生きようと考えていました
が、残すとこはや 3 年となってしまったのですね。75 歳というのは若年・壮年・老年の各々を
25 年と考えたのですが、今のところはもう少しもちそうなので頑張ってみようと考えています。
高校の同期生は私の病院長就任時の祝賀会をきかっけに同期会を作り、年 3~4 回のゴルフや飲
み会を行っていますが、ここ 2~3 年前からの話題は各自の病気の事や葬式の話が中心で盛り上
がっています。年相応の盛り上がりかもしれませんが、若いオネーチャンがからむ話なぞ小指の
先ほどもありません。寂しい限りです。でも、皆で後期高齢者に挑戦するためには、来年からは
もっと色気のある話題を提供しなければ駄目でしょうね。率先して頑張ってみます。
さて、今まで書いてきた文章を読み返してみるとなんか取り留めのない内容になってしまいま
した。でも、私はもともと文章を書くことが苦手ですし、またよくよく考えると多少認知症が始
まりかけているのかもしれませんね?(もっとも、長谷川式認知症簡易テストは n.p でした)皆さ
んお許しください。以上終りです。
-57-
(2)気になること、気に入らぬこと
松
本
和
彦
歳をとると世の中の些細なことが気になっていちいち文句をつける人がいるという。それはボ
ク(74 歳)です。
まず TV 放送がそうだ。例えばゴルフ中継では実況のアナウンサーがこのホールはとてもタフ
で「難易度が高いのです」などと解説する。オイオイ、ではこのホールは難しいの?易しいの?
どっちだよ。一方体操競技では「この技はとても難度の高ウルトラ C です」などと言っています
よ。(C は些か古い、今は F かな)このようにちゃんと「難度」と言っていますよ。分かりやす
く言ってくれよ。
ボクがよく行く普通の食堂では料理が届く際に店員が「これが鯖の味噌煮に成ります」と言っ
て置いてゆく。いつ成るのだ。嘘付け、もうすでに立派な鯖の味噌煮に出来上がっているだろう。
「なります」は気にいらない。そこいらのファミレスなど皆同様だ。まず帝国ホテルでは「ステ
(行ったことないけどね)
ーキでございます」と「ございます」と言うに違いない。
箸を正しく持つということは日本の伝統文化を守ることですね、ところが TV で見たのですが
世界的に有名な S・T 氏は全くでたらめな持ち方をしていました。世界一のソムリエが世界中を
回りあんな下手糞な持ち方で料理の話しをするのかと思うとゾッとします。当然箸が正しく持て
ない「食べタレ」もテレビに出すな!
現役の皆様は患者さんの紹介状、診療情報提供書などの宛名を書く際に「御侍史」または「御
机下」と書いている方が多いと思います。この原稿の依頼書にも「御侍史」と書いてありました。
ですが実は「御」の字は不必要なのです。侍史、机下にはすでに「敬意を表す」という意味が込
められているからです。もちろん池田教授に宛てる時も「御」は不要です。
以上です。
-58-
(3)ビールのおつまみ
浅
井
俊
治
日本人が成人になって、初めて口にするアルコールはビールであることが多い。紀元前 3000
年頃、メソポタミアのシュメール人は、既にビールを飲んでいたという。その後、エジプト人・
ゲルマン人・ケルト人等に拡がり、日本には幕末に伝わってきた。一方ワインはギリシャ人・ロ
ーマ人に拡がった。
最初は皆、ワインに比べビールを“苦い”と感じるのではないだろうか。苦味には何も栄養分
が無い。他の哺乳類も苦い食物は口から吐き出す。しかし、ストレスが負荷されると、苦味は旨
味に変化する。中高年の中間管理職には仕事帰りの最初の一杯のビールは最高であろう。
私は 30 歳代の頃、プラハの国際学会の帰りにミュンヘンのビアホールに立ち寄ったことがあ
る。中に入って席を探していると、名前も知らぬドイツ人達に声をかけられて、そのテーブルに
加わった。すると、彼等は歌を歌いながら皆で腕を組んで体を左右に揺らした。そしてビールを
飲む。ぬるいビールで、冷えたビールに慣れていた私には不味く感じたし、おつまみとして食べ
たジャガイモやソーセージも、食べ慣れている日本の方が美味しいと思った。しかし、楽しかっ
た。またビールをいっぱい入れたジョッキを一人一人肩の高さまで持ち上げて、最後まで持ち続
けていた人が勝利者となる。そしてまた、勝利者を讃え、体を左右に動かして、自分のペースで
ビールを飲む。日本人のように“一気!一気!”と囃し立て、強引にビールを飲ませることはし
ない。ビールの飲み方にもお国柄が出ていて面白い。
日本では、冷えたビールに塩ゆでの枝豆が、おつまみの定番である。最近、日本食ブームの影響
なのか、欧米でも「green soy beans」
「edamame」と呼ばれ、食べられているらしい。何故枝豆な
のか。私には分からない。その他にも柿の種(亀田製菓)、サキイカ等日本独特のおつまみがある。
しかし、あなたにとって「最高のおつまみ
は?」と問われたら・・・・・・。
私は休日に少年野球の審判をしている。
広々とした公園や河川敷の野球場で『ストラ
イク!ボール!アウト!セーフ!』をコール
している。
平日とは異なった環境で、また外来診察と
は別の適度な緊張感もあり、良い気分転換と
なっている。
全試合が終わると、夕方 6 時頃から反省会
と称して飲み会を始める。
朝、家を出るとき、『今日も反省会がある
の?』と妻から聞かれる。
『審判員は常にコミニケーションが必要な
んだよ』
『本当?あなたの場合は飲みニケーション
でしょう。今夜もどうぞ。でもね、飲み過ぎ
には気を付けてね』
-59-
妻は笑いながら家を送り出してくれる。
審判員は皆別々の職業である。しかし、話題は野球のことや子供達のことなので結構楽しい。
その時飲むビールは格別の味である。
私にとってビールの最高の『おつまみ』は野球少年達の元気な好プレー・珍プレー・うれし涙・
悔し涙である。
(4)近況報告
川
島
理
御無沙汰しております。昭和 57 年入局の群馬県の川島です。
入局後、浦安病院勤務を経て、昭和 60 年に、父の病気を機に群馬大の耳鼻咽喉科学教室に移
籍させていただきました。その後、平成 5 年に父の死去に伴い、家業の川島医院を継いでいます。
近況と最近思うことを書かせていただきます。
① 卒後 30 年
今年、卒後 30 年を迎えました。あっという間です。7 月には、連休を利用して、当地伊香
保温泉で卒後 30 周年記念旅行を行いました。家族も合わせて 40 名を超える人数が集まり、
久々に懐かしい学生時代に戻った感じでした。耳鼻咽喉科では、浅井先生、菅原先生、江渡先
生も参加されました。
さすが「6 年間、同じ釜の飯を食べた仲間」、いつまでもいい仲間です。
② 最近興味のあることや力をいれていること
入局したころと耳鼻咽喉科を取り巻く状況はかなり変わりました。内視鏡をはじめとする診
断・治療機器の発達で、小児科・内科・アレルギー科などに、耳鼻咽喉科の領域がどんどん侵
食されてきています。また、高齢化社会は、特に、地方の田舎ではどんどん進んでいます。こ
の状況では、診療の中心を高齢者にシフトする必要があると考え、力を入れだしたことを 2
つ紹介します。
まず、1 点は、補聴器。これは、さすがに他科の人も手を出せずにいます。しかし、巷では、
十分な教育を受けていないめがね屋や時計屋が、何も知らない老人に高価なものを売り付ける
ことが横行しています。補聴器相談医として、補聴器外来を設置し、また、定期的に勉強会を
開いて活動しています。
もう一つは、摂食嚥下です。摂食嚥下の専門は、医師、しかも耳鼻咽喉科医であるはずです。
ところが、耳鼻咽喉科医が既存の診療で満足しているうちに、人が余って困った歯科が口腔ケ
アだけでなく嚥下にまで手を伸ばしてきています。これでは、耳鼻咽喉科の居場所がますます
狭くなります。これではいけないと思い、嚥下ファイバーを武器に、
「渋川摂食嚥下研究会」
を立ち上げ、地元の脳外科医・外科医・歯科医・ST・歯科衛生士・訪問看護・栄養士・NST
関連職など多職種連携で活動をしはじめました。これにつきましては、開業して初めて、全国
的な学会「嚥下医学会(2012 年、高知)」にて報告いたしました。
③ 医師会活動
私の所属地区は、会員全員でも 110 名強のこじんまりした医師会です。役員の成り手も少
-60-
なく、理事 12 年、副会長 5 年勤め、この 7 月に一般財団法人への移行を機に会長に就任させ
ていただきました。
医師会での活動は、もっぱら連携に重点を置き活動してまいりました。「病診連携」だけで
なく、「医療・看護・介護」のみならず、行政も含めた在宅医療にかかわるすべての職種の連
携を図るため「在宅ケアネット渋川」を立ち上げました。興味のある方は、医師会 HP をご覧
ください。
また、この度、地区内の病院の統合が行われます。独立行政法人と市立の合併という稀なタ
イプの統合で、医師会がその間を取り持つ形で進んでいます。
④ 主な地元での活動
ⅰ) 商工会議所議員:もっぱら宴会要員ですが、地元の仲間と楽しく飲んでいます。
ⅱ) 渋川みどり RC 会員:クラブ創設時から参加し、来年は、20 年目を迎え、会長を務め(任
期 1 年)る予定です。
ⅲ) ボーイスカウト渋川第 2 団団委員長:要するに団長です。私自身は、スカウト活動をや
ったことはありませんが、40 数年前に私の父が発団し、初代団委員長を務めたことから、
私が後を引き継がせていただいております。ただ、団長というだけで、ほとんど活動自体
に参加できないのが悩みです。
ⅳ) 母校渋川高等学校同窓会(全学)副会長
ⅴ) 社会福祉法人の役員
ⅵ) 真光寺(菩提寺)檀家総代
ⅶ) 渋川ガス
監事
ⅷ) 地区民生委員;これは、さすがに務まらず、一期(三年)で、やめさせてもらいました。
ⅸ) 町内でのお祭り参加など自治会活動への参加
などなど、医師仲間以外の友人も数多くでき、それなりに楽しんでいます。
このような状況で、なかなか皆さんの前に顔を出す機会が持てませんが、今後ともよろしくお
願いいたします。
とかく、仲間内で固まってしまうことが多い業種です。皆さん、積極的に外に出て、異業種交
流・多職種連携で、自分の行動の幅を広げていきましょう。
(5)「那須からの書簡」若き諸君へ・・
国際医療福祉大学病院
耳鼻咽喉科部長・臨床教授
(昭和 61 年入局)中
川
雅
文
平成 23 年 6 月より栃木県那須塩原市にある国際医療福祉大学病院に耳鼻咽喉科部長・教授と
して着任しました。遅ればせながら茶涯耳会誌にて同門会の皆様に着任の挨拶と近況報告をさせ
ていただきます。
本冊子が順天堂以外の各大学の耳鼻咽喉科にも配布されると聞いておりますのでまず以下のお
知らせからさせていただきます。
-61-
「中堅スタッフ若干名
募集中!」
登山やゴルフやスキー三昧?温泉と大田原牛のステーキを堪能したい方!
いっしょに働いてみませんか?
自薦他薦を問いません。
関心のある方は是非
[email protected]
までメールください(^.^)
さて、国際医療福祉大学のことをご存じでない方も多いと思いますのでまずは紹介から。国際
医療福祉大学は「もし医学部が新設されるなら」それにもっとも近い位置にいる医療福祉系の総
合大学と言われています。実際、医学部の設置に向けて積極的なロビー活動をしていますし、そ
う遠くない未来には設置されることを期待させてくれるパワーに溢れた大学です。当大学病院の
意気込みを感じさせる最近のニュースは
2013 年初頭に最新型の Da Vinci が導入されること、
後期研修医などを対象とした手術トレーニング室の整備が急速にすすんでいることです。基礎研
究棟も本年度に完成。動物実験の環境が整備されました。より高い目標に向かって当大学と大学
病院は着々とアップデートされています。
ヘッドクオーターとなる当院は、グループ内最大の標榜診療科 25 を擁しています。ベッド数
は 354 床とコンパクトですが、病床稼働率によって栃木県県北の救急医療と高度先進医療を一手
に担っています。
法人全体としてみると当院の他に、国際医療福祉大学熱海病院、国際医療福祉大学三田病院、
国際医療福祉大学塩谷病院の3大学病院、山王病院(乃木坂)、化研病院(市川市)、福岡山王病
院(博多)、高木病院(福岡県大川市)など IUHW グループの病院群は計30施設も上ります。
国際医療福祉大学のルーツは 1910 年大川市に産声を上げた高木病院で、大学としてのスタート
は 1995 年。まだまだ若い組織です。現在、薬学部、看護学部、リハビリテーション学部など 6
学部 15 学科があり、キャンパスは、大田原(栃木)、小田原(静岡)、福岡天神(博多)、大川(福
岡)、乃木坂(大学院)など全国各地に配置されています。 全体の職員は 8,000 人弱、総学生数
も 6,500 人。医療福祉系では最も大きな組織の一つです。個人病院からスタートした生い立ちは
なにやら順天堂の歴史に似ています。
そんな中で当院耳鼻咽喉科も特徴ある臨床と研究を打ち出しながら展開をすすめています。リ
ハビリテーション学部の協力を得ながらの感覚器機能の回復・改善に力を入れた専門外来は一つ
の特徴と自負しています。まず順天堂の音声外来で皆さんもお世話になった新美成二先生(大学
言語聴覚センター長)が週 1 回音声・嚥下外来を担当くださっています。さらに気管食道領域の
エキスパートである磯谷豊先生(大学言語聴覚センター)も下咽頭・喉頭の日帰り手術を担当く
ださっています。下咽頭・喉頭の治療のラリンゴマイクロサージェリーのために入院していた時
代を思うと隔世の感があります。併設の大学クリニックには加我君孝先生(国際医療福祉大学三
田病院)が週 1 回小児難聴外来にお越しくださり、
いろいろ示唆に富む指導をくださっています。
私はそうしたベテランの先生方に囲まれながら着任後のこの 1 年半で耳科・神経耳科をメイン
に臨床体制の組織化を図っています。2 名の言語聴覚士に活躍いただき補聴器・耳鳴・めまい外
来はカウンセリングからリハビリまでシームレスな医療サービスの提供を行うことができるよう
になりました。最新式のグラビコーダーや OAE を導入し、神経耳科診療での高度な診断も可能
となりました。32ch 誘発電位計による P300 や MMN も計測できます。これにより耳鳴患者を他
覚的に電気生理学的に評価する試み(臨床研究)も進めていく予定です。手術についてはスタッ
-62-
フ教育にまだまだ時間を必要としていますが、今秋からレーザーあぶみ骨手術への対応も整備さ
れました。すべての耳科手術に対応できるより充実した中耳・内耳外来の診療体制つくりにに腐
心しています。一般外来は現在東北大学耳鼻咽喉科医局からの応援派遣医師の先生にお願いして
います。常勤を確保できるまでの間ということで派遣医師を確保くださっている東北大小林教授
のご高配に本当には感謝しております。はやく自前で対応できるようにしたいものです。思うに
母校順天堂の耳鼻咽喉科も 3 トップが東北大出です。順天堂の卒業生に立ち去りの多いことは大
変危惧を感じます。大志をもって医学研究や先進医療と格闘しそれを継続していく、そうした思
いもないままに安易に開業に目を向けてしまう後輩には一念発起を願うばかりです。
今年から当院耳鼻咽喉科では、
「介護施設における高齢者聴覚・認知機能スクリーニング」と「抗
血小板療法と高齢者の鼻出血に関する疫学調査」の 2 つの前向き調査がスタートしました。また
他大学の工学部との連携で「現代日本語話のスピーチバナナ作成」や「タブレット PV 型自記語
音明瞭度検査装置の開発」などの研究、さらには産業衛生学会の田中茂先生の研究グループとの
共同研究での「騒音障害予防のための防音保護具の開発研究」などもはじまっています。とにか
くすることが多くて人手が足りません。臨床面でも Tos の開発した 0.1mm の薄切軟骨板による
鼓室形成術を積極的に実施しています。短冊状の薄切軟骨を再現性をもって作成するための全く
新しい手術ツールの開発も進めています。私は薄切軟骨板による鼓室形成術は画期的 topic だと
考えています。大腿筋膜や側頭筋膜にくらべ圧倒的に AB-gap を低減させ、聴力の改善を可能に
してくれるからです。本術式の普及はまだまだこれからですが、普及にはより簡便な操作で行え
る手術器機の開発が課題です。そうした臨床開発も試行錯誤しているところです。
幸いか不幸か、わたしは卒業以来、研究する医師でありつづけることができ、いまもその塀の
上から落ちずに歩いていることができてます。そこに楽しみを見いだすことができたのは、市川
銀一郎名誉教授のもと順天堂という医局で育ったことが一番の理由だと思います。しかしそれだ
けでもなかったように思います。鼓室形成を教えてくださった宮崎医大の森満保先生、脳科学を
教えてくれたイリノイ大学(現ミネソタ大)の BinHe 教授や脳機能研究所の武者利光先生、感性
工学の研究の場を与えてくださった東工大院の中原凱文先生、脳磁図では東京歯科大学の新谷先
生と中島庸也教授のお世話になりました。なにより帝京大学の鈴木淳一先生との NGO 活動は忘
れることのできない体験でした。真摯でまじめな指導的立場の研究者の生き様を学ぶことでいま
の自分があると思うのです。若い先生方には是非とも「清く正しく大志をもって」
「未来がより良
くなるように」との決意で医学と医療の両道を歩んで欲しい。知らず知らずに「 朱に交り」汚れ
てしまうことはあってほしくない。本物の世界をみること、他人の釜の飯を食うことで自分のす
すむ道を見つけて欲しいと思います。ぜひ井の中の蛙になることなく、広く人と交わり自分を磨
いてください。
ちょうど 1 年ほど前、都内某所で同門会有志の諸先生に囲まれささやかな就任お祝いパーティ
ーをしていただきました。多くの同門の先生方との楽しい時間を過ごしまたたくさんの応援のお
言葉をいただきました。最後に「これからが本当の意味で大変だぞ!」と市川銀一郎先生から厳
しい言葉を頂き、あらためて身も引き締まる思いで那須にもどったのは昨日のことのようです。
そうした応援を糧にいまこの那須の地で新しい耳鼻咽喉科臨床を発信すべく格闘しています。歩
みは一歩一歩かもしれませんがこれからも良きアドバイスと応援をお願いします。
平成 24 年 12 月 1 日
-63-
初雪の那須塩原にて
(6)趣味は何かと聞かれたら
三 島 丈 和
趣味はと聞かれたら、ウオーキングと答えようと思います。
このように言うと大層なことを、しているようなことをしているようですが、交通費節約とい
う経済的理由のために始めた、歩いて通勤している事を、ウオーキングと称しているだけの事で
す。しかしこの通勤が気に入っています。朝は反対方向から歩いてくる方がいます。けして声を
かける間柄ではないのですが、同じ時間に毎日すれ違っていると、妙に親近感がでてきて、心の
中で「オハヨー、お互い毎日大変ですネ。今日一日ガンバロー」とか、「ヨ今日も相変わらずき
れいだネ、今日の服もお似合いだよ」と声をかけてしまします。また近隣の先生方がすでに仕事
を開始しているの見かけると、自分も頑張らなければと身が引き締まります。
歩きながらラジオを聴くのも楽しみです。私は学生時代から結構ラジオを聞いていました。い
わゆる深夜放送世代なのでしょうか。受験勉強をしながらラジオを聴いていたことを思い出しま
す。よく言われるように、ラジオは自分だけに、語りかけてくれているようですし、何か他のこ
とをしながら聴ける事が良いと思います。また当院に元気に通院してくださる 80 代のおばあちゃ
んが、「私はいつもラジオのニュースを聞いて、それをノートに書き留めているのよ」と自慢して
いますが、ラジオを聴いていると想像力がかきたてられてボケ予防によいのかもしれません。
また歩くことで軽く汗を流すと、ストレス解消になります。患者さんが少なくて不安な時、従
業員のもめ事で心配な時など、歩いていると段々と何とかなるかと思えるから不思議です。考え
事をしながらの車の運転は、とても危くてできません。しかし、少なくとも歩道の上を歩いてい
る限りは、考え事をしながら歩いていても、それほど危険な目に合うことはありません。歩いて
いるうちに次第に歩く事に一生懸命になり、いやなことも忘れてしまいます。また歩くようになっ
てから、確かに、体重が減って、コレステロール値、中性脂肪値などが、改善してきました。お
金を使ってジムで運動する人もいるくらいです。それを考えると、節約できかつ健康にも良い、
良いことずくめのような気がします。
通勤の帰りは、暗くなっていますので、その時は鼻歌(最近は、なぜか順天堂の校歌をくちずさ
みます。順天堂出身だという思い、順天堂時代を懐かしむ思いがあるのでしょうか・・)を歌いな
がら歩いています。歌う事もストレス解消になります。多少大きな声で歌っても、車の音でかき
消されてしまいますし、近くに人もいないため、人に聞かれる心配もありません。だみ声を張り
あげ、一人興に入ています。
ある程度の年齢になって、趣味の一つも持っていないという事は、人生を無駄に生きてきて恥
かしい事だという強迫観念がありました。そのため、なんとか趣味らしい趣味を作ろうと、努力
したこともあります。しかしどの趣味も結局長続きせず、終わっていました。その一番の理由は、
趣味をすると劣等感だけが残ったからです。たとえば、勝負事だと結局仲間に負けてしまい悔し
い思いをする事になっていました。また、写真とか、楽器演奏だとかも、上手下手が出てきて、
一生懸命練習してもうまくならないと、挫折感だけが残ってしまいます。そんな根性のないこと
ではダメだといわれるかもしれませんが、練習して上手く(強く)なっても、世の中は広く上には
上がいて、結局はさらに強い人に負け、最終的には劣等感だけが残ってしまう事になります。そ
の点歩いての通勤は、勝った負けた、上手下手がなく、一人で歩く分には、だれに気を使うこと
もなく、自分の世界に入り込むことができ、経済的で、健康にもよい最高の趣味だと思っていま
-64-
す。他の人から見れば、暗く孤独で、発展性のない行為で、趣味と公言できるほどのものではな
いと思われるかもしれません。しかし、自分がそれで満足し、達成感、次の仕事への活力が得ら
れるなら十分だと思うようにしています。趣味をしていて、悔しい思いが残って、ストレスを感
じるならば、私にとって趣味ではなく、仕事と同じだと思います。
趣味とは、大いなる勘違い。大いなる自己満足だと思うからです。
これからは、胸を張って、ウオーキングが趣味と答えます。
(7)進化し続けるガラパゴス
吉
田
悌
友
原稿依頼があり、何を書こうか悩んでいたときに、iPhone 5 が発売になりました。今や携帯電
話は、日本独自に進化したガラパゴス携帯(ガラケー)から、スマートフォンに世代交代してきて
います。
私は最近まではガラケーと iPhone 4 の 2 台を使い分けていました。8 月から Docomo のキャ
ンペーンで、ガラケーから Galaxy Ⅲに乗り換えました。iPhone 4 との 2 台持ちの状態です。
iPhone 5 も予約済みです。
思い起こせば研修医の時には、熱狂的マックファンでマックの本まで執筆したことがありまし
た。その後は時代の変化で Windows も使うようになり、マックから遠のいていました。昔から
携帯端末が大好きで、palm、ソニーのクリエ、apple の Newton(iPhone の前身となる携帯端末
で弁当箱くらいの大きさがありました)、シャープの Zaurus、HP の windows CE と使い続けて
きました。当時は画期的に思えた機器は、現在のスマートフォンから比べれば機能的には雲泥の
差です。今まではデスクトップコンピューターでしかできないことも、手のひらの中でできてし
まいます。携帯端末は Apple と Andoriod の勢力争いになっています。かつての Mac と Windows
の関係と同じです。Apple はコンピューターと携帯端末両方で、独創性のある製品を提供し続け
てきました。どちらも数の論理で全体のシェアは負けてはいますが、先進性、操作性は負けてい
ません。日本の状態を見てみると、かつては先進性のソニー、独創性のシャープでしたが、ソニー
は赤字、シャープは存続の危機の状態です。日本企業がどうも元気がありません。携帯電話で TV
を視聴できたり、お財布携帯、i-mode 等、日本独自の進化をしてきました。当時の処理能力が
低い機器では、すばらしい技術でした。高速データ通信、CPU 処理能力の飛躍的進歩であっとい
う間にスマートフォンに取って代われようとしています。日本は伝統的にこの様な分野は得意で
すので、いずれ巻き返してくれる事と思います。携帯電話も電話機能、シンプルな操作ではガラ
ケーの方が優れている部分があり、必ず生き残ると思います。
最近、デジタルレントゲンの導入、電子ファイバースコープの更新、インターネット予約シス
テムの更新と診療環境の刷新を行いました。自分の診療スタイルも、日本独自のガラパゴス状態
の中で進化した技術と、世界のスタンダードに取り残されない状態に Update していかねばと思っ
ています。日本の医療は進化し続けるガラパゴスで無ければなりません。時代が変わってもガラ
パゴス独自の特徴を出して診療できる状態を維持しようと思います。
-65-
(8)父が旅立った日、そして母のおいなりさん
中
澤
詠
子
それはちょうど 9 年前の夏、平成 15 年 7 月 17 日のことでした。父が他界しました。私は当時
順天堂大学浦安病院の耳鼻咽喉科に医局長として勤務しておりました。その日はちょうど原発巣
不明頸部リンパ節腫大(単発でしたが、6cm は超える巨大なリンパ節でした)の患者さんの頸部郭
清術を執刀していました。ガチガチの腫瘍を胸鎖乳突筋と内頸静脈ごとはずし、数時間におよぶ
手術は何とか終了しました。そしてその日は当直でした。手術が終わると、妹からメールが入っ
ており、
「お父さんがおかしい。大分苦しそうだ。明日にでも行ってあげられないか?」という内
容でした。私はそろそろか・・・と思いながら、何とか明日までもってほしい・・・という思い
で当直室の床に着きました。すると、深夜 0:30 頃電話が入り、父が急変したから来て欲しいとの
ことでした。私はその日、幸いにもネーベン当直の先生がいたため、その場をネーベンの先生に
お願いしてタクシーで父の入院先であるお茶の水にある順天堂医院の本院へ駆けつけました。部
屋に着くと父は力なくベットの上に横たわっており、担当の先生が一生懸命心臓マッサージをし
てくれていました。しかし、既に心臓は止まっており、私の到着を待って死亡確認ということに
なりました。泣き叫ぶ家族の隣で私は茫然と立ちすくみ、不遜にも「ああ、
・・・間に合わなかっ
た。でも、これでもう苦しまなくて済むのだな・・・」と思っていました。皮肉にもその日は、
自分は癌患者さんを救うべく手術をしていた日・・・。父のこんな言葉を思い出していました。
父の再発が見つかり、治療のために入院していた頃、喉頭癌で放射線治療後の再発で糖尿病も合
併している 60 代の患者さんの喉頭全摘術をする機会がありました。後に考えれば、リスクの高
い症例だったのでもっと慎重にいけばよかったと後悔先に立たずなのですが、たった数日、本人
の強い希望もあり、飲水のための食道造影を早めてしまったことをきっかけに、術後に下咽頭皮
膚瘻形成という悲劇が起きてしまいました。創部の感染のために日に 2 度も 3 度も洗浄する日々
が続きました。頸動脈の感染による生命のリスクという不安を抱え、先が見えない日々が続き、
どうやってリカバリーさせるか苦悩していた時、父にそのことを話しました。父はぼそっと「そ
んな手術をするからだ・・・」とつぶやきました。自分の意志で選んだとはいえ、因果な仕事・・・、
そのために犠牲にしなければならなかったこと・・・、時間・・・、があったかもしれません。(そ
の後、その患者さんは創部が落ち着いたところで、形成外科の先生に依頼して創部を大胸筋皮弁
で閉創して頂き、無事に回復してくれ
ました。そして、少なくとも私が勤務
していた平成 20 年までは再発もなく
順調でした。)
父が発病したのは平成 9 年の夏の終
わり頃だったと記憶しています。その
年の 6 月に父に先駆けて母が早期の乳
がんの手術を受けました。その夏の私
の 7 月の誕生日は母が入院中だったの
で、近くのイタリアンレストランで父
と妹にお祝いしてもらった思い出があ
ります。夏休みには父と恒例の朝霧ジ
元気な頃の父と、上高地にて
-66-
ャンボリーにゴルフ旅行に連れて行ってもらいました。父は大のお酒好きでしたが、その時も夕
食では、ろれつが怪しくなり、目が据わってしまうまで、お酒を飲んでいました。夏休みには自
宅でも誰に遠慮することなく、好きなだけお酒を飲んでいました。そして、夏休みも終わった
頃・・・父は診療中に下血を起して倒れました。そのまま診療は中断し、八王子市医師会前会長
の赤上先生の紹介で八王子消化器病院に緊急入院となりました。私はその知らせを、その当時勤
務していた本院の暗い実験室で聞きました。その頃、私はティーテルアルバイトのため仕事が終
わった後に細菌学教室の実験室を借りて、孤独にも癌細胞を培養し、それを用いて抗がん剤の至
適濃度とタイムスケジュールの研究をしていました・・・というよりもさせられていた感覚の方
が強かったかもしれません。父の病気は胃がんでした。主治医の林先生から母と私の 2 人だけで内
視鏡写真と CT などの全ての検査結果を伺った時、これはかなり進行していると感じました。病
期は IIIb だったと思います。父はその場にはいませんでした。「聞いてきてくれ」と私と母に託
しました。私が父に聞いてきた結果を口頭で伝えた時、きっと父にとっては晴天の霹靂だったろ
うと思います。父の両親はともに 90 歳を超える長寿で大往生でしたので、自分が癌になるなど
とは露ほどにも思っていなかったと思います。元気なころ「癌は遺伝だから、俺は癌にはならな
いな・・・」と言っていたことがありました。その頃は確かに、癌遺伝子なるものが叫ばれ、癌
は食事や生活習慣などよりも家系的なことが強いように言われていた時代だった印象があります。
父はそのまま八王子消化器病院で手術することになりました。私はそれでいいのか迷いがなかっ
た訳ではありませんが、父の病状が進行していることを考えると、
「これから病院を移動している
間に病状が進行して手遅れになれば、それはそれでまずいな」とも思い、父の判断に任せました。
手術の日程は比較的スピーディーに決まりました。確かそれは土曜日の午後でした。土曜日とい
う休日の前日に手術するのか・・・。しかも午後からで、本来は病院もオフになる時間帯・・・
じっくりやってもらえるのかな・・・と一抹の不安を感じずにはいられなかったように記憶して
います。私もその日は仕事が半日だったので、仕事の後、すぐに駆けつけました。手術は意外に
も順調で数時間で手術は無事に終わりました。摘出したものを見せてもらうと、癌はすでに胃の
一番外側の壁(しょう膜)から顔を出さんばかりの状態でした。かろうじて肉眼的には腹膜播種は
ないとのことでした。リンパ節には若干の腫脹がみられ、一緒に摘出したとのことでした。これ
は、危機一髪のタイミングだったのだと感じました。父はそれから再発するまで、毎晩好きなお
酒を悦しんでいました。
「病気が見つかったのも、いっぱいお酒を飲んでいたお陰だな」なんて豪
語し、その当時市場に出回り始めていた発泡酒に感謝さえするほどでした。父は心配する家族を
よそに「これでは、まだまだおじいちゃんに負けてしまう」と大酒飲みでヘビースモーカーだっ
た祖父を引き合いに出して、だから大丈夫と言わんばかりにお酒を飲んでいました。
術後の経過は順調でしたが、術後に抗がん剤の治療を要しました。その頃の、胃がんに対する
抗がん剤の種類は古くからあるものが主体で随分古めかしい印象を受けましたが、是非やっても
らいたいと望みました。父は一連の点滴による抗がん剤の治療はクリアーしたものの、その後の
内服(UFT-E)を十分に続けることができませんでした。父はまた無類のゴルフ好きでしたから、
「この薬を飲むと、ゴルフをする時に指の先がしびれて力が入らなくなる」と言ってその薬を嫌
い、勝手に自分で中断してしまいました。私はそれはよくないな・・・と思いつつも、
「再発する
かもしれないから、飲んだ方がいいよ」とは強く言えませんでした。それから 3、4 年して再発
が確認されました。私は医師になって 2 年目から父の診療所に週 1 回アルバイトに行っていまし
た。それは、父の希望でもあり、娘に自分の耳鼻科のノウハウを教えたいということがあったよ
-67-
うです。そんな訳で自宅に帰って
いたある日のこと、父は「ここを
触ってみろ」とおへそのあたりを
突き出しました。するとピンポン
玉位の堅いしこりが触れました。
父は「はじめ、(ベルトの)バック
ルかと思ったよ」と言っていまし
た。そこで今度は、本院の耳鼻咽
喉科学教室主任教授、市川銀一郎
先生にお力添えを頂き、食道癌の
権威であられる順天堂大学第一外
ある日の父の診察風景
科の鶴丸昌彦教授に診察頂くこと
になりました。術前検査では「病変は限局しており、前回手術によるインプランテーションの可
能性があり、切除可能であろう」との評価でした。しかし、いざお腹を開けてみると、多発性に
結節病変を認め、腸管壁との癒着が強く全ては取りきれなかったとのことでした。そのため追加
治療として、ポートという持続動注用のカテーテルを皮下に埋め込み、そこから抗がん剤の治療
を行うこととなりました。父は、極力、治療に割く通院時間を省きたくて、抗がん剤の注入を私
に依頼しました。私は元来耳鼻科医ですし、ましてやその様な手技は初めてでしたが、担当医の
先生が作成して下さったマニュアルを見ながら、週 2 回に増えた自宅外勤の日にあわせて自宅で
抗がん剤治療を行いました。午後の診療の始まる前に薬液を注入し、診察終了後に抜去するとい
う作業を繰り返し、その間父は従来通り休むことなく診療を続けていました。しかし、そんな必
死の治療に反して、その後もそ径部のリンパ節などに再発を認め、体重は減り、徐々に状態が悪
くなっていくのを身近で感じていました。父が最後に倒れたのはゴールデンウィークの後だった
と思います。その年の春には恒例の学校健診があり、父に連れ添ってそのいくつかは私が健診を
手伝いました。その頃には、だいぶ衰弱してきており、平地を歩くのも、階段を上るのも、独り
ではおぼつかない様子でした。健診からの帰り道、自宅の階段を上っていた時に、父は「こんな
身体になるとは思わなかったよ・・・」とポツリとつぶやきました。私は、ホロっときたのを今
でも憶えています。それまでの父は病気しらずで、頑丈でがっしりとした体格でしたから・・・。
父が最後に自宅で倒れた日はゴールデンウィーク開けの火曜日でした。ちょうど自宅外勤の日で、
午前中から父の調子が悪そうだと連絡はもらっていましたが、自宅に着いて父の部屋へ行ってみ
ると、父が布団から這い出ようとして、ふすまの近くでうつ伏せになって倒れていました。この
ような状態でどのくらい居たのか正確なことはわかりませんでしたが、母も昼頃から私が来ると
いうので食事の支度に忙しくしていたようでした。すぐに、救急車を手配しお茶の水の順天堂医
院まで搬送してもらいました。父は脳梗塞を併発していました。そのため、話すことも書くこと
もままなりませんでしたが、こちらの言っていることは理解していました。ちょうど左脳の言語
中枢がやられているようでした。まさかこういう状態になろうとは、本当に思ってもいませんで
した。私は週 2 回父の下で働いていたといっても、実のところほとんど父の指示で動いていたに
すぎず、父のドイツ語のカルテを解読することもほとんどできていませんでしたし、医院の経営
的な面はほとんど知りませんでした。そのため、父からは医院のことをいろいろと申し送っても
らわなければならないと思っておりましたが、比較的元気にしている時には、最後のことを予感
-68-
させるような話はなかなかこちらから
は切り出し難いものでした。だから、
そういう話は最後に入院した時にすれ
ばいいと思っておりました。それが、
かなわなくなってしまいました・・・。
それからは、主に母が日中はずっと付
き添い、状態が悪化してからは、夜間
は母と交代で私も泊まり込むようなり
ました。そのため、病室から浦安に出
勤する日もありました。そして冒頭に
書いたように、平成 15 年 7 月 17 日の
元気な頃の父と母と、上高地にて
深夜、父は静かに旅立って逝きました。
私達の看病疲れを配慮するかのように駆け足で逝ってしまった様な気がします。その後の一週間
は偶然にも私は大学からの要請で講習会に行く予定でしたので、外来予約を全てストップしてい
ました。なので、父のことで大学に迷惑をかけるようなことはほとんどなかったように記憶して
います。父は大学にも遠慮して、私の仕事にも配慮してくれたかのようなタイミングで旅立って
逝きました。
その父の後を追う様に、今度は母が逝ってしまいました。母は乳がんの手術を約 13 年前に受
け、術後大変順調でしたが、そろそろ 10 年を経過するという直前の 9 年目に再発しました。初
めは食事がうまく飲み込めない、何かつかえる感じがあるという症状でしたが、そのうちに飲み
込んでも吐いてしまうという症状がでてきました。なかなか胃カメラをしても見つかりませんで
したが、最終的には食道下部から胃にかけて病変があることがわかりました。乳がんでは非常に
珍しいことに胃に転移しているとのことでした。すでに腹腔内の神経叢まで巻き込んでおり切除
不能のため、抗がん剤の治療を受けることになりました。しかし、その効果虚しく再発から三年
目の平成 22 年 10 月 22 日に旅立って逝きました。そんな母との思い出に、忘れられない苦い思
い出があります。それはまだ、母の再発が確認される前のことだったと思います。母とキッチン
の清潔不潔でもめたことがありました。その日は、母が体調が思わしくないのに、おいなりさん
を作ってくれていました。私にも「食べない?」と声をかけてくれましたが、意地になっていた
私は決して食べようとはしませんでした。でも、私には、わかっていた気がします。後ろを向い
て座っている母の血行の悪くなった紫色の踵を眺めながら、
「きっといつか、私はこの事(母が作っ
てくれたおいなりさんを口にしなかったこと)を後悔する日が来るであろう・・・」と思っていま
した。やはり、そしてそれが本当に母がこしらえてくれた最後のおいなりさんになってしまいま
した・・・。
-69-
(9)練馬病院就任時の想い出
畠
将
晃
平成 12 年入局の畠です。
自分の中では若手のつもり・・・でありましたが、私が入局した時に在籍されていた先生で、
今も医局にいる先生は、数えられるほどになってしまいました。
むしろ、最近は下の先生の名前と顔が一致しなかったり、学年関係がさっぱり分からなかった
りなど、随分じじぃになってしまったなと実感させられます。
さて、入局していろいろ想い出も尽きないのですが、今回練馬病院就任時の想い出について、
書いてみたいと思います。
時は 2006 年 7 月、私は専門医になったばかりの 6 年目の時に、順天堂練馬病院の科長を命じ
られることになりました。当時の練馬は開院 1 年目。外来患者も多く、大変忙しい病院と聞かさ
れており、大きな不安の中で、赴任を迎えることとなりました。そして赴任した 1 日目の事は今
も強く思い出されます。
初めて扱う電子カルテを何とか駆使しながら、午前中の外来がようやく終わるころ、院長秘書
より PHS。院長先生に挨拶しに来て下さいという事でありました。
当時の院長は言うまでもなく、豪腕宮野武先生です。学生時代のポリクリでは、教授室で宮野
先生自著の感想文を朗読させされたとか、小児外科の授業では、自慢話と相撲のスライドがほと
んどだったとか、ラグビー部の部長先生として、とかくハチャメチャなイメージがありました。
私が医師になってからは、宮野先生は本院の院長に着任され、その当時、様々な場面で叱咤を
含めた強烈なリーダーシップを目の当たりにした私の中では、豪快でどちらかというと怖い人と
いうイメージも強く刻まれていました。
従って、院長である宮野先生に初見するのは、あまりの若さで科長に就任した私にとって、恐
怖心でいっぱいだったのです。
しかし、院長室では、そんな恐怖心におののく私を、力強い握手と共に優しく迎えて頂きました。
「おー!!
よく来たね。君のことは学生時代から知っているよ。畠君だっけ!?
よろしく頼
むよ。練馬の耳鼻科に君の名前を残せるような仕事をしてくれたまえ。頑張ってくれたま
え!!
・・・うーん、名前は何だっけ?」
学生時代の私を本当に覚えていられたかどうかは、かなり怪しいのですが、宮野先生なりに、
「今度来る耳鼻科の科長はどんな奴だ?」という事は調べられていたようでした。こんな調子で、
私は練馬病院に大変温かく迎えて頂きました。
宮野先生の一員として勤務してみると、その豪快な風貌と裏腹に、非常に細やかな配慮が見ら
れることに、驚かされました。宮野先生は常に「守り」の重要性を説いておられました。特に「患
者に対する接遇・マナー」に関しては、科長レベルで、ことあるごとに厳しく指導をされていま
した。また、
宮野先生は院内のチームワークを重視されていました。
「少数精鋭の病院である以上、
大切なのは和である」という考えのもと、月に 1 回、医師の親睦会が行われ、電子カルテという
効率性も相まって生み出される各科間、事務方・コメディカルの協力意識というのは、これまで
勤務した関連病院の中でも、最高レベルのものであると感じました。
私も専門医になったばかりの弱小科長ではありましたが、耳鼻科の責任者として、宮野先生は
私の立場を最大限に尊重して頂きました。こうした宮野先生をはじめとする病院の支えなしには、
-70-
私の職務は到底勤まらなかったと思います。また有事の際の練馬病院の院長指揮下の機動力は、
特筆すべきものがあり、耳鼻科で生じた問題に関しても、様々な他科の先生、事務方がバックア
ップに入り、場合によっては院長自身が、いろいろ介入して下さることもありました。そして一
人で悩みを抱え込まずに、解決できたというケースもありました。
ゴルフ部という立場柄、池田杯と同じように、宮野杯というゴルフコンペを練馬病院で立ち上
げたのも想い出です。一緒にラウンドもさせて頂きましたが、大きな体から繰り出されるラグビ
ーのような豪快なゴルフ・・・ではなく、リスクマネジメントを考えた緻密なゴルフをされてい
たのにも正直驚かされました。この時は私を含め、宮野先生と親子ほど年の離れた若手医師が多
数参加しましたが、この様な年齢差でラウンドすることは宮野先生自身があまり体験されること
がないらしく、非常に新鮮だったとニコニコされていたのが印象的でした。
私は 3 年半練馬に在籍し、2010 年 4 月に高齢者医療センターに異動になりました。宮野先生
も昨年院長職を退任され、名誉院長となられました。私は練馬に名前を残すような仕事が出来た
とは思えませんが(違う意味で「畠」という名前は残しているのですが、それはさておき・・・)、
少なくとも在任中、練馬病院の名を汚すことがなかったのは、私の中の誇りであります。医局誌
という場ではありますが、この場を借りて、宮野先生をはじめとする練馬病院関係の方々に、感
謝の念を捧げたいと思いますし、後任の先生方が、練馬病院の耳鼻科にさらなる発展をもたらし
てくれることを期待したいと思います。
そして、練馬病院で得た想い出や経験は、私にとって財産であると考えています。この財産を、
今の職場にも、そしてこれからの職場にも生かし続けていきたいと思っている今日この頃です。
-71-
15.第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会特集
(1)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会を振り返って
池
田
勝
久
平成 24 年 7 月 4 日(水)、いよいよ第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会の始まりであります。学術講演会
の前日の 4 日は役員会と会長招宴が開催され、学会の成功の鍵を握る日であります。小生は午前中
に鼻科手術 1 件を執刀してから金環日食以来始まった左眼の飛蚊感が寛解増悪するので眼科の海老
原先生のご診察を頂きました。眼底所見は正常だが、レンズの異常が示唆されるので、散瞳させて
からの検査が必要と言われました。しかしながら、散瞳したままでは役員会の司会は困難と判断し、
1 週間後の再検査にして頂いた次第です(結局、初期の加齢性白内障で経過観察)。また昼頃には会
員懇親会にゲスト出演を打診していた方と連絡が取れ、松本医局長に対応する旨を指示しました。
午後の 2 時過ぎに学会関連の荷物の輸送を兼ねて、楠事務局長、松本医局長、西村先生、秘書の
白石、小菅さんとともに第一陣として東京ドームホテルに向かいました。小生は早朝ランの企画の
着替えのために、ホテルに部屋を確保しました。役員会の前に初めて会長招宴の会場である 43F の
レストランを視察しました。100 名以上の招宴の招待客を対応できるのは地階の会場、または無理
な配置ではありますが、42F の複数の部屋を使用するという 2 案がホテル側から提示されました。
会員懇親会は地階での開催ですので、高層階で招宴を開催したいとの強い要望をホテル側に受けて
頂き、43F のレストランの全面的な貸し切りに応じて頂きました。レストランの造りなので、柱や
固定テーブルなどによって手狭な感じがしましたが、入口付近は辺りを展望できるバーとなって
おり、テーブル席からは外界が見渡せ、43F を選択
して正解であったことを確信しました。
3 つの会議が順調に定刻通りに終了となり、会長
招宴となりました。入口のバーにあった氷点下アサ
ヒエキストラコールドのサーバーが妙に魅力的に
映ったため、会長招宴のために用意したイタリアの
Verona 地方の 4 種類のワイン(Amarone を含む)以
外のアルコールとしてこの生ビールを加えることと
急遽決めました。ホテルのシェフにはこれらのワイ
ンを事前にお送りして、ワインに合った料理を選ん
で頂きました。招宴の予定を 1 時間あまり延長して
の宴となり、ご招待の先生方は心行くまでワインと
料理を堪能できたのではないかと思います。招宴終
了後の 2 次会にも顔を出し、結局 11 時過ぎにお開
きとなりました。翌朝にランがあるので、もっと早
く切り上げたかったのですが、皆様との楽しい団欒
の語らいに時間が経つのを忘れてしまいました。
-72-
学術講演会 1 日目の朝が訪れました。今回企画した「早朝皇居一周ラン」のために 4 時頃に起
床し、5 時前に自宅を出て、ホテルで借りた部屋で着替えをしました。ラン集合の前に会場を確
認しましたが、「会場が狭いな」と感じ、以前から危惧していた第 1 会場が満員となった際の対
応を考えることとしました。
さて、第 1 日目のランのゲストランナーは尾崎朱美さん(ホノルルマラソンの銀メダリスト、
順天堂大学出身、セカンドウインドアスリートクラブ所属、妹さんはロンドンオリンピック女子
マラソン代表の尾崎好美選手)と江田良子さん(2005 年世界陸上女子マラソン代表、スポーツエイ
ド・ジャパン「ランニング塾」塾長)です。尾崎さんは今年初めにご出産したそうですが、10km
くらいは平気でしょうとスポーツ健康学部の桜庭教授からご紹介頂きました。江田さんは小生の
ランの指導をして頂いており、ご主人と 2 人のお子様とドームホテルに前泊して頂きました。ラ
ン担当秘書の小林と学会担当秘書の白石に参加の先生の出席確認と名字を書いたゼッケンの配布
を手伝って頂きました。集合の 6 時には 25 名の参加の先生とともに準備体操とストレッチ、さ
らに簡単なランニングの指導を頂きました。ランニングには最適な曇り空の下、ドームホテルを
出発しました。白山通りを走り、皇居との交差部である平川門で 3 名の MR さんによるエイドか
らスポーツドリンクを頂きました。1km を 5 分~5 分半のグループと 6 分~6 分半のグループの
2 つで皇居一周を開始しました。小生は前日の若干の深酔と睡眠不足がありましたので、念のた
め遅いグループで参加者と語らいながらのランとしました。半周程走った所で、上下黒目の服装
の快速風のランナーが我々を待ち構えておりました。良く見ると、この企画にお誘いしていた東
大の山岨達也教授でした。山岨教授は早目に皇居で待っておられ、既に 2 周を走り終えたとのこ
とでした。後半は山岨先生のフルマラソンサブ 4(4 時間以内の記録)のペースで走ることとなり
ました。一周したのちに全員の集合写真を撮影して、全員無事にホテルに戻りました。
さて、肝心の学術プログラムの話題に入ります。本学会は臨床のテーマを取り扱いますので、是
非とも開業医の先生にも多く参集していて頂くために、開業の先生が休診日である木曜日からの開
催としました。木曜日を「開業医必見 Day」
、金曜日を「Surgeon 必見 Day」とメリハリをつけて
みました。初日の「開業医必見 Day」では「15 min lecture」と題して 15 分間のミニレクチャー
連続 12 テーマを第一会場の午前に置きました。もう一つの目玉はディベート企画です。諸外国で
の大統領や首相候補者による討論を想像するような形態の講演で、第二会場を使用しました。第三
会場は動画を用いた口演です。ランの後に着替えて、朝食を取り、8:20 頃に会場入りしました。
学会の運営をする業者に第一会場のモニター中継のことを指示しました。この時点では参加者の出
足はまだ鈍かったと記憶しております。8:55 からの小生の開会の辞では第一会場も徐々に参加の
先生が増えてきました。9:15 頃に第一会場を出てみると、参加受付にはかなりの行列ができてい
ました。第二会場のディベートを 15 分間程拝聴してから、第三会場、ポスター会場、機器展示会
場を回り、第一会場に戻ると、立ち見の参加者で溢
れていました。椅子の増設とモニター中継を指示し
ました。再度、第二会場に行きますとこちらも同様
な光景でした。入口を開放して椅子を入り口付近ま
で増設して対応しました。当初は第一会場からのモ
ニターTV は受付前のロビーに設置されていました。
急遽、ポスター会場に展示してある数枚のポスター
を移動して休憩場所を広くしてもらい、その場所に
-73-
モニターTV を設置することにしました。第一会場に入りきれなかった先生方も座ってご覧いただ
けたと思います。次の課題はランチョンの弁当の数です。教室員スタッフはランチョンの参加者の
数をみて、余剰の弁当があればランチョンを拝聴することと決定し、足りなかった場合に備えてホ
テルからスタッフ用の食事券を用意してもらいました。小生はランチョンの弁当は控えて、部屋に
ホテルが前日用意したフルーツの盛り合わせを昼食の代用としました。
ランチョンの後に、総会、学会賞の受賞講演を終え、ポスターセッ
ションです。同時に 10 群以上の発表でしたが、それぞれの群には
十分な聴衆が集まり質疑応答に参加して頂きました。ここでポスター
会場と隣接している機器展示会場に設置したカリカチュア(似顔絵)
について説明します。昨年の秋に長男の結婚の際に、家族集合(我々
夫婦と長男夫婦)の似顔絵をもらいました。また友人の税理士から本
人とその家族の似顔絵をラクーア(後楽園のショッピングセンター)
で作成してもらったことを聴きました。早速、ラクーアのカリカチュ
アの店に出向いて、似顔絵の画家(artist と称す)がパーティーなど
でライブを行うことを確認し、学会でのライブを依頼しました。そ
の後、営業の方とメールで打ち合わせをし、機器展示会場では 2 日
間の午後に 1 時間半、1 名ずつの artist の派遣を、会員懇親会では
2 名の派遣としました。当日の混乱を避けるために、カリカチュアの参加者を事前に決めておく
のが良いと助言を受けましたので、懇親会での希望者を HP で募集しました。機器展示会場では
当日の先着順としましたが、学会の 1 週間前になり、機器展示メーカーにインセンティブを与え
るために、各社に 1 枚ずつ整理券を配布し、機器展示に訪れた先生に差し上げることに変更しま
した。カリカチュアの認知度が低いためか、また我々の PR が足りなかったためか、懇親会での
予約に余裕がありましたので、学会当日も参加者を募ることになりました。また機器展示でのカ
リカチュアの出足が鈍かったようですが、結局両会場とも整理券が完売(無料ですが)しました。
ポスターも無事に終了し、次に第一会場では Q&A のパネルと第三会場での口演です。昨年の信
州大学主催の本学会でシンポジウム「1 枚の写真から何が分かるか」での Q&A 形式の講演が大変
に印象的でしたので、この企画を踏襲することにしました。学会のテーマである「見たい、聞きた
い、伝えたい」は聴衆参加型の企画によって達成できるとのではないかと考えたからです。司会の
久育男先生から順天堂の教室員を聴衆代表として選出して、質問に答えてもらいたいとのご要望を
頂いておりましたので、耳鼻咽喉科 2 年目と 6 年目の 2 名の教室員を生贄として捧げました。
初日最後の企画は立花隆氏の特別講演です。本学会の担当が決まり、特別講演は文化人の方に
依頼しようと考え、真っ先に浮かんだのが立花先
生です。立花先生の事務所(Chez TACHIBANA)
は小生のマンションの部屋から見える所にあり、
時々、資料の入った紙袋を重そうに持って歩く立
花先生を深夜に自宅近くでお見かけしておりまし
た。同時に著書や TV での発言に共感することが
多かったことが人選の理由です。病理の樋野教授
からご紹介頂き、約 2 年前に秘書さんに電話でご
依頼しました。その際の返事は「2 年も先の予定
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は判らないし、その頃には立花先生は亡くなっているかも」ということでした。その後も立花先
生の活動は順調でしたので、1 年前にメールで再度ご依頼したところ、立教大学の特任教授とし
ての授業の予定が入る可能性があるので、授業の日程が決まらないうちは約束できないとの返事
でした。さらに、昨年の 10 月頃に再再度、メールで都合を伺い、立教大学は来年の 3 月一杯で
退任するので、講演をお引き受けしましょうとようやく快諾を頂きました。その後、ご講演の題
名を伺いましたが、立花先生の興味は日々変わるので、講演の頃の発表題材が断定できないとの
返事でした。ようやく今年の 4 月に題名を頂きました。このような経緯でしたので、抄録の要請
はせず、ご略歴を要旨集とプログラムに記載することとしました。学会での講演を行う際には、
しばしば予定時間を超過してご迷惑をおかけすることが多いと事前に伺っていましたので、講演
時間を 80 分間としました。講演が始まり、本日の講演内容の項目を 6 つ程度上げられましたが、
最初の 1 項目で 30 分以上も費やした進行状況でした。何度も進行係から残り時間のメモが掲示
され、ほぼ定刻に終了して頂きました。今日の日本の政治と経済は不安材料が多いが、サイエン
スは将来有望であると伝えて頂き、日本の明るい未来像を提示して頂いた講演でした。
初日の学術講演が終了し、会員懇親会です。
懇親会の目玉は 1)ゲストプレゼンター、2)優
秀ポスター賞の発表、3)カリカチュア、4)関
東 12 銘酒(日本酒)です。ゲストプレゼンター
は「はるな愛」さんでした。優秀ポスター賞
の副賞としては、1)東京スカイツリーの入場
券(翌日の 12:00~12:30 入場)で、秘書の
白石が東武トラベルまで出向いて、教室員全
員の名前で応募して見事に当選した 2 名一組
を 3 つ、2)翌日 18 時に開始するドーム球場
での巨人‐阪神戦の 2 名一組の 3 つ、3)後楽園の遊園地のレストランと乗り物の券(6 ケ月間有効)
の 2 名一組の 3 つの計 9 名がはるな愛さんから賞状と副賞を授与されました。残念ながら、会場
に不在でした 3 名の先生は受賞を逃すことになりました。翌日にこれらの 9 つのポスターには風
船を掲示し、その賞を讃えました。懇親会のカリカチュアには海外での受賞歴のある 2 名の artist
に参加して頂きました。最初に伊藤運営委員長と小生が似顔絵を描いてもらい、1 時間半で 28
名の先生がライブに参加して頂きました。料理も完食となり、懇親会は 8:30 頃に中締めとなり
ました。懇親会では冷酒を少々味わっただけでしたので、家内と自宅近くの行きつけの小料理屋
で食事を取り、帰宅しました。
2 日目は 5 時に起床し、背広に着替えて出かけ、ホテルの部屋でランの服装に着替えて、スタッ
フ集合時間の 5:45 に集合場所に行きました。2 日目のゲストランナーは初日に引き続き江田さ
んに加えて、ロンドンオリンピックの男子マラソンの解説に決まっているプロ・ランニングコー
チの金哲彦さんです。金さんの有名な著書「3 時間台で完走するマラソン」は小生も愛読しまし
た。金コーチから体幹を使った走行法を講義してもらい、江田さんを含めて参加者の 23 名全員
が良く納得しました。初日と同様の要領で皇居一周を開始しました。小生は 5 分ペースのグルー
プで走らせてもらいました。後半は金コーチから 1 名ずつフォームの指導を受け、大変に参考に
なったと思います。
-75-
2 日目の学術講演はモーニングセミナーで
開始です。同門の杉田麟也先生の講演も順調
に時間通り終了しました。その後、2 日目の
「Surgeon 必見 Day」の目玉である手術セミ
ナーの 4 題が第一、二会場で行われました。
手術セミナーの後が招聘講演のピッツバーグ
大学の Snyderman 先生の登場です。小生は
脳外科の石井准教授と 2007 年に Snyderman
先 生 が 主 催 し て い る Minimally invasive
endoscopic surgery course of the cranial base and pituitary fossa の dissection course に参加し、
感銘を受け、今回の招聘となりました。7 月 4 日の 16:15 に成田に到着され、そのまま会長招
宴に臨席して頂きました。学術講演会の初日には森園先生の奥様と家内が案内をして、新橋演芸
場のスーパー歌舞伎の観光を楽しんだようです。講演の後に感謝状贈呈を行いましたが、カメラ
マンが直ぐに来なく、少し焦りました。
2 日目のランチョンもほぼ満席の状態です。昨日のランチョンの事態から 2 日目の弁当の数を
増量しました。第一会場の弁当は直ぐ完売(無料です)したため、他の会場の弁当で補填すること
になりました。第一会場では「本日の講演では満席を予定しておりますので、奥からつめてご着
席下さるようお願い申し上げます」とのアナウンスのタイムリーな表現に感心し、本会の盛況ぶ
りに微笑みました。2 題のモーニングセミナーは感染症の実践の講演と学会会期の 1 か月前に依
頼された人工内耳の講演です。ランチョンセミナーは「Meet the Expert」と「Meet the new
Professor」の 2 通りのセミナーとしました。前者には①リスクマネージメント、②アレルギーと
中耳炎の実践医学、③進行頭頸部癌の治療、④感染症診療の誤解で、後者は最近就任した 4 名の
教授の講演を 2 群としました。メーカー側からの講演者の推薦は 3 名、座長からの推薦が 1 名、
他の 8 名は小生が選出させて頂きました。上出先生の選出では杉田先生の推薦と小生の意見が一
致しました。
午後のシンポジウムは「夢の次世代治療」で
耳、鼻、喉頭、頭頸部癌での夢のある治療法に
取り組んで基礎と臨床研究を志している先生か
ら講演して頂きました。その後にポスターセッ
ションが行われました。第一日目のポスターの
掲示の順番はプログラムの進行に沿って並んで
おりました。しかしながら、二日目の前半の並
び方と後半の並び方が逆になっているので途中
で気付きました。つまり、前半の群が終了し、
後半の群がかなり離れた所から開始することになりました。幸い大きな混乱は起きませんでした
が、事前の確認は単に見るだけではなく、実際にシミュレーションして、予行する必要があるこ
とを痛感しました。
学会最後の企画であるイブニングセミナーは「ワイン&チーズの夕べ」と題して、第一会場を
シアター形式(イスのみ)からスクール形式(テーブルとイス)に変更し、会長招宴で出した
Amarone wine と神楽坂のお店から今回のために取り寄せたイタリア直輸入の各種チーズを提供
-76-
しながら講演を拝聴する趣向としました。学会が終盤と
なると、会場が閑散となるのが常ですが、百数十席がほ
ぼ満席の状態でセミナーが終了しました。本学会のテー
マ「見たい、聞きたい、伝えたい学会を目指して」があ
る程度達成できたという実感とともに会を成功裡に終え
ることができました。
学会の前の 6 月 16 日に開催されました同門会総会で顧
問の木村淑志先生は「同門の寄付を使って、思う存分、
腕をふるってください」と力強い激励を頂き、杉田麟也幹事長からは「同門と教室が一致団結して
学会を成功させよう」とエールを頂きました。また杉田先生からのご紹介で、特別講演と招聘講演
の演者への記念品として小・中学校の同級生で日本べっこう協会理事長の松本巌様に特注のべっこ
う細工の芸術品を作成して頂きました。改めて同門の先生からの物心両面のご支援に深く深く感
謝申し上げる次第です。学会の準備と当日の実務に努めて頂いた楠事務局長を初めとする教室員
の皆様に心より感謝申し上げます。協力し合って学会の準備を完遂した 3 名の秘書(白石、小林、
小菅)に大変に感謝申し上げます。また学会の運営にご協力頂いた役員、会員、参加者のすべての
方に感謝申し上げます。
-77-
(2)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会を担当して
~医局が一丸になった日~
楠
威
志
昨日、第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会が終了し、その記憶が忘れないうちに、
今、学会後記を作成しています。先ず、本会が盛会かつ無事終えたことをお伝えするとともに、
本会にご尽力と経済的に負担をおかけした、同門の先生方に深謝いたします。
現教授
池田勝久先生が、平成 15 年に開講されて、全国レベルの学会は、昨年 9 月の日本感
染症研究会総会に引き続き、2 回目となりました。1 年前より本格的に計画を開始しました。臨
床セミナーでは、OB の開業医の方々にアンケート調査を行い、見たい、聞きたいテーマーを把
握するように努め、さらに斬新な企画(Q&A 形式による聴衆者参加型セミナー、米国大統領選挙
演説を模して、共通話題についてのディベートなど)およびアトラクション(似顔絵、早朝皇居マ
ラソン)などを多くちりばめ計画しました。その分、各部署の担当を細かく分けました。2 ヶ月前
より要旨集のチェック、企画物の段取りなどの打ち合わせを夜おそくまで医局員のほか、関連病
院医師、秘書さんを含め繰り返し行いました。東日本大震災後、よく想定外という言葉をよく聴
きます(なにを基準にして「想定内」と「想定外」を区別しているのかよく分かりませんが・・・)。
前もって、想定できそうなトラブルを挙げ、それに対する対応を Q&A 方式に作成しました。さ
らに、学会中に何かトラブルが起これば、
「想定内」、
「想定外」区別なく、即座に対応できるよう
体制を考え、それぞれの担当部署に責任者を設置しました。その、気構えが通じたのか、会期間
中「想定外」とトラブルはありませんでした。結構大変だったのは、参加票の領収書控えと集金
額のチェックです。受付では確実に受け取りとつり銭を間違わないこと、集金したお金を本部へ
確実に届けることも、もちろん重要です。最終の参加票の領収書控えと集金額のチェは、秘書さ
んたちがされました。銀行員さらながらの業務で、その日、参加票数と集金額が一致するのを確
認し終える PM 11 時までかかりました。また、
「想定内」でのトラブル、質問の対応および連絡
も迅速に秘書さんが対処していただき、大変感謝しております。今回、当科の優秀な 3 人の秘書
さんの活躍が、本会の成功に大きく貢献しております。このように、医局員一丸となり本会開催
を無事乗り切りました。そのおかげで過去 10 年間の平均参加者は約 800 人、過去最高が 1073
人を大きく越え、今回は 1250 人におよびました。本会期間中、多くの先生方から「よかった」、
「おもしろい」、のほか「医局員の人、みんな大変やったやろ」など、労をねぎらうお言葉も沢山
頂きました。
最後に私事で恐縮ですが、大阪および関西から多くの小生の友人たちが、中には差し入れを持っ
てやって来ました。そこで小生が想定外で起こった「すべらない話?」(すべて実話です)が多く
あります。そのうち 2 つ紹介して本稿の終わりとさせて頂きます。
1) ポスター会場にて、母校の後輩が「楠先生の書いた耳鼻臨床の編集余滴での宣伝とか、地元で
の脅しのお陰で、少なくとも 200 人は関西から来ているやろな?」(もちろん、脅してません
し、そんなには来ていません)と言うと、すると先輩が、すかさず「そしたら、参加費 13,000
円やから、楠の経済効果は、260 万円や!」(さすが関西人)
2) 懇親会にて、小生の小学校の先輩であり、関西のある大学教授が「学会の企画もよう出来てて
勉強になるし、懇親会付きや。それに会長招宴で、うまいワインの飲まさしてもろたし、おま
けに
はるな
愛
じかに見れたし、ほんま良かったわ。この学会の参加費 13,000 円は安い
-78-
わ!」(やっぱり関西人)。それを聞いた友人たちは「今回の学会のキャッチフレーズ(見たい、
聞きたい、伝えたい学会を目指して)やけど、絶対損はさせません!をこのキャッチフレーズ
の最後に入れんとな。」(どうしょうもない大阪人)
(3)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会が終わって
杉
田
麟
也
心待ちにしていた学会が盛大(参加 1450 人)に、大成功裏に終わった。医局員および同門会の
皆が団結して取り組んだ学会があっという間に過ぎ去り終わってしまった。もっと続いていて欲
しかった。お祭りと言うものはこんなものなのか。心に空洞が出来た様な感じだ。
改めて、池田勝久教授
学会大成功でおめでとうございます。あなたの卓越したアイディア、
プランに感銘いたしました。40 年間幾多の学会、研究会に出席してきたが今回ほどまじめに演者
の話を聞いたことがない。むかしある大先輩から年取るほど学会でまじめに話を聞くものだと言
われたことを思い出すが今回は内容の充実が原因であろう。
学会テーマは“最先端技術の実践 普及 問題点:見たい、聞きたい、伝いたい学会を目指して”
でした。期待に違わずよい内容が多く、更に学会出席者が受身で話を聞くだけでなく討論に参加
する事も含まれていた点は聴衆を飽きさせず、内容に興味を持たせてくれた。
講演会開始前夜に東京ドームホテル 43F アーティストカフェで会長招宴会が開催された。伊藤
寿一京都大学教授、耳鼻咽喉科臨床学会主幹、前 京大教授
本庄巌先生、前 日本耳鼻咽喉科学
会理事長小松崎篤先生、前 日本耳鼻咽喉科学会理事長、前 順天堂大学耳鼻咽喉科教授
市川銀
一郎先生をはじめ多数の学会指導者の先生方のご出席を仰ぎ和気合い合いの会であった。ホテル
の宴会場ではなく普通のレストランでの宴会であり仰々しくないことも好感を持たれた。食事も
華美でなく、イタリアワインの勉強会も兼ねたような雰囲気であった。池田勝久教授の開会のあ
いさつ、市川銀一郎
前教授のあいさつと乾杯(25 年前河村正三教授の時代に順天堂が関東地方
で最初に本学会を担当したときのエピソード、京都出身の河村先生から市川先生がいわれた“君
たち関東人は”うんぬんの意味がいまでもわからないなど)、順天堂大学学長
小南教授から学会
開催の祝い、池田教授が日ごろ研究、教育にがんばっておいでになるとのお話があり宴が開始に
なった。席が近くて本来なら雲の上の先生方とお話しする機会を持たせていただいた。
第一日目は開業医 day で明日から診療に役立つ内容が多かった。15min lecture 一人の演者の
持分が 15 分間でこの時間内に決められたテーマの話をする。時間がやや短い感がしたが 15 分で
まとめるのは大変だったと推測する。木曜日は休診の開業医が多いためか同門の諸先生方も参加
してくださり学会を盛り上げてくれました。心より感謝申し上げます。
第一日目 PM は Q&A
専門医をめざしてであった。ロビーの TV を見て面白そうに思えたの
で第 1 会場に入ったが満員で立ち見であった。めまいの問題(前下小脳動脈血栓症)はブルンスカッ
シング眼振から診断が出来たが、鼻、喉頭、頭頚部領域は全滅に近く不勉強振りを恥じるしだい
であった。11 月の専門医講習会を早速出席を申し込んだ。
ついで、立花
隆先生(私個人としては先生の臨死体験の著書を拝読したした事があった)の“日
本の未来と先進科学”の講演があった。日本の science の分野の業績はすばらしく、新型旅客機
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B787 の機体、翼は炭素繊維で出来ていて、強度は増強され、重量が軽減され燃費も改善された
という。そのほか、スーパーコンピューターFX10 富士通、地球深部操作船地球、太陽観測衛星
ひので、小惑星探査はやぶさ、X 線自由電子レーザーSACLA などの将来が明るくなるお話をう
かがった。フランス文学を専攻した人なのに science に詳しいのに関心した。
夜は一日の疲れを取るべく実に楽しい会員懇親会が開催された。その席で池田会長から学会参
加者数が 1100 人を超えていると報告があった。近年では最高の参加者である。参加者が多いた
め会場が狭く感じられ、また料理も全く残らない盛況振りであった。ポスター発表のうち参加者
の投票で内容が優秀とされた人たちにドーム球場でのジャイアンツ戦のペアーチケット、スカイ
ツリー入場券などの商品が懇親会で手渡され会場の雰囲気を大いに盛り上げてくれた。
第 2 日目は私の感染症治療、フランクフルト大 Iiberg 先生の聴覚系のモーニングセミナーから
始まった。朝一番のプログラムなので昨年の感染症研究会のタイトルと同様に人目を引くように
した。その甲斐もあってか研究会初日の朝 8 時 20 分にもかかわらず、昨年は 100 人、今年は 2
日目とはいえ 150 人ほどが参加してくださった。私の治療の根底は患者満足のために 3 日以内に
症状をとってあげる薬の使い方である。昨年はタイトルに品が無いと指摘され、今年は症状を取
るだけで病気を治さないのかとおっしゃる人もいたが、感染症治療で症状を取ることと病気を治
すことは同一と考えている。抗菌薬と起炎菌が合致していなければ症状は変化しないし、病気も
よくならない。手前味噌であるが初診時にグラム染色を行い貪食の有無を確認して適切な抗菌薬
を投与する事が症状の改善をみる近道であると確信している。検査に時間が取られるので多忙な
耳鼻科ではなかなか難しいとはおもう。
本学会が大成功に終わった原動力は池田教授の優れたアイデア、指導力の賜物である。それに
加えて教室員が一丸となり学会運営に協力してくれたことが大きい。
特記すべきは楠先生(一番の
功労者であろう)、松本文彦医局長、3 人の秘書さんの協力、活躍を忘れてはならない。もう一つ
特記すべきは同門会会員の諸先生方の協力である。経済状況が厳しい中、学会開催のために 1500
万円もの多額の協賛をしてくださいました。市川先生が定年で退任の後、同門会離れあるいは年
代間で亀裂が生じ、会が分裂するのではないかと感じていた。しかし、今学会でわかったことは、
われわれの同門会はまだまだ大丈夫、教室を思う気持ちは十二分に残っています。このままスク
ラムを組んで教室のさらなる発展のため協力して行こうではありませんか。
学会の収支はたぶん黒字になったと推測します。このお金は正しく管理し、教室のために使用
して欲しいものです。
(4)学会ならびに日常雑感
藤
巻
豊
この度の耳鼻咽喉科臨床学会の感想と日頃医院で診療にあたっていて感じていますことを少し
申し上げたいと思います。
耳鼻咽喉科臨床学会は昭和 62 年に河村名誉教授を開催された時に、本学会が初めて箱根の山
を越えたと伺ったように記憶しています。
あれから 25 年を経て第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会を順天堂大学で開催させていただきましたが、
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同門会員の一人としてたいへん名誉な事と思います。また、医局の多くの先生方のご努力で過去
最高の参加者数であったことは学会に向けての準備が素晴らしかったことを物語っているかと思
います。
今回の学会ではテーマ通り、一日目には私など開業医にはたしかに必見の講演が目白押しでした。
私も、朝一番の感染症の迅速検査の講演から参加いたしました。耳鼻咽喉科臨床学会で最優秀
論文賞を受賞された新井顕先生にお目にかかり、先生と午前中の講演は席を離れることなく拝聴
いたしました。
迅速検査では、溶連菌、肺炎球菌などの細菌の他に、インフルエンザはもちろん、アデノウイ
ルスや RS ウイルスのチェックまで出来て、たしかに確定診断や、診療に役立つようになったと
思います。最近では、杉田先生のお手伝いで肺炎球菌の迅速検査キットのデータ集めをしていま
す。改めて、迅速検査と細菌培養検査との結果を比較いたしますと、単独菌感染症ばかりではあ
りませんが、迅速検査の結果は治療薬剤の選択に役立っていると思います。
福島県立医科大学の先生の喉頭の局麻での手術の手技の見事さには感動いたしました。日頃の
診療で、最近の先生方は間接喉頭鏡や後鼻鏡を使われないことが気になります。喉頭鏡でも所見
をとれるけれど内視鏡で観察されるのでしたら問題はありませんが、いかがでしょうか。私は医
局に在籍した当時、米山文明先生の外来には時間が有るとおじゃましていました。米山先生の間
接喉頭鏡下での喉頭への生食の注入を拝見して、私もさせていただきましたが、たいへん難しがっ
たことを思い出します。
東北大学の大島猛史先生の耳管解放症の御講演では、かなり経験を積まないとできない診療かと
思いました。たしかに、耳管解放症の患者さんは多いので簡単な手技が確立されると助かります。
朝の 9 時に着席して、気が付けばお昼前でした。
ランチョンセミナーでは日本医科大学の大久保教授のアレルギー性鼻炎のお話と上出洋介先生
の中耳炎のお話を拝聴いたしました。診療所の患者さんの年齢分布は開業場所で異なると思いま
す。私が開業しています行徳地区は小児の患者さんが多く、中でも保育園児では中耳炎を反復す
るお子さんが多く、換気チューブで管理しています。上出先生が、スライドで鼓膜所見を説明さ
れて、中耳炎を反復していて簡単には治癒に至りづらい耳を理解して欲しいとおっしゃっていら
したのが印象的でした。上出先生のお話しでも換気チューブが必要とのことでした。
夕方は立花隆先生の御講演を拝聴いたしました。
日本も科学技術の進歩でまだまだ躍進できそうな印象を受けなんとなく安心しました。
翌朝は診療前に杉田麟也先生のモーニングセミナーを拝聴いたしました。勤務医の先生のほう
が開業医より多く、勤務医の先生が中耳炎に関心を持っていらしてうれしく思いました。私も日
頃は杉田先生なら何を選択されるかと思いながら抗菌剤を選択しています。
一日目の夕方の会員懇親会は非常になごやかで、ジャズ部の学生さんや似顔絵を描いて下さっ
た先生方のご協力もあり、たいへんな盛り上がりでした。また、優秀論文の授賞式に、はるな愛
さんが現れましたが、私の周りにいらした方々が、さすが東京だね、今回の学会で一番よかった
と話していらしたのが印象的でした。
最終日のワイン片手にチーズをつまんでの講演もワインも好評で、楽しい会になったようです。
最後まで参加者を感動させた学会でした。
私の診療所には現在 3 大学、1 病院から外勤にいらしていただいております。医局の先生方に
はたいへんお世話になっております。多くのスペシャリストの先生方に御診療いただき、いつも
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心強く、感謝いたしております。
古川正幸先生には多くの中耳炎の患者さんが手術をしていただきました。また、古川先生には
日頃から鼓膜所見の取り方を教えていただいております。古川先生の日は半分が中耳外来の様です。
腫瘍の専門の先生方の喉頭の所見の取り方の繊細さは真似ができません。私は手を出さないよ
うにしてお願いしています。
音声の専門の先生にはポリープ様声帯などでも保存的な治療の限界を教えていただいています。
昨年は、順天堂病院への紹介患者数のランキングでトップ 10 にはいっていましたが、この一
年は順天堂浦安病院へお願いした患者さんが昨年より増えました。その分、順天堂本院への患者
さん紹介患者数が減り、ランクも下がりました。
今回の学会に参加して、改めて日頃お手伝い下さっていらっしゃる先生方の専門性の高さを再
認識しました。そのような一流の先生方と一緒に診療のできる自分が幸せだと思いました。
私の診療所では、二歳児くらいまでの難治性の中耳炎の患児は順天堂浦安病院の小児科と連携
を取って、診療にあたっています。
これからも患者さんのために、多くの先生方のご協力で、最良の医療を提供できればと願って
おります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(5)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会および学術集会に参加して
山
川
卓
也
第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会および学術集会が会長として、当教室の池田勝久教授がご担
当され、7 月 5 日、6 日の 2 日間東京文京区の東京ドームホテルで開催されました。当教室が耳
鼻臨床学会を担当するのは、初の箱根越えと言われた昭和 62 年河村正三教授が主催されて以来
のことです。今回は 1462 名もの会員が出席され、大成功に終わったことを同門会の先生方にご
報告します。学会の成功は池田教授の努力と新鮮なアイデア、教室員の努力、また同門会の先生
方による大きなご協力があってこそ得られるものであり、全国の先生方に順天堂の教室、同門会
の力をお見せすることができたと思います。私も会場に居りますと、
「今回は盛況だね、面白い企
画だね、お金がかかって大変でしょう、来年はやりにくいな」などの声を耳にしましたが、順天
堂の同門会所属でうれしい限りでした。
同門会の投稿するにあたり、学会全体の印象と私が参加した講演について雰囲気だけでもご説
明したいと思います。
ポスター演題にも学術的に大きなウェイトが置かれていました。会員懇親会で優秀な演題にタ
レントの「はるな愛」さんから激励の言葉と景品が授与されました。ポスター発表をするのは多
くは大学、病院の若手の先生方が多いようですが、このような場で賞をいただける機会は少ない
ので、受賞者は皆大変喜んでいました。おそらく彼らの記憶には一生残り、耳鼻科の発展に寄与
してくれると思います。若手の先生のモチベーションを高めることは耳鼻科存続、発展のために
重要なことです。
今回の学会の特徴は初日木曜日は開業医のために、2 日目は若手の術者のためにプログラムが
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組まれていることです。さらに今までは学会と言えば発表者と聴衆という関係であったものが、
聴衆中心の発表であることや聴衆のボタンで発表者を判定できるという新しい企画があり、大変
好評でした。具体例として、15 分レクチャー診断・検査法として、開業医に必要な感染症迅速検
査、嚥下検査、音声検査、高齢者のめまい検査を、第 2 として BPPV の理学療法、SAS の検査・
治療、アレルギー性鼻炎の免疫療法、耳鳴に対する音響療法・TRT についてその専門である教授
から 15 分ずつレクチャーがありました。内容はとても充実していて、新しい知識を開業医が得
るには絶好の機会であり、当然会場は満員でありました。やはりこれらのトピックは奥が深いの
で 15 分では足らないという意見も多かったようです。つぎに「ディベート」シリーズとして、
聴衆が講演者を判定する企画の会場に行ってみました、タイトルは中・下咽頭癌の経口的切除術
TOVS と ELPS の手術手技、症例提示をビデオで供覧することで、聴衆からの直接的な意見をボ
タンで判定するものでした。内容はガン治療なので開業医はよく遭遇する症例ではありませんが、
私の知識では咽頭・喉頭の切除は必要な症例であったにも関わらず、今はなるべく非侵襲的な治
療を目的にして、ここまで進んでいるのかということには少々驚かせられました。
ランチョンセミナーは大変な行列で、私は順天堂の後輩で病院管理学の小林弘幸教授が講演す
る会場に並びました。タイトルは「医療崩壊からの脱出~守りの美学」で日常診療におけるリス
クマネージメントの話しで強く印象に残るものでした。特にトラブルは診療終わり間際の患者さ
んに起こりやすいことはその通りだと思います。時間がないために、対応や治療、ムンテラが不
十分であることが訴訟リスクを高めます。アナフィラキシーショックにはステロイドよりもまず
ボスミンを注射することを強く勧められました。リスクを招く事態は以下のような状況でおこり
やすい。余裕・自信・予想外・具合悪い・環境の変化、これらを感じ取った時にはリスク発生を
予期して行動しましょう。
その後は最も大きな会場で、機器展示を見に行きました。相変わらずの展示内容、医療機器メー
カーです。いつもは学会の内容より機器展示でコーヒーを飲む派だった私ですが、今回ばかりは
会場でいろんなアイデアのあるセッションを聞いた方が自分の役に立つように思え、展示物にも
新たな製品で気をひくものも見当たらず、会場へ戻ったという次第でした。
最後に招待講演、立花
隆氏「日本の未来と先進科学」を聞きに行きました。立花氏は文系の
フランス文学、文芸春秋編集に携わり、ロッキード事件と言えば知らない人はいないくらいの著
名人です。この方が医系の学会でこのタイトルでどんな話をしてくれるのかは興味津々でありま
した。結論を先に言わせて頂ければ、絶賛、未来の日本人としての自覚と自信、明るい前向きな
気持ちを会場の先生方に与えていただきました。講演者の熱意が伝わるすばらしいものでした。
この項ではその内容、雰囲気を伝えることは到底不可能でありますが、ポイントだけを書くこと
にしました。現状の日本は 3.11 からの震災から抜けることはできず、政局に戸惑う政治家、景気
低迷など、全く良い兆しが見えないように感じます。しかし、日本の最先端技術なしでは世界は
成り立たないという事実があるので、日本の先進科学について大きな期待を持っていこうという
ことです。たとえば、スーパーコンピュータ京は世界 2 位の演算速度にはなったものの、運営面
では実際にはトップで、医療分野ではデーターを入れて新薬を作ったり、抗がん剤の効果をシミュ
レートしたり、心臓病患者の薬の効果をビジュアルで予想することができます。東レがイニシア
ティブを持っている炭素繊維は軽量かつ強固なもので航空機や自動車産業に使用され始めていま
す。X 線自由電子レーザーさくらは波長の極めて短いレーザーを用いているので、原子核レベル
での精査が可能で、膜タンパク構造を解析することができます。地球深部探査船ちきゅうは地震
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の起こった海底の動きを直接検体を採取して調査できる世界を圧倒する能力を持ちます。太陽観
測船ひのでは太陽活動を調査する宇宙船であり、今回の検討で地球の SN 軸の変化がおこり、こ
れから寒冷化に向かうと予想されています。このような具体的な例をあげて、日本の未来と先進
科学に対する光明を述べていただいた感動的な講演でした。
学会は教室に居る時には発表するもの、OB になったら聞きに行くものと考えていましたが、
今回の学会は教室にいても、OB になっても参加して楽しいものだし、知識を増やすものである
と思いました。
(6)感想 - 会場、懇親会について
桜
井
淳
昭和 60 年入局の桜井です。
学術的な内容は良く分からないので他の先生に任せるとして、私は会場や懇親会などについて
述べたいと思います。
暑い日でした。梅雨前線が南に移動し、雨も降らず気温も 30 度を超えていました。
しかし学会ですので、ネクタイとジャケットは必須です。
汗を拭きながら半蔵門線から乗り継いで、三田線の水道橋駅に降り駅の案内板をみると、ドー
ムホテルはすぐそこ。案内板には順天堂も載っていてちょっとした宣伝になっているかなぁなん
て思いながら歩いているうちに会場についていました。
こんな暑い日は会場が駅から近いことが非常にありがたいと思いました。雨が降っても大丈夫
です。
ホテルは巨人ファンの私が期待したほどはジャイアンツカラーでなく、1 階のロビーは一般客
がほとんど。若い人が多くカジュアルな雰囲気で、学会の空気は微塵も感じられません。
しかし会場階に入ると途端に学会一色でした。エスカレータを降りて地下に降りるとジャケッ
トを着た中高年のおっさんがうようよ。やっぱり学会だったんだと認識し、さて受付はどこだろ
うと振り返ると受付が見えました。横井尚子先生が立っていたので、顔パスでした。横井先生な
ら OB も現役も幅広くご存じですので(天田さんには敵いませんが)受付に最適と思いました。
とにかく自宅から学会会場に入るまで非常に分かりやすかったというのが第一印象でした。
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会場はどこも混んでいました。木曜日を休診にしている開業医が多いことと、開業医向けの演
題内容が多かったからでしょう。
機器展示場を抜けないとポスター会場まで行けないという難はありましたが、どのみち私は学
会で誰か来ていないかと探すときは機器展示場かポスター会場かドリンクサービスに行きますの
で一度で済んで、いろんな先生たちに逢えました。
夕方になって懇親会が始まりましたが、とにかく足の踏み場が無いほどの大盛況でした。懇親
会の会費込みの学会参加費だったためでしょうか。あまりに混んでいたため料理が足りないので
はないかと思っていましたが、どんどん料理が追加され運ばれてきて、ほとんどの料理を堪能で
きました。
ワインは美味しかったし、似顔絵は見ていて飽きなかったし満足できました。
優秀ポスター賞というのも奇抜でしたが、さらにそれを懇親会で発表というのも盛り上がって
良かったです。
さらに、プレゼンテータがはるな愛、びっくりしました。有名人で、笑いがとれて、嫌味がな
いと言う点で最適だったと思います。あの日一番写真撮影が多かった瞬間でした。携帯を構えて
いる人の多かったこと。医者でも研究者でもただのミーハーになっていました。
プレゼントは当時予約すら難しかった東京スカイツリー入場券や巨人ファン垂涎の対阪神戦
ドームチケット等々、羨ましい景品でした。
学会会場の選択といい、懇親会といい、学術の内容以外の点でも様々なアイデアや細かい気配
りが感じられました。
同門会としても今回の学会が成功に終わり非常にうれしく思います。
(7)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会
同門会受付
横
井
尚
子
7 月 5 日、6 日の両日、同門会の先生方の受付の担当をさせていただきました。前回主催した
学会でも同門会の受付を割り振られたので、他の医局員より在局年数が長いためかなと思いまし
た。
なかなかお会いできない先生方にお会いする事ができ、とても懐かしく感じました。今回はあ
まりお話しすることはできませんでしたが、大学を離れて活躍されている先生方のお話をもっと
お伺いしたかったです。
受付業務としては、私は同門会の先生方にご記帳頂くようご案内する仕事でしたが、一般受付
は学会の参加人数が多かったため、時間帯によってはかなり混雑し大変そうでした。ネームカー
ドの増刷も必要なくらい予想以上ご参集頂き感謝しております。
慣れない靴を履いていってしまったので、立ち仕事で足がかなり痛くなってしまいました。学
会最後のセミナーは参加することができたので、ワインを頂きながら疲れを癒し、、、いえいえ勉
強させて頂きました。
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(8)ランチョンセミナー3
横
山
純
吉
本セミナーのタイトルは“ここまでやるか!進行癌の集学的治療”という過激なタイトルで、
学会第 1 日目の 7 月 5 日に行われました。外科的治療を癌研有明病院副部長の三谷浩樹先生と化
学放射線治療の立場で順天堂大学の横山が担当した。最初に三谷先生が“ここまでやるか”の手
術内容について非定形的な拡大手術と定義して再発症例を中心にビデオで紹介し、誠に頸動脈の
破裂等迫力のある手術であった。
次に横山が化学放射線治療における“ここまでやるか”を切除不能と全身化学療法無効例と定
義して紹介した。特にこれ等の進行癌への対応には超選択的動注療法利用した。アプローチ法は
通常大腿動脈経由で実施するが本邦で不可能な場合には、浅側頭動脈経由や上腕動脈経由で実施
した。また、これらの 3 つのアプローチ法の特徴と適応について報告した。更に再発症例にも臓
器温存と QOL にこだわり内視鏡下の救済手術が可能である場合があることを報告した。会場が
少し狭いこともありお弁当と席が足りないことが指摘されました。
(9)ディベート 2
アブミ骨手術
古
川
正
幸
耳鼻臨床学会の前日の 7 月 4 日水曜日は通常通り午後にアブミ骨手術と鼓室形成術が予定され
ておりました。2 件の手術後は会長招宴がありました。こういう時に限って事件は起こります。
1 件目のアブミ骨手術中に CO2 laser の不具合が生じ手術続行不能となり、自力で何とかしよう
と致しましたが叶わず、日本ルミナスの初坂さんに 1 時間かけて手術室まで来てもらいました。
この時ばかりは都内の病院の利点を思い知らされました。CO2 laser は直ちに修理され手術は非
常にうまくいきました。ただ既に 18:00 を回っており、次の鼓室形成術の開始は 19:00 過ぎと
なり会長招宴の出席は断念せざるを得ませんでした。このように翌日のディベートの成否を暗示
させる様な出来事を経験しましたが、いい厄払いが出来たと思いこの時点で翌日のディベートの
成功を確信いたしました。
池田勝久教授より 1 年程前に耳鼻臨床学会で耳手術のディベートをやりたいので考えておくよ
うにとのお達しがあり、即座に私の最も得意としている CO2 laser-assisted stapedotomy とス
キータードリルによる conventional stapedotomy のディベートを提案させて頂きました。座長
に兵庫医大の阪上雅史教授、スキータードリルによるアブミ骨手術の演者に虎ノ門病院の熊川孝
三部長を選んで頂き、この時点にて日本で実際に最も術者としてアブミ骨手術を行っている 3 人
が揃いました。熊川先生はスキータードリルによる膨大なアブミ骨手術の症例をお持ちであり、
阪上先生は接触型の CO2 laser にてのアブミ骨手術を積極的に行っておられます。
このディベートの特筆すべき点はアメリカ大統領選挙の立候補者立会演説会をベースに 2 人の
演者がお互いの持論を立ったままで交互に述べる点です。更にこのディベートはお互いの立場に
対して応援団が存在し、熊川先生には神戸市民医療センター中央市民病院の内藤泰先生が、私に
は大阪大学の森鼻哲生先生が応援団として発表されました。そしてもう一つ特筆すべき点は聴衆
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参加型であることです。チェッカーを用いてディベートの途中、終了時に座長が熊川先生と私の
どちらに賛同できるかを問うのです。最初は劣勢でしたがディベートが進むにつれて私が盛り返
して終了時にはほぼ同率でした。ディベート終了後ハンズオンにいた日本ルミナスの初坂さんが
会場に来て「私も 1 票入れました」と言われた時は苦笑してしまいましたが。
こうしてディベートは成功裏に終わりましたが、4 年前より CO2 laser にてのアブミ骨手術を
好きに私にやらせて下さっている池田勝久教授にこの場をお借りして感謝申し上げます。そうそ
う 7 月 4 日の耳硬化症の患者さんの右耳は AB gap が消失したことを申し添えておきます。
(10)シンポジウム講演「夢の次世代治療」
神
谷
和
作
日本耳鼻咽喉科臨床学会のシンポジウム「夢の次世代治療」にて講演させていただきましたの
でご報告させていただきます。
本シンポジウム講演は京都大学伊藤壽一教授の座長により、私を含め 4 名の演者により行われ
ました。事前に打ち合わせがありましたが、伊藤先生からはなるべく耳鼻咽喉科臨床学会の聴衆
の先生方がわかりやすいような単語や言い回しを使うようにとのご指示を頂きました。私は内耳
細胞治療法の開発を目指した幹細胞の樹立と内耳組織への導入促進法に関して発表させていただ
きました。二番目に発表された名古屋市立大の鈴木元彦先生はアレルギー性鼻炎の根治療法とし
て最近話題となっている siRNA という遺伝子制御のための小さな核酸分子を用いた画期的な次
世代治療について、三番目の旭川医大の片田彰博先生は喉頭の機能を機械的電気刺激により回復
させる効果の高い工学的方法の開発をお話しいただきました。最後に千葉大の櫻井大樹先生が頭
頸部癌に対する NKT 細胞免疫系を標的とした免疫療法の開発という千葉大らしい研究で既に臨
床試験が行われている、
“夢の・・”という話題の中ではより現実に迫るプロジェクトをお話しく
ださいました。
本シンポジウムは“耳鼻科領域の次世代治療研究”という点では共通点があっても、
扱う組織(内
耳、鼻、喉頭、頭頸部癌)も疾患(難聴、アレルギー、喉頭機能障害、癌)も手法(幹細胞治療、RNA
療法、医用工学、免疫療法)もほとんど関連性がないものばかりで、伊藤先生は結語としておまと
めになるのが大変だったかと思います。全く違う方向性の研究開発をひとまとめに見られたとい
うことも本シンポジウムの面白みであったかと思います。取り纏めにご尽力いただきました伊藤
教授、熱意のある発表をしてくださいました演者の先生方に深く感謝申し上げます。
(11)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会
第一会場
笠
井
美
里
今回私は伊藤伸先生と一緒に第一会場のアナウンスを担当させていただきました。
若干始まる前は緊張していたのですが、始まってしまうと多彩な演者の先生方のご講演に聞き
入っておりました。
同じ学会場にずっといるのも初めてのことだったのですが、日本を代表するそれぞれの分野の
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お話を聞くことができました。
会場内を拝察しておりますと参加してくださっている先生方の熱心さが伝わってきました。
印象に残るお話は多々あったのですが、特別口演の立花先生のお話では耳鼻科を離れて日本の先
端技術の一端に触れることができました。また、Snyderman 先生のお話も心に残っております。
(12)耳鼻臨床学会
1 日目第 2 会場
吉
井
良
太
1 日目第 2 会場では「ディベート」シリーズと称し、二人のその道のプロフェッショナルの先
生方に、御自身が信念とされる教育、手術、医療への取り組み方等に関し、ディベート形式で議
論を交える斬新な方法で演題が進められました。聴衆の先生方にも 2-5 択ほどのアンケートが提
示され、配られたプッシュ式の端末を用いて、即時に結果がグラフ化されるシステムが導入され
ました。これにより、その場ですぐ会場の先生方のレスポンスを知ることができ、演者の先生方
もその反応に一喜一憂されておられました。3 演題ともに白熱したディベートが繰り広げられ、
会場は立ち見が出るほど盛況でした。
演題 1「次世代 ESS―教育と新技術」
市村恵一先生(自治医大)の司会のもと、中川隆之先生(京都大)と、鴻信義先生(慈恵大)の御二
人の先生方が演者として、最新の ESS 技術、および各々の施設における ESS の教育システムに
関し、論じられました。若い医師として、どちらの大学の教育システムも魅力的に感じられまし
た。どちらも甲乙つけ難く、会場の反応もほぼ半々という結果で演題 1 は終了しました。
演題 2「アブミ骨手術」
アブミ骨手術に用いるデバイスを中心に、阪上雅史先生(兵庫医大)の司会のもと、熊川孝三先
生(虎の門病院)、当教室の古川正幸先生の御二人が論じられました。坂上先生はスキータードリ
ルを中心とした方法について、古川先生は CO2 レーザーを用いた方法に関し、手術ビデオを供
覧しながらわかりやすく、そのメリットをアピールされておりました。会場の先生方への最終質
問「二者択一の場合、あなたならどちらの方法をとりますか。」については、結果は五分五分で、
どちらの方法もその道のプロフェッショナルの先生のアピールは非常に説得力があり、甲乙つけ
難い結果で幕を閉じました。
演題 3「中・下咽頭癌の経口的切除術」
加藤孝邦先生(慈恵大)の司会のもと、中・下咽頭癌の経口腔的切除法について、塩谷彰浩先生(防
衛医大)が TOVS(Transoral Videolaryngoscopic Surgery:経口的喉頭部分切除術)に関し、佐藤
靖夫先生(共済立川病院)が ELPS (Endoscopic Laryngo‐Pharyngeal Surgery:内視鏡的咽喉頭
手術)に関し、最新の手術法をアピールされました。いずれも従来の頚部外切開法に比べ低侵襲で
あり、デバイスの発達によりさらに安定した術式になりつつあることが理解されました。こちら
の即時アンケートでも支持する聴衆はほぼ二分という結果でした。
-88-
(13)耳鼻臨床学会
2 日目第 2 会場
藤
巻
充
寿
2 日目第二会場では『Subspecialist を目指して』というテーマのもと、二人のエキスパートの
先生方に、我々若手医師に対し教育的な講演をしていただきました。当会場では頭頸部外科領域
をテーマとし、北海道大学 福田教授の司会のもと 2 演題をご講演いただきました。演題 1 とし
て東京医科歯科大学 岸本教授に舌癌の切除と再建を、実際の手術ビデオと英文清書のイラストを
元に御教授いただきました。口腔癌の手術は機能温存を根ざした手術が必要となります。Pull
through の手術ビデオはまだ実際にその手術を経験したことのない若手の先生方には新鮮かつ間
近にその手術に参加しているような気持ちで聞きいることができ素晴らしい経験を得ることがで
きたことと思います。また演題 2 として神戸大学 丹生教授に頸部郭清術について皮膚切開から
リンパ節郭清まで、細かく御教授いただきました。また、そのビデオも丹生先生のご指導もと、
若手の先生が執刀された手術とのことで、会場の多くの若手医師に刺激を与えるものとなったと
思われます。二演題とも豊富な経験に基づいた適格なコメントをいただき、非常に有意義かつ、
明日からの臨床の糧となる御講演でした。
(14)耳鼻臨床学会
第 3 会場
岡
田
弘
子
1 日目の第 3 会場を担当しました。第 3 会場では口演発表が行われました。第 1 群:耳 1(座長:
喜多村健先生・西崎和則先生)、第 2 群:口腔・咽頭(座長:鈴木正志先生・原渕保明先生)、第 3
群:鼻・副鼻腔 1(座長:洲崎晴海先生・氷見徹夫先生)、第 4 群:耳 2(座長:宇佐美真一先生・
鈴木秀明先生)の 4 群がランチョンセミナーをはさんで午前から午後に渡って行われました。参
加の先生方も多く、昼に近づくにつれ空席が少なくなる状況でした。会場では活発な質疑応答が
なされ、また学生さんも参加されていてとても基本的な質問もあり、会場進行をしておりました
が勉強になる部分がたくさんありました。特に大きなトラブルもなく、滞りなく 1 日目は終了し
ました。
(15)パネルディスカッション「Q&A:専門医を目指して」
沖
崎
貴
子
この度『パネルディスカッション「Q&A:専門医を目指して」』の代表解答者として参加させ
ていただきました。
入局2年目である私を教授が指名されたのは、生贄的な要素を大いに含んでおり、
一体どのような問題形式なのか、またどのような内容なのかさえ全く情報のないまま当日を迎
えることとなり、大勢のみなさんの前で恥をかくことになるのかと考えると逃げ出したい気持ち
-89-
でいっぱいでした。
問題は耳・鼻・頭頸部と検査方法の選択、画像診断、治療方法まで多岐にわたり耳鼻科医1年
足らずの私としましてはほとんどすべてが新鮮な問題でした。しかし、横に座っている私と同じ
く解答者である小野先生がすらすらと問題を解答されている姿をみて改めて先輩方の凄さを再認
識しました。
今回の Q&A に参加させていただいて冷や汗もたくさんかきましたが、日々の診療で直面する
問題や疑問を、調べたり・考えたり・解決し知識や手技を培っていくことがなにより大切なのだ
と改めて実感いたしました。このような機会を与えていただきありがとうございました。
(16)ポスター受付
小
野
倫
嗣
平成 24 年 7 月 5 日~6 日にかけて当科で開催した耳鼻臨床学会ポスター受付の仕事を担当し
ました。ポスター受付は小野、横山先生、MR で担当しました。ポスター発表の先生の名前確認
や、座長の先生にリボンと記念品の贈呈などがあり、特に発表の時間が近くなってくると混雑し
てきて大変でした。ポスター発表はかなり盛況で、発表後の質問では色々討論されており、かな
り熱気につつまれた会場になっていました。当院からのポスター発表者は、城所先生、加瀬先生、
楠先生、浦安病院から佐々木先生、永屋先生、春山先生、伊豆から小松先生、岡田先生が発表さ
れていました。耳鼻臨床学会は耳鼻科のなかでも、日耳鼻総会に次ぐほどの大きな学会であるた
め、主催するにあたって色々準備など大変でしたが、非常に貴重なお仕事をさせていただきよい
経験になりました。
(17)ハンズオンセミナー
廣
津
幹
夫
ハンズオンは、学会初日の 14:00~16:00 に細々(?)と行われました。(株)ルミナスの中耳炎
治療やレーザー挿入術に使用されているオトラムの紹介と、かみで耳鼻咽喉科クリニック医院長
の上出洋介先生による実演講義が始めに行われ、その後、参加者がデモ機に直接触れて、オトラ
ムを試されていました。どちらかといえば開業医の先生が中心に集まられており、活気のある部
門となっていました。
-90-
(18)会員懇親会
松
本
文
彦
学会初日の 7 月 5 日に東京ドームホテル、シンシアにおいて会員懇親会が行われました。私は
その会の司会を務めさせていただきました。初日は多数の先生が出席され大盛況であり、その流
れのまま多くの会員の先生方が懇親会に参加されました。司会は大分緊張しましたが事前に秘書
さんたちが念入りに準備してくれたおかげで、なんとかスムーズに進行できたのではないかと思
います。
まずは学会長の池田教授のご挨拶、学会運営員長の京都大学伊藤壽一先生のご挨拶とつづいて
本学の医学部長でいらっしゃる新井一先生よりスピーチを頂戴しました。その後招待講演の演者
で来日された Pittsburgh university の Dr snyderman に祝辞をいただきました。各先生より、
盛大で趣向に富んだ学術集会であるとのお褒めの言葉もいただきました。つづいての乾杯は、ご
発声を同門会幹事長の杉田麟也先生にお願いいたしました。予想以上の参加者のため、あっとい
う間に食事がなくなってしまったのが誤算でした。この懇親会でも池田教授のアイデアで趣向を
いくつかこらしました。ひとつはカリカチュアという似顔絵コーナーをもうけ、カリカチュアの
世界では世界大会で優勝しているカリカチュアジャパンの kage さん、本間雄太さんをお招きし
ました。はじめに池田教授と伊藤壽一先生の似顔絵を描いてもらい、参集した先生方にも好評で
した。もうひとつは優秀ポスター賞の発表です。参加された先生方より事前に投票していただき
ポスター演題のなかから特に優秀な 9 演題を表彰し副賞を授与しました。副賞は東京ドームで翌
日行われる巨人阪神戦のペアチケット、東京ドームシティー遊園地のチケット、東京スカイツリ
ーの翌日の入場券で受賞された先生はそれぞれ喜ばれていたようでした。そして懇親会のサプラ
イズ、この賞のプレゼンターとして特別ゲストをお招きしました。プレゼンターは最近テレビに
よく出演している、はるな愛さんをお呼びしました。テレビの印象と同様で非常に気さくな方で
した。ホテルにも堂々と正面玄関からフリフリのステージ衣装で到着され、案内係のこちらがと
まどってしまう場面もありました。(BGM には順天堂医学部の jazz 部の学生にきてもらって演
奏してもらいました。
予定の 2 時間も会もあっという間に時間を迎え、中締めのご挨拶を同門会副幹事長の藤巻豊先
生にしていただき盛況のまま終了しました。
司会の特権使ってこっそり控室で写真を撮らせてもらいました。
(オジサン二人のツーショットです。)
-91-
(19)早朝皇居一周ラン
塩
沢
晃
人
大盛況に終わったこの度の耳鼻臨床学会の余興の一つとして早朝ランがありました。これは朝
6 時に学会会場である東京ドームホテルに集合し、水道橋⇒皇居(平川門に集合し皇居一周)⇒水
道橋の行程約 9km を約 1 時間 30 分かけてランニングするというものです。
学会全体の盛況を反映して、この企画も初日(7 月 5 日)25 名、二日目(6 日)23 名の参加を頂き
ました。
二日目は若干の小雨が当初ありましたが、概ね天候にも恵まれ、両日とも無事実施されており
ます。
初日は尾崎朱美さん、江田良子さん、二日目には金
哲彦さん、江田良子さんがゲストとして
ストレッチ、走り方のレッスンと伴走を行ってくださり、各先生方もお互いにコミュニケーショ
ンを取られ楽しんでおられたようです。
皇居を 1 周し終えた後は再び平川門に集合し、集合写真を撮影ののちドームホテルへと向かい
解散となりました。
撮影した写真は貼り出しという形で
皆さんにお配りいたしました。
皇居を初めて走られた先生も多かっ
たようで、これらの先生方は勿論、私
たち主催者も含め朝早くに参加した事
を喜ぶことのできる内容だったと思い
ます。
そして参加して頂いた先生方は皆さ
ん一様に笑顔でいらっしゃったのが印
象的でした。
-92-
(20)カリカチュアについて
矢
内
彩
会期中は、懇親会の会場及び、連日のブースにカリカチュアのコーナーが設けられました。
カリカチュアとは要は似顔絵なのですが、『モチーフとなる人物を単に似せて描くのではなく、
内面に潜む個性までも深く理解し、ユーモアたっぷりに表現する』のだそう。懇親会では、カリ
カチュア・ジャパンより 2 名のアーティストにお越し頂き、まずは当教室の池田教授と、京都大
学の伊藤教授の似顔絵を描いて頂きました。鉛筆で簡単に輪郭をスケッチしただけで、その後は
大胆にも、下描きもなしにペンで絵を描き進めていきます。それも、ただ描くだけではなく、個
人の特徴を捉えデフォルメして描いくのです。描いている最中に、アーティストはモデルと会話
をしているのですが、その会話の中からモデルの内面を捉え、絵に反映させているかのようでし
た。白黒の時点でもよく似ているのですが、その後色を加えていくと絵に奥行きが出て、よりリ
アルになります。完成すると、最後は本人に絵を持ってもらい記念撮影です。改めて見比べまし
たが…いやぁ本当に似ている!
おふたりの教授の後は、申し込みをされていた先生の似顔絵を
描くコーナーに。実際にモデルとなる先生方以外にも、興味を持たれた先生方が、続々と絵を見
にいらしていました。1 時間半でおよそ 30 名の先生に参加いただき、大変好評な企画となりまし
た。
-93-
(21)優秀ポスター賞
大
峡
慎
一
本学会においてポスター賞は非常に重要な位置づけであり、その決定は投票によるものでした
が、私がいつの間にか、その集計の責任者となっていました。どのようにすれば効率よく確実に
票の集計ができるか悩んだ挙句、いい考えが浮かんだのは当日の朝でした。とりあえず投票され
たポスター番号を一気に打ち込めば、多い順に並べ替えられる。そうすればあっという間に順位
が付けられるというものです。小島先生、塩沢先生、吉井先生と協力し一気に作業が進み、最後
に松本先生と確認をし、正確な順位が付きました。会員懇親会で優秀ポスター賞の発表がありま
したが、会場に不在の先生が 3 名いらっしゃり豪華な賞品を逃す結果となってしまいました。
(22)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会について
白
石
みさき
第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会におきまして担当秘書を務めさせて頂きました白石みさきと申し
ます。この度は同門会誌への寄稿の機会を頂き、誠に有難うございます。
入所より第 41 回日本耳鼻咽喉科感染症研究科・第 35 回日本医用エアロゾル研究会を担当させ
て頂き、引き続き学会を担当させて頂く事となりました。
当初は研究会、学会自体について無知であった為、不安や心配で一杯な日々ではありましたが、
池田教授をはじめ、医局員、関連病院の先生方、秘書、学会本部の方々、学会業者様、医薬品メー
カー様等多くの方々よりあたたかいご指導と多大なご支援、ご鞭撻を賜りどうにか終会を向かえ
る事ができました。今は皆様への深い感謝の気持ちと安堵の気持ち、喜びでいっぱいです。
また、何よりこのような池田教授の名誉な事に携わらせて頂く貴重な機会を賜り、大変感謝し
ております。
多くを学ばせて頂きました今回の経験を糧に、微力ではございますが先生方への日々のお力添
えができますよう、一層の努力をしてまいる所存です。今後ともご指導、ご鞭撻の程、何卒宜し
くお願い申し上げます。
(23)学会本部
小
菅
亜
希
私は学会本部に待機し、学会参加費の管理や写真のプリントアウトをしておりました。また来
年度の臨床学会ご担当の先生がご挨拶にいらして差し入れ等のお心遣いを頂いたり、同門の先生
方がご挨拶にいらしたりと普段お会いすることのない先生方とお会いする機会を頂きました。
貴重な経験をさせて頂き有り難う御座いました。
-94-
(24)第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会
関連病院寄付一覧
「五十音順」
医療法人社団
芝恵会
理事長
医療法人社団
順江会
江東病院
医療法人社団
眞洋会
理事長
医療法人
千晶会
寄付一覧
芝
恵美子
理事長
岡村
小出
輝
洋沖
しのざき耳鼻咽喉科クリニック
安藤
晶子
北習志野花輪病院
社会保険船橋中央病院
セセッカ診療所
湯屋
個人寄付者氏名一覧
氏 名
青木 勝三郎
浅井 俊治
新井 顕
安齋 崇
安藤 由美子
飯塚 崇
池田 勝久
井澤 浩昭
石川 正治
板橋 隆嗣
市川 昌子
一針 幸子
伊藤 麻美
伊藤 伸
井下 綾子
江渡 篤子
榎本 冬樹
大峡 慎一
岡添 真介
岡田 弘子
荻原 徹
笠井 美里
片岡 丈志
加藤 榮一
加納 章子
加納 昭彦
川島 理
川野 健二
金 隆澤
木村 淑志
楠 威志
倉野 香
黄田 正隆
小松 広明
小宮 尚
齋藤 達矢
斉藤 秀樹
榮木 恭男
櫻井 淳
佐藤 典史
博通
「五十音順」
金 額
100,000
500,000
100,000
100,000
150,000
100,000
500,000
100,000
250,000
250,000
100,000
100,000
100,000
100,000
250,000
300,000
250,000
100,000
250,000
100,000
100,000
100,000
250,000
250,000
50,000
100,000
100,000
100,000
100,000
250,000
100,000
100,000
100,000
100,000
250,000
100,000
50,000
100,000
250,000
100,000
氏 名
杉田 麟也
住田 邦夫
田﨑 京子
田中 幹夫
手塚 太一
徳丸 隆太
中川 利香
中野 牧子
永屋 恵子
縄田 安孝
西田 正剛
西谷 全弘
萩原 明子
畠 将晃
春山 喜一
春山 琢男
深間内 厚子
藤巻 豊
藤本 由紀子
藤森 正登
古川 朋靖
古川 正幸
細川 晃
本間 博友
正木 義男
松岡 理奈
松本 文彦
三島 丈和
宮﨑 雅之
三輪 正人
村田 潤子
森福 孝之
八尾 亨
山川 卓也
横山 純吉
吉井 良太
芳川 洋
吉田 悌友
渡辺 勲
渡邊 道隆
-95-
金 額
1,300,000
100,000
100,000
250,000
100,000
100,000
250,000
100,000
100,000
100,000
250,000
200,000
100,000
100,000
250,000
100,000
150,000
500,000
100,000
250,000
300,000
100,000
100,000
100,000
250,000
100,000
100,000
250,000
100,000
100,000
100,000
250,000
100,000
150,000
100,000
100,000
250,000
250,000
250,000
250,000
寄付企業一覧
「五十音順」
会社名
アステラス製薬株式会社
MSD 株式会社
協和発酵キリン株式会社
株式会社三和化学研究所
塩野義製薬株式会社
大日本住友製薬株式会社
ファイザー株式会社
フィリップス・レスピロニクス合同会社
株式会社フジタ医科器械
Meiji Seika ファルマ株式会社
株式会社ヤクルト
リオン株式会社
-96-
16.第 31 回気道分泌研究会
— 主催:順天堂大学
会長:池田勝久主任教授 —
三
輪
正
人
第 31 回気道分泌研究会が 4 月 7 日、東武ホテルレバント東京で、池田勝久会長のもと、開催
されました。本来は、丁度1年前におこなわれるはずでしたが、震災の影響で、当初と同じ演題
で 1 年後に延期されていました。ここは、1 ヶ月後に開業をひかえた東京スカイツリーに最も近
いホテルとしてホットスポットとなっており、よりタイムリーな開催となりました。
本研究会はセミクローズドの形式をとりながら、我が国の気道分泌の殿堂ともいえる会である
ことが、31 回を迎えたその歴史からも伺われます。
研究会は 4 つのシンポジウムと特別講演から構成されました。1 年前とほぼ同じ演題で、シン
ポジウム 1:炎症メディエータ
サイトカイン、シンポジウム 2:水代謝分泌、シンポジウム 3:
ムチン分泌、シンポジウム 4:ウイルス細菌感染よりなり、気道分泌研究の第 1 線の研究者から
最新のテーマが提示され、活発な質疑応答がなされていました。
特別講演は、国立生育医療センター副研究所長斉藤博久先生による「上皮間葉系サイトカイン
と喘息」でした。浸潤細胞由来のサイトカインのみを標的とした喘息治療に対する臨床研究がこ
とごとく失敗している教訓から、上皮間葉系サイトカインに焦点をあて、独自の研究成果にとら
われることなく、包括的にレビューされた本研究会の特別講演にふさわしい内容でした。
ふりかえれば、耳鼻咽喉科診療のフロントラインでは、鼻疾患の患者さんが最も多く、またそ
の内訳をみると、(過多だけではなく低下も含めた)分泌異常が多数を占めているのが現状です。
喀痰学から始まった気道分泌研究は、より広い分野をカバーするに至り、今や気道病態の基礎研
究を支えているといっても過言ではないと思います。
耳鼻咽喉科医、呼吸器内科医、基礎医学者が一同に会する本研究会は、その学際的な側面から
も非常に重要な位置を占めております。長らく東京での開催が続きましたが、来年は盛岡です。
本研究会を中心として気道分泌の基礎研究が益々発展することを願っております。
開業を控えた東京スカイツリー
左より、京都第二日赤出島健司部長、池田勝久会長、日本医大武蔵小杉病院松根彰志臨床教授、筆者。
-97-
-98-
17.研究会・病診連携会
御茶ノ水耳鼻咽喉・頭頸科治療研究会
第 68 回
2012 年 1 月 12 日
診断と治療に難渋した嚢胞を伴った Fibrous dysplasia の
小島 雅貴 先生
一般 1 例
演題 当院で施行した突発性難聴に対するステロイド鼓室内注
加瀬 香 先生
入療法の検討
大阪医科大学
特別
耳下腺腫瘍の診断と治療
耳鼻咽喉科学教室
講演
教授 河田 了 先生
第 69 回
2012 年 2 月 23 日
クリニックで可能な鼻副鼻腔粘膜病態の非侵襲的モニタ
若杉
一般 リングの試み
演題
咽頭痛を主訴とする HIV 感染症例
三輪
特別
球形嚢の落下耳石がメニエール病を形成する?!
講演
先生
先生
安斎
崇
小松
広明
先生
先生
大阪市立大学大学院医学研究科
耳鼻咽喉病態学
教授 山根 英雄 先生
2012 年 4 月 12 日
一般 咽頭痛を主訴に来院した成人性 still 病例
演題 CO2 laser assisted atresiaplasty
佐々木
古川
大輔
正幸
先生
先生
信州大学医学部附属病院
人工聴覚器学講座
教授 岩崎 聡 先生
特別
人工聴覚器手術の現状
講演
第 72 回
正人
2012 年 3 月 22 日
一般 バセドウ病に重症筋無力症と甲状腺癌を合併した一例
演題 海綿静脈洞血栓症の一例
第 71 回
先生
埼玉医科大学
耳鼻咽喉科
教授 加瀬 康弘
特別
アレルギー性鼻炎と鼻閉
講演
第 70 回
憲孝
2012 年 5 月 17 日
一般 中咽頭における脂肪肉腫の 1 例
演題 当科で経験した幼児の逆性歯牙が疑われた症例
吉井
良太
先生
沖崎
貴子
先生
滋賀医科大学
睡眠学講座
教授 宮崎 総一郎
特別
睡眠と鼻呼吸障害
講演
-99-
先生
第 73 回
2012 年 6 月 14 日
一般 副鼻腔炎を合併した HIV 症例
演題 救命しえた腫瘍径 35cm の縦隔膿瘍の一例
岡田
弘子
先生
春山
琢男
先生
特別 内視鏡を使用する耳科手術
講演 -アブミ骨手術を安全に行うためには-
東邦大学 第一耳鼻咽喉科
教授 枝松 秀雄 先生
第 74 回
2012 年 7 月 19 日
当科で経験した脂肪肉腫の一例
矢内 彩 先生
一般
演題 原発性副甲状腺腫瘍摘出後の Hungry bone syndrome の 横山 純吉 先生
検討
埼玉医科大学国際医療センター
特別
高齢者の頭頸部癌治療
頭頸部腫瘍科・耳鼻咽喉科
講演
教授 菅澤 正 先生
第 75 回
2012 年 8 月 23 日
舌下神経麻痺を呈した悪性外耳道炎の 1 例
本間 博友 先生
一般
演題 外来・短期滞在手術にてワルトンおよび ステノン管内唾 楠 威志 先生
石摘出手術を施行した 7 症例
東邦大学医療センター佐倉病院
特別
難治性慢性中耳炎の治療における問題点とその対応
耳鼻咽喉科学講座
講演
教授 鈴木 光也 先生
第 76 回
2012 年 9 月 20 日
上顎洞嚢胞に対する下鼻道 flap を用いた工夫
八尾 亨 先生
一般
演題 ESS 後にアスピリン減感作療法を施行した AIA の予後に 村田 潤子 先生
ついて
東海大学医学部専門診療学系
特別
前庭覚と体性感覚との相互作用について NIRS による検討 耳鼻咽喉科学
講演
教授 飯田 政弘 先生
第 77 回
2012 年 10 月 25 日
好酸球性副鼻腔炎における Super oxide dismutase(SOD)
小野 倫嗣 先生
一般 についての検討
演題 めまい症状を契機に肺小細胞癌が発見された傍悪性腫瘍
畠 将晃 先生
症候群の一例
東北大学 医工学研究科
特別
後迷路性難聴 -病態と対応に関する一考察-
難聴再建医工学研究分野
講演
教授 川瀬 哲明 先生
第 78 回
2012 年 11 月 22 日
一般 頭頚部癌化学療法における制吐剤使用の現状
演題 当科におけるバセドウ病手術症例の検討
特別
頭頸部がんの最新の話題-わかりやすく解説いたします-
講演
第 79 回
2012 年 12 月 20 日
-100-
藤巻
充寿
先生
伊藤
伸 先生
近畿大学医学部奈良病院
耳鼻咽喉科
教授 家根 旦有先生
東京・茶崖耳鼻咽喉科病診連携懇話会
第9回
2012 年 8 月 30 日
スギ・ヒノキ花粉症の Early Intervention
~最近の報告を踏まえて~
三輪
正人
先生
紹介症例のご報告
池田
勝久
先生
がん学の温故創新
~ 遺伝性発がん から 環境発がん へ ~
順天堂大学医学部
病理・腫瘍学講座
教授 樋野 興夫
先生
カンファレンス・合同セミナー
第4回
2012 年 8 月 2 日
耳鼻科・小児科合同セミナー
消化管粘膜免疫と腸内細菌
順天堂静岡病院小児科
先任准教授 永田 智
鼻粘膜の自然免疫
三輪
2012 年 4 月 20 日
文京四大学頭頸部腫瘍カンファレンス
-101-
正人
先生
先生
18.教室ならびに関連施設業績、競争的資金獲得
2012 年教室業績
英文
1. Ohba S, Yokoyama J, Fujimaki M, Ito S, Kojima M, Shimoji K, Ikeda K:Significant
improvement in superselective intra-arterial chemotherapy for Oral cancer by using
Indocyanine green fluorescence. Oral Oncol. 2012 Nov;48(11):1101-5.
2. Iizuka T, Nagaya K, Sasaki D, Haruyama T, Kojima M, Isogai H, Yoshikawa H, Ikeda K:
Atypical Lemierre syndrome, thrombophlelitis of the facial vein. Am J Em Med. 2012
Oct; pii:S0735-6757(12)00400-7.
3. Yokoyama J, Ohba S, Ito S, Fujimaki M, Shimoji K, Kojima M, Ikeda K:Impact of
lymphatic chemotherapy targeting metastatic lymph nodes in patients with tongue
cancer (T3, N2b, M0) using intra-arterial chemotherapy.
Head Neck Oncol. 2012
Sep;4(2):64.
4. Yoshii R, Yokoyama J, Ohba S , Fujimaki M, Anzai T, Ito S, Ikeda K:Endoscopic surgery
for a rare liposarcoma of the posterior wall of oropharynx: A case report.
Head Neck
Oncol. 2012 Sep;4(2): 63.
5. Yokoyama J, Ohba S, Ito S, Fujimaki M, Yoshimoto H, Hanaguri M, Ikeda K:A feasibility
study of lymphatic chemotherapy targeting sentinel lymph nodes of patients with tongue
cancer (T3,N0,M0) using intra-arterial chemotherapy.
Head Neck Oncol. 2012
Sep;4(2):59.
6. Yokoyama J, Ito S, Ohba S, Fujimaki M, Ikeda K, Hanaguri M:A safe and cosmetic
method of removing the sternum by bone forceps for mediastinal dissection of recurrent
thyroid cancer.
Head Neck Oncol. 2012 Sep;4(2):57.
7. Anzai T, Yokoyama J, Ohba S, Ito S, Fujimaki M, Kojima M, Ikeda K:A case of severe
hungry bone syndrome following parathyroidectomy analyzed with attention to
alpha-klotho calcium regulator. Head Neck Oncol. 2012 Sep;4(2):56.
8. Anzai T, Yokoyama J, Oba S, Ito S, Fujimaki M, Kojima M, Ikeda K:An important initial
diagnosis of a patient with Graves’ disease associated with myasthenia gravis, thyroid
carcinoma, and thymoma.
Head Neck Oncol. 2012 Sep;4(2):55.
9. Fujimaki M, Yokoyama J, Ohba S, Anzai T, Yoshii Y, Ito S, Kojima M, Ikeda K:
Dynamic imaging in determining the optimum surgical time for NIR fluorescent
image-guided surgery – a preliminary study.
-102-
Head Neck Oncol. 2012 Sep;4(2):50.
10. Karasawa K, Matsumoto F, Ito S, Oba S, Furuya T, Hirowatari H, Izawa H, Ito K, Sasai
K:Hyperfractionated Radiotherapy with Concurrent Docetaxel for Advanced Head and
Neck Cancer: A Phase II Study. Anticancer Res. 2012 Sep;32(9):4013-8.
11. Murata J, Ikeda K, Okano H:Notch signaling and the developing inner ear.
Adv Exp
Med Biol. 2012;727:161-73. Review.
12. Kawano K, Kusunoki T, Ono N, Yao T, Saito T, Yokoi H, Ikeda K:Heme oxygenase-1
expression in chronic rhinosinusitis with eosinophilic infiltration.
Auris Nasus Larynx.
2012 Aug; 39:387-392.
13. Matsumoto F, Valdecanas DN, Mason KA, Milas L, Ang KK, Raju U:The Impact of
Timing of EGFR and IGF-1R Inhibition for Sensitizing. Head and Neck Cancer to
Radiation.
Anticancer Res. 2012 Aug;32(8):3029-35.
14. Kojima M, Yokoyama J, Ito S, Ohba S, Fujimaki M, Ikeda K:Impact of middle and lower
jugular neck dissection on supraclavicular lymph node metastasis from endometrial
carcinoma.
World Journal of Surgical Oncology. 2012 Jul;10:143.
15. Matsumoto F, Kase K, Kasai M, Komatsu H, Okizaki T, Ikeda K:Endoscopy-assisted
transoral resection of the styloid process in Eagle's syndrome. Case report.
Head Face
Med. 2012 Jul;30;8(1):21.
16. Ohba S, Matsumoto F, Fujimaki M, Ito S, Yokoyama J, Ikeda K : Embryonal
rhabdomyosarcoma of the head and neck in an adult.
Auris, Nasus Larynx. 2012
Jun;39(3):326-8
17. Okada H, Iizuka T, Mochizuki H, Nihira T, Kamiya K, Inoshita A, Kasagi H, Kasai M,
Ikeda K:Gene transfer targeting mouse vestibule using adenovirus and adeno-associated
virus vectors.
Otology & Neurotology. 2012 Jun;33(4):655-9.
18. Iizuka T, Furukawa M, Ishii H, Kasai M, Hayashi C, Arai H, Ikeda K:Giant cell tumor of
the temporal bone with direct invasion into the middle ear and skull base: a case report.
Case Reports of Otolaryngology. Epub 2012 Apr; 2012:690148.
19. Yokoyama J, Ito S, Ohba S, Fujimaki M, Ikeda K, Hanaguri M:Problems of primary
T-cell lymphoma of the thyroid gland -A case report.
World Journal of Surgical
Oncology. 2012 Apr;10:58.
20. Ito S, Yokoyama J, Yoshimoto H, Yazawa M, Kazuo K, Hanaguri M, Ohba S, Fujimaki M,
Ikeda K:Usefulness of Choline-PET for the detection of residual hemangiopericytoma in
the skull base: Comparison with FDG-PET. Head & Face Medicine. 2012 Feb;8:3.
21. Kusunoki T, Ikeda K. Mie Miyashita:A case report of meningioma extending to the
middle ear.
Clinics and Practice. 2:e67, 168-169, 2012.
-103-
22. Kusunoki T, Shin Ito, Takashi Iizuka, Noritsugu Ono, Ikeda K:A case of retropharyngeal
abscess with spondylitis causing tetraplegia Neuroendocrine carcinoma arising in a
wound of the postoperative maxillary sinus. Clinics and Practice. 2:e52, 123-124, 2012.
23. Kusunoki T, Ikeda K:Neuroendocrine carcinoma arising in a wound of the postoperative
maxillary sinus. Clinics and Practice. 2;e16, 34-36, 2012.
2012 年教室業績
邦文
1. 池田勝久:【耳・鼻・のどのトラブル対応
耳鼻咽喉科コンサルテーションをする前に】
一般医が知っておきたい耳鼻咽喉科診療
鼻副鼻腔炎の診断と治療.JIM: Journal of
Integrated Medicine(0917-138X)22 巻 7 号 Page502-504(2012.07)
2. 加瀬
香、楠
威志、小野倫嗣、池田勝久:鼻副鼻腔真菌症 26 例の検討.耳鼻咽喉科臨床
(0032-6313)105 巻 6 号 Page549-557(2012.06)
3. 横山純吉、伊藤
伸、大峡慎一、藤巻充寿、池田勝久、花栗
腕動脈経由の超選択的動注療法の適応とその有用性
誠:頭頸部進行癌に対する上
セルジンガー法不能症例に対する検討.
日本耳鼻咽喉科学会会報(0030-6622)115 巻 6 号 Page625-631(2012.06)
4. 飯塚
崇、岡田弘子、畠
将晃、村田潤子、池田勝久:薬剤性肝障害にて死亡した急性浸潤
型副鼻腔真菌症例.耳鼻咽喉科臨床(0032-6313)105 巻 5 号 Page437-440(2012.05)
5. 古川正幸、岡田弘子、笠井美里、奈良林
修、林
千江里、藤巻
豊、池田勝久:上気道感
染症治療の最前線 反復性中耳炎の治療、慢性中耳炎、特に MRSA 感染耳の術前治療.
日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(0913-3976)30 巻 1 号 Page129-132(2012.05)
6. 松本文彦、池田勝久:上気道感染症治療の最前線
急性喉頭蓋炎、頸部膿瘍などの合併症.
日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(0913-3976)30 巻 1 号 Page137-142(2012.05)
7. 本間博友、八尾
亨、斉藤達矢、楠
威志、池田勝久:再発性前頭洞病変に対する手術法の
自験例.耳鼻咽喉科臨床(0032-6313)105 巻 4 号 Page345-349(2012.04)
8. 本間博友、頼高朝子、服部信孝、小早川
達、池田勝久:パーキンソン病の嗅覚障害の評価
における Open Essence の有用性.頭頸部自律神経 26 巻 Page49-53(2012.04)
9. 池田勝久:【耳鼻咽喉科疾患の病態と診断・治療(I)】 難聴.医学と薬学(0389-3898)67 巻
3 号 Page365-370(2012.03)
10. 池田勝久:慢性副鼻腔炎の診断・治療の up-to-date
アレルギー性炎症、好中球、好酸球の
関わり.花粉症研究会会報(0916-8966)23 号 Page2-10(2012.03)
11. 加瀬 香、本間博友、岡田弘子、楠 威志、池田勝久:頭蓋内合併症を呈した急性副鼻腔炎例.
耳鼻咽喉科臨床(0032-6313)105 巻 3 号 Page233-237(2012.03)
-104-
12. 楠
威志:緊急手術を要したポリープ様声帯症例.耳鼻臨床 105:414-415, 2012.
13. 本間博友、八尾
自験例.耳鼻臨床
亨、齋藤達矢、楠
威志、池田勝久:再発性前頭洞病変に対する手術法の
105:345-349, 2012.
14. 三輪正人、三輪真由美:花粉症の疑問に答える 薬物併用療法には意味があるのか?.
JOHNS(0910-6820)28 巻 1 号 Page59-62(2012.01)
15. 宇野敦彦、村田潤子、西池季隆、西村
洋、今井貴夫、太田有美、池田勝久、猪原秀典:
周囲構造への浸潤のみられた副鼻腔真菌症の 2 例
内視鏡手術と抗真菌薬治療の著効例.
耳鼻咽喉科臨床(0032-6313)105 巻 1 号 Page21-26(2012.01)
-105-
平成 24 年度
耳鼻咽喉科
科学研究費
文部科学省科学研究費
【継続研究・科学研究費】
基盤 C
横山
純吉
Lymphatic chemotherapy によるリンパ節転移制御法の開発
一針
幸子
新規 T 細胞特異的サイトカイン IL-17 による慢性扁桃炎発症の分子メカニズム
横井
尚子
新規抑制レセプターSiglec-2 および-6 によるリンパ節転移制御法の開発
【継続研究・基金助成金】
萌
芽
基盤 C
若手 B
池田
勝久
難聴遺伝子変異マウスへの効率的 iPS 細胞導入法の開発
古川
正幸
細菌性中耳炎における JNK による中耳粘膜肥厚の分子制御とその治療
村田
潤子
伊藤
伸
松本
文彦
頭頸部癌における cSrc と放射線治療との臨床的関係および機能の解析
神谷
和作
蝸牛線維細胞を標的とした遺伝性難聴治療法の開発
伊藤
麻美
騒音下に於ける音楽聴取時の外耳道音圧計測
小宮
尚
換気チューブを利用した鼓膜直接加振型補聴器の開発
飯塚
崇
低侵襲蝸牛内投与による難聴モデルマウスの聴力獲得
再生医療への応用を指向した哺乳類内耳発生におけるリン酸化シグナルの
機能解析
頭頸部扁平上皮癌の多段階発癌における Niban 遺伝子の発現
【新規採択・基金助成金】
基盤 C
三輪
正人
ヒト鼻粘膜上皮バリア機能の分子的基盤
若手 B
笠井
美里
先天性難聴遺伝子の運動機能・平衡機能に対する影響
厚生労働省科学研究費
代表
神谷
和作
早期遺伝子診断後の臨床応用を目指した遺伝性難聴の効率内耳細胞治療法
の開発
環境医学研究所プロジェクト研究費
西村
将彦
神谷
和作
アレルギー誘発メニエール病に対する血管条発生機序の解析による再生医
療の確立
内耳ギャップ結合の形成異常とエネルギー環境不全の関連性およびその分
子機構
発作時鼻症状(itching -痒み)を含む臨床所見から考察したアスピリン喘息
村田
潤子
病態形成への TRPA1 channel 関与の可能性: 分子レベルでの解析と新規治
療薬開発の試み
大峡
慎一
頭頸部癌における著しい QOL 低下に関与する痒みの解明と有効な治療の開
発に関する研究
-106-
プロジェクト研究費
藤巻
充寿
粘表皮癌の各組織形態に基づいたキメラ融合遺伝子検出と新たな分子治療
標的の同定
戦略的研究基盤形成支援事業
池田
勝久
遺伝性難聴に対する内耳細胞治療および聴覚系神経賦活化による聴力回復
への挑戦
財団法人テルモ科学技術振興財団一般研究助成
神谷
和作
公益財団法人
横山
純吉
微小カテーテル半規管挿入法による内耳幹細胞治療法の開発
内視鏡医学研究振興財団研究助成
頭頸部癌の頭蓋底浸潤例に血管内治療(IVR)と内視鏡併用による低侵襲手
術と機能温存療法の開発
-107-
編集後記
今年は第 74 回耳鼻咽喉科臨床学会特集号です。池田勝久教授の卓越したアイデアで大成功を
収めた学会でありますが、もっとすごい事はその後の全国学会でもそのアイデアの再利用が散
見されていることです。今年もお忙しい中たくさんの寄稿文を頂きありがとうございました。
涙なしでは読めない寄稿文もありました。毎年この寄稿文で同門会員の近況を知るのが楽しみ
の一つです。今後もずっと茶崖耳会を発行できるように努めて参ります。どうぞよろしくお願
いします。
(古川正幸)
-108-
発行年月日
2012 年 12 月
監 修 者
池田
勝久
編集責任者
古川
正幸
発
行
順天堂大学耳鼻咽喉科同門会
〒113-8421
東京都文京区本郷 2-1-1
TEL 03(3813)3111
印
刷
株式会社キタ・メディア
〒113-0033
東京都文京区本郷 2-4-14
TEL 03(3813)6301