枝幸町 まちづくり計画

新 枝幸町 まちづくり計画
ESASHI
ごあいさつ
「新・枝幸町まちづくり計画」策定にあたって
旧枝幸・歌登両町は、将来に向けて行財政基盤を強化し、
住民福祉の向上を図り、地場産業の活性化による自立を実現
するため、共に合併の道を選択し、平成 18 年 3 月、新・枝
幸町が誕生しました。
新町においては、「森と海」に象徴される豊かな自然や、
多岐にわたる産業基盤を糧として、旧両町がこれまで築き上
げてきた成果を融合・発展させ、未来へ引き継いて行くこと
が求められています。また、合併によって手に入れた可能性
を無にすることなく、その効果を最大限に引き出し、変革の
時代に対応できる基盤を早急に作り上げる必要があります。
本計画は、このような背景の基、今後 10 年間の指針とし
て策定したもので、「こころが結ぶ『森と海』優しさと活気
あふれる北の理想郷」を将来像として、町民と行政が対話と
協働で進める「まちづくり」の未来地図となるものです。
ここに描かれた将来像や 6 つの基本目標に近づき、実現
するためには、町民一人ひとりがそれぞれの立場で「まちづ
くり」に参画し、協働することが是非とも必要です。明日の
枝幸町のため、町民皆さんのご協力とご理解を切にお願いす
る次第です。
最後になりましたが、ご多忙の折にも関わらず、本計画の
策定作業に携わってくださった多くの方々に心から感謝を申
し上げます。
平成 19 年 3 月
枝幸町長 荒屋
吉雄
目 次
Ⅰ 序 論………………………………………………………………………… 1
第1章 計画策定にあたって… ………………………………………………………………… 2
第1節 計画の目的………………………………………………………………………… 2
第2節 計画の構成と期間………………………………………………………………… 2
第3節 計画の役割………………………………………………………………………… 3
第2章 計画の背景……………………………………………………………………………… 4
第1節 時代の潮流………………………………………………………………………… 4
1 総人口減少時代・超少子高齢社会の到来………………………………………… 4
2 「環境の世紀」の到来… ……………………………………………………………… 4
3 国際化の進展………………………………………………………………………… 4
4 高度情報・通信技術の普及………………………………………………………… 5
5 価値観の多様化の進展……………………………………………………………… 5
6 自立した行財政基盤確立の要請…………………………………………………… 5
第2節 町の概況…………………………………………………………………………… 6
1 立地・地勢…………………………………………………………………………… 6
2 人口構造……………………………………………………………………………… 7
3 産業構造……………………………………………………………………………… 8
第3節 住民ニーズ……………………………………………………………………… 12
1 施策満足度………………………………………………………………………… 12
2 合併の効果と影響………………………………………………………………… 14
3 まちづくりワークショップからの提言………………………………………… 15
第4節 計画の背景の総括……………………………………………………………… 17
Ⅱ 基本構想…………………………………………………………………… 19
第1章 枝幸町の将来像… …………………………………………………………………… 20
第1節 まちづくりの基本理念………………………………………………………… 20
1 「こころ」が結ぶまちづくり… …………………………………………………… 20
2 「優しさ」で包み込むまちづくり… ……………………………………………… 20
3 「活気」あふれるまちづくり… …………………………………………………… 20
第2節 将来像…………………………………………………………………………… 21
第2章 基本目標……………………………………………………………………………… 22
第1節 人にやさしい健康福祉のまち………………………………………………… 22
第2節 活力ある産業を育てるまち…………………………………………………… 22
第3節 豊かな自然と共生するまち…………………………………………………… 22
第4節 安全で快適な住みやすいまち………………………………………………… 23
第5節 いきいきとした人と文化を育むまち………………………………………… 23
第6節 みんなと創り育てる住民参画のまち………………………………………… 23
第3章 将来人口……………………………………………………………………………… 25
第4章 施策の大綱…………………………………………………………………………… 26
ESASHI
第1節 人にやさしい健康福祉のまち………………………………………………… 26
1 保健・医療の充実………………………………………………………………… 26
2 高齢者福祉の充実………………………………………………………………… 26
3 児童福祉の充実…………………………………………………………………… 26
4 障がい者福祉の充実……………………………………………………………… 27
5 地域福祉の推進…………………………………………………………………… 27
6 社会保障制度の充実……………………………………………………………… 27
第2節 活力ある産業を育てるまち…………………………………………………… 28
1 農業の振興………………………………………………………………………… 28
2 林業の振興………………………………………………………………………… 28
3 水産業の振興……………………………………………………………………… 28
4 商工業の振興……………………………………………………………………… 29
5 観光・レクリエーションの振興………………………………………………… 29
第3節 豊かな自然と共生するまち…………………………………………………… 30
1 自然環境・景観の保全…………………………………………………………… 30
2 環境対策の推進…………………………………………………………………… 30
第4節 安全で快適な住みやすいまち………………………………………………… 31
1 交通体系の整備…………………………………………………………………… 31
2 上・下水道の整備………………………………………………………………… 31
3 住環境の整備……………………………………………………………………… 31
4 消防・救急・防災・国民保護の推進…………………………………………… 31
5 防犯・交通安全の推進…………………………………………………………… 32
6 情報通信網の整備・充実………………………………………………………… 32
第5節 いきいきとした人と文化を育むまち………………………………………… 32
1 幼児教育・学校教育の充実……………………………………………………… 32
2 生涯学習・生涯スポーツの推進………………………………………………… 33
3 芸術・文化の振興………………………………………………………………… 33
第6節 みんなと創り育てる住民参画のまち………………………………………… 34
1 住民主体のまちづくりの推進…………………………………………………… 34
2 多様な交流の促進………………………………………………………………… 34
3 行財政運営の合理化・効率化の推進…………………………………………… 34
第5章 土地利用基本構想…………………………………………………………………… 35
第1節 土地利用の基本方針…………………………………………………………… 35
第2節 区分別の利用の方向性………………………………………………………… 35
1 農林業生産エリア………………………………………………………………… 35
2 森林保全エリア…………………………………………………………………… 35
3 観光・体験交流エリア…………………………………………………………… 35
4 水産業生産エリア………………………………………………………………… 35
5 市街地エリア……………………………………………………………………… 36
Ⅲ 基本計画…………………………………………………………………… 37
第1章 人にやさしい健康福祉のまち…………………………………………………… 38
第1節 保健・医療の充実……………………………………………………………… 38
第2節 高齢者福祉の充実……………………………………………………………… 42
第3節 児童福祉の充実………………………………………………………………… 45
第4節 障がい者福祉の充実…………………………………………………………… 48
第5節 地域福祉の推進………………………………………………………………… 51
第6節 社会保障制度の充実…………………………………………………………… 53
第2章 活力ある産業を育てるまち……………………………………………………… 56
第1節 農業の振興……………………………………………………………………… 56
第2節 林業の振興……………………………………………………………………… 61
第3節 水産業の振興…………………………………………………………………… 64
第4節 商工業の振興…………………………………………………………………… 69
第5節 観光・レクリエーションの振興……………………………………………… 73
第3章 豊かな自然と共生するまち……………………………………………………… 76
第1節 自然環境・景観の保全………………………………………………………… 76
第2節 環境対策の推進………………………………………………………………… 80
第4章 安全で快適な住みやすいまち…………………………………………………… 84
第1節 交通体系の整備………………………………………………………………… 84
第2節 上・下水道の整備……………………………………………………………… 88
第3節 住環境の整備…………………………………………………………………… 91
第4節 消防・救急・防災・国民保護の推進………………………………………… 95
第5節 防犯・交通安全の推進………………………………………………………… 100
第6節 情報通信網の整備・充実……………………………………………………… 103
第5章 いきいきとした人と文化を育むまち…………………………………………… 106
第1節 幼児教育・学校教育の充実…………………………………………………… 106
第2節 生涯学習・生涯スポーツの推進……………………………………………… 111
第3節 芸術・文化の振興……………………………………………………………… 116
第6章 みんなと創り育てる住民参画のまち…………………………………………… 119
第1節 住民主体のまちづくりの推進………………………………………………… 119
第2節 多様な交流の促進……………………………………………………………… 122
第3節 行財政運営の合理化・効率化の推進………………………………………… 125
資料編…………………………………………………………………………… 131
枝幸町まちづくり計画審議会設置条例………………………………………………… 132
枝幸町まちづくり計画策定審議会委員名簿…………………………………………… 133
「新・枝幸町まちづくり計画」策定経過……………………………………………… 134
枝幸町まちづくり計画の策定に関する諮問について………………………………… 135
枝幸町まちづくり計画に関する答申について………………………………………… 135
Ⅰ序論
Ⅰ序論
第1章 計画策定にあたって
第1 節 計画の目的
※ 1 新設合併
合併するすべての市町村の法
人格がいったん消滅し、新た
な自治体として誕生スタートす
る合併。市町村合併の方式
は、新設合併と、編入する1
つの市町村の法人格が存続
し、 編 入される市 町 村の法
人格が消滅する「編入合併」
がある。
平成18年3月20日、枝幸町と歌登町の新設合併※1により、新しい枝幸町がスタート
しました。新しい枝幸町は、森と海の恵みが融合するロマンあふれるふるさとです。
21世紀を迎え、わが国全体で人口が減少し、少子高齢化が急激に進むこれからの時代
に、新しい枝幸町においては、恵まれた雄大な自然を活用しながら、旧町から受け継い
できた人に優しい、自然と活気あふれるまちづくりを一層深め、地域産業の持続的な発
展や、安心して暮らせる福祉の充実などを図ることが強く求められます。
「新・枝幸町まちづくり計画」は、枝幸町がおかれた社会背景や多様化する住民ニー
ズを的確に見定めながら、美しく豊かなふるさとを子どもたち、孫たちの世代へ引き継
いでいくために、新しいまちづくりの基本となる総合計画として策定するものです。
第2 節 計画の構成と期間
「新・枝幸町まちづくり計画」は、平成18 〜 27年度を計画期間とする基本構想と基
本計画、計画期間3年間で毎年ローリングされる実施計画から構成されます。
計画の構成と期間
平成
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
年度
基本構想
(平成 18∼27 年度)
町の将来像とそれを達成するための基本的施策を明らかにしたもの
です。
基本計画
(平成 18∼27 年度)
基本構想を実現するために、各部門ごとに現状と課題を明らかにし、
必要な施策を総合的、体系的に定めたものです。
実施計画(事業)
※ 2 ローリング方式
計画の実施状況などに応じて
計画内容を定期的に見直して
いく方法。
基本計画に掲げた施策を計画的、効率的に推
進するための計画(3年間のローリング方式※2)
であり、毎年度の予算編成の指針となるもので
す。
ESASHI
第3 節 計画の役割
市町村総合計画は、地方分権の進展、三位一体の改革※1、少子高齢化社会の到来など、
市町村をとりまく動向に大きな変化がみられる今日、その位置づけが大きく転換してい
るといえます。
第一に、年々厳しさを増す財政状況の中、枝幸町が自らの責任と判断で自らの進むべ
き方向を決め、自ら実行していく自立した行財政運営を行うためには、民間の経営理念
※ 1 三位一体の改革
国から地方自治体への補助
負担金の削減、地方交付税
見直し、税源移譲を同時に
進める地方分権に向けた制
度改革。
や手法を積極的に採り入れるなどの “ 行政経営 ” を実現するための指針が必要です。
「新・
枝幸町まちづくり計画」は、この「“ 行政経営 ” の指針」としての役割を果たします。
第二に、わが国全体が低成長時代に突入するとともに、産業のあらゆる分野で国際競
争・地域間競争が激化する今日、豊かな自然の恵みを活かして枝幸町の産業を今後も持
続的に発展させていくために、地域活性化のための住民の明確な行動指針を作成するこ
とが期待されています。「新・枝幸町まちづくり計画」は、この「地域活性化のための
住民の行動指針」としての役割を果たします。
第三に、こうした自立した活力あるまちを築いていくためには、住民と行政の協働※2
によるまちづくりが不可欠であり、「新・枝幸町まちづくり計画」をその「住民と行政
の協働のための指針」と位置づけていくことが求められます。
※ 2 協働
複数の主体が目標を共有し、
ともに力を合わせて活動する
こと。
新しい総合計画は、
「“ 行政経営 ” の指針」、
「地域活性化のための住民の行動指針」、
「住
民と行政の協働のための指針」という3つの役割を担うことで、ふるさとを次世代に誇
りを持ってつないでいく “ 地域経営の指針 ” となります。
「新・枝幸町まちづくり計画」に求められる役割
時代の潮流
計画の役割
総人口減少時代・
超少子高齢社会の到来
自立したまちづくりに向
けた「行政経営」の指針
「環境の世紀」の到来
国際化の進展
高度情報・通信技術の普及
価値観の多様化の進展
自立した行財政基盤確立の要請
新しい枝幸町の
地域経営指針
地域活性化のための
住民の行動指針
住民と行政の
協働のための指針
新 枝幸町 まちづくり計画
Ⅰ序論
第2章 計画の背景
第1 節 時代の潮流
1 総人口減少時代・超少子高齢社会の到来
※ 1 合計特殊出生率
一人の女性が一生に出産す
る子どもの人数
平成18年、わが国では、総人口減少時代に入りました。合計特殊出生率※1は平成17
年には1.25と過去最低の数値を更新し、将来にわたって人口を維持するために必要な
2.08を大きく下回っています。北海道においても、人口はほぼ570万人を境に減少に転
じ、今後、急速な少子高齢化が進むものと予測されています。
こうしたなかで、今後も枝幸町が継続して発展し、住民が住み慣れた地域で安心して
暮らすためには、一層の地域活性化対策に取り組み、定住人口や交流人口を増やすとと
もに、行財政基盤を強化し、高齢化の進行に応じた福祉サービスの充実や子育て支援な
どに努めていく必要があります。
2 「環境の世紀」の到来
大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動は、地球的規模での環境危機をもた
らしています。私たちの生産活動や生活の基盤である自然環境は未来世代との共有財産
であり、これを次の世代に良好な形で引き継ぐことは、私たちの重要な使命です。
21世紀は「環境の世紀」とも呼ばれています。今日的な環境問題は、まさに地球的規
模の広がりを持っていますが、21世紀を生きる私たち一人ひとりが、身近なこと一つひ
とつに正面から向き合うことでのみ解決されるといっても過言ではありません。
本計画においても、「人と自然との共生」を念頭に、日常生活から環境負荷の軽減に
努めるとともに、経済社会の仕組みを循環型の持続可能なものに変革していくことが必
要になっています。
3 国際化の進展
今日、人やモノ、情報など、私たちの衣食住のあらゆることが、常に国際社会とリア
ルタイムで結びついています。枝幸町においても、スウェーデン王国ソレフテオ市との
※ 2 外国語指導助手
(ALT)
Assistant Language
Teacher の 略。日本の 学 校
で外国語教育に携わる外国
人助手。
姉妹都市交流や、外国語指導助手(ALT)※2の継続配置、水産加工分野による中国人
研修生の受け入れなどにより、日常的な外国人との交流機会が増大するとともに、海外
向け水産加工品の生産が拡大するなど世界をマーケットに経済活動を行う時代となって
います。
こうした国際化の進展は、私たちの生活を豊かにするものですが、一方で、地球規模
での市場経済の発展は、厳しい国際競争を生んでおり、生活の場においても、慣習や文
化の相違から様々な問題が生じているのも事実です。
国際的な人・モノ・情報の交流は今後もますます進むと考えられることから、これか
らもあらゆる分野で、常に国際的な視野によるまちづくりを進めることが求められます。
ESASHI
4 高度情報・通信技術の普及
パソコンや携帯電話、そしてそれらをネットワークする通信技術など、情報通信技術
(IT)の普及が一層進み、私たちの生活やビジネスのあり方そのものが、それらによっ
て大きく転換しています。こうした情報化の進展により、枝幸町においても、日々、新
たなコミュニケーションが生まれ、生活が豊かになる一方で、個人情報保護の必要性の
高まりやデジタルデバイド※1の顕在化など、新たな課題が生じています。
※ 1 デジタルデバイド
国レベルでは2001年から、2005年までに世界最先端のIT国家になることをめざす
「e− Japan 戦略※2」が推進され、その成果のもと、2010年をめざしたユビキタスネッ
ト社会※3づくり、「u− Japan 政策※4」が推進されようとしています。
今後も、こうした情報通信技術(IT)を積極的にまちづくりに取り入れるとともに、
新たな課題に対応していくことが求められます。
5 価値観の多様化の進展
都市化やモータリゼーション※5の進展などにより、社会が成熟化する中で、価値観の
多様化が進み、様々なライフスタイルやワークスタイルが現れてきています。
経済的な豊かさよりも、家族や地域とのふれあい、自然や地域文化との共生など、い
わゆる「心の豊かさ」を重視する傾向が強くなってきており、それに応じて、住民のニー
ズも多様化・複雑化し、一人ひとりの価値観や多様な生き方、働き方を尊重したまちづ
くりが求められています。また、団塊世代の大量定年や、自然志向、田舎志向の都市住
民が増加するなかで、定住や交流、二地域居住 に関する情報提供なども今後の検討課
※6
題と言えます。
情報通信技術の進展に伴っ
て生じる、個人レベルでの情
報 機 器の習 熟 度の格 差や、
情報通信基盤の地域間格差
など。
※ 2 e-japan 戦略
高度情報通信ネットワーク社
会形成基本法(IT基本法)
を受け、内閣の「高度情報
通信ネットワーク社会推進戦
略本部(IT戦略本部)」が
平成 13 年から推進してきた
国家戦略。
※ 3 ユビキタスネット社会
ユビキタス(ubiquitous)は
「同時にどこにでも存在する」
の意味。いつでもどこでもだ
れでも、利用者が意識する事
なく、コンピュータや通信ネッ
トワークを利用できる社会の
こと。
※ 4 u-japan 政策
世代や障害の有無などを問わ
ず、いつでも、どこでも、誰
もが情報通信ネットワークを
利用できる「ユビキタス」社
会の実現をめざす国家戦略。
※ 5 モータリゼーション
6 自立した行財政基盤確立の要請
自動車が広く普及し、生活必
需品となること。車社会化。
現在、わが国の財政は危機的状況にあると言われています。枝幸町においても、合併
前から旧町それぞれで行財政改革に着手し、経常経費※7の削減や投資的事業の見直しな
どにより行財政の効率化を図ってきました。しかし、少子高齢化の進行、経済の低成長、
国・道の補助金・交付金等の見直しなどが進むなかで、安定した財源を確保し続けるこ
とは難しくなっています。
一方、市町村自らが主体となった地域づくりをめざし、地方分権が推進され、国や道
から市町村へと事務や権限が移譲されています。町は、国や道の意思決定に基づく単な
※ 6 二地域居住
1年のうちに半年、1週間のう
ち2〜3日など、2つの地域
に住むこと。交通機関の発達
や、生活様式の多様化により、
今後、二地域居住者が拡大
することが推測されている。
※ 7 経常経費
施設の維持管理など、経常
的にかかる経費。
る執行機関となるのではなく、地域における総合的な行政の主体である「基礎自治体」
となって、住民に身近な行政サービスを地域の実情に即して提供する役割を担っていく
ことが求められています。
新 枝幸町 まちづくり計画
Ⅰ序論
第2 節 町の概況
1 立地・地勢
枝幸町は、宗谷支庁管内の最南部に位置し、札幌市から約300㎞(車で約5時間)、
旭川市から約180㎞(車で約3時間)の距離にあります。
南北約54㎞、東西約43㎞、総面積1,115.67㎢で、東側は約58㎞にわたってオホーツ
ク海に面しています。地形は、標高1,129ⅿの函岳を最高峰として全体に急峻であり、
町面積の81%を山林が占めていますが、オホーツク海沿岸の中南部と北見幌別川や徳志
別川の中流域に平野や盆地が広がり、酪農地帯を形成しています。
市街地は、オホーツク海沿岸北部に枝幸市街地が、その約17㎞内陸側に歌登市街地が
があるほか、オホーツク海岸沿いに北端の目梨泊から南端の音標まで8つの集落があり
ます。また、内陸部に歌登志美宇丹、歌登本幌別、歌登中央等の農村集落があるほか、
平野部や盆地帯を中心に農家が点在しています。
気象は、オホーツク海側気候区に属し、平成17年の枝幸市街地の年平均気温は6.4℃、
年間降水量は1,003㎜、歌登市街地ではそれぞれ5.2℃、1,236㎜となっています。夏は
30℃を超えることもありますがオホーツク海高気圧の影響でおおむね涼しく、冬は沿岸
部で氷点下20℃、内陸部では氷点下30℃を下回ることも珍しくありません。積雪深は、
沿岸部から内陸平野部では1ⅿ弱〜2ⅿで、山間部では3〜4ⅿに達します。
枝幸町の位置
ESASHI
2 人口構造
国勢調査による枝幸町の人口は、平成17年で9,815人(旧枝幸町、旧歌登町の合計。
以下同じ)で、世帯数は4,021世帯、1世帯あたり人口は2.44人となっています。また、
平成17年における年齢別人口構成は、年少人口割合が14.0%、生産年齢人口割合※ が
60.9%、高齢者人口割合が25.1%となっており、人口減少と少子高齢化の傾向が続いて
※生産年齢人口割合
生産年齢人口の人口に占め
る割合。
います。
総人口・総世帯の推移
人
20,000
15,000
人口
世帯数
世帯あたり人口(町)
世帯あたり人口(全道)
3.14
3.02
3.02
2.94
13,633
12,932
2.88
3.0
2.72
2.78
2.53
2.60
11,819
人/世帯
3.5
2.44
2.46
11,144
2.36
10,509
10,000
2.5
2.0
9,815
1.5
4,348
5,000
4,280
4,106
4,097
4,161
4,021
1.0
0.5
0
昭和55年
60年
平成2年
7年
12年
0.0
17年
資料:国勢調査
年齢別人口構成の推移
0∼14歳
昭和55年
昭和60年
平成2年
15∼64歳
24.9%
66.2%
22.3%
14.8%
平成17年
14.0%
平成17年
全道
12.8%
0%
11.2%
66.2%
17.0%
平成12年
8.9%
66.5%
19.6%
平成7年
65歳以上
14.2%
65.0%
18.0%
63.2%
22.0%
60.9%
25.1%
65.7%
20%
40%
21.5%
60%
80%
100%
資料:国勢調査(全道は年齢不詳を除いた構成割合)
新 枝幸町 まちづくり計画
Ⅰ序論
3 産業構造
(1) 農業
平成17年の当町の農業産出額は51億円で、全道の農業産出額の0.47%を、全国の
0.06%を占めます。近年は50億円前後で推移しており、全国に占める割合が微増傾向
にあります。
品目別では、原料用の生乳が農業産出額のほとんどを占め、全道の1.4%、全国の0.6%
の産出額となっているほか、その他の畜産物や耕種(畑作等)は、合わせて2億円程度
とわずかです。
農業産出額の推移
億円
農業産出額
80
全道に占める割合
58.6
60
49.0 0.55%
0.8%
57.9
0.54%
1.0%
全国に占める割合
52.1
0.52%
50.6
50.1
0.47%
40
0.47%
0.47%
0.6%
0.4%
20
0.050%
0.048%
0
昭和55年
60年
0.050%
0.050%
平成2年
7年
0.055%
12年
0.057%
17年
0.2%
0.0%
資料:農林水産省「農林業センサス」
品目別にみた農業産出額(平成17年度)
600
千万円
500
1.6%
1.43%
1.4%
487
農業産出額
400
1.2%
全道に占める割合
全国に占める割合
300
1.0%
0.8%
0.63%
0.6%
200
0.4%
100
14
0
乳用牛
0.09%
0.01%
その他畜産
0.2%
0.01%
0.00%
耕種
6
0.0%
資料:農林水産省「農林業センサス」
ESASHI
(2) 水産業
平成17年の当町の漁獲金額は69億円で、全道の約2%を占めます。
魚種別では、ほたて貝が40億円と全体の6割近くを占め、さけが9億円、毛がにが
4億円と続いています。毛がには全道の17%を占め、全国一の水揚げを誇りますが、平
成3年と比べ半分近くに減少しています。漁業資源の枯渇や輸入の増加などから、毛が
にのほか、たらばがにやかれい類など、大きく漁獲金額が減少している魚種も多い一方
4
4
4
で、ほたて貝、加工品が海外で高値を呼んでいるなまこなどは堅調に増加しています。
漁獲金額の推移
200
億円
3%
漁獲金額
2.5%
2.5%
全道に占める割合
2.1%
150
1.7% 1.7%
1.4%
100
1.6%
59
56
平成
3年
4年
5年
46
50
0
6年
2.2%
8年
72
64
62
55
7年
2.5%
2.0%
2.1%
2%
1.9%
1.8%
70
58
2.3%
9年
56
10年
11年
12年
67
13年
69
58
46
14年
15年
52
16年
17年
1%
0%
資料:北海道庁水産林務部総務課「北海道水産現勢資料」
魚種別にみた漁獲金額(平成3、16年度)
50
億円
16.7%
平成16年の漁獲金額
40
30
全道に占める割合(平成16年)
6.5%
5.2%
26.1
3.7%
0.4%
2.3%
0.3%
14.2
9.0
10
0%
0.2%
20
11.6
6.1%
6.5%
2.6%
1.9%
11.5
7.8
7.0
6.2
2.2
その 他
たらばがに
ぶ
こん
い か な ご
0.1 0.8 0.3 0.5 0.3 0.5 0.4 0.4 0.8 0.1
す
ま
2.1
するめい か
み ずだこ
に
毛が
け
さ
ほたて 貝
2.2
かれい 類
0.6
こ
なま
3.2 2.4
0
25%
平成3年の漁獲金額
資料:北海道庁水産林務部総務課「北海道水産現勢資料」
新 枝幸町 まちづくり計画
Ⅰ序論
(3) 商工業
当町の製造業は水産加工業が主体で、平成17年の事業所数は24カ所、従業員数366人、
製造品出荷額等は101億円です。製造品出荷額等は長期的には減少傾向ですが、平成13
年以降は緩やかに増加しています。
一方、小売・卸売業は、平成16年の商店数が133カ所、従業員数761人、年間商品販
売額147億円となっており、同年の年間商品販売額は全道の0.08%を占めます。年間商
品販売額は平成9年をピークに減少傾向にあります。
製造業の事業所数・従業員数・製造品出荷額等の推移
カ所、人
700
600
事業所数
607
594
596
558
153
500
従業員数
135
137
120
400
300
億円
200
製造品出荷額等
548
417
114
404
96
89
150
101 366
200
100
50
100
27
0
27
平成3年
30
24
5年
7年
23
28
9年
11年
24
13年
24
15年
17年
0
注1:従業員4人以上の事業所
注2:17年は速報値。
注3:歌登町の平成15年の従業員数、製造品出荷額等、平成17年の製造品出荷額等は、事業所
保護のためのデータ秘匿により、推定値。
資料:経済産業省「工業統計調査」
小売・卸売業の商店数、従業員数、年間商品販売額の推移
カ所、人
商店数
1,000
862
800
625
600
400
200
0
従業員数
219
845
184
平成3年
815
748
181
169
6年
170
9年
153
11年
761
163
147
155
133
159
141
億円
300
年間商品販売額
14年
16年
200
100
0
資料:経済産業省「商業統計調査」
10
ESASHI
(4) 観光
平成17年度の当町の観光入込延人数は30.1万人で、宗谷管内合計の12.2%を、全道
の0.2%を占めます。毎年、枝幸地区は23万人前後、歌登地区は8万人前後で推移して
おりますが、宗谷管内に占める割合では近年微増傾向にあります。
月別の内訳をみると、7月、8月に6万人を超える一方で、11 〜4月は1万人前後
にとどまっており、流氷接岸期間などを含め、年間を通じた集客が課題です。
観光入込延人数の推移
万人
35
31.4
30
11.3%
25
22.9
両地区
歌登地区
全道に占める割合
31.6
30.8
10.5%
枝幸地区
管内合計に占める割合
22.3
30.5
30.4
10.6%
10.5%
22.4
22.2
14%
30.1 12.2%
12%
11.2%
23.7
23.1
10%
20
8%
15
6%
10
5
0
0.230%
12年度
9.4
8.5
8.5
8.0
7.0
6.8
4%
2%
0.214%
0.221%
0.215%
0.220%
0.216%
13年度
14年度
15年度
16年度
17年度
0%
資料:北海道経済部観光のくにづくり推進局「北海道観光入込客数調査報告書」
平成17年度の月別の観光入込延人数 7
千人
6
6.3
5
4
3.4
0.6
3
2
1
0
2.8
0.8
6.4
0.8
1.0
5.5
5.4
3.7
2.8
0.5
3.0
2.3
1.2
5月
歌登地区
2.2
1.0
0.3
0.5
4月
枝幸地区
0.7
6月
7月
8月
9月
10月
1.1
0.9
0.5
0.6
0.5
0.4
11月
12月
0.9
0.9
0.4
0.3
0.4
0.5
0.4
0.5
1月
2月
3月
0.7
資料:北海道経済部観光のくにづくり推進局「北海道観光入込客数調査報告書」
新 枝幸町 まちづくり計画
11
Ⅰ序論
第3 節 住民ニーズ
1 施策満足度
平成18年9月に実施した「枝幸町まちづくりアンケート調査」(有効回答数364)に
おける「施策満足度」をみると、生活環境・社会基盤面でおおむね満足度が高く、産業
振興分野を筆頭に、その他の分野で満足度は低い項目が多いという結果が得られていま
す。
個別にみると、公園、ごみ収集・処理、治安、消防・防災、道路整備、上・下水道、
交通安全、保健、除雪などの施策の評価が高く、商業振興、高校等の教育、観光、医療、
工業振興、行財政運営・改革などの施策の評価が低くなっています。新・枝幸町まちづ
くり計画では、こうした住民ニーズに対応しながら、町の特性をさらに伸ばし、課題を
改善・解決するまちづくりが重要です。
(1) 保健・医療・福祉
施策の満足度
保健・医療・福祉面の満足度は、 【1 保健・医療・福祉】
保健は4割近くの住民が満足と
保健
60%
回答していますが、子育て支援
50%
39%
と高齢者介護・福祉は20%、障
40%
がい者への支援は16%、医療は
12%にとどまっています。
30%
20%
子育て支援
医療
10%
20%
12%
0%
16%
20%
障がい者支援
(2) 産業振興
高齢者介護・福祉
【2 産業振興】
産業分野での満足度は、水産
農林業振興
60%
業 振 興 が23 % と や や 高 い ほ か
50%
は、農林業振興が14%、工業振
40%
興(水産加工を含む)が13%、
観光振興が11%などと低くなっ
30%
20%14%
観光振興
ています。特に商業振興は9%
11%
で、すべての施策項目の中で最
0%
9%
も満足度が低い結果となってい
水産業振興
23%
10%
13%
ます。
商業振興
注:グラフはいずれも「満足している」と「やや満足している」の合計を表記している。
12
工業振興
ESASHI
(3) 生活環境・社会基盤
生活基盤面の満足度は、公園
【3 生活環境・社会基盤】
の57%を筆頭に、ごみ収集・処
公園
60%
理や治安、消防・防災、道路整
治安
備、上・下水道など多くの項目
で高くなっていますが、公共交
通は22%と低くなっています。
57%
道路整備
50%
40%
49%
48%
30%
交通安全
20%
41%
公共交通
22%
10%
0%
除雪
52%
37%
水道
49%
47%
消防・防災
下水道
55%
ごみ収集・処理
【4 教育・文化】
(4) 教育・文化
教育・文化面の満足度は、歴
小中学校の教育
60%
史・文化の保全・活用が25%、
50%
スポーツ振興が25%、小中学校
の教育が24%、生涯学習環境が
18%、高校等の教育が11%と
40%
歴史・文化の
保全・活用
30%
24%
20%
27%
10%
0%
なっています。
11%
18%
25%
スポーツ振興
(5) 行財政・まちづくり
生涯学習環境
【5 行財政・まちづくり】
行財政・まちづくりの面では
国際・国内交流
60%
満足度はおおむね10%台と低
※ 1 コミュニティ
50%
く な っ て い ま す。 地 域 の 情 報
化 は18 %、 国 際・ 国 内 交 流 と
高校・大学
等の教育
40%
行財政改革
30%
20%
地域振興(コミュニティ※1づく
13%
り)が17%、男女共同参画 が
※2
男女共同参画
17%
※ 2 男女共同参画
13%
10%
0%
13%、行財政運営・行財政改革
14%
がそれぞれ14%、13%です。
行財政運営
18%
17%
連帯意識を持つ一定の地域。
または、その一定の地域を活
動範囲とする集団。
地域の情報化
男女が、社会の対等な構成
員として、自らの意思によって
社会のあらゆる分野における
活動に参画する機会が確保さ
れ、また男女が均等に政治
的、経済的、社会的、文化
的利益を享受し、かつ、共
に責任を担うこと。
地域振興
新 枝幸町 まちづくり計画
13
Ⅰ序論
2 合併の効果と影響
合併したことの効果(プラス面で期待すること)と影響(マイナス面で不安に思うこと)
について、合併後の「枝幸町まちづくりアンケート調査」と平成16年4月に実施した「枝
幸町・歌登町の将来のまちづくりと合併についての住民アンケート調査」(有効回答数
1,855)の結果を比較すると以下のとおりです。
合併効果では、合併前、合併後ともに、「行政経費の節減」が最も高い割合になって
います。また、合併後では、合併前には低かった「行政サービスの安定的な提供」が高
い割合になっています。一方、合併による不安では、合併前は「きめ細かな行政サービ
スが受けにくくなる心配」が最も高い割合でしたが、合併後は「住民負担の増加の心配」
が最も高くなっています。こうした合併の効果や影響に対する住民ニーズを十分にふま
えてまちづくりを進めることが重要です。
合併の効果
41%
行政組織・行政事務の効率化による経費の削減
33%
地域資源の連携による観光・交流活動の活性化
各種行政サービスの安定的な提供
住民自治・住民参加の地域づくり
15%
23%
合併後調査
19%
合併前調査
18%
18%
専門職員の配置など、行政サービスの向上
重点的な投資事業の実施
29%
21%
15%
14%
49%
33%
広域的な視点からのまちづくり
「まち」
のイメージ・知名度の向上
54%
11%
0%
20%
20%
40%
60%
合併による不安
住民負担の増加の心配
33%
中心地域と周辺地域の格差拡大の心配
23%
22%
23%
住民の声が行政施策に反映されにくくなる心配
きめ細かな行政サービスが受けにくくなる心配
道路・公営住宅・公共施設等の整備が停滞する心配
11%
住民感情にわだかまりが生じる心配
合併前のまちづくりの方針・計画が変わってしまう心配
地域の連帯感や、歴史・文化が薄くなる心配
0%
20%
62%
41%
43%
22%
19%
10%
15%
9%
21%
7%
8%
公共施設の利用が不便になる心配
14
17%
38%
合併後調査
合併前調査
40%
60%
ESASHI
3 まちづくりワークショップからの提言
「まちづくりワークショップ※」では、平成18年9月から11月にかけて、住民・若手
町職員合同で、まちづくりに関する提言を取りまとめました。こうした提言の実現化に
向け、住民と行政が協働で、さらに検討を進めていくことが重要です。
まちづくりワークショップ
※ワークショップ
自由な話し合いを通じて、一
人ひとりの個々の意見を尊重
しあいながら、共通の方向を
みつけていく会議の方法・名
称。
まちづくりワークショップからの提言(抜粋)
区分
総論
テーマ
内 容
1 中 国 人 と ◇ 枝幸町には、水産加工の研修のため多くの中国人が
の交流の拡
来ている。こうした方々との交流を拡大し、町の活性
大を
化につなげたい。
◇ 現在、中国から仕事に来ている方々を講師に、ぎょ
うざづくりや太極拳、中国語の講座を開講するなど、
身近なことから始めたい。
◇ その方々が中国に帰った後も、毛ガニと上海ガニ、
牛乳とウーロン茶、ギョーザと鮭フレークなど、お互
いの地域資源を生かした交流を進めたい。雪や流氷を
見たことがない、親戚や友人の方々を呼び、国際観光
につなげたい。
2 体 験 観 光 ◇ 釣りツアー、酪農体験ツアー、お宝発掘ツアー、極
の充実を
寒ツアー、潮干狩りツアー、漁師体験ツアー、山菜ツ
アー、のんびりツアー、お見合ゴルフコンペツアー、
小規模校体験ツアー、ローカルイベント参加ツアーな
ど、多様なメニューを企画していきたい。
3 潜 在 的 な ◇ 枝幸町は、海や森の恵みが豊富にあるが、それを生
地域資源を
かした特産品が少ない。いろいろなアイディアを出し、
生かした新
新しい特産品開発を進めたい。
しい特産品 ◇ 野生獣肉(熊、トド、鹿など)、山菜、ヤツメ、イワナ・
を
ヤマメ、キントキいもなど、潜在的な地域資源を大い
に発掘・活用したい。
◇ 農協、商工会、水産加工協等が連携し、地場資源を
活かした名物プリンなど地場産料理の共同加工、共同
販売、レストラン開設などを模索してほしい。
新 枝幸町 まちづくり計画
15
Ⅰ序論
区分
各論
テーマ
内 容
1 保 健・ 医 ◇ 小児科医・産婦人科医の確保と、健康に対するとり
療・福祉
くみ(予防)の強化を進めてほしい。
◇ 「老人パワー」を活用し、元気の良い高齢者に体験
観光のボランティアガイドをしてもらい、まちの活性
化につなげたい。また、昔の遊びの伝承など、高齢者
と子どもたちの交流機会を拡充していきたい。
2 産業
◇ 農業・漁業の後継者育成や、牛乳、ホタテ、毛ガニ、
サケ、サンマの一層のブランド化を進めたい。馬れい
薯のブランドの復活や、新しい農業分野の開拓(「○
○の里」をめざす)を進めたい。
◇ 枝幸町には、働く場が少ない。コミュニティ・ビジ
ネス※の起業化や、自動車関連企業(テストコース等)
の誘致などに期待する。
◇ 雪、音、寒さ、星、釣りなどを資源として、もっと
活用したらどうか。
3 自然環境
◇ 美しい自然を残すとともに、その自然を活用して町
に人を呼び込みたい。
4 生活環境
◇ 枝幸町は、公共交通の便が悪い。札幌・旭川行きの
バスの本数を増やすとともに、高速道路の整備を促進
してほしい。また、両地区をぐるっとまわれる循環バ
スを走らせたり、送迎体制を充実していただけるとあ
りがたい。住民もできるだけ公共の乗物を利用してい
きたい。
◇ 定住化策として、両地区で、特に土地が安い歌登地
区で宅地造成を進めていきたい。
※コミュニティビジネス
地域の人々が、地域の資源
を活用して行う小規模ビジネ
ス。利益の追求だけでなく地
域課題の解決もめざす。
5 教 育・ 文 ◇ 町を出て行く子どもたちにも、故郷の思い出をたく
化
さんプレゼントできる「ふるさと教育」を推進してい
きたい。大人の教育については、大学との連携、中国
人との連携など、地域の外と連携した地元の再発見が
大切である。
◇ スポーツ分野の大きな地域資源としては、パークゴ
ルフがある。大規模な大会を開催したり、初心者への
普及を図るイベントを実施するなどし、活性化を図り
たい。また、ウォーキングや体操などは、誰でも気軽
にできることから、両地区のウォーキングスタンプラ
リーの開催や、中国人の協力による太極拳講座の開催
などを進め、健康づくりに活用していきたい。
6 ま ち づ く ◇ 合併前から受け継いできた、みんなで創るまちづく
り
りの取り組みを継承・発展させていきたい。
◇ 住民と行政が協働で行財政運営を進めていくために
は、情報の共有が大切である。
16
ESASHI
第4 節 計画の背景の総括
わが国や町をめぐる時代の潮流や、住民ニーズなどから、新しいまちづくり計画の方
向性を整理すると次のとおりです。
わが国は、財政の悪化や少子高齢化の進行など、厳しい社会情勢が続く一方で、国際
化や情報化などが急速に進んでおり、まちづくりもそうした時代の潮流に的確に対応し
ていく必要があります。枝幸町は、豊かな自然環境のもと、水産業、水産加工業、酪農・
畜産業を主要産業とし、優れた地域資源も多くありますが、それらの魅力を十分にまち
づくりに生かしきれているとはいえず、そのため、地域としての知名度も高いとはいえ
ない状況です。また、住民は、まちづくりに対して、生活環境・社会基盤の整備や保健
サービスには一定の評価をしているものの、産業振興や医療、公共交通、行財政運営な
どについては不満を持っています。
こうした背景から、新しいまちづくりでは、これまでの旧町のまちづくりを継承・発
展させるとともに、住民とともに新たな活性化策を積極的に導入していくことが重要と
いえます。そして、その実行性を高めるために、住民本位の安定的な行財政運営を推進
していくことも、重要な課題です。
計画の背景の総括
時代の潮流
① 総人口減少時代・超少子高齢社会の到来
② 「環境の世紀」の到来
③ 国際化の進展
④ 高度情報・通信技術の普及
⑤ 価値観の多様化の進展
⑥ 自立した行財政基盤確立の要請
住民ニーズ
【施策満足度の順位】※満足度の高い順
① 生活環境・社会基盤
② 保健・医療・福祉
③ 教育・文化
④ 行財政
⑤ 産業振興
【合併効果・影響】
効果:行政経費節減・地域資源の連携
影響:住民負担増・地域格差
枝幸町の特性
①森と海の豊かな自然
②水産業、水産加工業、酪農・畜産業の集積
枝幸町の主要課題
①人口減・少子高齢化への対応
②産業構造の変化への対応
③交通アクセスの改善
④保健・医療・福祉の充実
旧町のまちづくりの推進状況
【保健・医療・福祉】
病院整備、健康づくり、介護保険制度導入 等
【教育・文化】
学校教育基盤整備、ミュージアム整備 等
【産業】
農林水産業基盤整備、道の駅、温泉保養施
設整備 等
【生活環境・社会基盤】
下水道整備、まちなみ整備事業 等
【行財政・まちづくり】
行財政改革の推進 等
新・枝幸町まちづくり計画の方向性
①合併前からのまちづくりの継承と発展
②住民とともに実行する新たな活性化策の導入 ③住民本位でかつ安定的な行財政運営
新 枝幸町 まちづくり計画
17
基本
Ⅱ 構想
基本
Ⅱ 構想
第1章 枝幸町の将来像
第1 節 まちづくりの基本理念
「まちづくりの基本理念」とは、まちづくりを進める前提となる「考え方」です。
新・枝幸町まちづくり計画では、これまで旧両町それぞれで築き上げてきたまちづく
りの成果を融合・発展させ、美しく豊かな枝幸町を子どもたち、孫たちの世代へ受け継
いでいくために、住民と行政が協働でまちづくりを進めるための基本理念を次のように
掲げます。
1 「こころ」が結ぶまちづくり
合併後の一体的なまちづくりを進めるために、最大の鍵になるのは、住民一人ひとり
の「こころ」の結びつきです。
お互いがお互いに関心を持ち、個性を尊重しあい、まちぐるみでともに支えあい、新
たな創造性を発揮する「『こころ』が結ぶまちづくり」を進めます。
2 「優しさ」で包み込むまちづくり
家族や友人、知人、そしてふるさとの自然への優しさ。この優しさが、何ものにも代
えがたい私たちの財産です。
この地に住む全ての人々、ことに高齢者や障がい者、子どもたちなど、支援を必要と
する方々と、森と海が織りなす美しく神秘的な自然の生態系を「『優しさ』で包み込む
まちづくり」を進めます。
3 「活気」あふれるまちづくり
人々がいきいきと働き、子どもから高齢者までみんなが元気に活動できることを、住
民一人ひとりが強く願っています。
※「 新・ 枝 幸ブランド」
の形成
物産や商品にとどまらず、各
種の住民運動や森と海に代
表される北方的で雄大な自然
そのものを資源と考え、「新・
枝幸町」をひとつのブランド
(商標)として知名度やイメー
ジアップを図ること。
20
恵まれた自然を活かしながら、知恵と工夫で「新・枝幸ブランド」の形成※ を図り、
森の資源、海の資源それぞれの特性を活かし、また融合した地域産業の息づく「『活気』
あふれるまちづくり」を進めます。
ESASHI
第2 節 将来像
私たちの住む枝幸町は、森と海の豊かな自然に恵まれています。先人たちは、この豊
かな自然と共生した日々の生活の中から、多くの産業や文化を生み出し、一人ひとりが
支えあう、潤いと活力のあるまちを築いてきました。
21世紀を迎え、わが国全体が少子高齢化や環境問題、産業活性化などに多くの課題を
抱える中、枝幸町がこれからも住民や訪問客の笑顔があふれ、みんなに愛されるまちに
なっていくためには、町の将来の姿(将来像)を思い描き、住民と行政が協働で、町の
特性を伸ばし、課題を改善しながら、そのめざす姿に近づいていくことが重要です。
〔将 来 像〕
こころが結ぶ『森と海』
優しさと活気あふれる北の理想郷
本計画では、新しい枝幸町の将来像を「こころが結ぶ『森と海』優しさと活気あふれ
る北の理想郷」と定めます。
この将来像は、旧両町の合併協議により策定された「新町将来構想」「新町まちづく
り計画」において、「枝幸地区と歌登地区の特性と豊かな自然を活かし、融合した活力
ある産業を創造し、互いに支え合う潤いある生活を築き、すべての人々がこころから幸
せを実感できる理想郷」をめざす、という意味を込めて定められたもので、既に町民の
皆さんに広く定着していることから、本計画における将来像として継承することとしま
す。
私たちは、この将来像のもと、森と海に象徴される豊かな自然と共生しながら、新た
な「北の理想郷」を築いていきます。
新 枝幸町 まちづくり計画
21
基本
Ⅱ 構想
第2章 基本目標
将来像「こころが結ぶ『森と海』優しさと活気あふれる北の理想郷」をめざして、分
野別の基本目標とその基本目標に沿った施策の体系を以下のとおり掲げます。
ここでは、町の10年後の姿を具体的なイメージとして示すことで、各基本目標が持
つ意義を分かりやすく表現しています。
第1 節 人にやさしい健康福祉のまち
少子高齢化が進む中で、まちぐるみで支え合い、助け合い、高齢者や障がい者などを
地域で見守り、地域で子どもを育て、住民みんなが心と身体の健康増進に積極的に取り
組み、生きがいを持って生活しています。保健福祉の公的なサービスも充実し、安心し
て自立した生活を送っています。
病気やけがをした時には、地域で安心して医療が受けられ、高度医療のために遠方へ
通院する場合でも、病院間の連携や交通手段が確保されています。
私たちは、そんな、「人にやさしい健康福祉のまち」を創ります。
第2 節 活力ある産業を育てるまち
時代の変化に対応できる柔軟な経営感覚と、常に新しいものに挑戦していく経営意欲
を持った担い手が、森の恵みと海の恵みを活かし、融合して新しい枝幸ブランドを安定
的に生産・販売し、国際競争や産地間競争を克服しています。
※ 1 グリーン・ツーリズム、
マリン・ツーリズム
グリーン・ツーリズムは、農
村地域を舞台として、農業を
介した交流や体験を通じ、そ
の土地の自然や文化に触れ
余暇を楽しむ旅行形態。マリ
ン・ツーリズムは漁村地域を
舞台とするもの。
※ 2 反復型観光
同じ地域に何度も訪れる観光。
「リピーター」( 再 訪 者 )の
獲得が、観光の振興にとって
重要だという認識が広がって
いる。
健康や食をテーマに、グリーン・ツーリズムやマリン・ツーリズム※1などによる、体験・
滞在・反復型観光※2が定着しています。
私たちは、そんな、「活力ある産業を育てるまち」を創ります。
第3 節 豊かな自然と共生するまち
住民、事業者、行政がお互いの役割分担のもと、恵まれた自然環境を、後世にわたっ
て保全できる仕組みが整っており、失われた自然を再生する取り組みも進められてきて
います。
住民一人ひとりが資源やエネルギーを循環・再利用する生活様式を積極的に取り入れ、
子どもたちにその大切さを伝えています。
私たちは、そんな、「豊かな自然と共生するまち」を創ります。
22
ESASHI
第4 節 安全で快適な住みやすいまち
地域内外の交通網や情報通信網の整備を通じて、枝幸地区と歌登地区の往来などが格
段に便利になり、どちらの地区も、都市に匹敵する情報通信基盤が整っています。全道
のみならず、全国、アジア地域とのビジネスや観光での交流も活発化してきています。
犯罪や交通事故が少なく、災害の予防活動が入念に行われており、下水道や公園など
都市基盤も充実しています。除雪も行き届き、寒冷地向け住宅の充実などにより、冬の
暮らしも快適です。
私たちは、そんな、「安全で快適な住みやすいまち」を創ります。
第5 節 いきいきとした人と文化を育むまち
学校教育の現場では、信頼と尊敬に満ちた教育が推進されており、子どもたちは、み
な、郷土への誇りと人を思いやるやさしさをもち、生きる力と生涯にわたって学び続け
る意欲をもっています。
まちぐるみで学習活動やスポーツ活動を楽しみ、交流し、その成果がまちづくりに十
分に活かされ、新たな枝幸の文化創造につながっています。
私たちは、そんな、「いきいきとした人と文化を育むまち」を創ります。
第6 節 みんなと創り育てる住民参画のまち
住民一人ひとりが、まちづくりに積極的に参画し、住民と行政が共に考え、 共に創る
仕組みができ、多くの住民がまちづくりに意欲を燃やしています。
住民本位の視点に立って、随時、事務事業が点検・評価され、改善されるなど、民間
の知恵と工夫が至るところに導入された、洗練された行政運営が実現しています。行政
が担ってきた業務の民営化が進み、地域の新しい雇用創出効果も生み出しています。
私たちは、そんな、「みんなと創り育てる住民参画のまち」を築きます。
新 枝幸町 まちづくり計画
23
基本
Ⅱ 構想
施策体系図
【将来像】 【基本目標】 こころが結ぶ﹃森と海﹄
優しさと活気あふれる北の理想郷
1 人にやさしい
健康福祉のまち
【施策項目】
(1) 保健・医療の充実
(2) 高齢者福祉の充実
(3) 児童福祉の充実
(4) 障がい者福祉の充実
(5) 地域福祉の推進
(6) 社会保障制度の充実
2 活力ある
産業を育てるまち
(1) 農業の振興
(2) 林業の振興
(3) 水産業の振興
(4) 商工業の振興
(5) 観光・レクリエーションの振興
3 豊かな自然と
共生するまち
4 安全で快適な
住みやすいまち
(1) 自然環境・景観の保全
(2) 環境対策の推進
(1) 交通体系の整備
(2) 上・下水道の整備
(3) 住環境の整備
(4) 消防・救急・防災・国民保護の推進
(5) 防犯・交通安全の推進
(6) 情報通信網の整備・充実
5 いきいきとした
人と文化を育むまち
(1) 幼児教育・学校教育の充実
(2) 生涯学習・生涯スポーツの推進
(3) 芸術・文化の振興
6 みんなと創り育てる
住民参画のまち
(1) 住民主体のまちづくりの推進
(2) 多様な交流の促進
(3) 行財政運営の合理化・効率化の推進
24
ESASHI
第3章 将来人口
直近の人口動向に基づき、コーホート変化率法※ により、年齢別人口を推計すると、
本計画の目標年次である平成27年の町の総人口は約8,300人で、内訳は年少人口(0〜
14歳人口)が約1,130人、生産年齢人口(15 〜 64歳人口)が約4,560人、高齢人口(65
歳以上人口)が約2,600人となると予測されます。年少人口比率は13.7%、高齢化率は
31.4%と推計されます。
年齢別人口の推計結果
《人口》
12,000
人
10,000
年少人口(0∼14歳)
9,815
2,465
8,000
9,678
2,483
9,537
2,496
9,397
2,511
生産年齢人口(15∼64歳)
9,256
2,524
9,119
2,542
8,952
2,554
※コーホート変化率法
コーホートとは、 同 年・ 同
時期に出生した集団を表す。
コーホート変化率法とは、こ
のコーホートごとの人口増減
率の傾向が今後も継続すると
仮定して将来人口を推計する
方法。
高齢人口(65歳以上)
8,787
8,622
8,457
8,290
2,565
2,577
2,588
2,600
5,133
4,990
4,847
4,704
4,558
1,265
1,232
1,198
1,165
1,132
6,000
4,000
5,977
5,838
5,697
5,559
5,418
5,279
2,000
1,373
0
1,357
1,344
1,327
1,314
1,298
平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
《総人口を100%とした各年齢区分の比率》
年少人口(0∼14歳)比率
生産年齢人口
(15∼64歳)比率
高齢人口(65歳以上)
比率
100%
80%
25.1%
25.7%
26.2%
26.7%
27.3%
27.9%
28.5%
29.2%
29.9%
30.6%
31.4%
60.9%
60.3%
59.7%
59.2%
58.5%
57.9%
57.3%
56.8%
56.2%
55.6%
55.0%
60%
40%
20%
0%
14.0%
14.0%
14.1%
14.1%
14.2%
14.2%
14.1%
14.0%
13.9%
13.8%
13.7%
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
注:新町まちづくり計画(新町建設計画)における平成27年の推計値は8,771人
新 枝幸町 まちづくり計画
25
基本
Ⅱ 構想
第4章 施策の大綱
将来像「こころが結ぶ『森と海』優しさと活気あふれる北の理想郷」と6つの基本目
標を実現するため、以下の施策の大綱を掲げます。
第1 節 人にやさしい健康福祉のまち
1 保健・医療の充実
生涯を通じて健康に暮らすことは、住民みんなの願いです。
「自分の健康は自分でつくる」を目標に、住民一人ひとりの健康づくり意識を高める
とともに、住民自らの自主的な健康づくりを積極的に支援していきます。
また、保健福祉センター、歌登保健センター、子育て支援センターを拠点として、子
育て支援を含めた子どもの健全な発達・発育支援と、生活習慣病予防・介護予防に重点
を置いた、きめ細かな保健事業の展開を図ります。
医療については、生活習慣病の増加や医療・救急需要の多様化などに対応し、住民が
将来とも安心して適切な医療サ−ビスが受けられるよう、医療スタッフの確保と医療技
術の向上に努めるとともに、医療機能の維持や分担について検討します。また、都市の
総合病院などとの連携体制を強化し、初期医療から救急医療、高度医療に至るまでの医
療体制の確立に努めます。
2 高齢者福祉の充実
永年、社会の発展に寄与してきた高齢者が、豊かな人間関係のもとで、心身ともに健
康でいきいきとした生活を送ることができるよう、多様な機会を通じて高齢者の社会参
加や交流を促進するとともに、介護予防や、生活支援などの各種サービスの充実に努め
ます。
また、介護が必要な状態になっても、安心して暮らせるよう、介護保険サービスの充
実を通じて、介護需要への適切な対応に努めます。
3 児童福祉の充実
次世代を担う子どもたちが心身ともに健やかに育ち、安心して子どもを産み、育てる
ことができる地域づくりをめざし、保育事業の充実や、結婚や出産の奨励など、男女が
ともに子育てに積極的に参画できる社会環境づくりを進めます。
また、安全な遊び場の確保や、「地域で子どもを育てる」という理念に基づく多世代
交流の促進など、子どもが健やかに安心して育つ環境づくりを進めます。
ひとり親家庭については、相談や各種福祉制度を通じて、適切な支援に努めます。
26
ESASHI
4 障がい者福祉の充実
障がい※1があっても、住みなれた地域で自立して生活ができるよう、ノーマライゼー
ション※2の理念のもと、介護サービス、ボランティアなどによる自立生活への支援体制
の強化を図ります。そのために、障がい者福祉の拠点である地域活動支援センターの充
実を促進します。また、学習や交流、就労などの場の充実や、ユニバーサルデザイン※3
の街づくりなど、障がい者が社会参加しやすい環境づくりを進めます。
増大し続ける福祉ニーズに応えていくため、地域福祉の主導的役割を担う社会福祉協
議会や民間福祉団体、ボランティアとの連携を図り、地域で支え合う福祉のまちづくり
の推進に努めます。また、福祉に関する情報提供や各種講演・講習会の充実に努め、福
祉に対する住民意識の高揚を図るとともに、住民ボランティアの支援・育成に努めます。
6 社会保障制度の充実
国民健康保険、後期高齢者医療※4については、国民健康保険税の収納率の向上や、医
療給付 の適正化、特定健康診査、特定保健指導 の推進、広域化への対応などにより、
※6
財政運営の健全化や制度の安定化を図ります。
国民年金については、広報や相談などを通じて趣旨普及に努めるとともに、各種減免
の受付などをとおして受給権の確保を図ります。
介護保険制度については、予防給付や地域支援事業などによる予防重視型の事業運営、
居宅介護サービスの充実による在宅誘導※7などを図り、制度運営の安定化に努めます。
また、低所得者世帯に対し、生活保護制度の適切な運用を図るとともに、相談や各種
福祉制度を通じて、自立に向けた支援に努めます。
本計画では、法律名・制度
名などで規定されている場合
以外は、関係団体の使用例
などに基づき、
「障害」を「障
がい」と表現している。
※ 2 ノーマライゼーション
5 地域福祉の推進
※5
※ 1 障がい
障がい者や高齢者など社会
的に不利を受けやすい人々
が、社会の中で他の人々と同
じように生活し、活動すること
が社会の本来あるべき姿であ
るという考え方。
※ 3 ユニバーサルデザイン
あらかじめ、障がいの有無、
年齢、性別、人種等にかか
わらず多様な人々が利用しや
すいよう都市や生活環境をデ
ザインするという考え方。障
がいによりもたらされるバリア
(障壁)に対処するという考
え方である「バリアフリー」と
対比する形で用いられる。
※ 4 後期高齢者医療
後期高齢者医療制度は、平
成 20 年度からスタートする新
しい医療保険制度。高齢者
の医療については、これまで
は老人保健制度により市町
村が事務を行ってきたが、道
内全市町村が加盟する広域
連合により制度運営が行われ
る。
※ 5 医療給付
医療の提供のこと。
※ 6 特 定 健 康 診 査・ 特
定保健指導
平成 20 年度から全国で導入
される国民健康保険被保険
者を対象とした健康診査や保
健指導のこと。
※ 7 在宅誘導
介護が自宅で行える環境が整
わないために施設に入所して
いる方をできるだけ自宅で生
活できるように誘導していくこ
と。ホームヘルプサービスな
ど、在宅生活の支援サービス
の充実が不可欠である。
新 枝幸町 まちづくり計画
27
基本
Ⅱ 構想
第2 節 活力ある産業を育てるまち
1 農業の振興
酪農を中心とする農業は当町の主要産業であり、枝幸地区、歌登地区の特性を活かし、
融合した新たな枝幸ブランドの象徴として、担い手の育成と安定的な生産、さらには消
費者と連携した乳製品加工への取り組みなど、地域が一体となった振興を図ります。
そのために、農業後継者の育成や新規就農者の誘致など、担い手対策の強化を図ると
ともに、作業受委託組織など、各種営農組織の育成に努めます。また、効率的で収益性
の高い農業の確立をめざし、農地の利用集積や農道、公共育成施設、近代化施設などの
整備を図ります。
また、農業廃棄物・家畜排せつ物のリサイクルや、生産から出荷・加工・販売に至る
※ 1トレーサビリティ
「トレース(追跡)」と「アビリ
ティ(可能性)」を組み合わ
せたもので、食品の安全性を
確保するため、生産、加工、
流通、消費までの履歴を明ら
かにすること。
トレーサビリティ※1の徹底、有機酪農の研究と展開など、環境にやさしい農業の振興を
図ります。さらには、加工・流通・販売体制の充実、地産地消や食育の促進に努めると
ともに、グリーン・ツーリズム※2を積極的に推進し、消費者と連携した農業の振興を図
ります。
※ 2 グリーン・ツーリズ
ム
P22 参照。
2 林業の振興
地球レベルでの森林伐採が環境問題となる中で、木材マーケットにおいては、安価な
外国産材一辺倒の考え方から、安全・安心、そして地域環境保全につながる国産材の見
直しが始まっています。
また、林業者の高齢化・減少などから、荒廃が進み十分な施業が行き届かない山林が
増加しています。
※ 3 水源涵養
そのため、森林がもつ国土保全、水源涵養※3、自然環境の保全、保養・レクリエーショ
生活用水や産業用水の水源
として、山林における雨水の
保水力を高めること。
ンなどの多面的機能が十分発揮されるよう、治山事業、林道網の整備、新植・保育・間
※ 4 間伐
を図り、地域林業の総合的な振興に努めます。
森林の木の間隔を適切に保
ち、採光や養分が不足しない
ようにするため、不要な木を
伐採すること。
伐※4などの森林整備事業を推進するとともに、間伐材、山菜、木の実など林産物の活用
3 水産業の振興
豊かな資源を育むオホーツクの恵みを受ける水産業は、当町の重要な基幹産業として、
その動向は、水産加工業、商工業など関連産業へ与える影響は極めて大きく、枝幸港や
各漁港での水揚げを中心に産業振興の原動力であることから、今後も安定した漁獲を図
りブランド力の強化に努めていきます。
そのために、これまで継続実施してきた、ほたてやなまこ、うに、こんぶなどの増殖
や毛がにの漁獲規制、さけ、ますのふ化放流など、栽培・資源管理型漁業の一層の強化
を促進し、オホーツク海の海洋環境についても保全対策を進めます。
また、漁業後継者などの育成・確保や漁業者の技術向上を促進するとともに、漁業経
28
ESASHI
営改善に努めます。
さらに、港湾・漁港や関連施設の整備を進めるとともに、加工・販売方法の開発・研
究による「枝幸ブランド」の確立、安全 ・ 安心な水産物を供給するため、地域HACC
P※1(ハサップ)の推進を図ります。
4 商工業の振興
当町の商業は、生活必需品の小売業や料飲店、宿泊施設及びサービス業などが主体と
なっています。工業は、建設業と水産加工を中心とした製造業から構成されます。いず
れも規模の小さい事業所が多く、長引く景気の低迷などから経営は厳しい状況が続いて
います。
※ 1 地域HACCP
HACCP(ハサップ)とは、
原材料の生産から消費者に
渡るまでの工程で、あらゆる
危害(微生物汚染や異物混
入など)の発生を分析・ 予
測し、またその危害が起こら
ないように工程中の重要な管
理点を決め、チェック項目を
常時記録して常に安全性を確
かめながら製造工程を監視す
ること。地域HACCPとは、
それを地域全体で取り組むこ
と。
そのため、商工団体などとの連携のもと、高度化・情報化など、既存事業所の経営基
盤の強化を促進し、消費者ニーズをとらえた魅力ある事業・営業形態の開発や、枝幸ブ
ランドを活かした製品・サービスの開発・販売につながるよう支援していきます。
さらに、空き地・空き店舗の活用や、交通・情報通信基盤の整備、経済的支援制度の
活用促進などにより、新たな企業誘致や創業支援に努めます。
また、勤労者の就業環境対策に努めます。
5 観光・レクリエーションの振興
観光については、夏型観光、通過型観光からの脱却が必要であり、「森と海が融合し
た北の理想郷」をテーマに、都市住民の自然志向をとらえた振興策を町全域で取り組み
ます。
そのために、健康や食、自然的資源などを柱に体験メニューの通年化の推進を図り、
イベントやフィルムコミッション※2活動などを通じて、積極的な情報発信や誘致活動を
展開します。
また、観光施設の設備・内容や観光情報の計画的な更新を図るとともに、ホスピタリ
ティ※3や接客サービスの向上に努めます。
さらに、自然とふれあえる歩道の整備やきめ細かなサイン誘導※4などによる観光資源
のネットワーク化を図るとともに、オホーツク文化、野の花など、潜在的な観光資源の
発掘・開発に努めます。
※ 2 フィルムコミッション
映画やドラマ、テレビコマー
シャルなどのロケーション撮影
を誘致する非営利公的機関。
※ 3 ホスピタリティ
心のこもったもてなしや歓待
の精神。観光客等の訪問者
を迎える上で大切な要素とさ
れる。
※ 4 サイン誘導
サインとは、名所や施設など
を誘導する案内板のこと。サ
イン誘導とは、訪問客の立場
に立ち、複数の案内板を設
置したり、それらに連続性を
持たせたりして、目的地への
的確な誘導を図ること。
新 枝幸町 まちづくり計画
29
基本
Ⅱ 構想
第3 節 豊かな自然と共生するまち
1 自然環境・景観の保全
地域の産業や生活など、これまでの歴史が豊かな自然によってもたらされたことを認
識し、住民一人ひとりの環境保護思想の普及啓発に努めるとともに、地域特性に即した
山・川・海などの環境保全対策、自然とのふれあい活動への取り組みを推進します。
景観の保全・形成については、周囲の自然と調和した緑豊かな農・漁村景観・町並み
景観づくりや、北オホーツク道立自然公園などに見られる魅力ある自然景観の保全に努
めます。
2 環境対策の推進
「循環型社会」への転換をめざし、廃棄物の排出をできるだけ抑制(リデュース)し、
排出された廃棄物については極力、再利用(リユース)、再生(リサイクル)を行う3
Rの推進を図るとともに、排出された廃棄物の適正処理に努めます。し尿処理について
は、下水道や漁業集落排水、合併処理浄化槽への転換を図りながら、広域でのし尿処理
施設の維持・管理に努めます。
また、環境美化意識の高揚を図るとともに、公害や不法投棄などに対して、未然防止
と改善対策に努めます。
さらに、限りある資源の有効利用や地球温暖化防止に向け、省エネルギーの普及・啓
※新エネルギー
現在のエネルギー源の主力で
ある石油や天然ガスなどに対
し、資源枯渇の抑制や環境
汚染の抑制、未利用資源の
有効活用などの観点から普及
が図られているもの。太陽光
や太陽熱、風力、生物由来
エネルギー(バイオマスエネル
ギー)、燃料電池などがある。
30
発を図るとともに、環境にやさしい新エネルギー※の導入可能性に向けた検討を進めま
す。
ESASHI
第4 節 安全で快適な住みやすいまち
1 交通体系の整備
広域交通体系の充実と町内交通の円滑化を図るため、国道・道道の整備を関係機関に
要請していくとともに、町道の計画的な整備を進めます。また、冬期間の除排雪や路面
対策、吹雪対策など、冬道の一層の安全確保に努めます。
公共交通については、公共施設等の利用や地域活動への参加・交流を促進するために、
域内交通の充実を図るとともに、都市間バスの充実や利便性の向上などを関係機関に要
請していきます。
また、オホーツク海沿岸北部の物流拠点として、港湾機能の強化を促進するとともに、
高速交通空白地域※1解消・緩和に向けた取り組みを進めていきます。
※ 1 高速交通空白地域
2 上・下水道の整備
上水道については、長期的な視野に立って水源の確保と水道施設の適正な維持管理を
図り、安心できる良質な水道水の安定供給に努めます。
航空機、幹線鉄道、高速道
路などの高速交通インフラが
十分に利用できず、遠方へ
の移動に困難をきたしている
地域。わが国全体でこうした
インフラ整備が進む中、南宗
谷地域は、全国との相対的
な格差が拡大している。
下水道等と水洗化については、衛生的で快適な暮らしと河川・海洋の水質保全を図る
ため、公共下水道、漁業集落排水施設※2の適切な維持・管理と合併処理浄化槽の設置促
進に努めます。
3 住環境の整備
※ 2 漁業集落排水施設
公共下水道、農業集落排水
施設などとともに、下水道施
設の1つ。漁業集落において
整備される農林水産省の事
業メニュー。
快適で潤いのある住環境は、定住の基本です。
そのため、公営住宅の建て替えや民間住宅建築にあたり、介護が必要になっても住み
続けられる住まいや、景観や寒さに配慮した住まいなど、人や環境にやさしい住宅づく
りを誘導していきます。また、宅地の分譲や、U・Iターン※3志望者への情報提供など
を通じ、当町への定住を促進していきます。
さらに、暮らしに潤いと安らぎを与え、ふれあいや余暇の充実、健康づくりを促す公
園・緑地の計画的な維持・管理に努めます。
両市街地については、長期的視野に立ち、自然環境の保全に配慮しながら、住民の暮
※ 3 U・I ターン
Uターンは、教育を受けるた
め他の地域に出た人が、出
身地に戻ること。Iターンは、
出身地以外のところに定住す
ること。主に大都市から地方
への移住形態を表す言葉とし
て用いられる。
らしの向上にむけた生活基盤の整備に努めます。
4 消防・救急・防災・国民保護の推進
消防・救急・防災体制は、住民の生命・身体・財産を守る安全の要であり、高齢化な
ど社会の変化に対応し、一層の充実を図ることが求められます。
※ 4 消防水利
消火栓や防火水槽など、消
火時に使用する水利のこと。
そのため、消防については、本署と分署の連携を強化するとともに、消防団と一体と
なって、機能的な活動展開に努めます。また、消防水利※4や車両などの消防施設の充実
新 枝幸町 まちづくり計画
31
基本
Ⅱ 構想
に努めます。
救急については、救急需要の多様化に対応していくため、高規格救急車両や高度救命
処置用の資器材の整備、救急救命士の配備と救急救命技術の向上などに努めていきます。
防災については、住民の防災意識の向上を図るとともに、自主防災組織の育成・強化や、
※治山・治水対策
治山対策は、山林の保水力
を高める森林の保育や、土
砂流出防止のための堰の設
置など。治水対策は、河川
の災害防止のための浚渫や
堤防の設置など。治山対策、
治水対策は相互に関連して
実施される。
治山・治水対策※、海洋汚染防止対策、地震・津波に強いまちづくりの推進など、予防
対策を強化し、地域防災力の向上を図ります。更に、被災時の被害を最小限に食い止め、
迅速な復旧を図るため、情報伝達手段を整備・充実し、職員の初動体制や避難・救助な
どの応急体制の強化に努めます。
また、国民保護法に基づき、武力攻撃等の事態を想定した国民保護対策を進めます。
5 防犯・交通安全の推進
防犯については、防犯意識と地域連帯意識の高揚を図り、地域が一体となって活発な
防犯活動を展開し、犯罪のない安全で明るい地域づくりを進めます。また、多様で悪質
な販売形態の出現、消費生活の多様化に対応し、消費者保護に努めます。
交通安全については、住民・事業所・関係機関など地域が一体となって交通安全運動
を展開していくとともに、交通事故のない安全な社会を実現させ、高齢者・障がい者等
を含む全ての人々が、相互理解と思いやりを持って行動する共生の交通社会の形成に努
めます。
6 情報通信網の整備・充実
情報通信網の都市との地域格差の縮小に努めるとともに、情報教育の充実を図り、す
べての住民が日常生活やビジネスの現場で、必要な情報を迅速かつ有効に活用し、活発
な情報発信・交流が図れるまちづくりを進めます。
また、公共施設相互のネットワーク化を進め、窓口サービスの向上や学校・行政等の
情報化に努めます。
さらに、テレビ等難視聴やブロードバンド未共用地域の緩和・解消、携帯電話のエリ
ア拡大に向けた取り組みの強化に努めます。
第5 節 いきいきとした人と文化を育むまち
1 幼児教育・学校教育の充実
幼児教育については、保育所と幼稚園の連携や家庭・地域における教育機能の充実を
促進するなど、子どもたちがのびのびと健やかに育つことができる教育環境づくりに努
めます。
学校教育については、総合的な学習の時間の有効活用等により、確かな学力と豊かな
32
ESASHI
人間性・社会性など一人ひとりの「生きる力」の育成に努めます。また、家庭・学校・
地域の連携により、地域に根ざした開かれた学校運営に努めます。
学校施設は、安全でゆとりある教育環境が維持できるよう、耐震診断等に基づく改修
工事を推進するなど計画的な整備に努めます。学校給食については、地元の食材を利用
した地産地消の給食の提供などを通して、食育の推進に努めます。
2 生涯学習・生涯スポーツの推進
生涯学習については、子どもから高齢者まで、それぞれの年代やライフスタイルに応
じて、「いつでも・どこでも・だれでも」学習機会を選択して楽しく学ぶことのできる
学習推進体制を充実するとともに、その学習成果が評価され、まちづくりの中に反映さ
れるよう努めます。
生涯スポーツについては、住民だれもが生涯の各期にわたって、それぞれの体力や心
身の状況、興味や関心、目的などに応じて、主体的にスポーツに親しむことのできる生
涯スポーツ社会の実現を目指すとともに、身近にスポーツ活動ができる「活動の場」の
整備・充実を図り、指導者の育成と確保をしつつ、住民の様々なスポーツ活動や健康の
保持増進活動への支援に努めます。
こうした生涯学習・生涯スポーツの推進をとおし、いきいきとした人づくり、まちづ
くりに努めます。
3 芸術・文化の振興
長い歴史に培われた貴重な文化遺産を保護し後世に伝えるとともに、独創性豊かな地
域芸術・文化の振興を図ります。
そのために、「オホーツクミュージアムえさし」を拠点として、オホーツク文化に代
表される古代文化を中心に、近代産業遺産や「歌登ふるさと館」に展示のデスモスチル
ス化石 など、町内に遺された歴史・文化遺産を保護し、地域の特色ある教育資源とし
※
て活用を図ります。
また、固定席と優れた音響特性を持つ「フォレストピアホール」を利用したコンサー
トや演劇、展覧会などの開催、芸術品の展示などを通じて、優れた芸術・文化に接する
※デスモスチルス化石
デスモスチルスは、絶滅哺乳
類の1つで、柱を束ねたよう
な臼歯を持っていることが特
徴。学術上貴重な全身骨格
化石が旧歌登町で発見され
た。(写真 P118 参照)
機会の一層の拡大を図るとともに、芸術・文化活動に関する住民への積極的な情報の提
供や、指導者・団体の育成を図ります。
こうした既存の歴史遺産と、住民の個性的な芸術・文化活動を、新しい枝幸の顔とし
て内外に積極的に情報発信していきます。
新 枝幸町 まちづくり計画
33
基本
Ⅱ 構想
第6 節 みんなと創り育てる住民参画のまち
1 住民主体のまちづくりの推進
住民・民間団体と行政の協働によるまちづくりを推進するため、自治会町内会等の自
治意識の高揚を図り、環境、福祉、産業振興など、各分野での住民活動の育成に努める
とともに、住民に身近な地域自治を実現するため、地域住民の意思を反映した地域経営
や特色あるまちづくりを推進します。
また、性別に関係なく男女が共に個性と能力を発揮できる環境づくりを進め、あらゆ
る分野で男女が平等に参画できるまちづくりを推進します。
さらに、住民一人ひとりが、かけがえのない人間として、お互いに尊重しあう人権・
平和のまちづくりを進めます。
2 多様な交流の促進
国際化の一層の進展に対応した枝幸町を築いていくため、広い視野を持ち国際感覚豊
かな人材の育成に努めるとともに、様々な国・地域との交流活動や、研修・実習を通し
た技術支援など国際貢献活動の促進を図ります。また、外国人が住みやすい、外国人に
優しい環境づくりに努めます。
国内での交流については、住民が生活文化や気候風土の異なる様々な地域の人々と交
流し、相互理解を深め、相互の地域の活性化につなげることをめざし、交流活動の推進
を図ります。
3 行財政運営の合理化・効率化の推進
住民本位の自立した行財政運営の確立に向け、徹底した行財政改革と、可能な限りの
創意工夫の発揮に努めます。
そのために、多様な媒体による広報ときめ細かな公聴活動に努めるとともに、個人情
報保護に留意しながら、積極的な情報公開を推進します。また、各種委員会等での公募
※ 1 パブリックコメント
行政計画の策定や条例の制
定などにあたり、案を公表し
て住民からの意見の提出を
求め、いただいた意見を考慮
して案の決定を行う手続きの
こと。
の実施やパブリックコメント※1などを通じて、住民参画型の町政運営に努めます。
行政体制については、地方分権の進展や住民ニーズの多様化などに対応するため、組
織機構の機能的な配置や事務事業の効率化、職員の意識改革・技術向上、民間活力の導
入などを積極的に推進します。また、地域によって行政サービス水準に格差が生じない
よう、総合支所等における窓口サービスの確保を基本に、本庁と総合支所の連携強化を
図るとともに、多様な住民ニーズに的確に対応できる機能の充実に努めます。
※ 2 自主財源
市町村税や使用料・手数料
など、市町村が自主的に収
入とすることができる財源のこ
と。
34
一方、財政については、安定した自主財源※2の確保を図るとともに、経常経費の削減、
財源の重点的な配分などに努め、健全で持続可能な財政運営を推進します。
また、効率的な行財政運営を図るため、幅広い分野で広域連携を強化し、広域事業の
拡充を図るとともに、既存の広域事業の効率化に努めます。
ESASHI
第5章 土地利用基本構想
第1 節 土地利用の基本方針
土地は、将来にわたって住民の生活や生産活動の基盤であり、長期的視点に立ち、秩
序ある合理的な利用を図ります。そのため、町域を地域特性や利用形態などから、主と
して5つのエリアに区分し、それぞれの区分のめざす方向性に沿った適切な利用方法へ
の誘導を図ります。
第2 節 区分別の利用の方向性
1 農林業生産エリア
町域のうち、農用地と、主に二次林や植林地で形成されている森林地域を「農林業生
産エリア」と区分します。
「農林業生産エリア」は、自然環境の保全に配慮しながら農林業生産を優先する地域
と位置づけ、関係法令の適正な運用などを通じて農地の集約化や合理的な利用を図ると
ともに、森林の適切な管理・育成に努めます。
2 森林保全エリア
町域のうち、主に天然林で形成されている森林地域を「森林保全エリア」と区分します。
「森林保全エリア」は、貴重な自然環境の保全と、住民生活や産業振興のための良質
な水源の確保、また、国土保全などの観点から、森林の多面的な機能の発揮や適切な保
護・管理に努めます。
3 観光・体験交流エリア
ウスタイベ千畳岩周辺、三笠山周辺、うたのぼり健康回復村周辺、岡島はまなす海水
浴場周辺を「観光・体験交流エリア」と区分します。
「観光・体験交流エリア」は、森と海の観光レクリエーションの融合を図り、釣り、
森林浴、磯遊び・海水浴、キャンプ、スキー・スノーボード、流氷体験、耐寒体験など、
様々な観光レクリエーションが楽しめるエリアとして、自然環境・景観の保全に配慮し
ながら、こうした機能の強化を図る土地利用を進めます。
また、構想図には記載されていませんが、体験観光などにおいては、他のエリアなど
町域の広い範囲にわたって活動範囲となることも予想されます。
4 水産業生産エリア
オホーツク海沿岸の海浜地域を「水産業生産エリア」と区分します。
新 枝幸町 まちづくり計画
35
基本
Ⅱ 構想
「水産業生産エリア」は、自然環境の保全に配慮しながら水産業の振興を図る地域と
位置づけ、海洋環境の保全や良質な漁場の造成、漁港の整備など、生産機能の強化を図
る土地利用を進めます。
5 市街地エリア
枝幸市街地、歌登市街地は、住宅や公園、道路、下水道、公共施設などを機能的に配
置し、生活環境や都市機能の向上を図る土地利用に努めます。また、空き地などの有効
利用に努めます。
土地利用基本構想図
注:土地利用の現況を分かりやすくするため、旧町界ラインを残しています。
36
基本
Ⅲ 計画
基本
Ⅲ 計画
第1章 人にやさしい健康福祉のまち
第1 節 保健・医療の充実
現況と課題
〔保健〕
わが国の平均寿命は,医学の進歩や生活水準の向上により急速に伸びてきましたが,
※ 1 内蔵脂肪症候群(メ
タボリックシンドローム)
内臓脂肪による「肥満」の人
が、
「高血糖」「高脂血」「高
血圧」といった生活習慣病の
危険因子を二つ以上持つ状
態。
※ 2 老人保健法
壮年期からの健康づくりを制
度化するために、昭和 58 年
から施行された高齢者の保
健や医療に関する法律。
※ 3 特 定 健 康 診 査・ 特
定保健指導
P27 参照。
その反面,運動不足や食生活の変化などにより生活習慣病が増加し,特に,内臓脂肪症
候群(メタボリックシンドローム)※1の予防対策が急務となっています。
当町の成人・老人保健は、これまで、「壮年期からの健康づくり」をめざし、老人保
健法※2に基づいた健康診査や健康教育などを推進してきましたが、平成18年からは介護
保険制度改革に伴い、65歳以上の高齢者については、介護保険法に基づく介護予防事業
を中心に保健施策を展開しています。さらに、平成20年4月からは老人保健法に代わる
「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、医療保険の保険者(町)が被保険者を
対象に内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)対策に主眼を置いた特定健康診査・
特定保健指導※3を実施していくこととなっています。こうした成人・老人の保健事業を
めぐる急激な制度改革に対応し、住民の疾病予防・介護予防の事業を効果的に推進して
いくとともに、健康増進法の理念に基づき、住民一人ひとりが自らの健康は自らつくる
という意識を持ち、主体的な取り組みを進めるまちづくりを進めていくことが求められ
ます。
一方、母子保健については、出産・育児期の親子の疾病予防・健康増進と育児不安の
解消、障がい等の早期発見などにむけ、妊婦・乳幼児健康診査や、家庭訪問、健康教育・
相談、その他各種の子育て支援事業を推進しています。今後も、学校や地域との連携を
一層深めながら、子どもの健全な発達・発育を支援していくことが求められます。
精神保健については、家庭訪問や、精神障がい者の当事者会(ひまわりクラブ)の活
動への支援などを行っています。保健所などと連携しながら、ストレスや対人関係の悩
み、思春期の不登校やひきこもりなど、多様な問題の改善・解決に努めていくことが求
められます。
〔医療〕
当町の地域医療体制は、枝幸市街地に枝幸町国保病院と民間の一般診療所1カ所、歯
科診療所3カ所が、歌登市街地に枝幸町国保歌登病院と民間の歯科診療所1カ所があり
ます。そのほか国保歌登病院の医師が定期的な出張診療を行っている志美宇丹診療所、
本幌別診療所があります。救急医療は、国保病院と国保歌登病院が救急告示病院となっ
ていますが、医療需要の高度化に伴い、名寄などの高度医療機関への搬送も多くなって
います。
医療需要がますます増加、多様化することが予想される中、身近な地域で安心して医
療が受けられる体制を確保することとともに、都市部の医療機関との一層の連携強化を
図っていくことが求められます。
38
ESASHI
めざす姿
安心して医療を受けられる体制が確保されるとともに、住民一人ひとりが生涯を通じ
て自ら健康づくりに取り組む、健やかなまちづくりが進められています。
目標指標
平成17年度実績
項 目
健診における内臓脂肪症候群
(メタボリックシンドロー
ム※)の推定率
健診における糖尿病・糖尿病
予備軍の推定率
新生児訪問実施率
乳幼児健診・相談受診率
人口1,000人当たりの医師数
人口1,000人当たりの看護師数
平成27年度目標
18%
15%
※メタボリックシンドローム
P38 参照。
30%
25%
79%
92~100%
0.7人
5.1人
80%
100%
0.9人
7.0人
主要施策
(1) 主体的な健康づくりの促進
① 健康づくり成果指標の設定等
住民ぐるみで健康づくり施策を推進するために、一般町民・事業者・行政における保
健指導データ等を活用し、課題を明確にした上で成果指標を設定して計画的・効率的な
健康づくり事業に取組みます。また、医療保険者における健診等の実施計画を視野に入
れた総合的な健康増進計画の策定についても検討していきます。
② 健康づくり活動の促進
保健分野と生涯学習・生涯スポーツ分野が連携し、健康づくりや生涯スポーツの講座
の充実と自主グループ活動の活性化を図ります。
③ 健康意識の高揚
健康づくり講演会の開催や各種パンフレットの配布などを通じて、健康づくりの意識
高揚を図ります。
(2) 成人保健の充実
① 各種健(検)診の充実
基本健康診査、がん検診など各種健(検)診については、効果的な実施に向け、法改
正に対応しながら、内容、実施方法などを随時検討していくとともに、受診後のフォロー
の充実に努めます。
② 健康教育・健康相談の充実
健康教育・健康相談事業においては、生活習慣の改善に重点を置き、運動面、栄養面
についてきめ細かな支援を行います。
③ 家庭訪問の推進
支援が必要な方への家庭訪問の推進に努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
39
基本
Ⅲ 計画
④ 介護予防の推進
介護保険制度の地域支援事業を活用しながら、生活機能低下の防止や認知症予防、閉
じこもり予防など、介護予防の取り組みを進めます。
⑤ メンタルヘルス対策の推進
精神障がい者回復者クラブ「ひまわりクラブ」や「いこいの家 枝幸ひだまりの会」
などの活動を支援し、精神障がい者の悩みや不安の解消や社会参加促進を図るとともに、
うつ病についての講演の開催などを通じて、住民のメンタルヘルス対策を推進します。
⑥ 感染症への対応
エイズ、O -157、SARS、エキノコックスなど、感染症に関する予防啓発に努めます。
(3) 母子保健事業の充実
① 健診の充実
母と子の健康の増進と、疾病や障がいの早期発見に向け、妊婦・乳幼児健康診査の充
実と受診率の向上に努めます。
② 相談・指導体制の充実
各種相談事業や家庭訪問により、妊産婦・乳幼児に関する保健の正しい知識の普及と
育児不安の軽減を図ります。
③ 早期療育体制の充実
発育や発達に心配のある就学前乳幼児に対して、子ども通園センター等での支援・指
導の充実に努めます。
④ 食育の推進
地元の漁業者や農業者などの協力を得ながら、学校や保育所、幼稚園などと連携し、
食育の推進に努めます。
(4) 地域医療体制の充実促進
※ 1 初期医療(プライマ
リケア)
初期医療。頭痛、腹痛など
といった、一般的によくみら
れる病気を適格に診断し、治
療すること。
① 初期医療(プライマリ・ケア)※1の充実促進
両国保病院が、身近なところで診療や服薬管理が受けられる「かかりつけ医」として
の機能を果たせるよう、初期医療(プライマリ・ケア)の充実を図り、都市部との医療
機関及び地域保健との連携を強化し、地域に根ざした、住民が安心して適切なサービス
が受けられる医療体制の強化に努めます。
② 在宅医療の充実促進
社団法人北海道総合在宅ケア事業団などと連携しながら、往診や訪問看護、訪問リハ
ビリテーション、居宅療養管理指導など、福祉や介護と連携した在宅医療の充実に努め
ます。
③ 救急医療体制の充実
※ 2 AED(自動体外式
除細動器)
Automated External
Defibrillator の 略。 突 然 死
の大半を占める「心室細動」
に対して、心臓への電気ショッ
ク(除細動)を行う装置。
40
南宗谷消防組合との救急搬送体制の充実を図り、救急告示病院としての救急医療の充
実に努めます。また、都市の総合病院との連携強化に努めます。
④ 地域救命体制の充実
AED(自動体外式除細動器)※2など、救命器具の公共施設への設置に努めるとともに、
ESASHI
講習などを開催し、救急・救命に関する知識の普及を図ります。
(5) 保健医療の基盤の強化
① 地域医療の基盤の充実
町営の医療機関については、住民ニーズの高い科目の医師や理学・作業療法士等の確
保に努めるとともに、医療技術の進歩にあわせて高度医療機器を適宜導入するなど、医
療体制の充実を図ります。国保歌登病院については、歌登地区での地域医療の拠点とし
ての機能の維持を図りながら、枝幸町国保病院との適切な役割分担について検討してい
きます。
② 地域保健の基盤の充実
保健師、看護師、管理栄養士・栄養士、歯科衛生士など、地域保健に携わる専門職員
の確保と資質向上を図るとともに、地域保健の拠点として、保健福祉センターと歌登保
健センターの施設・設備の充実に努めます。
③ 保健・医療の連携強化
保健と医療が連携しながら、健康相談・指導や健診・人間ドック、疾病予防・介護予
防、治療・服薬管理、リハビリまでを系統的に行う体制づくりに努めます。
住民の役割
(1) 定期的にスポーツ・レクリエーション活動を行います。
(2) 日常の食生活で、栄養バランスや安全性、暴飲暴食の防止などに注意します。
(3) 禁煙・節煙に心がけます。
(4) 歯の健康づくりを心がけます。
(5) 健診を積極的に受診するとともに、その結果を活かし、健康学習に努めます。
(6) 事業所内での健康づくりの取り組みを進めます。
(7) 医師や看護師に自分の悩みや不安を気軽に相談するとともに、わからないことは
納得できるまで質問します。
(8) 応急手当などの知識の習得に努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
41
基本
Ⅲ 計画
第2 節 高齢者福祉の充実
現況と課題
※ 1 団塊の世代
第二次大戦後、数年間の第
1次ベビーブームに生まれた
世代のこと。2007 年に大量
退職のピークを迎えることか
ら、この世代をターゲットとし
て民間企業の商品開発や地
方自治体が移住促進施策を
展開するなど、新たなマーケッ
トとして注目されるとともに、
この 世 代の 蓄 積した 知 識・
経験の流出が「2007 年問題」
として懸念された。
当町の高齢者数は平成17年10月現在で2,465人、高齢化率は25.1%で、今後、団塊の
世代※1が高齢層に到達することで、高齢化は一層進むと考えられます。
高齢者福祉については、旧歌登町では昭和56年に特別養護老人ホーム歌翠園が、旧枝
幸町は昭和61年に特別養護老人ホーム枝幸苑が開設され、以来、高齢者介護の拠点とし
ての役割を果たしてきました。
平成12年4月に高齢者介護を社会全体で支えるしくみとして介護保険制度が導入さ
れ、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)をはじめ通所介護、訪問介護、短期入所
などが介護保険サービスに組み込まれ、以来、この介護保険サービスと介護保険外の保
健福祉サービス、そして生涯学習などの社会参加施策が、高齢者支援の柱となっています。
平成18年4月からは、予防重視の理念に基づき介護保険制度が改正され、介護保険の
対象である要支援認定者のうち軽度者への重度化防止のためのサービスとして「新予防
給付」が、要介護リスクのある高齢者へのサービスとして「地域支援事業」が導入され
ました。どちらも、
「運動器の機能向上」
「栄養改善」
「口腔機能の向上」といった内容が
※ 2 介護予防ケアマネジ
メント
ケアマネジメントとは、保健福
祉サービスの提供にあたり、
利用者に対して、より効果的
なサービスを行うために提供
側が、サービス内容などにつ
いて調整を行うこと。介護予
防ケアマネジメントは、介護
予防事業を実施する際に行う
もの。
中心であり、
「地域包括支援センター」での「介護予防ケアマネジメント※2」により、効
果の評価を行うしくみとなっています。また、同制度改正では、身近な地域できめ細か
な介護や生活支援を展開していくための「地域密着型サービス」も制度化されています。
こうした大幅な制度改正に的確に対応し、枝幸町独自の介護・介護予防システムを構
築していくとともに、高齢者自身の就労や生涯学習活動・交流活動など、社会参加を促
進していくことが求められます。
めざす姿
高齢者が誇りと生きがいをもち、住み慣れた地域で安心していきいきと暮らしています。
項 目
要介護認定率
介護保険施設入所者数
老人クラブ会員数
目標指標
平成17年度実績
平成27年度目標
22.5%
18%
(介護予防効果な
しで 23.7%)
123 人(18 年度)
119 人
564 人(18 年度)
650 人
主要施策
(1) 介護保険サービスの充実
① 地域包括支援センターの充実
介護予防ケアマネジメントや高齢者への総合相談・支援、認知症の方等の権利擁護、
居宅介護支援事業者支援を行う「地域包括支援センター」については、枝幸地区、歌登
42
ESASHI
地区それぞれで身近な地域で地域包括ケアが行える体制の確保に努めます。
② 新予防給付の円滑な提供
状態の改善、重度化予防を目指して、介護保険の新予防給付の円滑な提供を促進します。
③ 地域支援事業による介護予防の推進
生活機能低下の早期発見・早期対応に向け、地域支援事業の介護予防事業を推進します。
④ 地域密着型サービスの拡大
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)※1、小規模多機能型居宅介護※2など、
地域密着型サービスについては、高齢者が身近な地域で生活を続けていくための重要な
受け皿として、その確保に努めます。
⑤ サービスの質の確保
適切な要介護認定やケアマネジメント※3の推進を図るとともに、サービス提供状況の
定期的な評価を行うなど、給付の適正化と利用者保護に努めます。
※ 1 認知症対応型共同
生活介護(グループホー
ム)
介護保険サービスの1つ。認
知症高齢者などが、世話人な
どの支援のもとに、家庭的な
環境で共同で生活する場所。
※ 2 小規模多機能型居
宅介護
⑥ 介護や介護予防の拠点の充実
地域介護・福祉空間整備等交付金等を活用しながら、需要に応じた介護や介護予防の
拠点施設の整備を促進します。
(2) 生活支援の充実
介護保険サービスの1つ。小
規模の通所介護事業所にお
いて、通所介護だけでなく、
短期入所や訪問介護も行い、
同じ介護職員が利用者を担
当することで継続的な支援を
めざす。
※ 3 ケアマネジメント
① 生活支援サービスの充実
地域支援事業や、その他在宅福祉事業等を活用しながら、高齢者の介護予防や日常生
P42 参照。
活支援の多様な取り組みを推進します。
② 生活支援のボランティア活動の促進
ひとり暮らし高齢者への安否確認、話し相手など、地域で高齢者を支えるためのボラ
ンティア活動を促進します。
③ 高齢者の多様な住まいの確保
住宅改修の支援や、高齢者に配慮した住宅の整備の促進などにより、高齢者がいつま
でも在宅で生活できる住環境づくりに努めるとともに、関係機関と連携しながら、多様
な生活施設の整備・充実を促進します。
(3) 社会参加の促進
① 学習の機会の拡充
学習活動やスポーツ・レクリエーション活動、文化活動、伝統技術・芸能の伝承活動など、
高齢者の学習の場や機会の拡充に努めます。
② 老人クラブの活性化
高齢者自らが生きがいを創り出すとともに、地域づくりへの参画を促進することを目
的に、地域特性に応じた老人クラブの自主的な取り組みを支援します。
※ 4 高齢者事業団
③ 就労機会の拡充
高齢者の働く場や機会の拡充にむけて、高齢者事業団※4の充実を促進するとともに、
高齢者が、働くことを通して、
生きがいをもつことを目的に、
仕事の紹介等を行う機関。
森や海の恵みを活用した加工などを行う高齢者の生きがい就労の場づくりを検討します。
新 枝幸町 まちづくり計画
43
基本
Ⅲ 計画
住民の役割
(1)
いつまでも地域で自立して暮らすことをめざし、各種在宅サービスを活用します。
(2)
経験や知識、技術を活かし、学習や多世代交流など、多様な活動に参加します。
(3)
事業者は、高齢者の積極的な雇用に努めます。
(4) 介護サービス事業者は、質・量ともに利用者が満足する介護サービスの提供に努
めます。
44
ESASHI
第3 節 児童福祉の充実
現況と課題
〔児童福祉〕
子育ての喜びを感じ、子どもと親が共に成長していくためには、ゆとりを持って子育
てができる地域づくりが必要です。また、子どもが健やかに育つためには、子どもが安
全、安心な環境のもと、生き生きと活動でき、個性を活かすことのできる地域づくりを
進めることが必要です。
当町の就学前児童の保育・教育体制は、町立枝幸保育所、町立音標保育所の2カ所の
認可保育所とへき地保育所に法区分される町立歌登保育所、そして私立枝幸幼稚園と
なっており、学童保育は、枝幸地区の子ども会館と歌登児童館で実施しています。町立
保育所については、通園時間は、3所とも平日が8時〜 17時30分、土曜が午前中のみ
ですが、歌登保育所では法区分上は平日の8時〜 12時が通常保育時間で、土曜も含め
17時30分までの延長保育が実施されています。枝幸保育所では0歳児から、歌登保育
所では2歳児から、音標保育所では3歳児から児童を受け入れています。また、歌登保
育所では在園児以外の児童を受け入れる臨時保育を実施しています。
子育て支援については、新町では子育て推進課と歌登地域子育て支援センターが情報
提供や相談の窓口となるとともに、「のびのびルーム」や「つくしんぼ広場」など、交
流機会の提供に努めています。また、各子育てサークルの育成支援にも努めています。
平成15年、少子化対策の基本理念等を定める「少子化対策基本法」と、その児童福祉
分野を中心とした具体化のための「次世代育成支援対策推進法」が制定され、旧両町に
おいても、これらの国の方向性に基づき「次世代育成支援地域行動計画」を策定したと
ころです。保育所、幼稚園、学校、家庭、地域が連携しながら、親の子育てへの支援、
子どもの元気な「子育ち」への支援の両面にわたって、計画を着実に推進していくこと
が求められます。
〔ひとり親家庭福祉〕
当町の平成18年4月現在の母子世帯は92世帯、父子世帯は4世帯です。
ひとり親家庭の多くは、就業の問題や子どもの養育、進学など様々な問題を抱えてい
る状況にあり、町では各種手当、助成の実施を行うとともに、民生・児童委員と連携し
ながら、相談などに努めています。離婚の増加などから、ひとり親家庭は今後も増え続
けると見込まれ、自立支援体制の一層の強化が求められます。
めざす姿
子育てが社会全体で支えられ、子どもたちが心身ともに健やかに成長し、安心して子
どもを生み、育てています。
新 枝幸町 まちづくり計画
45
基本
Ⅲ 計画
項 目
保育所児童数
延長保育利用者数
(8時以前、17 時 30 分以降、枝幸・音標の土曜午後)
一時(臨時)保育利用者数
学童保育利用者数
地域子育て支援センター数
つどいの広場数
目標指標
平成17年度実績
186 人
平成27年度目標
200 人
0人
8人
1人
44 人
1カ所
0カ所
8人
70 人
2カ所
1カ所
主要施策
※ 1 子育ち支援、子育て
4
4
支援
「子育ち支援」は、育つ側の
子どもに着目し、子どもが健
やかに育っていくための環境
づくりを進めること。
「子育て支援」は、子育て負
担の軽減など、親への支援。
(1) 子育ち支援※1の強化
4
① 子どもの権利の尊重
「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)
」の理念に基づき、子どもの意見を尊
重し、権利を守る社会づくりに努めます。そのために、児童虐待の防止や保護対策、ひ
とり親家庭への支援、安全な生活環境づくりなどを進めます。
② ふれあい・体験を重視した保育・教育の推進
町内の保育・教育施設では、自然体験や農業体験、高齢者や異年齢児とのふれあい活
動などを積極的に採り入れた地域保育・地域教育を推進していきます。
③ 身近で安全な遊び場の確保
身近で安全な遊び場として、地域子育て支援センターや児童館など屋内の遊び場や、
公園・緑地など屋外の遊び場の充実を図るとともに、保育所や幼稚園の園庭、学校校庭
の積極的な開放を促進します。
(2) 子育て支援※1の強化
4
① 情報提供・相談・交流の拠点の充実
枝幸地区に地域子育て支援センターやつどいの広場を設置し、歌登地域子育て支援セ
ンターとともに、子育て情報の提供や、相談の充実、交流活動の促進を図ります。
② 子育て交流の促進
保育部門、教育部門、保健部門が連携しながら、子育てサークルなどの育成支援に努
めます。
③ 保育サービスの充実
保育ニーズの多様化に対応するため、低年齢児保育や、延長保育、一時保育、障害
児保育など多様な保育サービスの提供を図ります。そのために、枝幸保育所の施設のリ
※ 2 認定こども園制度
「認定こども園」とは就学前
の子どもに教育・ 保育・ 子
育て支援を一体的に提供する
施設。幼稚園と認可保育所
は異なる法体系に位置づけら
れているが、この「認定こど
も園」では両者の一元化を
図ることが可能である。
46
ニューアルを図るとともに、各保育所の人員・設備等の充実・強化に努めます。
④ 放課後児童の健全育成
核家族化の進展や共働き世帯の増加に対応するため、受け入れ人数の拡大など、学童
保育の施設や保育内容の充実を図ります。
⑤ 福祉分野における認定こども園制度※2の検討
北海道認定こども園の認定基準に基づき、認可保育所の教育的機能の拡充や、へき地
ESASHI
保育所のこども園認定などを検討します。
(3) 少子化問題への対応
① 結婚・出産の意義の啓発
晩婚や非婚の家庭、結婚しても子どもを持たない家庭が増えていることから、子ども
時代から「結婚や子どもを持つこと」の大切さ、喜びなどを多様な機会で啓発していき
ます。
② 結婚・出産の奨励策の強化
出産祝金交付事業、出産交通費助成事業の推進を図るとともに、道の不妊治療費助成
制度の活用を促進します。また、不妊治療にかかる交通費の助成など、新たな結婚・出
産の奨励策について多方面からの検討に努めます。
(4) ひとり親家庭支援の充実
① 相談体制の充実
母親や父親の経済的、精神的不安を解消するため、民生・児童委員や社会福祉協議会
などと連携しながら、相談体制の充実に努めます。
② 経済的支援制度の活用促進
ひとり親家庭等医療費助成、児童扶養手当、母子・寡婦福祉資金の貸付、母子家庭自
立支援教育訓練給付金など、各種経済的支援制度の周知と活用を促進し、ひとり親家庭
の経済的安定と自立を図ります。
③ 安心して働ける環境づくり
各種保育サービスの充実を図るとともに、ハローワークや職業訓練機関などと連携し
ながら、ひとり親家庭の就労機会の拡大に努めます。
④ 交流の促進
ひとり親家庭相互の交流を図り、互いに連携・協力しあえる体制づくりに努めます。
住民の役割
(1)
育児相談などを活用し、家庭での保育やしつけなどについて、理解と実践に努め
ます。
(2)
子どもに関わる地域活動、グループ活動などを通じて、子育ての仲間づくりを積
極的に進めます。
(3)
地域活動の場で、子どもや子育て中の親が積極的に参加しやすい工夫に努めます。
(4)
事業所は、事業主行動計画の策定、育児休業制度の遵守、母子・父子世帯への配
慮など、子育てをしながら働ける環境づくりに努めます。
(5)
公益施設や商業施設などでは、親子づれ利用に配慮した施設環境づくりに努めま
す。
(6)
地域活動を通じ、母子・父子家庭に欠ける家庭環境を地域として助けます。
新 枝幸町 まちづくり計画
47
基本
Ⅲ 計画
第4 節 障がい者福祉の充実
現況と課題
障がい者数の増加や、障がいの重度化・重複化が進むなか、障がいがあっても住み慣
れた地域で自立し、安心して生活できる地域社会づくりが望まれています。
平成17年度末現在、当町の身体障がい者は635人(身体障害者手帳所持者)、知的障
がい者は83人(療育手帳所持者)、精神障がい者は13人(精神保健福祉手帳保持者)です。
当事者や家族の交流等のための組織としては、全国組織である身体障害者福祉協会や知
的障がい者のための「手をつなぐ会」、南宗谷特殊学級保護者の会である「風の子の会」、
精神障がい者の南宗谷3町の当事者会「ひまわりクラブ」、さらには枝幸市街地で共同
作業やレクリエーションなどを行うために平成16年度に発足した「いこいの家枝幸ひだ
まりの会」があります。障がい者の社会参加や交流の場としては、枝幸地区では「いこ
いの家枝幸ひだまりの会」が小規模な作業所を運営し、平成19年より NPO 法人「南宗
谷ひだまりの会」として活動しています。一方、歌登地区では「生活保護法授産施設歌
登授産所」が障がい者、高齢者、低所得者の授産の場となってきました。
※ 1 障害者自立支援法
平成 18 年 10 月に本格施行
された障害者への福祉サービ
スの提供に関する法律。自立
支援を目的に就労支援施策
の充実が定められる一方、福
祉サービスの一部負担が求め
られることとなった。
障害者福祉サービスについては、平成18年度から障害者自立支援法※1が施行され、身
体障がい者、知的障がい者、精神障がい者への一元的なサービス提供、障害程度区分の
認定、応益負担などの仕組みが新たに導入されました。また、就業支援の強化や、施設
中心から在宅中心の生活への移行などが図られることとなりました。これらの制度改正
を受け、当町では障害者自立支援法の地域生活支援事業のひとつである「地域活動支援
センター事業」を実施しており、就業や訓練、作業などの機能強化を図っています。
当町の障がい者福祉は、今後も、こうした活動拠点や、人のネットワークを活かしな
がら、身体障がい、知的障がい、精神障がいの3障害すべての方が地域で自立して生活
し、多様な活動に参加していける仕組みづくりを進めていくことが求められます。その
ために、居宅介護等の障害福祉サービスや社会参加等に対する地域生活支援サービスを
充実するとともに、養護学校卒業後、あるいは施設・病院の退所・退院後などに、地域
でいつまでも暮らしていける居住の受け皿の確保に努めていく必要があります。
※ 2 学習障害(Learning
Disabilities)
全般的な知的発達に遅れは
ないが、聞く、話す、読む、
書く、計算する、推論するな
どの特定のものの習得と使用
に著しい困難を示す状態。
※ 3 注意欠陥/多動性障
害(Attention Deficit/
Hyperactivity Disorder)
不注意、多動性、衝動性な
どの一定の診断項目が6カ月
以上続く状態。
※ 4 高機能自閉症
知的発達の遅れを伴わない
自閉症。
48
また、学習障害(LD)※2、注意欠陥/多動性障害(ADHD)※3、高機能自閉症※4
など発達障がい者(児)の増加を受け、平成17年度から発達障害者支援法が施行された
ことから、こうした発達障がい者(児)への支援の強化も図る必要があります。
めざす姿
障がいがあっても住み慣れた地域で自立して生活し、多くの人に支えられながら、様々
な活動にいきいきと参加しています。
ESASHI
目標指標
項 目
平成17年度実績 平成27年度目標
施設入所者数
36人
28人
地域活動支援センターの登録
11人(18年10月)
18人
者数
グループホーム ※1 ・ケアホー
9人
14人
ム※2居住者数
※ 1 グループホーム
P43 参照。
※ 2 ケアホーム
知的障害者、精神障害者の
グループホームのうち、介護
が 必 要な方に対して、 平 成
18 年から制度化された形態。
支援の内容に介護が加わる。
主要施策
(1) 自立支援対策の推進
① 適切なケアマネジメントの推進
障害程度区分の認定や、支給決定、障がい者相談支援などを的確に行い、障がい者が、
障がいの状況やライフステージ、家庭や住まいの状況、サービス利用意向などに応じて、
適切に福祉サービスが受けられるよう、きめ細かなケアマネジメント※3の展開に努めます。
② 介護サービスの充実
※ 3 ケアマネジメント
P42 参照。
居宅介護、短期入所をはじめとする介護サービス(介護給付)については、支援費制
度の枠外であった精神障がい者を含め、すべての利用希望者への対応を可能にするため
の提供体制の強化を図ります。
③ 障がいの早期発見・早期療育・機能回復訓練の推進
出産時の障がい、病気や事故等による中途障がいに対して、保健福祉センター、歌登
保健センター、子ども通園センター、国保病院、国保歌登病院など関係機関が相互に連
携し、発生予防、早期発見、治療、療育、機能回復訓練などを一体的に推進します。
④ 福祉的就労の拡大
地域活動支援センターについては、創作的な活動や生産活動の充実を図るとともに、
積極的な広報や交通費の助成などにより利用の拡大に努めます。
また、広域市町村や産業団体、福祉団体などと連携しながら、町内や広域の福祉的就
労の場※4のさらなる整備・拡充を促進していきます。
⑤ 経済的支援制度の利用促進
自立支援医療や、補装具費の支給などの自立支援給付、日常生活用具給付などの地域
生活支援事業、特別障害者手当、児童扶養手当の支給など、各種経済的支援制度の周知
※ 4 福祉的就労の場
雇用契約に基づかない就労
の場。雇用には最低賃金法
などの規制があるが、障害者
等への除外規定などを活用し
ても、法に基づく雇用が難し
い場合、こうした形態がとら
れる。
と有効利用を促進します。
※ 5 バリアフリー(P27
(2) 教育の保障と社会参加の促進
※ 3 ユニバーサルデザイ
① 保育・教育の保障
保育所・幼稚園・小中学校のバリアフリー化※5、特別支援教育の充実、進路相談体制
の充実などにより、障がい児の希望や障がいの実態に応じた保育・教育を受けられる体
制づくりに努めます。
② 障がい者の一般就労の確保
ン中でも解説)
建物の段差の解消など、物
理的なバリア(障壁)を除去
すること。近年は「心のバリ
アフリー」「情報バリアフリー」
など、より幅広い意味で用い
られることも増えてきている。
ハローワークや福祉施設、養護学校等と連携して、職業訓練機会の充実を図るととも
に、町内・広域の事業所等の理解を得ながら一般雇用の場の確保に努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
49
基本
Ⅲ 計画
③ 生涯学習などへの参加の促進
障がい者が文化・スポーツ・レクリエーションなど多様な活動に参加し、充実した生
活ができるよう、手話や要約筆記、点字など多様な媒体・手段での情報提供の充実や、
ボランティアによる活動支援体制の確保などに努めます。
④ 移動手段の確保
地域生活支援事業の移動支援事業などを通じて、障がい者の移動手段の確保・充実を
図ります。
⑤ 障がい者組織の育成
障がい者の社会参加活動の基盤となる障がい者組織の育成を図ります。
(3) 人にやさしいまちづくりの推進
① 住民の意識の啓発
※ 1 ノーマライゼーション
P27 参照。
※ 2 バリアフリー
P49 参照。
学校や地域での福祉教育の推進、交流活動やボランティア活動の充実などにより、ノー
マライゼーション※1の理念や障がい者への理解を深め、「心のバリアフリー※2」のまち
づくりを推進します。
② 障がい者にやさしい街づくりの推進
段差のない歩道、スロープ、障がい者用トイレの設置など、公共施設のバリアフリー・
※ 3 ユニバーサルデザイン
P27 参照。
※ 4 ケアホーム
P49 参照。
※ 5 グループホーム
P43 参照。
ユニバーサルデザイン※3化を進めるとともに、民間施設への協力を要請します。
③ 障がい者の住まいの確保
ケアホーム※4やグループホーム※5など、障がい者が共同で自立して暮らし続けていく
生活施設整備などの促進に努めます。
また、障がい者・高齢者仕様の住宅についての相談・情報提供を充実します。
住民の役割
(1)
障がい、特に知的障がいや精神障がいについて学び、偏見をなくすよう努めます。
(2)
街頭で積極的に障がい者を介助し、支えます。
(3)
障がい者が参加する行事に積極的に参加します。障がい者自身も積極的に地域の
活動に参加します。
(4)
手話通訳や要約筆記、精神保健ボランティアなど、障がい者へのボランティア活
動に積極的に参加します。そのために、技術の習得を図ります。
(5)
事業者は、障がい者の職場受け入れに努めます。
(6)
住宅関係業者は、障がい者が暮らしやすい住まいづくりに取り組みます。
(7)
公益的な施設では、段差の解消や障がい者も利用しやすい多目的トイレの設置な
どに努めます。
50
ESASHI
第5 節 地域福祉の推進
現況と課題
少子高齢化の進行、世帯人員の減少、地縁での人間関係の希薄化などにより、高齢者
や障がい者、子どもなどを家族や地域社会で支える力が弱まっています。しかし、行政
や民間事業者によるサービスとしての福祉には限界があり、それを補うものとして、ボ
ランティアなど自主的な地域福祉活動の推進が求められています。
当町では社会福祉協議会を中心に、民生児童委員、ボランティア団体、小中学校、保
育所・幼稚園、地域住民等が連携してこうした地域福祉活動に取り組んでいます。
今後もこれらの活動を通じて福祉の心を育み、あたたかな地域のつながりを大切にす
る、誰もが地域で安心して暮らせるまちづくりを推進することが求められています。
めざす姿
誰もが住み慣れた地域社会の中で自立し、安心して暮らしています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
社会福祉協議会登録ボランテ
16団体 881人
ィア団体数・人数
平成27年度目標
20団体 1,100人
主要施策
(1) 地域福祉の推進体制づくり
① 地域福祉計画等の策定
当町の地域福祉ネットワーク形成のための指針として、社会福祉法に位置づけられた
地域福祉計画と、社会福祉協議会の地域福祉実践計画を一体的に策定します。
② 社会福祉協議会の体制強化
地域福祉の主要な推進組織として、社会福祉協議会の体制強化を図ります。
③ 地域の「たまり場」づくり
各市街地・集落の集会施設などを、地域住民が日頃から気軽に集まり、高齢者や子ど
もたち、障がい者などの交流が繰り広げられる「たまり場」として積極的に活用してい
きます。
④ 人にやさしいまちづくりの推進
公共施設のバリアフリー化※1を推進し、公益施設への波及を促します。新設するもの
については、誰もが使いやすいユニバーサルデザイン※2の導入を促進します。
(2) 福祉意識の醸成と活動の促進
※ 1 バリアフリー
P49 参照。
※ 2 ユニバーサルデザイン
P27 参照。
① 福祉意識の啓発
新 枝幸町 まちづくり計画
51
基本
Ⅲ 計画
保育・幼児教育、学校教育、社会教育の中で一貫した福祉教育を推進するとともに、
広報活動、イベントなどあらゆる学習・体験機会を通じて、福祉意識の啓発に努めます。
② ボランティアの参加促進と資質の向上
ボランティアの体験教室や養成講座、研修会や交流会の充実により、ボランティアの
掘り起こしや資質向上を図ります。特に、若者や男性、有職者など、参加が少ない住民
層のボランティアへの参加や事業所単位のボランティア活動を促進します。また、障が
い者や高齢者などが自らボランティアとして社会参加する機会の拡大を図ります。
③ ボランティアネットワークの強化
ボランティア情報の提供や、ボランティア同士の横のつながりのコーディネートなど
を図り、ボランティアネットワークの強化に努めます。
④ 交流機会の拡大
社会福祉協議会と協力しながら、誰もが参加できる幅広い福祉イベントの充実に努め、
住民相互の交流機会の拡大を図ります。
住民の役割
(1)
町や社会福祉協議会、民生児童委員などと協力し、あいさつ運動や見守り活動な
どを通して、地域の高齢者や障がい者、子どもたちなどを支えます。
(2)
ボランティア活動に積極的に参加します。
(3)
社会福祉協議会の会員となるとともに、活動を支援します。
※ 1 バリアフリー
P49 参照。
※ 2 ユニバーサルデザイン
P27 参照。
52
(4)
商工団体と建築関係者、行政が連携し、民間公益施設のバリアフリー化※ 1、ユニ
バーサルデザイン化※ 2 を推進します。
ESASHI
第6 節 社会保障制度の充実
現況と課題
〔国民健康保険制度・後期高齢者医療制度〕
わが国の医療保険は、職域に応じ、事業所等で働く方のための健康保険、自営業の方
などのための国民健康保険などがあり、主に75歳以上の高齢者の医療費については、
「老
人保健制度」により各保険者から拠出された財源により医療費が負担されてきました。
当町は国民健康保険の保険者として、また、「老人保健制度」の実施主体として、国民
健康保険被保険者や老人保健制度対象者の健康と医療の確保に努めています。平成20年
度からは、「老人保健制度」に代わり新たに「後期高齢者医療制度※1」が創設され、道
内の全市町村が加入する広域連合が保険者となり制度運営を行っていきます。
今後も、生活習慣病予防などにより医療費の抑制を図りながら、国民健康保険と「後
※ 1 後期高齢者医療制
度
P27 参照。
期高齢者医療制度」を安定的に運営していくことが求められます。
〔年金制度〕
国民年金制度は、全国民共通の基礎年金の導入など、老後の生活の支えとして大きな
役割を果たしてきました。平成14年度以降、収納事務は市町村に代わって国が行うこと
となりましたが、町では、国民年金の老齢基礎年金受給手続きや、減免の相談や申請の
受理、社会保険事務所での手続きにつなぐ進達事務などを行っています。今後も、国の社
会保険庁改革などに対応しながら、町民の受給権の確保に努めていくことが求められます。
〔介護保険制度〕
平成12年度からスタートした介護保険制度は、高齢者介護を社会全体で支える仕組み
として導入され、事業者によるサービス供給と利用者のニーズを適切に結びつけるケア
マネジメント※2の仕組みにより、介護の基盤づくりに大きな役割を果たしてきました。
※ 2 ケアマネジメント
P42 参照。
しかし、急増する給付費の抑制やサービスの質の確保などの課題が顕在化しており、平
成18年4月から予防重視の理念に基づく制度改正が実施され、新予防給付、地域支援事
業などが導入されたところです。今後も、介護予防の充実などにより給付費の削減を図
りながら、制度の安定化に努めることが求められます。
〔生活保護制度・低所得者福祉制度〕
当町の平成18年4月現在の生活保護世帯は71世帯、被保護人員数は83人、生活保護
率は8.3パーミルです。生活保護事務の事務は宗谷保健福祉事務所で行われていますが、
町では民生児童委員と協力しながら、保護申請書の提出を受け、保健福祉事務所に進達
しています。また、保護適用者以外の低所得者への相談や支援も行っています。
低所得者世帯は、不況などの影響を受けやすく、また社会的に弱い立場にあることが
多く、経済的に自立できるように、民生児童委員などと連携しながら、実態と要望を的
確に把握し、適切な指導・援助を行っていく必要があります。
めざす姿
少子・高齢化時代を社会全体で支える社会保障制度の安定した運営が図られています。
新 枝幸町 まちづくり計画
53
基本
Ⅲ 計画
目標指標
項 目
平成17年度実績
国保税の収納率
96.85%
人口1人あたり医療費
283,956円
一人あたり医療費の地域差指
1.248
数
介護保険料の収納率
95%
平成27年度目標
98%
255,560円
1.100
98%
主要施策
※ 1 後期高齢者医療
P27 参照。
(1) 国民健康保険・後期高齢者医療※1の安定化
① 制度への理解の促進
広報紙やパンフレットなどにより、国民健康保険や後期高齢者医療(平成18 〜 19年
度は老人保健制度)への理解を求め、国民皆保険として適正な運営に努めます。
② 滞納者への対応強化
滞納者への対応として、滞納分析にもとづく適切な納付相談・指導を行うとともに、
口座振替納付率の向上を図り、国民健康保険税の確保に努めます。
③ 受診の適正化
※ 2 レセプト
医療費の請求明細のこと。医
療機関から保険者へ請求が
なされる。
レセプト※2の縦覧点検や多受診・重複受診者への保健指導の強化、広報活動による医
療費に対する意識の啓発などを図り、被保険者の受診の適正化に努めます。
④ 健康づくりの促進
基本健康診査や介護予防健診など各種健診データを総合的な管理・活用しながら、生
活習慣病の予防などの保健事業の充実を図り、医療費抑制に努めます。また、平成19
年度には、生活習慣病に関係する健診や医療費データ等を分析し、「特定健康診査等実
施計画」を策定し、平成20年度からは、その計画に基づき、特定健康診査と保健指導特
定保健指導を実施します。
(2) 年金制度の安定化
① 国民年金業務の推進
年金制度の意義や役割、各種減免制度について、広報・相談の充実に努めるとともに、
各種申請の受理・進達などの業務を円滑に推進します。
② 社会保険庁改革への対応
国の社会保険庁改革に対応し、業務実施体制を整備していきます。
(3) 介護保険制度の安定化
① 情報提供・相談体制の充実
広報紙への掲載やパンフレットの配布などにより、制度やサービスの情報提供・相談
体制の充実に努めます。
② 要介護・要支援認定の適正な実施
54
ESASHI
認定調査員の質の向上を図るとともに、迅速・公平・適正な要介護認定の実施を促進
します。
③ 適切なケアマネジメントの実施促進
研修や情報交換を充実して、介護支援専門員(ケアマネジャー)※1の質の向上を図り、
利用者一人ひとりにふさわしい適切な介護サービス計画を効率的に作成し、総合的なケ
アマネジメント※2を行うことを促進します。
※ 1 介護支援専門員(ケ
アマネジャー)
介護保険制度においてケアマ
ネジメントを行う専門員。
※ 2 ケアマネジメント
④ 保険財政の健全運営
徴収・支払い事務の効率化、徴収率の向上を図るとともに、新予防給付や地域支援事
P42 参照。
業の充実を促進して介護給付費の削減を図り、介護保険財政の健全運営に努めます。
(4) 低所得者の自立の支援
① 相談・指導の充実
社会福祉協議会や民生児童委員などとの連携のもと、低所得者への相談・指導体制の
充実を図ります。
② 就業の促進
ハローワークなど関係機関と連携しながら、被保護者や低所得者の就業相談、能力開
発などを図り、被保護者や低所得者の就業を促進します。
③ 各種援護制度の活用
民生児童委員や保健福祉事務所などと連携しながら、生活保護制度の適切な運用を図
るとともに、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度など、各種経済的支援制度の
利用を促進します。
住民の役割
(1)
各種社会保障制度への理解を深め、保険料を納付します。必要に応じて減免制度
などを活用します。
(2)
自分の健康は自分で守るという自覚を持ち、疾病予防と健康の保持増進に努める
とともに、頻回、重複受診による医療費の無駄を減らします。
(3)
居宅介護支援事業者、地域包括支援センターは、本人のニーズに基づき、適切な
ケアプラン※ 3 づくりに努めるとともに、サービス利用後の十分な検証を行います。
(4)
役場や社会福祉協議会、民生児童委員などの相談・指導サービスを積極的に利用
します。
※ 3 ケアプラン
保健福祉サービスの提供にあ
たり、利用者に対して、より
効果的なサービスを行うため
に提供側が、サービス内容な
どについて調整を行うために
作成する「サービス利用計画」
のこと。介護保険制度におい
て制度化されている。
新 枝幸町 まちづくり計画
55
基本
Ⅲ 計画
第2章 活力ある産業を育てるまち
第1 節 農業の振興
現況と課題
当町の農業は、昭和30年代までは馬鈴薯などの畑作が中心となっていましたが、気象
条件や経済立地条件により、酪農への転換が進められ、現在は、酪農と肉用牛経営を中
核とした農業が営まれています。
平成17年の農林業センサスや農林水産統計年報によると、農家戸数は178戸(法人
含む)、農業就業人口は400人(法人含む)で、経営主の高齢化や後継者不足などによ
り年々減少を続けています。また、経営耕地面積は11,071©(法人含む)で、そのう
ち10,345© が畜産飼料を供給するための草地として利用されています。乳牛頭数は
12,024頭(法人含む)、乳量は57,142t、肉用牛頭数は903頭(法人含む)です。
当町の酪農・肉用牛生産は、豊富な土地基盤を背景に規模拡大を進め、EU諸国にひ
けをとらないといわれるまでに発展していますが、これに伴い、労働過重や労働力不足
の問題が顕在化し、生産性の高い経営基盤の確立と、優れた技術と経営感覚を持つ農業
者の確保と育成が極めて重要な課題となっています。
そのため、これまでも、国営・道営・団体営などの各種事業や、農家・経営体への補
助を通じて、草地改良や農道整備などを進めるとともに、農地の利用集積や、作業の合
理化の促進などに努めてきました。
今後も、効率的でゆとりある酪農経営をめざし、良質な自給飼料の生産拡大や家畜の
改良、飼養管理の改善・合理化、農場の衛生管理の徹底をはじめ、公共育成施設整備な
どによる経営の効率化や労働負担の軽減を図るための分業システムの導入と、酪農ヘル
※交換分合
利用形態や所有権が細分・
分散している農用地を、区画、
形状、状態を変えずに所有
権などの権利を地域ぐるみで
交換し、広く使いやすい農用
地にまとめること。
パーなど経営支援組織の育成、さらには、交換分合※などによる土地の集約的な利用や、
農業生産法人化などによる経営体の強化を促進していくことが求められます。
また、当町が持続可能な農業を展開していくためには、環境への十分な配慮が不可欠
です。平成11年に家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排せ
つ物法)が施行され、旧両町においても、ふん尿処理施設の設置を促進してきましたが、
完了には至っていません。ふん尿の適正処理を一層進めるとともに、処理後の堆肥を農
地に還元し、循環型農業を展開していくことが求められます。また、当町では、JA北
見枝幸が中心となり、産業廃棄物であるほたての貝殻を環境整備資材として活用を進め
4
4
4
ています。こうした、分野横断的な環境保全対策にも力を入れていく必要があります。
さらに、近年、BSEや食品の不正表示問題の発生などを契機として、食品の安全・
安心に対する消費者の関心がかつてないほど高まっています。牛肉については牛トレー
サビリティ法により、個体1頭1頭の情報が消費者に提供されるとともに、牛乳・乳製
品については、生乳の流通は正確に記録されており、多くの乳業メーカーで生産履歴を
集乳レベルまで遡れる状況にあります。今後も、消費者の求める安全な枝幸産の農産物
を生産・供給していくために、各農家やJA、乳業メーカーが連携した、生産・加工・
流通の各段階におけるリスク管理の徹底を促進していくことが求められます。
また、当町の農業は、一元集荷体制を基本とする酪農が主体であることから、加工や
56
ESASHI
直売などによる地域ブランド化の取り組みがあまり進められていません。しかし、地産
地消を通じた食育などの効果を考える中で、酪農振興研修センターなどを活用し、乳製
品加工や直売、産直、体験農業などの取り組みを促進していくことが求められます。
めざす姿
意欲ある担い手によってゆとりある農業生産が行われ、わが国の食料供給基地の一翼
を担っています。
目標指標
平成17年度実績
農業産出額
50.6億円
認定農業者数
111人
新規就農戸数(平成13年度か
8戸
らの累積)
農業生産法人数
3法人
交換分合事業延べ実施地区数
1地区
生乳生産量
59,069t
ふん尿処理施設整備率
89%
項 目
平成27年度目標
71.0億円
117人
15戸
5法人
3地区
81,000t
100%
主要施策
(1) 生産体制の整備
① 農業基盤の整備
関係機関と連携しながら、草地改良、農道整備など、土地利用の高度化の基本となる
基盤整備の円滑な推進を図ります。
② 公共育成施設の整備
酪農経営の規模拡大と効率化、労働力軽減等を推進するため、農協と連携しながら、
乳牛の育成施設として、町営牧場施設の整備を図ります。
③ 担い手の育成・確保
農業青年組織の育成や農場リース制度などの新規就農支援により、次代の農業を担う
農業後継者の育成・確保を図ります。
④ 農地の利用集積の促進
※ 1 交換分合
耕作放棄地や低利用地の個別の利用促進や、地区単位での交換分合 などを積極的に
※1
推進し、優良農地の確保と地域農業の担い手への農地の集積を図ります。
⑤ 作業の効率化
酪農ヘルパーの強化や、コントラクター※2組織の育成、TMRセンター※3の設置など
を促進し、作業受委託・共同化体制の整備を進めるとともに、農業生産法人の育成など
営農体制の強化を図り、作業の効率化につなげます。
⑥ 生産技術の向上
宗谷農業改良普及センターなどと連携し、酪農経営について、適切な飼料給与や、飼
P56 参照。
※ 2 コントラクター
飼料の収穫などを請け負い、
個人で大規模に経営する酪
農家の作業軽減を図る組織。
※ 3 TMRセンター
酪農家数件で法人化し、草
地管理、自給飼料の共同調
整・ 貯蔵及びTMR(混合
飼料)の調整・宅配までをシ
ステム化して共同運営・共同
経営する組織。
養管理技術の改善を促進するなど、生産技術の向上に努めます。集約放牧や搾乳・ほ乳
ロボットの導入、有機酪農など多様な生産技術の研究に努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
57
基本
Ⅲ 計画
(2) 安全・安心な農業の振興
① 環境にやさしい農業の振興
ふん尿処理施設の整備を促進するとともに、高品質な堆肥を製造・供給し、家畜排せ
つ物の有効利用につなげます。また、農業者・農業団体と連携しながら、農薬・化学肥
※ 1 ポジティブリスト
残留農薬について、原則す
べてを禁止し、「残留を認め
るもの」のみを一覧表にして
示したもの。わが国において
も平成 18 年5月から導入さ
れている。
※ 2 農場HACCP
(P29 ※ 1 でも解説)農場は、
開放空間で生きた家畜を扱う
ため、外部から遮断された食
品製造工場と同レベルのHA
CCPを導入することは困難
であるが、この考え方を取り
入れ、衛生管理手法をレベル
アップさせることができると考
えられている。
※ 3トレーサビリティ
P28 参照。
料の投与減によるポジティブリスト※1への対応や、使用済み農業用資材回収の徹底など
に努めるとともに、水産業など他の産業分野と連携した環境保全対策を推進します。
② 出荷・流通・販売の各過程での安心の確保
農場HACCP※2の導入促進や、牛肉、その他の農畜産物のトレーサビリティ※3導入
に向けた研究などにより、生産・加工・流通の各段階におけるリスク管理の徹底に努め
ます。
(3) 農業による地域の活性化
① 加工・直売とブランド化の促進
酪農振興研修センターなどを活用し、バター、チーズ、アイスクリームなどの乳製品
やその他の農産物の一次加工、スープやお菓子の製造などの二次加工を企画・開発する
とともに、町内物販施設での直売や、インターネットなどでの産直を進め、枝幸産の農
産物のブランド化を図ります。
② 地域消費の拡大促進
学校給食への導入や、イベントの活用などにより、地元で生産された農産物の地元購
買を促進し、地域消費の拡大を図ります。
③ 農業体験の促進
就農を検討している都市住民への就農体験を一層推進するとともに、観光農業として、
乳しぼり体験やじゃがいも掘りなど、体験の受け皿づくりに努め、グリーン・ツーリズ
ムの振興につなげます。
④ 高齢者や女性の担い手の育成
高齢者や定年退職者、女性などが農業に従事できるよう、技術指導や、家族経営協定
の締結促進などの条件整備を進めます。
⑤ 快適な農村環境づくり
老朽化した農村集会施設の計画的な更新や、廃屋の撤去、排水施設の設置、花いっぱ
い運動の促進などを通じて、快適な農村環境づくりを図ります。
58
ESASHI
住民の役割
(1)
新規就農者の受入れ体制づくりに努めます。
(2)
新技術の研究を積極的に導入し、需要に応じた良質な農畜産物の生産に努めます。
(3)
営農体制を強化し、生産効率を高めます。
(4)
農薬、化学肥料の使用を最小限にとどめるとともに、農業用廃棄物の適正処理を
行います。また、ふん尿の適切な処理と土づくりへの活用を図ります。
(5)
家族経営協定の締結に努めます。
(6)
多様な農畜産物加工や直売の取り組みを推進します。
(7)
子どもたちや都市住民の農業体験機会の拡大に協力します。
農家戸数・農業就業人口・経営耕地面積の推移(旧両町合算)
農家戸数
戸、人
1,200
10,843
農業就業人口
10,321
10,000
8,000
544
6,000
431
383
291
248
200
0
8,943
787
750
600
400
ha
12,000
10,771
10,175
1,000
800
経営耕地面積
昭和60年
平成2年
平成7年
369
188
168
平成12年
平成17年
4,000
2,000
0
※法人は除く。 資料:農林業センサス
乳牛頭数・生乳生産量の推移(旧両町合算)
乳牛頭数
頭、
t
生乳生産量
70,000
54,555
50,000
46,256
4.3
3.7
t
6
62,859
60,000
40,000
1頭あたりの生乳生産量
58,809
57,142
4.8
4.6
4
3.2
30,000
20,000
14,290
14,820
14,530
2
12,870
11,946
10,000
0
昭和60年
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
0
資料:農林水産統計年報
新 枝幸町 まちづくり計画
59
基本
Ⅲ 計画
農業振興のために重視すべきこと
41%
農業後継者・新規就農者の育成
農畜産物を利用した加工品の開発
17%
29%
67%
38%
26%
畜産排せつ物のリサイクル
システムの確立
57%
33%
50%
20%
14%
17%
体験農業、観光農業の振興
18%
畑作など、酪農・畜産以外
の農業分野への参入
17%
農業生産グループ・団体
づくりや育成施策の強化
7%
17%
33%
14%
農道、用・排水施設の整備や
農地整備など生産基盤の充実
17%
現状のままでよい
先端農業技術などの積極的導入
11%
7%
住民全体
8%
7%
うち枝幸地区の
農業者
6%
7%
農地の集約や作業受委託
などによる経営規模の拡大
0%
29%
10%
うち歌登地区の
農業者
17%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
注:3つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
60
ESASHI
第2 節 林業の振興
現況と課題
現況と課題当町を含む北見山地は、エゾマツ、トドマツ、イタヤ、ミズナラ、かば類
などの豊富な森林資源を有し、地域の林業はわが国の近代化に大きく貢献しました。中
でも歌登地区は、戦前から、
「木材産出は約20万石を記録し、全道1・2位を争うに至り」
(町史)と記録される主要な林業地帯でした。
昭和30年代以降、安価な外材の輸入により価格競争力が低下し、わが国全体の林業が
低迷するなか、当町においても、木材会社5社がチップや素材生産・出荷などを行うほ
かは、将来的な活用や治山、環境保全を目的とした育成・管理が業務の中心になってい
ます。
平成16年度北海道林業統計によると、当町の森林面積は90,348© で、町域の81%を
占め、国有林が47,235©、民有林が43,113©(町有林4,993© を含む)となっています。
天然林は61,263©、人工林は26,183©、無立林地2,902© で、民有林では15,666© を
人工林が占めています。民有林の人工林については、6齢級(樹齢26 〜 30年)以下の
若齢林が54%を占めていることから、今後も保育・間伐※等を適切に実施していくこと
が重要です。
※間伐
P28 参照。
今日、外材や非木質系建築資材の隆盛により、国産材の需要は低迷を続けています。
加えて、担い手の減少や高齢化により、森林の育成・管理をめぐる環境は厳しい状況が
続いています。
その一方で、地球規模での環境保全に対する意識の高揚から、開発途上国での乱伐を
抑制し、山林地域における水源の涵養や、災害の抑制、環境や景観保全などにつながる
国内林業の見直しの動きが進んでいます。
当町においても、森林関係団体や林業グループの活動などを通じて、こうした森林の
多面的機能の活用に努めており、そうした活動を一層推進するとともに、林業本来の目
的である木材・林産物生産を振興していくことが求められます。
基本目標
百年先を見据えた地域林業により、木材や林産物が私たちの、そして全国の人々の生
活に活かされています。
項 目
素材生産量
森林作業員数
林業グループ構成員数
目標指標
平成17年度実績
27,000立方メートル
38人
17人
平成27年度目標
40,000立方メートル
38人
17人
注:指標中で現況と目標数が同数の項目は、現状維持を目標とするもの。
新 枝幸町 まちづくり計画
61
基本
Ⅲ 計画
主要施策
(1) 生産体制の強化
① 区域区分に応じた森林の保全・活用
枝幸町森林整備計画に基づき、防災の観点を重視した「水土保全林」、生活環境保全
機能を重視した「森林と人との共生林」、生産機能を重視した「資源の循環利用林」の
3つの区域区分に応じた適切な事業を推進していきます。
② 担い手の育成
林業従事者への福利厚生への支援や、林業グループの育成などにより森林施業や森林
※ 1 分収林
分収林とは、土地の所有者と
森林の管理者が異なる造林
地のこと。所有者が管理を十
分に行えない土地を森林管
理者が管理し、森林保全や
資源利用を図る。
整備の意欲向上を図り、分収林※1などの発掘に努めます。
③ 計画的な保育と木材生産の促進
森林環境保全整備事業などを活用し、町有林と民有林について、造林、下刈り、間伐
など、計画的な保育に努めるとともに、原木・チップなどの生産・加工を促進します。
そのために、機械化等による一層の作業合理化を図り、林道や作業道などの整備に努め
ます。
(2) 多面的機能の発揮
① 多面的機能の向上促進
※ 2 水源の涵養
P28 参照。
水源の涵養※2や災害の抑制などに向け、治山事業を推進するとともに、魚つき林の育
成や、旧歌登大規模草地の森林整備などによる上下流の生態系循環の確保を図るなど、
町内森林の多面的機能の向上を促進します。
また、うたのぼり健康回復村ふれあいの森と、三笠山豊かな森林公園を拠点に、森林
レクリエーションの振興に努めます。
② 多様な林産資源の活用
きのこ類やそのほだ木、タケノコなどの山菜、笹など、林産物の生産・流通・販売を
促進するとともに、間伐材のおがくず、割りばし、ペレットの製品化など、木材資源の
新たな活用方策を研究します。
住民の役割
(1)
森林の適切な管理と林産物の生産に努めます。
(2)
住宅・倉庫等の建設・改修にあたっては、地元産材の使用に努めます。
(3)
地域の森林資源を内外に積極的にアピールします。
62
ESASHI
林政への要望(9項目中上位5位)
様々な役割を果たす多様で健全な森林の整備
39%
35%
土砂崩れなどの災害を防ぐ施設の整備
原生的な森林の貴重な動植物の保護
30%
森林を守り育てている山村住民に対しての支援
26%
森林とのふれあいの場の提供
24%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
注:複数回答(回答数の制限なし) 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
63
基本
Ⅲ 計画
第3 節 水産業の振興
現況と課題
※ 1 地方港湾
漁港が漁船利用を主とした施
設であるのに対し、港湾は、
貨物や旅客、漁船など幅広
い利用を想定した施設であ
る。港湾は国土交通省が所
管し、重要港湾、地方港湾
に区分され、漁港は農林水
産省が所管している。
当町は、豊かな水産資源を有したオホーツク海に面し、海岸線58㎞に地方港湾※1 1港、
第1種漁港6港・1分港を基地港に基幹産業である漁業を営んでいます。漁業種類は沖
合底曳網漁業とホタテ貝桁曳網漁業、毛ガニ篭漁業、秋サケ定置網漁業を中心とするオ
ホーツク海特有の共同経営漁業と海面養殖業のホタテ稚貝養殖漁業、タコ漁業、カレイ
刺し網漁業、ナマコ桁曳網漁業などの各種漁船漁業の併用により、流氷接岸期間を除き
精力的に漁業生産が行われております。平成17年の漁業生産状況は、漁獲取扱数量で
37,191t、漁獲金額6,955,098千円となっており、過去5カ年の平均漁獲金額でも60億
円を超えております。そのため、水産業は当町の基幹産業の中でも、最も経済への波及
効果が大きく、根幹をなしています。
漁家戸数は、278戸、経営体数は354、自営漁業従事世帯員数は388人、漁船総隻数
は593隻で、うち1隻が沖合底曳船となっています。
沖合底曳船は、昭和51には6隻を数えましたが、国際漁業規制の定着により、沿岸漁
業へのシフトが進みました。また、沿岸漁業についても、従来の回遊魚依存の漁業形態
から、安定的な漁業生産体制の確立を目指し、ホタテ貝の資源造成に本格的に取り組む
とともに、サケ・マスの増殖事業体制の強化、毛ガニについては資源管理を徹底するな
ど栽培・資源管理型漁業の推進によって漁獲量・漁獲金額は堅調に推移しています。
この間、町では、水産物供給基盤整備事業や港湾整備事業などにより、防波堤や岸
壁、泊地などの整備を逐次進めており、着実に安全航行・係船を図るため港内静穏の向
上や用地整備によって漁業の生産性や就労環境の向上が図られました。また、平成11・
12・18年に施肥防除施設としてホタテ漁場造成船を延べ3隻建造、平成12・13年には
流通加工処理施設として、サケ・ホタテライン工場を整備し、ホタテラインにあっては
※ 2HACCP(ハサップ)
P29 参照。
HACCP(ハサップ)※2を認定取得しています。平成14年には製氷貯氷施設を整備、平
成16年にはホタテ貝の市況対応と増産計画に対応すべく、水産物処理加工施設(ホタテ
白干工場)の改築、平成17年には同施設に排水処理施設などの整備が進み、沿岸域の環
境保全対策や流通販売体制の充実が図られています。さらに、根付資源の増大対策とし
て、ウニ・コンブの浅海増養殖施設やタコの産卵礁を継続的に整備し、ホタテ、サケ・
マス、毛ガニに続く漁業資源の造成にも努めています。
水産業を取り巻く情勢は、欧米、アジア諸国での「すしブーム」等で健康食材として
世界的に需要が高まるなど、長期的な追い風も期待されますが、水域環境保全に対する
費用負担や漁船燃料の高騰などによる生産コストの増大、水産物輸入増大に伴う魚価の
低迷、加えて国及び地方公共団体における厳しい財政状況のもと、今後耐用年数を迎え
る施設も多くなると考えられ、施設の老朽化対策、効果的な維持更新や有効活用など多
様な課題に直面している状況です。
このようななか、当町の水産業の健全な発展は、地域振興だけではなく、わが国の食
料自給の確保の観点からも不可欠であり、引き続き、栽培・資源管理型漁業を基軸に、様々
64
ESASHI
な状況の変化や多様なニーズ等に適切に対応しつつ、漁業資源の維持培養と沿岸域の環
境保全、加工と連携した地域ブランドの形成など効率的、かつ効果的な取り組みを柔軟
に行っていくことが求められています。
めざす姿
流氷が育む良好な漁場環境のもと、適切に管理された多様な水産資源による、枝幸ブ
ランドとして全国・世界で高い評価を受けています。
項 目
年間漁獲金額
ホタテ生産量
漁港漁場整備進捗率
目標指標
平成17年度実績
69億円
2万トン
27.7%
平成27年度目標
88億円
3万5千トン
100%
主要施策
(1) 水産資源の保護・増大
① 海域や河川の環境保全対策の推進
水産系廃棄物の適正処理・リサイクルの推進を図るとともに、魚つき林の育成に協力
し、海域や河川の環境保全対策の推進に努めます。
② 栽培・資源管理型漁業の推進
枝幸漁業協同組合が実践している栽培・資源管理型漁業の取り組みを軸に、今後も関
係機関と連携しながら、徹底した栽培・資源管理に努め、安定的・持続的な水産物の供
給を図ります。また、関係機関との連携を強化し、密漁者による違法行為防止対策に努
めます。
(2) 経営基盤の強化
① 安定的な水産業経営への支援
漁協などと連携しながら、制度資金の活用などによる各経営体の経営改善を促進する
とともに、水産加工業との協働など多角的な事業展開を誘導します。
② 快適で活力ある漁港・漁村空間の構築
国・道の支援のもと、漁港漁場整備事業や港湾整備事業により、流通・生産の拠点で
ある漁港・港湾と生産の源である漁場の整備を図り、安定した安全で安心な水産物を供
給し、漁業者の就労環境の改善を推進します。また、地域自ら海難事故防止思想の普及
に努めるとともに、海上事故等による油流出に対応可能な体制整備を図るとともに、被
害拡大防止のためのオイルフェンス等の資機材の確保と整備の充実を図ります。更には、
釣りなどの遊漁に対するマナーの啓発と、資源や水域利用に関するルールを徹底し、快
適で活力ある、災害に強い漁港・漁村地域の構築を図ります。
新 枝幸町 まちづくり計画
65
基本
Ⅲ 計画
(3) 消費・流通対策の拡大
① 安全で安心な水産物の供給
※ 1 地域HACCP
P29 参照。
※ 2トレーサビリティ
P28 参照。
地域が一体となって、水揚げから加工、流通に至る衛生管理体制づくり(地域HA
CCP※1)の取り組みを進めるとともに、消費者ニーズに対応するためトレーサビリ
ティ※2の導入を促進します。
② 水産物の競争力の強化
鮮度の確保などにより高付加価値が得られる水産物の流通時間の短縮や流通コストの
削減を図るとともに、かにまつりなどイベントの充実や、斬新な販売戦略の立案、新し
い加工品の開発などを進め、魚種の数量、加工形態に応じ、バランスの取れた枝幸ブラ
ンドの付加価値の強化に努めます。また、
「枝幸産」水産物の知名度アップと新たなマー
ケットを開拓するため、都市部での販売促進活動や、消費者モニター制度の導入を推進
※ 3 マリン・ツーリズム
(P22 ※ 1でも解説)
グリーン・
ツーリズムが農山村地域にお
いて自然、文化、人々との交
流を楽しむ滞在型の余暇活
動であるのに対し、漁村地域
を舞台とするもの。
66
するとともに、子どもたちの体験学習の受け入れ、漁業体験や水産加工の公開など、マ
リン・ツーリズム※3の展開をめざした取り組みの具現化を図ります。
ESASHI
住民の役割
(1)
魚つき林の整備や植林活動に積極的に協力します。
(2)
経営体制を強化し、生産効率を高めます。
※地域 HACCP(ハサッ
(3)
地域HACCP(ハサップ)※の取り組みに積極的に協力します。
プ)
(4)
子どもたちや都市住民の漁村体験の拡大に協力します。
P29 参照。
漁業経営体数の推移
経営体
300
283
2
280
1
278
2
280
2
200
100
0
法人
281
279
278
276
個人
平成2年
平成7年
平成12年
平成17年
資料:枝幸漁業協同組合
漁業従事世帯員数の推移
人
1,200
800
400
0
1,012
545
467
昭和63年
954
647
307
平成5年
864
887
566
499
298
388
平成10年
平成15年
その他
自営漁業従事世
帯員数
資料:漁業センサス
漁船数と動力船の総トン数の推移
漁船数
隻
動力船総トン数
1,200
5,346
800
525
6,195
4,908
555
629
t
8,000
5,658
593
400
0
6,000
4,000
2,000
昭和63年
平成5年
平成10年
平成15年
0
資料:漁業センサス
新 枝幸町 まちづくり計画
67
基本
Ⅲ 計画
水産業振興のために重視すべきこと
地域ブランドの確立
33%
38%
36%
栽培・養殖漁業の推進
水産物の加工、
特産品の開発
27%
16%
漁業後継者の育成
現状のままでよい
うち
漁業者
10%
水産物流システムの改善
24%
8%
漁港の整備
0%
住民全体
11%
3%
10%
34%
27%
15%
15%
観光漁業の振興
39%
27%
20%
30%
40%
50%
注:2つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
68
ESASHI
第4 節 商工業の振興
現況と課題
平成16年の事業所・企業統計調査によると、当町の民間事業所従業者3,393人のうち、
第2次産業従事者は1,318人、第3次産業従事者は1,900人です。第2次産業は、製造
業が740人、建設業が557人、鉱業が21人で、第3次産業は、「卸売・小売業、飲食店、
宿泊業」が996人、サービス業が904人となっています。
製造業・鉱業は、水産加工業が集積するとともに、チップ工場、砕石・砂利関連企業
などが立地しています。いずれも地域の原料の活用を基本とした地場産業ですが、長引
く景気の低迷などから、既存企業の経営環境は厳しい状態です。また、他地域からの企
業誘致も、現状では非常に困難な状況ですが、地域情報の発信に努めるとともに、既存
企業における新技術、新製品の開発、新分野の進出の誘導に主眼を置いた振興策を図っ
ていく必要があります。
建設業は、地域における産業や雇用を支える一面を有しており、当町においても、平
成8年には旧両町合算で従業者数977人を数えましたが、公共事業の減少や住宅需要の
低迷により業績が低迷し、産業規模の縮小を余儀なくされています。今後は、企画力強
化や共同化・協業化等組織強化などにより、本業の安定や他分野への進出などを図るこ
とを促進していく必要があります。
小売業は平成10年に店舗面積4,727㎡の第1種大型小売店舗ショッピングセンター西
條が進出したほか、第2種大型小売店舗が2店、コンビニエンスストアが4店あり、集
客の根幹を占めています。小売業は元来域内マーケット※1産業であり、当町は商圏人口
が少ないことから、経営環境は厳しく、特に、中小の個店は、品揃え、価格などの面で
競争力が弱く、大型店への消費の流出が顕著となっています。また、道の駅「マリーン
アイランド岡島」「海鮮工房 えさし丸」などは、域外からの来訪客をマーケットとした
※ 1 域内マーケット
主な市 場が 地 域 内にあるこ
と。日用品の販売などの市場
は身近な地域であり、一方、
工業製品などの主な市場は、
大都市等である。
観光商業のため、他店との競合はあまりありませんが、観光業そのものが脆弱であり、
経営環境はやはり厳しい現状だといえます。
一方、物品のレンタルやサービスの提供・仲介などを行う「サービス業」は商業にお
ける主要な位置を占めています。当町においても、平成16年の従事者は、飲食店・宿泊
業が213人、医療・福祉が164人、複合サービス事業が162人、運輸業が155人、教育・
学習支援業が29人などとなっており、今後も多様なビジネスモデルの開拓などにより、
マーケット規模の拡大が期待できます。さらに、既存のサービス業事業所の経営基盤の
強化や、他分野の事業所の参入促進が求められます。
人口減少と高齢化は、当町だけでなく、わが国全体で進みます。域内マーケットに依存
する卸売・小売業、各種サービス業は、多様なビジネスモデルにより商品・サービスの差
別化を図り、広域集客力を強化するとともに、インターネット販売などを活用して、域外
マーケットへの参入を図ることが重要です。また、域外マーケット産業である製造業等は、
地域の農林水産業との連携を深めて、原料の質の向上や加工の効率化、環境への一層の配
慮などに努め、枝幸ブランドとして製品の付加価値を高めていくことが求められます。
新 枝幸町 まちづくり計画
69
基本
Ⅲ 計画
めざす姿
高い技術力に裏付けられた高品質の生産・建設が人々の豊かな暮らしを支えるととも
に、全国・世界をマーケットにした商業が展開しています。
項 目
製造品出荷額等
年間商品販売額
目標指標
平成17年度実績
101億円
147億円(平成16年)
平成27年度目標
135億円
200億円
主要施策
(1) 既存企業の強化
① 診断・指導の充実
商工会と連携し、中小企業の経営診断の実施を促進するとともに、製造技術の開発や、
商業近代化などへの指導の充実を図ります。
② 資金調達・運用の支援
商工会と連携し、各種制度融資、助成金等の活用を促進します。
③ 情報技術の活用促進
商工会と連携し、インターネットを利用した情報発信や販売の促進や中小企業の情報
化を進めます。
④ 環境保全対策の促進
※ 1 ISO
ISO とは、国際標準化機構
のこと。ISO は国際標準化規
格を設け認証しており、その
うち品質管理に関する 9000
シリーズや環境管理に関する
14000 シリーズがよく知られ
ている。
※ 2 地域HACCP
P29 参照。
※ 3 トレーサビリティ
P28 参照。
商工会と連携し、環境保全対策の設備投資等への支援や、ISO※1認証の取得支援、
水産部門での地域HACCP※2の導入促進、トレーサビリティ※3への対応促進など、中
小企業の環境保全対策を進めます。
⑤ 建設業の振興
道や関係団体と連携しながら、新技術導入や企画力強化などによる競争力強化や、建
設関連分野、非建設業分野への進出、さらには組合方式などによる共同化・協業化など
を促進し、建設業界の健全な発展につなげます。
⑥ 業界交流・異業種交流の促進
関係機関と連携し、後継者の確保・育成と、経営者の意識改革、新しいビジネスモデ
ルの発見などを図るため、研修会の開催や先進地視察など、業界交流や異業種交流の促
進に努めます。
⑦ 商業基盤の整備
※ 4 バリアフリー
P49 参照。
美しい沿道景観の誘導や、バリアフリー※4化、歩道・ポケットパーク等の整備、街路
灯の整備、駐車場・駐輪場の整備、除雪体制の強化など、商店街の環境整備に努めます。
⑧ 観光商業の振興
農・水産物加工の振興、体験観光のメニュー開発、観光イベントとの連携強化などに
より、観光商業の振興に努めます。
70
ESASHI
(2) 起業化・新分野進出・企業誘致の誘導
① 多様な起業化・新分野進出の促進
農業Iターン起業化や、農水産物加工やコミュニティレストラン※1などの起業化、I
T技術を駆使した情報関連産業の起業化など、多様な起業化・新分野進出を促進します。
また、現町営施設等への指定管理者制度の積極的な導入にも努めます。
② 起業文化の育成
次世代の地域からの起業化に向けて、子どもの時から、地域の産業や手づくりの技術・
文化などにふれる機会の充実を図ります。
※ 1 コミュニティレストラ
ン
地域の食材を活用するなど、
地域との関わりを尊重しなが
ら開設していくレストラン。ま
ちづくりとのつながりがあるこ
とが、通常のレストランと異な
るところ。
③ 町外企業の誘致
港湾用地や公共施設跡地などを活用し、町外企業の誘致に努めます。
(3) 勤労者の就労環境の改善
① 福利厚生の充実促進
共済制度の充実や家族経営協定の締結の促進などにより、自営業者の就業条件の向上
を図るとともに、国・道や事業所に対し、各種福利厚生制度の充実を促進します。
② 就労状況の把握
高齢者や障がい者、外国人研修生など、町内の多様な就労状況の把握に努め、関係機
関と協力しながら、適正な就労条件の確保や就労環境の充実を促進します。
住民の役割
(1)
商工会は積極的な情報提供や相談・指導に努め、企業間のパイプ役としての役割
を強化します。また、物産展などへの出品を促進します。
(2)
事業者は各種制度を最大限活用し、設備の近代化や情報化対策、環境対策、人材
育成を進めます。
(3)
詳しい商品知識の紹介、個性的な内装・品揃え・陳列、心地よい接客サービス、
きめ細かいアフターサービスなど、多様化する顧客ニーズに対応した商店づくりに
努めます。
(4)
共同イベントや共同サービスの導入、店舗等の共同化、流通業務の協業化などを
研究するなど、事業者間の連携強化に努めます。
(5)
先端技術交流を進めるとともに、町内・全道での業界交流・異業種交流を進め、
アイデアやノウハウなどを交換し、経営効率化や新分野への進出に活かします。
(6)
長年培った知識・経験・技術を活かして、起業化を図ります。
(7)
事業者は適正な就労条件の確保と、就労環境の充実に努めます。また、ワークシェ
アリング
※2
などを推進し、雇用の安定化につなげます。
※ 2 ワークシェアリング
労働者の労働時間を短縮す
ることなどにより、減少した時
間分を雇用創出に割り当てる
こと。
新 枝幸町 まちづくり計画
71
基本
Ⅲ 計画
産業分類別の民間事業所従事者数の推移
人
4,500
4,225
4,268
3,932
3,904
992
1,076
934
3,393
944
サービス業
3,000
994
1,056
876
1,500
774
794
30
968
卸売・小売業、飲食店
967
製造業
996
870
823
建設業
740
977
鉱業
799
347
21
350
557
350
500
昭和61年
平成3年
平成8年
平成13年
平成16年
24
0
833
904
30
21
175
農林水産業
注:統計調査項目の変更に伴い、宿泊業従事者は、平成13年以前は「サービス業」に、平成16年
は「卸売・小売業、飲食店」に区分している。また、平成16年調査のみ「農林水産業」に農協等
の公共的団体を含まないので、平成13年以前との比較はできない。
資料:事業所・企業統計調査
商工業振興のために重視すべきこと
18%
既存企業の育成・振興
20%
枝幸地区の振興策
15%
工業用地の整備と
優良企業の誘致
13%
歌登地区の振興策
21%
起業家への支援や
新産業の開発・育成
19%
20%
既存商店街の街並みの再整備
10%
34%
商業イベントなど販売
促進対策の充実
24%
24%
商業経営の近代化など
の支援の充実
21%
7%
現状のままでよい
7%
0%
10%
20%
30%
40%
注:各地区それぞれで2つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
72
ESASHI
第5 節 観光・レクリエーションの振興
現況と課題
当町は、北オホーツクの美しい自然と農水産物の食の魅力が最大の観光資源であり、
夏季を中心に年間30万人の観光客が訪れています。
自然的資源については、ウスタイベ千畳岩、北見神威岬など、北オホーツク道立自然
公園の景勝地があるほか、広大な酪農地帯の景観や、四季折々の花々、鮮やかな紅葉、
さらには流氷や釣りなどの水環境などがあります。
食については、カニやホタテ、サケなどの海や川の恵みと、山菜、じゃがいもなどの
森や大地の恵みが観光客を迎えます。
観光拠点としては、ホテルやコテージ、キャンプ場、ゴルフ場などがあるうたのぼり
健康回復村や、道の駅「マリーンアイランド岡島」、三笠山展望閣、ホテルニュー幸林
などがあり、
「枝幸かにまつり」や「よくばりフェスタ」
「香りの丘ラベンダーフェスティ
バル」などイベントも豊富です。
北海道観光において、そもそも当町は、主要な観光ルートからは外れており、国立公
園などの全国級の観光資源がないため、ツアー旅行者やツーリングの方々を中心とした
立ち寄り型の観光地としての位置づけに甘んじてきました。全国級の地域資源である流
氷や酪農、オホーツク文化遺跡なども、観光のまちづくりへの活用は不十分です。
しかし、人々の自然志向や健康志向が高まる中、森と海の豊かな自然を背景に、「あ
ずましい」空間の中で、本物の食の魅力を堪能できる当町の観光は、これから大きく飛
躍することが期待できます。
そのため、新しい枝幸町としての観光推進体制を早期に確立し、長期的ビジョンに立っ
て、体験・滞在型、反復型、通年型の観光のまちづくりを推進していくことが求められ
ます。
めざす姿
森と海の魅力が融合し、魅力あふれる新しい観光地が形成されています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
年間観光入り込み客数
30.1万人
下半期観光入り込み客数
6.7万人
体験型ツーリズム事業者※数
0カ所
平成27年度目標
40万人
10万人
5カ所
※体験型ツーリズム事業
者
体験観光メニューを提供する
民間事業者、NPO、各種
団体などをいう。
新 枝幸町 まちづくり計画
73
基本
Ⅲ 計画
主要施策
(1) 観光のまちづくりの体制整備
① 推進体制の整備
観光協会を中心に、行政、宿泊施設、各産業団体、ボランティア、出身者、全国の「枝
幸ファン」などが一体となった観光推進体制の整備を図ります。
② 観光振興ビジョンの策定
「森と海の北の理想郷」をテーマに、体験・滞在型、反復型、通年型の観光振興を図
るための「枝幸町観光振興ビジョン(仮称)」を策定します。
(2) 体験・滞在型観光の振興
① 体験型ツーリズム事業化の推進
農林水産業や加工産業など、観光以外の産業との連携を図り、地域全体で観光客を受
※ 1 体験型ツーリズム事
業者
P73 参照。
※ 2 観 光 コ ー ディネ ー
ター
旅行エージェントや旅行客と
ツーリズム事業者などとの間
を調整するものをいう。
け入れるネットワークの形成を図るため、体験型ツーリズム事業者※1及び観光コーディ
ネーター※2の育成を図ります。
② 体型型観光の拠点施設の整備推進
滞在型の個人や家族といった小規模な観光客をターゲットにした「食べる観光」や「体
験する観光」を推進するため、体験型観光の拠点となるふるさと体験工房などの施設整
備を図り、「体験メニュー」「地元食材を生かした食事の提供」「地場特産品の直売」「地
場特産品ネット販売」などを一体的に行える体制を推進します。
(3) 反復型・通年型観光の振興
① 戦略的なマーケティングの推進
札幌・旭川からの釣り客、本州からの道北周遊型グループ客、台湾・韓国からの流氷
ツアー客など、観光動向を適宜正確に把握し、年齢や居住地、志向などを絞り込んだ戦
略的なマーケティングを推進します。道内外の観光客には、有名観光地にない枝幸町の
魅力や、観光地化されていない素朴さなどを積極的にアピールしていきます。
② 「エピソード観光」の振興
出身者や全国の「枝幸ファン」の協力を得ながら、都市居住者が好奇心や探究心を持
つ枝幸ならではの「エピソード」を発掘し、インターネットや口コミも含めた多様なメ
ディアで情報発信します。また、
「北海道ロケーションサービス」などの協力を得ながら、
フィルムロケの誘致に努めます。
③ 観光ホスピタリティの充実
展示観光施設や飲食・物販施設、入浴・宿泊施設、スポーツ・レジャー施設などでは、
きれいで気品ある施設づくりや、気づかいなどの接客マナーの向上、外国人観光客の対
応方法の習熟、障がい者を迎える体制づくりなどに努め、洗練された観光地の形成を図
ります。
④ タイムリーできめ細かい観光情報の提供
1年間各季節それぞれに、花の開花や流氷など自然現象の状況、旬の収穫物・漁獲物、
74
ESASHI
晴天の多さや気温の傾向などの気象条件、イベント情報など、タイムリーできめ細かい
観光情報をネットや各種媒体を使って提供することにより、他の観光地との差別化を図
るとともに、観光オフシーズンの入込み増につなげます。
住民の役割
(1)
観光客と住民が、ともに楽しめるイベントづくりに努めます。
(2)
観光のまちづくりについて、アイデアをどんどん提案し、実行します。
(3)
体験インストラクターとして、観光客をもてなします。
(4)
観光業に携わる住民は、サービスやマナーの向上に努めます。
都市住民がもっと町に滞在するための方策
都市住民に町の魅力が伝わるよう
効果的に情報発信する
53%
44%
町に来るまでの交通手段を便利にする
31%
宿泊施設や観光施設を増やす
農作業などを体験できる施設や
指導できる人材を増やす
26%
23%
住民と都市住民が交流できる場を提供する
18%
地域ぐるみで協力し合い受入体制の整備を図る
18%
地域内での案内板などを整備する
15%
都市住民の受入に積極的な人を増やす
12%
地域内での移動手段を確保する
0%
20%
40%
60%
注:複数回答(回答数の制限なし) 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
75
基本
Ⅲ 計画
第3章 豊かな自然と共生するまち
第1 節 自然環境・景観の保全
現況と課題
〔自然保護〕
当町は、貴重な野生動物と共存する深い原生森が広がり、ヤマメやイワナの棲む清流
が流れ、流氷が訪れる豊かなオホーツクの海を有する大自然を誇るまちです。神威岬や
ウスタイベ千畳岩2カ所の計73.65© が北オホーツク道立自然公園に、また、町内5カ
所計2,697© が鳥獣保護区に指定されていますが、こうした地域に限らず、海域を含め
町域全体で比較的豊かな生態系の循環が保たれています。
この豊かな自然は、私たちの生活を育み、個性ある地域文化を生み出してくれました
が、私たちは、快適に生活し活力ある産業を築くために、自然を失ってきたことも事実
であり、残された自然を後世に引き継ぎ、可能な範囲で自然を再生し、生物多様性を確
保していくことは、現代を生きる私たちの責務です。
今後も、住民と行政が一体となり、無益な自然破壊を極力さけ、自然を持続的に保全
し、失われた自然を回復・創造していく取り組みを進めるとともに、住民や観光客が自
然とふれあい、自然について学習する機会の拡大を図っていくことが求められます。
〔地球環境保全〕
地球環境問題は、被害や影響が一国にとどまらず、地球規模に広がっている環境問題
です。酸性雨・有害廃棄物の越境移動などは当町との関わりは薄いですが、絶滅危惧種
生物の保護や越鳥の棲みかの確保、下水道の整備や漁船等の油流出事故時の対応などに
よる海洋汚染の防止、海面上昇につながる地球温暖化の防止、フロンガス回収徹底によ
るオゾン層破壊防止など、私たちの周りにも地球環境問題は数多くあります。シベリア
※ 1 タイガ
シベリアや北欧、北アメリカの
亜寒帯北部に広がる針葉樹
林帯。
で冷涼なため再生が困難なタイガ※1が乱伐されている問題も、国産材の見直しによって
解決の糸口をつかむことが必要です。
地球環境問題の克服には、「地球的規模の思考と足元からの行動」を地道に実践して
行くことが大切です。当町においても、住民・職員一人ひとりの意識を高め、実効性あ
る施策に取り組んでいく必要があります。
〔河川・海岸環境保全〕
当町は、北西部、西南部を中心に豊かな森林で占められ、ここから北見幌別川、徳志
※ 2 二級河川・準用河川
別川をはじめとする二級河川と準用河川※2、多くの普通河川が流れ出しています。これら
二級河川とは、河川法の定
めにより公共の利害に重要な
役割があるとして都道府県知
事が指定した河川。また、準
用河川とは、一級河川(国
土交通大臣指定河川)及び
二 級 河 川 以 外の河 川の内、
市町村長が指定し管理する
河川で、河川法に基づき二
級河川の規定を準用する河
川のこと。
の河川については、災害の発生を未然に防止し、流域環境と調和した河川環境保全対策
に配慮しながら、逐次沿岸改修や局部改良などの河川改修事業を進める必要があります。
また、延長58㎞に及ぶ海岸は、その多くが砂浜などの自然浜であり、海岸浸食の進行
等が問題となっています。これら海岸保全対策を進めるとともに、海と人がふれあえる
美しい海岸づくりを進める必要があります。
〔景観形成〕
四季折々の鮮やかな森と広大な牧野が織りなす北方的な自然景観と、可憐な野草に彩
られ、オホーツクの海に面した市街地・集落景観は、当町の特徴となっています。
76
ESASHI
景観形成については、旧歌登町において、「市街地まちなみ整備事業」により、道道
沿道を中心に、住宅・店舗、歩道、街具などについてアースカラーを基調とした景観づ
くりを進めてきました。しかし、町全体でみると、市街地・集落部において、多様な素
材や色彩・デザインの建築物・設置物の混在、空き家の放置などがみられるとともに、
農村地帯では耕作放棄地や廃屋が点在しており、魅力ある景観形成を阻害する要因と
なっています。
景観行政については、これまで市町村が積極的に推進するための法制度が十分ではな
い状況でしたが、平成13年に北海道美しい景観のくにづくり条例が、平成17年6月に
景観法が施行され、道や市町村の景観形成の権限が大幅に拡大しました。
当町においても、ふるさとの美しい景観を後世に残し伝えていくため、これらの手法
も参考としながら、住民主体の景観づくりの取り組みを一層促進していくことが求めら
れます。
めざす姿
住民が常に環境にやさしい行動を実践するとともに、生態系や水など自然の循環メカ
ニズムに対する保全措置がとられ、失われた自然が徐々に回復しています。また、枝幸
らしい落ち着いたうるおいのある景観が保全・創造されています。
項 目
鳥獣保護区の面積
目標指標
平成17年度実績
2,697ha
平成27年度目標
2,800ha
主要施策
(1) 総合的な環境行政の推進
① 法制度の適切な運用
環境基本計画の策定や環境基本条例の制定を進め、自然環境や地球環境の保全、生活
環境の整備など、総合的な環境行政を推進します。
(2) 自然環境の保護・再生
① 乱開発の防止
各種規制に基づき、乱開発を防止し、計画的な土地利用に努めます。また、開発行為
の際の適切な対応や、動植物の生息地などの保全に努めます。さらに、鳥獣保護区等の
適切な管理を促進していきます。
② 生態系の維持・回復
長年かかって培われてきた貴重な生態系の維持に向け、住民の協力を得ながら、環境
指標種などの生育状況の継続的な調査・把握に努めるとともに、希少生物や在来種の保
護、外来種の移入防止・駆除対策など、必要な保全・再生措置を図ります。
新 枝幸町 まちづくり計画
77
基本
Ⅲ 計画
③ 自然とふれあう機会の拡大
関係機関との連携のもと、自然学習の指導者やボランティアなどの積極的な育成を図
るとともに、イベントや学習会などを通じ、自然とふれあう機会の拡大を図ります。ま
た、既存施設も活用しながら、自然学習の場の整備・充実に努めます。
(3) 地球環境保全対策の推進
① 地球環境問題の啓発
身近な生活環境から地球環境に至る環境全般について住民の理解と認識を深め、人と
環境との共生について責任ある行動を身につけていくため、各種情報媒体を活用した普
及啓発活動を展開します。特に、次世代を担う子ども達に対しては、早い時期から環境
保全意識の醸成を図るための環境教育を推進します。
② 地球環境保全対策の推進
地球環境の保全は、各主体が環境の保全に向けて自ら行動することが重要であり、各
主体の環境配慮行動が活発になるよう努め、公共部門が率先してウォームビズやグリー
※グリーン購入
購入の必要性を十分に考慮
し、品質や価格だけでなく、
環境負荷ができるだけ小さい
製品やサービスを、環境負荷
の低減に努める事業者から優
先して購入すること。
ン購入※など地球環境保全対策を推進します。
③ 地球環境にやさしい地域産業の振興
タイガや熱帯雨林保護につなげるための森の育成・管理、排水や廃棄物の適切な処理、
フロンガス回収の徹底など、地域産業における地球環境保全対策を促進します。
(4) 河川・海岸環境保全対策の推進
① 河川環境保全の推進
二級河川に対しては、適切な整備・改修を所轄機関に要請します。また、準用河川・
普通河川については、適切な管理と災害のおそれのある区間の重点的改修を促進すると
ともに、親水機能に配慮した整備に努めます。
また、農業水利施設における魚道整備を促進し、生態系への配慮に努めます。
② 海岸環境保全の推進
海岸浸食を防止するため、海岸保全事業を推進するとともに、砂浜の保全や復元、海
岸周辺の緑化など、自然景観に配慮した対策に努めます。
また、海と人のふれあいの場として、海水浴場やキャンプ場の整備、維持管理に努め
ます。
(5) 魅力的な景観の形成
① 景観への取り組みの継承と発展
旧歌登町市街地区における「まちなみ整備事業」での景観形成等、沿線住民や関係団
体の協働・協力によるこれまでの景観への取り組みを継承・発展させます。
また、全町的な景観への取り組みや、大規模な街路事業等における景観形成について
検討を深めます。
② 公共事業における景観への配慮
公共建築物の建設、道路や橋梁などの整備、河川・海岸の改修などにあたっては、国
78
ESASHI
や道と連携しながら、周囲の景観に調和した統一的なデザインや色彩の導入や、多自然
型工法※の採用、緑化、コンクリートの被覆などに努め、民間の景観への取り組みをリー
ドします。
※多自然型工法
③ 住民の景観づくりの誘導
周辺の景観に与える影響が大きい建築物や広告の設置に対して、適切な指導、助言に
生態系など、自然環境の保
全に配慮した土木工法。
努めるとともに、住民どうしの景観誘導の取り組みを促進します。また、耕作放棄地の
解消や、廃屋の撤去を促進するとともに、庭や沿道への花の植栽、景観作物の栽培など、
花を生かした景観づくりを誘導します。
④ 住民の関心の喚起
町をあげてのオープンガーデンや、パブリックスペースに植え込む花苗の配布や助成
の実施、景観をテーマにしたシンポジウムなどにより、住民の景観づくりへの関心を喚
起します。
住民の役割
(1)
貴重な動植物の乱獲や外来種の流入防止に努めるために、生物生息調査や環境パ
トロール、自然再生活動などに積極的に参加・協力します。
(2)
排水・廃棄物の適切な処理に努めます。
(3)
開発行為や土地の売買、利用にあたっては、自然環境との調和を図ります。
(4)
地球環境問題への理解を深め、グリーン購入など可能なことから実践します。
(5)
建築物、広告などは、周辺の景観と調和するデザイン、材質等の採用に努めます。
(6)
地区や学校、事業所・組合などで、花いっぱい運動や植林運動などを進めます。
(7)
地区や街路ごとに景観づくりについて話し合い、地域ぐるみで統一性のある景観
形成を図ります。
新 枝幸町 まちづくり計画
79
基本
Ⅲ 計画
第2 節 環境対策の推進
現況と課題
〔ごみ・し尿処理〕
廃棄物については、埋め立て処分する量を限りなくゼロに近づけるゼロ・エミッショ
ンをめざし、減量化(リデュース)、再利用(リユース)・再生利用(リサイクル)とい
ういわゆる3Rを推進することが求められています。
当町では、一般家庭ごみとし尿について、猿払村、浜頓別町、中頓別町とともに南宗
谷衛生施設組合を組織し、広域で処理にあたっています。各施設の老朽化を受けて、平
成15年度には南宗谷クリーンセンター廃棄物処理施設・汚泥再生処理施設を整備しまし
た。
それまでは、可燃ごみは同組合の枝幸歌登地区ごみ処理場で焼却し、不燃ごみは枝幸
町一般廃棄物処理場、歌登町一般廃棄物塵芥処理場で各町が単独で処理し、し尿は組合
し尿処理場で浄化していましたが、これらの体制からの移行を図りました。
分別収集・リサイクルについては、循環型社会形成推進法や資源有効利用促進法、容
器包装リサイクル法などを背景に、平成11年から無料指定ごみ袋制の導入を開始し、平
成12年からは有料化し、リサイクルを行ってきました。リサイクルセンターは旧両町で
それぞれ整備し、合併後も両施設を活用しています。また、組合の汚泥再生処理施設で
は、し尿だけでなく、下水道汚泥や生ごみも一体的に処理するため、当町では生ごみの
分別収集も実施するとともに、同施設の最終汚泥は堆肥として活用されています。
一方、産業廃棄物の処理やリサイクルについては、建設リサイクル法や食品リサイク
ル法、家電リサイクル法などを背景に、民間主体で取り組みが進められています。ほた
※ 1 水産加工残渣
水産物を加工する際に発生す
る未利用廃棄物。
てのウロなど水産加工残渣※1については、平成10年に町で水産廃棄物等処理施設を問牧
地区に設置し、漁協が運営管理を行っています。また、建設廃材については、旧枝幸町
で建設廃材処理場運営会社が設立され、廃材処理が行われています。
今後も、一般家庭ごみや産業廃棄物、し尿を適切に処理する体制を維持するとともに、
住民と行政の協働により、3Rを一層推進していくことが求められます。
〔環境美化・公害対策〕
公害については、昭和36年に本庫鉱山跡地から坑廃水が河川に流出する水質汚濁が起
こり、現在も中和処理を続けているほか、下幌別では、海岸侵食により埋め立てごみの
※ 2 アスベスト
流出が発生しており、その対策が求められます。また、近年では、アスベスト※2による
天然に産する繊維状けい酸
塩鉱物のこと。繊維が極めて
細いため、飛散して人が吸入
してしまうおそれがあり、 長
期間の吸入によって中皮腫を
発症する恐れがあるとされる。
以前はビル等の建築工事に
おいて、保温断熱の目的で使
用されていたが、昭和 50 年
に原則禁止となっている。
健康被害など新たな社会問題が発生しており、こうした問題への対策にも力を入れてい
く必要があります。
環境美化については、空き缶などの散乱ごみのポイ捨ては、国民全体の意識改革が進
み、改善の傾向がみられますが、一方で、山林、原野などへの廃棄物の不法投棄が社会
問題となっています。
散乱ごみや不法投棄のないきれいなまちづくりには、行政の力以上に地域住民の理解
と積極的な行動が重要です。今後も、地域単位の清掃活動や美化活動の一層の推進を図
80
ESASHI
るとともに、家庭や学校、地域社会での環境美化教育の充実、監視活動の強化などを進
めていく必要があります。
〔エネルギー〕
エネルギーは、私たちの日常生活や産業経済活動に欠かせないものです。しかし、か
つては、豊富な森林資源による産業活動を背景として、薪やおが粉などの木質系地場産
4
4
4
燃料が多く利用されていた当町も、現在はほぼ全てのエネルギーを化石燃料に依存して
おり、住民のエネルギーについての関心は高くありません。
近年、資源に限りがあり、環境負荷の高い石油由来エネルギーに代わる「新エネル
ギー※1」の活用に向けた取り組みが各地で進められています。宗谷管内でも、風力発電
や雪氷熱利用、燃料電池のほか、家畜糞尿からのバイオマスエネルギー※2など、さらに
様々な「新エネルギー」の研究や実用化が進んでいます。
町としても、環境保全と地域振興の観点から、住民一人ひとりが、また、行政を含む
町内のすべての事業所が、エネルギー対策を自らの問題としてとらえ、様々な取り組み
を進めていくことが求められます。
※ 1 新エネルギー
P30 参照。
※ 2 バ イオマスエ ネ ル
ギー
バイオマスは「生物資源」の
意。穀物などだけでなく、家
畜糞尿なども含まれる。このよ
うな資源は、石油などの有限
な資源とは違い、栽培などに
より繰り返し生産できる。この
バイオマスを利用して作られる
のがバイオマスエネルギー。
めざす姿
廃棄物の排出が徹底的に抑制(リデュース)され、再利用(リユース)
・再生利用(リ
サイクル)されるとともに、限りあるエネルギーを有効に活用する資源循環型のまちが
形成されています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
1人1日当たりのごみ排出量
1,304g
ごみリサイクル率
27.8%
平成27年度目標
1,000g
40.0%
主要施策
(1) 3Rの推進
① 減量化(リデュース)の促進
家具や家電などの長期使用、使い捨て容器の使用削減、過剰包装の防止、買い物袋の
持参など、ごみを出さない取り組みの実践を啓発します。
② 再利用(リユース)の促進
封筒、コピー用紙など、家庭・事業所・行政での再利用を促進するとともに、ビン類
など収集して再利用を行うものについてはその体制の強化を図ります。また、各種のリ
サイクルバザーやフリーマーケットなど、不用品の交換活動の活性化を図ります。
③ 再生利用(リサイクル)の促進
一般家庭ごみにおける資源ごみや生ごみの適切な分別収集とリサイクルを図るととも
に、建設廃材のチップ化や、間伐※3材、焼却灰・汚泥などの堆肥・燃料等での利用など、
※ 3 間伐
P28 参照。
産業廃棄物のリサイクルを促進します。
また、家電リサイクル法に基づき、家電業者・小売業者・消費者それぞれの役割を周
新 枝幸町 まちづくり計画
81
基本
Ⅲ 計画
知し、家電リサイクルを推進します。
④ 3Rの推進体制づくり
ごみに関する広報活動の充実、学習活動やボランティア活動の促進などにより、3R運
動の先頭に立つ住民や事業所の育成に努め、まちぐるみで3R運動を展開していきます。
(2) 適切な廃棄物処理の推進
① ごみ収集体制の強化
ごみ排出量の動向をみながら、収集体制や料金体系などを随時見直していきます。
② ごみ処理施設の適切な維持管理
各ごみ処理施設の適切な維持管理に努めます。
③ 産業廃棄物の適正処理の促進
漁業系・農業系・建設系など、町内の各種産業廃棄物の適切な処理を促進します。
④ し尿収集・処理体制の確保
下水道の普及を図るとともに、し尿の適切な収集・処理体制の維持・確保に努めます。
(3) 環境保全対策の推進
① 公害の防止
坑廃水中和処理について、人工湿地を用いた中和方法の導入などにより引き続き安定
した処理に努めるとともに、下幌別地区旧廃棄物処分地の流出ごみ対策を推進します。
また、悪臭、土壌汚染などその他の各種公害の未然防止に向け、関係機関と連携しなが
ら、監視・指導の強化に努めます。
② 不法投棄防止対策の強化
警察など関係機関の協力を得ながら、ごみのポイ捨てや産業廃棄物の不法投棄に対す
る監視体制の強化に努めます。
③ 美化活動の促進
子ども時代からの環境美化教育と、住民や事業者への啓発に努めるとともに、地域住
民による地域清掃活動を促進します。
④ 健康被害対策の推進
※アスベスト
P80 参照。
公共施設のアスベスト※除去対策を進めるとともに、各種融資制度などを周知し、民
間住宅等のアスベスト除去を促進します。また、関係機関との連携のもとに、害虫など
の駆除・発生源対策に努めるとともに、飲食店、理・美容院、クリーニング店など、多
くの人が利用する民間事業所の衛生的な環境基準の遵守を促進します。
⑤ 公衆浴場の確保
住民の生活環境の確保と健康の保持増進を図るため、公衆浴場「はまなす」「うたの
ぼり湯」の適切な管理に努めます。
⑥ 葬祭環境の保全
火葬場・墓地の適切な管理に努めます。
⑦ ペット対策の推進
狂犬病予防注射の促進を図るとともに、ペットの正しい飼い方などの啓発に努めます。
82
ESASHI
(4) エネルギーの有効利用
① 省エネルギーの推進
省エネルギー機器の利用、照明や空調の適正管理など、省エネルギーの啓発を図ります。
② 新エネルギーの導入促進
石油などの限りある資源の枯渇を防ぐとともに、地球温暖化防止を図るため、廃熱利
用や、太陽熱利用、太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー※1の利用、雪氷熱利用、
燃料電池など、多様なエネルギーの導入を研究・検討します。
※ 1 バ イオマスエ ネ ル
ギー
P81 参照。
住民の役割
(1)
生ごみの堆肥化、家具や家電などの長期使用、買い物袋の持参など、ごみの出な
い取り組みを実践します。
(2)
ごみの出し方のルールを守り、きちんと分別します。
(3)
事業所・農家・漁家は、使い捨て容器の使用削減、過剰包装の防止など事業系廃
棄物の減量化に努めるとともに、法に基づくリサイクルや適正処理に努めます。
(4)
ごみのポイ捨て等をしないようにするとともに、地域の清掃活動に参加します。
(5)
エネルギー問題についての自主的な学習に努めます。
(6)
暖房などの温度管理の徹底など、省エネルギーに努めます。
(7)
バイオマスエネルギーをはじめ、地域の特性を活かした新エネルギー※ 2 の開発・
普及を図ります。
※ 2 新エネルギー
P30 参照。
ごみ排出量とリサイクル率の推移
平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度
ごみ処理量
1,637g
1,305g
1,358g
1,304g
リサイクル率
13.5%
27.4%
26.0%
27.8%
資料:枝幸町
環境対策で重視すべきこと(9項目中上位5位)
省エネルギーや風力、太陽光、雪氷熱、
バイオマスなど新エネルギー資源の利用
42%
ごみ(廃棄物)の発生・排出の
抑制やリサイクルなどの推進
32%
豊かな森林、多様な動植物
などの自然の保全・保護
28%
環境保全に関する知識や
意識の豊かな人づくり
25%
自然環境の保全に
対する意識の高揚
24%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
注:3つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
83
基本
Ⅲ 計画
第4章 安全で快適な住みやすいまち
第1 節 交通体系の整備
現況と課題
〔道路網〕
当町の道路網は、国道238号と主要道道枝幸音威子府線、美深中頓別線、一般道道歌
登咲来停車場線、上徳志別乙忠部線、上音標音標線、本幌別上毛登別線が広域幹線道路
網を形成しており、一般道道ウエンナイ幌内保線、北見枝幸停車場線、枝幸港線、その
他町道499路線、農道・林道が地域内の生活道路や産業道路としての役割を担っていま
す。
枝幸市街地においては、平成元年以降、都市計画道路「3・3・7 オホーツク通」(一
般道道ウエンナイ幌内保線)が整備されるとともに、歌登市街地においては、平成4年
度から14年度にかけて、
「市街地まちなみ整備事業」により、主要道道枝幸音威子府線、
美深中頓別線の整備が行われ、両市街地の域内交通の円滑化や事業沿線で一定の景観形
成が図られました。また、平成7年度には主要道道美深中頓別線天の川トンネルが開通
するとともに、18年度には一般道道歌登咲来停車場線の咲来峠の改良が完了し、国道
40号線へのアクセスの大幅な改善が図られました。現在は、枝幸音威子府線の旧枝幸・
※線形(の)改良
歌登町界付近において、
「歌登トンネル」の開削工事、線形改良※工事が進められており、
車 両の円 滑な通 行を図るよ
う、カーブの直線化などを行
うこと。
平成20年の供用開始により危険箇所の解消による利便性・安全性の向上が期待されま
す。
町道、農林道についても、狭隘区間の改良や未舗装区間の解消、生産資材輸送路の確
保などを図るため、整備や維持管理に努めてきました。
自動車交通の発展は、町の産業や生活水準の向上に欠かせないことから、今後も、国・
道と連携しながら、町内外の広域幹線道路や生活道路、農林道の計画的な整備を進める
とともに、除雪や凍結路面などの冬道対策を一層充実していくことが求められます。ま
た、花や緑と調和した道路景観づくりや、人にやさしい道づくりなど、道路環境の質的
な向上も課題です。
〔公共交通網〕
当町の公共交通機関は、枝幸市街地内循環(三笠線)と、枝幸・浜頓別間、枝幸・雄
武間、枝幸市街地・歌登市街地間を結ぶ路線バス計4路線、歌登地区の農村部と歌登国
保病院を結ぶ患者移送車、そして枝幸市街地から歌登市街地を経由し札幌・旭川方面に
至る都市間バス「えさし号」があります。
いずれも人口減少やマイカーの普及などにより、乗車率は厳しい状況ですが、これら
の路線は、通勤・通学、買物、通院などの重要な交通手段であり、町では地方バス路線
維持費補助金等により支援を行っています。今後もこれら公共交通機関としての路線機
能維持・確保に努めるとともに、地域に合った交通手段の構築にむけた取り組みを進め
ることが求められます。
〔高速交通〕
当町を含む南宗谷地域では、札幌・道央圏と遠隔地にあり、鉄道をはじめとして高
84
ESASHI
速道路や空港など高速交通の恩恵を十分に受けることのできない高速交通空白地域※1と
なっています。このため、観光・ビジネス面での不利・制約や、カニ・ウニなど鮮度が
重要な高付加価値食材の一大供給地としての特性が生かし切れておらず、大きな経済的
損失になっているほか、災害時・緊急時においても、アクセスの悪さなどから、稚内以
南で北オホーツク唯一の地方港湾※2である枝幸港が持つ多面的な機能・役割を十分に発
揮できないことが予想されます。
※ 1 高速交通空白地域
P31 参照。
※ 2 地方港湾
P64 参照。
このため、高速道路の整備延長とアクセスの向上などにより高速交通空白地域の解消・
緩和を図っていくことが求められます。
〔港湾〕
枝幸港は、昭和29年に地方港湾に指定され、稚内・紋別両港湾の補完港としての役割
を持っています。漁業や水産加工業の基地としての役割が最も大きくなっていますが、
砂利の搬出など、貨物の移出入を行う商港としての機能も徐々に発揮されつつあり、釣
りなどのレクリエーションの拠点としての役割、災害時の緊急海上輸送拠点としての役
割などを含め、多方面からの利用を促進していくことが求められます。
めざす姿
環境や人にやさしい快適で安全な交通体系が構築されています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
町道改良率
枝幸地区78.1%
歌登地区61.0%
町道舗装率
枝幸地区54.7%
歌登地区27.4%
町道除雪延長
252.2km
町民の除雪への満足度
37%
都市間バス札幌線の年間利用
9,368人
者数(往復合算人数)
名寄市までの自家用車での到
約90分
達時間
枝幸港貨物移出入量
61,210t
平成27年度目標
枝幸地区78.4%
歌登地区61.6%
枝幸地区56.0%
歌登地区28.5%
259.0km
50%
12,000人
70分未満
100,000t
主要施策
(1) 道路網の整備・充実
① 国道・道道網の整備促進
主要道道枝幸音威子府線をはじめ、町内の国道、道道の整備を促進します。また、道
北自動車道の早期延伸を要望していきます。
② 町道網の整備
町道については、住民ニーズを尊重しながら、生活環境の改善や産業の振興に結びつ
く路線整備を順次計画し、事業化を図ります。
新 枝幸町 まちづくり計画
85
基本
Ⅲ 計画
③ 農林道網の整備
生産性の向上や、農林業の多面的機能の活用を図るため、生乳や飼料などの輸送路と
なる農道や、林業施業の管理道となる林道の計画的な整備を進めます。
(2) 道路環境の向上
① 冬道対策の推進
国・道と連携しながら、除雪の強化に努めるとともに、凍結路面対策や、交差点・歩
道の堆雪の緩和、さらには視線誘導標の設置など吹雪対策の強化に努めます。
② 人にやさしい道づくり
※ 1 線形の改良
P84 参照。
段差の解消、歩道やポケットパークの設置、幅員の拡大、線形の改良※1、交通安全施
設の設置、防犯灯・街路灯等の設置などにより、高齢者や障害者・子どもに配慮した道
路づくりに努めます。
③ 災害に強い道づくり
危険箇所の改良、防護柵の設置などにより、災害に強い道づくりに努めます。
④ 環境にやさしい道づくり
適切な環境保護に努めるとともに、沿道への花の植栽、枝幸町にふさわしい色彩・デ
ザイン等の採用、法面の緑化など道路景観の整備を進めます。
(3) 公共交通網の維持・充実
① 路線バス機能の維持・充実の促進
町内や浜頓別、雄武へのアクセス手段として、路線バス機能の維持・確保や利便性の
向上を促進します。
※ 2 コミュニティバス
市町村が住民の移動手段を
確保するために、直接または
委託等による運行する路線バ
ス。近隣の町村では羽幌町
の例がある。
※ 3 デマンド型交通
利用者が「いつ、どこから、
どこへ」などの要望(デマンド)
を予め電話やパソコンなどで
バス運行者に予約し、これに
応じて乗り合い形式などでバ
スやタクシーなどが運行され
るシステム。通常のバスと比
べて路線やダイヤに柔軟性が
あり、通常のタクシーと比べ
低廉で、導入を検討する地域
が増えてきている。
※ 4 コミューター空港
小型航空機で比較的短距離
を運 航する形 態である「コ
ミューター航空」のための空
港。離島のほか、鹿児島県
の枕崎、兵庫県の但馬、熊
本県の天草などの例がある。
86
② 都市間バスの充実促進
名寄・旭川・札幌方面へのアクセス手段として、都市間バスの利便性・快適性の向上
を促進します。
③ 新たな地域交通システムの構築
コミュニティバス※2、デマンド型交通※3など、地域に合った新たな地域交通システム
構築にむけた取り組みを進めます。
(4) 高速交通の実現
① 高速交通空白地域の解消・緩和
高速交通空白地域の解消・緩和を図るため、コミューター空港※4の誘致や高速道路の
整備延長・アクセス向上等の要望に努めます。
(5) 港湾の充実
① 漁業・物流機能の強化
護岸や防波堤、臨港道路などの改良や物揚場の整備など、港湾施設の充実を図ります。
また、新港地区については、商港機能施設の一部を漁港機能施設へのシフトを図りなが
ら、背後都市再開発用地のさらなる有効利用に努めます。さらに、外資貨物も視野に入
ESASHI
れた新たな機能促進を図ります。
② 親水機能の拡大※1
小型船だまり施設※2の活発な利用に伴い施設の充実を図り、プレジャーボート※3の利
用への対応に努めるとともに、近年増加している釣りに対する安全対策を図り、枝幸港
を多くの人々が安心して利用できるよう親水機能の拡大に努めます。また、荷揚げの様
子や水産加工の現場を住民や観光客に対し積極的に公開することに努めます。
③ 防災機能の拡大
土砂災害等に伴う陸路封鎖時や多様な事故・災害等の際、救援物資の搬送や排出油防
除などが円滑に行えるよう、港湾施設の充実に努めます。
※ 1 親水機能の拡大
施設整備等により、水(海)
に親しむための機能を拡げる
こと。ここでは、産業・生産
面ばかりでなく、遊漁(プレ
ジャーボート、釣り)等にお
ける港湾機能の充実・拡大
を指す。
※ 2 小型船だまり施設
小型船が安全に陸揚・準備・
休憩を行うために整備する係
留施設。
住民の役割
※ 3 プレジャーボート
海洋レクリエーションのための
船。
(1)
沿道への花植えや緑化、清掃など、美しい道づくりに協力します。
(2)
道路整備の計画づくりの場に積極的に参画します。
(3)
可能な限り、環境にやさしい公共交通の利用に努めます。
(4)
プレジャーボートを使用する際は、漁業者や一般住民への心づかいに努めます。
冬場の生活環境で重視すべきこと(8項目中上位5位)
45%
町道など生活道路の除雪の強化
41%
ツルツル路面対策の強化
39%
交差点や歩道の堆雪の緩和
独居高齢者などへの
福祉除雪などの充実
33%
国道や道道など主要幹線
道路の除雪の強化
28%
0%
20%
40%
60%
注:3つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
87
基本
Ⅲ 計画
第2 節 上・下水道の整備
現況と課題
〔水道〕
当町の水道は、昭和25年に枝幸市街地で上水道が、昭和35年からは各地区で簡易水
道や農用専用水道が整備され、旧両町全域での給水体制が確立しました。平成18年度現
在で、枝幸地区の上水道と、徳志別地区、枝幸南部地区、歌登地区、志美宇丹地区、本
幌別地区の5つの簡易水道、岡島地区農用専用水道の7つの事業体制で、水道普及率は
99.6%となっています。
この間、平成10年度の山臼、乙忠部、風烈布、音標の4施設統合による枝幸南部地区
簡易水道の供用や、平成12年度の歌登地区簡易水道浄水場の改修、平成13年度の枝幸
浄水場の改修などを進め、安定した供給に努めてきました。また、平成17年度からは徳
志別地区簡易水道と岡島地区農用水道を枝幸地区の上水道に統合する事業を進めていま
す。
今後も、良質で安全な水を安定的に供給していくため、各施設の統合や老朽施設の更
新などを計画的に進めていく必要があります。
〔下水道等〕
下水道は、家庭の台所や風呂場から出る雑排水、トイレの汚水や工場排水などを集め、
処理場で微生物の作用などを利用しながら分解し、きれいな水にして川や海に放流する
もので、公共下水道、集落排水、合併処理浄化槽などの方式があります。
公共下水道は、枝幸市街地で、公共下水道事業により昭和55年度から整備が進められ、
平成2年度から順次供用を開始するとともに、歌登市街地では、特定環境保全公共下水
道事業により昭和54年度から整備が進められ、平成3年度から順次供用を開始していま
す。枝幸市街地、歌登市街地とも、ほぼ整備が完了し、平成17年度の水洗化率は80.7%
となっています。
集落排水処理施設は、平成7年度から音標地区で、平成9年度から岡島地区で、平成
12年度から乙忠部地区で、平成15年度から山臼地区で、平成17年度から目梨泊地区で
供用を開始しています。これら、計画した5地区の整備の完了により、平成17年度の水
洗化率は62.8%となっています。
合併処理浄化槽は、平成17年度末現在で枝幸地区に130基、歌登地区に70基が設置さ
れ、管理・点検の徹底により、公共下水道等の供用区域外の適切な汚水処理体制の確保
に向け取り組んで行く必要があります。
清らかな川や海を次世代に引き継ぐとともに、快適な居住環境を確保するために、公
共下水道、集落排水、合併処理浄化槽の各施設の適切な維持管理を図るとともに、水洗
化を促進していくことが求められます。
88
ESASHI
めざす姿
良質な水が安定して供給されるとともに、生活排水が適切に浄化され、清らかな水辺
環境と快適な居住環境が確保されています。
項 目
水道普及率
公共下水道普及率
公共下水道水洗化率
集落排水施設普及率
集落排水施設水洗化率
合併処理浄化槽普及率
合併処理浄化槽水洗化率
目標指標
平成17年度実績
99.6%
99.9%
80.7%
100%
62.8%
41.4%
41.4%
平成27年度目標
99.8%
100%
90%
100%
80%
70%
70%
主要施策
(1) 水道の安定供給
① 良質な水の確保
水源地域の環境整備などにより、水質の保全に努めるとともに、広報などにより、水
資源の大切さの啓発を図ります。
② 加入の促進
水道水の衛生面や安全性の周知を図り、水道普及率の向上に努めます。
③ 安定供給体制の整備
簡易水道の統合や老朽施設の更新を計画的に進めます。
④ 合理的な水道事業の運営
情報機器の導入・更新などにより業務の効率化を図り、水道事業の安定化に努めます。
(2) 下水道等の普及促進
① 下水道施設等の充実
宅地や産業系用地の造成などに対応し、公共下水道や集落排水施設、合併処理浄化槽
の新設を図るとともに、既存の処理場や管渠、浄化槽の適切な維持・管理・更新に努め
ます。
② 水洗化の促進
下水道の必要性や有効性を啓発するとともに、貸付金・補助金制度の周知を図り、水
洗化を促進します。
③ 合理的な下水道事業の運営
使用料の適正化や、台帳等の情報化、施設管理の効率化・高度化などにより、合理的
な下水道事業の運営に努めます。
※下水道ディスポーザー
粉砕した生ゴミと汚水を一体
的に下水道に流して、コスト
削減やエネルギー消費抑制
につなげるもの。平成 12 〜
15 年度に国土交通省、北海
道、旧歌登町で共同実験が
行われた。
④ 下水道ディスポーザー※の検討
台所やゴミ集積場の環境改善を図るとともに、ゴミ出し労力の軽減や、コスト削減に
新 枝幸町 まちづくり計画
89
基本
Ⅲ 計画
つながる「下水道ディスポーザー」の検討を進めます。
住民の役割
(1)
各水道事業への理解と節水意識の向上に努め、水の有効活用を図ります。
(2)
私たちの川や海をいつまでもきれいに保つため、公共下水道や集落排水、合併処
理浄化槽の利用に努めます。
(3)
合併処理浄化槽など処理施設の適切な維持管理に協力します。
90
ESASHI
第3 節 住環境の整備
現況と課題
〔住宅・宅地〕
当町の住宅事情は、平成17年国勢調査によると、一般世帯数4,009世帯のうち、持ち
家は2,436世帯、公営等の借家700世帯、寮等の給与住宅424世帯、民間借家が274世帯、
間借り57世帯などとなっています。持ち家は一般世帯数の60.8%を占め、全道平均の
55.2%を上回っていますが全国平均の70.7%より低くなっています。また、1世帯当た
りの延面積は105.9㎡で、全道平均の86.5㎡や全国平均の91.8㎡を上回っています。
住宅・宅地については、旧両町では早くから公営住宅の整備や宅地の造成・分譲を進
めるとともに、持ち家取得への経済的支援などを進めてきました。
住宅政策については、わが国では、これまで、昭和41年以降の8次にわたる住宅建設
五箇年計画に基づき、人口増に対応する住宅ストック※1の充足や住宅困窮者の解消とい
※ 1 住宅ストック
うシビルミニマム※2型の政策が進められてきましたが、人口減少時代を迎える中、平成
住宅需要に対し、現実に供
給されている量のこと。
18年6月に住生活基本法が施行され、耐震性などの住宅性能や、高齢者等に配慮したバ
※ 2 シビルミニマム
リアフリー ・ユニバーサルデザイン 化、環境・景観への配慮など、質を重視した政
※3
※4
策への転換が進められています。
当町では、公営住宅のバリアフリー化など、こうした質の面を重視した住宅施策を推
進していますが、今後も、引き続き進めていくことが求められます。また、あわせて、U・
Iターン※5などによる定住の受け皿等として、良好な住宅・宅地の供給を誘導していく
ことが求められます。
地方自治体が住民のために
備えなければならない、最低
限の生活環境基準
※ 3 バリアフリー
P49 参照。
※ 4 ユニバーサルデザイン
P27 参照。
※ 5 U・Iターン
〔公園・緑地〕
P31 参照。
当町には、北幸公園や桧垣公園など、広大な敷地でゆったりと過ごせる公園やパーク
ゴルフ場から、児童公園・幼児遊園など地域の子どもたちが遊具等で気軽に遊べる公園
まで、多くの公園・緑地があります。いずれも、健康づくりや憩いの場として、また、
住民や来訪者の交流の場として、さらには、災害時の避難場所や防災空間として、重要
な機能を担っています。
今後も、地域住民の協力を得ながら、こうした公園・緑地の整備や維持管理を図ると
ともに、市街地や各集落において、既存の公園・緑地に加え、河川流域や沿道の緑地帯
などを含めた緑のネットワーク化に努めていくことが求められます。
〔市街地・集落環境整備〕
住宅や商店、工場、公共施設などが集中する市街地・集落は、自然環境と調和させつ
つ、生活空間や産業創出の場として、機能的な土地利用を図っていくことが重要です。
そのため、当町では、枝幸市街地を中心とする702© が都市計画区域に指定され、都
市計画法に基づく環境整備が進められるとともに、歌登市街地や各集落においても、沿
道整備や漁港整備などの事業を通じて、自然環境の保全と地域活性化、居住の3つの目
的が調和した環境づくりに努めてきました。
今後も、各種の手法を活用し、住民が安心して快適に生活できる「北の理想郷」にふ
新 枝幸町 まちづくり計画
91
基本
Ⅲ 計画
さわしい住環境づくりに努めていくことが求められます。
めざす姿
人と自然にやさしい良好な住宅が確保され、公園・緑地が充実し、機能的で魅力あふ
れる住環境が形成されています。
項 目
着工新設住宅戸数
目標指標
平成17年度実績
19戸
新耐震基準適合住宅の比率
61.7%
平成27年度目標
20戸
90%(北海道住生
町営住宅管理戸数
町営住宅のバリアフリー化率
町内の公園の満足度
都市計画道路の整備率
700戸
52.3%
57%
79.5%
680戸
70%
80%
98%
活基本計画の目標)
主要施策
(1) 良好な住宅・宅地の供給
① 住宅・宅地開発の誘導
新規の住宅ニーズに対応するため、自然環境との調和に配慮しながら、良好な宅地の
開発・分譲を図るとともに、民間による開発・分譲を促進していきます。
② 良好な賃貸住宅の確保
両地区の「公営住宅ストック総合活用計画」の一体化を図るとともに、同計画に基づ
き、公営住宅の計画的な維持管理と更新に努めます。また、民間による良好な賃貸住宅
の供給を促進します。
③ 住宅取得の促進
住宅取得希望者が円滑に住宅を取得できるよう、住宅に関する身近な相談が受けられ
る体制づくりに努めるとともに、国・道の制度も含め、各種支援制度の活用を促進します。
(2) 良好な住生活の確保
① 高齢者や障がい者にやさしい住宅づくりの促進
※ 1 バリアフリー
P49 参照。
※ 2 ユニバーサルデザイン
P27 参照。
※ 3 グループホーム
P43 参照。
既存の住宅のバリアフリー※1化を促進するとともに、新たに整備される住宅へのユニ
バーサルデザイン※2の普及を図ります。また、グループホーム※3、ケアホーム※4など、
高齢者や障がい者の多様な共同生活施設の設置を促進します。
② 環境にやさしい住宅づくりの促進
住宅の断熱構造化、省エネ設備の配備、敷地内緑化など、環境・景観にやさしい住宅
※ 4 ケアホーム
づくりを促進します。
P49 参照。
③ 火災や災害に強い住宅づくりの促進
火災報知器の設置の促進や、災害に強い材質・構造の普及・啓発、耐震診断や耐震改
92
ESASHI
修の奨励などにより、火災・災害に強い住宅づくりを促進します。
④ 健康被害対策の推進
北海道などと連携しながら、住宅アスベスト※1対策を進めるとともに、シックハウス
症候群※2などについての情報提供に努めます。
※ 1 アスベスト
P80 参照。
※ 2 シックハウス症候群
(3) 公園・緑地の整備・充実
① 既存の公園・緑地の充実
芝や樹木の手入れ、遊具等の補修など、既存の公園・緑地の充実を図るとともに、住
新築やリフォーム直後に揮発
性化学物質による室内空気
汚染によって引き起こされるア
レルギーなどの病気。
民の協力を得ながら、適切な管理運営に努めます。
② 新しい公園・緑地の整備
港湾・漁港の改修や住宅団地の整備、道路改良などにあわせ、公園・緑地の新設を検
討していくとともに、既存の公共施設用地などの公園・緑地としての有効活用を図りま
す。こうした整備・活用にあたっては、住民ニーズの把握に努めるとともに、可能な限
り、住民参画の公園づくりに努めます。
③ 緑のネットワークづくり
公園・緑地の整備と、行政による道路や公共施設等の緑化、民間による住宅や事業所
の緑化などを一体的に進め、緑のネットワークの形成に努めます。
(4) 魅力ある市街地・集落の形成
① 土地利用法制度の適切な運用
土地利用の誘導にあたっては、国土利用計画法、森林法、農業振興地域の整備に関す
る法律、自然公園法、都市計画法など、各種の土地利用関係法の適切な運用に努めると
ともに、都市計画マスタープラン、森林整備計画など関係計画との整合を図ります。
② 都市計画の推進
都市計画区域内については、美しい自然環境のもとに適切な役割分担が図られた市街
地形成を目指し、都市計画マスタープランに基づき、高砂通り沿道街づくり事業など、
各種の都市計画事業を計画的に推進していきます。また、長期的視野に立ちながら、随
時、各種指定の新設や変更を検討していきます。
③ 市街地・集落の生活基盤の充実
市街地や集落については、各種の環境整備事業を活用しながら、住宅団地の開発や工
業系用地の確保、沿道への商業施設の立地誘導、空き家・空き地の有効活用などを進め、
産業創造機能や居住機能の向上に努めます。また、道路段差の解消などによる人にやさ
しい住環境づくりや、除排雪施設の充実などによる災害に強い住環境づくり、街路樹や
花の植栽などによる個性的で美しい住景観づくりなど、住環境の質的な向上に努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
93
基本
Ⅲ 計画
住民の役割
(1)
住宅の新築、建て替えなどにあわせて、地域の良好な住環境づくりに協力します。
(2)
住宅建築関係者は、高齢者や障がい者が生活しやすい住宅づくりや、火災・災害
に強い住宅づくり、環境・景観への配慮に努めます。
(3)
寝室などへの火災報知器の設置や、地震などに対する家具の固定など、住宅の火
災・災害予防対策に努めます。
※シックハウス症候群
P93 参照。
(4)
シックハウス症候群※など健康被害についての学習に努めます。
(5)
公園はマナーを守って利用します。
(6)
地区の身近な公園については、愛着をもって維持・管理を行います。
(7)
地区の住環境づくりについて、個人や地域で創意工夫して取り組みます。
94
ESASHI
第4 節 消防・救急・防災・国民保護の推進
現況と課題
〔防災・国民保護〕
当町では、これまで、昭和15年の枝幸市街地の大火をはじめ、昭和23年の歌登市街
地ベニヤ工場大火など、家屋や山林の火災、豪雨や暴風雪などの災害にたびたび見舞わ
れてきましたが、建築物の近代化や防災体制の強化などにより、かつてのような甚大な
被害を受ける危険性は弱まっています。
しかし、この間、平成13年、平成16年など台風被害が頻発するとともに、わが国に
おいても、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、東海豪雨、新潟豪雨、さらには同じオ
ホーツク沿岸の佐呂間町で竜巻が発生するなど、大規模な災害が多発しています。また、
スマトラ沖地震では、国境を越えて大津波が押し寄せるなど、地球的規模の大災害も起
こっています。
災害は、平穏な日常生活のなかでは想像しにくいものの、一度起こると人命が失われ
たり、生活機能がまひし、復旧に時間と経済的負担を要します。
住民の防災意識の啓発や、災害発生時の初動体制づくりなど、日頃から、あらゆる災
害を想定した防災体制づくりを進めておく必要があります。
また、大規模なテロや武力攻撃が発生したときに備え、住民の生命と財産を守り、被
害を最小限に抑えるための危機管理体制も構築する必要があります。
〔消防・救急〕
当町の消防・救急は、南宗谷消防組合による常備消防と消防団による非常備消防が担っ
ており、両町合併により、歌登支署を枝幸消防署の分署とし、町内における一体的な指
揮命令系統を確立しました。
平成18年現在、消防署員は枝幸消防署定員23名(実員19名、うち救急救命士6名)、
歌登分署定員15名(実員14名、うち救急救命士3名)で、消防団体制は枝幸消防団定
員170名(実員159名、本団・7カ分団)、歌登消防団定員75名(実員69名、本団・3
カ分団)となっています。
平成18年の火災発生件数は6件、救急出動件数は369件で、火災は近年、10件未満で
推移していますが、救急出動件数は高齢化の進展などに伴い増加傾向にあります。
消防については、建物の高層化、大規模化などによる火災の複雑化に引き続き対応し
ていくとともに、広大な町域をカバーする消防力の一層の充実を図っていくことが求め
られます。また、救急については、増加する救急需要に対応するため、人員や設備の充
実を図るとともに、高度医療が必要なケースでの町外搬送体制の一層の強化に努めるこ
とが求められます。さらに、山菜採りなどでの事故・遭難や船舶事故などへの対応も課
題です。
しかしながら、当町のような小規模消防では、将来にわたって、災害の多様化、大規
模化、住民ニーズの変化等、消防を取り巻く環境の変化に的確に対応することは難しく
なると考えられることから、災害発生時の初動体制の強化、本部機能統合等による現場
新 枝幸町 まちづくり計画
95
基本
Ⅲ 計画
要員の確保、高度な資機材の計画的整備等を図るため、国が示す消防の広域化に向けた
指針に基づき、消防の広域化再編の必要性等について検討する必要があります。
めざす姿
地域ぐるみでのあらゆる災害に対する予防・情報伝達体制と応急体制が整うとともに、
安心できる消防救急体制が確立しています。
項 目
自主防災組織数
防災訓練実施回数
防災訓練参加人数
消防団員数
※ 1 消防水利
消防水利※1充足率
P31 参照。
防災力指数
緊急伝達システム設置箇所
目標指標
平成17年度実績
1組織
未実施
未実施
228人
枝幸地区76.4%
歌登地区89.5%
23%
21カ所
平成27年度目標
36組織
9回
4,900人
245人
100%
68%
30カ所
主要施策
(1) 危機管理対策の強化
① 地域防災計画の実効性の確保
住民・事業者に対し、地域防災計画・水防計画の周知・徹底を図るとともに、防災訓
練などにより計画の実効性を点検し、適宜見直しを進めます。
※ 2 ハザードマップ
自然 災 害による被 害を予 測
し、その被害範囲を地図化し
たものこと。
また、
水害・津波等を想定したハザードマップ※2を作成し、
情報の充実・提供に努めます。
② 広報・啓発の充実
広報紙やパンフレット、ハザードマップなどの配布、各種講習会の開催等を通じて、
住民の防災意識の高揚と防災知識の普及に努めます。
③ 自主防災組織等の育成
地域における初動体制の強化を図るため、地区や事業所での自主防災組織等などの育
成に努めます。
④ 災害時要援護者対策の強化
ひとり暮らしの高齢者や障がい者など災害時要援護者の防災対策については、日常か
ら福祉関係機関や自主防災組織内の協力を得て、災害時要援護者の把握に努め、救助・
避難方法の確立を図ります。
⑤ 風水害・雪害対策の推進
豪雨や暴風雪などによる風水害や雪害の被害を防止・抑制するため、山林の貯水機能
や土砂流失防止機能の保全、河川や海岸の改修、下水道雨水管の整備などに努めます。
⑥ 地震・津波対策の推進
津波に対する避難体制や情報伝達体制の強化、建築物の耐震性の向上など、地震・津
波対策を努めます。
96
ESASHI
⑦ 突発災害対策の推進
地域防災計画や国民保護計画に基づき、船舶事故や航空機事故、有害物質の漏えい、
無差別テロなど、当町が経験したことのない突発的な災害・重大事故に対して、警察機
関、国・道などと連携し、応急体制の整備に努めます。
(2) 災害応急体制の強化
① 職員の初動体制の確立
防災訓練などにより、大災害での初動対策の重要性をすべての職員が認識し、迅速・
的確に対応できる体制の確立に努めます。
② 情報収集・提供体制の整備
災害情報の伝達、被害状況の把握、避難・救助の指示・勧告、被災地域への応援要請
などを迅速・的確に実施できるよう、災害時の情報収集・提供体制の強化を図ります。
そのために、消防組織の緊急伝達システムの活用を含め、住民への情報伝達手段の検討
を進めます。
③ 防災資機材の整備・充実
食糧、生活必需品、医療品、仮設トイレ、応急給水資機材等の備蓄に努めます。
④ 被災時医療体制の充実
災害時の医療体制について、日常からの応急体制の連携に努めるとともに、応急手当、
救急救命法など、災害時の応急処置手法の啓発を図ります。
⑤ 応援受け入れ体制の整備・充実
国や道、近隣市町村、自衛隊、ボランティアなどの応援受け入れ体制の整備を進める
とともに、災害時の枝幸・歌登両地区における相互応援体制の強化や補完機能の充実に
努めます。
(3) 消防・救急体制の充実
① 防火意識の啓発
防火訓練や広報活動、消防職員と地域住民との交流活動などを通じて、住民の防火意
識の高揚を図ります。また、自主防火組織の育成に努めます。
② 防火指導の強化
建築確認時における防火指導や、住宅用火災報知器の設置普及の促進及び危険物施設
等の管理指導などの強化・徹底を図ります。
③ 消防力の強化
消防職員の計画的配置と消防団員の確保に努めるとともに、訓練等により知識・技術
等の向上に努めます。また、消防車両や資機材、防火水槽、消火栓などの消防水利の整
備を計画的に進めるとともに、既存の施設・設備の管理の徹底を図ります。
④ 救急救命体制の強化
救急救命士の育成や、高規格救急自動車、救助資機材などの充実により、救急・救助
体制の強化を図るとともに、応急手当の講座などを開催し、救急・救命に関する普及に
努めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
97
基本
Ⅲ 計画
住民の役割
(1)
水害、土砂災害、雪害、地震、津波、火災など、すべての災害の危険性と、災害
が起こったら何をすべきかを把握するよう努めます。
(2)
行政や職場の防災訓練に積極的に参加します。
(3)
自主防災組織や災害ボランティアなどに積極的に参加します。
(4)
地区ごとに近隣の高齢者世帯や障がい者などとのコミュニケーションを日頃から
図り、災害時に連絡・避難・救助活動を行います。
(5)
各家庭・事業所は、備蓄、防災訓練、耐震改修などの実施に努めます。
(6)
消防団活動に積極的に協力します。
(7)
防火水槽など地域消防施設の日常管理に協力します。
(8)
防火対象物の防火管理を徹底します。
(9)
応急手当や救急救命法の知識・技術の獲得に努めます。
火災発生件数の推移(各年1〜12月)
件
20
15
10
19
17
5
0
旧枝幸町
2
平成13年
8
歌登町
7
4
9
1
1
6
4
6
8
6
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
0
資料:南宗谷消防組合
救急出動件数の推移
件
400
300
旧枝幸町
313
298
歌登町
342
338
81
81
365
94
71
68
242
230
261
257
271
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
200
100
0
資料:南宗谷消防組合
98
ESASHI
当町の災害で心配なもの
68%
69%
67%
暴風雪による災害、
交通遮断等による孤立化
56%
54%
61%
集中豪雨等による風水害
27%
津波・高潮
11%
オホーツク海の油流出事故
12%
34%
合計
23%
27%
枝幸地区
歌登地区
21%
22%
19%
大地震
0%
20%
40%
60%
80%
注:複数回答(回答数の制限なし) 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
99
基本
Ⅲ 計画
第5 節 防犯・交通安全の推進
現況と課題
〔防犯〕
防犯については、旧両町でそれぞれ組織されていた防犯協会と交通安全協会を平成18
年6月に新町の地域安全推進協議会として合併・再編するとともに、旧枝幸町のみの制
度であった防犯指導員活動を町内全域で推進するなど、合併後の体制の一体化を図りつ
つ、地域ぐるみの防犯活動に取り組んでいます。
近年、地域における人間関係の希薄化が進み、犯罪の抑止機能が低下しつつあり、ま
た、全国的に振り込め詐欺や子どもへの凶悪犯罪などが社会問題化しています。
当町の平成17年の刑法犯罪認知件数は42件で、犯罪の発生率は高くはありませんが、
今後も、警察をはじめ地域安全推進協議会など関係諸団体、家庭、学校、地域等と緊密
な連絡体制を築き、多様化する犯罪の防止に努め、地域ぐるみの防犯体制を強化してい
くことが求められます。
〔交通安全〕
車社会といわれる現代にあって、運転免許所持者の増加や、通過交通量の増大、高齢
化の進展などにより交通安全対策の重要性は日々高まってきています。
北海道は、人口あたりの交通事故発生件数は特に多いわけではありませんが、自動車
の平均走行速度が速く、アイスバーン、吹雪など気象の影響もあって、たびたび、交通
事故死亡者数の全国ワーストとなっています。当町においても、最近5年間の交通事故
発生件数は減少傾向ですが、死亡事故も毎年のように数件発生しており、交通安全対策
は大変重要です。
警察や交通安全指導員、地域安全推進協議会など関係諸団体、家庭、学校、地域等と
緊密な連絡体制を築き、交通安全教室などを通じた啓蒙活動や、急カーブなどの改良、
ガードレールなど交通安全施設の整備に努めていくことが求められます。
めざす姿
地域ぐるみで防犯や交通事故防止に取り組み、犯罪や事故の少ない安全なまちが実現
しています。
項 目
犯罪発生件数
交通事故発生件数
交通事故死亡者数
100
目標指標
平成17年度実績
53件(1~12月)
33件
1人
平成27年度目標
30件
20件
0人
ESASHI
主要施策
(1) 防犯体制の強化
① 防犯意識の高揚
警察など関係機関と連携し、地域住民の協力を得ながら、地域ぐるみの防犯意識の高
揚を図ります。
② 防犯施設の整備
地域の必要性に応じて、防犯灯などの防犯施設の整備充実を図るとともに、適切な管
理を推進します。
③ 子どもを守る地域づくりの推進
子どもを狙った犯罪が社会問題化するなか、学校や家庭、地域、警察などが連携しな
がら、安全パトロールの強化や、万一の場合の対処法の明確化など、地域ぐるみの安全
対策を進めます。
④ 消費者被害防止の体制づくり
北海道立消費生活センターや宗谷支庁地域高齢者悪質商法被害防止ネットワークなど
と連携しながら、様々な消費者トラブルについて、具体的な被害事例や予防策などの情
報提供に努めるとともに、消費者被害に関する相談体制の充実を図ります。
(2) 交通安全対策の推進
① 啓発活動の推進
幼児・高齢者・若者などを対象とした参加・体験型教育を実施するなど、多様な機会
に、多様な手段による交通安全の啓蒙活動を推進します。
② 安全な道路環境の確保
国・道と連携しながら、急カーブ部分の線形改良やガードレール、信号機、カーブミ
ラー等の設置、歩道の整備などを進めるとともに、円滑な除排雪、凍結路面対策、交差
点、歩道の堆雪の緩和、視線誘導標や路面表示の設置など、冬道対策に努めます。
住民の役割
(1)
あいさつ、鍵かけなど自主的な防犯活動を心がけます。
(2)
悪質な商法など、消費に関わる学習を進めます。
(3)
交通安全教室などに積極的に参加し、知識・技術の習得に努めます。
(4)
交通ルールを遵守し、無理な追い越しや無灯火運転を避けるなど、余裕をもった
運転に心がけます。
(5) 明るい服装や、靴・自転車への夜光反射材の着装などにより、夜間や濃霧、吹雪
など荒天時の事故を防止します。
新 枝幸町 まちづくり計画
101
基本
Ⅲ 計画
刑法犯罪認知件数の推移(各年1〜12月)
件
100
旧枝幸町
84
18
50
66
0
平成13年
歌登町
70
70
68
11
16
59
52
61
平成14年
平成15年
平成16年
9
42
10
32
平成17年
資料:北海道警察本部
旧枝幸町
歌登町
交通事故発生件数・死亡者数の推移(各年1〜12月)
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
発生件数
25
16
18
16
死亡者数
3
0
1
0
発生件数
11
8
7
4
死亡者数
4
0
1
0
平成17年
26
0
2
0 資料:北海道警察本部
102
ESASHI
第6 節 情報通信網の整備・充実
現況と課題
携帯電話、パソコンなど、情報通信技術の飛躍的な発展は、私たちの暮らしを便利に
してくれますが、一方で、情報の地域格差やプライバシーの侵害など負の側面もありま
す。
旧両町では、この間の情報化への対応として、電気通信事業者による施設整備や電気
受信用共同鉄塔の整備により、携帯電話の不感地帯解消が進むとともに、住民自らの誘
致運動により、両市街地周辺でADSL(非対称デジタル加入線)によるブロードバン
ド(高速・大容量通信基盤)が実現するなど、情報通信基盤の地域格差の解消が図られ
ています。
また、行政においても、各種の電算システムの導入や庁内LANの整備、ホームペー
ジの開設、さらには、国・都道府県・市町村の相互通信ネットワークである「総合行政
ネットワーク(LGWAN)※1」への加入などにより、事務の効率化や住民サービスの
向上を図っています。また、合併後は、本庁舎と歌登総合庁舎を結ぶ光ファイバー通信
などを活用し、情報分野での新町の一元化を図っています。
※2
今後は、テレビ地上放送デジタル化への対応を含め、テレビ・ラジオ等の難視聴対策
や、市街地以外でのブロードバンドの普及など、高度情報通信基盤の普及に努めるとと
もに、住民サービスの向上や効果的・効率的な行政運営につながる行政情報化を一層推
進していくことが求められます。また、学校教育や生涯学習での情報教育の推進や、産
業振興での情報機器の活用など、広くまちづくりのあらゆる分野で地域情報化を推進し
ていくことが求められます。
めざす姿
※ 1 総合行政ネットワーク
(LGWAN)
自治体間のコミュニケーション
の円滑化や情報共有、行政
事務の効率化、アプリケーショ
ンの共同利用などを目指し、
平成 13 年に創設された通信
ネットワークシステム。中央省
庁間の通信ネットワークシステ
ムである霞ヶ関WANや、都
道府県、市区町村の庁内L
ANと相互接続を行う。
※ 2 光ファイバー通信
高速で情報通信を行うことが
できる基盤の1つで、「光ファ
イバー」(ガラスやプラスチッ
クの細い繊維でできている、
光を通す通信ケーブル)を用
いる。
町内一円に高度情報通信基盤が整備され、誰もが自分に必要な情報を、必要な時に入
手・活用し、豊かな生活の実現や活力ある産業の振興につなげています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
住宅用回線数に対するブロー
ドバンド利用可能回線のカバ
86.8%
ー率
町ホームページの年間アクセ
55,000件
ス件数
平成27年度目標
100%
120,000件
新 枝幸町 まちづくり計画
103
基本
Ⅲ 計画
主要施策
(1) 地域情報化の推進
① 地域情報化の推進体制の強化
情報化社会の進展に対し、町が何をすべきか、民間は行政からどんな支援が必要かを
明らかにし、計画的に情報化を進めます。そのために、情報化についての調査・研究体
制の充実を図ります。
② 情報通信基盤の整備促進
携帯電話のエリア拡大やブロードバンド未供用地域での普及要望、さらにはテレビ地
上放送デジタル化への対応を含めたテレビ・ラジオ等の難視聴対策など、情報通信基盤
の整備を促進します。
※ 1 u− Japan 政策
P5 参照。
国のu− Japan 政策※1に基づき、有線・無線を超えた高速通信網や、ユビキタス端末
など、新たな高度情報通信基盤の普及についても促進していきます。
③ 事業所等の情報化の促進
JAや漁協、森林組合、水産加工業協同組合、商工会などと協力しながら、農家・事
業所等の情報化を促進します。
④ 情報教育の充実
住民が日々進歩する情報化社会に対応し、それを生活やビジネスで積極的に活用して
いくことができるよう、学校教育や生涯学習での情報教育の充実に努めます。
※ 2 バリアフリー
P49 参照。
⑤ 情報バリアフリー※2の推進
住民一人ひとりが心身の状況に応じて多様な情報媒体を選択できるなど、情報の提供、
活用面での情報バリアフリーに努めます。
⑥ 情報漏えいの防止
関係機関と連携し、プライバシーの保護や情報犯罪の防止に努めます。
(2) 行政情報化の推進
① 行政事務の電子化の推進
※ 3 総合行政ネットワーク
(LGWAN)
P103 参照。
個人情報保護に十分留意しながら、「総合行政ネットワーク(LGWAN)※3」など
の内外ネットワークや庁内LAN、文書管理システムなどの個別情報システムを活用し、
行政事務の更なる電子化、ネットワーク化を進めます。
② 効果的な情報機器の活用
行政内の情報機器の充実を図るとともに、職員の情報機器に関する知識・技術の習得
に努めます。
③ 新たな情報システムの積極的な活用
情報システムは日々進歩が著しいことから、常により効率的・効果的な情報システム
の研究に努め、随時、導入を検討します。
104
ESASHI
住民の役割
(1)
インターネットの活用などにより積極的に地域の情報発信を促進し、町のイメー
ジアップと地域産業の活性化につなげます。
(2)
事業所内の情報化や業界間・異業種間での情報のデータベース化、ネットワーク
化を進め、技術力の向上やコストダウン、市場開拓、新規事業分野への展開などを
図ります。
(3)
様々な機会を活用し、情報機器の習熟に努めます。
(4)
業務上得られる個人情報等の秘密の漏洩など悪用を防止します。
新 枝幸町 まちづくり計画
105
基本
Ⅲ 計画
第5章 いきいきとした人と文化を育むまち
第1 節 幼児教育・学校教育の充実
現況と課題
〔幼児教育〕
当町には、幼児教育の場として私立枝幸幼稚園があり、就園補助などを通じて支援を
行っています。平成18年度の入園数は105人となっています。旧歌登町では、町立の歌
登幼稚園と保育所を設置していましたが、合併前に幼稚園を廃止し、現在は保育所に2
歳児から小学校入学前までの児童が通所しています。
幼児期は人間の一生のうちで心身共にもっともめざましく発達し、人間形成の基礎を
培う大事な時期です。幼児教育の拠点となる幼稚園だけでなく、保育所、さらには家庭、
学校、地域社会が一体となり、一人ひとりに個性や成長にあわせた幼児教育を推進して
※ 1 認定こども園
P46 参照。
いくことが求められます。また、平成18年10月から施行された認定こども園※1設置法
では、幼稚園が「保育に欠ける」子どものための保育時間の拡大を図ることや、幼稚園
と保育所を一体的に運営することも可能になっており、こうした制度改革に対応して柔
軟な幼児教育を推進していくことが求められます。
〔学校教育〕
当町には、小学校は町立の枝幸小、歌登小、目梨泊小、問牧小、岡島小、山臼小、乙
忠部小、風烈布小、音標小、志美宇丹小、本幌別小の11校が、中学校は町立の枝幸中、
歌登中、枝幸南中、志美宇丹中、本幌別中(休校)の5校が、高校は道立枝幸高校があ
ります。平成18年度の児童・生徒数は、小学校が538人、中学校が287人、高校が158人で、
いずれも少子化の影響で減少傾向が続いており、本幌別小中学校は平成19年度末で閉校
を予定しています。
学校教育においては、国の教育改革が進み、平成14年度より新学習指導要領が実施さ
れ、学校週5日制が完全実施されるとともに、21世紀の教育の在り方として「生きる力」
が重視されるなど、学校が大きく変わってきています。こうした流れを受け、当町の小
中学校でも、「総合的な学習の時間」において社会人講師などの協力を得ながら地域の
※ 2 外国語指導助手
(ALT)
P4 参照。
自然や歴史等の学習に積極的に取り組むとともに、外国語指導助手(ALT)※2による
国際理解教育の推進などに努めてきました。また、適応指導教室(フリースクール)の
設置などにより不登校等への対応に努めています。
平成18年12月に教育基本法が改正されたことにより、今後は教育振興基本計画の策
定や関連法の改正、学習指導要領の策定が展開されることになります。また、国におい
ては、「ゆとり教育」の見直しや、人事や学級編制に関する市町村の権限の拡大、義務
教育費国庫負担の一般財源化など、一層の教育改革が検討されており、今後は、こうし
た教育改革に迅速に対応しながら、確かな学力を醸成する基礎基本の定着と「生きる力」
の育成を図る教育を更に充実していくことが重要です。そのためには、教職員の指導力
の向上や地域に開かれた学校づくり、発達障害児等への「特別支援教育」の充実、不登
校等への対応、教育施設・設備の充実などに努めていくことが求められます。また、少
子化の動向を受け、小学校の再編について検討を進めるとともに、枝幸高校については、
106
ESASHI
地域の高校教育の唯一の拠点として、特色ある学校づくりとともに、地域が一体となり
存続を要請していくことが重要です。
めざす姿
家庭、学校・幼稚園・保育所、地域が協働で、子どもたち一人ひとりの個性を生かす、
地域ぐるみの教育が実践され、郷土への誇りと人を思いやるやさしさをもち、生きる力
と生涯にわたって学び続ける意欲をもった子どもたちが育っています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
第3者評価を実施した小中学
6カ所
校数
「基礎学力の定着ができてい
35%
る」と思う住民の割合
「個性を尊重する教育が行わ
36%
れている」と思う住民の割合
平成27年度目標
15カ所
50%
50%
主要施策
(1) 幼児教育の充実促進
① 家庭や地域の教育力の向上
家庭教育の大切さについて、広報などによる啓発や、講座などによる学習活動の促進
に努めます。また、地域の教育力の向上をめざして、地域の行事・イベントに就学前児
童やその親の参加が拡大するしくみづくりに努めます。
② 魅力あふれる幼稚園づくりの促進
枝幸幼稚園については、枝幸の自然や文化を活用した魅力あふれる教育の展開にむけ
て、地域との一層の連携を促進するとともに、幼稚園就園奨励費補助を通じ、就園にか
かる保護者負担の軽減に努めます。
③ 認定こども園※制度の活用促進
※認定こども園
地域の幼稚園、保育所それぞれが、年齢区分や保育・教育時間などの面で保護者ニー
P46 参照。
ズに応じたより柔軟な園づくりを行っていくため、認定こども園制度の活用を検討して
いきます。
(2) 学校教育内容の充実
① 心の教育の推進
心豊かな子どもたちの育成に向けて、人権教育やボランティア活動などを通して、人
を思いやるやさしさの醸成など、心の教育を推進します。
② 自己教育力の育成
「生きる力」の育成に向けて、児童生徒一人ひとりに配慮しながら個性を生かす教育
を推進し、基礎・基本を定着させる授業、そして、自ら学ぶ意欲を引き出す授業の充実
新 枝幸町 まちづくり計画
107
基本
Ⅲ 計画
を図ります。
③ 地域に根ざした教育の推進
「総合的な学習の時間」を活用した自然体験や社会体験の場や機会づくり、地域の達
人に「総合的な学習の先生」として協力を得るなど、地域と連携し、地域に根ざした特
色のある学習を推進します。
④ 国際理解教育の推進
国際理解教育については、中学校だけでなく、小学校、幼稚園・保育所などに幅広く
※外国語指導助手
(ALT)
P4 参照。
外国語指導助手(ALT)※を派遣するとともに、中国人研修生との交流やスウェーデ
ン王国ソレフテオ市との交流などに努めていきます。
⑤ 情報教育の推進
情報教育の推進に向けて、教職員の指導力の向上を図るとともに、情報通信機器の充
実に努めます。
⑥ 環境教育の推進
作物栽培や農水産加工品づくり、河川や海の浄化活動、生きものの飼育の奨励、リサ
イクルの促進などを通じて、身近な自然を活用しながら環境教育を推進します。
⑦ 安全教育の推進
学校防災訓練の充実などにより、安全教育を推進します。
⑧ 特別支援教育の推進
障がいのある子どもたちが、障がいの種類や程度に応じて適切な教育を受けられるよ
うな体制づくりに努めます。
⑨ 不登校等の子どもたちへのサポートの推進
いじめや不登校などに迅速・的確に対応するため、学校、家庭、地域の緊密な連携の
もと、相談・指導の強化に努めます。
(3) 学校教育環境の充実
① 教職員等の充実
道教育委員会と連携しながら、研修の充実などにより、教職員等の資質と指導力の向
上を図ります。
② 施設・設備の充実
安全性や衛生面、景観などに配慮しながら、学校施設・設備の計画的な改修・改築に
努めるとともに、少子化の動向を踏まえ、学校統廃合を検討します。また、学校施設以
外への転用も含め、廃校施設や余裕教室の有効活用を図ります。
③ 学校給食の充実
栄養バランスがよくおいしい給食の提供に努めるとともに、地域の食材・郷土料理の
積極的な導入などにより、学校における食育を推進します。
④ 学校安全対策の推進
安全・安心な学校づくりのため、子ども110番の家などの周知や、登下校時の安全パ
トロールの強化、万一の場合の対処法の指導など、地域ぐるみの学校安全対策を推進し
ます。
108
ESASHI
⑤ 高校への支援
通学バス運賃補助や、奨学資金貸付制度などにより高校通学を引き続き支援します。
また、枝幸高校は、地域の第1次産業の担い手育成及び活性化のために重要であり、地
域が一体となった存続運動を展開していきます。
(4) 開かれた学校づくりの推進
① 学校施設の積極的な開放
枝幸高校公開講座の充実を促進するとともに、地域の小中学校を地域住民の生涯学習
の場として活用できるよう、積極的に開放していきます。
② PTA活動の活性化
学校・家庭・地域社会が連携し、児童生徒の健全な育成を図るため、PTA活動の活
性化を促進します。
③ 地域に開かれた学校運営の推進
地域に開かれた学校運営に向け、第三者評価を含めた学校評価を推進するとともに、
学校評議員制度を活用し、児童・生徒の実態や地域の実情に応じて特色ある学校作りを
推進します。
住民の役割
(1)
学校、幼稚園、保育所に任せきりにせず、学校と家庭の役割を理解して、社会性
のある心を育てます。
(2)
子どもの生きていく上での手本として、親が職場で働いている姿に触れる機会づ
くりや自らの職場体験活動などキャリア教育を推進します。
(3)
PTAを中心に、親と教職員の交流を図り、教育内容の充実を支援します。また、
学校評価制度や学校評議員制度、学校運営協議会制度などについて学び、そうした
制度を活用した学校運営に積極的に協力します。
(4)
地域住民として、積極的に教育や課外活動の現場へ参加します。
(5)
農・漁家や事業所では、子どもたちの地域学習に積極的に協力します。
(6)
いじめや不登校などに対して、地域をあげて解決に取り組みます。
新 枝幸町 まちづくり計画
109
基本
Ⅲ 計画
小中高校の児童・生徒数の推移(合併前は両町合算)
人
1,400
1,270
1,200
224
1,000
800
408
1,199
1,162
1,140
206
195
211
360
342
1,081
1,040
183
317
175
324
333
600
400
160
高校生
287
中学生
638
633
625
612
574
200
0
985
532
538
小学生
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
資料:学校基本調査(各年5月現在)
町の小中学校教育について思うこと
そう思う
どちらでもない
そうは思わない
わからない
(1)基礎学力を定着する教育ができている
12%
23%
34%
(2)個性を尊重する教育を行っている
12%
24%
28%
(3)受験に対応した教育ができている
6%
(4)子どもたちが先生を尊敬している
10%
(5)安全管理が行き届いている
15%
(6)いじめや荒れが少ない
15%
0%
21%
25%
28%
39%
21%
25%
35%
31%
26%
17%
19%
32%
20%
40%
無回答
29%
27%
60%
80%
100%
資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
町の小中学校教育に望むこと(10項目中上位5位)
人と仲良くつきあえるなど、社会生活
を営む上で必要な態度や能力
65%
自らを律し、他を思いやる心や
感動する心など豊かな人間性
59%
読み、書き、計算など日常生活に必要な
基礎的・基本的な知識や技能
30%
生涯にわたって自分で学んでいける
ための学び方や学ぶ意欲
21%
ふるさとを愛する心、自然環境や社会環境
についての基礎的な知識
20%
0%
20%
40%
60%
80%
注:3つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
110
ESASHI
第2 節 生涯学習・生涯スポーツの推進
現況と課題
〔生涯学習〕
私たちは、今日の激しい社会の変化に対処するためにも、また、個性や能力を最大限
に啓発するためにも、あらゆる機会を利用してたえず学習していくことが必要であると
ともに、創造的で心の豊かさが求められる社会状況の中で、生きがいや自己実現などに
つながる学習活動へのニーズが高まっています。
こうした要請から、当町では生涯学習推進という観点により、その重要な位置を担う
社会教育の展開が行われています。
当町の社会教育では、住民への学習に関する情報提供、学習相談等をはじめ、中央コ
ミュニティセンターや歌登文化会館などの社会教育施設を拠点として、発達課題や地域
課題に即した講座、各種団体やサークル・個人の活動への支援や住民の学習活動を発表
する場としての町民文化祭などの事業をとおし、学習活動の活性化が図られています。
また、家庭・地域の教育力を高め、青少年の健全育成を図るため、子ども会育成連絡
協議会やPTA連合会、青少年育成ネットワークをはじめ、学校やボランティアと連携
した、各種事業の展開や支援についても取り組まれています。
今後も、「いつでも・どこでも・だれでも」学ぶことのできる環境を充実し、学習の
成果が個人や家庭、地域の中で活かしていけるよう支援することが求められています。
特に、この度の合併を機として、枝幸地区、歌登地区相互の学習活動を通じ、お互い
の地域理解を深めながら交流の輪を広げ、豊かなこころと優しさで活気あるまちと人づ
くりにつなげていくことが重要です。
〔生涯スポーツ〕
近年、社会の様々な分野において、技術の高度化、情報化等の進展が著しく、これら
は私たちに恩恵をもたらしている反面、人間関係の希薄化、精神的ストレスの増大や運
動不足、新たな職業病の増加など心身両面にわたり健康上の問題を生み出してきており
ます。このような状況のなか、心身ともに健康な生活を営むためにスポーツが不可欠な
ものであり、子どもから高齢者に至る、すべての住民が生涯にわたりスポーツに親しむ
ことは、極めて大きな意義を有しています。
こうしたことから当町では、生涯学習の一環として住民のスポーツ及びレクリエー
ション活動の支援を行うとともに、スポーツ講座や教室の開催、ニュースポーツの普及
や各種大会への参加支援などの社会体育を中心とした事業を推進しています。
今後は、スポーツを自ら行うことのほかに、スポーツを見て楽しむことやスポーツ活
動を支援するなど、多様なかかわりを持つことのできるスポーツ活動の推進も求められ
ており、他にも指導者の養成、確保や施設の整備、活動機会や場の提供、情報の提供、
相談活動など、住民のスポーツ活動にかかわる支援を求められます。
さらに、文部科学省により、全国展開が推進されている「総合型地域スポーツクラブ」
については、地域の実情等を踏まえた枝幸型の総合型地域総合スポーツクラブの育成、
設置を促進していくことが求められます。
新 枝幸町 まちづくり計画
111
基本
Ⅲ 計画
めざす姿
住民一人ひとりが、それぞれの年代や生活スタイルに応じて、楽しみながら学習活動
やスポーツ・レクリエーション活動に参加し、その成果が豊かなまちづくりに反映され
ています。
目標指標
平成17年度実績
項 目
「放課後子ども教室」登録者
の割合
「放課後子ども教室」のボラ
ンティア数
体育団体登録の割合
スポーツ少年団員数の割合
総合型地域スポーツクラブ数
週に1回以上、スポーツ活動
を行う住民の割合
図書館・図書室登録者数の割
合
図書館・図書室町民一人当た
り貸し出し冊数
平成27年度目標
34%
40%
16人
30人
12.3%
34.2%
未設置
20%
40%
1クラブ
未調査
50%
12%
20%
4.7冊
6冊
主要施策
(1) 生涯学習推進体制の強化
① 全町的な生涯学習体系の構築
社会教育・学校教育・家庭教育など各教育領域の施策と、産業や保健・医療・福祉な
どの各分野、住民の地域づくりにかかわる活動など、全ての行政施策と住民活動との連
携が確保された住民と行政との協働による生涯学習体系の構築に努めます。そのために、
町長部局と教育委員会が一体となった生涯学習推進本部会議の設置など、庁内における
推進体制の強化を図ります。
② 学習・スポーツ情報の周知
各領域で開催する講座・教室・イベントやグループ・サークル活動などの情報を収集
し、広報紙やホームページなど、多様な媒体を通じた情報発信に努め学習活動の促進を
図ります。
③ 人材の育成とネットワーク化
各種研修会により、指導者やボランティアの育成と資質向上に努めます。また、指導
者・講師の紹介を行う「生涯学習達人バンク」については、登録・利用の両面から積極
的な推進を図ります。
④ 出前講座の拡充
講座や教室に限らず、地域の方々が、いつでもどこでも知りたいことを学び、知識の
習得や課題の解決ができるよう、行政職員や専門家、ボランティア等による出前講座の
しくみづくりや利用の拡充を図ります。
112
ESASHI
⑤ 学びの還元
学習活動による学びの成果を、まちづくりや次世代を担う人たちに還元する機会や場
などを設け、住民の生きがいづくりやまちづくりに参画する人材の育成を図ります。
(2) 生涯学習の推進
① 各種講座・教室の充実
各種講座・教室については、住民ひとり一人の学習ニーズや町内の課題把握に努め、
それらの課題に対応した講座や教室の開催に努めます。
② 自主グループ・サークルの活性化
講座・教室の受講生などによる自主グループ・サークルの設立を促進するとともに、
グループ・サークル間の交流などを通じて活動の活性化を図ります。また、学習成果を
発表する機会の拡大に努めます。
③ 講演等の充実
地域課題や必要な課題に応じた学習課題として、講演会等の充実を図ります。
(3) 青少年教育の推進
① 青少年組織の育成・支援
町内の児童・生徒が、交流活動を通じ、地域での仲間づくりや連帯感を養い、社会の
一員としての意識を醸成する子ども会や枝幸ジュニアリーダー会などの青少年組織を、
学校、地域との連携を深めつつ、育成・支援を図ります。
② 青少年の社会参画の促進
青少年の創造性と情熱をまちづくりに活かすため,青少年のボランティア活動や地域
行事、まつりなどへの積極的な参画を促進します。
③ 青少年の健全育成
学校や青少年育成団体及び関係機関と連携しながら、非行防止の啓発運動や有害環境
の排除などを進め、青少年の健全育成を促進させるとともに、地域で子どもたちが安心・
安全に育てるための地域防犯活動、防犯ボランティアの育成等を支援して参ります。
また、地域や小学校区において、放課後の子どもたちの安全で安心な居場所を確保し、
地域ボランティアの方などとの交流や体験活動を通じ、子どもの健全育成の推進を図り
ます。
(4) 図書サービスの充実
① サービスの充実
図書館・図書室については、住民ニーズに応じた蔵書・資料の充実や情報提供の充実
を図るとともに、住民の利用しやすい環境整備と利用条件の拡充に努めます。また、各
種図書館等との連携を図り、地域の情報拠点としての機能充実に努めます。
② 図書にふれる機会の拡大促進
図書にふれる機会の拡大を図るために、町内各地域への移動図書館「おおぞら号」の
運行を図ります。また、ボランティアや他部局との連携・協力により、本の読み聞かせ
やブックスタート事業の推進を図ります。
新 枝幸町 まちづくり計画
113
基本
Ⅲ 計画
(5) 生涯スポーツの推進
① スポーツ・レクリエーションの普及
子どもから高齢者まで、幅広い年齢層に対応し、初心者にも気軽に参加できる各種ス
ポーツ講座・教室の充実、ニュースポーツの普及、指導者の育成・確保、施設・設備の
充実を図り、当町におけるスポーツ・レクリエーションの普及に努めます。
② 団体・サークルの活性化
各種スポーツ団体・サークルの活動や職場、地域での自主的なスポーツ活動を支援し
ます。また、団体・サークル間の交流や各活動の促進を図ります。
③ スポーツ少年団の育成
生涯スポーツの基盤となる少年期に、スポーツの楽しさや喜びを経験し、チームワー
クの大切さやフェアプレイの精神を学ぶとともに、人とのかかわりの中で、コミュニケー
ション能力や豊かな心と他人に対する思いやりを育むのに重要な役割を担うスポーツ少
年団の育成・支援に努めます。また、学校部活動との連携を図り、少年期のスポーツ環
境の醸成に努めます。
④ 総合型地域スポーツクラブの育成
子どもから高齢者まで、誰もが、いつでも、どこでもスポーツに親しめる生涯スポー
ツの拠点となる総合型地域スポーツクラブの育成を図るとともに、地域住民が、主体的
にスポーツクラブの育成・運営や活動に参加し、地域の実情に応じた枝幸型の総合型地
域スポーツクラブの育成に努めます。
⑤ 「スポーツのまちづくり」の推進
町内において、子どもから高齢者まで、住民誰もがスポーツ・レクリエーション活動
に親しみ、その活動を通じ、心身ともに健康であり、活気のある豊かな生活を送ること
ができるよう、町内におけるスポーツ・レクリエーション活動の普及や支援などを図り、
スポーツのまちづくりの推進を図ります。
(6) 施設の整備・充実
① 施設・設備の充実・有効活用
当町にある社会教育・社会体育施設は、立地条件や施設機能に着目し、住民のニーズ
に対応した効果的な運用に努めます。また、学校施設の開放など、既存施設の有効活用
に努めます。
② 誰もが利用しやすい施設づくり
※バリアフリー
P49 参照。
114
誰もが利用しやすいよう、各教育施設のバリアフリー※化や他部局、ボランティア等
との連携・協力による講座などでの託児体制の確保などに努めます。
ESASHI
住民の役割
(1)
生涯学習・生涯スポーツの講座や行事、団体活動などに積極的に参加し、余暇を
楽しみ、健康づくりや仲間づくりを行うとともに、まちづくりに関する活動におい
ても参画します。
(2)
学習活動やスポーツ活動で培った知識や技術、経験などを活かし、地域や住民の
方に還元します。
(3)
施設や備品を大切に使い、お互い譲り合いの気持ちを持って、気持ち良く利用し
ます。
(4)
社会教育・社会体育施設の運営・管理等に、積極的に協力します。
(5)
同世代・異世代との交流の場に、積極的に参画します。
学習やスポーツでの両地区の交流拡大のために重視すべきこと(8項目中上位5位)
各種講座やイベント、
施設などの情報提供
46%
安い料金で参加
(利用)できること
40%
参加(利用)しやすい
時間帯への配慮
33%
29%
施設への交通手段の確保
各種講座や催し物
の内容の充実
27%
0%
20%
40%
60%
注:3つまでの複数回答 資料:枝幸町まちづくりアンケート調査(平成 18 年9月。回答者数 =364)
新 枝幸町 まちづくり計画
115
基本
Ⅲ 計画
第3 節 芸術・文化の振興
現況と課題
〔歴史文化〕
当町枝幸地区には、砦跡や集落跡など69カ所にのぼる先人達の遺跡が残されており、
発掘調査によって学術的に貴重な考古資料が多数出土しています。中でもオホーツク文
化を代表する国指定重要文化財「北海道目梨泊遺跡出土品」は、千数百年前の当町が国
際的な交流の拠点であったことを示しており、当時の文化交流を伝える貴重な資料とし
て学術的に高く評価されています。さらに、歌登地区では、絶滅ほ乳類「デスモスチル
ス」化石が多数発見されており、束柱類化石の世界的な産地として広く知られています。
一方、ニシン漁場や砂金採集、鉱山や鉄道など、近代化の歩みを伝える産業遺産が町
内各地に点在しており、地域を学ぶための生きた教材として高い可能性を有しています。
町では、博物館施設「オホーツクミュージアムえさし」を拠点として、これらの文化
財の保護に努めるとともに、調査研究を通じて積極的に活用を図っております。さらに、
住民の協力を得ながら、文化遺産の保護・継承に努めており、今後も当町の豊かな歴史
性を活かしたまちづくりを推進する上で、積極的な取り組みが必要です。
また、郷土の歴史を記録し、後世に伝えるため、旧両町において町史の編さんが進
められてきました。旧枝幸町においては昭和42年に上巻、昭和46年に下巻が刊行され、
旧歌登町においても、昭和55年に第1巻が、平成8年に第2巻が刊行されています。今
後は、旧両町の合併までの歴史についてまとめるとともに、新町誕生後の記録の収集整
理や歴史資料の発掘などを継続して行う必要があります。
〔芸術・文化活動〕
一方、住民の芸術・文化活動については、37団体で構成される枝幸町文化協会を中心
に推進されており、中央コミュニティセンターや歌登文化会館、フォレストピアホール
などを活用し、優れた芸術・文化の鑑賞や芸術作品、創作活動の展示、発表などが行わ
れています。
住民による芸術・文化活動は、まちの新たな文化を創造することにつながるため、住
民の芸術・文化活動の促進を図っていくことが求められます。
めざす姿
住民一人ひとりが、豊かな芸術・文化にふれながら生活し、意欲的な活動により、日々
新たな地域文化が誕生しています。
項 目
文化財の指定・登録件数
博物館延べ入館者数
博物館普及講座実施回数
116
目標指標
平成17年度実績
9件
40,821人
30回
平成27年度目標
12件
120,000人
45回
ESASHI
主要施策
(1) 歴史文化の保護・保存と継承
① 啓発・教育の推進
博物館での講演会・シンポジウム・普及講座の開催や学校での地域学習などを通じて、
地域の歴史文化の啓発・教育に努めます。
② 文化財の保護・保存事業の推進
文化財保護委員会の意見を尊重しながら、随時、未指定文化財の指定や登録を図ると
ともに、指定・登録文化財の保護・保存事業を計画的に推進します。また、町民や訪問
客への周知と理解を図るため、案内板、散策路など文化財の周辺環境の整備に努めます。
③ 保存・継承活動の促進
町内に遺された貴重な文化遺産や史料を積極的に発掘し、調査研究に努め、その成果
を当町の特色ある教育資源として地域理解のために活用するとともに、次世代への継承
を図ります。また、伝統文化の保護に努めるとともに、保護団体の育成を促し、住民の
自主的な保存・継承活動を支援します。
④ 保存・公開施設の充実
「オホーツクミュージアムえさし」と「歌登ふるさと館」については、施設・設備の
改修等を計画的に進めるとともに、博物館ボランティアなど住民の協力を得ながら、収
蔵物の系統的な収集・管理・公開に努めます。また、当町の文化財行政の重要性をかん
がみ、文化財調査研究体制の一層の充実を図ります。
⑤ 町史編さん事業の推進
旧両町の合併までの記録をまとめて町史を刊行するとともに、継続して歴史資料の発
掘や、新町における記録収集を図ります。
(2) 芸術・文化活動の促進
① 優れた芸術・文化にふれる機会の充実
映画や音楽、演劇、舞踊等の鑑賞会、美術品・工芸品等の展覧会など、住民が気軽に
優れた芸術・文化にふれる場や機会の充実を図ります。
② 活動への支援の強化
文化グループ・団体への支援、指導者の紹介、活動・相互交流の場、発表の場の提供
などにより、住民の芸術・文化活動を支援します。
③ 文化施設の充実
住民が身近に優れた芸術・文化にふれ、気軽に芸術・文化活動を楽しめる場として、
町内の各文化施設の維持・更新と利用促進に努めます。
(3) 新たな文化の創造
① 潜在的な文化資源の発掘
近代化遺産や産業技術、生活民芸品、アイヌ文化、更には趣味活動やエピソードに至
るまで、これまで評価されていない潜在的な文化資源の発掘に努め、新たな文化資源と
新 枝幸町 まちづくり計画
117
基本
Ⅲ 計画
して活用を図ります。
② 新たな文化創造活動の促進
住民の創意工夫の中から、新たな地域文化を創造していく活動を促進します。
③ 地域文化の積極的な発信
イベントやマスメディアなどを通じて、全国に地域の文化を情報発信します。
住民の役割
(1)
町の歴史文化についての学習を進めるとともに、博物館ボランティアなどの活動
に積極的に協力します。また、個人や事業所で所有する文化財を大切に残します。
(2)
地域の伝統芸能、祭り等に積極的に参加します。
(3)
個人の芸術・文化活動がまちづくりに活かせるよう協力します。
(4)
文化グループ活動に参加するとともに、新たな地域文化の創造に取り組みます。
118
第6章 みんなと創り育てる住民参画のまち
ESASHI
第1 節 住民主体のまちづくりの推進
現況と課題
〔地域づくり活動〕
旧両町では、旧枝幸町に21、旧歌登町に15の自治会町内会があり、葬祭や地域内の
清掃活動など、様々な地域活動の基本的な担い手となってきました。また、「うたのぼ
りお祭りスタッフ※1」など、旧町域を活動エリアとして、イベント開催・協力、環境や
防災、福祉、まちづくりなど特定のテーマで多様な住民団体が活躍してきました。
合併により、自治会町内会は36の単位組織はそのまま継続し、その連携・調整を行う
連絡協議会組織が一元化されました。また、テーマ型の住民団体についても、旧町域を
活動エリアとして活動を継続する団体がある一方、新町を活動エリアとして新たな体制
で活動を開始している団体もあります。
※ 1 うたのぼりお祭りス
タッフ
昭和 61 年に歌登地区で祭り
ごとやイベントによる活性化を
目的に設立された異業種集
団。地区の祭りへの参加のほ
か、「ニューイヤーフェスティバ
ル」や「屋台祭り」を主催。
今後も、自治会町内会組織を母体とした基礎的な地域自治活動と、テーマごとの活動
が、それぞれ地域の中で機能分担しながら、連帯感のある豊かな地域社会を築いていく
ことが求められます。
また、歌登地区は、合併特例法に基づく地域自治区※2を設置し、同地区の地域づくり
を住民と行政が協働で企画・運営していくための組織として地域協議会が置かれており、
こうした体制を活かした地域づくりが期待されています。
〔男女共同参画〕
職場や学校、地域などあらゆる分野で女性の活躍する場が多くなってきています。男
女共同参画※3の目的である、男女が互いに人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別に
かかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現が強く望まれ
まています。
※ 2 地域自治区
住民の意見を反映した行政
運営、地域づくりを行うため
設置される区域。合併後の
枝幸町では、旧歌登町域を
地域自治区と指定し、総合支
所の設置や、住民意見の反
映を行うための
「地域協議会」
の設置を行っている。
※ 3 男女共同参画
P13 参照。
しかし、いまだ社会の様々な場面で、社会的役割や人格のあり方を性別と関係づける
ような慣習や考え方は根強く残っており、男女の多様な生き方を阻害しています。
そのような状況を受け、平成11年に 「男女共同参画社会基本法」 が、平成13年に「北
海道男女平等参画推進条例」が制定されるなど、男女共同参画を推進するための法律や
制度面の整備は進みつつあります。
このため、当町においても、町内事業者の男女共同参画社会の確立に向けた啓発活動
を行っていくとともに、意識の改革や実践活動を促進していきます。
〔人権の尊重〕
住民の人権意識の高揚を図り、差別のない平和で明るいまちを実現することが求めら
れています。
当町では、憲法で保障された基本的人権を尊重する社会を実現するために、学校や保
育所、幼稚園での人権教育や、人権擁護委員による相談など、様々な取り組みが進めら
れてきました。また、国において、平成12年に「人権教育及び人権啓発の推進に関する
法律」が施行され、道において平成15年に、「北海道人権施策推進基本方針」が策定さ
れるなど、人権擁護をめぐる法制度も整備されつつあります。
新 枝幸町 まちづくり計画
119
基本
Ⅲ 計画
しかし、社会的身分や門地、人種、信条、性別などによる不当な差別や、学校・職場・
グループ活動でのいじめ・仲間はずれなど、人権侵害は依然後を絶ちません。
誰もがかけがえのない人間として尊重される、差別のない平等な社会を確立していく
ために、啓発活動や研修活動を充実し、人権意識の高揚に努めるとともに、人権侵害に
対する擁護体制を強化していくことが求められます。
めざす姿
誰もがかけがえのない人間として尊重される差別のない平等なまちで、地域住民一人
ひとりが、個性と能力を充分発揮し、地域づくりに強い情熱を持ち、連帯感あふれる地
域社会が形成されています。
項 目
NPO法人数
委員会等への女性の参画率
目標指標
平成17年度実績
0団体
19.6%
平成27年度目標
3団体
30%
主要施策
(1) 地域づくり活動の促進
① 地域づくり活動の活性化
自治会町内会活動や各種のテーマ型地域づくり活動の活性化を図り、地域住民の連帯
意識・自治意識の高揚に努めます。そのために、自治会町内会や各種団体のニーズに応
じて、住民講師や職員が出前講座を提供するなど、職員自らの意識向上に努め、行政と
地域づくり組織との結びつきの強化を図ります。さらに、地域づくり団体が、財産の取
得や公益サービスの実施を円滑に行えるよう、必要に応じてNPO法人化等を促進しま
す。
※ 1 地域自治区
P119 参照。
合併後10年間地域自治区※1が設置される歌登地区においては、地域特性やこれまで培
われた地域づくり活動の経験を活かし、地域協議会との協働で地域経営を推進します。
② 施設の整備・充実
地区の集会施設は、地域住民の協力を得ながら適切な維持・管理を図るとともに、老
朽施設の計画的な改修に努めます。また、学校など公共施設の積極的な地域開放を進め
るとともに、廃校校舎など用途廃止した公共施設の地域づくり施設としての活用に努め
ます。
※ 2 男女共同参画
P13 参照。
(2) 男女共同参画※2の推進
① 男女共同参画社会の目標づくり
当町が目指す男女共同参画社会を明確化するための基本計画の策定を検討していきま
す。
② 啓発・教育の推進
広報紙やリーフレットの発行、講演会の開催などを通じて、男女共同参画に関する意
120
ESASHI
識啓発や教育に努めます。
③ 男女がともに働きやすい条件の整備
男女雇用機会均等法や育児休業法など諸制度の遵守などを事業所に啓発するととも
に、雇用制度の活用、知識・技術等の習得機会の拡充や、女性に対する育児支援等の充
実を図り、男女がともに働きやすい条件整備を進めます。
④ セクシャルハラスメント等の防止
職場や地域でのセクシャルハラスメントやドメスティックバイオレンス※の防止に向
けて、事業所や住民への啓発を行うとともに、相談窓口や関係機関との連携体制を強化
していきます。
⑤ 子育て期女性の社会参画の促進
※ドメスティックバイオレ
ンス
夫婦や恋人など親密な間柄
にあるパートナーからの暴力。
英語の頭文字をとって「DV」
とも呼ばれる。
学習講座などでの託児の確保、ベビーベッドの設置などにより、女性が積極的に社会
活動に参加できるしくみづくりに努めます。
⑥ 女性の意見の積極的な反映
各分野の委員会、審議会など、あらゆる政策・方針決定の場への女性の登用を促進し、
女性の意見をまちづくりに反映させていきます。
(3) 人権の尊重
① 人権意識の高揚
人権擁護委員の日や、人権週間などの機会をとらえ、各種啓発活動や人権教育を推進
します。
② 人権擁護体制の充実
関係機関や関係団体との連携のもと、人権擁護に関する相談や人権問題に関する情報
提供体制の充実を図ります。
住民の役割
(1)
家族ぐるみで地域活動に参加し、共に支えあう地域連帯意識を育てます。
(2)
自主的なグループ活動については、互いが両地区の活動にそれぞれ関心を持ち、
積極的に参加します。
(3)
地区の集会施設などの適切な維持・管理に努めます。
(4)
事業所などで、男女均等な雇用機会と待遇の改善を図ります。
(5)
農家は、家族経営協定の締結を図ります。
(6)
家庭・地域・職場での方針決定の場への男女均等な参加を促します。
(7)
人権問題に関心を持ち、学習を進めます。
(8)
周囲の人や関係機関に積極的に相談し、解決を図ります。
(9)
第三者でも傍観せず、いじめなどの解決に積極的に対処します。
新 枝幸町 まちづくり計画
121
基本
Ⅲ 計画
第2 節 多様な交流の促進
現況と課題
〔国際交流〕
当町には、平成17年末現在で水産加工施設における中国人研修・実習生を中心に93
人の外国人が居住するとともに、人数は多くありませんが、ビジネスや観光での外国人
訪問客もあります。
国際交流については、旧枝幸町では、昭和63年からスウェーデン王国ソレフテオ市と
交流を行い、姉妹都市提携の締結(平成8年)や、公式訪問団の派遣、中学生のホーム
スティ事業などを行ってきました。また、旧枝幸町では平成3年から、旧歌登町では平
※ 1 外国語指導助手
(ALT)
P4 参照。
成9年から外国語指導助手(ALT)※1を受け入れ、学校や保育所、幼稚園などでの国
際理解教育を推進してきました。さらに、宗谷管内市町村と隣接管外の町では、平成9
年に宗谷地域等サハリン交流推進会議を設立し、教育・文化を中心に多方面の交流を促
進しています。また、水産加工業界では、国際技術指導や国際交流を目的に、平成13年
度から中国人研修生を受け入れてきましたが、平成17年には国の「北オホーツクえさし・
はまとんべつ外国人研修生受け入れ特区」として認定されたことにより、国際的な人材
育成や経済交流の一層の拡大が期待されています。
国際化の進展に対応するためには、住民一人ひとりが国際社会の一員として認識をも
ち、国際理解を深めることが重要です。このため、今後も、これまで培ってきた国際交
流活動の成果を受け継ぎ、国際化に対応した人材の育成を一層進めるとともに、外国人
が暮らしやすい、外国からの訪問者に喜ばれるまちづくりを展開していくことが求めら
れます。
〔地域間交流〕
国内の地域間交流については、旧枝幸町では「さるかに合戦」にちなみ、柿の産地で
※ 2 全国ないないサミッ
ト
昭和 62 年に組織された「国
道も鉄道もない市町村全国
連絡協議会」の略称。旧歌
登町は、旧生月町とともにこ
の協議会に加盟していたこと
が縁となり平成14年から中
学生の相互交流をメインとした
「いきいき交流」を続けてい
る。
ある福岡県旧浮羽町と、旧歌登町では「全国ないないサミット※2」の縁で長崎県旧生月
町との交流が行われてきました。平成の大合併により、浮羽町はうきは市に、生月町は
平戸市になりましたが、それぞれが合併後の新市町に交流事業が引き継がれたため、こ
れまで交流を担ってきた住民や団体等をはじめとして、更なる交流事業の展開が期待さ
れます。
また、出身者による交流として、札幌枝幸会、札幌歌登会、旭川歌登会、東京歌登会、
毛登別ふるさと会などがあり、それぞれの団体において定期・不定期の交流が行われる
ほか、時には故郷との相互交流も行われています。
国内の諸地域との交流については、相互の自治体の足りない分野を補完し、交流が深
まることによって思わぬ効果を得ることも多く、人づくりやまちづくりにとっても大き
な契機となることもあるため、既存の地域間交流を推進するほか、可能な範囲で拡大す
ることも検討していきます。
122
ESASHI
めざす姿
多様な分野で、町の個性を活かした国際交流・地域間交流が進められ、人づくりとま
ちづくりにつながっています。
目標指標
項 目
平成17年度実績
町を訪れた中国人等研修生の
420人
累積人数
うきは市(旧浮羽町を含む)
44回
との累積交流回数
平戸市生月町(旧生月町を含
31人
む)との累積交流人数
平成27年度目標
1,440人
65回
80人
注:旧浮羽町は「うきは市」、旧生月町は「平戸市生月町」としてカウントした。
主要施策
(1) 国際交流の促進
① 国際理解教育の推進
外国語指導助手(ALT)※の活用などを通じて学校教育での国際理解教育を推進す
るとともに、生涯学習での国際理解講座の充実を図ります。
※外国語指導助手
(ALT)
P4 参照。
② 国際交流活動の促進
住民と行政が一体となって、文化・芸術活動や、スポーツ活動、産業振興などでの多
様な国際交流活動の促進を図ります。
③ 国際協力・国際貢献活動の促進
産業技術面や人材育成などを中心に、国際協力、国際貢献活動を促進します。
(2) 外国人への支援の充実
① 情報提供・相談体制の充実
在住外国人や外国人訪問客に対して、外国語表示や外国語による生活情報の提供を図
るとともに、行政窓口やホテルなどでの外国語対応力の向上に努めます。
② ボランティア活動の充実
日本語ボランティアなど、在住外国人を支援する住民ボランティア活動を促進します。
(3) 地域間交流の促進
① 既存の地域間交流の継承・発展の促進
うきは市や平戸市など、これまで実施されてきた地域間交流の継承・発展を促進して
いきます。また、ふるさと会の活動助長に努めます。
住民の役割
(1)
仕事や趣味を活かして、内外の交流活動を進めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
123
基本
Ⅲ 計画
(2)
学校教育や生涯学習などでの国際理解学習へ参加します。
(3)
在住外国人との交流に努めるとともに、外国からの訪問客への温かいもてなしに
努めます。
外国人登録者数の推移(各年12月末現在)
人
80
69
70
3
60
60
46
50
42
40
3
42
2
39
40
44
平成14年
平成15年
平成16年
30
20
10
0
4
旧歌登町
2
66
17
2
58
旧枝幸町
13
平成12年
平成13年
平成17年
資料:枝幸町町民課
124
ESASHI
第3 節 行財政運営の合理化・効率化の推進
現況と課題
〔広報・公聴〕
行財政運営の基本は、住民に行政情報を広く周知し、住民の声をできるだけ多く聞き、
施策に反映することです。
広報については、月1回の定期広報紙の全戸配布や、各種サービス対象者への個別案
内通知、各庁舎での窓口相談や対面案内、パンフレットの備え付けやポスターの掲示、
自治会町内会や各種住民団体を介したお知らせ、インターネットホームページなど、多
様な手段の活用に努めています。一方、公聴については、個人や自治会町内会、住民団
体からの対面的な意見・要望の聴取を基本とするとともに、まちづくり全体や個別分野
での各種の懇談会、委員会、審議会、住民アンケート、ワークショップ※1、電子メール
での意見募集などを通じて、幅広い層の住民意見の聴取に努めています。
※ 1 ワークショップ
P15 参照。
今後も、住民サービスの向上や、住民との協働による行政課題の解決に向けて、広報・
公聴を充実していくことが求められます。
〔情報公開・個人情報保護〕
情報公開制度は、行政の内部文書について、住民の知る権利を保護し、行政の説明責
任を果たすためのものです。旧枝幸町では平成13年に、旧歌登町では平成15年に情報
公開条例を制定し、住民の開示請求に基づく公開を行っています。住民が知りたい情報
を迅速・的確に公開するには、膨大な行政文書を系統的に管理することが重要であるこ
とから、町では平成19年度にパソコンネットワークを活用した文書管理システムの導入
を計画しています。
一方、行政はたくさんの個人情報を有しています。住民のプライバシーを厳正に保護
するためには、住民の個人情報を必要最小限の範囲内で直接本人から集め、目的のため
だけに利用し、外部提供に際しては本人の同意や法令の要請があることを原則とする必
要があります。町では、情報公開条例制定にあわせて個人情報保護条例を制定し、個人
情報の厳格な管理に努めています。
今後も、庁内の各部門が連携し、情報公開制度と個人情報保護制度の的確な運用に努
めることが求められます。
〔行財政改革〕
住民ニーズは多様化・高度化し、地方分権が進む一方、三位一体の改革※2による地方
交付税等の見直しなどに伴い、地方行財政をとりまく環境は厳しさを増しています。
※ 2 三位一体の改革
P3 参照。
こうした背景から、当町は、市町村合併により基礎的自治体としての基盤強化を図る
とともに、住民と行政の協働による行財政改革推進委員会の設置・運営、行政職員の不
補充などによる人件費の抑制、負担金・補助金等の見直し、投資的経費の抑制など、合
併前後を通じ、可能な限りの行財政改革に努めています。
しかし、合併新町の一体的なまちづくりの推進や、福祉基盤の充実など、今後も、地
域振興にむけた新たな投資が必要になるなか、その財源を確保していくため、一層の行
新 枝幸町 まちづくり計画
125
基本
Ⅲ 計画
財政の効率化を進めていく必要があります。
また、住民の立場に立った「顧客志向」の行政組織を確立するため、職員一人ひとり
の意識改革や能力開発、さらには行政評価の導入などによる結果責任の明確化などに努
めていくことが求められます。政策決定の場での積極的な公募委員の登用や、指定管理
者制度などによる民間活力の導入など、住民と行政が協働して行政運営を行っていく体
制づくりも重要です。
〔広域行政〕
住民の生活圏の拡大と生活・文化ニーズの高度化・多様化、地方分権の進展などによ
り、広域行政はますます重要になっています。
当町は、宗谷支庁管内各市町村と宗谷広域圏を構成し、各般にわたって連携事業を推
進するとともに、浜頓別町・猿払村・中頓別町と南宗谷衛生施設組合を、浜頓別町・中
頓別町と南宗谷消防組合を組織し、ごみ・し尿処理、消防・救急業務を実施しています。
また、浜頓別町・中頓別町とは介護認定審査事務を共同で実施し、平成20年度からは道
※ 1 後期高齢者医療
P27 参照。
内全市町村による後期高齢者医療※1広域連合も運営していくこととなっています。
今後も、広域的な行政課題に対応していくため、事務事業の共同化や連携の強化を図っ
ていくことが求められます。
めざす姿
職員の意欲・能力の向上が図られ、効果的・効率的な行政組織が実現し、住民本位の
自立した行財政運営が図られています。
※ 2 パブリックコメント
P3 参照。
※ 3 経常収支比率
町財政の経常的な収入に占
める経常的な支出の割合で、
財 政の硬 直 化を表す指 標。
町村にあっては、70%程度
が妥当とされている。
※ 4 実質公債費比率
地方税、普通交付税のように
使途が限定されておらず、毎
年度経常的に収入される財
源のうち、公債費や公営企
業債に対する繰り出し金など
の公債費に準ずるものを含め
た実質的な公債費相当額(普
通交付税が措置されたものを
除く)に充当されたものの占
める割 合の、 前3年 度の平
均値である。18%を超えると、
町債の借り入れに制限がつ
き、町村独自の政策展開が
困難になってくる。
126
目標指標
項 目
平成17年度実績
行財政改革全体への満足度
13%
「広報えさし」をいつも読ん
未調査
でいる住民の割合
※2
パブリックコメント 実施累
1回(18年度)
積回数
職員数
313人
指定管理者制度導入施設数
4カ所
各種委員会への公募委員の参
2人(18年度)
加人数
平成27年度目標
100%
80%
5回
251人
15カ所
20人
経常収支比率※3
86.4%
76.4%
実質公債費比率 ※ 4(3カ年平
均)
16.1%
12.5%
ESASHI
主要施策
(1) 計画行政の推進
① 施策・事業の適正な進行管理
計画的な事業の執行管理体制を整備し、事業効果・効率の評価に向けて数値目標の達
成度を点検するなど、「計画(プラン)・実行(ドウー)・評価(チェック)・改善(アク
ション)」の実行管理を行います。
② 行政改革の推進
行政改革の推進に努め、当面は集中改革プランの達成状況管理の結果を毎年住民に公
表します。行財政改革推進委員会などを通じて、適宜、課題の把握に努めるとともに、
時代に即した項目の見直しを行い、実施して参ります。
③ 柔軟な計画・執行体制の確立
各部門間相互の連携のとれた総合調整機能の充実を図るとともに、プロジェクトチー
ムの活用などにより、技術的・専門的な職務間の連携を強化し、計画的に施策・事業を
推進します。
(2) まちづくり情報の共有化
① 広報・公聴の充実
広報・公聴については、対面的な情報提供や相談を基本に、広報えさしなどのメディ
アの活用や、目的に応じた懇談会等の実施、アンケートや電子メール等の活用などを進
め、住民が知りたい情報を分かりやすく伝え、住民の声を的確に行政運営に反映します。
② 積極的な情報公開と適切な個人情報の保護
個人情報保護に十分留意しながら、行政情報を積極的に公開していきます。そのため
に、情報公開条例、個人情報保護条例の適正な運用に努めます。
(3) 住民との協働体制の構築
① 住民が参画しやすい環境づくり
住民が行政運営に積極的に参画するまちづくりに向けて、まちづくりについての学習
機会の拡大などにより、住民意識の高揚と人材育成に努めます。
② 各種行政会議への参画の促進
計画策定や法制度検討などの各種の委員会、審議会等の開催にあたっては、ワーク
ショップ※など多様な手法により住民参画を進め、住民の理解・協力を得ながら企画・
※ワークショップ
P15 参照。
立案し、策定・制定後の協働の取り組みにつなげます。特に、女性や若者、公募による
住民などの参画を促進し、幅広い層の意見の反映を図ります。
③ 自治基本条例の制定
個性的なまちづくりを住民と協働で進めていくために、そのための住民・行政双方の
役割を明確化し、法的規範とする「自治基本条例」の制定を進めます。
新 枝幸町 まちづくり計画
127
基本
Ⅲ 計画
(4) 職員の活性化
① 職員研修の充実
行政ニーズに適切に対応できる能力や資質を備えた職員の育成と、職場の活性化を図
※ 1 PFI
Private Finance Initiative の
略。公共施設等の建設、維
持管理、運営等を民間の資
金や経営能力、技術的能力
を活用して行う手法。英国な
ど海 外では、 水 道 事 業など
で既にこの方式が普及し、行
政コストの削減や質の高い公
共サービスの提 供に効 果を
得ている。わが国でも、「民
間資金等の活用による公共
施設等の整備等の促進に関
する法律」(PFI法)が平成
11 年7月に制定されている。
※ 2 市場化テスト
行政サービスの担い手を官
民の競争入札で決める手法。
行政サービスのコストや質が
適切かどうかを民間事業者と
の競争入札で比較し、官より
優れていれば民間に業務を
移管する。
※ 3 構造改革特区
地域の個別課題の解決に向
け、法令などに基づくさまざ
まな規制が限定的に緩和さ
れる地域のこと。地方自治体
単位で内閣府に構造改革特
区構想を提出し、認められる
と特区として認定される。平
成 15 年4月に施行された構
造改革特別区域法に基づく。
枝幸町では、浜頓別町ととも
に平成17年度に「北オホー
ツクえさし・はまとんべつ外
国人研修生受け入れ特区」
の認定を受けている。
※ 4 地域再生
地域経済の活性化や地域雇
用の創造を図るため、地域
が有する様々な資源や強みを
知恵と工夫により有効活用し
ながら、地域が自ら考え行動
し、国が側面から支援する制
度。構造改革特区が法令等
の規制緩和のみを対象とした
のに対し、地域再生の対象
は規制緩和に加え補助金制
度改革、権限移譲、民間活
力の促進など多岐にわたる。
また、支援措置に地域限定
措置と全国措置があり、地域
限定措置とは地域再生計画
認定地域に限定して効果を持
つ。平成 15 年 10 月の内閣
への「地域再生本部」
の設置、
平成 17 年4月の地域再生法
の成立などが根拠となる。
128
るため、職員研修の充実を図ります。
② 能力開発の促進
意欲や能力を重視した適材適所の人材配置に努めるとともに、各種の職員提案制度な
どにより、職員の資質・能力向上と活性化を図ります。
③ 職員の地域とのつながりの強化
今後、住民との協働によるまちづくりが進むことが予想されることから、地域の自主
的な学習の場への職員講師の派遣などを通じて職員のコーディネート能力の向上を図る
とともに、職員の地区とのつながりを深めます。
(5) 効果的・効率的な行政運営
① 地方分権の受け皿の強化
道州制や支庁再編などの動向をみながら、国・道からの更なる事務・権限の移譲に対
応するため、受け皿づくりに努めます。
② 組織の適正化
課・係の統廃合、職員の重点配置など、随時、組織・機構の見直しを図ります。
③ 効果的・効率的な事務事業の推進
最適な事業方法の選択や、事業効果の薄れた事業の見直し(スクラップ・アンド・ビ
ルド)、事業間の連携強化による事業の相乗効果の追求、類似事業・重複事業の整理な
どにより、事業効果を高めます。
④ 民間活力の活用
公共施設の計画的な維持・更新を行うとともに、需要の変動に対応した転用、施設の
複合利用など、効率的な管理・運営に努めます。また、指定管理者制度による民間委託
を進めるとともに、PFI※1、市場化テスト※2などの手法についても検討していきます。
⑤ 計画的な広域行政の推進
各種広域圏計画や一部事務組合等の基本計画などに沿って広域事務事業の推進を図
り、行政運営の効率化と圏域の活性化を図ります。また、広域行政組織、広域事務事業
の再編や新設に向けて、随時、研究を進めます。
⑥ 適正な行政手続の確保
行政手続における公平性、透明性を確保するため、行政手続条例の適正な運用に努め
ます。
⑦ 構造改革特区※3構想・地域再生※4計画の活用
構造改革特区構想や地域再生計画を積極的に提案するとともに、全国化が図られた制
度の活用に努めます。
(6) 財政の安定化
① 財源の確保
ESASHI
課税の適正化、公平化に努めるとともに、税に関する情報の開示と啓発活動を推進し、
自主納税意識の向上や徴税対策の強化により収納率の向上を図ります。使用料や手数料
等については、負担公平の原則に照らし、適時見直しを行うものとします。
また、国・道の補助制度等の積極的な活用を図り、財源の確保に努めるとともに、町
債については、後年度の財政負担に配慮しながら、有効活用を図ります。
② 経費の節減
各種手当等の総点検をはじめとする給与の適正化や、計画的な定員管理などにより、
人件費の削減を図るとともに、民間委託の推進や徹底した節約などにより、事業費や施
設の維持・管理費等のコスト削減に努めます。また、補助金・負担金などについては、
可能な限り整理・統合を図るとともに、新設する場合には、終期を設定するなど、抑制
に努めます。
③ 財政状況の積極的な周知
広報や各種懇談会の活用、財政状況の定期的な公表などを通じて、財政状況を住民に
わかりやすく周知します。
住民の役割
(1)
行政の仕組みや動きに関心をもち、日々の活動に行政情報を活用します。
(2)
行政主催の各種会議に積極的に参加し、政策に対する住民意向をしっかり伝えま
す。
(3)
民間の専門的知識や技術を活かし、建設的な提言・助言を行います。
(4)
行政の協力を得ながら、産業振興、環境、福祉など多様な分野で、住民自らのま
ちづくり活動を積極的に仕掛けていきます。
(5)
自治基本条例の立案に積極的に参画します。
(6)
公共施設の管理・運営に積極的に参加します。
(7)
自主申告・自主納税に努め、受益者として必要な負担を担います。
新 枝幸町 まちづくり計画
129
資料編
資料編
枝幸町まちづくり計画審議会設置条例
平成18年6月28日 条例第200号 ( 設置 )
第 1 条 町長の諮問に応じ、まちづくり計画に関し審議を行うため、枝幸町まちづくり
計画審議会 ( 以下「審議会」という。) を置く。
( 組織 )
第 2 条 審議会の構成は、委員 45 人以内で組織する。
2 委員は、公共的な団体、学識経験者等及び公募に応じた者のうちから町長が委嘱する。
3 委員の任期は、当該諮問に係る審議会の答申が終了するまでの期間とする。
( 会長及び副会長 )
第 3 条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
( 会議 )
第 4 条 審議会は、会長が招集し、会長が議長となる。ただし、委員委嘱後の最初の審
議会は、町長が招集する。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するとこ
ろによる。
( 専門部会 )
第 5 条 審議会は、必要に応じて専門部会を置くことができる。
2 専門部会は、会長が指名する委員で構成する。
3 専門部会は、審議会から付託された事項について審議する。
4 専門部会には、部会長及び副部会長を置き、当該部会に属する委員のうちから互選
する。
( 審議会の庶務 )
第 6 条 審議会の庶務は、企画課において処理する。
( 委任 )
第 7 条 この条例に定めるもののほか、審議会に関して必要な事項は、町長が別に定め
る。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
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ESASHI
枝幸町まちづくり計画策定審議会委員名簿
(順不同、敬称略)
会 長 折 戸 末 信
委 員 石 山 義 夫
副会長 松 尾 忠 義
西 海 誓 一
委 員 天 野 重 光
山 崎 清 志
小田桐 信 守
小 椋 忠 義
河 村 洋
高 田 一 民
小 川 嘉 樹
村 田 真由美
成 澤 寛
吉 田 洋 子
種 田 礼 子
児 玉 仁 志
梅 津 倫 子
山 崎 美和子
森 山 鋭 一
高 木 功
中 村 正 吉
岩 谷 潤
西 野 正 輝
小 黒 節 子
西 野 美津子
加 藤 勝 美
髙 田 英 行
山 本 直 人
長 屋 文 恵
秋 川 容 子
永 澤 二 郎
小 椋 孝 則
野 坂 昭 雄
長谷川 和 也
池 田 秀 信
打 田 信 宏
浜 田 一 郎
遠 山 寿賀子
髙 田 真裕美
三 谷 浩 明
今 家 俊 二
村 井 昌 司
徳 保 喜 幸
西 澤 明 子
委員構成:公共的団体等関係36人、学識経験関係9人
合計44人
新 枝幸町 まちづくり計画
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資料編
「新・枝幸町まちづくり計画」策定経過
平成18年
6月28日 「枝幸町まちづくり計画審議会設置条例」、「枝幸町まちづくり計画策定本
部会議設置要綱」制定施行
※ 以下、「まちづくり計画」を、「計画」と略称する
7月 1日 計画審議会委員及び計画ワークショップメンバーの公募開始(至、7月14
日まで実施)
25日 計画審議会委員候補者の推薦依頼(公共的団体等)
8月 1日 計画審議会委員決定(44人)
第1回計画策定本部会議開催(策定方針、組織体制、計画名称等) 9日 第1回計画策定作業部会開催(策定方針、施策分野、アンケート調査等)
第1回審議会(策定方針、計画諮問等)
11日 計画ワークショップメンバー決定(一般6人、職員12人)
23日 計画策定支援業務委託契約締結((株)ぎょうせい)
9月 4日 まちづくりアンケート調査票発送(18歳以上1,000人、9月30日集約、回収
率36.4%)
第1回計画ワークショップ開催(枝幸町の強み・弱みを抽出する)
14日 第2回計画策定作業部会開催(主要政策調査票の作成)
26日 第2回計画ワークショップ開催(強みを伸ばし、弱みを改善する)
10月17日 第3回計画ワークショップ開催(住民の役割、行政の役割について考える)
〜19日 各課等ヒアリング実施(主要施策調査票に基づき、本庁・総合支所
全課のヒアリング実施)
20日 第3回計画策定作業部会開催(アンケート集計結果、基本構想第2稿等)
11月10日 第4回計画策定作業部会開催(基本構想・基本計画第3稿、分科会設置。以
後、適時時開催のため開催状況省略)
11日 第4回計画ワークショップ開催(全4回のまとめを実施)
22日 第2回計画策定本部会議開催(基本構想・基本計画第4稿)
12月 1日 まちづくりアンケート集計結果について広報、ホームページに掲載周知
4日 第2回計画審議会開催(第4稿修正版ほか)
8日 計画ワークショップ活動結果報告書完成、結果の一部について計画に登載
11日 町議会議員協議会にて、計画第4稿修正版について経過説明
19日 歌登地域協議会に計画概要説明、意見の聴取(1回目)
28日 計画概要版全世帯配付。1月15日までの期間で意見聴取(パブリックコメ
ント)を実施
平成19年
1月10日〜2月17日 町内各所で「まちづくり懇談会」開催。計画について説明と意
見の聴取実施
17日 第15回ハマナス大学にて、計画について概要説明と意見の聴取実施
30日 第3回計画策定本部会議・第5回計画策定作業部会開催(第5項予定稿)
2月 2日 歌登地域協議会より計画に対する意見提出
8日 第3回計画審議会開催(第5稿)
15日 第4回計画策定本部会議開催(最終稿・案)
21日 第4回計画審議会開催(基本構想、基本計画を答申し審議終了)
22日 町議会議員協議会にて答申された計画を説明
3月 8日 平成19年第1回枝幸町議会定例会で「基本構想」提案。「基本計画」、
「実施計画」を資料提出。翌9日議決
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ESASHI
平成18年8月9日 枝幸町まちづくり計画審議会
会長 折 戸 末 信 様
枝幸町長 荒 屋 吉 雄 枝幸町まちづくり計画の策定に関する諮問について
枝幸町まちづくり計画の策定について、下記のとおり諮問いた
します。
記
1 枝幸町まちづくり計画(計画期間 自平成18年度〜至平成
27年度)の基本構想及び基本計画の策定について
平成19年2月21日 枝幸町長 荒 屋 吉 雄 様
枝幸町まちづくり計画審議会 会長 折 戸 末 信 枝幸町まちづくり計画に関する答申について
平成18年3月20日、旧枝幸町と旧歌登町の合併によって誕
生した、新しい枝幸町振興発展のため、平成18年8月9日に諮
問を受けた新・枝幸町まちづくり計画(計画期間:自平成18年
度〜至平成27年度)の基本構想及び基本計画について、本審議
会として別冊のとおり答申いたします。
なお、この計画の推進にあたっては、計画策定の背景となった
時代の潮流、社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、将来像であ
る「こころが結ぶ『森と海』優しさと活気あふれる北の理想郷」
の実現をめざし、町民の協働と参画によるまちづくりを進められ
ることを希望します。
新 枝幸町 まちづくり計画
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