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補助記憶装置における
特徴及びフォーマット処理
神崎朔夜
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はじめに
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今回ピックアップする内容は補助記憶装置
-HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、SDカード(Secure
Digital Card、もしくは単にSD Card)など
-主記憶装置はDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM
(Static Random Access Memory)を指すので全くの別物
-あくまで主記憶装置はCPU(Central Processing Unit)が直接
書き込む場所
正直、管理者 神崎朔夜の備忘録に近い
-補助記憶装置とそのフォーマットでトラブルがあったので・・・
補助記憶装置
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まずはパソコンにおける補助記憶装置の概要
HDD(Hard Disk Drive)
-パソコンではほぼ標準装備の内部・外部ストレージ
SSD(Solid State Drive)
-最近になってパソコンのOSをインストールしている例が
増えた内部ストレージ
SDカード(Secure Digital Card、もしくは単にSD Card)
-カメラやゲーム機、携帯電話などの小型端末用ストレージ
HDDの構造
図1 HDD内部構造
特徴 – HDD(メリット)
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記憶容量が大きい
-TB(テラバイト)クラスの容量を持つものが主流
価格が安価
外付けHDDとしてUSB接続で簡単に接続できる
破損時の復旧が可能な場合が多い
ノートパソコン向け2.5inch型とデスクトップパソコン向け3.5inch型
がそれぞれ存在する
-8inchと5inchも大型汎用コンピュータ向けに存在したが、
現在は生産されていない
特徴 – HDD(デメリット1)
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とにかく衝撃に弱い(ヘッドクラッシュ)
-物理回転するプラッタ(記憶域)と、磁気ヘッド(読み取り部)があり、
外部の衝撃が加わるとプラッタを傷付けデータが破損する
-プラッタと磁気ヘッド間は非常に狭く埃にも弱い
経年劣化で破損しやすい
-スピンドルモータ(プラッタを回転させるモータ)やシークモータ(磁気
ヘッドを移動させるモータ)のベアリングが劣化するとがたつく
うるさい(密閉型HDDでない場合)
-カリカリカリカリ・・・
特徴 – HDD(デメリット2)
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アクセス速度が決して速いとは言えない
-接続方式に依存する
-内蔵HDDと外付けHDDでも接続方式次第になる
バックアップに時間がかかる
-大容量+転送速度の遅さ=長時間のバックアップ時間
容量が大きくてもOSが対応していないと認識しない
-通称「壁」(後述するディスクファイルシステムによるもの)
-今までは2TB、今後は128PB(ペタバイト)で発生
-と言ってもPB単位が個人向けになるのは何年先のことか・・・
SSDの構造
図2 SSD内部構造
特徴 – SSD(メリット)
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アクセス速度が非常に速い
-記録データは全てNAND型フラッシュメモリ内=半導体内
-最近ではOS(Operating System)をSSDに入れ、パソコン起動の
高速化を図っている
2.5inchサイズで非常に薄く軽量
-ノートパソコンの薄型軽量化に貢献、外付けSSDも登場
衝撃に強い
-物理的に動いているものが一切ないため、基板や半導体が
破損しない限りデータは壊れない
特徴 – SSD(デメリット1)
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非常に高価
-その割に容量は少ない
-一般的に販売されているものは40GB~240GB程度
-一応TB単位のものもあるが価格が100万円前後(2014年3月現在)
容量が大きい方がアクセス速度が速い
-逆に容量が小さいとアクセス速度は期待できない
長期間使用するとアクセス速度が落ちていく
-ある時期を境目に突然アクセス速度は落ちる
特徴 – SSD(デメリット2)
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アクセス回数(読み書き)の限界がある
-10万回~100万回
-Minecraftのように読み書きを頻繁に行うプロセスがあると
簡単に限界まで到達する
-OSも頻繁に読み書きを行うが、何故かメーカーはSSDに
OSをインストールしたがる(←察せ)
アクセス回数限界に達するとデータが取り出せなくなる
-データのサルベージ(救出)はほぼ不可能
-復旧できたとしても壊れたファイルが多数存在してしまう
SDカードの構造
図3 SDカード内部構造
特徴 – SDカード(メリット)
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小型端末で大容量の記憶域を使える
-家電製品が多いが、大半は携帯電話かデジタルカメラ
価格が安価
衝撃に強い
-SSDと似た原理+軽量であるため衝撃エネルギーが小さい
多くのメーカーが開発に携わっている
-信頼できるメーカーを選べる
特徴 – SDカード(デメリット1)
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容量がHDDほどは大きくない
-SSDよりは大きいものが開発されてきた
パソコンとの接続に専用のカードリーダが別途必要
-初期状態で接続端子があるものも一応ある
アクセス速度が遅い
-例え高価で高速アクセスを謳っているものでも、パソコンへの
アクセス速度はカードリーダの性能依存になる
盗難、紛失が非常に多い
-小型化がもたらしたセキュリティ上のリスク
特徴 – SDカード(デメリット2)
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種類が多すぎる
-SDカード
-mini SDカード
-micro SDカード
-SDHCカード
-mini SDHCカード -micro SDHCカード
-SDXCカード
-micro SDXCカード
SDHCカード系列、SDXCカード系列は一切の下位互換性がない
図4 カード毎の対応図
特徴 – SDカード(デメリット3)
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転送速度の区分分けが統一されていない
-SDカード、SDHCカードはClassで表現
-(遅い) Class2→Class4→Class6→Class10 (速い)
-SDHCカードはUHS(Ultra High Speed)で表現
-(遅い) UHSⅠ→UHSⅡ→UHSⅢ (速い)
-しかし結局はアクセス速度=カードリーダの性能依存
使用する端末によっては互換性があっても認識できない
-特にSDカード、SDHCカードのClass10
特徴 – SDカード(補足1)
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名称の区分分け(容量)
-SD=8MB~2GB SDHC=4GB~32GB SDXC=64GB~2TB
名称の区分分け(大きさ)
-SD=32.0mm×24.0mm
-mini SD=21.5×20.0mm
-micro SD=11.0mm×15.0mm
-小さい方→大きい方にのみ変換可
mini SDは残念な子
-Windows Me的な何か
図5 名称の区分け(大きさ)
特徴 – SDカード(補足2)
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試しにSDカードを比較してみる(2014年3月現在)
理論容量
8MB→256GB(262144MB)
図6 2001年
平均転送速度
2MB/s→10MB/s
確認できた最小のSDカード
RP-SD008 登場時の価格3,300円
図7 2014年
確認できた最大のSDカード
LSD256CTBJP600 現在の価格49,800円
フォーマットとディスクファイルシステム
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ここからは補助記憶装置内部の初期化の方法
補助記憶装置は何も調整をしないとデータの記録ができない
-記録=0と1の2進数の値
フォーマット
-記録をするための初期状態を調整
ディスクファイルシステム
-フォーマット時に宣言する補助記憶装置の形式
フォーマットの前に・・・
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SSDやSDカードはそれぞれNAND型フラッシュメモリとメモリ
チップという半導体でできている
-つまり記録するための1つ1つの最小の箱型はできている
しかしHDDはプラッタという物理的な円盤に磁気記録を行う
-どこからどこまでが1つの最小の箱なのかわからない
-そこで・・・
HDD、SSD、SDカード全て共通でOS認識最小単位の「クラスタ」
を宣言する
HDDを例にしてみる
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図8 HDDの区分け
セクタ
-記憶装置そのものの読み
書きできる最小単位
クラスタ
-OSが読み書きするファイル
システムとしての単位
トラック
-プラッタ上の円周で、分割
するとセクタとクラスタになる
セクタをもう少し詳しく
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セクタはHDD、SSD、SDカードの容量次第で大小が決まる
-HDDならばトラック上に、SSDやSDカードならば半導体内に、
0か1を書き込める最小の箱が最初から決まっている
-最小の箱が多い=記録密度が高い=容量が大きい
後述するディスクファイルシステムによってサイズが変わる
-フォーマット=記録するための初期状態を調整
=色々な分け方が可能
この分割の限界は先述した「壁」
-いくら分けたくても最小の箱は分割できない
クラスタをもう少し詳しく
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クラスタはOSが読み書きの利便性を向上させるためものなので
任意に決めることができる
-クラスタは、小さすぎると1つのファイルを多くのクラスタに
分けなければならない
-クラスタは、大きすぎると小さいファイルの時に無駄が出る
図9 クラスタの分割例
最小単位が決まったところで
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クラスタを最小単位として記録するための初期状態を調整
-フォーマット
種類は4つ
-ローレベルフォーマット
-物理フォーマット
-論理フォーマット
-アプリケーションフォーマット
ローレベルフォーマット
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別名「0レベルフォーマット」
パソコンや補助記憶装置を購入した際には既に実施済み
-全てのセクタを0で埋める処理(ゼロフィル)
-ユーザが実施することは一般的には不可能
工場出荷前は
でたらめな磁気が
記録されている
図10 ローレベルフォーマット
全てのセクタを
0で上書きして埋める
物理フォーマット
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ローレベルフォーマットと似て非なるもの
実施するソフトウェアや環境によって処理内容が変わる
-全てのセクタを0で埋める(ゼロフィル)または何らかのでたらめな
データで上書きする(消去、初期化)
or
データのある記憶装置
全てのセクタを0で上書きして埋めるか
図11 物理フォーマット
でたらめなデータを上書きする
論理フォーマット
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別名「クイックフォーマット」
インデックス(ファイルの存在や位置)のみを削除し、データが消えた
ことにする(この段階ではデータは消えていない)
-新しいデータが来たら過去のデータの上に上書き処理をする
データのある記憶装置
図12 論理フォーマット
データは残っているが
データがないふりをする
新しいデータで上書きされる
アプリケーションフォーマット
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ディジタル家電の利用に必要なデータを書き込むこと
-専用のフォルダ作成、処理方法や記録規格の設定など
先述までのものとは異なり、データを消すことが目的ではない
-但し、論理フォーマットをされた上でこの処理を行うことが多い
データのある記憶装置
図13 アプリケーションフォーマット
処理に必要なデータを記録
4つのフォーマットの種類
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所要時間と処理内容
-ローレベルフォーマット≒物理フォーマット
-所要時間大、処理負荷大
-論理フォーマット
-所要時間少、処理負荷少
-アプリケーションフォーマット
-処理内容に依存
アプリケーションフォーマットのみ、フォーマットというスタンス
からは少し外れている
ディスクファイルシステム
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全てのフォーマットにおいて形式(ディスクファイルシステム)が
存在する
-認識できるOSの違い
-セクタサイズの違い
-ファイルサイズ制限の違い
-読み書きの権限の違い
などなど・・・
先述の通りディスクファイルシステムの制約で「壁」ができる
-但し、「壁」が関係するものはセクタサイズのみ
フォーマット形式を間違えると、最悪の場合データが壊れる
代表的なディスクファイルシステム(1)
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FAT32
-File Allocation Table 32bitの略
-Microsoftが開発
-主にSDカードのような大容量を想定していないストレージで
用いられる
-Windows 98からのWindows NT系列、Mac OS X系列、PS3など
多くの端末で認識可能
-ファイルサイズに最大4GBの制限あり
-ボリューム(1つ単位の記憶装置)も最大2TBの制限あり
代表的なディスクファイルシステム(2)
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NTFS
-NT File Systemの略
-Microsoftが開発
-Windows NT系列標準のディスクファイルシステムで、Windows
搭載のパソコンはもれなくこの形式になっている
-Windows XPは最大2TBのボリューム制限あり(それ以外は16EB)
-Windows 2000以前のNTFSとは互換性がない
-Mac OS X系列でNTFSのストレージを開くと、読み取りはできる
が書き込みができない
代表的なディスクファイルシステム(3)
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HFS
-Hierarchical File Systemの略
-Appleが開発
-こちらはMac OS X系列標準のディスクファイルシステムで、
Mac OS 8.1以前を搭載しているパソコンはもれなくこの形式に
なっている
-Mac OS 8.1以上でHFSのストレージを開くと、読み取りはできる
が書き込みができない
-最大2TBのボリューム制限、最大2GBのファイル制限、31バイト
以内のファイル名長制限と制約が大きい
代表的なディスクファイルシステム(4)
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HFS+
-Hierarchical File System Plusの略
-Appleが開発
-Mac OS X系列の拡張ディスクファイルシステムで、Mac OS X
8.1以上を搭載しているパソコンやiPod、iPhoneなどのiOSでは
この形式が採用されている
-ファイルサイズ、ボリューム共に最大8EBの制限
代表的なディスクファイルシステム(5)
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ext3
-Third extended file systemの略
-オープンソースコミュニティーにて開発
-Linux系列標準ディスクファイルシステムで、 Linuxカーネル
2.4.16から利用可能となった
-ext系列のディスクファイルシステムと互換性が高い
-最大16GB~2TBのファイルサイズ制限、最大2TBから32TBの
ボリューム制限と環境に強く依存する
代表的なディスクファイルシステム(6)
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XFS
-シリコングラフィックスが開発
-UNIX向けに開発された最古のジャーナリングファイルシステム
であり、現在はLinuxの殆どが対応している形式
-ファイルサイズ、ボリューム共に最大8EBの制限だが、Linux
OSにおける各々の仕様次第で少ない量に制限を受ける
-ジャーナリングファイルシステムとある通り、ディスクファイル
システムよりも堅牢性が高く、書き換え中に電源断が発生して
もデータを保持できる
代表的なディスクファイルシステム(7)
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exFAT
-Extended File Allocation Tableの略
-Microsoftが開発
-Windows Embedded CE 6.0で導入されたフラッシュドライブ
向けに最適化されている新しいFAT規格
-FATと名前にあるが従来のFAT規格とは互換性がない
-Windows Vista SP1以降、Mac OS X 10.6.4以降であれば認識
可能で、Linuxでもパッチが作成されつつある
-最大16EBのファイルサイズ制限のみがある(ボリューム制限なし)
おわりに
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