シンポジウム - 日本糖質学会

シンポジウム
S1-01
芋焼酎における麹の役割と麹の高機能食品素材化
鮫島 吉廣
鹿児島大学農学部付属焼酎・発酵学教育研究センター
The role of koji in a sweet potato shochu, and Development of method for koji to enhance its antioxidant activity
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Aspergillus awamori (called black koji) and A. kawachii (called white koji) are used for making shochu. The most
characteristic property of these molds is to produce citric acid. Because of the citric acid production, shochu can be
made by preventing from contamination with bacteria in the mash even in warm area such as South Kyushu. Also to
generate the characteristic aroma of sweet potato shochu, koji has been heavily involved. There is monoterpene alcohol
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and its enzymes are not only useful for fementation but also contribute to the enhancement of the functional nutrient
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of heat_processed koji*'1*2*&4)53'&)*@211)8*G8&4*24*HHI*>%8*J*(2#&*21(*47)1*24*KHI*>%8*H*(2#&6*-7)*&=5)8%F'()*21'%1*
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and 6times, respectively, those of unheated koji. This result suggests that enzymatic reaction followed by Maillard
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芋焼酎は米麹だけを発酵させる一次もろみ工程と主原料であるサツマイモを加えて発酵させる二次もろ
み工程、そして蒸留工程を経て造られる。南国の暑い気候のもとサツマイモを安全に発酵させるために黒麹、
白麹と呼ばれる焼酎麹が重要な役割を担っている。焼酎麹の主な役割は澱粉を糖に分解すること、腐造防
止のためクエン酸を生成すること、香味の生成に寄与することである。芋焼酎の特徴的香気にテルペンア
ルコールがある。このテルペンアルコールはサツマイモの表皮部分に多く存在し、配糖体の形でサツマイ
モ中に存在する。テルペンアルコールは麹中の ;―グルコシダーゼによって遊離し、酵母、クエン酸によ
る酸性条件、蒸留による熱により変換され、蒸発して芋焼酎の特長香を形成している。芋焼酎の香りに麹
は大きな役割を果たしているのである(図1)。
清酒や味噌、醤油などの発酵食品には、抗酸化活性を始めとした多くの機能性があることが近年明らか
にされている。そしてその機能性成分の多くは、麹由来の酵素反応や、それに続く加熱や貯蔵中に起こる
メイラード反応により生成することが報告されているが、これまで麹を食品素材として捉えた研究は少な
く、その機能性を高める加工法については報告がない。そこで抗酸化活性を増強する麹の加工法の開発を
試みた。加工法としては、麹由来酵素の高い熱安定性を活用して、酵素反応およびメイラード反応の同時
進行が期待される中高温領域での加熱処理に着日した。まず麹の A―アミラーゼやグルコアミラーゼ、プ
ロテァーゼ ( メイラード反応の基質を供給 ) の熱安定性 +OPQRN0 を考慮し、加熱熱温度を HHI* に設定し
た。乾燥粉末麹に同量の水を添加後、K 日間加熱したところ、スーパーオキシドアニオンラジカル消去能
30
(SOsA) が 4.9 倍、及び酸素ラジカル吸収能 +LM.N0 が*Y6J 倍上昇し、加熱が麹の抗酸化活性の増強に有効で
あることが示された。また加熱中に麹の粘度低下、褐変の進行が確認されたことから、HHRN での加熱によ
り酵素反応及びメイラード反応が共に進行していることが示唆された。さらに酵素反応生成物であるグル
コース含量及びアミノ酸度の経時変化を調べた結果、酵素反応は加熱 J 日日で終了していることが分かつ
たことから、酵素反応が進行する HHI で加熱した後に、より高温で加熱することでメイラード反応をさら
に促進できると考えた。そこで HHRN で J 日間加熱後、KHRN で H 日間加熱する方法 ( ステップワイズ法 ) を
試みた。その結果、SOSA を非加熱麹の 93.8 倍、LM.N を H6Z 倍に向上させることができた。さらに抗酸化
活性物質であるフェノール類及びメイラード反応生成物である H- ヒドロキシメチルフルフラール +X,T0 を
測定したところ、非加熱麹とステップワィズ加熱麹では、総フェノ T ル含量が [6J\ →*\6YP*@!*/.S]!D*X,T
が n.d. →*J\6HP*@!]! と増加していることが明らかとなった(図2)。よってステップワイズ加熱麹には、フ
ェノール類や X,T 等の抗酸化物質が増強されていることが明らかになった。
図1 芋焼酎におけるモノテルペンアルコール生成機構
図2 ステップワイズ加熱法による効果
31
S1-02
これからの糖鎖研究:スナップショットから動画へ
谷口 直之
理化学研究所基幹研究所システム糖鎖生物学研究グループ・理研−マックスプランクジョイントセンター・理研−阪大産研アライアンスラボ
Glycoscience and beyond: from taking snapshots to making movies
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Our group has been focused on the purification, gene cloning, and the role of glycosyltransferases involved
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and disease.
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localization, nucleotide sugar levels as donor substrates, acceptor substrate levels and so on. These factors also
regulate heterogeneity and the redundancy of structure and function of glycans.
We recently proposed the concept of the “Glycan cycle” as a functional unit of glycans for understanding glycan
functions, which will permit the integration of glycan functions in relation to disease.
This conceptual “functional unit of the glycan cycle,” such as has just been described for GlcNAc or fucose, is
intended to serve as an aid in developing an understanding of the integrative and dynamic analysis of glycan functions,
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but movies of glycan functions.
私たちはこれまでN−結合型糖鎖の分枝にかかわる糖転移酵素の分離精製、その遺伝子クローニング、
およびその糖鎖酵素遺伝子により作られる糖鎖の病態生理学的な意義、またその標的タンパク質の同定と
その病態生理学的な意義を研究してきた。その中には /1-<BBBD*B_D*_D*B`+_:0D*T=4\ などがある。がん転移を
抑制する /1-<BBB、がん転移を促進する /1-<_/、癌のバイオマーカーとして有用で、また肺気腫の発症
や .bNN(抗体依存性細胞障害)活性などにかかわる T=4\ などの研究がある。またこれらの標的遺伝子は
serine proteinase や細胞接着にかかわる S<$2(7)8'1 や integrin、-/T<:)42 受容体、S/T 受容体などであり、い
ずれもこれらの糖タンパク質の糖鎖の役割がほとんど知られていなかったか、無視されているものであっ
た([<Y)。さらに最近我々は脳に特異的な糖鎖遺伝子 /1-<B`+/1-<_:0 の発現が Epigenetic な制御により行
われること等(H)も明らかにしてきた。これらの糖鎖遺伝子に焦点を絞った研究は、生理的病態的な糖鎖
の機能を見出す点で一定の成果はあったと考えている。
32
一方、糖転移酵素や糖鎖遺伝子による糖鎖の発現は、転写制御因子による制御はもとより、糖転移酵素
の活性や発現、局在、ドナーである糖ヌクレオチドのレベルを始め、受容体基質のレベル、その他の多く
の因子により制御されており、糖鎖の持つ多様性や M)(=1(21$# をも規定している一因でもある。そこで、
糖鎖の機能の多様性やダイナミックな変化を明らかにするには、糖鎖サイクルという機能的なサイクルの
中で統合的な理解をする必要があると考えている。それにはシステム糖鎖生物学として、これまでの領域
や分野を超えた共同研究がますます重要になってくるであろう。たとえば、私自身はこれまでの経験から
糖鎖研究と活性酸素・レドックス研究との融合を目指す /"#$%8)(%F(グライコレドックス)研究の発展に
も思いを馳せている。
ここでは、これまでのいわばスナップショットとして見てきた糖鎖機能の解析から動的に把握する今後
の糖鎖科学への新たなアプローチの私見を述べさせていただき、御批判を仰ぎたい。
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33
S2-01
澱粉の深奥を訪ねて ‐ 素晴らしい人々との出会い
竹田 靖史
鹿児島大学名誉教授
Expedition to starch innermost-Great meetings
Yasuhito Takeda
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Great meeting to starch scientists led into starch innermost. The preparation of highly purified amylose and
amylopectin specimens together with developing their analytical methods revealed new structural aspects of starch.
The amylose specimen was obtained by modifying the Schoch method by introducing hot DMSO solubilization and
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consisted of several molecular species with different size, and the size and population were different by plant origin.
The tritium labeling showed a similar distribution of branched and linear amyloses, and the side chain distribution
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amylose, was found in amylopectin molecule from several kinds of plant. Amylopectin also comprised three molecular
species with different size with a cluster having similar structure. Quantitative analytical methods for starch revealed
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hSBB6
澱粉粒は層状構造や偏向十字を示し、X線を回折する。このことは、粒に規則的な構造の存在を示して
1)
いる。1968 年二國は 1 粒1分子説とアミロペクチンが「クラスター(房状)構造」を形成していると提
J)
案した。[ZKJ 年 Kainuma と T8)1$7 はクラスターの短いグルコース鎖が二重らせんを形成していることを
3)
示唆し、このコンパクトな構造によって澱粉が ” 澱む粉 ( 比重 1.60)” になると説明した。1986 年 Hizukuri
は定量的に高解像化したクラスター構造を発表した。このように澱粉科学の発展には、日本の澱粉科学者
の寄与が大きい。素晴らしい出会いに恵まれて、研究を進めることができた。
澱粉は植物種固有であり、分子構造は微妙に異なる。澱粉の奥深くにある構造は、アミロースとアミロ
ペクチンの高純度標品の調製法と、アミロペクチンやアミロースの極々わずかな還元性末端グルコース残
基の定量法や標識法の開発によって進展した。二國・Hizukuri(檜作)教授のもとである。
澱粉をアミロースとアミロペクチンに分別するには、まず澱粉を完全糊化することが必要であった。特
に穀類澱粉にはアミロース・脂質複合体が存在し、通常の加熱やオートクレーブ処理では、この複合体は
溶解しない。そこで、澱粉を熱ジメチルスルホキシドで糊化、脱脂、分散して Schoch のブタノール法で分
画した。アミロース画分は熱時に超遠心分離することによって高純度のアミロース標品を得ることができ
た4)。当時、澱粉の分析には定量性が欠けていた。そこで、還元性末端基を改良パーク ‒ ジョンソン法5)
で定量し、全糖の定量から分子の平均の大きさ(全糖 / 還元性末端基、数平均重合度 be1)を測定した。また、
重量(全糖の測定)分布しか知られていなかったが、還元性末端基をトリチウム6)や蛍光色素7) で標識し
ゲルクロマトグラフフィーで、分子数(モル)分布を測定することができた。
アミロースの重量分布は単一であるが、モル分布では大きさの異なる 1 ∼ 3 の分子種が存在した7)。ジ
ャガイモでは大中小 3 種、コメでは主に小さい1種が存在した。また、いずれの植物のアミロースにも、
直鎖と分岐をもつアミロースが存在した。分岐アミロースは植物種によって存在比(モル)や分岐数が異
なった。コメでは、骨格となる主鎖(N 鎖、還元性末端基をもつ鎖)は直鎖アミロースとほぼ同じ大きさ
34
であるが、それに短い枝(アミロペクチンの単位鎖に相当)が数本(平均 3 ∼ 10 本)結合していた。アミ
ロースの大きさは植物起源で異なり(be1KQQ ∼ HQQQ)、一般に穀類は小さく、根茎類は大きい。
アミロペクチンの重量分布も単一で
あるが、モル分布はアミロースと同様
に大きさの異なる 3 つの分子種からな
っていた8)。Hizukuri のクラスターモ
デル3)では、A 鎖(側鎖をもたない鎖)
と B1 鎖(側鎖をもち、他の鎖に結合
している鎖)の短鎖は1つのクラスタ
ーを形成し、長鎖の hJ と B3 鎖は、J
∼ 3 つのクラスターをつなぐ ( 図 ) 3)。
従って、短鎖(A+B1)と長鎖(hJlhi)
のモル比は1つのクラスターを構成す
る鎖の数に相当すると考えられる。そ
の鎖数は一般に穀類では多く(コムギ
は約 [J 本)、根茎類は少ない(ジャガ
イモは約 H 本)。アミロペクチンの N
鎖のモル分布がはじめて明らかになっ
た。N 鎖を蛍光標識したアミロペクチ
ンをイソアミラーゼで枝切した。モル
分布はショルダーのある単一で、鎖長
はミロペクチンの長鎖と短鎖に相当し
た。鎖長から判断すると、J つのクラ
スターを貫通する N 鎖が大部分である
が、1 つのクラスターにとどまる N 鎖
9)
もあった 。
アミロペクチンには、アミロース
のような “ 長い枝(最長鎖、be1iQQ<
600)“ をもつこともわかった 10)。イン
ディカのコメではじめて見つかった
が、この最長鎖がアミロースと間違われてインディカのコメはアミロース含量が高いと思われていた。他
の植物種にも存在し、その成因には粒結合型澱粉合成酵素が関与している。
澱粉の生合成研究で当時トップランナーであった f2$a*e8)'&& ミシガン州立大教授のもとで、アミロペク
チンの枝つくり酵素アイソザイムの研究を進めた。生じた枝のモル分布から、アイソザイムは、長い枝や
短い枝を優先的に転移し、機能が異なることがわかった。また、還元性末端基の定量法で、枝つくり酵素
の活性をモル / 分の単位で、大きさの異なるアミロースに対する Km をモル濃度で表示することができた。
11)
また、最適 p Hや最適温度も明らかになった 。
巡り会いを大切に、素晴らしい出会いにしたい。
文献 1) 二國二郎:調理科学 D*JD*P<[Y+[ZPZ06*J0*U6*U2'1=@2*21(*b6*T8)1$7k*BiopolymersD*[[D*JJY[<JJHQ+[ZKJ06*
i0*C6*X'9=a=8'k*Carbohydr. Res6D*[YKD*iYJ<iYK+[Z\P06*Y0*W6*-2a)(2D*C6*X'9=a=8'*21(*h6L6*f="'21%k*Carbohydr. Res.,
[Y\D*JZZ<iQ\*+[Z\P06*H0*C6*X'9=a=8'D*W6*-2a)(2D*,6*W2&=(2*21(*.6*C=9=a'k*Carbohydr. Res6D*ZYD*JQH<J[i*+[Z\[06*P0*W6*
-2a)(2D*C6*-%@%%a2*21(*C6*X'9=a=8'k*Carbohydr. Res6D*JYPD*JPK<JKJ*+[ZZi06*K0*B6*X212&7'8%*21(*W6*-2a)(2k*Carbohydr.
Res6D*iQPD*YJ[<YJP*+[ZZ\06*\0*W6*-2a)(2D*C6*C7':27282*21(*B6*X212&7'8%k*Carbohydr. Res6D*ii\D*YK[<YKH*+JQQi06*Z0*B6*
X212&7'8%D*,6*-2!232D*C6*C7':27282D*U6*B3242*21(*W6*-2a)(2k*Carbohydr. Res6D*iiKD*[JQ\<[J[J*+JQQJ06*[Q0*W6*-2a)(2D*
C6*X'9=a=8'*21(*h6L6*f="'21%k*Carbohydr. Res6D*[P\D*KZ<\\*+[Z\K06*[[0*W6*-2a)(2D*X<e6*/=21*21(*f6*e8)'&&k*Carbohydr.
Res6D*JYQD*JHi<JPi*+[ZZi06
35
S2-02
複合糖質合成と科学技術政策
小川 智也
理化学研究所 和光研究所
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Tomoya Ogawa
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that now glycans of glycoproteins should be a target of organic synthesis in a same way as the conventional natural
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私が複合糖質に関して合成研究を始めたのは、[ZKQ 年代の後半です。私はモントリオール大学のハネシ
アン教授の研究室で J 年間のポスドク期間中にシリルエノールエーテルを用いる親核反応で N< リボシドの
合成研究(-6*L!232*)4*2"D*-)4827)(8%1*g)446D*iKD*[ZKiD*iHYi)や固層法によるオリゴ糖の合成研究 (S. Hanessian
)4*2"D*N28:%7#(86*M)&6D*i\D*[ZKYD*N[H0 などをして [ZKY 年の夏に帰国しました。 理研に戻ってからトリブチル
錫オキシドによる糖の水酸基の選択的な活性化反応を傲然発見し、[ZKK 年に初めて夏のゴードン会議に
運よく招待されて糖水酸基の選択的なアシル化やアルキル化反応を発表しました。その会議の後半でした
が、偶然にも、演者ではなかった f6*,%148)='" が飛び入りで、f6*_"')!)147284 らの ^< 結合型糖たんぱく糖鎖
の高分解能 X^,M のスペクトルを Tilton の会場の壁一面に一夜のうちに張り出したのです(g6*b%8"21(*)4*
2"D*TShC*g)446*[ZKKDKKD[Hn g6*b%8"21(*)4*2"D**TShC*g)446*[ZK\D\ZD[YZ)。私は、Montreuil のフレンチ訛りの強い
英語に困惑しながらも、翌朝それらのスペクトルを隅から隅まで見入って嬉しくなりました。^,M データ
がこのようにしっかりとあれば、合成品と天然物の照合が可能です。^< 結合型の糖たんぱく糖鎖である高
マンノース型糖鎖や複合型糖鎖の複雑な分岐構造がこれで所謂天然物化合物と同様に全合成研究の標的に
なります。而も我々が見出した有機錫の選択的反応を活用してマンノース等の水酸基を選択的に保護した
合成中間体をデザインして、合成ルートが考案できるのです。さらに、そのような合成研究を通して糖た
んぱくの糖鎖の構造決定や更に踏み込んだ糖鎖の機能性の研究にも貢献できることは自明でした。天から
合成標的を授かった思いで帰国し、理研の同僚と早速糖たんぱくの糖鎖の合成研究を始めました (T. Ogawa,
U6*U2421%*21(*,6*,24&='D*N28:%7#(86*M)&6D*PYD*[ZK\D*Nin*-6*L!232*21(*U6*C2&2m'@2D*-)4827)(8%1D*iKD*[Z\[D*JK\Kn0。
その後、10 年が過ぎ、研究成果も順調に上がり国内外の研究仲間も増えました。1988 年 ( 平成元年 ) に
は当時の斎藤科学技術庁長官の諮問を受け、1990 年に航空等・電子等技術審議会(バイオテクノロジー部会;
部会長吉田善一、糖鎖工学分科会;主査木幡陽)は糖鎖工学の基盤形成・糖鎖機能の解明に必要な研究開
36
発の基本的考え方および推進課題などに関して長官に答申しました。これにより、日本では世界に先駆けて、
1990 年代の文部、科技、通産、厚生等各省庁の大型糖鎖関連国家プロジェクトの同時予算化に成功しました。
[ZZJ 年には、糖鎖科学関連の進歩を纏めて、木幡陽、永井克孝、鈴木旺、渋谷直人先生らと共に単行本 “ 糖
鎖工学 ” の編集を行い、出版に漕ぎ着けました。
さて、1998 年 ( 平成 10 年 )、当時の理研の有馬理事長より研究担当理事を仰せつかり、それ以降は研究
現場を離れました。JQQQ 年に始まる小渕総理のミレニアムプロジェクトなど、国の科学技術政策のもとで
理研の研究を推進する立場で微力を尽くしました。JQQY 年には理事を退任し、JQ[Q 年まで横浜研究所長、
現在は和光研究所長として研究行政に関与しています。
JQ[[ 年に始まった日本政府の第 4 期科学技術基本計画は H 年で JH 兆円の予算規模で企画立案され、科学
S、技術 T、イノベーション B、そして再生・復興 M が施策の柱です。特にライフイノベーションとグリー
ンイノベーションの推進がうたわれていますが、生命科学では統合化、異分野融合、社会還元などによる
イノベーションが志向されて、従来の分野別推進の施策からの軌道修正が明確になってきました。従って、
国や公共の立場を慮れば、糖鎖科学も、ゲノムやタンパク科学と共に分子から階層を超えた生命システム
科学への挑戦と医療や健康への貢献が求められているのでしょう。
37
S2-03
グライココードは第三の生命暗号か?
笠井 献一
Is the glycocode the third biological cipher?
U)1'$7'*U.C.B
B&*1%4*'4*4%%*@=$7*)F2!!)824)(*4%*$2""*&2$$728'()*$72'1&*47)*47'8(*:'%"%!'$2"*$'57)8o*-7)*>'8&4*:'%"%!'$2"*$'57)8D*
i.e., the genetic code, created a relationship between the nucleotide sequence and amino acid sequence by means of
4821&"24'%1D*'1*&5'4)*4724*1%*8)"24'%1&7'5*%8'!'12""#*)F'&4&*:)43))1*47)@6*.*&#&4)@*4724*$8)24)&*8)"24'%1&7'5*:)43))1*
43%*'1()5)1()14*4)F4&*+)6!6D*5%"#1=$")%4'()*21(*5%"#5)54'()0*m=@5&*4%*2*7'!7)8*('@)1&'%1D*21(*:)!'1&*4%*()?)"%5*
21(*58%&5)86**B1>%8@24'%1*4821&>)8*:#*&2$$728'()*$72'1&*'&*25284*>8%@*4724*:#*1=$")'$*2$'(&D*21(*8)"')&*%1*2*"%3)8*
level deciphering system, which depends on complementarity of molecular shape (e.g., key and keyhole). Molecules
involved are of low specificity and weak binding, and heterogeneous. However, multidimensional treatment of
information offered by a system constructed with such poor parts seems to make it possible high level recognition and
8)&5%1&)6*B4*&7%="(*:)*)>>)$4'?)*)&5)$'2""#*'1*$2&)&*%>*@="4'('@)1&'%12"*'14)82$4'%1&*%$$=88'1!*'1*"'?'1!*%8!21'&@&D*
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glycoconjugates should be a challenging target, and must be achieved by the combination of new concepts, ideas,
methodologies and also ways of consideration.
糖鎖は第三の生命暗号などと持ち上げられることがあるが(第二は蛋白質のモチーフ配列などらしい)、
本当にそうだろうか。どう見ても、第一の生命暗号、核酸の三文字暗号、とはずいぶん違う。三文字暗号
はあまりにもレベルが高い。こんなものが自然発生なんてありうる?ヌクレオチド配列とアミノ酸配列と
の間に関係ができる必然性などなかった(あったと考える人もいる)。それを関係づけたのが翻訳という解
読ステップである。DNA と M^. の間のような、もとから関係があってフォントの置換えですむような幼
稚な暗号システムとは雲泥の差である。生命は地球上で、本来は関係のない二つのテキスト(ポリヌクレ
オチドとポリペプチド)の間に、翻訳という高級なコード化規則を介して関係を築くというとんでもない
ことをしでかした。
アミノ酸配列の親はヌクレオチド配列だが、生まれたポリペプチドは親離れし、親の想定外の立体構造
を作り、親のあずかり知らぬ機能を獲得して、自由奔放に活動する。本来は関係のなかったものの間に、
高度なコード化規則を介して関係ができたとき、生み出されたものの想定外の活躍で、そのシステムは一
つ上の次元に跳ね上がる。そしてもとの次元では想像もつかなかった発展・展開が始まる。これがたった
4つの文字で書かれたテキストで、これほど多彩な生命現象が生み出されている理由である。地球上で、
かつてたった一回このような奇跡が起こった。確率がゼロでないことは実証済みだが、宇宙の中で、地球
に似た星がいかにたくさんあったとしても、同じようなことがもう一度起こりうるのか、想像もつかない。
ただし人類が発生すると、奇跡は一回では止まらなくなった。ヒトは無関係の事物の間に、次々と高度
なコード化により関係性を作った。最初はもちろん言葉である。自分のまわりにあるモノに音(名前)を
あてはめた。モノと名前の間にもともとは関係なんてなかった(擬音は例外)。しかしそこからコード化の
大進撃が始まり、コトにも名前がつき、さらには、見ることも聞くことも触れることもできない概念(心、
神など)まで音で表現し、はては文法ができた。言葉により人類の個体間ミュニケーションは飛躍し、他
の生物よりも上の次元にはね上がった。それは農耕を生みだし、文化を生みだし、社会を成立させ、文明
を発展させた。次には、本来は関係がなかった音と平面図形との間をコード化により結びつけて文字を作
った。そして人類の次元はまた一つ上がる。言葉から始まるコード化のカスケードは、さらに数字、貨幣、
楽譜、ロゴ、アイコン、二進法、バーコード、コンピューター言語などを次々に生みだし、人類は他の生
38
物よりも何次元も上の存在となり、大繁栄するとともに、破滅的な勢いで地球を変え、遺伝子工学は自己
のゲノムまでいじり始めている。
それはさておき、糖鎖暗号を遺伝暗号と同列に考えることはできるだろうか。多分、無理だろう。糖鎖
の構造が何かのテキストであり、それが本来は無関係な別のテキストとコード化により結びついているな
どありそうもない。糖鎖情報は糖認識タンパク質、糖脂質などにより受け取られ、シグナル発生、シグナ
ル伝達の制御、インフラストラクチャー構築(物流、細胞間相互作用、組織構造化)などを担っている。
この役割を支えるのは、形の相補性を基本とした直接的な分子間相互作用で、翻訳のように高度ではなく、
フォント変更のような幼稚なレベルである。それでは糖鎖による情報伝達は、たいして高度なことはやっ
ていないのだろうか。
しかし暗号システムとしては幼稚であっても、高度な仕事はできる。それも甘い認識を基盤としてである。
糖鎖と認識分子との関係は一般にゆるくて、特異性が甘い。大半のシグナル伝達系では、厳密な特異性の
ため、シグナル分子とレセプターとは1対1の関係にあり、レセプターに結合できる生理的リガンド分子
は一つだけに決まっている。そうでなければ情報が混乱してしまう。ところが糖鎖認識系は違う。糖鎖に
はミクロヘテロジェナイティーがあるが、レクチンの結合部位はふところが深く、一つのレクチンが何種
類もの糖鎖リガンドを受け入れてくれる。しかし、それぞれの糖鎖の結合力はばらばらだから、個々のレ
クチンの結合部位の飽和度にもばらつきが生じ、応答(発するシグナル)や構築物の強度もばらつくだろう。
さらに似た結合特性のイソレクチンがいくつもある(ガレクチンやシグレックなど)。発信側も受信側も複
数同士で対応している情報システムなど、混乱するばかりではないだろうか。
このようなシステムの役割は、個別的ではない包括的な情報伝達、つまり点としての情報伝達ではなく
て、多次元(たとえば面)的な情報伝達であろう。ホルモンとレセプターのような1対1の情報伝達ならば、
一つのシグナル分子がもたらす応答は定まっている。それに対し細胞と細胞が接触する場合などは、面で
の相互作用になる。表面にたくさんのレクチンを並べた細胞に、さまざまな表面糖鎖を持つ別の細胞が接
触した場合、個々のレクチン分子は微妙に構造が違ういろいろな糖鎖と結合する。同種類のレクチンの間
であっても飽和度が異なり、応答の強度もばらばらになる。このとき細胞は情報をどう解釈し、どう行動
するのだろうか。強引に平均値のようなもので判断するのだろうか。しかしそれほど単純なら、このよう
なシステムが進化圧に耐えて保存されてきたとは考えにくい。細胞はもっと総合的な、レベルの高い、た
とえば二次元的な情報として判断しているのではないだろうか。細胞表面のレクチンの飽和度による等高
線のようなもので、相手を判断するのかもしれない。またいろいろな種類のレクチンが表面に並んでいれば、
レクチンアレイのように、相手細胞のプロファイリングもできるだろう。
これに似たことは感覚システムがやっている。視覚では3種の色レセプターの飽和度の比率で色を識別
している。各レセプターの飽和度を軸とする三次元の座標内のベクトルの方向が一つの色に対応する。こ
の座標での1度の角度の違いを検出できる解像度を脳が持っていれば、8000種類くらい(ZQ*F*ZQ*p*
8100)の色の違いがわかることになる。色なら波長が違うだけなので、3種類のレセプターで事足りるが、
嗅覚には数百種類のレセプターが関わっている。匂い候補の分子の形の多様性に対応するためだろう。個々
の嗅覚レセプターは特異性がそれほど厳密でなく、似た構造の何種類もの分子を結合できる。結合力もあ
まり強くない。つまりゆるい結合蛋白質なので、ある匂い分子種は何種類かの嗅覚レセプターによって捉
えられる。それぞれに対する結合力が違うので、それぞれのレセプターの飽和度が違ってくる。ある分子
が5種類のレセプターに結合できるとすれば、飽和度の五次元空間のベクトルの方向として同定できる。
脳がこの空間での10度の角度の違いを検出できれば、95乗(約6万)種類の匂い分子をかぎ分けられる
ことになる。このように特異性がゆるく、結合力が弱いレセプターを使っても、多次元化すれば、とてつ
もない識別能力がでてくるのだ。結合力が弱いことも、感覚系にとっては大事な特性である。リガンドが
はずれやすく、検出能力がすぐに回復するからである。
糖鎖情報系は、感覚系とは違って、脳のような高度な情報処理システムにはつながっていないが、細胞
や組織には、情報を多次元的に収集し、総合的に判断・処理するノウハウがあるのかも知れない。翻訳と
は全く違うが、それもある種のコード化であり、その規則を理解できたとき、ゆるい、あいまい、弱い、
不均一など、弱点だらけのパーツで構築された情報システムが、なぜ今日まで生き残っているのか、なぜ
高等な生物に不可欠なのか、説明できるようになるだろう。おそらくそれは三文字暗号を解くよりもずっ
と難しい課題で、新しいコンセプト、新しい研究アイデア、新しい研究法、より高い次元からの視点が必
要で、それだからこそ、ダークホースが優勝するチャンスがころがっている。
がんばれオールジャパン。
39
奨励賞受賞講演
奨励賞受賞講演1
糖タンパク質の輸送と分解に関わる細胞内レクチンの構造生物学研究
佐藤 匡史
名古屋市立大学 大学院薬学研究科
Structural biology studies of intracellular lectins involved in glycoprotein transport and degradation
Tadashi Satoh
/82(=24)*C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*^2!%#2*N'4#*V1'?)8&'4#
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These studies have provided mechanistic insights into glycoprotein fate determination through interactions with the
intracellular lectins.
私はこれまで主に ` 線結晶構造解析法を駆使し
細胞内レクチンと糖鎖の相互作用の詳細を明らか
て、糖鎖シグナルの解読者である細胞内レクチンに
にすることが重要である。
よる糖鎖認識の構造基盤を原子レベルで解明して
きた。本発表では、糖タンパク質の細胞内輸送に関
1. 正常糖タンパク質を輸送するレクチン VIP36
わる _BeiP と分解に関わる LC<Z の構造生物学研究
の立体構造解析
を通して明らかになった、細胞内レクチン相互作用
小胞体品質管理機構により正常な立体構造を獲
を介した糖タンパク質の運命決定メカニズムの詳
得した糖タンパク質は、細胞内レクチン(SM/BN<Hi
細を紹介する。
および _BeiP)によりゴルジ体へ輸送される。これ
らレクチンはマメ科レクチンとの相同性を有するこ
糖鎖は、細胞内においてタンパク質運命決定の
とから、g 型レクチンと呼ばれている。当初、g 型
シグナルとして機能している 。小胞体内での新生
レクチンの糖鎖複合体の立体構造は報告されてお
タンパク質のフォールディングの補助とゴルジ体
らず、詳細な糖鎖認識の仕組みは不明であった。そ
への輸送、折り畳みに失敗したタンパク質の分解
こで私は酵母 SM/BN<Hi ホモログ(S@5YP5]YK5)お
といった一連の過程は、糖鎖とそれを認識する “ 細
よび _BeiP の糖鎖複合体の立体構造解析に着手し
胞内レクチン ” の相互作用を通じて決定されてい
た。その結果、S@5YP5]YK5 では糖鎖複合体の立体
る。カルネキシンサイクルは、その代表例の一つで
構造解析に至らなかったものの、` 線結晶構造解析
あり、Vbe< グルコース糖タンパク質グルコース転
を通して Emp46p が K と結合するという新奇な性
移酵素(V//-)によるモノグルコシル化、カルネ
_BeiP の構造解析においては、
質を見出した 。一方、
キシンによるモノグルコシル化糖タンパク質の認
高マンノース型糖鎖の D1 アームの A[DJ 結合から
識、小胞体グルコシダーゼ BB による脱グルコシル
なる ,21+b[0<,21+N0<,21+Y0 部 分と N2 依 存 的 に
化、などが協同的に機能することで、新生タンパク
結合する糖鎖認識の構造基盤を解明した
(図 1A, B)
。
質のフォールディングの補助が行われる。また一方
これにより、_BeiP が脱グルコシル化された “ 輸送
で、タンパク質が正しい高次構造を形成できなかっ
シグナル型 ” の糖鎖を特異的に認識する仕組みを原
た場合、そのような異常タンパク質を細胞質へ放出
子レベルで理解することが可能となった 。こうし
し分解する小胞体関連分解も同時に機能している。
た研究成果は、SM/BN<Hi や _Beg など細胞内レク
糖タンパク質の品質管理機構を解明するためには、
チン機能研究の基盤となっている 。
1)
42
+
J0
Jl
3)
1)
2. 異常糖タンパク質を捕まえるレクチン OS-9 の
結合することを解明した(図 1D)。本研究により、
立体構造解析
マンノース残基がトリミングされた “ 分解シグナル
近年の研究により、小胞体関連分解(SM.b)は
型 ” の高マンノース型糖鎖を、LC<Z が特異的に認
N< 結合型糖タンパク質のマンノース残基の数(HqZ
識する仕組みを初めて明らかにした 。
4)
個)により制御されることが明らかになりつつあ
る 。しかしながら、当初 SM.b レクチンの立体構
3. おわりに
造に関する報告はなく、なぜ異常糖タンパク質と
現在、これまでの研究を発展させるべく、細胞内
レクチンとの結合にマンノース残基のトリミング
レクチンと密接に関わるグリコシダーゼや糖転移
が必要なのか、などの詳しい糖鎖認識の仕組みは不
酵素などの構造生物学研究を展開している。これに
明であった。このような研究背景のもと、SM.b レ
より、糖タンパク質の細胞内運命決定機構の包括的
クチン LC<Z の分解シグナル型の糖鎖(AiAP<,21H)
な理解を目指していきたいと考えている。
1)
との複合体の立体構造解析に挑んだ。様々な結晶
化 条 件 の 検 討 を 重 ね、LC<Z の マ ン ノ ー ス 6 リ ン
参考文献
酸 受 容 体 相 同(,MXk*@211%&)<P<57%&5724)*8)$)54%8*
⒈ Kamiya, Y., Satoh, T.*21(*U24%D*U6*+JQ[J0*h'%$7'@6*
homology)ドメインと AiAP<,21H との複合体の結
Biophys. Acta., 1820D*[iJK<[iiK6
晶化に成功した(図 [N)。立体構造解析の結果、
⒉ Satoh, T.*)4*2"6*+JQQP0*f6*h'%"6*N7)@6*281D*[QY[Q<[QY[Z6
,MX ドメインの糖鎖結合部位は、マンノース 6 リ
⒊ Satoh, T.*)4*2"6*+JQQK0*f6*h'%"6*N7)@6*282D*J\JYP<J\JHH6
ン酸受容体と同様のアミノ酸残基に加え、特徴的な
⒋ Satoh, T.*)4*2"6*+JQ[Q0*,%"6*N)""6*40D*ZQH<Z[P*+JQ[Q06
連続する J つのトリプトファン残基から構成されて
いることが明らかになった。私は、この糖鎖結合
部位を “WW モチーフ ” と名付けた。結晶構造デー
タと溶液中での ^,M 解析および変異体を用いた結
合実験などを合わせて、LC<Z は WW モチーフを介
して、高マンノース型糖鎖の D3 アームの A[DP 結
合からなる ,21+h0<,21+Y 0<,21+i0 部分と特異的に
図 1. VIP36 の CRD ドメインの全体構造(A)および糖鎖結合様式(B)、OS-9 の MRH ドメ
インの全体構造(C)および糖鎖結合様式(D)
43
奨励賞受賞講演2
GPI アンカーの構造変化と生理的意義の解明
藤田 盛久
大阪大学 微生物病研究所
.+5($+(5*"-5,6%2,"1&)-%7-!489*&$/%50-*&2-+/,-:/#01%"%)1$*"-7(&$+1%&0
,%8'7'&2*T=m'42
M)&)28$7*B1&4'4=4)*>%8*,'$8%:'2"*b'&)2&)&D*L&2a2*V1'?)8&'4#
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'1*)=a28#%4)&6*/eB*'&*&#147)&'9)(*21(*4821&>)88)(*4%*58%4)'1&*'1*47)*)1(%5"2&@'$*8)4'$="=@6*/eB<21$7%8)(*58%4)'1&*28)*
47)1*4821&5%84)(*4%*47)*5"2&@2*@)@:821)*478%=!7*47)*/%"!'*2552824=&6*b=8'1!*47)'8*4821&5%84D*47)*&48=$4=8)*%>*47)*/eB<
21$7%8*'&*8)@%()")(D*37'$7*8)!="24)&*47)*482>G$a'1!*21(*"%$2"'924'%1*%>*/eB<21$7%8)(*58%4)'1&6*B*()&$8':)*47)*&48=$4=82"*
8)@%()"'1!*21(*('&$=&&*7%3*/eB<21$7%8&*8)!="24)*58%4)'1*&%84'1!D*482>G$a'1!D*21(*(#12@'$&6
細胞表面にはグリコシルホスファチジルイノシ
トール(/eB)と呼ばれる糖脂質によって膜に結合
した一群のタンパク質(/eB アンカー型タンパク質)
が存在する。/eB によるタンパク質の修飾は真核生
物で保存された翻訳後修飾であり、哺乳動物におい
ては受容体や細胞接着因子、酵素など [HQ 種類以
上のタンパク質が /eB アンカー型として存在して
いる。我々は出芽酵母および哺乳動物細胞を用いて
/eB アンカーの修飾に関わる遺伝子を解析すること
により、/eB アンカー部分の生理的役割を分子レベ
ルで解明してきた。特に、/eB がタンパク質に修飾
された後、輸送過程で起こる構造変化(リモデリン
グ)の分子基盤を明らかにし、
/eB アンカーが修飾タンパク
質の細胞内輸送や膜局在を制
御する機能的な役割を果たし
ていることを示した。
1. GPI アンカーの脂質リモ
デリングによる脂質ラフトと
の会合
/eB アンカー型タンパク質
の最も特徴的な点は、このタ
ンパク質がスフィンゴ糖脂質
やステロールから構成される
特殊な生体膜構造と会合する
ことである。これは「脂質ラ
フト」や「膜マイクロドメイ
ン」と呼ばれる構造で、選別
輸送やシグナル伝達のプラッ
44
トホームとして働いていると考えられている。/eB
アンカー型タンパク質の機能は脂質ラフト上で制
御されているが、/eB アンカー型タンパク質がどの
ようにラフトに特異的に取り込まれていくのかは
不明であった。通常 /eB アンカーは生合成段階で
は脂質部分に不飽和脂肪酸を含んでいるのに対し、
タンパク質が付加した後の成熟した /eB アンカー
の脂質は飽和脂肪酸に改変されている。出芽酵母を
用いた遺伝学的解析により新規遺伝子 PER1 を見出
し、この遺伝子産物が /eB アンカー型タンパク質
の脂質リモデリングに必須な反応に関わること、即
ち、脂質リモデリングにおいて /eB アンカー部分
の &1<J 位の脂肪酸を切断するのに必要であること
1)
を突き止めた(図 A) 。この PER1 遺伝子を欠損
した細胞では、/eB アンカー型タンパク質がラフト
画分(低温で非イオン性界面活性剤に不溶な画分)
に濃縮されなくなった。つまり、/eB 脂質リモデリ
ングによって不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変換す
ることで、/eB アンカー型タンパク質が脂質ラフト
に取り込まれることを明らかにした。さらに PER1
のヒトホモログ遺伝子 PERLD1/PGAP3 を酵母で発
現させたところ、PER1 破壊株の表現型を相補し、
PER1 の機能ホモログであることが明らかとなった。
共同研究により、哺乳動物細胞の解析においても
PERLD1/PGAP3 は /eB アンカー型タンパク質の脂
質リモデリングに必要であり、脂質リモデリングが
脂質ラフトへの濃縮に必須であることを明らかに
した(図 B)。
2. GPI アンカーの糖鎖リモデリングによる小胞体
−ゴルジ体間の輸送制御
/eB アンカー型タンパク質の細胞内輸送機構に関
与する遺伝子を同定するため、/eB アンカー型タン
パク質の小胞体から細胞表面への輸送を経時的・定
量的にモニターすることができるレポーター系を
組み込んだ N7'1)&)*72@&4)8*%?28#*+NXL0*細胞株を用
いて、/eB アンカー型タンパク質の輸送が遅延する
/eB アンカー
新規変異株の取得を試みた。その結果、
型タンパク質の輸送が選択的に遅れる変異株を単
J0
離することに成功した 。この変異株は /eB アンカー
型タンパク質の小胞体からゴルジ体への輸送に異
常が見られた。発現クローニングにより責任遺伝
子を同定したところ、機能未知の新規遺伝子であっ
たため、e/.eH*+e%&4</eB*.442$7@)14*4%*e8%4)'1*H0 と
名付けた。ヒト e/.eH タンパク質は N 末端に SM*
retrieval signal を有する膜貫通タンパク質であり、
内腔側にリン酸エステラーゼ・モチーフを有してい
た。このモチーフに保存されたアミノ酸を置換する
と /eB アンカー型タンパク質の輸送が遅延するこ
とから、リン酸エステラーゼ活性が必須であるこ
とが示唆された。さらに /eB アンカー構造を解析
した結果、野生株では /eB 糖鎖の2つ目のマンノー
スに付加された側鎖エタノールアミンリン酸が除
去されているのに対して、e/.eH 変異株では側鎖
エタノールアミンリン酸が付加されたままである
ことが分かった。精製タンパク質を用いた酵素活
性測定系を構築し、e/.eH が側鎖エタノールアミ
ンリン酸の除去を行う酵素であることを明らかに
した。これらのことから e/.eH は /eB 糖鎖部分の
構造を改変する活性を有しており、この反応が /eB
効率的な輸送に関与していることが明らかとなっ
た(図 B)。
上述の e/.eH による /eB アンカー型タンパク
質の輸送制御がどこで行われているか解析を行っ
た。e/.eH 変異細胞株を用いた解析から、/eB ア
ンカー型タンパク質の小胞体 < ゴルジ体間の輸送が
遅延するのは、NLeBB 小胞が形成される場所、小胞
体出口部位 +SMSC0 へのソーティング異常であるこ
3)
とが明らかとなった 。さらに、小胞体でリモデリ
ングされた /eB アンカーを効率的に認識する分子
として、5JY ファミリータンパク質を同定した(図
B)。5JY ファミリータンパク質は細胞質側に NLeBB
および NLeB タンパク質と直接結合するモチーフを
有する B 型膜タンパク質であり、ファミリー間でヘ
テロオリゴマーを形成し、小胞体 r ゴルジ体間を
リサイクリングすることが知られている。これま
でに、出芽酵母において 5JY ファミリータンパク質
である S@5JY5、S8?JH5 が /eB アンカー型タンパク
質 Gas1p の小胞体 < ゴルジ体間の効率的な輸送に必
要であることが報告されている。動物細胞におい
て 5JY 遺伝子のノックダウンにより、/eB アンカー
型タンパク質の SMSC への濃縮が減少し、輸送が遅
延した。また /eB アンカー型タンパク質と 5JY ファ
ミリータンパク質の結合は pH 依存的であり、小胞
体で両者が結合し、輸送後に小胞体・ゴルジ体中間
区画(SM/BN)またはゴルジ体で解離することが示
唆された。これらの結果は 5JY タンパク質が正しく
リモデリングを受けた /eB アンカーを認識し、/eB
アンカー型タンパク質の小胞体 < ゴルジ体間の輸送
を行う積荷受容体として機能していることを示す
ものである。
以上のように、/eB アンカー糖鎖・脂質の構造変
化に関与する新規遺伝子の同定や、構造変化・認識
に関わる分子の新たな性質を見出した。これらの結
果は /eB が単なるタンパク質の膜アンカーとして
の働いているのではなく、修飾されたタンパク質の
細胞内輸送や生体膜局在を決定する機能的な分子
4)
であることを示すものである 。
文 献
[6*T=m'42*et al., Mol. Biol. CellD*[Kk*HJHi<PY*+JQQP0
J6*T=m'42*et al., CellD*[iZk*iHJ<iPH*+JQQZ0
i6*T=m'42*et al., J. Cell Biol6D*[ZYk*P[<KH*+JQ[[0
Y6*T=m'42*21(*U'1%&7'42D*Biochim. Biophys. Acta*+M)?')30D*
[\J[k[QHQ<\*+JQ[J0
アンカー型タンパク質の小胞体からゴルジ体への
45
奨励賞受賞講演3
有機電気化学的手法によるグリコシル化反応中間体の研究
野上 敏材
京都大学大学院工学研究科 合成・生物化学専攻
Electrochemical Approach to Reaction Intermediates of Chemical Glycosylation
-%&7'a'*^LU.,B
b)5284@)14*%>*C#147)4'$*N7)@'&48#*21(*h'%"%!'$2"*N7)@'&48#D*U#%4%*V1'?)8&'4#
Summary:*-7)*)")$48%$7)@'$2"*%F'(24'%1*%>*?28'%=&*4#5)&*%>*47'%!"#$%&'()&*'&*)>>)$4'?)*>%8*!)1)824'1!*!"#$%&#"*
48'j24)&D*37'$7*8)2$4*3'47*!"#$%&#"*2$$)54%8&6*-7)*8)2$4'%1*%>*47)*!"#$%&#"*48'j24)&*3'47*&="G()&*!'?)&*47)*$%88)&5%1('1!*
glycosyl sulfonium ions, which also serve as storable glycosylation intermediates. The indirect electrochemical method
'&*)>>)$4'?)*>%8*47)*j2&7*2$4'?24'%1*%>*47'%!"#$%&'()&*21(*47)*=&)*%>*2*j%3<@'$8%8)2$4%8*&#&4)@*)12:")&*!"#$%&#"24'%1*
using “glycosyl cations”.
カルボカチオンは有機化学において最も重要な
リフラートへと定量的に変換出来ることを見出し
反応活性種の一つであり、カルボカチオンの有機合
た sJt。この方法は様々な保護基を有するグリシル
成化学的利用という観点から、我々は電気化学的な
トリフラートにも適用可能である(図1)[3]。
酸化反応(電解酸化)を利用した合成手法の開発に
取り組んできた [1]。様々なカルボカチオンの中で
もグリコシル化反応の中間体と考えられているグ
リコシルカチオンは特に反応性が高いとされ、これ
まで分光学的にも直接観測されたことのない反応
活性種である。そこで、我々は電気化学的手法を用
いてグリコシル化反応中間体を操ることで、糖質科
学における合成的課題を克服出来るのではないか
と考え、研究に着手した。電解酸化の特長として主
に次の3点が挙げられる。
①反応がスイッチで瞬時に制御出来る。
②反応速度が電流値で厳密に制御出来る。
図1.電気化学的に発生・蓄積可能なグリコシルト
③反応剤を用いないため過剰な反応剤や反応剤由
リフラート
来の副生成物が残存しない。
従って、厳密な反応制御を必要とするグリコシル化
反応に電気化学的手法を用いるメリットは大きい。
2.電解酸化を用いたオリゴ糖の効率的合成
これまでの研究成果は次の通りである。
オリゴ糖合成は一見するとグリコシル化反応の
単純な繰り返しであるが、適切な保護基の選択やア
46
1.チオグリコシドの電解酸化によるグリコシルト
ノマー位の立体化学の制御を高い選択性と収率で
リフラートへの変換
達成することはこれまでに開発された優れた手法
我々は電解酸化条件がチオグリコシドの活性化
をもってしても容易ではない。そこで、我々は電気
法として非常に強力である点にも着目し、支持電解
化学的に発生させたグリコシルトリフラートの高
質として Bu4NOTf の存在下、低温条件において電
い反応性に着目し、下記に示すようなオリゴ糖の効
解酸化することでチオグリコシドをグリコシルト
率的合成のための手法を開発した(図2)。
①保存可能なグリコシル中間体としてのグリコシ
ルスルホニウムイオンの調製 [3b,4]
② T@%$ 基のワンポットでの脱保護を用いた非還元
末端方向への糖鎖伸長 sHt
③オリゴ糖のグリコシルトリフラートを用いた還
元末端方向への糖鎖伸長
図3.フローマイクロリアクターを用いたグリコシ
ルカチオンの発生とグリコシル化反応
以上のように我々は有機電気化学的手法を用い
ることで、グリコシル化反応中間体やグリコシル化
反応にアプローチしてきた [8]。今後は反応中間体
図2.オリゴ糖合成の効率化へのアプローチ
の性質や反応メカニズムに対する理解をさらに深
め、実用的な糖鎖の化学合成法の開発を通じて糖質
科学の発展に寄与したい。
3.電気化学的に調製した活性化剤とフローマイク
ロリアクターを用いたグリコシルカチオン中間体
の発生と反応
グリコシルトリフラートよりも不安定なグリコ
シルカチオン中間体は、低温条件下であっても発
生・蓄積が困難である。そこで、我々は反応温度・
滞留時間が厳密に制御可能であるというフローマ
イクロリアクターの特長に着目し、電解酸化によ
り調製した活性化剤をフローマイクロリアクター
によって糖供与体のチオグリコシドと高速混合さ
せることで、グリコシルカチオン中間体の発生とそ
のグリコシル化反応が達成出来るのではないかと
考えた(図3)。種々検討の結果、エピスルホニウ
ムイオンのアリール基として Y< フルオロフェニル
+Y<TN6H4) 基を、対アニオン +`‒) として h+N6TH)4‒ を
用いたときに対応するグリコシドを高収率で得ら
文 献
s[t*+20*W%&7'(2D*f6*)4*2"6*Chem. Eur. J. 2002, 8D*JPHQ6*
+:0*W%&7'(2D*f6*)4*2"6*Chem. Rev. 2008, 108D*JJPH6
sJt*+20*Nokami, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129D*[QZJJ6*
(b) Nokami, T. et al. Trends Glycosci. Glycotech.
2008, 20D*[KH6
[3] (a) Nokami, T. et al. Chem. Eur. J. 2009, 15D*JJHJ6*
(b) Nokami, T. et al. Org. Lett. 2011, 13D*[HYY6*
(c) Nokami, T. et al. Beilstein J. Org. Chem. 2012, 8D*YHP6
[4] Nokami, T. Trends Glycosci. Glycotech. submitted.
sHt*^%a2@'D*-6*)4*2"6*Chem. Lett. 2008, 37D*ZYJ6
[6] Saito, K. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2011, 50D*H[Hi6
sKt*C2'4%D*U6*)4*2"6*Chem. Lett. 2011, 40D*PK\6
[8] Nokami, T. et al Carbohydr. Res. submitted.
れることを見出した [6]。なお、電解酸化により調
製したエピスルホニウムイオンはチオグリコシド
の活性化剤として糖受容体の共存下でグリコシル
化反応に用いることも出来る sKt。
47
ランチョンセミナー
ランチョンセミナー
ガス壊疽毒素の受容体探索
̶光を灯した糖脂質糖鎖固定化アレイ̶
小田 真隆
徳島文理大学薬学部 講師
Relationship between gangliosides GM1a and alpha-toxin from Clostridium perfringens
Masataka Oda
b)5284@)14*%>*,'$8%:'%"%!#D*T2$="4#*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*-%a=&7'@2*h=18'*V1'?)8&'4#
Clostridium perfringens gas gangrene is the most fulminant necrotizing infection that affects humans. The infection
can become well established in traumatized tissues in as little as 6–8 h, and the destruction of adjacent healthy muscle
can progress several inches per hour, despite appropriate antibiotic coverage. Shock and organ failure are present in
HQu*%>*'1>)$4)(*524')14&D*21(D*%>*47)&)*524')14&D*YQu*(')6*Clostridium perfringens*2"572<4%F'1*'&*47)*@2m%8*?'8=")1$)*
>2$4%8*'1*47)*5247%!)1)&'&*%>*!2&*!21!8)1)6*E)*('&$%?)8)(*4724*47)*4%F'1v&*"%%5*$%142'1&*2*!21!"'%&'()<:'1('1!*@%4'>*
+XwCFEWw/0D* 37'$7* '&* 47)* &2@)* @%4'>* &))1* '1* :%4="'1=@* 1)=8%4%F'16*-7)* 212"#&'&* =&'1!* /"#$%.882#* 5"24)*
+CV,B-L,L*h.USgB-S0*8)?)2")(*4724*2"572<4%F'1*('8)$4"#*:'1(&*4%*47)*!21!"'%&'()*/,[2*478%=!7*2*$28:%7#(824)*
@%')4#6*."572<4%F'1*32&*%1"#*&"'!74"#*4%F'$*'1*;[DY<^<2$)4#"!2"2$4%&2@'1#"4821&>)82&)*a1%$a%=4*@'$)D*37'$7*"2$a*47)*
2<&)8')&*!21!"'%&'()&*4724*$%142'1*/,[26*,%8)%?)8D*)F5)8'@)14&*3'47*&'4)<('8)$4)(*@=4214&*'1('$24)(*4724*-85<\Y*21(*
-#8<\H*'1*47)*)F5%&)(*2"572<4%F'1*"%%5*5"2#*21*'@5%84214*8%")*'1*47)*'14)82$4'%1*3'47*/,[26*-7)&)*8)&="4&*&=!!)&4*4724*
:'1('1!*%>*2"572<4%F'1*4%*/,[2*>2$'"'424)&*47)*2$4'?24'%1*%>*2*&'!12"*4821&(=$4'%1*$2&$2()*?'2*/,[26*-7)8)>%8)D*3)*
$%1$"=()*4724*/,[2*'&*47)*58'@28#*$)""="28*8)$)54%8*>%8*2"572<4%F'1D*37'$7*$21*:)*2*5%4)14'2"*428!)4*>%8*(8=!*()?)"%5)(*
against this pathogen.
2008年に発生した中国・四川大地震では、約3万5千人が致死率の高いガス壊疽を発症した。ガス
壊疽は、ウエルシュ菌などの細菌が傷口から感染し、菌の増殖とともに産生される毒素により筋肉壊死な
どが引き起こされ、最終的にはショックを引き起こし死亡する疾患である。我々は、細菌感染によるガス
壊疽の克服を目的とし、ガス壊疽の起病因子であるウエルシュ菌 A 毒素の病原性発現メカニズムについて
解析を進めてきた。これまでの研究により、A 毒素は、チロシンキナーゼ関連受容体である TrkA の活性化
を引き起こし、好中球からの活性酸素産生、さらには炎症性サイトカイン(-^T<A)の遊離を促進するこ
とを明らかにしてきた。さらに、住友ベークライトの糖脂質糖鎖固定化アレイを用いることにより、A 毒
素が GM1a に対し高い親和性を有していることが判明した。また、GM1a と TrkA が隣接して存在している
こと、加えて、GM1a を欠損したノックアウトマウスでは毒素による致死が遅延されることを初めて明ら
かにした。本セミナーでは、A 毒素受容体としての GM1a の役割と GM1a/TrkA に注目した感染症治療戦略
について紹介したい。
51
一般講演
口頭発表
A1-01
癌細胞の造腫瘍能はβ-1,4-ガラクトース転移酵素 V の遺伝子発現レベルと相関する
○古川 清
、久慈 諒 、垂柳ちえみ 、佐藤武史
[D*J
1
1
[D*J
、白根克則
J
長岡技科大・工・糖鎖生命工学、
都老人研・生体情報
1
J
!,&,-,;:5,001%&-",<,"0-%7-=9>?@9)*"*$+%0#"+5*&07,5*0,-A-$%55,"*+,-B1+/-+(6%51),&1$-:%+,&+1*"0-%7malignantly transformed cells
[D*J
1
1
[D*J
J
○U'#%&7'*T=8=a232 D*M#%*U=m' D*N7')@'*-28)#212!' , Takeshi Sato , Katsunori Shirane
1
g2:6*%>*/"#$%:'%"6D*b)546*%>*h'%)1!'1))86D*^2!2%a2*V1'?6*%>*-)$71%"6D*
b)546*%>*h'%&'!12"*M)&6D*-%a#%*,)48%5%"6*B1&46*%>*/)8%14%"6
J*
Summary:*E)* %:42'1)(* h[P<T[Q* @%=&)* @)"21%@2* $)""&* 3'47* HQu* 8)(=$4'%1* %>* 47)* !)1)* )F58)&&'%1* %>* ;<[DY<
!2"2$4%&#"4821&>)82&)*+;<[DY</2"-0*_D*21(*&7%3)(*47)'8*4=@%8'!)1'$*21(*@)42&424'$*5%4)14'2"&*28)*@28a)("#*&=558)&&)(*
'1*?'?%6**L1*47)*%47)8*721(D*,ST*$)""&*>8%@*1%8@2"*21(*;<[DY</2"-*_<@=4214*@'$)*&7%3)(*4=@%8'!)1'$*5%4)14'2"*
is proportional to its gene dosage upon malignant transformation. These results indicate tumorigenic potential of
@2"'!1214"#*4821&>%8@)(*$)""&*$%88)"24)&*3'47*47)*;<[DY</2"-*_<!)1)*)F58)&&'%1*")?)"&6
我々は ;<[DY<ガラクトース転移酵酵素*+;<[DY</2"-0*
_ はラクトシルセラミド +g2$<N)80 合成酵素である
こと、種々の細細胞のがん化で本酵素の遺伝子発現
が増大することを報告してきた。この酵素がなぜ
がん化で増大するのかその意義を探るため悪性度
の高い h[P<T[Q マウスメラノーマ細胞にアンチセ
ンス cDNA を導入し、;<[DY</2"-*_ の遺伝子発現を
HQu 抑制した細胞株 +SH0 を得た。SH 細胞は細胞密
度が高い所で部分的に細胞間接着が観察されたが、
対照の N[ 細胞では観察されなかった。N[ 細胞と
SH 細胞から糖脂質画分を調製し -gN で分析すると、
SH 細胞では N[ 細胞に比べ g2$<N)8 や GM3 が半減
していた。N[ 細胞と SH 細胞を NHKhg]P マウスに
皮下移植しその造腫瘍能を、さらに尾静脈注入によ
り肺への転移能を解析した。その結果、SH 細胞の
造腫瘍能や転移能は N[ 細胞と比較して著しく低下
した。腫瘍塊を解析すると、SH 細胞による腫瘍で
は細胞が整列し空隙が少ないのに対して、N[ 細胞
による腫瘍では細胞が雑然と並び、大小さまざまな
空隙が組織内に存在した。これらの腫瘍から糖脂質
画分を調製し -gN で分析すると、SH 細胞による腫
瘍では N[ 細胞による腫瘍に比べ、g2$<N)8 や GM3
が減少していた。さらに腫瘍塊で細胞増殖を制御
する ,.eU 経路の分子を解析すると、SH 細胞によ
る腫瘍では N[ 細胞による腫瘍に比べ、M2&D*$<M2>D*
,SUD*,.eU の不活性化が起きていた。
次に ;<[DY</2"-*_ 遺伝子に関して野生型、ヘテロ
欠損型、ホモ欠損型のマウス胎児から繊維芽細胞を
調製しポリオーマウイルスのミドル T 抗原遺伝子
を導入し形質転換をさせた。3 種類の細胞には、ほ
ぼ同レベルのがん遺伝子が発現していた。形質転換
した ,ST 細胞を軟寒天培地で培養すると、いずれ
54
もコロニーを作り、その数と大きさは野生型、ヘテ
ロ型、ホモ型の順に減少した。そこで形質転換した
,ST 細胞をヌードマウス皮下に移植し、3 週間後
に腫瘍を摘出し、その大きさを測定すると、野生型、
ヘテロ型、ホモ型の順に有意に減少した。
と こ ろ で g2$<N)8 の 合 成 に は、;<[DY</2"-*_
と ;<[DY</2"-*_B が 関 与 し て い る と 考 え ら れ て い
る。;<[DY</2/2"-*_ と ;<[DY</2"-*_B の 遺 伝 子 発 現
を h[P<T[Q マウスメラノーマ細胞で解析すると、
;<[DY</2"-*_B の遺伝子発現は著しく低く、この細
胞での g2$<N)8 は ;<[DY</2"*-*_ により供給されて
いると考えられた。また ,ST 細胞では ;<[DY</2"-*
_B* 遺伝子は発現しているが、細胞のがん化で変動
しなかった。以上の結果から、h[P<T[Q マウスメラ
ノーマ細胞や形質転換した ,ST 細胞の造腫瘍能は
;<[DY</2"-*_ の遺伝子発現と強く相関することが判
明した。ガングシドを合成できないマウスから調製
した ,ST 細胞をがん化させると、対照と比較しそ
の造腫瘍能が著しく低下するが、依然として腫瘍を
造る能力は残る。g2$<N)8 はガングリオシド合成の
前駆体となるだけではなく、それ自身にも造腫瘍活
性がある可能性が考えられる。
A1-02
インフルエンザウイルスのカスパーゼ非依存的アポトーシスにおけるスルファチドの関与
○鈴木 隆、高橋忠伸、高口仁宏、
静岡県大・薬・生化学
C(&$+1%&-%7-0("7*+12,-1&-$*0:*0,91&2,:,&2,&+-*:%:+%010-1&1+1*+,2-D#-1&E(,&F*-G-<15(0
○Takashi Suzuki, Tadanobu Takahashi, Masahiro Takaguchi
b)546*%>*h'%$7)@'&48#D*V1'?6*%>*C7'9=%a2D*C$76*%>*e728@6*C$'6
Summary:* B1>"=)192*.* ?'8=&* +B._0* %>4)1* $2=&)&* &)8'%=&* 8)&5'824%8#* '1m=8')&* 21(* 3%8"(3'()* %=4:8)2a&* '1* @21#*
@2@@2"'21*21(*2?'21*&5)$')&6*B._*$2=&)&*25%54%&'&*58%?%a)(*:#*?'82"*58%4)'1&6*E)*()@%1&4824)(*4724*&=">24'()*'&*
'1?%"?)(*'1*$2&52&)<'1()5)1()14*25%54%&'&*'1'4'24)(*:#*47)*eh[<TJ*58%4)'1*%>*B._*:#*=&'1!*!)1)4'$2""#*&=">24'()<
58%(=$)(*$)""&*21(*eh[<TJ<()>'$')14*B._&6*L=8*>'1('1!&*&7%3*4724*&=">24'()*5"2#&*2*$8'4'$2"*8%")*'1*)>>'$')14*B._*
58%52!24'%1*?'2*$2&52&)<'1()5)1()14*25%54%&'&6
我 々 は こ れ ま で に、Sulfatide を 欠 損 す る NLCK
細 胞 に $)82@'()* !2"2$4%&#"4821&>)82&)* +N/-0* と
$)8):8%&'()*&=">%4821&>)82&)*+NC-0 遺 伝 子 を 導 入 し、
Sulfatide を恒常的に発現させることで、インフルエ
ンザ A 型ウイルス(B._)核酸タンパク質(?M^e)
複合体の核外輸送が改善し、新生ウイルス量が数
千倍に増加すること、一方、arylsulfatase A (ASA)
遺 伝 子 の 発 現 や NC-*@M^.* に 対 す る M^.' に よ
り ,bNU 細 胞 の Sulfatide を ノ ッ ク ダ ウ ン さ せ る
と、?M^e 複合体の核外輸送が阻害され、新生ウイ
ルスの産生が顕著に減少することを見出している。
さらに Sulfatide とウイルス間の結合を阻害する抗
HA 単クローン抗体や抗 Sulfatide 単クローン抗体
は、ウイルスの亜型や由来を問わず、?M^e 複合体
の核外輸送阻害に伴う強力なウイルス増殖抑制効
果を引き起こすこと、またバキュロウイルスタン
パク質発現系により作製した遺伝子組換え HA は
Sulfatide に結合することを明らかにしている。この
ため、B._ 感染翻訳後に細胞膜上に輸送された新
生 HA と Sulfatide が複合体を形成することがシグ
ナルとなり、?M^e 複合体の核外輸送が誘導される
ものと思われる。一方、B._ 感染によりアポトーシ
スが誘導されるとともに ?M^e 複合体の核外輸送が
促進され、ウイルスの増殖が増大する。また、B._
の neuraminidase (NA)、nonstructural protein 1 (NS1)、
47)* 5)54'()* )1$%()(* :#* 47)* l[* 8)2('1!* >82@)* %>* eh[*
5%"#@)82&)*!)1%@)*+eh[<TJ0*や XH*7)@2!!"=4'1'1*+X.0
は、カスパーゼ 3 の活性化を介したアポトーシス
を引き起こす。そこで今回我々は、B._ 感染により
誘導されるアポトーシスにおける Sulfatide の関与
について検討した。その結果、B._ 感染によりカス
パーゼ依存的アポトーシスを引き起こす ,bNU 細
胞とは異なり、C="NLC[ 細胞ではカスパーゼ 3 の
活性は認められず、カスパーゼ非依存的アポトーシ
スが誘導されることを見出した。さらに、C="NLC[
細胞では、カスパーゼ非依存的アポトーシスの特徴
であることが知られている 25%54%&'&<'1(=$'1!*>2$4%8*
+.BT0 のミトコンドリから核内への移行が観察され、
抗 Sulfatide 単クローン抗体(/C<H)により .BT の
核内移行は阻害されることが判明した。eh[<TJ タ
ンパク質はミトコンドリアに移行することが知ら
れている。そこで、eh[<TJ 遺伝子の発現を制御し
た B._ をリバースジェネティックにより作製し、
C="NLC[ 細胞におけるアポトーシスと ?M^e 複合体
の核外輸送を比較した。その結果、C="NLC[ 細胞に
おけるカスパーゼ非依存的アポトーシスと ?M^e 複
合体の核外輸送に eh[<TJ が関与していることが判
明した。以上の結果より、Sulfatide は新生 HA と複
合体を形成することで、eh[<TJ により誘導される
カスパーゼ非依存的アポトーシスを介した B._ の
複製過程にも関与していると思われる。
55
a1-03
ヒト遺伝子を発現し志賀トキシン感受性とした線虫 C. elegans で細菌毒素の作用メカニズムを探る
○野村一也 、宮崎清香 、野村和子 、村田大輔 、藤井 潤 、中台枝里子 、三谷昌平 、中山仁志 、
6
岩渕和久
J
1
1
J
3
4
H
H
6
九大・システム生命 九大・理院 阪大・医 九大・医 東京女子医大・医 順天堂大
J
3
4
H
6
In search of underlying damaging mechanisms of bacterial virulence factors by using a Shiga toxin0,&01+1<,-/(6*&1F,2--HI-,",)*&0-+5*&0),&1$-0+5*1&
*J
1
*J
3
4
H
○Kazuya Nomura , Sayaka Miyazaki , Kazuko H. Nomura , Daisuke Murata D*f=1*T=m'' D*S8'a%*U2!)<^2a2(2'* ,
*H
6
6
Shohei Mitani , Hitoshii Nakayama D*U29=7'&2*B32:=$7'
1
U#=&7=*V1'?6D*C#&4)@&*h'%"6**J*U#=&7=*V1'?6**3 L&2a2*V1'?)8&'4#*,)(6*&$7%%"D**4 U#=&7=*V1'?6*,)(6*&$7%%"*D*
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H*
Summary:*E)*%:42'1)(*2*/:i*)F58)&&'1!*N6*)")!21&*&482'1*&)1&'4'?)*4%*C7'!2*4%F'1*()8'?)(*>8%@*47)*?'8=")14*S6*$%"'*
L[HK6*^)@24%()&*"2$a*/:i*&#1472&)D*:=4*47)*7=@21*/:i*&#1472&)*4821&!)1'$*3%8@*)F58)&&)&*/:iD*21(*'4*:)$2@)*
&)1&'4'?)*4%*47)*4%F'1*21(*(')(6*b^.*@'$8%2882#*212"#&'&*&7%3)(*4724*:)&'()&*?28'%=&*N<4#5)*")$4'1*!)1)&*21(*4%F'1<
'1(=$':")*!)1)&D*21*25%54%&'&*'17':'4%8#*!)1)*'&*7'!7"#*'1(=$)(*:#*47)*4%F'16
線虫 N6*)")!21& は自然界では土壌中で、細菌を餌
として生きている。細菌を餌とするため、自然免疫
システムとしてヒトが進化の過程で発達させるこ
とがなかった、様々な細菌に対する防御システムを
発達させ利用していると予想される。線虫に感染し
てこれを殺す細菌の研究が精力的に行われてきた
が、感染を阻害する突然変異体を分離して変異遺伝
子を同定すると、そのほとんどが糖転移酵素や糖鎖
関連輸送体など、糖鎖遺伝子であることがわかって
きた(e2848'(!)*)4*2" JQ[Q)。また井手尾らは細菌
B. thuringiensis の細菌毒素 N8#&42"*4%F'1*Hh(広く生
物農薬として遺伝子組換え作物で利用されている
$8#&42"*4%F'1 の仲間である)は線虫 N6*)")!21& を殺す
が、自然免疫応答の一つとしてガレクチン gSN<\
の合成が高まり殺線虫作用を弱めることを発見し
た(B()%*)4*2"6D*JQQZ)。このように細菌感染や細菌毒
素の感染では多くの糖鎖関連遺伝子の発現が変化
し、糖鎖関連遺伝子の研究は、病気の発症メカニズ
ムの解明とその治療と予防に極めて重要な位置を
占めることがわかる。
腸管出血性大腸菌 L[HK の産生する志賀トキシン
(ベロ毒素)は、最近の生肉の生食禁止でわかるよ
うに極めて致死性の高い重篤な出血性腎不全や脳
症を引きおこすことが知られている。ベロ毒素はそ
の B サブユニットが、ヒト細胞表面の Gb3 と結合
して細胞表面に付着し、続いて A subunit が細胞内
に侵入し、ribosome の蛋白合成を不可能にすること
で細胞を殺す。この侵入は endosome などを介する
ことはわかっているが、出血性の腎不全や脳症を発
生させる分子メカニズムは、この蛋白合成の阻害以
外にはほとんど分かっていないのが現状である。こ
56
のため一旦、発症してしまった後ではその治療は難
しくまた、感染した後での発症予防法もいまだに決
めてとなるものは知られていない。
そこで本研究では、線虫が本来もっていない Gb3
を腸でのみ合成するように遺伝子操作した線虫を
作製し、このトランスジェニック線虫にベロ毒素を
食べさせることでどのような応答を線虫が示すか
を解析した。線虫は致死となったが、その死に方は
培養細胞でみられるような数分子のベロ毒素によ
る全滅というものではなかった。これは細菌をエサ
とし、細菌の攻撃のもとで生活している線虫が多数
の防御機構を進化上獲得しておりそれらのメカニ
ズムが毒素の効果を弱めていると考えることもで
きる。そこで毒素の感染に伴ってどのような遺伝子
発現の変動がおこるかを DNA マイクロアレイを用
いて検討することにした。その結果、毒素を与えた
線虫ではアポトーシスの抑制に関わる遺伝子や細
菌感染防御で働く様々な遺伝子、N 型レクチンの遺
伝子などが激しい増減を示すことがわかった。線虫
で働くこれらの遺伝子とその遺伝子ネットワーク
を同定することで、ヒトと共通の毒素作用の分子メ
カニズムを明らかにすると共に、ヒトにはない、線
虫ならではの防御システムを学び取り、それを利用
してヒトでの細菌毒素感染の治療法にむすびつけ
ることを目標に研究をすすめている。
参考文献
e2848'(!)*)4*2"6D*b)?*b#16*JQ[QD*JiZ+H0k[iiQ<[iiP6
B()%*)4*2"6*f*h'%"*N7)@6*JQQZD*J\Y+iZ0kJPYZi<JPHQ[6
A1-04
末梢神経におけるガングリオシドの機能
○結城伸泰
シンガポール国立大学医学部
Function of gangliosides in the peripheral nerves
○^%:=7'8%*WVUB
b)5284@)14*%>*,)('$'1)D*^24'%12"*V1'?)8&'4#*%>*C'1!25%8)D*C'1!25%8)
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Autoantibodies against gangliosides bind to the nodes and paranodes in the peripheral motor nerves, and induce the
$%@5")@)14<@)('24)(*('&8=54'%1*%>*'14)82$4'%1&*:)43))1*2F%1&*21(*C$73211*$)""&6*-7)&)*8)&="4&*'1*47)*()?)"%5@)14*%>*1)8?)*
conduction failure and muscle weakness.
GM1 and GD1a are target molecules for autoantigens in patients
with the Guillain–Barré syndrome (Yuki and Hartung. N Engl
f*,)(*JQ[J06*X%3)?)8D*!21!"'%&'()*>=1$4'%1*%>*@#)"'124)(*
1)8?)&* 32&* 1%4* $"28'>')(6* ,#)"'124)(* 2F%1&* 28)* ('?'()(*
'14%* >%=8* >=1$4'%12"* 8)!'%1&D* 1%()&* %>* M21?')8D* 52821%()&D*
m=F4252821%()&*21(*'14)81%()&6*B1*@#)"'124)(*1)8?)*>':)8&D*
52821%(2"*2F%<!"'2"*m=1$4'%1&*28)*'@5%84214*>%8*'%1*$7211)"*
$"=&4)8'1!* 21(* 825'(* 2$4'%1* 5%4)14'2"* 58%52!24'%16*_%"42!)<
gated sodium (Nav) channel are highly concentrated at the
1%()&*%>*M21?')8*21(*?%"42!)<!24)(*5%42&&'=@*+U?0*$7211)"&*
28)*"%$2"'9)(*24*47)*m=F4252821%()&6*B1*5)8'57)82"*21(*$)1482"*
nervous systems, some paranodal loops failed to attach to the
2F%")@@2*'1*/,[]/b[2<()>'$)14*@'$)*+C=&=a'*)4*2"6D*/"'2*
JQQK06*B1*47)*@=4214*@'$)D*7%3)?)8D*U?*$7211)"&*28)*2:)88214"#*
58)&)14* 24* 47)* 52821%()&* +T'!6*.06*.:1%8@2"* 58%48=&'%1* %>*
52821%(2"*21(*1%(2"*2F%")@@2*3)8)*&))16*S")$48%57#&'%"%!'$2"*
studies revealed nerve conduction slowing and reduced nodal
soidum current in the mutant peripheral motor nerves. These
results indicated that gangliosides contribute to the stability and
@2'14)121$)*%>*1)=8%1<!"'2*'14)82$4'%1&*24*52821%()&6
*****B1*47)*&5'12"*214)8'%8*8%%4&*%>*2*82::'4*@%()"*%>*47)*/='""2'1y
h288z*&#1(8%@)D*B!/*214':%(')&*:%=1(*4%*1%()&*%>*M21?')8D*
37)8)*/,[*32&*7'!7"#*)F58)&&)(D*21(*2$4'?24)(*$%@5")@)14*
+T'!6*h0*+C=&=a'*)4*2"6D*f*^)=8%&$'*JQQK06*.$4'?24)(*$%@5")@)14*
58%(=$4&* 3)8)* ()5%&'4)(D* 21(* @)@:821)* 2442$a* $%@5")F*
32&* >%8@)(* 24* 47)* 1%(2"* 2F%")@@26* ^2?* $7211)"* $"=&4)8&*
disappeared at lengthened nodes with complement deposition.
These pathological changes are able to produce muscle
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U?*$7211)"*$"=&4)8&*24*47)*m=F4252821%()&*3)8)*('&8=54)(*21(*
('&255)28)(6*N%@5")@)14*()5%&'4'%1* 32&*58%@'1)14*24*47)*
acute progressive phase, but decreased with clinical course. The
B!/*@%1%$"%12"*214'</b[2*214':%(#*'1m)$4)(*'14%*824*&$'24'$*
1)8?)&*$2=&)(*()5%&'4'%1*%>*B!/*21(*$%@5")@)14*58%(=$4&*
%1*47)*1%(2"*2F%")@@2*21(*('&8=54)(*$"=&4)8&*%>*1%(2"*21(*
paranodal molecules predominantly in motor nerves, and
induced early reversible nerve conduction block (Susuki et al.,
SF5*^)=8%"*JQ[[06*,%(="24'%1*%>*^2?*$7211)"*58%5)84')&*:#*
autoantibodies had been proposed as a novel mechanism in
some neuroimmunological diseases. These results suggested
that Nav channel alterations occurred as a consequence of
$%@5")@)14<@)('24)(* ('&8=54'%1* %>* '14)82$4'%1&* :)43))1*
2F%1&* 21(* C$73211* $)""&D* 58%?'('1!* 1)3* '1&'!74&* '14%* 47)*
pathogenesis of autoimmune neuropathies.
57
A1-05
シアリダーゼ異常による大腸がんの進展機構と治療への応用
○宮城妙子 、高橋耕太 、細野雅祐 、和田 正 、森谷節子 、秦 敬子 、山本晃司 、山口壹範 、仁田一雄
1
1
1
J
1
1
1
1
3
J
東北薬大・分生研・がん糖鎖制御、 分子認識、 宮城がんセ・研
J
3
Aberrant expression of sialidase in human colon cancer and its possible mechanism contributing to
cancer progression and potential utility for target therapy
○Taeko Miyagi , Kohta Takahashi , Masahiro Hosono , Tadashi Wada , Keiko Hata , Setsuko Moriya , Koji Yamamoto ,
3
J
Kazunori Yamaguchi , Kazuo Nitta
1
1
1
1
1
1
1
b'?'&'%1&*%>*N21$)8*/"#$%&#"24'%1*M)&6*21(* J* N)""*M)$%!1'4'%1*C4=(#D*B1&46*%>*,%")$="28*h'%@)@:821)*21(*/"#$%:'%"%!#D*
-%7%a=*e728@6*V1'?6D*3 ,'#2!'*N21$)8*N)14)8*M)&6*B1&46*
1
Summary:*.:)88214*)F58)&&'%1*%>*&'2"'(2&)*^SVi*$2=&)&*2$$)")824'%1*%>*@2"'!1214*57)1%4#5)&6*X)8)D*3)*58)&)14*2*
5%&&':")*@)$721'&@*%>*^SVi*$%148':=4'1!*4%*$21$)8*58%!8)&&'%1*21(*'4&*=4'"'4#*>%8*428!)4*47)825#6*^SVi*&'")1$'1!*'1*
$%"%1*$21$)8*$)""&*8)(=$)(*$"%1%!)1'$*!8%347D*$"%1%!)1'$'4#*%1*&%>4*2!28*21(*'1*?'?%*4=@%8*!8%3476*^SVi*255)28&*4%*
2$4'?24)*E14*&'!12"'1!D*37)8)2&*47)*&'")1$'1!*8)&="4&*'1*$21$)8*8)!8)&&'%16*^SVi*@2#*47=&*:)*2*5%4)14'2"*=4'"'4#*>%8*47)*
cancer therapy.
細胞ががん化すると、表層糖鎖に異常が起こる。
とくに、酸性糖であるシアル酸量の異常は浸潤や転
移など、がん細胞の悪性形質と深く関わっている。
この機構や意義の解明、さらに、その結果のがん
診断・治療への応用をめざして、シアル酸量調節
の鍵酵素のひとつであるシアリダーゼに着目して
研究を行ってきた。現在まで、4種のシアリダーゼ
(^SV[D*^SVJD*^SViD*^SVY)が同定・性状解析さ
れている (1)。そのうち、ヒトでは ^SVJ が極端に
低発現であり、ほとんど検出できないことが分かっ
たので、他の3種のシアリダーゼについて、がん化
に伴う異常とその意義について解析してきた。これ
らの @M^. や活性レベルを大腸がん患者手術摘出
標本で調べてみると、^SV[ および ^SVY はがんで
発現が低下傾向にあったが、^SVi は異常に亢進し
ていた。^SV[ や ^SVY は主に、膜糖タンパク糖鎖
からシアル酸を切り出すことによって、接着因子や
増殖因子等のシグナルを低下させ、がん転移能や浸
潤能を抑制すること +JD*i0、一方、非がん粘膜と比
べて異常亢進する ^SV 3は、主に形質膜に在って、
ガングリオシドの修飾を介して、細胞死抑制、細胞
運動能や接着能亢進等の悪性形質を増強している
ことが分かってきた (4)。本課題では、特に、^SVi
に焦点を絞り、大腸がんの進展におけるその役割と
分子機構、さらに、それを標的としたがん治療への
応用の可能性について報告する。
大腸がん細胞について、^SVi をノックダウンす
ると、何の刺激も無く、アポトーシスを起こし、オ
キサリプラチン存在下あるいは軟寒天培地上での
コロニー形成能やヌードマウスでの in vivo 腫瘍形
成能が有意に低下した。先に、^SVi 異常亢進によ
るがん悪性形質の増強機構のひとつとして、^SVi
58
による S/TM ファミリーの活性化が重要であること
を複数のがんで見出していたが、大腸がんでも同様
の現象が検証された。^SVi の発現抑制によるシグ
ナリングと各種遺伝子の発現変化を調べると、Akt
を介する生存シグナルの抑制とともに、幹細胞様形
質や多分化能に関わる ^.^L/D*LN-YD*CL`J 等の
遺伝子発現が低下していた。多分化能や自己複製能
を示す幹細胞形質のひとつの評価手段とされるス
フェロイド形成の条件下においては、内因性 ^SVi
発現の上昇が認められ、その過剰発現はスフェロ
イド形成を促進させ、逆にノックダウンは抑制し
た。一方、^SVi は、WNT 標的遺伝子 g/MH 等の
発現にも影響を与え、WNT レセプター gMeP のリ
ン酸化を促進することがわかった。以上の結果は、
^SVi ががん化や進展に深く関与し、がん治療の標
的として有望であることを示している。
参考論文
[6*,'#2!'*-6*21(*W2@2!=$7'D*U6*+JQ[J0*/"#$%:'%"%!#D*
JJD*\\Qy\ZP6
J6*V)@=82D*-6D*)4*2"6*+JQQZ0*L1$%!)1)*J\D*[J[\<[JJZ6
i6*C7'%92a'D*U6*)4*2"6*+JQ[[0*f6*h'%"6*N7)@6*J\PD*J[QHJ<
J[QP[
Y6*E2(2D*-6*)4*2"6*+JQQK0*L1$%!)1)*JPD*JY\i<JYZQ6
a1-06
GM3 とカルジオリピンに特異的に結合する溶
血因子 PV2
⃝中川哲人 、龍田祐治 、竹内美奈 、稲垣昌宣
J
1
1
東 秀好 、沖野 望 、伊東 信
*[D*J
1
1
3, 4
、
九大院・農、 東北薬大・分子生体膜研、 九大院・薬、
安田女子大・薬
1
J*
4
3
J,<*"(*+1%&-%7-4AK-75%6-+/,-*::",-0&*1"-P. canaliculata
*0-*-&%<,"-/,6%"#01&-0:,$13$-+%-!LM-*&2-$*521%"1:1&I
*[D*J
1
1
○Tetsuto Nakagawa , Yuji Tatsuta , Mina Takeuchi ,
3, 4
*J
1
,2&21%8'*B12!2a' , Hideyoshi Higashi , Nozomu Okino ,
1
21(*,2a%4%*B4%
1
b)546*h'%&$'6*h'%4)$76D*/82(6*C$76*h'%8)&6*h'%)1?6*C$'6D*U#=&7=*V1'?6D*
b'?6*/"#$%<C'!12"*M)&6D*B1&46*,%"6*h'%@)@:86*/"#$%:'%"6D*-%7%a=*e728@6*V1'?6D*
3
/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*U#=&7=*V1'?6D*4 T2$6*e728@6D*W2&=(2*E%@)1x&*V1'?6
J*
Summary:*.* 7%8&)* )8#478%$#4)<&5)$'>'$* 7)@%"#&'1D* e_JD*
was purified from the eggs of the apple snail Pomacea
canaliculata, and its cDNA was cloned. The large subunit of
e_J*'&*7%@%"%!%=&*4%*2*5%8)<>%8@'1!*58%4)'1D*21(*47)*&@2""*
&=:=1'4D* 4%* 2* 42$7#")$4'1<"'a)* 58%4)'16*-7)* e_J<()5)1()14*
hemolysis was inhibited by ganglioside GM3, especially
/,i* +Y<O<.$<^)=H/$0D* 21(* $28('%"'5'16* e_J* '&* 2* =1'{=)*
7)@%"#&'1*&5)$'G$*4%*/,i*21(*$28('%"'5'16
我々は、スクミリンゴガイ Pomacea canaliculata の卵
粗抽出物中に馬赤血球に特異的な溶血因子を見出した。
精製の結果、この溶血因子は大小 J つのサブユニット
からなるタンパク質で、囲卵タンパク質 e_J であるこ
とが分かった。cDNA クローニングの結果、大サブユニッ
トは孔形成タンパク質に、小サブユニットはタキレク
チン様タンパク質に相同性を持っていた。ウマ赤血球
膜上での e_J の受容体は、/,i*+^)=H/$0 および GM3
+Y<O<.$<^)=H/$0 であることが分かった。また、GM3
+^)=H.$0 標 品 に よ っ て も 溶 血 は 阻 害 さ れ た。3 種 の
GM3 の中ではウマ赤血球にのみ存在する /,i*+Y<O<.$<
^)=H/$0 が最も強い阻害活性を示し、e_J に対する赤
血球の感受性の違いを反映していると考えられた。e_J
の特異性を調べたところ、興味深いことに様々な糖や
脂質の中で GM3 以外では唯一カルジオリピンによって
溶血が強く阻害された。さらに、e_J はカルジオリピ
ンを含んだリポソームを溶解し、カルジオリピンを結
合させたカラムに吸着した。
以上の結果は、e_J が GM3 とカルジオリピンの両方
に特異的に結合する新奇な溶血タンパク質であること
を示している。e_J はマウスに対して神経毒性を示す
ことが知られており、マウス神経系での e_J の受容体
にも興味が持たれる。
59
a1-07
メラノーマの細胞膜ミクロドメイン上ガングリオシド GD3 分子複合体の網羅的解析
○橋本 登 、濱村和紀 、小谷典弘 、金子 慶 、古川圭子 、本家孝一 、古川孝一
1
1
1
J
1
3
J
1
名大院・医・生化2、 高知大・医・生化学、 中部大・生命健康・生命医
J
3
45%+,%61$-:5%3"1&)-%7-*-)*&)"1%012,-!NM9$%&+*1&1&)-61$5%2%6*1&-1&-6*"1)&*&+-6,"*&%6*0
1
1
*J
1
3
*J
○Hashimoto, Noboru , Hamamura, Kazunori , Kotani, Norihiro , Kaneko, Kei D*T=8=a232D*U)'a% , Honke, Koichi ,
1
T=8=a232D*U%'$7'
1
3
b)56*h'%$7)@6*JD*^2!%#2*V1'?6*/82(6*C$76*,)(6D*J*Dep. Biochem., Kouchi univ. Med.,
b)56*h'%@)(6*C$'6D*g'>)*X)2"47*C$'6D*N7=:=*=1'?6
Summary: Ganglioside GD3 plays a role in the enhancement of malignant phenotypes of melanoma cells. To
$7282$4)8'9)*/bi<'14)82$4'1!*@%")$=")&*%1*47)*$)""*@)@:821)D*3)*'&%"24)(*47)*!"#%"'5'(<)18'$7)(*@'$8%(%@2'1*+/S,0]
82>4*>8%@*/bil*21(*/bi<*$)""&6*E)*2"&%*"2:)")(*$)""*&=8>2$)*@%")$=")&*58)&)14*'1*47)*?'$'1'4#*%>*2*428!)4*@%")$=")*'1*
"'?'1!*$)""&*3'47*S,.MC*8)2$4'%1*+X%1a)*)46*2"606*B&%"24)(*21(]%8*"2:)")(*@%")$=")&*3)8)*$%@58)7)1&'?)"#*212"#9)(*
3'47*gN],C6
ガングリオシド GD3 は、ヒト正常細胞にはほと
んど見られず、メラノーマなどの神経外胚葉由来の
癌細組織や培養細胞株に高発現し、悪性度を増強
する。ヒトメラノーマ細胞株 CU<,Sg<J\ の GD3 欠
損亜株 N1 細胞 +/bi<0 に GD3 合成酵素 cDNA を導
入して作られた GD3 再発現細胞株 (GD3+) を使い、
GD3 がメラノーマ細胞の増殖能や浸潤能を増強す
ることが本研究室によって示された。さらに GD3
が増殖、浸潤を亢進させる分子機構として、アダプ
タータンパク質である p130cas や 52F'""'1、T.U の
チロシンリン酸化の増強が示された (Hamamura K.
et al)。 一方、GD3 発現により、種々の細胞外基質
+SN,0 への接着能が亢進し、インテグリン刺激に
基づく接着シグナルも GD3 高発現によって増強さ
れることが示された (Ohkawa Y. et al)。しかし、細
胞膜表面でどのような分子が GD3 と直接相互作用
しているのかが依然不明であり、本研究ではそれら
の分子の同定とその作用メカニズムの解明を目標
とした。
GD3 の発現がメラノーマの悪性シグナルを増強
するメカニズムとして、GD3 を含む分子複合体の
解析が必須と考えられた。そこで、次の2つの手
法を用いて GD3 関連分子の網羅的解析をめざした。
1 つ目はスフィンゴ脂質に富む細胞膜ミクロドメイ
ン (GEMs)、界面活性剤不溶ドメイン*+bM,&0、あ
るいは脂質ラフトと呼ばれる生体膜ミクロドメイ
ン ( 以下 GEM/raft) をスクロース密度勾配遠心法を
用いて GD3+ と /bi< の細胞株から分離し、gN],C
解析を用いた網羅的解析を行った。2つ目の手法と
して、JQQ\ 年に高知大学の小谷らによって報告さ
れたターゲット分子の周辺分子 +JQQ<iQQ1@ 内 ) を
特異的にラベルする手法である S,.MC 法を用いて
60
GD3 周辺分子のラベルとその gN],C による同定を
行った。分離したラフト画分に存在するタンパク
質を膜タンパクのプロテアーゼ消化に特化した e-C
法 (Masuda T. et al) を使い、濃縮精製後 gN],C 解析
を行うことにより、網羅的同定を行った。同定し
た HiY 分子の中、KY 分子が細胞膜表面に発現する
分子 ( 膜貫通型、/eB アンカー型、分泌型 ) であっ
た。GD3 をターゲット分子として S,.MC 反応を
行い、GD3 近傍分子の gN],C 解析を行った。同定
された JY の細胞膜表面分子の中、9 つが GEM/rafts
でも同定された分子であった。その中で、neogenin
と ,N., に注目し、特異的な抗体を用いた western
blotting や confocal microscopy に よ る 観 察 を 行 い、
実際 GEM/raft へのリクルートと GD3 との共局在を
確認した。GEM/raft で同定された分子と、S,.MC
産物のプロファイルに違いがある事から、GEM/
raft の多様性が示唆された。今後はこれらの分子と
GD3 との相互作用と生物学的意義を解明する。
A1-08
Notch の O -フコース単糖修飾の新たな機構
○松野健治
大阪大学理学研究科生物科学
A novel role of monomeric O97($%0,-6%213$*+1%&-%7-O%+$/
○Kenji Matsuno
L&2a2*V1'?)8&'4#D*b)5284@)14*%>*h'%"%!'$2"*C$')1$)&
Summary:*,21#*S/T<"'a)*8)5)24&*%>*^%4$7*28)*O<>=$%&#"24)(*:#*58%4)'1*O<>=$%&#"4821&>)82&)*[*+O<>=4[06*X%3)?)8D*
the roles of monosaccharide O<>=$%&)*@%('G$24'%1*'1*^%4$7*&'!12"'1!*32&*)"=&'?)D*:)$2=&)*)19#@24'$*2$4'?'4#<'1()<
pendent chaperon function of O<>=4[*'4&)">*$%="(*:)*)&&)14'2"*>%8*^%4$7*&'!12"'1!6*B1*47'&*&4=(#D*3)*>%=1(*4724*@%1%<
meric O<>=$%&)*@%('G$24'%1*%>*^%4$7*'&*)&&)14'2"*>%8*^%4$7*&'!12"'1!*%1"#*24*&"'!74"#*7'!7*4)@5)824=8)D*&=!!)&4'1!*'4&*
contribution to Notch folding.
Notch 受容体(Notch)は、細胞と細胞の直接的
な接触を介した細胞間シグナル(Notch シグナル)
ではたらき、細胞運命決定や形態形成などで多彩な
機能をはたしている。Notch とそのリガンドは、と
もに 1 回膜貫通型タンパク質である。隣接する細胞
表面のリガンドが、Notch の細胞外ドメインに存在
する S/T リピートに結合することで、Notch の活
性化が起こる。
Notch の S/T リピートのうち特定のコンセンサス
配列をもつものには、O<>=$%&#"4821&>)82&)*[(O<>=4[)
による O 結合型のフコース修飾が起こる。その後、
T8'1!)*+T1!0 によって、この O<フコースに /"$^.N
が付加される。ショウジョウバエ Notch のリガンド
には、Delta 型と Serrate 型の J 種類のリガンドが存
在する。Notch の O<フコースグリカン修飾は、これ
ら J 種類のリガンドと Notch の選択的な結合を制御
する。T1! の発現は組織特異的であり、この O< フ
コースグリカン修飾を介する Notch −リガンドの選
択的結合の制御によって、Notch シグナルの局所的
な活性化が起こる。また、ショウジョウバエ O<>=4[
は、その O<フコース転移酵素の活性に依存しない、
Notch に特異的なシャペロンとしても働く。このた
め、O<>=4[ によって付加された O<フコース単糖修
飾は、T1! による GlcNAc 修飾の足場を提供する以
外は、Notch シグナルにおける特異的な機能をもた
ないとする説が提唱されている。
我々は、この仮説を検証するために、Notch の O<
フコシル化が起こらない色々なショウジョウバエ
突然変異体を作出し、これらにおける Notch シグナ
ル伝達の異常を調べた。突然変異型 O<>=4[ タンパ
MJYH.
ク質である O<>=4[
には、フコースの供与体であ
る /be<フコースの結合部位に 1 アミノ酸置換が導
は、フコース
入されている。このため、O<>=4[
転移酵素の活性を失っているが、Notch 特異的なシ
MJYH.
ャペロン活性を維持している。我々は、O-fut1
MJYH.
をノックインした突然変異体 (O-fut1
ノックイ
MJYH.
ノックイン
ン突然変異体 ) を作出した。O<>=4[
突然変異体は、JHI(至適温度)では fng 突然変異
JZI においては、
と同様な表現型を示した。しかし、
Notch シグナルが機能していないことを示す表現型
が色々な組織で認められた。野生型のショウジョウ
バエは、JZI でも正常である。
/be< フ コ ー ス は、Gmd(/be<@211%&)*
YDP<()7#(8242&))、Gmer(/be<Y<a)4%<P<()%F#<b<
@211%&)*iDH<)5'@)82&)]Y<8)(=$42&))によって、/be<
マンノースから合成される。ショウジョウバエでは
サルベージ経路が存在しないため、Gmd や Gmer の
突然変異体においては、Notch の L<フコース単糖修
飾が起こらない。Gmd や Gmer が機能しないショウ
MJYH.
と同
ジョウバエ突然変異体においても、O-fut1
様な温度感受性の表現型が認められた。
一般に、突然変異体が温度感受性を示す場合、タ
ンパク質のフォールディングとの関係が考えられ
る。そのことから、我々の結果は、Notch の O<フコ
ース単糖修飾が、Notch のフォールディングに寄与
している可能性を示している。
MJYH.
61
A1-09
幹細胞グライコームの構造と機能 : 新規未分化マーカーの発見
○舘野浩章 、馳平加代 、小沼泰子 、伊藤弓弦 、豊田雅士 、阿久津英憲 、梅澤明弘 、浅島 誠 、
1
平林 淳
1
1
1
1
1
J
J
J
1
産総研、 成育医療
J
Structure and function of the stem cell glycome: discovery of a novel pluripotency marker
○Hiroaki Tateno , Kayo Hasehira , Yasuko Onuma D*W=9=8=*B4% , Masashi Toyoda , Hidenori Akutsu D*.a'7'8%*V@)9232 ,
1
1
Makoto Asashima D*f=1*X'82:2#2&7'
1
1
1
1
1
J
J
J
.BC-D*J*^NNXb
Summary:*E)*5)8>%8@)(*!"#$%@)*212"#&'&*%>*2*"28!)*&)4*%>*7=@21*'eC*$)""&*21(*SC*$)""&*=&'1!*7'!7<()1&'4#*")$4'1*
@'$8%2882#6*E)*>%=1(*4724*47)*)F58)&&'%1*%>*AJ<PC'2D*A[<JT=$D*21(*4#5)[*g2$^.$*'&*'1$8)2&)(*=5%1*'1(=$4'%1*%>*
5"=8'5%4)1$#6*-7'&*$%="(*:)*&=55%84)(*:#*!)1)*)F58)&&'%1*21(*XegN*@255'1!],.gbB<,C*212"#&)&6*T=847)8@%8)D*3)*
>%=1(*4724*47)*8hNJgN^*")$4'1*:'1(&*4%*=1('>>)8)14'24)(*7=@21*'eC]SC*$)""&D*:=4*1%4*24*2""*4%*('>>)8)14'24)(*&%@24'$*
cells.
ES 細胞や 'eC 細胞などの多能性幹細胞は再生医療
のための細胞源として期待されている。しかし移植
に用いる細胞源に混入した未分化細胞は癌化の原因
になることが知られており、細胞源となる細胞の性
質や安全性を評価する技術が求められている。糖鎖
は細胞の最も外側を覆い、細胞の性質や状態を鋭敏
に反映することから、細胞の品質管理に最適な生体
分子であると考えられる。事実、未分化細胞を判別
するための細胞表面マーカーである SSEA3/4、-82<[<
60/81 は糖鎖である。一方、糖鎖は細胞間相互作用を
直接媒介する生体分子であり、密な細胞塊を形成す
る多能性幹細胞の未分化性においても重要な機能を
担っていると考えられる。しかしこれまで、多能性
幹細胞の表面を覆う糖鎖構造がどのような特徴を有
するのか、また未分化性においてどのような役割を
有するのか、について総体的な理解はされていなかっ
た。そこで我々はこれまで開発してきた高感度糖鎖
プロファイラー・レクチンマイクロアレイを活用し
て幹細胞表面糖鎖の比較プロファイリングを行っ
た。より詳細に幹細胞糖鎖の構造を解析するために、
我々はまず糖鎖プロファイリングの性能を上げるた
めにレクチンの数を増やし、組み換え体を含む 96 種
のレクチンをスライドガラスに固定化した「高密度
レクチンマイクロアレイ」を開発した (1)。そしてこ
れを用いて 4 つの異なる組織(羊膜、子宮内膜、胎
児肺、胎盤動脈)の体細胞に 4 つの初期化遺伝子
(Oct4、C%FJ、*$<,#$、Klf4)を導入して 114 種の 'eC
細胞を作製し、その際の細胞上の糖鎖の変化につい
て、高密度レクチンマイクロアレイを用いて糖鎖プ
ロファイルの比較解析を行った。解析の結果、元の
体細胞が組織毎に異なる糖鎖プロファイルを持って
いたにもかかわらず、作製された 'eC 細胞は、いず
れも ES 細胞とほぼ同じ糖鎖プロファイルを示し、初
期化遺伝子の導入により細胞上の糖鎖もリプログラ
ミングされることがわかった。分化した体細胞と未
分化な 'eC]SC 細胞間で有意に異なるシグナルを与え
62
るレクチンを統計的に抽出することにより 'eC 細胞
になる過程における糖鎖構造変化を推定したところ、
AJ<PC'2、A[<JT=$、4#5)[*g2$^.$ が 顕 著 に 増 加 す る
ことが分かった。この結果は糖転移酵素遺伝子の発
現のみならず、液体クロマトグラフィーと質量分析
計を用いた定量的解析からも裏付けることができた。
更に、すべての未分化細胞と反応し、かつ元の 4 つ
の体細胞とは全く反応しないレクチンを発見した。
8hNJgN^ と名付けたこのレクチンは、上記の2つの
特 徴(A[<JT=$、4#5)[*g2$^.$) を 有 す る H タ イ プ
1/3/4 構 造(T=$A[<J/2";[<i/"$^.$]/2"^.$) に 結 合
特異性を有することがわかった。すなわち、この糖
鎖エピトープは新規未分化マーカーであると考えら
る。また新規未分化マーカーのキャリアタンパク質
の1種を同定した。本学会では、これまでの解析で
得られた知見をもとに多能性幹細胞表面を覆う糖鎖
の構造と機能についての総括的な議論を展開する。
参考文献
+[0-24)1%* )4* 2"6* +JQ[[0* /"#$%@)* ('2!1%&'&* %>* 7=@21*
'1(=$)(*5"=8'5%4)14*&4)@*$)""&*=&'1!*")$4'1*@'$8%2882#6*f6*
h'%"6*N7)@6*J\PD*JQiYH<JQiHi
a1-10
a1-11
シアリル Tn 糖鎖抗原発現による血管浸潤を介
したがん転移機構
分子クラウディング環境における小胞体酵素
群による N - 結合型糖鎖のプロセシング
○大坪和明 、高松真二 、高宮里奈 、奥山裕照 、黒澤 努 、
1
4
4
H
4
安形高志 、近藤展行 、米田和恵 、田中文啓 、鈴木敬一郎 、
4
J
1
長谷川誠紀 、井上正宏 、谷口直之
○平野 真 、松島 光 、伊藤幸成 、戸谷希一郎
1
1
4
1
1
J
3
理研・システム糖鎖、 大阪成人病センター・生化、 阪大・医、
H
兵庫医大・医、 産医大・医
J
3
1
1
J
1
成蹊大理工、 理研基幹研・SM.-L<fC-
1
J
N-Glycan processing in molecular crowding
conditions
Sialyl-Tn Antigen Expression Facilitates Tumor
Intravasation and Metastasis
○Kazuaki Ohtsubo , Shinji Takamatsu D*M'12*-2a2@'#2 , Hiroaki Okuyama ,
3
1
4
4
Tsutomu Kurosawa , Takashi Angata , Nobuyuki Kondo , Kazue Yoneda ,
H
4
4
J
T=@'7'8%*-212a2 , Keiichiro Suzuki , Seiki Hasegawa D*,2&27'8%*B1%=) ,
1
Naoyuki Taniguchi
○Makoto Hirano , Hikaru Matsushima D*W=a'&7'!)*B4% ,
1
Kiichiro Totani
1
MBUS^*.CBD*J*L&2a2*,)(6*N)14)8*b)546*%>*h'%$7)@6D*
L&2a2*V1'?6*C$7%%"*%>*,)(6D*4 X#%!%*N%"")!)*%>*,)(6D*
H*
VLSXD*C$7%%"*%>*,)(6
1
3
J*
Summary:*C'2"#"<-1*+&-10*214'!)1*'&*2*4=@%8*@28a)8D*47)*
)F58)&&'%1*%>*37'$7*'&*2&&%$'24)(*3'47*5%%8*58%!1%&'&6*E)*
72?)* 8)?)2")(* 4724* &-1* 214'!)1* '&* &#147)&'9)(* :#* XBT<[<
@)('24)(*4821&2$4'?24'%1*%>*C-P/2"^.$<B*!)1)*)F58)&&'%1*'1*
'14824=@%82"*7#5%F'$*28)2D*21(*>2$'"'424)&*'14)!8'1<@)('24)(*
cellular invasion that enhances intravasation and increases
blood circulating tumor cells. This consequently promotes
tumor metastasis and progression.
Summary: The intracellular environment is highly crowded
with biomolecules. Molecular crowding affects function
of proteins by changing their conformations. Here we
investigated the effects of molecular crowding on the
&){=)14'2"* 58%$)&&'1!* %>* /"$J,21Z<4#5)* N<!"#$21* '1* 47)*
)1(%5"2&@'$*8)4'$="=@6*B1*@%")$="28*$8%3('1!*$%1('4'%1&D*47)*
trimmings of glucose residues were accelerated while those
of mannose residues were decelerated. These results indicate
4724*@%")$="28*$8%3('1!*'1j=)1$)&*47)*&){=)14'2"*48'@@'1!&*
of monosaccharides from the N<!"#$216
1
1
1
J
シアリル Tn (sTn) 抗原は臨床診断に用いられている
腫瘍マーカーであり、その発現が患者の予後の不良や
転移と相関するが、生物学的機能は解明されていない。
我々は sTn 抗原が腫瘍内低酸素環境による転写因子
XBT<[ の活性化により誘導される C-P/2"^.$<B により
形成されることを明らかにした。これと一致して肺が
ん患者のがん組織低酸素部位において sTn 糖鎖抗原が
発現することを見出した。また、C-P/2"^.$<B 導入非
小細胞肺がん細胞株では sTn 抗原がコラーゲン受容体
である AJ;[ インテグリン上に発現しており、これと一
致して導入細胞ではコラーゲンを介した細胞接着能と
細胞浸潤能が上昇していた。一方、マウスを用いたが
ん細胞移植モデルにおいても、低酸素領域において sTn
抗原発現細胞が出現し、そこでは AJ;[ インテグリン上
に sTn 抗原が発現していた。これと符号して sTn 抗原
発現がん細胞がコラーゲン繊維に沿って低酸素領域か
ら放射状に分布していた。さらに sTn 抗原発現による
がん細胞の血管浸潤が、ST6GalNAc-I や !"#$%&'(#$ の遺
伝子ノックダウンや sTn 抗体による糖鎖エピトープの
マスキングにより著しく低減することが判明した。本
研究結果は腫瘍内部低酸素環境による sTn 抗原の発現
が、がん細胞の血管浸潤・転移を促進することで、患
者の予後不良の直接的な原因となっている可能性を示
すものである。
1
1
J
b)546*,24)8'2"*|*g'>)*C$'6D*T2$="4#*C$'6*|*-)$71%"6D*C)'a)'*V1'?6D*
MBUS^<.CB*|*SM.-L<fC-
細胞内は多くの生体分子で満たされた非常に混み
合った(クラウディング)環境である。近年、クラウディ
ング環境はタンパク質のコンフォメーション、分子の
動きや酵素活性に影響することが報告され、その効果
が注目されている。本研究では、連続的な酵素反応が
進行する小胞体における糖鎖プロセシングに着目し、
その反応系にクラウディング効果がもたらす影響を検
証した。牛血清アルブミン (BSA) を用いてクラウディ
ング環境を模し、/"$J,21Z/"$^.$J 型糖鎖をもつメト
トレキセート*+/J,Z<,-`0* を基質として、ラット肝臓
小胞体画分を酵素源に糖鎖プロセシングを XegN によ
りモニタリングした。反応 1 時間後では、BSA 非存在
下に比べ、速やかに Glc 残基はトリミングされ、,Z<
,-` が産生された。しかし、H 時間後には、反応系内
の糖鎖 <,-` の存在比は同等となり、8 時間後では、逆
に ,Z<,-` の分解が遅延していた。他方、一般的にグ
ルコシダーゼやマンノシダーゼの活性測定に用いられ
る p< ニトロフェニル <A< グルコシドや p< ニトロフェニ
ル <A< マンノシドを基質とすると、クラウディング効果
はほとんど認められなかった。以上の結果から、小胞
体における糖鎖プロセシングを in vitro で理解するには、
クラウディング効果を考慮すること、さらに、生体内
に存在する糖鎖構造を基質として評価することの重要
性が示唆された。
63
A1-12
希少糖 D-psicose の臓器分布と体内動態
○塚本郁子 、ムハマド ホセイン 、平田祐子 、董 有毅 、神鳥和代 、隋 麗 、森本兼司 、下西 剛 、
1
1
1
1
1
[DJ
西本一幸 、須田博文 、上野正樹 、阪本晴彦 、小西良士 、徳田雅明
1
1
1
1
1
1
1
J
3
香川大・医、 香川大・希少糖研究センター、 希少糖生産技術研究所
J*
3
Organ distribution and pharmacokinetics of a rare sugar D-psicose
1
1
1
1
1
J
○Ba=a%*-&=a2@%4% , Mohammad A Hossain , Yuko Hirata , Youyi Dong D*U29=#%*U2@'4%8'[D*g'*C=' , Kenji Morimoto ,
3
1
1
1
1
[DJ
Tsuyoshi Shimonishi , Kazuyuki Nishimoto , Hirofumi Suda D*,2&2a'*V)1% , Haruhiko Sakamoto D*M#%m'*U%1'&7'[D*,2&22a'*-%a=(2
1
T2$6*%>*,)(6D*U2!232*V1'?6D*J*M28)*C=!28*M)&)28$7*N)14)8D*U2!232*V1'?6D*3 B9=@%8'1!*ggN6
Summary: M28)*&=!28&*28)*()G1)(*2&*@%1%&2$$728'()&*21(*47)'8*()8'?24'?)&*37'$7*28)*828)*'1*124=8)6*L1)*%>*828)*&=!<
28&D*b<5&'$%&)*'&*2*&4)8)%'&%@)8*%>*b<>8=$4%&)6*.&*'4*72&*?28'%=&*57#&'%"%!'$2"*2$4'?'4')&D*'4&*255"'$24'%1*4%*2*Food for
)*&+#,&-./&01%2.34&4*'&*=1()8*$%1&'()824'%16*B1*47'&*3%8aD* 14N<"2:)"")(*b<5&'$%&)*32&*)19#@24'$2""#*&#147)&'9)(*21(*
its absorption, distribution and elimination in animals were studied after intravenous and oral administration.
希少糖とは自然界にごくわずかしか存在しない
単糖とその誘導体の総称である。b<!"=$%&) はほと
んどの生物にとってのエネルギー源であるから、
これのアナログである希少糖には生体における
b<!"=$%&) の働きを修飾する potency が期待される。
希少糖の量産が可能になるまでこれらの生理活性
に関する報告は少なかったが、JQQQ 年に異性化酵
素を用いる大量合成が始まって以来、その様々な活
性が明らかになりつつある。
希 少 糖 の ひ と つ b<5&'$%&) に は イ ン シ ュ リ ン
分 泌 促 進 作 用、 炭 水 化 物 の 分 解・ 吸 収 抑 制 作 用
等 が 報 告 さ れ て い る( 特 定 保 健 用 食 品 の 認 可 を
14
申 請 中 )。 今 回、b<5&'$%&) の N ラ ベ ル 体 を 合 成
し、その体内動態を検討した。ラベル体の合成は
14
N<2""%&) +.@)8&72@*h'%&$')1$)&0 を固定化酵素ビー
ズと反応させて行った。固定化酵素には g<872@1%&)*
isomerase を 用 い、 精 製 の 結 果、 純 度 99 % 以 上、
1.96GBq/mmol の b<5&'$%&) を得た。
こ れ を ラ ッ ト に 投 与 (100mg/kg) し、10, 30, 60,
[JQ 分後に血液、尿、臓器を採取。分布した 14N は
64
サンプルオキシタイザーで二酸化炭素として回収
定量後、br5&'$%&) 量に換算した。経静脈投与され
た b<5&'$%&) は血中から半減期1時間で主に尿中に
排泄された。経口投与された b<5&'$%&) は速やかに
血液中に吸収された。臓器への蓄積は肝臓以外では
認められなかった。また、単回経口投与の1週間後
には痕跡を残すのみであった
マウスには経静脈投与 30 分後に血液を生理食塩
水に置換して凍結、40 micro m のスライスを調整し
てオートラジオグラフィーに供した。ラットでの上
記試験と同様、臓器への蓄積は肝臓以外で認められ
なかった。
b<5&'$%&) が様々な生理活性を持つのは投与され
た b<5&'$%&) がしかるべき部位に到達してその作用
を発現しているからである。しかし、今回の結果に
よれば投与された b<5&'$%&) の大部分は速やかに体
外に排泄されており、その機能の発現は、肝臓など
蓄積が認められた臓器において比較的短時間のう
ちに誘導されているものと考えられた。
A1-13
分裂酵母における細胞表層ガラクトース鎖および糖鎖へのピルビン酸化の生理的役割
○竹川 薫、松沢智彦、頼経健一
九大院・農・生命機能
4/#01%"%)1$*"-5%",0-%7-$,""90(57*$,-)*"*$+%0#"*+1%&-*&2-:#5(<#"*+1%&-1&-3001%&-#,*0+
○U2%8=*-2a)!232D*-%@%7'a%*,24&=9232D*U)1<'$7'*W%8'4&=1)
b)546*%>*h'%&$'6*|*h'%4)7$71%"6D*T2$6*%>*.!8'$="4=8)D*U#=&7=*V1'?)8&'4#
Summary:*."47%=!7*!2"2$4%&)*8)&'(=)&*28)*1%4*)&&)14'2"*>%8*!8%347*%>*C$7'9%&2$$728%@#$)&*5%@:)D*47)*$)""<&=8>2$)*
!2"2$4%&#"24'%1*'&*8){='8)(*>%8*@2'14)121$)*%>*1%8@2"*$)""*&725)D*&)F=2"*2!!"=4'124'%1D*21(*4%")821$)*4%328(*?28'%=&*
(8=!&6*E)*'()14'G)(*G&&'%1*#)2&4*!&>JlD*)1$%('1!*2*j%$$="'1*4724*:'1(&*4%*!2"2$4%&)*8)&'(=)&*"%$24)(*%1*$)""*&=8>2$)*
!"#$%$%1m=!24)&6*C6*5%@:)*255)28&*4%*72?)*2*=1'{=)*!2"2$4%&)<&5)$'G$*8)$%!1'4'%1*&#&4)@*'1*37'$7*/&>J5]j%$$="'1*
5"2#&*21*)&&)14'2"*8%")*'1*@)('24'1!*$)""<$)""*'14)82$4'%1&6
分裂酵母 Schizosaccharomyces pombe は高等動物
と同じく、出芽酵母とは異なり細胞が2つに分裂
+G&&'%10 して生育することや、ヒト由来の遺伝子が
出芽酵母よりも発現しやすいために、高等動物の細
胞周期研究や転写翻訳機構研究などに広く用いら
れてきた。分裂酵母の細胞壁構成成分としてガラク
トピラノースが存在することは古くから知られて
いたが、機能については全く不明であった。また出
芽酵母の酸性糖鎖はマンノースリン酸由来である
が、分裂酵母にはリン酸化マンノースは存在せず、
ガラクトースにピルビン酸 +e?0 が付加することが
報告され。そこでガラクトピラノースを持つ最も下
等な真核生物である分裂酵母を用いて、ガラクトー
スおよびピルビン酸化糖鎖の役割について解析を
行った。
1. 分裂酵母のガラクトースは細胞間のコミュニ
ケーションにきわめて重要である。
分裂酵母の細胞表層に局在するガラクトース糖
鎖の機能を明らかにするため、ガラクトース欠損
変異株の取得を試みた。その結果、gms1 変異株と
いうガラクトースを完全に欠失した変異株の取得
に初めて成功した。分裂酵母 gms1 遺伝子はゴルジ
体にガラクトース転移酵素の基質である Vbe< ガラ
クトースを供給する新奇糖ヌクレオチド輸送体を
コードしており、本遺伝子の欠損により細胞形態
の異常や細胞表層糖鎖の厚みが減少していること
を見いだした。しかしながら分裂酵母のガラクトー
ス欠損 gms1 株は細胞形態異常や胞子形成欠損など、
様々な表現型を示したが生育には必須ではないこ
とがわかった。我々はさらに細胞が構成的に凝集す
る変異株 (gsf1) を取得し、その凝集はガラクトース
で阻害されることから、分裂酵母の非性的凝集はガ
ラクトースを介して行われていることを明らかに
した。分裂酵母の非性的凝集はガラクトースを培地
に添加すると阻害されることから、分裂酵母は細胞
間のコミュニケーションにガラクトースを利用し
ていることがわかり、分裂酵母が他の酵母の糖鎖成
分には存在しないガラクトースを持つ優位性を明
らかにすることができた。
J6* 分裂酵母細胞表層に局在するガラクトースを特
異的に認識する非性的凝集素タンパク質の解析
分裂酵母細胞表層にはガラクトースと相互作用
する糖鎖が存在しているため、分裂酵母細胞表層に
この糖鎖を認識するタンパク質が存在することが
予想される。そこで既に取得していた分裂酵母凝
集変異株 (gsf1) と野生株の遺伝子発現を比較して、
gsf1 株で過剰に発現している遺伝子をマイクロアレ
イ解析により同定を行った。その結果、gsf1 株で発
現の上昇している遺伝子の中で、細胞壁局在が予想
される /eB< アンカー型タンパク質をコードする遺
伝子 (gsf2+) が1つだけ含まれていることを見いだ
した。gsf1 株の gsf2 遺伝子を破壊したところ、凝
集能が消失することから本遺伝子が分裂酵母のガ
ラクトース鎖を認識する凝集素と同定した。また
gsf2+ 遺伝子の発現を Gsf1p が負に、,:FJ5 が正に
調節していることもわかった。さらに分裂酵母糖
鎖へのピルビン酸化が欠損した変異株 (pvg1) では
/&>J5 による細胞凝集が強まることから細胞表層の
ピルビン酸化は細胞凝集を負に制御していること
を明らかにした。
65
A1-14
新規人工蛍光基質を用いた活性染色によるリソソーム酵素の脳内補充効果の
in vivo イメージング
○辻 大輔
1
3
、難波建多郎 、北風圭介 、浅沼大祐 、神谷真子 、浦野泰照 、伊藤孝司
1, 4
1
1
J
3
3
1, 4
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部創薬生命工学、 東京大学大学院医学系研究科神経生物学、
4
東京大学大学院医学系研究科生体情報学、 ^BhBL
J
in vivo-16*)1&)-%7-D5*1&9215,$+,2-"#0%0%6*"-,&F#6,-5,:"*$,6,&+-(01&)-<1+*"-0+*1&1&)-B1+/-*-&%<,"-,&F#6,9
*$+1<*+*D",-E(%5,0$,&+-:5%D,
1, 4
1
1
J
3
3
1, 4
○Daisuke Tsuji , Kentaroh Nanba , Keisuke Kitakaze , Daisuke Asanuma , Mako Kamiya D*W2&=4)8=*V821% D*U%7m'*B4%7
1
b)5284@)14*%>*,)('$'12"*h'%4)$71%"%!#D*B1&4'4=4)*>%8*,)('$'12"*M)&)28$7D*/82(=24)*C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*-7)*V1'?)8&'4#*
of Tokushima, J*b)5284@)14*%>*^)=8%:'%"%!#D*/82(=24)*C$7%%"*%>*,)('$'1)D*-7)*V1'?)8&'4#*%>*-%a#%D* 3 g2:%824%8#*%>*N7)@'$2"*h'%"%!#*
21(*,%")$="28*'@2!'1!D*/82(=24)*C$7%%"*%>*,)('$'1)D*-7)*V1'?)8&'4#*%>*-%a#%D*4 ^24'%12"*B1&4'4=4)*%>*h'%@)('$2"*B11%?24'%1*+^BhBL0
Summary:*M)$%@:'1214*7=@21*"#&%&%@2"*)19#@)*'&*=4'"'9)(*4%*)19#@)*8)5"2$)@)14*47)825#*+SM-0*>%8*"#&%&%@2"*
&4%82!)*('&)2&)&*+gCb&06*X)8)*3)*()?)"%5*21(*&#147)&'9)(*2*1%?)"*)19#@)<2$4'?242:")*j=%8)&$)14*58%:)*+X,M7%(%"h<
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()8'?)(*>8%@*/,J*!21!"'%&'(%&'&*@%()"*@'$)*'1482$)8):8%?)148'$="28"#*2(@'1'&4)8)(6*-7)*j=%8)&$)14*58%:)*3'""*:)*2"&%*
255"'$2:")*>%8*)?2"=24'%1*%>*$8%&&<$%88)$4'%1*)>>)$4*'1*47)*:82'1&*3'47*gCb&*48)24)(*3'47*)F*?'?%*!)1)*47)825#6*B4*3'""*:)*
2"&%*=4'"'9)(*4%*212"#9)*47)*'1$%85%824'%1*%>*X)F*)19#@)*'14%*?28'%=&*1)=82"*$)""*4#5)&*$%1&48=$4'1!*:82'1*4'&&=)&6
リソソーム酵素の一種である ;<X)F%&2@'1'(2&)*
+X)F0 は、脳内 /,J ガングリオシド(/,J)をは
じめとする ;< ヘキソサミニル末端を持つ複合糖鎖
の分解代謝酵素である。リソソーム病である /,J
ガングリオシドーシスは、X)F サブユニット A 及び
; をコードしている遺伝子の変異が原因で、X)F.
(A; ヘテロダイマー)の酵素活性が低下し、神経細
胞をはじめ様々な細胞で /,J がリソソームに過剰
蓄積して進行性の中枢神経症状を惹起する常染色
体劣性遺伝病である。[ZZH 年に作製されたマウス
X)F の ; 鎖 遺 伝 子 ( /&56 ) の KO マ ウ ス (Sandhoff
病モデルマウス k*Cb マウス ) は、極めてヒトと類
似した病態を示すことが明らかとなっており、病態
解析や治療法開発に利用されている。
これまで SD マウスを用いた治療研究に関して
は、酵素補充療法や骨髄移植などが試みられ、既に
運動機能の改善や寿命の延長などが観察され、臨床
応用が期待されている。しかしながら、これらの結
果はマウスの行動試験や脳切片を用いた生体内基
質の解析などが主であり、実際に投与した酵素や脳
内に定着したドナー細胞から分泌された酵素がど
の領域・細胞に分布したかを調べることは難しいの
が現状である。以前の研究で色素性基質を用いた活
性染色*+`</"$^.$0 や抗 X)F 抗体を用いた解析が行
われているが、発現の強い細胞や取り込みが多かっ
た細胞のみが検出可能であり、僅かな酵素量による
治療効果については解析が不可能であった。
そこで本研究では、新規に合成した人工蛍光基質
+X,M7%(%"h<;/"$^.$0 を用いることにより検出感
度を高め、酵素の分布を生きた細胞のまま検出する
新たな治療効果の評価法を確立したので報告する。
まず、生細胞における X)F の活性イメージングを
66
行うために、野生型及び SD マウス脳由来アストロ
サイト (AWT 及び ASD) を利用し、培地中に [Q},
に な る よ う に X,M7%(%"h<;/"$^.$ を 添 加 し、60
分後に倒立型共焦点レーザー顕微鏡で蛍光観察を
行った。その結果、AWT では全ての細胞で強い蛍
光が細胞質において観察された。一方、ASD では
僅かに蛍光が観察されたが、これは X)FC(AA ホ
モダイマー)による残存活性に基くと予想され、
AWT と ASD の 蛍 光 強 度 の 差 に 関 し て は Y,V<;<
GlcNAc を用いた酵素活性測定と矛盾がなかった。
次に個体レベルでのイメージングを行うために、
SD 及び野生型マウス、そして SD マウスの脳室内
に改変型 X)F の酵素補充を行った後、脳を摘出し
て脳切片を作製し、X,M7%(%"h<;/"$^.$ による活
性染色を行った。その結果、SD で観察されない強
い蛍光が WT では観察され、同様に酵素補充を行っ
た脳でも蛍光が観察された。さらに改変型 X)F を
発現する SD マウス由来間葉系幹細胞の脳内移植を
行った後、同様に X,M7%(%"h<;/"$^.$ による活性
染色を行った結果、脳全体において蛍光が観察され
た。これは遺伝子導入移植細胞から分泌された改変
型 X)F が脳全体に広がっていることを示しており、
これまで検出が困難であったクロスコレクション
効果の可視化に成功した。
以 上 の 結 果 か ら、 新 規 の 人 工 蛍 光 基 質 で あ る
X,M7%(%"h<;/"$^.$ を利用することで、細胞及び
個体レベルで生細胞内の X)F 活性イメージングが
行えることが明らかとなり、リソソーム病の酵素補
充療法や.&5.7#78 遺伝子治療における治療効果を評
価する新しいツール及び方法を確立することがで
きた。
B1-01
澱粉の糊化および老化原理
○田幸正邦 、島袋隼平 、玉城志博 、小西照子 、花城 勲 、 竹田靖史
1
1
1
1
J
J
琉球大農亜熱帯生資科、 鹿児島大農生資科
1
J
451&$1:",0-%7-0+*5$/-),"*+1&1F*+1%&-*&2-5,+5%)5*2*+1%&
○Masakuni Tako D*f=15)'*C7'@2:=a=8% , Yukihiro Tamaki , Teruko Konishi D*B&2%*X212&7'8% , Yasuhito Takeda
1
1
1
1
1
J
J
b)546*C=:48%5'$2"*h'%&$"6*h'%4)$71%"6D*T2$6*.!8'$6D*V1'?6*M#=a#=&
b)546*h"%$7)@6*C$'6*-)$71%"6D*T2$6*.!8'6D*U2!%&7'@2*V1'?6
J*
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tion mechanism at molecular level1)6*N%1&){=)14"#D*3)*72?)*8)2"'9)(*4724*47)8)*28)*&%@)*:2&'$*8=")&*'1*47)*!)"<>%8@24'%1*
processes and demonstrated the principles of polysaccharide gelsJ0. We have also proposed gelatinization and retrograda<
tion mechanism of starches3,4)6*B1*47'&*525)8D*3)*()@%1&4824)*!)"24'1'924'%1*21(*8)48%!82(24'%1*58%$)&&)&*%>*&428$7)&*'1*58'1<
ciple.
1. はじめに
演者らは多くの多糖類のゲル化機構を分子レベル
J0
で検討してゲルの原理を解明した :優先的に分子鎖
内結合(水素結合、イオン結合、静電気結合または
ファンデアーワールズカ)が形成され、分子鎖が棒
状を採る状態で分子鎖間結合が形成される。多糖ゲ
ルには 98.6 ∼ ZZ6Zu の水分子が共存するが、多糖分
子鎖は室温でも水分子に氷の状態(QI)で形成する
水素結合により正四面体を採らせ事が解った。その
際、カゴ効果および疎水効果が熱力学的に関与する。
澱粉は私たちの日常生活に欠かせない素材である。
演者らは、先に、澱粉の 1 成分であるアミロースの
HDP0
ゲル化および老化機構 、米アミロペクチン( )
の熱安定性の分子起源、そして米、馬鈴 および小
麦澱粉の糊化および老化の機構を分子レベルで検討
3,4)
した 。ここでは、澱粉の糊化および老化の原理を
紹介する。
*J6 実験材料および方法
米および小麦澱粉は青森産のアキヒカリ(アミロ
ース含量:[\6\u)およびオーストラリア産のロー
ゼラ(Ji6Zu)を使用した。これら澱粉のアミロース
の数平均鎖長はそれぞれ 19.0 および 19.9±1.3 であっ
た。澱粉水溶液の非ニュートン流動および貯蔵弾性
率は同軸円筒回転振動型のレオゴニオメーター(岩
本製作所)を使用して測定した。なお、澱粉分散液
を [QQI で 30 分間 拌加熱して実験に供試した。
3. 結果および考察
アキヒカリ澱粉は i6Qu 以上の濃度で降伏値を有し
て塑性流動を示し(JHI)、糊化の現象が認められた。
また、ローゼラ澱粉は Y6Qu 以上で認められた。澱粉
糊化液を JHI で JY 時間保存すると貯蔵弾性率が増
大した。YI で保存すると著しく増大した。糊化溶
液に尿素(4.0M)を添加すると、アキヒカリ澱粉の
貯蔵弾性率は水溶液(無添加)に比較して低い値に
シフトした。しかしながら、ローゼラ澱粉のそれは
逆に高い値にシフトした。前者の貯蔵弾性率は温度
の上昇に伴って徐々に増大し、YHI(転移温度)以
上の温度で逆に減少した。後者はアルカリ溶液(Q6QH,*
NaOH)でも貯蔵弾性率が高い値にシフトし、温度の
上昇に伴って高い温度でも安定な値を有した。
澱粉が糊化した状態では、多糖分子鎖間水素結合
に隣接する部位に、氷のような正四面体を採る水分
子が存在する事が推察された。老化の過程で、アミ
ロースーアミロース、アミロースーアミロペクチン、
およびアミロペクチンーアミロペクチン分子鎖間に
分子鎖間水素結合が形成されるのみでなく、糖鎖ー
水分子および水ー水分子間にも正四面体の水素結合
が形成される事が示唆された。しかしながら、さら
に老化が進行すると、多糖分子鎖間結合が密になり、
水分子が遊離する。また、我が国の伝統食品の 1 つ
である (アミロペクチン)が老化(固化)した状
態では水分子は氷と同様の正四面体を採る。
参考文献
[0*,6*-2a%*21(*C6*^2a2@=826*N28:%7#(86*M)&6D*[\QD*
JKK<J\Y+[Z\\06*
J0*,6*-2a%6*f6*.55"6*/"#$%&$'6D*YKD*YZ<Hi+JQQQ06*
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67
B1-02
酵素 - 化学法を用いた小胞体関連糖鎖ライブラリーの構築
○小泉晶彦 、高谷万紀 、八須匡和 、松尾一郎 、武田陽一 、瀬古 玲 、伊藤幸成
1
1
1
1
J
1
1
1,3
fC-D*SM.-L、J 群馬大院工、3 理研 基幹研
H/,6%9,&F#6*+1$-$%&0+5($+1%&-%7-,&2%:"*061$-5,+1$("(695,"*+,2-)"#$*&-"1D5*5#
○Akihiko Koizumi , Maki Takatani , Masakazu Hachisu D*B$7'8%*,24&=% , Yoichi Takeda , Akira Seko D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
1
1
J
1
1
1,3
fC-D*SM.-LD*J*b)546*%>*N7)@6*|*N7)@6*h'%"6D*/=1@2*V1'?6D*3 MBUS^*.CB
Summary:*B1?)&4'!24'%1*%1*7'!7<@211%&)*4#5)*!"#$21<()5)1()14*!"#$%58%4)'1*{=2"'4#*$%148%"*58%$)&&*8){='8)&*2*
&48=$4=82""#*3)""<()G1)(D*)1(%5"2&@'$*8)4'$="=@<8)"24)(*!"#$21*"':828#6*E)*()?)"%5)(*47)*@)47%(*>%8*$%1&48=$4'1!*47)*
7'!7<@211%&)*4#5)*!"#$21*"':828#*:#*&#&4)@24'$*)19#@24'$*48'@@'1!*%>*2*&'1!")*&#147)4'$*,Z<:2&)(*58)$=8&%8D*37'$7*
72&*478))*('>>)8)14*)1(<$255'1!*&=!28&*4724*$21*:)*8)@%?)(*:#*&5)$'G$*!"#$%&'(2&)&*3'47%=4*%?)848'@@'1!6*B1*>2$4D*
'@5")@)1424'%1*%>*47'&*&4824)!#*72&*&=$$)&&>=""#*('?)8&'G)(*47)*58)$=8&%8*'14%*i[*7'!7*@211%&)<4#5)*!"#$21&6
小胞体でタンパク質に付加される高マンノース
型糖鎖はタンパク質の品質管理機構に重要な役割
を果たしていることが明らかになってきた。これら
品質管理機構に関連する高マンノース型糖鎖の機
能や構造活性相関をさらに詳細に調べるためには、
厳格な構造と高い純度を持つ化学合成された十二
糖から三糖まで HQ 種類以上の糖鎖のライブラリー
が必要となる。しかし、それら全てを化学合成で構
築するには多大な労力を要する。
我々は、共通基質となる糖鎖を一つ化学合成し、
それを糖分解酵素でトリミングしていくことで、簡
便に糖鎖ライブラリーを構築する方法を考案した
+T'!6*[0。天然型の高マンノース型糖鎖の各分岐には
同じ結合様式のマンノースが存在するため、マンノ
シダーゼと反応させると複数の生成物が生じ、特定
構造の糖鎖を得ることは難しい。そこで我々は各分
岐の末端に酵素反応の保護基となる単糖を導入す
ることでこの問題を解決した。導入する単糖につい
ては、Aアームの非還元末端には Glc1Man9GlcNAcJ
の生成に必要なグルコースを、また B 及び N アー
68
ムには糖分解酵素の入手が容易なガラクトース及
び N<アセチルグルコサミンを選択した。また、還
元末端には酵素反応の分析のために蛍光分子であ
る hLbBeW を導入した +T'!6*J0。
共通基質となる十四糖の合成は、個々に合成した
H つのユニットを順次縮合して達成された。まず、
コアとなる ,21</"$^</"$^ 三糖受容体に Aアーム
のトリマンノース供与体を縮合後、グルコース供与
体を縮合して七糖受容体を合成した。さらに Bアー
ム四糖受容体と Nアーム三糖供与体を縮合して hD*N
アーム七糖供与体を得た後、Aアーム七糖受容体を
縮合し、脱保護及び蛍光分子の導入を行うことで目
的の非天然型十四糖の合成を達成した。得られた蛍
光ラベル化十四糖に対し、A<グルコシダーゼ<BB、A<
マンノシダーゼ、;<ガラクトシダーゼ、;<N<アセチ
ルヘキソサミニダーゼ、エンド<A<マンノシダーゼ
の組み合わせ及び作用順序を変えることにより、31
種類の高マンノース型糖鎖を選択的に調製するこ
とに成功した。
B1-03
硫酸化糖鎖高分子によるアミロイドβの凝集性の制御
〇三浦佳子
九大院工
Inhibition of amyloidosis by sulfonated glycopolymers
○Yoshiko Miura
U#=&7=*V1'?
Summary: Glycopolymers are the biopolymer carrying pendant saccharides. This lecture reviews our recent work
of glycopolymer in terms of molecular recognition materials and application. The glycopolymers with sulfonated
&2$$728'()&*)F7':'4)(*47)*2>G1'4#*4%*5247%!)1'$*58%4)'1&6*-7)*G1)*!"#$%5%"#@)8&*3)8)*&#147)&'9)(*?'2*"'?'1!*82('$2"*
5%"#@)8'924'%1*'1*%8()8*4%*$%148%"*47)*58%4)'1*2>G1'4#*21(*4%*>2:8'$24)*47)*7#:8'(*:'%5%"#@)8&6
糖鎖高分子は高分子を母体として糖を多価化合
物にしており、人工糖ペプチド、人工糖タンパク質
などの他の糖の多価化合物に比べて、タンパク質と
非常に強く相互作用することが特徴である。しかし
ながら、高分子であることの利点は、単にタンパク
質との強い結合にとどまらない。高分子にすること
で、高分子物性、立体特性、高分子主鎖による性質
の付与などが期待できる。
新規な生理活性を持つ糖鎖高分子として、高分
子プラットホームを用いて、天然多糖、特に硫酸
化多糖などとして知られるグリコサミノグリカン
(GAGs) の再構築と機能化について検討を行った。
GAGs については、種々の生理活性作用を発揮する
ことが知られているが、構造が難しく再構築が難し
い。そこで、我々は高分子に対して、GAGs に含ま
れる糖を結合させて機能の再構築を図った。
種々の硫酸化糖を側鎖に持つポリアクリルアミ
ド誘導体を合成し、糖の構造、ポリマー中の糖の
含有量、分子量などに従って、GAGs 様高分子ライ
ブラリーを得た。これらは、GAGsと結合性のある、
病原体タンパク質である、アルツハイマーアミロイ
ド ; や ; セクレターゼなどと結合することがわかっ
た。特にアルツハイマーアミロイド ; ペプチドに
対しては、GAGs 模倣型高分子の硫酸基との結合に
よって、タンパク質の凝集の初期過程を防ぎ、毒性
を軽減した。リビングラジカル重合などを利用し
て、分子量の制御を行ったところ、分子量に応じて
その生理活性が大きく異なることがわかった。更
に、ペンダントとなる糖の構造やバックボーンとな
る高分子の主鎖を変化させることで、タンパク質の
凝集能や形態は制御されることが分かった。
GAGsミミックの高分子では、その直接的な生理
活性と共に、複雑な GAGs 構造をシンプルで明確な
糖鎖高分子として再現できることから、どの GAGs
の糖鎖がどのように効果を発揮しているかをも知
ることができる。高分子化学の手法で発想して、新
たな生理活性材料を得ると共に、生物科学や糖鎖科
学に還元できると考えられる
69
b1-04
b1-05
Glycan-modulated binding of the prostate-derived
seminal plasma protein WGA16 to the sperm surface
デルマタン硫酸部分構造の合成とタンパク質
相互作用解析
○ガレノ エステル 、金澤 尊 、堀 和紀 、安江 博 、
[DJ
[DJ
佐藤ちひろ 、北島 健
○杜若祐平、市来幸子、宮地賢人、若尾雅広、隅田泰生
1
鹿児島大・院理工
1
[DJ
[DJ
3
h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6*
/82(6*C$76*h'%2!86*C$'6D*^2!%#2*V1'?6*21(* 3 ^24"6*B1&46*.!8%:'%"6*C$'6D*
Tsukuba.
J**
Glycan-modulated binding of the prostate-derived
seminal plasma protein WGA16 to the sperm surface
1
[DJ
[DJ
○S&4)"")*/28)12=F , Takeru Kanazawa , Kazuki Hori ,
3
[DJ
[DJ
Hiroshi Yasue D*N7'7'8%*C24% , Ken Kitajima
○U.UB-CVh.-.*W=7)'D*BNXBUB*W=a'a%D*,BW.NXB*U)14%D*
E.U.L*,2&27'8%D*CVb.*W2&=%*
1
h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6* J* Grad. Sch. Bioagr. Sci.,
^2!%#2*V1'?6*21(*3 ^24"6*B1&46*.!8%:'%"6*C$'6D*-&=a=:26
/82(6*C$7%%"*%>*C$'6*S1!6D*U2!%&7'@2*V1'?6
Summary: We showed that WGA16, a seminal plasma
glycoprotein, is involved in pig sperm capacitation.
N"%1'1!*21(*!"#$%&#"24'%1*58%G"'1!*%>*E/.[P*%5)1)(*1)3*
perspectives to study its role during fertilization. WGA16 is
2*7'!7"#*!"#$%&#"24)(*58%4)'1*:)"%1!'1!*4%*47)*f2$2"'1<"'a)*
family of lectin. Through a structural and functional analysis,
we aimed to decipher the underlying mechanisms involved in
WGA16 interaction with sperm surface, and its removal from
sperm surface after capacitation.
Summary: Dermatan sulfate (DS) belonging to
glycosaminoglycan (GAG) super family is a liner sulfated
polysaccharide and is biologically synthesized from chondroitin
%8* $7%1(8%'4'1* &=">24)* :#* 47)* 821(%@* @%('>'$24'%1* 3'47* N<H*
)5'@)82&)*>%""%3)(*:#*L<&=">24'%16*-7)*@'$8%(%@2'1*&48=$4=8)&*
'1*bC*28)*8)"24)(*4%*?28'%=&*:'%"%!'$2"*58%$)&&6*B1*47'&*&4=(#D*4%*
'1?)&4'!24)*&48=$4=8)<2$4'?'4#*8)"24'%1&7'5&*%>*bC*24*47)*@%")$="28*
level, we synthesized various DS units and evaluated their
:'1('1!*58%5)84')&*3'47*/./<:'1('1!*58%4)'1&6
We discovered a new, highly glycosylated protein, WGA16,
involved in pig sperm capacitation. We determined that
WGA16 was a seminal plasma protein present initially at
sperm surface, but was removed from sperm membrane lipid
raft microdomain after capacitation.
E)* )?'()1$)(* 4724*E/.[P* 32&* 8)"24)(* 4%* 47)* f2$2"'1<"'a)*
>2@'"#*%>*")$4'1D*'1*5284'$="28*4%*47)*~#@%!)1*/821=")*e8%4)'1*
[PD* &7%3'1!* 2>>'1'4#* >%8* 7)528'1* s[t* 21(* @21121&* sJt6*E)*
proved that WGA16 showed high affinity towards heparin.
E)* >=847)8* )F5"%8)(* E/.[P* ")$4'1'$* 2$4'?'4#* )&5)$'2""#*
towards glycosaminoglycans, using glycosylated WGA16,
wild type recombinant protein, and mutants targeting the
5%4)14'2"*")$4'1'$*&'4)*%>*E/.[P6**E)*)&42:"'&7)(*E/.[Pv&*
2>G1'4#*4%328(&*&=">24)(*!"#$%&2@'1%!"#$21&6
E)*5)8>%8@)(*:%47*!"#$%&#"24'%1*58%G"'1!*21(*&'4)*&5)$'G$*
glycosylation analysis on WGA16. We established that if
seminal plasma glycoproteins usually bear terminal galactose
8)&'(=)&D*E/.[P*^<!"#$21&*28)*4)8@'124)(*:#*/2"^.$*%8*
/"$^.$*8)&'(=)&6*B14)8)&4'1!"#D*2@%1!*~/[P<"'a)*58%4)'1&D*
E/.[P*'&*47)*%1"#*58%4)'1*4%*58)&)14*43%*^<!"#$%&#"24'%1*
&'4)&6*e8)"'@'128#*8)&="4&*&))@*4%*'1('$24)*4724*!"#$%&#"24'%1*
@'!74*@%(="24)*E/.[P*2>G1'4#*4%328(&*7)528'16
[1] U=@29232<B1%=)*U*et al6D*/"#$%:'%"%!#D*JQ[JD*JJ+J0kJH\<PP6
sJt*-24)1%*X*et al6D*/"#$%:'%"%!#D*JQ[JD*JJ+J0kJ[Q<JQ6
70
Syntheses of dermatan sulfate partial structures and
their interaction analyses with GAG-binding proteins
デルマタン硫酸(DS)は、グリコサミノグリカン (GAG)
に分類される硫酸化多糖で、コンドロイチン(NX)やコ
ンドロイチン硫酸(NC)鎖のグルクロン酸部位が N<H エ
ピ化酵素によってイズロン酸に変換され生合成される。
DS は、NC と同様に多様な硫酸化パターンを持ち、この微
細構造が DS の生体機能発現に深く関与する。本研究では、
DS の構造 < 活性相関解析を行うため、様々な硫酸化パター
ンを持つ DS ライブラリーの系統的な合成とシュガーチッ
プによる解析について検討した。
ライブラリー合成の鍵となる多分岐能を持つ共通二糖中
間体 3 は、単糖成分 1、2 から誘導した。この共通中間体
をグルコース成分と縮合して三糖体に誘導した後、選択的
な脱保護と位置選択的硫酸化を行って、硫酸化パターン
の異なる種々の三糖を合成した。次に、得られた三糖とリ
ンカー成分を、常法の還元アミノ化によって糖鎖リガンド
複合体へと誘導し、その後、シュガーチップ化を行った。
本発表では、表面プラズモン共鳴(CeM)センサーによる
GAG 結合性タンパク質との相互作用解析についても報告
する。
b1-06
b1-07
フォールディングセンサー UGGT による合成
変性糖タンパク質の基質認識
1
[DJ
[DJ
J
○和泉雅之 、牧村 裕 、Simone Dedola 、瀬古 玲 、
JDi
JDi
[DJ
金森審子 、伊藤幸成 、梶原康宏
1
阪大院理、 *fC-*SM.-L、 理研基幹研
J
3
大量調製した PA 糖鎖を利用したネオグライ
コプロテインの作製
○中北愼一 、中北ゆかり 、山田佳太 、内山 昇 、
J
4
J
住吉 渉 、鈴木康夫 、平林 淳
1
1
3
Synthetic misfolded glycoproteins as substrates of
7%"21&)-0,&0%5-,&F#6,-P!!Q
1
[DJ
[DJ
○,2&2#=a'*B9=@' , Yutaka Makimura , Simone Dedola ,
J
JDi
JDi
Akira Seko , Akiko Kanamori D*W=a'&7'!)*B4% ,
[DJ
Kajihara Yasuhiro
1
L&2a2*V1'?6D*J*fC-*SM.-LD*3 MBUS^*.CB
1
J
3
香川大・総合生命・糖鎖機能 、 香川大・総合生命・糖質バイオ、
4
株式会社レクザム、 中部大・生命健康科学
J*
45,:*5*+1%&-%7-&,%)"#$%:5%+,1&-(01&)-4Goligosaccharide
○C7'1<'$7'*^2a2a'42 , Yukarai Nakakita , Keita Yamada ,
3
J
4
^%:%8=*V$7'#2@2 , Wataru Sumiyoshi , Yasuo Suzuki ,
J
f=1*X'82:2#2&7'
1
1
J
1
b'?6*%>*T=1$6*/"#$%6U2!232*V1'?6D* J* b'?6*%>*/"#$%<h'%'1(=&48#D*
U2!232*V1'?6D* 3 M)FF2@*N%6D*g4(6* 4 N%"*%>*g'>)*X)2"47*C$'6D*N7=:=*
V1'?6
Summary: Glycoprotein quality control is of great importance
'1* @2'142'1'1!* "'?'1!* &#&4)@&6* B1* 47'&* 58%$)&&D* >%"('1!* &)1&%8*
)19#@)* V//-* ('&4'1!='&7)&* @'&>%"()(* 21(* $%88)$4"#* >%"()(*
glycoproteins. To elucidate its mechanism at molecular level,
7%@%!)1)%=&* @'&>%"()(* !"#$%58%4)'1&* :)28'1!* 7'!7<@211%&)*
^<!"#$21*3'""*:)*7'!7"#*?2"=2:")*$7)@'$2"*4%%"&6*E)*58)528)(*
several differently folded glycosylated interleukin 8 derivatives
and analyzed the substrate preference of folding sensor enzyme
V//-6*B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*3'""*('&$=&&*%1*47)*8)$%!1'4'%1*
58%$)&&*%>*V//-6
Summary: A method to prepare neoglycoproteins from
2?2'"2:")* e.* %"'!%&2$$728'()&* '&* ()&$8':)(6*.* &=:&4214'2"*
2@%=14* +•[* @!0* %>* ,\.<e.* 32&* 58)528)(* >8%@* 7)1* )!!*
#%"aD* 21(* 32&* $%1?)84)(* 4%* '4&* [<2@'1%<[<()%F#* ()8'?24'?)*
by reaction with hydrogen and then hydrazine. The derived
[<2@'1%<[<()%F#*,\.*32&*$%1m=!24)(*4%*hC.*=&'1!*21*)&4)8*
8)2!)14D* @<@2")'@'(%:)19%#"<^<* 7#(8%F#&=$$'1'@'()6*.>4)8*
immobilization on appropriate glass slide, the neoglycoprotein
+,\.<hC.0*32&*>%=1(*4%*:'1(*N#i<gN.*=&'1!*21*)?21)&$)14<
type scanner.
糖タンパク質の生合成過程における品質管理機構は生体
の恒常性の維持に重要な役割を果たしている。その機構の
中で、*Vbe<!"=$%&)k!"#$%58%4)'1*!"=$%&#"4821&>)82&)*B*+V//-0
はフォールディングセンサーと呼ばれ、高マンノース型糖
鎖 (Man9GlcNAcJk,Z0 を有するミスフォールド糖タンパク
質を認識して M9 糖鎖末端に グルコースを転移する。我々
は、V//- による変性糖タンパク質の分子認識機構を解明
するため、その化学的ツールとし て均一な M9 糖鎖を有す
る変性糖タンパク質の合成を行っている [1]。本発表では、
数種類の ,Z<インターロイキン \*+,Z<Bg<\0 糖タンパク質
誘導体を設計・合成し、それらの基質をもとに V//- の
基質認識について考察した結果を報告す る。
Bg<\ は KJ アミノ酸残基からなる単純タンパク質である
が、我々はその Asn36 残基に M9 糖鎖を導入した誘導体を
化学合 成した。Bg<\ は J 本のジスルフィド結合を持つが、
ジスルフィド結合の有無や位置の違いが V//- の基質認
識に与える影 響を調べるため、ジスルフィド結合を持た
ない ,Z<Bg\<ポリペプチド型、1 本のジスルフィド結合を
もつ ,Z<Bg\<単量 体、および Bg<\ の 34 位から KJ 位のア
ミノ酸残基に相当する ,Z<糖ペプチドなど 6 種類の誘導体
を合成した。これらの誘 導体を用いて V//- の基質認識
能を解析したところ、天然型と異なるジスルフィド結合を
持つものは一般的に良い基質と なる傾向があることを見
出した。
レクチンや抗体と糖鎖の結合を調べる際、天然の糖たん
ぱく質を使う場合がある。しかしながら、天然の糖たんぱ
く質上に存在する糖鎖は、類似構造の混合物であり、それ
らを直接用いて結合特異性を精度高く調べることは難し
い。我々はこれまで、ニワトリ卵のような生体資材から
mg オーダーで糖鎖を調製する方法論の構築をおこなって
きた。この方法 を使って得られた糖鎖を利用して、単一
構造で多価の糖鎖を持つ糖たんぱく質 (neoglycoprotein) の
合成を検討し、糖鎖生物学の課題解決に効率よく応用する
ことを考えた。
種々の生体資材に含まれる糖たんぱく質からヒドラジ分
解により糖鎖を切り出し、還元末端を J< アミノピリジン
で標識後各種クロマトグラフィーを使って単一標品に精製
した。得られたピリジルアミノ化糖鎖を接触還元後、無水
ヒドラジンと反応させることでピリジン環を脱離させ、[<
アミノ <[< デオキシ誘導体にした。これをウシ血清アルブ
ミンのシステイン基に架橋剤を介して導入することで目的
の neoglycoprotein を得た。また、遊離型で入手可能なオリ
ゴ糖ついても同様の方法で neoglycoprotein を調製した。以
上得られた neoglycoprotein の有効性を調べるため、舘野ら
の方法 +/"#$%:'%"%!#D*JQQ\D*[\D*K\Z0 に従い、これらをエポ
キシ活性基でコートされたガラス基板上に固定し、N#i 標
識した各種レクチンと反応させたところ、エバネッセント
波励起式スキャナーを使って高感度に測定可能であること
が確認された。現在、インフルエンザウイルス粒子との結
合実験が可能であるかを、直接蛍光標識、抗体を介したオー
バーレイ方式それぞれについて検討している。
s[t*B9=@'D*,6*et al., J. Am. Chem. Soc., 134D*KJi\D*+JQ[J06
71
b1-08
b1-09
イズロン酸を含むヘパラン硫酸部分二糖構造
ライブラリーの系統的合成
2位水酸基反転によるαグルコシド結合構築
を用いた小胞体 N 結合型糖鎖の系統的合成
○若尾雅広 、春山まみ 、隅田泰生
○岩本将吾 、飯野健太 、笠原佑太 、殿塚隆史 、
3,4
1
伊藤幸成 、松尾一郎
1
1
[DJ
[DJ
鹿児島大・院理工、 (株)スディックスバイオテック
J
1
1
1
/82(6*C$7%%"*%>*C$'6*S1!6D*U2!%&7'@2*V1'?6D*J*CVbF<h'%4)$*N%856
ヘパラン硫酸(HS)は、細胞表面や細胞外マトリック
スに存在し、成長因子やサイトカインなどの様々な生理活
性分子と結合して、それらの生理活性を調節する。HS 鎖
は、生合成過程において N<H エピ化酵素や硫酸転移酵素の
不均一な酵素修飾を受けるため、多様な微細構造を有する。
この HS の多様な微細構造が、特定の生理活性分子との結
合に重要で、それらの機能を調節すると考えられており、
分子レベルでの構造解析が求められている。本研究では、
HS の構造活性相関解析の一環として、イズロン酸を含む
HS 二糖構造の系統的合成によるライブラリー化について
検討した。
多様な HS 二糖構造を効率よく合成するため、その中間
体として共通中間体 1 を設計した。この中間体 1 は、それ
ぞれのグルコサミン成分、イズロン酸成分、グルコース成
分の単糖成分を順次縮合することによって調製できた。硫
酸化糖鎖への誘導は、合成した中間体 1 の選択的な保護
基の除去を行った後、位置選択的な硫酸化によって行い、
16種類の硫酸化パターンを有する HS 二糖構造を合成し
た。
72
J
J*
3
4
群馬大院・工、 東農工大院・農、 理研基幹研、 SM.-L<fC-
○C7%!%*B32@%4% D*U)142*B'1% , Yuta Kasahara , Takashi Tonozuka ,
3,4
1
W=a'&7'!)*B4% D*B$7'8%*,24&=%
1
1
3
Summary: Heparan sulfate (HS) binds to various bioactive
proteins such as growth factors, cytokines, and cell adhesion
proteins, and regulates their biological functions. The specific
@'$8%<(%@2'1*&48=$4=8)*'1*XC*$72'1*'&*8)&5%1&':")*>%8*47)*&5)$'G$*
:'1('1!* '14)82$4'%16* B1* 47'&* &4=(#D* 4%* '1?)&4'!24)* 47)'8* :'1('1!*
property at the molecular level, we systematically synthesized
HS partial disaccharide structures containing iduronic acid for
HS library.
1
Systematic synthesis of N- glycan derivatives using inversion of
H9K-/#25%;#"-)5%(:-7%5-$%&0+5($+1%&-%7-R9)"($%0121$-"1&S*),0
Systematic synthesis of heparan sulfate disaccharide
library containing iduronic acid
1
[DJ
[DJ
○Masahiro WAKAO D*,2@'*X.MVW.,. D*W2&=%*CVb.
1
1
1
J
Gunma univ., J*-%a#%*V1'?6*%>*.!8'$="4=8)*21(*-)$76*
MBUS^<.CBD*4 SM.-L<fC-
Summary:* B1* %8()8* 4%* $%1(=$4* {=214'424'?)* 212"#&'&* %>*
58%$)&&'1!*A<!"=$%&'(2&)*BD*3)*&#147)&'9)(*>"=%8)&$)14*"2:)")(*
oligosaccharide derivatives (GlcMan Q<i*<b21&#"06*N%1&48=$4'%1*
%>* 47)* 2""* A<!"=$%&'()* :%1(&D* 3)* )@5"%#)(* '1?)8&'%1* @)47%(*
2&*>%""%3&n*&4)8)%&)")$4'?)*A<@211%&#"24'%1D*%F'(24'%1*%>*N<J*
7#(8%F#*!8%=5D*21(*&=:&){=)14*8)(=$4'%1*%>*a)4%1)*'14%*7#(8%F#"*
!8%=5* 4%* !'?)* 47)* A<!"=$%* ()8'?24'?)6* V&'1!* 47)&)* 58%:)&D* 3)*
212"#9)(* )19#@24'$* 2$4'?'4#* 21(* 3'""* ('&$=&&* 47)* &48=$4=8)<
activity relationships.
プロセシング A< グルコシダーゼ B*+/B0* は小胞体に局在
する糖加水分解酵素で、アスパラギン結合型糖鎖 14 糖の
非還元末端側のグルコース残基を1つ除去することが知ら
れている。一方、これまでに報告されている K m 値は、基
質として用いる糖誘導体によって大きく異なり系統的な理
解はなされていない。そこで我々は、*/"$A[<J/"$ 構造を有
するオリゴ糖誘導体を系統的に合成し、/B の糖鎖構造と
活性との関係性を明らかにすることを目的とした。本発表
ではブロック合成法を取り入れた Glc 3 Man Q<i* 誘導体の系
統的な合成と酵素活性測定を行なった結果について報告す
る。
6糖骨格の構築は、還元末端部分の2位にアセチル基を
有する3糖供与体*+/"$A[<J/"$A[<i,210*と3糖受容体より
合成した。得られた6糖誘導体のアセチル基を除去、生じ
た水酸基を酸化、ウロシル誘導体へと導いた。得られたウ
ロシル体を還元することで、マンノース残基からグルコー
ス残基へと変換、結果として選択的に目的の糖鎖構造へと
導いた。同様の方法により、4糖および5糖誘導体を合成、
酵素反応追跡のために還元末端部分に対して蛍光性置換基
の導入を行い、目的の糖鎖を系統的に合成した。
b1-10
α(2,3)- 及びα(2,6)- シアリルラクトースの効率的合成とその天然物の独自の
HPLC 充填カラムによる単離
○中塚進一、藤野和孝、沢田義治、松本恵実、石野暢好、牧岡富広
長良サイエンス株式会社
T73$1,&+-0#&+/,010-%7-RUK?MV9-*&2-RUK?WV901*"#""*$+%0,--*&2-1+0-10%"*+1%&-75%6-61"S--D#-X4YH-0,:*5*+1%&using hand made packed column
○C7'1<'$7'*^2a24&=a2D*U29=42a2*T=m'1%D*W%&7'728=*C232(2D*S@'*,24&=@%4%D*^%:=#%&7'*B&7'1%D*-%@'7'8%*,2a'%a2
^2!282*C$')1&)*N%6D*g4(6
Summary:* S>>'$')14**&#147)&)&*%>*A+JDi0<*21(*A+JDP0<&'2"#""2$4%&)*?'2*!"#$%&'(24'%1*%>*58%4)$4)(*&'2"'$*2$'(*21(*
protected lactose and several deprotection steps were acieved and natural sialyllactose were isolated from milk by
XegN*&)52824'%1*=&'1!*721(*@2()**52$a)(*$%"=@1*'1*%?)8*ZZu*5=8'4#6
シアル酸含有糖鎖合成法の発展に伴って、困難と
言われたグリコシル化反応の縮合収率は KQu 前後
で、差があるとしてもわずか [Qu 程度でさほど重
要ではなくなった。シアリルラクトースの合成の場
合、シアル酸供与体とその受容体の合成に 9 段階、
グリコシル化に 1 段階、シアリルラクトース保護体
の脱保護に 3 段階の合計 13 工程が必要であり、わ
ずか 1 段階のグリコシル化反応の収率よりも、その
他の保護、脱保護に関する約 10 工程の収率と分離
精製過程が遥かに重要となっている。
一方、有用成分を含有するミルク等の天然素材の
場合、その含有成分の単価は純度によって大きく異
なり、分離精製技術が極めて重要である。以上の観
点から、シアリルラクトース合成における各反応工
程の効率化と天然素材の XegN を用いる分離精製
により A+JDi0<*及び A+JDP0< シアリルラクトースの高
純度 ZZu 品のグラム単位での効率的生産に成功し
た。
また、ガングリオシド GM3 とその主要な構成成
分の有機合成と米、蒟蒻等の 10 種類のグルコシル
セラミド標準品及びその主要な構成成分の分離精
製にも成功したので合わせて報告する。
73
b1-11
糖オキサゾリン誘導体の一段階合成を活用し
たワンポット配糖化反応
温和条件下での有機すず触媒を用いる無保護
糖類の選択的モノスルホニル化
○野口真人、藤枝 司、小林厚志、正田晋一郎
○村松 渉
東北大院工・バイオ工学
長崎大院医歯薬
Z&,9:%+-$/,6%9,&F#6*+1$-0#&+/,010-%7-)"#$%012,-75%675,,-0*$$/*512,-<1*-0()*5-%;*F%"1&,-2,51<*+1<,
H/,6%9-*&2-J,)1%0,",$+1<,-L%&%0("7%&#"*+1%&-%7-O%&:5%+,$+,2H*5D%/#25*+,0-H*+*"#F,2-D#-Z5)*&%+1&-N1$/"%512,-(&2,5-L1"2-H%&21+1%&0
○,2&24%*^%!=$7'D*-&=2a&2*T=m')(2D*.4&=&7'*U%:2#2&7'D*
C7'1<'$7'8%*C7%(2
○Wataru Muramatsu
-%7%a=*V1'?)8&'4#
/82(=24)*C$7%%"*%>*h'%@)('$2"*C$'6D*^2!2&2a'*V1'?6
Summary:* L1)<5%4* &#147)&'&* %>* !"#$%&'()* >8%@* >8))*
saccharide was achieved by using of direct synthesis of sugar
%F29%"'1)* ()8'?24'?)* :#* 324)8* &%"=:")* ()7#(824'1!* 2!)14*
>%""%3)(*:#*!"#$%&'(2&)<$242"#9)(*!"#$%&#"24'%1*8)2$4'%16
Summary: The catalytic regioselective monosulfonylation
of nonprotected carbohydrates using organotin dichloride
under mild conditions is demonstrated. The pyranosides were
$7)@%<*21(*8)!'%&)")$4'?)"#*$%1?)84)(*4%*47)*$%88)&5%1('1!*
monosulfonates in the presence of monoalcohols or
furanoside. The regioselectivity of the sulfonylation is
attributed to the intrinsic character of the carbohydrates based
%1*47)*&4)8)%8)"24'%1&7'5*2@%1!*47)'8*7#(8%F#*!8%=5&
糖オキサゾリン誘導体は、糖加水分解酵素を用いる
配糖化反応において、高効率で配糖化体を与える有用
な糖供与体である。我々は J<クロロ<[Di<ジメチルイミ
ダゾリニウムクロリド +b,N0 を用いる糖オキサゾリン
誘導体の一段階合成を報告している。しかし合成には
b,N の自発加水分解がかなり起こるため、b,N を過
剰量用いる必要が有った。これに引き続く糖加水分解
酵素触媒配糖化反応を行うためには、酵素の失活を避
ける目的で精製操作が不可欠であった。そこで本研究
では、安定な脱水縮合剤を用いることで、脱水縮合剤
の使用量を減らし、引き続く糖加水分解酵素触媒配糖
化反応がワンポットで可能な糖オキサゾリン誘導体の
一段階合成法の検討を行った。
種々の脱水縮合剤を検討した結果、J<クロロ<[Di<ジメ
チルベンゾイミダゾリニウムクロリド(Nb,hB)を用
いた場合、対応するオキサゾリン誘導体が効率よく得
られ、脱水縮合剤の分解物が沈殿することが分かった。
N< アセチルグルコサミンを出発原料として反応条件を
検討した結果、Q*€N で、Nb,hB を 3 当量、塩基として
リン酸三ナトリウムを K6H 当量用いた場合に収率 \[u
となった。ジシアロ糖タンパク質糖鎖を Nb,hB によ
りオキサゾリン誘導体へと誘導化後、変異型 S1(%<,*
^[KH• とアクセプターを加えることで糖転移反応が高
効率で進行することが明らかとなった。
74
b1-12
位置選択的に官能基化された糖類は、多糖類の合成
や天然物の全合成、コンビナトリアルライブラリー構
築に必須の中間体で、通常数工程の保護 < 脱保護操作
を経て合成される。一方で、これら操作は合成を行う
上で本来不必要なステップであり、直接特定の水酸基
のみを位置選択的に官能基化することができれば、合
成過程で生じる様々なコスト削減につながるばかりで
なく、安全性や環境への負荷に対する問題も解決され
るものと期待される。また、糖類は感染過程や癌の転
移など広範囲な生物学的過程において重要な役割を果
たしており、このような生物学的現象の探求やそれに
基づく医薬品開発を行うためにも、自由自在に分子変
換可能な糖誘導体の精密合成法の開発が必須と考える。
最近我々は、有機すず触媒を用いた無保護糖類の位
置選択的モノチオカルボニル化に続き、モノスルホニ
ル化の開発にも成功した。得られたチオカーボネート
はラジカル的手法による分子変換が可能であったが、
その汎用性は一般にそれほど広くない。一方で、スル
ホニル基は優れた脱離基として広く利用されているこ
とから、位置選択的にスルホニル化された糖類は有用
な中間体として今後の幅広い活用が期待される。本学
会では、有機すず触媒を用いる無保護糖類の位置選択
的モノスルホニル化を中心にその詳細を報告する。
b1-13
ヒトヘパラナーゼの基質となるヘパラン硫酸四糖の化学合成
○武田尚子 、池田−松見礼美奈 、大瀧−南条未来 、南條美輪 、谷口−森田佳代 、江原−永原 郁 、田村純一
1
1
J
J
J
J
J
[DJ
鳥取大院工、 鳥取大地域
J
Synthesis of heparan sulfate tetrasaccharide as a substrate for human heparanase
○Naoko Takeda D*M)@'12*Ba)(2<,24&=@' D*,'#=a'*L42a'<^21m% , Miwa Nanjo D*U2#%*-21'!=$7'<,%8'42 ,
J
[DJ
U2%8=*S:282<^2!27282 D*f=1<'$7'*-2@=82
1
1
J
J
J
J
/82(6*C$7%%"*%>*S1!6D*-%44%8'*V1'?6D*J*T2$6*%>*M)!'%12"*C$'6D*-%44%8'*V1'?6
Summary:*E)*&#147)&'9)(*8)!'%&5)$'G$2""#*&=">24)(*7)52821*&=">24)*4)482&2$$728'()D*;/"$.[→YA/"$^+^CPC0[→Y;
GlcA1→YA/"$^+^CPC0*2&*2*&=:&4824)*>%8*7=@21*7)528212&)6*N%=5"'1!*%>*47)*('&2$$728'()*=1'4&*+;/"$.[→4GlcN )
32&*2$7')?)(*'1*21*)>G$')14*21(*&4)8)%$%148%"")(*@211)8*4%*!'?)*47)*()&'8)(*4)482&2$$728'()6*C=:&){=)14*&25%1'G$24'%1D*
O<&=">24'%1* 21(* ()58%4)$4'%1* 3)8)* &=$$)&&>=""#6* T'12"*N<&=">24'%1* 32&* 8)!'%&5)$'>'$2""#* 2$$%@5"'&7)(* 3'47%=4*
>%8@24'%1*%>*:#<58%(=$46*
腫瘍細胞から分泌される酵素には、グリコサミノ
グリカン (GAG) を基質とするものがあり、複雑な
糖鎖配列、硫酸基の数や位置、糖残基の立体化学な
どの糖鎖の微細構造を正確に読み取る。がん細胞
は、基底膜を構成する一つであるヘパラン硫酸プロ
テオグリカン +XCe/0*に特異的な分解酵素であるヘ
パラナーゼを分泌することで、XCe/ の /"$.</"$^
の糖間を切断する。その結果、基底膜が分解され、
がん細胞は血管内に侵入し他の臓器へと転移する
s[DJt。がん細胞によって分泌されたヘパラナーゼを
認識できれば、がんの早期発見につながる。今回筆
者らは、ヒトヘパラナーゼに特異的なヘパラン硫酸
四糖 (;/"$.[→YA/"$^*+^CPC0*[→Y;/"$.[→YA/"$^*
(NS6S)) の合成に成功した [3] ので報告する。
グルコースとマンノースから合成した二糖 1 を
用いて、二糖受容体 2 と供与体 3 を合成した。受
容体 2 と供与体 3 の縮合を試みたが、ヘパラン硫
酸四糖保護体5の収率 +ApJiuD*;p[Ju0 と A 選択性
+A];p[6Z0 が 低 か っ た。 し か し、AgOTf と collidine
を用いて <YQI で2と供与体 4 を縮合させると、収
率 +ApPHuD*;p[[u0 も A 選 択 性 +A];pH6Z0 も 向 上 し
た。続いて、5 の O<硫酸化や保護基の除去を行い、
最後に GlcN のアミノ基の硫酸化を NaOH 水溶液
中で SO3・pyridine を用いて行った。しかし、目的
四糖 7 の他に GlcN の 3 位水酸基が硫酸化された 6
+;/"$.[→YA/"$^* +^CiCPC0* [→Y;/"$.[→YA/"$^*
(NS6S)) も得られた。この副生物の生成には Na+ イ
オンと GlcA のカルボキシル基及び GlcN の 3 位水
酸基の間で錯体を形成したことが原因と考えられ
た。そのため、Na 錯体の形成を避ける目的で塩基
にトリエチルアミンを使用した結果、GlcN の 3 位
水酸基は硫酸化されず、目的とするヘパラン硫酸四
糖7 +;/"$.[→YA/"$^*+^CPC0*[→Y;/"$.[→YA/"$^*
(NS6S)) のみを高収率で合成することができた。
参考文献
[1] M. Nakajima, et al., J. Biol. Chem6D*JHZD*JJ\i*+[Z\Y06
sJt*W6*La2(2D*)4*2"6D*J. Biol.Chem6D*JKKD*YJY\\*+JQQJ06
[3] N. Takeda, et al., Carbohydr. Res6D*iHiD*[i*+JQ[J06
75
b1-14
低毒性糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子の開発と応
用
○新地浩之 、坂本雅弥 、永田野々香 、上松太郎 、
3
3
1
[DJ
望月衛子 、桑畑 進 、若尾雅広 、隅田泰生
1
1
3
1
1
3
鹿児島大・院理工、 スディックスバイオテック、
阪大院・工
J*
N,<,"%:6,&+-%7-"%B-+%;1$-0()*59$/*1&9166%D1"1F,2E(%5,0$,&+-&*&%:*5+1$",0-*&2-+/,15-*::"1$*+1%&
○Hiroyuki Shinchi , Masaya Sakamoto , Nonoka Nagata ,
3
3
3
-28%*V)@24&= , Eiko Mochizuki , Susumu Kuwabata ,
1
[DJ
Masahiro Wakao , Yasuo Suda
1
1
1
1
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*S1!'1))8'1!D*U2!%&7'@2*V1'?6D*
CVbF<h'%4)$*N%856D*
3
/82(=24)*C$7%%"*%>*S1!'1))8'1!D*L&2a2*V1'?6
J*
Summary: Quantum dots (QDs) containing semiconductor
121%$8#&42"&* )F7':'4* 24482$4'?)* "=@'1)&$)14* 58%5)84')&6*
T=1$4'%12"'9)(*•b&*3'47*:'%@%")$=")&*72&*:))1*=4'"'9)(*2&*
bioimaging tool. Most of QDs are, however, composed of
7'!7"#*4%F'$*$2(@'=@D*72?'1!*"'@'424'%1*>%8*47)*255"'$24'%1*
4%* :'%'@2!'1!6* B1* 47'&* &4=(#D* 3)* 58)528)(* "%3* 4%F'$*
•b* $%142'1'1!* ~1C<.!B1C J* &%"'(* &%"=4'%1* +~.BC0D* 21(*
'@@%:'"'9)(* &=!28<$72'1* +CN0* 4%* ()?)"%5* CN<'@@%:'"'9)(*
j=%8)&$)14*121%5284'$")&*+~.BC<CT^e&06**E)*2"&%*8)5%84*47)'8*
$)""*:'1('1!*58%5)84#*21(*$#4%4%F'$'4#6
量子ドット(QD)は、半導体成分からなるナノ粒子で、
紫外線などの光照射により強い蛍光を呈する。QD は有
機蛍光色素に比べ光安定性が高く、表面に様々な生体
関連分子を固定化できるため、生体イメージングなど
への応用研究が活発に行われている。しかし、これま
でに報告されている QD の多くは、細胞毒性の高いカ
ドミウムなどを含むため、生体イメージングへの応用
が制限されている。本研究では、カドミウムに比べて、
毒性の低い元素で構成される ~1C<.!B1CJ 固溶体(~.BC)
に着目し、~.BC]~1C* コア / シェル構造をコア成分に持
つ糖鎖固定化蛍光性ナノ粒子(~.BC*<CT^e&)の合成に
ついて検討した。また ~.BC*CT^e の細胞に対する結合
性、毒性についても検討した。
[1]
~.BC<CT^e は、親水化した ~.BC]~1C*•b と当研究
sJt
室で開発されている糖鎖リガンド複合体 を混合する
ことで合成した。調製した CT^e は、糖鎖特異的に糖
結合性タンパク質と相互作用し、またフローサイトメ
トリー(T.NC)および共焦点顕微鏡を用いて、細胞
に対する CT^e の結合性について調べたところ、細胞
種によって異なる糖鎖結合性が観察された。さらに細
胞毒性を調べたところ、~.BC<CT^e はカドミウム含有
CT^e に比べ、低毒性であることが明らかとなった。
[1] T. Torimoto, et al. J. Am. Chem. Soc.*JQQKD*129D*[Ji\\<[Ji\Z6
sJt*W6*C=(2D*et al. Bioconj. Chem.*JQQPD*17D*[[JHy[[iH6
76
A2-01
特定の糖鎖構造を持つタンパク質の蛍光イメージングと細胞内動態解析
○芳賀淑美 、石井久美子 、日比野佳代 、佐甲靖志 、伊藤幸成 、谷口直之 、鈴木 匡
1
1
1
J
J
3,4
H
1
理研・糖鎖代謝、 理研・細胞情報、 理研・細胞制御化学、 *SM.-L<fC-、 理研・疾患糖鎖
J
3
4
H
86*)1&)-%7-)"#$%7%560[-*-0B,,+-+%%"-+%-<10(*"1F,-+/,-2#&*61$0-%7-0:,$13$-)"#$%:5%+,1&0
1
1
J
J
3,4
H
1
○Yoshimi Haga , U=@'a%*B&7'' , Kayo Hibino , Yasushi Sako D*W=a'&7'!)*B4% , Naoyuki Taniguchi , Tadashi Suzuki
1
3
/"#$%@)42:%"%@)*-)2@D*MBUS^*.CB, J*N)""="28*B1>%8@24'$&*g2:%824%8#D*MBUS^*.CB,
C#147)4'$*N)""="28*N7)@'&48#*g2:%824%8#D*MBUS^*.CB, 4 SM.-L<fC-, H*b'&)2&)*/"#$%@'$&*-)2@D*MBUS^*.CB
Summary: Analyses of mice lacking glycosyltransferase have suggested that their pathological phenotypes are the
8)&="4*%>*$721!)&*%>*47)*!"#$21*&48=$4=8)&*%1*2*&5)$'G$*v428!)4v*!"#$%58%4)'16*-7)8)>%8)D*@%1'4%8'1!*47)*!"#$%&#"24'%1*
status of a specific protein in living cells is important, but no such methods are currently available. Here we
()@%1&4824)*47)*()4)$4'%1*%>*!"#$%>%8@&*%>*2*&5)$'G$*!"#$%58%4)'1*=&'1!*4821&@)@:821)*j=%8)&$)1$)*8)&%121$)*)1)8!#*
4821&>)8*+TMS-0*4)$71'{=)6
糖鎖修飾はタンパク質の主要な翻訳後修飾の1つ
であり、様々な疾病で糖鎖構造の違いがタンパク質
の機能変異を引き起こしている例が報告されている。
これまで、糖鎖の機能を明らかにするために糖鎖関
連遺伝子を欠損させる手法や糖転移酵素の阻害剤が
用いられてきたが、それらの方法では細胞が持つ全
てのタンパク質の糖鎖構造が変化してしまい、観察
できた現象が真に目的のタンパク質が持つ糖鎖の変
化だけに因るかどうかを明らかにすることは不可能
であった。近年、糖鎖関連遺伝子ノックアウトマウ
スの詳細な病態解析により、その原因が細胞膜上の
受容体などの特定の糖タンパク質上の微細な糖鎖構
造の違いによることが明らかになってきた。すなわ
ち、従来のように糖鎖構造を細胞全体で見るだけで
なく、特定のタンパク質上の特定の糖鎖構造を解析
する必要性が高まっている。しかしながら、現在そ
れを簡便に検出する方法はない。
そこで我々は、蛍光共鳴エネルギー移動(TMS-)
の原理を用いた糖タンパク質イメージングツールを
開発した。目的のタンパク質に融合させた蛍光物質
と、複合糖鎖に結合させた蛍光物質間で TMS- を観
察することで、特定の糖タンパク質における糖付加
状態の差異を明らかにするものである。
N 型糖鎖を1ヶ所のみ持つモデルタンパク質とし
て、インスリン応答性グルコース輸送体 /gV-Y を選
択した。最近、我々は糖鎖構造を変えた /gV-Y や糖
鎖欠損 /gV-Y はインスリン応答経路を通らないこと
を発見し、/gV-Y 上の N 型糖鎖の構造が正しい経路
1
を通るための目印となっている可能性を示している 。
まず、/Te を結合させた /gV-Y を動物細胞に発
現させた。次にアジド基を持つシアル酸前駆体を細
胞内に取り込ませ、蛍光プローブをクリック反応で
結合させて TMS- シグナルを検出、シアル酸を持つ
/gV-Y だけを区別して可視化することに成功した。
さらに、シアル酸の付加が /gV-Y の細胞内動態に及
ぼす影響を調べるために細胞内への取り込みを観察
したところ、シアル酸を持つ /gV-Y は持たないもの
と比べて取り込み速度に違いがあることが明らかと
J
なった 。本研究によって初めて特定の糖鎖を持つタ
ンパク質の挙動解析を実現することに成功した。
1. Haga et al6*+JQ[[0*J. Biol. Chem. 286D*i[iJQ<K
J6*X2!2*et al6*+JQ[J0*Nat. Commun. 3D*ZQK
77
A2-02
シグレック-3 による TLR-4 シグナル伝達の抑制
○中田 博、石田有希子、秋田 薫、戸田宗豊、谷田周平
京産大、総合生命
N%B&96%2("*+1%&-%7-QYJ9@-01)&*"1&)-D#-.1)",$9M
○X'8%&7'*^2a2(2D*.a'a%*B&7'(2D*U2%8=*.a'42D*,=1)4%#%*-%(2D*C7=7)'*-21'(2
U#%4%*C21!#%*V1'?6*g'>)*C$'6
Summary:*E7)1*'@@24=8)*bN&*3)8)*&4'@="24)(*3'47*geC*'1*47)*58)&)1$)*%>*214'<C'!")$<i*@.:D*58%(=$4'%1*%>*Bg<[J*
21(*57%&57%8#"24'%1*%>*^T‚h*()$8)2&)(*&'!1'G$214"#6*E)*()@%1&4824)(*4724*Nb[Y*32&*21*)1(%!)1%=&*$'&*"'!21(*>%8*
C'!")$<i*21(*"'!24'%1*%>*C'!")$<i*3'47*Nb[Y*(%31<8)!="24)(*-gM<Y*&'!12"'1!D*@2'1"#*(=)*4%*'17':'4%8#*)>>)$4*%1*47)*
4821&>)8*%>*geC*>8%@*Nb[Y*4%*-gM<Y6
セレクチンやマンノース受容体のように、多くの (コントロ < ル)を用いて、geC 刺激後の ^T‚ Bの
レクチンが自然免疫系において重要な機能を担っ
リン酸化を比較したところ、野生型では著しいリン
ている。シグレックファミリーの多くは、免疫細
酸化の抑制が見られるのに対して、変異型はコント
胞に発現しているが、機能が明確にされているシグ
ロールレベルであった。また、Nb[Y 組み換え体を
レックは限られている。我々は、樹状細胞上に発現
固相化したプレートに、シグレック<i 組み換え体
するシグレック<i(Nbii)の生物学的機能につい
が結合すること、及びシアリダーゼ処理により結合
て検討した。ヒト末梢血より単核球画分を調製し、 活性が消失することも確認した。
未熟樹状細胞 +'@bN0 を得た。シグレック<i の発現
次に、シグッレク<i の Nb[Y への結合がもたらす
は分化過程を通じて一定の強い発現が認められた。 シグナル伝達の抑制機構について検討した。まず、
抗シグレック<i 抗体の存在下で '@bN を geC で刺
野生型及び変異型シグレック<i 発現株への geC の
激し、JY 時間後の Bg<[J の産生を比較したところ、 結合は差異は見られなかったが、iKI、1 時間後の
コントロールに比して約 40%が減少した。^T‚ B
細胞内への取り込みは、野生株の方が減少した。ま
のリン酸化についても同レベルの減少が見られた。 た、経時的に Nb[Y と -gM<Y への geC の結合を測
従って、シグレック<i は、geC 受容体複合体(Nb[Y、 定したところ、Nb[Y から -gM<Y への移行が抑制さ
,bJ、-gM<Y)のシグナル伝達に影響することが
れることが示唆された。さらに、geC 刺激に伴う
示唆された。シグレック<i の内在性シスリガンド
シグレック<i のリン酸化と CXe<[ のリクルートに
を検索する目的で、'@bN の細胞表面を架橋試薬
よるシグナル伝達の抑制は認められなかった。以
である b-CCe で処理し、細胞を可溶化後、抗シグ
下の図は、シグレック<i による -gM<Y シグナル伝
レック<i 抗体で免疫沈降した。沈降物を電気泳動
達に対する抑制機構のモデルで、geC の Nb[Y から
-gM<Y への移行を阻害するものと考えられる。
し、ウエスタンブロッテイング後に抗 Nb[Y 抗体
や抗 -gM<Y 抗体を用いて共沈物を検出したところ、
Nb[Y が検出された。また、'@bN の蛍光免疫染色
によってもシグレック<i と Nb[Y の共局在が観察さ
れた。XSUJZi 細胞に geC 受容体複合体及び野生
型またはレクチン活性に必須の Arg 残基を Ala に変
換した変異型シグレック<i を導入した細胞株を作
成した。b=%"'1aBB を用いて細胞表面におけるシグ
レック<i と Nb[Y の J 分子間相互作用(J 分子間が
40nm 以内の場合、陽性のシグナルが観察される)
を検討したところ、野生型シグレック<i 発現株で
は陽性のスポットが認められたが、変異型シグレッ
ク<i 発現株では認められなかった。さらに、両細
胞株及び geC 受容体複合体のみを発現する細胞株
78
A2-03
髄液に特徴的な脳型トランスフェリンの認知症マーカーとしての意義
○橋本康弘 、城谷圭朗 、星 京香 、奈良清光 、伊藤浩美 、苅谷慶喜 、本多たかし 、松本由香 、齋藤 清 、
J
J
3
3
4
4
H
H
松本加奈 、山口芳樹 、古川勝敏 、荒井啓行 、宮嶋雅一 、新井 一 、久野 敦 、成松 久
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
福島医大、 理研、 東北大・加齢研、 順大・脳外、 産総研
J
3
4
H
!"#$%7%560-%7-+5*&07,551&-1&-$,5,D5%0:1&*"-E(12-*0-*-21*)&%0+1$-6*5S,5-7%5-2,6,&+1*
○Yasuhiro Hashimoto , Keiro Shirotani , Kyoka Hoshi , Kiyomitsu Nara D*X'8%@'*B4%7 , Keiki Kariya , Takashi Honda ,
1
1
J
J
3
3
Yuka Matsumoto , Kiyoshi Saitoh , Kana Matsumoto , Yoshiki Matsumoto D*U24&=4%&7'*T=8=a232 , Hiroyuki Arai ,
4
4
H
H
Masakazu Miyajima , Hajime Arai , Atsushi Kuno , Hisashi Narimatsu
1
1
1
1
1
1
1
1
T=a=&7'@2*,)(*V1'?D*J*M'a)1D*3 -%7%a=*V1'?D*4 f=14)1(%*V1'?D*21(*H*.BC-
Summary:*E)*>%=1(*43%*'&%>%8@&*%>*4821&>)88'1*+-><[*21(*-><J0*'1*$)8):8%&5'12"*j='(*21(*47)*824'%*%>*'&%>%8@&*+-><J]-><[0*
32&*2*('2!1%&4'$*@28a)8*>%8*'('%5247'$*1%8@2"*58)&&=8)*7#(8%$)572"=&*+'^eX0D*2*()@)14'2<'1(=$'1!*('&%8()86*/"#$21*212"#&'&*
8)?)2")(*4724*-><[*72(*^<2$)4#"!"=$%&2@'1)<4)8@'124)(*^<!"#$21&*37)8)2&*-><J*('(*AJDP<&'2"'$*2$'(<4)8@'124)(*^<!"#$21&6*
T%8*7'!7*478%=!75=4*212"#&'&*%>*47)&)*!"#$%>%8@&D*3)*()?)"%5)(*2*")$4'1<SgBC.D*'1*37'$7*214'<4821&>)88'1*214':%(#*21(*
lectins were used.
差(5pQ6QQ[)を示したことである(図2B)。
ア ル ツ ハ イ マ ー 病(AD) と 特 発 性 正 常 圧水頭症
ウェスタンブロット法では、JQ 症例(J 枚のメンブ
('^eX)は脳室拡大と認知症を共通して示し、鑑別が
レン)を分析するのに 1 日半を要し、スループットが
難しい。従って、AD マーカーである “ タウ ].;YJ 比率 ”
低い欠点がある。'^eX の潜在患者数は 31 万人と試
に加えて、'^eX の新たな診断マーカーが求められて
算されているので、ウェスタンブロット法よりハイス
いる。そこで、髄液タンパク質の系統的な解析を目的
ループットの測定法が必要である。-><[ および -><J
として、各種の抗体を用いたウエスタンブロット法に
の末端糖は、それぞれ AJDP シアル酸および GlcNAc で
よるスクリーニングを行った。その結果、髄液トラン
あり、SSA および e_g レクチンに結合する。そこで、
スフェリン(Tf)には血清トランスフェリンと同じ移
レクチンと抗 Tf 抗体を利用したサンドイッチ SgBC.
動度のもの(血清型 -><J)と、髄液に特有のもの(脳
法の開発を行った。-><[ の測定のために、e_g レク
型 -><[)の2種類が存在することが明らかとなった(図
1)。両者を精製してその構造の違いを調べたところ、 チンをプレート上にコートして -><[ を捕捉した。捕
捉された -><[ を抗トランスフェリン抗体で検出した。
糖鎖修飾が異なっていた ( 図1のインサートに糖鎖構
この測定系では -><J は全くシグナルを与えなかった
造を示した )(T=42a232*CD*^282*U*)4*2"D*^)=8%:'%"%!#*%>*
.!'1!D*JQ[JD*iik*[\QKy[H0。
(図3A)。-><J の測定のためには、抗体(過ヨウ素酸
処理済み)をプレート上にコートして -><J を捕捉し
'^eX において Tf アイソフォーム濃度を分析したと
た。捕捉された -><J 上の AJDP シアル酸エピトープを
ころ、血清型 -><J は全く変化しないのに対し、脳型
-><[ はコントロールに比べ減少していた(図2A)。 SSA レクチンで検出した。この測定系では -><[ は全
くシグナルを与えなかった(図3B)。この糖鎖アイ
この現象の診断的有用性を調べるために多数症例での
ソフォームに特異的な方法により -><[ および -><J を
検討を行った。多数症例の分析では複数のウェスタン
定量し、-><J / -><[ 比(トランスフェリン・インデッ
ブロット膜を用いるので、ブロット間の誤差を生じな
クス)を求めたところ、ウェスタンブロット法と同様
いように -><J]-><[ 比率を診断マーカーとした(トラ
に '^eX ではコントロールに比べて有意の上昇を示し
ンスフェリン・インデックス)。なお、このインデッ
た +C7'8%421'*UD*)4*2"D*B14*f*."9*b'&D*'1*58)&&0。本法では 1
クでは -><[ が分母となっているので、-><[ の減少に
枚のマイクロタイタープレートで 96 サンプルの測定
よりインデックス値は上昇する。'^eX の診断感度は
KP%、特異度は Ki%であった。重要な点は、本疾患と
が可能であるため、今後は多数検体を測定して、-><[
のマーカーとしての確立を目指す。
鑑別すべき認知症であるアルツハイマー病と高い有意
79
a2-04
α2,6- シアル酸依存的な血管新生の維持機構
○北爪しのぶ 、今牧理恵 、小川加寿子 、小嶋聡一 、石田秀治 、安藤弘宗 、木曽 真 、小谷典弘 、
H
1
本家孝一 、谷口直之
1
1
6
1
1
J
3
3,4
3,4
HDP
理研・疾患糖鎖、 理研・分子リガンド、 岐阜大学・応用生物、 京都大学・'N),C、 高知大学・医学部、
埼玉医科大学・医学部
J
3
4
H
L%",$("*5-6,$/*&106-%7-RK?W9.1*9-2,:,&2,&+-*&)1%),&,010
1
1
1
J
3
3,4
○Shinobu Kitazume D*M')*B@2@2a' , Kazuko Ogawa , Soichi Kojima D*X'()728=*B&7'(2 , Hiromune Ando ,
3,4
HDP
H
1
Makoto Kiso , Norihiro Kotani , Koichi Honke , Naoyuki Taniguchi
MBUS^*.CBD*3 /'>=*V1'?)8&'4#D*4 U#%4%*V1'?)8&'4#D*H*U%$7'*V1'?)8&'4#D*6 C2'42@2*,)('$2"*V1'?)8&'4#
[DJ*
Summary:*E)*58)?'%=&"#*>%=1(*4724*AJDP<&'2"'$*2$'(*'&*1)$)&&28#*>%8*47)*$)""*&=8>2$)*)F58)&&'%1*%>*5"24)")4*)1(%47)"'2"*
$)""*2(7)&'%1*@%")$=")*+eSN.,06*B1*47)*2:&)1$)*%>*AJDP<&'2"'$*2$'(D*eSN.,<()5)1()14*214'25%54%4'$*&'!12"'1!*32&*
'@52'8)(6*B1*47'&*&4=(#D*3)*G8&4*2&a)(*3724*4#5)*%>*!"#$21*&48=$4=8)*'&*8)$%!1'9)(*:#*eSN.,6*E)*47)1*$7282$4)8'9)(*
AJDP<C'2"'$*2$'(*()5)1()14*>=1$4'%12"*$%@5")F*$%142'1'1!*eSN.,6*E)*2"&%*212"#9)(*47)*$%1&){=)1$)*%>*AJDP<C'2"'$*
2$'(*()G$')1$#*'1*?'?%6
血管内皮細胞は糖衣で覆われているが、血管内
皮細胞上の糖鎖がどのような役割を果たすのかは
不明の点が多い。以前私達は、血管内皮細胞の主
た る 接 着 分 子 で あ る platelet cell adhesion molecule
+eSN.,0 が細胞表面にとどまるために AJDP< シア
1
ル酸が必要であることを明らかにした 。eSN.,
は B!/ スーパーファミリーに属す受容体で、細胞
質側に抑制性の B-B, モチーフを持ち、細胞表面付
近で B-B, がリン酸化されるとホスファターゼがリ
クルートされ、細胞内にアポトーシス抑制シグナ
ルを入れると考えられている。私達は、A*JDP< シア
ル酸欠損下では eSN., のエンドサイトーシスが昂
進し、eSN., 依存的なアポトーシス抑制シグナル
が失われていることを明らかにしてきた。また予
備的な実験から、eSN., をシアリダーゼ消化する
ことで in vitro での eSN., 同志の相互作
用が失われる結果を得たことから、私達
は eSN., が AJDP< シアル酸依存的に相
互作用すると考えている。そこで本研究
において、eSN., がどのようなシアリ
ル化糖鎖を認識するのか明らかにするた
めに、eSN., 同志の相互作用に対する
各種オリゴ糖の抑制効果を調べた。また、
eSN., は血管内皮細胞増殖因子受容体
J*+_S/TMJ0 やインテグリンと機能的複
合体を形成することが知られている。そ
こで、このような機能的複合体は AJDP<
シアル酸依存的であるか否か明らかにす
るため、抗 eSN., 抗体による共免疫沈
降法や S,.MC 法を野生型マウスおよび
AJDP< シアル酸を欠損した血管内皮細胞に
用いることで、eSN., の近傍分子の比
較解析を行った。
80
C-P/2"*B 欠損マウスは正常に発育するため、生理
的な血管新生に大きな異常はないと考えられる。現
在、医療現場で抗血管新生阻害剤が化学療法と併用
で抗腫瘍治療薬として用いられていることを考え
ると、AJDP< シアル酸を欠損した場合、腫瘍内での
血管形成が減退する可能性が考えられた。そこで私
達は、AJDP< シアル酸形成に関わるシアル酸転移酵
素である C-P/2"*B* 欠損マウスおよび野生型マウス
にルイス肺癌細胞を皮下接種し、腫瘍増殖の様子を
モニターすると共に腫瘍内血管の解析を行った結
果を報告したい。
参考文献
[0*C6*U'429=@)*)4*2"6*f6*h'%"6*N7)@6*+JQ[Q0*J\YD*
PH[H<PHJ[6
a2-05
GOLPH3 はシアル酸転移酵素と相互作用し糖
鎖構造とインテグリンの機能を制御する
○伊左治知弥 、竹原雅子花 、小林沙織 、近藤 円 、
1
J
J
J
1
福田友彦 、橋井則貴 、高倉大輔 、川崎ナナ 、顧建国
1
1
1
1
東北薬科・薬・分生研・細胞制御
国立衛研・生物薬品
1
J
!ZY4XM-5,)("*+,0-1&+,)51&\0-7(&$+1%&0-<1*-01*"#"*+1%&
○-%@%#2*B&2m' , Asuka Takehara , Saori Kobayashi ,
1
1
J
Madoka Kondo D*-%@%7'a%*T=a=(2 , Noritaka Hashii ,
J
J
1
Daisuke Takakura , Nana Kawasaki D*f'21!=%*/=
1
1
1
1
b'?6*M)!6*/"#$%6*-%7%a=*e728@6*V1'?6
b'?6*h'%"6*N7)@6*21(*h'%"%!'$2"&D*^24"6*B1&46*X)2"47*C$'6
J*
Summary:*-7)*8)@%()"'1!*%>*^<!"#$21*%1*'14)!8'1*2>>)$4&*
'4v&* :'%"%!'$2"* >=1$4'%1&6* X)8)D* 3)* )F2@'1)(* )>>)$4&* %>*
/LgeXi* %1* $)""* @'!824'%16*-7)* a1%$a(%31* %>* /LgeXi*
+Ub0*8)(=$)(*$)""*@'!824'%1&D*$%1G8@)(*:#*h%#()1*$72@:)8D*
21(*2:)88214*^<!"#$%&#"24'%1*)F2@'1)(*:#*XegN*21(*gN]
,C6* B14)8)&4'1!"#D* 8)&4%824'%1* %>* /LgeXi* &'!1'>'$214"#*
8)&$=)(* 47)* Ub* 57)1%4#5)&6* T=847)8@%8)D* 47)* '14)82$4'%1*
%>*47)*$#4%5"2&@'$*42'"*%>*AJDi<&'2"#"4821&>)82&)*BBBD*B_*3'47*
/LegXi* 32&* $%1>'8@)(* 3'47* '@@=1%58)$'5'424'%1&6*-7'&*
&4=(#*&=!!)&4&*4724*/LgeXi*8)!="24)&*'14)!8'1x&*>=1$4'%1*?'2*
^<!"#$21&6
我々は、インテグリンの機能糖鎖部位に注目し解析
してきた。最近、トランスゴルジに局在するタンパク
質 /LgeXi*+/%"!'*57%&57%58%4)'1*i0 が種々の固形癌にお
いて増加していること、酵母の相同分子(_eCKY)は
糖転移酵素のゴルジ体局在に必須であることが報告さ
れた。本研究は、/LgeXi が癌細胞において細胞浸潤
能や糖鎖修飾の制御に関与するか検討した。ヒト子宮
頸部癌*+X)g20*細胞の /LgeXi*をノックダウン (KD) す
る と、g2@'1'1<iiJ お よ び G:8%1)$'%1 上 で の 細 胞 の 移
動能が有意に低下し、インテグリン ;[ 鎖の阻害抗体
でこれらの細胞移動は阻害された。KD 細胞由来の ;[
鎖は糖鎖部分の違いにより分子量低下を示した。逆相
XegN、gN],C 分析にて糖鎖構造を比較すると、KD 細
胞ではシアリル化糖鎖が低下した。さらに、/LgeXi
遺伝子を再導入した細胞では細胞の移動能やシアリル
化糖鎖が回復傾向にあった。種々のシアリルトランス
フェラーゼの遺伝子発現の変化は認められなかったが、
/LgeXi と相互作用していることが免疫沈降より確認
された。以上から /LgeXi は糖鎖変化を通じてインテ
グリンを介した細胞浸潤活性を調節していることが明
らかとなった。
81
a2-06
各種バキュロウイルスのコンドロイチナーゼ活性とカイコ囲食膜のコンドロイチン硫酸
○杉浦信夫 、吉村真弓 、池田素子 、小林迪弘 、渡辺秀人
1
1
1
J
J
1
愛知医大・分医研、 名大院・生命農
J
H/%&25%1+1&*0,-*$+1<1+#-%7-ZNA9TWW0-75%6-0,<,5*"-D*$("%<15(0,0-*&2-$/%&25%1+1&-0("7*+,-1&-:,51+%5%:/1$6,6D5*&,-75%6-01"SB%56-UBombyx moriV-"*5<*
○Nobuo Sugiura , Mayumi Yoshimura D*,%4%a%*Ba)(2 , Michihiro Kobayashi , Hideto Watanabe
1
1
1
J
J
1
B1&46*,%"6*C$'6*,)(6D*.'$7'*,)(6*V1'?6D*J*/82(6*C$76*h'%2!8'$="46*C$'6D*^2!%#2*V1'?6
Summary:*h2$="%?'8=&*)1?)"%5)*58%4)'1*Lb_<SPP*>8%@*.$,^e_*32&*2*1%?)"*$7%1(8%'4'12&)6*S'!74*Lb_<SPP*
!)1)&*3)8)*$"%1)(*>8%@*&)?)1*:2$="%?'8=&)&D*21(*&)?)82"*8)$%@:'1214*Lb_<SPP*58%4)'1&*3)8)*$%1>'8@)(*4%*72?)*
$7%1(8%'4'12&)*2$4'?'4#6*e8)&)1$)*21(*('&48':=4'%1*%>*$7%1(8%'4'1*&=">24)*'1*%1)*%>*47)*7%&4*'1&)$4&D*&'"a3%8@*+98:6;5.
mori0* "28?2D* 3)8)* '1?)&4'!24)(* 3'47* :'%$7)@'$2"* 21(* '@@=1%7'&4%$7)@'$2"* 212"#&)&6* N7%1(8%'4'1* &=">24)* 72?'1!*
('&4'1$4'?)*('&2$$728'()*$%@5%&'4'%1*)F'&4)(*'1*@'(!=4D*5)8'48%57'$*@)@:821)D*&'"a*!821(D*21(*&a'1*%>*47)*'1&)$46
コンドロイチン硫酸(NC)はプロテオグリカン
として軟骨や中枢神経系・免疫組織など動物組織に
広く分布している酸性多糖体である。NC は脊椎動
物だけでなく、昆虫などの無脊椎動物にも存在して
おり、その発生・成長・分化・再生に重要な役割を
果たしている。NC を分解する酵素はコンドロイチ
ンリアーゼあるいはコンドロイチナーゼと呼ばれ、
主にバクテリア由来である。コンドロイチナーゼは
NC の構造解析や組織解析に利用されており、椎間
板ヘルニアや脊椎損傷の治療薬として臨床治験が
なされている。
バキュロウイルスは核多角体病の原因ウイルス
(^e_)として、主に鱗翅目昆虫に対して強力・致
死的な感染性を示す。そのため特有な昆虫に対する
生物農薬として利用され、昆虫細胞培養系における
外来タンパク質の高発現プローブとして応用され
ている。我々は、バキュロウイルス .$,^e_ が産
生する Lb_<SPP エンベロープタンパク質がコンド
ロイチナーゼであること、そして NC の未硫酸化二
糖単位(b'<QC)と GalNAc 残基6位硫酸化二糖単
位(b'<PC)のみを切断するきわめて特異性の高い
(1)
分解酵素であることを見出した 。
この Lb_<SPP はバキュロウイルス類に普遍的
に存在しており、今回は7種類のバキュロウイル
スから8種の Lb_<SPP 相同遺伝子をクローニン
グし、それらの組換えタンパク質を発現した。い
くつかの組換え Lb_<SPP タンパク質は .$,^e_*
Lb_<SPP と同様にコンドロイチナーゼ活性を有し
ていた。調査したバキュロウイルスの中にカイコ
(98:6;5.:8(#)に感染する h@^e_ が含まれており、
h@^e_ の Lb_<SPP のアミノ酸配列は .$,^e_ の
ものと高い相同性(ZJ%)を持ち、同程度の分解酵
82
素活性を有していた。
病原ウイルスが NC 分解酵素活性を有することか
ら、その宿主にその酵素基質が存在することが示
唆される。そこで、宿主昆虫であるカイコにおけ
る NC の存在および組織分布を解析した。カイコ五
齢幼虫を解剖し、組織から酸性多糖体画分を抽出・
精製し、コンドロイチナーゼ .hN 処理とポストカ
ラム蛍光二糖解析 XegN 法により含有する NC の二
糖組成と含量を求め、特有な組成の NC が存在する
ことを確認した。さらにカイコ幼虫の組織切片を作
製して、抗 NC 抗体を用いた免疫組織染色を行った
ところ、表皮・絹糸腺・中腸基底膜および囲食膜に
NC の分布が認められた。
Lb_<SPP を欠損したバキュロウイルスは昆虫宿
主への初期感染で野生型ウイルスに比べ 1000 分の
1 感染性が低下したとの報告がある。すなわち、餌
事と共に摂取された包埋型ウイルスは中腸内で溶
解し、エンベロープタンパク質 Lb_<SPP はウイル
ス本体と共に可溶化される。可溶化 Lb_<SPP はそ
のコンドロイチナーゼ活性により囲食膜中の NC を
分解して透過性を亢進させ、中腸上皮細胞へのウイ
ルス感染を促進していると考えられる。
(1) Sugiura N., et al. J. Biol. Chem. 286,
JZQJP<JZQiY*+JQ[[0*
A2-07
リンパ球ホーミングおよびアレルギー性免疫応答における硫酸化糖鎖の機能
○川島博人
静岡県立大学薬学部
Roles of sulfated glycans in lymphocyte homing and allergic immune responses
○Hiroto Kawashima
C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*V1'?)8&'4#*%>*C7'9=%a2
Summary:*C4=(')&*=&'1!*1)3"#*()?)"%5)(*214'<&=">24)(*!"#$21*214':%(')&*8)?)2")(*4724*&=">24)(*N<*21(*O<!"#$21&*
play critical roles in lymphocyte homing to the peripheral lymph nodes and contact hypersensitivity. More recent
&4=(')&* &7%3)(* 4724* &=">24)(* !"#$21&* 8)!="24)* $)""<4#5)* &5)$'>'$* "#@57%$#4)* 7%@'1!* 4%* 47)* 12&2"<2&&%$'24)(*
"#@57%'(*4'&&=)&*21(*2"")8!'$*87'1'4'&6*B1*47'&*58)&)1424'%1D*47)*>=1$4'%1&*%>*&=">24)(*!"#$21&*'1*"#@57%$#4)*7%@'1!*
and allergic immune responses are discussed.
血液中を循環するリンパ球は、丈の高い特殊な
血管である高内皮細静脈 +XS_0 を介して末梢リン
パ節 +eg^0 や鼻咽頭関連リンパ組織 +^.g-0 など
の二次リンパ組織に絶えずホーミングし、免疫監
視およびアレルギー性免疫応答において中心的な
役割を果たしている。本発表では、新しく開発し
た方法論に基づいて樹立した抗糖鎖抗体を用いた
eg^ へのリンパ球ホーミングにおける硫酸化糖
鎖の機能解析、および硫酸基転移酵素欠損マウス
を用いた ^.g- へのリンパ球ホーミングとアレル
ギー性鼻炎発症における硫酸化糖鎖の機能解析の
結果を紹介する。
はじめに、硫酸基転移酵素 /"$^.$PC-<[ および
/"$^.$PC-<J を欠損するダブルノックアウトマウ
ス (DKO マウス ) [1] を硫酸基転移酵素強制発現株
で免疫し、二種類の抗糖鎖モノクローナル抗体 S1
および CJ を樹立した sJt。両抗体は、野生型マウ
スの XS_ と強く結合したが、DKO マウスの XS_
とは結合しなかった。糖鎖アレイを用いた解析に
おいて、両抗体ともにホーミングレセプター・g<
セレクチンのリガンドとして知られている硫酸
化糖鎖 P<スルホシアリルルイス ` および P<スル
ホシアリル g2$^.$ と特異的に結合した。興味深
いことに、CJ は eg^ へのリンパ球ホーミングを
ZHu 抑制したが、
S1 は約 JHu しか抑制しなかった。
CJ
また
のみが、接触性皮膚炎モデルにおいて有
意な抑制作用を示した。そこで O<型糖鎖伸長酵素
欠損マウスを用いた詳細な組織学的検討を行った
ところ、S1 は XS_ 上に発現する硫酸化 O< 型糖
鎖と選択的に結合するのに対し、CJ は XS_ 上に
発現する硫酸化 O<型糖鎖と硫酸化 N<型糖鎖の双
方に結合することが明らかとなった。以上の結果
から、硫酸化 O<型糖鎖と硫酸化 N<型糖鎖の双方
が eg^ へのリンパ球ホーミングに関与すること
が示された。
次に上述の DKO マウスを用いて、^.g- への
リンパ球ホーミングにおける硫酸化糖鎖の機能
解析を行った [3]。その結果、^.g- への通常の
NbY 陽性 T 細胞のホーミングには g<セレクチン <
硫酸化糖鎖相互作用が主要な役割を果たすのに対
して、制御性 T 細胞のホーミングには g<セレクチ
ン<硫酸化糖鎖、NbYY<ヒアルロン酸および eC/g<
[<e<セレクチンの三種の糖鎖と糖鎖結合分子の
相互作用が関与することを見いだした。さらに、
DKO マウスの ^.g- においては、g<セレクチン<
硫酸化糖鎖相互作用以外の接着経路を用いてホー
ミングすることのできる制御性 T 細胞数が増加
し、経鼻的に投与した抗原に対する特異的な B!S
産生やくしゃみの誘導などのアレルギー性の免疫
応答が顕著に抑制されることを見いだした。以上
の結果より、硫酸化糖鎖の機能を選択的に阻害す
ることにより、制御性 T 細胞の ^.g- への選択的
な集積を誘導し、アレルギー性鼻炎を軽減できる
ことが示された。
[1] Kawashima et al., Nature Immunology*Pk[QZP<[[QY*
+JQQH0
sJt*X'82a232*et al., J. Biol. Chem.D*J\HkYQ\PY<YQ\K\*
+JQ[Q0
[3] Ohmichi et al., <=.>5*=.?&-=D*JQ\k[Q[H<[QJH*+JQ[[0
83
a2-08
a2-09
イネキチン受容体 CEBiP の糖鎖認識機構の解
析
○賀来華江 、早船真広 、加山実祐 、有馬祥子 、神谷光太 、
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新屋友規 、M'42*h)8'&'%* 、澁谷直人
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Structure-function studies of rice chitin receptor
HT]14
○Hanae Kaku , Masahiro Hayafune , Miyu Kayama ,
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Sakiko Arima , Kota Kamiya , Tomonori Shinya ,
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M'42*h)8'&'% , Naoto Shibuya
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○Kazuhiro Aoki D*g='!'*h%$$=4% , Michael Kulik D*M'$728(*C4))4 ,
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Stephen Dalton D*N728")&*C$732849 , Michael Tiemeyer
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VC.n*J*b)5284@)14*%>*h'%$7)@'&48#*21(*,%")$="28*h'%"%!#D*V1'?)8&'4#*
%>*/)%8!'2D*/.D*VC.n*3 /8))13%%(*/)1)4'$*N)14)8D*CND*VC.
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b)546*g'>)*C$'6D*,)'m'*V1'?6D*
Bhh<N^M
Summary:*-3%* g#&,* 8)$)54%8&D* NSh'e]L&NSMU[D* 5"2#*
important roles in defense signaling induced by chitin
%"'!%&2$$728'()&* '1* 8'$)* $)""&6* NSh'e* '&* 2* /eB* 21$7%8)(*
58%4)'1*21(*72&*&)?)82"*g#&,*(%@2'1&*'1*47)*)F482$)""="28*
region, which seem to relate to the chitin binding activity
%>* NSh'e6* X)8)* 3)* ('&$=&&* 47)* 8)"24'%1&7'5* :)43))1* 47)*
&48=$4=8)*%>*47)&)*g#&,*(%@2'1&*21(*&=!28*:'1('1!*&5)$'G$'4#*
%>*NSh'e6
植物は微生物の持つ特有な分子パターン(,'$8%:)<
.&&%$'24)(*,%")$="28*e244)81&n*,.,e&) を 認 識 し 様 々
な防御応答を誘導することが知られている。我々は真
菌の細胞壁の主要な構成多糖であるキチンの断片が
,.,e として、単子葉及び双子葉を問わず広範囲の植
物において防御反応を誘導することを明らかにし、ま
たイネ及びシロイヌナズナからこの応答に関連する
g#&, 型膜タンパク質受容体 NSh'e 及び NSMU[ を同定
[<i)
した 。イネにおいては NSh'e と L&NSMU[ の J つの
分子がキチンエリシターの受容とシグナル伝達に重要
な役割をもつことを明らかにした。NSh'e はキチンオ
リゴ糖に対して高い結合特異性を持つ /eB アンカー型
タンパク質であり、細胞外領域にキチンの結合に関与
する g#&, ドメインを複数有していた。我々は NSh'e
の g#&, ドメインがどのようにキチンエリシターの認
識に関わるのかを調べるために、NSh'e の g#&, ドメ
インのデリーション及びキチンエリシター非結合性の
NSh'e 型分子との g#&, ドメインのスワップ実験を行
い、キチンエリシター認識に関わる主要な g#&, ドメ
インを同定した。またタンパク質立体構造モデリング
により、キチンエリシター結合に関わる重要なアミノ
酸残基を推測し、これらのアミノ酸残基を置換した変
異体タンパク質を用いて解析した結果も併せて報告す
る。
1) Kaku et al. PNAS*+JQQP0D*J0*,'#2*)4*2"6*PNAS*+JQQK0D*
3) Shimizu et al. Plant J. +JQ[Q0
84
Glycomic analysis of cell lineages derived from Salt*&294,::,5-.#&25%6,-14.-$,""0
Summary:*E)*72?)*'()14'G)(*2*1%?)"*!"#$%&#"24'%1<8)"24)(*
7=@21* ('&%8()8* cC2"4<21(<e)55)8d* &#1(8%@)* +C|eC0* 4724*
2>>)$4&* 2* !"#$%&57'1!%"'5'(* +/Cg0<&5)$'>'$* :'%&#147)4'$*
)19#@)D* 47)* &'2"#"4821&>)82&)* C-i/2"H* +/,i* &#1472&)0*
which produces the simplest ganglioside GM3. To understand
47)*$%148':=4'%1*%>*/Cg*()G$')1$#*4%*47)*5247%"%!#*%>*C|eC*
21(D* :#* )F4)1&'%1D* 4%* !2'1* !8)24)8* '1&'!74* '14%* 47)* 1%8@2"*
>=1$4'%1*%>*$%@5")F*!21!"'%&'()&D*3)*72?)*'1?)&4'!24)(*47)*
$)""*"'1)2!)<&5)$'G$*$%1&){=)1$)&*%>*2"4)8)(*!"#$%&#"24'%1*'1*
C|eC*=&'1!*'eC*4)$71%"%!#6
e24')14&* 3'47* 2* @=424'%1* '1* 47)* ST3Gal5* !)1)* )F7':'4* 2*
$%@5")F*821!)*%>*57)1%4#5)&*'1$"=('1!*58%>%=1(*'14)"")$4=2"*
disability, failure to thrive, early lethality, seizures, and
2"4)8)(*$=421)%=&*5'!@)1424'%1D*")2('1!*4%*47)*12@)*cC2"4<
21(<e)55)8d* &#1(8%@)6*E)* 72?)* 58)?'%=&"#* ()@%1&4824)(*
4724*/,i*'&*2:&)14*>8%@*47)*/Cg*58%>'")*%>*C|eC* 524')14*
fibroblasts and that compensatory changes are detected,
5284'$="28"#* 2&* '1$8)2&)(* &'2"#"24'%1* %>* ^<* 21(* L<"'1a)(*
!"#$21&6*B4*'&*)&&)14'2"*4%*'1?)&4'!24)*!"#$%&#"24'%1*$721!)&*
in cell types that are most closely related to the disease
57)1%4#5)6*-7)8)>%8)D* 3)* !)1)824)(* 'eC* $)""&* >8%@* C|eC*
patient fibroblasts and differentiated these cells into neural
$8)&4* $)""&6* * N%@58)7)1&'?)* !"#$%@'$* 212"#&'&* %>* ^<* 21(*
L<"'1a)(D* 21(* /Cg* !"#$21&* '1* 47)&)* $)""&* 3'""* 2((8)&&* 47)*
{=)&4'%1&*4724*8)"24)*2"4)8)(*$)""<&5)$'G$*!"#$%&#"24'%1*4%*$)""<
&5)$'G$*5247%"%!#6*/"#$%@'$*21(*57)1%4#5'$*212"#&'&*%>*47)&)*
cell types, along with the characterization of gene knockdown
'1*9):82G&7D*&=!!)&4*4724*2*()>)$4*'1*47)*8)!="24'%1*%>*1)=82"*
25%54%&'&*@2#*=1()8"')*47)*@2m%8*5247%57#&'%"%!#*%>*C|eC6
a2-10
a2-11
デングウイルス感染を阻害する硫酸化糖鎖分
子
○左 一八 、池田 潔 、安倍智子 、渡邊一平 、森田公一 、
1
鈴木 隆
1
J
1
1
3
静岡県大・薬・生化、 広国大・薬・有機合成、
長崎大・熱医研
1
○久恒昭哲、笠田高志、高橋周平、礒濱洋一郎、香月博志
熊本大学 院生命 薬物活性
J
3
脱シアル酸は、ミクログリアを活性化させる
Sulfated carbohydrate molecules inhibiting dengue
virus infection
Desialylation trigger activation of mouse microglial
cells
○Kazuya Hidari D*U'#%&7'*Ba)(2 , Tomoko Abe D*B55)'*E24212:) ,
3
1
Kouichi Morita , Takashi Suzuki
○Akinori Hisatsune, Takashi Kasada, Shuhei Takahashi,
W%'$7'8%*B&%72@2D*X'8%&7'*U24&=a'
1
b)546*h'%$7)@6D*V1'?6*C7'9=%a2D*C$76*e728@6*C$'6D*
b)546*e728@6*C$'6D*X'8%&7'@2*B146*V1'?6D*
3
b)546*_'8%"6D*B1&46*-8%56*,)(6D*^2!2&2a'*V1'?6
b)546* N7)@'$%<e728@2$%"* C$'D* /82(6* C$7%%"* %>* e728@* C$'D*
U=@2@%4%*V1'?
Summary: Dengue virus transmitted by mosquitoes cause
dengue fever and dengue hemorrhagic fever. There are no
)>>)$4'?)*214'<?'82"*2!)14&*2?2'"2:")*&%*>286*-%*=1()8&421(*47)*
host range, tissue tropism of this pathogen, it is critical to
elucidate the molecular mechanisms on the interaction of the
?'82"*&=8>2$)*!"#$%58%4)'1D*S*58%4)'1D*3'47*7%&4*8)$)54%8&6*B1*
this study, we investigated sulfated carbohydrate molecules
&5)$'G$2""#*8)$%!1'9)(*:#*()1!=)*?'8=&6
Summary: Sialic acids are elevated in serum at
pathophysiological condition, indicating sialylation
is frequently altered by biological situation, although
pathophysiological meaning of desialylation has been
=1a1%316*B1*47'&*&4=(#D*3)*)F2@'1)*21*)>>)$4*%>*()&'2"#"24'%1*
:#* 48)24@)14* 3'47* )F%!)1%=&* 1)=82@'1'(2&)* '1* N^CD*
in particular microglia. Desialylation induced dramatic
microglial activation in vitro, which is inhibited by
neuraminidase inhibitor. Moreover, neuraminidase injection
into the brain induced microglial activation, subsequent
neurological damage.
1
J
1
1
J*
デングウイルス感染はウイルス膜上 E タンパク質が
宿主細胞表面上の受容体に結合、ウイルス膜と細胞膜
が融合、細胞内に侵入することで開始される。Heparin
などをはじめとする硫酸化多糖が、ウイルスの細胞表
面への吸着を阻害することによりウイルス感染を阻害
することから、ウイルス受容体と相互作用する宿主糖
鎖分子の存在が予想されている。本研究では、感染阻
害活性を示す硫酸化多糖、低分子硫酸化糖誘導体の構
造と E タンパク質機能抑制によるウイルスの細胞侵入
阻害について検討を行った。
デングウイルスの細胞への感染および結合の阻害効
果を種々の glycosaminoglycan などの硫酸化多糖につい
て検討した。次に組換え体 E タンパク質と感染阻害作
用を示す硫酸化多糖分子との結合を表面プラズモン共
鳴法により検討した。さらに感染阻害硫酸化糖鎖分子
の構造の比較検討から、低分子糖誘導体を設計、合成し、
抗デングウイルス感染効果を検討した。
感染阻害作用を示した硫酸化多糖は組換え体 E タン
パク質と直接相互作用することが明らかになった。ウ
イルスとこれらの硫酸化糖鎖分子との結合は、互いの
分子による交差反応性を示したことから、活性に必要
な糖鎖構造が示唆された。化合物の中からデングウイ
ルス感染阻害効果を持つ低分子糖誘導体を見出した。
感染阻害活性を有する低分子化合物創出の可能性が示
唆された。
様々な病態において血清中に多量のシアル酸が遊離
される。これらは組織障害に起因するのみならず、正
常組織の修飾糖鎖末端からシアル酸が切断遊離され、
血清中に漏出したことにも起因すると考えられる。す
なわち病態時では頻繁に脱シアル酸化が想定される一
方で、脱シアル酸化の病態生理学的な意義について未
だに不明な点は多い。そこで本研究では中枢神経系、
特にグリア細胞に注目し、脱シアル酸化の細胞機能に
対する影響について検討した。マウスミクログリア細
胞株 h_<J に対する脱シアル酸化の影響について炎症性
因子の発現を指標に検討した結果、シアリダーゼ処理
による脱シアル酸化は、炎症性因子の発現を亢進させ
る一方で、酵素阻害薬 DANA は脱シアル酸化による作
用を著明に抑制した。そこで実際の脳内における脱シ
アル酸化が及ぼす影響について検討するため、マウス
黒質内にシアリダーゼを直接投与し、グリア細胞およ
び神経細胞の形態と細胞数を検討した。その結果、ミ
クログリアは活性型へと変化し、その数は劇的に増加
した。また、この変化に伴って神経細胞数は有意に減
少した。以上から、ミクログリアにおける脱シアル酸
化は、細胞内へシグナルを伝え、炎症性因子の発現を
亢進し、神経細胞を傷害するレベルにまでミクログリ
アを活性化することが分かった。本研究は、糖鎖上の
シアル酸レベルの変化が、中枢神経系における病態形
成に寄与する可能性を示す画期的なものである。
85
a2-12
a2-13
リンパ球活性化におけるシグレックリガンド
の発現変化
○竹松 弘 、内藤裕子 、小堤保則 、鍔田武志
1
1
1
○金森審子 、武田陽一 、瀬古 玲 、伊藤幸成
J
1
京都大 生命、 東京医歯大 医
1
フォールディングセンサータンパク質
UGGT1 の活性発現における Sep15 の寄与
J
1
Alteration of siglec-ligand expression on activated
lymphocytes
1
1
[DJ
SM.-L・fC-、J*理研・基幹研
Effects of Sep15 on Glucosyltransferase Activity of
+/,-C%"21&)-.,&0%5-45%+,1&-P!!Q>
○Takematsu H. D*^2'4%<,24&='*W6 , Kozutsumi Y. , Tsubata T.
○Akiko Kanamori , Yoichi Takeda , Akira Seko D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
1
1
1
J
U#%4%*V1'?6*/82(*C$7*h'%&4=(')&D*
-%a#%*,)('$2"*21(*b)142"*V1'?6*/82(*C$7*h'%@)('$2"*C$'
1
1
1
[DJ
SM.-LD*fC-D*J*MBUS^D*.CB
J*
86
Summary: g#@57%$#4)&*$721!)&*47)'8*$)""*&=8>2$)*!"#$21*
profile upon activation. Although this drastic change in
cell surface glycan has been utilized for marking specific
cell types, functional significance of these changes largely
8)@2'1)(*=1&%"?)(6*X)8)*3)*212"#9)(*$)""*&=8>2$)*)F58)&&'%1*
%>*&'!")$*"'!21(&*=&'1!*&'!")$<T$*>=&'%1*58%4)'1&6*E)*>%=1(*
4724* &'!")$* "'!21(* )F58)&&'%1* '&* ?28'%=&"#* 8)!="24)(* =5%1*
lymphocyte activation.
Summary: This study has attempted to clarify the biological
&'!1'G$21$)*%>*C)5[H*'1*{=2"'4#*$%148%"*%>*N<!"#$21*:)28'1!*
glycoproteins, with particular focus placed on its effects
%1*2*>%"('1!*&)1&%8*58%4)'1D*V//-[6*V//-[*2$4'?'4#*32&*
@28a)("#*'1$8)2&)(*:#*C)5[H*=1()8*8)(%F*$%1('4'%1&D*4%328(*
=8)2<48)24)(*M^2&)*h*:=4*1%4*&%#:)21*2!!"=4'1'1D*'@5"#'1!*
4724*47)*58)&)1$)*%>*('&="G()*:%1(&*'1*&=:&4824)*!"#$%58%4)'1&*
'&*'@5%84214*'1*%8()8*>%8*C)5[H*4%*)F)84*'4&*)>>)$4&6
シアル酸は、細胞表面を覆う糖鎖の末端に位置し、
様々な分子間認識に関与する。生体内に主に存在する
シアル酸分子種は ^<アセチルノイラミン酸*+^)=H.$0*と
その誘導体、^<グリコリルノイラミン酸*+^)=H/$0*であ
る。我々は、以前に、B 細胞が活性化すると主要シア
ル酸分子種が ^)=H/$ から ^)=H.$ へと変化することを
明らかにしてきた。
本研究では、この B、T 細胞に共通する活性化依存
的なシアル酸分子種変化がいかに免疫機能に関わるか
について検討した。このため、野生型マウスおよび
^)=H/$ 欠損マウスの脾臓 T 細胞を刺激すると、野生型
マウスの T 細胞と比較し、^)=H/$ 欠損マウスの T 細胞
では、刺激後の活性化マーカー*+NbJH、NbPZ0* の発現
増加が見られた。また、野生型マウスの T 細胞におい
て、シアロアドヘジン、&'!")$<T のリガンドが誘導され、
NbJJ のリガンドは抑制された。
これらのシアル酸分子種の発現変化が T細胞<h細胞
相互作用に与える影響について検討すると、野生型 ( 非
活性化リンパ球型シアル酸 ) T 細胞と ^)=H/$ 欠損 ( 活
性化リンパ球型シアル酸 ) B細胞との組み合わせの時
に、他の組み合わせではあまり検出されなかった NbJJ
依存的な T細胞<h細胞間の結合が大きく増加した。
以 上 の 結 果 か ら、T細 胞 に お け る 活 性 化 依 存 的 な
^)=H/$ から ^)=H.$ へのシアル酸分子種の変化は、T
細胞の活性化だけでなく、リンパ球間の siglec を介し
た相互作用にも影響を与え、免疫系の制御に関わる可
能性が考えられる。
Vbe<!"=$%&):!"#$%58%4)'1*!"=$%&#"4821&>)82&)*[*+V//-[0
は、N<グリコシド型糖鎖を有する糖タンパク質の品質
管理において、フォールディングセンサーとして機能
している。本研究では、V//-[ と 1:1 で特異的に結
合する小胞体発現タンパク質 C)5[H の寄与に着目した。
C)5[H はシステイン +N#&0 の硫黄がセレンで置換された
セレノシステイン (Sec) を含む N#&/"#C)$ 配列を有し、
これが活性発現部位であると推測されるが、基質や生
理的意義は報告されていない。C)5[H が V//-[ 活性発
現に及ぼす影響を以下のように解析した。
分泌型リコンビナントタンパク質として XSU<JZi細胞の培養上清から調製したヒト V//-[ と C)5[H を
用いて、intact または \,*V8)2 処理による 1%1<124'?) な
状態の基質糖タンパク質に対する V//-[ の Glc 転移活
性を測定した。従来どおり 1%1<124'?) な状態の基質に
対して活性が検出され、C)5[H の共存により明確な活性
促進が認められた。C)5[H による促進効果は小胞体内環
境を模したレドックス条件下でさらに顕著に観察され、
Sec に変異を導入した C)5[H 分子種や基質の種類の効果
の比較により、V//-[ の活性発現における C)5[H 上の
Sec 残基と基質上のジスルフィド結合の重要性が示唆さ
れた。
a2-14
糖鎖データの標準化に向けた試み
○河野 信 、,2447)3*N2@5:)"" 、藤田 典昭 、加藤雅樹 、木下聖子 、-7%@2&*gƒ44)a) 、成松 久 、奥田修二郎 、
8
J
J
J
9
10
M)1z*M219'1!)8 、澤木弘道 、鹿内俊秀 、鈴木 芳典 、e7'"'5*_6*-%=a2$7 、山田一作
4
1
9
1
J
3
H
6
J
K
,2${=28')*V1'?6、J 産総研、3 理研、4 bhNgC、H 創価大、6 V1'?6*/')&&)1、K 立命館大、8 V1'?6*/)%8!'2、
^b*~)"'1&a#*B1&46*%>*L8!21'$*N7)@6、10 野口研
.+*&2*521F*+1%&-%7-)"#$%61$0-2*+*-7%5-"1&S1&)-D1%1&7%56*+1$0-1&7%56*+1%&
○Shin Kawano D*,2447)3*N2@5:)"" D*.a'1%8'*T=m'42 , Masaki Kato D*U'#%a%*T6*.%a'<U'1%&7'42 D*-7%@2&*gƒ44)a) , Hisashi Narimatsu ,
K
8
J
J
J
9
10
Shujiro Okuda D*M)1z*M219'1!)8 , Hiromichi Sawaki , Toshihide Shikanai , Yoshinori Suzuki D*e7'"'5*_6*-%=a2$7 D*B&&2a=*W2@2(2
4
1
9
1
J
3
H
6
J
,2${=28')*V1'?6D*J*.BC-D*3 MBUS^D*4 bhNgCD*H*C%a2*V1'?6D*6 V1'?6*/')&&)1D*K*M'4&=@)'a21*V1'?6D*8 V1'?6*/)%8!'2D*
^b*~)"'1&a#*B1&46*%>*L8!21'$*N7)@6D*10 ^%!=$7'*B1&46
Summary: The development of the Semantic Web has enabled related information for a particular data object, such as
2*!"#$21D*4%*:)*%:42'1)(*&)@'<2=4%@24'$2""#*478%=!7*47)*=&)*%>*&)@214'$&6**-7'&*#)28D*!"#$%<'1>%8@24'$'21&*>8%@*28%=1(*
the world gathered to standardize glycomics data to be compliant with Semantic Web technologies such that glycomics
(242*$21*:)*"'1a)(*3'47*58%4)%@'$&*21(*%47)8*8)"24)(*'1>%8@24'%16**b242*&421(28('924'%1D*!"#$%<%14%"%!#*21(*=1'{=)*
glycan structure representations were developed.
ポストゲノムシークエンス時代が到来して以降、 世界中に散在する糖鎖関連データベースが相互
ライフサイエンス分野では分析技術のハイスルー
に連携し、セマンティックウェブに対応するため
プット化が進み、様々なオミクスデータが日々大量
には、糖鎖データの標準化が必要である。バイオ
に生産され蓄積されている。糖鎖研究分野において
サイエンスデータベースセンター(^hbN)とライ
も質量分析計やアレイ解析技術などの解析装置・技
フサイエンス統合データベースセンター(bhNgC)
術の発展に伴って大量の実験データが生み出され
はライフサイエンス分野におけるデータベース統
ている。これらの実験データはそれぞれのプロジェ
合化の拠点を形成することを目的として設立され、
クト毎に個別にデータベース化され、世界中に散在
データフォーマットの標準化やデータベースの効
しているのが現状である。日本では fN// の活動の
率的な相互運用を促すための研究開発を実施して
一環として、産総研糖鎖センターが中心となって国
いる。^hbN]bhNgC では JQQ\ 年度より世界のバ
内の様々な糖鎖データベースを集約し、産総研独自
イオインフォマティクス研究者が集まる開発合宿
のデータベース群と併せて fN//bh*+7445k]]m$!!(:6
を BioHackathon と称して毎年開催しており、本年
jp/) として公開し成果をあげているが、他のライフ
度は 9 月 1 日から 1 週間の日程で開催され、海外
サイエンス分野の様々なデータベースと連携し相
からの招待研究者 JQ 名を含む約 60 名が参加する
互運用していくためにはデータの標準化は不可欠 (7445k]]JQ[J6:'%72$a247%16%8!])。参加者の顔ぶれは、
である。
データベース提供者やデータベースシステム開発
大量に生産される実験データに加えて大量に出
者、オントロジー開発者など多彩であるが、糖鎖分
版される学術雑誌など、現代のライフサイエンス分
野においては ^hbN]bhNgC と産総研により海外か
野においては研究者個人がこれまでの既存の方法
ら 4 名を招聘し、これに日本の糖鎖インフォマティ
で研究成果の全体を把握し、理解することには限界
クスの研究者を加えた体制でセマンティックウェ
がある。情報爆発とも呼ばれるこの困難な状況を打
ブに対応するための基盤技術開発を行う。具体的に
破するために、我々はセマンティックウェブが有効
は、糖鎖データベースの標準化や標準化データを利
であると考えている。セマンティックウェブは、イ
用したアプリケーション開発、他分野のデータとの
ンターネット上に散在するデータ相互の関係性とリ
連携、糖鎖オントロジーの開発、永続的に使用可能
ンク情報を付加し公開するための標準化仕様とも言
な糖鎖構造 VMB 設計等を行う予定である。本発表
える。これが実現することにより、たとえば一度の
では、BioHackathon での糖鎖分野に関連する成果
検索で複数のデータベースをまたいで関連情報を
を中心にセマンティックウェブの対応に必要な取
一度に集められるようになるなど、ウェットな研究
り組みについて紹介する。
者の情報環境が個人レベルで大きく改善されること
が期待される。ベースとなるセマンティック技術は
すでに大手検索サービスや大手学術出版社などで
採用されるなど、その有用性が示されつつある。
87
A2-15
総合的な複合糖質糖鎖プロファイリングによる細胞の分類とバイオマーカー探索
○藤谷直樹 、古川潤一 、荒木香代 、藤岡 剛 、伊東 信 、中村幸夫 、篠原康郎
1
1
1
1
J
3
J
1
北大院・先端生命、 理研バイオリソースセンター、 九大院・農
J
3
Q%+*"-)"#$%61$0-7%5-+/,-2,3&1+1%&-%7-210+1&$+-$,""("*5-$/*5*$+,510+1$0-*&2-210$%<,5#-%7-$,""("*5-D1%6*5S,50
○^2%a'*T=m'421' D*f=1<'$7'*T=8=a232 , Kayo Araki D*-&=#%&7'*T=m'%a2 D*,2a%4%*B4% , Yukio Nakamura , Yasuro Shinohara
1
1
1
1
J
3
J
1
T2$6*.(?6*g'>)*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6***J*MBUS^*hMN6*3 /82(6*C$7%%"*%>*h'%8)&*|*h'%)1?'86*C$'6D*U#=&7=*V1'?6
Summary: A concept and methodology of total cellular glycome, a systematic overview of major classes of cellular
!"#$%@)D*32&*58%5%&)(*21(*)&42:"'&7)(6*-%42"*!"#$%@'$*212"#&)&*%>*NXL*$)""*"'1)*21(*'4&*")$4'1<8)&'&4214*@=4214&*
+g)$[*21(*g)$*\0*()@%1&4824)(*47)'8*>)2&':'"'4#*2&*$)""="28*()&$8'54%8&6*-7)*58%5%&)(*@)47%(&*3)8)*>=847)8*255"')(*4%*
()"'1)24)*47)*%?)87)2(*?')3*%>*!"#$%@'$&*%>*@2m%8*!"#$%$%1m=!24)&*%>*7=@21*SC*21(*'eC*$)""&6
細胞表層は広く複合糖質に覆われ、その糖鎖構造
と発現量は細胞に特徴的であることから、糖鎖は
細胞の状態を定性的に記述し得るマーカーとして
用いることができる。例えば、未分化細胞マーカー
である &42!)*&5)$'G$*)@:8#%1'$*214'!)1*+CCS.0 シリー
ズや tumor rejection antigen (Tra) が提示するエピトー
プは糖鎖であり、現在広く実用化されている。
本 研 究 に お い て、 糖 タ ン パ ク 質 由 来 糖 鎖 で
あ る ^<結 合 型 糖 鎖 と L<結 合 型 糖 鎖(^<!"#$21D*
L<!"#$21)、スフィンゴ糖脂質由来糖鎖*+/Cg<!"#$210、
プロテオグリカン由来のグリコサミノグリカン
(GAG) の 4 種の複合糖質由来糖鎖に加え、^<!"#$21
の生合成・分解過程で生成する細胞内遊離糖 +TLC0
を含めた H つのクラスの糖鎖を横断的に定量解析す
る手法を確立し、複合糖質の種類の枠を超えた解析
の有用性を報告する。
^<D*/Cg<!"#$21、GAG はそれぞれ特異的な切断酵
素の反応条件を最適化し、先に開発したグライコブ
ロッティング法により高度に糖鎖を精製した後、適
切な内部標準を用いて質量分析法と親水性液体ク
ロマトグラフィにより定量解析した。L<!"#$21 はピ
ラゾロン誘導体共存下での ;<)"'@'124'%1 反応によっ
てピーリング反応を著しく抑制した遊離法を確立
し、質量分析法による定量解析に成功した。TLC
は酵素によるキャリアからの遊離を必要としない
が、^<!"#$21 と同一な構造を有することがあるため
に定量解析前に分離する必要があり、その方法を確
立した。
クラス横断的な総合グライコミクスによる細胞
の記述の有用性を、NXL 細胞および GlcNAc 転移
酵素 B*+/1-<B0 と Vbe</2" トランスポーターをそれ
ぞれ欠失した NXL 細胞変異株 +g)$[、g)$\0 の 3 者
88
の比較により評価した。糖鎖生合成経路に関わる遺
伝子の欠失による合理的な糖鎖プロファイルが得
られたことに加え、例えば g)$\ においてコンプレッ
クス型の ^<!"#$21 や GAG の発現が顕著に増加する
など予想外の結果を得ることができ、総合的なグラ
イコミクスが細胞の状態を表すために有用である
ことが示された。
さらに、18 種類のヒト由来細胞(正常細胞、ガ
ン細胞、ES 細胞、'eC 細胞)を解析した結果、単
一のクラスの複合糖質糖鎖の定量解析では明確に
分類されなかった細胞もある中、H 種類のクラスの
総合的なグライコミクスは各々の細胞を明瞭に分
類することが出来た。特に、幹細胞群は他の細胞と
明確に分類されることが明らかとなり、本法が細
胞の未分化性の判断や再生医療に用いる細胞の品
質管理に有用であることが示された。糖鎖の定量に
基づくクラスター解析において、幹細胞と非幹細
胞を分類するのに寄与した糖鎖として /Cg 由来の
SSEA シリーズは同一のグループに分類され、本法
の妥当性が実証された。興味深いことに他のクラス
の複合糖質糖鎖も同じグループに分類され、これら
も幹細胞に有意に発現が大きいことがわかったた
め併せて報告する。
a2-16
JCGGDB の活動報告
〇鹿内俊秀 、梶 裕之 、鈴木芳典 、藤田典昭 、前田真砂子 、文紅玲 、石崎 円 、澤木弘道 、奥田修二郎 、鴨 さおり 、中尾広美 、
J
J
J
3
3
3
3
3
4
4
4
石水 毅 、川嵜伸子 、川嵜敏祐 、山田一作 、本庄秀之 、森 昌子 、弘瀬友理子 、水野真盛 、加藤雅樹 、菅 秋次 、山口芳樹 、
H
6
1
木下聖子 、河野 信 、成松 久
1
1
1
1
1
1
1
1
1
J
J
J
J
3
4
H
6
産総研・糖鎖医セ、立命館大・ 糖鎖工学研究セ、 野口研・糖鎖有機、 理研・基幹研、創価大・ 院工、 bhNgC
G$+1<1+#-J,:%5+-%7-^H!!N]-45%',$+
○Toshihide Shikanai , Hiroyuki Kaji , Yoshinori Suzuki D*^%8'2a'*T=m'42 , Masako Maeda , Hongling Wen D*,2(%a2*B&7'92a' , Hiromichi Sawaki , Shujiro Okuda ,
J
J
J
J
J
3
3
3
3
Saori Kamo , Hiromi Nakao D*-2a)&7'*B&7'@'9= , Nobuko Kawasaki , Toshisuke Kawasaki D*B&&2a=*W2@2(2 , Hideyuki Honjo , Masako Mori , Yuriko Hirose ,
3
4
4
4
H
6
1
Mamoru Mizuno , Masaki Kato , Akitsugu Suga , Yoshiki Yamaguchi D*U'#%a%*T6*.%a'<U'1%&7'42 , Shin Kawano , Hisashi Narimatsu
1
1
1
1
1
1
1
1
1
J
MN,/D*.BC-D*J*M'4&=@)'a21*V1'?6D*3 ^%!=$7'*B1&46D*4 MBUS^D*H*C%a2*V1'?6D*6 bhNgC
Summary:*-7)*fC-]^hbN*'14)!824)(*(242:2&)*58%m)$4*72&*a'$a)(*%>>*"2&4*#)286*fN//bh*32&*&)")$4)(*2&*2*58%@%4'%1*
58%!82@*%>*bh*'14)!824'%1D*2'@'1!*4%*'14)!824)*2""*47)*!"#$21<8)"24)(*(242:2&)&*'1*f2521*21(*:='"(*=&)8<>8')1("#*&)28$7*
systems.
We will keep developing base technologies for DB integration and linking with databases related to glycoscience as well as
other study areas.
糖鎖科学統合データベース(fN//bh)構築の発端となっ
た文部科学省統合データベースプロジェクトが終了し、
それを引き継ぐように fC-]^hbN の統合化推進プログラ
ムが始まった。fC- のプログラムではバイオサイエンス全
体のオミックス単位で統合化を進めている。同時に、個々
の統合化されたデータベースを連携・統合化するための
技術開発も行っている。我々は、グライコミクスレベル
で統合するために活動している。より統合化を進めるた
めに fN//bh をベースにして立命館大学・野口研究所・
理化学研究所・創価大学のインフォマティクスの研究者
と一緒に数多くの糖鎖に関連したデータベースのデータ
や機能の拡充や統合化のための技術開発を行っている。
これまでに公開してきたデータベースには、糖鎖関連
遺伝子のデータベース (GGDB)、レクチンデータベース
(g>bh)、糖鎖の MSn スペクトルデータベース(GMDB)、
糖タンパク質のデータベース(/"#$%e8%4bh)、実験プロ
トコルデータベース(/"#$%eLb)、病原体が認識する糖
鎖構造のデータベース +e.Nbh0、配糖体の構造と機能に
関するデータベース(GlycosideDB)、糖鎖関連遺伝子の
阻害剤のデータベース(//Bbh)、ノックアウトマウスの
DB などがある。この夏に /"#$%e8%4bh にマウスの糖タン
パク質の情報を公開した。マウスの脳 / 大腸 / 心臓 / 腎臓 /
肝臓 / 肺 / 骨格筋 / 胃 / 精巣の9組織と血清をサンプルとし、
..g]N%1.]MN.[JQ などのレクチンや .@'()<\Q により糖
タンパク質を捕集し、B/L- 法により糖鎖の付加位置を同
定した。今回同定した付加位置は HPHK サイトで、^NhB*!'
の配列数で JHHP*?28'214&、遺伝子シンボルでは 1819 種類
に相当する。また、糖鎖抗原及び糖鎖認識抗体のデータ
ベースである立命館大学の GlycoEpitope はこれまでに抗
体 H\H エントリー、エピトープ 161 エントリーの情報を
公開している。
個々の DB 間の連携や統合化するためにも検索インター
フェースの開発を行った。国内にある糖鎖に関連したデー
タベースを横断的に検索できるインターフェースや、NT/
単糖シンボルを利用して糖鎖構造を検索できる構造の統
合インターフェースや、化学構造を利用して糖鎖構造・
配糖体・合成した糖鎖構造(合成中間体を含む)検索で
きるインターフェースを開発した。現在、遺伝子名・局在・
機能・糖鎖構造・疾患名など、ユーザが調べたい単語に
関連した周辺情報を表示し、直観的に解釈できる新しい
統合検索用のインターフェースを開発している。
野口研と産総研では有機化学の分野の研究者の協力を
得ながら糖鎖合成のデータを蓄積している。また、合成
した構造を ^,M で容易に同定できるように理研と野口
研は ^,M<bh を構築している。糖鎖の ^,M のデータが
fN//bh*^,M<bh に蓄積していくように、ebhm の h,Mh
(化合物の ^,M の DB)のシステムと連携していく予定
である。立命館大学と産総研は編集委員のご協力を得て、
著名な研究者が実際に行っている実験プロトコルについ
て毎年約20件を目標に公開を進めている。NT/ のグルー
プからも執筆参加の打診があり今年度から約10のプロ
トコルを公開する予定になっている。
業界レベルでのデータ標準化を進め国際的な連携を進
めている。誰が構造書いても同じ構造は同じ表記になるよ
うに技術開発を行っている。単糖の標準化、糖鎖構造の標
準化を研究グループの H つの組織と bhNgC の間で共同開
発している。fN//bh 内で統合化が進んだ詳細画面には、
異分野の統合データベースと連携できるように MbT とい
う `,g 形式で出力する機能の搭載を進めている。
今後、年度を重ねるたびにデータベースの拡充と検索
機能の改良が進み、目的のデータに容易にアクセスでき
るようになる予定である。糖鎖研究を始めたばかりの人
から糖鎖科学を熟知した研究者まで幅広いユーザ層に満
足して頂けるように技術開発を進めている。
この活動には、fC-]^hbN の統合化推進プログラムの支
援を受けております。
ま た、 各 DB へ の デ ー タ を 提 供 し て 頂 い た 先 生 方 や
/"#$%eLb の プ ロ ト コ ル 執 筆 し て 頂 い た 先 生 方 や
/"#$%eLb 編集委員の先生方に心より御礼申し上げます。
fN//bh*7445k]]m$!!(:6m5
/"#$%e8%4bh*+ 糖タンパク質のデータベース k マウス版 )
7445k]]m$!!(:6m5]8$@!]!5(:]
89
B2-01
アスパラギン結合型糖鎖のライブラリー指向型合成
○田中克典 、藤井遥平 、時本博臣 、宮川卓也 、長崎政裕 、源 直也 、深瀬浩一
[DJ
1
1
1
1
1
1
1
阪大院理、 理研基幹研
J
Y1D5*5#9N15,$+,2-.#&+/,010-%7-G0:*5*)1&,-Y1&S,2-!"#$*&0
[DJ
1
1
1
1
1
○Katsunori Tanaka D*W%7)'*T=m'' , Hiroomi Tokimoto , Takuya Miyagawa , Masahiro Nagasaki , Naoya Minamoto ,
1
U%'$7'*T=a2&)
1
/82(6*C$7%%"*%>*C$'6D*L&2a2*V1'?)8&'4#D*J*MBUS^D*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)
Summary:*.*1)3*&%"'(<572&)*&#147)&'&*%>*^<"'1a)(*!"#$21&*>)24=8'1!*+'0*7'!7"#*&4)8)%&)")$4'?)*;<@211%&#"24'%1*21(*@'$8%<
j='('$*A<&'2"#"24'%1*21(*+''0*)>G$')14*!"#$%&#"24'%1*%>*47)*^<57)1#"48'j=%8%2$)4'@'(24)*=1'4&*%1*f21(2f)"TM resin, is reported.
cM)2!)14*$%1$)14824'%1*)>>)$4&d*:#*2*j=%8%=&*&%"?)14*28)*)>>)$4'?)"#*255"')(D*21(*47)*%8$7)&4824'%1*%>*47)&)*@)47%(&*8)&="4&*'1*
47)*G8&4*&#147)&'&*%>*&'2"'$*2$'(*$%142'1'1!*$%@5")F<4#5)*^<!"#$21*%1*&%"'(<&=55%84&6
我々は、アスパラギン結合型糖鎖の構造と生物活性
や生体内動態の相関を明確にすることを目的として、
構造多様性に適応可能な汎用的糖鎖合成法を検討して
きた。これまで本年会において、マイクロフロー系内
での効率的なグリコシル化反応を報告してきたが、今
回、これらマイクロ反応をさらに精査するとともに、
各糖フラグメントをグラムスケールで調製した。さら
にこれらフラグメントを用いて、固相上で効率的にグ
リコシル化反応を行うことにより、複合型 ^<結合型糖
鎖の固相合成を達成した。
すなわち、複合型 ^<結合型糖鎖の合成において と
なる A<シアリル化反応に関して、シアル酸糖供与体の
5位アジド基の固定双極子モーメントによるカルボカ
チオン安定化効果を利用して、高収率かつ A<選択的な
反応を実現した。さらに、;<マンノシル化反応に関し
ては、嵩高い対アニオンを持つ -,Ch+N6TH)4 を活性化
剤として開発し、高立体選択的な反応を達成した。一方、
これら A<シアリル化反応や ;<マンノシル化反応を大量
スケールで実施すると、基質混合の際の中和熱や反応
熱に起因する副反応生成物の増加や立体選択性の低下
が大きな問題であった。このような問題に対して、マ
イクロフロー反応場での効率的な混合、および高い熱
拡散効率を効果的に活用することにより、大スケール
でも効率を損なうことなく再現性良くグリコシル化反
応を実施することに成功した。さらに、グルコサミン
糖供与体とアスパラギン側鎖アミド窒素との ^<グリコ
シル化反応、または糖ベンジリデンアセタール保護基
の還元的開裂反応においてもマイクロフローシステム
を効果的に活用し、トリフルオロ ^<フェニルアセトイ
ミデートを脱離基に持つ長期間保存可能な1糖、また
は2糖フラグメント a-d をグラムスケールで調製する
ことに成功した。
次いで、これらのフラグメント a-d を用いて、固相上
でのグリコシル化反応を検討した。触媒量の TMSOTf
を活性化剤として、室温でのグリコシル化反応に適し
た固相担体を検討した結果、ジオキシブタン架橋ポリ
90
スチレンを基本構造とする f21(2f)" を固相担体に用い
た場合に、5糖合成までは反応が定量的に進行するこ
とを見出した。さらに、フルオラス溶媒を用いた固相
上での基質濃縮による反応促進効果の発見を基盤とし
て、フラグメント a-d を固相上で効率的にグリコシル
結合させることができた。このように、マイクロ流路
内と固相担体上での効率的かつ実用的なグリコシル化
反応を として、シアル酸を持つアスパラギン結合型
糖鎖8糖の初めての固相合成に成功し、ライブラリー
合成に展開可能な糖鎖固相合成法を確立した。さらに
この手法を活用して、コアフコースを持つ糖鎖やバイ
セクティング型糖鎖の合成を検討したので、これらの
結果についても併せて報告する。
TM
文献:-212a2D*U6n*T=m''D*W6n*-%a'@%4%D*X6n*,%8'D*W6n*-212a2D*
C6n*h2%D*/6n*C'3=D*S6*M6*L6n*^2a2#2:=D*.6n*T=a2&)D*U6*Chem.
Asian J. 2009, 4D*HKY<H\Q6
B2-02
サンゴレクチン結合性フォルスマン抗原5糖類縁体の迅速合成とその機能評価
○田中浩士 、武内良太 、神保 充 2、高橋孝志
1
1
J
1
1
東工大院理工
北里大学海洋生命科学部
.#&+/,010-*&2-]1%"%)1$*"-T<*"(*+1%&-%7-C%5006*&-G&+1),&-4,&+*0*$$/*512,0-T;/1D1+1&)-H%5*"9Y,$+1&Binding Activity
○Hiroshi Tanaka D*M#%42*-2a)=$7' D*,'4&=8=*f'1:% , Takashi Takahashi
1
1
1
J
1
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*-)$71%"%!#D*-%a#%*B1&4'4=4)*%>*-)$71%"%!#
U'42&24%*V1'?)8&'4#*C$7%%"*%>*,28'1)*h'%&$')1$)&*b)5284@)14*%>*,28'1)*h'%&$')1$)&
J*
Summary: -7)*&#147)&'&*%>*T%8&&@21*214'!)1*5)142&2$$728'()*21(*47)'8*()8'?24'?)&*:#*%1)<5%4*!"#$%&#"24'%1*21(*5%"#<
@)8<2&&'&4)(*()58%4)$4'%1*21(*47)'8*:'%"%!'$2"*)?2"=24'%1*'&*()&$8':)(6*.*:'1('1!*2&&2#*%>*47)*&#147)4'$*%"'!%&2$$728'()&*4%*
Cgg<J*8)?)2")(*4724*47)*^X.$*&=:&4'4=)14&*3)8)*'@5%84214*>%8*:'1('1!*%>*47)*%"'!%&2$$728'()*4%*Cgg<J6**B17':'4'1!*)>>)$4*
%>*47)*%"'!%&2$$728'()*%1*47)*@%857%"%!'$2"*$721!)*%>*C#@:'%('1'=@*:#*Cgg<J*3)8)*$%@5282:")*4%*47)'8*:'1('1!*2>G1'4#*
4%*Cgg<J6
異種生物の相互作用には、正の作用としての共生お
よび負の作用としての感染の関係がある。サンゴと褐
虫藻の関係は、正の共生関係にあることが知られてい
る。しかしながら、近年の温暖化の影響により、褐虫
藻がサンゴから離れてしまう白化現象が問題になって
いる。そこで、近年、サンゴと褐虫藻の共生関係のメ
カニズムの解明が必要とされている。Cgg<J は、サン
ゴと褐虫藻の共生関係に重要な役割を果たしているレ
セプターであり、近年、/2"^.$A*+[Di0*/2"^.$;*+[Di0*
/2"A*+[DY0*/2";*+[DY0*/"$ から構成される T%8&&@21*抗原
糖鎖が、Cgg<J と結合することが、糖アレイ測定の結
果明らかにされた。しかしながら、関連糖鎖およびそ
の類縁体および誘導体を天然から十分量供給する事は
困難であり、それらの化学合成による供給が求められ
ている。そこで本研究では、ワンポットグリコシル化
反応と固相脱保護法を用いる T%8&&@21* 抗原 H 糖 1 お
よびその類縁体の効率的合成法の開発を目指した。
ワンポットグリコシル化反応は複数のグリコシル化
反応を一つの反応容器内で行なう手法で、標的糖鎖の
迅速合成だけでなくライブラリー合成に適している。
また、固相脱保護法は、複数の保護基の脱保護及び変
換を固相上に固定化した基質を用いて行なうことによ
り、高極性の糖鎖およびその合成中間体の取り扱いを
容易にする手法である。まず、A1, B1, C1 ユニットを
用いる Le/ 反応によって、フォルスマン5糖 1 の合
成を検討した。えら得た保護糖鎖をリンカー 2 および
固相担体 3 を用いて固相上に固定化し、簡便な操作に
よる脱保護について検討した。さらに、A2, B2 ユニッ
トを用いる非還元末端変換型オリゴ糖の合成を行なっ
た。最後に、化学合成された純粋な糖鎖と Cgg<J との
相互作用解析を行なうことにより、Cgg<J と T%8&&@21
抗原5糖との相互作用を明らかにした。発表では、こ
れらの結果の詳細について報告する。
M)>)8)1$)* ,6* f'@:%D*W6* C=(2D* U6* U%'a)D* C6* ^2a2@=82<
-&=8=42D*f6*U%@'12@'D*,6*U2@)'D*f6*X'82:2#2&7'D*M6*C2a2'D*
H. Kamiya manuscript in preparation
91
B2-03
UGGT 存在下における糖タンパク質フォールディングのライブモニタリング解析
○牧村 裕 、デドラシモーネ 、和泉雅之 、瀬古 玲 、伊藤幸成 、梶原康宏
[DJ
1
[DJ
J
1,3
1,3
[DJ
fC-*SM.-L、J 大阪大院理、3 理研基幹研
Y1<,-6%&1+%51&)-0#0+,6-7%5-,<*"(*+1%&-%7-)"#$%:5%+,1&-7%"21&)-:5%$,00-5,$%)&1F,2-(&2,5-+/,-P!!Q
[DJ
[DJ
J
1,3
1,3
[DJ
○Yutaka Makimura , Simone Dedola D*,2&2#=a'*B9=@' , Akira Seko D*W=a'&'!)*B4% , Yasuhiro Kajihara
1
fC-*SM.-LD*J*/82(*C$7%%"*%>*C$'6D*L&2a2*V1'?6D*3 M'a)1*.CB
Summary:*V//-*'&*21*)1(%5"2&@'$*8)4'$="=@<8)&'()14*>%"('1!*&)1&%8*)19#@)D37'$7*('&$8'@'124)&*:)43))1*$%88)$4"#*
folded and misfolded glycoprotein. To study its mechanism, we synthesized homogeneous glycoprotein bearing high
@211%&)*4#5)*%"'!%&2$$728'()D„,Z<!"#$%$82@:'1„*3'47*124'?)*21(*@%('G)(*2@'1%*2$'(*&){=)1$)*21(*47)1*5)8>%8@)(*
)19#@)*2&&2#&*'1*47)*58)&)1$)*%>*V//-6*-7)&)*)F4)1&'?)*2&&2#&*8)?)2")(*4724*V//-*$%="(*('&$8'@'124)*@'&>%"()(*
and correctly folded glycoprotein structure in both during folding process and after folding process.
Vbe<!"=$%&)k!"#$%58%4)'1* !"=$%&#"4821&>)82&)*
+V//-0 は小胞体 +SM0 内に存在し、生合成された
糖タンパク質が正しくフォールドしているかミス
フォールドをおこしているかを区別するフォール
ディングセンサー酵素である。正しくフォールドし
た糖タンパク質はそのままゴルジ体へと送られ、ミ
スフォールドをおこした糖タンパク質は V//- に
より再グルコシル化が行われ、再びフォールディン
グサイクルへと送られる。この V//- によるフォー
ルディングの成否を認識するシステムのメカニズ
ムついては未だ明らかにされていない。そのため
我々は V//-r 糖タンパク質の相互作用について調
べるためのプローブとして一連の変性糖タンパク
質をデザインした。今回は、植物由来のタンパク質
であるクランビンをモデルとして、正しくフォール
ドした、もしくはミスフォールドをおこしたそれぞ
れ単一のハイマンノース型糖鎖 (Man9GlcNAcJk,Z0
を含むクランビンを合成した。
天然型のクランビンは 46 アミノ酸残基からなり
3 箇所のジスルフィド結合と 1 箇所の塩橋を有す
る糖鎖を持たないタンパク質である。M9 糖鎖を有
するミスフォールドクランビンを合成するために、
92
我々は 6 箇所のシステイン残基のうち J 箇所をセリ
ン残基に置換したものを合成した。フォールディン
グ操作において、天然型配列を有する M9 クランビ
ンに関しては3箇所のジスルフィド結合を有する
正しくフォールディングした糖クランビンが主に 1
種類生成した。一方、修飾型クランビンにおいて
は2箇所のジスルフィド結合を有する3種のミス
フォールド体が再現性良く生成した。(図)
この一連の糖タンパク質を用いて V//- に対す
る活性を測定したところ、この酵素は正しい3次
元構造の M9 クランビンとミスフォールドクランビ
ンを識別してミスフォールド体に対してのみグル
コース転移を行うことが判明した。更に天然型と修
飾型のこれら糖クランビンペプチドを [k[ で混合し
V//- 存在下でフォールディングを行い、V//の認識についてライブ観察を行った。その結果、
V//- はフォールディング中間体をも認識してグ
ルコース転移を起こすことが明らかになった。今回
の発表では天然型、修飾型それぞれの M9 クランビ
ンの合成と、それらに対する V//- の興味深い認
識についての考察を述べる。
b2-04
b2-05
GAG 型糖鎖プライマーを用いた転移性がん細
胞で発現する糖鎖構造の解析
単孔類、有袋類、真獣類間のミルクオリゴ糖
の比較
○佐藤智典、王 毅楠、柴 圭祐、鈴木貴晴
○浦島 匡 、Michael Messer 、Olav T. Oftedal
慶應大理工
1
1
3
Analysis of glycan structures expressed in metastatic
tumor cells using a GAG-type saccharide primer
J
3
帯広畜産大畜産衛生、 シドニー大、
スミソニアン環境学研究所
J
Comparison of milk oligosaccharides among
monotremes, marsupials and eutherians
○Toshinori Sato, Yinan Wang, Keisuke Shiba, Takaharu Suzuki
○-2(2&=*V82&7'@2 , Michael Messer , Olav T. Oftedal
b)546*h'%&$'6*B1>%8@24'$&D*U)'%*V1'?6
1
1
3
Summary: Saccharide primer method was developed to
construct an oligosccharide library and analyze glycan
:'%&#147)4'$*524732#&6*B1*47'&*&4=(#D*&2$$728'()*58'@)8*`#"<
C)8<N[J*72?'1!*F#"%&)*21(*&)8'1)*32&*)@5"%#)(*4%*212"#9)*
!"#$21* :'%&#147)4'$* 524732#&* %>* NXL* $)""&* 21(* @%=&)*
%&4)%&28$%@2* $)""&6* /./<4#5)* 58%(=$4&* &=$7* 2&* 7)52821*
&=">24)<4#5)* %"'!%&2$$728'()&* 3)8)* $%"")$4)(* :#* 8)?)8&)(<
phase column chromatography, and their structures were
212"#9)(* :#* gN<,C6* ^)F4D* $%@52824'?)* !"#$%@'$&* >%8*
@)42&424'$* %&4)%&28$%@2* $)""&* 3)8)* $288')(* %=4* =&'1!* `#"<
C)8<N[J6
糖鎖プライマー法では糖鎖ライブラリーの作製と細
胞に発現する糖鎖生合成経路の解析を行なうことが可
能である。これまでにラクトースや ^< アセチルグルコ
サミンを糖鎖に有するアルキルグリコシドを糖鎖プラ
イマーとして開発してきた。最近では、糖アミノ酸構
造を有する分子が L< グリカン型の糖鎖プライマーとし
て利用できることを見いだした。本研究では、キシロー
スーセリンを有する糖鎖プライマー(`#"<C)8<N[J)へ
の糖鎖の伸長について検討し、転移性がん細胞でのグ
リコサミノグリカン型の糖鎖の生合成経路の解析に利
用した。
NXL 細 胞 な ど に `#"<C)8<N[J を 投 与 し て、48 時 間
後に培地中の糖鎖伸長生成物を逆相カラムで回収し、
gN<,C 等により糖鎖構造の解析を行なった。その結果、
多種類の GAG 型糖鎖の生成物が得られた。その糖鎖
伸長効率は、`#"<5^e と比較して優れていた。逆相カ
ラムでの糖鎖伸長生成物の回収方法を検討することで、
硫酸化された生成物も得られた。
次に、高転移性のマウス骨肉腫 Thf 細胞に糖鎖プラ
イマーを投与して、低転移性の細胞との糖鎖伸長生成
物の比較を行なった。その結果、ヘパラン硫酸型の糖
鎖伸長生成物での差が確認された。これを基にして、
糖鎖合成遺伝子の比較解析を行ない、ノックダウンアッ
セイ等を実施することで、ヘパラン硫酸型の糖鎖が細
胞の運動性に関わっていることことが示された。
J
3
L:'7'8%*V1'?6*%>*.!8'$6*|*_)46*,)(6D*J*-7)*V1'?6*%>*C#(1)#D*
C@'47&%1'21*S1?'8%1@)142"*B1&4'4=4)
Summary:* e8)?'%=&"#D* 3)* 7#5%47)&'9)(* 4724* 47)* @%1%48)@)&*
are closer to eutherians than to marsupials with respect of milk
%"'!%&2$$728'()&6*X%3)?)8D*3)*>%=1(*^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<i0*
/2"*+;[<Y0*/"$D*^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<i0*s/2"*+;[<Y0*/"$^.$*
+;[<P0t* /2"* +;[<Y0* /"$* 21(* /2"* +;[<i0* s^)=H.$* +AJ<P0* /2"*
+;[<Y0*/"$^.$*+;[<P0t*/2"*+;[<Y0*/"$*'1*$%@@%1*'1*47)*@'"a&*
%>*M)(*a21!28%%D*%1)*%>*@28&=5'2"&D*21(*h2$48'21*$2@)"D*%1)*
of eutherians. We modify the hypothesis of evolution of milk
%"'!%&2$$728'()&*:2&)(*%1*47'&*G1('1!6
哺乳動物は単孔類、有袋類、ならびに真獣類の3系統か
ら構成される。真獣類の乳は、食肉目イヌ亜目種などの少
数の例外を除き多くの場合、主要糖質としてのラクトース
と少量ながらも多種類のミルクオリゴ糖を含んでいるが、
単孔類 , 有袋類の乳ではラクトースよりもミルクオリゴ糖
の方が優先的である。単孔類の一種カモノハシのミルク
オリゴ糖の一部は、ヒトの一部のミルクオリゴ糖やクマ ,
ゾウなどの一部のミルクオリゴ糖と同様に、ラクト <^<
ネオテトラオース +g^1-0 やラクト <^< ネオヘキサオース
+g^1X0 をコア骨格としているのに対し、有袋類の一種タ
マーワラビーの主要なミルクオリゴ糖は単孔類や真獣類種
には発見されていない /2"*+;[<i0 残基が直鎖状につながっ
た構造を有しているので、発表者はミルクオリゴ糖に関し
て言えば、単孔類と真獣類が近く、有袋類はそれよりも遠
いという仮説を提出した 1)。一方で、発表者らは最近有袋
類の一種アカカンガルーと真獣類の一種フタコブラクダの
乳に、共通のオリゴ糖として ^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<i0*/2"*
+;[<Y0*/"$D*^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<i0*s/2"*+;[<Y0*/"$^.$*+;[<
P0t*/2"*+;[<Y0*/"$ならびに /2*"+;[<i0*s^)=H.$*+AJ<P0/2"*+;[<
Y0*/"$^.$*+;[<P0t*/2"*+;[<Y0*/"$ を発見した。これらは単孔
類やヒトの乳には発見されていないが、ウシなど一部の
真獣類種の乳には存在が示唆されている。このことから、
g^1- や g^1X をコア骨格とするミルクオリゴ糖や上のよ
うなタイプのミルクオリゴ糖は、3系統の分化前の共通祖
先の段階で共通に存在していたが、分化後にいくつかのオ
リゴ糖は特定の種において失われたことが推測された。一
方でタマーワラビーなど有袋類乳に含まれるポリガラク
トースは、有袋類の分化後に獲得されたと予想された。
[0*,6*,)&&)8D*-6*V82&7'@2D*-8)1(&*/"#$%&$'6*
*/"#$%4)$71%"6*[YD*[Hi<[KP*+JQQJ06
93
b2-06
分子マトリクス電気泳動における新たなムチン染色法
○董 偉傑、松野裕樹、亀山昭彦
産総研・生物プロセス
A novel method for universal staining of mucins separated by supported molecular matrix electrophoresis
○E)'m')*b%1!D*W=<a'*,24&=1%D*.a'7'a%*U2@)#2@2
.BC-・heMB
Summary:*."$'21*:"=)*&42'1'1!*'&*=&)(*4%*?'&=2"'9)*2$'('$*@=$'1&*%1*C,,S*@)@:821)&n*7%3)?)8D*47'&*@)47%(*$211%4*
:)*=&)(*4%*&42'1*@=$'1&*3'47*2*"%3*2$'('$*!"#$21*$%14)146*,)2137'")D*5)8'%('$*2$'(<C$7'>>*&42'1'1!*$21*&)")$4'?)"#*
visualize glycoproteins, including mucins, but is incompatible with glycan analysis. Here we present a novel staining
@)47%(* >%8* ?'&=2"'9'1!* @=$'1&* %1* 2* C,,S* @)@:821)* 8)!28(")&&* %>* 47)'8* !"#$21&6* B1* 2(('4'%1D* 47'&* @)47%(* '&*
compatible with glycan analysis.
粘膜の主要な構成成分であるムチンは多数の O- 結
合型糖鎖に覆われた巨大(∼ J*,b2)な糖タンパク質
である。生体内で発現されるムチンの種類やその糖鎖
構造はがんや感染等との関連が古くから示唆されてき
た。最近、プロテオミクスの技術が成熟し多数の臨床
試料のプロテオームから疾患関連タンパク質マーカー
を探索する研究が活発になされているが、ムチンは上
に述べた構造上の特性のためトリプシンなどのプロテ
アーゼに耐性があり、また CbC<ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(CbC<e./S)の分離ゲルに入っていく
ことができないことから、これらの技術をベースとす
るマーカー探索研究からムチンが見出されることは少
ない。ムチンの疾患バイオマーカーとしての可能性を
調べるためには、多数の試料に含まれるムチンを糖鎖
部分も含めて簡便に分析できる技術が必要である。
最近、我々は e_bT 膜を利用する新しい膜電気泳動
1)
である分子マトリクス電気泳動法(SMME) を開発し 、
この方法がムチン分析や親和電気泳動などに応用でき
ることを昨年度の本大会で報告した。しかし SMME
は開発されてまもない未熟な技術であり、基礎的な
部分にもまだ開発要素が多く残されている。今回は、
SMME で泳動分離したムチンの染色について新たな方
法を開発したので報告する。
ムチン染色には、アルシアンブルーなどの塩基性色
素による方法、もしくは過ヨウ素酸酸化−シッフ塩基
法(e.C 染色)が広く利用されている。しかし、アル
シアンブルーは酸性ムチンの検出には有効だが酸性残
基の少ないムチンを染色することができない。また、
e.C 染色では糖鎖部分を酸化分解してしまうため、染
色後に糖鎖分析をすることは不可能である。したがっ
て酸性残基の少ないムチンを分離し、その糖鎖分析を
行うためには J 枚の膜を上記 J 種の方法でそれぞれ染
色し、e.C 染色で染まるスポットに相当する位置をア
ルシアンブルーで染色した膜から推定して切り取り、
糖鎖分析を行う必要があった。この方法は手間がかか
るだけでなく、泳動分離されたムチンを正しく切り取
ることができないというリスクを抱えている。
そこで我々は、酸性残基の少ないムチンも染色する
ことができ、かつ染色スポットの糖鎖分析も可能な
新規ムチン染色法を考案し実験を行った。コンセプト
は、ムチンの分子量の HQu 以上を占める O- 結合型糖
鎖の水酸基にエステル結合を介してカルボキシル基を
導入し、ムチン上の酸性残基を増加させることにより
アルシアンブルー染色における感受性を高める方法で
ある。糖鎖も修飾を受けるが、ムチンの糖鎖分析はア
ルカリ @ 脱離による糖鎖遊離処理を行うのでエステル
結合は分解され元の糖鎖になる。この手法を用いるこ
とで、従来の高感度 e.C 染色法である e8%<•*S@)82"(
より J 倍高感度に中性ムチンを検出することが可能と
なった。さらに染色されたスポットを膜上から切り取
り、糖鎖分析も可能であることを確認した。またこの
手法は、SMME のみならず通常のゲル電気泳動後に
e_bT 膜に転写されたムチンにも適用することができ
た。
文献
[0*,24&=1%*)4*2"6*.12"6*N7)@6*+JQQZ0*\[D*i\[P<i\Ji6
94
b2-07
X線結晶学によるノロウイルスのルイス抗原結合特異性解析
○久保田智巳 、熊谷安希子 、伊藤浩美 、古川早苗 、染谷雄一 、石井孝司 、脇田隆字 、武田直和 、
1
J
成松 久 、白土東子
1
1
J
1
1
J
J
J
J
産総研、糖鎖医工セ 感染研、ウイルス二部
J*
_95*#-$5#0+*""%)5*:/#-%&-+/,-D1&21&)-0:,$13$1+#-%7-O%5%<15(0-+%B*52-Y,B10-*&+1),&0I
○Tomomi Kubota , Akiko Kumagai D*X'8%@'*B4% D*C212)*T=8=a232 ,
J
J
J
J
1
J
Yuichi Someya D*U%m'*B&7'' , Takaji Wakita , Naokazu Takeda , Hisashi Narimatsu , Haruko Shirato
1
1
J
1
1
MN,/D*.BC-6*J*_'8%"%!#*BBD*^BBb
Summary:*E)*8)&%"?)(*47)*$8#&42"*&48=$4=8)&*%>*47)*e*(%@2'1*>8%@*2*^%8%?'8=&*&482'1*'1*$%@5")F)&*3'47*g)2D*g):D*X*
4#5)*[*%8*.*4#5)*[*214'!)1&6*-7)*AYT=$*%>*47)*g)2*214'!)1&*%$$=5')&*2*&'4)*('>>)8)14*>8%@*47%&)*%$$=5')(*:#*47)*AJT=$*
%>*47)*.*21(*X*214'!)1&6*-7)*.&1*@=4214*%>*21*'@5%84214*/"1*)F7':'4)(*2*('>>)8)14*:'1('1!*&5)$'G$'4#D*&=!!)&4'1!*47)*
structural basis of divergence of the Norovirus strains.
ノロウイルス +^%_0 は冬季に流行する感染性胃
イン上の同じ部位に結合していたのに対し、g) の
A[DY*T=$ は、A 型あるいは H 型の2つの A[DJ*T=$
腸炎の主要な原因ウイルスである。^%_ 感染症は
一般には軽症で経過するが、高齢者、乳幼児にお
結合部位とは全く異なる部位に結合していた。す
いては重症化し、二次的な感染から大規模化する。 なわちPドメイン上には共通の Gal (NAc) 結合部位
と、3 つの T=$ 結合部位が存在することが分かっ
ヒトから分離される ^%_ はヒトにのみ感染性を有
し、またヒト ^%_ は培養細胞や実験動物で増殖し
た。^_]P\ 株との構造およびアミノ酸配列比較から、
Gal (NAc) 結合部位を構成するアミノ酸残基はよく
ないことから、ウイルスの感染機構および複製機構
などの基本的知見は明らかになっていない。このた
保存されていたのに対し、3つの T=$ 結合部位では
め ^%_ 感染症の治療薬やワクチンは未だ存在せず、 糖鎖と相互作用する残基が保存されておらず、この
早期開発が望まれる。*^%_ は、ヒト小腸に発現す
ために各糖鎖に対する親和性に差異が生じること
が示唆された。さらに、A[DY*T=$ 結合に寄与してい
る糖鎖に吸着することで感染を開始する。ウイルス
る Gln の Asn 置換により結合特異性の変化を確認
は2つの遺伝子群に大別できる 30 以上もの遺伝子
型が同定されていて、その糖鎖認識特異性は遺伝
することが出来た。このことはウイルスの感染指向
子型間で異なっていることが明らかとなっている。 性が 1 アミノ酸置換で容易に変化することを示して
例えば遺伝子型 /B][ に分類されるプロトタイプ
いて、ウイルスの多様性を生み出す構造要因の 1 つ
^_]P\ 株では分泌型個体で感染が成立し、非分泌型
であると想像される。また、この株がB型糖鎖に結
個体では感染が成立しないことから、^%_ と血液
合できないことの理由を、水分子を介した水素結合
型抗原との結合には A[DJ*T=$ が不可欠と言われて
のネットワークの存在をもとに考察した。
きた。一方で、われわれは JH\ 株(遺伝子型 /B]J) 本研究は新エネルギー・産業技術総合開発機能
a
など g) 結合能を有するいくつかの株を同定してき (NEDO)の委託を受けた「糖鎖機能活用技術開発
た。これまでに、^_]P\ 株のキャプシド e ドメイン
プロジェクト」の一環として実施したものである。
と A および H 抗原との複合体結晶構造が報告され、
A[DJ*T=$ の認識機構の詳細は明らかになっている。
しかしながら、A[DY*T=$ 認識機構については未だ明
らかにされておらず、糖鎖認識機構の包括的な理解
には至ってない。本研究では ^%_ のルイス抗原認
識機構ならびに、^%_ の糖鎖認識の多様性を理解
a
するため、g) 結合能を有する JH\ 株のキャプシド
e ドメインといくつかの血液型糖鎖抗原との複合体
の ` 線結晶構造解析を行った。
a
b
解析の結果、A 型、H 型、g) 、g) のいずれの糖
鎖においても、非還元末端の Gal(NAc) は、e ドメ
a
95
b2-08
b2-09
糖脂質分解酵素とその活性化タンパク質の X
線結晶構造解析
マウス好中球におけるラクトシルセラミドの
構造と機能について
○沖野 望 、角田佳充 、鵜木(加藤)陽子 、藤川由香莉 、
J
1
1
1
J
大坪怜央 、坂口圭史 、合田初美 、石橋洋平 、小林宇太郎 、
3
1
1
田村具博 、木村 誠 、伊東 信
○増田浩美 、岩原知博 、中山仁志 、柳田光昭 、加賀直子 、
4
4
4
1
1
小林俊秀 、石井久美子 、早川智広 、小川秀興 、髙森建二 、
1,3
岩渕和久
1
1
3
1
1
J
九大院・農・生命機能、 九大院・生資環・生命機能、
産総研・生物プロセス研究部門
J
1
3
1
1,3
1
J
H/*5*$+,51F*+1%&-*&2-7(&$+1%&0-%7-Y*$H,59,&51$/,2microdomains in mice
○Nozomu Okino , Yoshimitsu Kakuta D*W%a%*U24%<V1%a' D*W=a28'*T=m'a232 ,
J
1
1
1
M)%*L4&=:% , Keishi Sakaguchi , Hatsumi Goda D*W%7)'*B&7':2&7' ,
J
3
1
1
V428%*U%:2#2&7' , Tomohiro Tamura , Makoto Kimura D*,2a%4%*B4%
1
1
1,3
J
○H.Masuda D*N6B327282 , H.Nakayama , M.Yanagida1, N.Kaga ,
4
4
4
1
1
T.Kobayashi D*U6B&7'' , T.Hayakawa , H.Ogawa , K.Takamori ,
1,3
U6B32:=$7'
[D*J*
1
3
1
1
J
b)546*%>*h'%&$'6*21(*h'%4)$76D*U#=&7=*V1'?6*
h'%58%6*M)&)28$7*B1&46*.BC-*
Summary:* CNb2&)* 21(* S/N2&)* 28)* ?2"=2:")* 4%%"&* >%8*
212"#&)&*%>*&48=$4=8)*21(*>=1$4'%1&*%>*/Cg&6**E)*8)5%84*7)8)*
47)* $8#&42"* &48=$4=8)&* %>* CNb2&)D* S/N2&)* BD* 21(* 2$4'?24%8*
58%4)'1*>%8*S/N2&)*+.N-BB06**CNb2&)*'&*2*9'1$<()5)1()14*
)19#@)*$%@5%&)(*%>*21*^<4)8@'12"*:)42<48)>%'"*>%"(*21(*2*
NLLX<4)8@'12"*('&4%84)(*+A];08*:288)"*>%"(6**N8#&42"*&48=$4=8)*
%>*S/N2&)*B*8)?)2")(*47)*('>>)8)1$)*'1*&5)$'>'$'4#*:)43))1*
S/N2&)*B*21(*BBD*'6)6*47)*>%8@)8*5%&&)&&)&*47)*3'()8*&=:&4824)<
:'1('1!*$")>4*'1*$%@528)(*4%*"24)86**.N-BBD*@2'1"#*$%@5%&)(*
%>*:)42<&7))4D*:'1(&*4%*$)82@'()*5%84'%1*%>*/Cg&6
スフィンゴ糖脂質 ( 以下糖脂質 ) から脂肪酸を遊離さ
せ、リゾ体を生じるスフィンゴ脂質セラミド ^<デアシ
ラーゼ(CNb2&))や糖脂質に作用してオリゴ糖とセラ
ミドを生じるエンドグリコセラミダーゼ(S/N2&))は、
糖脂質の構造と機能を解析する有用な酵素である。今
回、我々はこれらの酵素の作用機構を原子レベルで解
析するために、` 線結晶構造の解明を試みた。その結
果、CNb2&) は N 末端側の :)42<48)>%'" 構造と N 末端側の
活性部位を含む ('&4%84)(*+A];08 barrel 構造から構成され、
活性中心を亜鉛とする金属酵素であることが明らかに
なった。また、S/N2&)*BB と比較してグロボ系列の糖脂
質をよく分解する S/N2&)*B は、S/N2&)*BB よりも糖鎖部
分が収容される基質結合クレフトが広くなっているこ
S/N2&) を活性化するアクチベー
とが分かった。さらに、
タータンパク質(.N-BB)は、主として ; シートより構
成されている新規構造を示した。.N-BB と GM1a の複
合体の解析から、.N-BB が糖脂質のセラミド部位に結
合して、S/N2&)*に受け渡していることが推測された。
J
順天堂大院医、 順天堂大生体分子研究部門、
4
順天堂大医療看護学部、 理研脂質生物学
The crystal structure of glycosphingolipid-degradaing
,&F#6,0-*&2-*$+1<*+%5-:5%+,1&
1
96
1
B1&46*S1?6*/)1()8<C5)$'G$6*,)(6D*/82(6*C$76*,)(6*D*f=14)1(%*V1'?6D*J*b'?6*e8%4)%@'$&*21(*
h'%@%"6*C$'6D*h'%@)(*M)&6*N)146D*/82(6*C$76*%>*,)(6*f=14)1(%*V1'?6D* 3 g2:6*%>*h'%$7)@'6*
X)2"47*N28)*21(*^=8&6D*f=14)1(%*V1'?6D*4 g'5'(*h'%6*g2:6D*MBUS^*.(?6*C$'6*B1&46
Summary:*E)*212"#9)(*47)*&48=$4=8)*21(*>=1$4'%1&*%>*g2$N)8*
'1* @%=&)* 1)=48%57'"&6* ^)=48%57'"&* )F58)&&)(* &@2""* 2@%=14&*
%>*g2$N)8*%1*47)'8*$)""*&=8>2$)&6*T.NC*212"#&'&*'1('$24)(*4724*
47)*214'<g2$N)8*B!,*-H.KD*:=4*1%4*%47)8*214'<g2$N)8*$"%1)&D*
8)$%!1'9)(* g2$N)8* %1* @%=&)* 1)=48%57'"&6* -7)* @%")$="28*
&5)$')&*%>*g2$N)8*3)8)*&'@'"28*4%*47%&)*%1*7=@21*1)=48%57'"&6*
,%=&)* 1)=48%57'"&* &7%3)(* g2$N)8<@)('24)(* $)""* @'!824'%1*
21(* 572!%$#4%&'&6* B4* &))@&* 4724* g2$N)8<)18'$7)(* &'!12"'1!* '1*
neutrophils is a conserved function.
ラクトシルセラミド +g2$N)80 は、ヒト好中球のスフィン
ゴ糖脂質の約 KQ%を占め、脂質マイクロドメインを形成
し、貪食に関与するパターン認識受容体 +eMM0 として機能
する。今回我々は、マウス好中球における g2$N)8 の構造
と機能を解析し、抗 g2$N)8 抗体との結合パターンの解析
を行った。
Xe-gN 解析とリピドミクス解析からマウス好中球の細
胞膜における g2$N)8 含有量はヒトに比べて極めて少ない
ことがわかった。しかしながら、ヒト好中球における場合
と同様に、抗 g2$N)8 モノクローナル抗体 -H.K はマウス
好中球の遊走反応を惹起し、貪食を抑制した。T.NC 解析
を行ったところ、マウス好中球は -H.K 陽性となったが、
Jl
抗 g2$N)8 抗体の X="#<@[i は N2 存在下でのみ陽性であっ
た。X="#<@[i はイムノブロットや細胞膜からの g2$N)8 ド
メインの免疫沈降可能な抗体であるが、-H.K にはその能
力は無いことが知られている。そこで、この J つの抗体に
よる反応性の違いを SgBC. と hB.NLMS を用いて解析し
た。リポソームを用いた hB.NLMS 解析では -H.K 抗体の
方が、SgBC. 反応では X="#<@[i 抗体の方が g2$N)8 に対
する結合反応性は高かった。hB.NLMS を用いて、bLeND*
eLeND*beeN を用いた g2$N)8 リポソームとの結合反応を解
析すると、 いずれの抗体も bLeN > eLeN >> beeN の順
に抗体の結合力は異なっていた。以上の結果から、g2$N)8
はマウス好中球においても、その発現量が少ないにもかか
わらず、ヒト好中球同様に遊走や貪食に関係しており、マ
ウスにおける g2$N)8 を介した好中球機能は -H.K が認識
できるマイクロドメインにより行われていることが重要で
あると考えられた。
B2-10
糖鎖アトラスの作成法
○長束俊治 、須賀達也 、住吉 渉 、中北愼一
1
1
1
J
J
新潟大・理・生物、 香川大、総合生命科学センター
J
Strategy for Making of "Glycan Atlas"
○Shunji Natsuka , Tatsuya Suga , Wataru Sumiyoshi D*C7'1<'$7'*^2a2a'42
1
1
1
J
J
b)546*%>*h'%"6D*T2$"6*%>*C$'6D*^''!242*V1'?6D*J*g'>)*C$'6*M)&6*N486D*U2!232*V1'?6
Summary:*c/"#$21*.4"2&d*'&*2*&)4*%>*@25&*>%8*!"#$21&*'1*2*37%")*:%(#6**B4*$%1&'&4&*%>*'1>%8@24'%1*2:%=4*&48=$4=8)*21(*
quantity of the glycans. We established analysis conditions to make the glycan maps. A dynamic range of the method
is more than 1000. One microliter of serum or 10 mg of dried tissue is enough for making the glycan map. We have
launched the mouse "Glycan Atlas" project.
糖鎖アトラスは、個体全体の糖鎖マップを編纂し
たものであり、詳細な分子構造と発現量の情報を含
む。糖鎖アトラス作成のための手法には、広いダイ
ナミックレンジ、精密な構造解析が可能なこと、高
い定量性と再現性、網羅性、微量サンプルへの適応
などの条件が必要である。我々は既存の糖鎖マッピ
ング法を改良および標準化することにより、これら
の条件をすべてクリアした。標準化した分析手法の
ダイナミックレンジは 1000 以上である。種々の化
学的な糖鎖構造解析法(メチル化分析、スミス分解、
部分アセトリシス、質量分析、酵素消化など)に高
感度で応用することが可能である。また、安定な蛍
光基質を用いて XegN で定量するので定量性と再
現性に優れており高感度でもある。N<結合型と O<
結合型を一括して処理することができる上に、遊離
糖鎖や糖脂質の糖鎖部分の分析も同様にして可能
である。
糖鎖のタンパク質からの切り出しには、無水ヒド
ラジンとの反応を用いる。これは、1. 組織サンプ
ルを容易に溶解できる、J6*反応副生成物(アーティ
ファクト)が e^/2&)T 消化よりも少ない、3. N<結
合型と O<結合型を同時に切り出すことができる、
などの利点のためである。標識のための蛍光基質に
は、J< アミノピリジン(e.)を用いる。e. の利点
は、1. 蛍光物質としては例外的に安定である、J6*標
識糖鎖の逆相 XegN での分離が優れている、3. 非
標識糖鎖よりも質量分析(ポジティブモード)にお
ける感度が高い、4. 糖水解酵素への影響が少ない、H6*
水への溶解度が高い、などである。細胞や組織切片
などの生体試料の糖鎖含量は低く、一般に糖タンパ
ク質試料に比べ 1/100 以下である。その上、種々の
生体内蛍光性物質や大量のグルコースとそのオリ
ゴマーが夾雑物として分析を妨害するので、標的の
蛍光標識糖鎖を網羅的、定量的に回収でき、かつそ
れら夾雑物を効率的に除去する精製手法が分析に
は必要である。これに対して我々はその条件を満た
す方法として、溶媒抽出、脱塩ミニゲルクロマトグ
ラフィー、グラファイトカーボン吸着クロマトグラ
フィーを組み合わせた 3 ステップの精製法を確立し
1)
た 。次に、精製した標識糖鎖をイオン交換、サイ
ズ分画(アミド樹脂と糖の水酸基間の水素結合の強
度により分離)、逆相の各 XegN で順次分画するこ
とにより単離する。従来のサイズ分画と逆相 XegN
の条件では酸性糖の分離に問題があったが、シアル
酸含有糖鎖でも同一条件で分離できるように改良
した。XegN の溶出時間はカラムの劣化や溶離液の
わずかな組成のずれなどによって分析ごとに変動
する。我々は、特に分離の要である逆相 XegN* に
J0
対して 8 種類の N<結合型糖鎖による標準化法 を
採用することにより大幅なマップ精度の向上に成
功した。現在、マウス糖鎖アトラスの作成のために
肝臓の糖鎖マップ作りを行っており、カットオフ値
[u で 96 種の糖鎖をマッピングできた。
1) Shunji Natsuka, et al., FEBS J.*+JQ[[0*JK\D*YHJ<YPQ6
J0*U2142*W212!'(2D*et al., J. Chromatgr. (1998) 800,
[\K<[Z\6
97
B2-11
キャピラリー / マイクロチップ電気泳動のグライコバイオロジクスへの展開
○木下充弘 、中辻佑強 、北荘一郎 、荒井昭博 、中村 伸 、早川堯夫 、掛樋一晃
1
1
1
1
J
J
3
1
近畿大・薬、 島津製作所、 近畿大・薬総研
J
3
Application of Capillary/Microchip Electrophoresis to Glycobiologics
○Mitsuhiro Kinoshita , Yuki Nakatsuji , Souitirou Kita , Akihiro Arai , Shin Nakamura , Takao Hayakawa ,
1
Kazuaki Kakehi
1
1
1
1
J
J
3
C$7%%"*%>*e728@2$#D*U'1a'*V1'?6D*J*C7'@2(9=*N%6g4(6D*3 e728@6M)&D*-)$76B1&46DU'1a'*V1'?6
Summary:*N25'""28#*)")$48%57%8)&'&*+NS0*72&*:))1*8)2"'9)(*2&*2*5%3)8>="*4%%"*>%8*!"#$%58%4)'1*212"#&'&*(=)*4%*'4&*
7'!7*8)&%"=4'%1*21(*2=4%@24'$*%5)824'1!*&#&4)@6*X)8)D*3)*&7%3*NS<:2&)(*4)$71'{=)&*>%8*47)*&4=(')&*%>*!"#$%:'%"%!'$&6*
B1*2(('4'%1D*3)*8)5%84*47)*>)2&':'"'4#*%>*@'$8%$7'5*'&%)")$48'$*>%$=&'1!*+@BST0*>%8*2&&=821$)*%>*47)*7)4)8%!)1)'4#*%>*
glycoproteins such as monoclonal antibody (mAb) pharmaceuticals.
(Maeda et al. Anal.Chem, 2012)。これらの異種動物抗
抗体医薬品を始めとする糖タンパク質性医薬品
の生産において糖鎖の人為的な制御は現状では不
原糖鎖の混入についてはリクスベネフィットに基
可能であり、グライコフォームと呼ばれる不可避的
づいた議論が必要であるが、NS はそれらの評価に
な不均一性そして機能を発揮できないあるいは有
有効である。特に、NS はオリゴ糖分析だけでなく、
害事象の要因となる関連物質や不純物を含む可能
重鎖 .&1JZK への N型糖鎖の有無の解析や等電点電
性があることを前提とした評価技術が必要となる。 気泳動による電荷不均一性の評価にも応用可能で
糖タンパク質性医薬品の分析では「定量性」を前提
ある。
とする「高分解能」が求められるが、クロマトグラ
J6* マイクロチップ等電点電気泳動を用いる糖タン
フィーを中心とする分離分析法のみではそれらを
達成することが難しい。本発表では、キャピラリー
パク質分子不均一性の迅速評価
電気泳動(NS)がグライコバイオロジクスにもた
糖タンパク質を始めとするバイオ医薬品の N,N
らす新しい分析の切り口を述べるとともに、NS の (N7)@'&48#D*,21=>2$4=8'1!*21(*N%148%")部門における
各種分離モードを用いる抗体医薬品の分析法を紹
評価では、ルーチン分析に耐える耐久性と迅速性・
介する。また、NS のノウハウを活用して生み出さ
簡便性が要求される。一般的に糖タンパク質は汎用
れたマイクロチップ等電点電気泳動(@BST)を用
性の高い分析法では対応が難しく、分離に長時間を
いる糖タンパク質の分子不均一性評価法について
要する場合が多い。我々はキャピラリー電気泳動の
紹介する。
糖タンパク質分析における有用性を活かし、分析の
迅速化を図る手段としてマイクロチップ等電点電
1. キャピラリー電気泳動による抗体医薬品の分析と
気泳動(@BST)による糖タンパク質分析法の開発
異種動物抗原糖鎖
を進めてきた。マイクロチップ等電点電気泳動は数
抗体医薬品は分子標的性を有する医薬品として、 センチ角の石英セル上に設計されたマイクロ流路
JQQQ 年以降バイオ医薬品開発のトレンドとなって
内で等電点電気泳動を行う手法であり、糖タンパク
いる。抗体医薬品は生産細胞として NXL 細胞や、 質の電荷不均一性を数分以内で解析できる。我々は
NS0 や CeJ]Q などのマウス細胞を生産細胞として使
@BST を糖タンパク質および各種抗体医薬品の分析
用するため、ヒトに対して異種動物抗原となりう
に適用し、シアロ糖タンパク質を糖鎖の不均一性に
る糖鎖の混入とその危険性が指摘されている。そ
基いてグライコフォームの分離が可能であり、さら
こで、種々の上市抗体医薬品を NS により分析し
に抗体のコアタンパク質の不均一性にも対応でき
たところ、4 種類の主要なコア A[<P フコースを持
る手法を開発した。@BST を用いる利点は糖タンパ
つ J 本鎖糖鎖の相対比が著しく異なることに加え、 ク質を直接 V_ 検出するため、ゲル電気泳動に比べ
NS0 や CeJ]Q で生産された抗体中に ^<グリコリル
て高い定量性を有することも大きな利点である。
ノイラミン酸 (NeuGc) や A/2" エピトープ +/2"A[<
3Gal) を持つ分子種が存在することを明らかにした
98
B2-12
有機溶媒添加によるα 2,3- シアル酸転移酵素 JT-ISH-224 の副反応抑制研究
○清水弘樹 、長島 生 、峯 利喜 、山本 岳
1
1
1
J
J
産総研、 日本たばこ産業
J
H%&+5%""1&)-*-/#25%"#010-012,-5,*$+1%&-7%5-RK?M901*"#"+5*&07,5*0,-75%6-Photobacterium-0:I-^Q98.X9KK@-D#addition of organic solvents
○Hiroki Shimizu D*B9=8=*^2!2&7'@2 , Toshiki Mine , Takeshi Yamamoto
1
1
1
J
J
^24'%12"*B1&4'4=4)*%>*.(?21$)(*B1(=&48'2"*C$')1$)*21(*-)$71%"%!#*+.BC-0D*J*f2521*-%:2$$%*B1$6
Summary:*S19#@24'$*&#147)&'&*%>*%"'!%&2$$728'()&*=&'1!*&5)$'G$*&'2"#"4821&>)82&)&*)12:")&*&'1!")<&4)5*!"#$%&#"24'%1*3'47*
7'!7*5%&'4'%12"*21(*21%@)8'$*&48=$4=82"*&)")$4'?'4#6*AJDi<&'2"#"4821&>)82&)*>8%@*e7%4%:2$4)8'=@*&56*f-<BCX<JJY*72&*=1'{=)*21(*
:8%2(*2$$)54%8*&5)$'G$'4#D*:=4*47'&*)19#@)*5%&&)&&)&*1%4*%1"#*&'2"#"4821&>)82&)*2$4'?'4#*:=4*2"&%*&'2"'(2&)*2$4'?'4#6*E)*>%=1(*
that addition of organic solvents was effective to control the sialidase activity, and as a result, the stable synthesis of sialoside
could be achieved.
糖鎖化学合成法は、天然型のみならずその非天然型
誘導体などデザインした化合物を比較的自由に合成で
きるが、技術的な習練が必要で、工程数が多くなるこ
とから合成所用時間もかかる。酵素合成法は、生体触
媒である酵素が有する高い基質特異性を利用し、高収
率かつ高選択的な物質変換が可能なため短工程で目的
物を得られるが、基本的に天然型のみ合成可能で、か
つ大量合成には向かないとされていた。これまでに
我々は、これらの欠点を補った糖鎖の大量合成技術研
究を進め、シクロデキストリン添加による難水溶性基
質の高濃度反応 (1) や新規シアル酸化合物合成研究 (1)
などについて報告した。本発表では、有機溶媒添加に
よる AJDi<シアル酸転移酵素*f-<BCX<JJY* の活性制御研
究について報告する。+J0
本酵素は、基質特異性を適度に保有しており、非天
然型糖鎖合成に有効な酵素であるが、糖転移活性と同
時に、産物を基質とした糖加水分解活性も有すること
が知られている。シアロシドの効率合成のためには、
反応を随時追跡し適度なところで終了させればよい
が、糖鎖生産という観点ではより反応をシンプル化す
ることが求められる。そこで、有機溶媒の添加による
本酵素活性制御について検討した。+J0
基 質 と し て Y<,)47#"=@:)""'>)8#"*;<"2$4%&'()*+Y<,V*
g2$4%&)0 を用い、海洋性微生物 Photobacteriumsp. 由来、
AJDi<C'2"#"4821&>)82&)**f-<BCX<JJY* の転移反応における
反応経過を逆相 XegN により追跡し、DMSO、MeOH、
EtOH、NX3N^、Acetone 等、水と親和性のある有機溶
媒の添加効果について調べた。まず、副反応となるシ
アル酸加水分解反応は、酵素とシアロシド基質のみ
の場合はほとんど生じないが、糖供与体である N,e<
NANA が共存するとより促進され、その結果、産物
である AJDi<シアリルラクトース誘導体がほぼすべて
加水分解されうることがわかった。また、ラクトシ
ド基質と N,e<^.^. の糖転移反応で MeOH、EtOH、
NX3N^、Acetone を共存させたところ、加水分解副反
応を誘発するシアリダーゼ活性が抑えられ、高収率で
AJDi<シアリルラクトース誘導体が得られた。様々な
条件を検討した結果、有機溶媒は加水分解活性を選択
的に抑制しているのではなく、酵素が有する糖転移活
性と加水分解活性を同時に抑制していること、また有
機溶媒濃度を薄くすると酵素活性が再生することが分
かった。詳細な作用機構については現在検討中である。
本研究の一部は、独立行政法人 科学技術振興機構
研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラ
ム(フィージビリティスタディ【TC】ステージ探索タ
イプ)「ウイルス・毒素の診断・除去を指向した、高
性能ナノ糖鎖作製開発研究」の支援を受け遂行した。
s[t*JQQZ 年本会
sJt*B6*^2!2&7'@2D*-6*,'1)D*-6*W2@2@%4%D*X6*C7'@'9=*
Carbohydr. Res., in press.
99
b2-13
b2-14
NAP エーテルを介した分子内アグリコン転移反応の応用:1,2-cis
グリコシドを含む、キシロマンナンフラグメントの立体選択的構築
○石渡明弘 、櫻井絢花 、伊藤幸成
1
1
1
○磯部知香、岡田朋子、箕浦憲彦
[DJ*
J*
理研・基幹研、 fC-・SM.-L
東京工科大院バイオニクス
G::"1$*+1%&-%7-OG4-,+/,596,21*+,2-1&+5*6%",$("*5-*)"#$%&-2,"1<,5#-+%stereoselective construction of xylomannan fragment containing 1,2-cis glycosides
○.a'7'8%*B&7'3242 , Ayaka Sakurai D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
1
[DJ*
MBUS^・.CBD*J*fC-・SM.-L
Summary: The methodology toward the strereoselective
[DJ<cis<!"#$%&'()* =&'1!* J<125747#"@)47#"* +^.e0* )47)8<
@)('24)(* '1482@%")$="28* 2!"#$%1* ()8'?)8#* +B.b0* 72&* :))1*
()?)"%5)(6*E)* 3'&7* 4%* 8)5%84* 21* 255"'$24'%1* %>* ^.e<B.b*
4%*47)*&4)8)%&)")$4'?)*&#147)&'&*%>*2*4)482&2$$728'()*;<,21<
(1→Y0<;<`#"<+[→Y0<;<,21<+[→Y0<`#"D* 2* &48=$4=82"*
$%@5%1)14* %>* 47)* 1%?)"* 214'>8))9)* >2$4%8* F#"%@21121D*
>'8&4* '&%"24)(* >8%@* 47)* >8))9)<4%")8214*."2&a21* :))4")* 3*#4.
ceramboides.
近年、タンパク質を含まない新規な不凍活性物質キ
シロマンナンが発見された。従来、不凍活性物質は、
従来ペプチド骨格を基本としたタンパク質や糖タンパ
ク質がみいだされていたが、新規キシロマンナンは、
マンノース (Man) とキシロース*+`#"0*の二糖の*;<+[→4)
結合の繰り返し構造を基本骨格とする多糖からなると
されている。しかし、三次元構造や分子量などの構造
の全貌は、未だ明らかになっていない。本研究ではキ
シロマンナン多糖の合成研究の一環として、最近当研
究室で開発した、種々の [DJ<cis< グリコシド結合の立体
選択的構築に応用可能なナフチルメチル*+^.e0* エーテ
ルを介した分子内アグリコン転移反応*+B.b0*を応用し、
4糖構造の構築検討を行うこととした。
キシロマンナンの合成にあたり、;<,21<+[→Y0<`#"*を
共通ユニットとしてまず構築した後に、フラグメント
カップリングし鎖長を伸長する計画とした。種々 ^.e<
B.b を検討したところ、従来必須であった 4,6 位の環状
保護基を含まない Man 供与体を用いた場合でも、効率
的に ;< 選択的にマンノシル化が進行することを見いだ
した。本法は ^< 結合型糖タンパク質糖鎖の還元末端3
糖誘導体*+,21[/"$^.$J0* の合成にも応用可能である。
得られた共通 J 糖中間体より2糖供与体、及び2糖受
容体へ誘導し、それらのグリコシル化により、キシロ
マンナン4糖フラグメント*+,21J`#"J0*の合成に成功し
た。合成4糖を用いた*^,M*解析、分子モデリングによ
る不凍活性発現の機構に考察についてもあわせて報告
したい。
100
糖ペプチドによる糖鎖集積化とレクチン認識
能評価
H"(0+,51F*+1%&-%7-H*5D%/#25*+,-%&-!"#$%:,:+12,0-*&2G73&1+#-T<*"(*+1%&-B1+/-Y,$+1&0
○N7'a2*B&%:)D*-%@%a%*La2(2D*^%8'7'a%*,'1%=82
-%a#%*V1'?6*%>*-)$71%"6*/82(=24)*C$7%%"*%>*h'%1'$&
Summary: Novel glycopeptides were designed and synthesized
for affinity evaluation between carbohydrate and lectin. The
glycopeptides enable to cluster the carbohydrates by forming a triple
7)"'F*&48=$4=8)*24*47)*$%""2!)1<"'a)*5)54'()*@%')4#6*-7)*!"#$%5)54'()&*
were synthesized by solid phase synthesis and identified by mass
&5)$48%@)48#6*C42:'"'4#*%>*!"#$%5)54'()&*32&*)F2@'1)(*:#*$'8$="28*
('$78%'&@*&5)$48%@)48#*21(*2>G1'4#*%>*47)*!"#$%5)54'()&*4%*N%1*.*
32&*)F2@'1)(*:#*2*j=%8)&$)1$)*5%"28'924'%1*@)47%(6
細胞表面に存在する糖鎖は細胞間の分化や細菌・ウイルス
の感染などの生体反応に関与していて、糖鎖の集合体構造に
おいて糖鎖 - レクチン間の親和性が高まることが報告されて
いる。そこで、本研究では、コラーゲンペプチドの三重らせ
ん構造の形成によって糖鎖の集積化が誘起される新規な糖ペ
プチドの合成と構造解析およびレクチンとの相互作用評価を
行った。
水溶液中で三重らせん構造を形成すると報告されているコ
ラーゲンペプチド ++e8%<X#5</"#010 または +/"#<e8%<e8%010) にそ
れぞれ糖(マンノース:Man)と蛍光物質(ニトロベンゾフ
ラザン)を導入し、J 種類の糖ペプチドを含む計 4 種類のペ
プチドを合成した +T'!6*[0。合成したペプチドは質量分析によ
り同定した。円偏光二色性スペクトル測定により、これらの
eL/[Q は PJ℃であっ
ペプチドの融解温度は、,eL/[Q は H\℃、
た。このことから、ペプチドの三重らせん構造の安定性はコ
ラーゲンペプチドの配列に依存し、,eL/[Q は ,/ee[Q より
も安定な三重らせん構造を形成していることが分かった。ま
た、糖ペプチドとレクチン +N%1*.0 との相互作用を蛍光偏光
法によって評価した結果、Man を導入した ,eL/[QD*,/ee[Q
は eL/[QD*/ee[Q よりも N%1*. に対して高い親和性を示すこ
とが確認できた。さらに、メチルマンノースを添加すること
で阻害効果が見られた。このことから、ペプチドに導入した
Man は選択的に N%1*. と結合していることが示された。本発
表では、糖鎖の集積化の制御に伴う Man の N%1*. に対する親
和性について報告する予定である。
A4-01
コンドロイチン硫酸に特異的な加水分解酵素に関する研究
○山田修平 、金岩知之 、宮崎 杏 、古川 諒 、水本秀二 、菅原一幸
[DJ
1
J
J
J
J
J
名城大・薬、 北大院・生命
J
.+(21,0-%&-+/,-$/%&25%1+1&-0("7*+,90:,$13$-/#25%"*0,0
[DJ
J
J
J
J
J
○Shuhei Yamada , Tomoyuki Kaneiwa , Anzu Miyazaki D*M#%*U%!232 , Shuji Mizumoto , Kazuyuki Sugahara
1
T2$6*e728@6D*,)'m%*V1'?6D*J*/82(6*C$76*g'>)*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6
Summary:*X=@21*2&*3)""*2&*@%=&)*7#2"=8%1'(2&)<Y*32&*()@%1&4824)(*4%*:)*2*$7%1(8%'4'1*&=">24)*+NC0<&5)$'G$*)1(%<
:)42<N<2$)4#"!2"2$4%&2@'1'(2&)6*-7'&*'&*47)*G8&4*'()14'G$24'%1*%>*2*NC<&5)$'G$*7#(8%"2&)*'1*7'!7)8*%8!21'&@&6*-7)'8*
&=:&4824)*&5)$'G$'4')&*3)8)*'1?)&4'!24)(*=&'1!*?28'%=&*NC*'&%>%8@&6*-7'&*)19#@)*3'""*:)*2*=&)>="*4%%"*>%8*'1?)&4'!24'1!*
NC<&5)$'G$*>=1$4'%1&*3'47%=4*()!82('1!*7#2"=8%1216*B4*@2#*2"&%*:)*255"'$2:")*4%*47)*48)24@)14*%>*2$=4)*&5'12"*$%8(*
'1m=8')&*'1&4)2(*%>*47)*:2$4)8'2"*NC*"#2&)6
【目的】コンドロイチン硫酸 +NC0 の細胞内での代謝
調べた。
は主にリソソームで起こり、エンド型の酵素によっ 【結果】ヒトやマウスの XW.g ファミリーの中で対
て断片化された後、エキソ型の酵素によって単糖
象となる基質が不明であった XW.gY(7XW.gY お
にまで分解される。しかし、NC に特異的に作用す
よび mHyal4)について、組換え体タンパク質を調
るエンド型の酵素は見つかっておらず、ヒアルロ
製し、その性質を調べたところ、NC を分解したが
HA にはほとんど作用しなかった。7XW.gY はエン
ン酸 (HA) を分解する酵素であるヒアルロニダーゼ
+XW.g0 が副次的に NC も分解していると考えられ
ド <;<N< アセチルガラクトサミニダーゼであった。
てきた。そこで、新規の NC 特異的なエンド型の加
これは、高等生物で初めて同定された NC 特異的な
水分解酵素を探索した。線虫は HA を産生せずコン
エンド型の加水分解酵素であった。7XW.gY は、特
ドロイチン(N71)のみを持つが、そのゲノムには
に高硫酸化 NC である NC<b を良い基質とし、NC 構
ヒトの XW.g のホモログが存在するため、この遺
造中の特定の配列を認識して作用することが判明
伝子をクローニングし、組換え体タンパク質の性質
した。mHyal4 の組換え体タンパク質についても同
を調べたところ、N71 特異的加水分解酵素であるこ
様に調べたところ、NC を特異的に分解し、HA や
N71 にはほとんど作用しなかった。しかし、認識
とが判明した。したがって、NC 特異的加水分解酵
素も XW.g に相同性があると考えた。ヒトやマウ
する硫酸化構造は 7XW.gY と mHyal4 で異なってお
スの XW.g ファミリーの中には、対象となる基質
り、mHyal4 の方が広い基質特異性を持っていた。
が不明であるメンバーが存在していた。そこで、そ
キメラ酵素や変異体酵素の解析より、基質認識に重
れらについても組換え体タンパク質の性質を調べ
要なアミノ酸の同定に成功した。また、mHyal4 や
7XW.gY の至適 pH は酸性にあり、リソソーム酵素
た。
【方法】対象となる遺伝子をクローニングし、タグ
であると予想されたが、それらの発現は普遍的では
を付けた組換え体タンパク質として NLC<K 細胞に
なく、精巣や胎盤など、非常に限局的であった。さ
強制発現させ、タグを利用して精製した。精製酵素
らに、細胞表面に存在することが示唆された。よっ
の様々なグリコサミノグリカン基質に対する作用
て、これらの酵素は、NC の一般的な代謝に関与す
を、ゲルろ過および陰イオン交換 XegN で解析した。 る酵素というよりは、むしろ特定の組織で特異的な
酵素反応の至適 pH を決定し、さらに反応の速度論
機能に関わっているようである。これら新規の NC
的パラメーターを求めた。質量分析と XegN によ
特異的な加水分解酵素は、組織や細胞における NC
り分解産物の同定も行った。また、各 @M^. の組
特異的な機能の解明に役立つと考えられる。バクテ
織での発現を、eNM を用いて調べた。活性が見ら
リア由来の NC 脱離分解酵素に替わり、脊髄損傷の
れた酵素については、活性部位、および基質認識部
治療に応用できる可能性もある。
位のアミノ酸を同定するため、キメラ酵素や変異体
酵素を作成し、その活性や基質特異性も調べた。各
酵素の細胞内存在部位について、免疫染色を行って
101
a4-02
RAGE は癌細胞の肺転移に関わるコンドロイ
チン硫酸の受容体として機能する
○水本秀二、高橋 潤、菅原一幸
北大院・生命
RAGE is a functional receptor for chondroitin sulfate
involved in pulmonary metastasis of tumor cells
○C7=m'*,'9=@%4%D*f=1*-2a272&7'D*U29=#=a'*C=!27282
/82(6*C$76*%>*g'>)*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6
Summary: A molecular mechanism of pulmonary metastasis
478%=!7* $7%1(8%'4'1* &=">24)* +NC0* 8)@2'1&* =1$")286* -7)*
8)$)54%8*@%")$=")*>%8*NC*$72'1&*$%142'1'1!*S<('&2$$728'()&*
)F58)&&)(* %1* 47)* g)3'&* "=1!* $28$'1%@2* +ggN0* $)""&* 32&*
8)?)2")(* 4%* :)* M)$)54%8* >%8*.(?21$)(* /"#$24'%1* S1(<
58%(=$4&*+M./S0D*37'$7*'&*2*@)@:)8*%>*47)*'@@=1%!"%:="'1*
&=5)8>2@'"#* 58)(%@'1214"#* )F58)&&)(* '1* 47)* "=1!6* -7)*
$%"%1'924'%1*%>*47)*"=1!&*:#*47)*ggN*$)""&*32&*(82@24'$2""#*
'17':'4)(*:#*21*214'<M./S*214':%(#6
【目的】以前我々は、高転移性のルイス肺癌細胞株(ggN)
に お い て、 コ ン ド ロ イ チ ン 硫 酸 +NC0 鎖 中 の S<=1'4*
s/"$.</2"^.$+Y<D*P<L<ジ 硫 酸 )] 構 造 の 発 現 が 上 昇 し、
さらにその S<=1'4 を認識する抗 NC<S 抗体を前もって投
与したマウスでは、ggN の肺への転移が強く阻害され
ることを見出していた*+g'*)4*2"6D*f6*h'%"6*N7)@6*JQQ\0。し
たがって、ggN 細胞の転移において、その細胞表面上
の NC 鎖中に含まれる S<=1'4 が肺へ接着する際に深く関
与していると推察し、肺に存在する NC<S の受容体の同
定を試みた。
【方法】NC<S を固相化したアフィニティーカラムでマ
ウス肺抽出物を分画し、NC<S 結合タンパク質をトリプ
シンで消化後、質量分析により同定した。
【結果と考察】マウスの肺から NC<S 結合タンパク質
と し て、M)$)54%8*>%8*.(?21$)(*/"#$24'%1*S1(*58%(=$4&*
+M./S0 を同定した。NC<S は M./S タンパク質上の塩
基性クラスターの部分に結合することも判明した。ま
た、抗 M./S 抗体をマウスに前投与すると、ggN 細胞
の肺転移が強く阻害された。したがって、がん細胞表
面の NC 鎖中の S<=1'4 が肺の M./S を介して結合する
ことが、肺へのがんの転移に重要であることが示され
た +,'9=@%4%*)4*2"6*f*h'%"*N7)@D*JQ[J0。
102
A4-03
ヘパリンによるエコトロピックマウス白血病ウイルスの感染阻害
○関 洋平 、水倉美早穂 、一宮智美 、隅田泰生 、西原祥子 、増田道明 、高瀬 明
1
1
1
1
*J
1
3
1
創価大・工・生命情報、 鹿児島大・院理工、 獨協医科大・医・微生物
J*
3
O-sulfate groups of heparin are critical for inhibition of ecotropic murine leukemia virus infection by
heparin
1
1
1
*J
1
3
○Yohei Seki , Misaho Mizukura D*-%@%@'*B$7'@'#2 , Yasuo Suda , Shoko Nishihara , Michiaki Masuda ,
1
C2#2a2*-2a2&)<W%()1
b)5284@)14*%>*h'%'1>%8@24'$&D*T2$="4#*%>*S1!'1))8'1!D*C%a2*V1'?)8&'4#D* J* Graduate School of Science and Engineering,
U2!%&7'@2*V1'?)8&'4#D*3 b)5284@)14*%>*,'$8%:'%"%!#D*b%aa#%*,)('$2"*V1'?)8&'4#*C$7%%"*%>*,)('$'1)
1
Summary:*-7)*)$%48%5'$*@=8'1)*")=a)@'2*?'8=&*+,g_0D*T8')1(*,g_*21(*47)*1)=8%5247%!)1'$*?28'214&*.\*,g_*
21(*e_N<J[[*,g_D*3)8)*&=&$)54':")*4%*7)528'1<@)('24)(*'17':'4'%1*%>*'1>)$4'%1*%>*^BX*i-i*$)""&6*E)*)F2@'1)(*47)*
'1j=)1$)*%>*N<*%8*O<&=">24'%1*%>*7)528'1*%1*:'1('1!*2$4'?'4#*4%*S1?*21(*%1*47)*'17':'4'%1*%>*47)*'1>)$4'?'4#*%>*,g_6*
This analysis indicated that the O<&=">24)*!8%=5&*%>*7)528'1*5"2#*2*@2m%8*8%")*'1*()4)8@'1'1!*S1?<()5)1()14*'17':'4%8#*
effects.
エコトロピックマウス白血病ウイルス(,g_)
の細胞への感染は、細胞膜上に存在する特異的レセ
プター(cationic amino acid transporter 1)とウイル
ス粒子表面に存在する Env タンパク質が結合する
ことにより始まる。特異的レセプターは、ウイルス
の標的細胞を決定する重要な因子の一つであるが、
近年、様々なウイルスにおいて、ヘパリンが感染を
阻害することから、細胞表面のヘパラン硫酸もウイ
ルス感染に関与することが報告されている。本研究
では、,g_ とヘパリンとの相互作用について解析
を行い、,g_ 感染におけるヘパラン硫酸の関与に
ついて考察した。
T8')1(*,g_(T<,g_)、 お よ び、 神 経 病 原 性
T<,g_*.\(.\<,g_) お よ び e_N<J[[(e_N<J[[<
,g_)の ^BX*i-i 細胞への感染に対するヘパリンの
影響を調べた。その結果、各ウイルスの感染は、ヘ
パリンの濃度に依存して阻害され、ウイルス間にお
ける有意な差は認められなかった。ヘパリンの硫酸
化構造の違いにより、,g_ 感染阻害効果が異なる
のかを明らかにするために、O<硫酸基を完全に取
り除いた N<.$)4#"<()<O<&=">24)(*7)528'1*+^.(LC<X0、
N< 硫酸基を減少させた N<.$)4#"7)528'1*+^.<X0、N<
硫 酸 基 を 完 全 に 取 り 除 い た b)<N<&=">24)(*7)528'1*
+(^C<X0 を用いて、感染阻害実験を行った。その結
果、^.<X* および (^C<X* は、ウイルスの感染を阻
害したが、^.(LC<X はウイルスの感染を阻害しな
かった。次に、ウイルスの宿主細胞への吸着・侵
入から遺伝子発現までの過程に対するヘパリンの
影響を調べるために、T<、.\<、および、e_N<J[[<
Env を有する _C_+ 水泡性口内炎ウイルス ) シュー
ドタイプウイルス(_C_]T<S1?*、_C_].\<S1?、お
よび、_C_]e_N<J[[<S1?)を作製し、感染阻害実験
を行った。その結果、,g_ 感染の場合と同様の成
績が得られた。
Env を有する _C_ シュードタイプウイルスのヘ
パ リ ン 固 定 化 CeM*+&=8>2$)*5"2&@%1*8)&%121$)0 セ ン
サーチップへの結合を CeM により測定した。その
結 果、_C_].\<S1? お よ び _C_]e_N<J[[<S1? は、
_C_]T<S1? よりも多くヘパリンチップに結合する
ことが示された。また、_C_]T<S1? は、Env を有さ
ないシュードタイプウイルスよりも多くヘパリン
チップに結合した。これらの結果は、Env がヘパリ
ンと相互作用しており、その結合活性は、Env タン
パク質のアミノ酸配列に依存することを強く示唆
している。また、各 _C_ シュードタイプウイルス
の ^.(LC<X チップおよび (^C<X チップへの結合
量は、ヘパリンチップへの結合量に比べ少なかった
が、^.(LC<X チップと (^C<X チップへの結合量に
明らかな差は見られなかった。
以上の結果から、ヘパリンは ,g_ の Env タンパ
ク質に結合し、ウイルスの宿主細胞への吸着・侵入
から遺伝子発現までの過程に影響を及ぼすことに
より、感染を阻害することが示唆された。さらに、
ヘパリンによるウイルスの感染阻害には、ヘパリン
の O<硫酸基が重要な役割を果たしていることが明
らかとなった。
103
A4-04
増殖因子及び細胞キャリアとしての低分子化ヘパリンとフラグミンからなる微粒子
○石原雅之 、岸本聡子 、服部秀美 、藤田真敬 、田中良弘 、中村伸吾
1
1
1
J
1
3
防衛医科大学校、研究センター、 医療工学研究部門、 異常環境衛生研究部門、 外科学講座
1
J
3
-Y%B9L%",$("*59`,1)/+-X,:*51&UC5*)61&Va45%+*61&,-L1$5%aO*&%:*5+1$",0-*0-)5%B+/-7*$+%5-*&2-$,""09
carrier
1
1
1
J
1
○,2&2#=a'*BCXBX.M. D*C24%a%*UBCXB,L-L D*X'()@'*X.--LMB D*,2&21%8'*TVfB-. , Yoshihiro Tanaka ,
3
C7'1!%*^.U.,VM.
^24'%12"*b)>)1&)*,)('$2"*N%"")!)D*M)&)28$7*B1&46D* 1 Div. of Biomedical Engineering and J*Div. of Environmental Medicine,
and 3 Dept. of Surgery
Summary:* g%3<@%")$="28<7)528'1+TkT82!@'100]e8%42@'1)+e0* ,e&・^e&* '@@%:'"'9)D* $%148%"* 47)* 8)")2&)D* 21(*
58%4)$4*47)*2$4'?'4#*%>*?28'%=&*7)528'1<:'1('1!*!8%347*>2$4%8&*+/T&06*T]e*,e&・^e&*$21*2"&%*:'1(*4%*?28'%=&*$)""*
&=8>2$)&D*$2=&'1!*47)&)*$)""&*4%*'14)82$4*3'47*47)*T]e*,e&・^e&D*'1(=$'1!*$)""&],e&・^e&<2!!8)!24)*>%8@24'%1D*21(*
&=:&4214'2""#*58%@%4'1!*$)""="28*?'2:'"'4#*'1*?'48%*21(*'1*?'?%6*T]e*,e&・^e&*$21*2"&%*)>G$')14"#*:'1(*4%*4'&&=)*$="4=8)*
5"24)&*8)42'1'1!*/T&6
ユニークな組成や構造からなる多重電解質複合
体は、可溶性ナノ粒子の形成、複合化マイクロ粒子、
非結晶性沈殿物等を形成し、バイオテクノロジーや
医学の世界への適用を可能にする。例えば、DNA・
キトサン複合体やキトサン・コンドロイチン硫酸
複合体は、それぞれ遺伝子キャリア及び薬剤キャ
リアとして研究されてきた。我々は、薬剤キャリ
アとしての治療効果と安全性に優れた天然材料で、
医療用注射薬となっている低分子化ヘパリン ( フラ
グミン ) とその中和剤であるプロタミンを採用し
て、たんぱく質 +T/T<J や eMe0 との複合体形成と
その機能評価を実施・報告を行ってきた。さらに、
陽電荷を有するプロタミン +e0 と陰電荷のフラグミ
ン +T0 の天然高分子より生じる安定したマイクロ粒
子 +[<H*}@0*+,e&0 及びナノ粒子 +\Q<[JQ*1@0*+^e&0 を
用いて、安全性に優れた薬剤キャリアのための T]e*
,e&・^e& の供給を可能とした。
T]e*,e&・^e& は、線維芽細胞増殖因子 +T/T0<J
や肝細胞増殖因子 +X/T0 を効率的に吸着し、in vivo
での局在化、徐放化、活性促進、安定化が認められ
ている。また、T]e*,e&・^e& は、血小板を活性化
させ、各種サイトカインの分泌を促進する。血小板
によって運搬されるサイトカインは JQ を超え、こ
れらのサイトカインのほとんどがヘパリン結合性
であり、T]e*,e&・^e& が多血小板血漿 +eMe0 に含
まれるこれらの血小板由来のサイトカインを吸着、
安定化させる効果について多くの報告を行ってき
た。さらに、国内でも今後臨床実験での使用が申請
されている骨形成タンパク質<J、血小板由来増殖因
子等のサイトカインについても、機能性たんぱく質
キャリアとしての T]e*,e&・^e& の有用性を検討し
ている。
104
虚血性疾患の一つである閉塞性動脈硬化症等末
梢血流障害に対する、血管新生療法における血管増
殖因子のデリバリーシステムとして、T/T<J 含有 T]
e*,e&・^e& を調製し、T/T<J の局所保持と徐放化
による強い血管新生促進効果を得ている。繰り返し
治療を要する重症閉塞性動脈硬化症の場合には、容
易に頻回の注射が可能な本薬剤の効果が期待でき
る。加えて、T/T<J に代えて、患者本人の末梢血液
から調製できる血管新生のためのサイトカインが
豊富に存在する自己 eMe を、サイトカインソース
として用いることによって、大きな血管新生効果が
得られることを確認した。また、各種細胞との相互
作用により細胞スフェロイドの形成を促進させ、細
胞生存性や生着性を高める細胞キャリアとしての
有用性も示され、本 T]e*,e&・^e& は機能性たんぱ
く質や細胞キャリアとして、画期的・波及的な生体
材料といえる。特に脂肪組織由来間葉系細胞 +.CN&0
や骨髄由来間葉系幹細胞 +h,CN&0 を本剤と浮遊培
養して得られたスフェロイドの局所投与は、顕著な
細胞生着の促進と毛細血管を伴う線維組織の形成
が観察されている。また、T]e*,e&・^e& はガラス
やプラスチック表面へのコーティング材として適
用が可能なことから、本複合体コートプレートを用
い、低 ( 無 ) 血清培地下で適切なサイトカインを添
加することで、ヒト線維芽細胞、内皮細胞、.CN&、
h,CN& 等の培養法を確立している。
a4-05
a4-06
trimeric Tn 抗原による癌転移能亢進の分子
メカニズムの解明
統合失調症患者に見いだされた ST8SiaII/STX 遺伝
子変異 SNP-7 が生合成する polySia-NCAM の特徴
○松本康之 、章 青 、浜村和紀 、秋田 薫 、中田 博 、
4
1
J
H
1
土田明子 、岡島徹也 、古川圭子 、浦野 健 、古川鋼一
○羽根正弥 、住田瑞季 、北島 健 、佐藤ちひろ
名大・院医・生化学第二講座、 中部大・生命健康・生命医、
4
京都産業大・総合生命科学・生命システム、 野口研究所、
H
島根大学・医・生化学
1
1
J
1
1
3
3
J
[DJ
[DJ
[DJ
[DJ
名大・生物機能セ、 名大院・生命農学
J
3
The molecular mechanisms for cancer metastasis with
formation of trimeric Tn antigen
H/*5*$+,51F*+1%&-%7-:%"#.1*9OHGL-D1%0#&+/,01F,2-D#-*.O49b-%7-.Qc.1*88a.Q_-5,:%5+,2-1&-*-0$/1F%:/5,&1$-:*+1,&+
○Yasuyuki Matsumoto , Qing Zhang , Kazunori Hamamura ,
3
3
4
1
Kaoru Akita , Hiroshi Nakada , Akiko Tsuchida , Tetsuya Okajima ,
J
H
1
U)'a%*T=8=a232 D*-2a)&7'*V821% D*U%'$7'*T=8=a232
[DJ
[DJ
[DJ
[DJ
○Hane, M. , Sumida, M. , Kitajima, K. D*C24%D*N7'7'8%6
1
b)56*h'%$7)@6JD*^2!%#2*V1'?6*/82(6*C$76*,)(6D* J* Dep. Biomed.
C$'6D* N%""6* g'>)* X)2"47* C$'6D* N7=:=* V1'?6D* 3 Dep. Biotech., Kyoto
C21!#%*V1'?6D*4 ^%!=$7'*B1&46D*H*b)56*h'%$7)@6D*C7'@21)*V1'?6*,)(6
1
Summary: pp-GalNAc-T13D*37'$7*32&*=5<8)!="24)(*'1*7'!7*
metastatic sublines as identified by DNA microarray, was
'1?)&4'!24)(6* B1* 47)* 4821&>)$4214* $)""&* %>* pp-GalNAc-T13,
48'@)8'$*-1*214'!)1*32&*!)1)824)(*%1*C#1()$21<[D*8)&="4'1!*
'1* 47)* '1$8)2&)(* 57%&57%8#"24'%1* %>* T.U* 21(* 52F'""'1* ?'2*
'14)!8'1*2H:[D*21(*'1*47)*)1721$)(*'1?2&'?)*21(*@)42&424'$*
potential. These results might demonstrate a novel metastatic
mechanism, and propose not only a potential biomarker but
2"&%*@%")$="28<428!)4)(*47)825#*>%8*$21$)8*@)42&42&'&6
Summary:* e%"#C'2* '&* 2* =1'{=)* 5%"#@)8* 4724* @%('>')&*
^N.,6*M)$)14"#D*3)*()@%1&4824)(*4724*5%"#C'2*>=1$4'%1&*
as a reservoir molecule for particular neurotrophic factors
21(* 1)=8%4821&@'44)8&6* B1* 47'&* &4=(#D* 3)* >%$=&)(* %1* 47)*
5%"#&'2"#"4821&>)82&)* C-\C'2BB]C-`* C^e* @=4214* 4724*
was reported in a schizophrenia patient to understand the
&'!1'G$21$)*%>*5%"#C'2*&48=$4=8)*'1*47)*8)&)8?%'8*>=1$4'%16
1
J
1
マウス g)3'& 肺癌細胞のサブクローン XKD*NY から高
転移性亜株 XK<LD*XK<g=D*XK<.D*NY<&$D*NY<g# を樹立した
結果、高転移性亜株に共通して GM1 発現の低下が見
られた。そこで、NY*?&6*NY<g#D*XK*?&6*XK*+/,[<&'0*にお
いて DNA アレイ解析を行った結果、転移性亢進と共
に発現が上昇する遺伝子として 55</2"^.$<-[i が同定
された。本遺伝子 cDNA を NY に安定導入したクロー
ン*+-[i<-T0 では、浸潤能および運動能の亢進が認めら
れ、C#1()$21<[*+C($[0 上に trimeric Tn antigen (tTn) を形
成することが分かった。さらに、-[i<-T では tTn 結合
Sdc1 を介して integrin の G:8%1)$4'1 への接着能が亢進し、
T.U や 52F'""'1 のリン酸化を増強することが分かった。
一方、NY<&$ 亜株において本遺伝子を安定的にノックダ
ウンしたクローン*+-[i<Ub0 では、皮下注射後の肺転移
が有意に低下した。さらに Sdc1 を一過性にノックダウ
ンした結果、特に高転移性亜株において原発巣から肺
への転移能が有意に低下することが分かった。
以上のことから、Sdc1 上の tTn 糖鎖構造が癌の診断
マーカーとして有用である可能性と共に、癌に対する
分子標的治療のターゲットとしての有用性が示唆され
た。
h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6D* J* Grad. Sch. Bioagr. Sci.,
^2!%#2*V1'?
AJD\<結合ポリシアル酸(polySia)は、胎児期の脳に
おいて神経細胞接着分子 +^N.,0 上に一過的に発現す
る酸性多糖であり、シアル酸が \<YQQ 残基縮重合した
構造からなる。また、成体脳においても海馬や嗅球な
どの神経の再構築が盛んな部位で、その発現が明らか
にされている。polySia は反接着機能を持つことが知
ら れ て い る が、 最 近 我 々 は、polySia が hb^T、 ド ー
パミンなど神経作用因子と直接相互作用することを明
ら か に し た。polySia の 生 合 成 に は、C-\C'2BB]C-`* と
C-\C'2B_]eC-* の J つのポリシアル酸転移酵素が関わ
る。近年、ヒトポリシアル酸転移酵素の一塩基多型
+C^e&0 解析の結果から、重篤な精神疾患の一つである
統合失調症と C-` との関連が指摘されている。本研究
では C-` の C^e<K に注目し、その酵素の反応産物であ
る 5%"#C'2<^N.,* の構造及び機能が変化しているかど
うかを明らかにすることを目的とした。ポリシアル酸
転移酵素が発現していない神経芽細胞腫にヒト C-` の
野生型および C^e<K 変異体を遺伝子導入し、細胞表面
の 5%"#C'2<^N., 量を解析した。また、分泌型 ^N.,
を導入した NXL 細胞にヒト C-` の野生型および C^e<
K*変異体を導入し、各 5%"#C'2<^N., を調製、その特徴
を免疫化学的方法及び化学的方法を用いて詳細に解析
した。更に、5%"#C'2<^N., と hb^T、T/TJ との相互
作用を表面プラズモン共鳴法によって解析した。その
結果、C-\C'2BB]C-`* 変異体の酵素活性は野生型よりも
著しく低下していること、また、5%"#C'2<^N.,* 上の
polySia 構造の質と量が変異体由来のものでは著しく損
なわれ、神経作用因子との相互作用も低下しているこ
とが示された。
105
A4-07
O-GlcNAc 修飾を介したスフィンゴ糖脂質代謝制御機構
○郷 慎司、井ノ口仁一
東北薬科大学 分子生体膜研究所
Z9!"$OG$#"*+1%&-5,)("*+,-+/,-6,+*D%"106-%7-!"#$%0:/1&)%"1:120
○C7'1m'*/%D**f'1<'$7'*B1%a=$7'
-%7%a=*e728@6*V1'?6D*B1&46*,%")$="28*h'%@)@:821)*21(*/"#$%:'%"%!#
Summary:*E)*>%=1(*4724*&=55")@)14*%>*^<.$)4#"<!"=$%&2@'1)*+/"$^.$0*4%*$)""&*8)(=$)(*$)""="28*!"#$%&57'1!%"'5'(&*
+/Cg&0*")?)"&D*21(*&=558)&&'%1*%>*/"$^.$*&#147)&'&*:#*'17':'4'1!*/T.-D*2*a)#*)19#@)*>%8*7)F%&2@'1)*524732#D*
'1$8)2&)(* /Cg&* )F58)&&'%16* ,%8)%?)8D* 8)(=$4'%1* %>* L</"$^.$* @%('>'$24'%1* :#* M^.* '14)8>)8)1$)* %>* L</"$^.$*
4821&>)82&)*)1721$)(*/Cg&*")?)"&6*-7)*'1?)8&)*8)"24'%1&7'5*:)43))1*47)*)F58)&&'%1*%>*/Cg&*21(*L</"$^.$#"24)(*
58%4)'1&*&=!!)&4&*47)*)F'&4)1$)*%>*47)*8)!="24%8#*@)$721'&@*%>*/Cg*)F58)&&'%1*?'2*L</"$^.$#"24'%16
スフィンゴ糖脂質は細胞膜外層を形成する脂質
の開発につながると考えられる。
成分の一つであり、“ 糖 ” と “ セラミド ” からなる
本研究ではスフィンゴ糖脂質の発現制御機構を
両親媒性の生体分子である。スフィンゴ糖脂質は糖 「糖代謝」の観点から解析するため、まず、各種「糖」
鎖部分の構造の違いによって百種を超える多様な
の添加培養を行いスフィンゴ糖脂質に与える影響
構造体が自然界に存在する。
を解析した。
古くから細胞の分化過程、個体発生過程や、がん
その過程で、ヒト由来培養細胞株において ^<ア
や糖尿病・神経疾患などの各病態において各スフィ
セチルグルコサミン(GlcNAc)添加培養がスフィ
ンゴ糖脂質分子種の量的・質的変化、細胞内局在変
ンゴ糖脂質量を減ずることを確認した。また内在性
化が報告されてきた。特に近年、各スフィンゴ糖脂
の GlcNAc 生合成経路であるヘキソサミン経路を阻
質が特定の分子群と共に細胞膜外層で形成する「機
害することによって、スフィンゴ糖脂質量が増加す
能性微小膜領域 “ マイクロドメイン(ラフト)”」 ること、さらに、L</"$^.$ 転移酵素(OGT)の発
が様々な生体機能を制御していること、またその異
現を抑制することによってもスフィンゴ糖脂質量
常と各種病態との関係性が分子レベルで次々と明
が増加することを確認した。すなわち、L</"$^.$
らかとされてきており、スフィンゴ糖脂質の重要性
修飾が増加する状況下では、スフィンゴ糖脂質が減
がますます認識されている。
少し、逆に L</"$^.$ 修飾が減少する状況下ではス
本研究室では、脂肪細胞において酸性スフィンゴ
フィンゴ糖脂質量が増加する、という「スフィンゴ
糖脂質:ガングリオシド GM3 の発現増加に伴うマ
糖脂質量と L</"$^.$ 量の逆相関」が確認された。
イクロドメインの異常によって、インシュリン受容
これらの結果から、細胞は「L</"$^.$ 修飾」を
体*<*BMC<B シグナルの脱共役が惹起されインスリン
介してスフィンゴ糖脂質量を制御していることが
の代謝性シグナルが抑制される、という新たなイン
示唆された。
スリン抵抗性発症モデルを見出した [1]。また、各
種ガングリオシド合成酵素欠損マウスの解析から、 p 参考文献 p
s[t*U2:2#2@2*U*)4*2"6D*+JQQK0*e8%$6*^24"6*.$2(6*C$'6*
ガングリオシドが聴覚機能、特に蝸牛有毛細胞の機
能的・形態的維持に必須であること sJt、T 細胞の
V6C6.6
sJt*W%&7'a232*,*)4*2"6D*+JQQZ0*e8%$6*^24"6*.$2(6*C$'6*
各サブセットの機能発現がそれぞれ特有のスフィ
V6C6.6
ンゴ糖脂質によって制御されていること [3]、等を
sit*^2!2>=a=*,*)4*2"6D*+JQ[J0*e8%$6*^24"6*.$2(6*C$'6*
明らかにしてきた。
V6C6.6
生体内には厳密なスフィンゴ糖脂質代謝 < 発現制
御機構が存在すると考えられているが、その詳細に
関してはまだまだ不明な点が多い。スフィンゴ糖脂
質の代謝制御機構の解明、またその知見に基づく発
現制御法の開発は、様々な病気の病態解明や治療法
106
a4-08
ジストログリカンに見出された新規糖鎖修飾
による機能制御と病態
○金川 基 、久我 敦 、首藤篤史 、田尻道子 、萬谷 博 、
4
4
1
3
J
吉川大和 、野水基義 、小林千浩 、遠藤玉夫 、和田芳直 、
1
戸田達史
1
1
1
1
J
3
神戸大院医、 大阪母子セ、 都健康長寿医療セ、 東京薬大
J
3
4
Functional regulation by and pathological role of a
novel glycosylation moiety of dystroglycan
○Motoi Kanagawa , Atsushi Kuga , Atsushi Sudo , Michiko Tajiri ,
3
4
4
Hiroshi Manya , Yamato Kikkawa , Motoyoshi Nomizu ,
1
3
J
1
Kazuhiro Kobayashi , Tamao Endo , Yoshinao Wada , Tatsushi Toda
1
1
1
J
1
U%:)*V1'?6*/82(6*C$7%%"*%>*,)(6D* J* L&2a2*,)(6*N)146*M)&6*B1&4'46*
>%8* ,24)812"* 21(* N7'"(* X)2"47D* 3 -%a#%* ,)48%5%"'421* B1&4'46* %>*
Gerontology, 4 C$7%%"*%>*e728@6D*-%a#%*V1'?6*%>*e728@6*21(*g'>)*C$'6
Summary:* -7)* :'%&#147)4'$* 524732#* >%8* 47)* "'!21(<
:'1('1!* @%')4#* %>* A<(#&48%!"#$21D* ()>)$4&* '1* 37'$7* $2=&)*
dystroglycanopathy, remains unclear. We show that the
57%&57%(')&4)8<"'1a)(* @%')4#* %1* L<@211%&)* '&* 2:&)14* '1*
(#&48%!"#$21%5247#*@%()"&*21(*'1*3'"(<4#5)*"=1!*21(*4)&4'&6**
-7)&)*(242*'1('$24)*4724*5%&4<57%&57%8#"*@%('G$24'%1*'&*2*a)#*
()4)8@'1214*%>*47)*>=1$4'%12"*)F58)&&'%1*%>*A<(#&48%!"#$21*2&*
a laminin receptor.
脳奇形や精神発達遅滞を伴う先天性筋ジストロ
フィーの中には、ジストログリカンの糖鎖異常を発症
要因とする疾患が存在し、それらはジストログリカノ
パチーと総称されている。ジストログリカンはラミニ
ンやアグリンといった基底膜やシナプス分子の膜受容
体であり、そのリガンド結合活性には糖鎖修飾が必須
である。リガンド結合や発症に関与する構造として、
L<マンノース型糖鎖と、マンノース上にリン酸ジエス
テル結合を介して存在する新規の修飾体(ポストリン
酸構造)が重要であることが明らかになってきた。し
かし、ポストリン酸構造の詳細や修飾機序について不
明な点は多く残されている。
本研究では、複数のジストログリカノパチーのモデ
ルマウスを用いて、ジストログリカノパチー原因遺伝
子産物のフクチンと g.M/S に加え、TUMe もまたポ
ストリン酸修飾に関与することを新たに明らかにした。
また、ジストログリカンの糖鎖修飾の程度は、組織や
細胞によって異なることが知られているが、我々は、
筋や神経組織とは異なり、肺や精巣では、ジストログ
リカン糖鎖がフクチン、g.M/S、TUMe 欠損に影響を
受けないことを見出した。これらの組織や細胞では、
野生型にも関わらずポストリン酸修飾が欠損していた。
以上の結果から、ポストリン酸修飾が、疾患発症に直
結することに加え、組織選択的なジストログリカン機
能を調節している可能性が見出された。
107
A4-09
組織再生を制御しうる細胞外マトリックス分子、ビトロネクチンの糖鎖変化とその検出
○小川温子 、佐野琴音 、浅沼公恵 、宮本泰則 、橋井則貴 、川崎ナナ 、佐藤ちひろ 、北島 健
[DH
1
1
1
J
J
3,4
3,4
お茶の水女子大院・ 人間文化、 糖鎖科学教育研究センター、 国立衛研・生物薬品部、名大院・ 生命農学、
4
生物機能開発利用研
1
H
J
3
Modulation of tissue restructuring by glycosylation change of extraellular matrix glycoprotein,
<1+5%&,$+1&-2(51&)-"1<,5-5,),&,5*+1%&I
[DH
1
1
1
J
J
○Haruko Ogawa , Kotone Sano , Yasunori Miyamoto D*U'@')*.&21=@2<b24) , Noritaka Hashii , Nana Kawasaki ,
3,4
3,4
N7'7'8%*C24% , Ken Kitajima
Grad. Sch. Humanities and Sciences and H* -7)*/"#$%&$')1$)*B1&46D*L$721%@'9=*V1'?6D* J* ^BXCD*b'?6*h'%"%!'$2"*N7)@'&48#*
and Biologicals, 3 Grad. Sch. Bioagr. Sci., and 4 h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6D
1
Summary:*_'48%1)$4'1*+_^0*'&*2*@="4'>=1$4'%12"*!"#$%58%4)'1*58)&)14*'1*5"2&@2*21(*47)*)F482$)""="28*@248'F6*g'1a'1!*
$)""="28*2$4'?24'%1*21(*4'&&=)*"#&'&D*_^*5"2#&*21*)&&)1&'2"*8%")*(=8'1!*4'&&=)*8)@%()"'1!6*E)*('&$%?)8)(*4724*2"4)824'%1*
of glycans modulate the tissue remodeling during liver regeneration at multiple steps. To detect the changes in
sialylation during the regeneration process, we developed a convenient method using chromatofocusing.
[背景]
わかった 。
細胞外マトリックス +SN,0 は細胞の物理的な
J0*組織溶解への影響 1 型プラスミノゲン活性化
「足場」 であるだけではなく、細胞の接着、移動、 因子阻害因子との結合活性は、CX< 及び eX<_^ で
増殖、分化などを調節している。傷害を受け炎症
各々、^L<_^ の約 J]i、1/3 に減少した。各 _^ と
を起こした組織は、SN, 分子により分解除去され、 e.B<[ 共存下におけるウロキナーゼ活性は、eX<_^
新組織の形成によって修復される。組耗再生時には
では CX<_^ より増加し再生初期での組織溶解の促
SN, の糖鎖変動によって細胞を取り巻く環境が変
進が示唆された。
化し、糖鎖による機能調節が重要な役割を果たすと
3) 細胞接着伸展と情報伝達 炎症時において、
SN,
考えられる。われわれは
分子の中で、組織溶
その過剰な活性化が線維化を誘導する肝星細胞
+MCN0 の伸展は、^L<D*CX<_^ と比較して eX<_^ 上
解因子を含む多くのリガンド結合部位を分子内に
持ち、障害部位での組織溶解と細胞接着 ・ 移動を連
で HQ%まで減少し、同時に T.U リン酸化も減少し、
携調節できるビトロネクチン +_^0 に着目し、肝再
インテグリン情報伝達の関与が示唆された。ノイラ
生ラットモデルを用いて _^ の糖鏡と活性変化を研
ミニダーゼ処理 _^ でも MCN 伸展が減少したため、
_^ 糖鎖上のシアル酸が MCN の活性化に重要と考
究した。またクロマトフォーカシング(NT)を利
(1)
用して _^ のシアリル化の変化を簡便に追跡する方
えられた 。一方、皮膚の再生修復に必要なマウス
皮膚線維芽細胞 +,bT0 と 3T3 細胞でも、MCN と同
法を報告する。
様に変化した。ストレスファイバー形成とヘパリン
[方法・結果] (1)
添加による影響から、シンデカンが仲介する情報伝
[6*_^ の糖鎖構造と部位特異的グリコシル化 非手術 (NO) ならびにシャム手術 (SH) または部分
達も示唆された。
肝切除手術 JY 時間後(eX)のラット血漿から _^
i6*NT によるシアリル化変動の追跡 各段階の
を精製し、/"=<N 消化糖ペプチドを gN<,C 解析し
血漿 (100 ul) を等電点分画し、ウエスタンブロッ
た結果、二本鎖複合型糖鎖の他に、部位特異的な
ティングにより検出したところ、術後 JY<KJ 時間の
eX<_^ で溶出位置がアルカリ側に変化し K 日後に
混成型 ^<型糖鎖と高度にシアリル化されたオリゴ
シアル酸を含む L<型糖鎖が見出された。eX<_^ は
は復帰した。肝再生初期から中期にかけて _^ のシ
+J0
^L<D*CX<_^ に比べて糖含量が著減し、各 _^ 間の
アリル化の変化が示唆された 。
[考察]
糖鎖の差が示された。
_^ の糖鎖、特にシアリル化の変化によって組織
J6* 糖鎖変化とマトリックスリガンド結合活性と
修復が多段階で調節されることが示された。
の関係 1) コ ラ ー ゲ ン と の 相 互 作 用 eX<_^ は ^L<D*
(1) Sano et al.D*+JQ[Q0*J Biol ChemD*J\Hk[KiQ[
CX<_^ と比較して3倍高いコラーゲン結合性を示
+J0*L!232*et al.D*+JQ[J0*"Liver regeneration",
した。超遠心分析により求めた重量平均分子量から
^L<_^ と比較して CX<D*eX<_^ でより大きい多量
%5)1*2$$)&&*5=:"'&7'1!D*BCh^k*ZK\<ZHi<H[<QPJJ<K
体が形成され、活性増強は多価の効果によることが
+J0
108
A4-10
新規 O-GlcNAc 転移酵素遺伝子 Eogt のクローニングと機能解析
○岡島徹也 、中倉真之 、堺谷祐太 、大海雄介 、近藤裕史 、西尾洋介 、増田達也 、矢木宏和 、
J
1
加藤晃一 、古川鋼一
1
1
1
1
1
1
1
1
J
名古屋大・院医・分子細胞化学、 名古屋市立大・薬・生命分子構造
J
L%",$("*5-$"%&1&)-*&2-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-*-&%<,"-Z9!"$OG$-+5*&07,5*0,-T%)+
○Tetsuya Okajima , Masayuki Nakakura , Yuta Sakaidani , Yuhsuke Ohmi , Yuji Kondo , Yosuke Nisho , Tatsuya Masuda ,
J
J
J
Hirokazu Yagi , Koichi Kato D*U%'$7'*T=8=a232
1
1
1
1
1
1
1
1
/82(6*C$76*,)(6*^2!%#2*V1'?D*J*/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6
Summary:* S5'()8@2"* !8%347* >2$4%8* +S/T0* (%@2'1&* 28)* @%('>')(* 3'47* =1'{=)* L<!"#$21&* '1$"=('1!* L<>=$%&)D*
L<!"=$%&)6*E)* 72?)* 8)$)14"#* '()14'>')(* L</"$^.$* @%('>'$24'%1* %>* S/T* (%@2'1&* 2&* 2* 1%?)"* !"#$%&#"24'%1* %>*
)F482$)""="28* 58%4)'1&6* B1* 47'&* &4=(#D* 3)* 72?)* '()14'>')(* 21(* $7282$4)8'9)(* SL/-D* 2* 1%?)"* L</"$^.$* 4821&>)82&)*
@%('>#'1!*S/T*(%@2'1&*'1*:%47*b8%&%57'"2*21(*@2@@2"&6
上皮成長因子 +S/T0 ドメインは、特有な L<結合
型糖鎖修飾を受けることが知られているが、我々
のグループは L<フコー ス型糖鎖や L<グルコース型
修飾の他に、L</"$^.$ 型修飾が存在することを見
出した。L</"$^.$ 修飾は細胞内タンパク 質に特
有な糖修飾であると広く知られていたため、S/T
ドメインの L</"$^.$ 修飾は、細胞外での新規の
翻訳後修飾であ り、細胞外環境での新たな制御因
子として機能する可能性が示唆された。 細胞外の
L</"$^.$ 修飾に関与する糖転移酵 素遺伝子を同定
するために、ショウジョウバエ CJ 細胞を用いて、
M^.' スクリーニングを行った。その結果、新規糖
転移 酵素 EOGT の同定に成功した。EOGT は、キ
シロース転移酵素に弱い相同性を示す一方で、既知
の GlcNAc 転移酵素や L</"$^.$ 転移酵素 (OGT) と
の相同性は認めなかった。EOGT は、Vbe</"$^.$
をドナー基質として利用し、フォール ディングを
受けた上皮成長因子ドメインに GlcNAc 転移活性を
示した。また、EOGT はカルボキシル末端に UbSg
様の配列 を有する小胞体局在タンパク質であり、
OGT とは独立して分泌過程において L</"$^.$ 修
飾を触媒すると考えられた。 ジョウジョウバエに
おいて、Eogt は発生過程に必須な役割を果たし、
Eogt の zygotic 変異体は、25'$2"*SN, の異常のた め、
J 齢幼虫で致死となった。EOGT は、25'$2"*SN, の
構成成分である Dumpy を L</"$^.$ 化し、Dumpy
依存的な上 皮・細胞外マトリクス間の相互作用に
必要であった。EOGT 遺伝子は進化的に保存されて
おり、ショウジョウバエ EOGT と YQu 前後の相同
性を示すマウスホモログ (Eogt1) を単離した。マウ
スホモログは、in vitro においてショウジョウバエ
と同等な酵素活性を示し、Eogt1 の発現によりジョ
ウジョウバエ Eogt 変異体の表現型を rescue させる
ことが でき、EOGT の酵素機能は進化的に保存さ
れていることが明らかになった。一方、Eogt1 の遺
伝子欠損マウスはメンデル の法則に従って産まれ、
ほぼ正常に発育した。現在、成体における Eogt 欠
損マウスの表現型の解析を行っている が、EOGT
の酵素機能の生物学的役割は進化の過程で異なる
ものとなってきた可能性について考察したい。
+[0*,24&==82*.*)4*2"6*f6*h'%"6*N7)@6*J\i+H[0kiHY\P<
iHYZH*+JQQ\0
+J0*C2a2'(21'*W*)4*2"6*^24=8)*N%@@=16*JkH\i*+JQ[[0**
+i0*C2a2'(21'*W*)4*2"6*h'%$7)@6*h'%57#&6*M)&6*N%@@=16*
Y[Zk[Y<[Z*+JQ[J0
109
B4-01
棘皮動物に由来する修飾シアル酸含有ガングリオシドの合成研究
○玉井秀樹 、水野孝星 、安藤弘宗 、石田秀治 、木曽 真
[DJ
1
1
[DJ
1
[DJ
岐阜大学・応用生物、 京都大学・'N),C
J
.#&+/,+1$-0+(2#-%&-,$/1&%2,56*+%(0-)*&)"1%012,0-$%&+*1&1&)-6%213,2-01*"1$-*$120
[DJ
1
[DJ
1
[DJ
○Hideki Tamai , Takashi Mizuno , Hiromune Ando D*X'()728=*B&7'(2 , Makoto Kiso
1
b)546*%>*.55"')(*h'%%8!21'$*N7)@'&48#D*/'>=*V1'?6**J*B1&4'4=)*>%8*B14)!824)(*N)""<,24)8'2"*C$')1$)&D*U#%4%*V1'?6
Summary: We describe recent progress in the synthetic research of neuritegenic gangliosides containing modified
&'2"'$*2$'(&D*37'$7*3)8)*>%=1(*'1*)$7'1%()8@&6*B1*%8()8*4%*%?)8$%@)*47)*$%@5")F'4#*%>*428!)4*!21!"'%&'()&D*3)*72?)*
developed efficient methods for the partial chemical modification of sialic acid. These methods were successfully
255"')(*4%*47)*4%42"*&#147)&'&*%>*)$7'1%()8@24%=&*!21!"'%&'()&D*&=$7*2&*gg/<i*21(*/..<K6
シアル酸は、HQ 種類を超える類縁体からなる酸
性九炭糖のファミリーである。とりわけ、ヒトの組
織には ^<アセチル体(^)=H.$)が主に存在するこ
とから、^)=H.$ を有する糖鎖が有機化学的研究な
らびに生物機能研究の対象とされてきた。然しなが
ら、近年、棘皮動物から多様なシアル酸類縁体を糖
鎖構造内に持つ新奇なガングリオシドが数多く発
見され、更にそれらが哺乳動物ガングリオシドより
も強力な神経突起伸展活性を有することが示され
ている。当研究室ではこれまでに、棘皮動物ガング
リオシドの生物学的意義の解明と生理活性の医薬
応用を目的として、シアル酸の分子多様性に対応可
能なシアル酸部分修飾法の開発ならびに棘皮動物
ガングリオシドの化学合成に挑戦してきた。本発表
では、その最近の成果について報告する。
棘皮動物のなかでもヒトデ由来のガングリオ
シ ド は、 共 通 し て 部 分 メ チ ル 化 シ ア ル 酸 構 造
(\<O<,)^)= または、Z<O<,)^)=)を持ち、他の棘
皮動物ガングリオシドに比べ、ひときわ強力な神
経突起伸展活性を持つことが報告されている。そ
こで、シアル酸部分修飾法の有用性の実証および、
構造活性相関研究・活性発現のメカニズム解明を目
指して、ヒトデ由来ガングリオシド群の化学合成を
行った。
ま ず 我 々 は、 ア オ ヒ ト デ 由 来 ガ ン グ リ オ シ ド
gg/<i の合成に着手した。gg/<i は \<O<,)^)=.$A*
+J<[[0*^)=/$A*+J<i0*/2";*+[<Y0*/"$<N)8 という構造か
ら成り、二種類の修飾シアル酸残基(\<O<,)^)=.$、
^)=H/$)を有している。本合成では、N<-8%$ シア
ル酸を各糖鎖ユニットに組み入れ、選択的な Troc
基の除去と分子内アシル基転移により、\<L<,) シ
アル酸構造および N< グライコリルシアル酸構造へ
110
と効率的に変換し、gg/<i コア三糖を合成した。更
に、グルコシルセラミドカセットアプローチにより
効率的な脂質導入に成功し、gg/<i の全合成を達
成した [1]。
続 い て、 ム ラ サ キ ヒ ト デ 由 来 ガ ン グ リ オ シ ド
/..<K の合成を行った。/..<K は \<L<,)^)=/$A*
+J<P0*s*\<L<,)^)=/$A+J<i0t*/2"^.$;*+[<i0*/2";*+[<Y0*
/"$<N)8 という構造から成り、シアル酸残基の H 位
および 8 位の二箇所に化学修飾を持つ。この修飾シ
アル酸構造の構築について本合成では、鍵となる
シアル酸中間体として、新たに N<-8%$ シアル酸の
9 位水酸基をクロロアセチル基にて保護した分子を
設計した。選択的なクロロアセチル基の除去と分子
内アシル基転移の制御により 8 位または 9 位の修飾
が可能となった。また、H 位アミノ基上に Troc 基
を残した分子設計により H 位の修飾も可能となり、
二箇所修飾型シアル酸の簡便な合成を実現した。本
手法はガングリオシド /..<K だけでなく、ガング
リオシド Nfe< シリーズに見られる修飾シアル酸構
造(Z<O<,)^)=)にも適用可能なものであった。更に、
合成した \<O<メチル化シアル酸供与体と内部二糖
受容体とのダブルシアリル化により、/..<K コア
四糖の合成に成功した。最後に、グルコシルセラミ
ドカセットアプローチにより /..<K の構造へ導い
た。
[1] Tamai H. et al. Angew. Chem. Int. Ed.*JQ[[D*50,
JiiQ<Jiii6
b4-02
b4-03
N-結 合 型 複 合 型 糖 鎖 を 持 つ TIM-3
Immunoglobulin 様ドメインの酵素化学合成
ピラゾロン試薬共存下β脱離反応による細胞
O結合型糖鎖の定量解析
○朝比奈雄也 、神鳥成弘 、北條裕信
○古川潤一 、朴錦花 、藤谷直樹 、荒木香代 、坂入信夫 、
1
篠原康郎
1
J
1
1
工・生命化、糖鎖研、東海大、 総合生命セ・香川大
1
J
1.
J6*
1
1
1
J
北海道大学大学院 先端生命科学研究院 複合糖質機能化学グループ
北海道大学大学院 地球環境科学研究院 環境物質科学
H/,6%,&F#6*+1$-0#&+/,010-%7-Q8L9M-166(&%)"%D("1&9
"1S,-2%6*1&-$*55#1&)-$%6:",;9+#:,-O9"1&S,2-0()*5
d(*&+1+*+1<,-H,""("*5-Z9!"#$%61$0-D#-=9,"161&*+1%&1&-+/,-:5,0,&$,-%7-:#5*F%"%&,-*&*"%)(,0-U]T4V
○Yuya Asahina , Shigehiro Kamitori , Hironobu Hojo
○f=1<'$7'*T=8=a232 D*f'17=2*e'2% D**^2%a'*T=m'421' , Kayo Araki ,
J
1
Nobuo Sakairi , Yasuro Shinohara
1
1
J
1
b)546*%>*.55"6*h'%$7)@6D*B1&46*%>*/"#$%&$')1$)D*-%a2'*V1'?6D*
g'>)*C$')1$)*M)&6*N)14)8D*U2!232*V1'?6
J*
Summary:* -7)* !"#$%&#"24)(* -'@<i* B!<"'a)* (%@2'1* 32&*
&#147)&'9)(* $7)@%)19#@24'$2""#6*-7)* 5%"#5)54'()* $72'1* +[<
[QK0*32&*('?'()(*4%*i*&)!@)14&*37'$7*3)8)*58)528)(*:#*47)*
&%"'(<572&)* @)47%(6*-7)* &)!@)14* $%1()1&24'%1* 32&* $288')(*
out sequentially by the thioester method using the Ag+<>8))*
and Ag+<2&&'&4)(*2$4'?24'%1*%>*47)*28#"*21(*2"a#"*47'%)&4)86*-7'&*
%1)<5%4*$%1()1&24'%1*)>>'$')14"#*!2?)*47)*B!*(%@2'1*$288#'1!*
GlcNAc. After deprotection and folding, enzymatic transfer of
47)*$%@5")F<4#5)*^<!"#$21*32&*244)@54)(6
-7<[ 細 胞 表 層 上 に 存 在 す る -<N)""*B@@=1%!"%:="'1*
mucin containing protein (Tim) 3 は自己免疫、アレルギー疾
患などに関与する糖タンパク質である。近年、動物レク
チンの一種であるガレクチン 9 が、-'@<i の B! ドメイン
中の複合型 ^<!"#$21 を認識して -7<[ 細胞のアポトーシ
スを誘導することが報告された。そこで、ガレクチン 9
と -'@<i との相互作用をより詳細に解析するため、均一
な糖鎖を有する -'@<i*B! ドメインの酵素化学合成を行っ
た。
まず、目的とする -'@<i*B! ドメイン([QK 残基)を 3
つのセグメント([<i[)1、
(iJ<P\)J、
(PZ<[QK)3 に分け、
KP
固相合成法により調製した。糖鎖付加部位である Asn
では、固相合成時に T@%$<.&1s/"$^.$+h130t<LX を導入し、
後に糖鎖転移反応によって複合型糖鎖骨格を構築するこ
とにした。セグメント同士の縮合をチオエステル法によ
り行うため、セグメント 1 と J の N 末端をそれぞれアリー
ルチオエステルとアルキルチオエステルとして調製した。
セグメント縮合は、N 末端側から行った。セグメント
1のアリールチオエステルを銀イオン非存在下で選択的
に活性化し、セグメント J と縮合した。ここにセグメン
ト 3 と銀イオンを加えてアルキルチオエステルを活性化
し、2度目の縮合を行った。いずれの縮合反応も効率よ
く進み、%1)<5%4 中で 3 つのセグメントを縮合することに
成功した。ついで、全長タンパク質の側鎖アミノ基、チ
オール基の脱保護を行い、フォールディングさせること
で GlcNAc を持つ B! ドメインの合成を達成した。現在
Glycosynthase を用いた複合型糖鎖の転移を試みている。
1
1
1
1
1.
g2:%824%8#* %>* ,)('$2"* 21(* T=1$4'%12"* /"#$%@'$&D* /82(=24)* C$7%%"* %>*
.(?21$)(*g'>)*C$')1$)D*X%aa2'(%*V1'?)8&'4#6
J6*
Divisions of Environmental Materials Science, Graduate School of
S1?'8%1@)142"*C$')1$)D*X%aa2'(%*V1'?)8&'4#
Summary: Most commonly used chemical method to remove
L<!"#$21&*+N28"&%1*;<)"'@'124'%10*()&48%#&*47)*8)(=$'1!*)1(6*
M)$)14"#*3)*>%=1(*4724*47)*1%?)"*L<!"#$%@'$&*58%$)(=8)*:#*
;<)"'@'124'%1*'1*47)*58)&)1$)*%>*5#829%"%1)*212"%!=)&D*4%*!'?)*
both released glycans and deglycosylated peptides labeled by
5#829%"%1)6*B1*47'&*&4=(#D*3)*()@%1&4824)(*4724*hSe*@)47%(*
32&*255"'$2:")*4%*47)*{=214'424'?)*$)""="28*L<!"#$%@'$&*=&'1!*
2&*>)3*2&*[*F*[Q6 cells.
糖タンパク質からの L<!"#$21 切り出しには、構造非依
存的な酵素が見いだされていないため、専ら化学的な
方法に依存している。汎用される N28"&%1*法は、; 脱離
反応に競合する糖鎖のピーリング反応による分解を回
避するために糖アルコールへと還元している。その結
果、還元末端を利用する精製やラベル化が行えなくな
る上に、ペプチド部分も分解されるために糖鎖結合位
置情報が失われるなどの問題がある。我々はピラゾン
試薬共存下 ; 脱離反応(hSe 反応)による効率的な O–
glycan の切り出しについて研究している。これまでに、
; 脱離した糖鎖が直ちにピラゾロン試薬と反応し、副反
応であるピーリング反応を回避するだけでなく、脱離
反応で脱グリコシル化されたペプチドも同一の試薬で
標識できることを報告している [1]。本発表では hSe 反
応を利用した細胞における L<グライコミクスについて
報告する。種々の hSe 反応条件および順相カラムなど
6
の精製を検討した結果、[*F*[Q 個の細胞より O結合型
糖鎖を良好に検出することが可能であることを見出し
た。さらに本手法を用いた定量糖鎖解析による種々細
胞の糖鎖プロファイルについても併せて報告する。
s[t*T=8=a232*fD*T=m'421'*^D*.82a'*UD*-2a)!232*WD*U%(2@2*UD*
Shinohara Y. Anal Chem. JQ[[D*\iD*ZQPQ<ZQPK6
111
B4-04
大腸菌膜タンパク質挿入に関わる新しい因子 MPIase の機能と構造
○島本啓子 、前田将秀 、永瀬良平 、柳澤佳代 、徳田 元 、西山賢一 、楠本正一
1
1
1
1
J
3
J
1
サントリー生科財団、 岩手大(寒冷バイオ)、 盛岡大 ( 生活科学)
J
3
C(&$+1%&-*&2-.+5($+(5,-%7-O%<,"-!"#$%"1:12-H/*5*$+,51F,2-*0-L,6D5*&,-45%+,1&-8&+,)5*0,
1
1
1
J
3
J
○Keiko Shimamoto , Masahide Maeda D*M#%7)'*^2!2&) , Kayo Yanagisawa , Hajime Tokuda D*U)1<'$7'*^'&7'#2@2 ,
1
Shoichi Kusumoto
1
C=14%8#*T%=1(24'%1*>%8*g'>)*C$')1$)&D*J*B324)*V1'?6*3 V1'?6*,%8'%a2
Summary:*e8%4)'1*'14)!824'%1*'14%*:'%"%!'$2"*@)@:821)&*'&*2*?'42"*$)""="28*)?)146*E)*72?)*>%=1(*2*1%?)"*'14)!824'%1*
>2$4%8*'1*47)*'11)8*@)@:821)*%>*S6*$%"'D*21(*12@)(*'4*,eB2&)*+@)@:821)*58%4)'1*'14)!82&)06*,eB2&)*4=81)(*%=4*4%*:)*2*
!"#$%"'5'(*$%@5%&)(*%>*('2$#"!"#$)8%"*21(*2*!"#$21*$72'1*%>*478))*2$)4#"24)(*2@'1%&=!28&*"'1a)(*:#*5#8%57%&5724)6*B1*
&5'4)*%>*'4&*1%1<58%4)'12$)%=&*28$7'4)$4=8)D*,eB2&)*&)8?)&*2&*2*'14)!824'%1<()('$24)(*$725)8%1)<"'a)*@%")$=")6
膜タンパク質は、膜中で決まった構造をとって初
めてその機能を発現するため、合成と共役して膜内
に正しく挿入される必要がある。膜タンパク質がど
のような機構で膜に挿入されるかを精密に解明す
ることは、大腸菌からヒトをはじめとする高等生物
に至る生命現象の基本を理解する上で非常に重要
である。一般に膜挿入にはタンパク質複合体から
成る膜透過 / 挿入装置トランスロコンを必要とする
が、我々は新たに大腸菌の膜挿入において必須であ
る膜挿入因子 ,eB2&)*+,)@:821)*e8%4)'1*B14)!82&)0 を
見出した。
精製した ,eB2&) を加水分解して XegN で分析し
たところ、意外にもアミノ酸は全く検出されず、非
タンパク質性であることが明らかになった。グル
コサミンとアンモニアが検出されたことから、さ
らに加水分解物の分析を進め、,eB2&) はアミノ糖
を構成成分とする糖脂質であると推定した。部分加
1
水分解から得られた糖鎖は、 X<^,M および加水分
解物と合成標品との /N<,C の比較により、「^< ア
セチルグルコサミン (GlcNAc)」「^< アセチルマン
ノサミンウロン酸 (ManNAcA)」
「Y<^< アセトアミノ
フコース +T=$Y^.$0」の3糖の繰返し構造であると
推定した。標品となる部分構造を合成して、天然
13
物と N<^,M を比較し、結合位置とアノマー位の
立体を決定した。その結果および MS の結果から、
,eB2&) 糖鎖は3糖が直鎖状に結合したユニットが
14 回程度繰り返す構造であることがわかった。一
方、脂質部は、メタノリシス生成物の /N<,C から
ジアシルグリセロールであることがわかった。さら
112
に e<^,M の結果から、糖鎖とジアシルグリセロー
ル部はピロリン酸ジエステルを介して結合してい
ることが明らかになった。
精製 ,eB2&) を用いて膜タンパク質挿入活性を調
べたところ、糖鎖部にシャペロン様活性が認められ
た。これまでに、糖脂質が膜挿入に関わることは知
られておらず、合成や酵素分解により最小機能構造
を明らかにするとともに、構造と機能の活性相関か
ら膜挿入機構解明を目指している。
31
B4-05
NMR を用いたオリゴシアル酸と抗体の相互作用解析
○花島慎弥 、佐藤ちひろ 、田中浩士 、高橋孝志 、北島 健 、山口芳樹
1
1
J
3
3
J
1
理研 糖鎖構造生物 名大 生物機能センター 東工大院 理工
J
3
OLJ-*&*"#0,0-%7-+/,-1&+,5*$+1%&0-D,+B,,&-%"1)%01*"1$-*$120-*&2-+/,15-*&+1D%21,0
○Shinya Hanashima D*N7'7'8%*C24% , Hiroshi Tanaka , Takashi Takahashi , Ken Kitajima , Yoshiki Yamaguchi
1
1
J
3
3
J
1
MBUS^*C48=$4=82"*/"#$%:'%"%!#*J*h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6*3 -%a#%*B1&4'4=4)*%>*-)$71%"%!#*
Summary:*-7)*214'<%"'!%]5%"#&'2"'$*2$'(*214':%(')&*%>4)1*72?)*be*()5)1()14*214'!)1<&5)$'G$'4#D*37'$7*32&*'1'4'2""#*
found in vaccination trials with bacterial polysialic acids. The antibodies of polysialic acids are well utilized for
:'%"%!'$2"*&4=(')&*'1*()4)$4'%1*%>*%"'!%]5%"#&'2"'$*2$'(&D*47)*be<()5)1()14*:'1('1!*@)$721'&@*8)@2'1&*=1$")286**E)*
7)8)* ()&$8':)* 47)* :'1('1!* )5'4%5)&* 21(* $%1>%8@24'%12"* 212"#&)&* %>* %"'!%]5%"#&'2"'$* 2$'(&* 3'47* 214'<48'&'2"'$* 2$'(*
@%1%$"%12"*214':%(#*+@.:0*.JhH*21(*214'<%"'!%]5%"#&'2"'$*2$'(*@.:*[JSi6
シアル酸ユニットが A+JD\0 結合にて連なったオ
リゴ / ポリシアル酸構造は哺乳動物においては、一
部のガングリオシドやある種の糖タンパク質上に
存在して、細胞同士の接着や分化などの生命現象に
be*+()!8))*%>*5%"#@)8'924'%10 依存的に関与している。
ま た、Escherichia coli K1 や Neisseria meningitidis
group B はこれらのポリシアル酸を細胞表面に持ち、
その連なった負電荷や保水性を利用して宿主の免
疫応答から逃れていると考えられる。そこで、この
ような細菌のポリシアル酸に対する抗体が研究開
発された。この抗ポリシアル酸抗体はリガンドとし
て 10 量体以上のシアル酸ユニットが必要であると
いう興味深い性質が明らかとなった [1]。また、こ
の抗ポリシアル酸抗体であるマウス @.:*KiH の T2:
の単独での ` 線結晶構造が報告され、この糖鎖結
合部位付近にへリックス状の構造がおさまる溝が
存在することから、ポリシアル酸がへリックス状
の立体構造を形成するという仮説が提唱された sJt。
しかしいまだオリゴ / ポリシアルの構造は不明な点
も多く、溶液 ^,M や計算化学を併せて用いること
でさまざまなへリックス構造やランダムコイル構
造が提唱されており [3,4]、統一見解は得られてい
ない。
本 研 究 で は、 抗 ト リ シ ア ル 酸 +be*p*i0 抗 体
.JhHsHt な ら び に 抗 ポ リ シ ア ル 酸 抗 体 [JSi+be*•*
H0sPt を 用 い、^,M に よ る 相 互 作 用 解 析 を 行 っ
た。はじめに、一次元ならびに二次元の飽和移動
差 +C-b0<^,M を用いてそれぞれの抗体の結合エピ
トープを同定した。抗トリシアル酸抗体 .JhH は
トリシアル酸 ^)=H.$A+J<\0^)=H.$A+J<\0^)=H.$<J<
L<%$4#" の非還元末端ならびに中央のユニットをエ
ピトープとする一方、抗ポリシアル酸抗体 [JSi は
A+J<\0^)=H.$ ヘキサマーの中央部分をエピトープ
とすることが明らかとなった。また、-821&>)88)(<
NOESY を測定したところ、.JhH と [JSi それぞれ
のリガンド結合状態では、Xi<X\v 間の残基間 NOE
のシグナル強度が有意に変化し、抗体の結合に伴
い、リガンド糖鎖のコンホメーションの変化が観測
された。このことから、通常は特定の立体構造を
持たない A+J<\0^)=H.$ オリゴマーが、抗体の結合
に伴いへリックス状の立体構造が誘起されること
が示唆された。本結果より、抗オリゴ / ポリシアル
酸抗体の鎖長依存的な認識機構はシアル酸オリゴ
マーの認識部位と立体構造に関連していることが
明らかとなった sKt。
M)>)8)1$)&
s[t*h8'&&%1D*f6*M6n*h2=@211D*X6n*B@:)84#D*.6n*e)8)9D*C6n*
f)11'1!&D*X6*f6*h'%$7)@'&48#*[ZZJD*i[D*YZZP<HQQY6
sJt*S?21&D*C6*_6n*)4*2"6*h'%$7)@'&48#*[ZZHD*iYD*PKiK<PKYY6
sit*20*W2@2&2a'D*M6n*h2$%1D*h6*h'%$7)@'&48#*[ZZ[D*iQD*
\H[<\HKn*:0*W%1!#)D*.6*h6n*/%192")9<L=4)'8'1%D*f6n*
/"=&7a2D*f6n*C$7="47)'&D*_6n*E%%(&D*M6*f6*h'%$7)@'&48#*
JQQ\D*YKD*[JYZi<[JH[Yn*$0*h244'&4)"*,6*b6n*C721!%"(D*
,6n*-8'17D*g6n*C7'"%2$7D*f6n*T8))(:)8!D*b6*B6*f6*.@6*
N7)@6*C%$6*JQ[JD*[iYD*[QK[K<[QKJQ6*
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N7)@6*C%$6*JQQiD*[JHD*JZiQ<JZiZ6
sHt*B1%a%D*S6n*^'&7'=82D*W6n*-212a2D*X6n*-2a272&7'D*-6n*
T=8=a232D*U6n*U'42m'@2D*U6n*C24%D*N6*/"#$%:'%"%!#*
JQ[QD*JQD*Z[P<ZJ\6
sPt*C24%D*N6n*U'42m'@2D*U6n*B1%=)D*C6n*C)a'D*-6n*-8%#D*T6*.6D*
J1(n*B1%=)D*W6*f6*h'%"6*N7)@6*[ZZHD*JKQD*[\ZJi<[\ZJ\6
sKt*X212&7'@2*C6*)4*2"6*@21=&$8'54*'1*58)52824'%16
113
B4-06
エリスロポエチンの化学合成を基盤とする糖鎖機能解明の研究
○岡本 亮、村上真淑、和泉雅之、梶原康宏
阪大院理
H/,61$*"-.#&+/,010-%7-,5#+/5%:%1,+1&-*&2-,<*"(*+1%&-%7-%"1)%0*$$/*512,-7(&$+1%&0I
○M#%*La2@%4%D*,2&=@'*,=82a2@'D*,2&2#=a'*B9=@'D*W2&=7'8%*U2m'7282
L&2a2*V1'?6
Summary:* B1* %8()8* 4%* &#147)&'9)* )8#478%5%')4'1D* &'2"#"!"#$%5)54'()< A47'%)&4)8* '&* 2* a)#* :='"('1!<:"%$a6*E)* =1$%?)8)(*
58%4)$4'%1*%>*47)*$28:%F#"*!8%=5&*3'47*57)12$#"*)&4)8D*@2a)&*47)*&'2"#"*"'1a2!)*&42:")*=1()8*&48%1!*2$'('$*$%1('4'%1&6*-7'&*
57)12$#")&4)8'G)(*&'2"#"%"'!%&2$$728'()*$%="(*:)*=&)(*=1()8*47)*4)84<h%$*CeeC*$%1('4'%1*21(*&'2"#"!"#$%5)54'()<47'%)&4)8*
32&*)>G$')14"#*&#147)&'9)(6*V&'1!*47'&*2&*2*a)#*$%@5%=1(D*&'F<&)!@)14<$%=5"'1!*&4824)!#*:#*124'?)*$7)@'$2"*"'!24'%1*21(*
&=:&){=)14*>%"('1!*2>>%8()(*47)*SeL*!"#$%>%8@*72?'1!*2*7=@21*$%@5")F*4#5)*('&'2"#"<%"'!%&2$$728'()6
エリスロポエチン(SeL)は貧血治療薬として用い
られる糖タンパク質であり、糖鎖末端に存在するシア
ル酸がその活性に深く関与していることが知られてい
るが、分子レベルでの詳細な機能解明には至っていな
い。現在、この機能解明のために世界中で SeL の化
学合成が検討されている。しかし、SeL の全合成に
必要な鍵中間体であるシアリル糖ペプチドチオエステ
ル +T'!6*+200 の効率的な合成法が見出されていないため
に、SeL の全長糖鎖化ポリペプチド鎖の化学合成は達
成されていなかった。これはシアリル結合が酸に対し
て不安定であるため、酸処理を伴うペプチド固相合成
法を利用することが難しいことが原因であると考えら
れた。この問題に対して我々は、シアル酸のカルボキ
シル基による分子内触媒反応がシアリル結合の酸加水
分解を加速しているのではないかと仮説をたてた(T'!6*
(b))。
これらの観点から本研究では、シアル酸のカルボ
ン酸には、酸に対して安定なフェナシル基を導入す
ることにした。種々検討し得られたフェナシル化さ
れたシアリル糖鎖は、Boc ペプチド固相合成法に用い
114
る TfOH などの強酸性条件で処理しても加水分解を受
けないことを見出した。このことから、T'!*+:0 に示す
分子内触媒反応がシアル酸の不安定性を決める要因で
らうものと推定した。そして、このフェナシル < シア
リル糖鎖を用いて、大量合成が期待できる Boc ペプチ
ド固相合成法によるシアリル糖ペプチドチオエステル
+T'!*+200 の合成を検討したところ、効率よく目的物を
得ることに成功した。
シアリル糖ペプチドチオエステルの効率的な新規合
成法を確立できたので、これを利用して、83 位の Asn
残基に二分岐シアリル糖鎖を有する SeL の化学合成
を行った。全長ポリペプチド鎖は 6 つのセグメントに
分け、ペプチドセグメントと上記手法で得たシアリ
ル糖ペプチドセグメント +T'!*+200 を、^24'?)*N7)@'$2"*
g'!24'%1(^Ng)法により順次連結し全長を構築後、
続くフォールディング操作により、シアリル糖鎖をも
つ SeL+T'!*+$00 の化学合成を達成した。本発表では、
SeL の化学合成に加え、その薬理活性と糖鎖の関係に
ついてこれまで合成した糖タンパク質と合わせて考察
した結果を述べる。
b4-07
b4-08
ヒ ト ER α-1,2 mannosidase I の in vitro
におけるマンノース遊離活性の性状
Alg14 organizes the formation of Alg7/13/14
complex involved in N-glycosylation initiation
○!"# 、高暁冬
1
[DJ
北大院・生命、 江南大学・生物工程学院(中国)
1
J*
○相川順一 、武田陽一 、松尾一郎 、伊藤幸成
1
J
3
[D*J
J*
3
理研・基幹研、 SM.-L・fC-*、 群馬大院・工
1
In vitro mannose trimming properties of human ER
R9>?K-6*&&%012*0,-8
G")>@-%5)*&1F,0-+/,-7%56*+1%&-%7-G")ba>Ma>@-$%6:",;1&<%"<,2-1&-O9)"#$%0#"*+1%&-1&1+1*+1%&
1
[DJ
○f'&7=1*g= D*`'2%<b%1!*/2%
○f=1<'$7'*.'a232 , Yoichi Takeda D*B$7'8%*,24&=% D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
J
J*
Summary:* -7)* !"#$%&#"4821>)82&)* $%@5")F* ."!K]
Alg13/Alg14 is responsible for the initial two steps of
^<!"#$%&#"24'%1* '1* )=a28#%4)&6* B1* 47'&* &4=(#D* 2* @%()"* 32&*
58%5%&)(* >%8* 7%3* 47)*."!K][i][Y* @="4'<)19#@)* $%@5")F*
is formed, in which Alg14 acts as a central scaffold that is
21$7%8)(* 4'!74"#* 4%* 47)* SM* &=8>2$)* 478%=!7* 43%* ('>>)8)14*
:'1('1!* &'4)&* 21(* 8)$8='4&* 43%* $242"#4'$* 52841)8&D*."!K* 21(*
Alg13.
S u m m a r y : * .* 8 ) $ % @ : ' 1 2 1 4 * > % 8 @ * % > * 7 = @ 2 1 * S M * A < [ D J*
@211%&'(2&)* B* +7SM,21B0* 48'@@)(* A<[DJ* "'1a)(* @211%&)*
@%')4')&*>8%@*5#8'(#"2@'124)(*/"$,21Z/"$^.$J6*B1*2(('4'%1D*
47)* )19#@)* 8)@%?)(* @%8)* A<[DJ* "'1a)(* @211%&)* @%')4')&*
>8%@* /"$,21Z/"$^.$J* '1* '@@=1%!"%:="'1* WD* 37)1* 47)*
!"#$%58%4)'1*72(*:))1*&=:m)$4)(*4%*7)24<48)24@)146*-7)8)>%8)D*
7SM,21B*=4'"'9)&*47)*@%1%<!"=$%&#"24)(*^<!"#$21&*2&*&=:&4824)&*
and trims mannose moieties from those oligosaccharides in
glycoproteins in a manner dependent on the folding status of
those glycoproteins.
/82(6*C$76*%>*g'>)*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6
*C$7%%"*%>*h'%4)$76D*f'21!121*V1'?6D*N7'12
e8%4)'1*^<!"#$%&#"24'%1*:)!'1&*3'47*47)*2&&)@:"#*%>*2*"'5'(<
"'1a)(*%"'!%&2$$728'()*+ggL0*%1*47)*)1(%5"2&@'$*8)4'$="=@*
+SM0*@)@:821)6*-7)*G8&4*43%*&4)5&*%>*ggL*:'%&#147)&'&*28)*
$242"#9)(* :#* 2* @="4'<)19#@)* $%@5")F* $%@58'&)(* %>*."!K*
21(* 47)* 7)4)8%<('@)8'$*."![i]."![Y* !"#$%&#"4821&>)82&)&*
%1* 47)* $#4%&%"'$* >2$)* %>* SM6* B1* 47)*."![i][Y* $%@5")FD*
Alg14 acts as a membrane anchor recruiting the cytosolic
."![i* 4%* 47)* SM* @)@:821)* @)('24)(* :#* 47)'8* N<4)8@'1'6*
h'%'1>%8@24'$&* 212"#&'&* 8)?)2")(* 21* )?%"?)(* ^<4)8@'12"*
region in all eukaryotic Alg14 that is missing in bacterial
%847%"%!=)&6* X)8)D* 3)* &7%3* 4724* ^<4)8@'12"* 8)!'%1* %>*
C2$$728%@#$)&* $)8)?'&'2)*."![Y* "%$2"'9)&* '4&* /Te<>=&'%1*
4%* 47)* SM* @)@:821)6* b)")4'%1* %>* 47'&* 8)!'%1* $2=&)&* 2*
&)?)8)*!8%347*()>)$4*%>*47)*#)2&4*24*i\6H*I6*B14)8)&4'1!"#D*
47'&*!8%347*()>)$4*$21*:)*5284'2""#*$%@5")@)14)(*:#*%?)8<
)F58)&&'%1*%>*."!K6*N%<'@@=1%58)$'5'424'%1*()@%1&4824)(*
4724*47'&*^<4)8@'12"*8)!'%1*%>*."![Y*'&*8){='8)(*>%8*2*('8)$4*
'14)82$4'%1*3'47*."!K6*L=8*(242*2"&%*&7%3*4724*."![Y*"2$a'1!*
47)*^<4)8@'12"*8)!'%1*8)@2'1&*%1*47)*SM*@)@:821)*478%=!7*
a nonperipheral association. Mutational studies guided by
47)*ib*&48=$4=8)*%>*."![Y*'1()14'G)(*2*7#(8%57%:'$*'14)8>2$)*
3%8a'1!*2&*21%47)8*@)@:821)<:'1('1!*&'4)6*-7)&)*8)&="4&*")2(*
to a model in which Alg14 works as a coordinator recruiting
47)*$242"#4'$*."!K*21(*."![i*:#*('>>)8)14*4)8@'1'*4%*'1'4'24)*
ggL*:'%&#147)&'&6
1
J
3
[DJ
MBUS^*.CBD*
B-L*/"#$%48'"%!#*e8%m)$4D*SM.-LD*fC-D**
3
/82(6*C$7%%"*%>*S1!'1))8'1!D*/=1@2*V1'?6
「目的」SM*A<[DJ*@211%&'(2&)*B*+SM,21B0 はアスパラギン結
合型糖鎖 Man9GlcNAcJ から、主に B 鎖の A<[DJ 結合した
マンノース (Man) を遊離させる酵素である。一方、SM で
最終的に正しく折り畳まれなかった糖蛋白質は、その糖鎖
の Man が よ り 多 く 刈 り 込 ま れ、SM<2&&%$'24)(*()!82(24'%1*
+SM.b0 へと導かれる。我々は1)ヒト SM,21B*+7SM,21B0
が化学合成した Man9GlcNAcJ<e. から複数の Man を 1 時間
以内に刈り込むこと、及び2)7SM,21B が変性条件にさ
らされた Man9GlcNAcJ を有する糖蛋白質から、より多く
1)
の Man を刈り込むことを示した 。そこで、非還元末端に
グルコース (Glc) を有する糖鎖及び糖蛋白質上の糖鎖に対
する SM,21B の作用を解析し、上記課題のさらなる解明を
目指した。
1)
「方法」組換え型 7SM,21B を用い、1)蛍光糖鎖を基質
とした反応、及び、2)加熱処理した糖蛋白質を基質とし
た反応産物から切り出した糖鎖の存在様式、の解析を行っ
た。
「 結 果 」 ま ず、7SM,21B は GlcMan9GlcNAcJ<e. を
GlcMan8BGlcNAcJ<e. へと分解する活性を示した。次に、
GlcMan9GlcNAcJ の糖鎖構造を有するイムノグロブリンY
+B!W0 に対する解析を行った。その結果、7SM,21B は未変
性状態の B!W に対する活性は微弱であったが、B!W を56
度の加熱処理することにより、より多くの Man を遊離さ
せた。従って、SM,21B が非還元末端に Glc を有する糖蛋
白質に対しても、その折り畳み状態に依存して酵素活性を
発揮することで、SM.b に寄与する可能性が示された。
1)
f6*.'a232D*B6*,24&=%*|*W6*B4%*/"#$%$%1m6*f6*JZD*iH<YH*+JQ[J0
115
B4-09
動物精子のマイクロドメインに存在する高度糖鎖修飾糖タンパク質の構造と機能
○金澤 尊
1
[DJDi
、S&4)"")*/28z12=F 、Waraporn Kasekarn 、堀 和紀 、安江 博 、佐藤ちひろ 、北島 健
J
J
1
4
[DJ
[DJDi
名大院・生命農、 名大・生物機能セ、 リーディング大学院プログラム・B/SM、 農業生物資源研・家畜ゲノム
J
3
4
.+5($+(5,-*&2-7(&$+1%&0-%7-6,6D5*&,-615%2%6*1&9"%$*"1F,2-/1)/"#-)"#$%0#"*+,2-)"#$%:5%+,1&0-1&-*&16*"sperm
○Takeru Kanazawa
[DJDi
Ken Kitajima
[DJDi
1
D*S&4)"")*/28z12=FJ, Waraporn KasekarnJ, Kazuki Hori1, Hiroshi Yasue4D*N7'7'8%*C24%[DJ,
/82(6*C$76*h'%2!86*C$'6*^2!%#2*V1'?6D*J*h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8D*3 B/SMD*4 ^B.C
Summary:*B1*&)28$7*>%8*2*5'!*7%@%"%!*%>*j2!)""2&'2"'1*>8%@*&)2*=8$7'1*&5)8@D*3)*>%=1(*2*7)2?'"#*!"#$%&#"24)(D*E/.<
:'1('1!*58%4)'1D*12@)(*E/.<!5D*'1*5'!*&5)8@*@'$8%(%@2'1&6*B@@=1%"%$2"'924'%1*&4=(')&*&7%3)(*4724*E/.<!5*$721!)&*'4&*
&=8>2$)*('&48':=4'%1*(=8'1!*$252$'424'%1*21(*2$8%&%@)*8)2$4'%16*.14'<E/.<!5*214':%(#*!8)24"#*2>>)$4)(*47)*sN2Jl]i , which is a
&'@'"28*>)24=8)*3'47*j2!)""2&'2"'16*M)!="24'%1*%>*sN2Jl]i by a highly glycosylated glycoprotein may be the common feature in
animal sperm.
受精は、精子の受精能獲得、先体反応、卵との融合
など、精子と雌性生殖管および卵との間で起こる多
段階の相互作用からなる過程である。これらの過程に
おける糖鎖の重要性は知られているが、そのほとんど
が卵側成分に関するものであり、精子局在糖鎖の機能
については未解明な点が多い。近年、細胞膜にはマイ
クロドメインあるいはラフトと呼ばれるスフィンゴ脂
質、コレステロールに富む膜ドメインが存在し、シグ
ナル伝達の場として注目されている。1999 年、我々は
動物配偶子から初めてマイクロドメインを単離し、そ
の上の糖鎖が卵との相互作用を媒介することを報告し
た [1]。以来、マイクロドメインが糖鎖を介する相互
作用の場であるという仮説をたてて、さまざまな生物
種・細胞種を用いてその証明を行ってきた。JQQP 年、
我々はウニの精子鞭毛マイクロドメインから高度に糖
鎖修飾された糖タンパク質を見出し、j2!)""2&'2"'1 と
命名、この分子が精子の細胞内カルシウムイオン濃
Jl
度(sN2 ]i)調節および運動性制御に関わることを発
sJDit。糖鎖が細胞内カルシウムイオンを調節す
見した
るという現象は珍しく、その普遍性の検証は重要であ
る。そこで、他の生物種において j2!)""2&'2"'1 と同等
の分子の存在を探索した結果、ブタ精子から高度に糖
鎖修飾された糖タンパク質 +[H<JH*ab20 の発見に至っ
た。この糖タンパク質は小麦胚芽レクチン (WGA) 結
合性が高いことから E/.<!5 と命名した。本研究は、
E/.<!5 の機能、とりわけ糖鎖によるカルシウムイオ
ン調節機能の解明を目的として、以下の項目に取り組
んだ。
(1)E/.<!5 の精製と構造解析: まず、ブタ精子
から陽イオン交換クロマトグラフィー等を用いて、
E/.<!5 を精製した。糖組成解析の結果、E/.<!5 は
N 型及び O 型糖鎖を併せ持ち、GlcNAc 含量が高いこ
とがわかった。また、アミノ酸配列解析からは特定の
配列が得られ、現在、その配列に基づいて E/.<!5 の
タンパク質部分を同定するために、分子クローニング
を行っている。
116
(J)E/.<!5 の 局 在 性: 精 製 E/.<!5 を 抗 原 に
してモノクローナル抗体の調製を行い、主として糖
鎖部分を認識する抗体 mAb.4D1 を得た。mAb.4D1 に
よるウェスタンブロット解析の結果、E/.<!5 がマ
イクロドメインに存在することが確認された。また、
mAb.4D1 による免疫染色の結果から、E/.<!5 は精巣
ではなく精巣上体で生合成されることが判明した。こ
れらのことから、E/.<!5 は精巣上体から分泌され、
精子に取り込まれて、マイクロドメインへと局在化す
ることが示された。哺乳類精子は受精能獲得およびそ
の後の先体反応の過程において、その膜構造が逐次変
化することが知られている。免疫染色の結果から、精
子上の E/.<!5 の局在はこれらの過程で変化すること
がわかり、E/.<!5 を含むマイクロドメインは再構築
されることが示唆された。
(3)E/.<!5 のカルシウムイオン調節機能: ブタ
Jl
精子に T=82<J を取り込ませて*sN2 ]i を測定する実験を
Jl
行い、mAb.4D1 の添加によって、sN2 ]i が激しく変動
する現象が見出された。mAb.4D1 は糖鎖認識抗体であ
Jl
り、E/.<!5 の糖鎖が精子 sN2 ]i の調節に関わること
が示唆された。
以上、本研究によりブタ精子においても高度に糖鎖
修飾されたタンパク質が存在し、その糖鎖が細胞内カ
ルシウムイオン調節に関与していることが示され、糖
鎖によるイオン調節機構には種を超えた普遍性がある
ことが示唆される。
s[t*L742*UD*C24%*ND*,2&4=(2*-D*-%8'#2@2*,D*g)11289*EfD*
U'42m'@2*U6*+[ZZZ0*h'%$7)@6*h'%57#&6*M)&6*N%@@=16*
JH\D*P[P<PJi6
sJt*,'#242*CD*C24%*ND*U=@'42*XD*-%8'#2@2*,D*_2${=')8*_bD*
U'42m'@2*U6*+JQQP0*/"#$%:%"%!#*[PD*[JJZ<[JY[6
sit*U2@:282*WD*C7':2*UD*W%&7'(2*,D*C24%*ND*U'42m'@2*UD*
C7'1!#%m'*N6*+JQ[[0*N)""*C48=$4*T=1$46*iPD*PZ<\J6
b4-10
GalNAc-T 様遺伝子 WBSCR17 はエンドサ
イトーシス経路を調節する
○中山喜明、中村直介、黒坂 光
京産大、総合生命
G-4(+*+1<,-4%"#:,:+12,-O9G$,+#")*"*$+%0*61&#"+5*&07
,5*0,a`].HJ>b-J,)("*+,0-T&2%$#+1$-4*+/B*#0
○Yoshiaki Nakayama, Naosuke Nakamura, Akira Kurosaka
T2$6*%>*g'>)*C$'6D*U#%4%*C21!#%*V1'?6
Summary:*E)*58)?'%=&"#*'()14'G)(*2*5%"#5)54'()*/2"^.$*
4821&>)82&)<"'a)* !)1)D* EhCNM[KD* 37'$7* 72(* ?)8#* "%3*
4821&>)82&)* 2$4'?'4#* 4%328(* 4#5'$2"* @=$'1<5)54'()&6* * -%*
)"=$'(24)* 47)* 57#&'%"%!'$2"* >=1$4'%1&* %>* EhCNM[KD* 3)*
%?)8)F58)&&)(]&=558)&&)(*'4*'1*$="4=8)*$)""&D*21(*>%=1(*4724*
it regulated macropinocytosis and the endosome/lysosome
524732#&6**L=8*(242*58%?'()*47)*G8&4*'@5"'$24'%1*4724*@=$'1<
4#5)*L<!"#$%&#"24'%1*'&*'1?%"?)(*'1*47)*$%148%"*%>*47)*(#12@'$*
@)@:821)*482>G$a'1!*478%=!7*@2$8%5'1%$#4%&'&6
ムチン型糖鎖の合成開始反応は糖転移酵素
5%"#5)54'()*/2"^.$<4821&>)82&)*+/2"^.$<-0 に よ り 触 媒
される。我々はこれまでに脳神経系に強く発現する
/2"^.$<- 様遺伝子を単離・同定している。この遺伝子
は精神遅滞等の症状を示す先天性遺伝子疾患ウィリア
ムズ症候群の原因候補遺伝子であることから E'""'2@&<
h)=8)1*C#1(8%@)*$78%@%&%@)*8)!'%1*[K*+EhCNM[K0 と呼
ばれている。EhCNM[K は既知の /2"^.$<- と高いアミ
ノ酸配列相同性を有しているにもかかわらず、その組
み換えタンパクは典型的なムチン型ペプチドに対して
ほとんど糖転移活性を示さず、その機能は未だ不明で
ある。
近年、XSUJZi- 培養細胞を用いたゲノミクス解析に
より、EhCNM[K がエンドサイトーシス経路を調節して
いる可能性が報告された。そこで我々は細胞生物学的
手法を用いて EhCNM[K の機能解析を行った。その結果、
(i) 細 胞 内 栄 養 状 態 の 指 標 で あ る ^<2$)4#"!"=$%&2@'1)
の濃度依存的に EhCNM[K の発現量が増加すること、
+''0EhCNM[K が液相エンドサイトーシスの一種である
マクロピノサイトーシス経路を負に制御していること、
(iii) その調節メカニズムの破綻は細胞内に糖鎖含有分子
の蓄積を伴うリソソーム病様の症状を引き起こすとい
う新たな知見を得た。これらの結果は EhCNM[K によ
り形成されるムチン型糖鎖が、マクロピノサイトーシ
スを通じた細胞外分子の取り込みを制御することによ
り、細胞内栄養状態のホメオスタシスの維持に関与す
ることを示唆している。
117
一般講演
ポスター発表
49ee>
49eeK
シングルレーザー蛍光相互相関分光法による
糖鎖提示ナノ微粒子の相互作用解析
シマスカンクのミルクオリゴ糖解析
○長堀紀子、 金城政孝
○関井伸泰 、S5'*-2=Ga 、福田健二 、斎藤忠夫 、
3
1
Olav T. Oftedal 、浦島 匡
北大院先端生命
1
1
3
Analysis of the molecular interaction of glyco-nanoparticles by using
01&)",-"*0,59,;$1+,2-E(%5,0$,&$,-$5%00-$%55,"*+1%&-0:,$+5%0$%:#-U.Y9CHH.V
1
1
J
帯広畜産大学畜産学部研究科、 東北大学大学院農学研究科、
スミソニアン環境学研究所
J*
H/,61$*"-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-61"S-%"1)%0*$$/*512,0-%7*-.+51:,2-.S(&S-UMephitis mephitisV
○Noriko Nagahori, Masataka Kinjo
○Nobuhiro Sekii D*S5'*-2=Ga D*U)1m'*T=a=(2 , Tadao Saito ,
3
1
Olav T. Oftendal D*-2(2&=*V82&7'@2
T2$="4#*%>*.(?)1$)(*g'$)*C$')1$)D*X%aa2'(%*V1'?6
1
1
1
1
J
L:'7'8%*V1'?6*%>*.!8*|*_)4D*,)(**
-%7%a=*V1'?6**
3
C@'47&%1'21*S1?'8%1@)142"*B1&4'4=4)
J*
Summary:* E)* )F2@'1)(* 47)* @%")$="28* '14)82$4'%1* %>*
/"#%$<•b&* =&'1!* &'1!")* "2&)8<)F$'4)(* T"=%8)&$)1$)* N8%&&*
N%88)"24'%1* C5)$48%&$%5#* +Cg<TNNC06*.1* 2(?2142!)* %>*
47)*Cg<TNNC*'&*4724*47)*43%*j=%8%57%8)&*)F'&4*'1*47)*&2@)*
$%1>%$2"* 28)2* +O* [* >g0* @2()* :#* 2* &'1!")* "2&)8* "'1)6*-7'&*
enables quantitative analysis of the interaction both in vitro
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@)2&=8'1!*47)*'14)82$4'%1*%>*/"$^.$<•b&]/,[<•b&*3'47*
proteins.
我々はこれまでに、糖鎖の相互作用を分子イメージ
ングや 1 分子計測の手法を用いて解析することを目ざ
し、様々な糖鎖を提示した量子ドット +/"#$%<•b&0 の
開発を行ってきた。本発表では、1分子検出法のひ
と つ で あ る 蛍 光 相 互 相 関 分 光 法(T"=%8)&$)1$)*N8%&&*
N%88)"24'%1*C5)$48%&$%5#n*TNNC) に よ る、/"#$%<•b& と
タンパク質間の相互作用解析について報告する。
TNNC 法とは、光を回折限界まで絞り込んで形成され
る微少な測定領域 +[>g 以下 ) における2色の蛍光分子
の「ゆらぎ」を観測し、各分子の「大きさ」「数」「同
時性」を解析することで、2種類の分子の相互作用を
検出する方法である。蛍光色素として QDs を用いるこ
とで、2色の蛍光分子の分子は単一の波長のレーザー
によって励起できる(QDs の励起波長が幅広いことに
よる)。これにより、2つの微少観測領域をほぼ一致さ
せることができるので、相互作用に関与している分子
としていない分子の濃度から Kd 値を算出できる。また、
共焦点レーザー顕微鏡を利用した光学系を用いること
で生細胞測定にも適用でき、様々な状態の細胞内での
分子間相互作用変化など、生化学的に滴定実験を行え
ない系においても有用な方法だといえよう。
本発表では、GM1 および GlcNAc を提示した QDs を
用いた実験について報告する。
120
Summary: The ratio of milk oligosaccharides to lactose was
)&4'@24)(*4%*:)*Hk[*'1*47)*@'"a*%>*&48'55)(*&a=1a6*-7)*@'"a*
%"'!%&2$$728'()&*3)8)*$7282$4)8'9)(*4%*:)*^)=H.$+AJ<P0/2"*
+;[<Y0*/"$^.$*s/2"*+A[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$^.$*+;[<P0t*/2"*
+;[<Y0*/"$D*^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"*+A[<i0*/2"*
+;[<Y0*/"$^.$*+;[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"^.$*+A[<i0*sT=$*
+A[<J0t*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"*+A[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*21(*T=$*
+A[<J0*/2"*+;[<Y0*/"$6*-7)*%"'!%&2$$728'()&*3)8)*$%@528)(*
with those of mink, coati, bears, seals, lion, leopard and
hyena in respect of phylogenetic aspect.
哺乳動物の乳は通常、糖質の \Qu 以上の割合のラク
トースと多種類のラクトースを還元末端側に有するミ
ルクオリゴ糖で構成される。しかしながら、イヌ以外の、
クマ、ミンク、ハナグマ、アザラシなど食肉目イヌ亜
目種の乳では、ラクトースよりもミルクオリゴ糖の方
が優先的である。本研究ではイヌ亜目種の中でこれま
でに構造解析されていなかったシマスカンクのミルク
オリゴ糖について、構造解析した。シマスカンク乳の
糖質画分において、ミルクオリゴ糖とラクトースの割
合は5:1であり、他のイヌ亜目種と同様にラクトー
スよりもミルクオリゴ糖の方が優先的なパターンが示
された。構造決定されたオリゴ糖は ^)=H.$*+AJ<P0*/2"*
+;[<Y0*/"$^.$*s/2"*+A[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$^.$*+;[<P0t*/2"*
+;[<Y0*/"$D*^)=H.$*+AJ<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"*+A[<i0*/2"*
+;[<Y0*/"$^.$*+;[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"^.$*+A[<i0*sT=$*
+A[<J0t*/2"*+;[<Y0*/"$D*/2"*+A[<i0*/2"*+;[<Y0*/"$D*T=$*+A[<J0*
/2"*+;[<Y0*/"$ であり、A</2" ならびに A 抗原の存在が
特徴的だった。本研究で解析されたシマスカンクミル
クオリゴ糖と、これまでに解析された他のイヌ亜目種
(ミンク、ハナグマ、クマ、アザラシ)およびネコ亜目
種(ライオン、ヒョウ、ハイエナ)のミルクオリゴ糖
の比較を行い、系統的な相同性ならびに不均一性につ
いて考察する。
49eeM
49ee@
深海底熱水活動域に固有の無脊椎動物が有す
る血清中レクチンの性状
○藤吉 奏 、新井崇之 、神藤彩加 、美野さやか 、和辻智郎 、
3
1
4
1
杉村 誠 、澤辺智雄 、丸茂克美 、中川 聡
1
1
1
1
1
J
J*
3
4
北大院 水産 、 f.,C-SN*、 新江ノ島水族館 、 産総研
ヒトヒアルロニダーゼのコンドロイチン4硫
酸に対する高い加水分解活性
○本田智子 、金岩知之 、水本秀二 、菅原一幸 、山田修平
1
○C%*T=m'#%&7' , Takayuki Arai , Ayaka Kando , Sayaka Mino ,
J
3
1
Tomoo Watsuji , Makoto Sugimura , Tomoo Sawabe ,
4
1
Katsumi Marumo , Satoshi Nakagawa
1
1
4
1
1
1
X%aa2'(%*V1'?6*T'&7)8')&D*J*f.,C-SND*3 Enoshima aquarium,
.BC-
1
1
[DJ
北大院・生命、 名城大・薬
1
H/*5*$+,51F*+1%&-%7-0,5(6-",$+1&0-75%6-*-2,,:90,*/#25%+/,56*"-3,"2-1&<,5+,D5*+,
1
J
Strong hydrolytic activity of human hyaluronidases
towards chondroitin 4-sulfate
○Tomoko Honda , Tomoyuki Kaneiwa , Syuji Mizumoto ,
1
[DJ
Kazuyuki Sugahara , Syuhei Yamada
1
1
1
1
/82(6*C$76*%>*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6D*
T2$="4#*%>*e728@6D*,)'m%*=1'?6
J*
Summary:* N)""* &=8>2$)* &=!28<$72'1&* 28)* )&&)14'2"* >%8*
@21#* 57#&'%"%!'$2"* 58%$)&&)&6* g)$4'1&* 28)* 58%4)'1&* 4724*
:'1(*4%*&5)$'>'$*&=!28<$72'1&*21(*2$4*2&*c()$%()8&d*%>*$)""**
'1>%8@24'%16*M)$)14"#D*:%47*57#&'%"%!'$2""#*21(*)$%"%!'$2""#*
?28'%=&*")$4'1&*72?)*:))1*'()14'G)(*>8%@*@28'1)*'1?)84):824)&6*
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&)2*7#(8%47)8@2"*>')"(*'1?)84):824)&6*g)$4'1&*4724*:'1(*4%*H*
('>>)8)14*@%1%&2$$728'()&*3)8)*'()14'G)(*'1*21*)1()@'$*$82:6*
S u m m a r y : * X # 2 " = 8 % 1 2 1 * + X . 0 < ( ) ! 8 2 ( ' 1 ! * ) 1 9 # @ ) & D*
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acting at the initial stage of the degradation process of
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4%*1%1&=">24)(*NCD*$7%1(8%'4'1*+N7106*X%3)?)8D*'4*72&*:))1*
$%1&'()8)(*4724*XW.g&*('!)&4*NC*4%*2*"'@'4)(*)F4)146*B1*47'&*
&4=(#D*47)*7#(8%"#4'$*2$4'?'4')&*%>*XW.g&D*XW.g[*21(*eX<
JQD*4%328(*NC*?28'214&*2&*3)""*2&*X.*3)8)*()4)8@'1)(6
細胞表面を覆う糖鎖は、その構造や組み合わせの複
雑さから “ 細胞の顔 ” と呼ばれ、細胞間の情報伝達に
深く関わっている。共生や感染をはじめとした細胞間
相互作用において、糖鎖に対し特異的な認識・結合性
を示し、その情報を読み取るタンパク質がレクチンで
ある。レクチンは、癌細胞の発見や感染症予防への応
用が期待されるため、これまで植物を中心に研究され
てきた。近年、様々な海洋性無脊椎動物からも多様な
生理活性を示すレクチンが発見され注目されているが、
その生理機能や生態学的な役割に関する包括的な研究
は皆無である。特に、深海性無脊椎動物のレクチンに
関しては、研究例がほとんどない。そこで、本研究は
深海底熱水活動域に固有の無脊椎動物の血清中からレ
クチンを精製し、その性状を解析することを目的とし
た。
これまでの研究において、ウマ赤血球の凝集反応お
よび、H 種類の糖 (Glc, Man, Gal, Ara, GlcNAc) 添加によ
る凝集阻害を確認したことから、深海底熱水活動域に
固有の無脊椎動物に血清中レクチンの存在が明らかと
なった。その凝集力価はカルシウムイオン存在下で高
かったことから、深海性無脊椎動物は動物に広く存在
する N 型レクチンを有することが強く示唆された。ま
た室温では凝集活性が見られなかったことから、本タ
ンパク質は棲息環境に応じて低温性であることが示唆
された。現在は糖アフィニティーを用いて精製を進め
ており、その性状や生理機能について議論したい。
【目的】コンドロイチン硫酸(NC)の代謝は、その構
造類似体であるヒアルロン酸(HA)と同様の経路を介
すると考えられており、HA 分解酵素として知られて
いるヒアルロニダーゼ(XW.g)によって低分子化され
ると予想されている。しかし、XW.g の NC に対する作
用の解析は不十分であり、分解活性の定量的な解析も
殆ど行われていない。今回、ヒト XW.g ファミリーの
XW.g[ と eX<JQ を用いて、NC や HA への作用を定量
的に解析した。
【 方 法 】XW.g[ と eX<JQ を タ グ 付 き の タ ン パ ク 質 と
して NLCK 細胞に一過性に発現させ、精製タンパク質
を酵素源として様々なタイプの NC や HA を消化し、
XegN を用いて反応産物の定量的な解析を行った。また、
pH に依る酵素活性の変化も調べた。さらに、速度論的
解析により、各々の基質に対する親和性を評価した。
また、消化によって生じたオリゴ糖の構造解析を行い、
基質を切断する際に認識している構造を調べた。
【結果】XW.g[ は HA と NC<. に対して同程度の作用
を示した。NC 異性体を比較すると、硫酸化構造をもつ
NC をより早く分解した。一方 eX<JQ は、NC<.、HA、
N71 に対して同程度に作用したが、NC<N にはほとんど
作用しなかった。また、両酵素は pH に依って最もよく
認識する基質が変化した。また、XW.g[ と eX<JQ では
切断する際に認識する糖鎖配列が異なることが示唆さ
れた。
121
49eef
49eeW
深海底熱水活動域に優占する化学合成独立栄
養性共生細菌が持つ糖鎖抗原の構造解析
深海底熱水活動域に棲息する化学合成独立栄
養細菌が有する細胞表層糖脂質の構造比較
○新井崇之 、藤吉 奏 、神藤彩加 、広瀬知弘 、澤辺智雄 、
1
中川 聡
○神藤彩加 、新井崇之 、藤吉 奏 、美野さやか 、和辻智郎 、
3
1
4
1
杉村 誠 、澤辺智雄 、丸茂克美 、中川 聡
1
1
1
J
1
北大・院水、 北大・創成研
1
J
1
1
.+5($+(5*"-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-Z9*&+1),&0-%7-$/,6%*(+%+5%:/1$0#6D1%&+0-10%"*+,2-75%6-*-2,,:90,*-/#25%+/,56*"-3,"2I
1
1
J
J*
3
4
北大院 水産 、 f.,C-SN*、 新江ノ島水族館 、 産総研
Structure comparison of lipopolysaccharides isolated
75%6-2,,:90,*-<,&+-$/,6%*(+%+5%:/0I
○Takayuki Arai D*C%*T=m'#%&7' , Ayaka Kando , Tomohiro Hirose ,
1
1
Tomoo Sawabe , Satoshi Nakagawa
○Ayaka Kando , Takayuki Arai D*C%*T=m'#%&7' , Sayaka Mino ,
J
3
1
Tomoo Watsuji , Makoto Sugimura , Tomoo Sawabe ,
4
1
Katsumi Marumo , Satoshi Nakagawa
1
1
1
J*
1
1
J
T2$6*T'&7)8#*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6D*
N8)24'?)*M)&6*B1&46D*X%aa2'(%*V1'?6
Summary:* B1* ())5<&)2* ?)14&D* @21#* '1?)84):824)&* 478'?)*
the hostile environment through their relationships with
chemoautotrophic, symbiontic bacteria acquired from their
habitats. However, little is known about the molecular
@)$721'&@* :)7'1(*47)*&5)$'>'$*7%&4<&#@:'%14*8)$%!1'4'%16*
E)* 7#5%47)&'9)(* 4724* :2$4)8'2"* L<214'!)1&* $%="(* &)8?)* 2&*
42!&* >%8* 47)* 8)$%!1'4'%1*:#*47)*7%&4*21'@2"&6*B1*47'&*&4=(#D*
3)* $7282$4)8'9)(* &48=$4=8)&* %>* L<214'!)1&* 5=8'>')(* >8%@*
culturable chemoautotrophic symbionts.
深海底熱水活動域は高温・高圧という我々ヒトの想
像を絶する過酷な環境である。現場に棲息する無脊椎
動物は、熱水中の無機化合物をエネルギー源とする化
学合成細菌と共生関係を築くことで栄養を獲得し、高
密度でユニークな生態系を作り上げている。現場に棲
息するホスト動物の多くは、卵の時点では共生細菌を
有さず、発生初期段階で環境中から特定の細菌のみを
特異的に獲得すると考えられている。
本研究では、熱水生態系でのホスト < 共生細菌の特
異的相互認識を担う物質として、細菌表面を覆う糖鎖
抗原 +L<抗原 ) に着目し、構造解析を通して相互認識機
構の解明を目指した。本発表では、深海底熱水噴出孔
から分離された化学合成細菌 Nitratiruptor*&56*Ch[HH<JD*
Sulfurovum*&56*^hNiK<[ の L<抗原を対象とし、ゲル電気
泳動と蛍光染色を組み合わせた微量糖鎖の検出、XegN
を用いた糖組成解析、質量分析による糖配列解析を行っ
た。糖組成解析では、ホスト動物には分布しない糖 +M72、
Ara) が L<抗原から検出されるなど、ホスト < 共生細菌
の相互認識の観点から注目すべき結果を得ている。
深海性細菌の糖鎖構造解析は、培養の困難さからこ
れまで実施されず、本研究以外に類を見ない。また本
研究の対象菌はヒトに蔓延する病原菌の祖先的近縁種
であり、本菌の共生機構は病原菌の感染機構のルーツ
としての可能性を有している。
122
1
1
4
1
1
1
X%aa2'(%*V1'?6*T'&7)8')&D*J*f.,C-SND*3 Enoshima aquarium,
.BC-
Summary:* b))5<&)2* 7#(8%47)8@2"* ?)14* '1?)84):824)&* !)4*
nutrients from their chemoautotrophic symbionts. They are
considered to acquire specific symbionts from environments.
However, little is known how host invertebrates and symbiotic
:2$4)8'2* 8)$%!1'9)* )2$7* %47)86* g'5%5%"#&2$$728'()&* +geC&0D*
crucial components of these bacterial outer membranes, are
)F5)$4)(*4%*:)*'1?%"?)(*'1*47)&)*'14)82$4'%1&6*X)8)D*3)*8)5%84*47)*
&48=$4=8)&*%>*"'5%5%"#&2$$728'()&*'&%"24)(*>8%@*?28'%=&*())5<&)2*
?)14*$7)@%2=4%48%57&*2&*()4)8@'1)(*:#*,.gbB<-LT*,C*21(*
/N<,C6
深海底熱水活動域は光合成の行えない暗黒の世界であ
る。海底から噴出する熱水中には硫化水素や水素などの還
元的化合物が含まれており、これらを利用してエネルギー
を生産する多様な化学合成独立栄養細菌が棲息している。
現場に棲息する無脊椎動物の多くは、これらの細菌の中か
ら特定の細菌を選抜し体表や体内に宿すことで栄養を獲得
している。しかし、深海におけるホスト生物−共生細菌の
相互認識を可能とする分子機構は全く知られていない。近
年、深海底熱水活動域に棲息する共生細菌が、人類に蔓延
する病原菌であるピロリ菌やキャンピロバクターなどの祖
先的性質を有していることが判明した。そこで我々は、深
海における異種生物間の相互認識機構をこれら病原菌の付
着・感染機構の進化的プロトタイプとして着目し、その分
子的な解明を目指している。
ホスト生物 < 共生微生物間の相互認識にはマメ科植物 <
根粒菌の例などからも、共生細菌表層に存在する糖脂質で
ある "'5%5%"#&2$$728'()+geC0 が関与している可能性が高い。
geC は lipidA という脂質部分に様々な単糖が鎖状に結合
した構造を取る。糖部分はさらに、コアオリゴ糖と n 回の
繰り返し構造をとる L< 抗原部とに分けられる。一般に L<
抗原を有する geC を S 型 geC、L< 抗原を欠くものを M 型
geC と呼ぶ。
本研究において、電気泳動や種々の質量分析により、深
海底熱水活動域に棲息する甲殻類の付着共生細胞、および
その近縁種 J 株の培養細胞における geC 構造を比較した
ので報告する。
49eeb
49eec
α1,6 フコース転移酵素 Fut8 欠損による海
馬機能の変化
コレクチン CL-K1 のマウスおよびヒト組織に
おける発現検討
○福田友彦 、顧 威 、橋本弘和 、酒井 誠一郎 、王玉琴 、
1
J
3
1
伊左治知弥 、八尾 寛 、東秀好 、顧建国
○大谷克城 、本村 亘 、吉崎隆之 、森健一郎 、
1
1
1
1
松田泰幸 、黄仁秀 、ロイ チャンドラ 、吉田逸朗 、
J
1
鈴木定彦 、若宮伸隆
1
1
3
1
1
J
1
東北薬科大 分生研 細胞制御学、 東北大 生命科学 脳機能解析、
東北薬科大 分生研 生体膜情報学
J*
1
1
1
1
旭川医大・微生物、
北大人獣共通感染症リサーチセンター・国際疫学部門
1
J
R>?W97($%0#"+5*&07,5*0,-UC(+cV-2,3$1,&$#-",2-+%16:*15,2-6%(0,-/1::%$*6:*"-7(&$+1%&0I
866(&%"%$*"1F*+1%&-*&*"#010-%7-$%"",$+1&-HY9g>-1&murine and human tissues
○-%@%7'a%*T=a=(2 , Wei Gu , Hirokazu Hashimoto ,
J
1
1
Seiichiro Sakai , Yiu Qing Wang D*-%@%#2*B&2m' ,
J
3
1
Hiromu Yawo , Hideyoshi Higashi D*f'21!=%*/=
○Katsuki Ohtani , Wataru Motomura , Takayuki Yoshizaki ,
1
1
1
1
Kenichiro Mori , Yasuyuki Matsuda D*B1&=*X321! D*M%#*N721(82 ,
1
J
1
B4&=8%*W%&7'(2 , Yasuhiko Suzuki , Nobutaka Wakamiya
1
1
1
1
1
1
1
1
b'?6*M)!6*/"#$%:'%6D*-%7%a=*e728@6**V1'?6D*
b)56*b)?)"%56*h'%6*|*^)=8%&$'6D*-%7%a=*V1'?6*/82(6*C$76*g'>)*C$'6D*
3
b'?6*/"#$%<C'!12"*M)&6D*-%7%a=*e728@6*V1'?6
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multiple behavioral abnormalities associated with a
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approaches to try to understand the underlying molecular
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roles in brain tissues.
Summary:* N%"")$4'1&* 5"2#* '@5%84214* 8%")&* '1* 47)* '1124)*
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in activation of the complement system and the deletion of
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immunohistochemistry analysis.
J*
我々は A[DP*フコース転移酵素 T=4\ 欠損マウスの行動
試験から、欠損マウスのヒト精神疾患の症状を反映し
た行動をみいだし、病態に深く関与すると考えられて
いる脳内モノアミンのバランスが崩れていることを昨
年度の本大会で報告した。しかし、その分子メカニズ
ムは不明のままである。今回我々は、患者の社会復帰
を阻んでいる最大の要因である認知障害と A[DP フコー
ス欠損の関係を明らかにするため、記憶に深く関与す
る海馬機能を電気生理学的に検証したところ、欠損マ
ウスの海馬 N.[ 領域での長期増強の形成が野生型マウ
スより減弱していることがわかった。さらに、T=4\ 欠
損マウス由来の線維芽細胞に記憶の獲得・保持に重要
であることが知られている NMDA 受容体*+^M[*<*^MJ.0*
Jl
を発現させ、N2 の細胞内取り込みを指標に検討した
ところ、野生型マウス由来の線維芽細胞に発現させた
ものに比べ、刺激に対する応答の減弱が認められた。
^M[ サブユニット・^MJ. サブユニットともに細胞膜
に局在していることから、NMDA 受容体の A[DP フコー
ス修飾は膜局在ではなく、機能の活性化に重要である
ことを示している。以上の結果は、T=4\ 欠損マウスで
みられた認知障害が、NMDA 受容体などの機能変化に
よることを示唆している。
J*
コレクチンは内部構造にコラーゲン様領域と N 型レ
クチンを有する自然免疫に関わる分子である。Ng<U[
は 新 規 の コ レ ク チ ン の 一 つ で あ る が、,hg、Ce<.、
Ce<b とは異なる特徴を有している。ゲノム構造につい
ては、既存のコレクチンとドメイン構造は同様である
が、コラーゲン様領域を形成するエクソンのスプライ
スバリアントが存在し、フレームシフトはおこさない
が異なる長さのコラーゲン様領域を含む @M^. が転写
されている。さらに、異なるエクソンからの転写も見
出しているが、その転写発現の詳細は明らかになって
いない。リアルタイム eNM による @M^. の組織におけ
る定量的な解析では、広範囲に @M^. の存在が示され
ている。近年、Ng<U[ は ,hg 同様、補体活性化経路の
レクチン経路を活性化することが明らかとなり、さら
に顔貌の変形など発生学的異常を示す3,N 症候群の家
系ゲノム解析の報告から、Ng<U[ と補体活性化経路に
関わる ,.Ce[ の遺伝子変異が同定され、生体防御に関
わる因子と考えられる両因子が発生における形態形成
に重要な役割を担うことが明らかになり注目されてい
る。我々は、Ng<U[ の生体における生理的な役割とそ
の機序を明らかにするための試みの一つとして、複数
の Ng<U[ に対する抗体を作成し、マウス、ヒトの様々
な組織について免疫組織染色を行ったので、今回その
結果について紹介する。
123
49eeh
Fut8 ノックダウンによる activin/phosphoSmad2 を介した神経突起形成
ラムノース結合性レクチンは p21 の発現上昇に
よりバーキットリンパ腫細胞の増殖を停止する
○顧 威、福田友彦、伊左治知弥、橋本弘和、顧建国
〇菅原栄紀、任 彰壎、細野雅祐、立田岳生、仁田一雄
東北薬科大 分生研 細胞制御学
東北薬大 ・ 分子生体膜研 ・ 分子認識
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Rhamnose-binding lectin suppresses cell growth in
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f'21!=%*/=
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Takeo Tatsuta, Kazuo Nitta
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plays important roles in brain and neuron system. To
understand the underlying molecular mechanisms, we
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)F58)&&* 47)* 7'!7)&4* ")?)"&* %>* A[DP<>=$%&#"24'%1* 2@%1!* 47)*
47)&)*$)""&6*U1%$a(%31*+Ub0*%>*T=4\*&'!1'>'$214"#*8)&="4)(*
in an enhancement of neurite outgrowth and induction of
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C@2(J*'1*47)*$)""&6*-7)*57%&57%<C@2(J*")?)"&*3)8)*'1(=$)(*
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)>>)$4*>%8*-/T<;*21(*1)!24'?)*>%8*2$4'?'16
124
49e>e
バーキットリンパ腫は非ホジキンリンパ腫の中でも
悪性度の高い腫瘍であり、治療には高濃度の薬剤を要
する疾患である。これまでに、ナマズ卵由来ラムノー
ス 結 合 性 レ ク チ ン(C.g) は、 糖 脂 質 の 一 種 で あ る
globotriaosylceramide (Gb3) を発現しているバーキット
リンパ腫*M2m'* 細胞に結合し、細胞周期を G1 期で停止
させ、細胞増殖を抑制する効果のあることを明らかに
している。今回、我々は、C.g* が引き起こす細胞増殖
抑制機構を明らかするため、細胞増殖に関連する*M2&<
,SU<SMU* 経路に着目して検討した。C.g* 処理*M2m'* 細
胞では、細胞増殖を正に調節する*NbUY、$<@#$ および
cyclinD3 の発現が抑制され、一方、細胞増殖を負に調
節する*5J[*と*5JK* の発現は増加した。また、C.g*処理
による*5J[*の発現増加は、melibiose と rhamnose で阻害
されたが、lactose や glucose では阻害されなかった。さ
らに、C.g* 処理により M2&* の活性化が起り、それに合
わせて MEK および*SMU*のリン酸化レベルの上昇が認
められた。SMU* のリン酸化レベルの上昇は、VQ[JP* 処
理により抑制され、C.g 処理時に起こる*5J[* 発現上昇
も、同様にコントロールレベルまで減少した。このとき、
細胞増殖抑制もわずかに回復した。これらの結果から、
C.g* は Gb3 に結合した後、M2&<,SU<SMU* 経路の活性
化に起因する*5J[* の発現増加により、細胞の増殖を抑
制していることが示された。
49e>>
49e>K
ヒト担がん血清におけるシアリダーゼ活性の
同定
○秦 敬子 、森谷節子 、細野雅祐 、和田 正 、
3
J
1
塩崎一弘 、仁田一雄 、宮城妙子
1
1
J
○浅田眞弘 、中村 悠 、本田絵美 、隠岐潤子 、
[D*J
1
鈴木 理 、今村 亨
1
1
東北薬大・分生研・がん糖鎖制御、 分子認識、
鹿児島大・水産
1
[D*J
1
1
(独)産業技術総合研究所・バイオメディカル J*
茨城大院・理工
J
3
ヘパリン依存性のシグナル伝達に変化を及ぼ
す Apert 変異型 FGF 受容体の解析
1
82,&+13$*+1%&-%7-01*"12*0,-*$+1<1+#-1&-+(6%59D,*51&)human serum
Decreased heparin-dependence of signaling complex formation
%7-G:,5+-6(+*&+0-%7-*-3D5%D"*0+-)5%B+/-7*$+%5-5,$,:+%5
○Keiko Hata , Setsuko Moriya , Masahiro Hosono , Tadashi Wada ,
3
J
1
Kazuhiro Shiozaki , Kazuo Nitta , Taeko Miyagi
○Masahiro Asada , Yu Nakamura , Emi Honda D*f=1a%*La' ,
[DJ
1
Masashi Suzuki D*-%8=*B@2@=82
1
b'?'&'%1&* %>* N21$)8* /"#$%&#"24'%1* M)&6* 21(* J* N)""* M)$%!1'4'%1*
C4=(#D*B1&46*%>*,%")$="28*h'%@)@:821)*21(*/"#$%:'%"%!#D*-%7%a=*
e728@6*V1'?6D*3 T2$="4#*%>*T'&7)8')&D*U2!%&7'@2*V1'?6
1
Summary:* B1* @2@@2"'21* 4'&&=)&* 21(* $)""&D* >%=8* 4#5)&*
of sialidase have so far been identified and characterized.
X%3)?)8D*24*58)&)14D*47)8)*'&*1%*$")28*)?'()1$)*>%8*)F'&4)1$)*
%>*&'2"'(2&)*2$4'?'4#*'1*47)*&)8=@6*X)8)*3)*72?)*'()14'G)(*2*
&'!1'G$214*&'2"'(2&)*2$4'?'4#*'1*4=@%8<:)28'1!*7=@21*&)8=@6*
The activity is detected mainly toward gangliosides as
&=:&4824)&D*:=4*728("#*4%328(*Y,V<^)=.$6
Summary: Apert syndrome manifesting developmental
mulformation of craniofacial and other bones is considered to
8)&="4* >8%@* !2'1<%><>=1$4'%1* 5%'14* @=424'%1&* '1* 21* )$4%(%@2'1*
%>*T/TMJ$6**T/TM&*28)*1%8@2""#*2$4'?24)(*:#*47)'8*'14)82$4'%1*
3'47* 47)'8* 8)&5)$4'?)* T/T* "'!21(&* '1* 47)* 58)&)1$)* %>* &=">24)(*
glycosaminoglycans. Here we studied the effects of Apert
@=424'%1&*%1*47)*>%8@24'%1*%>*T/T[]T/TMJ$]7)528'1*$%@5")F)&*
and receptor signaling. Our results suggest that Apert mutations in
T/TMJ$*8)&="4&*'1*)1721$)(*7)528'1<'1()5)1()14*:'1('1!*%>*T/T*
"'!21(*21(*47)*>%"%3'1!*2$4'?24'%1D*47)8):#*8)&="4'1!*'1*!2'1<%><
function phenotype.
1
1
J
1
がんにおけるシアル酸異常の機構や意義を解明し、
がんの診断や治療に応用することをめざして、シアリ
ダーゼの研究を行ってきた。現在、4種のヒトシアリ
ダーゼが同定されているが、そのうち、形質膜に局在
し、ガングリオシドを優先的に基質とするシアリダー
ゼ +^SVi0 は、ヒトの各種がんで異常な発現亢進を示し、
がんの悪性度を増強している。本発表では、最近、ヒ
ト担がん血清に、ガングリオシドを基質とするシアリ
ダーゼ活性が検出されることを見出したので、その性
質等について報告する。
これまで、動物血清にシアリダーゼが存在するかど
うかは明らかとなっていない。従来の測定法によって
活性の存在を示唆した報告はあるが、有意なシアリダー
ゼ活性が検出されておらず、その実体は不明であった。
シアリダーゼは一般的な蛋白と比較し、低発現、低安
定性であり、血清のシアリダーゼの存在の決定には高
感度検出法の開発が必要であった。XegN による高感度
検出法により測定すると、前立腺がんなどの血清にお
いて、ガングリオシドを基質とするシアリダーゼ活性
が有意に検出されることがわかった。一方、この活性
は、これまでのところ、非がん血清では殆ど検出されず、
担がん血清において、有意に検出された。また、血清
にはシアリダーゼ阻害活性が存在し、実際の活性レベ
ルが修飾されている可能性も示唆された。(本研究は宮
城県立がんセンター臨床科との共同研究である。)
1
[DJ
1
1
h'%@)('$2"*M)&)28$7*B1&4'4=4)D*.BC-D**
*/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*S1!'1))8'1!D*B:282a'*V1'?6
J
ヘパリンなど硫酸化グリコサミノグリカン (GAG) によっ
てシグナル伝達が制御される例は多数報告されているが、
遺伝病におけるその明確な関与が示されている例は少ない。
繊維芽細胞増殖因子 +T/T0 のチロシンキナーゼ型受容体
+T/TM0 は、T/T と GAG の結合により活性化されて、細胞
の分化・増殖に関わるシグナルを伝達する。T/TM の点突然
変異の多くは頭蓋骨縫合早期癒合症などの先天性疾患を引
き起こすが、その詳細な分子メカニズムはわかっていない。
本研究では、T/TM の変異が三者複合体の形成や細胞内での
シグナル伝達に及ぼす影響を解析することを目的とした。
Apert 症候群やその類縁疾患に見られる変異を導入した
T/TMJ の cDNA を構築し、B!/+T$0* 融合タンパク質として
NLC<[ 細胞に発現させた。これらを用いて、in vitro での
T/T 結合活性とその GAG 依存性を評価した。また、これら
変異型 T/TMJ を h2Ti 細胞に発現させ、T/T と GAG によ
るシグナル伝達を、,.eU のリン酸化と細胞増殖の面から
解析した。
結合実験において、野生型 T/TMJ はヘパリン存在下での
み T/T[ と結合するのに対し、Apert 症候群の原因変異を導
入した T/TMJ はヘパリン非存在下でも T/T[ と結合した。
また、野生型 T/TMJ を発現する h2Ti 細胞のシグナル伝達
には T/T[ とともにヘパリンの添加が必須であったが、変
異型 T/TMJ を発現する h2Ti 細胞は T/T[ のみでシグナル
が惹起された。一方、f2$a&%1<E)'&& 症候群や e>)'>>)8 症候群
の原因変異を持つ T/TMJ は、野生型 T/TMJ と同様、ヘパ
リン存在下でのみ T/T[ と結合した。
これらの結果から、Apert 症候群における T/TMJ 活性の
異常亢進は、GAG 非依存的な T/T 結合能に起因することが
示唆された。
125
49e>M
49e>@
リボソーム提示法を用いた新規6硫酸化ガラ
クトース結合性レクチンの創出
○胡 丹 、舘野浩章 、久野 敦 、平林 淳
1
1
J
○松野裕樹 、松田厚志 、久野 敦 、平林 淳 、成松 久 、
1
亀山昭彦
1
1
幹細胞工学研究センター・産総研、
糖鎖医工学研究センター・産総研
1
J
分子マトリクス電気泳動(SMME)による肝
内胆管癌細胞株由来 MUC1 の分析
1
3
T&)1&,,51&)-%7-&%<,"-",$+1&0-+%-5,$%)&1F,-W90("7%9
Galactose by a reinforced ribosome display
J
3
J
Consideration about characteristics of intrahepatic
$/%"*&)1%$*5$1&%6*95,"*+,2-LPH>-D#-(01&)-*-.LLT-*::5%*$/
1
*J
*J
○W=<a'*,24&=1% , Atsushi Matsuda , Atsushi Kuno ,
3
*J
1
f=1*X'82:2#2&7' , Hisashi Narimatsu , Akihiko Kameyama
1
1
J*
1
J
1
M)&)28$7*N)14)8*>%8*C4)@*N)""*S1!'1))8'1!D*.BC-D**
M)&)28$7*N)14)8*>%8*,)('$2"*/"#$%&$')1$)D*.BC-
Summary:*P<&=">%<!2"2$4%&)*'&*2*5%4)14'2"*('&)2&)*@28a)8D*
but no useful probes to detect this glycoepitope have been
available. Here, we succeeded in preparing novel lectins for
P<&=">%<!2"2$4%&)*:#*21*'@58%?)(*8':%&%@)*('&5"2#*@)47%(6*
-7)&)* ")$4'1&* 3'""* :)* =&)>="* )&5)$'2""#* '1* 47)* $%14)F4* %>*
sulfoglycomics.
レクチンは糖鎖を特異的に認識するタンパク質で糖
鎖構造解析に必須のツールとして用いられてきた。現
在では数十種類のレクチンが固定化されたレクチンア
レイも開発され、疾患マーカー探索や細胞選別に威力
を発揮している。一方で、糖鎖構造を解析するための
レクチン・プローブの種類は十分ではなく、硫酸化糖
鎖などの重要な糖鎖構造を認識するレクチンがないと
いう課題もある。これを克服するひとつのアプローチ
として、既存のレクチンを鋳型にして新規レクチンを
創出することが考えられる。我々は以前、エラー導入
eNM 法とリボソーム提示法を組み合わせることで新規
AJ<P シアル酸結合レクチンの創出に成功した。そこで
本研究では原理証明のできた本手法の各ステップを見
直すとともに、抗体も含めて有効なプローブが存在し
ない6硫酸化ガラクトースを認識するレクチンを開発
対象とした。その結果、ガラクトース特異的なミミズ
由来のレクチン SEJZN7 を鋳型にランダムに変異を導
入したライブラリーから6硫酸ガラクトースに強い親
和性を示す変異体8種を選択することに成功した。そ
のうち2種の変異体の糖鎖結合活性をフロンタル・ア
フィニティークロマトグラフィーで定量解析したとこ
ろ、2種の変異体はいずれも非還元末端ガラクトース
の6位に硫酸基を有する糖鎖に対して強く結合した (Kd
q*i},0。これらの変異体は6硫酸化ガラクトース含有
糖鎖を検出するための有用なプローブとして利用する
ことが期待できる。
J
産総研・生物プロセス、 産総研・糖鎖医セ、
産総研・幹細胞セ
○Dan Hu , Hiroaki Tateno , Atsushi Kuno D*f=1*X'82:2#2&7'
1
126
J
.BC-・heMBD*J*.BC-・MN,/D*3 .BC-・MNCS
Summary:* C=55%84)(* @%")$="28* @248'F* )")$48%57%8)&'&*
(SMME) is a new type of membrane electrophoresis that
can be used to characterize mucins. So far, we have applied
47'&* 4)$71'{=)* 4%* 47)* 212"#&'&* %>* ,VN[* 58%(=$)(* >8%@*
&%@)*$21$)8*$)""*"'1)&6*X)8)D*3)*()&$8':)*47)*C,,S<:2&)(*
212"#&'&* %>* '@@=1%58)$'5'424)(<,VN[* >8%@* '14827)524'$*
cholangiocarcinoma cell line. We would like to discuss the
character of this marker mucin.
ムチンは高密度の糖鎖で修飾を受けた高分子量タン
パク質であり、癌などの疾患との関連が古くから知ら
れているが、その分離解析は今でも難しい。我々は、
ムチンの新しい分析法である分子マトリクス電気泳動
(SMME)を開発し、これまで報告してきた([D*J)。さ
らに我々は以前に、レクチンマイクロアレイを用いて、
肝内胆管癌由来 ,VN[ では ET. レクチンのシグナル
が増加することを明らかにしており、ET. 反応性の
,VN[ が肝内胆管癌の新規診断マーカーとして有用で
ある事を報告している(3)。しかし、本マーカー分子
の実体や糖鎖構造などについては、まだ分かっていな
い事が多い。本発表では、この肝内胆管癌マーカー分
子である ET. 反応性 ,VN[ について、SMME を駆使
した分析を進めているので紹介したい。
健常者血清および肝内胆管癌細胞株の培養上清から
それぞれ免疫沈降によりエンリッチした ,VN[ ムチン
を比較した結果、健常者血清と癌細胞株間で SMME に
おける泳動像は異なった。一方、SMME 後のレクチン
染色により、ET. レクチン染色性のスポットが観察さ
れた。本発表では、SMME という新しい分析の切り口
から、癌性 ,VN[ と ET. レクチン反応性との関係に
ついて考察したい。
【文献】
(1),24&=1%D*WU6*)4*2"6D*.12"6*N7)@6D*+JQQZ06
(J),24&=1%D*WU6*)4*2"6D*S")$48%57%8)&'&D*+JQ[[06
(3),24&=(2D*.6*)4*2"6D*X)524%"%!#D*+JQ[Q06
49e>f
49e>W
糖質制限食の摂取が糖尿病の病態に及ぼす効
果とその分子機構の解析
LacdiNAc 構造を有するアスパラギン結合型
糖鎖の効率的合成
○奥田徹哉、森田直樹
○宮沢進平、真下竜也、松尾一郎
産総研・生物プロセス
群馬大院・工
A very low carbohydrate ketogenic diet prevents
the progression of hepatic steatosis caused by
hyperglycemia in an obesity mouse model
T73$1,&+-0#&+/,010-%7-$%6:",;-+#:,-O9)"#$*&$%&+*1&1&)-Y*$21OG$-0+5($+(5,
○Tetsuya Okuda, Naoki Morita
○C7'15)'*,'#29232D*-24&=#2*,2&7'@%D*B$7'8%*,24&=%
heMBD*.BC-
Gunma university
Summary: We investigated whether the improvement in
7#5)8!"#$)@'2*:#*(')428#*$%148%"*'1j=)1$)&*7#5)8!"#$)@'2<
induced pathologies in tissues on the basis of molecular
(#12@'$&6* ,=4214* @'$)* 3'47* (')4<'1(=$)(* 7#5)8!"#$)@'2*
were used in this study and fed a very low carbohydrate
a)4%!)1'$* (')4* +Ub0* >%8* K* 3))a&6*-7'&* &4=(#* 8)?)2")(* 4724*
hyperglycemia promotes hepatic steatosis via the lipogenic
pathway in the liver, which is prevented by feeding KD due
to an improvement in hyperglycemia.
Summary:* N%@5")F* 4#5)* N-glycan derivative containing
g2$('^.$* &48=$4=8)* 32&* &#147)&'9)(6* T%8* 47)* &#147)&'&D*
we used a chitobiosyl azide derivative as a key building
block, which was converted into the glycosyl donor and
glycosyl acceptor for the synthesis of BlockA and Block
h* 8)&5)$4'?)"#6* B1* 47'&* 58)&)1424'%1D* 3)* 3'""* 8)5%84* 47)*
construction of nonasaccaharide skelton and conversion of
the target glycan by inversion of the stereochemistry of four
7#(8%F#"*!8%=5&6
糖尿病の発症及び進行の予防処置として、食事療法
の有用性が提起されているが、その科学的な根拠は十
分に立証されていない。本研究では、糖尿病様病態を
発症するミュータントマウス(ob/ob マウス)を用い、
食餌による血糖コントロールが病態発症に及ぼす効果
を分子レベルで評価できるモデルの確立について検討
し た。ob/ob マ ウ ス を 糖 質 制 限 食(a)4%!)1'$*(')4k*Ub)
摂取下にて7週間飼育したところ、ob/ob マウスの表現
型である著明な高血糖の改善が認められた。一方、ob/
ob マウスは健常に発育し、主要な表現型である肥満も
通常食摂取群と同等に進行した。主要組織の病理学的
及び生化学的解析では、通常食摂取群に見られる脂肪
肝の形成が、KD 摂取モデルにおいて著しく抑制されて
いることが判明した。肝臓のタンパク質抽出液を Cbe<
e./S により解析したところ、KD 摂取群では通常食摂
取群に見られる数種のタンパク質の蓄積が改善されて
いた。この蓄積するタンパク質を同定したところ、脂
肪酸生合成酵素である T.C 及び .NN であり、肝臓の
脂肪酸組成もこの結果を支持していた。以上の結果は、
食餌により摂取する脂質よりも、糖質過剰摂取による
高血糖及び脂質生合成の惹起が脂肪肝形成の要因とな
ることを示している。
g2$('^.$ 構造を有する複合型糖鎖の効率的合成を目
的に、1)アジドキトビオース誘導体を共通のシントン
とすることで合成工程を短縮、J)位置選択的グリコシ
ル化反応行うことで無駄な保護・脱保護工程を省くこ
ととした。さらに、3)構築困難な b-マンノシド結合は
b-ガラクトシド結合を構築後、J 位の水酸基の反転反応
により得ることとした。
まず、アジドキトビオース誘導体を合成後、還元末
端部分のアジド基を除去、J 糖供与体とした後に、マ
ンノース受容体と反応することでブロック A を得た。
一方、ブロック B はアジドキトビオース 4 位のアセチ
ル基を除去後、ガラクトース残基を導入することで合
成した。得られたブロック A と B を NXJN"J 中、^BC]
AgOTf 条件下反応することで 9 糖誘導体を得た。今後
は非還元末端部分と分岐部分の 4 つの水酸基を同時に
反転させることで b- マンノシド結合および g2$('^.$
構造を構築することで目的糖鎖へと導く予定である。
127
49e>b
49e>c
糖鎖間相互作用メカニズムの解明を目的とし
た糖修飾フェロセンの合成と機能解析
○冨樫陽介
1
[D*J
、松林由香理 、陸 振遠 、長谷川輝明
3
3
JDi
東洋大院生命、 東洋大バイオナノ、 東洋大生命
J
3
endo -α-マンノシダーゼ解析に向けた化学的
アプローチ
○笠原佑太 、岩本将吾 、亀井健一 、飯野健太 、
JD*i
1
伊藤幸成 、松尾一郎
1
1
Synthesis of glycosylated ferrocenes and their conformational
analysis to investigate carbohydrate-carbohydrate interactions
[DJ
3
3
○Yosuke Togashi , Yukari Matubayashi D*C7'11)1*M'a= ,
JDi
Teruaki Hasegawa
1
3
/82(6*C$7%%"*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6D*J*h^Sg6D*-%#%*V1'?6D*
b)546*%>*g'>)*C$'6D-%#%*V1'?6D*
Summary: We designed a novel system based on ferrocene
presenting a carbohydrate unit on each cyclopentadienyl ring
4%* '1?)&4'!24)* $28:%7#(824)<$28:%7#(824)* '14)82$4'%1&* +NNB&0*
5"2#'1!* '@5%84214* 8%")&* '1* :'%"%!'$2"* )?)14&6* B>* 2(7)&'?)*
interactions occur between the carbohydrate units, conformation
%>*47)*!"#$%&#"24)(*>)88%$)1)&*&7%="(*:)*GF)(*'1*43'&4)(*>%8@&*
and such conformational change would be easily monitored by
Nb* &5)$482"* @)2&=8)@)14&6* S>>)$4&* %>* '%1'$* &5)$')&* %1* NNB&*
were evaluated by using our system.
細胞膜上の特定の糖脂質間に「糖鎖 r 糖鎖間相互作用」
(N28:%7#(824)<N28:%7#(824)*B14)82$4'%1&*k*NNB&)が働いてお
り、これが細胞間接着において重要な役割を担っているこ
とが近年明らかになりつつある。しかし NNB& に関するイ
オン選択性・糖構造選択性・相互作用した際の糖鎖の空間
配置などは、ほとんど何も解明されていない。
当研究室では NNB& のメカニズムを解明することを目的
に、上下のシクロペンタジエニル(N5)環に1つずつ糖鎖
が導入されたフェロセンを合成し、そのコンホーメーショ
ン解析を行っている。糖鎖間に相互作用が存在しない場合
は、N5 環が自由回転しているが、相互作用が働いた場合
はねじれ型のコンホメーションに固定化される。そのコン
ホメーション変化は円偏光二色性(Nb)スペクトルをも
とに容易に検出可能である。
本研究ではフェロセンに導入する糖鎖としてラクトース
(g2$)および ^<アセチルグルコサミン(GlcNAc)に注目
した。それぞれの糖の 5<ニトロフェニル配糖体から、数段
階の反応を経て g2$ および GlcNAc 修飾フェロセンを合成
した。各種イオン共存下で Nb スペクトルの測定をを行い、
それぞれのイオン種が NNB& に及ぼす影響について評価し
た。
128
1
1
1
J
3
群馬大院工、 理研基幹研、 SM.-L<fC-
Analysis of endo-R-mannosidase activity using
synthetic glycan probes
○Yuta Kasahara D*C7%!%*B32@%4% , Kenichi Kamei D*U)142*B'1% ,
JD*i
1
W=a'&7'!)*B4% *D*B$7'8%*,24&=%
1
1
1
1
1
Gunma univ., J*MBUS^<.CBD*3 SM.-L<fC-
Summary: N-linked glycans play key roles in protein
>%"('1!D* &42:'"'4#D* 21(* >=1$4'%16* S1(%<A-mannosidase
7#(8%"#9)&*47)*A-[DJ<@211%&'('$*:%1(*:)43))1*47)*!"=$%&)<
substituted mannose and the remainder of the N-!"#$216*B1*
%8()8* 4%* )"=$'(24)* 2$4'?'4#<&48=$4=8)* 8)"24'%1&7'5&* %>* )1(%<
A-mannosidase, we synthesized tetrasaccharide derivative
1, 2 and 36*V&'1!*47)&)*58%:)&D*3)*3'""*('&$=&&*47)*8)2$4'%1*
@)$721'&@*%>*)1(%<A-mannosidase.
エンド<A-マンノシダーゼは GH99 ファミリーに属す
る糖加水分解酵素であり、cis-ゴルジに局在する。本酵
素は N-結合型糖鎖の非還元末端側の /"$A[<i,21 残基
を切断する活性を有していることから糖タンパク質品
質管理機構に関与していると考えられているが、その
詳細は明らかではない。そこで我々はエンド<A-マンノ
シダーゼの機能解明に向けた取り組みの一環として、
エンド<A-マンノシダーゼの活性測定をおこなうための
蛍光標識糖鎖 1 の合成と、近年報告された触媒メカニ
ズムを参考に1)反応点近傍の水酸基をフッ素原子に置
換したフッ素誘導体 2 および水素原子に置換したデオ
キシ誘導体 3 の合成をおこなった。本発表では、水酸
基の反転反応を利用した4糖誘導体の合成2)と得られ
た化合物を用いたエンド<A-マンノシダーゼによる加水
分解活性測定の結果について報告する。
[0*-7%@5&%1*.6*f6*et al.D*e^.CD*[KD*[QZD*K\[yK\P*+JQ[J06
J0*B'1%*UD*et al., Tetrahedron Lett., in press*+JQ[J06
49e>h
49eKe
カードランを合成原料とした6位修飾グル
コース誘導体の新規合成法
○阿部春香
1
、長谷川輝明
[D*J
○中川 優 、竹谷隆良 、土井崇嗣 、竹腰清乃理 、
3
1,4
五十嵐康弘 、 伊藤幸成
JD*i
1
東洋大院生命、 東洋大バイオナノ、 東洋大生命
J
C 型レクチン様天然物プラディマイシン A と
の結合におけるマンノース 6 位水酸基の寄与
3
1
4
O,B-0#&+/,+1$-6,+/%2%"%)#-+%-HW96%213,2-)"($%0,derivatives from curdlan as a starting material
○Haruka Abe
[DJ*
1
3
Teruaki HasegawaJDi
/82(6*C$7%%"*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6D*J*h^SgD*-%#%*V1'?6D*
b)546*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6
Summary: We established a new synthetic methodology
4%* NP<@%('>')(* !"=$%&)* ()8'?24'?)&* * &4284'1!* >8%@* ;<[Di<
!"=$21*$=8("216*-7'&*8%=4)*'&*$%@5%&)(*%>*+[0*NP<&)")$4'?)*
$7)@'$2"* @%('>'$24'%1* %>* $=8("21* 21(* +J0* 2$'(<$242"#9)(*
hydrolysis of the resultant curdlan derivatives. Advantages of
our methodology over the conventional ones include simple
reprecipitation procedures to purify polysaccharide derivatives
21(*47)*8)&="4214*2?%'(21$)*%>*4'@)]"2:%8<$%1&=@'1!*&'"'$2<
gel column chromatographic purification processes. We
&=$$)&&>=""#* &#147)&'9)(*P<29'(%<P<()%F#!"=$%&)*:2&)(*%1*
this methodology.
特定位置を化学修飾した各種単糖誘導体は、タンパ
ク質の生理活性解明や薬剤原料として非常に有用であ
る。しかし、従来の合成法におけるシリカゲルカラム
クロマトグラフィによる精製、多段な保護 / 脱保護ス
テップの必要性などのボトルネックにより1度に合成
できる量が mg 単位に制限される。このことが市販試薬
の少量化・高額化を招き、各種単糖誘導体が関連する
諸研究・開発の弊害となっている。
そこで我々は、カードラン(;<[Di<グルカン)の化学
修飾における 6 位選択性に着目した。カードランは、
トリフェニルホスフィンおよび四臭化炭素を用いたブ
ロモ化、およびその後のアジ化ナトリウムによるアジ
ド化を行うことにより、繰り返し単位であるグルコー
スの 6 位にのみ、定量的にアジド基を導入可能である
ことが報告されている。我々は、このカードランの化
学修飾の後に、iH%塩酸を用いた酸加水分解およびそ
の後の減圧処理を行うことにより、上記のボトルネッ
クを解消した新しい大量合成法を開発した。そして、
本合成法により P<アジド<P<デオキシグルコースを H! 以
上のスケールで大量合成可能であることを確認した。
当日は、さらに P<アセトアミド<P<デオキシグルコース
の合成に、我々の手法を応用した結果についても報告
する予定である。
1
J
J
理研・基幹研、 京大院理・化学、 富山県大・生工、
fC-・SM.-L
J
3
Contribution of the C6 hydroxyl group of mannose to the
D1&21&)-+%-45*2161$1&-G?-*-H9+#:,-",$+1&9"1S,-&*+(5*"-:5%2($+
○Yu Nakagawa , Takara Taketani , Takashi Doi ,
J
3
1,4
Kiyonori Takegoshi D*W2&=7'8%*B!282&7' D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
3
1
J
MBUS^*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)D*J*U#%4%*V1'?)8&'4#D*
-%#2@2*e8)>)$4=82"*V1'?)8&'4#D*4 fC-*SM.-L
Summary:*E)* '1?)&4'!24)(* 47)* '@5%8421$)* %>* 47)* NP* 7#<
(8%F#"* !8%=5* %>* b<@211%&)* +,210* '1* 47)* N2Jl<()5)1()14*
,21*:'1('1!*%>*e82('@'$'1*.*+eM,<.0D*2*N<4#5)*")$4'1<"'a)*
124=82"*58%(=$46*C48=$4=82"*212"#&'&*%>*47)*4)8128#*$%@5")F*
of 13N<"2:)")(*eM,<.*3'47*N2Jl ion and 13N<"2:)")(*,21*:#*
&%"'(<&424)*^,M*21(*:'1('1!*4)&4&*=&'1!*()%F#*()8'?24'?)&*%>*
,21*$%"")$4'?)"#*'1('$24)*4724*eM,<.*(%)&*1%4*8)$%!1'9)*47)*
NP*7#(8%F#"*!8%=5*%>*,216
プラディマイシン .*+eM,<.0*は、N2 存在下 b< マン
ノース (Man) を結合する N 型レクチン様天然物である。
eM,<. は、Man の JD*iD*Y 位水酸基を認識することが報
告されているが、6 位水酸基の寄与に関しては明確にさ
Jl
れていなかった。本研究では、eM,<.]N2 /Man 複合体
の 固 体 ^,M 解 析 と @)47#"*A<b<@211%5#821%&'()*+,21<
OMe) の ()%F# 体を用いた結合試験の両面から、eM,<.
との結合における Man の 6 位水酸基の重要性を評価す
ることを目的とした。
13
放線菌の生合成を利用して部位選択的に N 標識し
13
た eM,<. と 1 – 6 位を個別に N 標識した ,21<L,) を
Jl
用いて eM,<.]N2 ],21<L,) 複合体を調製し、dipolar
2&&'&4)(*8%424'%12"*8)&%121$)*+b.MM0* 法 に よ り 13Ny13N 間
の空間的距離を評価した。その結果、Man の 1 位と 6
位は J*y*H 位に比べて eM,<. から離れた位置にあり、
Man の 6 位水酸基は eM,<. と直接相互作用していない
可能性が示唆された。さらに、eM,<. は ,21<L,) の
J<D*i<D*Y<()%F# 体とは結合しなかったのに対し、P<()%F#
体とは ,21<L,) と同様に結合することが確認された。
これらの結果は、eM,<. が Man の 6 位水酸基を認識し
ていないことを強く示唆するものである。
Jl
129
49eK>
49eKK
イヌリンに対する化学修飾法の開発とβ-2,1-フ
ルクタン骨格を有する新規糖鎖高分子への展開
○伊澤和美 、秋山研人 、長谷川輝明
[DJ
1
3
JDi
東洋大院生命、 東洋大バイオナノ、 東洋大生命
J
3
高マンノース型糖鎖ライブラリーのトップダ
ウン合成:14 糖前駆体のグリコシダーゼ消化
○瀬古 玲 、松尾一郎 、武田陽一 、小泉晶彦 、八須匡和 、
1
3
1,3
高谷万紀 、相川順一 、伊藤幸成
1
1
[DJ*
1
3
130
Kento Akiyama3 Teruaki HasegawaJDi
/82(6*C$7%%"*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6D*J*h^SgD*-%#%*V1'?6D*
b)546*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6
1
1
1
fC-D*SM.-L、J 群馬大・工、3 理研・基幹研
Top-down synthesis of a library of high mannose-type
glycans: preparation of various high mannose glycans from
*-+,+5*2,$*90*$$/*512,-:5,$(50%5-D#-)"#$%012*0,-21),0+1%&I
T73$1,&+-0+5*+,)#-+%-*$$,00-1&("1&-2,51<*+1<,0-*&2-2,<,"%:6,&+%7-&,B-*5+13$1*"-)"#$%:%"#6,50-/*<1&)-=9K?>975($+*&-0$*77%"20
○U29=@'*B9232
J
○Akira Seko D*B$7'8%*,24&=% , Yoichi Takeda , Akihiko Koizumi ,
1
1
3
Masakazu Hachisu , Maki Takatani D*f=1'$7'*.'a232 ,
1,3
W=a'&7'!)*B4%
1
1
J
1
1
fC-D*SM.-LD*J*/=1@2*V1'?6D*3 MBUS^*.CB
Summary:*B1="'1*72&*:))1*8)$)'?)(*21*'1$8)2&'1!*'14)8)&4*
owing to its immunomodulatory and anticancer activities.
M)$)14"#D* 3)* &#147)&'9)(* '1="'1* 29'()&* 4724* 3%="(* :)*
promising key compounds to develop inulin derivatives via
X='&!)1*$%=5"'1!&*3'47*?28'%=&*2"a#1)<4)8@'124)(*>=1$4'%12"*
@%(=")&6*T%8*)F2@5")D*3)*&=$$)&&>=""#*&#147)&'9)(*21*'1="'1*
derivative having multiple carbohydrate appendages through
47'&*&4824)!#6*-7'&*8)&="4214*'1="'1*()8'?24'?)*72&*21*)F$)"")14*
2>G1'4#*4%328(&*'4&*&5)$'G$*")$4'16
Summary:* X'!7* @211%&)<4#5)* !"#$21&* %1* 12&$)14*
glycoproteins play an important role in their proper folding
:#* 47)* {=2"'4#* $%148%"* +•N0* &#&4)@* '1* 47)* SM6*-%* $"28'>#*
@%")$="28*'14)82$4'%1*%>*47)*!"#$21&*3'47*•N<8)"24)(*58%4)'1&D*
&48=$4=82""#*()G1'4)*7'!7*@211%&)*!"#$21&*28)*'1('&5)1&2:")*
6* X)8)* 3)* 58)&)14* 4%5<(%31* &#147)&'&* %>* 2* "':828#* %>*
high mannose glycans, focusing on condition of various
!"#$%&'(2&)* ('!)&4'%1&* %>* 2* &#147)4'$* 4)482()$2<&2$$728'()*
precursor.
イヌリン(;<JD[<フルクタン)は現在プレバイオティ
クスとして利用されているキク科植物の貯蔵多糖であ
る。また、ゲル形成能を有する点や抗癌活性および免
疫賦活作用が報告された点からも、新規の食品添加物
や医薬品の開発の観点において魅力的な研究対象であ
る。しかし、イヌリンに対する化学修飾例は未だ少なく、
特に多糖誘導体の合成中間体として非常に有用なトシ
ル化物およびアジド化物に関する報告例は存在しない。
本研究では、トシル化イヌリンおよびアジド化イヌリ
ンの効率的な合成法の確立と、さらなる化学修飾によ
る各種機能性イヌリン誘導体への展開を試みた。
N, N<ジメチルアセトアミド(DMAc)にイヌリンを
溶解させたのち、トリエチルアミンおよび p<トルエン
スルホン酸クロライドを加え、イヌリンのトシル化を
行った。その結果、繰り返し単位あたりの導入率が Q6QH
∼ 0.39 のトシル化イヌリンを最大収率 iZu で得ること
に成功した。トシル化イヌリンをその後 DMAc に再溶
解させ、アジ化ナトリウムの存在下、PQI で JY 時間
磁気撹拌を行うことでアジド化イヌリンへと変換でき
た。アジド化イヌリンはアジド基と末端アルキンの間
の Huisgen 環化付加反応を用いて様々な機能性基を導
入することが可能であり、さらなる機能化に向けた中
間体として有用である。例えば本研究では機能性基と
してオリゴ糖をイヌリンに導入することで、強いレク
チン認識能を有するオリゴ糖修飾イヌリンを得ること
に成功した。
新生糖タンパク質の高マンノース型糖鎖は小胞体に
おいて種々のプロセシングを受けるが、それらの過程
は糖タンパク質の品質管理機構において重要な役割を
果たしていることが知られている。しかしながら品質
管理機構における高マンノース型糖鎖の役割につい
て、素過程における詳細な分子機構はまだ明らかでな
い。品質管理機構に関与するタンパク質群と高マンノ
ース型糖鎖の詳細な相互作用解析には、多種の高マン
ノース型糖鎖(ライブラリー)が必要である。我々は
多様な高マンノース型糖鎖を体系的に合成するため、
トップダウン型調製法を開発した(小泉ら、口頭発
表)。本法は、Man9 糖鎖の非還元末端に GlcNAc, Gal,
Glc を結合した 14 糖を化学合成して前駆体とし、こ
れを特異的グリコシダーゼの逐次反応によって種々の
高マンノース型糖鎖を合成するものである。本発表
では酵素消化の条件検討について報告する。まず非
還元末端の GlcNAc, Gal, 及び Glc の加水分解にはそれ
ぞ れ f2$a*:)21*;<X)F^.$v2&)D*A. oryzae*;<!2"2$4%&'(2&)D*
及 び 824*"'?)8*A<!"=$%&'(2&)<BB が 適 し て い る こ と が 分
か っ た。 さ ら に A[DJ<結 合 Man の 加 水 分 解 に は A.
saitoi A[DJ<@211%&'(2&)、A[Di]P<結合Man には f2$a*:)21*
A<@211%&'(2&) を 使 用 し た。 ま た、.<28@ の J 残 基 の
A[DJ< 結合 Man を選択的に切断するため、ゴルジ )1(%<
A<@211%&'(2&) を調製した。これらグリコシダーゼの逐
次消化により 31 種の高マンノース型糖鎖を調製するこ
とに成功した。
49eKM
49eK@
5S-グルコシドを有する非天然型高マンノース
型糖鎖を用いた ERQC 関連タンパク質の解析
○武田陽一 、瀬古玲 、瀬戸秀春 、迫野昌文 、八須匡和 、
1
[DJ
小泉晶彦 、伊藤幸成
1
1
1
J
1
1
fC-D*SM.-L、J*理研基幹研
高機能 AFM を指向したシクロデキストリンを
コアとする樹状分子の合成研究
○鈴木克彦 、伊藤幸成 、蟹江 治
[DJ
1
Analysis of ERQC related proteins using unnatural
high-mannose-type glycan having a 5S-glucoside
1
1
J
[DJDi
fC-*SM.-L、J 理研・基幹研、3 東海大・糖鎖研
.#&+/,010-%7-*-$#$"%2,;+51&-UHNV9$%5,-2,&251$-6%",$(",7%5-+/,-,&/*&$,2-*+%61$-7%5$,-61$5%0$%:#-UGCLV
○Yoichi Takeda , Akira Seko , Hideharu Seto , Masafumi Sakono ,
1
1
[DJ
Masakazu Hachisu , Akihiko Koizumi D*W=a'&7'!)*B4%
1
[DJ
1
fC-D*SM.-LD*J*MBUS^D*.CB
Summary:* N2"1)F'1]$2"8)4'$="'1* +N^`]NM-0* $#$")* 37'$7*
'1$"=()&* ()!"=$%&#"24'%1* 21(* 8)<!"=$%&#"24'%1* :#* !"=$%&'(2&)*
BB* +/<BB0* 21(* V//-D* 8)&5)$4'?)"#D* 5"2#&* 2* $)1482"* 8%")* '1*
!"#$%58%4)'1*{=2"'4#*$%148%"6*X)8)D*3)*8)?)2")(*4724*Vbe<HC<
/"$*72(*&=:&4214'2"*2$4'?'4#*2&*2*(%1%8*&=:&4824)*%>*V//-*21(*
47)*$%88)&5%1('1!*HC<!"=$%&#"24)(*58%(=$4*32&*8)&'&4214*2!2'1&4*
/<BB6*-7)&)* 8)&="4&* &=!!)&4)(* 4724* 47)* H<C</"$<'1$%85%824)(*
/"$[,21Z/"$^.$J* 212"%!=)* 3%="(* :)* 2* 4%%"* >%8* 212"#&'&* %>*
N^`]NM-*$#$")*'1*47)*58)&)1$)*%>*:%47*/<BB*21(*V//-6
小 胞 体 +SM0 で 新 生 さ れ た 糖 タ ン パ ク 質 糖 鎖
(Glc3Man9GlcNAcJ) は /"=$%&'(2&)*B*+/<B0 および Glucosidase
BB*+/<BB0 によってグルコース2残基がトリミングされ、生
成した Glc1Man9GlcNAcJ は小胞体内のシャペロンである
カルネキシン +N^`0* 及びカルレティキュリン +NM-0* に
よって認識される。更に /<BB の働きにより1残基のグ
ル コ ー ス が 除 か れ た Man9GlcNAcJ は そ の タ ン パ ク 質 が
正しくフォールディングされていない場合にのみ Vbe<
!"=$%&)k!"#$%58%4)'1*!"=$%&#"4821&>)82&)*+V//-0 の 基 質 と な
り、再びグルコシル化される。このようなモノグルコシル
化糖鎖の認識、およびグルコース残基の脱着を伴う一連の
プロセスは N^`]NM- サイクルと呼ばれ、糖タンパク質の
品質管理の中心的な役割を担っている。以前、我々は種々
の Vbe</"$ 類縁体に対する V//- の基質特異性を調べた
結果、Vbe</2" および幾つかの Vbe<()%F#/"$ は V//- の
ドナーとなり得るが、その転移効率は非常に小さいことを
明らかにした [1]。今回我々は、Vbe<HC</"$ が本来の基質
である Vbe</"$ に比べて kcat/Km 値は小さいものの比較的
良好なドナーとなり、N<H 位の硫黄原子への置換が V//のドナー基質認識に大きな影響を与えないことを明らか
にした。更に得られた Glc1Man9GlcNAcJ アナログは /<BB
に対して安定であったことから /<BB と V//- が共存する
反応系での N^` サイクルの解析ツールとして有用である
と考える。本発表ではさらに +HC</"$01Man9GlcNAcJ の SM*
,211%&'(2&)*B 及びエンドマンノシダーゼに対する安定性、
および N^` に対する親和性についても議論する。
[DJ
[DJ
[DJDi
○Katsuhiko Suzuki D*W=a'&7'!)*B4% , Osamu Kanie
1
fC-*SM.-LD*J*MBUS^*.CBD*3 -%a2'*V1'?
Summary:*E)*2'@*4%*()?)"%5*2*1)3*@)47%(*:2&)(*%1*.T,*
>%8*47)*&48=$4=82"*212"#&'&*%>*!"#$%58%4)'1&6*-%*58%?'()*7'!7<
resolution images and to analyze chemical properties of
58%4)'1*&=8>2$)&D*3)*()&'!1)(*2*Nb<$%8)*()1(8'$*@%")$=")*
>%8*@%('G$24'%1*%>*47)*.T,*$214'")?)86*B1*47'&*58)&)1424'%1D*
3)*8)5%84*2*&#147)&'&*%>*2*Nb<$%8)*()1(8'$*@%")$=")*21(*21*
%:&)8?24'%1*%>*@%")$="28"#*@%('G)(*&'"'$%1*&=8>2$)6
単純タンパク質の立体構造が次々と明らかにされ、
生命の動作原理の化学的解明への貢献のみならず今後
の創薬への展開に期待がもたれている。しかし、タン
パク質の多くは翻訳後修飾を受けており、とりわけ糖
鎖による修飾は多型を与え構造解析を困難としている。
この問題に取り組むべく原子間力顕微鏡(.T,)を用
いて1分子毎の形状を観測する新しい方法の開発研究
に取り組んだ。具体的には、探針を先鋭化することで
面方向解像度を改善すると共に、種々の官能基を先端
に配置することで微小空間における化学情報を多角的
に解析することを目指した。探針にこれらの機能を付
与するために、我々はシクロデキストリンをコア構造
とするイミン/アミド型の樹状分子(1)を結合する
こととした。本発表では、化合物1の合成に加え、探
針先端を修飾するための予備試験として、シリコン結
晶面に結合したデンドロンを .T, により観察した結果
をあわせて報告する。
[1] Miyagawa et. al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2010,
YQiD*iJJ6
131
49eKf
49eKW
出芽酵母の持つ未知のエンド型 O -マンノシ
ダーゼによる遊離糖鎖の生成
○平山弘人 、花島慎弥 、山口芳樹 、鈴木 匡
1
J
J
○八須匡和 、瀬古 玲 、大黒周作 、武田陽一 、小泉晶彦 、
1
[DJ
迫野昌文 、伊藤幸成
1
1
理研・システム糖鎖・糖鎖代謝学、
理研・システム糖鎖・糖鎖構造
1
J
疑似ミスフォールド糖タンパク質の設計と合
成
1
Study on free O-glycans generated by a novel endo-Omannosidase in yeast
1
1
Design and Synthesis of Misfolded Glycoprotein
Mimics
○Masakazu Hachisu , Akira Seko , Shusaku Daikoku ,
1
1
1
Yoichi Takeda , Akihiko Koizumi , Masafumi Sakono ,
[DJ
W=a'&7'!)*B4%
1
1
J*
J
J
MBUS^D*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)D*/"#$%@)42:%"%@)*-)2@D*
MBUS^D*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)D*C48=$4=82"*/"#$%:'%"%!#*-)2@
Summary:*B1*)=a28#%4'$*$)""&D*cT8))d*>%8@&*%>*%"'!%&2$$728'()&*
derived from N<!"#$21&* 28)* a1%31* 4%* :)* 2$$=@="24)(* '1* 47)*
$#4%&%"6*M)$)14"#D*3)*>%=1(*47)*%$$=88)1$)*%>*21%47)8*4#5)*%>*
free glycans derived from O<"'1a)(*&=!28*$72'1&D*()&'!124)(*2&*
“free O<!"#$21d*'1*#)2&4*$)""&6*B4*'&*7'!7"#*&=!!)&4)(*4724*#)2&4*
cells have a novel endo O<@211%&'(2&)*2$4'?'4#6*E)*3'""*('&$=&&*
with suggested mechanism of liberation of free O<!"#$21&*21(*
property of the responsible enzyme.
真核生物の細胞質にはタンパク質と結合していない N<
結合型糖鎖由来の糖鎖 ( 遊離 N 型糖鎖 ) が蓄積しているこ
とが知られ、この生成経路は主に2種類に分類することが
できる [1]。
①*^< 結合型糖鎖前駆体 +ggL0 が SM 内腔で切りだされ
.-e 依存的な輸送体によって細胞質へ輸送される経路
②小胞体から細胞質へと排出された異常糖タンパク質か
ら、ペプチド <Nk グリカナーゼ*+e^/2&)0* 依存的な反応に
より糖鎖が切り出される経路
我々が実験系として利用している出芽酵母は、生成する
遊離 N 型糖鎖の大部分が経路 ②由来であり*sJDit、マンノー
スを炭素源とした培養条件下で O<結合型糖鎖に由来する
遊離糖鎖 ( 遊離 O 型糖鎖 ) の生成が亢進すること見出した。
このことは、出芽酵母が未知のエンド型 O< マンノシダー
ゼを持ち、遊離 O 型糖鎖を生成している可能性を強く示
唆するものである。
一方、タンパク質への O<結合型糖鎖の修飾の量につい
て、マンノースを炭素源とした培養条件下で解析したとこ
ろ、通常培養条件に比べ、タンパク質への O<結合型糖鎖
修飾の量が著しく増加していた。即ち、マンノース含有培
地での遊離 O 型糖鎖の生成は、細胞内における O<結合型
糖鎖修飾及びおよび代謝の亢進に起因すると考えられる。
現在開発を進めている糖ペプチドを基質にしたエンド型
O<マンノシダーゼの活性検出系についても報告・討論した
い。
[1] C=9=a'D*-6*21(*T=12a%&7'D*W6*+JQQP0*Glycoconj. J.D*Ji+H<P0kJZ[<iQJ6
sJt*X'82#2@2D*X6D*et al.*+JQ[Q0*J. Biol. Chem.D*J\H+[P0k[JiZQ<YQY
sit*X'82#2@2D*X*21(*C=9=a'D*-6D*+JQ[[0*GlycobiologyD*J[+[Q0k[iY[<\
1
fC-・SM.-L、J 理研・基幹研
○Hiroto Hirayama , Shinya Hanashima , Yoshiki Yamaguchi ,
1
Tadashi Suzuki
1
132
1
1
1
1
fC-*SM.-LD**J*MBUS^*.CB
Summary:* V//-* '&* 21* SM<8)&'()14* )19#@)* 37'$7*
recognizes misfolded glycoproteins and transfers a glucose
8)&'(=)* 4%* 47)* &5)$'>'$* 1%18)(=$'1!* 4)8@'12"* %>* 7'!7<
mannose type glycans. Mechanistic detail of its preferential
recognition of unfolded protein recognition remains obscure.
Here, we synthesize the artificial misfolded glycoprotein
@'@'$&*2&*5%4)14'2"*V//-*"'!21(&D*'1*%8()8*4%*=1()8&421(*
the steric and hydrophobic effects on substrate recognition
@)$721'&@*%>*V//-6
V//-*+Vbe<!"=$%&)k*!"#$%58%4)'1*!"=$%&#"4821&>)82&)0*
は新生糖タンパク質のフォールディングセンサーとし
て働く小胞体内在性の糖転移酵素である。V//- がミ
スフォールドした糖タンパク質を認識すると、その表
面に存在する高マンノース型糖鎖の非還元末端にグル
コースを転移する。モノグルコシル化された高マンノー
ス型糖鎖は小胞体内のレクチン様分子シャペロンと高
い親和性を有する。これらシャペロンの作用によりミ
スフォールドした糖タンパク質のフォールディングが
促進される。V//- がミスフォールドした糖タンパク
質のみを認識するメカニズムは未だ解明されておらず、
タンパク質表面の疎水性が関係することが示唆されて
いるのみである。
本研究では、以前我々が開発した人工糖タンパク質
モデルである “N 型糖鎖 - メトトレキセート - ジヒドロ
葉酸還元酵素 ” 複合体 1 を利用し、V//- のミスフォー
ルドタンパク質認識メカニズムの解析を目指した。ジ
ヒドロ葉酸還元酵素に対して疎水性小分子を位置特異
的に化学修飾することで、疑似ミスフォールド糖タン
パク質の合成を行った。これらに対するグルコース転
移活性に基づいた、V//- の基質認識についても考察
する予定である。
(1) Totani, K et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44D*KZHQ6
49eKb
49eKc
出芽酵母オリゴ糖転移酵素は N 型糖鎖前駆体
から糖鎖を遊離する活性を持つ
ヤリブ試薬はアラビノガラクタン - プロテイン
のβ-1,3-ガラクタンに結合する
○原田陽一郎、鈴木 匡
1
1
J
3
○小竹敬久 、北沢仁成 、Theodora Tryfona 、林 慶浩 、
3
4
3
3
川内 進 、g=(@'"*.14%1%? 、田中浩士 、高橋孝志 、
H
J
1
金子 哲 、b=58))*e2=" 、円谷陽一
理化学研究所、システム糖鎖生物学研究グループ、
糖鎖代謝学研究チーム
1
4
Oligosaccharyltransferase releases glycans en bloc
from the N-glycan precursors in budding yeast
埼玉大・理工、 ケンブリッジ大・生化、 東工大・理工、
H
ブルガリア科学アカデミー、 食総研・食品バイオ
J
3
D,+*9!*"*$+%0#"-i*51<-5,*),&+-D1&20-+%-+/,-=9>?M9
galactan of arabinogalactan-protein
○Yoichiro Harada, Tadashi Suzuki
○Toshihisa Kotake , Kiminari Kitazawa , Theodora Tryfona ,
3
3
4
3
Yoshihiro Hayashi , Susumu Kawauchi D*g'=(@'"*.14%1%? , Hiroshi Tanaka ,
3
H
J
1
Takashi Takahashi , Satoshi Kaneko D*e2="*b=58)) , Yoichi Tsumuraya
/"#$%@)42:%"%@)*-)2@D*C#&4)@&*/"#$%:'%"%!#*M)&)28$7*/8%=5D*
MBUS^*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)
1
Summary: Oligosaccharyltransferase (OST) is the enzyme
4724*4821&>)8&*!"#$21&*>8%@*47)*"'5'(<"'1a)(*%"'!%&2$$728'()&*
+ggL&0*4%*47)*&'()*$72'1*%>*2&5282!'1)*8)&'(=)*3'47'1*47)*N<
!"#$%&#"24'%1*&){=)1$)*+^<`<C]-D*`*…*e06*X)8)*3)*()@%1<
strate that OST has an ability to release glycans en bloc from
47)*ggL&*'1*:=(('1!*#)2&46
Summary:*W28'?*8)2!)14*&)")$4'?)"#*:'1(&*4%*282:'1%!2"2$421<
58%4)'1*+./e0D*2*4#5)*%>*5"214*58%4)%!"#$216*X%3)?)8D*47)*
428!)4* &48=$4=8)* '1*./e&* 4%* 37'$7*W28'?* 57)1#"!"#$%&'()&*
bind has not been determined. Through the analysis of Yariv
8)2$4'?'4#*%>*!82()(*48'@@)(*./e&D*3)*$"28'>')(*4724*W28'?*
8)2!)14*:'1(&*4%*;<[Di<!2"2$421*@2'1*$72'1*%>*./e&6*B1*47)*
&)8')&* %>* ;<[Di<!2"2$4%%"'!%&2$$728'()&D* %"'!%&2$$728'()&*
"28!)8*4721*;<[Di</2"P*)F7':'4)(*W28'?*8)2$4'?'4#6
様々な生物種において、遊離糖鎖は細胞質 5)54'()kN<
!"#$212&)*+e^/2&)0 の作用によってミスフォールドし
1
た糖タンパク質から生成される 。出芽酵母において
e^/2&) を欠損させると遊離糖鎖の量が劇的に減少する
JDi
ことが知られているが 、e^/2&) 非存在下でもわずか
J
ながら遊離糖鎖が生成される 。これまでに、N 型糖鎖
修飾を担うオリゴ糖転移酵素(OST)が、その前駆体
であるドリコールオリゴ糖から糖鎖を遊離するという
4
仮説が提唱されているが 、実験的な証拠は無い。今回、
我々は OST の N 型糖鎖修飾機能が低下した酵母変異株
を用い、e^/2&) 非存在下において OST がドリコール
オリゴ糖から遊離糖鎖を生成することを突き止めた。
(参考文献)
[6*T=12a%&7'*W*21(*C=9=a'*-*+JQQZ0*Biochim. Biophys. Acta.
1790k\[<ZY6*
J6*N72148)4*BD*)4*2"6*+JQQi0*Biochem J. 373kZQ[<ZQ\*
i6*X'82#2@2*XD*)4*2"6*+JQ[Q0*J. Biol. Chem. 285k[JiZQ<[JYQY6*
Y6*N72148)4*B*21(*,%%8)*CS*+JQQ\0*Glycobiology 18kJ[Q<JJY6
1
4
1
J
C2'42@2*V1'?6D*J*V1'?*N2@:8'(!)D*3 -%a#%*B1&46**-)$71%"6D*
Bulgarian Acd. Sci., H*^24"6*T%%(*M)&6*B1&46
アラビノガラクタン < プロテイン(./e)は植物特
有のプロテオグリカンであり、成長や分化、細胞死、
生殖、ストレス耐性など植物の様々な生理現象にかか
わる。./e の研究では長年、./e 特異的に結合し、そ
の生理機能を阻害するヤリブ試薬が利用されてきた。
しかしながら、ヤリブ試薬が ./e のどこに結合するか
はいまだに不明である。我々は、4つの特異的糖質分
解酵素を利用してダイコン成根 ./e の糖鎖を段階的に
刈り込み、ヤリブ試薬との結合性(ヤリブ反応性)を
調べた。糖鎖末端の g<アラビノース残基やグルクロン
酸残基、糖鎖側鎖の ;<[DP< ガラクタンを分解してもヤ
リブ反応性は低下しなかったが、糖鎖主鎖の ;<[Di< ガ
ラクタンを分解するとヤリブ反応性は完全に失われ
た。また、アカシア由来の ./e は、スミス分解により
;<[DP<ガラクタン側鎖を分解してもヤリブ反応性が低下
しなかった。このことから、ヤリブ試薬との相互作用
に、;<[Di<ガラクタン主鎖以外は必要ではないことがわ
かった。さらに、様々な長さの ;<[Di<ガラクトオリゴ糖
についてヤリブ試薬反応性を調べたところ、重合度7
以上のオリゴ糖がヤリブ反応性を示すことがわかった。
./e 糖鎖の他の構造に相当する ;<[DP<ガラクトオリゴ
糖や、A<g<.82<[Di<;</2"<[DP</2"、;</"$.<[DP<;</2"<[DP<
Gal などのオリゴ糖は全く反応性を示さなかった。これ
らのことから、ヤリブ試薬は、./e 糖鎖の主鎖である
;<[Di<ガラクタンに特異的に結合することがわかった。
133
49eKh
49eMe
nanoLC-MSn を用いた小胞体糖タンパク質の
構造解析
○大黒周作 、武田陽一 、八須匡和 、瀬古 玲 、蟹江 治
1, 3
伊藤幸成
1
1
1
1
1
*[D*J
、
fC-*SM.-L、J*東海大 糖鎖研、3 理研 基幹研
糖ペプチド解析による新規 ERAD 基質糖タン
パク質の探索
○細見 昭 、梶 裕之 、鈴木 匡
1
J
○Shusaku Daikoku , Yoichi Takeda , Masakazu Hachisu ,
1
[D*J
1, 3
Akira Seko , Osamu Kanie D*W=a'&7'!)*B4%
1
1
1
1
fC-*SM.-LD*J*-%a2'*V1'?6*B1&46*/"#$%&$')1$)D*3 MBUS^*.CB
1
理研・基幹研・糖鎖代謝学
産総研・糖鎖医工学研究センター
1
Structural analysis of glycoproteins in Endoplasmic
J,+1$("(6-(01&)-&*&%YH9L.n
J
Search for novel ERAD substrate glycoproteins by
glycopeptide analysis
○Akira Hosomi , Hiroyuki Kaji , Tadashi Suzuki
1
J
1
1
/"#$%@)42:%"%@)*-)2@D*MBUS^*.CB
M)&)28$7*N)14)8*>%8*,)('$2"*/"#$%&$')1$)D*^24'%12"*B1&4'4=4)*%>*
.(?21$)(*B1(=&48'2"*C$')1$)*21(*-)$71%"%!#*+.BC-0
J*
Summary:* * -7)* 7'!7<@211%&)<4#5)* !"#$21* 2(()(* 4%* 2*
protein has been shown to play important role in endoplasmic
8)4'$="=@* {=2"'4#* $%148%"* +•N0* &#&4)@6* X%3)?)8D* !"#$21*
structures of glycoprotein which act as lectin chaperones
21(*!"#$%&'(2&)&*'1*SM*72?)*1%4*:))1*'1?)&4'!24)(6*B1*47'&*
&4=(#D*3)*212"#9)(*47)*!"#$21*&48=$4=8)&*%>*SM<8)&'()14*21(*
&)$8)4%8#*!"#$%58%4)'1&*'1*SMD*4%*$"28'>#*8)"24'%1&7'5*:)43))1*
•N* 21(* !"#$21* &48=$4=8)* 2(()(* 4%* 58%4)'1&* '1* SM* =&'1!*
121%gN<SCB<,Cn.
新生された糖タンパク質は、小胞体内*+SM0*における
品質管理機構*+•N0*により、正しい高次構造を獲得する。
ポリペプチド鎖に付加された高マンノース型糖鎖は •N
に関わるレクチンシャペロンや酵素による認識のタグ
として働き、それらの構造認識が極めて重要であるこ
とが知られている。一方、•N において新生糖タンパク
質に作用する分子シャペロン等の一部も糖タンパク質
であることが報告され、それらのタンパク質上の糖鎖
も各々の機能に関し重要な役割を果たしていることが
示唆される。しかしながら、SM 内で働く糖タンパク質
の詳細な糖鎖構造解析は行われていない。そこで本研
究では、SM 内で •N を司るシャペロン等の糖タンパク
質上の糖鎖構造解析を行い、それらの役割に関する知
見を見出すことを目的とした。
分析対象となる糖タンパク質はラット肝臓より分画
した SM を溶解し N%1. カラムに供することで得た。次
に得られた糖タンパク質に対し CbC<e./S を行うこと
で分子量毎に分離し、各々のバンドに対し '1<!)"*48#54'$<
digestion を 行 っ た。 こ れ ら 各 々 の 消 化 物 を 121%gN*
+N[\0<SCB<,C],C を用いて分析することでタンパク質
の帰属、糖ペプチドのシークエンス解析、及び糖鎖構
造に関する知見を得た。
134
Summary:* B1* )=a28#%4)&D* 1)3"#* &#147)&'9)(* &)$8)4%8#*
58%4)'1&*2${='8)*>=1$4'%12"*>%"('1!*&424)*'1*47)*SM6*-)8@'12""#*
@'&>%"()(* 58%4)'1&* 28)* 4821&5%84)(* >8%@* 47)* SM* '14%* 47)*
cytosol and destroyed by the proteasomal proteolytic process
$2"")(* SM<2&&%$'24)(* ()!82(24'%1* +SM.b06* b=8'1!* 47'&*
58%$)&&D* 47)* ()!"#$%&#"24'1!* )19#@)D* 5)54'()kN<!"#$212&)*
+e^/2&)0D*$")2?)&*N<!"#$21*>8%@*@'&>%"()(*!"#$%58%4)'1&6*
E)* '()14'>')(* 1%?)"* e^/2&)<()5)1()14* SM.b* &=:&4824)*
$21('(24)&* :#* B&%4%5)<$%()(* !"#$%&#"24'%1* &'4)<&5)$'>'$*
42!!'1!* +B/L-06* B1* 47'&* 58)&)1424'%1D* 3)* 3'""* 8)5%84* 47)*
$7282$4)8'924'%1*%>*1%?)"*SM.b*&=:&4824)&6
真核細胞内でつくられた分泌および膜タンパク質は
SM 局在シャペロンによって立体構造が整えられる。正
しい立体構造を獲得できなかったタンパク質は細胞質
に出され、ユビキチン修飾を受ける。そのユビキチン
が分解シグナルとなり、プロテアソームへ運ばれて分
解される。この分解機構は小胞体関連分解(SM<2&&%$'24)(*
()!82(24'%1D*SM.b)と呼ばれる。
細 胞 質 5)54'()kN<!"#$212&)*+e^/2&)0 は SM.b に お い
て異常糖タンパク質から N 型糖鎖を切り離す酵素であ
る。我々は出芽酵母を用いて e^/2&) 依存的 SM.b 経
路の研究を行っている。しかしながら、プロテアソー
ム阻害時においても、多くの異常糖タンパク質で脱糖
鎖型が検出されてこなかった。ゆえに、SM.b におけ
る e^/2&) の役割は未だに不明な点が多い。
細胞質 e^/2&) の SM.b における機能の重要性を明
らかにするには、酵母が元々持っている e^/2&) 依存
的に SM.b で分解される糖タンパク質が有用なツー
ルになると考えられる。そこで我々は糖鎖付加位置
特 異 的 安 定 同 位 体 標 識 法(B&%4%5)<$%()(*!"#$%&#"24'%1*
&'4)<&5)$'G$*42!!'1!D*B/L-)という方法を用いて細胞質
e^/2&) の内在性基質を検索する目的で、欠損株に特異
的に細胞質に蓄積する糖タンパク質を探索した。その
結果、内在性基質の候補タンパク質を得ることができ
たので報告する。
49eM>
エピジェネティクスによる脳特異的な糖転移
酵素の発現制御メカニズム
49eMK
キトサンの構造と止血機序の解明
○木塚康彦、岡原京平、北爪しのぶ、谷口直之
○石原雅之 、服部秀美 、藤田真敬 、中村伸吾 、岸本聡子 、
1
田中良弘
理研、基幹研、疾患糖鎖研究チーム
防衛医科大学校、研究センター、 医療工学研究部門、
J
3
異常環境衛生研究部門、 外科学講座
T:1),&,+1$-5,)("*+1%&-%7-D5*1&-0:,$13$glycosyltransferase expression
1
1
J
3
1
1
.+5($+(5,-*&2-X,6%0+*+1$-L,$/*&106-%7-H/1+%0*&
○Yasuhiko Kizuka, Kyohei Okahara, Shinobu Kitazume,
Naoyuki Taniguchi
1
1
J
○,2&2#=a'*BCXBX.M. D*X'()@'*X.--LMB D*,2&21%8'*TBfB-. ,
3
1
C7'1!%*^.U.,VM. D*C24%a%*UBCXB,L-L ,
1
Yoshihiro TANAKA
MBUS^D*.CBD*b'&)2&)*/"#$%@'$&*-)2@
^24'%12"* b)>)1&)* ,)('$2"* N%"")!)D* M)&)28$7* B1&4'4=4)D* 1 Div. of
Biomedical Engineering and J*Div. of Environmental Medicine, and
3
Dept. of Surgery
Summary:*-%*$"28'>#*7%3*!"#$%&#"4821&>)82&)*'&*)F58)&&)(*
in a tissue specific manner, we employed a new epigenetic
2558%2$76* M)$)14"#D* 3)* >%=1(* 4724* 2* :82'1* &5)$'>'$*
!"#$%&#"4821&>)82&)D* /1-<B`D* '&* 8)!="24)(* :#* 7'&4%1)*
@%('G$24'%1&6**X)8)D*3)*&)28$7)(*>%8*2*@%")$=")*)&&)14'2"*>%8*
$78%@24'1*2$4'?24'%1*%>*/1-<B`D*21(*>%=1(*&%@)*)19#@)&*
involved. Also, we did epigenetic analysis toward another
brain specific glycosyltransferase, galactosylceramide
synthase. Our data would provide useful information to reveal
!"#$%&#"4821&>)82&)*)F58)&&'%1*@)$721'&@6
Summary:*-7'&*&4=(#*$7282$4)8'9)(*47)*'1j=)1$)*%>*?28#'1!*
deacetylation rate (DAc) and molecular weight (Mw) of
chitosan on blood aggregation, plasma protein and platelet
2$4'?24'%16*.!!8)!24'%1* 824)D* NbPJe* )F58)&&'%1D* &)$8)4'%1*
2$4'?'4#*%>*5"24)")4*>2$4%8*YD*G:8'1%!)1*21(*2":=@'1*'1*5"2&@2*
affected by various chitosans were evaluated. Those results
suggested that high DAc chitosan, which stimulated blood
agregation and platelet activation, may be useful to develop
more effective hemostats.
糖転移酵素は糖鎖発現に不可欠な分子群であり、現
在までにほとんどの遺伝子クローニングが完了したと
言える。しかし未だに、なぜ糖鎖が細胞や組織特異的
に見られるのか、また各転移酵素遺伝子がどのように
細胞や組織特異的に発現し、特有の糖鎖を形作るのか
はほぼ不明である。
本研究では、エピジェネティクスという新しい視点
から糖転移酵素遺伝子の発現メカニズムの理解を試み
た。エピジェネティクスは、DNA メチル化やヒストン
修飾など、ゲノムの持つ元来の DNA 配列によらない遺
伝子制御機構のことを指す。我々は、脳に特異的に発
現する糖転移酵素で、L<マンノース糖鎖の合成に関わ
る /1-<B` に着目した。その結果 /1-<B` の発現には、
脳特異的なヒストン修飾が必須であり、逆にヒストン
を活性化することで非神経系においても /1-<B` が誘導
できることを明らかにした +U'9=a2*)4*2"6*f6*h'%"6*N7)@6*
JQ[[0。本研究ではこの知見をもとに、/1-<B` 遺伝子の
ヒストンを活性化する分子を探索した。その結果、特
定のヒストン脱アセチル化酵素が /1-<B` 遺伝子の発現
制御に関わることを見出した。また他の脳特異的な糖
転移酵素として、ガラクトシルセラミド合成酵素遺伝
子に着目し、本遺伝子の発現が特徴的なクロマチン構
造によって規定されていることも見出した。これらの
結果は糖鎖発現機構を知る上で有用な知見であると考
えられる。
キチンはカニやエビなどの甲殻類の骨格構造因子を
なす天然多糖であり、キトサンは、キチンを濃アルカ
リで脱アセチル化することで生産されており、その精
製処理方法によって分子量及び脱アセチル化度を制御
できる。キトサンは止血効果を有することが知られて
いるが、その分子的メカニズムについての研究は皆無
である。本研究では、キトサンの止血効果に及ぼす作
用機序を調べるため、脱アセチル化度及び分子量の異
なるキトサンを用いて、赤血球、血漿タンパク質及び
血小板に対する影響を検討した。脱アセチル化度が約
\Hu、HQ%、iH%と分子量が 8,600 から HKDKQQ の異な
る 6 種類のキトサンを準備した。ラット血液に各キト
サン水溶液を添加して凝集効果の比較を行った。次に
洗浄赤血球、多血小板血漿 +eMe0 及び欠血小板血漿*+eee0
にキトサン水溶液を添加し、凝集速度や吸光度を測定
した。さらに、血漿総タンパク質量、アルブミン量、フィ
ブリノーゲン量及び血小板第 4 因子(eTY)量、血小板
の NbPJe 陽性率を測定した。血液に各キトサンを添加
したところ、脱アセチル化度の高いキトサン水溶液を
添加したときに著しい凝集が観察された。この凝集が
血液成分の何に依存するのかを洗浄赤血球、eMe 及び
eee に分けて検討したところ、赤血球及び血小板に対
して凝集効果を示した。血小板の活性作用を調べたと
ころ、アセチル化度が約 \H%かつ分子量 8,600 のキト
サンは、血小板活性化の指標となる NbPJe の高い発現
と eTY の高い分泌を促進させた。
135
49eMM
チオサリチル酸誘導体を脱離基に持つ糖供与
体に関する研究
カルネキシンおよびカルメギンのレクチン様
分子シャペロン活性の相同性に関する検討
○土肥博史、櫻井理沙、西田芳弘
○迫野昌文 、瀬古 玲 、武田陽一 、八須匡和 、
1
1
[DJ
小泉晶彦 、藤川絋樹 、伊藤幸成
千葉大院・融合科学
1
1
1
1
1
fC-D*SM.-L*****J*理研 基幹研
Investigation of thioglycosyl donors carrying
thiosalicylic acid derivatives as leaving group
Analysis of lectin-like molecular chaperone property
D,+B,,&-$*"&,;1&-*&2-$*"6,)1&I
○X'8%>=@'*b%7'D*M'&2*C2a=82'D*W%&7'7'8%*^'&7'(2
○Masafumi Sakono , Akira Seko , Yoichi Takeda ,
1
1
1
Masakazu Hachisu , Akihiko Koizumi D*U%7a'*T=m'a232 ,
[DJ
W=a'&7'!)*B4%
/82(=24)*C$7%%"*%>*.(?21$)(*B14)!824'%1*C$')1$)D*N7':2*V1'?)8&'4#
1
Summary: We have previously reported that thioglycosides
carrying methyl thiosalicylate as leaving group can be prepared
without emitting unpleasant odor and serve as convenient
!"#$%&#"*(%1%8*>%8*$%1&48=$4'%1*%>*:'%2$4'?)*%"'!%&2$$728'()&6*B1*
this study, thioglycosides having thiosalicylic acid derivatives,
&=$7*2&*)&4)8&D*2@'()&*%8*47)'8*@r*%8*5r'&%@)8&D*3)8)*()&'!1)(*
as novel glycosyl donors and their relative reactivity and
stereoselectivity in glycosylation were investigated.
Summary:* N2"1)F'1* 21(* $2"@)!'1D* 37'$7* 28)* ")$4'1<"'a)*
molecular chaperone, play an important role in protein quality
$%148%"6*-7)*>=1$4'%1&*%>*N^`*21(*N,/*28)*$%1&'()8)(*4%*
be similar as they possess sequential homology, however, the
detailed quantitative comparison has not been conducted. We
performed the analysis of interaction activity with substrate,
$"28'>#'1!* 47)* &'@'"28* :=4* "%3)8* ")$4'1* 2$4'?'4#* %>* N,/*
$%@528)(*4%*N^`6
我々は以前に、不快なメルカプト臭を発しないチオサリ
チル酸メチルを脱離基に有する糖供与体 1 を設計し、こ
れが生理活性糖鎖の合成に有用であることを報告してき
た s[rit。本研究では、チオサリチル酸のカルボキシル基
の保護基を変えた 2r5、チオサリチル酸メチルの位置異性
体である mr および pr メトキシカルボニルチオフェノー
ルを脱離基に持つ 6 および 7 を新たな糖供与体として設計
し、グリコシル化における反応性と立体選択性について調
べた。
テトラrOrアセチルrArbrガラクトシルブロミドに対し
て、mrおよび prメトキシカルボニルチオフェノールをそ
れぞれ反応させてアノマー位に脱離基を導入し、糖部分の
保護基を全てベンジル基へと変換して 6 および 7 を得た。
1 のメチルエステルを加水分解した後、遊離したカルボン
酸に対して各種アルコールおよびアミンを縮合することで
2r5 を得た。得られた 2r5 と一級および二級アルコールを
用いてグリコシル化反応を行い、その立体選択性および反
応性を比較した。その結果、立体選択性に大きな差は見ら
れなかったが、トリクロロエチルエステル体 3 はチオフェ
ニルガラクトシドに匹敵する反応性を示した。6 と 7 につ
いても現在検討を行っている。
s[t*b%7'D*X6n*^'&7'(2D*W6n*-212a2D*X6n*U%:2#2&7'D*U*Synlett2001,
[YYP<[YY\6
sJt*^'&7'(2D*W6n*-&=8=@'D*-6n*C2&2a'D*U6n*E24212:)D*U6n*b%7'D*X6n*
Kobayashi, K. Org. Lett.003, 5D*iKKH<iKK\6
sit*,'#2$7'D*.6n*,'#292a'D*.6n*C7'1!=D*W6n*,24&=(2D*U6n*b%7'D*X6n*
Nishida, Y. Carbohydr. Res.2009, 344D*iP<Yi6
136
49eM@
1
1
1
fC-D*SM.-L***J*MBUS^D*.CB
細胞内におけるタンパク質の生合成において、小胞
体内在性レクチン様分子シャペロンであるカルネキシ
ン +N^`0・カルレティキュリンを中心とした品質管理
機構が重要な役割を果たしている。同様に、精巣にお
いて、カルメギン +N,/0・カルスペリンにより受精に
関与するタンパク質の品質管理が行われている。N^`
と N,/ は、配列相同性の高さから類似した特性を有す
ることが推察されているが、十分な比較検討は行われ
ていない。我々はこれまでに、小胞体におけるタンパ
ク質品質管理に関わる様々なタンパク質の機能を、蛍
光分子などの疎水性分子をアグリコンとしたハイマン
ノース型糖鎖プローブを用いることで明らかにするこ
とに成功した。そこで、本研究では、合成糖鎖プロー
ブおよび凝集性タンパク質等を用いて、ヒト由来 N^`
と N,/ の機能特性を比較検討した。
シャペロン活性を検討するために、糖鎖を有しない
熱凝集性タンパク質を用いて凝集抑制実験を行った。
その結果、どちらも熱凝集を効果的に抑制したことか
ら、レクチンに依存しない同等のシャペロン活性を有
することが示された。次に、様々な糖鎖構造のプロー
ブを用いてレクチン活性を検討した。その結果、どち
らもハイマンノースの .<28@ にグルコースが1つ結合
した糖鎖と相互作用し、N,/ の相互作用は N^` より
も弱いことが明らかになった。今後、定量的な議論を
含めたレクチン活性の違いを議論する。
49eMf
49eMW
無 保 護 糖 か ら 1,5-anhydroalditol の 簡 易 調
製法
Protein Data Bank (PDB) における単糖お
よび糖鎖の検証アルゴリズムの開発
○内山武人、宍倉啓介、小川耕嗣、岩田麻里、宮入伸一
○加藤雅樹、山口芳樹
日本大・薬
理研基幹研システム糖鎖生物学グループ糖鎖構造チーム
T73$1,&+-:5,:*5*+1%&-%7->?f9*&/#25%*"21+%"-75%6(&:5%+,$+,2-0()*5I
Development of validation algorithms for
6%&%0*$$/*512,0-*&2-)"#$*&0-1&-4N]
○-2a)4%*V$7'#2@2D*U)'&=a)*C7'&7'a=82D*U%=m'*L!232D*,28'*B3242D*
Shinichi Miyairi
○Masaki Kato, Yoshiki Yamaguchi
C$7%%"*%>*e728@6D*^'7%1*V1'?6
C48=$46*/"#$%:'%"6*-@D*C#&4)@&*/"#$%:'%"D*MBUS^*.CB
Summary: We describe herein an efficient preparation
% > * [ D H < 2 1 7 # ( 8 % 2 " ( ' 4 % " * > 8 % @ * = 1 5 8 % 4 ) $ 4 ) ( * & = ! 2 86*
-8'@)47#"&'"#"24'%1*%>*=158%4)$4)(*&=!28*=&'1!*-,C<N"]-S.*
'1*b,TD*>%""%3)(*:#*8)2$4'%1*3'47*-,C<B*+[*){60*'1*NXJN"J*
#')"(&* '1* &'4=* 47)* $%88)&5%1('1!* 5)8<L<48'@)47#"&'"#"24)(*
glycosyl iodide without chromatography. The protected
!"#$%&#"*'%('()*32&*8)(=$)(*3'47*g'hXY*21(*()58%4)$4)(*:#*
2$'(*8)&'1*4%*2>>%8(*()&'8)(*[DH<217#(8%2"('4%"*'1*!%%(*#')"(&*
+\Q<ZPu*>8%@*=158%4)$4)(*&=!2806
Summary:* e8%4)'1* b242* h21a* +ebh0D* 2* :'%@%")$="28*
&48=$4=8)* (242:2&)D* $%142'1&* $28:%7#(824)&6* h=4* iQu*
%>* $28:%7#(824)* (242* '1* ebh* 72&* )88%8&* '1* "'1a2!)&D*
@%1%&2$$728'()*4#5)&D*)4$6*B1*2(('4'%1D*47)8)*'&*1%*&421(28(*
1%@)1$"24=8)*>%8*$28:%7#(824)&*'1*'46*B4*'&*47)8)>%8)*('>G$="4*
4%*"'1a*ebh*(242*3'47*%47)8*!"#$21*(242:2&)&6*-%*%?)8$%@)*
this situation, we constructed a rule to describe carbohydrates
as standard nomenclature and developed an algorithm for
validation of monosaccharide stereochemistry.
【 目 的 】 代 表 的 な [DH<217#(8%2"('4%" で あ る
[DH<217#(8%!"=$'4%"*+[DH<./0*+1) は血中に存在し、糖尿病
の重症度を示す重要なマーカーである。また、[DH<./
にはグリコーゲン分解酵素阻害活性があることも知ら
れている。今回、無保護糖から [DH<./ を初めとする
[DH<217#(8%2"('4%" のより簡便な調製法の確立を試みた。
【実験・結果】無保護糖(b</"$D*b</2"D*b<,21D*b<T=$D*
b<`#"D*b<g#FD*g<T=$D*g<`#"D*g<g#F) を そ れ ぞ れ b,T
中 ト リ エ チ ル ア ミ ン 存 在 下 -,C<N" で 5)8<O<-,C 化
し、 続 い て NXJN"J 中 -,C<B*+[*){60 を 作 用 さ せ in situ
1)
で glycosyl iodide とした 。これを精製することなく
g'hX4 により還元し、酸処理による脱保護、シリカゲ
ルクロマトグラフィーによる精製を行い、目的とする
[DH<217#(8%2"('4%" を無保護糖からの収率 80 ∼ ZPu で得
た。+T'!6*[0
生 体 高 分 子 の 立 体 構 造 デ ー タ ベ ー ス e8%4)'1*b242*
h21a +ebh0 中には単糖および糖鎖も数多く登録されて
おり、糖鎖の立体構造の統計的な解析のために有用で
ある。しかしながら、ebh の糖鎖の約 iQu は、結合様
式や糖の種類などに関して誤りがあるとの報告がなさ
れている [1]。また、ebh の単糖は多くの場合アミノ
酸と同様3文字コードで表記されているが、統一され
た表記ルールは存在せず、系統的な解析を妨げている。
そのため現状では他の糖鎖関連データベースと ebh を
関連づけることは困難になっている。
そこで我々は ebh に登録されている単糖および糖鎖
を表記するルールの作成を試みている。単糖に関して
他の糖鎖関連データベースと命名法を統一するととも
に、単糖に関して立体化学の妥当性を検証するアルゴ
リズムを開発し、プログラムを作成した。この結果、
ebh 中の糖鎖のデータを他の糖鎖関連データベースと
関連づけることを可能にした。
s[t*g=44)a)*)4*2"6*N28:%7#(824)*M)&)28$7*+JQQ\0
1)
-6*V$7'#2@2D*L6*X'1(&!2="D*Synlett, 499 (1996)
137
49eMb
49eMc
合成糖脂質抗原(GGL)を用いた肺炎マイコ
プラズマ攻略素材
大腸癌細胞における FUT I 遺伝子の転写調節
○谷内富美子、檜貝孝慈
○福田和男 、土肥博史 、松田幸枝 、松田和洋 、
1
西田芳弘
東邦大薬・病態生化
1
1
Transcriptional regulation of fucosyltransferase 1
gene expression in colon cancer cells
J
J
千葉大院・融合科学、 エムバイオテック(株)
J
.#&+/,+1$-)"#$%"1:12-*&+1),&0-U!!YV-7%5-6,21$1&*"applications against Mycoplasma pneumoniae infection
○T=@'a%*-21'=$7'D*U%m'*X'!2'
○U29=%*T=a=(2 , Hirofumi Dohi , Sachie Matsuda ,
J
1
Kazuhiro Matsuda , Yosihiro Nishida
b)546*%>*,)(6*h'%$7)@6D*C$76*%>*e728@6*C$'6D*-%7%*V1'?6
1
Summary: We clarified the transcriptional regulation of
TV-[*'1*47)*bgb<[*$)""&6*V&'1!*47)*(=2"*"=$'>)82&)*2&&2#D*
TV-[*!)1)*)F58)&&'%1*32&*&7%31*4%*:)*8)!="24)(*24*<ZQ*4%*
<\Q*14*4%*47)*4821&$8'54'%12"*&4284*&'4)D*37'$7*$%142'1&*47)*S"a<
[*:'1('1!*&'4)6*-821&>)$4'%1*%>*47)*(%@'1214*1)!24'?)*S"a<
[* &=55%84)(* S"a<[<()5)1()14* 4821&$8'54'%12"* 8)!="24'%1* %>*
TV-[* !)1)* )F58)&&'%16 -7)&)* 8)&="4&* &=!!)&4* 4724* TV-[*
!)1)*)F58)&&'%1*'&*8)!="24)(*:#*S"a<[*'1*bgb<[*$)""&6
Summary:*M)$)14"#D*3)*()4)8@'1)(*47)*$7)@'$2"*&48=$4=8)*%>*
;<!"#$%!"#$)8%"'5'(*214'!)1&*'&%"24)(*>8%@*47)*$)""<@)@:821)*%>*
Mycoplasma pneumoniae6*-7)&)*!"#$%"'5'(&*&)8?)*2&*2*&5)$')&<
specific immunodeterminant of this pathogenic bacteria and
47=&*72?)*2*7'!7*@)('$'12"*5%4)14'2"6*B1*47)*58)&)14*&4=(#D*3)*
performed stereoselective synthesis for a series of glycolipid
72?'1!*('>>)8)14*>244#*2$'(*$72'1&*:#*=&'1!*%=8*1%1<@2"%(%8%=&*
47'%!"#$%&#"24'%1*@)47%(%"%!#6*T=847)8@%8)D*'@@=1%&42'1'1!<
2&&2#* 21(* SgBC.<2&&2#* 3)8)* $%1(=$4)(* >%8* )2$7* %>* 47)&)*
homologues.
<背景> TV-*B は g): や g)W の合成に関与する一方で、
&g). や &g)` 合成に競合的に働くと考えられており、
疾病や病態における糖鎖変化への関与が示唆される。
しかしながら、TV-*B の転写調節機構については明らか
にされていない。そこで TV-<[*@M^. 高発現の大腸が
ん細胞株 bgb<[ を用いてその発現メカニズムについて
解析した。
<方法及び結果>初めに Hx<M.NS 法により転写開始
点 を 決 定 し た。 次 に、TV-*B の 転 写 開 始 点 の <KQQ か
ら lJY146 ま で の 段 階 的 欠 乏 reporter vector を 作 製 し、
g=$'>)82&)*2&&2# を行った結果、<ZQ から <\[146 の領域が
@M^. 発現に必須であることが明らかになった。この
領域に結合する転写因子を検索した結果、S"a<[ の結合
配列が存在することが示唆された。S"a<[ のコンセンサ
スシークエンスの Mutant を作製し、g=$'>)82&)*2&&2# を
行った結果、Mutant で転写活性の低下が認められた。
また S"a<[ のドミナントネガティブ体 +b^<S"a<[0 発現
ベクターの強制発現により TV-*B*@M^. の低下が認め
られた。これらの結果から、bgb<[ 細胞における TV-*
B*@M^. 発現には S"a<[ が関与していることが明らかと
なった。
138
1
1
1
J
N7':2*V1'?)8&'4#D**J*,*h'%*-)$71%"%!#*B1$6
Mycoplasma pneumoniae を原因菌とするマイコプラズマ
肺炎は、近年感染者数が増加傾向にある。我々は、先に M.
pneumoniae の特有抗原として、一対の新規グリセロ糖脂質
//g&(/"$;[<P/2";[b./D*/2";[<P/2";[b./)の化学構造
を決定している。本糖脂質抗原は、マイコプラズマ肺炎の
診断や治療の鍵となる重要な化合物であり、リポソーム化
することでワクチンへの応用も期待される。本研究では、
脂質部位の抗原性への関与を明らかにするため、脂質鎖長
の異なる //g ホモローグ 1r4 を合成して、免疫試験によっ
て抗体に対する結合性を調べた。
当研究室で開発した調製時に不快臭を発しないチオサリ
チル酸メチルグリコシドと、適切に保護したグリセロール
誘導体を順次縮合、脱保護し、//g の基本骨格を構築した。
得られた化合物の保護基を逐次変換し、グリセロール部分
に鎖長の異なる飽和脂肪酸(N[JD*N[YD*N[PD*N[\)を導入し、
4 種の //g ホモローグ 1r4 を得た。合成した 1r4 に対して、
抗体免疫染色試験と SgBC. 法による結合試験を実施した。
その結果、脂肪酸の炭素数が増すにつれて抗体への結合力
が大きくなることが示唆された。また、合成糖脂質含有リ
ポソームを調製し、その粒子径を測定した。
49eMh
49e@e
共通単糖ユニットを用いた N- 結合型糖タンパ
ク質の合成
○岩田昂大 、荒木千広 、岩本将吾 、松崎祐二 、
3
1
1
三郎丸みゆき 、平野 真 、戸谷希一郎
1
1
J
○東 恭平 、武内芳貴 、宮 正樹 、戸井田敏彦
3
1
成蹊大理工、 群馬大工、 東京化成工業糖鎖技術部
1
J
日本近海に生息する板鰓類のコンドロイチン
硫酸解析
3
1
J*
Synthetic study of N-linked oligosaccharide using
common monosaccharide
1
J
千葉大学院大学院薬学研究院
千葉県立中央博物館
Comprehensive analysis of chodroitin sulfate derived
from Elasmobranch cartilage
○U%(2'*B3242 D*N7'7'8%*.82a' D*C7%!%*B32@%4% , Yuji Mtsuzaki ,
3
1
1
Miyuki Saburomaru , Makoto Hirano , Kiichiro Totani
○Kyohei Higashi ,Yoshiki Takeuchi , Masaki Miya ,
1
Toshihiko Toida
1
1
1
1
J
1
3
1
1
J
b)5284@)14*%>*,24)8'2"&*21(*g'>)*C$')1$)D*C)'a)'*V1'?6D*
b)5284@)14*%>*$7)@'&48#*21(*$7)@'$2"*:'%"%!#D*/=1@2*V1'?6D*
3
-%a#%*N7)@'$2"*B1(=&48#
/82(=24)*C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*N7':2*V1'?)8&'4#
N=824%8*%>*T'&7)&*|*.(m=1$4*.&&%$'24)*e8%>)&&%8*^24=82"*X'&4%8#**
,=&)=@*|*B1&4'4=4)*%>*N7':2*e8)>)$4=8)
Summary: Oligosaccharide synthesis generally requires a
number of monosaccharide units. Sugar chains in a living
body are however constructed from only several sugar
$%@5%1)14&6*E)*72?)*:))1*3%8a'1!*%1*"28!)<&$2")*582$4'$2"*
oligosaccharide synthesis using a single common precursor
>%8* )2$7* &=!28* $%@5%1)146* B1* 47'&* &4=(#D* &#147)&4'$* &4=(#*
of glycoprotein tetradecasaccharide using three types of
monosaccharides was investigated.
Summary:* N%@@)8$'2"* $7%1(8%'4'1* &=">24)* +NC0* &2@5")&*
are prepared from several shark species. Disaccharide
$%@5%1)14&* %>* NC* 2@%1!* [Q* a'1(&* %>* )"2&@%:821$7*
$284'"2!)*3)8)*212"#9)(*:#*XegND*21(*3)*72?)*>%=1(*4724*
$7282$4)8'&4'$*('&2$$728'()*=1'4&*%>*@%&4*%>*NC*3)8)*N<*21(*
b<=1'46* B14)8)&4'1!"#D* NC* #')"(* >8%@* 37'5* 82#* 32&* 7'!7)&4*
among elasmobranchs tested. This observation indicates that
37'5*82#*NC*@2#*:)*=&)>="*>%8*47)*>%8@="24'%1*%>*$%@@)8$'2"*
NC*58%(=$4&6**
J*
一般的なオリゴ糖合成にはグリコシル化における位
置選択性と立体選択性を制御するため多くの単糖ユ
ニットを必要とする。しかしながら生体内の糖鎖は
わずか数種類の単糖から構成されている。我々は同一
糖残基で構成される部分構造を一種類の共通中間体
から合成することで、オリゴ糖合成を実用的かつ大
量に行うことを目指している。本研究ではこのコン
セプトに従い、小胞体タンパク質品質管理に関わる
/"$i,21Z/"$^.$J 型十四糖を三種類の単糖ユニットか
ら合成することとした。本研究の鍵化合物である共通
グルコースユニット、共通マンノースユニットはほぼ
全ての工程で再結晶を用いた精製が可能であり、数百
グラムスケールでの供給体制を整えた。その後共通グ
ルコースユニットより糖受容体、糖供与体を合成し、
二度のグリコシル化を経て望みの立体で A アームのセ
グメントであるトリグルコシドを得た。続いて共通マ
ンノースユニットより A アームのセグメントであるト
リマンノシド、及び hD*N アームを構成するペンタマン
ノシドを合成した。更に共通グルコースユニット及び
共通グルコサミンユニットを用いて、グルコース N<J
水酸基の反転工程を経ることで、コア三糖を合成した。
現在はそれら四つのセグメントを順次カップリングす
ることで、目的の十四糖合成を検討中である。
J*
コンドロイチン硫酸*+NC0 は、変形性関節炎の治療・
疼痛寛解を目的とした医薬品・機能性食品として日本
国内の市場で年間約 JQQ トンが流通している。国内に
流通している NC は、そのほとんどがサメ軟骨由来であ
り、一部ブタ気管軟骨由来 NC を含んでいる。代表的
な NC の原料は、ヨシキリザメやアオザメ軟骨であり、
大分は混獲物として漁獲され加工されているが、年々
漁獲高は減少傾向にあり代替資源の開発も急務である。
しかしながら哺乳動物を原料とする場合、プリオン感
染が問題となり品質への不安から流通していないのが
現状である。一方、板鰓類に関しては上記二種以外の
サメ類やエイ軟骨に含まれる NC についてはほとんど調
べられていない。
そこで本研究では、日本近海に生息する上記二種の
サメの他、ギンザメ、トラザメ、ヘラツノザメ、ヨロ
イザメ、オオワニザメ、ラブカ、ミツクリザメ及びア
カエイの鰭・軟骨中 NC 組成及び量を調べた。その結果、
10 種の板鰓類の GAG のほとんどは NC<N 又は NC<b で
あり、分子量は約 JH*ab2qHH*ab2 であった。興味深い
ことに、アカエイの乾燥重量当たりの NC 含量は、ヨシ
キリザメやアオザメの鰭に比べて約 H 倍多く (43.81 mg/
g dry weight)、調査した板鰓類中最も高かった。アカエ
イの漁獲量は全国で約 H 千トンと豊富な水産資源であ
ることから、アカエイは既知原料の代替資源になりう
ることが示唆された。
139
49e@>
49e@K
合成基質を用いたエンドマンノシダーゼの機
能解析
FMO 法および分子動力学法による理論研究:
抗体 2G12 と糖鎖間の相互作用解析
○渡邊千惠 、岩本将吾 、伊藤幸成
1
戸谷希一郎
○小山裕佳 、能登 香 、鷹野景子
1
1
J
、平野 真 、
3, 4
1
J
3
4
成蹊大理工、 群馬大工、 理研基幹研、 SM.-L<fC-
1
1
3
1,3
お茶大院人間文化創成科学、 北里大学一般教育部、
お茶大糖鎖科学教育研究センター
J
8&+,5*$+1%&-*&*"#010-%7-X8A9>-*&+1D%2#-K!>K-*&2glycans : theoretical calculations by fragment
molecular orbital and MD methods
Functional analysis of endomannosidase using
synthetic substrates
1
J
3, 4
○N7')*E24212:) D*C7%!%*B32@%4% D*W=a'&7'!)*B4% ,
1
1
Makoto Hirano , Kiichiro Totani
J
○Yuka Koyama D*U2%8'*V)1%<^%4% , Keiko Takano
1
J
1,3
1
1
b)5284@)14*%>*,24)8'2"&*21(*g'>)*C$')1$)D*C)'a)'*V1'?6D*
J*
b)5284@)14*%>*N7)@'&48#*21(*N7)@'$2"*h'%"%!#D*/=1@2*V1'?6D*
3
MBUS^D*4 SM.-L<fC-
Summary:* B1* !"#$%58%4)'1* :'%&#147)&'&D* !"#$%58%4)'1&*
with glucose residue are known to transport to the Golgi
apparatus followed by trimming of GlcMan residues by
endomannosidase. Although, the enzyme activity has been
believed to originate in the Golgi apparatus, we happened
to observe an endomannosidase activity in the endoplasmic
8)4'$="=@*>82$4'%1*>8%@*824*"'?)86*B1*47'&*&4=(#D*3)*$288')(*%=4*
functional analysis of a series of endomannosidases using
synthetic substrates.
新生糖タンパク質は小胞体糖タンパク質品質管理機
構によって正しくフォールディングされゴルジ体へ輸
送される。この輸送過程において、一部の Glc 残基を
持つ糖タンパク質は僅かながらゴルジ体へ輸送される
[1]
ことが報告されている 。この糖タンパク質はゴルジ
体に存在するエンドマンノシダーゼにより GlcMan 残基
のトリミングを受け、複合型糖鎖へ修飾される。従来、
エンドマンノシダーゼ活性はゴルジ体特有のものと考
えられていたが、我々は小胞体画分においても同様の
活性を見出した。これはゴルジ体に存在するものとは
別に、小胞体にもエンドマンノシダーゼが存在するこ
とを示唆している。本研究では、合成基質を用い、ゴ
ルジ体及び小胞体由来のエンドマンノシダーゼの基質
特異性を解析した。
ゴルジエンドマンノシダーゼの基質となる
/"$A[ → i,21<Y<@)47#"=@:)""'>)8%1) を用い、ラット肝
臓より抽出した小胞体画分とゴルジ体を含む肝臓破砕
液のエンドマンノシダーゼ活性を測定したところ、肝
臓破砕液では切断活性を示したのに対し、小胞体画分
では切断活性を示さなかった。これは、小胞体とゴル
ジ体に存在するエンドマンノシダーゼの基質特異性が
異なることを示唆している。さらに、小胞体エンドマ
ンノシダーゼの活性はアグリコン構造に左右されるこ
とを見出した。この結果は、小胞体糖タンパク質品質
管理機構における新たな代謝経路の提案に繋がると考
えている。
s[t6*f6M%47*)4*2"6*h'%$7'@')*JQQiD*85D*J\K6
140
b)5284@)14* %>* N7)@'&48#* 21(* h'%$7)@'&48#D* /82(=24)* C$7%%"* %>*
X=@21'4')&*21(*C$')1$)&D*L$721%@'9=*V1'?)8&'4#*J*b'?'&'%1*%>*N7)@'&48#D*
N)14)8*>%8*^24=82"*C$')1$)&D*N%"")!)*%>*g':)82"*.84&*21(*C$')1$)&D*U'42&24%*
V1'?)8&'4#*3 -7)*/"#$%&$')1$)*B1&4'4=4)D*L$721%@'9=*V1'?)8&'4#
Summary:**X=@21*214':%(#*J/[J*'&*$252:")*%>*8)$%!1'9'1!*
47)*7'!7<@211%&)*!"#$21&*%1*47)*XB_<[*&=8>2$)*!"#$%58%4)'1D*
!5[JQ6*-%* '1?)&4'!24)* 47)* "'!21(* :'1('1!* @)$721'&@&* %>*
J/[JD*3)*$288')(*%=4*@%")$="28*(#12@'$&*&'@="24'%1&*21(*
>82!@)14*@%")$="28*%8:'42"*+T,L0*$2"$="24'%1&*%1*47)*J/[J<
"'!21(*$%@5")F6*E)*>%=1(*4724*,211%&)*b[*%>*47)*"'!21(*72(*
47)*"28!)&4*'14)82$4'%1*)1)8!#*'1*47)*214':%(#6*T=847)8@%8)D*
@211%&)*bY*21(*bYv*5"2#)(*2*&'!1'G$214*8%")*'1*47)*"'!21(*
binding.
ヒ ト 抗 体 J/[J は、XB_<[ 表 面 糖 タ ン パ ク 質 !5[JQ
上 に 存 在 す る 高 マ ン ノ ー ス 型 糖 鎖 を 広 く 認 識 す る。
こ の XB_<[ 糖 鎖 認 識 抗 体 J/[J が、 リ ガ ン ド 糖 鎖
Man9GlcNAcJ 中 の D1 arm(,21b[<,21N<,21Y) 部 位
を認識するという実験結果が報告された sJt。本研究の
目的は、抗体 J/[J の糖鎖認識における、リガンド糖鎖
構造および抗体 < 糖鎖間の相互作用の詳細を理論計算
によって解明することである。
T2:*J/[J< 糖鎖の複合体(ebh*Bb:[LeH)について
古典 MD 計算を行い、複合体の構造変化を追跡した。
さ ら に、MD シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の snapshot に つ い て、
フラグメント分子軌道(T,L)法による量子化学計算
(,eJ]P<i[/†)を行い、糖鎖 < 抗体間の相互作用エネル
ギーの詳細を解析した。全ての snapshot 構造において、
Man D1 が抗体との相互作用エネルギーが最も大きく、
実験 sJt とよく一致する結果が得られた。また、Man 4、
,21*Yv も相互作用エネルギーが大きく、糖鎖 < 抗体間
の相互作用に重要であることが明らかとなった。
s[t*b21')"*.6*N2"28)&)*et al6D*+JQQi0*C$')1$)*iQQD*JQPH<JQK[6
sJt*N2"28)&)*et al6D*+JQQH0*e^.C*[QJD*i\D*[iiKJy[iiKK6
49e@M
49e@@
N-グリコシド結合型糖鎖の構造解析の迅速化
を目指したアプローチ
O抗原糖鎖の特異性を利用した大腸菌 O157
株の選択的標識化
○水野保子、森脇有加、太田里子
○森崎千珠 、上村祐介 、貞許礼子
東レリサーチセンター
1
1
J
J
お茶大院人間文化創成、 お茶大アカプロ
J
G&-*::5%*$/-+%-/1)/9+/5%()/:(+-*&*"#010-%7-O9)"#$*&
Selective labeling of E. coli O157 based on structural
diversity of O-antigen polysaccharides
○Yasuko Mizuno, Yuka Moriwaki, Satoko Ohta
○N7'9=*,%8'&2a' D*W=&=a)*V)@=82 D**M)'a%*C2(2@%4%
-%82#*M)&)28$7*N)14)8
1
1
J
J
/82(6*C$7%%"*%>*X=@21'4')&*21(*C$')1$)&D*L$721%@'9=*V1'?6D*
L$72(2'*.$2()@'$*58%(=$4'%1D*L$721%@'9=*V1'?6
J*
Summary:*E)*()?)"%5)(*2*@)47%(*>%8*212"#9'1!*^<!"#$21*
using reversed phase ultra high performance liquid
$78%@24%!8257#6**B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*3'""*('&$=&&*2*1)3*
@)47%(*255"'$2:")*>%8*:%47*1)=482"*21(*&'2"'"*^<!"#$216
我々は、^<グリコシド結合型糖鎖の構造解析を、逆
相 XegN の保持時間情報と ,.gBbB<-LT],C 分析によ
る質量情報からデータベース検索することにより実施
している。逆相 XegN は、糖鎖構造の違いにより分離
できるが、多種類の糖鎖を分離するには分析時間を長
くする必要があり、,.gBbB<-LT],C 分析は糖鎖を分取
して質量分析を行うため、非常に時間がかかっている。
そこで我々は、以前から超高速 gN<,C を用いて分析
を迅速化及び高感度化することを目指してピリジルア
ミノ化糖鎖標準品を用いて検討し、中性糖鎖について
超高速 gN の分析系を酢酸アンモニウム系移動相で確
立してきた。糖鎖の保持時間はグルコースオリゴマー
との比較により標準化しているが、超高速 gN 用のカラ
ムでは、シアロ糖鎖はカラムとのイオン性相互作用に
より遅く溶出したためデータベース検索できなかった。
今回、-T.] アセトニトリル系及びギ酸 / アセトニトリ
ル系移動相で分析条件を検討したところ、中性糖鎖及
びシアロ糖鎖はともにグルコースオリゴマーの範囲内
に溶出し、シアル酸の数によらず構造を反映した保持
時間で溶出し、超高速 gN で得たデータでのデータベー
ス検索による解析が可能になったので報告する。今後、
gN<,C にも応用していく予定である。
Summary: E. coli* L[HK* 72&* 21* =1$%@@%1* 5)8%&2@'1)*
@%')4#* '1* 47)'8* L<214'!)1* 5%"#&2$$728'()6* E)* $7%&)* 2*
58)$=8&%8* %>* /be<5)8%&2@'1)D* @%1%57%&5724)<i<29'(%<i<
()%F#<A<b<@211%5#821%&'()<[<57%&5724)D* 2&* 2* :2&)* >%8*
&)")$4'?)*&=8>2$)*@%('G$24'%1*%>*E. coli*L[HK6*C'F*:2$4)8'2"*
strains including E. coli* L[HK* 3)8)* '1$=:24)(* '1* !8%347*
media containing the analog, and the azido groups on the
:2$4)8'2"* &=8>2$)* 3)8)* "2:)")(* 3'47* 2* >"=%8%57%8)6* T"%3*
cytometry analysis showed the selective labeling of E. coli
L[HK6
動物の腸管では多くのバクテリアが宿主と共生し、
その健康状態に関わりをもつことが知られている。し
かしながら、長い腸管のどこにどのようなバクテリア
が存在しているかを調べることは難しかった。このた
め、生体内のバクテリアの状態をそのまま可視化でき
る手法の開発が望まれている。
そこで、大腸菌の菌株特異的なバクテリア表面修飾
手法について検討した。大腸菌に代表されるグラム陰
性菌は表面に O 抗原と呼ばれる糖鎖をもち、株ごとに
糖の種類や配列が異なる。特に、大腸菌 L[HK 株はその
O 抗原の繰り返し単位である 4 糖の中に、b<ペロサミ
ンという特徴的な糖をもっている。これを利用して生
きたままの大腸菌 L[HK 株を選択的に標識化することを
考えた。b<ペロサミンはマンノース <[< リン酸を経由し
て生合成されることが知られているので、マンノース
<[< リン酸の 3 位にアジド基を導入した化合物を合成し、
これを生合成経路にのせてバクテリア表面にアジド基
を提示させることを狙った。この化合物を添加した NB
培地で大腸菌 L[HK*+.-NNYi\\\0 ほか H 種類の株を培養
し、表面のアジド基を蛍光染色してフローサイトメー
ターで解析した。その結果、実験した 6 種類の株のうち、
大腸菌 L[HK 株だけが強い蛍光を示し、合成したアジド
マンノース <[< リン酸が大腸菌 L[HK 抗原糖鎖の生合成
に利用されていることが示唆された。
141
49e@f
49e@W
レクチン様分子シャペロンカルレティキュリ
ンのアグリコン特異性解析
○足立優花 、伊藤幸成
1
1
、平野 真 、戸谷希一郎
*JD*i
1
1
J*
3
成蹊大理工、 理研基幹研、 SM.-L<fC-*
ナイモウオウギ由来多糖に関するモデル化合
物の新規合成法の開発
○羽田紀康 、志村 亮 、木内文之 、清原寛章 、山田陽城
1
1
1
J
慶應大薬、 北里大生命研
J*
1
*JD*i
1
1
○Yuka Adachi D*W=a'&7'!)*B4% , Makoto Hirano , Kiichiro Totani
○Noriyasu Hada D*M#%*C7'@=82 D*T=@'#=a'*U'=$7' ,
J
J
Hiroaki Kiyohara , Haruki Yamada
1
1
J*
b)5284@)14*%>*,24)8'2"&*21(*g'>)*C$')1$)D*C)'a)'*V1'?6D*
MBUS^<.CBD*3 SM.-L<fC-
Summary:* N2"8)4'$="'1* +NM-0D* 2* ")$4'1<"'a)* @%")$="28*
$725)8%1)D* $254=8)&* /"$[,21Z/"$^.$J* !"#$%58%4)'1&*
'1* 47)* )1(%5"2&@'$* 8)4'$="=@6* B1* %=8* 58)?'%=&* &4=(#D* 47)*
:'1('1!*2:'"'4#*32&*)F5)$4)(*4%*$721!)*3'47*>%"('1!*&424=&*%>*
glycoproteins. Here, we show the difference of the binding
2:'"'4#* %>* NM-* 3'47* &)?)82"* &#147)4'$* !"#$%58%:)&* 72?'1!*
different aglycon structure by using thermal shift assay.
カルレティキュリン*+NM-0* はレクチン様分子シャペ
ロンとして働き、/"$[,21Z/"$^.$J*+/[,Z0* 型糖タン
パク質と特異的に結合しタンパク質の折り畳みを促進
する。我々は以前に*NM-* と糖タンパク質の親和性が
フォールディング状態に応じて変化する可能性を見出
[1]
している 。本研究では、*NM-* のリガンド認識におけ
るアグリコン特異性を明らかにすべく、多様なアグリ
コン構造を有する G1M9 型合成リガンドと*NM-* との
*NM-* への糖タン
相互作用解析を行った。 我々はまず、
パク質の受け渡しを担うフォールディングセンサー酵
素*V//-* のアグリコン認識の強弱を指標に、数種類
の異なるアグリコンをもつ G1M9 型リガンドを合成し
た。次に合成したリガンドと リコンビナント*NM-*との
相互作用を検証した。 例えば、*NM-*と G1M9 もしくは
/[,Z</"#*の相互作用解析を行ったところ、G1M9 より
も*/[,Z</"#*の方が*NM-*と強く結合することが分かっ
た。また、それらのアグリコン特異性はフォールディ
ングセンサー酵素*V//-*の基質特異性と、相関がある
ことを見出した。
[1] K. Totani. et. al. J. Biol. Chem6*JQQPD*281D*i[HQJ<i[HQ\6
J
Development of a novel synthetic method for
the synthesis of model compounds related to the
polysaccharides from Astragalus mongholicus
G)"#$%&-.:,$13$1+#-G&*"#010-%7-H*"5,+1$("1&?-*-Y,$+1&9
like Molecular Chaperone
142
1
1
1
1
T2$="4#*%>*e728@2$#D*U)'%*V1'?)8&'4#D*
U'42&24%*B1&4'4=4)*>%8*g'>)*C$')1$)D*U'42&24%*V1'?)8&'4#
J*
Summary:*E)*72?)*()?)"%5)(*2*1%?)"*21(*)>G$')14*@)47%(*
for the synthesis of galactosyl oligosaccharides with various
1=@:)8&* %>* !2"2$4%&#"* =1'4&6* e7)1#"* JDiDY<48'<O<:)19%#"<
[<47'%<!2"2$4%5#821%&'()* 32&* 58)528)(* 2&* 2* (%1%8* 21(* 21*
2$$)54%86* C)"><$%1()1&24'%1* %>* 47'&* $%@5%=1(* =&'1!* ^BC]
->LX* !2?)D* '1* 2* !%%(* #')"(D* 2* @'F4=8)* %>* ('<* 4%* %$42<
saccharides, which were easily separated after removal of
:)19%#"*!8%=5&*:#*8)$#$")*XegN6
【目的】繁用生薬黄耆の原植物であるナイモウオウギ
(Astragalus mongholicus Bunge) の地上部より見出された
多糖には腸管パイエル板免疫担当細胞に対する免疫機
能賦活化活性があることが認められ、この活性多糖は
;<b<+[→i0<!2"2$421 に ;<+[→6) 結 合 の b<!2"2$4%&) 側 鎖
が結合した構造であることが示唆されている。我々は
この多糖に関連するオリゴ糖鎖の効率的な合成方法の
確立と、糖鎖の構造と生理活性との相関関係の解明を
目指しており、これまでに二糖、四糖並びに八糖の合
成を報告した。今回はより効率的な合成方法の開発を
目指し、糖受容体と糖供与体両方の働きを併せ持つ単
糖誘導体を用いた自家縮合を行ったので報告する。
【方法・結果】化合物 1 は糖受容体であると同時に糖供
与体にもなりうる。そこで、1 を自家縮合し糖鎖伸長後、
アノマー位をベンジル化して、二∼六糖誘導体の混合
物を得た。一方、反応液にあらかじめベンジルアルコー
ルを加えて糖鎖伸長を行ったところ、二∼八糖誘導体
の混合物を得た。次に NaOMe を用いて脱ベンゾイル化
を行い、XegN で分離した後、1 つ 1 つを接触還元して
すべて遊離の二∼八糖に導いた。
49e@b
49e@c
パ ル ス 式 電 気 化 学 検 出 器 (PAD) を 用 い た
HPLC によるリン酸化糖分析
鶏卵由来シアリル糖ペプチドの糖鎖―タンパ
ク質間相互作用解析への利用
○荒井裕子、金子恒顕、神田武利
○水野真盛 、大隅賢二 、近藤純平 、藤田雅也 、菅原州一
株式会社 資生堂 フロンティアサイエンス事業部
(公財)野口研究所、 旭化成(株)
1
1
1
Analysis of sugar phosphates with high-performance
"1j(12-$/5%6*+%)5*:/#-UX4YHV-a-:("0,2*6:,5%6,+51$-2,+,$+%5-U4GNV
1
1
*[DJ
J
Q/,-(0,-%7-01*"#")"#$%:,:+12,-75%6-/,&\0-,))-#%"S-7%5a carbohydrate-protein binding assay
○Hiroko Arai, Tsuneaki Kaneko, Taketoshi Kanda
○Mamoru Mizuno , Kenji Osumi D*f=15)'*U%=1(%= ,
1
[DJ
,2&2#2*T=m'42 D*C7=<'$7'*C=!27282
T8%14')8*C$')1$)D**C7'&)'(%
1
Summary:* C'F* &=!28&* 21(* &=!28* @)42:%"'4)&* +!"=$%&)D*
> 8 = $ 4 % & ) < P < 5 7 % & 5 7 2 4 ) D * ! " = $ % & 2 @ ' 1 ) < P < 5 7 % & 5 7 2 4 ) D*
^<2$)4#"!"=$%&2@'1)<P<57%&5724)D*^<2$)4#"!"=$%&2@'1)<[<
57%&5724)D*21(*Vbe<^<2$)4#"!"=$%&2@'1)0*3)8)*&)52824)(*
3'47* XegN]e.b6* *.* CVNMShS.b* BBD* 2* $%"=@1* 52$a)(*
3'47*5%"#@)8'$*21'%1*)F$721!)8*5284'$")&*+J6Q*@@*'6(6*‡*JHQ*
mm, Shiseido) was used for the separation under a gradient
)"=4'%1* =&'1!* @%:'")* 572&)&* $%142'1'1!* &%('=@* 7#(8%F'()*
21(*&%('=@*2$)424)6**N%@:'1'1!*47)*:)1)G4*%>*47)*&)@'@'$8%*
$%"=@1*21(*47)*&)1&'4'?'4#*%>*e.bD*47)*&'F*$%@5%=1(&*3)8)*
sensitively separated within 30 minutes.
Summary:*C'2"#"!"#$%5)54'()*+C/e0*'&*2*124=82""#*2:=1(214*
^<!"#$21* '&%"24)(* >8%@* 7)1v&* )!!* #%"a6* -%* ()?)"%5* 2*
$%1?)1')14* 4%%"* >%8* @%1'4%8'1!* %"'!%&2$$728'()<")$4'1*
'14)82$4'%1&D* 3)* &4=(')(* 47)* =&)* %>* C/e* 2&* 2* "'!21(* '1* 2*
58%4)'1<:'1('1!*2&&2#6
近年、XegN を用いた糖分析は多岐にわたる分野で行
われている。糖類は発色団を持たないため、示差屈折
率検出器(MB)を用いるのが一般的であるが、感度が
低く、ベースラインの安定性やグラジエント溶出がで
きないなどの問題点がある。一方、パルス式電気化学
検出器(e.b)は、糖の水酸基をアルカリ性下で解離
させ、その電気化学活性を金電極上で検出する原理に
基づくため、高感度であり選択性に優れ、またグラジ
エント溶出にも適用可能な検出器である。
本報告では、e.b を用いてグルコースから ^<アセ
チルグルコサミン<[<リン酸までの代謝化合物 6 種(グ
ルコース、フラクトース<P<リン酸、グルコサミン<P<リ
ン酸、^<アセチルグルコサミン<P<リン酸、^<アセチル
グルコサミン<[<リン酸、Vbe<^<アセチルグルコサミ
ン)の一斉分析について報告する。分析カラムには、
アニオン交換樹脂を充填したポリマーカラムである
CVNMShS.b*BB(資生堂*J6Q*@@*'6(6*‡*JHQ*@@)を用い、
水酸化ナトリウムと酢酸ナトリウム溶液の移動相によ
るグラジエント溶出を行い、上記の代謝化合物 6 種の
一斉分析を行った。セミミクロカラムにより感度が向
上し、30 分以内に上記の代謝化合物 6 種を良好に分離
することができた。
1
1
1
-7)*^%!=$7'*B1&4'4=4)D*J.&27'*U2&)'*N%85%824'%1
シアリルオリゴ糖ペプチド(C/e)は鶏卵の卵黄から
単離された糖ペプチドであり、二本鎖複合型 N<結合型
糖鎖とアミノ酸 6 残基のペプチドから構成されている。
我々はこれまでに、マイクロプレートや sepharose ビー
ズに固定化した C/e が、ヒト由来ヘマグルチニンと結
合することを報告した。本研究では、糖鎖 - タンパク質
間相互作用解析への C/e の利用を目的として、C/e の
ペプチド部分の三つのアミノ基に蛍光標識基や疎水性
官能基を導入した誘導体を合成し、レクチンとの相互
作用解析について検討した。その結果、蛍光標識 C/e
は一分子蛍光分析による相互作用解析用プローブとし
て有用であることが明らかとなった。また、疎水性官
能基を導入した C/e はポリスチレン製マイクロプレー
トへ固定化でき、定量的な相互作用解析に利用できる
ことも明らかとなった。本研究は、科研費・基盤研究(N)
の助成を受けたものである。
143
49e@h
49efe
デングウイルス感染阻害剤の結合サイト解析
グライコナビ:糖質化学合成反応データベース
○山田一作、本庄秀之、弘瀬友理子、森 昌子、水野真盛
1
1
J
3
○山藤 歩 、伊東祐仁 、Karl N Kirchner 、左 一八 、
4
3
1
池田 潔 、鈴木 隆 、常盤広明
1
J*
3
4
立教大理、 T8%=17%>)8*CN.B、 静岡県大薬、 広島国際大薬
(公財)野口研究所・糖鎖有機
L%",$("*5-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-D1&21&)-01+,-%7inhibitors to dengue virus
!"#$%OGA8[-H/,61$*"-J,*$+1%&-N*+*D*0,-7%5Carbohydrate Synthesis
○Ayumi Sando D*W=m'*B4% , Karl N Kirchner D*U29=#2*B6e6f6*X'(28' ,
4
3
1
U'#%&7'*Ba)(2 , Takashi Suzuki , Hiroaki Tokiwa
○B&&2a=*W.,.b.D*X'()#=a'*XL^fLD*W=8'a%*XBMLCSD*
,2&2a%*,LMBD*,2@%8=*,B~V^L
1
b)5284@)14*%>*N7)@'&48#D*M'aa#%*V1'?)8&'4#D* J* T8%=17%>)8*CN.BD* 3 Department
%>*h'%$7)@'&48#D*V1'?)8&'4#*%>*C7'9=%a2D* 4 Department of Synthetic Organic
N7)@'&48#D*C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*X'8%&7'@2*B14)8124'%12"*V1'?)8&'4#
g2:%824%8#*%>*/"#$%<L8!21'$*N7)@'&48#D*-7)*^%!=$7'*B1&4'4=4)
Summary:*****b)1!=)*?'8=&*+bS^_0*$2=&)&*()1!=)*>)?)8*21(*
()1!=)*7)@%8872!'$*>)?)86*X'(28'*21(*$%<3%8a)8&*8)5%84)(*
a sulfated sugar derivative has the highest inhibitory activity
2!2'1&4*bS^_6*E)*5)8>%8@)(*'14)82$4'%1*212"#&'&*:)43))1*
the derivative and virus protein using in silico method, and
'()14'G)(*:'1('1!*&'4)&*%>*'17':'4%8&6*h#*:'1('1!*%>*'17':'4%8&*
to the protein, surface charge of the protein was neutralized,
&%*4724*'1>)$4'%1*%>*bS^_*4%*7%&4*$)""*32&*3)2a)1)(6
Summary: To support the carbohydrate research, we have
()?)"%5)(* /"#$%^._BD* 47)* &='4)* %>* :%47* 3):* 21(* ()&a4%5*
applications, database and other tools. A researcher will have
21*2$$)&&*4%*@%8)*4721*YDJQQ*@%")$=")&*21(*JD\QQ*8)2$4'%1&6*
The molecules in the database are linked to other chemical
'1>%8@24'%1* &=$7* 2&* 12@)D* ^,M* &5)$48=@* %8* M>* ?2"=)6*
/"#$%^._B*2"&%*72&*47)*$=&4%@'92:")*&)28$7*%54'%1&*37'$7*
help researchers to easily access the desired information.
デングウイルス +bS^_0 はデング熱・デング出血熱
を引き起こす。近年の地球温暖化によるウイルスを媒
介蚊の生息地域拡大に伴い、デング熱の感染地域、感
染者数は急激に増加し、日本での感染の可能性もある。
しかし、現在 bS^_ に有効なワクチンや化学療法剤は
臨床応用されておらず、新規抗ウイルス剤の開発が急
務である。
一方、ヘパリンなどの硫酸化された糖鎖化合物が
bS^_ 感染阻害活性を示すことが知られており、最近、
それらの糖鎖化合物の構造を基に低分子硫化糖誘導体
が開発され、bS^_ に対して阻害活性を示すことが報
告された †。しかし、化合物の bS^_ への結合位置、
作用機序については未だ不明である。本研究では、こ
れらの薬物候補化合物の阻害活性発現メカニズムを解
明するため、第一原理計算に基づくエンベロープ (E) タ
ンパク質の in silico 解析を行った。
フラグメント分子軌道 +T,L0 法を用いた硫化糖誘導
体と E タンパク質との相互作用エネルギー解析の結果、
硫化糖誘導体の bS^_ への結合位置の特定に成功した。
また、阻害剤の結合に伴い、E タンパク質の表面電荷
が中和されることによって、ウイルスの宿主細胞への
感染が阻害されることが理論的に示唆された。さらに、
硫化糖誘導体の結合姿勢から阻害活性発現に重要なア
ミノ酸残基を特定した。
糖質研究を支援するために私たちは /"#$%^._B を開
発している。/"#$%^._B はデータベースと各種ツール
で構成され、Web アプリや NCS('4%8 などから利用でき
る。/"#$%^._B データベースは、YDJQQ 以上の分子およ
び JD\QQ 以上の有機合成反応などを収録している。分子
は、化合物名、^,M スペクトル、および M> 値などの
分子情報データにリンクしている。*/"#$%^._B では、
糖質合成研究に関する情報検索について幾つかの方法
を提案する。
1
1
J
3
ˆ*U6*B6e6f6*X'(28'D*et al., Antiviral Res6*\\D*JiP*+JQ[Q06n*U6*
Ba)(2D* et al., Biochem Biophys Res Commun.D* +JQ[J0D* in
print.
144
49ef>
49efK
梅エキス Mumefral はどのようにインフルエ
ンザウイルス NA を阻害するのか?
○石坪江梨花 、山藤 歩 、Karl N. Kirschner 、
3, 4
4
1
Nongluk Sriwilaijaroen 、鈴木康夫 、常盤広明
1
1
4
1
J
立教大理、 T82=17%>)8*CN.B、 -72@@2&24*V1'?)8&'4#、
中部大ヘルスサイエンスヒルズ
J*
3
インフルエンザウイルス NA の全亜型に有効
な新規薬物に関する理論的解析
○常盤広明 、山藤 歩 、酒井美帆 、Nongluk Sriwilaijaroen 、
iDH
iDH
3
iDH
Sadagopan Magesh 、安藤弘宗 、石田秀治 、木曽 真 、
4
鈴木康夫
1
1
4
X%B-2%-7(5*&-2,51<*+1<,0-75%6-^*:*&,0,-*:51$%+75(1+9'(1$,-$%&$,&+5*+,-1&/1D1+-1&E(,&F*-<15(0-OGk
1
1
J
○S8'a2*B&7'4&=:% , Ayumi Sando , Karl N. Kirschner ,
3, 4
4
1
Nongluk Sriwilaijaroen , Yasuo Suzuki , Hiroaki Tokiwa
1
4
M'aa#%*V1'?)8&'4#D*J*-72@@2&24*V1'?)8&'4#D*3 T82=17%>)8*CN.BD*
X)2"47*C$')1$)*X'""&*N7=:=*V1'?)8&'4#
1
1
JD*Y
立教大理、 -72@@2&24*V1'?)8&'4#、 岐阜大応用生物、
H
中部大ヘルスサイエンスヒルズ、 京都大 'N),C
J*
3
Theoretical analysis of interactions novel inhibitors
*&2-*""-0(D+#:,0-UO>9OhV-%7-1&E(,&F*-<15(0-OG
○Hiroaki Tokiwa , Ayumi Sando , Miho Sakai ,
JD*Y
iDH
iDH
Nongluk Sriwilaijaroen , Sadagopan Magesh , Hiromune Ando ,
3
iDH
4
X'()728=*B&7'(2 , Makoto Kiso , Yasuo Suzuki
1
1
4
1
1
M'aa#%*V1'?)8&'4#D*J*-72@@2&24*V1'?)8&'4#D*3 /'>=*V1'?)8&'4#D*
X)2"47*C$')1$)*X'""&*N7=:=*V1'?)8&'4#D*H*U#%4%*V1'?)8&'4#*'N),C
Summary:* M)$)14"#D* ^6* C8'3'"2'm28%)1* 21(*W6* C=9=a'* 72?)*
>%=1(* 4724* 47)* >=821* ()8'?24'?)&* >8%@* f2521)&)* 258'$%4* >8='4<
juice concentrate effectively inhibit the hemagglutinin (HA)
and neuraminidase (NA) of pandemic virus (A (H1N1) pdm09).
We computationally investigated how the derivatives inhibit
the NA by using the novel in silico procedures. To evaluate the
()8'?24'?)&‰*:'1('1!*2>G1'4')&*4%*47)*^.D*3)*5)8>%8@)(*47)*G8&4<
58'1$'5")&*$2"$="24'%1&*%1*47)*()8'?24'?)<^.*$%@5")F)&*=&'1!*47)*
fragment molecular orbital method.
Summary:* M)$)14"#D* 3)* ()?)"%5)(* 1%?)"* '17':'4%8&* 37'$7*
inhibit sialidase activities of influenza A virus neuraminidase
+^.0*%>*2""*&=:4#5)&*+^[<^Z0D*21(*47)'8*?'8=&*'1>)$4'%1&6*B1*47'&*
study, we theoretically analyzed how the novel inhibitors inhibit
47)*^.&*:#*=&'1!*47)*G8&4<58'1$'5")&*+'6)6*2:*'1'4'%0*$2"$="24'%1&D*
comparing with Zanamivir and Oteltamivir. We performed
interaction analysis between the inhibitors and all nine subtypes
+^[<^Z0*%>*47)*'1j=)192*?'8=&*^.&6
最近、N. Sriwilaijaroen、鈴木康夫らは梅エキス(梅果汁
を加熱濃縮したもの)の Mumefral をはじめとする H 種の
フラン誘導体が JQQZ 年パンデミックインフルエンザウイ
ルス (A (H1N1) pdm09) の HA および NA の両者の活性阻害、
さらには同ウイルスの感染阻害活性を有することを見出し
た。[1] そこで本研究では、まず Mumefral がどのようにイ
ンフルエンザウイルス NA に作用し、その阻害活性を発現
しているのかを理論的に解明するために、,=@)>82"<^. 複
合体に対する第一原理計算に基づく結合性解析を行った。
計算対象としたパンデミックウイルスの NA と Mumefral
との 複 合 体 は 次 の よ う に し て 作 成 し た。Zanamivir が結
合 し た .]h8)?'!*,'&&'%1][][Z[\*+ebh*Bbk*ihKS0* お よ び A/
N2"'>%81'2]JQQZ*+ebh*Bbk*i^CC0 の立体構造を鋳型としたホ
モロジーモデリングにて、実際に阻害活性実験に用いた A/
^28'42][]JQQZ*+X[^[0*5(@ の N1NA を作成し、Mumefral を
,LS<b%$a にて疎水ポケットにドックした。次いでその複
合体構造に対して、フラグメント分子軌道*+T,L0* 法を用
い て、Mumefural の NA へ の 理 論 的 結 合 能 (BindingScore)
を算出し、Oseltamivir および Zanamivir の値と比較したと
ころ、実験的な Sialidase 阻害活性値 +BNHQ0 とよい相関があ
ることが分かった。さらに、T,L 法に基づいて Mumefural
と疎水ポケットを構成するアミノ酸残基との相互作用エネ
ルギーを詳細に解析したところ、.8!JJYD*.8!JZJD*.8!iK[
などとの水素結合に加えて、Tyr406 との NX<Š 相互作用に
よる安定化が重要であることが分かった。また Mumefral
は、[HQ*"%%5 が N2?'4# になっている N1 や [HQ*"%%5*N2?'4#
を欠く N1 の両者に有効に作用することも分かった。現在、
HA に対する作用ポイントについても解析中である。
抗インフルエンザ薬のターゲットである Neuraminidase
(NA) は、抗体に対する結合性の違いにより N1 から N9 の
9 種類の亜型がある。さらに、それぞれが変異を繰り返し、
同一の亜型でも、変異株によってその性質が大きく異なる。
一般的に、これらの NA それぞれの亜型に対して、阻害剤
の効果も異なる。多くの変異株が報告される中、近年では、
これまで臨床の場で高い有用性を示していた Oseltamivir
にも耐性変異株が出現し、これが世界的に流行してきてお
り、このような耐性を持つ変異株や、全ての亜型にも有効
な新規阻害剤の開発が急務となっている。
そこで本研究では、最近、合成開発された新規薬物候補
化合物のこれらのすべての亜型への効果を理論的に検証す
るため、イオン性相互作用や水素結合だけでなく、ファン
デルワールス相互作用をも適切に評価できる第一原理計算
を用いて、N1 から N9 の亜型 NA に対する理論的結合性解
析を行った。
経験的パラメータを一切含まないフラグメント分子軌道
+T,L0*法に基づく薬物候補化合物と NA との相互作用解析
の結果、Oseltamivir や Zanamivir で有効に働いていたイオ
ン性相互作用や水素結合に加えて、新規化合物に導入され
た側鎖と結合ポケット内の疎水性残基とのファンデルワー
ルス相互作用による安定化が重要であることが分かった。
さらに、新規薬物候補化合物は、[HQ*"%%5 が N2?'4# になっ
ている 1918 年パンデミック型ウイルスや季節性ウイルス
の N1NA だけでなく、[HQ*"%%5*N2?'4# を欠く JQQZ 年パン
デミック型ウイルスの N1 の両者にも有効に作用できるこ
とが理論的に示唆された。
s[t*^6*C8'3'"2'm28%)1D*)4*2"D*T%%(*N7)@6*[JKD*[<Z*+JQ[[06
145
49efM
49ef@
ウシトリプシノーゲンの糖特異的相互作用に
よる活性化調節の構造的基盤
母乳栄養乳児の糞便に残存する母乳由来中性
糖の解析
○三橋佳奈 、齊藤 泉 、和田有沙 、坂上ひろみ 、
[DJ
3
[DJ
今野美智子 、白井 剛 、小川温子
○渡邉陽子、外谷英嗣、木村一雅
1
1
3
1
1
1
お茶の水女子大・院・人間文化創成科学研究科・ 糖鎖センター、
長浜バイオ大・バイオサイエンス学科
J
The structural basis for the regulation of activation of
D%<1&,-:*&$5,*+1$-+5#:01&-D#-+/,-0()*590:,$13$-1&+,5*$+1%&-
Study of neutral human milk oligosaccharides
remaining in the feces of breast-fed infants
○Kana Mitsuhashi D*B9=@'*C2'4%7 , Hiromi Sakagami ,
[DJ
3
[DJ
Michiko Konno , Tsuyoshi Shirai , Haruko Ogawa
○Yoko Watanabe, Hidetsugu Sotoya, Kazumasa Kimura
1
Graduate School Humanities & Sciences, and J* the Glycoscience
B1&4'4=4)D* L$721%@'9=* V1'?)8&'4#D* 3 Department of Bioscience,
^2!272@2*B1&4'4=4)*%>*h'%<C$')1$)*21(*-)$71%"%!#
W2a="4*N)1482"*B1&4'4=4)*>%8*,'$8%:'%"%!'$2"*M)&)28$7
Summary:*E)*8)5%84)(*4724*:%?'1)*48#5&'1%!)1*+he-/0*21(*
48#5&'1*+he-0*72?)*8)@28a2:")*&=!28<:'1('1!*2$4'?'4')&*21(*
47)*2=4%$242"#4'$*2$4'?24'%1*%>*he-/*'&*'17':'4)(*:#*$)842'1*
&=!28&6*B1*47'&*&4=(#D*3)*'()14'G)(*47)*&=!28<:'1('1!*&'4)&*%>*
he-*21(*he-/*:#*`<82#*$8#&42""%!8257#D*37'$7*&=!!)&4)(*
4724* 47)* &=!28* &42:'"'9)&* he-/* 4%* 58%4)$4* 47)* ^<4)8@'12"*
processing. The possibility that glycans in zymogen granule
of pancreas may protect trypsinogen from early activation is
under study.
Summary: To clarify the relationship between human milk
oligosaccharides and the intestinal flora, we compared the
1)=482"* %"'!%&2$$728'()* $%@5%&'4'%1* %>* :8)2&4<>)(* '1>214*
>)$)&*21(*47)'8*8)&5)$4'?)*'1!)&4)(*7=@21*@'"a6*B1*47)*>)$)&*
%>*2""*'1>214&D*"2$4%&)*72(*2"@%&4*('&255)28)(6*B1*43%*%>*47)*
infants, the oligosaccharide composition of feces was similar
4%*4724*%>*'1!)&4)(*7=@21*@'"a6*B1*47)*>)$)&*%>*47)*%47)8*478))*
'1>214&D* >=$%&#""2$4%&)&* ()$8)2&)(* !8)24"#* 37'")* "2$4%<^<
tetraose remained.
我々は、主要な膵プロテアーゼであるウシトリプシ
ノーゲン +he-/0、ウシトリプシン +he-0 が糖結合性を
1)
有すること 、ならびに he-/ の he- による活性化が
一部の特異糖によって抑制されることを報告した。
he-/ と糖 < ビオチニルポリマー +he0 プローブとの
結合実験により、he-/ は十二指腸内の 5X*K6H において、
A</2"^.$DA<,21<P<e<he などに高い結合性を示したが、
チ モ ー ゲ ン 顆 粒 内 の 5X*H6H に お い て は、A</2"^.$<
he に高い結合性を示した。he-/ または he- と ,)A<
GalNAc の共結晶の ` 線結晶構造解析により糖結合部位
がそれぞれ2カ所同定された。糖結合部位の一方は N
末活性化ペプチドに近い位置であり、もう一方はそれ
ぞれ .8![[K、または触媒部位の近傍に存在した。he-/
と糖の結合が N 末活性化ペプチドを分子内で安定化し、
トリプシンによる分解から保護する可能性が考えられ
る。膵臓チモーゲン顆粒内の糖鎖が活性化を抑制する
かどうかを現在、検討中である。
【目的】ガラクトオリゴ糖(GOS)は乳児の良好な腸内
フローラ形成に有益であり、育児用調製粉乳に広く用
いられている。一方、母乳栄養児にとって唯一の食品
である母乳中には約 100 種類のミルクオリゴ糖が含ま
れているが、これらの消化管内における利用に関する
報告は少なく、試験管内での醗酵性で考察されている
のが現状である。本報では離乳前の乳児糞便と同時期
に摂取した母乳の糖質を比較することで乳児消化管で
利用される母乳中の糖質成分の解析を試み、オリゴ糖
の構造とプレバイオティクス機能との関係について考
察する。
【方法】母乳栄養児 H 名の出生後 iQ<HQ 日目、離乳直前
の糞便と、同時期に摂取した母乳を試料とした。糞便
中の糖質の回収は、紙おむつ高分子吸収体から EDTA/
メタノール、次いでクロロホルム < メタノール抽出に
より行った。得られた糖質画分について、/eN<XegN
および e. 化、e,e 誘導体化法により組成を解析した。
【結果】乳糖はすべての糞便で検出されなかった。う
ち J 名の糞便のオリゴ糖組成は母乳とほぼ一致してい
た。他の 3 名ではフコシルラクトース類が大幅に減少
し、ラクト N テトラオースは残存していた。このうち、
GOS 含有調製粉乳を摂取した混合栄養の乳児糞便では、
中性糖の残存は極端に少なかった。これらの結果から
乳児消化管内においては、乳糖および乳糖を骨格とす
る糖鎖が優先して利用されることが強く示唆された。
1
1
1
1) Takekawa et al., J. Biol. Chem.DJ\[D\HJ\<i\*+JQQP0
146
ヤクルト本社中央研究所
49eff
49efW
糖鎖付加タグによる糖タンパク質の分泌促進
リポソーム封入を利用したレクチン選別法の
開発
○高島 晶、天野純子
○鈴木友里絵、平野 真、戸谷希一郎
野口研・糖鎖生物
成蹊大理工
Improved secretion of glycoproteins by the
glycosylation tag
Y,$+1&-,&51$/6,&+-(01&)-"1:%0%6,-,&$*:0("*+1%&
○C7%=*-2a2&7'@2D*f=1a%*.@21%
○Yurie Suzuki, Makoto Hirano, Kiichiro Totani
g2:*%>*/"#$%:'%"%!#D*-7)*^%!=$7'*B1&46
b)5284@)14*%>*,24)8'2"&*21(*g'>)*C$')1$)D*C)'a)'*V1'?6
Summary:*B1*47)*58%(=$4'%1*%>*8)$%@:'1214*!"#$%58%4)'1&*
having functional glycans, it is important how effectively
!"#$21&*2442$7*4%*47)*58%4)'16*B1*47'&*&4=(#D*3)*2(()(*?28'%=&*
peptide sequences containing the consensus sequence for
^<!"#$%&#"24'%1*4%*47)*N<4)8@'12"*8)!'%1*%>*&%@)*58%4)'1&*
21(*)F2@'1)(*47)'8*)>>)$4&*%1*58%4)'1*&)$8)4'%16*.&*2*8)&="4D*
47)* &)$8)4'%1* %>* Bg<P* 21(* ^/.g* 32&* '@58%?)(* :#* 47)*
addition of some peptide sequences, which were successfully
glycosylated.
Summary: During enrichment of lectins from protein
@'F4=8)* =&'1!* !"#$%:)2(&D* 3)2a* :'1('1!* ")$4'1&* 28)* %>4)1*
dissociated from the beads in the washing steps . Therefore
to protect weak binding lectin from the washing steps, we
58%5%&)*"'5%&%@)*)1$25&="24'%1*%>*47)*!"#$%@2!1)4'$*:)2(&<
")$4'1*$%@5")F6*
**E)*)F2@'1)(*)18'$7@)14*%>*&)?)82"*a'1(&*%>*")$4'1&*>8%@*
58%4)'1* @'F4=8)6*-7)&)* )F5)8'@)14&* ()@%1&4824)(* 4724* 47)*
liposome encapsulation could effective for lectin enrichment.
【目的】糖タンパク質の糖鎖には、タンパク質のフォー
ルディングや安定化、活性発現などにおいて重要な役
割を果たすものがある。糖タンパク質製剤等の生産で
は、このような機能性糖鎖を効率よく付加させたり、
糖鎖の数を調節することによって、活性や生産性の向
上をはかることが検討されてきている。以前に我々は、
糖タンパク質糖鎖の付加状況を制御する手法を開発す
るために、^<結合型糖鎖付加のコンセンサス配列 +^`C]
T) を含むペプチドタグ(糖鎖付加タグ)をヒトインター
ロイキン<P に付加したところ、その分泌生産が向上す
ることを見出した。そこで今回、こうしたタグ付加が
他のタンパク質の分泌生産の向上にも効果があるのか
を検討した。
【方法および結果】各種糖タンパク質に糖鎖付加タグ
を連結したものを培養細胞で発現させ、その糖鎖付
加状況や分泌生産量を調べた。その結果、Neutrophil
!)"24'12&)*2&&%$'24)(*"'5%$2"'1*+^/.g0 など一部のタンパ
ク質において、タグ付加による分泌生産向上の効果が
認められた。しかし、タグ付加によって却って分泌が
阻害されるタンパク質もあった。現在、タグ付加によ
る分泌促進メカニズムの詳細を解析中であるが、この
ようなタグ付加は、一部のタンパク質の分泌生産増大
に利用できる可能性があり、組換えタンパク質生産の
強力なツールになるかもしれない。
一般にレクチン < 糖鎖間の相互作用は抗原 < 抗体間の
相互作用と比較して弱く、レクチンは糖鎖の周辺で結
合と解離を繰り返している。レクチン選別法として糖
を付加したアフィニティービーズを用いる方法が知ら
れていが、洗浄によって結合の弱いレクチンが解離し
てしまうという問題がある。本研究では、結合の弱い
レクチン候補を洗浄から保護するために、糖鎖磁気ビー
ズ < レクチン複合体をリポソームで包みこむ新しいレク
チン選別法を提案する。すなわち糖鎖磁気ビーズとレ
クチンを結合させ、その複合体をリポソームに封入し
て、周囲の環境から隔離したうえで磁力によって回収
し、夾雑物を含む周囲の洗浄を行うことで弱い結合の
レクチンを効果的にエンリッチすることを試みる。 本法を用いてコンカナバリン .*+N%1.0* またはピー
ナッツレクチン**+e^.0*と、コムギ胚芽レクチン (WGA)
のタンパク質混合液からマルトース磁気ビーズまた
はラクトース磁気ビーズによって、N%1. または e^.
を選別するモデル実験を行ったところ、N%1. または
e^. を選択的に回収することができた。本研究によっ
て、糖鎖 < レクチン複合体をリポソームで保護する手
法がレクチンの選別に効果的であることが示された。
147
49efb
O -GlcNAc 修飾は ATM を介した DNA 損傷
O -マンノース転移酵素とドリコールリン酸マ
○遠藤玉夫、三浦ゆり、櫻井洋子
○萬谷 博、赤阪−萬谷啓子、遠藤玉夫
東京都健康長寿医療センター研究所
都健康長寿医療セ、老化機構
応答に影響を与える
ンノース合成酵素の相互作用の解析
O9!"$OG$-6%213$*+1%&-*77,$+0-+/,-GQL96,21*+,2NOG-2*6*),-5,0:%&0,
Complex formation of protein O-mannosyltransferase
and dolichol-phosphate-mannosyltransferase
○Tamao Endo, Yuri Miura, Yoko Sakurai
○X'8%&7'*,21#2D*U)'a%*.a2&2a2<,21#2D*-2@2%*S1(%
-%a#%*,)48%5%"'421*B1&4'4=4)*%>*/)8%14%"%!#
-%a#%*,)48%6*B1&46*/)8%14%"%6
Summary:* E)* )F2@'1)(* 47)* 8%")* %>* O<g'1a)(* ;<N<
acetylglucosamine modification (O</"$^.$#"24'%10* '1* 47)*
242F'2<4)"21!')$42&'2*@=424)(*+.-,0<@)('24)(*b^.*(2@2!)*
response. Enhancement of protein <O</"$^.$#"24'%1*
'1$8)2&)(* ")?)"&* %>* `<'882('24'%1<'1(=$)(*.-,* 2$4'?24'%16*
However, decreases in protein O</"$^.$#"24'%1* ('(* 1%4*
affect levels of ATM activation, but these decreases did delay
ATM activation and recovery processes. Thus, activation and
recovery of ATM were affected by O</"$^.$#"24'%16*.-,*
was subjected to O</"$^.$#"24'%1D*21(*.-,*'14)82$4)(*3'47*
O</"$^.$*4821&>)82&)6
Summary:*-7)*$%@5")F*%>*eL,-[*21(*eL,-J*$242"#9)&*
47)*4821&>)8*%>*2*@211%&#"*8)&'(=)*>8%@*b%"<e<,21*4%*C)8]-78*
8)&'(=)&*%>*$)842'1*58%4)'1&6*b%"<e<,21*'&*&#147)&'9)(*:#*47)*
$%@5")F*%>*be,[D*be,J*21(*be,i6*C'1$)*'4*32&*8)5%84)(*
that O<@211%&#"24'%1*'&*&)")$4'?)"#*'17':'4)(*:#*2*@=424'%1*
%>*be,iD*3)*'1?)&4'!24)(*37)47)8*be,i*'&*'1?%"?)(*'1*47)*
>=1$4'%1*%>*eL,-[]J6*B1*47'&*&4=(#D*'4*32&*&7%31*4724*be,i*
>%8@&*2*$%@5")F*3'47*eL,-[]J6
O</"$^.$ 化 は 多 く の タ ン パ ク 質 に 見 ら れ る 翻 訳
後修飾である。しかし、DNA 損傷応答の中心因子で
あ る .42F'2<4)"21!')$42&'2*@=424)(*+.-,0 に 関 し て は、
O</"$^.$ 化による影響は明らかではない。そこで本研
究では、ATM の O</"$^.$ 化とその機能への影響につ
いて検討した。X)g2 細胞に eV/^.$*+O<+J<2$)42@'(%<J<
()%F#<b<!"=$%5#821%&#"'()1)0*2@'1%* N<57)1#"*$28:2@24)0
あ る い は bL^*+P<('29%<H<%F%<g<1%8")=$'1)0 を 添 加 し、
細 胞 の O</"$^.$ 化 レ ベ ル を 変 化 さ せ た。ATM の 活
性化は ` 線照射により行い、リン酸化 ATM(Ser 1981)
及 び リ ン 酸 化 C,N[*+C)8*ZHK0*+&48=$4=82"*@2'14)121$)*%>*
chromosomes 1) を調べた。さらに ATM 抗体を用いた免
疫沈降により、ATM の O</"$^.$ 化やタンパク質相互
作用について検討した。eV/^.$ 及び DON を用いて、
` 線照射後の ATM の活性化を調べたところ、活性化及
び不活化に O</"$^.$ の変動が影響を及ぼすことが明
らかになった。また、ATM は O</"$^.$ 化タンパク質
であり、O</"$^.$*4821&>)82&) と相互作用することも明
らかになった。
148
49efc
O<マンノース(Man)型糖鎖の異常は中枢神経障害
を伴う先天性筋ジストロフィー症の原因となる。生化
学的に A<ジストログリカンの糖鎖不全として検出さ
れることから A<ジストログリカノパチーと総称され
る。O<,21 転移酵素は J つのサブユニット eL,-[ と
eL,-J の複合体として SM に局在し、ドリコールリン
酸マンノース(b%"<e<,21)を糖供与体として蛋白質の
Ser/Thr に Man を転移する。b%"<e<,21 合成酵素(be,)
は 3 つ の サ ブ ユ ニ ッ ト be,[、be,J、be,i か ら な
る複合体として SM に局在する。b%"<e<,21 は O<,21
型以外にも、N 型、N<,21 型、/eB<アンカー型糖鎖の
合成に利用されることから、be, の異常は広範囲の
糖鎖異常として重篤な症状を呈する先天性グリコシル
化異常症の原因となる。最近、A<ジストログリカノパ
チー様の症状を呈する DPM3 遺伝子の変異が報告され、
O<,21 型糖鎖の合成が選択的に抑制されていることが
示された。そこで、eL,-[D*J と be,i の複合体形成に
ついて検討した。免疫沈降法により eL,-[<eL,-J と
be,i が複合体を形成することが明らかとなった。b%"<
e<,21 の供給にはある種の制御機構が存在し、eL,の b%"<e<,21 利用機構に be,i が関与する可能性が考
えられる。
49efh
49eWe
バクテロイデス菌由来α-N -Acetylglucosaminidase
への糖鎖結合モジュール (CBM) 付与効果
ヒト膵リパーゼの大腸菌発現とその糖結合性
および脂質分解
○富田千尋 、楢館里奈 、樋上智子 、相川京子 、小川温子
1
1
1
[DJ
[DJ
お茶の水女子大学・院・人間文化創成科学研究科、
糖鎖科学教育研究センター
1
J
○土田明子 、藤田雅也 、森 昌子 、後藤浩太朗 、
1
1
J
J
弘瀬友理子 、大隅賢二 、野口真人 、正田晋一郎 、
3
1
芦田 久 、水野真盛
1
1
1
野口研・糖鎖有機、 東北大院・工、 近畿大・生物理工
1
T;:5,001%&-%7-4*&$5,*+1$-Y1:*0,-*&2-1+0-$*5D%/#25*+,9
D1&21&)-*&2-Y1:%"#+1$-G$+1<1+#
1
J
3
T77,$+0-%7-H]L-2%6*1&-%&-+/,-*D1"1+#-%7-R9Nacetylglucosaminidase from B. thetaiotaomicron
○N7'7'8%*-%@'42 D*M'12*^282(24) , Tomoko Higami ,
[DJ
[DJ
Kyoko Aikawa , Haruko Ogawa
○Akiko Tsuchida D*,2&2#2*T=m'42 , Masako Mori , Kohtaro Goto ,
1
1
J
3
Yuriko Hirose , Kenji Osumi , Hisashi Ashida , Masato Noguch ,
3
1
C7'1<'$7'8%*C7%(2 , Mamoru Mizuno
1
1
1
1
1
Grad. Sch. of Humanities and Sciences,
/"#$%&$')1$)*B1&4'4=4)D*L$721%@'9=*V1'?)8&'4#*
1
1
1
1
g2:6*%>*/"#$%<%8!6*-7)*^%!=$7'*B1&46D*
/82(6*C$76*%>*S1!'1))8'1!D*-%7%a=*V1'?6D*
3
T2$="4#*%>*h'%"%!#<L8')14)(*C$'6*21(*-)$76D*U'1a'*V1'?6*
J*
J*
Summary:*E)* ()?)"%5* 2* 1%?)"* )F58)&&'%1* 21(* 5=8'>'$24'%1*
&#&4)@*>%8*2$4'?)**8)$%@:'1214*7=@21*521$8)24'$*"'52&)*+8)$Xeg0*
using Escherichia coli and efficient folding procedure. The
&=!28<:'1('1!* 2$4'?'4#* 32&* ()@%1&4824)(* 3'47* &=!28<:'%4'1#"*
5%"#@)8*+he0*58%:)&*:#*SgBC.*>%8*eeg*21(*8)$XegD*&=!!)&4'1!*
4724*47)*$28:'7#(824)<:'1('1!*2$4'?'4#*'&*2*$%@@%1*58%5)84#*%>*
mammalian pancreatic lipases. This study indicated that several
!"#$%58%4)'1*()$8)2&)(*"'5%"#4'$*2$4'?'4')&*%>*eeg*21(*8)$Xeg*4%*
?28'%=&*)F4)146
Summary:*E)* 58)?'%=&"#* 8)5%84)(* 4724* Nh,* +$28:%7#(824)*
binding module) domain from clostridial* A<N<
acetylglucosaminidase play a significant role in increasing the
)19#@24'$*2$4'?'4#6*B1*47'&*&4=(#D*4%*'@58%?)*47)*2$4'?'4#*%>*A<N<
acetylglucosaminidase from B. thetaiotaomicron (AgnBT1),
3)*)1!'1))8)(*47)*Nh,<>=&)(*$7'@)82*)19#@)6*-7)*2(('4'%1*
%>* Nh,* (%@2'1&* 4%*.!1h-[* 8)&="4)(* '1* 1%4* %1"#* '1$8)2&'1!*
the hydrolytic activity of AgnBT1, but also helping the
4821&!"#$%&#"24'%1* 2:'"'4#* =&'1!* b,-<A</"$^.$* 2&* !"#$%&#"*
donor.
[背景と目的]
膵リパーゼは主要脂質分解酵素であり、脂質の腸内吸収
を導く。本研究室では、以前にブタ膵リパーゼ +eeg0 が特
定の糖に対する糖結合性をもち、糖タンパク質との結合に
よって脂質分解が抑制されることを発見した。本研究では
大腸菌を用いて、X'&<42! 標識、GST 融合、&48)5<42!‹ 標識
で 8)$Xeg の発現を試み、その糖結合性を検証し、さらに
糖と糖タンパク質による 8)$Xeg と eeg の酵素活性への影
響を解析した。
[実験と結果]
Xeg を C48)5<42!‹ 標識体として大腸菌発現、C48)5-2$4'1<
Sepharose を用いて精製後、フォールディング条件を検討
したところ、活性 8)$Xeg の調整に成功した。精製 8)$Xeg
について、糖 < ビオチニルポリマープローブとの結合性を
SgBC. 法で調べたところ、アミノ酸配列で \Hu の相同性
をもつ eeg と共通性のある糖結合活性が示された。アル
カリ滴定法により糖と糖タンパク質およびウシ血清アルブ
ミン (BSA) のリパーゼ酵素活性への影響を調べたところ、
8)$Xeg と eeg ともに単糖と糖鎖をもたない BSA では影響
が無かったが、糖タンパク質では阻害傾向が示された。
[結論と考察]
&48)5<42!‹ 標識で活性なリコンビナントヒト膵リパーゼ
+8)$Xeg0 の調製に初めて成功した。
糖結合性が 8)$Xeg と eeg に共通して見出され、哺乳類
膵臓リパーゼに共通の性質であることが示唆された。また、
糖タンパク質で活性が抑制された。糖結合性がリパーゼの
脂質分解活性調節に関与しているならば、その仕組みを解
明することにより脂質の消化吸収制御に役立てる可能性が
期待される。
ヒトやブタの胃腺粘液には GlcNAc が A 結合した糖鎖構
造が存在し、これらが抗ピロリ作用を有することが知ら
れている。したがって、このような A</"$^.$ 含有糖鎖を
調製することは抗ピロリ剤の新たな提供につながると考
えられる。我々はこれまでに、ヒトのヘパリン分解酵素
+^./gV0 のホモログとしてバクテリア由来 (C. perfringens
および B. thetaiotaomicron) の A</"$^.$ 水解酵素をクロー
ニングし、酵素の特性解析を行なってきた。C. perfringens
由 来 A<N<2$)4#"!"=$%&2@'1'(2&)*+.!1N0 が、 胃 線 粘 液 由 来
ムチン +N"2&&*BBB*@=$'10 上に存在する糖鎖構造 /"$^.$A<
[DY/2";< に対して特異的に作用することを既に報告した
[1]。また、.!1N の各種ドメインの機能について調べた
ところ、N 末端側にある複数の Nh,*+$28:%7#(824)*:'1('1!*
module) ドメインが N"2&&*BBB*@=$'1 特異的に結合し、酵素の
触媒機能を促進させることが推察された。そこで、.!1N
を用いた糖転移を試みたが、.!1N には糖転移能が認めら
れなかった。
一方、トリアジン型活性化基質 b,-<A</"$^.$ を糖供与
.!1N のホモログである AgnBT1 が、
体に用いることにより、
糖受容体 +/2"< 誘導体 ) に A</"$^.$ を転移させることを見
出している sJt。しかしながら、AgnBT1 はオリゴ糖分子へ
の糖転移能は高いものの、糖タンパク質糖鎖 (O</"#$210 へ
の糖転移能は著しく低い。そこで、Nh, 領域を持たない
AgnBT1 の機能向上を目的に、.!1N の Nh, 領域を付与さ
せたキメラ酵素 +.!1h-[<Nh,0 を作製し、その効果を検討
した。その結果、野生型 AgnBT よりも触媒能 (kcat/Km) が
向上し、且つ O<!"#$21 への糖転移能が優位に向上すること
が明らかとなった。
s[t*T=m'42*,6*)4*2"6*+JQ[[0D*J. Biol. Chem.D*J\PD*PYKZ<PY\Z
sJt*^%!=$7'*,6*)4*2"6*+JQ[J0D*Chem.Commun.D*Y\D*HHPQ<HHPJ
149
49eW>
49eWK
硫酸化GAGマイクロアレイの開発およびG
AGと成長因子/抗体との分子相互作用解析
○一宮智美、久松光湖、西原祥子
○高田 渉 、福島雅夫 、e)825721*e%472$728%)1 、
J
3
e82$7#2*U%1!423)")84 、菅原一幸
1
1
J
住友ベークライト(株)
、 チェンマイ大・医、 北大院・生命
1
J
硫酸化オリゴ糖に対するα1,3/1,4 フコース
転移酵素群の基質特異性の解析
3
Development of a sulfated glycosaminoglycan microarray
and analysis of molecular interactions between
glycosaminoglycans and growth factors/antibodies
創価大工生命情報
.(D0+5*+,-0:,$13$1+#-%7-R>?Ma>?@-7($%0#"+5*&07,5*0,0-+%sulfated oligosaccharide acceptor
○Wataru Takada D*,2&2%*T=a=&7'@2 D*e)825721*e%472$728%)1 ,
J
3
e82$7#2*U%1!423)")84 , Kazuyuki Sugahara
○-%@%@'*B$7'@'#2D*,'4&=a%*X'&2@24&=D*C7%a%*^'&7'7282
1
C=@'4%@%*h2a)"'4)*N%6*g4(6D*
b)546*h'%$7)@6D*T2$6*,)(6D*N7'21!*,2'*V1'?6D*
3
T2$6*.(?21$)(*g'>)*C$'6D*X%aa2'(%*V1'?6
b)546*%>*h'%'1>%6D*T2$6*%>*S1!6D*C%a2*V1'?6
Summary: We have developed a novel microarray
37)8)* ?28'%=&* /./&* 3)8)* '@@%:'"'9)(6* V&'1!* 47'&* /./*
microarray, interactions between growth factors/antibodies
2!2'1&4* /./&* 3)8)* )F2@'1)(6*-7)* 8)&="4&* 3)8)* '1* !%%(*
2!8))@)14*3'47*47)*8)5%84)(*&5)$'G$'4#*%>*)2$7*!8%347*>2$4%8]
antibody, suggesting that this GAG microarray is useful for
7'!7* 478%=!7<5=4* '14)82$4'%1* 212"#&)&* :)43))1* /./&* 21(*
functional proteins with minute amounts.
Summary:* C'F* 7=@21* A[Di][DY>=$%&#"4821&>)82&)&*
+A[Di][DYTV-D*TV-iD*YD*HD*PD*KD*Z0*&7%3*?28'%=&*&=:&4824)*
specificity and tissue distribution. Keratan sulfate is the
glycosaminoglycan which has repeating disaccharide
units, N<2$)4#""2$4%&2@'1)* =1'4&* +i/2";[<Y/"$^.$;[<06**
e8)?'%=&"#D* >=$%&#"24)(* %8* &'2"#"24)(* N<2$)4#""2$4%&2@'1)*
unit was found in human aggrecan keratin sulfate. Therefor
3)* 212"#9)(* 47)* &=:&4824)* &5)$'>'$'4')&* %>* TV-&* 4%* 47)*
1%1<&'2"#"24)(* 21(* &'2"#"24)(* &=">%<%"'!%&2$$728'()&* >%8*
()4)8@'124'%1*%>*47)*)19#@)&*4724*&#147)&'9)*g)3'&*214'!)1*
on keratin sulfate.
1
1
J
J*
グリコサミノグリカン(GAG)は様々な生体分子と
相互作用することによって多様な生命活動に関与して
おり、それゆえに GAG の分子相互作用は様々な手法で
研究されている。GAG の分子相互作用のスクリーニン
グをより高速、高感度、ハイスループットに行うために、
我々はコンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン等、
各種 GAG を固定化した新規なマイクロアレイを開発し
た。この GAG マイクロアレイにはスライドガラス状の
プラスチック基板が使用されており、その表面はメタ
クリル系ポリマーによるコーティングが施されている。
このポリマーには、GAG の還元末端に存在するアルデ
ヒド基と特異的に反応するアミノオキシ基と、アッセ
イ時のタンパク等の非特異吸着を防ぐリン脂質系モノ
マーが含まれているので、GAG を化学的に固定化し、
かつ非特異吸着が少ないマイクロアレイを作製するこ
とが可能である。
我々はこの GAG マイクロアレイを用いて各種成長因
子や抗体との相互作用を確認した。確認された反応特
異性は、これまでに報告されているものと合致してい
た。このことは、この GAG マイクロアレイが、GAG
と機能性タンパクとの相互作用を少量のサンプル量で
ハイスループットに解析するのに有用であることを示
しており、GAG の基礎研究だけでなく、GAG が関与
する代謝疾患の診断方法の開発に応用できる可能性も
あると思われる。
150
これまでに、6種類のヒト A[Di][DY フコース転移酵素
(TV-iD*YD*HD*PD*KD*Z)が単離され、種々のルイス抗原を
合成する活性が報告されている。ルイス抗原はシアル
酸や硫酸による修飾を受けるが、最後にフコースが付
加されることで合成が完了する。硫酸化はグリコサミ
ノグリカンに代表される硫酸化多糖において、成長因
子などとの相互作用に関与する事が知られており、タ
ンパク質の機能調節に重要であることが指摘されてい
る。硫酸化多糖の一種であるケラタン硫酸は +i/2";[<
Y/"$^.$;[<0 の N アセチルラクトサミンの繰り返し構
造をもち、かつ末端がフコースやシアル酸による修飾
を受ける事が報告されているが (1)、ケラタン硫酸末端
のルイス抗原の機能は全く未知である。これまでにシ
アル酸基質に対する各 TV- の特異性は報告されている
が、硫酸化基質に対する報告はまだない。本研究では
種々の硫酸化 / シアル化ポリラクトサミンを用いて硫酸
化オリゴ糖基質に対する TV-& の基質特異性を解析し、
ケラタン硫酸末端に存在するルイス抗原の合成に関与
する酵素について検討したので、これを報告する。
+[0*.6X6U6*e"22&D*et alD*/"#$%:'%"%!#D*KKZ<KZQ*+JQQ[0
49eWM
49eW@
96 ウェルプレートシステムを用いた糖鎖のハ
イスループット精製 / 標識の開発
ヒアルロン酸結合性タンパク質のヒアルロン
酸に対する結合強度比較
○阪口 碧、舩岡創平、島岡秀行、福島雅夫
○伊藤茂泰
住友ベークライト(株)
生化学工業
hW9B,""-/1)/-+/5%()/:(+-0#0+,6-7%5-:(513$*+1%&-*&2labeling of glycan
Comparative evaluation of interactions between
/#*"(5%&1$-*$12-*&2-1+0-D1&21&)-:5%+,1&0I
○,'(%8'*C2a2!=$7'D*C%7)'*T=12%a2D*X'()#=a'*C7'@2%a2D*
,2&2%*T=a=&7'@2
○C7'!)#2&=*B4%
C=@'4%@%*h2a)"'4)*N%6D*g4(6
CSBU./.UV*NLMeLM.-BL^
Summary:*E)*72?)*()?)"%5)(*2*1)3*&#&4)@*>%8*5=8'G$24'%1*
and labeling of glycan using polymer beads 'BlotGlyco®'.
-7'&*&#&4)@*'&*:2&)(*%1*ZP<3)""*5"24)*>%8@24*21(*1%4*8){='8)&*
special equipment to perform. By using our novel system,
3)*$21*58)528)*ZP*"2:)")(<!"#$21*&2@5")&*&'@="421)%=&"#6*
Also, this system is amenable to automation and will make a
&'!1'G$214*$%148':=4'%1*4%*47)*{=2"'4#*$%148%"*%>*!"#$%58%4)'1*
pharmaceuticals.
Summary:*B14)82$4'%1*%>*7#2"=8%1'$*2$'(*+X.0*3'47*X.<:'1('1!*
protein has been evaluated systematically using Biacore 3000
&#&4)@6* C'!1'>'$214* ('>>)8)1$)* %>* X.<:'1('1!* 2>>'1'4#* 2@%1!*
47)* '1?)&4'!24)(* 58%4)'1&* 3)8)* %:&)8?)(* '1* 47)* %8()8* -C/<
P•.!!8)$21*/[<Bb/</J•NbYY6*-7'&*>'1('1!*$%="(*:)*7)"5>="*
for understanding of physiological role and turnover of HA, as
3)""*2&*>%8*()&'!1'1!*%>*47)'8*&5)$'G$*'17':'4%8&6
バイオ医薬品は次世代の医薬品として現在盛んに開
発されている。翻訳後修飾の一つである糖鎖修飾はタ
ンパク質の生理活性や高次構造に影響を与えることが
知られており、糖タンパク医薬品の製造工程を管理す
る上で糖鎖の均一性確認は重要な項目の1つとなる。
こういった状況から、糖鎖分析の需要が日々高まって
きている。
®
北海道大学との共同研究で開発した BlotGlyco は高
密度にヒドラジド基が導入されたポリマービーズであ
り、糖鎖のみを選択的かつ網羅的に捕捉回収し、糖鎖
以外のあらゆる莢雑物を容易に排除できる。さらに、
糖鎖回収後、J.h などの任意の標識が可能なため、高
速液体クロマトグラフィー分析や質量分析といった
種々の糖鎖分析の前処理法として有用である。本手法
はこれまで主にチューブを反応容器として用いるプロ
トコルを展開してきた。しかし、糖タンパク医薬品の
品質管理を目的にした場合、人の手による操作では、
厳密な時間管理、扱える数の限界、熟練度などの個人
差などが懸念されるため、多検体をハイスループット
で処理できるプロトコルが望まれていた。そこで我々
は、新たに 96 ウェルフォーマットで一連の操作が可能
®
な BlotGlyco システムを開発を行い、専用装置を導入
することなく、糖鎖の精製ラベル化のハイスループッ
ト化が可能なシステムを確立した。本発表では 96 ウェ
ルシステムの詳細及び本システムで得られるデータに
ついて紹介する。
ヒアルロン酸(HA)は脊椎動物において、結合組織の
構造成分として存在するとともに、免疫細胞の接着を仲介
するなど、広範な生物学的機能を担っている。これらの機
能は、HA 結合性タンパク質の組織における発現、局在お
よび結合強度などと密接に関わっており、上記タンパク
質と HA の相互作用を解明することは、HA の生物学的機
能を理解するうえでも重要である。これまで様々な手法に
よる HA 結合性タンパク質の相互作用解析が報告されてい
る [0DJ0 が、同一プラットフォーム上にて HA に対する結合
強度を比較した例はない。そこで、表面プラズモン共鳴を
用い、HA 結合性タンパク質である NbYY、アグリカン /[<
Bb/</J ドメインおよび -C/<P の HA に対する結合強度の
比較を試みた。
表面プラズモン共鳴測定装置として Biacore 3000(GE
Healthcare)を使用した。M%12"( らの方法 3) に従って還元
末端をビオチン化させた 30 kDa の HA を、センサーチッ
プ N[ 上にアミンカップリングにて固定化させたストレプ
トアビジン上に流すことで、HA 固定化チップを作製した。
各タンパク質の解離定数は hB.)?2"=24'%1*&%>4328)*Y6[6[ を
用いて算出した。その結果、本測定系にていずれのタンパ
ク質も HA に対する結合性を示し、またその結合強度の強
さを比較することが可能であった。ここで得られた知見は、
HA の生体内機能の理解を促進するばかりでなく、これら
タンパク質の機能制御による創薬にも有用と考えられる。
1) Kawashima, H. et al6D*+JQQJ0*J. Biol. Chem.*JKKD*[JZJ[<[JZiQ
J0*U'1%&7'42D*,6*et al6D*+JQQH0*J. Chromatogr. B*\[PD*J\Z<JZH
i0*M%12"(D*B6E6*et al6D*+JQQJ0*Anal. Biochem6*i[QD*[ZZ<JQK
151
49eWf
49eWW
Glycan Kernel Tool:カーネル法を用いた糖
鎖の特徴的構造抽出のためのウェブツール
メガリン上に発現する N -型糖鎖の役割
○阿久根幸恵、木下聖子
○平野 真 、戸谷希一郎 、鈴木明身
創価大院工
1
1
1
J
成蹊大理工、 東海大糖鎖研
J
!"#$*&-g,5&,"-Q%%"[-*-B,D9D*0,2-+%%"-7%5-)"#$*&feature selection using a kernel method
Role of N-glycans of megalin, an endocytic receptor,
in the ligand-binding activity
○W=a')*.a=1)D**U'#%a%*T6*.%a'<U'1%&7'42*
○Makoto Hirano , Kiichiro Totani , Akemi Suzuki
/82(6D*C$7%%"*%>*S1!6D*C%a2*V1'?6
1
1
1
J
b)546*,24)8'2"*|*g'>)*C$'6D*T2$="4#*C$'6*|*-)$71%"6D*C)'a)'*V1'?6D*
B1&46*/"#$%&$')1$)D*-%a2'*V1'?6
J*
Summary:* E)* 72?)* ()?)"%5)(* 2* 4%%"* >%8* )F482$4'1!*
distinguishing substructures between two glycan structure
data sets, called Glycan Kernel Tool, which is available in
MB^/CD*2*3):*8)&%=8$)*%>*!"#$21*212"#&'&*4%%"&6**N%@528)(*
to traditional methods, our tool can obtain the same results
in just a few minutes. We illustrate the validity of this tool
by using glycan profiling data of mouse brain cells and a
a1%$a%=4*&2@5")*2&*21*)F2@5")6
質 量 分 析(MS) や MS/MS 解 析 を 通 じ て サ ン プ ル
から得た多量の糖鎖構造を視覚的判断のみによって構
造比較やプロファイリングすることは大変困難であ
る。これらの膨大なデータから有意な情報を迅速かつ
正確に抽出することは、さらなる研究解析や医療研究
のための重要な役割を果たすと考える。そのため、本
研究では多量の糖鎖構造から特徴的な糖鎖部分構造を
抽出するための機械学習ツール “Glycan Kernel Tool” の
開発及び有用性の検証を行った。まず、マウス系統
NHKhg]P の脳細胞より抽出された糖鎖構造 +e288#*)4*2"6D*
JQQK0 から、T=$-*B_ 及び _BB をノックアウトした場合
の糖鎖データ HQ 個をターゲットデータに、野生型の糖
鎖データ YK 個をコントロールデータに入力した。これ
ら2つのサンプルを比較分類した結果、最も特徴的な
糖鎖部分構造として c^)=.$*AJ<i]P*/2"*;[<Y*+T=$*A[<i0*
/"$^.$*;[<Y*,21d が出力された。これはマンノースに
;[rY 結合するシアリルルイス ` 構造であり、文献にお
いてもこの構造は確認されている +e288#*)4*2"6D*JQQK0。し
かし、本ツールでは同構造を数分で得ることができた。
このツールは MB^/C*+.a=1)*)4*2"6D*JQ[Q0*にて公開されて
いる。
152
Summary: Magalin, an endocytic receptor, absorbs
structurally and functionally distinct protein ligands.
,%")$="28* @)$721'&@&* =1()8"#'1!* "'!21(<:'1('1!* 2$4'?'4#*
remain unclear. We focused on N<!"#$%&#"24'%1*%>*@)!2"'1*
21(*7#5%47)&'9)(*4724*('>>)8)14*!"#$%>%8@&*%>*@)!2"'1*)F'&4*
21(*72?)*('>>)8)14*"'!21(<:'1('1!*2$4'?'4')&6*E)*8)5%84*4724*
58%F'@2"* $%1?%"=4)(* 4=:=")* +eN-0<* 21(* 58%F'@2"* &482'!74*
4=:=")* +eC-0<&5)$'>'$* !"#$%>%8@&* %>* @)!2"'1* )F'&4* '1* 47)*
a'(1)#*21(*eN-<!"#$%>%8@*:'1(&*@%8)*&48%1!"#*4%*8)4'1%"<
:'1('1!*58%4)'1*2&*2*"'!21(*4721*eC-<!"#$%>%8@6
メガリンは分子量約 600 kDa の一回膜貫通型糖タン
パク質である。腎臓をはじめ、肺、子宮などの上皮組
織に発現し、構造的にも機能的にも多彩なタンパク質
リガンドを細胞内に取り込む機能をもつ。4 つのリガン
ド結合領域を含む細胞外領域には 30 カ所の N<型糖鎖付
加のポテンシャルサイトが存在する。一般的に、糖タ
ンパク質には組織特異的なグライコフォームが存在す
ると考えられている。我々は、メガリンにも組織特異
的なグライコフォームが存在し、糖鎖によってリガン
ド結合能が制御され、それぞれの組織で必要なリガン
ドを取り込むように機能修飾がなされていると考えた。
本研究では、マウス腎臓近位尿細管の曲部には gN. と
直部には WGA が認識するメガリンのグライコフォー
ムが存在することを示した。蛍光標識リガンドをマウ
ス腹腔内に投与したところ、アルブミンは曲部および
直部近位尿細管の両方で吸収され、Mhe は曲部でのみ
吸収された。gN. または WGA カラムで精製したメガ
リングライコフォームのリガンド結合能を解析すると、
アルブミン結合能はほぼ同等であったが、gN. で得ら
れたグライコフォームの方が WGA で得られたものに
比べ、Mhe 結合能は約 3 倍高かった。これらの結果は
腎臓におけるリガンドの吸収結果と一致する。以上の
結果から、N<型糖鎖はメガリンのリガンド結合能を修
飾することが示唆された。
49eWb
49eWc
グリコサミノグリカンのデータベース及び解
析システムの開発
乳腺上皮細胞の上皮間葉転換におけるヘパラ
ナーゼの発現抑制
○河東田武夫、木下聖子
○東 伸昭 、小金裕介 、中島元夫 、入村達郎
創価大工学部
1
1
1
J
1
J*
東京大院薬・生体異物、 ChB ファーマ(株)
Development of a glycosaminoglycan database and
analysis system
Downmodulation of heparanase expression on the process of
epithelial-mesenchymal transition of mammary epithelial cells
○-2a)%*U24%(2D*U'#%a%*T6*.%a'<U'1%&7'42
○Nobuaki Higashi , Yusuke Kogane , Motowo Nakajima ,
1
-24&=8%*B8'@=82
T2$="4#*%>*S1!'1))8'1!D*C%a2*V1'?)8&'4#
1
S u m m a r y : We h a v e c o n s t r u c t e d a d a t a b a s e a n d
analysis system that enables the statistical analysis of
glycosaminoglycans (GAGs) in various samples, as retrieved
>8%@* 47)* "'4)824=8)* 21(* $%""2:%824'%1&6* M)$)14"#D* 3)* 72?)*
added an improved data input interface such that the
)F5)8'@)142"*58%$)(=8)&*>%8*58)528'1!*47)*212"#9)(*&2@5")&*
can be recorded together with the raw GAG ratio data.
Moreover, GAG structures can now be represented such that
&=">24'%1*&'4)&*$21*:)*&5)$'G)(6
Summary:* M)!="24%8#* )F58)&&'%1* %>* 7)528212&)D* 2* a)#*
glycosidase involved in degradation of basement membrane
7)52821* &=">24)* 58%4)%!"#$21D* 32&* )F2@'1)(* '1* )5'47)"'2"*
$)""&* =1()8!%'1!* )5'47)"'2"<4%<@)&)1$7#@2"* 4821&'4'%16*
,=8'1)*@2@@28#*)5'47)"'2"*$)""*"'1)&*48)24)(*3'47*-/T<;i*
(%31@%(="24)(*7)528212&)*)F58)&&'%1*'1*@M^.*21(*58%4)'1*
levels, which were consistent with reduced degradation of
radiolabeled heparan sulfate in the basement membrane by
the cell lysate.
本研究の目的のひとつは様々な生体試料におけるグ
リコサミノグリカン (GAG) の統計解析ができるデータ
ベースの構築である。近年 gN],C により様々な生物の
GAG の組成に関するデータが蓄積されてきたが、我々
の知る限り、そのようなデータの統合解析はほとんど
行われていない。GAG を構成する糖のデータが蓄積さ
れてきた今、GAG 構造に何らかの法則を見出せるよう
なデータベースの存在が求められている。このため我々
は、様々な生物及び臓器における、GAG を構成する二
糖の構造とその割合を格納するデータベースを開発し
た。現在はヘパラン硫酸 (HS) を対象としてデータを格
納している。そして解析システムにより指定した生物
及び臓器における統計結果を動的にグラフで表示でき
る。また、異なる生物間における GAG 組成の比較も
行える。これにより、生物種間での糖データ比較から、
簡単ではあるが特徴が観察された。更なる解析プログ
ラムやデータ登録の追加によって、より詳細な特徴が
浮かび上がってくると考えられる。さらに、インター
ネットを通してデータベースに自由に接続し、データ
の統計解析を行うためのウェブインターフェースも開
発した。このデータベースに、研究者にとってよりデー
タを投稿しやすくなるよう、さらに改良を加えた。ウェ
ブインターフェースはより見やすく、使いやすくなり、
格納できる糖構造の形式も硫酸基の位置を特定できる
形式を追加した。
【目的】ヘパラナーゼは基底膜などのヘパラン硫酸プロ
テオグリカンの糖鎖部分を切断する、ほ乳類唯一のエ
ンドグリコシダーゼである。細胞が浸潤能を獲得する
変化として上皮間葉転換 (EMT) に着目し、ヘパラナー
ゼの発現変化を検討した。
【方法】不死化乳腺上皮細胞である NMuMG、?<X2<82&
発現 S5XY*+S5M2&0* を -/T<;i 存在下で培養し、ヘパラ
ナーゼの @M^. 発現をリアルタイム eNM で、タンパク
iH
質発現をサンドイッチ SgBC. で、活性を [ Ct< 標識基
底膜分解活性でそれぞれ測定した。
【結果】NMuMG 細胞は -/T<;i 存在下で培養すること
により、形状が紡錘型に変化するとともに、上皮系マー
カー S<$2(7)8'1 の発現低下と間葉系マーカー ^<$2(7)8'1
の発現上昇を示した。この細胞におけるヘパラナーゼ
発現は、@M^.、タンパク質、基底膜分解能のいずれ
においても無処理の細胞に対して顕著に低下した。発
現低下は S5M2& にも共通に認められ、また S<$2(7)8'1
の発現低下と同様の -/T<;i 濃度依存性、時間変化を示
した。このときマトリックスメタロプロテアーゼの発
現は -/T<;i により @M^.、酵素活性ともに上昇して
いた。EMT の過程でヘパラナーゼの発現が低下すると
いう予想外の現象を見いだした。発現抑制の分子機構
とその意義について検討を進める。
1
1
J
-7)*V1'?)8&'4#*%>*-%a#%*D*J*ChB*e728@2$)=4'$2"&*N%6D*g4(6
153
49eWh
糖鎖プライマー法によって得られた糖鎖ライ
ブラリーの LC-MS での構造解析
複数の糖鎖構造から特徴を可視化する Web
ツール開発
○平井美和、佐藤智典
○細田正恵、木下聖子
慶大理工
創価大院工
YH9L.-*&*"#010-%7-0+5($+(5,0-%7-*&-%"1)%0*$$/*512,library obtained by saccharide primer method
N,<,"%:6,&+-%7-*-B,D-+%%"-+%-<10(*"1F,-)"#$*&structure patterns
○Miwa Hirai, Toshinori Sato
○,2&2)*X%&%(2D*U'#%a%*T6*.%a'<U'1%&7'42
U)'%*V1'?6
Grad. School of Eng., Soka univ.
Summary: An oligosaccharide library was constructed by
2(@'1'&4824'1!* &2$$728'()* 58'@)8&* 4%* 21'@2"* $)""&6* B1* 47'&*
&4=(#D*47)*212"#&)&*%>*$28:%7#(8)4)*&48=$4=8)*32&*$28')(*gN<
,C6*B&%@)8&*%>*"2$4%&2@'1)*21(*&'2"#""2$4%&2@'1)*%:42'1)(*
>8%@*&)?)82"*a'1(&*%>*$)""&*3)8)*$%1?)1')14"#*'1()14'G)(*:#*
gN<,C6
Summary: Our research aim is to elucidate glycan
recognition patterns using bioinformatics. We developed
47)* ,N.E* 4%%"* >%8* ?'&=2"'9'1!* $%@@%1* &=:&48=$4=8)&* '1*
multiple glycans. We analyzed a glycan data set based on
:'1('1!*2>G1'4#*(242*37'$7*3)*%:42'1)(*>%8*!"#$21*2882#*(242*
%>* C'!")$<T* >8%@* 47)* NT/6*.&* 2* 8)&="4D* 3)* $%="(* $%1>'8@*
4724*1%4*%1"#*^)=.$*AJ<iD*:=4*2"&%*/2"*;[<Y*32&*2*$%@@%1*
&=:&48=$4=8)*:'1('1!*4%*C'!")$<T6
「糖鎖プライマー法」によりオリゴ糖鎖の合成を行う
事で糖鎖ライブラリーの構築を目指しており、すでに
140 種類以上のオリゴ糖鎖を得ることに成功している。
そこで得られた糖鎖ライブラリーを用いて gN<,C 測定
を行い、溶出時間の差や糖加水分解酵素による基質特
異性を用いて構造解析を行った。更に MS/MS スペクト
ルを解析することで構造様式に依存的な特徴のあるス
ペクトルを見出し、J 糖間の結合様式を決定することに
成功した。
ラクトサミン型については、NLCK 細胞において溶出
時間の異なる J 種類の構造異性体が検出されているこ
とに注目し、標準物質となる /2";[<Y/"$^.$* 誘導体の
エレクトロスプレーイオン化質量分析*+SCB<,C0*を測定
し、両者の MS/MS スペクトルを比較することで J 種類
の構造異性体の結合様式を決定した。またシアリルラ
クトサミン型については、Xg<PQ 細胞により合成され
る ^)=.$</2" 間の結合様式の異なる生成物を用いて検
討した。溶出時間の異なる構造異性体が検出され、MS/
MS スペクトルパターンを解析することで構造異性体の
結合様式を決定した。それぞれ、結合様式に依存的な
フラグメントを見いだす事で、種々の細胞腫で得られ
た糖鎖の結合様式を簡便に決定する事ができた。
謝辞:本研究の一部は独立行政法人新エネルギー・
産業技術総合開発機構の「糖鎖機能活用技術開発」の
助成によって行われた。
154
49ebe
本研究では複数の糖鎖構造から、共通する特徴を
見つけられる ,N.E と呼ぶ Web ツールを開発した。
,N.E は各糖鎖同士を比較し、同じ単糖や結合をな
るべく揃えて、結果を可視化する 。実行する際、糖
鎖構造の入力は US//*/gWN.^ で扱われている UNT
形式になっており、さらに糖鎖構造比較の計算をする
際のスコアを設定できるようになっている。実行結果
は、比較計算を行い揃えられた単糖と結合情報をセッ
トに糖鎖プロファイルとして、割合を表記し図として
可視化するようにした。ツールの検証のために、NT/
糖鎖アレイデータの C'!")$T と糖鎖の結合親和性データ
を用いた。高い親和性を示した糖鎖構造を選び、親和
性の値に応じて相対的に糖鎖構造の入力数を調節して
,N.E を実行した。C'!")$T の糖鎖認識にはシアル酸の
AJ<i 結合とガラクトース ;[<Y が関わっていると示唆さ
れる結果が得られ、文献と同様の結果であった。
49eb>
49ebK
GalNAc-Ser 骨格を有する糖鎖プライマーの
合成及び細胞での糖鎖伸長反応
○高橋良尚 、川上宏子 、水野真盛 、佐藤智典
1
1
*J
*J
1
慶應大院理工、 野口研究所
J*
.#&+/,010-%7-0*$$/*512,-:516,5-/*<1&)-!*"OG$9.,5core and sugar glycosylation reaction in cells
1
*J
*J
○Yoshihisa Takahashi , Hiroko Kawakami , Mamoru Mizuno ,
1
Toshinori Sato
1
U)'%*V1'?6D*J*-7)*^%!=$7'*B1&4'4=4)
Summary: The construction of O<!"#$21* "':828#* =&'1!*
/2"^.$<-78* 4#5)* &2$$728'()* 58'@)8* 72&* :))1* $288')(* %=46*
B1* 47'&* &4=(#D* 2* 1)3* &2$$728'()* 58'@)8* 72?'1!* /2"^.$<
Ser core to obtain novel O<!"#$21*"':828#*32&*&#147)&'9)(6*
Glycosylation products were obtained by the administration
%>*47)*&2$$728'()*5)8'@)8*4%*$)""&D*21(*212"#9)(*:#*gN<,C]
MS. The products were compared with them obtained by
/2"^2$<-7)*4#5)*&2$$728'()*58'@)86
真核細胞の分泌タンパク質や膜タンパク質の多くは
糖鎖修飾されており、これらの糖鎖がタンパク質の機
能や構造制御に深く関わっている。その中でも主要な
糖鎖であるムチン型 O<グリカンは、タンパク質のセリ
ン (Ser) 若しくはスレオニン (Thr) 残基に結合した構造
を持ち、免疫反応やがん化といった様々な生体現象に
関係している。現在、ムチン型 O<グリカンの種類とア
ミノ酸配列の関係が調べられているが、糖タンパク質
の解析は煩雑な操作が必要なため研究の妨げとなって
いる。そこで本研究では、ムチン型 O<グリカンの獲得
に「糖鎖プライマー法」という手法を用いた。糖鎖プ
ライマー法とは、糖鎖生合成前駆体の模倣化合物 ( 糖
鎖プライマー ) を培養細胞に投与する事で、細胞の糖
鎖生合成経路を反映した糖鎖を簡便に獲得できる手法
である。これまでに、O<グリカンのタンパク質との結
合部分である /2"^.$<-78 を骨格に持つ糖鎖プライマー
を用いて、O<グリカンライブラリーが構築されてきた。
本研究ではまず、O<グリカンが結合するもう一方のア
ミノ酸 Ser を有する /2"^.$<C)8 型糖鎖プライマーを合
成 し た。/2"^.$<C)8 型 糖 鎖 プ ラ イ マ ー と /2"^.$<-78
型糖鎖プライマーを細胞に投与し、得られた糖鎖を比
較する事で O<グリカンとアミノ酸の関係を検討した。
その結果、これらの糖鎖プライマーから異なる種類の
糖鎖を得る事ができた。
マ ン ソ ン 住 血 吸 虫 Schistosoma mansoni
由来糖タンパク質糖鎖の合成研究
○靜間悠志、羽田紀康、木内文之
慶應大薬
Synthetic studies on oligosaccharides of glycoprotein
from Schistosoma mansoni
○X'&2&7'*C7'9=@2D*^%8'#2&=*X2(2D*T=@'#=a'*U'=$7'
T2$="4#*%>*e728@2$#D*U)'%*V1'?)8&'4#
Summary:* B1* %=8* 58)?'%=&* 8)5%84&D* 3)* &#147)&'9)(* &%@)*
glycosphingolipids and their derivatives found in Schistosoma
mansoni6*B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*3'""*('&$=&&*47)*&#147)4'$*
studies on oligosaccharides of glycoproteins from the
5282&'4)&6*-7)*428!)4*%>*47)*&#147)&'&*'&*2*7)F2%"'!%&2$$728'()*
having two difucosyl groups.
【目的】無脊椎動物由来複合糖質の糖鎖合成研究の一環
として、これまでにマンソン住血吸虫より見出された
新規 6 種類の糖脂質および 6 種類の非還元末端オリゴ
糖鎖の合成を報告してきた。今回、新たに同寄生虫由
来の糖タンパク質糖鎖を合成目標とした。糖脂質およ
び糖タンパク質の両方の糖鎖構造を合成することによ
り、患者血清に対するより特異性の高い抗原性を見出
すことが期待できる。
【方法・結果】コアとなる GalNAc および GlcNAc のア
ミノ基の保護はこれまで関連糖誘導体合成においてト
ロック基を用いてきたが、脱保護時に収率の低下が著
しかったため、今回はフタルイミド基を用いた。また、
GlcNAc アノマー位の脱離基には様々なプローブを縮合
できるように JDP< ジメチルフェニルチオ基を選んだ。
一方、フコース供与体はイミデート体 2 をデザインし、
誘導した。現在、六糖への縮合を検討している。
155
49ebM
49eb@
標的細胞特異的レクチンリガンド探索を目指
した糖鎖ミミック多量体の合成とその評価
生体内水分子による溶媒効果を考慮した方法
に基づく抗体−糖鎖間の相互作用解析
○下山敦史、大澤 祥、外川 泉、湯浅英哉
○能登 香 、小山裕佳 、鷹野景子
東工大院生命理工
1
1
J
JDi
北里大学一般教育、 お茶大院人間文化創成科学、
お茶大糖鎖科学教育研究センター
J
3
Synthesis of a multivalent sugar chain mimetic and their
*00*#-+%-0$5,,&-+/,-+*5),+-$,""-0:,$13$-",$+1&-"1)*&20
Q/,%5,+1$*"-0+(2#-%&-+/,-1&+,5*$+1%&-D,+B,,&-X8A9>antibody 2G12 and glycans by large-scale quantum
chemical calculations considering solvation effects
○.4&=&7'*C7'@%#2@2D*C7%*L&232D*B9=@'*C%4%a232D*X'()#2*W=2&2
○U2%8'*V)1%<^%4% , Yuka Koyama , Keiko Takano
Grad. School of Biosci. and Biotech., Tokyo Tech.
1
1
J
JDi
N%"")!)*%>*g':)82"*.84&*21(*C$')1$)&D*U'42&24%*V1'?)8&'4#*
/82(=24)*C$7%%"*%>*X=@21'4')&*21(*C$')1$)&D*L$721%@'9=*V1'?)8&'4#
3
-7)*/"#$%&$')1$)*B1&4'4=4)D*L$721%@'9=*V1'?)8&'4#
J*
Summary: As the part of a screening system for the target
cell specific lectin ligands, we suggested the use of an
easily and rapidly preparable sugar chain mimetic with an
ethylene glycol spacer. The synthesized sugar chain mimetic
and monosaccharide units were conjugated with citric acid
and resultant multivalent sugars were evaluated by a novel
@%1%$#4)*$)""<2!!8)!24'%1*2&&2#6
当グループではアップコンバージョン発光を示すラ
ンタニドナノ粒子と H<アミノレブリン酸を併用したガ
ンの近赤外光線力学治療法の開発を目指している。ガ
ン組織にはマンノースレセプターを多く発現している
腫瘍関連マクロファージが蓄積することに着目し、ナ
ノ粒子表面を高親和性、高特異性レクチンリガンドに
より被覆することで、粒子のガン組織選択性および生
体適合性の向上を目指している。この際、いかに簡便
かつ迅速に適切なレクチンリガンドをスクリーニング
できるかが大変重要となる。
本研究においては、まず、その構造の多様性から天
然からの単離精製および、化学的合成が容易ではない
天然型糖鎖に代わり、より簡便に調製可能なレクチン
リガンドとしてエチレングリコールスペーサーを用い
た糖鎖ミミック 5 の合成方法の構築を行った。次に、
クエン酸を担体とした単糖および、糖鎖ミミックの多
量体 (1q4) を調製し、これらを用いた単球細胞株の凝集
アッセイを行うことで単糖、糖鎖ミミックと細胞の親
和性、特異性の評価を試みたので報告する。
Summary:*T2:<J/[J*72&*:))1*8)5%84)(*4%*:'1(*4%*b<>8=$4%&)*
&48%1!)8* 4721* 47)* %8'!'12"* "'!21(D* b<@211%&)6* X%3)?)8D*
()42'"&*%>*47)*"'!21(<214':%(#*'14)82$4'%1*8)@2'1*=1$")286*-%*
)"=$'(24)*47)*('>>)8)1$)*'1*47)*'14)82$4'%1D*3)*5)8>%8@)(*T,L*
$2"$="24'%1&* %1* 47)* T2:<J/[J* 21(* b<@211%&)]b<>8=$4%&)*
$%@5")F)&6*C%"?24'%1*)>>)$4&*3)8)*2"&%*)?2"=24)(*:#* eN,*
2&* 3)""* 2&* STe* @)47%(&6*E)* >%=1(* 4724* 324)8* @%")$=")&*
%:&)8?)(*'1*47)*$8#&42"*&48=$4=8)&*5"2#)(*&'!1'G$214*8%")*'1*47)*
"'!21(<214':%(#*'14)82$4'%16
ヒト抗体*J/[J の T2: 領域は本来認識すると考えられ
る*b<マンノースよりも、b<フルクトースにより強く結
合する実験結果が報告されている [1]。本研究は、抗体
の糖鎖認識機構の解明を目的として、特に生体内水分
子が抗原 — 抗体間の相互作用に与える影響に着目し、
高精度大規模量子化学計算を用いて糖鎖 < 抗体間の親
和性の違いを定量的に解析した。
b<フルクトース、b<マンノースがそれぞれ結合する
J/[J+T2: 領域 ) の複合体の ` 線結晶構造解析データ
+ebhk[LeiD*iL.W0 について、,eJ レベルのフラグメン
ト分子軌道法 +T,L 法 ) による量子化学計算を行った。
さらに、溶媒分子をそれぞれ一つのフラグメントとし
て考慮する方法、溶媒を連続誘電体モデルで考慮する
T,L]eN, 法 sJt、さらに溶媒分子を静電(多電子展開)、
分極、電子相関交換反発、電荷移動の項からなるポテ
ンシャルにより表現する T,L]STe 法 [3] による計算を
行った。糖鎖 — 抗体間の相互作用に水分子が関与して
いることが明らかになった。結果の詳細は当日報告す
る。
s[t*U6*f6*b%%8)&*)4*2"6*e^.C*[QKD*[K[QK*+JQ[Q06
sJt*b6*/6*T)(%8%?*)4*2"6*f6*N%@5=46*N7)@6*JKD*ZKP*+JQQP06
sit*-6*^2!242*)4*2"6*f6*e7#&6*N7)@6*[i[D*JY[Q[*+JQQZ06
156
49ebf
49ebW
Henry 反応を鍵反応とする D-glucose から
の (+)-pancratistatin の簡便合成
○赤井昭二 、小島 勝 、山内駿祐 、中村 豊 、佐藤憲一
1
J
1
J
Endo-M を用いる擬似糖ペプチドの合成
1
神奈川大工、 新潟薬大応用生命
1
J
○伊藤優樹 、苫米地祐輔 、稲津敏行
1
1
G-$%&$10,-0#&+/,010-%7-UlV9:*&$5*+10+*+1&-75%6N9)"($%0,-7,*+(51&)-+/,-X,&5#-5,*$+1%&I
*J
*[DJ
東海大・工、 東海大・糖鎖科研
J
.#&+/,010-%7-40,(2%-!"#$%:,:+12,0-P01&)-T&2%9L
1
J
1
○Shoji Akai, Masaru Kojima, Yhunsuke Yamauchi,
J
1
Yutaka Nakamura, *U)1<'$7'*C24%
1
*J
*[DJ
○W=a'*B4% , Yusuke Tomabechi D**-%&7'#=a'*B129=
1
1
U212!232*V1'?*%>*T2$="4#*%>*S1!'1))8'1!n*
^''!242*V1'?*%>*e728@2$#*21(*.55"')(*g'>)*C$')1$)&
C$7%%"*%>*S1!6D*-%a2'*V1'?6D*J*B1&46D*%>*/"#$%&$')1$)D*-%a2'*V1'?6*
J*
Summary:*.* $%1$'&)* &#147)&'&* %>* +l0<521$824'&424'1* +eC-0* '&*
described. The key nitrocyclitol compound for the synthesis
%>* eC-* 32&* 58)528)(* >8%@* b<!"=$%>=821%&)* ()8'?24'?)* 3'47*
2* N<28#"* !8%=5* )@5"%#'1!* 47)* '1482@%")$="28* X)18#* 8)2$4'%16*
b'2&4)8)%&)")$4'?)*'148%(=$4'%1*%>*2*N<28#"*@%')4#*32&*2$7')?)(*
using the Michael addition of arylcuprate to a key sugar
1'48%%")G16
ハワイ原産のユリ目植物より単離された +l0<e21$824'&424'1*
(1) は、腫瘍細胞の成長を著しく抑制することから注目さ
れている天然アルカロイドの 1 つであり [1]、精力的に 1
および類縁体の合成研究が行われている sJt。しかしなが
ら、NJ<NY アナログ体に関する研究はほとんどなされてお
らず、構造−活性相関のさらなる研究に向けてより効率的
かつアナログ体の合成法が望まれている。今回演者らは、
1 の新規合成法として b</"=$%&) から Henry 反応を鍵反応
とするルートを検討した。
b</"=$%&) から定法によって 6 工程で 2 を収率良く得た。
別途 %<_21'""'1 より合成した 3 と 2 との Michael 付加反応
を行い 4 を選択的に得た。得られた 4 に対し今度は分子内
Henry 反応を行って選択的に環化が進行したニトロサイク
リトール 5 を得た。さらに 5 のニトロ基をアミノ基へと還
元、次いで芳香環部分と環化して三環性化合物へと導いた
後、既報 [3] に従い 1 の合成を達成した +[K 工程、総収率
8% )。
s[t*e)44'4D*/6*M6*)4*2"6D*f6*^246*e8%(6*[Z\YD*YKD*[Q[\n*&))*8)>)8)1$)&*
$'4)(*'1*sJt*e)44'4D*/6*M6*)4*2"6D*f6*^246*e8%(6*JQQPD*PZD*Kn*sit*,2!1=&D*e6*
)4*2"6D*f6*.@6*N7)@6*C%$6*[ZZ\D*[JQD*HiY[6
Summary:*E)* &#147)&'9)(* 5&)=(%* !"#$%2@'1%* 2$'(* +T@%$<
..+b7:0<LX0*:#*47)*8)2$4'%1*%>*b7:<LX*21(*47)*&'()*$72'1*
%>*g#&*%8*L816 V&'1!*47)&)*5&)=(%*!"#$%2@'1%*2$'(&D*5&)=(%*
!"#$%5)54'()&*3)8)*&#147)&'9)(*:#*47)*&%"'(<572&)*@211)86 B1*
47)*$2&)*%>*g#&+b7:0*()8'?24'?)*3)*%:42'1)(*^<!"#$21*@%('G)(*
5)54'()* :#* 47)* 4821&!"#$%&#"24'%1* 8)2$4'%1* =&'1!* S1(%<,6 However, no transglycosylated product was observed using
pseudo glycopeptide derived from Orn.
構造が明確な糖タンパク質を合成する技術として Mucor
hiemalis 由 来 の )1(%<;<N<2$)4#"!"=$%&2@'1'(2&)+S1(%<,0 を
用いる糖鎖転移反応は有用な手法である。S1(%<, は ^<
結 合 型 糖 鎖 の /"$^.$</"$^.$ 部 分 を 加 水 分 解 す る 酵 素
であるが、反応系内に GlcNAc 誘導体を共存させるとそ
の 4 位水酸基に天然の糖鎖を転移する事ができる。我々
は S1(%<, が GlcNAc の 4,6 位水酸基間の [Di<ジオール構
造を認識していることを明らかにした。そこで本研究では
GlcNAc 誘導体の代わりに [Di<ジオール構造を有するアミ
ノ酸 ( 擬似糖アミノ酸 ) をペプチドに組込み、S1(%<, に
よる糖鎖転移反応によって糖鎖修飾ペプチドの合成を検
討した。まずカルボキシル基を持つ [Di<ジオール誘導体と
して +JR0<JDY<b'7#(%8F#:=421%'$*2$'(*+b7:<LX0 を合成した。
これを側鎖にアミノ基を有するアミノ酸 +g#&D*L810 へ導入
し J 種類の擬似糖アミノ酸を合成した +T'!6*[0。次に生理
活 性 ペ プ チ ド _258)%4'()*+X<b<e7)<N#&<-#8<b<-85<g#&<_2"<
N#&<-85<^XJ) の H 位のリジン残基を擬似糖アミノ酸に置換
した擬似糖ペプチドを常法に従い固相合成した。得られた
擬似糖ペプチドを S1(%<, を用い糖鎖転移反応を行ったと
ころ、g#& 由来の擬似糖ペプチドは糖鎖転移反応が進行し
たが、Orn 誘導体では全く進行しなかった。この結果から、
S1(%<, は [Di<ジオール構造を認識するだけではなく、[Di<
ジオール構造周辺の立体的空間を要求しているものと示唆
された。
157
49ebb
49ebc
糖鎖プライマー法を用いた C 型肝炎ウイルス
のゲノム複製に寄与する糖鎖の解析
⃝山口順也 、片野直哉 、鈴木哲朗 、佐藤智典
1
1
1
J
1
慶應大院理工、 浜松医大
J
Analyses of Glycans Contributed to Genome Replication
%7-X,:*+1+10-H-A15(0-P01&)-.*$$/*512,-4516,5-L,+/%2
1
1
*J
○f=1#2*W2@2!=$7' , Naoya Katano , Tetsuro Suzuki ,
1
Toshinori Sato
1
U)'%*V1'?6D*J*X2@2@24&=*V1'?6*%>*,)('$'1)
Summary: The contribution of glycans to genome replication
%>* 7)524'4'&* N* ?'8=&* +XN_0* 32&* 212"#9)(6*-7)* )F58)&&'%1*
of glycans and glycosyltransferases in cells related to the
'1>)$4'%1* %>* XN_6*-7)* !"#$21* :'%&#147)4'$* 524732#* '1* 47)*
cells were analyzed using saccharide primer method. The
&48=$4=8)&* %>* !"#$%&#"24)(* 58%(=$4&* 3)8)* 212"#9)(* :#* gN<
,C6*B4*32&*>%=1(*4724*&)?)82"*!"#$21&*8)"24)(*4%*8)5"'$24'%1*%>*
XN_*8)5"'$%16
N 型肝炎ウイルス +XN_0 はヒトの肝細胞に感染し、
慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行する。現在肝がん
患者の約 \Qu は N*型肝炎が原因であると言われている。
近年ではインターフェロン・リバビリン併用治療によ
り治癒率が向上してきているが、難治性患者の多い日
本での治癒率は HQu 程度に留まっており、XN_*の新し
い治療法の研究が急務となっている。
XN_ のゲノム複製はオルガネラ膜が関与しているこ
とが報告されている。そこで本研究では、糖脂質がゲ
ノム複製に関与しているという仮説を立てた。細胞に
発現している糖鎖生合成経路を解析する方法として、
単糖やアミノ糖の還元末端をアルキル基で修飾したド
デシルグリコシド(糖鎖プライマー)を細胞に投与し、
細胞の持つ糖鎖生合成経路を利用して糖鎖を伸長させ
る糖鎖プライマー法を用い、XN_*M^. を持続複製して
いる細胞やヒト肝がん細胞である X=7<K 細胞における
糖鎖伸長生成物を解析し、糖鎖の種類と発現量の比較
解析を行った。生成物の構造解析は、高速液体クロマ
トグラフィーとエレクトロスプレーイオン化 r 質量分
析法を組み合わせた gN<,C を用いて行った。検出した
生成物の中で、特定の糖鎖構造を有する生成物が XN_*
M^. 持続複製細胞において著しく減少していた。減少
が見られた生成物の糖加水分解酵素処理による構造の
特定、8)2"<4'@)*eNM による糖転移酵素の発現量を調べ
ることにより、XN_*M^. の複製を抑制する糖鎖構造を
見出した。
158
人工糖脂質被覆リポソームを用いた C-型レク
チン受容体(CLR)の機能評価
○川内暢子、黒田泰弘、小島直也
東海大学工学部生命化学
C(&$+1%&*"-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-H9+#:,-",$+1&-5,$,:+%50UHYJ0V-(01&)-&,%)"#$%"1:1209$%*+,2-"1:%0%6,0
○Yoko Kawauchi, Yasuhiro Kuroda, Naoya Kojima
.55"')(*h'%$7)@'&48#D*-%a2'*V1'?)8&'4#
Summary: We characterized the carbohydrate preferences
%>* CB/^M[D* CB/^MiD* 21(* g21!)8'1* 2&* 5247%!)1<=542a)*
8)$)54%8&* :2&)(* %1* =542a)* %>* 1)%!"#$%"'5'(&<$%24)(*
"'5%&%@)&6*-7)&)*NgM&*@)('24)(*=542a)*%>*"'5%&%@)&*$%24)(*
with neoglycolipids with terminal mannose and GlcNAc.
X%3)?)8D*=542a)*?'2*CB/^Mi*21(*g21!)8'1*8){='8)(*2*@=$7*
higher carbohydrate density on liposomes, compared to
=542a)*?'2*CB/^M[6*L=8*(242*2"&%*'1('$24)*4724*NgM&*3'47*
&'@'"28*$28:%7#(824)<8)$%!1'4'%1*$7282$4)8'&4'$&*72?)*('&4'1$4*
58%5)84')&* 2&* 5247%!)1<=542a)* 8)$)54%8&* >%8* $28:%7#(824)<
decorated particles.
抗原提示細胞に特異的に発現している NgM は病原体
の取り込みに重要な機能を果たしているため、NgM の
病原体取り込み受容体としての機能評価は、新規ワク
チン構築のためにも必要不可欠である。しかし病原体
取り込み受容体としての機能評価については菌体ある
いは菌体由来の多糖の取り込みによって評価されてい
るに過ぎないため、取り込みにおける詳細な糖鎖構造
の選択性についは不明な点が多い。そこで、本研究で
はマンノース認識 NgM であり、類似の糖鎖認識特異性
を有する CB/^M[D*CB/^Mi および g21!)8'1 の取り込み
受容体としての機能を、糖鎖構造がはっきりしている
人工糖脂質を様々な割合で含む直径1}@ のリポソーム
を用いて比較検討した。その結果、これら NgM はとも
にマンノースと GlcNAc を有する人工糖脂質で被覆し
たリポソームを取り込んだが、CB/^Mi*および g21!)8'1
は CB/^M[ よりも高い糖鎖の表面密度を必要とした。
F
また、CB/^M[ は g) 糖鎖で被覆したリポソームを取り
込むが X<型糖鎖で被覆したリポソームは取り込まない
F
のに対して、CB/^Mi* および g21!)8'1 は g) よりも X<
型糖鎖で被覆したリポソームを優先的に取り込む等、
NgM 間でマンノースとフコースを含む糖鎖で被覆され
た粒子の取り込みの優先性に明確な違いが見られた。
49ebh
顕微鏡装置と質量分析装置を用いて糖脂質の
機能および構造を解析する
49ece
構造の異なる種々の硫酸化多糖の抗酸化活性
の比較
○樺山一哉、小島寿夫
○鰺坂勝美、松尾啓太、長谷川丞、横山達也、阿川紗由里、
宮崎達雄
東海大・糖鎖研
新潟薬科大、応用生命科学部
Analyses of function and structure of glycosphingolipids
using microscopy and mass spectrometry
Antioxidative activity of various sulfated
polysaccharides
○Kazuya Kabayama, Hisao Kojima
○U24&=@'*.m'&2a2D*U)'42*,24&=%D*f7%*X2&)!232D*
Tatsuya Yokoyama, Sayuri Agawa, and Tatsuo Miyazaki
B1&46*%>*/"#$%&$')1$)D*-%a2'*V1'?6
^''!242*V1'?6*%>*e728@6*21(*.55"')(*g'>)*C$'6
Summary:* B4* 72&* :))1* &=!!)&4)(* 4724* "'5'(* @'$8%(%@2'1*
enriched in cholesterol and sphingolipids could play an
important rule in many cellular processes. We study about
the mechanism which molecular composition change in
lipid microdomain influence localization and signaling of
membrane receptors. Now, we try to analyze function and
structure of glycosphingolipids using optics technology
and mass spectroscopy for elucidation the rule of lipid
microdomain.
Summary:*.14'%F'(24'?)*2$4'?'4#*%>*&)?)1*a'1(&*%>*>=$%'(21*
obtained from different brown seaweeds and five kinds
of chondroitin sulfate were investigated by three different
@)47%(&n* beeX* 82('$2"* &$2?)1!'1!* 2$4'?'4#D* CLb<"'a)*
2$4'?'4#D*21(*7#(8%F#"*82('$2"*&$2?)1!'1!*2$4'?'4#6*."47%=!7*
clear relationship was not observed between the structure
21(*214'%F'(24'?)*2$4'?'4#D*>=$%'(21&*>8%@*La'1232@%9=a=*
2 1 ( * B & 7 ' @ % 9 = a = * 2 1 ( * 47 % & ) * > 8 % @ * X 2 1 2@ % 9 = a = * 2 1 (*
B4%@%9=a=*&7%3)(*&'@'"28*58%>'")&*8)&5)$4'?)"#6*,%8)%?)8D*
)?)8#* >=$%'(21* &7%3)(* 7'!7)8* 214'%F'(24'?)* 2$4'?'4#* 4721*
chondroitin sulfates..
脂質ラフトの機能や構造を解析するにあたり、現時
点における幾つかの問題点と解決策を提示する。
一点目として、一般的な免疫電顕法では膜脂質を固
定できないという問題である。我々は、免疫電顕法に
よりインスリン受容体の糖脂質による局在変化を観察
することで、間接的ではあるが糖脂質マイクロドメイ
ンの積極的な関与を実証した。
二点目として密度勾配遠心法による界面活性剤不溶
性画分の分離法だけでは、脂質ラフトを論じる上で総
括的な解釈が難しいことがある。我々は解決策の一つ
として、生化学的なデータに加えて蛍光顕微鏡を用い
たライブセルイメージングにより実態に迫ろうと考え
ている。具体的には糖脂質を再構成した細胞や、蛍光
標識した膜受容体発現株などを用いて、糖脂質の組成
およびコレステロールの細胞膜含有量を制御すること
が膜流動性や受容体の動態および活性にどのように影
響するのかを、共焦点走査型レーザー顕微鏡を用いて
検証した。
三点目は糖脂質マイクロドメイン画分の界面活性剤
が -LT<,C による糖脂質の解析を妨げている点である。
我々は最近、界面活性剤と糖脂質を簡便に分離する方
法を確立し、,.gbB<•B-<-LT*,C での解析に成功した。
さらにこの方法を応用し、脂肪組織や脂肪細胞でのト
リグリセリド(TG)の除去に応用できるのかを検討し
た。その結果、効率良く TG を除去することにも成功し、
質量分析により ([\k[ を長鎖塩基とする中性糖脂質の分
子種を検出することができた。
近年、フコイダン、コンドロイチン硫酸、アガロオ
リゴ糖、キトサンオリゴ糖など、いくつかの糖質が抗
酸化活性を示すという報告が相次いでいる。我々はそ
の中で、硫酸化多糖であるフコイダンとコンドロイチ
ン硫酸に注目して、硫酸基の数あるいは結合位置と抗
酸化活性の間に何らかの相関があるのかという点につ
いて研究を行っている。フコイダンの起源として、ケ
ルプ、ガゴメ昆布、ナガモ、および4種類のモズク(沖
縄モズク、イトモズク、ハナモズク、イシモズク)を
選び、コンドロイチン硫酸の起源としては、サケ軟骨、
サメ軟骨、ウシ気管軟骨、ブタ気管軟骨、クジラ軟骨
由来のものを選んだ。一方、抗酸化活性測定法としては、
beeX ラジカル消去法、SOD 様活性測定法、ヒドロキ
シラジカル消去活性測定法を用いた。まず構造が明ら
かになっているフコイダンについて、抗酸化活性と構
造の関係を比較したが、相関を見い出すには至ってい
ない。ただ、沖縄モズクとイシモズク、およびイトモ
ズクとハナモズクはそれぞれ類似の活性のプロファイ
ルを示し、構造との関係を覗わせる結果が得られた。
一方、コンドロイチン硫酸については、2糖繰り返し
構造の分布は明らかになっているため、硫酸基の結合
位置および硫酸基の数と抗酸化活性の大きさの間の相
関については現在検討中である。興味あることに、い
ずれの活性測定法においても、フコイダンの方がコン
ドロイチン硫酸よりも高い活性を示した。
159
49ec>
フルオラスイミノ糖を有機触媒として用いた
不斉マイケル付加反応
1,3-ジアキシャル構造を有する糖誘導体のエ
ンド開裂反応におけるルイス酸の効果
○安野喜明、小島 勝、武内征司、中村 豊
○伊藤祐介、小島 勝、武内征司、中村 豊
新潟薬大・応用生命科学
新潟薬大・応用生命科学
G0#66,+51$-L1$/*,"-*221+1%&-$*+*"#F,2-D#-E(%5%(0iminocarbohydrates
Y,B10-*$12-,77,$+0-%&-+/,-,&2%$#$"1$-$",*<*),-%7pyranosides bearing axial substituents at C1 and C3
○Yoshiaki Yasuno, Masaru Kojima, Seiji Takeuchi,
Yutaka Nakamura
○W=&=a)*B4%D**,2&28=*U%m'@2D*C)'m'*-2a)=$7'D*W=42a2*^2a2@=82
^''!242*V1'?)8&'4#*%>*e728@2$#*21(*.55"')(*g'>)*C$')1$)&
^''!242*V1'?)8&'4#*%>*e728@2$#*21(*.55"')(*g'>)*C$')1$)&
Summary:**M)$)14"#D*3)*('&$%?)8)(*4724*iDP<('()%F#<iDP<
iminoglucofuranose derivatives act as organocatalysts on
an asymmetric Michael addition to give the corresponding
adducts in high chemical yields and high enantioselectivities.
B1* 47'&* &4=(#D* 3)* )F2@'1)(* 47)* 2&#@@)48'$* ,'$72)"*
2(('4'%1*%>*$#$"%7)F21%1)*4%*;<1'48%&4#8)1)*=&'1!*>"=%8%=&*
iminocarbohydrates as recyclable organocatalysts. The
j=%8%=&*'@'1%$28:%7#(824)*$242"#9)(*47)*8)2$4'%1*'1*324)8*4%*
!'?)*,'$72)"*2((=$4*'1*ZZu*#')"(*3'47*syn / anti*p*ZikK*21(*
KK*u))6
Summary: We recently found that a combination of
e7hN" Jand Et3C'X* 48'!!)8)(* 21* )1(%<%5)1'1!* 8)2$4'%1* %>*
5#821%&)* 8'1!* %>* @)47#"* A<b<2""%5#821%&'()&D* 8)&="4'1!* '1*
21**2442$7@)14*%>*47)*7#(8'()*'%1*24*N<[*%>*47)*$28:%7#(824)&6*
B1* 47'&* &4=(#D* 3)* '1?)&4'!24)(* g)3'&* 2$'(* * )>>)$4&* %1* 47)*
)1(%*$")2?2!)*%>*5#821%&'()&*:)28'1!*2F'2"*&=:&4'4=)14&* 24*
N[*21(*Ni6*E7)1*_+L0+L->0J*32&*=&)(*2&*2*g)3'&*2$'(D*47)*
reaction proceeded smoothly at rt to give the desived acyclic
$%@5%=1(*'1*\Pu*#')"(6
最近、演者らは iDP<ジデオキシ<iDP<イミノフラノース
誘導体を不斉マイケル付加反応の有機触媒に用いると、
高収率かつ高エナンチオ選択的に対応する付加体が得
1
られることを明らかにした 。一方、長鎖パーフルオロ
アルキル基を有するフルオラス化合物は、フルオラス
固相抽出 +TCeS0 を用いることで、試薬などの有機化合
物から簡便に分離することができる。このようなこと
から、前述のイミノフラノース誘導体にパーフルオロ
アルキル基を導入すれば、反応混合物から触媒を簡便
に回収できると考えた。そこで本研究では、フルオラ
スイミノ糖の合成、触媒活性の評価ならびに回収・再
利用について検討した。
まず、ジアセトングルコースから合成した iDP<ジデ
オキシ<iDP<イミノフラノースの H 位水酸基にパーフル
オロオクチル +N8T[K) 基を有するフルオラスベンゾイル
基を導入し、フルオラスイミノ糖 +b< グルコ型 k*1、g<
イド型 k*2) を調製した。1 及び 2 の触媒活性は、シクロ
ヘキサノンと ;< ニトロスチレンを用いた不斉マイケル
付加反応によって評価した。その結果、1 を用い、水中
で不斉反応を行うと、対応する付加体が収率 ZZu、syn
/ anti*p*ZikK、KK*u)) で得られた。現在、反応条件の更
なる検討と TCeS を用いた触媒の回収・再利用について
の検討を行っており、その結果も合わせて報告する。
1) 小島 勝 第 30 回日本糖質学会年会*e<Q[K
160
49ecK
最近、我々は 4,6-O-ベンジリデン-A-D-アロピラノシ
ド誘導体に対して、低温条件下で e7hN"J と Et3SiH を作
用させると、ベンジリデンアセタール基の還元的開裂
反応だけでなく、環内酸素とアノマー炭素の結合が切
断されるエンド開裂が進行し、直鎖化合物が得られる
1)
ことを見出した 。さらに、このエンド開裂によって生
じたオキソカルベニウムイオンに対し、求核剤として
グリニャール試薬を作用させることにより、1 位炭素上
J0
で炭素―炭素結合を構築することにも成功している 。
しかし、e7hN"J 以外のルイス酸を用いた場合、このエ
ンド開裂反応が進行するか調査していない。そこで今
回、著者は [Di<ジアキシャル構造を有する糖誘導体の
エンド開裂反応におけるルイス酸の効果について検討
を行った。
ま ず、 比 較 的 入 手 し や す い ル イ ス 酸 で あ る _+L0
(OTf)J、hT3・EtJO、+$<N6H11)JBOTf、+N6TH)3B を用いて、
メチルA-D-アロピラノシド誘導体のエンド開裂反応を
_+L0+L->0J と BH3・-XT を用いた場合、
試みた。その結果、
室温でエンド開裂反応が進行し、対応する直鎖化合物
が最も良好な収率 \Pu で得られた。本発表ではこれら
の詳細な検討結果について報告する。
1) U%m'@2D*,*n*^2a2@=82D*W*n*B4%D*W*n*-2a)=$7'D*C6*,%")$=")&D*
JQ[[D*[PD*[QiQi<[Qi[i6
J0*小島 勝 他、第 30 回日本糖質学会年会要旨集、
e<Q[P、p.80.
49ecM
49ec@
o -キシリレンリンカーを介した分子内カップ
L-アラビノイミノフラノースをベースとした
食後過血糖改善薬のデザイン合成研究
リングによるカルバマルトースの合成研究
○館田尚家、宮崎達雄、鰺坂勝美
○加藤 敦 、林 恵利奈 、中川進平 、足立伊佐雄 、
J
J
J
3
3
中込 泉 、小関 準 、広野修一 、名取良浩 、今堀龍志 、
3
3
吉村祐一 、 高畑廣紀
新潟薬大院・応用生命科学
1
1
1
1
1
富山大病院薬、 北里大薬、 東北薬大
J
3
G-0+(2#-%&-0#&+/,010-%7-$*5D*9=9N96*"+%0,-+/5%()/1&+5*6%",$("*5-$%(:"1&)-%7-+B%-$*5D*9=9N9)"($%0,moieties with 6,6'-o-xylylene linker
Design, synthesis, and biological evaluation of
&%<,"-Y9*5*D1&%161&%7(5*&%0,-2,51<*+1<,0-*0-*&+19
postprandial hyperglycemia drugs
○Naoya Tateda, Tatsuo Miyazaki, Katsumi Ajisaka
○Atsushi Kato , Erina Hayashi , Shinpei Nakagawa D*B&2%*.(2$7' ,
J
J
J
J
B9=@'*^2a2!%@) D**f=1*U%&)a' , Shuichi Hirono , Yoshihiro Natori ,
3
3
3
-24&=&7'*B@27%8' , Yuichi Yoshimura , Hiroki Takahata
/82(6* C$7%%"* %>* ^''!242* V1'?6* %>* e728@2$#* 21(*.55"')(* g'>)*
Sciences
1
Summary:*N28:2&=!28&D*'1*37'$7*47)*8'1!*%F#!)1)*24%@*%>*
the parent sugar moiety has been replaced by a methylene
=1'4D*28)*2*>2@'"#*%>*$28:%7#(824)*@'@'$&6*M)$)14"#D*3)*72?)*
)&42:"'&7)(*47)*)>>'$')14*&#147)&'&*%>*H2<$28:2<;<b<!"=$%&)*
+YK*u*#')"(*%?)8*\*&4)5&0*>8%@*J<()%F#<scyllo<'1%&%&)*+bLB0*
obtained by the bioconversion using metabolically engineered
E. coli6*X)8)'1D*3)*28)*!%'1!*4%*8)5%84*47)*&#147)&'&*%>*$28:2<
;<b<@2"4%&)D* >)24=8'1!*47)*'1482@%")$="28*$%=5"'1!*%>*43%*
$28:2<;<b<!"=$%&)*@%')4')&*3'47*o<F#"#")1)*"'1a)86
Summary: We report the catalytic asymmetric synthesis of
A<[<C<2"a#"<g<282:'1%'@'1%>=821%&)* 21(* 47)'8* :'%"%!'$2"*
)?2"=24'%1* 2&* 214'<5%&45821('2"* 7#5)8!"#$)@'2* (8=!&6*-7)*
catalytic asymmetric synthesis was accomplished by asym<
metric allylic alkylation, ring closing metathesis, and Negishi
$8%&&*$%=5"'1!*2&*a)#*8)2$4'%1&6*L=8*&4=(#*8)?)2")(*4724*A<[<
C<2"a#"<g<282:'1%'@'1%>=821%&)*32&*2*5%4)14*A*<!"=$%&'(2&)*
inhibitor and it fully suppressed hyperglycemia. The effective
dose of this compound was 10 times lower than that of migli<
tol.
近年、我々は組換え大腸菌により大量合成した J<デ
オキシ<scyllo<イノソース +bLB0 を鍵原料としたカルバ
糖の系統的合成法を検討してきた。これらカルバ糖は
糖とよく似た立体構造をとっているが、水溶液中で変
旋光を示さないので相当する単糖の A 体または ; 体の
ミミック分子として機能する物質である。そのため、
これまで糖質関連酵素の基質認識機構を解明するため
の分子ツールとして利用されてきた。また報告例は少
ないもののカルバ糖を非還元末端部分や還元末端部分
に有する糖鎖の合成も達成されている。特に非還元末
端アナログは相当するエキソ型糖加水分解酵素に対し
て安定性を有する。しかしながら、これまでカルバ糖
のみを構成単位とする糖鎖ミミック分子は、生体内に
おいて糖代謝酵素に耐性を有することに加えて、アル
デヒド基をもたないため非酵素的なメイラード反応に
対しても安定性を有することが期待できるにもかかわ
らず、合成されていない。そこで、我々は bLB から高
収率にて容易に合成できるカルバ<;<b<グルコースを原
料としたカルバ<;<b<マルトースの合成に着手した。カ
ルバ糖同士を繋ぐ反応は、アノメリック位にトリフレー
ト基を有するカルバグルコースに対して、4 位にヒドロ
キシ基を有するカルバグルコースを求核試薬として作
用させる SNJ 反転反応を利用した。本発表では、PDPx<o<
キシリレンリンカーを用いた分子内カップリング反応
を鍵工程とするカルバマルトースの合成について述べ
る。
1
1
1
1
b)5284@)14*%>*X%&5'42"*e728@2$#D*V1'?)8&'4#*%>*-%#2@2D*21(*
C$7%%"*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*U'42&24%*V1'?)8&'4#D*
3
T2$="4#*%>*e728@2$)=4'$2"*C$')1$)&D*-%7%a=*e728@2$)=4'$2"*V1'?)8&'4#
J*
【目的】単糖の構造を擬態したイミノ糖は、生体内の様々
なグルコシダーゼおよびグルコシルトランスフェラー
ゼに対してオキソカルベニウム様アナログとして作用
し、これら酵素を阻害することが知られている。その
ためイミノ糖誘導体は、種々の疾患に対する新たな医
薬品候補として期待されている。今回我々は、新たな
糖尿病治療薬の開発を目的として、g<アラビノース型
アルキルイミノフラノース誘導体の触媒的不斉合成法
の開発と食後過血糖改善薬としての評価を行ったので
報告する。
【結果および考察】誘導体の合成法として、sp3N-sp3N
根岸クロスカップリング反応により、ヨウ素化体に種々
のアルキル側鎖を導入する触媒的不斉合成法を確立し、
ライブライリー構築を行った。一連の化合物群につい
て、ラット小腸由来 A<グルコシダーゼに対する酵素阻
害作用の測定を行ったところ、特に [<N<ブチル体に、
既存薬を上回る優れた酵素阻害作用(BNHQ 値 k* マルタ
ーゼ Q6J*},k*イソマルターゼ*Y6K*},k*スクラーゼ Q6QiJ*
},)が認められた。また、本化合物は、ミグリトール
とは異なり、腹部膨満感や下痢など副作用発現の原因
となるラクターゼ阻害活性を示さなかった。更に、ddy
系雄性マウスを用いた糖負荷試験においても本化合物
投与群は、陽性対照であるミグリトールの約 1/10 量で
食後過血糖を有意に抑制した。以上の結果から、本化
合物は、より低濃度で高血糖を抑えるとともに、副作
用発生リスクが少ない次世代型の食後過血糖改善剤と
なりうると考えている。
161
49ecf
49ecW
転写因子 Sp1 の発現制御によるβ-1,4-ガラ
クトース転移酵素 I 遺伝子発現の変化
ヘパラン硫酸 6 位硫酸基転移酵素の発現を誘
導するシグナル伝達経路の解明
○佐藤武史、古川 清
○西田光貴 、永見圭太郎 、金丸義敬 、矢部富雄
長岡技科大・生物系・糖鎖生命工学
1
1
3
.(::5,001%&-%7-=9>?@9!*"Q-8-),&,-,;:5,001%&-1&A549 human lung carcinoma cells by knockdown of
transcription factor Sp1
3
3
岐阜大院・連農・生物資源、 岐阜大院・応生科・資源生命、
岐阜大・応生科・応用生命
J
Signaling pathway in the expression of heparan
sulfate 6-0-sulfotransferase-1
○-2a)&7'*C24%D*U'#%&7'*T=8=a232
○Mitsutaka Nishida , Keitaro Nagami , Yoshihiro Kanamaru ,
3
Tomio Yabe
g2:%824%8#*%>*/"#$%:'%"%!#D*^2!2%a2*V1'?)8&'4#*%>*-)$71%"%!#
1
V1'46*/82(6*C$76*%>*.!8'$6*C$'6D*/'>=*V1'?6D* J* Grad. Sch. of Appl.
h'%"6*C$'6D*/'>=*V1'?6D*3 T2$46*%>*.55"6*h'%"6*C$'6D*/'>=*V1'?6
Summary:*-7)*@2"'!1214*5%4)14'2"&*%>*C5[<a1%$a(%31*.HYZ*
$)""&* ()$8)2&)(* 3'47* $721!)&* '1* 47)* ;<[DY<!2"2$4%&#"24'%1*
%>* ^<!"#$21&6* C'1$)* 47)* !)1)* )F58)&&'%1* %>* ;<[DY</2"-* B*
2@%1!*&'F*;<[DY</2"-&*%1"#*()$8)2&)(*&'!1'G$214"#*:#*C5[<
a1%$a(%31D*'4&*@)$721'&@*32&*)F2@'1)(*:#*>%$=&'1!*%1*'4&*
58%@%4)8*8)!'%16*g=$'>)82&)*2&&2#*&7%3)(*4724*2*&'!1'G$214*
58%@%4)8* 2$4'?'4#* '&* 2&&%$'24)(* 3'47* 47)* 8)!'%1D* <HQQ]<[D*
$%142'1'1!*43%*C5[<:'1('1!*&'4)&D*37'$7*@2#*:)*'1?%"?)(*'1*
the transcriptional regulation of the gene.
Summary:* B4* 72&* :))1* =1$")28* 7%3* 47)* )F58)&&'%1* %>*
)19#@)&*4724*&#147)&'9)*7)52821*&=">24)*'&*$%148%"")(6*B1*47'&*
&4=(#D*3)*)F2@'1)(*2*&'!12"*4821&(=$4'%1*'1*47)*)F58)&&'%1*%>*
7)52821*&=">24)*P<L<&=">%4821&>)82&)<[*+PLC-<[0*'1(=$)(*:#*
2(8)12"'1)*2(@'1'&4824'%1*4%*@%=&)*G:8%:"2&4*$)""&6*E)*>%=1(*
4724*47)*)F58)&&'%1*%>*PLC-<[*'&*&4'@="24)(*:#*2(8)12"'1)*?'2*
C8$*21(*SMU[]J*&'!12"'1!*524732#6
私たちは、Sp1 をノックダウンした .HYZ ヒト肺癌細
胞では、^<型糖鎖のガラクトシル化の変化を伴って腫
瘍形成能や細胞運動能が低下することを見出した。こ
の糖鎖修飾の変化の背景にある ;<[DY<ガラクトース転
移酵素*+;<[DY</2"-0*遺伝子の発現の変化を解析したとこ
ろ、;<[DY</2"-*B* 遺伝子の発現だけが有意に低下した。
本研究では、;<[DY</2"-*B 遺伝子のプロモーター領域に
着目して、Sp1 のノックダウンによる ;<[DY</2"-*B 遺伝
子の発現の低下の分子メカニズムの解明を試みた。デー
タベースに登録のある塩基配列に基づいてプライマー
を作製し、eNM 法によってヒトゲノム DNA から ;<[DY<
/2"-*B 遺伝子の Hv< 上流領域を単離した。この遺伝子を
ルシフェラーゼ遺伝子の上流に繋ぎ、レポータープラ
スミドを作製した。このプラスミドを .HYZ 細胞に導入
して、プロモーター活性を測定した。その結果、プロ
モーター領域を組み込んでいないプラスミドを導入し
た場合と比べて、開始コドンから Hv< 上流領域*+<HQQ]<[0*
を組み込んだプラスミドを導入した場合に、約 JQ 倍高
いプロモーター活性が検出された。この領域には J 箇
所*+<JiK]<JJKD*<J[i]<JQY0*に Sp1 結合部位が存在するので、
現在これらの Sp1 結合部位に Sp1 が結合するかどうか
を解析している。
162
J
1
J
3
ヘパラン硫酸 (HS) 糖鎖は、硫酸化構造を変化させる
ことで生理機能の調節に関与するが、硫酸化修飾を行
う酵素群の発現を調節するシグナル伝達経路について
は、ほとんど未解明のままである。そこで本研究では、
アドレナリンに応答して神経成長因子を分泌するマウ
ス線維芽細胞 +g<, 細胞 ) をモデルにして、HS 硫酸基
転移酵素の発現を誘導するシグナル伝達経路について
詳細に検討した。
アドレナリンを g<, 細胞に添加すると、細胞表面上
の HS 量に変化は認められない。しかし、HS 硫酸化構
造を二糖単位で分析すると、非硫酸化二糖の割合が減
少して 6 位硫酸化二糖の割合が有意に増加した。そこで、
アドレナリン添加時の 6 位硫酸基転移酵素 +P<LC-<[0 の
@M^. 発現量を調べたところ、添加 90 分後に発現量が
増加していた。この @M^. 発現量の増加は、;i アドレ
ナリン受容体阻害剤と Src 阻害剤、SMU[]J 阻害剤によっ
て、完全に阻害された。さらに、SMU[]J 阻害剤をアド
レナリン添加前に与えることにより、アドレナリンが
誘導する 6 位硫酸化二糖の増加を完全に抑制すること
を確認した。
以上より、アドレナリンの刺激に応答して細胞表面
の 6 位硫酸化 HS を増加させる P<LC-<[ の発現は、Src
および SMU[]J 経路により調節されていることが示唆さ
れた。
49ecb
49ecc
DDS を指向した糖修飾コレステロールの合成
と糖修飾リポソームの機能評価
○植木章晴 、美濃由佳 、運 敬太 、吉田 允 、川上 茂 、
[DJ
1
3
JDi
[DJ
安藤弘宗 、石田秀治 、山下富義 、橋田 充 、木曽 真
[DJ
1
3
3
3
岐阜大学・応用生物、 京都大学・'N),C、 京都大学・薬
1
J
3
.#&+/,010-%7-O%<,"-!"#$%0#"*+,2-H/%",0+,5%"0-*&2-T<*"(*+1%&%7-!"#$%9$%*+,2-Y1:%0%6,0-7%5-4%01+1<,-Q*5),+1&)-1&-NN.
新規 Sia α2-3 糖鎖検出プローブ
○山口真帆、左 一八、鈴木 隆
静県大薬生化学
G-&,B-.1*RK9M-2,+,$+1%&-:5%D,
○.a'728=*V)a' , Yuka Mino D*U)'42*V1 , Mitsuru Yoshida ,
3
[DJ
1
Shigeru Kawakami , Hiromune Ando D*X'()728=*B&7'(2 ,
3
JDi
[DJ
T=@'#%&7'*W2@2&7'42 , Mitsuru Hashida , Makoto Kiso
○Maho Yamaguchi, Kazuya Hidari, Takashi Suzuki
1
b)546*%>*.55"')(*h'%%8!21'$*N7)@'&48#D*/'>=*V1'?6D*
B1&4'4=4)*>%8*B14)!824)(*N)""<,24)8'2"*C$')1$)&D*U#%4%*V1'?6D*
3
b)546*%>*b8=!*b)"'?)8#*M)&)28$7D*U#%4%*V1'?6
b)546*h'%$7)@6D*V1'?6*C7'9=%a2D*C$76*e728@6*C$'6
Summary:**e8)?'%=&"#D*3)*()?)"%5)(*!"#$%<$%24)(*$24'%1'$*
liposomes as DDS carriers, and evaluated their abilities of
selective targeting to various liver cells.
Here, we report the synthesis of novel glycosylated
cholesterols as targeting constituents of liposomes, and the
>=1$4'%12"* )?2"=24'%1* %>* 47)* $%88)&5%1('1!* !"#$%<$%24)(*
"'5%&%@)&6*-7)&)*"'5%&%@)&*&7%3)(*7'!7"#*&5)$'G$*:'1('1!*
4%*47)*"'?)8*$)""&*21(*47)*@)"21%@2*$)""&*37'$7*)F58)&&*&=!28*
receptors.
Summary:*.?'21* '1>"=)192* ?'8=&* +BT_0* 58)(%@'1214"#*
8)$%!1'9)&*C'2AJ<i/2"*8)&'(=)6*C5)$'>'$*()4)$4'%1* %>* AJ<i*
"'1a)(<&'2"'$* 2$'(* +C'2AJ<i0* '&* '1('&5)1&2:")* >%8* 8)&)28$7*
4%*)F5"%8)*@%")$="28*@)$721'&@&*%>*47)*BT_*'1>)$4'%16*E)*
)&42:"'&7)(* 2* @%1%$"%12"* 214':%(#D* $"%1)* XWhY* +B!/i0*
37'$7* &5)$'>'$2""#* 8)$%!1'9)&* C'2AJ<i* 8)&'(=)6* XWhY*
competitively inhibited the virus binding to host cells,
&=!!)&4'1!*4724*XWhY*8)$%!1'9)*7%&4*8)$)54%8*!"#$21*%>*BT_6*
B4*'&*)F5)$4)(*4724*XWhY*3'""*$%148':=4)*4%*8)&)28$7*%>*BT_*
receptors.
[DJ
1
3
3
J*
薬物輸送システム(DDS)は標的とする臓器および
細胞へ特異的に薬物を送達することが可能であり、そ
の中でもがん、および肝臓病などの難治性の疾病に対
する治療法として非常に有用な手法の一つである。
近年、我々のグループでは、糖鎖受容体を細胞表面
に多数有する肝細胞を標的とした、糖鎖修飾リポソー
ムを利用する DDS 法の開発を行なっており、対応する
受容体を有する肝細胞への選択的な取り込み作用、お
よび薬物送達の機能評価を行なってきた。今回我々は、
新規中性型糖修飾コレステロール誘導体を合成し、作
成した糖鎖修飾リポソームの各種標的細胞への特異的
取り込み作用における機能評価を行った。
糖修飾コレステロール誘導体は、各種チオ糖を出発
物質とし、リンカー、コレステロールを導入し合成した。
特に中性型脂質を用いることにより従来型では困難で
あった酸性糖の導入を達成した。これらを用いてリポ
ソームを作成し、対応する受容体を有する細胞への細
胞内取り込みを評価した。Gal、Man、および T=$ を担
持するリポソームでは、以前のカチオン性リポソーム
に比べ特異的な結合量が増加する結果を与えた。また、
各種受容体の阻害剤共存下ではその取り込み量が顕著
に抑制されることから受容体を介する特異的取り込み
作用を有することが示唆された。さらに、マンノース
<P<リン酸を有するリポソームでは、受容体を発現する
癌細胞(h[PhgP)に対する特異的結合能を有している
ことが明らかとなった。
C'2AJ<i 結合型シアロ糖鎖 +C'2AJ<i0 はトリインフル
エンザウイルス +BT_0 の宿主受容体糖鎖として機能し
ていると考えられており、トリ BT_ の異種間感染機構
を解明するうえで C'2AJ<i 分子の検出は極めて重要であ
る。当研究室では非還元末端 C'2AJ<i 側をエピトープ
とする単クローン抗体 HYB4 を樹立した。本研究では
HYB4 の C'2AJ<i 検出プローブとしての有用性の評価を
行い、さらに HYB4 を用いた BT_ 受容体探索研究への
応用を試みた。
(方法)HYB4 を用いたフローサイトメトリー法、細胞
染色、Western blotting の検出系を確立し、MAH レクチ
ンとの糖鎖反応性を比較した。また HYB4 を用いた宿
主細胞表面への BT_ 結合阻害実験、BT_ 結合性糖タン
パク質の HYB4 による検出を行った。
(結果)HYB4 は多様な C'2AJ<i 残基を有する糖鎖を検
出でき、MAH 非反応性糖鎖にも反応性を示した。BT_
の細胞表面への結合は HYB4 により有意に阻害された。
(考察)HYB4 は今後 C'2AJ<i 結合型シアロ糖鎖の検出
に有用な新規のプローブとなると考えられる。さらに
HYB4 を用いることにより BT_ 宿主受容体の探索が可
能となることが示唆された。HYB4 が BT_ 受容体研究
に寄与することが期待される。
163
49ech
49ehe
セレン標識糖鎖の合成と糖鎖 - 蛋白質複合体の
立体構造解析への応用
Serum content of sialic acid and its alterations
with age and Alzheimer pathogenesis
○鈴木達哉 、安藤弘宗 、牧尾尚能 、山田悠介 、
3
3
1
[DJ
加藤龍一 、若槻壮市 、石田秀治 、木曽 真
[DJ
1
[DJ
3
3
岐阜大・応用生物、 京都大・'N),C、 高エネ機構・放射光
J
3
Synthesis of Selenium-containing glycan probes and
its application for the X-ray structural analysis of
glycan-protein complex
[DJ
[DJ
3
○Tatsuya Suzuki , Hiromune Ando , Hisayoshi Makio ,
3
3
3
Yusuke Yamada D*M#='$7'*U24% , Soichi Wakatsuki ,
1
[DJ
X'()728=*B&7'(2 , Makoto Kiso
1
/'>=*V1'?6D*J*'N),CD*3 USU<eT
Serum content of sialic acid and its alterations with
*),-*&2-G"F/,16,5-:*+/%),&,010
1
[DJ
3, 4
○e7'42a*-721#2"=$a D*N7'7'8%*C24% D*U)1m'*V$7'@=82 ,
[DJ
Ken Kitajima
h'%&$')1$)*|*h'%4)$71%"%!#*N)14)8D*^2!%#2*V1'?6n*J*Grad. Sch. Bioagr. Sc.,
/82(6*C$76*%>*,)('$'1)D*^2!%#2*V1'?6n*
4
b)54*%>*."97)'@)8v&*b'&)2&)*M)&)28$7D*^246*N)14)8*>%8*/)8'248'$&*21(*/)8%14%"%!#
1
3
Summary: We have developed a new approach for the
()4)8@'124'%1*%>*47)*ib<&48=$4=8)*%>*!"#$21<58%4)'1*$%@5")F*
:#*`<82#*$8#&42""%!8257#*=4'"'9'1!*&)")1'=@<"2:)")(*!"#$21&*
as molecular tool for phasing by MAD and SAD method. We
&#147)&'9)(*P<,)C)<"2$4%&)*21(*Px<,)C)<"2$4%&)*()8'?24'?)&D*
21(*3)*72?)*&=$$))()(*'1*47)*$%<$8#&42""'924'%1*%>*!2")$4'1<Z*
3'47*P<,)C)<"2$4%&)6*E)*$%="(*()4)8@'1)*47)*ib<&48=$4=8)*
%>*4724*$%@5")F6*-7'&*8)&="4*&=!!)&4&*4724*&)")1'=@*"2:)")(*
!"#$21&*28)*=&)>="*4%*()4)8@'1)*47)*ib<&48=$4=8)*%>*!"#$21<
58%4)'1*$%@5")F)&6
【目的】糖鎖の生物学的意義の解明において、糖鎖 - 蛋
白質複合体の立体構造情報の取得は重要である。生体
高分子の立体構造解析ではセレン原子の異常散乱性を
利用する ` 線結晶構造解析法(MAD 法、SAD 法)は
有力な手法であるが、培養細胞の発現系などではセレ
ン標識蛋白質の調製は困難である。そこで、我々はセ
レン標識糖鎖を合成し、糖鎖 - 蛋白質複合体の ` 線結
晶構造解析に利用することを考えた。本研究では、ラ
クトースの水酸基をメチルセレノ基で置換したセレノ
ラクトースを合成し、ヒト由来レクチンであるガレク
チン 9 の ^<NMb との共結晶化、` 線結晶構造解析を試
みることとした。
【結果】ラクトースのグルコース残基の 6 位またはガラ
クトース残基の Pv 位にメチルセレノ基を導入した誘導
体を、当研究室で開発したセレン導入法を用いて合成
した。CeM 法によりガレクチン 9 との結合試験を行っ
たところ、Pv 位セレノ体は結合せず、6 位セレノ体は
通常のラクトースと同程度に結合した。結晶化を行っ
たところ、Pv 位セレノ体からは結晶は得られず、6 位
セレノ体からは結晶を得ることができた。得られた結
晶について ` 線結晶構造解析を行ったところ、MAD 法
および SAD 法により構造決定を行うことができ、その
立体構造は過去に報告したラクトースとの共結晶と同
様であった。以上より、セレン標識糖鎖が ` 線結晶構
造解析の位相決定分子ツールとして有用である可能性
が示された。
164
Summary:*-7'&*&4=(#*32&*4%*)F5"%8)*2*8)"24'%1&7'5*:)43))1*
serum content of sialic acid and Alzheimer pathogenesis.
M)&="4&* &7%3* 4724* ")?)"* %>* U(1* 32&* $%1&4214D* 37)8)2&* 47)*
")?)"&*%>*^)=H/$*21(*^)=H.$*'1$8)2&)(*3'47*2!)* '1* 1%1<
4821&!)1'$*@'$)6*-7)&)*'1$8)2&)&*3)8)*1%4*>%=1(*'1*-!JHKP*
transgenic mice and the level of Kdn declined. These indicate
that Sia levels in serum could be an approach to evaluate
aging and Alzheimer disease progression.
-7)* 2'@* %>* 58)&)14* &4=(#* 32&* 4%* )F5"%8)* 2* 5%&&':")*
relationship between serum content of sialic acid and
Alzheimer pathogenesis. We measured the levels of three
&5)$')&*%>*C'2*+^)=H.$D*^)=H/$*21(*U(10*'1*&)8=@*%>*2!'1!*
-!JHKP*."97)'@)8* @%()"* @'$)* '1* 37'$7*."97)'@)8* :82'1*
5247%!)1)&'&* &4284&* 28%=1(* [J<@%147<%"(6* h"%%(* &2@5")&*
3)8)* $78%1%"%!'$2""#* $%"")$4)(* >8%@* 1%1<4821&!)1'$* 21(*
-!JHKP*4821&!)1'$*@'$)*+K*@'$)*5)8*!8%=50*37)1*47)&)*@'$)*
3)8)*i6H<D*K6H<D*[J<*21(*JQ<@%147&*%"(6*^)=H.$D*^)=H/$*21(*
Kdn levels in serum were measured directly (free form) or
2>4)8*48)24@)14*3'47*Q6[*^*48'j=%8%2$)4'$*2$'(*+:%=1(*>%8@0*
=&'1!*2*j=%8%@)48'$*XegN*@)47%(6*
^)=H/$* 32&* 47)* 58)(%@'1214* &'2"'$* 2$'(* '1* &)8=@* %>* 47)*
mice. Trace amount of Kdn was also detected. The level of
U(1*32&*$%1&4214D*37)8)2&*47)*")?)"&*%>*^)=H/$*21(*^)=H.$*
'1$8)2&)(* '1* :%47* >8))* 21(* :%=1(* >%8@&* 3'47* 2!)* '1* 1%1<
4821&!)1'$*@'$)6*B14)8)&4'1!"#D*47)*'1$8)2&)*'1*^)=H/$*21(*
^)=H.$*")?)"&*'1*&)8=@*3)8)*1%4*>%=1(*'1*-!JHKP*4821&!)1'$*
mice. On the contrary, the level of Kdn declined with age in
47)*4821&!)1'$*@'$)6*-7)&)*G1('1!&*'1('$24)*4724*@)2&=8)@)14*
of Sia levels in serum or plasma could be an approach to
evaluate aging and Alzheimer disease progression.
49eh>
49ehK
ヒトパラインフルエンザウイルスの糖鎖認識
と感染性の比較
4位に硫酸基模倣したアシルアミノ基を有す
る N - アセチルガラクトサミン誘導体の合成
○福島圭穣、伊藤誓悟、高口仁宏、高橋忠伸、鈴木 隆
○中野博文、舟橋杏奈、荒木史子、羽渕脩躬
静県大・薬・生化
愛知教大・分生
Comparison of Infectivity and sialic acid recognition
%7-/(6*&-:*5*1&E(,&F*-<15(0,0
Synthesis of N-acetylgalactosamine derivatives having
pseudo-sulfate group at 4-position
○U)'m%*T=a=&7'@2D*C)'!%*B4%D*,2&27'8%*-2a2!=$7'D*
Tadanobu Takahashi, Suzuki Takashi
○^2a21%*X'8%>=@'D*T=1272&7'*.1<12D*.82a'*T=@'a%D*
Habuchi Osami
b)546*%>*h'%$7)@'&48#D*C$76*%>*e728@6*C$'6D*V1'?6*%>*C7'9=%a2
b)5284@)14* %>* ,%")$="28* T=1$4'%1* 21(* g'>)* C$')1$)&D*.'$7'*
V1'?)8&'4#*%>*S(=$24'%1
Summary: Human parainfluenza viruses are important
respiratory pathogens. Human parainfluenza virus type 1
+7eB_[0*21(*i*+7eB_i0*:'1(*4%*&'2"'$*2$'(*%1*47)*428!)4*$)""*
&=8>2$)6*E)*58)?'%=&"#*8)5%84)(*4724*7eB_[*21(*7eB_i*('>>)8*
in their specificities for sialic acid linkage by ganglioside
binding assay. Here, we compared the sialic linkage
8)$%!1'4'%1*%>*7eB_[*21(*7eB_i*:#*7)@2!!"=4'124'%1*2&&2#D*
hemadsorption assay and infection assay.
S u m m a r y : N < . $ ) 4 # " ! 2 " 2 $ 4 % & 2 @ ' 1 ) * Y < & = " > 2 4 )*
P<O<&=">%4821&>)82&)* +/2"^.$YC<PC-0* 4821&>)8&* &=">24)*
>8%@*e.eC*4%*5%&'4'%1*P*%>*/2"^.$+YCL4) residue. We have
studied on the synthesis of various GalNAc(4SO4) derivatives
4724*28)*2:")*4%*'17':'4*/2"^.$YC<PC-6*B1*%8()8*4%*%:&)8?)*
the intracellular behavior of the inhibitors, we synthesized
57)1#"* J<2$)4%2@'(%<Y<2$#"2@'1%<JDY<('()%F#<;<b<
!2"2$4%5#821%&'()*()8'?24'?)&*72?'1!*5&)=(%<&=">24)*!8%=5*24*
Y<5%&'4'%1*>8%@*47)*$%88)&5%1('1!*29'()6
【目的】ヒトパラインフルエンザ 1 型ウイルス(7eB_[)
および 3 型ウイルス(7eB_i)は呼吸器系の病原ウイ
ルスであり、シアル酸(Sia)レセプターとする。我々
はこれまでに、7eB_[ は非還元末端に C'2AJDi/2" 結合
を持つネオラクト系列の糖脂質のみに結合し、7eB_i
は C'2AJDi/2" あるいは C'2AJDP/2" 結合を持つネオラク
ト系列の糖脂質の両方に結合することを報告してきた。
本研究は、7eB_[ と 7eB_i に関するシアル酸結合様式
の認識機構と感染性を解明することを目的とした。
【方法】酵素処理により表面上のシアル酸結合様式を改
変したヒト赤血球を調整し、7eB_[ および 7eB_i の赤
血球凝集活性を評価した。また、7eB_[ および 7eB_i
の HN 糖タンパク質を真核細胞に発現させ、赤血球と
S. typhi. 由来 AJDi シアリダー
の結合性を調べた。さらに、
ゼで細胞を処理し、7eB_[ および 7eB_i の感染性を評
価した。
【結果・考察】7eB_i は AJDi 型あるいは AJDP 型 Sia を
有 す る 赤 血 球 の 両 方 に 結 合 し た が、7eB_[ は AJDi 型
Sia のみに結合した。HN 糖タンパク質発現 NLC<K 細胞
においても同様の結合性を示した。また、細胞表面の
AJDi 型 Sia を切断すると、7eB_[ の感染性のみが顕著に
減少した。7eB_i は、AJDi 型に加えて AJDP 型 Sia もレ
セプターとして利用できることが示唆された。
/2"^.$+YDP<:'&CL4) は、コンドロイチン硫酸鎖の非還
元末端やコンドロイチン硫酸 E 中に存在しており、そ
の生理学的機能と深く関わっている。そしてこの構造
は、GalNAc(4SO4) 残基の 6 位に対する選択的な硫酸化
を触媒する N< アセチルガラクトサミン Y< 硫酸*P<O<硫
酸転移酵素 +/2"^.$YC<PC-0 によって合成される。我々
は、これまでに硫酸転移酵素の阻害剤として様々なア
グリコンを導入したモノ硫酸化 ;</2"^.$ 誘導体の合成
とそれらの阻害活性について研究を行ってきた。それ
らの結果を基に、阻害剤を細胞に導入することを視野
に入れた機能性アグリコンを有するモノ硫酸化 GalNAc
誘導体を設計した (1)。しかし、細胞導入を試みたとこ
ろ、硫酸化糖の大きな負電荷によって細胞膜を透過し
にくいことが明らかになった。そこで今回、グルコサ
ミン塩酸塩より 4 位にアジド基を有する GalNAc 誘導
体を合成し、そのアジド基をアシルアミノ基へ変換し、
硫酸基を模倣した誘導体の合成を検討したので報告す
る。
+[0*X6*^%92a'D*W6*-%@%#2@2D*X6*-2a2!'D*U6*W%a%#2@2D*N6*
W2@2(2D* U6* U2'%D* ,6*-&=a'@%8'D* U6* ^2!2%D*W6* B42a=82D* C6*
L742a)<^''@'D*X6*^2a21%*21(*L6*X2:=$7'D*/"#$%$%1m6*f6D*JKD*
JiK*+JQQZ06
165
49ehM
49eh@
超高磁場 NMR 法を用いた高マンノース型糖
鎖の構造解析
NMR を用いたガングリオ複合体における特異
的な糖鎖間相互作用の解析
○柳 浩太郎 、神谷由紀子 、千葉靖典 、喜多島敏彦 、 4
[DJ
地神芳文 、加藤晃一
○植草義徳 、加藤晃一
[DJ
1
4
3
4
4
自然科学研究機構・統合バイオ、 名市大・院薬、 名大・工、
産総研
J
3
[DJ
[DJ
3
4
○Kotaro Yanagi , Yukiko Kamiya D*W2&=1%8'*N7':2 ,
4
4
[DJ
Toshihiko Kitajima D*W%&7'>=@'*f'!2@' , Koichi Kato
1
3
^24"6*B1&46*^246*C$'6D*J**/82(6*C$76*e7286*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6D*
/82(6*C$76*S1!6D*^2!%#2*V1'?6D*4 .BC-
Summary:* X'!7<@211%&)<4#5)* %"'!%&2$$728'()&* 5"2#*
crucial roles in the early secretory pathway, controlling
fates of glycoprotein in cells. We herein report a
$%@52824'?)* $%1>%8@24'%12"* &4=(#* %>* 47)* 7'!7<@211%&)<
4#5)* %"'!%&2$$728'()&* ,Z* 21(* ,\h6* B1&5)$4'%1* %>* ="482<
7'!7* >')"(* ^,M* &5)$48%&$%5'$* (242* %1* 47)* 13 N<"2:)")(*
%"'!%&2$$728'()&* %?)8)F58)&&)(* :#* !)1)4'$2""#* )1!'1))8)(*
yeast strains revealed overall conformational changes of
the oligosaccharide upon removal of the terminal mannose
8)&'(=)*'1*'4&*bJ*:821$76
高マンノース型糖鎖は分泌経路において糖タンパク
質の「品質」を表示するタグとしての役割を果たして
おり、様々なレクチンとの相互作用を通じてそれらの
運命決定に深く関わっている。こうした糖鎖の機能は
それらの 3 次元構造を通じて表現されているに違いな
い。そこで本研究では溶液 ^,M 分光法を用いること
により、小胞体内の糖鎖プロセシングの過程で生じる J
種の高マンノース型糖鎖 Man8B と Man9 を対象に動的
3 次元構造を原子レベルで明らかにすることを目的とし
た。 そ の た め に、Saccharomyces cerevisiae の N 糖 鎖 プ
ロセシングに関わる遺伝子 AB/C, MNN1, MNN4 ( およ
び MNS1) の破壊株を用いて、これらの糖鎖の安定同位
体標識体を大量に調製する方法を確立した。超高磁場
^,M 解析の結果、両糖鎖の違いは bJ アーム非還元末
端のマンノース 1 残基の有無だけであるにもかかわら
ず、コンフォメーションの差異は bJ アームのみならず、
トリマンノシルコア部分にまで及んでいることが判明
した。分子内 NOE を計測して原子間距離を評価した結
果、Man9 に比べ、Man8B は bJ、D3 アームを還元末端
側に向けたフォールドバック構造を取りやすいことが
示された。以上の研究により、糖タンパク質の品質管
理に関わる一連の高マンノース型糖鎖の動的 3 次元構
造を原子レベルの分解能で記述する基盤を整えること
ができた。
166
自然科学研究機構・統合バイオ、 名市大・院薬
1
Structural analysis of high-mannose type oligosaccharides
(01&)-("+5*9/1)/-3,"2-OLJ-0:,$+5%0$%:#
[DJ
J
OLJ-*&*"#010-%7-0:,$13$-$*5D%/#25*+,9$*5D%/#25*+,interaction in ganglioside complex
[DJ
[DJ
○W%&7'1%8'*V)a=&2 , Koichi Kato
1
La292a'*B1&46*B14)!6*h'%&$'6D*^24"6*B1&46*^246*C$'6D*
/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6
J*
Summary:* /21!"'%&'()* $%@5")F)&* >%8@)(* 478%=!7*
&5)$'>'$* $28:%7#(824)<$28:%7#(824)* '14)82$4'%1&* )F58)&&*
various physiological functions and occasionally promote
5247%!)1)&'&* %>* /='""2'1<h288)* &#1(8%@)6* -%* 58%?'()*
structural basis of these molecular events, we characterized
47)* $28:%7#(824)<$28:%7#(824)* '14)82$4'%1* :)43))1* /b[2*
21(* /b[:* !21!"'%&'()&* 24* 24%@'$* 8)&%"=4'%1* =&'1!* ^,M*
spectroscopy. By inspecting chemical shift and NOE data,
we successfully identified atomic groups mediating the
$28:%7#(824)<$28:%7#(824)* '14)82$4'%1* :)43))1* 47)* 43%*
gangliosides embedded in aqueous micelles.
細胞膜上に存在する糖脂質ガングリオシドは、糖鎖
間の選択的な相互作用を通じて超分子複合体を形成す
ることにより様々な生体機能を発揮する一方、ギラン
バレー症候群における自己抗原ともなり得ることが提
唱されている。しかしながら、こうした分子複合体の
形成に寄与する糖鎖間相互作用の物理化学的実体は未
だ明らかとなっていない。本研究では、^,M 分光法を
用いてガングリオシドの糖鎖間相互作用に関する構造
情報を原子レベルで取得し、糖鎖間の相互作用メカニ
ズムを分子科学的に解明することを目的とした。脂質
膜モデルである (%()$#"57%&57%$7%"'1)*+beN0* ミセルに
GD1a と GD1b の両者が共存した場合、それぞれが単独
でミセルに組み込まれた状態と比較して、一部の糖残
基の化学シフト値と信号強度に変化が観測された。従っ
て、これらの変化が観測された糖鎖部位を介して GD1a
と GD1b が糖鎖間で相互作用していることが示唆され
た。さらに、GD1a と GD1b の糖鎖間の分子間 NOE を
観測することにより、ガングリオシド複合体の立体構
造情報を原子レベルで取得することに成功した。本研
究は、弱い相互作用を捉えることが可能な ^,M 法を利
用することにより、これまで専ら生化学的手法によっ
てその存在が示唆されていた糖鎖間相互作用について、
物理化学的実体を理解する糸口を与えるものである。
49ehf
49ehW
分岐鎖位置が異なるβ-グルカンオリゴ糖プ
ローブの合成と酵素による加水分解特性評価
常磁性 NMR 法による糖鎖の動的立体構造解析
[DJDi
[DJDi
1,3
4
⃝山口拓実 、Zhang Ying 、山本さよこ 、亀田倫史 、
H
6
[DJDiDKD\
Erdélyi Máté 、/8')&'1!)8*N78'&4'21 、加藤晃一
○宮川 淳 、田邊陽一 、元木祥子 、織田昌幸 、山村初雄
自然科学研究機構・統合バイオ、 総研大・物理、 名市大・院薬、
H*
6
産総研・NhMN、 V1'?6*/%47)1:=8!、 ,2F*e"21$a*B1&46*h'%57#&'$2"*
K
8
N7)@'&48#、 お茶大・糖鎖セ、 グライエンス
1
1
J
3
1
J
J
J
1
名工大院工 1、 京府大院生命環境科学
J
4
4*5*6*)&,+1$-OLJ-*&*"#0,0-%7-$%&7%56*+1%&*"dynamics of oligosaccharides
.#&+/,010-%7-D5*&$/,2-=9>?M9%"1)%)"($*&-E(%5,0$,&+-:5%D,0*&2-,<*"(*+1%&-%7-/#25%"#+1$-:5%:,5+1,0-D#-=9U>?MV9)"($*&*0,
[DJDi
[DJDi
1,3
○Takumi Yamaguchi , Ying Zhang , Sayoko Yamamoto ,
4
H
6
Tomoshi Kameda , Máté Erdélyi D*N78'&4'21*/8')&'1!)8 ,
[DJDiDKD\
Koichi Kato
○Atsushi Miyagawa , Yoichi Tanabe , shoko Motoki ,
J
1
Masayuki Oda , Hatsuo Yamamura
1
La292a'*B1&46*B14)!6*h'%&$'6D*^24"6*B1&46*^246*C$'6D*J*C$76*e7#&6*C$'6D*/82(6*
V1'?6*.(?6*C4=(')&D*3 /82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6D*4 NhMND*
.BC-D*H*V1'?6*/%47)1:=8!D*6 ,2F*e"21$a*B1&46*h'%57#&'$2"*N7)@'&48#D*
K*
/"#$%&$'6*B1&46D*L$721%@'9=*V1'?6D*8 /gWS^NS*N%6*g4(6
1
Summary:*E)* 7)8)'1* 8)5%84* 2* 1%?)"* 5282@2!1)4'$* ^,M*
method for characterizing conformational dynamics of
%"'!%&2$$728'()&* '1* &%"=4'%16* B1* 47'&* @)47%(D* 47)* 8)(=$'1!*
terminal of an oligosaccharide is chemically modified
3'47* &5'1<"2:)"* %8* "214721'()<$7)"24'1!* 42!6* h#* '1&5)$4'1!*
5 2 8 2 @ 2 ! 1 ) 4 ' $ * 8 ) " 2 F 2 4 ' % 1 * ) 1 7 2 1 $ ) @ ) 1 4 * ) >> ) $ 4 & * 2 1 (*
pseudocontact shifts in conjunction with molecular dynamics
simulations, atomic pictures of dynamic conformational
)1&)@:")&*3)8)*&=$$)&&>=""#*58%?'()(*>%8*7'!7<@211%&)<4#5)*
oligosaccharides as well as ganglioside oligosaccharides.
Summary:*;<+[Di0</"=$21&*37'$7*28)*58'@28#*$%@5%1)14&*
in the cell wall of bacteria and fungi are degraded to
%"'!%&2$$728'()&*:#*;<+[Di0<!"=$212&)&*%>*5"214&*'1*'1>)$4'%16*
X%3)?)8D*'4*'&*('>G$="4*4%*%:42'1*&48=$4=82""#*()G1)(*;<+[Di0<
!"=$21* :#* 5=8'>#'1!* )F482$4&* >8%@* >=1!'6* B1* 47'&* 8)&)28$7D*
;<+[DP0<:821$7)(* ;<+[Di0<%"'!%!"=$21* 3)8)* $7)@'$2""#*
58)528)(*4%*212"#9)*7#(8%"#4'$*58%5)84#*%>*;<+[Di0<!"=$212&)6*
-7)*%"'!%&2$$728'()&*28)*>"=%8)&$)1$)<"2:)")(*21(*=&)(*>%8*
evaluation of the hydrolytic property.
糖鎖の生物機能の分子科学的基盤に関する理解を深
めるためには、その動的な三次元構造に関する情報を
収集することが不可欠である。私たちはこの目的に向
け、溶液 ^,M による糖鎖の立体構造およびダイナミク
ス解析のための新規手法の開発に取り組んでいる。本
研究では、常磁性化合物の ^,M 計測において観測され
る常磁性緩和促進(eMS)および擬コンタクトシフト
(eNC)を応用して糖鎖の動的立体構造の解析を試みた。
まず、ジアセチルキトビオースをモデル系として、
常磁性プローブの導入法および ^,M 解析法を確立し
た。さらに、高マンノース型糖鎖へ常磁性プローブを
導入することで、eMS による距離情報の収集を行った。
例えば、M9 糖鎖の還元末端をニトロキシドラジカルで
修飾することにより、各マンノース残基の空間配置を
反映した eMS を観測することができた。
一方、一連のモノシアロガングリオシドの糖鎖部位
について、eNC による構造情報の取得を行った。ラン
タニドイオンを配位するために EDTA 誘導体を還元末
端に導入した糖鎖の ^,M 測定を通じて、糖鎖の各水素
および炭素原子について eNC 値を求めた。その結果を
もとに、分子動力学計算によりもとめられた糖鎖の立
体配座空間の妥当性を評価することにより、溶液中で
の糖鎖の動的立体構造を記述することができた。
本研究で得られた成果に基づいて糖鎖の立体配座空
間を規定する構造的要因について議論する。
1
J
J
/82(6*C$76*%>*S1!6D*^2!%#2*B1&46*%>*-)$76D**
/82(6*C$76*%>*g'>)*21(*S1?'8%16*C$'6D*U#%4%*e8)>*V1'?6D*
J*
[緒言]真菌の細胞壁 ;<グルカンは、植物に感染した際
に ;<[Di<グルカナーゼにより加水分解され、分解された
;<グルカンは免疫腑活化分子として重要な役割を演じ
ている。また、哺乳動物においても ;<グルカンはレク
チンによって認識され、生体防御機能に深く関わって
いる。しかし、菌類からの抽出物である ;<グルカンを
精製し、構造均一な ;<グルカンを得ることは容易では
ない。そこで、本研究では、化学合成により構造明確
な ;<グルカンオリゴ糖を得た後、;<[Di<グルカナーゼの
加水分解特異性を評価し、免疫腑活化機構において作
用している ;<グルカンの構造を明らかにすることを目
的としている。
*b<グルコースを原料に、6 位にクロロア
[結果と考察]
セチル基、4 位にベンジル基、3 位に TBDMS 基、J 位
にアセチル基を有する共通中間体の合成を行った。そ
の後、3 位の脱保護により糖受容体へ変換し、また 1 位
を脱保護後、イミデート化することで、糖供与体とし
た。これらを用いて、グリコシレーションを行い、3 糖
構造を構築した後、分岐鎖を導入し、分岐鎖位置が異
なる ;<グルカンオリゴ糖誘導体を得た。最後に合成し
た糖鎖のアグリコンに蛍光物質を導入し、脱保護を行
い、目的の糖鎖プローブを得た。これらプローブを用
いて、;<[Di<グルカナーゼによる加水分解特性を評価し
た結果、分岐鎖と切断位置の関係を明らかにした。
167
49ehb
49ehc
ダンシル基を有するシアリルガラクトース誘
導体の合成
〇栗本健太、宮川 淳、山村初雄
名工大院工
ガングリオシド糖鎖ライブラリーを用いた
Siglec-7 の GD3 結合阻害様式の解析
○佐藤ちひろ 、安田 優 、西浦祐二 、田中浩士 、
3
4
[DJ
高橋孝志 、e2="*N8%$a)8 、北島 健
[DJ
1
4
.#&+/,010-%7-.1*"#"-!*"*$+%0,-N,51<*+1<,0-X*<1&)Dansyl Group
3
3
名大・生物機能セ、 名大・生命農学、 東工大院・理工、
V1'?6*%>*b=1())
J
3
Inhibition analyses of Siglec-7 toward GD3 with
$/,61$*""#-0#&+/,01F,2-)*&)"1%012,-)"#$*&9"1D5*5#-
○Kenta Kurimoto, Atsushi Miyagawa, Hatsuo Yamamura
[DJ
[DJ
3
3
○N7'7'8%*C24% , Yu Yasauda , Yuji Nishiura , Hiroshi Tanaka ,
3
4
[DJ
Takahashi
D*e2="*N8%$a)8
,
Ken
Kitajima
Takashi
/82(6*C$76*%>*S1!6D*^2!%#2*B1&46*%>*-)$76
h'%&$'6* h'%4)$7* N)14)8D* ^2!%#2* V1'?61., Grd. Sch. Bioagr. Sci.,
^2!%#2*V1'?6JD**-%a#%*B1&46*-)$76D*/8(6*C$76*S1!63,
V1'?6*%>*b=1())4
Summary: Sialidases catalyze the removal of terminal sialic
acids from a variety of glycoconjugates and play an important
8%")*'1*5247%!)1)&'&*21(*$)""="28*'14)82$4'%1&6*T%8*212"#&'&*
of substrate specificities of sialidases, sialyl galactose
()8'?24'?)&*37)8)*&'2"'$*2$'(*32&*"'1a)(*3'47*i<*%8*P<5%&'4'%1*
of a galactose were synthesized. The sialyl galactose
()8'?24'?)&* 3)8)* '148%(=$)(* (21&#"* !8%=5* 24* Œ<5%&'4'%1* %>*
47)*2!"#$%1*4%*212"#9)*47)*&=:&4824)*&5)$'G$'4')&*%>*&'2"'(2&)&*
with high sensitivity.
Summary:*C'!")$<K*'&*58)&)14*%1*^U*$)""&*21(*'&*'1?%"?)(*'1*
the innate immunity. Based on molecular modeling studies,
3)* 58)('$4)(* 2* 1)3* "'!21(<:'1('1!* 8)!'%1* ('>>)8)14* 4721* 47)*
3)""<a1%31*&'4)6*B1*47'&*&4=(#D*3)*=&)(*$7)@'$2""#*&#147)&'9)(*
!21!"'%&'()* !"#$21<"':828#* 4%* =1()8&421(* 47)'8* '17':'4'%1*
@)$721'&@*4%*47)*&'!")$<K</bi*:'1('1!6*E)*()@%1&4824)(*4724*
/bi*:'1('1!*%>*C'!")$<K*'&*8)!="24)(*:#*!21!"'%&'()*!"#$21&D*
&=!!)&4'1!*2*1)3*8)!="24%8#*@)$721'&@*%>*C'!")$<K6
[目的]シアリダーゼは様々な生物に広く存在し、特異
的な分子からシアル酸を切断することにより、細胞増
殖・分化、アポトーシス等の重要な細胞制御に関与し
ている。
本研究では種々のシアリダーゼの加水分解特性を比
較評価するため、シアル酸とガラクトースとの結合様
式が異なるシアリルガラクトース誘導体の合成を目的
とした。また、シアリダーゼの酵素活性評価をより鋭
敏に検出可能な基質とするため、アグリコンにダンシ
ル基を導入した GM4 型糖鎖プローブの合成を行った。
[方法と結果]シアリダーゼはシアリルガラクトー
ス の J 種 類 の 位 置 異 性 体 で あ る ^)=*A+J→3)Gal と
^)=A+J→6)Gal を特異的に加水分解するため、基質特異
性評価を行うためには異性体を用意する必要がある。
シアリル化において立体選択性が重要なシアリルド
[1]
ナーは N8'$7 ら によって開発されたオキサゾリジノン
環構造をもつものとした。シアリル化における副反応
の検出を容易にするため、アグリコンにダンシル基を
導入したグリコシルアクセプターを用いた。これらを
用いて ^)=A+J→3)Gal と ^)=A+J→6)Gal 糖鎖を有する蛍
光プローブを合成した。
s[t*b6*N8'$7D*E6*g'D*J. Org, ChemD*JQQKD*72D*Ji\K<JiZ[
168
[DJ
C'!")$*+&'2"'$*2$'(*:'1('1!*'@@=1%!"%:="'1<"'a)*")$4'10* は、
主に脊椎動物の免疫細胞上に存在する内在性シアル酸認
識分子レクチン分子群である。C'!")$<K は、ナチュラルキ
ラー(NK)細胞や単球上に発現し、細胞外領域の N 末
端側の _<&)4 ドメインが AJD\<結合ジシアル酸構造に高い
結合特異性を示すことが知られている。これまでに我々
は分子モデリングの結果から、C'!")$<K には既知リガンド
結合部位に加えて、新たなシアル酸結合領域の存在を推
定した。また、C'!")$<K の野生型とシアル酸結合領域内の
アルギニン残基に注目して作製した 1 アミノ酸置換変異
体 6 種類について結合性を解析した結果、新たなシアル
酸認識領域の存在が強く示唆された。
本研究では、新規シアル酸認識領域の存在証明を行う
ために、化学合成ガングリオシド糖鎖ライブラリーを
用 い て、C'!")$<K と GD3 と の 結 合 に 対 す る 阻 害 様 式 を
SgBC. に基づく方法で詳細に解析した。ガングリオ系列
ガングリオシド糖鎖ライブラリーは、セラミド部分のな
い /2";*+[Di0*/2"^.$;*+[DY0*/2";*+[DY0*/"$ コア4糖の2つ
のガラクトースに重合度の異なるシアル酸残基を有する
も の で、2<+モノシアル酸)、:<+ジシアル酸)、$<+トリシア
ル酸)シリーズの 9 種類である。その結果、ガングリオ
シド糖鎖の中には強い阻害効果を示すものがあること、
また、その阻害様式はガングリオシド糖鎖によって異な
ることが明らかになった。これまでの結果をあわせると、
C'!")$<K の GD3 に対する結合性はガングリオシド糖鎖に
よって制御されること、その制御は新たなシアル酸結合
部位が担う可能性があり、C'!")$<K の新しい制御メカニズ
ムが示唆された。
49ehh
49>ee
異なる産生細胞により発現させたニワトリ
IgY の N 型糖鎖プロファイル
○近藤幸子 、矢木宏和 、神谷由紀子 、伊藤彰彦 、
H
H
1
[DJDiDP
久原基樹 、工藤綾子 、高橋禮子 、加藤晃一
[DJ
1
4
1
1,3
4
名市大・院薬、 グライエンス、 自然科学研究機構・統合バイオ、
H
6
近畿大・医、 医学生物学研究所、 お茶大・糖鎖セ
J
3
胎生期脊髄における Wnt 及び酸性糖鎖間の相
互作用の解析
○橋本弘和 、石野雄吾 、池中一裕
[DJ
1
J*
N9)"#$%0#"*+1%&-:5%3",0-%7-$/1$S,&-166(&%)"%D("1&-iglycoproteins expressed by different production vehicles
[DJ
[DJ
生理学研究所・分子神経生理部門、
総合研究大学院大・生命科学・生理科学
Analysis of interaction between Wnt and acidic sugar
chains in the embryonic spinal cord
[D*J
1
1, 3
○Sachiko Kondo , Hirokazu Yagi , Yukiko Kamiya ,
4
H
H
.a'7'a%*B4% , Motoki Kuhara , Ayako Kudoh ,
1
[D*JD*iD*P
Noriko Takahashi , Koichi Kato
○X'8%a29=*X2&7'@%4%D*W=!%*B&7'1%D*U29=7'8%*Ba)12a2
/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6D*J*/gWS^NS*N%6*g4(6D*
La292a'*B1&46*B14)!6*h'%&$'6D*^24"6*B1&46*^246*C$'6D*4 T2$="6*,)(6D*U'1'a'*V1'?6D*
H*
,hg*N%6*g4(6D*6 /"#$%&$'6*B1&46D*L$721%@'9=*V1'?6
1
Summary:*B@@=1%!"%:="'1*W*+B!W0D*2:=1(214*'1*)!!*#%"aD*
is widely used as an immunochemical reagent and appreciated
as a potential therapeutic tool. We report a comparative
^<!"#$%&#"24'%1*58%>'"'1!*%>*8)$%@:'1214*$7'$a)1*B!W&*4724*
have identical amino acid sequences in their variable regions
:=4*28)*)F58)&&)(*:#*('>>)8)14*58%(=$4'%1*?)7'$")&6**."47%=!7*
^<!"#$%&#"24'%1* 58%>'")&* %>* 47)* B!W&* &7%3)(* ('>>)8)14*
patterns depending on the production vehicle, they commonly
)F58)&&)(* $%1&'()82:")* 5%5="24'%1&* %>* @%1%!"=$%&#"24)(*
glycoforms.
Summary: The Wnt family of secreted signal proteins
5"2#&*2*a)#*8%")*'1*)@:8#%!)1)&'&6*B1*2(('4'%1D*E14*4)1(&*4%*
:'1(*4%*2$'('$*&=!28*$72'1D*>%8*)F2@5")*7)52821*&=">24)*21(*
$7%1(8%'4'1*&=">24)6*.&*2*G8&4*&4)5D*3)*212"#9)(*)F58)&&'%1*%>*
sulfotransferases and sulfatases in the embryonic spinal cord,
using in situ hybridization. Alternation of the sulfated sugar
chain distribution may regulate the spinal cord development
by interacting with Wnt.
1
3
卵黄に豊富に含まれる B!W は免疫生化学試薬として
広く利用されており、近年は医療応用の可能性が期待
されている。B!W の T$ 領域の .&1YQK には N 型糖鎖結
合部位が保存されており、この部位は構造的に哺乳類
の B! クラスに保存された糖鎖修飾部位に対応する。こ
うした類似性にも関わらず、ニワトリ血清及び卵黄由
来の B!W はモノグルコシル化され高マンノース型糖鎖
を多く発現するという特徴を有する。本研究では B!W
の糖鎖修飾の特性に関して更なる知見を得るため、可
変領域のアミノ酸配列が共通な B!W を異なる産生細胞
(ニワトリハイブリドーマ、XSUJZi-、NXL 細胞) を用
いて発現し、これらリコンビナント B!W の N 型糖鎖プ
ロファイルを比較解析した。
N 型糖鎖を B!W から切り出し、XegN マップ法及び
質量分析法により構造の同定を行った結果、それぞれ
の細胞によって産生したリコンビナント B!W* は、バイ
セクティング GlcNAc やコアフコースの発現レベル及
びシアル酸の結合様式などに明瞭な差異が認められた。
それにも関わらず、全てのリコンビナント B!W は共通
してモノグルコシル化糖鎖を多く発現していた。こう
した特徴的なモノグルコシル化糖鎖の発現は、B!W が 4
次構造を形成するに際して .&1YQK 糖鎖が分子内に遮蔽
され、小胞体内のシャペロン機構から隔絶することと
関連するものと考察される。
b'?'&'%1* %>* ^)=8%:'%"%!#* 21(* h'%'1>%8@24'$&D* ^24'%12"* B1&4'4=4)* >%8*
e7#&'%"%!'$2"*C$')1$)&*+^BeC0*6D*J*b)5284@)14*%>*e7#&'%"%!'$2"*C$')1$)&D*C$7%%"*
%>*g'>)*C$')1$)D*-7)*/82(=24)*V1'?)8&'4#*>%8*.(?21$)(*C4=(')&*+C%a)1(2'0
Wnt ファミリーは放出性のシグナルタンパクであり
胚形成、成体の恒常性や癌形成といった様々な面で重
要な役割を果たしている。特に E14<[D*<iD*<i2D*<Y は胎生
期脊髄の背側に発現し、オリゴデンドロサイトの発生
を制御していることが報告されている。加えて、Wnt
タンパク質はヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸と
いった酸性糖鎖と結合しやすい傾向があることから、
我々は酸性糖鎖と Wnt 間の相互作用に注目した。
初めに、胎生期脊髄において酸性糖鎖の合成に関
わ る Sulfotransferase や Sulfatase の 発 現 分 布 を in situ
hybridization 法 を 用 い て 解 析 し た。 胎 生 [Q6H 日 で
は、 コ ン ド ロ イ チ ン 硫 酸 の 合 成 に 関 与 す る NYC-J、
GalNAc4ST1 や GalNAc4S,6ST は脊髄全体に発現してい
た。ヘパラン硫酸の合成に関わる酵素の内、XCJC-[、
HS6ST1 や NDST1 も脊髄全体に発現がみられた。ヘパ
ラン硫酸の脱硫酸に関わる C=">[]J は j%%8*5"24) に局在
していた。これらの結果から胎生 [Q6H 日の脊髄ではコ
ンドロイチン硫酸やヘパラン硫酸がプロテオグリカン
上において顕著に合成されており、特にコンドロイチ
ン硫酸の 4S あるいは 4S, 6S のアイソフォームが豊富に
存在していることを示唆している。
硫酸化糖鎖に関連するいくつかの酵素が背側あるい
は腹側に局在していたことから、硫酸化糖鎖の分布の
変化が Wnt タンパク質と相互作用することにより脊髄
の発生を制御している可能性がある。
169
49>e>
49>eK
組換え硫酸基転移酵素を用いた人工コンドロ
イチン硫酸の合成と構造解析
糖鎖変異による小腸機能障害の分子メカニズム
○塩入達政、渡辺秀人、杉浦信夫
○田島織絵 、藤田雄輝 、宮田麻衣子 、徳田典代 、
1
J
J
[D*J
田口 良 、大海雄介 、大川祐樹 、古川圭子 、
J
古川鋼一
愛知医大・分医研
1
[D*J
T&F#6*+1$-0#&+/,0,0-%7-$/%&25%1+1&-0("7*+,oligosaccharides and structure determination
1
1
J
中部大・生命健康、 名大・医・2生化
J
Molecular mechanisms for the intestinal disorders
2(,-+%-)"#$%0:/1&)%"1:12-2,3$1,&$#
○Tatsumasa Shioiri, Hideto Watanabe, Nobuo Sugiura
[D*J
1
1
J
1
○O. Tajima D*W6*T=m'42 , M. Miyata , N. Tokuda D*M6*-2!=$7' ,
J
J
[D*J
J
Y. Ohmi , Y. Ohkawa D*U6*T=8=a232 D*U6*T=8=a232
B1&46*,%"6*C$'6*,)(D*.'$7'*,)(6*V1'?6
1
b)546*%>*h'%@)('$2"*C$')1$)&D*N%"")!)*%>*g'>)*21(*7)2"47*C$')1$)&D*
b)546*%>*h'%$7)@6*BBD*^2!%#2*V1'?6*C$76*%>*,)(6D
J*
Summary:*N7%1(8%'4'1*&=">24)*+NC0*'&*2*!"#$%&2@'1%!"#$21*
consisting of a repeating disaccharide unit of GlcA and
GalNAc, modified with sulfate groups at the various
5%&'4'%1&6*E)* &#147)&'9)(* 284'>'$'2"* NC* %$42&2$$728'()&* :#*
8)$%@:'1214* $7%1(8%'4'1* Y<&=">%4821&>)82&)* +NYC-<[0D* 21(*
()4)8@'1)(*47)*&){=)1$)*&48=$4=8)*%>*47)*NC*%$42&2$$728'()&*
3'47**j=%8)&$)14*XegN*21(*SCB<,C6*
コンドロイチン硫酸(NC)は GlcA と GalNAc の二
糖繰り返し直鎖構造を骨格とするグリコサミノグリカ
ンで、その機能は硫酸基の修飾による多様な構造に依
存すると考えられている。天然由来の NC* は構造が不
均一なため、NC の生理活性の検討には明確な構造を持
つ NC オリゴ糖が不可欠と考えられる。我々は、NC オ
リゴ糖の人為的合成とその配列決定の方法の開発を目
指している。今回は、GalNAc 4位硫酸化 NC 八糖の合
成と構造解析について報告する。コンドロイチン八糖
(NX\)の還元末端を J<アミノピリジン(e.)で蛍光標
識した NX\<e. を基質として、硫酸基転移酵素 NYC-<[
を反応させたところ、転移した硫酸基数が1つないし
は2つの NC\<e. を得た。これらをイオン交換カラムを
用いて分離し、NC 分解酵素(NX2&).hN、NX2&).NBB)
処理して、分解産物の還元末端は e. の蛍光波長を検出
するプレラベル蛍光 XegN にて、中央部分はポストラ
ベル二糖分析法にて、非還元末端は SCB<,C 法を用いて
それぞれ糖鎖単位構造を特定し、NC\<e. の配列構造を
決定した。今後、さらに多様な硫酸化 NC 糖鎖の合成と
配列構造解析を展開していく。
170
Summary:*E)* 72?)* !)1)824)(* bUL* @'$)* "2$a'1!* /,J]
/bJ*&#1472&)*21(*/bi*&#1472&)*!)1)&D*21(*'1?)&4'!24)(*47)*
molecular mechanisms for the intestinal disorders due to the
()G$')1$#*%>*/Cg&6*-7)*bUL*@'$)*72(*"%3)8*")?)"&*%>*&)8=@*
-/*21(*TT.D*21(*8)(=$)(*"'5'(*(8%5")4&*'1*&@2""*'14)&4'1)6*
C%@)*"'5'(*4821&5%84)8&*3)8)*(%31<8)!="24)(*'1*m)m=1=@*%>*
the DKO mice. These results suggest that the DKO mice
underwent impaired lipid absorption in enterocytes.
腸管上皮細胞のスフィンゴ糖脂質(/Cg&)の発現パ
ターンは離乳を境にダイナミックに変化することが報
告されているが、その生理的意義は明らかになってい
ない。我々が解析を進めてきた /,J]/bJ 合成酵素遺
伝子および GD3 合成酵素遺伝子のダブルノックアウト
(DKO)マウスは離乳直後において著しい発育不良を示
すことが観察されており、本研究では、糖鎖変異によ
る小腸機能障害とその分子メカニズムを検討した。本
DKO マウスの小腸では、主要 /Cg& である GA1 の欠失
に伴って GM3 よりもむしろ g2$N)8 やスルファチドが
増加していた。さらに、DKO マウス小腸ではラフト局
在分子のひとつである /2")$4'1<Y の発現が吸収性上皮細
胞で特異的に低下し、ラフト構成分子の異常が存在す
ることを見出した。一方、血清トリグリセリド濃度や
血清遊離脂肪酸濃度の低下、および腸管組織における
蓄積脂肪の減少を呈することが明らかとなった。さら
に、DKO マウス小腸では脂質輸送関連分子 T.-]NbiP、
T.-eY、T.he[ および T.heJ の遺伝子発現レベルが顕
著に低下し、これらの分子の細胞内局在の異常も認め
られた。これらの事実は、糖鎖変異の結果、脂質吸収
障害が惹起された可能性を示唆している。現在、DKO
マウスにおける脂質吸収能や脂質輸送体機能について
検討を進めている。
49>eM
49>e@
神経幹細胞の幹細胞性維持における N 型糖鎖
の機能解明
新規 O-GlcNAc 転移酵素の基質認識と生物学
的役割
〇矢木宏和 、齋藤拓也 、Robert K. Yu 、加藤晃一
⃝堺谷祐太 、野村朋子 、松浦愛子 、伊藤麻紀子 、
3
J
J
J
鈴木えみ子 、村上耕介 、灘野大太 、松田 幹 、
1
1
古川鋼一 、岡島徹也
1
1
J
[DiDYDH
名市大・院薬、 ジョージア健康科学大、
4
自然科学研究機構・統合バイオ、 お茶大・糖鎖セ、
H
グライエンス
1
J
1
J
J
3
Q/,-7(&$+1%&*"-01)&13$*&$,-%7-N-glycans in
maintenance of neural stem cell stemness
J
名大院・医・分子細胞化学、 名大院・生命農・応生化、
遺伝研・構造遺伝学研究セ、総研大・遺伝学
1
3
1
Substrate recognition and biological requirement of a
&%<,"-Z9!"$OG$-+5*&07,5*0,
○Hirokazu Yagi , Takuya Saito D*M%:)84*U6*W= , Koichi Kato
○Yuta Sakaidani , Tomoko Nomura , Aiko Matsuura ,
J
3
J
J
,2a'a%*B4% , Emiko Suzuki , Kosuke Murakami , Daita Nadano ,
J
1
1
Tsukasa Matsuda D*U%'$7'*T=8=a232 , Tetsuya Okajima
/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6D* J* Georgia Health Sci.
V1'?6D* 3 La292a'*B1&46*B14)!6*h'%&$'6D*^24"6*B1&46*^246*C$'6D* 4 Glycosci.
B1&46D*L$721%@'9=*V1'?6D*H*/gWS^NS*N%6*g4(6
1
Summary:* ^)=82"* &4)@* $)""&* +^CN&0* 28)* =1('>>)8)14'24)(*
neural cells characterized by their high proliferative
5%4)14'2"* 21(* 47)* $252$'4#* >%8* &)"><8)1)32"* 3'47* 8)4)14'%1*
%>*@="4'5%4)1$#6**E)*8)5%84*7)8)'1*4724*g)3'&*`*21(*X^U<
1 containing N<!"#$21&* 28)* )F58)&&)(* %1* &5)$'>'$* 58%4)'1&*
)F$"=&'?)"#*'1*=1('>>)8)14'24)(*^CN&6**T=847)8@%8)D*3)*72?)*
demonstrated that these N<!"#$21&*28)*2$4'?)"#*'1?%"?)(*'1*
47)*@2'14)121$)*@)$721'&@&*%>*^CN*&4)@1)&&*?'2*&5)$'>'$*
signaling pathways.
Summary:* S/T* (%@2'1&* 28)* 5%&44821&"24'%12""#* @%('>')(*
3'47* =1'{=)* L<"'1a)(* !"#$21&D* '1$"=('1!* L</"$^.$*
@%('G$24'%1*$242"#9)(*:#*SL/-*3)*72?)*'()14'G)(*8)$)14"#6*
B1*DrosophilaD*L</"$^.$#"24'%1*%>*b5D*25'$2"*)F482$)""="28*
58%4)'1&* 3'47* iQ\* S/T* (%@2'1&D* @)('24)&* '14)82$4'%1*
:)43))1* )5'47)"'2"* $)""&* 21(* 47)* )F482$)""="28* @248'F6* -%*
)F5"%8)*%47)8*&=:&4824)&D*3)*5)8>%8@)(*2"21'1)*&=:&4'4=4'%1*%>*
2@'1%*2$'(&*"%$24)(*$28:%F#<4)8@'1=&*%>*S/T*(%@2'1&6*L=8*
8)&="4&*&=!!)&4)(*4724*N```+W]T0-/*&){=)1$)*'&*8){='8)(*
>%8*%54'@2"*L</"$^.$#"24'%1*:#*SL/-6
1
1
J
[DiDYDH
1
神経幹細胞は、神経細胞やグリア細胞などへの多分
化能と自己複製能を有する神経系の前駆細胞である。
神経幹細胞が分化や幹細胞性を維持する際には、様々
なシグナル経路が関与していることが報告されている。
一方、糖鎖は細胞表層に豊富に存在しており、免疫系
などにおいて細胞間のシグナル伝達を媒介している。
そこで本研究では、神経幹細胞の分化前後において発
現パターンが変化する N 型糖鎖に着目し、それらの糖
鎖の神経細胞の分化制御における役割を解明すること
を試みた。
糖鎖プロファイリングの結果、神経幹細胞の分化前
後において N 型糖鎖の発現パターンは大きく異なっ
ていた。特に、未分化の神経幹細胞に g)3'&*` および
X^U<[ を有する N 型糖鎖が特異的に発現しているこ
とを見出した。興味深いことにこれらの糖鎖は、もっ
ぱ ら -)12&$'1<N と g.,e<[ 上 に 発 現 し て い た。 そ こ
で、これら糖鎖の生合成を担う糖転移酵素と硫酸基転
移酵素の遺伝子抑制実験を行ったところ、g)3'&*` 糖
鎖の発現抑制細胞では Notch シグナル経路の活性化
が、X^U<[ 発現抑制細胞では ,.eU 経路の活性化が抑
えられており、いずれの場合も細胞増殖の低下が認め
られた。こうしたことから神経幹細胞上の g)3'&*` や
X^U<[ 構造を有する N 型糖鎖は、各々特異的なシグナ
ル経路を活性化することにより、幹細胞性の維持に積
極的に関わっていることが明らかとなった。
1
1
J
b)546*h'%$7)@6*BBD*^2!%#2*V1'?6*/82(6*C$76*,)(6
b)546*.55"6*h'%$7)@6D*^2!%#2*V1'?6*/82(6*C$76*h'%<.!86*C$'6
3
C48=$46*h'%"6*N)146D*^B/D*21(*b)546*/)1)46D*/82(6*V1'?6*>%8*.(?6*C4=(6
J*
S/T*+ 上皮成長因子 ) ドメインは L<フコースや L<グ
ルコースといったユニークな L<結合型糖鎖の翻訳後修
飾を受ける。我々は最近、新規の翻訳後修飾としてショ
ウジョウバエ Notch の S/T ドメイン上に L<結合型 N<
アセチルグルコサミン*+L</"$^.$0* を発見し、その修
飾を担う糖転移酵素である EOGT を同定した。Eogt 変
異ショウジョウバエは、いずれの個体も幼虫段階で死
に至り、これらの幼虫は cuticle (クチクラ) が上皮から
剥がれるという表現型を示した。幼虫の cuticle タンパ
ク質を用いたイムノブロッティングと免疫沈降により、
308 個の S/T ドメインをもつ Dumpy (Dp) が新たな基質
として同定された。また、上皮細胞と細胞外マトリッ
クス間の相互作用に Dp の L</"$^.$ が関与することが
明らかとなった。次に、L</"$^.$ 修飾のコンセンサス
配列を決定するため、ショウジョウバエ S/T ドメイン
JQ の修飾部位である Thr 残基の周辺アミノ酸のアラニ
ン置換を行った。その結果、N```W-/ 配列が重要で
あることが明らかになった。さらに、YTG の Y をアラ
ニン以外の 6 種のアミノ酸に置き換えて検証した結果、
L</"$^.$ 修飾を受ける割合は WD*T > ED*-D*XD*UD*M > A
であることが明らかになった。この結果は、現在報告
されている L</"$^.$ 修飾分子のアミノ酸配列と一致
した。今後、芳香族アミノ酸側鎖が酵素活性に与える
影響をより詳しく調べていく予定である。
171
49>ef
49>eW
NMR 法を用いたザルコトキシン IA とリピド
A との相互作用解析
〇矢木真穂 、Pornthip Boonsri
[DJ
1,3
、山口芳樹 、加藤晃一
JDY
[DJ
自然科学研究機構・統合バイオ、 名市大・院薬、
Kasetsart 大、4 理研・基幹研
1
J
3
OLJ-*&*"#0,0-%7-1&+,5*$+1%&-D,+B,,&-0*5$%+%;1&-8Gand lipid A
[DJ
1,3
JDY
○,27%*W2!'<V4&=@' D*e%8147'5*h%%1&8' , Yoshiki Yamaguchi ,
[DJ
Koichi Kato
[DJDi
1
1,3
○Di Wu D*.a'a%*T=m'42 , Kayo Hamaguchi ,
4
4
H
.11)*X28(='1<g)5)8& D*e7'"'55)*b)"211%# D*_"2('&"2?*,6*e21'1 ,
[DJDi
[DJDi
N7'7'8%*C24% , Ken Kitajima
1
La292a'*B1&46*B14)!6*h'%&$'6D*^24"6*B1&46*^246*C$'6D*
/82(6*C$76*e728@6*C$'6D*^2!%#2*N'4#*V1'?6D*
3
U2&)4&284*V1'?6D4 .(?6*C$'6*B1&46D*MBUS^
1
h'%&$'6*h'%4)$76*N)14)8n* J* e8%!82@*>%8*g)2('1!*/82(=24)*C$7%%"&*
B/SMn*3 /82(6*C$76*h'%2!86*C$'6D*^2!%#2*V1'?6D*f2521n*4 V1'?*%>*g'"")D*
_'"")1)=?)*(v.&${D*T821$)n*H*-)F2&*.|,*V1'?6D*-)F&2&D*VC.
Summary:* g'5'(*.* '&* 2* @2m%8* $%@5%1)14* %>* 47)* %=4)8*
@)@:821)* %>* /82@<1)!24'?)* :2$4)8'2* 21(* $21* &)8?)* 2&* 2*
428!)4* %>* &28$%4%F'1* B.D* 37'$7* '&* 2* iZ<8)&'(=)* $)$8%5'1<
type antibacterial peptide from Sarcophaga peregrina. Our
spectroscopic analyses revealed that the conformation of
&28$%4%F'1* B.* '&* $%1?)84)(* >8%@* 821(%@<$%'"* 4%* A<7)"'$)&*
=5%1* &5)$'>'$* :'1!'1!* 4%* "'5'(*.* 478%=!7* '4&* ^<4)8@'12"*
&)!@)146*B14)8)&4'1!"#D*47)'8*'14)82$4'%1*@%()&*()5)1(*%1*&'9)*
and shape of lipid clusters.
Summary: To understand enzymatic properties of the insect
N,e<&'2"'$* &#147)42&)&* +NCC&0D* NCC&* 3)8)* $"%1)(* >8%@*
478))* ('>>)8)14* '1&)$4&D* 21(* 47)'8* 8)$%@:'1214* NCC&* 3)8)*
$7282$4)8'9)(* >%8* 47)* 2$4'?'4#6*E7)1* :2$4)8'2""#* )F58)&&)(D*
21#*%>*47)*'1&)$4*NCC&*('(*1%4*&7%3*47)*2$4'?'4#6*X%3)?)8D*
47)#* 72(* 47)* 2:'"'4#* 4%* )F58)&&* 5%"#C'2* %1* 47)* $)""&D* 37)1*
NCC<()G$')14*NXL*$)""&*3)8)*4821&>)$4)(*3'47*)2$7*%>*'1&)$4*
NCC<)F58)&&'%1*5"2&@'(6
J*
ザルコトキシン B. はセンチニクバエ幼虫の産生する
39 残基からなる抗菌ペプチドであり、グラム陰性菌の
細胞膜表層を覆うリピドAに結合することにより、抗
菌活性を示すことが知られている。しかしながら、ザ
ルコトキシン B. とリピド A の複合体形成およびその抗
菌活性発現のメカニズムは明らかとなっていない。本
研究では、^,M 分光法を用いてザルコトキシン B. と
リピド A の相互作用の構造基盤を解明することを試み
た。
ザルコトキシン B. の大腸菌発現系を構築し、安定同
位体標識を施したザルコトキシン B. をユビキチン融合
タンパク質として大量に発現し精製した後、脱ユビキ
チン酵素 WVX<[ で切断し、XegN により単離精製した。
得られたザルコトキシン B. を用いて各種多次元 ^,M
計測を行い、ザルコトキシン B. 由来の ^,M シグナル
を観測・帰属した。一方、溶液 ^,M 解析を行うための
小型の膜モデルとして、リピド A とドデシルホスホコ
リンの混合ミセル、およびリピド A を含有したバイセ
ルをそれぞれ調製し、ザルコトキシン B. 溶液に添加し
た際の ^,M 測定を行った。その結果、ザルコトキシン
B. は N 末端領域を介してリピド A と結合し、ランダム
構造から A ヘリックス構造へと構造変化することが明
らかとなった。さらに興味深いことに、ザルコトキシ
ン B. とリピド A の結合様式は、リピド A を含有した
膜のサイズや形状に依存して異なることが示唆された。
172
T&F#6*+1$-:5%:,5+1,0-%7-+/,-1&0,$+-HL4901*"1$-*$12synthetases
Many studies have revealed importance of sialylation in
prokaryotes and higher animals. However, the genetic and
biochemical characterization of sialylation has not been well
understood in invertebrates. The objective of this study is
4%* $7282$4)8'9)* 47)* '1&)$4* N,e<&'2"'$* &#147)42&)&* +NCC&0D*
37'$7*28)*58)8){='&'4)*>%8*47)*)F58)&&'%1*%>*C'2*%1*47)*$)""*
&=8>2$)*!"#$%$%1m=!24)&*'1*2""*C'2<)F58)&&'1!*$)""&6*T'8&4"#D*
2@'1%*2$'(*&){=)1$)*2"'!1@)14*%>*NCC*!)1)&*>8%@*Tribolium
castaneum (red flour beetle), Aedes aegypti (yellow fever
mosquito), and Drosophilla melanogaster*+j='4*j#0*&7%3)(*
4724* 47)* '1&)$4* NCC&* "2$a* 47)* )F482* N<4)8@'12"* (%@2'1*
$%@@%1"#*58)&)14*4%*?)84):824)*NCC&6*C)$%1("#D*1%*2$4'?'4#*
4%* ^)=H.$D* ^)=H/$D* %8* U(1* 32&* ()4)$4)(* >%8* 21#* %>* 47)*
'1&)$4* NCC&* in vitro , while high enzyme activities were
%:42'1)(*>%8*G&7*NCC&*58)528)(*=1()8*47)*&2@)*$%1('4'%1&6*
However, in vivo* 2$4'?'4#D* 47)* '1&)$4* NCC&* 3)8)* &7%31* 4%*
72?)*47)*2:'"'4#*4%*)F58)&&*5%"#C'2*%1*47)*$)""&6*-7)&)*8)&="4&*
&7%3*4724*47)*'1&)$4*NCC&*72?)*47)*)19#@)*2$4'?'4#*3'47%=4*
47)*5284'$="28*N<4)8@'12"*(%@2'1*4%*?)84):824)&D*2"47%=!7*47)#*
255)28*4%*:)*=1&42:")*=1()8*5=8'G$24'%1*58%$)(=8)&6*T=847)8*
&4=(')&*28)*!%'1!*%1*'1*%=8*"2:%824%8#*4%*2&a*37#*'1&)$4*NCC&*
28)*&%*=1&42:")*$%@528)(*3'47*?)84):824)*NCC&6
49>eb
49>ec
ヒト iPS 細胞上のケラタン硫酸鎖を認識する
新規単クローン抗体の性質
セミミクロ蛍光ポストカラム HPLC を用いた
生体内ケラタン硫酸の超微量分析
○松本尚悟 、中尾広美 、河邊圭子 、館山大揮 、廣瀬佳則 、
3
1
4
4
1
森田彩葉 、野中元裕 、川崎ナナ 、橋井則貴 、川嵜伸子 、
J
3
1
古江 r 楠田美保 、豊田英尚 、川嵜敏祐
○豊田英尚、廣瀬佳則、森田彩葉、永田雄哉、滝嶌佑人、
丸山 陽、豊田亜希子
立命館大・糖鎖工学研究セ、
医薬基盤研・難病・疾患資源・ヒト幹細胞応用開発、
3
4
立命館大・薬・生体分析化学、 国立衛研
立命館大・薬
1
1
1
J
3
1
J
A novel marker antibody for human induced
:"(51:%+,&+-0+,6-U/14.V-$,""0I
Micro-determination of keratan sulfate in biological
0*6:",0-D#-0,61961$5%-E(%5%6,+51$-:%0+9$%"(6&-X4YH--
1
1
1
*J
○Shogo Matsumoto , Hiriomi Nakao , Keiko Kawabe , Daiki Tateyama ,
○Hidenao Toyoda, Yoshinori Hirose, Ayaha Morita, Yuya Nagata,
Yuto Takishima, Aki Maruyama, Akiko Toyoda
1
M)&6*N)14)8*/"#$%:'%4)$76D*M'4&=@)'a21*V1'?6D*J*g2:6*C4)@*N)""*N="4=8)&D*b)546*b'&)2&)*
h'%8)&%=8$)&D*^24"6*B1&46*h'%@)(6*B11%?6D* 3 b)56*e728@6*.12"6*N7)@6D*N%"6*e728@6*C$'6D*
M'4&=@)'a21*V1'?6D*4 b'?6*h'%"6*N7)@6*21(*h'%"%!'$2"&D*^24"6*B1&46*X)2"47*C$'6
T2$6*e728@6*C$'6*M'4&=@)'a21*V1'?6
Summary:*E)*!)1)824)(*2*@%1%$"%12"*214':%(#D*M<[Q/D*:#*
'1m)$4'1!*7'eC*+-'$0*$)""&*'14%*@'$)6*M<[Q/*8)$%!1'9)(*7'eC*
and hES cells. The antigen protein was isolated from Tic cell
"#&24)&*:#*21*2>G1'4#*$%"=@1*%>*M<[Q/6*gN],C],C*212"#&'&*
2>4)8*48#5&'1*('!)&4'%1*%>*M<[Q/*214'!)1*'1('$24)(*4724*47)*
$%8)*58%4)'1*'&*5%(%$2"#F'16*E)&4)81*:"%44'1!*%>*47)*214'!)1*
protein after various glycosidase digestion indicated that the
)5'4%5)*32&*2*"%3*&=">24)(<a)82421*&=">24)6
Summary: Keratan sulfate (KS) is a glycosaminoglycan that
32&*'1'4'2""#*'&%"24)(*>8%@*47)*:%?'1)*$%81)26*B4*'&*@2()*=5*
%>*47)*;[Di<"'1a)(*:2$a:%1)*%>*47)*8)5)24'1!*('&2$$728'()&*
+/2";[DY/"$^.$06*B1*47'&*3%8aD*3)*72?)*()?'&)(*2*&)1&'4'?)*
method for the structural analysis of KS from biological
&2@5")&6*B4*32&*8)?)2")(*4724*47)*%"'!%&2$$728'()&*58%(=$)(*
:#*a)824212&)*BB*('!)&4'%1*%>*UC*$%="(*:)*()4)8@'1)(*3'47*
7'!7*&)1&'4'?'4#*=&'1!*2*j=%8%@)48'$*5%&4<$%"=@1*8)2$4'%16
ヒト 'eC 細胞 (Tic) を免疫原としてマウスに免疫して
作成したハイブリドーマを、ヒト 'eC(7'eC0 細胞陽性、
ヒト胎児性がん +7SN0 細胞陰性を指標としてスクリー
ニングする方法により数種の単クローン抗体を得た。
今回はこのうち M<[Q/ 抗体の性質を報告する。
本抗体は 7'eC 細胞、hES 細胞に結合するが、7SN 細
胞には結合しなかった。エピトープ分子の局在性を間
接蛍光抗体法により標識し共焦点レーザー顕微鏡で観
察すると、従来の 7'eC]7SC のマーカー抗体と異なる特
徴的な分布を示した。次に、Tic 細胞の抽出物を M<[Q/
抗体カラムにかけ M<[Q/ 抗原タンパク質を精製した。
M<[Q/ 抗原タンパク質のトリプシン分解物を gN],C]
MS 解析した結果、そのコアタンパク質はポドカリキシ
ンであった。ついで、本抗原分子上のエピトープの性
質を、ウエスタンブロットと各種グリコシダーセ処理
を組み合わせて検討した。その結果、本抗原の抗体結
合活性は*e^/2&)*TD*シアリダーゼ、コンドロイチナーゼ
.hND*ヘパリナーゼミックス消化により影響されず、ケ
ラタナーゼ、ケラタナーゼ BB、エンド<;<ガラクトシダー
ゼ消化により消失した。この結果は、本抗原のエピトー
プがケラタン硫酸の一種であることを示している。さ
らに、酵素分解物の解析などにより、M<[Q/ が低硫酸
化ケラタン硫酸を認識する抗体であることが明らかと
なった。
ケラタン硫酸 (KS) はグリコサミノグリカンと総称さ
れる硫酸化多糖の1種で、これまで主に角膜や軟骨を
用いて研究が行われてきたが、それ以外の様々な組織
にも存在し、その生理的役割が注目されている。KS は
ガラクトース (Gal) と ^<アセチルグルコサミン (GlcNAc)
の二糖の繰り返し構造で構成され、硫酸基が Gal と
GlcNAc の片方のみ、あるいは両方に結合するため幅広
い構造多様性を示す。糖鎖長および硫酸化の程度が発
現部位、発現時期によって変化することから、KS の多
様な構造パターンの解析は疾病と KS の関連や、KS の
生体内での役割を解明するために重要である。J<シア
ノアセトアミド(J<N.)はグリコサミノグリカンを酵
素消化して得られる不飽和二糖を分析する際の高感度
な蛍光ポストカラム試薬である。KS をケラタナーゼ ‹
で消化すると飽和のオリゴ糖が生成するが、J<N. では
期待される感度が得られなかった。そこで様々な試薬
を検討したところ、J<N. の 10 倍以上の感度を示すも
のを見出した。オリゴ糖の分離にセミミクロ逆相イオ
ンペアクロマトグラフィーを用いた蛍光ポストカラム
XegN とすることで、検出限界が約 JQ*5!+C]^pi0 の高
感度な分析法を確立した。ウシ角膜、サメ軟骨、ブタ
軟骨、ラット脳、ウシ血清中の KS に本法を応用したと
ころ、微細構造の差異を反映した特徴的な結果が得ら
れた。
3
3
1
4
4
Yoshinori Hirose , Ayaha Morita , Motohiro Nonaka ,Nana Kawasaki , Noritaka Hashii ,
1
*J
3
1
Nobuko Kawasaki D*,'7%*U*T=8=) , Hidenao Toyoda , Toshisuke Kawasaki
173
49>eh
49>>e
Endo-1,3-β-glucanase 変異体の非修飾糖に
対する糖転移活性能評価
○元木祥子 、田邊陽一 、宮川 淳 、山村初雄 、織田昌幸
1
1
J
J
電気化学的に発生させたグリコシルトリフ
ラートを用いるオリゴグルコサミン合成
1
京府大・院生命環境科学、 名工大
1
京大院工
J*
Evaluation of transglycosylation activities of endo-1,3=9)"($*&*0,-6(+*&+0-7%5-(&6%213,2-%"1)%0*$$/*512,0
Synthesis of Oligoglucosamines via Electrochemically
!,&,5*+,2-!"#$%0#"-Q51E*+,0
○Shoko Motoki , Yoichi Tanabe , Atsushi Miyagawa ,
J
1
Hatsuo Yamamura , Masayuki Oda
○-%&7'a'*^%a2@'D*W%&7'7'8%*C2'!=&2D*M#=428%*X2#2&7'D*
f=1<'$7'*W%&7'(2
1
U#%4%*V1'?6
1
J*
1
J
/82(6*C$76*%>*g'>)*21(*S1?'8%16*C$'6D*U#%4%*e8)>6*V1'?6D*
^2!%#2*B1&46*%>*-)$76
Summary: We try to generate the glucanase mutant which has
transglycosylation activity. We found that the catalytic domain
@=4214&*%>*)1(%<[Di<;<!"=$212&)*>8%@* Cellulosimicrobium
cellulansD*S[[Z/*21(*S[[Z/]b[J[/D*72(*4821&!"#$%&#"24'%1*
2$4'?'4')&*3'47*()$8)2&)(*7#(8%"#4'$*2$4'?'4')&*>%8*=1@%('G)(*
oligosaccharides. The transglycosylation activity of E119G/
b[J[/*>%8*"2@'128'48'%&)*32&*7'!7)8*4721*4724*%>*S[[Z/6*-7)*
2$4'?'4')&*>%8*=1@%('G)(*%"'!%&2$$728'()&*'1('$24)*47)*&48%1!*
transglycosylation abilities of mutants analyzed.
;<グルカンは、免疫賦活活性などを持つことが報告
されており、グルカナーゼの逆反応となる糖転移活性
を利用した、各種オリゴ糖の調製法が注目されている。
すなわち、グルカナーゼ活性部位の求核性残基を非求
核性残基に置換することで、加水分解活性が消失し、
糖転移活性が相対的に上昇して糖鎖合成が可能となる。
本研究では、Cellulosimicrobium Cellulans 由来 )1(%<[Di<
;<!"=$212&) の 触 媒 ド メ イ ン を 対 象 と し、 同 変 異 体 で
の糖転移活性を評価した。本酵素触媒ドメインは GH
family 16 に属し、触媒残基として、E119(求核性残基)、
b[J[、S[JY(一般酸塩基性残基)を有する。変異体と
して、E119G、および S[[Z/]b[J[/ を、大腸菌発現系
を用いて調製し、基質には laminaritriose を用い、その
反応生成物を、薄層クロマトグラフィーにより観測し
た。その結果、両変異体で、加水分解産物とともに糖
転移産物が確認され、さらに S[[Z/]b[J[/ で、より高
い糖転移活性効率が認められた。加水分解活性が残さ
れた結果は、E119 に代わる求核性残基の存在を示唆す
るが、立体構造情報に基づくと、E119G では E119 と空
間的に近い b[J[ が、S[[Z/]b[J[/ では活性部位で唯
一のカルボン酸残基となる S[JY が、代替する求核性残
基と考えられる。また特筆すべき結果として、これま
での同様研究では、基質として、アノマー位の OH 基
をフッ素置換したフッ化糖などの修飾糖が用いられて
いたが、本対象変異体では、非修飾糖に対する糖転移
活性能を見出した。
174
○野上敏材、三枝善博、林 竜太郎、吉田潤一
Summary: We have developed the electrochemical method
4%* !)1)824)* 21(* 2$$=@="24)* !"#$%&#"* 48'>"24)&* :#* 47)* "%3<
4)@5)824=8)*)")$48%$7)@'$2"*%F'(24'%1*%>*47'%!"#$%&'()&6*B1*
this study, we applied this method for generation of glycosyl
48'j24)*%>*%"'!%&2$$728'()&*37'$7*72?)*8)5)24'1!*&48=$4=8)*%>*
amino sugars.
これまでに我々はチオグリコシドを糖供与体として
用い、単糖のグリコシルトリフラートが電気化学的に
発生・蓄積可能であることを明らかにしている。そこ
で本研究では二糖以上のグリコシルトリフラートにつ
いても同様の手法で発生・蓄積出来ることを明らかに
し、グリコシル還元末端方向への糖鎖伸長によって、
オリゴグルコサミンの合成が可能であることを示した。
まず、二糖合成をモデル反応として、チオグリコシ
ド糖供与体の硫黄上置換基の効果について調べたとこ
ろ、Y<フルオロフェニル基を用いた場合に [DP<脱水糖
の生成が抑制でき、二糖のチオグリコシドが \Yu 収率
で得られた。これを二糖以上のチオグリコシド糖供与
体に適用し、オリゴ糖のグリコシルトリフラートの調
製とワンポットでのグリコシル化反応を行った。チオ
グリコシド(二∼五糖)を低温電解酸化し、生じたグ
リコシルトリフラートに対して無保護の一級水酸基を
有するチオグリコシドを作用させたところ、還元末端
方向に糖鎖伸長が可能であった(三∼六糖:平均収率
KYu)。従って、本手法はオリゴ糖の化学合成において、
水酸基の脱保護を経る非還元末端方向への糖鎖伸長法
と相補的な手法となり得る。
49>>>
ケラタナーゼ II 触媒を用いるトランスグリコ
シル化反応による腫瘍関連糖鎖抗原の合成
49>>K
キチナーゼ触媒重合による交互 N-システイニ
ルキチン誘導体の合成
○大前 仁、高田順子、勢造恭平、木村俊作
○大前 仁、小出早苗、藤田勇樹、木村俊作
京大院工
京大院工
Synthesis of tumor-associated carbohydrate antigens
D#-S,5*+*&*0,-889$*+*"#F,2-+5*&0)"#$%0#"*+1%&
H/1+1&*0,9$*+*"#F,2-:%"#6,51F*+1%&-+%-*"+,5&*+1&)O9$#0+,1&#"-$/1+1&-2,51<*+1<,
○,2&2&7'*L7@2)D*f=1a%*-2a2(2D*U#%7)'*C)9=a=8'D*
Shunsaku Kimura
○,2&2&7'*L7@2)D*C212)*U%'()D*W=a'*T=m'42D*C7=1&2a=*U'@=82
/82(6*C$7%%"*%>*S1!6D*U#%4%*V1'?6
/82(6*C$7%%"*%>*S1!6D*U#%4%*V1'?6
Summary:*C=">%<g)F*%F29%"'1)*+J0*21(*&=">%<g)F<L<,e*+i0*
3)8)*()&'!1)(*2&*2*4821&'4'%1<&424)*212"%!*&=:&4824)*@%1%@)8*
21(*2*!"#$%&#"*2$$)54%8D*8)&5)$4'?)"#*>%8*UC2&)BB<$242"#9)(*
&#147)&'&*%>*4#5)*J*4=@%8<2&&%$'24)(*$28:%7#(824)*214'!)1&6*
-821&!"#$%&#"24'%1*%>*i*3'47*g2$^.$PC*%F29%"'1)*()8'?24'?)*
+[0* 58%$))()(* &@%%47"#D* !'?'1!* 8'&)* 4%* g2$^.$PC;+[Di0<
&=">%<g) F<L<,e* +H0* '1* 2* PPu* #')"(* +XegN06* -7'&* 8)&="4*
'1('$24)&* 4724* UC2&)BB* '&* 2* ?)8#* )>>)$4'?)* $242"#&4* 4%* >%8@*
;+[Di0<!"#$%&'('$* "'1a2!)* >%8* &#147)&'&* %>* 4#5)* J* 4=@%8<
associated carbohydrate antigens.
Summary: Alternating N<$#&4)'1#"* $7'4'1* ()8'?24'?)*
32&* &=$$)&&>=""#* &#147)&'9)(* ?'2* $7'4'12&)<$242"#9)(*
5%"#@)8'924'%16*-7)* ('&2$$728'()* %F29%"'1)* @%1%@)8* %>*
/"$^+g<-790;+[DY0/"$^.$* 32&* ()&'!1)(* 21(* &#147)&'9)(*
as a precursor monomer. The monomer was effectively
recognized and catalyzed by family 18 chitinases, providing
alternating N<g<47'29%"'('1)* $28:%F#"* $7'4'1* ()8'?24'?)* '1*
!%%(*#')"(&6*-7)*g<47'29%"'('1)*$28:%F#"*!8%=5*'1*47)*58%(=$4*
5%"#@)8* 32&* &@%%47"#* $%1?)84)(* 4%* g<$#&4)'1#"* !8%=5*
:#* 8)2$4'%1* 3'47* @)47%F#2@'1)* 7#(8%$7"%8'()D* 58%?'('1!*
alternating N<$#&4)'1#"*$7'4'1*()8'?24'?)6
【緒言】腫瘍関連糖鎖抗原として硫酸化ルイス `(&=">%<
g)F)が ;+[Di0 グリコシドで結合した J 型糖鎖が存在す
る。 我 々 は 既 に P< 硫 酸 化 N< ア セ チ ル ラ ク ト サ ミ ン
[/2";+[DY0/"$^.$PCn*g2$^.$PC]オキサゾリン誘導体 (1)
を基質モノマーとし、ケラタナーゼ BB+UC2&)BB0 を触媒
として作用させることにより ;+[Di0 グリコシド結合で
繋がったケラタン硫酸オリゴマーを合成している。本
F
研究では &=">%<g) オキサゾリンモノマー (2) 及び &=">%<
F
g) <L<,e*+3) を 合 成 し、 こ れ ら と 1 を 組 み 合 わ せ て
UC2&)BB による糖転移反応を行い、種々の腫瘍関連 J 型
糖鎖の合成を行うことを目的とした。
【実験】2 および 3 の簡便な合成法について検討した。
続いて 3 と糖供与体として 1 を用い、UC2&)BB を触媒と
して用いる糖転移反応を行った。
【結果】ラクツロースを出発物質として簡便に 3 を合
成した。また、1 及び 3 を用いる UC2&)BB による糖転移
反応は効率よく進行し、目的とする g2$^.$PC;+[Di0<
&=">%<g)F<L<,e(5)を収率 66%で得た。この結果から、
UC2&)BB は &=">%<g)F 構造を糖受容体部位において認識可
能であることが判明し、腫瘍関連 J 型糖鎖合成の触媒
として有用であることが明らかとなった。現在 2 の合
成と糖転移反応について検討を行なっている。
【緒言】キチナーゼ重合によるキチン誘導体合成におい
て、これまでの研究から二糖モノマーの非還元末端側
NJ 位置換基の酵素による認識は緩いと予想されてい
る。本研究では NJ 位アミノ基に g< システイン +N#&0
誘導体を有する J 糖モノマーを合成し、キチナーゼ重
合させることにより側鎖に N#& を有するキチン誘導体
を合成することを目的とした。側鎖に N#& 残基を有す
るキチン誘導体は粘膜成分ムチンの N#& チオール基と
ジスルフィド結合を形成して粘膜滞留性が向上すると
期待され、粘膜組織への効率的な DDS 用担体としての
利用が期待される。
【 実 験・ 結 果 】N#& の 前 駆 体 と し て g<チ オ プ ロ リ ン
+g<-790 を選択し、これを二糖の NJ 位アミノ基に導入
したキトビオースオキサゾリンモノマー +/"$^+g<-790
;+[DY0/"$^.$<%F2n*1) を合成した。1 をリン酸緩衝溶液
中、キチナーゼ重合させたところ反応はスムーズに進
行し、白色の沈殿が生成した。反応終了後、水溶性部
位を ,.gbB<-LT],C で分析したところ、交互 N<g<-79
キチン誘導体 (2) の繰り返し二糖の分子量に相当する
@]9*YKZ の間隔で最大 10 糖までピークが観察され、2 の
生成が確認された。また、メトキシアミン塩酸塩を用
いる Thz から N#& への変換反応も効率良く進行し、目
的とする交互 N<システイニルキチン誘導体を得ること
が出来た。
175
49>>M
49>>@
α-ジストログリカン上の機能性糖鎖発現にお
ける HNK-1ST の新たな役割
脊椎生物に特有なポリペプチド GalNAc 転移
酵素の機能解析
○中川直樹 、萬谷 博 、遠藤玉夫 、岡 昌吾
○中村直介、金田鋭一、中山喜明、黒坂 光
1
1
J
J
1
京大院・医・人間健康、 都健康長寿医療セ
京都産業大学 総合生命
J
G-&%<,"-5%",-%7-XOg9>.Q-1&-+/,-,;:5,001%&-%77(&$+1%&*"-)"#$*&0-%&-R92#0+5%)"#$*&
○Naoki Nakagawa , Hiroshi Manya , Tamao Endo , Shogo Oka
1
J
J
C(&$+1%&*"-G&*"#010-%7-A,5+,D5*+,-.:,$13$-4%"#:,:+12,!*"OG$9+5*&07,5*0,0
1
1
b)546* %>* h'%"6* N7)@6D* X=@21* X)2"47* C$'6D* /82(6* C$76* %>* ,)(6D*
U#%4%*V1'?6D* J* Mol. Glycobiol., Tokyo Metropolitan Geriatric Hosp.
21(*B1&46*%>*/)8%14%"%!#
T2$6*%>*g'>)*C$'6D*U#%4%*C21!#%*V1'?6
Summary:*A<(#&48%!"#$21*+A<b/0*'&*2*@)@:821)<2&&%$'24)(*
!"#$%58%4)'1D*37'$7*8){='8)&*58%5)8*L<@211%&#"*!"#$%&#"<
24'%1* 4%* '14)82$4* 3'47*'4&*"'!21(&*'1$"=('1!*"2@'1'16*B1*47'&*
&4=(#D* 3)* '1?)&4'!24)(* 47)* )>>)$4* %>* X^U<[* $28:%7#(824)*
%1*47)*"'!21(<:'1('1!*2$4'?'4#*%>*A<b/6*.&*2*8)&="4D*X^U<[*
&=">%4821&>)82&)*+X^U<[C-0D*:=4*1%4*X^U<[*$28:%7#(824)D*
&=558)&&)(*47)*!"#$%&#"24'%1*21(*"2@'1'1<:'1('1!*2$4'?'4#*%>*
A<b/*:#*4821&>)88'1!*&=">24)*!8%=5&*4%*A<b/D*'1('$24'1!*2*
1%?)"*8%")*%>*X^U<[C-*2&*2*>=1$4'%12"*8)!="24%8*%>*A<b/6
Summary:* ,=$'1<4#5)* L<!"#$%&#"24'%1* '&* $242"#9)(* :#* 2*
>2@'"#* %>* 5%"#5)54'()* /2"^.$<4821&>)82&)&* +/2"^.$<-&06*
M)$)14"#D*3)*72?)*$"%1)(*21(*212"#9)(*9):82>'&7*/2"^.$<
-gY2*21(*:D*37'$7*28)*'&%9#@)&*%$$=88'1!*%1"#*'1*?)84):824)&6*
S@:8#%&* 3'47* /2"^.$<-gY2D* :* &=558)&&)(* 25528)14"#*
)F7':'4)(*@2">%8@24'%1*%>*47)*42'"&6*.12"#&)&*%>*a1%$a(%31*
embryos with lectins also demonstrated unusual staining
in the tails. These findings indicated that glycosylation by
/2"^.$<-gY2D*:*'&*'1?%"?)(*'1*47)*()?)"%5@)14*%>*9):82G&7*
tails.
A<ジストログリカン +A<b/0 は、細胞膜上でラミニ
ンなどの細胞外基質分子と結合する接着分子である。
A<b/ 上の*L<マンノース型糖鎖がリガンドとの結合に
重要であり、その糖鎖付加不全は精神発達遅滞を伴う
筋ジストロフィーの原因 となる。A<b/ の機能を担う
糖鎖構造としては、シアル酸を末端にもつ四糖構造や
"'a)<2$)4#"!"=$%&2@'1#"4821&>)82&)*+g.M/S0 が 生 合 成 に
関与するリン酸基含有糖鎖が知られている。しかし、
A<b/ の*L<マ ン ノ ー ス 型 糖 鎖 上 に 付 加 さ れ る human
124=82"*a'"")8<[*+X^U<[0 糖鎖の機能は不明であった。そ
こで本研究では、*X^U<[ 糖鎖が A<b/ のラミニン結合
能に与える影響を解析した。その結果、X^U<[ 糖鎖
ではなく、X^U<[ 糖鎖合成酵素 の一つである X^U<[*
&=">%4821&>)82&)*+X^U<[C-0 の単独の作用によって A<b/
の糖鎖付加状態が変化し、ラミニン との結合が抑制さ
れた。X^U<[C- は g.M/S 存在下でも A<b/ の糖鎖付
加を抑制したことから、X^U<[C- のリン酸基含 有糖
鎖生合成への関与が示唆された。また代謝標識実験の
結果、X^U<[C- が A<b/ に硫酸基を転移することが明
らかと なった。以上の結果から、硫酸基の転移により
A<b/ の糖鎖付加を制御するという X^U<[C- の新たな
機能が示された。
176
○Naosuke Nakamura, Eiichi Kaneda, Yoshiaki Nakayama,
Akira Kurosaka
タンパク質の翻訳後修飾であるムチン型糖鎖の付
加部位や数は、生合成開始反応を触媒する polypeptide
/2"^.$<*4821&>)82&)*+/2"^.$<-0 により決定される。この
酵素は巨大な遺伝子ファミリーを形成するが、このう
ちのあるものは 脊椎生物にのみ見られる。我々は、脊
椎生物におけるムチン型糖鎖の働きを調べる目的で、
ゼブラフィッシュを用いてこ れらのアイソザイムの機
能解析実験を行っている。我々は、脊椎生物に特有な
アイソザイムのうち、/2"^.$<-gY の解析 を行った。
ゼブラフィッシュゲノムではこのアイソザイムは重複
しており、/2"^.$<-gY2D*: とよばれる J 種類の配列か
ら 成る。我々はこれらを単離し、初期胚での発現を調べ、
これらがゼブラフィッシュ胚の全体に広く発現する事
を明らかに した。さらに、/2"^.$<-gY2D*: の機能阻害
胚を解析し、受精後 48 時間以降で、異常な尾形成が起
こる事を見いだした。また、レクチンを用いた解析から、
受精後 JP 時間の機能阻害胚で、尾部における異常な糖
鎖発現を観察した。これらよ り、ゼブラフィッシュの
尾形成に、/2"^.$<-gY2D*: が付加する糖鎖が重要な働
きを持つ可能性が考えられた。今後は、*/2"^.$<-gY2D*:
の内在性基質についても検討する予定である。
49>>f
49>>W
マイクロチップ等電点電気泳動によるタンパ
ク質製剤の迅速解析
N -結合型糖鎖フラグメントの合成
○中辻佑強 、岸本昌太 、松村千恵美 、木下充弘 、荒井昭博 、
J
3
1
中村 伸 、早川堯夫 、掛樋一晃
○長崎政裕 、源 直也 、サルマサン レジーナ 、真鍋良幸 、
J
1
田中克典 、深瀬浩一
1
1
1
1
1
J
近畿大・薬、 島津製作所、 近畿大・薬総研
J
3
新規アスパラギン結合型中間体を経由する
1
1
1
1
3
1
1
C$7%%"*%>*5728@2$#D*U'1a'*V1'?)8&'4#D*J*C7'@2(9=*N%6g4(6D*
e728@6M)&D*-)$76B1&46DU'1a'*V1'?)8&'4#
Summary: Microchip electrophoresis is considered to be
an attractive separation in terms of the fast analysis speed.
-7)*&$%5)*%>*47)*58)&)14*3%8a*$%?)8&k*+20*47)*)?2"=24'%1*%>*
the applicability of the commercially available microchip
)")$48%57%8)&'&*2552824=&*>%8*'&%)")$48'$*>%$=&'1!*+BST0n*+:0*
47)*()?)"%5@)14*%>*@'$8%$7'5<:2&)(*BST*+@BST0*@)47%(*>%8*
!"#$%58%4)'1&n*+$0*47)*$%@528'&%1*%>*47)*8)&="4&*%>*@BST*3'47*
47%&)*%>*$25'""28#<:2&)(*BST*+$BST06
【緒言】等電点電気泳動法はタンパク質の不均一性を評
価できる有力な手段であるが、再現性を確保するため
には熟練を要し、ゲル調製から染色まで、結果を得る
までに長時間を要する。一方、マイクロチップ等電点
電気泳動 +@BST0 は全操作工程を自動化でき、オンライ
ン V_ 検出が可能であるため、定量性が高く再現性が
高い。本研究では V_ リニアイメージング検出器を用
いる @BST を糖タンパク質の不均一性評価に適用した結
果を報告する。
【方法】装置 k*C7'@2(9= 製 ,NS<JQ[Q*+PQ*}@ の流路幅
と流路長 JK*@@ の石英製チップ) を用いた。検出は V_
リニアイメージング検出により全流路をリアルタイム
検出した。
【結果・考察】ペプチド 5B マーカーを用いてフォーカ
シング条件について検討し、陽極液として [u*Xe,N
を 含 む 0.04 M ア ス パ ラ ギ ン 酸、 陰 極 液 と し て 0.1 M
NaOH を用いることにより、6 種類のペプチドマーカー
+5B*H6[Jq5B*[Q6[Q0 を JYQ 秒以内に完全に分離できた。タ
ンパク質への応用として、ヒトトランスフェリンにつ
いては、JQQ 秒以内に 5B*H6YPq5B*P6[Z の H つのグライコ
フォームを分離でき、キャピラリー等電点電気泳動法
と比較し 5B 値の誤差は Q6J 以下であった。またタンパ
ク質製剤への応用として、H 種類の抗体医薬品を分析し
た結果、380 秒以内に各抗体医薬品に特徴的なグライコ
フォームを観察できた。本法は抗体医薬品の N 末端リ
ジン残基の有無や糖鎖非還元末端のシアル酸修飾によ
る不均一性の評価にも有用であった。
1
1
阪大院理、 理研基幹研
J
Synthesis of N9!"#$*&-C5*)6,&+0-<1*-O%<,"-G0&9
Y1&S,2-8&+,56,21*+,
Fast analysis of biopharmaceuticals using microchipD*0,2-10%,",$+51$-7%$(01&)I
○Yuki Nakatsuji , Syota Kishimoto D*N7')@'*,24&=@=82 ,
1
J
J
Mitsuhiro Kinoshita , Akihiro Arai , Shin Nakamura ,
3
1
Takao Hayakawa , Kazuaki kakehi
1
○Masahiro Nagasaki , Naoya Minamoto D*M)!'12*C2"@2&21 ,
1
J
1
Yoshiyuki Manabe , Katsunori Tanaka D*U%'$7'*T=a2&)
1
1
1
1
b)5284@)14* %>* N7)@'&48#D* /82(=24)* C$7%%"* %>* C$')1$)D* L&2a2*
V1'?6D*J*MBUS^*.(?21$)(*C$')1$)*B1&4'4=4)
Summary: New synthetic strategy of N<!"#$21&* 32&*
investigated for the construction of N<!"#$21* "':828#* 4%*
:)* =&)(* >%8* 47)* :'%<>=1$4'%12"* 212"#&'&6* -7=&D* !"#$%&#"<
.&1* &48=$4=8)&* +/"$^<.&1* %8* T=$[<P/"$^<.&10* 3)8)* >'8&4*
synthesized by N<!"#$%&#"24'%1D* 21(* 47)1* %"'!%&2$$728'()*
$72'1* 32&* )"%1!24)(* &4)5* :#* &4)56* * B1* 47'&* &4=(#D* 3)*
established the deprotection procedure by using synthetic
'14)8@()('24)&* 4%* 2>>%8(* &)?)82"* &7%84* .&1< " ' 1 a ) (*
%"'!%&2$$728'()&6*N"=&4)8'1!*%>*47)*%"'!%&2$$728'()&* >%8* '1*
vivo imaging was also investigated.
我々は N<結合型糖鎖の機能を調べるために、ライブ
ラリー構築を指向した合成研究を行ってきた。ここで、
まず N<グリコシル化反応を行って糖アスパラギン構造
を構築した後、順次糖鎖を伸長する合成戦略を採用し
た。この際、各中間体を脱保護することで様々な中間
構造を持つ糖鎖を合成することが可能である。今回、
この合成戦略の有用性を確認するために、種々の合成
保護中間体の脱保護について検討した。アスパラギン
残基の脱保護において主要な副生成物であるスクシン
イミド構造を形成しないように、まずカルボキシル保
護基を選択的に切断した後、順次他の保護基を切断す
ることにより、アスパラギン構造を損なうことなく脱
保護する経路を確立し、数種の糖鎖アスパラギンを合
成した。更に、生体内イメージングを目的として、こ
れらの合成糖鎖をデンドリマー型の糖鎖クラスターへ
誘導した。
177
49>>b
多様性指向型経路による寄生菌リピド A の合
成と免疫調整活性
天然から単離した N- 結合型糖鎖を用いる高分
岐複合型糖鎖の合成研究
○來山直弘、下山敦史、佐伯昭典、生地哲平、藤本ゆかり、
深瀬浩一
○真木勇太、岡本 亮、和泉雅之、梶原康宏
阪大院理
阪大院理
.#&+/,010-%7-Y1:12-G-75%6-4*5*01+1$-]*$+,51*-<1*-N1<,501+#9
oriented Approach and their Immunomodulatory Activities
Synthetic studies of highly branched complex-type N-glycans
from bi-antennary N-glycan isolated from biological source
○UB-.W.,.D*^2%7'8%n*CXB,LW.,.D*.4&=&7'n*C.SUBD*.a'1%8'n*
BUVfBD*-)55)'n*TVfB,L-LD*W=a28'n*TVU.CSD*U%'$7'
○W=42*,2a'D*M#%*La2@%4%D*,2&2#=a'*B9=@'D*W2&=7'8%*U2m'7282
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)D*L&2a2*V1'?6
L&2a2*V1'?6
S u m m a r y : / & 1 # + 8 6 0 + % & ( . * ; 1 8 ( # a n d P o r p h y ro m o n a s
gingivalis * 72?)* =1'{=)* geC* &48=$4=8)&D* 37'$7* &7%3* 3)2a*
immunostimulatory activities and are implicated in chronic
inflammation and atherosclerosis. The characteristic activities
28)*'1(=$)(*:#*47)*('&4'1$4'?)*"'5'(*.*&48=$4=8)&*%>*47)&)*geC6*E)*
have thus synthesized 10 lipid A structures from these parasitic
bacteria via divergent synthetic approach using a common
('&2$$728'()* '14)8@)('24)6*E)* 2"&%* 8)?)2")(* &)")$4'?)* Bg<[\*
induction with these lipid As.
Summary:*B1*%8()8*4%*%:42'1*!"#$%58%4)'1&*:)28'1!*48'<*%8*
4)482<214)1128#* $%@5")F<4#5)* %"'!%&2$$728'()&D* 3)* 72?)*
&4=(')(*47)*&#147)&'&*%>*&=$7*%"'!%&2$$728'()&*=&'1!*47)*:'<
214)1128#*$%@5")F<4#5)*%"'!%&2$$728'()*'&%"24)(*>8%@*)!!*
#%"a*2&*2*&4284'1!*@24)8'2"6*b=8'1!*47)*)F4)1&'?)*'1?)&4'!24'%1D*
selective protection methods were found to yield suitable
!"#$%&#"* 2$$)54%8* :2&)(* %1* 47)* &$2>>%"(* %>* :'<214)1128#*
$%@5")F<4#5)**%"'!%&2$$728'()6*B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*3%="(*
"'a)*4%*('&$=&&*47)*>%8@24'%1*%>*48'<D*4)482<*21(*>=$%&#"24)(*
oligosaccharide.
胃・十二指腸潰瘍の起因菌である /=.*;18(# や歯肉炎・歯
槽膿漏の原因菌である P. gingivalis のリポ多糖は、大腸菌
等に比べ免疫刺激活性が弱く、一方で寄生性、慢性炎症、
あるいはアテローム性動脈硬化との関連が示唆されてい
る。リポ多糖の自然免疫刺激活性は主に脂質部であるリピ
ドAが担っており、/=.*;18(#D.E=.'#$'#701#4 リポ多糖ともに、
大腸菌等に比べアシル基の数は少ないが鎖長が長く、1 位
のみにリン酸エステルを有するリピド A を主成分として
持つ。菌種による差異に加え、同じ菌種のリピド A でも、
アシル基の種類とアシル化パターン、リン酸基やその修飾
の有無等様々な多様性がある。そこで様々なリピド A を
効率的に合成するために共通の鍵中間体を用いる多様性指
向型合成法を開発し、これらの寄生性細菌の 10 種のリピ
ド A の全合成を行った。この鍵中間体は各ヒドロキシ基
が選択的に切断可能な保護基で保護されており、保護基の
除去とアシル基ならびにリン酸基を順次導入し、接触還元
で最終的な脱保護を行ってリピド A に導いた。合成リピ
ド A のヒト抹消全血を用いたサイトカイン誘導ならびに
阻害活性試験を行い、寄生菌リピド A が Bg<[\ を選択的に
誘導する等の特異な活性を有することを見出した。
178
49>>c
一般に生体内の N 結合型糖鎖は分岐した複雑な構造
を有しており、化学合成は容易ではない。そこで我々
は、鶏卵より大量に調整可能な二分岐アシアロ糖鎖 1
の誘導体を糖受容体とする高分岐糖鎖の効率的な新規
合成戦略の開発を検討した。このような糖受容体合成
のため、まず化合物 1 の部分保護を検討した。この結果、
マンノシド、ガラクトシド残基の4、6位水酸基遊離
のアクセプター 5 の合成に成功した。得られた 3、5 を
用いてフコースや N- アセチルグルコサミン誘導体との
グリコシル化を試みたところ、一定の位置選択性に基
づいた生成物が得られることを見出した。本発表では、
得られた糖鎖構造の解析および多分岐化反応を検討し
たことについてその詳細を述べる。
49>>h
49>Ke
シクロデキストリンを用いた両親媒性化合物
の合成と機能評価
ハイマンノース型糖鎖を有するエリスロポエ
チンの合成研究
○岡村俊佑、田村 裕、古池哲也
○木内達人 、岡本 亮 、牧村 裕 、和泉雅之 、
JDi
[DJ
伊藤幸成 、梶原康宏
関西大・化学生命工
1
1
1
J
1
J*
3
阪大院理 fC-*SM.-L 理研基幹研
G-.iOQXTQ8H-.QPNi-ZO-TJiQXJZ4Z8TQ8O-!YiHZCZJLHZOQG8O8O!-X8!X9LGOOZ.T-Qi4T-ZY8!Z.GHHXGJ8NT
Synthesis and evaluation of cyclodextrin amphiphiles
○C7=1&=a)*La2@=82D*X'8%&7'*-2@=82D*-)4&=#2*T=8='a)*
○Tatsuto Kiuchi D*M#%*La2@%4% , Yutaka Makimura ,
1
JDi
[DJ
,2&2#=a'*B9=@' D*W=a'&7'!)*B4% , Yasuhiro Kajihara
T2$="4#* %>* N7)@'&48#D* ,24)8'2"&* 21(* h'%)1!'1))8'1!D* U21&2'*
V1'?)8&'4#D*f2521
1
Summary:****.*1%?)"*$"2&&*%>*$#$"%()F48'1*+Nb0*2@57'57'")&*
involved sulfate and palmitoyl groups have been synthesized
&@%%47"#*>8%@*AD*;*21(*•<Nb&*2&*2*&4284'1!*@24)8'2"6*-7)&)*
compounds formed monolayers with high collapse pressures
at the air/water interface and stable liposomes in water.
,%857%"%!'$2"* 212"#&'&* %>* @'F)(* "'5%&%@)&* $%142'1'1!*
Y* @%"u* Nb* 2@57'57'")&* 3)8)* 5)8>%8@)(* :#* 2*-S,* 21(*
%:&)8?)(*2&*121%&57)8)&*72?'1!*2*('2@)4)8*%>*JQQ<iQQ*1@*24*
47)*@2F'@=@6*
Summary: Although erythropoietin +SeL0*'&*!"#$%&#"24)(*
3'47* 478))* 7'!7<@211%&)* %"'!%&2$$728'()&* +,Z0* '1* 47)*
)1(%5"2&@'$* 8)4'$="=@D* %"'!%&2$$728'()&* '1* @24=8)(* SeL*
28)* $%1?)84)(* '14%* $%@5")F<4#5)6*-7)* >=1$4'%1* %>* ,Z* '&*
47)8)>%8)*&4'""*=1$")286*-%328(*47'&*"%1!<&421('1!*58%:")@D*3)*
72?)*)F2@'1)(*&#147)&'&*%>*7%@%!)1)%=&*SeL*:)28'1!*,Z*
by chemical method. M9 was prepared from egg yolk and
solid phase peptide synthesis combined with native chemical
"'!24'%1*#')"()(*47)*428!)4*>=""*SeL<5)54'()*:)28'1!*,Z*24*i\6
シクロデキストリン(Nb)はグルコース(Glc)残
基が A<[DY 結合した環状オリゴ糖であり、分子を構成
する Glc 残基の数により、A*+P個)、;*+K個)、•*+\個0<Nb
が存在する。また、Nb は環内部に疎水的空間を有する
ため、様々な有機化合物を包接により可溶化するユニー
クな性質を示すことでも知られている。本研究では Nb
のユニークな性質と規則正しい分子構造に着目して、
多次元な分子集合体への展開が期待される両親媒性化
合物の合成を目的とした。
まず、各々の Nb の N<P 位を保護するため、4<ブチル
ジメチルシリル(TBDMS)化を行い、次に、N<JDi 位
水酸基に長鎖アシル基として、パルミトイル基(N[P)
の 導 入 を 行 な っ た。 続 い て、TBDMS 基 の 脱 保 護 の
後、N<P 位水酸基を SO3・Me3N 錯体を用いて硫酸化し、
目的とする 3 種類の硫酸化両親媒性 Nb 誘導体(SO3<
NbN[P)を効率良く合成した。得られた SO3<NbN[P の
気 < 液界面におけるジパルミトイルホスファチジルコリ
ン(beeN)との混合単分子膜の形成能について検討を
行 っ た 結 果、beeN に 対 し て Y*@%"u の SO3<NbN[P を
添加した時、その崩壊圧は PQqPH*@^]@ に達し、気密
性に優れた単分子膜を形成することが確認された。さ
らに、上記の結果をもとに、Y*@%"uCL3<NbN[P 含有混
合リポソームを調製し、透過型電子顕微鏡により形態
観察を行ったところ、概ね JQQqiQQ*1@ のリポソームを
形成していることが確認された。
エリスロポエチン +SeL0 は腎臓で産生され、赤血球
の産生を促進する糖タンパク質である。SeL は三本の
^<結合型複合型糖鎖を有している。SeL の生合成経路
では、小胞体内において翻訳後修飾としてハイマンノー
ス型糖鎖が付加され、次にこれをタグとしてシャペロ
ンなどと相互作用してタンパク質部位が正しい三次元
構造へと導かれる。この過程において SeL の三本のハ
イマンノース型糖鎖が、全てタグとして働いているの
か、またはどれか一本が重要な働きをしているのかな
どの知見はこれまで得られていない。その大きな理由
は、培養などの生化学的手法では糖鎖は全て複合型に
変換され、ハイマンノース型糖鎖を有する SeL を得る
ことが困難であるからである。そこで我々は化学合成
により、この SeL を調製することとした。これまで、
この合成の鍵となるハイマンノース型糖ペプチド誘導
体については、卵黄から単離したハイマンノース型糖
鎖を用いて Boc 固相合成法によりその合成に成功した。
そして SeL の他のペプチドセグメントも固相合成によ
り調製し、native chemical ligation で連結することで 38
位にハイマンノース型糖鎖 (M9) をもつ SeL 全長糖ペ
プチドを得ることに成功した。現在は、フォールディ
ング実験、*SM*のシャペロン類との相互作用について検
討中である。
1
1
J
Osaka univ., J*fC-<SM.-LD*3 M'a)1*.CB
179
49>K>
49>KK
ショウジョウバエ Notch の O -フコース単糖修
飾は Notch のフォールディングに必要である
マイクロ波を用いたオリゴ糖の化学修飾
○平井智也、田村 裕、古池哲也
○石尾 彬 、鮎川友紀 、青山尚規 、石川裕之 、鈴木拓也 、
[DJ
[DJ
3
[DJ
山川智子 、笹村剛司 、岡島徹也 、松野健治
関西大・化学生命工
1
[DJ
J
J
J
J
大阪大学大学院理学研究科、
東京理科大学大学院基礎工学研究科、
3
名古屋大学大学院医学研究科
J
Monomeric O97($%0#"*+1%&-%7-O%+$/-10-5,j(15,2-7%5-1+0folding in Drosophila
L1$5%B*<,9*0010+,2-$/,61$*"-6%213$*+1%&-%7oligosaccharides
○-%@%#2*X'82'D*X'8%&7'*-2@=82D*-)4&=#2*T=8='a)
○.a'82*B&7'% , Tomonori Ayukawa , Naoki Aoyama D*X'8%#=a'*L6*B&7'a232 ,
[DJ
[DJ
[DJ
Takuya Suzuki , Kenjiroo Matsumoto , Tomoko Yamakawa ,
[DJ
3
[DJ
Takeshi Sasamura , Tetsuya Okajima , and Kenji Matsuno
T2$="4#* %>* N7)@'&48#D* ,24)8'2"&* 21(* h'%)1!'1))8'1!D* U21&2'*
V1'?)8&'4#
1
Summary: A facile chemical modification of
oligosaccharides was accomplished with the assistance of
@'$8%32?)*+,E0*'882('24'%16*-7)*@%('G$24'%1&*+48'4#"24'%1D*
silylation, benylidenation and so on) were carried out under
MW irradiation or usual organic reaction condition. The
modifications by the MW irradiation process proceeded
)>G$')14"#*'1*47)*5%'14*%>*8)2$4'%1*4'@)*%8*#')"(D*$%@528)(*4%*
ones by usual organic synthesis.
Summary: Notch (N) is a transmembrane receptor with
7%@%"%!#*4%*)5'()8@2"*!8%347*>2$4%8*+S/T0<"'a)*8)5)24&*21(*
@)('24)&*$)""<$)""*'14)82$4'%1&*1)$)&&28#*>%8*@21#*$)""<>24)*
()$'&'%1&6*-7)&)*S/T<"'a)*8)5)24&*28)*O<>=$%&#"24)(*:#*47)*
protein O<>=$%&#"4821&>)82&)*[*+O<>=4[0D*37'$7*'&*)&&)14'2"*>%8*
N signaling. However, the role of monosaccharide O<>=$%&)*
modification in N signaling was elusive. Here, we suggest
that monomeric O<>=$%&)* @%('>'$24'%1* %>* ^* 58%@%4)&* 47)*
folding of N.
マイクロ波(MW)照射法は、従来のヒーターやス
チーム等の外部熱源からの加熱とは異なり、反応物あ
るいは溶媒自身の分子回転が促進されることにより生
じる局所的な熱を利用するため、内部から高速かつ均
一に加熱できるという優れた特長を有している。近年、
この MW 照射法を有機合成の分野で用いることにより、
反応時間の短縮、生成物純度、収率および選択性の向
上等の多くの特筆すべき知見が得られてきている。一
方で糖鎖合成の分野においても、一般に他段階の保護・
脱保護を必要とするため、各々の段階の反応時間の短
縮が求められている。その観点から、反応条件により
収率を損なうことなく短時間で反応を終了することの
できる MW 照射法は極めて有効なツールとなる可能性
がある。
本研究では、オリゴ糖合成への MW 照射法の利用の
一環として、汎用性の高い糖保護基について、MW 照
射による従来法との反応性の相違に関して検討した。
数種類の単糖、オリゴ糖を用いて、それらの糖へのト
リチル化、シリル化、およびベンジリデン化等の様々
な化学修飾を行なった。その際の反応溶媒の種類、反
応時間、反応温度、および MW 出力等のパラメータを
変化させた時の生成物の収率に関して検討を行った。
その結果、いずれの反応も MW 照射条件により、反応
時間を大幅に短縮できることが確認された。
180
[DJ
J
J
J
L&2a2*V1'?)8&'4#*/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*b)5284@)14*%>*h'%"%!'$2"*C$')1$)
-%a#%*V1'?)8&'4#*%>*C$')1$)*
3
*^2!%#2*V1'?)8&'4#
J*
Notch シ グ ナ ル 伝 達 は、Notch 受 容 体(Notch) と、
そのリガンドである Delta や Serrate との直接的な相互
作用によって活性化され、局所的な細胞の運命決定に
おいて中心的な役割を担っている。Notch の S/T リピー
ト の 一 部 に は、protein O<>=$%&#"4821&>)82&)*[(O<>=4[)
によって、O<フコースが付加される。この O<フコース
に、T8'1!)(T1!)によって ^< アセチルグルコサミンが
付加され、これによって Notch とリガンドの結合特性
が制御される。我々は、O<>=4[ が Notch シグナル伝達
に必須であることを明らかにしてきた。一方で、O<>=4[
の酵素活性非依存的な機能が、Notch シグナル伝達の活
性化に十分であることが報告されている。このような
背景から、Notch の O<フコース単糖修飾の特異的な機
能に関しては、異なった報告がなされており、よく理
解されていなかった。
本研究において、Notch の O<フコース単糖修飾は、
JHI の飼育条件では特異的な機能をもたないが、JZI
においては、Notch シグナルの活性化に必須であること
を明らかにした。この機能は、fng に依存していなかっ
Notch の O<フコース単糖修飾は、
た。これらの結果から、
Notch のフォールディングを促進している可能性が示唆
された。
49>KM
49>K@
糖ペプチジルグアニジンを利用する糖タンパ
ク質の化学合成
○藤田正一 、石井一之 、伊藤幸成 、梶原康宏
[DJ
1
3
1,4
[DJ
fC-*SM.-L、J 阪大院理、3 大塚化学、4 理研基幹研
非還元末端選択的修飾技術を基盤とするイン
フルエンザウイルス結合性多糖素材の開発
○柳瀬美千代 、尾形 慎 、杉山尚弘 、渡邊浩史 、
3
4
[DJ
鷹羽武史 、門川淳一 、碓氷泰市
3
1
3
1
fC-*SM.-LD**J*L&2a2*V1'?6D**3 L4&=a2*N7)@'$2"D**4 MBUS^*.CB
J
3
静岡大・創科技院、 静岡大農・応生化、
4
江崎グリコ(株)健康研、 鹿児島大院・理工
J*
O%&95,2($1&)-,&2-0:,$13$-6%213$*+1%&-%7-2,&251+1$glucan, a promising tool to engineer functional
:%"#0*$$/*512,0-7%5-1&E(,&F*-<15(0-1&7,$+1%&I
Chemical synthesis of glycoprotein by using peptidylO9*$,+#")(*&121&,
[DJ
3
1,4
[DJ
○T=m'42D*C6 D***B&7''D*U6 D***B4%D*W6 , Kajihara, Y.
1
○Michiyo Yanase , Makoto Ogata , Naohiro Sugiyama ,
3
3
4
Hiroshi Watanabe , Takeshi Takaha D*f=1<'$7'*a2(%a232 ,
[DJ
-2'$7'*V&='
3
1
J
1
Department of Bioscience, Graduate School of Science and Technology, Shizuoka
V1'?)8&'4#D* J* b)5284@)14*%>*.55"')(*h'%"%!'$2"*N7)@'&48#D*T2$="4#*%>*.!8'$="4=8)D*
C7'9=%a2*V1'?)8&'4#D*3 B1&4'4=4)*%>*X)2"47*C$')1$)&D*S92a'*/"'$%*N%6D*g4(6D*
4
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*S1!'1))8'1!D*U2!%&7'@2*V1'?)8&'4#
Summary:*N7)@%a'1)D*,Ne<[*)F7':'4&*2*=1'{=)*:)72?'%8*
4%* #')"(* '4&* ('@)8'$* >%8@6*."47%=!7* ,Ne<[* 72&* $%1&)1&=&*
&){=%1)*+^`-0*21(*47)&)*5)54'()*28)2*>%8@*58%4)'1*('@)8D*
matured dimeric form seems not to have oligosaccharides. To
=1()8&421(*47'&*=1'{=)*:)72?'%8D*3)*72?)*)F2@'1)(*&#147)&'&*
%>*,Ne<[*:)28'1!*$%@5")F*4#5)*2&*3)""*2&*7'!7*@211%&)*4#5)*
%"'!%&2$$728'()6**B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*('&$=&&*&#147)&'&*
%>*,Ne<[*:)28'1!*$%@5")F*4#5)*%"'!%&2$$728'()*:#*2*1)3*
synthetic method.
Summary: Glycogen is a naturally occurring dendritic
!"=$21*+b/0*21(*$21*:)*>=1$4'%12"'9)(*:#*@%('>#'1!*'4&*1%1<
reducing ends located around the surface of the molecule.
b/*72?'1!*!"=$=8%1'$*2$'(*8)&'(=)&*%1*'4&*1%1<8)(=$'1!*)1(&*
32&*&#147)&'9)(*21(*&'2"%<%"'!%&2$$728'()&*37'$7*'()14'G)(*
as influenza virus receptor were subsequently linked to the
glucuronic acid residues. The DG particles covered with
&'2"%<%"'!%&2$$728'()&*3)8)*4)&4)(*>%8*'4&*2$4'?'4#*4%*'17':'4*
7)@2!!"=4'124'%1*@)('24)(*:#*'1j=)192*?'8=&6
ケモカインである @%1%$#4)*$7)@%<24482$4214*58%4)'1<[*
+,Ne<[0 はアミノ酸76残基からなり、糖鎖付加を受
けるコンセンサス配列を持っている。しかし、分泌さ
れた ,Ne<[ は、糖鎖はもたず、糖鎖付加部位のペプチ
ド領域で2量化しているといわれている。一般に、糖
タンパク質の生合成では、小胞体でハイマンノース型
糖鎖が付加し、ゴルジ装置ではそれを複合型糖鎖へと
変換する。そのため、コンセンサス配列をもつ ,Ne<[
が糖鎖付加を受けているかどうか、また糖鎖付加を受
けた場合、2量化にどのような影響を与えるかを調
べることは大変興味深い。そこで、糖鎖を持たない
,Ne<[ に加え、ハイマンノース、並びに複合型糖鎖を
もつ ,Ne<[ を全合成し、その2量化や小胞体内での糖
タンパク質品質管理に関与するレクチン類との相互作
用を調べ、,Ne<[ の興味深い性質を調べることにした。
本合成では、,Ne<[ を4つのセグメントに分け、それ
ぞれ固相合成により糖ペプチド等を合成した。また、
今回はペプチドを連結する際に一般に利用されるチオ
エステルではなく、アセチルグアニジノ基でペプチド
の N 末端を活性化し、ペプチドを連結する我々独自の
新規反応を応用した。その結果、目的とする複合型糖
鎖を有する ,Ne<[ 全長を合成し、フォールディング
操作を行うことで単量体としてフォールディングした
,Ne<[ を得た。現在、糖鎖を持たない ,Ne<[ ならびに
ハイマンノース型糖鎖をもつ ,Ne<[ の合成も検討し、
,Ne<[ の性質を調べることを検討している。
【目的】アミロペクチンやグリコーゲンは、高頻度に分
岐した天然のデンドリマー様グルカン (DG) であり、そ
の分子表面に存在する多数の非還元末端を選択的に修
飾することにより機能化が可能である。グルカンホス
ホリラーゼとグルコース<[<リン酸アナログを用いた酵
1)
素的非還元末端修飾技術 は、本目的実現のための有
望な技術である。本研究では、DG 非還元末端へのグ
ルクロン酸残基の導入、グルクロン酸カルボキシル基
へのインフルエンザウイルスの感染及び接着に関与す
J0
るシアロオリゴ糖鎖 の導入、を組合せることにより、
インフルエンザウイルス結合性多糖素材を構築した。
【方法及び結果】平均粒子径 10、JQ、30、40nm となる
ように酵素合成した DG 粒子とグルクロン酸<[<リン酸
を任意の割合で含む水溶液にグルカンホスホリラーゼ
を作用させ、非還元末端にグルクロン酸残基を有する
アニオン化 DG 粒子(b/</"$.)を酵素合成した。平
均粒子径及びグルクロン酸導入率の異なる数種の b/<
GlcA に対し、シアロオリゴ糖鎖を化学的に導入した。
シアロオリゴ糖結合 b/</"$. は、ヒト型インフルエン
ザウイルスによる赤血球凝集を顕著に抑制した。その
阻害活性は DG の大きさ、シアロオリゴ糖の密度に影
響を受けることが判明した。
[0*W6*V@)!2421'*)4*2"D*Carbohydr. Res. iHQD*\[*+JQ[J0D*
J0*,6*L!242*)4*2"D*Biomacromolecules[QD*[\ZY*+JQQZ0
181
49>Kf
49>KW
ヒト胃癌細胞 MKN45 細胞は糖タンパク質由
来遊離糖鎖を細胞外へ分泌する
ジーントラップ型とノックアウト型の遺伝子変異
マウスにおけるレポーター遺伝子発現の相違
○神末和哉 、大河原周平 、山田佳太 、岩塚欣也 、
1
3
1
木下充弘 、早川堯夫 、掛樋一晃
○赤間智也 、Leona Ho 、小泉範子 、中邨智之
1
1
1
[DJ
1
近畿大・薬、 香川大・医、 近畿大・薬総研
J
3
1
1
J
Different reporter gene expression pattern between gene
trapped mutant mice and gene knockout mutant mice
1
1
[DJ
1
○K. Kamisue , S. Okawara , K. Yamada D*U6*B324&=a2 ,
1
3
1
M. Kinoshita , T. Hayakawa , K. Kakehi
○Tomoya O. Akama D*g)%12*X% , Noriko Koizumi ,
1
Tomoyuki Nakamura
C$7%%"* %>* e728@2$#D* U'1a'* V1'?)8$'4#D* J* T2$="4#* %>* ,)('$'1)D*
U2!232* V1'?)8$'4#D* 3 e728@2$)=4'$2"* M)&)28$7* 21(*-)$71%"%!#*
B1&4'4=4)D*U'1a'*V1'?)8$'4#
1
Summary:* M)$)14"#D* 3)* >%=1(* 4724* "28!)* 2@%=14* %>*
&'2"#"24)(* >8))* $%@5")F<4#5)* !"#$21&* 3)8)* 2$$=@="24)(* '1*
!2&48'$*$21$)8*$)""*"'1)&*+,U^YH*21(*,U^K06*E)*2"&%*>%=1(*
4724*&'2"#"24)(*>8))*$%@5")F<4#5)*!"#$21&*3)8)*2"&%*58)&)14*'1*
)F482$)""="28*$="4=8)*@)('=@6*B1*47'&*58)&)1424'%1D*3)*&7%3*
4724*>8))*&'2"%<!"#$21&*'1*47)*$)""&*28)*8)")2&)(*4%*47)**$="4=8)*
@)('2*'1*!"#$21<&5)$'G$*@211)86
Summary: To investigate biological function of B3gnt2,
a glycosyltransferase gene involved in polylactosamine
synthesis, we produced two lines of mutant mice, a gene
trapped line (B3gnt2+/trap) and a gene knockout line (B3gnt2+/-),
and analyzed lacZ*8)5%84)8*)F58)&&'%1*'1*4'&&=)&*%>*47)*@=4214*
mice. We found unequal lacZ* )F58)&&'%1* 5244)81* :)43))1*
B3gnt2+/trap and B3gnt2+/- mice, suggesting different gene
inactivation status in the mutant mice.
1
我々はヒト胃癌細胞中に糖タンパク質由来の遊離糖
鎖が大量に蓄積されることを報告した +B&7'9=a2*)4*2"6D*
h'%$7)@6*f6*JQQ\60。一方、種々の動物血清中にも糖タ
ンパク質由来の遊離糖鎖が存在することから、遊離糖
鎖を細胞外に排出する機構の存在が示唆された。そこ
で、細胞内に大量に遊離糖鎖を蓄積するヒト胃癌細胞
,U^YH および ,U^K を用いて細胞外への遊離糖鎖の
分泌を検討した結果、細胞外において細胞由来の遊離
糖鎖が観察されることを報告した ( 第 30 回本学会 )。
培養液中から観察された遊離糖鎖は主に還元末端に
GlcNAc を 1 残基のみ持つアスパラギン結合型糖鎖がコ
アタンパク質から切断後、細胞質においてキトビアー
ゼ活性を受けた後、細胞外へ排出されたと考えられる
非還元末端にシアル酸を有するシアロ型遊離糖鎖で
あった。また、N%8)J 構造が伸長した L<結合型糖鎖由
来と考えられる遊離糖鎖やラクト<^<テトラオース構造
を有する遊離糖鎖など、これまで報告の無い遊離糖鎖
が観察された。そこで ,U^YH および ,U^K に蓄積す
る遊離糖鎖についてより詳細に解析したところ、非還
元末端側に g2$('^.$ を持つ遊離糖鎖をはじめとした特
徴的な構造を持つ遊離糖鎖が多く観察されたが L<結合
型糖鎖由来と考えられる遊離糖鎖は観察されず、細胞
由来の遊離糖鎖は細胞内からの漏出でなく選択的に分
泌されていることが分かった。
182
J
関西医科大学・薬理学、 同志社大学・生命医科学
1
Secretion of free complex-type glycans produced in
human gastric adenocarcinoma cells
J
1
J
J
b)546*e728@2$%"6D*U21&2'*,)(6*V1'?6D*
g'>)*,)(6*C$'6D*b%&7'&72*V1'?6
J*
我々はポリ N アセチルラクトサミンの生物学的機能
を解析するべく、新規 B3gnt2 変異マウスの作成を試
みた。相 同組換え用ベクターを国際ノックアウトマウ
スコンソーシアムから入手し、このベクターを用いて
二種類のヘテロ接合体 変異マウス ( ジーントラップ型
+/trap
とノックアウト型変異マウス k*
変異マウス kB3gnt2
+/B3gnt2 ) を作成して、それぞれの変異マウスにおける
B3gnt2 発現パターンを lacZ レポーターを用いて比較し
た。二種類の変異マウスは共に多数の臓器での `<!2" 染
色陽性が検出され B3gnt2 の普 遍的な発現が確認され
+/trap
が、一方で B3gnt2
マウスの組織での `<!2" 染色はシ
+/グナル強度が B3gnt2 マウスのものより弱く、また脳
の `<!2" 染色で陽性シグナルの分布が大きく異なってい
た ことから、変異導入の形式によって遺伝子発現のパ
ターンに違いがあることが明らかとなった。M-<eNM に
て @M^. の検 出を行なったところジーントラップ型変
異が導入された B3gnt2 からも選択的スプライシングに
より正常な open reading frame を有する @M^. が発現し
ていることが確認された。この結果からジーントラッ
プ型の変異導入では B3gnt2 の遺伝子発現を完全に遮断
できていない可能性が示唆された。
49>Kb
49>Kc
GPI アンカー型タンパク質の切断に関与する
新規酵素の機能解析
ミブナ種子由来粘性物質の性質
○東 順一 、喜多由香 、坂本正弘 、本田与一 、
1
宇山 浩
1
J
J
J
阪大院・工、 京大院・農
1
○藤田盛久、李健
、村上良子、前田裕輔、木下タロウ
阪大・微研、免疫学フロンティア
J
45%:,5+1,0-%7-+/,-0,,2-$%*+-6($1"*),-%7-L1D(&*UBrassica campestris-YI-0(D<*5I-oblanceolata-g1+*6IV-
./,221&)-%7-!489*&$/%5,2-:5%+,1&0-D#-*-&%<,"-!489
$",*<1&)-,&F#6,
○f=1<'$7'*.9=@2 , Yuka Kita , Masahiro Sakamoto ,
J
1
Yoichi Honda D*X'8%&7'*V#2@2
○,%8'7'&2*T=m'42D*/=1<X))*g))D*W%&7'a%*,=82a2@'D*
Yusuke Maeda, Taroh Kinoshita
1
MB,b*21(*'TM)ND*L&2a2*V1'?6
1
J
J
/82(=24)*C$7%%"*%>*S1!'1))8'1!D*L&2a2*V1'?)8&'4#D*
*/82(=24)*C$7%%"*%>*.!8'$="4=8)D*U#%4%*V1'?)8&'4#
J
Summary:* e8%5)84')&* %>* &))(* @=$'"2!)&* %>* @':=12* +
Brassica campestris * g6* &=:?286* oblanceolata Kitam.), a
4#5'$2"*f2521)&)*482('4'%12"*")2>#*?)!)42:")D*3)8)*212"#9)(*'1*
comparison with those of a related plant, mizuna. The results
indicate similarities in both chemical and physicochemical
58%5)84')&D* &=$7* 2&* >%8@24'%1* %>* 2$'('$* 5%"#&2$$728'()<
cellulose composite with low viscoelastic properties and high
2>G1'4#*%>*282:'1%!2"2$421*4%*$)""="%&)6
Summary:* L1)* %>* 47)* $7282$4)8'&4'$* >)24=8)&* %>* /eB<
anchored proteins is that these proteins are releasable from
47)* $)""* @)@:821)* :#* /eB* $")2?2!)6* X)8)D* 2* 1%?)"* /eB<
$")2?'1!*)19#@)*32&*'()14'>')(*21(*$7282$4)8'9)(6*e/.eP*
is a conserved transmembrane protein mainly localized at
47)* $)""* &=8>2$)6* B1* e/.eP* %?)8)F58)&&'1!* $)""&D* &=8>2$)*
)F58)&&'%1&* %>* &)?)82"* /eB<21$7%8)(* 58%4)'1&* 3)8)*
&'!1'G$214"#*()$8)2&)(6
アブラナ科アブラナ属の植物の種子には水に浸すと
種皮の表面から粘性物質を形成するものがある。粘性
物質を形成するグループは我国独自のものであり、伝
統的な京野菜であるミズナやミブナが代表的な例であ
る。ミブナはミズナの自然交配によって生まれたとさ
れており、ミズナとの相違点は葉が丸いことである。
ミズナの粘性物質については本年の農芸化学会大会で
報告した。そこで、本研究では、ミブナの種子から得
られる粘性物質の性質について分析し、ミズナと比較
検討した。
ミブナの粘性物質の含量は [6\u であり、多糖が主成
分であったが、灰分、タンパク質が各々 K6Z%、11.6%
含まれていた。動的粘弾性測定の結果、Q6HuqJ6Qu の
濃度範囲で G < G であり、溶液的性質が強いこと
も明らかとなった。多糖はペクチン性で、酸性多糖
を ZJ6Hu 含み、アラビノガラクタン及びグルコマンナ
ンに富むと考えられた。濃アルカリ溶液を用いても可
13
溶化されない成分が YY6[u 存在し、` 線回折や固体
N<^,M 分析の結果からミブナ粘性物質はセルロースを
含むコンポジットであることがわかった。また、アラ
ビノガラクタンがアルカリ不溶成分中に顕著に残存し
ていることから、アラビノガラクタンとセルロースと
の親和性が高いことが示唆された。
以上の結果から、ミブナ種子由来の粘性物質は主と
して酸性多糖とセルロースから構成されており、ミズ
ナの場合とよく似ているところから、両者は共通した
性質を有していることが明らかとなった。
細胞表面にはグリコシルホスファチジルイノシトー
ル(/eB)と呼ばれる糖脂質により細胞膜に結合した
タンパク質(/eB アンカー型タンパク質)が存在する。
/eB アンカー型タンパク質の特徴的な性質の1つに、必
要に応じて /eB アンカーが切断され、修飾タンパク質
を膜から遊離させることが知られている。今回我々は
/eB アンカーの切断を行う新規酵素候補遺伝子につい
て機能解析を行った。以前我々が報告した e/.ei はゴ
ルジ体に局在し、/eB アンカーの脂肪酸リモデリング
反応において /eB 脂質 &1<J 位の不飽和脂肪酸を除去す
る酵素であると考えられる。e/.ei は膜貫通領域を有
する加水分解酵素ファミリーに属しており、その相同
性から機能未知タンパク質 e/.eP を見出した。e/.eP
は KK[ アミノ酸からなる7回膜貫通タンパク質であり、
N 末端可溶性領域、S/T 様ドメイン、N 末端膜貫通領
域から構成されている。e/.eP は細胞表面膜および細
胞内膜系に局在していた。e/.eP を高発現させた細胞
では、NbHZ、NbHH、C$2<[ 等の /eB アンカー型タンパ
ク質の量が減少した。これに対して、=e.M、-7#<[ の
細胞表面発現には影響せず、分子種特異性があると考
えられた。e/.ei との相同性から e/.eP は /eB ホス
フォリパーゼ .J 活性があると考え、現在、活性測定系
の確立と生理的役割の解明を目指している。
183
49>Kh
49>Me
ウサギ角膜上皮及び SIRC 細胞中の N-型糖鎖
の比較
ヘリクリサム総苞片のキシランについて
○伊藤弘顕 、松村由貴 、辻本 敬 、宇山 浩 、
3
東 順一
1
1
J
3
3
甲子園短大、 京大院・農、 阪大院・工
J
3
○岩塚欣也 、岩本裕貴 、木下充弘 、稲田勝弘 、安枝真一 、
J
掛樋一晃
1
1
45%:,5+1,0-%7-_#"*&-75%6-.$*51%(0-]5*$+0-%7.+5*BE%B,5
J
1
1
千寿製薬、 近畿大薬
J
H%6:*5*+1<,-0+(21,0-%7-O9)"#$*&0-:5,0,&+-1&-5*DD1+corneal epithelial cells and SIRC cells
○X'8%2a'*B4% , Yuki Matsumura , Takashi Tsujimoto ,
3
3
X'8%&7'*V#2@2 D*f=1<'$7'*.9=@2
○U'1#2*B324&=a2 D*X'8%a'*B32@%4% , Mitsuhiro Kinoshita ,
1
1
J
U24&=7'8%*B12(2 D*C7'1<'$7'*W2&=)(2 , Kazuaki Kakehi
1
U%&7')1*f=1'%8*N%"")!)D* J* Graduate School of Agriculture, Kyoto
V1'?)8&'4#D*3 /82(=24)*C$7%%"*%>*S1!'1))8'1!D*L&2a2*V1'?)8&'4#
1
Summary:*_28'24'%1*%>*$7)@'$2"*$%@5%&'4'%1*%>*&$28'%=&*:82$4&*
%>*&4823j%3)8*+X)"'$78#&=@*:82$4)24=@*.1(86032&*212"#9)(*'1*
8)"24'%1*4%*47)'8*$%"%86*-7)*8)&="4&*'1('$24)*4724*$%"%8<()5)1()14*
variation was only observed in pigment content and that all
bracts have similar carbohydrate components rich in glucurono
;<+[DY0<b<F#"21D*37%&)*$%14)14*32&*2"&%*&'@'"28*4%*$)""="%&)6
Summary:* M)$)14"#D* CBMN* +C424)1&* C)8=@'1&4'4=4* 82::'4*
cornea) cells were often used as in vitro study in the area
of ophthalmology such as eye irritation test and wound
healing of corneal epithelium. However, in some cases, in
?'48%* &4=(')&* (%* 1%4* $%88)"24)* 3)""* 3'47* '1* ?'?%* &4=(')&6* B1*
this presentation, we show differences on glycan profiles
beteween rabbit corneal epithelial cells obtained from eye
4'&&=)&*21(*CBMN*$)""&6*
1
J
3
キ ク 科 ム ギ ワ ラ ギ ク 属 の ヘ リ ク リ サ ム(/&1#+2(;4F:.
bracteatum Andr.)の総苞片は乾膜質で、ドライフラワーと
して有名である。昨年度には、尿素<^2LX 系の溶剤の組
成を変化させることにより、花色が黄色の総苞片中のキシ
ランの簡便な調製法を開発するとともに、セルロースと再
会合が可能であることを示した(第 30 回本シンポジウム)。
本研究では、花色の違いによる総苞片の組成の変化を分析
するとともに、多量に存在するキシランがグルクロノキシ
ランであることを示す。
供試材料として花色が黄、白、赤、紫、ピンクの5色
の総苞片を用いた。Q6Hu*-T. を含む iHu アセトニトリ
ル、クロロホルム < メタノールの Jk[(v/v)混液、熱水、
DMSO、[Qu*ULX および JYu*ULX を用いて段階的に脱
色・脱脂・多糖の抽出を行った。その結果、色素含量で
は Z6Ku(白)∼ iZ6\u(黄)と変動が大きかったが、脱
色・脱脂後の残渣試料をベースとするといずれの花色の総
苞片も抽出物の含量はよく似ていた。最も多くキシランが
抽出されたのは [Qu*ULX で、JY6\u(紫)∼ YJ6Ku(白)
の範囲であった。このキシランは酸性でウロン酸を [Q6Yu
(白)∼ [Y6\u(赤)含んでいた。また、陰イオン交換樹
脂(-%#%5)28"*bS.S<PHQ,)に吸着し、いずれの花色につ
いても Q6[J<Q6[H,*^2N"]H@,*リン酸バッファーで溶出され
た。また、抽出残渣として得られるセルロースの含量はキ
シラン含量と似ており、花色による変動は小さく、iZ6Ju
(紫)∼ YK6[u(黄)であった。次に、キシランのウロン
酸を還元後加水分解して分析した結果、ウロン酸はグルク
ロン酸であり、グルクロノ*;<+[DY0<b<キシランであること
H
がわかった。また、分子量は 10 オーダーであった。メチ
13
ル化分析、 N<^,M*分析及び部分加水分解の結果はいずれ
も一致した。
以上の結果、ヘリクリサムの総苞片は、色素含量には花
色依存性が認められたが、多糖の組成には認められず、グ
ルクロノ*;<+[DY0<b<キシランとセルロースをほぼ同程度含
むことが明らかになった。
184
J
1
J
J
C)1m=*e728@2$)=4'$2"*N%6Dg4(6D*J*C$7%%"*%>*e7286*U'1a'*V1'?6
近年、医薬品の試験において動物愛護の観点から細
胞を用いる in vitro 系が検討されている。角膜や表皮な
どの上皮系細胞を in vitro で用いて、細胞外因子による
細胞への刺激や創傷治癒効果などを評価する場合、細
胞表層構造が可能な限り in vivo 系を模倣していること
が望ましいと考えられる。本研究では、薬剤の眼刺激
性や眼表面の創傷治癒評価に汎用されるウサギ角膜上
皮細胞である CBMN(Statens Seruminstitut rabbit cornea)
と成体ウサギから得た角膜上皮の ^< 型糖鎖を比較解析
した。
【結果】両者のいずれにもアシアロ分画においてマン
ノース HqZ 残基からなるハイマンノース型やモノフコ
シル二本鎖複合型などの糖鎖が観察されたが、ウサギ
角膜上皮ではハイマンノース型が主成分であったのに
対して、CBMN ではモノフコシル二本鎖複合型が主成
分であり、他の糖鎖の存在比も両者で大きく異なって
いた。また、CBMN 中にはウサギ角膜上皮に観察され
ない ^<グリコリルノイラミン酸を含む糖鎖が観察され
た。以上より、ウサギ角膜上皮の in vivo 系と in vitro 系
では細胞表面糖鎖が異なり、両系による実験結果の相
違と発現糖鎖の違いの関連性に興味が持たれた。また、
CBMN では培養液に由来する糖鎖の混入の可能性が考え
られた。
49>M>
49>MK
TGF-βシグナル制御に関わる C-Man-TSR
由来ペプチドの標的分子の探索
保護硫酸基を利用する硫酸化オリゴ糖の合成
○池 みどり 、井内陽子 、松井仁淑 、室井栄治 、渋川幸直 、
3
4
4
1
和田芳直 、眞鍋史乃 、伊藤幸成 、井原義人
1
1
3
1
1
*J
3
和歌山県医大・医・生化、 宮崎大・医・皮膚、
4
大阪府立母子保健総合医療セ研・代謝、 理研・基幹研
J*
○松下健也 、田村純一
1
鳥取大院工、 鳥取大地域
1
The search for target proteins of C-mannosylated
TSR-derived peptides involved in the regulation of
Q!C9=-01)&*"1&)-1&-$("+(5,2-3D5%D"*0+0I
[DJ
J
Synthesis of sulfated oligosaccharides using protected
sulfate groups
1
1
1
*J
○,'(%8'*Ba)92a' D*W%a%*B12' D*B1<C%%a*g6*,24&=' , Eiji Muroi ,
3
3
4
Yukinao Shibukawa , Yoshinao Wada , Shino Manabe ,
4
1
W=a'&7'!)*B4% D*W%&7'4%*B7282
○Kenya Matsushita D*f=1<'$7*-2@=82
1
C$7%%"*%>*,)(6D*E2a2#2@2*,)(6*V1'?6D* J* T2$="4#*%>*,)(6D*V1'?6*
of Miyazaki, 3 L&2a2*,)(6*N486*M)&6*B1&46*>%8*,24)812"*21(*N7'"(*
Health, 4 MBUS^*.(?21$)(*C$'6*B1&46
1
Summary:*E)* >%=1(* 4724*-/T<;<'1(=$)(* &'!12"'1!* 32&*
&=558)&&)(*'1*$="4=8)(*G:8%:"2&4&*:#*$7)@'$2""#*&#147)&'9)(*
N<@211%&#"24)(* 478%@:%&5%1('1* 4#5)* [* 8)5)24* +-CM0<
()8'?)(*5)54'()&6*B1*47'&*&4=(#D*$)""="28*:'1('1!*58%4)'1&*>%8*
N<@211%&#"24)(*5)54'()&*3)8)*&)28$7)(D*21(*47)*$21('(24)&*
3)8)*'()14'G)(*2&*X&$KQD*@#%&'1*B*7)2?#*$72'1D*21(*?'@)14'16*
We will demonstrate our results concerning the functional
8)")?21$)*%>*47)*428!)4*58%4)'1&*4%*N<@211%&#"24)(*5)54'()&*'1*
47)*-/T<;<'1(=$)(*$)""*&'!12"'1!6
Summary:**M!'%&5)$'G$2""#*&=">24)(*%"'!%&2$$728'()&*&7%3*
various biological activities depending on the sulfation
5244)81&6*/)1)82""#D*$7)@'$2"*&=">24'%1*'&*)F)$=4)(*'1*2*G12"*
&42!)*%>*47)*&#147)&'&D*37'")*&%@)*7#(8%F#"*!8%=5&*8)@2'1*
'142$46*JDJDJ<-8'$7"%8%)47%F#*&=">24)&*)12:")*47)*&#147)&'&*%>*
the desired oligosaccharides having sulfates at the specific
positions. We synthesized some sulfated oligosaccharides via
58%4)$4)(*&=">24'%1*&4824)!')&6*E)*2"&%*$"28'G)(*47)*'1j=)1$)&*
of the protected sulfates in the various reactions.
分 泌・ 膜 タ ン パ ク 質 の 機 能 モ ジ ュ ー ル で あ る
-78%@:%&5%1('1*4#5)*[*8)5)24*+-CM0 に含まれる -85<`<`<
Trp モチーフの第 1 番目の Trp は、N< マンノシル +N<,210
化糖付加修飾を受ける。近年、-/T<; の活性化過程に
おいて、細胞表面の Thrombospondin が -CM を介して
関与することが明らかとなったが、-/T<; シグナル伝
達において、N<,21 化 -CM のもつ生理的意義につい
ては明らかでない。これまでの研究で、化学合成した
N<,21<-CM 由来ペプチドが、-/T<; シグナルに対する
抑制効果を示すことを見出した。
本研究では、この分子機構の解析を進め、N<,21<
-CM 由来ペプチドが結合する標的分子を単離、精製
し、コントロールペプチドを比較対象とした実験によ
り、複数の N<,21<-CM 由来ペプチド結合分子を検出し
た。マスフィンガープリンティング解析と特異抗体を
用いた解析により、N<,21<-CM 由来ペプチド結合分子
には、X&$KQ、,#%&'1*B*7)2?#*$72'1、_'@)14'1 などが含
まれることがわかった。本会では、これら結合標的分
子の -/T<; シグナルとの関連や機能的役割についての
解析結果について報告する。
位置特異的に水酸基やアミノ基が硫酸化されたオリ
ゴ糖は、硫酸化パターンによって様々な生理活性をも
つ。化学合成によって任意の位置を確実に硫酸化した
オリゴ糖を得ることは、これらの生理活性を詳細に検
証するうえで必要不可欠である。
オリゴ糖合成の最終段階で硫酸化を行うという一般
的な硫酸化オリゴ糖の合成方法には、硫酸化度の高
い、もしくは鎖長の長いオリゴ糖を合成する際、硫
酸化が不完全になるという問題点がある。そこで我々
は、単糖や二糖ユニットの任意の位置に保護硫酸基
+JDJDJ<48'$7"%8%)47%F#*&=">24)1)) を導入し、これらのユニッ
トを縮合することによりオリゴ糖へと逐次合成してい
く方法に着目した。保護硫酸基は、糖鎖伸長後にトリ
クロロエチル基を除去することで硫酸基に変換できる。
今回、保護硫酸基を用いる硫酸化オリゴ糖の合成を
行った。また、合成の過程で、保護硫酸基の位置選択
的導入や、グリコシル化を含む種々の化学反応に対す
る保護硫酸化糖の耐性や反応への影響について知見を
得たので報告する。
1
[DJ
/82(6*C$7%%"*%>*S1!6D*-%44%8'*V1'?6D*
T2$6*%>*M)!'%12"*C$'6D*-%44%8'*V1'?6
J*
[0*g6*f6*B1!82@D*)4*2"6D*J. Org. Chem.D*KYD*PYKZ*+JQQZ06
185
49>MM
髄膜炎菌のリポオリゴ糖に存在するコア部分
糖鎖の合成
ナイセリア属細菌由来のリポオリゴ糖に発現
する部分糖鎖コンジュゲートの合成
○小賀野美紀、前田紗弥香、山崎良平
○岸本勝也、石井一之、増田まりあ、山
鳥大農・生物化学
鳥大農 生物化学
良平
Synthesis of partial core oligosaccharides expressed on
lipooligosaccharide produced by Neisseria meningitidisI
Conjugation of partial oligosaccharide expressed on
neisserial lipooligosaccharide to human serum albumin
○,'a'*L!21%D*C2#2a2*,2)42D*21(*M#%7)'*W2@2&2a'*
○U24&=#2*U'&7'@%4%D*U29=#=a'*B&7''D*,28'2*,2&=(2*21(*
M#%7)'*W2@2&2a'
b)54*g'>)*|*T%%(*C$')1$)&D*-%44%8'*V1'?)8&'4#
b)54*g'>)*|*T%%(*C$')1$)&D*-%44%8'*V1'?)8&'4#
Summary:* g'5%%"'!%&2$$728'()* +gLC0* '&* %1)* %>* 47)*
major immunogenic components produced by Neisseria
meningitidis. B1* %8()8* 4%* ()?)"%5* 2* 58%:)* 4%* '1?)&4'!24)*
214'!)1'$* )F58)&&'%1* %>* 5284'2"* %"'!%&2$$728'()&* 58)&)14*
3'47'1*gLCD*3)*=1()84%%a*47)*&#147)&'&*%>*%"'!%&2$$728'()&*
containing the terminal GlcNAc.
Summary:* h#* =&'1!* 7)54%&#"+A[<i07)54%&)* ()8'?24'?)&D*
3)* )F2@'1)(* 8)2$4'%1* $%1('4'%1&* >%8* 47)* &#147)&'&* %>*
%"'!%&2$$728'()<58%4)'1* $%1m=!24)&6* B1* 2(('4'%1* 4%* 47)*
@%()"*('&2$$728'()D*Y<&=:&4'4=4)(*21(*iDY<('&=:&4'4=4)(*X)5*
derivatives were also used to prepare their protein conjugates.
ナ イ セ リ ア 属 の 髄 膜 炎 菌 は、 リ ポ オ リ ゴ 糖
+g'5%%"'!%&2$$728'()k*gLC0 と呼ばれる複合糖脂質を細胞
外膜に産生する。この gLC のオリゴ糖鎖 (OS) は、保
存されたコア糖鎖と可変糖鎖からなる。図 1 に示すよ
う に /"$^.$+A[<J0X)5sBBt+A[<i0X)5sBtr+UbL0J の H 糖
がコア糖鎖である。髄膜炎菌は、コア糖鎖の X)5sBt と
X)5sBBt 上に短い可変糖鎖を生合成し、さらに、GlcNAc
の 3 位を L< アセチル化 (Ac) する。
本研究では、このような /"$^.$<i<L.$ 化体が、ヒ
ト に お い て 免 疫 原 性 を 有 す る か ど う か を 探 る た め、
/"$^.$<i<L.$ を 含 む 部 分 糖 鎖 の 合 成 を 目 的 と し た。
i<L.$</"$^.$ の 合 成 に は、J 位 を ベ ン ジ ル 化 し た
mannopyranoside の i<L<-hbeC 化、 そ し て 脱 ベ ン ジ ル
化後 Jr アジド体への誘導を考えた。しかし、この経路
での Jr アジド体誘導は低収率であったことより、YDP<L<
ベンジリデン化した J<アジド体を供与体としてグリコ
シル化し、i<L</"$^.$<X)5sBBt 二糖コンジュゲートの合
成を行った。
186
49>M@
ナイセリア属の病原性グラム陰性菌は、オリゴ糖と
g'5'(*. からなるリポオリゴ糖 +g'5%%"'!%&2$$728'()kgLC0
を細胞外膜に産生する。ヒト血清中から単離精製した
B!/ を用いた研究では、オリゴ糖鎖中の、数種の部分構
造が免疫源であることが示唆されている。しかし、B!/
が認識する部分糖鎖の構造は未だ未解明である。
認識される糖鎖構造の解明には、糖鎖の化学合成、
スペーサーの立体選択的導入、並びに、リンカーを介
してのタンパクとのコンジュゲート合成が必要である。
本研究では、へプトシルヘプトース sX)5+A[<i0X)5t を
用いてリンカーの効率的導入とタンパクとの結合条件
を検索した。
その結果、保護基が結合した二糖を用いることによ
り、リンカーの導入を高収率で達成した。二糖にリン
カーを導入後、ヒト血清アルブミンを用いてコンジュ
ゲート合成の条件も検討した。モデル二糖と共に、Yr
置換と3,4r 置換 Hep 誘導体のコンジュゲート合成と、
214'<gLC 抗体による免疫分析の結果も併せて報告する。
49>Mf
49>MW
植物複合型 N -グリカンの代謝に関わるイネ
α-L-Fucosidase の精製
微小管作用抗癌剤の耐性獲得による白血病細
胞膜糖タンパク質糖鎖の構造変化
○藤重 誠 、前田 恵 、木村吉伸
○中の三弥子、白井亮平、伊藤 潤、高橋志郎
1
[DJ
[DJ
岡大院自然、 岡大院環生
1
J
4(513$*+1%&-*&2-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-51$,-R9Y9-C($%012*0,involved in turnover of plant complex type N-glycan
広島大学大学院先端物質科学研究科
Alterations of glycan structures on cell membrane glycoproteins
in microtubule-targeting drug-resistant leukemia cells
1
[DJ
[DJ
○,2a%4%*T=m'&7'!) , Megumi Maeda , Yoshinobu Kimura
○,'#2a%*^2a21%D*M#%7)'*C7'82'D*f=1*B4%D*C7'8%*-2a272&7'
1
Graduate School of Advanced Sciences of Matter, Hiroshima
V1'?)8&'4#
/82(6*C$7%%"*%>*^24=82"*C$')1$)*21(*-)$71%"%!#DLa2#2@2*V1'?6D
/82(6*C$7%%"*%>*S1?'8%1@)142"*21(*g'>)*C$')1$)DLa2#2@2*V1'?6*
J*
Summary:*B4*72&*:))1*8)?)2")(*4724*@)42:%"'&@*%>*N<!"#$21*
'&*8)&5%1&':")*>%8*47)*5"214*!8%3476B1*47'&*&4=(#D*3)*5=8'G)(*
21* A<g<T=$%&'(2&)* +L&TVN[0* >8%@* $="4=8)(* 8'$)* $)""&6*
-7)*5=8'>')(*A<g<T=$%&'(2&)*32&*28%=1(*H\ab2*@%")$="28*
3)'!74*21(*&48%1!"#*214)(*%1**2!2'1&4*A<[DY*>=$%&)*'1*g)3'&*
a determinant . But the enzyme did not act on fucose in
i<"'1a2!)*4%*47)*'11)8@%&4*/"$^.$6*
糖タンパク質糖鎖の代謝は植物の分化・成長に重要
な影響を及ぼすことが知られているが、植物複合型 N*<
グリカン +5"214*$%@5")F*4#5)*N<!"#$21D*eN^/0* に特異的
に作用する植物 A<g<T=$%&'(2&) については、機能特性
解析や発現制御解析が進んでいない。そこで本研究
では、イネ培養細胞を材料として用い、eN^/ に特異
的 に 作 用 す る A<g<T=$%&'(2&)*+L&TVN[0* の 精 製 を 行 っ
た。イネ培養細胞抽出液から、陰イオン交換クロマト
グラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロ
マトグラフィーを組み合わせることで L&TVN[ を単一
に精製した。CbC<e./S から推測された分子量は約 H\*
kDa であり、eN^/ に対しては,至適 pH は 6.0、至適
温度は HQ*I であった。一方、N末端アミノ酸配列が
..e-eeeg であったことから、L&TVN[ をコードして
いる遺伝子は $b^.*L&QY4QHPQYQQ<Q[ に相当することが
推定された。現在、この遺伝子の発現系の構築を行っ
ている。L&TVN[ は分泌型植物糖タンパク質に見受け
られるルイス A ユニット中の A<[DY*T=$ 残基に対して
強い活性を示したが、還元末端側 GlcNAc に結合する
A<[Di*T=$ 残基や人工基質である 5^e<T=$ に対しては活
性を示さなかった。これらの結果から、今回精製した
L&T=$[ は、液胞糖タンパク質あるいは種子貯蔵糖タン
パク質に見られるパウチマンノシド型 eN^/ ではなく、
分泌型糖タンパク質のルイス A 含有 eN^/ の代謝に関
与することが推定された。また、Arabidopsis thaliana で
遺伝子同定がなされている A<g<T=$%&'(2&) に類似する
(1)
酵素であることが考えられた 。
Summary:*B1*%8()8*4%*a1%3*47)*$721!)&*'1*!"#$%&#"24'%1*%1*
$)""*@)@:821)*58%4)'1&*%>*(8=!<8)&'&4214*$)""&D*3)*212"#9)(*
glycans on leukemia cells which acquired drug resistance
2!2'1&4*@'$8%4=:=")&<428!)4'1!*214'4=@%8*(8=!&6*-7)*8)&'&4214*
$)""&*&7%3)(*2*&'!1'>'$214*()$8)2&)*'1*&'2"#"24)(*^<!"#$21&*
on all cell membrane glycoproteins. The lower sialylation
32&*$2=&)(*:#*()$8)2&)(*)F58)&&'%1*%>*@M^.*%>*C-P/2"<B6*
B1* $%1$"=&'%1D* &'2"#"24'%1* @2#* 5"2#* 2* a)#* 8%")* '1* 47)* (8=!*
resistance.
【目的】癌細胞が抗癌剤耐性を獲得する機序を解明する
ために、本研究では微小管作用抗癌剤であるビンクリ
スチンおよびデソキシエポチロンB (dEpoB) に対して
耐性を獲得したヒト急性 T リンパ芽球性白血病細胞株
+NS,0 を用いて、耐性獲得で変化する細胞膜上糖タン
パク質の糖鎖構造を調べた。さらに変化する機序も調
べた。
【方法】細胞をホモジナイズし、超遠心と界面活性剤
分配法により得た細胞膜分画を e_bT 膜にドット後、
e^/2&)T 酵素法と ;<脱離法で N 型糖鎖および O 型糖鎖
を遊離し、gN+!8257'4'9)(*$28:%10<SCB*,C を用いて分析
した。
【結果および考察】図の蛍光レクチン染色と MS の結果
より NS,](S5%h 細胞は NS, 細胞と比べて AJ<P シア
リル糖鎖が全ての細胞膜タンパク質上で著しく減少し
ていることがわかった。それは AJ<P シアリル糖転移酵
素の @M^. の発現の低下によるものであった。
+[0*~)")1#*MD*)4*2"6D*e7#4%$7)@'&48#D*PKD*PY[<PY\*+JQQP0
187
49>Mb
49>Mc
TG カイコを用いた組み換えヒトカテプシン A
の分子特性とリソソーム病治療薬開発
⃝西岡宗一郎 、小林 功 、辻 大輔 、
1
1
3
4
,%4'=8D*,(6*M.X,.^ 、池戸駿介 、真板宣夫 、原園 景 、
4
4
JDH
JDH
[DH
石井明子 、川崎ナナ 、瀬筒秀樹 、町井博明 、伊藤孝司
[DH
1
4
JDH
[DH
徳島大院薬、 農業生物資源研、 徳島大疾患酵素研セ、
H
国立衛研生物薬品部、 アグリヘルス eJ
3
Molecular property of recombinant human cathepsin
A derived from transgenic sildworm and application
7%5-2,<,"%:6,&+-%7-,&F#6,-25()-7%5-"#0%0%6*"-210,*0,
188
Fmoc 標識化法を用いた O-結合型糖鎖解析−汎
用性の高い O-結合型糖鎖ライブラリーの構築−
○山田佳太 、平林 淳 、掛樋一晃
1
1
1
J
香川大・総合生命・糖質バイオ、 近畿大・薬
J
Analysis of O-glycans as Fmoc derivatives:
Establishment of versatile O-glycan library
[DH
[DH
1
○Soichiro Nishioka D*B&2%*U%:2#2&7'JDHD*b2'&=a)*-&=m' D*M27@21*,(*,%4'=8 ,
1
3
4
4
C7=1&=a)*Ba)(% , Nobuo Maita , Akira Harazono D*.a'a%*B&7'' ,
4
JDH
JDH
[DH
Nana Kawasaki , Hideki Sezutsu , Hiroaki Machii D*U%7m'*B4%7
○Keita Yamada D*f=1*X'82:2#2&7' , Kazuaki Kakehi
1
b)546*%>*,)('$'16*h'%4)$76DB1&46*>%8*,)('$'16*M)&6D*/82(6*C$7"6*%>*e728@2$)=4D*
C$'6D-7)*V1'?6*%>*-%a=&7'@2D*J*-821&!)1'$*C'"a3%8@*M)&6*N)1486D*^B.CD*3 e8%4)'1*
N8#&42""%!8257#*T2$'"'4#D*-7)*B1&46*>%8*S196*M)&6D*-7)*V1'?6*%>*-%a=&7'@2D*4 Div.
%>*h'%"6*N7)@6*21(*h'%"%!'$&6D*^BXCD*H*.!8'7)2"47*-821&"24'%12"*M)&6*e-
1
b)5284@)14*%>*/"#$%<h'%'1(=&48#D*g'>)*C$')1$)*M)&)28$7*N)14)8D*
U2!232*V1'?)8&'4#D*J*C$7%%"*%>*e728@2$#D*U'1a'*V1'?)8&'4#
Summary: Galactosialidosis (GS) is a lysosomal disease
caused by the genetic defect of lysosomal protective protein/
$247)5&'1*.*+N-C.06*E)*5=8'G)(*47)*2$4'?)*iJ]JQab2*N-C.*
from the middle silk glands of transgenic silkworms, and
)"=$'(24)(*47)*478))<('@)1&'%12"*&48=$4=8)*%>*2$4'?)*iJ]JQab2*
N-C.6*S2$7*&=:=1'4*72(*('>>)8)14*$"2&&*%>*^<!"#$21D*2*52=$7<
@211%&)*21(*2*7'!7<@211%&)*4#5)D*3'47%=4*'1&)$4<&5)$'>'$*
&2$$728'()6*B1$%85%824'%1*%>*47)*N-C.*?'2*@211%&)*8)$)54%8*
by monocyte. suggested the replacement effect on GS.
Summary: We developed a novel method for rapid and
&)1&'4'?)* 212"#&'&* %>* L<!"#$21&* =&'1!* Z<>"=%8)1#"@)47#"*
+T@%$0* "2:)"'1!* @)47%(D* 21(* 255"')(* 47)* @)47%(* 4%* 47)*
212"#&'&*%>*L<!"#$21&*)F58)&&)(*%1*$21$)8*$)""&6*B1*2(('4'%1D*
47)* L<!"#$21&* %:42'1)(* >8%@* &%@)* !"#$%58%4)'1&* 21(*
$21$)8*$)""&*28)*)@5"%#)(*4%*47)*@%()"*&4=(')&*%1*L<!"#$21*
micro array. These methods have great potential to make
a breakthrough in discovery of new functional analysis of
L<!"#$21&6
リソソーム病の一種である Galactosialidosis (GS) は、
ヒト e8%4)$4'?)*58%4)'1]$247)5&'1*.*+N-C.0 をコードする
遺伝子変異が原因で発症する常染色体劣性遺伝病であ
る。N-C. は、リソソーム内で ^)=82@'1'(2&)[*+^SV[0
及び ;</2"2$4%&'(2&)*+/gh[0 と多酵素複合体を形成し、
両酵素の活性発現及び安定性を制御する糖タンパクで
ある。GS では複合体が形成されず二次的に ^SV[ 活性
が低下するため、末端シアル酸含有糖鎖がリソソーム
に過剰蓄積し、中枢神経症状などを惹起する。
本研究では、現在、一部のリソソーム病に対し臨床
応用されている酵素補充療法を GS に応用すべく、中
部絹糸腺で N-C. を大量発現するトランスジェニック
カイコ (TG カイコ) からの活性型 N-C. 精製と分子特
性解析を行った。約 1,000 頭分の中部絹糸腺抽出液から
3 段階のクロマトグラフィーにより精製した iJ]JQab2*
N-C. の結晶化と、活性型二量体の 3 次構造の解明に
成功した。また活性型 N-C. を構成する各サブユニッ
トには異なる構造の N グリカンが付加されることが明
らかとなった。さらに付加糖鎖には昆虫特異的な糖鎖
構造は含まれず、ヒト型 N グリカン の部分構造をもつ
ことが判明した。また精製酵素はマンノースレセプター
を発現している単球細胞内に取り込まれ、リソソーム
に到達した。これらの知見から、TG カイコ由来組み換
えヒト N-C. は GS に対する低抗原性の酵素補充療法
に応用できると考えられた。
L<結合型糖鎖の解析は、未だ技術的課題が多く、糖
鎖研究を進める上で大きな障害となっている。本発表
では、Z<j=%8)1#"@)47#"*$7"%8'()*+T@%$<N"0 による標識化
法を用いた L<結合型糖鎖解析技術を紹介する。T@%$
標識化体は、強い蛍光を示すと共に、質量分析におけ
るイオン化効率も高いことから非常に高感度に分析す
ることができる。さらに T@%$ 標識化体の最大の特徴と
して、簡便に脱標識化できることが挙げられる。よっ
て本法を使用することで、糖鎖アレイやネオグライコ
プロテインの作製に有用な、還元末端を有する糖鎖を
生体試料から簡便に単離精製することができる。
L<結合型糖鎖の遊離にアンモニアによる ;<)"'@'124'%1
を用いることで、遊離した糖鎖を定量的に T@%$<N" で
標識化することに成功した。T@%$ 標識化 L<結合型糖
鎖と J<2@'1%:)19%'$*2$'(*+J..0 標識化糖鎖の検出感度を
比較した結果、蛍光検出で T@%$ 化体は J.. 化体に比
べて i6H 倍以上高い感度を示した。本法をヒト胃腺癌細
胞 +,U^YH0 に適用した結果、高分子のポリラクトサミ
ン構造有する L<結合型糖鎖を明瞭に観察することに成
功した。また、T@%$ 化糖鎖の脱標識化反応についても
評価した結果、ヘミアセタール構造を有する L<結合型
糖鎖を定量的に回収することに成功した。さらに本発
表では、細胞等から調製した T@%$ 化 L<結合型糖鎖を
用いた糖鎖アレイ作製技術についても紹介する。
本研究は生体試料中の L<結合型糖鎖解析だけでなく、
糖鎖アレイ等の相互作用解析ツールの開発においても
極めて有用であると考えられる。
1
1
J
49>Mh
49>@e
動物血清から検出された異種抗原となり得る
過剰シアリル化されたⅠ型 N-結合型糖鎖
精母細胞におけるセミノリピドとベイシジン
の分子機能
○住吉 渉 、中北愼一 、宮西伸光 、山田佳太 、中北ゆかり 、
1
1
馳平加代 、平林 淳
○山下竜幸 、仁尾景子 、宮原 馨 、本家孝一
1
1
1
J
1
1
香川大学総合生命、 東洋大学生命科学
1
J
3
[DJDi*
高知大・先端医療学推進センター
高知大・高知システム糖鎖生物学教育研究センター
3
高知大学医学部・生化学
J
1
J
X#:,501*"#"*+,2-+#:,98-O9)"#$*&0-7%(&2-1&-*&16*"0,5*-*5,-:%+,&+1*"-;,&%*&+1),&0I
The molecular functions of seminolipid and basigin in
+/,-0:,56*+%$#+,0I
○Wataru Sumiyoshi D*C7'1<'$7'*^2a2a'42 , Nobumitsu Miyanishi ,
1
1
1
Keita Yamada , Yukari Nakakita , Kayo Hasehira ,
1
f=1*X'82:2#2&7'
1
1
1
J
g'>)*C$'6*M)&6*N)146D*U2!232*V1'?6D*J*T2$6*%>*g'>)*C$'6D*-%#%*V1'?6
○Tatsuyuki Yamashita D*U)'a%*^B% , Kaoru Miyahara ,
[DJDi
Koichi Honke
1
J
3
1
N)14)8*>%8*B11%?24'%1*21(*-821&"24'%12"*,)('$'1)*U%$7'*V1'?)8&'4#*
Kochi system glycobiology center
3
b)5284@)14*%>*h'%$7)@'&48#D*U%$7'*V1'?)8&'4#*,)('$2"*C$7%%"
J*
Summary:* B1* 47'&* &4=(#D* 3)* @2()* 21* )F4)1&'?)* &)28$7* >%8*
5%4)14'2"*F)1%214'!)1'$*!"#$21&*2@%1!*2*521)"*%>*@2@@2"'21*
sera. Bovine, lamb and goat sera were found to contain
substantial amounts of hypersialylated biantennary glycans
2&&%$'24)(*3'47*2*4#5)<B*"2$4%&2@'1)*&48=$4=8)D*C'2AJ<i/2";[<
i+C'2AJ<P0/"$^.$6*B1*47)&)*&)82D*47)*@%&4*2:=1(214*&48=$4=8)*
32&* C'2AJ<i/2";[<i+C'2AJ<P0/"$^.$;[<J,21A[<isC'2AJ<
P/2";[<Y/"$^.$;[<J,21A[<Pt,21;[<Y/"$^.$;[<Y/"$^.$6*
The amount of hypersialylated glycans among total sialylated
!"#$21&*32&*YPuD*JPu*21(*Jiu*'1*:%?'1)D*"2@:*21(*!%24*&)82D*
respectively.
昨今免疫グロブリンやエリスロポエチンなどに代表され
るタンパク質製剤の開発に多くの注目が集まっている。こ
れらのタンパク質のほとんどは糖鎖をもった分泌タンパク
質であり、その糖鎖部分がタンパク質の安定性や効用に関
係していることが知られている。一方、動物細胞や血清
には A/2" や NeuGc のような、ヒトでは検出されない糖鎖
が含まれており、これら異種抗原糖鎖は有害な免疫反応
を引き起こす可能性が指摘されている。本研究では、いく
つかの動物血清に含まれる糖鎖の構造を解析した結果、偶
蹄目に属するウシ、仔ヒツジ、ヤギの血清に、ガラクトー
ス残基数に比して過剰にシアル酸が結合した J 本鎖 ^< 結
合型糖鎖が多く存在することを見出した。これらはいずれ
も C'2AJ<i/2";[<i+C'2AJ<P0/"$^.$ と い う B 型 ラ ク ト サ ミ
ン四糖構造を持ち、偶蹄目の血清でのみ検出された。過
剰シアル酸糖鎖の中で、最も量が多かったのは過剰シア
ル酸が [<i 分岐鎖にだけ結合した C'2AJ<i/2";[<i+C'2AJ<P0
/"$^.$;[<J,21A[<isC'2AJ<P/2";[<Y/"$^.$;[<J,21A[<Pt
,21;[<Y/"$^.$;[<Y/"$^.$ と い う 構 造 で あ り、 両 分 岐
鎖 に 過 剰 シ ア ル 酸 が 結 合 し た*C'2AJ<i/2";[<i+C'2AJ<P0
/"$^.$;[<J,21A[<isC'2AJ<i/2";[<i+C'2AJ<P0/"$^.$;[<
J,21A[<Pt,21;[<Y/"$^.$;[<Y/"$^.$ もウシの血清糖鎖で
は [Qu にも上った。 過剰シアリル化糖鎖の量は血清全体
のシアリル化糖鎖のうち、ウシ、仔ヒツジ、ヤギでそれぞ
れ YPu、JPu、Jiu であった。一方、これらの構造はヒト
やブタ、ウマの血清では検出されなかった。過剰シアリル
化糖鎖の生物学的機能や免疫原性は明らかになっていない
が、これらの細胞や血清を用いて合成された糖タンパク質
が、有害な抗原性を与える可能性があることを考慮する必
要がある。
Summary: Since the phenotypes in spermatogenesis of
&)@'1%"'5'(<*21(*:2&'!'1<()>'$')14*@'$)*28)*&'@'"28*4%*)2$7*
other, we investigated the relation between basigin and
&)@'1%"'5'(6*E)*>%=1(*4724*&)@'1%"'5'(D*:2&'!'1*21(*,N-<
4, a lactate transporter form an assembly in the membrane
@'$8%(%@2'1*%>*47)*&5)8@24%$#4)&6*T=847)8D*3)*>%=1(*4724*
47)*=542a)*%>*"2$424)*()4)8'%824)*'1*:%47*47)*&)@'1%"'5'(<*21(*
:2&'!'1<()>'$')14*&5)8@24%$#4)&D*'1('$24'1!*4724*&)@'1%"'5'(*
21(*:2&'!'1*28)*58)8){='&'4)*>%8*47)*,N-Y*>=1$4'%16
哺乳動物の精巣に特異的な硫酸化糖脂質セミノリピ
ドは、硫酸転移酵素 NC- によって合成される。Cst 欠
損マウスの精子形成は第一減数分裂中期までに停止し
て不妊になることから、セミノリピドが精子形成に必
須の分子であることが証明されたが、その分子機能は
不明であった。
ベイシジン(Bsg)欠損マウスと Cst 欠損マウスの表
現型が似ていることに着目し、精母細胞の膜マイクロ
ドメインにおいてセミノリピドとベイシジン、さらに
乳酸トランスポーターの ,N-<Y がアッセンブリーを形
成していることを見出した。,N- とベイシジンが協
調して、網膜や腎臓の細胞における乳酸の取り込みを
調節していることが報告されており、さらに、パキテ
ン期以降の精母細胞が、エネルギー燃料として主に乳
酸を利用していることが推定されていることから、Cst
欠損マウス、Bsg 欠損マウスの精子形成中断の原因が
,N- の機能障害によるエネルギー源の枯渇によるもの
であることが推測された。本研究で、Cst 欠損マウス
と Bsg 欠損マウスにおいて、,N-<Y の機能異常により
乳酸の取り込みが低下していることが判明した。さら
に、セミノリピドは ,N-<Y の膜輸送に、ベイシジンは
,N-<Y の膜マイクロドメインへの局在化に関与するこ
とがわかった。
189
49>@>
49>@K
LiCl の制御によるポリオールの位置選択的置
換反応
ラビリンチュラ類の糖脂質の同定とその合成
酵素の探索
○渡辺 裕、石田良介、田邊佳恵、林 実
○遠藤郁実 、小原淳一朗 、濱 洋一郎 、沖野 望 、
3,4
伊東 信
愛媛大院理工
1
1
4
Y1H"95,)("*+,2-5,)1%0,",$+1<,-0(D0+1+(+1%&-%7-:%"#%"0
J
3
九大院・生資環、 佐賀大・農、 九大院・農、
九大・バイオアーク
J*
3
80%"*+1%&-*&2-$/*5*$+,51F*+1%&-%7-*&-*"S*"1&,95,010+*&+glycolipid from thraustochytrids
○W=42a2*E24212:)D*M#%&=a)*B&7'(2D*U2)*-212:)D*,'1%8=*X2#2&7'
1
1
*J
○Ba=@'*S1(% D*f=1<'$7'8%*L7282 , Yoichiro Hama ,
3
3,4
Nozomu Okino D*,2a%4%*B4%
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$'6*S1!'16D*S7'@)*V1'?6
1,3
Department of Bioscience and Biotechnology, Graduate School of
h'%8)&%=8$)*21(*h'%)1?'8%1@)142"*C$')1$)&D*U#=&7=*V1'?)8&'4#D*J*T2$="4#*%>*
.!8'$="4=8)D*C2!2*V1'?)8$'4#D*4 h'%<.8$7'4)$4=8)*N)14)8D*U#=&7=*V1'?)8&'4#
Summary:*g'N"*'&*)>>)$4'?)*4%*('&&%"?)*myo<'1%&'4%"*'4&)">*
in DMA. The solution was found to enable its regioselective
O-&=:&4'4=4'%1* 24* [Di<* %8* [<LX6* g'N"* 58%@%4)(* 2"&%* 47)*
8)2$4'%1*%>*[DJ<cis- type diol while it decreased the reactivity
%>*2*&'@5")*2"$%7%"6*-7=&D*@)47#"*A<b<!"=$%5#821%&'()*32&*
&=:&4'4=4)(* 24* J<LX* 8)!'%&)")$4'?)"#* 3'47%=4* 2>>)$4'1!* 47)*
58'@28#*P<LX6
Summary: We isolated the glycolipid from Aurantiochytrium
limacinum*@7Q[\P*21(*()&'!124)(*@7/g<.6*-7'&*!"#$%"'5'(*
32&*2"a2"'1)<8)&'&4214*21(*'1&)1&'4'?)*4%*CNb2&)D*37'$7*'&*
an enzyme specific to an amide linkage of ceramide. The
212"#&)&* =&'1!* /N* 21(*-LT<,2&&* 8)?)2")(* 4724* @7/g<.*
is composed of a glucose and a sterol. Thus, the glycolipid
@7/g<.*32&*'()14'G)(*4%*:)*2*&4)8#"!"=$%&'()6*
ミオ < イノシトール (1) は g'N" が共存するとジメチ
ルアセトアミドに溶解する。この溶液中では [Di< ジ置
換体 (2) あるいは [< モノ置換体 (3) が位置選択的に得ら
れることを見出した。
[目的]海洋性真核単細胞生物ラビリンチュラ類は、
ドコサヘキサエン酸をはじめとする高度不飽和脂肪
酸*+eVT.0* やスクアレンのような炭化水素を生産・蓄
積 す る こ と か ら、eVT.* や バ イ オ エ ネ ル ギ ー の 供 給
源として注目されている。ラビリンチュラ類の糖脂
質に関する知見は極めて乏しい。本研究では、ラビ
リンチュラ類における糖脂質の機能解明を目的とし、
Aurantiochytrium limacinum mh0186 における糖脂質の同
定とその合成酵素の探索を行った。
[方法・結果]A. limacinum mh0186 から T%"$7* 法を用い
て脂質を抽出し、弱アルカリ処理後、順相 -gN*に供試
した結果、糖脂質由来と推測されるバンドが検出され
た。この糖脂質*+@7/g<.0* は、セラミド部位の酸アミ
ド結合に特異的な CNb2&)*に非感受性であったため、ス
フィンゴ糖脂質ではないと考えられた。次に、シリカ
ゲルクロマトグラフィーを用いて @7/g<.* を精製し、
-LT<,CD*/N* 解析及び紫外部の吸収波長の測定を行っ
た。その結果、構成糖はグルコース、脂質はステロー
ル骨格であり、@7/g<.* はステリルグルコシドの一種
と同定された。現在、mh0186 のゲノムデータベースか
ら @7/g<.*の合成酵素候補遺伝子を探索している。
また、g'N" はポリオールの反応性を高めると共に位
置選択性を実現する効果をもっていることがわかった。
一例を次に示す。
この特性を活かして g'N"]b,. あるいは g'N"]-XT 系
でのポリオールの置換体合成の有用性についても検討
した。全般的にトシル化を中心に検討を行ってきたが、
ベンゾイル化などにも適用できることが分かってきた。
さらに検討を進めている。
190
1
49>@M
49>@@
グリコサミノグリカン糖鎖高分子合成と生体
機能解析
天然由来糖脂質の合成から糖鎖機能を探る∼脊索
動物リモーニ・ディ・マーレ由来糖脂質の合成
○西村優里、星野 友、三浦佳子
○大塚 功 、吉田裕生 、新垣達司 、渥美聡孝 、羽田紀康 、
1
垣内信子
九大院工
1
1
1
1
1
J
九州保健福祉大・薬、 慶応大・薬
J
Search of carbohydrate functions from synthesis
of glycolipids in natural products - Synthesis of
glycolipids from Microcosmus sulcatus
Synthesis of glycopolymer and analysis of its
biofunctions
○Yuri Nishimura, Yu Hoshino, Yoshiko Miura,
○L74&=a2D*B&2%6 , Yoshida, Hiroyuki. , Arakaki, Tatsuji. ,
1
J
1
Atsumi, Toshiyuki. , Hada, Noriyasu. , Kakiuchi, Nobuko.
/82(6*C$7%%"*%>*S1!6D*U#=&7=*V1'?6
1
1
1
1
U#=&7=*V1'?)8&'4#*%>*X)2"47*21(*E)">28)D**
T2$="4#*%>*e728@2$#*U)'%*V1'?)8&'4#
J*
Summary:* B1* 47'&* &4=(#D* 3)* &#147)&'9)(* "':828#* %>*
glycopolymers by copolymerizing acrylamides which side
chains are functionalized with glucuronic acids or sulfated
&=!28&6*E)*)F5)$4)(*4724*&%@)*%>*47%&)*!"#$%5%"#@)8&*28)*
capable of interacting with proteins and peptides that interact
with GAGs by clustering effect of carbohydrates. To test our
7#5%47)&'&D*:'%2$4'?'4#*%>*58%4)'1&*+;<&)$8)42&)0*4724*28)*a)#*
>2$4%8&*>%8*."97)'@)8v&*('&)2&)*28)*'1?)&4'!24)(*'1*58)&)1&)*%>*
glycopolymers and relationship.
糖鎖は生体内でエネルギー源や細胞間の認識物質、
また生理活性の調節因子として重要な機能を担ってい
る。中でも細胞表層に多く存在するグリコサミノグリ
カン類 (GAGs) は、細胞の接着や、免疫応答、疾病、タ
ンパク質の沈着に関与していることから、薬剤候補分
子として機能が注目されている。
近年、アルツハイマー病の原因であるアミロイドベー
タ*+.;0*の蓄積にも GAGs が関与していることが示され
た。.; は、;<&)$8)42&)*+h.NS<[n* タンパク質分解酵素 )
によるアミロイド前駆タンパク質の切断から始まる数
段階より産生され、線維化することで脳内に蓄積する。
こ の*h.NS<[* 活 性 の 調 節 に GAGs、 中 で も N<.$)4#"<
glucosamine (GlcNAc) や Glucuronic acid の二糖繰り返し
構造を持つ、ヘパリンやヘパラン硫酸が関わっている。
そこでこれらの糖鎖の構造活性相関を解析し、h.NS<[
阻害剤を開発することが期待されている。しかし、硫
酸基の位置が不均一で複雑な構造をとる分子であるた
め、構造解析や有機合成が困難である。
本 研 究 で は、 硫 酸 基 の 位 置 の 異 な る 硫 酸 化 GlcNAc
モ ノ マ ー を そ れ ぞ れ 合 成 し、 こ れ ら の モ ノ マ ー を
Acrylamide と共重合して直鎖型の糖鎖高分子ライブラ
リーを合成した。これを用いた h.NS<[ 活性試験の結
果から、h.NS<[ 活性を阻害するために必要な糖構造に
ついて考察を行う。
Summary: Searches of functions of glycolipids in natural
products don't only lead to elucidation of ecology of animals
containing them, but also to understand of evolution in the
life. Thus, they assist in elucidation of disease mechanism
and development of new drugs. We tried synthesis of new
glycolipids from Microcosmus sulcatus. Their structure is
;<b</2"5+[→Y0sA<b<T=$5*+[→i0t;<b</"$5*+[→0N)86*C#1<
47)&'&*%>*48'&2$$728'()*()8'?24'?)&*3)8)*2$7')?)(*:#*%1)*<*5%4*
synthesis method. Their reducing end sugar will be joined to
ceramide derivative.
【目的】天然由来糖脂質の機能を探索することは、それ
を含む生物の生態を明らかにするだけでなく、生物の
進化の過程を知る上でも重要な手掛かりとなり、新た
な創薬の源となる。本研究では、脊索動物ホヤの一種
であるリモーニ・ディ・マーレ Microcosmus sulcatus 由
来糖脂質 ;<b</2"5+[→Y0sA<b<T=$5*+[→i0t;<b</"$5*+[→)
N)8 の合成を目的とし、糖鎖機能解明の足がかりとする。
【方法・結果】各単糖から調製した b<ガラクトース及び
b<フコースのトリクロロアセトイミデート誘導体を糖
供与体とし、糖受容体となる b<グルコース誘導体を用
いて、3 工程 L1)<e%4 合成を試みた。まず 1) TfOH によ
り b<グルコースの 3 位に b<フコースを導入した後、J0*
Et3SiH の添加で 4,6 位のベンジリデン基を 4 位側から
選択的に開裂させ、3) ここに b<ガラクトース誘導体を
供与体として加え、目的とする三糖誘導体が YQ*u の収
率で得られた。得られた化合物の還元末端に脂質を導
入、及び生物活性評価については現在検討中である。
191
49>@f
有機すず触媒の分子認識機能を活用した糖類
の選択的官能基化
グルクロン酸を含むヘパラン硫酸部分二糖構
造に関する合成研究
○竹本祐樹、村松 渉、尾野村治
○松山奈央、齊藤彰寛、若尾雅広、隅田泰生
長崎大院医歯薬
鹿児島大・院理工
.,",$+1<1+#-.B1+$/-1&-Z5)*&%+1&-H*+*"#F,2C(&$+1%&*"1F*+1%&-%7-H*5D%/#25*+,0I
192
49>@W
Synthetic study on heparan sulfate partial
disaccharide structure containing glucuronic acid
○Yuki Takemoto, Wataru Muramatsu, Osamu Onomura
○,.-CVW.,.*^2%D*C.B-L*.a'7'8%D*E.U.L*,2&27'8%D*
CVb.*W2&=%
/82(=24)*C$7%%"*%>*h'%@)('$2"*C$'6D*^2!2&2a'*V1'?6
/82(6*C$7%%"*%>*C$'6*S1!6D*U2!%&7'@2*V1'?6
Summary: We have developed a practical method for the
efficient differentiation of stereoisomeric carbohydrates
=&'1!* %8!21%4'1* $242"#&4&6* B1* 47)* 58)&)1$)* %>* 1%158%4)$4)(*
!"=$%5#821%&'()&*D*2*$242"#&4*3'47*,)<!8%=5*$21*>=1$4'%12"'9)*
47)*N+P0<LX*%>*:)42<21%@)8*3'47*7'!7*&)")$4'?'4')&*D*%1*47)*
%47)8* 721(* 2* $242"#&4* 3'47* h=<!8%=5* $21* >=1$4'%12"'9)* 47)*
N+J0<LX*%>*2"572<21%@)8*6
Summary: Heparan sulfate (HS), which is a liner sulfated
polysaccharide, binds to many bioactive proteins such as
growth factors and cytokines, and regulates their functions.
The specific microdomain structures of HS are suggested to
:)*8)&5%1&':")*>%8*47)'8*>=1$4'%1&6**C48=$4=82""#*()G1)(*5284'2"*
structures are therefore required to analyze the functions at the
@%")$="28*")?)"6**B1*47'&*&4=(#D*3)*)F2@'1)(*&#147)&)&*%>*XC*
disacchride structures containing glucuronic acid with various
sulfation patterns.
【目的】当研究室では有機すず触媒を用いる糖の位置選
択的アシル化、チオカルボニル化に成功してきた。こ
れらの研究は、一つの分子が有する複数の水酸基の中、
特定の水酸基を位置選択的に官能基化することを目的
としてきた。一方で、本研究は複数の構造の類似した
糖混合物の中、特定の糖を選択的に認識し、同時に特
定の水酸基を官能基化することを目的とする。糖化学
の分野において、この選択的官能基化が達成されれば、
分離困難なアノマー混合物を XegN などの機器を用い
た小量の分離ではなく、さらに大きなスケールでの分
離が可能になる。
【方法・結果】触媒量の有機すず触媒存在下、グルコー
スのアノマー混合物を用いる選択的チオカルボニル化
の検討を行った。その結果、Me 基を有する触媒を用い
ると、ベータ糖の6位水酸基選択的な反応が進行した。
一方、Bu 基を有する触媒を用いると、アルファー糖の
2位水酸基選択的な反応が進行した。このような選択
性発現はアシル化やスルホニル化を行った場合におい
ても同様に観察された。
ヘパラン硫酸(HS)は、グリコサミノグリカンに分類
される硫酸化多糖で、成長因子などの生理活性タンパク
質と相互作用し、それらのシグナルを調節する。HS は、
生合成過程において、不均一な酵素修飾を受けるため、
多様な糖鎖・硫酸化パターンを持っている。近年、こ
の微細構造が HS の機能発現に重要であると考えられて
おり、分子レベルでの解析には、均一かつ構造の明確な
HS 部分構造が求められている。本研究では、グルクロ
ン酸を含む HS の二糖構造に着目し、様々な硫酸化パター
ンを持つ三糖体の合成について検討した。
多様な硫酸化パターンを持つ三糖を効率よく合成する
ために、本研究では、位置選択的な脱保護、硫酸化が可
能な共通中間体である三糖体 1 を設計した。この共通中
間体 1 は、単糖成分であるグルコサミン成分、グルクロ
ン酸成分、グルコース成分を順次、グリコシル化を行う
ことによって容易に調製することができた。続いて、得
られた三糖体 1 の位置選択的な脱保護ならびに硫酸化に
ついて検討した。その結果、種々の HS 部分二糖構造を
合成することができた。
49>@b
49>@c
糸状菌のガラクトフラナン合成に関わるガラ
クトフラノース転移酵素遺伝子の同定
コンドロイチン硫酸部分四糖構造に関する合
成研究
○岡 拓二 、小町祐司 、畠山信太郎 、元松 遥 、二神泰基 、
3
3
1
J
Karina Kizjakina 、e2:"%*C%:82(% 、浴野圭輔 、竹川 薫 、
J
1
後藤正利 、野村善幸
○市来幸子、杜若祐平、酒見千穂、宮地健人、若尾雅広、
隅田泰生
1
1
1
1
1
J
J
3
崇城大・生物生命、 九大・生資環、 _'8!'1'2*-)$7*h"2$a&:=8!
鹿児島大・院理工
GfsA protein is essential for galactofuranan
biosynthesis of the cell wall
Synthetic Study on Chondroitin Sulfate
Q,+5*0*$$/*5*12,-4*5+1*"-.+5($+(5,0
○Takuji Oka , Yuji Komachi , Shintaro Hatakeyama , Haruka Motomatsu ,
J
3
3
1
-2'a'*T=42!2@' , Karina Kizjakina D*e2:"%*C%:82(% , Keisuke Ekino ,
J
J
1
Kaoru Takegawa , Masatoshi Goto , Yoshiyuki Nomura
1
1
1
1
1
C%m%*V1'?6D*J*U=&7=*V1'?6D*3 _'8!'1'2*-)$7*h"2$a&:=8!
Summary: The cell surface of Aspergillus spp. has
! 2 " 2 $ 4 % @ 2 1 1 2 1 D * 2 * ; [ D H < ! 2 " 2 $ 4 % > = 8 2 1 % & ) * % " ' ! % @ ) 8*
+!2"2$4%>=821210*"'1a)(*4%*A[DJ<@211216*X)8)*3)*'()14'G)(*
the gfsA gene, as responsible for the biosynthesis of
!2"2$4%>=82121* =&'1!* 8)?)8&)<!)1)4'$* 21(* :'%$7)@'$2"*
approaches. Disruption of gfsA caused reduced fungal
;<!2"2$4%>=82121&6*In vitro assay of galactofuranan synthase
revealed that GfsA requires divalent manganese cation for
2$4'?'4#* 21(* $%1&=@)&* Vbe<b<!2"2$4%>=821%&)* 2&* 2* &=!28*
donor. A G'H4I*&482'1*)F7':'4)(*2:1%8@2"*$)""*32""*'14)!8'4#6
;<グルカン、
【目的】Aspergillus 属の細胞壁構成糖鎖には、
A<グルカン、キチン、ガラクトマンナンなどが含まれ
ることが知られている。ガラクトマンナンは、A[DJ< マ
ン ナ ン に ;[DH<ガ ラ ク ト フ ラ ナ ン +/T0 が ;[DP お よ び
;[Di 結合した多糖類である。しかし、これら細胞壁構
成糖鎖のうち /T の生合成に関する遺伝子の知見は乏し
い。そこで本報では、/T の生合成に関与する遺伝子の
同定を目的とした。
【方法および結果】A. nidulans の生物情報から選抜した
13 種の候補遺伝子の遺伝子破壊株を作製した。;[DH<
テトラ /T を認識する抗体である Sh<.J を用いて、各
遺伝子破壊株から抽出した細胞壁タンパク質に対して
ウェスタンブロット解析を行ったところ 1 つの遺伝子
破壊株でシグナルが欠失していた。よって、本遺伝子
が /T の生合成に関与していると考え G'H4I と名付け
た。染色体上の G'H4I 遺伝子に iFTg./ 配列を挿入し、
検出したところ約 PH*ab2 の位置に単一シグナルを確認
できた。この />&.<iFTg./ を精製し、in vitro におい
て Vbe< ガラクトフラノースと共に反応させたところ、
GfsA が /T の生合成に関わる糖転移酵素であることが
明らかになった。また、G'H4I は細胞壁欠損表現型を示
した。
○W=a'a%*BNXBUBD*W=7)'*U.UB-CVh.-.D*N7'7%*C.U.,BD*
U)14%*,BW.NXBD*,2&27'8%*E.U.LD*W2&=%*CVb.
/82(6*C$7%%"*%>*C$'6*S1!6D*U2!%&7'@2*V1'?6
S u m m a r y : * N 7 % 1 ( 8 % ' 4 ' 1 * & = " > 2 4 ) * + N C 0 * : ) " % 1 ! &*
glycosaminoglycan family and plays a significant role in
@21#*:'%58%$)&&)&6**NC*72&*?28'%=&*&=">24'%1*5244)81&*:)$2=&)*
%>*7)4)8%!)1)%=&*)19#@24'$*@%('G$24'%1&*'1*47)*:'%&#147)&'&6**
-%*212"#9)*NC<:'1('1!*58%5)84')&*24*47)*@%")$="28*")?)"D*3)*
72?)*2"8)2(#*&#147)&'9)(*[P*a'1(&*%>*NC*('&2$$728'()*5284'2"*
&48=$4=8)&*3'47*?28'%=&*&=">24'%1*5244)81&6**B1*47'&*&4=(#D*4%*
investigate their properties in more detail, we addressed
$7)@'$2"*&#147)&'&*%>*NC*4)482&2$$728'()*5284'2"*&48=$4=8)6
コンドロイチン硫酸(NC)は、代表的なグリコサミ
ノグリカンの一つで、タンパク質に結合したプロテオ
グリカンの形で細胞表層や細胞外マトリックスに存在
し、神経系をはじめとする様々な組織に幅広く見られ
る。NC は、鎖上に様々な硫酸化パターンを持っており、
近年、この微細構造が NC の生体機能の調節に深く関与
すると考えられている。当研究室では、NC 鎖の機能解
析を分子レベルで行うため、これまでに NC 部分二糖構
造のライブラリー化を達成しており、現在、それらの
シュガーチップを用いた解析を進めている。本研究で
は、結合特性をさらに詳しく解析するため、NC 部分四
糖構造の合成について検討した。
まず、グルクロン酸成分 1 と ^<アセチルガラクトサ
ミン成分 2 から共通二糖中間体 3 を合成した。次に、
この中間体 3 から糖供与体成分 4、糖受容体成分 5 に誘
導し、得られた成分どうしのグリコシル化反応を行っ
て五糖中間体 6 を合成した。本発表では、選択的脱保護・
硫酸化による硫酸化糖への誘導についても検討したの
で合わせて報告する。
193
49>@h
49>fe
きのこシバフタケの GNA 様レクチンの特性
とクローニンク
○八木史郎 、下川倫子 、福留彩子 、山下了子 、南 雄二 、
J
J
舘野浩章 、平林 淳
1
1
1
1
1
1
鹿児島大学・農学部、 産総研・糖鎖医工学
H/*5*$+,51F*+1%&-*&2-$"%&1&)-%7-!OG9"1S,-",$+1&-75%6the mushroom Marasmius oreades
○T=@'%*W2!' , Michiko Shimokawa D*.#2a%*T=a=(%@) ,
1
1
J
M#%a%*W2@2&7'42 , Yuji Minami , Hiroaki Tateno ,
J
f=1*X'82:2#2&7'
1
1
1
U2!%&7'@2*V1'?6*T2$6*.!8'$6D*J*.BC-
Summary:*.*1)3*@211%&)<8)$%!1'9'1!*")$4'1*+,Lg0*3'47*
@211%&)<:'1('1!* @%4'>&* %>* 5"214* :=":<4#5)* ")$4'1* >8%@*
fruiting bodies of Marasmius oreades was characterized.
Hemmaglutination inhibition revealed the preference of
,Lg* 4%328(* @211%&)* 21(* 47#8%!"%:="'1D* :=4* 2&'2"%>)4='1*
32&*47)*&48%1!)&4*'17':'4%8*%>*!"#$%58%4)'1&*4)&4)(6*/"#$21<
2882#*212"#&'&*&7%3)(*4724*'4&*&5)$'G$'4#*32&*('>>)8)14*>8%@*
47%&)*%>*4#5'$2"*@211%&)<&5)$'G$*")$4'1&6*,Lg*58)>)88)(*4%*
$%@5")F*4#5)*^<!"#$21&*8247)8*4721*7'!7<@211%&)*^<!"#$21&6
新しいマンノース認識レクチン +,Lg0 を担子菌であ
るきのこシバフタケの子実体からアシアロフェチュイ
ンカラムを用 いて精製した。以前シバフタケからは、
MBe タイプで B 型血液型活性物質を認識する MOA が報
告されていたが日本産シバ フタケにはそれは見いだせ
なかった。,Lg は J つの同一サブユニット (13kDa) か
らなり ^< 末端はブロックされてい た。,Lg のアミノ
配列を cDNA クローニングと酵素消化で得たペプチド
フラグメントから決定した。その結果 ,Lg は*[JQ 残基
からなり単子葉植物などにみられるバルブタイプマン
ノース結合レクチンの配列に相同性をもちマンノース
結合モ チーフ •`b`^`_`W を有していた。GNAmaize
と liverwort Marchantia polymorpha に i\u の相同性を示
し た。血球凝集活性阻害はマンノース、thyroglobulin,
ウズラオボムコイドなどで見られたが弱く、アシアロ
フェチュイン が最も強かった。またハイマンノース糖
鎖のみをもつウズラオボアルブミンや M^2&)h ではまっ
たく阻害されなかった。*/"#$21<2882# 分析では、,Lg
はアシアロフェチュインよりも酸性グライコプロテイ
ンやトランスフェリンのアシアロ体 またさらにそれら
のアガラクト体と強く反応するという結果が得られた。
この特異性は GNAmaize や M_g の特異性に近い もので
ある。
/"#$%$%1m=!24)*f6*bLB*[Q6[QQK]&[QK[Z<Q[J<ZYQ[<P
194
⃝池田 剛、大薗まみ、隅田泰生、橋本雅仁
鹿児島大・院理工・化学生命
J
1
酢酸菌由来リポ多糖リピドAの構造解析
Structural analysis of lipid A from acetic acid bacteria
○-&=#%&7'*Ba)(2D*,2@'*L9%1%D*W2&=%*C=(2D*,2&27'4%*X2&7'@%4%
b)546*N7)@6D*h'%N7)@6D*|*N7)@6*S1!6D*U2!%&7'@2*V1'?6
Summary: Acetic acid bacteria are used for production
of fermented food such as vinegar and yogurt. These
fermented products are reported to improve human health
because of their bacterial components contained. However,
the responsible molecules have not been well identified.
.$)4%:2$4)8*52&4)=8'21=&*'&*>%=1(*'1*47)*j%82*'1*>)8@)1424'%1*
%>* f2521)&)* 482('4'%12"* ?'1)!28D* U=8%&=6* * B1* 47'&* &4=(#D* 3)*
&)52824)(* "'5%5%"#&2$$728'()* +geC0* >8%@*.6* 52&4)=8'21=&D*
and analyzed its immunobiological activities and chemical
structure.
【目的】酢酸菌は、酢やヨーグルト等の発酵食品の製造
に用いられる細菌である。これらの発酵食品はヒトの
免疫系を調整して健康の改善に寄与すると考えられて
いるが、その活性分子については明らかになっていな
い。Acetobacter pasteurianus は鹿児島県特産の黒酢の発
酵に関与する細菌である。本研究では、本菌由来のリ
ポ多糖*+geC0* のリピドA構造を解析し、その活性につ
いて検討した。
【方法・結果】geC 画分は、菌体を温水フェノール法で
抽出後、疎水性クロマトグラフィーで分離して得た。
リピドAは弱酸加水分解後、薄層クロマトグラフィー
で精製した。質量分析および核磁気共鳴分析の結果、
リピドAはウロン酸を含む4糖骨格に5または6本の
脂肪酸が結合した構造を持つことが明らかになった。
また多糖部分とは、主に酸に強いケト酸で結合してい
ることも分かった。
【考察】A. pasteurianus 由来 geC の活性は、一般的な大
腸菌由来 geC に比べ大幅に弱いことが分かっている。
今回明らかにしたリピドAの構造は、低活性であるこ
とを示唆するものであり、geC 全体の活性と一致して
いる。今後は、ヒトに対する免疫調整機構について検
討する必要がある。
49>f>
49>fK
抗体療法を目指した成人 T 細胞白血病 (ATL) 細胞
表層の糖鎖に結合する一本鎖抗体 (scFv) の開発
メダカシアリダーゼ Neu3a、Neu3b の性状
解析とその生理的役割の検討
○佐藤綾香 、田添安里紗 、中森百恵 、木地山真実 、
1
1
1
1
前原千恵里 、岩切健二 、若尾雅広 、伊東祐二 、
J
1,3
有馬直道 、隅田泰生
〇塩崎一弘 、竹下一輝 、池田麻美 、原崎裕介 、
1
1
J
小松正治 、山田章二 、宮城妙子
鹿児島大・院理工、
鹿児島大・院医歯、
3
スディックスバイオテック
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
鹿大水、 東北薬大分生研
J
J
N,<,"%:6,&+-%7-01&)",-$/*1&-C<-*&+1D%2#-U0$C<V-B/1$/5,$%)&1F,0-0()*59$/*1&0-%&-GQY-$,""-0(57*$,-7%5-+*5),+,2-+/,5*:#
G-0+(2#-%7-+/,-,&F#6*+1$-:5%:,5+1,0-*&2-:/#01%"%)1$*"7(&$+1%&0-1&-6,2*S*-O,(M-01*"12*0,0
○Ayaka Sato , Arisa Tazoe , Momoe Nakamori , Mami Kijiyama ,
1
1
1
N7')8'*,2)7282 D*U)1m'*B32a'8'1, Masahiro Wakao D*W=m'*B4% ,
J
1,3
Naomichi Arima , Yasuo Suda
○Kazuhiro Shiozaki , Kazuki Takeshita D*.&2@'*Ba)(2 ,
1
1
1
Yusuke Harasaki , Masaharu Komatsu , Shoji Yamada ,
J
Taeko Miyagi
1
/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*S1!'1))8'1!D*U2!%&7'@2*V1'?6D*
/82(=24)*C$7%%"*%>*,)('$2"*21(*b)142"*C$')1$)&D*U2!%&7'@2*V1'?6D*
3
CVbF<h'%4)$*N%85%824'%1
1.
J*
J6*
Summary:*.(="4*-<$)""*")=a)@'2*+.-g0*'&*2*:"%%(*$21$)8*
$2=&)(*:#*47)*'1>)$4'%1*%>*8)48%?'8=&*7=@21*-<$)""*")=a)@'2*
?'8=&*4#5)<[6**B1*47'&*&4=(#D*3)*244)@54*4%*()?)"%5*&'1!")*$72'1*
T?*214':%(')&*+&$T?&0*37'$7*8)$%!1'9)*&=!28<$72'1&*%1*.-g*
$)""*&=8>2$)6**h#*2*:'%<5211'1!*=&'1!*%=8*%8'!'12"*G:)8*4#5)*
C=!28*N7'5D*3)*'&%"24)(*&$T?&**>8%@*572!)*"':828')&6*
Summary: Sialidase catalyzes the removal of sialic acids
from glycoconjugates. Here, to understand the character of
fish sialidase, the enzymatic properties and physiological
functions of medaka Neu3a and Neu3b were investigated.
Neu3a and Neu3b showed the similar enzymatic properties
3'47* 7=@21* ^SVi6* ^)F4D* 47)* )>>)$4* %>* @)(2a2* ^)=i&* %1*
neuronal differentiation was investigated. Neu3a accelerated
8)4'1%'$*2$'(<'1(=$)(*1)=8'4)*>%8@24'%1*37'")*^)=i:*('(*1%46
1
1
1
1
成人 T 細胞白血病*+.-g0*は、X-g_<[ が原因の白血病
で、我国のウイルス保持者は約 [JQ* 万人、毎年約*JQQQ*
人の新たな患者が発生している。.-g は発症すると予
後が極めて悪く、未だに有効な治療法が確立されてい
ない。本研究は、.-g* の検出と新規抗癌剤の開発を目
指し、.-g* 細胞表層の糖鎖に特異的に結合する一本鎖
抗体*+&$T?0*の開発を目的とした。
.-g*細胞株 S1T から膜画分を分画し、酵素で ^< 型糖
鎖を、ヒドラジン分解で L<型糖鎖をそれぞれ切り出し
て濃縮・分離し、><@%1% リンカーで修飾した後、ファ
イバー型シュガーチップを調製した。そのチップで、
M13 由来ヒト*&$T?* 合成ライブラリー、及びナイーブ
ライブラリーのバイオパンニングを行った。合成ライ
ブラリーからは、チップに結合したファージを大腸菌
TG1 とヘルパーファージ、さらに大腸菌*XhJ[H[* を用
いる定法によって、&$T?* を単離・精製した。ナイーブ
ライブラリーからは、モノクローンファージを一旦精
製してのチップへの結合性を評価してから、&$T? の産
生と精製を行った。
T.NC* 解析の結果、合成ライブラリーからは S1T 細
胞に対し高い親和性を持つ 3 種類の &$T? が得られた。
しかし、安定性に問題があり、B!/ への変換を検討して
いる。ナイーブライブラリーについては、現在までに、
チップに結合性の &$T? が 1 種単離できている。
1
1
1
T2$="4#*T'&7)8')&D*U2!%&7'@2*V1'?6D**
N21$)8*/"#$%&#"24'%1*M)&6*-%7%a=*e728@6*V1'?6D*
シアリダーゼは糖タンパクや糖脂質の非還元末端か
らシアル酸を遊離させる酵素である。哺乳類において
シアリダーゼは細胞死や神経細胞の分化など様々な生
理的役割を担っていることが知られている。一方、魚
類におけるシアリダーゼについての知見は少なく、そ
の生理的役割は不明である。最近我々はメダカ脳に由
来する J 種の Neu3 シアリダーゼ(Neu3a、Neu3b)の
遺伝子クローニングを報告したが、これらシアリダー
ゼの詳細な性状は明らかになっていない。そこで本研
究では、Neu3a および Neu3b の性状および生理機能の
解析を試みた。
JZi 細胞に各 Neu3 遺伝子の導入を行い、ホモジネー
トを解析に供した。その結果、Neu3a、Neu3b はガン
グリオシド特異的であり、至適 pH は Y6J 付近であっ
た。各酵素は膜画分に回収され、間接蛍光抗体法によ
り Neu3a の形質膜への局在が確認された。一方、Neu3b
は細胞内部での局在が観察された。次に、メダカ組織
における Neu3 シアリダーゼの発現を検討した。その結
果、脳においてガングリオシドに対する活性が高く認
められ、M)2"<4'@)*eNM による解析では、脳で Neu3a が
Neu3b の約 30 倍発現していることがわかった。そこで
^)=8%J2 細胞を用いて分化に対する影響を検討したとこ
ろ、Neu3a は有意に神経突起の進展を促進することが
明らかとなった。以上の結果から、Neu3a はヒト ^SVi
の機能ホモログであり、メダカをモデル動物とした際
の標的遺伝子に適していることが示唆された。
195
49>fM
O-型糖鎖およびスルフォグライコミクスのた
めのゲル内β脱離方法の開発と応用
Malectin は ribophorin I との複合体形成により
選択的にミスフォールドタンパク質を認識する
○加藤紀彦、David Nix、熊谷忠弘、Michael Tiemeyer、
青木一弘
○秦盛エイ 、胡丹 、松本加奈 、山口芳樹 、松本直樹 、
1
山本一夫
N%@5")F*N2:%7#(824)*M)&)28$7*N)14)8D*V1'?)8&'4#*%>*/)%8!'2
1
1
1
J
J
1
東京大学 理研
J
8&9),"-=9,"161&*+1%&-*&2-*j(,%(09%5)*&1$-:*5+1+1%&for improved O- and sulfo- glycomics
Malectin forms a complex with ribophorin I for
enhanced association with misfolded glycoproteins
○-%&7'7'a%*U24%7D*b2?'(*^'FD*-2(27'8%*U=@2!2'D*
Michael Tiemeyer, and Kazuhiro Aoki
○C7)1!<W'1!*•'1 , Dan Hu , Kana Matsumoto ,
J
1
1
Yoshiki Yamaguchi , Naoki Matsumoto , Kazuo Yamamoto
N%@5")F*N2:%7#(824)*M)&)28$7*N)14)8D*V1'?)8&'4#*%>*/)%8!'2
1
Summary:* E)* 72?)* ()?)"%5)(* 47)* @)47%(&D* c'1<!)"*
;<)"'@'124'%1d* 21(* c5)8@)47#"24'%1* 21(* 5284'4'%1'1!dD* >%8*
L<"'1a)(*!"#$21&*>8%@*58%4)'1&*8)&%"?)(*'1*CbC<e./S*!)"&*
for subsequent analysis by mass spectrometry, which can
:)*255"')(*%1*@=$'1<4#5)*!"#$%58%4)'1&*4724*28)*)F5)$4)(*4%*
$288#*7'!7*()1&'4')&*%>*L<"'1a)(*!"#$21&*'1$"=('1!*&=">24)(*
&48=$4=8)&6*L<!"#$21*58%>'")&*2&&%$'24)(*3'47*7=@21*&2"'?2*
mucin were successfully analyzed by these methods,
()@%1&4824'1!* 47)* >)2&':'"'4#* %>* '1<()547* &=">%!"#$%@'$*
212"#&'&*=&'1!*CbC<e./S*8)&%"?)(*58%4)'1&6
Summary: Malectin has been suggested to participate in the
quality control of glycoproteins, but the molecular mechanism
remains elusive. Here, we found that malectin formed a
$%@5")F*3'47*8':%57%8'1*B6*-7)*'14)82$4'%1*%>*@2")$4'1*3'47*
@'&>%"()(*A[<214'48#5&'1*?28'214*+1=""*X%1!*U%1!0*+.-NHK)
$%="(*:)*)1721$)(*:#*$%<)F58)&&'%1*3'47*8':%57%8'1*BD*:=4*
'@52'8)(*:#*8':%57%8'1*B*&'M^.*48)24@)14D*&=!!)&4'1!*4724*
8':%57%8'1* B* '&* '@5%84214* '1* 47)* 8)$%!1'4'%1* %>* @'&>%"()(*
glycoproteins by malectin.
e8%4)%@'$& において CbC<e./S 分離後のゲル内トリ
プシン消化は非常に有用な方法である。Glycoproteomics
のため の CbC<e./S の有用性をさらに高めるために、
我々は CbC<e./S ゲル内の糖タンパク質から直接 L<型
糖鎖を効率よく遊 離、回収する方法を開発した。すな
わち、目的糖タンパク質をゲルから切り出した後、;
脱離によって L<型糖鎖を遊離 した。また、ムチン型
糖鎖はシアル酸修飾や硫酸修飾を多く含むことが知ら
れている。特に、生体中に微量しか存在しな い硫酸
化糖タンパク質の糖鎖解析は困難な上、硫酸基のネガ
ティブチャージによって、マススペクトロメトリーに
よる検 出や定量分析も容易ではない。そこで、硫酸化
糖鎖を効率良く濃縮するための迅速かつ簡易な分離法
および完全メチル化 法を用いた硫酸化糖鎖の定量分析
の最適化を行った。すなわち、硫酸化糖鎖を中性糖鎖
とシアル酸化糖鎖の混合物中から 二層分配により完全
に分離する事に成功した。更に、硫酸化糖鎖を多く含
むヒト唾液ムチン糖タンパク質の L<型糖鎖 を、上述
のゲル内 ; 脱離法および選択的二層分配法を組み合わ
せて解析し、約 30 の硫酸化糖鎖および HQ の中性およ
びシ アル酸化糖鎖の同定に成功した。本手法は CbC<
e./S 上で分離した糖タンパク質の L<型糖鎖の解析及
び Sulfoglycomics による硫酸化糖鎖バイオマーカーの探
索に有効である。
196
49>f@
1
1
J
-7)*V1'?)8&'4#*%>*-%a#%D*J*MBUS^
Malectin は SM に存在して /J,Z*^型糖鎖を認識する
レクチンである。最近の研究では malectin がミスフォー
ルドモデル糖タンパク質 NHK(A1アンチトリプシン
A1AT 変異体の一つ)の分泌を選択的に抑制し、正常
な A1AT の分泌に影響しないことが示された。さらに
この過程では malectin の糖結合活性が必要であること
が示されている。一方、折り畳みに失敗したタンパク
質であろうと、正しく折り畳まれたタンパク質であろ
うと、/J,Z を持っていることが知られている。した
がって malectin の糖結合活性だけではミスフォールド
したタンパク質を細胞内に選択的に留める理由は説明
できない。我々は malectin と一緒に免疫沈降されるタ
ンパク質の探索を通して、malectin は小胞体に局在する
膜タンパク質である 8':%57%8'1*B と複合体を形成してい
ることを発見した。M':%57%8'1*B は malectin と NHK の
結合を促進し、NHK の分泌を抑制することも確認され
た。さらに、レポーターアッセイを用いて、ribophorin
B はミスフォールドタンパク質を選択的に認識すること
を示した。以上のことから、malectin と 8':%57%8'1*B は
複合体を形成して、ミスフォールド糖タンパク質を選
択的に認識することが示された。
49>ff
新規フコースα1-6 特異的レクチンの探索と
その応用
○小林夕香 、舘野浩章 、三善英知 、道羅英夫 、平林 淳 、
H
河岸洋和
1
J
3
4
J
(株)J−オイルミルズ、(独)産業技術総合研究所、 阪大・医、
4
H
静大・遺伝子、 静大院・創造
1
J
3
G-&%<,"-$%5,-7($%0,90:,$13$-",$+1&-*&2-1+0-*::"1$*+1%&
1
J
3
4
○Yuka Kobayashi , Hiroaki Tateno , Hideo Dohra , Eiji Miyoshi ,
J
H
f=1*X'82:2#2&7' , Hirokazu Kawagishi
f<L'"*@'""&*B1$6DJ*.BC-D*3 b)56*%>*,%")$="28*h'%$7)@*21(*N"'1*B1?)&4'!24'%1D*
L&2a2*V1'?6D* 4 B1&4'4=4)*>%8*/)1)4'$*M)&)28$7*21(*h'%4)$71%"%!#D*C7'9=%a2*
V1'?6D**H*/82(=24)*C$7%%"*%>*C$')1$)*21(*-)$71%"%!#D*C7'9=%a2*V1'?6
1
Summary:*.*1%?)"*T=$[<P<&5)$'G$*")$4'1*>8%@*47)*@=&78%%@*
e7%"'%42*&556*32&*'&%"24)(*:#*'%1<)F$721!)*$78%@24%!8257#*
21(*2>G1'4#*$78%@24%!8257#*%1*47#8%!"%:="'1<2!28%&)6*CbC<
e./S* 21(* ,.gbB<-LT* @2&&* &5)$48%@)48#* '1('$24)* 4724*
"$4'1* 72&* 2* @%")$="28* @2&&* %>* Y6H* ab26*-7'&* ")$4'1* :'1(&*
%1"#* 4%* $%8)* [<P* >=$%&#"24)(* ^<!"#$21&* 21(* 1%4* 4%* %47)8*
4#5)&*%>*>=$%&#"24)(*%"'!%&2$$728'()&D*&=$7*2&*[<JD*[<iD*21(*
[<Y* >=$%&#"24)(* !"#$21&6* T=847)8@%8)D* e-g* :%=1(* 4%* [<P*
>=$%&#"24)(*.Te*:=4*1%4*4%*1%1<>=$%&#"24)(*.Te6*
【目的】植物、動物、菌類 [DHQQ 種以上の抽出液から、
新規で有用なレクチンを探索した。その中で、スギタ
ケ属のきのこの抽出液にレクチン活性があることが判
明した。その抽出液を用いて赤血球凝集反応阻害試験
を行った結果、いくつかの糖タンパク質に特異性が示
され、キャピラリー電気泳動法にて、フコース A[<P 糖
鎖に特異性を示すことをつきとめた。本研究では、ス
ギタケ属キノコ由来のレクチンを精製し、諸性質なら
びに糖結合特異性を明らかにすることを目的とした。
また、フコース A[<P 糖鎖に特異性を示すことから、が
ん診断への応用できるかを検討した。
【方法】スギタケ属子実体を 10 mM リン酸緩衝化生理
食塩水 +ehC0 で抽出し、チログロブリンアガロースで、
レクチンを精製した。
【結果】新規レクチンは、CbC<e./S で、10 kDa 以下
にバンドを確認することができた。また、ウサギ赤血
球、ウサギプロナーゼ処理赤血球、ヒトプロナーゼ処
理赤血球で凝集活性がみられた。質量分析の結果、m/z
YJJZ6QiQ*から*YYHH6YQQ*に大きな分子イオンピークと m/
9*\Zi[6P\K*、@]9*[iiKi6PZQ に小さく分子イオンピーク
を観測することができた。^< 末端アミノ酸配列は .e
_e_-Ug_Nb/b-WUN-.WgbT/b/ME_.•Eb-^_
TX-/ であった。フロンタルアフィニティークロマト
グラフィー(T.N)による特異性解析の結果、フコー
ス A[<P 糖鎖にのみ強く結合し、フコース A[<J、A[<i、
A[<Y 糖鎖には結合しなかった。糖タンパクでは、腫瘍
マーカーである A<フェトプロテイン<gi(.Te<gi)に
強く結合することがわかった。
【結論】フコース糖鎖の修飾は、癌や炎症に関与してい
ると言われており、特に、フコース A[<P 糖鎖にのみ結
合するレクチンは、疾患における重要なプローブにな
ることが期待できることが明らかとなった。
197