高浜市教育委員会の点検・評価報告書

平成25年度
高浜市教育委員会の点検・評価
平成26年3月
高浜市教育委員会
はじめに
-1-
1
趣旨
高浜市教育委員会では、本市の教育の総合的な指針となる「高浜市教育行政方針」を示し、教育の
充実に努めております。これまでも教育委員会の取組については、広報紙をはじめホームページ等で
市民の皆様にお知らせしてきましたが、平成19年6月に「地方教育行政の組織及び運営に関する法
律」が改正され(平成20年4月1日施行)、各教育委員会は、毎年、その教育行政事務の管理執行状
況について自己点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を議会に提出するとともに、公表する
こととされました。そこで、高浜市教育委員会では、法の趣旨に則り、効果的な教育行政の推進に資
するとともに、市民の皆様への説明責任を果たすため、平成20年度より「教育委員会の点検・評価」
(以下「点検評価」という。)を実施し、報告書にまとめました。
2
点検評価の対象
点検評価の対象は、本市の教育の総合的な指針である「平成25年度高浜市教育行政方針」で示し
取り組んだ項目における主要施策・事業等としています。
3
点検評価の方法
(1) 点検評価にあたっては、主要施策・事業の取り組み状況について学校現場の取組・実績及びそ
の成果・状況について教育委員会が自己評価をします。課題等を分析し、今後の対応方向性を示
します。
(2) 点検評価の客観性を確保するため、教育に関し学識経験を有する方など外部の方のご意見をお
聞きする機会を設け、「教育委員会の自己評価」について評価をいただきます。
4
点検評価結果の構成
(1)項目
高浜市教育行政方針で示した、「重点的な取組」を柱に主要施策・事業の具体的な取組・実績及
び、それらの成果をまとめ、教育委員会の取組として評価します。
(2)各校での取組・実績及び成果のまとめ
ア
各校で取り組んだ施策・事業の内容と実績を示します。(市内全小中学校
イ
各校の取組・実績からどのような成果があったかまとめます。
ウ
ア、イのことを踏まえ、教育委員会として自己評価をします。
<自己評価基準>
達成できた
A
ほぼ達成できた
B
やや達成できなかった
C
達成できなかった
D
7校)
(3)取組・実績及び成果のまとめ、教育委員会自己評価に対して、教育に関し学識経験を有する方か
ら評価をいただきます。
平成25年度
平成25年度 教育委員会評価結果
教育委員会評価結果
-2-
-教育行政方針に基づく主要施策・事業に関する点検・評価-
-教育行政方針に基づく主要施策・事業に関する点検・評価-
1
幼保小中一貫教育の創造
幼・保、小、中の幼児・児童・生徒の様子について、教員同士、教員と保護者が定期的に情報交換
する場をもち、幼保・小と小・中の間で学校間連携情報交換会を定期的に実施した。さらに幼・保、
小、中の一貫性を実現させることを想定し、学びを繋ぐ基礎として、各発達段階、もしくは学年に応
じた生活習慣と学習習慣の目安を作成する準備をした。また、こども発達センターと連携し、相談機
能の充実を図った。
小1プロブレムや中1ギャップに対応するために、12年間の学びをふまえた指導法改善や教材開
発を行った。また、高浜市のもつ文化や伝統をまちの資源と考え、めざす幼児・児童・生徒の姿に迫
るために必要な力を探るとともに、各学年で系統性をもった指導ができるように、総合的な学習の時
間のカリキュラムの実践を行った。
(1)「12年間の学びと育ちをつなぐ異校種間連携事業について
項目
目的
取組
実績
成果
異校種間連携事業
幼児・児童・生徒の学びや育ちについて、継続的に見守り育む仕組みを構築する
(1) 異校種間連携推進委員会
[開催数]6回 5/7、7/25、8/26、10/22、12/3、1/31
[内容]
・幼保小連携のねらいの確認
・高浜カリキュラムの実践について
・「小中および幼保小中間連携全体計画に基づく実践」について
・「異校種参観の実践」について
・小中間の連携情報交換会の実施
・「高浜市として育てていきたい子ども像」について
・小1プロブレムの原因、それに対する幼保小の取組の現状報告と把握
・「子ども同士の交流」「教員(保育士)同士の交流」の現状把握と把握
・保護者・地域への啓発 9月1日号より広報に掲載
・小中交流事業の在り方の確認
(2) 管理職・ミドルリーダー等研修会
7/30(火)実施
・研修テーマ「幼保小中一貫教育を進めてきて見えてきたこと」
・講
師:鳥居久男先生(前阿久比教育長)
・参加対象者:校長、教頭、事務長、教務主任、校務主任、主任養護教諭、研究主任、
幼稚園長、保育園長
・参 加 人 数:45人
・阿久比町において、幼保小中一貫教育のプロジェクトを根付かせてきた経緯をもとに、
高浜で進めていこうとする幼保小中一貫教育の創造することの意義を学ぶ研修
(3) 高浜カリキュラム3年生等の進捗管理と実践データの蓄積
(1)[異校種間連携推進委員会]
①各委員の意見より
・「発達段階に応じた生活習慣・学習習慣」については、重点が絞られ、実施を見通したも
のになりつつあると評価できる。
・観点を策定し、市内全校で共通理解のもとに取り組んでいくことはすばらしい。そして、
それを評価して次のステップに生かしていくことで市全体の教育力を向上させることが
できることもよい。しかし、「成果」ありきで、すぐ数字ばかりに追われていくことは避
けたい。
・委員会で今年度取り組むと計画されていた内容はしっかり取り組めた。
・委員会で決まった内容はプリントを作成して職員会で周知した。また、職員の声を集約する
課題等についても全職員の考えを集約した意見を提出した。
・異校種参観や小中学校情報交換会など新たな取り組みが軌道にのり、子どもを多面的に
観察したり、情報を得たりする機会となった。
・異校種間参観は「高浜の子どもをより多くの教員で育てる」という意識向上につながる
ものとして意義は大きい。
・異校種間の連携は、児童・生徒にとっても教師にとっても有意義なことが多い。今後も
やれる範囲内で検討し、進めていきたい。
②課題・今後の方向性について
・教職員へ向けて、基本構想から具体的な方策まであらためて共通理解を図る必要性を感
じる。これから、具体的な実践を積んでいく現場職員が必要感や必然性を感じられるよ
うに働きかけていかなければならないと感じている。
・「発達段階に応じた生活習慣・学習習慣」を意義ある高浜教育ビジョンにつながるものに
-3-
自己
評価
評価
2
していく姿勢はよいと思うが、そもそも教育ビジョン「高浜を愛し、高浜の良さを学ん
で、高浜でたくましく生きる未来市民の育成」の解釈の共有ができていないと思われる。
・基本構想を改めて読み直し、当初の構想と状況が変わっているなら、そのように対応し
ていく必要があるし、言葉や文章の意味や解釈について共通理解していく必要がある。
(「幼保小中一貫教育」「連携」など)
・毎回、土屋先生が話されているが、「子どもの姿」「子どもをどう変えていくか」という
子どもの視点をもっと持ちたい。
(2) 管理職・ミドルリーダー等研修会
7/30(火)実施
・「新しいことをやるのではなく、小中学校で少し配慮する」、
「幼保小中間の交流が大切」、
「当たり前のことを当たり前にできるようにする」「子どもを主体的に育てるために、子
どもにやらせようとする」など、幾多の教育経験から得られた示唆に富んだ内容で、教
育の原点を学ぶ研修でもあった。
(3) 高浜カリキュラム3年生の実践
・市内のすべての小学校3年生において、福祉単元を実践。また、各校実施年度を繰り上
げて、防災・環境・防犯についての取組がみられた。
昨年度からスタートした教育基本構想に沿った取組である。教育セ
ンターグループを中心に、各校教員で組織する推進部会で協議・検討
を重ねて実践に結びつけてきた。異校種参観・小中の情報交換会など
新たな取り組みは順調に実践に移され、その意義も学校現場に理解さ
れている。
しかし、課題として、教育基本構想推進のため、教職員の意識の向
上は不可欠であるが、上記の委員の意見にあるように教育基本構想推
進の意義はまだまだ希薄であり、推進3年目となる次年度は、当事者
意識を一層もてるような働きかけを行っていきたい。
推進委員会での検討は、地道な取組であるが、教育基本構想を現実のものとしていくた
めには不可欠な事業である。この事業を通じて、各校・教職員に考え方や指向する先が共
有されていく。検討すべき問題や必要な視点がよく論議され、提起されてきており、本事
業自体の評価は、B判定ではなくむしろA判定が妥当である。
なお、「基本構想を改めて読み直し、当初の構想と状況が変わっているなら、そのように
対応していく必要があるし、言葉や文章の意味や解釈について共通理解していく必要があ
る。」との意見は、殊に重要であり、教育基本構想を画餅に帰さないためにも、その趣旨や
理念を踏まえつつ、現況に照らして修正を図って実行性と実効性を高めていくことが必要
であるし、常に教育基本構想に立ち返って実践の意味や意義を確認し、取組の方向と具体
化の方法を明らかにしていくことが期待される。
さらに、教育基本構想の意義を再確認し、各校における具体的な着手ポイントを整理し
ていく上でも、研修会の実施は重要であり、対象を拡げたり、テーマをより具体的な問題
に焦点化したりしながら、今後も継続して取り組んでいかれることを期待したい。
B
確かな学力の向上をめざして
(1)教師力・授業力の向上
幼児・児童・生徒に確かな学力を身に付けさせるために、専門的な教育の担い手としての教員の授
業力向上を目指した。10年後の高浜市の教育に必要な教職員の資質と指導力を向上させるため、昨
年度より高浜市教育研究会主催により一斉研修の日を設け、教科等指導員の指導・助言を得ながら、
市内一斉授業研究会を実施した。
①「確かな授業づくり事業」における具体的取り組み
項目
目的
取組
実績
確かな授業づくり事業の推進
教員の指導力向上、特に授業力向上をめざし、各種研修会を開催するとともに、各校にお
いて、大学教授や指導的な立場にある教員を講師に招聘して授業研究、研究・研修会など
行い、教員の実践的な技量を高める。
(1) 一人一公開授業
・目的;一人一人の授業力向上をめざす。2年目~5年目は年2回、他は1回とする。
(2) 教育研究論文
・目的;日々の教育実践を創意・工夫し、意欲と情熱をもって教育活動を展開する機会に
貢献するため。
(3) 教科等指導員による学校校門での指導・授業づくり研修
対象;8人
・目的;若手教員が、教科等指導員から直接指導計画の立案から指導助言を受けることで、
教員としての指導力向上を図る。
教科等指導員が、若手教員の指導を通して、指導員としての見識を深める機会と
する。
(4) 初任者研修
・目的;初任者教職員の教師力・授業力を高めるために研修を実施する。対象者11人
-4-
成果
(5) 確かな授業づくり研修
・目的;各校において、授業づくりを主眼とした主題研究を推進するための研究委託をす
る。
(6) 校務主任研修会
・研修テーマ「教育研究論文の読み方 批評箋の書き方」
(7) 保健主事・養護教諭研修会
・研修テーマ「保健室経営の基礎基本、保健主事の役割、危機管理意識等の講話」
(8) ことばの活性化推進事業研修会
・研修テーマ「かかわり合いのある授業とは
~教師は日ごろの授業で何を心がけていけばよいか~ 」 8/7(水)実施
(1) 一人一公開授業
・各校公開授業実施率(公開授業実績数/公開授業計画数)
※12/14現在
<一人一公開授業実施率>(2~5年目教員は除く)
(%)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校実施率
実 施 率
100
82
92
100
79
90
100
92
<2~5年目教員2回実施率>
(%)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校実施率
実 施 率
100
67
100 100
63
82
100
87
・公開授業の取組は、6年目を迎え、高浜市において、すべての教員において定着してき
た。指導案の検討も小学校では学年内で、中学校では教科担任間で試行・検討するなど、
多くの教員がごく当たり前のように関わるようになり、学校文化として定着してきた。
教師の主体的な学びが、子どもたちの学ぶ意欲の向上に繋がっている。
(2) 教育実践論文
・小中学校で50本応募
各校応募数
学校名
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中
合計
応募数
7
4
4
2
11
7
15
50
(3) 教科等指導員による学校訪問での指導・授業づくり研修
・指導員からは、具体的な指導助言の記録、研修者からは授業の実際、成果と課題が報告
されており、双方において、よい学びの機会となっていることが報告書よりうかがい知
ることができる。
(4) 初任者研修
・参加対象者:各小中学校初任者教職員
・実 施 回 数:5回
・参 加 人 数:(教諭9人、事務職員1人)
・研修内容
回
月 日
研修項目
内
容
1
4/10 地域と教育・開 教育長・主幹の講話
かれた学校
「高浜市の教員としての心構え」
2
6/ 5 生徒指導・進路 生徒(生活)指導分野における相談活動の現状と課題
指導
基調講話「失敗から学ぶ生徒指導」及び事例報告協議
3 7 / 3 1・ 8 / 1 体験的研修Ⅰ
保育参観及び体験活動
4 (中)
・園児との交流 ・保育についての理解
8/21・22(小)
5
1/22 授業研究
初任者授業の参観及び研究協議
・授業のあり方 ・教材研究 ・授業研究の視点
・同期の実践やベテランの先生の話など、すぐに取り入れて実践できる内容が多く大変効
果的な研修になった。体験的な研修を多く設定し、保護者とのつながり、自力解決する
子どもの育成、かかわり合いの中で伸ばす指導法など、多くを研修することができた。
学ぶ場に立つことで、教師としての自分を改めることができる機会となった。
(5) 確かな授業づくり研修
・指導助言を受ける講師を招聘して全体授業研究・協議会等の実施
(回)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 のべ実施数
授業研究実施数
4
5
3
2
4
3
3
24
・各学校とも、主題研究のテーマに沿って計画的に研究授業を実施できた。講師の先生に
は、授業構想を練るところから関わっていただき、育てたい児童・生徒像に迫るために、
様々な手立てを用いて研究授業に臨むような展開が見られた。
・子どもの意欲を高める単元構想を立案したり、学年体制や各教科において先行授業を実
施したり、板書計画を立てたりして、より改善された授業が多く展開されるようになり、
授業力向上の手応えを感じることのできる実践がとても多く見られるようになってきた。
(6) 校務主任研修会(コーディネーター・2年目・3年目) 8/5(月)実施
・研修テーマ「教育研究論文の読み方 批評箋の書き方」
-5-
自己
評価
評価
・講
師:港小学校校務主任
村越 茂樹 先生
・参加対象者:校務主任
・参 加 人 数: 7人
・研修内容
昨年度に引き続き、教育研究論文の読み方について、実際の教育論文を読むことで体験
的に学ぶことができた。
(7) 保健主事・養護教諭研修会
・研修テーマ「保健室経営の基礎基本、保健主事の役割、危機管理意識等の講話」
8/7(水)実施
・講
師:西三河教育事務所指導主事
杉本 春美 先生
・参加対象者:保健主事、養護教諭
・参 加 人 数: 15人
・研修内容;養護教諭、保健主事としての豊富な経験から、どのように保健室経営をした
らいいのか、養護教諭と保健主事の連携のあり方、ノロウイルスを始めとして命に関わ
る対応等、具体的に講話していただく中で、とても参考になることが多い研修であった。
(8) ことばの学習活性化推進事業講演会
・研修テーマ「かかわり合いのある授業とは
~教師は日ごろの授業で何を心がけていけばよいか~ 」 8/7(水)実施
・講
師:京都女子大学教授、京都女子大学附属小学校長 吉永 幸司 先生
・参加対象者:10年目以下教員、国語科教員、希望者
・参 加 人 数:160人
・研修内容
「国語力は人間力」の信念のもと、自校での実践を具体的に講演していただいた。学校
を立て直すために尽力された講演はとても説得力があるもので、教師のかけることば、
板書の美しさなど、胸に響くことが多くあり、研修を受けた職員は深く感銘を受けた。
・学校訪問や公開授業で各校を訪問し、授業を参観すると、ベテラン
も若手も各々の授業力は確実に向上していることを感じることがで
きた。授業づくりを学校体制で取り組んでいこうという姿勢が各校
とも強く打ち出され、板書・ノート指導・発問等の改善など、具体
的に焦点を絞り、実践的な研修会が行われている。新規採用教員が
増える中で、今後も継続的に力量向上に努めていく必要がある。
教育基本構想では、高浜版指導法の開発を掲げ、教育委員会としても、そこで示した脳
科学を採り入れた指導法をはじめ、各校が主体的に取り組んでいる問題解決学習や意思決
定学習、さらには後掲の協調学習への支援を進めてこられている。また教科等指導員に対
しても公開授業への評価コメントを求めるなど、指導力強化の試みを進めてこられている。
そして、これらを踏まえつつ、各校への入り込み指導や第三者評価においても、研究主任
をヒアリング対象者に設定するなど、研究主任を重要なミドル・リーダーとして位置づけ、
主題研究を学校づくりの基本柱に据えるよう促してきた。
こうした施策が徐々に効果をもたらしてきていることは、上記されている実績からみて
もよく把捉できる。入り込み指導において各校での実際の授業を観ても、上述した行政施
策とそれに伴う教務主任や研究主任の指導や尽力によって確実に指導力の向上が認められ
る学校が少なくない。
しかし、その一方で、新規採用教員や若手教員だけでなく、むしろキャリアのある教員
において、旧態依然とした教師主導、知識再生型発問に終始する者も少なくない。また、
上述した異校種間交流の進展にも関わらず、小学校高学年の授業と中学校での授業との指
導法や板書・発問に大きな違いがあることも指摘せざるをえない。こうした問題の原因解
明と、その原因への対処が求められる。校内における教科等指導員の働きや位置づけにつ
いて検討する余地もあると考える。
こうした点を勘案するならば、B判定は妥当である。
B
(2)新しい学びプロジェクト
「新しい学びプロジェクト~市町村と東京大学による協調学習研究連携~」に参加して4年目を迎
えた。研究指定校を設置して3年目を迎えるが、分かり方の多様性を生かす学習を吉浜小学校・高浜
中学校を研究指定校とし、協調学習に関する研究を行った。
項目
目的
取組
実績
新しい学びプロジェクト
児童・生徒が活動的・構成的・対話的に学べる環境を設定し、他人の考えを聞いたり、
他人に説明したりする活動を中心にして、少しずつ異なる見方を組み合わせて問題を解く
力を育む
(1) 吉小・高中を研究委嘱校に指定
・協調学習の研究を実施した。今年度、2~3年目研修で協調学習について学んだ教員が、
-6-
公開授業を行った学校もある(高小、南中)。
5月30日に吉浜小の間瀬教諭、12月5日に高浜中の西村教諭が授業研究
(2) 若手教員のための授業づくり研修会
8/23(金)実施
研修テーマ「新しい学びとしての協調学習の基礎基本を学ぶ」
・講
師:東京大学 特任助教 飯窪真也氏
・参加対象者:各小中学校2・3年目教職員
・参 加 人 数:35人
・学びのゴールを刷新する協調学習の仕組みの研修。東京大学大学発教育支援コンソーシ
アム推進機構の研究する21世紀型学びのゴールを体験した。一人では解けない問題を
少人数で話し合って解き、そこから次のゴールを見出す能力をいかにつけるかについて、
実際に参加者が数人のグループを作り体験研修を2コマ行った。若手教員にとって、学
びの方法の新たな方法を取得できた。
成果
(1) 吉小・高中を研究委嘱校に指定
[吉浜小]
・年度当初に、間瀬教諭の全体授業に合わせて、6年生の全学級で協調学習に取り組んだ。
そのことで、「協調学習」について職員の間で意見が交わされるようになった。全体授業
では、協議会で東京大学の齊藤先生からの講話もいただき、協調学習について知るきっ
かけになった。小学校では、どのような授業、どのような場面で協調学習の要素を取り
入れられるか、今後の取組や実践のなかで探っていきたい。また、協調学習の前提とな
る「読む力」「書く力」「聞く力」について、主題研究とも絡めて学年の発達段階に応じ
て基本的な力をつける取組について考え、継続していくことが必要であると考える。
[高浜中]
・協調学習を引きおこすために、人の考えを聞いたり、他人に説明したりする活動を中心
に行った。そのためにジグソー活動を取り入れ、生徒の実態に合わせた資料を用意し、
じっくりと資料を深める時間を取り入れた。また、資料の読み取りの際にも、同じ資料
を持つもの同士が集まり、資料に対して意見を交わす時間をとることで資料に対する知
識が深まり、ジグソー活動の際に自分の意見に自信をもって活動を行うことができた。
[南 中]
・11月28日(木)1 年理科「光の性質」の導入でジグソー型協調学習をとりいれた授
業を行った。生徒が3つの資料を分担することで説明責任が生まれるため、普段意欲が
続かない生徒も頑張ることができた。単元導入時でその後の学習内容に関わる資料を使
って行うことでスムーズにその後の習得に移ることができた。エキスパート(習得)が
しっかりと行われなければ、ジグソー活動(活用)もうまくいかない。導入で行うと、
エキスパートをしっかりと行うには1時間とらなくてはならず、単元を構想、計画する
段階で指導時間の調整を行う必要がある。
・課題として、協調するための3つの資料づくりを含め、教材研究には膨大な時間がかか
る。教材化された指導過程や資料等の蓄積と教員相互の情報交換・活用等の整備が必要
である。
・今年度、高浜中・吉浜小・高取小・南中で研究授業、授業公開等の授業実践を行った。
多くの先生が協調学習の学びの様子を参観することで、新たな関心を引き起こすことに
繋がっており、事後の協議会においても肯定的に受け止める発言も多く寄せられた。子
ども同士での学び合いは、子どもたちの意欲が高まり楽しさも増すと授業者も感じてい
る。2~3年目研修でも、研修した教員からは、意欲的に取り組んでみたいという発言
も寄せられ、徐々に多くの教員に意識され、実践に移す教員も見られるようになってき
た。しかし、自校の研究主題との絡みから、緩やかな歩みにならざるを得ない。
(2) 若手教員のための授業づくり研修会
・本年度吉浜小・高浜中で協調学習の研究を指定しているが、他の5校にも若手・中堅教
員を中心にして、内容を理解することによりやってみようという教師が増えることを期
待して研修会をもった。今回の研修で、実際にジクゾー法を体験し、個々の知識が学習
を通じて一つにつながることを実感できた。
自己
評価
子ども一人一人が主体的に学習を引き起こす協調学習は、成果で記
入したように各校で少しずつ底辺が広がってきている。
分かり方の多様性を学ぶ手法として、意思決定学習同様に大いに学
ぶべき価値はある。今後も2~3年目教員に研修プログラムの一つと
して位置づけて取り組んでいく。また、先駆的に協調学習を牽引し、
実践できる教師も育ちつつあるので、今後実績を共有し、資料等をス
トックすることにより効率的に授業が展開できる方法を模索したい。
来年度は、引き続き吉浜小と高浜中を研究指定校とする。
-7-
C
評価
研究指定校を替えたことが奏功し、昨年度まで指定校だった南中学校でも指定が解けて
も実践は残ってよく拡がりと深まりを示し、指定が解けたことで翼小学校では意思決定学
習との混線が整理され、さらに今年度指定校となった吉浜小学校に昨年度まで翼小学校で
担当であった間瀬教諭が異動してきて展開の核となって協調学習が拡がりを見せつつあり、
高浜中学校では関心が高まりつつあることは、授業を参観していてもよくわかる。今後の
拡がりと深化に期待したい。
したがって、C判定は妥当であるが、昨年度より進捗していることは認めうる。
(3)きめ細かな指導の充実
サポートティーチャーを各校に配置し、算数・数学及び英語において少人数指導の充実を図った。
より一層子どもたちの実態に合せた指導方法や効率的な取組をするため、習熟度別少人数指導の授業
方法を再検証し、少人数指導の有効性を最大限に引き出す取組に努め、きめ細かな指導を実現し、子
どもたちの個に応じた学力の向上に努めた。
項目
目的
取組
実績
成果
項目
目的
取組
実績
成果
目的
取組
実績
成果
サポートティーチャー配置
算数・数学科、英語科等の少人数指導授業の充実を図り、基礎学力の定着に努め、一人一
人に細やかな学習支援を図る
<配置状況><取組>
学級編制を行い、別々の教室に分かれ少人数指導で算数、英語の授業を実施した。
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中
南 中
配置人数
1
1
1
2
1
1
3
[小学校]
・4年生から6年生までの算数の授業で少人数授業を実施するにあたり、サポートティーチャーを活
用した。習熟度に応じた学級編成を行い、言語活動の充実など、期待される力を伸ばす
上で効果的な授業を展開することができた。
・人数が少なく、じっくりと一人一人にきめ細かい指導が行き渡り、学習内容が定着して
いる。
・学級の中では発言の機会が少ない児童も、気後れすることなく自分の言葉で発言したり、
質問したりすることができる。
・習熟度の高いクラスでは、普段の学級では難しいと思われる問題にもチャレンジする機
会になり、お互いに向上しようとする授業を展開することができた。
[中学校]
・少人数学級はその人数の少なさから温かい雰囲気の授業にしやすい。このため全体での
発表を計画したとき、安心して発表することができ自信につながりやすい。
・細やかな指導を一人一人に行うことができた。発音練習や質問など一人一人を指名し行
わせる回数を確実に多くすることができた。また生徒が授業で挙手・参加する機会が増
やすことができ、生徒の授業への参加意欲を高めることができた。
・少人数に分けることによって、生徒の様子をよく観察し、個人に合わせた指導ができた。
生徒との距離が近いため、生徒の個性や特徴また反応を把握しやすくなり、生徒の好み
や興味に合わせた発問を取り入れることができた。
35人少人数学級の実施
35人少人数学級の実施により学級内の人数を少人数にし、一人一人に対しより細やかな
学習・生活指導の実施を図る
<35人少人数学級について>
・市内小学校1・2年、中学校1年で35人少人数学級を実施。
・県少人数学級加配教員の配置校・・・小学校各1名・中学校各2名
・学級の人数が35人以内なので、その分、事務処理時間が減ることで、子どもに向き合
う時間や教材研究に向ける時間の増加に繋がっており、特に小学校1年の小1プロブレ
ムや中1ギャップの軽減には、有効な方法の一つである。
小学校・中学校に外国人ALT講師を派遣し、英語教育の充実を図る
<外国人ALT講師の取組>
・小学校におけるALT講師派遣事業の実績と取組
<5・6年生>
(時間)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小
合計日数
派遣日数
36
38
37
35
36
182
<小学校>
・担任とティームティーチングを行い、授業を展開している。ALTの正確な発音を聞き、
単語や簡単な英文の聞き分けがしっかりできるようになった。また、ALTの発音を聞
きながら発音することで、自然と正しい発音が身に付きつつある。ゲームを使って楽し
みながら英語を学ぶ活動を通して、英語文化に親しみを持っている。
-8-
自己
評価
評価
・サポートティーチャーやALTの配置により、言語活動の充実を図
ることができるとともに、少人数指導を展開することで、自信をも
って授業に臨む児童・生徒の姿が多く見られた。個に合わせた指導
を継続的に積み重ねてくることで、子ども一人一人が学ぶ喜びを実
感できる授業づくりが進んだ。
これまで何度も指摘してきたが、少人数指導の有効性について疑問がある。①教員の指
導力にバラツキがある中での少人数化はよりダイレクトに教員の指導力の多寡が学力形成
に反映する、②学力に差がない中での授業展開は子ども同士の相互作用が低調となり流れ
が単調になりがちである、③人件費コストに比して学力向上成果が乏しい、という問題が
それである。各校での少人数指導の有効性が検証されているのであろうか。「自信をもって
授業に臨む児童・生徒の姿が多く見られた」とか「子ども一人一人が学ぶ喜びを実感でき
る」といった印象評価ではなく、学力や自己肯定感情、質問等の発言頻度、挑戦的な課題
への取組頻度といった明確な指標による検証を望みたい。なお、サポート・ティーチャー
について、少人数指導以外の活用(たとえば、一部専科担任制の導入や授業参観のための
代替授業など)についても検討が期待される。
以上の点から、ALTや 35 人学級については授業参観等による観察からA判定を支持す
るが、少人数指導の有効性については教員側の肯定的な感想は理解できるが、他の指導と
効果が対照できる明確な指標や比較分析がないため全体的にはB判定に留まると考える。
ただし、学校によっては、教員間の綿密な打ち合わせが奏功して、習熟度に応じた個別性
の高い指導が展開されていることを認めうる。
こうした点を勘案するならば、総合的にはA判定を首肯するが、なお検討の余地がある
といえる。
A
(4)特別支援教育・外国人支援教育の充実
障がいをもった子どもたちに対して、取り出しや入り込みによる指導、困り感に寄り添うきめ細か
な学習支援や生活支援が大変有効であることから、スクールアシスタント等の人的支援を継続した。
外国人児童生徒については、外国人児童生徒通訳者を2名配置し、通訳翻訳活動、相談活動、言語指
導など細やかな対応を行った。また、外国人早期適応指導の取組も成果を上げており、今年度も継続
して実施した。
項目 通級指導の実施
目的 特別な支援を要する児童に対し、きめ細かい生活・学習支援や自立活動の支援を行い、そ
の充実を図る
取組 <配置状況及び実績>
実績
通級指導担当教員
各小学校 1名配置(吉浜小・高取小・港小は県配置)
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校合計数
通級指導児童数 10
14
10
9
14
57
<具体的取組>
・年度の当初に通級担当者による観察と担任、関係教員の協議により対象児童を決定した
うえで、保護者の了解を得て通級指導を実施した。1名につき週1~2時間の取り出し
により、児童の実態に合わせてソーシャルスキルの獲得に向けての支援、学習指導を行った。
・指導内容、児童の様子については、担任、四役が記録の回覧によって把握し、必要に応
じて担当者と担任、四役が情報交換を行った。
・7月、12月の懇談会には通級担当者が同席し、通級教室での様子や家庭への依頼事項
を伝えたり、保護者の相談を受けたりすることができるようにした。
成果 ・対象児童については、個に応じた指導を受けることで、学校生活での安定と学習に対す
る自信につながった。
・適切な支援が行われていることで保護者の安定につながった。また、情報提供、情報交
換を随時行っていることで、保護者の子ども理解が促進され、児童の家庭での安定にも
つながった。
項目 特別支援教育アドバイザー配置
目的 指導的な立場から学校の特別支援教育の体制づくり、取組の推進について助言する
取組 <配置状況及び実績>
実績
特別支援教育アドバイザー
2名配置
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校合計数
支援児童生徒数
3
0
3
4
3
0
3
16
支援教師数
2
1
2
4
3
0
1
13
<具体的取組>
・南中は、「特別支援体制推進事業に係わる発達障害児指導事例研究会」(県事業)の機会
を利用して、「特別支援教育を視点とした研究授業」を行っている。授業は「個別支援フ
ァイル」のある生徒、又は学習支援をしている生徒のいるクラスで行っているため、特
別支援教育アドバイザーに対象生徒を観察してもらい、
「コンサルテーションによる助言」
-9-
成果
項目
目的
取組
実績
成果
項目
目的
取組
実績
成果
項目
目的
取組
実績
として授業の中での支援を考える際に役立てている。
・定期的に特別支援教育アドバイザーに来校してもらい、コーディネーターへの助言をし
ていただいているのは大変心強い。ただ、授業の空き時間があまりなく、短時間しか話
し合いができないのが残念。
・学級生活で、協調性がなかったり、担任の指導が通らなかったりで、見通しを立てるこ
とが難しい児童について、どのように指導・支援していくと効果があがっていくかアド
バイスいただいた。
・「特別支援教育を視点とした研究授業」の中で、支援を考える上でアドバイザーによる個々
の生徒の見立ては大変役に立っている。また、支援ができたかどうかの見極めをする際
に基準となっている。
・特別支援教育コーディネーターは、校内で1人で行う仕事であるため、定期的なアドバ
イザー訪問による助言はありがたいし、違った視点に気づける機会にもなり参考になっ
ている。
・指導の経過、家庭の状況、放課や授業の様子から、担任の先生の困り感を聞き、具体的
な声のかけ方や授業中の対応の仕方などについてアドバイスいただき、支援の参考にな
った。
スクールアシスタント配置
特別な支援を要する児童生徒の学習支援を行いその充実を図る
<配置状況及び実績>
スクールアシスタント
小学校各校2名 各中学校1名 配置
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校合計数
支援児童生徒数 17
38
17
15
13
32
23
155
<具体的取組>
・支援の必要な児童のいる学級に入り込み、学習指示の復唱などの学習支援や身の回りの
整理などの生活支援を行った。
・主に、1年生と2年生の一斉授業で、先生の指示が理解できなかったり、作業が極端に
遅れてしまう児童に寄り添い支援をしている。
・支援の必要な児童が、指示の復唱を得て、学習内容が理解でき、作業などの活動がしっ
かりできるようになった。
・手助けがなくても、自分で考え行動できることが多くなっている。
・困り感のある児童を支援することにより、一人ではできなかったことができるようにな
っている。また、毎日記録を書き、担任へも経過を報告し、共通理解ができている。
スクールサポーター配置
特別な支援を要する児童生徒の生活支援を行いその充実を図る
<配置状況及び実績>
スクールサポーター
5小学校・中学校に配置
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校合計数
支援児童生徒数 14
56
14
17
16
1
4
122
<具体的取組>
・支援の必要な児童のいる学級へ入り込み、対象児童に対して支援を行う。(授業、給食、
清掃、放課等)
・特別支援学級の児童と放課等に一緒に行動し、突発的な行動を抑えるように対処してい
る。
・支援の必要な児童に学習指示の復唱などの学習支援と整理整頓などの生活支援を行う。
・対象児童以外の指導に時間を充てることができ、担任の負担軽減につながっている。
・愛情と熱意を持って支援にあたっていただけているおかげで、児童の情緒の安定につな
がっている。
・年度当初に比べて児童にコミュニケーションの力や意欲、生活習慣の確立といった点で成長が見ら
れた。継続的にスクールサポーターが支援にあたってきた成果である。
・週2~5時間程度ではあるが、継続して同じ学級に入り込むことで、児童との関係がで
き、細かく様子を見ながら適切な支援ができている。
・担任が一斉指導する中で、個別にそれぞれの児童の力やペースに合わせてサポートして
いただき、その子なりの取組ができるようになってきており、意欲や自信につながって
いる。
・特別支援学級に在籍する児童について、学年や特性、交流の状況が多様であるので、担
任だけでは十分支援できない部分を補うことができている。
外国人児童生徒通訳者の配置
学校での外国人への通訳を行い、外国人児童生徒及び保護者等との連絡調整をし、学校教
育のスムーズな遂行と充実を図る
<配置状況>
外国人児童生徒通訳者
2名配置
<具体的取組>
- 10 -
成果
項目
目的
取組
実績
成果
自己
評価
評価
3
・保護者向けお便りの翻訳、担任から保護者への連絡サポート、懇談会での通訳、児童の
学習支援。
・悩みを抱える児童との面談(ポルトガル語が母語の児童生徒)
・保護者の日本語教室での授業参観へのサポート、個別相談の際の通訳。
・日本語習得が不十分な児童・生徒の支援を中心として、通訳者の役割が増してきた。
・学校からの諸連絡を確実に伝えることができた。また、保護者と学級、学年、学校との
信頼関係を築く上で、通訳者の介在により意思の疎通を図ることができた。
・外国籍の子どもたちの日本語指導だけでなく、心の安定にも寄与している。
外国人早期適応指導の実施
小学校・中学校に転入学してきた児童生徒に、日本の生活習慣や学校の学習生活習慣及び
言語指導を行い、早期の学校・学級適応を図る
<配置状況及び実績>
外国人早期適応指導員 1名配置
該当指導児童数 10名
(人)
高浜小 吉浜小 高取小 港 小 翼 小 高浜中 南 中 全校合計数
該当児童生徒数
1
1
0
2
4
1
1
10
<具体的取組>
・日本での学校生活、教育活動が初めてでそれらが十分に理解・定着していない外国人に
日本の生活習慣や学習習慣及び言語指導を行い、早期に学校・学級適応ができるように
指導をした。
・およそ3か月で日本の学校で過ごせる様に、基本的な日本語表現と文字の習得を目指し
て指導している。1か月でひらがなとカタカナを習得することができ、3か月後には日
本の学校のそれぞれのクラスにとけ込んで生活できるようになっている。
・2年生女児1名、4年生男児1名が指導を受けた。未就学児童であったため、日本の学
校生活の流れを理解させることができた。
・日本語が全くできなかったが、2年生の女児は、簡単な片言の日本語を理解するように
なって、夏休み明けから港小の通常学級でみんなと一緒に学習を開始した。
・4年生男児は、十分に適応できていないと判断し、10 月末までは「くすのき」で指導を
受けた。港小学校には外国人指導の加配がないので、大変助かった。11 月から学校へ戻
り、学芸会はみんなと一緒に演技をすることができた。日常会話もまだおぼつかない状
況であり、今後も指導が必要であるが、十分な対応ができていない点は問題点として残
る。
一人一人の困り感に沿った細かな学習生活支援を具体的に展開する
ことができた。支援を必要とする児童生徒は着実に増加の傾向にあり、
また、外国人児童生徒も多国籍に広がる中で、不適応を少しでも軽減
できるように、支援をきめ細やかに行うことができた。
特別支援教育アドバイザー、スクールアシスタントやスクールサポーター、通訳者の配
置は、各校での実際の取組の観察からして、いずれも効果的に機能している。通級指導に
ついても、有効である。したがって、A判定は妥当である。
ただし、学級担任については、その指導力に個人差も大きく認められ、研修や免許状取
得による指導力向上を期待したい。
A
個に応じた教育の充実
個に応じた教育の充実のため、こども発達センターと連携し、一人一人の乳幼児・児童・生徒のニ
ーズに応じた支援と、それに関わる保護者支援を進めた。また、専門家チームと各園・学校との連絡
会や、こども発達センターの専門家チームが各園・学校を巡回訪問するための支援を行ったり、特別
支援研修会などを実施した。
(1)特別支援教育に関して、子ども一人一人のニーズに応じた支援と、保護者支援
について
項目
目的
取組
実績
特別支援教育に関して、子ども一人一人のニーズに応じた支援と保護者支援について
特別支援教育の考え方を大切にして、個に応じた教育を充実させるための仕組みをつくる
(1) 5歳児健診への参加
・小学校区ごとに実施。年15回開催
・保護者向けの教育講話を実施するとともに、該当学校の就学指導委員が2年後に入学す
る幼児の様子を参観し、先を見据えた就学指導につながっている。
(2) 特別支援研修会の実施
① 研修テーマ「発達障がいの理解と支援」
- 11 -
5/28(火)実施
成果
自己
評価
・講
師:高浜市特別支援教育アドバイザー
西澤 聡美 先生
・参加対象者:2年目教員
・高浜市の特別支援教育について・グループ協議
② 研修テーマ「特別な支援を必要とする児童生徒に関する事例研究」 8/6(火)実施
・講
師:高浜市特別支援教育アドバイザー
鸙野 清香 先生
・参加対象者:3年目教員
・参 加 人 数: 7人
③ 研修テーマ「子どもたちの輝く未来を考える」
8/26(月)実施
・講
師:NPO 法人ジョブコーチネットワーク
角田みすず先生
・参加対象者:特別支援教育コーディネーター
・参 加 人 数: 7人
④ 研修テーマ「心身の発達に遅れがある幼児の対応や保護者支援についての理解を
深める」 8/20(金)実施
・講
師:愛知県総合教育センターと特別支援教育相談研究室長 溝口克治先生
・参加対象者:スクールアシスタント、スクールサポーター
・参 加 人 数: 19人
・2年目教員対象(11名)夏季休業中に1日、9月~12月中に1日体験研修(通園児
との交流・療育活動の手伝い・講話・協議)体験場所:高浜市心身障害児福祉施設みど
り学園にて研修
(3) 特別支援コーディネーター連絡会を実施
年7回
・定期的に連絡会を実施する中で、支援する上での課題を共有したり、相談するよい機会
となった。また、情報交換・最新の特別支援教育に関する研修会の案内、アンケートの
依頼、市の事業の情報提供・連絡等を行った。
(4) 就学指導委員会を実施 年3回
・保護者の意見も参考にしながら、個の実態に応じた就学先の検討を行った。
(5) 特別支援教育連携協議会を実施 年2回
6/24(月)2/24(月)
・教育委員会として取り組む特別支援教育の計画・推進について、各方面の方から助言を
いただく機会となった。
① 教育委員会
・研修会にて、担任している気になる子の支援や指導について、4月から振り返りをした。
その後、他にどんな支援の仕方があったのかを意見交換し、夏休み明けからのよりよい
支援について検討できた。
・研修会の講師を障がいのある子どもの保護者に依頼したことで、とてもリアリティーの
ある講演内容であった。親の立場で学校に何を期待しているのか、親としての純粋な悩
みや喜びを率直に聞ける研修の機会となった。
・発達障がいの理解と支援のあり方の研修会において、具体的にわかりやすく講話してい
ただき、特別支援教育の担当にとって、日ごろの支援の悩みを解く視点を与えられたり、
今後の支援のあり方について、再考するとてもよい機会となった。
・若手の初任・2年目・3年目経験者に計画的に研修を継続しており、着実に特別支援教
育への理解を深めている。また、今年度は、スクールアシスタント、スクールサポータ
ーにも研修の機会を設けることで、さらに、実際の支援へ具体的に結びつく研修を展開
することができた。受講者の感想には、「教師と子どもの関わりの大切さはもちろんのこ
と、教師と保護者との関わりの大切さの理解につながった」とあるように、大いに役立
った。
・個別の支援のあり方を協議する中で、次年度は就学指導委員会を教育支援委員会に改め、
就学前から中学校卒業までの一貫した支援をつなぐ方向で進めることができた。
② 各校の成果
[吉浜小]
・児童の実態把握と毎月の状況を職員間で共有することを行った。
・保護者との連絡を密にする、相談を受ける(相談をつなぐ)ことを意識して取り組んだ
・個々に応じた支援の必要な児童には、入学前(5歳児検診)からの事前の相談、定期的
な保護者と担任との相談などを通して互いの理解を深め、協力してその子にとって有効
な支援を探り、次年度に確実に引き継いでいくようにしている。また、必要な時にその
都度、保護者との相談を通して、専門家の助言を受けながらよりよい支援を検討し、試
行錯誤しながら実践してきた。
各校、特別支援教育に関しては、高浜市特別支援教育連携協議会の
取組の実績があり、積極的な取組を行っている。
こども発達センターとの連携では、5歳児健診に各学校の管理職や
就学担当も参加するようになり、そこでの相談も実施されるようにな
り、早い段階から相談を繋いでいく体制が整いつつある。就学前の相
談を受けるところから、義務教育後の就労に繋げていくことや、情報
B
- 12 -
連携を踏まえた支援のあり方をさらに進めていくことが必要であると
考える。
評価
自己評価の記載にある「就学前の相談を受けるところから、義務教育後の就労に繋げて
いくことや、情報連携を踏まえた支援のあり方をさらに進めていく」ことは必要であり、
そのために教育委員会として何を行っていくのかの明確化を求めたい。そのためにも、本
項目の目的の明確化・具体化が求められる。
以上の点を勘案するならば、やはりB判定は妥当である。
(2)専門家チームと各園・学校との会や、専門家チームの巡回訪問について
項目
目的
取組
実績
成果
自己
評価
評価
4
専門家チームと各園・学校との会や、専門家チームの巡回訪問について
特別支援教育の考え方を大切にして、個に応じた教育を充実させるための仕組みをつくる
(1) 専門家チームによる巡回訪問を計画的に実施した。
・各校の希望をもとに、専門家チームを幼保小中学校に派遣した。
・派遣実績 50回
①各校の取組例
[吉浜小]
・市の専門家チームとして、発達専門相談員を依頼し、年7回、各学年ごとに児童の観察
支援方法や支援内容についての担任との協議を行った。
[南中]
・6月5日(水)特別支援学校のセンター的機能による巡回相談(県事業)
講師:愛知県立豊田養護学校巡回相談員 加藤 毅 先生
内容:1年生特別支援対象生徒2名の観察後、学年単位で指導・助言の会を持つ。
・6月18日(火)高浜市特別支援教育推進事業における専門家チーム訪問(市事業)
講師:西尾市適応教室 外山 正志 先生
内容:2年生特別支援対象生徒2名の観察後、学年単位で指導・助言の会を持つ。
・2月5日(水)特別別支援体制推進事業に係わる発達障害児指導 事例研究会(県事業)
講師:岡崎養護学校巡回相談員 中川 慶子 先生
内容:特別支援教育を視点とした研究授業
・全職員ではなかなか会が持てないが、学年ごとに行うことで、子どもの様子も共有でき、
指導に生かせるようになってきた。
・子どもの状況はもちろん、学年ごとの課題もあるので、それに合わせた指導・助言がい
ただけている。
・同じ先生に継続して来校していただくことで、子どもの変化や学校の対応等について気
付いたことを教えていただき、対応方法や校内体制の構築、外部との連携について教え
ていただき、支援に生かすことができた。
・発達障がいの生徒の「困り感」のとらえ方、具体的な声かけや支援、学級の中での位置
など具体的に助言を得た。また、学年会形式で指導・助言の会を行ったため、学年全体
で支援の必要な生徒を共通理解して見ていくという認識がもてた。
・教師が授業の中で日常的に特別支援の必要な生徒にどんな支援をすればよいのか具体的
に学ぶことができた。また、特別支援の必要な生徒への支援は、通常の生徒にも有効な
支援であることを確認することができた研修会となった。
具体的な支援を示唆していただくことにより、一人一人のニーズに
応じた適切な支援が可能となっている。今後、こども発達センターと
の連携を強め、専門家チームの訪問を、特別支援教育連携協議会と連
携し、固定したメンバーで、同一小学校区幼保小を訪問することで、
情報共有しながら、児童支援や保護者支援につなげていくことを進め
ていく。
専門家チームの派遣等、学校・教職員へのアドバイザー機能の発揮は、学校訪問での観
察や聞き取りからして、ある程度、有効に機能しており、B判定は妥当である。
ただし、協議時間や相談時間の確保が課題となっており、スクールアシスタントやスク
ールサポーターの活用の仕方と重ねて、その課題解決の検討を期待したい。
なお、この項目に対応した具体的な目的・目標の規定が必要である。
B
安らぎと魅力のある地域の学習拠点の確立
学校を「学びの拠点」とし、地域の活動を行う場、地域の住民が子どもたちと交流する場となるよ
- 13 -
うにしていくための条件整備を行った。市民の知的関心を喚起し、高浜市の文化を継承、発展させる
ために、地域に学ぶ仕組みをつくるため、生活科、総合的な学習の時間、行事などに地域の方に入り
込んでいただき、共に活動できるような行事や単元の設定と、地域行事に幼児・児童・生徒が参加し、
地域に学ぶ活動を各校で展開した。
(1)授業・生活科・総合・行事等に、地域の方と共に活動する取組について
項目
目的
取組
実績
成果
自己
評価
評価
授業・生活科・総合・行事等に、地域の方と共に活動する取組について
安らぎと魅力のある地域の学習拠点を確立する
(1) 高浜カリキュラムの実践について、異校種間推進委員会にて進捗管理するとともに、
各校の実践・取組のデータの蓄積を行った。
(2) 地域の方をゲストティーチャーとして活用するために、社会人講師謝礼を各校の計画
に基づき配分した。
(1) 教育委員会センターサーバーに学年ごとの実践データの蓄積を開始した。このことに
より、次年度以降、他校の実践を容易に活用することができる。
(2) 翼小学校の社会人講師活用例
・1年生活科「おじいちゃんおばあちゃんと遊ぶ会」祖父母や地域の方に遊びを教えてい
ただいた。安心おじさんおばさんに感謝する会を実施した。
・2年生活科「きらきら すてきさんみつけた」学区のお店の見学、店長さんへのインタ
ビューを行った。その後1年生とすてきさんを招待して発表会を行った。
・2年生活科「おおきくなあれ」 野菜名人の方に植え方を教えていただいた。
・3年総合「福祉」高浜カリキュラム実践
・4年総合「防災袋を作ろう」PTAの方と共に避難所体感実習を行った。被災経験のあ
る方に体験したことの話を伺った。
・5年総合「食育」農業体験(田植え、稲刈り)収穫祭もちつき会
・6年総合「eデーふれあいの翼」eデーふれあいの翼 の開催のいきさつ、地域へ果たす
役割などを講師にお話していただいた。
・土曜日クラブ(剣道、フルート、家庭科、習字、ちぎり絵、陶芸)
・PTAクラブ(ソフトボール、ソフトバレーボール、バドミントン、手芸)
で働く人とふれ合い、町のすてきを見つける。調べたことの発表会を、探検先でお世話
になった方々を招待して行う。
※同様に他の学校においても、地域の方をゲストティーチャーとしてお招きし、学ぶ機会
を積極的に設けている。
すでに各校とも、地域住民の参加を募り、その協力により学校を支
援する活動が多く展開され、根付いてきている。地域の人・もの・こ
となどの資源を、自然な形で学校に結び付けている。地域も学校を支
えていこうという協力的な姿勢で、学校と地域の協働が十分に機能し
ている。
各校の取組は、異校種間連携推進委員会での協議や高浜カリキュラムの開発、入り込み
指導や第三者評価によっても促されている。これらが奏功して、「学校と地域の協働」は進
展してきている。こうした点からして、A判定は妥当である。
なお、施策の成果をより明確にし、次項目とのいっそうの差別化を図っていくためにも、
本項目の目的の具体化が求められる。
A
(2)地域に学ぶ活動について
項目
目的
取組
実績
成果
自己
教育支援活動委員会
教育委員会・学校が庁内グループや各種の地域団体と連携しながら、学校の思いと地域の
思いを調整する
・地域コーディネーターの役割は、高浜市教育委員会事務局・各校教頭が担うことを確認
し、調整を図った。
事務局;庁内・庁外の公的機関・準ずる機関・その他の団体からの依頼の調整。
教 頭;まち協・おやじの会・公民館・地域の団体が直接学校にくる依頼の調整。
・教育支援ネットワークは、各学校における地域の特性を生かして、改善を加えながら充
実してきた。
・各種出前授業や取組の依頼においては、関係機関と直接対話する中で、各学校の実情を
理解していただき、取組の中止や、取組内容の変更・軽減を図っていただいた。
・具体的な調整例;イルミネーション作成、耐震教室の改善、生活習慣出前授業の内容改
善、生活習慣病予防教室、自治基本条例出前授業、認知症サポーター養成講座、タカハ
マ物語上映会、ゴミ分別大相撲、KATCH 学校紹介番組づくり、租税教室、弁護士出前
授業等、調整を図ることができた。
高浜市は、小学校区ごとに特色ある地域行事が積極的に展開されて
- 14 -
評価
評価
5
おり、生活科や総合学習の時間、特に高浜カリキュラムに関連する内
容では、地域の方の支援・協力で成り立っている内容も多い。地域か
ら学ぶ活動は、各学校では多く取り入れ、地域の方と共に学ぶ学習ス
タイルは、しっかり根付いてきており、児童生徒の地域への愛着は増
していると考えられる。
また、今年度から、教頭・教育委員会事務局がコーディネーターと
して、各種団体と打ち合わせをすることで、学校と地域・各種団体の
実情に合わせた展開に移行しつつあることは、前進である。
教育支援活動調整委員会や地域コーディネーターについては、その効果は大きいし、A
判定は妥当である。こうした取組は、異校種間連携推進委員会での協議や高浜カリキュラ
ムの開発、入り込み指導や第三者評価によっても促された面もあり、市教育行政が総合的
に展開されていることがよくわかる。ただ、地域行事への参加という点でいえば、学校間
でバラツキがあり、そのバラツキを解消するための行政支援や条件整備が期待される。
A
地域で子どもを育む教育環境の整備
(1)学校評価(自己評価・学校関係者評価・第三者評価)教育委員会評価
学校、家庭、地域が将来の高浜市民を育てるために、それぞれができることを確認し、協働するた
めの学校づくり評価活動を継続して進めてきた。自己評価、学校関係者評価の取組に加え、地域の人
々と共に、学校づくりをしていくための評価システムを築いた。また、学校が取組んだ施策の有効性
を検証するために第三者評価事業も継続した。
項目
目的
取組
実績
成果
項目
目的
取組
実績
成果
学校評価(自己評価・学校関係者評価・第三者評価)教育委員会評価
地域の人々と共に、学校づくりをしていくための評価システムを築く
<実績>
各校で中間評価、年度末評価(児童生徒、保護者、教員の3者アンケート)を実施
アンケート結果、考察、更新策等をまとめ、学校評価検討委員会(教育委員会)に報告
<具体的取組>
①校長が、PTA 総会で学校要覧を全家庭に配布し、児童生徒の自立に向けた考え方や取組
を説明し、家庭の役割や協力依頼を行う。
②学校評価アンケートの保護者用項目や記述欄に、保護者として取り組んでほしい内容を
入れ込み、家庭教育のあり方を意識する。
③前後期2回、学校の自己評価シートと学校評価資料を全家庭に配布し、学校家庭との連
携を強化する。
④学校だより、ホームページのブログ記事に、それぞれの学校教育活動の目的やねらいを
意識的に記述し、家庭や地域に生徒の自立に向けた取組への協力を依頼する。
⑤教頭がコーディネーターとして地域の依頼を調整しながら、地域貢献の場を積極的につ
くる。
⑥まちづくり協議会等各種団体主催行事に、児童の参加協力と、生徒の地域貢献の具体的
方法等の情報を提供し、地域貢献の場を拡充していく。
⑦各種行事に多くの地域の方に参加くださるように依頼したり、人権擁護委員さんとの懇
談会をもったりすることで、学校の現状を見ていただく機会とする。
⑧トップダウンからボトムアップを意識しての取組になるように、KJ法を用いて全体で
の話し合いの場をもった。
・地域の各種団体と学校が密接で良好な関係を築き、学校を支援していただく環境が年々
整備されつつある。また、学校要覧や学校評価活動を通して、学校の運営方針が保護者
や地域の方々に理解され、協力を得やすくなってきている。
・地域の防災訓練にその地区に住む中学生3年生が参加し、まちづくり協議会の活動に貢
献することができた。(両中学校)
・学校評価アンケートの保護者記述に、家庭教育の重要性が自覚されている記述が増えて
きている。
学校関係者評価の活用
学校づくり・学校経営のために学校関係者評価の活用を図る
<実績>
市内小中学校7校で学校関係者評価委員会の設置(学校評議員を学校関係者評価委員と
する)
<具体的取組>
・専門家・地域代表・保護者代表・隣接学校の教員からなる評価委員に、取組とそのねら
い等を示し、幅広く意見を吸収するとともに、学校の実情を理解していく場として活用
した。
・教育諸活動に対する理解が得られ、情報連携に加え、具体的な行動連携をするきっかけ
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項目
目的
取組
実績
成果
自己
評価
評価
6
となっている。
・授業参観を実施したことにより授業についても多くの指摘を受け、授業改善を加える手
立てとなっている。
第三者評価の活用
学校づくり・学校経営のために第三者評価の活用を図る
<実績>
第三者評価委員5名
学識経験者 木岡一明(名城大学)南部初世(名古屋大学)曽余田順子(プロコーチ)
伊澤光二(元校長)
一般公募
高桑雄司
<具体的取組>
・第1回 ヒヤリング(校
長)25年度の更新策・重点目標
・第2回 ヒヤリング(研究主任)主題研究体制
・第3回 ヒヤリング(教
頭)1年間の報告と次年度に向けての更新策
・第4回 評価委員による1年間のまとめ
第三者委員による入り込み指導により、経営方針とそれに対する具体的な方策や評価指
標との関係性について、指導・助言を受ける機会となり、学校運営の改善のきっかけとな
った。さらに、組織として学校が運営されるように、どのように職員にしかけていくのか、
働きかけをしていくのか、経営戦略的な視点に立って細部に渡りご指導いただくことがで
きた。主題研究を中心に、全職員が同じ方向を向いて授業研究に取り組むことができるよ
うになり、学校改善、教師力向上にも繋がっている。
学校関係者評価委員会や第三者評価委員会で、主題研究主任、生徒
指導主事、進路指導主事等ミドルリーダーを育成することをねらいと
して活躍する場を設定したことにより、学校運営に関わっていく意識
が育まれつつある。また、若手教員を含め、適材適所に戦略的に負荷
をかけることにより、各自のモチベーションを上げる良い機会となっ
た。地域との関係も年々密になり、地域に出かけたり、地域を呼び込
んだりする取組が多く見られるようになってきている。地域と連携し
た協働的な学校づくりが着実に動き出してきた。
学校評価システムとしては、完成度を高めてきている。今後、課題となるのは、学校関
係者評価のあり方を、国のガイドラインに沿ったものに発展させていくことである。また、
学校の自己評価についても、学校によっては、組織的になされているとは言いがたく、校
内全職員による組織的な取組にしていくとともに、学校関係者評価や第三者評価の結果を
職員に周知させていく仕組みを、7校共通にしていくことが求められる。さらには、この
教育委員会評価との連動性をより明確にしていくため、各校の学校評価と本評価のフォー
マットを共通ないし類似したものにしていくことが求められる。
こうした点からしてB判定は妥当である。
B
市民の学び舎となる教育環境の整備
学校施設の整備にあたっては、各小中学校からの要望に基づき、現場を確認し、幼児・児童・生徒
や地域の人々の安全を最優先に考えながら、学校と協議し改善に心がけた。また、喫緊の課題として
防災教育を推進するために、防災教育検討委員会を立ち上げた。さらに、学校施設の延命化をはかる
ために、計画的に修繕・改修を進める必要があることから教育環境整備検討委員会を立ちあげた。
項目
目的
取組
実績
成果
学校防災検討委員会
将来起こるであろう大震災に備え、教職員の参集体制や、避難所運営支援マニュアルを作
成する
(1) 学校防災検討委員会
・4回開催、助言者 名古屋大学減災センター 近藤ひろ子先生
・成果物;教職員の参集体制確立
・各学校における避難所運営支援マニュアル作成
・高浜カリキュラムに位置づけられた各校における防災教育の早期実践
(2) 防災講演会の開催
・研修テーマ「そのとき 学校はどう動いたか」
12/20(金)実施
・講
師:仙台市荒浜小学校長
川村 孝男 先生
・参加対象者:市内教職員8割以上、幼保職員、まち協・町内会関係者等
・参 加 人 数:250人
(1) 学校防災検討委員会
・大震災に備えた緊急時の教職員の参集体制を、高浜市の防災計画と照らし合わせ、都市
防災グループの助言をいただきながら作成し、教職員に周知することができた。また、
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項目
目的
取組
実績
各校の避難所運営支援マニュアルを名古屋大学減災センターの近藤ひろ子先生指導・助
言のもと、作成することができた。今後は、年度当初の更新を図っていくとともに、地
域への周知と実際の避難所運営支援のあり方を学ぶことが課題としてあげられる。
・防災教育については、高浜カリキュラムの前倒しで各校の実情に応じて、手探りで実践
に取り組んできた。中学校では、生徒が社会貢献という形で、まちづくり協議会との防
災訓練に参加するなど、徐々に意識の向上が見られるようになってきた。
○各校の取組例
[高浜小学校]
・総合的な学習の時間に、「防災」をテーマに学習を進める。(6年)
書籍、インターネットを使った調べ学習
耐震出前講座、ストローハウス作り(10月)
名古屋市防災センターで、地震、火事、台風の体験学習
体験したこと、調べたことを、下学年に発表
・避難訓練の実施
避難経路、避難の仕方の確認(4月)、暴風雨警報発令時の避難訓練(5月)
地震発生時の避難訓練(9月)、緊急引き取り訓練(1月)
・まち協主催四町合同防災訓練(12月)、PTA餅つき大会での防災グッズ作り(1月)
[高取小学校]
・4月に火災、9月に地震の避難訓練を行い、児童の避難方法について確認、徹底させて
いる。また、新しい防災マニュアル(地震・津波対応)の作成、新マニュアルに従った
避難訓練を実施した。
・4月より高取まちづくり協議会と防災会議をもち、地震時の対応について、具体的に対
応を継続協議している。9月22日の高取まち協主催による学区の防災訓練に、児童
も多く参加した。
・5年生が、総合的な学習の時間に「災害から身を守ろう」という単元名で学習を始めて
いる。子どもにつけたい力として「災害について知り、基本的に自分の命は自分で守る
という意識と力をつける 」を目指している。
[南 中学校]
・年間4回(火災、地震、台風、不審者)の避難訓練の実施、うち1回は、高浜小学校へ
の移動訓練を含む。
・地域のまちづくり協議会主催の防災訓練への3年生参加
(南部30人、高取18人、高浜2人)
(2) 防災講演会の開催
・実際に被災した直後の学校の動きと、被災後、学校再建への取組について、映像資料を
交えて、講演していただいた。職員の防災意識を高めるよい機会となった。
市民の学び舎となる教育環境の整備
教育環境の整備
・計画的に修繕を実施したり、各校の要望に基づき修繕を実施ぢたりした。
① 主な取組例
・窓ガラス飛散防止防止フィルムを小中学校に貼る。
・児童数増により教室等の増築(吉浜小)
・各校の実情に応じて、転落防止に備えアルミの網戸サッシ、ストッパーを施工
・職員貸与パソコンの更新
② 各校の取組例
[高取小学校]
・通学路の安全点検と通学路の見直しを継続的に行っている。
・不審者情報や災害情報、学校・学年・学級の行事や連絡が保護者に伝わるように、メー
ルマガジンやホームページでの情報発信を行った。高取まち協にも協力を依頼し、青パ
トでの巡視強化を依頼した。
[翼 小学校]
・正門前に掲示板を作り、校長からのメッセージを掲示している。ホームページと連携。
・階段の踊り場に児童委員会専用の掲示板を作り、活用。
・児童昇降口にパネルを掲示する場所を作り、研究や PTA の成果をパネルにして掲示。
・プールに侵入されないように有刺鉄線をはった。
・校舎西側の歩道の花壇を「レインボー通り」と名付け、花が1年中絶えない環境作り。
・飛翔(親父の会)のメンバーで校舎二階の廊下の壁のペンキ塗り。
[高浜中学校]
・教室鍵の取り替え
・防犯用センサーライトの設置 ・北校舎教室ロッカー天板補修
・蛍光灯の種類を確認し、交換 ・花壇整備(水やり用ホースの設置)
・サッカーゴール補修
・北校舎昇降口外の電灯撤去
②教育環境整備検討委員会
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成果
自己
評価
評価
・高浜市公共施設あり方の進捗を受けて、高浜小の校舎建て替えに向けて検討した。
上記の取組で示したように、各校とも限定された予算の中で、解決すべき課題に対応す
べく最大限の努力をした。児童生徒の安全・安心を第一に焦点を当てた取組も多く実施さ
れた。また、各学校の実情に応じて転落防止の対応や全校に飛散防止フィルムをガラスに
貼るなど、安全面の対応にも心がけた。日々、危険箇所があれば速やかに対応することを
心がけて校内整備をすることにより、教師自身の安全に対する意識が高まったことも大き
な成果である。
今年度、通学路の安全確保について、引き続き関係機関へ具体的に
働きかけることにより、改善することができた。また、避難訓練の実
施、防災教育の実践、緊急時の参集体制の周知、避難所運営支援マニ
ュアルの作成、防災講演会等、職員児童ともに防災への心構えを共有
することができるとともに、防災意識を着実に高めることができた。
今後、防災会議を継続的に行う中で、地域とのつながりを深めていく
ことや学校の役割とまち協・町内会の役割を明確していくことが取り
組むべき課題である。
学校防災検討委員会の取組の成果は大きい。また、教育環境整備検討委員会の尽力もま
た大きい。この両委員会の取組によって、急速に各校の防災体制が整ってきたし、今後の
見通しが立てやすくなった。その意味で、委員会活動自体を評価するならば、A判定であ
る。しかし、この面での市内全体の課題は数多く、今後の取組と解決に期待するところ大
である。
B
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