サムスカ®錠を処方いただく前に - 大塚製薬 医薬関係者向け情報

日本標準商品分類番号
87 2139
薬価基準収載
V2-受容体拮抗剤
劇薬、処方せん医薬品*
*:注意-医師等の処方せんにより使用すること
サムスカ® 錠を処方いただく前に
心不全における体液貯留
肝硬変における体液貯留
監修:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 循環器内科 科長
山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学 教授
安村 良男 先生
坂井田 功 先生
*本剤は、心不全/肝硬変における体液貯留とは別に、常染色体優性多発性のう
胞腎(ADPKD)の進行抑制の効能もございます。
*ADPKDについては、用法・用量、投与前の注意点、必要な検査の頻度(血清
ナトリウム値検査、肝機能検査)などが、心不全/肝硬変における体液貯留と
大きく異なりますのでご注意ください。
〔警 告〕
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が
報告されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれが
あることから、入院下で投与を開始又は再開すること。また、特に投与開始日又は再開日には血清
ナトリウム濃度を頻回に測定すること。
(「2.重要な基本的注意Ⅰ(
- 4)
、Ⅱ-(6)
」の項及び「4.副作用
(1)重大な副作用 3)高ナトリウム血症」の項参照)
〔禁 忌(次の患者には投与しないこと)
〕
Ⅰ-1.本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
Ⅰ-2.無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
Ⅰ-3.口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び
脱水のおそれがある。]
Ⅰ-4.高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
Ⅰ-5.適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者[適切な水分補給が困難なため、循環血漿量の減少
により高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
Ⅰ-6.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
サムスカ錠を処方いただく前に必ずご確認ください。
心不全における体液貯留;2頁参照
肝硬変における体液貯留;19〜20頁参照
・ 効能毎に上限用量が異なることにご注意ください。
・ サムスカ投与時は、血清ナトリウム値の測定が必要です。
・ 重大な肝機能障害の回避のためのモニタリングが必要です。
サムスカ錠を処方いただく前に
はじめに 1
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
必ずご確認いただきたい事項
効能・効果及び用法・用量 2
3
投与前の注意点 5
水分・ナトリウムに関する注意点 7
効能・効果 用法・用量 用量に関する考え方 水分補給に関する考え方 投与初期の水分・ナトリウムのモニタリングに関する考え方 血清ナトリウムのモニタリングに関する考え方 3
4
5
6
8
10
重篤な肝機能障害について 11
体重管理について 外来移行時の注意点 15
17
肝機能検査に関する考え方 肝機能のモニタリングに関する考え方 12
14
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
必ずご確認いただきたい事項 効能・効果及び用法・用量 19
21
投与前の注意点 23
水分・ナトリウムに関する注意点 25
重篤な肝機能障害について 29
体重管理について 外来移行時の注意点 33
35
効能・効果 用法・用量 用量に関する考え方 水分補給に関する考え方 投与初期の水分・ナトリウムのモニタリングに関する考え方 血清ナトリウムのモニタリングに関する考え方 肝機能検査に関する考え方 肝機能のモニタリングに関する考え方 21
22
23
24
25
28
30
32
サムスカ錠の概要
CYP3A4阻害剤との相互作用について 37
めまいの発現について 39
サムスカ錠7.5 mg・15 mgの概要 40
使用上の注意 薬物動態 使用上の注意 37
38
39
はじめに
サムスカ錠7.5 mg・15 mgは、大塚製薬株式会社で合成されたトルバプタンを
有効成分とする非ペプチド性バソプレシンV2-受容体拮抗剤です。腎臓集合管でのバソ
プレシンによる水再吸収を阻害し、電解質排泄の増加を伴わず水分のみを排泄する作用
(水利尿作用)を示します。 本剤はこの水利尿作用により、体液貯留状態にある心不
全の患者さん、肝硬変の患者さんの過剰な水分を除去します。
従来の利尿薬は、電解質排泄を増加させることにより水分を排泄する作用(ナトリウム
利尿作用)であり、本剤はこれまでの利尿薬とは作用機序が異なります。 そのため、
投与初期には本剤の作用や患者さんの状態を十分に確認する必要があります。また、
水分摂取に関する指導において、これまでの利尿薬とは異なる点があります。
本冊子は、本剤を安全かつ適正に使用していただくために、特にご留意いただきたい
内容を中心に解説したものです。本剤投与中に注意すべき事項は、添付文書における
使用上の注意に記載しておりますが、本剤を使用していただく前に本冊子をご精読いた
だき、安全確保にご留意くださいますようお願い申し上げます。
また、本剤の使用にあたりましては、最新の添付文書をご熟読ください。
1
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
必ずご確認いただきたい事項
効能毎に上限用量が異なることにご注意ください。
用法・用量(通常)1日1回
心不全における体液貯留
15 mg(上限用量)
肝硬変における体液貯留
7.5 mg(上限用量)
用量については、半量あるいは低用量から開始することが望ましい患者さんがいます。
⇒5頁「用量に関する考え方」参照
《効能・効果に関連する使用上の注意》
(抜粋)
本剤は他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用
すること。
サムスカ投与時は、血清ナトリウム値の測定が必要です。
●
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症をきたし、意識障害
に至った症例が報告されています。急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄
鞘崩壊症(CPM)をきたすおそれがあることから、入院下で投与を開始又は再開
して、血清ナトリウム濃度を測定してください。
⇒警告 参照
高ナトリウム血症や脱水の発現防止のために適切な水分補給の指導を行ってください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
●
重大な肝機能障害の回避のためのモニタリングが必要です。
●
本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
●
重大な肝機能障害の回避のためにモニタリングが必要です。
●
本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験に
おいて2週間を超える使用経験はないことから、体重、下肢浮腫などの患者の状態を
観察し、体液貯留状態が改善した場合は、漫然と投与を継続しないでください。
⇒《用法・用量に関連する使用上の注意》
Ⅰ(
- 2)参照
2
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
効能・効果及び用法・用量
効能・効果
サムスカ錠7.5 mg・15 mg
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
《効能・効果に関連する使用上の注意》
本剤は他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)
と併用して使用すること。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験は
ない。
(「2.重要な基本的注意Ⅰ(
- 1)
」の項参照)
解説
本剤は水排泄を増加させるもののナトリウム排泄は増加させません。心不全におけ
る体液貯留の治療においては、ナトリウム及び水分を排泄する必要があると考えられ
ております。
そのため、承認時及び効能追加承認時までの国内臨床試験は、他の利尿薬に本剤
の追加投与で実施しております。
したがって、本剤単独での使用経験はなく、その有効性及び安全性は確立しており
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
ません。
他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)治療に
おいて効果が十分でなく、体液貯留状態(下肢浮腫、頚静脈怒張又は肺うっ血等)が
存在する場合に、本剤を使用してください。
なお、承認時及び効能追加承認時までの国内臨床試験において、ヒト心房性ナトリ
ウム利尿ペプチドとの併用経験はありません。
⇒重要な基本的注意Ⅰ(1)参照
3
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
用法・用量
●心不全における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして 15 mgを1日1回経口投与する。
《用法・用量に関連する使用上の注意》
Ⅰ. 心不全における体液貯留の場合
Ⅰ(
- 1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。
[症状消失後の維持に関する
有効性は確認されていない。]
Ⅰ(
- 2)目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合
は、漫然と投与を継続しないこと。
[国内臨床試験において2週間を超える使用経験
はない。]
Ⅰ(
- 3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。
(〔臨床成績〕の項
参照)
Ⅰ(
- 4)血清ナトリウム濃度が125 mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好まし
くないと判断される患者に投与する場合は、半量(7.5 mg)から開始することが望
ましい。
(「1.慎重投与Ⅰ(
- 1)
、
Ⅰ(
- 2)
」の項参照)
Ⅰ(
- 5)口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
(「2.重要な基本的注意Ⅰ(
- 3)
」
の項参照)
Ⅰ(
- 6)CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けること
が望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始な
どを考慮すること。
[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。]
(「3.相互作用」
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
の項及び〔薬物動態〕の項参照)
Ⅰ(
- 7)夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
本剤の成人における1日通常用量(上限用量)は、心不全における体液貯留の場合15 mgで
あり、肝硬変における体液貯留の7.5 mgとは用量が異なることにご留意ください。
解説
●心不全における体液貯留の場合(Ⅰ(
- 6))について
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝されると考えられております。CYP3A4
阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン等と本剤を併用した場合、本剤
の代謝が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがありますので、併用にあたって
は注意してください。やむを得ず併用する場合は、心不全における体液貯留の通常用量
(1日1回15 mg)からの減量あるいは低用量からの開始などを考慮してください。
⇒相互作用及び薬物動態 参照
4
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
投与前の注意点
用量に関する考え方
本剤はこれまでの利尿薬(塩類排泄型利尿薬)とは異なり、水分を選択的に排泄させる
水利尿薬です。特徴として投与開始直後に大きな水利尿効果が発現するため、本剤投与
時は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により起こる橋中心髄鞘崩壊症(CPM)、及び
急激な利尿による脱水症状に注意する必要があります。
血清ナトリウム濃度が125 mEq/L未満の患者さん、急激な循環血漿量の減少が好
ましくないと判断される患者さんに投与する場合は、半量から開始することが望ましい
です。
CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、グリベンクラミド、シメチ
ジン等)との併用はできるだけ避けるようにしてください。やむを得ず併用する場合
は、本剤の減量あるいは低用量からの開始等をご考慮ください。
なお、本剤の成人における1日通常用量(上限用量)は、心不全における体液貯留の
場合が15 mg、肝硬変における体液貯留の場合が7.5 mgと異なりますのでご留意く
ださい。
⇒警告、用法・用量に関連する使用上の注意Ⅰ(
- 4)及びⅠ(
- 6)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
グレープフルーツジュースと一緒に飲まないよう患者さんを指導してください。
●
他の薬を使用している場合や、新たに使用する場合は医師又は薬剤師に相談するよう
指導してください。
5
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
水分補給に関する考え方
体液貯留状態にある心不全の患者さんの治療では、塩分制限に加えて水分制限も、実
施される場合もあります。本剤投与により水利尿作用が強く発現した場合にも、引き続
き水分制限を行うと脱水及び高ナトリウム血症を引き起こすおそれがあります。本剤の
利尿作用が過剰に発現し血清浸透圧が上昇すると口渇が持続しますので、脱水及び高ナ
トリウム血症の発現防止や脱水症状を放置させないために、患者さんに対して以下の指
導を行うようにしてください。また、口渇感が持続する場合には、減量をご考慮ください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
本剤投与中に口渇等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを指導し
てください。
●
脱水症状(口渇感の持続、皮膚乾燥、目標体重より大幅な体重減少)がみられた場合
は、医師に連絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅰ(
- 3)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
6
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
水分・ナトリウムに関する注意点
本剤は入院下で投与を開始又は再開すること。
急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告
されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄鞘崩壊症を来す
おそれがあります。
⇒警告 参照
■ 橋中心髄鞘崩壊症(CPM)について 1)2)3)
CPMは、急性に出現する橋中心部の対称性の脱髄病変であり、脳橋部を中心とした
周辺の髄鞘が変性をきたし、意識障害と異常な精神症状を呈する疾患として報告されて
います。CPMは、慢性アルコール中毒患者に多くみられるほか、低栄養状態、嘔吐、下
痢、熱傷、利尿薬投与、水中毒、腎不全、肝不全、ADH(バソプレシン)不適合分泌症候
群(SIADH)等、種々の病態に伴う低ナトリウム血症の急激な補正が重要な発症要因とさ
れます。神経・精神症状の重症度は、無症状から昏睡に至るまで様々です。神経症候に
は、痙性四肢麻痺、仮性球麻痺による構音障害や嚥下障害、外眼筋麻痺、痙攣等があり、
昏睡を含む意識障害、せん妄や錯乱、閉じ込め症候群等精神状態の異常も出現します。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
1)葛原茂樹:新臨床内科学第8版(監修/高久史麿、尾形悦郎、黒川清、矢崎義雄), P1560, 医学書院, 2005
2)武井和夫:今日の診断指針第5版(総編集/亀山正邦、高久史麿), P677-678, 医学書院, 2002
3)野本達也、片山泰朗:内科, 97(5), 812-815, 2006
7
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
投与初期の水分・ナトリウムのモニタリングに関する考え方
本剤はこれまでの利尿薬(塩類排泄型利尿薬)とは異なり、水分を選択的に排泄させ
る水利尿薬です。特徴として投与開始直後に大きな水利尿効果が発現するため、本剤
投与初期には、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により橋中心髄鞘崩壊症(CPM)をき
たすおそれがあります。また、急激な利尿により脱水症状があらわれるおそれがありま
すので、入院下で投与を開始又は再開する必要があります。本剤投与開始後は、血清
ナトリウム濃度を効能ごとに規定された頻度(時期)で測定すること(10頁参照)や、口
渇感等の患者さんの状態を観察し、体重、血圧、脈拍数、尿量などを頻回に測定し、脱
水症状に注意する必要があります。
■ 急激な血清ナトリウム濃度の上昇により起こるおそれのある
橋中心髄鞘崩壊症(CPM)及び高ナトリウム血症への対策
本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現することから投与初日の血清
ナトリウム濃度の測定が重要です。また、急激な水利尿による高ナトリウム血症をきたす
おそれがあることから、投与初日以降も血清ナトリウム濃度の測定が必要です。
少なくとも投与開始4〜6時間後並びに8〜12時間後に血清ナトリウム濃度を
測定してください。 投与開始翌日から1週間程度は毎日測定し、その後も投与を
継続する場合には、適宜測定してください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
これらの測定結果により、必要に応じて、飲水量を増量させたり、輸液(5%ブドウ糖
液)により、血清ナトリウム濃度の上昇が1日(24時間)当たり12 mEq/Lを超えないよ
うに注意してください。また、血清ナトリウム濃度が24時間以内に12 mEq/Lを超える
上昇がみられた場合には、投与を中止してください。
■ 血清ナトリウム濃度125 mEq/L未満の患者への投与
血清ナトリウム濃度125 mEq/L未満の患者に投与した場合、急激な血清ナトリウ
ム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症をきたすおそれがあります。24時間以内に
12 mEq/Lを超える上昇が見られた場合には、投与を中止して下さい。
⇒慎重投与Ⅰ(1)
及び重要な基本的注意Ⅰ(5)
参照
8
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
■ 高カリウム血症について
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少をきたし、血清カリウム濃度を上昇させ、
心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測
定してください。
⇒慎重投与Ⅰ(
- 3)及び重要な基本的注意Ⅰ(
- 6)参照
■ 急激な利尿による脱水症状
⇒重要な基本的注意Ⅰ(
- 2)及びⅠ(
- 3)参照
■ 脱水について
体液貯留状態にある心不全の患者さんの治療では、塩分制限に加えて水分制限も実
施される場合もあります。本剤投与により水利尿作用が強く発現した場合にも引き続き
水分制限を行うと脱水を引き起こすおそれがあります。
そのため、本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う副作用があらわれるおそれがあるので、
口渇感など患者さんの状態を観察し、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定してくだ
さい。口渇、脱水等の症状があらわれた場合には、水分補給を行うよう指導してください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
●
本剤投与中に口渇、脱水等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを
指導してください。
●
脱水症状(口渇感の持続、皮膚乾燥、目標体重より大幅な体重減少)がみられた場合
は、医師に連絡するよう指導してください。
●
橋中心髄鞘崩壊症(手足のまひ、発声が不明瞭になる等)の症状がみられた場合は、医
師に連絡するよう指導してください。
9
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
血清ナトリウムのモニタリングに関する考え方
高ナトリウム血症が発現する場合があります。
正常域を超える血清ナトリウム濃度上昇がみられた場合には、直ちに本剤
の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を
行ってください。
本剤は入院下で投与を開始し、少なくとも血行動態、臨床症状等の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険
性が高くないことが確認されるまでの期間は入院を継続して、適切なモニタリングを
実施する必要があります。
■ 適切な血清ナトリウム濃度の測定
2. 重要な基本的注意
Ⅰ(4)
本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、
少なくとも投与開始4〜6時間後並びに8〜12時間後に
血清ナトリウム濃度を測定すること。
投与開始翌日から1週間程度は毎日測定し、
その後も投与を継続する場合には、
適宜
測定すること。
8:00
12:00 14:00 16:00
投与前
※最 低限 必要な測定ポイント
20:00
(4〜6時間後) (8〜12時間後)
2週間
24時間後
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
7日目
6日目
5日目
4日目
3日目
2日目
開始日
1週間
1週間以降適宜
毎日
適宜
注意)・血清ナトリウム濃度の上昇が1日(24時間)当たり12 mEq/L を超えないように注意してください。必要に応じ、
飲水量を増量させたり、輸液(5%ブドウ糖液)の投与をご検討ください。また、血清ナトリウム濃度が24時間以内に
12 mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止してください。なお、可能な限り投与前、24時間後の
血清ナトリウム濃度の測定をお願いします。
・目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないで
ください。
[国内臨床試験において2週間を超える使用経験はありません。]
■ 本剤投与中の標準的なモニタリングの内容(例)
対
内
象: サムスカ投与対象の患者さんすべて
容: 必要に応じて随時
● 尿量
● 他覚所見(診察;皮膚乾燥、粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン(血圧、脈拍数等)
● 自覚症状(口渇、倦怠感等)
● 臨床検査値(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct 、AST、ALT、
T-Bil等)
10
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
重篤な肝機能障害について
本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
本剤投与中に肝機能障害が認められた場合の本剤との関連性を判断する情報とするた
め、本剤投与開始前にも必ず肝機能検査を実施してください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
肝障害を示す可能性のある症状(疲労、食欲不振、右上腹部不快感、褐色尿、黄疸な
ど)がみられた場合は、医師に連絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅰ(
- 7)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
11
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
肝機能検査に関する考え方
重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
肝機能障害に対し観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を
中止し、適切な処置を行ってください。 本剤による肝機能障害は国内市販後に心
不全における体液貯留患者で投与初期からの発現が認められています。また常染色体
優性多発性のう胞腎(ADPKD)患者を対象とした臨床試験では、基準値の2倍を超える
ビリルビンの上昇かつ基準値の3倍を超えるALT又はASTの上昇という重篤な肝機能
障害が本剤投与群の2例に認められ、基準値の3倍を超えるALTの上昇の多くは、投与
開始3〜14カ月の間に認められています。
■ 国内市販後(心不全)における重篤な肝機能障害の発現時期
国内市販後において、心不全患者を対象に、重篤な肝機能障害が26例(2013年4月
24日現在)発現しております。その多くは、2週間以内に発現しています。
(例数)
7
6
発現時期不明3例を除く23例中19例
(83%)
は2週間以内に
発現しているため最初の2週間は頻回な検査が必要です。
5
4
3
2
1
1日
2日
3日
4日
5日
6日
7日
8日
9日
10
日
11
日
12
日
13
日
14
日
15
日
16
日
17
日
18
日
19
日
20
日
21
日
22
日
23
日
24
日
25
日
26
日
27
日
2
1. 8日
5カ
月
不
明
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
0
発現時期
2013年4月24日までに集積された26例より
2. 重要な基本的注意
Ⅰ(7)
本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくとも
投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。
またやむを得ず、
その後も投与を継続する場合には、
適宜検査を行うこと。
12
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
■ 常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)患者を対象とした試験
ADPKD患者を対象とした臨床試験では、基準値の3倍を超えるALTの上昇について3〜
14カ月の間に本剤群とプラセボ群で差が認められています。
上昇が認められた被験者の割合
0.10
0.09
0.08
0.07
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0.00
トルバプタン
Cox Model P=0.0015
Hazard Ratio:4.518
95%CI:(1.785,11.43)
nTLV:44 nPLC:5
0
100
200
300
プラセボ
400
500
試験日数
600
700
800
900
1000
1100
例数
トルバプタン(961) (884) (836) (812) (796) (774) (765) (751) (740) (734) (726) (268)
プラセボ (483) (476) (468) (459) (452) (445) (442) (433) (425) (422) (415) (147)
10. その他の注意
(抜粋)
4)
(1)
常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験
(国際共同試験)
において、
本剤60〜120 mg/日
またはプラセボを3年間投与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、
かつ基準値上限の3倍を超える血清
ALT
(GPT)
上昇又は血清AST
(GOT)
上昇が、本剤投与群の2例に認められた。
また、基準値上限の2.5倍を超えるALT
(GPT)
上昇の発現頻度が、
プラセボ群と比較して本剤投与群で高かった
(本剤投与群960例中47例
(4.9%)
、
プラセボ群
483例中6例
(1.2%))。なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT
(GPT)上昇の多くは、投与開始3〜
14ヵ月の間に認められた。
本剤を投与する際は、肝機能検査の適切なモニタリングが不可欠です。次頁をご参照
ください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
肝障害を示す可能性のある症状(疲労、食欲不振、右上腹部不快感、褐色尿、黄疸な
ど)がみられた場合は、医師に連絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅰ(
- 7)参照
4)Torres, V.E. et al.:N. Engl. J. Med., 367(25), 2407-2418, 2012
13
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
肝機能のモニタリングに関する考え方
本剤は入院下で投与を開始し、少なくとも血行動態、臨床症状等の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険
性が高くないことが確認されるまでの期間は入院を継続して、適切なモニタリングを
実施する必要があります。
■ 重大な肝機能障害の回避のためのモニタリングと対処
2. 重要な基本的注意
Ⅰ(7)
本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくと
も投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合には、
適宜検査を行うこと。
推奨されるモニタリングと対処
①適切な肝機能検査を行う
:肝機能 検 査
1週間
投与前
2週間
頻回
適宜
②肝障害症状の確認(倦怠感、食欲低下、嘔気、茶褐色尿、黄疸等)
*異常が認められた場合、サムスカの投与を中止する等の適切な処置をお願いします。
注意)目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないでく
ださい。
[国内臨床試験において2週間を超える使用経験はありません。]
対
内
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
■ 本剤投与中の標準的なモニタリングの内容(例)
象: サムスカ投与対象の患者さんすべて
容: 必要に応じて随時
● 尿量
● 他覚所見(診察;皮膚乾燥、粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン(血圧、脈拍数等)
● 自覚症状(口渇、倦怠感等)
● 臨床検査値(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct 、AST、ALT、
T-Bil等)
14
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
体重管理について
心不全の患者さんの体液貯留状態を把握するためには、日々の体重測定は最も簡便
で確実な方法です。本剤の投与に際しては、患者さんごとに体液貯留状態が良好にコン
トロールされている時の体重(目標体重)
を定めたうえで、日々の体重測定を行うことに
より体液貯留状態の悪化/改善、脱水等の目安としてください。
●
目標体重に戻った場合には、患者さんの体液貯留所見を観察し、本剤の投与はこれ以
上必要でないと判断した場合には、投与を中止してください。
●
本剤の効果は投与1日目より発現します(次頁参照)
。本剤を1週間投与しても、体重
の減少が認められない、又は体液貯留所見が改善しないときは、本剤の投与を中止し
てください。
⇒用法・用量に関連する使用上の注意Ⅰ(
- 1)
、Ⅰ(
- 2)及びⅠ(
- 3)参照
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
体重の増減は体液貯留の悪化/改善の指標となることや、過度の体重減少は脱水を示
唆することから、体重測定の重要性を説明してください。
●
特に医師からの指示がなければ、毎日同じ時刻に体重を測定するよう指導してくだ
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
さい。
●
体重が短期間で急激に増加した場合や、浮腫や呼吸困難の増悪があれば、医師に連
絡するよう指導してください。
15
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
図.体重のベースラインからの変化量(心不全患者/プラセボとの二重盲検比較試験)
【試験概要】
●対
象: 既存の利尿薬※を投与しても過剰な体液貯留が認められるうっ血性心不全患者110例(サムスカ15 mg群53例、
プラセボ群57例)
●方
法: 既存利尿薬は継続したまま、サムスカ15 mg及びプラセボを1日1回7日間投与した(多施設無作為化二重盲検
プラセボ対照2群並行群間試験)。なお、本試験中においては飲水制限を実施していない。
● 評価方法: 最終投与時における、体重のベースラインからの変化量
※既存の利尿薬:フロセミド 40 mg/日相当量以上のループ利尿薬
ループ利尿薬+サイアザイド系利尿薬
ループ利尿薬+抗アルドステロン薬(「注意 3)
」参照)
(kg)
2
1
体重の変化量
0
**
-1
**
**
**
**
**
**
**
-2
-3
既存利尿薬+サムスカ15 mg(n=53)
既存利尿薬+プラセボ(n=57)
Mean±S.D.
-4
0
1
2
3
治療期
4
5
6
7
追跡期
+1
+2
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
-1
(日目)
観察日
**:P<0.01
(vs プラセボ群, t検定)
[Matsuzaki, M. et al.:Cardiovasc. Drugs Ther., 25(Suppl 1), S33-45, 2011]
注意 1)本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれ
があるので、口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿
量等を頻回に測定してください。
2)本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があらわれることがあるので、このような症状が
あらわれた場合には、水分補給を行うよう指導してください。
3)抗アルドステロン薬と本剤との併用により血清カリウム濃度が上昇するおそれがありますので
ご注意ください。
16
心不全における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
外来移行時の注意点
外来移行を考慮される場合、少なくとも血行動態の安定、臨床症状の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険性が
高くない状態であることを確認してください。
外来に移行する際には、本剤投与中の注意点と同様に、適切な水分補給及び日々の
体重測定にて、脱水を予防し体液貯留状態を把握することが重要となります。
外来移行時には、念のため患者さんが口渇を感じ飲水が可能な状態であることを今
一度ご確認ください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
医師の指示通りに服薬し、患者自身の判断で服薬量を変更したり中止したりしないよ
う指導してください。
●
本剤投与中に口渇等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを指導
してください。
●
体重測定について
体重の増減は体液貯留の悪化/改善の指標となることや、過度の体重減少は脱水を示唆すること
から、体重測定の重要性を説明してください。
特に医師からの指示がなければ、毎日同じ時刻に体重を測定するよう指導してください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
●
次頁のような場合など、体に異常を感じたら速やかに医師の診断を受けるよう指導
してください。
17
症状悪化の可能性
・口渇があり飲水しても改善しない
・体重の急激な増加
・皮膚の乾燥
・むくみ
・目標体重より大幅な体重減少
・呼吸困難
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
脱水の可能性
・めまい、立ちくらみ
肝機能障害の可能性
橋中心髄鞘崩壊症の可能性
・皮膚や白目が黄色くなった
・手足のまひ
・強い疲労感を感じた
・発声が不明瞭になる
・食欲が低下した
・飲み込みにくい
・けいれん
・意識がなくなる、意識が乱れるなど
高カリウム血症の可能性
・口のまわりがしびれる
・胸が苦しい
・体がだるい
<外来時に確認・検査いただきたい項目>
● 他覚所見
(診察;皮膚乾燥、
粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン
(血圧、
脈拍数等)
● 自覚症状
(口渇、
倦怠感等)
● 臨床検査値
(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct、AST、ALT、T-Bil等)
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
● 尿量
18
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
必ずご確認いただきたい事項
効能毎に上限用量が異なることにご注意ください。
用法・用量(通常)1日1回
肝硬変における体液貯留
7.5 mg(上限用量)
心不全における体液貯留
15 mg(上限用量)
用量については、半量あるいは低用量から開始することが望ましい患者さんがいます。
⇒23頁「用量に関する考え方」参照
《効能・効果に関連する使用上の注意》
(抜粋)
本剤は他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用
すること。
サムスカ投与時は、血清ナトリウム値の測定が必要です。
●
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症をきたし、意識障害
に至った症例が報告されています。急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄
鞘崩壊症(CPM)をきたすおそれがあることから、入院下で投与を開始又は再開
して、血清ナトリウム濃度を測定してください。
⇒警告 参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
●
高ナトリウム血症や脱水の発現防止のために適切な水分補給の指導を行ってください。
重大な肝機能障害の回避のためのモニタリングが必要です。
●
本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
●
重大な肝機能障害の回避のためにモニタリングが必要です。
●
肝硬変患者では、肝機能をより悪化させるおそれがあること、及び原疾患の悪化と本剤
による肝機能障害の発現との区別が困難であることに留意して、本剤の投与にあたって
は、リスクとベネフィットを考慮し、本剤投与の適否について慎重に判断して
ください。
⇒2.重要な基本的注意Ⅱ-(1)及びⅡ-(2)参照
19
本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
●
おいて2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の
状態を観察し、体液貯留状態が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小
限の期間の使用にとどめるよう留意してください。
⇒《用法・用量に関連する使用上の注意》Ⅱ-(2)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
20
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
効能・効果及び用法・用量
効能・効果
サムスカ錠7.5 mg
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留
《効能・効果に関連する使用上の注意》
本剤は他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)
と併用して使用すること。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験は
ない。
(「2.重要な基本的注意Ⅱ-(3)
」の項参照)
解説
本剤は水排泄を増加させるもののナトリウム排泄は増加させません。肝硬変におけ
る体液貯留の治療においては、ナトリウム及び水分を排泄する必要があると考えられ
ております。
そのため、承認時及び効能追加承認時までの国内臨床試験は、他の利尿薬に本剤
の追加投与で実施しております。
したがって、本剤単独での使用経験はなく、その有効性及び安全性は確立しており
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
ません。
他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)治療に
おいて効果が十分でなく、体液貯留状態(腹水、下肢浮腫等)が存在する場合に、本剤
を使用してください。
なお、承認時及び効能追加承認時までの国内臨床試験において、ヒト心房性ナトリ
ウム利尿ペプチドとの併用経験はありません。
⇒重要な基本的注意Ⅱ-(3)参照
21
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
用法・用量
●肝硬変における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして 7.5 mgを1日1回経口投与する。
《用法・用量に関連する使用上の注意》
Ⅱ. 肝硬変における体液貯留の場合
Ⅱ-(1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。
[症状消失後の維持に関する
有効性は確認されていない。]
Ⅱ-(2)本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験に
おいて2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者
の状態を観察し、体液貯留が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小限
の期間の使用にとどめること。
Ⅱ-(3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。
(〔臨床成績〕の項
参照)
Ⅱ-(4)血清ナトリウム濃度が125 mEq/L 未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ま
しくないと判断される患者に投与する場合は、半量(3.75 mg)から開始すること
が望ましい。
(「1.慎重投与Ⅰ(
- 1)
、
Ⅰ(
- 2)
」の項参照)
Ⅱ-(5)口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
(「2.重要な基本的注意Ⅱ-(5)
」
の項参照)
Ⅱ-(6)CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けること
が望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始な
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
どを考慮すること。
[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。]
(「3.相互作用」
の項及び〔薬物動態〕の項参照)
Ⅱ-(7)夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
本剤の成人における1日通常用量(上限用量)は、肝硬変における体液貯留の場合7.5 mgで
あり、心不全における体液貯留の15 mgの半量ですので、用量が異なることにご留意ください。
解説
●肝硬変における体液貯留の場合(Ⅱ-(6))について
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝されると考えられております。CYP3A4
阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン等と本剤を併用した場合、本剤
の代謝が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがありますので、併用にあたって
は注意してください。やむを得ず併用する場合は、肝硬変における体液貯留の通常用量
(1日1回7.5 mg)からの減量あるいは低用量からの開始などを考慮してください。
⇒相互作用及び薬物動態 参照
22
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
投与前の注意点
用量に関する考え方
本剤はこれまでの利尿薬(塩類排泄型利尿薬)とは異なり、水分を選択的に排泄させる
水利尿薬です。特徴として投与開始直後に大きな水利尿効果が発現するため、本剤投与
時は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により起こる橋中心髄鞘崩壊症(CPM)、及び
急激な利尿による脱水症状に注意する必要があります。
血清ナトリウム濃度が125 mEq/L未満の患者さん、急激な循環血漿量の減少が好
ましくないと判断される患者さんに投与する場合は、半量から開始することが望ましい
です。
CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、グリベンクラミド、シメチ
ジン等)との併用はできるだけ避けるようにしてください。やむを得ず併用する場合
は、本剤の減量あるいは低用量からの開始等をご考慮ください。
なお、本剤の成人における1日通常用量(上限用量)は、肝硬変における体液貯留の
場合7.5 mgであり、心不全における体液貯留の15 mgの半量ですので、用量が異な
ることにご留意ください。
⇒警告、用法・用量に関連する使用上の注意Ⅱ-(4)及びⅡ-(6)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
グレープフルーツジュースと一緒に飲まないよう患者さんを指導してください。
●
他の薬を使用している場合や、新たに使用する場合は医師又は薬剤師に相談するよう
指導してください。
23
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
水分補給に関する考え方
体液貯留状態にある肝硬変の患者さんの治療では、塩分制限に加えて水分制限も、実
施される場合もあります。本剤投与により水利尿作用が強く発現した場合にも、引き続
き水分制限を行うと脱水及び高ナトリウム血症を引き起こすおそれがあります。本剤の
利尿作用が過剰に発現し血清浸透圧が上昇すると口渇が持続しますので、脱水及び高ナ
トリウム血症の発現防止や脱水症状を放置させないために、患者さんに対して以下の指
導を行うようにしてください。また、口渇感が持続する場合には、減量をご考慮ください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
本剤投与中に口渇等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを指導し
てください。
●
脱水症状(口渇感の持続、皮膚乾燥、急激な体重減少)がみられた場合は、医師に連
絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅱ-(5)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
24
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
水分・ナトリウムに関する注意点
本剤は入院下で投与を開始又は再開すること。
急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告
されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄鞘崩壊症を来す
おそれがあります。
⇒警告 参照
■ 橋中心髄鞘崩壊症(CPM)について 1)2)3)
⇒7頁「橋中心髄鞘崩壊症(CPM)について」参照
投与初期の水分・ナトリウムのモニタリングに関する考え方
本剤はこれまでの利尿薬(塩類排泄型利尿薬)とは異なり、水分を選択的に排泄させ
る水利尿薬です。特徴として投与開始直後に大きな水利尿効果が発現するため、本剤
投与初期には、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により橋中心髄鞘崩壊症(CPM)をき
たすおそれがあります。また、急激な利尿により脱水症状があらわれるおそれがありま
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
すので、入院下で投与を開始又は再開する必要があります。本剤投与開始後は、血清
ナトリウム濃度を効能ごとに規定された頻度(時期)で測定すること(28頁参照)や、口
渇感等の患者さんの状態を観察し、体重、血圧、脈拍数、尿量などを頻回に測定し、脱
水症状に注意する必要があります。
1)葛原茂樹:新臨床内科学第8版(監修/高久史麿、尾形悦郎、黒川清、矢崎義雄), P1560, 医学書院, 2005
2)武井和夫:今日の診断指針第5版(総編集/亀山正邦、高久史麿), P677-678, 医学書院, 2002
3)野本達也、片山泰朗:内科, 97(5), 812-815, 2006
25
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
■ 急激な血清ナトリウム濃度の上昇により起こるおそれのある
橋中心髄鞘崩壊症(CPM)及び高ナトリウム血症への対策
本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現することから投与初日の血清
ナトリウム濃度の測定が重要です。また、急激な水利尿による高ナトリウム血症をきたす
おそれがあることから、投与初日以降も血清ナトリウム濃度の測定が必要です。
少なくとも投与開始4〜8時間後に血清ナトリウム濃度を測定してください。さら
に投与開始2日後並びに3〜5日後に1回測定し、その後も投与を継続する場合に
は、適宜測定してください。
これらの測定結果により、必要に応じて、飲水量を増量させたり、輸液(5%ブドウ糖
液)により、血清ナトリウム濃度の上昇が1日(24時間)当たり12 mEq/Lを超えないよ
うに注意してください。また、血清ナトリウム濃度が24時間以内に12 mEq/Lを超える
上昇がみられた場合には、投与を中止してください。
■ 血清ナトリウム濃度125 mEq/L未満の患者への投与
血清ナトリウム濃度125 mEq/L未満の患者に投与した場合、急激な血清ナトリウ
ム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症をきたすおそれがあります。24時間以内に
12 mEq/Lを超える上昇が見られた場合には、投与を中止して下さい。
⇒慎重投与Ⅰ(
- 1)及び重要な基本的注意Ⅱ-(7)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
■ 高カリウム血症について
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少をきたし、血清カリウム濃度を上昇させ、
心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測
定してください。
⇒慎重投与Ⅰ(
- 3)及び重要な基本的注意Ⅱ-(8)参照
■ 急激な利尿による脱水症状
⇒重要な基本的注意Ⅱ-(4)及びⅡ-(5)参照
26
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
■ 脱水について
⇒9頁「脱水について」参照
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
本剤投与中に口渇、脱水等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを
指導してください。
●
脱水症状(口渇感の持続、皮膚乾燥、急激な体重減少)がみられた場合は、医師に連絡
するよう指導してください。
●
橋中心髄鞘崩壊症(手足のまひ、発声が不明瞭になる等)の症状がみられた場合は、医
師に連絡するよう指導してください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
27
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
血清ナトリウムのモニタリングに関する考え方
高ナトリウム血症が発現する場合があります。
正常域を超える血清ナトリウム濃度上昇がみられた場合には、直ちに本剤
の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を
行ってください。
本剤は入院下で投与を開始し、少なくとも血行動態、臨床症状等の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険
性が高くないことが確認されるまでの期間は入院を継続して、適切なモニタリングを
実施する必要があります。
■ 適切な血清ナトリウム濃度の測定
2. 重要な基本的注意
Ⅱ(6)
本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4〜8時間後に血清ナトリウム濃
度を測定すること。
さらに投与開始2日後並びに3〜5日後に1回測定し、
その後も投与を継続する場合には、適宜測
定すること。
8:00
12:00
投与前
※最 低限 必要な測定ポイント
16:00
(4〜8時間後)
2週間
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
開始日
1週間
2日後
3〜5日後に1回
適宜
注意)・血 清ナトリウム濃度の上昇が1日(24時間)当たり12 mEq/L を超えないように注意してください。 必要に応じ、
飲水量を増量させたり、輸液(5%ブドウ糖液)の投与をご検討ください。また、血清ナトリウム濃度が24時間以内に
12 mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止してください。なお、可能な限り投与前、24時間後の血
清ナトリウム濃度の測定をお願いします。
・本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験において2週間を超える使用経験は
ないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の状態を観察し、体液貯留状態が改善した場合は、漫然と投与を継続
せず、必要最小限の期間の使用にとどめるよう留意してください。
■ 本剤投与中の標準的なモニタリングの内容(例)
対
内
象: サムスカ投与対象の患者さんすべて
容: 必要に応じて随時
● 尿量
● 他覚所見(診察;皮膚乾燥、粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン(血圧、脈拍数等)
● 自覚症状(口渇、倦怠感等)
● 臨床検査値(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct 、AST、ALT、
T-Bil等)
28
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
重篤な肝機能障害について
本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
肝硬変患者では、肝機能をより悪化させるおそれがあること、及び原疾患の悪化と本
剤による肝機能障害の発現との区別が困難であることに留意して、本剤の投与にあたっ
ては、リスクとベネフィットを考慮し、本剤投与の適否について慎重に判断して
ください。
本剤投与中に肝機能障害が認められた場合の本剤との関連性を判断する情報とするた
め、本剤投与開始前にも必ず肝機能検査を実施してください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
肝障害を示す可能性のある症状(疲労、食欲不振、右上腹部不快感、褐色尿、黄疸な
ど)がみられた場合は、医師に連絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅱ-(1)及びⅡ-(2)参照
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
29
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
肝機能検査に関する考え方
重篤な肝機能障害があらわれることがあります。
肝機能障害に対し観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を
中止し、適切な処置を行ってください。 本剤による肝機能障害は国内市販後に心
不全における体液貯留患者で投与初期からの発現が認められています。また常染色体
優性多発性のう胞腎(ADPKD)患者を対象とした臨床試験では、基準値の2倍を超える
ビリルビンの上昇かつ基準値の3倍を超えるALT又はASTの上昇という重篤な肝機能
障害が本剤投与群の2例に認められ、基準値の3倍を超えるALTの上昇の多くは、投与
開始3〜14カ月の間に認められています。
■ 国内市販後(心不全)における重篤な肝機能障害の発現時期
国内市販後において、心不全患者を対象に、重篤な肝機能障害が26例(2013年4月
24日現在)発現しております。その多くは、2週間以内に発現しています。
(例数)
7
6
発現時期不明3例を除く23例中19例
(83%)
は2週間以内に
発現しているため最初の2週間は頻回な検査が必要です。
5
4
3
2
1
1日
2日
3日
4日
5日
6日
7日
8日
9日
10
日
11
日
12
日
13
日
14
日
15
日
16
日
17
日
18
日
19
日
20
日
21
日
22
日
23
日
24
日
25
日
26
日
27
日
2
1. 8日
5カ
月
不
明
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
0
発現時期
2013年4月24日までに集積された26例より
2. 重要な基本的注意
Ⅱ(2)
本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくとも
投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。
またやむを得ず、
その後も投与を継続する場合には、
適宜検査を行うこと。
30
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
■ 常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)患者を対象とした試験
ADPKD患者を対象とした臨床試験では、基準値の3倍を超えるALTの上昇について3〜
14カ月の間に本剤群とプラセボ群で差が認められています。
上昇が認められた被験者の割合
0.10
0.09
0.08
0.07
0.06
0.05
0.04
0.03
0.02
0.01
0.00
トルバプタン
Cox Model P=0.0015
Hazard Ratio:4.518
95%CI:(1.785,11.43)
nTLV:44 nPLC:5
0
100
200
300
プラセボ
400
500
試験日数
600
700
800
900
1000
1100
例数
トルバプタン(961) (884) (836) (812) (796) (774) (765) (751) (740) (734) (726) (268)
プラセボ (483) (476) (468) (459) (452) (445) (442) (433) (425) (422) (415) (147)
10. その他の注意
(抜粋)
4)
(1)
常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験
(国際共同試験)
において、
本剤60〜120 mg/日
またはプラセボを3年間投与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、
かつ基準値上限の3倍を超える血清
ALT
(GPT)
上昇又は血清AST
(GOT)
上昇が、本剤投与群の2例に認められた。
また、基準値上限の2.5倍を超えるALT
(GPT)
上昇の発現頻度が、
プラセボ群と比較して本剤投与群で高かった
(本剤投与群960例中47例
(4.9%)
、
プラセボ群
483例中6例
(1.2%))。なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT
(GPT)上昇の多くは、投与開始3〜
14ヵ月の間に認められた。
本剤を投与する際は、肝機能検査の適切なモニタリングが不可欠です。次頁をご参照
ください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
肝障害を示す可能性のある症状(疲労、食欲不振、右上腹部不快感、褐色尿、黄疸な
ど)がみられた場合は、医師に連絡するよう指導してください。
⇒重要な基本的注意Ⅱ-(1)及びⅡ-(2)参照
4)Torres, V.E. et al.:N. Engl. J. Med., 367(25), 2407-2418, 2012
31
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
肝機能のモニタリングに関する考え方
本剤は入院下で投与を開始し、少なくとも血行動態、臨床症状等の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険
性が高くないことが確認されるまでの期間は入院を継続して、適切なモニタリングを
実施する必要があります。
■ 重大な肝機能障害の回避のためのモニタリングと対処
2. 重要な基本的注意
Ⅱ(2)
本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、
本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくと
その後も投与を継続する場合には、適宜検査を
も投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行うこと。またやむを得ず、
行うこと。
推奨されるモニタリングと対処
①適切な肝機能検査を行う
:肝機能 検 査
1週間
投与前
2週間
頻回
適宜
②肝障害症状の確認(倦怠感、食欲低下、嘔気、茶褐色尿、黄疸等)
*異常が認められた場合、サムスカの投与を中止する等の適切な処置をお願いします。
注意)本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験において2週間を超える使用経験
はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の状態を観察し、体液貯留状態が改善した場合は、漫然と投与を
継続せず、必要最小限の期間の使用にとどめるよう留意してください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
■ 本剤投与中の標準的なモニタリングの内容(例)
対
内
象: サムスカ投与対象の患者さんすべて
容: 必要に応じて随時
● 尿量
● 他覚所見(診察;皮膚乾燥、粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン(血圧、脈拍数等)
● 自覚症状(口渇、倦怠感等)
● 臨床検査値(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct 、AST、ALT、
T-Bil等)
32
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
体重管理について
肝硬変の患者さんの体液貯留状態を把握するためには、日々の体重、腹囲、下肢浮腫
の状態を観察することが最も重要です。特に体重は体液貯留状態を総合的に把握する
うえで重要な指標です。本剤投与時は、日々の体重を測定し、体液貯留状態の悪化/改
善、脱水等の目安としてください。
●本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験に
おいて2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の
状態を観察し、体液貯留状態が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小
限の期間の使用にとどめるよう留意してください。
●本剤の効果は投与1日目より発現します
(次頁参照)
。本剤を1週間投与しても、体重
の減少が認められない、又は体液貯留所見が改善しないときは、本剤の投与を中止し
てください。
⇒用法・用量に関連する使用上の注意Ⅱ-( 1)
、Ⅱ-( 2)及びⅡ-( 3)参照
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●体重の増減は体液貯留の悪化/改善の指標となることや、過度の体重減少は脱水を示
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
唆することから、体重測定の重要性を説明してください。
●特に医師からの指示がなければ、毎日同じ時刻に体重を測定するよう指導してくだ
さい。
●体重が短期間で急激に増加した場合や、浮腫、腹部膨満感の増悪があれば、医師に連
絡するよう指導してください。
33
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
図.体重のベースラインからの変化量(肝硬変患者/プラセボとの二重盲検比較試験)
【試験概要】
●対
象: 既存の利尿薬※を投与しても体液貯留が認められる肝硬変患者162例(サムスカ7.5 mg群82例、プラセボ群
80例)
●方
法: 既存利尿薬は継続したまま、サムスカ7.5 mg及びプラセボを1日1回7日間投与した(多施設無作為化二重
盲検プラセボ対照2群並行群間試験)。なお、本試験中においては飲水制限を実施していない。
● 評価方法: 最終投与時における、体重のベースラインからの変化量
※既存の利尿薬:ループ利尿薬(フロセミド相当量)40 mg/ 日以上 + スピロノラクトン 25 mg/ 日以上
ループ利尿薬(フロセミド相当量として)20 mg/ 日以上 + スピロノラクトン 50 mg/ 日以上(
「注意 3)
」参照)
(kg)
2
1
体重の変化量
0
-1
-2
***
既存利尿薬+サムスカ7.5 mg
既存利尿薬+プラセボ
Mean±S.D.
-3
ベースライン 1
2
3
4
5
6
7
最終時 (日目)
観察日
例数
既存利尿薬+サムスカ7.5 mg (82) (82) (81) (81) (78) (76) (75) (75) (82)
(80) (78) (79) (74) (73) (71) (70) (71) (80)
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
既存利尿薬+プラセボ
***:P<0.0001
(vs プラセボ群, Studentのt検定)
[Sakaida, I. et al.: Hepatol. Res., Apr 3, 2013(Epub ahead of print)]
注意 1)本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれ
があるので、口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿
量等を頻回に測定してください。
2)本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があらわれることがあるので、このような症状が
あらわれた場合には、水分補給を行うよう指導してください。
3)抗アルドステロン薬と本剤との併用により血清カリウム濃度が上昇するおそれがありますので
ご注意ください。
34
肝硬変における体液貯留へサムスカ錠を処方いただく前に
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
外来移行時の注意点
外来移行を考慮される場合、少なくとも血行動態の安定、臨床症状の安定、過度の水
利尿や高ナトリウム血症・高カリウム血症・肝機能障害等の有害事象が生じる危険性が
高くない状態であることを確認してください。
外来に移行する際には、本剤投与中の注意点と同様に、適切な水分補給及び日々の
体重測定にて、脱水を予防し体液貯留状態を把握することが重要となります。
外来移行時には、念のため患者さんが口渇を感じ飲水が可能な状態であることを今
一度ご確認ください。
<患者さんに説明・指導していただきたいこと>
●
医師の指示通りに服薬し、患者自身の判断で服薬量を変更したり中止したりしないよ
う指導してください。
●
本剤投与中に口渇等が認められた場合には適切に水分補給するよう患者さんを指導
してください。
●
体重測定について
体重の増減は体液貯留の悪化/改善の指標となることや、過度の体重減少は脱水を示唆すること
から、体重測定の重要性を説明してください。
特に医師からの指示がなければ、毎日同じ時刻に体重を測定するよう指導してください。
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
●
次頁のような場合など、体に異常を感じたら速やかに医師の診断を受けるよう指導
してください。
35
症状悪化の可能性
・口渇があり飲水しても改善しない
・体重の急激な増加
・皮膚の乾燥
・腹水の増悪
・急激な体重減少
・腹部膨満感など腹水に伴う主訴の増悪
心 不 全 にお け る 体 液 貯 留
脱水の可能性
・浮腫の増悪
肝機能障害の可能性
肝性脳症の可能性
・皮膚や白目が黄色くなった
・肝性脳症の症状
・強い疲労感を感じた
(集中力がなくなった、計算に弱くなった、
・食欲が低下した
イライラする、気分が不安定、夜眠れず
・以上の症状がもともとある場合で、
昼間眠い、足がつる、疲れやすい)
これらが急に強くなった
消化管出血の可能性
橋中心髄鞘崩壊症の可能性
・吐血
・手足のまひ
・下血
・発声が不明瞭になる
・急激な血圧低下など出血を疑う所見
・飲み込みにくい
・けいれん
・意識がなくなる、意識が乱れるなど
高カリウム血症の可能性
・口のまわりがしびれる
・胸が苦しい
・体がだるい
肝 硬 変 にお け る 体 液 貯 留
<外来時に確認・検査いただきたい項目>
● 尿量
● 他覚所見
(診察;皮膚乾燥、
粘膜乾燥等)
● 飲水量
● 腹部膨満感など腹水に伴う主訴
● 体重
● バイタルサイン
(血圧、
脈拍数等)
● 自覚症状
(口渇、
倦怠感等)
● 臨床検査値
(Na、K、Cr、BUN、Hb、Hct、AST、ALT、T-Bil等)
36
サムスカ錠の概要
CYP3A4阻害剤との相互作用について
使用上の注意
相互作用(一部抜粋)
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。また、P糖蛋白の基質で
あるとともに、P糖蛋白への阻害作用を有する。
(〔薬物動態〕の項参照)
併用注意(併用に注意すること)
37
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
CYP3A4阻害作用を有
する薬剤
ケトコナゾー ル(経口
剤:国内未発売)、イト
ラコナゾー ル、クラリ
スロマイシン等
グレープフ ル ーツ
ジュース
代謝酵素の阻害により、本剤
の作用が増強するおそれがあ
るので、これらの薬剤との併
用は避けることが望ましい。
やむを得ず併用する場合は、
本剤の減量あるいは低用量か
ら開始すること。
(《用法・用量
に関連する使用上の注意》の
項参照)
本 剤 の 代 謝 酵 素で ある
CYP3A4を 阻 害し、本
剤の血漿中濃度を上昇さ
せる。
(〔薬物動態〕の項
参照)
薬物動態
5.相互作用(外国人による成績)
(一部抜粋)
●
健康成人において、強力なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200 mg
と本剤30 mgの併用により、本剤のCmax 及びAUCはそれぞれ3.5倍及び5.4倍に
なった 5)。
●
健康成人において、本剤60 mgをCYP3A4の阻害作用を有するグレープフルーツ
ジュースにより服用した時、本剤のCmax 及びAUCはそれぞれ1.9倍及び1.6倍に
なった 6)。
5)Shoaf, S. E. et al.:Br. J. Clin. Pharmacol., 73(4), 579-587, 2011
6)Shoaf, S. E. et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 68(2), 207-211, 2012
38
サムスカ錠の概要
めまいの発現について
使用上の注意
重要な基本的注意Ⅰ(
- 8)、Ⅱ-(10)
めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意するよう指導してください。また
高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導してくだ
さい。
39
V2 - 受容体拮抗剤(トルバプタン錠)
※販 売 名
※日本標準商品分類番号
※ 承認番号
※ 薬価収載
※ 販売開始
法
※貯
※ 使用期限
※
〔警
の概要
※
劇薬、処方せん医薬品
注意−医師等の処方せんにより
使用すること
サムスカ錠15mg
87 2139、87 249
22200AMX00956
22500AMX00010
2010年12月
2013年5月
2010年12月
2013年6月
室温保存
製造後2年(外箱に表示)
製造後3年(外箱に表示)
サムスカ錠30mg
87 249
22600AMX00552
薬価基準未収載
サムスカ錠7.5mg
製造後3年(外箱に表示)
告〕
Ⅰ. 心不全及び
肝硬変にお
ける体液貯
留の場合
本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至った症例が報告
されており、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれがあること
から、入院下で投与を開始又は再開すること。また、特に投与開始日又は再開日には血清ナトリウム濃
度を頻回に測定すること。
(
「2. 重要な基本的注意Ⅰ(4)
、
Ⅱ(6)
」
の項及び
「4. 副作用
(1)
重大な副作用 3)
高ナトリウム血症」の項参照)
Ⅱ. 常染色体優 Ⅱ-1. 本剤は、常染色体優性多発性のう胞腎について十分な知識をもつ医師のもとで、治療上の有益性が
性多発性の
危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病
う胞腎の場
を完治させる薬剤ではないことや重篤な肝機能障害が発現するおそれがあること、適切な水分摂取
合
及び定期的な血液検査等によるモニタリングの実施が必要であることを含め、本剤の有効性及び危
険性を患者に十分に説明し、同意を得ること。
Ⅱ-2. 特に投与開始時又は漸増期において、過剰な水利尿に伴う脱水症状、高ナトリウム血症などの副作用
があらわれるおそれがあるので、少なくとも本剤の投与開始は入院下で行い、適切な水分補給の必要
性について指導すること。また、本剤投与中は少なくとも月1回は血清ナトリウム濃度を測定すること。
(
「2. 重要な基本的注意Ⅲ(5)
」
の項及び
「4. 副作用
(1)
重大な副作用 3)
高ナトリウム血症」
の項参照)
Ⅱ-3. 本剤の投与により、重篤な肝機能障害が発現した症例が報告されていることから、血清トランスア
ミナーゼ値及び総ビリルビン値を含めた肝機能検査を必ず本剤投与開始前及び増量時に実施し、本
剤投与中は少なくとも月1回は肝機能検査を実施すること。また、異常が認められた場合には直ち
に投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「〔禁忌〕Ⅱ-5.」の項、「2. 重要な基本的注意Ⅲ-(2)、Ⅲ(3)」の項、「4. 副作用(1)重大な副作用 4)肝機能障害」の項及び「10. その他の注意(1)」の項参照)
※
〔禁
忌(次の患者には投与しないこと)〕
Ⅰ. 心不全及び Ⅰ-1. 本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
肝硬変にお Ⅰ-2. 無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
ける体液貯 Ⅰ-3. 口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水の
留の場合
おそれがある。]
Ⅰ-4. 高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
Ⅰ-5. 適切な水分補給が困難な肝性脳症の患者
[適切な水分補給が困難なため、循環血漿量の減少により
高ナトリウム血症及び脱水のおそれがある。]
Ⅰ-6. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
Ⅱ. 常染色体優 Ⅱ-1. 本剤の成分又は類似化合物(モザバプタン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
性多発性の Ⅱ-2. 口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者[循環血漿量の減少により高ナトリウム血症及び脱水の
おそれがある。]
う胞腎の場
Ⅱ-3. 高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
合
Ⅱ-4. 重篤な腎機能障害(eGFR 15mL/min/1.73m2未満)のある患者[本剤の効果が期待できない。]
Ⅱ-5. 慢性肝炎、薬剤性肝機能障害等の肝機能障害
(常染色体優性多発性のう胞腎に合併する肝のう胞を
除く)又はその既往歴のある患者[肝障害を増悪させるおそれがある。]
Ⅱ-6. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
1. 組成
2. 製剤の性状
※組成・性状
販売名
有効成分
添 加 物
サムスカ錠
7.5mg
1錠中
トルバプタン7.5mg
サムスカ錠
15mg
1錠中
トルバプタン15mg
乳糖水和物、トウモロコシデンプン、
結晶セルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、青色2号アルミニウムレー
キ、ステアリン酸マグネシウム
サムスカ錠
30mg
1錠中
トルバプタン30mg
※効能・効果
サムスカ錠7.5mg
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な肝硬変における体液貯留
腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性
多発性のう胞腎の進行抑制
サムスカ錠15mg
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
販売名
性
状
外
形
径
厚さ 重さ
(mm)
(mm)(mg)
サムスカ錠
7.5mg
青色の割
線入りの
変形長方
形の素錠
7.7
(長径)
2.6
4.4
(短径)
約
90
サムスカ錠
15mg
青色の割
線入りの
素錠
8
3.1
(直径)
約
180
サムスカ錠
30mg
青色の割
線入りの
四角形の
素錠
7.4
3.1
(一辺)
約
174
腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性
多発性のう胞腎の進行抑制
サムスカ錠30mg
腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性
多発性のう胞腎の進行抑制
(次頁に続く)
40
※2014年3月改訂(−部分)
Samsca tablets
®
〈参考〉
効能・効果
※効能・効果
錠7.5mg
錠15mg
錠30mg
心不全における体液貯留
○
○
−
肝硬変における体液貯留
○
−
−
常染色体優性多発性のう胞腎
○
○
○
《効能・効果に関連する使用上の注意》
Ⅰ. 心不全及
び肝硬変
における
体液貯留
の場合
○:効能あり、−:効能なし
本剤は他の利尿薬
(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、
抗アルドス テロ ン薬等)と併用して使用すること。なお、ヒ
ト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験はない。
(
「2.
重要な基本的注意Ⅰ(1)、Ⅱ-(3)」の項参照)
心不全における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
肝硬変における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制の場合
通常、成人にはトルバプタンとして1日60mgを2回
(朝45mg、夕方15mg)
に分けて経口投与を開始する。1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容
性 が あ る 場 合 に は、1 日90mg(朝60mg、夕 方30mg)、1 日120mg(朝
90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。
なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。
〈参考〉
用法・用量
投与方法
投与量
※用法・用量
心不全における
体液貯留
1日1回
15mg
肝硬変における
体液貯留
1日1回
7.5mg
常染色体優性多発
性のう胞腎
1日2回
開始用量1日60mg(朝45mg、夕方15mg)
↓
1日90mg(朝60mg、夕方30mg)
(漸 増)1日120mg(朝90mg、夕方30mg)
《用法・用量に関連する使用上の注意》
Ⅰ. 心不全に Ⅰ-(1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。
おける体
[症状消失後の維持に関する有効性は確認されていな
液貯留の
い。]
場合
Ⅰ-(2)目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされて
いるときの体重)
に戻った場合は、漫然と投与を継続し
ないこと。
[国内臨床試験において2週間を超える使用
経験はない。]
Ⅰ-(3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続
しないこと。(〔臨床成績〕の項§参照)
Ⅰ-(4)血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な
循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に
投与する場合は、半量(7.5mg)
から開始することが望
ましい。(「1. 慎重投与Ⅰ-(1)、Ⅰ-(2)」の項参照)
Ⅰ-(5)
口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
(
「2.
重要な基本的注意Ⅰ-(3)」の項参照)
Ⅰ-(6)CYP3A4阻害剤
(イトラコナゾール、クラリスロマイ
シン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得
ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの
開始などを考慮すること。[本剤の血漿中濃度が上昇
するおそれがある。
(
]
「3. 相互作用」
の項及び
〔薬物動態〕
の項§参照)
Ⅰ-(7)
夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望
ましい。
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
※使用上の注意
Ⅰ. 心不全及 Ⅰ-(1)血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者
[急激な血
び肝硬変
清ナトリウム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症を
における
来すおそれがある。]
(「2. 重要な基本的注意Ⅰ-(5)、Ⅱ体液貯留
(7)」の項参照)
の場合
Ⅰ-(2)重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者及び高齢
者[急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量
減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれ
がある。]
(「4. 副作用(1)
重大な副作用 2)血栓塞栓症」
の項及び「5. 高齢者への投与」の項参照)
Ⅰ-(3)高カリウム血症の患者
[本剤の水利尿作用により高カ
リウム血症が増悪するおそれがある。]
(「2. 重要な基本
的注意Ⅰ-(6)、Ⅱ-(8)」の項参照)
Ⅰ-(4)重篤な腎障害のある患者
[利尿に伴う腎血流量の減少
により腎機能が更に悪化するおそれがある。]
(「4. 副作
用(1)重大な副作用 1)腎不全」の項参照)
Ⅰ-(5)肝性脳症を現有するかその既往のある患者
[意識レベ
ルが低下した場合、適切な水分補給に支障を来すおそ
れがある。]
Ⅱ. 常染色体 Ⅱ-(1)重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者及び高齢
優性多発
者[急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量
性のう胞
減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれ
腎の場合
がある。]
(「4. 副作用(1)重大な副作用 2)
血栓塞栓症」
の項及び「5. 高齢者への投与」の項参照)
41
§: 添付文書の〔薬物動態〕の項又は〔臨床成績〕の項をご参照ください。
Ⅱ. 常染色体 Ⅱ-1. 以下のいずれにも該当する場合に適用すること。
Ⅱ- ①両側総腎容積が750mL以上であること。
優性多発
Ⅱ- ②腎容積増大速度が概ね5%/年以上であること。[臨床
性のう胞
試験には、両側腎容積750mL以上で、腎容積の増加
腎の場合
が早いと推定される患者を組み入れた。]
(〔臨床成績〕
の項§参照)
Ⅱ-2. 投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min
未満の患者における有効性及び安全性は確立していな
い。[臨床試験には、投与開始時のクレアチニンクリア
ランスが60mL/min以上の患者を組み入れた。]
(〔臨床
成績〕の項§参照)
Ⅱ. 肝硬変に Ⅱ-(1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。
おける体
[症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。
]
液貯留の Ⅱ-(2)
本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれること
場合
があること、国内臨床試験において2週間を超える使用
経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者
の状態を観察し、体液貯留が改善した場合は、漫然と投
与を継続せず、必要最小限の期間の使用にとどめること。
Ⅱ-(3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続
しないこと。(〔臨床成績〕の項§参照)
Ⅱ-(4)血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な
循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に
投与する場合は、半量(3.75mg)から開始することが
望ましい。(「1. 慎重投与Ⅰ-(1)、Ⅰ-(2)」の項参照)
Ⅱ-(5)
口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
(
「2.
重要な基本的注意Ⅱ-(5)」の項参照)
Ⅱ-(6)
CYP3A4阻害剤
(イトラコナゾール、クラリスロマイシン
等)
との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用
する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始など
を考慮すること。
[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれ
がある。
(
]
「3. 相互作用」
の項及び
〔薬物動態〕
の項§参照)
Ⅱ-(7)
夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望
ましい。
Ⅲ. 常染色体 Ⅲ-(1)夜間頻尿を避けるため、夕方の投与は就寝前4時間以
上空けることが望ましい。
優性多発
口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。
(
「2.
性のう胞 Ⅲ-(2)
重要な基本的注意Ⅲ-(1)」の項参照)
腎の場合
Ⅲ-(3)
CYP3A4阻害剤との併用は避けることが望ましい。やむ
を得ず併用する場合は、下表を参照し、本剤の用量調節
を行うこと。
[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがあ
る。
(
]
「3. 相互作用」
の項及び
〔薬物動態〕
の項§参照)
通常の用法・用量
弱い又は中等度の
CYP3A4阻害剤との
併用時の用法・用量
(通常用量の1/2量)
強力なCYP3A4阻害剤
との併用時の
用法・用量
(通常用量の1/4量)
1日15mg
1日60mg
1日30mg
(朝11.25mg、夕方3.75mg)
(朝45mg、夕方15mg)(朝22.5mg、夕方7.5mg)
1日90mg
1日45mg
1日22.5mg
(朝60mg、夕方30mg)(朝30mg、夕方15mg)(朝15mg、夕方7.5mg)
1日120mg
1日60mg
1日30mg
(朝90mg、夕方30mg)(朝45mg、夕方15mg)(朝22.5mg、夕方7.5mg)
Ⅲ-(4)重度の腎機能障害のある患者では減量すること。[ク
レアチニンクリアランス30mL/min未満の患者で本剤
の血漿中濃度が増加する。]
(〔薬物動態〕の項§参照)
Ⅱ-(2)高カリウム血症の患者
[本剤の水利尿作用により高カ
リウム血症が増悪するおそれがある。]
(「2. 重要な基本
的注意Ⅲ-(7)」の項参照)
Ⅱ-(3)腎機能が低下している患者
[利尿に伴う腎血流量の減
少により腎機能が更に悪化するおそれがある。]
(「4. 副
作用(1)重大な副作用 1)腎不全」の項参照)
2. 重要な基本的注意
Ⅰ. 心不全に Ⅰ-(1)
本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加さ
おける体
せないことから、他の利尿薬と併用して使用すること。
液貯留の Ⅰ-(2)
本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウ
場合
ム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、口
渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、
体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定すること。
Ⅰ-(3)本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があら
われることがあるので、このような症状があらわれた
場合には、水分補給を行うよう指導すること。(「4. 副
作用(1)重大な副作用 3)高ナトリウム血症」の項参照)
Ⅰ-(4)本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現す
るため、少なくとも投与開始4〜6時間後並びに8〜12
時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。投与開
始翌日から1週間程度は毎日測定し、その後も投与を
継続する場合には、適宜測定すること。
(
「4. 副作用
(1)
重大な副作用 3)高ナトリウム血症」の項参照)
(次頁に続く)
※2014年3月改訂(−部分)
Samsca tablets
®
が増悪するおそれがあるので、症状が改善してから投
与を開始すること。
Ⅲ-(5)高ナトリウム血症があらわれることがあるので、投与
開始後の用量漸増期においては、来院毎に血清ナトリ
ウム濃度を測定し、その後も本剤投与中は少なくとも
月1回は測定すること。異常が認められた場合は、減
量又は中止すること。(「4.副作用(1)重大な副作用 3)
高ナトリウム血症」の項参照)
Ⅲ-(6)投与開始前に血清ナトリウム濃度を測定し、低ナトリ
ウム血症が認められた場合は、急激な血清ナトリウム
濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれが
あるので、低ナトリウム血症の原因を明らかにすると
ともに、血清ナトリウム濃度を補正し、慎重に本剤投
与の適否を判断した上で、投与が適切と判断された場
合に限り投与を開始すること。
Ⅲ-(7)本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血
清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘
発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム
濃度を測定すること。(「1. 慎重投与Ⅱ-(2)」の項参照)
Ⅲ-(8)本剤の投与により腎臓における尿酸クリアランスが減
少するため、血中尿酸が上昇することがあるので、本
剤投与中は血中尿酸値に注意すること。
Ⅲ-(9)失神、意識消失、めまい等があらわれることがあるの
で、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の
運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意
すること。
Ⅲ-(10)本剤の投与により緑内障があらわれることがあるので、
定期的に検査を行うことが望ましい。
Ⅰ-(5)血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者に投与した
場合、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中
心髄鞘崩壊症を来すおそれがあるため、24時間以内に
12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を
中止すること。(「1. 慎重投与Ⅰ-(1)」の項参照)
Ⅰ-(6)本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血
清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘
発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム
濃度を測定すること。
(「1. 慎重投与Ⅰ-(3)」の項参照)
Ⅰ-(7)本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれるこ
とがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、
少なくとも投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行う
こと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合
には、適宜検査を行うこと。
(「4. 副作用(1)重大な副
作用 4)肝機能障害」の項及び「10. その他の注意
」
(1)
の項参照)
Ⅰ-(8)めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意す
ること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う
機械を操作する際には注意させること。
※使用上の注意
Ⅱ. 肝硬変に Ⅱ-(1)本剤の投与により重篤な肝機能障害があらわれること
おける体
がある。肝硬変患者では、肝機能をより悪化させるお
液貯留の
それがあること、及び原疾患の悪化と本剤による肝機
場合
能障害の発現との区別が困難であることに留意して、
本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考
慮し、本剤投与の適否について慎重に判断すること。
Ⅱ-(2)本剤の投与初期から重篤な肝機能障害があらわれるこ
とがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、
少なくとも投与開始2週間は頻回に肝機能検査を行う
こと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合
には、適宜検査を行うこと。(「4. 副作用(1)重大な副
作用 4)
肝機能障害」
の項及び
「10. その他の注意
(1)
」
の
項参照)
Ⅱ-(3)
本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加さ
せないことから、他の利尿薬と併用して使用すること。
Ⅱ-(4)
本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウ
ム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、
口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行
い、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定すること。
Ⅱ-(5)本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があら
われることがあるので、このような症状があらわれた
場合には、水分補給を行うよう指導すること。(「4. 副
作用(1)重大な副作用 3)高ナトリウム血症」の項参照)
Ⅱ-(6)本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現す
るため、少なくとも投与開始4〜 8時間後に血清ナトリ
ウム濃度を測定すること。さらに投与開始2日後並び
に3〜 5日後に1回測定し、その後も投与を継続する場
合には、適宜測定すること。(「4. 副作用
(1)重大な副
作用 3)高ナトリウム血症」の項参照)
Ⅱ-(7)血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者に投与した
場合、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中
心髄鞘崩壊症を来すおそれがあるため、24時間以内に
12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を
中止すること。(「1. 慎重投与Ⅰ-(1)」の項参照)
Ⅱ-(8)本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血
清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘
発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム
濃度を測定すること。(「1. 慎重投与Ⅰ-(3)」の項参照)
Ⅱ-(9)肝硬変患者では、本剤の投与により消化管出血のリス
クが高まるおそれがあるため、患者の状態を十分に観
察し、消化管出血の兆候があらわれた場合には投与を
中止し、適切な処置を行うこと。
Ⅱ-(10)めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意す
ること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う
機械を操作する際には注意させること。
Ⅲ. 常染色体 Ⅲ-(1)本剤の使用にあたっては、適切な水分補給が必要なた
優性多発
め、次の点に注意すること。
性のう胞
Ⅲ- ①飲水能力の低下や飲水機会の制限により、十分に水
腎の場合
分補給ができない場合は、本剤を減量あるいは休薬
すること。
Ⅲ- ②用量を増量又は減量する時は、急激な体重変化に注
意すること。
Ⅲ- ③増量直後には特に口渇、脱水などの症状に注意する
こと。
Ⅲ-(2)本剤の増量により副作用の発現頻度が高くなる傾向が
認められていること、1日120mg投与時に重篤な肝
機能障害の発現が認められていることから、高用量投
与時には、特に肝機能障害をはじめとする副作用の発
現に十分注意すること。
Ⅲ-(3)本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれるこ
とがあるので、投与にあたっては患者に当該副作用に
ついて十分説明するとともに、症状がみられた場合に
は速やかに診察を受けるよう指導すること。(4. 副作
用(1)重大な副作用 4)肝機能障害」の項及び
「10. その
他の注意(1)」の項参照)
Ⅲ-(4)投与開始前に脱水症状が認められた場合は、脱水症状
§: 添付文書の〔薬物動態〕の項又は〔臨床成績〕の項をご参照ください。
3. 相互作用
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。また、P糖蛋白
の基質であるとともに、P糖蛋白への阻害作用を有する。
(
〔薬物動態〕
の項§
参照)
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
ケトコナゾール(経口剤:国
内未発売)、イトラコナゾー
ル、クラリスロマイシン 等
グレープフルーツジュース
代謝酵素の阻害により、
本剤の作用が増強する
おそれがあるので、こ
れらの薬剤との併用は
避けることが望ましい。
やむを得ず併用する場
合は、本剤の減量ある
いは低用量から開始す
ること。(《用法・用量
に関連する使用上の注
意》
の項参照)
本剤の代謝酵素で
あるCYP3A4を阻
害し、本剤の血漿
中濃度を上昇させ
る。
(
〔薬物動態〕
の
項§参照)
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
リファンピシン 等
セイヨウオトギリソウ
(St.
John's Wort、セントジョー
ンズワート)含有食品
代謝酵素の誘導により、
本剤の作用が減弱する
おそれがあるので、本
剤投与時はこれらの薬
剤及び食品を摂取しな
いことが望ましい。
本剤の代謝酵素で
あるCYP3A4を誘
導し、本剤の血漿
中濃度を低下させ
る。
(
〔薬物動態〕
の
項§参照)
ジゴキシン
本剤によりジゴキシン 本剤はP糖蛋白を
の作用が増強されるお 阻害し、ジゴキシン
それがある。
の血漿中濃度を上
昇させる。(
〔薬物
動態〕
の項§参照)
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
シクロスポリン 等
本剤の作用が増強する これらの薬剤がP糖
おそれがある。
蛋白を阻害すること
により、本剤の排出
が抑制されるため
血漿中濃度が上昇
するおそれがある。
カリウム製剤
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン、トリアム
テレン 等
抗アルドステロン薬
エプレレノン 等
アンジオテンシン変換酵素阻
害薬
エナラプリルマレイン酸塩 等
アンジオテンシンⅡ受容体拮
抗薬
ロサルタンカリウム 等
レニン阻害薬
アリスキレンフマル酸塩 等
これらの薬剤と併用す
る場合、血清カリウム
濃度が上昇するおそれ
がある。
本剤の水利尿作用
により循環血漿量
の減少を来し、相
対的に血清カリウ
ム濃度が上昇する
おそれがある。
バソプレシン誘導体
本剤によりバソプレシ 本 剤のバソプレシ
デスモプレシン酢酸塩水和物 ン誘導体の止血作用が ンV2-受 容 体 拮 抗
等
減弱するおそれがある。 作用により、血管内
皮細胞からのvon
Willebrand 因子
の放出が抑制され
るおそれがある。
(次頁に続く)
42
※2014年3月改訂(−部分)
Samsca tablets
®
※使用上の注意
4. 副作用
心不全における体液貯留の場合
国内臨床試験において、安全性解析対象症例213例中143例(67.1%)
に臨
床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇65件
(30.5%)
、BUN上昇28件
(13.1%)
、血中尿酸上昇20件
(9.4%)
等であった。
(承認時)
肝硬変における体液貯留の場合
国内臨床試験において、安全性解析対象症例266例中162例(60.9%)
に臨
床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇83件
(31.2%)、頻尿45件(16.9%)等であった。(効能追加時)
常染色体優性多発性のう胞腎の場合
国際共同試験において、安全性解析対象症例961例中
(日本人118例を含む)
851例(日本人117例を含む)
(88.6%)
に臨床検査値の異常を含む副作用が
認められている。主な副作用は、口渇677件(70.4%)、頻尿503件
(52.3
%)、多 尿366件(38.1%)、頭 痛135件(14.0%)、多 飲 症100件(10.4%)
等であった。(効能追加時)
(1)重大な副作用
1)腎不全
(1%未満):腎不全等の重度の腎障害があらわれることがあるの
で、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。
2)血栓塞栓症
(1%未満):急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓
症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがあるため、観察を十分に行い、異
常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3)高ナトリウム血症(1〜5%未満):本剤の水利尿作用により血液濃縮を来
し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うことも
ある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等
の症状の観察を十分に行うこと。口渇感の持続、脱水等の症状がみられ
た場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含め
た水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナト
リウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症
状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。(「2.
重要な基本的注意Ⅰ-(3)、Ⅰ-(4)、Ⅱ-(5)、Ⅱ-(6)、Ⅲ-(5)」の項参照)
4)肝機能障害
(5%以上):AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、ビリ
ルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を
十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処
置を行うこと。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実
施するなど観察を十分に行うこと。
(
「2. 重要な基本的注意Ⅰ(7)
、
Ⅱ(2)
、
Ⅲ-(3)」の項参照)
5)
ショック、アナフィラキシー
(頻度不明*)
:ショック、アナフィラキシー
(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、観察
を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。
6)過度の血圧低下
(頻度不明*)、心室細動(頻度不明*)、心室頻拍(1%未
満):過度の血圧低下、心室細動、心室頻拍があらわれることがあるの
で、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7)肝性脳症
(1%未満):肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があ
らわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合
には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、肝性脳症は、主に肝
性浮腫患者において報告されているので、これらの患者に投与する場合
は、意識障害等の臨床症状を十分に観察すること。
(2)その他の副作用
種類/頻度 5%以上
1〜5%未満
精神神経 頭痛、め
系
まい
不眠症
失神、意識消失、睡眠障害、
嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、
注意力障害、感覚鈍麻、不
随意性筋収縮、錯感覚、不
安、うつ病、リビドー減退、
神経過敏、パニック発作
消化器
食 欲 不 振、
悪心、嘔吐、
下 痢、味 覚
異 常、消 化
不良、腹痛、
腹部膨満
胃食道逆流性疾患、食道炎、 過敏性腸
裂孔ヘルニア、腹部不快感、 症候群
心窩部不快感、口唇乾燥、鼓
腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、
憩室炎、結腸ポリープ、嚥下
障害、消化管運動障害、舌痛、
舌苔、舌変色、口唇炎、口内
炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニ
ア、食欲亢進、呼気臭、痔核
循環器
頻度不明**
血圧上昇、血 頻 脈、期 外 収 縮、不 整 脈、
圧低下、動悸 起立性低血圧、不安定血圧
貧血、ヘモグロビン低下、平
均赤血球容積増加、血小板減
少、白血球増多、好酸球増多
血液
※承認条件
※包
口渇、便
秘
1%未満
腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多
発性のう胞腎の進行抑制
1. 常染色体優性多発性のう胞腎の治療及び本剤のリスクについて十分に理解
し、投与対象の選択や肝機能や血清ナトリウム濃度の定期的な検査をはじ
めとする本剤の適正使用が可能な医師によってのみ処方され、さらに、医療
機関・薬局においては調剤前に当該医師によって処方されたことを確認した
装
サムスカ錠7.5mg:[PTP]20錠(10錠×2)、100錠(10錠×10)
サムスカ錠15mg :[PTP]20錠(10錠×2)、100錠(10錠×10)
種類/頻度 5%以上
1〜5%未満
1%未満
血中尿酸 脱水、高カリ
上昇
ウム血症、糖
尿 病、高 血
糖、脂 質 異
常症、痛風
血液浸透圧上昇、血液量減 血中抗利
少症、低カリウム血症、高 尿ホルモ
カルシウム血症、低ナトリ ン増加
ウム血症、低血糖、低リン
酸血症、CK(CPK)上昇
腎臓・
泌尿器
頻尿、多 腎臓痛、BUN
尿、血中 上昇、腎機能
クレアチ 障害、血尿
ニン上昇
尿浸透圧低下、尿失禁、尿
意 切 迫、排 尿 困 難、尿 閉、
乏 尿、尿 路 感 染、膀 胱 痛、
腎結石、シスタチンC上昇
過敏症
発疹、瘙痒
蕁麻疹
皮膚
皮膚乾燥
脱 毛、ざ 瘡、皮 膚 炎、色 素
沈着障害、爪の障害、多汗、
乏汗、寝汗
呼吸器
咳 嗽、呼 吸 鼻咽頭炎、上気道感染、扁
桃 炎、副 鼻 腔 炎、喘 息、気
困難
管支炎、口腔咽頭痛、咽喉
乾 燥、鼻 乾 燥、鼻 出 血、発
声障害
眼 乾 燥、緑 内 障、霧 視、結
膜出血
眼
その他
疲労、多 体重変動
(増
飲症
加、減 少)
、無
力 症、倦 怠
感、浮 腫、筋
骨 格 痛、筋
痙縮、胸痛
背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、 不正子宮
側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、 出血
熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、
カンジダ症、真菌感染、筋硬
直、関 節 腫 脹、勃 起 不 全、月
経過多、不規則月経、乳房嚢
胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴
*:自発報告又は海外で認められた副作用のため頻度不明。
**:常染色体優性多発性のう胞腎の国内臨床試験のみで認められた副作用
を頻度不明とした。
5. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやす
いとされているため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、妊
娠する可能性のある婦人には、適切な避妊を行うよう指導すること。
[動
物実験
(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡が報告されている。また、
動物実験(ウサギ、ラット)で胚あるいは胎児移行が報告されている。]
(2)授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラッ
ト)で乳汁中への移行が報告されている。]
7. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立してい
ない。(使用経験がない。)
8. 過量投与
徴候、症状:多尿、血清ナトリウム濃度の上昇、脱水又は口渇が予想される。
処置:呼吸、心電図及び血圧をモニタリングし、必要に応じて水分を補給
する。水分の経口摂取で対応できない場合は、電解質及び体液平衡
を注意深くモニターしながら、低張液を静脈内投与する。なお、血
液透析は有効ではないと考えられる。
9. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導
すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入
し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発すること
が報告されている。
]
10. その他の注意
(1)常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験
(国際共同試験)
において、本剤60〜 120mg/日又はプラセボを3年間投
与した結果、基準値上限の2倍を超える総ビリルビン上昇、かつ基準値
上限の3倍を超える血清ALT(GPT)上昇又は血清AST(GOT)
上昇が、
本剤投与群の2例に認められた。また、基準値上限の2.5倍を超える
ALT
(GPT)
上昇の発現頻度が、プラセボ群と比較して本剤投与群で高かっ
た
(本剤投与群960例中47例
(4.9%)
、プラセボ群483例中6例
(1.2%)
)
。
なお、本剤投与群における基準値上限の3倍を超えるALT(GPT)上昇の
多くは、投与開始3 〜14 ヵ月の間に認められた。
(2)常染色体優性多発性のう胞腎患者を対象とした第Ⅲ相二重盲検比較試験
(国際共同試験)において、本剤投与群はプラセボ群と比較して皮膚の新
生物の発現率が高かった
[基底細胞癌(本剤投与群0.8%(8/961例)、プ
ラセボ群0.2%(1/483例))、悪性黒色腫
(本剤投与群0.2%(2/961例)、
プラセボ群0%(0/483例)]。本剤との関連性は全ての症例で否定され、
日本人での発現はなかった。
上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
2. 製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、本剤が
投与された全症例を対象に製造販売後調査を実施することにより、本剤の
安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要
な措置を講じること。また、集積された結果については定期的に報告する
こと。
サムスカ錠30mg :[PTP]10錠(10錠×1)
◇本剤の詳細については、添付文書をご参照ください。また、「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂に十分ご留意ください。
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頻度不明**
代謝
最新の安全性情報については、下記 URL よりホームページをご参照ください。
http://www.otsuka.co.jp/medical/
2014年4月作成
SS1403076
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