工事技術調査報告書(PDF:134KB)

足立区
平成26年度工事監査
工事技術調査結果報告書
平成27年1月20日
受託者 :
公益社団法人 大阪技術振興協会
調査員 :
技術士(建設部門)吉田
達夫
調査実施日
:
平成27年1月9日(金)
調査場所
:
足立区役所(6階)監査室及び当該現場
調査立会者
:
監査事務局
調査対象工事:
事務局長
紙谷
衛
監査担当係長
五島
浩
千住温水プール大規模改修工事
千住温水プール大規模改修電気設備工事
千住温水プール大規模改修機械設備工事
工事担当課
:
資産管理部営繕管理課
事業主管課
:
地域のちから推進部スポーツ振興課
目
次
Ⅰ.調査概要
…
P2
Ⅰ−1.目的
…
P2
Ⅰ−2.調査実施日、出席者等
…
P2
Ⅰ−3.工事概要
…
P3
…
P5
Ⅱ.調査結果
1)計
画
…
P5
2)設
計
…
P7
3)積
算
…
P8
4)施
工
…
P9
5)工事監理
…
P17
6)調査結果の所見
…
P18
…
P18
(1)施工管理
(2)品質管理
(3)安全管理
(4)試験・検査
(5)工程管理
(6)現場施工状況
Ⅲ.総合所見
1
Ⅰ.調査概要
Ⅰ−1.目的
当該施設は、平成 5 年に竣工した千寿本町小学校の地下 1 階に併設された
温水プールであるが、時間の経過とともに施設の老朽化が進行し、計画的な
改修・改築が求められている。更には昨今の厳しい経済情勢の中で、今ある
施設の長寿命化を図ることが課題となっている背景から、区立施設の計画的
な維持保全及び改修改築を行なうことで、施設の機能や設備を良好な状態に
保つことにより、建物の耐久性を確保することを目的とするものである。
更には、既存の建物の耐震性については、新耐震設計に基づき構造分類Ⅱ
で設計されており、充分に今日的耐震性能をクリアーしていることから、計
画の妥当性が理解できる。
当技術調査は上記の背景から、用途・目的に合致した施設の建設に対する
これまでの計画・設計・積算・入札経過ならびに施工プロセス、工事監理な
どに関して、その合規性・経済性・効率性・有効性の観点から検討・検証す
るものである。その結果を今後のプロジェクトに反映していただければ幸い
である。
Ⅰ−2.調査実施日、出席者等
1)調査実施日
平成27年1月9日(金)
2)調査場所
足立区役所(6階)監査室および工事現場
3)出席者(説明者・書類審査)
地域のちから推進部スポーツ振興課
スポーツ振興課長
久米
浩一
スポーツ施設支援係長
高橋
功
スポーツ施設支援係主任主事 笹林
義春
資産管理部営繕管理課
営繕管理課長
淺見
寿和
営繕管理係長
大野
民枝
技術調整担当係長
山下
敬毅
技術調整担当係長
池田
雅行
技術調整担当係長
井川
雅行
建築第一係主査
鴨居
正雄
建築第二係長
金子
俊之
建築第二係主任主事
渋川
幸
2
機械設備係長
齋藤
章弘
機械設備係主任主事
大野
直樹
電気設備係長
石井
由介
機械設備係主事
梶田
敏之
篠木
頼光
資産管理部営繕工事担当課
営繕工事担当課長
Ⅰ―3.工事概要
1)工事場所
印
足立区千住三丁目30番
2)工事件名
千住温水プール大規模改修工事
千住温水プール大規模改修電気設備工事
千住温水プール大規模改修機械設備工事
3)建物概要
・鉄筋コンクリート造
地下1階、地上4階建、塔屋1階
敷地面積
6,074.64㎡
建築面積
2,692.87㎡
延床面積
9,067.19㎡
工事対象面積
地下1階
1,445.562㎡
1階
67.32㎡
・施設利用者数
平成25年度
106,988人(平均320人/日)
・改修工事内容
建築工事
:
プール改修、内装改修、建具改修、外壁改修、
防水改修(設計変更の予定)
電気工事
:
電灯・コンセント設備改修、動力設備改修、
拡声設備・インターホン設備改修、音声誘導
設備改修、火災報知設備改修
機械工事
:
空調換気設備改修、給排水衛生設備改修、自動
制御設備改修
4)設計業務委託
株式会社多田建築研究所
5)入
代表者
札
入札方式
:
一般競争入札
3
:
代表取締役
多田
正範
入札公告日
:
入札年月日
:
入札参加業者数 :
建築工事
平成26年4月23日
電気工事
平成26年4月21日(公表日)
機械工事
平成26年4月9日
建築工事
平成26年5月26日
電気工事
平成26年5月14日
機械工事
平成26年5月15日
建築工事
3社(但し2社辞退)
電気設備工事 19社(但し5社辞退、1社不参加)
機械設備工事 3社(但し1社辞退)
6)契
約
契約年月日
:
建築工事
平成26年5月27日
電気工事
平成26年5月15日
機械工事
平成26年5月16日
設計金額
162,594,000円(消費税込)
予定価格
162,594,000円(消費税込)
請負金額
161,784,000円(消費税込)
契約金額
建築工事
落札率99.50%
電気設備工事
設計金額
55,067,040円(消費税込)
予定価格
55,067,040円(消費税込)
請負金額
54,000,000円(消費税込)
落札率98.06%
機械設備工事
設計金額
132,300,000円(消費税込)
予定価格
132,300,000円(消費税込)
請負金額
131,976,000円(消費税込)
落札率99.76%
7)工事請負業者
建設工事
株式会社渡喜建設
代表者:代表取締役
現場代理人:山口祐介
電気設備工事
清水電設株式会社
監理技術者:村上正
代表者:代表取締役
現場代理人:市川政利
機械設備工事
渡邊喜一郎
清水建治
監理技術者:市川政利
産栄・中桜建設共同企業体
代表者:産栄空調株式会社
現場代理人:鈴木由利人
4
代表取締役
武智精一
監理技術者:鈴木由利人
主任技術者:大工
8)工
勇
期
建 築 工 事
平成26年5月28日から平成27年2月13日まで
工事進捗状況:計画97%
電気設備工事
平成26年5月16日から平成27年2月13日まで
工事進捗状況:計画85%
機械設備工事
実施97%(平成26年12月末日現在)
実施85%(平成26年12月末日現在)
平成26年5月19日から平成27年2月13日まで
工事進捗状況:計画90%
実施90%(平成26年12月末日現在)
Ⅱ.調査結果
工事関係書類について調査した結果、工事監理に必要と思われる書類等の
記録及び保管については、よく整理されていることが理解できる。その都度
提示された書類を調査し、疑問点は関係者に質問するとともに、当該工事の
計画・調査・設計・仕様・積算・契約・施工管理・監理(監督)
・試験・検査
等の各段階における技術的事項の実施状況について調査した。その結果は、
統括的には概ね良好と判断された。
尚、特に留意が望まれる個々の項目については、以下の各項に示す通りで
ある。
1)計
画
①足立区スポーツ振興課・営繕管理課・営繕工事担当課の各職員から、当
該工事の事業目的と工事決定に至る経緯について説明を受けた。
②千住温水プールは、竣工後 20 年が経過し、内外装仕上の他、空調設備・
電気設備・配管等の老朽化が進んでいることから大規模改修を行うこと
になったが、第二次生涯スポーツ振興計画に基づきバリアフリー化を図
り、シルバー層への対応を図る他、プール缶体や機器類を更新し、水底
にノンスリップ床を採用する等、足立区の区民の為の施設充実及び向上
に即した明確な方針が感じられる。
③従来の千住温水プールの改修に伴い、最新の機能や施設の充実に加えて
区民が運動・スポーツ活動に親しむことが可能となる環境づくりを目指
した施設としての整備・拡充に関する基本方針に基づき、事業者による
基本設計・実施設計を経て、可能な限りの検討・検証を加えながら、将
5
来に向けて区民の安心かつ安全に地域活動に寄与するための施設整備に
注力してきたことが、契約内容により判断できる。
④地下階に設置された施設であることから、雨水対策についての検討や建
物の浸水についても確認したが、屋外部分の出入口及びドライエリアか
らの浸水や冠水はこれまでなかったとのことであり、豪雨時の雨水の浸
水を想定してポンプアップ対策を講じるなど、過去の実績からも同一敷
地内であり、処理能力・排水ルートに特段の問題点は見当たらない。
⑤施工計画上の工事用動線については、場内外共に固定しており、工事車
輌の頻度に応じて、適宜ガードマンの配置を実施している。地域住民に
対しても、全工期を通じて安全柵を設置し、工事の進捗状況を常時通知
しており、第三者災害への防止措置を講じている。
⑥エコロジー対策としては、
「東京都建設リサイクルガイドライン」に基づ
き、
「建設副産物情報交換システム」の登録対象工事として、極力環境に
配慮した建設資材の使用の他、既存資源の有効利用や、建設副産物の再
資源化等に努めていることが、資料や説明から理解できる。
⑦工事施工の決裁手続きについては、議会・地元住民との協議や説明を行
い、適正に処理されている。ちなみに、地元住民への説明会については、
基本設計及び実施設計をまとめる時点でHP掲載・町会説明・工事のお
知らせ等により実施しており、要望等も集約し取り込む等の調整を実施
しており、妥当である。また、工事着手段階で施工者と一緒に工事説明
を周辺住民(50∼60 戸)にビラで配布して実施しており評価できる。
また、作業内容の変更が生じた場合には、現場の掲示板に掲示する旨あら
かじめビラに明記することで了解を得ていることが確認された。
⑧事業決定に至る手続きについて確認したが、工事に対する計画通知は必
要ないが、計画実施に必要な事前協議や申請等については、適切に実施
しており、妥当である。
⑨交通に影響を及ぼす恐れのある場合を含めて、警察との協議について質
問したところ、既存敷地内での改修でもあり、敷設利用者についてはほ
ぼ現状通りのため、交通標識移設以外特段の指導事項は無かったとの説
明である。但し、工事期間中の工事車輌に対する監視体制を取り入れる
6
など、事前協議の中で必要に応じた安全対策を取り込んでおり、適正で
ある。
⑩関連工事相互間の調整について確認したが、同一敷地内における改修工
事であるとともに、施設規模から分離発注方式となっており、隔週木曜
日午後 1 時 30 分より、工事担当課、事業主管課、請負各社(建築工事・
電気設備工事・機械設備工事)により、定例会議を実施して工程等の調
整を行っており、その後に個別に分科会を実施していたとの説明であり、
技術調査時点で調整面での問題点は見当たらない。
⑪基本設計段階より、工事コストの縮減については、過去の類似事例を元
に積極的に関与しており、イニシャルコスト・ランニングコストの2点
で、具体的に縮減策(建築:缶体の選定、電気:LED 器具の採用、機械:
超高効率型冷温水発生機の採用等)を立案し実施設計に生かされている
事は、評価できる。
2)設
計
①事業運営者との事前協議や既存施設の劣化状況調査・インフラ等の埋設
状況等を含む事前調査に基づいて既存施設の解体・撤去を行うとともに、
給排水・電気・ガスの接続状況を確認する他、隣接住宅の壁の状態をチ
ェックし、記録するとともにコスト削減のための既存構造体を活用した
構造設計を実施しており、評価できる。
②施設規模としては、既存建物の構造・規模を生かした複合施設でもあり、
施設のリニューアルとともに第二次生涯スポーツ振興計画に基づき、今
日的状況に適合した施設の品質・性能の実現及び当該地域との融合性を
図るなど、地域活動に対する機能的かつ利用し易い施設が可能となる点
は、評価できる。
③仕様書・設計図面及び設計内訳書は、書面で確認するとともに品質・性
能要求・形状寸法等が明示され作成されているので、適正である。
④設計基準・設計資料等の整備状況及び運用については、大規模改修であ
ることから「公共施設等整備基準」に準拠したとの説明であり、適正で
ある。
7
⑤現場発生材の処理方法については、特記仕様書に記載されているととも
に、現場において「東京都建設リサイクルガイドライン」に基づいて廃
材の分別収集が実施されており、リサイクルを意識した姿勢が見られる。
廃棄物処分に対するマニフェストについては、施工計画書により事前届
出に従い、適正に進められていることを、各種許可証の写しが適切であ
ることを確認しているとの説明であり、妥当である。
⑥シックハウス対策については、一般居室については全て 24 時間換気シス
テムを採用するとともに、施工完了時にパッシブ方式による測定で、あ
らかじめ設定された測定箇所(休憩室・救護監視室・プールサイド・男
女子更衣室)に対してホルムアルデヒド・トルエン・キシレン・エチル
ベンゼン・スチレン等、厚生労働省環境衛生基準により測定し、安全性
を確認するとのことであり、適正である。
⑦ハートビル法への対応については、足立区公共施設等整備基準(バリア
フリー条例対応)に基づき設計し、チェックしたとの説明であり妥当で
ある。
3)積
算
①「単価」や「歩掛」については、東京都財務局の積算方法を基準として
東京都都市建設行政協議会の建築・電気設備・機械設備数量積算要領・
国土交通省公共建築工事積算基準及び建築施工単価・建設物価や業者見
積りの比較単価等を採用しており、適正である。
②積算内容の照査については、工事担当者・係長・課長が行ない、公共建
築工事積算基準(国交省営繕部)や建築・電気設備・機械設備数量積算
要領(東京都市建設行政協議会)等の基準に準拠して照査していること
から、妥当と判断した。
③資材価格については、実勢価格を適切に反映しているかについて確認し
たが、単価等を常時見直すことで、実勢価格を反映した見積りとなって
いるとの説明であり、妥当である。
④業者見積りはどの項目で行い、採用単価の決定をどのように実施したか
については、東京都財務局の単価表を基準としており、掲載のない項目
については業者見積りを行ない、3 社比較の最安値を採用しているとのこ
8
とであり、妥当である。
4)施
工
(1)施工管理
①工事施工に関する諸官庁等への事務手続きが適正に行われているかに
ついて確認した。 現在まで手続きは順調に実施されているとの説明で
あり、届出リストはあるとのことである。着工時に施工者に対して届出
予定リスト(予定日・受領日・承認印を書式に記載)を提出させること
で、工事の進捗に関係なく、諸手続が双方によりチェックすることが出
来るため、助言した。 具体的事例としては、消防署・労働基準監督署・
区役所(アスベスト・リサイクル法・騒音・振動)等である。
②施工要領書に対する内容の検討及び承認についても質問したが、工事出
来高が各社とも 90%前後まで進捗しており、特段の問題点は見当たらな
いが、一般的には作業工程に影響されることが多いため、着工時に提出
予定リスト(予定日・受領日・承認印を書式に記載)を作成し提出させ
承認することが、工程の遅延に関係なく相互に把握し確認できるので、
助言した。
③総合仮設計画図については、基本的項目については表現されているが、
場内入場者に対する案内図でもあり、カラーにより判り易く識別すると
ともに、最新の現況に基づいて作業動線・安全通路・揚重方法・仮設電
気・仮設給排水・各種施設等を明示し、共通の場に掲示するよう助言し
た。
④「建設廃棄物」の収集運搬・中間処理・最終処分に対する契約について
は、建築副産物処理計画書に基づき契約書の写し・許可証の写し・マニ
フェスト等により確認し、適切に処理されている。
⑤施工体制台帳の内容について確認したが、定期的に報告と確認がなされ
ているとのことである。一般的には仕上工事が追い込みに入ると、短期
の応援作業員も増員される可能性もあり、安全対策上の観点から、新規
入場者教育はもとより、日々の作業員に対する監視と指導が引き続き重
要である。
⑥現場の安全管理、特に安全巡視・安全教育については、朝礼・安全衛生
9
協議会・定例会議・新規入場教育を通じて指導するとともにKY活動・
安全パトロール等でさらに徹底を計ることが望ましい。一方、安全書類
を点検したところ、日々の点検記録や是正確認が充分とは言えず、更に
は日々の工事打合書が正しく活用されていない例もあるので施工業者
に対して指導した。
⑦現場周辺住民等への工事災害防止対策等について確認したところ、着工
前の事前家屋調査を行っており、一方、工事期間中の騒音対策として防
音シートの他、集塵機・低騒音重機の使用等も含めて積極的に近隣住民
との良好な関係を維持しているようで評価できる。
⑧工事記録写真は、施工順序に従って管理されており妥当であるが、隠蔽
部分の対象となる天井裏やシャフト、床下ピット等の記録写真について
は、むしろ別ファイルとした上でキープランを添付し、記号仕訳するこ
とで、将来における検索を容易に識別し確認できる整理が望ましいので、
助言した。
⑨建設廃材の分別・処分及び手続きについて確認したが、関係法令、リサ
イクル計画等に基づいての書類等のチェックにより、適切に行われてい
ることが確認された。但し、分別については、敷地上の制約もあるもの
の一部が混合廃棄物として処理されており、少なくとも三種以上の分別
収集に対する工夫・検討が望ましい。また、中間処分場で分別・再資源
化を行っているとのことで環境的にも改善されており、書面だけでなく
現地の見学をするよう助言した。
(2)品質管理
①施工要領書(または施工計画書)の他、各種検査記録についても時系列
に適切保管されており、検査内容の判定についても確認し妥当である。
然しながら工事の進捗状況に対し、施工計画書の受領及び承認作業が常
に先行して行われるとは言えないことが多いため、着工時より相互に監
視することが望ましい。
②建築工事の出来高約 97%と、内外装仕上及び設備機器の取付をほぼ終え
た段階ではあるため、施工状況に対する各種提出書類は整備されている
ものの、施工データに対する時系列・部位別整理にもう少し工夫と仕訳
を加えることで判りやすくファイルすることが望ましい。
10
③配筋検査については、監督員により現場にて立会確認を行っており、打
設前に合否の確認をしており、不合格箇所は無かったと記録されている。
④供試体の採取については、コンクリート打設時に荷卸し地点にてランダ
ムで運搬車から採取し、現場水中養生の後、供試体は全て第三者機関(建
材試験センター)において管理・試験を行っている。試験結果は打設箇
所・材齢順に報告書により整理し、強度上の問題はなかったとのことで
ある。
⑤型枠取外し後のコンクリート表面の状態に対する検査立会いは、現場代
理人が行い、写真で記録したとの説明であるが、コンクリート打設に対
する不具合事例も多くあることから、構造的または止水対策上重要な部
位、とりわけ外壁廻りの脱型については積極的に立会い確認するよう助
言した。
⑥防水保証については、1 階屋上部分のウレタン塗膜防水(歩行用 X-1)
及び(非歩行用 X-2)についてはプール上部でもあり、10年の防水保
証書を受領することが確認されており、妥当である。尚、既設屋根につ
いては漏水の事実はなかったとの説明である。
⑦工事は設計書通りに施工されているかを確認したが、現在まで粗悪な材
料の使用・施工の粗雑・手抜き工事はなく、変更がある場合はその都度
承諾書又は指示書により行っているとのことであり、妥当である。
⑧既存の機械室や倉庫部分の壁面に貼られた吸音材の一部に、薄墨色のし
みが発生しており、カビが発生している恐れもあり原因究明することが
望ましく、場合によっては部分的に取替えるよう助言した。
(3)安全管理
①現場の仮囲いは、簡易バリケードにより第三者との区画がされている。
建地補強用の控え柱も鋼管パイプで緊結されており、適切で安全である。
現在、出入口ゲート周辺は一般道路に面しているため、常時監視員が配
置されており、第三者への対応も適正である。
②労働安全衛生法第 88 条第 2 項に対する足場の届出については高さ及び
11
設置期間の点から不要である。現場における足場架設状況も全面防音パ
ネル張りとしており適切である。但し、今後の作業の中で、内外仕上げ
のための器具や金物取付の他、残工事も多少見られることから、上下作
業の安全性を確保すると共に、転倒防止に留意することが求められる。
③場内への出入口ゲート周辺及び、外周廻りの公道を通行する車輌につい
ても、制限速度を遵守しており、監視員も常時配置されていることから、
施工業者の姿勢が評価できるものの、竣工を控えた状況ではあっても、
就学児童も含めて第三者に対する案内表示・標識を目立つ場所に掲示し
注意を喚起する事が望ましく、助言した。
④仮設足場、仮設用分電盤(動力盤)等に対する取り扱い責任者の表示及
び日々の利用する作業員に対する取り扱い上のルールを事前に指示確
認し、遵守させることが望ましいので、助言した。
⑤総合仮設計画図については作成されているものの、安全通路・作業通
路・車輌用動線に対して明確な表示がない他、仮設設備(電気・給水等)
の引込み位置や場内配置の表示がない上、着工時のままで現状に対応し
た表示に修正されていないので、是正を指導した。
⑥施工者として、出入口周辺に掲示する法定上の各種看板については、分
離発注ではあっても統一した共通のレイアウトで掲示することが望ま
しいので、助言した。
⑦安全日誌・安全パトロールによる巡視の他、安全衛生協議会活動により、
安全活動・安全教育を行っているが、常日頃のパトロールに対する指摘
事項及び是正記録が少ない。指示・確認を定型的に行うのではなく、現
場状況に対応した指導と是正及び記録を日常的に実施することが、現場
代理人として無事故無災害を達成するための常道であり、更なる努力が
求められる。
(4)試験・検査
①監督及び検査・検収・立会いについては、必要に応じて施工者とともに
立会い確認を厳正に実施されており、記録も適正に保管されている。
②各種検査・材料試験等については適正に行われ、書類として整備されて
12
はいるが、やはり試験・検査予定リストとして着工時に施工者より提出
させることで、工事の遅延に影響されずに承認手続きが進められるので、
助言した。
③工事については設計書通りに施工されており、粗悪な材料の使用・施工
の粗雑・手抜き等の工事は見当たらないが、既存改修であることから作
業手順の違いにより、関連する工事間で施工上の手戻りも生じており、
竣工に向けて更なる監視を期待するばかりである。
(5)工程管理
①工事の進捗状況については、建築工事・電気設備工事・機械設備工事に
分けた分離発注であり、関連工事との調整や事業者・監督員と施工各社
が定期的協議により効率よく進められており、技術調査時点では順調に
推移していることが判った。しかしながら、全体実施工程表については、
主体となる建築工程に設備工程との関連性が明確に併記されておらず、
関連工事に対する相互の把握を確実にするよう助言した。
②一般的には、全体実施工程表や総合仮設計画図を目につき易い場所に掲
示し、関係者全員に周知させるとともに、工程上のマイルストーンや重
点管理項目・安全目標等を記載する他、個々の工事項目の進捗状況を点
検し把握して、工程上の遅延に対する改善策をその都度明示させること
が、統括管理者の責務であると考えられる。
③全体工程表については、基本的には関係者が集まる会議室に掲示してあ
るが、定期的に進捗状況に対する記載がないことが多く、実施工程を常
に現状及び竣工までの作業を折り込んで作成し、全員に周知徹底させる
ことが重要である。無事故無災害との説明だが、残された工期の中で限
られた作業ではあるものの、工事用動線と優先作業及び搬入ルートを明
確にし、第三者との区画を徹底した施工管理体制で臨むことが大切であ
り、事故・トラブルを未然に防止することにも繋がるので助言した。
(6)現場施工状況
①建設業法で規定されている確認済証・建設業許可票・労災保険成立票・
施工体系図等の掲示は、適切になされていた。
②1 階屋上防水及び外壁塗装がほぼ終った段階で、工事記録写真・検査記
13
録等で施工状況をチェックしたが、品質管理に対するしっかりとした姿
勢が感じられる。現在進行中の内外装工事・設備工事等から判断して、
施工業者の統括管理が徹底しているものと判断した。作業員達の巡視者
に対する挨拶もきちんとしており、安全巡視及び安全教育等の活動を通
じて施工業者の努力が生かされており、評価できる。
③足場は、「手すり先行工法に関するガイドライン」に則って施工された
との説明である。
④配筋検査については全て検査記録と写真の保管が整備されており、適正
である。しかしながら、工事記録写真とともに時系列毎にファイルされ
ており、検索方法に手間がかかるので、配置プランによる識別方法を助
言し、指導した。
⑤生コンプラントは、普通コンは(株)ユニテックであり、JIS 規格(適)工場
である。
⑥生コンプラントからの運搬所要時間はいずれも 30 分から 1 時間程度で
あり、問題はない。打設時には現場内待機時間に留意することが大切で
あるが、主要な打設を完了した現時点で、問題はないと思われる。但し、
トレーサビリティの視点から、打設範囲に対する仕訳は明確にし、記録
として残すことが望ましいので助言した。
⑦骨材の産地・種類については、混合砂(埼玉県川口市西新井宿)、砕砂
(栃木県佐野市山菅町)、山砂(千葉県富津市鶴岡)、砕石(栃木県佐野
市山菅町)とのことであり、いずれも試験に合格しており適正である。
また、アル骨反応及び塩分量についても合格していることを書面で確認
した。
⑧生コンの単位水量については、185kg/㎥であり、上限 185kg/㎥をクリ
アーしており、妥当である。
⑨地下 1 階外部のドライエリア部分の外壁に取付けられたガラリの防虫ネ
ットが破損し垂れた状態であることから、設計内容には含まれていない
ものの、竣工引渡しまでに張り替えることが望ましい。
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⑩プール天井面に取付けられた東西二箇所の輻射熱源の格子カバーが、既
存のまま使用するとの説明であるが、既に振動等で個々に歪みとズレを
生じているので、落下防止のための方策を検討するよう助言した。
⑪プール内に面する既存アルミサッシュについては、被膜部分に劣化が見
られる他、ステンレス枠についても錆が発生していることから、改修効
果の妨げともなるので、特殊塗装等の技術的検討をした上でクリーニン
グするよう助言した。
⑫ホール(300 角セラミックタイル)、男女シャワー室(200 角磁器タイル)、
プール(デザインタイル)等に、各種タイルが採用されていますが、固
定方法及びエフロ対策については、裏込めモルタルによる将来の白華現
象の恐れもあるので、下地処理にプライマー塗布をしたとのことであり
評価できる。
⑬地震で天井の崩落等が発生しないよう、既存アンカーの強度チェックの
他、新設天井下地補強や天吊り空調機等の重量物の落下を防止するため
にワイヤー等による緊結を義務づけるよう助言したが、特定天井基準に
準じて施工したとの説明である。また、天井内部のふところが深い箇所
については、ブレース補強等の横振れや縦振れを防止する対策が必要で
あるが、既に中間検査時点でいずれも確認したとのことであり妥当と判
断した。
⑭既存外壁に複層仕上塗材 E を吹付ける場合、外壁の劣化状況及び高圧水
洗浄による既存塗膜の除去による下地の健全性の確認については、全数
目視及び打診によりチェックしたとの説明である。念のため P コン跡や
足場繋ぎ跡の処理についても現地にて確認するよう指導した。
⑮プール壁面に化粧材として木材プラスチック複合材が使用されており、
耐温性・耐腐蝕性に優れているが、デザイン枠内に既存のセンサー防護
金物が腐食した状態で目立っており、金物のバリ処理もないので、デザ
イン・安全上検討するよう指導した。
⑯表面仕上用塗料については、特記仕様に明記された水溶系 F☆☆☆☆の
材料を選定しており、施工要領書・カタログにより確認したとのことで
あり、適正である。
15
⑰内装材・接着剤には、VOC放散量の小さいF☆☆☆☆を選定し、メー
カーカタログと材料検査時に確認したとの説明であり、証明書もあると
のことである。工事完成時に提出される安全データシートにより再確認
するとのことであり、妥当である。
⑱改修後の主要施設の照度設定に対する検証については、JIS 基準に基づ
き各室の照度を設定するとともに、最終的に現地にて照度測定及び確認
を行うとのことであり、適正である。
⑲改修に伴い、設備各社(電気・機械)のメンテナンス対応としての各回
路の種別・行先表示等について確認したが、それぞれに識別・判断出来
るよう色分けし、表示札を付けるとのことであり、適正である。
⑳プールの循環ろ過機の改修が契約に含まれており、ろ過方式の選定や将
来の維持管理について確認したが、比較検討の結果、砂ろ過方式を採用
したとの説明であり、安価な選択として評価できる。
21 1 階床下部分にある配管ピット等については、換気状況を事前にチェッ
○
クするとともに、将来の点検・修理作業時の安全チェック(酸欠防止)
を明確に示すことが求められるので指導した。
22 最終クリーニングを控えて、営業エリアとバックエリアを考慮してクリ
○
ーニング工程を早期に工事関係者に示し、床及び壁・建具等の養生方法
を明確にすることで、手戻りのない作業に繋がるので、助言した。
23 プール内外周壁の下部にある点検口については、既存の扉に新規の仕上
○
を行っているが、点検口内部は二重壁となっていて、漏水チェックの必
要も想定されることから、可能な範囲で内部の清掃を終えることが望ま
しいので、助言した。
24 敷地内からの汚水及び雨水・雑排水対する排水処理能力についてチェッ
○
クしたが、足立区の流出抑制対策に適合した処理能力を確保している施
設であることが、施設管理者への聞き取り調査により確認されたため、
今回は排水ポンプの改修は行っていないとの回答があり適正である。
16
25 既存施設の解体撤去に関して、どのように事前チェックと確認を行った
○
かについて質問したが、発生材(コンクリート・鋼材他)については、
鋼材は有価処理、コンリート・アスファルトは中間処理にて再生利用、
既存樹木については一部再利用するとのことで、「東京都リサイクルガ
イドライン」等に基づいて、発生量の削減・現場での分別・再利用等に
より、工事現場外への搬出の抑制に努めていることは評価できるが、分
離発注でもあり敷地の制約もあるが、更なる細分化した分別収集が望ま
れるので助言した。
5)工事監理
①当該工事については、工事内容及び規模等から、工事監理を業務委託し
ていないことは評価できるが、工事監理に対する実施記録がないとの説
明である。主体的に工事監理し、記録を残すことは重要であることから、
発注者側として必要な情報のみを仕訳し、書式として統一することで工
事用書類の重複を回避し、施工者側の書式・報告に委ねることなくファ
イル数の低減と情報に対する選別をすることが、工事監理の効率を高め
るため、助言した。
②「工事打合せ」については、隔週木曜日午後 1 時 30 分より定例会を行い、
その後施工者毎の分科会を実施しているとの説明であり、参加者につい
ては工事担当課・事業主管課・施工各社で構成されていることから妥当
である。結果の記録は施工者側でまとめたものを翌週の定例会に提出し、
承認を受けることになっており、書面で確認し問題は見当たらない。
③工事監理業務の実施状況については、試験・検査の立会い、諸官庁等へ
の届出状況・打合せ記録等の施工者に対する指導報告等を、施工者側か
ら提出され承認した工事月報とともに報告されており適正であるが、報
告書式は請負者側に委ねられており、工事の規模・用途等に対応した報
告書式の簡素化が望ましいので、助言した。
④「試験」
「検査」の立会いついては、工種毎に適宜行っており、実施記録
を書面でチェックし適正であることを確認した。
⑤足立区として「工事監理等業務委託仕様書」(営繕管理課)が基準・規定
として既に活用されていることから、外部委託せず自ら工事監理する場合
の工事規模・工事内容に対応した工事監理業務の基準を、出来れば月報と
17
しての報告書式も含めて整理し、統一して運用されることが望ましい。
6)調査結果の所見
当該施設は、足立区が進める区立施設の計画的な維持保全及び改修改築
を行い、建物の耐久性を確保することを目的として、将来に向けた地域活
動拠点の整備・充実を図る為に実施される事業であり、計画当初から施設
に対する規模・需要に十分な検討・検証を行っていることが、設計及び仕
様書に反映されている。
設定された工事コスト・工程の中で、品質・性能に対する最大限の努力
をすることで、事業者に対する信頼を得るとともに、将来に向けて地域の
重要施設として貢献できるものであり、残された工期の中で積極的に工事
監理することが望ましい。
まもなく竣工を控えた工事監査ではあるが、工程的にも順調に進捗して
いることから、設計デザインにふさわしい施工品質の実現の為にも、無事
故無災害は当然として、将来に瑕疵や品質上のトラブルを発生させないよ
う、監督員は工事監理する立場から、施工各社との更なる緊密な連携を図
りながら、高品質な温水プール施設の実現に邁進されることを願うばかり
である。
とりわけ、週間・月間工程の中で、見直しされる実施工程に対し関係者
全員による周知徹底とその達成に向けて、工事監理者として強いリーダー
シップが求められるとともに、作業所を統括管理する現場代理人による、
更なる努力が期待されるものである。
この度の技術調査を振り返り、事業担当者・監督員・施工各社との間に
当該事業に対する協調体制が感じられ、特段の問題点は見られないが、残
された工事工程の中で可能な限りの品質・性能の向上を目指して、更なる
指導・改善等を助言したので、ステップアップの布石となれば幸いである。
Ⅲ.総合所見
この度の技術調査を振り返り、全体を通して統括的な意見を提起すること
で、今後の工事監理に対する改善に繋がればと願う次第です。
工程的には、出来髙が 90%前後まで進捗していることから、配管・ダクト
等の取付や設備機器の据付・照明器具等が外見的にはほぼ終えた状況であり、
最終クリーニングを待つばかりの印象である。
建設業界全般に拡がる技術者・作業員を含む建設労務者不足が危機的に叫
ばれている状況の中で、残工事に対する工程的検討・施工各社による個々の
18
作業手順の確認・仕上養生エリアの再調整等、施工各社相互の協調体制が必
要とされる現況である。
各社の施工出来映えは今のところ良く出来ていて、記載事項以外には特に
問題点は見当たらないので、工事監理を含めて施工各社の努力が感じられる
ものの、残された工期の中で、既存仕上との対比も表出することから、改修
工事の特徴を生かして最適な判断と、更なる品質・性能を重視した工事監理
体制を維持するとともに、耐震安全性に優れた高機能施設の実現に向けて、
総員体制で努力されることを願うばかりである。
更には、将来における公共建築物に対する維持管理や保守点検へと繋がる
機会ともなれば、幸いである。
19
足立区
平成26年度
工事技術調査結果報告書
平成27年 1 月29日
公益社団法人 大阪技術振興協会
技術士(建設部門)
藏
正幸
調 査 実 施 日:
平成27年 1 月14日(水)
調 査 場 所:
足立区役所南館6階監査室及び当該現場
調 査 立 会 者:
足立区監査事務局 紙谷
その他関係各職員
調査対象工事:
足立区立足立小学校新築工事
事 業 主 管 課:
学校教育部学校施設課
工 事 担 当 課:
学校教育部学校施設課
監督員:建 築 工 事 坂
浩
電気設備工事 福澤 祐介
機械設備工事 齋藤
進
衛事務局長
目
次
Ⅰ.目 的
・・・
1
Ⅱ.調査概要
・・・
2
・・・
5
Ⅲ−1 総括的所見
・・・
5
Ⅲ−2 個別的所見
・・・
5
・・・
5
・・・
6
・・・
12
・・・
14
・・・
16
Ⅱ−1 工事内容説明者
Ⅱ−2 工事概要
Ⅲ.調査結果
1.書類調査における所見
(1)工事着手前における書類調査
1)計画・設計に関する書類について
2)積算に関する書類について
3)入札・契約に関する書類について
(2)工事着手後における書類調査
1)施工管理に関する書類について
2)工事監理に関する書類について
3)試験・検査等に関する書類について
2.現場視察調査における所見
(1)工事看板、安全対策等
(2)現場施工状況について
(3)今後の工事での要望
Ⅳ.その他の所見
Ⅰ.目 的
当該工事は、足立区が進めている小学校の適正規模・適正配置の実施計画に基づい
た千寿第五小学校と五反野小学校を統合した足立小学校の新築工事である。本計画は、
五反野小学校を解体したのち、その地に新校舎を建設する。工事期間中は千寿第五小
学校を仮設校舎として利用する合理的な方法を採用している。
当技術調査は上記の背景から、用途・目的に合致した施設の建設に対するこれまで
の計画・設計・積算・入札経過ならびに施工プロセス、工事監理などに関して、その
合理性・経済性・効率性・有効性の観点から検討・検証するものである。その結果を
今後のプロジェクトに反映していただければ幸いである。
1
Ⅱ.調査概要
Ⅱ― 1
工事内容説明者
1.計画・工事概要について
学校教育部学校施設課
稲本
望課長
2.工事の現況について
三浦・田中・白谷建設共同企業体
Ⅱ― 2
現場代理人
谷口
栄郎氏
工事概要
1.工事場所
足立区足立三丁目11番5号
2.工事件名
足立区立足立小学校新築工事
3.計画概要
(1)施設概要
敷地面積
8,706.11㎡
建築面積
3,734.79㎡
延床面積
10,077.65㎡
主要施設
校舎棟、体育館、プール、給食室、地域連携施設、備蓄倉庫ほか
想定学級規模
普通教室
20室、多目的室
特別支援学級
3室(生徒の増減に応じ普通教室へ転用)
知的障害学級:3室(8名/1クラス)
弱視学級:3室
(2)建物概要
規模・構造
鉄筋コンクリート構造(以下RC造と称す)一部鉄骨造(以下S
造と称す)、地上4階建
基礎・杭
杭基礎
PHC杭中堀拡大根固め工法(大臣認定工法)
(3) 計画の基本方針
・時代の変化に対応できる施設
・健康で安全な環境整備➝衛生管理、防犯対策
・情報社会に対応した施設
・地域防災拠点➝一時集合場所、避難所
・人にやさしく(バリアフリー、ユニバーサルデザイン)、地域に開かれた施設
(コミュニティー、生涯学習の場)
・地域のシンボル➝地域との調和、まちなみに配慮
・自然環境に配慮した施設づくり➝省資源・省エネ、自然エネルギー利用、環
境配慮設計
・利用しやすく管理しやすい施設➝動線計画、職員室からの視界、地域開放に
2
対する管理の厳格化
・建設費、維持管理費に配慮した施設➝LCC、維持管理に配慮した仕様
(4) 工事内容
校舎棟、付属棟、外構の築造に伴う建築工事、電気設備工事、給排水衛
生設備工事、空調設備工事ならびに太陽光発電設備工事
4.
入札
(1)入札方式
条件付き一般競争入札
建築工事、電気設備工事は3者構成による建設共同企業体
給排水衛生設備工事、空調設備工事は2者構成による建設共同企業体
太陽光発電設備工事は単独業者(当工事のみ公募型指名競争入札)
(2)公告日
(太陽光発電設備を除く各工事とも)平成25年4月17日
(3)入札年月日
(太陽光発電設備を除く各工事とも)平成25年5月24日
(太陽光発電設備工事)平成26年5月21日
5.
工事請負会社
建 築 工 事
三浦・田中・白谷建設共同企業体
電気設備工事
アキラ・清水・浅香建設共同企業体 監理技術者:駒場
給排水衛生設備工事
監理技術者:谷口
栄郎
重紀
拓進・オールワンエナジー建設共同企業体
監理技術者:大井久孝
空調設備工事
坂田・玉紘建設共同企業体
太陽光発電設備工事
6.
設計業務委託
7.
工事監理
8.
契約工期
アキラ電設㈱
㈱桂設計
㈱桂設計
監理技術者:小澤
文裕
主任技術者:岩井川 実
設計責任者:岡崎
監理責任者:岡崎
平成25年 6月14日
∼
俊一
俊一
平成27年2月27日
9.事業費(消費税込)
(1)総事業費:3,481,404,000円
国庫補助金:
803,174,000円(公立学校施設整備費国庫負担金
学校施設環境改善交付金)
起
債:1,252,000,000円(校舎建設債)
基
金:1,426,230,000円(義務教育施設建設資金積立基金)
一 般 会 計:なし
(2)工事金額
1)建 築 工 事
予定価格
2,268,000,000円
3
請負金額
2,268,000,000円
落 札 率
100 %
最終変更契約額
2)電気設備工事
予定価格
287,700,000円
請負金額
262,395,000円
落 札 率
91.2 %
最終変更契約額
3)給排水衛生設備工事
予定価格
請負金額
201,600,000円
99.8%
最終変更契約額
238,350,000円
請負金額
237,825,000 円
99.8 %
最終変更契約額
5)太陽光発電設備工事
予定価格
請負金額
248,695,500円
21,635,640円
21,060,000円
落 札 率
10.契約日
208,156,200円
予定価格
落 札 率
◆全工事合計
294,375,000円
201,285,000円
落 札 率
4)空調設備工事
2,709,117,300円
97.1 %
設計価格
3,027,796,140円(993,300円/坪)
当初請負金額
2,990,565,000円(設計額の98.8%)
最終変更契約額
3,461,413,200円(1,135,500/坪)
(建築工事) 平成25年6月13日
(各設備工事) 平成25年6月13日
(太陽光設備工事)平成26年5月22日
11.履行保証
12.工事進捗率
履行保証保険(東日本建設業保証㈱に加入:前払金分)
建築工事≒93% 、各設備工事≒90%
4
Ⅲ.調査結果
Ⅲ−1 総括的所見
当工事は 、 足立区が進めている小学校の適正規模・適正配置の実施計画に基づ
き千寿第五小学校と五反野小学校を統合した小学校の建設工事である。既存の千寿
第五小学校と五反野小学校は共に施設が古く、老朽化、耐震性などにより改築は妥
当で、それを児童数減少に伴う「統合」という形で実現することができた。工事期間
中は、千寿第五小学校を仮設校舎として利用することで無駄な出費を極力抑えるよ
う努力している。当計画は周到な準備を重ねて実施されており、その合理性・経済
性・効率性・有効性は極めて妥当で問題となるところはない。
設計については、施設の特性を的確に把握し、当初設定した9つのコンセプト
を基に、居住環境、自然環境に配慮した設計、耐震性・材料の安全性、防犯体制、
バリアフリー対応、省エネ・自然エネルギー利用、地域住民への配慮、防災拠点と
しての整備、維持管理の容易性、さらにコスト低減にも配慮した内容となっている。
積算については、公的な積算資料に基づいて正確に積算、単価も各種単価、各
業者の見積もりを比較して最適、低価格のものを最優先に採用している。
入札・契約については、地元振興、公平性に最大限に配慮、設計、施工を担当
する技術者については、その経験、技術力の評価を見極めたうえで業者の選定を行
っている。
工事監理については、実施設計を担当した設計事務所の監理技術者が学校施設
課の監督員、施工者と連携して定期的に的確な監理を行い、品質管理に努めている。
実施設計を担当した設計事務所が引き続き工事監理を行うことは、設計上の責任を
行使する意味で大変重要なことである。
施工は各種工事とも事前に施工計画書を作成、各業種連携の基、設計図書に忠
実に施工を行っており品質にも問題はない。ここまでのところ順調に施工が行われ
ている。工事工程も当初の計画通り遂行されている。
試験・検査で最も重要な要素は、シックスクール対策である。当工事は施設の
特殊性から化学物質による汚染は徹底的に排除されねばならない。環境測定はこれ
から実施されるが、綿密な計画のもと的確な測定を行ってほしい。
以上、当新築工事は、計画から施工まで、現在までのところ特に問題となると
ころはない。
Ⅲ−2
個別的所見
1. 書類調査における所見
設計図書、積算設計書、入札・契約関連書類、工事関連書類などについて調査をした
結果、一連の書類は必要かつ十分であり、よく整理・保存されている。
5
調査の方法は、こちらで準備した各項目の質疑書に基づき書類等の提出を求める方法
で行った。その結果、的確に書類の提示が行われ、疑問点の質問に関しても担当者より
的確な回答を得た。
以下、主だった調査の結果を記述する。
(1)工事着手前における書類調査
1)計画・設計に関する書類について
・本工事の設計は、建築基準法をはじめ関連法規ならびに各種設計基準に則っ
て設計、施工されている。また、設計を行う設計事務所は一級建築士事務所
として登録された業者で、設計担当技術者は一級建築士の資格者(さらに構造
設計者は構造設計一級建築士、設備設計者は設備設計一級建築士)であること
を確認した。なお、積算業務は外部事務所に外注しているが、公的な資格を
持った事務所、技術者であることを確認した。
・本工事の計画に対し、建築基準法第18条第3項の規定による確認済証を取得し
ている。また構造設計に関しては構造計算適合性判定を受けている。
・調査の結果、各工事設計図書間の整合性に問題はない。
(ⅰ)計画設計
・事前調査:計画に先立ち、既設校舎のアスベスト調査、測量、地盤調査など
を行っている。アスベストは存在することが確認され、それぞれ対策がとら
れた。なお、地盤の土壌汚染調査は後日実施され、汚染が確認された。
・基本計画は、基本構想に準じて立案された。主な具体的項目を下記に示す
*地域連携施設の設置:地域とPTAが連携➝PTA室に近接設置。
*歴史史料室・メモリアルコーナーの設置:旧千寿第五小と五反野小の歴史等
を展示。
*特別支援学級の設置:知的障害学級(固定学級)と弱視学級(通級)を設置。
*ワークスペースの設置:児童の増減に伴う教室への転用などフレキシブルな
対応を行う。
*ユニバーサルデザインの採用:バリアフリーをはじめ誰にでも使いやすい施
設を目指す。
*食育:給食室の外から食べ物がどのように作られているかを見学できるよう
にし、食育を進める。
*中庭の設置と回廊:回廊型の施設配置として、中庭から自然の光、風を取り
入れ省エネを図る。児童の居場所としての空間演出。
*設備の長期利用:キュービクルを屋内型にするなど、設備機器の長寿命化を
6
図る。
*太陽光発電:屋上に太陽光パネルを設置、自然エネルギーを活用し、省エネ、
温暖化対策に資する。
*屋上緑化の設置:屋上緑化により、断熱対策、環境対策を図る。
*災害対応設備の設置:緊急避難場所としての備蓄倉庫をはじめ、マンホ-ル
トイレ、かまどベンチを設置する。
・マスタープランでの特徴は、
*敷地の東側にグランド、西側に校舎棟を配置。
*生徒の昇降口はグランド側、校舎東面に配置、3か所の通用門から便利な位
置に設置。
*通用門には防犯カメラ、校庭周囲には2mのフェンスを設置、防犯対策が取ら
れている。
*職員室は、グランド側に面し、観察しやすい位置に配置。
*体育館は北西隅に配置、プールは管理上アリーナの上部に設置されている。
アリーナの窓面は、西日を避けるように配置されている。
*地域連携施設は西側に配置、学校施設との距離を取って管理上の対応がなさ
れている。
*普通教室は、1階には設置せず2階から上部に配置、防犯対策上の処置がと
られている。
・建築設計については経済性を重視し、使用材料はほとんど汎用品を使用して
いる。また、石、タイルなどの高級材料は局部的な使用に止めている。
・VOC,シックハウス対策としては、F☆☆☆☆材料の使用を原則としており、
竣工後の化学物質の濃度測定も計画されている。
・利用者の安全対策としての各所の手すり高さは法で規制されている高さ(H≧1,1
00mm)をすべてクリアーしている。また、屋上の非利用区域については、常時施
錠して生徒の侵入がないよう安全対策が取られている。
・階段の踏み面、蹴上、踊り場の寸法は、法で規制する小学校の規定をすべて満足
している。なお、階段の手すりは児童の年令に対応して2段手すりとしている。
・床段差の解消、スロープの設置、視覚障害者用タイル、多目的トイレ、滑りにく
い床材の採用など利用者のためのバリアフリー対策、ユニバーサルデザインには
最大限配慮している。
・各室の出入り口は、引き戸を基本として利用者への利便性、安全性を図っている。
・外壁面には、複層ガラス、断熱材など冷暖房負荷を低減するための断熱対策が取
られている。また、バルコニーや庇を大きく張り出すことにより、遮光を図って
7
断熱対策に配慮している。
・主な居室の天井の高さは2.7m、階高は3.8mで標準的な高さとしている。
・ガラスには、安全対策として強化ガラスを採用している。一部のガラスには更に
フィルムを張るなどの対応をしている。
・アリーナの有効高さは8.0m、平面的なスペースも小学校の標準的な大きさを確
保している。
・屋外に面する金属材料は、耐久性、維持管理に配慮してアルミ、ステンレスなど
の耐蝕性の高い材料が使用されている。
・グランドには、近隣への対策として高さ12mの防球ネットを設置している。
以上、計画設計については、施設の特性を十分に把握した設計となっている。
また、適法性、ユニバーサルデザイン、環境対策、安全性、省エネ、経済性、耐
久性、維持管理の容易性にも十分配慮した妥当な設計となっている。
(ⅱ)構造設計
・基礎工法:堅固な地盤に既製コンクリート杭で建物を支えている。1柱1本(1つ
の柱に杭を1本)の原則は賢明な判断である。杭工法は大臣認定工法に依ってい
るが、3案の各種工法を比較したうえで採用している。
・地盤調査時に液状化の検証を行っており、液状化の懸念があると判定されている。
対策としては杭で抵抗させるとしており、液状化による建物への影響はない。
・重要度係数(I)の採用:公立学校の標準としてI=1.25を採用している。計算の結
果、Qu/Qun≧1.03で、さらに3%以上の余力があることを示している。
・構造設計方針:架構形式は、東西方向は純ラーメン工法、南北方向は耐震壁付き
ラーメン工法とし、壁を有効に利用している。構造スリットは最小限とし、構造
スリットのデメリットを回避する対応をしている。
・層間変形角、剛性率、偏心率は、すべて法の規定値を満足している。
・使用材料は、すべて標準的な材料を使用しており、問題はない。
・主要構造部(柱、梁など)の断面の大きさは標準的で、過大なものはない。
・鉄筋の量はかなり多めである。この規模のRC造で重要度係数(I)=1.25を採用し
ている以上やむを得ない。問題は施工性への対応である。現場での施工者への事
情聴取で、楽ではなかったが特に問題となるほどではなかったとのコメントを受
けた。
・プールを支えるアリーナ上部の柱スパンの大きい大梁には、プレストレスコンク
リート梁を採用している。本来、高所でスパンの大きな部分に重量物を載せるこ
とは構造上好ましいことではないが、やむを得ない。プレストレス梁の採用は適
8
切である。
以上、構造設計に関しては、上部構造には十分な耐力を保有したうえに、経済
性、施工性、品質確保にも配慮した設計となっている。また、設計デザインに関
しても構造的な観点から随所で協力をしており、前向きな取り組みを評価する。
建築確認取得に際して構造計算適合性判定を受け、公的機関で構造計算の妥当性
が確認されている。
(ⅲ)電気設備の設計
・受変電設備:屋上のキュービクルにより受電している。受電容量は7.2KVA。
・発電容量20kwの太陽光発電設備を屋上に設置している。1階昇降口にモニターを
設置、太陽光発電の状況を逐次表示、教育の一環に供している。
・屋上設置機器類は設計震度k=1.5以上で設計し、耐震性の確保を図っている。
・建築基準法、消防法に準拠し自動火災報知設備、非常用照明、誘導灯設備、排煙
設備などの防災設備を設置している。
・各種照明器具には高効率型の器具、Hf蛍光灯、LED照明を採用し、省エネに配
慮している。また、点灯・消灯には人感センサー、タイマーセンサー(外灯)、調光
などランニングコストでの省エネにも配慮している。なお、ケーブルは環境に配
慮してエコケーブルを使用している。
・アリーナの照度は、小学校の競技施設での標準、500lx以上を確保している。
・昇降機設備:エレベータならびにダムウエータを設置している。
・防犯対策として通用門に防犯カメラ、門扉に電気錠、また学校110番も装備され
ている。
・グランドに夜間照明が設置されている。
・各機器は中央監視・自動制御により、人件費削減、管理の効率化を図っている。
(ⅳ)給排水衛生設備の設計
・給水は既設の給水本管より取り込み、直結による給水と増圧ポンプによる給水を
使い分けている。なお、防災時の緊急用飲料水としての受水槽の設置はない。ペ
ットボトルでの対応としている。
・排水は、汚水と雑排水は分流方式とし、汚水はグリーストラップを介したのち建
物外で合流、既存の枡に接続後公共下水に放流している。
・建築基準法、消防法に準拠し屋内消火栓設備を設置している。
・屋上設置の設備機器は設計震度k=1.5で設計し、耐震性の確保を図っている。
・地中埋設の給排水管は高耐久性、耐震継ぎ手のものを採用している。
・衛生器具は耐久性、維持管理の保守性ならびに省エネ対応に配慮した節水型器具、
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自動水洗、自動洗浄などを採用している。また、各フロアーに多目的トイレを設
置している。
・1階給食室に乾式用厨房設備を設置している。
・プール給水用に、全自動珪藻土ろ過装置を設置している。
・災害時にプールの水を利用するマンホールトイレを設置する。
・屋上緑化のために自動散水設備が設置されている。
(ⅴ)空気調和設備・換気設備の設計
・空調方式は、電気ヒートポンプ方式とガスヒートポンプ方式の個別空調を使い分
けて省エネを図っている。空調監理は1階管理室にて集中リモコンにより一括管
理を行う。アリーナは自然通風効果を利用し空調の対応はない。暖房設備として
遠赤外線輻射暖房を設置している。
・換気は、給食室はシロッコファンによる1種換気(給気、排気とも機械換気)、各居
室は全熱交換器を中心の1種換気とし、その他の部屋は換気ファンとするなど省
エネに配慮している。
・屋外機など屋上設置の設備機器は設計震度k=1.5で設計し、耐震性の確保を図
っている。また、近隣への騒音対策にも配慮している。
以上、設備関連の設計は、発注者の意図を十分に把握し、基本計画に遵守した
環境対策、省エネ対応、自然エネルギー利用、身障者対応設備、安全対策などに
積極的に取り組んでいる。また、耐久性、維持管理のしやすさ、LCC を含めた
経済性などにも配慮した設計となっている。各種法律に準拠して防火設備、避難
設備、消防設備も設置されており、耐震性の向上も図っている。特に問題となる
部分はない。
2)積算に関する書類について
・積算(歩掛を含む)に当っては、東京都財務局「(平成24年4月1日建築工事積
算標準単価)積算基準(建築工事編)」(平成25年1月1日改訂版)に準拠してい
る。また、定期刊行物などの積算資料を参考にしている。準拠基準に問題は
ない。
・設計事務所から上がってきた積算数量の照査は、学校施設課の専門の技術者
により行われている。
・単価は、ビニール床シート、壁用有孔合板、天井岩綿吸音板など使用数量の
多い仕上げ材、ならびに構造材料の資材を抽出してチェックした。そのうち
型枠の単価が近年大幅に値上がりしており、労務事情が単価にも反映してい
る様子が伺える。そのほかに特に異常な単価はなかった。
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・単価表に無い特殊な材料の見積りについては、3者以上の業者から見積りを
取得している。整理された資材の一覧表をチェックした。業者間で見積り金
額に大きな開きのあるものについて担当者に質問したところ、金額差の大き
なものについては、内容のチェックを綿密に行って必ずしも最安値を採用す
ることではなく、妥当な金額の見積もりを採用しているとの回答を得た。妥
当な判断である。
・積算数量:躯体の主要資材をもとに数量の検証を行った。コンクリートは、
延べ床面積1㎡当り103.9cm(1.039㎥)で一般の建物よりかなり多め。一般的に
は70∼80cm程度。これは階高が高く、大スパンで屋上にプールを載せている
体育館部分の影響と思われる。鉄筋の延べ床面積当り179kg/㎡も同じ影響と
思われる。同じく鉄筋のコンクリート1㎥当たり172kg/㎥も一般より多めで、
これは図面上の各断面の鉄筋が多いことの裏付けで、重要度係数など設計条
件が厳しいことによる影響と思われる。型枠のコンクリート1㎥当り3.62㎡は
標準的な数値である。
・建築工事の現場管理費、一般管理費のいわゆる経費について、純工事費(共
通仮設費+直接工事費)に対する比率を算出してみたところ、16.3%で妥当な
経費率といえる。
以上、積算については特に指摘する項目はない。
3)入札・契約に関する書類について
・基本構想から実施設計、工事監理を委託する設計事務所の選定は条件付き一般競争入
札としている。実施設計と工事監理を同一業者に発注する方式は、品質管理の面から
妥当な判断である。
・各工事の入札は、共同企業体または単体業者の条件付き一般競争入札として多くの業
者に参加の機会を与えている。
・入札条件として、業者の施工能力を重視しており、価格と同時に品質の確保に努めて
いる。
・入札に参加できる業者は区内関連業者とし、地元振興に配慮している。
・各工事の入札とも予定価格の事前公表を行っている。
・品質確保の観点から低入札調査価格を設定している(非公表)
。
・各工事とも入札保証金は免除している。
・契約保証については、
「保証証書」の閲覧によりそれを確認した。
・工事請負契約書は適正に交わされている。契約書を確認した。
・変更契約:5回にわたり契約が変更された。その理由は以下による(建築工事の場合)。
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*労務単価の変動(値上がり)によるもの
*土壌汚染に伴う産廃処分費
*躯体の資材の高騰によるもの
*工事請負約款に伴う賃金、物価の変動
*廃道に伴う外構工事費の増額
それにより不足した資金は、補正予算で補った。
以上、入札、契約に関する手続き、執行について特に問題となるところはない。
ただ、度々の契約変更による増額は外的要因とはいえ誠に残念である。
(2)工事着手後における書類調査
1) 施工に関する書類について
(ⅰ) 施工管理
・各工事施工者の建設業許可証、監理技術者、主任技術者の技術者としての公的な
資格は、資格者証、講習終了証を照査の結果問題はない。
・総合施工計画書、各種工事施工計画書、安全衛生管理計画書などは、公的な仕様
書に準拠して的確に作成されている。
・施工体制台帳の作成、内容に問題はない。
・施工報告書、工事記録写真は、適宜適切に作成、保管されている。
・周辺への環境対策として、低騒音低振動機器の使用を厳守している。
・諸官庁への届け出は遵守されている。書類を確認した。
・近隣には絶えず気を配って施工を行っている。毎週1回現況説明のための紙面を
配布している。作業時間は8:00∼18:00と設定し、日曜祝日は休日としている。
この条件から外れるときは必ず事前に了解を得て作業を行っている。近隣からは
度々苦情は来るが、今までのところ大きなクレームはない。
(ⅱ)品質管理
・再生資源利用計画書を作成、再生資源(砕石など)利用に努めている。
・建設廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分については、マニフェスト等を確認
した。適正に処理されている。
・入荷する材料については、材料受け入れ時の目視検査、製品検査証明書、製品安
全データシート(MSDS)を確認することで行われている。仕上げ材・塗料・接
着剤・設備用機材等のF☆☆☆☆の規格を受け入れ写真、MSDSなどにより調
査した。とくに問題となる部分はなかった。
・品質管理は施工計画書に基づいて的確に行われている。施工報告書、施工記録写
真などにより、それらを確認した。
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(ⅲ)安全管理
安全管理について調査した主な内容を以下に示す。
・安全対策としての仮設計画図を検証した。
*敷地周囲には高さ3mの仮囲いを設置、外部への安全対策としている。
*敷地内は軟弱地盤のため、重機走行範囲は地盤改良のうえ鉄板を敷き、重機の
転倒に備えている。
*車両の出入り口には常時監視員を置き、事故防止に備えている。また、場外へ
出る車両は洗浄を行い、道路汚染などのないように努めている。
*外部全面に900∼1200mmの手すり先行型の枠組み足場を設置して外部作業を行
っている。すでに足場は撤去済みのため、これらを工事写真で確認した。
・施工者相互間での安全衛生協議会、安全パトロールは計画書に基づき定期的に実
施されており、安全衛生日誌も怠りなく記入されている。毎朝安全朝礼を開催し
てから業務を開始している。
・新規入場者には、全員入所時教育を実施しており、新規入場者面接簿を提出させ
ている。60歳以上の高齢者も受け入れており、高所作業を控えるなど、慎重な対
応で雇用している。それらを書類により確認した。今までのところ無事故。
(ⅳ)工程管理
工程は当初設定通りで特に遅れることもなく推移している。今後も契約工期通
りに竣工の予定である。工程管理は適切に行われている。調査時点での工事進捗
率は建築工事 93%、各設備工事 90%程度となっている。
以上、これまでのところ施工関連の書類に問題となるところはない。
2)工事監理に関する書類について
・工事監理は、委託された工事監理者により重点監理方式で行われている。
・工事監理を行うに当り、監理方針書を作成している。内容を精査の結果、特に問
題となる項目はない。
・発注者には、毎月施工者と共に「工事報告書」(月報)を監督員経由で提出している。
日報と共に内容の確認を行った。
・監理者は毎週火曜日の定例会議に出席、発注者、施工者などと業務の調整を行っ
て、工事を円滑に進めている。会議の内容は議事録として残し、関係者一同の意
思疎通を図っている。各担当責任者の捺印が押された会議議事録を確認した。問
題はない。
・施工者からの要請に基づき、各種検査、試験の立会いを監督員と共に行っている。
検査報告書、立会写真などで確認した。
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・特定工程:建築基準法第18条第19項の規定により、特定工程(2階の配筋工事)で
の中間検査を受検、適合していることが証明された。中間検査合格証によりこれ
を確認した。
以上、工事監理は適切に行われている。
3)試験・検査等に関する書類について
・試験・検査は、施工者からの依頼に基づき、工事監理者が立会のもとで行われ
ている。
・コンクリート強度、鉄筋接合部圧接試験の第 3 者試験の結果に問題はない。報
告書を確認した。
・環境測定:揮発性有機化合物の環境測定は、据え付け家具など工事範囲の設置
後に行われる。周到な準備の上、漏れのない測定を行ってほしい。
以上、これまでのところ、試験・検査での結果に問題はない。
2.現場視察調査における所見
現場視察は躯体工事が完了し、仕上げ、設備工事が最盛期の状況で行われた。工
事は順調に推移しており、安全対策、出来高、出来形とも特に大きな問題はなかっ
た。以下に主な調査結果を述べる。
(1)工事看板、安全対策等
・工事看板、施工業者の資格、労災保険加入証、近隣へのお知らせ看板等は見や
すいところに適切に掲げられている。
・外構工事はグランド整備の下地調整中で、車両が頻繁に出入りしている。秩序
正しく施工が行われていた。通用門には監視員が配置されていた。場内の整理
整頓にも問題はない。仮囲いなど仮設の状況にも問題はない。調査の結果、現
時点での安全上の問題はなかった。
(2)現場施工状況について
1)建物内部の施工状況
・建築工事では、仕上げ・下地の状況を中心に、間仕切りの施工性(隙間による
音声の漏れ)、手すりの高さ、サッシの状態(断熱性、防音性など)、床の段差、
出入り口の安全性(引き戸下部のレール溝など)、床の平滑度、天井の施工状況
(天井吊り材などの下地ならびに施工精度)、打ち放し部分の躯体の状況(施工
性、ひび割れなど)、木工事の仕上げの状況、防火扉・防火区画などの安全対策
等を見て回った。
・設備工事では、天井裏、床転ばしの配管・配線類、天井面の空調機・電灯など
の設置物の精度、スイッチ・コンセントの位置と精度、PS 内の配管類の状況、
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屋内消火栓などの防災設備、避難経路表示の避難設備などを主に見て回った。
調査の結果、校舎棟、体育館とも建物内部の施工状況は、建築工事、各設備工事
ともほぼ設計通りに施工されている。特に指摘する問題点はなかった。
2) 建物外部の施工状況
・建築工事では、主に屋上の状況をつぶさに視察した。
*手すり、フェンスなどの設置に問題はなかった。また、屋上への侵入防止対策
にも問題はなかった。
*屋根の防水状況、水勾配、排水溝、ルーフドレインとも適切に施工されていた。
*金物類はすべて、耐蝕性のある材料で施工されていた。
*金属屋根の材質、施工状態に問題はなかった。また、太陽光パネルの金属屋根
への緊結状態も確実に施工されていた。
*プールは施工途中であったが、現在のところ問題点は見当たらなかった。
*屋上緑化は客土を入れた状態であった。強風による飛散に対して、管理上で対
応するよう示唆した。
そのほか、バルコニー、外壁の仕上げの状態、打ち放し部分のコンクリート
の仕上がり状態、打ち継ぎ目地、耐震スリットの目地、縦樋・軒樋とも特に指
摘するような問題はなかった。
・設備工事では、屋上の空調屋外機、各種ファン、ダクト・配管類を視察したが、
特に指摘する部分はなかった。
以上、屋外の施工状況は全般的に良好で、特に指摘するような問題点はなかった。
(3)今後の工事での要望
竣工まで 1.5 カ月を残すのみとなったが、これからの工事は重要である。
特に留意して欲しい項目を述べる。
・室内環境対策:これについては随所で述べてきたが、当施設においては極めて
重要な要素であるので重ねてお願いする。これからも色々な仕上げ材、塗料、
接着材が納入される。まずは水際での材料規格の確認(F☆☆☆☆、MSDS など)
を徹底すること。さらに環境測定。家具類の設置もあるので、周到な準備、十
分な換気を行ったうえ、慎重な対応・測定をお願いしたい。
・各設備工事については、引き渡し前の調整・試運転を励行して欲しい。真っ先
にクレームの対象となるのは設備工事に多い。
・今後の工事で高所作業は少ないが、事故にはくれぐれも気をつけてほしい。事
故は 30cm の高さからでも起こることを認識しておくことが大切である。
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Ⅳ.
その他の所見
今計画の技術的側面においては、特に大きな指摘につながるところは見られなか
った。ただ、度重なる契約変更で工事金額が大幅に増加した。その中には、社会変
動に伴う不可抗力的な要素もあったが、事前に予測できる内容もあった。今後、同
様の計画をされる場合には事前の調査を特に入念に行うことをお願いしたい。
以上
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