選挙用品ワールドハントの旅

日本の選挙プロが世界の選挙を巡る
“選挙用品ワールドハントの旅”
2012 年は世界規模の選挙の年!近隣諸国の指導者が選挙をします。
日本も解散総選挙があるかもしれない選挙の年。この願ってもないタイミングに、日本の選挙プロが、世界の
選挙現場を視察する“選挙用品ワールドハントの旅”を実施します。
日本の選挙プロが台湾から始まり、最終目的は韓国を目指して世界の選挙を視察し、日本との違いや共通点に
触れる単身自腹の旅を実施しています。
世界の選挙と日程 日程
国・選挙種類
現指導者
ポイント
馬英九 馬総統が再選? ★1/14 視察
1月
台湾総統選
3月
ロシア大統領選 メドベーチェフ プーチン首相返り咲き? ★2/23 視察
3月
香港行政長官選 曽蔭権 梁振英氏VS唐英年氏 ★3/25 視察 5月
フランス大統領選 サルコジ サルコジ大統領が再選?
6月
モンゴル国政選挙 朝青龍出馬!?
9月
日本民主党代表選 野田佳彦 野田代表が再選? 10 月
中国共産党大会 胡錦濤 習近平氏が主席に就任? 11 月
米国大統領選 オバマ オバマ大統領が再選? 12 月
韓国大統領選 李明博 再選禁止、ハンナラ党?
※あとメキシコなども検討中。
旅の目的 世界ではどんな選挙がおこなわれているのか?世界の選挙用品を収集。
社会主義国の選挙PRはどうなっているのか?選挙用品は何を使うの?など
選挙PR手法を現場で目の当たりにし、日本の選挙との違い、共通点をあぶり出します。
政治等難しい話ではなく、選挙PR方法や選挙用品などをゆるく紹介していきます。
旅人「田村 亮」プロフィール 選挙用品ドットコム代表/著書「28 歳で政治家になる方法」(経済界):田村亮
海上自衛隊幹部候補生学校卒。『選挙を変え、政治家を変え、政治を変える』を信条に全国3000件
以上の選挙をサポートし続けて、選挙PRの要、選挙用品の第一人者となる。特に新人候補者の水先案
内人として定評がある。現役政治家へのアドバイスのみならず、米国大統領選挙で大使館に用品提供支
援や、木村拓哉主演TVドラマ『CHANGE』の用品監修をはじめ、多数のメディアで専門家として
取材された。著書『28歳で政治家になる方法』は、当時の統一地方選挙で話題を呼んだ。
ただし、日本の選挙のプロではあるが、世界の選挙はど素人の無知。英語もしゃべれません。単身・自
腹のカネなし、コネなし貧乏旅行です。
この旅の最終目的は… ズバリ、韓国大統領選挙に、日本の技術の結晶、メイドインジャパンの選挙ポスターを売り込むこと!?
“カネなし、コネなし、英語駄目”の旅人が、1 年間でそんな尊大な目標を達成できるのか
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“選挙用品ワールドハントの旅”
視察レポート②
~ 2012 年 香港特別行政区行政長官選挙 視察 ~
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社内資料
2012 年 香港特別行政区行政長官選挙 視察
視察者
選挙用品ドットコム 代表:田 村 亮
視察日程
2012 年 3月 23 日 ∼ 3月 26 日 (投開票日:3 月 25 日)
場
香港市街
所
1 国 2 制度という中国。香港特別行政区行政長官(特首)選挙の視察
視察目的
1)香港の選挙の仕組み
2)特首選挙のタイムライン
3)選挙の考察
4)ボランティア
5)感想
1 香港の選挙の仕組み
選挙基礎情報
◆
香港政府
1997 年 7 月 1 日に中華人民共和国へ返還以後、1 国 2 制度体制。
特首(行政長官)・3 司長 11 局長(閣僚相当)・行政会議により運営される香港の自治権は、
外交と防衛を含まない
◆
選挙種類
香港特別行政区行政長官(特首)選挙
選挙制度:変則型 間接選挙
政府選出による選挙委員 1200 人(有効投票数)の過半数を得た者が当選となる。
該当者がいない場合は、上位 2 位の間で、再投票を行う。
選挙費用は 950 万香港ドル(1,000 万円)が上限正式出馬決定後は、候補者を単独で講演会や
イベントに呼ぶことは原則、禁止。
◆ 被選挙権
行政長官に立候補できるのは、香港特区の永久居民(永住権取得者)で中国の公民、かつ外国
に居留権がない者。年齢は満 40 歳以上で、香港に 20 年以上居住していることが条件立候補に
は、上記と別に、150 名以上の選挙委員から推薦を得なければならない。
◆
◆
立候補者
唐英年 (別称:ヘンリー・タン、唐唐、無能なブタさん)
親中派
前香港特区政府政務長官(特区政府ナンバー2)。1952 年生まれ。
米ミシガン大学卒。返還前は立法評議会議員を務める。1997 年に行政会議
メンバーとなり、03 年から特区政府財政長官、07 年から政務長官を務める。
父親の唐翔千氏は中国の江沢民前国家主席と親交が深い。
財界からの支持がある。
梁振英 (別称:リョン・チャン・イン、CY、英英、腹黒いオオカミさん)
前行政会議召集人。1954 年生まれ。
香港理工学院(現香港理工大学)を卒業後、英国に留学。測量士として香港
で自ら会社を起こす。1997 年に行政会議メンバーとなり、99 年から召集人
を務める。香港返還に関する『中英共同声明』の起草にも携わった。
何俊仁 (別称:アルバート・ホー)
民主派
1
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香港民主党主席、立法会議員 1951 年生まれ。
香港大学卒。返還前の 1995 年に立法評議会議員に当選。98 年に立法会議員
となる。2006 年から香港民主党主席。
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◆
選挙背景
前回、2007 年特首選挙での直接選挙を期待する声や、要求が香港市民の間で大きかった。
ところが、中央政府(全人代)は「2007 年に直接選挙を実施するとの意味ではない」と、
こうした期待を裏切った。
そのような背景の中、中国中央政府の影響を受ける香港政府に対する不満が、2012 年選挙
において、民主化デモなどのアレルギー反応を起こしている。
23 条問題
中国中央政府は、香港特区内の(中国)国家反逆・分裂・転覆など
をする組織を禁じる立法制定を特区政府自らに義務化した問題。
中央政府は、第 2 の天安門事件を防ぐため、民主派を警戒している
出馬できなかった、葉劉淑儀女史。
2003 年、23 条制定に抗議をする市民デモに対する失言で失脚。
その後、留学先のアメリカから香港の政治界に戻った特首選挙の
ダークホース。(選挙推薦人 150 人以上の支持者が得られず出馬断念)
再選挙が行われる可能性があれば、
「葉劉淑儀女史こそ特首に!」という呼び声が高い人物。
◆
選挙結果(3/25)
投票数 1132 票。
梁振英 689 票 60.87%(当選)
何俊仁 76 票 6.71%
唐英年 285 票 25.18%
無投票が 61 票、棄権(白紙)75 票、無効が 7 枚
・過去の当選得票数
1996 年:董建華氏 80%
2007 年:曽蔭権氏 84%
2012 年:梁振英 61% 過去最低
当選を知らせる号外
◆
香港大学主催のボランティア市民投票 結果(3/24 実施、3/25 発表)
投票数:約 220,990 人
梁振英:39,614 票 17%
何俊仁:25,452 票 11%
唐英年:36,226 票 16%
棄権(白票):121,580 票 54%
なお、募金:80 万香港ドル
(約 800 万円)で実施している。
2
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2 特首選挙のタイムライン
唐英年、梁振英出馬表明
・ 2010.11 月
支持率:唐氏が 43%、梁氏は 13% 『明報』より
・ 2011. 8 月
支持率:唐氏が 27.4%、梁氏は 27.9%
・ 2011.5 月
范徐麗泰(リタ・ファン)全人代常務委員 出馬
ほのめかし(結局、断念)
・ 2011.10 月
唐英年、愛人スキャンダル発覚
・ 2011.10 月
支持率:唐氏が 14%、梁氏は 40.8%
・ 2011.12 月
選挙委員会選挙にて、唐氏の支持者が数多く当選
・ 2012.2 月
住宅違法増改築が発覚
・ 2012. 3 月
唐英年、私生児スキャンダル
・ 3 月 16 日
TV ディベート 「梁振英氏の市民デモ弾圧」発言
(公開弁論大会)
・ 3 月 12 日
全人代閉幕後、温家宝・首相が「厳格に法に基づいて
処理しさえすれば、きっと多くの香港人が支持する行
政長官を選出できる」発言(再選挙拒否の意志表示?)
・ 3 月 19-22 日
劉延東ら中国中央政府高官を深セン市に派遣。香港の
各界有力者に接触(選挙介入?)
・ 3 月 19 日
TV ディベート(公開弁論大会)
・ 3 月 24 日
ボランティア市民投票開始。
サイバー攻撃でサーバダウン事件。
・ 3 月 25 日
香港特首選挙投開票
→当選=梁振英:60.87%
何俊仁:6.71%
唐英年:25.18%
・ 3 月 25 日
発表…香港大学主催
→梁振英:17%、何俊仁:11%、唐英年:16%
棄権(白票):54%)
・ 3 月 25 日
選挙時:民主派が 2000 人規模の抗議デモを展開。
選挙結果発表時:中国政府の選挙介入に抗議するデモ
が行われた
・7月1日
特首就任式(中国返還記念日)
3
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3 選挙の考察
4 ボランティア
考察
ボランティア市民投票
香港最大の関心は、行政長官選挙が普通選挙になるこ
とです。
これまでずっと 2012 年の行政長官選挙の普通選挙を
求めてきましたが、実現はできず、次の焦点は 5 年後
の 2017 年です。
今回の選挙を前に、「普通選挙だったらどうだったの
か」
香港大学による大規模な「ボランティア市民投票(民
意調査)」が行われた。
(港大民意研究計劃「全民投票選特首」)
選挙当日、行政長官選挙の投票権を持つ人々の多数が
白紙を入れた場合、選挙戦はやり直されます。
再び、出馬表明、候補者の決定からやり直しとなりま
す。
それは、資金がないため寄付を募り、民間からの募金
80 万ドルで実現した
「香港大学による市民のための民意調査」です。
1 ヶ月前まで、香港政界は多数が唐英年支持が多数で
した。
中国中央も、唐唐支持だといわれており、それは、圧
倒的でした。
しかし、選挙戦の白熱化でスキャンダル暴露合戦とな
り、候補者に対する市民の支持率は低下。
(中国に隣接する香港は、腐敗した政治に対する嫌悪
感は並大抵のものではない)
中国中央が直前まで特定候補への支持を明確化しな
かったことから混迷状態となり、
民主派や唐氏を支持する選挙委員が白票を投じて選挙
が流れる可能性が高まった。
香港の世論は、“二人とも香港リーダーには適してい
ない”という意見が主流になっていました。
また、香港の政治学者、蔡子強氏は、香港紙「明報」
にて、“特に今回熱心に声を上げた若い世代が、ここ
数年社会問題化している産業界の政治的権力膨張をあ
まりに重視しすぎる”あまり、産業界のバックアップ
を受けた唐氏を陥れ、逆に政治的に共産党に近い梁氏
が漁夫の利を得ることになった、とまとめている。
私がヒアリングした 50 代の香港男性の話でも、
「息子、
娘世代は、仕事そっちのけで政治に心頭している傾向
がある」と話していた。
また、イギリス統治時代の香港と比べると…
イギリス統治時代は政治に関心のある香港人は少な
かった。政治はイギリス人に任せ、政治の関心も寄せ
ず、ただ、経済活動に専念した。
しかし、返還後、同胞たる香港人が、政治を始めると
途端に、不満が噴出した。香港人が政治に関心を向け
るようになったという。
投票には ID ナンバー管理など二重投票が出来ないか
なり精密な仕組みで運営し、
インターネット投票及び、実際に街中に投票場も設置
された。
(ここで集められた個人データは決して流出などがな
いように香港大学によって、即座に破棄されます)
しかし、調査がスタートした翌日未明、インターネッ
ト投票のサーバーがダウン。
何者かが 1 秒に 100 万を超えるアクセスをしたと判明
した。
「香港大学による全民投票選特首インターネット投票
のサイトが攻撃され、サーバーがダウンしました」
「香港大学の記者会見を生中継でお届けします」
「警察発表によると・・・」
市民投票は、サーバーがダウンしたという事実が、繰
り返される報道で認知度が上がり、
多くの市民が「投票所」に、市民が直接足を運ぶ結果
に繋がる。
現実にはその結果が反映されない「民意調査」のため
の投票に
市民は、香港中に設置された投票場に、直接足を運び
ました。
自分たちには直接選挙権がない自分たちの代表選び。
そういう仕組みだからしかたがないからと流れに任せ
るのではなく
それでも自分たちの意志を伝えようとする香港市民の
姿があった。
コメント
その日、この攻撃によるサーバーダウンは、香港中の
メディアで報道され続け、
その進捗や結果もずっと追いかけられ、
まるで「公式」なもののようになっていったことが、
とても香港らしい動きだと、わたしは思いました。
「ジャパナビりえ的香港 TV 道」引用。一部改編
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5 感想
感想
蛇足(北朝鮮ミサイル問題)
2012 年特首選挙は、今の香港という存在そのもの。
それは中国政府との関係そして民主化以降の段階等多
くの矛盾をはらんでいる。
民主派候補:何俊仁氏。勝ち負けは関係なく、
「候補者」
としての舞台で民主派としての主張をすることができ
る、それが最大の出馬目的であり、香港に欠かすこと
のできない存在です。
世界の選挙を通してみて思うことに、今回のような政
治デモをしている人は、それ自体が結果を左右すると
は思っていない。また、選挙制度を変えるのが目的で
もない。本当の目的は、既得権益を一掃するのが想い
の根底にあると感じる。
日経メディアと欧米を中心とする世界メディアの報道
の切り口やニュースのトピックスの違いに違和感を感
じました。
2012.3 末の視察にて、世界メディアのニュースを見
た感想。
北朝鮮ミサイル問題での報道では、日本の自衛艦の出
港映像や、ミサイル発射映像。ミサイル弾道の CG。
迎撃ポイントや迎撃兵器について、繰り返し報道され
ていました。まるで開戦といった面持ちでした。
私がかつて属した自衛隊という組織は、映像で見ると、
軍以外の何物でもなく、北朝鮮ミサイル騒動は、戦争
のように他国メディアでは報道されていたことは印象
的でした(強調しますが、これはあくまで私見です)。
参照資料
「りんご日報」、
「明報」、
「東方日報」、
「新報」、
「西報」、
「太陽報」、
「晴報」、
「headline daily」、
「南華早報」、
「CNN」、
「BBC」、
「NEWS WEEK」ふるまい よしこ氏、「香港ポスト」、「Wikipedia」、「ハーベスライフ香港」、「虹とモンスーン(だった場所)」
「ジャパナビりえ的香港 TV 道」、「china daily」(中国日報) ◆
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本レポートは、現地の方の話や持ち帰りの情報を元に考察しています。選挙については、私見を含めて書いております。
また、政治、政局に関する記述は立場により見解が異なるため本レポートでは、極力触れないことで、事象の公平性の担保に努めております。
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