当院の褥瘡プロジェクト 褥瘡予防の教育効果 富山県 医療法人社団良俊会 ふくの若葉病院 看護主任 鴋沢里美 医療法人社団良俊会 ふくの若葉病院 平成12年4月開院 医療病床 45床、 介護病床 55床 (ショートステイ 2床) 入院患者構成 平均年齢 83才 日常生活自立度 B 37.8% C 54.1% プロジェクトの紹介 • 目的 1.褥瘡患者の把握 2.褥瘡の予防 3.職員に対する教育 • 平成14年1月発足 • メンバー 専任医師1名 看護師4名 介護士4名 作業療法士1名 管理栄養士1名 プロジェクトの特徴 1.病院全体で統一した手法を取る 2.活動の継続性を保つ 3.職員の教育を重視する 1.病院全体で統一した手法 • 全入院患者に大浦・堀田スケール • 全入院患者に看護計画立案 • 体圧分散マットレスの一括管理 • 治療について 大浦スケール用紙 褥瘡発生( 危険) 患者記録表( 2004. 5) 患者番号 名前 生年月日 性別 主治医 主病名 1) 主病名 2) 主病名 3) 身長(m) 体重(Kg) BMI 自立度 危険因子 1)糖尿病 2)多汗症 有り・なし 3)その他 栄養(カロリー) 入院時の状態 入院年月日 Hb値 gr/dl 大浦・堀田スケール (初回 年 月 日) 浮腫 自力体位変換 病的骨突出 ランク分け 観察年月日 発生部位 サイズ ステージ(NPUAP) 処置方法 エレバン 白色ワゼリン アブソキュアウンド イワデクト アクトシン軟膏 ブロメライン軟膏 評価(PUHP) 日常生活自立度 大浦のスケール BMI 体圧 mmHg Hb値 Alb値 軽度 中等度 高度 Alb値 gr/dl 拘縮 計 点 0 痴呆度 看護計画の用紙 褥 瘡 看 護 計 画 ( 該 当 する 項 目 に チ ェ ッ ク して下 さい ) 生年月日 M T S H ID 目 標 D 観 察 局所 体 圧 分 散 ケ ア ケ ア 年 月 日 氏名 作成日15年10月17日 入院 1) 損傷部位の皮膚が無傷になる。(治癒する) 2) 褥瘡が維持、あるいは悪化しない。 3) 皮膚組織が無傷のまま維持できる。 4) 褥瘡治癒経過評価(PUHP−大浦使用) 5) 骨突出部位の皮膚状態 (反応性充血・持続的発赤 ・びらん・潰瘍・壊死組織など ) 6) バイタルサイン 7) 検査データ(AIb・TP・WBC・RBC・Hb・CRP・リンパ球など) 8) 栄養状態 (BMI ・骨突出度 ・Aib ・食事摂取状況) 9) 大浦のスケール 10)患者、家族の褥瘡に関する理解 11)簡易体圧測定器で体圧測定あるいは底づきチェック 12)下痢、失禁の有無(下痢、尿の性状、量) 13)褥瘡周囲、褥瘡部の圧をかけた水道水による洗浄 14)排泄物が、接触しないよう褥瘡部をカバーする。(イ)ワゼリン ロ) エレバン) 15)原則として褥瘡部を下にした体位変換はしない。 16)体位変換は基本的に2時間毎に行う。(体交表に基づいて) (イ) 3体交 ロ)2体交右側臥位禁 ハ)左側臥位禁 ニ)仰臥位禁) 17)患者の状態に適した体圧分散マットの使用と体圧調整(クリティカルパス参照) 圧切り替え型 イ)エアードクター ロ)ラクーナエアーマット ハ)サンワカケン製 ニ)スーパー介助 ホ)二役さん リース へ)ビックセル ト)トライセル 静止型 イ)イン テグラメッド ロ)ファイバーマット ハ)クレーターマット ニ)ソフケア ホ)マキシフロート ず れ の 時 の ケ ア 車 椅 子 使 用 ケ ア ス キ ン 改 善 栄 養 リハ 教 育 ヘ)ニッセン(低反発ウレタン) 18)体圧分散マットの作動状況確認(電源、ダイヤル設定、底付き状態) 19)側臥位は30度までとする。 20)良肢位を保ち、適切なポジショニングを行う 21)柔らかいクッションや枕使用。(円座は使用しない) 22)シーツ・寝衣のしわを伸ばす。 23)カテーテルやチューブ類等が肌に食い込まないに整える。 24)体位変換は基本的には2人で、身体を持ち上げるようにして行う。 25)頭側挙上は基本的に30度までとする。 26)頭側挙上時は、股関節部をギャッジの基点部位に正しく一致させ、足、頭、足 と挙上させる 27)座位の姿勢を保持する。(股、膝、足関節それぞれ90度になるよう)座位の姿勢 が保てない場合はクッションを利用) 28)車椅子座位時は、適宜上半身を浮かせ姿勢を整える。 29)車椅子用体圧分散クッションなど利用 30)清拭、入浴、足浴、シャワー、陰部洗浄を行う 31)発汗等皮膚湿潤を認めたら、清拭、寝衣交換を行う。 32)排泄ケアの選択 (イ)紙おむつ ロ)Ba留置 ハ)訓練パンツ ニ)トイレ誘導 ホ)Pトイレ介助など) 33)必要時、亜鉛、蛋白補助食品の使用 34)必要に応じて栄養士に相談 35)必要に応じてカロリーupを医師に相談 36)必要に応じて医師やリハビリ部に相談 37)患者、家族へ褥瘡ケアや再発予防の必要性を説明して、意思決定に参加してもらう 38)褥瘡、褥瘡予防ケアについて分かりやすく説明する。 39)治癒経過を分かりやすく説明し、褥瘡と取り組む姿勢を維持できるように励ます。 立案者(看護師) 立案者(看護主任) 自由記載欄 計画立案修正日 体圧分散マットレスの選定 褥瘡発生時のマット選定 (2004.4) 褥瘡ステージ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅲ、Ⅳ Ⅳ BW40kg以下 使用マット 静止型 ・ソフケア 静止型 ・マキシフロート ・インテグラメッド BW40kg以上 BW40kg以下 圧切り替え型 ギャッジアップの頻度 少ない ・エアードクター ・ラクーナ ・スーパー介助 多い ・ビッグセル ・トライセル 注意1:ステージⅠ、Ⅱでも褥瘡が悪化する場合は、ステージアップしたマットを選ぶ 注意2:経管栄養は基本的にE-7を使用する 注意3:褥瘡はないが、危険要因が中程度以上の場合は、体重とギャッジアップの頻度でマットを選ぶ 名前 痴呆度 患者 NO 番号 生活自立 度 体圧分散マットレスの一括管理 ベッ ド マッ 車椅 子クッ浦スケール ション * * * * * デモ機 * * * * 私物 は* その他 * ラクーナ (3) スーパー介助(1 ) 二役さん (1) サンワカケン( 1 ) ソフケア ( 1) ビッグセル(1) トライセル( 2 ) エアードクター病院 (9) エアードクター 私物( 5 ) 私物 デモ機 ソフィア ( 1) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * クレーター( 1 ) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ファイバー( 5 ) * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ニッセン (1) 25 * 61 * 88 * 96 * 104 * 108 * 146 * 180 * 182 * 224 * 232 * 267 * 312 * 367 * 372 * 402 * 403 * 406 * 421 * 422 * 479 * Ⅳ Ⅳ * Ⅲb Ⅳ * Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅲa Ⅳ Ⅳ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ Ⅳ * M マキシフロート(1 ) インテグラメッド(5 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 17 18 19 20 21 22 C2 C2 B2 C2 C2 C2 C2 C2 C2 C2 B1 C2 C2 B2 B2 C2 B2 C2 C1 C2 B2 エ アー マッ 3月 7月 11月 治療について ◎ コスト意識をもつ • ステージⅠ(NPUAP)から対処 • 褥瘡の洗浄は微温湯で行う • 褥瘡処置のチャート 褥瘡処置のチャート ステージ分類 Ⅰ 被覆材 白色ワゼリン塗布 (ガーゼ保護なし) 瘡の状態 Ⅱ 原則アブソキュア・サージカル使用、ガーゼ保護または 尿・便で汚染する部位は白色 エレバン ワゼリン塗布(ガーゼ保護なし) 感染 (-) Ⅲ and Ⅳ ガーゼ保護 ガーゼ保護 感染 (+) 壊死 (+) 壊死組織切除 ポケット(-) (+) ポケット(-) (+) 軟膏 なし なし(時にアクトシン) アクトシン ポケット切開 イワデクト 必要に応じて 感染 (-) 感染 (+) 時にイソジンシュガー ブロメライン軟膏 2.活動の継続性を保つ • 看護師と介護士は毎年半数交代とする (各病棟2名づつ) • プロジェクトのマニュアルを作成 3.職員の教育を重視する • 研修会 • 啓蒙活動 • 体験学習 研修会 • 大浦・堀田スケールについて • フローチャートについて • 外部講師による講義 啓蒙活動 • 院内掲示板の利用 褥瘡発生率、 褥瘡保有率 褥瘡発生高度危険患者、 褥瘡患者 • 褥瘡ニュース ホームページアドレス http://www1.tst.ne.jp/wakaba/ 体験学習 • 褥瘡を目で確認(介護職員) • 体位変換枕の使用体験 • 圧切り替え型エアマットレスの圧調整 • ずれの体験(体位変換時、ベッド挙上時) ずれ防止のためのマーキング(1) ずれ防止のためのマーキング(2) 教育効果 • ステージⅠ・Ⅱからの報告がふえる (入浴やオムツ交換時に介護職員も発見) • ベッドのマーキングの効果により、ずれ による褥瘡が減少した • 体位変換時、細かく配慮するようになった H1 4. H1 5 4. 6 H1 4. 7 H1 4. H1 8 4 H1 . 9 4. 1 H1 0 4. H1 11 4. 12 H1 5. 1 H1 5. H1 2 5. 3 H1 5. 4 H1 5. H1 5 5. 6 H1 5. 7 H1 5. H1 8 5 H1 . 9 5. 1 H1 0 5. H1 11 5. 12 H1 6. 1 H1 6. H1 2 6. 3 褥瘡発生率 褥瘡保有率と院内新規発生率 25 20 Ⅳ Ⅲ Ⅱ Ⅰ 院内新規発生率 褥瘡保有率 15 10 5 0 20.0% 18.0% 16.0% 14.0% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% 今後の課題 • ステージⅠの褥瘡発生を予防する • 車椅子上のずれへの対策 • 栄養アセスメント(NSTチーム結成)
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