ハイリスク薬のポイントブック<3> ~ 抗てんかん剤 ~ 目 参考 次 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 ・・・・・・ 1 ■薬学的管理指導において特に注意すべき事項 ・・・・・・ 2 ■服薬指導<対応時の注意> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 ◆てんかんとは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 ◆副作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 ◆てんかんの疫学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1.特異体質性の副作用 ・・・・・・・・・・ 25 ◆病態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 薬剤性過敏症候群、劇症肝炎、肝機能、 ◆病因 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 腎・尿路結石、続発性閉塞隅角緑内障、 ◆分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 複視、視覚障害、乏汗症 Ⅰ.てんかん発作型分類 ・・・・・・・・・・ 9 Ⅱ.てんかん、てんかん症候群および 関連発作性疾患分類 ・ 11 2.用量依存性の副作用 ・・・・・・・・・・ 26 眠気、認知機能障害 3.長期服用に伴う副作用 ・・・・・・・・ 26 ◆診断手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 体重の変化、多毛、歯肉増殖、 ◆てんかんと鑑別されるべき 巨赤芽球性貧血、クル病、骨軟化症 主な疾患 ・・ 15 ◆治療薬物濃度モニタリング ・・・・・・・ 28 ◆治療の原則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ◆抗てんかん剤による発作増悪 ・・・・・ 29 ◆抗てんかん剤の作用機序 ・・・・・・・・・ 18 ◆相互作用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ◆発作型に対応する薬剤の選択 ・・・・・ 19 ◆その他の治療 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 ◆薬物療法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ◆抗てんかん剤の中止 ・・・・・・・・・・・・・ 32 ◆妊娠とてんかん ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ◆予防接種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34 ◆自動車運転免許 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 <表>・主な抗てんかん剤一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・抗てんかん剤の『重要な基本的注意』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・抗てんかん剤の『重大な副作用』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・痙攣状態、てんかんのある患者に対して『禁忌』『慎重投与』と記載のある薬剤 ・・・ ・痙攣を引き起こしやすい抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ラモトリギンの注意点【用法用量】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 39 42 45 49 50 この冊子は、現在、愛知県薬剤師会 情報室と岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センターが共同し県 薬剤師会ホームページの会員情報に提供している『ハイリスク薬の薬学的管理指導 薬局向け参考 資料』より作成しました。 近年、抗てんかん剤の新薬発売や、てんかんのコントロール不良のために起こった自動車事故が あり、注目されています。そこで、今回はハイリスク薬の「抗てんかん剤」について冊子にまとめ ました。日常業務にお役立てください。 参考 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 ハイリスク薬の薬学的管理指導を実施する上で必要な、薬局・薬剤師が行うべき標準的な業務を 示したものが、 「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第 2 版)」 [(社)日本薬剤師会 平成 23 年 4 月 15 日]です。このガイドラインは、平成 24 年度調剤報酬点 数表「特定薬剤管理指導加算」の参考にするものです。 特にハイリスク薬については、5-Components を意識した服薬指導が望まれています。 ① 薬剤の効果(作用) :どういう効果があるか、いつごろ効果が期待できるか ② 副作用(副作用の自覚症状) :どのような副作用が起こりうるか、いつ頃から、どのように自覚されるか ③ 服薬手順 :どのように、いつ、いつまで服用するか、食事との関係、最大用量、服用を継続する 意義 ④ 注意事項 :保管方法、残薬の取り扱い、自己判断による服薬や管理の危険性 ⑤ 再診の予定(次回受診日) :いつ再診するか、予定より早く受診するのはどのような時か 個々の患者さんを薬剤のハイリスクから守るため、薬局薬剤師が投薬時に患者さんと対面におい て、情報収集し考え、フォロー・指導を行うものであり、画一的な内容では網羅しきれない綿密な 薬学的管理指導です。患者さん又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点につい ては、薬剤服用歴の記録に記載することが基本となります。 ――――――――――――――――――――――――――――― ●診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 平成 24 年 3 月 5 日保医発 0305 第 1 号より 特定薬剤管理指導加算は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指 導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当 該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。 なお、 「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」 (日本薬剤師会) 等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報に ついては事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集 については必ずしも必要とはしない。 -1- 抗てんかん剤 ◇薬学的管理指導において特に注意すべき事項 1) 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認 2) 服用患者のアドヒアランスの確認 3) 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育 4) 効果の確認(最近の発作状況を聞き取り、適正な用量、可能な場合の検査値のモニター) 5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認 ハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)抗てんかん剤より □服薬指導 薬物療法に関して、薬剤を長期服用する必要性、服用方法、注意事項などを患者に説明 し、副作用の早期発見に努めることにより、正しい服薬による良好なコントロールの維 持、QOL の維持が確保されるよう、服薬指導を行っていく必要がある。 <対応時の注意> 1.ライフスタイルに合わせた服薬指導 長期服用することが必要とされるため、患者自身または家族による日常生活の管理が 重要であり、病態を理解して積極的に治療に取り組んでいけるよう指導する。 2.服薬の意義を伝える 薬剤の作用を説明し、服薬する必要性および服用時間を守る意味を理解してもらい、 継続してきちんと服用することで治療効果があらわれることを説明する。 3.服用の不安を取り除く 副作用、発作時の対応について説明する <服薬指導のポイント> □処方内容の確認 ・適応する疾患であるか ・・・躁病、三叉神経痛等で使用させていないか ・投与量は適切か ・・・初回投与量、漸増間隔など守られているか ・てんかん発作型の理解 ・・・P8~参照 ・発作型と選択薬が適切か ・・・カルバマゼピン、ガバペンチンにより全般発作が悪化 □患者の自覚症状を確認する ・発作状況の確認 ・眠気、めまい ・中毒症状があらわれていないか ・・・P25~参照 ・歯肉増殖、多毛 ・・・フェニトインによる可能性あり →プラークコントロールやブラッシングの有用性を説明 ・発汗減少 ・・・ゾニサミド、トピラマートによる可能性あり→熱中症に注意する ・体重減少 ・・・ゾニサミド、トピラマート、スチリペントール -2- ・体重増加 ・・・バルプロ酸、カルバマゼピン、ガバペンチン ・うつ状態 ・・・うつ状態が 40%にあらわれる □服薬状況の確認 不規則服用、突然の服薬中止は反跳発作を引き起こし、てんかん重積状態を誘引する 危険性がある。 ・医師の指示どおりに決められた時間に、決められた量を服用できているか ・飲み忘れもなく、指示どおりに服用できているか →発作を予防する目的 ・医師の説明を理解しているか ・服用に困難なことがないか □服用忘れの対応 ・服用を忘れる頻度 →一包化、カレンダーや日にちごとに分けた箱など ・いつのみ忘れやすいか(タイミングの確認) ・薬剤の変更で服薬を拒否していないか ・剤型や味への不安 →液剤に変更、補助ゼリーや食べ物に混ぜるとかえって苦味が出 る場合があるので注意する ・先発医薬品と後発医薬品、後発医薬品同士での変更への不安 →説明をして理解、同 意を得る □患者のデータ(指標)を確認する ・月経周期に発作が起きていないか ある決まった時期に発作が起こる場合は、その時期に合わせて薬効が得られるよ う調整する ・検査データの確認(肝機能、腎機能、血液検査結果) ・TDM の確認 ・・・P28 参照 有効治療域の維持、過小、過量(中毒域)の確認 ・・・コンプライアンスの確認 フェニトイン →非線形 カルバマゼピン →自己誘導 □リスク因子の有無 ・腎機能障害、肝機能障害、心不全等の心血管障害の有無 ・甲状腺機能低下症の有無 ・睡眠不足、ストレス ・激しい運動や過労 ・過度のアルコール摂取の有無 ・・・飲酒の翌日に誘発しやすい ・急激な体温上昇(発熱、入浴など) ・帰宅時、入浴時などリラックスした状態 ・月経 ・・・月経前から月経中に発作が多い →月経周期に合わせてジアゼパムやアセタ ゾラミドを 1 週間程度前から服用で防止可能となることがある ・妊娠または妊娠する可能性 →バルプロ酸はできるだけ避ける ・・・P32~参照 ・抗ヒスタミン剤、抗コリン剤の服用 ・・・てんかんに影響を与える薬剤の服用を確認 ・・・P49 参照 -3- □他の疾患にかかっていないかの確認 ・うつ病 →自殺企図、自殺念慮 ・アレルギーはないか →薬剤過敏反応、抗ヒスタミン剤の使用有無 ・感染症、発熱 ・下痢 →徐放製剤で吸収低下 ・てんかん以外の症状で抗てんかん剤をのんでいないか ・禁忌の確認 ・・・P45 参照 急性狭隅角緑内障、重症筋無力症 →ベンゾジアゼピン系 重篤な血液障害 →カルバマゼピン、エトスクシミド 房室ブロック、高度の徐脈 →カルバマゼピン 幻覚妄想 →ゾニサミド、トピラマート 妊娠可能、妊婦 →トリメタジオン、バルプロ酸は原則禁忌、最小量・単剤使用 ポルフィリン症 →カルバマゼピン、バルビツール系、 □他の薬剤の併用 ・・・P30 参照 ・経口避妊薬・・・フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピンのCYP誘導、ト ピラマート(機序不明)→効果減弱 ・経口避妊薬・・・ラモトリギンのグルクロン酸抱合促進 →ラモトリギン効果減弱 ・CYP誘導作用を有する薬剤・・・フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン ・P-糖蛋白質誘導作用を有する薬剤・・・フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマ ゼピン ・ワーファリン・・・フェニトイン ・制酸剤・・・ガバペンチン □食事療法の重要性、食事量による薬剤の影響を指導 ・スチリンペントール →必ず食事中又は食直後に服用する ・食事は不規則ではないか →食事をとらなかった →服薬していない 食事に影響がない薬剤、時間指定で服用 ・食事の量や食事の時間が変わったり、間食などで食事療法が乱れていないか ・食欲不振になっていないか ・・・ゾニサミド □生活習慣の確認 ・幼稚園、学校、会社生活の中で服薬に支障がないか ・飲酒 ・・・薬剤の作用増強、てんかん発作の誘発 ・睡眠 ・・・睡眠不足は発作誘発因子として最も影響が大きい ・歯磨き ・・・歯肉増殖を防ぐためブラッシングが十分行われているか ・車の運転 ・・・眠気、発作の頻度、主治医からの運転許可の可否 ・・・P35 参照 ・運動 ・・・特に制限をする必要はないが、発作が完全に治まっていない、治まって間 もない場合は注意する。水泳や発作時の対処が困難なスポーツ、ボクシング、柔 道など脳障害起こす可能性のある種目は避けた方がよい □副作用の発症の有無を確認 ・・・P25~参照 共通して眠気、ふらつき、複視、運動失調などがあらわれる。 -4- 〔参考〕副作用と好発時期 ・皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症:1~3 週間 ・紅皮症:2~3 週間 ・再生不良性貧血:数日~1 年以上 ・溶血性貧血:7~10 日 ・血小板減少症:数週間~数ヵ月 ・過敏症症候群:2~6 週間 ・肝機能障害:平均 60 日 ・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:数日~数週間 ・発汗減少:約 1 年 ・呼吸抑制:真夜中~早朝 ・腎結石 →水分補給 ・バルプロ酸 ・・・脱毛、食欲亢進、高アンモニア血症、骨粗鬆症 ・カルバマゼピン ・・・皮疹、複視、皮膚粘膜眼症候群、骨粗鬆症 ・フェニトイン ・・・皮疹、皮膚粘膜眼症候群、貧血、多毛、歯肉増殖、骨粗鬆症 ・フェノバルビタール ・・・皮疹、認知機能障害、骨軟化症、葉酸欠乏 ・エトスクシミド ・・・食欲不振、頭痛、血液障害 ・プリミドン ・・・皮疹、皮膚粘膜眼症候群、骨粗鬆症 ・クロバザム ・・・唾液分泌過多 ・ゾニサミド ・・・精神症状、皮膚粘膜眼症候群、食欲不振、発汗減少、結石 ・ラモトリギン ・・・皮疹、皮膚粘膜眼症候群 ・ガバペンチン ・・・体重増加、肥満、複視 ・トピラマート ・・・体重減少、認知機能低下、言語障害、結石、発汗減少(体温上昇) ・レベチラセタム ・・・行動異常 ・スチリペントール・・・食欲減退、傾眠、ふらつき □OTC薬や食品(健康食品)の使用状況の確認 ・健康食品や民間薬などを摂っていないか、また摂りたいと考えていないか ・むやみに OTC 薬や民間薬を使用して、薬物療法の妨げにならないよう注意し、治療 薬との併用に問題がないか確認する ・セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 ・・・CYP3A4、1A2、 P-糖蛋白質を誘導 ・グレープフルーツジュース ・・・CYP3A4 を阻害 ・イチョウ葉エキス ・・・CYP3A4 阻害・誘導、2C19、2C9 の誘導 ・経腸栄養剤 ・・・フェニトインの吸収阻害 ・カフェイン含有食品(チョコレート、コーヒー、紅茶、日本茶、コーラ等) ・・・CYP1A2 を阻害 ・アルコール ・・・中枢抑制作用の増強 ・バレリアン、カバ ・・・中枢抑制作用の増強 ・葉酸サプリメントを摂取していないか →過剰摂取で発作を誘発する可能性あり(1 ~2mg まで) -5- □妊娠を希望しているか ・・・P32~参照 発作のコントロールができているか、薬剤の変更が可能かなど医師に相談したうえで、 計画妊娠が望ましいことを説明する ・トリメタジオンは禁忌 ・経口避妊薬との相互作用を確認 ・・・フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマ ゼピンの CYP 誘導 →経口避妊薬の効果減弱 ・低用量ピルは使用しない ・・・併用による経口避妊薬の効果減弱で、エストロゲン 50μg 以上は必要 ・葉酸摂取を勧める ・・・妊娠前からの摂取が必要 ・投与量は適切か ・・・必要最小量、単剤を原則 ・授乳による新生児の副作用発現 →原則的に服用中の授乳は可能 半減期の長いベンゾジアゼピン系、レベチラセタム、バルビツール系 →母乳中へ の移行による傾眠、低緊張、哺乳力低下に注意 ゾニサミド ・・・母乳中への移行率が高い □海外旅行・災害への備え ・事前英文の診断書、薬剤の英文名などを用意するようアドバイスする ・予備薬の持参 ・薬剤の服用時間は、機内では出発地の時間に従い、到着後は現地時刻に従って服用 する ・薬剤名、用法・用量を記録 ・・・お薬手帳、薬剤情報提供書をもっておく ・緊急カードを持参 ・・・日本てんかん協会ホームページより入手可能 ・帰宅困難になる場合を推定 ・・・数日分の薬剤を職場、学校、施設などに備えておく □家族への協力 ・発作時の対応を家族に説明しているか 口に何かを詰めるのではなく、静かに見守る 危険な場所から安全な場所への移動、衣服をゆるめ、顔を横向きにして静かに寝 かせるなど ・発作時の状況を医師に説明できるように心掛けているか ・医師への連絡先の確認ができているか ・薬剤管理の協力ができるか ・入浴時での事故が多いため家族が注意を向ける □他科受診への勧め ・複視、近視などをチェックするためにも定期的に眼科受診を勧める ・歯肉増殖がある場合は、歯科受診の必要性を説明する ・他科受診の際にはお薬手帳などを活用し、服用状況等を説明するよう指導する ・てんかんに関する情報を得られる団体の紹介 ・・・日本てんかん協会、日本てんかん 学会、日本神経学会、日本小児神経学会など ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― -6- □てんかんとは 世界保健機構(WHO、1973)によるてんかんの定義は、「種々の成因によってもたらさ れる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反射性の発作(てん かん発作)を特徴とし、それにさまざまな臨床症状及び検査所見がともなう状態」とされ ている。また、日本神経学会の『てんかん治療ガイドライン 2010』においては、 「てんかん とは慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞が過剰に興奮するために、脳の症状(発作)が反 復性(2 回以上)に起こるものである。発作は突然に起こり、普通とは異なる身体症状や意 識、運動および感覚の変化が生じる。明らかなけいれんがあればてんかんの可能性は高い」 と示しているが、最近では、国際抗てんかん連盟(ILAE)が 2005 年に発表した「脳の疾 患であり、てんかん発作をもたらす持続的な病的傾向とこれに起因する神経生物学的、認 知・心理・社会的な影響を特徴とする。てんかんというには、発作が少なくとも 1 回は起 こっていることを必要とする。」と提言した。従来の考えと異なる点は、発作は unprovoked (非誘発性)である必要はなく、①少なくとも 1 回の発作に加えて、②発作を引き起こす持続す る脳病態が存在する(今後発作が出現する可能性が高いことを示唆する状態)、③発作間欠 期に神経生物学的、認知・心理・社会的問題を伴うことなどが求められている。 →P17 参照 *「てんかん発作」と「てんかん」の違い 「てんかん発作」は、大脳の神経細胞が過剰にあるいは過同期した状態(てんかん 性活動)による症状と徴候が一過性に出現したもので「けいれん発作」という用語 と共に日常臨床的によく使われ、急性の中枢神経疾患や全身病態に伴って出現する 症状である。一方「てんかん」とは定義にもあるように、てんかん発作を引き起こ す疾病概念である。 □てんかんの疫学 てんかんは、全年齢層で起こる頻度の高い神経疾患であり、疫学調査を行う際には診断 の正確性、症例数の把握が問題となる。 1.有病率、発生率 てんかんの有病率は、わが国では、1999 年に岡山で行われた 13 歳未満の小児を対象と した調査で、0.53%との報告がある。これまで成人を対象とした本格的な疫学調査は行われ ていないが、高齢者では人口の 0.8~1.0%とされ、少なくとも 0.5~0.8%程度、総人口で換 算すると総てんかん患者は 60~100 万人ほどと推測される。2005 年の WHO の統計による と、人口 1,000 人あたり 4~10 人となっている。 一方、発症率(罹患率)は、年間人口 10 万人あたり 25~70 人とされ、年代別でみると 脳の発達途上の小児期(特に 3 歳以下)の発症が多く、成人では減少するが、65 歳以上の 高齢期では脳血管障害や脳腫瘍、頭部外傷などの高齢化に伴う器質的障害により発症が再 び増加している。 2.予後 てんかんと診断した場合には治療が行われるため、未治療で自然経過をみることは難し い。初回発作後の再発は、6 ヵ月以内で 50%、2 年以内で 46~96%となっている。なお、2 -7- 回目の発作後の再発率は 73%、3 回目は 76%である。初回発作後の脳波で異常波を認める 患者では、再発率が高い。 てんかん発作は内服加療によって約 70%が寛解となり、2 年間寛解を認め内服を中止し た場合、中止後 1 年間の再発率は 25%、2 年後は 29%とされる。 3.死亡率 死亡率は健常者の 2~3 倍高いことが報告されている。死因については①てんかんが直接 要因である、②間接要因である、③てんかんの病因と関連がある、④病因と関連がなし、 の大きく 4 つに分けられ、直接的要因として、てんかんの突然死(SUDEP)とけいれん重 積がある。SUDEP の病態はいまだに解明されていないが、てんかん患者における予期しな い突然死を意味し、難治性てんかん患者ほど発症率が高い。けいれん重積による死亡はほ とんどが脳炎、低酸素血症、頭部外傷、脳血管障害に伴う急性症候性発作で、発症後 30 日 以内が多い。間接的な死因としては、発作による事故(浴槽での溺死、転倒による頸部骨 折など)、誤嚥性肺炎、自殺がある。 □病態 正常なニューロンは、他のニューロンからの興奮性シグナルと抑制性シグナルとのバラ ンスに応じて興奮するが、てんかん発作では、抑制性シグナルの減弱や興奮性シグナルの 過剰、またはシグナル伝達シナプス間の受容体異常などで、このバランスが崩れ、大脳皮 質神経細胞過剰興奮が起こる。この時に出現する異常脳波をてんかん発射(てんかん波、 てんかん放電)という。 □病因 一般的には明らかな原因が不明な特発性てんかん、器質的原因が推定される潜因性てん かんと、病因(器質的異常)が特定できる症候性てんかんに分けられ、さらに症候性てん かんは、脳炎、頭部外傷、脳卒中など過去の疾患の後遺症として発症するてんかん(remote symptomatic epilepsy)とアルツハイマー病(神経変性疾患)など進行性疾患に伴って発 症するてんかん(progressive symptomatic epilepsy)に分けられる。特発性てんかんは約 70%を占め、大多数は多因子遺伝によるてんかんと推定されているが、多因子遺伝のメカニ ズムはまだ解明されていない。 てんかんの発症は、特発性、症候性と共に小児・若年者で多いが、高齢者で脳血管障害、 頭部外傷、脳腫瘍などの症候性てんかん患者が増加している。 □分類 現時点では、てんかんの発作分類は ILAE が 1981 年に発表した「てんかん発作型分類」 と 1989 年発表の「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患分類」が用いられてい る。それぞれ 2010 年改訂版を作成しているが、実際の多数の患者群で、2010 年版を用い て発作分類とてんかん分類の実効性の検証は全くされていない。 -8- Ⅰ.てんかん発作型分類 ILAE てんかん発作型分類(1981 年)は、てんかん発作を臨床症状と発作間欠期および 発作時脳波所見より、部分発作、全般発作、およびいずれにも分類できない未分類発作の 3つに分類している。 てんかん発作型分類 A. 1981 年発作型分類 2010 年改訂版 部分発作 焦点発作 単純部分発作(意識減損はない) A. 意識障害なし 1. 運動徴候を呈するもの 1. 2. 体性感覚または特殊感覚症状を呈するもの の概念にほぼ一致.「焦点性運動発作」または 3. 自律神経症状あるいは徴候を呈するもの 「自律神経発作」を使用可能 4. 精神症状を呈するもの(多くは“複雑部分発作”と 2. して経験される) B. 自覚的な主感覚・精神的現象.2001 年用語集 の「前兆」と一致 複雑部分発作 1. 運動徴候または自律神経症状「単純部分発作」 B. 単純部分発作で始まり意識減損に移行するもの 意識障害あり 「複雑部分発作」にほぼ一致.「認知障害発作」 a.単純部分発作で始まるもの b.自動症で始まるもの c.意識減損で始まるもの C. 1981 年発作型分類 2010 年改訂版 部分発作 焦点発作 二次的に全般化する部分発作 両側性けいれん性発作(強直、間代または強直-間代要素 1. 単純部分発作(A)が全般発作に進展するもの を伴う)への進展 2. 複雑部分発作(B)から全般発作に進展するもの 3. 単純部分発作から複雑部分発作を経て全般発作 この表現は「二次性全般化発作」の用語に代わる に進展するもの 全般発作 A. 1. 全般発作 欠神発作 A. 欠神発作 a.意識減損のみのもの 1. 非定型欠神発作 b.軽度の間代要素を伴うもの 3. 特徴を有する欠神発作 c.脱力要素を伴うもの ミオクロニー欠神発作 d.強直要素を伴うもの 眼険ミオクロニー e.自動症を伴うもの f.自律神経要素を伴うもの(b~f は単独でも 組み合わせでもありうる) 2. 非定型欠神発作 2. a.筋緊張の変化は A1 よりも明瞭 b.発作の起始/終末は急激でない -9- 非定型欠神発作 B. ミオクロニー発作 B. 1. ミオクロニー発作 2. ミオクロニー脱力発作 3. ミオクロニー強直発作 C. 間代発作 C. 間代発作 D. 強直発作 D. 強直発作 E. 強直間代発作(明確に対応するものなし) E. 強直間代発作(すべての組み合わせ) F. 脱力発作 F. 脱力発作 未分類てんかん発作 未分類てんかん発作 新生児発作 てんかん性スパスムス 律動性眼球運動 咀嚼 水泳運動 上記のカテゴリーのいずれかに明確に診断されない発作 は、正確に診断を行えるような追加情報が得られるまで「分 類不能」と判断すべきであるが、「分類不能」は分類の中の 一つのカテゴリーとみなさない. 1.部分発作(partial seizure) 左右大脳半球のどちらか一方に部分的な興奮が起こることにより開始する発作で、焦 点発作、局所発作という。また、意識障害の有無により、単純部分発作と複雑部分発作 に分けられる。 a) 単純部分発作 体の一部に発作が起こるもので、発作の症状は焦点部位の支配領域によって異なる。 意識が保たれているため、発作症状の記憶が残っている。症状としては、手足や顔が 突っ張る、ガクガクとけいれんする。片方に引かれる、回転するなどの運動機能の障 害、虫が飛んでいる、話し声が聞こえるなどの視覚や聴覚の異常が起こることがある。 b)複雑部分発作 意識障害を伴う部分発作で、精神運動発作とほぼ同義である。患者は発作中に話しか けても応答できず、発作後その間のことを覚えていないことが多い。発作持続時間は 通常 1~3 分で、衣服をいじる、口をもぐもぐさせる、舌なめずり、徘徊するといった 自動症(automatisms)と呼ばれる無意識な動作がみられる。約 80%は発作焦点が側 頭葉にあるが、前頭葉に発作起始焦点のあるものは発作時間が短く、激しい自動症を きたし発作頻度が高いなどの特徴をもつ。 c)二次的に全般化する部分発作 単純部分発作や複雑部分発作を引き起こしていた片側大脳半球の電気的興奮が反対側 にまで伝わることで、発作が体の一部から全身に広がり、意識障害や全身けいれんと いった全般発作(二次性全般発作)に進展する場合がある。主な症状は強直間代発作 だが、ときに強直発作ないし間代発作のみあらわれることもある。 -10- 2.全般発作(generalized seizure) 発作の最初から両側大脳半球が全体での異常興奮により引き起こされる発作である。 ほとんどの場合、意識障害をきたし、さまざまな運動徴候も左右両側性に認められる。 a) 欠神発作(absence seizure) 従来小発作(petit mal)と呼ばれていたもので、倒れることはないが、突然 2~10 秒 ぐらい意識を失い、活動を中断するが、またすぐに元の状態に戻り活動を再開する。5 ~6 歳の小児に多い発作で、成人ではまれである。 b) ミオクロニー発作(myoclonic seizure) 突然に手足の一部(顔面、四肢、体幹)または全身の筋肉を瞬間的にビクッと収縮さ せるミオクローヌスを起こす発作で、入眠時や運動時に認められることが多く、通常 意識障害は伴わない。発作は光刺激に誘発されやすく新生児から小児期に好発する。 c) 間代発作(clonic seizure) 意識消失と共に、筋肉の収縮と弛緩が急激に繰り返される結果、連続的で急速な関節 屈曲・伸展運動を生じ、失禁、泡状の唾液を呈する発作である。 d) 強直発作(tonic seizure) 叫び声を上げて数秒から数十秒、意識消失とともに急激かつ激しい筋肉の収縮によっ て四肢がこわばった姿勢に強直して転倒する。全身に起これば弓なりの姿勢(後弓反 張)になることも多く、眼球上転、瞳孔散大、胸部の筋のけいれんのため呼吸運動が 停止すると、チアノーゼを呈する。 軽いものは、睡眠中に突然目がボーっと見開いて、しばらく息こらえをするような感 じで、呼吸が止まるが、10 秒ほどで息が戻るような状態を示す場合がある。 e) 強直間代発作(tonic- clonic seizure) 全般発作において最もよくみられる発作で、従来は大発作(grand mal)と呼ばれてい た。強直発作が数秒から数十秒続いた後、間代発作が数十秒続く。間代発作の終わり に深い呼吸が起こり、完全な弛緩状態を経て徐々に意識が改善に向かうが、その後再 び深い睡眠状態またはもうろう状態になり、この状態からの回復には 30 分程度を要す る。発作後は健忘を残す。 f) 脱力発作(失立発作) 突然、全身または一部の筋が脱力し、膝が折れたり、首がガクッと前に倒れるという 脱力が生じる。全身の筋が脱力した場合は、そのまま倒れてしまうことがあるので失 立発作とも呼ばれる。発作の持続時間は短く数秒以内であるが、顔面や頭部の外傷を 起こしやすく、危険である。薬剤の効きづらい発作である。 g) てんかん重積状態(status epilepticus; SE) 発作がある程度の長さ(通常 30 分)以上続くか、また短い発作でも反復し、その間の 意識の回復がない状態。 Ⅱ.てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患分類 ILAE てんかん、てんかん症候群分類(1989 年)では、発病年齢、基礎疾患、発作間欠 時の症状、脳波所見、経過などを総合的に判断して、てんかん分類を行っているが、原因 -11- に関連して特発性と症候性の 2 分類と症状による発作型の部分発作と全般発作の組み合わ せの 4 分分法(2×2 分法)を基本に分類される。症候性部分てんかん以外は原則的に年齢 依存に発病し、発症年齢の要素を同時に反映している。 4分分類 病 発作型 因 特発性 (原因不明) 症候性 (脳に器質異常あり) 部分発作 全般発作 特発性局在関連性てんかん 特発性全般てんかん 症候性局在関連性てんかん 症候性全般てんかん 1.局在関連てんかん 局在関連てんかん(部分てんかん)を示唆する症候としては、①病因となるような既 往歴、②前兆、③発作起始時、発作中の局在性運動ないし感覚徴候、④自動症などがあ る。ただし、欠神発作でも自動症を伴うことがある。 a) 特発性局在関連性てんかん 小児期を中心に発症し、思春期前後に自然寛解することが多く、予後良好。 b) 症候性局在関連性てんかん 脳波は焦点性・局在性の異常を示し、病巣の部位により側頭葉てんかん、前頭葉てん かん、頭頂葉てんかん、後頭葉てんかんなどに分けられる。予後は全体として不良。 <焦点部位と症状> 前頭葉 ⇒ 運動発作 頭頂葉 ⇒ 体性感覚発作 後頭葉 ⇒ 視覚発作 側頭葉 ⇒ 自律神経発作、精神発作 ・前頭葉てんかん・・・睡眠中に起きやすく、発作焦点が前頭葉に存在するてんかんで、反 復しやすく運動発作(顔、手、足の一部のけいれん、頭部が片側に傾く、まぶたや 頬をピクピクさせるなど)を伴い、知的機能低下がみられることがある。 ・頭頂葉てんかん・・・発作焦点が頭頂葉に存在するてんかんで、体性感覚発作(体の一部 のピリピリ感、しびれなど)を起こし、ときに痛みを伴う。 ・後頭葉てんかん・・・発作焦点が後頭葉に存在するてんかんで、視覚発作(ピカピカする 物がみえる) 、感覚発作(金属のような味、変なにおいがする)などを起こす。薬剤 に反応しないことが多く、知的機能の低下がみられる。 ・側頭葉てんかん・・・複雑部分発作の 2/3 は側頭葉てんかんであり、けいれんを伴わない。 症状としては、自律神経発作(腹痛、悪心、発汗など)から始まり、意識レベルの 低下とともに口をペチャペチャさせる自動症や精神発作(未視感、恐怖感、離人感、 不思議な国のアリス症候群*など)を起こす。薬剤に反応しないことが多く、外科 -12- 的治療が必要とされる。 * 不思議な国のアリス症候群: 時間感覚の異常や物が突然通常よりも極めて小さな、または大きなものにな ったように感じられたり、ずっと遠く、あるいは近くにあるように感じられた りする、感覚異常を引き起こす症候群である。 この症候群の名前は、ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』 で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで、 1955 年にイギリスの精神科医トッド(John Todd)により名付けられた。 2.全般てんかん a) 特発性全般てんかん 25 歳以上の発症はまれであり、ほかの神経症状は認めない。これを示唆する症候は、 ①新生児期から思春期にかけて発症、②断眠やアルコールでの誘発、③起床直後の強 直間代発作あるいはミオクロニー発作、④ほかに神経症候がなく、発作型が欠神発作 である、⑤脳波で光突破反応、全般性 3Hz 棘徐波複合あるいは多棘徐波複合などがあ る。主に全体として薬物治療に対する反応性は良好で予後もよい。 b) 症候性全般てんかん 示唆する症候は、①新生児期、乳幼児期の 1 歳未満という非常に早い時期に発症、② 頻回の発作、③発症前から精神発達遅滞や神経症候、④神経症候の進行や退行、⑤広 汎性脳波異常、⑥脳形態異常などである。薬物治療に抵抗性を示すことが多く予後不 良のことが多い。West 症候群、Lennox-Gastaut 症候群などが含まれる。 ・West 症候群・・・乳幼児時期(好発年齢は 4~7 ヵ月頃)に好発し、頭をこっくりさせ た(点頭)り、上下肢を振り上げるような前屈・屈曲性痙縮(スパスム)を数秒間 隔で繰り返すことが特徴とされる。男児に多く、寝起きによく起こる。精神運動発 達遅延をきたし、特徴的な脳波異常(hypsarrhythmia)を示す。点頭てんかんは こ の hypsarrhythmia が み ら れ な い 場 合 が あ る 。 一 部 は 年 齢 と と も に Lennox-Gastaut 症候群に移行する。 ・Lennox-Gastaut 症候群・・・強直発作、非定型欠神発作、ミオクロニー発作、脱力発作 など、多彩な発作型を示し、乳児期から学童期(1~8 歳)に好発する難治性てんか んである。発作によりしばしば前方に転倒し、顔面を打ち、怪我をする危険がある。 基礎疾患に器質性脳障害をもつことが多く、知的障害を伴い、予後不良である。 〔参考〕用語の定義 てんかん発作型:特異な病態生理学的機序と解剖学的基礎を表すと思われる発作事象(ictal events)。これは病因的、治療的、予後的含意を持つ診断単位である。 てんかん症候群:特異なてんかん状態を定義する徴候と症候からなる複合体。これには発 作型以外の情報が必要である(たとえば、前頭葉発作だけでは症候群を構成しない)。 -13- てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患分類(1989 年) 1.局在関連性(焦点性、局所性、部分性)てんかんおよび症候群 1.1 特発性(年齢に関連して発病する) ・中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん (良好ローランドてんかん) ・後頭部の特発波をもつ小児てんかん 1.2 1.3 ・原発性読書てんかん 症候性 ・小児の慢性進行性持続性部分てんかん ・特異な発作誘発様をもつてんかん ・側頭葉てんかん ・頭頂葉てんかん ・前頭葉てんかん ・後頭葉てんかん 潜因性(症候性であるが病因不明のもの) 2.全般てんかんおよび症候群 2.1 特発性(年齢に関連して発病するもので年齢順に記載) ・良性家族新生児けいれん ・良性新生児けいれん ・小児欠神てんかん(ピクノリプシー) ・若年欠神てんかん ・若年ミオクロニーてんかん(衝撃小発作) ・上記以外の特発性全般てんかん 2.2 ・乳児良性ミオクロニーてんかん ・覚醒時大発作てんかん ・特異な発作誘発様をもつてんかん 潜因性あるいは症候性(年齢順) ・West 症候群(乳児けいれん、電撃・点頭・礼拝けんれん) ・Lennox-Gastaut 症候群 ・ミオクロニー性失立発作てんかん ・ミオクロニー性欠神てんかん 2.3 症候性 2.3.1 非特定病因 ・早期ミオクロニー脳症 ・suppession-burst を伴う早期乳児期てんかん性脳症 ・上記以外の症候性全般てんかん 2.3.2 特異的病因 3.焦点性か全般性か決定できないてんかんおよびてんかん症候群 3.1 全般発作と焦点発作を併せもつてんかん ・新生児発作 ・乳児重症ミオクロニーてんかん ・徐波睡眠時に特続性棘徐波を示すてんかん ・獲得性てんかん性失語症(Landau-Kleffner 症候群) ・上記以外の未決定てんかん 3.2 明確な全般性あるいは焦点性のいずれかの特徴をも欠くてんかん 4.特殊症候群 4.1 状況関連性発作(機会発作) ・熱性けいれん ・孤発発作、あるいは孤発のてんかん重積状態 ・アルコール、薬物、子癇、非ケトン性高グリシン血症等による急性の代謝障害や急性アルコ ール中毒にみられる発作 -14- □診断手順 てんかんの診断は専門家が行うが、まず発作がてんかんであるかどうかを判断すること が重要となる。診察時に発作を見ることはごくまれであるため、問診と診察により詳細な 情報を収集し、脳波検査(光刺激、過呼吸、睡眠を含む)や脳画像検査、および一般生化 学検査(尿・血液検査)を参考に発作型とてんかん症候群分類で確認する。 てんかん診断の手順 (日本神経学会: 「てんかん治療ガイドライン 2010」より) □てんかんと鑑別されるべき主な疾患 てんかん発作に似た発作がみられる疾患が多くあり、診断の際にはてんかんとの鑑別が 必要となる。鑑別すべき疾患は、年齢層により異なり、発作前後の状況や脳波変化を確認 し判断する。 1.乳幼児に多い疾患 乳幼児でてんかん発作と紛らわしい代表的な疾患は、熱性けいれんである。熱性けい れんは主に 3 歳未満の乳幼児において 38℃以上の発熱に伴って起こる 15 分未満の全身 けいれんを特徴とし、症状は発熱時のみに限られ通常は反復しない。そのほかに、体の 一部がピクつく生理的ミオクローヌス、頭を布団に叩き付けるような習慣性動作、チッ クなども発作として受診することが多い。また、乳幼児に特異的な疾患として、激しく 啼泣した後に息を止めるようにして意識を失う憤怒けいれんや軽症下痢・嘔吐に伴って 無熱性全般強直間代けいれんを起こす軽症胃腸炎関連けいれんがある。 2.未就学児・学童期に多い疾患 自身の恐怖体験や強い痛みなどによる神経調節性失神などもてんかん発作と間違われ ることがある。夜驚症は、睡眠中に突然起こる強い恐怖で、悲鳴、啼泣、興奮、頻脈な どを示し、1~10 分続く。半数は夢遊病も示す。夢遊病は睡眠中突然立ち上がる、歩き回 る、走り回るなどを示し、1~40 分続く。いずれも夜間睡眠の 1/3 の時間に起こり 4~12 歳に多い。覚醒させても起きず、本人は覚えていない。家族歴がある場合がある。また、 チック、周期性嘔吐、心因性発作なども注意が必要である。 -15- てんかんと鑑別されるべき疾患 乳幼児・未就学児 学童期以上・成人 1.熱性けいれん 1.失神(神経調節性、心原性など) 2.憤怒けいれん 2.心因性発作 3.睡眠時ミオクローヌス 3.過呼吸やパニック障害 4.夜驚症/夢遊病 4.脳卒中(脳梗塞、脳出血)、一過性脳虚血発作 5.良性乳児けいれん 5.急性中毒(薬物、アルコール) 6.軽症胃腸炎関連けいれん 6.急性代謝障害(低血糖、テタニーなど) 7.チック 7.急性腎不全 8.失神(神経調節性、心原性など) 8.頭部外傷直後 9.心因性発作 9.不随意運動 10.急性代謝障害(低血糖、テタニーなど) 10.チック 3.成人に多い疾患 突然発症の意識消失で救急外来を訪れる患者では、神経調節性失神と心因性非てんか ん発作が 40%と多く、てんかんは 29%、ついで心原性失神 7%とされる。失神の特徴は、 発作後に意識変化や疲労、倦怠感を伴わない点である。頭部外傷受傷後1週間以内に急 性けいれんを起こした患者では、将来てんかんを発症する危険率は約 25%とされる。急 性アルコール中毒や薬物中毒、離脱によりけいれん発作を起こすことがあるので、問診 による情報収集は重要となる。 〔参考〕失神とてんかんの鑑別 失神 てんかん 体位と発作の関係 立位で発作が起きることが多い 体位と発作は無関係 発作時の顔色 発作直前に顔面蒼白がみられる 変化なし 前駆症状 眼前暗黒感など ないこともあり、あっても 2~3 秒 外傷・失禁・強直性けいれん まれ 高頻度 意識消失の持続時間 短い 長い 発生時の脈拍 徐脈 頻脈 意識の回復 急に回復 徐々に回復 発作後の状態 脱力はあるが意識清明 錯乱・頭痛・嗜眠が高頻度 脳波 正常 てんかん性異常がしばしばみられる 4.高齢者に多い疾患 高齢初発てんかんが高齢化に伴い増加してきている。過去の脳血管障害に起因する焦 点発作が高齢初発てんかんの約 1/3 とされ、アルツハイマー型認知症などの変性疾患に付 随するもの、外傷、脳腫瘍などと続く。高齢初発てんかんの発作型は、複雑部分発作と 二次性全般化強直間代発作がその大部分を占めるが、高齢初発発作の複雑部分発作は半 -16- 数以上でけいれんをきたさないことが多い。 高齢者におけるてんかんと鑑別を要する疾患 神経疾患 代謝・内分泌疾患 ・一過性脳虚血発作(TIA) ・低血糖 ・一過性全健忘(TGA) ・低ナトリウム血症 ・片頭痛 ・低カリウム血症 ・ミオクローヌス ・高カルシウム血症 循環器疾患 睡眠異常症 ・神経調節性失神 ・睡眠時無呼吸症候群 ・起立性低血圧 ・REM 睡眠行動異常症 ・不整脈(Adams-Stokes 症候群) ・入眠時ミオクローヌス ・弁膜症、心筋症 ・頸動脈洞症候群 精神・心理的疾患 ・非てんかん性心因発作 ・パニック発作 ・過呼吸発作 高齢者では、他の疾患による発作も典型的でない場合があり、表の鑑別を念頭において診断を行う □治療の原則 てんかんの治療目標は、発作を抑制することで、患者の QOL を改善することであり、 治療の基本は薬物療法で、発作型に適した薬剤による単剤治療を行い、大脳の過剰な電気 的興奮を抑えることである。 最初の問題は治療をいつ始めるかということである。従来は 2 回目のてんかん発作をも って治療を考えていたが、てんかん発症リスクの高い神経疾患や神経合併症を有する場合、 および初回の発作が重積発作であったり、脳波異常が明らかで発作症状と強い関連性があ る場合には、1 回の発作でも治療開始の選択肢がある。小児てんかんでは発症早期に治療 を開始することができれば高い確率で発作を抑制することが可能となる。 てんかん重積症のような状態でない限りは、単剤での治療開始が原則である。部分てん かんに対する第一選択薬はカルバマゼピンで、全般てんかんに対する第一選択薬はバルプ ロ酸である。まず単剤での発作抑制を試み、それが難しい場合に併用を行うが、1 剤目の 抗てんかん剤で発作が約 50%、2 剤目で約 15%消失すると報告されている。初めから 2 剤 の併用治療は推奨されない。最終的には約 70~80%の患者で良好な発作コントロールが得 られている。2 年以上治療しても、発作が 1 年以上抑制されない、残り約 20~30%の患者 は難治に移行し、難治てんかんと判断され、外科治療が考慮される。 最近は、第一選択薬の効果が不十分と判断された段階で新規抗てんかん剤を用いること が推奨されている。 -17- □抗てんかん剤の作用機序 てんかん発作は神経細胞が過剰に興奮することが原因であるため、治療薬は、大脳の神 経細胞の興奮を抑制することを働きとする。主な作用機序としては、興奮性神経系である グルタミン酸機能抑制、Na+チャネル抑制、T 型 Ca2+チャネル抑制などと抑制性神経であ る GABA 作用の増強となる。 1.脳神経細胞の興奮性の異常を抑制する作用 細胞膜イオン透過性の調節 ①膜電位依存性 Na+チャネル抑制作用・・・フェニトイン、カルバマゼピン、パルプロ酸、 ゾニサミド、ラモトリギン、トピラマート 何らかの刺激により細胞膜の電位依存性 Na+チャネルが開口すると Na+が細胞内に流 入し、電位変化(脱分極)が起こる。これが一定の閾値を超えると活動電が発生する が、電位依存性 Na+チャネルが開口した状態がそのまま持続していると部分発作が発 生する。これを抑制する。 ②膜電位依存性 T 型 Ca2+チャネル抑制作用・・・エトスクシミド、バルプロ酸、ゾニサミ ド 視床のニューロンは、活動電位の群発を起こす高振幅の T 電流スパイクを発現させ、 欠神発作に特徴的な 3Hz の棘徐波活動のような視床の発振活動に重要な働きをして いる。この視床ニューロンの低閾値 Ca2+電流(T 電流)を減少させる。 L 型 Ca2+チャネルは、骨格筋・心筋・血管・脳など、多くの興奮性細胞に存在して、 細胞外から細胞内に Ca イオンを流入させる。 ③膜電位依存性 K+チャネル増強作用・・・トピラマート 電位依存性 K+チャネルは脱分極によって開口し、K イオンを流入されることで活動電 位の持続時間、発現間隔を調節する。 2.抑制性の神経伝達系を増強することで、興奮性活性を抑制する 抑制系神経伝達物質であるγアミノ酪酸(GABA)受容体遺伝子変異などがてんかん 発作の発生機序に関与することが報告されている。 ④GABAA 受容体-Cl-チャネル機能促進・・・ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、クロナゼ パム)、バルビツール系(フェノバルビタール) 、トピラマート GABAA 受容体はα、β、γの 5 サブユニット(α:β:γ=2:2:1)の中心に Cl-チャネ ル孔が形成され、2 分子の GABA が結合することで受容体が活性化され、Cl イオン が細胞外から細胞内へ流入することで神経細胞が過分極して興奮を抑制させる。 バルプロ酸は、GABA トランスアミナーゼを阻害することによって GABA 受容体近 傍での GABA の量を増大させ、結果として Cl-の作用を強める。 ⑤GABA トランスポーターを活性化・・・ガバペンチン、バルプロ酸(高用量)、スチリペ ントール 脳内 GABA 量を増加させ、GABA トランスポーターを活性化することによって抑制 性神経系である GABA 神経系機能を維持・増強させる。 -18- 3.興奮系の神経伝達系を増強することで、興奮性活性を抑制する ⑥AMPA/カイニン酸グルタミン酸神経伝達抑制・・・トピラマート グルタミン酸は興奮性の神経伝達物質として作用し、受容体は NMDA、AMPA、カイ ニン酸のサブタイプに分けられる。AMPA 受容体は Na イオンの流入をきたすため、 活性化の抑制は発作の発現を予防する。カイニン酸受容体は AMPA 受容体と類似して いる。また、NMDA 受容体においては、受容体活性化により開口したチャネルを通 じて、K+の外向き電流と Na+、Ca2+電流の内向き電流を生じる。この流入の抑制によ り発現強度の抑制と発作時間の短縮へとつながる。グルタミン酸神経伝達の抑制作用 は、全般発作にも部分発作にも有効とされる。 4.その他 ⑦炭酸脱水酵素の阻害・・・アセタゾラミド、ゾニサミド、トピラマート 炭酸脱水酵素のアイソザイムⅡ、およびⅣを選択的に阻害して、脳の CO2 濃度を局所 的に増大させることにより、脳の興奮状態を抑制する。 ⑧シナプス小胞膜タンパク(SV2A)遊離抑制・・・レベチラセタム シナプス小胞は前シナプスの神経末端内に存在する神経伝達物質を含有する小胞で、 SV2A は、この小胞膜を 12 回貫通する糖タンパクである。神経伝達物質の放出の制御 に関与していると推測されているが、その機序として細胞内基質のトランスポーター としての機能、Ca2+依存性シナプス小胞開口放出を制御する Ca2+センサーの機能を有 するシナプトタグミンの調節機能、SV2A の糖鎖部分が神経伝達物質又は ATP など を保持するマトリックスとしての機能を担う可能性が報告されている。 □発作型に対応する薬剤の選択 発作型に適合した第一選択薬を選択する。 1.部分発作 部分発作の第一選択として推奨されているのはカルバマゼピンである。眠気、ふらつ きなどの初期の副作用を避けるために、低用量から開始し、2 週間後に維持量まで増量す る。カルバマゼピンが無効な場合は、フェニトイン、ゾニサミド、バルプロ酸などが第 二選択薬となる。また、従来の抗てんかん剤で効果不十分な場合の併用薬として、新規 抗てんかん剤のラモトリギン、次いでレベチラセタム、トピラマートが推奨される。 2.全般発作 全般発作の第一選択として推奨されているのはバルプロ酸である。第二選択薬は、発 作型によって異なる。欠神発作にエトスクシミド、ミオクロニー発作にクロナゼパム、 強直間代発作にフェノバルビタールが推奨される。クロパザム、フェニトインも候補と なり得る。従来薬の併用療法として適応のある新規抗てんかん剤の中では、強直間代発 作に既存薬に次いでラモトリギン、トピラマート、次いで、レベチラセタム、欠神発作 には、ラモトリギン、ミオクロニー発作にはレベチラセタムが推奨される。 カルバマゼピン、ガバペンチンでミオクロニー発作や欠神発作が増悪するため、特発 性全般てんかんには使用しない。また、ベンゾジアゼピン系薬物は Lennox-Gastaut 症 候群での強直発作を増悪するとの報告がある。 -19- 主な抗てんかん剤の作用機序 Na チ T 型 Ca L 型 Ca GABA グルタ ャネル チャネ チャネ 機能 ミン酸 阻害 ル阻害 ル阻害 促進 抑制 ○ ○ ○ ○ ○ 略 分類 一般名 その他 語 分枝脂肪酸系 バルプロ酸 VPA ○ イミノスチルベン系 カルバマゼピン CBZ ○ フェニトイン PHT ○ ○ エトトイン EHT ○ ○ エトスクシミド ESM フェノバルビタール PB ○ プリミドン PRM ○ ○ クロナゼパム CZP ○ ○ クロバザム CLB ○ ○ ニトラゼパム NZP ○ ○ ジアゼパム DZP ○ ○ クロラゼプ酸 CLZ ○ ○ ゾニサミド ZNS ○ トリアジン系 ラモトリギン LTG ○ オキサゾリジン系 トリメタジオン TMD ヒダントイン系 サクシミド系 ○ ○ バルビツール系 ベンゾジアゼピン系 ベンズイソキサゾール ○ 炭酸脱水酵素阻害 系 ○ ○ N 型 Ca チャネル阻害 アセチルフェネトラ フェニル尿酸系 APT イド スルタム系 スルチアム STM 炭酸脱水酵素阻害 炭酸脱水酵素阻害剤 アセタゾラミド AZM 炭酸脱水酵素阻害 Ca チャネルα2σサブユニ ガバペンチン GBP ○ ○ ット結合。GABA トランスポ ーター活性化 トピラマート TPM レベチラセタム LEV ○ ○ ○ ○ 炭酸脱水酵素阻害 SV2A 遊離抑制 ○ N 型 Ca チャネル阻害 その他 スチリペントール STP ○ GABAAα3 あるいは δ サブ ユニット結合 ベンゾジアゼピン受容体へ 臭化カリウム KBr ○ の結合促進による後シナプ ス膜の過分極 -20- 抗てんかん剤の選択 発作型 第一選択薬 単純部分発作 新規抗てんかん剤 フェニトイン 複雑部分発作 部分発作 第二選択薬 ゾニサミド ラモトリギン、レベチラセタ フェノバルビタール、プリ ム、トピラマート カルバマゼピン 二次性強直間代発作 ミドン、フェニトイン ラモトリギン、トピラマート*1、 強直間代発作 フェノバルビタール レベチラセタム エトスクシミド ラモトリギン*2 強直発作 フェニトイン トピラマート*1 脱力発作 エトスクシミド ラモトリギン*2、トピラマート*1 ミオクロニー発作 クロナゼパム レベチラセタム 欠神発作 全般発作 バルプロ酸 Dravet 症候群*3の 間代発作 クロバザム及び、パルプロ酸 スチリペントール 又は強直間代発作 *1:我が国ではトピラマートの保険適応は部分発作(二次性全般化発作を含む)に対してのみ *2:我が国ではラモトリギンの全般発作に対する適応は Lennox-Gastaut 症候群のみ *3:ドラベ(Dravet)症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん、SMEI:Severe myoclonic epilepsy in infancy) 3.てんかん重積状態 てんかん重積状態に対しては迅速な治療が必要となる。ジアゼパムの静注が第一選択で、 生理食塩水、ブドウ糖で混濁するので、希釈せずに使用する。無効ならば 5~10 分後に追 加できるが、呼吸抑制に十分注意する。ジアゼパムを静注した場合、けいれん抑制効果は 20 分といわれている。第二選択薬としてフェニトイン(あるいはホスフェニトイン)の静 注も行うこともあるが、目の前の発作に対して即効性のあるジアゼパムが使われ、フェニ トインの作用時間は長いが、効果発現までに 20 分は必要とされる上、心不全を避けるた め緩徐に静注する必要がある。投与する場合は再発予防と考え、ジアゼパム静注直後にフ ェニトインを静注する。 また、2012 年 1 月にフェニトインのプロドラッグとして、ホスフェニトインが発売さ れた。ホスフェニトインは輸液に希釈でき、フェニトインと比較して速い速度で静注が可 能であり、組織障害が少ない。 -21- □薬物療法 →主な抗てんかん剤一覧・・・P37 ①分枝脂肪酸系: バルプロ酸ナトリウム(デパケン錠、R 錠、細粒、シロップ) 作用機序は明らかではないが、GABA トランスアミナーゼに対する弱い阻害、電位 依存性 Na+チャネルを阻害し、さらに低閾値 T 型 Ca2+電流を阻害することで興奮性 神経伝達系を抑制するとされている。カルバペルム系抗菌薬とは併用禁忌。 ②イミノスチルベン誘導体: カルバマゼピン(テグレトール錠、細粒) Na+チャネルを阻害して興奮性神経伝達系を抑制し、全般発作の抑制効果が高く、特 に単純部分発作では第一選択薬とされる。CYP3A4 を主とする代謝酵素の阻害およ び誘導による薬物相互作用が多い。また、単回投与の血中半減期は約 36 時間である が、反復投与した場合には CYP3A4 の自己誘導が起こり、代謝が促進されるため 16 ~24 時間となる。眠気、めまい、ふらつき、複視をはじめ副作用が多い。 ③ヒダントイン系: フェニトイン(アレビアチン錠、散、ヒダントール錠、散) Na+チャネルを阻害して興奮性神経伝達系を抑制し、全般発作、部分発作に対して有 効性が高いが、欠神発作には無効である。水溶性が低いため食後に投与した方が吸 収がよい。服用量と血中濃度が比例せず、10μg/mL に達すると急に濃度が上昇す る。CYP2C9 および 2C19 で代謝され、CYP3A、2B6 誘導作用をもつため薬物相互 作用が多い。主な副作用としては、貧血(葉酸欠乏)、運動失調、多毛、歯肉肥厚な どである。混合発作型への単剤使用は症状を悪化させる。 ④サクシミド系: エトスクシミド(エピレオプチマル散、ザロンチンシロップ) T 型 Ca2+チャネル阻害による興奮性神経伝達系を抑制し、てんかん小発作に有効で ある。CYP3A4 で代謝され、CYP3A4 の阻害、誘導作用をもつため薬物との相互作 用に注意する。副作用は比較的少なく、食欲不振、体重減少、眠気、頭痛、運動失 調などが起こる。混合発作型への単剤使用は大発作の誘発、症状を悪化させる。 ⑤バルビツール系: ・フェノバルビタール(フェノバール錠、末、散、エリキシル他) GABAA 受容体のサブユニットに存在するバルビツール酸誘導体結合部位に結合す ることにより、抑制性伝達物質 GABA の受容体親和性を高め、Cl-チャネル開口作 用を増強して神経機能抑制作用を促進する。また、Ca2+チャネル抑制作用、Na+チャ ネル抑制作用ももつ。副作用は少ないが、血中濃度が 40~45μg/mL 以上になると眠 気、眼振、運動失調及び構音障害等がしばしば発現する。CYP3A 誘導作用をもつた め薬物相互作用が多い。 ・プリミドン(プリミドン錠、細粒) 欠神発作以外のほとんどの型のてんかんに有効である。生体内でフェノバルビター ルとフェニルエチルマロンアミド(PEMA)の活性代謝物を生成する。慢性投与に -22- より蓄積され、かなりの眠気とめまいを起こすので、少量から投薬を開始し、徐々 に増量していく。代謝酵素に CYP3A、2B6 誘導作用をもつため薬物相互作用が多い。 ⑥ベンゾジアゼピン系: ・ニトラゼパム(ベンザリン錠、細粒、ネルボン錠、散) ・クロナゼパム(ランドセン錠、細粒、リボトリール錠、細粒) ・クロバザム(マイスタン錠、細粒) GABAA 受容体のサブユニットに存在するベンゾジアゼピン結合部位に結合するこ とにより、抑制性伝達物質 GABA の受容体親和性を高め、Cl-チャネル開口作用を 増強して神経機能抑制作用を促進する。副作用としては、鎮静作用、耐性が生じる。 また、特に小児や高齢者で喀痰増加、気道分泌過多、唾液分泌過多、嚥下障害があ らわれ、肺炎、気管支炎に至ることがある。 ⑦ベンズイソキサゾール系: ゾニサミド(エクセグラン錠、散) 作用機序については、まだ完全に解明されていないが、Na+チャネルと T 型 Ca2+チ ャネルを阻害することで興奮性神経伝達系を抑制すると考えられている。部分てん かんおよび全般てんかんの各発作型、これらの混合発作型に対して効果が認められ ている。副作用においては食欲不振と共に体重減少が高頻度に発現するとされる。 また、可逆的ではあるが、汗腺の機能を低下させるため、特に夏季、乳幼児で発汗 障害によるうつ熱に注意する。 新規抗てんかん剤 ⑧ラモトリギン(ラミクタール錠)→注意点【用法用量】・・・P50 チュアブル・ディスパーシブル錠で、水なしで咀嚼又は少量の水に溶かして水剤と しても服用できる。部分てんかんおよび全般てんかんに対して効果が認められてお り、既存の抗てんかん剤では十分にコントロールできない場合の併用療法薬として 使われている。他の新規抗てんかん剤と異なり、小児の Lennox-Gastaut 症候群に おける全般発作にも適応が認められている。Na+チャネルを頻度依存的かつ電位依存 的に抑制することによって神経膜を安定化させ、グルタミン酸等の興奮性神経伝達 物質の遊離を抑制することにより抗痙攣作用を示すと考えられている。また、L 型、 N 型電位依存性 Ca2+チャネルの阻害作用も報告されている。副作用においては、皮 膚粘膜眼症候群および中毒性表皮壊死症等の重篤な皮膚障害があらわれることがあ る。バルプロ酸との併用は、ラモトリギンの代謝を抑制するので作用が増強する。 ⑨ガバペンチン(ガバペン錠、シロップ) 作用機序は不明であるが、GABA 関連受容体を含めて各種受容体および主要なイオ ンチャネルとは結合せず、既存のてんかん薬とは異なる機序で抗けいれん作用を発 現することが示唆されている。電位依存性 Ca2+チャネルの α2δ サブユニットに結 合して前シナプスで Ca2+の流入を抑制し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制するこ とが寄与しているものと考えられている。他の抗てんかん薬で十分な効果が認めら れない二次性全般化発作を含む部分発作に併用される。主な副作用は、傾眠、浮動 性めまい、頭痛、複視、倦怠感等である。 -23- ⑩トピラマート(トピナ錠) 抗けいれん作用は電位依存性 Na+チャネル抑制作用、電位依存性 L 型 Ca2+チャネル 抑制作用、AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用、GABA 存在下に おける GABAA 受容体機能増強作用および炭酸脱水酵素阻害作用に基づくと推定さ れている。他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない二次性全般化発作を含む 部分発作に併用される。ほとんどが腎臓で排泄されるが、肝臓では主に CYP3A4 に より代謝を受ける。主な副作用は、眠気、倦怠感、体重減少、発汗減少である。 ⑪レベチラセタム(イーケプラ錠) 従来の抗てんかん剤と全く異なる作用機序をもつ。各種受容体及び主要なイオンチ ャネルとは結合しないが、神経終末のシナプス小胞タンパク質 2A(SV2A)との結 合、N 型 Ca2+チャネル阻害、細胞内の Ca2+遊離抑制、GABA およびグリシン作動 性電流に対するアロステリック阻害の抑制、神経細胞間の過剰な同期化の抑制など が確認されている。部分発作の他に、全般性強直間代発作、Lennox-Gastaut 症候群、 ミオクロニー発作などにも有効が認められている。腎排泄で、他の抗てんかん剤と の相互作用をほとんど示さない。副作用としては、めまい、眠気、鼻咽頭炎がある。 ⑫スチリペントール(ディアコミットカプセル、ドライシロップ) 脳における主要な抑制性神経伝達物質である GABA のシグナル伝達を増強すること により、抗てんかん作用を示す。その薬理作用メカニズムとして、①神経終末より 放出された GABA の取り込み阻害作用、②GABA 分解酵素(GABA トランスアミナ ーゼ)の活性抑制作用、③GABAA 受容体のシグナル伝達における促進性アロステリ ック調節作用が挙げられる。また、CYP 阻害作用に基づく薬物代謝阻害作用により、 併用抗てんかん薬の血中濃度を高め、その抗痙攣作用を増強すると考えられている。 クロバザムおよびバルプロ酸で効果不十分な Dravet 症候群患者の間代発作または強 直間代発作に対して併用して使われる。胃酸で分解されるため必ず食物と同時に服 用する。オーファンドラッグ。 てんかん発作型、てんかん症候群に対する新規薬の効果 発作型/症候群 GBP TPM LTG LVE STP 部分発作 + + + + ? 全般性強直間代発作 ? + + + + 欠神発作 -* ? + ? ? ミオクロニー発作 -* + + + ? Lennox-Gastaut 症候群 ?* + + ? ? Dravet 症候群 ? + -* ? + +:有効 -:無効 ?:不明 *:ときに発作増悪 GBP:ガバペンチン、TPM:トピラマート、LTG:ラモトリギン、LVE:レベチラセタム、 STP:スチリペントール -24- □副作用 →『重要な基本的注意』一覧・・・P39 →『重大な副作用』一覧・・・P42 抗てんかん剤の副作用には、薬剤に対する特異体質性の副作用、用量依存性の副作用、 長期服用に伴う副作用がある。一般に単剤に比べて多剤併用で副作用が出現しやすい。共 通する副作用には、眠気、運動失調などの中枢神経の抑制による症状である。 1.特異体質性の副作用 リスクファクターとしては、遺伝子的背景、年齢、服薬開始量などがあげられる。 ◇薬剤性過敏症候群(Drug-induced hypersensitivity syndrome;DIHS) 薬剤投与 2~6 週間後(多くは 4~6 週間後)と遅発性に発症し、高熱と臓器障害を伴う 重症の薬疹で、薬剤中止後も遷延化することがある。 症状に、発疹が紅皮症様の移行、発疹、発熱、肝機能障害等の再燃、腎障害、HHV-6(6 型ヒトヘルペスウイルス)抗体価上昇、サイトメガロウイルス検出があり、薬剤アレル ギーとウイルス感染が複合的に関与していると考えられる。肝機能検査値の異常や異型 リンパ球出現など HS に特徴的な症状の発現に十分注意し、症状に応じてステロイドの投 与など適切な処置を行い、再燃や遷延化を防ぐことが重要である。 ◇劇症肝炎、肝機能障害、黄疸 フェニトインの投与後 1~6 週間で発症することが多く、通常は中止後数週間で回復する が、場合により数ヵ月からまれに数年も遷延する例が報告されている。好酸球増加、発 疹、リンパ腫脹、発熱、落屑性皮膚炎等の症状がみられることから、アレルギー性肝障 害と考えられている。また、フェニトインによる肝障害は、肝細胞障害型が多いが、胆 汁うっ滞型の症例も報告されている。 ◇腎・尿路結石 腎疝痛、腹部痛等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適正な処置が必要 である。アセタゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤において、クエン酸塩の尿中排泄量 の減少と尿 pH 値の上昇を引き起こすことにより結石の形成を促すとの報告がある。他 の炭酸脱水酵素阻害剤との併用やケトン食療法中の患者への投与は、結石が形成されや すくなる生理的環境を作り出す可能性があるため注意が必要である。また結石のリスク 軽減のためには十分な水分補給が推奨されている。 ◇続発性閉塞隅角緑内障及びそれに伴う急性近視 続発性閉塞隅角緑内障を伴う急性近視症候群の患者では、視力の急激な低下および眼痛 などが出現し、それに伴う突然の頭痛や吐き気、嘔吐が生じることがある。眼科所見で は近視、浅前眼房、眼の充血(発赤)、眼圧上昇がみられ、更に散瞳が認められる場合も ある。海外において、これらの症状は投与開始後 1 ヵ月以内に発現することが多いと報 告されている。発現機序は、構造骨格のスルホンアミド類およびスルホンアミド類類似 構造に対する過敏反応が関連していると考えられている。具体的には、スルホンアミド 類の服用後、①水晶体の調節機能の異常、②NaCl の代謝変化による水晶体組織の変化、 ③塩分貯留による水晶体屈折力の増加、④水晶体での水分の取り込み、⑤水晶体表面の 湾曲増大による毛様体の浮腫、⑥水晶体が前方へ移行する結果、前眼房が浅くなり、急 性近視が発現すると考えられている。投与中は観察を十分に行い、必要に応じて眼科的 -25- 検査を行い、また視力の急激な低下、眼痛等の症状が発現した場合には、服用を中止し 適切な処置を行うことが必要である。 ◇複視、視覚障害、眼振 てんかんの薬物療法の経過で、複視、眼振、眼筋麻痺といった眼症状があらわれること がある。この種の副作用は用量関連型副作用であり、ほとんどの抗てんかん剤は投与量 が過量になるとあらわれ、通常、減量または投薬の中止により消失する。 ◇乏汗症及びそれに伴う高熱 ゾニサミド、トピラマートの服用は発汗減少による熱中症に注意する。炭酸脱水酵素阻 害作用が、汗生成を阻害する可能性が考えられる。投与中は観察を十分に行い、体温の 上昇に留意して高温環境下をできるだけ避け、発汗減少、体温上昇等の症状が発現した 場合には、症状の程度に応じ、減量または中止するなど適切な処置を行うことが必要で ある。なお、あらかじめ水分を補給することで症状が緩和される可能性がある。 2.用量依存性の副作用 薬理作用や薬剤用量に基づく副作用で、発症を予測することができる。 ◇眠気 ほとんどすべての抗てんかん剤で、投与初期に認められる。過度の眠気は、日常生活動 作を低下させ、起床直後や眠気の強い時間帯に発作の生じやすい患者では、発作を増悪 させる場合がある。 ◇認知機能障害 フェノバルビタール、トピラマートに多く発現する。高用量のトピラマートでは、反応 時間の延長、学習能力の低下などが用量依存的に起こる。ゾニサミドは無気力、うつ症 状、不安感などの精神症状を起こす。 3.長期服用に伴う副作用 抗てんかん剤を長期に服用することで発生する副作用で、患者自身が薬剤に関連したも のと気がつきにくい症状である。 ◇体重の変化 ゾニサミド、トピラマートの服用は体重減少に注意する。早い場合では服用開始後1ヵ 月以内に認められ、多くは 6 ヵ月までに出現する。 一方、体重増加は、バルプロ酸で多くみられるが、カルバマゼピン、ガバペンチンでも 起こりうる。 ◇多毛 フェニトイン療法開始 2~3 ヵ月で約 5%に多毛症があらわれることがある。四肢が多い が、躯幹や顔面にもあらわれることがあり、露出した皮膚の部分に起こると、特に女性 の場合には美容上の問題となる。フェニトインの投与による多毛症は、投薬量とは関係 がないといわれており、ほとんどの場合は投与を中止しても消失しないが、まれには投 薬を中止してから 1 年ほどで消失する例もある。露出部分の毛を剃るしか方法はないが、 過酸化水素水を含む漂白剤の使用によりあまり毛が目立たなくなったとの報告もある。 -26- ◇歯肉増殖 フェニトイン、フェノバルビタールにみられ、特に小児や女性に多く認められる。フェ ニトイン治療開始 2~3 ヵ月で成人の 40%、小児の 60%に生じる。発症機序は不明だが、 コラーゲン代謝変化によるものと考えられる。投与を中止するほどではなく、口腔内を 清潔にすることで最小限にすることができる。 ◇巨赤芽球性貧血 巨赤芽球性貧血は、ビタミン B12 または葉酸の欠乏によって起こる貧血であるが、抗てん かん剤投与による巨赤芽球性貧血は患者の血清葉酸濃度が低下することが原因であると 考えられている。抗てんかん剤の投与により葉酸欠乏が生じる正確な機序は不明である が、以下の説が述べられている。 1)フェニイトンは葉酸の腸管からの吸収を阻害する。 2)フェニイトンが葉酸代謝に関与する肝の酵素を誘導し、葉酸の消費を早める。 3)フェノバルビタールとプリミドンは葉酸と同じピリミジン環をもつので、競合作用に より葉酸を低下させる。 抗てんかん剤投与による巨赤芽球性貧血はビタミン B12 の投与で改善をみることは極め て少なく、治療には葉酸の投与が必要である。少量の葉酸の投与により抗てんかん剤の 継続投与も可能であるが、てんかん患者に対する葉酸の大量投与は、強直間代発作(大発 作)を誘発することがあるので注意する必要がある。 ◇クル病、骨軟化症 骨代謝障害の発症機序の一つとして、抗てんかん剤による肝臓でのビタミン D の不活性 化の促進が考えられており、活性型ビタミン D の低下によって血清カルシウム低下が引 き起こされ、クル病、骨軟化症が起こるとされている。この他にも、抗てんかん剤によ る小腸でのカルシウム吸収障害による血清カルシウムの低下、それに続く甲状腺機能亢 進による骨吸収の亢進、食餌中のビタミン D の不足、日光露出不足、骨組織への直接作 用、患者の素因等の要因も考えられている。臨床検査上では血清カルシウム・リン・ビ タミン D の低下、ALP の上昇が認められるのが特徴である さらに、アセタゾラミドによる代謝性アシドーシス、腎尿細管障害がクル病や骨軟化症 を生じさせやすくする要因として重視されており、特にアセタゾラミドと他の抗てんか ん剤の併用に際しては注意すべきであるといわれている。 フェニトインは、ビタミン K の代謝を促進し、骨での正常な Ca2+代謝に重要なビタミン K 依存性タンパク質の濃度を低下させる。骨軟化症がビタミン D 投与により必ず改善さ れるとは限らないのはこのためである。 -27- □治療薬物濃度モニタリング(TDM) 抗てんかん剤は、治療有効域と中毒域が近接している特徴があり、ガイドラインでは血 中濃度の測定は、臨床上の必要性に応じて行うとされている。血中濃度測定が推奨される 場合としては、血中濃度上昇による副作用出現時、薬剤の服用状況の確認、投与量決定の 際とされる。また、多剤併用時、妊娠前、妊娠中、てんかん重積状態治療時、肝障害、腎 障害など、臨床上必要性のある時に測定するとされる。 個人差が大きく影響し、一般の有効血中濃度域はあくまでも目安として使用すべきで、 治療域以下でも発作がコントロールされている患者、治療域上限以上の血中濃度がコント ロールに必要な患者がいることにも留意すべきで、中毒域に起こる症状に注意しながら、 発作のコントロールを目安に投与量を設定する。 代謝は年齢により、変動する。カルバマゼピンを除く抗てんかん剤の吸収速度は、成人 より乳幼児の方が速いとされる。また、血中半減期は、生後 1~3 週間の新生児期は極めて 長く、その後生後 2~3 ヵ月にかけて短くなる。さらに思春期では代謝速度が低下し、体重 が増加するにもかかわらず過量投与となることが多くなる。 バルプロ酸においては、幼少期の方が成人よりもクリアランスが大きいため投与量に対 する血中濃度は低くなる。 ラモトリギンでは、妊娠中の血中濃度が低下しやすい。 主な抗てんかん剤の有効血中濃度範囲と中毒症症状 一般名 有効血中濃度 中毒発現血中 (μg/mL) 濃度(μg/mL) 主な中毒症状 バルプロ酸 40~120 200(個人差有) せん妄、昏睡、吐き気、嘔吐、傾眠、めまい カルバマゼピン 4~12 8 以上 眠気、悪心・嘔吐、眼振、複視、運動失調 フェニトイン 10~20 20 以上 眼振、複視、運動失調、知能低下 エトトイン 15~50 資料無し エトスクシミド 40~100 100 以上 吐き気、めまい、頭痛、妄想、運動失調 フェノバルビタール 10~35 35 以上 眠気、眼振、運動失調、昏睡状態 プリミドン 3~12 15 以上 運動失調、嗜眠状態 クロナゼパム 0.03~0.07 0.04~0.27 眠気、倦怠感、ふらつき、脱力 クロバザム 0.1~0.4 資料無し 眠気、倦怠感、ふらつき、脱力 ニトラゼパム 0.02~0.2 0.2 以上 眠気、倦怠感、ふらつき、脱力 ゾニサミド 20 前後 30 以上 認知機能低下、眠気、注意力低下 ラモトリギン 確定せず 3~15 確定せず 皮膚障害 ガバペンチン TDM 必要なし 2~20 資料無し 傾眠、浮動性めまい、運動失調、眼振 トピラマート TDM 必要なし 5~20 資料無し 運動失調、失語、倦怠感、傾眠、認知低下 レベチラセタム TDM 必要なし 12~46 資料無し 傾眠、激越、意識低下、攻撃性 -28- □抗てんかん剤による発作増悪 1.逆説的効果 適切な抗てんかん剤を使用したにもかかわらず、発作が増悪する現象である。ほとん どあらゆる薬物の単剤および多剤の多量投与において逆説的に発作が悪化しうること、 特定の薬剤によって発作が悪化する場合がある。カルバマゼピンを部分てんかんに使用 した結果、けいれん重積を呈したり、ミオクロニー発作や欠神発作を悪化させることが ある。このため、カルバマゼピンは特発性全般てんかんには使用しない。また、ベンゾ ジアゼピン系薬剤は Lennox-Gastaut 症候群の患者でけいれん重積を生じることがある ため過量投与には注意を要する。ラモトリギンを局在関連てんかんの成人に投与した結 果、けいれん重積を呈した報告やローランドてんかん*にミオクローヌスが発現したとい う報告もある。 「中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん」の別名。小児 * ローランドてんかんは、 期の代表的な良性てんかんで、特別な脳障害の無い発達が正常な子どもで、3 歳から 14 歳にかけて、主に片側の顔面、手や腕がピクピク・ガクガクとする短いけいれんが特 徴的で、睡眠中特に寝入りばなや朝起きる前に起こる。経過は良好で、ほとんどが思 春期以降、自然に発作も止まり脳波のてんかん性異常も消える。 2.不適切な選択 不適切な薬剤の選択が発作の増悪を引き起こすことがある。カルバマゼピンやフェニ トインが特発性全般てんかんを悪化させた結果、もともとの発作のみならず新たにミオ クロニー発作や欠神発作、脱力発作を誘発することがある。 3.過量投与 フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギンなどで報告があり、減薬により症状は 改善される。 -29- □相互作用 抗てんかん剤の主な代謝酵素 CYP 一般名 基質 誘導 VPA 有り CBZ 3A4(主) 1A2,2B6,2C8,2C9,2C19,3A4(強) PHT 2C9,2C19(主) 2B6,2C8,2C9,2C19,3A4(強) ESM 3A4 PB 2C19(主) PRM 代謝 阻害 1A2,2A6,2B6,2C8,2C9,3A4(強) グルクロン酸抱合、β酸化 グルクロン酸抱合 1A2,2B6,2C8,2C9,3A4(強) CZP 3A4(主) 有り CLB 3A4(主) ,2C19 有り ZNS 3A4(主) LTG 影響なし GBP 該当なし TPM 誘導しない なし 3A4(主・弱) LEV 該当しない SEP 1A2,2C19,3A4 誘導しない 有り 1.CYP の誘導 ・経口避妊薬・・・カルバマゼピン、フェニトイン、バルビツール系、トピラマートの ステロイド代謝酵素を誘導 作用を減弱させるため、より高度のエストロゲン(少なくとも 50μg/日)が必要 ・フェニトイン・・・CYP2C9、2C19 で代謝、CYP3A、2B6 を誘導 カルバマゼピン、ワルファリン、ホルモン剤などの代謝を促進。 ・カルバマゼピン・・・CYP1A2、2C9、3A4(強)を誘導 自身の CYP3A4 を誘導する(自己誘導)を有する。 ・バルプロ酸・・・CYP2C9、2C19 を誘導 ・セント・ジョーンズ・ワート含有食品・・・CYP3A4 を誘導 2.CYP の阻害 ・クラリスロマイシン、スチリペントール、グレープフルーツ・・・CYP3A4 の阻害 ・ゾニサミド、トピラマート、カルバマゼピン、バルプロ酸、スチリペントール、ア ミオダロン、ニフェジピン・・・CYP2C9、2C19 を阻害 3.P-糖蛋白質の誘導 ・フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン 4.グルクロン酸抱合 ・バルプロン酸・・・カルバペネム系がグルクロン酸抱合反応を促進 -30- 抗てんかん剤の相互作用-血中濃度の変化 追加薬 元の抗てんかん剤の血中濃度 VPA VPA PB ↑↑ PB ↓ PRM ↓ PRM *1 ↑ PHT ZNS ↓ *2 → ↓ →*4 ↓ ↓ ↓ *3,6 ↓ *5 CBZ ↓ →↑ ↓ PHT ↓↓ ↑→ ↓*5 ZNS CBZ ↑ ↓↓ *6 ↑→ CZP → ↑ → → ↓ → ↑ ↑↑ CLB ↑↑ ↑ ESM ↑ ↑ → ↓ ↑ ↑↓ ↓→ ↑ ↑ AZM GBP → → → → → TPM ↓ → → → ↑ LTG ↓ → → → → CZP ↓ CLB ESM GBP TPM LTG ↓ ↑ → ↓ ↑↑ ↓ ↓ → ↓ ↓ → ↓ ↓ →↓ ↓ ↓ ↓ → ↓↓ ↓ ↓→ ↓ ↓ ↓ → ↓↓ ↓ ↑ → → → 血中濃度:↑上昇、↑↑著増、↓減少、↓↓著減、→不変 (てんかん治療ガイドライン 2010 より) *1:一過性、*2:一過性に減少するが不変、*3:総濃度は減少、非結合型は上昇、*4:少し増減、実質 的には不変、*5:PRM→PB を促進、PRM 減少、PB 増加、*6:CBZ-epoxide は増加 □その他の治療 ◇外科療法 治療の基本である薬物療法で発作をコントロールできない難治てんかんに対して、てん かん原性焦点を切除する手術である。 外科治療可能なてんかんとして、①内側側頭葉てんかん、②器質病変を有する部分てん かん、③器質病変を認めない部分てんかん、④片側半球の広範な病変による部分てんか ん、⑤失立発作を有する全般てんかん、である。 ◇ACTH 療法およびビタミン B6(大量)療法 主に West 症候群にもちいられ、点頭てんかん発作に対する抑制効果が認められている。 ◇ケトン食療法 ケトン体はβ-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称で、小児(2~5 歳)の難治 例に試みられることがあるが、抗けいれん作用の機序はいまだ不明である。極度の高脂 肪、炭水化物に加え、水分やカロリー制限が厳しく、栄養士による管理が必要とされる ため入院しなければならず、外来で長期に維持することは難しい。症候性全般てんかん (West 症候群、Lennox-Gastaut 症候群)や脱力発作、ミオクロニー発作の難治なもの が適応となる。 -31- □抗てんかん剤の中止 抗てんかん剤の終結は、てんかん症候群の分類、発症年齢、患者年齢などの要因から再 発の可能性、再発した場合の危険性、社会的因子を十分考慮し、患者・家族と合意の上で 行う。発作のない時期が長いほど治療中止後の再発率は低く、中止の決定には最低 2 年間 の発作消失が必要である。離脱症状を防ぐためにごく少量ずつ長期間(6 ヵ月間はかける) にかけて漸減していく。 □妊娠とてんかん 妊娠は症状に影響を与える。約 1/3 の患者では悪化し、1/3 で改善、残りは不変である。 全般発作に比べて部分発作では発作頻度変化が起こる可能性が高い。 妊娠したてんかん患者における奇形発生率については、健康女性における発生率に比べ て明らかに高い値を示すとされ、これまでに報告された奇形の種類は、口唇裂、口蓋裂、 心奇形が多く、バルプロ酸、カルバマゼピンでは二分脊椎の関連についても報告がある。 妊娠が予想される場合の抗てんかん剤の選択は、可能であれば単剤にし、バルプロ酸を 避けることが望ましい。バルプロ酸は投与量、血中濃度に依存して奇形発現率が増加する ため、特に 1,000mg/日以下の投与量が望ましい。やむを得ない場合は分割投与、あるいは 血中濃度の安定化を図る目的から徐放製剤使用を推奨する。さらにやむを得ず 2 剤以上を 併用使用する場合は、バルプロ酸+カルバマゼピンあるいはフェニトイン+プリミドン+フェ ノバルビタール、カルバマゼピン+バルビツール系などの組み合わせが奇形発現を増加させ る。新規抗てんかん剤では、ラモトリギンの副作用が少ないことから使用を推奨されるが、 わが国では単剤使用が保険適応で認められていない。バルプロ酸との併用で二分脊椎など の奇形発現率が高まるとの報告がある。トピラマートの奇形発現率はバルプロ酸とほぼ同 様に高い。 これまでの国内外の抗てんかん剤の催奇形性に関する研究をもとに、日本てんかん学会 ガイドライン作成委員会より「てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドラ イン」が報告されている。妊娠・出産が可能な場合は、妊娠前から断薬を試みることが望 ましいが、発作が十分に抑制されていない場合では、断薬により発作が悪化する可能性が ある。患者のてんかん重篤度、生活技能に対する能力などを判断し、妊娠・出産の可否を 説明し、判断は本人および家族にゆだねる。 分娩に関しては、分娩時合併症としての前期破水や臍帯異常に関する報告はほとんどみ られず、通常の出産が可能である。 ◇葉酸、ビタミン K の補充 抗てんかん剤によっては、葉酸代謝に影響し、葉酸欠乏が神経管欠損の危険因子となる。 非妊娠時から 0.4mg/日程度、妊娠時は 0.6mg/日、授乳時は 0.5mg/日の補充が望ましい。 また、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピンなど肝代謝誘導 作用をもつ薬剤は母親のビタミン K の濃度を下げるため、新生児頭蓋内出血および分娩後 の出血を増悪させる可能性がある。妊娠中最後の 2 週間はビタミン K を母親に経口投与す べきである。 -32- ■てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン 1. 妊娠前 (1) 妊娠前カウンセリングに十分な時間をとる てんかんの重篤度、生活技能に対する能力等を判定し、妊娠、出産が現実的か否かについて家 族を含めて討議し、その可否の判断は本人とその家族にゆだねる。 (提供すべき情報には経口避妊薬に対する抗てんかん薬(antiepileptic drug:AED)の作用、妊娠 中の発作、妊娠・出産経過、 胎児・新生児への AED の影響、産褥経過、てんかんの遺伝性、 児の発達など) (2)妊娠前の発作の抑制を試みる a)必要最小限のAED単剤で試みる。Trimethadione (TMD)は使用せず、valproate(VPA)投与が必 須 の 症 例 で は 徐 放 剤 が 望 ま し い 。 単 剤 で の 投 与 量 の 目 安 は primidone(PRM) 、 carbamazepine(CBZ)は400mg、VPAは1000mg、phenytoin(PHT)は200mg/日以下が望ましい。 b)とくに避けるべきAEDの組み合わせPHTまたはCBZとバルビツール剤、VPAとCBZ (3)葉酸の補充を行う 2.妊娠中 (1)定期的な通院を勧め、胎児モニタリング、AED・葉酸濃度を測定する (2)AED 投与量の増量は服薬が規則的でかつ発作が悪化した時にのみ行う。 (3)VPA、CBZ 服用例では妊娠 16 週で血清 AFT の測定、妊娠 18 週で超音波診断を行う。 (4)全般性強直間代発作を起こす症例では切迫流・早産に注意する。 3.出産時及び産褥期 (1)基本的に通常の分娩が可能。 (2)分娩前後の不規則服薬によるけいれん発作の頻発、重積状態に注意する。 (3)出産時には児にビタミンKを投与する。 (4)授乳は原則的に可能(benzodiazepine とバルビツール剤を服用している母親の場合は新生児の状 態を注意深く観察し、傾眠、低緊張、哺乳力低下などの症状があれば、母乳を控え、できれば血中 濃度を測定するなどの臨機の対応をすべきである)。 (5)産後にAED血中濃度が上昇する症例ではAEDの投与量を調整する。 (6)母親の睡眠不足を避けるため、可能な場合には育児で家族の協力を求める。 4.産後(乳幼児期) (1)小児科医、小児神経科医による心身の発達検査を定期的に受けることが望ましい。 (2)ハンデイキャップを持つ子供、発達の遅れている子供に対する適切な指導を行う。 (兼子 -33- 直他:「てんかん研究」 2007;25(1):27-31) □予防接種 以前は、予防接種によって、てんかん発作が誘発されるとされ、てんかん患者への予防 接種は禁じられていたが、1994 年に予防接種法が改正され、 「てんかん発作が抑制され、最 後の発作から 2~3 ヵ月程度経過している場合には、どの予防接種も問題ない」とされた。 また、2003 年に厚生省が提示した予防接種ガイドラインの中では、重症心身障害児やてん かんをもつ小児は、感染症に罹患した際の重症化や、発熱によるけいれんの再燃や重積症 などのリスクが高く、むしろ積極的に行うことが望ましいとされている。しかし、発作が 抑制されていない場合や、発熱によって長時間発作が誘発されやすい場合には、予防接種 の有益性の判断が必要となる。 ■てんかんをもつ小児に対する予防接種基準(日本小児神経学会推薦基準) 1.コントロールが良好なてんかんをもつ小児では最終発作から 2~3 カ月程度経過し体調が安定し ていれば現行のすべてのワクチンを接種して差し支えない また乳幼児期の無熱性けいれんで観察期間が短い場合でも良性乳児けいれんや軽症胃腸炎に 伴うけいれんに属すものは上記に準じた基準で接種してよい 2. 1. 以外のてんかんをもつ小児でもその発作状況がよく確認されており病状と体調が安定してい れば主治医(接種医)が適切と判断した時期にすべての予防接種をして差し支えない 3. 発熱によってけいれん発作が誘発されやすいてんかん患児(特に乳児重症ミオクロニーてんかん など)では発熱が生じた場合の発作予防策と万一の発作時の対策(自宅での抗けいれん剤の使 用法救急病院との連携や重積症時の治療内容など)を個別に設定・指導しておく(注 1) 4. ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)療法後の予防接種は 6 カ月以上あけて接種する(注 2) 5. 免疫グロブリン大量療法後(総投与量が約 1~2g/kg)の生ワクチン(風疹麻疹水痘おたふくかぜ など)は 6 カ月以上、それ以下の量では 3 カ月以上あけて接種する。ただし接種効果に影響がな いその他のワクチン(ポリオ BCG DPT インフルエンザなど)はその限りでない 6. なおいずれの場合も事前に保護者への十分な説明と同意が必要である (注 1) 特に麻疹含有ワクチン接種後 2 週間程度は発熱に注意し早めに対処する また家庭での発作予防と治療のためのジアゼパム製剤などの適切な用法・用量を個別に十分検討してお くこと(同剤の注腸使用もあるが適応外使用のため保護者に同意を得ておく必要がある) 発作コントロール 不良の患者では入院管理下でのワクチン接種も考慮する(2007.8 追加) (注 2) ACTH 後の免疫抑制状態における生ワクチン接種による罹患と抗体獲得不全のリスクは ACTH 投与量投 与方法で差があるので主治医(接種医)の判断でこの期間は変更可能である -34- □自動車運転免許 てんかん患者の自動車運転免許の所得・更新については、2002 年の道路交通法改正によ り、それまで運転免許取得の絶対的欠格事由だったが、主治医の診断書または臨時適性検 査に基づき所得が可能となった。道路交通法施行令では「発作が再発するおそれがないも の、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に 限り再発するもの」では免許取得が可能となった。 具体的には、 ①過去 5 年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨 の診断を行った場合 ②発作が過去 2 年以内に起こったことがなく、医師が「今後、X 年程度であれば、発作 が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合 ③医師が 1 年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作 に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合 ④医師が 2 年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のお それがない」旨の診断を行った場合 <中型・大型および第二種免許について> 日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が投薬なしで過去 5 年間なく、 今後も再発のおそれがない場合を除き、通常は、中型免許(中型免許(8t 限定)を除く。)、 大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有している。「道路交通法施行令」の運 用基準には、上記の日本てんかん学会の見解に沿って運用する旨記載されている。 患者には、必要に応じて警察に相談し、運転免許を所得している場合でも、体調不良などがあ れば運転を控えるよう指導する。 -35- 〔参考〕 1) 日本神経学会監修:てんかん治療ガイドライン2010 2) 日本 TDM 学会 TDM ガイドライン策定委員:抗てんかん薬の TDM ガイドライン(案). Draft version 1.2.,2012 3) 兼子 直他:てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン,てんかん研究 Vol.25 No.1,27-31,2007 4) 辻 貞俊編:てんかん,新しい診断と治療 ABC 74,最新医学社,2012 5) 高橋幸利編:新規てんかん薬マスターブック,診断と治療者,2012 6) 木村 健:45 疾患の薬学管理チェックシート,じほう,2008 7) 日本薬剤師会編: 「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」 (第 2 版) 8) 医学情報科学研究所編:病気がみえる Vol.7 脳・神経 第 1 版,メディックメディア,2011 9) 岡田元宏編:知っておきたいてんかん診療,Modern Physician Vol32 No.3,新興医学社, 2012 10) 堀 美智子:ハイリスク薬 説明支援ガイドブック,じほう,2011 11) グッドマン・ギルマン:薬理書 第 11 版,廣川書店,2007 12) 樋口宗史他:ラング・デール薬理学,271-290,西村書店,2011 13) 田中千賀子他:NEW 薬理学 改訂第 6 版,南江堂,2011 14) 吉尾 隆他:薬物治療学 第 2 版 てんかん,514-526,南山堂,2013 15) 大橋京一他:ローレンス臨床薬理学,西村書店,2006 16) 渡部陽子:医薬品の適正使用 抗てんかん薬,レシピ Vol.7 No.4,34-52,南山堂,2008 17) 金澤 治:てんかん,レシピ Vol.7 No.4,8-29,南山堂,2008 18) 宮崎長一郎他:ハイリスク薬 抗てんかん剤における薬学的管理指導,日本薬剤師会雑誌 第 64 巻 第 8 号,1007-1010,日本薬剤師会,2012 19) 大槻泰介:てんかんの病因と疫学,治療 Vol.94 No.10,1664-1669,2012 20) 清野 裕他:病態生理に基づく臨床薬理学,メディカル・サイエンス・インターナショナ ル,2008 21) 井門敬子編:ハイリスク薬チェックシート,じほう,2010 22) 日本てんかん学会ホームページ:http://square.umin.ac.jp/jes/ 23) 日本てんかん協会ホームページ:http://www.jea-net.jp/ 24) 各社 添付文書及びインタビューフォーム 愛知県薬剤師会 薬事情報室作成 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター編集 2013/03/06 -36- -37- 薬剤名 主な商品 名 一般名 剤型 用量(成分量/日) EHT エトトイン アクセノン 末 アレビア フェニトイ チン・ヒダ 散・錠 ン ントール 毎食後および就 寝前の4回 食後3回 細・錠 散・錠 ベンザリ ン、ネル ボン ベン ズイ ソキ エクセグ ZNS ゾニサミド サ ラン ゾー ル系 適宜分割 成人:最初1日100~200mg。以後1~ 2週毎増量、200~400mgまで漸増。 最高600mgまで。小児:最初2~ 1~3回 4mg/kg。以後1~2週毎増量、4~ 8mg/kgまで漸増。最高12mg/kgまで 成人・小児:5~15mg。年齢,症状に より適宜増減 参考:各医薬品添付文書・インタビューフォーム :ハイリスク治療薬2010 じほう ニトラゼ パム 3A4 3A4( 主) 3A4( 主) 成人10mgより開始。徐々に増量。維 1~3回。他の抗 3A4( 持量10~30mg。適宜増減、最高 40mgまで。小児0.2mg/kg開始。徐々 てんかん薬と併 主)、 2C19 に増量。維持量0.2~0.8mg/kg。適宜 用して使用 増減、最高1.0mg/kgまで 成人・小児:初回量0.5~1mg。徐々に 増量。維持量2~6mg。乳、幼児:初 1~3回 回量0.025mg/kg。徐々に増量。維持 量0.1mg/kg。年齢、症状適宜増減 ランドセ クロナゼ CZP ン、リボト 細・錠 パム リール NZP CYP 1A2,2B6,2 C8,2C9,2 C19,3A4( 強) 誘導 2C9,2 2B6,2C8, C19( 2C9,2C19 主) ,3A4(強) 3A4( 主) 基質 1A2,2B6,2 C8,2C9,3 A4(強) 1A2,2A6,2 末・10%散・錠・内 2C19( B6,2C8,2 用液1~4回,坐 主) C9,3A4( 強) PRM プリミドン プリミドン 細・錠 成人30~200mg,小児(坐)4~7mg/kg 成人2~3回,小 成人450~1000mg,小児150~600mg 児1~3回 成人1~3g,小児0.5~1g 200~300mg,学童100~300mg,幼児 50~200mg,乳児20~100mg 最初200~400mg,至適効果まで(通常 600mg)徐々に増量。1200mgまで増量 1~2回 可。小児は100~600mg 細・錠・シ2~3 回,徐放錠1~2 回,徐放顆1回 用法(1日) 成人初期3日間250mgを就寝前。以 後3日間毎250mgずつ増量。1,500mg まで漸増。2,000mgまで増量可。小児 初期3日間125mgを就寝前。以後3~ 初期就寝前、2 4日間毎125mgずつ増量。次の標準 ~3回分割 投与量まで漸増 ~2歳250~ 500mg、3~5歳500~750mg、6~15 歳750~1,000mg、増量可 フェノバ フェノバル ルビター ビタール ル ベン ゾジ アゼ CLB( クロバザ マイスタン 細・錠 ピン CBM) ム 系 バル ビ ツー ル系 PB エピレオ サク エトスクシ プチマル・ 散・シ シミ ESM ミド ザロンチ ロップ ド系 ン ヒダ ント イン 系 PHT イミ ノス カルバマ テグレトー CBZ 細・錠 チル ゼピン ル ベン 分枝 バルプロ 細・顆・ デパケン・ 脂肪 VPA 酸ナトリ 錠・シ 400~1200mg セレニカ 酸系 ウム ロップ 分類 略語 有り 有り 有り 阻害 排泄 1/2 特徴 ・他のヒダントイン系薬剤と比較し、毒性 が低く、歯肉増殖や運動失調などの副 作用が極めて少ない ・精神運動発作にも有効 ・他の抗てんかん剤で無効および副作 用で投薬中止に有用だが、他の抗てん かん剤と併用して用いられることが多い ・フェノバルビタールに比較し、鎮静作用 少なく、側頭葉てんかん有効 ・定型欠神発作を除くてんかん発作の各 型に効果を示す ・単独投与においても効果あり ・多剤併用の難治症例に対しても効果 有り ・他薬で効果不十分な部分発作、全般 発作に対して、他の抗てんかん薬との 尿主、糞 併用で有用性が認められている 便 ・1日1~3回投与が可能で、併用薬の投 与回数に合わせることができる 尿主、糞 便一部 4 ・薬物相互作用が多い 奇形報 告有 4 ・薬物相互作用が多い 奇形報 告有 ・混合発作型への単剤 - 使用は大発作の誘発、 奇形報 症状を悪化させる 告有 - 奇形報 告有 ・薬物相互作用が多い 5 ・混合発作型への単剤 奇形報 使用は症状を悪化させ 告有 る ・食欲不振と共に体重 減少が高頻度に発現 8.97±2.27 μg/mL 15μg/mL 以上 40~45μ g/mL以上 100μ g/mL以上 20μg/mL前後 20~200ng/mL 受けな 資料無し い 200ng/mL 以上 40~ 3~40ng/mL(確 265ng/mL( 立されてない: 確立されて 国内報告) いない:海 外報告) 3~12μg/mL 10~25μg/mL 40~100μ g/mL 15~50μg/mL 資料無し 強直間代発作 20μg/mL 10~20μg/mL 以上 小さい 4~8μg/mL 200μ g/mL以上 (個人差有) 中毒発現 血中濃度 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 C 奇形報 告有 - 他のベ 系奇形 報告有 - 他のベ 系奇形 報告有 有効血中濃度 2010.2作成 2013.3更新 40(50)~ 受けな 120(150)μ い g/mL 食事 妊婦リス の影 響 ク 5 ・カルバペルム系抗菌 奇形報 薬とは併用禁忌 告有 欠点 ・強力な抗けいれん作用と広範囲な抗て 4 んかんスペクトラムを有する 他のベ ・1処方90日間投与まで ・難治性てんかんにも優れた臨床効果 系奇形 を発揮する 報告有 ・主代謝物はフェノバルビタール ・小発作の改善と、特有異常脳波をも改 尿28%未 善する 変化体,糞 ・欠神発作のみならず、難治性ミオクロ ニー発作、失立発作、点頭てんかんなど 便 に対しても発作抑制が期待できる 腎,尿の pH がア ・部分発作、全般発作、精神運動発作、 ルカリ性 自律神経発作に有効である になると ・特に小児のてんかんにおいては第一 排泄率は 選択薬のひとつである 高くなる 尿主 代謝物は抗 けいれん作 尿主 用無し 肝45~65% 後グルクロ ン酸抱合 利点 ・眠気、めまい、ふらつ 4 尿78%,糞 全般発作の抑制効果が高く、特に単純 き、複視をはじめ副作 奇形報 便28% 部分発作では第一選択薬 用多い 告有 CYP10%,グ 腎(主),糞 ルクロン酸 便・呼気 抱合40%,β (少) 酸化30~ 代謝 主な抗てんかん剤一覧 -38- 薬剤名 主な商品 名 スチリペ ディアコ ントール ミット 阻害 資料無し 資料無し 代謝 特徴 1歳以上には、1日50mg/kgを分割経 口。1日20mg/kgから開始、1週間以 ドライシ 上の間隔で10mg/kgずつ増量。ただ 2~3回 ロップ、 し、体重50kg以上には、1日1000mgか 食事中又は食直 カプセ ら投与開始、1週間以上の間隔で 後 ル 500mgずつ増量。1日最大投与量は 50mg/kg又は2500mgのいずれか低 い方を超えない 分割 該当しない 1A2、 3A4、 2D6、 2C19 2C9 腎 2/2 抱合及び酸 化反応によ 主に尿 り広範に代 謝される ほとんど代 謝されない ・オーファンドラッグ ・クロバザム及びバルプロ酸ナトリウム ・承認条件として全例 で十分な効果が認められないDravet症 調査 候群患者における間代発作又は強直間 代発作 胃酸で 資料無し 速や かに分 解され るため 食事 中に服 用 資料無し 資料無し 20μg/mL 以上で中 小児てんかんで 毒症状出 は8~14μ 現有り。30 g/mL μg/mL 以 上 小さい 記載無し 不詳 資料無し 45μ g/mL(赤血 球内濃度) 資料無し 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 高用量 で動物 の出生 児生存 率低下、 胎児・出 生児体 重低下、 骨化遅 延・反射 影響 ・フェノバルビタール、 動物催 フェニトイン等との相互 奇形性 作用(クル病、骨軟化 有 症)あり C 動物催 奇形性 有 ・経口避妊薬、ジゴキシン、ワルファリン の代謝に影響しない ・蛋白結合はほとんど見られない ・血液透析除去可能 ・代謝物に薬理活性無し 成人1 日1000 mg を1 日2 回に分け てる。1 日3000 mg を超えない範囲で 適宜増減。増量は2 週間以上の間隔 1日2回 をあけて1 日用量として1000 mg 以下 ずつ CYPで代謝 該当しない されない。ア 他の抗てんかん薬の代 セトアミド基 腎 謝には影響しない の酵素的加 水分解 C 奇形報 告有 ・AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容 体機能抑制作用など幅広い作用機序 で、抗けいれん作用を示す ・中等度or重度の腎機能障害患者は、 通常の半量使用を推奨 受けな 資料無し い 8~15μg/mL - 他てん かん薬 併用で 奇形報 ・多剤と併用して、特に有効率の高い精 神運動発作に用いる ・鎮静・催眠作用がわずかで、精神状態 や行動能力への影響が少ない 代謝程度は少ない。 成人:初回50mg~100mg、以後1週間 1日1回又は1日2 <推定>CYP3A4(主)、 以上間隔をあけて漸増。維持量200 回。維持量時は CYP1A1、CYP2C8、 ~400mg。最高投与量600mgまで 2回分割 CYP2C9、CYP2C19 中毒発現 血中濃度 ジメタジオンとし て700μ 資料無し g/mL(海外報 告) 資料無い 5:厳禁 抗てん かん薬 中最も 催奇形 性高 - 動物催 奇形性 有 ・腎機能障害のある患 者、高齢者は用量注 意。 ・投与中止時は、2週間 以上かけて徐々に減量 する ・羞明が起きることあ り:自然消失or重症投 薬中止有り 有効血中濃度 受けな 資料無し い 食事 妊婦リス の影 響 ク ・皮膚粘膜眼症候群、 中毒性表皮壊死症等 C の重篤な皮膚障害に注 安全性 意 未確立 ・用法用量に特に注意 欠点 2010.2作成 2013.3更新 ・精神運動発作には優れた効果を示す ・他薬で効果不十分の成人および小児 (2歳以上)に適応が認められている ・チュアブル・ディスパーシブル錠であ り、水とともに服用、咀嚼して服用、水に 懸濁して服用と状況に合わせて服用方 法が選択できる 利点 C 動物奇 形無 尿 腎・胆汁 尿主 尿、糞 排泄 ・体内でほとんど代謝されず、肝薬物代 謝酵素の誘導・阻害作用をもたず、相互 作用を起こしにくい ダイアモッ 成人には1日250~750mgを分割経 錠,末,注 クス 口,静脈内又は筋肉内注射投与 アセタゾ ラミド AZA 錠 錠 CYP 誘導 成人~13歳以上:初日600mg、2日目 1200mg、3日目以降、維持量1200mg ~1800mg、適宜増減。最高投与量は 2400mgまで 阻害 3回分割経口投 該当 誘導しな 代謝されな 3~12歳:初日10mg/kg/日、2日目 しな 与 しない い い 20mg/kg/日。3日目以降の維持量は い 3~4歳40mg/kg/日、5~12歳25~ 35mg/kg/日。症状により適宜増減、 最高投与量は50mg/kg/日 参考:各医薬品添付文書・インタビューフォーム :ハイリスク治療薬2010 じほう その 他 レベチラ イーケプ セタム ラ LEV トピナ ガバペン ガバペン 錠 チン トピラ TPM マート GBP 錠 スル スルチア オスポ タム STM ム ロット 系 成人200~600mg。適宜増減 末・錠 フェ アセチル ニル クラン APT フェネトラ 尿酸 ポール イド 系 2~3回分割、食 資料 後 無し 資料 無し 成人0.3~0.4g、小児0.1~0.2gから始 める。十分な効果まで0.1gずつ漸増 し、有効投与量を決め維持量とする。 3回毎食後 維持量 成人0.6~1.2g、学童0.4~ 0.6g、幼児0.3~0.4g、乳児0.2g。適宜 増減 散 基質 資料 無し 用法(1日) 成人:1.0g(散として1.5g)。適宜漸増。 最高2.0g(散として3.0g)限度。小児:成 毎食後3回 人量を基準として体重により決定。症 状、耐薬性に応じて適宜増減 用量(成分量/日) オキ トリメタジ サゾ TMD ミノアレ リジ オン ン系 剤型 影響 なし 一般名 トリ ラモトリギ ラミクター 錠・小 バルプロ酸Na併用か否か、グルクロ アジ LTG ン ル 児用錠 ン酸抱合誘導薬剤併用か否かで違う ン系 分類 略語 主な抗てんかん剤一覧 -39- 症 状 悪 化 機 械 操 作 注 意 眼 障 害 検 査 減 量 時 ○ 代謝性アシ ドーシス 尿素サイクル ○ 異常症 横紋筋融解 症 電解質異常 目のかすみ、 白内障 まれに肝障害 (投与初期6ヵ 月以内多い) ○ 急激な意識障 害 悪性症候群 ミオクローヌ ス重積状態 ヒダントイン系 サクシミド バルビツール酸系 系 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1/3 ○ ジアゼパ ム ダイアッ プ坐剤 ベンゾジアゼピン系 フェニトイ エトスクシ クロナゼパ クロバザ エトトイン フェノバル プリミド ム バルプロ カルバマ ン ミド ム ン 酸Na ゼピン アレビア アクセノ ザロンチ ビタール ランドセン、 マイスタ チン ン末 ンシロッ リボトリール ン てんかん重積 ○ 状態 表れる副作用 症状 血液、肝機 ●投与前、投与中 能、腎機能障 →定期的に血液・肝・腎機 害。不整脈、 能・心電図検査を行う QT延長 弱視、視覚異 ●眼障害について注意 常、霧視、複 視等 眠気、注意 力・集中力・ ○ ●自動車の運転等危険を 反射運動能 伴う機械の操作は注意 力等の低下 眠気、抑う つ、運動過剰 ●投与初期は少量、慎重に 眠気、ふらつ 維持量まで漸増 き等 →注意 降圧作用に ●高所作業、自動車の運 基づくめま 転等危険を伴う機械を操作 い、ふらつき ●抗てんかん剤の投与 +混合発作型 発作が悪化 無効の小発作(欠神発作、 又は誘発 非定型欠神発作、脱力発 作、ミオクロニー発作) ●連用中:急激な減少or中 止 →徐々に減量 ●連用中:急激な減少or中 止 →3~4日間毎に1回3mL(ピ ラセタムとして1g)ずつ1日3 回の割合で減量 ●投与中止 →注意 ●連用中 →定期的に肝・腎機能、血 液検査が望ましい ●投与初期6ヵ月間 →定期的に肝機能検査、患 者の状態を十分に観察 その後連用中 →定期的に肝機能検査が 望ましい ●定期的に眼科検査が望 ましい ●用量調整をより適切に行 うために血中濃度測定が望 ましい ●連用 →定期的に検査を行う ●長期投与 →観察を十分に行うととも に、必要に応じてCK(CPK) 等の臨床検査が望ましい ●疑われる場合、本剤投与 前にアミノ酸分析等の検査 を考慮する →アンモニア値の変動に注 意し、十分な観察を行う ●投与中、特に長期投与時 →重炭酸イオン濃度測定 等の検査を患者の状態に 応じた適切な間隔で実施す ることが望ましい 重要な 基本的注意 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 抗てんかん剤の 『重要な基本的注意』 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ニトラゼ ラモトリギ ガバペン トピラ ゾニサミド パム ン チン マート ベンザリ エクセグ ラミクター ガバペン トピナ ン ラン ル ベンズイ ソキサ ゾール系 ○ ○ ○ ○ ○ ピラセタ ム ミオカー ム その他 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ その他 オーファン ○傾眠、 ふらつき 高頻度 ○ スチリペ ントール ディアコ ミット ○1ヶ月 以上かけ る 各医薬品添付文書参照 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 ○ ○ オキサゾ フェニル尿 スルタム リジン系 素系 系 炭酸脱 水酵素 阻害薬 レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾ セタム オン フェネトライ ム ラミド イーケプ クランポー オスポ ダイア ミノアレ ラ ル ロット モックス ○2週間 以上かけ る 2010.1作成 2013.3更新 -40- 表れる副作用 症状 眠気、悪心・ 嘔吐、眩暈、 過 ●特に投与開始初期、過量 複視、運動失 量 投与の徴候 調等 投 眼振,構音障 与 害,運動失 調,眼筋麻痺 小発作の誘 ●混合発作型では、単独投 発または増悪 与により招くことがある 大発作の誘 発又は増悪 [混]強直間代 発 発作誘発や 作 回数が増加 ●混合発作型へ投与 誘 [L]induced 特にLennox症候群へ投与 発 microseizures (睡眠中の多 呼吸発作等) を誘発 発作が悪化ま ●投与によりある たは誘発 ●連用 薬物依存 依 ●比較的若年齢から長期 耐性の上昇 存 使用 耐 抗けいれん作 性 ●長期投与 用の減弱= 耐性発現 ●フルマゼニル(ベンゾジア 併 ゼピン受容体拮抗剤)を投 用 与しない ●併用抗てんかん薬との相 互作用 喘鳴,喀痰増 小 加,気道分泌 児 過多,唾液分 ・ ●観察 泌過多,嚥下 高 障害があらわ 齢 れ,肺炎,気 管支炎に至る ●体温上昇 夏 →高温環境下をできるだけ 発汗減少 季 避ける ●投与開始から8週間以内 発疹は斑状 に高い 丘疹性にあら バルプロ酸ナトリウムと併 われることが 用 多く、重篤な 発 小児 皮膚障害 疹 ●投与開始8週間以内+小 児 発疹及び発 →初期徴候は感染と誤診さ 熱等 れやすい ●特に、投与量の増加、長 期投与 体重増加、肥 体 →食事療法、運動療法等 満の徴候 重 定期的に体重計測を実施 ●特に長期投与時 体重減少 定期的に体重計測を実施 ●結石を生じやすい患者 結 →十分水分を摂取するよう 腎・尿路結石 石 指導 出 ●血小板凝集抑制作用が 出血 血 ある 重要な 基本的注意 ヒダントイン系 サクシミド バルビツール酸系 系 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 2/3 ジアゼパ ム ダイアッ プ坐剤 ベンゾジアゼピン系 フェニトイ エトスクシ クロナゼパ クロバザ エトトイン バルプロ カルバマ ン フェノバル プリミド ム ミド ム 酸Na ゼピン アレビア アクセノ ザロンチ ビタール ン ランドセン、 マイスタ チン ン末 ンシロッ リボトリール ン 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 抗てんかん剤の 『重要な基本的注意』 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ニトラゼ ラモトリギ ガバペン トピラ ゾニサミド パム ン チン マート ベンザリ エクセグ ラミクター ガバペン トピナ ン ラン ル ベンズイ ソキサ ゾール系 ○ ピラセタ ム ミオカー ム その他 その他 オーファン ○食欲減 退 スチリペ ントール ディアコ ミット 各医薬品添付文書参照 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 ○ オキサゾ フェニル尿 スルタム リジン系 素系 系 炭酸脱 水酵素 阻害薬 レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾ セタム オン フェネトライ ム ラミド イーケプ クランポー オスポ ダイア ミノアレ ラ ル ロット モックス 2010.1作成 2013.3更新 -41- 表れる副作用 症状 ●血液透析により除去 透 →透析実施日は本剤の補 析 充投与を考慮 ●他のバルプロ酸ナトリウ ム製剤を使用中に切り替え る →血中濃度が変動すること ●統合失調症の興奮状態 への使用+抗精神病薬で 十分な効果が認められない 場合 ●小児用の製剤 ●徐放化製剤 →重篤な下痢では血中濃 度が十分に上昇しない可能 性がある ●熱性けいれんに用いる場 使 合 用 →発熱時の間歇投与とし、 条 37.5℃発熱を目安に、すみ 件 やかに直腸内に挿入 ●片頭痛患者において、頭 痛発作発現の消失・軽減に より患者の日常生活への支 障がなくなったら一旦本剤 の投与を中止し、投与継続 の必要性について検討す る。改善が認められない場 合は、漫然と投与を継続し ない ●双極性障害患者・うつ症 状患者は希死念慮あり 自殺企図の →開始早期並びに投与量 おそれ を変更する際は注意深く観 察 ●投与開始に先立ち、主な 副作用について患者に説 明し、異常が認められた場 合には、速やかに主治医に 連絡するよう指示 ●有効性及び安全性につ いて患者に十分説明し、同 意を得る (1) 国内においては比較 臨床試験が実施されていな いこと。 (2) 一般臨床試験におい 説 て、少数例で有効性と安全 明 性が検討されたものである ●片頭痛患者において、発 現した頭痛発作を緩解する 薬剤ではない →本剤投与中に頭痛発作 が発現した場合は頭痛発 作治療薬を頓用すること ●家族等に自殺念慮や自 殺企図、興奮、攻撃性、易 刺激性等の行動の変化及 び基礎疾患悪化があらわ れるリスク等の説明を行 い、医師と緊密に連絡を取 り合うよう指導 重要な 基本的注意 ヒダントイン系 サクシミド バルビツール酸系 系 ○ ○ ○ ○ 3/3 ○ ○ ジアゼパ ム ダイアッ プ坐剤 ベンゾジアゼピン系 フェニトイ エトスクシ クロナゼパ クロバザ エトトイン バルプロ カルバマ ン フェノバル プリミド ム ミド ム 酸Na ゼピン アレビア アクセノ ザロンチ ビタール ン ランドセン、 マイスタ チン ン末 ンシロッ リボトリール ン 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 抗てんかん剤の 『重要な基本的注意』 ○ ○ ○ ○ ニトラゼ ラモトリギ ガバペン トピラ ゾニサミド パム ン チン マート ベンザリ エクセグ ラミクター ガバペン トピナ ン ラン ル ベンズイ ソキサ ゾール系 ○ ピラセタ ム ミオカー ム その他 その他 オーファン スチリペ ントール ディアコ ミット 各医薬品添付文書参照 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 オキサゾ フェニル尿 スルタム リジン系 素系 系 炭酸脱 水酵素 阻害薬 レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾ セタム オン フェネトライ ム ラミド イーケプ クランポー オスポ ダイア ミノアレ ラ ル ロット モックス 2010.1作成 2013.3更新 -42- 意識がぼんやりする、 疲れる、食欲がない、 体がだるい、皮膚が かゆい、皮膚や眼が 黄色くなる 意識がうすれる、考え がまとまらない、判断 力が低下する 顔色が悪い、疲れや すい、だるい、頭が重 い、どうき、息切れ 体がだるい、頭が重 い、頭痛、めまい、耳 鳴り、動悸、息切れ、 鼻血、歯ぐきからの出 血 初期症状 ヒダントイン系 フェニトイ エトトイン ン 参考:各医療用医薬品添付文書 重篤副作用疾患別マニュアル メルクマニュアル家庭版 バルビツール酸系 1/3 ○(不明) ○(2.6%) ○(不明) ○(不明) ○(類薬: フェノバ ルビター ル) ○(類薬: フェノバ ルビター ル) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(0.1%未 満) ○(不明) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ (TEN) ン) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(不明) ○(0.5%) ○(不明) ○(0.1%未 ○(不明) 満) (不明)=頻度不明 ○(不明) 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) クランポー オスポロッ ダイアモッ ディアコ ル ト クス ミット ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) イーケプ ミノアレ ラ ○(0.1%未 満) ミオカー ム ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) トピナ ○(好中 球減少 症:不明) ○(不明) ○(0.1%未 満) ラミクター ガバペン ル ピラセタ ム その他 ○(不明) ○(不明) ベンザリ エクセグラ ン ン ラモトリギ ガバペンチ トピラ ン ン マート 2010年3月作成 2013年3月更新 オキサゾ フェニル尿 スルタム 炭酸脱水 その他 リジン系 素系 系 酵素阻害 オーファン レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾラ スチリペ セタム オン フェネトライ ム ミド ントール ○(不明) ○(不明) ○(不明) ダイアッ プ坐剤 ゾニサミド ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) マイスタ ン クロバザ ジアゼパ ニトラゼ ム ム パム ベンゾジアゼピン系 ベンズイソ キサゾール 抗てんかん剤の『重大な副作用』一覧 クロナゼ フェノバ パム ルビター プリミドン ランドセ ザロンチン ル ン、リボト シロップ リール サクシミド 系 エトスクシ ミド ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) フェニトイ ○(類薬: ○(不明) フェニトイ ○(類薬: ○(不明) ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) ○(不明) ○(不明) フェニトイ ン) バルプロ カルバマ 酸Na ゼピン アレビアチ アクセノン ン 末 無顆粒球 突然の高熱、さむけ、 症、赤芽球 ○(不明) のどの痛み 癆 手足にあざができる、 血小板減少 ○(不明) 出血しやすい 単球性白血 - 病 手足のまひやしびれ、 血栓塞栓症 しゃべりにくい、胸の 痛み、呼吸困難 激しい腹痛、発熱、は 急性膵炎 ○(不明) き気、嘔吐 間質性腎炎 尿量が少なくなる、ほ (急性腎不 とんど尿が出ない、一 全)、ファン 時的に尿量が多くな ○(不明) コニー症候 る、発疹、むくみ、体 群 がだるい 腎・尿路結 石 階段を登ったり、少し 無理をしたりすると息 切れがする・息苦しく PIE症候群、 なる、空咳からせきが 間質性肺炎 出る、発熱する、など がみられ、これらの症 状が急に出現したり、 持続したりする 高熱(38℃以上)、の どが痛い、関節が痛 い、体がだるい、皮膚 ○(0.1% 皮膚粘膜眼 が斑に赤くなる、水ぶ 未満) 症候群 くれができる、口の中 がただれる、目の充 血 高熱(38℃以上)、の どが痛い、親指大の 中毒性表皮 赤い湿疹、唇や口の ○(不明) 壊死症(Lyell 中のただれ、皮膚が (TEN) 症候群) 焼けるように熱く感じ る、水ぶくれができる 顔に発疹ができる、顔 が斑状に赤くなる、全 紅皮症(剥 身の皮膚が赤くなる、 脱性皮膚 皮膚のカスがボロボ 炎) ロ落ちる、発熱(39~ 40℃) 再生不良性 貧血、汎血 球減少 溶血性貧血 高アンモニ ア血症を伴 う意識障害 肝機能障 害、黄疸 重大な 副作用 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 -43- 初期症状 呼吸がつらい 参考:各医療用医薬品添付文書 重篤副作用疾患別マニュアル メルクマニュアル家庭版 睡眠中の多 睡眠中の多呼吸発作 呼吸発作 呼吸抑制 ヒダントイン系 フェニトイ エトトイン ン ○(類薬: フェニトイ ○(類薬: ○(不明) フェニトイ ン) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) フェニトイ ン) ○(不明) ○(類薬: ○(不明) フェニトイ ン) ○(類薬: ○(不明) フェニトイ ン) バルプロ カルバマ 酸Na ゼピン アレビアチ アクセノン ン 末 発熱、疲れやすく体が だるい、体重が減る、 関節が痛い、筋肉が 痛い、胸が痛く咳が出 ○(不明) SLE様症状 て息が苦しい、鼻から 両頬にかけて皮膚が 赤く腫れる、日光が当 たった部分に発疹が 出る 皮ふの広い範囲が赤 くなる、高熱(38℃以 過敏症症候 上)、のどの痛み、全 ○(不明) ○(不明) 群 身がだるい、食欲が 出ない、リンパ節がは れる 皮ふのかゆみ、じんま 疹、声のかすれ、く アナフィラキ しゃみ、のどのかゆ ○(不明) シー反応 み、息苦しさ、どうき、 意識の混濁 うっ血性心 動くと息が苦しい、疲 不全、房室 れやすい、足がむく ○(不明) ブロック、洞 む、急に体重が増え 機能不全、 た、咳とピンク色の痰 徐脈 健忘、見当識障害、 脳の萎縮、 言語障害、寡動、知 ○(不明) 痴呆様症状 能低下、感情鈍麻 眼振、構音障害、運 小脳萎縮 動失調 パーキンソ 静止時振戦、硬直、 ○(不明) ン様症状 姿勢・歩行異常 手足・肩・腰・その他 の筋肉がが痛む、手 横紋筋融解 足がしびれる、手足に ○(不明) 症 力が入らない、こわば る、全身がだるい、尿 の色が赤褐色になる 抗利尿ホル むくみのない短期間 モン不適合 での体重増加、頭痛、 ○(不明) ○(不明) 分泌症候群 吐き気、めまい、体が (SIADH) だるい うなじ部分の硬直、発 無菌性髄膜 熱、頭痛、悪心・嘔吐 ○(不明) 炎 あるいは意識混濁 高熱(37℃以上)、汗 をかく、ぼやっとする、 手足が震える、身体 ○(不明) 悪性症候群 のこわばり、話しづら い、よだれが出る、脈 が速くなる 悪性リンパ 腫,リンパ リンパ節が腫れる 節腫脹 不安、不眠、けいれ ん、悪心、幻覚、妄 依存性 想、興奮、錯乱又は 抑うつ状態等の禁断 症状 重大な 副作用 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 バルビツール酸系 ○(不明) ○(不明) ○(不明) ○(不明) ダイアッ プ坐剤 ○(0.1% 未満) ○(0.1% 未満) ○(0.5% 未満) 2/3 ○(不明) ゾニサミド ○(0.1% 未満) ○(不明) ベンザリ エクセグラ ン ン ○(類薬: フェノバ ○(0.1% ○(不明) ○(不明) ○(不明) ルビター 未満) ル) マイスタ ン クロバザ ジアゼパ ニトラゼ ム ム パム ベンゾジアゼピン系 ベンズイソ キサゾール 抗てんかん剤の『重大な副作用』一覧 クロナゼ フェノバ パム ルビター プリミドン ランドセ ザロンチン ル ン、リボト シロップ リール サクシミド 系 エトスクシ ミド ○(不明) ○(不明) ○(不明) 薬剤性 ラミクター ガバペン ル トピナ ラモトリギ ガバペンチ トピラ ン ン マート ミオカー ム ピラセタ ム その他 2010年3月作成 2013年3月更新 (不明)=頻度不明 クランポー オスポロッ ダイアモッ ディアコ ル ト クス ミット 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 ○(不明) イーケプ ミノアレ ラ オキサゾ フェニル尿 スルタム 炭酸脱水 その他 リジン系 素系 系 酵素阻害 オーファン レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾラ スチリペ セタム オン フェネトライ ム ミド ントール -44- 初期症状 無表情になる、不自 然な言動をする、イラ イラする、眠れない、 ひどく興奮する、昼間 なのにうとうとする ふるえ、眠れない、不 安 せん妄 振戦、不 眠、不安 急な目の充血、目の 痛み、目のかすみ、頭 痛・吐き気を生じる。 視野の中に見えない 部分がある、視野が 狭くなる ヒダントイン系 フェニトイ エトトイン ン バルプロ カルバマ 酸Na ゼピン アレビアチ アクセノン ン 末 参考:各医療用医薬品添付文書 重篤副作用疾患別マニュアル メルクマニュアル家庭版 代謝性アシ 吐き気、嘔吐、疲労感 ドーシス 顔や手足の筋肉がぴ くつく、一時的に 痙攣発作 ボーっとして意識が薄 れる、手足の筋肉が 硬直しガクガクと震え 筋力が落ち、疲れや 筋無力症 すくなる 白内障 目のかすみ 続発性閉塞 隅角緑内 障、急性近 視 一過性前向 一過性前向性健忘、 性健忘、もう もうろう状態 ろう状態 根拠のない主観的な 思い込み 妄想 発汗減少があらわれ 発汗減少に 体温が上昇する、顔 伴う熱中症 面潮紅、意識障害 考えがまとまらない、 刺激興奮、 時間、場所などがわ 錯乱等 からない 現実に存在しないも 幻覚 のが見えたり、ない音 が聞こえる 重大な 副作用 分枝脂肪 イミノスチ 酸系 ルベン系 バルビツール酸系 ○(不明) マイスタ ン 3/3 ゾニサミド ○(0.1% 未満) ○退薬症 状(0.1~ 5%未満) ○(類薬: 他の不眠 症治療 薬) ○退薬症 ○(1%未満) 状(0.1~ パーキンソン病 5%未満) に使用 ○退薬症 状(0.1~ 5%未満) ○退薬症 状(0.1~ 5%未満) ○(1%未満) パーキンソン病 に使用 ○(5%以上) パーキンソン病 に使用 ○(1%以上) パーキンソン病 に使用 ○(不明) ベンザリ エクセグラ ン ン ○(不明) ○(不明) ダイアッ プ坐剤 クロバザ ジアゼパ ニトラゼ ム ム パム ベンゾジアゼピン系 ベンズイソ キサゾール 抗てんかん剤の『重大な副作用』一覧 クロナゼ フェノバ パム ルビター プリミドン ランドセ ザロンチン ル ン、リボト シロップ リール サクシミド 系 エトスクシ ミド ラミクター ガバペン ル ○(2.0%) ○(不明) ○(1.7%) ○(1.7%) ミオカー ム ピラセタ ム その他 ○(不明) トピナ ラモトリギ ガバペンチ トピラ ン ン マート 2010年3月作成 2013年3月更新 (不明)=頻度不明 ○(不明) ○(不明) クランポー オスポロッ ダイアモッ ディアコ ル ト クス ミット 岐阜県薬剤師会 ぎふ薬事情報センター作成 ○(不明) イーケプ ミノアレ ラ オキサゾ フェニル尿 スルタム 炭酸脱水 その他 リジン系 素系 系 酵素阻害 オーファン レベチラ トリメタジ アセチル スルチア アセタゾラ スチリペ セタム オン フェネトライ ム ミド ントール 痙攣状態、てんかんのある患者に対して「禁忌」と記載のある薬剤 分類 抗うつ剤 統合失調症治療剤 躁病・躁状態治療剤 中枢神経刺激剤 麻薬鎮咳剤 消化管運動機能賦活 剤 一般名(商品名) マプロチリン (ルジオミール) クロザピン (クロザリル) 炭酸リチウム (リーマス) ペモリン (ベタナミン) コデイン ジヒドロコデイン オキシメテバノール (メテバニール) アクラトニウムナパジシル酸 (アボビス) セビメリン塩酸 (エボザック) 口腔乾燥症状改善 ピロカルピン 剤 (サラジェン) セビメリン (サリグレン) ケトチフェン 抗アレルギー剤 (ザジテン) カルバペネム系抗生物 テビペネム ピボキシル 質 (オラペネム) サイクロセリン 抗結核剤 (サイクロセリン) メフロキン 抗マラリア剤 (メファキン「ヒサミツ」) オキシコドン (オキシコンチン) モルヒネ 麻薬 (MSコンチン) アヘン ペチジン (オピスタン) トラマドール 非麻薬 (トラマール、トラムセット) 対象者 記載内容 てんかん等の痙攣性疾患又 痙攣を起こすことがある。 は既往歴のある患者 重度の痙攣性疾患又は治療 により十分な管理がされてい 痙攣閾値を低下させ、症状が悪化するおそれがある。 ないてんかん患者 てんかん等の脳波異常のあ る患者 脳波異常を増悪させることがある。 痙攣閾値を低下させるおそれがある。 痙攣状態(てんかん重積症) 脊髄の刺激効果があらわれ、痙攣を誘発するおそれがある。 にある患者 てんかんの患者 コリン作動薬を投与することにより、てんかん発作を起こすお それがある てんかんの患者 コリン作動薬を投与することにより、てんかん発作を起こすお それがある てんかん又はその既往歴の ある患者 バルプロ酸ナトリウムを投与 中の患者 てんかん等の精神障害のあ る患者 てんかんの患者又はその既 往歴のある患者 痙攣閾値を低下させることがある。 てんかんの発作が再発するおそれがある。 てんかん様発作等の精神障害をさらに悪化させるおそれがあ る。 痙攣を起こすことがある。 痙攣状態(てんかん重積症) 脊髄の刺激効果があらわれ、痙攣を誘発するおそれがある。 にある患者 治療により十分な管理がされ 症状が悪化するおそれがある ていないてんかん患者 「慎重投与」に記載 分類 一般名(商品名) インドメタシン (インテバン) プログルメタシン 鎮痛・解熱・抗炎症剤 (ミリダシン) アセメタシン (ランツジール) ビペリデン (アキネトン) ビペリデン 抗パーキンソン剤 (タスモリン) タリペキソール (ドミン) クロミプラミン (アナフラニール) アモキサピン (アモキサン) トリミプラミン (スルモンチール) ノルトリプチリン (ノリトレン) ロフェプラミン (アンプリット) 三環系抗うつ剤 ドスレピン (プロチアデン) アミトリプチリン (トリプタノール) ロフェプラミン (アンプリット) 対象者 記載内容 症状が悪化するおそれがある。 てんかん等の中枢神経系疾 活性代謝物のインドメタシンで、疾患の悪化が報告されてい 患のある患者 る。 非ステロイド性消炎鎮痛剤による症状の悪化が報告されてお り、症状を悪化させるおそれがある。 動物実験においてペンテトラゾールの痙攣作用を増強し、また 電撃痙攣の出現を促進することが認められている。 てんかんの患者 発作の誘因となるおそれがある。 てんかん又はその既往歴の 発作を誘発又は悪化させるおそれがある。 ある患者 痙攣を起こすことがある。 てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 者 他の三環系抗うつ剤で痙攣助長作用が認められている。 三環系抗うつ薬は痙攣閾値を下げるので、てんかん等の痙攣 性疾患又はこれらの既往歴のある患者では痙攣を起こすこと がある。 イミプラミン (トフラニール) -45- 1/4 分類 四環系抗うつ剤 抗うつ剤 SSRI SNRI NaSSA 精神神経用剤 一般名(商品名) セチプチリン (テシプール) ミアンセリン (テトラミド) トラゾドン (デジレル、レスリン) エスシタロプラム (レクサプロ) フルボキサミン (デプロメール、ルボックス) パロキセチン (パキシル) セルトラリン (ジェイゾロフト) デュロキセチン (サインバルタ) ミルナシプラン (トレドミン) ミルタザピン (リフレックス、レメロン) フェノチアジン系 クロルプロマジン (ウインタミン、ベゲタミン) レボメプロマジン (ヒルナミン、レボトミン) ペルフェナジン (ピーゼットシー) フルフェナジン (フルメジン) プロクロルペラジン (ノバミン) プロペリシアジン (ニューレプチル) ベンザミド ネモナプリド (エミレース) スルトプリド (バルネチール) ブチロフェノン系 ブロムペリドール (インプロメン) ハロペリドール (セレネース) スピペロン (スピロピタン) ピパンペロン (プロピタン) チミペロン (トロペロン) SDA リスペリドン (リスパダール) パリペリドン (インヴェガ) 対象者 記載内容 痙攣を起こすことがある。 外国において、てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往 歴のある患者で、副作用として痙攣を起こした例の報告あ てんかん等の痙攣性疾患又 る。 はこれらの既往歴のある患 者 痙攣を起こすことがある。 痙攣が発現するおそれがある。 痙攣が発現するおそれがある。 フェノチアジン系化合物は痙攣閾値を低下させ、痙攣発作を 起こしやすくする。 痙攣閾値を低下させることがある。 シナプス膜の抑制系神経伝達機構の機能低下が起こり痙攣 閾値を低下させることがある。 痙攣閾値を低下させることがある。 てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 者 動物試験において本剤の親化合物であるリスペリドンでは認 められなかったが、他の抗精神病薬(ブチロフェノン系、フェノ チアジン系、イミノジベンジル系、ベンズアミド系等)が痙攣閾 値を低下させることを考慮した。 抗精神病剤は脳波に影響を与え、痙攣閾値を低下させること がある。健常成人を対象とする臨床薬理試験において、定量 脳波の徐波(δ~θ2波)を増加し、α1~β1波を減少させる 作用を示した。 一般的に抗精神病薬は脳波に影響を及ぼし痙攣閾値を低下 させることがある。 ペロスピロン (ルーラン) ブロナンセリン (ロナセン) DPA アリピプラゾール (エビリファイ) MARTA クエチアピン (セロクエル) クロザピン (クロザリル) オランザピン (ジプレキサ) 痙攣閾値を低下させ、動物実験において痙攣増強作用が確 認されている。 痙攣閾値を低下させるおそれがある。 てんかん痙攣発作は抗精神病薬を投与し始めた初期、大量 投与中あるいは急に増量した時などに発現し、てんかん発作 を有する患者については発作が増すといわれている。 ピモジド (オーラップ) -46- 2/4 分類 精神神経用剤 一般名(商品名) クロカプラミン (クロフェクトン) カルピプラミン (デフェクトン) モサプラミン (クレミン) ゾテピン (ロドピン) メチルフェニデート (リタリン、コンサータ) モダフィニル (モディオダール) リバスチグミン (リバスタッチ、イクセロン パッチ) アルツハイマー型認 ガランタミン 知症治療剤 (レミニール) メマンチン (メマリー) ヒドロキシジン (アタラックス) 精神安定剤 カルピプラミン (デフェクトン) マジンドール 食欲抑制剤 (サノレックス) ジスチグミン臭化物 (ウブレチド) コリンエステラーゼ阻 アンベノニウム 害薬 (マイテラーゼ) ネオスチグミン (ワゴスチグミン) バクロフェン 鎮けい剤 (ギャバロン) テオフィリン ジプロフィリン キサンチン系気管支 (アストフィリン、トラベルミ 拡張剤 ン) プロキシフィリン (アストモリジン) インダカテロール 気管支拡張剤 (オンブレス) 中枢神経刺激剤 高血圧症治療剤 5-HT1B/1D受容体作 動型片頭痛治療剤 卵胞ホルモン製剤 黄体ホルモン製剤 経口避妊剤 対象者 記載内容 てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 者 痙攣閾値を低下させることがある。 てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 者及び過去にロボトミーや電 撃療法をうけた患者 てんかん又はその既往歴の 痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。 ある患者 コリン作動性作用により痙攣閾値が低下し、痙攣発作を誘発 てんかん等の痙攣性疾患又 させることが考えられる。 はこれらの既往歴のある患 者 発作を誘発又は悪化させることがあり、痙攣の報告が集積さ れている。 てんかん等の痙攣性疾患、 又はこれらの既往歴のある 患者 痙攣閾値を低下させることがある。 てんかん又はその既往歴の 痙攣が報告されており、発作を誘発するおそれがある。 ある患者 コリン作動性作用により痙攣閾値が低下し、痙攣発作を誘発 させることが考えられる。 てんかんの患者 てんかんの症状を悪化させるおそれがある。 抗コリンエステラーゼ作用により骨格筋の緊張が高まり、痙攣 症状を増強させるおそれがある。 てんかん患者及びその既往 症状を誘発するおそれがある。 歴のある患者 中枢刺激作用によって発作を起こすことがある。 てんかんの患者 ジプロフィリンによる中枢刺激作用によって発作を誘発するお それがある。 プロキシフィリンの中枢刺激作用により、発作が誘発されるお それがある。 てんかん等の痙攣性疾患の てんかん等の痙攣性疾患のある患者では、本剤の交感神経 ある患者 刺激作用により痙攣の症状が悪化するおそれがある。 レセルピン (アポプロン) 電気ショック療法における発作の閾値を低下させることが報告 てんかん等の痙攣性疾患及 されていることから、てんかんなどの痙攣性疾患においても閾 びその既往歴のある患者 値を低下させる可能性がある。 スマトリプタン (イミグラン) てんかん様発作の既往歴の ある患者あるいはてんかん 様発作発現を来す危険因子 のある患者(脳炎等の脳疾患 のある患者、痙攣の閾値を低 下させる薬剤を使用している 患者等) ナラトリプタン (アマージ) ゾルミトリプタン (ゾーミッグ) エレトリプタン (レルパックス) リザトリプタン (マクサルト) エストリオール (エストリール) エストラジオール (ジュリナ) エストロゲン (プレマリン) メドロキシプロゲステロン (ヒスロンH、プロベラ) てんかんあるいは痙攣を起こ 類薬(スマトリプタン)でてんかん様発作が発現したとの報告が しやすい器質的脳疾患のあ ある。 る患者 体液貯留を起こし、てんかんが増悪するおそれがある。 てんかん患者 症状を悪化させることがあるので、観察を十分に行うこと。 てんかんの既往歴のある患 者 エチニルエストラジオール配 合 てんかん患者 メストラノール配合 ダナゾール その他のホルモン剤 (ボンゾール) 海外において、てんかん様発作の既往歴のある患者、脳炎等 の脳疾患のある患者、痙攣の閾値を低下させることが知られ ている薬剤を使用している患者等が、スマトリプタン投与後に てんかん様発作を発現したという症例が報告されている。 てんかん発作があらわれることがある。 症状が増悪することがある。 てんかん患者 浮腫等により症状が強くあらわれるおそれがある。 -47- 3/4 分類 酒量抑制剤 前立腺癌治療剤 H1受容体拮抗 一般名(商品名) シアナミド (シアナマイド) ジスルフィラム (ノックビン) エストラムスチン (エストラサイト) レボセチリジン (ザイザル) セチリジン (ジルテック) クレマスチン (タベジール) 対象者 てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 痙攣を誘発することがある。 者 エストロゲン様作用により、時折体液貯留が生じ状態が悪化 することがある。 てんかん患者 中枢神経刺激作用を示すことがあり、痙攣や発作が出現する てんかん等の痙攣性疾患又 ことがあること、これらは特に小児、てんかん患者等でみられ はこれらの既往歴のある患 ると報告されている。 者 痙攣閾値を低下させることがある。 キノロン系抗菌剤は抑制性神経伝達物質であるGABA(γ‐ア ミノ酪酸)のGABAA 受容体結合を阻害することにより、中枢神 経系に対し興奮作用を示すことがある。てんかん等の痙攣性 疾患又はこれらの既往歴のある患者では、中枢神経系の興 奮性が上昇している可能性があり、痙攣が発現する可能性が あると考えられる。 モキシフロキサシン (アベロックス) ニューキノロン系経 口抗菌剤 合成抗菌剤 記載内容 トスフロキサシン 痙攣はキノロン系抗菌剤で知られている事象である。 (オゼックス) レボフロキサシン レボフロキサシンの使用による痙攣の発現が報告されてい (クラビット) る。 シタフロキサシン てんかん等の痙攣性疾患又 類薬で痙攣を起こすとの報告がある。 (グレースビット) はこれらの既往歴のある患 オフロキサシン 者 (タリビッド) シプロフロキサシン (シプロキサン) ノルフロキサシン (バクシダール) 痙攣を起こすことがある。 ロメフロキサシン (バレオン、ロメバクト) ガレノキサシン (ジェニナック) プルリフロキサシン (スオード) てんかん等の痙攣性疾患の ナリジクス ある患者またはこれらの既往 痙攣を起こすことがある。 (ウイントマイロン) 歴のある患者 抗結核剤 イソニアジド (イスコチン) 経口腸管洗浄剤 ビジクリア配合 禁煙補助剤 ニコチン (ニコチネル) てんかん等の痙攣性疾患又 はこれらの既往歴のある患 痙攣を起こすことがある。 者 けいれん発作の既往がある 投与時の血清電解質変動により、けいれん発作を発現するお 患者及びけいれん発作のリ それがある。 スクが高い患者 てんかん又はその既往歴の 痙攣を引き起こすおそれがある。 ある患者 愛知県薬剤師会薬事情報室('13.03.07) -48- 4/4 痙攣を引き起こしやすい抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤(添付文書に記載のある薬剤) 世代 一般名・主な商品名 抗ヒスタミン剤 記載項目 タンニン酸ジフェンヒドラミ ン レスタミンAコーワ 小児への投与 ジフェンヒドラミン塩酸塩 レスタミンコーワ 小児への投与 クレマスチンフマル酸塩 タベジール 記載内容 低出生体重児・新生児には中枢神 経系の副作用(興奮、痙攣等)が起 抗コリン作用が強い こる危険性が高いので、投与しない 中枢神経抑制作用が強い ことが望ましい。 低出生体重児・新生児には中枢神 経系の副作用(興奮、痙攣等)が起 こる危険性が高いので、投与しない ことが望ましい。 てんかん等の痙攣性疾患、またはこ れらの既往歴のある患者[痙攣閾値 を低下させることがある。] 慎重投与 重大な副作用 痙攣・興奮 低出生体重児・新生児[中枢神経系 興奮など抗コリン作用に対する感受 性が高く、痙攣など重篤な反応があ らわれるおそれがある。] 痙攣・錯乱(頻度不明) 低出生体重児,新生児には投与しな いこと。[中枢神経系興奮等の抗コリ 中枢神経抑制作用が比較 ン作用に対する感受性が高く、痙攣 的少ない 等の重篤な反応があらわれるおそ れがある。] 未熟児、 新生児には、中枢神経系 の副作用(興奮、 痙攣等)が起こる危 険性が高いので投与しないことが望 ましい。 dl -クロルフェニラミンマレ 第1世代 イン酸塩 アレルギン 禁忌 重大な副作用 d -クロルフェニラミンマレイ ン酸塩 小児への投与 ポララミン トリプロリジン塩酸塩 ベネン プロメタジン塩酸塩 ピレチア、ヒベルナ シプロヘプタジン塩酸塩 ペリアクチン ケトチフェンフマル酸塩 ザジテン 小児への投与 その他の副作用 0.1~5%未満 重大な副作用 痙攣(頻度不明) 慎重投与 てんかん等の痙攣性疾患、またはこ れらの既往歴のある患者[痙攣閾値 を低下させることがある。] 重大な副作用 痙攣・錯乱(頻度不明) 小児への投与 乳児、幼児に投与する場合には、観 察を十分に行い慎重に投与するこ と。[痙攣、興奮等の中枢神経症状 があらわれることがある。] 第2世代 フェキソフェナジン塩酸塩/ 塩酸プソイドエフェドリン 重大な副作用 ディレグラ配合錠 その他の抗アレルギー剤 H1受容体 セチリジン塩酸塩 慎重投与 拮抗(第2 ジルテック 世代) モンテルカストナトリウム ロイコトリ シングレア、キプレス エン受容 体拮抗剤 プランルカスト水和物 オノン Th2サイト スプラタストトシル酸塩 カイン阻 アイピーディ 害剤 特徴 抗コリン作用が強い 中枢神経抑制作用・鎮静 作用が多少ある 痙攣(頻度不明) てんかん等の痙攣性疾患又はこれ 中枢神経抑制作用がほと らの既往歴のある患者〔痙攣を発現 んどない するおそれがある。〕 その他の副作用 頻度不明 その他の副作用 頻度不明 その他の副作用 頻度不明 愛知県薬剤師会 薬事情報室 (13.02.22) 〔参考〕 今日の治療薬2013,南江堂 -49- 抗てんかん剤ラモトリギンの注意点(商品名ラミクタール錠 25mg,100mg、小児用 2mg,5mg) 本剤の用法用量は、薬剤の併用パターン(グルクロン酸抱合が競合 or 促進)により 2 種類に大別され、それぞれ 用量が大きく違い、かつ、維持用量になるまで用法も変わります。用法用量を間違え、過剰になると重篤な副作用 (皮膚粘膜眼症候群など)の発現が高くなります。逆に、少なすぎてもてんかん発作の出現につながる可能性があ りますので、調剤時には充分な監査が必要です。詳細は、最新の添付文書、メーカー提供ツールをご覧ください。 ○ バルプロ酸 Na を服用していない ○ 代謝を促進する薬と併用 カルバマゼピン、フェニトイン フェノバルビタール、プリミドン ● バルプロ酸 Na を服用している(代謝促進薬と同時併用でも優先) ● 影響ない or 明らかでない薬のみ ゾニサミド、クロバザム、 ガバペンチン、トピラマート、クロナゼパム、エトスクシミド、 ジアゼパム等(代謝促進薬と同時併用時はそちらを優先) と併用 → 少ない用量パターン → 多い用量パターン 岐阜県薬剤師会 -50- ぎふ薬事情報センター’09.03 作成 ’10.9 更新 岐阜県薬剤師会 愛知県薬剤師会 薬事情報室 http://www.apha.jp/ ぎふ薬事情報センター http://www.gifuyaku.or.jp/ 平成 25 年 3 月作成
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