「ゲンテン」がフィレンツェの

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vol. 1687
昭和54年 4 月24日第三種郵便物認可 週 1 回月曜日発行
ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン
2012年
(平成24年) 4月23 日
(月曜日)
発行
WWD FOR JAPAN
「ゲンテン」がフィレンツェの
週末にパスクワ(キリスト復活祭)を
プをオープンできたことは、私の夢の実
控えた 4月5日、フィレンツェの中心地、
現でもあり、とても嬉しい。歴史ある建
シニョーリア広場近くのチェルキ宮殿
物における『ゲンテン』
ショップから、
イ
にイタリア初の「ゲンテン」ショップが
タリアと日本の文化や伝統を継承し、
融
オープンした。1965年創業の日本のハ
合させて世界に発信していきたい」と話
ンドバッグメーカー、クイーポは、昨年
す。
「なぜファッションの街ミラノでは
12月、イタリア現地法人のクイーポ イ
なく、
フィレンツェにショップを?と言
タリアを設立。フィレンツェ店オープン
う人もいるが、ミラノはモード、
フィレ
を記念しスタートした、メイド・イン・
ンツェはモノ作りの街。
『ゲンテン』
は、
職
イタリーの新ライン「ゲンテン チェル
人の息づく街から発信していきたかっ
キ」は、この地を皮切りに世界に飛び出
た。そして何よりもフィレンツェが大好
した。
きだから」と続ける。
「ゲンテン」は、
“環境に配慮する”
“限
ショップのコンセプトは、岡田社長の
りある資源を大切にする”
“長く愛着の
言葉を具現する“イタリアと日本の伝
持てるモノづくり”という 3つのテー
統文化の融合”だ。そのコンセプト通
マを掲げている。イタリア クイーポ
り、18世紀に修復された天井のフレス
の社長も務める岡田國久クイーポ会長
コ画を生かしたシンプルなデザインの店
は、
「デビュー以来貫いてきたテーマは、
内に、和紙作家の堀木エリ子の什器型オ
ブジェや、紅葉や松の盆栽をディ
フィレンツェの生み出す美意識や
スプレー。トスカーナ・サン
価値観とも共通している。私
は今まで、
90回ぐらいフィ
レンツェを訪れており、
この街にはそれぐらい
思い入れがある。この
地に『ゲンテン』ショッ
天井のフレスコ画と和紙作
家の堀木エリ子のオブジェ
が見事に融合する店内
チェルキ宮殿とは?
13 世紀、豪族ファミリーであったチェ
ルキ家が邸宅としていたのがこの宮
殿。建物の塔部の建築は 8 世紀から
始まり、ダンテのアトリエとして使われ
ていたという史実が残る。重要文化財
にも指定される由緒ある建物を、
「ゲン
テン」が現代に引き継いだ。
check
point
タクローチェのタンナー
で仕上げた植物タンニ
ンなめし革という極上
の素材を使った「ゲン
テン チェルキ」を含む
「ゲンテン」の商品を整然
と並べる。
オープン日にはレセプショ
ンパーティが盛大に開催された。オープ
ニングに合わせ日本から運び込んだ、ハ
map
ンドバッグの原点である、江戸から明治
時代の筥迫(はこせこ)や喫煙具、髪飾
アルノ川
ヴェッキオ橋
りなど、貴重な古美術も展示した。イタ
ウフィツィ美術館
リアの全国紙「コリエッレ・デラ・セー
ベッキオ宮殿
シニョーリーア広場
ラ」などに執筆しているフリージャーナ
リストのラウラ・アントニーニは、
「過
剰なデザインがなく、シンプルなスタ
イルがとても良い」と話す。イタリア人
ジャーナリストのショップや商品に対す
る評価はとても高かった。
Vicolo dei Cerchi 1
50122 Firenze ITALIA
レプブリカ広場
チェルキ通り
カルツァイウォリ通り
www.gentenfirenze.com
ドゥオモ
topics 1
新ライン「ゲンテン チェルキ」とは?
フィレンツェ発メイド・イン・イタリーの新ラ
インが「ゲンテン チェルキ」だ。イタリアの伝
統技の植物性タンニンなめしで丹念に仕上げたレ
ザーを使っている。代表的コレクションは、自然
のままの風合いを生かした一枚革を贅沢に用い
た、シンプルなトート。フィレンツェ市の紋章か
ら生まれた獅子のオリジナルエンブレムを刻印に
用いている。さらに、ルネサンス期のオーナメン
トに着想を得た、アンティークな雰囲気のアイテ
ムも揃える。
どのバッグも、
イタリアの卓越した技
術を惜しみなく用い、独特の風合いを生かしなが
ら作っている。
もちろん、
「ゲンテン」
のバッグなら
フィレンツェ市の紋章から生まれた獅子のオリジ
ナルエンブレム
ではの経年変化を楽しむこともできる。日本国内
の「ゲンテン」ショップ 65店舗でも販売する。
自然のままの風合いを生かした美しい一枚革を用いたシンプルなレザートート(左)や型押しの上にハンドペインティングで古典美を落とし込んだ、
アンティークな雰囲気を醸し出すバッグや小物など幅広いアイテムを揃える
vol. 1687
昭和54年 4 月24日第三種郵便物認可 週 1 回月曜日発行
ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン
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宮殿にショップオープン!
江戸から明治時代の日本の
職人技術が生み出した貴重
な古美術もディスプレーする
金唐革や銀、竹、象牙な
どの細工物が揃う
イタリア建築の伝統を感
じる 7メートルのアーチ型
天井のショップはミュージ
アムのような雰囲気を醸し
出す
地下には工房も
手 編みのメッシュやエキゾ
チックレザーのバッグなども
揃う
日本の主要店舗同様、フィレンツェ店
の地下1 階には工房を設け、職人が同
店限定のアイテムなどを制作する。イ
タリアの素材会社とはオリジナルの皮
革と布帛の開発に取り組み、素材に
も徹底的にこだわる。今も受け継がれ
る多くの職人の技術を公開する。
check
point
長い歴史と感性が生み出し
た、渾身の作品が飾られる
ショーウインドー
topics 2
日伊文化交流が深まった
オープニングパーティ
漆喰の壁や天井には当時の
フレスコ画が残っている
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オープニングパーティには、フィレンツェ市長、在イタリア日本国
大使ら、地元の財界人やジャーナリスト、関係者が集まり、日本とイ
タリアの文化交流的な雰囲気に包まれた。フィレンツェのマテオ・レ
ンツィ市長は、
「この地はヴェッキオ宮殿にも近く、フィレンツェの
魂が残る場所。日本とイタリアは文化的な交流が盛んで非常に近いも
のを感じる。今後ますます日本人とイタリア人の友情が育まれること
を期待している」と挨拶。また、河野雅治・在イタリア日本国大使館
特命全権大使は、
「遠いと思っていたイタリアに住めば住むほど日本
との深いつながりを感じる。場所は違っても、モノ作りの原点は一緒。
文化、芸術、音楽などの面でも深いつながりを感じる。フィレンツェ
のサンタクローチェ教会では、1年前に日本の篤志家が協力して修復
したフレスコ画が完成した。モノ作りの街フィレンツェに日本のブラ
ンドショップができたのはすばらしいことだ」と話した。
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1. パーティでは、お茶をたててゲストをもてなすというサービスも。茶道という日本の伝統で来場者を楽しませた 2. オープンを祝福するため、日本とイタリア両国から多く
のゲストが訪れ、賑わった店内 3「
. エル」や「ヴォーグ」などたくさんの伊モード誌の編集者も来場 4.マテオ・レンツィ=フィレンツェ市長 5.イタリア クイーポの社長も務
める岡田國久クイーポ会長 6. 河野雅治・在イタリア日本国大使館特命全権大使
問い合わせ先:クイーポ 03 - 3268 - 9199 www.kuipo.co.jp /企画・制作:WWD ジャパン