323号 - 結核予防会

総裁秋篠宮妃殿下
ご動静
国際結核シンポジウム -世界における結核の征圧に向けて:アジアからアフリカまで平成20年7月24∼25日/国際連合大学(東京都渋谷区)
外務省,厚生労働省,WHO(世界保健機関)・WPRO(WHO西太平洋地域事務局),結核
予防会,ストップ結核パートナーシップ日本の5者共催による標記シンポジウムが開催され,
妃殿下は,以下のお言葉を英語でスピーチされました。
また,25日には,シンポジウムに引き続き,国際協力機構(JICA),ストップ結核パート
ナーシップ日本との共催で「結核国際研修45周年記念祝賀会」も開かれ,妃殿下のご臨席を賜
り,世界各国からの参加者の感激も並々ならぬものとなりました。
開会に際して,英語でお言葉を述べられる妃殿下
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*お言葉(英文)の和訳を掲載しています(原文は本誌18p掲載)。
活発な討論に耳を傾けられるご様子
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Message 結核予防週間に当たって
厚生労働省健康局結核感染症課長
梅田 珠実(うめだ たまみ)
厚生労働省においては,毎年9月24日から30日ま
でを「結核予防週間」として,地方自治体や財団法
人結核予防会を始めとする関係団体の御協力を得て,
結核予防に関する普及啓発等を行ってまいりました。
結核予防週間は,結核に関する正しい知識を国民
の皆様に深めていただくとともに,官民一体となっ
た結核対策への取り組みの意識を高めていただく活
動として,大変有意義なものであると考えています。
さて,我が国の結核を取り巻く状況をみますと,
昭和26年の結核予防法制定以来,官民一体となった
取り組みにより,結核患者数が大幅に減少するなど,
飛躍的に改善してまいりました。しかし,現在にお
いてもなお,年間約2万6千人の新規患者が発生す
るなど,依然として,我が国の主要な感染症であり,
引き続き十分な対策が求められております。
特に近年では,多剤耐性結核菌の発生,患者の高
齢化,都市部での問題等,新たな課題がみられてい
ます。
また,世界では,HIV合併結核等も問題となって
おり,本年7月には,「第6回WHO西太平洋地域
結核制圧技術諮問会議」が東京において開催され,
これらの課題について議論されました。
さらに,これらの課題に我が国が国際的に取り組
んでいくために,「国際結核シンポジウム『世界に
おける結核の征圧に向けて:アジアからアフリカま
で』」を開催し,厚生労働省,外務省,JICA,財団
法人結核予防会,ストップ結核パートナーシップ日
本の5者により,結核分野の国際協力に関するアクショ
ンプランを発表しました。
厚生労働省としましては,結核の克服という大き
な目標に向け,地方自治体や関係団体の皆様と連携
を図りながら,国内外の結核対策を一層推進してま
いります。そのためには,財団法人結核予防会を始
めとする関係者の皆様の御理解と御協力が極めて重
要となりますので,引き続き,皆様におかれましては,
格別の御支援,御協力を賜りますよう,改めてお願
い申し上げます。
最後に,この結核予防週間を契機に国民の皆様の
結核に対する関心が一層高まりますとともに,財団
法人結核予防会並び
に関係者の皆様方が
ますます御活躍,御
発展されますことを
祈念いたしまして,
私の挨拶とさせてい
ただきます。
Contents
■メッセージ 結核予防週間に当たって
梅田 珠実……1
■結核予防週間特集
●結核予防週間に寄せて2008 結核制圧に向けた結核予防
石川 信克……2
●平成20年度結核予防週間実施要領
……4
●平成20年度都道府県知事表敬訪問報告
……5
●平成20年度結核予防週間実施予定行事
……9
■ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟総会報告 「結核のない世界」を目指して
五味 俊也……12
■国際結核シンポジウム報告 ●ストップ結核ジャパン(Stop TB Japan)アクションプラン
……14
●総裁秋篠宮妃殿下のスピーチ(原文)
……18
●国際結核シンポジウム開かれる「世界の結核の征圧:
アジアからアフリカまで」
下谷 典代……19
●国際結核シンポジウムに国際研修生と共に参加して
杉山 達朗……21
■国際研修45周年記念祝賀会
“結核対策における成功の鍵”
下谷 典代……22
■2008G8サミット NGOフォーラム
市民サミット2008−世界は,きっと,変えられる。−開催
事業部普及課……23
■シリーズDOTS 葛飾区保健所におけるDOTS推進の取組み−
薬局DOTSの試み 藤原 ひかる……24
■シリーズ 結核予防会創立70周年を迎えるにあたって(3)
まん延状況に合わせた対策を
青木 正和……26
■研修生インタビュー
●卒業生研究所再訪問 Dr. Victor Yamamoto Miyakawa
石黒 洋平……28
●結核研究所でのオペレーショナル研修を終えて
大室 直子……28
■思い出の人を偲んで 磯江驥一郎先生
青木 国雄……30
■結核予防会支部紹介の頁 奈良県支部
畑中 伊知雄……32
■日本呼吸器学会学術講演会に今年も出展
……33
■シールだより 平成19年度高額寄付を頂いた方々からの
メッセージ 総務部庶務課・事業部資金課……34
■トピックス 世界の複十字シールが大学図書館に寄贈される ……36
■WHOとIUATLDが共同で「結核とたばこ」の論文を発表予定
望月 友美子……37
■秩父宮妃記念結核予防功労賞世界賞受賞者決まる
石川 信克……37
■JCサマコン2008 in 横浜に肺年齢出展
……37
■ストップ結核パートナーシップ関連行事
……38
▽予防会だより
●切手に見る結核 6.結核に悩んだ文学者たち(西洋編 Ⅰ)
……40
〔表紙〕2008結核予防週間ポスターより
〔カット〕佐藤奈津江
9/2008 複十字 No.323
1
結核予防週間に寄せて2008
結核制圧に向けた結核予防
結核予防会結核研究所
石川 信克
所長
−結核は治せる,予防できる病気なのに,世界
中はもとより,日本でもまだ著しく多くの人の健
康や生活をむしばみ,苦しみを増加させ,早すぎ
る死を招いている。日本から,地球上からいかに
早くこの苦悩を減らしていけるのだろうか−
まだ2万5千人も発病,欧米より30∼40年遅れ
日本の結核の統計(概数)によれば平成19年の
新登録結核罹患率(人口10万対率)はようやく20
を切った。過去五年間平均5%台で減少しているこ
とになる。このようにみると日本の結核は,順調
に減少しており,もう心配ないかのような錯覚に
陥る。しかし,新患者数でみれば25,000人以上もの
患者が毎年出ており,その半数は70歳以上の高齢
者であるが,20歳代でも1,900人,30歳代では2,300
人も発病している。この人達のほとんどが最近の
感染による発病と考えられ,未発病の感染者はこ
の4∼5倍はあると考えて良いであろう。即ち,
日本ではまだまだ結核が流行しているといえる。
また,この罹患率(約20)は米国では1969年頃の
値で,米国の40年位後を追っていることになる(図1)。
人
口
一
〇
万
対
率
ただし,最近の米国の結核患者は,若,中年層
が多いのに比べ,日本では圧倒的に高齢者が多い
ことが大きな違いである(図2)。
結核は数日では制圧できない 多くの急性感染症は流行を数日で終わらせるこ
とができるが,結核はそれができない。結核菌は
感染すればしぶとく体内に生き延び,一生発病の
危険性が続く。診断されても半年から9ヵ月の服薬
治療が必要になる。治療が失敗すれば,多剤耐性
菌との戦いが始まる。社会の中でも,様々な地域,
階層特に弱者の中で生き続ける。実に「しぶとい」
というのが結核の特徴である。生物学的にも,社
会的にも様々な因子が関係するので,社会全体で
も長期にわたる「じっくり」した対応が必要である。
日本が結核中まん延国から低まん延国(罹患率
10万対10以下)になるのは,2020年以降と予測さ
れており,そしてその後今の欧米諸国の値(5以下)
になるためにはさらに15年以上かかる。さらに100
万対1の制圧(elimination)を来すには,半世紀以上
の継続的な取り組みが必要である。
日本で結核が公衆衛生上の課題でなくなる100万
対1は何時達成できるか,やや大まかな簡易予測
をすると(図3),考慮しうる最大限の減少率(当
分7%,その後10%)でも2060年,現在のままの減
少率(5%)が継続するとしても,2110年,対策の
強化により程々の効果を上げ,2020年以降に7%の
減少があれば,2080年という数字が出てくる。い
ずれにしても,最低半世紀はかかる。即ち,あと
半世紀は,手抜きはできないということになる。
低まん延化を促進したい
低まん延の欧米諸国では,制圧(elimination)が
目標とされてきたが,国際化の中で,自国の対策
のみでは容易でないことが認識されるようになり,
最近は地球レベルの対策への連携が重要な課題と
2
9/2008 複十字 No.323
されるようになった。中まん延国の日本では,国
際化に対応しつつも,まず自国の中で10万対10の
低まん延化をいかに早く達成するかが目標であろう。
そこで,何が課題であるか。まず政府,自治体
など行政の中で,結核対策が当分(半世紀以上)
公衆衛生的に重要であるという政治的認識と適切
な体制の維持があげられる。
次は,対策の中身の転換として,
A.発病予防への取り組み強化(当分の間BCG接種
の維持,及び潜在性結核感染症の治療)
B.患者発見の重点化(ハイリスク健診,外国人健
診)
C.医療提供体制刷新(短期入院の分散化や結核病
床の集中化,入院医療費の補助や採算性の確保,
保健所での治療等)
D.新技術・新治療法の開発(技術的革新によるよ
り効果的対策の促進,例えば新薬や治療法の
革新により1∼3ヵ月で治療できることも夢で
なくなりつつある等)
一方で,今ある対策の地道な展開をしつつ,新
しい効果的方法の開発が必要である。
世界的な連携や取り組みなしには日本の結核も減
らせない
いまだ結核を制圧できた国はない。他の感染症
と同様、結核に国境はなく、世界的な取り組みと
の連携無しに自国の結核の制圧もあり得ないとい
うのが常識になりつつある。WHOを中心に2006年
以来,世界は従来のDOTS戦略を拡大し,MDGs(ミ
レニアム開発目標)に呼応した「ストップ結核新
戦略(以下)」を推進してきた。各国の歴史や特
色はあるが、新しい視点に立った戦略は、先進国
といえども、対策のあり方にも様々な挑戦を与え
ている。 これらから、日本の結核予防が受ける挑戦を考
えてみよう。
A)日本のDOTSはかなり進展してきたが,十分か:
質の高い結核治療とは,きっちり直すこと。
入院・外来を問わず,服薬支援が十分にされて
いるか。地域DOTS体制の支え無しに,早期退
院ばかりが急がれていないか。
B)HIV/TB,MDR-TB,社会的弱者への対策はど
うか:都会のホームレスは数倍も結核が多く,
人知れず路上で死ぬ人もいる。ワーキング・
プアの若者たちで重症結核になって初めて発
見されることも少なくない。日本の患者の半
数を占める高齢者の結核の病態は,複雑化し
ているが,治療できる体制は不十分といえる。
糖尿病や認知症がある高齢者が結核を発病す
るとなかなか行き場所がない。日本人より数
倍罹患率が高い外国人の結核医療も困難がある。
対策が直接及びにくい刑務所の結核問題は世
界的な課題である。
C)すべての関係者の連携は十分か:福祉・保健・
医療の連携はある程度できてきたが,政治的
にはまだ不十分といえる。
D)患者と住民のエンパワー:日本には組織的に
は結核予防婦人会の役割があり,エンパワー(能
力向上)という視点での見直しも必要である。
患者のエンパワーはもっと意図的に行うこと
ができよう。 E)結核による保健システムの向上:歴史的に日
本の保健所や保健行政の柱が結核対策であった。
今日的意義は何か。患者一人一人の治癒を目
指したDOTSは,これからの効果的医療評価,
健康管理の基礎でもある。結核予防会が,住
民の健康ニーズの転換から,生活習慣病対策
に取り組もうとするのも,(治癒まできちん
と見守る)DOTSの応用ということができる。
また健康づくり全般の中での位置づけ(結核
対策は患者も従事者もエンパワーすること,
高齢者,糖尿病,喫煙等は結核のリスク要因
である)ができる。
F)結核研究は十分か:研究は先進国日本が世界
貢献できる重要分野である。政治的支援,予
算の確保が必要である。
G)世界への貢献は十分か:結核は日本の国際医
療協力のパイオニア的存在であった。結核予
防会も国も、結核国際協力に力を注ぐ意義は
大きい。国際協力こそ,戦争と憎しみの絶え
ないこの世界に,平和をもたらす確実な道と
いえる。
新しい取り組みの方式:ストップ結核パートナーシッ
プ日本
上記の,対策方式の内容の革新に加え,社会の
あらゆる集団に属するみんなで取り組んで行かねば,
この「しぶとい」社会病の制圧は可能ではない,
という認識が世界中で広まっている。その現れが,
「ストップ結核パートナーシップ」であろう。世
界の動きに呼応して,昨年その日本版が設立された。
結核予防会本部に事務所を置き,学会,研究教育
機関,製薬・医療機器会社,NPO,政治家(この
ための議員連盟も設立された),患者,市民等,
従来の結核予防会の概念を超える運動体である。
もちろん組織的な脆さや弱さもあるが,新しい市
民社会参加による健康づくりの運動体としての期
待は大きいといえる。さらなる積極的な参加が求
められている。
(注)本稿では,
結核の「制圧」を英語のelimination(公衆
衛生上の課題でなくなるほど少なくなった状態,
即ち人
口100万対1以下)の意味で用いた。従来,
「根絶」や「征
圧」なども用いられている。
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3
平成20年度結核予防週間実施要領
●9月24日
(水)∼30日(火)
●標語「結核のない世界へ」
1 趣 旨
我が国の結核の現状は,年間約3万人の新規患者が発生し,約2千人が亡くなっており,世界的にも結核
の中まん延国として位置付けられていること等から,引き続き十分な注意が必要であり,結核の克服のため
には,関係団体,地方公共団体及び関係省庁との十分な協力の下で結核対策を推進することが必要となって
いる。
また,昨年4月に結核予防法が廃止,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感
染症法」とする。)に統合されたところであるが,感染症法では,国及び地方公共団体の責務として,教育
活動,広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及等,必要な措置を講ずるよう努めなければなら
ない旨,規定されているところである。
こうしたことから,厚生労働省では,結核予防週間を契機として,結核に関する正しい知識を国民に深め
ていただくとともに,官民一体となった結核対策への取り組みの意識を高めることとするものである。
2 主 催
厚生労働省,都道府県,政令市,特別区,社団
法人日本医師会,財団法人結核予防会,社団法人
全国結核予防婦人団体連絡協議会及び財団法人健康・
体力づくり事業財団
3 後 援
文部科学省,日本放送協会,社団法人日本新聞
協会,社団法人日本民間放送連盟,財団法人日本
学校保健会,社団法人国民健康保険中央会,健康
保険組合連合会,社団法人生命保険協会,全国地
域婦人団体連絡協議会,社団法人全国地区衛生組
織連合会,社団法人日本放射線技師会及び社団法
人日本看護協会
4 実施期間
平成20年9月24日(水)から9月30日(火)まで
5 重点目標
国民の結核に対する正しい理解を得るため,地
域の団体組織等を通じて,より一層の普及啓発を
図る。
6 結核予防週間中の標語
「結核のない世界へ」
その他実施機関によって適宜作成するものとする。
7 実施行事等(例)
(1)結核予防週間の周知(各主催団体)
結核予防週間のポスターを作成し,関係各
機関へ配布するほか,電車・バス内での広告,
懸垂幕,電光掲示板等により国民一般に対し
て結核予防週間の周知を図る。
(2)資料の配布(各主催団体)
結核に対する関心を高めるため,関係各機
関等に結核予防のためのパンフレット,リー
フレット等を配布する。
(3)講演会,講習会等の開催(各主催団体)
結核予防活動を推進するため,関係団体を
中心とした地区組織の拡充強化を図るとともに,
各地において講演会,講習会,パネル展等を
開催する。
(4)児童・生徒への結核の知識の普及(各主催団体)
結核の正しい知識を児童・生徒に普及する
ため,全国の小中高等学校において学級活動,
学校行事等を通じて指導するよう,文部科学
省の後援により呼びかける。
(5)街頭啓発活動の実施(各主催団体)
結核予防週間の周知と国民一般の結核に対
する関心を喚起するため,結核予防を周知す
る語句の入った風船,広報ポケットティッシュ
等を手渡すなどして結核予防思想の普及を図る。
(6)報道機関等との連携(各主催団体)
全国の主要な報道機関にリーフレット等の
広報資料を配付し,結核予防週間の周知,行
事の取材等を依頼する。
広報誌,関係機関誌等に結核予防に関する
記事が掲載されるよう積極的に依頼する。
(7)その他
上記のほか,各地域で適宜結核予防週間の
趣旨に沿った行事を行う。
・一日保健所長,各種集会の開催,標語の
募集等
★トピックス★
厚生労働大臣へ要請 結核のない世界の実現を
8月7日(木),厚生労働大臣(結核感染症課長が代理)に,第59回
結核予防全国大会の決議・宣言文の要請をした。全国結核予防婦人団体
連絡協議会の中畔会長,そして東京都結核予防婦人会の川島会長及び本
部役員が訪問し,決議・宣言文を梅田珠実課長に手渡した。続いて,複
十字シール運動キャンペーンのため,梅田課長にシールぼうやを手渡し,
協力を仰いだ。
4
9/2008 複十字 No.323
梅田課長に決議・宣言文を渡す中畔会長
平成20年度 都道府県知事表敬訪問報告
8月1日の複十字シール運動開始日に各都道府県では,各県知事を各県支部役員ならびに結核予防婦人会長
等が訪問し,複十字シール運動への協力をお願いした。今回は,24支部からの報告を掲載する(南から8月
15日現在)。
●鹿児島県支部
●福岡県支部
8/1,岩重保健福祉部長を鹿児島県支部・結核成
人病予防婦人会の役員が訪問。鹿児島県における
結核の現状や,昨年度の身体障害者対応型胸部X
線デジタル検診車配備には複十字シール運動の募
金益金が役立ったことを紹介して,運動への協力
を依頼した。
8/5,海老井副知事を横倉支部長,木下会長他役員
(福岡県結核予防婦人会)が訪問。結核予防対策事
業を報告し,関係機関・団体等に対する「複十字シー
ル運動」推進への一層の協力をお願いした。
●熊本県支部
●愛媛県支部
8/6,金澤副知事を北野副支部長や熊本県健康を
守る婦人の会会長が訪問。複十字シール運動募金
活動の現状報告及び知事へのお願いをした。副知
事からは,「秩父宮妃記念結核予防功労賞受賞お
めでとうございます。結核に対する普及,啓発事
業は非常に大事でありますので,今後も頑張って
下さい」とコメントをいただいた。
8/7,高浜副知事を久野支部長と山本会長(愛媛県
結核予防連合婦人会)らが訪問。県内の結核状況と
複十字シール運動(募金)の状況について報告し,
一層の本運動への理解と協力のため,シールぼうや,
シール等を婦人会から副知事に贈呈した。夕方には
愛媛朝日テレビで放映され,翌日には地元紙(愛媛
新聞)に掲載された。
●佐賀県支部
●徳島県支部
8/1,佐藤県保健福祉本部長を佐賀県支部・佐賀
県婦人会の役員がシールぼうやTシャツを着て訪
問し,陳情書を手渡した。複十字シールの用途に
ついて説明したところ,本部長の名刺にシールを貼っ
ていただいた。
8/1,飯泉知事を松下常務理事(徳島県支部)と
横関会長(婦人会)ら計7名で訪問。知事から協
力していただけると,お返事を頂戴した。
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●山口県支部
●大阪府支部
8/1,今村健康福祉部長を廣田支部長と林会長(山
口県結核予防婦人会)が訪問。全国大会での決議
文と陳情書を添え,更なる結核対策の推進をお願
いし,またシールを贈呈して,複十字シール運動
への協力を要請した。部長より複十字シール運動
にできるだけ協力し,また高齢者が効率的に検診
を受診できるよう結核の早期発見・集団発生の防
止に力を注ぎたい」とのコメントをいただいた。
当日は山口新聞社の取材を受けた。
8/4,三輪副知事を小倉支部長と上ノ山会長((社)
大阪エイフボランタリーネットワーク)らが訪問。
複十字シール運動の説明および協力依頼したところ,
「大阪府は今厳しい状況ですが,府庁内でも是非
協力させていただきたい」。また,シールぼうや
に興味を持っていただき,「副知事室に置き,啓
発活動にも是非協力する」と温かいお言葉をいた
だいた。
●三重県支部
●岡山県支部
7/29,石井知事を井戸支部長,藤本会長(岡山
県愛育委員連合会)とシールぼうやが訪問。キャ
ンペーンのマスコットを贈呈し,普及活動への協
力と複十字シール運動へのさらなる支援をお願い
した。知事からも,結核予防に積極的に取り組ん
でいきたいと心強いお言葉をいただいた。
8/1,野呂知事を草川副理事長と大川会長(結核
予防婦人会)らが訪問。三重県の結核の現状,複
十字募金の使途,また結核予防婦人会の活動につ
いて説明をして複十字シール募金運動への理解と
協力をお願いした。知事より「結核は過去の病気
ではない。県民の健康づくりは大事なことです。
今後も地道な努力を続けていただきたい」と力強
い言葉を頂いた。さらに,当日は地元テレビ局,
新聞社の取材を受け紙面にも掲載された。
●愛知県支部
●奈良県支部
7/31,健康安全局長を奈良県健康を守る婦人の
会会長と副会長2名が訪問。複十字シール運動につ
いての説明および協力依頼を行った。
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9/2008 複十字 No.323
8/1,伊藤支部長と武田副会長(愛知県地域婦人
団体連絡協議会)らが,西村副知事を訪問。結核
の状況や募金の状況などを説明し,複十字シール
運動への協力を依頼した。
●岐阜県支部
●千葉県支部
7/30,西藤副知事を亀山支部長と武藤会長(岐
阜県結核予防婦人部連合会)らが訪問。結核の県
内状況を伝え,結核を撲滅するため複十字シール
運動を行っていることを理解していただくために,
シールぼうやと一緒に訪問した。互いに協力し,
岐阜県の結核撲滅のため力を合わせていくことを
確認し合った。
8/1,千葉県健康福祉部長らを内藤専務理事と千
葉県連合婦人会大塚会長らが訪問。全国および千
葉県の結核の現状について報告を行うとともに,
複十字シール運動の趣旨を説明し,募金活動等へ
の一層の協力をお願いした。
●群馬県支部
●富山県支部
8/11,林厚生部長を健康増進センター大江所長(富
山県支部)と岩田会長(富山県結核予防婦人会)
らが訪問。複十字シール運動の趣旨を説明し,運
動への協力をお願いした。
林部長は,「結核は死亡数が最も多い感染症で
あることがあまり知られていない。この運動を推
進する必要があると思う」と話され,募金をいた
だいた。
●神奈川県支部
8/5,下城健康福祉部長を高橋総務部長と野村会
長(群馬県地域婦人団体連合会)らが訪問。国内
での感染者が減り,国民の関心が薄れているが,
県職員が複十字シール募金運動に協力してくださ
ることに対して,野村会長より感謝の言葉を述べた。
部長から地域での活動についての期待とともに,
県との連携を図ることを話し合った。
●栃木県支部
8/8,松沢知事を磯部専務理事と松尾会長(神奈
川県地域婦人団体連絡協議会)らが訪問。結核の
現状説明とともに複十字シール運動への協力を仰
いだ。知事がシールぼうやの携帯ストラップを見て,
「かわいい!」と言ってくださった。
8/4,福田知事を小林支部長と齋藤会長(婦人会)
他婦人会役員で訪問。支部長から県内の結核健診
の状況を説明し,婦人会会長から10代の女性に増
加している喫煙にふれた胸部疾患の説明に,熱心
に耳を傾けていただきました。
婦人会役員からはシールぼうやのぬいぐるみと
今年度の複十字シール等を福田知事にお渡しして,
複十字シール運動への協力をお願いしてきました。
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●茨城県支部
●岩手県支部
7/31,橋本県知事を山口会長と川連理事(茨城
県健康をまもる女性団体連絡会)らが訪問。山口
会長が複十字シール運動の開始にあたって趣旨を
説明し,川連理事が陳情書等を手渡して協力をお
願いした。なお,橋本知事から当該運動に対して,
温かい激励の言葉をいただいた。
8/7,達増知事を高橋支部長と及川会長(岩手県地
域婦人団体連絡協議会)らが訪問。県内での結核対
策の現状を報告し,複十字シール運動の意義をご理
解いただくとともに,運動への協力を仰いだ。
●青森県支部
●秋田県支部
8/4,寺田知事を縄田屋部長と中嶋会長(結核予
防婦人会秋田県連合会)らが訪問。決議・宣言文,
複十字シールとリーフレットを中嶋会長が知事へ
手渡した。県内の結核患者の現状について話した
事に対し,知事は「結核が忘れられてきている中
で皆さんの活動はとても大切。これからも頑張っ
てほしい」と激励の言葉をいただいた。また知事
は秋田県の一人当たりの募金額が全国2位,募金
額は全国7位という成績に敬意を表した。
7/31,三村知事を長嶺専務理事と向井会長(青森
県結核予防婦人会)らが訪問。知事にシールぼうや
を贈呈し,複十字シール運動の普及と募金活動につ
いて協力を依頼した。知事から「本県でも昨年度集
団感染が発生。罹患率は全国平均より低いが東北6
県では最も高く,検診を受診する事が大事である」
と話された。翌日,地元紙に掲載された。
●北海道支部
●宮城県支部
8/7,村井知事を菅原専務理事と三浦会長(宮婦
連健康を守る母の会)らが訪問。県では,この訪
問に先駆けて,テレビ県政報道番組,県保健福祉
部疾病・感染症対策室のインターネット,新聞広
報で複十字シール運動への募金協力の呼びかけ,
また今年度の結核予防週間において,結核予防の
広報活動を実施するよう各市町村に通達された。
知事は,結核状況について詳しく,結核予防の重
要性をお話になり,宮婦連健康を守る母の会の熱
意あふれる普及啓発活動にも敬意を表され,励ま
しの言葉をいただいた。
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9/2008 複十字 No.323
8/1,高橋知事を上村支部長と齋藤会長(北海道
健康をまもる地域団体連合会)らが訪問。上村支
部長より複十字シール運動の趣旨説明を行い,齋
藤会長から今後の活動への協力を要請した。知事
から複十字シール運動を広める活動に敬意を表す
る旨のお話があった。
猛暑日が続く最中,県のご担
当者との調整を含め,無事,知
事表敬訪問が行えましたことを,
全国支部及び婦人会の皆様に誌
面上ではございますが,御礼申
し上げます。
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北海道
①9/24∼30 札幌市中央区・北区等 北海道健康をまもる地域
団体連合会,札幌市北区健康をまもるつどいによる街頭募金を
実施。②9/24∼30 札幌市エルプラザ公共施設内(札幌市北区)
結核に関するパネル展示並びに各種啓発媒体物を配布する。 ③9/24∼30 札幌すすきの交番付近(札幌市中央区) 無料
夜間結核検診を通じ,結核予防思想の普及啓発を図る。
青 森
①9/27 青森市 青森市内2∼3カ所の大型ショッピングセンター
の協力を得て,青森県結核予防婦人会と合同で結核予防のリー
フレット・風船・ティッシュ等を配布し,街頭募金活動を実施
する。 ②9/1∼30 青森県支部 当支部正面に結核予防週間,
標語入り看板・のぼりを掲示する。 ③9/24∼29 JR東北本線
青森駅∼八戸駅間 電車内に中吊り広告として予防週間ポスター
を掲示し,PRを行う(1車輌2枚計50枚)。 ④9/1∼30 青森
市 青森県庁舎に結核予防週間・がん征圧月間の懸垂幕を掲示
する。
岩 手
①9/27 盛岡市保健所フェスタ2008 複十字シール募金,普及
啓発グッズの配布 ②結核予防週間中 新聞広告 岩手日報 結核予防週間告知,前年度募金額報告
宮 城
①9/27 ショッピングセンター「セルバ」 街頭募金(婦人会
参加),着ぐるみによるPR,広報資材・風船等の配布,無料健
康相談・無料健診(血管年齢測定,骨密度測定他) ②9/20∼
30 仙台市各区保健福祉センター 結核予防パネル展示 ③10
月∼11月 市民センター等 仙台市各区市民センター及び市町
村の市民まつりに参加し,血管年齢測定を実施 ④10月 仙台市・
東京(結核研究所) 中国瀋陽市・長春市結医療関係医師団が
胸部疾患日中友好交流団として来日 ⑤10月 複十字健診センター
「健康まつり」の開催 健康講話,無料健診(動脈硬化度測定,
骨密度測定他),各種イベントを実施
秋 田
①9/20 「健康“チェック&ケア”フェスタ」の開催 イオンモー
ル秋田(市内大型スーパー) 医師や看護職による無料健康相談,
各種の無料検診や運動機能測定などを行い,合わせてパネルや
ポスター等の展示とリーフレットやティッシュ,カットバン等
の配布を行い,買い物に訪れる県民に対し広く結核撲滅を訴え
るとともに,その啓発に努める。 ②9/27 全国一斉複十字シー
ル運動キャンペーンの開催 秋田駅東西連絡通路 秋田駅西側「ぽ
ぽろ∼ど」・アゴラ広場 支部職員の他,結核予防婦人会秋田
県連合会正副会長及び各地区連合会の正副会長と秋田市の会員
に協力を頂いて,街頭募金を行う。リーフレットなどの配布を
行い,結核予防の呼びかけを行う。また,募金者には,シール
ぼうやや着ぐるみと一緒に撮ったポラロイド写真を差し上げる。
③9/24∼30 秋田駅前,秋田駅東西連絡通路及び総合保健セ
ンター前 1)乗合バスの車内ステッカーと後部ステッカーを
利用したPR 2)結核予防週間ポスター,複十字シール運動ポ
スターの掲示 3)総合保健センター前に野立て看板 4)新
聞広告
山 形
①9/23頃 全国一斉複十字シール運動キャンペーン 9月は,が
ん征圧月間でもあり,当支部では,「がん征圧・結核撲滅街頭キャ
ンペーン」として実施。複十字シール募金運動も実施 ②期間
中 受診勧奨及び結核予防週間の周知 1)当支部事務局及び
5カ所の検診センターに横断幕を掲示 2)職員名札に周知プレー
ト添付 3)テレビ広報 4)ラジオ広報 5)新聞広報 6)
その他
福 島
①9/20午前 福島駅 東口広場・午後 郡山駅 西口広場 福
島県健康を守る婦人連盟,しゃくなげ会をはじめ,県・市町村
職員にも協力を仰ぎ,キャンペーンを実施する。 キャンペー
ンでは横断幕,着ぐるみ等を利用して結核撲滅のチラシやグッ
ズを配布し,通行する県民への思想普及を図る。 ②9/24 会
津若松市・中合前 会津祭りの鼓笛パレードに併せ,キャンペー
ンを実施。福島県健康を守る婦人連盟,しゃくなげ会をはじめ,
県・市町村職員にも協力を仰ぎ,キャンペーンを実施する。 キャ
ンペーンでは横断幕を掲げ,「結核の常識」や風船を歩行者へ
配布するなど結核予防週間の周知と結核予防の普及啓発に努める。
③9/27 福島市保健福祉センター 福島市主催の「健康フェ
スタ2008」において,支部職員が「骨密度測定コーナー」
を設け市民を対象に実施する。 来場者へ結核予防のパンフレッ
トや複十字シール運動のリーフレットを配布し,結核予防の普
及啓発と受診奨励を行う。
茨 城
①7/31 茨城県知事室 知事表敬訪問(当協会の山口会長及び
根本理事(兼)事務局長,並びに茨城県健康をまもる女性団体
連合会の川連理事,鴨志田理事,大高理事,石岡理事が橋本知
事を表敬訪問し,本年3月に行われた結核予防全国大会での決
議文及び決議・宣言の採択による陳情書を渡し,当該運動への
協力をお願いした。) ②9月上旬 県内各地 街頭キャンペー
ン(茨城県及び茨城県健康をまもる女性団体連絡協議会とともに,
催事等にて結核予防パンフレット等の配布を行う。) ③9月24
∼30日 県内全域 新聞,ラジオ等による広告
栃 木
①9/21 10:00∼15:00 ショッピングセンター「ベルモール」着
ぐるみシールぼうやを使用して結核予防婦人連絡協議会と共同
でキャンペーングッズの配布やパネル展示を行い,結核予防思
想の普及を図り,併せて街頭募金を実施する。 ②9/24∼30 ラジオにより結核予防週間の広報活動を行う(1日1回,20秒)。
群 馬
①6/29 群馬県女性会館 群馬県女性団体連絡協議会主催の「輝
こう 群馬の女と男」にて結核予防婦人会と共同で街頭キャンペー
ンを実施した。 ②8/5 群馬県庁 全国一斉複十字シールキャ
ンペーン 結核予防婦人会と当支部幹部職員が群馬県健康福祉
担当理事を表敬訪問し,「複十字シール運動」の趣旨説明と募
金協力をお願いした。 ③9/1∼30 JR高崎駅ビル 電光掲示板
による結核予防週間のスローガンを放映する。 ④結核予防週
間中のいずれか1日 新聞広告 結核予防週間のスローガン及び
結核に関する啓発内容を掲載する。
埼 玉
①9/23 JR浦和駅・JR川越駅 支部職員,埼玉県地域婦人会及
び川越市職員と合同で,ポケットティシュやリーフレット等を
配布し,街頭募金を行う。 ②結核予防週間内 埼玉県庁 埼
玉県庁にスローガンの懸垂幕を掲示し,県庁内渡り廊下にポスター,
パネルを展示する。 ③結核予防週間内 さいたま新都心 さ
いたま新都心の掲示板にポスターを掲示する。
千 葉
①9/21 JR千葉駅東口駅前広場 千葉県連合婦人会と千葉県と
共同 1)結核予防パンフレット・風船・支部作成シールぼう
やティッシュ等の配布,着ぐるみ等による募金活動 2)市
民吹奏楽団による「小さなシールに大きな愛を」他の演奏 ②9月
(結核予防週間内) JR千葉駅・蘇我駅・千葉みなと駅構内 啓発用ポスターを掲示する。 ③9月中 当支部総合健診センター
入口 結核予防週間の懸垂幕を掲示。
東 京
9/15 14:00∼16:00 JR両国駅西口(両国国技館側)付近 結核
予防思想の一層の普及を図るため,通行人へ啓発グッズ等の配
布を行い,着ぐるみでのPRも実施する。(大相撲開催中のため,
国技館へ行かれる方々を中心とします)
神奈川
①6/28 神奈川県三浦市体育館 老人芸能大会(カラオケ)会
場にて複十字シール募金の活動をした。 ②9/20 小田原駅東
西自由通路 複十字シール募金運動を小田原市の婦人会と合同(20
人)で実施。 ③9/27 藤沢駅コンコース 藤沢市の保健所と
合同で複十字シール募金運動を実施。 ④10月 相模原健康フェ
スタ 相模原市保健所で婦人会と合同で複十字シール募金活動
を実施予定。 ⑤11月 厚木市健康フェスタ 厚木市保健センター
で複十字シール募金活動を厚木市婦人会と合同で実施予定。 ⑥11月 赤レンガパーク 支部職員が募金活動を実施予定。
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山 梨
9/25 7:30∼9:00 JR甲府駅前 県・婦人会と共同で街頭キャ
ンペーンを行い,結核予防リーフレット,ポケットティッシュ
の配布ならびに募金を呼びかける。
長 野
①9/20 11:00∼12:00 松本駅周辺 ア.支部職員,結核予防婦
人会,長野よろこびの会(がん克服者の会)と共にパンフレッ
ト等の配布や街頭募金を実施する。 イ.パネルの展示 ②
9/23 11:00∼12:00 長野駅周辺 ①と同じ ③9/24∼29 県下
全域(ラジオ放送) 結核についての予防,啓発のためのスポッ
ト放送 ④9/24∼30 県内路線(電車) 中吊広告(ポスター
使用)の掲示 ⑤9/24 地方新聞(信濃毎日新聞,毎日新聞,
朝日新聞) 結核についての予防,啓発並びに複十字シール運
動についての広告掲載 ⑥9/24∼30 胸部並びに循環器検診車
結核予防週間周知のための垂幕をつけPRする。
新 潟
①8/1 新潟県庁 副知事へ表敬訪問 当支部幹部職員2名,婦
人会長1名 ②9/21 健康づくり・スポーツ医科学センター 新
潟県主催「新潟県健康づくり県民大会」「健康づくりフェスタ」
においてリ−フレット等の配布・街頭募金の実施 ③10/12 10:30∼15:00 新潟市万代シティパーク 新潟市他主催「新潟市
民健康福祉まつり」にてリーフレット等の配布,街頭募金を実施
富 山
①9/23 富山市総曲輪通り付近 富山県結核予防婦人会と共に
結核予防普及啓発用パンフレット・オーキューバン等の配布及
び複十字シール募金活動を行う。 また大道芸人のバルーンパフォー
マンスによりキャンペーンをアピールする。 ②9/1∼30 富山
市役所広告塔 懸垂幕(今年度の標語)を掲揚し,普及啓発を
図る。 ③9/1∼30 とやま健康パーク がん予防展の開催に併
せて,結核予防パネル展示を行う。 ④9/1∼30 JR富山駅前・
高岡駅前 街頭放送
石 川
9/25 金沢駅 もてなしドーム前 石川県婦人団体協議会・が
ん体験者の会・当支部職員で,リーフレット・オーキューバン
等を配布し募金活動を行う。
福 井
①9月∼11月 健康を守る女性の会会員の協力を得て県内7カ所
(県庁所在地を含む)で啓発活動を実施する。 ②9月上旬 本部作成の結核予防週間用ポスター,パンフレットを配布する。
③10月∼11月頃 福井市内 結核予防研修会を実施する。
静 岡
①9/20 アピタ静岡店イーストコート 静岡県支部と結核予防
婦人会静岡市支部 結核予防週間に向けて複十字シール運動街
頭キャンペーンを行う。 ②8月∼12月 その他の地区 静岡県
結核予防婦人会各支部が中心となり,各種行事で普及啓発活動・
街頭募金など実施。 ③8月下旬∼9/30 しずてつジャストライ
ンバス・静岡鉄道電車 窓上ポスター広告・電車内中吊ポスター
広告 停留所で文字放送を行う。 ④9月中 静岡県総合社会福
祉会館 静岡県男女共同参画センター 御殿場市秩父宮記念公
園 複十字シール運動ポスター掲示。 ⑤9月中 静岡市内 静
岡市の広報誌に結核予防週間にむけて結核の知識および複十字シー
ル運動の紹介を掲載し各世帯等に配布。 ⑥9月∼11月(予定)
静岡県 富士市・焼津市・小山市・裾野市 健康まつり等に
て啓発資料配布及び広報活動 結核・肺がん予防に関するパネ
ル展示。
愛 知
①9/20(土)・21(日) あいち健康プラザ 結核予防週間に先立ち,
あいち県民健康祭の会場において,結核予防会愛知県支部として,
来館者に対して複十字シールリーフレット,風船,オーキュー
バン等の配布,着ぐるみ「シールぼうや」による交流,パネル
展示を行い,結核予防思想の普及と募金を呼び掛ける。 ②
9/21(日) あいち健康プラザ 結核予防週間に先立ち,あい
ち県民健康祭の会場において県民に結核検診による早期発見の
重要性を広めるため,結核の無料検診を実施する。 ③9/24(水)
・
10
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29(月) アスナル金山「明日なる!広場」 県民の集まるアス
ナル金山「明日なる!広場」の通行者等に対して複十字シールリー
フレット等を配布し,結核予防思想の普及に努める。 ④9/24(水)
∼30(火) 総合健診センター昭和区永金町事務所 結核予防週
間中に「結核予防週間9月24日∼30日」・「結核はあなた
の自信にかくれんぼう」の懸垂幕を掲げて,結核予防思想の普
及に努める。
岐 阜
①9月中 毎日新聞 結核予防を呼びかける広告を掲載する。 ②ニュースレター9月号 結核予防と複十字シール運動への協
力を呼びかける記事を掲載する。 ③9/28 ラジオ番組「すこ
やかモーニング」(岐阜放送) 結核予防と複十字シール運動
への協力を呼びかける。 ④9月中のシルバー大学の日 岐阜市・
大垣市・美濃加茂市 シルバー大学において,パンフレット等
を配布する等して,結核予防を呼びかける。
三 重
①10/19 亀山市保健センター 三重県結核予防婦人会と共に亀
山市あいあい健康まつりにおいて啓発資料,風船を配布し,結
核予防の普及啓発,複十字シールの募金依頼を行う。 支部製
作シールぼうやTシャツを着て行う。 ②9/24∼30 県下全県
民局壁面 結核予防標語の懸垂幕を掲揚し,普及啓発を図る。
滋 賀
調整中
京 都
①9/17 京都市アバンティホール 講演「結核の予防とがんを
考えるつどい」講演内容 「京都市の平成19年結核発生状況
∼課題と結核対策∼」「肺がんの治療∼切ることを怖がらない
で∼」 ②9/25 京都駅前とその周辺 街頭募金・無料結核検診・
啓発資料の配布 保健師による結核相談窓口の開設 結核に関
するポスター・パネルの展示 ③結核予防週間中 府内各地域
府内の保健所と地域の婦人会と共同で啓発・募金活動を行う。
大 阪
①9/24 「大阪国際会議場」(大阪市北区) 「結核予防推進大
会」を(社)大阪エイフボランタリーネットワークとの共催,
大阪府・大阪市・堺市・東大阪市・高槻市の後援により結核予
防関係婦人団体中央講習会の研修報告や大阪府・大阪市内の結
核の現況についての講演,ディスカッションを行い結核予防の
普及啓発を行う。 ②9/24「大阪国際会議場」(大阪市北区)
大阪国際会議場の入り口付近で,スパイロメーターを使用し
て肺年齢測定を実施する。パネル・のぼりを設置。 9/29 「ク
ロスモール泉北」(堺市南区) 街頭無料健診の実施 上記の
場所に胸部健診車を設置し,うちわ・ポケットティッシュ・オー
キューバン(絆創膏)・エコバックを配布し,広報及び普及啓
発を行う。 ③9/30 「JR京橋駅北口前」(大阪市 島区) 全国一斉複十字シール運動キャンペーン 募金箱,のぼりを設
置してうちわ・ポケットティッシュ・オーキューバン(絆創膏)・
エコバックを配布。 シールぼうや(着ぐるみ)と大阪市地域
女性団体協議会(参加人員12区24名)とともに街頭広報にて運
動を展開する。 ④9/24∼30 「トンボリステーション」(大
阪市中央区道頓堀) 大型フルカラーモニターに,週間名,実
施期間,複十字シール,AC公共広告機構支援キャンペーン 「結
核は,決して過去の病気ではありません。日本でも」当支部健
診車(シール号)を入れた結核予防週間告知CM(154回)を放
映予定。 ⑤8/1・22 大阪府支部新館前 のぼりを設置し,う
ちわ・ポケットティッシュ・オーキューバン(絆創膏)・エコバッ
クを配布し,広報及び普及啓発を行う。 ⑥9/24∼30 大阪府
内 広報機関等の利用により,地方新聞掲載,ポスター・パン
フレット・うちわ・ポケットティッシュ等の配布,懸垂幕等に
よる広報・普及啓発を行う。
※エコに取り組むため,エコバック・エコマーク付うちわを作
成し,配布する。
兵 庫
①9/29 14:00∼16:00 JR姫路駅前3ヵ所 支部職員,婦人会,
官公庁職員とともにティッシュ,リーフレットなどを配布し,
街頭募金活動を行う。 ②9/30 14:00∼16:00 JR明石駅前 支
部職員,官公庁職員とともにティッシュ,リーフレットなどを
配布し,街頭募金活動を行う。 ③11/9 10:00∼16:00 淡路島・
しづかホールにて「ふれあいの祭典」 支部職員がティッシュ,
リーフレットなどを配布し,募金活動を行う。 ④9月中 兵
庫県庁,三宮センタープラザ,結核予防会兵庫県支部において
結核予防週間懸垂幕にて啓発を行う。 ⑤9/24∼30 神戸市営
地下鉄におけるポスター掲示を行う。
奈 良
9/25 近鉄奈良駅行基菩薩一帯 街頭募金他キャンペーン(奈
良県健康を守る婦人の会理事による実施)
和歌山
9/25 JR和歌山駅・南海和歌山市駅 結核予防週間の周知と結
核に対する関心を深めつつ,複十字シール募金も行う。
鳥 取
9/20 15:00∼16:30 〔東部地区〕ジャスコ鳥取北店,〔中部地区〕
パープルタウン,〔西部地区〕米子しんまち天満屋 鳥取県健
康を守る婦人の会と共催で複十字シール・パンフレットを広報
媒体として,結核予防及び複十字シール募金への協力を呼びか
ける。※(平井知事に参加要請中)
島 根
調整中
岡 山
①9/23 津山市「イオン津山ショッピングセンター」 街頭活動:
啓発資材,標語入りゴム風船等の配布,パネル・X線写真展示
並びに募金活動 街頭無料検診:骨密度・身長・体重・血圧・
体脂肪率の測定,スモーカーライザーによる測定,健康相談 ②9/24∼30 財団法人岡山県健康づくり財団附属病院 胸部間
接撮影(無料)
広 島
①9/23 フジグラン広島(広島市中区) 全国一斉複十字シー
ル運動キャンペーン 複十字シール運動,結核予防週間の「のぼ
り」を掲げ,複十字シール運動パンフレット(結核の常識)を配
布する。 結核,肺がんの無料検診を実施する。 ②9/1∼30 広島県健康福祉センター1階エントランスホール(広島市南区)
結核予防パネル展 結核予防パネルを展示し,結核予防週間
ポスター,禁煙ポスターを掲示する 複十字シール募金箱を設
置し,複十字シール運動パンフレット,結核予防週間のパンフレッ
ト(結核の常識)を配布する。 ③8/1∼12/19 広島県庁正面
玄関ロビー(広島市中区) 複十字シール募金箱の設置 ④
9/24∼30 広島市中区八丁堀 大画面文字広告「C-Vision」を活
用した結核予防週間の広報
山 口
①9/23 13:30∼15:00 防府サティ店頭(山口県防府市中央町13) 山口県結核予防婦人会及び山口県支部職員により,パンフ
レット等を配布し,結核予防を訴え,併せて複十字シール運動
募金への協力を呼びかける。 ②8/1∼12/31 山口県太陽光発
電インフォメーションシステムでの情報表示(県内8ヵ所) 複十字シール運動に関する情報文を表示し,広く県民に運動を
アピールする。 ③9/1∼30 山口県太陽光発電インフォメーショ
ンシステムでの情報表示(県内8ヵ所) 結核予防週間に関す
る情報文を表示し,広く県民に結核予防をアピールする。 ④
10/22∼23 第56回全国地域婦人団体研究大会での結核予防啓発
及び複十字シール募金運動(山口市民会館:山口市中央2-5-1)
全国地域婦人団体研究大会において参加者に対してパンフレッ
トを配布し,結核予防を呼びかけるとともに複十字シール募金
をお願いする。
徳 島
①9/28 JR徳島駅前 街頭募金,無料結核検診を実施する他,
パンフレット等を配布する予定。 ②9/24∼30 支部建物壁面 懸垂幕の掲示
香 川
①9/20 イオン綾川ショッピングセンター 香川県婦人団体連
絡協議会との共催で,結核予防パンフレット等を配布して,結
核の予防と募金への協力を呼びかける。 ②9/24 ∼9/30 胸部
検診会場 検診会場にのぼりをたて,標語の入った横断幕を検
診車に掲示して結核の予防を呼びかける。
愛 媛
9/23 松山市大街道アーケード内三越松山店前 結核パネルを
展示し,結核予防パンフレットや風船等を配りながら,結核予
防の普及啓発と募金活動をする。
高 知
①9/28 10:30∼14:30 高知市中央公園を本部とし,ひろめ市場
→帯尾町→高知大丸周辺 (支部・婦人会の共催) 県の応援
も得て全国一斉複十字シール運動実施(約40名) 無料健康相談,
血圧測定等,パネル展,募金活動,風船や結核シール等に関す
る啓発用資材配布。 ②9/22∼10/2 財団法人結核予防会高知
県支部 懸垂幕にてアピール。 ③9/27 財団法人高知県総合
保健協会中央健診センター 無料検診 40才以上を対象とした
希望者全員の胸部検診。※新聞折り込みチラシ30,000枚配布する。
福 岡
①9/23 博多大丸エルガーラ・パサージュ広場 パンフレット「結
核の常識」,「複十字シール運動」のパンフレット配布,健康
測定,健康相談,医師による結核予防ミニ講演,結核予防に関
するパネルの展示,複十字シール募金,胸部レントゲンの無料
健診,普及啓発運動用風船の配布 ②9月 福岡ソフトバンクヤ
フードーム球場 大型ビジョンに「結核予防週間」について放
映予定 ③9/22∼30 福岡結核予防センター 「結核予防週間」
の懸垂幕の掲示 ④西日本シティ銀行本店及び支店に「結核予
防週間」,「複十字シール運動」のポスターの掲示,パンフレッ
トの配布予定 ⑤10月予定 福岡市各保健所 福岡市各保健所
の健康フェアへ参加 ・11月予定 アスバルフォーラムへの参
加 「結核の常識」,「複十字シール運動」パンフレットの配布,
「結核予防」パネルの掲示他 ⑥平成20年度予定 結核予防研
修会開催 福岡県地域婦人会連絡協議会の研修会
佐 賀
①9/23 大和ジャスコ,ゆめタウン佐賀(ショッピングセンター)
健康を守る佐賀県婦人の会と共に街頭募金活動及びパンフレッ
ト等の啓発グッズを配布する。 ②9/24∼30 佐賀県支部 佐
賀県支部建物に結核予防週間PRの懸垂幕を掲示する。
長 崎
結核予防週間中 県庁所在地と他数ヵ所で実施予定 県婦人会
の協力のもと,結核予防の普及啓発のため複十字シール街頭募
金を行い,風船,シールぼうやボールペン,リーフレット等を
配布する。
熊 本
①9/14 宇城市「イオンモール宇城バリュー」 街頭募金・リー
フレット・風船等の啓発資材の配布 街頭募金・リーフレット・
風船等の啓発資材配布,パネル・ポスター・たばこと肺モデル
の展示等,無料結核検診 ②9/2 熊本市「ゆめタウンはません」
ヘルシーデーの1ブースにて複十字シール運動のキャンペー
ン 街頭募金・リーフレット・風船等の啓発資材配布,パネル・
ポスター・たばこと肺モデルの展示等,無料結核検診
大 分
未定 大分県・大分市と協議中
宮 崎
①9/29 12:00∼16:00 イオン宮崎ショッピングセンター2Fイ
ベントホール 宮崎市主催の健康啓発イベントに共催し,健康
づくりに関する意識・啓発を図る。 ②9/1∼30のいずれか1日
宮崎日日,朝日,毎日,読売,西日本の各新聞 新聞広告を
掲載 ③9/24∼30 宮崎山形屋デパート 懸垂幕の掲示
鹿児島
①9/23 11:30∼13:00 JR鹿児島中央駅内コンコース リーフレッ
ト・オーキューバン等の啓発資料を配布し結核予防を呼びかける。
同時に街頭募金も行う。 ②9/21∼30 県下のJR駅構内・フェリー
船内(施設)・空港等の公共の場所及び医療機関等に啓発のポ
スターを配布する。
沖 縄
9/26 県庁前県民広場 資料配布・街頭募金・胸部X線街頭無
料健診・健康相談,県庁内県民ホール及び沖縄県総合保健協会
1階ロビー パネル展示
(上記は8月初旬の情報です。)
9/2008 複十字 No.323
11
第3回ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟総会報告
「結核のない世界」
を目指して
6月24日,東京都内にて第3回ストップ結核パー
トナーシップ(STB)推進議員連盟総会が開催さ
れました。今回の総会は,昨年12月の同議連設立
後より国会議員の先生方が「よりよい結核対策と
は何か」を追求するために,専門家の方をお招き
して行った「勉強会」でありました(過去には,
オランダ結核予防会〔KNCV〕上級政策顧問のヤー
プ・ブルックマン博士が講師をされました)。
今回は,WHO西太平洋事務局長の尾身茂氏と結
核予防会複十字病院院長の工藤翔二氏の2名が講師
として招待されました。また,外務省より5月開催
の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)における
成果文書等についても報告がありました。以下,
尾身氏と工藤氏の講演内容を中心にご報告させて
いただきます。
日本リザルツ
五味 俊也
47%とまだまだ改善の余地があった。そこで2005年
までのカバー率100%,発見率70%の達成,さらに
有病率と死亡率の半減(毎日500人の命を救う)と
いう野心的な目標を立てた。しかし,これまで「結
核・ハンセン病」担当は1人しかおらず,到底目標
は達成できないという話になった。その後,結核
予防会,厚生労働省,外務省,JICAの協力により
スタッフを増員して現在は,ほぼ目標近くまで状
況は改善されている。
結核対策における新たな課題
同地域において状況は改善されたが,世界を見
ると未だ結核の有病率と死亡率が高い国が存在する。
特に,アフリカではHIV/エイズの感染の増加に伴っ
て,結核も増加しており(二重感染),全体とし
て上昇傾向にある。
もう一つの重要な課題は,多剤耐性結核(MDRTB)である。現在は,超多剤耐性結核(XDR-TB)
の症例も報告されており,この問題は全世界での
課題といえる。
日本の結核分野における「さらなる貢献」へ
の期待
左から二人目が尾身氏,
三人目が工藤氏
尾身茂氏「日本が担う国際保健協力−結核分
野での貢献」
WHO/西太平洋地域事務局(WPRO)での
結核対策
1999年より,WHO/WPROの事務局長に就任す
ることになった。当時は,三大感染症において結
核が最も被害を大きく出しており,1日約1,000人も
の方が亡くなっていた(HIV/エイズ:164人,マ
ラリア:38人)。そのような状況から任期中,加
盟国の総意で「結核を最大の優先課題」として対
策を行うことに決まった(就任時に「結核非常事
態宣言」を出し,特別なプロジェクトチームを立
ち上げた)。
その頃のDOTSカバー率は68%,患者発見率は
12
9/2008 複十字 No.323
このような危機的状況がある一方,日本の結核
分野での貢献に対する期待が高まっている。ポイ
ントとしては以下の4点である。
①途上国訪問検診の継続,②多剤耐性結核の早
期発見のための技術による貢献,③アドバンテー
ジを持っている新薬開発での貢献,④結核予防会
結核研究所による人材育成のための「国際研修」
の拡大(尾身氏によると,④の貢献は「結核分野
に携わる全ての人々」に知られており,人材育成
に特に力を入れるべきとのことである)
以上の取り組みによって,日本は結核対策に加
えて貧困対策にも貢献し,その結果MDGs(国連ミ
レニアム開発目標)への寄与によって,国際社会
において存在価値を高めることができるのではな
いか。
工藤翔二氏「日本の結核医療の現状と課題」
現在までの日本における結核の状況
まず,結核という病気の特徴についてお話をし
たい。特徴としては,1)有効な治療がなければ,
死に至る,2)空気感染する,3)細菌が生涯残存
できる,の3つが挙げられる。結核は,1950年に罹
患率が人口10万対698で約60万人の新規患者が発生
していたが,2006年では10万対20で約2万6,000人と
30分の1まで減少している。その要因として,①結
核患者の隔離,②BCG予防接種,③集団検診によ
る早期発見,④化学療法の導入,の4点が挙げられる。
また国内での結核の状況は,1)未だ中まん延国で
ある(2005年の罹患率は米国の4.5倍),2)都市部
に患者が集中している(2006年の罹患率では,大
阪市は長野県の4.8倍),3)高齢者に多い(1987年:
50歳代に最も多い→2005年:70歳以上が47%)など
が特徴である。
結核医療における現在の課題
現在は,10万対700近くあった時代とは状況が全
く異なっている。集団医療から個別医療へ,①「中
まん延国にマッチした病床のあり方」が求められる。
また,②「確実な医療と多剤耐性結核への対応」
が重要である。複十字病院においては治療中断率
が5%以下(2003年∼2007年)であり,感受性(薬
剤耐性のない)結核では治療中の再排菌,治療失
敗は(1990年以降の診療)計約3,000例中1例のみで
ある。多剤耐性結核は1年以内に治療を受ければ,
70%は菌が陰性化する。早期での適切な治療が求め
られる。
さらに,③「国際的視野に立った結核医療」が
求められる。2006年度では,20歳−29歳の結核患
者に占める外国籍患者の割合は19.8%であり(全年
齢:3.5%),年々増加している。また海外では自
国民より,移民患者の「総数」の方が多い国も存
在する。今後,日本がこの問題に対処するには,
アジア・アフリカ全体における結核の状況の改善
が自分たちを守ることにもつながる,という観点
で広く結核対策を行うべきである。
また,最後に④「医療レベルの維持と結核医療
における不採算性の是正」も重要な課題である。
2007年の内科系学会社会保険連合(内保連)の調
査によると,結核医療においては1ベッド当たり約
200万円の赤字,1施設当たり年平均1億5,000万円の
赤字経営で,「病院全体の経営を揺るがす極めて
深刻な不採算医療になっている」ということである。
このことに関しては,厚生労働省とも協力し,結
核医療を守っていく必要がある。
外務省「TICAD IVの成果について」
5月28日∼30日まで5年に1度のTICAD IVが行わ
れ,関係諸国,及び諸機関から計3,000名以上が参
加した。成果文書の横浜宣言・横浜行動計画の中で,
結核については「アフリカにおける結核などの感
染症のまん延は深刻な問題である」と言及された。
また今後の目標として,STBが掲げている2015年
までの結核罹患率,死亡率の半減が明記された。
G8に関しても,現在各国代表,STB日本,国際
機関や議員連盟などから意見の取りまとめを行っ
ており,TICAD後のさらなる結核対策につなげて
いきたいと考えている。
7月24・25日には,わが国の国際的な結核に関す
る貢献策「ストップ結核ジャパンアクションプラン」
を発表する予定である。日本の戦後の結核対策の
知見を活かして,官民が連携してアフリカ支援,
国際協力を行って参りたいと考えている。
以上のような講演,報告の合間には質疑応答が
行われ,同議連会長の津島雄二氏(衆議院議員)
や進行役で事務局長の浜田昌良氏(参議院議員)
をはじめとする議連の先生方から多くの質問が出
され,また活発な議論が行われて,非常に有意義
な会となりました。
今後,国内外における結核対策のさらなる充実
のために国会議員,専門家の方々をはじめとする,
より多くの人々との議論や情報交換が「結核のな
い世界」の実現につながることを願っております。
発言される津島雄二会長(左)
と進行役の浜田昌良事務局長(右)
9/2008 複十字 No.323
13
国際結核シンポジウムで発表(原文掲載)
ストップ結核ジャパン(Stop TB Japan)アクションプラン
∼結核の征圧に向けた国際協力に関する官民パートナーシップ∼
平 成 2 0 年 7 月 2 4 日
外
務
省
厚
生
労
働
省
独立行政法人国際協力機構
財 団 法 人 結 核 予 防 会
ストップ結核パートナーシップ日本
本アクションプランは,「ストップ結核世界計
画2006−2015」がカバーする2015年
までを念頭において作成されたものである。20
15年までに同世界計画が見直された場合には,
五者は必要に応じて協議を行う。
1. 基本的考え方
(1)近年の結核問題の特徴
かつて国民病とまで言われた結核も,日本人
にとり今や「昔の病」と考えられがちである。
しかし,世界全体では人口の3分の1(約20
億人)が結核既感染者と推定され,発症数はア
ジアに半分以上が集中しており,近年アフリカ
での被害も深刻である。2006年には年間9
16万人が発症,予防も治療も可能な疾病であ
りながら166万人が死亡するなど,今でも大
きな健康被害を与える深刻な感染症として,世
界三大感染症の一つと位置づけられている。結
核患者及びその死亡者は,大半が最も生産的な
年齢層に属しており,HIV/エイズとともに
途上国の経済及び社会の発展にとり大きな阻害
要因となっている。 不適切な治療による,より治療が困難な多剤
耐性結核(MDR−TB:Multi drug-resistant
tuberculosis)や超多剤耐性結核(XDR−TB:
Extensively drug-resistant tuberculosis)の蔓
延が,近年問題になってきており,アフリカを
はじめとするHIV/エイズとの重複感染の増
大とあわせて大きな問題となっている。
(2)国際社会の取組と各種目標
結核は,生涯発病の危険性がある慢性感染症
である。感染症の広がりには国境が無く,結核
の征圧に向けた根気強い取組が必要で,そのた
めには国際的な協力や連携が欠かせない。
2000年の国連ミレニアム・サミットを受
けて作成されたミレニアム開発目標(MDGs)
の目標6ターゲット8においては,結核の「発
14
9/2008 複十字 No.323
生率の増加を2015年までに阻止し,その後
発生率を下げる」とされた。
これを受け,1998年に世界保健機関(W
HO)が中心となって組織されていた「ストッ
プ結核イニシアティブ」が強化され,2000
年に「ストップ結核パートナーシップ」が設立
された。目的は,結核感染の阻止(精度の高い
検査,直接服薬確認療法(DOTS:Directly
Observed Treatment, Short-course)の拡充,
抗結核薬の供給量増加・価格低下・質の向上),
新たな難題への対処(多剤耐性結核の予防・対応,
HIV/エイズ関連の影響低減),結核の征圧(検
査技術の改善,抗結核薬やワクチンの研究開発)
の三本柱である。また,2006年に発表され
た「ストップ結核世界計画2006−2015」
では,2015年には結核の患者や死亡数を1
990年レベルから半減させることを最終目標
としている。
国際社会はこれらの国際目標を実現すべく支
援を行ってきたが,更なる国際的な努力が求め
られており,国際社会は一致して早急に対応す
る必要がある。
第4回アフリカ開発会議(TICAD蠶)及
びG8北海道洞爺湖サミットにおいては,結核
対策を含む感染症対策と保健システムの強化や
母子保健対策をバランスよく行うことにより,
各種の問題解決につながるとの問題意識をもって,
国際保健についても議論された。特にG8北海
道洞爺湖サミットに向けては,内外の非政府団
体(NGO)からの意見を集約するとともに,
3回の保健専門家会合を開催し,WHOをはじ
めとする保健関連国際機関やアフリカ連合等の
アウトリーチ国からの意見を聴取した。国際保
健に関する一連の議論を通じて,結核対策の重
要性が改めて確認されるとともに,国際社会と
して今後も取組を強化していくことが表明された。
(3)日本の取組
結核を含む感染症の脅威に対しては,脅威に
さらされた一人ひとりの個人を「保護」すると
ともに,脅威に対処するために自ら選択・行動
できるよう「能力強化(エンパワーメント)」
を図る「人間の安全保障」の考え方に基づいて
対処することが効果的である。また,かつて結
核対策は日本の感染症対策を含む疾病予防の主
要課題であったことから,結核分野での研究・
検査・治療技術の日本の水準は高く,1963
年以降,国際協力事業団(現独立行政法人国際
協力機構:JICA)や財団法人結核予防会(結
核研究所を含む。以下結核予防会という。)が
中心となって途上国等から2000名超の専門
家を訪日させ,育成してきた。今では彼らが各
国の結核対策の核となっている。またDOTS
戦略の推進をはじめ,WHO等国際機関で活躍
する日本人専門家も増えてきている。結核は貧
困や人権に関わる問題であり,結核分野におけ
る日本の技術と経験を活かして国際協力に取り
組むことは,日本外交にとっても有意義である。
また,国際的な結核対策への関心の高まりを
受け,2007年11月,「ストップ結核パー
トナーシップ日本」が発足,同12月にはこれ
を支援する「ストップ結核パートナーシップ」
推進議員連盟が立ち上げられた。
また,MDG6ターゲット8,「ストップ結
核世界計画2006−2015」及び「MDR
−TB/XDR−TB対策世界計画2007−
2008」の諸目標の実現に資するべく,20
08年7月に,外務省,厚生労働省,結核予防
会及びストップ結核パートナーシップ日本は,
WHO西太平洋地域事務局との共催で,TIC
AD蠶及びG8のフォローアップの一環として
国際結核シンポジウム「世界における結核の征
圧に向けて−アジアからアフリカまで−(Toward
Elimination of TB in the World − From Asia
to Africa −)」を開催し,「ストップ結核ジャ
パン・アクションプラン」を発表し,日本の官
民が連携して国際的な結核対策に取り組んでい
くことを表明するとともに,国際的な連携強化
を呼びかける。
2. 目標及び実施体制
● 本アクションプランにより日本の官民(民間部
門は市民社会の活動や産業界の社会貢献活動を
含む)が連携して,世界の年間結核死者数の1
割(16万人)を救済することを念頭に置き,
世界,特にアジア及びアフリカにおける年間結
核死者数の削減に取り組む。
● 政府(外務省,厚生労働省)及びJICAは,
本アクションプラン実施に向け必要な施策を実
施するとともに,結核対策を含む保健分野に知
見を有する結核予防会やストップ結核パートナー
シップ日本等のNGO(以下日本のNGOとい
う。)の主体的活動を支援する。
● 日本のNGO,特に「ストップ結核パートナー
シップ日本」は,政府,世界エイズ・結核・マ
ラリア対策基金(以下世界基金という。),W
HO等の国際機関と連携して本アクションプラ
ン実施に向け主体的に関与する。
● 上記の目的を達成するために,結核予防会及び
厚生労働省は技術協力と対策の実践に必要な質
の高い技術力を備えた国内の人的資源の確保に
努める。
● 世界基金理事会及び保健分野の日米パートナー
シップ会合等の場を活用し,世界基金等のトッ
プドナーである米国を含む立場や関心を共有す
る国々との連携を強化する。
<フォローアップ>
● 本アクションプランの実施に係るフォローアッ
プのため,外務省,厚生労働省,JICA,結
核予防会及びストップ結核パートナーシップ日
本は,随時意見交換を行う。
3.具体的取組
(1)日本の知見の国際的な活用
<結核専門家の国際的ネットワーク強化>
● 結核予防会は,JICAの研修等に参加するた
めにこれまでに訪日した開発途上国を中心とす
る結核専門家2000人超を結ぶネットワーク
を強化し,これらの専門家が関与する各国での
結核対策に貢献する。2008年7月の国際結
核シンポジウムは,これらの専門家の参加も得て,
上記ネットワーク強化の一助となることが期待
される。
<国際機関による結核対策への日本のNGOの参画の促進>
● 政府は,日本のNGOが,国内の結核対策で培っ
9/2008 複十字 No.323
15
た経験をより広い国際協力の場で活用し,多国
間の国際協力にも積極的に関わることができる
よう適切な助言や情報提供を行う。具体的には,
政府は日米パートナーシップ協議等の二国間援
助協調協議や,世界基金,WHO,UNAIDS,
GAVIアライアンス(旧ワクチン予防接種世
界同盟)等の国際機関やゲイツ財団等の民間財
団(以下国際機関等という。)との協議において,
実際に結核対策で成果を挙げている日本のNG
Oを積極的に紹介する。また,日本のNGOに
対しては,これらの国際機関等が行う結核対策
プロジェクトに参画が実現されるよう適切な助
言を行う。
● 日本のNGOは,政府による支援案件に協力す
るとともに,上記の国際機関等が実施する結核
対策プロジェクトに積極的に参画し,事業の運
営に携わることを目指す。
(2)結核高蔓延国における結核対策支援の強化
日本のこれまでの実績に基づき,技術支援と人
材育成に重点を置き,高蔓延国における結核対策
の強化に貢献する。
<二国間協力による結核対策の実施>
● 政府は,ネパール,イエメン,フィリピン,
カンボジア,ザンビア等を含め,結核高蔓延国
における結核対策のため二国間の技術協力を実
施してきた。政府は,JICAを通じてのこの
ような結核対策への取組を継続し,同時に世界
基金等の国際機関や民間財団との連携に留意する。
また,JICAは,結核高蔓延国における結核
専門家の人材育成を強化するため,本邦研修や
第三国研修の充実を検討する。
● 結核予防会は,政府による二国間協力の実施に
あたり,研修員受入を含むJICAの結核対策
協力事業に対して必要な協力を行う。
<世界基金を通じた貢献>
● 政府は,結核を含む三大感染症の対策支援にお
ける世界基金の役割を重視して,これまで世界
基金に対し総額約8億5000万ドルを拠出した。
また,2008年5月,政府は2009年以降,
当面5.6億ドルを新たに拠出することを誓約
した。政府は,今後も引き続き世界基金の活動
を支援し,理事会等への出席を通して世界基金
の資金が結核対策に着実に配分されることを確
16
9/2008 複十字 No.323
保する。
● 政府は,世界基金の採用関連情報を提供するこ
とにより,保健分野に知見や関心を有する邦人
がより多く世界基金事務局に採用されるよう側
面支援する。また,日本のNGOによる世界基
金支援事業への参画を支援するとの観点から,
政府は,NGOとの間で開催している定期懇談
会等を活用し,世界基金の支援事業に国際NG
Oがどのように関与することができるか等の情
報提供を行う。
● 政府は,世界基金の支援により結核対策が着実
に実施されるよう,世界基金の支援事業の形成・
申請を行う各国の国別調整メカニズム(CCM)
や同事業の実施に責任を負う資金受入責任団体(P
R)に対しWHOと協議の上,拠出金を活用し
てコンサルタントを派遣し,案件形成,申請,
運営等に関する技術的支援を行うことを目指す。
政府は,WHOを通じたコンサルタントの派遣
に際して,(適切な場合は)国内の結核専門家
を推薦する。当該専門家は,世界基金への申請
書作成過程において,日本の知見・意向を盛り
込むとともに,案件実施の際に日本のNGOが
参画できる機会を設けられるよう努める。
● 日本のNGOは,後述の「日本NGO連携無償
資金協力」や「草の根技術協力(以下「草の根
技協」という。)」スキームも活用しつつ,当
該国における世界基金案件の形成,申請,運営
に関与する機会を確保し,独自に世界基金案件
の形成,申請,運営に参加できるよう努力する。
<日本のNGOが主体となる支援活動>
● 日本のNGOは,結核高蔓延国を中心に,対象
国を絞った上で結核対策支援プロジェクトを実
施する。日本のNGOはその実施に際して,当
初数年間は外務省の「日本NGO連携無償資金
協力」,JICAの「草の根技協」等のスキー
ムの活用を検討する。また,世界基金やその他
の国際機関等のスキームを使うことを目指す場合,
政府は当該NGOに対して適切な助言を行う。
これらのプロジェクト実施に当たり,比較優位
がある場合には,世界抗結核薬基金(GDF)
の活用が最大限図られるよう配慮する。
● 結核予防会は,本アクションプランに基づく事
業として,既に開始したフィリピン及びザンビ
アにおける「日本NGO連携無償資金協力」に
よる結核対策プロジェクトが成功するよう最大
限の努力を払う。その際,結核予防会は,当該
国における日本以外の援助機関と積極的に連携・
協力し,上記スキームを活用した活動を数年実
施した後は,日本以外の国際援助機関による支
援活動に参画することを目指す。
● 日本のNGOは,ストップ結核パートナーシッ
プ日本が中心となり,結核が世界的に最も喫緊
に対処が必要な疾患の一つであることを多くの人々
が理解し,世界の結核対策に如何に貢献できる
か考える機会を与えるよう政府の協力の下で積
極的な広報,啓発活動を行う。
<結核菌検査体制の向上/結核専門家の育成>
● 結核対策を強化するための第一歩として,結核
予防会がWHOと連携して結核菌検査体制整備
プロジェクトを策定する。外務省は,拠点とな
る結核関係の研究所・結核検査施設に対し,日
本のNGOの提案を踏まえ,「草の根・人間の
安全保障無償資金協力」等を活用した機材供与,
もしくは技術協力を,必要に応じJICA,厚
生労働省,結核予防会等と協議しつつ検討する。
● 結核予防会は,東京医科歯科大との協力の下,
文科省平成20年度「新興・再興感染症研究拠
点形成プログラム」スキームを通じてガーナ大
学野口記念医学研究所(以下野口研という。)
に研究拠点を設置する。政府は,野口研を拠点
として結核予防会が実施する研究活動(特に西
アフリカ地域における結核関連調査)を支援する。
結核予防会は,同研究所においてMDR−TB
やXDR−TBの研究を進め,研究活動を通じ
た専門的人材育成に努力する。
<対策実施に必要な調査・研究の支援等>
● 途上国が実施する「結核実態調査」はMDGs
の達成状況をモニターする上で重要である。日
本にとっては1950年代以降の経験を持つ分
野であり,政府及びJICAは,途上国からの
要請があればこの調査への技術支援を検討する。
● また,政府,JICA及び結核予防会は,結核
対策に直接役立つオペレーショナル・リサーチ(対
策研究)のあり方について協議を継続する。
● XDR,MDR治療のための新薬,新検査薬な
どの開発,臨床試験が行われ,世界の注目を集
めており,その早期の実用化が期待されている。
ストップ結核パートナーシップ日本は,結核に
関する世界の新薬,新検査薬などの開発や早期
の実用化に向けた環境作りを進める。
4.参考
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「国際結核シンポジウム(世界における結核の征圧に向けて:
アジアからアフリカまで)」報告
今回の国際シンポジウムは,外務省,厚生労働省,WHO/WPRO,結核予防会,ストップ結核パートナー
シップ日本の5者共催で行われました。一般には公開されていなかったので,ここでご紹介します。
結核予防会総裁秋篠宮妃殿下のスピーチ(原文)
The Opening Address at the "International Tuberculosis Symposium,
-Toward Elimination of tuberculosis in the World, from Asia to Africa-"
24th July 2008, Tokyo
Your Excellencies,
Distinguished Guests,
Ladies and Gentlemen,
It is my great pleasure today to meet all of you from around thirty countries who are actively engaged in tuberculosis
control, on this special occasion of the" International Tuberculosis Symposium, -Toward Elimination of tuberculosis in the
World, from Asia to Africa-".
To tackle the issues of TB, international organizations including WHO and IUATLD, public and private organizations
from various countries, and many other professionals and community members have rendered support and aid to TB
control through their strenuous activities in countries with a high prevalence of TB. This strong dedication to eliminating
TB has gradually improved our ability to control TB over the decades through the expansion of the DOTS strategy since
the mid-1990’s, the launch of the Stop TB Partnership in 2000, and the establishment of the Global Fund To Fight AIDS,
Tuberculosis and Malaria in 2002. In particular, the WHO Western Pacific Region has been achieving remarkable
progress in TB control. I would like to express my deep respect and gratitude to you and many others in the world for
your continuous efforts in various fields in contributing to steady achievements in TB control.
However, it is estimated that 1.7 million people still die from TB every year, and that one third of the world population is
presently infected. We urgently need to provide solutions for the many challenges that we now face including MDR-TB,
co-infection of TB and HIV, and poor accessibility to health services.
This May, the Fourth Tokyo International Conference on African Development (TICAD IV) hosted in Yokohama with
delegates, including Heads of States and Governments from fifty-one African countries, addressed the future plans and
directions for growth and development in Africa. It has been reported that the Japanese Government and international
organizations have agreed to cooperate in affirming the significance of strengthening health management systems to
more effectively deal with major health challenges including TB and other infectious diseases as well as maternal, newborn and child health improvement. I have also heard that the promotion of measures for the UN Millennium
Development Goals and infectious disease control were seriously discussed on a global scale at the G8 Hokkaido Toyako
Summit hosted earlier this month.
In Asia and Africa, there are many countries with a high prevalence of TB. Japan was also seriously affected by TB in
the past. This led Japan to make an all-out national effort to establish a health care system which promotes TB control
programs through providing vaccination against TB at health centers and schools, health screening for early detection,
and complete management of intensive patient care among other measures. As a result, the incidence of TB has been
substantially reduced, though Japan still remains a medium prevalence country. We expect to become one of the low
incidence countries in the next 10 years.
In this respect, the Japan Anti-Tuberculosis Association (JATA) has supported our national TB control program as a
leading non-governmental organization for the last seventy years. JATA has been engaged in a broad range of activities
that include conducting scientific medical research and training of health workers at The Research Institute of
Tuberculosis, nationwide health screening programs, and enlightenment campaigns for raising awareness through the
Women's Anti-Tuberculosis Association and other partner organizations. JATA has also offered international training
courses in education for the medical profession including doctors and laboratory technicians engaged in TB control from
various countries for the last forty-five years, mainly with cooperation from JICA. Our training courses have produced an
extensive network of two-thousand and forty graduates from ninety-seven countries. I am greatly encouraged to learn
that many of them are participating in this symposium today and that our graduates are active and influential leaders in
their respective countries.
At this two-day symposium, keynote lectures and panel discussions by many experts will address TB control. I hope the
fruitful exchange of ideas through discussions among all participants will ascertain and determine the diverse challenges
to TB control that the world faces, and that this will help to advance TB control activities towards a TB-free world.
In concluding my address, I sincerely hope that this symposium will enhance our common understanding and disseminate
a new message to the world, and that each of us as participants will fully apply the outcome of this symposium to our
respective fields and regions, to save as many lives as possible from the threat of TB.
Thank you for your kind attention.
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国際結核シンポジウム開かれる
「世 界の結 核の征 圧:アジアからアフリカまで」
7月24日(木)午後及び7月25日(金)午前の二日
間,国連大学エリザベス・ローズ国際会議場にて『国
際結核シンポジウム』が開催された。外務省,厚生
労働省,WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務
局(WPRO),結核予防会,ストップ結核パートナー
シップ日本の5者共催で,5月下旬に開催された
TICADⅣ(第4回アフリカ開発会議)や7月初旬に
行われたG8北海道洞爺湖サミットのフォローアップ
として開かれ,結核分野の国際協力に関するわが国
のアクションプランが発表された(詳細14∼16p参照)。
「励ましのおことば」
シンポジウムは,共同議長(石川信克結核研究所
所長,早川修外務省専門機関課長)によって進めら
れた。はじめに結核予防会総裁である秋篠宮妃殿下
が世界の国際機関や様々な国による取り組みに感謝
を述べられ,日本の経験や国際結核研修の貢献をも
とに更なる対策が進められるよう励ましのお言葉を
述べられた。
次に,ストップ結核パートナーシップ推進議員連
盟の津島雄二会長(元厚生大臣)から,2007年に設
立された「ストップ結核パートナーシップ日本」の
活動に積極的に取り組む姿勢が述べられた。また,
西川京子厚生労働副大臣,宇野治外務大臣政務官か
らも結核対策の重要性と今後の取り組みへの意欲に
ついて述べられ,シンポジウムの幕が上がった。
協力はJICAを中心に行い,多国間協力や国際機関
との連携については世界基金を活用し積極的に行っ
て行きたい」と今後の展望を語った。
外務省地球規模課題審議官鶴岡公二氏の講演
また,これまでWHO西太平洋地域における結核
対策の目標達成について,尾身茂事務局長からこの
背景には日本の貢献は大きいと発言された。今後特
に必要な対策として,①多剤耐性/超多剤耐性結核
の蔓延防止,②HIV/結核複合感染対策,③Human
Resource増加の必要性の3つが主にあげられた。そ
して引き続き,世界の結核対策に対しミレニアム開
発目標とストップ結核インパクト・ターゲッツの達
成について,ストップ結核パートナーシップのマル
コス・エスピナル事務局長が発表した。主にミレニ
アム開発目標(・HIV/エイズの蔓延を2015年まで
に食い止め,その後根絶する ・マラリア及びその
他の主要な疾病の発生を2015年までに食い止め,そ
の後発生率を減少させる)とストップ結核パートナー
シップが掲げている目標(・2015年までに世界全体
における結核による死者数及び有病率を1990年水準
の50%まで減少させる ・2050年までに世界的な結
核罹患率を100万人中1人以下にする)がどのように
達成できるのかを中心に語られた。特にアフリカで
は結核で苦しむ方が増える中,ストップ結核パート
ナーシップが高く評価され,日本の協力が必要であ
ることが強調された。
ご挨拶されるストップ結核パートナーシップ推進議員連盟津島雄二会長
「感染症対策は外交の一部である」
基調講演は,外務省地球規模課題審議官鶴岡公
二氏によって始められた。TICADⅣやG8があった
本年を重要な年とし,結核対策を外交の一部と位
置づけることで国際協力へ意欲を示した。8年前の
沖縄サミットで日本はイニシアティブをとり三大
感染症(エイズ・結核・マラリア)に取り組む決
意表明が示されている。そして6月には世界基金へ
日本が5.6億ドル追加基金を約束し,今回のシンポ
ジウムでは具体化のフォローアップとしての位置
づけが強調された。日本の方針としては「二国間
会場からの質疑に答えるストップ結核パートナーシップ事務局
長のマルコス・エスピナル氏(1列目左から2人目)
結核対策に対する日本の取り組みとWHO西太平
洋地域の成功,そして今後の目標に向けた展望と包
括的なターゲットを設定した発表となった。
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パネルディスカッション1
「日本の経験と地域別結核戦略への貢献」
初日のパネルディスカッションでは,結核研究
所が取り組んできた研修事業やJICAプロジェクト
について国際協力部山田紀男部長より紹介された。
研修事業は45年間,世界各国で結核対策に携わる
医師,臨床検査技師などの医療専門家を対象に行
われてきた。またJICAプロジェクトは,現在最も
幅広く活動を行っているカンボジアでの活動が紹
介され、DOTSの普及と継続と共に行っている結
核対策について説明された。カンボジアにはこれ
まで72人の研修卒業生がおり,能力強化の他,一
般的医療サービスのヘルスセンターへの普及や,
診断のためのラボラトリーネットワークの拡大を
試みている。これまでの国際研修が現在行ってい
るプロジェクトに相乗効果をもたらすことが説明
された。
国際研修卒業生の多くは,各国における結核対
策で重要な地位に就いている。今回のシンポジウ
ムには,アジアからフィリピン国立疾病対策予防
センターのジェイム・ラガヒッド部長とアフリカ
からアスマ・エルソニー氏(スーダン疫学研究所
所長,前世界結核肺疾患予防連合会長)がパネリ
ストとして出席した。ラガヒッド氏は結核対策に
ついて,診断技術の向上や保健システム改善など
包括的な要素を含んでおり,感染症に効果的であ
るとの意見を述べた。また,研修での経験が帰国
後現在の活動につながっており,今後も日本政府
がこの研修を支援していくことを希望したいとの
コメントがあった。また,エルソニー氏は,アフ
リカにおける結核の現状を報告し,各パートナー
からの結核対策のアフリカへの支援の重要性が強
調された。
このディスカッションの最後には,WHO西太平
洋地域事務局結核課長であるピーター・ヴァン・マー
レン氏からWPROの結核コントロール達成の影に
日本の貢献があった故であるとの発表もあった。
結核研究所が行ってきた国際研修は,多くの人
材育成に貢献し各国の現在の結核対策に反映され
ている。シンポジウム開催時、結核研究所で研修
を受けていた現役の研修生16名が終日参加したが,
先輩たちの活躍を目にし,各々の未来に希望を持っ
たのではないだろうか。
山田部長の発言の模様
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パネルディスカッション2
「よりよい結核対策に向けたパートナーシップ」
二日目には,今後の結核対策にむけてどのよう
なパートナーシップが可能であるかといった点を
中心に議論が行われた。
まず,2001年に設立された世界エイズ・結核・
マラリア基金(以下世界基金)からステファノ・ラッ
サーリ氏が活動を紹介した。世界基金は,沖縄サミッ
ト後HIV/エイズ,結核,マラリアの撲滅を目指し,
各国から資金を集める独立した官民パートナー機
関であるとしている。2010年までに202億ドルが誓
約されており現在まで104億ドル受けている。また,
136ヵ国にわたり584件の活動が承認され,59億ド
ルが拠出されている。今後多くのNGOの活動に貢
献できる可能性を示した。
また,結核研究所山田国際協力部長からは,「ス
トップ結核ジャパンアクションプランにおける
NGOの役割」が発表された。現在活動を行ってい
るフィリピンでは,マニラにおける都市貧困地域
でDOTS実施の質の向上を目指しており,ザンビ
アのプロジェクトでは,結核コミュニティにおけ
るHIV/結核の複合感染の早期発見を目的に行って
いる。二つのプロジェクトはまだ新しい試みだが,
多くの関係機関を巻き込んで多面的な効果が出る
よう積極的に活動を続けている。
そして,TB/HIV感染者として結核根絶活動を進
めるウィンストン・ズル氏は,体調不良のため出席
できなかったが,今後も各パートナーが積極的な活
動を進めることを願う手紙が読まれ,その思いが伝
えられた。世界基金,結核研究所(NGO)やJICA
のプロジェクトなどさまざまなアクターが協力する
ことによって,今後各組織の参加によりプロジェク
ト実施の機会が増え,結核制圧への動きが強まる可
能性があると感じられるセッションとなった。
最後に
シンポジウムの冒頭において,結核研究所石川
所長から「結核対策に取り組んできた政府・非政
府組織の人々が集まり,議論を行う。今後我々の
取り組みを強化していくために今日は歴史的な日
となる」と挨拶があった。この言葉どおり今回の
シンポジウムは,各国結核対策における重要な関
係者間で活発な議論が展開された。「世界の結核
死者数の10%削減を目指す」ということは,簡単
なことではない。しかし,結核研修やJICAプロジェ
クトをはじめとする活動の中で育てられた人材や
培われた技術は,確実に各国に根付きはじめている。
この経験を活かし,これまで関係の深かったアジ
アだけでなくアフリカにも技術が浸透していくこ
とを望むとともに,より充実した支援になるよう
活動していきたいという決意を新たにするシンポ
ジウムとなった。 【結核研究所国際協力部 下谷 典代】
現在,報告書を結核予防会を中心に作成中である。
〈編集部〉
国際結核シンポジウムに
国際研修生と共に参加して
結核研究所国際協力部
副部長 7月24,25日に開催された国際結核シンポジウム
に,結核研究所でストップ結核アクション研修を
受講している国際研修生16名と共に参加した。シ
ンポジウムに自分自身の参加と,研修生に国際シ
ンポジウムを経験させる引率としての2つの目的を
もって臨んだ。
杉山 達朗
驚かされた。討議に花が咲けば咲くほどトピック
が末広がりになりまとめることが難しくなる中で,
1列目は左からブルックマン氏(オランダ),
ラガヒッド氏(フィリピン),エルソニー女史(IUATLD),
加藤結核研究所副所長
国際結核シンポジウムの会場の様子
まず驚かされたのはシンポジストや参加者で,
ストップ結核パートナーシップ日本のスケールの
大きさであった。結核予防会総裁秋篠宮妃殿下を
はじめ,国会議員の先生方,外務省,厚生労働省,
国際協力機構など,オールジャパンとして結核対
策に取り組むという姿勢が前面に押し出されてい
たと思う。この中で,結核予防会が秋篠宮妃殿下
総裁の下で,過去の日本の経験に基づいて国内外
の結核対策へ取り組んできたことが示され,同伴
した研修生にもそれが良くわかったようで,研修
講義の中で教えられた内容が具体的にオールジャ
パンとして国際的に臨んでいることが語られてい
たことに感心していた。また,世界基金や世界保
健機関などトップレベルのパネリストの発表を聞
くことができたことは,国際シンポジウムならで
はのことであろう。多くの研修生は,世界基金か
らの資金を利用して結核対策の仕事はしていても,
その概要と仕組みまでは知らなかったので,今後
の自国の計画立案に多少なりとも寄与できること
を期待したい。
世界エイズ・結核・マラリア基金のラッサーリ氏
シンポジウムのパネルディスカッションを運営
していく上で大事な役割を果たす議長の働きにも
発表者の意見を集約して討議内容に「流れ」を作
りながら最終的に問題点や結論をあぶり出してい
く形を取れていたのは,議長の采配によるところ
が大きい。後日談になるが,この采配手際のよさ
に感動した研修生は,研修最後に行われるプレゼ
ンテーションで座長の役割も担当することになっ
ていたが,セッションを厳格に仕切る傾向を前面
に出していた。研修当初に国別報告の座長を任さ
れた時とはまったく違って確信をもっている彼ら
を見て,私は思わず苦笑してしまった。短い討議
時間の場合,ワークショップや会議運営の中で座
長が重要な役割を果たすことを彼らは十分学んだ,
ととらえたい。
一番奥の列が研修生の席でした
WHO西太平洋地区のTAG会議後のシンポジウ
ムということもあって一部のゲストスピーカーを
除いて参加者のほとんどがアジアからであった。
これだけの国際シンポジウムだからもう少しアフ
リカからの参加者がいてほしかった,という研修
生の感想がある。ストップ結核パートナーシップ
日本として国際的に出て行く中,自国への支援を
増やしてほしいという願いもこめての意見と思わ
れたが,今後,国際結核肺疾患連合会議(IUATLD)
などで更にストップ結核のネットワークを広げ,
日本との連携を深めて結核対策や研究分野での共
同作業が行えることを期待したい。
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国際研修45周年記念祝賀会
“結核対策における成功の鍵”
7月25日(金),国連大学2階のレセプションルー
ムにて「国際研修45周年記念祝賀会」が,結核予
防会(JATA),国際協力機構(JICA),ストッ
プ結核パートナーシップ日本(STBJ)の共催で開
かれた。
秋篠宮妃殿下ご出席のもと,国際結核シンポジ
ウムに出席された方々の他,婦人会,各地域の予
防会支部,各病院などからも駆けつけて頂いた。
青木会長,JICA東京国際センター狩野良昭所長の
挨拶から始まり,国際研修の立ち上げ当初より尽
力頂いている島尾忠男先生(結核予防会顧問)よ
り研修の歴史を振り返る発表が行われた。
の重要性に対する確固たる信念によって支えられ
ている。
現在は,結核対策の二国間技術協力としてアフ
ガニスタンやイエメン,ネパール,フィリピン,
パキスタン,そしてミャンマーで成果を挙げている。
そして,各国の結核対策の指導者的な立場の人材
と結核研究所との間には強い信頼関係が育まれ,
この二国間協力の基盤になっている。
※発表の最後は研修当初から現在に至る写真が紹介された。
【国際研修の歴史】
1939年
1946年
1948年
1951年
1962年
1963年
島尾先生の発表は英語で,
プロジェクターに日本語が表示されました
【結核・保健医療施策の成功は高い技術をもった
人材の確保が鍵】
結核予防会は創設以来,結核対策に従事する人
材の養成を行ってきたが,戦局の悪化によって一
旦中断される。しかし,昭和23年(1948年)当時
の隈部結核研究所所長によって「戦争で国土は荒
廃し,工場は焼失し,医療機器や薬をつくること
はできなくなった。近い将来日本は復興し薬や医
療機器をつくることができるだろう。しかし,そ
れらを使いこなせる人材は一朝一夕には養成でき
ない。この困難な時期の今こそ研修活動を始めよ
うではないか」という決意表明がされ,結核研究
所の活動の核として研修が重要な役割を担うこと
となった。
昭和37年(1962年)には,当時の海外技術協力
事業団(OTCA,現在のJICA)から要請により,
タイから1名公衆衛生分野の保健師を受け入れた。
これをきっかけに国際研修コースを開設。研修生
とのコミュニケーションを通し,カリキュラムの
変更やWHOとの共催など結核対策の方針はよりよ
い方向へ向かった。
これまで国際研修を受けた研修生の数は,累計
2,056名,97ヵ国(東南アジア,中近東,アフリカ他)
(2008年5月現在)にのぼり,各国の主要な立場で
結核対策に取り組む人々の育成に貢献した。また,
結核予防会総裁として秩父宮妃殿下,秋篠宮妃殿
下の国際研修に対する深いご理解により多くの研
修生が勇気づけられている。
これまでの国際研修の成功は,昭和38年(1963年)
当時の岩崎結核研究所長の柔軟性があったからこそ。
そのため,結核対策を「○○すべきである」から「ど
のように目標を達成するか」といったより良い方
針へ変わった。また,結核対策における人材育成
22
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1965年
∼1974年
1967年
1973年
1975年
1994年
・結核研究所設立
・第二次世界大戦で研修の中断があったものの桐
蔭学園で保健師に対する研修の開始
・結核やその診療に従事する医師を対象に研修開始
・保健所や大企業,公社で集団検診業務に従事す
るエックス線技師を対象に研修開始
・海外技術協力事業団(OTCA)現在の国際協力
機構(JICA)から結核対策に関する研修コー
スの開設依頼を受ける
タイから一名公衆衛生専門の看護師を受け入れ,
研修を行う
・結核対策に関する国際研修コースを開設
第1回の研修コースは,国内研修コースの英語版。
結核の基礎や臨床に重点をおく
研修生との交流を通じて,集団検診を中心とす
る日本の結核対策は,途上国では実施困難なこ
とを学ぶ
・外科研修コースを開催
・WHOが国際結核研修コースに参加し,OTCA
とWHOの共催となる
・WHOは国際的な結核専門家を講師として派遣し,
研修内容もWHO方式の結核対策に転換
・東京で開催された第22回世界結核会議に合わせ
て短期間の上級コースを開催
・結核菌検査業務に従事する医師,臨床検査技師
に対する最初の研修を開始
・エイズ予防財団の委託を受け,エイズ対策従事
者研修を開始
【日本の結核対策はどのように進められるか?】
発表後は食事をとりながら,各方面から祝辞を
頂いた。特にストップ結核パートナーシップ推進
議員連盟浜田昌良事務局長からは,国際協力にお
ける政府,NGO,国際機関間における連携の重要
性を示唆し,JATAの活動であるフィリピンやザン
ビアの活動について紹介された。ご自身も視察に
行かれ,結核研究所で研修を受けた方々の現場で
の活躍に理解を深めたとのご意見を頂いた。また,
厚生労働省結核感染症課梅田珠実課長,外務省専
門機関課早川修課長,WHO/WPRO西太平洋事務
局尾身茂事務局長からも祝辞を頂き,それぞれの
組織にとっても国際研修が重要であることが確認
され,今後の結核対策における人材育成への継続
的な貢献が期待された。
結核研究所が45年間にわたり行ってきた国際研
修は,各国の結核対策に貢献している。この歴史
は各研修を担当された方々やご参加頂いた各組織
の皆様のご協力があった上で成功した。そして多
くの方々の協力によって各国の結核対策における
人材の基盤を作りつつある。この経験がより広く
活かされるように引き続き研修が行われ,今もな
お結核で苦しむ人々の命を一人でも多く救いたい,
という多くの方々の意志が確認された会となった。
(翻訳・文責:結核研究所国際協力部 下谷 典代)
2008 G8サミット NGOフォーラム
市民サミット2008
−世界は,きっと,変えられる。−開催
結核予防会事業部普及課
7月6日(日)から8日(火)まで,札幌コンベンショ
ンセンターにおいて,標記市民サミットが開催さ
れスピーカー29名のほかに,100名近い一般参加があっ
た。今回,7日(月)10:00∼13:00の国際ラウン
ドテーブル「世界市民の声∼貧困を終わらせるた
めに」(主催:2008年G8サミットNGOフォーラム
貧困開発ユニット)に,久留米大学医学部主任教
授相澤久道先生,結核予防会山下武子事業部長と
日本リザルツ白須紀子事務局長が参加した。相澤
先生は,ディスカッション2:新たなる課題,市
民社会の役割の中で,健康問題として「肺の生活
習慣病(COPD)」について発言した。また,ラウ
ンドテーブルに参加したアフガニスタンの国会議
員シュクリア・バラクザイ氏は,「アフガニスタ
ンの死因の第一位は結核であり,子供や女性の結
核対策が必要」と発言した。
性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性病の増加」と
いうコメントが追加され,世界中にアピールされ
ることになった。
北海道支部の協力のもと肺年齢無料体験会
第2日目の7月7日(月)札幌コンベンションセンター
特別会議室入口付近にブースを設営し,3大感染症(エ
イズ・結核・マラリア)以外でもCOPDなどの新た
な疾病が大きな脅威となっている事を世界各国の
市民に訴え,COPDの普及・啓発を目的とした「肺
年齢無料体験会」を行った。
当日は,結核予防会北海道支部から濱中数馬常
任理事兼事務局長・中井誠一事務局次長の両氏が
会場にかけつけてくださった。スタッフは,北海
道支部から臨床検査技師4名・STBJ(ストップ結
核パートナーシップ日本)から1名・日本リザルツ
から1名・日本ベーリンガーから1名・本部から2名
の総勢9名で運営した。ラウンドテーブルが始まる
30分前から入場者を対象にちらしとゴールドバッ
ジを配り宣伝を行った。ちらしは,日本文・英文
の二種類を用意した。
外国の方々も多く,国際色豊かな肺年齢体験会
となった。中には,実年齢より多い測定の結果に
満足できず2∼3回やり直す参加者もいた。午前10
時からの5時間で103名の測定を実施し終了した。
北海道支部様のご協力に感謝いたします。
ラウンドテーブルの様子
新たなる脅威に「COPD」
NGOフォーラムでは,最終日に「札幌宣言∼世
界の貧困をなくすための市民の声」を発表した。
その中で,『G8はMDGs(ミレニアム開発目標)
達成のための責任を果たすべき』の項目では,「HIV
/結核の二重感染,多剤耐性結核(MDR-TB)お
よび超多剤耐性結核(XDR-TB)等の緊急の課題に
対処するとともに,ストップ結核世界計画を支援
すること。」が盛り込まれている。また,『新た
な脅威に,さらなる指導力を』の項目では,「慢
がんばれの掛け声に張り切って測定する人々
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Use DOTS More Widely
鐚飾区保健所におけるDOTS推進の取組み
―薬局DOTSの試み―
鐚飾区保健所保健予防課
藤原 ひかる
1.鐚飾区の概要
鐚飾区は,東京都の東北部に位置し北は埼玉県,
東は千葉県に隣接している。面積は34.84裄,総人
口は44万3,398人(平成20年4月現在)である。平成
19年の結核発生状況は新規登録患者数129人,うち
喀痰塗抹陽性者59人で,罹患率33.3である。結核担
当保健師は専任担当4名である。
2.鐚飾区におけるDOTSの推進
1)経過
①準備
平成15年,16年はDOTS開始に向けて,区内で結
核病床のある医療機関に呼びかけし,DOTSの推進
のための検討会を行った。
②服薬支援のシステム構築
平成17年には,結核患者の確実な服薬を支援す
るためのDOTS対策として,説明会や保健所での検
討会を開催した。推進のための具体的なシステム
の一つは,DOTSカンファレンスである。服薬支援
活動を行うために,塗抹陽性患者にケアプランを
立てカンファレンスを行い,保健所内で共有した。
二つめは,患者自身が服薬を管理するためのツー
ルとして服薬支援手帳を作成した。
服薬手帳(表紙)
と記入欄(本文)
③関係機関との連絡連携
平成17年度DOTSを行う中で,患者を取り巻く関
係機関の連絡連携が重要であることや,保健所職
員だけでDOTSを推進することには限界があること
がわかってきた。
そのため平成18年には,訪問看護の予算を措置
24
9/2008 複十字 No.323
し「委託看護師による,退院直後からのDOTS」を
開始した。
また,区内の関係機関のDOTSに対する理解を得
るために,区内医療機関,介護支援事業者,薬剤
師会・薬局等を対象に「DOTS講演会」を開催した。
さらに区内結核専門病院(当時2箇所)との連
携を強化するためにDOTS検討会を実施した。
④関係機関との連絡連携の充実
平成19年には,地域連携をさらにすすめた。具
体的には,訪問DOTSの充実,DOTS講演会・
DOTS検討会の継続に加え,薬局と連携した薬局
DOTSを試みた。薬局との連携にあたっては,薬剤
師会との話し合いを持つなどして,DOTSの必要性
を共有した。
2)地域DOTSの実際
現在鐚飾区保健所が行っている地域DOTSの対象
や方法は以下のとおりである。
①対象の決定
保健師が患者と面接し,服薬支援リスクアセス
メント票を用いて評価し,服薬中断のリスクが高
い方にDOTSを導入している。
DOTSを導入したのは喀痰塗抹陽性患者だけでな
く,喀痰塗抹陰性であっても合併症のある患者,
外国人患者,アルコール問題のある患者等である。
②DOTSの方法 DOTSの方法は,患者の生活に合わせ三つの方法
をとっている。
【訪問DOTS】患者の自宅で保健師又は訪問看護師
が服薬支援,確認を行う。
【面接DOTS】保健師が保健所,病院,薬局などの
場で服薬支援手帳と薬の空き袋で服薬確認を行う。
【連絡DOTS】電話や手紙で服薬確認を行う。
3)薬局DOTSの試み
平成19年,面接DOTS対象者の中で,遠方や交通
費の問題等の理由で保健所への来所が困難であっ
たり,訪問看護師による訪問DOTS導入をためらう
単身患者がいた。そのため薬局での服薬確認を試
行した。
鐚飾区では薬局DOTSの予算措置をしていないた
め,現行の制度等を活用し,薬剤師・薬局にご協
力をいただく形で薬局DOTSを実施した。以下薬局
DOTSを実施した2事例を紹介する。
①単身生活でアルコール問題のあるA氏
A氏は単身生活,54歳の男性である。他疾患だ
けでなくアルコールの問題もあり,体力的,経済
的理由で保健所まで来所することが困難であった。
そのためA氏宅に程近いK薬局と連携し,服薬支
援を行った。
【K薬局DOTSの方法】
A氏は1日おきに,決まった時間にK薬局に薬の
空き袋をもって行き,K薬局は空き袋のコピーを
FAXで保健所に送付する。A氏がK薬局に来ない時は,
薬局が保健所に連絡することにした。
【経過】
A氏が薬局に来ない日が一度あり,薬剤師が体調
不良を心配してA氏宅に訪問した。A氏は服薬をし
ていたが,「薬局まで行くのが面倒くさかった」
という理由で行かなかった。A氏は薬剤師の訪問に
大変驚き,それ以降は欠かさずK薬局に通った。
②日本語を話せず,地元の地理に不案内なB氏
B氏は日本語学校に通う24歳男性。外国人で日本
語が話せず,生活も不規則で地理も不案内である
ため保健所まで来所する約束ができなかった。
K薬局からB氏宅近くのJ薬局を紹介してもらい,
服薬支援を依頼した。
【J薬局DOTSの方法】
B氏の外来受診日を,保健師は事前に薬局に情報
提供し,受診日当日にB氏が薬局に処方箋を持って
いかない場合は,J薬局が保健所に電話することに
した。
また,一包化されていなかった処方薬を,J薬局
で一包化し,服薬する日付を入れてもらった。
【経過】
B氏が薬局に行かなかったことが1回あり,この
時は保健師がすぐに通院先の医療機関に受診の確
認を行うとともに,B氏本人と連絡をとり,通院の
確認をした。
③二つの事例から
2事例とも内服中断することなく結核治療を終
了した。
K薬局の薬剤師との連携から,保健所(保健師)
と薬局の連携のあり方を学ぶことができた。また,
地域でDOTSに協力を得られそうな薬局を紹介して
もらったり,保健師もDOTS協力薬局を開拓するな
ど,点から線,線から面という地域活動を展開し
てきた。
薬局DOTSを試行して,以下のポイントがあるこ
とがわかった。
ア)結核の治療では薬の一包化されることが多いが,
退院時に院外処方になる場合には,予め医師に「薬
の一包化」を依頼しておく必要がある。
イ)抗結核薬を取り扱わない,あるいは結核の指
定医療機関ではない薬局もあるので,患者が処方
を希望する薬局について事前に状況を確認してお
く必要がある。
ウ)薬局によってスタッフの人数は異なるため,
DOTS協力の範囲が大きく左右される。患者の状況
を踏まえると同時に,薬局ができるDOTS方法を一
緒に検討して行くことが大切である。
エ)薬局DOTSは,結核治療が終了した後も体調や
薬について相談できる場所ができ,患者にとって
もメリットがある。
3.おわりに
結核DOTSの成功の秘訣は,患者の生活実態を踏
まえ,患者にあった支援を計画的に確実に行うこ
とである。
結核罹患率がまだまだ高い鐚飾区では,いかに
関係者の協力を得られるかがDOTSを推進して行く
鍵である。より多くの関係機関にDOTSについて理
解・協力してもらうように結核講演会・DOTS検討
会等を企画し,知識普及や関係機関連携を深めて
いく機会とした。
また,今回,薬局と事例を通して連携を深める
にあたり,保健所には地理的に遠方等の問題のあ
る患者,複数疾患を持っている患者等にとって,
地域の中にある薬局を利用できることは大きな力
となることがわかった。
これからも,現行の制度等を利用してDOTSに協
力してもらえる薬局や関係機関をどのように増や
していったらよいのか,ひとりひとりの患者さん
を通じて連携方法を検討・模索し,結核の治療完
了率の向上をめざしていきたい。
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25
創立70周年を迎えるにあたって(3)
まん延状況に合わせた対策を
青木 正和
結核予防会 会長 1.状況は大きく変わった
1951(昭和26)年から半世紀以上にわたってわ
が国の結核対策の基本法であった結核予防法が成
立した頃の結核まん延状況は酷いものであった。
例えば年齢階級別に結核既感染率を見ると図に見
るように,1950年には20歳になるまでに実に54.8%
の人が結核に感染し,50歳では86.7%が感染してい
た。1980年になっても20歳までに7.8%が感染し,
50歳では64.9%が感染していた。ところが2010年に
は,20歳までに感染する人は1.4%にすぎず,50歳
でも9.9%である。40歳代以下の人では95%以上が
結核感染を受けていないのである。
見方を変えて,今年日本で生まれた子供が70歳
まで生きたとして,何%が結核感染を受けるかを
計算してみると,1.4%程度となり,98.6%は感染を
受けない。ただし,この間,外国人の結核患者が
増えたり,HIV/結核が爆発的に増えたりすれば状
況は変わるが,日本にいる限り何時何処で結核の
感染を受けるか分からない,という時代とは全く
変わったことは確かである。
2.BCG接種政策
結核感染が少なくなればBCG接種の利益は少な
くなる。従ってかつてはBCG接種を熱心に勧めて
いた国でも,今では中止した国も少なくない。ス
ウェーデン,チェコ,フィンランド,ドイツ,イ
ギリスなどである。これに,初めからBCG接種を
導入しなかった米国やオランダを加えると,BCG
接種を行っていない先進国のほうが多い。
わが国もそろそろ中止を考えるべき時が近づい
ている。問題は,何時,どのような条件が揃った
地域から,どのようにして中止に踏み切るか,ハ
イリスクとして接種を続けるグループは何か,な
どである。既に中止した先進国から多くの報告が
出ているので,これらを参考に,早急に検討する
ことが望まれる。
BCG接種を中止すれば,逆に強化しなければな
らない施策も少なくない。①妊婦の結核発病への
注意,②妊娠7ヵ月時の胸部検診,③乳幼児結核
26
9/2008 複十字 No.323
感染・発病などへの健康教育,④乳幼児のツ反応検
査(リスクに応じて時期を決める),⑤患者家族
の乳幼児・小児の接触者健診の励行,⑥BCG接種を
中止すればツ反応を感染診断に生かせるため,ツ
反応検査を充分に利用することなどである。
3.より積極的な潜在性結核感染症治療の適用を
BCG接種が中止されればツ反応検査による感染
診断が現在よりずっと正確になり,必要に応じてクォ
ンティフェロン2Gも利用できるので,潜在性結核
感染症の治療は従来に比し遥かに正確に実施できる。
①したがって積極的実施がまず必要である。②免
疫抑制剤使用時,HIV感染例についてもさらに積極
的に行う。③高まん延国から入国した感染者にも
適用するなどである。
4.胸部X線定期検査
WHOは1964年から「有症状者の喀痰塗抹検査」
を積極的に実施して患者発見に努めるべきことを強
調し,全員を対象とした胸部X線検査の中止を呼び
かけた。当時はほとんどの先進国で胸部X線検診車
による健康診断が日常行われていたので,この勧告
は世界の結核医を動転させた。世界中で議論が巻き
起こったが,1975年頃までにほとんどの先進国で全
員を対象とする胸部X線検査は中止され,特定のグ
ループの検診に移行していった。
わが国でも学校検診のいわゆる「間引き」などが
進められ,結核健診は高齢者などに絞られてきたが,
労働安全衛生法による健診などX線検査はまだ突出
して多い。小中学生の結核健診ではX線検査を廃止
し,問診票を活用しているか,そのあり方も検討が
望まれよう。
当分の間は①65歳以上の高齢者の定期健診,②デ
インジャー・グループ健診,③さらに自治体が独自
に実施している住所不定者健診などは当分続くだろ
うが,④「咳が2週間以上続く有症状者のX線検査」,
⑤不定愁訴が続く高齢者の健診,⑥医療機関での『診
断の遅れ』の防止などに日常活動の重点を移してい
くことが望まれよう。
5.長期入院
わが国の結核医療は伝統的に公立病院での療養
所治療が中心になって行われてきた。化学療法が
ない時代には必然的に長期療養が必要だったし,
化学療法が使えるようになっても治療成績,住宅
事情など諸般の事情から諸外国に較べると入院期
間は長い傾向にあった。これは現在にも影響して
いる。この結果として低医療費,不採算医療,病
床占有率低下,専門医師の不足など結核医療をめ
ぐるさまざまな問題が山積し,「結核医療の崩壊」
を心配する意見が出てくるほどである。
欧米諸国では大部分の国で1970年代に結核患者
を「一般病院の陰圧室での部屋単位の収容」に切
り替えた。これにより①一般病院の医師の結核に
関する関心が高まり,②入院期間は極端に短縮し,
③患者は遠い療養所に入院せずに済み,④合併症
を持つ結核患者の治療が容易になるなどの利益が
見られた。⑤わが国でも地域によっては結核病棟
の維持が既に困難になり,⑥結核に関心を持つ医
師の確保が難しい。⑦特にMDR-TB,XDR-TBあ
るいは合併症の多い高齢結核患者の治療に難渋し
ている。⑧結局,「一般病院の陰圧病室単位での
結核患者の収容」の方向への改革が望まれる。
6.サーベイランスの強化
わが国は保健所,自治体,結核研究所,国をコ
ンピュータで結んで世界に冠たる充実した結核サー
ベイランスシステムを持ち,結核疫学情報の詳細
な分析が行われている。多くの先進国の状況を見
ると,罹患率が10万対10に近くなる頃から移民・難
民の結核や特定のグループの罹患率が高くなるな
どの結核疫学の大きな変動が見られている。①わ
が国でも今後は疫学的変動の注意深い観察と対応
策の樹立が必要である。②これにはMDR‐TBなど,
結核菌サーベイランス(結核菌バンク)の活動も
含まれる。③また,大都市などでは思わぬところ
での結核感染が発生するのでVNTR分析など分子
疫学の確立も必要である。
7.人材育成
今後は結核療養所の維持が難しくなり,結核単
科の専門家の育成は出来ない。保健所でも同様で
ある。一方,結核集団感染対策,接触者健診,MDR,
XDR患者対策など,難しい結核対策は後を絶たな
いだろう。①このため医師,保健師,検査技師な
どの専門家の育成は不可欠であり,②これを維持
するためには広い人材を対象とした短期の研修を
繰り返すことも必要である。③世界の結核を視野
に入れた国際協力を考えれば,人材育成はさらに
重要となる。④これらの活動に理解を示す結核予
防婦人会のような一般の理解の推進も望まれる。
⑤まさに「人材育成は結核対策の柱」なのである。
8.おわりに
結核まん延状況の変化,結核学問の発展,社会・
経済・政治状況の大きな変貌を受け,結核対策をめ
ぐる考え方も大きく進んでいる。創立から今日ま
での70年間は,時代の大きな変貌に伴う激動の70
年であったし,結核まん延状況も一変した。われ
われはここで述べたような結核対策の変貌の他に,
結核国際協力,COPD,肺がんなどの呼吸器疾患対
策,生活習慣病の保健指導など,国民,国がわれ
われに期待していること,求められていることの
現実を直視し,将来を見据えて,創立70年以後に
どう活動すべきか,よりよく考え,話し合って,
より明るい社会と国民の健康に寄与する団体になっ
ていきたい。ますます信頼される団体になること
を心から望むものである。
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27
研修生インタビュー
卒業生研究所再訪問
Dr. Victor Yamamoto Miyakawa
一緒に研修に参加した宍戸真司先生が初めての
日本人の友達だったとおっしゃいました。32年前
はヘルスセンターで働いており,日本で勉強した
結核対策を帰国後実際に進められ,成果を挙げら
れたそうです。結核研究所で研修中だった現研修
生とも会い,「皆さんもよく勉強して,帰国後清
瀬で学んだことを活用して,母国の健康促進のた
めに貢献してください」とメッセージを伝えました。
1列目左から2番目が宍戸先生,
4番目が島尾所長(現結核予防会顧問)
6月に,ペルーから参加した研修卒業生のビクター・
ヤマモト・ミヤカワさんが結核研究所に来所しま
した。ヤマモトさんは,1976年の結核対策コース
当時のお写真
と1985年の結核対策上級コースに参加し,帰国後
は1991年のフジモリ政権下で保健大臣を務めるな
訪問時のお写真
時を越えた彼の訪問は,研究所の研修の歴史の
深さだけではなく,研修生がいかに研究所や清瀬
どご活躍なさいました。現在は退職してペルー・
に対して深い愛情と感謝の気持ちを抱いているか
日本友好記念クリニックセンターの小児科で働い
を感じさせられた特別な日でした。
ていらっしゃいます。
(通訳・文責:結核予防会国際部 石黒 洋平)
結核研究所でのオペレーショナル研修
を終えて(6月9日∼17日)
28
結核研究所/結核予防会の
9日間におよぶワークショップにより,オペレーショ
ご厚意によって,エリザベス・
ナル・リサーチの基礎やツールを学ぶことができ
カデナ(ケソン研究所医師)
ました。そして,研修生はそれぞれの出身国や担
とレナート・ダンテス(フィ
当国における国家結核対策(NTP)に沿った実行
リピン結核予防会研究部長)
可能なトピックについて,コンセプトペーパーを
が2008年6月9日から17日に行
作成しました。
われた米国疾病予防管理センター(CDC)の講師
私たちは,研修に参加する前はオペレーショナル・
によるオペレーショナルリサーチに関するワーク
リサーチに関して本当に限られた知識しかなかっ
ショップに参加させていただけることになりました。
たのですが,研修に参加した後は,オペレーショ
9/2008 複十字 No.323
ナル・リサーチを行うこと,そして学んだことをフィ
にも関わらず,きちんとした,そして温かいもて
リピンで共有することに対してのいくぶんかの自
なしをされる人々ばかりでした。私はまた研修な
信を持つことができました。これはすべて講師であっ
どの機会があればぜひここに戻ってきたいと思い
たエリック・ペブズナー氏とリン・ソン氏に教え
ます。
ていただいた,シンプルかつ役に立つ方法論,有
最後に,結核研究所および結核予防会のすべて
益な配布資料とガイドライン,そして結核研究所
のスタッフに私たちの受け入れに対する感謝を申
のすばらしい研修環境のおかげでした。
し上げます。特に石川信克所長には,本来3ヶ月の
レナート・ダンテス
研修に一部分だけ参加させていただくという機会
を与えてくださり深くお礼申し上げたいと思います。
また,本物の日本食を味わう機会と美しい花の街
に呼んでいただいたことにも大変感激しています。
2008年6月9日から17日に結
更に,大角晃弘医師からの英語訳の日本の文献を
核研究所で行われている国際
いただいたこと,紺麻美さんに私たちの交通手段
研修「ストップ結核アクショ
の手配のすべてをお世話になり,本当にありがと
ン研修」の一部(Fundamentals
うございました。そして,11日間の宿舎での生活
of Epidemiology and TB
をとても快適なものにしてくださった壱岐ご夫妻
Operational Research)に参加
にも深く感謝を申し上げたいと思います。
しました。研修生として学生に戻ったような感覚
今回の交流が,RIT/JATAとフィリピン結核予
を味わうのは心地のよいものでした。日本は物価
防会の末長いパートナーシップの始まりとなるこ
が高いのであまり多くのお土産をフィリピンに持
とを願っています。
ち帰ることはできないかもしれませんが,その代
りに研修で得た多くの知識,考え方,そして自信
エリザベス・カデナ, 医師
を持ち帰ることができました。研修の講師であっ
Elizabeth V. Cadena, M.D
た米国疾病予防管理センター(CDC)のエリック・
ペブズナー氏,リン・ソン氏は,非常に複雑に思
(翻訳・文責:結核予防会国際部 大室 直子)
える疫学およびオペレーショナル・リサーチの基
礎を,苦心して単純化し,根気強く説明してくだ
さり,すばらしい講義内容でした。また,世界中
からの研修生とともに過ごすことは,結核に立ち
向かう同志として,経験や考え方,各国の現状に
ついて意見交換をする機会となりました。
結核研究所のある清瀬市は,気候もよく,とて
も静かできれいな街です。また,言葉の壁がある
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29
愛知県の結核予防会活動の確立と発展
いそえ きいちろう
磯江 驥一郎
先生
平成20年1月15日逝去 享年91歳
文:名古屋大学名誉教授 青木 国雄
され,卒業後,直ちに海軍短期現役軍医として招集,
ご 略 歴
昭和 6年 3月 愛知医科大学卒業
太平洋海域で活躍された。乗艦がトラック島停泊
昭和 6年 4月 愛知医科大学第一内科(勝沼精蔵教授)に入局
中に米軍機の急襲で沈没し,先生はたまたま上陸
昭和 14年 2月 名古屋医科大学助教授
中で帰船できず,その後は大部分陸上勤務で苦労
昭和 16年 9月 神戸市立結核療養所長(3年半軍務に服す)
されたようである。昭和25年,名古屋大学第一内
昭和 23年 3月 名古屋大学医学部助教授
昭和 24年 12月 名古屋大学教授(医学部内科第一講座)
昭和 43年 4月 名古屋大学教授退任,名古屋大学名誉教授,
国立名古屋病院長
昭和 53年 3月 国立名古屋病院退官,国立名古屋病院名誉院長
結核学会関連役員
科に帰局,勝沼教授の後任,日比野進教授から結
核研究部門の確立を命ぜられ,先輩の高島常二博
4.胸部X線定期検査
士とともに新しい研究室を短期間に大発展させた。
昭和29年,第29回日本結核病学会が勝沼会長の下,
名古屋で開催された時,磯江先生は学会の運営,
結核実態調査協議会委員,結核診査協議会委員,日本結核病
財務を担当され,文字通り東奔西走され,無事目
学会理事,学会長
的を果たされ,勝沼会長,日比野教授より高く評
文部省・厚生省研究助成金研究班・班長 13研究班 ほか
受 賞: 中日文化賞,毎日学術奨励賞,日本対がん協会賞,
東海テレビ文化賞(2回)
結核予防会結核予防功労賞,勲2等旭日重光賞 ほか
医学会長: 国内:第36回日本結核病学会(昭和36年),
日本内科学会ほか15学会
国 際: 第5回国際胸部疾患学会(日本支部長)
(昭和35年)
ほか8学会
名誉会員: 日本結核病学会,日本胸部疾患学会日本支部,
日本内科学会ほか19学会
価された。当時の愛知県衛生部長は厚生省の結核
対策で敏腕を振るわれた小川朝吉先生であり,愛
知県では手始めに,焼失した結核予防会愛知支部
第一診療所(戦時中に焼失)の再開を企画,日比
野教授に相談された。そして磯江先生が手腕をか
われ責任者に任命された。この診療所は結核予防
会の全国ネットの一環としての結核対策,それに
地域での診療・指導,医療機関への情報提供,協力,
保健所活動の支援,地域集団検診や結核管理の推
30
磯江先生は鳥取,倉吉の人である。志を抱いて
進が目的であった。診療所は同年10月開設,11月
北海道帝国大学予科に進まれ,北大医学部に入学
より診療を開始した。大学人の医療経営で心配さ
されたが,ご家庭の事情で名古屋帝国大学に転校
れたが,先生は三面六臂の活躍をされ,ほぼ2年
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間で予想以上の成果をあげられた。さらに若手医
余儀なくされたことも一切ならずあったが,あま
師の卒後教育,結核治療・予防研究も始め,大学
り動揺の色をみせられず,粘り強く仕事を処理さ
の出先病院と密接に協力し,結核医療と教育の中
れた。長身で身だしなみがよく,微笑をたたえて
心とされた。敗戦後当地方の大学の診療・予防の
応対されるので,多くの人々から頼みにされていた。
能力が低下していた時代であり注目を集めた。
話術は巧みで人をそらせず,いつの間にか自分のペー
磯江先生は昭和30年,結核予防会結核研究所長
スに持ち込まれた。先輩,友人を大事にされ,社
隈部英雄先生のご推薦でイタリアのフォラニーニ
交的で,他人の心を傷つけないようたえず配慮さ
研究所へ留学され,欧州での結核医療を学ばれた。
れていた。一方シャイな面があり,周辺がやきも
新しい医療とともに,疫学研究も紹介され,歴史・
きすることもあった。友人,後輩と団欒する雰囲
文化を通した欧州の考え方を,敗戦後の情報の乏
気がお好きで,しばしば独自の磯江節をかたり続
しいこの地方に伝え活性を与えた。以降,積極的
けられたが,こと志と異なる生活への気晴らしもあっ
に結核予防会活動を展開され,同時に東海地方の
たようである。ごく晩年,昔,無理な要請がつづき,
結核研究活動を推進された。その後,結核感染予
つい睡眠薬を飲みすぎたこともあったと洩らされ
防対策の強化が求められ,この診療所を結核予防
ていたからである。
センターに発展,拡大され,結核低死亡率,高罹
患率時代の活動拠点とされた。
院長を退職されてから発声障害に悩まれたが,
療養中でも落ち込まれず,生活を規制され,回復
昭和53年には大学や国の要請で国立療養所中部
期には積極的に集会に参加され,障害の克服につ
病院院長に転任され,転換期の結核療養システム
とめられた。これは後輩にとって非常な教訓となっ
の改組に当たられた。同病院定年退官後は,常務
た。さらに晩年は,奥様を介護しながらも,ご苦
理事として同上結核予防センターに復帰され,昭
労はあまり洩らされず,また最後まで結核予防会
和61年以降は再編成により統合された愛知県健康
愛知県支部にサービスをつづけられたことは敬服
づくり振興事業団の常務理事として結核部門の責
のほかはない。幸い女婿の下方薫教授が日本結核
任者を担当された。昭和63年に退職されたが,引
病学会で大活躍をしておられる。二代にわたる結
き続き助言と実際的な支援を続けられた。
核への貢献は当地方の誇りでもある。
診療・予防活動と同時に,厚生省,愛知県,名
筆者は卒業後まもなく,磯江先生のご高配もあ
古屋市などの結核・保健・医療関係の各種の役職
り結核予防会結核研究所へ内地留学,その後6年余,
につかれ,結核を中心とした社会保健医療対策に
前記の第一診療所でご指導,ご鞭撻を受けた。そ
半世紀にわたり貢献された。
の後,大学医局から疫学研究を命ぜられ臨床を離
先生は大きな志を持たれ,お名前のごとく駿馬
れたので,以降,先生にあまりご恩返し出来ず悔
の勢いで仕事を進められた。大局を把握され,現
いも少なくない。そうした事情と多くの身近な先
実をきめ細かく分析される方であったが,独断で
輩が先立たれたので,不肖がこの稿をお引き受け
物事を運ぶことは少なく,先輩や,同僚,後輩に
することになった。至らない拙文のお許しを願う
よく相談された。しかし地方の医学界には因習的
ものである。
なことも多く,各種の問題に悩まれ,また妥協を
謹んでご冥福をお祈り申し上げる次第である。
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31
結核予防会支部紹介のページ
奈 良 県 支 部
県民の健康を総合的にサポートする
結核対策発信基地として
結核予防会奈良県支部
常務理事
畑中 伊知雄
要請で,奈良市総合医療検査センターにて競輪選
手身体検査を実施しています。
普及啓発活動
奈良県支部が所在する奈良県庁
はじめに(沿革)
当支部は昭和14年4月,結核予防会奈良県支部と
して設立されました。現在は奈良県福祉部健康安全
局健康増進課内に支部を置き,県の結核行政の一環
として県民の健康に対する多様化に対応し,総合的
な感染症予防や健康づくりを推進するため,結核予
防活動を行っています。
9月の結核予防週間には,奈良県健康を守る婦人
の会の方々の協力により近鉄奈良駅前,JR奈良駅
前,橿原公苑において複十字シール街頭募金活動を
実施。ポスター,パンフレット,シールぼうやの着
ぐるみなどを使って,結核,結核集団感染をなくす
知識の啓発と共に予防への意識の向上にむけ,わか
りやすく関心がもてるように,1人1人に話しかけ
るように声掛けしています。若い世代の方の中には
結核を知らないという人もたくさんいて,これから
の普及活動の重要性を再認識いたしました。
事業概要
昨年は,結核対策特別促進事業の一環として,
奈良県・奈良市・(社)奈良県医師会と共催し結
核対策医師研修会を開催,(財)結核予防会結核
研究所副所長の加藤誠也先生をお迎えし,結核治
療の最新情報についてご講演をいただきました。
また,奈良県・奈良市・(社)奈良県看護師協会
と共催し,県内医療機関及び保健所等で就業して
いる看護職員を対象に,結核対策全体研修会を開
催しました。看護職員が結核・感染症に関する知
識を深め,結核患者への支援及び看護職員自身の
感染予防にも役立てています。
奈良県内で結核対策に従事する医師,保健師,
看護師に最新の情報を提供し連携を図ることにより,
総合的な結核対策を推進しています。
健診事業においては,日本自転車振興会からの
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9/2008 複十字 No.323
近鉄奈良駅前での募金活動(9/24)
奈良県健康を守る婦人の会の方々と
おわりに
本年度から実施された後期高齢者医療制度など,
保健や医療を取り巻く環境は今後も大きく変化し,
地域住民の健康に対するニーズも今後ますます複雑,
多様化していくと思います。今後も,職員一体と
なり県民の健康増進と福祉の向上に努めていきた
いと考えています。
日本呼吸器学会学術講演会に今年も出展
6月15日(日)∼17日(火)の3日間,神戸コン
ベンションセンター(兵庫県神戸市)において,
第48回日本呼吸器学会(JRS)学術講演会が開催さ
れました。神戸国際展示場の1号館と3号館において,
併設展示会が催され,結核予防会(JATA)は3号
館のホスピタリティスペースに出展し,展示内容
はCOPD,呼吸の日,肺年齢,タバコ対策の普及啓
発で,同時にJRS会員の皆様への結核予防会出版物
案内,ストップ結核パートナーシップ(STBJ)へ
の個人会員入会案内も実施しました。
昨年5月に行われた東京国際フォーラムでの初出
展(本誌316号6頁参照)に続き,2回目となる今年は,
昨年よりも広い展示スペースを確保する事が出来
ました。本年に入り,JRSとJATAとの共催あるいは,
JATAの後援で「呼吸の日」のイベントや「肺年齢」
普及啓発行事などを実施する機会が増え,同じ使
命を共有して業務を遂行するパートナーとなった
ことも大きな一因です。更には,「肺年齢普及推
進事務局」と連携を密に取り始めており,「肺年齢」
という新たな内容を盛り込んだ出展内容は,昨年
以上にJATAのCOPDへの取り組みを,参加した
JRS会員各位へ大きくアピールする事が出来ました。
COPDをアピールする展示ブース
展示ブースの壁面には,5月9日の「呼吸の日」
を中心に実施したJR山手線の「肺年齢トレイン」
のラッピング広告を再現し,周囲の目を引きました。
山手線の再現
内側の展示は,「スパイロ検査を特定健診に」
というメッセージを中央に配しました。文面を,
「JATAは,JRSのご協力のもと,日本ベーリンガー
インゲルハイム株式会社(NBI)と「COPD共同研
究事業」を実施しています。この研究で,JRSが取
り組む「呼吸の日」,「肺年齢」事業に賛同して共催,
後援などの形で参画しているところです。そして,
JRSの皆様方と共に本研究でエビデンスを構築して,
特定健診,住民健診,事業所健診などの健診項目
に将来はスパイロ検査が必須化されて,国民の健
康増進に寄与できるよう,関係各所に働きかけて
まいります」として,将来,スパイロ検査を健診
に必須化されるための研究である趣旨を訴えました。
他には,COPD,肺年齢の説明パネル,JATAが取
り組むCOPD共同研究事業の概略パネル,JATA全
国支部の日本地図,STBJのパネルを展示しました。
中央パネルのメッセージと配布資料コーナー
ブース内に映像スペースを設置し,①5月23日に
実施した「世界禁煙デー記念 移動肺年齢測定体験
会」で取材・インタビューを受けた内容の約10分
間のテレビ番組(本誌322号24頁参照),②JR山手
線車内の「山手トレインチャンネル」(30秒),
③COPD共同研究パートナーのNBI作成の「COPD
普及啓発DVD」(約10分)の3本を繰り返し再生し
て,動画による普及啓発も実施しました。
資料コーナーには,昨年と同じティッシュと3種
類のパンフレットに加えて,新たに,①3種類のパ
ンフレットを1枚にまとめたチラシ,②喫煙が女性
の健康に及ぼす影響を分かりやすく示したチラシ,
③COPD早期発見のための地域連携について掲載し
た「COPD Frontier」の別刷,④冊子「たばこの煙
から子どもたちを守るには」,そして,STBJ入会
案内兼入会申込書とJATA出版案内を陳列し,無料
配布しました。
今後への期待
周囲のブースでは,「肺年齢普及推進事務局」が
肺年齢の概念をパネル展示し,スパイロメーター
のメーカー各社は,JRS参加の医師をはじめとした
会員の方々に「肺年齢」体験の機会を設けていま
した。
この出展を機に,さらに事業の発展を期し,昨年・
今年と2年連続出展,COPD共同研究事業の確実な
進捗を関係者に感謝し,特に今回の出展に多大な
協力を賜った共同研究パートナーであるNBIのプロ
ジェクト担当加藤久幸氏に心より感謝申し上げます。
(文責:編集部)
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シール
だより
平成19年度
高額寄付を頂いた方々からのメッセージ
平成19年度も「複十字シール運動」に多くの方々からご賛同を頂き誠にありがとう
ございました。複十字シール募金と本会事業資金へご寄付頂いた方々のメッセージ
をご紹介いたします。
結核予防会総務部庶務課・事業部資金課
事業資金寄付をいただいた方々
複十字シール募金にご協力いただいた方々
頼 兆昌 様
稲葉 定雄 様
昨年の4月に結核にかかってしまい,命にか
かわるような重症でした。そのため3ヵ月間,
複十字病院に入院することになりました。こ
の間,吉山医師や看護師の皆様のおかげで命
拾いすることができて,本当に心から感謝し
ています。複十字病院は私に二度の命を与え
てくれました。世の中にまだまだ結核にかかっ
ている人が大勢います。寄付金は少しでも皆
様の役に立てれば幸いです。
ティ・オーオー株式会社
会長 川尻 由弘 様
結核が最大の国民病と
して猛威を振るっていた
戦前・戦後の時代を体験
してきた私にとって,貴
財団が結核予防に対し,
国内はもちろんのこと国
際協力面においても多大
な貢献をされていること
を知り,深い感銘を受けささやかながら,こ
の度寄進をさせて頂くことにしました。
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私は公務員退職後,秩
父宮御殿場御別邸勤務の
お話がありましたので,
妃殿下がお亡くなりにな
られるまでの7年間,お
勤めさせていただきまし
た。この間,結核予防関
係婦人団体幹部講習会が
毎年御別邸近くで実施され,秩父宮妃殿下が
お出ましになりました。そのお姿を拝見し,
家族で感銘を受けたことを覚えております。
現在,秩父宮記念公園として御殿場市に寄
贈された御別邸で毎月1∼2回奉仕作業を続
けておりますが,此処3年の間に妻と長男を
相次いで亡くしました。長男は健康が思わし
くなく健診を受けましたが,すぐに病名が確
定せず,最終的に入院数ヵ月で他界しました。
生前中,長男とともに話した講習会でのエピソー
ドを思い出し,少しでも結核予防会のお役に
立てればと思い,寄付をさせて頂きました。
椎橋 信夫 様
1951(昭和26)年,兄
が結核を発病致しまして,
それから家中で看病が始
まりました。その間どの
ようなきっかけで結核予
防会を存じ上げたのかは,
私はまだ18歳でわかりま
せんでした。昭和30年代
後半位から母から頼まれ,些少の金額を持っ
て毎年12月に郵便局へ参りました。兄もお蔭
様で治りまして,定年退職まで無事に勤め上
げました。その兄も,若い時の結核がもとで,
平成18年に“非結核性抗酸菌症”という病名
で亡くなりました。私も母の意思を継ぎたい
と私の誕生日に結核予防会に少しでもお役に
立ちたいと思いまして,寄付させて頂きました。
会の運営も職員の皆様も大変な事とは思い
ますが,結核撲滅のために,世界のためにも
頑張って頂きたいと思います。ありがとうご
ざいました。
高木 勇 様
私が肺結核にかかった
昭和21年頃は,治療薬が
なくカルシウム注射と空
気を肺のギブに入れる方
法で療養いたしましたの
で治るのに3年かかりま
した。人生に多大な影響
を受けましたので,余生
を社会貢献に尽くすようにしており,いささ
かでもお役にたちたいと思っております。
株式会社アロエベラエンタープライズ 代表取締役 杉澤 廣行 様
国の内外を問わず,結
核予防会の役割と期待は
ますます大きくなってき
ていると思い,ささやか
ながら協力を続けていき
たいと思います。
岡山県愛育委員連合会
会長 藤本 貴子 様
母子の健康を守る上で
最大の脅威であった結核
の予防対策は,岡山県に
愛育委員が発足した当時
から,活動の重要な柱の
一つとして,今日に至る
まで五十有余年にわたり
取り組んで参りました。
その成果もあって飛躍的に改善されましたが,
結核は依然として,我が国における主要な感
染症です。このため,岡山県愛育委員連合会
では,結核予防対策を推進するため,従来か
ら複十字シール運動に積極的に取り組んでおり,
昨年には,秋篠宮妃殿下を岡山にお迎えして
開催された結核予防全国大会にも寄与したと
ころです。
母子保健のさらなる向上には,結核予防対
策の推進が必要であるとの認識に立って,複
十字シール運動に参加し,結核撲滅運動のた
めにお役に立ちたく,微力ながら寄付する次
第です。結核予防会の永きご発展をお祈り申
し上げます。
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川昌エスエス献材林業
オフィスビルディング株式会社
代表取締役 小川 昌美 様
弊社は元禄8年7月24
日創業以来「広く社会の
お役に立ちゆくユニーク
な会社たれ」と社是にご
ざいますように幅広く社
会奉仕活動にたずさわっ
て参りました。弊社の物
故会員の中にも多数結核
にて仏の弟子となりし会員が存在しており,
その供養の一環と致しまして法人にてご寄付
をさせて頂きました。
株式会社群桐産業
代表取締役 山口 茂 様
会社設立より二十余年,
陰になり日なたになり支
えてくれた妻,また社員
にも恵まれ,会社と私の
心に余裕が持てるように
なり,社会福祉活動につ
いて考えていたところ,
結核予防会を知りました。
今後も寄付を通じて,微力ながらもお役に
立てればと願っております。
トピックス
世界の複十字シールが大学図書館に寄贈される
今年のシール図案
健康を守る婦人の会(東京)の元会長山田三枝子先生より,す
てきなお知らせが本部に届きました。
有名な切手・シール収集家でいらっしゃる本田昭夫様より,山
田先生が託された世界の複十字シールは,1904年にデンマークで
最初に作られたものから,今日に至るものまで見事に整理されて
います。山田先生はそのシールを保存・管理してくださるところ
を探して下さいました。この度,母校(東邦大学医学部)の学長
青木継稔先生からご承認を得て,学校図書館(医学メディアセン
ター)に所蔵していただけることになりました。
医学の道を志す若い方に結核や肺がんをなくすために脈々と受
け継がれてきた複十字シールの意味や,実際に世界で発行されて
いるシールを目にするチャンスを与えてくださった山田先生,そ
して東邦大学の関係者の皆様に感謝したいと思います。
(文責:編集部)
結核予防会の本
「保健師・看護師の結核展望91号」 特集:①DOTSマネージメント ②法改正後の結核対策 定価1,995円(8月発行) ISSN 1347-4553
「平成20年改訂版 現場で役に立つQFTのQ&Aと使用指針の解説」結核研究所名誉所長 森亨監修
定価945円(7月発行) ISBN978-4-87451-249-4
「平成20年改訂版 結核マンガ 沖田くんのタイムスリップ」結核予防会複十字病院 尾形英雄監修
定価945円(8月発行)ISBN978-4-87451-251-8
「平成20年改訂版 感染症法における結核対策 保健所の手引き」
定価4,725円(9月発行) ISBN978-4-87451-252-4
書籍のお問い合わせはこちらまでお気軽にどうぞ
結核予防会出版調査課 TEL03-3292-9289 FAX03-3292-9208 mailto [email protected]
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WHOとIUATLDが共同で「結核とたばこ」の論文を発表予定
2008年9月,世界保健機関(WHO)は国際結核肺疾患予防連合(IUATLD)と共同で,「結核とたばこ
規制に関するモノグラフ」 を出版する。喫煙と結核との関係は示唆されていたものの決定打はなく,今回の
システマティックレビューは1918年からの1863 件の文献から50件の研究を抽出し,喫煙や受動喫煙と結核の
感染や発症との関係,能動喫煙と結核の再発や死亡などの関係を明らかにした。
この成果により,結核対策とたばこ対策を統合することが,結核の蔓延している国々での結核抑制に奏功
することが示された。次号で詳細の解説を予定している。
(国立がんセンター研究所たばこ政策研究プロジェクトリーダー 望月 友美子)
秩父宮妃記念結核予防功労賞世界賞受賞者決まる
例年結核予防全国大会にて受賞者を発表していたが,今回受賞者の選定が遅れていた世界賞の受賞者が決
定したので,報告する。なお,この世界賞は,第39回国際結核肺疾患予防連合(IUATLD)の総会(2008年
10月16日∼20日,パリで開催)にて表彰される。
アン・ファニング
Elizabeth Ann Fanning
医師
国籍 カナダ
アルバータ大学医学部
名誉教授
アン・ファニング女史はカナダにおける結核,特
に国際的な仕事の第一人者である。1963年にオン
タリオの医学部を卒業,アルバータ大学医学部感
染症学教授を経て,現在同大学の名誉教授である。
母親も数少ない女性医師であったが,アンも結核
を中心とした感染症医として,男の職業であった
医師として多くの障碍を乗り越えてきた。面倒見
が良く,学生達から尊敬され,頼りにされた。法
律家と結婚,2人娘の母となった。娘の一人は医師,
もう一人は弁護士。孫が2人いる。現在IUATLD
の学術部長として活躍しているドナルド・エナソン
教授は彼女の教え子である。エナソンは彼女を以
下のように評す。「アンは,すばらしい臨床家,
研究者である以上に,その並外れた人格の持ち主
で偉大な教師だ。‘母親’,‘活動家’,‘熱情的
な社会変革者’,‘社会的な差別を受けた人々を思
いやる人’。その素晴らしい指導力はIUATLDの
会長として発揮された。故郷のアルバータ州で,
世紀の名医として認められ,結核及び国際貢献に
対して,市民として最高の栄誉であるカナダ国家
勲章を授与されている。公職はリタイアされたが,
仕事は続けられ,その熱情とエネルギーでわれわ
れを鼓舞し続けている」
日本の結核予防会のメンバーとも交流が深く,
いつも優しい友好的な言葉で励ましを送ってくだ
さる。
ストップ結核パートナーシップ日本の設立時に
も貴重な助言を下さった。UATLD北米地域会長(20002003年),IUATLDの会長(2003-2005年)など,
国際的な重責を務めた。現在も,ストップ結核カ
ナダ創始者兼議長(2000年以来),リザルツ・カ
ナダの理事(2002年以来)などの活動を続けている。
(結核研究所所長 石川 信克)
JCサマコン2008 in 横浜に肺年齢出展
炎暑と言ってよいほどの好天に恵まれた7月19日
(土)∼20日(日)に神奈川県横浜市のパシフィ
コ横浜で,社団法人日本青年会議所(JC)の主催
により毎年恒例の「サマーコンファレンス2008」
が開催されました。
1日目19日土曜日の午前11時から午後6時に,パ
シフィコ横浜円形プラザ(野外)で,結核予防会
(JATA)はNPO法人日本呼吸器障害者情報セン
ター(J-BREATH),社団法人日本呼吸器学会(JRS)
との共催によりブース出展し,「肺年齢体験会」
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ブースで肺年齢を体験中
を行いました。J-BREATHから創立者の遠山雄二
理事長,遠山和子事務局長,岡田雅善事務局長の3名,
スパイロメーター製造会社(チェスト社)から3名,
派遣検査技師2名,JATAから三宅普及課長,以上
全9名で実施しました。肺年齢のチラシ,女性の喫
煙を考えるチラシを配布し,約50名の方々が肺年
齢を体験し,肺の健康が重要であることを再認識
していただくことのできるよい機会となりました。
スパイロメーター(肺機能検査)で自分自身の「肺
年齢」を知ることは,わかりやすくて親しみやす
いため,肺の健康に関心をもつ導入としてとても
有効です。今年の春にJRSが「肺年齢」の概念を提
唱してから,JATAが実施した今回を含む数回の肺
年齢体験イベントは各回それぞれ対象者や地域性
に特色があり,そのどれもが有意義でした。今後
も人々が集まる場所を利用して,このような地道
な普及啓発活動を続けていくことが重要だと思い
を強くしました。
(文責:編集部)
ストップ結核パートナーシップ関連行事
●国際結核シンポジウム報告会・ワークショップ
8月22日(金)18:00∼19:30,本部5階会議室において日本リザルツとストップ結核パートナーシップ日本の
共催で標記ワークショップが24名の参加を得て開催された。
G8サミットに向けた政策提言(アドボカシー)活動として講師に日本結核病学会理事長森亨氏,ストップ
結核パートナーシップ日本事務局長鈴木幹久氏を迎えた。詳細は次号で報告予定。
予防会だより
●平成20年度結核予防会臨時全国支部事務局長会議
6月30日(月),学士会館(東京都千代田区)に
おいて80名の参加を得て標記会議が開催された。
プログラム
13:30∼13:40 挨拶
財団法人結核予防会理事長 仲村 英一
13:40∼14:40 講演 公益目的事業について
内閣府公益認定等委員会事務局企画調査官
小八木 大成
14:45∼17:00 協議
(1)特定健診・特定保健指導の現状と問
題点について
(2)公正取引委員会の再発防止要請につ
いて
(3)その他 AC公共広告機構・COPD等
●健康支援者養成研修会(基礎研修)第6期
今年度は,日本循環器管理研究協議会と結核予
防会の共催で,東京と大阪の2ヵ所で標記研修会が
開催された。
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7月3日(木)∼5日(土),日本光電東中野営業
所(東京都中野区)において19名(うち支部4名)
の参加を得て,7月24日(木)∼26日(土),ウィ
ズ(大阪市西区)において11名(うち支部3名)の
参加を得てそれぞれ実施された。
●結核国際研修45周年記念祝賀会“人材育成は国
際協力の柱”
7月25日(金),国連大学レセプションルームに
おいて,結核予防会,国際協力機構,ストップ結
核パートナーシップ日本の共催で,標記祝賀会が
開催された。
プログラム
12:30-12:40 挨拶
財団法人結核予防会会長 青木 正和
国際協力機構東京国際センター長 狩野 良昭
12:40-12:50 発表
「結核国際研修45年の歩み」
財団法人結核予防会顧問 島尾 忠男
12:50 乾杯
ストップ結核パートナーシップ日本
代表理事 森 亨
12:50-13:30 歓談
13:30-13:55 祝辞
ストップ結核パートナーシップ推進
議員連盟事務局長 浜田 昌良
厚生労働省結核感染症課長 梅田 珠実
外務省専門機関課長 早川 修
WHO/WPRO西太平洋事務局長 尾身 茂
13:55-14:00 閉会の辞
財団法人結核予防会理事長 仲村 英一
多額のご寄付をくださった方々
足立嘉子,有田孝久,有馬愼二,王鐡
部材木店,窪田商事,浅井恭,五十嵐
<複十字シール募金>(敬称略)
城,河合健,木村洋子,木野村幸彦,
康,伊藤慎介,内村茂,大島輝之助,
本部−平成18年度「結核対策合同アド
楠田史子,小池隆雄,小島靖,大場昇, 大畠章宏,加賀美彰,笠原克美,笠原
ヴァンスコース」受講生一同,平成19
益井輝也,宮本克巳,山本秀夫,吉田
年度保健看護学科「保健師対策5日間コー
貴一,篠宮克彦,鈴木三彌,出光昭介, 山潔,菊岡平八郎,日本オーチス・エ
ス」受講生一同,平成19年度保健看護
臼井日出男,植野尚男,木南富吉,風
レベータ・総務部,木暮英彦,高村正
学科「夏期集中コース」受講生一同,
間孝晴,金岡秀友,平山茂博,山崎春
彦,齋藤英子,篠塚昭次,渋谷修,島
平成19年度結核行政担当者等短期コー
吉,佐藤静江,佐藤達郎,末広文次,
林樹,白石章夫,須田清,築尾晃治,
ス研修生一同,保健師/看護師等基礎・
須藤永一郎,杉山喜一郎,関口正之,
豊嶋庸輔,戸田満弘,那須忠己,奈良
実践コース第1回研修生一同,保健師
関口守正,高橋厚夫,武田康,玉置猛
昌治,長尾立子,二宮忠,新谷義和,
対策5日間コース第2回受講生一同,保
夫,寺田光子,末永邦雄,松本貞子,
長谷川恭子,濱田邦夫,平沼赳夫,廣
健師/看護師等基礎・実践コース第2
山口喜久子,竹内美智子,仲尾次政剛, 野恵三,増井潔,町田英一,宮尾登美
回受講生一同,婦人会中央講習会参加
仲村英一,永田皖,相坂正夫,清田友
子,宮村智,虫明孝義,山田健二,山
者,結核研究所保健合同アドヴァンス
子,ウエスレアン・ホーリネス淀橋教
田芳和,山本隆幸,横尾与蔵,渡辺竹
参加者,大坪浩一郎,樋口光善,松浦
紀夫,梶山公勇,白百合女子大学,亀
会,東洋英和女学院小学部,津久井菱
義二,山口智道,佐藤秀抱,島尾洋子, 子,米山隆昭,福地敬子,福井憲彦,
三郎,大場永子,蓮見平司,牛山節子,
高橋秀三,高橋一郎,寺門光男,名取
藤原大輔,前田敏郎,村上治洋,米山
登志男,小林典子,笹谷緑,岡村孝男,
誠二,中村茂,野口洋二,青木正和,
忠興,佐藤弦,鈴木富七郎,長畦すめ
神尾友和,山口徹,町田武久,河上牧
梶谷純子,角田無線電機,カトリック
る,有働亨,石川民平,岩田福治,遠
夫,高山直秀,吉良枝郎,所敬,杉本
イエズス会,藤田禧,関崎三郎,釜屋
藤和夫,尾身幸次,清水敏夫,大森寿
恒明,中西尭朗,馬場元毅,馬越文男,
豊子,榎本コンクリート工業,吉澤千
明,竹井昭雄,東福寺,近藤順子,柴
金光恒好,坂口正道,小森まき,坂本
鶴子,斉藤商店,CQ出版,花川,東
田富子,渋谷和明,島村元治,島謙造, 哲也,早川純子,島田妙子,山田光輝,
羽入直方,水津唯男,三沢時江,桑原
京自動シール製袋所,吉野製作所,三
鈴木崇二,鈴木蕃夫,関武,坪沼黎子, 山崎誠,山本博章,岡島重孝,長谷川
国一,南雲定次,平川秀雄,平井林三, 恩田和也,粕淵寛也,栗原隆,小寺輝
和夫,木内桓次郎,山縣博,高田滋,
小山明,稲田産商,新谷電機,スエヒ 彦,大平明,有楽製菓,ウメダ,高橋
小原俊也,小幡徳子,河野登,闍島正
ロ,徳榮商事,庵原フミ,村野猛,森
伸介,日本大学本部総務課,後藤新太
子,鳥羽信也,古川宣一,師田志津恵,
京子,志村知男,大協精工,東峰タイ
郎,手柴良一,濱田博,百瀬雄次,平
田中久子,安藤武男,折茂伸満,山田
ヤ,大野俊司,聖心侍女修道会,世田
野孝雄,堀内恵美子,本田稔,本多友
正直,鈴木博之,遠藤邦彦,松村正一,
谷酸素商事,千駄ケ谷増田屋,電鉄商
彦,松本元博,水野文雄,吉永小百合, 松井秀文,藤本真治,野村恵美子,吉
事,西村商店,岡惺治,藤井裕久,藤
渡里杉一郎,板東玉三郎,田中和子,
田謙,中上克彦,宮越久子,綱島康夫,
井源七郎,平井りう子,本橋仁,本橋
田中京子,田柳智子,秋山貴志子,及
細金英男,石井秋芳,三和三郎,鎌田
達朗,松田守,宮下英夫,矢崎晃,吉
川芳美,岸那智子,木下幹太郎,鎌田
勝巳,鎌田義雄,福沢偉行,高佐重長,
井参也,渡辺栄衡,小林抱牛,五味正
佐藤保子,武田水清,金子富広,戴正
昭次,日野浦メイ子,本村和子,丸山
子,坂井光夫,志立託爾,高桐あや子, 敏子,小森明宏,田中榮志,高野伸尋, 道,小林春雄,古市典雄,斎藤武雄,
青木修三,井出正敏,伊藤道夫,石原 井上元治,石川誓,石松恵子,花岡房
酒井護,岡田一郎,大和田良子,中島
道子,石堂武昭,今野恒雄,今泉季正, 子,鵜飼保宏,落合晋,可児長英,河
博,大鳥ソヨ,山内由利子,八木博,
鵜沼直雄,梅崎都志夫,大木正路,今
野幸正,木村次朗,久我晃二,小塚正
山本宗夫,板橋重光,山口峯生,岩間
村眞彦,早田義博,日根野妙子,平岡
巳,幸田辰雄,佐藤高明,斉藤博,三
次男,田中喜八郎,菊池敏夫,平井時
啓佑,儘田直久,万代恭嗣,八尾静枝, 浦弘,齋藤榮,須藤脩,丹羽高尚,武
夫,渡辺享,吉村成弘,筒井大和,小
矢島太郎,佐々木胤郎,斎藤慶一,桜
田哲夫,竹下亘,西山廣一,藤原岩造, 原直弘,並木山青,森久保繁,近藤健
井勇,三輪敏彦,柴田玲子,白木秀男, 堀米康,平田光政,松本康太郎,溝口
文,日本理容美容教育センター,吉田
多賀須幸男,高田洋子,高橋勤,高橋
福子,日新火災海上保険,宮本信夫,
文雄,柳原英晶,山本起世,米澤ます
紀久雄,竹下寿子,手塚敏夫,橋本愛, み,武舎辰男,渡辺勝美,八木爽,阿
石川信克,小谷明美
9/2008 複十字 No.323
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切手解説
文学者の中にも結核に悩まされた方が多くみられ,その中から優れた作品が生みだされています。
今回は,ドイツ・イギリス・フランスから8名の文学者を紹介します。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe, 1749−1832年)はドイツの
詩人,劇作家,小説家です。学生の頃,失恋の痛手からか,喀血したため退学し,故郷のフランクフル
トに戻りました。日本では森鴎外が『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』などを翻訳し,良く知
られています。
フリードリヒ・クリストフ・フォン・シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller,1759−1805
年)は,ドイツの詩人,歴史学者,劇作家です。ゲーテの友人で31歳の時胸膜炎にかかり,45歳で腸結
核と肺結核で亡くなっています。日本で年末の恒例行事となった第九交響曲(ベートーヴェン)第4楽章
の「歓喜の歌」の作詞家として知られています。
フランツ・カフカ(Franz Kafka, 1883−1924年)は,現在のチェコ・プラハで生まれた小説家。ユダ
ヤ人の家庭に生まれ,作品はドイツ語で発表しました。1917年肺結核と診断されましたが,その後保養
地を転々とし,最後はサナトリウムで息を引き取ります。彼の作品『変身』や『城』などは,不条理文
学として二十世紀を代表する作家の一人です。
ロバート・バーンズ(Robert Burns, 1759−1796年)はスコットランドの国民的詩人です。彼は父を結
核で亡くし,自らも結核の症状を悪化させ,リウマチ熱で亡くなりました。スコットランド民謡を収集し,
『蛍の光』や『故郷の空』は日本を含め世界各地で親しまれています。
ジェーン・オースティン(Jane Austen,1775−1817年)は,イギリスの小説家です。寄宿舎にいた頃
に,結核に感染したと考えられています。切手には,『エマ』の登場人物であるエマとウッドハウス氏
が描かれています。
ジョン・キーツ(John Keats,1795−1821年)は,イギリスの詩人です。結核に悩まされた彼は,暖
かいローマに移り住みましたが,妻の看護も虚しく25歳の若さでなくなりました。
アルベール・カミュ(Albert Camus, 1913−1960年)は,フランスの小説家,劇作家です。17歳のと
きに結核にかかりましたが,一命を取り留めました。『異邦人』や『ペスト』などの著作を評価され,ノー
ベル文学賞を受賞しました。
モリエール(Moliere,1622−1673年)は17世紀フランスの劇作家です。モリエール10歳のとき,母を
肺癆でなくし,自身も俳優として舞台に立ちながら,咳や喀血に苦しみました。しかし,その治療をす
る医者をこきおろす喜劇を書いて,人々を笑わせました。
結核予防会役員人事<敬称略>
《支部》
発
令
日
支部名
氏 名
発
令
内
容
H20年6月17日
鹿児島県
西 俣 寿 人 副支部長を委嘱する
H20年3月31日
鹿児島県
吉 田 紀 子 副支部長の委嘱を解く
H20年6月28日
大阪府
笹 井 康 典 副支部長を委嘱する(重任)
H20年6月13日
山形県
有 海 躬 行 支部長を委嘱する(重任)
H20年6月13日
山形県
藤 田 穣 副支部長を委嘱する(重任)
H20年6月13日
山形県
小 田 隆 晴 副支部長を委嘱する(重任)
H20年6月13日
山形県
舟 山 政 紘 副支部長を委嘱する(重任)
H20年5月1日
宮城県
田 中 元 直 支部長を委嘱する(重任)
H20年5月1日
宮城県
鈴 木 隆 一 副支部長を委嘱する(重任)
H20年6月27日
三重県
堀 木 稔 生 副支部長を委嘱する
H20年6月27日
三重県
向 井 正 治 副支部長の委嘱を解く
H20年4月1日
福岡県
平 田 輝 昭 副支部長を委嘱する
H20年3月31日
福岡県
山 闢 建 典 副支部長の委嘱を解く
平成20年9月15日 発行
複十字 2008年323号
編集兼発行人 山下 武子
発行所 財団法人結核予防会
〒101- 0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 日本印刷株式会社
東京都千代田区外神田6-3-3
電話 03(3833)6971
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
みんなの力で目指す,結核・肺がんのない社会
平成20年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の
募金活動です。複十字シールを通じて集められた
益金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業な
どの推進に大きく役立っています。皆様のあたた
かいご協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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9/2008 複十字 No.323
● 切手にみる結核 6.結核に悩んだ文学者たち
(西洋編 蠢)
岡西雅子様から貴重な切手のご紹介は6回目となり,文学者を集めてみました。
<ゲーテ>
フランス・1957年
<シラー>
東ドイツ・年代不詳
<カフカ>
チェコスロバキア・1968年
<ロバート・バーンズ>
イギリス・1966年
<ジェーン・オースティン>
イギリス・1975年
<ジョン・キーツ>
イギリス・1967年
<アルベール・カミュ>
フランス・1967年
<モリエール>
ニューカレドニア・1973年
*切手の下には、発行地域と発行年を記載しています