Flash コミュニケーションのパフォーマンス評価

Flash コミュニケーションのパフォーマンス評価
○高稲
耕作,四位
安孝,中嶋
卓雄
{10iis228@stmail, 10iis129@stmail,taku@ktmail}.ktokai-u.ac.jp
九州東海大学
応用情報学部
1.はじめに
近年、Web の記述は動的に生成されるコ
ンテンツが大部分を占めるようになってき
ており、データは DBMS で管理し、それ
を参照しながら、HTML ページが生成され
る。また、ユーザフレンドリーなインター
フェースも発展し、アニメーションを含む
ページが増加してきている。
Flash は従来アニメーションに特化した
開発ツールであったが、Flash MX 2004 が
発売されてから、単にアニメーションだけ
ではなく、Web サーバとの連携など、広範
囲なネットワーク環境との連携が可能にな
った。特に FCS (Flash Communication
Server MX)と接続することにより、容易に
TV 会議システムを構築することが可能と
なっている。
一方、インターネットがベストエフォー
トで動作することにより、QoS を保つため
には、DiffServ などの技術の導入が期待さ
れているが、まだ広範囲には普及していな
い。特に、TV 会議システムなどマルチメ
ディアデータの送受信に関しては、そのパ
フォーマンスを維持することが、コミュニ
ケーションを成立させる意味からも重要な
事項となるが、マルチメディアの個々の要
素とその QoS に関しては、まだ標準的な指
標はなく実験的に評価する場合が多い。
本稿では、特に最近普及してきた Flash
コンテンツを使用したホームページに注目
し、Flash および FCS を利用して構築され
た TV 会議システムに関するパフォーマン
スを実験的に評価する。
具体的には、転送画面数、すなわち会議
に参加するクライアント数の増加と CPU
の使用率との関係を評価した。
2 パフォーマンス評価実験
2.1 実験環境
今回評価の対象としたのは、「Flash MX
2004
ver7.2.0.581 」 と 「 Flash
情報システム学科
Communication Server MX 1.5.0.118」と
によって実現されたアプリケーションであ
る。特に、動画像の転送パフォーマンスを
評価した。図1に実験に用いた機器の環境
を示す。図1の Client PC および配信 PC
にはカメラを取り付け、その画像を Server
経由で双方向に送受信を行った。図1のデ
ータの流れの中で(1)と記載しているの
は、単一画像の流れを示している。
図1.実験システム概要
それぞれの機器のスペックは、[Client
PC]が、OS が Windows XP Professional
ServicePack2 で、CPU が Pentium4 の
1.50GHz、メモリが 256MB であり、[Server
P C] は 、 OS が Windows 2000 の
ServicePack4 で、CPU が Pentium4 の
1.50GHz、メモリが 256MB である。また、
[ 配 信 PC] は 、 OS が Windows XP の
Professional の ServicePack1 で、CPU が
Pentium Ⅲの 1.0GHz、メモリが 128MB
である。
2.2 測定実験
TV 会議システムではクライアントは必
ず自分の動画像データを送信し、一方で、
他の動画像データを受信することから、送
受信の双方向の流れを実験の基準負荷とし
た。具体的には、ClientPC から1つの動画
像データが Server を経由して配信 PC に流
れ、配信 PC から1つの動画像データが
Server を経由して流れるデータを基準負
荷と考えた。また追加する負荷としては、
配信 PC から送信した動画像が Server 上で
複数に複製され Client PC に配信されるこ
とにより実現した。
画像の大きさは幅80ピクセル*高さ
60ピクセルに設定し、Client PC への配
信する動画像の個数を増加させながら、
Server および Client PC の CPU 使用率
を計測した、計測にあたっては、計測プロ
グラムを作成し、120 秒間にわたるサンプ
ル値を、合計2回計測し、そのすべてのサ
ンプル値の平均を測定値とした。
また Server の CPU 使用率が 100%に達
したところで、実験を終了した。
なお、本研究では、実験環境の制約から、
クライアントの数をマシンの数ではなく、
Client PC に受信される画像数と見なして
いる。
の ク ラ イ ア ン ト 数 で 100 % に 達 し た 。
Client 側も同様に増加し、41 クライアント
の場合には、使用率が 60%を超えた。図2
と比較した場合、Server 側ではそれほど利
用率は変らず、Client PC 側では 10%程度
増加する結果が得られた。
図3
60fps による利用率の変化
実験の規模が小さく、回数も少ないので
限定的なことは言えないが、この
Flash+FCS の組み合わせでは、20 人程度
の TV 会議システムであれば、それほど負
荷もかからず、実用に耐えうるものと考え
ることができる。
3.実験結果
図2.12fps による利用率の変化
図2に配信画像からの送信画像が12
フレーム/秒の場合の、Client 数、すなわち
Client PC が受信する画像数と、2つのマ
シンの CPU 使用率を示す。図の Server が
Server マシンであり、Client が Client PC
である。Server では、24 クライアントか
ら急激に利用率が増加し、30 クライアント
でほぼ 90%を占めるとろこまで増え、48
クライアントで 100%となった。一方、
Client PC 側ではほぼ線形に増加し、台数
効果のみ表れている。
図3には配信 PC からフレームの転送レ
ートを 60 フレーム/秒に増加させた場合の
CPU の使用率を示す。図2と同様に Server
側では、クライアント数が 20 を超えると
増加する割合が少し増え、最終的には、41
4.おわりに
今回は、動画像の転送のみに関して実験
を行ったが、今後は、マイクを利用した音
声の送受信、チャットによるテキストデー
タの送受信、ホワイトボードを使用した静
止画データの送受信などの場合における負
荷を評価していきたいと考えている。
参考文献
[1]上野 亨:続 macromedia FLASH
ActionScript バイブル MX のツボ with
FlashCommunicationServerMX
(オーム社)
問い合わせ先:
中嶋 卓雄
〒862-8652 熊本市渡鹿 9-1-1
九州東海大学 応用情報学部 情報システ
ム学科
Tel:096-386-2837
E-mail:[email protected]