日油グループ 事業案内

日油グループ
2004 年11月作成 . K③.4000(E)
2011年12月データ作成 K⑱(A)
2011年12月
PK⑦2500(A)
事業案内
ご 挨拶
新しい価値を創造し、人と社会に貢献します。
日油グループは、
<バイオから宇宙まで幅
に、国内はもとより事業の海外展開を加速さ
広い分野で新しい価値を創造し、人と社会に
せ、国際社会と共生する「グローバルプレイ
貢献する>を経営理念とし、独創性のある製
ヤー」への変革を目指してまいります。
品を多面的に展開しております。
また同時に、ステークホルダーの皆様にと
特に、成長分野と位置付ける「ライフサイ
って、
「信頼される企業」であり続けたいと
エンス」
、
「電子・情報」
、「環境・エネルギー」
考えております。社会の一員としてコンプラ
の3分野へ経営資源を投入し、機能材メーカ
イアンスはもとより、自然環境保護や健康、
ーとして存在感のある企業グループの実現を
安全の確保など、企業の社会的責任を果たす
図ってまいります。
取組を真摯に進めてまいります。
今日の事業環境は、グローバル化のさらな
皆様におかれましては、今後とも日油グル
る進展、国内外の社会的な不確実性の高まり
ープの事業運営にご理解とご支援を賜ります
など、多種多様に変化しています。日油グル
ようお願い申し上げます。
ープは、あらゆる変化に挑戦し続けるととも
代表取締役社長 小林 明治
バ イ オ か ら 宇 宙 ま で
目 次
1
ご挨拶
1
経営理念・行動指針・CSR基本方針・倫理行動規範
2
環境保全の取り組み
3
会社概要
4
組織図・事業所案内
5
日油グループの事業構成と連結子会社
6
沿 革
7
日油グループ(主要会社一覧表)
8
油化事業
9
化成事業
11
化薬事業
13
食品事業
17
ライフサイエンス事業
19
DDS事業
21
ディスプレイ材料事業
22
防錆事業
23
研究開発
24
当社は、事業活動の基本方針として、企業は社会的公器であるとの自覚の下、企業の社会的責任(CSR)を前提として、経
営活動を展開する際に指針となる「経営理念」、「経営理念」の実現のために必要な行動・心構えを示す「行動指針」、組織の
行動目標を示す「CSR基本方針」および「経営理念」、「行動指針」「CSR基本方針」を遂行していく私たち役員はじめすべて
の従業員の行動における倫理的側面を規定する「倫理行動規範」を定めております。
「経営理念」
「行動指針」
私たち日油グループは、バイオから宇宙まで
幅広い分野で新しい価値を創造し、
人と社会に貢献します。
1 カスタマーニーズに応え、最高の品質とサービスをグ
ローバルに提供します。
2 総合力を発揮し、未来を拓く先端技術と優れた商品を
開発します。
3 環境との調和に努め、製品と事業活動における安全を
確保します。
4 適切な利益水準を維持し、支える人々に公正な還元で
報います。
5 意欲ある挑戦を支援し、働き甲斐と豊かな人生の実現
に努めます。
まず お客様 聴いてみよう
求める価値を
次代の足音を
わくわく 技術 育てよう
力あつめて
スピーディーに
地球の未来 守っていこう
環境を
生命を
きらきら利益 生み出そう
みんなのために
明日のために
夢 いきいき チャレンジしよう
事業の革新に
自らの革新に
「CSR基本方針」
私たちは、企業の社会的責任を果たし、持続可能な事業活動を行います。
1 私たちは、一人ひとりが高い企業倫理に基づいて行動します。
2 私たちは、人権を尊重し、多様な人材の活躍を支援します。
3 私たちは、5つの安全を柱にレスポンシブル・ケア活動を推進します。
4 私たちは、あらゆるステークホルダーのみなさまの関心に配慮し活動します。
5 私たちは、地域社会のみなさまとともに、社会貢献活動を行います。
「倫理行動規範」
当社が良き企業市民として社会からより厚い信頼を得て、更に発展するよう、当社の役員はじめすべての従業員が、この規範
を誠実に実践いたします。
1 倫理の確立と法の遵守
企業人としてまた社会人として倫理的な行動を実行し、法令および規定を遵守するとともに人権を尊重します。
2 会社と社会の関係
事業活動のすべてのプロセスにおいて、人の安全・健康、環境の保全を最優先するとともに、国内外を問わず
地域社会との調和を積極的に図ります。
3 会社と個人の関係
会社の正当な利益に反する行為または会社の信用・名誉を毀損する行為を一切行いません。また、一人ひとり
の人格・個性を尊重します。
4 取引先、協力先、公務員等との関係
取引先、協力先に対して、常に対等、公正な立場で接し、誠実に取引を行います。
公務員等に対する利益供与、便宜供与などは一切行いません。
5 株主・投資家との関係
「開かれた企業」として経営内容や事業活動状況等の企業情報を、関係法令の定めにしたがいタイムリーに開
示します。
6 会社財産・情報の管理
会社財産を業務目的以外で使用することは一切行いません。また、業績内容の正確な記録と報告を行うととも
に、知的財産権を保護し、機密情報・他社営業機密を秘守します。
7 個別法規への対応
独占禁止法、国際取引法規などを遵守するとともに、金融商品取引法に基づきインサイダー取引は一切行いま
せん。
8 反社会的行為への関与の禁止
反社会的団体を排除します。特定株主への利益供与は行いません。
2
環境保全の取り組み
私たちは、化学企業が継続して事業活動を行うためには、その活動や製品が社会において有用であるとともに、
社会環境や自然環境とも調和したものであり、社会から認識・評価され受容されるものでなければならないと考え
ています。
このような考えのもと、私たちは、ステークホルダーに対する安全と健康の確保のため、また、環境の保全なら
びに生態系および資源の保護のために、関係法規の遵守とともにレスポンシブルケア※活動(責任ある配慮)をも
って全ての事業活動を行っています。
このレスポンシブルケア活動では環境安全、製品安全、設備安全、物流安全、労働安全の5つの安全を柱に、さ
らに「社会との対話」を加えて、毎年事業所ごとに重点実施項目を設定し、具体的な活動を実践しています。
私たちは、これからも環境保全に細心の注意を払い、環境・安全・健康に配慮した製品・技術を開発することで、
社会に貢献していきます。
■生分解性に優れたアスファルト合材付着防止剤および潤滑油
■オゾン層を破壊しない代替フロン用冷凍機油
■塩化物を含まない凍結防止剤
■古紙再生用添加剤
■リサイクル可能な架橋ゴム代替材
■フライアッシュ用コンクリート混和剤
■クロムフリー防錆剤
※レスポンシブル・ケア(責任ある配慮)
1985年、カナダから始まった化学品に関する安全確保の
ための自主管理活動。化学物質にかかわる研究開発、製造、
使用、廃棄に至る全サイクルにわたって環境保護、安全と
健康が確保されるように責任をもって配慮することです。
3
売上高
103,414
175,000
概 要
102,598
108,760
110,805
113,137
経常利益
17,500
15,145
創 立
150,000
(設立 昭和24年7月1日)
昭和12年6月1日
15,000
13,568
資本金
17,742百万円(2016年3月31日)
従業員
125,000
1,657名(2016年3月31日)
本 社
東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号(恵比寿ガーデンプレイスタワー)
13,581
12,500
10,000
100,000
10,688
役 員
代表取締役会長兼会長執行役員
代表取締役社長兼社長執行役員
取締役兼常務執行役員
取締役兼常務執行役員
取締役兼常務執行役員
75,000
7,500
8,281
大池 弘一
50,000
小林 明治
井上 賢吾
加藤 一成
0
前田 一仁
取締役兼常務執行役員
取締役兼執行役員
取締役兼執行役員
社外取締役
2011年度
2012年度
2013年度
社外取締役
売上高
宮道 建臣
常勤監査役
5,000
井掘 誠人
常勤監査役
坂橋 秀明
社外監査役(非常勤)
有馬 康之
社外監査役
(非常勤)
0
2014年度
2015年度
小寺 正之
大坪 啓
出町 卓也
田中 愼一郎
田原 良逸
経常利益
業 績(連結)
●売上高・経常利益の推移(単位 : 百万円)
売上高
225,000
152,364
148,859
160,963
167,697
170,460
経常利益
22,500
20,161
200,000
20,000
17,582
175,000
18,983
17,500
15,000
150,000
13,646
125,000
12,500
12,060
100,000
10,000
75,000
7,500
0
2011年度
売上高
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
0
経常利益
業 績(個別)
●売上高・経常利益の推移(単位 : 百万円)
売上高
175,000
103,414
102,598
108,760
110,805
113,137
経常利益
17,500
15,145
15,000
150,000
13,568
13,581
12,500
125,000
10,000
100,000
10,688
75,000
7,500
8,281
5,000
50,000
0
2011年度
売上高
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
0
経常利益
4
組 織 図
経営企画室
大阪支社
内部統制室
名古屋支店
先端技術研究所
研 究 本 部
福岡支店
川崎事業所
愛知事業所
秘
書
室
設備・環境
安全統括室
筑波研究センター
油化学研究所
油 化 事 業 部
尼崎工場
千鳥工場
人事・総務部
取締役会
化成研究所
経
理
部
社 長
化 成 事 業 部
大分工場
衣浦工場
経営審議会
資
監 査 役
材
部
武豊工場
化 薬 事 業 部
情報システムセンター
監査役会
中国プロジェクト本部
食品研究所
食 品 事 業 部
ライフサイエンス事業部
大師工場
ライフサイエンス研究所
DDS研究所
DDS工場
DDS事業部
尼崎工場
ディスプレイ材料研究所
ディスプレイ材料工場
ディスプレイ材料事業部
防 錆 部 門
事 業 所
本社・支社・支店・営業所
本
大
名
福
札
阪
支
古
屋
支
岡
支
幌
営
業
社
社
店
店
所
〒150-6019
〒530-0003
〒450-0003
〒810-0001
〒060-0052
東京都渋谷区恵比寿4-20-3(恵比寿ガーデンプレイスタワー)
大阪市北区堂島2-4-27(新藤田ビル)
名古屋市中村区名駅南1-24-30(名古屋三井ビル本館)
福岡市中央区天神4-2-20(天神幸ビル)
札幌市中央区南2条東2丁目9番(大都ビル)
TEL.03-5424-6600
TEL.06-6454-6550
TEL.052-551-6261
TEL.092-741-5131
TEL.011-281-9871
FAX.03-5424-6800
FAX.06-6454-6570
FAX.052-551-2310
FAX.092-781-7070
FAX.011-281-9880
崎
工
崎
事
業
場
所
〒660-0095
〒210-0865
〒210-0865
〒210-0865
〒210-0865
〒870-0111
〒470-2379
〒470-2379
〒506-1105
〒891-3702
〒470-2345
〒470-2373
尼崎市大浜町1-56
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
大分市大字中ノ洲2
愛知県知多郡武豊町字北小松谷61-1
愛知県知多郡武豊町字北小松谷61-1
飛騨市神岡町和佐保1039-3
鹿児島県熊毛郡南種子町平山3138-4
愛知県知多郡武豊町字西門82
愛知県知多郡武豊町字嶋田17-1
TEL.06-6416-1321
TEL.044-288-2153
TEL.044-288-2153
TEL.044-281-2500
TEL.044-288-3146
TEL.097-527-5201
TEL.0569-72-1221
TEL.0569-72-1223
TEL.0578-82-6050
TEL.0997-26-2961
TEL.0569-72-2563
TEL.0569-72-1832
FAX.06-6416-8900
FAX.044-288-7954
FAX.044-288-7954
FAX.044-281-2512
FAX.044-288-3149
FAX.097-524-0029
FAX.0569-74-0008
FAX.0569-72-0914
FAX.0578-82-6022
FAX.0997-26-2963
FAX.0569-74-0009
FAX.0569-72-1499
つくば市東光台5-10
つくば市東光台5-10
尼崎市大浜町1-56
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
川崎市川崎区千鳥町3-3
愛知県知多郡武豊町字北小松谷61-1
愛知県知多郡武豊町字西門82
愛知県知多郡武豊町字嶋田17-1
TEL.029-847-8891
TEL.029-847-8891
TEL.06-6419-7484
TEL.044-288-7953
TEL.044-281-2502
TEL.044-288-2347
TEL.044-288-7952
TEL.0569-72-0917
TEL.0569-72-1403
TEL.0569-72-1620
FAX.029-847-8862
FAX.029-847-8862
FAX.06-6419-4040
FAX.044-288-7958
FAX.044-281-2518
FAX.044-288-2348
FAX.044-288-7958
FAX.0569-73-7376
FAX.0569-72-1921
FAX.0569-72-1269
工場
尼
川
千
鳥
工
場
大
師
工
場
D
D
大
愛
工
場
分
工
知
事
業
場
所
武
豊
神
種
S
工
岡
子
衣
浦
出
島
場
張
事
工
業
所
所
場
ディスプレイ材料工場
研究所
筑 波 研 究 セ ン タ ー
〒300-2635
〒300-2635
油 化 学 研 究 所 〒660-0095
〒210-0865
食
品
研
究
所 〒210-0865
ライフサイエンス研究所 〒210-0865
D D S 研 究 所 〒210-0865
研究開発部〔化薬事業〕 〒470-2379
化
成
研
究
所 〒470-2345
ディスプレイ材料研究所 〒470-2373
先 端 技 術 研 究 所
5
日油グループの事業構成と連結子会社
当社グループの事業は、機能化学品事業、ライフサイエンス事業、
化薬事業およびその他の事業の 4 セグメントに大別され、当社の各事業、
事業セグメント別主要製品および連結子会社の対応関係を示しております。
これらの情報は、有価証券報告書、事業報告書等にも提供しております。
当社グループ
の各事業
当社の各事業
事業セグメント別主要製品
連結子会社
油化産業(株)
日油工業(株)
NOF EUROPE GmbH
日油(上海)商貿有限公司
ニチユ物流(株)
日油商事(株)
(不動産等)
脂肪酸
脂肪酸誘導体
常熟日油化工有限公司
界面活性剤
エチレンオキサイド・
運送、不動産他
プロピレンオキサイド誘導体
PT.NOF MAS CHEMICAL
INDUSTRIES
物流・不動産他
有機過酸化物
油化事業
石油化学品
機能性ポリマー
日本工機(株)
日油技研工業(株)
化成事業
その他
昭和金属工業(株)
産業用爆薬類
北海道日油(株)
宇宙関連製品
日邦工業(株)
(株)ジャペックス
防衛関連製品
化薬事業
化薬
機能化学品
ディスプレイ
材料事業
機能性フィルム
電子材料
ライフ
サイエンス
(株)カクタス
DDS事業
DDS医薬用
防錆事業
ライフ
サイエンス
食品事業
事業
防錆加工
製剤原料
NOF AMERICA
CORPORATION
特殊防錆処理剤・
生体適合性素材
食用加工油脂
機能食品関連製品
日油商事(株)
(食品)
NOFメタルコーティングス
(株)
NOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.
GEORGIA METAL COATINGS COMPANY
NOF METAL COATINGS EUROPE S.A.
NOF METAL COATINGS EUROPE N.V.
SIE s.r.l.
NOF METAL COATINGS
SOUTH AMERICA IND. E COM. LTDA.
NOF METAL COATINGS KOREA CO.,LTD.
(株)ニッカコーティング
6
沿 革
1910
1910.
9 ( 明 治 4 3 年 ) 日本リバー・ブラザーズ社(現尼崎工場)設立
1917.
8 (大正6年)
1919. 11 ( 大 正 8 年 )
鈴木商店王子製油所(旧王子工場)設立
帝国火薬工業(現愛知事業所 武豊工場)設立
1930
1936.
(前身の日本漆器工業(株))創立
6 ( 昭 和 1 1 年 ) 日邦工業(株)
1937.
6 (昭和12年)
第一次日本油脂(株)
(本社:日産館)設立
1938.
1 (昭和13年)
北海道油脂工業(株)他14社合併
1943.
2 (昭和18年)
昭和金属工業(株)設立
1945.
4 ( 昭 和 2 0 年 ) 日本鉱業(株)化学部門の営業譲渡を受け、日産化学工業(株)に社名変更
1947.
6 ( 昭 和 2 2 年 ) 日油商事(株)
(前身の日勢商事(株))創立
1949.
7 (昭和24年)
▲明治43年設立当時の尼崎工場
1940
第二次日本油脂(株)
(本社:日本橋白木屋)設立
〔企業再建整備法により独立〕
1950
1951. 10 ( 昭 和 2 6 年 )
本社を丸の内東京ビルに移転
1954. 10 ( 昭 和 2 9 年 ) ロケット用推進薬製造開始
1960
1957.
2 (昭和32年)
1961.
7 ( 昭 和 3 6 年 ) 日油工業(株)設立
1961. 11 ( 昭 和 3 6 年 )
有機過酸化物製造開始
千鳥工場開設
▲昭和12年7月20日 日本油脂創立披露会
1970
1966.
2 (昭和41年)
油化産業(株)設立
1967.
5 (昭和42年)
本社を有楽町ビルに移転
1970.
6 (昭和45年)
帝国火工品製造(株)と合併
1973.
6 ( 昭 和 4 8 年 ) (株)日本ダクロシャムロック
(現 NOF メタルコーティングス
(株))
設立
1980
1980. 12 ( 昭 和 5 5 年 ) 日油技研工業(株)設立
1983.
2 (昭和58年)
1984.
9 ( 昭 和 5 9 年 ) アメリカに METAL COATINGS INTERNATIONAL INC.
筑波研究所開設
(現 NOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.)設立
同社はフランスのDACRAL S.A.
(現 NOF METAL COATINGS EUROPE S.A.)
を同時に子会社化
1988. 12 ( 昭 和 6 3 年 ) アメリカにNOF AMERICA CORPORATION設立
1990
1991.
1 ( 平 成 3 年 ) ドイツに現地法人 Nippon Oil & Fats GmbH設立
1992. 10 ( 平 成 4 年 )
神岡試験場(現 神岡出張所)開設
1994.
3 (平成6年)
北海道日本油脂(株)
(現 北海道日油(株))設立
1994.
7 (平成6年)
Nippon Oil & Fats GmbHを発展的解消し、ベルギーにNOF EUROPE N.V.設立
1994. 11 ( 平 成 6 年 )
本社を恵比寿ガーデンプレイスタワーに移転
1995. 11 ( 平 成 7 年 ) インドネシアにPT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES設立
1996.
2 ( 平 成 8 年 ) (株)ジャペックス設立
1997. 12 ( 平 成 9 年 )
種子島事業所開設
1999. 10 ( 平 成 1 1 年 ) 日本工機(株)を株式取得により子会社化
1999. 12 ( 平 成 1 1 年 ) ライフサイエンス事業部発足
2000
2001. 10 ( 平 成 1 3 年 )
DDS事業開発部発足
2004.
3 ( 平 成 1 6 年 ) (株)タセトの全株式を神鋼タセト(株)に売却
2004.
6 (平成16年)
2004. 10 ( 平 成 1 6 年 )
大師工場開設
中国に常熟日油化工有限公司設立
2004. 10 ( 平 成 1 6 年 ) ニチユ物流(株)設立
2005.
(株)
の全株式を BASF Coatings AG に売却
3 ( 平 成 1 7 年 ) 日本油脂 BASF コーティングス
2005.
7 (平成17年)
DDS工場開設
2006.
6 (平成18年)
防錆部門発足
2007.1 0 ( 平 成 1 9 年 )
社名を日油(株)に変更
2009. 4(平成21年) 油化産業(株)がニチユソリューション(株)を吸収合併
2010
2010. 9(平成22年) 日油技研工業(株)を株式交換により完全子会社化
2012. 7(平成24年) 筑波研究所を筑波研究センターに改編
2013. 4(平成25年) ディスプレイ材料事業部発足
2014. 11(平成26年) NOF EUROPE
(BERGIUM) N.V. をドイツに移転し、
NOF EUROPE GmbH 設立
7
日油グループ (主要会社一覧表)
事 業
油 化
社 名
*印は連結子会社
事 業 内 容
住 所
TEL.
FAX.
* 油化産業㈱
化粧品原材料、医薬品原材料、油脂・化学製品、製紙 〒150-0013
03-5791-4101 03-5791-5200
工業用薬剤、飼料用脂肪酸カルシウム等の製造・販売 東京都渋谷区恵比寿 4 -1-18(恵比寿ネオナート)
* 日油工業㈱
油脂製品、化学製品の製造
㈱ジュアンビューティ
基礎化粧品、トイレタリー商品の製造
㈱ニチユ・テクノ
環境分析、品質分析
〒210-0865
川崎市川崎区千鳥町3-3
044-280-0701 044-280-0704
脂肪酸誘導体、有機過酸化物の製造
215537 中華人民共和国
江蘇省常熟経済開発区沿江工業区萬福路
+86-512-52275252 +86-512-52275218
Kawasan Industri Bekasi Fajar, Blok D-1 Mekar Wangi, MM2100
+62-21-898-0636 +62-21-898-0638
Industrial Town Phase III, Cibitung Bekasi 17520,INDONESIA
油化・化成 * 常熟日油化工有限公司
〒569-0011
高槻市道鵜町4-22-1
072-669-5141 072-669-5144
〒150-6019 東京都渋谷区恵比寿4-20-3
(恵比寿ガーデンプレイスタワー)
03-3442-6331
−
化 成
* PT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES
有機過酸化物の製造・販売
化 薬
* 日本工機㈱
防衛用装備品、産業用爆薬の製造、火工品、 〒105-0003
東京都港区西新橋2-36-1(永谷園ビル)
防犯用関連商品の製造・販売
* 日油技研工業㈱
温度管理用示温材、医療滅菌用資材、建設資材、電設器
材、ロケット用火工品、化工材、海洋機器他の製造・販売
〒350-1107
川越市的場新町21-2
* 昭和金属工業㈱
銃用雷管、小火器用空包、火工品、シート
ベルト用ガス発生器の製造・販売
〒309-1211
桜川市岩瀬2120
0296-76-1811 0296-76-1815
* 北海道日油㈱
産業用火薬類の製造、凍結防止剤・散布装置
の製造・販売、火薬類廃棄
〒079-0167
美唄市光珠内549
0126-67-2211 0126-62-1114
* 日邦工業㈱
猟用・射撃用装弾、分岐管、パンチの製造・
〒410-1121
販売、猟銃の販売
裾野市茶畑1838
055-992-0476 055-993-2805
* ㈱ジャペックス
産業用火薬類の販売
〒105-0003
03-3506-9061 03-3580-8244
東京都港区西新橋1-11-5(新橋中央ビル)
* ㈱カクタス
電設工具、溶接材、温度管理用示温材、
滅菌資材等の販売
〒112-0011
03-5940-3671 03-5940-3679
東京都文京区千石4-37-4(千石コートハウス)
* NOF メタルコーティングス㈱
金属防錆剤の製造・販売
〒210-0865
川崎市川崎区千鳥町3-3
044-280-3017 044-280-3119
* NOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC. 金属防錆剤の製造・販売
275 Industrial Parkway Chardon,
Ohio 44024 -1083,U.S.A.
+1-440-285-2231 +1-440-285-5009
* NOF METAL COATINGS EUROPE S.A. 金属防錆剤の製造・販売
ZAET Creil Saint Maximin, 120 rue Galilee,
+33-3-44-64-63-62 +33-3-44-64-63-40
CS 50093, 60106 CREIL CEDEX, France
* NOF METAL COATINGS EUROPE N.V. 金属防錆剤の製造・販売
Bouwelven 1, Industriezone Klein+32-14-259831 +32-14-224563
Gent, BE-2280 Grobbendonk, Belgium
* SIE s.r.l.
金属防錆剤の販売
Via. Avogadro, 11
10121 TORINO(TO), ITALY
金属防錆剤の製造・販売
Rua Minas Gerais No85 Vila Oriental CEP
+55-11-4071-5651 +55-11-4071-4118
09941-760 Diadema Sao Paulo, Brazil
* NOF METAL COATINGS KOREA CO., LTD. 金属防錆剤の製造・販売
9F Munhwailbo B/D, 68, Chung Jeongno1+82-2-571-4051 +82-2-571-4053
ga, Jung-gu, Seoul 04516, Korea
NOF METAL COATINGS SHANGHAI CO., LTD. 金属防錆剤の販売
200233 中華人民共和国上海市徐
林路487号宝石 宝石大楼3楼西
㈱エヌ・シー・ゼット
金属表面処理システムの販売
〒222-0033
045-470-3777 045-470-3788
横浜市港北区新横浜3-6-12(日総第12ビル)
* ㈱ニッカコーティング
金属防錆処理加工
〒342-0008
吉川市旭3-6 東埼玉テクノポリス
048-991-9854 048-991-9858
物流
・
不動産他
* ニチユ物流㈱
自動車運送業、荷役業務請負
〒210-0865
川崎市川崎区千鳥町3-2
044-280-0560 044-280-0563
* 日油商事㈱
食用加工油脂、健康関連、土木建設資材、コーティ
ングス、什器類等の販売、保険代理業、不動産業
〒150-0013
03-5789-8211 03-3445-2777
東京都渋谷区恵比寿 4 -1-18(恵比寿ネオナート)
海外販売
* NOF EUROPE GmbH
日油グループ製品等の輸出入および販売
Mainzer Landstrasse 46, 60325,
Frankfult am Main, Germany
+49-69-7706-100-0 +49-69-7706-100-10
* NOF AMERICA CORPORATION
日油グループ製品等の輸出入および販売
One North Broadway, Suite 912,
White Plains, N.Y. 10601, U.S.A.
+1-914-681-9790 +1-914-681-9791
* 日油(上海)商貿有限公司
日油グループ製品等の輸出入および販売
200050 中華人民共和国上海市長寧区
宜化路300号 華寧国際広場北塔24楼2402室
+86-21-62101100 +86-21-32080270
防 錆
* NOF METAL COATINGS
SOUTH AMERICA IND. E COM.LTDA.
03-3436-3711 03-3433-5505
049-231-2103 049-232-1334
+39-011-5627022 +39-011-537121
区田
+86-21-6120-4020 +86- 21-6120-4021
8
油化事業
油脂化学の追求と
石油化学を融合した機能性製品の創造
油化事業は、1910年の油脂事業創業以来、
わが国油脂化学分野のパイオニアとして業界
をリードしてきました。
現在では、脂肪酸類、脂肪酸誘導体、界面活性
剤等油脂化学分野の製品に加えて、石油化学分
野においてもアルキレンオキサイド誘導体や
(メタ)アクリル酸エステル等をベースとした
種々の機能性製品を開発し、環境・エネルギー
分野、情報・電子分野、パーソナルケア分野等、技
術革新が目覚ましい成長分野へ提供しています。
これからも、古くて新しい素材「油脂」のさら
なる可能性を探究するとともに、長い間蓄積
してきた当社固有の技術力をベースに油脂
化学・石油化学の幅広い分野で新たな高機能
素材を開発し、成長する先端分野で存在感の
ある事業を展開してまいります。
尼崎工場
天然の油脂を原料として各種の脂肪酸とグリセリンを製造し
ています。これらの脂肪酸およびグリセリンを出発原料とし
て数多くの機能性化合物を製品化しています。
低刺激性界面活性剤
シャンプー、ボディソープなど様々な製品に活用されています。
■低刺激性界面活性剤
千鳥工場
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを原料として
各種多様なアルキレンオキサイド誘導体を製造しています。
毎日使用するシャンプー、ボディソープなどの身体洗浄剤には、皮膚や目に対する刺激
が少ないものが求められています。当社はいち早くこの要望を製品の基本コンセプトと
考え、身体洗浄剤の特性に応じた低刺激性界面活性剤を取り揃えています。アミノ酸系
に代表される当社の低刺激性界面活性剤「ダイヤポン®」、「ニッサンアノン®LA」、「ソフ
ティルト®」は、多くの最終製品に使用され、高い評価を得ており、今後の開発にさらに
大きな期待が寄せられています。
■化粧品・医薬品関連材料
常熟日油化工有限公司(中国)
2004年に設立し、脂肪酸誘導体を製造しています。
主要製品
■脂肪酸類
硬化油、一般脂肪酸、単体蒸留脂肪酸、
ステアリン酸、グリセリン、高級アルコール
■脂肪酸誘導体・界面活性剤
カチオン界面活性剤、
アニオン界面活性剤、
金属石鹸、
ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、繊維油剤、
金属油剤、合成樹脂添加剤、重合用乳化剤、香粧品原料、
医薬品原料、クリーニング用洗剤、食品用乳化剤、
飼料添加剤、紙パルプ工業用薬剤、発酵工業用薬剤、
各種洗剤原料、石炭用分散剤、
土木・建築・セラミック用添加剤
■石油化学品
ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、
ポリアルキレングリコール、消泡剤、
エポキシ樹脂反応性希釈剤、
各種(メタ)アクリル酸誘導体、難燃剤、
各種ポリアルキレングリコール誘導体
9
当社は、これまでに蓄積した精密合成技術と独自の精製技術を駆使し、多岐に渡る化粧
品・医薬品素材を開発し製品化しています。
不純物が少なく、色、においに優れた高品質のエチレンオキサイド誘導体「マクロゴー
ル」、「ポリソルベート」は、これらの特性が重要となる医薬関連製品に幅広く使用され
ています。独自の設計・製造技術により開発されたアルキレンオキサイド誘導体「マク
ビオブライド®」、「ウィルブライド®」は、保湿性、使用感に優れた素材として高い評価を
得ています。高品質のポリブテン「パールリーム®」は、揮発性のある低分子オイルから
スクワラン代替のベースオイル、高い光沢を与える高粘度オイルまで幅広い物性の製品
がラインナップされ、世界中で使用されています。リン脂質類似構造を有し、高い保湿
性、皮膚保護効果を発揮する高機能ポリマー「リピジュア®」、細胞間脂質のセラミドを
モデルとし、若々しくハリのある肌を再生するアンチエイジング素材「セラキュート®」
は、当社独自の高付加価値素材として高級化粧品等に用いられ、好評を得ています。
これら独自素材の優れた性能を活かし、お客さまの最終製品に高い付加価値を付与でき
るよう、他の素材との組み合わせによるシナジー効果や最適な配合処方例等のご提案を
しています。
油化事業
■資源・環境・エネルギー関連潤滑油
生分解性潤滑油は、微生物によって水と二酸
化炭素に分解され自然界に戻るため、環境負
荷を低減する潤滑油です。当社の生分解性潤
滑油「ミルルーブ®Eシリーズ」は、基油(ベ
ース油)に当社の主力製品である脂肪酸ポリ
オールエステルを使用しており、その良好な
生分解性に加え、優れた潤滑性、低毒性、引
火点が高く、難燃性に優れた潤滑油です。
ミルルーブ®Eシリーズ
「ミルルーブ ®Eシリーズ」は、河川の水門開
河川の水門開閉装置などで使用されます。
閉装置および周辺機器、バイブロハンマーな
どの潤滑油として、特に人と環境への安全が求められる海、湖沼、港湾、海岸、森林、
農場、レジャー施設での使用に適しています。
また、難燃性に優れていることから、耐火性を必要とする製鋼、圧延設備および周辺機
器の潤滑油としても使用できます。
日油グループ会社による
製品展開
●得 意とする脂 肪 酸を原 料とし 、乳
牛・肉牛・豚用の飼料添加物を製造、
販売しています。ミネラルその他の飼料
添加物と合わせて、多様な畜産用途に
対応する高機能な製品群は高い評価
を得ています。
●製紙の製造工程ではデポジット
(異
物)
を少なくすることが、省資源や古紙
利用率向上のカギとなりつつあります。
この問題解決に優れた技術を持って
取り組み、提供する製紙薬剤(デポジ
ットコントロール剤)
は、国内大手の製
紙工場で採用されています。
■高分子型機能剤
高分子特有の増粘、増膜、凝集、分散、接着などの性質を活かし、特殊な機能を付与するた
めの薬剤としての高分子型機能剤。この分野における代表的な素材には、無水マレイン酸とエ
チレンオキサイド・プロピレンオキサイド誘導体技術との融合により開発された「マリアリム®」が
あります。
「マリアリム®」は、液体と固体の界面に働き、固体粒子の液体中への分散作用を有す
る機能剤として注目されています。最近のコンクリート構造物には高強度化、高耐久性化が要求
され、使用水量を減少させることが必要となっていますが、
「マリアリム®」は、この目的を達成す
るための重要な薬剤として、大きな期待が寄せられています。
デポジットコントロール剤「ミルスプレー®」
製紙工程中の不純物の対策に大きな力を発揮しています。
■電気・電子・情報関連材料
●金属油剤(メタレックス ®類)等、
各種活性剤を原料とし、金属洗浄剤、
防錆剤、金属加工油剤を製造販売し
ています。近年は、特に環境への配
慮からインク・塗料・接着剤向けや
製糖工程向けの環境に優しい洗浄剤
の開発を進めています。
近年、電気・電子・情報関連分野における微細
化、高速化の追求に伴い、特殊な性質を持つ化
学材料が求められています。当社は、その脂肪
酸精製技術、エステル合成技術、金属石鹸製造
技術を利用して、油脂化学品に高度な加工を施
し、電気・電子・情報分野のニーズに適合したま
ったく新しい素材として登場させようとしていま
す。
高純度脂肪酸エステルの融解挙動、電気特性な
どを利用した電子材料用潤滑剤、業界初の1
エレクトロニクス関連材料
∫クラスの微細金属石鹸の粒子挙動、静電特性
脂肪酸関連技術は、電気、電子、情報分野での活用も注目
されています。
を利用した画像形成材料、極性オリゴマーの特
異な離型性を利用した電子製品離型剤などを皮切りに夢が実現に近づこうとしています。脂質
とエレクトロニクスの結合、馴染み深いけれど新しい、それが当社の目指す電子材料の姿です。
■感光性モノマー
アクリル酸エステルモ
近年の情報・通信等の電子機器の高性能化に伴い、感光性樹脂用(メタ)
ノマーの需要が高まっています。これらは感光性レジスト、刷版材料、接着剤、紫外線硬化
型塗料などの分野に活用されています。当社ではエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド誘導
体をベースに、感光性に優れ、刺激性の少ない
(メタ)
アクリル酸エステルモノマーの開発製造
を行っています。これらは、電子材料の他に印刷、化粧品などの分野でも需要が高まってお
り、これからも顧客ニーズに合った製品の開発が期待されています。
10
化成事業
斬新な発想で、ケミカルの新分野を開拓
化成事業は、1957年の有機過酸化物事業創業
以来、着実に事業領域を拡大し、現在では、有機
過酸化物製品、機能性ポリマー製品、石油化学製
品を柱として、多彩な事業を展開しています。
有機過酸化物製品事業では、積極的な製品開発と
新規用途開拓に努め、世界有数の総合有機過酸化
物メーカーとして高い評価を受けています。
機能性ポリマー製品事業では、特異構造グラフト
ポリマー・ブロックポリマーの樹脂改質分野への
提供等、斬新な発想から生まれた高機能製品群の
積極的な応用展開を図っています。
石油化学製品事業では、ポリブテン、イソパラフ
ィン系無臭溶剤等を製造し、広く関連業界の発展
に寄与しています。
これからも、次世代技術に対応すべく固有技術を
駆使して最先端素材の開発に注力し、ケミカルの
新分野を開拓してまいります。
衣浦工場
有機過酸化物および機能性ポリマーを製造しています。
太陽電池の封止材 有機過酸化物は、重合開始剤、架橋剤として様々な合成樹脂に使われています。
大分工場
イソパラフィン系炭化水素溶剤を中心に製造してい
ポリブテン、
ます。
主要製品
■有機過酸化物
不飽和ポリエステル樹脂硬化剤、
塩化ビニール重合開始剤、
低密度ポリエチレン重合開始剤、
その他各種ポリマー重合開始剤、
ポリオレフィン架橋剤、各種合成ゴム架橋剤
■機能性ポリマー
低収縮剤、高分子表面改質剤、
■有機過酸化物
有機過酸化物は、プラスチック、包装材料、太陽電池、バスタブ、ゴルフボールなど、様々な
合成樹脂製品や合成ゴム製品の重合開始剤、架橋剤および硬化剤として使われています。当
社は自社技術による有機過酸化物の工業化に成功し、1957年に販売を開始して以来、様々な
ニーズに合わせた有機過酸化物の開発と新しい用途を積極的に開拓してきました。日本のトッ
プメーカーとして、世界の総合有機過酸化物メーカーとして、その品質と技術開発力は高い評価
を受けています。高品質の有機過酸化物を安全に製造する技術に対して、1965年には有機合
成化学協会から技術賞を、1967年に日本化学会から化学技術賞を授与されました。有機過酸
化物の海外生産拠点として、1995年にインドネシアにPT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES(NMC)を、2004年には、中国に常熟日油化工有限公司を設立しました。
ポリマーアロイ相容化剤
■石油化学品
ポリブテン、
イソパラフィン系無臭溶剤、
PT.NOF MAS CHEMICAL INDUSTRIES
(インドネシア)
1995年に設立し、有機過酸化物を製造しています。
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常熟日油化工有限公司(中国)
2004年に設立し、有機過酸化物を製造しています。
化成事業
■スペシャリティーポリマー製品
「モディパー®/ノフアロイ®シリーズ」
「モディパー®/ノフアロイ®シリーズ」は、日本化学会から化学技術賞を授与された
技術をベースに、ラジカル法によるブロック化またはグラフト化技術を駆使して
開発した機能性ポリマー製品です。「モディパー®/ノフアロイ®シリーズ」は、樹脂
の改質剤やポリマーアロイの相容化剤として、また、防曇剤として、高い評価を
受けています。さらに、耐油性、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーも好評を
受けています。今後も、さらなる高機能素材の開発を進め、幅広いニーズにお応えし
ます。
バスルームには有機過酸化物、モディパー® シリーズが使用されて
います。
自動車のヘッドライトに使用されている防曇剤
■石油化学分野
C4(ブタン、ブテンなど)留分を原料とする石油化学分野への進出を目指し、1969年に大分工場を開設し、ポリブテン、イソパラフィン系無臭溶剤等を製
造しています。これらは、化粧品、潤滑油、粘・接着剤、絶縁油等の原料として、広く関連業界の発展に寄与しています。
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化薬事業
最先端のパイロテクノロジーによる
新しい未来への挑戦
化薬事業は、1919年の火薬事業創業以来、
卓越した研究開発力と製造技術による高機
能製品群と安全性を最優先とした応用技術
を創出し、社会に提供してきました。
現在では、世界でも稀有な総合火薬メーカー
として確固たる事業基盤を築いており、産業
用爆薬事業、防衛・宇宙開発事業および民生
品事業を展開しています。
産業用爆薬事業では、膠質ダイナマイト、含
水爆薬、電気雷管および遠隔制御発破装置等
により、
トンネル掘削をはじめとする国土開
発に寄与しています。
防衛・宇宙開発事業では、発射薬、銃砲弾、ロ
ケット用推進薬、火工品等、最先端技術を活
かした高性能製品によって、国の防衛と宇宙
開発に貢献しています。
また民生品事業では、自動車用安全部品、海
洋機器、示温材、滅菌資材、医薬品原料、防
犯機器等、日常生活に関連する様々な分野へ
製品を提供し、幅広く社会に貢献しています。
これからも、最先端のパイロテクノロジー
(火工品技術)を最大限に活用して新しい未
来へ挑戦してまいります。
武豊工場
万全な安全体制のもとで、ハイクオリティな各種火薬類製品を
生産しています。
神岡出張所
安全と環境に配慮して、奥飛騨山麓の地下空間で各種火薬類
の評価試験を展開しています。
H-ⅡBロケット 固体ロケットブースタに当社の高性能固体推進薬を提供。(写真提供:宇宙航空研究開発機構)
■宇宙ロケット用固体推進薬
は2001年8月、日本の商業衛星打ち上げ参入を目指
宇宙航空研究開発機構(旧宇宙開発事業団)
して、H-Ⅱロケットを低価格、高性能に改良したH-ⅡAロケットの打ち上げに成功しました。H-Ⅱ
種子島事業所(宇宙航空研究開発機構:種子島)
宇宙ロケット用固体推進薬の製造を担い、日本の宇宙開発に貢
献しています。
主要製品
■爆薬
膠質ダイナマイト、エマルション系含水爆薬、
アンホ爆薬
■火薬
防衛用発射薬、防衛用推進薬、弾頭炸薬、
宇宙開発用ロケット推進薬
■填薬・組立
誘導弾・砲弾・空包・機雷
■火工品他
雷管、ロケット用各種火工品、安全発破器類、
盗難防止警報機、静的破砕剤、火薬類廃棄
■自動車用安全具
シートベルトプリテンショナー用マイクロガス発生器
■医療
心疾患治療剤用医薬原料(ニトログリセリン系)
、
医療滅菌用資材
13
Aロケットは、液体水素と液体酸素を燃料とする
“液体ロケットエンジン”
と、当社火薬技術の粋を
集めた高性能大型推進薬を使用した“固体ロケットブースタ”
を基本構成とした2段式ロケットで、
世界の大型ロケットに肩を並べる高い打ち上げ能力をもっており、静止軌道に2トン以上の衛星を
打ち上げることができます。1997年12月には、種子
島宇宙センター内に種子島事業所を開設し、効
率的な宇宙開発に寄与しています。
2009年9月には、HTV(宇宙ステーション補給
機)を搭載したH-ⅡBの打ち上げにも成功しま
した。また、2006年に運用を終了した全段固
体推進薬のM-Vロケットの後継として、2013
年に試験機の打ち上げに成功したイプシロン
ロケットの開発に取り組んでいます。
H-ⅡAロケットSRB-Aモータ
高性能大型推進薬を使用した固体ロケットブースタ。
(写真提供:宇宙航空研究開発機構)
■「はやぶさ2」衝突装置(爆薬部)
小惑星探査機「はやぶさ2」は、2010年に地球への帰還を
果たした「はやぶさ」の後継機であり、2014年12月にH−
ⅡAロケットにより打ち上げられました。「はやぶさ2」
は「衝突装置」という新たな機能を搭載しており、「はや
ぶさ2」から分離して爆薬の力で高速のインパクタを飛ば
し、小惑星に人工的にクレーターを形成します。この「衝
突装置(爆薬部)」は、グループ会社の日本工機株式会社
が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発しまし
た。
化薬事業
■産業用爆薬
当社グループの産業用爆薬は、国土・海洋開発や各種
鉱山等の分野で高い信頼を得ています。安全指向の高
まりに応えて開発された高性能かつ安全性の高いエマル
ション爆薬は、トンネル掘削をはじめとする幅広い分野で
使われています。起爆方式においても新システムを開発し、
これまで難所とされていた海中での発破を可能にした電
磁誘導式の遠隔制御発破装置「RCB TM 」は、瀬戸大橋の
建設にも使用されました。また、
これらの技術の応用から、
電磁誘導起爆システム「MBS ® 」ならびに集中管理発破シ
ステムの実用化を達成しました。さらに、切羽作業の安
全性向上のため爆薬遠隔装填システム「セーフチャー
ジャー ® 」を鹿島建設株式会社と共同で開発し、山岳
トンネル工事における爆薬装填作業の安全性を向上さ
せました。
用途に応じた産業用爆薬
油中水型エマルション系の含水爆薬、膠質ダイナマイト。
■蒸気圧破砕薬剤「ガンサイザー®」
グループ会社の日本工機株式会社は、蒸気圧破砕薬剤「ガンサイザー ® 」による低振動破砕工法を業界で初めて開発しました。「ガンサ
イザー ® 」は、岩盤・岩石・コンクリート構造物等を薬剤の熱分解時に発生する水蒸気圧により低振動状態で破砕し、周辺環境にも優
しい破砕薬剤であることが高く評価され、東日本大震災で倒壊した防波堤水中破砕・トンネル掘削・大型造成・深礎掘削・採石場等の
工事でも幅広く使用されています。
※「ガンサイザー」は日本工機株式会社の登録商標です。
■海洋機器
21世紀の世界的テーマの一つに海洋の利用・開発があ
ります。その海洋開発において日本の役割は大きく、
国家のプロジェクトとしても大きなウエイトを占めて
います。グループ会社の日油技研工業株式会社は、海
洋観測・調査に必要な「海洋調査機器」の研究・開発
に取り組み、固有の火工品技術による固体式ガス発生
器を応用した「水中自動切離装置」を開発し、超音波
や計測・制御などと複合化した技術によって、最先端
の海洋開発機器を誕生してきました。海洋観測係留シ
ステムは、その中でも代表的な複合化システムで、浅
海域の鉛直プロファイルとして脚光を浴びています。
また、遠隔地の海洋環境モニタリングシステムや海洋
資源調査用のボーリングマシンシステムなど、海洋の
多岐にわたる調査機器を提供し、海洋科学の飛躍的な
進歩に貢献しています。そして今、地球環境問題など
がクローズアップされている中、確かな安全性と信頼
性に裏打ちされた製品作りと技術サービスは、関係官
庁、研究機関、学術関係機関、産業界から国内外を問
わず、大きな期待と注目を集めています。
水中自動昇降装置
海洋観測係留システム
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化薬事業
「パワー&制御」未来に向かって
■発射薬
創業以来、一貫して生産してきた防衛用・民需用の発射薬は厳しい品質保証体制に基づき、
常に高性能な製品を生み出しています。また長年にわたって蓄積してきた技術をフルに活かし
て、絶えず新製品の開発に力を注いでいます。研究開発中の製品には、高射機関砲用、戦車
砲用、訓練弾用、新多目的榴弾用などの発射薬があります。
日本工機株式会社
防衛用装備品から産業用火薬、一般産業用精密加工品まで
各種火薬関連製品を製造・販売しています。
日油技研工業株式会社
医療滅菌用資材、海洋機器から宇宙開発に至る幅広い分野で
の製品を製造・販売しています。
発射薬
■推進薬
1954年に製造を開始したロケット用推進薬は、主に防衛用ロケットや誘導弾の推進燃料として
発展してきました。ダブルベース推進薬、コンポジット推進薬をはじめ、あらゆる種類の推進薬を
市場に送り出し、その技術力は高い評価を得ています。さらに高性能で低コストの新しい組成、
新しい製造法による推進薬を生み出していきます。
圧伸式推進薬
15
化薬事業
■銃砲弾
グループ会社の日本工機株式会社、昭和金
属工業株式会社、日邦工業株式会社が製
造・販売する防衛用銃砲弾、民需用装弾
は各種空包、信号弾、普通弾、実弾、焼夷
榴弾、曳光弾、徹甲弾、擬製弾、競技・猟
用装弾など多岐にわたり小・中口径銃砲弾
のすべての種類をカバーしています。また
大口径砲弾についての填薬・組立を行って
います。
各種小火器用空包
専用ゲージによるチェック
■医薬原料
狭心症に効果があるとされる、ニトログリ
セリンをベースにした製剤原料を供給して
います。製剤原料の製造承認許可を取得
し、日本における高齢化、食生活の欧米化
に伴い急増している心臓病患者への製剤
原料を製造しています。化薬事業は、医
薬品の分野でも社会へ貢献しています。
狭心症患者用製剤
テープ剤、注射剤等。ニトロ
グリセリンをベースにした当
社の製剤原料が使用されてい
ます。
■自動車用安全具
米国では90年型車からエアバッグまたはパッシブシートベルトの全車種への装着が義務付けら
れ、国内においてもこれら自動車用安全具の標準装備化は急速に進みました。グループ会社の
シートベルトプリテンショナー用ガス発生器、日本工機株式会社は、
昭和金属工業株式会社は、
エアバッグのインフレータ用ガス発生剤の生産、販売を行っています。火薬の瞬間的エネル
ギーをコントロールして私たちの生活に役立つものを提供するグループ総合力が結集されていま
す。
シートベルトプリテンショナー
■防犯具
グループ会社の日本工機株式会社が製造・販売する「ネットランチャー®」は、不審者が
侵入した際に、誰にでも簡単に、網を展開・飛翔させ、絡ませます。不審者は、動きを
拘束されますので、その間に避難・通報などの時間が稼げます。
「ネットランチャー®」
※「ネットランチャー」は日本工機株式会社の登録商標です。
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食品事業
おいしく、健やかに
「食」の豊かさを一つ一つかたちに
食品事業は、1917年の創業以来、常に他
社に先駆けて食用油脂の精製・加工技術の
革新に取り組んできたパイオニアです。現
在では、事業領域を拡充し、食用加工油脂
事業と健康関連事業を展開しています。
食用加工油脂事業では、マーガリン、ショ
ートニング、製菓改良脂、離型油、フィリ
ング・トッピング材、粉末油脂、調理・冷
凍食品用素材等、油脂加工のパイオニアと
して培ってきた技術をベースに「おいしさ」
を追究した製品開発に努め、広く食品産業
に貢献しています。
健康関連事業では、機能性脂質、乳化・可
溶化製品、油脂コーティング製品、医療栄
養食等、社会へ「健康」を提供するための
技術研鑚に努め、次々と新製品を開発して
います。
おいしく、健やかに、「食」の豊かさを一つ
一つかたちに、これからも社会に貢献でき
る製品を提供してまいります。
主要製品
大師工場
クロスコンタミネーションの防止、完全なゾーニングなどHACCPを取得した最新鋭工場
■ショートニング
製菓・製パン用
■マーガリン
製菓・製パン用、テーブル用、冷凍食品用、調理用
■クリーム用油脂
ホイップクリーム用、コーヒークリーム用
■フィリング・トッピング素材
製菓・製パン用、調理用
■粉末油脂
インスタント食品用、スナック食品用、
冷凍食品用、飼料用
■離型油
製パン用、和・洋菓子用
■医療栄養食
■特別用途食品
■機能性脂質
■マイクロカプセル製品(油脂コーティング)
■可溶化液製品
■日持向上製剤
■加工食品素材
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■食用加工油脂
食用油脂は、3大栄養素の一つとして私たちの健康に重要な役割を果たすとともに、食品
のおいしさの主役として多くの食品でその機能を発揮しています。
当社では様々な加工食品向けに、マーガリン、ショートニング、フィリング、乳化油脂、
粉末油脂などの食用加工油脂を提供し、広く食品産業に貢献してきました。
当社の固有の油脂加工技術を活かし、多様化する食品のニーズにすばやく的確に対応す
ることができます。油脂の機能を活かした新しいパン・菓子等の開発、調理・冷凍食品
の開発など新たなマーケットを創生する当社独自の提案により豊かな「食」を一つ一つ
かたちにしていきます。
食品事業
■機能性脂質
当社では、油脂の抽出、精製、安定化技術を基盤として、人々の健康な生活に寄与
する機能性油脂の開発を行っています。
母乳にも含まれる機能成分「DHA」にいち早く着目し、独自の精製脱臭、加工技術
で製品化しました。
油脂のみに留まらず、脂質全体を視野に入れた研究開発に取り組み、幅広い機能性
脂質素材を市場に展開しています。
現在では、機能性リン脂質「PC-DHA」(DHA結合型リン脂質)や「PS」(ホスファ
チジルセリン)などが高付加価値素材として注目され、機能食品市場で高い評価を
受けています。
機能性油脂
当社の機能性油脂を配合したサプリメント製品
■油脂コーティング(マイクロカプセル化)製品
当社が独自に開発した「マイクロカプセル化技術」は、油脂で芯物質をコーティン
グすることによる安定性向上、味のマスキング、吸湿防止、接触回避などの機能を
実現し、食品、医療、飼料など広範囲な分野への展開を可能にしました。粉末状の
芯物質を常温でそのままコーティングすることが可能で、各種ビタミンや健康ニー
ズを背景とした天然抽出物などを中心に多様なコーティング製品が実用化されてい
ます。
現在では、新たに水溶性物質によるコーティング技術を開発し、これらの技術を組
み合わせることで、胃酸耐性付与や生体吸収性の機能を実現し、さらにその応用分
野が広がっています。
油脂コーティング製品
当社の油脂コーティング製品を配合したサプリメント製品
■医療栄養食
当社では、脂質の栄養生理学を基盤に、高度な食品加工技術を活かした医療栄養食
を開発しています。
医療栄養食には、通常の食事摂取が困難な患者が適切な栄養管理を受けるために利
用する濃厚流動食や、蛋白質の摂取制限が必
要な腎臓病患者向けに特殊な生理機能を持つ
中鎖脂肪を配合した食品などがあります。
高 齢 者 の 増 加 を 背 景 に 、「 病 気 の 効 率 的 な 治
療には、個々の患者にあわせた適切な栄養管
理が重要」であるとの認識が広がっています。
このような臨床栄養の進展にあわせ、当社の
医療栄養食事業は健康長寿社会に貢献してい
ます。
医療栄養食
液状濃厚流動食「サンエット® N3バッグZ」は、病院や介護
施設でご利用いただいています。
■可溶化製品
永年蓄積してきた油脂の乳化技術を活かして、水に溶けない脂溶性成分を溶けるよう
に加工した可溶化製品の開発をしています。可溶化とは、脂溶性成分を乳化させ、そ
の乳化粒子をナノレベルまで微細化し、水溶化を実現する技術です。
この技術は、従来、水に不溶な脂溶性成分を飲料やゼリーへの配合を可能にし、また、
透明性、被可溶化物質の酸化安定性や、生体利用率の向上など新しい機能が得られま
す。この機能を活かして、ビタミン・機能性脂質等の可溶化液を開発しています。
可溶化製品
当社の可溶化製品は、様々な飲料に使用されています。
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ライフサイエンス
事業
独創的なテクノロジーで
クオリティ・オブ・ライフに貢献
ラ イ フ サ イ エ ン ス 事 業 は 、「 リ ン 脂 質 極
性基を有するLIPIDURE ® (MPC(2-メ
タクリロイルオキシエチルホスホリルコ
リン)ポリマー)の製造技術の開発」の
成功を機に、本格的に事業運営体制を整
え、生体適合性素材として積極的な市場
展開を進めてまいりました。
その用途はコンタクトレンズ関連材料や
点眼薬などのアイケア分野、診断薬やメ
ディカルデバイス等の医薬医療分野、洗
口液をはじめとしたオーラルケア分野、
更には繊維分野等、多岐にわたっており
各分野で高い評価を得ています。
今後は、これまでに蓄積された分子設計
技術、精製技術、評価技術を駆使し、さ
らなる用途開発を進めると共に新製品の
開発も強化しています。
独創的なキーテクノロジーを核に革新的な
価値の創造に挑戦し「QOL(クオリティ・
オブ・ライフ)」に貢献してまいります。
MPC(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)
・生体に優しい機能性モノマー(生体適合性材料)
重
合
性
の
部
位
生
体
親
和
性
の
部
位
MPCポリマー(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体)を配合した点眼薬
■生体関連材料
当社は科学技術振興機構の協力のもと、生体適合材料として画期的な新素材MPC(2−メタクリ
ロイルオキシエチルホスホリルコリン)
をモノマーからポリマーまで一貫して製造する商業プラント
を、世界に先駆けて完成させました。MPCは、細胞膜に酷似した成分と重合性基を有する成分
からなるため、生体への親和性が高く、コンタクトレンズ、コンタクトレンズ液等アイケア分野、化粧
品分野、繊維加工剤、さらには医療デバイス等への新素材として、幅広く使用されています。
• コンタクトレンズケア用品
MPCポリマーにより、簡単ケアを可能にする酵素一体型の
ハードコンタクトレンズ用洗浄保存液を開発、コンタクトレンズ
メーカー各社に提供しています。MPCポリマーの働きで、レ
ンズに付着した蛋白質を分解する酵素を安定化させ、優れ
大分工場MPCプラント
大分石油化学コンビナート内に立地しています。世界に先駆け
てMPCモノマー・ポリマー製造プラントを設立しました。
主要製品
■生体関連材料
コンタクトレンズケア用品、
手指消毒剤、
医療デバイス用コーティング材料、
繊維加工剤
■診断・研究用試薬
酸化ストレスマーカー、
ELISAキット
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た洗浄力を付与することができます。コンタクトレンズの装用
感に優れ、眼の乾きを低減させることもできることから、従来
品とは一線を画する製品として好評をいただいています。ま
た、洗浄からすすぎ、消毒、保存までを1本で可能とす
る、MPCポリマー配合のソフトコンタクトレンズ用消
毒剤も展開しています。
ライフサイエンス
事業
• 手指消毒剤
新型インフルエンザの大流行により、その予防対策として、手指消毒剤のニーズが高まってき
ました。従来品は、手荒れなどが避けられませんでしたが、当社では、MPCポリマーの肌にや
さしい特徴を活かした手指消毒剤を商品開発し、好評をいただいています。
• 医療デバイス用コーティング材料
医療用デバイス・人工臓器で要求される性能の一つとして、抗血栓性があげられます。MPCポリマー
は、コーティングにより血小板や蛋白質の吸着を防ぐことができるため、抗血栓性を主目的にした人
工臓器やカテーテル等の医療デバイスのコーティング材料として注目されています。
• 生化学・体外診断薬用添加剤
LIPIDURE®-BLシリ−ズは、リン脂質類似高分子を原料とする完全合成の生化学研究用高機能添加
剤です。合成高分子なので、生体由来の高分子のような感染のリスクはなく、熱・凍結融解に対して
高い安定性があり、ロット間差や交差反応はありません。また、化学合成品なので、分子量、親水/疎
水バランス、電気化学的性質等自由にコントロールできます。この製品の使用により、試薬の管理が容
易になり、試薬性能の向上・改善および生物学的危険性の排除が期待できます。
手指消毒剤
• 繊維加工剤
近年、肌にトラブルを抱えている人が増加しており、繊維の機能化の一つとして、スキンケア加工が注
目されています。MPCポリマーは角質層のバリア機能を高めることから、皮膚刺激を低減させる効果
やバリア機能の回復効果を発揮します。この利点を活かしてMPCポリマーを繊維に加工することに
より
“肌に優しい繊維”
を実現し、さらに、吸保湿性、帯電防止性および防汚染性などの機能を付加
することも可能になります。
■診断・研究用試薬
• アッセイ用試薬
免疫学的測定用ブロッキング試薬およびペルオキシダーゼ安定化試薬を販売していますが、これらの試薬は主成分が完全合成ポリマーからなっており、
BSAなどの動物由来の原料を一切使用していません。ブロッキング性能、酵素安定化性能に優れている他、合成物ならではの種々の特性をもっています。
• 酸化ストレスマーカー
免疫研究用抗体
動脈硬化、ガン、糖尿病など、老化に伴う多くの病気が酸化ストレスに起因するといわれています。脂質、遺伝子、糖を対象として、その酸化ストレスを測定
するマーカーを開発しています。現在、脂質のマーカーとして抗ACR(アクロレイン)抗体、抗4-HNE(4-ヒドロキシノネナール)抗体、抗MDA(マロンジアルデ
ヒド)抗体、抗CRA(クロトンアルデヒド)抗体を、遺伝子のマーカーとして抗8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン)抗体を、糖のマーカーとしては抗MG
(メチルグリオキザール)抗体を販売しています。これらのマーカーは、老化や生活習慣病に伴う病気の研究に活用され、また生体内の有害な活性酸素を
抑える食品(老化予防用抗酸化食品)
などの開発に活用されています。
ELISAキット
遺伝子が過酸化反応して生じる酸化ストレスマーカー8-OHdG測定用ELISAキット等を販売しています。
ELISAキット
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DDS事業
高純度素材および新規技術によりDDS革新へ貢献
医薬品業界では、薬物の治療効果を最大限
■PEG誘導体
に発揮させる薬物送達システム(DDS:
蛋白製剤は、一般に体内での安定性、抗原性に問題があり、これらの問題点を解決する
ための一手段としてPEG誘導体による修飾が研究され、既にいくつかの薬剤において実
用化されています。
また、PEG誘導体は、非イオン性かつ水溶性の高分子という特性を生かして様々なバイ
オマテリアルの開発にも応用されています。
当社では、独自の合成・高純度精製技術を駆使して開発した活性化PEG「SUNBRIGHT®
シリーズ」
を提供しています。
Drug Delivery System)を利用した医
薬品が数多く商品化され、患者の治療に役
立っています。
なかでも、薬物の送達物質(キャリア)と
してナノサイズのものを用い、医薬品の生
物活性、副作用、病巣へのターゲティング、
化学的安定性、代謝活性等を調整して、体
内の必要な場所に必要な量を必要な時間だ
け作用させ、医薬品の効果を高める技術が
注目されています。
当社は、このナノ技術を応用したDDS分
野において、ポリエチレングリコール
(PEG)誘導体、リン脂質、高純度不飽和
脂肪酸等、当社固有技術である合成・精
製・品質管理技術によって開発された創造
性の高い製剤材料および製剤技術を提供し
ています。
これからも、高純度素材および新規技術に
よりDDS革新へ貢献してまいります。
■リン脂質
1990年代初期よりGMPに対応した高純度リン脂
質「COATSOME®シリーズ」を供給しています。
またPEGリン脂質やカチオン脂質などの新規脂
質の開発、供給も行っています。
さらに、リポソーム研究の検討用として、簡単
に薬物をリポソーム中に内包させることができ
る“研究用中空リポソーム製剤”
「COATSOME®
ELシリーズ」も提供しています。
リポソーム電顕像
(写真提供:日本エフイー・アイ㈱)
■高純度不飽和脂肪酸
クリーンルーム
安全な製品を供給するため、GMP管理されたクリーンルー
ムで、製造を行っています。
高度精製技術を用い、高純度不飽和脂肪酸およびこれらの誘導体「NOFABLE®シリーズ」
を提供しています。
特に高純度オレイン酸を原料とし、高度なエチレンオキサイド付加技術を用いて開発し
たポリソルベート80(HX2)は、不純物が少なく安全性が高い製品として世界の製薬会
社に認められています。特に乳化剤、溶解剤として配合する際に薬物の性能低下を効果
的に抑制できることが評価されています。
尼崎工場
1987年にリン脂質のGMP製造設備を完成し、世界に先駆け
てリポソーム医薬品向けに高純度リン脂質を供給しています。
高純度オレイン酸の結晶
当社は、純度99%以上のオレイン酸を世界で最初に開発しました。
DDS工場
2005年に薬物修飾用高純度PEG誘導体のGMP製造設備が
稼動しました。
21
W/O/W エマルジョン
ディスプレイ材料
事業
最先端技術を生かしたユニークな
高機能製品をグローバルに提供
2013年4月、機能フィルム事業と電材事
業を統合してディスプレイ材料事業を設立
しました。機能フィルム事業は、世界で初
めてのウエットコーテイング法による反射
防止フィルム「リアルック ® 」、「エアライ
ク®」、耐指紋性フィルム「クリアタッチ®」、
耐指紋性反射防止フィルム「ピュアフェイ
ス ® 」、書味向上フィルム「ペンフィット ® 」
などの機能フィルム製品を次々と開発し、
これまで業容を拡大してきました。また、
近年急激に増加しているタブレットおよび
スマートフォンに当社インデックス・マッ
チングフィルム「ライトナビ ® 」が使用さ
れ、顧客から高い評価を受けています。一
方、電材事業は、日本化学会の化学技術賞
を受章した当社の固有技術をキーテクノロ
ジーとして革新的な製品の開発を続けてき
ました。特に、ブロックカルボン酸硬化技
術を基に開発した「ノフキュアー®」は、国
内外で新規採用を獲得するなど、ディスプ
レイ材料市場で販売を拡大しています。こ
れまで両事業が培ってきた技術を融合して
シナジー効果を発揮し、新事業展開のスピ
ードアップや新製品開発力の強化を図り、
顧客のニーズに合致したより機能性の高い
製品を提供してまいります。
ディスプレイ材料工場
インデックス・マッチングフィルム、反射防止フィルムなど
の機能フィルムを中心に生産しています。
ディスプレイ材料工場
ブロックカルボン酸関連製品を生産しています。
主要製品
■機能フィルム製品
■ブロックカルボン酸製品
■機能フィルム製品
当社独自の「材料開発技術」、「製品設計技術」および「薄膜コーティング技術」の3つの
コアテクノロジーを駆使してユニークな機能性フィルムを開発しています。
• 反射防止フィルム「リアルック®」
、
「エアライク®」
®
反射防止フィルム「リアルック 」、「エアライク®」を電子ディスプレイ表面に貼り合わせ
ることにより、蛍光灯などの光の映り込みを抑制することができ、映像をより見やすくす
ることができます。この反射防止機能に防汚性およびぎらつき防止(AG)機能を付加し
たタイプもあります。また、電子ディスプレイ用途以外にも、芸術用途、建材用途など、
用途に合わせて豊富なグレードの中から最適なものをご使用いただけます。中でも「エア
ライク®」は特に反射防止性能が優れた超低反射フィルムです。
• 耐指紋性フィルム「クリアタッチ®」
、耐指紋性反射防止フィルム「ピュアフェイス®」
近年急増しているスマートフォン、タブレット、車載用カーナビなど指で直接入力するタ
イプのタッチパネルは、指紋汚れによってディスプレイの視認性が低下することが問題と
なっています。この点、当社が開発した耐指紋性フィルム「クリアタッチ®」、耐指紋性反
射防止フィルム「ピュアフェイス®」を貼り合わせると、付着した指紋が広がり、光の散乱
を抑制するため、指紋の跡が目立ちません。また、指紋の拭き取り性にも優れています。
さらに、「ピュアフェイス®」は反射防止性も付与しました。クリアタイプとAGタイプが
あります。
• インデックス・マッチングフィルム「ライトナビ®」
近年、急成長を遂げているスマートフォン、タブレットなどのタッチパネルには、ITO
フィルムが使用されています。ITOフィルム上のITO電極を格子状にパターン化する
ことによって、情報端末を操作するユーザーが指で画面に触れると、電気信号が機器本体
に伝達されて様々な操作がスムーズにできるようになっています。一方、ITO電極パタ
ーンは、タッチパネルの視認性低下を招く原因にもなっているため、ITO電極パターン
の不可視化が要望されていました。
この点、当社が開発したインデックス・マッチングフィルム「ライトナビ®CW」にITO
加工すると、エッチング処理後のITO電極パターンが見えにくくなります。
■ブロックカルボン酸製品
• 液晶ディスプレイ用材料「ノフキュアー®」
当社の固有技術であるブロックカルボン酸をベースにした製品です。透明性、耐熱性を生
かした、液晶ディスプレイ関連材料の開発を進めています。
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防錆事業
環境に優しい、表面処理を!
防錆事業は、独創性の高い防錆処理剤を核に
最先端の表面処理技術を蓄積し、自動車部品
防錆処理の世界的デファクトスタンダードとな
るまでに発展してきました。
現在では、国内およびアジア地域で事業を展
開するNOFメタルコーティングス株式会社、
米 国 で は NOF METAL COATINGS
NORTH AMERICA INC. 欧州ではNOF
METAL COATINGS EUROPE S.A.(仏)等
グローバルなネットワークを構築し、全世界
の自動車生産拠点に向けた防錆処理剤の供給
体制を整えています。
これからも環境に優しい表面処理を最優先課
題に、高機能製品の開発と防錆処理技術の向
上に取り組んでまいります。
「ジオメット®」で処理を施した部品
環境負荷物質を含まず地球に優しい完全無公害防錆処理剤「ジオメット®」が世界の自動車メーカーに採用されています。
NOFメタルコーティングス株式会社
NOFメタルコーティングス株式会社内
ジオメット® 製造設備
2006年6月に稼働を開始しました。
「ダクロメット® 」で処理を施した部品
主力の自動車用途以外にも、アクアラインのセグメン
トボルト、橋梁など土木用途の締結金具にも使用が増
加しており、プレハブ住宅金具、家電・船舶機器など多
様な分野に展開しています。
NORTH AMERICA
SOUTH AMERICA
EUROPE・AFRICA
CHINA
KOREA
ASIA PACIFIC
NOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.
本社(アメリカ)
NOF METAL COATINGS EUROPE S.A.
本社(フランス)
主要製品
■自動車部品用水系クロムフリー特殊防錆処理剤
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防錆事業グループ会社各社の販売テリトリー
「ダクロメット®」はNOF METAL COATINGS NORTH AMERICA INC.の登録商標です。
※「ジオメット®」
研究開発
Innovative Materials, Advanced Technologies.
─新素材を創出し革新的技術を創造する─
日常の生活スタイルを変化させるIT・
情報家電の発達、生命の深奥にまで切り
込もうとするライフサイエンスの革新
等、技術進化が目覚ましい状況の中で、
化学素材分野においても時代に適応でき
る変革が求められています。
これらの課題に対応するため、油化、化
成、化薬、食品、ディスプレイ材料等の
基幹事業を支える各研究所、ライフサイ
エンス、DDSの重点事業を目的に開設
した各研究所、それぞれの研究拠点にお
いて、時代のニーズをいち早く捉えた
「新技術・新製品の開発」に挑戦し続け
ています。
また、研究本部は、全社的研究戦略の企
画・立案を行うとともに、各事業部門研
究所間の技術の連携を行う横串機能と、
将来の波及性と効果・効能の大きい独創
的・先駆的素材や技術の開発や応用に向
けた基盤研究を行う縦串機能を担ってい
ます。研究本部では、グローバルに新素
材・新技術を探索し、社内外との連携を
深めて時代の先を見つめた新製品の開
発・新技術の応用に挑戦しています。
先端技術研究所
先端技術研究所は、将来の波及性と効果・効能の大きい
独創的・先駆的素材や技術の開発や応用に向けた基盤研
究に取組んでいます。多岐にわたる日油グループ各事業
部門研究所の固有技術と国内外の研究機関で開発されて
いる最先端の技術や素材との融合による次世代を担う新
技術・新製品の開発を行っています。
先端技術研究所
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研究開発
新たな価値の創造を目指して
単なる素材の開発のみならず、高付加価値を追求した製品や技術の開発に取り組む研究部門。各事業の研究部門の技術を融合させ、ライ
フサイエンスをはじめとする新たなテーマに挑戦し続けます。
油化学研究所(油化事業部)
化成研究所(化成事業部)
研究開発部(化薬事業部)
油脂とその誘導体、界面活性剤、高分子に関する応用研究を
中心に、様々な角度からアプローチし、資源・環境・エネル
ギー、ヘルスケア、情報・電子分野におけるスペシャリティ
製品の開発に注力しています。
有機過酸化物の研究・開発により培われた合成技術、分析技
術、重合技術、物性評価技術などを高度に利用した合成樹脂
分野に展開しています。
新しい技術、新しい分野の開拓、将来の国際化を見据えた海外
との協力体制を構築しながら発射薬、爆薬および燃料等の研究
開発を進めています。そのための試験設備として環境を考慮し
たトンネル構造の神岡出張所が大きな力を発揮しています。
食品研究所(食品事業部)
ライフサイエンス研究所(ライフサイエンス事業部)
DDS研究所(DDS事業部)
油脂加工・乳化・可溶化・粉末化・マイクロカプセル化など
の加工技術、乳化剤・酵素などの機能利用技術、DHAなど
の機能性脂質の技術を基に、食用加工油脂、機能食品、医療
栄養食など、より「安全・安心」な製品開発に努めています。
生体適合材料の新素材であるMPCポリマーを核としてアイ
ケア分野、医療デバイス分野、繊維加工分野への応用研究に
取り組んでいます。
PEG誘導体やリン脂質、新規DDS素材など、高度な素材や
技術をDDS分野に広く展開するための研究開発を行ってい
ます。
ディスプレイ材料研究所(ディスプレイ材料事業部)
日本工機株式会社 白河製造所 研究開発部
日油技研工業株式会社 研究開発部
最先端の技術を駆使してディスプレイ材料製品の開発に取り
組んでいます。
長年携わってきた防衛装備品製造技術、あるいは各種火薬類
および自動車安全装置を含む精密加工品製造技術を駆使し
て、世相を反映した新規のセキュリティ分野、防犯分野の製品
開発に力を注いでおり、各方面から期待されています。
固有技術をベースに、その利用や新しい技術を加えた複合化
を得意とし、化学・電気・機械・制御・加工など各分野の専門領
域を越えた研究開発体制により、数多くの新製品を創り出し
ています。
NOFメタルコーティングス株式会社 技術部
自動車用部品などの防錆剤の開発に取り組み、他社に先駆け
て高品質のクロムフリー防錆剤を上市しています。
※詳細につきましては、当社ホームページ(URL:http://www.nof.co.jp)をご参照ください。
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こちらの QR コードから
会社案内の動画をご覧い
ただけます。
2004 年11月作成 . K③.4000(E)
30
2016 年 6 月データ作成 K (A)
2016 年 3 月
PK⑪2500(A)