プログラム・抄録集 - 神戸大学 医学研究科・医学部

テーマ
「攻めの毛髪医療」
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CLINICAL HAIR
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会期 : 平成 21 年 12 月 12 日 (土)・13 日 (日)
会長 : 寺師浩人 (神戸大学形成外科学准教授)
会場 : クラウンプラザ神戸
http://www.med.kobe-u.ac.jp/plas/JSCHR/
第十五回日本臨床毛髪学会
Program and Abstracts of the 15th Annual Meeting of Japan Society of Clinical Hair Restoration
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The 15th Annual Meeting of Japan Society of Clinical Hair Restoration
第 15 回日本臨床毛髪学会
会 期
平成 21 年 12 月 12 日(土)・13 日(日)
会 場
クラウンプラザ神戸 http://www.cpkobe.com/
〒650-0002 兵庫県神戸市中央区北野町 1 丁目
TEL:078-291-1121 FAX:078-291-1151
学会事務局
神戸大学形成外科学教室内
事務局長:杉本庸(神戸大学美容医科学准教授)
事務局長代行:橋川和信(神戸大学形成外科学助教)
〒650-0017 兵庫県神戸市中央区楠町 7-5-2
TEL:078-382-6252 FAX:078-382-6269
E-Mail:[email protected]
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日本臨床毛髪学会 役員
理 事 長
倉田荘太郎
常任理事
石井良典
佐藤明男
理 事
乾
清
寺
鳥
原
柳
監 事
林 光輝
澤
師
飼
生
重
智
浩
勝
弘
邦
樹
晴
人
行
之
良
名誉会員・名誉理事 江 崎 哲 雄
平山 峻
顧 問
評 議 員
板
宇
高
坪
見
野
安
井
秀
良
智
夫
進
治
桑名隆一郎
白澤友裕
豊島公栄
長井正寿
中山雅史
三橋満希恵
峯岸祐之
早稲田豊美
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(アイウエオ順)
会長挨拶
第 15 回日本臨床毛髪学会会長
寺師 浩人
(神戸大学 形成外科学 准教授)
この度は第 15 回日本臨床毛髪学会を神戸大学形成外科で担当させて頂くことに
なりました。教室員ならびに同門会一同誠に光栄に存じております。
最近の当学会の役割は、毛髪臨床に関わる研究と診療技術の向上を目指す中、毛
髪再生を含めた植毛技術の発展に注がれています。その歴史的流れは、臨床毛髪
医学研究会、日本臨床毛髪外科学会、日本臨床毛髪学会と改称されながら、毛髪
に関わる様々な議論の場から毛髪外科学、そして毛髪再生薬剤の開発による基礎・
臨床研究へと変化してきました。今回、当学会の会長として当教室が任命された
ことは、内容をさらに広く学術的に発展させるようにとの意向が表れていると感
じています。
本来、毛髪は手掌・足底以外の皮膚に存在し、その臨床の場は、頭髪のみならず、
眉毛、睫毛、性毛、体幹・四肢の生毛から、脱毛研究、創傷治癒へ関わる幅広い
ものです。そこで、本学会のテーマとして、
「攻めの毛髪医療」を掲げ、学会の
間口を拡げた毛髪・毛包に関する学術内容を展開しようと考えました。特別講演
は、以前より毛髪の外科的治療としても世界的に有名な大森喜太郎先生(クリニ
カ市ケ谷名誉院長・前東京警察病院形成外科部長)
にお願いいたしました。その他、
初日はビデオセミナーと学術講習会、イブニングセミナー、2日目はシンポジウ
ム1.毛包・毛髪研究あれこれ、シンポジウム2.眉毛・睫毛治療の新展開、ランチョ
ンセミナー、一般演題を企画致しました。また、
会長講演として「毛包と創傷治癒」
と題し少しお時間をいただきました。ご出席されたすべての方へ、一つでも明日
の毛髪研究・診療にお役に立てるようにしたいと考えております。
神戸大学形成外科教室は、一昨年、国立大学附属病院で初めて美容外科を一診療
科として独立させ、今年、美容医科学講座を新設致しました。当教室の若い形成
外科医・美容外科医が日々努力しながら、皆様方のご発表ならびに活発なご討議
を期待しております。皆様の奮っての御参加をお願い申し上げます。
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会場のご案内
クラウンプラザ神戸 http://www.cpkobe.com/
〒650-0002 兵庫県神戸市中央区北野町 1 丁目
TEL:078-291-1121 FAX:078-291-1151
● 電車・飛行機でのアクセス
・ 山陽新幹線・神戸市営地下鉄「新神戸駅」直結
・ 三宮(JR・阪神・阪急)より市営地下鉄で 1 駅
・ 関西国際空港より三宮まで:空港リムジンバスで 70 分
・ 神戸空港より三宮まで:ポートライナーで 18 分
● お車でのアクセス
・ 阪神高速道路 生田川ランプから 3 分、京橋ランプから 4 分
・ 大阪国際空港より 40 分
※ 事務局では駐車場をご用意しておりません。
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会場内のご案内
クラウンプラザ神戸 9 階
学術集会事務局
及び理事会会場
9F
新郎着替室
留袖
着付室
化粧室
ホテル専用エレベーター
(4F⇔37F)
写場
結婚式場
瑞光殿
サフラン
リンデン
メリッサ
ロビー
化粧室
ジャスミン
EV
EV
EV
更 衣 室
ラベンダー
EV
ブライズ
ルーム
デイジー
アイビー
リリー
ライラック
吹抜
宴会受付ロビー
ノジギク アジサイ
エスカレーター
(4F ロビーより)
カモミール ローズマリー
エスカレーター
宴会受付
クローク
ガーデン
ザ・チャペル
学術講習会・ビデオセミナー会場
及び 学術集会第 1 会場
学術集会第 2 会場
※ 会員懇親会は 35 階「Forest Wind」で催します。
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参加者へのご案内
● 参加受付・受講受付
(1) 学術集会参加受付
クラウンプラザ神戸 9 階「総合受付」
12 月 12 日(土)
12:50 ∼ 17:30
12 月 13 日(日)
8:00 ∼ 15:00
(2) 学術講習会・ビデオセミナー受講受付
クラウンプラザ神戸 9 階「総合受付」
12 月 12 日(土)
12:50 ∼ 15:30
※ 学術講習会・ビデオセミナーには事前申し込みが必要です。
● 参加費・受講費
(1) 学術集会参加費
会 員 ¥15,000
非会員 ¥20,000
プログラム・抄録集 ¥ 1,000(1 部)
※ 参加費にはプログラム・抄録集代と会員懇親会費が含まれます。
(2) 学術講習会・ビデオセミナー受講費
講習会のみ ¥20,000
ビデオセミナーのみ ¥20,000
講習会+ビデオセミナー ¥35,000
※ 参加費は当日受付でお支払い下さい。
● 会場
第 1 会場(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」
)
12 月 12 日(土)
:学術講習会・ビデオセミナー、イブニングセミナー
12 月 13 日(日)
:特別講演、会長講演、シンポジウム、一般演題
ランチョンセミナー、開会の辞、閉会の辞
第 2 会場(クラウンプラザ神戸 9 階「カモミール」
)
12 月 13 日(日)
:企業展示・ドリンクサービス
クラウンプラザ神戸 9 階「ジャスミン」
12 月 12 日(土)
:理事会
クラウンプラザ神戸 35 階「Forest Wind」
12 月 12 日(土)
:会員懇親会
● その他
・会場内は禁煙です。喫煙は所定の場所でお願い致します。
・許可を受けていない写真撮影、録画、録音、取材等は一切禁止致します。
・クロークはクラウンプラザ神戸 9 階をご利用下さい。
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演者・司会・座長へのご案内
(1)発表時間
(ア)一般口演の発表は 6 分、質疑・討論は 3 分となっております。
(イ)シンポジウムの発表は 9 分となっております。
※ 座長ならびに司会の進行に従い、時間厳守でお願い致します。
(2)発表形式
今回の発表は、原則として学会側が準備した PC(Windows)によって行っていただきます。
(ア)PC(Windows XP)は学会側で準備致します。
(イ)演者は発表データを CD-R もしくは USB メモリーでご準備下さい。CD-RW、MO、その他
のメディアは受け付けられませんのでご注意下さい。動画を使用される方は動画のファイル
も併せてご持参下さい。
(ウ)発表データは PowerPoint 2003/2007 で作成していただいた上で、必ず Windows 版 Power
Point 2003/2007 で動作の確認をしておいて下さい。
(エ)発表の 30 分前までに PC 受付(クラウンプラザ神戸 9 階)にデータをご提出下さい。
(オ)「演題番号(半角)+演者氏名」をタイトルとしたフォルダを作成し、その中にファイルを
入れて下さい(例:S1-1 神戸太郎)。
(カ)対応している OS は Windows XP/Vista のみです。Windows 7 及び Macintosh には対応
しておりません。
(キ)画面の解像度は XGA(1024×768)です。このサイズより大きいかまたは小さい場合、
画質が劣化する恐れがあります。
(ク)映写は一面です。
(ケ)音声には対応しておりません。
(コ)動画ファイルを挿入される場合は、スライドにリンクするファイルを 1 つのフォルダに
入れておいて下さい。動画ファイルは Windows Media Player にて再生可能なものに限り
ます。可能な限り、拡張子が「.wmv」の Windows Media Video のファイルでお願い
します。ファイル名は「演題番号(半角)+演者氏名」として下さい。
(サ)動画ファイルを挿入される方は、念のためご自身の PC もお持ち下さい。
(シ)必ず事前にご自身でウイルスチェックを行って下さい。
(ス)個人情報保護の観点から、個人が特定できる画像では、目線を入れるなどの配慮を可能な
限り行って下さい。尚、発表のためにお預かりしたデータは、学会終了後に運営事務局が
責任を持って消去致します。
(3)次演者の方
前演者の講演開始と同時に次演者席にご着席下さい。
(4)司会・座長の方
(ア)各セッションの進行は司会・座長にお任せ致しますが、上記講演時間を参考に、時間厳守
でお願い致します。
(イ)司会・座長の先生は、セッション開始予定時間の 15 分前までに会場内でご着席下さい。
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日本臨床毛髪学会の歩み
回 数
名 称
会 長
第 1 回 日本臨床毛髪外科学会
開催日
開催地
稲葉益己
1994.9.14
東 京
第 2 回 日本アジア臨床毛髪外科学会 江 崎 哲 雄
1996.9.14
東 京
第 3 回 日本アジア臨床毛髪外科学会 若 松 信 吾
1997.6.28
東 京
第 4 回 日本アジア臨床毛髪外科学会 青 山 久
1998.6.27
名古屋
第 5 回 日本臨床毛髪外科学会
今川賢一郎
1999.6.27
東 京
第 6 回 日本臨床毛髪外科学会
平山 峻
2000.6.24・25
東 京
第 7 回 日本臨床毛髪外科学会
渡辺純至
2001.6.2・3
東 京
第 8 回 日本臨床毛髪外科学会
葛西健一郎
2002.6.22・23
大 阪
第 9 回 日本臨床毛髪学会
加曾利要介
2003.6.21・22
東 京
第10回 日本臨床毛髪学会
石井良典
2004.6.26・27
東 京
第11回 日本臨床毛髪学会
佐藤明男
2005.10.22・23
東 京
第12回 日本臨床毛髪学会
倉田荘太郎
2006.12.9・10
別 府
第13回 日本臨床毛髪学会
柳生邦良
2007.11.24・25
東 京
第14回 日本臨床毛髪学会
長井正寿
2008.11.15・16
福 岡
第15回 日本臨床毛髪学会
寺師浩人
2009.12.12・13
神 戸
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第 15 回日本臨床毛髪学会 日程表
第 1 日目 平成 21 年 12 月 12 日(土)
第1会場
クラウンプラザ神戸 9階
「ローズマリー」
12:50
受付
13:10
学術講習会
ビデオセミナー
16:10
16:30
イブニングセミナー
司会:乾 重樹
講師:小笠原正弘
伏見知浩
(共催:有限会社ミニョンベル)
17:30
クラウンプラザ神戸 9階
「ジャスミン」
17:30
理事会
18:30
クラウンプラザ神戸 35階
「Forest Wind」
18:30
会員懇親会
20:30
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第 2 日目 平成 21 年 12 月 13 日(日)
8:15
8:20
第1会場
第2会場
クラウンプラザ神戸 9階
「ローズマリー」
クラウンプラザ神戸 9階
「カモミール」
開会の辞
8:30
会長講演
司会:黒川正人
8:50
一般演題1
一般演題1
座長:鳥飼勝行
9:30
シンポジウム1
毛包・毛髪研究あれこれ
司会:清澤智晴
11:00
企業展示
特別講演
司会:田原真也
講師:大森喜太郎
12:00
12:10
ランチョンセミナー
司会:坪井良治
講師:板見 智
(共催:万有製薬株式会社)
13:10
13:20
シンポジウム2
眉毛・睫毛治療の新展開
司会:倉田荘太郎
(共催:アラガン社(コラーゲン株式会社))
14:00
14:40
一般演題2
座長:乾重樹
一般演題2
長井正寿
16:00
16:10
閉会の辞
10
学会プログラム
第 1 日目 平成 21 年 12 月 12 日(土)
12:50 ∼ 13:10 学術講習会・ビデオセミナー受付
(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」
)
13:10 ∼ 14:30 学術講習会(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」)
「毛髪の基礎と AGA 治療ガイドライン」倉田 荘太郎
「AGA の鑑別診断」乾 重樹
「AGA の内科療法」佐藤 明男
「FUT による AGA 治療」長井 正寿
「眉毛,睫毛,(陰毛)の植毛」石井 良典
14:40 ∼ 16:10 ビデオセミナー(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」)
「自毛植毛手術の最前線」
石井 良典、佐藤 明男、柳生 邦良
16:30 ∼ 17:30 イブニングセミナー
(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」
)
司会:乾 重樹 (大阪大学 皮膚・毛髪再生医学)
「LED 狭帯域光照射装置の発毛への臨床応用」
小笠原 正弘(ミニョンベルクリニック院長)
「狭帯域 LED の皮膚線維芽細胞・毛乳頭細胞に
及ぼす影響」
伏見 知浩(大阪大学 皮膚・毛髪再生医学、形成外科学)
共催:有限会社ミニョンベル
17:30 ∼ 18:30 理事会(クラウンプラザ神戸 9 階「ジャスミン」)
18:30 ∼ 20:30 会員懇親会(クラウンプラザ神戸 35 階「Forest Wind」)
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第 2 日目 平成 21 年 12 月 13 日(日)
第 1 会場(クラウンプラザ神戸 9 階「ローズマリー」)
8:15 ∼ 8:20 開会の辞
8:20 ∼ 8:50 会長講演
司会:黒川 正人 (宝 市立病院 形成外科)
「毛包と創傷治癒」
寺師 浩人 (神戸大学 形成外科)
8:50 ∼ 9:30 一般演題 1
座長:鳥飼 勝行 (横浜市立大学 形成外科)
1「多血小板血漿 (Platelet rich plasma: PRP) の
育毛効果」
瀧川 恵美 (防衛医科大学校 形成外科)
2「創閉鎖時の FUT 併用療法」
小島 正裕 (兵庫医科大学 形成外科)
3「670nm continuous wave diode laser
(Revage670®) による難治性円形脱毛症,男性型
脱毛症の治療経験」
桑名 隆一郎 (桑名皮フ科、高知市)
9:30 ∼ 11:00 シンポジウム 1「毛包・毛髪研究あれこれ」
司会:清澤 智晴 (防衛医科大学校 形成外科)
S1-1「アンドロゲン受容体遺伝子の多様性と
フィナステリドの有効性」
脇坂 長興 (脇坂ナカツクリニック)
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S1-2「男性型脱毛症に対するフィナステリド治療効
果とアンドロゲン受容体遺伝子 CAG リピート
多型との相関性について」
佐藤 明男 (東京メモリアルクリニック・平山)
S1-3「毛乳頭細胞におけるアンドロゲン感受性調節
因子としてのアンドロゲンレセプターコアク
ティベーター Hic-5/ARA55」
乾 重樹 (大阪大学 皮膚・毛髪再生医学)
S1-4「毛成長促進因子 FGF-7 の毛包でのシグナル
経路」
岩渕 徳郎 (資生堂リサーチセンター)
S1-5「脱毛症の頭髪移植治療:最近の進歩と将来の
課題」
柳生 邦良 (紀尾井町クリニック)
S1-6「日本人正常睫毛に関する研究」
菊池 守 (大阪大学 形成外科)
11:00 ∼ 12:00 特別講演
司会:田原 真也 (神戸大学 形成外科)
「Microsurgical free scalp flap surgery」
大森 喜太郎 (クリニカ市ヶ谷)
12:10 ∼ 13:10 ランチョンセミナー
司会:坪井 良治 (東京医科大学 皮膚科)
「男は何故ハゲる??その分子メカニズム」
板見 智 (大阪大学皮膚・毛髪再生医学 教授)
共催:万有製薬株式会社
13
13:20 ∼ 14:40 シンポジウム 2「眉毛・睫毛治療の新展開」
司会:倉田 荘太郎 (くらた医院)
共催:アラガン社(コラーゲン株式会社)
S2-1「皮下茎皮弁,柱状遊離植毛による眉毛・睫毛
の再建」
小川 豊 (洛和会音羽記念病院)
S2-2「前額部生え際部中間毛を含んだ temporo
-parietal fascial flap による眉毛再建」
元村 尚嗣 (大阪市立大学 形成外科)
S2-3「眉毛植毛と植毛様マユ」
白澤 友裕 (ヘアー&スキンクリニック)
S2-4「睫毛植毛について」
峯岸 祐之 (神奈川クリニック)
S2-5「睫毛増毛剤「LatisseTM」の使用経験」
山下 理絵 (湘南鎌倉総合病院 形成外科 美容外科)
14:40 ∼ 16:00 一般演題 2
座長:乾 重樹 (大阪大学 皮膚・毛髪再生医学)
長井 正寿 (ナガイクリニック)
4「フィナステリド錠を投与した 2,561 症例の解析
結果」
佐藤 明男 (東京メモリアルクリニック・平山)
5「もみあげを採皮部とした全層植皮による眉毛・
生え際の再建法」
松田 健 (大阪大学 形成外科)
6「Skin derived precursors を用いた毛包誘導」
清水 瑠加 (慶応義塾大学 形成外科)
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7「頭髪内腫瘍切除後の小工夫について」
黒川 正人 (宝 市立病院 形成外科)
8「まつげの植毛とまつげエクステンション
との比較」
白澤 友裕 (ヘアー&スキンクリニック)
9「Follicular unit dissection using LCD monitor
with microscopic video camera」
Chun Hee Han (Channel Hair Restoration Center,
Seoul, Republic of Korea)
16:00 ∼ 16:10 閉会の辞
第 2 会場(クラウンプラザ神戸 9 階「カモミール」)
8:30 ∼ 14:00 企業展示
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特別講演
「Microsurgical free scalp flap surgery」
クリニカ市ヶ谷 名誉院長
大森 喜太郎
もう少し古い話になりますが、私が 1976 年に NYU に留学しておりました折、
Dr. J.M.Converse から Dr. Jose Juri の paper に関し意見を求められたことがあ
りました。私はアルゼンチンでは受け入れられている手術であろうが、日本人
の髪の性質ではこの手術結果を受け入れることは少ないとお話した記憶がござ
います。その翌年にアルゼンチンの学会に招待された折に、Dr. Jose Juri 本人
から、彼の皮弁を 180 度回転させて移植することはできないかと相談を受け、
外国人にとっても毛流が重要なことを知ったことが Micro surgical free scalp
flap surgery の禿髪への応用のきっかけとなりました。その後アルゼンチン、
日本、アメリカなど各国で約 900 例の Micro surgical free scalp flap surgery を
施行し、毛流の重要性や free scalp flap の特徴など、これまでに知ることがで
きた経験をお話します。
(文献)
1) Ohmori, K.: Microsurgical Free Scalp Flap and Androgenic Alopecia. Hair Transplantation.
Unger W. 661-674, Marcel Dekker, Inc., 1988
2) Ohmori, K.: Free Scalp Flap. Plast. Reconstr. Surg. 65(1): 42-49, 1980
(略歴)
1968 年 東京慈恵会医科大学医学部卒業
1970 年 New Zealand Auckland の Middle
more Hospital にて house surgeon
1976 年 New York University Medical
Center に留学
1977 年 Dijon 州立病院および Nancey 大学
病院にフランス政府の招待留学
1987 年 東京警察病院形成外科部長
2005 年 東京警察病院定年退職
2005 年 医療法人社団大森会クリニカ市ケ
谷名誉院長
2006 年 医療法人社団大森会クリニカ市ケ
谷スキンアンドボディクリニック
院長
(国内学会)
1989 年 日本マイクロサージャリー学会
会長
1994 年 第 17 回日本美容外科学会会長
(国際学会)
1995 年 第 11 回 IPRAS Congress 副会長
2000 年 第 15 回 ISAPS 総 会 S c i e n t i fi c
Program Chair
2002 年∼ 2004 年 ISAPS First Vice President
東洋美容外科学会理事長
16
会長講演
「毛包と創傷治癒」
第 15 回日本臨床毛髪学会会長
寺師 浩人
(神戸大学 形成外科学 准教授)
私自身の毛包研究は、臨床現場の師である倉田荘太郎先生(現日本臨床毛髪
学会理事長)と基礎研究の師である板見智先生(現大阪大学大学院医学系研究
科 皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授)によるところが大きい。私が研修医の
時にお二人が始めた外毛根鞘細胞の培養方法の確立は、私自身の形成外科学の
中の創傷治癒分野の医療者・医学者としての礎でありその後の縁(よすが)で
もある。また、臨床の現場においては、やはり研修医の時にこの眼で観た分層
採皮創の毛包からの上皮化現象への畏怖を発端とする。そして、その後の臨床
でも研究でもひたすら「毛包の創傷治癒機転」をみてきた気がする。
研修医期間が終了した後に、外毛根鞘細胞をはじめ皮膚のあらゆる細胞の培
養方法を獲得することができ、以後毛包そのものの臨床応用を考えるように
なった。当初は、倉田先生による世界で初めて培養外毛根鞘細胞シートによる
熱傷創傷面への移植の成功を目の当たりにしたことから、持続陰圧療法を利用
した毛包移植研究、ウサギの抜去毛包移植からの粉瘤形成などの研究を行った。
その後、北里大学名誉教授の塩谷信幸先生のご紹介という幸運に恵まれ米国ミ
シガン大学形成外科学教室に二年間研究留学した。この時に細胞膜脂肪酸研究
に没頭できたことと培養角化細胞を利用した培養複合粘膜と培養複合皮膚作製
が私の「毛包と創傷治癒」研究にプラスとなった。帰国後の臨床研究で、文部
科学省高度先進医療経費のもと培養複合口腔粘膜は 100 症例以上の臨床経験を
得た。一方、細胞の脂肪酸研究は毛髪再生や創傷の上皮化現象にも必須因子で
あることを見つけ、近年これらを元にした独自の毛髪付き複合皮膚開発へ着手
している。また最近では、皮膚の無細胞化研究の幅が拡がり、小口径血管や神
経の無細胞化にも成功しており、この方面の移植研究が当教室でも始まったこ
とは嬉しい限りである。
17
シンポジウム 1 「毛包 ・ 毛髪研究あれこれ」
S1-1
アンドロゲン受容体遺伝子の多様性とフィ
ナステリドの有効性
S1-2
男性型脱毛症に対するフィナステリド治療
効果とアンドロゲン受容体遺伝子 CAG リ
ピート多型との相関性について
脇坂長興(わきさか ながおき)
佐藤明男(さとう あきお)
脇坂ナカツクリニック
東京メモリアルクリニック・平山
男性型脱毛症はアンドロゲン依存性に発症して
おり、Androgen Receptor (AR) や IGF-1 および
Dihydroteststeron に関与する複数の遺伝子の
影響を受けている。
5αR 阻害剤「フィナステリド」は男性型脱毛
症用薬として有効ではあるが、臨床において非
常に効果的な場合とそうでない場合が見受けら
れる。
この効果の違いは、フィナステリドの作用機序
から、アンドロゲン受容体遺伝子の多様性に
よって引き起こされるものであることが指摘さ
れており、男性型脱毛症に対するフィナステリ
ドの有効性と、アンドロゲン受容体遺伝子の
CAG repeat と GGC repeat の間に強い相関があ
ることが判っている。
そこで、フィナステリドの有効性と AR 遺伝子
の多様性の関係を導くため、AR 遺伝子の CAG
repeat と GGC repeat の相関を調査した。
男性型脱毛症のフィナステリド投与による改善
度をハミルトン - ノーウッド分類(H-N 分類)
の 変 化 で 評 価 し た と こ ろ、改 善 度 と(CAG
repeat + GGC repeat)ポ イ ン ト に は、広 く 相
関性があった。
フィナステリドは、AR 受容体遺伝子の(CAG
repeat + GGC repeat)ポイントが短い患者に
対してより有効で、これらの患者の男性型脱毛
症はアンドロゲン依存性に発症していると予測
される。
一方でフィナステリドは、AR 受容体遺伝子の
(CAG repeat + GGC repeat)ポイントが長い場
合により効果的でなかったため、これらの患者
の男性型脱毛症はアンドロゲン以外のメカニズ
ムに起因していると考えられる。
したがって AR 受容体遺伝子の調査は、男性型
脱毛症患者の治療方針の決定に有用であろうと
期待される。
男性型脱毛症患者の AR 受容体遺伝子の CAG
repeat と GGC repeat を調べてフィナステリド
投与量を予測し治療した結果を報告し、AR 受
容体遺伝子検査の有用性を検討する。
18
【目的】男性型脱毛症 (AGA) の病態において、
DHT はアンドロゲン受容体(AR)に高い結合
活性を示すため、AGA 特有の脱毛症状の原因
と考えられる。また、AR の N 末端付近の CAG
リピート領域には塩基多型が存在し、AR のア
ンドロゲンに対する感受性を制御すると考えら
る。今回、フィナステリドの治療効果と AR 遺
伝子 CAG リピート数との関連を解析した。
【方法】2005 年 12 月 14 日より 2006 年 11 月
31 日までの間に当施設を初診した AGA 患者の
内、48 週 間 以 上 フ ィ ナ ス テ リ ド 投 与(1
mg/day)による治療を行い、写真撮影により
効果評価ができインフォームドコンセントを得
た 178 症例を対象とした。頭髪抜去標本より
抽 出 さ れ た ゲ ノ ム DNA よ り、AR 遺 伝 子 の
CAG リピート数を含む領域を PCR 法にて増幅
し増幅産物のダイレクトシーケンシング法によ
り CAG リピート数を分析し解析対象とした。
写 真 判 定 は 初 診 時 を ベ ー ス ラ イ ン と し、
Modified Global Photographic Assessment に
従い 7 点レイティングスケールにより効果判定
を行った。
【結 果】分 析 対 象 の 初 診 時 平 均 年 齢 は
36.3±10.5 歳であり、平均罹患期間は 5.4±2.9
年であった。治療効果判定までの平均期間は
12.85±1.40 ヶ月であった。AR 遺伝子の CAG
リピート数の最小および最大は、それぞれ 16
および 32 リピートであり、平均 CAG リピート
数は 22.1±2.7 であった。CAG リピート数ごと
のフィナステリド効果判定スコアの割合を分析
した結果、CAG リピート数が減少するに従い、
スコア 7(著明改善)の割合が増加し、また逆
に CAG リピート数が増加するに従ってスコア
5(経度改善)の割合が増加する傾向が認めら
れた。
【考察】 AGA 対するフィナステリド治療には
客観的診断基準が無い。本研究により AR 遺伝
子 CAG リピート数の遺伝的多型分析が、AGA
に対するフィナステリド投与の診断及び治療基
準の一つとなることが示唆された。
シンポジウム 1 「毛包 ・ 毛髪研究あれこれ」
S1-3
毛乳頭細胞におけるアンドロゲン感受性調
節因子としてのアン ドロゲンレセプターコ
アクティベーター Hic-5/ARA55
S1-4
毛成長促進因子 FGF-7 の毛包でのシグナル
経路
乾重樹(いぬい しげき)1)、福里陽子
中島武之 1)、倉田荘太郎 2)、板見智 1)
岩渕徳郎(いわぶち とくろう)1)、
中沢陽介 1)、飯野雅人 1)、江浜律子 1)、
出田立郎 1)、石井良典 2)
1)、
1) 大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪
再生医学(ア デランス)寄附講座
2) くらた医院
1) 資生堂リサーチセンター
2) 大宮スキンクリニック
目的:アンドロゲンレセプター (AR) コアクティ
ベーター Hic-5/ ARA55 の毛乳頭細胞 (DPC) に
おける活性について解析すること。
方法:男性の髭、前頭脱毛部、後頭非脱毛部の
DPC を用いた半 定量的 RT-PCR およびレポー
ターアッセイを行った。
結果:半定量的 RT-PCR の結果、Hic-5/ARA55
は男性の 髭、前頭脱毛部で高発現しており、
後頭非脱毛部では発現量は低 かった。また、
MMTV ルシフェラーゼレポータープラスドを
DPC に一過性にトランスフェクトして行った
レポーターアッセイの結 果、男性の髭、前頭
脱 毛 部、後 頭 非 脱 毛 部 の DPC で、
Hic-5/ARA55 は AR の ト ラ ン ス 活 性 を 各 々
3.67、12.62、6.28 倍に増強し、DPC において
も AR コアクティベーターとして働くことがわ
かった。さらに、ドミナ ントネガティブ C 末
端 Hic-5/ARA55 は 男 性 の 髭、前 頭 脱 毛 部 の
DPC で AR のトランス活性を 34.9%、40.9% に
抑制し たが、後頭非脱毛部の DPC では影響を
示さなかった。したがっ て、髭および前頭脱
毛部の DPC における内因性 Hic-5/ARA55 の AR
コアクティベーション活性が示された。
結論:AR コアクティベーター Hic-5/ARA55 は
DPC においてアンドロゲン感受性を調節して
いることが示唆された。
FGF-7 (KGF) は上皮細胞増殖因子であり、その
シグナルが細胞内に伝達されるには FGF 受容
体 (FGFR) のみならず、共受容体であるヘパラ
ン硫酸プロテオグリカンであるシンデカン -4
が必要とされる。シンデカン -4 が欠損すると
毛は細くなり [1]、器官培養系において FGF-7
は毛幹成長を促進する [2] ことが知られている。
よって FGF-7 は毛成長促進に有効であり、そ
こにはシンデカン -4 が重要な役割を果たして
いると考えられる。また、ヒト毛包においても
アデノシンが毛乳頭細胞に作用し FGF-7 発現
を亢進して毛成長を促進することが知られてい
る。今回我々は FGF シグナリングに必須なシ
ンデカン -4 の発現部位をヒト毛包で検討した。
ヒト頭皮由来毛包の凍結切片を作成し抗シンデ
カン -4 抗体、抗 FGFR2 抗体で免疫染色を行っ
た。ヒト毛包においてシンデカン -4 は ORS お
よ び matrix に、FGFR2 は DP、ORS、IRS、
matrix に発現していた。FGFR2 とシンデカン
-4 の両方が発現している部位はマトリックス
であった。ヒト毛包では FGFR2 とシンデカン
-4 の両者が発現しているマトリックスが主な
FGF-7 の標的部位であり、マトリックスの増殖
分化を促進することによって毛成長を促進する
のではないかと考えられた。マウスでの標的部
位は報告されており、ヒトと異なっている。生
物種によって同じ増殖因子でも作用経路が異な
る可能性が示された。
[1] Iwabuchi and Goetinck (2006) Mech. Dev.
123:831
[2] Iino et al. (2007) J. Invest. Dermatol. 127
:1825
19
シンポジウム 1 「毛包 ・ 毛髪研究あれこれ」
S1-5
脱毛症の頭髪移植治療:最近の進歩と将来
の課題
S1-6
日本人正常睫毛に関する研究
柳生邦良(やぎゅう くによし)、林光輝
菊池守(きくち まもる)
紀尾井町クリニック
大阪大学医学部形成外科
はじめに:男性型脱毛症、女性型脱毛症、皮膚
疾患や火傷の跡の瘢痕性脱毛などの治療とし
て、頭髪移植(自毛植毛)は効果的な治療法で
あ る。中 で も 毛 包 単 位 ご と に 移 植 す る FUT
(follicular unit transplantation) は、自然さと高
密度植毛の実現が可能な方法として技術的改良
を重ねた形で現在世界的に広く普及している。
本発表では、脱毛症に対する頭髪移植治療の最
近の進歩と将来の課題について触れてみたい。
手術手技:後頭部のドナー頭皮を実体顕微鏡下
で毛包単位ごとに手作業で株分けし、細い針や
ブレードで開けたスリットに、移植株を手作業
で植え込む。移植株は、乾燥を防ぎ、冷所で保
存する。
総合的治療プラン:男性型脱毛症は進行性の疾
患であるので、軽症の段階から広範囲脱毛に進
行する将来の可能性を想定して治療プランをた
てる必要がある。デザイン、株の配分、移植密度、
虚血時間の短縮などの総合的治療プランが重要
である。
最近の進歩と話題:高密度植毛、多量植毛、ド
ナー傷と trichophytic closure、MFU と SFU の
比較、内服薬と育毛、低出力レーザー治療によ
る育毛効果などがある。
治療上の問題点:広範囲脱毛と poor donor の
症例、若年者への精神的対応、喫煙者や瘢痕組
織での定着率の向上、合併症の予防と対策など
解決すべき問題がある。移植株の虚血時間が長
くなる場合は、毛根細胞の保護目的で、保存液
を使用することも考慮する。
将来の課題:ドナー量の制限に対して、細胞培
養による毛根細胞移植、幹細胞移植などが研究
されている。
【目的】睫毛は顔の印象に大きく作用する存在
であり、特に女性にとってはメイクアップによ
り印象を大きく変えることが可能となる重要な
部分である。近年睫毛貧毛症治療薬も発売され
注目を集めているが、これまで正常睫毛に関す
る形態学的研究はあまり報告されていない。
今回我々は日本人正常睫毛における形態、長さ、
角度の把握を目的として計測を行い、同時に本
人の自睫毛に対する認識をアンケートにより調
査したので報告する。
【方法】対象は 22 ∼ 38 歳 ( 平均 25.0±3.6 歳 )
の睫毛に異常が見られない日本人男性 25 人、
女性 25 人合計 50 人の右睫毛。睫毛の毛流、
長さ、密度、毛列数、立毛する角度について検
討した。また、対象者全員にアンケートを行い、
自分の睫毛に対するセルフイメージを(短い・
普通・長い)(まばら・普通・濃い)の三段階
で評価した。
【結果】眼瞼中心部での睫毛の長さは上眼瞼で
男 性 が 平 均 7.40±0.83mm、女 性 が 平 均
7.47±0.68mm、下眼瞼が男性 4.98±0.75mm、
女性 5.56±0.60mm であった。上眼瞼はほぼ 4
∼ 6 列、下眼瞼は 2 ∼ 4 列で配列していた。
密度に関しては眼瞼の正中部 2mm 幅に起毛す
る睫毛数で計測し、上眼瞼が平均 13.68 本、下
眼瞼は平均 6.02 本であった。睫毛の角度は非
常にばらつきが多く評価が困難であった。
【結論】上眼瞼と下眼瞼では有意に上眼瞼の睫
毛が長く、密度も上眼瞼のほうが高かった。ま
た本人へのアンケートと実測値を比較すると、
自分の睫毛を「普通」であると自己評価した群
の平均と全体の平均はほぼ近かった。つまり、
いわゆる「普通」の睫毛の長さというものがあ
る程度共通認識としてあることが推定される。
これによりこの研究により得られた平均値を睫
毛再建、また睫毛貧毛症の治療の基準として利
用できる可能性が示唆された。
20
シンポジウム 2 「眉毛 ・ 睫毛治療の新展開」
S2-1
眉毛・睫毛治療の新展開
S2-2
前 額 部 生 え 際 部 中 間 毛 を 含 ん だ
temporoparietal fascial flap による眉毛再
建
小川豊(おがわ ゆたか)
元村尚嗣(もとむら ひさし)1)、
鶴田大輔 2)、今西久幹 2)、丸山陽子 1)、
坂本道治 1)、原田輝一 1)、石井正光 1)
洛和会音羽記念病院
1) 大阪市立大学大学院医学研究科形成外科
2) 大阪市立大学大学院医学研究科皮膚科
【目的】眉毛および睫毛の自然な外観を持つ再
建
【方法】眉毛は頭毛に比較して毛密度が高く皮
毛角が小さいという特徴を有している。従って
その再建はできれば残存眉毛を使うのが良い。
皮下茎皮弁はその手段として最適である。残存
眉毛の量 部位 形態などと再建部の量 部位
形態を考慮して適応を決める。しかし利用で
きる残存眉毛が不十分な場合頭毛がその材料と
なる。柱状遊離植毛は生着が悪いので皮片を細
くするとか可及的皮下脂肪を切除することが重
要となる。Longacre 法は生着率を高める1つ
の方法である。
睫毛は皮毛角に加え毛の方向、配列、毛の彎曲
など要求される因子が多くその再建は難しい。
眉毛からの柱状遊離植毛が演者の first choice
であるが皮膚欠損を伴う症例では眉毛を使った
皮下茎皮弁が優れている。皮毛角の点から下眼
瞼の睫毛再建は上眼瞼よりむつかしい。
睫毛の部分欠損には葛西の眉毛から縦(垂直方
向)に採取した柱状遊離植毛が残存睫毛との連
続性が自然に保たれ優れている。
【結果】それぞれの症例に適した方法がよい再
建結果をもたらす。
いくつかの症例を供覧し検討を加えたい。
21
眉毛は顔の印象を決定する存在であり、その
欠損は外観上奇異な感じを与えるとともに、本
人の心理的影響も大きく社会的生活をおくるう
えで劣等感の原因となる。眉毛欠損や変形は外
傷、熱傷、母斑・血管腫・悪性腫瘍切除後など
によって惹き起こされる。特に眉毛部は皮膚悪
性腫瘍の好発部位でもあり、その欠損は周囲組
織を含めた大きなものとなることがあり、その
再建には難渋することが多い。これまでに種々
の眉毛再建についての報告があるが、われわれ
は眉毛と中間毛の類似性に着目し、中間毛を用
いた眉毛再建を行った。
毛は形態学的に、硬毛と毳毛に分かれる。硬
毛はさらに、長毛と短毛に分かれる。長毛は通
常 10mm 以上の長さで太く・硬く・色も濃い。
頭毛、髭、腋毛、陰毛、胸毛などがこれにあたる。
一方、短毛は硬毛としての性状は同じであるが
長さがほぼ 10mm 以上に発育しないもので、
眉毛、睫毛、鼻毛、耳毛などがこれに属する。
毳毛が硬毛になる段階で、硬毛ほどには硬く・
太く・濃くない状態で停止するものを Pinkus
は中間毛と呼んだ。中間毛は、皮毛角が小さく・
硬さも柔軟で・細く濃くないという性質を持っ
ており眉毛に類似した性質を有すると言われて
いる。しかし、これまで安全に中間毛を移植す
る方法については報告がなかった。そこで、わ
れわれは temporoparietal fascial flap( 以下 TPF
flap) を茎とした前額部の生え際の中間毛移植
という、安全で確実、そして整容的に満足でき
る眉毛再建法を発案した。皮膚悪性腫瘍切除後
などの上眼瞼皮膚なども含まれるよう比較的大
きな眉毛欠損に対しては非常に有効な方法であ
ると考える。
シンポジウム 2 「眉毛 ・ 睫毛治療の新展開」
S2-3
眉毛植毛と植毛様マユ
S2-4
睫毛植毛について
白澤友裕(しらさわ ともひろ)
峯岸祐之(みねぎし まさゆき)
ヘアー&スキンクリニック
神奈川クリニック
眉毛を再建する方法として、従来より遊離植毛
術(自毛植毛)や皮下茎皮弁術などが行なわれ
てきている。こうした方法に加え、
最近ではアー
トメイク(パーマネントメイク)を使用する医
療 機 関 も 増 え て き た よ う で あ る。当 院 で も
2000 年の開業以来、眉毛の再建には、自毛植
毛とアートメイクを用いてきた。時には、同じ
症例に両者をコンバインして用いることもあ
る。特に、私のマユのアートメイクの方法は、
眉毛植毛の要素も多分に取り入れているので、
「植毛様マユ」と命名している。
自毛植毛の場合、ほとんど Donor に頭髪を用
いるが、この毛を移植して眉毛を作る場合、生
着した毛の太さや向きや角度に難が出ることが
ある。特に女性の眉毛全体を自毛植毛で再建す
る場合にはこうしたことが問題になることが多
く、苦慮させられる。しかし、この植毛様マユ
で眉毛を描くアートメイクを用いることで、時
にはそうした問題を回避することができる。そ
うしたこともあり、また、アートメイクの方が
受ける患者さんも、施術する側も気軽にできる
というメリットもあり、私のクリニックでは、
最近はこの植毛様マユを多用している。もちろ
ん、自毛植毛その他の手術による眉毛の再建に
おける優位性は変らないが、新しいメソッドと
して植毛様マユも紹介する。
22
目的
近年美容、整容外科では目を印象付けたいとい
う要望が高く、重瞼術や目頭切開術などが広く
行われている。
これらの手術を行った患者で更に目を印象付け
たいと希望する患者や重瞼術や目頭切開以外の
方法を希望する患者に対して、当院では睫毛植
毛を行っている。今回当院で行っている睫毛植
毛について報告する。
方法
当院では Choi 式植毛器(柿沼社製睫毛植毛用
size SS)を用いた自己頭髪よりの植毛を行って
いる。後頭部の毛を採取しこれを毛根単位で1
本毎に株分けし植毛する。植毛本数は片側20
本から50本(両側で計40から100本)程
度である。
結果
症例は全て良好な結果が得られた。また患者満
足感も高かった。ただ患者からは術後の毛の自
然成長のため手入れがやや煩雑との訴えが認め
られた。実際の症例写真を供覧する。
考察
植毛した毛は頭部の毛のため原則的には頭髪の
性質を受け継ぐ。そのため睫毛植毛後は通常の
睫毛とは異なる手入れが必要となる。施術後の
経過や注意点について十分な患者説明が必要と
なる。
シンポジウム 2 「眉毛 ・ 睫毛治療の新展開」
S2-5
睫毛増毛剤「LatisseTM」の使用経験
山 下 理 絵(や ま し た り え)
、松 尾 由 紀、
徳田真紀子、近藤謙司、遠山哲彦、鼻岡佳子、
酒井規
湘南鎌倉総合病院形成外科・美容外科
目的:加齢とともに、睫毛は、短く、粗になる。
最近では、50,60 代の人でも、エクステンショ
ンをつけている人が多い。長く、濃い睫毛は、
美人顔に見え、さらにアンチエイジング効果も
あるため、日本女性の多くは睫毛メイクを行っ
ている。今回、睫毛育毛剤「LatisseTM」の使用
経験に関して報告する。
方法:使用した、睫毛育毛剤「LatisseTM」の主
成分は、米国 Allergan が開発したビマトプロ
スト、合成プロスタグランジン F2 誘導体であり、
高眼圧症および開放隅角緑内障の治療に用いる
点眼薬(ビマトプロスト 0.03%点眼液)とし
て広く使用されている。睫毛育毛薬剤としては、
2009 年 1 月に米国食品医薬品局(FDA)に承
認された。
「LatisseTM」の使用方法は、片眼 1
回使いきりタイプの滅菌アプリケーターを用い
て上眼瞼縁にアイラインと同じ要良で 1 日 1
回直接塗布する。米国での 2007 年の臨床試験
では、16 週使用、137 例を対象とし、25% 長く、
106% 密度が上がり、18% 色が濃くなったとい
う結果を得た。今回、塗布効果を、4 週ごとに
ロボスキンアナライザーで写真撮影を行い米国
の治験同様に 16 週間検討した。
結果:「LatisseTM」16 週使用で全例、睫毛増毛
が患者自らの実感、および写撮影結果からも得
られた。米国の臨床結果より、有効性は高かっ
た。副作用は少数であるが、眼瞼周囲の色素沈
着、刺激症状、他部位の育毛(産毛の増毛)な
どがあった。しかし、普段アイラインを使わな
い 70 歳以上、視力が衰えている人には不向き
であった。
結 語:「LatisseTM」は 睫 毛 育 毛 に 有 用 で あ り、
副作用も少なく安全に使用できる。装備されて
いるアプリケーターが米国製であり、太く粗雑
な作りであるため、日本人向けの改良を期待す
る。
23
一般演題 1
1
多血小板血漿(Platelet rich plasma: PRP)
の育毛効果
2
創閉鎖時の FUT 併用療法
瀧川恵美(たきかわ めぐみ)、中村真一郎、
佐々木薫、柳林聡、東隆一、山本直人、
清澤智晴
小島正裕(こじま まさひろ)1)、
藤原敏宏 1)、福田健児 1)、西本聡 1)、
垣淵正男 1)、武石明精 2)
防衛医科大学校形成外科
1) 兵庫医科大学形成外科学講座
2) 東京慈恵会医科大学形成外科学講座
【目的】薄毛の治療の需要は社会的に大きく、
さまざまな治療がおこなわれている。しかし、
その中でも安全で、かつ効果的な方法は限られ
る。多くの分野で用いられている多血小板血漿
(Platelet rich plasma: PRP)の育毛効果につい
て、現在渉猟し得た限りでは、その効果を統計
学的に検証するような臨床実験や治験は過去に
行われていない。そこで、PRP の育毛効果につ
いて、ヒトを対象に臨床治験を行った。
【方法】対象は 13 名 ( 男性 9 名、女性 4 名 ) の
薄毛を気にするボランティアである。観察期間
は 3 ヵ月間で、2 ∼ 3 週ごとに計 5 回の PRP
局所注射を行った。PRP はダブルスピン法を用
いて調整した。PRP 投与部位と対照部位を経時
的にダーマスコープ付デジタルカメラで撮影
し、画像から毛髪数と毛髪の断面積を求め、そ
の変化率について検討を行った。また、同意の
得られた被検者から生検を行い、組織学的な検
討も行った。
【結果】毛髪数に有意な変化は認めなかったが、
断面積では PRP の投与により有意な増加を認
めた。自覚的には洗髪時の抜け毛の減少、髪の
毛にこしが出てきたという変化があった。組織
学的には PRP 投与後に表皮の肥厚、真皮の膠
原線維増生、毛包周囲の血管の増生を認めた。
【結論】本研究で PRP の育毛効果の有用性を統
計学的に確認できた。この育毛効果は PRP に
含まれるさまざまな成長因子によると考えられ
る。現在、同様の作用を期待して脂肪幹細胞由
来の成長因子が製品化されているが、他の生物
製剤と同様に未知の感染症やアレルギーなどの
心配がある。しかし PRP は自己の血液を用い
るため、その心配がない。また、手技も簡便で
コスト的にも優れていることからも、PRP は薄
毛の治療に有用であると考える。
(目的)瘢痕性脱毛症の治療として、小範囲で
は縫縮術が用いられ、縫縮術が不可能な場合に
各種の局所皮弁術などが一般に用いられてい
る。一 方 で 男 性 型 脱 毛 症 の 治 療 と し て
Follicular unit transplantation(以下 FUT と
略す)は現在最も効果的な方法といわれている。
当院では小範囲の瘢痕性脱毛を切除した創閉鎖
直後の創縁への FUT を試みている。
(方法・結果)症例:3歳男性、瘢痕性脱毛部
を切除したのち、瘢痕内の毛包を手作業で株分
けを行い、縫縮した直後の創縁にマイクロ鑷子
で FUT を行った。術後5ヵ月、創縁に沿って
植毛した FU が生着していた。
(考察)瘢痕性脱毛症における縫縮術では、術
後縫合部瘢痕が拡大し目立つ症例がある。瘢痕
性脱毛の治療に、創閉鎖を行った直後に FUT
を併用した。縫縮部の創縁に FUT を行い生着
したため、縫縮後瘢痕部の植毛密度が低くなら
ず、瘢痕がさらに目立ちにくくなることから、
小範囲の瘢痕性脱毛や、眉毛部などの有髪部の
良性腫瘍切除時にも有用と考える。
24
一般演題 2
一般演題 1
3
670nm continuous wave diode laser
(Revage670®)による難治性円形脱毛症、
男性型脱毛症の治療経験
4
フィナステリド錠を投与した 2,561 症例の
解析結果
桑名隆一郎(くわな りゅういちろう)
佐藤明男(さとう あきお)
桑名皮フ科、高知市
東京メモリアルクリニック・平山
研究の目的:難治性の円形脱毛症、男性型脱毛
症 に 対 す る 670nm continuous wave diode laser(Revage670®)の有効性と安全性
の検討
方法:Revage670® を 14.4J/cm2/20min で、最
初の3ヶ月は8回/月、次の3ヶ月は4回/月、
それ以降は2回/月、頭皮全体に照射した。デ
ルモベートスカルプを照射前日、当日、翌日に
朝・夕、患部に外用した。
結果:汎発性脱毛症(2例)では 0%、全頭脱
毛症(4例)では 50%、通常型(11 例)では
82% の症例で脱毛病変部面積の 50% 以上の硬
毛発毛をみた。男性型脱毛症では約 60% の症
例で発毛を認めた。副作用はみられなかった。
結論:Revage670® は他の治療が無効な難治性
の円形脱毛症に有効で安全な治療法と思われ
た。特にステロイドパルス療法やエキシマレー
ザー無効例で治癒例があった点が注目される。
また、男性型脱毛症の一部においても発毛を認
めたが、著明改善例は少なかった。フィナステ
リドなど、他剤の併用が有効かもしれない。
本邦でフィナステリドが認可され 4 年を経過し
ようとしている。その間、フィナステリド錠投
与による AGA 治療は広く認知されてきており、
このフィールドの第一選択薬として認められよ
うとしている。当施設では、AGA 患者に対し
てフィナステリド 1mg 錠を処方した全患者の
データベースを運用している。今回、評価可能
だった 2,561 症例に関して統計解析を実施した
ので、その結果と考察を論述する。
方法は、平成 17 年 12 月 15 日より平成 21 年
6 月 17 日までに当クリニックを受診した男性
患者で AGA と診断した 3,177 症例の疫学的統
計を行った。また、全ての患者に対しフィナス
テリド 1mg 錠を投与し、再診があり Modified
Global Photographic Assessment 法で効評価可
能であった 2,561 症例の統計的解析を実施し
た。
結果は、経度進行 11 症例、不変 284 症例、経
度改善 922 症例、中等度改善 823 症例、著明
改善 248 症例であった。有効と思われる経度
改善∼著明改善は全体の 87.8% を占め、その
数字は川島らが行った 3 年間オープン試験の成
績より多少良い成績だった。また、有害事象は、
23 症例で全体の 0.9% に出現したが生命予後に
関わるような重篤な副作用は認めなかった。
従って、AGA に対するフィナステリド錠投与
は副作用が極めて少なく有効な治療法でること
が結論で来た。その他、改定版 N-H 分類毎の
改善度、年齢別改善度等についても解析したの
で論述する。また、日常臨床で問題となる、部
位別改善傾向の違い、ミノキシジール外用剤の
併用療法、自家植毛術の併用に関しても合わせ
て論述する。
25
一般演題 2
5
もみあげを採皮部とした全層植皮による眉
毛・生え際の再建法
6
Skin derived precursors を用いた毛包誘導
松田健(まつだ けん)、庄野文恵、
細川亙
清水瑠加(しみず るか)、貴志和生、
岡部圭介、中島龍夫
大阪大学形成外科
慶應義塾大学形成外科
【目的】顔面の皮膚悪性腫瘍切除後の皮膚欠損
の再建にあたっては各種の局所皮弁、耳後部、
耳前部、鎖骨上窩からの全層植皮などが行われ
るが、切除範囲に眉毛が含まれる場合には眉毛
の再建も考慮する必要がある。われわれはもみ
あげの毛の性状、密度、毛流が眉毛のそれに比
較的近いことに注目し、皮膚悪性腫瘍切除後の
眉毛欠損の再建に用いる全層植皮の採皮部とし
て用いた。また額の生え際を含む皮膚欠損に対
しても同様にもみあげからの全層植皮を用い、
良好な結果を得た。
【対象および方法】
症例 1、
82 歳女性。右外側眉毛部の有棘細胞癌。
腫瘍辺縁より 1cm 離して眼輪筋下で切除。額
下部から上眼瞼にかけての皮膚欠損、眉毛に関
しては外側約 1/2 の欠損となった。
症例 2、
64 歳女性。右外側眉毛部の基底細胞癌。
腫瘍辺縁より 5mm 離して眼輪筋下で切除。眉
毛外側約 1/2 の欠損となった。
症例 3、83 歳男性。右額上部の有棘細胞癌。
腫瘍辺縁より 5mm ∼ 1cm 離して切除。生え
際を含めた皮膚欠損となった。
いずれの症例においても変形が生じない程度ま
で欠損部を一部縫縮した後、皮膚欠損部と植皮
片の生え際を一致させるようにもみあげより全
層 皮 膚 を 採 取 し、植 皮 術 を お こ な っ た。
Defatting にあたっては毛根を損傷しないよう
に留意した。採皮部はいずれも一期的に縫縮可
能であった。
【結果および考察】いずれの症例においても植
皮片は良好に生着し、切除された眉毛または生
え 際 が 再 建 さ れ た。本 法 は 耳 前 部 の 皮 膚 が
texture, color ともに眉毛周辺への植皮に適し
ているのに加え、同側、または対側からの採皮
部位を考慮することで一定の大きさまでの欠損
であれば生え際、毛流の一致する植皮片が必ず
採取可能であること、皮膚悪性腫瘍の患者の多
くは高齢であり、耳前部からもみあげにかけて
の皮膚に比較的余裕がある場合が多いことな
ど、数々の利点を有していると考えられた。
26
形成外科では、熱傷や外傷受傷後の瘢痕による
頭部禿創に対し、可及的に外科的切除・縫縮を
行っているが、手術の適応外のものも数多く存
在し、また縫合部には必ず瘢痕が残存し、その
無毛部が目立つ傷跡として残ってしまう。よっ
てこのような瘢痕化した皮膚を、付属器を有す
る質感のよい皮膚に置き換えられれば、患者の
QOL を増大させることができると考え、我々
は毛包をはじめとした皮膚付属器を有する皮膚
の再生というテーマで研究を行っている。
毛包誘導能を有する細胞として、毛乳頭細胞が
よく知られている。また最近、毛乳頭細胞に集
塊を作らせることで、毛包誘導効率が上昇する
という報告がなされた。我々は、ある条件下で
培養すると細胞凝集塊を形成する Skin derived
precursors(Skps) に注目し、これが真皮内の幹
細胞と考えられていることから、Skps が毛包
誘導能を有するかどうか検証を行った。
Toma ら の 論 文(Nat Cell Biol. 2001 Sep;3
(9):778-84.)に記載されている方法でマウス胎
生 17 日の胎仔真皮から Skps を培養した。移
植に用いた Skps の細胞凝集塊の特徴を調べた
ところ、sca-1、nestin などのタンパク発現が
陽性であり、fibronectin を分泌していた。さ
らに神経細胞への分化誘導を行ったところ、高
率に神経細胞への分化を認めた。本細胞を 1 ∼
3 週間培養した後に同系のマウス胎仔表皮細胞
とともに免疫不全マウスの背部皮膚欠損創へ混
合移植を行った。4 週間後、C57bl/6J 由来と考
えられる黒い毛包の再生が観察され、組織像に
て脂腺形成を伴った正常の毛包であることが確
認された。
このことより、マウス胎仔真皮に毛包と付属器
を再生させうる細胞が残存していると考えられ
た。
一般演題 2
7
頭髪内腫瘍切除後の小工夫について
8
まつげの植毛とまつげエクステンションと
の比較
黒川正人(くろかわまさと)、佐藤誠、
中山真紀、中山玲伊子
白澤友裕(しらさわ ともひろ)
宝
ヘアー&スキンクリニック
市立病院形成外科
目的:頭髪内には脂腺母斑や色素性母斑が生じ
ることが多い。小さな色素性母斑などは炭酸ガ
スレーザーによる蒸散を行うと、毛根が残るた
めに、術後の禿髪を生じることはない。しかし、
脂腺母斑などで皮膚の全層切除を行った後に、
単純縫合を行うと術後瘢痕の拡大に伴い禿髪を
生じることがある。今回、われわれは術後の瘢
痕性禿髪を最小限に抑える目的で工夫を行い、
良好な結果を得たのでここに報告する。
方法:腫瘍切除の方向はできる限り、毛流に直
交するようにデザインする。無理な場合には回
転皮弁を作成して、瘢痕が毛流に平行になるの
を防ぐ。腫瘍切除後は帽状腱膜下にて剥離して、
埋没縫合を行った段階で創の閉鎖が得られるよ
うにする。
結果:皮弁を作成するために、切開線は延長し
たが、可及的に毛流と平行な瘢痕を形成しない
ために、術後の瘢痕性禿髪は目立たなかった。
考察:頭髪内の腫瘍切除の場合は、単純縫縮が
できれば毛流に可及的に直交する方向に行い、
強い緊張がかからないことが重要である。すな
わち、小腫瘍の切除においても余裕を持って縫
合できるまで、剥離を行うと同時に、無理に引
き寄せて、毛流が瘢痕を境に分かれないように
心がける。単純縫縮では緊張が強くなる場合に
は、基本的に回転皮弁を用いて再建する。この
時に切開線が延長しても、毛流と直交する方向
であれば比較的目立たなくなるので、緊張のか
からない縫合を行うことが重要と考える。
27
まつげの増毛方法としては、様々な方法がある
が、現在主にサロンの施術メニューとして流
行っているものに「まつげエクステンション」
がある。
また、クリニックなどの医療機関での手術とし
て「まつげの植毛」がある。
主に人工の毛をまつげに接着させる「まつげエ
クステンション」は、今やかなりポピュラーに
なってきている。これは、まつげエクステンショ
ンが気軽に受けられることが大きな要因と思わ
れる。一方、自毛植毛によりまつげを増やす「ま
つげの植毛」は、後頭部などからドナーとなる
毛髪を切除し、これをまぶたに移植する手術で
あることから、手軽に受けるには少々抵抗があ
りそうである。
両者には、それぞれメリットとデメリットがあ
り、どちらが優位かは単純に言えない。当院の
患者さんの中には、長い間まつげエクステン
ションの施術を受けていたが、ある時点でまつ
げの植毛の手術を受けた方もいるので、そうし
た例では実体験として両者を比較することも可
能である。
こうした例も含めて、まつげの植毛とまつげエ
クステンションとの比較を行ったので、それぞ
れの施術・手術方法も含めて報告する。
一般演題 2
9
Follicular unit dissection using LCD
monitor with microscopic video camera
Chun Hee Han
Channel Hair Restoration Center, Seoul,
Republic of Korea
Introduction:
It has been established in the hair restoration
literature that the use of magnification during
follicular unit graft dissection results in less
transection and greater graft yield. The
reluctance of surgical technicians to learn to
use them, has prevented some clinics from
utilizing these tools despite the known
benefits of magnification.
Objective:
- To give nurse comfortable position and the
easiest way to learn the dissection
- To control the quality of dissection.
Materials / Methods:
1) Dissect Follicular unit as see the monitor
2) Maintain work distance around 6 feet
3) Use LED light and refrigerant in order to
maintain the low temperature circumstance.
4) Compare monitor viewing system with
conventional microscopic dissection under
same experienced nurses.
Discussion / Results:
The monitor view-dissection system was more
effective than conventional microscopic graft
dissecting system.
Conclusion:
The new procedure helps to the surgeon is
able to see precisely what the technician are
doing and seeing and there is no limitation on
working distance and head and neck range or
motion.
28
会員及び入会希望者へのご案内
● 会員へのお知らせ
(1)勤務先や住所等の変更がございましたら別紙会員調査票にて
変更の旨をお知らせ下さい。変更の届けがない場合は学会から
のお知らせが遅延する事が予想されます。
(2)学会費(年間)をお支払い下さい。今後、学会誌を発刊を計
画しており、学会費にて補われる予定です。学会は会員の皆
様の相互協力で成り立っております。
● 入会希望者へ
(1)入会希望の方は、別紙入会申込書に記入し、下記までご送付
下さい。
(2)申請後の次回開催理事会で承認される予定です。
〒151-0053
東京都渋谷区代々木 2-16-7 山葉メディカルセンター 2F
東京メモリアルクリニック・平山
日本臨床毛髪学会入会申し込み係
29
FAX 送付先 03-5351-1395
日本臨床毛髪学会会員調査票
会員番号
入会日
(不明の場合は未記入)
西暦 年 月 日 (不明の場合は未記入)
※これより下記にご記入下さい
会員種別
1. A会員(臨床系正会員=医師)
(該当するものに○印)
氏 名
2. B会員(基礎系正会員)
3. C会員(技師、看護婦、その他の正会員)
4. D準会員(学生、関連業者などその他個人会員)
5. E賛助会員(企業等)
6. 未加入(今後入会予定)
(ローマ字)
(フリガナ)
印
生年月日
性別
所属名
役職名
西暦 年 月 日
男・女
〒
所属住所
所属TEL
所属FAX
所属E-mail
〒
自宅住所
自宅TEL
自宅FAX
自宅E-mail
学会誌送付先
最終学歴
卒業年度
所属・自宅
年度卒業・見込み
専門医
学位
現在の専門
( 年度取得)
日本臨床毛髪学会申込書
日本臨床毛髪学会理事長 殿
平成 年 月 日
申込者氏名:
印
〒
現住所:
電話番号:( )− −
FAX 番号:( )− −
本籍:
最終学歴: 大学 学部 年卒
医師免許証:有・無 医師免許番号:
卒業履歴:
主たる勤務先:
〒
勤務先現住所:
電話番号:( )− −
FAX 番号:( )− −
E-mail: @
推薦状
日本臨床毛髪学会理事長 殿
平成 年 月 日
氏を日本臨床毛髪学会正会員に推薦します。
私たちは
推薦者
〒
現住所:
名称:
会員歴 年 氏名:
印
協賛
ニドークリニック(株式会社ニドー東京)
万有製薬株式会社
株式会社カキヌマメディカル
科研製薬株式会社
キャンデラ株式会社
キュテラ株式会社
グラクソ・スミスクライン株式会社
医療法人光寿会城陽江尻病院
克誠堂出版株式会社
コラーゲン株式会社
コンバテック ジャパン株式会社
サノフィ・アベンティス株式会社
株式会社三笑堂
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 エチコン ジャパン
株式会社神陵文庫
株式会社全日本病院出版
大正富山医薬品株式会社
田辺三菱製薬株式会社
常盤薬品工業株式会社
株式会社ニーク
株式会社日本ルミナス
はながき皮フ科・形成外科クリニック
株式会社ベアー メディック
明芳外科医院
有限会社メディカルアイシー
株式会社メディカルユーアンドエイ
メンリッケヘルスケア株式会社
株式会社やよい
Lead M Corporation
(順不同)
多くの企業と個人にご協力いただいたことに感謝致します。