2004.11 FT-S5500 RGB 出力モード用 出力(モード変換)プロファイルについて 近年、デジタルカメラの普及やカラーマネージメントシステムの進化、画像データのマルチユース化にともない、 RGB 形式でデータ入力する機会が増しています。 FT-S5500 では、従来よりも高品質な RGB データの出力をサポートしてきましたが、ドライバソフト “ColorGeniusEX V2.10”から RGB 出力の機能を強化し、さらに使いやすい環境を提供しています。 ・RGB 出力モードにて、ColorSync による仕上りのシミュレーションができるようになりました。 ・RGB 出力での画像ファイル(TIFF 形式のみ)にも、ICC プロファイルの埋め込みができるようになりました。 今回、RGB 出力モード用として、代表的カラースペース対応した出力プロファイルを、さらに充実させました。 RGB 出力モード用 出力プロファイル 原稿 RGB 8/16 bit 出力プロファイル名 8bit 5500Adobe(AI)8bit.C5T (太字のデータが今回追加・修正されました) 内 容 AdobeRGB のカラースペースに向けて最適化した画像が得られ ます。AI セットアップを使用し、必要に応じて調整して下さい。 (*2) 16bit 5500Adobe(AI)16bit.C5T 同上 原稿どおりの色を AdobeRGB で定義された RGB 値で入力しま 8bit 16bit 反射 共通 す。 AI セットアップなどは使用しません。セットアップパレットの (*1) 「セットアップ」チェックボックスを OFF にしてご使用ください。シ ャープネス処理も適用されません。(*2、*3、*4) 透過 / 5500AdobeRGB_8bit.C5T 5500AdobeRGB_16bit.C5T 同上 (*1) 8bit 5500sRGB(AI)8bit.C5T 16bit 5500sRGB (AI)16bit.C5T sRGB のカラースペースに向けて最適化した画像が得られま す。AI セットアップを使用し、必要に応じて調整して下さい。(*2) 同上 原稿どおりの色を sRGB で定義された RGB 値で入力します。AI 8bit 5500sRGBDS_8bit セットアップなどは使用しません。セットアップパレットの「セットア (*1) ップ」チェックボックスを OFF にしてご使用ください。シャープネ ス処理も適用されません。(*2、*3、*4) 16bit 5500sRGBDS_16bit (*1) 同上 ※ 上記の出力プロファイルは、RGB モード専用にデータを作成していますので、他のカラーモードではご使用 しないでください。 【注】 *1) ColorGeniusEXV2.10 以降で付属のデータです。 *2) スキャナ光学系の特性上、原稿(フィルムの銘柄や色材、紙質など)の種類によっては、見た目の色が同一 でも、入力結果が異なることがあります。その場合は原稿に応じてセットアップデータを調整してください。 *3) 絶対的な測色値に準拠しておりますので、一般的な入力画像に比べて暗く見えますが、正常です。 *4) スキャナの光学系は色彩を測定するための系とは異なり、全ての原稿、色彩について正確にデータ化する ことは困難です。 本データは、ANSI IT8.7/1~2 カラーターゲット(富士写真フイルム社製)の入力結果に基づ いて調整されていますが、測色値の精度を保証するものではありません。 ※シャープネスについて RGB モードで AI 用の AdobeRGB、sRGB の出力プロファイルを使用する場合には、シャープネスの強さ(ゲイ ン量)の調整を行っています。調整は、初期設定-セットアップカスタマイズの USM ゲイン量で調整しています。 これは、倍率ごとのシャープネスの仕上がりが揃うように、下記のように変更しています。 従来のデータよりも高 倍側で、シャープネスゲイン量を増やしています。 ポジフィルム 解像度 ゲイン量の オフセット 20 350 525 700 1050 1400 1750 2100 2450 2800 3150 3500 4200 4900 5600 20000 -1 -1 1 2 0 1 0 0 1 2 2 3 4 5 8 8 写真(反射) 解像度 ゲイン量の オフセット 20 70 175 263 350 455 525 595 700 1050 1400 1750 20000 -2 -2 -2 -1 0 1 1 3 2 2 4 6 6 ●ColorGeniusEX V2.12 より古いバージョンからのアップデートの場合 初期設定-セットアップカスタマイズの変更したデータは、次のフォルダに保存されています。 ColorGeniusEX フォルダ - Goodeies - CustomData - FT-S5500 - カスタム 2.ct2 ご使用する場合には、以下にコピーしてください。但し、以前セットアップカスタマイズの機能を使っていた場 合には、データが上書きされてしまいますので、その場合には、上記のデータを新規で作成してください。 ColorGeniusEX フォルダ - ColorGeniusEX V2.1- 入力デバイス - FT-S5500 - カスタムデータ - カスタム 2.ct2 ※使用上の注意 ・プレビューでの表示 ColorSync 設定には、モニタの ICC プロファイルと、入力したいカラースペースの ICC プロファイルを正しく設定 して下さい。また、モニタのキャリブレーションや、照明など周囲の環境にも留意して下さい。 ・ICC プロファイルとの組合せ 画像データと ICC プロファイルは正しく組み合わせてご使用ください。入力時に意図したものと違う ICC プロフ ァイルを組み合わせると、正しい結果が得られません。 ・AdobeRGB の ICC プロファイル入手について 本ドライバソフトには添付しておりませんので、下記 Adobe 社のサイトよりダウンロードし、Macintosh システムの 「Library/ColorSync/Profiles」フォルダに入れてご使用ください。 http://www.adobe.com/support/downloads/ ※解説 ○RGB データとカラーマネージメント スキャナから CMYK データを入力する場合には、あらかじめ決まった印刷条件に合わせて色調整を行ないデ ータ化します。この場合、スキャナサイトで仕上り品質を確定できる反面、入力後に印刷条件を変更したり、印刷 以外の用途に流用したりすることが困難です。 これに対して RGB データは読みとったままの未加工に近い画像ですので、さまざまな印刷条件や用途に向け て応用しやすい特徴を持っています。しかし、RGB 画像を有効に利用するにはカラーマネージメントシステムが 必須です。 CMYK データでは、印刷条件プラス網点%によって仕上りの色を特定できますが、それと同じ役割を提供する のがカラーマネージメントシステムにおける ICC プロファイルです。ICC プロファイルはデータ値に対して実際の 色を定義する、いわば物差しに相当するもので、ICC(国際カラーコンソシアム)によって形式が定められていま す。ICC プロファイルによって、ひとつのカラースペース(色空間)が定義されます。 ICC プロファイルには、ディスプレイやプリンタといったデバイス固有の特性を表すプロファイルの他、特定のデ バイスに依らないデータ交換用のカラースペース(AdobeRGB、sRGB など)を定めたプロファイルもあります。画 像の用途を特定せずに運用したい場合は、主として後者のプロファイルで、かつ、必要な情報が正確に保持さ れるような、十分な色域のカラースペースを選定します。また、なるべく標準的なカラースペースを使う方が、多く の工程に跨って共同作業する場合にも便利です。 スキャナで RGB データを入力する際は、以下のような方法が考えられます。 a) 原稿の色そのままを、目的のカラースペースに当てはめてデータ化する。 原稿の状態が正確にデータ化されるため、画像アーカイブなどの用途に適します。ただし、必ずしも利用に適 した品質にはなりません。運用にあたっては、用途に応じた適切な変換が必要になります。 この用途に対しては、AdobeRGB、sRGB のうち、(AI)の表記のない出力プロファイルが対応します。 b) 目的のカラースペース上で最適になるよう画像を調整してデータ化する。 目的のカラースペースは、CMYK における印刷条件に相当します。一定のカラースペース上で最適化してお けば、画像の品質が揃い、利用しやすいデータとなります。 この用途に対しては、「....(AI)」という出力プロファイルデータが対応します。 このほか、スキャナで一定の条件で入力したときの特性を ICC プロファイル化し、そのプロファイルで運用する 方法もあります。FT-S5500 では、AdobeRGB、sRGB 以外の標準添付のプロファイルを使用した場合に RGB 出 力を行った場合に、「5500stdRGB」というスキャナプロファイルが対応します。 ○ ICC プロファイルと色域(ガモット) デジタルデータでは表現できる数値の範囲が決まっています。たとえば8ビットの画像データなら、0~255 の 数値で表現されます。数値と実際の色との対応は ICC プロファイルで定まりますが、0未満、256以上の値は持 てないので、必ずしも目に見える全ての色を表すことはできません。また、ディスプレイやプリンタの場合には、 物理的に再現可能な範囲が決まっており、プロファイルもその範囲内に設定されます。このように、カラースペー スによって表現可能な範囲のことを色域(ガモット)と言います。 一般的に、色域の広いカラースペースを使えば、より高彩度の色を保持できるようになります。ただし、あくまで 「情報として保持できる」というだけで、中身の画像の善し悪しとは必ずしも一致しません。また、出力するデバイ ス(あるいは印刷)が同じ色域をカバーしていなければ、仕上りは劣ったものになります。 ○AdobeRGB とsRGB FT-S5500 では、代表的なカラースペースとして AdobeRGB とsRGB に対応しています。 ・sRGB 一般的な CRT ディスプレイを基準に定められたカラースペースで、インターネットサイトでの画像閲覧や、コン シューマ向けのデジタルカメラ、スキャナ、プリンタ等で広く利用されています。 ・Adobe RGB sRGB に対して緑~シアンの色域がやや広くなっており、オフセット印刷の色域をちょうどカバーするため、印 刷目的には適したカラースペースです。AdobeRGB に対応したデジタルカメラやディスプレイも普及しつつありま す。
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