災害時の乳幼児栄養 SHIP栄養士がお届けする栄養だより もぐもぐ ごっくん おでけかけひろばSHIP 2012..6 NO.13 乳児のいる家庭の備蓄 水 乳児は水分が途絶えると真っ先に脱水症状に陥ります。 また、ミルクを作るため、粉末やフリーズドライの離乳食を 調理するために水は不可欠です。 国産のミネラルウォーターのペットボトルを5~6L 用意しておきます。 地震や水害などの災害が起こるとライフラインが完備していない状況下での生活では、 水分・食事が制限され、偏った食生活を強いられることが予想されます。特に乳幼児と その母親は「災害弱者」となり、より困難な状況におかれることが考えられます。災害 時を少しでも元気に乗り切るために、東日本大震災をはじめ、各被災地で実際に行われ た栄養・食生活支援を踏まえたガイドラインに基く情報をご紹介します。 非常時、こんな方法でも 哺乳びんがないとき 哺乳びんがないとき・消毒できないときなど、調乳したミルクは スプーンや小さな紙コップで飲ませることができます。 1)赤ちゃんが完全に目覚めている状態で母親のひざの上 ミ ル ク 離 乳 食 ア レ ル ギ ー 食 災害時、母親がけがをしたり疲れなどで母乳が出なくなる こともあるため粉ミルクを用意しておきます。また、粉ミルク は、非常食として乳児以外の人にも利用できます。 に乗せやや縦抱きになるような姿勢をとります。 哺乳瓶・乳首・ガーゼ・スプーン・授乳用紙コップを 用意しておきます。 2)コップを赤ちゃんの唇にふれるようにし、コップの中のミル 粉末果汁、粉末スープ、フリーズドライ・レトルトのベビー フードなどを2~3日分用意しておきます。使用期限には 十分留意します。 プラスチックの皿やスプーン、ガーゼ、ラップフィル ムを一緒にセットしておきます。 災害後、流通の事情が改善しアレルギー用の食品が入 手できるには時間がかかることが考えられます。 保存がきく、半調理品や調味料、菓子類などを普段 から余分に買っておきます。古くなる前に順に使用 するようにします。 ミルク用のお湯は、「サカザキ菌」感染予防のため、1回沸 騰させたお湯(70℃以上が目安)が必要です。大人の非常 食を離乳食に代用するときのためなど、カセットコンロを用 意しておくと安心です。 クが赤ちゃんの唇にふれるくらいコップを傾けます。コップと 赤ちゃんの唇の位置は、コップを下唇に軽く触れるようにし、 コップの縁が上唇の外側にふれるような位置関係になります。 3)赤ちゃんの口の中にミルクを注ぐのではなく、コップを赤 ちゃんの唇につけたまま保持し、赤ちゃん自身で飲むように します。 、 4)赤ちゃんは満ち足りると口を閉じ、それ以上飲もうとしなく なります。必要量は、こぼす分を見込んで調乳します。 (母乳育児団体連絡協議会。災害時の乳児栄養に関する指針より) 阪神・淡路大震災では、コップやスプーンでの哺乳が難 しい新生児や初期の乳児に、滅菌ガーゼにミルクをしみ 込ませて哺乳させた例があります。 災害時こそ母乳が重要 災害時には、お母さんが不安・ショックであるとと もに赤ちゃんも不安定になります。母乳を飲ませる ことによって生きている喜びを母子ともに感じるこ とができます。災害時には、母乳に存在する感染防 御因子が、非常事態で蔓延しやすい下痢や呼吸器感 染から赤ちゃんを守ってくれます。 出産後1年以上経っても、母乳には感染防御的な価 値・栄養的価値が十分にあります。安全な水や離乳 食や食事が手に入るまでの期間、幼児も母乳だけで 切り抜けることができます。 ストレスやショックなどで一時的に母乳の出が悪く なったようでも、普段より頻繁に乳房を吸わせ続け れば回復することが多く、授乳回数を増やせば1日 の総量で必要量に近づけることができます。混合栄 養の場合も、今までより頻繁に乳房を吸わせていれ ば、分泌量の増加が期待できます。 赤ちゃんが母乳を十分に飲めているかどうかの目 安は、1日に5~6回の尿、生後1か月くらいまで は1日3回以上の便があることです。ミルクを一 時的に補充しても、授乳回数を頻回にすることに 務めます。分泌量が回復したら、ミルクを中止し ます。 ママはがんばりすぎないで! ママが疲れてしまうと、母乳が減ったり、 一時的に止まったりすることがあります。 あまり頑張りすぎないで、足りないときは、 一時的に粉ミルクを使うことも視野にいれて。
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