英首相、欧州単一市場撤退を表明

ご参考資料
2017年1月18日
英首相、欧州単一市場撤退を表明
ポイント① 単一市場残留論を排除
図1:ポンドと円の対米ドル為替レート
期間:2016年1月1日~2017年1月17日、日次
英国のメイ首相は1月17日の演説で、欧州連合(EU)
からの離脱に関し、欧州単一市場には残留する道を探るべ
きという部分離脱論を排し、移民制限や国境管理などでの
英国の権限回復のためには単一市場に残ることはできない
と述べました。代わりに単一市場へのアクセスを確保するた
め、EUとの包括的自由貿易協定の交渉を主張しました。
(米ドル/ポンド)
1.50
為替市場ではメイ首相の演説を前に、単一市場残留の
道が閉ざされるとの懸念からポンドは下落していました。しか
し、演説の中でEU離脱交渉の最終合意に議会の承認を
求めるとして、それほど強硬な姿勢を示さなかったことや、ト
ランプ米次期大統領が米ドルが強すぎると発言したことなど
から、ポンドは買い戻されました。一方、トランプ発言を受け
て円は米ドルに対して上昇し、2016年12月5日以来の1
米ドル=112円台をつけました。
1.25
ポイント② ポンド安で景気は堅調
EU離脱を決めた昨年6月の英国国民投票後、先行き
不透明感から英国の景気が悪化するとの懸念もありました
が、ポンドの大幅下落による輸出競争力の回復などにより
景況感は改善しています。一方、ポンド安による輸入物価
の上昇もあってインフレ率は上昇傾向です。中央銀行であ
るイングランド銀行の政策金利は昨年8月に引き下げられ
た後、横ばいで推移しており、さらなる金融緩和の公算は
低下しているようです。
ポイント③ 英国の魅力を維持できるのか
こうした点から見れば、今後これ以上ポンドが下落する必
要はなさそうです。しかし、英国とEUの離脱交渉は難航が
予想され、自由貿易協定の締結も容易ではありません。
これまで英国では、欧州の金融センターとしての魅力を維
持して資本をひきつけることで、大幅な経常収支赤字のファ
イナンスが可能でした。しかし、英国から欧州単一市場への
アクセスが困難になるとの懸念が高まれば、投資対象として
の英国の魅力が低下し、より大幅なポンド安にならなけれ
ば、経常収支赤字と資本流入のバランスがとれないことにな
るかもしれません。
重要
イベント
1月20日
2月1日
2月2日
トランプ大統領就任
米金融政策発表
英金融政策発表
(円/米ドル)
90
1.45
95
1.40
100
1.35
105
1.30
110
115
米ドル/ポンド(左軸)
1.20
120
円/米ドル(右軸、逆目盛)
1.15
2016/1
2016/4
2016/7
125
2017/1
(年/月)
2016/10
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
図2:英国の景況感、インフレ率
期間:2014年1月~2016年12月、月次
(ポイント)
(前年同月比、%)
62
2.2
購買担当者景気指数(PMI、総合、左軸)
60
2.0
インフレ率(右軸)
58
1.8
56
1.6
54
1.4
52
1.2
50
1.0
48
0.8
46
0.6
(年/月)
2014/1
2014/7
2015/1
2015/7
2016/1
2016/7
(注)インフレ率はエネルギー、食品、アルコール飲料、たばこを除く消費者物価
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
図3:英国の経常収支とポンド実質実効為替レート
期間:経常収支 2010年1-3月期~2016年7-9月期、四半期
為替レート 2010年1月~2017年1月、月次
(%)
(2010年平均=100)
0
125
経常収支/GDP(左軸)
-1
ポンド実質実効為替レート(右軸)
120
-2
115
-3
110
-4
105
-5
100
-6
95
-7
2010
2011
2012
2013
2014
(注) 2017年1月の為替レートは、1~17日の平均
2015
2016
90
2017 (年)
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
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