PDF版 624K

共生社会へ〜格差拡大と国民生活破壊の小泉構造改革NO!
もたらしたもの
良質な公共サービスキャンペーン資料 その2
2005年8月
公務公共サービス労働組合協議会
CONTENTS
Ⅰ
「小泉構造改革がもたらす格差拡大社会」の実態
1
Ⅱ
小泉構造改革の帰結〜それは大企業だけが儲かる構造にすること〜
7
Ⅲ
教育の危機を深化させた小泉構造改革
15
Ⅰ. 図表にみる「小泉構造改革がもたらす格差拡大社会」の実態
Ⅰ
「小泉構造改革がもたらす格差拡大社
会」の実態
「一億総中流」といわれた私たちの社会は、いま、富める者と貧しい者との二極化がすすみ、将来に希
望のもてる人と持てない人が存在する「希望格差社会」となっている。
小泉内閣発足して4年が経ったが、小泉構造改革は、国民に大きな痛みをもたらしている。その実態を
みてみよう。
縡 高まる「生活が苦しい」世帯の比率
厚生労働省「国民生活基礎調査」に
よると、「生活が苦しい」世帯は、90
年代初頭には4割台で推移していたが、
90年代後半から年々苦しさを増し、
50
40
2003年には 53.9%と過半数を超して最
30
高水準に達している(うち「大変苦し
20
い 」 は 2 2 . 4 % 、「 や や 苦 し い 」 は
10
31.5%)。
「生活が苦しい」世帯の推移
(%)
0
やや
苦しい
大変
苦しい
1986
'90
'95
2000
'03
(年)
縒 国民の3分の2が生活不安
内閣府「国民生活に関する世論調査」( 2004 年6
月)によれば、日常生活で「悩みや不安を感じてい
る人」は 65.8%にのぼり、小泉内閣の発足以降、高
い水準となった。
国民の3人に2人が生活に不安を感じ、生活の安
悩みや不安を感じている
過半数を超え、5年前(99年5月)の 47.6%より
65.1
53.3
51.0 51.0
65.8
53.9
53.1 52.5
小泉内閣発足
50
46.8 46.8
40
67.2
56.5
56.4
45.0 46.0
42.5
4.2%上昇して過去最高となっている。
ちなみに、1997年5月は 42.6%で、この7年間に
62.4
60.6
60
心と安定を求めていることを示している。
その不安の内容は、「老後の生活設計」が 51.8%で
日常生活での悩みや不安
(%)
70
44.4
42.0
38.3
30
悩みや不安を感じていない
36.2
35.7
33.0
31.5
33.0
1割弱増えた。
こうした意識を反映して、政府への要望では、「医
療・年金などの社会保障改革」が 67.7%とトップを
占め、以下、「景気対策」(58.6)、「高齢社会対策」
(49.8%)、「雇用・労働問題」
(41.3%)となっている。
20
0
年 平2 3 4 5
・ 成・ ・ ・ ・
月 5 5 5 5
6 7 8 9 11 13 14 15 16
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5 5 5 5 5 5 5 5 5
資料 内閣府「国民生活に関する世論調査」
1
縱 日本は安心・安全な国ではなくなった。理由の上位に「雇用・年金」問題
内閣府「安全・安心に関する特別世論調査」(2004年6月)によれば、「今の日本は安全・安心な国か」
どうか質したところ、過半数(55.9%)が「そう思わない」と答え、「そう思う」は 39.1%に止まった。思
わない理由(複数回答)として「少年非行、自殺など社会問題が多発」、「犯罪など治安の悪化」が6割台
と多く、ついで「雇用や年金など経済的な見通しが立てにくい」(55.6%)をあげている。
いまの日本を安心・安全と思わない理由
65.8
(イ)少年非行、
ひきこもり、
自殺など社会問題が多発している
64.0
(ウ)犯罪が多いなど治安が悪い
55.6
(エ)雇用や年金など経済的な見通しが立てにくい
51.4
(ア)国際政治情勢、
テロ行為などで平和がおびやかされている
45.0
(ケ)医療事故の発生など医療に信頼がおけない
39.4
(キ)食品の安全がおびやかされている
36.3
(ク)学級崩壊や学校の安全性の低下など教育環境が悪い
34.2
(オ)社会の連帯感が弱い
22.3
(カ)地震などの自然災害が起こるおそれがある
2.3
その他
わからない
0.3
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
縟 日本はアメリカ型の不平等な格差社会
厚生労働省「所得再分配調査」(2002年7月)によれば、所得分配の不平等を示すジニ係数(完全平等の
時は0,完全不平等は1とする指標)は、当初所得で過去最高の 0.498 に達し、前回調査(1999年)に比
べ、0.026 ポイント上昇、1990年代半ばから強まった所得格差が一層拡大している。税金・社会保険料の負
担や社会保障の給付による再分配後所得をみても拡大傾向にある。
OECD調査で先進諸国と比べてみると、日本のジニ係数はEU諸国に比べてはるかに高く、アメリカ型
の格差社会に近い、所得分配の不平等な国となっている。
わが国の所得分配の不平等化の要因として、市場原理の進化による競争激化の帰着と、税に代表される
公共政策の不平等化の促進、という2つの理由があげられよう。
2
Ⅰ. 図表にみる「小泉構造改革がもたらす格差拡大社会」の実態
先進諸国の所得分布
不平等度(ジニ係数)
デンマーク
スウェーデン
オランダ
オーストリア
フィンランド
ノルウェー
スイス
ベルギー
フランス
ドイツ
カナダ
スペイン
アイルランド
オーストラリア
日本
イギリス
ニュージーランド
アメリカ
イタリア
ポルトガル
0.225
0.243
0.251
0.252
0.261
0.261
0.267
0.272
0.273
0.277
0.301
0.303
0.304
0.305
0.314
0.326
0.377
0.377
0.347
0.356
OECD全体
(24ヵ国)
0.309
所得分配不平等度(ジニ係数)の推移
0.5
不平等
当初所得
0.4
平等
再分所得
0.3
1967
'72
'75
'78
'81
'84
'87
'90
'93
'96
'99
2002 (年)
出 所:O E C D( 2 0 0 4 ), l n c o m e
Distribution and Poverty in OECD
Countries in the Second Hall of the
1990s.
論座2005年6月号:橘木俊明京都大
学教授「新自由主義の憂うつ」より
縉 急増する非正規労働者と年収200万円未満世帯
総務省「労働力調査」(2003年)によると、役員を除く雇用者4,948万人の就業形態は、正規労働者が減
少(3,444万人、69.6%)する一方で、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員などの非正規労働者が増大
(1,504万人、30.4%)しており、この5年間(98年から2003年)に、非正規労働者は 331万人増加した。
内閣府「国民生活白書」は、フリーターと呼ばれる不安定就業に甘んじている若者(15〜34歳)が、
2001年時点で 417万人と試算している。さらに深刻なのは、ニートといわれる働く意欲のない若者が 53万
人いることだ(内閣府「構造改革評価報告書」)。フリーターやニートの増加により、将来の社会保障制度
への悪影響が懸念される。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2004年)から「1時間当たり平均所定内賃金格差」をみると、男
性パート労働者は男性一般労働者の 49.9%、女性パート労働者は 44.4% に過ぎない。これを年収でみると、
パート労働者は、男性でも 200万円 に達せず、女性は 120万円前後に抑えられている。
厚生労働省「国民生活基礎調査」 によると、いわゆる生活保護基準 以下の年収 200万円未満の世帯の割
合が増加し、18.1%にのぼっている。
3
非正規労働者と年収200万円未満世帯の推移
1時間当たり平均所定内賃金格差の推移
70
(男性一般労働者=100)
万人
1600
(%)
18
女性一般労働者
65
年収200万円未満の世帯
(%)
1500
17
60
1400
非正規労働者
(万人)
16
67.6
1300
55
1200
49.9
パート労働者(男性)
50
15
パート労働者(女性)
1100
45
14
1000
44.4
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
(年)
40
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03
(年)
縋 2割を超す貯蓄を保有してない世帯
日銀・金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する調査」(2004年6月)によれば、貯蓄を全く保有し
ていない世帯の割合は、22.1%と、5世帯に1世帯が貯蓄残高ゼロとなってしまっている。これは、1963
年以来の高い水準で、1996年の 10.1%から8年間で倍増している。なお、単身世帯では3分の1を上回っ
ている(35.1%)
また、1年前に比べて貯蓄残高が「減った」世帯は、5割に迫り(47.0%)、50〜60 歳代では5割を超し
ている。「減った」理由としては「定例的な収入が減ったので貯蓄を取りくずしたから」が最も多く、5割
強となっている。
貯蓄を保有していない世帯の割合
(%)
25
21.8(03)
22.1
(04)
25
25
25
5
5
1963
4
67
71
75
79
83
87
91
95
99
03
04
Ⅰ. 図表にみる「小泉構造改革がもたらす格差拡大社会」の実態
縢 7年連続で3万人を超す自殺者、
「経済苦」が増加
警察庁調査によれば、昨年1年間の自殺者は 32,325人で、98年以降7年連続して3万人を超えた。交通
事故死者数が年間1万人を下回るなか、自殺者の増加傾向が止まらない。自殺の動機機として、最も多い
のは「健康問題」だが、この 10年間で 57.0%から 45.8%に減少、反面、厳しい経済状況を反映して、「経
済・生活問題」が増えてきており、12.0%から昨年は 24..6%に上昇、7,947人にもなっている。
なお、30代〜 50代の働きざかりの男性に限ってみると、「経済・生活問題」が動機の第1位を占めてい
る。
自殺者数と「経済・生活問題」が動機の推移
人
9000
自 35000
殺
者
数
自殺者数
8000
経済苦
自殺者数
30000
7000
6000
人
経
済
苦
自
殺
者
数
25000
5000
4000
20000
3000
2000
1995
96
97
98
99
2000
01
02
03
04
繆 出生率は過去最低、背景に非正規労働・フリーターの増加も
厚生労働省「人口動態統計」(2004年)によると、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)
は 1.289で、過去最低となった。
とくに 20歳代で低下が続いているが、これは、「第1子出生時の母の平均年齢」が 28.9歳と、この 20年
間に2歳以上も上がるなど、晩婚化の影響もあるが、出生率低下の背景として、正規労働者の3分の1と
いう低賃金のため、結婚できないフリーターが増えてきていることが最大の問題といえる。
出生数及び合計特殊出生率の推移
万人
300
出
第1次ベビーブーム
(昭和22〜24年)
最高の出生数
2,696,638人
第2次ベビーブーム
(昭和46〜49年)
昭和41年
2,091,983人
ひのえうま
1.360,974人
5
4
平成16年
最低の出生率
1,110,835人
200
3
生
率
2
100
1
平成16年
1.29
0
22
・
昭和・年
30
・
40
・
50
・
60
2
平成・年
7
・
合
計
特
殊
出
生
率
16
0
出生率数
合計特殊出生率
5
繦 100万を超す生活保護世帯、歴代内閣1位に
厚生労働省「社会福祉行政業務報告」によれば、生活保護世帯は今年2月時点で 1016,341世帯となった。
生活保護世帯は、バブル経済の崩壊後、経済不況の深刻化とともに増加傾向を示してきたが、小泉内閣発
足時の 2001年が 80万世帯に達した。それが、この4年あまりにさらに2 0万世帯も増え 100万世帯を超えて
過去最高となった。
生活保護受給者世帯の推移
100万世帯
90万
80万
70万
60万
50万
1985年
1990
1995
1998
1999
2000
縻 欧米諸国に比べ少ない公務員
2001
2002
2003
2004
人口千人当たりの公的部門における
職員数の国際比較
雇用に占める公務員の割合をみると、1994年時点で
100
7.9
OECD平均の3分の1程度である。これを、「人口千人
90
当たりの公的部門における職員数」で比べてみると、一
80
層はっきりする。最も多いのはフランスで 96.3人、つい
80.6人
5.1
70
58.4人
3.8
34.9
50
1870〜1994年
40
1980年
1994年
フランス
2.5
3.0
4.4
…
20.0
24.8
ドイツ
1.2
2.4
4.3
9.2
14.5
15.1
日本
1.0
3.1
5.0
…
6.7
6.9
スウェーデン
2.2
3.5
4.7
12.8
30.3
32.0
4.9
4.1
6.5
14.8
21.1
15.0
アメリカ
2.2
3.7
6.8
14.7
15.4
14.5
OECD平均
2.4
3.7
5.2
12.3
17.5
18.4
資料:Sleinmo,Globalization and Taxation Challenges to
Swedish Welfare State, Discussion paper 2002
6
45.1
30
20
24.4
26.5
28.8
10
5.8
0
イギリス
65.7
19.2
35.1人
2.2
【単位:%】
1960年
40.4
60
これに対し日本は 35.1人となっている。
1937年
7.4
73.0人
で、アメリカ 80.6人、イギリス 73.0人、ドイツ 58.4人。
1870年頃 1913年
【単位:人】
96.3人
OECD平均の 18.4%に対し、日本は 6.9%であり、
雇用に占める公務員の割合
2005.2月
2.8
日本
3.2
4.2
6.5
イギリス フランス
アメリカ
7.4
2.2
ドイツ
軍人・国防職員
2.2
5.1
7.9
7.4
3.8
地方政府職員
24.4
34.9
40.4
65.7
45.1
政府企業職員
5.8
26.5
19.2
3.2
7.4
中央政府職員
2.8
6.5
28.8
4.2
2.2
■注:諸外国のデータは、原則として2001年のものである。
■出所:経済財政訪問会議配付資料(2005年2月28日)
Ⅱ. 小泉構造改革の帰結〜それは大企業だけが儲かる構造にすること 〜
Ⅱ
小泉構造改革の帰結
〜それは大企業だけが儲かる構造にすること〜
〈『「日本 21世紀ビジョン」を批判的に読み解く』より〉
暮らしと経済研究室主宰
山家悠紀夫
経済成長の低下、格差拡大は「構造改革」が原因
この間の経済成長率が低いのは、あるいは格差が拡大しているのは、改革のせいであります。その点に
触れておきます。改革の時代に日本経済がどういう状況になっているかというのをまとめてみたのが、図
表1です。
よく、90年代については、「失われた 10年」とか、最近までをとらえて「失われた十何年」という言い
方がされます。しかし、私は、前からそういう見方では本質がみえなくなるのではないかと考えています。
「失われた 10年」といわれる 90年代の 10年の中にも、バブルがはじけて非常に景気が悪かった 90年代初め
から、それでも何とか一息つけるようになった 96〜 97年まで、すなわち 90年代前半までの経済の流れと、
橋本内閣が 96年に誕生していろいろな改革政策をやり出して、その影響が経済に出てきた 97年以降と、97
年ぐらいを境に前と後ろに分けてみるべきではないかと思っています。
そして、試しに分けてみたらどうなるかということで、図表1では、97年以降から最近までと、その前
の 90年代前半、その2つの時代の経済を対比してみました。改革の時代、橋本内閣は 96年の誕生ですけれ
ど、景気にその政策の影響が出たのは 97年ぐらいからです。また、国民生活に影響が出てきたのは98年ぐ
らいですから、その辺でこの十数年を半分に分けてみて対比したものです。
景気は一段と悪くなった
改革の時代がどういう時代であったかというと、第1に景気が非常に低迷した時代であった。GDPの
平均成長率をはじいてみますと、97〜 2004年の平均は 0.9%です。ちなみに、図表1の右側の括弧内が反
動不況の時代で、これは 91〜 96年、バブルがはじけて大変な不況に陥った、日本として戦後一番景気の悪
かった数年です。その時代が 1.8 %でしたから、バブル景気の反動で景気が悪くなって非常に厳しかった
時代に比べても景気が悪くなったというのが、97 年以降の7年間ということになります。
実際、倒産した企業の数をみましても大変なふえ方をしていますし、この期間の失業者のふえ方という
のも前の時期を上回っている。改革によってそういう大変厳しい時代が生まれたわけです。この時代の名
目成長率をそのまま先に向かって25年間延長してみたのが、先に紹介した報告書の推計ですから、これは
最近のトレンドというよりは、改革のもとでの経済のトレンドを延長したことになるだろうと見た次第です。
7
図表1「改革」の時代(96年橋本内閣の誕生以降)の経済
①景気の低迷
(
1.8%)
G DP 実質成長率
0.9%(97−04 年平均)
企業倒産件数
17600 件(同上)
( 13900 件)
( 91 万人)
失業者数
129 万人(96年比02 年)
②金融システム不安の発生,大銀行の統合の進展,金融行政権力の巨大化
③財政赤字の拡大
④企業収益の回復
法人企業経常利益の増減
8兆円(96年度比03年度)(−10兆円)
(28兆円→ 36 兆円)
うち大企業
5 兆円(同上)
(− 3兆円)
0.1兆円(同上)
(− 3兆円)
(資本金10 億円以上)
うち中小企業
(資本金1000 万円未満)
⑤自営業の不振
個人企業の所得増減
−7兆円(同上)
(
2兆円)
(22 兆円→ 15 兆円)
⑥暮らしの悪化
家計の受取賃金の増減
−20兆円(97年比03年)
( 46 兆円)
(242 兆円→ 222兆円)
雇用者数の増減
−36万人(同上)
( 556万人)
(5391万人→ 5355 万人)
非正規雇用の比率
7%上昇(同上)
( 3%上昇)
(25%→32%)
正社員の平均給与
−23万円(同上)
(
42 万円)
(467 万円→ 444 万円)
家計の受取利息の増減
−12兆円(同上)
(−17 兆円)
(17 兆円→5兆円)
(注)(
)内は反動不況の時代(91−96年平均,または90年比96年,ただし,暮らしについては90年比97年)
金融システム不安の時代
2番目に起こったことは、金融システム不安が発生して、大銀行の統合が進展し、金融庁が銀行をいつ
でもつぶせるような権力をもったということです。これも、97年以降の改革の時代のことです。
8
Ⅱ. 小泉構造改革の帰結〜それは大企業だけが儲かる構造にすること 〜
財政赤字が大幅に拡大した
財政赤字についてみましても、財政赤字が猛然と拡大したのは改革の時代のことです。これについては
図表2をつけておきました。財政赤字というと、一般には政府の借金残高、国債残高とか、地方政府もあ
わせた政府の借金残高をみるのが普通ですが、私は、その見方では財政の全貌はとらえられないとかねが
ね言っておりまして、バランスシートでみるべきではなかろうかと主張しています。
私は長年、銀行員でしたけれど、対企業取引でお金を貸すかどうか判断する場合に、この会社は借金が
多いからだめだとか、借金がふえているからだめだとか、決してそういう一面的な見方はしません。資産
の方もみて、資産に比べて借金がどういう状態であるかとか、あるいは商売の状況をみながら借金を判断
するので、幾ら借金残高がある、だからという判断はしないのです。政府についても同じことです。バラ
ンスシート全体の中で政府の財政赤字をみるという見方を主張しています。そういう見方でみるとどうか。
そういう見方で過去をたどってみました。
まず、図表2の上の表は 2003年末の政府の資産・負債の状況です。この場合の政府は、国も地方自治体
も全部あわせたいわゆる政府部門です。今ある一番新しい統計が 2003年末です。そして、表の右をごらん
いただきますと、負債が 820兆円、これだけ政府部門で借金があるということです。それに対して資産の
方をみますと、政府のもっている金融資産 441兆円、固定資産――道路とか橋とか港湾とかダムとか建物
とかもろもろが 331兆円。それに土地が 128兆円。ということで、資産が 900兆円あります。
図表2 政府のバランスシート(2003年末,兆円)
資
産
負債・資本
金融資産
441
負 債
820
900
900
固定資産
331
土地
128
正味資産 80
(注)政府は國と地方自治体を合わせたもの
資料:内閣府「国民経済計算年報」
1998年以降,政府正味資産の減少が大幅に
(兆円)
400
350
年末残高
300
250
200
150
100
50
60
40
20
0
△20
△40
△60
年間増減
1990
資料
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
内閣府「国民経済計算年報」
9
ですから、2003年末でみますと資産 900兆円に対して負債は 820兆円。差し引き 80兆円の正味資産、そ
れだけの正味資産があるという計算になります。これだけとにかく政府部門にはまだ資産がある。そして、
この資産というのは何かというと、これまで国民が納めてきた税金がこういう格好で政府の正味資産で残
っているとみていいかと思います。この正味資産の動きで政府の財政の悪化状況というものをみるとどう
かというのが、下のグラフです。
国の正味資産が減少の時代
折れ線グラフが正味資産の残高です。バブルのはじけたころ、1990年には 350兆円の正味資産がありま
した。今は 80兆円ですから、この十数年というのはひたすら正味資産を食いつぶしてきた、過去の蓄積を
食いつぶして今日に至って、そろそろゼロになっていくかなという流れにあるととらえていいかと思いま
す。ですから、余談になりますが、よく「財政赤字で子どもたちに借金を残してどうするんだ、早く返済
しろ」と批判する人がありますが、今のところ私たちの世代はまだ借金は残していなくて(今、2005年で
すからまだ正味資産は残っているでしょう)、まだ子どもたちに何の引け目もない、多少なりとも資産を残
したということになります。ただし、もうちょっとすると、借金を残すという財政状況になるということ
です。
それはともかくとして、この正味資産の動きをグラフでずっとみますと、96〜97年頃まで、橋本内閣の
財政構造改革がスタートするまで、確かに少しずつ正味資産は減っていました。それでも 300兆円ぐらい
はあった。50兆円ばかり、反動不況の不景気の中で政府が資産を失った、過去の蓄えをなくしたという流
れだった。ところが、それにうろたえ騒いで、何とかしなければいけない、財政再建だということで、い
ろいろな改革政策を橋本内閣がとった結果、猛烈に景気が悪くなって、その後、小渕内閣でとにかくその
景気を立て直すためにということで、どんどんお金をつぎ込んでやったのですが、結果として、後半の改
革の時代に正味資産は猛烈に減ってしまった。今、80兆円ですから、初めの6〜7年で 50兆円の減少だっ
たものが、後の6〜7年で 200兆円以上の減少を招いたということです。
財政を超スピードで悪化させた時代
図表2の下の棒グラフは年間の正味資産の増減ですが、財政構造改革が 97年、その翌年から正味資産の
減少が猛烈に生じて、年々、20兆〜 40兆円ぐらいの減少になった。それが少しずつ縮まっていたのが、
2001年の小泉内閣の改革でまた大幅に悪化した。小泉首相は、最初は国債 30兆円にこだわって、これはあ
くまで守るといって頑張りましたけれど、結果として景気が悪くなって税収が猛烈に落ち込んで、また国
債を増発しなければいけなくなったという流れで、正味資産がどんどん少なくなってしまった。ですから、
「改革」の時代というのは、財政構造改革とか財政をよくするといいながら、財政をそれまで以上のスピー
ドで悪くした時代であったということになります。
大企業はもうかるようになった
図表1に戻って、「改革」の時代というのは、景気は非常に悪くなるし、金融はガタガタになるし、財政
は赤字がどんどん膨らむという時代だったのですが、ただ、そういう厳しい状況の中で企業の利益は猛然
とふえているということがあります。96年度と 2003年度の法人企業の経常利益をみますと、この間に 28兆
円だったものが 36兆円に膨らんでいます。その前の反動不況の時代というのは、同じ法人企業統計ベース
でみて 10兆円減っています。38兆円だったのが 28兆円になったということです。反動不況の時代は景気が
悪くてそれなりに企業の利益額も減っていたという6年だったのですが、97年度から一転して、景気は前
10
Ⅱ. 小泉構造改革の帰結〜それは大企業だけが儲かる構造にすること 〜
以上に悪くなったのに、利益はふえる時代になった。
中小零細の利益は減る
そして、企業を規模の大小で分けてみますと、一番大きな利益の増加をみるのが資本金 10億円以上の大
企業で、5兆円ふえているという状況です。その一方で、中小・零細企業で、資本金 1,000万円未満の企業
では利益はほとんどふえていない。前の期は減っていましたから、それでも企業部門はともかく、中小・
零細企業は利益はふえないけれども減らない状況にはなった。大企業は猛然とふえる時代になった。
もう1つ、自営業はこの間むしろどんどん利益が減ってきた。町の商店とか中小の個人経営の工場とか
は減っておりますが、そういう格好で個人企業には厳しい時代であったということがいえるかと思います。
賃金の減、雇用者の減、非正規雇用の拡大
経済がほとんど成長しないのに利益だけがどんどんふえたのですから、その反動がどこに出たかという
と、暮らしの面です。98年から悪化の傾向が出てきます。
まず、国民所得統計でみますと、家計の受取賃金という統計がありますが、これが 20兆円ばかり減って
いる。97年に 242兆円であったのが 2003年は 222兆円。その前の反動不況の時代は、それでも家計の所得
はふえていました。日本は戦後ずっと、97年までは家計の受取賃金はふえる一方で、景気の悪いときでも
そこそこふえる、いいときはたくさんふえるという流れだったのですが、98年から流れが一変して毎年賃
金が減り始めた。
その背景が3つありまして、1つは雇用者の数自体が減り始めた。企業がどんどんリストラをするよう
になったということで、この6年間に36万人雇用者が減っています。その前の時代は雇用者はふえる時代
でした。それから、2つは雇用者の中で非正規雇用、正社員でない雇われ方、パートとかアルバイトとか
派遣といった人の比率が上がったということです。以前からそういう傾向はありましたが、その前の7年
間というのは3%しか上昇しなかったのが、ほぼ同じ年間に7%と、「改革」の時代にはそれ以前に比べ倍
のスピードで非正規雇用がふえ始めたということがあります。それから、3つめですが、正社員で雇われ
た人自体も給料が減っている。表にあるのは国税庁の統計で見た1人当たりの年間の給与額ですが、 467
万円から 444万円に減った。
小泉構造改革は大企業がもうかる構造にすること
「改革」の時代を振り返ると、要するに大企業の一人勝ちです。これは構造改革が実ったといっていい
かと思います。私は、構造改革を、一言でいえば、「企業がもうかるような経済構造にすること」と定義し
ていますが、それが見事に実って、景気は悪くなったけれど、ちゃんと企業はもうかるようになった。そ
のしわが家計部門にどんどん寄っているというのが、過去7〜8年の流れです。
暮らしは大変厳しくなった
近年の暮らしの悪化の状況をもう少し細かくみたのが、図表3以下です。
図表3は、厚生労働省のアンケート調査です。「生活が苦しい」と答える世帯の比率が 90年代の後半、
97〜 98年ごろから一段とふえてきているという流れにあります。今、「大変苦しい」という世帯が二十
数%、5軒に1軒です。「やや苦しい」とあわせますと、全体で 50%を超えますから、2軒に1軒は「生
活が苦しい」と感じているという状況にあります。
11
図表3 生活は苦しくなっている
高まる「生活が苦しい」世帯の比率
(%)
50
やや
苦しい
40
30
20
大変
苦しい
10
0
1986
90
95
2000
03
(注)生活が「大変苦しい」と回答した世帯,「やや苦しい」と回答した世帯の構成比.
(資料)厚生労働省「国民生活基礎調査」
3万人を超す自殺者
その反映かどうか、図表4のグラフの自殺者の数をみましても、98年からレベルが上がっています。そ
れまでは大体2万人台だったのですが、ポンとはね上がって3万人を超えたのが 98年で、以降、毎年3万
人を超えていまして、去年の統計を見ましても、3万 2,000人台で、2003年よりちょっと低目ですが、いず
れにしろ3万人を超えました。明らかに社会が変わっているとみていいかと思います。
図表4 自殺者数が増えている
(万人)
自殺者数
3
2
1
0
12
80
(資料)警察庁
85
90
95
2000
03 (年)
Ⅱ. 小泉構造改革の帰結〜それは大企業だけが儲かる構造にすること 〜
長時間労働
そして、図表5ですが、正社員については労働時間が長期化している。週 49時間以上働く人の比率です
が、男性についていいますと、97年ので 31%が 2002年には 40%、女性も 12%が 16%という格好でふえて
います。もちろんこれは正規の統計ですから、もぐり残業の時間がこれに重なって、もっともっと長時間
労働の人がふえているということだろうと思いますし、休暇の取得率などでみましても、近年どんどん落
ちてきて史上最低の水準になっています。
図表5の一番下は短時間しか働かない、要するにパートやアルバイトの人ですが、これもやはり比率が
上がっています。いま、一番減っているのは、労働基準法で定められている正規の労働時間、週 40時間前
後働いている人の比率です。
図表5 仕事がきつくなっている
(12)
(16)
就業時間
49時間以上
(70)
(62)
35〜49時間
(22)
35時間未満
(31)
(40)
(67)
(56)
(18)
(2)
(3)
1997年
2002年
1997年
男
2002年
女
(注)図中の数字は構成比(%).対象は年200日以上勤務者.
(資料)総務省「就業構造基本調査」
13
所得格差の拡大
もう1つ、図表6です。所得格差が開いているということです。当初所得についていいますと、96年よ
り 99年、そして 2002年と、かなりの勢いで格差が上昇しています。ジニ係数というのは1に近づくほど格
差が大きい、0に近づくほど格差は小さいわけですが、歴史的に、80年代から上昇傾向にありまして、90
年代後半に一段と上がっている。当初所得から、社会保障の給付や税金の負担などを差し引いた再配分所
得でみましても、99年にはね上がっているという流れが出てきています。
ですから、この辺をみますと、改革なくしては、今以上に生活面で面倒な状況になっていく、労働面で
厳しい状況が出てくるという報告書の見方ですが、現状は、明らかに構造改革政策の影響で今そうなって
いるということでして、それを何も対応しなければこうなるという予測に使うのはおかしいのではないか
というのが、私の見方の1つのポイントです。
図表6 所得格差が開いている
0.5
上昇するジニ係数
当初所得
0.4
再分配所得
0.3
1997
72
75
78
81
84
87
90
(注)再分配所得は当初所得−税金−社会保険料+現物給与
(医療,介護,保育)+社会保障給付金として算出した所得
(資料)厚生労働省「所得再分配調査」
14
93
96
99
2002(年)
Ⅲ. 教育の危機を深化させた小泉構造改革
Ⅲ
教育の危機を深化させた小泉構造改革
〈「良い社会をつくる公共サービスを考えるシンポジウム」より〉
東京大学大学院教育学研究科教授
佐
藤
学
教育への市場原理の導入
教育の危機が深刻化したターニングポイントは、まさに神野直彦先生(東京大学大学院経済研究科教授)
がおっしゃったプラザ合意と全く一致しておりまして、1985年、その前の年に臨時教育審議会が組織され、
国の公教育に対する考え方が 180度転換したわけです。つまり、公教育に対して国家が責任を負わない、
国民の自己決定、自己責任、自由な選択によってやりなさいと、市場原理に基づく競争原理を教育に導入
するのだという考えがそこで打ち出されました。私はその時点から改革自体が新しい社会、新しい教育へ
の転換点、つまり学校は何のためにあるのか、学びは何のためにあるのかということを再定義しなければ
いけないのに、その定義が全然できないまま、いってみれば脱皮できないままに、ここまで危機を深化さ
せてきたと考えています。神野先生は、1985年以降の改革は後ろ向きの改革であったというようにはっき
り申されて、うなずいた次第です。
さらに、これからの教育が、あるいは社会が民主主義を基盤とする公共性と民主主義の原理でつくられ
るべきである。つまり新しいアソシエーション、コミュニティの再生ということを提起された点にも全く
同意します。
したがいまして、幾つか象徴的なことだけ申し上げて現在の「骨太の方針」、小泉改革のもっている危険
性についてお話ししたいと思います。
最大の被害者は子ども
まず、この 20年間の間に最も被害を受けたのはだれかをはっきりさせる必要があります。最も弱者であ
る子どもたちだったといわざるを得ません。さまざまな問題が発生しておりますけれども、社会の中で最
も弱者である子ども、本来社会的に保護され、将来にわたって支えられなければならない子どもたちのと
ころに一番問題が集中してしまったのです。例えば、子どもたちに希望がありません。1992年の高卒の求
人数は 165万人でした。10年後の 2002年は 15万人です。産業構造や社会の変化というものは新しい社会参
加の機会を保障すべきなのに、日本の経済はそれを怠ってきたために、実に若年労働市場の9割がわずか
10年で消えてしまったわけです。これがフリーター、ニート問題です。
つい最近のことを問題にすれば、改革をすればするほど危機が深まる。危機が改革を起こすのではなく
て、まさに今の教育改革は改革が危機をつくり出しているのです。
15
不平等の拡大
教育の危機の第1は、不平等の拡大です。競争の教育から共生の教育への転換を図るべきときに、受験
産業は1996年に3割も収益を落とした。にもかかわらず、昨年はこれまでの最大の収益を上げているので
す。いわゆる学力低下論争とか、社会的不安、危機が強まっているために、いやが応でも塾や教育産業に
お金を払わなければいけない、こういう状況となっているのです。しかも、この出費はお金持ちと貧しい
人との間では決定的な開きがあります。
昨年の調査を1つご紹介しておきます。国民生活金融公庫の総合研究所の調査です。年収が 400万円以
下の低所得者世帯が費やしている教育費の平均は 158万円です。つまり、貧しい世帯は現在 54%のお金を
教育費に費やさざるを得ない。この根底にあるのは社会不安だと思います。決して高いレベルの教育に競
争的に参加するのではなくて非常に不安があるものですから、子どもたちが生きていけないのではないか
という不安が年所得の54%もの教育費の出費にかりたてているのです。年所得の半分以上の支出というの
は想像を絶します。これに対して、年収 1,000万円以上の世帯は 242万円で家計の 22%なのです。一方では
54%も出費し、1,000万円以上では 22%の出費なのですが、実に教育費の出費の間に 1.7倍もの格差ができ
ているのです。
要約すれば、このような教育費の過剰な負担と、そこにおける不平等の拡大というものがまずは挙げら
れると思います。
学校教育の質の劣化
第2は、学校教育の劣化というのには非常に著しいものがあります。聞こえはいいのですが、43道府県
で少人数学級が導入されています。これは地方分権化で、ここ3、4年で起こったことです。しかし、実
態はだれも知りません。地方の教育財政は 93年以降ずっと削減されています。では、財政が削減されてい
るのにどうして少人数学級が実現しているのか。この 43道府県のほとんどは、実は政治家の選挙公約に基
づいて実行されているのです。教師が求めたものではないのです。
その結果、どういうことが起こるか。財源がないまま少人数学級を導入するものですから、日本中の学
校でパートの非常勤教師がはんらんしているわけです。例えば、愛知県でいいますと、ことしの新採用は
240人でした。そこに 3,000人ぐらいの非常勤パートを雇っているわけです。これは、当然のことながら教
育の質の劣化を起こします。あるいは、学校の運営が非常に厳しくなる。学校の先生方が多忙になるので
す。実は文部省で試算しましたが、平成 30年までに日本の小・中学校の教師の4割以上が代るのです。ど
うしてこういうことが起こったのか。それは 50歳前後で教師たちが燃え尽きて、疲れ切って、やめていっ
ているからです。このカウントがしてなかったわけです。さらに、高校段階でも大きな教員の変動が起こ
ります。
これまで日本の教師の質を規定してきたのは教員の給与の相対的な高さと、それから採用の倍率の高さ
でした。平均 12倍といわれるほどの倍率の高さです。これが東京都では、ことしわずかに 2.1倍です。ご
存じのように、東京都は非常に官僚的なコントロールをしていますから、学生たち受験生に聞きますと全
部2つか3つ受けてて、東京都は第2候補、第3候補なのです。2.1倍ということは、もうほとんど全員合
格になってしまっているのです。この大きな転換点、しかも教師、教育の質を転換しなければいけない時
に何らの政策がないわけです。
16
Ⅲ. 教育の危機を深化させた小泉構造改革
官僚主義と民営化
第3は、実はこの 20年間の間に官僚主義だけは徹底してきたのです。本来、地方分権化、規制緩和であ
れば、教師たちが自由を獲得し、自分たちの権限を拡充するはずだったものが、ご存知のように東京都は
最たる例でありますけれども、現在、「骨太の方針」では全国の学校に学力テストを導入し、子どもたちを
競わせながら学校選択制度を導入するといっています。さらに、もっといいますと、バウチャー制度を導
入するということが規制緩和の民間開放推進会議の中で提案されている。バウチャー制度というのは、い
ってみれば公教育費というものを全部チケットで渡して、公立学校を全部私立学校のように経営させる方
式です。そうすると、現在もっているパブリックなセクター全体が市場的な競争のコントロール、いわば
民間の一種の企業体のような形で推進されてしまう。
子どもたちの棄民化
このような事態の中で明らかに問題になってくるのは、やはり子どもたちの棄民化だと思うのです。も
はや第三世界的な状況の子どもたちが学校に行くとあふれています。いってみれば、このような弱者をい
じめていく、あるいは平等を破壊していくような教育に対して、もはや限界点を超えているというのが私
の認識でありまして、今回の「骨太の方針」をもし推進するならば、そもそも小泉内閣になってから何一
つうまくいっていないわけです。すべて破綻しているわけです。そのことが全く自己評価のないまま、そ
れをさらに推し進めるというのは、教育にとってはほとんど危機的な状況だというように危惧している次第
です。
17
公務公共サービス労働組合協議会
〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館5F
Tel:03-3251-7799
Fax:03-3251-7794
URL:http://www.komu-rokyo.jp/