背景 ウールマーク・ロゴ - The Woolmark Company

背景
ウールマーク・ロゴ
トレーニングマニュアル
索引
G1 / L1
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概要
言語
英語
目次
ウールマーク・ロゴの意味
ページ
概要
4
1. 基準と試験
6
1.1. アパレル製品に対するTWCの基準
6
1.2. ウールまたは繊維含有率
7
1.3. 繊維の表面パイル重量
7
1.4. ジクロロメタン(DCM)抽出物
7
1.5. 引張り強度
8
1.6. 破裂強度
8
1.7. 耐摩耗性
8
1.8. 縫い目スリップ
8
1.9. ピリング
8
1.10. 伸縮性/伸長特性
9
1.11. 染色堅牢度
9-10
1. 耐光堅牢度
2. 摩擦堅牢度
3. 水堅牢度
4. アルカリ性湿潤接触に対する堅牢度
5. 洗濯堅牢度
1.12. 洗濯およびクリーニング性能
11
1. ドライクリーニング時の寸法安定性
2. 手洗いおよび機械洗濯時の寸法安定性
3. 洗濯後の外観
4. スチーム使用時の寸法安定性
2 ウールマーク・ロゴの意味
1.13. 撥油性・撥水性
12
1.14. 製造時の外観
12
2. サブブランド
13
3. まとめ
14
ウールマーク・ロゴの意味
3
ウールマーク・ロゴは、世界で最もよく目にする繊維素材のマー
クであり、ほとんどの人にとって、このマークの付いた製品は
100%ピュアニューウールから作られていることを意味します。
これらの製品は主要性能基準を満たした製品であり、消費者にと
っては質の高い製品を購入したということになります。
ウールマーク・ロゴは、イタリア人グラフィックデザイナーの
フランチェスコ・サロリア氏によってデザインされ、1964年に米
国、西欧諸国、日本で発表されました。それ以降、世界100カ国以
上で推進され、最終製品に使用されています。
ウールマーク
100%ピュアニューウール:通常、最大0.3%の他繊維の飛び込みが
許容されます。
100%ピュアニューウールで作られた製品を表すウールマーク・
ロゴの導入以降、他の繊維とのブレンドを対象に、他に2つのマー
クが追加されました。
ウールブレンド
1999年に新設されたウールブレンドは、新毛を30%~49%含みます
(許容範囲は± 3%)。混紡の単糸では、1つのウール以外の繊維が許容
されます。
ウールマーク、ウールマークブレンド、ウールブレンド以外に、これから説明するような、い
くつかのサブブランドがあります。
今日、ウールマーク、ウールマークブレンド、ウールブレンドの各ブランドは、一連のサブブ
ランドと共に、ザ・ウールマーク・カンパニー(TWC)およびその関連会社によって所有され、
管理されています。
これらの記号またはロゴは、広告などに使用されるただのブランドではありません。
これらのマークの付いた製品には、厳密なウールマークテスト方法に裏付けられたザ・ウール
マーク・カンパニーの高い品質基準が適用されています。ザ・ウールマーク・カンパニーは、
製品仕様を明確に定義し、半製品、アパレル、アパレルケア、インテリア、カーペット、糸や
生地といった製品、シープスキン製品に製品タイプを分けています。これらはすべてのライセ
ンシーに提供され、woolmark.comの「Licensee」エリアからダウンロードできます。
これらの包括的な基準は、ウールマーク品質基準が守られるよう、継続して見直されま
す。ロゴを使用するには、最終製品をテストして、製品仕様を満たすことを保証しなけれ
ばなりません。
各テストでは、ウールまたは繊維混用率を判定するだけでなく、製品を着たり洗濯したりし
たときの外観と性能も評価します。
ウールマーク基準は、以下の4つの性能分野を対象とします。
•ウール混用率
•摩耗性能に関連する物理特性
ウールマークブレンド
•染色堅牢度
•寸法安定性
新毛を50%以上含みます(許容範囲は± 3%)。
ブレンド糸またはブレンド布地を構成する単糸では、認められてい
るウール以外の素材は1つだけです。このようにして、製品が新毛
から作られていることを理論的に理解することができます。単糸で
複数成分の混紡を許容すると、通常は数種類のウール以外の繊維を
含むリサイクルウール製品を拒否しにくくなります。ウールとポリ
エステル繊維を単糸にすると、混紡糸が出来上がります。純毛とピ
ュアポリエステルの単糸では混紡糸になりません。同様に、純毛糸
と一緒に織られたピュアポリエステル糸も混紡糸になりません。
4 ウールマーク・ロゴの意味
さらに、TWCは、ニットと織物の両アパレル製品に対し、通常の品質保証手順の一
部として、結び目や穴などの不備に対する製品の外観の評価も行っています。
ザ・ウールマーク・カンパニーによって、特定の製品がザ・ウールマーク・カンパニーの
製品仕様に合格するかどうか判定するために独立したテストを実施することを認定された
試験機関の一覧も、woolmark.comの「Licensee」ページに掲載されています。
本研修マニュアルでは、アパレル製品(ニット、織物、アクセサリー)について、これら
のウールマーク基準、テスト方法、実施する際の関連性を説明します。
ウールマーク・ロゴの意味
ウールマーク・ロゴの意味
5
1 基準と試験
1.1. アパレル製品に対するTWCの基準
1.2. ウールまたは繊維混用率
(TM155はすべてのアパレル製品に適用)
ウールマーク基準
基準AK-1
ニットアパレル製品
基準AK-2
メリノエクストラファイン
基準AK-3
メリノウルトラファイン
基準AW–1
平織り、パイル織り、
プレスフェルト・アパレル製品
基準AW-2
ナチュラルストレッチ製品
基準AC-1
クールウール衣類
基準AM-1
メリノクール衣類
基準を適用する製品
カーディガンとベストを含むセーター、ジャケットとコート、パン
ツ、スカート、ドレス、ガウン、シャツとブラウス、下着、ナイトウ
ェア、靴下(ストッキングとタイツを含む)、レギンス、男女用スー
ツを含む複数ピースの衣類一式、アクセサリー(帽子、スカーフ、手
袋、ネクタイ)
ウールマーク・ニットアパレル製品(ウールマークブレンドとウール
ブレンド製品を除く)
ウールマーク・ニットアパレル製品(ウールマークブレンドとウール
ブレンド製品を除く)
コート(ベストを含む)、スーツ(ジャケットとパンツ)、パンツ、
ドレス、着物、ナイトウェア、アクセサリー(帽子、ショール、スカ
ーフ、手袋、ネクタイ)、ジャケット、コスチューム(ジャケットと
スカート)、スカート、ガウン、シャツとブラウスを含む平織り地か
ら作られた製品。ウールマークは、プレスフェルト、パイル衣類シェ
ル、またはパイル織り地から作られた製品にのみ適用されます。
ウールマーク織物アパレル製品にのみ適用されます
(ウールマークブレンドとウールブレンド製品を除く)
ウールマークおよびウールマークブレンド製品(セーターとカーディ
ガン、コート、ジャケット、スーツとパンツ、コスチューム、スカー
ト、ドレス、着物、シャツとブラウス、靴下、下着を含む)
クールウール製品には、ウールブレンド・ラベルを使用できません
ウールマークおよびウールマークブレンド製品(セーターとカーディ
ガン、コート、ジャケット、スーツとパンツ、コスチューム、下着、
スカート、ドレス、着物、シャツとブラウス、靴下を含む)
ウールの実際の量を判定するため、そして
該当するマークの証明として、テスト方
法TM155が使用されます。繊維混用率は、
第I部 顕微鏡による定性試験、第II部 簡
易分析による定性試験、第III部 連続分析
による定量試験に加え、複雑なケースで
は、3つの方法の結果から判定することが
あります。織物製品の場合は、最初に試
料をばらばらにして、経糸と緯糸、また
は場合によってはパイル糸を分けます。
装飾繊維:
(肉眼で)判別できるレベルで他繊
維を用いた単なる装飾目的で、完成
した製品の重量に許容される割合を
超えない装飾繊維は、繊維組成ラベ
ルに記載する必要はありません。
FIBRE DIAMETER MICROSCOPIC TEST
付加した繊維や糸を簡単に見分けられ
ない場合は、装飾繊維ではありませ
ん。視覚的なルールにおいて唯一認め
られているのは、飾り糸にブークレー
タイプのループを作るフィラメントの
みです。フィラメントがなければ装飾
効果糸を作れないことが理由です。
国によっては、5%のウール以外の繊維が
技術的な効果のために認められています。
刺繍は、表面積の10%まで衣類に施すことが
できます。インドでは、より高い割合の刺繍
をショールとスカーフに施すことができます
が、特別なラベルが必要となります。
SOXHLET OIL EXTRACT APPARATUS
基準AM-2
ピュアメリノウール
すべてのウールマーク・アパレル製品(ウールマークブレンドとウール
ブレンド製品を除く)
1.3. 繊維の表面パイル重量
(TM277は織物製品に適用されます)
1.4. ジクロロメタン (DCM) 抽出物
(TM136はウールニット製品に適用されます)
基準AL-1
ウールプラスライクラ製品
6 ウールマーク・ロゴの意味
靴下を含む織物またはニットアパレル製品(アクセサリー、
下着、ナイトウェアを除く)
表面パイル重量は、単位面積でカットで
きるすべてのパイルの重量を指します。
カットされたパイル重量は、カット前と
カット後の生地の重量差から求められま
す。生地の表面パイル重量の測定値は、パ
イルの密度が高く、高品質の製品を保証
できることを示すために使用されます。
紡毛紡績製品には、糸製造工程で繊維に使わ
れるオイルや加工助剤が含まれます。オイル
など、これらの材料が余分に製品に残ってい
ると、時間と共に腐敗して悪臭を放つことが
あります。オイルなどの加工助剤が原因とな
って、乾燥時に黄変したり、土やほこりを集
めやすくなったりすることがあります。オイ
ルは、繊維が糸および繊維構造から分離し、
ピリングが発生することを防ぐ潤滑油の役目
も果たします。
DCM抽出は、脂肪分の総量(TFM)を判定する
ために実施されるテストであり、有機溶剤
を用いてソックスレー抽出を行います。抽
出後、溶剤は気化し、残留物の重量を測定
します。結果は、汚れていない乾燥してい
るウールの重量の割合として表されます。
ウールマーク・ロゴの意味
7
1.5. 引張り強度
1.7. 耐摩擦性
1.9. ピリング
1.10. 伸縮性/伸長率
(TM4は織物製品に適用されます)
(TM112織物製品に適用されます)
(TM152およびTM196はすべてのアパレル製品
に適用されます)
(TM179はすべてのアパレル製品に
適用されます)
引張り強度とは、布地に単方向の力をか
けたときに、織物を破断するために必要な
負荷です。縦糸方向および横糸方向の破
断強度テストの結果は、ニュートン単位で
報告されます。通常、密度の低い生地で
は結果が低くなり、生地の耐摩耗性や用途
への適合性を評価するのに役立ちます。
耐摩擦性とは、摩擦による見た目と機能の
喪失に生地が耐える能力です。耐摩擦性の
高い生地は、丈夫で長持ちします。TWCの耐
摩擦性テストの原則は、2本の糸が破断する
か、または変色するまで、マーチンデール
試験機を使用し、標準試料に対して生地サ
ンプルを繰り返し摩擦することです。結果
は、摩擦1,000回単位で報告されます。必要
な性能は、生地の用途によって決まります。
ニット製品を着ていると、こすれて繊維が
ほぐれてきます。これらの繊維がからまっ
て毛玉と呼ばれる小さな繊維の玉になり、
繊維に引っかかることで生地に付着します。
ニットに加え、(ずっと程度は低いもの
の)織物も伸長性を持たなければならず、
伸長状態を「与えて」すぐに回復し、すぐ
れた快適さとフィット感をもたらします。
ピュアウール地で適切な仕上げ技術を使用
するか、またはストレッチ素材をブレンド
することで、さらなる伸縮性を備えた織物
を作ることもできます。伸縮性は、特定の
負荷をかけたときの布地の伸びから判定し
ます。伸長特性とは、一定時間、決まった
伸び率まで伸ばした後、布地に残る非回復
伸長率です。伸長テストでは、伸長性の割
合を測定します。伸長結果では、非回復伸
長率の割合を測定します。この結果から、
生地のたるみの可能性を予測します。
1.6. 破裂強度
(TM29はニット製品に適用されます)
1.8. 縫い目スリップ
着用時の製品の穴の開きにくさは、紡毛紡
績糸やデリケートな繊維から作られるニ
ットウェアで特に重要となります。破裂強
度は、ニット製品の強度を示すために使
用されます。テストでは、生地サンプルが
膨張する隔膜に固定されます。布地が破断
点に到達するまで、空気圧または水圧で隔
膜を膨張させます。結果は、生地サンプル
を破断するために必要な圧力として、キロ
パスカル(kPa)単位で報告されます。
TWCがニットウェアに実施するテスト方法
(TM152)では、ニット生地サンプルをゴム
管に巻き付け、コルクが内張された箱に入れ
て一定期間回転させます。試験装置は、ICI
Pilling Box試験装置と呼ばれます。
(TM117は織物製品に適用されます)
縫い目スリップでは、生地の縫い目に生じた
縫い目の開きを測定します。縫い目に負荷が
かかると、縫い目に隙間や穴ができます。テ
ストには、縦糸方向および横糸方向の隙間が
含まれますが、糸の切れは含まれません。テ
ストでは、布地試料が特定の縫製条件で幅い
っぱいに縫い合わせられます。縫い目に直角
に試料に負荷がかけられ、縫い目が開くとこ
ろが測定されます。この試験は繊維密度、織
り方、縫い目のタイプに左右されます。
テスト方法(TM196)は、織物製品
で実施されます。生地サンプルをマ
ーチンデール試験装置で摩擦し、摩
擦1,000回単位で評価します。
1.11. 染色堅牢度
織物は、使用や環境要因によって変色しま
す。洗濯またはドライクリーニング、光、
汗は、いずれも変色の原因となります。染
色堅牢度は、変色あるいは洗濯の場合は隣
接する生地への移染の度合いから判定しま
す。エンドユーザーに許容される範囲の製
品の染色堅牢度を予測または把握すること
が重要です。
染色堅牢度の結果を(グレースケールを使
用して)1~5の評点方式で報告します。
5級は最高、1級は最低の性能を表します。
1.耐光堅牢度
(TM5はすべてのアパレル製品に適用さ
れます)
これは長時間の露光に伴う生地の変色
です。このテストは、温度および湿度
管理下でサンプルをキセノンアークラ
ンプ(自然照明)にさらすことによっ
て行われます。退色特性が確認されて
いる染色したブルースケールを試料と
同じ光源にさらします。耐光堅牢度
は、試料の変色を染色したブルースケ
ールと比較することによって評価され
ます。耐光堅牢度は、同様のコントラ
ストを示す耐光堅牢度スケールでのブ
ルースケールの数値に対応します。
標準の写真と比較して、ピリングの度合いを5
級から1級まで(5級が最高)で評価します。
多くの要因がピリングの傾向に影響を及ぼ
し、最終製品の感触、特に柔らかさにも影
響を及ぼします。ピリングを抑制したり、
ピリングと感触の最適なバランスを見出し
たりするための簡単な答えはありません。
ブルースケールと試料
動作中の破裂強度試験装置
8 ウールマーク・ロゴの意味
縫い目の開きの測定
グレースケール-変色
ニット地の伸長テスト
ウールマーク・ロゴの意味
9
2.摩擦堅牢度
(TM165はすべてのアパレル製品に適用されます)
摩擦堅牢度は、染色面と別の面(通常は淡い色)を互いにこすり合わせ
たときの移染の度合いから判定します。試験装置はクロックメーターと
呼ばれます。この装置に載せられた繊維試料は、標準白布とこすり合わ
され、白布への色移りから結果が判定されます。標準白布が湿っている
場合、このテストでは、製品の湿式摩擦堅牢度が測定されます。
3.水堅牢度
(すべてのアパレル製品に適用されるTM6)
このテストは、試料がどちらも湿潤状態にあり、互いに接触している
場合に染色された下地から別の下地への物理的な移染を確認するため
に実施されます。未固着染料が処理過程で取り除かれなかったかどう
か確認する目的でも実施できます。試料を同等のサイズの多繊維交織
布に付け、水に浸し、パースピロメーターのプラスチック板の間に置
いて圧力をかけます。機器と試料は、インキュベーターオーブン内で
一定時間、指定の温度に維持します。堅牢度は、試料の変色と多繊維
交織布への色移りを評価して判定します。
4.アルカリ性湿潤接触に対する堅牢度
人間の汗に常に接触する色物衣類は、局所的に変色すること
があります。試料がどちらも湿潤状態にあり、互いに接触し
ている場合、色が別の下地に移染することがあります。
アルカリ性湿潤接触に対する堅牢度は、汗に似た湿潤アルカリ環境下
またはウール織物が洗濯サイクルの完了後に全自動洗濯機内に放置さ
れた状態でのウール試料の染色堅牢度を判定するためのテスト方法で
す。テストと評価手順は、試料を試験中にアルカリヒスチジン溶液に
浸しておくことを除き、水堅牢度と同様です。
5.洗濯堅牢度
洗濯堅牢度は、通常の手入れ方法の一部として家庭で繰り返し洗濯
した後の色の安定度を評価するために判定します。洗濯堅牢度は顧
客の不満につながる主な要因です。洗濯堅牢度の試験は、5回以上
の家庭洗濯または商業洗濯にほぼ相当する加速洗濯法による試験
です。試料は、多繊維交織布に付けられ、ランドロメーターと呼
ばれる機械に入れられた缶の中で洗濯が行われます。洗剤は標準洗
剤が使用されます。結果の評価は、水堅牢度の場合と同様です。
1.12. 洗濯またはクリーニング性能
製品には、良好な状態を保つために洗濯、乾燥、アイロンがけの方
法について、衣類の手入れに関する消費者への指示を記載した取扱
表示が必ず付いています。しかし、洗濯工程は、寸法安定性、染色
堅牢度、全般的な外観など、製品のさまざまな特性に影響を及ぼす
可能性があります。衣類が適切な取扱表示を満たせるよう、洗濯お
よびクリーニングにおける各種性能を評価する試験方法が策定され
ています。
1.ドライクリーニング時の寸法安定性
一部の衣類は、品質を維持するために、プロのクリー
ニング業者に持ち込む必要があります。ドライクリー
ニング時の寸法安定性は、ドライクリーニングをシミ
ュレートして、ドライクリーニング時に試料に起こる
寸法変化を促すテスト方法です。クリーニングに必要
な攪拌を行うローターに取りつけた円筒容器に、印を
付けた生地サンプルと溶媒を入れます。洗濯して乾かした
後、布地試料の寸法を測定し、縦糸方向および横糸方向
の収縮を個別に測定します。シミュレートするドライクリ
ーニング用の機器を使用できない場合は、代替試験として、
3回の商業ドライクリーニングが許容されています。
2.手洗いまたは洗濯機による寸法変化
衣類を洗濯すると、攪拌、水、温度の影響で寸法変化が起こる
ことがあります。ウール製品の場合、洗濯サイクルの強さに応
じて、2種類の寸法変化が起こります。緩和(収縮/伸長)寸法
変化は、生地と製品の製造時のテンションが解放されることに
よって引き起こされます。この寸法変化は、最終製品について
のみ報告します。フェルト化寸法変化は、水溶液中の熱と攪拌
により、ウール繊維が徐々に絡まって引き起こされる不可逆的
な収縮です。
ウール織物の洗濯時の寸法安定性にかかわるテスト方法は、すべ
てのウォッシャブル製品(手洗い、マシン・ウォッシュ、トータ
ル・イージーケア[TEC])に適用されます。テストは、規定され
た洗剤と負荷を使用して、7A(緩和およびフェルト化寸法変化)
および5A(フェルト化寸法変化のみ)洗濯サイクルプログラムに
基づき、Wascatorと呼ばれる特殊な洗濯機で行われます。使用す
る洗濯サイクルプログラムの選択とサイクルの回数は、取扱表示
と製品タイプによって異なります。TEC製品では、タンブル・ド
ライの寸法変化と外観への影響も評価します。
3.洗濯後の外観
(TM298およびTM281はTEC製品に適用されます)
衣類は、価格に見合う価値を長期にわたって維持できるようよ
う、良好な寸法安定性と染色堅牢度のほかに、洗濯しても外観
の形状が崩れないことが重要です。
ニット衣類に実施するテストは、洗濯および乾燥後のニット
製品の外観評価(TM 298)です。試料の洗濯後の外観を既知の
標準と比較して、1~5の等級で評価します。全体的な評価条件
には、部分的なフェルト化、色の一様性、ねじれ、製品の対称
性、パッカリングも含まれます。
織物衣類では、洗濯後の外観テスト(TM281)がマシンウォッシ
ャブル製品に適用されます。織物布地または衣類は、適切な回
数の洗濯サイクルを行って乾かした後、布地と縫い目のなめら
かさ、折り目の保持を目視検査します。サンプルをウールマー
ク独自の標準サンプルと比較して、なめらかさと折り目の耐久
性を確かめ、AATCCレプリカを使用して縫い目のパッカリングを
判定します。結果は、1級(不良)~5級(優良)の評価システ
ムで報告します。
4.スチーム使用時の寸法安定性
(TM290はストレッチ表示のある織物製品に適用されます)
ウール繊維は、熱と湿度の影響を受けやすい性質を持っていま
す。スチームプレスでは、衣類または布地に緩和収縮も起こり
ます。わずかな緩和収縮は製造時の衣類の成形に役立ちます。
しかし、過剰な緩和収縮は、衣類のサイズや型崩れの問題につ
ながることがあります。このテストは、織物にスチームを使用
した場合の寸法変化を評価します。織物試料は、張力をかけず
に平面スチームプレスでスチームしてから、寸法変化を測定し
ます。結果は、縦方向と横方向の寸法変化をパーセント値で報
告します。
寸法変化を評価することとは別に、このテストでは、製造に
際してストレッチ織物のストレッチ繊維のセット不良が発生
しないように留意します。
すべての製品について、報告するテスト結果には、緩和、フェ
ルト化、および全体的な寸法変化を縦方向および横方向で測定
し、パーセント値で記載しなくてはなりません。
10 ウールマーク・ロゴの意味
ウールマーク・ロゴの意味
11
2 サブブランド
1.13. 撥油性・撥水性
(TM258は撥油性・撥水性の表示のあるすべてのアパレル
製品に適用されます)
ザ・ウールマーク・カンパニーは、ウールの特有の性質を差別化するため、サブブランドを立ち上げ
ました。サブブランドは、ウール素材およびウール製品の機能性に関して技術的な製品革新をサポー
トするためにも活用されます。
しみや汚れの付着防止性または撥水性などの機能加工は、アパレル
(特にアクティブウェアやイージーケア製品)で一般的です。
サブブランドのメリット
この試験方法では、さまざまな試験用液体を製品にたらし、一定時
間後に製品へのしみ込みを判定することによって、ウール製品の撥
油性と撥水性を評価します。
撥油性の評価には、表面張力の異なる8種類の標準オイルを使用
し、撥水性の評価には、水/2-プロパノール溶液を使用します。
最も数字の大きい試験液が製品を湿らせて染み込んだ時点で、撥油
性・撥水性の等級を評価します。8級の試料が最高、0級の試料が最
低の撥油性・撥水性です。
1.14. 製造時の外観
サブブランド
消費者メリットとなる特徴
要件
ピュアメリノウール
製品が天然でファインな感触を持ったメリノ・ウールから作られ、
肌触りにすぐれ、柔らかさと極上の贅沢さを提供します。
平均ウール繊維直径は22.5 μm(絶対限界)
未満です。
扱いやすさ、柔らかさ、肌あたりの良さが特徴の贅沢なメリノ
ウールです。
平均繊維直径は19.5 μm未満です。
テスト時の誤差を見越して0.25 μmの許容差が設け
られ、絶対限界は19.75 μmとなります。
見た目と肌触りに優れた最高級品です。
平均繊維直径は17.5 μm未満です。
テスト時の誤差を見越して0.25 μmの許容差が設け
られ、絶対限界は17.75 μmとなります。
クールウール
選ばれた羊毛から作られた製品で、吸湿して涼しさを保つというウー
ル特有の能力を利用して、1年を通して特別な快適さを提供します。
梳毛紡績糸を使用し、製品のテクスチャーはクリア
で美しく、織物重量は190 g/m2を超えないものとし
ます。平均ウール繊維直径のは22.5 μm未満です。
フラットニット製品では、最終糸番手が12Nm以上。
メリノクール
このラベルは、軽量で通気性があり、極上の肌触りの、シーズンを問
わず着用できる製品に使用できます。メリノクールは、美しい天然の
ドレープを備え、ファッションに欠かせない存在です。
ウール含有量は50%以上、平均繊維直径は22.5
μm未満です。梳毛紡績糸を使い、製品表面を
明るくきれいにしなければなりません。織物
重量は165 g/m2未満です。フルファッションの
ニット製品の最小ゲージは14ゲージです。
ナチュラルストレッチ
このラベルは、伸縮性を持たせるよう特別に仕上げられた、
この上ない快適さに加え、スタイルと品質を維持したまま動
きやすさも実現した、ピュアニューウールで作られたアパレル
製品に付けられます。
最低10%の二方向伸縮性または縦・横の
一方向に最低12%の伸縮性を備える100%ピュアニ
ューウールから作られた織物製品です。
非回復伸長率は3%を超えてはなりません。
織物にスチームを使用した場合の寸法変化
は、3%の収縮を超えてはなりません。
ウールプラスライクラ
ウール地にライクラ繊維を添加することで、伸縮性と回復力が加わ
り、快適さと性能が向上します。これにより、より先進的なウール製
品を作る事が可能になります。
製品の新毛混用率は、50%以上でなければ
なりません。ライクラの最大混用率は、
製品タイプによって変わります。
詳細は、製品基準AL-1に記載されています。
生地の二方向伸縮性は最低15%、または
縦・横の一方向に最低18%とします。
非回復伸長率は3%を超えてはなりません。
織物にスチームを使用した場合の寸法変化
は、3%未満の収縮でなければなりません。
SUPER S
Super Sラベルは、IWTOに代行してザ・ウールマーク・カンパニーが管理
しています。Super S方式は、ファインウール生地を識別するためにデ
ザインされたものです。Super 80’s~Super 250’sの範囲から構成され
ています。「S」番号が大きくなるほど、ウールが細く柔らかくなりま
す。製品がTWCとIWTO製品基準を満たしていれば、Super S生地説明をウ
ールマーク記号と一緒に使用することができます。TWCは、IWTOに代わっ
て、Super S製品へ「S」ロゴの使用をライセンス付与します。ある会社が
ウールマークのライセンシーでもある場合、ウールマークと縦に伸びた
「S」マークの両方を表示したラベルを使用することができます。
製品は、IWTOコードオブプラクティス2/102[2011]
に規定されたとおり、ピュアニューウールで
製造しなければなりません。最大平均繊維直
径は、「Super S」に関するIWTO適正実施基
準の最新版に適合する必要があります。
メリノエクストラフ
ァイン
撥油性・撥水性テスト
メリノウルトラファ
イン
(TM206およびTM288はすべてのアパレル製品に適用されます)
めまぐるしく変化するファッション市場で消費者の購入意欲
につながるものは、見た目が良く欠陥のない衣類だけです。し
たがって、衣類に欠点がなく、期待どおりの外観であること
を確認するため、目視検査を行います。製造工程と製品要件が
異なることから、ニット製品(TM206)および布帛(織物)製
品(TM288)にはそれぞれの検査手順が用意されています。
ニット製品の検査では、受け取ったままの状態または洗濯後に評価
が行われます。欠点が認められた場合は、欠点コードを使用して記
録します。目立つ場所または目に付きやすい場所にある欠点は、
重大欠点として等級付けします。衣類の欠点とは別に、洗濯後の外
観には、検査条件のとおり、色、対称性、縫い目のほつれ、スポッ
トフェルト化が含まれます。検査報告書には、重大な欠点の個数
に加え、バッチの個々の試料の合格/不合格状態を記録します。
織物製品では、試料を点検し、見つかった欠点を、関連する基準に
照らして「可」または「不可」として記録します。縫い込みラベル
と下げ札もチェックし、TWCの要件に適合しているか確認します。
これは通常、非破壊検査であり、主観的な検査ですが、目的は、製
品の品質が商品としてふさわしいかどうかを確認することです。
縫い目(リンキング)のチェック
12 ウールマーク・ロゴの意味
ウールマーク・ロゴの意味
ウールマーク・ロゴの意味
13
3 まとめ
ウールマークブランドとそのサブブラン
ドは、繊維含有率、目的適合性、着用およ
びケア性能に関して製品を認証し、消費
者の期待を満たすために使用されます。
ウールマークブランドが世界中で一貫し
て使用されるよう、客観的な基準と品質
管理システムが設定されています。使用
とテスト方法は、最新の慣行に一致する
よう、常に見直されています。これによ
り、産業界と消費者の両方に、品質保証を
通じた安心感を与えることができます。
14 THE MEANING BEHIND THE WOOLMARK LOGO
THE MEANING BEHIND THE WOOLMARK LOGO
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