カナダにおける持続可能な森林経営と 森林認証の

カナダにおける持続可能な森林経営と
森林認証の現状
( 上)
(財)日本木材総合情報センター「木材情報」1999 年 10 月号より転載
http://www.jawic.or.jp
はじめに
Cなど認証森林の面積が増加しており、「欧州
材は持続可能な森林から生産された木材」をキ
6月中旬、カナダ大使館から「連邦政府が招
ャッチフレーズにPRが進められれば、日本市
待するので、森林を見に行きませんか」との電
場における競合関係は今後さらに激化する可能
話があった。後日報告書を提出するといった義
性がある。このような状況を踏まえて、今回の
務もなく、全額相手持ちで勉強させてくれると
招待は最近のカナダにおける持続可能な森林経
いうのだから、こんなに有難いことはない。早
営に対する姿勢を認識してほしいというもので
速、承諾した。
あった。
期間は7月 10 日から 18 日まで。一行は永目
見学対象地は大きく分けて東部のケベック州
林野庁海外協力室課長補佐、桜井研究普及課主
と西部のBC州の二州。ケベック州ではモント
席研究企画官、金澤高知県森林局次長、田中京
リオールの北西に位置する広葉樹林と針葉樹林
都府立大教授、渡辺製紙連合会副理事長、安田
を、BC州ではバンクーバーの北に位置する針
木材輸入協会専務理事、向井日刊木材新聞次長、
葉樹林を見学した。今回はこの認証森林見学ツ
白水読売新聞次長に小生。これに在日カナダ大
アーの印象記も含めながら、カナダ、特にケベ
使館のレドウィッジ三等書記官がツアーコンダ
ック州、BC州での森林認証の動きについて紹
クター役を果たしてくれた他、カナダ国内では
介する。
天然資源省のレジェ広報官が終始同行してくれ
た。
カナダは何を目的として招待してくれたのか。
1.持続可能な森林経営とは
本論に入る前に持続可能な森林経営と、これ
カナダはこれまで大量の製材品を欧州に輸出し
まで林業界で言われてきた保続経営との違いに
ていたが、近年、欧州ではグリンピースといっ
ついて述べておきたい。
た環境団体のイニシァティブのもとで、「カナ
「新版林業百科事典」(日本林業技術協会、
ダの森林経営は持続可能でない」としてカナダ
1971)によると、保続作業について「一般に、
材ボイコット運動が展開され、輸出量が従来の
収穫が毎年入ってくるような作業方式」として、
1/10 にまで減少している。
財政処理上、業務執行上、人員・設備配置上、
反面、従来、針葉樹製材品といえばカナダ製
産物販売上、森林保全上などの長所から「保続
品が大半を占めていた日本市場においても、近
作業を森林経営の理想型であるとする考え方が
年、欧州製材品のシェアが高まり、カナダ製品
生まれた」としている。
はこれとの競争に晒されている。欧州ではFS
「森林の百科事典」
(丸善、1996)では持続可
1
能な森林経営について「環境を保全し、人間に
による森林管理業務の全体的な統括は、各州林
さまざまな便益をもたらしてくれる森林の能力
業担当大臣をメンバーとして 1985 年設立された
を損なうことなく、森林を賢明に利用するとい
森 林 閣 僚 会 議 (Canadian Council of Forest
う精神である」とし、
「持続可能な森林経営の中
Ministers・CCFM)が行っており、カナダ森
身は、かっての木材生産の保続から持続可能な
林局の役割は調査・調整ということになる。
森林生態系の管理に変わった。目指すものは、
カナダ政府は現在、森林管理国家戦略 1998~
木材生産だけではなく、生物の多様性や水・土
2003 を採用し、実施している。これは森林協定
壌資源の保全など多面的な森林の機能の保全で
(Forest Accord)として 1998 年5月に連邦政
ある」としている。
府天然資源大臣、各州森林担当大臣および林
また、保続について、
「現在は木材生産ばかり
業・木材団体、NGO の間で調印されている。この
でなく、森林の持つ諸機能が永続的・恒常的に
戦略はカナダの森林エコ・システムを長期にわ
維持されること、といった広い意味に解されて
たって良好に維持していくことを目的としたも
いる」として、持続可能な森林経営との関係を、
ので、今回が第4次に当る。策定にあたっては
「両者が全く重なり合うとはいえないにしても、
全国5カ所で公聴会が開催され、また実施状況、
(略)異質の概念見るべきではな」く、
「保続性
成果などに関しては政府、業界から圧力がかか
原則の意義が、今日の社会情勢のもとであらた
らない形での個人による外部評価が行われる。
めて認識されるにいたったと見るのが妥当であ
ろう」としている。保続の概念は年とともに変
3.カナダにおける森林認証の動き
化してきたといえる。とはいえ、いまだに一般
カナダにおける持続可能な森林経営に対する
には保続を古い狭義の概念で捉えていることが
認証(以下、森林認証と略す)は、1992 年にブ
多いようである。したがって、持続可能な森林
ラジルで開催された国連環境開発会議(UNCED)
経営の概念は、少なくともこれまでの保続生産
において地球環境の保護と関連して「持続可能
の概念とはまったく異なるものと理解しておく
な森林経営」が大きくクローズアップされて以
べきではなかろうか。
降、動き始めた。その後、モントリオール・プ
ロセス、ヘルシンキ・プロセスなどさまざまな
2.カナダの森林管理組織
国際会議が開催される中で、カナダの森林閣僚
森林を含めてカナダの天然資源を管理してい
会議は「持続可能な森林経営」に関して、次の
るのは連邦政府のカナダ天然資源省(Natural
6つのクライテリア(基準)を設定した。これ
Resources Canada:NRC)であり、この下に森林
らはその後各州の森林法の中に明記された。
問題を担当する連邦政府のカナダ森林局
①種の多様性の保護
(Canadian Forest Service:CFS)がある。しか
②森林エコシステムの維持および増強
し、カナダにおける実際の森林管理業務は各州
③土壌および水資源の保護
政府の管轄であり、連邦政府・州政府の間で合意
④地球規模での環境サイクルに対する森林
さ れ た 森 林 管 理 協 定 (Forest Management
エコシステムの寄与
Agreement:FMA)に基づいて実施されている。こ
⑤社会に対する多角的利益
の森林管理協定の作成およびその他の連邦・州
⑥持続的開発に対する社会の信頼
2
さらにこれらの基準は、1996 年に定められた
実績が年間許容伐採量を大幅に下回っている。
カ ナ ダ 規 格 協 会 ( Canadian Standards
ケベック州では 100 万にのぼる湖沼が全州にわ
Association : CSA)の「持続可能な森林経営」
たり存在するとともに、河川が発達しており、
(SFM)規格に取り入れられた。この CSA 規格は
自然がきわめて豊かである。このため動物種、
上記の CCMF および各基準の要素(クライテリ
植物種が豊富で、爬虫類、両生類が 30 種以上、
ア・エレメント)と合致するほか、次の4項目
哺乳類が 60 種以上、鳥類が 200 種(このうち 1/3
を含む 8 項目を定めている。
が渡り鳥)
、植物 5,000 種以上、魚類 80 種以上
①任意の参加であること
が存在する。
②カナダ全州の法律と整合性を持つこと
このように自然が豊富なことから、州立公園
③ISO14001(国際標準化機構環境マネジメン
トシステム)を基礎とすること
18、ワイルドライフ・リザーブ 26 が設置されて
いる。またレクリエーション人口、狩猟人口、
④生産物に対するラベル表示は行わない
釣り人口も非常に多い。州人口 740 万人に対し
なお、この基準の検討に当っては、連邦・州
釣り人口 110 万人、狩猟人口 40 万人を数える。
政府、環境団体、先住民、消費者、科学者、大
林業はケベック州において重要な地位を占めて
学関係者、業界などによる技術委員会を設ける
いる。林産物の出荷額は 189 億ドル。紙パルプ、
ほか、NGO との協議も行われた。
製材品の 80%は輸出にまわされる。また総輸出
額の 20%を林産物が占めている。林業・林産業
4.ケベック州における森林と林業
の雇用者数は直接雇用だけで8万人で、250 以上
2
の自治体が林業・林産業に依存している。森林
に対し 76 万 km2 と 45%を占める。また、ケベッ
は木材の供給源としてだけではなく、レジャー
ク州においては公有地面積が全体の 92%を占め、
活動にとっても重要であり、23 億ドル(推定)
この半分が森林となっている。なお 50 万 km2 が
の経済波及効果がある。さらにメープルシロッ
生産林である。また所有関係別に見ると 91%が
プ、クリスマスツリーの販売額が 1 億 5,600 万
公有林、残り9%を私有林が占め、私有林所有
ドルとなっている。
ケベック州の森林面積は総土地面積 167 万 km
者は 12 万を超える。
森林の 74%が北方針葉樹林で、残りを針広混
交林、広葉樹林が占める。北方針葉樹林はブラ
5.ケベック州における持続可能な森林経営に
向けての動き
ックスプルース、混交林ではイエローバーチ、
ケベック州の林業は、1960 年以降、レクリエ
バルサムファー、また広葉樹林ではシュガーメ
ーション人口の増加、環境への配慮から森林の
ープルを中心に、イエローバーチ、ヒッコリー、
多角的利用が重視されてきている。特に 1987 年
バスウッドなどが主体となる。
に新しい森林政策、新しい森林法が制定され、
ケベック州では特にイエローバーチの比率が
大変革がなされた。これは公有地法に基づくも
高く、北米全体の約半分を占める。森林の年間
ので、公有林の機能を次の3つのカテゴリーに
許容伐採量は 5,600 万 m3(針葉樹 3,660 万 m3、
区分した。
3
広葉樹 1,940 万 m )
であるが、
最近の伐採は 3,230
①伐採禁止区域(公園、生態保護区)
万 m3(針葉樹 2,440 万 m3、広葉樹 790 万 m3)と
②ワイルドライフ、レクリエーション資源重
3
視地域(林業は従属的)
③林業重視地域(多機能的利用・環境的利用
も重視)
また、森林経営についても次のような規定が
なされた。
容伐採量を超えることは許されない。
TSFMA 保有者は TSFMA を保有しない加工工場
とグループをつくり、それら加工工場との間で
原木供給に関する契約を交わすことになる。こ
れについては各工場のニーズ、各工場に対する
①森林経営は持続的に行われること
他からの供給可能性、当該地域での持続可能性
②森林の生態的役割など、木材生産以外の役
が勘案される。
TSFMA 保有者には総合計画(25 年)、
割も重視すること
③公有林伐採は木材供給・森林経営協定
5カ年計画、年間計画の作成が義務づけられ、
責任を全うしていれば5年ごとに更新される。
(Timber Supply and Forest Management
雇用安定の観点から TSFMA 保有者の事業閉鎖は
Agreement:TSFMA)に基づいて行われること
禁止されているが、買収や統合は認められてい
(TSFMA については後述)
る。
④公有林材の配分には他からの供給(私有林、
チップ、古紙)も勘案すること
さらに、TSFMA 保有者には協定で定められた伐
採量に見合った造林事業の実施、年次報告の作
上記④が決められた背景には次のようなこと
成、立木代金の支払いが義務付けられるほか、
があった。従来、伐採ライセンス取得者が、取
RSFM を含む現行諸規定の遵守が要求される。造
得した林区の全ての立木に対し権利を得ていた。
林事業を行わなかった場合、州政府が代行し経
しかし、新制度ではライセンスを持たない多く
費を請求する。また河川沿い 20mを緩衝地帯と
の企業、特に製材工場がライセンス保有者から
し禁伐にするほか、斜度 40 度以上の傾斜地の伐
供給を受けられるように、TSFMA による契約のほ
採も禁止されている。
かに原木供給を受ける製材工場との間で契約を
行うシステムとなっている。
RSMF には野生生物生息地・リゾート地・ラン
ドスケープの保護、エロージョン防止、植林活
このように 1987 年森林法では持続可能な木材
動による水資源の循環や水質保全に対する影響
生産、森林資源の保護、森林の多目的な利用が
の最小限化などが定められている。RSFM の基準
中心となり、この目標達成のために「木材供給・
は天然資源省が環境生物大臣との協議によって
森林経営協定」(TSFMA)、「公有地における森林
定めるが、同時に先住民コミュニティーを含む
経営規則」(Regulation Respecting Standards of
森林利用者との協議も行われる。なお RSMF は
Forest Management for Forests in the Public
1996 年に改定されている。さらに森林管理マニ
Domain:RSFM)が制定された。
ュアルが制定され、従来人工造林を主体に行わ
TSFMA は州政府と企業(多くは製材企業)との
間で取り交わされるもので、これによって TSFMA
れていた伐採跡地の更新を、天然更新へ移行さ
せることが定められた。
保有企業は 25 年間にわたり協定に決められた一
1994 年には州天然資源省が独自に森林保護戦
定地域から一定量の丸太を伐採・搬出すること
略を決定している。これには予防的な造林活動、
が可能となる。この協定で定められた伐採量は、
TSFMA 保持者の森林管理計画作成に対する一般
当該森林に関するデータの変更、TSFMA 保有者の
市民の参加、伐採区域の縮小、生態系の重視な
ニーズの変更によって増減が可能だが、年間許
どが含まれている。また 2001 年までに除草剤の
4
使用を中止することとした。なお 1987 年以降、
既に 25 年周期で2回伐採が行われ、今回が3
最大の害虫であるハマキガの駆除には生物殺虫
回目であるという。これまでの伐採は良質材の
剤のみが使用されている。この草案段階で公聴
みを対象にした択伐であったが、今回は 20 年後
会がもたれ、1,000 人以上が意見陳述を行ったと
の良材生産に期すということで、低質材のみを
いわれる。
対象とする除伐が行われていた。生育はかなり
また 1996 年には森林法が改定され、森林閣僚
よいようで 30 年前に伐採した際のスキッディン
会議によって定められた持続可能な森林経営に
グ・ロードの跡も、指摘されなければわからな
関する6つの基準が、新しい森林法に盛り込ま
いほど更新していた。生産された材のうちアス
れた。また民有林の開発に関しても森林所有者、
ペンはパルプ用、その他広葉樹およびパイン類
州政府、木材産業、市町村からなる地域機関の
は製材・合板用に向けられている。
設定が定められた。
翌日ヘリコプター四機を連ねてさらに北の針
このように制度面からも持続可能な森林経営
葉樹地帯に入った。途中、伐採現場、植林現場、
に向けての動きが強まる中で、現在 14 の森林経
下刈り現場、ワイルドライフ・リザーブ管理事
営の現場が森林認証を取得している。種類は
務所など数カ所に着陸した。上空から見ると見
ISO14001、CSA が多く、FSC による認証は今のと
渡す限り緑、緑、緑。起伏はあるが高低差は大
ころないといわれる。
きくなく、丘陵林が続く。大小の湖(池)が点
在し、その間を河川が縫って走る。水辺に沿っ
6.ケベック州現場印象紀
てバンガローが点在する。これらは州が一般州
先ず最初に見たのがモントリオールの北東に
民に土地を貸与し、彼らが別荘として建てたも
位置するモン・レンブラン周辺の広葉樹林だっ
のだ。州の規則では水辺から 20mは伐採禁止に
た。ここは製材企業であるキャリエール社が
なっている。ここでは湖、河川でのカヌーなど
TSFMA を保有し、同社は自社工場で一部使用する
レクリエーション利用が多いため、60mは保存
ほか自社以外の6社(製材、パルプ)と契約を
するとしていたが、水際近くには赤く立枯れて
結び原料の供給を行っている。この広葉樹林で
いる針葉樹がみられる。これはビーバーがダム
はシュガーメープル、イエローバーチなどが主
を作り、水位が上がったために根の部分が水没
体となりホワイトパインなどの針葉樹が混生し
して発生する現象だといわれる。
ていた。
広葉樹林内での作業
ヘリコプターからみた針葉樹林
5
眼下の森林は針葉樹林、広葉樹林、針広混交
林が入り混じる。標高が低く湿潤なところでは
日 200 本と聞いているが、あまりにも大きい差
だ。山岳林と丘陵林の違いが歴然としている。
バルサムファー、イエローバーチなどが多く、
下刈り現場は 1991 年に植栽し、翌 1992 年に
標高が高くなりまた乾燥度が高くなるに従って
一回目の下刈りを行つたところで、今回が二回
シュガーメープル、レッドオークなどの広葉樹
目。これが終われば 30 年後の間伐まで放置され
林になる。また山火事などによる撹乱の跡地に
る。日本のように下草が繁茂するところでは考
はジャックパイン、レッドパインが侵入すると
えられないほど簡単だ。植生の違いに驚く。こ
のことだが、そのような様子が手に取るように
れは当然作業量の差になるし、また一般市民が
わかる。
森林に親しむ際の差になってくる。彼らが森林
降りた伐採現場ではジャックパイン、ブラッ
内を自由に散策できるのに対し、日本では登山
クスプルースの皆伐を行っていた。皆伐面積の
道、散策路をはずせば藪こぎを覚悟しなければ
上限は 50ha。生産された丸太のうちジャックパ
ならない。こんなことも日本における一般市民
インの一部は電柱用としてハイドロケベック
の森林保護に対する考え方が観念的になってし
(電力会社)に販売され、残りが製材用、パル
まう一因ではないかという気がした。
プ用に向けられる。なお伐採跡地にはジャック
ここではイエローバーチ、ファー、パインは
パインが植栽されていた。上空から見るとかな
天然更新を行い、スプルースを人工的に植栽し
りあちこちで伐採が行われている。そういう場
ている。またかなりの数の低質木、枯損木を昆
所は低空で飛んでくれたので、植栽の状況もよ
虫の巣とし、鳥類の餌とするために残していた。
くわかる。未植栽かと思っても目を凝らせば、
この近くで 10 年ほど前に大規模皆伐を行った跡
小さな苗が点点としている。ケベック州では人
地の上空を飛んだ。説明役をしてくれた担当官
工更新から天然更新へ移行させる方針を出して
も当時このプロジェクトにかかわったが、後の
いるが、見たところ針葉樹林はまだ人工更新主
鶏類保護の保存木
体だとの感じを受けた。
次いで着陸したのは植栽現場だった。ここは
混交林の伐採跡地でバーチなど広葉樹は萌芽更
新により、針葉樹はブラックスプルースなどの
人工植栽を行っていた。この植栽を請負ってい
るのはプチ・ナシオンという協同組合である。
これは 1978 年にそれまで他所に雇われていた林
業労働者が雇用安定のために自分たちで組織し
た組合で、現在は組合員 50 人。5~10 月には女
子も含め学生アルバイトを雇って事業を実施し
ており、活動範囲もモントリオール周辺からオ
タワ周辺まで広範囲にわたっている。彼らの作
業量は2年生苗で1日 1,500~2,000 本、3年生
苗で 800 本程度ということであった。日本では 1
6
更新が心配で面積を縮小するよう主張していた
という。しかし今では立派に成林しており、彼
も感慨深げであった。これだけの大面積皆伐で
も更新は可能なのだから、現在のように皆伐面
積を縮小し、かつ注意深く施業している以上、
ケベック州の林業は十分持続可能だと言いたか
ったのだろう。
その後ワイルドライフ・リザーブの上空を飛
んだ。ここはムースの生息地で朝夕ならば沢沿
いに水浴びする姿が見えるという。このワイル
ドライフ・リザーブでも伐採が行われている。
これは林分の林齢によって生息する動物の種類
が異なるためで、種の多様性を維持するために
は、伐採、更新を行うことで多様な林分構成を
作り出してやらねばならないということであっ
た。
日本木材総合情報センター
荒谷明日兒
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