中央大学理工学部情報工学科
卒業論文
ヨーロピアン・オプション・アプローチ
による企業の倒産確率推定
学籍番号
星
指導教員
00D8103005L
里佳
田口
東
2004 年 3 月
教授
あらまし
本研究では,倒産の法律上の定義である「負債を現有資産の売却によっても返済でき
ない」という点に着目し,企業のバランスシート上において資産価値が負債価値以下に
なったときを倒産とした.そして,企業の財務データ,株価データを用いて,企業資産
を原資産,負債価値を行使価格,企業の資本をヨーロピアン型のコール・オプションと
みなす,ヨーロピアン・オプション・アプローチによって倒産確率を推定する.倒産し
た企業に対して倒産確率を月毎に算出し,その推移から倒産を予測するための基準を設
ける.この基準を用いて,特定の業種における現存企業を「倒産兆候企業」,
「注意企業」
,
「安全企業」の 3 つに分類する.
キーワード:倒産確率,ヨーロピアン・コール・オプション,株価ボラティリティ,ブ
ラック=ショールズモデル
目次
第 1 章 はじめに ................................................................................................................. 1
第 2 章 企業の評価.............................................................................................................. 2
2.1 格付け.................................................................................................................................2
2.2 倒産確率 .............................................................................................................................4
2.2.1 倒産の定義............................................................................................................4
2.2.2 倒産確率の推定方法 .............................................................................................5
第 3 章 オプション・アプローチによる倒産確率推定モデル .............................................. 7
3.1 オプション .........................................................................................................................7
3.2 ヨーロピアン・オプション・アプローチ ...........................................................................8
3.3 定式化.................................................................................................................................9
3.3.1 企業資産の確率過程 .............................................................................................9
3.3.2 ヨーロピアン・オプション・アプローチの定式化 ............................................. 11
3.4 パラメータ .......................................................................................................................13
3.4.1 パラメータの推定 ...............................................................................................13
3.4.2 株価ボラティリティ ...........................................................................................17
第 4 章 実証分析 ............................................................................................................... 22
4.1 NEEDS Financial QUEST..............................................................................................22
4.2 倒産企業の倒産確率推移 ..................................................................................................25
4.3 倒産企業と現存企業の倒産確率推移 ................................................................................30
4.4 倒産確率と株価 ................................................................................................................31
4.5 現存企業の分類 ................................................................................................................34
第 5 章 おわりに ............................................................................................................... 36
謝辞
37
参考文献
付録
38
i
第1章
はじめに
「大企業は潰れない」というのが,長い間,日本では常識だった.事実,1980 年代
までは,上場企業の大型倒産は,せいぜい 2 年に 1 度あるかないであった.しかし,近
年では,長引く不況の中で上場企業の倒産・経営破綻は後を絶たない状態が続いており,
2000 年に 15 件,2001 年に 21 社,2002 年に 22 社もの上場企業倒産するなど,上場
企業の倒産は恒常化している.2003 年から倒産件数はやや減少傾向にあるものの,い
まだ世間の関心は安定した企業がどこであるのか,どの企業が倒産の危険性があるのか
といったことに向けられている.
しかし,様々な経営分析手法や経営指標が世間に出回る中で,専門知識のない一般の
人がこれらの指標を見て,企業がどのような状態であるのかを把握するのは難しい.簡
単に企業の状態を把握するための方法はいくつかあるものの,対象企業が限られている
場合がある.そこで,本研究では,倒産確率に注目し,その値の推移を見ることによっ
て簡潔に企業を評価していく.
1
第2章
企業の評価
2.1 格付け
近年,大企業の倒産が日本でも本格化しつつある.投資家や社会人,就職活動をする
学生をはじめ,世間はそれぞれの企業の状態がどのようになっているかを知ることに関
心がある.その目安になるものの 1 つとして格付けがある.
企業の格付けとは,企業の支払能力の程度を表すものである.企業は,返済期日まで
に負債の元本の返済ができないと,事実上倒産に追い込まれる.格付けは企業が倒産す
る可能性がどれだけ高いかを示すものでもある.
格付けのランクの刻みは,格付け会社が独自に定義を定め,利用者に示すものである.
通常,アルファベット符号の A,B,C,D を最大 3 個まで組み合わせて,支払能力の
高い順に,AAA,AA,A,BBB という具合にグループに分けていく.
格付けは企業の状態を簡単に知るために非常に有効な指標であるが,特定の企業しか
対象としていない.そのため,格付けのされていない企業の状態を知るためには,様々
な財務指標や,企業のバランスシートなどから自分で把握しなければならない.表 2.1
に代表的な指標を,図 2.1 にバランスシートを示す.
表 2.1 代表的な指標
自己資本比率
安定性
固定比率
負債比率
借入金依存度
売上高営業利益率
収益性
自己資本利益率(ROE)
支払い能力
規模
流動比率
キャッシュフロー
総資本に対する自己資本の割合.高いほど良
い.
自己資本が,どの程度固定資産に投資されてい
るのかをみる.低いほど好ましい.
自己資本に対する負債の割合.低いほど良い.
総資本のうち金利負担のある資本の割合を見
るもの.20%以下が目標.
営業活動の効率性をはかる指標.この数値が高
いと営業力が高く,かつ販売経費をかけずに商
品が売れている.
株主の持分に対する投資収益率を表す.この数
値が高くなるほど,自己資本をうまく活用して
利益を順調に上げていることになる.
短期の負債に対する企業の支払い能力を見る
ための指標.200%以上が望ましい.
いわゆる自己資金.会社が使える資金の流れ.
2
図 2.1 バランスシート
バランスシートは,資産の部,負債の部,資本の部に大別することができる.
● 借方(かりかた)
調達した資金を,どのようなものに投じたのかを表す.これは,会社が経営活動する
のに必要な財貨や権利などの資産となる.
・ 資産
会計上,流動資産(1 年以内に回収される資産),固定資産(1 年以上にわたって
所有する資産)
,繰延資産(支出の効果が 1 年以上に及ぶもので前払費用以外の
もの)に大別できる.金銭と金銭的価値のあるものをまとめて資産という.
● 貸方(かしかた)
貸方は,企業がどのようにして資金を調達したのかを表す.負債と資本に分かれるが,
負債は他人資本とも呼び,銀行等からの借入により調達したものをいい,将来返済を
するものである.資本は自己資本とも呼び,株式を発行するなどして調達したもので,
資本金などがそれにあたるが,よほどのことがないかぎり将来返済をするものではな
い.
・ 負債
流動負債,固定負債に大別できる.流動負債は,おおむね1年以内に債務を履行
するもので,固定負債は 1 年を超えるものをさす.
・ 資本
資本金,法定準備金,剰余金に大別できる.会計上の資本とは,会社の所有する
持分のことで,資産から負債を差し引いた額のことをさす.
これらをみて,企業の状態をぼんやりとは把握できるが,更なる専門的な知識が必要
である.本研究では,倒産確率を推定することで,簡潔に企業の状態を示す.
3
2.2 倒産確率
2.2.1 倒産の定義
日常的に使用する「倒産」という言葉は,法律用語ではない.一般的には「企業経営
が行き詰まり,弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指す.具体
的には,以下に挙げる 7 つのケースのいずれかに該当すると認められた場合を「倒産」
と定め,これが事実上の倒産の定義となっている.
(1)2 回目不渡りを出し,銀行取引停止処分を受ける.
(2)内整理する(代表が倒産を認めた時)
.
(3)裁判所に会社更生法の適用を申請する.
(4)裁判所に商法による会社整理の適用を申請する.
(5)裁判所に民事再生法の手続き開始を申請する.
(6)裁判所に破産を申請する.
(7)裁判所に特別清算の開始を申請する.
このうち,(1)と(2)が「任意整理」,(3)∼(7)を「法的整理」と大別できる.また,倒産は
会社を清算(消滅)させる 清算目的型 と,事業を継続しながら債務弁済をする 再
建目的型 に分けられる.清算目的型は「破産」,「特別清算」等の,大部分の任意整理の
ことを指し,再建目的型は「会社更生法」,「民事再生法」
,「商法整理」,そしてまれに任意
整理の一部のことを指す.
「任意整理」では,倒産会社と債権者の任意の話し合いにより,会社の資産・負債な
どが整理される.この際,裁判所の法的な拘束を受けることはなく,「法的整理」では,
裁判所の関与と監督により整理が行われる.
以下に語句の解説をする.
・内整理
法律上の手続きによらないで,当該企業と債権者双方間で自主的協議を図り,負債整
理並びに更生策についての計画を作成して企業の構成を図るもの.
・会社更生法
申請の対象は株式会社のみで,会社が消滅すると社会的に大きな影響のある上場企業
や大企業の倒産に適用されるケースが大半である.旧経営陣は原則としてその後の経営
に関与できなくなるが,経営責任のない場合に限り,経営に関与することができる.
裁判所は「更生手続きの開始決定」と同時に管財人を選任し,事業を継続しながら管
財人の下で「更生計画」が作成される.
・商法整理
申請の対象は株式会社のみで,実際の適用例は少なく,債権者数の少ない倒産企業に
4
適用されるケースが多い,旧経営陣は倒産後も経営に関与することが可能である.法的
な債権者集会の開催の義務がなく,個別の債権者との話し合いで商法整理案が協議され
る.整理案の成立には原則として債権者全員の賛成が必要で,整理案の実行中は裁判所
の監督下におかれる.
・民事再生法
全ての法人及び個人に適用される.経営破たんが深刻化する以前の早期再建を目的と
している.経営権は原則として旧経営陣に残るが,利害関係人の申請または裁判所の職
権により監督命令・管理命令が出される場合もある.
・破産
倒産会社の財産全てを換価して,債権者の優先順位と債権額に応じて配当を行う強制
執行手続.倒産会社自らが申し立てる「自己破産」倒産会社の役員が会社の破産を申し
立てる「準自己破産」
,債権者(第三者)が破産を申し立てる「第三者破産」の 3 つに
分けることができる.
・特別清算
更新の対象は株式会社のみで,会社が解散登記されていることが前提となる.解散登
記により就任した生産人が整理の手続を行い,債務弁済の金額・時期・方法などを定め
る協定案を作成する.
2.2.2 倒産確率の推定方法
倒産確率を推定するために,従来から数多くの方法が提唱されてきた.倒産確率の推
定方法は以下のように分類することができる[1].
・格付けデータを用いるアプローチ
将来の倒産確率を,格付けデータを用いる推定方法であり,格付け会社の公表する
格付けデータを様々な角度から統計分析し倒産確率を推定する.
・財務データを用いるアプローチ
公表されている財務データを利用して個別企業の倒産確率を推定する.判別分析,
線形回帰分析,非線形回帰分析(ロジット分析,プロビット分析等),ハザードモデ
ルといった方法がある.
・オプション・モデルを用いるアプローチ
倒産の法律上の定義である「負債を現有資産の売却によっても返済ができない=債
務超過」となる確率を倒産確率とする.企業資産を原資産とし,負債価値を行使価格
とするコール・オプション価値とみなして,倒産確率を推定する.
・マクロファクターを用いるアプローチ
5
倒産確率をそれに影響を与えるマクロ経済要因で倒産確率を推定する.
・その他
本研究では「オプション・モデルを用いるアプローチ」によって企業の倒産確率を推
定する.
6
第3章
オプション・アプローチによる
倒産確率推定モデル
3.1 オプション
オプションとは,ある目的物(原資産)を一定の期日(権利行使日)に特定の価格(権
利行使価格)で買い付ける,又は,売り付ける「権利」をいう.
買う権利をコール・オプション(図 3.1 参照)といい,オプションの買方は,市場で
原資産がどんな価格でも,決められた価格で原資産を買うことができ,オプションの売
方は,決められた価格で原資産を売らなければならない.
一方,売る権利はプット・オプション(図 3.2 参照)といい,オプションの買方は,
市場で原資産がどんな価格でも,決められた価格で原資産を売ることができ,オプショ
ンの売方は決められた価格で原資産を買わなくてはならない.
図 3.2 プット・オプション
図 3.1 コール・オプション
オプションは,権利行使のタイミングという点から見ると,定められた期限内ならい
つでも権利行使可能なアメリカン・オプションと,期限末にしか権利を行使できないヨ
ーロピアン・オプションに分けられる.
以上をまとめたものを表 3.1 に示す.
7
表 3.1 オプション取引
オプション取引
ある商品(原資産)を買う,又は売る権利の
取引.都合の良いときにだけ実行できる予約
コール
ある商品(原資産)を買う権利
プット
ある商品(原資産)を売る権利
プレミアム
オプションの価格
ヨーロピアン
満期日にしか権利行使ができないタイプ
アメリカン
満期日までいつでも権利行使ができるタイプ
ヨーロピアン・コール・オプションとは,権利行使日にのみ権利を行使することがで
きるコール・オプションのことである.
3.2 ヨーロピアン・オプション・アプローチ
本研究では,ヨーロピアン・コール・オプションにおける取引商品(原資産)に企業
資産を,権利行使価格に負債価値を,権利行使日に倒産確率推定日をそれぞれ対応させ,
倒産確率を推定する.
コール・オプション価値は取引商品(原資産)の価格から権利行使価格をひいたもの
である.つまり時点 T (権利行使日)における自己資本の価値(コール・オプション価
値)は,資産価値から負債価値をひいたものとなる.
図 3.3 に倒産の概念図を示す.
A0
資産
B0
AT
BT
負債
資産
負債
債務超過
E0
資本
倒産
t = 0:現在
t = T:将来
図 3.3
現在および将来の企業のバランスシート
8
例えば,現時点(t=0 )と将来のある時点(t=T )での企業のバランスシートが
図 3.3 のようになっていたとする.
倒産確率を推定する場合, At (t=0,T )は資産価値を, B t (t=0,T )は負債
価値を,Et (t=0,T )は自己資本価値を表す.ここで,倒産確率を推定する下では,
資産価値,自己資本価値は市場価値(時価)で評価されているのに対し,負債価値は返
済が契約時の価値で行われるため,利子払いを考慮した簿価(帳簿価格)で評価されて
いる.
図 3.3 に示したように,倒産するということは,将来時点で,資産の時価が負債簿価
より小さくなる,つまり債務超過に陥ることを意味する.すなわち,
AT < BT
(3.1)
の場合を考える.ヨーロピアン・オプション・アプローチによって,確率を推定するこ
とは,式(3.1)になるような確率 Pr( AT < BT ) を推定することと等しい.
3.3 定式化
3.3.1 企業資産の確率過程
オプションでは,原資産価格の動きを,ある確率過程に仮定する.そこで,本研究で
は,オプションの考え方に習って,企業資産の確率過程を仮定する.以下にその確率過
程を説明する.
まず分かり易くするために,原資産を株とした場合を考える.株価変動を説明するも
のとして,ランダムウォーク理論がある.これは,株価の動きがまるで千鳥足のように
前後の脈絡なくふらふら進むとするものであり,離散的時系列において捉えた場合,各
時点間の変化量は正規分布に従っている.このランダムウォークの極限として,連続的
時系列における変動を捉えたものがブラウン運動又はウィナー過程(*1)と呼ばれる.
ただし,株価の動きには,基本的な方向性を示す動きがまずあり,これと短期的なブラ
ウン運動との合成として捉えることが妥当である.そのような基本的な方向性を示す動
き(ドリフト率という)を加味したブラウン運動のことを,幾何学的ブラウン運動(*2)
という.
ヨーロピアン・コール・オプションのオプション価値を求めるブラック=ショールズ
モデル(*3)では,原資産がこのような幾何学的ブラウン運動の確率過程に従うことを
想定している[2].よって,本研究では企業資産価値(原資産価格)の変動をこの幾何
学的ブラウン運動と捉えて,確率過程を仮定する.
*1:ウィナー過程
変数 Z の微小時間 dt における変化を dZ とすれば,
9
dZ = ε dt
(3.2)
となる.この ε は,標準正規分布に従う確率変数であり,時系列的に無相関である.従
って,異なる時間区間における dZ は,互いに独立だが同一の確率分布に従う.
*2:幾何学的ブラウン運動
原資産の微小変化量=ドリフト項+ウィナー過程
dS = µ S dt + σ S dZ
S : 原資産
(3.3)
dS : 微小時間 dt における S の変動
µ S : ドリフト率( µ は期待収益率)
σ
: ボラティリティ(原資産価格の変動の平均値)
dZ : ウィナー過程に従う変数
両辺を S で割ると,
dS S = µ dt + σ dZ
(3.4)
となる.つまり, dS S (株価収益率)が,平均 µ dt ,標準偏差 σ dt の正規分布に
従う.また,幾何学的ブラウン運動の確率分布は対数正規分布になる.
*3:ブラック=ショールズのコールオプション式
権利行使価格 K ,満期 T のヨーロピアン・コール・オプションを考える.期間 [0, T ]
中に原資産に配当支払いがなく,利息が一定で利子率 r の連続複利ならば,オプション
の価値 C (S , t ) は以下のとおりである.ここで, S は株価である.
C (S , t ) = SN (d1 ) − Ke − r (T −t ) N (d 2 )
ただし,
d1 =
d2 =
(
)
(
)
(3.5)
ln (S K ) + r + σ 2 2 (T − t )
σ T −t
ln (S K ) + r − σ 2 2 (T − t )
= d1 − σ T − t
σ T −t
である.
ここで, N ( x) は標準累積正規確率分布関数である.これは平均 0,分散 1 の標準正
10
規確率変数の累積分布である. N ( x) は以下の式で与えられる.
N ( x) =
1
2π
∫
x
−∞
e − y 2 dy
2
(3.6)
関数 N ( x) を図 3.4 に示した. N ( x) の値は, − ∞ から x まで鐘型の曲線の下の面積に相
当する.特に N (−∞) = 0, N (0) = 1 2 , N (∞) = 1 である.
(1
N (x)
1
2π )e − x
2
2
0.5
0.4
0.75
0.3
0.5
0.2
0.25
0.1
x
0
-3
-2
-1
0
1
2
3
-3
-2
-1 xi
(a)
図 3.4
x
0
0
1
2
3
(b)
標準累積正規確率分布関数と正規密度関数
図 3.4 より,標準累積正規確率分布関数 (a ) は 0 から 1 まで滑らかに上昇していくが,
(
閉じた表現式をもたない. (b) は正規密度関数 1
2π )e − x 2 2 である.点 xi までの曲線の
下の面積が累積分布関数 N ( x) の値である.
3.3.2 ヨーロピアン・オプション・アプローチによる倒産確率推定の定式化
企業の資産価値 At (0 ≤ t ≤ T ) が,
dAt = µ A At dt + σ A At dZ t
(3.7)
µ A : 資産価値の期待収益率(定数)
σ A : 資産価値のボラティリティ(定数)
Z t : ウィナー過程
のような確率微分方程式であらわされる確率過程に従うと仮定する.これは 3.3.1 項で
示した確率過程である.時点 T はあらかじめ設定されたある 1 時点であり,この時点 T
での資産価値によって,倒産か非倒産かが決定される.
また負債価値 Bt (0 ≤ t ≤ T ) は,
Bt ≡ B0
(3.8)
11
のように一定値と仮定する.
以上の仮定の下,オプション・アプローチでは,倒産を時点 T で資産価値が負債価値
を下回った状態,すなわち「 AT < BT 」と定義する.図 3.5 において,資産価値の分布
が負債価値を下回る面積を示す黒地部分が倒産確率にあたる.
時点 T における資産価値 AT は,(3.7)式を解くことにより,
AT = A0 exp{(µ A − σ A2 2)T + σ AdZ T }
(3.9)
と求められる.また,
(3.9)式の両辺の対数値をとると,
(
)
ln AT = ln A0 + µ A − σ A2 2 T + σ AdZ T
(3.10)
となる.
資産価値 AT は幾何学的ブラウン運動をし,その確率分布は対数正規分布することが
(
)
分かっているため,資産の対数値が,平均 ln A0 + µ A − σ A2 2 T ,分散 σ A2T の正規分布
に従うことを意味している.
累積標準正規密度関数 N ( x) は,平均 0,分散 1 の標準正規確率変数の累積分布であ
るため,基準化を行う必要がある.
基準化は,単位が異なっていたり,平均や分散が異なるデータ間での比較をしたい場
合に行うもので,基準化されたデータの平均は 0,標準偏差は 1(分散も 1)になる.
例えば,平均 µ ,分散 σ 2 の正規分布に従う X を基準化するときは,
Z=
X −µ
σ
という式で計算する.このとき, Z の分布は標準正規分布になる.
したがって,時点 0 から見た時点 T での期待倒産確率(Expected Default Probability,
EDP)は,
EDP = Pr ( AT < BT | A0 )
= Pr (ln AT < ln BT | ln A0 )
= ∫−0
ln BT
f (ln AT ) d ln AT
[
(
) ]
(
)
(3.11)
⎛ ln BT − ln A0 + µ A − σ A2 2 T ⎞
⎟⎟
= N ⎜⎜
σA T
⎝
⎠
2
⎛ ln ( A0 BT ) + µ A − σ A 2 T ⎞
⎟⎟
= 1 − N ⎜⎜
σA T
⎝
⎠
と求まる[3].ただし, f ( x) は正規密度関数である.
ブラック=ショールズモデルにおいて,右辺第二項の N ( d 2 ) は,満期における原資
12
産価値が行使価格を超える確率を表している.したがって,1 − N ( d 2 ) は,原資産の満
期時点の価格が行使価格を下回る確率を意味する.この場合,原資産が企業資産価値で
あり,行使価格が負債価値をそれぞれ表しているので,1 − N ( d 2 ) は倒産確率と同様で
あると解釈できる.
価値
資産の実現パス
AT
資産の確率分布
A0
資産の
初期値
µA
資産の期待成長率
BT
負債
B0
負債の
資産価値が負債価値
初期値
以下になる確率
0
T
時間
図 3.5 資産価値が負債価値以下になる確率としての倒産確率
3.4 パラメータ
3.4.1 パラメータの推定方法
3.3.2 項(3.11)式の方法で倒産確率を求めるには,パラメータ A0 , BT , µ A ,σ A , T
に値を与える必要がある.これらのうち,時点 T 以外,直接は市場等で観測することが
できない.したがって A0 , BT , µ A , σ A は,別途仮定を導入して推定したり,便宜的
に与える必要がある.以下では,本研究でのパラメータの与え方を説明する.
(1)時点 T
T =1 年とする.
(2)時点 T における負債価値 BT
負債価値は市場で観測することができないので,便宜的に, BT = B0 = 「直近の負
債の簿価」とする.
13
(3)時点 0 における資産価値 A0
資産の時価 A0 の推定は企業評価の問題であり,容易ではない,資産を構成する各
勘定項目のキャッシュフロー分析を行い,価値を計算する方法は非常に複雑になる.
そこで,現在時点では当該企業のバランスシートは均衡していると考え,現在の負債
と自己資本の時価との合計から,資産の時価を推定する.
自己資本の時価 E0 は,時点 0 における株価 S 0 に発行済み株式数 n を乗じることに
よって得られる.負債の時価 B0 は(2)にあるように簿価に等しいと考える.したがっ
て,時点 0 における資産価値は,
A0 = B0 + E0 = B0 + nS 0
(3.12)
とする.
(4)資産価値期待収益率 µ A
ブラック=ショールズモデルに習い,無リスクである一年物国債金利 r を利用し,
µ A = r とする.無リスク金利とは元本と利払いが保証された利回りのことである.
このように仮定することによって,全ての企業資産の期待成長率は,全ての企業間
で無リスク金利に等しいことになる.もし,倒産リスクの高い企業であっても,そう
でない優良企業であっても,当該企業とその株式からなるポートフォリオをリスクの
無いように構築することができれば,投資家はリスクが無い資産を保有したのと同じ
ことになる.よって,企業の成長率は,信用リスクに関わらず無リスク金利に等しく
なるはずである.
(5)資産価値ボラティリティ σ A
株価,株式時価総額(自己資本の時価)と資産価値の間にいくつかの関係を仮定す
ることにより求める.
まず,株価 S t (0 ≤ t ≤ T ) が
d S t = µ S S t dt + σ S S t dZ t
(3.13)
のような確率微分方程式で表される確率過程(幾何学的ブラウン運動)に従っている
とする.ここで,株価の期待収益率 µ S とボラティリティ σ S は定数とし,過去の株価
変動から推定する.次に,発行済み株式数を n とした時,時点 t での株式時価総額 Et
を
Et = nSt
(3.14)
14
と定義する. {Et }0≤t ≤T が従う確率微分方程式を
dEt = µ E Et dt + σ E Et dZ t
(3.15)
と表す. µ E , σ E は定数で, σ E = σ S , µ E = µ S である.
当該企業の清算が時点 T までには行われないものと仮定すると,時点 T での発行済
み株式全体の価値は,「時点 T における資産価値から負債価値を引いた残り」と考え
られる.つまり,
ET = max( AT − BT , 0 )
(3.16)
が成り立つ.これは,原資産を当該企業の資産,権利行使価格を BT ,満期を T とす
るヨーロピアン・コール・オプション価値に等しい.
このことより,時点 t ( 0 ≤ t ≤ T ) における株式時価総額 Et を,ヨーロピアン・コー
ル・オプション価値に等しいと仮定すると,ブラック=ショールズの公式より,実数
A , t に対し,関数 C ( A, t ) を
C ( A, t ) = AN ( x1 ) − BT e − r (T −t ) N ( x2 )
(3.17)
ただし,
(
)
(
)
ln ( A BT ) + r + σ A2 2 (T − t )
x1 =
σA T −t
x2 =
ln ( A BT ) + r − σ A2 2 (T − t )
= x1 − σ A T − t
σA T −t
と定義でき,時点 t における資産価値 Et は,
Et = C ( At , t )
(3.18)
と表せる.ただし, r は無リスク金利で,一定値と仮定する.
関数 C の偏導関数を,
15
∂
C ( At , t ) = N ( x1 )
∂At
f ( x1 )
∂2
C AA ( At , t ) = 2 C ( At , t ) =
σ A At T − t
∂At
∂
σ A At f (x1 )
Ct ( At , t ) = C ( At , t ) = −
− BT re − r (T −t ) N ( x2 )
∂t
2 T −t
C A ( At , t ) =
(3.19)
とおく. f ( x ) は標準正規分布の確率密度関数を表す.
ここで,(3.7)式,(3.18)式に伊藤のレンマ(*4)を適用すると,
1
⎛
⎞
dEt = ⎜ C A ( At , t ) µ A At + Ct ( At , t ) + C AA ( At , t )σ A2 At2 ⎟dt
2
⎝
⎠
+ C A ( At , t )σ A At dZ t
(3.20)
= ( N ( x1 )(µ A − r )At + rEt ) dt + N ( x1 )σ A At dZ t
が得られる.これと,(3.15)式を比べると,
σ E Et = N ( x1 )σ A At
(3.21)
が成り立つ.
ここでは, t = 0 とし,
σ E E0 = N ( x1 )σ A A0
(3.22)
を σ A について解くことによって資産価値のボラティリティを求める.
*4:伊藤のレンマ
時間と共に変化する変数 x(t ) の変化量 ∆x が次の式に従って動いているとき,この時
系列の動きを伊藤過程という.
∆x = µ ( x, t )∆t + σ ( x, t )∆Z
(3.23)
上式につき, ∆t → 0 とすると,伊藤過程は,
dx = µ ( x, t ) dt + σ ( x, t ) dZ
(3.24)
16
となる.
このとき, x(t ) から派生した関数 G = f ( x, t ) について考える,この関数 G の動きは,
⎡ ∂G
⎤
∂G 1 ∂ 2G
{σ (x, t )}2 ⎥dt + ∂G σ (x, t ) dZ
dG = ⎢
+
µ ( x, t ) +
∂t 2 ∂x
∂x
⎣ ∂x
⎦
(3.25)
に従う.
これを伊藤のレンマといい,2 変数関数の 2 次のテーラー展開と中心極限定理から導
かれる.
3.2.2
株価ボラティリティ
資産価値ボラティリティを求めるにあたり,(3.22)式より,株価ボラティリティをど
のように求めるが重要であることがわかる.
株価ボラティリティの推定は幅広く研究されており,いくつか方法があるが,本研究
ではヒストリカル・ボラティリティ(Historical Volatility,HV)を推定する方法を採
用する.ヒストリカル・ボラティリティとは,過去のデータに基づいて算出した将来の
変動率である.株価(終値)の時点 0 から過去 n 日分の(日次)対数収益率を年率換算
する.
以下にヒストリカル・ボラティリティの計算式を示す.
m=
1 n ⎛ Pi ⎞
∑ ln⎜ ⎟
n − 1 i =1 ⎜⎝ Pi −1 ⎟⎠
⎫
1 n ⎧ ⎛ Pi ⎞
⎟⎟ − m⎬ × 250
σE =
⎨ln⎜⎜
∑
n − 1 i =1 ⎩ ⎝ Pi −1 ⎠
⎭
Pi
(3.26)
:日次株価(終値)
σ E :株価のヒストリカル・ボラティリティ
ここで,ヒストリカル・ボラティリティを推定するにあたり,日次株価(終値)を何
日分とるべきか,という問題がある.
サンプル日数が短すぎると,倒産確率を推定するある時点から直近の株価が激しく変
動していた場合,その変動が倒産確率に影響しすぎてしまう.一方,長すぎると,ある
時点から1年後の倒産確率を推定するにもかかわらず,直近の株価変動の影響が希薄に
なってしまう.そこで,適当なサンプル日数の検討を行った.
まず,小売業において,業績の良いイオン,業績の悪いダイエー,2001 年 12 月に倒
産したマイカルを例として,サンプル日数を 20 日,40 日,60 日,80 日にわけて,倒
17
産確率の変動の様子を検討した.
(図 3.6∼3.8 参照)これらを見るとヒストリカル・ボ
ラティリティが 20 日の場合の確率変動がかなり激しく,20 日とするのは適当ではない
ことが分かる.しかし,40 日,60 日,80 日に大きな違いがなく,どの日数でボラティ
リティをとると良いのか、判断することが難しい.そこで,日々の株価ボラティリティ
の推移と株価の推移とを比較し,どの日数が適当であるかを調べた.イオンを例として,
結果を図 3.9∼3.12 に示す.
ボラティリティが激しく変動している部分は,一日の株価の変動が大きく影響してい
るということになるため,日々の株価と比較して,適当な変動をしているものを選ぶの
が良いと思われる.
以上のことを考慮して,図 3.9∼3.12 を比較検討したところ,先の研究でもあるよう
に 60 日を採用するのが適当であると判断した.
18
0.05
X 80
X
X
0.04
X 60
X 40
0.03
図 3.6
図 3.7
2002/12
2002/07
2002/02
X 60
X 40
2002/12
2002/07
X 20
2002/02
2001/09
2001/04
X 80
ボラティリティ別倒産確率(マイカル)
X X X
X X
X X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
0.4
X
0.3
X
図 3.8
2002/12
2002/07
2002/02
2001/09
2001/04
2000/11
2000/06
2000/01
1999/08
1999/03
1998/10
X
X
0.2
X
X
X
XX
X
XX
X
X
XX
XX
X
X
X
X
XX
X X
X X
0.1 X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX X
X
XX XX X X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
XX
X
X XX
X
X
X
X X
XX
X
0X
1998./05
倒産確率
2001/09
2001/04
2000/06
2000/11
2000/11
1998/05
0
2000/06
0.1
2000/01
0.2
1999/08
0.3
1999/03
倒産確率
0.4
X 20
ボラティリティ別倒産確率(イオン)
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X XX
1998/10
0.5
2000/01
1999/08
1999/03
1998/10
X
X
X X
XX
0.02
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
XX
X X
X
X
X
X
X
0.01
X
X
X
X
X X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X X X
X XX
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
XXX
X
X X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0X
1998/05
倒産確率
X
ボラティリティ別倒産確率(ダイエー)
19
X 80
X 60
X 40
X 20
1998/6/1
1998/9/3
1998/12/11
1999/3/24
1999/7/1
1999/10/7
2000/1/19
2000/4/25
2000/8/2
2000/11/8
2001/2/19
2001/5/29
2001/8/31
2001/12/7
2002/3/22
2002/6/28
2002/10/3
2003/1/16
2003/4/23
2003/7/30
2003/11/6
株価ボラティリティ
1998/6/1
1998/9/3
1998/12/11
1999/3/24
1999/7/1
1999/10/7
2000/1/19
2000/4/25
2000/8/2
2000/11/8
2001/2/19
2001/5/29
2001/8/31
2001/12/7
2002/3/22
2002/6/28
2002/10/3
2003/1/16
2003/4/23
2003/7/30
2003/11/6
株価ボラティリティ
0.7
4000
0.6
3500
0.5
3000
0.4
2500
0.3
2000 株価
1500
0.2
1000
0.1
500
0
0
20
図 3.9
図 3.10
株価
株価ボラティリティ 20 日と日々の株価変動
0.7
4000
0.6
3500
0.5
3000
0.4
2500
0.3
2000 株価
0.2
1500
1000
0.1
500
0
0
40
株価
株価ボラティリティ 40 日と日々の株価変動
20
1998/6/1
1998/8/27
1998/11/27
1999/3/2
1999/6/3
1999/8/31
1999/12/2
2000/3/6
2000/6/6
2000/9/1
2000/12/4
2001/3/7
2001/6/7
2001/9/4
2001/12/4
2002/3/11
2002/6/11
2002/9/5
2002/12/6
2003/3/13
2003/6/12
2003/9/9
株価ボラティリティ
1998/6/1
1998/9/3
1998/12/11
1999/3/24
1999/7/1
1999/10/7
2000/1/19
2000/4/25
2000/8/2
2000/11/8
2001/2/19
2001/5/29
2001/8/31
2001/12/7
2002/3/22
2002/6/28
2002/10/3
2003/1/16
2003/4/23
2003/7/30
2003/11/6
株価ボラティリティ
0.7
4000
0.6
3500
0.5
3000
0.4
2500
0.3
2000 株価
1500
0.2
1000
0.1
500
0
0
60
図 3.11
図 3.12
株価
株価ボラティリティ 60 日と日々の株価変動
0.7
4000
0.6
3500
0.5
3000
0.4
2500
0.3
2000 株価
1500
0.2
1000
0.1
500
0
0
80
株価
株価ボラティリティ 80 日と日々の株価変動
21
第4章
実証分析
4.1 NEEDS-Financial QUEST
本研究では,日経メディアマーケティング株式会社提供の NEEDS-FinancialQUEST
データベースから,企業データを抽出して利用した.以下にそのデータベースの概要を
示す.詳細は付録に記載する.
[企業情報]
・企業属性
正式商号,住所,株式コード,上場情報といった会社の基本情報を収録.
[企業財務情報]
・企業財務(一般事業会社)
財務諸表,財務分析に欠かせない各種指標データを連結,単独決済ベース及び年度
換算ベース,業種集計値ベースで収録.
・企業財務(銀行・証券・保険)
新会計基準に対応した銀行・証券・保険の財務データを収録.
・セグメント情報(確報)
調査表よりデータを各社から収集し,事業別,所在地別,海外売上高セグメント情
報を収録.
・財務速報:全国の上場会社・店頭公開会社の決算発表資料からデータを収録.
・セグメント情報(速報)
連結本決算・中間決算について事業別,所在地別,海外売上高,清算販売受注の状
況の書くセグメント情報を収録.
・企業保有株
有価証券報告書に記載された内容を決算期ベースで収録.
・大株主
調査表より収集した上位 30 位までの大株主の状況を決算期ごとに単独決算ベース
で収集.
・金融機関別借入金
企業への調査表または有価証券報告書を基に,当該企業が借入れした金融機関とそ
の借入金額を収録.
22
[投資参考情報]
・業績予想
単独本決算,単独中間決算,連結本決算,連結中決算を対象に「日本経済新聞社予
想」を収録.
・会社発表予想
国内証券取引所,ジャスダック上場企業が発表した決算短信や業績予想修正などの
資料を基に,上場企業の売上高,経常利益などの収益動向を収録.
[株式・債券情報]
・株式
銘柄別の株価,約定値,気配値,権利落ち調整値段,評価時価,指標(移動平均,
かい離率,利回り等)
,属性,日次の資本移動及び業績予想データを収録.
・上場債券
全国証券取引所及び店頭市場で取引対象の債券について,「銘柄属性」情報,「価
格・利回り」情報及び時価情報を収録.
・非上場債券
国内で募集された非上場の債券について,「属性銘柄」及び「評価時価」データを
日々収録.
[先物オプション情報]
・株価指数先物
我が国取引所上場の株価指数先物取引に関する「属性情報」,「価格情報」を収録.
・株価指数オプション
我が国取引所上場の株価指数オプション取引に関する「属性情報」,「価格情報」を
収録.
・株券オプション
我が国取引所上場の株券(個別株)オプション取引に関する「属性情報」,
「価格情
報」を収録.
・債券先物
東証上場の国債先物取引について,「属性情報」,
「価格・利回り情報」を収録.
・債券先物オプション
国債先物に関わるオプション取引において,
「銘柄属性」及び「価格情報」を収録.
[指標・証券指標情報]
・株式市場指標
各種株価指数・平均株価の長期時系列データ,各種指数値,市場別売買高などの指
数情報を収録.
・日経総合株価指数
日本経済新聞社が算出する日経総合株価指数について収録.
23
・日経 ISE50
日本経済新聞社が算出する ISE50 株価指数について,東京市場とロンドン市場の
指数情報を収録.
・株式市場統計
我が国証券取引所における株式の取引状況について,マクロ的な統計情報を日次,
週次,月次で収録.
・株式市場統計(連結)
連結決算項目を優先的に利用.
・大商いランキング
株式について,日々の大商い銘柄,上位 50 銘柄を収録.
・新高根.安値情報
株式について,過去 150 日間または,新高値・新安値を取った銘柄を収録.
・日経公社債インデックス
日本経済新聞社が算出する公社債インデックスを収録.
・日経国債インデックス
我が国で証券取引所に上場された公募国債を残存年限でカテゴライズし,それぞれ
収益率,価格,およびパフォーマンス指標を算出した情報を収録.
・証券データ(銘柄別・市場)
全国証券取引所上場個別銘柄の証券金融の状況について,日々の融資および貸株の
申し込み状況を収録.
・信用残(三市場)
全国証券取引所別の信用による売買取引について,毎週の現在高状況を収録.
・信用残(銘柄別)
全国証券取引所別上場個別銘柄の信用による売買取引について毎週の現在高状況
を収録.
・投資部門別売買高
総合証券会社の毎週の株式売買動向を収録.
本研究では,このデータベースより,日次株価終値,月次株価終値,負債合計,発行
済み株式数,月次終値 TOPIX を利用した.
24
4.2 倒産企業の倒産確率推移
2000 年∼2003 年に倒産した東証 1 部上場企業 20 社,
大証上場企業 1 社において 1998
年 4 月∼2002 年 12 月の期間で月毎の倒産確率を推定した.表 4.1 に分析対象とする企
業を列挙した.業種は東証業種分類に従う.
表 4.1 倒産企業(2000 年∼2003 年)
会社名
業種
倒産年月
会社名
業種
倒産年月
エルカクエイ
不動産
2000 年 2 月
佐藤工業
建設
2002 年 3 月
長崎屋
小売
2000 年 2 月
第一家庭電器
小売
2002 年 4 月
第一ホテル
サービス
2000 年 5 月
ニコニコ堂(大証)
小売
2002 年 4 月
ライフ
金融
2000 年 5 月
日本加工製紙
紙・パルプ
2002 年 5 月
そごう
小売
2000 年 7 月
テザック
金属製品
2002 年 7 月
藤井
卸売
2000 年 9 月
日立精機
機械
2002 年 8 月
赤井電機
電気機器
2000 年 11 月
ニッセキハウス工業
建設
2002 年 10 月
殖産住宅相互
建設
2001 年 1 月
セザール
不動産
2003 年 3 月
マイカル
小売
2001 年 9 月
福助
繊維製品
2003 年 6 月
青木建設
建設
2001 年 12 月
森本組
建設
2003 年 10 月
日本重化学工業
鉄鋼
2002 年 2 月
年代別に 1998 年 4 月∼2002 年 12 月の期間で月毎の倒産確率の推移を図 4.1∼4.4 に示
す.
25
0.05
0.1
0.2
0.4
0.35
エルカクエイ
X
X
0.3
0.25 X
0.2
0.15
0
0.15
0.1
0.05 XX XX X
X
X XXX
X
X
X
X
X X
0
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X X
X
X
XX
X
X
0
0.35
0.4
藤井
0.2 X
X
X X
X X
0.1 X XX
X X X
X
0.05
X
X
X
XX
XX
X
X XX
X
X
X
X
X
X
0.4
0.35
0.3
図 4.1
0
0.4
0.35
0.3
0.25
0.2
0.35
0.4
0.3
0.3
0.25
0.25
0.1
26
X
X
X
0.15
0.2
第一ホテル
0.25
X
X
X X
X
X
X X
2000 年倒産企業の倒産確率推移
2002/12
0.05
2002/08
0.4
2002/04
0.35
2001/12
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
2001/08
XXX
XX
X
X X
0 X
2001/04
0.1
2000/12
0.1
2000/08
0.15
2000/04
0.15
1999/12
0.05
0.2
1999/08
0.3
1999/04
0.2
X
X
XX
X
X
1998/12
0.3
1998/08
0.25
1998/04
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
ライフ
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
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0.15
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2002/10
0.35
長崎屋
0.25
X
X
X
X
X
X
X X X
XX
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X X
そごう
X
X
X
0.15
X
X
X
X
X
0.1
X
X
0.05 X
X
XX X
X
X
X
X
XX X X
X
X
X
X X
0
赤井電機
X
X
X
X
X
X
X X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0
X
X
X
X
X
X
0.05
X
0.25
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0.4
マイカル
0.25
X
0.2
0.15
0.1
X
X
X
X
X
X
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
0 X
X
X
0.4
0.35
X
X
X
図 4.2
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
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1998/07
1998/10
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1999/10
2000/01
2000/04
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2002/10
0.35
0.35
0.4
0.3
0.05
0
27
青木建設
0.25 X
0.3
0.2
X
X
X
X
X
0.15 X
X
X
XX
0.1
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X X
X
X
X
殖産住宅相互
0.3
X
X
0.2
0.15
X
X
X
X X
XX
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0
0.1
2001 年倒産企業の倒産確率推移
0.3
X
X
XX
X
X
X
X
0.2
X
X
X
X X X
X
0.15
X
X X
X
X
X
X X
X
X
X
X
0.1
X
X
XX
X
X
X XX
X
XX
0.05 X X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
0
0.4
0.25
0.2
0.15
0.1
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0.4
0.35
0
ニコニコ堂
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
XX
X X
X
XX
X
X
X
XX
X
X
X
X
X X X
X
XX
X
X
X X
X
X
X
X
X
0.05
0.35 X
0.4
第一家庭電器
0.3
X
X
X
X
X
X
X XX
X X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
XX
XX XX X
X
XX X
X X
日立精機
0.2
X
X
0.15
X
0.1
X
0.05 X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
XX
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
図 4.3
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
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2001/01
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2002/01
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2002/07
2002/10
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
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2000/01
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2001/01
2001/04
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2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.25
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
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2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.3
ニッセキハウス工業
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
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2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.4
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
1998/04
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1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.35
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
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2001/07
2001/10
2002/01
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2002/07
2002/10
0.35
X
X
X
0.35
0.4
X
0.05
0
0.2
0.15
0.05
0.1
X
0X
0
0.35
0.4
0.2
0
0.05
0
0.4
0.35
0.3
0.3
0.25
0.25
28
佐藤工業
0.25
0.3
X
X
X
0.2 X
0.15
X
X
0.1 X
X
X
X X
X XX
X
X
X
X
X
X
X
X X
X XX
XX X
X X
XX XX
X X
X
X
X XX
X
X
0.4
0.35
X
X
X
X
0.25
0.3
X
X
X
0.15 X
X X
X
0.1 X X
X
X
テザック
0.3 X
0.25 X
X X
X
XX
X X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
日本重化学工業
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
2002 年倒産企業の倒産確率推移
X
X
X
X
X
X X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
日本加工製紙
X
X
X
0.2
0.15
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
0.1
X
X X
X
X
X
X X
0.05
X
X X
X X
X
X
X X
X XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
0
0.4
0.35
0.4
セザール
0.35
0.3
0.3
0.25
X 0.25
0.2
0.2
X
X
X
0.15
X
X
X
0.1 X
X
0.1
X
X X
X
X
X
X X
X
XX X
XX
X
X
X
X
X
X X
X
XX
X X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
図 4.4
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X XX
X
X
X
0.05
X X
X
X
X
X
XX
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XXX X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0
X
X
X
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
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1999/10
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2002/04
2002/07
2002/10
0
0.15
X
X
X
1998/04
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2001/01
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2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.05
X
福助
2003 年倒産企業の倒産確率推移
2000 年∼2002 年に倒産した企業のうち,ライフ,マイカル,日立精機の倒産確率は
倒産する数ヶ月前から,急激に高い値を示すようになった.しかし,その他 17 社に関
しては,倒産する 1 年以上前から,倒産確率が 15%以上もの高い値を示している.こ
のことから,企業の倒産を予測する際に,1 年以上前から 15%以上の値を示すという
ことが 1 つの基準になると思われる.
このような観点から 2003 年に倒産した企業の倒産確率推移を見てみると,事前に倒
産する危険性を読み取れることができる.
図 4.2∼4.4 に示した倒産企業の倒産確率推移において,倒産確率が急激に下降して
いる部分がいくつかある.
これは,エルカクエイを例とした図 4.5 からも分かるように,
倒産確率が株価ボラティリティに依存しているため,株価ボラティリティの変化が大き
いところでは,倒産確率も大きく変化してしまうからである.
19
98
/
19 04
98
/
19 06
98
/
19 08
98
/
19 10
98
/
19 12
99
/
19 02
99
/
19 04
99
/
19 06
99
/
19 08
99
/
19 10
99
/
20 12
00
/0
2
図 4.5
株価ボラティリティ
エルカクエイ倒産確率と株価ボラティリティの推移
29
リ
テ
ィ
倒産確率
株
価
ボ
ラ
テ
ィ
倒
産
確
率
1.8
1.6
1.4
1.2
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0.4
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
株価は市場の売買によって変動するものである.株の売りが多ければ当然株価は下がる
が,通常,株価は常に大きな下げ幅であることはない.なぜならば,株価が低いときに株
を買い,高いときに売りたいという,株投資の基本的な売買傾向があるからである.つま
り,株価が下がるときに大きな下げ幅と小さな下げ幅とを繰り返す傾向がある.そのため,
株価ボラティリティとは株価変動の標準偏差であるので,対象期間 60 日間に大きな下げ幅
の瞬間が含まれるか否かによって,倒産確率も上下してしまうのである.このことから,
本研究で算出した倒産確率によって企業を判断する場合,その推移を検討することが重要
であるということがわかる.
4.3 倒産企業と現存企業の倒産確率推移
同業種かつ同資産規模の,倒産企業と現存企業との倒産確率推移を比較する.図 4.6
に各企業の倒産確率推移を示す.
0.35
0.4
マイカル
0.35
0.3
0.3
0.25
X
0.2
0.25
0.2
0.15
X
X
X
X
X
X
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
0 X
X
X
0.15
0.1
0.05
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0X
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.1
0.4
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
イトーヨーカ堂
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
1999/07
1999/10
2000/01
2000/04
2000/07
2000/10
2001/01
2001/04
2001/07
2001/10
2002/01
2002/04
2002/07
2002/10
0.4
0.4
ニコニコ堂
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
0.05
0.35
東急ストア
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
X
0X
図 4.6
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
1998/04
1998/07
1998/10
1999/01
1999/04
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1999/10
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2002/07
2002/10
0
同業種・同資産規模企業間の倒産確率推移比較
これらを見ると,倒産時点よりかなり前から倒産企業の方が現存企業より高い倒産確率
を示す傾向があることが分かる.したがって,倒産企業と現存企業の判別が倒産時点より
前にできる可能性を示していると考えられる.
30
4.4 倒産確率と株価
ある時点から市場全体の株価が下がったときに,当該企業の株価が横ばいであったと
する.このとき当該企業の株価のみに着目すると,変化はないように見える,しかし,
市場全体の動きに対する株価は上昇していることが分かる.このような市場の動きを加
味するために,「倒産確率推移」と「当該企業の株価の動き/市場全体の株価の動き」
との関係をみることにした.
市場全体の株価の動きを表すものとして,TOPIX(東証株価指数)
,日経平均株価が
ある.
TOPIXとは,1968 年 1 月 4 日の全銘柄の時価総額と当日の時価総額の比率であり,
日経平均株価とは,株価合計を除数で割った単純平均で,東証一部上場企業のうち,特
定の 225 銘柄を対象とする.ここで,除数とは日経平均の計算で,
「分母」となる数字
である.分子の株価合計を 225 で割れば,普通の単純平均になるが,株式分割や銘柄
入れ替えなど市況変動以外の理由で株価合計が変化すると指数値に断層ができてしま
う.数の連続性を保つために分母である除数を修正する.
株価/TOPIX,株価/日経平均と倒産確率との関係をそれぞれ検討したが,ほとん
ど変わらないため,株価/TOPIX を採用した.倒産企業 4 社を例として,図 4.7 に株
価/TOPIX と倒産確率との関係を示す.
これをみると,株価/TOPIX が大きく上昇(下降)しているときに,倒産確率も追って
下降(上昇)している傾向がみられる.これは株価/TOPIX が企業の状態をみるにあ
たり,重要視すべき指標であるということを意味している.
31
エルカクエイ
0.1
0.09
0.08
0.07
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0
0.4
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
倒
産
確
率
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
倒
産
確
率
19
98
19 /05
98
19 /07
98
19 /09
98
19 /11
99
19 /01
99
19 /03
99
19 /05
99
19 /07
99
19 /09
99
20 /11
00
/0
1
株
価
/
T
O
P
I
X
株価/TOPIX
倒産確率
セザール
0.4
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
19
9
19 8/0
9 5
19 8/0
9 9
19 9/0
9 1
19 9/0
9 5
20 9/0
0 9
20 0/0
0 1
20 0/0
0 5
20 0/0
0 9
20 1/0
0 1
20 1/0
0 5
20 1/0
0 9
20 2/0
0 1
20 2/0
02 5
/0
9
株
価
/
T
O
P
I
X
株価/TOPIX
図 4.7(a)
倒産確率
倒産確率と株価/TOPIX の推移図(エルカクエイ,セザール)
32
1998/05
1998/08
1998/11
1999/02
1999/05
1999/08
1999/11
2000/02
2000/05
2000/08
2000/11
2001/02
2001/05
2001/08
2001/11
2002/02
19
9
19 8/0
9 5
19 8/0
9 7
19 8/0
9 9
19 8/1
9 1
19 9/0
9 1
19 9/0
9 3
19 9/0
9 5
19 9/0
9 7
19 9/0
9 9
20 9/1
0 1
20 0/0
0 1
20 0/0
0 3
20 0/0
00 5
/0
7
そごう
株
価
/
T
O
P
I
X
0.2
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
株価/TOPIX
株価./TOPIX
33
倒産確率
佐藤工業
株 0.12
価 0.1
/ 0.08
T
0.06
O
P 0.04
I 0.02
X
0
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
倒
産
確
率
0.35
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
倒
産
確
率
倒産確率
図 4.7(b)倒産確率と株価/TOPIX の推移図(そごう,佐藤工業)
4.5 現存企業の分類
倒産企業の倒産確率推移に対する考察から,現存企業を 3 つのグループに分類する.
対象は上場スーパー10 社とし,期間は 1998 年 4 月∼2002 年 12 月までとする.
倒産企業 17 社の倒産確率は,1 年以上も前に 15%を超えていた.また,倒産直前の
倒産確率平均(2002 年までに倒産した企業 17 社より算出)は 19.2%(分散 0.0072)で
ある.これより,2002 年 12 月より対象期間中において一年以上前から倒産確率が 15%
以上を示したことがあり,かつ 1 年以内にも倒産確率が 15%以上を示している企業を
「倒産兆候企業」とした.また,倒産企業 3 社においては 1 年以上前から 5%∼10%を
示していた.これより,2002 年 12 月より対象期間中に倒産確率が 5%以上 15%未満
を 2 度以上示したことのある企業を「注意企業」とし,それ以外を「安全企業」とした.
以下に 9 社の分類と倒産確率の推移を示す.
倒産兆候企業:西友,ダイエー
注意企業
:東武ストア,ライフコーポレーション
安全企業
:イトーヨーカ堂,いなげや,ヨークベニマル,イオン,東急ストア
オリンピック
0.4
0.35
0.4
西友
ダイエー
0.35
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
0.3
0.3
0.25
0.25
0.2
X
0.2
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X X
0.1
0.1
X
X
XX
X
X
X
X
X
XX
X
X
XX
X
X
X
XX
X
X
X
X
0.05
0.05
X
X
X
X
X X XX X
X
X
X X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X X
X
X
X
X
0 X X
0 XX
X
0.15
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1998/10
1999/01
1999/04
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2002/07
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X
X
X
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0.15
図 4.8 倒産兆候企業
0.4
0.35
0.4
東武ストア
0.35
0.3
0.3
0.25
0.25
0.2
0.2
ライフコーポレーション
X
X
X
X
X
0.1
0.1 X
X
X
X
X X X
X
X
XX
X X
X
X
0.05 X
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X X X
X
X
X
XX
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X 0 XXX
X
XX
XX
X
X
X
X
X X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X
X
X
XX
X
X
X
X X
X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0
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2002/10
0.15
図 4.9 注意企業
34
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0 X
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0.35
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2002/04
2002/07
2002/10
0.4
0.4
0.35
0.35
0.3
イトーヨーカ堂
0.3
0.25
0.25
0.2
0.2
0.15
0.15
0.1
0.1
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0X
0.4
0.3
オリンピック
0.3
0.25
0.25
0.2
0.2
0.15
0.1
0.15
0.1
0.05
0.05
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0X
0
0.4
0.4
0.35
0.35
0.3
ヨークベニマル
0.3
0.25
0.25
0.2
0.2
0.15
0.15
0.1
0.1
0.05
35
いなげや
X
0.05 X X
X XX
X X X
X
X
X
X
X
XX
X
X X
XX
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
0 X
0.4
0.35
東急ストア
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
X
イオン
0.05 X
X
X
X
図 4.10 安全企業
第5章
おわりに
本研究では,企業の資本価値をヨーロピアン・コール・オプション価値とみなし,企
業の倒産確率推定を行った.倒産企業の倒産確率推移から,倒産企業は 1 年以上も前か
ら高確率を示すことなどの特徴がみられ,本研究におけるモデルの倒産確率推移は倒産
を予測するための重要な指標になることがわかった.
しかし,このモデルの倒産確率は,企業の状態に関わらず,急激に下降している部分
がみられる.これは本研究で算出した倒産確率と株価ボラティリティの相関が非常に強
く,大きな変動と小さな変動を繰り返しながら上昇したり,下降したりする株価特有の
動きにより,株価ボラティリティが急激に下降するような場合があるからである.この
問題の解消方法として,株価ボラティリティのサンプル日数をより長くするという方法
があるが,これでは,直近株価の変動の影響度が低くなってしまい,将来時点の倒産確
率を推定するのにあまり好ましくない.よって,今後の課題としては,直近の株価変動
に重みを大きくとるような可変の株価ボラティリティの算出をすることが必要である.
36
謝辞
本研究を進めるにあたり多くのご指導ご助言をいただいた中央大学理工学部情報工
学科の田口東教授に深く感謝の意を表します.また,多くのご助言ご協力をいただいた
鳥海重喜氏,中村幸史氏をはじめとする,田口研究室の皆様に深く感謝いたします.
37
参考文献
[1]
今野浩,森平爽一郎他,リスク管理モデルに関する研究会報告書,金融監督庁,1999
年 7 月.
[2] 今野浩,鈴木賢一,批々木規雄[訳] デービット・G・ルーエンバーガー,
金融工学入門,日本経済新聞社 2002.
[3] 森平爽一郎,信用リスクと管理
第 3 回オプションモデルによる倒産確率推定
基礎,
証券アナリストジャーナル,38 巻,1 号,85 項,2000 年 1 月.
[4]
森平爽一郎,倒産確率推定のオプションアプローチ,証券アナリストジャーナル,35
巻,10 号,2 項,1997 年 10 月.
[5] 森平爽一郎,ファイナンシャル・リスクマネージメント,朝倉書店,2000.
[6] 児玉万里子,一目でわかる会社の格付け,宝島社,2003.
38
付録
NEEDS-Financial QUEST 収録項目
企業基本情報
正式商号,住所,株式コード,上場情報といった会社の基本情報を収録したも
の.また,会社発表時点で「先取り情報」として収録している.上場会社,店
企業属性
頭公開会社,有報提出会社など当サービスで提供している財務/証券データに
収録されている全ての会社が対象.また,上場会社,店頭会社の上場日,店頭
登録日などの異動情報を取引所月に時系列に収録した上場異動情報もある.
企業財務情報
[財務諸表他]
全国上場会社,店頭会社,非上場有価証券報告書提出会社及び非上場営業報告
書提出会社(銀行,証券,保険を除く)を収録.上場会社,店頭公開会社につ
いては,調査票によりデータを各社から情報収集.東証取引所上場会社は単独
本決算が 1964 年 4 月期以降,連結中間決算が 2000 年 9 月期以降を収録,店
頭国会会社は単独本決算が 1977 年 4 月期以降,単独中間決算が 1995 年 4 月
期以降,連結本決算が 1984 年 4 月期以降,連結中間決算が 2000 年 9 月期以
企業財務
降収録されている.
(一般事
[財務指標データ]
業会社)
収益性,安全性,成長性など財務分析に欠かせない各種指標データを,連結・
単独決算ベース及び年度換算ベース,業種集計値ベースでカバー.収録対象企
業は全国上場会社,店頭会社,非上場有価証券報告書提出会社及び非上場営業
報告書提出会社(銀行,証券,保険を除く).東証上場会社の場合,単独本決
算は 1964 年 4 月期以降,連結本決算は 1984 年 4 月期以降収録されている.
また,業種集計値ベースでは単独決算の場合,国内取引所に上場する会社(銀
行,証券,保険を除く)で過去 23 期連束してデータの比較可能な会社を対象,
連結決算の場合,同様に過去 6 期連続してデータの比較可能な会社を対象とし
ている.
時価会計をはじめとする新会計基準に対応した銀行・証券・保険の財務データ
(連結および単独決算)の収録をしている.対象は全国取引所に上場している
金融機関(店頭登録含む)の他,非上場の有力金融機関(有価証券報告書提出
企業財務
(銀行・証
券・保険)
機関)です.調査表よりデータを各社から直接収集し,また有価証券報告書で
もデータを補完的に取得.収録期間は「銀行」単独本決算は 1974 年 9 月以降,
連結中間決算,単独中間決算は 2001 年 9 月以降,連結本決算は 2001 年 3 月
以降,
「証券」単独本決算は 1983 年 9 月以降,連結中間決算,単独中間決算は
2001 年 9 月以降,
連結本決算は 2001 年 3 月以降,
「損保」単独けっさんは 1983
年 3 月以降,連結中間決算,単独中間決算は 2001 年 9 月以降,連結本決算は
2001 年 3 月以降.
調査表によりデータを各社から収集し,事業別,所在地別,海外売上高セグメ
セグメン
ト情報(確
報)
ント情報を収録している.事業別セグメント情報には日本標準産業分類コー
ド,所在地別および海外売上高セグメント情報には,日経地域コードを収録し
ている.収録対象は全国上場会社,店頭登録会社から銀行・証券・保険を除く
全社の連結本・中間決算である.連結本決算は 1999 年 3 月決算以降,連結中
間決算は 2000 年 9 月決算以降を収録している.
全国の上場会社・店頭公開会社の決算発表資料からデータを入力.一部日経に
よる取材項目も含まれるが原則として,決算発表資料に記載のない項目は収録
しない.
期間は「単独本決算」上場会社:1990 年 12 月以降,店頭会社:1994 年 1 月
財務速報
以降,銀行・証券・保険:1993 年 3 月以降 「単独中間決算」上場会社:1990
年 11 月以降,店頭会社:1994 年 1 月以降,銀行・証券:1993 年 9 月以降,
保険:2000 年 9 月以降 「連結本決算」上場会社:1988 年 10 月以降,店頭
会社:1994 年 1 月以降,銀行・証券:1995 年 3 月以降,保険:1996 年 3 月
以降 「連結中間決算」上場会社:1998 年 9 月以降,店頭会社:1998 年 9 月
以降,銀行・証券:1997 年 9 月以降,保険:2000 年 9 月以降となっている.
上場会社・店頭(ジャスダック)上場会社(銀行・証券・保険を除く)の決算
セグメン
ト情報(速
報)
発表資料からデータを入力.連結本決算・中間決算について事業別,所在地別,
海外売上高,清算販売受注の状況の各セグメント情報を収録している,単独本
決算,中間決算は生産販売受注の状況のみ収録している.収録期間は単独本決
算・中間決算は 1990 年 12 月決算以降,連結決算は 1988 年 4 月決算以降,連
結中間決算は 1997 年 9 月決算以降.
有価証券報告書の「有価証券明細表」
,「関係会社有価証券明細表」に記載され
企業保有
た内容を決算期ベースで収録.収録対象企業は全国上場会社,店頭会社,その
株
他の有価証券報告書提出会社から銀行,証券,保険を除く会社である.1985
年 10 月期より各社の決算期ベースで収録.
調査表により収集した上位 30 位までの大株主の状況を決算期ごとに単独決算
ベースで収集.ただし,取材の都合により上位 10 位までになる会社がある.
大株主
全国上場会社およびジャスダック上場会社を収録.上場廃止会社,ジャスダッ
ク廃止会社についても収録.本決算は 2001 年 3 月期以降,中間決算は 2001
年 9 月期以降を時系列に収録.
企業への調査表または有価証券報告書を基に,当該企業が借入れをした金融機
金融機関
関とその借入金額を収録.収録対象企業は全国証券取引所上場および店頭公開
別借入金
企業(銀行・証券・保険・東証外国部を除く)
.上場会社は 1977 年 4 月期より
収録され,店頭企業は 1996 年 3 月期より収録.
投資参考情報
単独本決算,単独中間決算,連結本決算,連結中間決算を対象に「日本経済新
聞社予想」を収録.
業績予想
収録対象企業は全国上場企業(ヘラクレス,東証マザーズ上場銘柄を含む,東
証外国部は除く)及び,ジャスダック上場企業新規上場である.新規上場,新
規ジャスダック上場企業は公開当日に収録.
実測値は原則として 1989 年 1 月期,予想気は 1994 年 1 月初入力分より収録.
国内証券取引所,ジャスダック上場企業が発表した決算短信や業績予想修正な
どの資料を基に,上場企業の売上高,経常利益などの収益動向(予想・実績)
を収録.
■ 収録対象企業
国内証券取引所上場企業(ヘラクレス,東証マザーズ上場銘柄を含む.東証外
会社発表
予想
国部は除く)及び,ジャスダック企業.
■ 収録対象決算期
単独本決算,単独中間決算,連結本決算,連結中間決算,単独四半期実績,連
結四半期実績.
■ 収録期間
実績期はげんそくとして 1997 年 1 月期から収録.四半期実績は 2002 年 6 月
期以降の第 1 四半期,第 3 四半期から収録.ただし,業績予想修正については,
2003 年 3 月期本決算(2002 年 9 月中間)予想より収録.
株式・債券情報
銘柄別の株価,約定値,気配値,権利落ち調整値段,評価時価,指標(移動平
均,かい離率,利回り等)
,属性,日次の資本異動及び業績予想データを収録.
[株価データ(日次/週次/月次/年次)]
証券取引所上場及び店頭上場銘柄の日々の約定値段,気配値段,売買高等のデ
ータ.集計データとして週間,月間,年間の四本値や売買高合計がある.また
権利落ちを調整した株価も利用可.収録対象は,我が国証券取引所及び店頭株
式市場で売買取引対象の銘柄.ただし権利落調整済株価関連項目(「当日採用
価格」含む)では,東証外国部銘柄及び大証カントリーファンドは対象外.上
場株式は 1977 年 1 月4日以降,店頭株式は 1986 年 9 月 1 日以降収録.
[厚生年金基金連合会基準評価時価データ(日次)]
株式の日々の評価時価データ(厚生年金基金連合会基準).収録対象は,取引
所上場及び店頭上場の銘柄.収録期間は叙情株式,店頭株式ともに 1998 年 9
月 21 日以降.
[銘柄別指標データ(日次/週次/月次)]
株価や売買高,売買代金などの移動平均,かい離率データ.日々及び週間,月
間の集計データがある.収録対象は東証,大証,名証及び店頭市場で売買取引
対象の親株式銘柄.東証外国部銘柄及び大証カントリーファンドは対象外.
株式
上場株しいは 1986 年 1 月4日以降,店頭株式は 1986 年 9 月 1 日以降収録.
[銘柄別指標データ
連結ベース(日次/週次/月次)]
連結決算項目を優先的に利用した日次ベースの PER,PBR 等の指標,及び株
+-価や売買高などの移動平均その他を個別銘柄ごとに収録.
国内証券取引所及び店頭市場で売買取引対象の普通株式銘柄が収録対象.
収録期間は上場・店頭株式ともに 2000 年 10 月2日以降.
[銘柄属性データ(日次)]
上場場部,発行済株式数等,株式の日々の属性データ.収録対象は我が国証券
取引所及び店頭株式市場で売買取引対象の全銘柄.
上場株式は 1977 年 1 月 4 日以降,店頭株式は 1986 年 9 月 1 日以降収録.
[外国部銘柄本国相場データ(日次)]
取引所外国部に上場している銘柄の本子億市場の取引状況,権利落ち,円換算
価格などの日々データ.東証・大証外国部上場の株式及び外国証券投資信託受
益証券が収録対象.1977 年 12 月 22 日以降収録.
[資本異動データ(日次)]
配当,株式分割・併合,有償・無償増資等の日々データ.我が国証券取引所及
び店頭株式市場で売買取引対象の全銘柄が収録対象.
1997 年 12 月 22 日以降収録・
[業績予想データ(日次)]
本決算,中間決算の直近実績及び次期予想データ.我が国証券取引所及び店頭
株式市場で売買取引対象の銘柄が収録対象.内国普通親株式以外の株式,東証
株式
外国部銘柄,大証カントリーファンド銘柄,出資証券(日本銀行),日経株価
指数 300 連動型投資信託受益証券,外国証券投資信託受益証券(メリルリンチ
円建 TORPS トラストワン),及び優先出資証券(信金中央金庫)などは対象外.
1997 年 12 月 22 日以降収録.
全国証券取引所及び店頭市場で取引対象の債券について,「銘柄属性」情報,
「価格・利回り」情報(日次,週次,月次,年次),及び時価情報を収録.国
上場債券
債,社債,転換社債,ワラント債,ワラント,交換社債券,地方債,金融債,
外債,外国 CB 等の銘柄が対象.
「銘柄属性」と「価格・利回り」では「1977
年 1 月 4 日以降,時価情報は 1998 年 8 月 27 日以降のデータを収録.
国内で募集された非上場の債券について,「属性銘柄」,「店頭売買参考統計
非上場債
券
値」,及び「評価時価」データを日々収録.国債,地方債,特別際,金融債,
事業債,外債(円建外債)などを収録.地方債,特別債,事業債については,
公募・非公募ともに対象.1992 年 1 月 6 日以降収録.
先物オプション情報
我が国取引所上場の株価指数先物取引に関する,「属性情報」,「価格情報」を
収録.東証では TOPIX 先物,S&P/TOPIX150 先物や東証業種別株価指数先物,
株価指数
大証では日経平均先物や日経 300 先物も収録.他の先物取引では,大証業種月
先物
株価指数先物や株券先物(株先 50)も収録.収録期間は日経平均先物と TOPIX
さきものは 1988 年 9 月 3 日以降,日経 300 先物は 1994 年 2 月 14 日以降収録.
また S&P/TOPIX150 先物は 2001 年 6 月 11 日から収録
我が国取引所上場の株価指数オプション取引に関する,「属性情報」,「価格情
株価指数
報」を収録.東証では TOPIX オプション,S&P/TOPIX150 オプション,大証
オプショ
では日経平均オプションや日経 300 オプションが対象.以前上場されていた名
ン
証オプション 25 株か指数や大証業種別株価指数オプションも収録.収録期間
は 1989 年 6 月 12 日以降.
株券オプ
我が国取引所上場の株券(個別株)オプション取引に関する,「属性情報」,
「価
ション
格情報」を収録.オプション取引が設定されている全銘柄を対象.東証,大証
ともに 1997 年 7 月 18 日以降収録.
東証上場の国債先物取引について」,
「属性情報」,
「価格・利回り情報」を収録.
債券先物
長期国債先物,超長期国債先物,中期国債先物取引が対象.過去では T-BOND
先物取引も収録 2000 年 8 月 14 日より開始された,限月間スプレッド取引も収
録.収録期間は 1985 年 10 月 19 日以降.
債券先物
国債先物に関わるオプション取引において,「銘柄属性」及び「価格情報」を
オプショ
収録.東証上場の長期国債先物及び中期国債先物に対するオプション取引が対
ン
象.収録期間は 1990 年 5 月 11 日以降.
指標・証券指標情報
「長期時系列データ」では,各種株価指数・平均株価の日々の四本値を収録.
これに基づいた,週間,月間,年間の四本値データも提供.
「指数情報」では,
各種指数値,市場別売買高・売買代金などの日々の値を収録.日々の値に基づ
株式市場
いた週間・月間・年間の集計データも提供.日経平均株価,日経 300,日経 500,
指標
業種別日経平均,東証・大証主要指数などを中心に,指数情報では加えて各市
場の前場後場における統計情報を収録.収録期間は,日経平均株価について見
ると,長期時系列デ−タでは日々終値は 1949 年 5 月 16 日以降,日々四本値と
しては 1985 年 3 月 25 日以降収録.一方指数情報では前後場引けの値を 1977
年 1 月 4 日以降収録.
日本経済新聞社が算出する日経総合株価指数について,日々の終値や利益・配
日経総合
当予想に基づく P/E レシオや EPS,および月次の集計値を収録.全国上場ベー
株価指数
スの総合的な指数に加え,日経業種中分類ベース 36 業種別の指数が収録対象.
収録対象銘柄は,全国証券取引所の上場銘柄.収録期間は日次データの場合,
1980 年 1 月 4 日以降,月次データの場合,1980 年 1 月以降収録.
日経
日本経済新聞社が算出する ISE50 株価指数について,東京市場とロンドン市場
ISE50
の指数情報を収録.収録対象はロンドン市場で取引されている日本企業の株式
50 銘柄に基づいた指数.収録期間は 1988 年 7 月 4 日以降.
我が国証券取引所における株式の取引状況について,マクロ的な統計情報を日
株式市場
次,週次,月次で収録.収録対象は証券取引所での売買が対象で,
「市場統計」
,
統計
「市場取引」,「大商い上位売買高」,「指数関連」,および「新高値・安値銘柄
数」については店頭市場も対象.収録期間は取引所上場が 1985 年以降,店頭
市場が 1993 年 1 月 4 日以降収録
株式市場
連結決算項目を優先的に利用した.日次ベースの PER,PBR 等の指標,およ
統計(連
び株価や売買高などの単純平均その他を上場場部別,あるいは株価指数銘柄グ
結)
ループ別に集計して収録.週次,月次,の期末値と平均値も収録.2000 年 10
月 2 日以降収録.
大商いラ
株式について,日々の大商い銘柄上位 50,銘柄を収録.東証,大証 1・2 部上
ンキング
場銘柄,および店頭市場上場銘柄が対象で取引所上場銘柄は 1985 年 1 月 4 日
以降,店頭銘柄は 1993 年 1 月 4 日以降収録.
新高値・
株式について,過去 150 日間または年発来の新高値・新安値を取った銘柄を収
安値情報
録.東証,大証 1・2 部上場銘柄,および店頭市場上場銘柄を対象としており,
取引所銘柄は 1985 年 1 月 4 日以降,店頭銘柄は 1993 年 1 月 4 日以降収録.
日経公社
日本経済新聞社が日々算出する公社債インデックスを収録.長期債,中期債,
債インデ
および短期債の 3 カテゴリーが対象で 1977 年 7 月 1 日以降収録.
ックス
日経国債
我が国で証券取引所に上場された公募国債を残存年限でカテゴライズし,それ
インデッ
ぞれ収益率,価格,およびパフォーマンス指標を算出した情報を収録.日本証
クス
券業協会の発表する店頭売買参考統計値の平均値を元に算出.
証券デー
全国証券取引所上場個別銘柄の証券金融の状況について,日々の融資および貸
タ(銘柄
株の申し込み状況を収録.日本証券金融および大阪証券金融を対象としてお
別・市場) り,1977 年 1 月 4 日以降収録.
信用残(銘
全国証券取引所別上場個別銘柄の信用による売買取引について,毎週の現在高
柄別)
状況を収録.東証,大証 1・2 部が対象で 1994 年 12 月 11 日以降に収録.
信用残(三
全国証券取引所別の信用による売買取引について,毎週の現在高状況を収録.
市場)
東証,大証 1・2 部が対象で 1994 年 12 月 11 日以降に収録.
投資部門
我が国総合証券会社の毎週の株式売買動向を収録.総合証券売買内容調査にも
別売買高
とづいており,1974 年 6 月 30 日の週以降収録.
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