医師、研究者、医療関係者への研究助成

(財)
ファイザーヘルスリサーチ振興財団による
医師、研究者、医療関係者への研究助成
どんなに進んだ医療技術があっても、それを必要としている人に適切に提供できる仕組みがなければ生かすことはできません。
そのためには、現在の医療システムの問題点を探り、どう解決し、どう医療現場の改革や
保健医療政策・立案に反映させていくかを考えなければなりません。
ヘルスリサーチは、一人ひとりのクォリティー・オブ・ライフ
(QOL)
の向上を目指し、
すべての人が必要な時に最高の医療を、少ないリスクで受けられるための社会システムづくりを研究する学問です。
ファイザーは1992年3月、日本ではまだ知られていなかったヘルスリサーチの調査・研究・振興のために基金を拠出し、
財団法人ファイザーヘルスリサーチ振興財団を設立しました。
以来、国際的な視点からの様々なプロジェクトへの助成、研究者の国際交流の場を提供しています。
出会いと学びの場を提供し、研究者育成へ [第2回ヘルスリサーチワークショップ]
ヘルスリサーチ振興財団はヘルスリサーチの土壌を作るた
め、様々な視点からの議論をする
“出会いと学び”
を目的とする
ワークショップを2005年から始めています。医療関係者だけ
にとどまらない多様な人たちが集い、議論を通して、これから
の医療を考え、将来のヘルスリサーチの研究者を育成しようと
いう試みです。
2006年1月28日∼29日の2日間に行われた第2回ワーク
ショップでは
「2030年への羅針盤ー人口減少時代の保健医療
モデルを探るー」を基本テーマに財政、革新、連携、教育の四
つの切り口による分科会に分かれ、計5時間に渡る熱心な討議
を行いました。2日目の午後には、それぞれの分科会の発表、
総合討議と進行し、格差社会、自己責任、コミュニティ、信頼な
どいくつもの重要なキーワードを巡り議論が盛り上がり、豊か
活発な議論が交わされた分科会
な人的交流の場になりました。
介護から生命倫理まで、ヘルスリサーチへの多様な試みを報告
[第13回ヘルスリサーチフォーラム/2006年度研究助成金贈呈式]
2005年度にヘルスリサーチ振興財団から研究助成を受け
た方々を中心に研究報告を行うヘルスリサーチフォーラムと、
2006年度の研究助成金贈呈式が、2006年12月2日、都内
の会場で約150人の参加者を得て開催されました。
今回の発表では医療とリテラシー、医療と介護・ケア、医療
と生命倫理など6つのテーマの研究成果が23人の研究者から
報告され、会場からの質疑応答も行われました。
また、ランチョンセッションとして、五つの小会場で昼食を取
りながらポスターセッションを聞くという試みも実施され、14
人の研究発表に各会場とも入りきれないほどの聴衆が集まり、
好評を博しました。
午前と午後の部の間に行われた2006年度の研究助成金贈
呈式では、新規採択者一人ひとりに助成決定証が手渡されまし
た。2006年度の研究助成は国際共同研究5件、若手国内共
同研究13件の計18件で、総額4,479万円となります。
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東京・紀尾井町で開かれた第13回ヘルスリサーチフォーラム
Pfizer Health Research Foundation
2006年度助成採択研究テーマ一覧
国際共同研究(5件)
◉ 日本、韓国、英国での回想法の内容分析を元にして日本人特有の考え方や精神性(スピリチュアリティ)
を明らかにし、日本人のがん患者に特化した回想法を開発
◉ 薬剤経済学において増分費用効果比がいくら以下なら費用対効果に優れているといえるか、各国の保険償還にも影響する可能性のあるその閾値を日韓を中心とした
東アジア地域でインターネット調査により測定
◉ 睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングとその予防の費用効果についての日米比較疫学研究
◉ 外来定期受診によるがんの早期プログラムの費用効果分析̶肝細胞癌に対する治療戦略の日米差からみた評価
◉ 新薬への薬剤経済評価の活用方法に関する国際比較研究
若手国内共同研究(13件)
◉ 患者、患者の家族、医療者の暗黙知を形式知にすることで相互のコミュニケーションの向上を図り、学問とすることで医療メディエーターを育成し、
患者、患者の家族、医療者の間にはいり相互の信頼関係の構築を補助
◉ 行政分野で働く保健師のキャリア志向の尺度開発 ∼ 信頼性・妥当性の検討 ∼
◉ 薬剤師の疲労の日内変動と調剤エラーへの影響及びその要因に関する研究
◉ 市町村合併による過疎地医療機能の変化とその対策に関する研究
◉ 在宅高齢患者に対する薬剤の実態と安全性に関する研究
(65歳以上の在宅患者に対し
「安全面から避けるべき処方」
のprevalenceとrisk factorを明らかにし、
適切な薬剤処方に向けた方策
(ガイドライン等)
を開発する)
◉ 難病患者を対象とした
「IPS(Individual Placement and Support)」モデルに基づく保健・医療と就労の総合支援プログラムのインパクトに関する評価研究
◉ 臨床評価過程における累積情報の統合的活用に向けた統計基盤の研究
◉ 薬剤処方行動学の研究 ∼日本における医師の処方行動に関する研究および諸外国における処方システムの動向調査 ∼
◉ ファーマコヘルスリサーチ ∼ 薬学および社会・人間科学の融合による薬物治療に関するヒヤリハット事例解析
◉ 日本における疫学研究の公益性とプライバシー保護のバランスについての検討と社会的合意形成ならびにサイエンス・コミュニケーションのあり方に関する研究
◉ 抗悪性腫瘍薬第 I 相試験参加を情報提供された患者の意思決定過程に関する研究
◉ 医療経済および患者や家族側の顧客満足度の観点からの在宅症例の解析・評価、最適化した在宅医療の提供に関する研究
◉ 医療コミュニケーションスキルと臨床推論能力は医学的知識が増えるにつれてどのように変化するか
? 財団法人ファイザーヘルスリサーチ振興財団とは
医学研究といえば、病気の原因、診断法、治療法を見つける
現在まで、506件総額13億6,600万円を研究者に助成し、その
こと、つまりバイオメディカルリサーチと考えられています。しかし
研究成果をわが国の保健医療福祉の向上に役立てています。
治療法があっても例えば経済上の理由で医療を受けられない場
合や、最適な治療が可能な病院の所在が分からなかったりするこ
すべての人々のQOLの向上
ともあります。誰もが必要で最適な治療が受けられるシステムがな
いと、治療法だけ確立しても意味がありません。こうした医療問題
の解決には医療者側のみならず受け手の立場にも立ち、情報シ
医療技術、治療法などの発達
(医学、疫学、薬学など)
(医学、法律学、経済学、心理学、統計学など)
ステム、経済、法律、保険、医学教育、行政制度など様々な分野
を総動員して新しいシステムを構築する必要があります。
ファイザーヘルスリサーチ振興財団は従来の“医”の分野にと
医療と患者さんを結ぶ
最適な社会システムの構築
バイオメディカルリサーチ
ヘルスリサーチ
どまらない学際的で問題解決型の研究学問「ヘルスリサーチ」
を
支援するため、ファイザーの社会貢献活動の一環として1992年に
ファイザーヘルスリサーチ振興財団
設立され、1994年に特定公益増進法人として認定されました。
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