5. 粉末冶金 - 素形材センター

粉末冶金
5.
粉末冶金
5. 1 産業動向
粉末冶金製品の品目別の生産量を表 5. 1. 1 に示した。
5. 1. 1
本稿は、これらのうち粉末冶金製法で、最も生産量の
焼結機械部品
多い自動車および各種機械の構成部品を担っている「焼
平成26年(2014年)日本の業況は、消費税増税を前に
結機械部品」および「焼結含油軸受」の生産状況につ
1 月~ 3 月に駆け込み需要が発生した反動で 4 月以降消
いて記述する。
費が低迷期に入った。しかしながら、円安に伴う輸出産
両品目の需要業種別生産量を表 5. 1. 2 に、また生産
業の増益や株高の進行に伴う個人消費の持ち直しなどで
量推移を図 5. 1. 1 にそれぞれ示した。
徐々にではあるが経済は回復に向かいつつある。また米
平成 26 年(2014 年)の主な生産状況は次のとおり。
国経済の持続的成長やヨーロッパ経済の持ち直しがアジ
ア経済の減速を補い、需要を下支えする要因となった。
表 5.1.1 粉末冶金製品品目別生産量
平成 24 年(2012 年)
品目
生産量
(t)
平成 25 年(2013 年)
前年比
(%)
生産量
(t)
平成 26 年(2014 年)
前年比
(%)
生産量
(t)
前年比
(%)
焼結含油軸受
6,386
100.0
6,290
98.5
6,740
焼結機械部品
95,018
104.7
90,918
95.7
90,838
99.9
焼結摩擦材料
635
87.1
605
95.3
692
114.4
焼結電気接点
107.2
64
83.1
59
92.2
64
108.5
焼結磁性材料硬質
31,413
98.9
29,479
93.8
29,406
99.8
焼結磁性材料軟質
7,613
79.2
6,253
82.1
5,688
91.0
その他
1,324
95.1
1,340
101.2
1,447
108.0
142,453
101.3
134,945
94.7
134,875
99.9
合計
*「その他」は「電球及び真空管材料」及び「集電材料」を含み、超硬チップを除く。
出所:経済産業省 生産動態統計
表 5.1.2 軸受合金、機械部品の需要業種別生産量
品目
需要業種
平成 24 年(2012 年)
焼結軸受合金 焼結機械部品
生産量
(t)
前年比
(%)
平成 25 年(2013 年)
構成比
(%)
生産量
(t)
前年比
(%)
平成 26 年(2014 年)
構成比
(%)
生産量
(t)
前年比
(%)
構成比
(%)
輸送機械用
3,993
103.6
62.5
3,939
98.6
62.6
4,197
106.5
62.3
その他用
2,393
94.4
37.5
2,351
98.2
37.4
2,543
108.2
37.7
6,386
100.0
100.0
6,290
98.5
100.0
6,740
107.2
100.0
88,062
106.3
92.7
84,536
96.0
93.0
84,224
99.6
92.7
6,955
88.6
7.3
6,387
91.8
7.0
6,614
103.6
7.3
95,018
104.7
100.0
90,918
95.7
100.0
90,838
99.9
100.0
計
輸送機械用
その他用
計
* 平成 14 年から「電気機械用」「産業機械用」は「その他用」に統合された。
出所:経済産業省 生産動態統計
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SOKEIZAI
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平成 26 年の素形材産業年報
(%)
(t)
100
120000
機械部品
9.9
6.8
7.3
90.1
93.2
92.7
2004
2009
90
軸受合金
100000
80
70
80000
60
50
60000
その他用
輸送機械用
40
30
40000
20
20000
10
0
0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
(年)
2014
(年)
図 5.1.2 焼結機械部品の需要業種別構成比推移(重量)
図 5.1.1 焼結機械部品および焼結軸受合金生産量推移
その他用は、生産量 6.6 千トン、前年比 3.6 % 増で、
平成 26 年(2014 年)の基幹産業である自動車の国内生
このうち産業機械用と電気機械用の動きを日本粉末冶
産は、消費増税の反動で年後半は前年度比マイナスで推
金工業会統計で見ると、産業機械用の前年比は 12.5 %
移したが、年間では前年比 1.5 % の増加となった。自動
増加したが、電気機械用は 15.3 % 減少した。産業機械
車産業関連部品に 90 % 以上の割合を占めている粉末冶
用は、建設機械用部品、汎用エンジン部品、ポンプ部
金の生産量は自動車の生産とほぼ同様に推移したが、年
品ほか。電気機械用は、冷蔵庫、エアコン用コンプレッ
間では前年比 0.1 % 減の 90.8 千トンの生産量に留まった。
サー用など、いわゆる白物家電関係部品であるが国内
四半期別の動きを前年同期比でみると 1 ~ 3 月期が
生産は高級機種に特化されており、
特に平成 26 年(2014
4.5 % 増加したがその後 4 ~ 6 月期が 0.3 % 減、7 ~ 9 月
期が 0.2 % 減、10 ~ 12 月期には 4.1 % 減とマイナスに転
なお、主要需要先の自動車に関する焼結部品のデ―
じた。暦年生産金額は、表には示していないが、1,163
タについて参考までに昨年に引き続き次の 2 点を紹介
億円、前年比 3.4 % 増となっている。
する。
一方産業機械用の生産量は平成 23 年(2011 年)以降
漸減で推移してきたが、平成 25 年(2013 年)2 月以降
増加に転じ平成 26 年(2014 年)も増加傾向で推移した。
(1)自動車 1 台に搭載されている焼結部品の重量(原
単位)
平成 25 年(2013 年)の数値であるが、日本は 8.8 kg、
これは建設機械需要の増加が影響しているものと推測
米国は 20.9 kg、欧州は 9.0 kg で、日欧と比べ米国の原
できる。なお電気機械用はここ数年漸減しており平成
単位は前年と同様突出している。これは日欧が部品を
26 年(2014 年)も減少傾向で推移した。
スリム化していること、コネクティングロッド等の比
需要業種別の生産量の動きは次のとおり。
較的重量のある製品が他製法で生産されていること、
輸送機械用は主体が自動車向けで、焼結部品の最大
日本の軽自動車比率が増加していることによる差が出
の需要部門である。
生産量は 84.2 千トン、前年比 0.4 % 減となった。なお
自動車の国内生産台数は 977 万台、前年比 1.5 % 増、内
ているものと推測される。
(2)焼結機械部品の自動車部位別生産量構成比
日本粉末冶金工業会の需要構造調査による平成 25
輸出が前年比 4.5 % 減、447 万台(日本自動車工業会統計)
年の焼結機械部品の自動車部位別生産量構成比を図
であった。
5. 1. 3 に示した。それによるとエンジン向けが 52.8 %
構成比は 92.7 %(前年 93.0 %)で、前年比で微減となっ
た(図 5. 1. 2)
。
58
年)4 月以降の増税後の落ち込みが大きい。
SOKEIZAI
Vol.56(2015)No.5
(前年 52.3 %)、駆動向けが 24.2 %(同 25.0 %)、シャ
シー向けが 12.2 %(同 12.4 %)となっている。自動車
粉末冶金
ボディ 1.1%
フューエル 0.6%
電装品 4.7%
23 年(2011 年)以降の減少傾向には歯止めがかかった
その他
形ではあるがリーマンショック前の平成 19 年(2007 年)
4.3%
の 8.0 千トンと比較すると 15.3 % 減という水準であり、
継続的な増加に転じたかどうかについては引続きの検
シャシー
証が必要である。
12.2%
四半期別の動きを前年同期比でみると 1 ~ 3 月期が
駆動
24.2%
エンジン
18.0 % 増、4 ~ 6 月期が 5.2 % 増、7 ~ 9 月期が 5.5 % 増、
52.8%
10 ~ 12 月期が 1.4 % 増と年末にかけて前年並みの水準
に落ち着いた。
生産金額は、表には示していないが、156 億円、前年
図 5.1.3 焼結機械部品の自動車部位別生産量構成比(2013 年)
比 10.6 % 増と生産重量同様に増加した。
需要業種別の生産量の動きは次のとおり。
輸送機械用は自動車向けが主体であるが、生産量は
の環境や安全に結びつく、部品が主体となっており、
4.2 千トン、
前年比 6.5 % 増。構成比は 62.3 % で対前年 0.3
焼結部品の品質が高く評価され、信頼性の必要な自動
ポイント減少した。
車のエンジン、駆動部分に多く採用されていることが
わかる。
その他用の生産量は 2.5 千トン、
前年比 8.2 % 増となっ
た。ちなみにその他用のうち、産業機械用と電気機械
用の動きを日本粉末冶金工業会統計で見ると産業機械
5. 1. 2
用の前年比は 14.7 % 増、電気機械用は 4.0 % 減であった。
焼結軸受合金
(齊藤
孝)
生産量は 6.7 千トン、前年比 7.2 % 増となった、平成
5. 2 技術動向
平成 26 年の粉末冶金生産技術の動向を、日本粉末冶
クト一貫生産ライン」、奨励賞として「高温耐久性に
金工業会からの工業会賞受賞製品から眺めてみる。受
優れた車載バルブ開閉モータ用焼結含油軸受」
、「C/C
賞製品からは新製品製造のためにもりこまれた最新技
コンポジットに銅合金を含浸した電車用焼結すり板材
術、製品の動向などを覗える。
料」
、MIM 成形による「ミニチュア工具セット」など
日本粉末冶金工業会賞では平成 22 年度より平成 26 年
度まで工業会賞大賞の該当はない。
が受賞した。
ここでは新製品賞より 7 製品の受賞概要を紹介する。
新製品賞・デザイン部門では「ヘリカルギアを有す
る複雑形状 DCT シンクロハブの開発」、「電気自動車に
用いられる薄肉なエアコンコンプレッサ部品」、
「ディー
ゼルエンジン用クランクセンサー付スプロケットの開
発」が受賞した。
(1)新製品賞・デザイン部門
①ヘ リカルギヤを有する複雑形状 DCT シンクロハブ
の開発
DCT(デュアルクラッチトランスミッション)は、コ
新製品賞・材料部門では「ドアクローザ出力軸の高
ンピュータ制御により変速が自動で行え、トルクコン
付加ドライ対応焼結軸受」、「硬質粒子分散型高耐摩耗
バータを必要としない。そのため、MT に近い伝達効
性バルブガイド材」、「新絶縁付与潤滑剤を用いたネッ
率と燃費の良さを持つなどトランスミッショの長所を
トシェイプリアクトルコア」が受賞した。
併せ持つ。一方で、構造が複雑となり、軽量化や低コ
新製品賞・製法開発部門では「レーザ焼入れ技術を
適用した DCT シンクロハブの開発」が受賞した。
スト化が課題である。
開発では、ヘリカルギヤ成形とストッパー部密度調
その他、原料賞として「焼結体引張強さ 600 MPa と
整用突起を両立させるため、金型の分割を図った。成
優れた被削性を実現する Ni フリー合金鋼粉」、設備開
形加圧時に下パンチとダイ嵌合部であるリード部の焼
発賞として「ショックアブソーバー部品専用:コンパ
き付防止として、材質の最適化表面処理追加、リード
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SOKEIZAI
59
平成 26 年の素形材産業年報
部変形を抑えるための金型形状見直しにより量産が可
防錆性の高い銅系の材料の中、強度やコストに優れた
能となった。この他、加工でのチャック 2 段階に分け
リン青銅系材料で開発した。
る方法を考案し、成形精度を確保した。この結果、7
開発においては、強度、硬さ確保が可能な Sn、P の
速ハイブリッド DCT に使用される複雑形状シンクロ
添加量の検討から開始した。目標の圧環強さを確保で
ハブの焼結化に成功した。
きる Sn、P 添加量を見出したが、焼結の変形が問題と
②電気自動車に用いられる薄肉なエアコンコンプレッ
なり、P 添加量の最適化により変形を抑制した。また、
サ部品
従来の Sn や P 添加焼結は液相量過多による焼結体の
オルダムリングは、カーエアコン、スクロールコン
寸法精度悪化がみられたが、原料粉末の種類と粒度を
プレッサのスクロールの自転を防止するための部品で
見直し、焼結条件の最適化により、寸法精度確保、液
焼結部品が採用されてきた。電気自動車では軽量化や
相量制御を可能にした。その結果、ドアクローザモー
ダウンサイジングに対する要求が非常に厳しく、オル
タ出力軸の軸受に要求される圧環強さ、防錆性、耐摩
ダムリンクに対しても従来品に比べ重量およびフラン
耗性のすべての特性を満たした樹脂インサート対応可
ジ厚の半減が求められる。
能な黒鉛含有のリン青銅系軸受材が開発できた。
開発では、コスト低減のため成形-焼結-サイジン
②硬質粒子分散型高耐摩耗性バルブガイド材
グ-水蒸気処理という最小の工程とし、機械加工を実
自動車エンジンの燃焼室内で開閉しているバルブの
施しないこととした。フランジ部厚さを半減して平面
往復摺動を支持する部品であるため、高温下における
度悪化対策とした。また軽量化により成形体強度が低
耐摩耗性と、エンジン製造時にシリンダーヘッドに圧
いので搬送においてマグネットを用いた搬送方法の最
入された後に内径を切削加工されるための良好な被削
適化を実施した。この結果、重量・フランジ厚さを半
性が求められる。
減した小型・軽量なオルダルムリングの量産が可能に
開発では、ベースとなる従来材料に硬質粒子を添加
なった。
して耐摩耗性を高めた。硬質粒子には、コストと耐摩
③デ ィーゼルエンジン用クランクセンサー付スプロ
耗性向上効果から Cr 系の粒子を選定した。しかし、硬
ケットの開発
質粒子の分散により被削性が低下するので、Cu 含有量
ディーゼルエンジンにおいて、エンジンの回転数を
を高めることによって金属組織中の軟質相量を増大し
検出し、カムセンサーとともに使用することで気筒判
て被削性を補った。以上の結果、摩耗量を従来材に対
別および各気筒への燃料噴射時期を検出する部品であ
し 50 % 低減した。また被削性試験では従来材とほぼ同
る。センサーとスプロケットを一体化することでダウ
等の被削性を達成した。
ンサイジングとコストダウンを図った。
③新絶縁付与潤滑剤を用いたネットシェイプリアクト
開発では、一体化により従来の接合用の厚みを削減
ルコア
した。また、上パンチ側突起付与により余肉の削減を
太陽光発電用リアクトルコアでインバータ内での昇圧
可能とした。また、センサー部が薄く、歯部が破損し
または整流を担うための部品である。リアクトルコアの
やすいため、潤滑剤、金型コーティングの最適化によ
成形では、金型摺動面の塑性流動が発生すると絶縁被膜
り抜出圧を低減し、破損を防止した。また、内径精度
が破壊され、表層の渦電流が増加して本来の特性が発揮
は高精度が求められるため、金型作動の最適化、サイ
できなくなる。そのため、表層の塑性流動を抑え、摺動
ジングでの真円度向上などにより精度を確保した。こ
部の絶縁を向上できる潤滑剤を開発して成形を行った。
の結果、クランクセンサーとスプロケットの一体化、
開発では、純鉄系圧粉磁心材 Fe 99.0 % その他 1 % 以
焼結への切替えを実現し、機械加工無しでの高精度化
下の成分組成とし、粉末を無機および有機絶縁材を用い
とコストダウンに成功した。
た複合被膜構造とした。また高密度化、高強度化を考慮
した、内部潤滑レスでの金型潤滑成形とした。新たに開
(2)新製品賞・材料部門
①ドアクローザ出力軸の高付加ドライ対応焼結軸受
60
発した絶縁付与潤滑剤は、成形時に粉末と金型の間で摺
動し、金属粒子間へ充填されることで金属粒子形状を保
自動車のドアクローザモータ出力軸に使用される軸
持して塑性流動を防止する。また磁心粉の絶縁被膜へ優
受部品である。高負荷、低速で使用されるため高い鉄系、
先的に密着する特殊絶縁物の開発により既存潤滑剤での
鉄銅系の軸受を用いるのが一般的であるがグリース潤
成形より鉄損の増加を 70 % 低減した。さらに、新絶縁
滑での使用するため、防錆性が問題となる。そのため
潤滑剤を用いたコアの摺動面は、パンチ面とほぼ同等の
SOKEIZAI
Vol.56(2015)No.5
粉末冶金
電気抵抗値が得ることができた。この結果、新絶縁付与
潤滑剤を用いることで後加工が不要で、成形方向の制限
クロハブを開発した。
開発では、Fe-Cr 系合金粉を用いて、1/3 の短時間
焼結として焼結寸法精度向上を図った。冷却速度のコ
がないリアクトルコアが量産化できた。
ントロールにより、全面ベイナイト組織が得られ、そ
(3)新製品賞・製法開発部門
の後、サイジング工程で寸法矯正することを可能にし
レーザ焼入れ技術を適用した DCT シンクロハブの開発
た。また、レーザ焼入れは、製品の極表層部に 0.5 mm
自動車用のトランスミッションに使用される DCT
前後の硬化深さの焼入れが可能であり、寸法精度に対
(デュアルクラッチトランスミッション)用のシンクロ
する熱影響を少なくすることができる。その結果、従
ハブである。他のハブに比べて内径スプライン精度の
来の高周波焼入れに対し、
寸法変化量を半減した。更に、
要求が厳しく、そのため焼入れ性に優れた Fe-Cr 系合
レーザ焼入れでは冷却液が不要となるため環境に優し
金材に、レーザ焼入れの適用する高精度の DCT シン
い工程となる。
(清水
透)
5. 3 研究動向
粉末冶金の多様な研究の動向を(一社)粉体粉末冶金協
改良に関する講演があった。「高次構造集積系の機能材
会、平成 26 年度春季・秋季講演大会での発表動向、講
料設計」ではセラミックス材料における複合化、原子
演特集を中心に眺めてみる。
構造の制御による機能の発現・向上に関する多くの研
春季講演大会は 6 月 3 日~ 6 月 5 日に早稲田大学国
究成果が報告された。企画セッション「新しい電子物
際会議場で開催され、138 件の一般講演が行われた。さ
性を創生する遷移金属(希土類)化合物」ではペロブス
らに、5 件の受賞記念特別講演、6 件の特別講演、12
カイト構造をもつセラミックスを中心にその電子的諸
件の招待講演が行われ、11 件の日本粉末冶金工業会賞
特性について講演があった。
の受賞記念講演が行われた。
秋季講演大会は 10 月 29 日~ 31 日、大阪大学コンベ
講演特集としては、「粉末冶金プロセスを用いた製造
ンションセンターで開催され、152 件の一般講演が行わ
技術と製品評価の新展開」、「粉末成形・加工による特
れた。さらに、5 件の受賞記念特別講演、5 件の特別講
異組織構造形成と高次機能化」、「永久磁石の研究、応
演、4 件の招待講演、7 件の依頼公演が行われた。
用に関する重要問題」、
「粉末製造技術とその応用」
、
「光
講演特集としては、「自動車の変化に対応した焼結材
機能材料」
、
「高次構造集積系の機能材料設計」の 6 件
料の新たな展開」、「硬質材料の組織、特性、製造プロ
が組まれた。また、企画セッションとして「新しい電
セス等の改善と新たな展開」「各種粉末の焼結機構と新
子物性を創生する遷移金属(希土類)化合物」が取り組
しい粉末成形技術の展開」、「電磁プロセスを含む新し
まれた。
い粉末成形技術による新機能発現」
、
「環境やエネルギー
「粉末冶金プロセスを用いた製造技術と製品評価の新
問題に資する磁性材料応用」、「メカニカルアロイング
展開」では金属粉からセラミックスまでの粉体操作と
の応用技術」の 6 件が組まれた。また、企画セッショ
製品機能向上の関連に関する講演が行われた。「粉末成
ンとして「熱電変換材料」が取り組まれた。
形・加工による特異組織構造形成と高次機能化」では、
「自動車の変化に対応した焼結材料の新たな展開」で
調和組織制御と呼ばれる組織制御や粉体からの組織制
はギヤや変速機、磁性部品やインジェクタといった自
御、三次元造形を用いた組織制御までが幅広く取り上
動車部品の粉体成形、MIM の適用などが紹介された。
げられ講演された。「永久磁石の研究、応用に関する重
「硬質材料の組織、特性、製造プロセス等の改善と新
要問題」ではサマリウム系、ネオジム系永久磁石の高
たな展開」では硬質膜、窒化物、炭化物あるいはそれ
保持力化、高機能化に関する問題が特別講演、招待講
らの複合硬質材料の作製と評価、超硬材料の作製プロ
演を中心に議論された。「粉末製造技術とその応用」で
セスと機能の評価などが講演された。「各種粉末の焼
は受賞記念講演において極微細金属粉末作製の工業化
結機構と新しい粉末成形技術の展開」ではカーボンナ
における技術発展について講演があった他、粉体の特
ノチューブ、ナノ繊維材料との複合化による機能発現、
性改善に関する多くの講演があった。「光機能材料」で
金属三次元積層造形により作成される部材の機能・特
は光学系材料の焼結、光学特性の改善を目指した機能
性の評価結果などが講演された。「電磁プロセスを含む
Vol.56(2015)No.5
SOKEIZAI
61
平成 26 年の素形材産業年報
新しい粉末成形技術による新機能発現」では通電焼結
御法に関する特別講演の他、この制御法による組織制
成形に関する講演の他、マイクロ波によるプロセスの
御、機能評価に関する発表、メカニカルアロイングに
招待講演・依頼公演が行われた。また、摩擦撹拌プロ
よる合成事例などの発表があった。企画セッション「熱
セスに関する依頼公演が行われた。「環境やエネルギー
電変換材料」では粉体から作成される数々の熱電変換
問題に資する磁性材料応用」では磁性材料に対する講
材料の特性について講演があった。
演の他、電磁波吸収材料に関する受賞記念講演が行わ
その他、粉体粉末冶金協会では「金属粉末の積層造
形技術セミナー」、「第 22 回新粉末冶金入門講座」の 2
れた。
「メカニカルアロイングの応用技術」では調和組織制
件の主催行事を行った。
(清水
透)
5. 4 学会 ・ 業界活動
一般社団法人 粉体粉末冶金協会
(2)講演会
本年度も粉末冶金の基礎知識について習得していた
平成 26 年度における主な事業活動は次のとおりで
だくための第 22 回新粉末冶金入門講座を開催した。粉
末冶金の原料粉末など基礎的事項を解説するとともに、
ある。
焼結機械部品と含油軸受から製造設備にわたり解説が
1.学術誌「粉体および粉末冶金」の発行
学術誌「粉体および粉末冶金」は、粉体および粉末
あり各講演終了後も質疑応答が大変活発に行われた。
また、
6 月 2 日に「金属粉末の積層造形技術セミナー」
冶金に関して広い分野にわたる一般投稿と「積層造形
を早稲田大学国際会議場で開催した。講演は、電子ビー
技術」
「粉末成形・加工による特異組織構造形成と高次
ム、レーザによる積層造形技術の現状と動向、医療分
機能化」などの春秋大会特集テーマを中心とした特集
野での利用動向、公的研究機関における積層造形技術
号への投稿をまとめ、本年度は 73 編を掲載し、年 12 号
の取り組み、業界での取り組みについて合計 8 件の講
発行した。また併せて J-Stage の Online Journal とし
演があった。
て 12 号掲載論文を登載したが、それに加えて昨年度開
催した The 11th International Conference on Ferrites
(ICF11)の Proceedings を Supplement として 80 件の
論文をオープンアクセスで登載した。
(3)T he 3rd International Conference on Powder
Metallurgy in Asia(APMA2015)
2013 年に開催された APMA の理事会において、2015
年のアジア粉末冶金国際会議を日本で行うことが決定
され準備を進めているが、平成 27 年 11 月 8 日~ 10 日
2.研究発表会・講演会の開催
(1)研究発表会
研究発表会は、春秋 2 回行った。春季大会では、
「粉
に京都大学百周年時計台記念館において、日本粉末冶
金工業会と共催することが決定された。APMA2015 の
ホームページを開設し、講演募集を行っている。
末成形・加工による特異組織構造形成と高次機能化」
など 6 つの講演特集ならびに 1 つの企画セッションを
日本粉末冶金工業会
行った。秋季大会でも同数の特集、企画セッションを
行った。そのうち「熱電変換材料」の企画セッションは、
平成 26 年度に推進した主な活動は次のとおりである。
日本熱電学会の協賛をいただき、招待講演、特別講演
を含む 22 件もの発表があり、活発に質疑応答がなされ
た。また自動車の焼結材料に関する特集は、いつも多
1.広報、教育、表彰活動
(1)
「平成 25 年度工業会賞受賞記念特別セッション」
数の参加、発表をいただくが、今回はマツダ ㈱ の招待
を粉体粉末冶金協会の平成 26 年度春季大会で粉末
講演「高性能パワートレイン開発事例紹介および粉末
冶金製品ユーザーを招待して開催。
冶金製法に期待すること」、ヤマハ発動機 ㈱ の特別講
(2)平 成 26 年度工業会各賞の受賞を秋季総会で発表。
演「世界注目国の二輪車事情と粉末冶金」をいただき、
新製品賞デザイン部門 3 件、材質部門 3 件、製法
多くの聴講者であった。
開発部門 1 件、原料部門 1 件、設備開発部門 1 件、
奨励賞 3 件。業界功労賞 2 名、委員会功績賞:3 名。
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粉末冶金
優良従業員表彰:12 社 17 名。
(3)7 月 4 日機械振興会館で「創造性開発」と題し、
講演内容は、
①当会概要と粉末冶金市場動向報告
主任、係長クラスの若手技術者を中心に人材育成
②会員会社紹介
セミナーを開催した。9 社 21 名が参加。自由な発
③会員会社事業紹介と粉末冶金製法への期待
想で意見を出しあい従来の延長線上ではない企画
④欧州 PM トランスミッションギヤの開発状況報告
提案の有効な手法としてほぼ全員から継続の希望
があった。
3.標準化活動
一般財団法人日本規格協会との共同原案事業として
2.情報、技術振興活動
(1)当会の英文ウェブサイトをリニューアル。平成 26
年 4 月から広報部会を中心に内容の検討を行い、
「JIS Z 2550 焼結金属材料-仕様」の JIS 原案作成に先
立ち焼結機械部品技術委員会、原料粉末技術委員会で
原案素案を作成した。
27 年 3 月から公開を開始した。
(2)機 関紙『粉末冶金』
( 年 4 回)発行、第 34 回需要構
造調査実施。英文、和文年報発行。MIM2013 年度
市場統計集計。
(3)効率化事例発表会、
原料粉・設備関係製品 PR 会開催。
4.国際交流活動
(1)5 月 18 日~ 23 日まで PM 2014 オーランド国際会議
に視察団を派遣し、グローバルセッションで当会
会長がアジア地域の粉末冶金動向について講演を
11 月 14 日機械振興会館で製品製造会社 5 社から生
行った。また、地域団体の会議として米国、欧州
産ラインの効率化、職場環境改善事例について紹
の粉末冶金協会と「3 団体会議」を開催し各地域
介。合わせて高機能原料粉 3 件の紹介を行った。
の概況を報告した。アジア地域については
「APMA
事務局 4 名を含む会員会社 95 名が参加。
理事会」を開催し中国、台湾、韓国、インドの協
(4)粉末冶金交流会を開催
会と APMA の運営と行事予定の確認を行った。
平成 27 年 3 月 20 日機械振興会館で会員、非会員合
(2)8 月 15 日~ 16 日に開催された台湾粉末冶金協会の
同で講演会を開催。参加者は非会員 17 社 21 名。参
年次大会の招待をうけ、当会会長がアジアおよび
加者は発表者 4 名を含む合計 88 名。
日本の粉末冶金動向の講演を行うとともに、両協
会の親交を深めた。
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