浦戸湾海域の水環境に関する研究

浦戸湾海域の水環境に関する研究
潮流および海水交換の特性大年 邦雄・松田 誠祐
(農学部生産環境工学科)
Research on the Water Environment
theUrado Bay Area
Around
-Tidal Flow and Tidal Exchange −
Kunio
Department
Abstract: Urado
environment
Bay
Ohtoshi
of Environmental
and
Seisuke
area is of a great importance
in Kochi city. New
Matsuda
Technology, Faculty d Agriculture
Kochi harbor
to industry, transportation and
that would
life
be expected to bring a social
activity is now under construction just beside the bay mouth.
The area faces a new
situation for future prosperity. The purpose of this research is 七〇understand and estimate
the present coastal conditions, and to predict the future water
Urado
Bay.
phenomena
environment aroud
the
This paper, as the first step for such a purpose, deals with the tidal exchange
through the
キーワード:浦戸湾,
bay mouth
on the basis of numerical simulation.
潮流,海水交換,数値シミュレーショーン
1.はじめに
高知県の浦戸湾は,高知市の産業や市民生活の母体ともなっている海域である.その湾口部は,
西に桂浜,東に種崎の砂浜が延びて太平洋の波浪を遮り,湾内水面積6.5
、の南北に細長い静穏な
海域を形成している.現在,外海に面した三里地区沖には高知新港が建設中であり,この海域周辺
は新たな展開を迎えつつある.浦戸湾周辺海域には今後さらなる開発の手が加えられることが十分
予想され,その社会的重要性は益々高まるものと思われる.
したがって,その環境を保全・改善するとともに自然災害に対する防災力を十分確保するための
さらなる施策を追究する必要があろう.本研究は,閉鎖性の強い浦戸湾海域の水環境を把握しに流
況改善も含めて将来を予測・展望することを目標に設定しているが,本報では,湾内の潮流にっい
ての検討結果および湾口部に設置された桂浜防波堤が湾内水の海水交換に及ぼす影響についての検
討結果を報告する. ニ
164
高知大学学術研究報告 第如巻(1997年)、自然科学
2。浦戸湾の地形的変遷および潮流に関すjる現地観測結果
紀貫之が今の大津船戸から乗船し,室戸岬を迂回して京都に帰任した当時(934年)の入江は現在の
数倍に及んでいたようであるが,その後の浦戸湾海域の地形的な変化の概要は以下のようである1).
湾口部は岩礁と堆積する土砂のために船の出入りしに支障をき万たしたため,長曽我部元親(1580年
頃)や野中兼山(1660年頃)が突堤や導流堤を築造し,湾口部の航路埋没の防止を図った.明治以
後も桂浜側に「T字波止」,種崎側に「第一波止」などの構造物が築造ざれ,土砂め湾外流出を促
した.その後,湾奥部の埋立てや高知港の整備に伴う=各種施設の充実や浚渫が行われ,昭和30年当
時には第1図に示すような地形であった. し
平地に乏しい高知市では,新たな工業用地や商業用地を求めて浦戸湾の埋立てが進められた.湾
■ ■ 一心 ■ ■ ■ ■ ■
奥部の潮江,引化合地区から始まり,七井田,種崎地区へと続けら九√第2図jに示す現在の浦戸湾
の地形はほぼ昭和40年代前半に完成した.それ以後√湾内の埋立ては休止されたままである.
浦戸湾海域の潮流観測は,第五管区海上保安本部水路部が1972年に実施しており,第3図に示す
19の観測点において大潮時海面下3mでの潮流速が連続観測さしれた.ト浦戸大橋地点の湾口部が西流
最強(上げ潮最強時)と東流最強(下
げ潮最強時)における観測結果を,それぞれ第4図および第
5図に,恒流を第6図に示している.これらより,
これらより,浦戸湾海域の潮流は次のような特徴をもってい
る.
へ
図1 昭和30年当時の地形
図2 現況地形(高知新港建設前)
浦戸湾海域の水環境に関する研究(大年・松田)
図4 西流最強時の潮流(観測,平均大潮)
図3 潮流観測点の配置
瀬戸
図5 東流最強時の潮流(観測,平均大潮)
図6 恒流(観測,平均大潮)
165
166
高知大学学術研究報告‥第如巻(1997年)自
(1)上げ潮最強時 ●●●●●●● ●●●●●
種先半島南岸沿いに流入する外海水は,湾曲9縮幅七た湾口部で流速を増したのち北上し,流水
断面が急拡する中州沿岸部で急激に減速して2つに分流するよその主流は湾東岸に沿って直線的に
湾奥へと北流し,支流は瀬戸地先へと向かうj上げ潮最強時め潮流速は浦戸大橋付近で最も速く,
観測結果では40Cm/S以上となっている. /
(2)下げ潮最強時 犬 △=‥ ‥‥‥‥
湾奥の東孕地先を南流する主流と瀬戸地先から南流する支流とが中州沿岸部で合流し,湾口部を
通過して桂浜防波堤沿いに土佐湾へ流出する.流速は浦戸大橋付近で最も速く,観測結果では局所
的に70Cm/S以上がみられる.
(3)恒流 し .● 上 …… ……
湾央部と湾口部では反時計回りの環流がみられるもめの,全体としては流出流である.流速の最
強部は湾口部で10Cm/S前後,最弱部は湾央でト々2
Cm/Sとなっている.
これらの観測結果は後述する数値計算結果と比較される.ト ニ
3.潮流と海水交換の数値モデル
沿岸海域における物質の移流や拡散を取扱う場合,流れの流速・流向と拡散係数が重要な要素と
なる.流れは溶存または混在している物質の濃度の影響を多少なりとも受けているが,j物質濃度が
十分小さければ,物質濃度とは独立に流れの計算を先行して行い,求められた流れの場で物質拡散
の計算を行うことができる.この場合,通常,拡散方程式を基礎式として濃度め拡がりが計算され
る.しかし,海水交換現象の予測にとっては,物質が何処からどのような経路を通って何処に移動
するかが重要であって,拡散計算による結果としての濃度分布だけでは不十分である.すなわち,
物質の移動に関する時・空間的な情報を知ることが必要であるレレ ユ
ここでは,沿岸海域での海水交換現象を予測する手法のうち,最も頻繁に用いられている二次元
単層流れのモデルと,そのモデル心より求められた流れ場で慨物質移動を追跡するオイラー・ラグ
ランジュ法について概述する.
3.1潮流の数値モデル \
水深方向に平均化された二次元単層流れの基礎方程式は次々ように表わされえ).
(1)
答十喘十≪-ル申喘大祭十今卜言ユダ=j,
(2)
∂F
∂Z
(3)
・喘1ぐ十/び十喘・7甫[言T十分]+gy回ツぷ]jク:゛0
ここに,式(1)は連続式,式(2)および式(3)はそれぞれX方向紅よびy方向の運動方程式である.
式中の記号の意味は次のようである. ダ・
U:x方向の流速成分,V:y方向の流速成分,t:時間,△g:重力加速度,
ぐ:平均水面からの水位変動量,h:基準面からめ水深√∇了:コリ:オリ係数,
浦戸湾海域の水環境に関する研究(大年・松田)
167
Ah:水平渦動粘性係数,C:シェジー係数
なお,水平渦動粘性係数Ahについては,著者ら2)および小松ら3)にならい式(4)で定義する.また,
シェジー係数Cは式(5)のように定義する.
j j
4 lO
ぐ ぐ
Ah=au.(h十ぐ)
C=上(九十ごつ
?Z
ここに,αは比例係数,nはマニングの粗度係数,u.は摩擦速度でありマニング則より次式で評
価する. j
い=n石 ̄(ん十ぐ)1
(6)
水平渦動粘性係数は流体の運動状態や運動規模によってその大きさは変化するものであるが,従来
の解析モデル4)では,格子間隔の4/3乗に比例する量として,対象とする全海域に一律に与え,
しかも時間によらず一定としている.このような与え方は非定常な潮流場の計算を行う上で明らか
に不合理である.したがって,ここでは,場所的・時間的変化を考慮するために,摩擦速度と水深
に比例する形で水平渦動粘性係数を与えている.ただし,比例係数αについては別途検討する必要
がある.
3.2海水交換の数値モデル
上述したように,沿岸海域における物質の移動や分布を扱うためには,海水粒子の動きを追跡す
る必要がある.この問題に対処する自然な方法は個々の海水粒子の移動に直接注目するラグランジュ
の運動方程式系を解くことであるが,それを具体的に実行するのは容易ではない.そこで,海水運
動を流速の場とその変形で捉えるオイラーの運動方程式系をまず解剖その結果求まった流速場の
中で個々の海水粒子がどのように動くかを調べる方法が用いられる.このような手法はオイラー・
ラグランジュ法と呼ばれる.
従来より,物質輸送には恒流や恒流のシアーが重要だといわれているが,恒流は単なる数学的な
平均流であって物理的な実体は明確でない.短い時間スケールにおける物質の移動にとって重要な
のは,時間とともに変化する流れそのものであって恒流ではない.たとえば,湾口を通七ての海水
交換では,交換される水塊が移動する範囲内にどのような潮流が時間的に分布しているかが重要な
のであって,湾口断面の恒流は意味をもたないトこのとき,上述したオイラー・ラグランジュ法が
有効となってくる.また,この方法を用いると,どの部分の水が交換され易いのか,それらの水塊
がどれくらいの時間をかけてどのように移動していくのかということも検討可能になる.
さて,計算されたオイラー流速場を用いて海水粒子の運動を追跡する計算アルゴリズムには種々
のものがあるが5),ここでは,
Predictor-Corrector法に乱流拡散を考慮する手法を用いる.すなわ
ち,使用する演算式を示すと以下のようである.
ぐ
△xa=
03
△X=(u(t)十u*(t))△t/2
C3
ここに、 1
X(t)=(X、Yこ〉:t=n△tにおける粒子の位置ベクトル
jjjj
7 00
ぐぐぐ1
X(七十△t)=X(t)十△X十△Xd
168
高知大学学術研究報告 第46巻:(1997年)し自然科学
u=u(X)=(U,V):粒子位置Xでの流速ベ
クトル 上 尚 ●.
X(t十△t)ご(X。1,Y。。1):求めたい粒子
の位置ベクトル
u*は粒子位置X*における流速ベクトル
aは[0,1]のランダム変数,Kは乱流拡散
係数
この方法は,乱流拡散係数を適切に与えるこ
とができれば,より現実的な予測を可能にする
ものと考えられる。
4。シミュレーション結果
式(1)∼式(3)を離散化し,
AD
I法を用いて
潮流の計算を行った6)計算対象領域は,東西
6.4km,南北9.4kmの範囲で,空間刻みを△s=
100mとした(第7図参照).潮汐周期はM,分
潮の12時間25分とした.他の計算条件について
は,桂浜験潮所の潮位変動および前述した現
図7 計算対象領域
地測流結果との比較より検討し,時間刻みを
△t=60秒,マニングの粗度係数n
=0.025,コ
リオリカは考慮することとした.なお,河川流
人は考慮していない.
初期状態は静水面とし,開境界部分に周期的
な潮位変動を正弦波状に与えて潮流の計算を進
の変化パターンと潮汐残清流を求めた.対象と
した潮汐は平均大潮,平均潮および小潮の3種
l o づ
段階(5周期経過)で,1周期内における潮流
盾ぺEi∼こ︵j込憲
めた.計算が安定し周期毎の変化がなくなった
である.なお,桂浜験潮所の潮汐調和定数より
求めた同所の潮差は,平均大潮で1.420m,平
均潮で0.984m,小潮で0.548mである.
港の工事着手前)と桂浜防波堤設置前の地形の
︵日︶垣
対象とした浦戸湾地形は,現況地形(高知新
0
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● \ / …………`\I?/
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2種である.
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4.1潮流の特性
大潮の条件において,第7図に示されている
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……、 地点
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χ≒ z゛
A∼Dの4地点での潮位変動および浦戸大橋地
点における潮流速と潮位の時間変動を第8図に
才 ・‥ 潮汐数
示している.
図8 潮流速および潮位の時間変動
浦戸湾海域の水環境に関する研究(大年・松田)
これによると,湾内外の潮位変動には感潮狭水路を挟む海域にみられるような顕著な位相差7)は
殆どなく,ほぼ一様な変動を呈している.また,浦戸大橋地点での潮流速と潮位にはπ/2の位相
差があり,典型的な定在波となっている.このような特性は,平均潮および小潮においても同様で
ある.
次に,浦戸大橋地点の湾口部を基準として,西流最強(上げ潮最強時)に満潮憩流,東流最強
(下げ潮最強時),干潮憩流の各潮時における潮流および一周期平均で求めた潮汐残流流の計算結果
を第9図に示している.前述の観測結果との比較および桂浜防波堤が及ぼす影響に着目七て,浦戸
湾海域の潮流特性を検討すると以下のようである.
(1)上げ潮最強時
現況地形では,観測結果と同様に,種先半島南岸沿いに流入する外海水は,湾曲・縮幅した湾口
部で流速を増したのち北上し,流水断面が急拡する中州沿岸部で急激に減速して2つに分流する.
そ.の主流は湾東岸に沿って直線的に湾奥へと北流し,支流は瀬戸地先へと向かう.なお,この支流
は満潮時に瀬戸地先で反時計回りの環流を形成するという計算結果が得られている.
一方,防波堤設置前の地形では,桂浜側から北流して湾内に流入する潮流が卓越しており,湾内
流人後は現況と全く同様な挙動を呈している.
いずれの地形においても,上げ潮最強時の潮流速は浦戸大橋付近で最も速い.
(2)下げ潮最強時
現況地形では,湾奥から東孕地先を南流する主流と瀬戸地先から南流する支流とが中州沿岸部で
合流し,湾口部を通過して桂浜防波堤沿いに東流して土佐湾へと流出するという観測結果と全く同
様な特性を示している.
防波堤設置前の地形では,湾口部を通過した直後に南東方向へ向きを変え,南流となって土佐湾
へ流出している.
(3)残流流
現況地形では,湾央部と湾外部(種先半島南岸と防波堤に挟まれた海域)に大きな反時計回りの
環流が見られ,湾曲・縮幅した湾口部に小さな環流が並列的に存在している.
一方,防波堤設置前の地形では湾外部に形成される大きな環流の位置と向きが現況とは異なって
いる.いずれの地形においても,残流流速の最強部は湾口となっている.
以上のように,桂浜防波堤の設置によって,湾口部外側の潮流パターンが大きぐ変化したことが
わかる.なお,湾内の潮流パターンは2つの地形で殆ど相違しておらず,桂浜防波堤の影響を受け
ていないようである.また,現況地形における観測結果と計算結果とは極めて良い一致を示してお
り,計算結果は妥当なものであると考えられる. し
169
170
高知大学学術研究報告
第46巻
(1997年)
自然科学
桂 浜防 波堤 設置 前
況 地
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図9(1)
潮流の計算結果
(平均大潮)
171
(大年・松田)
浦戸湾海域の水環境に関する研究
桂 浜防 波堤 設置 前
現 況
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図9
(2)
潮流の計算結果
(平均大潮)
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高知大学学術研究報告
第46巻
(1997年)
自然科学
現………況
桂浜 防波堤 設置 前
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(平均大潮)
4.2海水交換の特性 ∧ 〕 \ つ\ ∧ ‥ レ
潮流計算が安定した後の干潮憩流時に湾内に仮想粒子(1格子4個,合計2631個)を配置し,それ
を初期状態として以後の100周期間にわたうて粒子の移動を追跡した.大潮時における現況につい
ての追跡結果を第10図に,桂浜防波堤設置前についてのそれを第11図に示している.
前述した潮流特性に追従して,現況地形では,湾内粒子が桂浜防波堤北側に沿って東の海域へと
流出していく様子がみて取れる.一方,桂浜防波堤設置前の地形では,湾口から南の海域へと湾内
粒子が流出している.したがって,桂浜防波堤の設置に起因七て,湾内水が外海へ流出する経路が
変化したものと考えられる. 十上 ▽し \
海水交換性を定量評価するために,初期に湾内に配置した粒子についての湾内残留数を求め,初
期配置数との比率の形でその時間的変化を追跡した.=レIIその計算結果を第!2図に示している.湾内残
存数は時間の経過とともに指数関数的に低減し,100周期経過後の残存割合は次のようであった.
防波堤設置前:68%(大潮),70%(平均潮)√:油%ダ(小潮)=\ ダ
現況地形:60%(大潮),74%(平均潮),81%(小潮)コ I
桂浜防波堤を設置したことによって,潮汐条件の相違(大潮∼小潮)によ
るノ残存割合の変化幅が
大ぎくなったとみなすこと
ができる.また,上の数値からだ:けでトは断定でき な\いが,桂浜防波堤の
設置によって,浦戸湾内水
と外海水との海水交換が若干高まった(とくに大潮の条件下)
ともできる。
とみるこ
浦戸湾海域の水環境に関する研究(大年・松田)
次に,外海水が湾内に流人する特性を調べるために,干潮憩流時に外海側にのみ仮想粒子を配置
し,以後の10周期間について粒子の移動を追跡した.現況地形で大潮の条件における追跡結果を第
13図に示している. 上
それによると,外海水は1周期で玉島付近に流入し,その後徐々に湾奥に侵入していって,10周
期後には弘化台に到達していることがわかる.桂浜防波堤設置前においても,ほぼ同様な侵入特性
を示す計算結果が得られている.
検討目的に応じて,境界線の設定の仕方や粒子の配置法(配置する潮時・領域・数)十を変えれば
別の観点からの評価も可能であり,本節での検討手法は幅広い汎用性をもっているといえる.ただ
し潮流の計算が不完全であると,それが積分された形で物質の移動過程に反映されるので,潮流の
−−
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Mj
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計算結果に対する詳細な吟味と検証が必要である.
図10 湾内に配置した仮想粒子の移動状況(現況地形,平均大潮時)
173
174
高知大学学術研究報告 第46巻(1997年)ニ自然科学
t。yt戈
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図11 湾内に配置した仮想粒子の移動状況(桂浜防波堤設置前,平均大潮時)
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小潮
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(a)防波堤設置前
W
平均湖
心
〃、
ヘヘノヽ
0.7
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大潮
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0.5
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如
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町迦 心.
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小潮
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ヘペ−へ,、.、。
0.7
(b)現況
9ヽへ∼
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一一ふヽへ,、。
‘`∼yヘーvヽ
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0.6
心
`や-へ͡∽へ
平均潮
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・心、.
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大潮
0.5
0
10
20
30 40 50 60 70
来茎丿最i朝汐し委兌 ……: 白
図12 湾内に残存する仮想粒子数の時間的変化
80
90
100
175
浦戸湾海域の水環境に関する研究(大年・松田)
-
孔︰︰﹂
Nte=
1
Nte=4
図13 湾外に配置した仮想粒子の湾内への侵入状況(現況地形,平均大潮時)
5.おわりに
浦戸湾の水環境を把握する第一段階として,湾内の潮流に関するシミュレーションを実施し,基
本的な特性を再現することができた.今後は,浦戸湾東岸沿いの埋立てが湾内の潮流特性に及ぼし
た影響や湾内の水質・底質に着目した検討を進めてゆく予定である.
参考文献
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平成9(1997)年9月30日受理
平成9(1997)年12月25日発行