第 49回公的扶助研究全国セミナー・京都大会

第49回公的扶助研究全国セミナー・京都大会 開催要綱
「そうや、京都へ行こっ! 歴史にふれ、なかまと共に、未来をつむぐ」
~貧困 ・ 格差の拡大と公的扶助の役割~
【日 時】 2016年 9月 9日(金)~11日(日)
【会 場】 (1日目)ロームシアター京都 〔京都市左京区〕 (2・3日目)花園大学 〔京都市中京区〕
『健康で文化的な最低限度の生活』
©柏木ハルコ/小学館(週刊 ビッグコミックスピリッツ連載中)
≪主 催≫ 全国公的扶助研究会 ・ 第49回公的扶助研究全国セミナー実行委員会
≪後 援≫ 京都府・京都市・京都府社会福祉協議会・京都市社会福祉協議会・京都市職員労働組合・日本社会福祉
士会・日本医療社会福祉協会・日本精神保健福祉士会・日本ソーシャルワーカー協会・京都社会福祉士会・京都医療
ソーシャルワーカー協会・京都精神保健福祉士協会・京都新聞社会福祉事業団(申請中含む)
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日本の経済状況は貧富の格差がより一層拡大しており、日本の貧困率は 16.1%(6人に1人)と過去最悪です。
貧困の拡大を防ぎ、国民の生活を守るための社会保障制度は、年金支給年齢の引上げ、医療や介護保険制度の利用者
負担増など、不安要素が増大し、本来あるべき社会保障制度の理念、方向性が非常に不透明になっており、今後、生
活保護の役割は増していくと思われます。
近年の生活保護現場では、生活扶助基準、住宅扶助支給限度額の引下げが実施され、生活保護利用者の生活をより
困難なものとしています。現場で働く支援者は利用者への説明とその対応で、非常に苦しい立場に立たされていま
す。私たち支援者は利用者の生活上の課題を利用者と一緒に考え、解決を図り、自立を助長していくことが求められ
ていますが、その関係性を構築、維持しにくく、制度と利用者のニーズの狭間に、支援者として悩み、疑問を感じる
ことが多くなっています。
全国公的扶助研究会は、そのような同じ悩みを持つ支援者同士が横につながること、実践と研究の架け橋になるこ
となどを目的にして、貧困問題や生活問題と向き合い、その軽減、解決をめざし長く活動を展開してきました。
今回の第49回公的扶助研究全国セミナーは13年ぶりとなる京都での開催です。地元京都をはじめ、全国の実践
報告を通して、貧困と人権を中心とする問題、生活保護制度や社会保障制度、各関係機関との連携のあり方について
学び、仕事上の悩みが共有され、参加者の皆さんにとって明日からの仕事の糧になるセミナーにしたいと思っています。
全国各地から、多くの方の参加を心からお待ちしております。「おこしやす、京都へ」。
~昨年のセミナー参加者から頂いた感想~
『健康で文化的な最低限度の生活』
数年ぶりに参加しましたが、
全国から参加者が集まり議論
を交わす場として非常に楽し
かったです。
ここに集まった皆さんは、少
しでもスキルアップしたい、
今のままではいけないと前向
きな人たちに出会えました。
力をもらえました。
実行委員の皆さまご苦労さま
でした。近年まれにみるよい
セミナーだったと思います。
ケースワーカーをされている
方の声、現場の声を聞けて良
かったです。
今後の研究や学生への指導に
活かしていきます。
SVとして仕事を進める大事
な視点に気付かせてもらえま
した。
生活保護ワーカー以外の方と
同じ課題で話をし合えたのは
本当に良かったです。
©柏木ハルコ/小学館
初参加です。熱いセミナーで
した。若い人の多さがうれし
かったです。
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タイムテーブル
*1日目 = 9月9日(金): 全体会
12:00
【 ロームシアター京都 】
13:00
17:00
受付
全体会
(記念講演など)
*2日目 = 9月10日(土): 分科会等
9:30 10:00
【 花園大学 】
17:00 17:30
分科会・講座
初級学校など
*3日目 = 9月11日(日): 特別講座
9:30
懇親会
休憩
分科会・講座
初級学校など
20:30
受付は18:00~
13:00
昼食
受
付
12:00
18:30
19:00
夜間学習
交流会
【 花園大学 】
12:00
特別講座
『健康で文化的な最低限度の生活』
1日目・午後
* 記念講演
©柏木ハルコ/小学館
全体会 【ロームシアター京都 】
「貧困の拡大と生存権の保障~私が生活保護にこだわるワケ~」
竹下 義樹さん (弁護士 / 京都市社会福祉協議会副会長)
竹下さんは日本初の全盲の弁護士として、長年にわたり障がい者の人権保障と福祉の向上のため精力的に取り組
んでこられました。また、生活保護裁判の草分けとして、最高裁で勝訴した中嶋学資保険裁判をはじめ数々の裁判
を原告勝利に導きました。竹下さんには、なぜ貧困や生活保護にこだわるのか、生活保護裁判で学んだこと、生活
保護ケースワーカーへの期待などについて語っていただきます。
1951 年石川県輪島市にて出生。中学 3 年の時に失明。龍谷大学法学部卒業後、1981 年全盲の視覚障がい者と
して日本初の司法試験合格。生活保護裁判(柳園訴訟、中嶋訴訟、林訴訟、生存権裁判など)などを担当する。
現在、厚生労働省障害者政策委員会、社会保障審議会障害者部会、京都市社会福祉協議会福祉審議会地域専門分
科会委員などを務める。著書に『ぶつかって ぶつかって』(かもがわ出版)など多数。
* 特別企画 「『仁の物語』~子どもの貧困と生活保護~」
村井 琢哉さん (山科醍醐子どものひろば 理事長)
「貧困を背負って生きる子どもたち 仁の物語」は、生活保護家庭の中学生・仁が、「中3学習会」での支援を得
て、家庭の困難を乗り越え、見事高校に合格するまでを描く、大ヒットした感動的な動画です。製作者の一人である
村井琢哉さんは、「『子どもの貧困』という社会問題、そこに地域として何ができるか、少しでも伝えたく、動画と
してまとめました」と言います。動画には「福祉の人、田中のおばちゃん」が登場し、仁を助けます。村井さんには、
子どもの貧困と生活保護の役割、生活保護ケースワーカーへの期待などについてお話しいただきます。
* 生活保護利用者の声 「生活保護で生きること」
当事者の声に寄り添い、耳を傾けることから社会福祉の仕事は始まります。支援者としての気づきが生まれ、そこ
に支援の意義の真相が明らかになります。
*スペシャルトークアワー 「白熱!教授×ケースワーカー ~貧困・福祉を語り合う~」
貧困問題に取り組む支援者、研究者に今必要なものを皆さんと共に考える時間です。今見える社会問題、その社会
的背景や社会構造を全国公的扶助研究会の吉永会長が分析、解説します。そこにケースワーカーが現場で見たこと、
感じていること、疑問に思うことなどをクロスさせ、様々な角度で吉永会長と語り合います。
熱いトークバトルに乞うご期待!
出演者: 吉永 純さん (花園大学 / 全国公的扶助研究会会長)
小西 男さん (京都市保健福祉局障害保健福祉推進室)
司 会: 中村 健さん (新潟市西福祉事務所)
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澄川 智広さん (尼崎市福祉事務所)
岡本 彩那さん (神戸市西福祉事務所)
1日目・夜
懇親会 「夜は短し語れよケースワーカー」
※名刺をお持ちください
会 場: からすま京都ホテル (京都市下京区烏丸通四条下ル)
参加費: 5,000 円(定員あり)
受 付: 18:00~
時 間: 18:30~20:30
セミナーは知識や技術を身につけることはもちろんのこと、懇親会などで
の「交流」も一つの魅力です。タイトルの原案となっている森見登美彦さん
の人気小説「夜は短し歩けよ乙女」では、京の街を舞台に、うわばみの黒髪
の乙女が様々なところを飲み歩き、様々な人と交流することで話が進んでい
きます。この小説のように懇親会では、全国の様々なところから来た仲間と
いろいろなことを語り合い、「交流」を深めることで新しい物語を紡いでい
きたいと思います。
近年、予想を上回る参加申し込みがあり、うれしい悲鳴が続いています。
定員までの優先受付で、当日申し込み枠がなくなることが予想されます。
セミナー参加の申し込みと同時の申し込みをお願いします。
『健康で文化的な最低限度の生活』
©柏木ハルコ/小学館
2日目(午前・午後) 講座・分科会等 【花園大学】
* <初級学校>
新任ケースワーカー限定
「ようこそ!生活保護ケースワーカーの世界へ」
~ケースワークを知ろう、学ぼう、楽しもう!~
ソーシャルワークの集大成とも言われる生活保護ケースワーカー。希望してケースワーカーになった人も、意図せ
ずケースワーカーになった人も、対人援助の難しさや煩雑な事務作業に苦労し、困難事例に悩んでいると思います。
そこで本講座は、生活保護制度の正しい理解や対人援助技法の学びの場、全国各地のケースワーカーの出会いの場、
グループワークを通して喜びや悩みを共有する場、今までの仕事を振り返る場、そして心身のリフレッシュを図ると
ともに明日からの活力を得る場にしたいと考えています。
午前は講義形式でじっくりしっかり学び、午後は肩の力を抜きながら楽しめるプログラムを企画しています。若手から
大御所までバラエティに富んだ先輩ケースワーカーを講師に迎えました。一緒に有意義な“学校”を作り上げましょう。
講師: 中川 健太朗さん (花園大学名誉教授) 松崎 喜良さん (神戸女子大学) 中村 健さん (新潟市西福祉事務所)
* <実践講座>
「生活保護法の基本理念と原理・原則を学ぶ」 ~生活保護ケースワーカーとして知っておきたい制度運用の実際~
ケースワーカーの皆さん誰もが、生活保護の決定実施にあたって、どのように判断したらよいのか迷ってしまっ
たという経験を持っていると思います。『別冊問答集』の冒頭には「生活保護制度は人の生活全般に関わる制度で
あり、そのすべてについて実施要領等で規定できるものではない。…(略)…判断に迷った場合は生活保護法の基
本理念に立ち返って考える必要がある」と書かれています。
そこで本講座では、生活保護法の原理・原則など、本制度の構造的理解を深めながら、法の理念に基づいた具体的
妥当性をもった保護の決定実施とは何かを、事例検討も交えながら、参加者の皆さんとともに考えたいと思います。
講師: 池谷 秀登さん (帝京平成大学) 今井 伸さん (田園調布学園大学)
田川 英信さん (世田谷区玉川福祉事務所)
* <政策研究講座>
「貧困の拡大、深まりと生活保護の基準、運用を考える」
昨年『下流老人』がベストセラーになったのに続き、今年は『貧困世代』『下流中年』などが出版され、日本社会
は「一億総貧困社会」の様相を呈しています。本研究講座では、まず、こうした貧困の拡大・深化と貧困がもたらす
個人や社会に対する影響を考えます。また、そうした貧困の拡大に対して行われた生活保護基準引下げの意味を裁判
の論点等を踏まえて検証し、2018 年に向けた政策動向を検討します。さらに、保護世帯の生活に大きな影響を及ぼ
している住宅扶助基準限度額の引下げや、年 1 回の資産申告書提出問題について、通知や裁決例を踏まえてケースワ
ーカーはどのような対応ができるか、現場実践を紹介します。最後に、貧困を軽減、解消するためのあるべき貧困、
生活保護政策について考えていきます。
助 言 者: 尾藤 廣喜さん (弁護士)
講 師: 志賀 信夫さん (大谷大学) 池田 和彦さん (筑紫女学園大学) 長友 祐三さん (埼玉県立大学)
報 告 者: 山田 祐子さん (神戸市兵庫福祉事務所) 渡辺 潤さん (大田区蒲田生活福祉課)
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* 第1分科会 <生活困窮者自立支援>
「生活困窮者自立支援制度の現状とその可能性を考える」
2015 年 4 月から本格的に実施されている生活困窮者自立支援制度ですが、施行後 1 年半が経過し、それぞれの自
治体では創意工夫による様々な取組みが実践されています。しかし、経済給付がほとんどない本制度では生活保護部
局とのスムーズな連携が求められたり、マンパワーが不足する中、利用者に寄り添い丁寧な支援を実践したりと、現
場の支援者は手探り状態で奮闘されていることだと思います。
本分科会では本制度の核になる「生活困窮者自立相談支援事業」に焦点を当て、直営と委託それぞれの相談支援機
関からの報告や、実際に困窮者に寄り添い、伴走型支援を実践している支援者の事例報告などを通して本制度の課題
や可能性を探り、本来あるべき生活困窮者支援のかたちを参加者の皆さんと共に考えたいと思います。自立相談支援
事業の相談員のみなさんはもとより、関連する現場で本制度との連携を模索されている皆さんの参加をお待ちしてい
ます。
助言者: 布川 日佐史さん (法政大学)
報告者: 小久保 哲郎さん (弁護士・あかり法律事務所) 仲野 浩司郎さん (羽曳野市福祉総務課)
葛 城 朋 子 さん (大津市社会福祉協議会自立支援グループ)
コーディネーター: 谷口 伊三美さん (大阪市東淀川区保健福祉課) 森 宣秋さん (京都市社会福祉協議会)
* 第2分科会 <ステップアップ・ソーシャルワーク実践>
「みんなで考えよう、生活保護ケースワーカーのソーシャルワーク実践」
~援助方針策定のコツ:ミニ講座付き~
ケースワーカーをやっていると、どう対応したらいいかわからなくて途方に暮れてしまうことがあります。誰だっ
てそんな事例の一つや二つは持っているでしょう。支援を行う以前に、どんな方針を立てたらいいかわからなければ、
動きようがなくて立ち止まってしまいます。この分科会では全国の同じ悩みを抱えるケースワーカーの皆さんに集ま
ってもらい、知恵を出し合う形で事例検討を行います。一つの事例にたっぷりと時間をかけて、課題を抽出し、スト
レングス視点で、その人ならではの自立に向かう援助の方針を立てていきます。ケースワーカーとしてどんな支援を
すれば、その人の持つ力を引き出し強めていけるのか、なるべくたくさんの気づきを得るためには、参加者の皆さん
の力が必要です。職場に戻ってからも、職場の仲間や、利用者の方と協力し合って、支援の方向性を見つけていける
ような、楽しくて役に立つ分科会を、一緒に作りましょう!ご参加お待ちしています。
助言者: 高階 康裕さん (京都市山科福祉事務所) 沼田 崇子さん (元岩手県職員)
報告者: 渡 邊 藍 さ ん (京都市左京福祉事務所) 伴 翔平さん (京都市右京福祉事務所)
コーディネーター: 森下 千鶴子さん (京都市保健福祉局障害保健福祉推進室)
* 第3分科会 <子どもの貧困>
「子どもの貧困、私たちは何ができるか」
~生活保護現場でできること~
子どもの貧困が国を挙げての課題となっています。「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が 2014 年 1 月に施
行されました。法律の目的は「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」に「貧困
の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備」するとともに、「教育の機会均等を図る」こと等です。この
法律をもとに「子供の貧困対策に関する大綱」や「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」などが策定さ
れています。
一方、生活保護現場の私たちのところはどうか。これらの政策が遠い話のように聞こえていないでしょうか。生活
保護の現場や児童相談所等で出会う子どもたちに共通する貧困。そして親の貧困。貧困が子どもたちから奪っている
もの。奪われたものをどう取り返すのか。
この分科会では、事例を出し合って、子どもの貧困に対して私たちに何ができるか、解決に向けた課題は何か、と
もに考えたいと思います。
助言者: 吉田 雄大さん (京都弁護士会・子どもの権利委員会) 比嘉 昌哉さん (沖縄国際大学)
報告者: 仙田 富久さん (スクールソーシャルワーカー)
中村 知英さん (北九州市子ども総合センター)
橋本 慶一さん (京都市醍醐福祉事務所)
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* 第4分科会 <高齢者の地域生活支援>
「ケアを地域で支援する」 ~制度の狭間への対応と社会資源の最大限活用~
地域で支援するケアには、障がい者も高齢者も介護者も含まれます。しかし、連綿と続く生活の中で、ケアを分断
する「65 歳の壁」があります。
所得・医療サービス・介護サービス・住宅・移動サービスなどの生活ニーズに対応し、障害者総合支援法と介護保
険法などの制度の狭間を乗り越えて「ケアを地域で支援する」とはどのようなものなのか、公私の機関・施設・事業
者、専門職、地域住民がオール地域でケアを支援するためには、どうすればよいのか。もしかしたら、制度を運用す
るあなたが壁なのかもしれません。
ケアを必要とする生活保護受給世帯の 65 歳到達を見据えた支援、ホームレスの支援、進行性難病患者の支援など、
多様な実践事例をとおして、一緒に考えてみましょう。
報告者: 中島 裕彦さん (京都市左京福祉事務所)
桜庭 葉子さん (一般社団法人和音ねっと)
濱 田 恵 さ ん (京都市原谷地域包括支援センター)
コーディネーター: 村田 正子さん (ソーシャルオフィス AKO) 脇山(中島) 園恵さん (秋田看護福祉大学)
* 第5分科会 <精神障がい>
「精神障がいについて理解を深め、寄り添い型の支援について考えよう!」
生活保護ケースワーカーのみなさんは、日々の業務で迷っていることがたくさんあると思います。その中でも特に、
ケースワーカーは精神障がい者への支援で悩んでいると思われます。そこでこの分科会では、精神障がい者への理解
を深め、当事者の自己決定を尊重する寄り添い型支援について考えたいと思います。精神障がい者は様々な生きにく
さに悩んでいます。地域で暮す当事者への支援、そして入院されている当事者の支援を地域の PSW 等の医療従事者
と共に実践できるように考えていきましょう。
精神疾患を学ぶ講義に事例を基にしたグループワークを加えた、楽しく学べる分科会ですので、多くの方のご参
加をお待ちしております。
助言者: 蓑島 豪智さん (いわくら病院院長 精神科医)
報告者: 舘澤 謙蔵さん (いわくら病院PSW) 森田 倫子さん (生活サポートセンター相談支援事業所「北山」PSW)
コーディネーター: 保田 美幸さん (いわくら病院 PSW) 横山 秀昭さん (横浜市旭福祉保健センター)
* 第6分科会 <医療と福祉の連携>
「医療と福祉の『連携』で地域生活を支援」
~互いを尊重し、各々の強みを生かした『連携』のあり方を求めて~
「医療と福祉で連携したいのに、うまくいかない...」「どこからどこまでが仕事の範囲か分からない...」このよう
な医療と福祉の連携にまつわる話はどのように改善できるでしょうか。
命と暮らしを支える互いの現場が、尊重し合い、役割を理解し、強みを活かして連携することで確実に変わりま
す。今までの残念な経験、結果をこの分科会でプラスに一新しましょう。連携で行う支援の意味、可能性、素晴ら
しさに気付くことで、新たに生み出すダイナミズムを実感しませんか。
医療機関と福祉事務所が連携して行う支援のあり方や、生活保護を利用してできる支援などの実践レポートを受
けて、支援者として、組織として、地域として何ができるか、共に考えていきましょう。それぞれの現場に役立つ
分科会を共に創りましょう。
報告者: 巌 弥生子さん (瀬尾クリニック 社会福祉士 精神保健福祉士)
井内 光代さん (宋神経科クリニック 相談員) 渡邉 秀明さん (杉並区福祉事務所)
衛 藤 晃 さ ん (神戸市兵庫福祉事務所)
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* 第7分科会 <居住福祉>
「住まいの貧困-その実態と克服の展望」
~生存権保障と住宅政策・居住福祉の今日的課題~
住居は健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤です。しかし、日本では衣食住の中で「住」が特に貧困である
と言われます。失業等で住居を失ってネットカフェ等で夜を過ごす人々、貧困ビジネスの宿泊所の存在、公営住宅
や公的住宅の不足、高齢者や障がい者をはじめ誰もが住みやすいユニバーサルデザイン仕様住宅の不足、住宅確保
が困難なことがある低所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どものいる世帯、など様々な分野で「住」の問題が
広がっています。
本分科会では居住福祉の歴史、理念、現状等を講師から話していただいた後、シンポジウムを行い、各報告者か
ら①生活保護における住まいの問題、②ホームレスの状態の人々への福祉施策に求められること、③サービス付き
高齢者住宅をめぐる政策動向と課題、を話していただきます。その後、参加者の方々と共に全体討論を行い住まい
の貧困克服への展望を話し合います。各分野の多くの方々のご参加をお待ちします。
講 師: 岡本 祥浩さん (中京大学)
報 告 者: 蔵 田 力 さ ん (建築家 「住まいは人権」の実現めざす連絡会代表)
楢府 憲太さん (ふじみ野市福祉事務所) 長谷川 幹さん (ソーシャルサービス協会ワークセンター)
コーディネーター: 常数 英昭さん (早稲田大学非常勤講師)
2日目 夜間学習・交流会「hanazono Café」
【花園大学】
※ 飲食の提供はありません
名刺をお持ちください
例年大好評のテーマ別の夜間学習・交流会。参加者が気軽に交流できる貴重な機会です。全国の仲間の状況を知る
ことで、今の自分を見つめる契機になります。懇親会とは一味違う雰囲気で、本音トークをどうぞ。
*第1交流会 「生活保護・困窮者支援をめぐる職場の状況を語る」交流会
*第2交流会
*第3交流会
*第4交流会
*第5交流会
*夜 間 学 校
3日目(午前)
「生活保護施設・社会福祉施設で働く人」のための交流会
「福祉専門職採用の生きる道」交流会
「査察指導員~CWを育て支えるために~」交流会
「専任面接相談員の面接のイロハ~人権を守る役割の基本とは~」
「講座『知っ得』生活保護のABC(基礎知識)~関係機関・学生の方に贈る」
特別講座
【花園大学】
* 特別講座1 <実施体制・適正運用>
「誇りが持てる生活保護現場を考える」
「生活保護は最後のセーフティネットとしての役割を担っていることから、支援が必要な方には確実に保護を実
施することが重要である。」これは、平成 28 年度の重点事項の一つとして「生活保護の申請・相談窓口における対
応について」の中でとりあげられました。生活保護現場では、申請権の侵害や妨害が今なお起こっているといえま
す。また、生活困窮者自立支援事業が始まりましたが、「切迫した生活困窮者を相談につなぐ連携体制」も確立さ
れたとは言えません。
貧困が拡大している中で、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障し、支援を必要としている人々への真の
自立助長を図るために、福祉事務所は①どのような実施体制を確立すべきなのか、②生活保護法の適正な運用をど
のように行っていくべきなのか、③これらの問題点を解決するためにどのような職場としての取り組みが必要なの
かなどについて現状を明らかにして、誇りがもてる生活保護現場が築きあげられるように考えます。
講師: 松崎 喜良さん (神戸女子大学) 奥森 祥陽さん (京都府南山城保健所福祉室)
* 特別講座2 <就労支援>
「人を活かす就労支援」 ~ケースワーカーの支援事例から、効果的な支援を考える~
生活保護の就労支援は「必ずやらなければならない仕事」とされていますが、利用者には自身の障がいや疾病、
家族のトラブル等を持つ人が少なくない中、必ずしもうまくいかずに悩んでいるケースワーカーも多いと思います。
この講座では、こういった中でも、ケースワーカーによる丁寧な工夫や「社会福祉施設等における就労体験」を
事業化した利用者へのエンパワメントによって、「利用者の意欲を引き出す」支援を行っている事例を共有し、効
果的で「人を活かす」支援についてみんなで考えていきたいと思います。
助言者: 森下 千鶴子さん (京都市保健福祉局障害保健福祉推進室) 森 宣秋さん (京都市社会福祉協議会)
報告者: 増 山 桃 子 さん (京都市伏見福祉事務所)
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* 特別講座3 <扶養>
「間違いだらけの扶養照会」
~生活保護における扶養義務のあり方を考える~
親族の扶養を強く求める一部マスコミの生活保護バッシングは現在影を潜めていますが、国民の生活保護制度に
ついての理解のうえで強い誤解を与えました。生活は苦しいけど生活保護はちょっとねぇ...。「扶養義務照会」と聞
くだけで申請をためらう生活困窮者は現に存在しています。
厚生労働省の生活保護監査では依然扶養能力調査に関する指摘率が高く、指摘されないようにするため本来照会
が不要な親族にまで行われています。生活保護の実施要領を正しく理解するとともに、実務面での取り扱いの問題
点、扶養能力調査のあり方を考えます。
講 師: 以元 栄一さん (京都市左京福祉事務所)
報 告者: 冨康 太吾さん (京都市東山福祉事務所)
* 特別講座4 <発達障がい>
「貧困現場の中での『発達障がい』」
~そうだったんだ...そうだったかも...もう一度考えよう~
手帳がない、診断がない等、私たちが考えている就労阻害要因の類型に当てはまらないと、一般就労が可能とし
て、本人の特性に合わない就労支援をしていませんか。保護廃止からホームレス、そしてまた生活保護受給を繰り
返したり、診断がついたときには生活保護の再申請時なので障害年金の納付要件を満たしていなかったり…。
この講座では、発達障がいの特性への理解を深め、基礎的な知識を身につけていただきたいと願い、企画しまし
た。その人の持つ可能性を知り、適切な対応を身につけるための具体的な支援のヒントを考え、より良い支援のあ
り方が身につく場にしたいと思っています。事例をもとに、具体的にどうしたらよいかをみなさんと共に考えます。
助言者: 定元 ゆきこさん (京都少年鑑別所・精神科医)
* 特別講座5 <アディクション>
「アルコール・薬物依存症の理解と治療導入、回復の支援」
生活保護利用者や生活困窮者の中には、何らかの依存症に苦しむ人たちが少なくありません。この講座では主に
「物質使用障害」といわれるアルコール・薬物依存症をとりあげます。これらの依存症は心身の疾患や障がいをも
たらすだけでなく、経済的困窮、虐待や暴力、さまざまな犯罪に結びつくことも少なくありません。支援の現場で
は、「援助困難」なケースと言われることも少なくありませんが、依存症という疾患の理解や有効な援助方法の活
用が意外とされていないのが現状です。特に「否認の病」ともいわれ、なかなか専門治療につながらずに困ってい
ることも多いようです。講座では、「動機づけ面接法」や「クラフト」などの最新の知見も紹介しながら、依存症
についての理解や有効な援助方法を学びます。
講師: 谷口 伊三美さん (大阪市東淀川区保健福祉課・日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会副会長)
* 特別講座6 <生活保護裁判>
「私と生活保護裁判」 ~ケースワーカー、行政職員にとって生活保護裁判とは?~
本講座では、まず元ケースワーカーの長友祐三さんから、ある裁判事件を題材に、ケースワーカーは生活保護裁
判とどう向き合うかを自分の体験を元にお話いただきます。次に、元厚生省保護課職員で、現在は裁判をはじめ支
援活動に奔走されている尾藤廣喜弁護士から、「私と生活保護裁判~生活保護と関わって半世紀」と題して、なぜ
それほどまでに生活保護にこだわってこられたのか、生活保護裁判の魅力、醍醐味、面白さ、生活保護ケースワー
カーは裁判をどう受け止めるべきか等々を、ケースワーカーへの期待を込めてお話いただきます。
講師: 長友 祐三さん (埼玉県立大学)
尾藤 廣喜さん (弁護士)
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* 特別講座7 <司法と福祉の連携>
「司法と福祉の連携」
~触法障がい者への支援を考える~
司法と福祉の連携という言葉を聞いて、どのようなイメージが湧くでしょうか。高齢者、障がい者、少年非行等
様々なテーマがあると思います。今回の特別講座では、その中でも触法障がい者にテーマを絞って、議論を持ちた
いと思います。京都では、触法障がい者の地域生活を支援するために、多業種の方々が連携している組織がありま
す。それぞれの職種が行っている支援について講義いただくとともに、連携することで見えてきたもの等を語って
いただきます。最後には受講者の方々と意見交換を行うことで、これからの支援の一助にしていきたいと思います。
コーディネーター: 中村 嘉男さん (京都市東部障害者地域生活支援センター「らくとう」)
* 特別講座8 <フィールドワークⅠ:東九条コース>
「在日コリアンの生活と人権を考える」
先着 20 名限定
~東九条の歴史を知り、生き様に触れ、地域の活動から学ぶ~
東九条は京都で在日コリアンが最も多く住んでいる地域です。日韓併合以降、土地や食料を奪われたコリアンたち
が仕事を求めて渡日し、土木事業が多かった京都駅周辺に集住しました。戦後、さまざまな事情で帰国できなかった
人々は、廃品回収業などの工場が集中する東九条地域にさらに集住しました。長年、外国籍住民には公営住宅への入
居が認められず、民間の入居差別もあり、住居を求めて鴨川河川敷に移住した人たちがいました。行政的に「不法占
拠」であったため、行政から立ち退きを迫られ、人々からは「ゼロ番地」「堤防」と蔑称されていましたが、長年の
住民運動の結果、現在は同地域に東松ノ木市営住宅が建設され、その管理と生活支援を「まめもやし」が受託してい
ます。
激動を生き抜いたハルモニたち(おばあさん)の生き様に触れ、また、ルーツや障がい、考え方などの「ちがい」
を認め合って生きる東九条地域での取り組みから学びたいと思います。
講師兼ガイド: 村木 美都子さん (NPO 法人 東九条まちづくりサポートセンター(まめもやし))
ナム
ガイド: 南
ス ン ヒョン
珣 賢 さん (NPO法人 京都コリアン生活センターエルファ)
*特別講座9 <フィールドワークⅡ:西陣コース>
「高齢社会の“住まい・まちづくり”を考える」
先着 20 名限定
~伝統のまち西陣を歩き、居住福祉の今日的な課題を探る~
昔ながらの町家や街並みが残る西陣。その西陣で「住まい・まちづくり」の新しい試みが始まっています。高齢社
会における居住福祉の課題を探ります。
(1)「堀川団地」
堀川団地は、建物疎開で取り壊された商店街の跡地に戦後間もなく建設された団地です。老朽化が進む中、京都府
の呼びかけで「堀川団地まちづくり懇話会」が設置され、同懇話会の「堀川団地再生への提言」(2009 年)をベー
スに、住民主体の「住まい・まちづくり」の運動が発展し、今、創意あふれる再生のとりくみが進行中です。
(2)「咲あん上京」
移転・統合で廃院となった病院の跡地に 2016 年に開設されたサービス付き高齢者向け住宅「咲あん上京」では、
「共生・健康・生きがい・安心」というコンセプトを掲げ、制度上の制約の中でも利用者本位の理念を貫くため、普
段の努力を続けています。
講師兼ガイド: 蔵田 力さん (建築家 「住まいは人権」の実現めざす連絡会代表)
フェイスブックも Check
全国公的扶助研究会のフェイスブックにて、2 日目、3 日目の各分科会・講座などの講師
報告者・コーディネーターの紹介を掲載していきます。
また、各分科会・講座などの準備状況、担当者から参加される皆様へのメッセージ、全国
セミナー京都大会の楽しみ方なども、順次掲載していく予定です。こちらも合わせてご覧く
ださい。
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参
加
費
《参加費》
一
般:10,000円(内訳:参加費7,000円+資料代
公扶研会員: 5,000円(内訳:参加費2,000円+資料代
学
生: 5,000円(内訳:参加費2,000円+資料代
京 都 府 民: 5,000円(内訳:参加費2,000円+資料代
3,000円)
3,000円)
3,000円)学生証を提示ください
3,000円)在住者または在勤者
参加費は当日受付でお支払いいただきます。
※平成 28 年 8 月 25 日を一次締切日とします。期日を過ぎてからの申込も可能ですが別途 500 円を参加費に追加させて
いただきますので、早目の申込をお願いします。(当日申込も可能)
※セミナー3 日間のうち、1 日のみの参加も可能ですが、参加費の割引等はありません。
・全国公的扶助研究会未入会の方へお知らせ
機関誌年間購読料 3,000 円を含む会員年会費 6,000 円のお支払いで、セミナー参加費が一般価格から会員価格
5,000 円となります(合計 11,000 円)。
・機関誌「公的扶助研究」を定期購読されている方へお知らせ
機関誌年間購読料に 3,000 円を足すことで、全国公的扶助研究会の会員となり、セミナー参加費が一般価格から
会員価格となります。
・全国公的扶助研究会への入会をセミナー参加申込と同時にご検討ください。当日入会も可能です。
《1 日目懇親会》
参加費5,000円
先着順のため当日申込が出来ない可能性があります。早目の申込をお願いします。参加者には受付にて懇親会参
加券をお渡しします。
《2 日目の昼食・お弁当》
2 日目お弁当 500円(飲み物なし) 予約締切日 平成 28 年 8 月 25 日
セミナー参加申込と合わせて 2 日目お弁当の購入予約が可能です。購入予約者には受付にてお弁当券をお渡しし
ます。
なお、2 日目、3 日目会場 花園大学内のカフェテラス「フルール」および売店は通常通り営業しており、ご利用いただ
けます。
《宿泊について》
宿泊施設・ホテルの斡旋等は行っていません。
京都市内の宿泊施設・ホテルは通年で空室不足となっており、
すでに周辺宿泊施設の予約が困難な状況となっています。
各自で早目に御予約されることをお勧めします。
『健康で文化的な最低限度の生活』
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©柏木ハルコ/小学館
申込方法・問い合わせ先
《申込方法》
① 申込フォームによる申し込み
PC・スマホ共用フォーム https://ws.formzu.net/fgen/S5177184/
スマホ専用フォーム https://ws.formzu.net/sfgen/S5177184/
申込フォーム
下記ウェブサイトからも申込フォームへアクセスできます。
・全国公的扶助研究会ホームページ
・第 49 回公的扶助研究全国セミナーフェイスブック
フェイスブック
② 電子メールによる申し込み
申込用紙送信先 ⇒ [email protected]
別添の申込用紙に必要事項をご記入の上、電子メールに添付し、上記へ送信ください。
申込用紙はホームページおよびフェイスブックページからもダウンロードできます。
《問い合わせ先》
お問い合わせは下記の要領でお願いします。回答は、後日になる場合があります。
① 申込後の変更およびキャンセル ⇒ 電子メールのみ
[email protected] まで
② 上記以外のお問い合わせ ⇒ 電子メールまたはFAX
[email protected] または
FAX番号: 050-3730-2116 まで
件名は「公扶研セミナーについて」と明記してください。
返信メールで回答させていただきますので、メールアドレスを付記してください。
電話やFAXによる回答を希望される場合はその旨を明記し、連絡先の番号を付記してください。
様々なケース、自分と同じ悩
みを抱えたCWと出会うこと
ができ、良い経験とアドバイ
スを得ることができました。
次回も参加したいと思います。
この3日間でケースワーカー
としてのモチベーションを保
つことができるような気がし
ました。ありがとうございま
した。
入庁した時の「このような職
員になりたい」という思いは、
日々の業務がとても忙しくて、
いつのまにか忘れていました
が、再度自分の原点を思い出
して頑張りたいと思いました。
今回のセミナーでは、判断に
迷った時にどうすればいいか、
考え方を学べたような気がし
ました。本当にためになりま
した。
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『健康で文化的な最低限度の生活』
©柏木ハルコ/小学館
【アクセス】
ロームシアター京都(1日目)
〔京阪「神宮丸太町」駅、地下鉄東西線「東山」
駅から徒歩〕
A:京阪「神宮丸太町」駅2番出口を出て丸太町通を
東へ進み、東山丸太町交差点を右折→東大路通を
直進、東山二条交差点を左折→二条通を直進、
疏水を越えると左手側にロームシアター京都
(徒歩約 13 分)
A
B
C
B:地下鉄東西線「東山」駅 1 番出口を出て三条通を
東へ進み、三条神宮通交差点を左折→神宮通を
直進、→大鳥居を通過→岡崎公園の手前を左折→
右手側にロームシアター京都
(徒歩約 10 分)
※ 京都駅から東山駅へは、地下鉄烏丸線「烏丸御池」
駅で東西線に乗り換え(京都駅からの最短ルート)
〔京阪「三条駅」、JR「京都駅」からバス〕
C:京阪「三条」駅 市バス「三条京阪前」から 5 系
統にて約 5 分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」
下車、徒歩約 5 分
D
D:JR「京都」駅 市バス バスターミナル A1 乗り
場から 5 系統にて約 30~40分、「岡崎公園
美術館・平安神宮前」下車、徒歩約 5 分
花園大学(2・3日目)
E:JR嵯峨野線「円町」駅
より徒歩約8分
F:京都市バス「太子道」停留所
(西大路太子道交差点)より
徒歩約5分
E
G:市営地下鉄「西大路御池」駅
より徒歩約12分
F
キャンパスマップ
G
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